説明

5−フェニルニコチンアミド誘導体

本発明は、式(I)(式中、R〜Rは、本明細書および特許請求の範囲に定義されたとおりである)で示される化合物、および薬学的に許容され得るその塩に関する。該化合物は、CB受容体のモジュレーションに関連する疾患の治療および/または予防に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な5−フェニルニコチンアミド誘導体、その製造、それを含む医薬組成物および医薬としてのその使用に関する。本発明の活性化合物は、CB受容体のモジュレーションに関連する疾患を処置するのに有用である。
【0002】
特に本発明は、一般式:
【0003】
【化1】

【0004】
〔式中、
は、
シクロアルキル(非置換であるか、またはヒドロキシもしくは低級アルコキシにより置換されている)、
低級ヒドロキシアルキル、低級ヒドロキシハロゲンアルキル、
−CH−CR10−シクロアルキル、および
−CR1112−COOR13
からなる群から選択され;
は、水素または低級アルキルであり;
10は、水素、ヒドロキシまたは低級アルコキシであり;
11およびR12は、互いに独立して、水素または低級アルキルであり;
13は、低級アルキルであり;
は、水素であり;
は、
シクロアルキル、低級シクロアルキルアルキル、
低級アルコキシ、低級アルコキシアルキル、
ハロゲン、低級ハロゲンアルキル、
フェニル(非置換であるか、または独立して低級アルキルもしくはハロゲンにより一置換もしくは二置換されている)、
低級フェニルアルキル(ここで、フェニルは非置換であるか、または独立して低級アルキルもしくはハロゲンにより一置換もしくは二置換されている)、
ヘテロアリール(非置換であるか、または独立して低級アルキルもしくはハロゲンにより一置換もしくは二置換されている)および
低級へテロアリールアルキル(ここで、ヘテロアリール基は、非置換であるか、または独立して低級アルキルもしくはハロゲンにより一置換もしくは二置換されている)、
からなる群から選択され;
およびRは、互いに独立して、水素またはハロゲンであり;
およびRは、互いに独立して、水素、ハロゲン、低級ハロゲンアルキル、低級ハロゲンアルコキシおよびシアノからなる群から選択され;
は、水素、ハロゲン、低級ハロゲンアルキル、低級ハロゲンアルコキシおよびシアノからなる群から選択される〕
で示される化合物、および薬学的に許容され得るその塩に関する。
【0005】
本発明の式Iで示される化合物は、CB受容体のモジュレータである。
【0006】
カンナビノイド受容体の2種の異なるサブタイプ(CBおよびCB)が単離されたが、両者はG蛋白質共役型受容体スーパーファミリーに属するものである。CBの選択的スプライシング型:CB1AおよびCB1Bも記載されたが、検査された組織では低レベルしか発現されていない(D. Shire, C. Carrillon, M. Kaghad, B. Calandra, M. Rinaldi-Carmona, G. Le Fur, D. Caput, P. Ferrara, J. Biol. Chem. 270(8)(1995)3726-31;E. Ryberg, H. K. Vu, N. Larsson, T. Groblewski, S. Hjorth, T. Elebring, S. Sjoegren, P. J. Greasley、FEBS Lett. 579(2005)、259-264)。CB受容体は、主に脳に存在し、複数の末梢器官では存在が少ないが、CB受容体は、主に末梢に分布し、主として脾臓および免疫系の細胞に存在する(S. Munro, K. L. Thomas, M. Abu-Shaar, Nature 365(1993)61-61)。それゆえ副作用を回避するためには、CB選択性化合物が望ましい。
【0007】
Δ−テトラヒドロカンナビノール(Δ−THC)は、インド大麻であるcannabis sativa(マリファナ)中の主たる精神活性化合物であり(Y. Gaoni, R. Mechoulam, J. Am. Chem. Soc., 86(1964) 1646)、医薬として用いられている(R. Mechoulam (Ed.) の"Cannabinoids as therapeutic Agents", 1986, pp. 1-20, CRC Press)。Δ−THCは、非選択的CB受容体アゴニストであり、米国では、癌の化学療法による嘔吐(CIE)を軽減し、食欲刺激によりAIDS患者の体重減少を回復させるドロナビノール(Marinol(登録商標))として入手できる。英国では、Δ−THCの合成類似体であるNabolinone(LY-109514、Cesamet(登録商標))が、CIEに用いられている(R. G. Pertwee, Pharmaceut. Sci. 3 (11)(1997)539-545, E. M. Williamson, F. J. Evans, Drugs 60(6)(2000)1303-1314)。
【0008】
アナンダミド(アラキドニルエタノールアミド)は、CBの内因性リガンド(アゴニスト)として同定された(R. G. Pertwee, Curr. Med. Chem., 6(8)(1999)635-664; W. A. Devane, L. Hanus, A. Breuer, R. G. Pertwee, L. A. Stevenson, G. Griffin, D. Gibson, A. Mandelbaum, A. Etinger, R. Mechoulam, Science 258 (1992)1946-9)。アナンダミドおよび2−アラキドノイルグリセロール(2−AG)は、シナプス前神経末端で、アデニレートシクラーゼおよび電位感受性Ca2+チャネルを負にモジュレートして、内向き整流性K+チャネルを活性化させ(V. Di Marzo, D. Melck, T. Bisogno, L. De Petrocellis, Trends in Neuroscience 21 (12)(1998)521-8)、それにより、神経伝達物質の放出および/または作用に影響を与えて、神経伝達物質の放出を減少させる(A. C. Porter, C. C. Felder, Pharmacol. Ther., 90(1)(2001)45-60)。
【0009】
Δ−THCとしてのアナンダミドは、CB受容体を介した機序により摂食量も増加させる。CB選択性アンタゴニストは、アナンダミドの投与に関連する摂食量増加を阻害し(C. M. Williams, T. C. Kirkham, Psychopharmacology 143(3)(1999)315-317; C. C. Felder, E. M. Briley, J. Axelrod, J. T. Simpson, K. Mackie, W. A. Devane, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 90(16)(1993)7656-60)、食欲を抑制して体重を減少させる(G. Colombo, R. Agabio, G. Diaz, C. Lobina, R. Reali, G. L. Gessa, Life Sci. 63(8)(1998)L113-PL117)。
【0010】
レプチンは、視床下部が栄養状態を感知し、摂食およびエネルギーバランスを調整する際の主たるシグナルである。CB受容体ノックアウトマウスは、一時的な食事制限により、野生型の同腹子よりも少ない量を摂食するが、CBアンタゴニスト:SR141716Aは、野生型の摂食量を減少させ、ノックアウトマウスでは減少させない。その上、レプチンシグナル伝達の欠損は、肥満db/dbおよびob/obマウス、ならびにZuckerラットにおける視床下部の内在性カンナビノイド値の上昇に関連するが、小脳での上昇には関連しない。健常なラットおよびob/obマウスでの急性レプチン処置は、視床下部におけるアナンダミドおよび2−アラキドノイルグリセロールを減少させる。これらの結果から、視床下部における内在性カンナビノイドがCB受容体を持続的に活性化して摂食量を維持し、レプチンにより調節される神経回路の一部を形成する可能性が示される(V. Di Marzo, S. K. Goparaju, L. Wang, J. Liu, S. Bitkai, Z. Jarai, F. Fezza, G. I. Miura, R. D. Palmiter, T. Sugiura, G. Kunos, Nature 410 (6830)822-825)。
【0011】
少なくとも2種のCB選択性アンタゴニスト/インバースアゴニスト(SR−141716およびSLV−319)が、現在、肥満および/または喫煙停止の処置に関する臨床試験を受けている。二重盲検プラセボ対照試験では、SR−141716は、一日あたり10および20mgの用量で、プラセボと比較して有意に体重を減少させた(F. Barth, M. Rinaldi-Carmona, M. Arnone, H. Heshmati, G. Le Fur,"Cannabinoid antagonists: From research tools to potential new drugs." Abstracts of Papers, 222nd ACS National Meeting, Chicago, IL, United States, August 26-30,2001)。SR−141716は、複数の第三相試験(RIO−脂質、RIO−ヨーロッパおよびRIO−北アメリカ)で、体重、腹囲を減少させ、代謝パラメータ(血漿HDL、トリグリセリドおよびインスリン感受性)を改善した。加えてSR−141716は、喫煙停止の第三相治験において有効性を示した(STRATUS−US)。
【0012】
カンナビノイド受容体に対する活性を有する置換ピラゾールが、米国特許5624941、同6028084および同6509367、PCT特許出願WO98/031227、同98/041519、同98/043636、同98/043635、同04/0099157、米国特許出願US2004192667 A1および特許出願EP658546に開示されている。
【0013】
カンナビノイド受容体に対する活性を有する置換ピリジン、ピリミジンおよびピラジンが、米国特許出願US04/0259887、PCT特許出願WO03/051850、WO03/051851、WO03/084930、WO04/110453、WO04/111033、WO04/111034、WO04/111038、WO04/111039、WO05/016286、WO05/074939、WO05/075440、WO05/075464、WO05/080342、WO05/080349、WO05/080350、WO05/115987、WO06/046778、WO06/042955、ならびに特許出願FR2856684およびFR2876691に開示されている。
【0014】
CB受容体アンタゴニストまたはインバースアゴニストとして提案された他の化合物は、アミノアルキルインドール(AAI;M. Pacheco, S. R. Childers, R. Arnold, F. Casiano, S. J. Ward, J. Pharmacol. Exp. Ther. 257(1) (1991) 170-183)である。その例が、6−ブロモプラバドリン(WIN54661;F. M. Casiano, R. Arnold, D. Haycock, J. Kuster, S. J. Ward, NIDA Res. Monogr. 105 (1991) 295-6)または6−ヨードプラバドリン(AM630;K. Hosohata, R. M. Quock, R. M; Hosohata, T. H. Burkey, A. Makriyannis, P. Consroe, W. R. Roeske, H. I. Yamamura, Life Sci. 61 (1997) 115-118; R. Pertwee, G. Griffin, S. Fernando, X. Li, A. Hill, A. Makriyannis, Life Sci. 56 (23-24) (1995) 1949-55)である。その上、WO96/002248またはUS5596106に開示されたアリールベンゾ[b]チオフェンおよびベンゾ[b]フラン誘導体(LY320135;C. C. Felder, K. E. Joyce, E. M. Briley, M. Glass, K. P. Mackie, K. J. Fahey, G. J. Cullinan, D. C. Hunden, D. W. Johnson, M. O. Chaney, G. A. Koppel, M. Brownstein, J. Pharmacol. Exp. Ther. 284(1) (1998) 291-7)、3−アルキル−(5,5−ジフェニル)イミダゾリジンジオン(M. Kanyonyo, S. J. Govaerts, E. Hermans, J. H. Poupaert, D. M. Lambert, Bioorg. Med. Chem. Lett. 9 (15) (1999) 2233-2236)、および3−アルキル−5−アリールイミダゾリジンジオン(F. Ooms, J. Wouters, O. Oscaro. T. Happaerts, G. Bouchard, P. A. Carrupt, B. Testa, D. M. Lambert, J. Med. Chem. 45 (9) (2002) 1748-1756)が、CB受容体と拮抗するか、またはhCB受容体上でインバースアゴニストとして作用することが知られている。WO00/15609(FR2783246−A1)、WO01/64634(FR2805817−A1)、WO02/28346、WO01/64632(FR2805818−A1)およびWO01/64633(FR2805810−A1)に、CBのアンタゴニストとしての置換1−ビス(アリール)メチルアゼチジン誘導体が、開示されている。WO01/70700に、4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール誘導体が、CBアンタゴニストとして記載されている。複数の特許に、架橋および非架橋の1,5−ジフェニル−3−ピラゾールカルボキシアミド誘導体が、CBアンタゴニスト/インバースアゴニストとして開示されている(WO01/32663、WO00/46209、WO97/19063、EP658546、EP656354、US5624941、EP576357およびUS3940418)。しかし、ヒトの医薬としての使用に適した改善された薬物動態的および薬力学的性質を有する強力な低分子量CBモジュレータが、依然として求められている。
【0015】
それゆえ本発明の目的は、選択的で直接作用するCB受容体アンタゴニスト/インバースアゴニスを提供することである。そのようなアンタゴニスト/インバースアゴニストは、医学療法に(特に、CB受容体のモジュレーションに関連する疾患の治療および/または予防に)有用である。
【0016】
他に断りがなければ、以下の定義が、本明細書の発明を記載するのに用いた様々な用語の意義および範囲を例示および定義するために示される。
【0017】
本明細書において、用語「低級」は、炭素原子1〜7個、好ましくは1〜4個からなる基を意味するために用いられている。
【0018】
単独か、または他の基と一緒に用いられる用語「アルキル」は、炭素原子が1〜20個、好ましくは炭素原子が1〜16個、より好ましくは炭素原子が1〜10個の、分枝鎖または直鎖一価飽和脂肪族炭化水素基を指す。
【0019】
単独か、または他の基と一緒に用いられる用語「低級アルキル」または「C1〜7−アルキル」は、炭素原子が1〜7個、好ましくは炭素原子が1〜4個の、分枝鎖または直鎖一価アルキル基を指す。この用語は、更に、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、イソブチル、t−ブチル、n−ペンチル、3−メチルブチル、n−ヘキシル、2−エチルブチルなどの基を例とする。
【0020】
用語「アルコキシ」は、基:R'−O−(式中、R'は、アルキルである)を指す。用語「低級アルコキシ」または「C1〜7−アルコキシ」は、R'が低級アルキルである、基:R'−O−を指す。低級アルコキシ基の例は、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシおよびヘキシルオキシであり、メトキシが特に好ましい。
【0021】
用語「低級アルコキシアルキル」または「C1〜7−アルコキシ−C1〜7−アルキル」は、先に定義された低級アルコキシ基で一置換または多置換された、先に定義された低級アルキルを指す。低級アルコキシアルキル基の例は、例えば、−CH−O−CH、−CH−CH−O−CH、−CH−O−CH−CH、および本明細書に具体的に例示した基である。最も好ましくは、低級アルコキシアルキルは、メトキシエチルである。
【0022】
用語「低級ヒドロキシアルキル」または「ヒドロキシ−C1〜7−アルキル」は、低級アルキル基の水素原子の少なくとも1個が、ヒドロキシ基で置換された、先に定義された低級アルキル基を指す。好ましいのは、C3〜7−ヒドロキシアルキル基である。低級ヒドロキシアルキル基の例は、2−ヒドロキシブチル、3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピルおよび本明細書に具体的に例示した基である。
【0023】
用語「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素、およびヨウ素を指す。好ましい「ハロゲン」基は、フッ素または塩素である。
【0024】
用語「低級ハロゲンアルキル」または「ハロゲン−C1〜7−アルキル」は、ハロゲン、好ましくはフルオロまたはクロロ、最も好ましくはフルオロで一置換または多置換された低級アルキル基を指す。低級ハロゲンアルキル基の例は、例えば、−CF、−CHF、−CHCl、−CHCF、−CH(CF、−CF−CF、および本明細書に具体的に例示された基である。
【0025】
用語「低級ハロゲンアルコキシ」または「ハロゲン−C1〜7−アルコキシ」は、低級アルコキシ基の水素原子の少なくとも1個が、ハロゲン原子、好ましくはフルオロまたはクロロ、最も好ましくはフルオロにより置換された、先に定義された低級アルコキシ基を指す。中でも、好ましいハロゲン化低級アルコキシ基は、トリフルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、フルオロメトキシおよびクロロメトキシであり、トリフルオロメトキシが特に好ましい。
【0026】
用語「低級ヒドロキシハロゲンアルキル」または「ヒドロキシ−ハロゲン−C1〜7−アルキル」は、ヒドロキシ基で更に置換されている、本明細書の先に定義された低級ハロゲンアルキル基を指す。低級ヒドロキシハロゲンアルキル基の例は、例えば、3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシプロピルおよび本明細書に具体的に例示された基である。
【0027】
用語「シクロアルキル」または「C3〜7−シクロアルキル」は、炭素原子が3〜7個、好ましくは3〜5個の一価炭素環基を指す。この用語は、更に、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロヘプチルなどの基を例とし、シクロプロピルが特に好ましい。
【0028】
用語「低級シクロアルキルアルキル」または「C〜C−シクロアルキル−C〜C−アルキル」は、先に定義されたシクロアルキル基で一置換または多置換された、先に定義された低級アルキル基を指す。低級シクロアルキルアルキル基の例は、例えば、−CH−シクロプロピル、−CH−CH−シクロブチル、−CH−シクロペンチル、および本明細書に具体的に例示された基である。
【0029】
用語「ヘテロアリール」は、窒素、酸素および/または硫黄から選択される原子を1、2または3個含み得る芳香族5または6員環を指す。ヘテロアリール基の例は、例えば、フリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、チエニル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、オキサジアゾリル、オキサトリアゾリル、テトラゾリル、ペンタゾリル、またはピロリルである。そのヘテロアリール基は、場合により、独立して低級アルキルまたはハロゲンにより一置換または二置換されていてもよい。用語「ヘテロアリール」は、ヘテロ原子を1〜3個含む環原子を9〜10個有する二環式芳香族部分、例えば、ベンゾフラニル、ベンゾチアゾリル、インドリル、ベンゾオキサゾリル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、およびベンゾチエニルも包含する。好ましいヘテロアリール基は、場合により、独立して低級アルキルまたはハロゲンにより一置換または二置換されていてもよい、イソオキサゾリル、ピリジル、ピリミジニル、イミダゾリル、トリアゾリル、およびチアゾリルである。より好ましいヘテロアリール基は、場合により、独立して低級アルキルまたはハロゲンにより一置換または二置換されていてもよい、ピリジル、ピリミジニルおよびチアゾリルである。特に好ましいのは、ピリミジン−5−イル、ピリジン−3−イル、ピリジン−2−イル、5−フルオロピリジン−2−イル、ピリジン−4−イルおよびチアゾール−2−イルである。
【0030】
用語「低級ヘテロアリールアルキル」または「ヘテロアリール−C1〜7−アルキル」は、低級アルキル基の水素原子の少なくとも1個が、先に定義されたヘテロアリール基により置換された、先に定義された低級アルキル基を指す。
【0031】
用語「薬学的に許容され得る塩」は、生体に対し非毒性である、式Iで示される化合物の、無機酸または有機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸、クエン酸、ギ酸、マレイン酸、酢酸、フマル酸、コハク酸、酒石酸、メタンスルホン酸、サリチル酸、p−トルエンスルホン酸など)での塩を包含する。酸での好ましい塩は、ギ酸塩、マレイン酸塩、クエン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、およびメタンスルホン酸塩であり、塩酸塩が特に好ましい。
【0032】
詳細には、本発明は、一般式:
【0033】
【化2】

【0034】
〔式中、
は、
シクロアルキル(非置換であるか、またはヒドロキシもしくは低級アルコキシにより置換されている)、
低級ヒドロキシアルキル、低級ヒドロキシハロゲンアルキル、
−CH−CR10−シクロアルキル、および
−CR1112−COOR13
からなる群から選択され;
は、水素または低級アルキルであり;
10は、水素、ヒドロキシまたは低級アルコキシであり;
11およびR12は、互いに独立して、水素または低級アルキルであり;
13は、低級アルキルであり;
は、水素であり;
は、
シクロアルキル、低級シクロアルキルアルキル、
低級アルコキシ、低級アルコキシアルキル、
ハロゲン、低級ハロゲンアルキル、
フェニル(非置換であるか、または独立して低級アルキルもしくはハロゲンにより一置換もしくは二置換されている)、
低級フェニルアルキル(ここで、フェニルは非置換であるか、または独立して低級アルキルもしくはハロゲンにより一置換もしくは二置換されている)、
ヘテロアリール(非置換であるか、または独立して低級アルキルもしくはハロゲンにより一置換もしくは二置換されている)、および
低級へテロアリールアルキル(ここで、ヘテロアリール基は、非置換であるか、または独立して低級アルキルもしくはハロゲンにより一置換もしくは二置換されている)
からなる群から選択され;
およびRは、互いに独立して、水素またはハロゲンであり;
およびRは、互いに独立して、水素、ハロゲン、低級ハロゲンアルキル、低級ハロゲンアルコキシおよびシアノからなる群から選択され;
は、水素、ハロゲン、低級ハロゲンアルキル、低級ハロゲンアルコキシおよびシアノからなる群から選択される〕
で示される新規な化合物、および薬学的に許容され得るその塩に関する。
【0035】
好ましいのは、Rが、シクロアルキル(非置換であるか、またはヒドロキシもしくは低級アルコキシにより置換されている)、あるいは−CH−CR10−シクロアルキル(式中、Rは、水素または低級アルキルであり、R10は、水素、ヒドロキシおよび低級アルコキシから選択される)である、先に定義された式Iで示される化合物である。
【0036】
特に好ましいのは、Rが、ヒドロキシにより置換されたシクロアルキルである、式Iで示されるそれらの化合物である。最も好ましくは、Rは、ヒドロキシにより置換されたシクロヘキシルである。
【0037】
同じく好ましいのは、Rが、−CH−CR10−シクロアルキルであり、Rが、水素または低級アルキルであり、R10が、水素、ヒドロキシおよび低級アルコキシから選択される、先に定義された式Iで示される化合物である。より好ましくは、Rは、−CH−CR10−シクロアルキルであり、ここで、Rは、メチルであり、R10は、ヒドロキシである。最も好ましくは、Rは、−CH−C(CH)OH−シクロプロピルである。
【0038】
好ましい本発明の式Iで示される化合物は、Rが、シクロアルキル、低級シクロアルキルアルキル、低級アルコキシ、低級アルコキシアルキル、ヘテロアリール(非置換であるか、または独立して低級アルキルもしくはハロゲンにより一置換もしくは二置換されている)、および低級へテロアリールアルキル(ここで、ヘテロアリール基は、非置換であるか、または独立して低級アルキルもしくはハロゲンにより一置換もしくは二置換されている)からなる群から選択される、更なるそれらのものである。
【0039】
より好ましいのは、Rが、シクロアルキル、低級アルコキシアルキルおよび、ヘテロアリール(非置換であるか、または独立して低級アルキルもしくはハロゲンにより一置換もしくは二置換されている)からなる群から選択される、先に定義された式Iで示される化合物である。
【0040】
特に好ましいのは、Rが、シクロアルキルである、先に定義された式Iで示される化合物である。
【0041】
が、低級アルコキシアルキルである、式Iで示される化合物も、特に好ましい。
【0042】
更に、Rが、ヘテロアリール(非置換であるか、または独立して低級アルキルもしくはハロゲンにより一置換もしくは二置換されている)である、式Iで示される化合物が、特に好ましい。より好ましくは、Rは、ピリジル、ピリミジニルおよびチアゾリルから選択されるヘテロアリールであり、前記ヘテロアリールは、非置換であるか、または独立して低級アルキルもしくはハロゲンにより一置換もしくは二置換されている。最も好ましくは、Rは、ピリミジン−5−イル、ピリジン−3−イル、ピリジン−2−イル、5−フルオロピリジン−2−イル、ピリジン−4−イルおよびチアゾール−2−イルからなる群から選択される。
【0043】
同じく好ましいのは、RおよびRが、互いに独立して、水素またはハロゲンであり、RおよびRが、互いに独立して、水素、ハロゲン、低級ハロゲンアルキル、低級ハロゲンアルコキシおよびシアノからなる群から選択され、Rが、水素、ハロゲン、低級ハロゲンアルキル、低級ハロゲンアルコキシおよびシアノからなる群から選択され、かつR〜Rが、全て水素になることはない、本発明の式Iで示される化合物である。
【0044】
より好ましくは、本発明の式Iで示される化合物は、Rが、ハロゲンまたは低級ハロゲンアルキルであり、R、R、RおよびRが、水素である、それらのものである。
【0045】
特に好ましいのは、Rが、フルオロ、クロロおよびトリフルオロメチルの群から選択される、式Iで示される化合物である。
【0046】
好ましい一般式Iで示される化合物は、以下の化合物:
5−(4−クロロ−フェニル)−N−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−6−(3−メトキシ−プロピル)−ニコチンアミド、
5−(4−クロロ−フェニル)−6−(2−シクロプロピル−エチル)−N−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−ニコチンアミド、
N−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−6−(2−ピリミジン−5−イル−エチル)−5−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ニコチンアミド、
5−(4−クロロ−フェニル)−N−((R)−2−シクロプロピル−2−ヒドロキシ−プロピル)−6−(2−ピリジン−3−イル−エチル)−ニコチンアミド、
5−(4−フルオロ−フェニル)−N−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−6−(2−ピリジン−3−イル−エチル)−ニコチンアミド、
5−(4−フルオロ−フェニル)−6−[2−(5−フルオロ−ピリジン−2−イル)−エチル]−N−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−ニコチンアミド、
5−(4−クロロ−フェニル)−N−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−6−(2−ピリジン−3−イル−エチル)−ニコチンアミド、
5−(4−クロロ−フェニル)−N−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−6−(2−ピリジン−2−イル−エチル)−ニコチンアミド、
N−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−6−(2−ピリジン−3−イル−エチル)−5−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ニコチンアミド、
N−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−6−(2−ピリジン−2−イル−エチル)−5−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ニコチンアミド、
5−(4−フルオロ−フェニル)−N−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−6−(2−ピリジン−2−イル−エチル)−ニコチンアミド、
5−(4−フルオロ−フェニル)−N−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−6−(2−ピリジン−4−イル−エチル)−ニコチンアミド、
5−(4−フルオロ−フェニル)−N−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−6−(2−チアゾール−2−イル−エチル)−ニコチンアミド、
5−(4−クロロ−フェニル)−N−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−6−(2−ピリミジン−5−イル−エチル)−ニコチンアミド、
5−(4−クロロ−フェニル)−6−[2−(5−フルオロ−ピリジン−2−イル)−エチル]−N−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−ニコチンアミド、
6−[2−(5−フルオロ−ピリジン−2−イル)−エチル]−N−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−5−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ニコチンアミド、
N−((R)−2−シクロプロピル−2−ヒドロキシ−プロピル)−5−(4−フルオロ−フェニル)−6−(2−ピリジン−4−イル−エチル)−ニコチンアミド、
N−((R)−2−シクロプロピル−2−ヒドロキシ−プロピル)−5−(4−フルオロ−フェニル)−6−(2−チアゾール−2−イル−エチル)−ニコチンアミド、
5−(4−クロロ−フェニル)−N−((R)−2−シクロプロピル−2−ヒドロキシ−プロピル)−6−(2−ピリジン−2−イル−エチル)−ニコチンアミド、
N−((R)−2−シクロプロピル−2−ヒドロキシ−プロピル)−6−(2−ピリジン−2−イル−エチル)−5−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ニコチンアミド、
および薬学的に許容され得るそのすべての塩である。
【0047】
特に好ましいのは、
5−(4−クロロ−フェニル)−6−(2−シクロプロピル−エチル)−N−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−ニコチンアミド、
5−(4−クロロ−フェニル)−N−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−6−(2−ピリジン−3−イル−エチル)−ニコチンアミド、
5−(4−クロロ−フェニル)−N−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−6−(2−ピリジン−2−イル−エチル)−ニコチンアミド、
N−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−6−(2−ピリジン−3−イル−エチル)−5−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ニコチンアミド、
N−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−6−(2−ピリジン−2−イル−エチル)−5−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ニコチンアミド、
5−(4−フルオロ−フェニル)−N−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−6−(2−チアゾール−2−イル−エチル)−ニコチンアミド、
5−(4−クロロ−フェニル)−6−[2−(5−フルオロ−ピリジン−2−イル)−エチル]−N−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−ニコチンアミド
および薬学的に許容され得るそのすべての塩からなる群から選択される化合物である。
【0048】
本発明は、塩基性条件下でカップリング剤を用いて、式II:
【0049】
【化3】

【0050】
(式中、R〜Rは、本明細書の先に定義されたとおりである)で示される化合物を式III:
【0051】
【化4】

【0052】
(式中、RおよびRは、本明細書の先に定義されたとおりである)で示されるアミンとカップリングさせ、
所望なら、得られた式Iで示される化合物を薬学的に許容され得るその塩に変換することを含む、先に定義された式Iで示される化合物の製造方法にも関する。
【0053】
式IIで示される化合物を式IIIで示されるアミンと反応させるためのカップリング剤は、例えば、N,N’−カルボニルジイミダゾール(CDI)、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDCI)、1−[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]−1H−1,2,3−トリアゾロ[4,5−b]ピリジニウム−3−オキシドヘキサフルオロホスファート(HATU)、1−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾール(HOBT)、またはO−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボラート(TBTU)である。好ましいカップリング剤は、TBTUである。適切な塩基としては、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、そして好ましくはHuenig塩基が挙げられる。
【0054】
あるいは本発明は、触媒の存在下で、式IV:
【0055】
【化5】

【0056】
(式中、R、RおよびR〜Rは、本明細書の先に定義されたとおりである)で示される化合物を水素化し、
所望なら、得られた式Iで示される化合物を薬学的に許容され得るその塩に変換することを含む、先に定義された式Iで示される化合物の製造方法に関する。
【0057】
好ましくは、触媒は、パラジウム−炭素である。
【0058】
こうして式Iで示される化合物は、以下に示される方法、実施例に示される方法、または類似の方法により製造することができる。各反応ステップの適切な反応条件は、当業者に公知である。出発原料は、市販されているか、あるいは以下に示される方法もしくは実施例に示される方法と類似の方法により、または当該技術分野で公知の方法により製造することができる。
【0059】
式Iで示される化合物は、スキーム1により、化合物:Aから出発して、不活性溶媒中の適切なアリール金属類および触媒系を用いて立体選択的アリール化を行い、中間体:ABを得ることにより、製造することができる。有利には、そのようなアリール金属類は、アリールボロン酸であってもよく、それを不活性溶媒(例えば、トルエン)中、パラジウム触媒(例えば、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)またはビス(ジフェニルホスフィノフェロセン)ジクロロパラジウム(II))の存在下そして炭酸ナトリウムのような塩基の存在下、室温〜溶媒の沸点の範囲の温度でAと反応させる。
【0060】
式ABで示される化合物を得るための、式AAで示される化合物のケン化は、適切な溶媒(例えば、テトラヒドロフランおよびそれと水またはメタノールとの混合物)中、適切な塩基(例えば金属水酸化物、好ましくは水酸化リチウム)の存在下、0℃〜100℃の範囲の温度、好ましくは20℃で実施することができる。
【0061】
一般式ACで示される化合物を得るための、一般式ABで示される化合物とアミンとのカップリングは、ペプチド結合の形成に用いられる方法により実施することができる。本発明の特別な一態様において、一般式ACで示される化合物は、カップリング試薬(例えば、TBTU(O−ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボラート)により活性化され、不活性溶媒(例えば、DMF)中、適切な塩基(例えば、トリエチルアミンまたはHuenig塩基)の存在下でアミンとカップリングされる。
【0062】
一般式ACで示される化合物は、一般式XBで示されるアルキニルとの反応により、一般式ADで示される化合物に転換することができる。有利には、この反応は、不活性溶媒(例えば、テトラヒドロフランまたはジメチルホルムアミド)中、適切な触媒系(例えば、ビス(ジフェニルホスフィノフェロセン)ジクロロパラジウム(II)、ヨウ化銅(I)およびトリフェニルホスフィン−ポリスチレン)の存在下、適切な塩基(例えば、ジイソプロピルエチルアミンまたはジエチルアミン)の存在下、120℃のマイクロ波オーブンで実行される。
【0063】
【化6】

【0064】
一般式ADで示される化合物を、水素化して、式Iで示される化合物を得ることができる。有利には、この反応は、不活性溶媒(例えば、酢酸エチルまたはエタノール)中、適切な触媒系(例えば、パラジウム−炭素)の存在下、適切な温度および圧力(例えば、室温および1バールの水素圧)で実行される。
【0065】
あるいは、一般式AAで示される化合物は、一般式XBで示されるアルキニルとの反応により、一般式BBで示される化合物に転換することができる。有利には、この反応は、不活性溶媒(例えば、テトラヒドロフランまたはジメチルホルムアミド)中、適切な触媒系(例えば、ビス(ジフェニルホスフィノフェロセン)ジクロロパラジウム(II)、ヨウ化銅(I)およびトリフェニルホスフィン−ポリスチレン)の存在下、適切な塩基(例えば、ジイソプロピルエチルアミンまたはジエチルアミン)の存在下、120℃のマイクロ波オーブンで実行される。
【0066】
【化7】

【0067】
一般式BBで示される化合物を水素化して、式BCで示される化合物を得ることができる。有利には、この反応は、不活性溶媒(例えば、酢酸エチルまたはエタノール)中、適切な触媒系(例えば、パラジウム−炭素)の存在下、適切な温度および圧力(例えば、室温および1バールの水素圧)で実行される。
【0068】
式BDで示される化合物を得るための、式BCで示される化合物のケン化は、適切な溶媒(例えば、テトラヒドロフランおよびそれと水またはメタノールとの混合物)中、適切な塩基(例えば金属水酸化物、好ましくは水酸化リチウム)の存在下、0℃〜100℃の範囲の温度、好ましくは20℃で実施することができる。
【0069】
一般式Iで示される化合物を得るための、一般式BDで示される化合物とアミンとのカップリングは、ペプチド結合の形成に用いられる方法により実施することができる。本発明の特別な一態様において、一般式BDで示される化合物は、カップリング試薬(例えば、TBTU(O−ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボラート)により活性化され、不活性溶媒(例えば、DMF)中、適切な塩基(例えば、トリエチルアミンまたはHuenig塩基)の存在下でアミンとカップリングされる。
【0070】
一般式XBで示される化合物は、Rがアリールまたはヘテロアリール基を表すならば、スキーム3により製造することができる。
【0071】
式Xで示される臭化アリールまたはヘテロアリールを、Sonogashira反応において、不活性溶媒(例えば、トルエン)中、塩基(例えば、ジイソプロピルアミン)の存在下、適切な触媒系(例えば、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)およびヨウ化銅(I))を用いて、高温(例えば、60℃)で(トリメチルシリル)アセチレンとカップリングさせると、式XAで示される化合物が得られる。
【0072】
式XBで示される化合物を得るための、式XAで示される化合物の脱保護は、適切な溶媒(例えば、メタノール)中、塩基(例えば、炭酸カリウム)を用いて、室温で実行することができる。
【0073】
【化8】

【0074】
本発明は、更に、先に定義された方法により製造される、先に定義された式Iで示される化合物に関する。
【0075】
式Iで示される数種の化合物は、不斉中心を有していてもよく、それゆえ、1種を超える立体異性体が存在する可能性がある。つまり本発明は、1個以上の不斉中心で実質的に純粋な異性形態の化合物に加え、そのラセミ混合物などの混合物にも関する。そのような異性体は、例えばキラル中間体を用いて、不斉合成により製造してもよく、または混合物を、従来の方法、例えば、クロマトグラフィー(キラル吸着剤または溶離液によるクロマトグラフィー)により、もしくは可溶化剤の使用により分割してもよい。
【0076】
本発明の一般式Iで示される化合物を官能基で誘導体化して、インビボで親化合物に戻り得る誘導体が得られることは理解されよう。
【0077】
先に記載されたとおり、式Iで示される化合物または薬学的に許容され得るその塩を、CB受容体のモジュレーションに関連する疾患の治療および/または予防用の医薬として使用してもよい。
【0078】
それゆえ本発明は、先に定義された化合物、ならびに薬学的に許容され得る担体および/または佐剤を含む医薬組成物にも関する。
【0079】
更に本発明は、治療活性物質として、特にCB受容体のモジュレーションに関連する疾患の治療および/または予防用の治療活性物質として使用される、先に定義された化合物に関する。
【0080】
別の実施形態において、本発明は、先に定義された化合物をヒトまたは動物に投与することを含む、CB受容体のモジュレーションに関連する疾患の治療および/または予防の方法に関する。
【0081】
更に本発明は、CB受容体のモジュレーションに関連する疾患の治療および/または予防用の、先に定義された化合物の使用に関する。
【0082】
加えて本発明は、CB受容体のモジュレーションに関連する疾患の治療および/または予防用の医薬を製造するための、先に定義された化合物の使用に関する。そのような医薬は、先に定義された化合物を含む。
【0083】
この文脈において、表現「CB受容体のモジュレーションに関連する疾患」は、CB受容体のモジュレーションにより治療および/または予防され得る疾患を意味する。そのような疾患としては、非限定的に、精神障害、特に、不安、精神病、統合失調症、うつ病、向精神薬の濫用(例えば、アルコール依存およびニコチン依存をはじめとする物質の濫用および/または依存のため)、ニューロパシー、多発性硬化症、片頭痛、ストレス、てんかん、ジスキネジー、パーキンソン病、健忘症、認知障害、記憶欠損、老人性認知症、アルツハイマー病、摂食障害、肥満、II型糖尿病もしくは非インスリン依存性糖尿病(NIDD)、胃腸疾患、嘔吐、下痢、泌尿器障害、心臓血管障害、不妊症、炎症、感染、癌、神経炎症(特に、アテローム硬化症またはギラン・バレー症候群)、ウイルス性脳炎、脳血管障害、および頭部外傷が挙げられる。
【0084】
好ましい態様において、表現「CB受容体のモジュレーションに関連する疾患」は、摂食障害、肥満、II型糖尿病または非インスリン依存性糖尿病(NIDD)、神経炎症、下痢、アルコール依存およびニコチン依存をはじめとする物質の濫用および/または依存に関する。より好ましい態様において、前記用語は、摂食障害、肥満、II型糖尿病または非インスリン依存性糖尿病(NIDD)、アルコール依存およびニコチン依存をはじめとする物質の濫用および/または依存に関し、肥満が特に好ましい。
【0085】
更に好ましい目的は、治療有効量の式Iで示される化合物を、治療有効量の、肥満または摂食障害の処置用の他の薬物と併用または関連付けて投与することで、それらが一緒になって効果的緩和を付与することを含む、肥満および肥満関連の障害の治療または予防のための方法を提供することである。適切な他の薬物としては、非限定的に、食欲抑制剤、リパーゼ阻害剤および選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)が挙げられる。上記薬剤の併用または関連付けは、別投与、連続投与または同時投与を包含してもよい。
【0086】
好ましいリパーゼ阻害剤は、テトラヒドロリプスタチンである。
【0087】
本発明の化合物と併用して使用する適切な食欲抑制剤としては、非限定的に、アミノレクス、アンフェクロラール、アンフェタミン、ベンズフェタミン、クロルフェンテルミン、クロベンゾレクス、クロホレクス、クロミノレクス、クロルテルミン、シクレキセドリン、デクスフェンフルラミン、デクストロアンフェタミン、ジエチルプロピオン、ジフェメトキシジン(diphemethoxidine)、N−エチルアンフェタミン、フェンブトラゼート、フェンフルラミン、フェニソレクス、フェンプロポレクス、フルドレクス、フルミノレクス、フルフリルメチルアンフェタミン、レバンフェタミン、レボファセトペラン、マジンドール、メフェノレクス、メタンフェプラモン、メタンフェタミン、ノルプソイドエフェドリン、ペントレクス、フェンジメトラジン、フェンメトラジン、フェンテルミン、フェニルプロパノールアミン、ピシロレクスおよびシブトラミン、ならびに薬学的に許容され得るそれらの塩が挙げられる。
【0088】
最も好ましい食欲抑制剤は、シブトラミンおよびフェンテルミンである。
【0089】
本発明の化合物と併用して使用する適切な選択的セロトニン再取り込み阻害剤としては、フルオキセチン、フルボキサミン、パロキセチンおよびセルトラリン、ならびに薬学的に許容され得るそれらの塩が挙げられる。
【0090】
更に好ましい目的は、治療有効量の式Iで示される化合物を、治療有効量のリパーゼ阻害剤(特に、リパーゼ阻害剤は、オルリスタットである)と併用または関連付けて投与することを含む、ヒトにおけるII型糖尿病(非インスリン依存性糖尿病(NIDDM))の治療または予防の方法を提供することである。同じく本発明の目的は、式Iで示される化合物およびリパーゼ阻害剤(特にテトラヒドロリプスタチン)の同時投与、別投与または連続投与のための上記の方法である。
【0091】
更に好ましい目的は、治療有効量の式Iで示される化合物を、1)ピオグリタゾンまたはロシグリタゾンなどのPPARγアゴニスト;2)メトホルミンなどのビグアニド;3)グリベンクラミドなどのスルホニル尿素;4)GW−2331などのPPARα/γアゴニスト;5)LAF−237(Vildagliptin)またはMK−0431などのDPP−IV阻害剤;6)例えばWO00/58293A1などに開示された化合物などのグルコキナーゼ活性化剤、からなる群から選択される治療有効量の抗糖尿病剤と併用または関連付けて投与することを含む、ヒトにおけるII型糖尿病(非インスリン依存性糖尿病(NIDDM))の治療または予防の方法を提供することである。同じく本発明の目的は、式Iで示される化合物と、1)ピオグリタゾンまたはロシグリタゾンなどのPPARγアゴニスト;2)メトホルミンなどのビグアニド;3)グリベンクラミドなどのスルホニル尿素;4)GW−2331などのPPARα/γアゴニスト;5)LAF−237(Vildagliptin)またはMK−0431などのDPP−IV阻害剤;6)例えばWO00/58293 A1などに開示された化合物などのグルコキナーゼ活性化剤、としての治療有効量の抗糖尿病剤と、の同時投与、別投与または連続投与のための上記の方法である。
【0092】
更に好ましい目的は、治療有効量の式Iで示される化合物を、1)コレスチラミンなどの胆汁酸捕捉剤;2)アトルバスタチンなどのHMG−CoAリダクターゼ阻害剤;3)エゼチミブなどのコレステロール吸収阻害剤;4)トルセトラピブ、JTT705などのCETP阻害剤;5)ベクロフィブラート(beclofibrate)、フェノフィブラートなどのPPARαアゴニスト;6)ナイアシンなどのリポ蛋白質合成阻害剤;および7)ナイアシン受容体アゴニストとしての治療有効量の脂質低下剤、と併用または関連付けて投与することを含む、ヒトにおける脂質代謝異常の治療または予防の方法を提供することである。同じく本発明の目的は、式Iで示される化合物と、1)コレスチラミンなどの胆汁酸捕捉剤;2)アトルバスタチンなどのHMG−CoAリダクターゼ阻害剤;3)エゼチミブなどのコレステロール吸収阻害剤;4)トルセトラピブ、JTT705などのCETP阻害剤;5)ベクロフィブラート、フェノフィブラートなどのPPARαアゴニスト;6)ナイアシンなどのリポ蛋白質合成阻害剤;および7)ナイアシン受容体アゴニスト、としての治療有効量の脂質低下剤と、の同時投与、別投与または連続投与のための上記の方法である。
【0093】
本発明の化合物の更なる生物活性の実証を、当該技術分野で周知のインビトロアッセイ、エクスビボアッセイ、およびインビボアッセイにより実行してもよい。例えば、肥満関連の障害(例えば、糖尿病、X症候群またはアテローム硬化性疾患など)、および関連の障害(例えば、高トリグリセリド血症および高コレステロール血症)の処置に対する薬剤の有効性を実証するために、以下のアッセイを用いてもよい。
【0094】
血糖値を測定する方法
【0095】
db/dbマウス(Jackson Laboratories, Bar Harbor, MEから得る)を、採血して(眼または尾静脈から)、同等の平均血糖値により群分けする。それらに、試験化合物を1日1回7〜14日間、経口投与する(薬学的に許容され得る担体中での胃管栄養法による)。この時点で、動物の眼または尾静脈から再度、採血し、血糖値を測定する。
【0096】
トリグリセリド値を測定する方法
【0097】
hApoAlマウス(Jackson Laboratories, Bar Harbor, MEから得る)を、採血して(眼または尾静脈から)、同等の平均血清トリグリセリド値により群分けする。それらに、試験化合物を1日1回7〜14日間、経口投与する(薬学的に許容され得る担体中での胃管栄養法による)。その後、動物の眼または尾静脈から再度、採血し、血清トリグリセリド値を測定する。
【0098】
HDL−コレステロール値を測定する方法
【0099】
血漿HDL−コレステロール値を測定するために、hApoA1マウスを採血して、同等の平均血漿HDL−コレステロール値により群分けする。マウスに担体または試験化合物を1日1回7〜14日間経口投与し、その後、翌日に採血する。血漿のHDL−コレステロールを分析する。
【0100】
加えて、本発明の化合物のCNS活性を実証するために、以下のインビボアッセイを利用してもよい。
【0101】
タスク学習および空間記憶を試験する方法
【0102】
モリス水迷路を日常的に用いて、タスク学習および空間記憶を評価する(Jaspers et al., Neurosci. Lett. 117:149-153, 1990; Morris, J. Neurosci. Methods 11: 47-60, 1984)。このアッセイでは、動物を4分円状に分割した水プールに入れる。一つのプラットフォームが、4分円の一つに隠されている。動物を水プールに入れて、所定の時間内に隠されたプラットフォームを探し出させる。数回の訓練試験の間に、動物はプラットフォームの位置およびプールからの逃避手段を学習する。動物はこのタスクで複数回の試験を受ける。泳いだ全距離、プラットフォームを探し当てた試験の回数、プラットフォームを見つけるのにかかった時間、および遊泳経路を、動物毎に記録する。隠されたプラットフォームを見つけるのに必要な時間の長さ、または試験の回数により、動物の学習能力を測定する。習得後に、所定の遅延時間でプラットフォームを見つけた試験の数またはかかった時間により、記憶の欠損または改善を測定する。習得期間の間、プラットフォームが存在する4分円を動物が横切った回数により、学習および記憶を測定してもよい。
【0103】
薬物依存を試験する方法
【0104】
動物における自己投与は、ヒトにおける化合物の濫用可能性の予測因子となる。この手順の改良法を利用して、濫用可能性を有する薬物の強化効果を予防または遮断する化合物を同定してもよい。薬物の自己投与を絶つ化合物により、薬物濫用または依存を予防しうる(Ranaldi et al., Psychopharmacol. 161: 442-448, 2002; Campbell et al., Exp. Clin. Psychopharmacol. 8:312-25, 2000)。自己投与試験では、動物を活性および不活性の両方のレバーを含むオペラント箱に入れる。活性レバーでの各応答により、試験化合物または自己投与で知られる薬物のいずれかが注入される。不活性レバーが押されても何も効果がないが、記録はされる。その後、毎日のセッションごとに薬物に接触することにより、一定時間をかけて化合物/薬物を自己投与することを動物に訓練する。チャンバーの屋内灯の照明が、セッション開始および化合物/薬物利用性を示すシグナルとなる。セッションが終了したら、屋内灯を消す。最初は、活性レバーを押す毎に、薬物注入が起こる。レバー押し行動が確立されると、押して薬物を注入させる回数が増加する。安定した化合物/薬物自己投与が得られた後、薬物強化行動に対する第2の化合物の影響を評価してもよい。セッションの前にこの第2の化合物を投与すると、自己投与行動が増強もしくは消失するか、または変化を起こさない可能性がある。
【0105】
以下の試験は、式Iで示される化合物の活性を測定するために実施した。
【0106】
Semliki Forest Virusシステムを放射線リガンドの[H]−CP−55,940と共に用い、ヒトカンナビスCB受容体を一過性にトランスフェクトしたヒト胎児腎臓(HEK)細胞の膜調製物を利用して、カンナビノイドCB受容体に関する本発明の化合物の親和力を測定した。新たに調製した細胞膜調製物に、本発明の化合物を添加して、または添加せずに、[H]−リガンドと共にインキュベートした後、結合したリガンドと遊離リガンドとを、ガラス繊維フィルタでのろ過により分離した。フィルタ上の放射線活性を、液体シンチレーションカウントにより測定した。
【0107】
Semliki Forest Virusシステムを放射線リガンドの[H]−CP−55,940と共に用い、ヒトカンナビスCB受容体を一過性にトランスフェクトしたヒト胎児腎臓(HEK)細胞の膜調製物を利用して、カンナビノイドCB受容体に関する本発明の化合物の親和力を測定した。新たに調製した細胞膜調製物に、本発明の化合物を添加して、または添加せずに、[H]−リガンドと共にインキュベートした後、結合したリガンドと遊離リガンドとを、ガラス繊維フィルタでのろ過により分離した。フィルタ上の放射線活性を、液体シンチレーションカウントにより測定した。
【0108】
ヒトカンナビノイドCB受容体が安定発現されるCHO細胞を用いた機能試験により、本発明の化合物のカンナビノイドCB拮抗活性を測定した(M. Rinaldi-Carmona et al., J. Pharmacol. Exp. Ther. 278(1996) 871参照)。細胞系におけるヒトカンナビノイド受容体の安定発現は、最初、それぞれNature 1990, 346, 561-564 (CB)およびNature 1993, 365, 61-65 (CB)に記載された。アデニリルシクラーゼを、フォルスコリンを用いて刺激し、蓄積されたサイクリックAMPの量を定量することにより測定した。CB受容体アゴニスト(例えば、CP−55,940または(R)−WIN−55212−2)によるCB受容体の同時活性化で、フォルスコリンによるcAMP蓄積が濃度依存的に減少する可能性がある。このCB受容体を介した応答は、本発明の化合物などのCB受容体アンタゴニストにより拮抗される可能性がある。
【0109】
式(I)で示される化合物は、Devane et. al., Mol. Pharmacol. 34 (1988) 605-613に記載された実験条件で測定すると、CB受容体への優れた親和力を示す。本発明の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩は、CB受容体のアンタゴニストでそれへの選択性があり、Ki=0.5μM、好ましくは200nM未満、より好ましくは1nM〜100nMの親和力を有する。それらは、CB受容体に対して少なくとも10倍の選択性を示す。
【0110】
【表1】

【0111】
NMRIマウスでのCP55,940による低体温に対するCB受容体アンタゴニスト/インバースアゴニストの影響
【0112】
動物
【0113】
雄NMRIマウスをこの試験に用いたが、それらはFuellinsdorf(スイス)のResearch Consulting Company Ltd (RCC)から得た。体重30〜31gのマウスを、この試験に用いた。周囲温度は約20〜21℃、相対湿度は55〜65%であった。室内は12時間の明暗周期を維持し、全ての試験を照光時間に実施した。給水および給餌に自由に近づくことができた。
【0114】
方法
【0115】
測定は全て、午前12:00〜午後5:00に行った。マウスをこの環境に入れ、少なくとも2時間馴化させた後で、実験を開始した。マウスは、いつも自由に飼料および水に近づくことができた。各用量毎に、マウス8匹を使用した。直腸体温の測定値を、直腸用プローブ(PhysitempのRET2)およびデジタル温度計(Cole Parmer, Chicago USAのDigi-sense n°8528-20)を用いて記録した。プローブは、各マウスに約3.5cm挿入した。
【0116】
体温を測定した15分後に、担体またはCB受容体アンタゴニスト/インバースアゴニストのいずれかを投与した。この化合物をそれぞれ腹腔内投与または経口投与し、30または90分後に化合物そのものの影響を評価するために、直腸体温を記録した。直後に、CB受容体アゴニストCP55,940(0.3mg/kg)を静脈内投与し、その後、CP55940を静脈内投与して20分後に再度、体温を測定した。
【0117】
摂食行動を調節する能力についての式(I)で示される化合物のインビボ活性を、絶食動物の食物消費を記録することにより評価した。
【0118】
1日あたり2時間、摂餌できることをラットに訓練し、22時間は絶食した。このスケジュールで訓練すると、この2時間摂食セッションの間、1日あたりの摂食量が、毎日一定になった。
【0119】
式Iで示される化合物の、摂食量を減少させる能力を試験するために、動物8匹をクロスオーバー試験に用いた。床に格子の付いたPlexiglasボックスで、ラットを個別に飼育し、ケージの床の下に紙を置いて、こぼれたものを集めた。予め計量した飼料を入れた給餌器(becher)を、動物に2時間与えた。摂食セッションの終了時に、ラットを飼育ケージに戻した。実験開始前に各ラットの体重を計量し、この2時間の摂食セッションで消費した飼料の量を記録した。2時間の摂食セッションの60分前に、様々な用量の試験化合物または担体のいずれかを経口投与した。陽性対照:Rimonabant(SR141716)を実験に含ませた。反復測定値でのAnova解析を利用し、その後、事後検定Student Neumann-Keuls法を利用した。*:生食水処置ラットと比較してP<0.05
【0120】
その上、疾患または障害における式Iで示される化合物の有用性を、文献に報告された動物疾患モデルで実証してもよい。以下は、そのような動物疾患モデルの例である:a)マーモセットにおける甘味食の摂食量の減少(Behavioural Pharm, 1998, 9, 179-181);b)マウスにおけるショ糖およびエタノール摂食量の減少(Psychopharm. 1997, 132, 104-106);c)ラットにおける運動活性および場所条件付けの増加(Psychopharm. 1998, 135, 324-332; Psychopharmacol. 2000, 151: 25-30);d)マウスにおける自発運動(J. Pharm. Exp. Ther. 1996, 277, 586-594);e)マウスにおける鎮静剤自己投与の減少(Sci. 1999, 283, 401-404)。
【0121】
式Iで示される化合物および/またはその薬学的に許容され得る塩は、例えば、経腸投与、非経口投与または局所投与用の医薬製剤の形態で、医薬として用いてもよい。それらは、例えば、経口投与(例えば、錠剤、コート錠、糖剤、ハードおよびソフトゼラチンカプセル、液剤、乳剤または懸濁剤の形態で)、経直腸投与(例えば、坐剤の形態で)、非経口投与(例えば、注射溶液または輸注溶液の形態で)、または局所投与(例えば、軟膏、クリームまたはオイルの形態で)を行うことができる。経口投与が好ましい。
【0122】
該医薬製剤の製造は、式Iで示される上記の化合物および/またはその薬学的に許容され得る塩を、場合により他の薬学的に有用な物質と配合させて、適切な非毒性不活性の治療適合性固体または液体担体材料、および所望なら通常の医薬佐剤と共に生薬投与形態にすることにより、当業者に知られる手法で実行することができる。
【0123】
適切な担体材料は、無機担体材料だけでなく、有機担体材料もある。つまり、例えば、ラクトース、コーンスターチまたはその誘導体、タルク、ステアリン酸またはその塩を、錠剤、コート錠、糖剤、およびハードゼラチンカプセル用の担体材料として用いることができる。ソフトゼラチンカプセル用の適切な担体材料は、例えば、植物油、ワックス、脂肪、半固形および液体ポリオールである(しかし、活性成分の性質にもよるが、ソフトゼラチンカプセルの場合、担体が必要ない場合がある)。液剤およびシロップの製造用の適切な担体材料は、例えば、水、ポリオール、ショ糖、転化糖などである。注射溶液用の適切な担体材料は、例えば、水、アルコール、ポリオール、グリセロール、植物油である。坐剤用の適切な担体材料は、例えば、天然油、硬化油、ワックス、脂肪、半液体ポリオールまたは液体ポリオールである。局所製剤用の適切な担体材料は、グリセリド、半合成および合成グリセリド、水添油、液体ワックス、流動パラフィン、液体脂肪アルコール、ステロール、ポリエチレングリコール、ならびにセルロース誘導体である。
【0124】
通常の安定剤、防腐剤、湿潤剤、乳化剤、稠度改良剤、風味改良剤、浸透圧を変動させる塩、緩衝物質、可溶化剤、着色剤、マスキング剤および抗酸化剤が、医薬佐剤として考慮される。
【0125】
式(I)で示される化合物の投与量は、管理される疾患、患者の年齢および各状態、ならびに投与様式に応じて広い限界内で変動してもよいが、もちろん、個々の症例の各要件に適合させる。成人患者では、日用量 約1〜1000mg、特に約1〜100mgが、考慮される。疾患の重症度および正確な薬物動態プロファイルに応じて、化合物を複数の日用量単位(例えば、1〜3用量単位)で投与してもよい。
【0126】
該医薬製剤は、簡便には、式Iで示される化合物を約1〜500mg、好ましくは1〜100mg含む。
【0127】
以下の実施例は、本発明をより詳細に例示するものである。しかしそれらは、発明の範囲を限定するものではない。
【0128】
実施例
LC=水/アセトニトリル移動相(0.1%ギ酸)を使用するAtlantis C18逆相カラムによるHPLCクロマトグラフィー、Waters Micromass(登録商標)ZQTM質量分析計(移動相:A=ギ酸(水)0.1%;B=ギ酸(アセトニトリル)0.1%;流速1ml/分;注入量3mL;検出器215nm(名目上);勾配時間/%有機相:0分/5%、2.5分/100%、2.7分/100%、2.71分/5%、3.0分/5%)にリンクしている;Rt=保持時間。
MS=質量分析;EI=電子衝撃;ISP=イオンスプレー(ES=エレクトロスプレーに対応する)。
NMRデータは、内部テトラメチルシランに対して100万分の1(d)で報告されて、試料溶媒(特に明記しない限り、d−DMSO)から重水素ロックシグナルに関する;結合定数(J)はヘルツである。
mp=融点;bp=沸点;
TBTU=O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチル−ウロニウム−テトラフルオロボラート;DMF=ジメチルホルムアミド、dppf=1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン;PyBOP=ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ)トリピロリジノ−ホスホニウムへキサフルオロホスファート。
【0129】
実施例1
5−(4−クロロ−フェニル)−N−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−6−(3−メトキシ−プロピル)−ニコチンアミド
【0130】
a) 6−クロロ−5−(4−クロロ−フェニル)−ニコチン酸メチルエステル
トルエン(200mL)中の5−ブロモ−6−クロロ−ニコチン酸メチルエステル(10g、40mmol)の溶液に、4−クロロフェニル−ボロン酸(6.4g、40mmol)、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)ジクロロメタン錯体(1.6g、2mmol)および2M炭酸ナトリウム溶液(60mL)を加えた。反応混合物を2時間90℃で撹拌した。冷却後、相を分離した;水相を酢酸エチル(200mL)で1回抽出し、有機相を水およびブライン(各150mL)で1回洗浄し、合わせて、MgSOで乾燥させた。溶媒の蒸発後、粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して(ジクロロメタン/ヘプタン 2:1〜9:1)、無色の固体として6−クロロ−5−(4−クロロ−フェニル)−ニコチン酸メチルエステル、8.12g(72%収率)を得た。m/z(ES):281.1、283.1(M+H)。
【0131】
b) 6−クロロ−5−(4−クロロ−フェニル)−ニコチン酸
水酸化リチウム一水和物(2.41g、57mmol)を、窒素下、室温で、テトラヒドロフラン(120mL)および水(34mL)中の6−クロロ−5−(4−クロロ−フェニル)−ニコチン酸メチルエステル(8.1g、29mmol)の溶液に加えた。反応混合物を、20時間、室温で撹拌し、氷/水(200g)上に注ぎ、1N HCl(120mL)で酸性化して、全体を酢酸エチル(250mL)で抽出した。水相を酢酸エチルで2回抽出し(2×200mL)、有機相を合わせ、MgSOで乾燥させて、減圧下で濃縮した。6−クロロ−5−(4−クロロ−フェニル)−ニコチン酸を無色の固体として単離して、さらに精製しないで使用した;7.30g(94%収率)。m/z(ISP):266.1(M−H)。
【0132】
c) 6−クロロ−5−(4−クロロ−フェニル)−N−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−ニコチンアミド
6−クロロ−5−(4−クロロ−フェニル)−ニコチン酸(1.4g、5mmol)を、N,N−ジメチルホルムアミド(30mL)に溶解した。この溶液に、順次、(1R,2R)−2−アミノ−シクロヘキサノール塩酸塩(0.87g、6mmol)、TBTU(1.84g、6mmol)、およびN−エチルジイソプロピルアミン(4.47mL、26mmol)を加えた。反応混合物を室温で72時間撹拌し、次に減圧下で濃縮した。次に、残留物を酢酸エチル(100mL)に溶解して、0.5N HCl(100mL)、飽和重炭酸ナトリウム(100mL)および水(100mL)で洗浄した。水相を酢酸エチル(2×100mL)で抽出し、有機物を合わせて、全体をMgSOで乾燥させて、減圧下で濃縮した。固体残留物を、撹拌により(酢酸エチル/ヘプタン 1:2、50mL)で精製して、無色の固体として6−クロロ−5−(4−クロロ−フェニル)−N−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−ニコチンアミド、1.4g(73%収率)を得た。m/z(ISP):364.9、366.9(M+H)。
【0133】
d) 5−(4−クロロ−フェニル)−N−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−6−(3−メトキシ−プロパ−1−イニル)−ニコチンアミド
ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(52mg、0.074mmol)、ヨウ化第一銅(I)(14mg、0.074mmol)、トリフェニルホスフィンポリスチレン樹脂(146mg、1.48mmol/g)およびプロパルギルメチルエーテル(104mg、1.48mmol)を、アルゴン下、室温で、N,N−ジメチルホルムアミド中の6−クロロ−5−(4−クロロ−フェニル)−N−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−ニコチンアミド(450mg、1.23mmol)の溶液に加えた。混合物を70分間、マイクロ波オーブン中、120℃で照射した。ポリスチレン樹脂を濾別して、酢酸エチルで洗浄した。濾液を1N HCl(80mL)で処理した;相を分離して、水相を酢酸エチル(2×100mL)で抽出した。有機相を水(100mL)および飽和重炭酸ナトリウム溶液(100mL)で洗浄した。次に、有機相を合わせ、MgSOで乾燥させて、減圧下で濃縮した。残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して(ヘプタン/酢酸エチル 1:2〜1:9)、明黄色の固体として5−(4−クロロ−フェニル)−N−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−6−(3−メトキシ−プロパ−1−イニル)−ニコチンアミドを得た;0.13g(26%収率)。m/z(ISP):399.1(M+H)。
【0134】
e) 5−(4−クロロ−フェニル)−N−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−6−(3−メトキシ−プロピル)−ニコチンアミド
パラジウム担持炭(18mg、10%)を、酢酸エチル(12mL)中の5−(4−クロロ−フェニル)−N−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−6−(3−メトキシ−プロパ−1−イニル)−ニコチンアミド(100mg、0.25mmol)の溶液に加えた。混合物を2時間、室温および0.4bar陽水素圧で水素化して、その後、理論水素量を消費した。次に、触媒を濾別して、溶媒を蒸発させて、橙色の固体として、さらに精製しないで5−(4−クロロ−フェニル)−N−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−6−(3−メトキシ−プロピル)−ニコチンアミド93mg(92%収率)が得られた。m/z(ISP):403.2、405.2(M+H)。
【0135】
実施例2
5−(4−クロロ−フェニル)−6−(2−シクロプロピル−エチル)−N−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−ニコチンアミド
標記化合物を、出発物質として6−クロロ−5−(4−クロロ−フェニル)−N−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−ニコチンアミドおよびエチニルシクロプロパンを使用して、実施例1d〜1eと同様に合成した;2工程にわたって189mg、46%が得られた;m/z(ISP):399.2、401.3(M+H)。
【0136】
実施例3
N−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−6−(2−ピリミジン−5−イル−エチル)−5−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ニコチンアミド
【0137】
a) 5−トリメチルシラニルエチニル−ピリミジン
テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(727mg、0.6mmol)を、窒素下で、トルエンおよびジイソプロピルアミン(1:1、200mL)中の5−ブロモピリミジン(5.0g、31.4mmol)およびヨウ化銅(I)(120mg、0.6mmol)の撹拌・脱気した懸濁液に加えた。反応混合物を60℃に加熱し、トリメチルシリルアセチレン(4.89ml、34.6mmol)を加えて、反応混合物を3時間、60℃で撹拌した。反応混合物を放置して室温に冷却し、酢酸エチル(200ml)で希釈して、飽和塩化アンモニウム水溶液(3×100ml)で洗浄した。有機層を分離し、MgSOで乾燥させて、減圧下で濃縮した。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して(5%酢酸エチル/ヘプタン)、淡褐色の固体として5−トリメチルシラニルエチニル−ピリミジン、4.71g(85%収率)を得た。215nmでのLC;保持時間2.07:88%、m/z(ES):177(M+H)。
【0138】
b) 5−エチニル−ピリミジン
炭酸カリウム(7.38g、53.4mmol)を、メタノール(10ml)中の5−トリメチルシラニルエチニル−ピリミジン(4.71g、26.7mmol)の撹拌した溶液に一度に加えた。反応混合物を2時間、室温で撹拌し、次に減圧下で濃縮した。残留物をジクロロメタン中に懸濁して、無機固体を濾過により除去した。濾液を減圧下で濃縮して溶媒およそ95%を除去して、粗形成における褐色の油状物として5−エチニル−ピリミジンが得られた。この物質を、さらに精製しないでその後のsonogashira反応で使用した。
【0139】
c) 6−クロロ−5−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ニコチン酸エチルエステルおよび6−クロロ−5−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ニコチン酸メチルエステル
テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(104mg、0.9mmol)を、トルエンおよびエタノール(2:1、50ml)中の5−ブロモ−6−クロロ−ニコチン酸メチルエステル(4.50g、18.0mmol)、4−(トリフルオロメチル)−フェニルボロン酸(3.76g、19.8mmol)および炭酸カリウム(4.98g、36mmol)の脱気した懸濁液に加えた。反応混合物を80℃で16時間撹拌し、次に室温に冷却し、水(50ml)を加えて、全体を酢酸エチル(3×100ml)で抽出した。有機物を合わせ、MgSOで乾燥させて、減圧下で濃縮した。残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して(20%酢酸エチル/ヘプタン)、45:55の比率で、6−クロロ−5−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ニコチン酸エチルエステルおよび6−クロロ−5−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ニコチン酸メチルエステルの混合物、2.46g(42%収率)が得られた。215nmでのLC;保持時間2.31:53%、m/z(ES):316(M+H)および保持時間2.43:44%、m/z(ES):330(M+H)。
【0140】
d) 6−ピリミジン−5−イル−エチニル−5−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ニコチン酸エチルエステルおよび6−ピリミジン−5−イルエチニル−5−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ニコチン酸メチルエステル
テトラヒドロフランおよびN−エチルジイソプロピルアミン(1:1、10ml)中の5−エチニル−ピリミジン(2.0mmol)の脱気した溶液を、テトラヒドロフランおよびN−エチルジイソプロピルアミン(1:1、5ml)中の2−クロロ−5−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ニコチン酸エチルエステルおよび2−クロロ−5−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ニコチン酸メチルエステル(45:55、296mg、1.0mmol)、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリドジクロロメタン錯体(1:1)(49mg、0.06mmol)、ポリマー担持トリフェニルホスフィン(135mg、1.48mmol/g、0.2mmol)およびヨウ化銅(I)(11mg、0.06mmol)の脱気した懸濁液に加えた。反応混合物を120℃で、20時間、窒素雰囲気下で加熱した。反応混合物を室温に冷却して、固体を濾過により除去した。固体を酢酸エチル(100ml)で洗浄し、有機液を合わせて、飽和塩化アンモニウム水溶液(3×50ml)で洗浄した。次に、有機層を、MgSOで乾燥させて、減圧下で濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィーによる精製(20%酢酸エチル/ヘプタン)を行って、1:1の比率で、褐色の油状物として6−ピリミジン−5−イルエチニル−5−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ニコチン酸エチルエステルおよび6−ピリミジン−5−イルエチニル−5−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ニコチン酸メチルエステルの混合物、330mg(83%収率)を得た。215nmでのLC;保持時間2.21:43%、m/z(ES):384(M+H)および保持時間2.33:43%、m/z(ES):398(M+H)。
【0141】
e) 6−(2−ピリミジン−5−イル−エチル)−5−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ニコチン酸エチルエステルおよび6−(2−ピリミジン−5−イル−エチル)−5−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ニコチン酸メチルエステル
パラジウム担持炭(10%w/w、30mg)を、エタノール(10ml)中の6−ピリミジン−5−イルエチニル−5−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ニコチン酸エチルエステルおよび6−ピリミジン−5−イルエチニル−5−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ニコチン酸メチルエステル(1:1、330mg、0.83mmol)の溶液に加えた。反応混合物を、室温、水素雰囲気下で、20時間撹拌した。反応容器を窒素でパージして、触媒を濾過により除去した。反応混合物を減圧下で濃縮して、46:54の比率で、6−(2−ピリミジン−5−イル−エチル)−5−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ニコチン酸エチルエステルおよび6−(2−ピリミジン−5−イル−エチル)−5−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ニコチン酸メチルエステルの混合物、196mg(59%収率)を得た。215nmでのLC;保持時間2.05:47%、m/z(ES):388(M+H)および保持時間2.18:40%、m/z(ES):402(M+H)。
【0142】
f) 6−(2−ピリミジン−5−イル−エチル)−5−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ニコチン酸
1M水酸化リチウム水溶液(2.25ml、2.25mmol)を、テトラヒドロフランおよびメタノール(6:1、7ml)中の6−(2−ピリミジン−5−イル−エチル)−5−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ニコチン酸エチルエステルおよび6−(2−ピリミジン−5−イル−エチル)−5−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ニコチン酸メチルエステル(46:54、196mg、0.49mmol)の溶液に加えた。反応混合物を20時間、室温で撹拌し、次に減圧下で濃縮した。残留物をジオキサン中の4M HCl(0.56ml、2.25mmol)で処理して、減圧下で濃縮して、粗6−(2−ピリミジン−5−イル−エチル)−5−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ニコチン酸を得た。この物質を、さらに精製しないで次のアミドカップリング工程で使用した。215nmでのLC;保持時間1.72:89%、m/z(ES):374(M+H)。
【0143】
g) N−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−6−(2−ピリミジン−5−イル−エチル)−5−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ニコチンアミド
N,N−ジメチルホルムアミド(1.2ml)中の(1R,2R)−2−アミノ−シクロヘキサノール塩酸塩(41mg、0.27mmol)の溶液を、N,N−ジメチルホルムアミド(1.7ml)中のTBTU(234mg、0.73mmol)、6−(2−ピリミジン−5−イル−エチル)−5−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ニコチン酸(0.24mmol)およびN−エチルジイソプロピルアミン(0.21ml、1.22mmol)の懸濁液に加えた。反応混合物を室温で20時間振とうし、次に減圧下で濃縮した。次に、残留物をジクロロメタン(2ml)に溶解して、水(2ml)で洗浄した。水層を分離して、ジクロロメタン(2ml)で抽出し、有機物を合わせて、全体をMgSOで乾燥させて、減圧下で濃縮した。残留物を分取HPLCにより精製して、N−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−6−(2−ピリミジン−5−イル−エチル)−5−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ニコチンアミド、49mg(2工程にわたって44%収率)が得られた。215nmでのLC;保持時間3.92:92%、m/z(ES):471(M+H)。
【0144】
実施例4
5−(4−クロロ−フェニル)−N−((R)−2−シクロプロピル−2−ヒドロキシ−プロピル)−6−(2−ピリジン−3−イル−エチル)−ニコチンアミド
標記化合物を、実施例3と同様に、出発物質として3−ブロモピリジン、5−ブロモ−6−クロロ−ニコチン酸メチルエステル、4−クロロ−フェニルボロン酸および(R)−1−アミノ−2−シクロプロピル−プロパン−2−オールを使用して合成した;2工程にわたって5.9mg、5%を最終2工程にわたって得た。215nmでのLC;保持時間3.17:93%、m/z(ES):436(M+H)。
【0145】
実施例5
5−(4−フルオロ−フェニル)−N−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−6−(2−ピリジン−3−イル−エチル)−ニコチンアミド
標記化合物を、実施例3と同様に、出発物質として3−ブロモピリジン、5−ブロモ−6−クロロ−ニコチン酸メチルエステル、4−フルオロ−フェニルボロン酸および(1R,2R)−2−アミノ−シクロヘキサノールを使用して合成した;11.0mg、7%を最終2工程にわたって得た。215nmでのLC;保持時間2.95:98%、m/z(ES):420(M+H)。
【0146】
実施例6
5−(4−フルオロ−フェニル)−6−[2−(5−フルオロ−ピリジン−2−イル)−エチル]−N−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−ニコチンアミド
標記化合物を、実施例3と同様に、出発物質として2−ブロモ−5−フルオロピリジン、5−ブロモ−6−クロロ−ニコチン酸メチルエステル、4−フルオロ−フェニルボロン酸および(1R,2R)−2−アミノ−シクロヘキサノールを使用して合成した;31.7mg、27%を最終2工程にわたって得た。215nmでのLC;保持時間3.88:100%、m/z(ES):438(M+H)。
【0147】
実施例7
5−(4−クロロ−フェニル)−N−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−6−(2−ピリジン−3−イル−エチル)−ニコチンアミド
標記化合物を、実施例3と同様に、出発物質として3−ブロモピリジン、5−ブロモ−6−クロロ−ニコチン酸メチルエステル、4−クロロ−フェニルボロン酸および(1R,2R)−2−アミノ−シクロヘキサノールを使用して合成した;24.7mg、19%を最終2工程にわたって得た。215nmでのLC;保持時間3.12:99%、m/z(ES):436(M+H)。
【0148】
実施例8
5−(4−クロロ−フェニル)−N−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−6−(2−ピリジン−2−イル−エチル)−ニコチンアミド
標記化合物を、実施例3と同様に、出発物質として2−ブロモピリジン、5−ブロモ−6−クロロ−ニコチン酸メチルエステル、4−クロロ−フェニルボロン酸および(1R,2R)−2−アミノ−シクロヘキサノールを使用して合成した;28.0mg、21%を最終2工程にわたって得た。215nmでのLC;保持時間3.10:98%、m/z(ES):436(M+H)。
【0149】
実施例9
N−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−6−(2−ピリジン−3−イル−エチル)−5−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ニコチンアミド
標記化合物を、実施例3と同様に、出発物質として3−ブロモピリジン、5−ブロモ−6−クロロ−ニコチン酸メチルエステル、4−トリフルオロメチル−フェニルボロン酸および(1R,2R)−2−アミノ−シクロヘキサノールを使用して合成した;7.2mg、19%を最終2工程にわたって得た。215nmでのLC;保持時間3.28:94%、m/z(ES):470(M+H)。
【0150】
実施例10
N−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−6−(2−ピリジン−2−イル−エチル)−5−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ニコチンアミド
標記化合物を、実施例3と同様に、出発物質として2−ブロモピリジン、5−ブロモ−6−クロロ−ニコチン酸メチルエステル、4−トリフルオロメチル−フェニルボロン酸および(1R,2R)−2−アミノ−シクロヘキサノールを使用して合成した;35.2mg、22%を最終2工程にわたって得た。215nmでのLC;保持時間3.25:93%、m/z(ES):470(M+H)。
【0151】
実施例11
5−(4−フルオロ−フェニル)−N−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−6−(2−ピリジン−2−イル−エチル)−ニコチンアミド
標記化合物を、実施例3と同様に、出発物質として2−ブロモピリジン、5−ブロモ−6−クロロ−ニコチン酸メチルエステル、4−フルオロ−フェニルボロン酸および(1R,2R)−2−アミノ−シクロヘキサノールを使用して合成した;10.0mg、10%を最終2工程にわたって得た。215nmでのLC;保持時間2.95:94%、m/z(ES):420(M+H)。
【0152】
実施例12
5−(4−フルオロ−フェニル)−N−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−6−(2−ピリジン−4−イル−エチル)−ニコチンアミド
標記化合物を、実施例3と同様に、出発物質として4−ブロモピリジン、5−ブロモ−6−クロロ−ニコチン酸メチルエステル、4−フルオロ−フェニルボロン酸および(1R,2R)−2−アミノ−シクロヘキサノールを使用して合成した;9.0mg、24%を最終2工程にわたって得た。215nmでのLC;保持時間2.93:86%、m/z(ES):420(M+H)。
【0153】
実施例13
5−(4−フルオロ−フェニル)−N−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−6−(2−チアゾール−2−イル−エチル)−ニコチンアミド
標記化合物を、実施例3と同様に、出発物質として2−ブロモチアゾール、5−ブロモ−6−クロロ−ニコチン酸メチルエステル、4−フルオロ−フェニルボロン酸および(1R,2R)−2−アミノ−シクロヘキサノールを使用して合成した;14.7mg、11%を最終2工程にわたって得た。215nmでのLC;保持時間3.85:93%、m/z(ES):426(M+H)。
【0154】
実施例14
5−(4−クロロ−フェニル)−N−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−6−(2−ピリミジン−5−イル−エチル)−ニコチンアミド
標記化合物を、実施例3と同様に、出発物質として5−ブロモピリミジン、5−ブロモ−6−クロロ−ニコチン酸メチルエステル、4−クロロ−フェニルボロン酸および(1R,2R)−2−アミノ−シクロヘキサノールを使用して合成した;44.4mg、34%を最終2工程にわたって得た。215nmでのLC;保持時間3.78:94%、m/z(ES):437(M+H)。
【0155】
実施例15
5−(4−クロロ−フェニル)−6−[2−(5−フルオロ−ピリジン−2−イル)−エチル]−N−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−ニコチンアミド
標記化合物を、実施例3と同様に、出発物質として2−ブロモ−5−フルオロ−ピリジン、5−ブロモ−6−クロロ−ニコチン酸メチルエステル、4−クロロ−フェニルボロン酸および(1R,2R)−2−アミノ−シクロヘキサノールを使用して合成した;21.4mg、43%を最終2工程にわたって得た。215nmでのLC;保持時間4.12:99%、m/z(ES):454(M+H)。
【0156】
実施例16
6−[2−(5−フルオロ−ピリジン−2−イル)−エチル]−N−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−5−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ニコチンアミド
標記化合物を、実施例3と同様に、出発物質として2−ブロモ−5−フルオロ−ピリジン、5−ブロモ−6−クロロ−ニコチン酸メチルエステル、4−トリフルオロメチル−フェニルボロン酸および(1R,2R)−2−アミノ−シクロヘキサノールを使用して合成した;14.5mg、33%を最終2工程にわたって得た。215nmでのLC;保持時間4.26:95%、m/z(ES):488(M+H)。
【0157】
実施例17
N−((R)−2−シクロプロピル−2−ヒドロキシ−プロピル)−5−(4−フルオロ−フェニル)−6−(2−ピリジン−4−イル−エチル)−ニコチンアミド
標記化合物を、実施例3と同様に、出発物質として4−ブロモ−ピリジン、5−ブロモ−6−クロロ−ニコチン酸メチルエステル、4−トリフルオロメチル−フェニルボロン酸および(R)−1−アミノ−2−シクロプロピル−プロパン−2−オールを使用して合成した;14.2mg、38%を最終2工程にわたって得た。215nmでのLC;保持時間2.93:95%、m/z(ES):420(M+H)。
【0158】
実施例18
N−((R)−2−シクロプロピル−2−ヒドロキシ−プロピル)−5−(4−フルオロ−フェニル)−6−(2−チアゾール−2−イル−エチル)−ニコチンアミド
標記化合物を、実施例3と同様に、出発物質として2−ブロモ−チアゾール、5−ブロモ−6−クロロ−ニコチン酸メチルエステル、4−フルオロ−フェニルボロン酸および(R)−1−アミノ−2−シクロプロピル−プロパン−2−オールを使用して合成した;14.2mg、11%を最終2工程にわたって得た。215nmでのLC;保持時間3.91:97%、m/z(ES):426(M+H)。
【0159】
実施例19
5−(4−クロロ−フェニル)−N−((R)−2−シクロプロピル−2−ヒドロキシ−プロピル)−6−(2−ピリジン−2−イル−エチル)−ニコチンアミド
標記化合物を、実施例3と同様に、出発物質として2−ブロモ−ピリジン、5−ブロモ−6−クロロ−ニコチン酸メチルエステル、4−クロロ−フェニルボロン酸および(R)−1−アミノ−2−シクロプロピル−プロパン−2−オールを使用して合成した;17.0mg、13%を最終2工程にわたって得た。215nmでのLC;保持時間3.16:88%、m/z(ES):436(M+H)。
【0160】
実施例20
N−((R)−2−シクロプロピル−2−ヒドロキシ−プロピル)−6−(2−ピリジン−2−イル−エチル)−5−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ニコチンアミド
標記化合物を、実施例3と同様に、出発物質として2−ブロモ−ピリジン、5−ブロモ−6−クロロ−ニコチン酸メチルエステル、4−トリフルオロメチル−フェニルボロン酸および(R)−1−アミノ−2−シクロプロピル−プロパン−2−オールを使用して合成した;22.4mg、14%を最終2工程にわたって得た。215nmでのLC;保持時間3.31:98%、m/z(ES):470(M+H)。
【0161】
実施例A
下記の成分を含有するフィルムコート錠は、常法により製造することができる:
成分 1錠当たり
核:
式(I)の化合物 10.0mg 200.0mg
微晶質セルロース 23.5mg 43.5mg
含水乳糖 60.0mg 70.0mg
ポビドンK30 12.5mg 15.0mg
デンプングリコール酸ナトリウム 12.5mg 17.0mg
ステアリン酸マグネシウム 1.5mg 4.5mg
(核重量) 120.0mg 350.0mg
フィルムコート:
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 3.5mg 7.0mg
ポリエチレングリコール6000 0.8mg 1.6mg
タルク 1.3mg 2.6mg
酸化鉄(黄色) 0.8mg 1.6mg
二酸化チタン 0.8mg 1.6mg
【0162】
活性成分を篩にかけ、微晶質セルロースと混合し、混合物をポリビニルピロリドンの水溶液で造粒する。顆粒をデンプングリコール酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムと混合し、圧縮して、それぞれ120または350mgの核を得る。上記のフィルムコートの水溶液/懸濁液を核に塗布する。
【0163】
実施例B
下記の成分を含有するカプセル剤は、常法により製造することができる:
成分 1カプセル当たり
式(I)の化合物 25.0mg
乳糖 150.0mg
トウモロコシデンプン 20.0mg
タルク 5.0mg
【0164】
成分を篩にかけ、混合し、サイズ2のカプセルに充填する。
【0165】
実施例C
注射液は下記の組成を有することができる:
式(I)の化合物 3.0mg
ポリエチレングリコール 400 150.0mg
酢酸 適量 pH5.0にする量
注射用水 全量を1.0mlにする量
【0166】
活性成分を、ポリエチレングリコール 400および注射用水(部分)の混合物に溶解した。pHを、酢酸を加えて5.0に調整した。容量を、残りの水を加えて1.0mlに調整した。溶液を濾過し、適切な過多量を使用してバイアルに充填して、滅菌した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式:
【化9】


〔式中、
は、
シクロアルキル(非置換であるか、またはヒドロキシもしくは低級アルコキシにより置換されている)、
低級ヒドロキシアルキル、低級ヒドロキシハロゲンアルキル、
−CH−CR10−シクロアルキル、および
−CR1112−COOR13
からなる群から選択され;
は、水素または低級アルキルであり;
10は、水素、ヒドロキシおよび低級アルコキシから選択され;
11およびR12は、互いに独立して、水素または低級アルキルであり;
13は、低級アルキルであり;
は、水素であり;
は、
シクロアルキル、低級シクロアルキルアルキル、
低級アルコキシ、低級アルコキシアルキル、
ハロゲン、低級ハロゲンアルキル、
フェニル(非置換であるか、または独立して低級アルキルもしくはハロゲンにより一置換もしくは二置換されている)、
低級フェニルアルキル(ここで、フェニルは非置換であるか、または独立して低級アルキルもしくはハロゲンにより一置換もしくは二置換されている)、
ヘテロアリール(非置換であるか、または独立して低級アルキルもしくはハロゲンにより一置換もしくは二置換されている)、および
低級へテロアリールアルキル(ここで、ヘテロアリール基は、非置換であるか、または独立して低級アルキルもしくはハロゲンにより一置換もしくは二置換されている)
からなる群から選択され;
およびRは、互いに独立して、水素またはハロゲンであり;
およびRは、互いに独立して、水素、ハロゲン、低級ハロゲンアルキル、低級ハロゲンアルコキシおよびシアノからなる群から選択され;
は、水素、ハロゲン、低級ハロゲンアルキル、低級ハロゲンアルコキシおよびシアノからなる群から選択される〕
で示される化合物、および薬学的に許容され得るその塩。
【請求項2】
が、シクロアルキル(非置換であるか、またはヒドロキシもしくは低級アルコキシにより置換されている)、あるいは−CH−CR10−シクロアルキル(式中、Rは、水素または低級アルキルであり、R10は、水素、ヒドロキシおよび低級アルコキシから選択される)である、請求項1記載の式Iで示される化合物。
【請求項3】
が、ヒドロキシにより置換されたシクロアルキルである、請求項1または2のいずれか1項記載の式Iで示される化合物。
【請求項4】
が、−CH−CR10−シクロアルキルであり、Rが、水素または低級アルキルであり、R10が、水素、ヒドロキシおよび低級アルコキシから選択される、請求項1または2記載の式Iで示される化合物。
【請求項5】
が、−CH−CR10−シクロアルキルであり、ここで、Rが、メチルであり、R10が、ヒドロキシである、請求項1、2または4のいずれか1項記載の式Iで示される化合物。
【請求項6】
が、シクロアルキル、低級シクロアルキルアルキル、低級アルコキシ、低級アルコキシアルキル、ヘテロアリール(非置換であるか、または独立して低級アルキルもしくはハロゲンにより一置換もしくは二置換されている)、および低級へテロアリールアルキル(ここで、ヘテロアリール基は、非置換であるか、または独立して低級アルキルもしくはハロゲンにより一置換もしくは二置換されている)からなる群から選択される、請求項1〜6のいずれか1項記載の式Iで示される化合物。
【請求項7】
が、シクロアルキル、低級アルコキシアルキル、およびヘテロアリール(非置換であるか、または独立して低級アルキルもしくはハロゲンにより一置換もしくは二置換されている)からなる群から選択される、請求項1〜6のいずれか1項記載の式Iで示される化合物。
【請求項8】
が、シクロアルキルである、請求項1〜7のいずれか1項記載の式Iで示される化合物。
【請求項9】
が、低級アルコキシアルキルである、請求項1〜7のいずれか1項記載の式Iで示される化合物。
【請求項10】
が、ヘテロアリール(非置換であるか、または独立して低級アルキルもしくはハロゲンにより一置換もしくは二置換されている)である、請求項1〜7のいずれか1項記載の式Iで示される化合物。
【請求項11】
が、ピリジル、ピリミジニルおよびチアゾリルから選択されるヘテロアリールであり、前記ヘテロアリールが、非置換であるか、または独立して低級アルキルもしくはハロゲンにより一置換もしくは二置換されている、請求項1〜7または10のいずれか1項記載の式Iで示される化合物。
【請求項12】
およびRが、互いに独立して、水素またはハロゲンであり、RおよびRが、互いに独立して、水素、ハロゲン、低級ハロゲンアルキル、低級ハロゲンアルコキシおよびシアノからなる群から選択され、Rが、水素、ハロゲン、低級ハロゲンアルキル、低級ハロゲンアルコキシおよびシアノからなる群から選択され、かつR〜Rが、全て水素になることはない、請求項1〜11のいずれか1項記載の式Iで示される化合物。
【請求項13】
が、ハロゲンまたは低級ハロゲンアルキルであり、R、R、RおよびRが、水素である、請求項1〜12のいずれか1項記載の式Iで示される化合物。
【請求項14】
が、フルオロ、クロロおよびトリフルオロメチルからなる群から選択される、請求項1〜13のいずれか1項記載の式Iで示される化合物。
【請求項15】
5−(4−クロロ−フェニル)−N−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−6−(3−メトキシ−プロピル)−ニコチンアミド、
5−(4−クロロ−フェニル)−6−(2−シクロプロピル−エチル)−N−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−ニコチンアミド、
N−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−6−(2−ピリミジン−5−イル−エチル)−5−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ニコチンアミド、
5−(4−クロロ−フェニル)−N−((R)−2−シクロプロピル−2−ヒドロキシ−プロピル)−6−(2−ピリジン−3−イル−エチル)−ニコチンアミド、
5−(4−フルオロ−フェニル)−N−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−6−(2−ピリジン−3−イル−エチル)−ニコチンアミド、
5−(4−フルオロ−フェニル)−6−[2−(5−フルオロ−ピリジン−2−イル)−エチル]−N−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−ニコチンアミド、
5−(4−クロロ−フェニル)−N−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−6−(2−ピリジン−3−イル−エチル)−ニコチンアミド、
5−(4−クロロ−フェニル)−N−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−6−(2−ピリジン−2−イル−エチル)−ニコチンアミド、
N−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−6−(2−ピリジン−3−イル−エチル)−5−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ニコチンアミド、
N−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−6−(2−ピリジン−2−イル−エチル)−5−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ニコチンアミド、
5−(4−フルオロ−フェニル)−N−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−6−(2−ピリジン−2−イル−エチル)−ニコチンアミド、
5−(4−フルオロ−フェニル)−N−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−6−(2−ピリジン−4−イル−エチル)−ニコチンアミド、
5−(4−フルオロ−フェニル)−N−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−6−(2−チアゾール−2−イル−エチル)−ニコチンアミド、
5−(4−クロロ−フェニル)−N−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−6−(2−ピリミジン−5−イル−エチル)−ニコチンアミド、
5−(4−クロロ−フェニル)−6−[2−(5−フルオロ−ピリジン−2−イル)−エチル]−N−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−ニコチンアミド、
6−[2−(5−フルオロ−ピリジン−2−イル)−エチル]−N−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−5−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ニコチンアミド、
N−((R)−2−シクロプロピル−2−ヒドロキシ−プロピル)−5−(4−フルオロ−フェニル)−6−(2−ピリジン−4−イル−エチル)−ニコチンアミド、
N−((R)−2−シクロプロピル−2−ヒドロキシ−プロピル)−5−(4−フルオロ−フェニル)−6−(2−チアゾール−2−イル−エチル)−ニコチンアミド、
5−(4−クロロ−フェニル)−N−((R)−2−シクロプロピル−2−ヒドロキシ−プロピル)−6−(2−ピリジン−2−イル−エチル)−ニコチンアミド、
N−((R)−2−シクロプロピル−2−ヒドロキシ−プロピル)−6−(2−ピリジン−2−イル−エチル)−5−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ニコチンアミド、
からなる群から選択される、請求項1記載の式Iで示される化合物、および薬学的に許容され得るそのすべての塩。
【請求項16】
5−(4−クロロ−フェニル)−6−(2−シクロプロピル−エチル)−N−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−ニコチンアミド、
5−(4−クロロ−フェニル)−N−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−6−(2−ピリジン−3−イル−エチル)−ニコチンアミド、
5−(4−クロロ−フェニル)−N−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−6−(2−ピリジン−2−イル−エチル)−ニコチンアミド、
N−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−6−(2−ピリジン−3−イル−エチル)−5−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ニコチンアミド、
N−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−6−(2−ピリジン−2−イル−エチル)−5−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ニコチンアミド、
5−(4−フルオロ−フェニル)−N−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−6−(2−チアゾール−2−イル−エチル)−ニコチンアミド、
5−(4−クロロ−フェニル)−6−[2−(5−フルオロ−ピリジン−2−イル)−エチル]−N−((1R,2R)−2−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−ニコチンアミド、
からなる群から選択される、請求項1記載の式Iで示される化合物、および薬学的に許容され得るそのすべての塩。
【請求項17】
塩基性条件下でカップリング剤を用いて、式II:
【化10】


(式中、R〜Rは、請求項1に定義されたとおりである)で示される化合物を式III:
【化11】


(式中、RおよびRは、請求項1に定義されたとおりである)で示されるアミンとカップリングさせ、
所望なら、得られた式Iで示される化合物を薬学的に許容され得るその塩に変換することを含む、請求項1〜16のいずれか記載の式Iで示される化合物の製造方法。
【請求項18】
触媒の存在下で、式IV:
【化12】


(式中、R、RおよびR〜Rは、請求項1に定義されたとおりである)で示される化合物を水素化し、
所望なら、得られた式Iで示される化合物を薬学的に許容され得るその塩に変換することを含む、請求項1〜16のいずれか記載の式Iで示される化合物の製造方法。
【請求項19】
請求項17または18記載の方法により製造される、請求項1〜16のいずれか記載の化合物。
【請求項20】
請求項1〜16のいずれか記載の化合物、ならびに薬学的に許容され得る担体および/または佐剤を含む医薬組成物。
【請求項21】
治療活性物質として使用される、請求項1〜16のいずれか記載の化合物。
【請求項22】
CB受容体のモジュレーションに関連する疾患の治療および/または予防のための治療活性物質として使用される、請求項1〜16のいずれか記載の化合物。
【請求項23】
請求項1〜16のいずれか記載の化合物をヒトまたは動物に投与することを含む、CB受容体のモジュレーションに関連する疾患の治療および/または予防の方法。
【請求項24】
摂食障害、肥満、II型糖尿病または非インスリン依存性糖尿病、アルコール依存およびニコチン依存をはじめとする物質の濫用および/または依存の治療および/または予防のための、請求項23記載の方法。
【請求項25】
CB受容体のモジュレーションに関連する疾患の治療および/または予防用の医薬を製造するための、請求項1〜16のいずれか記載の化合物の使用。
【請求項26】
摂食障害、肥満、II型糖尿病または非インスリン依存性糖尿病、アルコール依存およびニコチン依存をはじめとする物質の濫用および/または依存の治療および/または予防のための、請求項25記載の使用。
【請求項27】
実質的に本明細書の先に記載された新規な化合物、工程および方法、ならびにそのような化合物の使用。

【公表番号】特表2010−503633(P2010−503633A)
【公表日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−527775(P2009−527775)
【出願日】平成19年9月3日(2007.9.3)
【国際出願番号】PCT/EP2007/059167
【国際公開番号】WO2008/031734
【国際公開日】平成20年3月20日(2008.3.20)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】