説明

AKT活性の阻害剤

新規な1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−イル化合物、かかる化合物のプロテインキナーゼB活性の阻害剤としての使用、および癌および関節炎の治療における使用が見出された。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、新規な1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−イル化合物、係る化合物のプロテインキナーゼB(以下、PKB/Akt、PKBまたはAktという)活性の阻害剤として、ならびに癌および関節炎の治療における使用に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
本発明は、1以上のセリン/スレオニンキナーゼ、Akt(プロテインキナーゼBとしても知られる)の1以上のイソ型の活性の阻害剤である1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−イル含有化合物に関する。本発明は、また、かかる化合物を含む医薬組成物、および癌および関節炎の治療において本化合物を用いる方法に関する(Liuら、Current Opin.Pharmacology 3:317−22(2003))。
アポトーシス(プログラムされた細胞死)は、胚発生および変性ニューロン疾患、心血管疾患および癌などの種々の疾患の病因において重要な役割を果たす。近年の研究は、プログラムされた細胞死の調節または実行に関与する種々のプロ−および抗−アポトーシス遺伝子産物の同定に至った。抗−アポトーシス遺伝子、例えば、Bcl2またはBcl−xの発現は、種々の刺激によって誘導されるアポトーシス細胞死を阻害する。一方、プロ−アポトーシス遺伝子、例えば、BaxまたはBadの発現は、プログラムされた細胞死をもたらす(Adamsら、Science,281:1322−1326(1998))。プログラムされた細胞死の実行は、カスパーゼ−3、カスパーゼ−7、カスパーゼ−8およびカスパーゼ−9等を包含するカスパーゼ−1関連プロテイナーゼによって媒介される(Thornberryら、Science,281:1312−1316(1998))。
【0003】
ホスファチジルイノシトール3’−OHキナーゼ(PI3K)/Akt/PKB経路は、細胞生存/細胞死の調節に重要なようである(Kulikら、Mol.Cell.Biol.17:1595−1606(1997);Frankeら、Cell,88:435−437(1997);Kauffmann−Zehら、Nature 385:544−548(1997)Hemmings Science,275:628−630(1997);Dudekら、Science,275:661−665(1997))。血小板由来の成長因子(PDGF)、神経生長因子(NGF)およびインスリン様生長因子−1(IGF−l)などの生存因子は、PI3Kの活性を誘導することによる種々の条件下での細胞生存を促進する(Kulikら、1997,Hemmings 1997)。活性化されたPI3Kは、ホスファチジルイノシトール(3,4,5)−トリホスフェート(PtdIns(3,4,5)−P3)の産生を誘導し、次いで、それは、プレクストリン相同(PH)−ドメインを含有するセリン/スレオニンキナーゼAktに結合し、その活性化を促進する(Frankeら、Cell,81:727−736(1995);Hemmings Science,277:534(1997);Downward,Curr.Opin.Cell Biol.10:262−267(1998),Alessiら、EMBO J.15:6541−6551(1996))。PI3Kの特異的阻害剤またはドミナント・ネガティブAkt/PKB変異体は、これらの成長因子またはサイトカインの生存促進活性を破壊する。PI3Kの阻害剤(LY294002またはウォートマニン(wortmannin))は、上流のキナーゼによるAkt/PKBの活性化を阻害した。さらに、構成的に活性なPI3KまたはAkt/PKB変異体の導入は、細胞が通常はアポトーシス細胞死を受ける条件下で細胞生存を促進する(Kulikら、1997,Dudekら、1997)。
【0004】
ヒト腫瘍におけるAktレベルの分析は、Akt2が有意数の卵巣癌(J.Q.Cheungら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.89:9267−9271(1992))および膵臓癌(J.Q.Cheungら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.93:3636−3641(1996))において過剰発現することを示した。同様に、Akt3は、乳癌および前立腺癌細胞系統において過剰発現することが見出された(Nakataniら、J.Biol.Chem.274:21528−21532(1999))。Akt−2が卵巣癌腫の12%で過剰発現すること、およびAktの増幅が未分化腫瘍の50%において特に頻繁であることが明らかにされ、また、Aktが腫瘍攻撃に関連しうることが示唆された(Bellacosaら、Int.J.Cancer,64,pp.280−285,1995)。Akt1キナーゼ活性の増加は、乳癌、卵巣癌および前立腺癌において報告された(Sunら、Am.J.Pathol.159:431−7(2001))。
【0005】
腫瘍抑制因子PTEN(PtdIns(3,4,5)−P3の3’ホスフェートを特異的に除去するタンパク質および脂質ホスファターゼ)は、PI3K/Akt経路の負のレギュレーターである(Liら、Science 275:1943−1947(1997),Stambolicら、Cell 95:29−39(1998),Sunら、Proc.Nati.Acad.Sci. U.S.A. 96:6199−6204(1999))。PTENの生殖細胞系統変異は、コーデン(Cowden)病などのヒトの癌症候群の原因となる(Liawら、Nature Genetics 16:64−67(1997))。PTENは、ヒトの腫瘍の大きな割合において欠失しており、機能的PTENを持たない腫瘍細胞系統は、高レベルの活性化Aktを示す(Liら、上掲、Guldbergら、Cancer Research 57:3660−3663(1997)、Risingerら、Cancer Research 57:4736−4738(1997))。
【0006】
これらの観察は、PI3K/Akt経路が腫瘍形成における細胞生存またはアポトーシスの調節に重要な役割を果たすことを明らかにする。
セカンドメッセンジャーによって調節されるセリン/スレオニンプロテインキナーゼのAkt/PKBサブファミリーの3つのメンバーが同定され、各々、Akt1/PKBα、Akt2/PKBβおよびAkt3/PKBγと称された。該イソ型は、特に、触媒ドメインをコードしている領域において相同である。Akt/PKBは、PI3Kシグナル伝達に対する応答において起こるリン酸化事象によって活性化される。PI3Kは、膜イノシトールリン脂質をリン酸化し、それにより、セカンドメッセンジャーホスファチジル−イノシトール3,4,5−トリホスフェートおよびホスファチジルイノシトール3,4−ビスホスフェートを生じ、それらは、Akt/PKBのPHドメインに結合することが分かった。Akt/PKB活性化の現在のモデルは、3’−リン酸化ホスホイノシチドによって膜に対して該酵素が補充され、ここで、上流キナーゼによるAkt/PKBの調節部位のリン酸化が起こることを提唱する(B.A.Hemmings,Science 275:628−630(1997);B.A.Hemmings,Science 276:534(1997);J.Downward,Science 279:673−674(1998))。
【0007】
Akt1/PKBαのリン酸化は、2つの調節部位、触媒ドメイン活性化ループにおけるThr3O8およびカルボキシ末端付近のSer473において起こる(D.R.Alessiら、EMBO J.15:6541−6551(1996)およびR.Meierら、J.Biol.Chem.272:30491−30497(1997))。同等の調節リン酸化部位は、Akt2/PKBβおよびAkt3/PKBγにおいて起こる。Akt/PKBを活性化ループ部位でリン酸化する上流キナーゼがクローン化され、3’―ホスホイノシチド依存性プロテインキナーゼ1(PDK1)と命名された。PDK1は、Akt/PKBだけでなく、p70リボソームS6キナーゼ、p90RSK、血清およびグルココルチコイド−調節性キナーゼ(SGK)、およびプロテインキナーゼCもリン酸化する。カルボキシ末端付近のAkt/PKBの調節部位をリン酸化している上流キナーゼはまだ同定されていないが、近年の報告では、インテグリン−結合型キナーゼ(ILK−1)、セリン/スレオニンプロテインキナーゼ、または自己リン酸化のための役割が示唆される。
【0008】
Akt活性化および活性の阻害は、PI3KをLY294002およびウォートマニン等の阻害剤で阻害することによって達成することができる。しかしながら、PI3K阻害は、3つのAktイソ酵素の全てだけでなく、PdtIns(3,4,5)−P3に依存する他のPHドメイン含有シグナル伝達分子、例えば、チロシンキナーゼのTecファミリーにも無差別に影響を及ぼす可能性がある。さらに、AktがPI3Kに無関係の成長シグナルによって活性化できることが開示された。
【0009】
別法では、Akt活性は、上流キナーゼPDK1の活性を遮断することによって阻害することができる。化合物UCN−01は、報告されたPDK1の阻害剤である(Biochem.J.375(2):255(2003))。また、PDK1の阻害は、その活性がPDK1に依存する複数のプロテインキナーゼ、例えば、不定型PKCイソ形、SGKおよびS6キナーゼの阻害をもたらすであろう(Williamsら、Curr.Biol.10:439−448(2000))。
【0010】
Aktの小型分子阻害剤は、腫瘍の治療、特に、活性化されたAktを伴う腫瘍(例えば、PTEN null腫瘍およびras変異を有する腫瘍)の治療において有用である。PTENは、Aktの重要な負のレギュレーターであり、その機能は、乳癌および前立腺癌腫、神経膠芽腫、ならびにBannayan−Zonana症候群(Maehama,T.ら、Annual Review of Biochemistry,70:247(2001))、コーデン病(Parsons,R.;Simpson,L.Methods in Molecular Biology(Totowa,NJ,United States)、222(Tumor Suppressor Genes,Volume 1):147(2003))およびLhermitte−Duclos病(Backman,S.ら、Current Opinion in Neurobiology,12(5):516(2002))を包含するいくつかの癌症候群を包含する多くの癌において喪失している。Akt3は、エストロゲン受容体欠失乳癌およびアンドロゲン独立性前立腺癌系統においてアップレギュレートされ、Akt2は、膵臓および卵巣癌腫において過剰発現している。Akt1は、胃癌において増幅し(Staal,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:5034−7(1987))、乳癌においてアップレギュレートされる(Stalら、Breast Cancer Res.5:R37−R44(2003))。したがって、小型分子Akt阻害剤は、これらの型の癌ならびに他の型の癌の治療に有用であることが予想される。Akt阻害剤は、また、さらなる化学療法剤と組み合わせて有用である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、Akt/PKBの阻害剤である新規な化合物を提供することである。
また、本発明の目的は、医薬担体および本発明の方法において有用な化合物を含む医薬組成物を提供することである。
また、本発明の目的は、かかるAkt/PKB活性の阻害剤を投与することを特徴とする癌の治療のための方法を提供することにある。
また、本発明の目的は、かかるAkt/PKB活性の阻害剤を投与することを特徴とする関節炎を治療するための方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の概要
本発明は、式(I):
【化1】

(I)
[式中、
は、独立して、水素、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、および−C−Cアルキルから選択されるか;またはRおよびRは、それらが結合している窒素と一緒になって、5〜6員環を形成し;
、R1’、R、R2’、RおよびR3’は、各々、独立して、水素、フッ素、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、テトラヒドロ−2H−チオピラン、および−C1−C4アルキルから選択されるか、または、
1’、R2’およびR3’のうち1つは、それらが結合している炭素と一緒になって、シクロプロピル、シクロブチルまたはシクロペンチルを形成し、
但し、R1’、R2’およびR3’のうち少なくとも2つは、水素,水素であり;RおよびRがそれらが結合している窒素と一緒になって5〜6員環を形成する場合、R1’、R2’およびR3’の3つ全ては、水素,水素である]
で示される新規化合物、および/またはその医薬上許容される塩、水和物、溶媒和物およびプロドラッグに関する。
【0013】
本発明は、式(I)のAkt/PKB阻害化合物の有効量を必要とする対象に投与することを特徴とする、癌の治療方法に関する。
本発明は、式(I)のAkt/PKB阻害化合物の有効量を必要とする対象に投与することを特徴とする、関節炎の治療方法に関する。
【0014】
本発明は、また、式(I)の化合物がAkt/PKBの阻害剤として活性であるという知見に関する。
本発明のさらなる態様において、本発明のAkt/PKB阻害化合物の調製において有用な新規な製法が提供される。
【0015】
本発明には、医薬担体および本発明の方法において有用な化合物を含む医薬組成物が包含される。
また、本発明には、本発明のAkt/PKB阻害化合物とさらなる活性成分を同時投与する方法も包含される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
発明の詳細な説明
出願日2004年7月28日、国際公開第WO2005/011700号および国際公開日2005年2月10日であり、そのスキーム、方法およびアッセイが出典明示により、本明細書の一部とされる国際出願第PCT/US2004/024340号は、1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−イル含有化合物、ならびにその医薬上許容される塩、水和物、溶媒和物およびプロドラッグを、特に癌および関節炎の治療において、セリン/スレオニンキナーゼ、Akt(プロテインキナーゼBともいう)の阻害剤として有用であるとして開示し、請求する。国際出願第PCT/US2004/024340号は、特に、本発明の範囲内の化合物のいずれも開示しない。
【0017】
今回、式(I)の化合物が、国際出願第PCT/US2004/024340号において開示された最も構造的に関連のある化合物であると考えられるものを越える利益を示すことを見出した。
【0018】
例えば、本発明の実施例3、4および7〜18は、一般に、国際出願第PCT/US2004/024340号において開示された最も構造的に関連のある化合物と考えられるものと比較した場合、正常細胞成長の阻害を越える腫瘍細胞成長の阻害に対する活性増加および選択性増加を示す。該活性増加および選択性増加は、より幅広い治療領域をもたらすことが予想される。さらに、国際出願第PCT/US2004/024340号において開示される化合物は、一般に、貧水溶性を示す。該貧溶性の一態様は、これらの化合物が静脈内(以下、IVという)投与に適した医薬投与形態に処方される能力に悪影響を及ぼすことである。一般に、正常細胞成長の阻害を越える腫瘍細胞成長の阻害に対する増加した活性および増加した選択性を有することに加え、本発明の実施例3、4および7〜18の化合物は、IV投与用投与形態に処方するのに適当であると考えられる溶解性を示す。静脈内投与は、本発明の化合物を投与するための有益な方法である。
【0019】
国際出願第PCT/US2004/024340号の化合物は、セリン/スレオニンキナーゼ、AKT(プロテインキナーゼBともいう)の阻害剤として有用であるが、式(I)の化合物、特に、実施例3、4および7〜18の化合物は、有益な特性、例えば、適当な溶解性、活性、選択性、クリアランスおよび曝露を示し、それらは全て該化合物を、国際出願第PCT/US2004/024340号に開示される最も構造的に関連した化合物であると考えられるものを越えて有益にする。
【0020】
本発明は、上記の式(I)の化合物に関する。
式(I)の本発明の化合物は、Akt/PKB活性を阻害する。特に、本明細書中に開示される化合物は、3つのAkt/PKBイソ型の各々を阻害する。
【0021】
式(I)の本発明の化合物のなかには、式中、
が独立して、水素、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、および−C−Cアルキルから選択されるか;またはRおよびRは、それらが結合している窒素と一緒になって、5〜6員環を形成し;
、R1’、R、R2’、RおよびR3’は、各々、独立して、水素、フッ素、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、および−C−Cアルキルから選択され;但し、R1’、R2’およびR3’の少なくとも2つは、水素,水素であり;RおよびRがそれらが結合している窒素と一緒になって5〜6員環を形成する場合、R1’、R2’およびR3’の3つ全てが水素,水素である
化合物、および/またはその医薬上許容される塩、水和物、溶媒和物およびプロドラッグが包含される。
【0022】
本発明の式(I)の化合物のなかには、
4−(2−(4−アミノ−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)−1−エチル−7−{[3−(1−ピペリジニル)プロピル]オキシ}−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−4−イル)−2−メチル−3−ブチン−2−オール;
4−(2−(4−アミノ−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)−1−エチル−7−{[3−(1−ピロリジニル)プロピル]オキシ}−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−4−イル)−2−メチル−3−ブチン−2−オール;
4−(2−(4−アミノ−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)−7−{[3−(シクロペンチルアミノ)プロピル]オキシ}−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−4−イル)−2−メチル−3−ブチン−2−オール;
4−[7−{[(3R)−3−アミノ−4−メチルペンチル]オキシ}−2−(4−アミノ−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−4−イル]−2−メチル−3−ブチン−2−オール;
4−(2−(4−アミノ−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)−7−{[3−(シクロブチルアミノ)プロピル]オキシ}−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−4−イル)−2−メチル−3−ブチン−2−オール;
4−(2−(4−アミノ−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)−7−{[(2S)−3−(シクロプロピルアミノ)−2−メチルプロピル]オキシ}−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−4−イル)−2−メチル−3−ブチン−2−オール;
4−[7−[(3−アミノ−2,2−ジメチルプロピル)オキシ]−2−(4−アミノ−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−4−イル]−2−メチル−3−ブチン−2−オール;
4−[7−{[(2S)−3−アミノ−2−メチルプロピル]オキシ}−2−(4−アミノ−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−4−イル]−2−メチル−3−ブチン−2−オール;
4−[7−{[(3S)−3−アミノブチル]オキシ}−2−(4−アミノ−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−4−イル]−2−メチル−3−ブチン−2−オール;
4−[2−(4−アミノ−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)−7−({3−[(シクロプロピルメチル)アミノ]プロピル}オキシ)−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−4−イル]−2−メチル−3−ブチン−2−オール;
4−[7−{[2−(アミノメチル)ペンチル]オキシ}−2−(4−アミノ−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−4−イル]−2−メチル−3−ブチン−2−オール;
4−[7−{[2−(アミノメチル)−4−メチルペンチル]オキシ}−2−(4−アミノ−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−4−イル]−2−メチル−3−ブチン−2−オール;
4−[7−{[2−(アミノメチル)ヘキシル]オキシ}−2−(4−アミノ−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−4−イル]−2−メチル−3−ブチン−2−オール;
(−)−4−(2−(4−アミノ−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)−7−{[3−アミノ−3−(テトラヒドロ−2H−チオピラン−4−イル)プロピル]オキシ}−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−4−イル)−2−メチル−3−ブチン−2−オール;
4−[7−({[1−(アミノメチル)シクロプロピル]メチル}オキシ)−2−(4−アミノ−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−4−イル]−2−メチル−3−ブチン−2−オール;
4−[7−{[1−(2−アミノエチル)ブチル]オキシ}−2−(4−アミノ−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−4−イル]−2−メチル−3−ブチン−2−オール;
4−[7−[(3−アミノ−2−(−)−フルオロプロピル)オキシ]−2−(4−アミノ−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−4−イル]−2−メチル−3−ブチン−2−オール;および
4−[7−[(3−アミノ−1−シクロヘキシルプロピル)オキシ]−2−(4−アミノ−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−4−イル]−2−メチル−3−ブチン−2−オール
および/またはその医薬上許容される塩、水和物、溶媒和物およびプロドラッグが包含される。
【0023】
式(I)の化合物は、本発明の医薬組成物に含まれ、本発明の方法において使用される。
【0024】
本明細書中で使用される場合、置換基、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、テトラヒドロ−2H−チオピランおよび−C−Cアルキルは、1個のフッ素原子から、該置換基が過フッ素化されるまでの数のフッ素原子で置換されていてもよい。適当には、該置換基は、1〜8個のフッ素原子で置換されていてもよい。適当には、該置換基は、1〜5個のフッ素原子で置換されていてもよい。適当には、該置換基は、1〜3個のフッ素原子で置換されていてもよい。
【0025】
本明細書中で使用される場合、「過フッ素化された」なる語は、水素原子の全てがフッ素原子で置き換わった置換基を意味する。
【0026】
本明細書中で使用される場合、「5〜6員環」なる語は、結合している窒素と共に非芳香環を形成する4または5員の炭素鎖を意味し、該環の炭素原子は、1個のフッ素原子から、該環の炭素原子が過フッ素化されるまでの数のフッ素原子で置換されていてもよい。適当には、該環の炭素原子は、1〜8個のフッ素原子で置換されていてもよい。適当には、該環の炭素原子は、1〜5個のフッ素原子で置換されていてもよい。適当には、該環の炭素原子は、1〜3個のフッ素原子で置換されていてもよい。
【0027】
本明細書中で使用される場合、「−C−Cアルキル」なる語は、1〜4個の炭素原子を含有している直鎖または分枝鎖の飽和または不飽和炭化水素鎖を意味する。本明細書中で使用される場合、−C−Cアルキルの例は、−CH、−CH−CH、−CH−CH−CH、−CH(CH、−CH−CF、−C(CH、−(CH−CH、−CH−CH(CH、−CH(CH)−CH−CH、−CH=CH、および−C≡C−CHを包含する。
【0028】
別記しない限り、本明細書中に開示される化合物は、また、該構造の立体化学的形態、すなわち、各不斉中心についてRおよびS配置の全てを包含する。したがって、本発明の化合物の単一の立体化学異性体ならびにエナンチオマーおよびジアステレオマー混合物は、本発明の範囲内である。
【0029】
本明細書中で使用される場合、「治療」なる語およびその派生語は、予防的および治療的療法を意味する。
【0030】
本明細書中で使用される場合、「有効量」なる語およびその派生語は、例えば、研究者または臨床医によって、探求されている組織、系、動物またはヒトの生物学的または医学的応答を顕在化するであろう薬物または医薬の量を意味する。さらに、「治療上有効量」なる語およびその派生語は、かかる量を服用していない対応する対象と比べて、疾患、障害または副作用の改善された治療、治癒、予防または緩和、あるいは疾患または障害の進行速度の減少をもたらすいずれかの量を意味する。該用語は、また、正常な生理学的機能を増加するのに有効な量をその範囲に包含する。
【0031】
式Iの新規化合物は、下記スキーム1において示されるように、または類似の方法によって調製される。出発材料は全て、市販品であるか、または当業者によって市販の出発材料から容易に調製される。
【0032】
スキーム1
【化2】

(a)Br,NaOAc;(b)EtNH;(c)SnCl,HCl;(d)シアノ酢酸エチル,190℃;(e)NaNO,HCl;(f)NHOH;(g)EtN,ジオキサン;(h)n−BuLi,THF;(i)B(OMe);(j)H,NaOH;(k)(3−ヒドロキシプロピル)カルバミン酸1,1−ジメチルエチル,DEAD,ポリマー結合型PPh,CHCl;(l)Pd(PPh,iPrNH,ジオキサン,100℃;(m)TFA,CHCl
【0033】
式(I)の化合物は、スキーム1に示される方法と類似の方法において調製することができる。酢酸ナトリウム中において緩衝化された臭素を用いる3−ニトロ−4−エトキシピリジン(1−スキーム 1)の臭素化により、3−ブロモ−4−(エチルオキシ)−5−ニトロピリジンを得る(2−スキーム 1)。該変換を実施するための別法が存在し、当業者に既知である。これらの方法は、標準的な有機合成テキスト、例えば、Larock,”Comprehensive Organic Transformations”,VCH,N.Y.(1989)において編集されている。次いで、エトキシ基をエタノールなどの極性溶媒中、第1アミン、例えば、エチルアミンで置き換えて、3−スキーム1のような化合物を得る。液状アミンを用いる場合、該反応は、溶媒の不在下で実施することができる。ニトロ基の還元および付随するクロロ基の導入は、塩化スズ(II)を用いて、Kelleyら、J.Med.Chem.1995,38(20),4131−34によって記載された方法にしたがって達成される。対応する5−ブロモ−2−クロロジアミノピリジンは、適当な酸またはエステル、例えば、シアノ酢酸エチルと共に濃縮する。加熱を継続して脱水環化反応に影響を及ぼして、4−スキーム1のようなイミダゾピリジンを得る。濃HCl中におけるNaNOとの反応、続く、ヒドロキシルアミンとの反応によりビス−オキシムを得、それがトリエチルアミンなどの適当な塩基の存在下で脱水環化して5−スキーム1のようなアミノフラザンを得る。該ヒドロキシル基は、n−ブチルリチウムなどの適当な塩基を用いるハロゲン−金属交換によってアリールアニオンを生じ、該アニオンをホウ酸トリメチルなどの適当なホウ素親電子物質と反応させ、得られたアリールボロネートを水性塩基中、過酸化水素などの適当な酸化剤で酸化することによって導入されて、6−スキーム1のようなイミダゾピリジノールを得る。グリニャール試薬などの他の塩基もまた、ハロゲン金属交換に影響を及ぼすために使用できる。該イミダゾピリジノールのエーテル化を、Mitsunobu(Synthesis 1981,1)によって記載された方法を用い、(3−ヒドロキシプロピル)カルバミン酸1,1−ジメチルエチルなどの適当なアルコールを用いて行って、7−スキーム1のようなエーテルを得る。7−スキーム1のような適当なハロゲン化アリールをジオキサン等の適当な溶媒中、ジ−イソプロピルアミンなどの適当な塩基の存在下、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウムなどの適当な触媒および末端アルキンで処理して、8−スキーム1のような対応するアリールアルキンを得る。保護基の除去は、塩化メチレンなどの極性溶媒中、プロトン酸またはルイス酸、例えば、トリフルオロ酢酸を用いて達成され、それにより、9−スキーム1のような式(I)の化合物を得る。
【0034】
本明細書中で使用される場合、「同時投与」なる語およびその派生語は、本明細書中に記載されるAKT阻害化合物と、化学療法および放射線治療を包含する癌の治療に有用であることが知られている、または関節炎の治療に有用であることが知られているさらなる活性成分とを同時に投与すること、またはいずれかの方法で別々に連続的に投与することを意味する。本明細書中で使用される場合、「さらなる活性成分」なる語は、癌または関節炎の治療が必要な患者に投与した場合に有益な特性を示すことが知られている、または有益な特性を示すことが立証されたいずれかの化合物または治療剤を包含する。好ましくは、同時に投与しない場合、該化合物は互いに密接した時間間隔で投与される。さらに、該化合物が同じ投与形態で投与されるかどうかは問題ではなく、例えば、1の化合物を局所投与し、他方の化合物を経口投与してもよい。
【0035】
典型的には、治療されている感受性腫瘍に対する活性を有するいずれかの抗新生物剤を本発明における癌の治療において同時投与してもよい。かかる薬剤の例は、V.T.DevitaおよびS.Hellman(編集者)によるCancer Principles and Practice of Oncology,第6版(2001年2月15日),Lippincott Williams & Wilkins Publishersにおいて見出すことができる。当業者は、関与する薬物および癌の特徴に基づき、どの薬剤の組み合わせが有用であるかを認識することができるであろう。本発明において有用な典型的な抗新生物剤は、限定するものではないが、ジテルペノイドおよびビンカアルカロイドなどの抗微小管剤、白金配位錯体、ナイトロジェンマスタード、オキサザホスホリン、アルキルスルホネート、ニトロソウレアおよびトリアゼンなどのアルキル化剤、アントラサイクリン、アクチノマイシンおよびブレオマイシンなどの抗生物質、エピポドフィロトキシンなどのトポイソメラーゼII阻害剤、プリンおよびピリミジン類似体および抗葉酸化合物などの代謝拮抗物質、カムプトテシンなどのトポイソメラーゼI阻害剤、ホルモンおよびホルモン類似物、シグナル変換経路阻害剤、非受容体チロシンキナーゼ脈管形成阻害剤、免疫治療剤、プロアポトーシス剤、および細胞周期シグナル伝達阻害剤を包含する。
【0036】
本発明のAKT阻害化合物と組み合わせて使用される、または同時に投与されるさらなる活性成分(抗新生物剤)の例は、化学療法剤である。
抗微小管または抗有糸分裂剤は、細胞周期のM期または有糸分裂期の間の腫瘍細胞の微小管に対して活性な周期特異性薬剤である。抗微小管剤の例は、限定するものではないが、ジテルペノイドおよびビンカアルカロイドを包含する。
天然資源に由来するジテルペノイドは、細胞周期のG/M期で作動する周期特異性抗癌剤である。ジテルペノイドは、微小管のβ−チュービュリンサブユニットと結合することによって、該タンパク質を安定化すると考えられる。次いで、該タンパク質の分解は、有糸分裂が阻止されること、および続く細胞死によって阻害されるようである。ジテルペノイドの例は、限定するものではないが、パクリタキセルおよびその類似物ドセタキセルを包含する。
【0037】
パクリタキセル、(2R,3S)−N−ベンゾイル−3−フェニルイソセリンとの5β,20−エポキシ−1,2α,4,7β,10β,13α−ヘキサ−ヒドロキシタクス−11−エン−9−オン4,10−ジアセテート2−ベンゾエート13−エステルは、タイヘイヨウイチイの木Taxus brevifoliaから単離された天然ジテルペン産物であり、注射溶液TAXOL(登録商標)として市販されている。それは、テルペン類のタキサンファミリーの一員である。1971年に、Waniらによって初めて単離され(J.Am.Chem,Soc.,93:2325.1971)、彼らは、その構造を化学的およびX線結晶学的方法によって特徴付けた。その活性の一メカニズムは、チュービュリンに結合することのできるパクリタキセルの能力に関連し、それにより、癌細胞成長を阻害する(Schiffら、Proc.Natl,Acad,Sci.USA,77:1561−1565(1980);Schiffら、Nature,277:665−667(1979);Kumar,J.Biol,Chem,256:10435−10441(1981))。いくつかのパクリタキセル誘導体の合成および抗癌活性の概説については、D.G.I.Kingstonら、Studies in Organic Chemistry vol.26,タイトル”New trends in Natural Products Chemistry 1986”,Attaur−Rahman,P.W.Le Quesne,Eds.(Elsevier,Amsterdam,1986)pp219−235を参照のこと。
【0038】
パクリタキセルは、米国において難治性の卵巣癌の治療(Markmanら、Yale Journal of Biology and Medicine,64:583,1991;McGuireら、Ann.lntem,Med.,111:273,1989)、および乳癌の治療(Holmesら、J.Nat.Cancer Inst.,83:1797,1991)における臨床的使用が認可されている。それは、皮膚における新生物(Einzigら、Proc.Am.Soc.Clin.Oncol.,20:46)および頭頚部癌腫(Forastireら、Sem.Oncol.,20:56,1990)の治療に対する可能性のある候補物質である。該化合物は、また、多嚢胞性腎臓病(Wooら、Nature,368:750.1994)、肺癌およびマラリアの治療に対する可能性も示す。パクリタキセルでの患者の処理は、閾値濃度(50nM)(Kearns,C.M.ら、Seminars in Oncology,3(6) p.16−23,1995)を越えて投与する期間に関連した骨髄抑制(多細胞系統,Ignoff,R.J.ら、Cancer Chemotherapy Pocket Guide,1998)をもたらす。
【0039】
ドセタキセル、5β−20−エポキシ−1,2α,4,7β,10β,13α−ヘキサヒドロキシタクス−11−エン−9−オン4−アセテート2−ベンゾエートとの(2R,3S)−N−カルボキシ−3−フェニルイソセリン,N−tert−ブチルエステル,13−エステル三水和物は、注射溶液TAXOTEREとして市販されている。ドセタキセルは、乳癌の治療に必要とされる。ドセタキセルは、ヨーロッパイチイの木の針葉から抽出された天然前駆体10−デアセチル−バッカチンIIIを用いて調製される、パクリタキセル(上を参照)の半合成誘導体である。ドセタキセルの用量規定毒性は、好中球減少である。
【0040】
ビンカアルカロイドは、ツルニチニチソウ由来の周期特異性抗新生物剤である。ビンカアルカロイドは、チュービュリンに特異的に結合することによって、細胞周期のM期(有糸分裂)で作用する。結果として、結合型チュービュリン分子は、微小管中に重合することができない。有糸分裂は、中期に阻止されると考えられ、その後に細胞死がもたらされる。ビンカアルカロイドの例は、限定するものではないが、ビンブラスチン、ビンクリスチンおよびビノレルビンを包含する。
【0041】
ビンブラスチン、硫酸ビンカロイコブラスチンは、注射溶液VELBANとして市販されている。それは、第一に、睾丸癌およびホジキン病を包含する種々のリンパ腫ならびにリンパ球性および組織球性リンパ腫の治療において必要とされるが、種々の充実性腫瘍の二次治療としての可能性が示される。骨髄抑制は、ビンブラスチンの用量規定副作用である。
【0042】
ビンクリスチン、ビンカロイコブラスチン,22−オキソ−,サルフェートは、注射溶液ONCOVINとして市販されている。ビンクリスチンは、急性白血病の治療に必要とされ、また、ホジキンおよび非ホジキン悪性リンパ腫の治療方針において使用が見出された。脱毛および神経学的影響は、ビンクリスチンの最も一般的な副作用であり、それほどではないが、骨髄抑制および胃腸粘膜炎影響が起こる。
【0043】
ビノレルビン、3’,4’−ジデヒドロ−4’−デオキシ−C’−ノルビンカロイコブラスチン[R−(R,R)−2,3−ジヒドロキシブタンジオエート(1:2)(塩)]は、酒石酸ビノレルビンの注射溶液(NAVELBINE)として市販されており、半合成ビンカアルカロイドである。ビノレルビンは、単一薬剤として、または他の化学療法剤、例えば、シスプラスチンと組み合わせて、種々の充実性腫瘍、特に、非小細胞肺癌、進行した乳癌、およびホルモン難治性前立腺癌の治療において必要とされる。骨髄抑制は、ビノレルビンの最も一般的な用量規定副作用である。
【0044】
白金配位錯体は、非周期特異性抗癌剤であり、DNAと相互作用する。白金錯体は、腫瘍細胞に侵入し、アクア化し、DNAと鎖内および鎖間架橋を形成し、それにより、腫瘍に対し不利益な生物学的影響を引き起こす。白金配位錯体の例は、限定するものではないが、シスプラチンおよびカルボプラチンを包含する。
【0045】
シスプラチン、シス−ジアミンジクロロ白金は、注射溶液PLATINOLとして市販されている。シスプラチンは、主に、転移性睾丸および卵巣癌ならびに進行性膀胱癌の治療に必要とされる。シスプラチンの一次用量規定副作用は、水和および利尿によって調節されうる腎臓毒性、および内耳神経毒性である。
【0046】
カルボプラチン、白金ジアミン[1,1−シクロブタン−ジカルボキシレート(2−)−O,O’]は、注射溶液PARAPLATINとして市販されている。カルボプラチンは、主として進行性卵巣癌腫の一次および二次治療において必要とされる。骨髄抑制は、カルボプラチンの用量規定毒性である。
【0047】
アルキル化剤は、非周期特異性抗癌剤であり、強い親電子物質である。典型的には、アルキル化剤は、アルキル化によって、リン酸基、アミノ基、スルフヒドリル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基およびイミダゾール基などのDNA分子の求核性基を介してDNAに対する共有結合を形成する。かかるアルキル化は、核酸機能を崩壊し、それにより、細胞死に導く。アルキル化剤の例は、限定するものではないが、シクロホスファミド、メルファランおよびクロラムブシルなどのナイトロジェンマスタード、ブスルファンなどのスルホン酸アルキル、カルムスチンなどのニトロソウレア、およびダカルバジンなどのトリアゼンを包含する。
【0048】
シクロホスファミド、2−[ビス(2−クロロエチル)アミノ]テトラヒドロ−2H−1,3,2−オキサザホスホリン2−オキシド一水和物は、注射溶液または錠剤として、CYTOXANとして市販されている。シクロホスファミドは、単一薬剤として、または他の化学療法剤と組み合わせて、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫および白血病の治療において必要とされる。脱毛、吐き気、嘔吐および白血球減少は、シクロホスファミドの最も一般的な用量規定副作用である。
【0049】
メルファラン、4−[ビス(2−クロロエチル)アミノ]−L−フェニルアラニンは、注射溶液または錠剤として、ALKERANとして市販されている。メルファランは、多発性骨髄腫および卵巣の切除不能上皮癌腫の待機的治療に必要とされる。骨髄抑制は、メルファランの最も一般的な用量規定副作用である。
【0050】
クロラムブシル、4−[ビス(2−クロロエチル)アミノ]ベンゼンブタン酸は、LEUKERAN錠剤として市販されている。クロラムブシルは、慢性リンパ球性白血病、およびリンパ肉腫、巨大濾胞性リンパ腫およびホジキン病などの悪性リンパ腫の待機的治療に必要とされる。骨髄抑制は、クロラムブシルの最も一般的な用量規定副作用である。
【0051】
ブスルファン、1,4−ブタンジオールジメタンスルホネートは、MYLERAN錠剤として市販されている。ブスルファンは、慢性骨髄性白血病の待機的治療に必要とされる。骨髄抑制は、ブスルファンの最も一般的な用量規定副作用である。
【0052】
カルムスチン、1,3−[ビス(2−クロロエチル)−1−ニトロソウレアは、単一バイアルの凍結乾燥製品として、BiCNUとして市販されている。カルムスチンは、単一薬剤として、または脳腫瘍、多発性骨髄腫、ホジキン病、および非ホジキンリンパ腫のための他の薬剤と組み合わせて、待機的治療に必要とされる。骨髄抑制の遅延は、カルムスチンの最も一般的な用量規定副作用である。
【0053】
ダカルバジン、5−(3,3−ジメチル−1−トリアゼノ)−イミダゾール−4−カルボキサミドは、単一バイアル製品として、DTIC−Domeとして市販されている。ダカルバジンは、転移性悪性黒色腫の治療に必要とされ、ホジキン病の二次治療のための他の薬剤と組み合わせて使用される。吐き気、嘔吐および食欲不振は、ダカルバジンの最も一般的な用量規定副作用である。
【0054】
抗生物質抗新生物剤は、周期特異性薬剤であり、DNAに結合または介在する。典型的には、かかる作用は、安定なDNA複合体または鎖分解をもたらし、それが核酸の通常の機能を崩壊し、その結果、細胞死に導く。抗生物質抗新生物剤の例は、限定するものではないが、ダクチノマイシンなどのアクチノマイシン、ダウノルビシンおよびドキソルビシンなどのアントラサイクリン、およびブレオマイシンを包含する。
【0055】
ダクチノマイシンは、アクチノマイシンDとしても知られ、COSMEGENとして注射可能形態で市販されている。ダクチノマイシンは、Wilm腫瘍および横紋筋肉腫の治療に必要とされる。吐き気、嘔吐および食欲不振は、ダクチノマイシンの最も一般的な用量規定副作用である。
【0056】
ダウノルビシン、(8S−シス−)−8−アセチル−10−[(3−アミノ−2,3,6−トリデオキシ−α−L−lyxo−ヘキソピラノシル)オキシ]−7,8,9,10−テトラヒドロ−6,8,11−トリヒドロキシ−1−メトキシ−5,12ナフタセンジオン塩酸塩は、リポソーム注射可能形態としてDAUNOXOMEまたは注射液としてCERUBIDINEとして市販されている。ダウノルビシンは、急性非リンパ球性白血病および進行性HIV関連カポジ肉腫の治療において軽減誘導のために必要とされる。骨髄抑制は、ダウノルビシンの最も一般的な用量規定副作用である。
【0057】
ドキソルビシン(8S,10S)−10−[(3−アミノ−2,3,6−トリデオキシ−α−L−lyxo−ヘキソピラノシル)オキシ]−8−グリコロイル,7,8,9,10−テトラヒドロ−6,8,11−トリヒドロキシ−1−メトキシ−5,12ナフタセンジオン塩酸塩は、注射可能形態として、RUBEXまたはADRIAMYCIN RDFとして市販されている。ドキソルビシンは、主として、急性リンパ芽球性白血病および急性骨髄芽急性白血病の治療に必要とされるが、いくつかの充実性腫瘍およびリンパ腫の治療においても有用な成分である。骨髄抑制は、ドキソルビシンの最も一般的な用量規定副作用である。
【0058】
ブレノマイシン、Streptomyces verticillusの株から単離された細胞毒性グリコペプチド抗生物質の混合物は、BLENOXANEとして市販されている。ブレオマイシンは、単一薬剤として、または他の薬剤と組み合わせて、扁平上皮細胞癌腫、リンパ腫、および睾丸癌腫の待機的治療として必要とされる。肺および皮膚毒性は、ブレオマイシンの最も一般的な用量規定副作用である。
【0059】
トポイソメラーゼII阻害剤は、限定するものではないが、エピポドフィロトキシンを包含する。
エピポドフィロトキシンは、マンドレーク植物に由来する周期特異性抗新生物剤である。エピポドフィロトキシンは、典型的には、トポイソメラーゼIIおよびDNAと三重複合体を形成し、DNA鎖崩壊を引き起こすことによって、細胞周期のSおよびG期において細胞に影響を及ぼす。鎖崩壊が蓄積し、次いで細胞死が起こる。エピポドフィロトキシンの例は、限定するものではないが、エトポシドおよびテニポシドを包含する。
【0060】
エトポシド、4’−デメチル−エピポドフィロトキシン 9[4,6−0−(R)−エチリデン−β−D−グルコピラノシド]は、注射溶液またはカプセルとして、VePESIDとして市販されており、一般に、VP−16として知られている。エトポシドは、単一薬剤として、または他の化学療法剤と組み合わせて、睾丸癌および非小細胞肺癌の治療において必要とされる。骨髄抑制は、エトポシドの最も一般的な用量規定副作用である。白血球減少の発生は、血小板減少より重篤な傾向にある。
【0061】
テニポシド、4’−デメチル−エピポドフィロトキシン 9[4,6−0−(R)−テニリデン−β−D−グルコピラノシド]は、注射溶液として、VUMONとして市販されており、一般に、VM−26として知られている。テニポシドは、単一薬剤として、または他の化学療法剤と組み合わせて、子供の急性白血病の治療において必要とされる。骨髄抑制は、テニポシドの最も一般的な用量規定副作用である。テニポシドは、白血球減少および血小板減少の両方を誘導することができる。
【0062】
代謝拮抗抗新生物剤は、DNA合成を阻害することによって、またはプリンもしくはピリミジン塩基合成を阻害し、それによりDNA合成阻害することによって、細胞周期のS期(DNA合成)に作用する周期特異性抗新生物剤である。結果として、S期が進行せず、その結果、細胞死が起こる。代謝拮抗抗新生物剤の例は、限定するものではないが、フルオロウラシル、メトトレキサート、シタラビン、メカプトプリン、チオグアニンおよびゲムシタビンを包含する。
【0063】
5−フルオロウラシル、5−フルオロ−2,4−(1H,3H)ピリミジンジオンは、フルオロウラシルとして市販されている。5−フルオロウラシルの投与は、チミジレート合成の阻害を導き、また、RNAおよびDNAの両方に組み込まれる。その結果、典型的には、細胞死が起こる。5−フルオロウラシルは、単一薬剤として、または他の化学療法剤と組み合わせて、胸部、結腸、直腸、胃および膵臓の癌腫の治療において必要とされる。骨髄抑制および粘膜炎は、5−フルオロウラシルの用量規定副作用である。他のフルオロピリミジン類似体は、5−フルオロデオキシウリジン(フロクスウリジン)および5−フルオロデオキシウリジン一リン酸を包含する。
【0064】
シタラビン、4−アミノ−1−β−D−アラビノフラノシル−2(1H)−ピリミジノンは、CYTOSAR−Uとして市販されており、一般に、Ara−Cとして知られている。シタラビンは、成長しているDNA鎖中へのシタラビンの末端組み込みによって、DNA鎖伸長を阻害することにより、S期での細胞周期特異性を示すと考えられる。シタラビンは、単一薬剤として、または他の化学療法剤と組み合わせて、急性白血病の治療において必要とされる。他のシチジン類似体は、5−アザシチジンおよび2’,2’−ジフルオロデオキシシチジン(ゲムシタビン)を包含する。シタラビンは、白血球減少、血小板減少および粘膜炎を誘導する。
【0065】
メルカプトプリン、1,7−ジヒドロ−6H−プリン−6−チオン一水和物は、PURINETHOLとして市販されている。メルカプトプリンは、今だ特定されていないメカニズムによってDNA合成を阻害することにより、S期での細胞周期特異性を示す。メルカプトプリンは、単一薬剤として、または他の化学療法剤と組み合わせて、急性白血病の治療において必要とされる。骨髄抑制および胃腸粘膜炎は、高用量でのメルカプトプリンの予想される副作用である。有用なメルカプトプリン類似体は、アザチオプリンである。
【0066】
チオグアニン、2−アミノ−1,7−ジヒドロ−6H−プリン−6−チオンは、TABLOIDとして市販されている。チオグアニンは、今だ特定されていないメカニズムによってDNA合成を阻害することにより、S期での細胞周期特異性を示す。チオグアニンは、単一薬剤として、または他の化学療法剤と組み合わせて、急性白血病の治療において必要とされる。白血球減少、血小板減少および貧血を包含する骨髄抑制は、チオグアニン投与の最も一般的な用量規定副作用である。しかしながら、胃腸の副作用が起こり、用量が制限されることがある。他のプリン類似体は、ペントスタチン、エリスロヒドロキシノニルアデニン、フルダラビンホスフェート、およびクラドリビンを包含する。
【0067】
ゲムシタビン、2’−デオキシ−2’,2’−ジフルオロシチジン一塩酸塩(β−異性体)は、GEMZARとして市販されている。ゲムシタビンは、G1/S境界を経る細胞の進行を阻害することによって、S期での細胞周期特異性を示す。ゲムシタビンは、局所的進行性の非小細胞肺癌の治療においてシスプラチンと組み合わせて用いられ、局所的進行性の膵臓癌の治療において単独で用いられる。白血球減少、血小板減少および貧血を包含する骨髄抑制は、ゲムシタビン投与の最も一般的な用量規定副作用である。
【0068】
メトトレキサート、N−[4[[(2,4−ジアミノ−6−プテリジニル)メチル]メチルアミノ]ベンゾイル]−L−グルタミン酸は、メトトレキサートナトリウムとして市販されている。メトトレキサートは、プリンヌクレオチドおよびチミジレートの合成に必要なジヒドロ葉酸還元酵素の阻害によって、DNA合成、修復および/または複製を阻害することにより、S期で特異的に細胞周期影響を示す。メトトレキサートは、単一薬剤として、または他の化学療法剤と組み合わせて、絨毛癌、髄膜白血病、非ホジキンリンパ腫、および胸部、頭部、頚部、卵巣および膀胱の癌腫の治療において必要とされる。骨髄抑制(白血球減少、血小板減少および貧血)および粘膜炎は、メトトレキサート投与の予想される副作用である。
【0069】
カンプトテシンおよびカンプトテシン誘導体を包含するカンプトテシンは、トポイソメラーゼI阻害剤として入手可能であるか、または開発下にある。カンプトテシン細胞毒活性は、そのトポイソメラーゼI阻害活性に関連すると考えられる。カンプトテシンの例は、限定するものではないが、イリノテカン、トポテカン、および下記の7−(4−メチルピペラジノ−メチレン)−10,11−エチレンジオキシ−20−カンプトテシンの種々の光学形態を包含する。
【0070】
イリノテシンHCl、(4S)−4,11−ジエチル−4−ヒドロキシ−9−[(4−ピペリジノピペリジノ)カルボニルオキシ]−1H−ピラノ[3’,4’,6,7]インドリジノ[1,2−b]キノリン−3,14(4H,12H)−ジオン塩酸塩は、注射溶液CAMPTOSARとして市販されている。
【0071】
イリノテカンは、その活性な代謝産物SN−38と共に、トポイソメラーゼI−DNA複合体に結合するカンプトテシンの誘導体である。トポイソメラーゼI:DNA:イリノテカンまたはSN−38三重複合体と複製酵素との相互作用によって引き起こされる修復不可能な二重鎖崩壊の結果として、細胞毒性が起こると考えられる。イリノテカンは、結腸または直腸の転移性癌の治療のために必要とされる。イリノテカンHClの用量規定副作用は、好中球減少を包含する骨髄抑制、および下痢を包含するGI影響である。
【0072】
トポテカンHCl、(S)−10−[(ジメチルアミノ)メチル]−4−エチル−4,9−ジヒドロキシ−1H−ピラノ[3’,4’,6,7]インドリジノ[1,2−b]キノリン−3,14−(4H,12H)−ジオン一塩酸塩は、注射溶液HYCAMTINとして市販されている。トポテカンは、トポイソメラーゼI−DNA複合体に結合するカンプトテシンの誘導体であり、DNA分子のねじれひずみに応答してトポイソメラーゼIによって引き起こされる一本鎖崩壊の再ライゲーションを防ぐ。トポテカンは、卵巣癌および小細胞肺癌の転移性癌腫の二次治療に必要とされる。トポテカンHClの用量規定副作用は、骨髄抑制、主として好中球減少である。
【0073】
また、ラセミ混合物(R,S)形態ならびにRおよびSエナンチオマーを包含する現在開発中の下記の式A:
【化3】

で示されるカンプトテシン誘導体は、化学名「7−(4−メチルピペラジノ−メチレン)−10,11−エチレンジオキシ−20(R,S)−カンプトテシン(ラセミ混合物)」または「7−(4−メチルピペラジノ−メチレン)−10,11−エチレンジオキシ−20(R)−カンプトテシン(Rエナンチオマー)」または「7−(4−メチルピペラジノ−メチレン)−10,11−エチレンジオキシ−20(S)−カンプトテシン(Sエナンチオマー)によって知られている。かかる化合物ならびに関連化合物は、製造法も含め、米国特許第6,063,923号、第5,342,947号、第5,559,235号、第5,491,237号および出願中の米国特許出願第08/977,217号(1997年11月24日出願)に記載されている。
【0074】
ホルモンおよびホルモン類似体は、ホルモンと癌の成長および/または成長不足との間に関係がある癌の治療に有用な化合物である。癌治療に有用なホルモンおよびホルモン類似体の例は、限定するものではないが、子供の悪性リンパ腫および急性白血病の治療に有用なプレドニソンおよびプレドニソロンなどのアドレノコルチコステロイド;アミノグルテチミドおよび他のアロマターゼ阻害剤、例えば、アナストロゾール、レトラゾール、ボラゾール、および副腎皮質癌およびエストロゲン受容体を含有するホルモン依存性乳癌の治療に有用なエキセメスタン;プロゲストリン(progestrin)、例えば、ホルモン依存性乳癌および子宮内膜癌の治療に有用な酢酸メゲストロール;エストロゲン、アンドロゲン、および抗アンドロゲン、例えば、前立腺癌および良性前立腺肥大の治療に有用なフルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、酢酸シプロテロンおよび5α−レダクターゼ、例えば、フィナステリドおよびデゥタステリド(dutasteride);抗エストロゲン、例えば、ホルモン依存性乳癌および他の感受性癌の治療に有用なタモキシフェン、トレミフェン、ラロキシフェン、ドロロキシフェン、ヨードキシフェン、ならびに米国特許第5,681,835号、第5,877,219号および第6,207,716号に記載のような選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERMS);および前立腺癌の治療のための性腺刺激ホルモン放出性ホルモン(GnRH)および黄体形成ホルモン(LH)および/または卵胞刺激ホルモン(FSH)の放出を刺激するその類似体、例えば、LHRHアゴニストおよびアンタゴニスト、例えば、酢酸ゴセレリンおよびルプロリドを包含する。
【0075】
シグナル変換経路阻害剤は、細胞内変換を喚起する化学的過程を遮断または阻害する阻害剤である。本明細書中で使用される場合、該変化は、細胞増殖または分化である。本発明において有用なシグナル変換阻害剤は、受容体チロシンキナーゼ、非受容体チロシンキナーゼ、SH2/SH3ドメインブロッカー、セリン/スレオニンキナーゼ、ホスホチジルイノシトール−3キナーゼ、myo−イノシトールシグナル伝達、およびRasオンコジーンの阻害剤を包含する。
【0076】
いくつかのプロテインチロシンキナーゼは、細胞成長の調節に関与する種々のタンパク質における特定のチロシル残基のリン酸化を触媒する。かかるプロテインチロシンキナーゼは、受容体または非受容体キナーゼとして幅広く分類することができる。
【0077】
受容体チロシンキナーゼは、細胞外リガンド結合ドメイン、膜貫通ドメインおよびチロシンキナーゼドメインを有する膜貫通型タンパク質である。受容体チロシンキナーゼは、細胞成長の調節に関与し、一般に、成長因子受容体と呼ばれる。例えば過剰発現または変異による、これらのキナーゼの多くの不適当または制御されない活性化、すなわち、異常型のキナーゼ成長因子受容体活性は、制御されない細胞成長をもたらすことが示された。したがって、かかるキナーゼの異常な活性は、悪性組織成長に関連している。結果として、かかるキナーゼの阻害剤は、癌治療法を提供することができた。成長因子受容体は、例えば、表皮成長因子受容体(EGFr)、血小板由来成長因子受容体(PDGFr)、erbB2、erbB4、血管内皮成長因子受容体(VEGFr)、免疫グロブリン様および表皮成長因子相同ドメインを有するチロシンキナーゼ(TIE−2)、インスリン成長因子−I(IGFI)受容体、マクロファージコロニー刺激因子(cfms)、BTK、ckit、cmet、繊維芽細胞成長因子(FGF)受容体、Trk受容体(TrkA、TrkBおよびTrkC)、エフリン(eph)受容体、およびRETプロトオンコジーンを包含する。いくつかの成長受容体阻害剤は、開発中であり、リガンドアンタゴニスト、抗体、チロシンキナーゼ阻害剤およびアンチセンスオリゴヌクレオチドを包含する。成長因子受容体および成長因子受容体機能を阻害する薬剤は、例えば、Kath,John C.,Exp.Opin.Ther.Patents(2000)10(6):803−818;Shawverら、DDT Vol2,No.2 February 1997;およびLofts,F.J.ら、”Growth factor receptors as targets”,New Molecular Targets for Cancer Chemotherapy,Workman,PaulおよびKerr,David編,CRC press 1994,Londonに記載されている。
【0078】
成長因子受容体キナーゼではないチロシンキナーゼは、非受容体チロシンキナーゼと称される。本発明において有用な非受容体チロシンキナーゼは、抗癌薬の標的または潜在的標的であり、cSrc、Lck、Fyn、Yes、Jak、cAbl、FAK(焦点接着キナーゼ)、Brutonsチロシンキナーゼ、およびBcr−Ablを包含する。かかる非受容体キナーゼおよび非受容体チロシンキナーゼ機能を阻害する薬剤は、Sinh,S.およびCorey,S.J.,(1999) Journal of Hematotherapy and Stem Cell Research 8 (5):465−80;およびBolen,J.B.,Brugge,J.S.,(1997)Annual review of Immunology.15:371−404に記載されている。
【0079】
SH2/SH3ドメインブロッカーは、PI3−K p85サブユニット、Srcファミリーキナーゼ、アダプター分子(Shc、Crk、Nck、Grb2)およびRas−GAPを包含する種々の酵素またはアダプタータンパク質において結合しているSH2またはSH3ドメインを崩壊する薬剤である。抗癌薬の標的としてのSH2/SH3ドメインは、Smithgall,T.E.(1995),Journal of Pharmacological and Toxicological Methods.34(3)125−32において考察されている。
【0080】
セリン/スレオニンキナーゼの阻害剤は、MAPキナーゼカスケードブロッカーを包含し、それは、Rafキナーゼ(rafk)、マイトジェンまたは細胞外調節キナーゼ(MEKs)、および細胞外調節キナーゼ(ERKs)のブロッカー;およびPKC(アルファ、ベータ、ガンマ、イプシロン、ミュー、ラムダ、イオータ、ゼータ)のブロッカーを包含するプロテインキナーゼCファミリーメンバーのブロッカーを包含する。IkBキナーゼファミリー(IKKa、IKKb)、PKBファミリーキナーゼ、aktキナーゼファミリーメンバー、およびTGFベータ受容体キナーゼのブロッカーを包含する。かかるセリン/スレオニンキナーゼおよびその阻害剤は、Yamamoto,T.,Taya,S.,Kaibuchi,K.,(1999),Journal of Biochemistry.126(5)799−803;Brodt,P,Samani,A.,およびNavab,R.(2000),Biochemical Pharmacology,60.1101−1107;Massague,J.,Weis−Garcia,F.(1996)Cancer Surveys.27:41−64;Philip,P.A.,およびHarris,A.L.(1995),Cancer Treatment and Research. 78:3−27,Lackey,K.ら、Bioorganic and Medicinal Chemistryletters,(10),2000,223−226;米国特許第6,268,391号;およびMartinez−Iacaci,L.ら、Int.J.Cancer(2000),88(1),44−52に記載されている。
【0081】
PI3−キナーゼ、ATM、DNA−PKおよびKuのブロッカーを包含するホスホチジルイノシトール−3キナーゼファミリーのメンバーの阻害剤は、また、本発明において有用でありうる。かかるキナーゼは、Abraham,R.T.(1996),Current Opinion in Immunology.8(3)412−8;Canman,C.E.,Lim,D.S.(1998),Oncogene 17(25)3301−3308;Jackson,S.P.(1997),International Journal of Biochemistry and Cell Biology.29(7):935−8;およびZhong,H.ら、Cancer res,(2000)60(6),1541−1545において考察されている。
【0082】
また、本発明は、ミオイノシトールシグナル伝達阻害剤、例えば、ホスホリパーゼCブロッカーおよびミオイノシトール類似物に関する。かかるシグナル阻害剤は、Powis,G.およびKozikowski A.、(1994)New Molecular Targets for Cancer Chemotherapy ed.,Paul Workman and David Kerr,CRC press 1994,Londonにおいて記載されている。
【0083】
シグナル変換経路阻害剤の別の群は、Rasオンコジーンの阻害剤である。かかる阻害剤は、ファルネシルトランスフェラーゼ、ゲラニルゲラニルトランスフェラーゼおよびCAAXプロテアーゼの阻害剤、ならびにアンチセンスオリゴヌクレオチド、リボザイムおよび免疫療法を包含する。かかる阻害剤は、野生型変異体rasを含有する細胞においてras活性化を遮断し、それにより、抗増殖剤として作用することが示された。Rasオンコジーン阻害は、Scharovsky,O.G.,Rozados,V.R.,Gervasoni,S.I.Matar,P.(2000),Journal of Biomedical Science.7(4)292−8;Ashby,M.N.(1998),Current Opinion in Lipidology.9(2)99−102;およびBioChim.Biophys.Acta,(1989)1423(3):19−30において考察されている。
【0084】
上記のように、受容体キナーゼリガンド結合に対する抗体アンタゴニストもまた、シグナル変換阻害剤として作用しうる。該群のシグナル変換経路阻害剤は、受容体チロシンキナーゼの細胞外リガンド結合ドメインに対するヒト化抗体の使用を包含する。例えば、Imclone C225 EGFR特異的抗体(Green,M.C.ら、Monoclonal Antibody Therapy for Solid Tumors,Cancer Treat.Rev.,(2000),26(4),269−286参照)、Herceptin(登録商標)erbB2抗体(Tyrosine kinase Signalling in Breast cancer:erbB Family Receptor Tyrosine Kniases,Breast cancer Res.,2000,2(3),176−183参照)、および2CB VEGFR2特異的抗体(Brekken,R.A.ら、Selective Inhibition of VEGFR2 Activity by a monoclonal Anti−VEGF antibody blocks tumor growth in mice,Cancer Res.(2000)60,5117−5124参照)がある。
【0085】
非受容体キナーゼ脈管形成阻害剤もまた、本発明において有用でありうる。脈管形成関連VEGFRおよびTIE2の阻害剤は、シグナル変換阻害剤に関して上記で考察されている(どちらの受容体も受容体チロシンキナーゼである)。erbB2およびEGFRの阻害剤は、脈管形成、主にVEGF発現を阻害することが示されたので、一般に、脈管形成はerbB2/EGFRシグナル伝達に関係する。したがって、非受容体チロシンキナーゼ阻害剤は、本発明の化合物と組み合わせて使用してもよい。例えば、VEGFR(受容体チロシンキナーゼ)を認識しないが、そのリガンドに結合する抗−VEGF抗体、脈管形成を阻害するであろうインテグリン(アルファ、ベータ)の小型分子阻害剤、エンドスタチンおよびアンジオスタチン(非−RTK)もまた、開示される化合物と組み合わせて有用であることが分かる(Bruns CJら、(2000),Cancer Res.,60:2926−2935;Schreiber AB,Winkler MEおよびDerynck R.(1986),Science,232:1250−1253; Yen Lら、(2000),Oncogene 19:3460−3469参照)。
【0086】
免疫治療方法において使用される薬剤もまた、式(I)の化合物と組み合わせて有用でありうる。免疫応答を生じるための多くの免疫学的方策がある。これらの方策は、一般に、腫瘍ワクチン化の領域にある。免疫学的アプローチの効力は、小型分子阻害剤を用いるシグナル伝達経路の組み合わせた阻害を通して大いに増強されうる。erbB2/EGFRに対する免疫学的/腫瘍ワクチンアプローチの考察は、Reilly RTら、(2000),Cancer Res.60:3569−3576;およびChen Y,Hu D,Eling DJ,Robbins JおよびKipps TJ.(1998),Cancer Res.58:1965−1971において見出される。
【0087】
プロアポトーシス管理において用いられる薬剤(例えば、bcl−2アンチセンスオリゴヌクレオチド)もまた、本発明の組み合わせにおいて使用されうる。タンパク質のBcl−2ファミリーのメンバーは、アポトーシスを阻害する。したがって、bcl−2のアップレギュレーションは、化学耐性に関連する。研究により、表皮成長因子(EGF)がbcl−2ファミリーの抗−アポトーシスメンバー(すなわち、mcl−1)を刺激することが示された。したがって、腫瘍においてbcl−2の発現をダウンレギュレーションすることが計画された方策、すなわち、Genta’s G3139 bcl−2アンチセンスオリゴヌクレオチドは、臨床上の利益を明らかにし、現在、第II/III相試験にある。bcl−2に対するアンチセンスオリゴヌクレオチド法を用いるかかるプロアポトーシス法は、Water JSら、(2000),J.Clin.Oncol.18:1812−1823;およびKitada Sら、(1994),Antisense Res.Dev.4:71−79において考察されている。
【0088】
細胞周期シグナル伝達阻害剤は、細胞周期の調節に関与する分子を阻害する。サイクリン依存性キナーゼ(CDK)と呼ばれるプロテインキナーゼのファミリー、およびサイクリンと名付けられたタンパク質のファミリーとのそれらの相互作用は、真核生物の細胞周期の進行を調節する。種々のサイクリン/CDK複合体の配位活性化および不活性化は、細胞周期の正常な進行に必要である。細胞周期シグナル伝達のいくつかの阻害剤は、開発下にある。例えば、CDK2、CDK4およびCDK6を包含するサイクリン依存性キナーゼの例およびその阻害剤が、例えば、Rosaniaら、Exp.Opin.Ther.Patents(2000)10(2):215−230に記載されている。
【0089】
一の具体例において、本発明の癌治療法は、式Iの化合物および/またはその医薬上許容される塩、水和物、溶媒和物またはプロドラッグと、少なくとも1つの抗新生物剤、例えば、抗微小管剤、白金配位錯体、アルキル化剤、抗生物質剤、トポイソメラーゼII阻害剤、代謝拮抗剤、トポイソメラーゼI阻害剤、ホルモンおよびホルモン類似物、シグナル変換経路阻害剤、非受容体チロシンキナーゼ脈管形成阻害剤、免疫治療剤、プロアポトーシス剤、および細胞周期シグナル伝達阻害剤からなる群から選択される抗新生物剤との同時投与を包含する。
【0090】
本発明の医薬上活性な化合物は、AKT阻害剤として活性なので、それらは、癌および関節炎の治療において治療上有用性を示す。
【0091】
適当には、本発明は、脳腫瘍(神経膠腫)、神経膠芽腫、Bannayan−Zonana症候群、コーデン病、Lhermitte−Duclos病、乳癌、結腸癌、頭頚部癌、腎臓癌、肺癌、肝臓癌、黒色腫、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、肉腫および甲状腺癌から選択される癌を治療またはかかる癌の重篤度を軽減する方法に関する。
【0092】
適当には、本発明は、卵巣癌、膵臓癌および前立腺癌から選択される癌の治療またはかかる癌の重篤度を軽減する方法に関する。
【0093】
Hisタグ付加AKT1(aa 136−480)の単離および精製
Hisタグ付加AKT1(aa 136−480)を発現している昆虫細胞を25mM HEPES、100mM NaCl、20mM イミダゾール(pH7.5)中にpolytronを用いて溶解させた(5mL溶解バッファー/g 細胞)。細胞破片を28,000xgで30分間遠心分離することによって除去した。上清を4.5ミクロンのフィルターで濾過し、次いで、予め溶解バッファーで平衡化したニッケル−キレートカラム上に負荷した。該カラムを5カラム容量(CV)の溶解バッファー、次いで、5CVの20%バッファーB(ここに、バッファーBは、25mM HEPES,100mM NaCl,300mM イミダゾール、pH7.5である)で洗浄した。Hisタグ付加AKT1(aa 136−480)は、10CVにわたるバッファーBの20−100%直線勾配で溶出された。Hisタグ付加AKT1(136−480)溶出フラクションをプールし、3倍量のバッファーC(ここに、バッファーCは、25mM HEPES,pH7.5である)で希釈した。次いで、該試料を、バッファーCで予め平衡化したQ−セファロースHPカラム上のクロマトグラフィーに付した。該カラムを5CVのバッファーCで洗浄し、次いで、5CVの10%D、5CVの20%D、5CVの30%D、5CVの50%Dおよび5CVの100%D(ここに、バッファーDは、25mM HEPES,1000mM NaCl、pH7.5である)で段階溶出した。Hisタグ付加AKT1(aa 136−480)含有フラクションをプールし、10−kDa分子量カットオフ濃縮器で濃縮した。Hisタグ付加AKT1(aa 136−480)を、25mM HEPES,200mM NaCl,1mM DTT(pH7.5)で予め平衡化したSuperdex75ゲル濾過カラム上のクロマトグラフィーに付した。Hisタグ付加AKT1(aa 136−480)フラクションを、SDS−PAGEおよび質量分析法を用いて試験した。該タンパク質をプールし、濃縮し、−80℃で冷凍した。
Hisタグ付加AKT2(aa 138−481)およびHisタグ付加AKT3(aa 135−479)も同様に、単離および精製した。
【0094】
Hisタグ付加AKT酵素アッセイ
本発明の化合物を基質リン酸化アッセイにおいて、AKT1、2および3プロテインセリンキナーゼ阻害活性について試験した。該アッセイは、ペプチド基質のセリンリン酸化を阻害する小型分子有機化合物の能力について試験する。基質リン酸化アッセイは、AKT1、2または3の触媒ドメインを利用する。AKT1、2および3は、また、Upstate USA,Inc.から入手可能である。該方法は、ビオチン化合成ペプチド配列番号1(ビオチン−ahx−ARKRERAYSFGHHA−アミド)のセリン残基上へのATP由来のガンマ−ホスフェートの移動を触媒する単離酵素の能力を測定する。基質リン酸化は、下記の手法によって検出された。
アッセイは、384ウェルU底白色プレートで行った。10nM活性化AKT酵素を、50mM MOPS、pH7.5、20mM MgCl、4μM ATP、8μMペプチド、0.04μCi[g−33P]ATP/ウェル、1mM CHAPS、2mM DTT、および100%DMSO中における1μlの試験化合物を含有するアッセイ容量20μl中、室温で40分間インキュベートした。50μlのSPAビーズミックス(Mg2+およびCa2+を含有しないDulbecco PBS、0.1% Triton X−100、5mM EDTA、50μM ATP、2.5mg/mlストレプトアビジンで被覆したSPAビーズ)の添加によって、反応を停止した。プレートを密閉し、ビーズを一晩沈澱させ、次いで、プレートをPackard Topcountマイクロプレートシンチレーションカウンター(Packard Instrument Co.,Meriden,CT)においてカウントした。
用量応答データをデータ換算式100(U1−C2)/(C1−C2)
[式中、Uは未知の値であり、C1は、DMSOについて得られた平均対照値であり、C2は、0.1M EDTAについて得られた平均対照値である]
で算出した%対照として、化合物濃度に対してプロットした。データを、
y=((Vmaxx)/(K+x))
[式中、Vmaxは、上位の漸近線であり、KはIC50である]
によって表される曲線にフィットさせる。
【0095】
全長ヒト(FL)AKT1のクローニング
全長ヒトAKT1遺伝子を、ミリスチル化AKT1−ERを含有するプラスミド(Robert T. Abraham, Duke University under MTAからの贈呈品。Molecular and Cellular Biology 1998 Volume 18 p.5699に記載)から、5’プライマー:配列番号2
5’ TATATAGGATCCATGAGCGACGTGGC 3’
および3’プライマー:配列番号3
AAATTTCTCGAGTCAGGCCGTGCTGCTGG 3’
を用いてPCRによって増幅した。5’プライマーはBamHI部位を、3’プライマーはXhoI部位をクローニング目的で含んでいた。得られたPCR産物をpcDNA3中で、BamHI/XhoIフラグメントとしてサブクローニングした。システイン25をコードしている配列(GC)における変異を、QuikChange部位特異的変異誘発キット(Stratagene)を用いる部位特異的変異誘発によって、アルギニン25をコードしている野生型AKT1配列(GC)に変化させた。AKT1変異誘発プライマー:配列番号4
5’ ACCTGGCGGCCACGCTACTTCCTCC
および選択プライマー:配列番号5
5’ CTCGAGCATGCAACTAGAGGGCC(pcDNA3のマルチプルクローニング部位におけるXbaI部位を破壊するために設計された)
を製造者の指示に従って用いた。発現/精製目的で、AKT1をBamHI/XhoIフラグメントとして単離し、pFastbacHTb(Invitrogen)の
BamHI XhoI部位中にクローニングした。
【0096】
FLヒトAKT1の発現
発現は、InvitrogenのBAC−to−BACバキュロウイルス発現システム(カタログ番号10359−016)を用いて行った。簡単に言うと、1)cDNAをFastBacベクターからbacmid DNA中へ移入させ、2)bacmid DNAを単離し、Sf9昆虫細胞をトランスフェクトするために用い、3)ウイルスをSf9細胞中で産生させ、4)T. ni細胞を該ウイルスに感染させ、精製に付した。
【0097】
FLヒトAKT1の精製
全長AKT1の精製のために、130gのsf9細胞(バッチ番号41646W02)を、25mM HEPES、100mM NaClおよび20mMイミダゾールを含有する溶解バッファー(バッファーA,1L,pH7.5)中に再懸濁した。細胞溶解をAvestin(15K−20K psiで2回)によって行った。細胞破片を16K rpmで1時間遠心分離することによって除去し、上清を4℃で一晩、10mlのニッケルセファロースHPビーズにバッチ結合させた。次いで、ビーズをカラムに移し、結合した物質をバッファーB(25mM HEPES、100mM NaCl、300mM イミダゾール、pH7.5)で溶出した。AKT溶出フラクションをプールし、バッファーC(25mM HEPES、5mM DTT、pH7.5)を用いて3倍量に希釈した。該試料を濾過し、バッファーCで予め平衡化した10mLのQ−HPカラム上で2mL/分にてクロマトグラフィーに付した。
Q−HPカラムを3カラム容量(CV)のバッファーCで洗浄し、次いで、5CVの10%D、5CVの20%D、5CVの30%D、5CVの50%Dおよび5CVの100%D(ここに、バッファーDは、25mM HEPES、1000mM NaCl、5mM DTT、pH7.5である)を用いて段階溶出した。5mLフラクションを回収した。AKT含有フラクションをプールし、5mlに濃縮した。次いで、該タンパク質を、25mM HEPES、200mM NaCl、5mM DTT、pH7.5で予め平衡化した120mlのSuperdex75サイジングカラムに負荷した。2.5mLのフラクションを回収した。
AKT1溶出フラクションをプールし、アリコート(1ml)に分け、−80℃で保存した。質量分析およびSDS−PAGE分析を用いて、精製した全長AKT1の純度および同定を確認した。
全長(FL)AKT2および(FL)AKT3を同様に、単離および精製した。
【0098】
全長AKT酵素アッセイ
本発明の化合物をAKT1、2および3プロテインセリンキナーゼ阻害活性について、基質リン酸化アッセイにおいて試験した。該アッセイは、ペプチド基質のセリンリン酸化を阻害する小型分子有機化合物の能力について試験する。基質リン酸化アッセイは、AKT1、2または3の触媒ドメインを利用する。該方法は、ビオチン化合成ペプチド配列番号1(ビオチン−ahx−ARKRERAYSFGHHA−アミド)のセリン残基上へのATP由来のガンマ−ホスフェートの移動を触媒する単離酵素の能力を測定する。基質リン酸化は、下記の手法によって検出された。
アッセイは、384ウェルU底白色プレートで行った。10nM活性化AKT酵素を、50mM MOPS、pH7.5、20mM MgCl、4μM ATP、8μMペプチド、0.04μCi[g−33P]ATP/ウェル、1mM CHAPS、2mM DTT、および100%DMSO中における1μlの試験化合物を含有するアッセイ容量20μl中、室温で40分間インキュベートした。50μlのSPAビーズミックス(Mg2+およびCa2+を含有しないDulbecco PBS、0.1% Triton X−100、5mM EDTA、50μM ATP、2.5mg/mlストレプトアビジンで被覆したSPAビーズ)の添加によって、反応を停止した。プレートを密閉し、ビーズを一晩沈澱させ、次いで、プレートをPackard Topcountマイクロプレートシンチレーションカウンター(Packard Instrument Co.,Meriden,CT)においてカウントした。
用量応答データをデータ換算式100(U1−C2)/(C1−C2)
[式中、Uは未知の値であり、C1は、DMSOについて得られた平均対照値であり、C2は、0.1M EDTAについて得られた平均対照値である]
で算出した%対照として、化合物濃度に対してプロットした。データを、
y=((Vmaxx)/(K+x))
[式中、Vmaxは、上位の漸近線であり、KはIC50である]
によって表される曲線にフィットさせる。
【0099】
実施例1の化合物は、上記の全長AKT酵素アッセイにおいて、IC50(μM)活性がFL AKT1に対し0.003μm、FL AKT2に対し0.025μmであることが明らかになった。
実施例2の化合物は、上記の全長AKT酵素アッセイにおいて、IC50(μM)活性がFL AKT1に対し0.002μM、FL AKT2に対し0.016μMであることが明らかになった。
【0100】
本発明の実施例1〜18の化合物の腫瘍細胞系統および正常細胞系統に対する活性および溶解度を、国際出願第PCT/US2004/024340号において調製された最も構造的に関連のある化合物であると考えられるものと比較した。詳細には、国際出願第PCT/US2004/024340号の実施例140の化合物(化合物4−(1−エチル−7−{[3−(4−モルホリニル)プロピル]オキシ}−4−フェニル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−イル)−1,2,5−オキサジアゾール−3−アミントリフルオロアセテート(以下、化合物Rという))、国際出願第PCT/US2004/024340号の実施例151の化合物(化合物 1−{[2−(4−アミノ−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)−1−エチル−4−フェニル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−7−イル]オキシ}−3−(4−モルホリニル)−2−プロパノールトリフルオロアセテート(以下、化合物Sという))、国際出願第PCT/US2004/024340号の実施例152の化合物(化合物 4−(1−エチル−7−{[2−(4−モルホリニル)エチル]オキシ}−4−フェニル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−イル)−1,2,5−オキサジアゾール−3−アミントリフルオロアセテート(以下、化合物Tという))、国際出願第PCT/US2004/024340号の実施例17の化合物(化合物 4−[1−エチル−7−(ピペリジン−4−イルオキシ)−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−イル]−フラザン−3−イルアミントリフルオロアセテート(以下、化合物Uという))、国際出願第PCT/US2004/024340号の実施例127の化合物(化合物 4−{1−エチル−4−フェニル−7−[(3−ピペリジニルメチル)オキシ]−1H−イミダゾ−[4,5−c]ピリジン−2−イル}−1,2,5−オキサジアゾール−3−アミントリフルオロアセテート(以下、化合物Vという))、国際出願第PCT/US2004/024340号の実施例215の化合物(化合物 4−[7−[(4−アミノブチル)オキシ]−2−(4−アミノ−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−4イル}−2−メチル−3−ブチン−2−オールトリフルオロアセテート(以下、化合物Wという))、国際出願第PCT/US2004/024340号の実施例222の化合物(化合物 4−{2−(4−アミノ−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)−7−[(3−アミノプロピル)オキシ]−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−4イル}−2−メチル−3−ブチン−2−オールトリフルオロアセテート(以下、化合物Xという))、国際出願第PCT/US2004/024340号の実施例223の化合物(化合物 4−{2−(4−アミノ−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)−1−エチル−7−[(4−ピペリジニルメチル)オキシ]−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−4−イル}−2−メチル−3−ブチン−2−オールトリフルオロアセテート(以下、化合物Yという))、および国際出願第PCT/US2004/024340号の実施例265の化合物(化合物 4−(2−(4−アミノ−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)−1−エチル−7−{[3−({2−[4−(メチルオキシ)フェニル]エチル}アミノ)プロピル]オキシ}−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−4−イル)−2−メチル−3−ブチン−2−オール(以下、化合物Zという))である。
化合物R、S、T、U、V、W、X、YおよびZは、国際出願第PCT/US2004/024340号に記載されるように調製することができる。
【0101】
細胞アッセイ:メチレンブルー成長阻害アッセイ
該アッセイに使用された腫瘍細胞系統は、BT474(ヒト乳癌)およびLNCaP(前立腺癌のリンパ節転移)であった。HFF(正常ヒト包皮繊維芽細胞)もまた、包含された。全細胞系統を、10%胎仔ウシ血清(FBS)を含有するRPMI1640培地(Invitrogen Corporation 22400−071)中37℃にて、給湿5%COインキュベーター中で培養した。トリプシン/EDTAを用いて細胞を採取し、血球計を用いてカウントし、96ウェル組織培養プレート(Costar 35−3075)中、100μL/ウェルにて、下記の密度で播種した:BT474 15,000細胞/ウェル、LNCaP 5,000細胞/ウェルおよびHFF 5,000細胞/ウェル。DMSO中における化合物の10mMストックを96ウェルプレート(Costar Corning 3363)において、9つの3倍希釈によってDMSO中に連続希釈し、−80℃で保存した。次の日、化合物希釈物を解凍し、各4μLを662μLのRPMI1640+100μg/mLゲンタマイシン中に移し、その結果、最終的に必要とされる試験濃度の2倍濃度になった。RPMI1640に希釈した化合物100μLを全細胞系統に加えた。対照を包含する全ウェル中におけるDMSOの最終濃度は、0.3%であった。細胞を37℃にて、5%CO中で3日間インキュベートした。培地を吸引によって除去した。細胞量を、80μLメチレンブルー(Sigma M9140、50:50のエタノール:水中における0.5%)で細胞を染色し、室温で1時間インキュベートすることによって概算した。染料を吸引し、プレートを水に浸漬することによってリンスし、次いで、風乾した。100μLの可溶化溶液(PBS中における1% N−ラウロイルサルコシンナトリウム塩、Sigma L5125)を加え、室温で少なくとも30分間インキュベートすることによって、細胞から染色液を遊離させた。プレートを振盪し、620nmでの光学密度をマイクロプレートリーダーにおいて測定した。細胞成長の阻害パーセントをビヒクルで処理した対照ウェルに基づいて算出した。細胞成長の50%を阻害する化合物の濃度(IC50)は、非線形回帰(Levenberg−Marquadt)および等式 y=Vmax(1−(x^n/K^n+x^n)))+Y2を用いて求められた。[参考文献:Mager,M.E.(1972) Data Analysis in Biochemistry and Biophysics.New York:Academic Press]
【0102】
【表1】

【0103】
本発明の範囲内の医薬上活性な化合物は、必要とする哺乳動物、特にヒトにおいて、AKT阻害剤として有用である。
したがって、本発明は、有効量の式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩、水和物、溶媒和物もしくはプロドラッグを投与することを特徴とする、癌、関節炎、およびAKT阻害を必要とする他の状態を治療する方法を提供する。式(I)の化合物は、また、その明らかとなったAkt阻害剤として作用する能力のために、上記の病態を治療する方法に提供される。該薬物は、必要とする患者に、限定するものではないが、静脈内、筋内、経口、皮下、皮内および非経口を包含するいずれかの都合のよい投与経路によって投与すればよい。
【0104】
本発明の医薬上活性な化合物は、カプセル、錠剤、または注射製剤などの都合のよい投与形態中に組み込まれる。固形または液体医薬担体が用いられる。固形担体は、デンプン、ラクトース、硫酸カルシウム二水和物、白土、シュークロース、タルク、ゼラチン、寒天、ペクチン、アラビアゴム、ステアリン酸マグネシウム、およびステアリン酸を包含する。液体担体は、シロップ、落花生油、オリーブ油、セーライン、および水を包含する。同様に、担体は、いずれかの徐放性材料、例えば、単独またはワックスと組み合わせたモノステアリン酸グリセリルまたはジステアリン酸グリセリルを包含する。固形担体の量は、幅広く変化するが、好ましくは、投与単位当たり約25mg〜約1gである。液体担体を用いる場合、例えば、製剤はシロップ、エリキシル、エマルジョン、ソフトゼラチンカプセル、滅菌注射液、例えば、アンプル、または水性もしくは非水性液体懸濁の形態である。
【0105】
医薬製剤は、材料を適宜、錠剤形態の場合、混合、造粒、および圧縮(必要に応じ)し、または混合、充填および溶解して所望の経口または非経口製品を得ることを含む製薬分野の化学者の従来の技術にしたがって製造される。
上記の医薬投与単位中における本発明の医薬上活性な化合物の用量は、好ましくは、活性化合物量で0.001〜100mg/kg、好ましくは0.001〜50mg/kgから選択される、効力のある非毒性の量である。Akt阻害剤を必要とするヒト患者を治療する場合、選択された用量は、好ましくは、1日に1〜6回、経口または非経口投与される。非経口投与の好ましい形態は、局所、直腸、経皮、注射、および点滴による連続的投与を包含する。ヒトへの投与のための経口および/または非経口投与単位は、好ましくは、0.05〜3500mgの活性化合物を含有する。
【0106】
投与されるべき最適な投与量は、当業者によって容易に決定され、使用される特定のAkt阻害剤、製剤の強度、投与様式、および病態の進行度によって変化する。患者の年齢、体重、食事、および投与時間を包含する治療されている特定の患者に依存する付加的な因子は、投与量の調整の必要をもたらす。
【0107】
ヒトを包含する哺乳動物におけるAkt阻害活性を誘導する本発明の方法は、かかる活性を必要とする対象に、本発明の医薬上活性な化合物の有効なAkt阻害量を投与することを特徴とする。
本発明は、また、Akt阻害剤として有用な医薬の製造における式(I)の化合物の使用を提供する。
【0108】
本発明は、また、治療において有用な医薬の製造における式(I)の化合物の使用を提供する。
本発明は、また、癌の治療において有用な医薬の製造における式(I)の化合物の使用を提供する。
本発明は、また、関節炎の治療において有用な医薬の製造における式(I)の化合物の使用を提供する。
本発明は、また、式(I)の化合物および医薬上許容される担体を含むAkt阻害剤として有用な医薬組成物を提供する。
本発明は、また、式(I)の化合物および医薬上許容される担体を含む癌の治療において有用な医薬組成物を提供する。
本発明は、また、式(I)の化合物および医薬上許容される担体を含む関節炎の治療において有用な医薬組成物を提供する。
【0109】
本発明の化合物を本発明にしたがって投与する場合、許容できない毒物学的影響は予想されない。
さらに、本発明の医薬上活性な化合物は、さらなる活性成分、例えば、癌または関節炎を治療することが知られている他の化合物、またはAkt阻害剤と組み合わせて使用すると有用であることが知られている化合物と同時投与することができる。
【0110】
さらに工夫することなく、当業者は、上記の記載を用いて、本発明をその完全な範囲まで利用することができると確信する。
【実施例】
【0111】
したがって、下記の実施例は、単なる例示として解釈されるべきものであり、いかなる方法においても、本発明の範囲を限定するものではない。
実験詳細
実施例1〜18の化合物は、スキーム1または類似の方法によって容易に製造される。
【0112】
中間体VII
【化4】

【0113】
2−(4−アミノ−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)−4−クロロ−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−7−オールの調製
a)5−ブロモ−2−クロロ−N−エチル−ピリジン−3,4−ジアミン(II)
3−ブロモ−5−ニトロピリジン−4−イルアミン(I,700g,2.86mol)を濃HCl(7L)中に溶解し、85℃に加熱した。塩化スズ(II)(1626g,8.58mol)を徐々に加えた。反応物を1時間熱還流し、次いで、一晩かけて周囲温度に冷却した。得られた黄色沈殿物を濾過によって収集し、氷水(5L)中に懸濁し、混合物を12N NaOHでpH12に調整した。得られた溶液をCHCl(2x4L)で抽出し、合わせた有機抽出物をNaSOで乾燥させた。溶媒を減圧下で除去して、所望の化合物(II)を得た(550g、77%収率)。これをさらに精製することなく次工程に用いた。MS(ES+)m/z 250(M+H)
【0114】
b)N−[5−ブロモ−2−クロロ−4−(エチルアミノ)−3−ピリジニル]−2−シアノアセトアミド(III)
5−ブロモ−2−クロロ−N−エチル−ピリジン−3,4−ジアミン(II,550g,2.21mol)のCH2Cl2(5.5L)中溶液に、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(634.5g,3.31mol)、シアノ酢酸(282g,3.31mol)およびN−メチルモルホリン(897g,8.84mol)を加えた。1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩およびシアノ酢酸の添加時に、有意な発熱(〜20℃)が観察された。周囲温度で2時間攪拌後、溶媒を減圧下で除去した。得られた残渣を温かいEtOAc(40℃,20L)および水(40℃,8L)で抽出した。水相をEtOAc(10L)を加えて洗浄し、合わせた有機抽出物を水(10L)で洗浄した。有機抽出物を減圧下で濃縮してスラリーを得、濾過した。固体をEtOAcで洗浄し、乾燥させて、所望の化合物(III)を白色結晶性固体として得た(534g、76%収率)。さらに精製することなく、これを次工程に用いた。MS(ES+) m/z 317(M+H)
【0115】
c)(7−ブロモ−4−クロロ−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−イル)−ヒドロキシイミノ−アセトニトリル(V)
N−[5−ブロモ−2−クロロ−4−(エチルアミノ)−3−ピリジニル]−2−シアノアセトアミドIII(458g,1.45mol)の氷酢酸(4.6L)中溶液を100℃に加熱した。3時間後、LC/MS分析が、(7−ブロモ−4−クロロ−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−イル)アセトニトリル(IV)への変換が完了したことを示した。周囲温度に冷却後、反応物に硝酸ナトリウム(230g,3.34mol)を徐々に加えた。〜10℃の発熱と共に、激しい気体発生および泡立ちが観察された。周囲温度で16時間攪拌後、固体を濾過によって収集し、一定重量になるまで乾燥させて、所望の生成物(V)を薄黄色固体として得た(545g)。これをさらに精製することなく、次工程に用いた。MS(ES+) m/z 328(M+H)
【0116】
d)4−(7−ブロモ−4−クロロ−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−イル)−1,2,5−オキサジアゾール−3−アミン(VI)
(7−ブロモ−4−クロロ−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−イル)−ヒドロキシイミノ−アセトニトリル(V,545g,1.45mol)のジオキサン(5L)中混合物に、トリエチルアミン(1L)およびヒドロキシルアミン(143g,水中55%)を加えた。反応物を6時間熱還流した。反応物を周囲温度に冷却後、混合物を濾過し、濾液を減圧下で濃縮して茶色固体を得た。固体をメタノール(1L)中に懸濁し、懸濁液を65℃で0.5時間攪拌した。固体を濾過によって収集し、乾燥させて、所望の化合物(VI)を得た(321g、70%収率)。これをさらに精製することなく、次工程に用いた。MS(ES+)m/z343(M+H)
【0117】
e)2−(4−アミノ−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)−4−クロロ−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−7−オール(VII)
4−(7−ブロモ−4−クロロ−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−イル)−1,2,5−オキサジアゾール−3−アミン(VI,50g,0.14mol)のTHF(1L)中懸濁液を乾燥−氷/アセトン浴中で、内温が−75℃以下になるまで冷却した。塩化イソプロピルマグネシウム(225mL,エーテル中2M,0.45mol)を、反応温度が−70℃以下に維持される速度でゆっくりと加えた。さらに10分後、ホウ酸トリメチル(54mL,0.48mol)を加え、反応を乾燥−氷/アセトン浴中で1時間維持した。該浴を取り外し、反応物を周囲温度に戻した。18時間後、得られた黄色懸濁液を0℃に冷却した。30%過酸化水素(250mL)および3N NaOH(100mL)の溶液を反応温度が40℃以下に維持されるような速度で加えた。次いで、該氷浴を取り外し、反応物を周囲温度で2時間、激しく攪拌した。大量の有機溶媒を減圧下で除去し、水相を1N HClでpH3に酸性化した。得られた懸濁液を30分間攪拌後、酢酸エチル(200mL)を加えた。さらに1時間攪拌後、固体を濾過によって収集した。濾過ケークを水、酢酸エチル、トルエンおよび酢酸エチルで連続的に洗浄した。固体を一定重量になるまで乾燥させて、所望の化合物(VII)を薄黄色固体として得た(35.9g、88%収率)。MS(ES+)m/z281.3(M+H)
【0118】
実施例1
【化5】

【0119】
4−(2−(4−アミノ−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)−1−エチル−7−{[3−(1−ピペリジニル)プロピル]オキシ}−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−4−イル)−2−メチル−3−ブチン−2−オール二塩酸塩の調製
a)4−{7−[(3−ブロモプロピル)オキシ]−4−クロロ−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−イル}−1,2,5−オキサジアゾール−3−アミン
中間体VII(1.98g,7.07mmol)のDMF(10mL)中溶液に、炭酸セシウム(7.01g,21.5mmol)を加えた。30分後、周囲温度にて、1,3−ジブロモプロパン(3.70mL,36.2mmol)を加えた。さらに30分後、反応物を60℃で20時間加熱した。周囲温度に冷却後、反応混合物を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機抽出物を無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を減圧下で除去し、残渣をテトラヒドロフランに溶解した。ヘキサンを加え、得られた沈殿物を収集し、乾燥させて、所望の化合物を得た(2.04g、72%収率)。これをさらに精製することなく、次工程に用いた。MS(ES+)m/z401.0(M+H)
【0120】
b)4−(4−クロロ−1−エチル−7−{[3−(1−ピペリジニル)プロピル]オキシ}−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−イル)−1,2,5−オキサジアゾール−3−アミン
実施例1(a)(0.30g,0.75mmol)のアセトニトリル(10mL)中懸濁液に、ピペリジン(0.40mL,4.0mmol)を加えた。反応物を60℃で20時間加熱した。反応物を周囲温度に冷却後、得られた沈殿物を濾過によって収集した。濾液を真空下で濃縮し、残渣をエタノールおよびへキサンでトリチュレートした。得られた沈殿物を濾過によって収集し、合わせた沈殿物を乾燥させて、所望の物質を得た(0.29g、95%収率)。これをさらに精製することなく、次工程に用いた。MS(ES+)m/z406.4(M+H)
【0121】
c)4−(2−(4−アミノ−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)−1−エチル−7−{[3−(1−ピペリジニル)プロピル]オキシ}−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−4−イル)−2−メチル−3−ブチン−2−オール二塩酸塩
厚壁圧力容器に実施例1(b)の化合物(0.29g,0.70mmol)、2−メチル−3−ブチ−2−オール(0.35mL,3.58mmol)、(Ph3P)4Pd(0.14g,0.12mmol)、Zn粉末(0.01g,0.15mmol)、NaI(0.02g,0.13mmol)、DBU(0.22mL,1.47mmol)、トリエチルアミン(0.22mL,1.58mmol)およびDMSO(2mL)を入れた。該混合物をアルゴンで10分間パージした。次いで、圧力容器を密閉し、90℃で3時間加熱した。反応物を一晩かけて周囲温度に冷却し、濾過して固体を除去した。分取HPLC(YMV/ODS−Aカラム、50mm x 20mm内径;5−90%アセトニトリル/水(0.1%TFA);20mL/分;214nm)によって精製して、所望の物質をトリフルオロ酢酸塩として得た(0.27g)。固体をメタノール中に溶解し、エーテル中における2N HClで処理した。得られた沈澱を濾過によって収集し、乾燥させて、標題化合物を白色固体として得た(0.18g、56%収率)。MS(ES+)m/z454.2(M+H) 分析:C23312HCl・2HOの計算値:C,49.11;H,6.63;N,17.43。実測値:C,49.25;H,6.34;N,17.43。
【0122】
実施例2
【化6】

【0123】
4−(2−(4−アミノ−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)−1−エチル−7−{[3−(1−ピロリジニル)プロピル]オキシ}−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−4−イル)−2−メチル−3−ブチン−2−オール二塩酸塩の調製
a)4−(4−クロロ−1−エチル−7−{[3−(1−ピロリジニル)プロピル]オキシ}−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−イル)−1,2,5−オキサジアゾール−3−アミン
実施例1(a)の化合物(0.31g,0.76mmol)のアセトニトリル(10mL)中懸濁液に、ピロリジン(0.32mL,3.92mmol)を加えた。反応物を60℃で20時間加熱した。反応物を周囲温度に冷却後、得られた沈澱を濾過によって収集した。濾液を真空下で濃縮し、残渣をエタノールおよびへキサンでトリチュレートした。得られた沈殿物を濾過によって収集し、合わせた沈澱物を乾燥させて、所望の物質を得た(0.28g、93%収率)。これをさらに精製することなく、次工程に用いた。MS(ES+)m/z392.2(M+H)
【0124】
b)4−(2−(4−アミノ−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)−1−エチル−7−{[3−(1−ピロリジニル)プロピル]オキシ}−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−4−イル)−2−メチル−3−ブチン−2−オール二塩酸塩
厚壁圧力容器に実施例2(a)の化合物(0.27g,0.70mmol)、2−メチル−3−ブチ−2−オール(0.35mL,3.58mmol)、(Ph3P)4Pd(0.17g,0.15mmol)、Zn粉末(0.01g,0.15mmol)、NaI(0.02g,0.13mmol)、DBU(0.25mL,1.67mmol)、トリエチルアミン(0.25mL,1.80mmol)およびDMSO(2mL)を入れた。該混合物をアルゴンで10分間パージした。次いで、圧力容器を密閉し、90℃で3時間加熱した。反応物を一晩かけて周囲温度に冷却し、濾過して固体を除去した。分取HPLC(YMV/ODS−Aカラム、50mm x 20mm内径;5−90%アセトニトリル/水(0.1%TFA);20mL/分;214nm)によって精製して、所望の物質をトリフルオロ酢酸塩として得た。固体をメタノール中に溶解し、エーテル中における2N HClで処理した。得られた沈澱を濾過によって収集し、乾燥させて、標題化合物を白色固体として得た(0.21g、67%収率)。MS(ES+)m/z440.4(M+H) 分析:C2229・2HCl・1.5HOの計算値:C,48.98;H,6.35;N,18.17。実測値:C,48.64;H,6.10;N,18.05。
【0125】
実施例3
【化7】

【0126】
4−(2−(4−アミノ−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)−7−{[3−(シクロペンチルアミノ)プロピル]オキシ}−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−4−イル)−2−メチル−3−ブチン−2−オール二塩酸塩の調製
a)4−(4−クロロ−7−{[3−(シクロペンチルアミノ)プロピル]オキシ}−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−イル)−1,2,5−オキサジアゾール−3−アミン
実施例1(a)の化合物(0.31g,0.76mmol)のアセトニトリル(10mL)中懸濁液に、シクロペンチルアミン(0.40mL,4.05mmol)を加えた。反応物を60℃で18時間加熱した。反応物を周囲温度に冷却後、得られた沈殿物を濾過によって収集し、乾燥させて、所望の物質を得た(0.26g、82%収率)。これをさらに精製することなく次工程に用いた。MS(ES+)m/z406.4(M+H)
【0127】
b)4−(2−(4−アミノ−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)−7−{[3−(シクロペンチルアミノ)プロピル]オキシ}−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−4−イル)−2−メチル−3−ブチン−2−オール二塩酸塩
厚壁圧力容器に実施例3(a)の化合物(0.31g,0.77mmol)、2−メチル−3−ブチ−2−オール(0.40mL,4.09mmol)、(Ph3P)4Pd(0.19g,0.16mmol)、Zn粉末(0.01g,0.15mmol)、NaI(0.02g,0.13mmol)、DBU(0.25mL,1.67mmol)、トリエチルアミン(0.25mL,1.80mmol)およびDMSO(2mL)を入れた。該混合物をアルゴンで10分間パージした。次いで、圧力容器を密閉し、90℃で3時間加熱した。反応物を一晩かけて周囲温度に冷却し、濾過して固体を除去した。分取HPLC(YMV/ODS−Aカラム、50mm x 20mm内径;5−90%アセトニトリル/水(0.1%TFA);20mL/分;214nm)によって精製して、所望の物質をトリフルオロ酢酸塩として得た。固体をメタノール中に溶解し、エーテル中における2N HClで処理した。得られた沈澱を濾過によって収集し、乾燥させて、標題化合物を白色固体として得た(0.21g、59%収率)。MS(ES+)m/z454.2(M+H) 分析:C2331・2HCl・1.5HOの計算値:C,49.91;H,6.56;N,17.71。実測値:C,50.30;H,6.24;N,17.85。
【0128】
実施例4
【化8】

【0129】
4−[7−{[(3R)−3−アミノ−4−メチルペンチル]オキシ}−2−(4−アミノ−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−4−イル]−2−メチル−3−ブチン−2−オール二塩酸塩の調製
a)[(1R)−1−(2−ヒドロキシエチル)−2−メチルプロピル]カルバミン酸1,1−ジメチルエチル
(3R)−3−({[(1,1−ジメチルエチル)オキシ]カルボニル}アミノ)−4−メチルペンタン酸(1.0g,4.3mmol)のTHF(20mL)中溶液に、0℃にて、ボラン(19.2mL,THF中1M,19.2mmol)を15分かけて加えた。反応物を−15℃で55時間維持し、次いで0℃に温め、9:1 メタノール/酢酸(10mL)の滴下によってクエンチした。減圧下で溶媒を除去し、残渣を酢酸エチルと1N HClの間に分配した。水相を酢酸エチルで抽出し、合わせた有機抽出物を水、1N NaOH、水、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧下で除去して、所望の物質を得た(0.55g、59%収率)。これをさらに精製することなく次工程に用いた。
【0130】
b)[(1R)−1−(2−ブロモエチル)−2−メチルプロピル]カルバミン酸1,1−ジメチルエチル
実施例4(a)の化合物(0.51g,2.40mmol)およびCBr(1.60g,4.70mmol)のジクロロメタン(25mL)中溶液に、−20℃にて、PPh(1.30g,4.90mmol)のジクロロメタン(20mL)中溶液を滴下した。反応物を周囲温度に温め、溶媒を減圧下で除去した。フラッシュクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン,シリカゲル)により、所望の化合物を得た(0.33g、51%収率)。
H NMR(400MHz,CDCl)δ0.93(dd,J=11.87,6.82Hz,6H)1.44−1.52(m,9H)1.77(dd,J=12.76,6.44Hz,1H)1.87(m,1H)2.07(m,1H)3.39−3.50(m,2H)3.58(m,1H)4.35(brd,J=10.11Hz,1H)
【0131】
c)[(1R)−1−(2−{[2−(4−アミノ−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)−4−クロロ−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−7−イル]オキシ}エチル)−2−メチルプロピル]カルバミン酸1,1−ジメチルエチル
中間体VIIの化合物(0.33g,1.20mmol)のDMF(25mL)中溶液に、無水炭酸セシウム(1.16g,3.50mmol)および実施例4(b)の化合物(0.33g,1.20mmol)を加えた。反応混合物を35℃で20時間加熱した。周囲温度に冷却後、飽和塩化アンモニウムを加え、混合物を酢酸エチルで抽出板。合わせた有機抽出物を水、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧下で除去した。フラッシュクロマトグラフィー(MeOH/CHCl,シリカゲル)によって、所望の化合物を得た(0.57g(定量的))。MS(ES+)m/z480(M+H)
【0132】
d)4−[7−[(3−アミノ−4−メチルペンチル)オキシ]−2−(4−アミノ−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−4−イル]−2−メチル−3−ブチン−2−オール二塩酸塩
厚壁圧力容器に実施例4(c)の化合物(0.57g,1.20mmol)、ジオキサン(30mL)、DBU(0.53mL,0.36mmol)、トリエチルアミン(0.49mL,3.60mmol)、NaI(0.05g,0.36mmol)、Zn粉末(0.02g,0.36mmol)、2−メチル−3−ブチン−2−オール(0.30g,3.6mmol)およびPd(PPh(0.13g,0.12mmol)を入れた。該反応容器を密閉し、80℃で16時間加熱した。反応物を周囲温度に冷却した後、飽和NH4Clを加え、反応混合物をEtOAcで抽出した。合わせた有機抽出物を水、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧下で除去し、残渣をフラッシュクロマトグラフィー(MeOH/CH2Cl2,シリカゲル)に付して、[1−(2−{[2−(4−アミノ−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)−1−エチル−4−(3−ヒドロキシ−3−メチル−1−ブチン−1−イル)−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−7−イル]オキシ}エチル)−2−メチルプロピル]カルバミン酸1,1−ジメチルエチルを得た。これをメタノール(5mL)中に溶解し、周囲温度で2時間、ジエチルエーテル中における飽和HCl(40mL)で処理した。得られた沈殿物を濾過によって収集し、乾燥させて、標題化合物を得た(0.38g、75%収率)。MS(ES+)m/z428(M+H)
【0133】
実施例5
【化9】

【0134】
4−(2−(4−アミノ−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)−7−{[3−(シクロブチルアミノ)プロピル]オキシ}−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−4−イル)−2−メチル−3−ブチン−2−オール二塩酸塩の調製
a)4−(7−{[3−(1−アゼチジニル)プロピル]オキシ}−4−クロロ−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−イル)−1,2,5−オキサジアゾール−3−アミン
実施例1(a)の化合物(0.24g,0.61mmol)のアセトニトリル(10mL)中懸濁液に、シクロブチルアミン(0.27mL,3.22mmol)を加えた。反応物を60℃で18時間加熱した。反応物を周囲温度に冷却後、溶媒を真空下で除去し、残渣をエタノールおよびヘキサンでトリチュレートした。得られた沈澱を濾過によって収集し、乾燥させて、所望の物質を得た(0.20g、85%収率)。これを精製することなく、次工程に用いた。MS(ES+)m/z392.2(M+H)
【0135】
b)4−(2−(4−アミノ−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)−7−{[3−(1−アゼチジニル)プロピル]オキシ}−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−4−イル)−2−メチル−3−ブチン−2−オール二塩酸塩
厚壁圧力容器に実施例5(a)の化合物(0.20g,0.52mmol)、2−メチル−3−ブチ−2−オール(0.30mL,3.07mmol)、(Ph3P)4Pd(0.13g,0.11mmol)、Zn粉末(0.01g,0.15mmol)、NaI(0.02g,0.13mmol)、DBU(0.20mL,1.34mmol)、トリエチルアミン(0.20mL,1.44mmol)およびDMSO(2mL)を入れた。該混合物をアルゴンで10分間パージした。次いで、圧力容器を密閉し、90℃で3時間加熱した。反応物を一晩かけて周囲温度に冷却し、濾過して固体を除去した。分取HPLC(YMV/ODS−Aカラム、50mm x 20mm内径;5−80%アセトニトリル/水(0.1%TFA);20mL/分;214nm)によって精製して、所望の物質をトリフルオロ酢酸塩として得た。固体をメタノール中に溶解し、エーテル中における2N HClで処理した。得られた沈澱を濾過によって収集し、乾燥させて、標題化合物を白色固体として得た(0.07g、29%収率)。MS(ES+)m/z440.0(M+H)
【0136】
実施例6
【化10】

【0137】
4−(2−(4−アミノ−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)−7−{[(2S)−3−(シクロプロピルアミノ)−2−メチルプロピル]オキシ}−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−4−イル)−2−メチル−3−ブチン−2−オール ビス−トリフルオロ酢酸塩の調製
a)4−(7−{[(2R)−3−ブロモ−2−メチルプロピル]オキシ}−4−クロロ−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−イル)−1,2,5−オキサジアゾール−3−アミン
ポリマー結合型トリフェニルホスフィン(4.17g,1.6mmol/g,6.67mmol)および(2R)−3−ブロモ−2−メチル−1−プロパノール(1.02g,6.67mmol)のCHCl(100mL)中懸濁液に、0℃にて、DEAD(0.92mL,6.14mmol)のCHCl(5mL)中溶液を滴下した。30分後、中間体化合物VII(0.75g,2.67mmol)のTHF(100mL)およびCHCl(10mL)中溶液をゆっくりと加えた。反応混合物を10℃に2時間温めた。反応物を濾過し、消費した樹脂をCHClおよびTHFで徹底的に洗浄した。溶媒を減圧下で除去し、残渣を酢酸エチルおよびヘキサンでトリチュレートして、所望の物質を得た(1.6g)。これをさらに精製することなく、次工程に用いた。MS(ES+)m/z415(M+H)
【0138】
b)4−(4−クロロ−7−{[(2S)−3−(シクロプロピルアミノ)−2−メチルプロピル]オキシ}−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−イル)−1,2,5−オキサジアゾール−3−アミン
厚壁圧力容器に実施例6(a)の化合物(0.17g,0.42mmol)、シクロプロピルアミン(0.41mL,5.80mmol)およびアセトニトリル(3mL)を入れた。反応容器を密閉し、60℃で18時間加熱した。反応物を周囲温度に冷却後、溶媒を減圧下で除去した。分取HPLC(YMV/ODS−Aカラム、50mm x 20mm内径;5−90%アセトニトリル/水(0.1%TFA);20mL/分;214nm)によって精製して、所望の化合物をオフホワイト色の固体として得た(0.08g)。MS(ES+)m/z392(M+H)
【0139】
c)4−(2−(4−アミノ−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)−7−{[(2S)−3−(シクロプロピルアミノ)−2−メチルプロピル]オキシ}−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−4−イル)−2−メチル−3−ブチン−2−オール ビス−トリフルオロ酢酸塩
厚壁圧力容器に実施例6(b)の化合物(0.08g,0.21mmol)、Zn粉末(5mg,0.08mmol)、NaI(5mg,0.03mmol)、DBU(0.10mL,0.67mmol)、TEA(0.10mL,0.72mmol)、2−メチル−3−ブチン−2−オール(0.10mL,1.03mmol)、(PhP)Pd(0.01g,0.007mmol)およびDMSO(3mL)を入れた。該混合物を窒素で10分間パージした後、該容器を密閉し、80℃で3時間加熱した。分取HPLC(YMV/ODS−Aカラム、50mm x 20mm内径;5−90%アセトニトリル/水(0.1%TFA);20mL/分;214nm)によって精製して、所望の化合物を黄色固体として得た(0.08g、57%収率)。MS(ES+)m/z440(M+H)
【0140】
実施例7
【化11】

【0141】
4−[7−[(3−アミノ−2,2−ジメチルプロピル)オキシ]−2−(4−アミノ−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−4−イル]−2−メチル−3−ブチン−2−オール ビス−トリフルオロ酢酸塩の調製
a)(3−{[2−(4−アミノ−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)−4−クロロ−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−7−イル]オキシ}−2,2−ジメチルプロピル)カルバミン酸1,1−ジメチルエチル
ポリマー結合型トリフェニルホスフィン(3.12g,1.6mmol/g,5.0mmol)および(3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピル)カルバミン酸1,1−ジメチルエチル(0.81g,4.00mmol)のCHCl(60mL)中懸濁液に、0℃にて、DEAD(0.66mL,4.40mmol)のCHCl(5mL)中溶液を滴下した。50分後、中間体VIIの化合物(0.56g,2.00mmol)のTHF(90mL)およびCHCl(10mL)中溶液をゆっくりと加えた。反応混合物を周囲温度に温め、一晩攪拌した。反応物を濾過し、消費した樹脂をCHClおよびTHFで徹底的に洗浄した。溶媒を減圧下で除去した。フラッシュクロマトグラフィー(10−40% EtOAc/ヘキサン,シリカゲル)により、所望の生成物を得た(0.34g、40%収率)。MS(ES+)m/z466(M+H)
【0142】
b)4−{7−[(3−アミノ−2,2−ジメチルプロピル)オキシ]−4−クロロ−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−イル}−1,2,5−オキサジアゾール−3−アミン
実施例7(a)の化合物(0.14g,0.30mmol)に、30%TFA/CHCl(5mL)を加えた。周囲温度で1時間後、溶媒を減圧下で除去した。分取HPLC(YMV/ODS−Aカラム、50mm x 20mm内径;5−90%アセトニトリル/水(0.1%TFA);20mL/分;214nm)によって精製して、所望の化合物を白色固体として得た(0.13g)。MS(ES+)m/z366(M+H)
【0143】
c)4−[7−[(3−アミノ−2,2−ジメチルプロピル)オキシ]−2−(4−アミノ−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−4−イル]−2−メチル−3−ブチン−2−オール ビス−トリフルオロ酢酸塩
厚壁圧力容器に実施例7(b)の化合物(0.13g,0.35mmol)、Zn粉末(5mg,0.08mmol)、NaI(5mg,0.03mmol)、DBU(0.10mL,0.67mmol)、TEA(0.10mL,0.72mmol)、2−メチル−3−ブチン−2−オール(0.10mL,1.03mmol)、(PhP)Pd(0.01g,0.007mmol)およびDMSO(3mL)を入れた。該混合物を窒素で10分間パージした後、該容器を密閉し、80℃で3時間加熱した。分取HPLC(YMV/ODS−Aカラム、50mm x 20mm内径;5−90%アセトニトリル/水(0.1%TFA);20mL/分;214nm)によって精製して、標題化合物を薄黄色固体として得た(0.12g、52%収率)。MS(ES+)m/z414(M+H)
【0144】
実施例8
【化12】

【0145】
4−[7−{[(2S)−3−アミノ−2−メチルプロピル]オキシ}−2−(4−アミノ−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−4−イル]−2−メチル−3−ブチン−2−オールの調製
a)4−(7−{[(2R)−3−ブロモ−2−メチルプロピル]オキシ}−4−クロロ−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−イル)−1,2,5−オキサジアゾール−3−アミン
ジクロロメタン(100mL)中におけるポリマー結合型トリフェニルホスフィン(4.17g,6.67mmol,1.6mmol/g負荷)および(2R)−3−ブロモ−2−メチル−1−プロパノール(0.69mL,6.67mmol)に、0℃にて、DEAD(0.92mL,6.14mmol)のジクロロメタン(5mL)中溶液を滴下した。反応物を室温に温めた。室温で50分後、中間体VII(0.75g,2.67mmol)のTHF(100mL)およびジクロロメタン(10mL)中溶液を添加漏斗を介して反応混合物に加えた。反応物をさらに2時間攪拌した。樹脂を濾過によって除去し、ジクロロメタンおよびTHFで徹底的に洗浄した。溶媒を減圧下で除去した。酢酸エチルおよびヘキサンでのトリチュレーションにより、所望の生成物を薄黄色固体として得た(1.60g)。これをさらに精製することなく、次工程に用いた。MS(ES+)m/z415(M+H)
【0146】
b)((2S)−3−{[2−(4−アミノ−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)−4−クロロ−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−7−イル]オキシ}−2−メチルプロピル)イミドジカルボン酸ビス(1,1−ジメチルエチル)
実施例8(a)の化合物(0.50g,0.83mmol)、イミドジカルボン酸ビス(1,1−ジメチルエチル)(0.90g,4.15mmol)および炭酸セシウム(1.35g,4.15mmol)のDMF(5mL)中混合物を60℃で2時間加熱した。室温に冷却後、混合物を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。次いで、有機抽出物を水、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧下で除去して、所望の物質を得た。これをさらに精製することなく、次工程に用いた。MS(ES+)m/z452(M+H−Boc)
【0147】
c)4−(7−{[(2S)−3−アミノ−2−メチルプロピル]オキシ}−4−クロロ−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−イル)−1,2,5−オキサジアゾール−3−アミン
実施例8(b)の化合物に、CHCl中における50%TFA(6mL)を加えた。室温で1時間後、溶媒を減圧下で除去した。分取HPLC(YMV/ODS−Aカラム、50mm x 20mm内径;5−90%アセトニトリル/水(0.1%TFA);20mL/分;214nm)によって精製して、所望の化合物を白色固体として得た(86mg)。MS(ES+)m/z352(M+H)
【0148】
d)4−[7−{[(2S)−3−アミノ−2−メチルプロピル]オキシ}−2−(4−アミノ−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−4−イル]−2−メチル−3−ブチン−2−オール
厚壁圧力容器に実施例8(c)の化合物(86mg)、2−メチル−3−ブチ−2−オール(100μL)、(PhP)Pd(10mg)、Zn粉末(10mg)、NaI(10mg)、DBU(100μL)、トリエチルアミン(100μL)およびDMSO(3mL)を入れた。該混合物を窒素で10分間パージした。該容器を密閉し、80℃で3時間加熱した。反応物を室温に冷却し、生成物を分取HPLC(YMV/ODS−Aカラム、50mm x 20mm内径;5−90%アセトニトリル/水(0.1%TFA);20mL/分;214nm)によって単離して、所望の化合物をオフホワイト色固体として得た(58mg)。MS(ES+)m/z 400(M+H)
【0149】
実施例9
【化13】

【0150】
4−[7−{[(3S)−3−アミノブチル]オキシ}−2−(4−アミノ−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−4−イル]−2−メチル−3−ブチン−2−オールの調製
a)[(1S)−3−ヒドロキシ−1−メチルプロピル]カルバミン酸1,1−ジメチルエチル
(3S)−3−({[(1,1−ジメチルエチル)オキシ]カルボニル}アミノ)ブタン酸(1.00g,4.92mmol)のTHF(35mL)中攪拌溶液に、0℃にて、ボラン−テトラヒドロフラン錯体(THF中における1.0M溶液,25mL,25.0mmol)をシリンジを介して2分間かけて加えた。得られた反応混合物を次いで、0℃で8時間攪拌した。メタノールおよび酢酸(9:1,15mL)の混合物を注意深く添加することによって、反応をクエンチした。反応物を周囲温度に温め、真空下で濃縮した。残渣を酢酸エチル(75mL)中に溶解し、1N HCl(25mL)、飽和NaHCO(25mL)およびブライン(25mL)で連続的に洗浄した。乾燥させ(MgSO)、濃縮して、所望の生成物を得(0.53g)、これをさらに精製することなく、次工程に用いた。
【0151】
b)[(1S)−3−ブロモ−1−メチルプロピル]カルバミン酸1,1−ジメチルエチル
実施例9(a)の化合物(0.53g,2.81mmol)および四臭化炭素(1.12g,3.37mmol)のCHCl(40mL)中攪拌溶液に、0℃にて、固体トリフェニルホスフィン(0.92g,3.51mmol)を加えた。0℃で1.5時間後、溶媒を減圧下で除去し、生成物をフラッシュクロマトグラフィー(40:1 CHCl/MeOH,シリカゲル)によって単離して、所望の物質を白色結晶性固体として得た(0.47g)。
H NMR(400MHz,CDCl)δ1.18(d,J=6.82Hz,3H),1.45(s,9H),1.91−2.13(m,2H),3.35−3.51(m,2H),3.72−3.91(m,1H),4.25−4.50(m,1H)
【0152】
c)((1S)−3−{[2−(4−アミノ−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)−4−クロロ−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−7−イル]オキシ}−1−メチルプロピル)カルバミン酸1,1−ジメチルエチル
実施例9(b)の化合物(0.46g,1.84mmol)、中間体VII(0.52g,1.84mmol)および炭酸セシウム(1.50g,4.61mmol)のDMF(17mL)中混合物を窒素下、35℃で16時間攪拌した。次いで、該混合物を酢酸エチル(100mL)で希釈し、水(3x30mL)で抽出し、ブライン(30mL)で洗浄した。乾燥させ(MgSO)、真空下で濃縮して、粗生成物を得(0.84g)、これをさらに精製することなく、次工程に用いた。MS(ES+)m/z452.2(M+H)
【0153】
d)((1S)−3−{[2−(4−アミノ−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)−1−エチル−4−(3−ヒドロキシ−3−メチル−1−ブチン−1−イル)−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−7−イル]オキシ}−1−メチルプロピル)カルバミン酸1,1−ジメチルエチル
実施例9(c)の化合物(0.83g,1.84mmol)、2−メチル−3−ブチン−2−オール(0.45mL,4.61mmol)、トリエチルアミン(1.54mL,11.1mmol)、DBU(0.55mL,3.69mmol)、亜鉛粉末(0.12g,1.84mmol)、NaI(0.23g,1.84mmol)および(PhP)Pd(0.11g,0.09mmol)のDMSO(15mL)中混合物を密閉フラスコ中、窒素雰囲気下、80℃で2.5時間加熱した。反応物を周囲温度に冷却し、水(150mL)で希釈し、酢酸エチル(3x75mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を水(50mL)およびブライン(50mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(30:1〜20:1 CHCl/MeOH,シリカゲル)、次いで、エーテル/ヘキサンからの結晶化により、所望の物質をオフホワイト色固体として得た(0.74g)。MS(ES+)m/z500.6(M+H)
【0154】
e)4−[7−{[(3S)−3−アミノブチル]オキシ}−2−(4−アミノ−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−4−イル]−2−メチル−3−ブチン−2−オール
実施例9(d)の化合物(0.15g,0.30mmol)のメタノール(1mL)中溶液を周囲温度で、HClの1,4−ジオキサン中溶液(4N,2.25mL,9.0mmol)で処理した。18時間攪拌後、エーテルおよびヘキサンを加えた。得られた沈殿物を濾過によって単離し、乾燥エーテルで洗浄して、標題化合物を薄黄褐色固体として得た(94mg)。MS(ES+)m/z400.4(M+H)
【0155】
実施例10
【化14】

【0156】
4−[2−(4−アミノ−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)−7−({3−[(シクロプロピルメチル)アミノ]プロピル}オキシ)−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−4−イル]−2−メチル−3−ブチン−2−オールの調製
a)4−{7−[(3−ブロモプロピル)オキシ]−4−クロロ−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−イル}−1,2,5−オキサジアゾール−3−アミン
中間体VII(1.79g,6.38mmol)のDMF(75mL)中溶液に、炭酸セシウム(6.34g,19.4mmol)を添加し、次いで、1,3−ジブロモプロパン(3.50mL,34.3mmol)を加えた。反応物を60℃で18時間加熱した。室温に冷却後、混合物を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。有機抽出物を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、溶媒を減圧下で除去した。THFおよびヘキサンからのトリチュレーションにより、所望の物質を固体として得た(1.92g)。MS(ES+)m/z401.0(M+H)
【0157】
b)4−[4−クロロ−7−({3−[(シクロプロピルメチル)アミノ]プロピル}オキシ)−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−イル]−1,2,5−オキサジアゾール−3−アミン
実施例10(a)の化合物(0.33g,0.82mmol)のCH3CN(10mL)中溶液に、シクロプロピルメチルアミン(0.31g,4.32mmol)を加えた。60℃で18時間加熱後、反応物を冷却し、溶媒を減圧下で除去した。THFおよびヘキサンからのトリチュレーションにより、所望の物質を固体として得た(0.34g)。MS(ES+)m/z392.2(M+H)
【0158】
c)4−[2−(4−アミノ−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)−7−({3−[(シクロプロピルメチル)アミノ]プロピル}オキシ)−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−4−イル]−2−メチル−3−ブチン−2−オール
厚壁圧力容器に脱気したDMSO(2mL)、DBU(0.28g,1.84mmol)、Et3N(0.20g,1.98mmol)、2−メチル−3−ブチン−2−オール(0.43g,5.10mmol)、実施例10(b)の化合物(0.34g,0.87mmol)、Zn粉末(10mg)、NaI(10mg)および(PhP)Pd(0.21g,0.18mmol)を入れた。反応容器を密閉し、90℃で3時間加熱した。混合物を焼結ガラス漏斗を通過させ、溶媒を濾液から減圧下で除去した。残渣を分取HPLC(YMV/ODS−Aカラム、50mm x 20mm内径;5−90%アセトニトリル/水(0.1%TFA);20mL/分;214nm)に付して、所望の化合物を固体として得た(0.12g)。MS(ES+)m/z440.4(M+H)
【0159】
実施例11
【化15】

【0160】
4−[7−{[2−(アミノメチル)ペンチル]オキシ}−2−(4−アミノ−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−4−イル]−2−メチル−3−ブチン−2−オールの調製
a)4−メチルベンゼンスルホン酸2−({[2−(4−アミノ−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)−4−クロロ−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−7−イル]オキシ}メチル)ペンチル
DMF(5mL)中における中間体VII(0.28g,1.00mmol)、炭酸セシウム(0.65g,2.00mmol)および4−メチルベンゼンスルホン酸2−({[(4−メチルフェニル)スルホニル]オキシ}メチル)−ペンチル(0.64g,1.50mmol)の混合物を40℃で2時間攪拌した。室温に冷却後、混合物を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。有機抽出物を水、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧下で除去して、所望の物質を得、これをさらに精製することなく、次工程に用いた。MS(ES+)m/z535(M+H)
【0161】
b)[2−({[2−(4−アミノ−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)−4−クロロ−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−7−イル]オキシ}メチル)ペンチル]イミドジカルボン酸ビス(1,1−ジメチルエチル)
実施例11(a)の化合物(0.5mmol)、イミドジカルボン酸ビス(1,1−ジメチルエチル)(0.65g,3.0mmol)および炭酸セシウム(0.98g,3.0mmol)のDMF(5mL)中混合物を60℃で1.5時間加熱した。室温に冷却後、混合物を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。有機抽出物を水、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧下で除去した。フラッシュクロマトグラフィー(5%〜30%EtOAC/ヘキサン,シリカゲル)により、所望の化合物を白色固体として得た(0.13g)。MS(ES+)m/z480(M+H)
【0162】
c)4−(7−{[2−(アミノメチル)ペンチル]オキシ}−4−クロロ−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−イル)−1,2,5−オキサジアゾール−3−アミン
実施例11(b)の化合物(0.13g)に、CHCl(5mL)中における30%TFAを加えた。1時間後、溶媒を減圧下で除去した。分取HPLC(YMV/ODS−Aカラム、50mm x 20mm内径;5−90%アセトニトリル/水(0.1%TFA);20mL/分;214nm)によって、所望の化合物を白色固体として得た(84mg)。MS(ES+)m/z380(M+H)
【0163】
d)4−[7−{[2−(アミノメチル)ペンチル]オキシ}−2−(4−アミノ−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−4−イル]−2−メチル−3−ブチン−2−オール
実施例11(c)の化合物(84mg)、2−メチル−3−ブチン−2−オール(0.10mL)、トリエチルアミン(0.10mL)、DBU(0.10mL)、亜鉛粉末(5mg)、NaI(5mg)および(PhP)Pd(10mg)のDMSO(3mL)中混合物を密閉フラスコ中、窒素雰囲気下、80℃で3時間加熱した。1時間後、溶媒を減圧下で除去した。分取HPLC(YMV/ODS−Aカラム、50mm x 20mm内径;5−90%アセトニトリル/水(0.1%TFA);20mL/分;214nm)によって、所望の化合物を黄色固体として得た(66mg)。MS(ES+)m/z428(M+H)
【0164】
実施例12
【化16】

【0165】
4−[7−{[2−(アミノメチル)−4−メチルペンチル]オキシ}−2−(4−アミノ−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−4−イル]−2−メチル−3−ブチン−2−オールの調製
a)4−メチルベンゼンスルホン酸2−({[2−(4−アミノ−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)−4−クロロ−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−7−イル]オキシ}メチル)−4−メチルペンチル
実施例11(a)の化合物の製法と類似の方法で、中間体VII(0.50g,1.78mmol)、炭酸セシウム(0.87g,2.67mmol)および4−メチルベンゼンスルホン酸4−メチル−2−({[(4−メチルフェニル)スルホニル]オキシ}メチル)ペンチル(1.17g,2.67mmol)から、所望の化合物を白色固体として得た(0.44g)。MS(ES+)m/z549(M+H)
【0166】
b)4−(7−{[2−(アミノメチル)−4−メチルペンチル]オキシ}−4−クロロ−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−イル)−1,2,5−オキサジアゾール−3−アミン
実施例11(b)および11(c)の化合物の製法と類似の方法で、実施例12(a)の化合物(0.13g,0.23mmol)、イミドジカルボン酸ビス(1,1−ジメチルエチル)(0.29g,1.37mmol)および炭酸セシウム(0.45g,1.37mmol)から、所望の物質を固体として得た。MS(ES+)m/z394(M+H)
【0167】
c)4−[7−{[2−(アミノメチル)−4−メチルペンチル]オキシ}−2−(4−アミノ−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−4−イル]−2−メチル−3−ブチン−2−オール
実施例11(d)の化合物の製法と類似の方法で、実施例12(b)の化合物(84mg)、2−メチル−3−ブチン−2−オール(0.10mL)、トリエチルアミン(0.10mL)、DBU(0.15mL)、亜鉛粉末(5mg)、NaI(5mg)および(PhP)Pd(10mg)から、所望の化合物を白色固体として得た(81mg)。MS(ES+)m/z442(M+H)
【0168】
実施例13
【化17】

【0169】
4−[7−{[2−(アミノメチル)ヘキシル]オキシ}−2−(4−アミノ−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−4−イル]−2−メチル−3−ブチン−2−オールの調製
a)4−メチルベンゼンスルホン酸2−({[2−(4−アミノ−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)−4−クロロ−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−7−イル]オキシ}メチル)ヘキシル
実施例11(a)の化合物の製法と類似の方法で、中間体VII(0.20g,0.71mmol)、炭酸セシウム(0.48g,1.42mmol)および4−メチルベンゼンスルホン酸2−({[(4−メチルフェニル)スルホニル]オキシ}メチル)−ヘキシル(0.47g,1.07mmol)から所望の化合物を得、これをさらに精製することなく次工程に用いた。
【0170】
b)[2−({[2−(4−アミノ−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)−4−クロロ−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−7−イル]オキシ}メチル)ヘキシル]イミドジカルボン酸ビス(1,1−ジメチルエチル)
実施例11(b)の化合物の製法と類似の方法で、実施例13(a)の化合物、イミドジカルボン酸ビス(1,1−ジメチルエチル)(0.92g,4.26mmol)および炭酸セシウム(1.38g,4.26mmol)から、所望の化合物を蝋状白色固体として得た(0.38g)。MS(ES+)m/z494(M+H)
【0171】
c)4−(7−{[2−(アミノメチル)ヘキシル]オキシ}−4−クロロ−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−イル)−1,2,5−オキサジアゾール−3−アミン
実施例11(c)の化合物の製法と類似の方法で、実施例13(b)の化合物(0.38g)から所望の化合物を白色固体として得た(0.13g)。MS(ES+)m/z394(M+H)
【0172】
d)4−[7−{[2−(アミノメチル)ヘキシル]オキシ}−2−(4−アミノ−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−4−イル]−2−メチル−3−ブチン−2−オール
実施例11(d)の化合物の製法と類似の方法で、実施例13(c)の化合物(0.13g)、2−メチル−3−ブチン−2−オール(0.10mL)、トリエチルアミン(0.10mL)、DBU(0.15mL)、亜鉛粉末(5mg)、NaI(5mg)および(PhP)Pd(10mg)から、所望の化合物を黄色固体として得た(113mg)。MS(ES+)m/z442(M+H)
【0173】
実施例14
【化18】

【0174】
(−)−4−(2−(4−アミノ−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)−7−{[3−アミノ−3−(テトラヒドロ−2H−チオピラン−4−イル)プロピル]オキシ}−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−4−イル)−2−メチル−3−ブチン−2−オールの調製
a)1,1−ジメチルエチル[3−{[2−(4−アミノ−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)−4−クロロ−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−7−イル]オキシ}−1−(テトラヒドロ−2H−チオピラン−4−イル)プロピル]
中間体VIIの化合物(300mg,1.07mmol)、[3−ブロモ−1−(テトラヒドロ−2H−チオピラン−4−イル)プロピル]カルバミン酸1,1−ジメチルエチル(398mg,1.18mmol)および炭酸セシウム(871mg,2.67mmol)のDMF(8mL)中混合物を窒素下、37℃で16時間攪拌した。次いで、混合物を酢酸エチル(40mL)で希釈し、水(3x15mL)で洗浄した。合わせた水性洗浄液を酢酸エチル(20mL)で逆抽出した。合わせた有機抽出物を次いで、ブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、真空下で濃縮して粗生成物を得(>600mg)、これをさらに精製することなく、次工程に用いた。MS(ES+)m/z538.6(M+H)
【0175】
b)[3−{[2−(4−アミノ−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)−1−エチル−4−(3−ヒドロキシ−3−メチル−1−ブチン−1−イル)−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−7−イル]オキシ}−1−(テトラヒドロ−2H−チオピラン−4−イル)プロピル]カルバミン酸1,1−ジメチルエチル
実施例14(a)の化合物(575mg,1.07mmol)、2−メチル−3−ブチン−2−オール(0.26mL,2.67mmol)、トリエチルアミン(0.89mL,6.41mmol)、DBU(0.32mL,2.14mmol)、亜鉛粉末(70mg,1.07mmol)、NaI(160mg,1.07mmol)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(62mg,53.4μmol)の混合物を密閉管中、窒素下、81℃で2.5時間加熱した。反応物を周囲温度に冷却し、水(90mL)で希釈し、酢酸エチル(150mL)で抽出した。有機層を水(50mL)で洗浄した。次いで、合わせた水性洗浄液を酢酸エチル(100mL)で逆抽出した。合わせた有機抽出物を次いで、ブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、真空下で濃縮した。シリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィー(30:1〜20:1 CHCl/MeOH)により、所望の化合物を得た(580mg)。MS(ES+)m/z586.3(M+H)
450mgのラセミ混合物を分取キラルHPLC(Chiralpak AD−Hカラム,21mm内径x250mm,15mL/分,90:5:5:0.1 ヘプタン:エタノール:メタノール:イソプロピルアミン移動相,UV検出254nm)に付すことによって、エナンチオマーを単離して、E−1(保持時間 17分,181mg)およびE2(保持時間 22分,158mg)を得た。
【0176】
E1:181mg。キラルHPLC分析により、99.9%ee(t=17分,Chiralpak AD−Hカラム,21mm内径 x 250mm,15mL/分,90:5:5:0.1 ヘプタン:エタノール:メタノール:イソプロピルアミン移動相,UV検出 254nm)。
E2:158mg。キラルHPLC分析により、97.8%ee(t=22分,Chiralpak AD−Hカラム,21mm内径 x 250mm,15mL/分,90:5:5:0.1 ヘプタン:エタノール:メタノール:イソプロピルアミン移動相,UV検出 254nm)。
【0177】
c)(−)−4−(2−(4−アミノ−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)−7−{[3−アミノ−3−(テトラヒドロ−2H−チオピラン−4−イル)プロピル]オキシ}−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−4−イル)−2−メチル−3−ブチン−2−オール
実施例14(b)の化合物E2(158mg,0.27mmol)のメタノール(5mL)中溶液を周囲温度で、塩酸(1,4−ジオキサン中における4N溶液,2mL,8.0mmol)で16時間処理した。得られた沈澱を濾過によって除去し、真空下、60℃で1時間乾燥させて、標題物質をオフホワイト色固体として得た(133mg)。MS(ES+)m/z486.5(M+H)
【0178】
実施例15
【化19】

【0179】
4−[7−({[1−(アミノメチル)シクロプロピル]メチル}オキシ)−2−(4−アミノ−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−4−イル]−2−メチル−3−ブチン−2−オールの調製
a){[1−({[2−(4−アミノ−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)−4−クロロ−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−7−イル]オキシ}メチル)シクロプロピル]メチル}カルバミン酸1,1−ジメチルエチル
ジクロロメタン(30mL)中におけるポリマー結合型トリフェニルホスフィン(1.56g,2.50mmol,1.6mmol/g負荷)および{[1−(ヒドロキシメチル)シクロプロピル]メチル}カルバミン酸1,1−ジメチルエチル(0.48mL,2.32mmol)に、0℃にて、DEAD(0.33mL,2.20mmol)のジクロロメタン(5mL)中溶液を滴下した。反応物を室温に温めた。室温で50分後、添加漏斗を介して中間体VII(0.28g,1.00mmol)のTHF(30mL)中溶液を反応混合物に加えた。反応物を一晩攪拌した。樹脂を濾過によって除去し、ジクロロメタンおよびTHFで徹底的に洗浄した。溶媒を減圧下で除去した。フラッシュクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン,シリカゲル)によって、所望の化合物を得た(0.50mg)。MS(ES+)m/z464(M+H)
【0180】
b)4−[7−({[1−(アミノメチル)シクロプロピル]メチル}オキシ)−4−クロロ−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−イル]−1,2,5−オキサジアゾール−3−アミン
実施例15(a)の化合物(0.50g)に、40%TFA/CHCl(5mL)を加えた。室温で1時間後、溶媒を減圧下で除去した。分取逆相HPLC(YMC/ODS−Aカラム,50mm x 20mm内径;5−90%アセトニトリル/水(0.1%TFA);20mL/分;214nm)によって、所望の化合物を白色固体として得た(0.17g)。MS(ES+)m/z364(M+H)
【0181】
c)4−[7−({[1−(アミノメチル)シクロプロピル]メチル}オキシ)−2−(4−アミノ−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−4−イル]−2−メチル−3−ブチン−2−オール
厚壁圧力容器に、実施例15(b)の化合物(166mg)、2−メチル−3−ブチ−2−オール(100μL)、(PhP)Pd(10mg)、Zn粉末(10mg)、NaI(10mg)、DBU(100μL)、トリエチルアミン(100μL)およびDMSO(3mL)を加えた。該混合物を窒素で10分間パージした。該容器を密閉し、80℃で3.5時間加熱した。反応物を室温に冷却し、生成物を分取HPLC(YMV/ODS−Aカラム、50mm x 20mm内径;5−90%アセトニトリル/水(0.1%TFA);20mL/分;214nm)によって単離して、所望の化合物をオフホワイト色固体として得た(130mg)。MS(ES+)m/z412(M+H)
【0182】
実施例16
【化20】

【0183】
4−[7−{[1−(2−アミノエチル)ブチル]オキシ}−2−(4−アミノ−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−4−イル]−2−メチル−3−ブチン−2−オールの調製
a)4−メチルベンゼンスルホン酸3−{[2−(4−アミノ−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)−4−クロロ−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−7−イル]オキシ}ヘキシル
中間体VIIの化合物(150mg,0.53mmol)、4−メチルベンゼンスルホン酸3−ヒドロキシヘキシル(216mg,0.80mmol)(1,3−ヘキサンジオールおよび塩化p−トリルスルホニルから調製された)、トリフェニルホスフィン(0.136mg,0.64mmol)のTHF(2mL)中懸濁液に、室温で、DIAD(0.125mL,0.64mmol)を滴下した。1.5時間後、さらにトリフェニルホスフィン(0.136mg,0.64mmol)およびDIAD(0.125mL,0.64mmol)を加えた。さらに1.5時間後、溶媒を減圧下で除去した。フラッシュクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン,シリカゲル)によって、所望の物質を濃黄色ゴムとして得た(0.57mg)。MS(ES+)m/z535(M+H)
【0184】
b)4−(7−{[1−(2−アミノエチル)ブチル]オキシ}−4−クロロ−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−イル)−1,2,5−オキサジアゾール−3−アミン
DMF(4mL)中における実施例16(a)の化合物(235mg)に、イミドジカルボン酸ビス(1,1−ジメチルエチル)(434mg,2.00mmol)および炭酸セシウム(705mg,2.00mmol)を加えた。反応物を60℃に3時間加熱した。室温に冷却後、反応混合物をHOで希釈し、EtOAcで抽出した。合わせた有機抽出物を水、ブラインで洗浄した後、NaSOで乾燥させた。溶媒を減圧下で除去し、残渣を40%TFA/CHCl(5mL)で処理した。1時間後、再び溶媒を減圧下で除去した。分取HPLC(YMC/ODS−Aカラム,50mmx20mm内径;5−90%アセトニトリル/水(0.1%TFA);20mL/分;214nm)により、所望の化合物を白色固体としてとして得た(141mg)。MS(ES+)m/z380(M+H)
【0185】
c)4−[7−{[1−(2−アミノエチル)ブチル]オキシ}−2−(4−アミノ−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−4−イル]−2−メチル−3−ブチン−2−オール
厚壁圧力容器に、実施例16(c)の化合物(141mg)、2−メチル−3−ブチ−2−オール(100μL)、(PhP)Pd(10mg)、Zn粉末(10mg)、NaI(10mg)、DBU(100μL)、トリエチルアミン(100μL)およびDMSO(3mL)を入れた。該混合物を窒素で10分間パージした。該容器を密閉し、80℃で3時間加熱した。反応物を室温に冷却し、生成物を分取HPLC(YMV/ODS−Aカラム、50mmx20mm内径;5−90%アセトニトリル/水(0.1%TFA);20mL/分;214nm)によって単離して、標題化合物をオフホワイト色固体として得た(110mg)。MS(ES+)m/z428(M+H)
【0186】
実施例17
【化21】

【0187】
4−[7−[(3−アミノ−2−(−)−フルオロプロピル)オキシ]−2−(4−アミノ−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−4−イル]−2−メチル−3−ブチン−2−オールの調製
a)2−フルオロ−1,3−プロパンジオール
水素化ホウ素ナトリウム(0.76g,20.0mmol)のTHF(25mL)中攪拌溶液に、0℃にて、塩化カルシウム(1.75g,16.0mmol)を加えた。混合物を室温に温め、1時間攪拌した。次いで、混合物を−10℃に冷却し、フルオロプロパン二酸ジメチル(2.00g,13.3mmol)をゆっくりと加えた。反応物を室温に温め、10時間攪拌した。次いで、反応物を−10℃に冷却し、濃HCl(2.5mL)をゆっくりと加えた。反応物を濾過し、酢酸エチル(3x25mL)で洗浄した。減圧下、合わせた有機濾液から溶媒を除去して、所望の物質を油として得た(1.50g)。これをさらに精製することなく、次工程に用いた。MS(ES+)m/z95.2(M+H)
【0188】
b)ビス(4−メチルベンゼンスルホン酸)2−フルオロ−1,3−プロパンジイル
実施例17(a)の化合物(1.50g,16.0mmol)のピリジン(20mL)中攪拌溶液に、−10℃にて、塩化4−メチルベンゼンスルホニル(7.60g,40.0mmol)を加えた。反応物を室温に温め、12時間攪拌した。該溶液を1N HClで洗浄し、酢酸エチル(3x25mL)で抽出した。合わせた抽出物をMgSOで乾燥させ、濾過し、溶媒を減圧下で除去した。フラッシュクロマトグラフィー(0〜70% EtOAc/ヘキサン,シリカゲル)により、所望の化合物を得た(1.20g)。MS(ES+)m/z403.2(M+H)
【0189】
c)4−メチルベンゼンスルホン酸3−({[(1,1−ジメチルエチル)オキシ]カルボニル}アミノ)−2−フルオロプロピル
実施例17(b)の化合物(0.30g,0.70mmol)、イミドジカルボン酸ビス(1,1−ジメチルエチル)(0.20g,0.84mmol)および炭酸セシウム(0.37g,1.25mmol)のDMF(9mL)中混合物を窒素下、50℃で16時間攪拌した。反応物を周囲温度に冷却後、混合物を酢酸エチル(50mL)で希釈し、水(3x15mL)およびブライン(20mL)で洗浄した。該有機溶液をMgSOで乾燥させ、濾過し、溶媒を減圧下で除去して、所望のラセミ生成物を得た(0.19g)。MS(ES+)m/z448.2(M+H)
該エナンチオマーを、分取キラルHPLC(4インチばね付きchiralpak AD(20ミクロン)カラム;100%メタノール)によって単離した。
E1:キラルHPLC分析により、99.5%ee;
[α]21+11.1(c1.0,MeOH)
E2:キラルHPLC分析により、98%ee;
[α]21−10.6(c1.0,MeOH)
【0190】
d)(3−{[2−(4−アミノ−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)−4−クロロ−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−7−イル]オキシ}−2−フルオロプロピル)イミドジカルボン酸ビス(1,1−ジメチルエチル)
実施例17(c)の化合物(E2,0.50g,1.12mmol)、中間体VIIの化合物(0.30g,1.10mmol)および炭酸セシウム(0.55g,1.70mmol)のDMF(9mL)中混合物を窒素下、50℃で16時間攪拌した。反応物を周囲温度に冷却後、混合物をEtOAc(50mL)で希釈し、次いで、水(3x15mL)およびブライン(20mL)で洗浄した。有機層をMgSO4で乾燥させ、濾過し、溶媒を減圧下で除去した。分取HPLC(YMC−Pack ODS−Aカラム,30mm内径x75mm,20mL/分,勾配,A:水−0.1%トリフルオロ酢酸,B:アセトニトリル−0.1%トリフルオロ酢酸,12分間で10−90%アセトニトリル,UV検出 254nm)により、所望の化合物をオフホワイト色固体として得た(0.60g、92%収率)。MS(ES+)m/z555.2(M+H)
【0191】
e)(3−{[2−(4−アミノ−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)−1−エチル−4−(3−ヒドロキシ−3−メチル−1−ブチン−1−イル)−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−7−イル]オキシ}−2−フルオロプロピル)イミドジカルボン酸ビス(1,1−ジメチルエチル)
厚壁圧力容器に、実施例17(d)の化合物(0.14g,0.25mmol)、Zn粉末(0.02g,0.30mmol)、NaI(0.04g,0.27mmol)、DBU(0.20mL,1.32mmol)、TEA(0.15mL,1.07mmol)、2−メチル−3−ブチン−2−オール(0.20mL,2.07mmol)およびDMSO(5mL)中における(PhP)4Pd(0.04g,0.03mmol)を入れた。窒素で10分間パージした後、反応容器を密閉し、80℃で2.5時間加熱した。反応物を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。有機抽出物を水、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧下で除去して、薄黄色残渣を得た。該粗残渣をフラッシュクロマトグラフィー(0−10%MeOH/CHCl,シリカゲル)に付して、所望の化合物を薄黄色固体として得た(0.10g)。MS(ES+)m/z604(M+H)
【0192】
f)4−[7−[(3−アミノ−2−フルオロプロピル)オキシ]−2−(4−アミノ−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−4−イル]−2−メチル−3−ブチン−2−オール
実施例17(e)の化合物(0.48g,0.79mmol)のメタノール(5mL)中溶液に、メタノール中における4N HCl(3.5mL,16.0mmol)を加えた。周囲温度で3時間後、溶媒を減圧下で除去した。残渣をジクロロメタンでトリチュレートし、固体を濾過によって収集して、標題化合物を薄黄色固体として得た(0.27g)。MS(ES+)m/z404(M+H)
【0193】
実施例18
【化22】

【0194】
4−[7−[(3−アミノ−1−シクロヘキシルプロピル)オキシ]−2−(4−アミノ−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−4−イル]−2−メチル−3−ブチン−2−オールの調製
a)3−シクロヘキシル−3−ヒドロキシプロピル−4−メチルベンゼンスルホネート
THF(75mL)中における3−シクロヘキシル−3−オキソ−プロピオン酸エチルエステル(12.5g,12.63mmol)を0℃に冷却した。水素化アルミニウムリチウムのTHF中溶液(15mL,30mmol,THF中2M)を注意深く加え、反応物を一晩かけて周囲温度に戻した。反応を水(1.2mL)、15%水性NaOH(1.2mL)および水(3.6mL)の連続的添加によってクエンチした。該懸濁液を室温で1時間よく攪拌した。固体を濾過によって除去した。溶媒を濾液から減圧下で除去した。フラッシュクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン,シリカゲル)によって、1−シクロヘキシル−1,3−プロパンジオールを無色油として得た(0.76g)。
1−シクロヘキシル−1,3−プロパンジオール(0.76g,4.82mmol)、トリエチルアミン(1.1mL,7.91mmol)および4−ジメチルアミノピリジン(73.6mg,0.60mmol)のCHCl(20mL)中溶液に、0℃にて、塩化p−トルエンスルホニル(1.08g,5.69mmol)のCHCl(5mL)中溶液を加えた。反応物を一晩で室温に戻した。溶媒を減圧下で除去し、得られた残渣をフラッシュクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン,シリカゲル)に付して、所望の化合物を得た(1.27g)。MS(ES+)m/z313.3(M+H)
【0195】
b)4−メチルベンゼンスルホン酸3−{[2−(4−アミノ−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)−4−クロロ−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−7−イル]オキシ}−3−シクロヘキシルプロピル
実施例18(a)の化合物 3−シクロヘキシル−3−ヒドロキシプロピル−4−メチルベンゼンスルホネート(1.27g,4.08mmol)および中間体VIIの化合物(1.01g,3.60mmol)のテトラヒドロフラン(20mL)中溶液に、0℃にて、トリフェニルホスフィン(1.75g,6.67mmol)およびDIAD(1.5mL,7.74mmol)を加えた。反応物を周囲温度に温めた。2日後、さらにトリフェニルホスフィン(1.65g,6.29mmol)およびDIAD(0.80mL,4.13mmol)を加えた。周囲温度でさらに5時間後、溶媒を減圧下で除去した。フラッシュクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン,シリカゲル)により、所望の物質を得た(3.07g)。これには、1,2−ヒドラジンジカルボン酸ビス(1−メチルエチル)が混入していたが、さらに精製することなく、次工程に用いた。MS(ES+)m/z575.4(M+H)
【0196】
c)(3−{[2−(4−アミノ−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)−4−クロロ−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−7−イル]オキシ}−3−シクロヘキシルプロピル)イミドジカルボン酸ビス(1,1−ジメチルエチル)
実施例18(b)の化合物(0.95g,1.65mmol)のDMF(10mL)中溶液に、イミドジカルボン酸ジ−tert−ブチル(0.74g,3.39mmol)および炭酸セシウム(1.64g,5.03mmol)を加えた。混合物を60℃で18時間加熱した。反応物を周囲温度に冷却後、溶媒を減圧下で除去した。フラッシュクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン,シリカゲル)により、所望の物質を得た(0.12g)。MS(ES+)m/z620.6(M+H)
【0197】
d)(3−{[2−(4−アミノ−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)−1−エチル−4−(3−ヒドロキシ−3−メチル−1−ブチン−1−イル)−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−7−イル]オキシ}−3−シクロヘキシルプロピル)イミドジカルボン酸ビス(1,1−ジメチルエチル)
厚壁圧力容器に、実施例18(c)の化合物(123mg,0.2mmol)、2−メチル−3−ブチ−2−オール(100μL,1.02mmol)、(PhP)Pd(56mg,0.05mmol)、Zn粉末(10mg)、NaI(10mg)、DBU(60μL,0.4mmol)、トリエチルアミン(60μL,0.43mmol)およびDMSO(3mL)を加えた。該混合物を窒素で10分間パージした。該容器を密閉し、90℃で4時間加熱した。反応物を室温に冷却し、生成物を分取HPLC(YMV/ODS−Aカラム、50mmx20mm内径;5−90%アセトニトリル/水(0.1%TFA);20mL/分;214nm)によって単離して、所望の化合物を油として得た(76.8mg)。MS(ES+)m/z668.6(M+H)+
【0198】
e)4−[7−[(3−アミノ−1−シクロヘキシルプロピル)オキシ]−2−(4−アミノ−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−4−イル]−2−メチル−3−ブチン−2−オール
実施例18(d)の化合物(76.8mg,0.12mmol)を25%TFA/CHCl中で1時間攪拌した。溶媒を真空下で除去し、残渣をメタノール(2mL)中に溶解した。ジエチルエーテル中における4N塩酸溶液を加えた。周囲温度1時間静置後、得られた沈澱を収集し、真空デシケーター中で乾燥させて、標題化合物を得た(38.4mg)。MS(ES+)m/z468.5(M+H)
【0199】
実施例19 カプセル組成物
本発明の化合物を投与するための経口投与形態は、標準的な2片のハードゼラチンカプセルに下表Iに示される分量で成分を充填することによって製造される。
【0200】
【表2】

【0201】
実施例20 注射可能な非経口組成物
本発明の化合物を投与するための注射可能形態は、1.5重量%の4−[7−{[(3R)−3−アミノ−4−メチルペンチル]オキシ}−2−(4−アミノ−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−4−イル]−2−メチル−3−ブチン−2−オール二塩酸塩(実施例4の化合物)を水中における10容量%のプロピレングリコール中で攪拌することによって製造される。
【0202】
実施例21 錠剤組成物
下表IIに示されるシュークロース、硫酸カルシウム二水和物およびAkt阻害剤を示される分量で、10%ゼラチン溶液と共に混合および造粒する。該湿潤顆粒をスクリーンし、乾燥させ、デンプン、タルクおよびステアリン酸と混合し、スクリーンし、打錠する。
【0203】
【表3】

【0204】
本発明の好ましい具体例を上記に示したが、本発明は本明細書中に開示される正確な指示に限定されないものであり、また、特許請求の範囲の範囲内に伴う全ての変更に対する権利を保有するものと解釈されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
4−(2−(4−アミノ−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)−7−{[3−(シクロペンチルアミノ)プロピル]オキシ}−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−4−イル)−2−メチル−3−ブチン−2−オール;
4−[7−{[(3R)−3−アミノ−4−メチルペンチル]オキシ}−2−(4−アミノ−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−4−イル]−2−メチル−3−ブチン−2−オール;
4−[7−[(3−アミノ−2,2−ジメチルプロピル)オキシ]−2−(4−アミノ−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−4−イル]−2−メチル−3−ブチン−2−オール;
4−[7−{[(2S)−3−アミノ−2−メチルプロピル]オキシ}−2−(4−アミノ−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−4−イル]−2−メチル−3−ブチン−2−オール;
4−[7−{[(3S)−3−アミノブチル]オキシ}−2−(4−アミノ−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−4−イル]−2−メチル−3−ブチン−2−オール;
4−[2−(4−アミノ−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)−7−({3−[(シクロプロピルメチル)アミノ]プロピル}オキシ)−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−4−イル]−2−メチル−3−ブチン−2−オール;
4−[7−{[2−(アミノメチル)ペンチル]オキシ}−2−(4−アミノ−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−4−イル]−2−メチル−3−ブチン−2−オール;
4−[7−{[2−(アミノメチル)−4−メチルペンチル]オキシ}−2−(4−アミノ−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−4−イル]−2−メチル−3−ブチン−2−オール;
4−[7−{[2−(アミノメチル)ヘキシル]オキシ}−2−(4−アミノ−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−4−イル]−2−メチル−3−ブチン−2−オール;
(−)−4−(2−(4−アミノ−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)−7−{[3−アミノ−3−(テトラヒドロ−2H−チオピラン−4−イル)プロピル]オキシ}−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−4−イル)−2−メチル−3−ブチン−2−オール;
4−[7−({[1−(アミノメチル)シクロプロピル]メチル}オキシ)−2−(4−アミノ−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−4−イル]−2−メチル−3−ブチン−2−オール;
4−[7−{[1−(2−アミノエチル)ブチル]オキシ}−2−(4−アミノ−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−4−イル]−2−メチル−3−ブチン−2−オール;
4−[7−[(3−アミノ−2−(−)−フルオロプロピル)オキシ]−2−(4−アミノ−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−4−イル]−2−メチル−3−ブチン−2−オール;および
4−[7−[(3−アミノ−1−シクロヘキシルプロピル)オキシ]−2−(4−アミノ−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)−1−エチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−4−イル]−2−メチル−3−ブチン−2−オール;
および/またはその医薬上許容される塩、水和物、溶媒和物およびプロドラッグから選択される化合物。
【請求項2】
請求項1記載の化合物および/またはその医薬上許容される塩、水和物、溶媒和物またはプロドラッグおよび医薬上許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項3】
請求項1記載の化合物および/またはその医薬上許容される塩、水和物、溶媒和物またはプロドラッグを医薬上許容される担体と結合させることを特徴とする、医薬上許容される担体および有効量の請求項1記載の化合物および/またはその医薬上許容される塩、水和物、溶媒和物およびプロドラッグを含む医薬組成物の調製方法。
【請求項4】
治療の必要のある哺乳動物に治療上有効量の請求項1記載の化合物および/またはその医薬上許容される塩、水和物、溶媒和物またはプロドラッグを投与することを特徴とする、該哺乳動物において癌および関節炎から選択される疾患または病態を治療あるいは該疾患または病態の重篤度を軽減する方法。
【請求項5】
哺乳動物がヒトである請求項4記載の方法。
【請求項6】
癌が脳腫瘍(神経膠腫)、神経膠芽腫、Bannayan−Zonana症候群、コーデン病、Lhermitte−Duclos病、乳癌、結腸癌、頭頚部癌、腎臓癌、肺癌、肝臓癌、黒色腫、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、肉腫および甲状腺癌から選択される請求項4記載の方法。
【請求項7】
癌および関節炎から選択される疾患または病態の治療あるいは該疾患または病態の重篤度の軽減において有用な医薬の製造における請求項1記載の化合物および/またはその医薬上許容される塩、水和物、溶媒和物またはプロドラッグの使用。
【請求項8】
治療の必要な哺乳動物に治療上有効量の請求項1記載の化合物および/またはその医薬上許容される塩、水和物、溶媒和物またはプロドラッグを投与することを特徴とする、該哺乳動物においてAkt活性を阻害する方法。
【請求項9】
哺乳動物がヒトである請求項8記載の方法。
【請求項10】
治療の必要な哺乳動物に治療上有効量の
a)請求項1記載の化合物および/またはその医薬上許容される塩、水和物、溶媒和物またはプロドラッグ、および
b)少なくとも1つの抗新生物剤
を同時投与することを特徴とする、該哺乳動物において癌を治療する方法。
【請求項11】
少なくとも1つの抗新生物剤が、本質的に、抗微小管剤、白金配位錯体、アルキル化剤、抗生物質剤、トポイソメラーゼII阻害剤、代謝拮抗剤、トポイソメラーゼI阻害剤、ホルモンおよびホルモン類似物、シグナル変換経路阻害剤、非受容体チロシンキナーゼ脈管形成阻害剤、免疫治療剤、プロアポトーシス剤、および細胞周期シグナル伝達阻害剤からなる群から選択される請求項10記載の方法。
【請求項12】
少なくとも1つの抗新生物剤がジテルペノイドおよびビンカアルカロイドから選択される抗微小管剤である請求項10記載の方法。
【請求項13】
少なくとも1つの抗新生物剤がジテルペノイドである請求項10記載の方法。
【請求項14】
少なくとも1つの抗新生物剤がビンカアルカロイドである請求項10記載の方法。
【請求項15】
少なくとも1つの抗新生物剤が白金配位錯体である請求項10記載の方法。
【請求項16】
少なくとも1つの抗新生物剤がパクリタキセル、カルボプラチンまたはビノレルビンである請求項10記載の方法。
【請求項17】
少なくとも1つの抗新生物剤がパクリタキセルである請求項10記載の方法。
【請求項18】
少なくとも1つの抗新生物剤がカルボプラチンである請求項10記載の方法。
【請求項19】
少なくとも1つの抗新生物剤がビノレルビンである請求項10記載の方法。
【請求項20】
少なくとも1つの抗新生物剤がシグナル変換経路阻害剤である請求項10記載の方法。
【請求項21】
シグナル変換経路阻害剤がVEGFR2、TIE2、PDGFR、BTK、IGFR−1、TrkA、TrkB、TrkCおよびc−fmsからなる群から選択される成長因子受容体キナーゼの阻害剤である請求項20記載の方法。
【請求項22】
シグナル変換経路阻害剤がrafk、aktおよびPKC−zetaからなる群から選択されるセリン/スレオニンキナーゼの阻害剤である請求項20記載の方法。
【請求項23】
シグナル変換経路阻害剤がキナーゼのsrcファミリーから選択されるセリン/スレオニンキナーゼの阻害剤である請求項20記載の方法。
【請求項24】
シグナル変換経路阻害剤がc−srcの阻害剤である請求項23記載の方法。
【請求項25】
シグナル変換経路阻害剤がファルネシルトランスフェラーゼおよびゲラニルゲラニルトランスフェラーゼの阻害剤から選択されるRasオンコジーンの阻害剤である請求項20記載の方法。
【請求項26】
シグナル変換経路阻害剤がPI3Kからなる群から選択されるセリン/スレオニンキナーゼの阻害剤である請求項20記載の方法。
【請求項27】
少なくとも1つの抗新生物剤が細胞周期シグナル伝達阻害剤である請求項10記載の方法。
【請求項28】
細胞周期シグナル伝達阻害剤がCDK2、CDK4およびCDK6群の阻害剤から選択される請求項27記載の方法。
【請求項29】
治療において有用な請求項10記載の医薬の組み合わせ。
【請求項30】
癌の治療において有用な医薬の製造のための請求項10記載の医薬の組み合わせの使用。

【公表番号】特表2009−517342(P2009−517342A)
【公表日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−540170(P2008−540170)
【出願日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際出願番号】PCT/US2006/043518
【国際公開番号】WO2007/058852
【国際公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【出願人】(591002957)スミスクライン・ビーチャム・コーポレイション (341)
【氏名又は名称原語表記】SMITHKLINE BEECHAM CORPORATION
【Fターム(参考)】