説明

1,3−置換シクロアミノ誘導体及びヒスタミン−3受容体拮抗剤としてのそれらの使用

本発明は、本明細書で定義したとおりの式(I)の化合物又はそれらの医薬上許容される塩;式Iの化合物を含む医薬組成物、治療が必要な哺乳動物に上記式(I)の化合物を投与することを含む、ヒスタミンH3受容体に拮抗作用することにより治療し得る障害又は症状の治療方法、治療が必要な哺乳動物に上記式(I)の化合物を投与することを含む、うつ病、気分障害、統合失調症、不安障害、アルツハイマー病、注意欠陥障害(ADD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)、精神障害、睡眠障害、肥満、目眩、てんかん、乗り物酔い、呼吸器疾患、アレルギー、アレルギー誘発性気道反応、アレルギー性鼻炎、鼻うっ血、アレルギー性うっ血、うっ血、低血圧、心臓血管疾患、GI管疾患、胃腸管の運動及び酸分泌の過剰及び低下からなる群から選択される障害又は症状の治療方法に関する。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本明細書に記載する式Iの化合物、このような化合物を含む医薬組成物、及びヒスタミン−3(H3)受容体に拮抗作用することにより治療し得る障害又は症状をこのような化合物を用いて治療する方法を指向する。本発明のヒスタミン−3(H3)受容体拮抗剤は、例えば、全般性不安障害、パニック障害、PTSD及び社会不安障害を包含する不安障害;抑うつ気分、混合性不安及び抑うつ気分、行為障害、並びに混合性行為障害及び抑うつ気分を包含する気分適応障害;アルツハイマー病を包含する加齢随伴学習及び精神障害;注意適応障害、例えば注意欠陥障害、又は一般的身体状態に起因する他の認識障害;注意欠陥多動性障害;統合失調性感情障害及び統合失調症を包含する精神障害;ナルコレプシー及び遺尿を包含する睡眠障害;肥満;目眩、てんかん及び乗り物酔いを治療するために有用である。本発明のH3受容体拮抗剤はまた、例えばアレルギー、アレルギー誘発性気道(例えば上気道)反応、うっ血(例えば鼻うっ血)、低血圧、心臓血管疾患、GI管疾患、胃腸管の運動及び酸分泌の過剰及び過少、睡眠障害(例えば過眠症、眠気及びナルコレプシー)、注意欠陥多動性障害(ADHD)、中枢神経系の活性低下及び亢進(例えば興奮及びうつ病)、及び他のCNS障害(例えば統合失調症及び片頭痛)を治療するために有用である。
【背景技術】
【0002】
ヒスタミンは、ヒスタミンの拮抗剤、すなわち「抗ヒスタミン剤」で一般的に治療される過敏反応(例えばアレルギー、花粉症及び喘息)における周知のメディエイターである。ヒスタミン受容体は、H1及びH2受容体と呼ばれる少なくとも二つの異なる型で存在することも確立されている。
【0003】
第三のヒスタミン−3受容体(H3受容体)は、中枢神経系における神経伝達で役割を果たすと信じられ、この場合、H3受容体はヒスタミン作動性神経終末においてシナプス前で処理されると考えられる((Nature, 302, S32-837 (1983))。H3受容体の存在は、選択的H3受容体作動剤及び拮抗剤の開発によって確認されており(Nature, 327, 117-123 (1987))、次いで中枢神経系及び末梢器官の両者、特に肺、心臓血管系及び胃腸管における神経伝達物質の放出を調節することが示されている。
【0004】
多くの疾患又は症状が、H3リガンドが拮抗剤、作動剤または部分的作動剤でありうる、ヒスタミン−3受容体で治療されうる。これについては、(Imamura et al., Circulation Res., (1996) 78, 475-481); (Imamura et al., Circ. Res., (1996) 78, 863-869); (Lin et al., Brain Res. (1990) 523, 325-330); (Monti et al., Neuropsychopharmacology (1996) 15, 31-35); (Sakai et al., Life Sci. (1991) 48, 2397-2404); (Mazurkiewiez-Kwilecki and Nsonwah, Can. J. Physiol. Pharmacol. (1989) 67, 75-78); (Panula, P. et al., Neuroscience (1998) 44, 465-481); (Wada et al., Trends in Neuroscience (1991) 14,415); (Monti et al., Eur. J. Pharmacol. (1991) 205, 283); (Haas et al., Behav. Brain Res. (1995) 66, 41-44); (De Almeida and Izquierdo, Arch. Int. Pharmacodyn. (1986) 283, 193-198); (Kamei et al., Psychopharmacology (1990) 102, 312-318); (Kamei and Sakata, Japan. J. Pharmacol. (1991) 57, 437-482); (Schwartz et al., Psychopharmacology; The Fourth Generation of Progress, Bloom and Kupfer (eds.), Raven Press, New York, (1995) 3, 97); (Shaywitz et al., Psychopharmacology (1984) 82, 73-77); (Dumery and Blozovski, Exp. Brain Res. (1987) 67, 61-69); (Tedford et al., J. Pharmacol. Exp. Ther. (1995) 275, 598-604); (Tedford et al., Soc. Neurosci. Abstr. (1996) 22, 22); (Yokoyama et al., Eur. J. Pharmacol. (1993) 234, 129); (Yokoyama and linuma, CNS Drugs (1996) 5, 321); (Onodera et al., Prog. Neurobiol. (1994) 42, 685); (Leurs and Timmerman, Prog. Drug Res. (1992) 39,127); (The Histamine H3 Receptor, Leurs and Timmerman (ed.), Elsevier Science, Amsterdam, The Netherlands (1998); (Leurs et al., Trends in Pharm. Sci. (1998) 19, 177-183); (Phillips et al., Annual Reports in Medicinal Chemistry (1998) 33, 31-40); (Matsubara et al., Eur. J. Pharmacol. (1992) 224, 145); (Rouleau et al., J. Pharmacol. Exp. Ther. (1997) 281, 1085); (Adam Szelag, “Role of histamine H3-receptors in the proliferation of neoplastic cells in vitro”, Med. Sci. Monit., 4(5): 747-755, (1998)); (Fitzsimons, C., H. Duran, F. Labombarda, B. Molinari and E. Rivera, “Histamine receptors signaling in epidermal tumor cell lines with H-ras gene alterations”, Inflammation Res., 47 (SuppI. 1): S50-S51, (1998)); (R. Leurs, R.C. Vollinga and H. Timmerman, “The medicinal chemistry and therapeutic potentials of ligand of the histamine H3 receptor”, Progress in Drug Research 45: 170-165, (1995)); (R. Levi and N.C.E. Smith, “Histamine H3-receptors: A new frontier in myocardial ischemia”, J. Pharm. Exp. Ther., 292: 825-830, (2000)); (Hatta, E., K Yasuda and R. Levi, “Activation of histamine H3 receptors inhibits carrier-mediated norepinephrine release in a human model of protracted myocardial ischemia”, J. Pharm. Exp. Ther., 283: 494-500, (1997); (H. Yokoyama and K. linuma, “Histamine and Seizures: Implications for the treatment of epilepsy”, CNS Drugs, 5(5); 321-330, (1995)); (K. Hurukami, H. Yokoyama, K. Onodera, K. linuma and T. Watanabe, AQ-0 145, “A newly developed histamine H3 antagonist, decreased seizure susceptibility of electrically induced convulsions in mice”, Meth. Find. Exp. Clin. Pharmacol., 17(C): 70-73, (1995); (Delaunois A., Gustin P., Garbarg M., and Ansay M., “Modulation of acetylcholine, capsaicin and
substance P effects by histamine H3 receptors in isolated perfused rabbit lungs”, European Journal of Pharmacology 277(2-3):243-50, (1995)); 及び (Dimitriadou, et al., “Functional relationship between mast cells and C- sensitive nerve fibres evidenced by histamine H3-receptor modulation in rat lung and spleen”, Clinical Science 87(2):151-63, (1994) を参照されたい。
【0005】
このような疾患又は症状は、心臓血管障害、例えば急性心筋梗塞;記憶過程、認知症及び認識障害、例えばアルツハイマー病及び注意欠陥多動性障害;神経学的障害、例えばパーキンソン病、統合失調症、うつ病、てんかん及び発作又は痙攣;癌、例えば皮膚癌、甲状腺髄様癌及びメラノーマ;呼吸器障害、例えば喘息;睡眠障害、例えばナルコレプシー;前庭機能障害、例えばメニエル病;胃腸管障害、炎症、片頭痛、乗り物酔い、肥満、疼痛及び敗血性ショックを包含する。
【0006】
H3受容体拮抗剤はまた、これ迄に例えばWO 03/050099、WO 02/0769252及びWO 02/12224 に記載されている。ヒスタミンH3受容体(H3R)はヒスタミン、並びにセロトニン及びアセチルコリンを包含する他の神経伝達物質の放出を調節する。H3Rは相対的にニューロン特異的であり、そしてヒスタミンのような一定のモノアミンの放出を抑制する。H3Rの選択的拮抗作用は脳内ヒスタミンレベルを高め、そして非特異的な末梢の影響を最小限にしながら、食物消費のような活性を抑制する。受容体の拮抗剤は脳のヒスタミン及び他のモノアミンの合成及び放出を増加させる。この機序によって、それらは覚醒状態の延長、認識機能の向上、食物摂取の減少及び前庭反射の正常化を生じさせる。従って、受容体は、アルツハイマー病、注意欠陥多動性障害(ADHD)を包含する気分及び注意の適応、認識障害、肥満、目眩、統合失調症、てんかん、睡眠障害、ナルコレプシー及び乗り物酔い、並びに種々の型の不安における新規な治療剤のための重要な標的である。
【0007】
これまでのヒスタミンH3受容体拮抗剤の大部分は、例えば WO 96/38142 に記載され
たように、置換されていてもよいイミダゾール環を有する点でヒスタミンに似ている。非イミダゾール神経活性化合物、例えばベータヒスタミン (Arrang, Eur. J. Pharm. 1985,
111:72-84) は若干のヒスタミンH3受容体活性を示したが、効力が弱い。EP 978512 及び EP 982300 は、ヒスタミンH3受容体拮抗剤としての非イミダゾールアルキルアミンを開示している。WO 02/12224 (Ortho McNeil Pharmaceuticals) は、ヒスタミンH3受容体リガンドとしての非イミダゾール二環式誘導体を記載しており、そしてEP 1275647 (Les Laboratoires Servier) は、選択的H3受容体拮抗剤である新規なオクタヒドロ-2H-ピリド [1,2-a]ピラジンを開示した。他の受容体拮抗剤は WO 02/32893 及び WO 02/06233 に記載されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記パラグラフに挙げた症状を治療するために有用な本発明のヒスタミン−3(H3)受容体拮抗剤を指向する。本発明の化合物はH3受容体に対して(他のヒスタミン受容体と比べて)高度に選択的であり、そして顕著な薬物処理特性(薬物動態)を有する。特に、本発明の化合物はH3Rを他の受容体サブタイプH1R、H2Rから選択的に識別する。当技術分野においてヒスタミンH3受容体の作動剤、逆作動剤及び拮抗剤への関心レベルが増大していることを考慮すれば、ヒスタミンH3受容体と相互作用する新規化合物は、当技術分野への著しく望ましい貢献であろう。本発明はこのような貢献を当技術分野に提供するものであって、この貢献は新規クラスのベンジル性アミノ化合物がヒスタミンH3受容体に対して高度かつ特異的な親和性を示すという知見に基づいている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、式Iの化合物:
【化1】

又はそれらの医薬上許容される塩に関し、式中:
n=0、1、2又は3であり;
1及びR2は独立して、
水素;
1−C6アルキル
を含む群から選択され;又は
1及びR2は、それらが結合している炭素と一緒になって、カルボニル基(C=O)又は3〜8員の環を形成し、ここで、該環中の炭素の1〜3個は場合によりO、S、NR6又はCOで置き換えられており、そして該環は場合によりC6−C10アリーレンに縮合しており、そして場合により環炭素上の可能な位置で1又は2個のC1−C4アルキル基で置換されており;ここで、tは0、1又は2であり;又は
3、R4及びR6は、独立して、
水素;
場合により1〜4個のハロゲン(特にフッ素)又はOHで置換されたC1−C8アルキル;
3−C7シクロアルキル;
6−C14アリール;
場合によりC1−C4アルキル−カルボニル基で置換された3〜8員のヘテロシクロアルキル;
場合によりC1−C2アルキルで置換されたC6−C10アリールスルホニル;及び
5〜10員のヘテロアリール
からなる群から選択され;又は
3及びR4は、それらが結合している窒素と一緒になって、窒素(N)及びN、O、Sから選択される0〜3個のヘテロ原子を含有する4〜7員の環を形成し(例えば、ピペラジン、モルホリン、ピロリジン、ピペリジン、チオモルホリンを形成し)、
5は、
場合によりZで置換されたアリール;
場合によりZで置換されたヘテロアリール;
場合によりN、O又はSから選択される0〜3個のヘテロ原子を有する3〜8員の環状アミン(例えば、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、ホモピペリジン、ピペラジン、モルホリン、チオモルホリン)
を含む群から選択され;
X、Y及びZは、独立して、H、F、Cl、Br、I、CN、OH、NH2、CF3、C25、(C1−C6)アルキル、(C1−C6)−アルコキシ、(C1−C6)アルキル−S(O)q−から選択され、ここで、qは0、1又は2である。
【0010】
本発明の化合物についてシス及びトランス異性体が可能な場合には、シス及びトランス異性体の両方は本発明の範囲内にある。
【0011】
「アルキル」という用語は、炭素原子の直鎖又は分枝鎖を指す。例示的なアルキル基は、C1−C6アルキル基であり、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソプチル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシル等を、それらの全ての位置異性体形態、並びにそれらの直鎖状及び分枝鎖状形態を含めて包含する。「アルキル」という用語はまた、1個又はそれ以上の炭素−炭素二重結合を有する炭素原子の直鎖又は分枝鎖、例えばビニル、アリル、ブテニル等、並びに1個又はそれ以上の炭素−炭素三重結合を有する炭素原子の直鎖又は分枝鎖、例えばエチニル、プロパルギル、ブチニル等を意味するために用いられる。「アリール」という用語は、環状の芳香族炭化水素を意味する。アリール基の例は、フェニル、ナフチル、アントラセニル、フェナントレニル等を包含する。「アルコキシ」及び「アリールオキシ」という用語は、それぞれ「O−アルキル」及び「O−アリール」を意味する。「シクロアルキル」という用語は、炭素原子により形成された環が飽和していてよく、又は環中に1個又はそれ以上の炭素−炭素二重結合を含んでいてもよい炭素原子の環状基を意味する。シクロアルキル基の例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル等、並びにシクロペンテニル、シクロペンタジエニル、シクロヘキセニル、シクロヘキサジエニル等を包含する。本明細書で用いられるように、「シクロアルキル」という用語はまた、少なくとも2個の縮合環を含む環状基、例えばアダマンタニル、デカヒドロナフタリニル、ノルボラニルを意味することを意図しており、ここで、環状基は一方又は両方の環中に1個又はそれ以上の炭素−炭素二重結合を有していてもよく、例えばビシクロ [4.3.0]ノナ−3,6(1)−ジエニル、ジシクロペンタジエニル、1,2,3,4−テトラヒドロナフタリニル(テトラリニル)、インデニル等である。「ハロゲン」という用語は、クロロ、フルオロ、ブロモ及びヨードを示す。「ヘテロアリール」という用語は、1個又はそれ以上の炭素原子が窒素、酸素及び硫黄からなる群から選択されるヘテロ原子で置き換えられた単環式又は二環式の芳香族基を意味する。ヘテロアリール基が2個以上のヘテロ原子を含有する場合には、該ヘテロ原子は同一でも異なってもよい。好ましいヘテロアリール基は、酸素、窒素及び硫黄から独立して選択される1〜3個のヘテロ原子を含有する5〜14員の環である。好ましいヘテロアリール基の例は、ベンゾ[b]チエニル、クロメニル、フリル、イミダゾリル、インダゾリル、インドリジニル、インドリル、イソベンゾフラニル、イソインドリル、イソキノリル、イソチアゾリル、イソキサゾリル、ナフチリジニル、オキサジアゾリル、オキサジニル、オキサゾリル、フタラジニル、プテリジニル、プリニル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジル、ピロリル、キノリジニル、キノリル、キノキサリニル、チアゾリル、チエニル、トリアジニル、トリアゾリル及びキサンテニルを包含する。
【0012】
「ヘテロシクロアルキル」という用語は、環炭素原子の1個又はそれ以上が窒素、酸素及び硫黄からなる群から選択されるヘテロ原子で置き換えられたシクロアルキル系を意味し、「シクロアルキル」は上記で定義されている。このようなヘテロシクロアルキル基の例は、アザビシクロヘプタニル、アゼチジニル、ベンゾアゼピニル、1,3−ジヒドロイソインドリル、インドリニル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、モルホリニル、ピペラジニル、ピペリジル、ピロリジニル及びテトラヒドロ−2H−1,4−チアジニルを包含する。
【0013】
環状基は別の基に二つ以上の方法で結合しうる。特定の結合の配置が特記されていない場合には、全ての可能な配置が意図されるものとする。例えば、「ピリジル」という用語は 2−、3−又は 4−ピリジルを包含し、そして「チエニル」という用語は 2−又は 3−チエニルを包含する。
【0014】
「C0−C4」という用語は、鎖中に炭素が存在しない実施形態を包含する。従って、例えば基「C3−C7シクロアルキル−C0−C4アルキル」、「C6−C14アリール−C0−C4アルキル」、「5〜10員のヘテロアリール−C0−C4アルキル」及び「C6−C14アリール−C0−C4アルキレン−O−C0−C4アルキル」は、それぞれC3−C7シクロアルキル、C6−C14アリール、5〜10員のヘテロアリール及びC6−C14アリール−O−C0−C4アルキルを包含する。
【0015】
「C1−C4ジアルキルアミノ」という用語は、各アルキル基が独立してC1−C4アルキルであるジアルキルアミノ基を指す。
【0016】
本発明はまた、
例えば、上記式Iの化合物及び場合により医薬上許容される担体を含む、ヒスタミン−3受容体に拮抗作用することにより治療し得る障害又は症状を治療するための医薬組成物;
治療が必要な哺乳動物に上記式Iの化合物を投与することを含む、ヒスタミン−3受容体に拮抗作用することにより治療し得る障害又は症状の治療方法;及び
上記式Iの化合物及び場合により医薬上許容される担体を含む、例えば、うつ病、気分障害、統合失調症、不安障害、アルツハイマー病、注意欠陥障害(ADD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)、精神障害、睡眠障害、肥満、目眩、てんかん、乗り物酔い、呼吸器疾患、アレルギー、アレルギー誘発性気道反応、アレルギー性鼻炎、鼻うっ血、アレルギー性うっ血、うっ血、低血圧、心臓血管疾患、GI管疾患、胃腸管の運動及び酸分泌の過剰及び過少からなる群から選択される障害又は症状を治療するための医薬組成物に関する。
【0017】
本発明はまた、治療が必要な哺乳動物に上記式Iの化合物を投与することを含む、上記パラグラフに挙げた障害又は症状からなる群から選択される障害又は症状の治療方法に関する。
【0018】
本発明のヒスタミン−3(H3)受容体拮抗剤は、特にADD、ADHD、肥満、不安障害及び呼吸器疾患を治療するために有用である。本発明により治療し得る呼吸器疾患は、成人呼吸窮迫症候群、急性呼吸窮迫症候群、気管支炎、慢性気管支炎、慢性閉塞性肺疾患、嚢胞性線維症、喘息、気腫、鼻炎及び慢性副鼻腔炎を包含する。
【0019】
本発明の医薬組成物及び方法は、上記パラグラフに記載した障害又は症状の再発を予防するためにも使用することができる。このような再発の予防は、このような予防が必要な哺乳動物に上記式Iの化合物を投与することにより行われる。
【0020】
開示した化合物はまた、それらを別個の構成要素として投与することを含む併用療法剤の一部として、又は有効量の一般式IのヒスタミンH3拮抗剤化合物及び有効量のヒスタミンH1拮抗剤、例えばセチリジン(ZyrtecTM)を用いる単一送達系に組み合わせて、アレルギー性鼻炎、鼻うっ血及びアレルギー性うっ血を治療するために使用することもできる。
【0021】
開示した化合物はまた、それらを別個の構成要素として投与することを含む併用療法剤の一部として、又は有効量の一般式IのヒスタミンH3拮抗剤化合物及び有効量の神経伝達物質再取り込み阻害剤を用いる単一送達系に組み合わせて使用することもできる。神経伝達物質再取り込み阻害剤の例は、うつ病及び気分障害を治療するための、セロトニン選択的再取り込み阻害剤(SSRI)、例えばセルトラリン(ZoloftTM)、フルオキセチン(ProzacTM)及びパロキセチン(PaxilTM)、又は非選択的セロトニン、ドーパミン若しくはノルエピネフリン再取り込み阻害剤を包含するだろう。
【0022】
本発明の化合物は光学中心を有し得るので、異なるエナンチオマー配置で存在し得る。式Iは、上記のように、構造式Iで示した化合物の全てのエナンチオマー、ジアステレオマー及び他の立体異性体、並びにそれらのラセミ混合物又は他の混合物を包含する。個々の異性体は公知の方法により、例えば、最終生成物又はその中間体の製造における光学的分割、光学選択的反応又はクロマトグラフィー分離により得ることができる。
【0023】
本発明はまた、同位体で標識された化合物を包含し、これらの化合物は、1個又はそれ以上の原子が天然に普通に見出される原子質量又は質量数とは異なる原子質量又は質量数を有する原子で置き換えられているという事実以外は、式Iで示す化合物と同一である。本発明の化合物に導入できる同位体の例は、水素、炭素、窒素、酸素、リン、硫黄、フッ素及び塩素の同位体、例えばそれぞれ2H、3H、13C、11C、14C、15N、18O、17O、31P、32P、35S、18F及び36Clを包含する。上記の同位体及び/又は他の原子の他の同位体を含有する本発明の化合物、それらのプロドラッグ、及び該化合物又は該プロドラッグの医薬上許容される塩は、本発明の範囲内にある。一定の同位体で標識された本発明の化合物、例えば3H及び14Cのような放射性同位体が導入された化合物は、薬剤及び/又は基質の組織分布アッセイにおいて有用である。トリチウム、すなわち3H、及び炭素−14、すなわち14C同位体は、それらの製造及び検出が容易であるため特に好ましい。更に、より重い同位体、例えばジューテリウム、すなわち2Hによる置換は、より大きな代謝安定性、例えばインビボ半減期の増加又は必要用量の減少に起因する一定の治療上の利点を与えることができ、従って状況よって好ましいことがある。同位体で標識された本発明のIの化合物及びそれらのプロドラッグは、以下のスキーム及び/又は実施例及び製造例に開示された手順を行うことにより、未標識試薬の代わりに容易に入手可能な同位体標識試薬を用いて一般的に製造することができる。
【0024】
「ヒスタミン−3(H3)受容体に拮抗作用する」は、本明細書で用いられるように、ヒスタミン−3受容体拮抗剤として作用することを指す。
【0025】
「単位投与形態」は、本明細書で用いられるように、単位用量の式Iの化合物を含有する任意の形態である。単位投与形態は、例えば、錠剤又はカプセルの形態であってよい。単位投与形態はまた、液状形態、例えば溶液又は懸濁液の形態であってよい。
【0026】
本発明の組成物は、1種又はそれ以上の医薬上許容される担体を用いて従来法により製剤することができる。すなわち、本発明の活性化合物を経口、口腔、鼻腔、非経口(例えば、静脈内、筋肉内又は皮下)又は直腸内投与のために、又は吸入若しくは吹送による投与に適する形態で製剤することができる。
【0027】
経口投与のために、医薬組成物は、医薬上許容される添加剤、例えば結合剤(例えば、糊化前トウモロコシ澱粉、ポリビニルピロリドン又はヒドロキシプロピルメチルセルロース);充填剤(例えば、乳糖、微結晶セルロース又はリン酸カルシウム);滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク又はシリカ);崩壊剤(例えば、ジャガイモ澱粉又はグリコール酸澱粉ナトリウム);又は湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)を用いて従来法により製造される、例えば錠剤又はカプセルの形態をとり得る。錠剤は当技術分野で周知の方法で被覆することができる。経口投与のための液状調製物は、例えば、溶液、シロップ若しくは懸濁液の形態をとってよく、又はそれらは使用前に水若しくは他の好適なビヒクルで構成するための乾燥生成物として提供することができる。このような液状調製物は、医薬上許容される添加剤、例えば懸濁化剤(例えば、ソルビトールシロップ、メチルセルロース又は水素化食用脂);乳化剤(例えば、レシチン又はアカシア);非水性ビヒクル(例えば、アーモンド油、油状エステル又はエチルアルコール);及び保存剤(例えば、p−ヒドロキシ安息香酸メチル若しくはプロピル又はソルビン酸)を用いて従来法により製造することができる。
【0028】
口腔投与のために、組成物は従来法で製剤された錠剤又はトローチの形態をとり得る。
【0029】
本発明の活性化合物は、従来のカテーテル挿入技術の使用を包含する注射又は注入による非経口投与のために製剤することができる。注射のための製剤は、保存剤を添加して、例えばアンプル又は多用量容器中の単位投与形態で提供することができる。組成物は、水性又は油性ビヒクル中の懸濁液、溶液又はエマルジョンのような形態をとることができ、そして懸濁剤、安定剤及び/又は分散剤のような製剤用物質を含有することができる。別法として、活性成分は、使用前に好適なビヒクル、例えば発熱物質を含まない滅菌水で再構成するための粉末形態であってよい。
【0030】
本発明の活性化合物はまた、例えば、カカオ脂又は他のグリセリドのような従来の坐剤基剤を含有する坐剤又は停留浣腸剤のような直腸組成物に製剤することができる。
【0031】
鼻腔投与又は吸入投与のために、本発明の活性化合物は、患者が圧搾するか又はポンプで送るポンプスプレー容器から溶液若しくは懸濁液の形態で、又は好適な噴射剤、例えばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素若しくは他の好適なガスを用いて加圧容器若しくはネブライザーからエアゾールスプレー形態として、便利に送達される。加圧エアゾールの場合、投与単位は計測量を送達するバルブを備えることにより決定することができる。加圧容器又はネブライザーは活性化合物の溶液又は懸濁液を含有することができる。吸入器又は吹送器で使用するためのカプセル又はカートリッジ(例えば、ゼラチンから作られる)は、本発明の化合物及び好適な粉末基剤、例えば乳糖又は澱粉の粉末ミックスを含有するように製剤することができる。
【0032】
上記症状(例えば、うつ病)の治療のための平均的成人ヒトへの経口、非経口又は口腔投与について提案される本発明の活性化合物の用量は、単位用量当たり0.1〜200mgの活性成分であり、これは例えば毎日1〜4回投与できるだろう。
【0033】
平均的ヒトにおける上記症状(例えば、注意欠陥多動性障害)の治療のためのエアゾール製剤は、好ましくは、エアゾールの各計測量又は「一吹き(パフ)」が20μg〜1000μgの本発明の化合物を含有するように調節される。エアゾールの全体的な1日量は、100μg〜100mgの範囲内にあるだろう。投与は毎日数回、例えば2、3、4又は8回であってよく、例えば毎回1、2又は3用量を与える。
【0034】
上記症状の何れかを有する被験者の治療のために本発明の活性化合物をヒスタミンH1拮抗剤、好ましくはセチリジンと共に使用することに関して、これらの化合物は単独又は医薬上許容される担体との組み合わせの何れにおいても上記経路の何れによっても投与し得ること、そしてこのような投与は単回及び複数回の両方の投与で行い得ることに注意すべきである。より具体的には、活性組み合わせは多種多様な異なる投与形態で投与でき、すなわち、それらは種々の医薬上許容される不活性担体と、錠剤、カプセル、ロゼンジ、トローチ、ハードキャンディー、粉末、スプレー、水性懸濁液、注射液、エリキシル、シロップ等の形態において組み合わせることができる。このような担体は、固体希釈剤又は充填剤、滅菌水性媒質及び種々の無毒性有機溶剤等を包含する。更に、このような経口医薬製剤は、このような目的で慣用される種類の種々の物質により適切に甘味付け及び/又は味付けを行い得る。一般的に、式Iの化合物はこのような投与形態において全組成物の約0.5%〜約95質量%の範囲の濃度レベルで、すなわち、望ましい単位用量を与えるために十分な量で存在し、そしてヒスタミンH1拮抗剤、好ましくはセチリジンはこのような投与形態において全組成物の約0.5%〜約95質量%の範囲の濃度レベルで、すなわち、望ましい単位用量を与えるために十分な量で存在する。
【0035】
上記症状の治療のための平均的成人ヒトへの経口、非経口、直腸又は口腔投与について併用製剤(本発明の活性化合物及びヒスタミンH1拮抗剤含有する製剤)において提案される本発明の活性化合物の1日量は、単位用量当たり約0.01mg〜約2000mg、好ましくは約0.1mg〜約200mgの式Iの活性成分であり、これは例えば毎日1〜4回投与できるだろう。
【0036】
上記症状の治療のための平均的成人ヒトへの経口、非経口又は口腔投与について併用製剤において提案されるヒスタミンH1拮抗剤、好ましくはセチリジンの1日量は、単位用量当たり約0.1mg〜約2000mg、好ましくは約1〜約200mgのヒスタミンH1拮抗剤であり、これは例えば毎日1〜4回投与できるだろう。
【0037】
上記症状の治療のための平均的成人ヒトへの経口、非経口又は口腔投与について併用製剤においてセチリジン対本発明の活性化合物の好ましい用量比は、約0.00005〜約20,000、好ましくは約0.25〜約2,000である。
【0038】
平均的成人ヒトにおける上記症状の治療のためのエアゾール併用製剤は、好ましくは、エアゾールの各計測量又は「一吹き(パフ)」が約0.01μg〜約100mgの本発明の活性化合物、好ましくは約1μg〜約10mgのこのような化合物を含有するように調節される。投与は毎日数回、例えば2、3、4又は8回であってよく、例えば毎回1、2又は3用量を与える。
【0039】
平均的成人ヒトにおける上記症状の治療のためのエアゾール製剤は、好ましくは、エアゾールの各計測量又は「一吹き(パフ)」が約0.01μg〜約2000mgのヒスタミンH1拮抗剤、好ましくはセチリジン、好ましくは約1mg〜約200mgのセチリジンを含有するように調節される。投与は毎日数回、例えば2、3、4又は8回であってよく、例えば毎回1、2又は3用量を与える。
【0040】
上記で指摘したように、式Iの化合物と組み合わせたヒスタミンH1拮抗剤、好ましくはセチリジンは、抗アレルギー剤としての治療的使用に容易に適応する。一般的に、ヒスタミンH1拮抗剤、好ましくはセチリジン及び式Iの化合物を含有するこれらの抗アレルギー組成物は、通常は毎日体重1kg当たり約0.01mg〜約100mgのヒスタミンH1拮抗剤、好ましくはセチリジン、好ましくは毎日体重1kg当たり約0.1mg〜約10mgのセチリジンの範囲の投与量で投与され;毎日体重1kg当たり約0.001mg〜約100mgの式Iの化合物、好ましくは毎日体重1kg当たり約0.01mg〜約10mgの式Iの化合が投与されるが、治療される被験者の症状及び選択される特定の投与経路に応じて必然的に変化するだろう。
【0041】
上記症状の何れかを有する被験者の治療のために本発明の活性化合物を5−HT再取り込み阻害剤、好ましくはセルトラリンと共に使用することに関して、これらの化合物は単独又は医薬上許容される担体との組み合わせの何れにおいても上記経路の何れによっても投与し得ること、そしてこのような投与は単回及び複数回の両方の投与で行い得ることに注意すべきである。より具体的には、活性組み合わせは多種多様な異なる投与形態で投与でき、すなわち、それらは種々の医薬上許容される不活性担体と、錠剤、カプセル、ロゼンジ、トローチ、ハードキャンディー、粉末、スプレー、水性懸濁液、注射液、エリキシル、シロップ等の形態において組み合わせることができる。このような担体は、固体希釈剤又は充填剤、滅菌水性媒質及び種々の無毒性有機溶剤等を包含する。更に、このような経口医薬製剤は、このような目的で慣用される種類の種々の物質により適切に甘味付け及び/又は香味付けを行い得る。一般的に、式Iの化合物はこのような投与形態において全組成物の約0.5%〜約95質量%の範囲の濃度レベルで、すなわち、望ましい単位用量を与えるために十分な量で存在し、そして5−HT再取り込み阻害剤、好ましくはセルトラリンはこのような投与形態において全組成物の約0.5%〜約95質量%の範囲の濃度レベルで、すなわち、望ましい単位用量を与えるために十分な量で存在する。
【0042】
上記症状の治療のための平均的成人ヒトへの経口、非経口、直腸又は口腔投与について併用製剤(本発明の活性化合物及び5−HT再取り込み阻害剤を含有する製剤)において提案される本発明の活性化合物の1日量は、単位用量当たり約0.01mg〜約2000mg、好ましくは約0.1mg〜約200mgの式Iの活性成分であり、これは例えば毎日1〜4回投与できるだろう。
【0043】
上記症状の治療のための平均的成人ヒトへの経口、非経口又は口腔投与について併用製剤において提案される5−HT再取り込み阻害剤、好ましくはセルトラリンの1日量は、単位用量当たり約0.1mg〜約2000mg、好ましくは約1〜約200mgの5−HT再取り込み阻害剤であり、これは例えば毎日1〜4回投与できるだろう。
【0044】
上記症状の治療のための平均的成人ヒトへの経口、非経口又は口腔投与について併用製剤においてセルトラリン対本発明の活性化合物の好ましい用量比は、約0.00005〜約20,000、好ましくは約0.25〜約2,000である。
【0045】
平均的成人ヒトにおける上記症状の治療のためのエアゾール併用製剤は、好ましくは、エアゾールの各計測量又は「一吹き(パフ)」が約0.01μg〜約100mgの本発明の活性化合物、好ましくは約1μg〜約10mgのこのような化合物を含有するように調節される。投与は毎日数回、例えば2、3、4又は8回であってよく、例えば毎回1、2又は3用量を与える。
【0046】
平均的成人ヒトにおける上記症状の治療のためのエアゾール製剤は、好ましくは、エアゾールの各計測量又は「一吹き(パフ)」が約0.01μg〜約2000mgの5−HT再取り込み阻害剤、好ましくはセルトラリン、好ましくは約1mg〜約200mgのセルトラリンを含有するように調節される。投与は毎日数回、例えば2、3、4又は8回であってよく、例えば毎回1、2又は3用量を与える。
【0047】
上記で指摘したように、式Iの化合物と組み合わせた5−HT再取り込み阻害剤、好ましくはセルトラリンは、抗うつ剤としての治療的使用に容易に適応する。一般的に、5−HT再取り込み阻害剤、好ましくはセルトラリン及び式Iの化合物を含有するこれらの抗うつ組成物は、通常は毎日体重1kg当たり約0.01mg〜約100mgの5−HT再取り込み阻害剤、好ましくはセルトラリン、好ましくは毎日体重1kg当たり約0.1mg〜約10mgのセルトラリンの範囲の投与量で投与され;毎日体重1kg当たり約0.001mg〜約100mgの式Iの化合物、好ましくは毎日体重1kg当たり約0.01mg〜約10mgの式Iの化合が投与されるが、治療される被験者の症状及び選択される特定の投与経路に応じて必然的に変化するだろう。
【0048】
不安障害は、例えば、全般性不安障害、パニック障害、PTSD及び社会不安障害を包含する。気分適応障害は、例えば、抑うつ気分、混合性不安及び抑うつ気分、行為障害、並びに混合性行為障害及び抑うつ気分を包含する。注意適応障害は、例えば、ADHDに加えて、注意欠陥障害又は一般的健康状態に起因する他の認識障害を包含する。精神障害は、例えば、統合失調性感情障害及び統合失調症を包含し;睡眠障害は、例えば、ナルコレプシー及び遺尿を包含する。
【0049】
本発明の化合物、組成物及び方法により治療し得る障害又は症状の例はまた、以下の通りである:うつ病、これは例えば、癌患者のうつ病、パーキンソン病患者のうつ病、心筋梗塞後うつ病、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)患者のうつ病、亜症候群性うつ病、不妊症女性のうつ病、小児うつ病、主要うつ病、単一エピソードうつ病、再発うつ病、うつ病誘発幼児虐待、産後抑うつ症、DSM−IV主要うつ病、治療不応性主要うつ病、重症うつ病、心因性うつ病、脳卒中後うつ病、神経障害性疼痛、躁うつ病(混合エピソードを伴う躁うつ病及びうつ病エピソードを伴う躁うつ病を包含する)、季節性情動障害、双極性うつ病BP I、双極性うつ病BP II、又は気分変調を伴う主要うつ病を包含する;気分変調;恐怖症、これは例えば、広場恐怖症、社会恐怖症又は単一恐怖症を包含する;摂食障害、これは例えば、拒食症又は多色症を包含する;薬物依存、これは例えば、アルコール、コカイン、アンフェタミン及び他の神経興奮剤、モルフィン、ヘロイン及び他のオピオイド作動剤、フェノバルビタール及び他のバルビツール酸系睡眠剤、ニコチン、ジアゼパム、ベンゾジアゼピン及び他の神経作用物質への中毒を包含する;パーキンソン病、これは例えば、パーキンソン病認知症、神経遮断剤誘発パーキンソニズム又は遅発性ジスキネジーを包含する;頭痛、これは例えば、血管障害に関連する頭痛を包含する;禁断症候群;加齢関連学習及び精神障害;無気力症;双極性障害;慢性労症候群;慢性又は急性ストレス;行為障害;循環気質障害;身体表現性障害、例えば身体化障害、転換性障害、疼痛障害、心気症、身体醜形障害、未分化障害及び身体型NOS;失禁;吸入障害;中毒障害;マニア;反抗的行為障害;末梢性神経障害;外傷後ストレス障害;黄体後期不快気分;及び特異的発達障害;SSRI「プープ・アウト」症候群、すなわち、反応が十分な最初の期間後にSSRI療法に対して十分な反応を患者が維持できないこと;及びチック障害、これはトゥーレット病を包含する。
【0050】
一例として、治療又は予防の必要がある哺乳動物はヒトであってよい。別の例として、治療又は予防の必要がある哺乳動物はヒト以外の哺乳動物であってよい。
【0051】
性質が塩基性質である式Iの化合物は、種々の無機酸又は有機酸と多種多様な異なる塩を形成することができる。酸付加塩は、この塩基性化合物を、水性溶剤媒質又は好適な有機溶剤、例えばメタノール又はエタノール中で、実質的に当量の選択された無機酸又は有機酸で処理することにより容易に製造される。溶剤を注意深く蒸発させると、所望の固体塩が得られる。
【0052】
本発明の医薬組成物の製剤に用いられる、性質が塩基性である活性化合物の医薬上許容される塩の製造に用いられる酸は、無毒性酸付加塩、すなわち、薬理学上許容される陰イオンを含有する塩を形成する酸である。塩の非限定的な例は、酢酸塩、安息香酸塩、ベータ−ヒドロキシ酪酸塩、重硫酸塩、重亜硫酸塩、臭化物、ブチン−1,4−二酸塩、カプロン酸塩、塩化物、クロロ安息香酸塩、クエン酸塩、リン酸二水素塩、ジニトロ安息香酸塩、フマル酸塩、グリコール酸塩、ヘプタン酸塩、へキシン−1,6−二酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、ヨウ化物、乳酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メタリン酸塩、メタンスルホン酸塩、メトキシ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、リン酸一水素塩、ナフタレン−1−スルホン酸塩、ナフタレン−2−スルホン酸塩、シュウ酸塩、フェニル酪酸塩、フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、フタル酸塩、フェニル酢酸塩、プロパンスルホン酸塩、プロピオル酸塩、プロピオン酸塩、ピロリン酸塩、ピロ硫酸塩、セバシン酸塩、スベリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、亜硫酸塩、スルホン酸塩、酒石酸塩、キシレンスルホン酸塩、酸性リン酸塩、酸性クエン酸塩、重酒石酸塩、コハク酸塩、グルコン酸塩、糖酸塩、硝酸塩、メタンスルホン酸塩及びパモ酸塩[すなわち、1,1'−メチレン−ビス−(2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸塩]を包含する。
【0053】
本発明の好ましい実施形態は、式I中、
(A)R1が水素である;又は
(B)R1及びR2が、それらが結合している炭素と一緒になってカルボニルを形成する;又は
(C)R3及びR4がそれぞれメチルである;又は
(D)R3及びR4が、それらが結合している炭素と一緒になって5員のピロリジン環を形成する;又は
(E)R3及びR4が、それらが結合している炭素と一緒になって6員のピペリジン環を形成する
式Iの化合物を包含する。
【0054】
本発明の最も好ましい実施形態は、R1及びR2が水素であり、R3及びR4がメチルであり、そしてnが1である式Iの化合物を包含する。
【0055】
本発明の好ましい実施形態はまた、上記実施形態(A)〜(E)の任意の組み合わせを包含する。
【0056】
本発明に係る式Iの好ましい化合物は、下記のもの:
1'−(4−ピペリジン−4−イルベンジル)−[1,3']ビピロリジニル;
4−[1−(4−ピペリジン−4−イルベンジル)−ピロリジン−3−イル]−モルホリン;
ジエチル−[1−(4−ピペリジン−4−イルベンジル)−ピペリジン−3−イル]−アミン;
1'−[4−(2,6−ジメチルピペリジン−3−イル)−ベンジル]−[1,3']ビピロリジニル;
ジメチル−(1−{1−[4−(1−メチルピペリジン−4−イル)−フェニル]−エチル}−ピロリジン−3−イル)−アミン;
ジメチル−(1−{1−メチル−1−[4−(1−メチルピペリジン−4−イル)−フェニル]−エチル}−ピロリジン−3−イル)−アミン;
ジメチル−(1−{1−[4−(1−メチルピペリジン−4−イル)−フェニル]−シクロプロピル}−ピロリジン−3−イル)−アミン;
ジメチル−{5−メチル−1−[4−(1−メチルピペリジン−4−イル)−ベンジル]−ピロリジン−3−イル}−アミン;
ジメチル−{1−[4−(1−メチルピペリジン−4−イル)−ベンジル]−アゼパン−3−イル}−アミン;
ジメチル−{1−[4−(1−メチルピペリジン−4−イル)−ベンジル]−アゼチジン−3−イル}−アミン;
ジメチル−[1−(4−ピリミジン−4−イルベンジル)−アゼチジン−3−イル]−アミン;
ジメチル−[1−(4−ピリジン−3−イルベンジル)−アゼチジン−3−イル]−アミン;
ジメチル−{1−[4−(2−メチルピリミジン−5−イル)−ベンジル]−ピロリジン−3−イル}−アミン;
5−[4−(3−ジメチルアミノ−ピロリジン−1−イルメチル)−フェニル]−ピリミジン−2−オール;
{1−[4−(2−メトキシピリミジン−5−イル)−ベンジル]−ピロリジン−3−イル}−ジメチルアミン;
{1−[3,5−ジフルオロ−4−(2−メチルピリミジン−5−イル)−ベンジル]−ピロリジン−3−イル}−ジメチルアミン;
{1−[5−フルオロ−2−メチル−4−(2−メチルピリミジン−5−イル)−ベンジル]−ピロリジン−3−イル}−ジメチルアミン;
【0057】
1−(1−ビフェニル−4−イルメチルピロリジン−3−イル)−4−メチルピペラジン;
1−ベンジル−4−(1−ビフェニル−4−イルメチルピロリジン−3−イル)−ピペラジン;
1−ベンゼンスルホニル−4−(1−ビフェニル−4−イルメチルピロリジン−3−イル)−ピペラジン;
1−(4−フルオロフェニル)−4−[1−(4−ピリジン−4−イルベンジル)−ピロリジン−3−イル]−ピペラジン;
1−[4−(2−メチルピリミジン−4−イル)−ベンジル]−ピロリジン−3−イルアミン;
(3−ジメチルアミノピロリジン−1−イル)−(4−ピリジン−4−イルフェニル)−メタノン;
ジメチル−{1−[4−(2−メチルチアゾール−5−イル)−ベンジル]−ピロリジン−3−イル}−アミン;
ジメチル−{1−[4−(5−メチル−[1,3,4]チアジアゾール−2−イル)−ベンジル]−ピロリジン−3−イル}−アミン;
[1−(4−ベンゾチアゾール−2−イルベンジル)−ピロリジン−3−イル]−ジメチルアミン;
{1−[4−(1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−ベンジル]−ピロリジン−3−イル}−ジメチルアミン;
{1−[4−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−ベンジル]−ピロリジン−3−イル}−ジメチルアミン;
N−シクロペンチル−N−メチル−[1−(4−ピリミジン−2−イルベンジル)−ピロリジン−3−イル]−アミン;
{1−[2−クロロ−4−(2−メチルピリミジン−5−イル)−ベンジル]−ピロリジン−3−イル}−ジメチルアミン;及び
ジメチル−{1−[4−(4−メチルモルホリン−2−イル)−ベンジル]−ピロリジン−3−イル}−アミンである。
【0058】
本発明に係る化合物の最も好ましい例は、
(R)−[1−(4−(4−ピリジルベンジル))−ピロリジン−3−イル]−ジメチルアミン、
(S)−[1−(4−(4−ピリジルベンジル))−ピロリジン−3−イル]−ジメチルアミン、
4'−(3−ジメチルアミノ−ピロリジン−1−イルメチル)−ビフェニル−3−カルボン酸ジメチルアミド、
{1−[4−(3−フルオロピリジン−4−イル)−ベンジル]−ピロリジン−3−イル}−ジメチルアミン、
{1−[4−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−6−イル)−ベンジル]−ピロリジン−3−イル}−ジメチルアミン、
{1−[4−(3−フルオロピリジン−4−イル)−ベンジル]−ピロリジン−3−イル}−ジメチルアミン、
{1−[4−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−6−イル)−ベンジル]−ピロリジン−3−イル}−ジメチルアミン、
{1−[4−(1−メチル−1H−インドール−5−イル)−ベンジル]−ピロリジン−3−イル}−ジメチルアミン、
4'−(3−ジメチルアミノ−ピロリジン−1−イルメチル)−ビフェニル−3−カルボニトリル、
4'−(3−ジメチルアミノ−ピロリジン−1−イルメチル)−3−メトキシ−ビフェニル−2−カルボン酸ジイソプロピルアミド、
4'−(3−ジメチルアミノ−ピロリジン−1−イルメチル)−ビフェニル−2−カルボン酸ジイソプロピルアミド、
(1−ビフェニル−4−イルメチル−ピロリジン−3−イル)−ジメチルアミン、
[1−(4'−フルオロビフェニル−4−イルメチル)−ピロリジン−3−イル]−ジメチルアミン、
[1−(3',5'−ビス−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルメチル)−ピロリジン−3−イル]−ジメチルアミン、
[1−(4'−フェノキシビフェニル−4−イルメチル)−ピロリジン−3−イル]−ジメチルアミン、
【0059】
[1−(4−チオフェン−2−イルベンジル)−ピロリジン−3−イル]−ジメチルアミン、
[1−(4−チオフェン−3−イルベンジル)−ピロリジン−3−イル]−ジメチルアミン、
[1−(4−ベンゾフラン−2−イル−ベンジル)−ピロリジン−3−イル]−ジメチルアミン、
[4'−(3−ジメチルアミノ−ピロリジン−1−イルメチル)−ビフェニル−4−イル]−メタノール、
[1−(4−フラン−2−イルベンジル)−ピロリジン−3−イル]−ジメチルアミン、
[1−(4−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イルベンジル)−ピロリジン−3−イル]−ジメチルアミン、
[1−(3',4'−ジメトキシ−ビフェニル−4−イルメチル)−ピロリジン−3−イル]−ジメチルアミン、
1−[4'−(3−ジメチルアミノ−ピロリジン−1−イルメチル)−ビフェニル−4−イル]−エタノン、
1−[4'−(3−ジメチルアミノ−ピロリジン−1−イルメチル)−ビフェニル−3−イル]−エタノン、
[1−(4−ベンゾ[b]チオフェン−2−イルベンジル)−ピロリジン−3−イル]−ジメチルアミン、
[4'−(3−ジメチルアミノ−ピロリジン−1−イルメチル)−ビフェニル−3−イル]−メタノール、
1−[4'−(3−ジメチルアミノ−ピロリジン−1−イルメチル)−ビフェニル−2−イル]−エタノン、
[1−(2'−フェノキシ−ビフェニル−4−イルメチル)−ピロリジン−3−イル]−ジメチルアミン、
[1−(2'−ベンジルオキシ−ビフェニル−4−イルメチル)−ピロリジン−3−イル]−ジメチルアミン、
[1−(4−フラン−3−イル−ベンジル)−ピロリジン−3−イル]−ジメチルアミン、
[1−(3'−メチルスルファニル−ビフェニル−4−イルメチル)−ピロリジン−3−イル]−ジメチルアミン、
【0060】
N−[4'−(3−ジメチルアミノ−ピロリジン−1−イルメチル)−ビフェニル−3−イル]−アセトアミド、
[1−(4'−ベンジルオキシ−3'−フルオロビフェニル−4−イルメチル)−ピロリジン−3−イル]−ジメチル−アミン、
4'−(3−ジメチルアミノ−ピロリジン−1−イルメチル)−ビフェニル−4−オール、
[1−(4'−ベンジルオキシ−ビフェニル−4−イルメチル)−ピロリジン−3−イル]−ジメチルアミン、
[1−(2'−メチルスルファニル−ビフェニル−4−イルメチル)−ピロリジン−3−イル]−ジメチルアミン、
4'−(3−ジメチルアミノ−ピロリジン−1−イルメチル)−ビフェニル−4−カルボニトリル、
[1−(4'−メタンスルホニル−ビフェニル−4−イルメチル)−ピロリジン−3−イル]−ジメチル−アミン、
[1−(3'−ベンジルオキシ−ビフェニル−4−イルメチル)−ピロリジン−3−イル]−ジメチルアミン、
[1−(4−イソキノリン−5−イルベンジル)−ピロリジン−3−イル]−ジメチルアミン、
1−(3'−ピラゾール−1−イルビフェニル−4−イルメチル)−ピロリジン−3−イル]−ジメチルアミン、
1−[4'−(3−ジメチルアミノ−ピロリジン−1−イルメチル)−ビフェニル−2−イルメチル]−ピペリジン−4−オン、
{1−[4−(3−クロロピリジン−4−イル)−ベンジル]−ピロリジン−3−イル}−ジメチルアミン、
[1−(4−ピリミジン−5−イルベンジル)−ピロリジン−3−イル]−ジメチルアミン、
(S)−[1−(4'−メタンスルホニル−ビフェニル−4−イルメチル)−ピロリジン−3−イル]−ジメチルアミン、
(R)−[1−(4'−メタンスルホニル−ビフェニル−4−イルメチル)−ピロリジン−3−イル]−ジメチルアミン、
(S)−N−[4'−(3−ジメチルアミノ−ピロリジン−1−イルメチル)−ビフェニル−3−イル]−アセトアミド、
(R)−N−[4'−(3−ジメチルアミノ−ピロリジン−1−イルメチル)−ビフェニル−3−イル]−アセトアミド、
(R)−[1−(4−ピペリジン−4−イルベンジル)−ピロリジン−3−イル]−ジメチルアミン、
(S)−[1−(4−ピペリジン−4−イルベンジル))−ピロリジン−3−イル]−ジメチルアミンを包含する。
【0061】
本発明に係る式Iの化合物は、スキーム1〜3に示す一般的手順により製造することができる。
【0062】
【化2】

【0063】
スキーム1に従って、市販されているか又は化学若しくは特許文献からの方法及び手順を用いて容易に製造し得る一般式IIのアミンを、適切に置換されたアルデヒド(III、R1=H)又はケトン(III、R1≠H)と反応させて一般式IVの中間体を生成させる。この変換は一般に還元的アミノ化と呼ばれ、そして化学技術分野の当業者に公知の種々の条件下で行うことができる。それは単一の協奏的工程で行うことができる(例えば、A.F. Abdel-Magid, C. A. Maryanoff and K.G. Carson in Tetrahedron Letters, 1990, 39:5595-5598 参照)。このような変換において、式IIIのカルボニル化合物及び式IIの中間体アミンは、不活性反応溶剤中で混合され、そして還元剤、例えばシアノ水素化ホウ素ナトリウム(NaBH3CN)又はトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(NaBH(OAc)3)で処理される。好適な溶剤は、数ある中でもテトラヒドロフラン(THF)及び1,2−ジクロロエタン(DCE)を包含し、そして反応は有機酸(例えば、酢酸)を添加するか又は添加しないで行うことができる。
【0064】
式II及びIIIの化合物の式IVの化合物への変換はまた、一つ又はそれ以上の個々の段階を用いて完結することができ、例えば、最初にVのようなイミン中間体を形成させ、次いでC=N二重結合を還元して一般式Iの化合物を生成させることを含む。場合によっては、この中間体を単離及び精製してもよい。
【化3】

【0065】
例えば、式IIの中間体及び式IIIの適切なアルデヒド(R1=H)又はケトンを、ベンゼン、トルエン、メタノール又はエタノールのような中性反応溶剤中で脱水試薬の存在下に混合し、そして反応が完了したと判断されるまで(例えば、薄層クロマトグラフィー(tlc)、質量分析(MS)又は核磁気共鳴分析(NMR)を用いる)、所定量の時間攪拌することができる。このような脱水試薬は、例えば、p−トルエンスルホン酸(すなわち、PTSA)、塩化チタン(IV)(すなわち、TiCl4)、チタニウム(IV)イソプロポキシド(すなわち、Ti(OiPr)4))又はモレキュラーシーブを含む。反応は、約0℃ないし用いた溶剤のほぼ沸点までの範囲内で約1〜約3気圧の圧力で行うことができる。こうして得られた中間体イミンVを次いで、1種又はそれ以上の還元試薬により当業者によく知られた条件下で、例えば、炭素上のパラジウム(Pd/C)又は炭素上の白金(Pt/C)等のような触媒の存在下での水素ガス、水素化ホウ素ナトリウム(すなわち、NaBH4)、(トリアセトキシ)水素化ホウ素ナトリウム、シアノ水素化ホウ素ナトリウムなどで還元することができる。還元剤としての水素の使用は多くの場合、不活性反応溶剤、例えばメタノール、エタノール、THF、1,4−ジオキサン又は同様の溶剤中で、約1気圧〜約5気圧の水素圧の圧力で、典型的にはほぼ室温ないし用いた溶剤の沸点未満又は沸点の温度までの温度で行われる。水素化物試薬を用いる場合には、溶剤の選択は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、1,4−ジオキサン、THF等(これらに限定されない)から行うことができる。この反応は、大気圧で、約−40℃ないし用いた溶剤のほぼ沸点までの範囲の温度、典型的には0〜40℃、最も好ましくは室温で行うことができる。
【0066】
化合物IIIでY=R5の場合には、式Iの目的化合物は、IIとIIIから直接に製造することができ、化合物Iについて定義されたようにY≠R5である式IVの置換された中間体を製造する必要をなくする。別法として、化合物IVのY基を上記定義の基R5に変換することができる。この変換は、R5基の性質に応じて幾つかの異なる手順を用いて行うことができる。例えば、R5がアリール又はヘテロアリールである場合には、YがBr、Cl又はIである式IVの中間体を、Suzuki その他により記載された条件を用いて、アリール又はヘテロアリールボロン酸と反応させることができる。この手順は、しばしば Suzuki 反応と呼ばれ多数の科学文献の刊行物に記載されており、これらには、Stanforth, S.P.,
“Catalytic Cross-coupling Reactions in Biaryl Synthesis.” Tetrahedron, 1998, 54:263-303; Watanabe, T. et al “Synthesis of Sterically Hindered Biaryls via the Palladium-catalyzed Cross-coupling Reaction of Arylboronic Acids or Their Esters with Haloarenes.” Synlett, 1992, 3:207-210; Ali, N.M. et al “Palladium-catalyzed Cross-coupling Reactions of Arylboronic Acids with π-Deficient Heteroaryl Chlorides.” Tetrahedron, 48(37):8117-8126; Saito, S. et al “Synthesis of Biaryls via a Nickel(0)-catalyzed Cross-coupling Reaction of Chloroarenes with Arylboronic Acids.” Journal of Organic Chemistry, 1997, 62(23):8024-8030; Indolese, A.F.“Suzuki-type Coupling of Chloroarenes with Arylboronic Acids Catalyzed by Nickel Complexes.” Tetrahedron Letters, 1997, 38(20):3513-3516; Zhang, H. et al, “Base and Cation Effects on the Suzuki Cross-coupling of Bulky Arylboronic Acid with Halopyridines. Synthesis of Pyridylphenols.” Journal of Organic Chemistry, 1988, 63(20):6886-6890; Wustrow, D.J. and Wise, L.D. “Coupling of Arylboronic Acid with a Partially Reduced Pyridine Derivative.” Synthesis, 1991, 11:993-995 が含まれる。
【0067】
別法として、YがBr、Cl又はIである一般式IVの中間体を最初にボロン酸誘導体に変換することができ、次いでこれを同様の Suzuki 条件下で、Y及びR5が上記定義の通りである一般式Y−R5の中間体と反応させて一般式Iの化合物を生成させる。
【0068】
【化4】

【0069】
スキーム2に示すように、式Iの化合物は第二級アミンのアルキル化のための標準的条件を用いて製造することもできる。すなわち、一般式IIの化合物は、X、Y、R1及びR2が上記定義のとおりであり、そしてL1がCl、Br、I、メシレート及びトシレート(これらに限定されない)を包含する群から選択される脱離基である適切に置換された一般式VIの化合物と反応させて一般式VIIの化合物を生成させることができる。Y=R5である場合には、一般式Iの目的化合物は一段階で製造することができる。別法として、基Yをスキーム1について上記したように基R5に変換することができる。
【0070】
【化5】

【0071】
1及びR2がそれらが結合している炭素と一緒になってカルボニル基を形成する式Iの化合物を製造するために、一般式IIのアミンを、不活性反応溶剤(例えば、クロロホルム、ジクロロメタン、THF等)中で、炭酸ナトリウム又は炭酸カリウムのような酸捕捉剤の存在下に、式VIIIの適切なL2−カルボニル反応剤(式中、L2は特にCl、Br、メシレート又はトシレートから選択される)と反応させることができる。この反応は、約−80℃ないし用いた反応溶剤のほぼ沸点までの温度で、約1〜約3気圧の圧力で行うことができる。この反応はまた、ピリジン又はジメチルアミノピリジン(DMAP)を加えて反応性ピリジニウムイオンを形成することにより促進することもできる(A.R. Fersht and W. P. Jencks, Journal of the American Chemical Society (1970) 92:5432-5442; G. Hofle et al, Angew. Chem. Intern. Ed. Engl. (1978) 17:569)。相当するカルボン酸(例えば、L2=OH)から式VIIIの中間体(例えば、L2=Cl)を製造することは、文献に十分な先例があり、そして有機合成の技術分野の当業者に公知である。例えば、L2=OHである化合物VIIIを、クロロホルム又はジクロロメタンのような不活性反応溶剤中で、不活性乾燥雰囲気(例えば、N2又はArガス)下に、塩化チオニル(SOCl2)又は塩化オキサリルのような試薬の1当量又はそれ以上と反応させて一般式VIIIの塩化アシルを生成させることができる。
【0072】
2が上記定義のとおりである一般式VIIIの化合物が入手できないか、又は不安定であり得るか、又は単離若しくは精製が困難であり得る場合には、L2=OHである相当する化合物VIIIを、一般式IIのアミンと反応させて式IXの中間体を製造することができる。これは、例えば、トリフェニルホスフィン及びブロモトリクロロメタン(CBrCl3)又はクロロホルムの存在下におけるカルボキシル基の活性化を必然的に含むことになるであろう(L.E. Barstow and V.J. Hruby, Journal of Organic Chemistry (1971) 36:1305; H.J. Bestmann and L. Mott, Justig Liebig's Annalen der Chemie (1966) 693:132; J.
B. Lee, Journal of the American Chemical Society (1966) 88:3440)。別法として、酸をカルボニルジイミダゾール(CDI)と反応させることによりカルボキシル基をアシルイミダソールに変換し、次いでこのアシルイミダゾールを適切なアミンIIと反応させて中間体IXを生成させることができる(H.A. Staab and W. Rohr, Newer Methods Prep. Org. Chem. (1968) 5:61)。
【0073】
式IXの中間体の式Xの中間体への変換、すなわち、YのR5による置換は、スキーム2を用いて中間体VIIの式Iの化合物への変換について記載したように行うことができる。
【0074】
式Xの化合物の式Iの化合物への変換は、当業者に公知の多数の入手可能な還元試薬の一つを用いて行うことができ、これらにはとりわけ、水素化アルミニウムリチウム(LiAlH4)、水素化ビス−(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウム若しくは水素化ビス−(2−メトキシエトキシ)アルミニウムリチウム、ジボラン(B26)又はアラン(AlH3)が含まれる。この手順は、ジエチルエーテル又はTHFのような不活性反応溶剤を用いて、不活性乾燥雰囲気(例えば、N2、Ar)下に約−78℃ないし用いた溶剤のほぼ沸点までの温度で行うことができる。この変換反応は、A. C. Cope et al, Organic Synthesis (1963) IV:339; R. B. Moffett, Organic Synthesis (1963) IV:354 を含む文献中に多くの実例が記載されている。
【0075】
〔実施例〕
以下の実施例において、用いられる略語は下記の一般的意味を有することを意図している:
bm:広い多重項(NMR)
bs:広い一重項(NMR)
dd:二重項の二重項(NMR)
d.e.:珪藻土、充填剤
DMF:ジメチルホルムアミド
LRMS:低分解能質量分析
calcd:計算値
d:二重項(NMR)
EtOAc:酢酸エチル
J:カップリング定数(NMR)
LAH:水素化アルミニウムリチウム
m:多重項(NMR)
min:分
m/z:質量対電荷比(質量分析)
obsd:実測値
Rf:保持係数(クロマトグラフィー)
Rt:保持時間(クロマトグラフィー)
rt:室温
s:一重項(NMR)、秒
t:三重項
THF:テトラヒドロフラン
tlc:薄層クロマトグラフィー
【0076】
溶剤は購入し、そして精製することなく用いた。収量は、均質と判断された物質について薄層クロマトグラフィー及びNMRにより計算した。薄層クロマトグラフィーは、Merck Kieselgel 60 F 254 プレート上で、示した溶剤を用いて溶離し、254nmのUVランプで可視化し、そしてKMnO4水溶液又は 12−モリブドリン酸のエタノール溶液の何れかで染色することにより行った。フラッシュカラムクロマトグラフィーは、充填済みの Biotage(登録商標)又は ISCO(登録商標)カラムの何れかを用い、示したサイズを用いて行った。核磁気共鳴(NMR)スペクトルは、Unity 400又は500上で、1H NMRについてはそれぞれ400MHz又は500MHzで、そして13C NMR についてはそれぞれ 100MHz又は25MHz で得た。プロトン 1H NMR スペクトルの化学シフトは、7.24ppmにおけるCDCl3の一重項に対する百万分の一で記録された。13C NMR スペクトルの化学シフトは、77.0ppmにおけるCDCl3の三重項のセンターラインに対する百万分の一下流で記録された。質量スペクトル分析は、APCI Gilson 215, 微量質量 ZMD(50%のアセトニトリル/50%の水)スペクトロメーター上で行った。
【0077】
マイクロ波条件下の反応は、隔壁を備えた2〜5mL丸底バイアルを用いて行った。
反応剤を含有するバイアルは、Personal Chemistry Inc., 25 Birch St., Bldg C, Suite 304, Milford, MA 01757 からの EMRYSTM Creator マイクロ波装置(最大出力 300W)の反応室に挿入され、そして適切な温度に所定の時間加熱された。HPLC は、下記の方法により行った:
方法A:Preparative条件(Waters 600 & Waters 2767 Sample Manager);カラム: Waters Symmetry C18、5μm、30×150mm スチールカラム、パート # WAT248000、シリーズ # M12921A01;溶剤A−0.1% のトリフルオロ酢酸/水;溶剤B−アセトニトリル;注入量: 850μL;時間 0.0、100% 溶剤A、0% 溶剤B、流量 20;時間 2.0、100% 溶剤A、0% 溶剤B、流量 20;時間 12.0、0% 溶剤A、100% 溶剤B、流量 20;時間 15.0、0% 溶剤A、100% 溶剤B、流量 20;時間 15.1、100% 溶剤A、0% 溶剤B、流量 20;時間 20.0、100% 溶剤A、0% 溶剤B、流量 20。
質量スペクトル (微量質量 ZO) 条件; 毛管(kV): 3.0;円錐 (V): 20; 抽出器 (V): 3.0; RF レンズ (V): 0.5;ソース温度(℃): 120;脱溶媒和(desolvation)温度(℃): 360;脱溶媒和ガス流量 (L/hr): 450;円錐ガス流量 (L/hr): 150; LM 分解能: 15; HM 分解能: 15;イオンエネルギー: 0.2;乗数: 550。
スプリッター;LC パッキングによる Acurate、1/10,000;Upchurch ニードル弁セッティング: 14;補給ポンプ (Waters 515) 流量 (ml/min.): 1。PDA (Waters 996) セッティング;スタート/エンド波長 (nm): 200/600;分解能: 1.2;サンプルレート: 1;チャンネル: TIC、254nm及び220nm。
【0078】
方法B:Preparative条件 (Waters 600 & Waters 2767 Sample Manager);カラム: Waters Xterra PrepMS C18 カラム、5μm、30×150mm スチールカラム、パート # 186001120、シリーズ # T22881T 09;溶剤A−0.1% トリフルオロ酢酸/水;溶剤B−アセトニトリル;注入量: 1050μL;時間 0.0、100% 溶剤A、0% 溶剤B、流量 20;時間 2.0、100% 溶剤A、0% 溶剤B、流量 20;時間 12.0、0% 溶剤A、100% 溶剤B、流量 20;時間 14.0、0% 溶剤A、100% 溶剤B、流量 20;時間 14.1、100% 溶剤A、0% 溶剤B、流量 20;時間 19.1、100% 溶剤A、0% 溶剤B、流量 20。
質量スペクトル (微量質量 ZO) 条件; 毛管(kV): 3.0;円錐 (V): 20; 抽出器 (V): 3.0; RF レンズ (V): 0.5;ソース温度(℃): 120;脱溶媒和温度(℃): 360;脱溶媒和ガス流量 (L/hr): 450;円錐ガス流量 (L/hr): 150;LM 分解能: 15;HM 分解能: 15;イオンエネルギー: 0.2; 乗数: 550。
スプリッター; LC パッキングによる Acurate 、1/10,000; Upchurch ニードル弁セッティング: 14;補給ポンプ (Waters 515) 流量 (ml/min.): 1。PDA (Waters 996) セッティング;スタート/エンド波長 (nm): 200/600;分解能: 1.2;サンプルレート: 1;チャンネル: TIC、254nm及び220nm。
【0079】
方法C:Preparative条件 (Waters 600 & Waters 2767 Sample Manager); カラム: Waters Symmetry C18、5μm、30×150mm スチールカラム、パート # WAT248000、シリーズ # M12921A01;溶剤A−0.1% トリフルオロ酢酸/水;溶剤B−アセトニトリル; 注入量: 850μL;時間 0.0、90% 溶剤A、10% 溶剤B、流量 20;時間 10.0、0% 溶剤A、100% 溶剤B、流量 20;時間 12.0、0% 溶剤A、100% 溶剤B、流量 20。
質量スペクトル (微量質量 ZO) 条件; 毛管(kV): 3.0;円錐 (V): 20; 抽出器 (V): 3.0; RF レンズ (V): 0.5;ソース温度(℃): 120;脱溶媒和温度(℃): 360;脱溶媒和ガス流量 (L/hr): 450;円錐ガス流量 (L/hr): 150;LM 分解能: 15;HM 分解能: 15;イオンエネルギー: 0.2;乗数: 550。
スプリッター; LC パッキングによる Acurate、1/10,000;Upchurch ニードル弁セッティング: 14;補給ポンプ (Waters 515) 流量 (ml/min.): 1。PDA (Waters 996) セッティング;スタート/エンド波長 (nm): 200/600;分解能: 1.2;サンプルレート: 1;チャンネル: TIC、254nm及び220nm。
【0080】
下記の中間体は上記した手順によって製造することができる:
中間体1
【化6】

(S)−[1−(4−ブロモベンジル)−ピロリジン−3−イル]−ジメチルアミン
15mLのジクロロメタン中の 4−ブロモベンズアルデヒド (1.04g, 5.6mmol, Aldrich Chemical Co.) 及び 3(S)−(−)−ジメチルアミノ−ピロリジン (0.80g, 7.0mmol) の混合物を、N2下にrtで15min 攪拌した。トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム (3.56g, 16.8mmol) を5分にわたって滴下し、この混合物をrtで一晩攪拌した。飽和NaHCO3水溶液を加えて反応をクエンチし、次いで追加のCH2Cl2で抽出した。一緒にした有機抽出物を水及び飽和NaClで洗浄し、Na2CO3上で乾燥し、濾過した。真空濃縮して暗色油状物が得られ、これをシリカゲル上クロマトグラフィーにかけ、CH2Cl2中の2% CH3OHから0.5% NH4OH:8% CH3OH: CH2Cl2までの勾配で溶離した。生成物の分画を濃縮して淡褐色油状物にした。
質量スペクトル (m/z)、C13H19BrN2 の計算値: 283.21; 実測値 285 (M+2, 100%), 283 (M+, 100%)。
1H-nmr (CDCl3, 400 MHz) δ1.74 (m, 1H), 2.03 (m, 1H), 2.23 (s, 6H), 2.35 (m, 1H), 2.51 (m, 1H), 2.67 (m, 1H), 2.78 (m, 2H), 3.53 (q, 2H), 7.19 (d, 2H), 7.43 (d, 2H)。
同じ方法により、相当する (R)−異性体を油状物として製造した。
質量スペクトル (m/z)、C13H19BrN2 の計算値: 283.21; 計算値 285 (M+2, 100%), 283 (M+, 100%)。
【0081】
(R)−[1−(4−ブロモベンジル)−ピロリジン−3−イル]−ジメチルアミン
下記の化合物は以下の手順により製造することができる:
〔実施例1〕
一般的手順A
【化7】

【0082】
(R)−[1−(4−(4−ピリジルベンジル))−ピロリジン−3−イル]−ジメチルアミン
0.8mLの水を含む4.0mLのエタノール中の (R)−[1−(4−ブロモベンジル)−ピロリジン−3−イル]−ジメチルアミン (0.143g, 0.5mmol)、ピリジン−4−ボロン酸 (0.074g, 0.6mmol) 及び炭酸ナトリウム (0.212g, 2.0mmol) の溶液を、5mLのマイクロ波反応管中で加熱した。脱気した後、この混合物を150℃で300秒間加熱し、その時間の後 tlc 及び質量スペクトルは生成物への変換を示した。この混合物をrtに冷却し、水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。抽出物をNa2CO3で乾燥し、真空濃縮し、残留物を、フラッシュクロマトグラフィーを用いて精製して白色固体、54mgを得た。この物質を、ジエチルエーテル中の 1.0 M HCl を用いて二塩酸塩に変換した。
質量スペクトル (m/z)、C18H23N3 の計算値: 281.40; 計算値 282.1 (M+1, 100%)。
1H-nmr (CDCl3, 400 MHz) δ1.82 (m, 1H), 2.06 (m, 1H), 2.30 (s, 6H), 2.51 (bs, 1H), 2.61 (m, 1H), 2.70 (m, 1H), 2.81 (q, 1), 2.96 (bs, 1H), 3.65 (q, 2H), 7.41 (d, 2H), 7.48 (d, 2H), 7.57 (d, 2H), 8.62 (d, 2H)。
【0083】
同じ方法により、(S)−[1−(4−(4−ピリジルベンジル))−ピロリジン−3−イル]−ジメチルアミンを製造し、二塩酸塩、57mgに変換した。
質量スペクトル (m/z)、C18H23N3 の計算値: 281.40; 計算値 282.1 (M+1, 100%)。
【0084】
実施例1について記載した一般的手順Aを用いて(相当するトリフルオロ酢酸塩に変換することを除く)、下記の化合物も製造した:
〔実施例2〕
【化8】

4'−(3−ジメチルアミノ−ピロリジン−1−イルメチル)−ビフェニル−3−カルボン酸ジメチルアミド
質量スペクトル (m/z)、C22H29N3O の計算値: 351.231; 計算値 352.11 (M+1, 100%)
【0085】
〔実施例3〕
【化9】

{1−[4−(3−フルオロ−ピリジン−4−イル)−ベンジル]−ピロリジン−3−イル}−ジメチルアミン
質量スペクトル (m/z)、C18H22FN3 の計算値: 299.179; 計算値 300.06 (M+1, 100%)
【0086】
〔実施例4〕
【化10】

{1−[4−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−6−イル)−ベンジル]−ピロリジン−3−イル}−ジメチルアミン
質量スペクトル (m/z)、C21H26N2O2 の計算値: 338.199; 計算値 339.1 (M+1, 100%)
【0087】
〔実施例5〕
【化11】

{1−[4−(1−メチル−1H−インドール−5−イル)−ベンジル]−ピロリジン−3−イル}− ジメチルアミン
質量スペクトル (m/z)、C22H27N3 の計算値: 333.22; 計算値 334.12 (M+1, 100%)
【0088】
〔実施例6〕
【化12】

4'−(3−ジメチルアミノ−ピロリジン−1−イルメチル)−ビフェニル−3−カルボニトリル
質量スペクトル (m/z)、C20H23N3 の計算値: 305.189; 計算値 306.17 (M+1, 100%)
【0089】
〔実施例7〕
【化13】

4'−(3−ジメチルアミノ−ピロリジン−1−イルメチル)−3−methoxyビフェニル−2−カルボン酸ジイソプロピルアミド
質量スペクトル (m/z)、C27H39N3O2 の計算値: 437.304; 計算値 438.3 (M+1, 100%)
【0090】
〔実施例8〕
【化14】

4'−(3−ジメチルアミノ−ピロリジン−1−イルメチル)−ビフェニル−2−カルボン酸ジイソプロピルアミド
質量スペクトル (m/z)、C26H37N3O の計算値: 407.293; 計算値 408.3 (M+1, 100%)
【0091】
〔実施例9〕
【化15】

(1−ビフェニル−4−イルメチル−ピロリジン−3−イル)−ジメチルアミン
質量スペクトル (m/z)、C19H24N2 の計算値: 280.193; 計算値 281.18 (M+1, 100%)
【0092】
〔実施例10〕
【化16】

[1−(4'−フルオロ−ビフェニル−4−イルメチル)−ピロリジン−3−イル]−ジメチルアミン
質量スペクトル (m/z)、C19H23FN2 の計算値: 298.184; 計算値 299.18 (M+1, 100%)
【0093】
〔実施例11〕
【化17】

[1−(3',5'−ビス−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルメチル)−ピロリジン−3−イル]−ジメチルアミン
質量スペクトル (m/z)、C21H22F6N2 の計算値: 416.18; 計算値 417.16 (M+1, 100%)
【0094】
〔実施例12〕
【化18】

[1−(4'−フェノキシ−ビフェニル−4−イルメチル)−ピロリジン−3−イル]−ジメチルアミン
質量スペクトル (m/z)、C25H28N2O の計算値: 372.22; 計算値 373.21 (M+1, 100%)
【0095】
〔実施例13〕
【化19】

[1−(4−チオフェン−2−イル−ベンジル)−ピロリジン−3−イル]−ジメチルアミン
質量スペクトル (m/z)、C17H22N2S の計算値: 286.15; 計算値 287.13 (M+1, 100%)
【0096】
〔実施例14〕
【化20】

[1−(4−チオフェン−3−イル−ベンジル)−ピロリジン−3−イル]−ジメチルアミン
質量スペクトル (m/z)、C17H22N2S の計算値: 286.15; 計算値 287.13 (M+1, 100%)
【0097】
〔実施例15〕
【化21】

[1−(4−ベンゾ−2−イル−ベンジル)−ピロリジン−3−イル]−ジメチルアミン
質量スペクトル (m/z)、C21H24N2O の計算値: 320.188; 計算値 321.16 (M+1, 100%)
【0098】
〔実施例16〕
【化22】

[4'−(3−ジメチルアミノ−ピロリジン−1−イルメチル)−ビフェニル−4−イル]−メタノール
質量スペクトル (m/z)、C20H26N2O の計算値: 310.204; 計算値 311.19 (M+1, 100%)
【0099】
〔実施例17〕
【化23】

[1−(4−フラン−2−イル−ベンジル)−ピロリジン−3−イル]−ジメチルアミン
質量スペクトル (m/z)、C17H22N2O の計算値: 270.173; 計算値 271.17 (M+1, 100%)
【0100】
〔実施例18〕
【化24】

[1−(4−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イルベンジル)−ピロリジン−3−イル]−ジメチルアミン
質量スペクトル (m/z)、C20H24N2O2 の計算値: 324.183; 計算値 325.17 (M+1, 100%)
【0101】
〔実施例19〕
【化25】

[1−(3',4'−ジメトキシ−ビフェニル−4−イルメチル)−ピロリジン−3−イル]−ジメチルアミン
質量スペクトル (m/z)、C21H28N2O2 の計算値: 340.215; 計算値 341.2 (M+1, 100%)
【0102】
〔実施例20〕
【化26】

1−[4'−(3−ジメチルアミノ−ピロリジン−1−イルメチル)−ビフェニル−4−イル]−エタノン
質量スペクトル (m/z)、C21H26N2O の計算値: 322.204; 計算値 323.2 (M+1, 100%)
【0103】
〔実施例21〕
【化27】

1−[4'−(3−ジメチルアミノ−ピロリジン−1−イルメチル)−ビフェニル−3−イル]−エタノン
質量スペクトル (m/z)、C21H26N2O の計算値: 322.204; 計算値 323.19 (M+1, 100%)
【0104】
〔実施例22〕
【化28】

[1−(4−ベンゾ[b]チオフェン−2−イル−ベンジル)−ピロリジン−3−イル]−ジメチルアミン
質量スペクトル (m/z)、C21H24N2S の計算値: 336.166; 計算値 337.17 (M+1, 100%)
【0105】
〔実施例23〕
【化29】

[4'−(3−ジメチルアミノ−ピロリジン−1−イルメチル)−ビフェニル−3−イル]−メタノール
質量スペクトル (m/z)、C20H26N2O の計算値: 310.204; 計算値 311.22 (M+1, 100%)
【0106】
〔実施例24〕
【化30】

1−[4'−(3−ジメチルアミノ−ピロリジン−1−イルメチル)−ビフェニル−2−イル]−エタノン
質量スペクトル (m/z)、C21H26N2O の計算値: 322.204; 計算値 323.2 (M+1, 100%)
【0107】
〔実施例25〕
【化31】

[1−(2'−フェノキシ−ビフェニル−4−イルメチル)−ピロリジン−3−イル]−ジメチルアミン
質量スペクトル (m/z)、C25H28N2O の計算値: 372.22; 計算値 373.22 (M+1, 100%)
【0108】
〔実施例26〕
【化32】

[1−(2'−ベンジルオキシ−ビフェニル−4−イルメチル)−ピロリジン−3−イル]−ジメチルアミン
質量スペクトル (m/z)、C26H30N2O の計算値: 386.235; 計算値 387.24 (M+1, 100%)
【0109】
〔実施例27〕
【化33】

[1−(4−フラン−3−イル−ベンジル)−ピロリジン−3−イル]−ジメチルアミン
質量スペクトル (m/z)、C17H22N2O の計算値: 270.173; 計算値 271.17 (M+1, 100%)
【0110】
〔実施例28〕
【化34】

[1−(3'−メチルスルファニル−ビフェニル−4−イルメチル)−ピロリジン−3−イル]−ジメチルアミン
質量スペクトル (m/z)、C20H26N2S の計算値: 326.181; 計算値 327.18 (M+1, 100%)
【0111】
〔実施例29〕
【化35】

N−[4'−(3−ジメチルアミノ−ピロリジン−1−イルメチル)−ビフェニル−3−イル]−アセトアミド
質量スペクトル (m/z)、C21H27N3O の計算値: 337.215; 計算値 338.21 (M+1, 100%)
【0112】
〔実施例30〕
【化36】

[1−(4'−ベンジルオキシ−3'−フルオロ−ビフェニル−4−イルメチル)−ピロリジン−3−イル]−ジメチルアミン
質量スペクトル (m/z)、C26H29FN2O の計算値: 404.226; 計算値 405.23 (M+1, 100%)
【0113】
〔実施例31〕
【化37】

4'−(3−ジメチルアミノ−ピロリジン−1−イルメチル)−ビフェニル−4−オール
質量スペクトル (m/z)、C19H24N2O の計算値: 296.188; 計算値 297.17 (M+1, 100%)
【0114】
〔実施例32〕
【化38】

[1−(4'−ベンジルオキシ−ビフェニル−4−イルメチル)−ピロリジン−3−イル]−ジメチルアミン
質量スペクトル (m/z)、C26H30N2O の計算値: 386.235; 計算値 387.22 (M+1, 100%)
【0115】
〔実施例33〕
【化39】

[1−(2'−メチルスルファニル−ビフェニル−4−イルメチル)−ピロリジン−3−イル]−ジメチルアミン
質量スペクトル (m/z)、C20H26N2S の計算値: 326.181; 計算値 327.2 (M+1, 100%)
【0116】
〔実施例34〕
【化40】

4'−(3−ジメチルアミノ−ピロリジン−1−イルメチル)−ビフェニル−4−カルボニトリル
質量スペクトル (m/z)、C20H23N3 の計算値: 305.189; 計算値 306.2 (M+1, 100%)
【0117】
〔実施例35〕
【化41】

[1−(4'−メタンスルホニル−ビフェニル−4−イルメチル)−ピロリジン−3−イル]−ジメチルアミン
質量スペクトル (m/z)、C20H26N2O2S の計算値: 358.171; 計算値 359.18 (M+1, 100%)
【0118】
〔実施例36〕
【化42】

[1−(3'−ベンジルオキシ−ビフェニル−4−イルメチル)−ピロリジン−3−イル]−ジメチルアミン
質量スペクトル (m/z)、C26H30N2O の計算値: 386.235; 計算値 387.25 (M+1, 100%)
【0119】
〔実施例37〕
【化43】

[1−(4−イソキノリン−5−イルベンジル)−ピロリジン−3−イル]−ジメチルアミン
質量スペクトル (m/z)、C22H25N3 の計算値: 281.40; 計算値 282.1 (M+1, 100%)
【0120】
〔実施例38〕
【化44】

[1−(3'−ピラゾール−1−イルビフェニル−4−イルメチル)−ピロリジン−3−イル]−ジメチルアミン
質量スペクトル (m/z)、C22H26N4 の計算値: 346.215; 計算値 347.22 (M+1, 100%)
【0121】
〔実施例39〕
【化45】

1−[4'−(3−ジメチルアミノ−ピロリジン−1−イルメチル)−ビフェニル−2−イルメチル]−ピペリジン−4−オン
質量スペクトル (m/z)、C25H33N3O の計算値: 391.262; 計算値 392.28 (M+1, 100%)
【0122】
〔実施例40〕
【化46】

{1−[4−(3−クロロ−ピリジン−4−イル)−ベンジル]−ピロリジン−3−イル}−ジメチルアミン
質量スペクトル (m/z)、C18H22ClN3 の計算値: 315.15; 計算値 316.17 (M+1, 100%),
318.18
【0123】
〔実施例41〕
【化47】

[1−(4−ピリミジン−5−イルベンジル)−ピロリジン−3−イル]−ジメチルアミン
質量スペクトル (m/z)、C17H22N4 の計算値: 282.184; 計算値 283.2 (M+1, 100%)
【0124】
〔実施例42〕
【化48】

(S)−[1−(4'−メタンスルホニル−ビフェニル−4−イルメチル)−ピロリジン−3−イル]−ジメチルアミン
質量スペクトル (m/z)、C20H26N2O2S の計算値: 358.171; 計算値 359.18 (M+1, 100%)
1H−nmr (CDCl3, 400 MHz) δ1.82 (m, 1H), 2.04 (m, 1H), 2.30 (s, 6H), 2.51 (bs,
1H), 2.61 (m, 1H), 2.70 (m, 1H), 2.81 (q, 1H), 2.96 (bs, 1H), 3.07 (s, 3H), 3.65 (q, 2H), 7.41 (d, 2H), 7.54 (d, 2H), 7.75 (m, 2H), 7.97 (m, 2H)。
【0125】
〔実施例43〕
【化49】

(R)−[1−(4'−メタンスルホニル−ビフェニル−4−イルメチル)−ピロリジン−3−イル]−ジメチルアミン
質量スペクトル (m/z)、C20H26N2O2S の計算値: 358.171; 計算値 359.18 (M+1, 100%)
【0126】
〔実施例44〕
【化50】

(S)−N−[4'−(3−ジメチルアミノ−ピロリジン−1−イルメチル)−ビフェニル−3−イル]−アセトアミド
質量スペクトル (m/z)、C21H27N3O の計算値: 337.2; 計算値 338.2 (M+1, 100%)
【0127】
〔実施例45〕
【化51】

(R)−N−[4'−(3−ジメチルアミノ−ピロリジン−1−イルメチル)−ビフェニル−3−イル]−アセトアミド
質量スペクトル (m/z)、C21H27N3O の計算値: 337.2; 計算値 338.2 (M+1, 100%)
1H-nmr (CDCl3, 400 MHz) δ1.75 (m, 1H), 1.99 (m, 1H), 2.18 (s, 3H), 2.24 (s, 6H), 2.39 (t, 1H), 2.55 (q, 1H), 2.71 (m, 1H), 2.83 (m, 2H), 3.61 (q, 2H), 7.33 (m, 4H), 7.49 (m, 3H), 7.70 (bs, 1H)。
【0128】
〔実施例46〕
一般的手順B
【化52】

(R)−[1−(4−ピペリジン−4−イルベンジル)−ピロリジン−3−イル]−ジメチルアミン
10mLのCH3OH中の (R)−[1−(4−(4−ピリジルベンジル))−ピロリジン−3−イル]−ジメチルアミン (40mg、実施例1から) 及び酸化白金 (10mg) を Parr 振盪装置上で、45 p.s.i. で4時間水素化した。この溶液を d.e. のパッドに通して濾過し、追加のCH3OH で洗浄した。有機濾液を真空濃縮して透明油状物、30mgを得た。これを上記のように塩酸塩に変換して白色粉末、31mgを得た。
質量スペクトル (m/z)、C18H29N3 の計算値: 287.45; 計算値 288.2 (M+1, 100%)。
【0129】
〔実施例47〕
【化53】

(S)−[1−(4−ピペリジン−4−イルベンジル))−ピロリジン−3−イル]−ジメチルアミンを実施例46と同じ方法により (S)−[1−(4−(4−ピリジルベンジル))−ピロリジン−3−イル]−ジメチルアミンから製造し、塩酸塩を白色粉末として得た。
質量スペクトル (m/z)、C18H29N3 の計算値: 287.45; 計算値 288.2 (M+1, 100%)。
1H-nmr (CDCl3, 400 MHz) δ1.65 (m, 4H), 1.80 (d, 1H), 1.95 (m, 1H), 2.17 (s, 6H), 2.23 (t, 1H), 2.43 (m, 2H), 2.58 (m, 1H), 2.72 (m, 4H), 2.83 (m, 1H), 3.17 (d, 2H), 3.54 (q, 2H), 7.14 (d, 2H), 7.22 (d, 2H)。
【0130】
生物学的活性の測定
ラット又はヒトヒスタミンH3受容体における本発明の化合物インビトロ親和性は、下記の手順により測定することができる。凍結ラット前頭脳又は凍結ヒト死後前頭脳を、2mM MgCl2を含有する20体積の冷 50mM Tris HCl(4℃でpH7.4まで)中でホモジナイズする。このホモジネートを 45,000 Gで10分間遠心分離する。上澄み液をデカントし、膜ペレットを Polytronにより2mM MgCl2を含有する冷 50mM Tris HCl(4℃でpH7.4まで)中に再懸濁し、再び遠心分離する。この最終ペレットを、2mM MgCl2を含有する50mM Tris HCl(25℃でpH7.4まで)中に12mg/mLの濃度に再懸濁する。化合物の希釈を10% DMSO/50mM Tris 緩衝液 (pH 7.4) 中で行う(10×最終濃度、従って最終 DMSO 濃度は1%である)。25マイクロリットルの薬剤希釈液及び25マイクロリットルの放射性リガンド (1nM最終濃度の 3H-N-メチルヒスタミン)を含む96ウェル V 形底ポリプロピレンプレートに、膜 (200マイクロリットル) を加えることによりインキュベーションを開始する。1時間のインキュベーションの後、アッセイサンプルを Whatman GF/B フィルターに通して急速に濾過し、Skatron細胞ハーベスターを用いて氷冷50mM Tris緩衝液 (pH7.4) ですすぐ。BetaPlate シンチレーションカウンターを用いて放射能を定量する。次いで、特異的結合のパーセント阻害を化合物の各用量について測定することができ、IC50又はKi値をこれらの結果から計算することができる。
【0131】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

の化合物又はその医薬上許容される塩。
式中、
n=0、1、2又は3であり;
1及びR2は独立して、
水素;
1−C6アルキル
を含む群から選択され;又は
1及びR2は、それらが結合している炭素と一緒になって、カルボニル基(C=O)又は3〜8員の環を形成し、ここで、該環中の炭素の1〜3個は場合によりO、S、NR6又はCOで置き換えられており、そして該環は場合によりC6−C10アリーレンと縮合しており、そして場合により環炭素上の可能な位置で1又は2個のC1−C4アルキル基で置換されており;ここで、tは0、1又は2であり;又は
3、R4及びR6は、独立して、
水素;
場合により1〜4個のハロゲン(特にフッ素)又はOHで置換されたC1−C8アルキル;
3−C7シクロアルキル;
6−C14アリール;
場合によりC1−C4アルキル−カルボニル基で置換された3〜8員のヘテロシクロアルキル;
場合によりC1−C2アルキルで置換されたC6−C10アリールスルホニル;及び
5〜10員のヘテロアリール
からなる群から選択され;又は
3及びR4は、それらが結合している窒素と一緒になって、窒素(N)及びN、O、Sから選択される0〜3個のヘテロ原子を含有する4〜7員の環(例えば、ピペラジン、モルホリン、ピロリジン、ピペリジン、チオモルホリン)を形成し、
5は、
場合によりZで置換されたアリール;
場合によりZで置換されたヘテロアリール;
場合によりN、O又はSから選択される0〜3個のヘテロ原子を有する3〜8員の環状アミン(例えば、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、ホモピペリジン、ピペラジン、モルホリン、チオモルホリン)
を含む群から選択され;
X、Y及びZは、独立して、H、F、Cl、Br、I、CN、OH、NH2、CF3、C25、(C1−C6)アルキル、(C1−C6)−アルコキシ、(C1−C6)アルキル−S(O)q−から選択され、ここで、qは0、1又は2である。
【請求項2】
1が水素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
1及びR2が、それらが結合している炭素と一緒になってカルボニルを形成する、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
3及びR4がそれぞれメチルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
3及びR4が、それらが結合している窒素と一緒になって5員のピロリジン環を形成する、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
3及びR4が、それらが結合している窒素と一緒になって6員のピペリジン環を形成する、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
1が水素であり、R2が水素であり、R3及びR4がメチルであり、そしてnが1である、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
(S)化合物:(S)−[1−(4−ブロモベンジル)−ピロリジン−3−イル]−ジメチルアミン。
【請求項9】
(R)化合物:(R)−[1−(4−ブロモベンジル)−ピロリジン−3−イル]−ジメチルアミン。
【請求項10】
化合物が、
(R)−[1−(4−(4−ピリジルベンジル))−ピロリジン−3−イル]−ジメチルアミン;
(S)−[1−(4−(4−ピリジルベンジル))−ピロリジン−3−イル]−ジメチルアミン;
4'−(3−ジメチルアミノ−ピロリジン−1−イルメチル)−ビフェニル−3−カルボン酸ジメチルアミド;
{1−[4−(3−フルオロピリジン−4−イル)−ベンジル]−ピロリジン−3−イル}−ジメチルアミン;
{1−[4−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−6−イル)−ベンジル]−ピロリジン−3−イル}−ジメチルアミン;
{1−[4−(3−フルオロピリジン−4−イル)−ベンジル]−ピロリジン−3−イル}−ジメチルアミン;
{1−[4−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−6−イル)−ベンジル]−ピロリジン−3−イル}−ジメチルアミン;
{1−[4−(1−メチル−1H−インドール−5−イル)−ベンジル]−ピロリジン−3−イル}−ジメチルアミン;
4'−(3−ジメチルアミノ−ピロリジン−1−イルメチル)−ビフェニル−3−カルボニトリル;
4'−(3−ジメチルアミノ−ピロリジン−1−イルメチル)−3−メトキシ−ビフェニル−2−カルボン酸ジイソプロピルアミド;
4'−(3−ジメチルアミノ−ピロリジン−1−イルメチル)−ビフェニル−2−カルボン酸ジイソプロピルアミド;
(1−ビフェニル−4−イルメチル−ピロリジン−3−イル)−ジメチルアミン;
[1−(4'−フルオロビフェニル−4−イルメチル)−ピロリジン−3−イル]−ジメチルアミン;
[1−(3',5'−ビス−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルメチル)−ピロリジン−3−イル]−ジメチルアミン;
[1−(4'−フェノキシビフェニル−4−イルメチル)−ピロリジン−3−イル]−ジメチルアミン;
[1−(4−チオフェン−2−イルベンジル)−ピロリジン−3−イル]−ジメチルアミン;
[1−(4−チオフェン−3−イルベンジル)−ピロリジン−3−イル]−ジメチルアミン;
[1−(4−ベンゾフラン−2−イル−ベンジル)−ピロリジン−3−イル]−ジメチルアミン;
[4'−(3−ジメチルアミノ−ピロリジン−1−イルメチル)−ビフェニル−4−イル]−メタノール;
[1−(4−フラン−2−イルベンジル)−ピロリジン−3−イル]−ジメチルアミン;
[1−(4−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イルベンジル)−ピロリジン−3−イル]−ジメチルアミン;
[1−(3',4'−ジメトキシ−ビフェニル−4−イルメチル)−ピロリジン−3−イル]−ジメチルアミン;
1−[4'−(3−ジメチルアミノ−ピロリジン−1−イルメチル)−ビフェニル−4−イル]−エタノン;
1−[4'−(3−ジメチルアミノ−ピロリジン−1−イルメチル)−ビフェニル−3−イル]−エタノン;
[1−(4−ベンゾ[b]チオフェン−2−イルベンジル)−ピロリジン−3−イル]−ジメチルアミン;
[4'−(3−ジメチルアミノ−ピロリジン−1−イルメチル)−ビフェニル−3−イル]−メタノール;
1−[4'−(3−ジメチルアミノ−ピロリジン−1−イルメチル)−ビフェニル−2−イル]−エタノン;
[1−(2'−フェノキシ−ビフェニル−4−イルメチル)−ピロリジン−3−イル]−ジメチルアミン;
[1−(2'−ベンジルオキシ−ビフェニル−4−イルメチル)−ピロリジン−3−イル]−ジメチルアミン;
[1−(4−フラン−3−イル−ベンジル)−ピロリジン−3−イル]−ジメチルアミン;
[1−(3'−メチルスルファニル−ビフェニル−4−イルメチル)−ピロリジン−3−イル]−ジメチルアミン;
N−[4'−(3−ジメチルアミノ−ピロリジン−1−イルメチル)−ビフェニル−3−イル]−アセトアミド;
[1−(4'−ベンジルオキシ−3'−フルオロビフェニル−4−イルメチル)−ピロリジン−3−イル]−ジメチル−アミン;
4'−(3−ジメチルアミノ−ピロリジン−1−イルメチル)−ビフェニル−4−オール;
[1−(4'−ベンジルオキシ−ビフェニル−4−イルメチル)−ピロリジン−3−イル]−ジメチルアミン;
[1−(2'−メチルスルファニル−ビフェニル−4−イルメチル)−ピロリジン−3−イル]−ジメチルアミン;
4'−(3−ジメチルアミノ−ピロリジン−1−イルメチル)−ビフェニル−4−カルボニトリル;
[1−(4'−メタンスルホニル−ビフェニル−4−イルメチル)−ピロリジン−3−イル]−ジメチル−アミン;
[1−(3'−ベンジルオキシ−ビフェニル−4−イルメチル)−ピロリジン−3−イル]−ジメチルアミン;
1−(4−イソキノリン−5−イルベンジル)−ピロリジン−3−イル]−ジメチルアミン;
1−(3'−ピラゾール−1−イルビフェニル−4−イルメチル)−ピロリジン−3−イル]−ジメチルアミン;
1−[4'−(3−ジメチルアミノ−ピロリジン−1−イルメチル)−ビフェニル−2−イルメチル]−ピペリジン−4−オン;
{1−[4−(3−クロロピリジン−4−イル)−ベンジル]−ピロリジン−3−イル}−ジメチルアミン;
[1−(4−ピリミジン−5−イルベンジル)−ピロリジン−3−イル]−ジメチルアミン;
(S)−[1−(4'−メタンスルホニル−ビフェニル−4−イルメチル)−ピロリジン−3−イル]−ジメチルアミン;
(R)−[1−(4'−メタンスルホニル−ビフェニル−4−イルメチル)−ピロリジン−3−イル]−ジメチルアミン;
(S)−N−[4'−(3−ジメチルアミノ−ピロリジン−1−イルメチル)−ビフェニル−3−イル]−アセトアミド;
(R)−N−[4'−(3−ジメチルアミノ−ピロリジン−1−イルメチル)−ビフェニル−3−イル]−アセトアミド;
(R)−[1−(4−ピペリジン−4−イルベンジル)−ピロリジン−3−イル]−ジメチルアミン;及び
(S)−[1−(4−ピペリジン−4−イルベンジル))−ピロリジン−3−イル]−ジメチルアミン
から選択される、請求項1に記載の式Iの化合物。
【請求項11】
化合物が、
1'−(4−ピペリジン−4−イルベンジル)−[1,3']ビピロリジニル;
4−[1−(4−ピペリジン−4−イルベンジル)−ピロリジン−3−イル]−モルホリン;
ジエチル−[1−(4−ピペリジン−4−イルベンジル)−ピペリジン−3−イル]−アミン;
1'−[4−(2,6−ジメチルピペリジン−3−イル)−ベンジル]−[1,3']ビピロリジニル;
ジメチル−(1−{1−[4−(1−メチルピペリジン−4−イル)−フェニル]−エチル}−ピロリジン−3−イル)−アミン;
ジメチル−(1−{1−メチル−1−[4−(1−メチルピペリジン−4−イル)−フェニル]−エチル}−ピロリジン−3−イル)−アミン;
ジメチル−(1−{1−[4−(1−メチルピペリジン−4−イル)−フェニル]−シクロプロピル}−ピロリジン−3−イル)−アミン;
ジメチル−{5−メチル−1−[4−(1−メチルピペリジン−4−イル)−ベンジル]−ピロリジン−3−イル}−アミン;
ジメチル−{1−[4−(1−メチルピペリジン−4−イル)−ベンジル]−アゼパン−3−イル}−アミン;
ジメチル−{1−[4−(1−メチルピペリジン−4−イル)−ベンジル]−アゼチジン−3−イル}−アミン;
ジメチル−[1−(4−ピリミジン−4−イルベンジル)−アゼチジン−3−イル]−アミン;
ジメチル−[1−(4−ピリジン−3−イルベンジル)−アゼチジン−3−イル]−アミン;
ジメチル−{1−[4−(2−メチルピリミジン−5−イル)−ベンジル]−ピロリジン−3−イル}−アミン;
5−[4−(3−ジメチルアミノ−ピロリジン−1−イルメチル)−フェニル]−ピリミジン−2−オール;
{1−[4−(2−メトキシピリミジン−5−イル)−ベンジル]−ピロリジン−3−イル}−ジメチルアミン;
{1−[3,5−ジフルオロ−4−(2−メチルピリミジン−5−イル)−ベンジル]−ピロリジン−3−イル}−ジメチルアミン;
{1−[5−フルオロ−2−メチル−4−(2−メチルピリミジン−5−イル)−ベンジル]−ピロリジン−3−イル}−ジメチルアミン;
1−(1−ビフェニル−4−イルメチルピロリジン−3−イル)−4−メチルピペラジン;
1−ベンジル−4−(1−ビフェニル−4−イルメチルピロリジン−3−イル)−ピペラジン;
1−ベンゼンスルホニル−4−(1−ビフェニル−4−イルメチルピロリジン−3−イル)−ピペラジン;
1−(4−フルオロフェニル)−4−[1−(4−ピリジン−4−イルベンジル)−ピロリジン−3−イル]−ピペラジン;
1−[4−(2−メチルピリミジン−4−イル)−ベンジル]−ピロリジン−3−イルアミン;
(3−ジメチルアミノピロリジン−1−イル)−(4−ピリジン−4−イルフェニル)−メタノン;
ジメチル−{1−[4−(2−メチルチアゾール−5−イル)−ベンジル]−ピロリジン−3−イル}−アミン;
ジメチル−{1−[4−(5−メチル−[1,3,4]チアジアゾール−2−イル)−ベンジル]−ピロリジン−3−イル}−アミン;
[1−(4−ベンゾチアゾール−2−イルベンジル)−ピロリジン−3−イル]−ジメチルアミン;
{1−[4−(1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−ベンジル]−ピロリジン−3−イル}−ジメチルアミン;
{1−[4−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−ベンジル]−ピロリジン−3−イル}−ジメチルアミン;
N−シクロペンチル−N−メチル−[1−(4−ピリミジン−2−イルベンジル)−ピロリジン−3−イル]−アミン;
{1−[2−クロロ−4−(2−メチルピリミジン−5−イル)−ベンジル]−ピロリジン−3−イル}−ジメチルアミン;及び
ジメチル−{1−[4−(4−メチルモルホリン−2−イル)−ベンジル]−ピロリジン−3−イル}−アミン
からなる群から選択される、請求項1に記載の式Iの化合物。
【請求項12】
請求項1に記載の式Iの化合物及び場合により医薬上許容される担体を含む、ヒスタミン−3受容体に拮抗作用することにより治療し得る障害又は症状を治療するための医薬組成物。
【請求項13】
治療が必要な哺乳動物に請求項1に記載の式Iの化合物を投与することを含む、ヒスタミン−3受容体に拮抗作用することにより治療し得る障害又は症状の治療方法。
【請求項14】
請求項1に記載の式Iの化合物及び場合により医薬上許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項15】
治療が必要な哺乳動物に請求項1に記載の式Iの化合物を投与することを含む、うつ病、気分障害、統合失調症、不安障害、アルツハイマー病、注意欠陥多動性障害(ADHD)、精神障害、睡眠障害、肥満、目眩、てんかん、乗り物酔い、呼吸器疾患、アレルギー、アレルギー誘発性気道反応、アレルギー性鼻炎、鼻うっ血、アレルギー性うっ血、うっ血、低血圧、心臓血管疾患、GI管疾患、胃腸管の運動及び酸分泌の過剰及び過少からなる群から選択される障害又は症状の治療方法。

【公表番号】特表2008−506765(P2008−506765A)
【公表日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−522059(P2007−522059)
【出願日】平成17年7月7日(2005.7.7)
【国際出願番号】PCT/IB2005/002185
【国際公開番号】WO2006/011042
【国際公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【出願人】(397067152)ファイザー・プロダクツ・インク (504)
【Fターム(参考)】