説明

AVMシステム

【課題】 システム内のトラフィックを最小限とし、必要な時には高い位置精度で最適移動局を検索することができ、常に全移動局の位置や動態を把握することができるAVMシステムを提供する。
【解決手段】 各移動局1,2,3,4は、GPSで自律的に位置データを取得して、任意発信方式で基地局に送信する。任意発信方式で収集する位置情報では、目的地と移動局1,2,3,4との距離d1,d2,d3,d4は、d1<d2<d3<d4となる。距離の評価に基づいて移動局1,2,3を候補として選択し、移動局1,2,3に対するポーリング方式での位置データの収集を行う。ポーリングで収集した位置データに基づいて、目的地との距離d1’,d2’,d3’をそれぞれ評価すると、d2’<d1’<d3’となり、目的地に最も近いのは移動局2であることが判明する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タクシー車両などの複数の移動体にそれぞれ搭載される移動局の位置を基地局を介して把握し、移動体の運行を管理するためのAVM(Automatic Vehicle
Monitoring)システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、複数の移動体にそれぞれ移動局を設置し、基地局で移動局の位置を把握し、適切な移動局に配車などの指令を発するAVMシステムは、タクシーの配車管理等に利用されている。タクシーの配車管理のために利用されているAVMシステムでは、タクシーの各車両に移動局をそれぞれ設置し、各移動局がGPS(Global Positioning System )等を使って現在位置を把握し、その位置データを自律的に送信するものが主流となっている。このようなGPSを利用するAVMシステムについて、以下、「GPS−AVMシステム」と略称する。
【0003】
GPS−AVMシステムにおいて、移動局の位置・動態を把握する方法は、2つに大別される。1つは、移動局が走行距離・時間などの送出条件に従って、自律的に位置・動態のデータを含む信号を基地局に対して送出する「任意発信方式」である。もう1つは、基地局からの指示で、移動局が位置・動態のデータを含む信号を送出する「ポーリング方式」である。
【0004】
以下、タクシー業務を例として、任意発信方式のGPS−AVMシステムについて説明する。図31は、GPS−AVMシステムの全体的な構成を概略的に示す。図32は、移動局1,2,…,nの概略的な電気的構成を示す。図33は、基地局10の概略的な電気的構成を示す。図31に示すように、管理対象となるタクシーの車両にそれぞれ搭載されて、複数の移動局1,2,…,nは、管理センタなどに設ける基地局10との間の通信で、配車の指示を受ける。各移動局1,2,…,nは、自車位置をGPSで把握しておき、前回位置データを基地局10に送信してから一定距離以上離れた場合や、一定時間経過した場合などの送出条件が整った場合に位置データを送信する。
【0005】
図32に示すように、各移動局1,2,…,nには、移動局制御器11、送受信機12、基地局通信用アンテナ13、GPS受信機14およびGPS用アンテナ15を備えている。GPS受信機14は、GPS用アンテナ15を介して、地球の周囲の軌道を周回している複数のGPS用衛星16からの電波を受信し、現在位置を検知する。移動局制御器11は、送出条件に従って、位置データを送受信機12および基地局通信用アンテナ13を介して基地局10に送出する。
【0006】
図33に示すように、基地局10には、基地局制御器21、送受信機22、移動局通信用アンテナ23、送信データ生成器24、受信データ解析器25、移動局データ記憶部26、表示部27および目的地指示手段28が備えられる。基地局10では、各移動局1,2,…,nからの位置データを移動局通信用アンテナ23および送受信機22を介して受信し、受信データ解析器25で位置データを解析して送信した移動局の位置情報を取得し、移動局データ記憶部26に記憶しておく。配車注文があった場合には、目的地指示手段28から顧客の位置が入力され、基地局制御器21で移動局データ記憶部の移動局位置情報から顧客位置に最も近い移動局1,2,…,nを検索する。検索された移動局に対して、配車指示と顧客位置とを表すデータが送信データ生成器24で生成され、送受信機22および移動局通信用アンテナ23を介して送信される。表示部27には、道路地図と各移動局1,2,…,nの現在位置および顧客位置などとが表示される。
【0007】
前述のように、AVMシステムにはポーリング方式のものもある。配車の効率を高めるため、配車頻度に応じてポーリングの時間間隔を変化させることが提案されている(たとえば、特許文献1参照。)。また、移動速度に応じてポーリングの時間間隔を変化させることも提案されている(たとえば、特許文献2参照。)。ポーリングには、たとえば識別番号が一定の範囲内で移動局などのように、複数の移動局をグループ化して、一括して指定する方法もある。また、目的地に近い地区を設定し、その地区内に存在する移動局を対象とするエリア別のポーリング方式も提案されている(たとえば、特許文献3参照。)。特許文献3のエリアは、地域毎に予め設定しておく。
【0008】
また、タクシーの配車を行うAVMシステムでは、移動局が実車と空車との間での動態変化時などに、自車位置と動態とを示すデータを送信し、基地局では受信した位置に基づき、配車要求位置付近に設定するエリア内に存在する移動局からポーリング方式で位置および動態のデータを収集し、配車を行う技術も提案されている(たとえば、特許文献4参照。)。本件出願人は、位置情報および動態情報に基づくポーリング方式での管理を行う際に、動態情報が停止を表している移動局には、位置情報のポーリングを行わないで、トラフィックの低減を図る技術を提案している(たとえば、特許文献5参照。)。さらに、個々の移動局の状況に応じてポーリングの優先順位を調整し、ポーリングの頻度を最適化する技術も提案している(たとえば、特許文献6参照。)。
【0009】
【特許文献1】特開昭63−6699号公報
【特許文献2】特開平10−68628号公報
【特許文献3】特開2004−40664号公報
【特許文献4】特開2000−67387号公報
【特許文献5】特開2000−348293号公報
【特許文献6】特開2001−217768号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
任意発信方式のAVMシステムでは、位置データを送出する距離間隔を小さくしたり、時間間隔を短くしたりすると位置把握精度を向上させることができるけれども、通信のトラフィックが増大する。このため、AVMシステムに収容する移動局数が多い場合には、位置把握精度を細かくすることができないという問題点がある。
【0011】
ポーリング方式でも、AVMシステム内の全移動局を個別にポーリングして位置を把握しようとすると、このために必要なデータ通信のトラフィック量も大きくなり、システムの運用効率が悪くなってしまう。
【0012】
そこで、特許文献3に代表されるようなエリア別のポーリング方式では、目的地がエリアの端である場合に、隣のエリアには適切な移動局があるにもかかわらず選択されないという問題が生じる。この問題を解決するためには、目的地周辺のエリアもポーリングの対象とする必要が生じ、運用効率の低下につながる。さらにエリア別のポーリング方式では、目的地へ移動局を移動させる場合のみ位置情報を取得するので、移動局全体の動きを把握することができない。したがって、移動局の運行状況の管理が困難になるという問題点も生じる。
【0013】
本発明の目的は、以上のような問題点を解決し、システム内のトラフィックを最小限とし、必要な時には高い位置精度で最適移動局を検索することができ、常に全移動局の位置や動態を把握することができるAVMシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、複数の移動局と基地局とを含み、基地局で移動局の管理を行うAVMシステムにおいて、
各移動局は、位置データを基地局に送信する移動局制御器を有し、
基地局は、各移動局から送信される位置データを受信して位置を記憶し、検索する基地局制御器を有し、
基地局制御器は、目的地へいずれかの移動局を移動させる必要が生じた場合、記憶してある移動局の位置に基づいて目的地との距離関係を評価し、評価結果に従って複数の移動局を候補として選択し、選択した候補の移動局に対して現在の位置データの送信を要求する要求信号を送信し、前記要求信号に応答して候補の移動局から送信される現在の位置データを収集すると、収集した候補の移動局の位置に基づいて再度目的地との距離関係を評価し、候補の移動局のうちから評価結果に従って決定される移動局に対して目的地へ移動指示する指示信号を送信することを特徴とするAVMシステムである。
【0015】
本発明に従えば、AVMシステムは、複数の移動局と基地局とを含み、基地局で移動局の管理を行うために、移動局制御器と基地局制御器とを有する。各移動局の移動局制御器は、予め定められる条件に従って、位置データを自律的に送信する。基地局制御器は、各移動局から自律的に送信される位置データを受信して位置を記憶し、検索するので、全移動局の位置の把握を、自律的に送信される位置データを記憶して行うことができる。基地局制御器は、目的地へいずれかの移動局を移動させる必要が生じた場合、記憶してある移動局の位置に基づいて目的地との距離関係を評価するので、評価のためにシステム中の全移動局または特定エリア内の全移動局にポーリングを行う必要はなく、トラフィックの増大を防ぐことができる。基地局制御器は、全移動局の位置や動態を把握しながら、評価結果に従って複数の移動局を候補として選択し、選択した候補の移動局に対して現在の位置データの送信を要求する要求信号を送信し、候補の移動局から送信される現在の位置データを収集するので、候補となっている限られた数の移動局からはポーリング方式で最新の位置データを収集することができる。ポーリング方式の対象となる移動局は限られるので、システム内のトラフィックを最小限とすることができる。
【0016】
また本発明で、前記移動局制御器は、位置データに、移動方位情報を付加し、
前記基地局制御器は、前記評価に受信した移動方位情報を加味することを特徴とする。
【0017】
本発明に従えば、移動局を搭載する車両が走行中など、移動体が移動していても、位置データおよび移動方位情報を加味する評価で最も速く移動可能な移動局を適切に選択することができる。
【0018】
また本発明で、前記移動局制御器は、位置データに、速度情報と移動方位情報とを付加し、
前記基地局制御器は、記憶している移動局の位置に、速度情報と移動方位情報とから予測される移動量を加味した位置に基づいて、前記評価を行うことを特徴とする。
【0019】
本発明に従えば、移動局を搭載する車両が走行中など、移動体が移動していても、速度情報と移動方位情報とから移動量を予測し、予測した移動量を加味する評価で最も速く移動可能な移動局を適切に選択することができる。
【0020】
また本発明で、前記基地局制御器は、
前記候補の移動局のうちの1つに対して前記要求信号を送信し、
当該移動局からの位置データを受信した後、または予め定める一定時間が経過した後、
候補の移動局のうちの次に対して該要求信号を順次送信して、前記収集を行うことを特徴とする。
【0021】
本発明に従えば、基地局制御器は、候補の移動局を選択した後、各移動局に対して、順次ポーリング方式で要求信号を送信し、位置データを収集することができる。ある移動局からは予め定める一定時間経過後にも位置データを受信することができなければ、次の移動局に対して要求信号を送信するので、特定の移動局からは位置データを受信することができなくても、他の移動局からの位置データを受信して、最新の位置に基づく評価を行うことができる。
【0022】
また本発明で、前記基地局制御器は、
前記候補の移動局の全てに対して送信順を指定して前記要求信号を送信し、
候補の移動局のうち前記現在の位置データを受信することができない移動局に、再度送信順を指定して要求信号を送信することを、予め規定される回数だけ反復して前記収集を行うことを特徴とする。
【0023】
本発明に従えば、基地局制御器は、候補の移動局を選択した後、全移動局に対して送信順を指定して要求信号を送信し、各移動局から送信される位置データを収集することができる。位置データを受信することができない移動局に対しては、再度送信順を指定して要求信号を送信することを反復するので、移動局毎にポーリングを行うよりも位置データの収集に必要な時間を短縮することができる。
【0024】
また本発明で、前記移動局制御器は、前記要求信号を受信した場合に、自律的な位置データの送信を、予め定める一定時間は停止することを特徴とする。
【0025】
本発明に従えば、移動局が基地局に自律的に位置データを送信することを、基地局から移動局に要求信号を送信すると一定時間は停止する。移動局からの自律的な位置データの送信タイミングは、基地局での位置データの収集のタイミングとは別個に定るので、偶然にタイミングが一致し、データの衝突が生じて、基地局による候補の移動局からの位置データ収集の効率が低下する可能性がある。基地局からの要求信号を受信すると、移動局からの自律的な位置データの送信を停止するので、基地局での位置データの収集効率を低下させないようにすることができる。
【0026】
また本発明で、前記移動局制御器は、前記要求信号を受信した場合に、自律的な位置データの送信を停止し、
前記基地局制御器は、前記候補の移動局の全部から現在の位置データを収集し終えた場合、位置収集終了信号を移動局へ送信し、
移動局制御器は、該位置収集終了信号を受信した場合、該自律的な位置データの送信を再開することを特徴とする。
【0027】
本発明に従えば、移動局が基地局に自律的に位置データを送信することを、基地局から移動局に要求信号を送信すると一定時間は停止するので、基地局での位置データの収集効率を低下させないようにすることができる。基地局制御器は、候補の移動局の全部から現在の位置データを収集し終えた場合、位置収集終了信号を移動局へ送信するので、自律的な位置データの送信停止の必要がなくなったことを通知することができる。移動局制御器は、位置収集終了信号を受信した場合、自律的な位置データの送信を再開するので、基地局は移動局から自律的に送信される位置データに基づく管理を続けることができる。
【0028】
また本発明では、前記基地局から送信する信号のタイミングに同期して、前記移動局がデータを送信するタイミングと長さとを規定するフレームが設定されており、
該フレームには、循環する番号が付されており、
前記移動局制御器は、自律的に送信する位置データのフレームと、前記要求信号に対する応答として送信する位置データのフレームとを、該番号で区別することを特徴とする。
【0029】
本発明に従えば、基地局から送信する信号のタイミングに同期して、移動局がデータを送信するタイミングと長さとを規定するフレームが設定され、フレームには循環する番号が付されるので、移動局がデータを送信する時間をフレームの番号で区別することができる。移動局制御器は、自律的に送信する位置データのフレームと、要求信号に対する応答として送信する位置データのフレームとを、番号で区別するので、送信のタイミングを異ならせて、衝突を避けることができる。
【0030】
また本発明で、前記移動局制御器は、
前記要求信号を受信してから前記位置収集終了信号を受信するまでの場合は、自律的な位置データの送信用のフレームと前記要求信号に対する応答用の位置データのフレームとを区別し、
該場合を除いて、全てのフレームを自律的な位置データの送信用に使用することを特徴とする。
【0031】
本発明に従えば、移動局制御器は、要求信号を受信してから位置収集終了信号を受信するまでの場合は、自律的な位置データの送信用のフレームと要求信号に対する応答用の位置データのフレームとを区別するので、送信のタイミングを異ならせて、衝突を避けることができる。配車要求など、移動局を選択して指示する必要が生じる期間は、全期間にはわたらないので、その場合を除けば、全てのフレームを自律的な位置データの送信に使用して、自律的に送信される位置データの収集数を増加させることができる。
【0032】
また本発明で、前記基地局から送信する信号のタイミングに同期して、前記移動局がデータを送信するタイミングと長さとを規定するフレームが設定されており、
該フレームは、循環する番号が付されて、移動局が自律的に位置データを送信する第1番号群のフレームと、該自律的に送信する位置データ以外のデータを送信する第2番号群のフレームとが区別され、
前記移動局制御器は、
前記要求信号を受信してから前記位置収集終了信号を受信するまでの場合は、第2番号群のフレームで要求信号に対する位置データを送信し、
該場合を除いて、該第2番号群のフレームで該要求信号に対する位置データ以外のデータを送信することを特徴とする。
【0033】
本発明に従えば、基地局から送信する信号のタイミングに同期して、移動局がデータを送信するタイミングと長さとを規定するフレームが設定され、フレームには循環する番号が付されて、移動局がデータを送信する時間をフレームの番号で区別することができる。移動局が自律的に位置データを送信する第1番号群のフレームと、自律的に送信する位置データ以外のデータを送信する第2番号群のフレームとが番号で区別されるので、送信のタイミングを異ならせて、衝突を避けることができる。配車要求など、移動局を選択して指示する必要が生じる期間は、全期間にはわたらないので、その期間を除けば、第2番号群のフレームを位置データ以外のデータの送信に使用し、情報の伝送を有効に行うことができる。
【0034】
また本発明で、前記移動局制御器は、自律的に送信する位置データに、前記移動局の動態情報を付加し、
前記基地局制御器は、記憶している移動局の位置に基づく評価に、動態情報を加味することを特徴とする。
【0035】
本発明に従えば、移動局制御器は、自律的に送信する位置データに、移動局の動態情報を付加し、基地局制御器は、記憶している移動局の位置に基づく評価に、動態情報を加味するので、候補の移動局の選択を位置ばかりではなく動態も加味して行うことができる。たとえば、タクシーを対象とする場合、動態が空車であれば、直ちに顧客を迎えに行くことができるので、動態も評価に加味し、適切な移動局の選択を行うことができる。
【0036】
また本発明で、前記基地局制御器は、前記候補の移動局を予め定める数だけ選択して評価し、いずれの移動局に対する評価結果でも予め定める選択基準に満たない場合、候補となる移動局をさらに追加することを特徴とする。
【0037】
本発明に従えば、基地局制御器は、候補の移動局を予め定める数だけ選択して評価するので、候補の移動局からの位置データ収集によるトラフィックの増加を抑制することができる。いずれの移動局に対する評価結果でも予め定める選択基準に満たない場合、候補となる移動局をさらに追加するので、候補の範囲を広げて、選択基準を満たす評価結果が得られる移動局を含む可能性を高めることができる。
【0038】
また本発明で、前記基地局制御器は、前記候補の移動局の評価中に評価結果が予め定める満足基準を満たす移動局が判明すれば、他の移動局からの位置データの収集を終了することを特徴とする。
【0039】
本発明に従えば、候補の移動局の評価の途中でも、予め定める満足基準を満たす移動局が判明すれば、候補の全部の移動局の評価を行って最適な移動局を選ばなくても充分な評価の移動局を選ぶことができ、余分な位置データの収集に要する時間を省くことができる。
【発明の効果】
【0040】
本発明によれば、複数の移動局の移動局制御器は、予め定められる条件に従って、位置データを送信し、基地局の基地局制御器は、全移動局の位置の把握を、送信される位置データを記憶して行うことができる。基地局制御器は、目的地へいずれかの移動局を移動させる必要が生じた場合、記憶してある移動局の位置に基づいて目的地との距離関係を評価するので、評価のためにポーリングを行う必要はない。評価結果に従って複数の移動局を候補として選択し、選択した候補の移動局からはポーリング方式で最新の位置データを収集することができる。ポーリング方式の対象となる移動局は限られるので、システム内のトラフィックを最小限とすることができる。
【0041】
また本発明によれば、移動局が移動していても、位置データおよび移動方位情報を加味する評価で候補の移動局を適切に選択することができる。
【0042】
また本発明によれば、移動局が移動していても、速度情報と移動方位情報とから予測した移動量を加味する評価で、候補の移動局を適切に選択することができる。
【0043】
また本発明によれば、候補の移動局を選択した後、各移動局に対して、順次ポーリング方式で要求信号を送信し、位置データを収集する際に、位置データを受信することができない移動局が存在しても、他の移動局からの位置データを順次受信して、最新の位置に基づく評価を行うことができる。
【0044】
また本発明によれば、選択した候補の全移動局に対して送信順を指定して要求信号を送信し、位置データを収集することができる。位置データを受信することができない移動局に対しては、再度送信順を指定して要求信号を送信することを反復するので、移動局毎にポーリングを行うよりも位置データの収集に必要な時間を短縮することができる。
【0045】
また本発明によれば、移動局が基地局に自律的に位置データを送信することを、基地局から移動局に要求信号を送信すると一定時間は停止するので、データの衝突を避け、基地局での位置データの収集効率を低下させないようにすることができる。
【0046】
また本発明によれば、移動局からの自律的な位置データの送信で、基地局での位置データの収集効率を低下させないようにすることができる。基地局では、候補の移動局の全部から現在の位置データを収集し終えた場合、位置収集終了信号を移動局へ送信し、移動局では、位置収集終了信号を受信すれば、自律的な位置データの送信を再開するので、基地局は移動局から自律的に送信される位置データに基づく管理を続けることができる。
【0047】
また本発明によれば、基地局から送信する信号には、移動局がデータを送信するタイミングと長さとを規定するフレームが設定され、フレームには循環する番号が付される。自律的に送信する位置データのフレームと、要求信号に対する応答として送信する位置データのフレームとを、番号で区別して、送信のタイミングを異ならせ、衝突を避けることができる。
【0048】
また本発明によれば、移動局制御器は、要求信号を受信してから位置収集終了信号を受信するまでの場合は、自律的な位置データの送信用のフレームと要求信号に対する応答用の位置データのフレームとを区別するので、送信のタイミングを異ならせて、衝突を避けることができる。その場合を除けば、全てのフレームを自律的な位置データの送信に使用して、自律的に送信される位置データの収集数を増加させることができる。
【0049】
また本発明によれば、基地局から送信する信号には、移動局がデータを送信するタイミングと長さとを規定するフレームが設定され、フレームには循環する番号が付される。移動局が自律的に位置データを送信する第1番号群のフレームと、自律的に送信する位置データ以外のデータを送信する第2番号群のフレームとが番号で区別されるので、送信のタイミングを異ならせて、衝突を避けることができる。配車要求など、移動局を選択して指示する必要が生じる期間は、全期間にはわたらないので、他の期間は、第2番号群のフレームを位置データ以外のデータの送信に使用し、情報の伝送を有効に行うことができる。
【0050】
また本発明によれば、候補の移動局の選択を位置ばかりではなく動態も加味して行うことができる。たとえば、タクシーを対象とする場合、動態が空車であれば、直ちに顧客を迎えに行くことができるので、適切な配車を行うことができる。
【0051】
また本発明によれば、基地局制御器は、候補の移動局を予め定める数だけ選択して評価するので、位置データ収集によるトラフィックの増加を抑制することができる。候補の中では評価結果が予め定める選択基準に満たない場合、候補となる移動局をさらに追加するので、候補の範囲を広げて、選択基準を満たす評価結果が得られる可能性を高めることができる。
【0052】
また本発明によれば、候補の移動局の評価の途中でも、予め定める満足基準を満たす移動局が判明すれば、候補の全部の移動局の評価を行う必要がなくなり、余分な位置データの収集に要する時間を省くことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0053】
以下、図1〜図30に基づいて、本発明について説明する。従来技術についての説明に使用している図31〜図33も含めて、各図で対応する部分には同一の参照符を付し、重複する説明は省略することがある。また従来技術も含めて、先行して説明している用語や事項については、後続する説明でも原則的に同一の意味で使用する。また、異なる形態として説明していても、相互に排斥しあうものでなければ、任意に組合わせることもできる。
【0054】
図1は、本発明の実施の形態に共通な移動局1,2,3,4の配置例を示す。各移動局1,2,3,4は、それぞれ図32に示すような構成を有し、GPSで自律的に位置データを取得して、任意発信方式で基地局10に送信する。図33に示すような基地局10では、各移動局1,2,3,4の位置を、移動局データ記憶部26に記憶する。図1では、前回の送信を受信して記憶されている各移動局1,2,3,4の位置を、「□」の印でそれぞれ示す。この任意発信方式で収集する位置情報では、目的地と移動局1,2,3,4との距離d1,d2,d3,d4は、d1<d2<d3<d4となる。ただし、各移動局1,2,3,4は、それぞれ移動している可能性があり、また自律的に位置データを送信したタイミングは必ずしも一致していない。そこで、距離の評価に基づいて移動局1,2,3を候補として選択し、移動局1,2,3に対するポーリング方式での位置データの収集を行う。ポーリングで収集した移動局1,2,3の位置データは、「■」の印で示す最新の位置データであると期待される。この位置データに基づいて、目的地との距離d1’,d2’,d3’をそれぞれ評価すると、d2’<d1’<d3’となり、目的地に最も近いのは移動局2であることが判明する。
【0055】
なお、各移動局1,2,3,4から基地局10へのデータの送信は、同一の周波数を使用するものとする。同一の周波数を使用することによって、移動局10の送受信機21が受信する周波数は1つでよい。ただし、同一の周波数を使用すると、複数の移動局1,2,3,4が同時にデータを送信して、データの衝突が生じるおそれがある。
【0056】
図2は、本発明の実施の一形態として、図1の移動局1,2,3,4が基地局10との間で送受信する信号の送出タイミングを示す。各移動局1,2,3,4は、それぞれ自律的な任意発信方式で、位置データを基地局10に送信している。基地局10には、顧客などからの配車要求がなされると、基地局制御器21は移動局データ記憶部26を検索して、図1で説明しているように、移動局1,2,3を搭載する車両を候補車両として選択する。基地局制御器21は、時刻taから、移動局1へ位置データの要求信号を送出することでポーリング信号送信を開始する。
【0057】
この例では、移動局1へのポーリング信号送信で、移動局1からその返答として送信する位置データの受信には成功するけれども、次の移動局2に対して位置データの要求信号を送出し、その応答として移動局2が位置データを送信する時刻tbで、移動局4も自律的に位置データを送信し、データの衝突が生じる。送信データの衝突が生じると、基地局10の送受信機21では全くデータを受信することができなかったり、受信することは可能でもエラーが生じたりする。このため、基地局制御部21は、一定時間t1経過後に再度位置データの送信を要求する信号を移動局2に対して送信する。この要求信号に対する応答時には他の移動局1,3,4からのデータ送信がなければ、基地局10は移動局2からの位置データを受信することができる。基地局10は、次に移動局3へポーリング信号を送信し、時刻tcで送信要求への返答としての位置データを受信する。基地局10の基地局制御器21は、移動局1,2,3からの位置データの収集が終了すると、最新の位置データに基づいて評価し、最も目的地に近い移動局2に配車指示を送信する。
【0058】
図3は、各移動局1,2,3,4の移動局制御器11による概略的な制御手順を示す。動作開始は、たとえば電源スイッチのONなどの動作開始操作に従って行われる。ステップa1では、たとえば電源スイッチをOFFにするなどの動作終了操作があるか否かを判断する。動作終了操作がないと判断すると、ステップa2に進み、GPS受信機14から位置データ受信か否かを判断する。GPS受信機14は、複数のGPS用衛星16から電波を受信して、現在位置を検知する毎に位置データ受信を移動局制御器11に通知するようにしておく。ステップa2で位置データ受信でないと判断するときは、ステップa3で基地局10から自局へのポーリング信号受信か否かを判断する。ポーリング信号受信でないと判断するときは、ステップa4で自局宛配車指示受信か否かを判断する。自局宛配車指示受信ではないと判断すると、ステップa1に戻る。
【0059】
ステップa2でGPS受信機14から位置データ受信と判断すると、ステップa5で、前回送信位置Pxalt,Pyaltと受信した現在位置Px,Pyとの間の距離dxを算出する。次にステップa6で、距離dxと送出距離間隔として予め定める定数dtとを比較し、dx≧dtであるか否かを判断する。dx≧dtであると判断するとき、またはステップa3で基地局10から自局へのポーリング信号受信と判断するとき、ステップa7で位置データを表す位置信号Px,Pyを基地局10に送信する。次にステップa8で、前回送信位置Pxalt,Pyaltに、Px,Pyをそれぞれ代入する。ステップa8の後、またはステップa6でdx≧dtでないと判断するときは、ステップa4に移る。ステップa4で自局宛配車指示受信と判断するときは、ステップa9で配車情報を移動局で表示し、ステップa1に戻る。以下、ステップa1で動作終了操作ありと判断するまでは、ステップa1からステップa9の手順を繰返す。ステップa1で動作終了操作ありと判断すると、動作を終了する。
【0060】
図4は、図3のステップa7で移動局から基地局に送信される位置信号Px,Pyの例を示す。位置信号は、位置信号識別子、移動局番号、X座標(Px)、Y座標(Py)を含む。位置信号識別子は、位置信号であることを表す。基地局では、位置信号識別子によって以下に続くデータが位置データであることを認識する。移動局番号は、移動局に与えられている識別のための番号である。X座標(Px)およびY座標(Py)は、地図上の座標であり、経度や緯度に対応している。
【0061】
図5は、基地局10の基地局制御器21による概略的な制御手順を示す。動作開始は、たとえば電源スイッチのONなどの動作開始操作に従って行われる。ステップb1では、たとえば電源スイッチをOFFにするなどの動作終了操作があるか否かを判断する。動作終了操作がないと判断すると、ステップb2に進み、移動局からの位置データ受信か否かを判断する。ステップb2で位置データ受信でないと判断するときは、ステップb3で配車要求ありか否かを判断する。配車要求ありではないと判断すると、ステップb1に戻る。
【0062】
ステップb2で移動局から位置データ受信と判断すると、ステップb4で、受信した位置データをPx(n),Py(n)として移動局データ記憶部26に記憶する。ここでnは、図4に示す移動局識別番号に対応し、移動局nから送信された位置データであることを示す。ステップb4が終了すると、ステップb3に移行する。ステップb3で配車要求ありと判断するときは、ステップb5に移行して候補移動局を選択する。次にステップb6で最適移動局選択を行う。次のステップb7では、最適移動局へ配車指示を送信し、ステップb1に戻る。以下、ステップb1で動作終了操作ありと判断するまでは、ステップb1からステップb7手順を繰返す。ステップb1で動作終了操作ありと判断すると、動作を終了する。
【0063】
図6は、図5のステップb5に示す候補移動局選択の動作を、基地局制御部21がサブルーチンとして実行する手順を示す。候補移動局選択の動作が開始されると、ステップc1では、整数パラメータiを1に初期化する。移動局の識別番号は、1からNまでとし、候補移動局として選択する数はMとする。1≦i,M≦Nである。次のステップc2では、移動局iの位置座標Px(i),Py(i)と目的地の位置座標Qx,Qyとの間の距離を算出し、距離の配列の要素d(i)に代入する。次のステップc3では、パラメータiの値を1だけ増加させる。次のステップc4では、i>Nであるか否かを判断する。i>Nでない、すなわちi≦Nと判断するときは、ステップc2に戻る。ステップc4でi>Nと判断するときは、ステップc5に移行する。ステップc5では、配列の要素d(i)について最小値から小さい順にM個を選び、配列s(1〜M)の要素にiを代入し、配列ds(1〜M)の要素にd(i)をそれぞれ代入する。すなわち、d(i)の最小値をds(1)に、そのときのiの値をs(1)にそれぞれ代入する。最小値の次に小さいd(i)の値をds(2)に、そのときのiの値をs(2)にそれぞれ代入する。以下2〜M番目に小さいd(i)の値と各iの値とを、それぞれds(2〜M)とs(2〜M)とにそれぞれ代入する。これらの代入処理が終了すると、サブルーチンを終了し、図5の手順に戻る。
【0064】
図7は、図5のステップb6に示す最適移動局選択の動作を、基地局制御部21がサブルーチンとして実行する手順を示す。最適移動局選択の動作が開始されると、ステップd1では、整数パラメータiを1に初期化する。次のステップd2では、整数パラメータjを1に初期化する。次のステップd3では、i番目に距離ds(i)が小さい移動局であるs(i)に、ポーリング信号を送信する。ステップd4では、タイマT1を0でリセットする初期化を行う。タイマT1は、たとえば移動局制御部21内に設けられる。タイマT1は、初期化に続いて、計時動作を開始する。
【0065】
ステップd5では、移動局s(i)の位置Psx(i),Py(i)を受信したか否かを判断する。受信しないと判断するときは、ステップd6に進み、タイマT1の計時値が図2に示す一定時間t1よりも大きくなっているか否かを判断する。T1>tiではないと判断するときは、ステップd5に戻る。ステップd6でT1>t1であると判断すると、ステップd7に進み、パラメータjの値を1だけ増加させる。次にステップd8で、jの値がRよりも大きいか否かを判断する。Rは最大試行回数である。ステップd8でj>Rでないと判断するときは、ステップd3に戻る。i>Rであれば、R回の試行でも識別番号s(i)の移動局から位置データをを受信することができないことを意味する。ステップd8でj>Rと判断するときは、ステップd9に進む。ステップd9では、距離の配列の要素ds(i)に、たとえば100000を代入する。距離の配列の要素ds(i)の単位は[m]であり、100000を代入することは、充分に大きい値を代入することを意味する。100000の値は、充分に大きい値であれば他の値でもさしつかえない。ステップd5で移動局からの位置データを受信と判断するときは、ステップd10に進み、距離の配列の要素ds(i)に、位置データPsx(i),Psy(i)と目的値の位置座標Qx,Qyとの間の距離を代入する。
【0066】
ステップd9またはステップd10の後は、ステップd11に進む。ステップd11では、パラメータiの値を1だけ増加させる。次のステップd12でi>Mか否かを判断する。i>Mでないと判断するときは、ステップd2に戻る。ステップd12でi>Mと判断するときは、全ての候補移動局についての評価が終了したことを意味し、ステップd13に進む。ステップd13では、配列の要素ds(i)が最小値になるiを選び、s(i)を識別番号とする移動局を最適移動局として選択し、図5の手順に戻る。
【0067】
図8は、図7のステップd3で基地局10から移動局s(i)に送るポーリング信号の構成例を示す。ポーリング信号は、ポーリング識別子および移動局番号を含む。ポーリング識別子は、移動局番号で指定される移動局に対して、位置データの送信を要求することを意味する。
【0068】
基地局制御器21は、顧客などからの注文による配車要求があれば、図6に示す候補移動局選択サブルーチンを起動し、任意発信位置信号で把握している移動局の移動局の位置の中から、顧客の待つ目的地に最も近いM台の移動局を選択する。M=3の場合、図1では「□」で表す移動局1〜4からは、移動局1〜3が選択される。実際には、移動局は「□」の位置から移動しているので、選択した候補移動局1〜3に対して、図7に示す最適移動局選択サブルーチンを起動する。このサブルーチンでは、候補移動局1〜3に1台ずつ図8に示すようなポーリング信号を送出して、図4に示すような位置信号を送信するように要求する。こうして得た位置が図1に「■」で示す位置であれば、目的地に最も近い移動局2が最適移動局として選択され、配車信号が送られる。
【0069】
特許文献3に代表されるようなエリア別のポーリング方式では、エリア単位で管理しているところを、任意発信で得た位置の中から候補を選ぶため、より効率良く最適移動局を選択することができる。
【0070】
図9は、本発明の実施の他の形態として、図1の移動局1,2,3,4が基地局10との間で送受信する信号の送出タイミングを示す。図2のように、1台ずつにポーリング信号を送出して位置信号を収集すると、候補移動局の全部から位置情報を収集するのに長時間必要になる。これを改善したものが本形態である。本形態では、時刻taで、基地局10が全ての候補移動局1〜3に対して一括してポーリング信号を送信する。ポーリング信号の送信後、各候補移動局1〜3は、互いに衝突しないようにタイミングをとって、順次位置信号を送信する。ただし、候補移動局1〜3とは別の移動局4は、自律的な任意発信方式で、位置データを基地局10に送信している。たとえば、時刻tbで移動局2からのポーリング信号に返答する位置信号と、移動局4からの任意発信の位置信号とが衝突すると、基地局10で受信することができなくなる。候補移動局1〜3の全体にポーリング信号を送信してから、予め定める時間t2が経過すると、候補移動局1〜3の中から位置信号を受信することができない候補移動局2に、再度ポーリング信号を送信する。時刻tcで候補移動局2から位置信号の返信があると、基地局10は受信することができ、全部の候補移動局1〜3についての最新の位置データを得ることができる。基地局は、最新の位置データに基づき、最適移動局として移動局2を選択し、配車指示を行う。候補移動局1〜3へのポーリングは、全部の候補移動局1〜3の最新の位置データが1回受信されれば、1回だけにすることもできる。受信することができない移動局に対しては、図7と同様に、距離が大きい評価を行うようにすればよい。そのようにすれば、候補移動局の位置情報収集時間を短縮することができる。図9に示すように、受信することができない移動局に対するポーリングを繰返しても、繰返し回数があまり多くなければ、全体として時間短縮を図り、しかもできるだけ多くの候補移動局を評価することができる。
【0071】
図10は、各移動局1,2,3,4の移動局制御器11による概略的な制御手順を示す。動作開始は、たとえば電源スイッチのONなどの動作開始操作に従って行われる。ステップe1では、たとえば電源スイッチをOFFにするなどの動作終了操作があるか否かを判断する。動作終了操作がないと判断すると、ステップe2に進み、GPS受信機14から位置データ受信か否かを判断する。ステップe2で位置データ受信でないと判断するときは、ステップe3で基地局10から自局を含むポーリング信号受信か否かを判断する。ポーリング信号受信でないと判断するときは、ステップe4で自局宛配車指示受信か否かを判断する。自局宛配車指示受信ではないと判断すると、ステップe1に戻る。
【0072】
ステップe2でGPS受信機14から位置データ受信と判断すると、ステップe5で、前回送信位置Pxalt,Pyaltと受信した現在位置Px,Pyとの間の距離dxを算出する。次にステップe6で、距離dxと送出距離間隔として予め定める定数dtとを比較し、dx≧dtであるか否かを判断する。ステップe3で、基地局10から自局をdx≧dtであると判断するとき、およびステップa3で基地局10から自局を含むポーリング信号受信と判断するときは、ステップe7で、(i−1)×tの時間だけ待つ。時間tは、各候補移動局の位置信号送信に必要な時間として定められる。自局がi番目であることは、たとえば図12のような構成のポーリング信号で、候補移動局のリストから知ることができる。
【0073】
ステップe7が終了すると、自局がポーリング信号に応答するタイミングとなり、ステップe8に進む。また、ステップe6でdx≧dtと判断すると、自局が任意発信で位置データを送信するタイミングとなり、ステップe8に進む。ステップe8では、位置データを表す位置信号Px,Pyを基地局10に送信する。次にステップe9で、前回送信位置Pxalt,Pyaltに、Px,Pyをそれぞれ代入する。ステップe9の後、またはステップe6でdx≧dtでないと判断するときは、ステップe4に移る。ステップe4で自局宛配車指示受信と判断するときは、ステップe10で配車情報を移動局で表示し、ステップe1に戻る。以下、ステップe1で動作終了操作ありと判断するまでは、ステップe1からステップe10の手順を繰返す。ステップe1で動作終了操作ありと判断すると、動作を終了する。
【0074】
基地局10の基地局制御器21による概略的な制御手順は図5と同様であり、候補移動局選択サブルーチンは図6と同様である。
【0075】
図11は、基地局制御器21での最適移動局選択サブルーチンの例を示す。最適移動局選択の動作が開始されると、ステップf1では、配列ds(i)の全要素ds(1〜M)を100000で初期化する。ds(i)の単位は[m]であり、100000の値は、受信できなかったことを表すものとする。ステップf2では、整数パラメータjを1に初期化する。次のステップf3では、図12に示すようなポーリング信号の移動局番号を全てクリアする。ステップf4では、整数パラメータiを1に初期化し、整数パラメータkを0に初期化する。次のステップf5では、i番目に小さい距離ds(i)が100000に等しいか否かを判断する。等しいと判断すると、ステップf6で、移動局s(i)の移動局番号をポーリング信号に付加する。次にステップf7で、kの値を1だけ増加させる。ステップf7の後、またはステップf5で距離ds(i)が100000ではないと判断するとは、ステップf8でパラメータiを1だけ増加させる。次にステップf9で、i>Mであるか否かを判断する。i>Mでないと判断するときは、ステップf3に戻る。ステップf9でi>Mと判断するときは、ステップf10に進む。
【0076】
ステップf10では、パラメータkが0であるか否かを判断する。ただし、ステップf1で、ds(1〜M)の全部を100000で初期化しているので、ステップf5〜f7でkの値は少なくとも1に設定されている。ステップf10でkが0でないと判断するときは、ステップf11で、図9に示す時間t2として、k×tを代入する。次のステップf12では、タイマT2を0にリセットして計時を開始させ、ステップf13でポーリング信号を送信する。ステップf14では、移動局s(1〜M)のいずれかの位置Psx(i),Psy(i)受信か否かを判断する。受信と判断するときは、ステップf15に進み、ds(i)に位置Psx(i),Psy(i)と目的値の位置Qx,Qyとの間の距離を代入する。ステップf14で受信しないと判断するとき、またはステップf15の後は、ステップf16に進み、タイマT2の計時値が時間t2よりも大きくなっているか否かを判断する。T2>t2ではないと判断するときは、ステップf14に戻る。ステップf16でT2>t2であると判断すると、ステップf17に進み、パラメータjの値を1だけ増加させる。次にステップf18で、jの値がRよりも大きいか否かを判断する。Rは最大試行回数である。ステップf18でj>Rでないと判断するときは、ステップf3に戻る。今回は、ds(1〜M)にステップf15で距離が代入されているので、ステップf10の判断でk=0となることもありうる。ステップf10でk=0と判断するときは、ステップf19に進む。ステップf18で、j>Rと判断するときは、R回の試行でも位置データを受信することができない移動局が存在していることを意味するけれども、ステップf19に進む。ステップf19では、距離の配列の要素ds(i)が最小値になるiを選び、s(i)を最適移動局として、サブルーチンを終了する。
【0077】
図12は、図11のステップf12で送信するポーリング信号の例を示す。ポーリング信号は、ポーリング識別子と、候補移動局の全部を示す移動局番号のリストとを含む。移動局番号のリストは、たとえば移動局識別番号を昇順に並べればよい。1回目のポーリングではM個の移動局番号が付加されるけれども、2回目以降は、前回受信することができない移動局の番号のみとなる。
【0078】
図13は、本発明の実施のさらに他の形態として、図1の移動局1,2,3,4が基地局10との間で送受信する信号の送出タイミングを示す。図2のように、候補移動局1〜3の1台ずつにポーリング信号を送出して位置信号を収集する間に、他の移動局4からの任意発信による位置データが送出されると、基地局10は衝突によって受信できなくなることがある。基地局10は、一定時間t1が経過しても指定した移動局からの位置信号を受信する個とができなければ、再度ポーリング信号を送出して、移動局が位置信号を再送することになる。ただし、基地局10が時刻0で移動局1への位置送信要求を送出すると、移動局の任意発信は停止するようにしておく。すなわち、ポーリング信号を受信した全ての移動局は、任意発信を一定時間t3だけ停止する。時間t3を時間t1より長目に設定しておけば、基地局10が候補移動局1〜3の位置情報を収集しているを超えて時刻t10までの期間、任意発信は停止させることができる。図13では、データの衝突以外の原因で移動局2からの位置信号を基地局10で受信することができず、応答なしとして再送を要求し、再送で位置信号を受信しているけれども、この確率は任意発信との衝突よりも小さく、任意発信との衝突によるデータ収集効率低下は防ぐことができる。
【0079】
図14は、各移動局1,2,3,4の移動局制御器11による概略的な制御手順を示す。動作開始は、たとえば電源スイッチのONなどの動作開始操作に従って行われる。ステップg1では、たとえば電源スイッチをOFFにするなどの動作終了操作があるか否かを判断する。動作終了操作がないと判断すると、ステップg2に進み、タイマT3の計時時間が時間t3よりも大きいか否かを判断する。T3>t3と判断するときは、ステップg3で、GPS受信機14から位置データ受信か否かを判断する。ステップg3で位置データ受信でないと判断するときは、ステップg4で基地局10からポーリング信号受信か否かを判断する。ポーリング信号受信と判断するときは、ステップg5で自局宛か否かを判断する。自局宛でないと判断するときは、ステップg6で、タイマT3を0にリセットする。次にステップg7で、自局宛配車指示受信か否かを判断する。自局宛配車指示受信ではないと判断すると、ステップg1に戻る。
【0080】
ステップg3でGPS受信機14から位置データ受信と判断すると、ステップg8で、前回送信位置Pxalt,Pyaltと受信した現在位置Px,Pyとの間の距離dxを算出する。次にステップg9で、距離dxと送出距離間隔として予め定める定数dtとを比較し、dx≧dtであるか否かを判断する。ステップg9でdx≧dtであると判断するとき、またはステップg5で基地局10からのポーリング信号が自局宛と判断するときは、ステップg10で位置信号Px,Pyを基地局10へ送信し、ステップg11で前回送信位置Pxalt,Pyaltに、Px,Pyをそれぞれ代入する。ステップg11後は、ステップg7に進む。ステップg4で、基地局からポーリング信号受信でないと判断するときも、ステップg7に進む。ステップg7では、前述のように自局宛配車指示受信か否かを判断し、自局宛配車指示受信と判断するときは、ステップg12で配車情報を移動局で表示し、ステップg1に戻る。以下、ステップg1で動作終了操作ありと判断するまでは、ステップg1からステップg12の手順を繰返す。ステップg1で動作終了操作ありと判断すると、動作を終了する。
【0081】
図15は、本発明の実施のさらに他の形態として、図1の移動局1,2,3,4が基地局10との間で送受信する信号の送出タイミングを示す。図13とは別の任意発信とポーリングの応答との衝突の回避策として、全移動局1〜4はポーリング信号を受信した場合、基地局10からの許可があるまで任意発信を停止する。基地局10からは、候補移動局1〜3の位置情報収集が終了した旨の信号を送出し、これを受信した移動局1〜4は、任意発信の送信を再開する。
【0082】
たとえば、タクシー業務においては、最適移動局を選択することができれば、最適移動局に対して配車指示信号を送出するので、任意発信信号送信再開の許可信号には、配車指示信号を使うことができる。すなわち、時刻t0で候補移動局1〜3へのポーリング信号が送信されると、任意発信は停止され、時刻10で配車指示信号が送信されると、任意発信は許可される。
【0083】
図16は、各移動局1,2,3,4の移動局制御器11による概略的な制御手順を示す。動作開始は、たとえば電源スイッチのONなどの動作開始操作に従って行われる。ステップh1では、フラグtfに1を設定する。フラグtfは、任意発信の許可フラグであり、tf=1は許可、tf=0は停止にそれぞれ対応する。ステップh2では、たとえば電源スイッチをOFFにするなどの動作終了操作があるか否かを判断する。動作終了操作がないと判断すると、ステップh3に進み、フラグtfが1であるか否かを判断する。初回はステップh1で1に設定されているのでtf=1であり、ステップh4に進む。ステップh4では、GPS受信機14から位置データ受信か否かを判断する。ステップh4で位置データ受信でないと判断するときは、ステップh5で基地局10からポーリング信号受信か否かを判断する。ポーリング信号受信と判断するときは、ステップh6でフラグtfを0に設定し、ステップh7でポーリングは自局宛か否かを判断する。自局宛でないと判断するときは、ステップh8で、配車指示受信か否かを判断する。配車指示受信であれば、ステップh9でフラグtfに1を設定する。ステップh8で配車指示受信でないと判断するとき、またはステップh9の後、ステップh10では、配車指示が自局宛であるか否かを判断する。自局宛でないと判断すると、ステップh2に戻る。
【0084】
ステップh4でGPS受信機14から位置データ受信と判断すると、ステップh11で、前回送信位置Pxalt,Pyaltと受信した現在位置Px,Pyとの間の距離dxを算出する。次にステップh12で、距離dxと送出距離間隔として予め定める定数dtとを比較し、dx≧dtであるか否かを判断する。ステップh7でポーリングは自局宛であると判断すると、ステップh13で、(i−1)×tの時間だけ待つ。ステップh13の後、またはステップh12でdx≧dtであると判断するとき、ステップh14で位置信号Px,Pyを基地局10へ送信し、ステップh15で前回送信位置Pxalt,Pyaltに、Px,Pyをそれぞれ代入する。ステップh15後、またはステップh3でtf=1でないと判断するとき、ステップh8に進む。ステップh10で、配車指示は自局宛と判断するときは、ステップh16で配車情報を移動局で表示し、ステップh2に戻る。以下、ステップh2で動作終了操作ありと判断するまでは、ステップh2からステップh16の手順を繰返す。ステップh2で動作終了操作ありと判断すると、動作を終了する。
【0085】
図17は、本発明の実施のさらに他の形態として、図1の移動局1,2,3,4が基地局10との間で送受信する信号の送出タイミングを示す。任意発信とポーリングの応答との衝突の回避策として、移動局の送信タイミングを、基地局の送信信号に同期して規定する。基地局10が信号を送信する一定時間の長さを1フレームと規定して、各フレームに、たとえば1,2,3,4,5,6,7,8,1,2,3,…と、1から8まで循環する番号としてフレーム番号を付与し、移動局1〜4に対して送信する。移動局1〜4は、基地局10から送られるフレーム番号によって、任意発信とポーリング応答とを区別して発信する。たとえば、基地局送信フレーム番号が1〜4のタイミングでポーリングに応答し、5〜8のタイミングで任意発信信号を送信すると規定する。
【0086】
なお、本例では、1回の連続したポーリング応答フレームで候補移動局からの位置情報収集が可能な場合を想定している。しかし、実際には応答タイミングが連続したポーリング応答フレームではない場合も考えられる。応答タイミングが連続しない場合、タイムチャートやフローチャートが非常に煩雑になるけれども、本質には関係しないので、説明の便宜のために、連続して応答するものとして、煩雑な説明は割愛する。フレームの規定で任意発振との衝突を防ぐことができるので、データ収集効率の低下を防ぐことができる。
【0087】
図18は、各移動局1,2,3,4の移動局制御器11による概略的な制御手順を示す。動作開始は、たとえば電源スイッチのONなどの動作開始操作に従って行われる。ステップi1では、たとえば電源スイッチをOFFにするなどの動作終了操作があるか否かを判断する。動作終了操作がないと判断すると、ステップi2に進み、次に送信するフレーム番号が5〜8であるか否かを判断する。フレーム番号が5〜8のときは、ステップi3に進む。ステップi3では、GPS受信機14から位置データ受信か否かを判断する。ステップi3で位置データ受信でないと判断するときは、ステップi4で基地局10から自局を含むポーリング信号受信か否かを判断する。ポーリング信号受信でないと判断するときは、ステップi5で、自局宛配車指示受信か否かを判断する。自局宛配車指示受信でなければ、ステップi1に戻る。
【0088】
ステップi3でGPS受信機14から位置データ受信と判断すると、ステップi6で、前回送信位置Pxalt,Pyaltと受信した現在位置Px,Pyとの間の距離dxを算出する。次にステップi7で、距離dxと送出距離間隔として予め定める定数dtとを比較し、dx≧dtであるか否かを判断する。ステップi4で自局を含むポーリング信号受信と判断すると、ステップi8で、(i−1)×tの時間だけ待つ。ステップi8の後、またはステップi7でdx≧dtであると判断するとき、ステップi9で位置信号Px,Pyを基地局10へ送信し、ステップi10で前回送信位置Pxalt,Pyaltに、Px,Pyをそれぞれ代入する。ステップi10後、またはステップi4で自局を含むポーリング信号を受信しないと判断するとき、ステップi5に進む。ステップi5で、自局宛配車指示受信と判断するときは、ステップi11で配車情報を移動局で表示し、ステップi1に戻る。以下、ステップi1で動作終了操作ありと判断するまでは、ステップi1からステップi11の手順を繰返す。ステップi1で動作終了操作ありと判断すると、動作を終了する。
【0089】
図19は、本発明の実施のさらに他の形態として、図1の移動局1,2,3,4が基地局10との間で送受信する信号の送出タイミングを示す。図17と同様に、任意発信とポーリングの応答との衝突の回避策として、移動局の送信タイミングを、基地局の送信信号に同期して規定する。基地局10が信号を送信する一定時間の長さを1フレームと規定して、各フレームに、たとえば1,2,3,4,5,6,7,8,1,2,3,…と、1から8まで循環する番号としてフレーム番号を付与し、移動局1〜4に対して送信する。移動局1〜4は、基地局10から送られるフレーム番号によって、任意発信とポーリング応答とを区別して発信する。ただし、実際には配車要求の回数は全期間にはわたらない。図17では、配車要求から配車完了までの期間を除いては、フレーム番号1〜4のポーリング応答フレームが空きになり無駄な時間ができる。このため、任意発信で収集することができる位置データ数が少なくなる。そこで、配車要求から配車完了までの期間のみ任意発信をフレーム番号で制限し、他の期間は全てのフレーム番号で任意発信を可能にして、任意発信による位置データ収集数を増加させることができる。
【0090】
図20は、各移動局1,2,3,4の移動局制御器11による概略的な制御手順を示す。動作開始は、たとえば電源スイッチのONなどの動作開始操作に従って行われる。ステップj1では、フラグtfを1に設定する。ステップj2では、たとえば電源スイッチをOFFにするなどの動作終了操作があるか否かを判断する。動作終了操作がないと判断すると、ステップj3に進み、次に送信するフレーム番号が5〜8であるか否かを判断する。フレーム番号が5〜8でなければ、ステップj4で、フラグtfが1であるか否かを判断する。ステップj4でフラグtf=1と判断するとき、またはステップj3でフレーム番号が5〜8と判断するときは、ステップj5に進む。ステップj5では、GPS受信機14から位置データ受信か否かを判断する。ステップj5で位置データ受信でないと判断するときは、ステップj6で基地局10からポーリング信号受信か否かを判断する。ポーリング信号受信と判断するときは、ステップj7でフラグtfに0を設定する。次にステップj8でポーリングは自局宛であるか否かを判断する。自局宛でないと判断するとき、またはステップj4でtf=1でないと判断するとき、さらにステップj6で基地局10からのポーリング信号受信でないと判断するときは、ステップj9に進む。ステップj9では、配車指示受信か否かを判断する。配車指示受信と判断するときは、ステップj10でフラグtfに1を設定する。ステップj9で配車指示受信でないと判断するとき、またはステップj10の後、ステップj9で配車指示が自局宛か否かを判断する。配車指示受信ではないとき、または配車指示受信でも自局宛ではないときは、ステップj2に戻る。
【0091】
ステップj5でGPS受信機14から位置データ受信と判断すると、ステップj12で、前回送信位置Pxalt,Pyaltと受信した現在位置Px,Pyとの間の距離dxを算出する。次にステップj13で、距離dxと送出距離間隔として予め定める定数dtとを比較し、dx≧dtであるか否かを判断する。ステップj8でポーリングが自局宛と判断すると、ステップj14で、(i−1)×tの時間だけ待つ。ステップj14の後、またはステップj13でdx≧dtであると判断するとき、ステップj15で位置信号Px,Pyを基地局10へ送信し、ステップj16で前回送信位置Pxalt,Pyaltに、Px,Pyをそれぞれ代入する。ステップj16後、またはステップj13で自局を含むポーリング信号を受信しないと判断するとき、ステップi5に進む。ステップi5で、dx≧dtでないと判断するときも、ステップj9に進む。ステップj11で配車指示が自局宛であると判断すると、ステップj17で配車情報を移動局で表示し、ステップj2に戻る。以下、ステップj2で動作終了操作ありと判断するまでは、ステップj2からステップj17の手順を繰返す。ステップj2で動作終了操作ありと判断すると、動作を終了する。
【0092】
図21は、本発明の実施のさらに他の形態として、図1の移動局1,2,3,4と同様に基地局10との間で送受信可能な移動局30の概略的な電気的構成を示す。移動局30は、図32に示す構成の移動局制御器11に代えて、移動局制御器31を用い、操作部32の操作に応じた情報も基地局10に送信することができる。操作部32の操作に対応する信号は、配車要求から配車完了までの期間を除いたポーリング応答フレームを利用する。
【0093】
図22は、図21の移動局30が図17と同様に、基地局10との間で送受信する信号の送出タイミングを示す。任意発信とポーリングの応答との衝突の回避策として、移動局の送信タイミングを、基地局の送信信号に同期して規定する。図19では、配車要求から配車完了までの期間を除いたポーリング応答フレームを任意発信用に利用しているけれども、他の有効活用法として、実際のAVMシステムで伝送される、移動局からの位置情報以外の情報の伝送に使用する。位置情報以外の情報の例としては、乗務員が操作部32を操作することによる休憩、緊急などの各種状態通知がある。
【0094】
図23は、移動局30の移動局制御器31による概略的な制御手順を示す。動作開始は、たとえば電源スイッチのONなどの動作開始操作に従って行われる。ステップk1では、フラグsfを1に設定する。ステップk2では、たとえば電源スイッチをOFFにするなどの動作終了操作があるか否かを判断する。動作終了操作がないと判断すると、ステップk3に進み、次に送信するフレーム番号が5〜8であるか否かを判断する。フレーム番号が5〜8でなければ、ステップk4で、フラグsfが1であるか否かを判断する。ステップk4でフラグtf=1と判断するときは、ステップk5で操作部32に対して基地への送信操作があるか否かを判断する。ステップk3でフレーム番号が5〜8と判断するときは、ステップk6に進む。ステップk6では、GPS受信機14から位置データ受信か否かを判断する。ステップk5で基地への送信操作ありと判断するときは、ステップk7で操作に応じた信号を基地局10へ送信する。ステップk7の後、ステップk6で位置データ受信でないと判断するとき、またはステップk5で基地への送信操作ありではないと判断するときは、ステップk8に進む。
【0095】
ステップk8では、基地局10からポーリング信号受信か否かを判断する。ポーリング信号受信と判断するときは、ステップk9でフラグsfに0を設定する。次にステップk10でポーリングは自局宛であるか否かを判断する。自局宛でないと判断するとき、またはステップj4でtf=1でないと判断するとき、ステップk4でsf=1でないと判断するとき、さらにステップk8で基地局10からのポーリング信号受信でないと判断するときは、ステップk11に進む。ステップk11では、配車指示受信か否かを判断する。配車指示受信と判断するときは、ステップk12でフラグsfに1を設定する。ステップk11で配車指示受信でないと判断するとき、またはステップk12の後、ステップk13で配車指示が自局宛か否かを判断する。配車指示受信ではないとき、または配車指示受信でも自局宛ではないときは、ステップk2に戻る。
【0096】
ステップk6でGPS受信機14から位置データ受信と判断すると、ステップk14で、前回送信位置Pxalt,Pyaltと受信した現在位置Px,Pyとの間の距離dxを算出する。次にステップk15で、距離dxと送出距離間隔として予め定める定数dtとを比較し、dx≧dtであるか否かを判断する。ステップk10でポーリングが自局宛と判断すると、ステップk16で、(i−1)×tの時間だけ待つ。ステップk16の後、またはステップk15でdx≧dtであると判断するとき、ステップk17で位置信号Px,Pyを基地局10へ送信し、ステップk18で前回送信位置Pxalt,Pyaltに、Px,Pyをそれぞれ代入する。ステップk18後、またはステップk18で、dx≧dtでないと判断するときも、ステップk11に進む。ステップk13で配車指示が自局宛であると判断すると、ステップk19で配車情報を移動局で表示し、ステップk2に戻る。以下、ステップk2で動作終了操作ありと判断するまでは、ステップk2からステップk19の手順を繰返す。ステップk2で動作終了操作ありと判断すると、動作を終了する。
【0097】
図24は、本発明の実施のさらに他の形態での位置信号の例を示す。以上で説明している各形態では、最適移動局の選択に、目的地から各移動局までの距離を評価値としている。しかし、一般的に距離は近くても、反対方向に移動している場合は、目的地に到達するに時間がかかる。そこで、評価値に各移動局の移動方向を加味して、より最適な移動局を選択できるようにする。このための位置信号は、図4に示すような位置信号に、移動方位情報を付加して形成する。
【0098】
図25は、移動局1,2,3,4の移動局制御器11や移動局30の移動局制御器31による概略的な制御手順を示す。だだし、移動局1〜4,30は、移動方位を検出するための構成を備えるものとする。動作開始は、たとえば電源スイッチのONなどの動作開始操作に従って行われる。ステップm1では、たとえば電源スイッチをOFFにするなどの動作終了操作があるか否かを判断する。動作終了操作がないと判断すると、ステップm2に進み、GPS受信機14から位置データ受信か否かを判断する。ステップm2で位置データ受信でないと判断するときは、ステップm3で基地局10から自局へのポーリング信号受信か否かを判断する。ポーリング信号受信でないと判断するときは、ステップm4で自局宛配車指示受信か否かを判断する。自局宛配車指示受信ではないと判断すると、ステップm1に戻る。
【0099】
ステップm2でGPS受信機14から位置データ受信と判断すると、ステップm5で、前回送信位置Pxalt,Pyaltと受信した現在位置Px,Pyとの間の距離dxを算出する。次にステップm6で、距離dxと送出距離間隔として予め定める定数dtとを比較し、dx≧dtであるか否かを判断する。dx≧dtであると判断するとき、またはステップm3で基地局10から自局へのポーリング信号受信と判断するとき、ステップm7で、前回GPS受信機14から受信し受信位置Pxa,Pyaと、今回受信した受信位置Px,Pyから移動方位Dmovを算出する。次に、ステップm8で、位置データを表す位置信号Px,Pyと移動方位Dmovとを基地局10に送信する。次にステップm9で、前回送信位置Pxalt,Pyaltに、Px,Pyをそれぞれ代入する。ステップm9の後、またはステップm6でdx≧dtでないと判断するときは、ステップm10に移る。ステップm10では、Pxa,Pyaにも、Px,Pyをそれぞれ代入しステップm4に進む。ステップm4で自局宛配車指示受信と判断するときは、ステップm11で配車情報を移動局で表示し、ステップm1に戻る。以下、ステップm1で動作終了操作ありと判断するまでは、ステップm1からステップm11の手順を繰返す。ステップm1で動作終了操作ありと判断すると、動作を終了する。
【0100】
基地局10では、候補移動局から送信される移動方位Dmovを加味した評価を行う。図6に示すd(i)、または図7に示すds(i)をd、移動局から目的地への方位角をDdest[°]、移動局から基地局10が受信した方位角をDmov[°]とすると、
θ=(|Ddest−Dmov|)mod 180[°]
とする。ここで「mod」は除算での余りを算出する演算を示す。この場合、方位角と移動方位との差の絶対値を180で除算した余りがθとなる。
【0101】
評価値eを、たとえば次のように設定する。
0≦θ≦45 :e=d
45<θ≦90 :e=2×d
90<θ≦135 :e=3×d
135<θ≦180:e=4×d
【0102】
なお、移動方位などの角度を加味した評価では、評価値eを得る関数に三角関数を含ませることもできる。
【0103】
図26は、本発明の実施のさらに他の形態での移動局40の概略的な電気的構成を示す。AVMシステムをタクシーの業務管理に使用する場合、配車を指示して直ちに顧客を迎えに行くことができるのは空車の車両である。空車以外の動態では、目的地に向うまでにさらに時間がかかることになる。そこで、位置信号に動態情報として、空車、実車などの情報を付加し、候補の評価時に、動態を考慮して、さらに最適な移動局の選択を可能にする移動局40は、移動局制御器41が動態検出手段42に入力される動態情報を、位置情報に付加して基地局10に送出することができる。
【0104】
図27は、位置信号の構成の例を示す。この位置信号は、図4に、動態情報を付加して形成することができる。基地局10では、候補移動局から送信される動態情報を加味した評価を行う。評価値eは、たとえば次のように算出することができる。
空車 :e=d
空車予定 :e=2×d
その他 :e=5×d
【0105】
図28は、本発明の実施のさらに他の形態で使用する位置信号の例を示す。このような位置信号は、たとえば図24の位置信号に、移動速度情報を付加して形成することができる。移動速度情報は、図25のステップm7で移動方位Dmovと同時に算出することが可能である。前回の受信位置Pxa,Pyaと今回受信位置Px,Pyとの距離を、経過時間で除算すればよい。基地局制御器21は、図5のステップb4でPx(i),Py(i)の記憶と同時に、受信時刻tm(i)、移動速度v(i)、移動方位Dmov(i)を記憶する。図6のステップc2のPx(i),Py(i)の代りには、現在時刻をtcとして、tc−tm(i)の時間で、移動方位Dmov(i)方向に移動速度v(i)で動いた位置を算出して、この算出位置と目的地との間の距離を算出して評価すればよい。
【0106】
移動速度情報を付加することによって、たとえば、目的地に近い車両でも、渋滞にまき込まれている車両では、速度が遅いため、目的地に着くのに時間がかかる。すなわち、車両の速度から、渋滞状況を推定して評価値に加味することができる。なお速度情報としては、最新の値だけでなく、過去数回の平均値を取るなど、統計的な処理を行うようにしてもよい。
【0107】
図29は、本発明の実施のさらに他の形態として、基地局10の基地局制御器21による概略的な制御手順を示す。動作開始は、たとえば電源スイッチのONなどの動作開始操作に従って行われる。ステップn1では、たとえば電源スイッチをOFFにするなどの動作終了操作があるか否かを判断する。動作終了操作がないと判断すると、ステップn2に進み、いずれかの移動局から位置データ受信か否かを判断する。ステップn2で位置データ受信でないと判断するときは、ステップn3で配車要求があるか否か判断する。配車要求がなければ、ステップn1に戻る。
【0108】
ステップn2で移動局位置データ受信と判断すると、ステップn4で、移動局データ記憶部26に、位置データをPx(n),Py(n)として記憶する。nはその移動局の番号とする。ステップn4で位置を記憶すると、ステップn3に進む。
【0109】
ステップn3で配車要求ありと判断するときは、ステップn5でたとえば図6のサブルーチンのような候補移動局選択を行い、ステップn6でたとえば図7のサブルーチンのような最適移動局選択を行う。ステップn7では、候補移動局の位置情報等を収集した結果、最小の評価値ds(i)でも満足できる評価値Th1より小さいか否かを判断する。最小の評価値ds(i)がTh1よりも小さくないと判断するときは、ステップn8で、候補移動局の数Mを2倍し、候補移動局の数を増やして、ステップn5に戻り、再度、最適移動局を選択する。ステップn7でds(i)<Th1が満足されれば、ステップn9で選択移動局へ配車指示を送信し、ステップn1に戻る。以下、ステップn1で動作終了操作ありと判断するまでは、ステップn1からステップn9の手順を繰返す。ステップn1で動作終了操作ありと判断すると、動作を終了する。
【0110】
図30は、本発明の実施のさらに他の形態として、基地局10の基地局制御器21による最適移動局選択サブルーチンの概略的な制御手順を示す。本形態では、図29とは逆に、充分に小さな評価値が移動局から得られる場合、その移動局を選択して配車し、その後の位置情報収集を停止して、余分な情報収集の時間を省くことができる。先に説明している形態との違いは、基地局制御器21の動作のみである。動作開始は、たとえば電源スイッチのONなどの動作開始操作に従って行われる。ステップp1では、整数パラメータiを1に初期化する。ステップp2では、整数パラメータjを1に初期化する。ステップp3では、移動局s(i)にポーリング信号を送信する。ステップp4では、タイマT1に0をセットして計時動作を開始させる。
【0111】
ステップp5では、移動局s(i)の位置Psx(i),Psy(i)を受信したか否かを判断する。受信しないと判断すると、ステップp6で、タイマT1の計時時間が予め定める時間t1を超えたか否かを判断する。超えていないと判断するときは、ステップp5に戻る。ステップp6でタイマT1の計時時間が時間t1を超えてT1>t1と判断するときには、ステップp7でパラメータjを1だけ増加させ、ステップp8に進む。ステップp8では、パラメータjが最大試行回数Rより大きいか否かを判断する。大きくないと判断するときは、ステップp3に戻る。ステップp8でj>Rと判断するときは、R回の試行での移動局s(i)から位置情報を受信することができないときであり、ステップp9で、ds(i)にはたとえば100000を代入する。ステップp5で、移動局s(i)の位置Psx(i),Psy(i)を受信と判断するときは、ステップp10で、ds(i)に、位置Psx(i),Psy(i)と目的地の位置Qx,Qyとの距離を代入する。次にステップp11で、ds(i)が充分に小さな評価値Th2よりも小さいか否かを判断する。小さくはないと判断するときは、ステップp12に進む。ステップp9の後も、ステップp12に進む。
【0112】
ステップp12では、パラメータiを1だけ増加させ、ステップp13でi>Mか否かを判断する。i>Mでないと判断するときは、ステップp2に戻り、次の移動局についての評価を続ける。ステップp13でi>Mと判断するときは、全部の候補移動局についての評価が終了し、ステップp14でd(i)が最小値になるiを選び、s(i)を最適移動局として選択する。ステップp11でds(i)<Th2と判断するときは、ステップp15でs(i)を最適移動局として選択する。ステップp14またはステップp15が終了するとサブルーチンも終了する。
【0113】
以上で説明している各形態では、移動局の座標と目的地の座標との間の距離に基づいて評価しているけれども、道路地図データを参照して、移動に要する距離で評価することもできる。また、道路の種類や交通状況などを考慮して、到達予想時間などで評価することもできる。目的地までの経路や時間の演算は、各移動局で行うようにして、演算結果を基地局に送信し、基地局で全体的な評価を行うようにすることもできる。さらに、全車両の位置を集収するのは、各移動局からの任意発信による自律的な位置データの送信によるばかりではなく、たとえばトラフィックに影響しない程度の比較的長い間隔で、全車両に対してポーリングを行うことで集収してもよい。
【0114】
また、AVMシステムは、タクシー業務ばかりではなく、集配業務や運搬業務などで各種車両や船舶などの移動体を、地域に移動させながら管理する目的で同様に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1】本発明の実施の形態に共通な移動局1,2,3,4の配置例を示す図である。
【図2】本発明の実施の一形態として、図1の移動局1,2,3,4が基地局10との間で送受信する信号の送出タイミングを示すタイムチャートである。
【図3】図2の実施形態で、各移動局1,2,3,4の移動局制御器11による概略的な制御手順を示すフローチャートである。
【図4】図3のステップa7で移動局から基地局に送信される位置信号Px,Pyの例を示す図である。
【図5】図2の実施形態で、基地局10の基地局制御器21による概略的な制御手順を示すフローチャートである。
【図6】図5のステップb5に示す候補移動局選択の動作を、基地局制御部21がサブルーチンとして実行する手順を示すフローチャートである。
【図7】図5のステップb6に示す最適移動局選択の動作を、基地局制御部21がサブルーチンとして実行する手順を示すフローチャートである。
【図8】図7のステップd3で基地局10から移動局s(i)に送るポーリング信号の構成例を示す図である。
【図9】本発明の実施の他の形態として、図1の移動局1,2,3,4が基地局10との間で送受信する信号の送出タイミングを示すタイムチャートである。
【図10】図9の実施形態で、各移動局1,2,3,4の移動局制御器11による概略的な制御手順を示すフローチャートである。
【図11】図9の実施形態で、基地局制御器21での最適移動局選択サブルーチンの例を示すフローチャートである。
【図12】図11のステップf12で送信するポーリング信号の例を示す図である。
【図13】本発明の実施のさらに他の形態として、図1の移動局1,2,3,4が基地局10との間で送受信する信号の送出タイミングを示すタイムチャートである。
【図14】図13の実施形態で、各移動局1,2,3,4の移動局制御器11による概略的な制御手順を示すフローチャートである。
【図15】本発明の実施のさらに他の形態として、図1の移動局1,2,3,4が基地局10との間で送受信する信号の送出タイミングを示すタイムチャートである。
【図16】図15の実施形態で、各移動局1,2,3,4の移動局制御器11による概略的な制御手順を示すフローチャートである。
【図17】本発明の実施のさらに他の形態として、図1の移動局1,2,3,4が基地局10との間で送受信する信号の送出タイミングを示すタイムチャートである。
【図18】図17の実施形態で、各移動局1,2,3,4の移動局制御器11による概略的な制御手順を示すフローチャートである。
【図19】本発明の実施のさらに他の形態として、図1の移動局1,2,3,4が基地局10との間で送受信する信号の送出タイミングを示すタイムチャートである。
【図20】図19の実施形態で、各移動局1,2,3,4の移動局制御器11による概略的な制御手順を示すフローチャートである。
【0116】
【図21】本発明の実施のさらに他の形態として、図1の移動局1,2,3,4と同様に基地局10との間で送受信可能な移動局30の概略的な電気的構成を示すブロック図である。
【図22】図21の移動局30が図17と同様に、基地局10との間で送受信する信号の送出タイミングを示すタイムチャートである。
【図23】図21の移動局30の移動局制御器31による概略的な制御手順を示すフローチャートである。
【図24】本発明の実施のさらに他の形態での位置信号の例を示す図である。
【図25】図24の実施形態で、移動局制御器による概略的な制御手順を示すフローチャートである。
【図26】本発明の実施のさらに他の形態での移動局40の概略的な電気的構成を示すブロック図である。
【図27】図26の実施形態での位置信号の構成の例を示す図である。
【図28】本発明の実施のさらに他の形態で使用する位置信号の例を示す図である。
【図29】本発明の実施のさらに他の形態として、基地局10の基地局制御器21による概略的な制御手順を示すフローチャートである。
【図30】本発明の実施のさらに他の形態として、基地局10の基地局制御器21による最適移動局選択サブルーチンの概略的な制御手順を示すフローチャートである。
【図31】GPS−AVMシステムの全体的な構成を概略的に示す図である。
【図32】図31の移動局1,2,…,nの概略的な電気的構成を示すブロック図である。
【図33】図31の基地局10の概略的な電気的構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0117】
1,2,3,4,…,n,30,40 移動局
10 基地局
11,31,41 移動局制御器
12,22 送受信機
14 GPS受信機
21 基地局制御器
24 送信データ生成器
25 受信データ解析器
26 移動局データ表示部
32 操作部
42 動態検出手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の移動局と基地局とを含み、基地局で移動局の管理を行うAVMシステムにおいて、
各移動局は、位置データを基地局に送信する移動局制御器を有し、
基地局は、各移動局から送信される位置データを受信して位置を記憶し、検索する基地局制御器を有し、
基地局制御器は、目的地へいずれかの移動局を移動させる必要が生じた場合、記憶してある移動局の位置に基づいて目的地との距離関係を評価し、評価結果に従って複数の移動局を候補として選択し、選択した候補の移動局に対して現在の位置データの送信を要求する要求信号を送信し、前記要求信号に応答して候補の移動局から送信される現在の位置データを収集すると、収集した候補の移動局の位置に基づいて再度目的地との距離関係を評価し、候補の移動局のうちから評価結果に従って決定される移動局に対して目的地へ移動指示する指示信号を送信することを特徴とするAVMシステム。
【請求項2】
前記移動局制御器は、位置データに、移動方位情報を付加し、
前記基地局制御器は、前記評価に受信した移動方位情報を加味することを特徴とする請求項1記載のAVMシステム。
【請求項3】
前記移動局制御器は、位置データに、速度情報と移動方位情報とを付加し、
前記基地局制御器は、記憶している移動局の位置に、速度情報と移動方位情報とから予測される移動量を加味した位置に基づいて、前記評価を行うことを特徴とする請求項1記載のAVMシステム。
【請求項4】
前記基地局制御器は、
前記候補の移動局のうちの1つに対して前記要求信号を送信し、
当該移動局からの位置データを受信した後、または予め定める一定時間が経過した後、
候補の移動局のうちの次に対して該要求信号を順次送信して、前記収集を行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載のAVMシステム。
【請求項5】
前記基地局制御器は、
前記候補の移動局の全てに対して送信順を指定して前記要求信号を送信し、
候補の移動局のうち前記現在の位置データを受信することができない移動局に、再度送信順を指定して要求信号を送信することを、予め規定される回数だけ反復して前記収集を行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載のAVMシステム。
【請求項6】
前記移動局制御器は、前記要求信号を受信した場合に、自律的な位置データの送信を、予め定める一定時間は停止することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載のAVMシステム。
【請求項7】
前記移動局制御器は、前記要求信号を受信した場合に、自律的な位置データの送信を停止し、
前記基地局制御器は、前記候補の移動局の全部から現在の位置データを収集し終えた場合、位置収集終了信号を移動局へ送信し、
移動局制御器は、該位置収集終了信号を受信した場合、該自律的な位置データの送信を再開することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載のAVMシステム。
【請求項8】
前記基地局から送信する信号のタイミングに同期して、前記移動局がデータを送信するタイミングと長さとを規定するフレームが設定されており、
該フレームには、循環する番号が付されており、
前記移動局制御器は、自律的に送信する位置データのフレームと、前記要求信号に対する応答として送信する位置データのフレームとを、該番号で区別することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載のAVMシステム。
【請求項9】
前記移動局制御器は、
前記要求信号を受信してから前記位置収集終了信号を受信するまでの場合は、自律的な位置データの送信用のフレームと前記要求信号に対する応答用の位置データのフレームとを区別し、
該場合を除いて、全てのフレームを自律的な位置データの送信用に使用することを特徴とする請求項8記載のAVMシステム。
【請求項10】
前記基地局から送信する信号のタイミングに同期して、前記移動局がデータを送信するタイミングと長さとを規定するフレームが設定されており、
該フレームは、循環する番号が付されて、移動局が自律的に位置データを送信する第1番号群のフレームと、該自律的に送信する位置データ以外のデータを送信する第2番号群のフレームとが区別され、
前記移動局制御器は、
前記要求信号を受信してから前記位置収集終了信号を受信するまでの場合は、第2番号群のフレームで要求信号に対する位置データを送信し、
該場合を除いて、該第2番号群のフレームで該要求信号に対する位置データ以外のデータを送信することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載のAVMシステム。
【請求項11】
前記移動局制御器は、自律的に送信する位置データに、前記移動局の動態情報を付加し、
前記基地局制御器は、記憶している移動局の位置に基づく評価に、動態情報を加味することを特徴とする請求項1〜10のいずれか1つに記載のAVMシステム。
【請求項12】
前記基地局制御器は、前記候補の移動局を予め定める数だけ選択して評価し、いずれの移動局に対する評価結果でも予め定める選択基準に満たない場合、候補となる移動局をさらに追加することを特徴とする請求項1〜11のいずれか1つに記載のAVMシステム。
【請求項13】
前記基地局制御器は、前記候補の移動局の評価中に評価結果が予め定める満足基準を満たす移動局が判明すれば、他の移動局からの位置データの収集を終了することを特徴とする請求項1〜12のいずれか1つに記載のAVMシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【公開番号】特開2006−229342(P2006−229342A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−38100(P2005−38100)
【出願日】平成17年2月15日(2005.2.15)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】