説明

Al2O3と、Y2O3と、ZrO2および/またはHfO2と、Nb2O5および/またはTa2O5とを含むセラミックス、ならびにそれらを製造するための方法

(i)Nb25またはTa25の少なくとも1種と、(ii)(a)Al23、(b)Y23、または(c)ZrO2もしくはHfO2の少なくとも1種の内の少なくとも2種とを含む、セラミックスである。本発明によるセラミックスの実施態様では、光導波路、ガラスビーズ、物品(たとえば、平板)、繊維、粒子(たとえば、研磨粒子)、および薄層コーティングの形態として製造したり、形成したり、またはそれらのものに転化させたりすることができる。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
多くの非晶質(ガラスを含む)およびガラス−セラミック組成物が知られている。酸化物ガラスの多くでは、ガラスの形成を促進させるために、SiO2、B23、P25、GeO2、TeO2、As23およびV25のような公知のガラス形成剤を用いている。いくつかのガラスでは、加熱処理することによりガラスセラミックスを形成させることができる。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0002】
一つの態様において、本発明は、(i)Nb25またはTa25の少なくとも1種と、(ii)(a)Al23、(b)Y23、または(c)ZrO2もしくはHfO2の少なくとも1種、の内の少なくとも2種とを含む、ガラスおよびガラス−セラミックスを提供する。実施態様によっては、そのガラスはセラミックの中に存在する(すなわち、ガラスを含有するセラミック)。場合によっては、本発明によるガラスの実施態様においては、加熱処理をして、ガラスの少なくとも一部を結晶質セラミックに転化させて、ガラス−セラミックを得ることができる。
【0003】
本発明によるガラスの実施態様は、たとえば光学的用途(たとえば、レンズ、オプティカルコーティング、再帰反射要素、窓(たとえば、赤外(IR)窓)、および光導波路)において有用である。本発明によるガラスの実施態様によっては(たとえば、光導波路に使用されるもの)、希土類ドーパントのためのホスト材料として使用可能であるが、ここで「希土類ドーパント」と「REO」の両方がそのガラスの中に存在する場合、その希土類ドーパントとREOは別なものである。
【0004】
実施態様によっては、本発明は、ガラスの全質量を基準にして、(i)Nb25またはTa25の少なくとも1種と、(ii)(a)Al23、(b)Y23、または(c)ZrO2もしくはHfO2の少なくとも1種、の内の少なくとも2種とを、合計して少なくとも70質量パーセント(実施態様によっては、少なくとも75、80、85、90、95、97、98、99、さらには100質量パーセント)含み、および、As23、B23、GeO2、P25、SiO2、TeO2、およびV25を合計して、30質量パーセント以下(実施態様によっては、25、20、15、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、0.5、0.1、さらにはゼロ質量パーセント)で含む、ガラスを提供する。実施態様によっては、前記のガラスが、ガラスの全質量を基準にして、少なくとも1、2、3、4、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、さらには少なくとも70質量パーセントのAl23、少なくとも1、2、3、4、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、さらには少なくとも70質量パーセントのY23、少なくとも1、2、3、4、5、10、15、20、25、30、さらには少なくとも35質量パーセントのZrO2(実施態様によっては、ZrO2および/または(一括して)HfO2)、および/または少なくとも1、2、3、4、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、さらには少なくとも70質量パーセントのNb25またはTa25の少なくとも1種を含む。実施態様によっては、前記ガラスが、ガラスの全質量を基準にして、少なくとも1質量パーセント(実施態様によっては、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、さらには少なくとも80質量パーセント)のNb25またはTa25の少なくとも1種を含む。実施態様によっては、本発明は、ガラス(実施態様によっては、少なくとも1、2、3、4、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、96、97、98、99、さらには100容積パーセントのガラス)を含む、セラミックを提供する。
【0005】
実施態様によっては、本発明は、ガラス−セラミックの全質量を基準にして、(i)Nb25またはTa25の少なくとも1種と、(ii)(a)Al23、(b)Y23、または(c)ZrO2もしくはHfO2の少なくとも1種、の内の少なくとも2種とを、合計して少なくとも70質量パーセント(実施態様によっては、少なくとも75、80、85、90、95、97、98、99、さらには100質量パーセント)含み、および、As23、B23、GeO2、P25、SiO2、TeO2、およびV25を合計して、30質量パーセント以下(実施態様によっては、25質量パーセント以下、20質量パーセント以下、15質量パーセント以下、10質量パーセント以下、9質量パーセント以下、8質量パーセント以下、7質量パーセント以下、6質量パーセント以下、5質量パーセント以下、4質量パーセント以下、3質量パーセント以下、2質量パーセント以下、1質量パーセント以下、0.5質量パーセント以下、0.1質量パーセント以下、さらにはゼロ質量パーセント)で含む、ガラス−セラミックを提供する。実施態様によっては、前記ガラス−セラミックは、その全質量を基準にして、少なくとも1、2、3、4、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、さらには少なくとも70質量パーセントのAl23、少なくとも1、2、3、4、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、さらには少なくとも70質量パーセントのY23、少なくとも1、2、3、4、5、10、15、20、25、30、さらには少なくとも35質量パーセントの、ZrO2またはHfO2の1種、および/または少なくとも1、2、3、4、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、さらには少なくとも70質量パーセントのNb25またはTa25の少なくとも1種を含む。実施態様によっては、前記ガラス−セラミックは、その全質量を基準にして、少なくとも1質量パーセント(実施態様によっては、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、さらには少なくとも80質量パーセント)のNb25またはTa25の少なくとも1種を含む。
【0006】
実施態様によっては、本発明によるガラス、ガラス−セラミックス、および結晶質セラミックスには、少なくとも1種の追加の金属酸化物(たとえば、Y23、MgO、TiO2、Cr23、CuO、SrO、Li2O、NiO、および/またはFe23)をさらに含む。実施態様によっては、本発明によるガラス、ガラス−セラミックス、および結晶質セラミックスには、ガラス、ガラス−セラミック、および結晶質セラミックの全質量を基準にして、20質量パーセント以下(実施態様によっては、15質量パーセント以下、10質量パーセント以下、5質量パーセント以下、4質量パーセント以下、3質量パーセント以下、2質量パーセント以下、1質量パーセント以下、0.5質量パーセント以下、0.1質量パーセント以下、さらにはゼロ質量パーセント)のSiO2、および20質量パーセント以下(実施態様によっては、15質量パーセント以下、10質量パーセント以下、5質量パーセント以下、4質量パーセント以下、3質量パーセント以下、2質量パーセント以下、1質量パーセント以下、0.5質量パーセント以下、0.1質量パーセント以下、さらにはゼロ質量パーセント)のB23をそれぞれ含む。
【0007】
本発明によるガラス−セラミックスの実施態様によっては、ガラス−セラミック中にガラスを、ガラス−セラミックの全容積を基準にして、たとえば少なくとも1、2、3、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、さらには95容積パーセントのガラスを含んでいてよい。本発明によるガラス−セラミックスの実施態様によっては、ガラス−セラミックに結晶質セラミックを、ガラス−セラミックの全容積を基準にして、たとえば少なくとも5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、97、98、99、さらには100容積パーセントの量で含んでいてよい。
【0008】
実施態様によっては、本発明は、本発明によるガラスを製造するための方法を提供し、その方法には:
(i)Nb25またはTa25の少なくとも1種と、(ii)(a)Al23、(b)Y23、または(c)ZrO2もしくはHfO2の少なくとも1種、の内の少なくとも2種との供給源を溶融させて、溶融物を得る工程、および
前記溶融物を冷却して、ガラスを得る工程、が含まれる。実施態様によっては、そのガラスはセラミックの中に存在する(すなわち、ガラスを含有するセラミック)。実施態様によっては、ガラスを加熱処理し、そのガラスの少なくとも一部を結晶質セラミックに転化させて、ガラス−セラミックを得ることができる。
【0009】
いくつかの実施態様においては、本発明は、本発明によるガラスを含む物品を製造するための方法を提供し、その方法には:
本発明によるガラスを含むガラスビーズを得る工程(たとえば、(i)Nb25またはTa25の少なくとも1種と、(ii)(a)Al23、(b)Y23、または(c)ZrO2もしくはHfO2の少なくとも1種、の内の少なくとも2種との少なくとも供給源を適切に溶融させて、溶融物を得る工程、および、前記溶融物を冷却してガラスビーズを得る工程)(ここで、前記ガラスはTgを有する)、および
前記ガラスビーズをそのTgよりも高い温度に加熱して、前記ガラスビーズを融合させて、形状を形成させ物品を得る工程、が含まれる。実施態様によっては、前記物品中に存在するガラスを加熱処理し、そのガラスの少なくとも一部を結晶質セラミックに転化させて、ガラス−セラミックを得ることができる。
【0010】
実施態様によっては、本発明は、本発明によるガラスを含む物品を製造するための方法を提供し、その方法には:
本発明によるガラスを含むガラスビーズを得る工程(たとえば、(i)Nb25またはTa25の少なくとも1種と、(ii)(a)Al23、(b)Y23、または(c)ZrO2もしくはHfO2の少なくとも1種、の内の少なくとも2種との少なくとも供給源を適切に溶融させて、溶融物を得る工程、および、前記溶融物を冷却してガラスビーズを得る工程)(ここで、前記ガラスはTgを有する)、および
前記ガラスビーズをそのTgよりも高い温度に加熱して、前記ガラスビーズを融合させて、形状を形成させ物品を得る工程、が含まれる。実施態様によっては、前記物品中に存在するガラスを加熱処理し、そのガラスの少なくとも一部を結晶質セラミックに転化させて、ガラス−セラミックを得ることができる。
【0011】
実施態様によっては、本発明は、本発明によるガラスを含む物品を製造するための方法を提供し、その方法には:
本発明によるガラスを含むガラス粉体を得る工程(たとえば、本発明によるガラスビーズを転化させてガラス粉体を得る工程)(ここで、前記ガラスはTgを有する)、および
前記ガラス粉体をそのTgよりも高い温度に加熱して、前記ガラス粉体を融合させて、形状を形成させ物品を得る工程、が含まれる。実施態様によっては、前記物品中に存在するガラスを加熱処理し、そのガラスの少なくとも一部を結晶質セラミックに転化させて、ガラス−セラミックを得ることができる。場合によっては、本発明によるガラス(たとえば、ガラスビーズおよび/またはバルクのガラス)を加工(たとえば、破砕)することにより、そのガラス粉体を得ることができる。
【0012】
実施態様によっては、本発明によるガラス−セラミックを加工(たとえば、破砕)させて、粒子(たとえば、研磨粒子)を得る。
【0013】
本明細書における定義を以下に述べる:
「非晶質物質」という用語は、溶融物および/または気相から得られる物質でX線回折を測定したときに長距離(long range)の結晶構造を示さないものおよび/または、本明細書の中で「示差熱分析」として記述している試験法により測定されるような、DTA(示差熱分析)で測定したときに非晶質物質の結晶化に相当する発熱ピークを示すものを指す、
「セラミック」という用語には、ガラス、結晶質セラミック、ガラス−セラミック、およびそれらの組み合わせを含む、
「複合金属酸化物」という用語は、2種またはそれ以上の異なる金属元素と酸素とを含む金属酸化物(たとえば、CeAl1118、Dy3Al512、MgAl24、およびY3Al512)を指す、
「複合Al23・金属酸化物」という用語は、理論的酸化物基準で、Al23と1種または複数のAl以外の金属元素を含む複合金属酸化物(たとえば、CeAl1118、Dy3Al512、MgAl24、およびY3Al512)を指す、
「複合Al23・Y23」という用語は、理論的酸化物基準で、Al23とY23とを含む複合金属酸化物(たとえば、Y3Al512)を指す、
「複合Al23・REO」という用語は、理論的酸化物基準で、Al23と希土類酸化物とを含む複合金属酸化物(たとえば、CeAl1118およびDy3Al512)を指す、
「ガラス」という用語は、ガラス転移温度を示す非晶質物質を指す、
「ガラス−セラミック」という用語は、ガラスを加熱処理することによって形成される結晶を含むセラミックを指す、
「Tg」という用語は、本明細書の中で「示差熱分析」として記述している試験法により測定されるガラス転移温度を指す、
「Tx」という用語は、本明細書の中で「示差熱分析」として記述している試験法により測定される結晶化温度を指す、
「希土類酸化物」という用語は、酸化セリウム(たとえば、CeO2)、酸化ジスプロシウム(たとえば、Dy23)、酸化エルビウム(たとえば、Er23)、酸化ユウロピウム(たとえば、Eu23)、酸化ガドリニウム(たとえば、Gd23)、酸化ホルミウム(たとえば、Ho23)、酸化ランタン(たとえば、La23)、酸化ルテチウム(たとえば、Lu23)、酸化ネオジム(たとえば、Nd23)、酸化プラセオジム(たとえば、Pr611)、酸化サマリウム(たとえば、Sm23)、酸化テルビウム(たとえば、Tb23)、酸化トリウム(たとえば、Th47)、酸化ツリウム(たとえば、Tm23)、および酸化イッテリビウム(たとえば、Yb23)、ならびにそれらの組み合わせを指す、そして
「REO」という用語は、希土類酸化物(類)を指す、そして
「希土類ドーパント」という用語は、その電子の励起に応答して発光を与えるドーパント(すなわち、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、またはそれらの他の化合物、およびそれらの混合物)を指し、このものは、REOとは別の物質である。
【0014】
さらに本明細書においては、たとえばガラス−セラミックの中で、金属酸化物(たとえば、Al23、複合Al23・金属酸化物など)が結晶質であると特に記述している以外では、それは、結晶質であっても、あるいは部分的にガラス質で部分的に結晶質であってもよい、と理解すべきである。たとえば、ガラス−セラミックにAl23とZrO2とが含まれている場合には、そのAl23とZrO2のそれぞれが、ガラス質状態でも、結晶質状態でも、または一部がガラス質状態で一部が結晶質状態でも、さらには他の金属酸化物(類)との反応生成物であってもよい(例を挙げれば、たとえばAl23が結晶質のAl23またはAl23の特定の結晶質相(たとえば、α−Al23)として存在していると特に記述していない場合には、それは、結晶質Al23および/または部分的に1種または複数の結晶質の複合Al23・金属酸化物として存在していてもよい)。
【0015】
本発明によるセラミックス(たとえば、ガラスおよびガラス−セラミックス)の実施態様によっては、ビーズ(たとえば、直径が、少なくとも1マイクロメートル、5マイクロメートル、10マイクロメートル、25マイクロメートル、50マイクロメートル、100マイクロメートル、150マイクロメートル、250マイクロメートル、500マイクロメートル、750マイクロメートル、1mm、5mm、さらには少なくとも10mmのビーズ)、物品(たとえば、平板)、繊維、粒子、およびコーティング(たとえば、薄層コーティング)などの形態として製造したり、それらのものに転化させたりすることができる。ビーズの実施態様は、たとえば回帰反射シート、英数字板(alphanumeric plate)、および舗道のマーキングのような、反射装置において、有用である。粒子および繊維の実施態様は、たとえば断熱、充填材、または複合材料(たとえば、セラミック、金属、またはポリマーマトリックス複合材料)における補強剤として、有用である。薄層コーティングの実施態様は、たとえば、摩耗が含まれていたり、さらには熱管理のための用途における保護コーティングとして有用である。本発明による物品の例を挙げれば、台所用品(たとえば、大皿)、歯科用ブラケット、および補強繊維、切削工具インサート、研磨材料、およびガスエンジンの構造要素(たとえば、弁およびベアリング)などがある。その他の物品の具体的な実施態様としては、ボディまたはその他の基材の外側表面の上のガラス−セラミックの保護コーティングを有しているものが挙げられる。本発明により製造されるある種のガラス−セラミック粒子は、研磨粒子として特に有用である。研磨粒子は、研磨物品に組み込むこともできるし、あるいは分散した形態で使用することもできる。
【0016】
一態様において、本発明は、基材(たとえば、ケイ素またはSiO2の少なくとも1種)を含む光導波路、およびそのような基材の表面に希土類ドーパントをドープした本発明によるガラスを提供する。実施態様によっては、その基材が下側低屈折率層であり、上側低屈折率層をさらに含む。
【0017】
一態様において、本発明は、コア材料とそのコア材料を取り囲むクラッドとを有するガラス繊維を含む光導波路であって、コア材料が、希土類ドーパントをドープした本発明によるガラスを含む光導波路を提供する。
【0018】
一態様において、本発明は、光ポンプ光を与える光ポンプ光源と、その光ポンプ光源からの光ポンプ光を受容するようにカップリングされた光導波路とを含んで成る光増幅器であって、光導波路が、希土類ドーパントがドープされた本発明によるガラスを含む光増幅器を提供する。
【0019】
一態様において、本発明は、
希土類ドーパントがドープされた本発明によるガラスを含む光導波路に光信号を入力する工程、および
光導波路にポンプ光を導入して、その導波路により、入力された前記光学信号に光学的な増幅をもたらす工程、
を含む光学信号を増幅するための方法を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明によるガラスの実施態様は、光導波路用途において有用である。図1を参照すると、本発明の1つの具体的態様による例示のための光導波路10の断面図が示されている。光導波路10は、シリコン基材12の上に堆積されているように示されており、希土類ドープ層14を含む。希土類ドープ層14は、2層のクラッド層である下側低屈折率層16と上側低屈折率層18との間に挟まれている。図1における光導波路は、たんに説明のためのものである。本明細書に記載のガラスは、ドープした材料を用いたいかなる導波路においても使用できる。
【0021】
本発明の光導波路としてはさらに、「チャネル」導波路、「リッジ」導波路、「ストリップ装荷」導波路、および「拡散」または「イオン交換」導波路、および繊維の形態などの構成が挙げられる。図2〜6には、導波路100、200、300、400、および500として、そのような実施態様の断面を図示している。図2〜4を参照すると、希土類をドープしたガラス102、202、302、402が、シリコン基材104、204、304、404の上に堆積させた下側低屈折率層に近接している。実施態様によっては、上側低屈折率層206、306が、希土類をドープしたガラス202、302と接触している。図6を参照すると、希土類をドープしたガラスコア502が低屈折率のクラッド504によって囲まれている。本発明の光導波路において使用するのに有用な低屈折率材料の例としては、SiO2、SiON、およびたとえば、ランタン、アルミニウム、および/または酸化ジルコニウムを含むガラス(ドープなし)などが挙げられる。場合によっては、光導波路のガラスとして、以下においても記すように、ドープしていないガラスを使用するのが望ましいこともある。
【0022】
図7には、光導波路22を含む標準的な導波路増幅器の構成20が一例として示されている。光信号が、光アイソレーター24および導波路分割多重(WDM)カプラー26を介して光導波路22の中に入力される。光ポンプ光源28からの光ポンプ信号もまた、WDMカプラー26を介して光導波路22の中に導入される。光導波路22からの増幅された出力信号が、第二の光アイソレーター30を通して出力される。光アイソレーター22、30は、それぞれ、光導波路22から入力ポートへの、または出力ポートからの、逆向きの反射を除去するために組み込まれている。上述の導波路増幅器の構成は、説明のためだけに提示したものである。導波路増幅器に関するより詳しい情報は、米国特許第6,490,081B1号明細書(ファイレンス(Feillens)ら)に見出すことができる。本発明の光導波路は、光信号を増幅するために使用する各種構成において有用である。
【0023】
本発明によるセラミックス(ガラスおよびガラス−セラミックスを含む)は、原料物質、所望の組成、および加工方法(1種または複数)を選択することにより、調製することができる。
【0024】
市販の供給源も含めたAl23(理論的酸化物基準)の供給源としては、ボーキサイト(天然産のボーキサイトおよび合成ボーキサイトの両方)、焼成ボーキサイト、水和アルミナ(たとえば、ベーマイトやギブザイト)、アルミニウム、バイヤー法アルミナ、アルミニウム鉱石、γ−アルミナ、α−アルミナ、アルミニウム塩、硝酸アルミニウム、およびそれらの組み合わせが挙げられる。このAl23源は、Al23を含むか、あるいはAl23のみが得られるものであってもよい。それとは別に、Al23源が、Al23と、さらにはAl23以外の1種または複数の金属酸化物(複合Al23・金属酸化物(たとえば、Dy3Al512、Y3Al512、CeAl1118など)の材料またはそれらを含む)とを含むか、それらが得られるものであってもよい。
【0025】
市販の供給源を含めたNb25の供給源としては、酸化ニオブ粉体、ニオブ含有鉱石(たとえば、コロンバイト、タンタライト、およびユークセライト(euxelite))、ニオブ塩、ニオブ金属、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0026】
市販の供給源を含めたTa25の供給源としては、酸化タンタル粉体、タンタル含有鉱石(たとえば、コロンバイト、タンタライト、およびユークセライト)、タンタル塩、タンタル金属、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0027】
市販の供給源も含めたY23(理論的酸化物基準)の供給源としては、酸化イットリウム粉体、イットリウム、イットリウム含有鉱石、およびイットリウム塩(たとえば、イットリウムの炭酸塩、硝酸塩、塩酸塩、水酸化物、およびそれらの組み合わせ)などが挙げられる。このY23源は、Y23を含むか、あるいはY23のみが得られるものであってもよい。それとは別にY23源は、Y23と、さらにはY23以外の1種または複数の金属酸化物(たとえば複合Y23・金属酸化物(たとえば、Y3Al512)の材料またはそれらを含む)とを含むか、それらが得られるものであってもよい。
【0028】
市販の供給源も含めたZrO2(理論的酸化物基準)の供給源としては、酸化ジルコニウム粉体、ジルコンサンド、ジルコニウム、ジルコニウム含有鉱石、およびジルコニウム塩(たとえば、ジルコニウムの炭酸塩、酢酸塩、硝酸塩、塩酸塩、水酸化物、およびそれらの組み合わせ)などが挙げられる。それに加えて、またはその代わりに、ZrO2源は、ZrO2と、さらにハフニアのような他の金属酸化物とを含むか、それらが得られるものであってもよい。市販の供給源も含めたHfO2(理論的酸化物基準)の供給源としては、酸化ハフニウム粉体、ハフニウム、ハフニウム含有鉱石、およびハフニウム塩などが挙げられる。それに加えて、またはその代わりに、HfO2源は、HfO2と、さらにZrO2のような他の金属酸化物とを含むか、それらが得られるものであってもよい。
【0029】
ZrO2およびHfO2を含む実施態様においては、ZrO2:HfO2の質量比は、1:ゼロ(すなわち、全部ZrO2、HfO2なし)からゼロ:1までの範囲であってよく、さらには、たとえば、少なくとも約99、98、97、96、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、および5部(質量による)のZrO2と、それに対応する量のHfO2(たとえば、少なくとも約99部(質量による)のZrO2と、約1部以下のHfO2)、および少なくとも約99、98、97、96、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、および5部のHfO2と、それに対応する量のZrO2とであればよい。
【0030】
さらに、その他の有用な金属酸化物としては、理論的酸化物基準で、BaO、CaO、Cr23、CoO、Fe23、GeO2、Li2O、MgO、MnO、NiO、Na2O、REO、Sc23、SrO、TiO2、ZnO、およびそれらの組み合わせなどを挙げることができる。市販の供給源も含めた供給源としては、酸化物そのもの、金属粉体、複合酸化物、鉱石、炭酸塩、酢酸塩、硝酸塩、塩酸塩、水酸化物、などがある。たとえば、商業的供給源を含めた希土類酸化物の供給源としては、希土類酸化物粉体、希土類金属、希土類含有鉱石(たとえば、バストナサイトおよびモナザイト)、希土類塩、希土類硝酸塩、および希土類炭酸塩などが挙げられる。この希土類酸化物(類)源は、希土類酸化物(類)を含むか、あるいは希土類酸化物(類)のみが得られるものであってもよい。それとは別に希土類酸化物(類)源が、希土類酸化物(類)と、さらには希土類酸化物(類)以外の1種または複数の金属酸化物(複合希土類酸化物・他の金属酸化物(たとえば、Dy3Al512、CeAl1118、など)の材料またはそれらを含む)とを含むか、それらが得られるものであってもよい。
【0031】
実施態様によっては、少なくとも一部の金属酸化物供給源(実施態様によっては、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、70、75、80、85、90、95、またはさらには100質量パーセント)は、酸化物形成またはその合金形成で負のエンタルピーを有する少なくとも1種の金属(たとえば、Al、Ca、Cu、Cr、Fe、Li、Mg、Ni、Ag、Ti、Zr、およびそれらの組み合わせ)のMを含む粒子状の金属質材料を、溶融物に添加するか、またはそれらを他の原料物質と組み合わせることによって得るのが好都合となる。理論に拘束されることを欲するものではないが、金属の酸化に伴う発熱反応によって発生する熱が、均一な溶融物、そして結果としてガラスを形成させるのに有利に働くものと考えられる。たとえば、特に、50マイクロメートルを超える(100マイクロメートルを超える、さらには150マイクロメートルを超える)x、yおよびz軸の寸法を有するガラス粒子を形成させる場合に、原料物質中における酸化反応によって発生した追加の熱が、不充分な伝熱を無くすか、最小化するか、または少なくとも減少させ、その結果、溶融物の形成と均質化を容易とするのであろうと考えられる。さらに、追加の熱が利用できることによって、各種の化学反応および物理的変化(たとえば、高密度化や球状化)を促進して完結させるのに役立つとも考えられる。さらに、実施態様によっては、酸化反応によって発生した追加の熱が存在することによって、材料の融点が高いために、他の方法では困難あるいは非実用的であるような溶融物を形成させることも実際に可能となると考えられる。さらに、酸化反応によって発生した追加の熱が存在することによって、他の方法では作れない、または所望の粒度範囲では作れないようなガラスを実際に形成させることが可能となる。本発明のその他の利点を挙げれば、ガラスを形成させる場合に、溶融、高密度化および球状化のような化学的および物理的な工程の多くを短時間の間に達成することが可能であるために、非常に高速な急冷を達成することができる。さらに詳しくは、同時係属出願中の米国特許出願第10/211,639号明細書(出願日2002年8月2日)を参照されたい。
【0032】
本発明の一つの態様において、原料物質を個別にフィードして、溶融混合物を形成させる。本発明の別な態様においては、ある種の原料物質を互いに混合し、他の原料物質は独立してその溶融混合物の中に添加する。実施態様によっては、たとえば、溶融させるより前に、原料物質を組み合わせたり、互いに混合させたりする。各種好適な公知の方法を用いて、原料物質を組み合わせて実質的に均質な混合物を形成させることができる。それらの組み合わせ技術としては、ボールミル粉砕、混合、タンブリングなどが挙げられる。ボールミル中のミリング媒体は、金属ボール、セラミックボールなどであってよい。そのセラミックミリング媒体は、たとえば、アルミナ、ジルコニア、シリカ、マグネシアなどであってよい。ボールミル粉砕は、乾燥環境中、水性環境中、あるいは溶媒系(たとえば、イソプロピルアルコール)環境中で実施することができる。原料物質バッチが金属粉体を含んでいるような場合には、ミリングの際に溶媒を使用するのが一般的には望ましい。その溶媒としては、適切な引火点を有し、原料物質を分散させる能力を有する物質であれば、何であってもよい。ミリング時間は、数分から数日でよいが、一般的には数時間〜24時間の間である。湿式または溶媒系のミリングシステムでは、液体媒体を典型的には乾燥により除去すると、それにより得られる混合物は、典型的には均質であって、水および/または溶媒を実質的に含まないものとなる。溶媒系のミリングシステムを使用した場合、乾燥の際に溶媒回収システムを使用して、溶媒をリサイクルさせることができる。乾燥後には、得られる混合物は「乾燥ケーキ(dried cake)」の形状となっていてもよい。このケーキ状の混合物を次いで、粉砕または破砕して所望の粒度としてから融解させる。別な方法として、たとえば、スプレー乾燥法を用いることも可能である。後者を用いると、典型的には、所望の酸化物混合物の球状粒子が得られる。前駆体物質も、沈降法およびゾルゲル法を含めた湿式化学法によって調製することができる。極端に高レベルの均質性が望まれるような場合には、そのような方法が有利となるであろう。
【0033】
粒子状原料物質は典型的には、その粒度を選択して、均質な溶融物の形成が短時間で達成できるようにする。典型的には、比較的小さな平均粒度と狭い粒度分布を有する原料物質が、この目的に用いられる。いくつかの方法(たとえば、火炎成形およびプラズマ溶射)において特に望ましい粒子状原料物質は、約5nm〜約50マイクロメートルの範囲(実施態様によっては、約10nm〜約20マイクロメートル、さらには約15nm〜約1マイクロメートルの範囲)の平均粒度を有するものであって、ここで、その粒子の少なくとも90(実施態様によっては、95、さらには100)質量パーセントが原料物質であるが、この粒度および分布から外れた粒度のものもまた使用可能である。粒度が約5nm未満の粒子は、取扱うのが困難である(たとえば、そのような粒子は流動特性が不良となりやすいために、その粒子の流動特性が望ましくないものとなりがちである)。典型的な火炎成形またはプラズマ溶射法において約50マイクロメートルを超える粒子を使用すると、均質な溶融物、およびガラスおよび/または所望の組成物を得るのがより困難となる傾向がある。
【0034】
さらに、いくつかのケースでは、たとえば、火炎または加熱もしくはプラズマスプレー装置中に粒子状物質をフィードして溶融物を形成させるときに、その粒子状原料物質がある範囲の粒度を有しているのが望ましい。理論に捕らわれることは欲しないが、このことが、フィード粒子の充填密度と強度を最大化させると考えられる。原料物質粉体が粗すぎると、フィードおよび得られる溶融物の粒子が、所望の組成または均質性を有さなくなる可能性がある。一般的には、最も粗い原料物質粒子でも、所望の溶融物またはガラス粒度よりも小さくすべきである。さらに、粗すぎる原料物質粒子は、たとえば火炎成形またはプラズマ溶射工程において、フィード粒子における、熱的応力および機械的応力が不充分なものになりやすい。そのような場合には最終的には、通常、フィード粒子が小さな断片に破損されたり、組成の均質性が失われたり、所望のガラス粒度の収量が低下したりあるいは、溶融が不完全になったりするが、その理由は、そのような断片は一般に、熱源から出る際にその軌跡が多方向に変動するからである。
【0035】
ガラスおよびセラミックス含有ガラスは、たとえば、適切な金属酸化物源を加熱(火炎中またはプラズマ中を含む)することによって溶融物(望ましくは均質な溶融物)を形成させ、次いでその溶融物を冷却して、ガラスを得ることにより製造することができる。ガラスの実施態様によっては、たとえば、金属酸化物源を各種適切な炉(たとえば、誘導加熱炉もしくは抵抗加熱炉、ガスだき炉、またはアーク炉)の中で溶融させることにより製造できる。
【0036】
ガラスは典型的には、溶融させた物質(すなわち、溶融物)を比較的急速に冷却することによって得られる。ガラスを得るための急冷速度(すなわち、冷却時間)は、多くの因子に依存するが、そのような因子としてはたとえば、溶融物の化学的組成、その成分のガラス形成能、溶融物および得られるガラスの熱的性質、(一つまたは複数の)加工方法、得られるガラスの寸法および質量、および冷却方法などが挙げられる。一般に、Al23を高い量で含む(すなわち、Al23が75質量パーセントより高い)ガラスを形成させるためには、特にSiO2、B23、P25、GeO2、TeO2、As23、およびV25のような公知のガラス形成剤が存在しない場合、比較的高い急冷速度が必要である。同様にして、溶融物を冷却して大きなサイズのガラスとするのはさらに困難であるが、それは、熱を充分に急速に除去するのが一段と困難になるからである。
【0037】
本発明の実施態様によっては、原料物質を加熱して、粒子の形状で溶融状態とし、次いで冷却してガラス粒子とする。典型的には、その粒子は、25マイクロメートルより大きい(実施態様によっては、50、100、150、さらには200マイクロメートルより大きい)粒度を有する。
【0038】
本発明の方法によるガラスを製造する場合に達成されるにおいて急冷速度は、102、103、104、105さらには106℃/秒より高速(すなわち、溶融状態から1000℃の温度低下をさせるのが、それぞれ10秒未満、1秒未満、1/10秒未満、1/100秒未満、またはさらには1/1000秒未満)であると考えられる。溶融物を冷却させる方法としては、冷却媒体(たとえば、高速空気ジェット、液体(たとえば、冷水)、金属プレート(冷却金属プレートを含む)、金属ロール(冷却金属ロールを含む)、金属ボール(冷却金属ボールを含む)など)の中に溶融物を吐出させることが挙げられる。当業者公知のその他の冷却技術としては、ロール冷却(roll−chilling)がある。ロール冷却を実施するには、たとえば、金属酸化物源をその融点よりも通常20〜200℃高い温度で溶融させ、その溶融物を(たとえば、空気、アルゴン、窒素などのガスを使用した)高圧下で、高速回転しているロールの上にスプレーすることによって、冷却/急冷させる。典型的にはこれらのロールは金属製であって、水冷する。さらに金属ブックモールドも、溶融物を冷却/急冷させるには有用である。
【0039】
冷却速度が、急冷されたガラスの性質に影響すると考えられる。たとえば、ガラスのガラス転移温度、密度およびその他の性質は、冷却速度によって、変わるのが普通である。
【0040】
急速な冷却をする場合には、たとえば還元性、中性、酸化性雰囲気などその環境を調節して、冷却の間に所望の酸化状態などを維持したり、および/または影響を与えたりすることもできる。この雰囲気は、過冷却の液の状態からの結晶化の動力学に影響を与えることによって、ガラスの形成にも影響する可能性がある。たとえば、空気中に比較してアルゴン中では、Al23の溶融物を、より低い温度まで結晶化せずに過冷却できることが報告されている。
【0041】
一つの方法においては、ガラスおよびセラミックス含有ガラスは、たとえば、米国特許第6,254,981号明細書(キャスル(Castle))に記載があるような、火炎溶融を用いて製造することができる。この方法では、金属酸化物源を(たとえば、「フィード粒子」と呼ばれることもある、粒子の形態で)バーナー(たとえば、メタン−空気バーナー、アセチレン−酸素バーナー、水素−酸素バーナー、など)の中に直接フィードし、次いで、水、冷却油、空気などの中で急冷させる。通常は火炎中にフィードするフィード粒子の大きさによって、生成してくるガラスを含む粒子の大きさが決まる。
【0042】
実施態様によっては、ガラスはまた、その他の方法によって作ることもできるが、そのようなものとしては、自由落下冷却(free fall cooling)を伴うレーザースピン溶融法、テイラー(Taylor)ワイヤー法、プラズマトロン法、ハンマー・アンド・アンビル法、遠心急冷法、エアガン・スプラット冷却法、1本ローラーまたは2本ローラー急冷法、ローラープレート急冷法、およびペンダント・ドロップ溶融急冷法などがある(たとえば、ブロックウェイ(Brockway)ら、『ラピッド・ソリディフィケーション・オブ・セラミックス(Rapid Solidification of Ceramics)』、メタルズ・アンド・セラミックス・インフォメーション・センター、ア・デパートメント・オブ・ディフェンス・インフォメーション・アナリシス・センター(Metals And Ceramics Information Center、Department of Defense Information Analysis Center)、オハイオ州、コロンバス(Columbus、OH)、1984年、1月を参照されたい)。実施態様によっては、ガラスは、それ以外の方法でも得ることができ、そのようなものとしては、適当な前駆体を(火炎またはレーザーまたはプラズマを使用して)熱分解する方法、金属前駆体の物理的気相合成(PVS)法、および機械化学的加工法などが挙げられる。
【0043】
溶融物を形成し、溶融物を冷却/急冷し、および/またはその他の方法でガラスを形成させるためのその他の技術としては、気相急冷法、プラズマ溶射法、溶融急冷法、およびガスまたは遠心噴霧法などがある。気相急冷法は、たとえばスパッタリングによって実施することができ、その場合金属合金または金属酸化物源をスパッタリングターゲットの中に形成させる。このターゲットをスパッタリング装置の中の所定の位置に固定し、コーティングする相手の基材をそのターゲットに対向する位置におく。典型的な圧力の、酸素ガスおよびArガスで10-3トルにすると、そのターゲットと基材との間で放電が発生し、Arまたは酸素イオンがターゲットに衝突して反応スパッタリングが起き、それによって基材の上に組成物の膜が析出する。プラズマ溶射に関するさらに詳しいことは、たとえば、同時係属出願中の、米国特許出願第10/211,640号明細書(出願2002年8月2日)を参照されたい。
【0044】
ガス噴霧法には、フィード粒子を加熱することが含まれていて、それらを転化させて溶融物とする。そのように溶融させたものの希薄な流れを、乱流を起こさせるための空気ジェットと接触させることによって霧化させる(すなわち、その流れを微細な液滴に分散させる)。次いで、そのようにして得られる実質的にばらばらとなった、通常は楕円形のガラス粒子(たとえば、ビーズ)を回収する。ビーズの大きさの例をあげれば、その直径が約5マイクロメートルから約3mmである。溶融急冷法はたとえば、米国特許第5,605,870号明細書(ストローム・オルセン(Strom−Olsen)ら)に記載されているような方法で実施することができる。たとえば米国特許第6,482,758号明細書(ウェーバー(Weber))に記載されているような、レーザービームを用いた無容器ガラス製造方法もまた、本発明のガラスを製造するには有用である。
【0045】
典型的には、本発明により製造されるガラス−セラミックス、およびそのようなガラス−セラミックスを製造するために使用されるいくつかのガラスおよびセラミックス含有ガラスは、それぞれ互いに直交するx、yおよびz軸の寸法を有し、ここで、そのx、yおよびz軸の寸法のそれぞれは少なくとも10マイクロメートルである。実施態様によっては、このx、yおよびz軸の寸法が、少なくとも30マイクロメートル、35マイクロメートル、40マイクロメートル、45マイクロメートル、50マイクロメートル、75マイクロメートル、100マイクロメートル、150マイクロメートル、200マイクロメートル、250マイクロメートル、500マイクロメートル、1000マイクロメートル、2000マイクロメートル、2500マイクロメートル、5mm、あるいはさらには、もし融合が起きていれば、少なくとも10mmである。材料のこのx、yおよびz軸の寸法は、寸法の大きさに応じて、肉眼か顕微鏡を使用するかのいずれかで測定する。z軸方向の寸法として報告されるのは、たとえば、球の直径、コーティングの厚み、あるいはプリズム形状の最短寸法などである。
【0046】
ある種の他の金属酸化物を添加することによって、本発明により製造されるガラス−セラミックスの性質および/または結晶質構造または微細構造と、さらにはそのセラミックを製造する場合の原料物質および中間物質の加工性を変化させることが可能となる。たとえば、CaO、Li2O、MgO、およびNa2Oなどのような酸化物を添加すると、ガラスのTgおよびTxの両方(ここでTxは結晶化温度である)が変化することが観察されている。理論に拘束されることを欲するものではないが、そのようなものを添加することによってガラスの形成に影響が出るものと考えられる。さらに、たとえば、そのような酸化物を添加すると、系全体の溶融温度を下げる(すなわち、系がより融点が低い共晶となる)ことが可能となり、ガラスの生成が容易となる。多成分系(4成分系など)における複合共晶を基本とする組成は、良好なガラス形成能を有することができる。液状溶融物の粘度、およびその作業範囲にあるガラスの粘度は、特定の必要とされる酸化物とは別な金属酸化物を添加することによっても、変化させることが可能である。
【0047】
ガラス−セラミックスを形成させるための、ガラス、およびガラスを含むセラミックスの結晶化もまた、物質を添加することによって影響を受ける。たとえば、ある種の金属、金属酸化物(たとえば、チタン酸塩およびジルコン酸塩)およびフッ化物などは、核形成剤として働いて、結晶が好適な不均質な核形成をするようになる。また、ある種の酸化物を添加することによって、再加熱した際にガラスから失透(devitrifying)する準安定相の性質を変えることができる。別な態様においては、結晶質ZrO2を含む、本発明により製造されるガラス−セラミックスの場合、ZrO2の正方晶系/立方晶系の形態を安定化させることが知られている、金属酸化物(たとえば、Y23、TiO2、CeO2、CaO、およびMgO)を添加するのも望ましい。
【0048】
本発明により製造されるガラス−セラミックスを製造するために、金属酸化物源およびその他の添加物を具体的に選択しようとすると、たとえば、所望の組成、微細構造、結晶化度、物理的性質(たとえば、硬度または靱性)、望ましくない不純物の存在、および、セラミックスを調製するために使用される具体的なプロセス(装置、ならびに溶融および/または固化の前および/またはその途中における原料物質の各種精製など)の望ましい、または必要とされる特性のようなことを、典型的には考慮に入れる。
【0049】
場合によっては、B23、Na2O、P25、SiO2、TeO2、V25、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される限定された量の金属酸化物を取り入れるのが好ましいこともある。市販の供給源も含めた供給源としては、酸化物そのもの、複合酸化物、元素(たとえばSi)粉体、鉱石、炭酸塩、酢酸塩、硝酸塩、塩酸塩、水酸化物、などが挙げられる。それらの金属酸化物を、たとえば、得られるガラス−セラミックの物理的性質を修正したり、および/または加工性を改良したりするために添加することができる。それらの金属酸化物を使用するならば典型的には、たとえば希望する性質に応じて、ガラス−セラミックの、合計して0より多く20質量%まで(いくつかの実施態様においては、合計して0より多く5質量%まで、さらには、合計して0より多く2質量%まで)の量で添加する。
【0050】
物質の微細構造または相の構成(ガラス質/結晶質)は多くの方法を用いて調べることができる。たとえば、光学顕微鏡法、電子顕微鏡法、示差熱分析法(DTA)、およびX線回折法(XRD)などを使用することによって、多くの情報を得ることができる。
【0051】
光学顕微鏡法を使用すると、非晶質物質では、結晶粒界のような光散乱中心がないために、典型的にはほとんど透明であるが、それに対して結晶質物質は結晶構造を示し、光散乱効果のために不透明となる。
【0052】
粒子(たとえば、ビーズ)などについての非晶質(またはガラス)の生成パーセントは、−100+120メッシュの粒度画分(すなわち、150マイクロメートル開口寸法から125マイクロメートル開口寸法までの間の篩で集められた画分)を使用して計算することができる。測定は以下のような方法で行う。ガラススライドの上に、粒子、ビーズなどを1層の厚みで拡げる。それらの粒子、ビーズなどを、光学顕微鏡を用いて観察する。光学顕微鏡の接眼レンズにある十字線を目安に利用して、直線上に並んでいる粒子、ビーズなどが、その光学的な透明性から判断して(すなわち、透明であれば非晶質)、非晶質、結晶質のいずれであるかを数えていく。典型的には全部で500個の粒子、ビーズなど(粒子、ビーズなどの数がもっと少なくてもよい)を計測し、非晶質の粒子、ビーズなどの数を、計測した全部の粒子、ビーズなどの数で割り算をして、非晶質の生成パーセントを求める。本発明による方法の実施態様では、少なくとも50、60、70、75、80、85、90、95、さらには100パーセントの非晶質(ガラス)の生成パーセントを有する。
【0053】
すべての粒子が非晶質(またはガラス)であることを望み、また得られる結果が100%未満であるならば、その非晶質(またはガラス)粒子を、非晶質ではない(ガラスではない)粒子から分離してもよい。そのような分離は、たとえば各種の従来の技術により実施することができるが、そのようなものとしては、密度または光学的透明度を利用して分離する方法が挙げられる。
【0054】
DTA法を使用した場合、発熱による結晶化事象(Tx)がその物質のDTA曲線に含まれていれば、その物質は非晶質と分類される。その同一の曲線に、Txよりも低い温度で吸熱事象(Tg)がさらに存在すれば、それはガラス相を含んでいると考えられる。物質のDTA曲線にそれらの事象が含まれていなければ、それは結晶質相を含んでいると考えられる。
【0055】
示差熱分析(DTA)は以下の方法に従って実施することができる。DTAを測定するには、−140+170メッシュの粒度画分(すなわち、105マイクロメートル開口寸法から90マイクロメートル開口寸法までの間の篩で集められた画分)を使用し、機器としては、たとえば独国ゼルプ(Selb、Germany)のネッツ・インストラメンツ(Netzsch Instruments)から入手可能な商品名「ネッツ(NETZSCH)STA409DTA/TGA」を使用する。それぞれの篩い分けしたサンプル(典型的には約400ミリグラム(mg))を、100マイクロリットルのAl23製サンプルホルダー中に入れる。それぞれのサンプルを、静的空気(static air)中で、室温(約25℃)から1100℃まで10℃/分の速度で昇温させる。
【0056】
粉体X線回折、XRDを使用することで、(たとえば、ニュージャージー州モーウォー(Mahwah、NJ)のフィリップス(PHILLIPS)から商品名「フィリップス(PHILLIPS)XRG3100」として入手できるようなX線回折計で、1.54050オングストロームの銅Kα1照射を使用)、結晶化させた材料のXRD曲線中に存在するピークを、JCPDS(ジョイント・コミッティー・オン・パウダー・ディフラクション・スタンダーズ(Joint Committee on Powder Diffraction Standards)、インターナショナル・センター・フォア・ディフラクション・データ(International Center for Diffraction Data)出版のデータベースから得られる、結晶質相のXRDパターンと比較することによって、物質中に存在する相を調べることができる。さらに、XRDを使用して、相のタイプを定性的に調べることも可能である。ブロードに拡がった強度ピークがあれば、物質は非晶質な性質を有しているとみなす。ブロードなピークと明瞭なピークの両方が存在するならば、ガラスマトリックスの中に結晶質物質が存在していることを示しているとみなす。
【0057】
始めに形成されたガラスまたはセラミック(結晶化させる前のガラスを含む)の大きさが、所望の大きさよりも大きいことがあり得る。そのガラスが所望の幾何学的形状および/または大きさであれば、典型的にはその大きさを小さくする必要はない。そのようなガラスまたはセラミックは、当業者公知の破砕(crushing)および/または微粉砕(comminuting)方法を用いて、より小さい粒子とすることができるが、そのような方法としては、ロールクラッシャー粉砕、ジョークラッシャー粉砕、ハンマーミル粉砕、ボールミル粉砕、ジェットミル粉砕、インパクトクラッシャー粉砕などがある。場合によっては、2種類または多段の破砕工程を実施するのが望ましい。たとえば、セラミックを形成(凝固)させたときに、それが所望していたよりは大きな形状であることもある。第1の破砕工程では、それらの比較的大きな塊状物すなわち「チャンク(chunks)」を破砕して、より小さな粒子とする。これらのチャンクをこのように破砕するには、ハンマーミル、インパクトクラッシャーまたはジョークラッシャーを使用することができる。次いで、このようにしてより小さくした粒子をさらに破砕して、所望の粒度分布にする。所望の粒度分布(グリットサイズとか粒度とか呼ばれることもある)を製造するためには、多段の破砕工程を実施する必要があることもある。一般的には、破砕条件を最適化して、所望の粒子形状および粒度分布を得る。最終的な粒子が所望の粒度になっていないような場合には、大きすぎれば再粉砕すればよいし、小さすぎれば再溶融のための原料物質として「リサイクル」して使用すればよい。
【0058】
粒子の形状は、たとえば、セラミックの組成および/または微細構造、冷却時の幾何学的配置、およびセラミックの破砕方法(すなわち、使用した破砕技術)などによって、決まってくる。一般的に言って、「塊状(blocky)」の形状が好ましい場合には、その形状を得るためにはより大きなエネルギーが必要である。逆に、「圭角状(sharp)」の形状が好ましい場合には、その形状を得るために用いるエネルギーは小さくてもよい。破砕技術を変更することで、各種の所望の形状を得ることもできる。いくつかの粒子では、平均のアスペクト比を1:1から5:1までとするのが通常望まれるが、実施態様によっては、1.25:1から3:1まで、さらには1.5:1から2.5:1までとする場合もある。
【0059】
たとえば、所望の形状に物品を直接形成することもまた、本発明の範囲に含まれる。たとえば、型の中に溶融物を注入するかまたは型内部で成形することによって、所望の物品を形成(成形を含む)することもできる。たとえば、米国特許出願第10/358,772号明細書(出願2003年2月5日)の出願に記載の成形方法も参照されたい。
【0060】
本発明により製造されるガラスおよびガラス−セラミックスの実施態様を得るには、寸法的な限定はない。このことは、ガラス転移温度よりも高い温度で融合過程を実施することにより、可能となることが見出された。この融合過程は本質的には、2個以上の小さな粒子から、より大きな粒子体を形成させるものである。たとえば、ガラスでは、ガラス転移(Tg)の後で顕著な結晶化(Tx)が起きるが、このことは、吸熱(Tg)が発熱(Tx)よりは低い温度に存在することからも明かである。たとえばガラスを含む粒子および/または繊維などをTgよりも高い温度に加熱して、その粒子などを融合させて形状を形成させることによって、セラミック(結晶化前のガラスを含む)を得ることができる。融合させるために使用する温度と圧力は、ガラスの組成や、得られる物質において所望する密度によって決めることができる。その温度は、ガラス転移温度よりは高くするべきである。ある種の実施態様においては、この加熱は、約700℃から約1100℃までの範囲の中の少なくとも一つの温度(実施態様によっては、725℃〜850℃)で実施する。典型的には、ガラスは融合の間は加圧下(たとえば、0よりは大きく1GPaまで、またはそれ以上)に置いて、ガラスの融合を促進させる。一つの実施態様においては、粒子などをダイの中に装入して、熱間圧縮によってガラス転位点よりも高い温度に加熱すると、粘稠なガラスが流動して融合し、比較的大きなものとなる。典型的な融合技術の例としては、熱間圧縮法、高温静水圧圧縮法、熱間押出し法、熱間鍛造法など(たとえば、焼結法、プラズマ励起焼結法)を挙げることができる。たとえば、ガラスを含む粒子(たとえば、破砕により得たもの)(ビーズおよびミクロスフェアを含む)、繊維などを、より大きな粒度とすることができる。さらに、融合によって所望の形状として成形した物体を得ることができる。いくつかの実施態様においては、得られた融合物体を冷却してから、さらなる加熱処理をするのが望ましい。所望するならば、加熱処理した後で、その融合体を破砕して、より小さな粒度としたり、所望の粒度分布としたりすることができる。
【0061】
一般に加熱処理は、ガラス−セラミックスを得るためにガラスを加熱処理する、当業者公知のものを含めて各種の方法のいずれを用いて実施してもよい。たとえば加熱処理を、たとえば抵抗加熱炉、誘導加熱炉またはガス加熱炉を使用して、バッチで実施することもできる。それとは別な方法で、たとえば、たとえばロータリーキルン、流動床炉、またはペンデュラムキルン(pendulum kiln)を用いて、連続的に加熱処理(またはその一部)を実施することも可能である。ロータリーキルンまたはペンデュラムキルンの場合、典型的には、高温で運転しているキルンの中に材料を直接フィードする。流動床炉の場合においては、典型的には、ガス(たとえば、空気、不活性ガス、または還元性ガス)中に加熱処理するガラスを懸濁させる。高温で処理する時間は、数秒(実施態様によっては、5秒未満のこともある)から数分、さらには数時間の範囲である。その温度は典型的には、ガラスのTxから1600℃までの範囲、より典型的には800℃〜1600℃、いくつかの実施態様においては、1200℃〜1500℃である。多段工程においていくつかの熱処理を実施することもまた本発明の範囲内である(たとえば、一つの工程が核形成で、もう一つの工程が結晶成長であって、ここで高密度化は典型的には、その結晶成長過程において起きる)。多段の熱処理を実施する場合には、典型的には、核形成速度と結晶成長速度のいずれか、または両方を調節するのが望ましい。一般的には、ほとんどのセラミック加工操作の間に、顕著な結晶成長をさせることなく、最大の高密度化を得るのが望ましい。理論に捕らわれることは欲しないが、結晶粒度が大きい程機械的性質が低下するのに対して、平均結晶子径が細かい程(たとえば、高強度や高硬度に)機械的性質が改良されると、セラミック業界においては一般に考えられている。具体的には、理論密度の少なくとも90、95、97、98、99、さらには100パーセントの密度を有するセラミックを形成させるのが非常に望ましいが、ここで、その平均結晶粒度は、0.15マイクロメートル未満、さらには0.1マイクロメートル未満である。
【0062】
本発明のいくつかの実施態様においては、ガラス、またはガラスを含むセラミックスは、アニールをしてから、加熱処理にかけることもできる。そのような場合、アニーリングは典型的には、ガラスのTxよりも低い温度で、数秒から数時間、場合によっては数日かけて実施する。典型的には、アニーリングは3時間未満、さらには1時間未満の時間内で実施する。場合によっては、アニーリングを空気以外の雰囲気下で実施することもできる。さらに、熱処理における別の過程(すなわち、核形成過程と結晶成長過程)を異なった雰囲気下で実施することもできる。ガラスのTgおよびTx、さらにはTx−Tgは、加熱処理の際に使用した雰囲気に応じて、変化する可能性もあると考えられる。
【0063】
当業者公知の技術を用いて、ガラスの時間−温度−変態(TTT)を検討することにより適切な条件を求めることは、当業者ならば、可能である。当業者ならば、本発明のこの明細書を読めば、本発明によりガラス−セラミックを製造するために使用するガラスについてのTTT曲線を得て、本発明によるガラス−セラミックスを得るための核形成および/または結晶成長のための適切な条件を求めることができる筈である。
【0064】
加熱処理は、たとえば、昇温させた炉の中に原料を直接フィードすることによって起こさせることができる。別な方法としては、たとえば、原料をもっと低い温度(たとえば室温)で炉の中にフィードし、次いで予め定めた昇温速度で目的の温度まで加熱してもよい。加熱処理を空気以外の雰囲気で実施することも、本発明の範囲に含まれる。場合によっては、加熱処理を還元性の雰囲気で実施するのが望ましい場合もある。さらに、たとえば、熱間静水圧加圧法やガス加圧炉中などで、たとえばガスの圧力下で加熱処理するのが望ましいこともある。理論に捕らわれることは欲しないが、雰囲気によって、ガラスおよびガラス−セラミックスのいくつかの成分の酸化状態が影響を受ける可能性がある、と考えられる。酸化状態におけるそのような変化は、ガラスおよびガラス−セラミックスの着色に変化を与える可能性がある。さらに、核形成および結晶化の過程が、雰囲気によって影響される可能性もある(たとえば、ガラスのいくつかの化学種では、雰囲気がその原子易動度に影響するかもしれない)。
【0065】
さらなる加熱処理を実施して、材料の所望の性質をさらに改良することもまた、本発明の範囲に含まれる。たとえば、(たとえば、約800℃から約1400℃までの温度で)高温静水圧圧縮を実施して、残存している気孔を除き、物質の密度を上げることもできる。得られた物品や加熱処理した物品を加工(たとえば破砕)して、粒子(たとえば本発明により製造される研磨粒子)を得ることも、本発明の範囲に含まれる。
【0066】
典型的には、ガラス−セラミックスはそれの原料となったガラスよりも強度が高い。したがって材料の強度を、たとえば、ガラスを結晶質セラミック相に転化させる程度によって、調節することが可能である。別な方法で、あるいはそれに付け加えて、材料の強度は、たとえば作り出す核形成サイトの数で調節することも可能で、その数によって結晶質相の結晶の数と大きさが決まってくる。ガラス−セラミックスの形成に関するさらに詳しいことは、たとえば、P.W.マクミラン(McMillan)の『ガラス−セラミックス(Glass−Ceramics)』第2版、アカデミック・プレス・インコーポレーテッド(Academic Press Inc.)、1979年を参照されたい。
【0067】
多くの他のタイプのセラミック加工(たとえば、高密度の焼結セラミック材料を得るための、焼成した材料の焼結)に比較して、ガラス−セラミックを形成させるためにガラスを結晶化させる際の収縮は比較的小さい(典型的には、30容積パーセント未満、いくつかの実施態様においては、20パーセント、10パーセント、5パーセント未満、さらには3容積パーセント未満)。実際の収縮量に影響を与えるのは、たとえば、ガラスの組成、加熱処理時間、加熱処理温度、加熱処理圧力、結晶化させるガラスの密度、形成させる結晶質相の相対量、結晶化度などである。その収縮量は当業者公知の慣用的な方法によって測定することができるが、たとえば、ディラトメトリー、アルキメデス(Archimedes)法、あるいは加熱処理前後の材料の寸法の測定などの方法が挙げられる。いくつかの場合では、加熱処理の間に、いくぶんかの揮発性の物質が発生することもあり得る。
【0068】
実施態様によっては、収縮特性が比較的低いと特に有利である。たとえば、所望の形状と寸法で(すなわち、ほぼ正味の形状(near−net shape)で)物品をガラス相に形成することが可能となり、それに続けて加熱処理することにより、少なくとも部分的にそのガラスを結晶化させることができる。その結果として、結晶化させた物質の製造および加工に関する、実質的なコストダウンが実現できる。
【0069】
実施態様によっては、ガラスがx、y、z方向を有していて、そのそれぞれが、少なくとも1cm(実施態様によっては、少なくとも5cm、さらには少なくとも10cm)の長さを有し、ここでそのガラスが容積を有し、ここで、得られるガラス−セラミックがx、y、z方向を有し、そのそれぞれが、少なくとも1cm(実施態様によっては、少なくとも5cm、さらには少なくとも10cm)の長さを有し、ここでそのガラス−セラミックが、ガラスの容積の少なくとも70(実施態様によっては、少なくとも75、80、85、90、95、96、さらには少なくとも97)パーセントの容積を有する。
【0070】
本発明により製造されるガラス−セラミックスの中に存在しうる結晶相の例としたは、下記のようなものが挙げられる:アルミナ(たとえば、α−アルミナおよび遷移アルミナ)、REO(たとえば、La23)、Y23、MgO、1種または複数のその他の金属酸化物たとえば、BaO、CaO、Cr23、CoO、Fe23、GeO2、Li2O、MnO、NiO、Na2O、P25、Sc23、SiO2、SrO、TeO2、TiO2、V25、ZnO、HfO2、ZrO2(たとえば、立方晶系ZrO2および正方晶系ZrO2)、「複合金属酸化物」(複合Al23・金属酸化物(たとえば、複合Al23・REO(たとえば、ReAlO3(たとえば、GdAlO3、LaAlO3)、ReAl1118(たとえば、LaAl1118)、およびRe3Al512(たとえば、Dy3Al512))、および複合Al23・Y23(たとえば、Y3Al512))、ならびに複合ZrO2・REO(たとえば、La2Zr27))、複合ZrO2・Nb25、複合ZrO2・Ta25、複合Y23・Nb25、複合Y23・Ta25、複合Al23・Nb25、複合Al23・Ta25、およびそれらの組み合わせ、を含む)。典型的には、本発明によるセラミックスは、共晶微細構造特性を有していない。
【0071】
複合Al23・金属酸化物(たとえば、複合Al23・REOおよび/または複合Al23・Y23(たとえば、ガーネット結晶構造を示すアルミン酸イットリウム))の中のアルミニウムカチオンの一部を他のカチオンと置換することも、本発明の範囲に含まれる。たとえば、複合Al23・Y23の中のAlカチオンの一部を、Cr、Ti、Sc、Fe、Mg、Ca、Si、Co、およびそれらの組み合わせ、からなる群より選択される元素の少なくとも1種のカチオンと置換することができる。たとえば、複合Al23・Y23の中のYカチオンの一部を、Ce、Dy、Er、Eu、Gd、Ho、La、Lu、Nd、Pr、Sm、Th、Tm、Yb、Fe、Ti、Mn、V、Cr、Co、Ni、Cu、Mg、Ca、Sr、およびそれらの組み合わせ、からなる群より選択される元素の少なくとも1種のカチオンと置換することができる。さらに、たとえば、複合Al23・REOの中の希土類カチオンの一部を、Y、Fe、Ti、Mn、V、Cr、Co、Ni、Cu、Mg、Ca、Sr、およびそれらの組み合わせ、からなる群より選択される少なくとも1種のカチオンと置換することができる。上記のようなカチオンの置換を行うと、セラミックの性質(たとえば、硬度、靱性、強度、熱伝導性など)が影響されることがある。
【0072】
本発明により製造されるガラス−セラミックスの実施態様を得るために、非晶質物質を加熱処理することによって形成された結晶は、たとえば、針状等軸晶、柱状晶、または平板状(flattened splat−like)の形態を有していてもよい。
【0073】
それらのガラスまたはガラス−セラミックはバルク物質の形態であってもよいが、本発明により製造されるガラスおよび/またはガラス−セラミックを含む複合材料を提供することも、本発明の範囲内である。そのような複合材料には、本発明により製造されるガラス−セラミックの中に分散させた、たとえば相または(連続または不連続の)繊維または粒子(ホイスカーを含む)(たとえば、金属酸化物粒子、ホウ化物粒子、炭化物粒子、窒化物粒子、ダイヤモンド粒子、金属粒子、ガラス粒子、およびそれらの組み合わせ)を含んでいたり、または、層状化複合材構造(たとえば、ガラス−セラミックから、そのガラス−セラミックおよび/または異なったガラス−セラミックス組成物の層を製造するために使用するガラスへと傾斜をもたせる)。
【0074】
ガラス−セラミックスを製造するために使用されるある種のガラスは、たとえば、約700℃〜約850℃の範囲、またはそれ以上の温度のTgを有していてもよい。
【0075】
実施態様によっては、本発明によるガラスまたはガラス−セラミックには、それぞれガラスまたはガラス−セラミックの全質量を基準にして、35.73質量パーセント(実施態様によっては、約35または36質量パーセント、実施態様によっては、35〜36、34〜36、または34〜37質量パーセントの範囲)のAl23、42.17質量パーセント(実施態様によっては、約42質量パーセント、実施態様によっては、42〜43または41〜43質量パーセントの範囲)のY23(実施態様によっては、Y23および/または(一括して)REO)、17.1質量パーセント(実施態様によっては、約17質量パーセント、実施態様によっては、17〜18または16〜18質量パーセントの範囲)のZrO2(実施態様によっては、ZrO2および/または(一括して)HfO2)、および5質量パーセント(実施態様によっては、約5質量パーセント、実施態様によっては、4〜6質量パーセントの範囲)のNb25および/または(一括して)Ta25を含まない(実施態様によっては、実質的にそれらからならない)。
【0076】
本発明によるガラスおよびガラス−セラミックの実施態様によっては、前記のガラスまたはガラス−セラミックが、Al23(実施態様によっては、35.73質量パーセントのAl23、実施態様によっては、約35または36質量パーセントのAl23、実施態様によっては、35〜36、34〜36、または34〜37質量パーセントの範囲のAl23)を含み、Y23(実施態様によっては、Y23および/または(一括して)REO)(実施態様によっては、42.17質量パーセントのY23(実施態様によっては、Y23および/または(一括して)REO)、実施態様によっては、約42質量パーセントのLa23(実施態様によっては、Y23および/または(一括して)REO)、実施態様によっては、42〜43または41〜43質量パーセントの範囲)のLa23(実施態様によっては、Y23および/または(一括して)REO))、およびZrO2(実施態様によっては、ZrO2および/または(一括して)HfO2)(実施態様によっては、17.1質量パーセントのZrO2(実施態様によっては、ZrO2またはHfO2の少なくとも1種)、実施態様によっては、約17質量パーセントのZrO2(実施態様によっては、ZrO2またはHfO2の少なくとも1種)、実施態様によっては、17〜18または16〜18)質量パーセントの範囲のZrO2(実施態様によっては、ZrO2またはHfO2の少なくとも1種))が存在する場合には、そのガラスまたはガラス−セラミックには、それぞれガラスまたはガラス−セラミックまたはガラスの全質量を基準にして、5質量パーセントよりも少ないか、または5質量パーセントよりも多いかのいずれか、(実施態様によっては、約5ではなく、5より少ない、または5より多い、実施態様によっては、4、3、2、もしくは1以下、または少なくとも6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、さらには少なくとも80)質量パーセントの、Nb25またはTa25の少なくとも1種を、それぞれ含む。
【0077】
典型的には、そして望ましくは、本発明により製造されるガラス−セラミックス、およびそのようなガラス−セラミックスを製造するために使用されるガラスの(真の)密度(時には、比重と呼ばれることもある)は、典型的には、理論密度の少なくとも70%である。より望ましくは、本発明により製造されるガラス−セラミックス、およびそのようなガラス−セラミックスを製造するために使用されるガラスの(真の)密度は、理論密度の少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、さらには100%である。本発明により製造される研磨粒子は、理論密度の少なくとも85%、90%、92%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、さらには100%の密度を有する。
【0078】
本発明により製造されるガラス−セラミックスを用いて、たとえば、充填材、補強材料および/またはマトリックス材料としての物品を製造することができる。たとえば、本発明により製造されるガラス−セラミックは、複合材料(たとえば、セラミック、金属、またはポリマー(熱硬化性または熱可塑性))において補強材として使用するのに適した、粒子および/または繊維の形態とすることができる。それらの粒子および/または繊維は、たとえば、マトリックス材料のモジュラス、耐熱性、耐摩耗性および/または強度を上げることができる。複合材料を作る場合に使用する粒子および/または繊維の粒度、形状および量は、たとえば、その複合材料の特定のマトリックス材料や用途によって決まってくるが、補強用粒子の粒度は典型的には、約0.1〜1500マイクロメートル、より典型的には1〜500マイクロメートルの範囲、そして望ましくは2〜100マイクロメートルの間である。ポリマー用途の場合の粒子の量は、典型的には約0.5パーセント〜約75質量パーセント、より典型的には約1〜約50質量パーセントである。熱硬化性ポリマーの例としては、フェノール系、メラミン、尿素ホルムアルデヒド、アクリレート、エポキシ、ウレタンポリマーなどを挙げることができる。熱可塑性ポリマーの例としては、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミドなどを挙げることができる。
【0079】
強化ポリマー材料の用途(すなわちポリマー中に本発明により製造される補強粒子を分散させた)の例としては、保護コーティング、たとえば、コンクリート、家具、床、道路、木材、木材類似材料、セラミックスなどや、さらには、滑り止めコーティングや、射出成形したプラスチック部品や部材が挙げられる。
【0080】
さらに、たとえば、本発明により製造されるガラス−セラミックはマトリックス材料として使用することも可能である。たとえば、本発明により製造されるガラス−セラミックスは、セラミック材料など、たとえばダイヤモンド、立方晶系−BN、Al23、ZrO2、Si34、およびSiCのためのバインダーとしても使用することができる。そのような物質を含む有用な物品の例としては、複合材料基材コーティング、切削工具インサート研磨材凝集体、およびビトリファイドホイールのような結合研磨物品などが挙げられる。本発明により製造されるガラス−セラミックスをバインダーとして使用することにより、たとえば、複合材料物品の弾性率、耐熱性、耐摩耗性、および/または強度を向上させることができる。
【0081】
本発明による光導波路は一般に、当業者には公知の組み立て手段によって製造することができる。たとえば、チャネル導波路(図2参照)は、低屈折率クラッドの上にドープしたガラス層を堆積させ、それに続けてフォトリソグラフィーによりエッチングをして、光路を確定させることにより、組み立てることができる。通常リソグラフィーに続けて、低屈折率の上側クラッドを堆積させる。リッジ導波路(図3参照)もチャネル導波路と同様であるが、ただし、ドープしたガラス層を完全にはエッチングしない。ストリップ装荷導波路(図4参照)は、ドープしたガラスの平面層の上に低屈折率のクラッドのストリップを置くことにより、製造することができる。拡散導波路(図5参照)は、低屈折率基材の中にドープしたガラスを内部拡散(indiffusing)させることにより、製造することができる。そのドープしたガラスを、低屈折率層またはクラッドの上にスパッタリングのような公知の方法により堆積させ、次いでフォトリソグラフィーによって光路またはリッジを確定させることが可能である。別な方法として、ドープしたガラスを、低屈折率層またはクラッドの上にスパッタリングのような公知の方法により堆積させ、次いでそのドープしたガラス層を低屈折率層により覆うことも可能である(図6参照)。繊維のコアとして本明細書に記載したドープガラスを使用したガラス繊維は、公知の方法を用いて組み立てることが可能であるが、そのような方法はたとえば、『レア・アース・ドープド・ファイバー・レーザーズ・アンド・アンプリファイアズ(Rare earth doped fiber lasers and amplifiers)』(M.J.F.ディゴネット(M.J.F.Digonnet)編、1993、マーセル・デッカー・インコーポレーッテッド(Marcel Dekker Inc.)および米国特許第6,484,539B1号明細書(ノーディン(Nordine)ら)および米国特許第6,490,081B1号明細書(ファイレンス(Feillens)ら)に記載がある。
【0082】
本発明により製造されるある種のガラス−セラミック粒子は、研磨粒子として特に有用である。研磨粒子は、研磨物品に組み込むこともできるし、あるいは分散した形態で使用することもできる。本発明により製造される研磨粒子には通常結晶質セラミックを含む(たとえば、少なくとも75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、99.5、またはさらには100容積パーセントの結晶質セラミック)。また別な態様において、本発明は、微粉から粗粒子までの範囲の粒度分布を有する複数の粒子を提供し、そこで、その複数の粒子の少なくとも一部は本発明により製造される研磨粒子である。また別な態様において、本発明により製造される研磨粒子の実施態様には一般に(たとえば、少なくとも75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、99.5、99.9またはさらには100容積パーセント)の本発明により製造されるガラス−セラミックを含む。
【0083】
研磨粒子は通常、所定の粒度分布に分級してから使用する。そのような分布では通常、粗粒子から微粒子まで、ある範囲の粒度を有している。研磨材業界においては、この範囲を「粗粒(coarse)」、「中粒(control)」および「微粉(fine)」画分と呼ぶこともある。業界に受容された分級規格に従って分級された研磨粒子はそれぞれ、その粒度分布を、ある数値限度内の公称グレードとして規定される。そのような業界に受容された分級規格(すなわち、規定公称グレード)としては、アメリカン・ナショナル・スタンダーズ・インスティチュート・インコーポレーテッド(American National Standards Institute、Inc.)(ANSI)規格、フェデレーション・オブ・ユーロピアン・プロデューサーズ・オブ・アブレーシブ・プロダクツ(Federation of European Producers of Abrasive Products)(FEPA)規格、および日本工業規格(JIS)規格として知られているものが挙げられる。一つの態様において、本発明は、複数の研磨粒子の少なくとも一部が本発明により製造される研磨粒子である、規定公称グレードを有する複数の研磨粒子を提供する。実施態様によっては、複数の研磨粒子の全質量を基準にして、複数の研磨粒子の少なくとも5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、またはさらには100質量パーセントが本発明により製造される研磨粒子である。
【0084】
別な態様においては、本発明は、バインダーと複数の研磨粒子を含む研磨物品(たとえば、結合研磨物品、不織研磨物品、または被覆研磨物品)を提供するが、ここで、その研磨粒子の少なくとも一部は、本発明により製造される研磨粒子である。
【0085】
実施態様によっては、本発明は、研磨粒子を製造するための方法を提供し、その方法には、ガラス粒子を加熱処理して、ガラスの少なくとも一部をガラス−セラミックに転化させ、研磨粒子を得ることを含む。実施態様によっては、本発明の方法には、その研磨粒子を分級して、規定公称グレードを有する各種の粒子を得ることをさらに含む。実施態様によっては、本発明の方法には、それらの研磨粒子を研磨物品に組み入れることをさらに含む。
【0086】
研磨物品にはバインダーと複数の研磨粒子とを含み、ここで、その研磨粒子の少なくとも一部は本発明により製造した研磨粒子である。研磨材製品を例示すれば、被覆研磨物品、結合研磨物品(たとえば、ホイール)、不織研磨物品、それに研磨ブラシなどが挙げられる。典型的には、被覆研磨物品には、背中合わせに第1および第2の主表面を有するバッキングが含まれ、そこで第1の主表面の少なくとも一部の上で、バインダーと複数の研磨粒子が研磨材層を形成している。
【0087】
実施態様によっては、研磨物品中の研磨粒子の全質量を基準にして、研磨物品の中の研磨粒子の少なくとも5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、またはさらには100質量パーセントが本発明により製造した研磨粒子である。
【0088】
少なくともAl23と、REOと、Nb25またはTa25の少なくとも1種とを含むセラミックスの実施態様(それらの製造方法および使用方法を含む)に関するさらなる詳細は、たとえば、米国特許出願第10/666615号明細書(本出願と同日に出願)に見出すことができる。(a)Al23、(b)REO、または(c)ZrO2またはHfO2の少なくとも1種、の内の少なくとも2種と、Nb25またはTa25の少なくとも1種とを含むセラミックスの実施態様(それらの製造方法および使用方法を含む)に関するさらなる詳細は、たとえば、米国特許出願第10/666212号明細書(本出願と同日に出願)に見出すことができる。
【0089】
本発明の利点と実施態様について、以下の非限定的な実施例でさらに説明するが、それらの実施例で引用する特定の物質およびその量、さらにはその他の条件および詳細が本発明を不当に限定するものと受け取ってはならない。すべての部とパーセントは、特に断らない限り、質量基準である。特に断らない限り、いずれの実施例でも、顕著な量のSiO2、B23、P25、GeO2、TeO2、As23、およびV25は含まない。
【実施例】
【0090】
実施例1〜14
ポリエチレンビンの中に、以下の表1に列記した成分100グラムを充填した。原料物質の入手先は、後の表2にまとめている。Er23源はEr(NO3)・5H2Oであり、その量は、収率約43質量%で酸化物が得られるものとして計算した。
【0091】
【表1】

【0092】
【表2】

【0093】
それぞれの実施例において、約400グラムのジルコニアミリング媒体(ニュージャージー州バウンド・ブルック(Bound Brook,NJのトーソー・セラミックス・ディビジョン(Tosoh Ceramics Division)から商品名「YTZ」として入手)を、100mLの蒸留脱イオン水と共にビンに加えた。その混合物を24時間、120rpmでミリングした。ミリングの後、ミリング媒体を取り除き、スラリーをガラス(「パイレックス(登録商標)(PYREX(登録商標))」)製のパンの中に注ぎ込み、ヒートガンを使用して乾燥させた。火炎中で融解させる前に、乾燥粒子を、電気加熱炉(カリフォルニア州ピコ・リベラ(Pico Rivera,CA)のキース・ファーネシズ(Keith Furnaces)商品名「モデルKKSK−666−3100」として入手)中空気の下で、1300℃、1時間かけて焼成した。乳鉢と乳棒を用いて粉砕してから、その焼成した粒子の一部を、水素/酸素トーチフレームの中にフィードした。その多相粒子を融解させ、それにより融解ガラスビーズを生成させるために使用する水素トーチは、ベスレヘム(Bethlehem)ベンチバーナー(ペンシルバニア州ヘラータウン(Hellertown,PA)のベスレヘム・アパラタス・カンパニー(Bethlehem Apparatus Co.)から入手したPM2DモデルB)であった。内環での水素の流量は8リットル(標準状態)/分(SLPM)、酸素の流量は3SLPMであった。外環での水素の流量は23リットル(標準状態)/分(SLPM)、酸素の流量は9.8SLPMであった。乾燥させ、粒度を揃えた粒子を直接水素トーチフレームの中に供給し、そこで融解させてから、その上に冷水(約8L/分)を流している、傾斜を付けたステンレス鋼の表面(幅約20インチ、傾斜角45度)に移した。
【0094】
得られた融解・急冷粒子をパンに集めて、110℃で乾燥させた。その粒子は球形の形状を有していて、その大きさは10分の数マイクロメートルから250マイクロメートルまでであった。
【0095】
得られた火炎により形成させたビーズについての非晶質の生成パーセントは、−100+120メッシュの粒度画分(すなわち、150マイクロメートル開口寸法から125マイクロメートル開口寸法までの間の篩で集められた画分)を使用して計算した。測定は以下のような方法で行った。ガラススライドの上に、ビーズを1層の厚みで拡げた。光学顕微鏡を用いてそれらのビーズを観察した。光学顕微鏡の接眼レンズにある十字線を目安として利用して、直線に沿って十字線と水平に一致しているビーズについて、その光学的な透明性から判断して非晶質、結晶質のいずれであるかを数えた(すなわち、透明なものは非晶質である)。全部で500個のビーズを調べて、数えたビーズの全数で非晶質ビーズの数を割り算することによって、非晶質の生成パーセントを求めた。実施例1〜14の火炎により形成されたビーズについての、非晶質生成データを、先の表1に報告している。
【0096】
実施例15および16
実施例1および4のビーズの一部を、下記のようにして、炉(電気加熱炉(カリフォルニア州ピコ・リベラ(Pico Rivera,CA)のキース・ファーネシズ(Keith Furnaces))から商品名「モデルKKSK−666−3100」として入手))の中で加熱処理して、それぞれ実施例15および16を得た。ビーズをまず室温(約25℃)から加熱して、約10℃/分の速度で約1300℃まで昇温してから、1300℃で約1時間維持した。次いで、炉の電源を落として、そのビーズを室温にまで冷却した。
【0097】
図8および9は、加熱処理した実施例1および4の物質のポリッシングした切片の、それぞれ15,000倍および20,000倍の走査型電子顕微鏡(SEM)デジタル顕微鏡写真であり、それらの物質の結晶質の性質を示している。このポリッシングした切片は、通常の固定法およびポリッシング法を用いて調製した。ポリッシングでは、ポリッシャー(イリノイ州レーク・ブラフ(Lake Bluff、IL)のビューラー(Buehler)から商品名「エコメット・3・タイプ・ポリッシャー・グラインダー(ECOMET 3 TYPE POLISHER−GRINDER)として入手)を使用した。これらのサンプルは、125マイクロメートルのダイヤモンドを含むダイヤモンドホイールを用いて約3分間ポリッシングした後で、それぞれ45、30、15、9、および3マイクロメートルのダイヤモンドスラリーを用いて3分間ポリッシングした。ポリッシングしたサンプルを、金・パラジウムの薄膜でコーティングしてから、JEOL・SEM(モデルJSM840A)を用いて観察した。
【0098】
本発明の範囲および本発明の精神から逸脱することなく、本発明の各種の修正と変更が可能であることは当業者には明らかであるが、本発明が、本明細書に記載した説明のための実施態様によって不当に限定されるものではないことは、理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】図1は本明細書に記載の光導波路の実施態様例の断面図である。
【図2】図2は本明細書に記載の光導波路の別な実施態様例の断面図である。
【図3】図3は本明細書に記載の光導波路の別な実施態様例の断面図である。
【図4】図4は本明細書に記載の光導波路の別な実施態様例の断面図である。
【図5】図5は本明細書に記載の光導波路の別な実施態様例の断面図である。
【図6】図6は本明細書に記載の光導波路の別な実施態様例の断面図である。
【図7】図7は本発明の光導波路増幅器の構成の実施態様を示した図である。
【図8】図8は実施例15の材料の走査型電子顕微鏡(SEM)デジタル写真である。
【図9】図9は実施例16の材料の走査型電子顕微鏡(SEM)デジタル写真である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
全質量を基準にして、(i)Nb25またはTa2Oの少なくとも1種と、(ii)(a)Al23、(b)Y23、または(c)ZrO2もしくはHfO2の少なくとも1種、の内の少なくとも2種とを、合計して少なくとも70質量パーセント含み、そしてAs23、B23、GeO2、P25、SiO2、TeO2、およびV25を合計して30質量パーセント以下で含むガラス。
【請求項2】
Al23と、Y23またはREOの少なくとも1種と、ZrO2またはHfO2の少なくとも1種とが存在する場合に、前記ガラスが、その全質量を基準にして、4質量パーセント以下か、または少なくとも6質量パーセントのいずれかで、Nb25またはTa25の少なくとも1種を含む、請求項1に記載のガラス。
【請求項3】
Al23と、Y23またはREOの少なくとも1種と、ZrO2またはHfO2の少なくとも1種とが存在する場合に、前記ガラスが、その全質量を基準にして、少なくとも6質量パーセントの、Nb25またはTa25の少なくとも1種を含む、請求項1に記載のガラス。
【請求項4】
(i)Nb25またはTa25の少なくとも1種と、(ii)(a)Al23、(b)Y23、または(c)ZrO2もしくはHfO2の少なくとも1種、の内の少なくとも2種とを、前記ガラスの全質量を基準にして、合計して少なくとも75質量パーセント含む、請求項3に記載のガラス。
【請求項5】
(i)Nb25またはTa25の少なくとも1種と、(ii)(a)Al23、(b)Y23、または(c)ZrO2もしくはHfO2の少なくとも1種、の内の少なくとも2種とを、前記ガラスの全質量を基準にして、合計して少なくとも80質量パーセント含む、請求項3に記載のガラス。
【請求項6】
(i)Nb25またはTa25の少なくとも1種と、(ii)(a)Al23、(b)Y23、または(c)ZrO2もしくはHfO2の少なくとも1種、の内の少なくとも2種とを、前記ガラスの全質量を基準にして、合計して少なくとも85質量パーセント含む、請求項3に記載のガラス。
【請求項7】
(i)Nb25またはTa25の少なくとも1種と、(ii)(a)Al23、(b)Y23、または(c)ZrO2もしくはHfO2の少なくとも1種、の内の少なくとも2種とを、前記ガラスの全質量を基準にして、合計して少なくとも90質量パーセント含む、請求項3に記載のガラス。
【請求項8】
(i)Nb25またはTa25の少なくとも1種と、(ii)(a)Al23、(b)Y23、または(c)ZrO2もしくはHfO2の少なくとも1種、の内の少なくとも2種とを、前記ガラスの全質量を基準にして、合計して少なくとも99質量パーセント含む、請求項3に記載のガラス。
【請求項9】
(i)Nb25またはTa25の少なくとも1種と、(ii)(a)Al23、(b)Y23、または(c)ZrO2もしくはHfO2の少なくとも1種、の内の少なくとも2種とを、前記ガラスの全質量を基準にして、合計して100質量パーセント含む、請求項3に記載のガラス。
【請求項10】
前記ガラスの全質量を基準にして、合計して少なくとも70質量パーセントの、Al23と、ZrO2またはHfO2の少なくとも1種と、Nb25またはTa25の少なくとも1種とを含む、請求項3に記載のガラス。
【請求項11】
ZrO2またはHfO2の少なくとも1種が、前記ガラスの全質量を基準にして、少なくとも5質量パーセントの量で存在する、請求項10に記載のガラス。
【請求項12】
ZrO2またはHfO2の少なくとも1種が、前記ガラスの全質量を基準にして、少なくとも10質量パーセントの量で存在する、請求項10に記載のガラス。
【請求項13】
前記ガラスの全質量を基準にして、合計して少なくとも70質量パーセントの、Al23と、Y23と、Nb25またはTa25の少なくとも1種とを含む、請求項3に記載のガラス。
【請求項14】
Nb25またはTa25の少なくとも1種が、前記ガラスの全質量を基準にして、少なくとも10質量パーセントの量で存在する、請求項3に記載のガラス。
【請求項15】
23と、ZrO2またはHfO2の少なくとも1種と、Nb25またはTa25の少なくとも1種とを、合計して少なくとも70質量パーセント含む、請求項3に記載のガラス。
【請求項16】
Nb25またはTa25の少なくとも1種が、前記ガラスの全質量を基準にして、5質量パーセントを超える量で存在する、請求項15に記載のガラス。
【請求項17】
Nb25またはTa25の少なくとも1種が、前記ガラスの全質量を基準にして、少なくとも10質量パーセントの量で存在する、請求項15に記載のガラス。
【請求項18】
前記ガラスの全質量を基準にして、5質量パーセントを超える、Nb25またはTa25の少なくとも1種を含む、請求項3に記載のガラス。
【請求項19】
前記ガラスの全質量を基準にして、少なくとも10質量パーセントの、Nb25またはTa25の少なくとも1種を含む、請求項3に記載のガラス。
【請求項20】
前記ガラスの全質量を基準にして、少なくとも15質量パーセントの、Nb25またはTa25の少なくとも1種を含む、請求項3に記載のガラス。
【請求項21】
前記ガラスの全質量を基準にして、少なくとも20質量パーセントの、Nb25またはTa25の少なくとも1種を含む、請求項3に記載のガラス。
【請求項22】
前記ガラスの全質量を基準にして、少なくとも25質量パーセントの、Nb25またはTa25の少なくとも1種を含む、請求項3に記載のガラス。
【請求項23】
前記ガラスの全質量を基準にして、10〜40質量パーセントの範囲で、Nb25またはTa25の少なくとも1種を含む、請求項3に記載のガラス。
【請求項24】
前記ガラスの全質量を基準にして、合計して少なくとも70質量パーセントの、Al23と、Y23と、ZrO2またはHfO2の少なくとも1種と、Nb25またはTa25の少なくとも1種とを含む、請求項3に記載のガラス。
【請求項25】
ZrO2またはHfO2の少なくとも1種が、前記ガラスの全質量を基準にして、少なくとも5質量パーセントの量で存在する、請求項24に記載のガラス。
【請求項26】
ZrO2またはHfO2の少なくとも1種が、前記ガラスの全質量を基準にして、少なくとも10質量パーセントの量で存在する、請求項24に記載のガラス。
【請求項27】
請求項3に記載のガラスを含むセラミック。
【請求項28】
請求項3に記載のガラスを製造するための方法であって:
(i)Nb25またはTa25の少なくとも1種と、(ii)(a)Al23、(b)Y23、または(c)ZrO2もしくはHfO2の少なくとも1種、の内の少なくとも2種の供給源を溶融させて、溶融物を得る工程、および
前記溶融物を冷却して、ガラスを得る工程、
を含む方法。
【請求項29】
請求項3に記載のセラミック含有ガラスを製造するための方法であって:
(i)Nb25またはTa25の少なくとも1種と、(ii)(a)Al23、(b)Y23、または(c)ZrO2もしくはHfO2の少なくとも1種、の内の少なくとも2種の供給源を溶融させて、溶融物を得る工程、および
前記溶融物を冷却して、セラミックを得る工程、
を含む方法。
【請求項30】
請求項3に記載のガラスを含む物品を製造するための方法であって:
ガラスを含むガラス粉体を得る工程であって、前記ガラスが、(i)Nb25またはTa25の少なくとも1種と、(ii)(a)Al23、(b)Y23、または(c)ZrO2もしくはHfO2の少なくとも1種、の内の少なくとも2種とを、合計して少なくとも70質量パーセント含み、そしてAs23、B23、GeO2、P25、SiO2、TeO2、およびV25を合計して30質量パーセント以下で含むが、ここで、Al23、Y23またはREOの少なくとも1種、およびZrO2またはHfO2の少なくとも1種が存在する場合に、前記ガラスが、その全質量を基準にして、少なくとも6質量パーセントの、Nb25またはTa25の少なくとも1種を含み、前記ガラスがTgを有する、工程、および
前記ガラス粉体をそのTgよりも高い温度に加熱して、前記ガラスビーズを融合させて、形状を形成させ物品を得る工程、
を含む方法。
【請求項31】
基材、および
前記基材の表面上にある請求項3に記載のガラス、
を含む光導波路。
【請求項32】
前記ガラスに希土類ドーパントがドープされている、請求項31に記載の光導波路。
【請求項33】
前記希土類ドーパントが、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、またはそれらの他の化合物、およびそれらの混合物からなる群より選択される、請求項32に記載の光導波路。
【請求項34】
コア材料と、前記コア材料を取り囲むクラッドとを有するガラス繊維を含んで成る光導波路であって、前記コア材料が請求項3に記載のガラスを含む光導波路。
【請求項35】
前記ガラスに希土類ドーパントがドープされている、請求項34に記載の光導波路。
【請求項36】
前記希土類ドーパントが、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、またはそれらの他の化合物、およびそれらの混合物からなる群より選択される、請求項35に記載の光導波路。
【請求項37】
光ポンプ光を与える光ポンプ光源、および
前記光ポンプ光源からの光ポンプ光を受容するようにカップリングされた光導波路、を含んで成る光増幅器であって、前記光導波路が請求項3に記載のガラスを含む光増幅器。
【請求項38】
前記ガラスに希土類ドーパントがドープされている、請求項37に記載の光増幅器。
【請求項39】
前記希土類ドーパントが、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、またはその他の化合物、およびそれらの混合物からなる群より選択される、請求項38に記載の光増幅器。
【請求項40】
光信号を、請求項3に記載のガラスを含む光導波路に入力する工程、および
前記光導波路にポンプ光を導入して、前記導波路により、入力された前記光学信号に光学的な増幅をもたらす工程、
を含む、光信号を増幅するための方法。
【請求項41】
前記ガラスに希土類ドーパントがドープされている、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
少なくとも75容積パーセントのガラスを含むセラミックであって、前記ガラスが、その全質量を基準にして、(i)Nb25またはTa25の少なくとも1種と、(ii)(a)Al23、(b)Y23、または(c)ZrO2もしくはHfO2の少なくとも1種、の内の少なくとも2種とを、合計して少なくとも70質量パーセント含み、そしてAs23、B23、GeO2、P25、SiO2、TeO2、およびV25を合計して30質量パーセント以下で含むセラミック。
【請求項43】
Al23と、Y23またはREOの少なくとも1種と、ZrO2またはHfO2の少なくとも1種とが存在する場合に、前記ガラスが、その全質量を基準にして、4質量パーセント以下か、または少なくとも6質量パーセントのいずれかで、Nb25またはTa25の少なくとも1種を含む、請求項42に記載のセラミック。
【請求項44】
Al23と、Y23またはREOの少なくとも1種と、ZrO2またはHfO2の少なくとも1種とが存在する場合に、前記ガラスが、その全質量を基準にして、少なくとも6質量パーセントの、Nb25またはTa25の少なくとも1種を含む、請求項42に記載のセラミック。
【請求項45】
全質量を基準にして、(i)Nb25またはTa25の少なくとも1種と、(ii)(a)Al23、(b)Y23、または(c)ZrO2もしくはHfO2の少なくとも1種、の内の少なくとも2種とを、合計して少なくとも70質量パーセント含み、そしてAs23、B23、GeO2、P25、SiO2、TeO2、およびV25を合計して30質量パーセント以下で含む、ガラス−セラミック。
【請求項46】
Al23と、Y23またはREOの少なくとも1種と、ZrO2またはHfO2の少なくとも1種とが存在する場合に、前記ガラス−セラミックが、その全質量を基準にして、4質量パーセント以下か、または少なくとも6質量パーセントのいずれかで、Nb25またはTa25の少なくとも1種を含む、請求項45に記載のガラス−セラミック。
【請求項47】
Al23と、Y23またはREOの少なくとも1種と、ZrO2またはHfO2の少なくとも1種とが存在する場合に、前記ガラス−セラミックが、その全質量を基準にして、少なくとも6質量パーセントの、Nb25またはTa25の少なくとも1種を含む、請求項45に記載のガラス−セラミック。
【請求項48】
(i)Nb25またはTa25の少なくとも1種と、(ii)(a)Al23、(b)Y23、または(c)ZrO2もしくはHfO2の少なくとも1種、の内の少なくとも2種とを、前記ガラス−セラミックの全質量を基準にして、合計して少なくとも75質量パーセント含む、請求項47に記載のガラス−セラミック。
【請求項49】
(i)Nb25またはTa25の少なくとも1種と、(ii)(a)Al23、(b)Y23、または(c)ZrO2もしくはHfO2の少なくとも1種、の内の少なくとも2種とを、前記ガラス−セラミックの全質量を基準にして、合計して少なくとも80質量パーセント含む、請求項47に記載のガラス−セラミック。
【請求項50】
(i)Nb25またはTa25の少なくとも1種と、(ii)(a)Al23、(b)Y23、または(c)ZrO2もしくはHfO2の少なくとも1種、の内の少なくとも2種とを、前記ガラス−セラミックの全質量を基準にして、合計して少なくとも85質量パーセント含む、請求項47に記載のガラス−セラミック。
【請求項51】
(i)Nb25またはTa25の少なくとも1種と、(ii)(a)Al23、(b)Y23、または(c)ZrO2もしくはHfO2の少なくとも1種、の内の少なくとも2種とを、前記ガラス−セラミックの全質量を基準にして、合計して少なくとも90質量パーセント含む、請求項47に記載のガラス−セラミック。
【請求項52】
(i)Nb25またはTa25の少なくとも1種と、(ii)(a)Al23、(b)Y23、または(c)ZrO2もしくはHfO2の少なくとも1種、の内の少なくとも2種とを、前記ガラス−セラミックの全質量を基準にして、合計して少なくとも95質量パーセント含む、請求項47に記載のガラス−セラミック。
【請求項53】
(i)Nb25またはTa25の少なくとも1種と、(ii)(a)Al23、(b)Y23、または(c)ZrO2もしくはHfO2の少なくとも1種、の内の少なくとも2種とを、前記ガラス−セラミックの全質量を基準にして、合計して少なくとも99質量パーセント含む、請求項47に記載のガラス−セラミック。
【請求項54】
(i)Nb25またはTa25の少なくとも1種と、(ii)(a)Al23、(b)Y23、または(c)ZrO2もしくはHfO2の少なくとも1種、の内の少なくとも2種とを、前記ガラス−セラミックの全質量を基準にして、合計して100質量パーセント含む、請求項47に記載のガラス−セラミック。
【請求項55】
前記ガラス−セラミックの全質量を基準にして、合計して少なくとも70質量パーセントのAl23と、ZrO2またはHfO2の少なくとも1種と、Nb25またはTa25の少なくとも1種とを含む、請求項47に記載のガラス−セラミック。
【請求項56】
ZrO2またはHfO2の少なくとも1種が、前記ガラス−セラミックの全質量を基準にして、少なくとも5質量パーセントの量で存在する、請求項55に記載のガラス−セラミック。
【請求項57】
ZrO2またはHfO2の少なくとも1種が、前記ガラス−セラミックの全質量を基準にして、少なくとも10質量パーセントの量で存在する、請求項55に記載のガラス−セラミック。
【請求項58】
前記ガラス−セラミックの全質量を基準にして、合計して少なくとも70質量パーセントのAl23と、Y23と、Nb25またはTa25の少なくとも1種とを含む、請求項47に記載のガラス−セラミック。
【請求項59】
Nb25またはTa25の少なくとも1種が、前記ガラス−セラミックの全質量を基準にして、少なくとも10質量パーセントの量で存在する、請求項58に記載のガラス−セラミック。
【請求項60】
23と、ZrO2またはHfO2の少なくとも1種と、Nb25またはTa25の少なくとも1種とを、合計して少なくとも70質量パーセント含む、請求項47に記載のガラス−セラミック。
【請求項61】
Nb25またはTa25の少なくとも1種が、前記ガラス−セラミックの全質量を基準にして、5質量パーセントを超える量で存在する、請求項50に記載のガラス−セラミック。
【請求項62】
Nb25またはTa25の少なくとも1種が、前記ガラス−セラミックの全質量を基準にして、少なくとも10質量パーセントの量で存在する、請求項60に記載のガラス−セラミック。
【請求項63】
前記ガラス−セラミックの全質量を基準にして、合計して少なくとも70質量パーセントのAl23と、Y23と、ZrO2またはHfO2の少なくとも1種と、Nb25またはTa25の少なくとも1種とを含む、請求項47に記載のガラス−セラミック。
【請求項64】
ZrO2またはHfO2の少なくとも1種が、前記ガラス−セラミックの全質量を基準にして、少なくとも5質量パーセントの量で存在する、請求項63に記載のガラス−セラミック。
【請求項65】
ZrO2またはHfO2の少なくとも1種が、前記ガラス−セラミックの全質量を基準にして、少なくとも10質量パーセントの量で存在する、請求項63に記載のガラス−セラミック。
【請求項66】
請求項47に記載のガラス−セラミックを製造するための方法であって:
ガラスを加熱処理して、前記ガラスの少なくとも一部を結晶質セラミックに転化させてガラス−セラミックを得る工程を含み、ここで、前記ガラスが、(i)Nb25またはTa25の少なくとも1種と、(ii)(a)Al23、(b)Y23、または(c)ZrO2もしくはHfO2の少なくとも1種、の内の少なくとも2種とを、合計して少なくとも70質量パーセント含み、そしてAs23、B23、GeO2、P25、SiO2、TeO2、およびV25を合計して30質量パーセント以下で含む、方法。
【請求項67】
請求項47に記載のガラス−セラミックを製造するための方法であって:
セラミック含有ガラスを加熱処理して、前記ガラスの少なくとも一部を結晶質セラミックに転化させてガラス−セラミックを得る工程を含むが、ここで、前記ガラスが、(i)Nb25またはTa25の少なくとも1種と、(ii)(a)Al23、(b)Y23、または(c)ZrO2もしくはHfO2の少なくとも1種、の内の少なくとも2種とを、合計して少なくとも70質量パーセント含み、そしてAs23、B23、GeO2、P25、SiO2、TeO2、およびV25を合計して30質量パーセント以下で含む、方法。
【請求項68】
ガラス−セラミック物品を製造するための方法であって、前記方法が:
ガラス粉体を得る工程であって、前記ガラスが、その全質量を基準にして、(i)Nb25またはTa25の少なくとも1種と、(ii)(a)Al23、(b)Y23、または(c)ZrO2もしくはHfO2の少なくとも1種、の内の少なくとも2種とを、合計して少なくとも70質量パーセント含み、そしてAs23、B23、GeO2、P25、SiO2、TeO2、およびV25を合計して30質量パーセント以下で含み、前記ガラスがTgを有する、工程、
前記ガラス粉体をそのTgよりも高い温度に加熱して、前記ガラス粉体を融合させて、形状を形成させ、ガラス物品を得る工程、および
前記ガラス物品を加熱処理して、前記ガラスの少なくとも一部を結晶質セラミックに転化させ、ガラス−セラミック物品を得る工程、
を含む方法。
【請求項69】
Al23と、Y23またはREOの少なくとも1種と、ZrO2またはHfO2の少なくとも1種とが存在する場合に、前記ガラスが、その全質量を基準にして、4質量パーセント以下か、または少なくとも6質量パーセントのいずれかで、Nb25またはTa25の少なくとも1種を含む、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
Al23と、Y23またはREOの少なくとも1種と、ZrO2またはHfO2の少なくとも1種とが存在する場合に、前記ガラスが、その全質量を基準にして、少なくとも6質量パーセントの、Nb25またはTa25の少なくとも1種を含む、請求項68に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2007−505813(P2007−505813A)
【公表日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−526871(P2006−526871)
【出願日】平成16年7月6日(2004.7.6)
【国際出願番号】PCT/US2004/021601
【国際公開番号】WO2005/035457
【国際公開日】平成17年4月21日(2005.4.21)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】