説明

3−グアニジノカルボニル−1−ヘテロアリール−インドール誘導体、製造方法、医薬としてのそれらの使用並びにそれらを含有する医薬組成物

本発明は式(I)
【化1】


(式中、R1〜R3およびArは特許請求の範囲に記載の意味を有する)
で表される3−グアニジノカルボニル−1−ヘテロアリール−インドール誘導体に関する。本発明化合物は例えば、梗塞の予防および治療並びに狭心症の治療のための心臓保護成分を有する抗不整脈薬として適当である。それらはさらに、特に虚血性心臓不整脈および心不全の誘発において、虚血により惹起される損傷の発生に関連する病理生理学的作用を予防的に抑制する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3−グアニジノカルボニル−1−ヘテロアリール−インドール誘導体、製造方法、医薬としてのそれらの使用並びにそれらを含有する医薬組成物に関する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
本発明は式(I)
【化1】

(式中R1〜R3およびArは下記の意味を有する)で表わされる3−グアニジノカルボニル−1−ヘテロアリール−インドール誘導体に関する。本発明の化合物は例えば、梗塞予防および梗塞治療並びに狭心症治療用の心臓保護成分を有する抗不整脈用医薬として適している。それらはまた、特に虚血による心臓不整脈および心不全の誘発におけるような虚血により惹起される損傷の発生に関連する病理生理学的作用を予防的に抑制する。
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明は式Iで表される化合物、それらのラセミ混合物、エナンチオマー、ジアステレオマーおよびそれらの混合物、それらの互変異性体並びにそれらの製薬的に許容し得る塩に関する。ただし式Iにおいて、
R1は水素または1、2、3、4、5もしくは6個の炭素原子を有するアルキルであり、
R2は水素、1、2、3、4、5もしくは6個の炭素原子を有するアルキル、ハロゲン、1、2、3、4、5もしくは6個の炭素原子を有するアルコキシまたはOHであり、
R3は水素、1、2、3、4、5もしくは6個の炭素原子を有するアルキル、ハロゲン、1、2、3、4、5もしくは6個の炭素原子を有するアルコキシまたOHであり、
Arは窒素原子1個、2個または3個を有する9員または10員の二環式ヘテロアリールであって、それはその位置のいずれかを介して連結していてもよくそしてその位置の少なくとも一つにおいて1、2、3、4、5もしくは6個の炭素原子を有するアルキル、ハロゲン、ニトロ、NRaRb、1、2、3もしくは4個の炭素原子を有するアルキルカルボニルアミノ、ヒドロキシル、1、2、3、4、5もしくは6個の炭素原子を有するアルコキシ、S(O)nR4、CO2H、1、2、3、4、5もしくは6個の炭素原子を有するアルコキシカルボニル、1、2、3、4、5もしくは6個の炭素原子を有するアルキルカルボニル、CONRaRb、CN、1、2、3もしくは4個の炭素原子を有するポリフルオロアルキル、1、2もしくは3個の炭素原子を有するポリフルオロアルコキシまたはSO3Hにより置換されており、ここでnは0、1または2であり、
RaおよびRbは互いに独立して、水素、1、2、3、4、5または6個の炭素原子を有する線状または分枝状アルキルであるか、またはRaとRbは、それらが結合する窒素原子と一緒になって5員または6員の複素環を形成しそしてそれはO、SおよびNから選択される別のヘテロ原子を場合により含有していてもよく、
R4は1、2、3、4、5もしくは6個の炭素原子を有するアルキル、1、2、3、4、5もしくは6個の炭素原子を有するアルキルアミノまたはNH2である。
【0004】
好ましいのは、式Iにおいて、
R1が水素または1、2、3、4、5もしくは6個の炭素原子を有するアルキルであり、
R2が水素、1、2、3、4、5もしくは6個の炭素原子を有するアルキル、ハロゲン、1、2、3、4、5もしくは6個の炭素原子を有するアルコキシまたはOHであり、
R3が水素、1、2、3、4、5もしくは6個の炭素原子を有するアルキル、ハロゲン、1、2、3、4、5もしくは6個の炭素原子を有するアルコキシまたOHであり、
Arがキノリン、イソキノリン、キナゾリンまたは7H−ピロロ−[2,3−d]−ピリミジンであって、それはその位置のいずれかを介して連結していてもよくそしてその位置の少なくとも一つにおいて1、2、3、4、5もしくは6個の炭素原子を有するアルキル、ハロゲン、ニトロ、NRaRb、1、2、3もしくは4個の炭素原子を有するアルキルカルボニルアミノ、ヒドロキシル、1、2、3、4、5もしくは6個の炭素原子を有するアルコキシ、S(O)nR4、CO2H、1、2、3、4、5もしくは6個の炭素原子を有するアルコキシカルボニル、1、2、3、4、5もしくは6個の炭素原子を有するアルキルカルボニル、CONRaRb、CN、1、2、3もしくは4個の炭素原子を有するポリフルオロアルキル、1、2もしくは3個の炭素原子を有するポリフルオロアルコキシまたはSO3Hにより置換されており、ここでnは0、1または2であり、
RaおよびRbが互いに独立して、水素、1、2、3、4、5または6個の炭素原子を有する線状または分枝状アルキルであるか、またはRaとRbが、それらが結合する窒素原子と一緒になって5員または6員の複素環を形成しそしてそれはO、SおよびNから選択される別のヘテロ原子を場合により含有していてもよく、
R4が1、2、3、4、5もしくは6個の炭素原子を有するアルキル、1、2、3、4、5もしくは6個の炭素原子を有するアルキルアミノまたはNH2である、化合物、それらのラセミ混合物、エナンチオマー、ジアステレオマーおよびそれらの混合物、それらの互変異性体並びにそれらの製薬的に許容し得る塩である。
【0005】
より好ましいのは、式Iにおいて、
R1が水素または1、2、3、4、5もしくは6個の炭素原子を有するアルキルであり、
R2が水素、1、2、3、4、5もしくは6個の炭素原子を有するアルキル、ハロゲン、1、2、3、4、5もしくは6個の炭素原子を有するアルコキシまたはOHであり、
R3が水素、1、2、3、4、5もしくは6個の炭素原子を有するアルキル、ハロゲン、1、2、3、4、5もしくは6個の炭素原子を有するアルコキシまたOHであり、
Arが4−キノリニル、4−キナゾリニルまたは4−(7H−ピロロ−[2,3−d]−ピリミジニル)であって、それはその位置の少なくとも一つにおいて1、2、3、4、5もしくは6個の炭素原子を有するアルキル、ハロゲン、ニトロ、NRaRb、1、2、3もしくは4個の炭素原子を有するアルキルカルボニルアミノ、ヒドロキシル、1、2、3、4、5もしくは6個の炭素原子を有するアルコキシ、S(O)nR4、CO2H、1、2、3、4、5もしくは6個の炭素原子を有するアルコキシカルボニル、1、2、3、4、5もしくは6個の炭素原子を有するアルキルカルボニル、CONRaRb、CN、1、2、3もしくは4個の炭素原子を有するポリフルオロアルキル、1、2もしくは3個の炭素原子を有するポリフルオロアルコキシまたはSO3Hにより置換されており、ここでnは0、1または2であり、
RaおよびRbが互いに独立して、水素、1、2、3、4、5または6個の炭素原子を有する線状または分枝状アルキルであるか、またはRaとRbが、それらが結合する窒素原子と一緒になって5員または6員の複素環を形成しそしてそれはO、SおよびNから選択される別のヘテロ原子を場合により含有していてもよく、
R4が1、2、3、4、5もしくは6個の炭素原子を有するアルキル、1、2、3、4、5もしくは6個の炭素原子を有するアルキルアミノまたはNH2である、化合物、それらのラセミ混合物、エナンチオマー、ジアステレオマーおよびそれらの混合物、それらの互変異性体並びにそれらの製薬的に許容し得る塩である。
【0006】
一つの実施態様において、式Iの化合物は前述で定義したとおりでありそしてR1は水素またはメチルを示す。別の実施態様において、式Iの化合物は前述で定義したとおりでありそしてR2およびR3は互いに独立して水素、メチルまたはメトキシを示すが、R2は水素またはメトキシでありそしてR3は水素を示すのが好ましい。別の実施態様において、式Iの化合物は前述で定義したとおりでありそしてArはメチル、エチル、F、Cl、Br、メトキシ、エトキシまたはCF3
好ましくはメチル、F、Cl、メトキシまたはCF3から選択される1個または2個、好ま
しくは1個の置換基によって置換されている。
【0007】
具体的に好ましいのは下記の群:
3−グアニジノカルボニル−1−(2−(トリフルオロメチル)キノリン−4−イル)−1H−インドール,
3−グアニジノカルボニル−1−(6−(トリフルオロメチル)キノリン−4−イル)−1H−インドール,
3−グアニジノカルボニル−1−(7−(トリフルオロメチル)キノリン−4−イル)−1H−インドール,
3−グアニジノカルボニル−1−(8−(トリフルオロメチル)キノリン−4−イル)−1H−インドール,
3−グアニジノカルボニル−1−(6−メトキシキノリン−4−イル)−1H−インドール,
3−グアニジノカルボニル−1−(7−メトキシキノリン−4−イル)−1H−インドール,
3−グアニジノカルボニル−1−(2−メチルキノリン−4−イル)−1H−インドール,
3−グアニジノカルボニル−1−(6−クロロキノリン−4−イル)−1H−インドール,
3−グアニジノカルボニル−1−(7−クロロキノリン−4−イル)−1H−インドール,
3−グアニジノカルボニル−1−(8−クロロキノリン−4−イル)−1H−インドール,
3−グアニジノカルボニル−1−(6−フルオロキノリン−4−イル)−1H−インドール,
3−グアニジノカルボニル−1−(8−フルオロキノリン−4−イル)−1H−インドール,
3−グアニジノカルボニル−1−(6,8−ジフルオロキノリン−4−イル)−1H−インドール,
3−グアニジノカルボニル−1−(6−フルオロ−2−メチルキノリン−4−イル)−1H−インドール,
3−グアニジノカルボニル−1−(7−フルオロ−2−メチルキノリン−4−イル)−1H−インドール,
3−グアニジノカルボニル−1−(8−フルオロ−2−メチルキノリン−4−イル)−1H−インドール,
3−グアニジノカルボニル−1−(7−メチル−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−インドール,
3−グアニジノカルボニル−1−(7−クロロキノリン−4−イル)−5−メトキシ−2−メチル−1H−インドール,
3−グアニジノカルボニル−1−(6−フルオロキノリン−4−イル)−5−メトキシ−2−メチル−1H−インドール, および
3−グアニジノカルボニル−1−(6−クロロキナゾリン−4−イル)−5−メトキシ−2−メチル−1H−インドール
から選択されることを特徴とする式Iの化合物およびその互変異性体並びにそれらの製薬的に許容し得る塩である。さらに好ましいのは下記化合物:
【0008】
3−グアニジノカルボニル−1−(2−(トリフルオロメチル)キノリン−4−イル)−1H−インドール,
3−グアニジノカルボニル−1−(6−(トリフルオロメチル)キノリン−4−イル)−1H−インドール,
3−グアニジノカルボニル−1−(7−(トリフルオロメチル)キノリン−4−イル)−1H−イ
ンドール,
3−グアニジノカルボニル−1−(8−(トリフルオロメチル)キノリン−4−イル)−1H−インドール,
3−グアニジノカルボニル−1−(6−メトキシキノリン−4−イル)−1H−インドール,
3−グアニジノカルボニル−1−(7−メトキシキノリン−4−イル)−1H−インドール,
3−グアニジノカルボニル−1−(7−メチル−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−インドール,
3−グアニジノカルボニル−1−(2−メチルキノリン−4−イル)−1H−インドール,
3−グアニジノカルボニル−1−(7−クロロキノリン−4−イル)−1H−インドール,
3−グアニジノカルボニル−1−(7−クロロキノリン−4−イル)−5−メトキシ−2−メチル−1H−インドール,
3−グアニジノカルボニル−1−(6−フルオロキノリン−4−イル)−1H−インドール,
3−グアニジノカルボニル−1−(6−フルオロキノリン−4−イル)−5−メトキシ−2−メチル−1H−インドール,
3−グアニジノカルボニル−1−(8−フルオロキノリン−4−イル)−1H−インドール,
および
3−グアニジノカルボニル−1−(6−クロロキナゾリン−4−イル)−5−メトキシ−2−メチル−1H−インドール
およびその互変異性体並びにそれらの製薬的に許容し得る塩である。
【0009】
本発明化合物が1個またはそれ以上の不斉中心を含有する場合には、それらは互いに独立して、SおよびRの立体配置を有する。本発明化合物は光学異性体、ジアステレオマー、ラセミ体または任意の比率におけるそれらの混合物の形態であってもよい。本発明は式Iの化合物の全ての互変異性体を包含する。
【0010】
アルキル基は直鎖または分枝状であることができる。これはまた、アルキル基が置換基を担持するかまたは他の基の置換基として存在する場合、例えばアルキルアミノ基、アルキルカルボニルアミノ、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、ポリフルオロアルキル基またはポリフルオロアルコキシ基においても適用される。アルキル基の例はメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル(=1−メチルエチル)、n−ブチル、イソブチル(=2−メチルプロピル)、 sec−ブチル(=1−メチルプロピル)、tert−ブチル(=1,1−ジメチルエチル)、ペンチルまたはヘキシルである。好ましいアルキル基はメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、tert−ブチルおよびイソブチルである。アルキル基中の1個またはそれ以上、例えば1、2、3、4、5、6、7、8または9個の水素原子は、フッ素原子により置換されてポリフルオロアルキル基を形成することができる。このような基の例としてはジフルオロメチル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、2,2,2−トリフルオロエチル; 3,3,3−トリフルオロプロピル、トリフルオロブチルがある。ポリフルオロアルコキシ基は、1、2、3、4、5、6または7個のフッ素原子により置換される1〜3個の炭素からなるアルコキシ基、特にトリフルオロメトキシである。
【0011】
RaとRbがそれらが結合する窒素原子と一緒になって飽和または不飽和の5員または6員の複素環を形成する基NRaRbの例としては、ピペリジン−1−イル、ピロリジン−1−イル、モルホリン−4−イル、チオモルホリン−4−イルまたはピペラジン−1−イルがある。
【0012】
1個、2個または3個の窒素原子を有する9員または10員のニ環式ヘテロアリール基は、全ての位置、例えば1位、2位、3位、4位、5位、6位、7位もしくは8位によって結合され得る。これらの不飽和ヘテロアリール基の例としてはキノリン、イソキノリン、キナゾリン、シンノリン、キノキサリン、フタラジンまたは7H−ピロロ−[2,3−d]−ピリミジンがある。置換ヘテロアリール基は任意の位置で置換され得る。ハロゲン基は塩素、臭素、フッ素またはヨウ素のいずれかである。
【0013】
式Iの化合物は細胞のナトリウム−プロトン交互輸送機構(Na+/H+交換体、NHE)、特にサブタイプNHE1を阻害する。NHE阻害の性質のために、式Iの化合物および/またはその製薬的に許容し得る塩は、NHEの活性化または活性化されたNHEにより惹起される疾患およびNHEが関与する損傷によって二次的に惹起される疾患の予防および治療に適している。
【0014】
特許EP639573には、NHE阻害剤としてのヘテロアロイルグアニジン誘導体が開示されている。具体的なインドール誘導体が開示されているが、1位に置換された二環式ヘテロアリール基を有しそして3位にグアニジノカルボニル基を有する化合物は全く開示されていない。特許EP622356には、インドールの窒素上に一つの置換基(水素、置換もしくは非置換アルキル、シクロアルキル、OHまたはアルコキシである)を有するインドロイルグアニジン類が開示されている。
【0015】
式Iの化合物は、NHE阻害剤および特にNHE2に対してNHE1の選択性が良好なNHE1阻害剤としての疾患治療用新規医薬として使用することができる。この良好な選択性のために、選択性が不適切な分子に関して存在する胃腸の副作用を減少させることが可能になる(J. Clin. Invest., 1998, 101(6), 1243; Comparative Medicine, 2000, 50(5), 511)。
【0016】
NHE阻害剤は細胞のpH調整に及ぼすそれらの作用を介して主として作用するので、それらは一般的には、細胞内pHを調整する他の化合物と有利に組み合わせることができる。適当な組み合わせパートナーとしては、例えば炭酸脱水素酵素群の阻害剤、重炭酸イオンを輸送する系、例えば重炭酸ナトリウム共輸送体(cotransporter)(NBC)もしくはナトリウム依存性の塩素イオン−重炭酸イオン交換体(NCBE)の阻害剤、および他のNHEサブタイプに及ぼす阻害効果を有するNHE阻害剤を挙げることができる。その理由はこれらによって、本願明細書に記載のNHE 阻害剤の薬理学的に適切なpH調整作用を促進または調整することが可能になるからである。
【0017】
本発明化合物の使用は、獣およびヒトの医薬、特にヒト医薬における急性および慢性の疾患の予防および治療に関する。すなわち、本発明のNHE阻害剤は虚血による疾患および再潅流による疾患の治療に適している。
【0018】
本願明細書に記載の該化合物は、それらの薬理学的性質のために抗不整脈薬として適している。心臓保護成分のために、式IのNHE阻害剤および/または その製薬的に許容し得る塩は梗塞の予防および治療並びに狭心症の治療に特に適している。これらの場合において、それらはまた、特に虚血性心臓不整脈の誘発の場合のような虚血により惹起される損傷の発生に関与する病理生理学的作用を予防的に抑制するかまたは大いに減少させる。病理学上の低酸素症および虚血状態に対する保護作用のために、本発明によって使用される式Iの化合物および/またはその製薬的に許容し得る塩は、細胞のNa+/H+ 交換機序を阻害することによって、全ての急性もしくは慢性の虚血により惹起される損傷またはそれにより一次的もしくは二次的に惹起される疾病のための医薬として使用できる。
【0019】
これはまた、外科的介入のための医薬としてのそれらの使用にも関する。すなわち、該化合物は臓器移植中に使用することができる。該化合物は、除去する前および除去中のドナー臓器を保護すること、および除去された臓器を、例えば、生理学的浴液での処置中または該液中でのそれの保存中、並びにレシピエント臓器への移植中に保護することの双方のために使用することができる。
【0020】
さらに、該化合物は、例えば心臓並びに末梢の器官および血管に、血管形成の外科的介入を実施する場合に保護作用を有する価値ある医薬でもある。本発明化合物は生命を脅か
す不整脈に対して非常に有効な医薬であることが明らかになった。心室性細動は停止しそして心臓の生理的洞律動は回復する。
【0021】
ヒトの組織および器官、特に心臓のNHE1阻害剤は、虚血および再潅流により惹起される損傷だけではなく、例えば特にガン治療および自己免疫性疾患の治療に使用する医薬のような医薬の細胞毒性作用をも有効に防止するので、式Iの化合物および/またはその製薬的に許容し得る塩との併用投与は、該医薬の細胞毒性、特に心臓毒性の副作用を抑制するのに適している。NHE1阻害剤との併用薬物療法から得られる細胞毒性作用の減少、特に心臓毒の減少のために、細胞毒性治療剤の投与量を増加させたり、および/またはこのような医薬による薬物療法を延長させたりすることがさらに可能になる。このような細胞毒性療法の治療の有利性は、NHE阻害剤との併用によりかなり増大され得る。
【0022】
さらに、式Iの本発明のNHE1阻害剤および/またはその製薬的に許容し得る塩は、甲状腺ホルモン、甲状腺亢進の、または外からの供給による甲状腺ホルモンの心臓損傷性過生産がある場合に使用することができる。したがって、式Iの化合物および/またはその製薬的に許容し得る塩は、心臓毒性医薬による治療を改善するのに適している。
【0023】
虚血により惹起される損傷の防止作用により、本発明化合物はまた、神経系、特に中枢神経系虚血の治療用医薬としても適当であり、例えば卒中または脳浮腫の治療に適している。
【0024】
式Iの化合物および/またはその製薬的に許容し得る塩はまた、中枢神経系の過度の興奮性により惹起される疾病または疾患の治療および予防にも適しており、特に癲癇症、中枢に惹起される間代性および強直性の痙攣、精神的うつ病状態、不安症並びに精神病の治療に適している。これらの場合、本願明細書に記載のNHE阻害剤は単独でまたは、抗癲癇作用もしくは抗精神病上活性な成分を有する他の物質、または炭酸脱水素酵素阻害剤例えばアセタゾールアミド、およびその他のNHE阻害剤もしくはナトリウム依存性の塩素イオン−重炭酸イオン交換体(NCBE)阻害剤と組み合わせて使用することが可能である。
【0025】
さらに、式Iの本発明化合物および/またはその製薬的に許容し得る塩はまた、例えばアレルギー性、心臓性、血液量減少性および細菌性のショックのようなショック型の治療にも適している。
【0026】
さらに、式Iの化合物および/またはその製薬的に許容し得る塩は、NHE阻害剤として血小板凝集それ自体を抑制することができるので、血栓症の予防および治療に使用することができる。それらはさらに、虚血および再潅流の後に生起する炎症メディエイターおよび凝固メディエイター、特にフォン・ヴィレブランド因子およびトロンボゲン形成性蛋白質の過剰な放出を抑制するかまたは予防することができる。すなわち、有意なトロンボゲン因子の病理作用を減少させ、そして排除することが可能である。従って、本発明のNHE阻害剤は他の抗凝固剤および/または血栓溶解活性成分、例えば組換えまたは天然の組織プラスミノーゲンアクチベータ、ストレプトキナーゼ、ウロキナーゼ、アセチルサリチル酸、トロンビンアンタゴニスト、因子Xaアンタゴニスト、フィブリン溶解作用を有する医薬物質、トロンボキサン受容体アンタゴニスト、ホスホジエステラーゼ阻害剤、因子VIIaアンタゴニスト、クロピドグレル、チクロピジン等と組み合わせることができる。このNHE阻害剤とNCBE阻害剤および/または炭酸脱水素酵素阻害剤例えばアセタゾールアミドとの併用が特に有利である。
【0027】
さらに、本発明によって使用される式Iの化合物および/またはその製薬的に許容し得る塩は、細胞の増殖、例えば線維芽細胞増殖および血管平滑筋細胞増殖に対する強い抑制作用により特徴付けられる。従って、式Iの化合物および/またはその製薬的に許容し得
る塩は、細胞増殖が一次または二次原因を示す疾病のための価値ある治療剤として適当であり、それ故に抗アテローム性動脈硬化剤、慢性腎不全の薬剤、ガンの薬剤として使用することができる。
【0028】
細胞移動がNHE阻害剤によって抑制されることは証明可能であった。従って、式Iの化合物および/またはその製薬的に許容し得る塩は、細胞移動が一次または二次原因を示す疾病、例えば転移傾向の著しいガンのための価値ある治療剤として適当である。
【0029】
式Iの化合物および/またはその製薬的に許容し得る塩は、線維性疾患の遅延または予防によりさらに特徴付けられる。すなわち、それらは心臓線維症、肺線維症、肝線維症、腎線維症およびその他の線維性疾患の治療のための優れた薬剤として適当である。すなわち、それらは例えば心臓および前立腺のような臓器の肥大および過形成の治療のために使用することができる。従って、それらは心不全(うっ血性心不全=CHF)の予防および治療並びに前立腺過形成または前立腺肥大の治療および予防に適している。
【0030】
本態性高血圧症ではNHEの有意な上昇が存在するので、式Iの化合物および/またはその製薬的に許容し得る塩は、高血圧症および心血管疾患の予防および治療に適当である。これらの場合、それらは単独で、または高血圧症および心血管疾患の治療に適当な組み合わせパートナーないし処方パートナーと一緒に使用することができる。例えば、それらはチアジド様作用を有する1種またはそれ以上の利尿剤、ループ利尿剤、アルドステロンアンタゴニストおよびプソイドアルドステロンアンタゴニスト、例えばヒドロクロロチアジド、インダパミド、ポリチアジド、フロセミド、ピレタニド、トラセミド、ブメタニド、アミロリド、トリアムテレンン、スピロノラクトンまたはエプレロンと一緒に組み合わせることができる。本発明のNHE 阻害剤はさらに、カルシウムチャネル遮断剤例えばベラパミル、ジルチアゼム、アムロジピンまたはニフェジピンと、およびACE阻害剤例えばラミプリル、エナラプリル、リシノプリル、フォシノプリルまたはカプトプリルと組み合わせて使用することもできる。さらに有利な組み合わせパートナーはまた、β遮断剤例えばトプロロール、アルブテロール等、アンジオテンシン受容体およびその受容体サブタイプの各アンタゴニスト例えばロサルタン、イルベサルタン、バルサルタン; オマパトリラト、ゲモパトリラト、エンドセリンアンタゴニスト、レニン阻害剤、アデノシン受容体アゴニスト阻害剤、およびカリウムチャネルのアクチベータ例えばグリベンクラミド、グリメピリド、ジアゾキシド、クロマカリム、ミノキシジル、およびそれらの誘導体、ミトコンドリアATP感受性カリウムチャネル(mitoK(ATP)チャネル)のアクチベータ、Kv1.5阻害剤等である。
【0031】
式IのNHE1阻害剤および/またはその製薬的に許容し得る塩は有意な抗炎症作用を有し、そしてそれ故に抗炎症剤として使用できることが明らかになった。これに関しては炎症メディエイター放出の抑制が注目される。すなわち、該化合物は単独で、または慢性および急性の炎症疾患の予防または治療のための抗炎症剤と組み合わせて使用することができる。有利に使用される組み合わせパートナーは、ステロイド性および非ステロイド性の抗炎症剤である。本発明化合物はまた、原生動物により惹起される疾患、マラリアおよび家禽のコクシジウム症の治療にも使用できる。
【0032】
さらに、式Iの化合物および/またはその製薬的に許容し得る塩は血清リポ蛋白質に有利な効果を示すことが見出された。一般に、高リポ蛋白質血症と呼ばれる、あまりにも高い血中脂肪レベルが、動脈硬化性血管障害、特に冠状動脈性心臓病の発生の本質的に危険な因子を示すことは認められている。従って、高められた血清リポ蛋白質の減少が、アテローム性動脈硬化性障害の予防および後退に極めて重要である。全血清コレステロールの減少の外に、この全コレステロールの特定のアテローム発生脂質フラクション、特に低密度リポ蛋白質(LDL)および超低密度リポ蛋白質(VLDL)の割合を減少させることが特に重要
である。その理由はこれらの脂質フラクションはアテローム発生危険因子を示すからである。それに反して、冠状動脈性心臓病の防止作用は、高密度リポ蛋白質による。
【0033】
従って、脂質低下剤は全コレステロールのみならず、特にVLDLおよびLDLの血清コレステロールフラクションをも減少させることが可能であるべきである。今や、NHE1阻害剤が、血清脂質レベルに影響を及ぼすことに関して治療上使用可能な価値ある性質を示すことが見出された。すなわち、それらは例えば、コレステロールおよび脂質に富んだ食餌の食事摂取の増加、または病理学的な代謝変化、例えば遺伝に関係のある高脂血症の場合に観察され得るようなLDLおよびVLDLの高められた血清濃度を有意に減少させる。従って、それらは、原因の危険因子を排除することによりアテローム性動脈硬化性障害の予防および後退のために使用することができる。ここでは、一次的高脂血症のみならず、例えば、糖尿病に関与して生じるある種の二次的高脂血症も含まれる。
【0034】
さらに、式Iの化合物および/またはその製薬的に許容し得る塩は、代謝異常により惹起される梗塞を顕著に減少させ、特に惹起された梗塞の大きさおよびその重度を有意に減少させる。従って、該化合物は、高コレステロール血症の治療用医薬の製造、アテローム発生の予防用医薬の製造、アテローム性硬化症の予防および治療用医薬の製造、高められたコレステロールレベルにより惹起される疾病の予防および治療用医薬の製造、内皮機能障害により惹起される疾病の予防および治療用医薬の製造、アテローム性動脈硬化症により惹起される高血圧症の予防および治療用医薬の製造、アテローム性動脈硬化症により惹起される血栓症の予防および治療用医薬の製造、高コレステロール血症によりおよび内皮機能障害により惹起される虚血性損傷および虚血後の再潅流損傷の予防および治療用医薬の製造、高コレステロール血症によりおよび内皮機能障害により惹起される心臓肥大および心筋症、並びに鬱血性心不全(CHF)の予防および治療用医薬の製造、高コレステロール血症によりおよび内皮機能障害により惹起される冠状動脈性血管痙攣および心筋梗塞の予防および治療用医薬の製造、降圧物質、好ましくはアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤およびアンジオテンシン受容体アンタゴニストとの組み合わせで該疾患を治療するための医薬の製造において使用するのが有利である。式IのNHE阻害剤および/またはその製薬的に許容し得る塩と血中脂肪レベルを低下させる活性成分、好ましくはHMG−CoAレダクターゼ阻害剤(例えばロバスタチンまたはプラバスタチン)との組み合わせは、活性成分の効果が高められそしてその使用が減少される好ましい組み合わせであることが分かった。ここで、後者は脂質低下作用をもたらし、それ故に式IのNHE阻害剤および/またはその製薬的に許容し得る塩の脂質低下性を増大させる。
【0035】
すなわち、式Iの化合物および/またはその製薬的に許容し得る塩は、種々の原因の内皮損傷を有効に防止する。内皮機能障害症候群に対するこの血管保護は、式Iの化合物および/またはその製薬的に許容し得る塩が、冠状動脈性血管痙攣、末梢血管疾病、特に間欠性跛行、アテローム発生およびアテローム性動脈硬化症、左心室肥大および拡張型心筋症並びに血栓性疾患の予防および治療用の価値ある医薬であることを意味している。
【0036】
さらに、式Iの化合物および/またはその製薬的に許容し得る塩は、インスリン非依存性糖尿病(NIDDM)の治療に適していて、インスリン抵抗性が抑制されることが見出された。これに関し、本発明化合物の効果である抗糖尿病の活性および特性を強化するには、該化合物をビグアニド例えばメトフォルミン;抗糖尿病性スルホニル尿素例えばグリブリド、グリメピリド、トルブタミド等;グルコシダーゼ阻害剤;PPARアゴニスト例えばロシグリタゾン、ピオグリタゾン等;種々の投与形態のインスリン製剤;DB4阻害剤;インスリン感作物質またはメグリチニドと組み合わせることが有利であることがある。
【0037】
急性の抗糖尿病効果の外に、式Iの化合物および/またはその製薬的に許容し得る塩は、糖尿病の後期合併症を防止し、そしてそれ故に糖尿病由来の後期損傷、例えば糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、糖尿病性心筋症、および糖尿病の結果として発症するその他の疾患の予防および治療用医薬として使用することができる。これに関して、それらはNIDDM処置で記載した抗糖尿病薬と組み合わせるのが有利であることがある。この点に関して、都合のよい剤形のインスリンとの組み合わせは特に重要である。
【0038】
式Iの本発明のNHE阻害剤および/またはその製薬的に許容し得る塩は、急性の虚血事象およびそれに続く同様に急性のストレス性再潅流事象の防止の外に、慢性的に進行する老化過程の徴候と関連しそして急性の低潅流状態とは無関係に通常の非虚血性状態下で発症する全ての哺乳類の疾病および疾患に対して治療上使用可能な直接的効果をも示す。今や、NHE阻害剤で治療され得る、長い老年期に生起するこれらの年齢による病理学的徴候、例えば病気、病弱および死は、生命の維持に重要な器官およびその機能の加齢による変化によって本質的に生起され、そして老人にますます重要になってくる疾病および疾患である。
【0039】
加齢に伴う機能障害または加齢に伴う器官の摩耗徴候に関連する疾患は、例えば血管の収縮反応および弛緩反応に対する不適切な応答および反応性である。心臓血管系そしてそれ故に生命および健康の本質的作用である、収縮および弛緩の刺激に対する血管の反応性の加齢に伴うこの減退は、NHE阻害剤により有意に除かれるかまたは減少され得る。この血管反応性維持の一つの重要な機能および手段は、加齢に伴う内皮機能障害の進行を遮断するかまたは遅延させることであり、その進行はNHE 阻害剤によって非常に有意に無視され得る。すなわち、式Iの化合物および/またはその製薬的に許容し得る塩は、内皮機能障害、特に間欠性跛行の加齢に伴う進行の治療および予防に非常に適している。
【0040】
老化作用を特徴とする別の変化の例は、心臓の収縮力の減退および必要とされる心臓ポンプ拍出量への心臓適応の減退である。老化作用の結果としての心臓のこの減退した効率は、多くの場合、心筋組織の結合組織の沈積によって特に生起される心臓機能障害に関係している。結合組織のこの沈積は、心臓の重量の増加、心臓の拡張、および心臓機能の制限を特徴とする。意外なことに、心臓器官のこのような老化を抑制することがほぼ完全に可能である。すなわち、式Iの化合物および/またはその製薬的に許容し得る塩は、心不全、うっ血性心不全(CHF)の治療および予防に非常に適している。
【0041】
従来の特許および特許出願は、既に発症した種々の形態のガンの治療を特許請求しているが、既に発症したガンを増殖抑制により治療することが可能であるだけではなく、老化に伴うガンの発生をもNHE阻害剤によって予防しかつ極めて有意に遅延させるとは、今や、極めて意外なことであった。特に注目すべき発見は、ある種のタイプのガンだけでなく全ての器官の老化の結果として発症する疾患が抑制されるか、またはその発症が極めて有意に遅延されることである。
【0042】
すなわち、式Iの化合物および/またはその製薬的に許容し得る塩は、加齢に伴うタイプのガンの治療、および特に予防に非常に適している。
【0043】
今や、時間とともにかつ統計学上の標準範囲を越えて極めて有意に変化するが、検査される全ての器官、例えば心臓、血管、肝臓等の加齢に伴う疾患の発症が遅延されるだけではなく、老人のガンも極めて有意に遅延されることが分かる。一方、意外なことにまた、今日までその他の医薬群によっては達成されなかった程度までまたはいずれかの天然物によって達成された程度まで、寿命が延長される。NHE阻害剤のこの独特な効果はまた、ヒトおよび動物に活性成分単独を使用する外に、これらのNHE阻害剤を、老人学で使用しかつ異なる作用機序に基づくその他の活性な成分、手段、物質および天然物と組み合わせることを可能にする。老年学的療法で使用するこのような活性成分の種類は、特に抗酸化作用を有するビタミン類および薬物である。カロリ−負荷または食物摂取と老化作用との間
には相関関係があるので、食事療法との組み合わせは、例えば食欲抑制剤を用いて行うことができる。同様に、降圧剤例えばACE阻害剤、アンジオテンシン受容体アンタゴニスト、利尿剤、Ca2+アンタゴニスト等、または代謝正常化剤例えばコレステロール低下剤との組み合わせを考慮することが可能である。
【0044】
すなわち、式Iの化合物および/またはその製薬的に許容し得る塩は、加齢に伴う組織変化の予防および生活の高品質を保持しつつ寿命を延長させるために非常に適している。
【0045】
本発明化合物は、多くの疾患(本態性高血圧症、アテローム性動脈硬化症、糖尿病等)において容易に測定可能な細胞、例えば赤血球、血小板または白血球中においても増加する細胞のナトリウム−プロトン交互輸送機構(Na/H交換体)の有効な阻害剤である。従って、本発明化合物は、例えば高血圧症、さらにまたアテローム性動脈硬化症、糖尿病および糖尿病の後期合併症、増殖性疾患等の種々のタイプを決定しそして識別するための診断剤としてのそれらの使用において優良で簡単な科学的ツールとして適している。
【0046】
本発明はまた、式(I)
【化2】

で表される3−グアニジノカルボニル−1−ヘテロアリール−インドール誘導体の合成方法に関する。式(I)の化合物は、式(II)の3−アルコキシカルボニル−1H−インドールから下記の一般的合成スキーム:
【0047】
【化3】

(ここで、式II、III、IV、VおよびVIの化合物においてArおよびR1〜R3は請求項1〜4のいずれかに記載の定義を有し、XはF、Cl、BrまたはIであり、そしてRは1、2、3、4、5もしくは6個の炭素原子を有するアルキルである)
にしたがって製造することができる。上記の一般的合成スキームは下記のとおりである。
【0048】
a) 式(VI)のヘテロアリールハライドArXを式(II)の3−アルコキシカルボニル−1H−インドールと反応させ、
b) 得られた式(III)の3−アルコキシカルボニル−1−ヘテロアリール−インドール をケン化し、
c) 式(IV)の3−カルボキシ−1−ヘテロアリール−インドールを式(V)の酸クロライドに変換し、
d) 得られた式(V)の生成物をグアニジンと反応させる。
【0049】
その生成物は単離し、そして場合により製薬的に許容し得る塩に変換する。
【0050】
商業的に入手できない式(II)および(VI)の化合物は、文献、例えばToyota M. et al., J. Chem. Soc. Perkin Trans. 1(1992), (5), 547−52およびWO 00/71537に記載の方法を適用するかまたは適応させることにより得ることができる。
【0051】
式(II)の適当な3−アルコキシカルボニル−1H−インドールと式(VI)の適当なヘテロアリールハライドArXとの反応a)は、不活性雰囲気下(例えば窒素下またはアルゴン下)で、塩基性媒体例えば炭酸カリウムの存在下で、不活性溶媒例えばジメチルスルホキシド中において20℃から反応媒体の沸点までの温度、好ましくは約100℃で実施するか、または不活性溶媒例えばジメチルホルムアミド中において水素化ナトリウムの存在下で20℃から反応媒体の沸点までの温度、好ましくは約120℃実施するのが好ましい。
【0052】
あるいはまた、式(II)の適当な3−アルコキシカルボニル−1H−インドールと式(VI)の適当なヘテロアリールハライドArXとの反応a)は、不活性雰囲気下(例えば窒素下またはアルゴン下)で、塩基性媒体例えばオルトリン酸カリウム、ヨウ化銅およびトランス−1,2−シクロヘキサンジアミンの存在下で、不活性溶媒例えば1,4−ジオキサンとn−ドデカンとの混合物中において20℃から反応媒体の沸点までの温度、好ましくは約100℃で実施するのが好ましい。
【0053】
反応b)は一般的には、その分子の残りに影響しない通常の方法に従って、特にT.W. Greene and P.G.M. Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis (2nd ed.), A. Wiley, Interscience Publication(1991)、またはMcOmie, Protective Groups in Organic Chemistry, Plenum Press (1973)、またはBradford P.Mundy and Michael G.Ellerd,Name Reactions and Reagents in Organic Synthesis, A. Wiley, Interscience Publication(1988)に記載の方法を適用することによって実施される。例えば式(III)の適当な3−アルコキシカルボニル−1−ヘテロアリール−1H−インドールのケン化は、塩基性媒体例えば水酸化リチウム1水和物の存在下で、不活性溶媒例えばテトラヒドロフランと水との混合物中において、20℃から反応媒体の沸点までの温度、好ましくは反応媒体の還流点で実施するのが好ましい。
【0054】
反応c)は一般的には、その分子の残りに影響しない通常の方法に従って、特にBradford P. Mundy and Michael G. Ellerd, Name Reactions and Reagents in Organic Synthesis, A. Wiley, Interscience Publication (1988)に記載の方法を適用することによって実施される。例えば、式(IV)の適当な3−カルボキシ−1−ヘテロアリール−1H−インドールの酸クロリドを生成するための反応c)は、不活性雰囲気下(例えば窒素下またはアルゴン下)で、不活性溶媒例えばジクロロメタン中においてオキサリルクロリドの存在下で、20℃から反応媒体の沸点までの温度、好ましくは約20℃で実施するか、または不活性溶媒例えばクロロホルム中においてスルフィニルクロリドの存在下で、20℃から反応媒体の沸点までの温度、好ましくは反応媒体の還流点で実施するのが好ましい。
【0055】
式(V)の適当な3−クロロカルボニル−1−ヘテロアリール−1H−インドールとグアニジンとの反応d)は、不活性雰囲気下(例えば窒素下またはアルゴン下)で、不活性溶媒例えば1,2−ジメトキシエタンまたはテトラヒドロフラン中において約20℃で実施するのが好ましい。
【0056】
式(I)の化合物は単離し、通常の知られた方法、例えば結晶化、クロマトグラフィーまたは抽出によって精製することができる。式(I)の化合物は、場合により、無機酸または有機酸を溶媒、例えばアルコール、ケトン、エーテルまたは塩素化溶媒のような有機溶媒中で反応させることによって該酸との付加塩に変換され得る。これらの塩はまた、本発明の一部分を形成する。挙げることができる製薬的に許容し得る塩の例としては、以下の塩: ベンゼンスルホン酸塩、臭化水素酸塩、塩酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、ヨウ化水素酸塩、マレイン酸塩、イセチオ酸塩、イセチオン酸塩、メタンスルホン酸塩、メチレンビス(β−オキシナフトエ酸塩)、硝酸塩、シュウ酸塩、パモン酸塩(pamoate)、リン酸塩、サリチル酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、テオフィリン酢酸塩、および p−トルエンスルホン酸塩を挙げることができる。
【0057】
該化合物が酸基を含有する場合には、それらは塩基との塩、例えばアルカリ金属塩好ましくはナトリウム塩もしくはカリウム塩、またはアンモニウム塩、例えばアンモニア、有機アミンもしくはアミノ酸とのそれぞれの塩を形成することができる。それらはまた、対イオンとして存在することもできる。
【0058】
本発明を以下の実施例により説明する。
【0059】
実施例1:
a) 3−グアニジノカルボニル−1−(2−(トリフルオロメチル)−キノリン−4−イル)−1H−インドール塩酸塩
【化4】

アルゴン雰囲気下、メタノール20cm3、およびメタノールに溶解したナトリウムメトキシドの0.5N溶液8.4cm3 (4.2mmol)をグアニジン塩酸塩0.401g(4.2mmol)に加えた。約25℃で1時間攪拌した後に反応混合物を減圧(2.7kPa)下で濃縮乾固し、そしてその残留物を3回引き続きジクロロメタン20cm3に溶解し次いで減圧(2.7kPa)下で濃縮乾固した。次いでアルゴン雰囲気下でそれに、ジクロロメタン20cm3に懸濁したテトラヒドロフラン40cm3および3−クロロカルボニル−1−(2−(トリフルオロメチル)−キノリン−4−イル)−1H−インドール塩酸塩0.35g (0.85mmol)を加えた。約20℃で16時間攪拌した後に反応混合物を濃縮して固形物を得、それをフラッシュクロマトグラフィー[溶離剤:酢酸エチル/メタノール (9/1次に8/2容量基準)]により精製した。各フラクションを減圧 (2.7kPa)下で濃縮した後に得られた固形物をイソプロピルエーテル20cm3中で摩砕し、ろ去して3−グアニジノカルボニル−1−(2−(トリフルオロメチル)−キノリン−4−イル)−1H−インドール 塩酸塩0.1gを白色の粉末形態で得た。融点 216℃。質量スペクトル (EI): m/e 397 (M+.), m/e 339 (基準ピーク)。
【0060】
b) 3−クロロカルボニル−1−(2−(トリフルオロメチル)−キノリン−4−イル)−1H−インドール塩酸塩
アルゴン雰囲気下、チオニル クロリド5cm3を3−カルボキシ−1−(2−(トリフルオロメチル)−キノリン−4−イル)−1H−インドール0.3g (0.84mmol)に加えた。還流下で2時間攪拌した後に反応混合物を減圧(2.7kPa)下で濃縮乾固し、引き続きジクロロメタン30cm3で3回摩砕し、次いで減圧(2.7kPa)下で濃縮乾固して3−クロロカルボニル−1−(2−(トリフルオロメチル)キノリン−4−イル)−1H−インドール塩酸塩0.35gを黄色の粉末形態で得た。これは次の工程で直接使用した。
【0061】
c) 3−カルボキシ−1−(2−(トリフルオロメチル)キノリン−4−イル)−1H−インドール
水酸化リチウム1水和物0.204g (4.9mmol)および水8cm3を、テトラヒドロフラン8cm3に溶解した3−メトキシカルボニル−1−(2−(トリフルオロ−メチル)キノリン−4−イル)−1H−インドール0.6g (1.62mmol)に加えた。還流下で15時間攪拌した後に反応混合物を減圧 (2.7kPa)下で濃縮乾固して残留物を得、それを水20cm3中に取り入れた(pH=10)。得られた水溶液を酢酸エチル30cm3で洗浄し、1N 塩酸でpH6に調整し、酢酸エチル50cm3で抽出した。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧(2.7kPa)下で濃縮乾固した。得られた固形物をイソプロピルエーテル20cm3中で摩砕し、ろ去して3−カルボキシ−1−(2−(トリフルオロメチル)キノリン−4−イル)−1H−インドール0.3gを黄色の粉末形態で得た。質量スペクトル (EI): m/e 356 (M+.), m/e 311。
【0062】
d) 3−メトキシカルボニル−1−(2−(トリフルオロ−メチル)キノリン−4−イル)−1H−インドール
アルゴン雰囲気下、炭酸カリウム1.04g (7.5mmol)および4−クロロ−2−(トリフルオロメチル)−キノリン0.695g (3mmol)をジメチルホルムアミド10cm3中で3−メトキシカルボニル−1H−インドール0.526g (3mmol)に加えた。約100℃で20時間攪拌した後に反応混合物を冷却し、そして酢酸エチル100cm3および水100cm3で希釈した。有機相を沈澱により分離し、水100cm3で2回そして飽和塩化ナトリウム水溶液100cm3で洗浄し、次いでそれを硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過しそして減圧(2.7kPa)下で濃縮乾固して橙色の油状物を得た。この油状物をイソプロピルエーテル20cm3中で摩砕し、得られた沈澱をろ去して3−メトキシ−カルボニル−1−(2−(トリフルオロメチル)キノリン−4−イル)−1H−インドール0.6gを黄色の粉末形態で得た。質量スペクトル(EI): m/e 370(M+.), m/e 339。
【0063】
実施例2:
a) 3−グアニジノカルボニル−1−(6−(トリフルオロ−メチル)キノリン−4−イル)−1H−インドール塩酸塩
【化5】

アルゴン雰囲気下、メタノール20cm3、およびメタノール中に溶解したナトリウムメトキシドの0.5M溶液20cm3 (10mmol)をグアニジン塩酸塩0.955g (10mmol)に加えた。約25℃で1時間攪拌した後に反応混合物を減圧(2.7kPa)下で濃縮乾固し、その残留物を引き続き3回ジクロロメタン20cm3中に溶解し、次いで減圧(2.7kPa)下で蒸発乾固した。その後それにアルゴン雰囲気下で、ジクロロメタン20cm3中に懸濁したテトラヒドロフラン40cm3および3−クロロカルボニル−1−(6−(トリフルオロ−メチル)−キノリン−4−イル)−1H−インドール塩酸塩0.75g (2mmol)を加えた。約20℃で16時間攪拌した後の反応混合物を濃縮して固形物を得、それをフラッシュクロマトグラフィー[溶離剤:酢酸エチル/メタノール (9/1次に8/2容量基準)]により精製した。各フラクションを減圧(2.7kPa)下で乾固し、得られた固形物をイソプロピルエーテル20cm3中で摩砕し、ろ去して3−グアニジノ−カルボニル−1−(6−(トリフルオロメチル)キノリン−4−イル)−1H−インドール塩酸塩0.54gを白色の粉末形態で得た。融点260℃。
質量スペクトル (EI): m/e 397 (M+.), m/e 339 (基準ピーク)。
【0064】
b) 3−クロロカルボニル−1−(6−(トリフルオロメチル)−キノリン−4−イル)−1H−インドール塩酸塩
アルゴン雰囲気下、チオニルクロリド5cm3を3−カルボキシ−1−(6−(トリフルオロメチル)キノリン−4−イル)−1H−インドール0.713g (2mmol)に加えた。還流下で2時間攪拌した後に反応混合物を減圧(2.7kPa)下で濃縮乾固し、引き続きジクロロメタン20cm3で3回摩砕し、次いで減圧(2.7kPa)下で濃縮乾固して3−クロロカルボニル−1−(6−(トリフルオロメチル)キノリン−4−イル)−1H−インドール塩酸塩0.85gを黄色の粉末形態で得た。これは次の工程で直接使用した。
【0065】
c) 3−カルボキシ−1−(6−(トリフルオロメチル)キノリン−4−イル)−1H−インドール
水酸化リチウム1水和物0.32g (7.63mmol)および水8cm3を、テトラヒドロフラン8cm3溶解した3−メトキシカルボニル−1−(6−(トリフルオロ−メチル)キノリン−4−イル)−1H−インドール0.94g (2.54mmol)に加えた。還流下で15時間攪拌した後に反応混合物を減圧(2.7kPa)下で濃縮乾固して残留物を得、それを水20cm3中に取り入れた(pH=10)。得られた水溶液を酢酸エチル30cm3で洗浄し、1N 塩酸でpH6に調整し、次いで酢酸エチル50cm3で抽出した。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧(2.7kPa)下で濃縮乾固した。得られた固形物をイソプロピルエーテル20cm3中で摩砕し、ろ去して3−カルボキシ−1−(6−(トリフルオロメチル)キノリン−4−イル)−1H−インドール0.73gを白色の粉末形態で得た。質量スペクトル: m/e 356 (M+.)。
【0066】
d) 3−メトキシカルボニル−1−(6−(トリフルオロメチル)−キノリン−4−イル)−1H−インドール
アルゴン雰囲気下、炭酸カリウム1.04g (7.5mmol)および4−クロロ−6−(トリフルオロ−メチル)−キノリン0.695g (3mmol)を、ジメチルホルムアミド10cm3中に溶解した3−メトキシカルボニル−1H−インドール0.525g (3mmol)に加えた。約100℃で20時間攪拌した後に反応混合物を冷却し、酢酸エチル100cm3および 水100cm3で希釈した。有機相を沈澱により分離し、水100cm3で2回および飽和塩化ナリウム水溶液100cm3で洗浄し、次いでそれを硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過しそして減圧(2.7kPa)下で濃縮乾固して橙色の油状物を得た。この油状物をイソプロピルエーテル20cm3で摩砕し、得られた沈澱をろ去して3−メトキシ−カルボニル−1−(6−(トリフルオロメチル)キノリン−4−イル)−1H−インドール0.94gを黄色の粉末形態で得た。質量スペクトル (EI): m/e 370 (M+.), m/e 339。
【0067】
実施例3:
a) 3−グアニジノカルボニル−1−(7−(トリフルオロメチル)−キノリン−4−イル)−1H−インドール塩酸塩
【化6】

アルゴン雰囲気下、メタノール20cm3、および メタノールに溶解したナトリウム メトキシド0.5M 溶液14cm3 (7mmol)をグアニジン塩酸塩0.67g (7mmol)に加えた。約25℃で1時間攪拌した後に反応混合物を減圧(2.7kPa)下で濃縮乾固し、残留物を引き続き3回ジクロロメタン20cm3に溶解し、減圧(2.7kPa)下で濃縮乾固した。アルゴン雰囲気下、引き続きそれに、テトラヒドロフラン20cm3に懸濁したテトラヒドロフラン40cm3、ジクロロメタン40cm3および3−クロロカルボニル−1−(7−(トリフルオロメチル)キノリン−4−イル)−1H−インドール塩酸塩0.525g(1.4mmol)を加えた。約20℃で16時間攪拌した後に反応混合物を濃縮して固形物を得、それをフラッシュクロマトグラフィー[溶離剤: 酢酸エチル/メタノール (9/1次に8/2 容量基準)]により精製した。各フラクションを減圧(2.7kPa)下で乾固し、得られた生成物をイソプロピルエーテル20cm3中で摩砕し、ろ去して3−グアニジノカルボニル−1−(7−(トリフルオロメチル)キノリン−4−イル)−1H−インドール塩酸塩0.1gを白色の粉末形態で得た。融点 238℃。質量スペクトル (EI): m/e 397 (M+.), m/e 339 (基準ピーク)。
【0068】
b) 3−クロロカルボニル−1−(7−(トリフルオロメチル)−キノリン−4−イル)−1H−インドール塩酸塩
アルゴン雰囲気下、チオニルクロリド5cm3を3−カルボキシ−1−(7−(トリフルオロメチル)キノリン−4−イル)−1H−インドール0.5g (1.4mmol)に加えた。還流下で2時間攪拌した後に反応混合物を減圧(2.7kPa)下で濃縮乾固し、引き続き3回ジクロロメタン30cm3で摩砕し、次いで減圧(2.7kPa)下で濃縮乾固して3−クロロカルボニル−1−(7−(トリフルオロメチル)キノリン−4−イル)−1H−インドール塩酸塩0.58gを黄色の粉末形態で得た。これは次の工程で直接使用した。
【0069】
c) 3−カルボキシ−1−(7−(トリフルオロメチル)キノリン−4−イル)−1H−インドール
水酸化リチウム1水和物0.33g (7.77mmol) および水8cm3を、テトラヒドロフラン8cm3に溶解した3−メトキシカルボニル−1−(7−(トリフルオロ−メチル)キノリン−4−イル)−1H−インドール0.96g (2.59mmol)に加えた。還流下で15時間攪拌した後に反応混合物を減圧(2.7kPa)下で濃縮乾固して残留物を得、それを水20cm3中に取り入れた(pH=10)。得られた水溶液を酢酸エチル30cm3で洗浄し、1N塩酸でpH6に調整し、酢酸エチル50cm3で抽出した。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧(2.7kPa)下で濃縮乾固した。得られた固形物をイソプロピルエーテル20cm3中で摩砕し、ろ去して3−カルボキシ−1−(7−(トリフルオロメチル)キノリン−4−イル)−1H−インドール0.59gを白色の粉末形態で得た。質量スペクトル (EI): m/e 356 (M+.), m/e 311。
【0070】
d) 3−メトキシカルボニル−1−(7−(トリフルオロメチル)−キノリン−4−イル)−1H−インドール
アルゴン雰囲気下、炭酸カリウム1.04g (7.5mmol)および4−クロロ−7−(トリフルオロメチル)−キノリン0.695g (3mmol)を、ジメチルホルムアミド10cm3中で3−メトキシカルボニル−1H−インドール0.525g (3mmol)に加えた。約100℃で20時間攪拌した後に反応混合物を冷却し、酢酸エチル100cm3および水100cm3で希釈した。有機相を沈澱により
分離し、100cm3で2回および飽和塩化ナトリウム水 溶液100cm3で洗浄し、次いでそれを硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過しそして減圧(2.7kPa)下で濃縮乾固して橙色の油状物を得た。この油状物をイソプロピルエーテル20cm3で摩砕し、得られた沈澱をろ去して3−メトキシカルボニル−1−(7−(トリフルオロメチル)−キノリン−4−イル)−1H−インドール0.96gを黄色の粉末形態で得た。質量スペクトル (EI): m/e 370(M+.), m/e 339。
【0071】
実施例4:
a) 3−グアニジノカルボニル−1−(8−(トリフルオロメチル)−キノリン−4−イル)−1H−インドール塩酸塩
【化7】

アルゴン雰囲気下、メタノール20cm3、およびメタノールに溶解したナトリウム メトキシドの0.5M 溶液14cm3 (7mmol)をグアニジン塩酸塩0.67g (7mmol)に加えた。約25℃
で1時間攪拌した後に反応混合物を減圧(2.7kPa)下で濃縮乾固し、残留物を3回引き続きジクロロメタン20cm3に溶解し、減圧(2.7kPa)下で蒸発乾固した。アルゴン雰囲気下、引き続きそれに、ジクロロメタン30cm3中に懸濁したテトラヒドロフラン30cm3および3−クロロカルボニル−1−(8−(トリフルオロ−メチル)−キノリン−4−イル)−1H−インドール塩酸塩0.525g (1.4mmol)を加えた。約20℃で16時間攪拌した後に反応混合物を濃縮して固形物を得、それをフラッシュクロマトグラフィー[溶離剤:酢酸エチル/メタノール (9/1次に8/2容量基準)]により精製した。各フラクションを減圧(2.7kPa)下で濃縮乾固し、得られた生成物をジイソプロピルエーテル20cm3中で摩砕し、ろ去して3−グアニジノ−カルボニル−1−(8−(トリフルオロメチル)キノリン−4−イル)−1H−インドール塩酸塩0.14gを白色の粉末形態で得た。融点212℃。質量スペクトル (EI): m/e 397 (M+.), m/e 339 (基準ピーク)。
【0072】
b) 3−クロロカルボニル−1−(8−(トリフルオロメチル)−キノリン−4−イル)−1H−インドール
アルゴン雰囲気下、チオニルクロリド5cm3を3−カルボキシ−1−(8−(トリフルオロメチル)キノリン−4−イル)−1H−インドール0.5g (1.4mmol)に加えた。還流で2時間攪拌した後に反応混合物を減圧(2.7kPa)下で濃縮乾固し、引き続き3回ジクロロメタン30cm3で摩砕し、次いで減圧(2.7kPa)下で濃縮乾固して3−クロロカルボニル−1−(8−(トリフルオロメチル)キノリン−4−イル)−1H−インドール塩酸塩0.58gを黄色の粉末形態で得た。これは次の工程で直接使用した。
【0073】
c) 3−カルボキシ−1−(8−(トリフルオロメチル)キノリン−4−イル)−1H−インドール
水酸化リチウム1水和物0.32g (7.62mmol)および水8cm3を、テトラヒドロフラン8cm3に溶解した3−メトキシカルボニル−1−(7−(トリフルオロ−メチル)キノリン−4−イル)−1H−インドール0.94g (2.54mmol)に加えた。還流下で15時間攪拌した後に反応混合物を減圧(2.7kPa)下で濃縮乾固して残留物を得、それを水20cm3中に取り入れた(pH=10)。得られた水溶液を酢酸エチル30cm3で洗浄し、1N塩酸でpH6に調整し、酢酸エチル50cm3で抽出した。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧(2.7kPa)下で濃縮乾固した。得られた固形物をイソプロピルエーテル20cm3で摩砕し、ろ去して3−カルボキシ−1−(8−(トリフルオロメチル)キノリン−4−イル)−1H−インドール0.50gを白色の粉末形態で得た。質量スペクトル (EI): m/e 356 (M+.)。
【0074】
d) 3−メトキシカルボニル−1−(8−(トリフルオロメチル)−キノリン−4−イル)−1H−インドール
アルゴン雰囲気下、炭酸カリウム1.04g (7.5mmol)および4−クロロ−8−(トリフルオロメチル)−キノリン0.695g (3mmol)を、ジメチルホルムアミド10cm3中で3−メトキシカルボニル−1H−インドール0.525g (3mmol)に加えた。約100℃で20時間攪拌した後に反応混合物を冷却し、酢酸エチル100cm3および水100cm3で希釈した。有機相を沈澱により分離し、水100cm3で2回および飽和塩化ナトリウム水溶液100cm3で洗浄し、次いでそれを硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過しそして減圧(2.7kPa)下で濃縮乾固して橙色の油状物を得た。この油状物をイソプロピルエーテル20cm3中で摩砕し、得られた沈澱をろ去して3−メトキシカルボニル−1−(8−(トリフルオロメチル)−キノリン−4−イル)−1H−インドール0.96gを黄色の粉末形態で得た。質量スペクトル (EI): m/e 370 (M+.), m/e 339。
【0075】
実施例5:
a) 3−グアニジノカルボニル−1−(6−メトキシキノリン−4−イル)−1H−インドール塩酸塩
【化8】

アルゴン雰囲気下、メタノール20cm3、およびメタノールに溶解したナトリウム メトキシドの0.5M 溶液17cm3 (8.5mmol)をグアニジン塩酸塩0.812g (8.5mmol)に加えた。約25℃で1時間攪拌した後に反応混合物を減圧(2.7kPa)下で濃縮乾固し、残留物を3回引き続きジクロロメタン20cm3に溶解し、減圧(2.7kPa)下で蒸発乾固した。アルゴン雰囲気下、引き続きそれに、ジクロロメタン40cm3中に懸濁したテトラヒドロフラン40cm3および3−クロロカルボニル−1−(6−メトキシ−キノリン−4−イル)−1H−インドール 塩酸塩0.67g (1.79mmol)を加えた。約20℃で16時間攪拌した後に反応混合物を濃縮して固形物を得、それをフラッシュ クロマトグラフィー[溶離剤: 酢酸エチル/メタノール (9/1 次に8/2 容量基準)]により精製した。各フラクションを減圧(2.7kPa)下で濃縮乾固した後に得られた生成物をジイソプロピルエーテル20cm3中で摩砕し、ろ去して3−グアニジノ−カルボニル−1−(6−メトキシキノリン−4−イル)−1H−インドール塩酸塩0.37gを白色の粉末形態で得た。融点266℃。質量スペクトル (EI): m/e 359 (M+.), m/e 301。
【0076】
b) 3−クロロカルボニル−1−(6−メトキシキノリン−4−イル)−1H−インドール
アルゴン雰囲気下、チオニルクロリド4cm3を3−カルボキシ−1−(6−メトキシキノリン−4−イル)−1H−インドール0.5 7g (1.79mmol)に加えた。還流下で2時間攪拌した後に反応混合物を減圧(2.7kPa)下で濃縮乾固し、引き続き3回ジクロロメタン30cm3で摩砕し、次いで減圧(2.7kPa)下で濃縮乾固して3−クロロカルボニル−1−(6−メトキシキノリン−4−イル)−1H−インドール塩酸塩0.67gを黄色の粉末形態で得た。これは次の工程で直接使用した。
【0077】
c) 3−カルボキシ−1−(6−メトキシキノリン−4−イル)−1H−インドール
水酸化リチウム1水和物0.252g (6mmol)および水8cm3を、テトラヒドロフラン8cm3
に溶解した3−メトキシカルボニル−1−(6−メトキシキノリン−4−イル)−1H−インドール0.7g (2.11mmol)に加えた。還流下で20時間攪拌した後に反応混合物を減圧(2.7kPa)下で濃縮乾固して残留物を得、それを水20cm3中に取り入れた(pH=10)。得られた水溶液を酢酸エチル30cm3で洗浄し、1N塩酸でpH6に調整し、酢酸エチル50cm3および ジクロロメタン100cm3で抽出した。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧(2.7kPa)下で濃縮乾固した。得られた固形物をイソプロピルエーテル20cm3中で摩砕し、ろ去して 3−カルボキシ−1−(6−メトキシキノリン−4−イル)−1H−インドール0.57gを白色の粉末形態で得た。質量スペクトル (EI): m/e 318 (M+.)。
【0078】
d) 3−メトキシカルボニル−1−(6−メトキシキノリン−4−イル)−1H−インドール
アルゴン雰囲気下、炭酸カリウム1.73g (12.5mmol)および4−クロロ−6−メトキシキノリン0.968g (5mmol)を、ジメチルアセトアミド20cm3中で3−メトキシカルボニル−1H−インドール0.876g (5mmol)に加えた。約140℃で20時間攪拌した後に反応混合物を冷却し、酢酸エチル200cm3および水200cm3で希釈した。有機相を沈澱により分離し、水200cm3で3回および飽和塩化ナトリウム水溶液200cm3で洗浄し、次いでそれを硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、減圧(2.7kPa)下で濃縮乾固した。得られた残留物をフラッシュクロマトグラフィー[溶離剤:シクロヘキサン/酢酸エチル(8/2次に7/3容量基準)]により精製した。これらのフラクションを減圧(2.7kPa)下で濃縮乾固して3−メトキシカルボニル−1−(6−メトキシキノリン−4−イル)−1H−インドール0.7gを白色の粉末形態で得た。質量スペクトル (EI): m/e 332 (M+.), m/e 301。
【0079】
実施例6:
a) 3−グアニジノカルボニル−1−(7−メトキシキノリン−4−イル)−1H−インドール塩酸塩
【化9】

アルゴン雰囲気下、メタノール20cm3、およびメタノールに溶解したナトリウム メトキシドの0.5M 溶液30cm3 (15mmol)をグアニジン塩酸塩1.43g (15mmol)に加えた。約25℃で1時間攪拌した後に反応混合物を減圧(2.7kPa)下で濃縮乾固し、残留物を3回引き続きジクロロメタン20cm3に溶解し、減圧(2.7kPa)下で蒸発乾固した。アルゴン雰囲気下、引
き続きそれに、ジクロロメタン40cm3中に懸濁したテトラヒドロフラン40cm3および3−クロロカルボニル−1−(7−メトキシ−キノリン−4−イル)−1H−インドール 塩酸塩1.05g(2.8mmol)を加えた。約20℃で16時間攪拌した後に反応混合物を濃縮して固形物を得、それをフラッシュクロマトグラフィー[溶離剤:酢酸エチル/メタノール (9/1次に8/2容量基準)]により精製した。各フラクションを減圧(2.7kPa)下で濃縮乾固した後に得られた生成物をジイソプロピルエーテル20cm3中で摩砕して白色の固形物0.82gを得た。この固形物を熱状態の下でエタノールから再結晶して3−グアニジノ−カルボニル−1−(7−メトキシキノリン−4−イル)−1H−インドール塩酸塩0.48gを白色の粉末形態で得た。融点266℃。質量スペクトル (EI): m/e 359 (M+.), m/e 301。
【0080】
b) 3−クロロカルボニル−1−(7−メトキシキノリン−4−イル)−1H−インドール 塩酸塩
アルゴン雰囲気下、チオニルクロリド6cm3を3−カルボキシ−1−(7−メトキシキノリン
−4−イル)−1H−インドール0.9g (2.83mmol)に加えた。還流下で2時間攪拌した後に反応混合物を減圧(2.7kPa)下で濃縮乾固し、引き続き3回ジクロロメタン30cm3で摩砕し、次いで減圧(2.7kPa)下で濃縮乾固して3−クロロカルボニル−1−(7−メトキシキノリン−4−イル)−1H−インドール塩酸塩1.05gを黄色の粉末形態で得た。これは次の工程で直接使用した。
【0081】
c) 3−カルボキシ−1−(7−メトキシキノリン−4−イル)−1H−インドール
水酸化リチウム1水和物0.504g (12mmol)および水20cm3を、テトラヒドロフラン20cm3に溶解した3−メトキシカルボニル−1−(7−メトキシキノリン−4−イル)−1H−インドール1.3g (3.91mmol)に加えた。還流下で20時間攪拌した後に反応混合物を減圧(2.7kPa)下で濃縮乾固して残留物を得、それを水30cm3中に取り入れた(pH=10)。得られた水溶液を酢酸エチル50cm3で洗浄し、1N塩酸でpH6に調整した。得られた沈澱をろ去し、次いでそれを水20cm3で3回およびイソプロピルエーテルで20cm3で2回すすぎ、減圧 (2.7kPa)下で約 40℃において乾燥して3−カルボキシ−1−(7−メトキシキノリン−4−イル)−1H−インドール0.9gを白色の粉末形態で得た。質量スペクトル (EI): m/e 318 (M+.)。
【0082】
d) 3−メトキシカルボニル−1−(7−メトキシキノリン−4−イル)−1H−インドール
アルゴン雰囲気下、炭酸カリウム3.46g (25mmol)および4−クロロ−6−メトキシキノリン1.94g (10mmol)を、ジメチルアセトアミド50cm3中で3−メトキシカルボニル−1H−インドール1.75g (10mmol)に加えた。約140℃で20時間攪拌した後に反応混合物を冷却し、酢酸エチル300cm3および水300cm3で希釈した。有機相を沈澱により分離し、水300cm3で3回および飽和塩化ナトリウム水溶液300cm3で洗浄し、次いでそれを硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過しそして減圧(2.7kPa)下で濃縮乾固した。残留物をフラッシュクロマトグラフィー[溶離剤:シクロヘキサン/酢酸エチル(8/2次に7/3容量基準)]により精製した。これらのフラクションを減圧(2.7kPa)下で濃縮乾固した後に3−メトキシカルボニル−1−(7−メトキシキノリン−4−イル)−1H−インドール1.7gを黄色の泡状物形態で得た。質量スペクトル (EI): m/e 332 (M+.), m/e 301。
【0083】
e) 4−クロロ−7−メトキシキノリンは、M. Lauer et al., J. Amer. Chem. Soc. (1946), 48, 1268に記載の方法により得ることができた。
【0084】
実施例7:
a) 3−グアニジノカルボニル−1−(7−メチル−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−インドール塩酸塩
【化10】

アルゴン雰囲気下、ナトリウム (あらかじめトルエン中で洗浄された) 0.345g (15mmol) をメタノール100cm3に約20℃で徐々に加えた。攪拌して溶解した後にグアニジン塩酸塩1.43g(15mmol)を加え、反応混合物を約20℃で2時間攪拌した。次いで反応混合物を減圧(2.7kPa)下で濃縮乾固し、残留物を引き続いて2回ジクロロメタン(アミレンで安定化された)70cm3に取り入れ、減圧(2.7kPa)下で濃縮乾固した。次いでテトラヒドロフラン50cm3およびジクロロメタン50cm3をアルゴン雰囲気下で約20℃において加え、3−クロロカルボニル−1−(7−メチル−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−インドール塩酸塩3mmolを攪拌下で加えた。約20℃で15時間攪拌した後に反応混合物を減圧(2.7kPa)下で濃縮乾固した。残留物をシルカゲル上でフラッシュクロマトグラフィー[溶離剤: 酢酸エチル/メタノール (80/20容量基準)]により精製した。目的の生成物を含有する種々のフラクションを減圧(2.7kPa)下で濃縮乾固した。得られた固形物をメタノール中に取り入れ、次いでその混合物を10分間還流した。約20℃に冷却しそしてろ過した後に、その固形物を約40℃で減圧(2.7kPa)下において乾燥して3−グアニジノカルボニル−1−(7−メチル−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−インドール塩酸塩0.45gを灰色がかった白色の固形物形態で得た。
融点244℃。質量スペクトル(DCI): m/e 334 (MH+) (基準ピーク)。
【0085】
b) 3−クロロカルボニル−1−(7−メチル−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−インドール塩酸塩
アルゴン 雰囲気下、チオニルクロリド6cm3を3−カルボキシ−1−(7−メチル−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−インドール0.9g (3.08mmol)に加えた。還流下で2時間攪拌した後に反応混合物を減圧(2.7kPa)下で濃縮乾固し、引き続き2回ジクロロメタン30cm3で摩砕し、次いで減圧(2.7kPa)下で濃縮乾固して3−クロロカルボニル−1−(7−メチル−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−インドール塩酸塩0.92gを黄色の粉末形態で得た。これは次の工程で直接使用した。
【0086】
c) 3−カルボキシ−1−(7−メチル−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−インドール
水酸化リチウム1水和物0.629g (15mmol)および水20cm3を、テトラヒドロフラン20cm3に溶解した3−メトキシカルボニル−1−(7−メチル−7H−ピロロ−[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−インドール1.35g (4.41mmol)に加えた。溶媒の還流温度で4時間そして約20℃で24時間攪拌した後に反応混合物を減圧(2.7kPa)下で濃縮乾固した。残留物を水30cm3中に取り入れ(pH=12)、酢酸エチル100cm3で抽出した。次いでpHを1N塩酸溶液で6に調整した。得られた沈澱をろ去し、次いで減圧 (2.7kPa)下で約50℃において乾燥して3−カルボキシ−1−(7−メチル−7H−ピロロ−[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−インドール1.0gを白色の粉末形態で得た。質量スペクトル (EI): m/e 292 (M+) (基準ピーク)。
【0087】
d) 3−メトキシカルボニル−1−(7−メチル−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−インドール
アルゴン雰囲気下、3−メトキシカルボニル−1H−インドール1.40g (8mmol)を約20℃でジメチルホルムアミド30cm3に加え、次いで水素化ナトリウム0.32g (10mmol)を加えた。反応混合物を約20℃で1時間攪拌し、次いでジメチルホルムアミド10cm3中で4−クロロ−7−メチル−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン1.35g (8.05mmol)を加え、その混合物を約100℃で16時間攪拌した。次いで反応混合物を約20℃に冷却し、酢酸エチル200cm3と水200cm3との混合物中に注いだ。各相を沈澱させた後に有機相を分離し、水200cm3で2回そして飽和塩化ナトリウム水溶液200cm3で洗浄し、次いで硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧(2.7kPa)下で濃縮乾固した。残留物をシリカゲル上でフラッシュクロマトグラフィー[溶離剤:シクロヘキサン/酢酸エチル(80/20容量基準)]により精製した。目的の生成物を含有する各フラクションを減圧(2.7kPa)下で濃縮乾固した後に3−メトキシカルボニル−1−(7−メチル−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−インドール1.35gを灰色がかった白色の固形物形態で得た。質量スペクトル (EI): m/e 306 (M+) (基準ピーク)。
【0088】
e) 4−クロロ−7−メチル−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン
アルゴン雰囲気下、水素化ナトリウム0.4g (12.5mmol)を約20℃においてジメチルホル
ムアミド25cm3に加え、次いでジメチルホルムアミド25cm3に溶解した4−クロロ−ピロロ[2,3−d]ピリミジン1.8g(11.7mmol)の溶液を15分かけて滴加した。反応混合物を約20℃で1時間攪拌し、次いでヨウ化メチル1.12cm3 (18mmol)を加え、約20℃で15時間攪拌を続けた。次いで反応混合物を酢酸エチル200cm3と水200cm3との混合物に注いだ。各相を沈澱させた後に有機相を分離し、水200cm3で2回そして飽和塩化ナトリウム水溶液200cm3で逐次洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、次いで減圧(2.7kPa)下で濃縮乾固して4−クロロ−7−メチル7−メチル−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン1.35gを茶色の粉末形態で得た。質量スペクトル (DCI): m/e 168 (MH+) (基準ピーク)。
【0089】
実施例8:
a) N−[1−(2−メチル−キノリン−4−イル)−1H−インドール−3−カルボニル]−グアニジントリフルオロ酢酸塩
【化11】

乾燥DMFに溶解したグアニジン溶液は、カリウムt−ブトキシド5mmol (560mg)およびグアニジン塩酸塩5.5mmol (525mg)をDMF5ml中で室温において30分間、水分を除去しながら攪拌することにより製造した。得られた懸濁液に前記で得たメチルエステルを加え、その混合物をアルゴン雰囲気下、室温で18時間攪拌した。混合物をろ過し、ろ液を直接、分取HPLC(アセトニトリル/H2O + 0.1% トリフルオロ酢酸)にかけて精製してN−[1−(2−メチル−キノリン−4−イル)−1H−インドール−3−カルボニル]−グアニジントリフルオロ酢酸塩を泡状物として得た。生成物を分析用HPLC/MS (Waters 1525 HPLC、Micromass MUX−LCT MS検出器搭載; カラムMerck−Purospher 55*2mm, 3μ RP18; カラム温度: 室温; 勾配(H2O+0.1%ギ酸):(アセトニトリル+0.1%ギ酸) 95:5 (0分)〜5:95 (5分)〜5:95 (7分)により特性化した。
保持時間: 2.13 分、MSモルピーク 343 (M+H, エレクトロスプレー イオン化)。
【0090】
b) 1−(2−メチル−キノリン−4−イル)−1H−インドール−3−カルボン酸メチルエステル
1H−インドール−3−カルボン酸メチルエステル1mmol (175 mg)、4−クロロ−2−メチル−キノリン1.1mmol (195 mg)およびCs2CO3 1.2mmol (390 mg)を乾燥DMF3ml中に懸濁した。混合物をアルゴン下、80℃で60時間攪拌し、そのままで室温に冷却させ、次いで水(20ml)で希釈した。生成物の一部分を沈澱させ、ろ去し、ろ液を酢酸エチル(20mlずつ)で2回抽出した。合一した抽出物を無水Na2SO4で乾燥し、蒸発させた。残留物をその沈澱と合一し、分取HPLCで精製して1−(2−メチル−キノリン−4−イル)−1H−インドール−3−カルボン酸メチルエステル(MSモルピーク 316.12 (M+H, エレクトロスプレーイオン化))を灰色がかった白色の泡状物として凍結乾燥後に得た。
【0091】
実施例8と類似の方法で製造した化合物は下記のとおりであった。
【0092】
【表1】

【0093】
【表2】

【0094】
NHE阻害方法
本発明化合物のNHE阻害活性(IC50値)をFLIPR試験により測定した。この試験は透明な底および黒色の壁の96ウエルのマイクロ滴定プレートを備えたFLIPR(Fluorescent Imaging Plate Reader)で実施する。種々のNHEサブタイプ(親の細胞株LAP−1は、突然変異誘発およびその後の選択の結果として内生NHE活性を全く示さない)を発現するトランスフェクションされた細胞株を約25 000細胞/ウエルの密度で前日に植え付ける。
【0095】
トランスフェクションされた細胞用の生長培地(Iscove+10%胎児性仔ウシ血清)はまた、トランスフェクションされた配列の存在を確かにするために選択抗生物質としてG418を含有する。
【0096】
実際の試験は生長培地を除去し、そしてウエル1個当りローディングバッファー(20mMのNH4Cl、115mMの塩化コリン、1mMのCaCl2、5mMのKCl、20mM のHEPESおよび5mMのグルコース中の5μMのBCECF−AM[2’,7’−ビス(2−カルボキシエチル)−5−(6)−カルボキシフルオロセインアセトキシメチルエステル]; pH 7.4 (KOHで調整))100μlを加えることにより開始する。次いでそれらの細胞を20分間37℃でインキュベートする。このインキュベーションにより細胞中へ蛍光色素が装填されるが、その蛍光強度はpHおよびNH4Clに左右され、その結果、該細胞は僅かに塩基性化する。
【0097】
非蛍光色素である上記プレカーサーBCECF−AMはエステルとして、膜を交差することができる。膜を交差することができない実際の色素は、エステラーゼにより細胞の内側に放出される。
【0098】
この20分のインキュベーションの後に、NH4Clおよび遊離BCECF−AMを含有するローデ
ィングバッファーを細胞洗浄装置(Tecan Columbus社製)中で3回洗浄することにより除去する。その際、各洗浄は洗浄バッファー(133.8mMの塩化コリン、4.7mMのKCl、1.25mMのMgCl2、1.25mMのCaCl2、0.97mMのK2HPO4、0.23mMのKH2PO4、5mMのHEPESおよび5mMのグルコース; pH 7.4(KOHで調整))400μlを用いて実施する。各ウエルに残っている残留容量は90μl(多分、50〜125μl)である。この洗浄工程により遊離BCECF−AMが除去され、そして上記の外からのアンモニウムイオンが除去されることにより細胞内酸性化(pHi 6.3−6.4)がもたらされる。
【0099】
この細胞外アンモニウムが除去され、そしてそれに続いてアンモニア水溶液が細胞膜を直ちに交差することによって細胞内アンモニウムと、アンモニア水溶液およびプロトンとの平衡が崩れるので、洗浄工程では細胞内プロトンが残留し、それが細胞内酸性化の原因になる。この酸性化は、それが十分に長く続く場合には最終的に細胞死をもたらすことができる。ここでは、洗浄バッファーがナトリウムを含有しないこと(<1mM)が重要である。さもないと、細胞外ナトリウムイオンが、クローン化されたNHEイソ型の活性のためにそのpHiを直ちに増加させることになる。また、使用する全てのバッファー(ローディングバッファー、洗浄バッファーおよび再生バッファー)がいずれかのHCO3−イオンを含有しないことも重要である。さもないと、重炭酸イオンの存在は、pHi調整を崩す重炭酸イオン依存性系の活性化をもたらすことになる。ここでこの系はLAP−1親細胞株に含有されている。
【0100】
次いで、酸性化された細胞を含有するマイクロタイタープレートをFLIPRに移す(酸性化の後、20分までに)。このFLIPRにおいて、アルゴンレーザーにより発生される波長488nmの光で細胞内蛍光色素を活性化し、そして測定パラメーター(レーザーパワー、照射時間およびFLIPRに組み込まれたCDDカメラの絞り)をウエル1個当りの蛍光シグナルの平均値が30,000〜35,000相対蛍光単位であるように選択する。
【0101】
FLIPRでの実際の測定は、ソフトウエア制御の下でそのCDDカメラで2秒毎に撮る写真を用いて開始する。10秒後には、FLIPR中に組み込まれた96ウエルのピペット装置を用いて再生バッファー(133.8mMのNaCl, 4.7mMのKCl, 1.25mMのMgCl2, 1.25mMのCaCl2, 0.97mMのK2HPO4, 0.23mMのKH2PO4, 10mMのHEPESおよび5mMのグルコース; pH 7.4 (NaOHで調整))90μlを加えることにより細胞内pHの上昇が開始する。純粋な再生バファーを加えるいくつかのウエルは、正の対照(100% NHE活性)として利用される。負の対照(0% NHE活性)は洗浄バッファーを含有する。試験物質の濃度の2倍を有する再生バッファーは他の全てのウエルに加える。FLIPRでの測定は、60個の測定(2分)の後に停止する。
【0102】
上記実験データによって試験物質の各濃度のNHE活性を計算し、これらより該物質のIC50値を得た。NHE1サブタイプについて得られた結果は下記のとおりであった。
【0103】
【表3】

【0104】
本発明はまた、NHE阻害剤としての医薬および医薬組成物の製造のための式1の化合物および/またはその製薬的に許容し得る塩の使用に関する。式1の化合物および/またはその製薬的に許容し得る塩の有効量を単独で、製薬的に許容し得る担体および添加剤と一緒で、または他の活性製薬成分もしくは医薬と組み合わせて含有する、ヒト、獣または植物保護のための医薬を特許請求している。
【0105】
本発明の医薬組成物は、純粋な形態、または不活性もしくは生理学的に活性であってもよいいずれか他の製薬的に適合し得る生成物と合一される組成物の形態での式1の化合物および/またはその製薬的に許容し得る塩からなる。本発明の医薬は、例えば、経口的に、静脈内に、直腸に、経皮的に、局所的にまたは吸入により投与することができる。これらの医薬は一般に、式1の活性成分および/またはその製薬的に許容し得る塩を投与量単位当たり0.001mg〜1gの量で含有する。
【0106】
所望の製剤に適した賦形剤は、当業者ならばその専門知識に基づいて周知である。溶剤、ゲル化剤、坐薬基剤、錠剤用賦形剤および他の活性成分担体の外に、例えば、抗酸化剤、分散剤、乳化剤、消泡剤、フレーバー、保存剤、溶解剤または着色剤を使用することができる。
【0107】
経口投与用製剤の場合には、これらの活性化合物は、この目的に適した添加剤、例えば担体、安定剤もしくは不活性希釈剤と混合し、そして常套手段により適当な剤形、例えば、錠剤、コーティング錠剤、硬ゼラチンカプセル、水性、アルコール性もしくは油性の溶液に変換する。使用できる不活性担体の例としては、アラビアゴム、マグネシア、炭酸マグネシウム、リン酸カリウム、ラクトース、グルコース、またはスターチ特にコーンスターチを挙げることができる。さらにまた、乾燥顆粒および湿潤顆粒の両方の調製を行うことも可能である。適当な油性担体または溶剤の例としては、植物性油または動物性油、例えばヒマワリ油もしくは魚肝油を挙げることができる。
【0108】
錠剤、ピル、粉剤(ゼラチンカプセルもしくはカシェ) または顆粒は、経口投与用固形組成物として使用することができる。これらの組成物において、本発明の活性成分は、1種またはそれ以上の不活性希釈剤、例えばスターチ、セルロース、スクロース、ラクトースまたはシリカとアルゴン流の下で混合する。これらの組成物はまた、希釈剤以外の物質、例えば1種またはそれ以上の潤滑剤、例えばステアリン酸マグネシウムもしくはタルク、着色剤、コーティング剤(糖衣錠) またはワニスを含有する。
【0109】
不活性希釈剤、例えば水、エタノール、グリセロール、植物油または液体パラフィンを含有する製薬的に許容し得る溶液、懸濁液、乳液、シロップおよびエリキシルは、 経口投与用液体組成物として使用することができる。これらの組成物は、希釈剤以外の物質、例えば湿潤性生成物、甘味剤、増粘剤、フレーバーまたは安定剤を含有してもよい。
【0110】
非経口投与用滅菌組成物は、好ましくは水性または非水性の溶液、懸濁液または乳液であるのがよい。使用可能な溶剤またはビヒクルとしては、水、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油特にオリーブ油、注射可能な有機エステル例えばオレイン酸エチル、または他の適当な有機溶剤を挙げることができる。これらの 組成物はまた、補助剤、特に湿潤剤、張性調整剤、乳化剤、分散剤および安定剤を含有してもよい。滅菌はいくつかの方法で、例えば、無菌ろ過により、該組成物中に滅菌剤を混入させることにより、放射線照射により、または加熱により行うことができる。それらはまた、滅菌水またはいずれか他の注射用媒体中で使用時に溶解してもよい滅菌性固形組成物の形態で調製され得る。
【0111】
直腸投与用組成物は坐薬または直腸カプセルであり、それは活性生成物の外に、賦形剤例えばココアバター、半合成グリセリドまたはポリエチレングリコールを含有する。
【0112】
局所投与用組成物は、例えば、クリーム、ローション、点眼剤、うがい薬、点鼻剤またはエアゾールであるのがよい。
【0113】
皮下、筋肉内または静脈内投与の場合、使用する活性化合物は、所望により、このために慣用の物質、例えば溶解剤、乳化剤または他の賦形剤を用いて溶液、懸濁液または乳液に変換される。適当な溶剤の例としては水、生理食塩水、またはアルコールたとえばエタノール、プロパノール、グリセロール、並びに糖溶液例えばグルコース溶液もしくはマンニトール溶液または上記の種々の溶剤の混合物がある。
【0114】
エアゾールまたはスプレー形態の投与用製剤としては、例えば、製薬的に許容し得る溶剤、特にエタノールもしくは水、またはそのような溶剤の混合物中における式1の活性成分および/またはその製薬的に許容し得る塩の溶液、懸濁液または乳液が適当である。該製剤は、必要により、さらに他の製薬賦形剤、例えば、表面活性剤、乳化剤および安定剤並びに高圧ガスを含有してもよい。このような製剤は、例えば、活性成分を約0.1〜10質量%、特に約0.3〜3質量%の濃度で含有する。
【0115】
投与すべき式Iの活性成分の投与量および投与頻度は、所望される効果、使用する化合物の効力および作用期間、さらにまた処置すべき疾患の性質および重度、並びに処置すべき哺乳類の性、年齢、体重および個々の反応性に左右される。一般に、医者は処置すべき個人の年齢および体重の機能並びにその個人に特異的なその他全ての因子にしたがって適当な投与量を決めるであろう。
【0116】
平均的には、約75kgの患者の場合、式1の活性成分および/またはその製薬的に許容し得る塩の1日当たりの投与量は、体重1kg当たり少なくとも0.001mg、好ましくは1mg、
から最大1000mg、好ましくは100mgまでである。急性の疾患発作の場合には、例えば心筋梗塞罹患の直後には、より多くの投与量、特により頻度の高い投与量、例えば1日当たり4回までの投与量もまた必要であることがある。集中治療室にいる梗塞症患者の場合には、特に静脈内投与では1日当たり2000mgまでが必要であることもあり、そして本発明化合物は注入により投与することができる。
【0117】
下記の実施例により本発明の組成物を説明する。
実施例A
通常の技法によって、下記の組成を有して活性生成物50 mg投与量を含有するゲルカプセルを調製することができた。
【0118】
− 式(I)の化合物 50 mg
− セルロース 18 mg
− ラクトース 55 mg
− コロイド性シリカ 1 mg
− ナトリウムカルボキシメチル スターチ 10 mg
− タルク 10 mg
− ステアリン酸マグネシウム 1 mg
【0119】
実施例B
通常の技法によって、下記の組成を有して活性生成物50 mg投与量を含有する錠剤を調製することができた。
【0120】
− 式(I)の化合物 50 mg
− ラクトース 104 mg
− セルロース 40 mg
− ポリビドン 10 mg
− ナトリウムカルボキシメチルスターチ 22 mg
− タルク 10 mg
− ステアリン酸マグネシウム 2 mg
− コロイド性シリカ 2 mg
−ヒドロキシメチルセルロース、グリセロールおよび酸化チタン(72/3.5/24.5)の混合物 245 mgの仕上りフイルムコーティング錠剤1錠に十分な量
【0121】
実施例C
下記の組成を有して、活性生成物10 mgを含有する注射用溶液を調製することができた。
【0122】
− 式(I)の化合物 10 mg
− 安息香酸 80 mg
− ベンジルアルコール 0.06 ml
− 安息香酸ナトリウム 80 mg
− 95% エタノール 0.4 ml
− 水酸化ナトリウム 24 mg
− プロピレングリコール 1.6 ml
− 水 十分量 4 ml

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

[式中、
R1は水素または1、2、3、4、5もしくは6個の炭素原子を有するアルキルであり、
R2は水素、1、2、3、4、5もしくは6個の炭素原子を有するアルキル、ハロゲン、1、2、3、4、5もしくは6個の炭素原子を有するアルコキシまたはOHであり、
R3は水素、1、2、3、4、5もしくは6個の炭素原子を有するアルキル、ハロゲン、1、2、3、4、5もしくは6個の炭素原子を有するアルコキシまたOHであり、
Arは窒素原子1個、2個または3個を有する9員または10員の二環式ヘテロアリールであって、それはその位置のいずれかを介して連結していてもよくそしてその位置の少なくとも一つにおいて、1、2、3、4、5もしくは6個の炭素原子を有するアルキル、ハロゲン、ニトロ、NRaRb、1、2、3もしくは4個の炭素原子を有するアルキルカルボニルアミノ、ヒドロキシル、1、2、3、4、5もしくは6個の炭素原子を有するアルコキシ、S(O)nR4、CO2H、1、2、3、4、5もしくは6個の炭素原子を有するアルコキシカルボニル、1、2、3、4、5もしくは6個の炭素原子を有するアルキルカルボニル、CONRaRb、CN、1、2、3もしくは4個の炭素原子を有するポリフルオロアルキル、1、2もしくは3個の炭素原子を有するポリフルオロアルコキシまたはSO3Hにより置換されており、ここでnは0、1または2であり、
RaおよびRbは互いに独立して、水素、1、2、3、4、5または6個の炭素原子を有する線状または分枝状アルキルであるか、またはRaとRbは、それらが結合する窒素原子と一緒になって5員または6員の複素環を形成しそしてそれはO、SおよびNから選択される別のヘテロ原子を場合により含有していてもよく、
R4は1、2、3、4、5もしくは6個の炭素原子を有するアルキル、1、2、3、4、5もしくは6個の炭素原子を有するアルキルアミノまたはNH2である]
で表される化合物、それらのラセミ混合物、エナンチオマー、ジアステレオマーおよびそれらの混合物、それらの互変異性体並びにそれらの製薬的に許容し得る塩。
【請求項2】
式Iにおいて、
R1は水素または1、2、3、4、5もしくは6個の炭素原子を有するアルキルであり、
R2は水素、1、2、3、4、5もしくは6個の炭素原子を有するアルキル、ハロゲン、1、2、3、4、5もしくは6個の炭素原子を有するアルコキシまたはOHであり、
R3は水素、1、2、3、4、5もしくは6個の炭素原子を有するアルキル、ハロゲン、1、2、3、4、5もしくは6個の炭素原子を有するアルコキシまたOHであり、
Arはキノリン、イソキノリン、キナゾリンまたは7H−ピロロ−[2,3−d]−ピリミジンであって、それはその位置のいずれかを介して連結していてもよくそしてその位置の少なくとも一つにおいて、1、2、3、4、5もしくは6個の炭素原子を有するアルキル、ハロゲン、ニトロ、NRaRb、1、2、3もしくは4個の炭素原子を有するアルキルカルボニルアミノ、ヒドロキシル、1、2、3、4、5もしくは6個の炭素原子を有するアルコキシ、S(O)nR4、CO2H、1、2、3、4、5もしくは6個の炭素原子を有するアルコキシカルボニル、1、2、3、4、5もしくは6個の炭素原子を有するアルキルカルボニル、CONRaRb、CN、1、2、3もしくは4個の炭素原子を有するポリフルオロアルキル、1、2もしくは3個の炭素原子を有するポリフルオロアルコキシまたはSO3Hにより置換されており、ここでnは0、1または2であり、
RaおよびRbは互いに独立して、水素、1、2、3、4、5または6個の炭素原子を有する線状または分枝状アルキルであるか、またはRaとRbは、それらが結合する窒素原子と一緒になって5員または6員の複素環を形成しそしてそれはO、SおよびNから選択される別のヘテロ原子を場合により含有していてもよく、
R4は1、2、3、4、5もしくは6個の炭素原子を有するアルキル、1、2、3、4、5もしくは6個の炭素原子を有するアルキルアミノまたはNH2である、
請求項1記載の式Iの化合物、それらのラセミ混合物、エナンチオマー、ジアステレオマーおよびそれらの混合物、それらの互変異性体並びにそれらの製薬的に許容し得る塩。
【請求項3】
式Iにおいて、
R1は水素または1、2、3、4、5もしくは6個の炭素原子を有するアルキルであり、
R2は水素、1、2、3、4、5もしくは6個の炭素原子を有するアルキル、ハロゲン、1、2、3、4、5もしくは6個の炭素原子を有するアルコキシまたはOHであり、
R3は水素、1、2、3、4、5もしくは6個の炭素原子を有するアルキル、ハロゲン、1、2、3、4、5もしくは6個の炭素原子を有するアルコキシまたOHであり、
Arは4−キノリニル、4−キナゾリニルまたは4−(7H−ピロロ−[2,3−d]−ピリミジニル)であって、それはその位置の少なくとも一つにおいて1、2、3、4、5もしくは6個の炭素原子を有するアルキル、ハロゲン、ニトロ、NRaRb、1、2、3もしくは4個の炭素原子を有するアルキルカルボニルアミノ、ヒドロキシル、1、2、3、4、5もしくは6個の炭素原子を有するアルコキシ、S(O)nR4、CO2H、1、2、3、4、5もしくは6個の炭素原子を有するアルコキシカルボニル、1、2、3、4、5もしくは6個の炭素原子を有するアルキルカルボニル、CONRaRb、CN、1、2、3もしくは4個の炭素原子を有するポリフルオロアルキル、1、2もしくは3個の炭素原子を有するポリフルオロアルコキシまたはSO3Hにより置換されており、ここでnは0、1または2であり、
RaおよびRbは互いに独立して、水素、1、2、3、4、5または6個の炭素原子を有する線状または分枝状アルキルであるか、またはRaとRbは、それらが結合する窒素原子と一緒になって5員または6員の複素環を形成しそしてそれはO、SおよびNから選択される別のヘテロ原子を場合により含有していてもよく、
R4は1、2、3、4、5もしくは6個の炭素原子を有するアルキル、1、2、3、4、5もしくは6個の炭素原子を有するアルキルアミノまたはNH2である、
請求項1または2記載の式Iの化合物、それらのラセミ混合物、エナンチオマー、ジアステレオマーおよびそれらの混合物、それらの互変異性体並びにそれらの製薬的に許容し得る塩。
【請求項4】
3−グアニジノカルボニル−1−(2−(トリフルオロメチル)キノリン−4−イル)−1H−インドール,
3−グアニジノカルボニル−1−(6−(トリフルオロメチル)キノリン−4−イル)−1H−インドール,
3−グアニジノカルボニル−1−(7−(トリフルオロメチル)キノリン−4−イル)−1H−インドール,
3−グアニジノカルボニル−1−(8−(トリフルオロメチル)キノリン−4−イル)−1H−インドール,
3−グアニジノカルボニル−1−(6−メトキシキノリン−4−イル)−1H−インドール,
3−グアニジノカルボニル−1−(7−メトキシキノリン−4−イル)−1H−インドール,
3−グアニジノカルボニル−1−(2−メチルキノリン−4−イル)−1H−インドール,
3−グアニジノカルボニル−1−(6−クロロキノリン−4−イル)−1H−インドール,
3−グアニジノカルボニル−1−(7−クロロキノリン−4−イル)−1H−インドール,
3−グアニジノカルボニル−1−(8−クロロキノリン−4−イル)−1H−インドール,
3−グアニジノカルボニル−1−(6−フルオロキノリン−4−イル)−1H−インドール,
3−グアニジノカルボニル−1−(8−フルオロキノリン−4−イル)−1H−インドール,
3−グアニジノカルボニル−1−(6,8−ジフルオロキノリン−4−イル)−1H−インドール,
3−グアニジノカルボニル−1−(6−フルオロ−2−メチルキノリン−4−イル)−1H−インドール,
3−グアニジノカルボニル−1−(7−フルオロ−2−メチルキノリン−4−イル)−1H−インドール,
3−グアニジノカルボニル−1−(8−フルオロ−2−メチルキノリン−4−イル)−1H−インドール,
3−グアニジノカルボニル−1−(7−メチル−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−1H−インドール,
3−グアニジノカルボニル−1−(7−クロロキノリン−4−イル)−5−メトキシ−2−メチル−1H−インドール,
3−グアニジノカルボニル−1−(6−フルオロキノリン−4−イル)−5−メトキシ−2−メチル−1H−インドール、および
3−グアニジノカルボニル−1−(6−クロロキナゾリン−4−イル)−5−メトキシ−2−メチル−1H−インドール
から選択されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物およびその互変異性体並びにそれらの製薬的に許容し得る塩。
【請求項5】
医薬として使用するための請求項1〜4のいずれか1項に記載の式Iの化合物またはその製薬的に許容し得る塩。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の式Iの化合物またはその製薬的に許容し得る塩の有効量を製薬的に許容し得る媒体と一緒に含有する、ヒト、獣または植物保護用の医薬組成物。
【請求項7】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の式Iの化合物またはその製薬的に許容し得る塩の有効量を、他の薬理学的に活性な成分または医薬と組み合わせて製薬的に許容し得る媒体と一緒に含有する、ヒト、獣または植物保護用の医薬組成物。
【請求項8】
心血管疾患、代謝疾患、ガン疾患または線維疾患の治療または予防用の医薬を製造するための請求項1〜4のいずれか1項に記載の式Iの化合物またはその製薬的に許容し得る塩の使用。
【請求項9】
虚血または再潅流事象により惹起される器官および組織の急性もしくは慢性の損傷、疾患または間接的後遺症の治療または予防用医薬、不整脈、生命を危うくする心室細動、心筋梗塞、狭心症の治療または予防用医薬、心臓の虚血状態、末梢および中枢神経系の虚血状態、卒中、脳浮腫発作、または末梢の器官および組織の虚血状態の治療または予防用医薬、ショック状態、例えばアレルギー性ショック、心臓性ショック、血液量減少性ショックまたは細菌性ショック、細胞増殖が一次または二次原因を示す疾病、ガン、転移、前立腺肥大および前立腺過形成、アテローム性動脈硬化症、脂質代謝障害、高血圧症、特に本態性高血圧症、中枢神経系疾患、特にCNSの過度の興奮性から生じる疾患、例えば癲癇もしくは中枢に惹起される痙攣、または特に不安状態、うつ病もしくは統合失調症の治療または予防用医薬、インスリン非依存性糖尿病(NIDDM)もしくは糖尿病由来の遅発損傷、血栓症、内皮機能障害から生じる疾患、間欠性跛行の治療または予防用医薬、内臓の線維性疾患、肝臓の線維性疾患、腎臓の線維性疾患、血管の線維性疾患、肺の線維性疾患および心臓の線維性疾患の治療または予防用医薬、心不全もしくはうっ血性心不全、急性もしくは慢性の炎症性疾患、原生動物により惹起される疾患、マラリア、および家禽のコクシ
ジウム症の治療または予防用医薬、並びに外科手術および臓器移植用、外科処置用の移植組織の保存もしくは貯蔵用、加齢に伴う組織変化の防止用の医薬、老化防止用もしくは寿命延長用医薬、甲状腺亢進における心臓毒性の処置および減少用医薬または診断助剤製造用医薬を製造するための請求項1〜4のいずれか1項に記載の式Iの化合物またはその製薬的に許容し得る塩の使用。
【請求項10】
虚血または再潅流事象により惹起される器官および組織の急性もしくは慢性の損傷、疾患または間接的後遺症の治療または予防用医薬、不整脈、生命を危うくする心室細動、心筋梗塞、狭心症の治療または予防用医薬、心臓の虚血状態、末梢および中枢神経系の虚血状態、卒中、脳浮腫発作、または末梢の器官および組織の虚血状態の治療または予防用医薬、ショック状態、例えばアレルギー性ショック、心臓性ショック、血液量減少性ショックまたは細菌性ショック、細胞増殖が一次または二次原因を示す疾病、ガン、転移、前立腺肥大および前立腺過形成、アテローム性動脈硬化症、脂質代謝障害、高血圧症、特に本態性高血圧症、中枢神経系疾患、特にCNSの過度の興奮性から生じる疾患、例えば癲癇もしくは中枢に惹起される痙攣、または特に不安状態、うつ病もしくは統合失調症の治療または予防用医薬、インスリン非依存性糖尿病(NIDDM)もしくは糖尿病由来の遅発損傷、血栓症、内皮機能障害から生じる疾患、間欠性跛行の治療または予防用医薬、内臓の線維性疾患、肝臓の線維性疾患、腎臓の線維性疾患、血管の線維性疾患、肺の線維性疾患および心臓の線維性疾患の治療または予防用医薬、心不全もしくはうっ血性心不全、急性もしくは慢性の炎症性疾患、原生動物により惹起される疾患、マラリア、および家禽のコクシジウム症の治療または予防用医薬、並びに外科手術および臓器移植用、外科処置用の移植組織の保存もしくは貯蔵用、加齢に伴う組織変化の防止用の医薬、老化防止用もしくは寿命延長用医薬、甲状腺亢進における心臓毒性の処置および減少用医薬または診断助剤製造用医薬を製造するための、他の医薬もしくは活性成分と組み合わせた請求項1〜4のいずれか1項に記載の式Iの化合物またはその製薬的に許容し得る塩の使用。
【請求項11】
心臓毒性および細胞毒性の性質が減少された医薬を製造するための、心臓毒性または細胞毒性の医薬もしくは活性成分と組み合わせた請求項10記載の式Iの化合物またはその製薬的に許容し得る塩の使用。
【請求項12】
虚血または再潅流事象により惹起される器官および組織の急性もしくは慢性の損傷、疾患または間接的後遺症の治療または予防用医薬を製造するための、請求項9または10に記載の単独または他の医薬もしくは活性成分と組み合わせた式Iの化合物またはその製薬的に許容し得る塩の使用。
【請求項13】
生命を危うくする心室細動の治療用医薬を製造するための、請求項9または10に記載の単独または他の医薬もしくは活性成分と組み合わせた式Iの化合物またはその製薬的に許容し得る塩の使用。
【請求項14】
転移の治療または予防用医薬を製造するための、請求項9または10に記載の単独または他の医薬もしくは活性成分と組み合わせた式Iの化合物またはその製薬的に許容し得る塩の使用。
【請求項15】
心臓の線維疾患、心不全またはうっ血性心不全の治療または予防用医薬を製造するための、請求項9または10に記載の単独または他の医薬もしくは活性成分と組み合わせた式Iの化合物またはその製薬的に許容し得る塩の使用。
【請求項16】
NHEに関連する疾患の治療または予防用医薬を製造するための、単独または他の医薬もしくは活性成分と組み合わせた請求項1〜4のいずれか1項に記載の式Iの化合物またはその製薬的に許容し得る塩の使用。
【請求項17】
NHE1に関連する疾患の治療または予防用医薬を製造するための、単独または他の医薬もしくは活性成分と組み合わせた請求項1〜4のいずれか1項に記載の式Iの化合物またはその製薬的に許容し得る塩の使用。
【請求項18】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の式Iの化合物の製造方法であって、以下に示すように、
【化2】

(ここで、式II、III、IV、VおよびVIの化合物においてArおよびR1〜R3は請求項1〜4のいずれかに記載の定義を有し、XはF、Cl、BrまたはIであり、そしてRは1、2、3、4、5もしくは6個の炭素原子を有するアルキルである)
a) 式(VI)のヘテロアリールハライドArXを式(II)の3−アルコキシカルボニル−1H−インドールと反応させ、
b) 得られた式(III)の3−アルコキシカルボニル−1−ヘテロアリール−インドールをケン化し、
c) 式(IV)の3−カルボキシ−1−ヘテロアリール−インドールを式(V)の酸クロライドに変換し、
d) 得られた式(V)の生成物をグアニジンと反応させ、
その生成物を単離し、そして場合により製薬的に許容し得る塩に変換する、
ことを特徴とする上記方法。

【公表番号】特表2006−501190(P2006−501190A)
【公表日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−520458(P2004−520458)
【出願日】平成15年7月2日(2003.7.2)
【国際出願番号】PCT/EP2003/007023
【国際公開番号】WO2004/007479
【国際公開日】平成16年1月22日(2004.1.22)
【出願人】(397056695)サノフィ−アベンティス・ドイチュラント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (456)
【Fターム(参考)】