説明

高精度高圧アニール装置

【課題】高圧アニール装置の構造を簡単なものとし、一層アニール作業効率の高い装置を提供する。また、アニール作業を行なう容器内の温度分布をより均一にすることにより、一層高精度なアニール作業を行なうことが出来るような装置を提供する。
【解決手段】圧力容器16と、該容器内に配置されており内部にワーク25をアニール処理するためのアニール処理室24を画定しておりかつ互に封止手段23により封止連結されている筒体21とエンドキャップ22とにより構成されている反応容器20と、加熱手段28,34と、石英ガラス板27と、温度制御センサー26と、反応容器内へ純水を供給するための純水供給手段33と、反応容器内に有り純水供給手段からの純水を保持する部所29と、反応容器内の圧力を制御する圧力制御手段と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般には液晶用ガラス基板やシリコンウエハー等に酸化膜等を生成するため若しくは所望の熱処理を施すための高圧アニール処理装置に関し、特に、液晶用ガラス基板やシリコンウエハー等に酸化膜等を生成するためアニール処理室内へ純水等の流体を適量だけ供給することにより空焚きを防止しかつ当該処理室内に均一な温度分布を形成することにより高精度なアニール作業を達成することが出来る高精度高圧アニール装置に関する。
【0002】
液晶用ガラス基板やシリコンウエハー等をアニール処理する場合、該液晶用ガラス基板やシリコンウエハー等の表面を600℃又はそれ以上の温度まで加熱して表面を酸化してそこに酸化膜を形成する方法は知られている。しかしこのような方法は軟化点が500〜600℃程度のソーダガラスでは高温に耐えることが出来ずガラス表面が溶解することがある。そこでソーダガラスの代わりに1400〜1700℃程度の軟化点を有する石英ガラスの使用が求められている。しかしながら、石英ガラスは一般に高価であり経済的でない。そこで、ガラス表面だけを瞬間的に酸化させることが出来るレーザーアニール方法が提案された。この方法によればソーダガラスを使用した時でもその表面が溶解するということはなく、高価な石英ガラスの使用は必ずしも必要ではない。しかしながらこのレーザーアニール方法は精度の高い酸化膜を形成することが困難でありガラス上に高精度な酸化膜の形成が期待出来ない。このため、最近では、特に、水蒸気を使用して酸化膜を形成するという高圧アニール水蒸気処理方法が広く採用されている。
【背景技術】
【0003】
図8には高圧アニール水蒸気処理方法を具体化した装置1(例えば、特許文献1参照)を示している。この高圧アニール装置1は、概括的には、エンドキャップ2内にて加熱手段3、4により加熱された高温の水蒸気を、流路5を介して高圧状態の反応容器6内へ供給し、該反応容器6内に配置した液晶用ガラス基板即ちワーク7へ対して高圧アニール水蒸気処理を施すものである。この時、反応容器6が当該反応容器内方からの高温高圧ガスによって破壊されるのを防止するため、当該反応容器6全体を大きな圧力容器8内へ収容し、かつ当該圧力容器8と反応容器6との間に画定される空間を加圧することで当該反応容器6の内外の圧力バランスを取っている。更に、処理反応を迅速化しかつ高品質な酸化膜形成を可能とするため、圧力容器8と反応容器6との間に第1の付加的加熱ヒーター9を、更に反応容器6の上方に第2の付加的加熱ヒーター10を設けて反応容器6内の水蒸気の反応を促進している。このアニール装置1では水蒸気を発生するための純水が、エンドキャップ2の中央部下方において流路5の下端部に形成された内部容器11内に収容されている。また、内部容器11内の純水が不足することによる内部容器11の空焚き状態が発生することを防止するため、高圧力下でも適切に作動する弁手段12(例えば、特許文献2参照)を介して系外に設置した純水収容タンク13(例えば、特許文献3参照)から随時適正量の純水を送り込んで空焚きを防止している(例えば、特許文献4参照)。
【特許文献1】特願2003−101651
【特許文献2】特願2003−101627
【特許文献3】特願2003−101610
【特許文献4】特願2003−101548
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかるに、上記発明の装置においては、内部容器の形状及び構造が多少複雑であり、また反応容器のシール手段が損耗する可能性が予想され、その上、装置の製造、取扱い及び
保全にある程度の熟練が要求されていた。更に、内部容器周辺に対する加熱手段の取り付けが多少困難を伴うことがありその配置及び取り付けに注意が要求された。また、使用する加熱手段が通常の電熱ヒーターのため、アニール作業の効率が極めて優れているというほどのものではなく、その上、アニール作業を行なう容器内の温度分布も必ずしも常に均一であるというほどのものではなかった。また、ワークへ供給する蒸気を常に細かい理想的な状態で提供するための手段を備えていないためワークの仕上がり精度が一定しないことがあり、作業効率が必ずしも理想的ではなかった。そこで、本発明が解決しようとする課題は、高圧アニール装置の構造を簡単なものとすることであり、更にこの発明においては一層アニール作業効率の高い装置を提供することであり、その上また、アニール作業を行なう容器内の温度分布をより均一にすることにより、一層高精度なアニール作業を行なうことが出来るような装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の高精度高圧アニール装置は、圧力容器と、該圧力容器内に配置されており内部にワークをアニール処理するためのアニール処理室を画定しておりかつ互に封止手段により封止連結されている筒体とエンドキャップとにより構成されている反応容器と、反応容器内を加熱する加熱手段と、加熱手段の上方にあり反応容器内に設けられている石英ガラス板と、石英ガラス板とワークとの間に配置されている温度制御センサーと、反応容器内へ純水を供給するための純水供給手段と、反応容器内に有り純水供給手段からの純水を保持する部所と、反応容器内の圧力を制御する圧力制御手段と、を有している。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、高圧アニール装置の構造を極めて簡単な形状及び構成としかつ反応容器のシール手段を積極的に冷却可能とすることにより操作に熟練を要することなくまた当該装置の製造、取扱い及び保全を容易なものとし、更にアニール作業の効率を一層高めることが出来る装置を提供することであり、その上、アニール作業を行なう容器内の温度分布をより均一にすることにより、非常に高精度なアニール作業を行なうことが出来るような装置を提供することが可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
この発明においては、これまでの複雑な形状及び構造を有するアニール装置を、単純な形状及び構造を有するアニール装置とし更に反応容器のシール手段を積極的に冷却することによりその製造、取扱い及び保全を容易なものとなし、各作業及び各操作の容易さを図り、その上、アニール作業の効率を高め、更にはアニール作業を行なう容器内での温度分布を均一なものとするため不透明石英ガラス板を使用することにより遠赤外線の熱線を使用するものとした。以下にその具体例について述べる。
【実施例1】
【0008】
図1は、純水を外部から圧力容器の所定部所内へ供給し、その後、当該圧力容器内を加熱及び加圧しながら所定のアニール水蒸気処理を行なう高精度高圧アニール装置15を開示している。この高精度高圧アニール装置15は、一般には例えば鋼製の頑丈な圧力容器16を有している。この圧力容器は上部容器17と、下部容器18と、から構成されており、これらの上部容器17と下部容器18とは0リング等のシール手段19を介して密封状態に緊結されている。圧力容器16は望ましくは周囲を冷却ジャケット等の手段(図示なし)により冷却される。
【0009】
圧力容器16の内部には例えばステンレス鋼材よりなる反応容器20が公知の手段により所定位置へ固定されている。反応容器20は、下向きに配置されている有底筒体21と、この筒体の下端部を閉じている概ね上湾形状を有しているエンドキャップ22と、から構成されており、筒体21の下端部とエンドキャップ22の外周縁とは0リング等の封止
手段23により密封封止されている。該反応容器20は内部にアニール処理室24を形成している。
【0010】
アニール処理室24にはアニール処理される所定数の被処理物即ちワーク25が公知の手段によって配置されている。アニール処理室24内において、ワーク25の下方にはアニール処理室内の温度を測定しかつ室内温度を制御するための温度制御センサー26が配置されている。この温度制御センサー26は必要に応じて後述の加熱手段28、34をオンオフ調整し又はPID(比例積分微分)制御する。更に温度制御センサー26の下方には石英ガラス板好ましくは不透明な石英ガラス板27が配置され、該不透明石英ガラス板27の下方に配置されている主加熱手段28から放散される熱線を遠赤外線の熱線に変換している。これによりアニール処理室24内における温度分布の均一化を図っている。更に、前記ワーク25と温度制御センサー26との間には、望ましくは、前記石英ガラス板27と略同一の寸法を有する別の石英ガラス板、ステンレス鋼材その他の材料(例えばセラミックス)等からなる分散板27Aが約20mm〜50mm程度離れて配置されている。これらのガラス板27及び分散板27Aは筒体21の直径よりも僅かに小さい直径を有している。なお、図示の例ではこれらのガラス板27及び分散板27Aは共に無垢の平板として示しているが、例えば半径Rのガラス板27の中心部に例えば直径30mmの丸孔を設けておき、同じく半径Rの分散板27Aの半径(R/2)の同心円上に半径15mmの丸孔を90°の間隔を置いて配置するようにすることも可能である。
【0011】
このとき気をつけるべきことは、筒体21の内壁面と石英ガラス板27及び分散板27Aの外周縁との間に例えば約1cm〜5cm程度の環状の隙間を形成するように石英ガラス板27及び分散板27Aの寸法を画定すること、ガラス板の孔の合計面積と分散板の孔の合計面積とが互に等しくなるように設けること及びガラス板の孔の位置と分散板の孔の位置とが互に整合しないように配置することが望ましい。これにより、蒸気の適切な分散が図れるからである。筒体21の内壁面と石英ガラス板27等との間隔が狭すぎると石英ガラス板等の取り付けが困難となり、広すぎると分散効率が下がるからであり、孔の面積が上下で異なる場合には上下の孔を通過する蒸気の速度が異なりそのため圧力変動を起こし蒸気の粒を成長させることがあるからであり、また孔の位置が整合していると分散効率が下がるからである。勿論、分散板の数を更に増やすことも可能であり、数が増えればそれだけ分散効率が良くなる。しかし分散板を不要とすることも可能である。更には、石英ガラス板27にのみ又は分散板27aにのみ所望の孔を設けることも可能である。上記上湾形状を有しているエンドキャップ22の中央上面には純水を収容するための溜部29が形成されている。更に前記封止手段23にて封止接合されているエンドキャップ22の外周縁と有底筒体21の下端部との接合部分にはアニール処理室24内に開放している環状の溝部30が形成されている。
【0012】
また、該アニール処理室24には、エンドキャップ22の溜部29へ外部より純水を供給するための開口部を有するパイプ31が密封配置されている。このパイプ31は、必要に応じて弁手段32を介して外部流体源33へ連通している。ここで、弁手段32は高圧状態でも自由に開閉作動出来るものであればよく、例えば、特許文献2に記載したようなものが望ましいがこれに限定されるものではない。また外部流体源33は、図8に示す純水収容タンク13と実質的に同一であり、その構成については上述の様に特許文献3に詳
述されている。なお、同様の外部流体源が図5の実施例においても使用されているので、
その構成の概略に関しては図5において幾分詳細に述べる。しかしながら、この実施例に
おいて、パイプ31へ純水を供給する手段は、図示のような複雑な構成を有する外部流体源に限定されるものではなく、純水を供給するための単なる容器であっても良い。なぜなら、この弁手段32は作業開始時に溜部29へ純水を供給する時だけ開放するものだからである。
【0013】
また反応容器20と圧力容器16との間の圧力空間には、反応容器20を包囲するように副加熱手段34が配置されている。この副加熱手段は、主加熱手段28がもたらすアニール処理室24内部の処理温度がアニール処理作業中、一定の値を維持するように補助する。更に、エンドキャップ22には、有底筒体21の下端部とエンドキャップ22の外周縁との接合部分に密封形成されている溝部30の上縁部から下方に伸びる導管35がエンドキャップ22から圧力容器16の外部まで伸張しかつこの導管35には圧力センサー36が取り付けられ、更にその先にはリリーフ弁37が設けてある。更に、溝部30には図示していない水位感知センサーを配置しこのセンサーが弁手段32に同期して弁手段を閉鎖するようにすることが出来る。なお、公知のアニール装置へ通常配設されている内部加圧手段、減圧手段、ワーク保持手段、補助加熱手段、その他の各種圧力センサー手段及び温度センサーも同様に配設されるが、本件発明には直接関連しておらず、図面を明瞭にするため図示していない。以下の実施例においても同様である。
【0014】
図1に示す装置15の作動について述べる。初めに装置15のアニール処理室24内部にワーク25を配設する。弁手段32を開放してパイプ31の開口部から溜部29内へ純水を供給する。このとき供給される純水の量は無駄を省くため一回のアニール処理において消費されるべき量に略等しい量とする。従って、該溜部29の大きさも一回のアニール処理において消費される純水を収容出来る程度の容積を有していれば良い。その後、密封状態にて加熱手段28、34を起動してアニール処理室を加温する。アニール処理室内の温度が上昇するに従ってアニール処理室24内にて純水が気化を開始する。アニール処理室内の温度は最終的に、アニール作業に最適な所定値(例えば300℃)まで上げる。一方、室内圧力は純水の蒸発に伴って順次加圧状態となり最終的にはアニール処理作業に最適な所定値(例えば絶対圧力で1.31MPa)まで上昇する。しかして圧力1.31MPaの飽和水蒸気温度は約192℃であり、300℃の飽和水蒸気圧力は8.59MPaである。このため、常温の純水は反応容器20内で順次加熱されていくが、1.31MPaの圧力に加圧されるまでに気化した蒸気は、未だ飽和水蒸気温度まで達していない筒体21の下方部分やエンドキャップ22に付着して凝結し、凝結水となって溝部30へ溜まる。勿論、純水を溜部29へ供給する際に同時に予め溝部30へも所定量だけ供給しておくことも可能である。
【0015】
しかして、この溝部30内の水分は筒体21の下端部及びエンドキャップ22の外周辺部へ接触しておりかつこれらの部分は図示していない冷却手段により冷却されているので、温度上昇がそれ以外の部分よりも劣る。このためアニール作業中においても溝部30内の水分は気化することはなく、約192℃以下に保持され続ける。この溝部30内の水分は、こうして筒体21の下端部とエンドキャップ22の外周辺部とを封止結合している封止手段23を冷却する機能を提供する。なお、封止手段23は通常約200℃程度で損傷を招くが上述の192℃程度に維持される限り、封止手段23は常時正常に機能するのである。一方、溜部29内に収容された純水が主加熱手段28により300℃まで加熱されると純水が気化して過熱蒸気となりアニール処理室内部を充満して当該処理室を1.31MPaまで加圧する。こうして適切に過熱蒸気化して所望の酸化膜を形成して、目的のアニール処理を達成出来る。なお、沸騰して出来たばかりの水蒸気には水滴に近いような寸法のものもある。そこで、この発明においてはかかる水滴に近いような寸法を有するような水蒸気が直接ワークへ作用することにより不適切なアニール処理が施されるのを防止するため、水蒸気発生源である溜部付近に石英ガラス板27を、更にその上方に分散板27Aを配置している。これらのガラス板及び分散板はかかる寸法の水蒸気を周辺に分散させながら望ましい小さい寸法の蒸気に変換させ、温度分布の均一性を図り、これにより水蒸気は全てアニール処理に最も好ましい寸法の水蒸気となってアニール処理室内へ上昇して行くことを保証している。
【0016】
このことから、石英ガラス板27は遠赤外線の熱線を形成することに加え、水蒸気の分
散化を図るという機能を提供していることが分かる。なお、石英ガラス板27及び分散板27Aには上述のような孔を設けることも有効である。これにより積極的に水蒸気の迷路を形成し、同様の効果を得ることが出来るからである。前述のように、アニール処理室24内の温度は温度制御センサー26が、また圧力は導管35内の圧力センサー36が、それぞれオンオフ制御またはPID制御により所定値に保持する。圧力が所定値以上になるときには該センサー36がリリーフ弁37を解放して調整する。溜部29に供給されている純水の量は一回のアニール処理作業において消費されるのに十分な量であるので、溜部29の空焚きは発生せず、また、余剰な純水も発生することはない。なお、圧力容器16のシール手段19は圧力容器16の冷却媒体により所定値以下に冷却されるので、特にこのシール手段19を冷却する手段を考慮する必要はない。
【0017】
アニール処理作業が終了した後、加熱手段及び加圧手段をオフ状態とし、アニール作業を完了したワークを取り出す。また、溝部30内に残存した凝結水を取り出す。このアニール処理においては、熱源として遠赤外線の熱線を使用しており、更に蒸気が分散板により分散されるので、アニール処理室24内の温度分布が均一化され、極めて高精度なアニール作業が達成される。さらに、反応容器20が溜部29を備えただけの非常に単純な構造を有しているので、装置15の製造が容易であり、従って操作も高度な技術を必要とすることはない。
【実施例2】
【0018】
図2は、図1に示す装置を改良した別の実施例であり、全体の構成は図1のものと類似し
ている。しかし図2に示す実施例が図1に示す実施例と異なる点は、図1においてエンドキ
ャップへ設けてある溜部が省略され、その代わりに溝部が大きく形成され、また、溜部へ開放しているパイプの開口部が溝部へ指向されていることである。それ以外の点は実質的に図1の装置と同様である。従って、以下においては、図1と同様な部材には図1に記載の
符号にaを付けて、図1の装置との相違点についてのみ述べる。
【0019】
図2に示す高精度高圧アニール装置15aにおいては、エンドキャップ22aが上湾
形状を有し、外部流体源33aへ連通しているパイプ31aの開口部が溝部30aに指向しているため、一回のアニール処理作業に必要な純水が外部から直接溝部30aへ供給される。そして、加熱手段28a及び34aの作動により、溝部30a内に位置する純水の上方部分の純水は水蒸気となり、図1の場合と同様の優れたアニール効果を提供することが出来る。一方、溝部30a内に集積された純水の下方部分の純水は、図示していない冷却手段により冷却されている筒体21aの下端部及びエンドキャップ22aの外周辺部へ接触しているため温度上昇が上方部分よりも劣る。このためアニール作業中においても溝部30a内の下方部分の水分は気化することはなく、約192℃以下に保持され続ける。こうして溝部30aの下方部分の水分は、図1の実施例と同様に、筒体21aの下端部とエンドキャップ22aの外周辺部とを封止結合している封止手段23aを冷却する機能を提供する。その他の構成、作用は図1に記載した実施例と同様であり、記述が重複するので省略する。
【0020】
アニール処理作業が終了した後、加熱手段及び加圧手段をオフ状態とし、アニール作業を完了したワークを取り出す。また、溝部30a内に残存した凝結水を取り出す。このアニール処理においては、熱源として遠赤外線の熱線を使用しており、更に蒸気が適切に分散されるので、アニール処理室24a内の温度分布が均一化され、極めて高精度なアニール作業が達成される。さらに、反応容器20aが非常に単純な構造を有しているので、装置15aの製造が容易であり、従って操作も高度な技術を必要とすることはない。
【実施例3】
【0021】
図3に示す高精度高圧アニール装置は、図2に示す装置と実質的に同一であるが、図3に
おいては、主加熱手段の取り付け位置が異なっている。即ち、図2においては主加熱手段
28aがエンドキャップ22a上側のアニール処理室24a内部に配置してあるが、図3
の実施例においては、アニール処理室の外部に配置してある。一般に加熱手段を稼動した場合、加熱に伴い加熱手段から金属イオンが周辺に飛散することが知られている。このため、ワークがそのような飛散金属イオンの付着を好まない場合には、図3に示す実施例の
ように、ワークを処理するアニール処理室から加熱手段を分離する必要がある。以下、図1における部材と同様な部材にはそれらの部材の番号にbを付して、図2に記載の実施例
と異なる点についてのみ記載する。
【0022】
図3に示す高精度高圧アニール装置15bにおいては、主加熱手段28bをアニール処
理室24bの外部に配置している。このような場合には、好ましくは、アニール処理室24bを構成する有底筒体21b及びエンドキャップ22b、ワークと温度制御センサーとの間に配置されている分散板も、全て飛散金属イオンを発生しないような例えば石英ガラス等により形成することが望ましい。更にまた、図3の実施例においては、パイプ31b
、弁手段32b、導管35b、圧力センサー36b、導管35b内の弁手段37b及び外部流体源33b等も全て石英部材でカバーすることが望ましい。それらの部材から発生する飛散金属イオンがワークへ付着することを防止するためである。なお、図3に示す装置の作動及びアニール処理終了後処置方法等は図2において述べたものと実質的に同一であ
るので、重複をさけるために省略する。このアニール処理においても、熱源として遠赤外線の熱線を使用しており、更に蒸気が適切に分散されるので、アニール処理室24b内の温度分布が均一化され、極めて高精度なアニール作業が達成される。さらに、反応容器20bが非常に単純な構造を有しているので、装置15bの製造が容易であり、従って操作も高度な技術を必要とすることはない。
【実施例4】
【0023】
図4は更に別の高精度高圧アニール装置の具体例について開示している。図4に示す装置では主加熱手段が、アニール処理室の外部に配置されている。この点では図3の装置と同様にワークへ金属イオンが付着することを阻止したい作業の場合に最適である。しかし、酸化膜形成をもたらすための純水をアニール処理室へ送る形態が異なっている。即ち、この実施例においては、アニール室へ送られる純水が、図1〜図3の実施例のような液状ではなく、気体である。これによりアニール処理室の圧力を迅速に調整することが出来、それにより不良品の発生を一層少なくすることが可能となる。その他の点はこれまで上にて述べた実施例と同様である。従って以下においては、上述した実施例との相違点のみを述べる。
【0024】
この高精度高圧アニール装置40は、例えば鋼製の頑丈な上部容器と下部容器とにより形成されかつ互に0リング等の封止手段により封止緊結された圧力容器41を有している。圧力容器41は望ましくは周囲を冷却ジャケット等の手段により冷却される。圧力容器41の内部には、例えば石英ガラス材よりなる反応容器42が収容され所定位置へ固定されている。反応容器42は、下向きに配置されている有底筒体43と、この筒体の下端部を閉じている概ね上湾形状を有しているエンドキャップ44と、筒体43の下端部とエンドキャップ44の外周縁とを密封封止している0リング等の封止手段45と、から構成されている。該反応容器42は内部にアニール処理室46を形成している。
【0025】
アニール処理室46にはアニール処理される所定数の被処理物即ちワーク47が公知の手段によって配置されている。アニール処理室46内において、ワーク47の下方には好ましくは石英ガラス板により構成されている分散板49Aが配置されており、更にこの分散板49Aの下方にはアニール処理室内の温度を測定しかつ室内温度を制御するための温度制御センサー48が配置されている。なお、この分散板の目的構成効果、更には石英ガラス板49との関係等については図1において詳述した通りである。しかしながら、この
分散板は削除することも可能である。更に温度制御センサー48の下方には石英ガラス板好ましくは不透明な石英ガラス板49が配置されている。該不透明石英ガラス板49の下方には透明又は不透明石英ガラス管を輪状に巻いて形成した純水供給管50が配置されている。また、エンドキャップ44の下方には主加熱手段51が配置されている。前記不透明石英ガラス板49はこの主加熱手段51から放散される熱線を遠赤外線の熱線に変換し、これによりアニール処理室46内における温度分布の均一化を図っている。前記封止手段45にて封止接合されているエンドキャップ44の外周縁と有底筒体43の下端部との接合部分にはアニール処理室46内に開放している環状の溝部52が形成されている。
【0026】
更にまた、アニール処理室46内に配置されている環状に幾重にも巻いてある純水供給管50の一端部にはアニール処理室46内に開放している開口部60が形成されている。一方、この供給管50の他端部61は、該アニール処理室46からエンドキャップ44、次いで圧力容器41を封止貫通して装置外部まで伸張している。装置外部に伸張したこの他端部には弁手段53、次いでポンプ等の加圧手段54が接続されている。また反応容器42と圧力容器41との間には反応容器42を包囲するように副加熱手段55が配置されている。この副加熱手段は、主加熱手段51がもたらすアニール処理室46内部の処理温度がアニール処理作業中、一定の値を維持するように補助する。更に、石英ガラス部材から構成されているエンドキャップ44の周辺部であって溝部52の僅かに上方位置にはそこから圧力容器41を介して封止貫通している導管手段56が設けてある。この導管手段56には圧力センサー57及びリリーフ弁58が装着されている。なお、公知のアニール装置へ通常配設されている内部加圧手段、減圧手段、ワーク保持手段、補助加熱手段、その他の各種圧力センサー手段及び温度センサーも同様に配設されるが、本件発明には直接関連しておらず、図面を明瞭にするため図示していない。
【0027】
図4に示す高精度高圧アニール装置40の作動について述べる。装置40のアニール処理室46内部にワーク47を配設する。弁手段53を開放し加圧手段54を介して純水供給管50の開口部60から溝部52内へ純水を供給する。このとき溝部へ供給される純水の量は実質的には溝部52下方の封止手段45を効率的に冷却出来る程度の量でよい。アニール処理において酸化被膜を形成するために蒸気化する純水としての用途は余りないからである。その後、加熱手段51、55を起動して、図1において述べたと同様にして、アニール処理室46を加温する。このため、アニール処理室内の温度が上昇するに従って始めに溝部52内の純水が気化を開始する。そこで、処理室内の圧力が上昇を始める。しかし、所定温度に至っていない筒体43等に接触した蒸気は凝結して凝結水として溝部52へ戻る。しかして、この溝部52内の水分は筒体43の下端部及びエンドキャップ44の外周辺部へ接触しておりかつこれらの部分は図示していない冷却手段により冷却されているので、温度上昇がそれ以外の部分よりも劣る。このためアニール作業中においても溝部52の少なくとも下方部分の水分は気化することはなく、図1に関して述べたように、約192℃以下に保持され続ける。この溝部52内の水分は、こうして筒体43の下端部とエンドキャップ44の外周辺部とを封止結合している封止手段45を冷却する機能を提供する。
【0028】
処理室の内部圧力が上昇してきた頃を見計らって弁手段53を開き加圧手段54により処理室46内へ純水を供給する。このときには供給管50が十分加熱されており、他端部61から供給された純水は処理室内にて更に加熱される。このため、弁手段53を介して供給された純水は蒸気となって供給管50の開口部60から放出される。この蒸気が更に処理室内にて加熱され、過熱蒸気となってワーク47へ至り、所定のアニール作業を達成する。処理室46内部の圧力が所定値以上になると、圧力センサー57が作動して弁手段53を閉じて純水の供給を停止すると共にリリーフ弁58を開き処理室内から蒸気を放出することにより処理室46内部の圧力を下げる。また、圧力が所定値より減少した場合には、リリーフ弁58を閉じ、かつ弁手段53を開放して蒸気の導入を可能とする。
【0029】
アニール処理作業が終了した後、加熱手段及び加圧手段をオフ状態とし、アニール作業を完了したワークを取り出す。また、溝部52内に残存した凝結水を取り出す。このアニール処理においては、熱源として遠赤外線の熱線を使用しており、更に蒸気が分散板により分散されるので、アニール処理室46内の温度分布が均一化され、極めて高精度なアニール作業が達成される。更に、反応容器42のエンドキャップ44が上湾形状という非常に単純な構造を有しているので、装置40の製造が容易であり、従って操作も高度な技術を必要とすることはない。なお、弁手段53、リリーフ弁58は、例えば、先に本件出願人と同一出願人が上記特許文献3において開示しているものを使用することが出来るがこれに限定されるものではない。
【0030】
なお、この実施例においては、反応容器42を石英ガラス素材により構成し、不要な金属イオンがワークへ付着することを防止している。従って、純水供給管50は勿論、導管手段56、分散板49Aをも石英ガラスにて構成することが必要であり、更に弁手段53、リリーフ弁58、加圧手段54、圧力センサー57を石英ガラスでカバーする必要がある。更に、この実施例においては、純水供給管50を不透明石英ガラスにて構成しかつ同心円状に密に配置することにより、不透明石英ガラス板49は不要となる。なお、純水供給管を透明な石英ガラスにて構成したり、不透明な石英ガラスで構成しても同心円状に粗に配置した時には、不透明石英ガラス板49を設けることは遠赤外線の熱線を発生する点では好ましい。このアニール処理においても、熱源として遠赤外線の熱線を使用しており、更に蒸気が適切に分散されるので、アニール処理室46内の温度分布が均一化され、極めて高精度なアニール作業が達成される。さらに、反応容器42が非常に単純な構造を有しているので、装置40の製造が容易であり、従って操作も高度な技術を必要とすることはない。
【実施例5】
【0031】
図5は更に別の高精度高圧アニール装置の具体例について開示している。図5の装置は実質的には図4に示す装置の改良であり、全体的な構成及び機能は図4に示す装置と同様である。従って、図5に関しては、図4の装置と相違する点である純水の供給方法についてのみ述べる。なお、理解を容易にするため、図5において、図4に示す装置と同様の部材には同様の番号に符号cを付して述べる。
【0032】
図5に示す高精度高圧アニール装置40cにおいて、アニール処理室46c内へ純水を供給するためアニール処理室46c内に開口部60cを有しておりかつ同心状に環状に配置されている純水供給管50cは、その他端部61cが該アニール処理室46cからエンドキャップ44cを封止貫通して伸張している。更に、反応容器42cと圧力容器41cとの間に配置されている副加熱手段55cの外側の一部には純水用配管装置65が配置されている。この配管装置65は、反応容器42cのアニール処理室46c上部へ連通している上部管66と、前記純水供給管50cの他端部61cがバルブ67を介して連通している下部管68と、上方に上部管66が下方に下部管68が接続されている拡径の調整管69と、上部管66へ接続されている純水送出管70と、を有している。また、調整管69には望ましくは液位センサー71が取り付けてある。更に、純水送出管70は純水送出用タンク装置75へ接続されている。この純水送出用タンク装置75は例えば上記特許文献3に詳述しているようなタンク装置が望ましい。しかしながら、これに限定されるものでは無い。なお、公知のアニール装置へ通常配設されている内部加圧手段、減圧手段、ワーク保持手段、補助加熱手段、その他の各種圧力センサー手段及び温度センサーも同様に配設されるが、本件発明には直接関連しておらず、図面を明瞭にするため図示していない。
【0033】
この純水送出用タンク装置75は、概括的には、密封状態にあるタンク本体76と、当
該タンク本体76内へ純水を供給するための主供給ライン77と、タンク本体76内の気圧を調整するための開閉弁78を備えた通気ライン79と、タンク本体76内へ高圧の不活性ガス(例えば窒素ガス)を強制供給してタンク本体76内を高圧状態としタンク本体内の純水を純水流路80内へ強制的に送給するための不活性ガス供給ライン81と、を有している。主供給ライン77及び純水流路80にはそれぞれ開閉弁77a、80aが設けてある。また、タンク本体76にはタンク本体内の純水の液位を検知するため、上限警報センサー82、上限検知センサー83、逆流による漏洩検知センサー84、下限検知センサー85、下限警報センサー86が設置されている。
【0034】
図5に示す装置40cの作動において、通常は、アニール処理室内の圧力は、純水供給管50cの開口部60cから蒸気が適正量だけ提供していれば所定の圧力を維持することが出来る。アニール処理室内の蒸気の一部は上部管66を介して調整管69へ回収され、更にそこへ集積された凝結水の水頭力により下部管68を介して純水供給管の他端部61cを経て開口部60cへ送り返されている。しかし、もし蒸気が処理室から漏出したりアニール処理室内で凝結して溝部52c内へ集積したような場合には、純水送出用タンク装置75から不足分だけの純水が送出される。なお、溝部52cへ集積された凝結水は封止手段を冷却する機能を提供する。ここでタンク装置75の各センサーは該タンク本体76内に収容されている純水の状態を感知するもので、上限警報センサー82は主供給ライン77からの供給量を制限するための警報センサーである。上限検知センサー83はタンク本体内の適正上限位置を感知する。漏洩センサー84はアニール処理室から純水が逆流してきた場合にその逆流を検知する。下限検知センサー85はタンク本体76内における純水の量が下限位置に達したことを検知する。下限警報センサー86は純水供給が不能となったことを感知する。なお、このタンクの詳細な機能は特許文献3に記載されている。
【0035】
純水用配管装置65が純水送出用タンク装置75に直結しているので、アニール処理室への純水供給が停止することはない。即ち、調整管69に液位センサー71が設置してあり、もし調整管69内の液位が不足位置にきた時には純水用配管装置のバルブ80aを解放して調整管内へ純水を補充するからである。また、導管手段56cに設けた圧力センサー57cが、アニール処理室46c内の圧力が所定値以上に上昇したことを感知した時にはバルブ67を閉じ、リリーフ弁58cを開放する。一方、圧力センサー57cが所定値以下に処理室内の圧力が下降したことを感知した時にはリリーフ弁58cを閉じ、バルブ67を開放する。図5に記載の装置のこれ以外の動作は既に図1〜図4に関して述べたものと同様である。また、図4に記載の実施例の場合と同様に、反応容器42cを石英ガラス素材により構成し、不要な金属イオンがワークへ付着することを防止している。従って、純水供給管50cは勿論、導管手段56c、分散板をも石英ガラスにて構成することが必要であり、更に弁手段等、リリーフ弁等、圧力センサー等を石英ガラスでカバーする必要がある。更に、この実施例においては、純水供給管50cを不透明石英ガラスにて構成しかつ同心円状に密に配置することにより、不透明石英ガラス板49は不要となる。なお、純水供給管を透明な石英ガラスにて構成したり、不透明な石英ガラスで構成しても同心円状に粗に配置した時には、不透明石英ガラス板49を設けることは遠赤外線の熱線を発生する点では好ましい。このアニール処理においても、熱源として遠赤外線の熱線を使用しており、更に蒸気が適切に分散されるので、アニール処理室46c内の温度分布が均一化され、極めて高精度なアニール作業が達成される。さらに、反応容器42cが非常に単純な構造を有しているので、装置40cの製造が容易であり、従って操作も高度な技術を必要とすることはない。
【0036】
図6及び図7は、更に別の実施例を示す。これらの実施例は、具体的には図3に示す実施例の変形例として記載するが、実質的には、主加熱手段をアニール処理室の外部に配設した実施例である図3〜図5に示す実施例全ての変形例である。図3〜図5に示す実施例においては、前述の通り、主加熱手段を加熱したとき当該加熱手段から金属イオンが発生
してその飛散金属イオンがワークへ付着することを阻止するため、該加熱手段をアニール処理室の外部へ配置しこれにより飛散金属イオンがワークへ付着する懸念を払拭している。しかしながら、アニール処理室の内部温度を測定している温度制御センサーから発生する恐れのある金属イオンに関する手当てに付いては何も施されていない。図6及び図7はそのための手段について開示している。
【0037】
図6に示す高精度高圧アニール装置15cは図3の実施例の変形例として説明する。そこで、図6においては、図3の実施例との異なる点についてのみ、特に図1の実施例に関して使用した符号にcを付して、述べる。図6においては、アニール処理室24c内において、ワーク25cの下側に3枚の不透明石英板27cを、またワーク25cの上側に1枚の板部材90を配置しており、下側の3枚の石英板は、蒸気が発生し、比較的低い温度の溝部30c周辺に対するワーク25cからの熱放射を防ぐ役目をするが特に3枚の石英板の内の下側の2枚にはそれぞれ孔が形成され、アニール処理室を上昇する蒸気の適切な分散を図っている。また、上側の板部材90は、上昇した蒸気を下方へ適切に反射する機能を提供すると共に板部材90より上の熱の影響をさえぎる役目をするもので複数にすると更に良い温度分布が得られる。金属イオンの発生を見ない石英板若しくはセラミック部材により構成するのが好ましい。
【0038】
然るに、エンドキャップ22cの中央部には下方に伸びる例えば筒状の中空部分91が、好ましくは、エンドキャップと一体的に形成されている。この中空部分91には、好ましくは石英ガラスにより形成された試験管形状の有底筒体92が差し込まれかつ該有底筒体92の開口部が設けてある下方部が中空部分91の下端部へ対して固着され、該有底筒体92がエンドキャップ22cの下方部に開口するように配置している。このとき、有底筒体92の有底部分がワーク25cの下側であって石英板27cの上方部分に位置するように配置する。また、この有底筒体92の有底部分には前述と同様の温度制御センサー26cが挿入されそこに固定されている。
【0039】
かかる構成を取ることにより、温度制御センサー26cは、アニール処理室24c内へ全く金属イオンを飛散させることなく、当該アニール処理室24c内の温度を的確に計測することが可能となる。この実施例のその他の構成機能及び作用は図3に関して述べたものと実質的に同様である。
【0040】
図7に示す高精度高圧アニール装置15dは図6の更なる改良について述べる。図6においてはエンドキャップの中央部分に下方へ伸びる中空部分を形成し、そこに温度制御センサーを差し込むための有底筒体を差し込んで両者を結合するという構成について開示したが、図7においては、エンドキャップ自体に、そこから上方に伸びる温度制御センサー用筒体を形成することにより図6の装置の構成の簡略化を図った実施例について開示している。そこで、以下の説明においては、図6の実施例との異なる点についてのみ、特に図1及び図6の実施例に関して使用した符号にdを付して、述べる。即ち、図7において、エンドキャップ22dの中央部分から上方に向かって温度制御センサー用筒体93が、好ましくは、エンドキャップと一体的に形成されている。この温度制御センサー用筒体93は有底筒体形状を有しており、その有底部分がワーク25dの下側であって石英板27dの上方部分に位置するように配置する。また、この温度制御センサー用筒体93の有底部分には前述と同様の温度制御センサー26dが挿入されそこに固定されている。
【0041】
かかる構成を取ることにより、温度制御センサー26dは、アニール処理室24d内へ全く金属イオンを飛散させることなく、当該アニール処理室24d内の温度を計測することが可能となり、更に図6の実施例に比較して構成が単純となっている。
【0042】
これら図6及び図7に示す実施例は、図3に記載する実施例に適用される以外にも図4
及び図5に記載する実施例においても同様に適用できることは当業者に明らかなところである。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明の高精度高圧アニール装置は、非常に簡単な構造を有する装置により非常に高精度な高圧アニール作業を達成することが出来るので作業の歩留まりが上昇し、均質で高品質なアニール作業を極めて低価格にて行なうことが可能となる。従って、多くの液晶カラーフィルターの製造、液晶TFT基板の成形、プラズマデイスプレー材料の焼成及びそのアニール作業、有機エレクトリックルミネッセンス用基板の乾燥その他の同種の作業に最適に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本件発明の第1の実施例を示した図である。
【図2】本件発明の第2の実施例を示した図である。
【図3】本件発明の第3の実施例を示した図である。
【図4】本件発明の第4の実施例を示した図である。
【図5】本件発明の第5の実施例を示した図である。
【図6】本件発明の第6の実施例を示した図である。
【図7】本件発明の第7の実施例を示した図である。
【図8】本件発明に関する従来例の1例を示した図である。
【符号の説明】
【0045】
15、15a、15b、15c、15d 高精度高圧アニール装置
16、16a、 圧力容器
17 上部容器
18 下部容器
20 反応容器
21、21a、21b 有底筒体
22、22a、22b、22c、22d エンドキャップ
23、23a 封止手段
24、24a、24b、24c、24d アニール処理室
25、25a、25b、25c、25d ワーク
26、26a、26c、26d 温度制御センサー
27、27c、27d 不透明石英ガラス板
27A 分散板
28、28a、28b 主加熱手段
29 溜部
30、30a、30c 溝部
31、31a、31b パイプ
32、32a、32b 弁手段
33、33a、33b 外部流体源
34、34a 副加熱手段
35、35a、35b 導管
36、36a、36b 圧力センサー
37、37a、37b リリーフ弁
40、40c 高精度高圧アニール装置
41、41c 圧力容器
42、42c 反応容器
43 有底筒体
44、44c エンドキャップ
45 封止手段
46、46c アニール処理室
47 ワーク
48 温度制御センサー
49 不透明石英ガラス板
49A 分散板
50、50c 純水供給管
51 主加熱手段
52、52c 溝部
53 弁手段
54 加圧手段
55、55c 副加熱手段
56、56c 導管手段
57、57c 圧力センサー
58、58c リリーフ弁
60、60c 開口部
61、61c 他端部
65 純水用配管装置
66 上部管
67 バルブ
68 下部管
69 調整管
70 純水送出管
71 液位センサー
75 純水送出用タンク装置
76 タンク本体
77 主供給ライン
77a 開閉弁
78 開閉弁
79 通気ライン
80 純水流路
80a 開閉弁
81 不活性ガス供給ライン
82 上限警報センサー
83 上限検知センサー
84 漏洩検知センサー
85 下限検知センサー
86 下限警報センサー
90 板部材
91 中空部分
92 有底筒体
93 温度制御センサー用筒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高精度高圧アニール装置であって、
圧力容器と、
該圧力容器内に配置されており内部にワークをアニール処理するためのアニール処理室を画定しておりかつ互に封止手段により封止連結されている筒体とエンドキャップとにより構成されている反応容器と、
反応容器内を加熱する加熱手段と、
加熱手段の上方にあり反応容器内に設けられている石英ガラス板と、
石英ガラス板とワークとの間に配置されている温度制御センサーと、
反応容器内へ純水を供給するための純水供給手段と、
反応容器内に有り純水供給手段からの純水を保持する部所と、
反応容器内の圧力を制御する圧力制御手段と、
を有していることを特徴とする高精度高圧アニール装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−21558(P2010−21558A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−171995(P2009−171995)
【出願日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【分割の表示】特願2003−311638(P2003−311638)の分割
【原出願日】平成15年9月3日(2003.9.3)
【出願人】(593139695)株式会社協真エンジニアリング (14)
【Fターム(参考)】