説明

C型肝炎ウイルスインヒビター

本発明は、一般式:


[式中、R、R、R、R、R、B、YおよびXは明細書中に記載する通りである]
で示される化合物を提供する。本発明はまた、該化合物を含有する医薬組成物、およびHCVを阻害するために該化合物を使用する方法をも提供する。


【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
(技術分野)
本発明は、一般的に抗ウイルス化合物に関し、そしてより具体的には、C型肝炎ウイルス(HCV)によってコードされるNS3プロテアーゼ(このものはまた、本明細書中、「セリンプロテアーゼ]とも呼ぶ」)の機能化を阻害する化合物、該化合物を含有する組成物、および該NS3プロテアーゼの機能化を阻害するための方法に関する。
【0002】
(背景技術)
HCVは重大なヒト病原体であって、このものは世界中で推定1億7000万人に影響を及ぼしており、これは、ヒト免疫不全症ウイルス1型によって感染している数のおよそ5倍である。これらHCV感染した個体のかなりの割合が、重大な進行性の肝臓疾患(例えば、肝硬変および肝臓癌を含む)を発生する(Lauer, G. M.; Walker, B. D.による、N. Engl. J. Med. (2001), 345, 41-52)。
【0003】
現在、最も有効なHCV療法はアルファ−インターフェロンおよびリバビリンの組み合わせを使用し、それにより、患者の40%において持続的な効力をもたらしている(Poynard, T.らによる、Lancet (1998), 352, 1426-1432)。最近の臨床的な結果は、ペグ化(pegylated)アルファ−インターフェロンは、単独療法として未修飾アルファ−インターフェロンよりも優れていることを示している(Zeuzem, S.らによる、N. Engl. J. Med. (2000), 343, 1666-1672)。しかしながら、ペグ化アルファ−インターフェロンおよびリバビリンの組み合わせを含む実験的な治療レジメの場合でさえも、かなりの割合の患者はウイルス量の持続的な低下を有しない。従って、HCV感染症の処置のための有効な治療薬を開発するための、明白で且つ長期の感情的な要求が存在する。
【0004】
HCVは、プラス鎖RNAウイルスである。推定アミノ酸配列と5未翻訳領域における広範な類似度との比較に基づくと、HCVはフラビウイルス科ファミリーの別の属として分類されている。フラビウイルス科ファミリーの全ての要素は、単一の中断されていないオープンリーディングフレームの翻訳による、全ての公知のウイルス特異的なタンパク質をコードするプラス鎖RNAゲノムを含むエンベロープ・ビリオンを有する。
【0005】
かなりの異質性が、HCVゲノムにわたるヌクレオチドおよびコードアミノ酸配列内に存在する。少なくとも6個の主要な遺伝子型が確認されており、そして50個以上のサブタイプが記載されている。HCVの主要な遺伝子型は、世界中でそれらの分布において相違し、そして、HCVの遺伝的な異質性の臨床上の意義は、病因および療法に及ぼす遺伝子型の可能な効果についての多数の研究にもかかわらず、とらえどころのないままである。
【0006】
一本鎖HCV RNAゲノムは、およそ9500ヌクレオチド鎖長であり、そしてこのものは、約3000アミノ酸の1個の大きなポリタンパク質をコードする1個のオープンリーディングフレーム(ORF)を有する。感染細胞において、このポリタンパク質は、細胞およびウイルスのプロテアーゼによって多数の部位で切断されて、構造および非構造(NS)のタンパク質を与える。HCVの場合には、成熟した非構造タンパク質(NS2、NS3、NS4A、NS4B、NS5A、およびNS5B)の生成は、2個のウイルスプロテアーゼによって影響を受ける。1つ目は、NS2−NS3接合部で切断すると考えられ;2つ目は、NS3のN−末端領域内に含まれるセリンプロテアーゼであって、そしてNS3の下流の全ての続く切断(NS3−NS4A切断部位ではシス、および残りのNS4A−NS4B、NS4B−NS5A、NS5A−NS5Bの部位ではトランス、の両方で)を媒介する。該NS4Aタンパク質は多数の機能を果たし、従って、NS3プロテアーゼの補助因子として作用し、そしておそらくNS3および他のウイルスレプリカーゼ成分の膜局在化を助けると考えられる。該NS3タンパク質とNS4Aとの複合体の形成はプロセッシング事象にとって必要であると思われ、従って、該部位の全てでタンパク質分解の効率を増大する。該NS3タンパク質はまた、ヌクレオシド・トリホスファターゼおよびRNAヘリカーゼの活性をも示す。NS5Bは、HCVの複製に関与するRNA依存性RNAポリメラーゼである。
【0007】
選択的なHCVセリンプロテアーゼインヒビターとしてHCV複製を阻害する際に効力を示す化合物としては、米国特許第6,323,180号中に開示されているペプチド化合物が挙げられる。
【0008】
(発明の概要)
本発明は、式:
【化1】

で示される化合物、またはその医薬的に許容し得る塩、溶媒和物もしくはプロドラッグに関する。ここで、上記式中、
(a)RおよびRは各々独立して、C1〜8アルキル、C3〜7シクロアルキル、C4〜10アルキルシクロアルキル、C1〜6アルコキシ、C6〜10アリール、C7〜14アルキルアリール、C9〜14シクロアルキルアリール、C7〜14アルコキシアリール、C9〜14シクロアルコキシアリール、5〜7員ヘテロアリール、またはC7〜14アルキルヘテロアリールであるか;あるいは、RおよびRはそれらが結合する窒素原子と一緒になって、4〜8員単環式へテロ環を形成し;
(b)mは、1または2であり;
(c)nは、1または2であり;
(d)Rは、H;または、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニルもしくはC3〜7シクロアルキル(各々は場合によりハロゲンで置換される)であり;
(e)Rは、場合により置換されたC1〜8アルキル(置換基は、ハロ、シアノ、アミノ、C1〜6ジアルキルアミノ、C6〜10アリール、C7〜14アルキルアリール、C1〜6アルコキシ、カルボキシ、ヒドロキシ、アリールオキシ、C7〜14アルキルアリールオキシ、C2〜6アルキルエステル、またはC8〜15アルキルアリールエステルである);C3〜12アルケニル;C3〜7シクロアルキル、もしくはC4〜10アルキルシクロアルキル(ここで、該シクロアルキルまたはアルキルシクロアルキルは場合により、ヒドロキシ、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、またはC1〜6アルコキシで置換される)であるか、あるいはRはそれが結合する炭素原子と一緒になって、場合によりC2〜6アルケニルで置換されたC3〜7シクロアルキル基を形成し;
(f)RまたはRがHである場合には、YはHであるという条件で、Yは、H;ニトロで置換されたフェニル;ニトロで置換されたピリジル;または、場合によりシアノ、ヒドロキシルもしくはC3〜7シクロアルキルで置換されたC1〜6アルキルであり;
(g)Bは、H、C1〜6アルキル、R−(C=O)−、RO(C=O)−、R−N(R)−C(=O)−、R−N(R)−C(=S)−、RSO−、またはR−N(R)−SO−であり;
(h)Rは、(i)場合により置換されたC1〜10アルキル(該置換基は、フェニル、カルボキシル、C1〜6アルカノイル、1〜3個のハロゲン、ヒドロキシ、−OC(O)C1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ、場合によりC1〜6アルキルで置換されたアミノ、アミド、または(低級アルキル)アミドである);(ii)C3〜7シクロアルキル、C3〜7シクロアルコキシ、もしくはC4〜10アルキルシクロアルキル(各々は場合により、ヒドロキシ、カルボキシル、(C1〜6アルコキシ)カルボニル、場合によりC1〜6アルキルで置換されたアミノ、アミド、または(低級アルキル)アミドで置換される);(iii)C6〜10アリール、もしくはC7〜16アリールアルキル(各々は場合により、C1〜6アルキル、ハロゲン、ニトロ、ヒドロキシ、アミド、(低級アルキル)アミド、または場合によりC1〜6アルキルで置換されたアミノで置換される);(iv)Het;(v)ビシクロ(1.1.1)ペンタン;または、(vi)−C(O)OC1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、もしくはC2〜6アルキニルであり;
(i)RはC1〜10アルキルであるという条件で、Rは、H;場合により1〜3個のハロゲンで置換されたC1〜6アルキル;または、C1〜6アルコキシであり;
(j)Xは、O、S、SO、SO、OCH、CHO、またはNHであり;
(k)Rは、Het;C6〜10アリールまたはC7〜14アルキルアリール(各々は場合によりRで置換される)であり;そして、
(l)Rは、C1〜6アルキル、C3〜7シクロアルキル、C1〜6アルコキシ、C3〜7シクロアルコキシ、ハロ−C1〜6アルキル、CF、モノ−もしくはジ−ハロ−C1〜6アルコキシ、シアノ、ハロ、チオアルキル、ヒドロキシ、アルカノイル、NO、SH、アミノ、C1〜6アルキルアミノ、ジ(C1〜6)アルキルアミノ、ジ(C1〜6)アルキルアミド、カルボキシル、(C1〜6)カルボキシエステル、C1〜6アルキルスルホン、C1〜6アルキルスルホンアミド、ジ(C1〜6)アルキル(アルコキシ)アミン、C6〜10アリール、C7〜14アルキルアリール、または5〜7員単環式へテロ環である。
【0009】
本発明はまた、該化合物、またはその医薬的に許容し得る塩、溶媒和物もしくはプロドラッグ、および医薬的に許容し得る担体を含有する組成物をも提供する。特に、本発明は、本発明の化合物、またはその医薬的に許容し得る塩、溶媒和物もしくはプロドラッグの治療学的に有効な量、および医薬的に許容し得る担体を含有する、HCV NS3を阻害するのに有用な医薬組成物を提供する。
【0010】
本発明は更に、HCVに感染した患者を処置するための方法を提供し、該方法は、患者に本発明の化合物、またはその医薬的に許容し得る塩、溶媒和物もしくはプロドラッグの治療学的に有効な量を投与することを含む。加えて、本発明は、NS3プロテアーゼを本発明の化合物と接触させることによって、HCV NS3プロテアーゼを阻害する方法を提供する。
【0011】
本発明によって、HCVに感染した患者の処置において有効であり得る本発明の化合物を含有する、改善された薬物を提供することが可能である。具体的には、本発明は、例えばNS4Aプロテアーゼと組み合わせて、NS3プロテアーゼの機能化を阻害し得るペプチド化合物を提供する。更に、本発明は、患者に併用療法を投与することを可能とし、これによって、本発明に記載の化合物(このものは、HCV N3プロテアーゼを阻害するのに有効である)を、抗−HCV活性を有する別の化合物(例えば、HCVメタロプロテアーゼ、HCVセリンプロテアーゼ、HCVポリメラーゼ、HCVヘリカーゼ、HCV NS4Bタンパク質、HCV侵入、HCVアセンブリ、HCV放出、HCV NS5Aタンパク質、IMPDH、およびHCV感染症の処置のためのヌクレオシドアナログからなる群から選ばれる標的の機能を阻害するのに有効である化合物)と一緒に投与することができる。
【0012】
(発明の詳細な記載)
本明細書中で使用する立体化学的な定義および慣習は、通常以下のものに従う:McGraw-Hill Dictionary of Chemical Terms, S. P. Parker編, McGraw-Hill Book Company, New York (1984);およびStereochemistry of Organic Compounds, Eliel, E.および Wilen, S.による, John Wiley & Sons, Inc., New York (1994)。多数の有機化合物が光学活性な形態で存在し、すなわち、それらは面偏向の面を回転する能力を有する。光学活性な化合物を記載する際に、接頭辞DおよびL、またはRおよびSは、そのキラル中心について分子の絶対配置を示すのに用いる。接頭辞dおよびl、または(+)および(−)は、該化合物による面偏向の回転のしるしを示すのに使用し、ここで、(−)またはlは該化合物が左旋性であることを意味し、そして(+)またはdは、該化合物が右旋性であることを意味する。示す化学構造について、立体異性体と呼ばれるこれらの化合物は、それらが互いに鏡像であること以外には、同一である。鏡像対の具体的な立体異性体はまたエナンチオマーと呼ばれ得て、そしてそれら異性体の混合物はエナンチオマー混合物と呼ばれることが多い。(R)または(S)を使用する場合についての記載において、置換基単独ではなく化合物全体における、置換基の絶対的な立体配置を示す。
【0013】
本明細書中に特に断らない限り、以下に記載する用語は、以下の定義を有する。
【0014】
用語「ラセミ混合物」および「ラセミ化合物」とは、光学活性が全くない、2個のエナンチオマー種の等モル混合物を意味する。
【0015】
用語「キラル」とは、その鏡像パートナーと重ね合わせることができない性質を有する分子を意味し、一方で、用語「アキラル」とは、鏡像パートナーと重ね合わせることができる分子を意味する。
【0016】
用語「立体異性体」とは、同一の化学組成を有するが、空間における原子または基の配置について異なる、化合物を意味する。
【0017】
用語「ジアステレオマー」とは、エナンチオマーではない立体異性体であって、2個以上のキラリティー中心を有し且つ分子は互いに鏡像ではない立体異性体を意味する。ジアステレオマーは、異なる物理学的な性質(例えば、融点、沸点、スペクトル的な性質、および反応性)を有する。ジアステレオマーの混合物は、高分割能の分析方法(例えば、電気泳動法およびクロマトグラフィー法)の下で分離することができる。
【0018】
用語「エナンチオマー」とは、互いに重ね合わせることができない鏡像である化合物の2個の立体異性体を意味する。
【0019】
用語「医薬的に許容し得る塩」とは、塩基性または酸性の部分を含む化合物から通常の化学的な方法によって製造される、非毒性の塩を含むことを意図する。通常、それらの塩は、これらの化合物の酸または塩基の形態を、化学量論的な量の適当な塩基または酸と、水もしくは有機溶媒またはその2つの混合物(通常、非水性媒質(例えば、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール、またはアセトニトリル)が好ましい)中で反応させることによって製造し得る。適当な塩のリストは、Remington's Pharmaceutical Sciences, 18版., Mack Publishing Company, Easton, PA, 1990, 1445頁中に知られる。本発明の化合物は、遊離な塩基もしくは酸の形態で、またはそれらの医薬的に許容し得る塩の形態で有用である。全ての形態は、本発明の範囲内である。
【0020】
用語「治療学的に有効な量」とは、意義ある患者の利益(例えば、ウイルス量の持続的な減少)を示すのに十分である各活性成分の総量を意味する。単独で投与する個々の活性成分について適用する場合に、該用語は、その成分の単独について意味する。組み合わせについて適用する場合に、該用語は、組み合わせて、連続してまたは同時に投与する場合に、治療学的な効果を与える活性成分の組み合わせ量を意味する。
【0021】
用語「本発明の化合物」および等価な表現は、式Iの化合物、並びに医薬的に許容し得るエナンチオマー、ジアステレオマー塩、溶媒和物(例えば、水和物)およびプロドラッグを包含することを意味する。同様に、中間体についての記載は、その文脈が許容される場合にそれらの塩および溶媒和物を包含することを意図する。本発明の化合物についての記載はまた、例えば式IIおよびA−Mの好ましい化合物をも含む。
【0022】
用語「誘導体」とは、改変が当該分野の化学者によって通常であると考えられる化学的に改変された化合物(例えば、酸のエステルもしくはアミド、アルコールもしくはチオールの場合には保護基(例えば、ベンジル基)、およびアミンの場合には、tert−ブトキシカルボニル基)を意味する。
【0023】
用語「溶媒和物」とは、有機または無機である1個以上の溶媒分子を有する本発明の化合物の物理学的な結合を意味する。この物理学的な結合は、水素結合を含む。ある場合に、該溶媒和物は、例えば、1個以上の溶媒分子が該結晶固体の結晶格子中に含有されている場合に、単離することができるであろう。「溶媒和物」とは、溶液状態および単離可能な溶媒和物の両方を包含する。典型的な溶媒和物は、水和物、エタノレート、メタノレート、イソプロパノレートなどを含む。
【0024】
本明細書中で使用する用語「プロドラッグ」とは、加溶媒分解によってまたは生理学的な条件下で化学的にまたは代謝的に切断可能な基を有する、本発明の化合物(本発明の化合物は、インビボで医薬的に活性である)の誘導体を意味する。化合物のプロドラッグは、該化合物の官能基(例えば、存在するなら、アミノ基、ヒドロキシ基、またはカルボキシ基)について通常の様式で得られ得る。該プロドラッグ誘導体は、溶解度、組織適合性、または哺乳類生物中での徐放性放出という利点を与えることが多い(Bundgard, H.による、Design of Prodrugs, 7-9頁, 21-24, Elsevier, Amsterdam 1985を参照)。プロドラッグは、当該分野の当業者にとってよく知られる酸誘導体(例えば、その親酸性化合物と適当なアルコールとの反応によって製造されるエステル、または親酸性化合物と適当なアミンとの反応によって製造されるアミド)を含む。
【0025】
用語「患者」は、ヒトおよび他の哺乳動物の両方を含む。
【0026】
用語「医薬組成物」とは、投与様式および投与形態の性質に応じて、本発明の化合物を、少なくとも1つの別の医薬的な担体、すなわち、アジュバント、賦形剤またはビヒクル(例えば、希釈剤、保存剤、充填剤、流動調節剤、崩壊剤、湿潤剤、乳化剤、懸濁化剤、甘味剤、香料添加剤(flavoring agents)、芳香剤、抗菌剤、抗真菌剤、滑沢剤、および調剤(dispensing agent))と組み合わせて含有する組成物を意味する。例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, 18版, Mack Publishing Company, Easton, PA (1999)中に例示する活性成分を、使用することができる。
【0027】
語句「医薬的に許容し得る」とは、本明細書中、健全な医学的判断の範囲内にあって、そして過剰な毒性、過敏性、アレルギー反応を伴わずに患者の組織と接触させて使用するのに適用であるか、あるいは、他の問題もしくは合併症が合理的な危険/利点の比率で釣り合った、化合物、物質、組成物および/または投与形態を意味するのに使用する。
【0028】
用語「処置する」とは、(i)該疾患、障害および/または病気の素因となり得るが、しかし、未だそのものを有すると診断されていない、患者において生じる疾患、障害または病気を予防すること;(ii)該疾患、障害または病気を阻害すること、すなわち、その発展を抑止すること;並びに、(iii)該疾患、障害または病気を軽減すること、すなわち、該疾患、障害および/または病気の後退を生じること、を意味する。
【0029】
本明細書中で使用する用語「置換された」とは、特に断らなければ、置換基が結合するコア(例えば、有機基)上での1個から可能な結合部位の最大数までの置換を含み、例えば、モノ−、ジ−、トリ−、またはテトラ−置換を挙げられる。
【0030】
特に断らない限り、有機基(例えば、炭化水素および置換された炭化水素)を記載するのに使用する命名法は、一般的に当該分野において知られる通常の命名法に従う。特に断らない限り、基の組み合わせ(例えば、アルキルアルコキシアミンまたはアリールアルキル)は、全ての可能な安定な立体配置を含む。特定の基および組み合わせは、例示の目的で以下に定義する。
【0031】
本明細書中で使用する用語「ハロ」とは、ブロモ、クロロ、フルオロまたはヨードから選ばれるハロゲン置換基を意味する。該用語「ハロアルキル」とは、1個以上のハロ置換基で置換されたアルキル基を意味する。
【0032】
本明細書中で使用する用語「アルキル」とは、具体的な数の炭素原子を有する非環式、直鎖または分枝のアルキル置換基を意味し、このものは例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、tert−ブチル、ヘキシル、1−メチルエチル、1−メチルプロピル、2−メチルプロピル、1,1−ジメチルエチルを含む。従って、C1〜6アルキルとは、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基を意味する。該用語「低級アルキル」とは、1〜6個の炭素原子、好ましくは1〜4個の炭素原子を有するアルキル基を意味する。用語「アルキルエステル」とは、更にエステル基上に含有するアルキル基を意味する。一般的に、示す炭素数の範囲(例えば、C2〜6アルキルエステル)は、該基中の全ての炭素原子を含む。
【0033】
本明細書中で使用する用語「アルケニル」とは、少なくとも1個の二重結合を含有するアルキル基を意味し、例えばエテニル(ビニル)およびアルキルを挙げられる。
【0034】
本明細書中で使用する用語「アルコキシ」とは、酸素原子と結合した示す炭素原子数を有するアルキル基を意味する。アルコキシは例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、1−メチルエトキシ、ブトキシ、および1,1−ジメチルエトキシを含む。最後の基は、当該分野において、tert−ブトキシと呼ばれる。用語「アルコキシカルボニル」とは、更にカルボニル基を含有するアルコキシ基を意味する。
【0035】
本明細書中で使用する用語「シクロアルキル」とは、示す炭素原子の数を含有するシクロアルキル置換基を意味し、このものは例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、およびスピロ環基(例えば、スピロシクロプロピルおよびスピロシクロブチル)を含む。本明細書中で使用する用語「シクロアルコキシ」とは、酸素原子と結合するシクロアルキル基を意味し、例えばシクロブチルオキシまたはシクロプロピルオキシを挙げられる。用語「アルキルシクロアルキル」とは、アルキル基と結合したシクロアルキル基を意味する。該示す炭素数の範囲は、特に断らなければ、該基中の炭素の総数を含む。このC4〜10アルキルシクロアルキルは、アルキル基中に1〜7個の炭素原子、および該環中に3〜9個の炭素原子を含み得て、例えばシクロプロピルメチルまたはシクロヘキシルエチルを挙げられる。
【0036】
本明細書中で使用する用語「アリール」とは、示す数の炭素原子を含有する芳香族部分を意味し、例えばフェニル、インダニルまたはナフチルを含むが、これらに限定されない。例えば、C6〜10アリールとは、単環式または二環式の構造の形態であり得る6〜10個の炭素原子を有する芳香族部分を意味する。本明細書中で使用する用語「ハロアリール」とは、1個以上のハロゲン原子でモノ、ジまたはトリ置換されたアリールを意味する。用語「アルキルアリール」、「アリールアルキル」および「アルアルキル」とは、1個以上のアルキル基で置換されたアリール基を意味する。各基の炭素の範囲を具体的に示さない限り、示す範囲を全ての置換基に適用する。従って、C7〜14アルキルアリール基は、単環式芳香環の場合には、アルキル基中に1〜8個の炭素原子を有し、また縮合芳香環の場合には、該アルキル基中に1〜4個の炭素原子を有し得る。該基と分子上の結合部位との結合は、アリール基またはアルキル基上のいずれかであり得る。具体的なアリール基(例えば、フルオロ−フェニル)を具体的に示したり、あるいは基が無置換であると記載しない限り、該アリール基は、当該分野における当業者にとって知られる典型的な置換基で置換された基を含み、ここで、該置換基は例えば、ハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシ、カルボニル、ニトロ、スルホ、アミノ、シアノ、ジアルキルアミノ、ハロアルキル、CF、ハロアルコキシ、チオアルキル、アルカノイル、SH、アルキルアミノ、アルキルアミド、ジアルキルアミド、カルボキシエステル、アルキルスルホン、アルキルスルホンアミド、およびアルキル(アルコキシ)アミンを挙げられる。アルキルアリール基としては例えば、ベンジル、ブチルフェニル、および1−ナフチルメチルを含む。
【0037】
本明細書中で使用する用語「アルカノイル」とは、示す数の炭素原子を含有する直鎖または分枝の1−オキソアルキル基を意味し、例えば、ホルミル、アセチル、1−オキソプロピル(プロピオニル)、2−メチル−1−オキソプロピル、1−オキソヘキシルなどを含む。
【0038】
本明細書中で使用する用語「アルキルアミド」とは、アルキルでモノ置換されたアミドを意味し、例えば、
【化2】

を挙げられる。
【0039】
本明細書中で使用する通り、用語「ヘテロ環」(「Het」とも呼ばれる)は、7〜12員の二環式へテロ環および5〜7員単環式へテロ環を意味する。
【0040】
好ましい二環式へテロ環は、窒素、酸素、および硫黄から選ばれるヘテロ原子の1〜4個を含有する7〜12員の縮合した二環式(両方の環は原子の隣接対を共有する)であり、そして該へテロ環の1つまたは両方は、飽和、部分的に飽和、または完全に不飽和な環式であり得る(最後の部分集合はまた、本明細書中、不飽和のヘテロ芳香環と呼ばれる)。窒素および硫黄のヘテロ原子は、場合により酸化され得る。該二環式へテロ環は、一方または両方の環内にヘテロ原子を含み得る。具体的なヘテロ環(例えば、フルオロ化7〜12員の二環式へテロ環)を具体的に示したり、あるいは該へテロ環が無置換であると記載しない限り、該へテロ環は、当該分野における当業者に知られる典型的な置換基で置換されたものを含む。例えば、該二環式へテロ環はまた、いずれかの環内炭素原子上に置換基(例えば、1〜3個の置換基)をも含み得る。適当な置換基の例としては、C1〜6アルキル、C3〜7シクロアルキル、C1〜6アルコキシ、C3〜7シクロアルコキシ、ハロ−C1〜6アルキル、CF、モノ−もしくはジ−ハロ−C1〜6アルコキシ、シアノ、ハロ、チオアルキル、ヒドロキシ、アルカノイル、NO、SH、アミノ、C1〜6アルキルアミノ、ジ(C1〜6)アルキルアミノ、ジ(C1〜6)アルキルアミド、カルボキシル、(C1〜6)カルボキシエステル、C1〜6アルキルスルホン、C1〜6アルキルスルホンアミド、C1〜6アルキルスルホキシド、ジ(C1〜6)アルキル(アルコキシ)アミン、C6〜10アリール、C7〜14アルキルアリール、および5〜7員単環式へテロ環を含む。2個の置換基が二環式へテロ環の近接する炭素原子と結合する場合には、それらは一緒になって、酸素および窒素から選ばれる2個までのヘテロ原子を含有する環(例えば、5、6、または7員環式)を形成する。該二環式へテロ環は、該環内のいずれかの原子(炭素原子が好ましい)上で該分子(例えば、式I中のR)と結合し得る。
【0041】
二環式へテロ環の例としては以下の環式:
【化3】

を含むが、これらに限定されない。
【0042】
好ましい単環式へテロ環は、5〜7員の飽和、部分的に飽和、または完全に不飽和の環式(この最後の部分集合はまた、本明細書中で不飽和ヘテロ芳香族とも呼ばれる)(これは、環内に窒素、酸素、および硫黄から選ばれる1〜4個のヘテロ原子を含有し、ここで、該硫黄および窒素のヘテロ原子は場合により酸化され得る)である。具体的なヘテロ環(例えば、C1〜6アルコキシ置換の5〜7員単環式へテロ環)を具体的に示したり、あるいは該へテロ環が無置換であると記載しない限り、該へテロ環は、当該分野の当業者にとって知られる典型的な置換基で置換された基を含む。例えば、該単環式へテロ環はまた、環内原子のいずれかの上で置換基(例えば、1〜3個の置換基)を含み得る。適当な置換基の例としては、C1〜6アルキル、C3〜7シクロアルキル、C1〜6アルコキシ、C3〜7シクロアルコキシ、ハロ−C1〜6アルキル、CF、モノ−もしくはジ−ハロ−C1〜6アルコキシ、シアノ、ハロ、チオアルキル、ヒドロキシ、アルカノイル、NO、SH、アミノ、C1〜6アルキルアミノ、ジ(C1〜6)アルキルアミノ、ジ(C1〜6)アルキルアミド、カルボキシル、(C1〜6)カルボキシエステル、C1〜6アルキルスルホン、C1〜6アルキルスルホキシド、C1〜6アルキルスルホンアミド、ジ(C1〜6)アルキル(アルコキシ)アミン、C6〜10アリール、C7〜14アルキルアリール、および別の5〜7員単環式へテロ環を含む。該単環式へテロ環は、環内のいずれかの原子上で分子(例えば、式I中のR)と結合し得る。
【0043】
単環式へテロ環の例としては、以下の式:
【化4】

(および、それらの互変異性体)を含むが、これらに限定されない。
【0044】
当該分野における当業者は、本発明の化合物中において使用されるヘテロ環は安定であると認めるであろう。一般的に、安定な化合物とは、該化合物の分解を伴うことなく、当該分野の当業者にとって知られる技術を用いて、製造し、単離し、および製剤化することができる化合物である。
【0045】
アミノ酸またはアミノ酸誘導体についての記載における用語「置換基」は、対応するα−アミノ酸から誘導される基を意味する。例えば、置換基:メチル、イソ−プロピルおよびフェニルはそれぞれ、アミノ酸のアラニン、バリン、およびフェニルグリシンを意味する。
【0046】
本発明の化合物を命名するのに使用する、本明細書中において使用する表示「P1、P1、P2、P3およびP4」は、天然ペプチド切断基質の結合に相対的なプロテアーゼインヒビターの結合のアミノ酸残基の相対的な位置をマップする。切断は、P1およびP1の間の天然基質中で起こり、ここで、ノンプライム(nonprime)位置は、N−末端の方向に伸長するペプチド天然切断部位のC−末端から出発するアミノ酸を示し;一方で、プライム位置は、切断部位の表示のN−末端から始まり、そしてC−末端方向に伸長する。例えば、P1は、切断部位のC−末端の右側の端から離れた1番目の位置(すなわち、N−末端の第1位)を意味する。一方で、P1はC−末端切断部位の左側から番号付けを開始し、P2はC−末端などからの2番目の位置を意味する)(Berger A. & Schechter I.による, Transactions of the Royal Society London series (1970), B257, 249-264]を参照)。
【0047】
従って、式Iの化合物において、該分子の「P1からP4」位置は、以下に示すとおりである。
【化5】

【0048】
本明細書中で使用する用語「1−アミノシクロプロピル−カルボン酸」(Acca)は、式:
【化6】

の化合物を意味する。
【0049】
本明細書中で使用する用語「tert−ブチルグリシン」とは、式:
【化7】

の化合物を意味する。
【0050】
アミノ酸またはアミノ酸誘導体について記載する用語「残基」とは、カルボキシ基のヒドロキシルおよびα−アミノ酸基の1個の水素を除去することによって、対応するα−アミノ酸から誘導される基を意味する。例えば、用語、Gln、Ala、Gly、Ile、Arg、Asp、Phe、Ser、Leu、Cys、Asn、Sar、およびTyrはそれぞれ、L−グルタミン、L−アラニン、L−アラニン、グリシン、L−イソロイシン、L−アルギニン、L−アスパラギン酸、L−フェニルアラニン、L−セリン、L−ロイシン、L−システイン、L−アスパラギン、サルコシン、およびL−チロシンの「残基」を意味する。
【0051】
アミノ酸またはアミノ酸残基について記載する用語「側鎖」とは、α−アミノ酸のα−炭素原子と結合する基を意味する。例えば、グリシンの場合のR基の側鎖は水素であり、アラニンの場合にはメチルであり、バリンの場合にはイソプロピルである。α−アミノ酸具体的なR−基または側鎖の場合には、A. L. Lehningerによる生化学に関する教科書(4章を参照)参照する。
【0052】
本発明の化合物は、式I:
【化8】

で示す構造式を有する化合物、またはその医薬的に許容し得る塩、溶媒和物もしくはプロドラッグを有する。上記式中、
(a)RおよびRは各々独立して、C1〜8アルキル、C3〜7シクロアルキル、C4〜10アルキルシクロアルキル、C1〜6アルコキシ、C6〜10アリール、C7〜14アルキルアリール、C9〜14シクロアルキルアリール、C7〜14アルコキシアリール、C9〜14シクロアルコキシアリール、5〜7員ヘテロアリール、またはC7〜14アルキルヘテロアリールであるか;あるいは、RおよびRはそれらが結合する窒素原子と一緒になって、4〜8員単環式へテロ環を形成し;
(b)mは、1または2であり;
(c)nは、1または2であり;
(d)Rは、H;または、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニルもしくはC3〜7シクロアルキル(各々は場合によりハロゲンで置換される)であり;
(e)Rは、場合により置換されたC1〜8アルキル(置換基は、ハロ、シアノ、アミノ、C1〜6ジアルキルアミノ、C6〜10アリール、C7〜14アルキルアリール、C1〜6アルコキシ、カルボキシ、ヒドロキシ、アリールオキシ、C7〜14アルキルアリールオキシ、C2〜6アルキルエステル、またはC8〜15アルキルアリールエステルである);C3〜12アルケニル;C3〜7シクロアルキル、もしくはC4〜10アルキルシクロアルキル(ここで、該シクロアルキルまたはアルキルシクロアルキルは場合により、ヒドロキシ、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、またはC1〜6アルコキシで置換される)であるか、あるいはRはそれが結合する炭素原子と一緒になって、場合によりC2〜6アルケニルで置換されたC3〜7シクロアルキル基を形成し;
(f)RまたはRがHである場合には、YはHであるという条件で、Yは、H;ニトロで置換されたフェニル;ニトロで置換されたピリジル;または、場合によりシアノ、ヒドロキシルもしくはC3〜7シクロアルキルで置換されたC1〜6アルキルであり;
(g)Bは、H、C1〜6アルキル、R−(C=O)−、RO(C=O)−、R−N(R)−C(=O)−、R−N(R)−C(=S)−、RSO−、またはR−N(R)−SO−であり;
(h)Rは、(i)場合により置換されたC1〜10アルキル(該置換基は、フェニル、カルボキシル、C1〜6アルカノイル、1〜3個のハロゲン、ヒドロキシ、−OC(O)C1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ、場合によりC1〜6アルキルで置換されたアミノ、アミド、または(低級アルキル)アミドである);(ii)C3〜7シクロアルキル、C3〜7シクロアルコキシ、もしくはC4〜10アルキルシクロアルキル(各々は場合により、ヒドロキシ、カルボキシル、(C1〜6アルコキシ)カルボニル、場合によりC1〜6アルキルで置換されたアミノ、アミド、または(低級アルキル)アミドで置換される);(iii)C6〜10アリール、もしくはC7〜16アリールアルキル(各々は場合により、C1〜6アルキル、ハロゲン、ニトロ、ヒドロキシ、アミド、(低級アルキル)アミド、または場合によりC1〜6アルキルで置換されたアミノで置換される);(iv)Het;(v)ビシクロ(1.1.1)ペンタン;または、(vi)−C(O)OC1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、もしくはC2〜6アルキニルであり;
(i)RはC1〜10アルキルであるという条件で、Rは、H;場合により1〜3個のハロゲンで置換されたC1〜6アルキル;または、C1〜6アルコキシであり;
(j)Xは、O、S、SO、SO、OCH、CHO、またはNHであり;
(k)Rは、Het;C6〜10アリールまたはC7〜14アルキルアリール(各々は場合によりRで置換される)であり;そして、
(l)Rは、C1〜6アルキル、C3〜7シクロアルキル、C1〜6アルコキシ、C3〜7シクロアルコキシ、ハロ−C1〜6アルキル、CF、モノ−もしくはジ−ハロ−C1〜6アルコキシ、シアノ、ハロ、チオアルキル、ヒドロキシ、アルカノイル、NO、SH、アミノ、C1〜6アルキルアミノ、ジ(C1〜6)アルキルアミノ、ジ(C1〜6)アルキルアミド、カルボキシル、(C1〜6)カルボキシエステル、C1〜6アルキルスルホン、C1〜6アルキルスルホンアミド、ジ(C1〜6)アルキル(アルコキシ)アミン、C6〜10アリール、C7〜14アルキルアリール、または5〜7員単環式へテロ環である。
【0053】
およびRは各々独立して、C1〜8アルキル、C3〜7シクロアルキル、C4〜10アルキルシクロアルキル、C1〜6アルコキシ、C6〜10アリール、C7〜14アルキルアリール、5〜7員ヘテロアリール、またはC7〜14アルキルへテロアリールであるか、あるいはRおよびRはそれらが結合する窒素原子と一緒になって、4〜8員単環式へテロ環を形成する、ことが好ましい。RおよびRは各々独立して、C1〜8アルキル、C4〜10アルキルシクロアルキル、C1〜6アルコキシ、C6〜10アリール、C7〜14アルキルアリール、5〜7員ヘテロアリール、またはC7〜14アルキルへテロアリールであるか、あるいはRおよびRはそれらが結合する窒素原子と一緒になって、5〜6員単環式へテロ環を形成する、ことがより好ましい。
【0054】
はC1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、またはC3〜7シクロアルキルである、ことが好ましい。RはC2〜6アルケニルである、ことがより好ましい。
【0055】
は、場合により置換されたC1〜8アルキル(該置換基は、Cアリール、C1〜6アルコキシ、カルボキシ、ヒドロキシ、アリールオキシ、C7〜14アルキルアリールオキシ、C2〜6アルキルエステル、またはC8〜15アルキルアリールエステルである)、C3〜12アルケニル、C3〜7シクロアルキル、またはC4〜10アルキルシクロアルキルである、ことが好ましい。Rは、場合によりC1〜6アルコキシで置換されたC1〜8アルキル;またはC3〜7シクロアルキルである、ことがより好ましい。
【0056】
YはHである、ことが好ましい。
【0057】
Bは、H、C1〜6アルキル、R−(C=O)−、RO(C=O)−、R−N(R)−C(=O)−、R−N(R)−C(=S)−、RSO−、またはR−N(R)−SO−である、ことが好ましい。Bは、R−(C=O)−、RO(C=O)−、またはR−N(R)−C(=O)−である、ことがより好ましい。BはRO(C=O)−であり、そしてRはC1〜6アルキルである、ことが一層好ましい。
【0058】
は、(i)場合によりフェニル、カルボキシル、C1〜6アルカノイル、1〜3個のハロゲン、ヒドロキシ、C1〜6アルコキシで置換されたC1〜10アルキル;(ii)C3〜7シクロアルキル、C3〜7シクロアルコキシ、もしくはC4〜10アルキルシクロアルキル;または、(iii)C6〜10アリール、もしくはC7〜16アリールアルキル(各々は場合により、C1〜6アルキルまたはハロゲンで置換される)である、ことが好ましい。Rは、(i)場合により1〜3個のハロゲンもしくはC1〜6アルキルで置換されたC1〜10アルキル;または、(ii)C3〜7シクロアルキルもしくはC4〜10アルキルシクロアルキルである、ことがより好ましい。
【0059】
は、H、または場合により1〜3個のハロゲンで置換されたC1〜6アルキルである、ことが好ましい。RはHである、ことがより好ましい。
【0060】
XはOまたはNHである、ことが好ましい。
【0061】
はHet、または場合によりRで置換されたC6〜10アリールである、ことが好ましい。RはHetである、ことがより好ましい。ヘテロ環は、該環内に1または2個の窒素原子、および場合により硫黄原子または酸素原子を含む、ことが一層好ましい。ヘテロ環は、C1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ、ハロ、C6〜10アリール、C7〜14アルキルアリール、または5〜7員単環式へテロ環の少なくとも1つで置換される、ことが好ましい。
【0062】
は、C1〜6アルキル、C3〜7シクロアルキル、C1〜6アルコキシ、ハロ−C1〜6アルキル、ハロ、アミノ、Cアリール、または5〜7員単環式へテロ環である、ことが好ましい。
【0063】
本発明の好ましい態様において、式:
【化9】

で示される化合物、またはその医薬的に許容し得る塩、溶媒和物、もしくはプロドラッグを提供する。ここで、上記式中、
(a)RおよびRは各々独立して、C1〜8アルキル、C3〜7シクロアルキル、C4〜10アルキルシクロアルキル、C1〜6アルコキシ、C6〜10アリール、C7〜14アルキルアリール、5〜7員ヘテロアリール、またはC7〜14アルキルヘテロアリールであるか;あるいは、RおよびRはそれらが結合する窒素原子と一緒になって、4〜8員単環式へテロ環を形成し;
(b)mは、1または2であり;
(c)nは、1または2であり;
(d)Rは、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、またはC3〜7シクロアルキルであり;
(e)Rは、場合により置換されたC1〜8アルキル(置換基は、Cアリール、C1〜6アルコキシ、カルボキシ、ヒドロキシ、アリールオキシ、C7〜14アルキルアリールオキシ、C2〜6アルキルエステル、またはC8〜15アルキルアリールエステルである);C3〜12アルケニル;C3〜7シクロアルキル、またはC4〜10アルキルシクロアルキルであり;
(f)Bは、H、C1〜6アルキル、R−(C=O)−、RO(C=O)−、R−N(R)−C(=O)−、R−N(R)−C(=S)−、RSO−、またはR−N(R)−SO−であり;
(g)Rは、(i)場合により置換されたC1〜10アルキル(該置換基は、フェニル、カルボキシル、C1〜6アルカノイル、1〜3個のハロゲン、ヒドロキシ、C1〜6アルコキシである);(ii)C3〜7シクロアルキル、C3〜7シクロアルコキシ、もしくはC4〜10アルキルシクロアルキル;(iii)C6〜10アリール、もしくはC7〜16アリールアルキル(各々は場合により、C1〜6アルキルまたはハロゲンで置換される)であり;
(h)Rは、H、または場合により1〜3個のハロゲンで置換されたC1〜6アルキルであり;
(i)Xは、OまたはNHであり;
(j)Rは、Het;または、場合によりRで置換されたC6〜10アリールであり;そして、
(k)Rは、C1〜6アルキル、C3〜7シクロアルキル、C1〜6アルコキシ、ハロ−C1〜6アルキル、ハロ、アミノ、Cアリール、または5〜7員単環式へテロ環である。
【0064】
およびRは各々独立して、C1〜8アルキル、C4〜10アルキルシクロアルキル、C1〜6アルコキシ、C6〜10アリール、C7〜14アルキルアリール、5〜7員ヘテロアリール、またはC7〜14アルキルヘテロアリールであるか、あるいはRおよびRはそれらが結合する窒素原子と一緒になって5〜6員単環式へテロ環を形成する、ことが好ましい。RおよびRは各々独立して、C1〜3アルキルまたはC1〜3アルコキシである、ことがより好ましい。
【0065】
は二環式へテロ環である、ことが好ましい。ヘテロ環は、該環内に1または2個の窒素原子、および場合により硫黄原子または酸素原子を含む、ことがより好ましい。ヘテロ環は、C1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ、ハロ、Cアリール、または5〜7員単環式へテロ環の少なくとも1つで置換される、ことが好ましい。Rは、1個の窒素原子を含有し、そして、メトキシ、並びにCアリールおよび5〜7員単環式へテロ環の少なくとも1つで置換された、二環式へテロ環である、ことが一層好ましい。
【0066】
別の好ましい態様において、Rは単環式へテロ環である。ヘテロ環は、該環内に1または2個の窒素原子、および場合により硫黄原子または酸素原子を含む、ことが好ましい。ヘテロ環は、C1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ、ハロ、C6〜10アリール、C7〜14アルキルアリール、または5〜7員単環式へテロ環の少なくとも1つで置換される、ことがより好ましい。Rは、1または2個の窒素原子を含有し、そして、メトキシ、並びにCアリールおよび5〜7員単環式へテロ環の少なくとも1つで置換された、単環式ヘテロ環である、ことが好ましい。
【0067】
本発明の別の好ましい態様において、式:
【化10】

で示される化合物、またはその医薬的に許容し得る塩、溶媒和物もしくはプロドラッグを提供する。ここで、上記式中、
(a)RおよびRは各々独立して、C1〜8アルキル、C4〜10アルキルシクロアルキル、C1〜6アルコキシ、C6〜10アリール、C7〜14アルキルアリール、5〜7員ヘテロアリール、またはC7〜14アルキルヘテロアリールであるか;あるいは、RおよびRはそれらが結合する窒素原子と一緒になって、5〜6員単環式へテロ環を形成し;
(b)mは、1または2であり;
(c)nは、1または2であり;
(d)Rは、C2〜6アルケニルであり;
(e)Rは、C1〜8アルキルであり;
(f)Bは、RO(C=O)−、またはR−NH−C(=O)−であり;
(g)Rは、C1〜10アルキルであり;
(h)Rは、場合によりRで置換された二環式へテロ環であり;そして、
(i)Rは、C1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ、ハロ、Cアリール、または5〜7員単環式へテロ環である。
【0068】
およびRは各々独立して、C1〜3アルキルまたはC1〜3アルコキシである、ことが好ましい。Rはメチルである、ことがより好ましい。Rはメチルまたはメトキシである、ことが好ましい。Rはビニルである、ことが好ましい。Rはt−ブチルである、ことが好ましい。Rはt−ブチルである、ことが好ましい。Rは、場合によりRで置換されたキノリンまたはイソキノリンである、ことが好ましい。
【0069】
はメチルであり、Rはメトキシであり、Rはビニルであり、Rはt−ブチルであり、Rはt−ブチルであり、そしてRは少なくとも1つのRで置換されたイソキノリンである、ことが好ましい。RはC1〜6アルコキシである、ことが好ましい。Rは更に、Cアリールまたは5〜7員単環式へテロ環の少なくとも1つを含む、ことがより好ましい。
【0070】
塩基性部分を含む本発明の化合物は、医薬的に許容し得る酸の付加によって塩を形成し得る。該酸付加塩は、式Iの化合物、および医薬的に許容し得る無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、リン酸を含むが、これらに限定されない)、または有機酸(例えば、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、酢酸、安息香酸、クエン酸、マロン酸、フマル酸、リンゴ酸、シュウ酸、コハク酸、スルファミン酸、または酒石酸)から得られる。従って、それらの医薬的に許容し得る塩としては例えば、塩化物塩、臭化物塩、ヨウ化物塩、硫酸塩、リン酸塩、メタンスルホン酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、マロン酸塩、フマル酸塩、スルファミン酸塩、および酒石酸塩を含む。
【0071】
アミン基の塩はまた、アミノ窒素が適当な有機基(例えば、アルキル、アルケニル、アルキニル、またはアラルキル部分)を有する、4級アンモニウム塩をも含み得る。
【0072】
酸性基で置換された本発明の化合物は、塩基の付加によって形成する塩として存在し得る。それらの塩基付加塩は、無機塩基から誘導される塩を含み、例えばアルカリ金属塩(例えば、ナトリウムおよびカリウム)、アルカ土類金属塩(例えば、カルシウムおよびマグネシウム)、アルミニウム塩およびアンモニウム塩を含む。加えて、適当な塩基付加塩としては、生理学的に許容し得る有機塩基(例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、モルホリン、ピリジン、ピペリジン、ピコリン、ジシクロヘキシルアミン、N,N'−ジベンジルエチレンジアミン、2−ヒドロキシエチルアミン、ビス−(2−ヒドロキシエチル)アミン、トリ−(2−ヒドロキシエチル)アミン、プロカイン、ジベンジルピペリジン、N−ベンジル−β−フェネチルアミン、デヒドロアビエチルアミン、N,N'−ビスヒドロアビエチルアミン、グルカミン、N−メチルグルカミン、コリジン、キニン、キノリン、エチレンジアミン、オルニチン、コリン、N,N'−ベンジルフェネチルアミン、クロロプロカイン、ジエタノールアミン、ジエチルアミン、ピペラジン、トリス(ヒドロキシメチル)アミンメタン、およびテトラメチルアンモニウムヒドロキシド)および塩基性アミノ酸(例えば、リシン、アルギニン、およびN−メチルグルタミン)の塩を含む。これらの塩は、当該分野の当業者にとって知られる方法によって製造し得る。
【0073】
本発明のある化合物およびそれらの塩はまた、水との溶媒和物(例えば、水和物)、または有機溶媒(例えば、メタノール、エタノール、アセトニトリルなど)との溶媒和物(それぞれ、メタノレート、エタノレートまたはアセトニトリレートを与える)の形態で存在し得る。本発明は、各溶媒和物およびそれらの混合物を含む。
【0074】
加えて、本発明の化合物、その塩もしくは溶媒和物は、多形を示し得る。本発明はまた、いずれかのそれら多形の形態を包含する。
【0075】
本発明の化合物はまた、2個以上のキラル中心を含む。例えば、該化合物は、式:
【化11】

のP1シクロプロピル要素を含み得る。ここで、該式中、CおよびCは各々、該シクロプロピル環の1位および2位で不斉炭素原子を示す。該化合物の他のセグメント上での他の可能な不斉中心にもかかわらず、これらの2個の不斉中心の存在は、該化合物がジアステレオマー(例えば、以下に示す通り、Rがアミドに対してシン(syn)、またはカルボニルに対してシンのいずれかで配置されたジアステレオマー)のラセミ混合物として存在し得ることを意味する。
【化12】

【0076】
本発明は、エナンチオマー、およびエナンチオマーの混合物(例えば、ラセミ混合物)の両方を含む。
【0077】
該エナンチオマーは、当該分野における当業者にとって知られる方法(例えば、結晶化、ガス−液体もしくは液体のクロマトグラフィー法、エナンチオマー特異的な試薬を用いる1個のエナンチオマーの選択的な反応)によって分離し得るジアステレオマー塩の形成)によって、分割することができる。目的のエナンチオマーを分離技術によって別の化学的な実体に変換し、次いで更なる工程が目的のエナンチオマー形態を得るのに必要であることは認められるであろう。あるいは、特定のエナンチオマーを、光学活性な試薬、基質、触媒もしくは溶媒を用いる不斉合成によって、または不斉誘導によって1個のエナンチオマーを他の物に変換することによって、製造し得る。
【0078】
本発明の化合物は、プロドラッグの形態であり得る。存在するならば、本発明の化合物上にペンデントした酸性基から誘導される単純な脂肪族または芳香族のエステルが、好ましいプロドラッグである。ある場合に、二重エステルタイプのプロドラッグ(例えば、(アシルオキシ)アルキルエステルまたは(アルコキシカルボニル)オキシ)アルキルエステル)を製造することが望まれる。
【0079】
本発明のある化合物はまた、分離し得る異なる安定な立体配置形態で存在し得る。非対称な単結合回りの制限された回転(例えば、立体障害または環の歪みが原因)に起因するねじれ非対称により、異なる配座異性体の分離が可能となる。本発明は、これらの化合物の各配座異性体、およびその混合物を含む。
【0080】
本発明のある化合物は双性イオン形態で存在し得て、そして本発明は、これらの化合物の各々の双性イオン形態、およびその混合物を含む。
【0081】
本発明の化合物を製造するのに有用な出発物質は当該分野の当業者にとって知られ、そしてこのものは容易に製造され得て、または商業的に入手可能である。
【0082】
本発明の化合物は、当該分野における当業者にとって知られる方法(例えば、米国特許第6,323,180号および米国特許出願公開番号20020111313A1(2002年8月15日公開)を参照)によって製造し得る。以下の方法は、例示の目的で提示するが、これは特許請求する本発明の範囲を限定することを意図するものではない。官能基を通常の保護基を用いて保護した化合物を製造し、次いで該保護基を除去して本発明の化合物を得ることが好ましくあるいは必要となり得ることを認められるであろう。本発明に従う保護基の使用に関する詳細は、当該分野の当業者にとって知られる。
【0083】
本発明の化合物は例えば、反応式I(ここで、CPGはカルボキシル保護基であって、APGはアミノ保護基である)において例示する一般的な方法に従って、製造し得る。
【化13】

【0084】
要するに、該P1、P2およびP3は、よく知られるペプチドカップリング方法によって連結し得る。該P1、P2およびP3基は、最終的な化合物が本発明のペプチドに対応する限り、いずれかの順序で一緒に連結し得る。例えば、P3をP2−P1と連結することができ、あるいはP1をP3−P2と連結することができる。
【0085】
一般的に、ペプチドは、N−末端残基のα−アミノ基を脱保護し;そして、記載する方法を用いるペプチド連結によって、次の適当にN−保護したアミノ酸の非保護のカルボキシル基とカップリングすることによって、伸張する。この脱保護方法およびカップリング方法は、目的の配列を得るまで繰り返す。このカップリング方法は、反応式Iに示す逐次様式で、構成アミノ酸を用いて行なうことができる。
【0086】
2個のアミノ酸、アミノ酸とペプチド、または2個のペプチドフラグメントの間でのカップリング方法は、標準的なカップリング反応を用いて行なうことができる。該標準的なカップリング方法とは例えば、アジド法、混合炭酸−カルボン酸無水物(クロロギ酸イソブチル)法、カルボジイミド(ジシクロヘキシルカルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド、または水溶性カルボジイミド)法、活性エステル(p−ニトロフェニルエステル、N−ヒドロキシコハク酸イミドエステル)法、ウッドワード試薬K法、カルボニルジイミダゾール法、リン試薬または酸化−還元の方法が挙げられる。これらの方法のいくつか(特に、カルボジイミド法)は、1−ヒドロキシベンゾトリアゾールまたは4−DMAPを加えることによって増大し得る。これらのカップリング反応は、溶液(液相)または固相のいずれかで行なうことができる。
【0087】
より明示すれば、該カップリング工程は、連結アミド結合を与えるカップリング剤の存在下で、ある反応体の遊離カルボキシル基と他の反応体の遊離アミノ基との脱水性カップリング方法を含む。それらのカップリング剤についての記載は、ペプチド化学に関する通常の教科書(例えば、M. Bodanszky, 「Peptide Chemistry」, 2再版, Springer-Verlag, Berlin, Germany, (1993))中で知られる。適当なカップリング剤としては例えば、N,N'−ジシクロヘキシルカルボジイミド;N,N'−ジシクロヘキシルカルボジイミドの存在下での1−ヒドロキシベンゾトリアゾール;または、N−エチル−N'−[(3−ジメチルアミノ)プロピル]カルボジイミドが挙げられる。実用的で且つ有用なカップリング剤は、商業的に入手可能な(ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ)トリス−(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェートをそのままで、または1−ヒドロキシベンゾトリアゾールもしくは4−DMAPの存在下のいずれかである。別の実用的で且つ有用なカップリング剤は、商業的に入手可能な2−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N',N'−テトラメチルウロニウム・テトラフルオロボレートが挙げられる。更に別の実用的で且つ有用なカップリング剤は、商業的に入手可能なO−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N',N'−テトラメチルウロニウム・ヘキサフルオロホスフェートを挙げられる。該カップリング反応は、不活性溶媒(例えば、ジクロロメタン、アセトニトリル、またはジメチルホルムアミド)中で行なう。過剰量の第3級アミン(例えば、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルモルホリン、N−メチルピロリジン、または4−DMAP)を加えて、該反応混合物をpHが約8に保つ。該反応温度は通常、0℃〜50℃の範囲であり、そして該反応時間は通常、15分〜24時間の範囲である。
【0088】
構成アミノ酸の官能基は通常、望まない結合の形成を避けるために、該カップリング反応の間、保護しなければいけない。使用することができる保護基は、例えば、Greeneによる, 「Protective Groups in Organic Chemistry」, John Wiley & Sons, New York (1981)および、「The Peptides: Analysis, Synthesis, Biology」, 3巻, Academic Press, New York (1981)(これらは、本明細書の一部を構成する)中に例示する。
【0089】
伸張するペプチド鎖とカップリングすべき各アミノ酸のα−アミノ基は、保護しなければいけない(APG)。当該分野において知られるいずれかの保護基を使用することができる。該基としては、例えば以下の基を含む:1)アシル基(例えば、ホルミル、トリフルオロアセチル、フタリル、およびp−トルエンスルホニル);2)芳香族カルバメート基(例えば、ベンジルオキシカルボニル(CbzまたはZ)および置換ベンジルオキシカルボニル、および9−フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc));3)脂肪族カルバメート基(例えば、tert−ブチルオキシカルボニル(Boc)、エトキシカルボニル、ジイソプロピルメトキシカルボニル、およびアリルオキシカルボニル);4)環状アルキルカルバメート基(例えば、シクロペンチルオキシカルボニルおよびアダマンチルオキシカルボニル);5)アルキル基(例えば、トリフェニルメチルおよびベンジル);6)トリアルキルシリル(例えば、トリメチルシリル);および7)チオール含有基(例えば、フェニルチオカルボニルおよびジチアスクシノイル)。好ましいα−アミノ保護基は、BocまたはFmocのいずれかである。ペプチド合成のための適当に保護された多数のアミノ酸誘導体が、商業的に入手可能である。新しく加えたアミノ酸残基のα−アミノ保護基は、次のアミノ酸のカップリング反応前に切断する。Boc基を使用する場合には、選択する方法は、ニートもしくはジクロロメタン中でのトリフルオロ酢酸、またはジオキサンもしくは酢酸エチル中でのHClである。次いで、得られたアンモニウム塩を、カップリング反応前またはインシチュでのいずれかで、塩基性溶液(例えば、水性緩衝液、またはジクロロメタン、アセトニトリルもしくはジメチルホルムアミド中での第3級アミン)を用いて中和する。Fmoc基を使用する場合には、選択する試薬はジメチルホルムアミド中のピペリジンまたは置換ピペリジンであるが、いずれかの第二級アミンを使用することができる。該脱保護反応は、0℃〜室温(室温(rtまたはRT);通常、20〜22℃)の間の温度で行なう。
【0090】
側鎖の官能性を有するアミノ酸のいずれかは、上記の基のいずれかを用いて該ペプチドの製造の間に保護しなければいけない。当該分野の当業者は、これらの側鎖の官能性にとって適当な保護基の選択および使用は、該アミノ酸、および該ペプチド中の他の保護基の存在に依存することを認めるであろう。該保護基の選択は、該基をα−アミノ基の脱保護およびα−アミノ基のカップリング反応の間に除去する必要がない点で重要である。
【0091】
例えば、Bocをα−アミノ保護基として使用する場合には、以下の側鎖保護基が適当である;p−トルエンスルホニル(トシル)部分は、アミノ酸(例えば、LysおよびArg)のアミノ側鎖を保護するのに使用することができ;アセトアミドメチル、ベンジル(Bn)、またはtert−ブチルスルホニル部分は、システインのスルフィド含有側鎖を保護するのに使用することができ;ベンジル(bencyl)(Bn)エーテルは、セリン、トレオニン、もしくはヒドロキシプロリンのヒドロキシ含有側鎖を保護するのに使用することができ;そして、ベンジルエステルは、アスパラギン酸およびグルタミン酸のカルボキシ含有側鎖を保護するのに使用することができる。
【0092】
Fmocをα−アミン保護のために選択する場合には、通常tert−ブチルベースの保護基が許容され得る。例えば、Bocはリシンおよびアルギニンについて;tert−ブチルエーテルはセリン、トレオニンおよびヒドロキシプロリンについて;および、tert−ブチルエステルは、アスパラギン酸およびグルタミン酸について、使用することができる。トリフェニルメチル(トリチル)部分は、システインのスルフィド含有側鎖を保護するのに使用することができる。
【0093】
該ペプチドの伸張が完結した後に、保護基の全てを除去する。液相合成を使用する場合には、該保護基は保護基の選択によってどんな様式が指図されようとも除去する。これらの方法は、当該分野の当業者にとってよく知られる。
【0094】
更に、以下の指針を、本発明の化合物の製造において従うことができる。例えば、R−C(O)−、R−S(O)である化合物を得るために、保護されたP3または全ペプチドもしくはペプチドセグメントを、それぞれ適当なアシルクロリドまたはスルホニルクロリド(これらは、商業的に入手可能であるか、またはその製造が当該分野においてよく知られているかのいずれかである)とカップリングさせる。RO−C(O)−である化合物を製造する際には、保護されたP3または全ペプチドもしくはペプチドセグメントを、適当なクロロホルメート(これは、商業的に入手可能であるか、またはその製造が当該分野においてよく知られているかのいずれかである)とカップリングさせる。Boc−誘導体の場合には、(Boc)Oを使用する。
【0095】
例えば、以下に示す。
【化14】

【0096】
シクロペンタノールをホスゲンを用いて処理して、対応するクロロホルメートに仕上げる。
【0097】
該クロロホルメートを、塩基(例えば、トリエチルアミン)の存在下で目的のNH−トリペプチドを用いて処理して、シクロペンチルカルバメートを得る。
【0098】
−N(R)−C(O)−またはR−NH−C(S)−である化合物を製造する際には、保護されたP3または全ペプチドもしくはペプチドセグメントを、Syn Lett. Feb 1995; (2); 142-144に記載する通り、ホスゲン、続いてアミンを用いて処理するか、あるいは、商業的に入手可能なイソシアネートおよび適当な塩基(例えば、トリエチルアミン)と反応させる。
【0099】
−N(R)−S(O)である化合物を製造する際には、保護されたP3または全ペプチドもしくはペプチドセグメントを、patent Ger. Offen. (1998), 84頁、DE 19802350またはWO 98/32748に記載される通り、新たに調製するかまたは商業的に入手可能であるかのいずれかのスルファミルクロリド、続いてアミンを用いて処理する。
【0100】
C−末端残基のα−カルボキシル基は通常、エステル(CPG)として保護し、このものは切断されて、カルボン酸を与え得る。使用することができる保護基は、例えば1)アルキルエステル(例えば、メチル、トリメチルシリルエチル、およびt−ブチル)、2)アラルキルエステル(例えば、ベンジル、および置換ベンジル)、または3)弱塩基処理または弱い還元的方法によって切断可能なエステル(例えば、トリクロロエチルおよびフェナシルエスエル)を含む。
【0101】
得られるα−カルボン酸(このものは、弱酸、弱塩基の処理または、弱い還元的方法による切断から得る)を、塩基(例えば、LiHMDS(リチウムビス−ヘキサメチルジシラミド)の存在下、ペプチドカップリング剤(例えば、CDI)の存在下でR(R)NSONH[これは、本明細書中の記載によって製造する]とカップリングして、P1部分に導入し、これにより、トリペプチドP1−P1−P2−P3−APGを効率よく構築する。
【0102】
反応式IIは更に、式Iの化合物をトリペプチドカルボン酸中間体(1)をP1スルファミドとカップリングさせることによって構築する、一般的方法を示す(以下に示す基R、R、R、R、R10、R11は、へテロ環式の置換基を意味することに注意すべきである)。該カップリング反応は、カルボン酸(1)を溶媒(例えば、THF)中でカップリング試薬(例えば、カルボニルジイミダゾール)を用いて処理することを必要とする。このものを加熱還流し、続いて(1)の生成する誘導体を溶媒(例えば、THFまたはジクロロメタン)中、塩基(例えば、リチウムビスヘキサメチルジシラミド)の存在下でP1スルファミドに加える。
【化15】

【0103】
式Iの化合物の構築のための別の方法を、反応式IIIに示す。ここで、該P1スルファミド要素は、反応式II中で使用するプロセスを用いて、該P1要素とカップリングさせる。次いで、得られるP1−P1部分を、そのアミン末端上で脱保護し得る。この一般的な例において、Boc保護基を使用するが、当該分野の当業者は、多数の適当なアミノ保護基をこの目的に使用することができることを認めるであろう。該Boc保護基を、溶媒(例えば、ジクロロエタン)中、酸(例えば、トリフルオロ酢酸)を用いて除去して、TFA塩の脱保護アミンを得ることができる。該TFAアミン塩は、続くカップリング反応において直接に使用することができ、あるいは代替として、該TFA塩を第1にHClアミン塩に変換することができ、そしてこのHClアミン塩を反応式IIIに示す通り、該カップリング反応に使用する。該HClアミン塩(3)とカルボキシル末端P4−P3−P2中間体とのカップリングは、溶媒(例えば、ジクロロメタン)中でカップリング試薬(例えば、HATU)を用いて達成することができて、式I(4)の化合物を得ることができる。
【化16】

【0104】
式Iの化合物の構築のための別のプロセスを、反応式IVに示す。本明細書中、該P1−P1末端アミン(1)の塩酸塩は、塩基(例えば、ジイソプロピルアミン)の存在下、および溶媒(例えば、メチレンクロリド)中で、カップリング剤(例えば、PyBOP)を用いて、P2要素の遊離カルボキシル基とカップリングさせる。得られるP2−P1−P1中間体は、2個の工程プロセス(ここで、第1工程は、溶媒(例えば、ジクロロメタン)中、酸(例えば、TFA)を用いる、P2アミン末端の脱保護である)で、式Iの化合物に変換し得る。得られるトリフルオロ酢酸塩は、塩基(例えば、ジイソプロピルアミン)の存在下、溶媒(例えば、ジクロロメタン)を用いる、標準的なカップリング剤(例えば、PyBop)を用いて、P4−P3要素のカルボキシル末端とカップリングさせて、式I(4)の化合物を得ることができる。
【化17】

【0105】
上記の反応式中において使用するP4−P3−P2中間体は、一般的な反応式Vに示すこのプロセスの更なる記載と合わせてこれまでに記載する通りに、構築することができる。ここで、P4−P3中間体(1)の遊離のカルボキシル末端を、P2要素のアミノ末端とカップリングさせて、P4−P3−P2ジペプチド(2)を得ることができる。P4−P3−P2中間体のカルボキシル末端は、エステル基のけん化による脱保護によって、遊離カルボン酸(3)としてP4−P3−P2を得ることができる。中間体(3)は、本明細書中に記載する方法を用いて式Iの化合物に変換することができる。
【化18】

【0106】
式1の化合物はまた、本明細書中に記載する通り式Iの他の化合物にも変換し得る。該プロセスの例を、反応式VIに示す。ここで、式I(1)(P4位にBoc基を有する)の化合物は、式I(3)の化合物(ここで、該化合物はP4位にウレア基を有する)に変換する。(1)から(3)への変換は、2工程のプロセスで実施することができる。ここで、その第1は、溶媒(例えば、ジクロロメタン)中、酸(例えば、TFA)で処理することによって(1)をアミン(2)に変換することである。得られるアミンTFA塩は、1当量の塩基の存在下でイソシアネートを用いて処理して、式I(3)(ここで、P3部分はウレアでキャップする)の化合物を得ることができる。上記の通り、当該分野の当業者は、中間体(2)を式Iの化合物の製造のための出発物質として使用することができ、そして該P3基をアミド、スルホンアミド、チオウレア、またはスルファミドを用いてキャップする、ことを認めるであろう。式Iの該化合物の構築は、アミン3由来の該P4官能の生成のための標準的な条件を用いて達成し得る。
【化19】

【0107】
式Iの化合物の構築において、該P1末端は、上で概説する一般的なプロセスの1つを用いておよび以下により詳細に記載する通り、該分子中に導入する。これらのP1スルファミドは、クロロスルホニルイソシアネートを出発物質として使用する2工程プロセスで製造し得る。該イソシアネートを、溶媒(例えば、THF)中、対応するクロロスルファモイルクロリドを水を用いる処理によって、加水分解し得る。中間体スルファモイルクロリドを塩基の存在下、アミンを用いる処理により、所望するスルファミド誘導体を得る。
【化20】

【0108】
式Iの化合物を製造する際に使用するP1要素は場合により商業的に入手可能であるが、しかし、それ以外には、本明細書中に記載する方法を用いて製造することができ、そして引き続いてこのものを本明細書中に記載する方法を用いて式Iの化合物中に導入する。該置換されたP1シクロプロピルアミノ酸を、反応式VIII中の一般的なプロセスの概説に従って、製造し得る。
【0109】
商業的に入手可能でありまたは容易に製造されるイミン(1)を塩基の存在下で1,4−ジハロブテン(2)を用いて処理することにより、生成するイミン(3)を与える。次いで、3の酸加水分解により、主生成物として4(これは、カルボキシル基に対してシンであるアリル置換基を有する)を与える。4のアミン部分はBoc基を用いて保護して、完全に保護されたアミノ酸5を得ることができる。この中間体はラセミ化合物であり、このものは、酵素学的なプロセス(ここで、5のエステル部分をプロテアーゼによって切断して、対応するカルボン酸を与える)によって分割することができる。いずれかの特定の理論と関連付けるわけではないが、この反応は、エナンチオマーの1つがその鏡像よりもより大きな速度で該反応を受けるという点で選択的であると考えられる。これは、中間体ラセミ化合物の動力学的な分割について供するものである。本明細書中に引用する例において、式Iの化合物中に組み込む(integration)ためのより好ましい立体異性体は、(1R,2S)立体化学を有する5aである。酵素の存在において、このエナンチオマーはエステル切断を受けず、その結果、このエナンチオマーはエステル切断を受けず、その結果、このエナンチオマー5aを該反応混合物から回収する。しかしながら、好ましさが劣るエナンチオマー5b((1S,2R)立体化学を有する)は、エステル切断(すなわち、加水分解)を受けて、遊離酸6を与える。この反応の完結後に、エステル5aを通常の方法(例えば、水性抽出方法またはクロマトグラフィー方法)によって酸生成物6から分離することができる。
【化21】

【0110】
P2中間体および式Iの化合物の製造方法を、以下の反応式に示す。多くの場合に、反応は中間体のほんの1つの位置について示しているに過ぎないことに注意すべきである。しかしながら、該反応を用いて、この中間体内の他の位置への修飾を分け与えることができると理解すべきである。その上、具体例に示す該中間体、反応条件および方法は、他の置換パターンを有する化合物に広く適用可能である。以下に概説する一般的な反応式は、本明細書中の例である。一般的な例および具体的な例の両方が非限定的なものであり、例えば、イソキノリン核は一般的な反応式、反応式IXの一部として示され、しかしながら、この経路は、イソキノリン要素(例えば、キノリンまたはピリジン)についての置き換えとして、別のへテロ環置換基の構築のための実行可能なプロセスを示す。
【化22】

【0111】
反応式IXは、N−保護C4−ヒドロキシプロリン部分をヘテロ環とカップリングさせて、中間体(4)を得て、そして本明細書中に記載するペプチド伸長のプロセスによる、該中間体(4)の式Iの化合物への続く修飾を示す。第1の工程(これは、C4−ヒドロキシプロリン基とヘテロアリール要素とのカップリングである)において、塩基を使用することに注意すべきである。当該分野の当業者は、このカップリング反応は、溶媒(例えば、DMF、DMSO、またはTHF)中で塩基(例えば、tert−ブトキシカリウム、水素化ナトリウム)を用いて行なうことができることを認めるであろう。イソキノリン環式とのカップリングは、C1位(反応式IXの中間体2において示すイソキノリン環式について番号付けをする)で起こり、そしてクロロ基(これは、本プロセスにおいて置換される)によって方向付けられる。別の脱離基はこの位置(例えば、反応式中に示すフルオロ)で使用することができることに注意すべきである。該フルオロ中間体(3)は、本明細書中に記載する文献方法を用いて、対応するクロロ化合物から入手可能である。示す環式における該脱離基(クロロまたはフルオロ)の位置は反応式X中に示す通り変えることができ、ここで、該脱離基(この例の場合には、フルオロである)は中間体(2)のイソキノリン環式のC6位にある、ことにも注意すべきである。
【化23】

【0112】
更に、反応式IXおよび反応式Xの中間体(2)中の環内へテロ原子の位置はまた、本明細書中に記載する用語:へテロ環によって定義されるとおり、可変であることにも注意すべきである。反応式Xにおいて、中間体(2)は、C4ヒドロキシプロリン誘導体とカップリングして、P2要素(3)を得ることができる。このC6−置換イソキノリン誘導体は、本明細書中に記載する方法を用いて式Iの化合物に変換し得る。
【0113】
C4−ヒドロキシプロリンの芳香族またはヘテロ芳香族とのカップリングについて上記の方法の改変は、以下に示すミツノブ反応中で提示する。
【化24】

【0114】
反応式XIの工程1
この一般的な反応式において、C4−ヒドロキシプロリン誘導体を、キナゾリン環式とカップリングする。この反応は、非プロトン性溶媒(例えば、THFまたはジオキサン)中での試薬(例えば、トリフェニルホスフィンおよびDEAD(アゾカルボン酸ジエチル)を使用し、そしてこのものはアリールおよびヘテロアリールエーテルの生成のために使用し得る。このカップリング反応中、C4−ヒドロキシプロリン誘導体のC4キラル中心の立体化学は反転し、その結果、そのものは出発物質としてC4位に(S)立体化学を有するC4−ヒドロキシプロリン誘導体を使用するのが必要であることに注意すべきである(反応式XI中に示す通り)。ミツノブ反応の多数の改変および改善は文献中に記載され、そのものの教示は本明細書の一部を構成する、ことに注意すべきである。
【0115】
本明細書中の実施例の部分集合において、イソキノリンを、最終化合物中に、具体的には該化合物のP2領域中に導入する。当該分野の当業者は、イソキノリンの製造についての多数の一般的な方法を入手可能であると、認めるであろう。その上、これらの方法によって製造されるイソキノリンは、本明細書中に記載するプロセスを用いて式Iの最終化合物中に容易に導入し得る。イソキノリンの製造に関する1つの一般的な方法論を反応式XII中に示す。
【化25】

ここで、構造式(2)としての一般的な形態で示される桂皮酸誘導体は、4工程のプロセスで1−クロロイソキノリンに変換する。該クロロイソキノリンを引き続いて、本明細書中に記載する通り、C4−ヒドロキシプロリン誘導体とのカップリング反応において使用し得る。桂皮酸のクロロキノリンへの変換は、塩基の存在下で桂皮酸をクロロギ酸アルキルを用いて処理することで開始する。次いで、得られる無水物をアジ化ナトリウムを用いて処理して、このことにより、反応式中に示すアシルアジド(3)を生成する。別の方法が、カルボン酸からのアシルアジドの生成のために利用可能である。例えば、該カルボン酸を塩基の存在下で、非プロトン性溶媒(例えば、ジクロロメタン)中でジフェニルホスホリルアジド(DPPA)を用いて処理し得る。反応順序の次の工程において、該アシルアジド(3)を、反応式中に示す対応するイソキノロン(4)に変換する。該事象において、該アシルアジドを、高沸点溶媒(例えば、ジフェニルメタン)中で温度が約190摂氏度にまで加熱する。この反応は一般的であり、そして対応する桂皮酸誘導体から中程度〜良好な収率で置換イソキノロンを与える。該桂皮酸誘導体は商業的に入手可能であり、あるいはマロン酸またはその誘導体と直接に縮合し、そしてウィティッヒ反応をも用いることによって、対応するベンズアルデヒド(1)から得ることができる、ことに注意すべきである。反応式XIIの中間体イソキノロン(4)は、オキシ塩化リンを用いて処理することによって、対応する1−クロロイソキノリンに変換し得る。この反応は一般的であり、そして、該ヒドロキシを該へテロ環式中の窒素原子と組み合わせる場合に、イソキノロン、キノロン、または本明細書中に示す別のへテロ環のいずれかに適用して、ヒドロキシ置換基を対応するクロロ化合物に変換することができる。
【0116】
イソキノリン環式の製造のための別の方法は、ポメランツ−フリシュ(Pomeranz-Fritsh)方法である。この一般的な方法を、反応式XIIIに概説する。このプロセスは、ベンズアルデヒド誘導体(1)を官能化イミン(2)に変換することで開始する。次いで、該イミンを、高温で酸を用いて処理することによって、イソキノリン環式に変換する。
【化26】

反応式XIIIのこのイソキノリン製造は一般的であり、そしてこのプロセスは、C8位で置換されたイソキノリン中間体(反応式XIIIの中間体(3)において、該イソキノリン環のC8位は置換基R11で置換されることに注意する)を得るのに特に有用である、ことに注意すべきである。該中間体イソキノリン(3)は、以下に示す2工程プロセスで、対応する1−クロロキノリン(5)に変換し得る。この順序において第1工程は、イソキノリン(3)を非プロトン性溶媒(例えば、ジクロロメタン)中でメタ−クロロ過安息香酸を用いて処理することによる、イソキノリンN−オキシド(4)の生成である。中間体(4)は、還流クロロホルム中、オキシ塩化リンを用いる処理によって、対応する1−クロロキノリンに変換し得る。この2工程プロセスは一般的であり、そしてそれぞれ対応するイソキノリンおよびキノリンからクロロイソキノリンおよびクロロキノリンを得るのに使用し得る。
【0117】
イソキノリン環式の製造のための別の方法を、反応式XIVに示す。このプロセスにおいて、オルト−アルキルベンズアミド誘導体(1)は、溶媒(例えば、THF)中、低温で、強塩基(例えば、tert−ブチルリチウム)を用いて処理する。
【化27】

次いで、この反応混合物に、ニトリル誘導体を加えて、このものを(1)の脱プロトン化から誘導されるアニオンを用いる付加反応を行なって、(2)の生成を得る。この反応は一般的であり、そして置換イソキノリンの生成のために使用し得る。反応式XIVの中間体(2)は、本明細書中に記載する方法によって、対応する1−クロロキノリンに変換し得る。
【0118】
イソキノリンの製造についての別方法を、反応式XVに示す。tert−ブチルリチウムを用いる中間体(1)の脱プロトン化は、上記する。しかしながら、この方法において、該中間体アニオンをエステルによってトラップして、以下に示す中間体(2)の生成を得る。続く反応において、キノロン(3)の生成のために、ケトン(2)を高温で酢酸アンモニウムと縮合させる。この反応は一般的であり、そして置換イソキノロンの構築のために使用することができ、次いでこのものを本明細書中に記載する通り、対応する1−クロロイソキノリンに変換し得る。
【化28】

【0119】
イソキノリンの構築のための更なる別の方法を、反応式XVIに記載する。
【化29】

このプロセスの第1の工程において、オルト−アルキルアリールイミン誘導体(例えば、(1))を、脱プロトン化条件(sec−ブチルリチウム、THF)で行なって、そして生成するアニオンを、活性化カルボン酸誘導体(例えば、ウェインレブ(Weinreb)アミド)を加えることによってクエンチする。得られたケトイミン(2)を、高温で酢酸アンモニウムと縮合させることによって、対応するイソキノリンに変換し得る。この反応は一般的であり、そして置換イソキノリンの製造のために使用し得る。該イソキノリンを、本明細書中に記載する方法によって、対応する1−クロロキノリンに変換し得る。
【0120】
本明細書中に記載し、そして式Iの化合物中に導入されるヘテロ環は、更に官能化し得る。当該分野の当業者は、該へテロ環の更なる官能化が式Iの化合物へのこれらの官能化の導入の前または後のいずれかで行なうことができることを認めるであろう。以下の反応式は、この点を例示する。
【化30】

例えば、反応式XVIIは、(1)(1当量)をアルコール溶媒(これから、アルコキシドは室温で誘導される)中のアルコキシドナトリウムまたはカリウム種を用いて処理することによる、1−クロロ−6−フルオロ−イソキノリンを対応する1−クロロ−6−アルコキシ−イソキノリン種への変換を示す。ある場合に、完結するまで反応液を加熱する必要があり得る。該クロロキノリンを、本明細書中に記載する技術を用いて、式Iの化合物中に導入し得る。
【0121】
P2へテロ環要素の修飾はまた、反応式VXIIの(式2)中に示すとおり、式Iの化合物中にそのものを導入する後に、行なうこともできる。具体的には、例えば(式2)の(1)などの化合物(これは、フタラジン核内に脱離基を含む)は、溶媒(例えば、アルコキシドが誘導される対応するアルコール)中で求核体(例えば、アルコキド)によって置換し得る。これらの反応スキャンは室温で行なうが、ある場合には、そのものは完結まで進めるために、反応液を加熱する必要があり得る。
【0122】
反応式XVIIIは、パラジウム媒介性カップリング反応を用いることによって、本明細書中に定義するヘテロ環の修飾のための一般的な例を提供する。例えば反応式中に示す通りクロリドを用いて、該環を適当に活性化しまたは官能化するという条件で、該カップリングを用いて、該環式の各位置でヘテロ環を官能化し得る。この順序は1−クロロイソキノリン(1)を出発とし、このものはメタクロロ過安息香酸を用いる処理において、対応するN−オキシド(2)に変換し得る。該中間体(2)は、還流クロロホルム中でオキシ塩化リンを用いる処理によって、対応する1,3−ジクロロイソキノリン(3)に変換し得る。中間体(3)は、本明細書中に記載する方法によってN−Boc−4−ヒドロキシプロリンとカップリングして、反応式中に示す中間体(5)を得ることができる。中間体(5)を、パラジウム試薬および塩基の存在下で、溶媒(例えば、THF、トルエンまたはDMF)中でアリールボロン酸とのスズキカップリングを行なって、C3−アリールイソキノリン中間体(6)を得ることができる。ヘテロアリールボロン酸はまた、このPd媒介性カップリングプロセス中で使用することができて、C3−ヘテロアリールイソキノリンを得ることができる。中間体(6)を、本明細書中に記載する方法によって、式Iの最終化合物に変換し得る。
【化31】

【0123】
ヘテロアリール系とアリールまたはヘテロアリール要素とのパラジウム媒介性カップリングはまた、反応式IXX中に示す式Iの化合物の構築におけるその後の合成段階で使用することもできる。そこで、トリペプチドアシルスルホンアミド中間体(1)を、ヘテロアリールハロ部分のアルコキシド置換の上記のプロセスを用いて、1−クロロ−3−ブロモイソキノリン(2)とカップリングして、中間体(3)を得る。(1)と(2)との該カップリングは、触媒(例えば、本明細書中に記載する塩化ランタン)の存在下で最も有効である。中間体(3)のイソキノリン環式は更に、スズキカップリング(プロセス1:(3)を、溶媒(例えば、DMF)中、パラジウム触媒(例えば、パラジウムテトラ(トリフェニルホスフィン))および塩基(例えば、炭酸セシウム)の存在下で、ヘテロアリールまたはアリールのボロン酸と反応させる)、またはスティレ(Stille)カップリング(プロセス2:(3)を、溶媒(例えば、トルエン)中、パラジウム触媒(例えば、パラジウムテトラ(トリフェニルホスフィン))の存在下で、ヘテロアリールまたはアリールのスズ誘導体と反応させる)のいずれかを使用することによって官能化し得る。
【化32】

【0124】
パラジウム反応をも使用して、C4−アミノプロリン要素を、官能化したヘテロ環とカップリングすることもできる。反応式XXは、溶媒(例えば、トルエン)中、パラジウム触媒および塩基の存在下、中間体(1)と官能化したイソキノリンとのカップリングを示す。中間体(3)は、本明細書中に記載する方法を用いて、式Iの化合物に変換し得る。
【化33】

【0125】
官能化したイソキノリン環式の構築はまた、[4+2]環化付加反応を用いて可能である。例えば(反応式XXI)、ベンジル前駆体(2)との環化付加反応におけるビニルイソシアネート(1)の使用により、官能化イソキノロン(3)を得る。該イソキノリンは、本明細書中に記載する方法を用いて、式Iの化合物中に導入し得る。
【化34】

本発明の化合物はまた、当該分野における当業者にとって知られる方法(例えば、国際特許出願番号WO 03/099274(2003年12月3日公開))を用いることによって製造し得る。例えば、WO 03/099274は、プロリン誘導体(例えば、中間体)の製造に関する広範囲な例および教示を提示し、そしてこれらの中間体は、式1の化合物の製造において使用し得る。
【0126】
本発明はまた、本発明の化合物またはその医薬的に許容し得る塩、溶媒和物もしくはプロドラッグ、および医薬的に許容し得る担体を含有する組成物をも提供する。本発明の医薬組成物は、本発明の化合物、またはその医薬的に許容し得る塩、溶媒和物もしくはプロドラッグの治療学的に有効な量、および医薬的に許容し得る担体(ここで、該医薬的に許容し得る担体は、例えば賦形剤、またはビヒクル希釈物である)を含む。
【0127】
該組成物における活性成分(すなわち、化合物)は典型的に、組成物の0.1重量パーセント〜99.9重量パーセントを含み、そして多くの場合は、約5〜95重量パーセントを含む。
【0128】
従って、本発明の1態様において、式1の化合物および医薬的に許容し得る担体を含有する組成物を提供する。該組成物は更に、抗−HCV活性を有する化合物を含むことが好ましい。本明細書中で使用する用語「抗−HCV活性」とは、該化合物が、HCVメタロプロテアーゼ、HCVセリンプロテアーゼ、HCVポリメラーゼ、HCVヘリカーゼ、HCV NS4Bタンパク質、HCV侵入、HCVアセンブリ、HCV放出、HCV NS5Aタンパク質、IMPDH、およびHCV感染症の処置のためのヌクレオシドアナログからなる群から選ばれる標的の機能を阻害するのに有効であることを意味する。多くの場合に、抗−HCV活性を有する他の化合物は、HCVセリンプロテアーゼ以外のHCVライフサイクルにおける標的の機能を阻害するのに有効である。
【0129】
1つの好ましい態様において、抗−HCV活性を有する化合物は、インターフェロンである。該インターフェロンは、インターフェロン2B、ペグ化インターフェロンアルファ、コンセンサスインターフェロン、インターフェロンアルファ2A、およびリンパ芽球インターフェロンtauからなる群から選ばれることが好ましい。
【0130】
本発明の別の態様において、抗−HCV活性を有する化合物は、インターロイキン2、インターロイキン6、インターロイキン12、1型ヘルパーT細胞応答の発生を増大する化合物、干渉RNA、アンチセンスRNA、イミキモド(Imiqimod)、リバビリン、およびイノシン5−モノホスフェートデヒドロゲナーゼインヒビター、アマンタジン、およびリマンタジンからなる群から選ばれる。
【0131】
本発明の1つの好ましい態様において、該組成物は、本発明の化合物、インターフェロン、およびリバビリンを含む。
【0132】
本発明の別の好ましい態様において、抗−HCV活性を有する化合物は小分子化合物である。本明細書中に記載する用語「小分子化合物」とは、分子量が1,500ダルトン以下(1000ダルトン以下が好ましい)を有する化合物を意味する。該小分子化合物は、HCVメタロプロテアーゼ、HCVセリンプロテアーゼ、HCVポリメラーゼ、HCVヘリカーゼ、HCV NS4Bタンパク質、HCV侵入、HCVアセンブリ、HCV放出、HCV NS5Aタンパク質、イノシンモノフォスフェートデヒドロゲナーゼ(「IMPDH」)、およびHCV感染症の処置のためのヌクレオシドアナログからなる群から選ばれる標的の機能を阻害するのに有効であることが好ましい。
【0133】
本発明の化合物と一緒に投与することができる特定の例示的なHCVインヒビター化合物としては、以下の文献中に開示するものを含む。WO 02/04425 A2(2002年1月17日公開)、WO 03/007945 A1(2003年1月30日公開)、WO 03/010141 A2(2003年2月6日公開)、WO 03/010142 A2(2003年2月6日公開)、WO 03/010143 A1(2003年2月6日公開)、WO 03/000254 A1(2003年1月3日公開)、WO 01/32153 A2(2001年5月10日公開)、WO 00/06529(2000年2月10日公開)、WO 00/18231(2000年4月6日公開)、WO 00/10573(2000年3月2日公開)、WO 00/13708(2000年3月16日公開)、WO 01/85172 A1(2001年11月15日公開)、WO 03/037893 A1(2003年5月8日公開)、WO 03/037894 A1(2003年5月8日公開)、WO 03/037895 A1(2003年5月8日公開)、WO 02/100851 A2(2002年12月19日公開)、WO 02/100846 A1(2002年12月19日公開)、EP 1256628 A2(2002年11月13日公開)、WO 99/01582(1999年1月14日公開)、WO 00/09543(2000年2月24日公開)。
【0134】
以下の表1は、本発明の化合物と一緒に投与することができる化合物のいくつかの例示を示す。本発明の化合物は、併用療法において、一緒に、別々に、または組成物中に該化合物を組み合わせることによるかのいずれかで、他の抗−HCV活性化合物と一緒に投与することができる。
【表1】

【表2】

【0135】
本発明の医薬組成物は、経口、非経口、またはインプラント貯蔵物によって投与することができる。経口投与または注射による投与が好ましい。ある場合に、該製剤のpHは医薬的に許容し得る酸、塩基または緩衝液を用いて調節して、該製剤化した化合物またはその運搬形態の安定性を増大することができる。本明細書中で使用する用語:非経口とは、皮下、皮内、静脈内、筋肉内、関節内、滑膜内、胸骨内、くも膜下腔内、および病巣内の注射または注入の技術を含む。
【0136】
経口投与する場合には、本発明の医薬組成物は、いずれかの経口的に許容し得る剤形で投与することができ、例えばカプセル剤、錠剤、並びに、水性懸濁剤および液剤を含むが、これらに限定されない。経口使用のための錠剤の場合には、通常使用する担体としては、ラクトースおよびコーンスターチを含む。滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム)もまた、典型的に加える。カプセル形態での経口投与の場合には、有用な希釈剤としてはラクトースおよび乾燥コーンスターチを含む。水性懸濁剤を経口投与する場合には、活性成分は、乳化剤および懸濁化剤と一緒に組み合わせる。所望する場合には、特定の甘味剤および/または芳香剤および/または着色剤を加えることができる。上記組成物に適当な他の担体は、標準的な医薬の教科書(例えば、「Remington's Pharmaceutical Sciences」, 19版, Mack Publishing Company, Easton, Penn., 1995)中に知ることができる。
【0137】
該医薬組成物は、よく知られおよび容易に入手可能な成分を用いる公知の方法によって製造し得る。本発明の組成物は、当該分野においてよく知られる方法を用いることによって患者に投与後に、活性成分の速い、持続性のまたは遅延性の放出を得るように製剤化することができる。本発明の組成物を製造する際に、該活性成分は通常、担体と一緒に混合するか、担体によって希釈するか、あるいは担体中に取り込んでカプセル剤、サッシェ剤、紙剤、または他の容器の形態であり得る。担体が希釈剤として機能する場合には、そのものは、固体、半固体、または液体の物質であり得て、このものは活性成分のためのビヒクル、賦形剤または媒質として機能する。従って、該組成物は、錠剤、丸剤、散剤、ベッドレット(beadlet)、トローチ剤、サッシェ剤、エリキシル剤、懸濁剤、乳剤、液剤、シロップ剤、エアロゾル剤(固体、または液体の媒質中として)、軟および硬のセラチンカプセル剤、坐剤、減菌性の注射可能な液剤、減菌性のパッケージ散剤などの形態であり得る。本発明の医薬組成物の適当な運搬形態の設計および製造に関する更なる詳細は、当該分野における当業者にとって知られる。
【0138】
本発明の化合物の1日当たりの体重キログラム当たり約0.01〜約1000ミリグラム(「mg/kg」)(1日当たり約0.5〜約250mg/体重kgが好ましい)の用量レベルが、HCV媒介性疾患の予防および治療のための単独療法において典型的である。典型的には、本発明の医薬組成物は、1日当たり約1〜約5回、または連続的な注入として投与する。該投与は、慢性または急性の療法として使用し得る。単一剤形を得るために担体物質と組み合わせることができる活性成分の量は、処置する宿主および投与の様式に依存して変わる。
【0139】
当業者が認める通り、上記よりも低いかまたは高い用量が必要とされることがある。いずれかの特定の患者にとっての具体的な用量および処置のレジメは、様々な因子(例えば、使用する具体的な化合物の活性、年齢、体重、一般的な健康状態、性別、食餌、投与の時間、分泌の割合、薬物の組み合わせ、感染症の激しさおよび期間、感染症に対する患者の素質、および処置する医師の判断)に依存する。一般的に、処置は少ない用量(これは、該ペプチドの最適用量よりも実質的に少ない)で開始する。その後、該用量は、該状況下での最適な効果が達成されるまで、少しずつの増加によって増大する。一般的に、該化合物は、いずれかの有害なまたは心身に有害な副作用を生じることなく、通常、抗ウイルス的に有効な結果を与えるであろう濃度レベルで投与するのが最も所望される。
【0140】
本発明の組成物が本発明の化合物および1つ以上の別の治療学的なまたは予防学的な剤との組み合わせを含む場合には、該化合物および該別の剤の両方は通常、用量レベルが単独療法レジメで通常投与する用量の約10〜100%の間(約10〜80%の間がより好ましい)で存在する。
【0141】
これらの化合物またはその医薬的に許容し得るエナンチオマー、ジアステレオマー、塩、溶媒和物、またはプロドラッグを医薬的に許容し得る担体と一緒に製剤化する際に、得られる組成物をインビボで哺乳動物(例えば、ヒト)に投与して、HCVセリンプロテアーゼを阻害し、またはHCVウイルス感染症を治療もしくは予防することができる。
【0142】
従って、本発明の別の態様は、本発明の化合物またはその医薬的に許容し得る塩または溶媒和物を投与することによって、患者におけるHCVセリンプロテアーゼ活性を阻害するための方法を提供する。
【0143】
本発明の1態様において、HCVセリンプロテアーゼを本発明の化合物と接触させることを含む、HCVセリンプロテアーゼの機能を阻害する方法を提供する。別の態様において、本発明の化合物、またはその医薬的に許容し得る溶媒和物、プロドラッグもしくは塩の治療学的に有効な量を患者に投与することを含む、患者におけるHCV感染症を処置するための方法を提供する。
【0144】
該化合物を投与する方法は、HCVセリンプロテアーゼの機能を阻害するのに有効であることが好ましい。好ましい態様において、該方法は更に、本発明の化合物の前、後、または同時に、抗−HCV活性を有する別の化合物(上記)を投与することを含む。
【0145】
本発明の化合物はまた、実験室試薬として使用し得る。化合物は、ウイルス複製アッセイの設計、動物アッセイシステムの確証、およびHCV疾患機構の知識を更に増加するための構造生物学的な研究のための研究ツールを供する際に役立ち得る。更に、本発明の化合物は、例えば競合的な阻害によって、他の抗ウイルス化合物の結合部位を確立しまたは測定する際に有用である。
【0146】
本発明の化合物をまた用いて、物質のウイルス混入を治療しまたは予防し、従って実験室的なまたは医学的な職員または患者(彼らは、物質(例えば、血液、組織、外科の装置およびガーメント、実験室の装置およびガーメント、並びに血液の収集または輸血の装置および物質)と接触する)のウイルス感染症の危険を低下することができる。
【0147】
更に、本発明の化合物および組成物は、患者におけるHCV感染症を処置するための医薬の製造において使用し得る。
【0148】
(実施例)
以下の具体例は、本発明の化合物の製造を例示し、本発明の範囲を限定するものと解釈すべきではない。該方法は、本発明によって包含されるが、具体的には開示されていない化合物を製造するために、改変に適合させ得る。更に、同じ化合物をいくらか異なる様式で製造するための方法の改変もまた、当該分野の当業者にとって明らかである。
【0149】
特に断らない限り、溶液のパーセントは容量に対する重量の関係で表し、そして溶液の比率は容量に対する容量の関係で表す。核磁気共鳴(NMR)スペクトルは、ブルカー(Bruker)300、400または500MHz分光器のいずれかを用いて記録し;化学シフト値(δ)は、百万分率で報告する。フラッシュクロマトグラフィーは、スティル(Still's)のフラッシュクロマトグラフィー技術(W. C. Stillらによる, J. Org. Chem., (1978), 43, 2923)に従って、シリカゲル(SiO)上で行った。
【0150】
全ての液体クロマトグラフィー(LC)データは、シマズLC−10AS液体クロマトグラフィー(SPD−10AV UV−ビス(Vis)検出器を用いる)で記録し、そして質量分析(MS)データは、LC用のマイクロマス・プラットフォーム(Micromass Platform)を用いてエレクトロスプレーモード(ES+)で測定した。
【0151】
特に断らない限り、以下の実施例において、各化合物をLC/MSによって、以下の条件を有する7つの方法論の1つを用いて、分析した。
カラム:(方法A)−YMC ODS S7 C18 3.0×50 mm;
(方法B)−YMC ODS A S7 C18 3.0×50 mm;
(方法C)−YMC ODS S7 C18 3.0×50 mm;
(方法D)−YMC Xterra ODS S7 3.0×50 mm;
(方法E)−YMC Xterra ODS S7 3.0×50 mm;
(方法F)−YMC ODS−A S7 C18 3.0×50 mm;
(方法G)−YMC C18 S5 4.6×50 mm。
勾配:100%溶媒A/0%溶媒B〜0%溶媒A/100%溶媒B;
勾配時間:2分(A、B、D、F、G);8分(C、E);
ホールド時間:1分(A、B、D、F、G);2分(C、E);
流速:5ミリリットル/分(「mL/分」);
検出波長:220ナノメートル(「nm」);
溶媒A:10%MeOH/90%HO/0.1%TFA;
溶媒B:10%HO/90%MeOH/0.1%TFA。
【0152】
本出願において使用する略語(特に、以下の例示的な例中のものを含む)は、当該分野の当業者にとってよく知られる。使用する略語のいくつかは以下の通りである:
rtは、室温であり;
Bocは、tert−ブトキシカルボニルであり;
DMSOは、ジメチルスルホキシドであり;
EtOAcは、酢酸エチルであり;
t−BuOKは、t−ブトキシカリウムであり;
EtOは、ジエチルエーテルであり;
TBMEは、tert−ブチルメチルエーテルであり;
THFは、テトラヒドロフランであり;
CDIは、カルボニルジイミダゾールであり;
DBUは、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エンであり;
TFAは、トリフルオロ酢酸であり;
NMMは、N−メチルモルホリンであり;
HATUは、O−7−アザベンゾトリアゾール−1−イルであり;
HBTUは、O−{1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N',N'−テトラメチルウロニウム・ヘキサフルオロホスフェートであり;
HOBTは、N−ヒドロキシベンゾトリアゾールであり;
PyBropは、ブロモ−ビス−ピロリジン−ホスホニウムヘキサフルオロホスフェートであり;
DMFは、ジメチルホルムアミドであり;
MeOHは、メタノールであり;
EDTAは、エチレンジアミン四酢酸であり;
HRMSは、高分解能質量分析計であり;
DMAPは、4−ジメチルアミノピリジンであり;
DIPEAは、ジイソプロピルエチルアミンであり;
DCMは、ジクロロメタンであり;
DCEは、ジクロロエタンである。
【0153】
中間体の製造:
実施例1
4−(イソキノリン−1−イルオキシ)−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸1−tert−ブチルエステルの製造
【化35】

DMSO(60mL)中のBoc−L−4−ヒドロキシプロリン(N−Boc(2S,4R)−ヒドロキシプロリン)(3.85g、16.6ミリモル(「mmol」)(CHEM-IMPEX International)中の懸濁液を氷浴中で〜3分間冷却し、次いでt−BuOK(4.66g、41.5mmol)を加えた。氷浴中での撹拌および冷却を、固体の塊が生成するまで数分間続けた。この後、該反応混合物をrtまで1.5時間昇温して、透明な無色溶液を得た。1−クロロイソキノリン(3.0g、18.3mmol)を2回に分けて10分間の間隔で加えた。該反応液をrtで24時間撹拌した。該暗反応混合物をエーテル(200mL)および水(600mL)の間で分配した。該水相を4N HClを用いてpH 4にまで酸性とした。得られた乳濁の黄色溶液をエーテル(4×200mL)を用いて抽出した。該エーテル抽出物を合わせて乾燥し(MgSOを使用)、ろ過し、そして真空下で濃縮して金色油状物を得た。フラッシュクロマトグラフィー(2〜4%MeOH/CHClを使用)精製することにより、オフホワイト色固体の4−(イソキノリン−1−イルオキシ)−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸1−tert−ブチルエステル(方法A、保持時間:3.06分)(5.69g、96%)を得た。MS m/z 359 (M++1)。
【0154】
実施例2
4−(6−メトキシ−イソキノリン−1−イルオキシ)−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸1−tert−ブチルエステルの製造
【化36】

実施例2の工程1
6−メトキシ−2H−イソキノリン−1−オンの製造
【化37】

アセトン(80mL)中の3−メトキシ桂皮酸(11.04g、62mmol)、トリエチルアミン(12.52g、124mmol)の溶液に、クロロギ酸エチルを0℃で滴下した。この温度で1時間撹拌後に、水性NaN(6.40g、100mmol、HO(35mL)中)を滴下し、そして該反応混合物を周囲温度で16時間撹拌した。水(100mL)を該混合物に加え、そして揮発物を真空下で除去した。得られたスラリーをトルエン(3×50mL)を用いて抽出し、そして有機相を合わせてMgSOを用いて乾燥した。この乾燥した溶液を、ジフェニルメタン(50mL)およびトリブチルアミン(30mL)の加熱した溶液に190℃で滴下した。加えるにつれて、該トルエンを留去した。完全に添加後に、該反応温度は2時間かけて210℃まで上昇させた。冷却後に、該沈降した生成物をろ過によって集め、ヘキサン(2×50mL)を用いて洗浄し、乾燥して白色固体(5.53g、51%)を得た。MS m/z 176 (M++H)。
【0155】
実施例2の工程2
1−クロロ−6−メトキシイソキノリンの製造
【化38】

POCl中の6−メトキシ−2H−イソキノリン−1−オンを3時間静かに加熱還流し、次いでこのものを真空下で蒸発させた。該残渣を氷水(20mL)中にそそぎ、そしてこのものを10M NaOHを用いてpH 10にまで中和した。CHClを用いて抽出した。該有機相をブラインを用いて洗浄し、ろ過し、蒸発させた。該残渣をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン−EtOAcを使用)によって精製して、白色固体を得た。1H NMR (CD3OD) δ 3.98 (s, 3H), 7.34-7.38 (m, 2 H), 7.69 (d, J=5.5 Hz, 1H), 8.10 (d, J=6.0 Hz, 1H), 8.23 (d, J=9.5 Hz, 1H), MS m/z 194 (M++H)。
【0156】
実施例2の工程3
4−(6−メトキシ−イソキノリン−1−イルオキシ)−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸1−tert−ブチルエステルの製造
【化39】

実施例1中に記載する通り(1−クロロ−6−メトキシ−イソキノリンを1−クロロ−イソキノリンの代わりに使用することを除く)、製造する。1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 1.41 (m, 9 H), 2.44 (m, 1 H), 2.75 (m, 1 H), 3.82-3.92 (m, 2 H), 3.96 (s, 3 H), 4.45 (m, 1 H), 5.50 (m, 1 H), 7.20 (m, 1 H), 7.27 (d, J=5.14 Hz, 1 H), 7.41 (d, J=2.45 Hz, 1 H), 7.48-7.59 (m, 3 H), 8.00-8.05 (m, 2 H), 8.08 (d, J=9.29 Hz, 1 H)。LC-MS(保持時間: 2.140分), MS m/z 465 (MH+)。
【0157】
実施例3
式Iの化合物中に導入するためのP1要素の製造
I.ラセミの(1R,2S)/(1S,2R)−1−アミノ−2−ビニルシクロプロパンカルボン酸エチルエステル塩酸塩の製造(方法Aおよび方法B)、およびN−(1R,2S)−1−アミノ−2−ビニルシクロプロパンカルボン酸エチルエステル塩酸塩の製造のためのこのラセミ化合物のキラル分割(方法C)
【化40】

この命名する化合物は、以下の方法AおよびBの各々によってラセミを製造した。このラセミ化合物をまた分割して、キラルなBoc−(1R,2S)−1−アミノ−2−ビニルシクロプロピルカルボン酸エステルを得て、このものを酸性条件下で脱保護して、(1R,2S)−1−アミノ−2−ビニルシクロプロパンカルボン酸エステル塩酸塩を得た(方法C)。
【0158】
方法A
A.1 グリシンエチルエステルのN−ベンジルイミンの製造
【化41】

グリシンエチルエステル塩酸塩(303.8g、2.16モル)をtert−ブチルメチルエーテル(1.6L)中に懸濁した。ベンズアルデヒド(231g、2.16モル)および無水硫酸ナトリウム(154.6g、1.09モル)を加え、そして該混合物を氷水浴を用いて0℃まで冷却した。トリエチルアミン(455mL、3.26mol)を30分間かけて滴下し、そして該混合物をrtで48時間撹拌した。次いで、該反応を、氷冷水(1L)を加えることによってクエンチし、そして該有機相を分離した。該水相をtert−ブチルメチルエーテル(0.5L)を用いて抽出し、そして該有機相を合わせて、飽和NaHCO水溶液(1L)およびブライン(1L)の混合物を用いて洗浄した。該溶液をMgSOを乾燥し、真空下で濃縮して、濃厚な黄色油状物のN−ベンジルイミン生成物(392.4g)を得て、このものを次の工程に直接に使用した。1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ 1.32 (t, J=7.1 Hz, 3H), 4.24 (q, J=7.1 Hz, 2H), 4.41 (d, J=1.1 Hz, 2H), 7.39-7.47 (m, 3H), 7.78-7.81 (m, 2H), 8.31 (s, 1H)。
【0159】
A.2 ラセミのN−Boc−(1R,2S)/(1S,2R)−1−アミノ−2−ビニルシクロプロパンカルボン酸エチルエステルの製造
【化42】

乾燥トルエン(1.2L)中のtert−ブトキシリチウム(84.06g、1.05mol)の懸濁液に、乾燥トルエン(0.6L)中のグリシンエチルエステルのN−ベンジルイミン(100.4g、0.526mol)およびトランス−1,4−ジブロモ−2−ブテン(107.0g、0.500mol)の混合物を滴下した。添加が完結後に、深赤色混合物を、水(1L)およびtert−ブチルメチルエーテル(TBME、1L)を加えることによってクエンチした。該水相を分離し、そしてTBME(1L)を用いて2回抽出した。該有機相を合わせて、1N HCl(1L)を加え、そして該混合物を室温で2時間撹拌した。該有機層を分離し、そして水(0.8L)を用いて抽出した。次いで、該水相を合わせて、食塩(700g)を用いて飽和とし、TBME(1L)を加え、そして該混合物を0℃まで冷却した。次いで、該撹拌混合物を10N NaOHを添加することによってpH 14にまで塩基性とし、有機相を分離し、そして該水相をTBME(2×500mL)を用いて抽出した。該有機抽出物を合わせて乾燥し(MgSOを使用)、そして1Lの容量にまで濃縮した。遊離アミンのこの溶液に、BocOまたは二炭酸ジ−tert−ブチル(131.0g、0.6mol)を加え、そして該混合物をrtで4日間撹拌した。更なる二炭酸ジ−tert−ブチル(50g、0.23mol)を該反応液に加え、該混合物を3時間還流し、次いでこのものを室温まで終夜冷却した。該反応混合物をMgSOを用いて乾燥し、そして真空下で濃縮して粗物質(80g)を得た。この残渣をフラッシュクロマトグラフィー(SiOの2.5kg、1%〜2%のMeOH/CHClを用いて溶出)によって精製して、黄色油状物のラセミのN−Boc−(1R,2S)/(1S,2R)−1−アミノ−2−ビニルシクロプロパンカルボン酸エチルステル(57g、53%)を得て、このものは冷蔵庫中で撹拌する間に固化した。1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ 1.26 (t, J=7.1 Hz, 3H), 1.46 (s, 9H), 1.43-1.49 (m, 1H), 1.76-1.82 (br m, 1H), 2.14 (q, J=8.6 Hz, 1H), 4.18 (q, J=7.2 Hz, 2H), 5.12 (dd J=10.3, 1.7 Hz, 1H), 5.25 (br s, 1H), 5.29 (dd, J=17.6, 1.7 Hz, 1H), 5.77 (ddd, J=17.6, 10.3, 8.9 Hz, 1H); MS m/z 254.16 (M-1)。
【0160】
A.3 ラセミの(1R,2S)/(1S,2R)1−アミノ−2−ビニルシクロプロパンカルボン酸エチルエステル塩酸塩の製造
【化43】

N−Boc−(1R,2S)/(1S,2R)−1−アミノ−2−ビニルシクロプロパンカルボン酸エチルエステル(9.39g、368mmol)を4N HCl/ジオキサン(90mL、360mmol)中に溶解し、そしてこのものをrtで2時間撹拌した。該反応混合物を濃縮して、(1R,2S)/(1S,2R)−1−アミノ−2−ビニルシクロプロパンカルボン酸エチルエステル塩酸塩を定量的な収率(7g、100%)で得た。1H NMR (メタノール-d4) δ 1.32 (t, J=7.1, 3H), 1.72 (dd, J=10.2, 6.6 Hz, 1H), 1.81 (dd, J=8.3, 6.6 Hz, 1H), 2.38 (q, J=8.3 Hz, 1H), 4.26-4.34 (m, 2H), 5.24 (dd, 10.3, 1.3 Hz, 1H) 5.40 (d, J=17.2, 1H), 5.69-5.81 (m, 1H)。
【0161】
方法B
ラセミの(1R,2S)/(1S,2R)1−アミノ−2−ビニルシクロプロパンカルボン酸エチルエステル塩酸塩の製造
【化44】

−78℃のTHF(450mL)中のtert−ブトキシカリウム(11.55g、102.9mmol)の溶液に、THF(112mL)中の商業的に入手可能なグリシンエチルエステルのN,N−ジベンジルイミン(25.0g、93.53mmol)を得た。該反応混合物を0℃まで昇温させ、40分間撹拌し、次いでこのものを−78℃まで冷却し直した。この溶液に、1,4−ジブロモー2−ブテン(20.0g、93.50mmol)を加え、該混合物を0℃で1時間撹拌し、そしてこのものを−78℃まで冷却し直した。tert−ブトキシカリウム(11.55g、102.9mmol)を加え、該混合物を0℃まで直ぐに昇温させ、そしてこのものを1時間以上撹拌し、その後に真空下で濃縮した。該粗生成物をEtO(530mL)中に溶かし、1N塩酸(106mL、106mmol)を加え、そして得られた二層混合物をrtで3.5時間撹拌した。相分離し、そして該水相をEtO(2×)を用いて洗浄し、そして飽和NaHCO水溶液を用いて塩基性とした。所望するアミンをEtO(3×)を用いて抽出し、そして該有機抽出物を合わせてブラインを用いて洗浄し、乾燥し(MgSOを使用)、そして真空下で濃縮して遊離アミンを得た。この物質をジオキサン中の4N HCl溶液(100mL、400mmol)を用いて処理し、そして濃縮して褐色半固体の(1R,2S)/(1S,2R)−1−アミノ−2−ビニルシクロプロパンカルボン酸エチルエステル塩酸塩(5.3g、34%収率)を得て、このものは、少量の同定できない芳香族性の不純物(8%)の存在を除いて、方法Aから得られる物質と一致した。
【0162】
方法C
N−Boc−(1R,2S)/(1S,2R)−1−アミノ−2−ビニルシクロプロパンカルボン酸エチルエステルの分割
【化45】

分割A
39℃に保ち、300rpmで撹拌した、12リットルのジャッキで締めた(jacked)反応容器中に収容したリン酸ナトリウム緩衝液の水溶液(0.1M、4.25リットル(「L」)、pH 8)に、アカラーゼ(Acalase)2.4Lの511グラム(約425mL)(Novozymes North America Inc.)を加えた。該混合物の温度が39℃に達した後に、pHを、水中の50%NaOHを加えることによって8.0にまで調節した。次いで、DMSO(850mL)中のラセミのN−Boc−(1R,2S)/(1S,2R)−1−アミノ−2−ビニルシクロプロパンカルボン酸エチルエステル(85g)溶液を、40分間かけて加えた。次いで、該反応温度を40℃で24.5時間保ち、その間に、該混合物のpHを、水中の50%NaOHを用いて、1.5時間および19.5時間の時点で8.0にまで調節した。24.5時間後に、該エステルのエナンチオ過剰率を97.2%であると測定し、そして該反応液を室温(26℃)まで冷却し、そして終夜(16時間)撹拌し、その後に、該エステルのエナンチオ過剰率を100%であると測定した。次いで、該反応混合物のpHを50%NaOHを用いて8.5にまで調節し、そして得られた混合物をMTBE(2×2L)を用いて抽出した。次いで、該MTBE抽出物を合わせて、5%NaHCO(3×100mL)、水(3×100mL)を用いて洗浄し、そして真空下で蒸発させて、明黄色固体のエナンチオ的に純粋なN−Boc−(1R,2S)−1−アミノ−2−ビニルシクロプロパンカルボン酸エチルエステル(42.55g;純度:97%@210nm、酸を含有しない;100%エナンチオ過剰率(「ee」))を得た。
【0163】
次いで、抽出プロセス由来の水相を50%HSOを用いてpH 2にまで酸性とし、そしてMTBE(2×2L)を用いて抽出した。該MTBE抽出物を水洗し(3×100mL)、そして蒸発させて、明黄色固体の酸(42.74g;純度:99%@210nm、エステルを含有しない)を得た。
【化46】

【表3】

【0164】
分割B
24ウェルプレート(能力:10mL/ウェル)のウェル中の100mM Heps・Na緩衝液(pH 8.5)(0.5mL)に、サビナセ(Savinase)16.0L(Bacillus clausii由来のプロテアーゼ)(Novozymes North America Inc.)(0.1mL)、およびDMSO(0.1mL)中のラセミのN−Boc−(1R,2S)/(1S,2R)−1−アミノ−2−ビニルシクロプロパンカルボン酸エチルエステル(10mg)の溶液を加えた。該プレートを封し、そして40℃、250rpmでインキュベートした。18時間後に、エナンチオ過剰量のエステルを以下の通り、44.3%であると測定した。該反応混合物(0.1mL)を除去し、そしてエタノール(1mL)と一緒に十分に混合した。遠心分離後に、該上清液の10マイクロリットル(「μL」)をキラルHPLCを用いて分析した。残りの反応混合物に、DMSO(0.1mL)を加え、そして該プレートを40℃、250rpmで更に3日間インキュベートし、その後に、エタノール(4mL)を該ウェルに加えた。遠心分離後に、該上清液(10μL)をキラルHPLCを用いて分析し、そして該エステルのエナンチオ過剰率は100%であると測定した。
【0165】
分割C
24ウェルプレート(能力:10mL/ウェル)中の100mM Heps・Na緩衝液(pH 8.5)(0.5mL)に、エスペラーゼ(Esperase)8.0L(Bacillus halodurans由来のプロテアーゼ)(Novozymes North America Inc.)(0.1mL)、およびDMSO(0.1mL)中のラセミのN−Boc−(1R,2S)/(1S,2R)−1−アミノ−2−ビニルシクロプロパンカルボン酸エチルエステル(10mg)の溶液を加えた。該プレートを封し、そして40℃、250rpmでインキュベートした。18時間後に、該エステルのエナンチオ過剰率は以下の通り、39.6%であると測定した。該反応混合物(0.1mL)を除去し、そしてエタノール(1mL)と十分に混合した。遠心分離後に、該懸濁液(10μL)をキラルHPLCを用いて分析した。残りの反応混合物に、DMSO(0.1mL)を加え、そして該プレートを40℃、250rpmでさらに3日間インキュベートし、その後に、エタノール(4mL)を該ウェルに加えた。遠心分離後に、該懸濁液(10μL)をキラルHPLCを用いて分析し、そして該エステルのエナンチオ過剰率を100%であると測定した。
【0166】
試料分析を、以下の様式で行なった:
1)試料の調製:該反応混合物(約0.5mL)を10倍容量のEtOHと十分に混合した。遠心分離後に、該懸濁液(10μL)をHPLCカラム上に注入した。
2)変換の測定:
カラム:YMC ODS A, 4.6×50 mm, S-5μm;
溶媒:A、1ミリモル(「mM」)HCl/水;B、MeCN;
勾配:30%Bを1分間;0.5分間かけて30%〜45%B;45%Bを1.5分間;0.5分間かけて45%〜30%B;
流速:2mL/分;
UV検出:210nm;
保持時間:酸、1.2分;エステル、2.8分;
3)エステルのエナンチオ過剰率の測定:
カラム:CHIRACEL OD-RH, 4.6×150 mm, S-5μm;
移動相:MeCN/50mM HClO/水(67/33);
流速:0.75mL/分;
UV検出:210nm。
保持時間:
酸の(1S,2R)異性体:5.2分;
ラセミ混合物:18.5分および20.0分;
エステルの(1R,2S)異性体:18.5分。
【0167】
II.N−Boc−(1R,2S)−1−アミノ−2−シクロプロピルシクロプロパンカルボン酸エチルエステルの製造
【化47】

エーテル(10mL)中のN−Boc−(1R,2S)−1−アミノ−2−ビニルシクロプロパンカルボン酸(255mg、1.0mmol)の溶液を、酢酸パラジウム(5mg、0.022mmol)を用いて処理した。該橙色/赤色溶液をNの雰囲気下に置いた。エーテル中の過剰量のジアゾメタンを1時間かけて滴下した。得られた溶液をrtで18時間撹拌した。該過剰量のジアゾメタンを窒素の気流を用いて除去した。得られた溶液を回転蒸発によって濃縮して、粗生成物を得た。フラッシュクロマトグラフィー(10%EtOAc/ヘキサンを使用)精製により、無色油状物のN−Boc−(1R,2S)−1−アミノ−2−シクロプロピルシクロプロパンカルボン酸エチルエステル(210mg、78%)を得た。LC−MS(保持時間:2.13;方法Aと同様(勾配時間3分、Xterra MS C18 S7 3.0×50 mmを除く))、MS m/e 270 (M++1)。
【0168】
III.1−tert−ブトキシカルボニルアミノ−シクロプロパン−カルボン酸は、商業的に入手可能である。
【化48】

【0169】
IV.1−アミノシクロブタンカルボン酸メチルエステル塩酸塩の製造
【化49】

1−アミノシクロブタンカルボン酸(100mg、0.869mmol)(Tocris)をMeOH(10mL)中に溶解し、そしてHClガスを2時間バブルした。該反応混合物を18時間撹拌し、次いでこのものを真空下で濃縮して、黄色油状物(144mg)を得た。エーテル(10mL)を用いてトリチュレートすることにより、白色固体の標題生成物(100mg)を得た。1H NMR (CDCl3) δ 2.10-2.25 (m, 1H), 2.28-2.42 (m, 1H), 2.64-2.82 (m, 4H), 3.87 (s, 3H), 9.21 (br s, 3H)。
【0170】
V.以下に示すラセミの(1R,2R)/(1S,2S)1−アミノ−2−エチルシクロプロパンカルボン酸tert−ブチルエステルの製造
【化50】

工程1:以下に示す2−エチルシクロプロパン−1,1−ジカルボン酸ジ−tert−ブチルエステルの製造
【化51】

50%NaOH水溶液(HO(185mL)中の92.4g)中のベンジルトリエチルアンモニウムクロリド(21.0g、92.2mmol)の懸濁液に、1,2−ジブロモブタン(30.0g、138.9mmol)およびマロン酸ジ−tert−ブチル(20.0g、92.5mmol)を加えた。該反応混合物をrtで18時間激しく撹拌し、次いで氷および水の混合物を加えた。該粗生成物をCHCl(3×)を用いて抽出し、そして水(3×)、ブラインを用いて連続して洗浄し、そして該有機抽出物を合わせた。該有機相を乾燥し(MgSOを使用)、ろ過し、そして真空下で濃縮した。得られた残渣をフラッシュクロマトグラフィー精製(SiO(100g)、3%EtO/ヘキサンを使用)を行なって、標題生成物(18.3g、67.8mmol、73%収率)を得て、このものを次の反応に直接に使用した。
【0171】
工程2:以下に示すラセミの2−エチルシクロプロパン−1,1−ジカルボン酸tert−ブチルエステルの製造
【化52】

工程1の生成物(18.3g、67.8mmol)を、乾燥エーテル(500mL)中のtert−ブトキシカリウム(33.55g、299.0mmol)の懸濁液に0℃で加え、続いてHO(1.35mL、75.0mmol)を加え、そしてrtで終夜激しく撹拌した。該反応混合物を氷および水の混合物中にそそぎ、そしてエーテル(3×)を用いて洗浄した。該水相を10%クエン酸水溶液を用いて0℃で酸性とし、そしてEtOAc(3×)を用いて抽出した。該有機相を合わせて、水(2×)、ブラインを用いて洗浄し、乾燥し(MgSOを使用)、そして真空下で濃縮して淡黄色油状物の標題生成物(10g、46.8mmol、69%収率)を得た。
【0172】
工程3:以下に示す(1R,2R)/(1S,2S)2−エチル−1−(2−トリメチルシラニルエトキシカルボニルアミノ)シクロプロパンカルボン酸tert−ブチルエステルの製造
【化53】

乾燥ベンゼン(160mL)中の工程2の生成物(10g、46.8mmol)および新たに活性化した4Aモレキュラーシーブ(3g)の懸濁液に、EtN(7.50mL、53.8mmol)およびDPPA(11mL、10.21mmol)を加えた。該反応混合物を3.5時間還流し、次いで2−トリメチルシリル−エタノール(13.5mL、94.2mmol)を加え、そして該反応混合物を終夜還流した。該反応混合物をろ過し、EtOを用いて希釈し、10%クエン酸水溶液、水、飽和NaHCO水溶液、水(2×)、ブライン(2×)を用いて洗浄し、乾燥し(MgSOを使用)、そして真空下で濃縮した。該残渣を、CHCl(120mL)中のアルドリッチ社製ポリイソシアネートスカベンジャー樹脂(10g)を用いて懸濁し、rtで終夜撹拌し、そしてろ過して淡黄色油状物の標題生成物(8g、24.3mmol、52%)を得た。1H NMR (CDCl3) δ 0.03 (s, 9H), 0.97 (m, 5H), 1.20 (bm, 1H), 1.45 (s, 9H), 1.40-1.70 (m, 4H), 4.16 (m, 2H), 5.30 (bs, 1H)。
【0173】
工程4:以下に示すラセミの(1R,2R)/(1S,2S)1−アミノ−2−エチルシクロプロパンカルボン酸tert−ブチルエステルの製造
【化54】

工程3の生成物(3g、9mmol)に、THF中の1.0M TBAF溶液(9.3mL、9.3mmol)を加え、そして該混合物を1.5時間加熱還流し、rtまで冷却し、そしてEtOAc(500mL)を用いて抽出した。該溶液を水(2×100mL)、ブライン(2×100mL)を用いて連続して洗浄し、乾燥し(MgSOを使用)、真空下で濃縮して標題中間体を得た。
【0174】
VI.キラルな(1R,2S)−1−アミノ−2−ビニルシクロプロパンカルボン酸エチルエステル塩酸塩の製造
【化55】

N−BOC−(1R,2S)−1−アミノ−2−ビニルシクロプロパンカルボン酸エチルエステル(8.5g、33.3mol)をN雰囲気下で、4N HCl/ジオキサン(アルドリッチ社製)(200mL)を用いてrtで3時間撹拌した。該溶媒を減圧下で、温度を40℃以下に保ちながら除去した。このものは、明黄褐色固体の(1R,2S)−1−アミノ−2−ビニルシクロプロパンカルボン酸エチルエステル塩酸塩(6.57g、〜100%)を得た。1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ 1.31 (t, J=7.0 Hz, 3 H), 1.69-1.82 (m, 2 H), 2.38 (q, J=8.8 Hz, 1 H), 4.29 (q, J=7.0 Hz, 2 H), 5.22 (d, J=10.3 Hz, 1 H), 5.40 (d, J=17.2 Hz, 1 H), 5.69-5.81 (m, 1 H). LC-MS (方法J, 保持時間: 0.58分), MS m/z 156 (M++1)。
【0175】
実施例4
スルファミドの製造のための一般的方法
【化56】

該中間体スルファモイルクロリドは、THF中の水(1当量)を、THF中のクロロスルホニルイソシアネート(1当量)の冷(−20℃)撹拌溶液に加えることによって製造し、そして得られた溶液を0℃まで昇温させた。この溶液に、無水EtN(1当量)を加え、続いて必要な第2級アミン(1当量)を加えた。該反応混合物を室温まで昇温し、次いでろ過し、そして該ろ液を回転蒸発させて、所望するスルファミドを得た。
【0176】
実施例5〜18
化合物1〜13の製造
化合物1〜13の製造における重要な工程は、トリペプチドカルボン酸およびスルファミドとのカップリングによって、所望するトリペプチドスルファミドを得ることである。この重要な工程の一般的な反応式を以下に示す。
【化57】

【0177】
実施例5
1−{[1−(2−メトキシカルボニルアミノ−3,3−ジメチル−ブチリル)−4−(7−メトキシ−2−フェニル−キノリン−4−イルオキシ)−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−2−ビニル−シクロプロパンカルボン酸の製造
【化58】

【0178】
実施例5の工程1
1−{[4−(7−メトキシ−2−フェニル−キノリン−4−イルオキシ)−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−2−ビニル−シクロプロパンカルボン酸エチルエステルの製造
【化59】

CHCN(100mL)中の(2S,4R)−4−(7−メトキシ−2−フェニル−キノリン−4−イルオキシ)−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸1−tert−ブチルエステル(4.4g、9.5mmol)の溶液に、(1R,2S)1−アミノ−2−ビニルシクロプロパンカルボン酸エチルエステル塩酸塩(2.37g、12.35mmol)、DIEA(8.27mL、47.5mmol)およびカップリグ試薬HOBt(2.18g、14.25mmol)およびHBTU(5.4g、14.25mmol)を加えた。該溶液をrtで終夜撹拌した。次いで、該溶液を濃縮し、水洗し、そして酢酸エチルを用いて2回抽出した。該有機相を合わせてブラインを用いて洗浄し、乾燥し(MgSOを使用)、そして濃縮して黄色がかった油状物を得た。そのものを、フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、1:1のEtOAc:ヘキサンを使用)によって精製して、カップリング生成物の黄色がかった発泡体を得た。次いで、そのものをジオキサン中の4N HCl(20mL)中に溶解した。該反応混合物をrtで4時間撹拌した。次いで、そのものを濃縮し、そして該粗生成物を更にプレパHPLCによって精製して、TFA塩の黄色がかった固体を得た(4.5g、77%収率)。1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 1.23 (t, J=7.09 Hz, 3 H), 1.46 (dd, J=9.66, 5.50 Hz, 1 H), 1.78 (dd, J=8.07, 5.38 Hz, 1 H), 2.23 (m, 1 H), 2.59 (m, 1 H), 2.95 (m, 1 H), 3.90-3.99 (m, 2 H), 4.05 (s, 3 H), 4.14 (q, J=7.09 Hz, 2 H), 4.68 (dd, J=10.27, 7.58 Hz, 1 H), 4.86(m, 1H), 5.12 (dd, J=10.27, 1.47 Hz, 1 H), 5.30 (dd, J=17.00, 1.34 Hz, 1 H), 5.76 (m, 1 H), 5.96 (s, 1 H), 7.45 (dd, J=9.29, 2.45 Hz, 1 H), 7.54 (d, J=2.20 Hz, 1 H), 7.62 (s, 1 H), 7.68-7.77 (m, 3 H), 8.05 (m, 2 H), 8.38 (d, J=9.29 Hz, 1 H)。LC-MS (保持時間: 1.243分), MS m/z 502 (MH+)。
【0179】
実施例5の工程2
1−{[1−(2−メトキシカルボニルアミノ−3,3−ジメチル−ブチリル)−4−(7−メトキシ−2−フェニル−キノリン−4−イルオキシ)−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−2−ビニルシクロプロパンカルボン酸エチルエステルの製造
【化60】

CHCN(20mL)中の1−{[4−(7−メトキシ−2−フェニル−キノリン−4−イルオキシ)−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−2−ビニルシクロプロパンカルボン酸エチルエステル(600mg、1.115mmol)の溶液に、2−メトキシカルボニルアミノ−3,3−ジメチル−酪酸(317mg、1.673mmol)、DIEA(0.97mL、5.575mmol)、およびカップリング試薬HOBt(256mg、1.673mmol)およびHBTU(634g、1.673mmol)を加えた。該溶液をrtで終夜撹拌した。次いで、そのものを濃縮し、水洗し、そして酢酸エチルを用いて2回抽出した。有機相を合わせてブラインを用いて洗浄し、MgSOを用いて乾燥し、そして濃縮して黄色がかった油状物を得た。次いで、そのものをプレパHPLCカラムによって精製して、生成物の黄色がかった油状物(410mg、47%収率)を得た。1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 1.03 (s, 9 H), 1.22 (t, J=7.09 Hz, 3 H), 1.41 (dd, J=9.41, 5.26 Hz, 1 H), 1.71 (dd, J=8.19, 5.26 Hz, 1 H), 2.17 (m, 1 H), 2.50 (m, 1 H), 2.77 (m, 1 H), 3.33 (s, 3 H), 4.03 (s, 3 H), 4.04-4.14 (m, 3 H), 4.18 (s, 1 H), 4.61-4.69 (m, 2 H), 4.86 (m, 1 H), 5.08 (dd, J=10.27, 1.71 Hz, 1 H), 5.25 (d, J=17.11 Hz, 1 H), 5.72-5.82 (m, 2 H), 7.39 (dd, J=9.29, 2.20 Hz, 1 H), 7.51 (m, 1 H), 7.63 (m, 1 H), 7.69-7.77 (m, 3 H), 8.06 (m, 2 H), 8.35 (d, J=9.29 Hz, 1 H), 8.75 (s, 1 H)。LC-MS (保持時間: 2.857分), MS m/z 673 (MH+)。
【0180】
実施例5の工程3
1−{[1−(2−メトキシカルボニルアミノ−3,3−ジメチル−ブチリル)−4−(7−メトキシ−2−フェニル−キノリン−4−イルオキシ)−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−2−ビニルシクロプロパンカルボン酸の製造
【化61】

THF(20mL)中の1−{[1−(2−メトキシカルボニルアミノ−3,3−ジメチル−ブチリル)−4−(7-メトキシ−2−フェニル−キノリン−4−イルオキシ)−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−2−ビニルシクロプロパンカルボン酸エチルエステル(410mg、0.52mmol)の溶液に、メタノール(11.5mL)および水(3.8mL)の混合物、水酸化リチウムモノ水和物(328mg、7.82mmol)を加えた。該反応混合物をrtで終夜撹拌した。次いで、このものを1N HCl溶液を用いて酸性とし、そして濃縮した。該残渣をEtOAc(2回)を用いて抽出し、そして有機相を合わせた。次いで、このものを乾燥(MgSOを使用)し、そして濃縮してオフホワイト色固体(230mg、69%収率)を得た。1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 1.02 (s, 9 H), 1.43 (dd, J=9.54, 5.14 Hz, 1 H), 1.68 (dd, J=8.07, 5.14 Hz, 1 H), 2.17 (m, 1 H), 2.57 (m, 1 H), 2.75 (m, 1 H), 3.34 (s, 3 H), 4.03 (s, 3 H),4.06(m, 1H), 4.18 (s, 1 H), 4.60-4.70 (m, 2 H), 4.88 (m, 1H), 5.08 (dd, J=10.39, 1.59 Hz, 1 H), 5.25 (dd, J=17.36, 1.71 Hz, 1 H), 5.77-5.87 (m, 2 H) 7.38 (dd, J=9.29, 2.20 Hz, 1 H), 7.50 (m, 1 H), 7.62 (m, 1 H), 7.69-7.78 (m, 3 H), 8.03-8.07 (m, 2 H), 8.36 (d, J=9.20 Hz, 1 H)。LC-MS (保持時間: 2.177分), MS m/z 645 (MH+)。
【0181】
実施例6
化合物1の製造:
【化62】

THF(5mL)中の1−{[1−(2−メトキシカルボニルアミノ−3,3−ジメチル−ブチリル)−4−(7-メトキシ−2−フェニル−キノリン−4−イルオキシ)−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−2−ビニルシクロプロパンカルボン酸(40mg、0.0527mmol)の溶液に、CDI(12.8mg、0.0791mmol)を加え、そして該反応混合物を45分間加熱還流した。別の丸底フラスコ中で、LiHMDS(ヘキサン中の1.0M溶液、0.21mL、0.21mmol)を、THF(5mL)中のN−エチルメチルスルファミド(29mg、0.21mmol)の溶液に加え、そして該反応混合物をrtで1時間撹拌した。2個の反応混合物を一緒に加え、そしてrtで2時間撹拌した。水を加えて該反応をクエンチし、そして該反応溶液をEtOAcを用いて抽出した。該有機相を分離し、そして乾燥(MgSOを使用)した。溶媒を蒸発させることにより粗生成物を得て、このものをプレパHPLCによって精製して所望するN−アシルスルファミド(18.4mg、40%収率)を得た。1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 1.03 (s, 9 H), 1.14 (t, J=7.21 Hz, 3 H), 1.37 (dd, J=9.29, 5.38 Hz, 1 H), 1.84 (dd, J=8.07, 5.62 Hz, 1 H), 2.17 (dd, J=17.36, 8.80 Hz, 1 H), 2.40 (m, 1 H), 2.72 (m, 1 H), 2.87 (s, 3 H),3.20-3.30 (m, 2H), 3.36 (s, 3 H), 4.04 (s, 3 H), 4.11 (dd, J=12.35, 2.81 Hz, 1 H), 4.21 (s, 1 H), 4.53-4.65 (m, 2 H), 4.82 (m, 1 H), 5.11 (dd, J=10.15, 1.59 Hz, 1 H), 5.26 (d, J=16.87 Hz, 1 H), 5.70 (m, 1 H), 5.84 (s, br, 1 H), 7.41 (dd, J=9.29, 2.20 Hz, 1 H), 7.52 (d, J=2.20 Hz, 1 H), 7.64 (s, 1 H) 7.68-7.80 (m, 3 H), 8.03-8.10 (m, 2 H), 8.34 (d, J=9.29 Hz, 1 H), 9.16 (s, 1 H)。LC-MS (保持時間: 2.333分), MS m/z 765 (MH+)。
【0182】
実施例7
化合物2の製造
【化63】

化合物2は、実施例5の反応式1中に示す経路によって、そして実施例6の化合物1について記載する通り、製造した。しかしながら、化合物2の場合には、使用するアシルスルファミドは、メチルエチルアミンの代わりにメトキシメチルアミンを用いて製造した。LC-MS(保持時間:2.070分), MS m/z 767 (MH+)。
【0183】
実施例8
化合物3の製造
【化64】

化合物3は、実施例5の反応式1中に示す経路によって、そして実施例6の化合物1について記載する通り、製造した。しかしながら、化合物3の場合には、使用するアシルスルファミドは、メチルエチルアミンの代わりにジメチルアミンを使用して製造した。LC-MS (保持時間: 2.243分), MS m/z 751 (MH+)。
【0184】
実施例9
化合物4の製造:
【化65】

化合物4は、実施例5の反応式1中に示す経路によって、そして実施例6の化合物1について記載する通り、製造した。しかしながら、化合物4の場合には、使用するアシルスルファミドは、メチルエチルアミンの代わりにアゼチジンを使用して製造した。LC-MS (保持時間: 2.223分), MS m/z 763 (MH+)。
【0185】
実施例10
化合物5の製造:
【化66】

化合物5は、実施例5の反応式1中に示す経路によって、そして実施例6の化合物1について記載する通り、製造した。しかしながら、化合物5の場合には、使用するアシルスルファミドは、メチルエチルアミンの代わりにN−メチルアニリンを用いて製造した。
LC-MS (保持時間: 2.503分), MS m/z 813 (MH+)。
【0186】
実施例11
化合物6の製造:
【化67】

化合物6は、実施例5の反応式1に示す経路によって、そして実施例6の化合物1について記載する通りに、製造した。しかしながら、化合物6の場合には、使用するアシルスルファミドは、メチルエチルアミンの代わりにピロリジンを用いて製造した。1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 1.02(s, 9 H), 1.37 (dd, J=9.3 Hz, 5.1 Hz, 1 H), 1.82-1.90 (m, 5 H), 2.19 (m, 1 H), 2.40 (m, 1 H), 2.74 (m, 1 H), 3.31-3.49 (m, 7 H), 4.04 (s, 3 H), 4.11 (m, 1 H), 4.21 (s, 1 H), 4.54-4.64 (m, 2 H), 4.85 (m, 1 H), 5.11 (d, J=10.3 Hz, 1 H), 5.28 (d, J=17.1 Hz, 1 H), 5.69 (m, 1 H), 5.84 (s, br, 1 H), 7.41 (dd, J=9.3 Hz, 1.9 Hz, 1 H), 7.52 (d, J=2.4 Hz, 1 H), 7.63 (s, 1 H), 7.68-7.77 (m, 3 H), 8.06 (m, 2 H), 8.34 (d, J=9.3 Hz, 1 H)。LC-MS (保持時間: 2.340分), MS m/z 777 (MH+)。
【0187】
実施例12
化合物7の製造:
【化68】

化合物7は、実施例5の反応式1に示す経路によって、そして実施例6の化合物1について記載する通りに、製造した。しかしながら、化合物7の場合には、使用するアシルスルファミドは、メチルエチルアミンの代わりにイソプロピルメチルアミンを使用して製造した。LC-MS (保持時間: 2.420分), MS m/z 779 (MH+)。
【0188】
実施例13
化合物8の製造:
【化69】

化合物2は、実施例5の反応式1に示す経路によって、そして実施例6の化合物1について記載する通りに、製造した。しかしながら、化合物8の場合には、使用するアシルスルファミドは、メチルエチルアミン化したラセミのP1要素の代わりにピロリジンを用いて製造した。MS m/z 777 (MH+)。
【0189】
実施例14
化合物9の製造:
【化70】

化合物2は、実施例5の反応式1に示す経路によって、そして実施例6の化合物1について記載する通りに、製造した。しかしながら、化合物9の場合には、使用するアシルスルファミドは、メチルエチルアミンの代わりにメチルベンジルアミンを用いて製造した。LC-MS (保持時間: 2.430分), MS m/z 827 (MH+)。
【0190】
実施例15
化合物10の製造:
【化71】

化合物10は、実施例5の反応式1に示す経路によって、そして実施例6の化合物1について記載する通りに、製造した。しかしながら、化合物10の場合には、使用するアシルスルファミドは、メチルエチルアミンの代わりにピペリジンを用いて製造した。LC-MS (保持時間: 2.453分), MS m/z 791 (MH+)。
【0191】
実施例16
化合物11の製造:
【化72】

化合物11は、実施例5の反応式1中に示す経路によって、そして実施例6の化合物1について記載する通りに、製造した。しかしながら、化合物11の場合には、使用するアシルスルファミドは、メチルエチルアミンの代わりにテトラヒドロ−2H−1,2−オキサジンを用いて製造した。LC-MS (保持時間: 2.317分), MS m/z 793 (MH+)。
【0192】
実施例17
化合物12の製造:
【化73】

化合物12は、実施例5の反応式1中に示す経路によって、そして実施例6の化合物1について記載する通りに、製造した。しかしながら、化合物12の場合には、使用するアシルスルファミドは、メチルエチルアミンの代わりにモルホリンを用いて製造した。1H NMR (400 MHz ,CD3OD) δ 1.02(s, 9 H), 1.38 (dd, J=9.1 Hz, 5.6 Hz, 1 H), 1.88 (dd, J=8.1 Hz, 5.6 Hz, 1 H), 2.21 (m, 1 H), 2.40 (m, 1 H), 2.75 (m, 1 H), 3.36 (s, 3 H), 3.66 (m, 4 H), 4.04 (s, 3 H), 4.10 (dd, J=12.5 Hz, 2.9 Hz, 1 H), 4.21 (s, 1 H), 4.55-4.65 (m, 2 H), 4.85 (m, 5 H), 5.15 (dd, J=10.3 Hz, 1.5 Hz, 1 H), 5.29 (dd, J=17.1 Hz, 1.5 Hz, 1 H), 5.70 (m, 1 H), 5.83 (s, br, 1 H), 7.41 (dd, J=9.3 Hz, 2.2 Hz, 1 H), 7.52 (d, J=2.2 Hz, 1 H), 7.63 (s, 1 H), 7.69-7.79 (m, 3 H), 8.07 (m, 2 H), 8.34 (d, J=9.3 Hz, 1 H)。LC-MS (保持時間: 2.210分), MS m/z 793 (MH+)。
【0193】
実施例18
化合物13の製造:
【化74】

化合物13は、実施例5の反応式1中に示す経路によって、そして実施例6の化合物1について記載する通りに、製造した。しかしながら、化合物13の場合には、使用するアシルスルファミドは、メチルエチルアミンの代わりにN−メチルピペラジンを用いて製造した。LC-MS (保持時間: 1.923分), MS m/z 806 (MH+)。
【0194】
実施例19〜27
化合物14〜22の製造:
実施例19
化合物14〜22の製造のための一般的な反応式
【化75】

【化76】

実施例19の工程1
【化77】

THF(5mL)中の(1R,2S)1−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2−ビニルシクロプロパンカルボン酸(217mg、1.194mmol)の溶液に、CDI(290mg、1.791mmol)を加え、そして該反応混合物を45分間加熱還流した。別の丸底フラスコ中、LiHMDS(ヘキサン中1.0M溶液、2.4mL、2.4mmol)を、THF(5mL)中のN−エチルメチルスルファミド(330mg、2.388mmol)の溶液に加え、そして該反応混合物をrtで1時間撹拌した。2個の反応混合物を一緒に加え、そしてrtで2時間撹拌した。水を加えて該反応をクエンチし、そして該反応溶液をEtOAcを用いて抽出した。該有機相を分離し、そしてMgSOを用いて乾燥した。溶媒の蒸発により粗生成物を得て、このものをプレパHPLCによって精製して、所望するN−アシルスルファミドを得た。次いで、N−アシルスルファミドを、ジオキサン中の4N HCl溶液(2mL)中に溶解し、そしてrtで4時間撹拌した。溶液を蒸発することにより、HCl塩として茶色がかった油状物(112mg、33%収率)を得た。1H NMR (400Mz, CD3OD) δ 1.16 (t, J=7.21 Hz, 3 H), 1.68 (dd, J=10.03, 7.83 Hz, 1 H), 2.15 (m, 1 H), 2.37 (m, 1 H), 2.89 (s, 3 H), 3.30 (m, 2 H), 5.31 (d, J=10.27 Hz, 1 H), 5.42 (d, J=17.12 Hz, 3 H), 5.68 (m, 1 H)。LC-MS (保持時間: 0.883分), MS m/z 270 (M+Na+)。
【0195】
実施例19の工程2
【化78】

CHCN(10mL)中の(2S,4R)4−(7−メトキシ−2−フェニル−キノリン−4−イルオキシ)−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸1−tert−ブチルエステル(62.5mg、0.135mmol)の溶液に、アシルスルファミド−P1−アミノ酸(42mg、0.148mmol)、DIEA(0.12mL、0.675mmol)、およびカップリング試薬HOBt(31mg、0.203mmol)およびHBTU(77mg、0.203mmol)を加えた。該溶液をrtで終夜撹拌した。次いで、このものを濃縮し、水洗し、そして酢酸エチル(2回)を用いて抽出した。該有機相を合わせてブラインを用いて洗浄し、乾燥し(MgSOを使用)、そして濃縮して黄色油状物を得た。そのものをプレパHPLCカラムによって精製して、無色の濃厚な油状物を得て、次いで、このものをジオキサン中の4N HCl(2mL)中に溶解した。該反応混合物をrtで終夜撹拌した。溶媒を蒸発することにより、塩酸塩の所望する生成物(62mg、黄色がかった油状物、68%収率)を得た。1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 1.14 (t, J=7.21 Hz, 3 H), 1.32 (dd, J=9.78, 5.62 Hz, 1 H), 1.90 (dd, J=7.58, 5.62 Hz, 1 H), 2.31 (m, 1 H), 2.51 (m, 1 H), 2.86 (s, 3 H), 3.06 (m, 1 H), 3.20-3.30(m, 2 H), 3.56 (m, 1 H), 3.72 (m, 2 H), 3.96 (m, 1 H), 4.06 (s, 3 H), 4.80(m, 1H), 5.13 (d, J=10.52 Hz, 1 H), 5.29 (d, J=16.87 Hz, 1 H), 5.60 (m, 1 H), 5.97 (s, 1 H), 7.49 (dd, J=9.29, 1.96 Hz, 1 H), 7.57 (d, J=1.96 Hz, 1 H), 7.63 (s, 1 H), 7.68-7.79 (m, 3 H), 8.08 (m, 2 H), 8.50 (d, J=9.29 Hz, 1 H)。LC-MS (保持時間: 1.810分), MS m/z 594 (MH+)。
【0196】
実施例19の工程3
【化79】

CHCN(5mL)中のジペプチドスルファミド(実施例19の工程2の生成物、14mg、0.021mmol)の溶液に、N−Boc−L−t−ロイシン(7.3mg、0.0315mmol)、DIEA(0.022mL、0.126mmol)およびカップリング試薬HOBt(4.8mg、0.0315mmol)、およびHBTU(12mg、0.0315mmol)を加えた。該溶液をrtで終夜撹拌した。次いで、このものを濃縮し、水洗し、そして酢酸エチル(2回)を用いて抽出した。該有機相を合わせてブラインを用いて洗浄し、乾燥し(MgSOを使用)、そして濃縮して黄色油状物を得た。そのものをプレパHPLCカラムによって精製して、最終生成物である白色固体(9.0mg、53%収率)を得た。1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 1.02 (s, 9 H), 1.13 (t, J=7.09 Hz, 3 H), 1.25 (s, 9 H), 1.37 (m, 1 H), 1.82 (m, 1 H), 2.15 (m, 1 H), 2.30 (m, 1 H), 2.64 (m, 1 H), 2.87 (s, 3 H), 3.20-3.30(m, 2 H), 3.94(s, 3H), 4.07 (m, 1 H), 4.25 (m, 1 H), 4.47-4.63 (m, 3 H), 5.09 (d, J=10.51 Hz, 1 H), 5.25 (d, J=17.37 Hz, 1 H), 5.56 (s, br, 1 H), 5.71 (m, 1 H), 6.66 (d, J=9.05 Hz, 1 H), 7.07 (m, 1 H), 7.24 (s, 1 H), 7.38 (d, J=1.96 Hz, 1 H), 7.46-7.56 (m, 3 H), 8.01-8.09 (m, 3 H)。LC-MS (保持時間: 2.563分), MS m/z 807 (MH+)。
【0197】
実施例20
化合物15の製造
【化80】

化合物15は、実施例19の反応式2中に示す経路によって、そして実施例19の化合物14について記載する通りに、製造した。しかしながら、化合物15の場合に、使用するアシルスルファミドは、メチルエチルアミンの代わりにジメチルアミンを用いて製造した。LC-MS (保持時間: 2.463分), MS m/z 793 (MH+)。
【0198】
実施例21
化合物16の製造
【化81】

化合物16は、実施例19の反応式2中に示す経路によって、そして実施例19の化合物14について記載する通りに、製造した。しかしながら、化合物16の場合には、使用するアシルスルファミドは、メチルエチルアミンの代わりにN−メチルアニリンを用いて製造した。LC-MS (保持時間: 2.723分), MS m/z 856 (MH+)。
【0199】
実施例22
化合物17の製造
【化82】

化合物17は、実施例19の反応式2中に示す経路によって、そして実施例19の化合物14について記載する通りに、製造した。しかしながら、化合物17の場合には、使用するアシルスルファミドは、メチルエチルアミンの代わりにジメチルアミンを用いて、および2−フェニル−4−クロロ−7−メトキシキノリンの代わりに6−メトキシ−1−クロロイソキノリンを用いて製造した。LC-MS (保持時間: 2.807分), MS m/z 717 (MH+)。
【0200】
実施例23
化合物18の製造
【化83】

化合物18は、実施例19の反応式2中に示す経路によって、そして実施例19の化合物14について記載する通りに、製造した。しかしながら、化合物18の場合には、使用するアシルスルファミドは、メチルエチルアミンの代わりにピロリジンを、および2−フェニル−4−クロロ−7−メトキシキノリンの代わりに6−メトキシ−1−クロロイソキノリンを用いて製造した。LC-MS (保持時間: 2.927分), MS m/z 743 (MH+)。
【0201】
実施例24
化合物19の製造
【化84】

化合物19は、実施例19の反応式2中に示す経路によって、そして実施例19の化合物14について記載する通りに、製造した。しかしながら、化合物19の場合には、6−メトキシ−1−クロロイソキノリンを、2−フェニル−4−クロロ−7−メトキシキノリンの代わりに使用した。1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 1.02 (s, 9 H), 1.14 (t, J=7.21 Hz, 3 H), 1.25 (s, 9 H), 1.37 (m, 1 H), 1.81 (m, 1 H), 2.13-2.30(m, 2 H), 2.57 (m, 1 H), 2.87 (s, 3 H), 3.20-3.30(m, 2 H), 3.90 (s, 3 H), 4.04(m, 1 H), 4.23 (m, 1 H), 4.42 (d, J=12.22 Hz, 1 H), 4.46-4.60(m, 2H), 5.11 (d, J=10.27 Hz, 1 H), 5.29 (d, J=16.87 Hz, 1 H), 5.70 (m, 1 H), 5.81 (s, br,1 H), 6.60 (d, J=8.56 Hz, 1 H), 7.08 (d, J=8.07 Hz, 1 H), 7.16 (d, J=2.45 Hz, 1 H), 7.23 (d, J=5.87 Hz, 1 H), 7.87 (d, J=5.87 Hz, 1 H), 8.06 (d, J=9.05 Hz, 1 H)。LC-MS (保持時間: 2.910分), MS m/z 731 (MH+)。
【0202】
実施例25
化合物20の製造
【化85】

化合物20は、実施例19の反応式2中に示す経路によって、および実施例19の化合物14について記載する通りに、製造した。しかしながら、化合物20の場合には、使用するアシルスルファミドは、メチルエチルアミンの代わりにN−メチルアニリンを、および2−フェニル−4−クロロ−7−メトキシキノリンの代わりに6−メトキシ−1−クロロイソキノリンを用いて製造した。1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 0.95 (s, 9 H), 1.26 (s, 9 H), 1.41 (m, 1 H), 1.87 (m, 1 H), 2.12-2.25 (m, 2 H), 2.50 (dd, J=13.94, 7.09 Hz, 1 H), 3.39 (s, 3 H), 3.89 (s, 3 H), 4.02 (m, 1 H), 4.19 (d, J=9.29 Hz, 1 H), 4.31-4.47 (m, 2 H), 4.57 (s, 1 H), 5.17 (d, J=10.27 Hz, 1 H), 5.31 (d, J=16.63 Hz, 1 H), 5.73-5.90 (m, 2 H), 6.56 (d, J=9.29 Hz, 1 H), 7.04 (d, J=8.56 Hz, 1 H), 7.15 (d, J=1.96 Hz, 1 H), 7.22 (d, J=5.87 Hz, 1 H), 7.24-7.40 (m, 5 H), 7.86 (d, J=5.87 Hz, 1 H), 8.03 (d, J=9.05 Hz, 1 H)。LC-MS (保持時間: 3.017分), MS m/z 779 (MH+)。
【0203】
実施例26
化合物21の製造
【化86】

化合物21は、実施例19の反応式2中に示す経路によって、および実施例19の化合物14について記載する通りに、製造した。しかしながら、化合物21の場合には、使用するアシルスルファミドは、メチルエチルアミンの代わりにメチルイソプロピルアミンを、および2−フェニル−4−クロロ−7−メトキシキノリンの代わりに6−メトキシ−1−クロロイソキノリンを用いて製造した。LC-MS (保持時間: 2.963分), MS m/z 768 (M+Na+)。
【0204】
実施例27
化合物22の製造
【化87】

化合物22は、実施例19の反応式2中に示す経路によって、および実施例19の化合物14について記載する通りに、製造した。しかしながら、化合物22の場合には、使用するアシルスルファミドは、メチルエチルアミンの代わりにイソプロピルアミンを、および2−フェニル−4−クロロ−7−メトキシキノリンの代わりに1−クロロイソキノリンを用いて製造した。LC-MS (保持時間: 2.993分), MS m/z 737 (M+Na+)。
【0205】
実施例28
化合物23
【化88】

化合物23は、例えば本明細書中に記載する製造方法によって製造し得る。
【0206】
実施例29
生物学的な研究
組換えHCV NS3/4Aプロテアーゼ複合体FRETペプチドアッセイ
このインビトロアッセイの目的は、以下に記載するBMS、H77CまたはJ416S株由来のHCV NS3プロテアーゼ複合体の本発明の化合物による阻害を測定することである。このアッセイにより、HCVタンパク質分解活性の阻害に関して本発明の化合物がどの程度有効であるかの指標が得られる。
【0207】
サンフランシスコ病院のT.Wright博士からHCV感染患者の血清を入手した。他の遺伝子型1a株間での相同性に基づいて選択したプライマーを使って、血清RNA(リボ核酸)の逆転写PCR(RT−PCR)によって得たDNA断片から、HCVゲノム(BMS株)の工学的に操作した完全長cDNA(相補的デオキシリボ核酸)鋳型を構築した。全ゲノム配列の決定から、Simmondsらの分類に従って、遺伝子型1aをこのHCV分離株に割り当てた(P Simmonds,KA Rose,S Graham,SW Chan,F McOmish,BC Dow,EA Follett,PL YapおよびH Marsdenによる,J. Clin. Microbiol.,31(6),1493-1503(1993)参照)。非構造領域NS2−5Bのアミノ酸配列は、HCV遺伝子型1a(H77)に対して>97%一致し、遺伝子型1b(J4L6S)に対して87%一致することがわかった。感染性クローンH77(1a遺伝子型)およびJ4L6S(1b遺伝子型)はR.Purcell(NIH)から入手し、それらの配列はGenBankに公開されている(AAB67036,Yanagi, M.,Purcell, R. H.,Emerson, S. U.およびBukh, J.による, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 94(16),8738-8743(1997)参照;AF054247,Yanagi, M.,St Claire, M.,Shapiro, M.,Emerson, S. U.による,Purcell, R. H.およびBukh, J.による,Virology 244(1),161-172(1998)を参照)。
【0208】
H77およびJ4L6S株を組換えNS3/4Aプロテアーゼ複合体の製造に使用した。これらの株の組換えHCV NS3/4Aプロテアーゼ複合体(アミノ酸1027〜1711)をコードするDNAは、P.Gallinariらが記載しているように操作した(Gallinari P,Paolini C,Brennan D,Nardi C,Steinkuhler C,De Francesco R.による、Biochemistry. 38(17): 5620-32(1999)を参照)。簡単に述べると、NS4Aコード領域の3末端に、3個のリジン可溶化テールを付加した。該リジンタグのタンパク質分解切断を避けるために、NS4A−NS4B切断部位のP1位にあるシステイン(アミノ酸1711)をグリシンに変えた。さらに、NS3ヘリカーゼドメインでの自己分解的切断を防止するために、アミノ酸位置1454でシステインからセリンへの突然変異をPCRによって導入した。該変異型DNA断片をpET21b細菌発現ベクター(Novagen)にクローニングし、そしてP.Gallinariらが記載したプロトコール(Gallinari P,Brennan D,Nardi C,Brunetti M,Tomei L,Steinkuhler C,De Francesco R.による,J Virol. 72(8): 6758-69(1998)を参照)に従って変更を加えて、NS3/4A複合体を大腸菌株BL21(DE3)(Invitrogen)中で発現させた。簡単に述べると、0.5モリモル(mM)イソプロピルβ−D−1−チオガラクトピラノシド(IPTG)を使用し、20℃で22時間にわたって、NS3/4Aプロテアーゼ複合体の発現を誘導した。典型的な発酵(1リットル(L))では約10グラム(g)の湿細胞ペーストが得られた。25mM N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−N'−(2−エタンスルホン酸)(HEPES)(pH 7.5)、20% グリセロール、500mM 塩化ナトリウム(NaCl)、0.5%トリトン−X100、1マイクログラム/ミリリットル(μg/mL)リゾチーム、5mM 塩化マグネシウム(MgCl)、1μg/mL DNアーゼI、5mM β−メルカプトエタノール(βME)、プロテアーゼインヒビター−エチレンジアミン四酢酸(EDTA)フリー(Roche)からなる溶解緩衝液(10mL/g)中に細胞を再懸濁し、ホモジナイズし、4℃で20分間インキュベートした。そのホモジネートを音波処理し、235000gでの超遠心を4℃で1時間行うことによって清澄化した。上清にイミダゾールを最終濃度が15mMになるように添加し、pHを8.0に調節した。その粗タンパク質抽出物を、緩衝液B(25mM HEPES(pH 8.0)、20%グリセロール、500mM NaCl、0.5%トリトン−X100、15mMイミダゾール、5mM βME)で前もって平衡化しておいたニッケル−ニトリロ三酢酸(Ni−NTA)カラムにロードした。試料は1ml/分の流速でロードした。そのカラムを15カラム容量の緩衝液C(トリトンX−100が0.2%である点以外は緩衝液Bと同じ)で洗浄した。タンパク質を5カラム容量の緩衝液D(イミダゾールが200mMである点以外は緩衝液Cと同じ)で溶出させた。
【0209】
NS3/4Aプロテーゼ複合体含有画分をプールし、緩衝液D(25mM HEPES(pH 7.5)、20%グリセロール、300mM NaCl、0.2%トリトン−X100、10mM βME)で前もって平衡化しておいた脱塩カラムSuperdex-S200にロードした。1mL/分の流速で試料をロードした。NS3/4Aプロテアーゼ複合体含有画分をプールし、約0.5mg/mLまで濃縮した。BMS、H77およびJ4L6S株に由来するNS3/4Aプロテアーゼ複合体の純度は、SDS−PAGEとマススペクトル分析により、90%より高いと判断した。
【0210】
この酵素を−80℃で保存し、氷上で解凍し、使用前にアッセイ緩衝液で希釈した。NS3/4Aプロテアーゼアッセイに使用した基質は、TalianiらがAnal. Biochem. 240(2): 60-67(1996)に記載したRET S1(共鳴エネルギー移動デプシペプチド基質;AnaSpec,Inc. カタログ番号22991)(FRETペプチド)である。このペプチドの配列は、切断部位にアミド結合よりもむしろエステル結合が存在する点以外は、NS3/4AプロテアーゼのためのNS4A/NS4B天然切断部位をおおまかにベースとする。このペプチド基質を3つの組換えNS3/4Aプロテアーゼ複合体のうちの1つと共に、本発明化合物の不在下または存在下でインキュベートし、CytoFluor Series 4000を使って、蛍光性反応生成物の形成をリアルタイムで追跡した。
【0211】
試薬類は以下のとおりとした:HEPESおよびグリセロール(Ultrapure)はGIBCO-BRLから入手した。ジメチルスルホキシド(DMSO)はSigmaから入手した。β−メルカプトエタノールはBio-Radから入手した。
【0212】
アッセイ緩衝液:50mM HEPES(pH 7.5)、0.15M NaCl、0.1%トリトン、15%グリセロール、10mM βME。基質:最終濃度2μM(−20℃で保存したDMSO中の2mM ストック溶液から調製)。HCV NS3/4A 1a(1b)型、最終濃度2〜3nM(25mM HEPES(pH 7.5)、20%グリセロール、300mM NaCl、0.2%トリトン−X100、10mM βME中の5μM ストック液から調製)。アッセイ限界に近い効力を持つ化合物の場合は、アッセイ緩衝液に50μg/mL ウシ血清アルブミン(Sigma)を加え、そしてプロテアーゼの最終濃度を300pMに下げることによって、アッセイをより感受性とした。
【0213】
アッセイはFalcon由来の96−ウェルポリスチレンブラックプレートで行った。各ウェルには、アッセイ緩衝液中のNS3/4Aプロテーゼ複合体を25μL、10%DMSO/アッセイ緩衝液中の本発明の化合物を50μL、およびアッセイ緩衝液中の基質を25μLで入れた。コントロール(化合物なし)も同じアッセイプレート上に調製した。酵素複合体を化合物溶液またはコントロール溶液と1分間混合し、その後に基質を添加することによって酵素反応を開始させた。CytoFluoro Series 4000(Perspective Biosystems)を使って、アッセイプレートを直ちに読み取った。この装置は25℃で340nmの発光波長および490nmの励起波長を読み取るように設定した。反応は通常、約15分間追跡した。
【0214】
以下の式を使って、阻害百分率を計算した:
100−[(δFinh/δFcon)×100]
[式中、δFは、曲線の線形領域での蛍光の変化である]。阻害−濃度データに非線形カーブフィッティングを行い、そして、50%有効濃度(IC50)を、式:y=A+((B−A)/(1+((C/x)D)))を用いるExcel X1-fitソフトウェアを使用することによって計算した。
【0215】
試験した化合物は全て、1.2μM以下のIC50で、NS3/4Aプロテアーゼ複合体の活性を阻害することが分かった。更に、1タイプ以上のNS3/4A複合体に対して試験した本発明の化合物は、同じような阻害特性を持つことがわかった。ただし、それらの化合物は、一様に、1a株よりも1b株に対してより強い効力を示した。
【0216】
特異性アッセイ
HCV NS3/4Aプロテアーゼ複合体の阻害に関して、他のセリンまたはシステインのプロテアーゼとの比較で、本発明の化合物のインビトロ選択性を実証するために、特異性アッセイを行った。
【0217】
さまざまなセリンプロテアーゼ、すなわちヒト好中球エラスターゼ(HNE)、ブタ膵臓エラスターゼ(PPE)およびヒト膵臓キモトリプシンと、1つのシステインプロテアーゼ:ヒト肝臓カテプシンBに対して、本発明の化合物の特異性を決定した。いずれの場合も、各酵素に特異的な比色測定用p−ニトロアニリン(pNA)基質を用いる96−ウェルプレート型のプロトコールを、先に記述したように使用した(国際特許出願WO 00/09543)。ただし、セリンプロテアーゼアッセイには、いくつかの変更を加えた。全ての酵素はSigmaから購入し、そして基質はBachemから購入した。
【0218】
各アッセイでは、室温で2時間、酵素インヒビターのプレインキュベーションを行った後、基質を添加し、SpectraMax Proマイクロプレートリーダーでの測定で、変換率が〜30%になるまで加水分解させた。化合物の濃度は化合物の効力に応じて、100μM〜0.4μMまで変化させた。
【0219】
各アッセイの最終的な条件は次の通りとした:
50mM トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩酸塩(Tris-HCl)pH 8、0.5M 硫酸ナトリウム(NaSO)、50mM NaCl、0.1mM EDTA、3% DMSO、0.01% ツウィーン−20と、
133μM succ−AAA−pNA、および20nM HNEまたは8nM PPE;100μM succ−AAPF−pNAおよび250pM キモトリプシン。
【0220】
100mM NaHPO(リン酸水素ナトリウム)pH 6、0.1mM EDTA、3% DNSO、1mM TECP(トリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩)、0.01%ツウィーン−20、30μM Z−FR−pNA、および5nM カテプシンB(使用前に、20mM TECPを含有する緩衝液中で活性化した酵素ストック)。
【0221】
阻害百分率は式:
[1−((UVinh−UVblank)/(UVctl−UVblank))]×100
を使って計算した。
【0222】
阻害−濃度データに非線形カーブフィッティングを行い、そして、50%有効濃度(IC50)をExcel Xl-fitソフトウェアを使用することによってを計算した。
【0223】
HCVレプリコン細胞に基づくアッセイ
Lohmann V,Korner F,Koch J,Herian U,Theilmann L,Bartenschlager R.による,Science 285 (5424): 110-3(1999)に記載されているように、HCVレプリコンホールセル系を確立した。この系により、本発明者らはHCVプロテアーゼ化合物がHCV RNA複製に及ぼす影響を評価することができるようになった。簡単に述べると、Lohmannの報文に記載されているHCV 1B株配列(受託番号:AJ238799)を使って、5'内部リボソーム侵入部位(IRES)、ネオマイシン耐性遺伝子、EMCV(脳心筋炎ウイルス)−IRES、およびHCV非構造タンパク質、NS3〜NS5B、並びに3'非翻訳領域(NTR)をコードするHCV cDNAを作製した。該cDNAのインビトロ転写物をヒト肝細胞癌セルライン、Huh7にトランスフェクトした。該HCVレプリコンを恒常的に発現させる細胞の選択は、選択マーカー、ネオマイシン(G418)の存在下で達成した。得られたセルラインを、プラス鎖およびマイナス鎖RNA産生、並びにタンパク質産生に関して、時間を超えて確認した。
【0224】
10%ウシ胎仔血清(FCS)および1mg/mL G418(Gibco-BRL)を含むダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)中で、該HCVレプリコンを恒常的に発現させるHuh7細胞を増殖した。前日の夜に細胞を96ウェル組織培養滅菌プレートに播種した(1.5×10細胞/ウェル)。希釈プレート中の4%FCS、1:100のペニシリン/ストレプトマイシン、1:100のL−グルタミンおよび5%DMSOを含有するDMEM中で、化合物および非化合物のコントールを調製した(アッセイ時の最終DMSO濃度は0.5%である)。化合物/DMSO混合物を細胞に加え、37℃で4日間インキュベートした。4日後に、プレートをリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で十分にすすいだ(150μLで3回)。FRETペプチド(インビトロ酵素アッセイに関して説明した、RET S1)を含有する25μLの溶解アッセイ試薬で細胞を溶解した。この溶解アッセイ試薬は、5×細胞ルシフェラーゼ細胞培養溶解試薬(Promega、カタログ番号E153A)から、これを蒸留水で1×に希釈し、最終濃度が150mMになるようにNaClを加え、FRETペプチドを100%DMSO中の2mMストック液から最終濃度が10μMになるように希釈して、調製した。次いで、励起波長340nm/発光波長490nm、自動モードで21サイクルに設定しておいたCytoFluor 4000装置に該プレートを入れ、キネティックモードでプレートを読み取った。EC50の決定はIC50の決定について説明したように行った。
【0225】
2つの異なる二次アッセイを用いて、レプリコンFRETアッセイからのEC50測定値を確認した。これらは、定量的なRNAアッセイおよび過渡的なルシフェラーゼ細胞レポーターアッセイを含めた。定量的なRNAアッセイの場合には、化合物/非化合物のコントールを、レプリコンFRETアッセイについて記載する細胞と一緒にインキュベートした。4日後に、細胞をRNeasyキット(Qiagen)を使って溶解した。精製した全RNAをRiboGreen(Jones LJ,Yue ST,Cheung CY,Singer VLによる,Anal. Chem., 265(2): 368-74(1998))を用いて規格化し、HCV RNA発現の相対的な定量を、TaqMan法(Kolykhalov AA,Mihalik K,Feinstone SM,Rice CMによる,Journal of Virology 74,2046-2051(2000))およびPlatinum Quantitative RT-PCR ThermoScript One-Stepキット(Invitrogenカタログ番号11731-015)を使って評価した。簡単に述べると、体積を5μLにしたRNA(1ng以下)を、以下の成分を含有する20μLの調合済み混合物に加えた:1.25×ThermoScript反応混合物(硫酸マグネシウムおよび2−デオキシヌクレオシド5−三リン酸(dNTP)を含有する)、3mM dNTP、200nM フォワードプライマー(配列:5'-gggagagccatagtggtctgc-3')、600nM リバースプライマー(5'-cccaaatctccaggcattga-3')、100nM プローブ(5'-6-FAM-cggaattgccaggacgaccgg-BHQ-1-3')(FAM:フルオレセイン−アミノヘキシルアミダイト、BHQ:ブラックホールクエンチャー(Black Hole Quencher))、1μM Roxリファレンス色素(Invitrogenカタログ番号12223-012)およびThermoScript Plus Platinum Taqポリメラーゼ混合物。プライマーはいずれも、ABI Prism 7700ソフトウェアで設計し、Biosearch Technologies(カリフォルニア州ノバート)から入手した。既知濃度のHCV RNA転写物を含有する試料を、標準物質として使用した。以下のサイクリングプロトコール(50℃で30分;95℃で5分;95℃で15秒、60℃で1分を40サイクル)を使用し、ABI Prism 7700配列検出装置を使って、Perkin Elmerマニュアルに記載されているとおりに、HCV RNA発現を定量化した。
【0226】
上記レプリコンでの化合物の効力を確認するために、ルシフェラーゼレポーターアッセイも使用した。レプリコンルシフェラーゼレポーターアッセイの利用は、Kriegerらによって初めて記述された(Krieger N,Lohmann VおよびBartenschlager R,J.による, Virol. 75 (10): 4614-4624(2001))。本発明者らのFRETアッセイに関して説明したレプリコンコンストラクトを、ヒト化型ウミシイタケルシフェラーゼのN末端に融合したブラストサイジン耐性遺伝子でネオマイシン耐性遺伝子を置き換えることによって改変した(サブクローニングには、制限部位Asc1/Pme1を使用した)。1179位の適応的突然変異(セリンからイソロイシンへ)も導入した(Blight KJ,Kolykhalov AA,Rice CMによる, Science 290(5498): 1972-1974)。ルシフェラーゼレポーターアッセイは、前日の夜にT75フラスコ1個につき2×10細胞の密度でhuh7細胞を播種することによって準備した。翌日、7.5mLのOpti−MEMを用いて、細胞を洗浄した。Invitrogenのプロトコールに従って、40μLのDMRIE−Cを5mLのOpti−MEMと一緒に渦巻いた後、5μgのHCVレポーターレプリコンRNAを加えた。その混合物を、洗浄したhuh7細胞に加え、37℃で4時間放置した。その間に、希釈プレート中の10%FCSおよび5%DMSOを含有するDMEMに、化合物の段階希釈液および化合物非含有のコントロールを調製した(アッセイ時の最終DMSO濃度は0.5%である)。化合物/DMSO混合物を24ウェルプレートの各ウェルに加えた。4時間後に、トランスフェクション混合物を吸引し、細胞を5mLのOpti−MEMで洗浄してから、トリプシン処理を行った。トリプシン処理した細胞を10% DMEMに再懸濁し、化合物含有または化合物非含有のコントロールを含む24ウェルプレートに、2×10細胞/ウェルで播種した。プレートを4日間インキュベートした。4日後に、培地を除去し、細胞をPBSで洗浄した。各ウェルに100μLの1×ウミシイタケルシフェラーゼ溶解緩衝液(Promega)を直ちに加え、後で分析するためにプレートを−80℃で冷凍するか、または15分間溶解後にアッセイを行った。溶解液(40μL)を各ウェルから96ウェルブラックプレート(透明底)に移した後、200μLの1×ウミシイタケルシフェラーゼアッセイ基質を加えた。Packard TopCount NXT上でルミネッセンスプログラムを使って、直ちにプレートを読み取った。
【0227】
以下の式を使って阻害百分率を計算した:
コントロールに対する%=[実験ウェルでの平均ルシフェラーゼシグナル(+化合物)]/[DMSOコントロールウェルでの平均ルシフェラーゼシグナル(−化合物)]。
XLFitを使って値のグラフ化および解析を行なって、EC50値を得た。
【0228】
生物学的試料
上記のHCVレプリコン細胞アッセイおよび/または上記の概説した特異性アッセイのいくつかで、本発明の代表的な化合物を評価した。例えば化合物9は、上記の酵素アッセイでは、NS3/4A BMSプロテアーゼ複合体のBMS株に対して128nMのIC50を持つことがわかった。公表されているH77C株(62nMのIC50)およびJ4L6S株(41nMのIC50)を用いた場合にも、同様の効力値が得られた。レプリコンアッセイでのEC50値は、403nMだった。特異性アッセイでは、化合物9は、以下の活性を有することがわかった:HNE=46μM;PPE>200μM;キモトリプシン>200μM;カテプシンB>50μM(高濃度でのアッセイ干渉(assay interference))。これらの結果は、この化合物群がNS3プロテアーゼに対して高い特異性を有し、そしてHCVレプリコン複製を阻害するのに有用性を有することを示している。
【0229】
以下で阻害した化合物を、上記のHCVレプリコン細胞アッセイに従って、生物学的な活性について試験し、そして以下の表2中に記載する活性を有することを見出した。該活性範囲は、以下の群に分類した。IC50およびEC50について、A(最小活性)>1.5μM;B 0.15〜1.5μM;C(最大活性)<0.15μM。IC50値は、約0.001〜1μMであることが好ましく、0.1μM以下であることが最も好ましい。EC50値は、約0.001〜25μMであることが好ましく、約0.001〜1μMであることがより好ましく、約0.1μM以下であることが最も好ましい。
【表4】

【0230】
本発明は具体的な態様について記載するが、当該分野の当業者は、他の態様が本発明の特許請求の範囲の範囲内に含まれると意図することを認識するであろう。更に、本明細書中に引用する刊行物(例えば、米国特許第6,323,180号、米国特許出願公開番号20020111313)の開示は、本明細書の一部を構成する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式:
【化1】

[式中、
(a)RおよびRは各々独立して、C1〜8アルキル、C3〜7シクロアルキル、C4〜10アルキルシクロアルキル、C1〜6アルコキシ、C6〜10アリール、C7〜14アルキルアリール、C9〜14シクロアルキルアリール、C7〜14アルコキシアリール、C9〜14シクロアルコキシアリール、5〜7員ヘテロアリール、またはC7〜14アルキルヘテロアリールであるか;あるいは、RおよびRはそれらが結合する窒素原子と一緒になって、4〜8員単環式へテロ環を形成し;
(b)mは、1または2であり;
(c)nは、1または2であり;
(d)Rは、H;または、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニルもしくはC3〜7シクロアルキル(各々は場合によりハロゲンで置換される)であり;
(e)Rは、場合により置換されたC1〜8アルキル(置換基は、ハロ、シアノ、アミノ、C1〜6ジアルキルアミノ、C6〜10アリール、C7〜14アルキルアリール、C1〜6アルコキシ、カルボキシ、ヒドロキシ、アリールオキシ、C7〜14アルキルアリールオキシ、C2〜6アルキルエステル、またはC8〜15アルキルアリールエステルである);C3〜12アルケニル;C3〜7シクロアルキル、もしくはC4〜10アルキルシクロアルキル(ここで、該シクロアルキルまたはアルキルシクロアルキルは場合により、ヒドロキシ、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、またはC1〜6アルコキシで置換される)であるか、あるいはRはそれが結合する炭素原子と一緒になって、場合によりC2〜6アルケニルで置換されたC3〜7シクロアルキル基を形成し;
(f)RまたはRがHである場合には、YはHであるという条件で、Yは、H;ニトロで置換されたフェニル;ニトロで置換されたピリジル;または、場合によりシアノ、ヒドロキシルもしくはC3〜7シクロアルキルで置換されたC1〜6アルキルであり;
(g)Bは、H、C1〜6アルキル、R−(C=O)−、RO(C=O)−、R−N(R)−C(=O)−、R−N(R)−C(=S)−、RSO−、またはR−N(R)−SO−であり;
(h)Rは、(i)場合により置換されたC1〜10アルキル(該置換基は、フェニル、カルボキシル、C1〜6アルカノイル、1〜3個のハロゲン、ヒドロキシ、−OC(O)C1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ、場合によりC1〜6アルキルで置換されたアミノ、アミド、または(低級アルキル)アミドである);(ii)C3〜7シクロアルキル、C3〜7シクロアルコキシ、もしくはC4〜10アルキルシクロアルキル(各々は場合により、ヒドロキシ、カルボキシル、(C1〜6アルコキシ)カルボニル、場合によりC1〜6アルキルで置換されたアミノ、アミド、または(低級アルキル)アミドで置換される);(iii)C6〜10アリール、もしくはC7〜16アリールアルキル(各々は場合により、C1〜6アルキル、ハロゲン、ニトロ、ヒドロキシ、アミド、(低級アルキル)アミド、または場合によりC1〜6アルキルで置換されたアミノで置換される);(iv)Het;(v)ビシクロ(1.1.1)ペンタン;または、(vi)−C(O)OC1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、もしくはC2〜6アルキニルであり;
(i)RはC1〜10アルキルであるという条件で、Rは、H;場合により1〜3個のハロゲンで置換されたC1〜6アルキル;または、C1〜6アルコキシであり;
(j)Xは、O、S、SO、SO、OCH、CHO、またはNHであり;
(k)Rは、Het;C6〜10アリールまたはC7〜14アルキルアリール(各々は場合によりRで置換される)であり;そして、
(l)Rは、C1〜6アルキル、C3〜7シクロアルキル、C1〜6アルコキシ、C3〜7シクロアルコキシ、ハロ−C1〜6アルキル、CF、モノ−もしくはジ−ハロ−C1〜6アルコキシ、シアノ、ハロ、チオアルキル、ヒドロキシ、アルカノイル、NO、SH、アミノ、C1〜6アルキルアミノ、ジ(C1〜6)アルキルアミノ、ジ(C1〜6)アルキルアミド、カルボキシル、(C1〜6)カルボキシエステル、C1〜6アルキルスルホン、C1〜6アルキルスルホンアミド、ジ(C1〜6)アルキル(アルコキシ)アミン、C6〜10アリール、C7〜14アルキルアリール、または5〜7員単環式へテロ環である]
で示される化合物、またはその医薬的に許容し得る塩、溶媒和物もしくはプロドラッグ。
【請求項2】
およびRは各々独立して、C1〜8アルキル、C3〜7シクロアルキル、C4〜10アルキルシクロアルキル、C1〜6アルコキシ、C6〜10アリール、C7〜14アルキルアリール、5〜7員ヘテロアリール、またはC7〜14アルキルへテロアリールであるか、あるいはRおよびRはそれらが結合する窒素原子と一緒になって、4〜8員単環式へテロ環を形成する、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
およびRは各々独立して、C1〜8アルキル、C4〜10アルキルシクロアルキル、C1〜6アルコキシ、C6〜10アリール、C7〜14アルキルアリール、5〜7員ヘテロアリール、またはC7〜14アルキルへテロアリールであるか、あるいはRおよびRはそれらが結合する窒素原子と一緒になって、5〜6員単環式へテロ環を形成する、請求項2記載の化合物。
【請求項4】
は、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、またはC3〜7シクロアルキルである、請求項1記載の化合物。
【請求項5】
はC2〜6アルケニルである、請求項4記載の化合物。
【請求項6】
は、場合により置換されたC1〜8アルキル(該置換基は、Cアリール、C1〜6アルコキシ、カルボキシ、ヒドロキシ、アリールオキシ、C7〜14アルキルアリールオキシ、C2〜6アルキルエステル、またはC8〜15アルキルアリールエステルである)、C3〜12アルケニル、C3〜7シクロアルキル、またはC4〜10アルキルシクロアルキルである、請求項1記載の化合物。
【請求項7】
は、場合によりC1〜6アルコキシで置換されたC1〜8アルキル;またはC3〜7シクロアルキルである、請求項6記載の化合物。
【請求項8】
YはHである、請求項1記載の化合物。
【請求項9】
Bは、H、C1〜6アルキル、R−(C=O)−、RO(C=O)−、R−N(R)−C(=O)−、R−N(R)−C(=S)−、RSO−、またはR−N(R)−SO−である、請求項1記載の化合物。
【請求項10】
Bは、R−(C=O)−、RO(C=O)−、またはR−N(R)−C(=O)−である、請求項9記載の化合物。
【請求項11】
BはRO(C=O)−であり、そしてRはC1〜6アルキルである、請求項10記載の化合物。
【請求項12】
は、(i)場合によりフェニル、カルボキシル、C1〜6アルカノイル、1〜3個のハロゲン、ヒドロキシ、C1〜6アルコキシで置換されたC1〜10アルキル;(ii)C3〜7シクロアルキル、C3〜7シクロアルコキシ、もしくはC4〜10アルキルシクロアルキル;または、(iii)C6〜10アリール、もしくはC7〜16アリールアルキル(各々は場合により、C1〜6アルキルまたはハロゲンで置換される)である、請求項1記載の化合物。
【請求項13】
は、(i)場合により1〜3個のハロゲンもしくはC1〜6アルキルで置換されたC1〜10アルキル;または、(ii)C3〜7シクロアルキルもしくはC4〜10アルキルシクロアルキルである、請求項12記載の化合物。
【請求項14】
は、H、または場合により1〜3個のハロゲンで置換されたC1〜6アルキルである、請求項1記載の化合物。
【請求項15】
はHである、請求項14記載の化合物。
【請求項16】
Xは、OまたはNHである、請求項1記載の化合物。
【請求項17】
はHet、または場合によりRで置換されたC6〜10アリールである、請求項1記載の化合物。
【請求項18】
はHetである、請求項17記載の化合物。
【請求項19】
ヘテロ環は、該環内に1または2個の窒素原子、および場合により硫黄原子または酸素原子を含む、請求項18記載の化合物。
【請求項20】
ヘテロ環は、C1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ、ハロ、C6〜10アリール、C7〜14アルキルアリール、または5〜7員単環式へテロ環の少なくとも1つで置換される、請求項19記載の化合物。
【請求項21】
は、C1〜6アルキル、C3〜7シクロアルキル、C1〜6アルコキシ、ハロ−C1〜6アルキル、ハロ、アミノ、Cアリール、または5〜7員単環式へテロ環である、請求項1記載の化合物。
【請求項22】
式:
【化2】

[式中、
(a)RおよびRは各々独立して、C1〜8アルキル、C3〜7シクロアルキル、C4〜10アルキルシクロアルキル、C1〜6アルコキシ、C6〜10アリール、C7〜14アルキルアリール、5〜7員ヘテロアリール、またはC7〜14アルキルヘテロアリールであるか;あるいは、RおよびRはそれらが結合する窒素原子と一緒になって、4〜8員単環式へテロ環を形成し;
(b)mは、1または2であり;
(c)nは、1または2であり;
(d)Rは、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、またはC3〜7シクロアルキルであり;
(e)Rは、場合により置換されたC1〜8アルキル(置換基は、Cアリール、C1〜6アルコキシ、カルボキシ、ヒドロキシ、アリールオキシ、C7〜14アルキルアリールオキシ、C2〜6アルキルエステル、またはC8〜15アルキルアリールエステルである);C3〜12アルケニル;C3〜7シクロアルキル、またはC4〜10アルキルシクロアルキルであり;
(f)Bは、H、C1〜6アルキル、R−(C=O)−、RO(C=O)−、R−N(R)−C(=O)−、R−N(R)−C(=S)−、RSO−、またはR−N(R)−SO−であり;
(g)Rは、(i)場合により置換されたC1〜10アルキル(該置換基は、フェニル、カルボキシル、C1〜6アルカノイル、1〜3個のハロゲン、ヒドロキシ、C1〜6アルコキシである);(ii)C3〜7シクロアルキル、C3〜7シクロアルコキシ、もしくはC4〜10アルキルシクロアルキル;(iii)C6〜10アリール、もしくはC7〜16アリールアルキル(各々は場合により、C1〜6アルキルまたはハロゲンで置換される)であり;
(h)Rは、H、または場合により1〜3個のハロゲンで置換されたC1〜6アルキルであり;
(i)Xは、OまたはNHであり;
(j)Rは、Het;または、場合によりRで置換されたC6〜10アリールであり;そして、
(k)Rは、C1〜6アルキル、C3〜7シクロアルキル、C1〜6アルコキシ、ハロ−C1〜6アルキル、ハロ、アミノ、Cアリール、または5〜7員単環式へテロ環である]
で示される化合物、またはその医薬的に許容し得る塩、溶媒和物もしくはプロドラッグ。
【請求項23】
およびRは各々独立して、C1〜8アルキル、C4〜10アルキルシクロアルキル、C1〜6アルコキシ、C6〜10アリール、C7〜14アルキルアリール、5〜7員ヘテロアリール、またはC7〜14アルキルヘテロアリールであるか、あるいはRおよびRはそれらが結合する窒素原子と一緒になって、5〜6員単環式へテロ環を形成する、請求項22記載の化合物。
【請求項24】
およびRは各々独立して、C1〜3アルキルまたはC1〜3アルコキシである、請求項23記載の化合物。
【請求項25】
は二環式へテロ環である、請求項22記載の化合物。
【請求項26】
ヘテロ環は、該環内に1または2個の窒素原子、および場合により硫黄原子または酸素原子を含む、請求項25記載の化合物。
【請求項27】
ヘテロ環は、C1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ、ハロ、Cアリール、または5〜7員単環式へテロ環の少なくとも1つで置換される、請求項25記載の化合物。
【請求項28】
は、1個の窒素原子を含有し、そして、メトキシ、並びにCアリールおよび5〜7員単環式へテロ環の少なくとも1つで置換された、二環式へテロ環である、請求項22記載の化合物。
【請求項29】
は単環式へテロ環を含有する、請求項22記載の化合物。
【請求項30】
ヘテロ環は、該環内に1または2個の窒素原子、および場合により硫黄原子または酸素原子を含む、請求項29記載の化合物。
【請求項31】
ヘテロ環は、C1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ、ハロ、C6〜10アリール、C7〜14アルキルアリール、または5〜7員単環式へテロ環の少なくとも1つで置換される、請求項29記載の化合物。
【請求項32】
は、1または2個の窒素原子を含有し、そして、メトキシ、並びにCアリールおよび5〜7員単環式へテロ環の少なくとも1つで置換された、単環式ヘテロ環である、請求項22記載の化合物。
【請求項33】
式:
【化3】

[式中、
(a)RおよびRは各々独立して、C1〜8アルキル、C4〜10アルキルシクロアルキル、C1〜6アルコキシ、C6〜10アリール、C7〜14アルキルアリール、5〜7員ヘテロアリール、またはC7〜14アルキルヘテロアリールであるか;あるいは、RおよびRはそれらが結合する窒素原子と一緒になって、5〜6員単環式へテロ環を形成し;
(b)mは、1または2であり;
(c)nは、1または2であり;
(d)Rは、C2〜6アルケニルであり;
(e)Rは、C1〜8アルキルであり;
(f)Bは、RO(C=O)−、またはR−NH−C(=O)−であり;
(g)Rは、C1〜10アルキルであり;
(h)Rは、場合によりRで置換された二環式へテロ環であり;そして、
(i)Rは、C1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ、ハロ、Cアリール、または5〜7員単環式へテロ環である]
で示される化合物、またはその医薬的に許容し得る塩、溶媒和物もしくはプロドラッグ。
【請求項34】
およびRは各々独立して、C1〜3アルキルまたはC1〜3アルコキシである、請求項33記載の化合物。
【請求項35】
はメチルである、請求項34記載の化合物。
【請求項36】
はメチルまたはメトキシである、請求項34記載の化合物。
【請求項37】
はビニルである、請求項33記載の化合物。
【請求項38】
はt−ブチルである、請求項33記載の化合物。
【請求項39】
はt−ブチルである、請求項33記載の化合物。
【請求項40】
は、場合によりRで置換されたキノリンまたはイソキノリンである、請求項33記載の化合物。
【請求項41】
はメチルであり、Rはメトキシであり、Rはビニルであり、Rはt−ブチルであり、Rはt−ブチルであり、そしてRは少なくとも1つのRで置換されたイソキノリンである、請求項31記載の化合物。
【請求項42】
はC1〜6アルコキシである、請求項41記載の化合物。
【請求項43】
は更に、Cアリールまたは5〜7員単環式へテロ環の少なくとも1つを含む、請求項42記載の化合物。
【請求項44】
請求項1記載の化合物および医薬的に許容し得る担体を含有する、組成物。
【請求項45】
更に抗−HCV活性を有する別の化合物を含有する、請求項44記載の組成物。
【請求項46】
抗−HCV活性を有する他の化合物はインターフェロンである、請求項45記載の組成物。
【請求項47】
インターフェロンは、インターフェロンアルファ2B、ペグ化インターフェロンアルファ、コンセンサスインターフェロン、インターフェロンアルファ2A、およびリンパ芽球インターフェロンtauからなる群から選ばれる、請求項46記載の組成物。
【請求項48】
抗−HCV活性を有する他の化合物は、インターロイキン2、インターロイキン6、インターロイキン12、1型ヘルパーT細胞応答の発生を増大する化合物、干渉RNA、アンチセンスRNA、イミキモド、リバビリン、およびイノシン5−モノホスフェートデヒドロゲナーゼインヒビター、アマンタジン、およびリマンタジンからなる群から選ばれる、請求項45記載の組成物。
【請求項49】
更にインターフェロンおよびリバビリンを含有する、請求項44記載の組成物。
【請求項50】
抗−HCV活性を有する化合物は小分子化合物である、請求項45記載の組成物。
【請求項51】
抗−HCV活性を有する化合物は、HCVメタロプロテアーゼ、HCVセリンプロテアーゼ、HCVポリメラーゼ、HCVヘリカーゼ、HCV NS4Bタンパク質、HCV侵入、HCVアセンブリ、HCV放出、HCV NS5Aタンパク質、IMPDH、およびHCVのヌクレオシドからなる群から選ばれる標的の機能化を阻害するのに有効である、請求項50記載の組成物。
【請求項52】
プロテアーゼを請求項1記載の化合物と接触させることを含む、HCVセリンプロテアーゼの機能化を阻害するための方法。
【請求項53】
患者に、請求項1記載の化合物またはその医薬的に許容し得る溶媒和物、プロドラッグもしくは塩の治療学的に有効な量を投与することを含む、患者におけるHCV感染症を処置するための方法。
【請求項54】
化合物は、HCVセリンプロテアーゼの機能化を阻害するのに有効である、請求項53記載の方法。
【請求項55】
抗−HCV活性を有する別の化合物を、請求項1記載の化合物の前、後または同時に投与することを含む、請求項53記載の方法。
【請求項56】
抗−HCV活性を有する他の化合物はインターフェロンである、請求項55記載の方法。
【請求項57】
インターフェロンは、インターフェロンアルファ2B、ペグ化インターフェロンアルファ、コンセンサスインターフェロン、インターフェロンアルファ2A、リンパ芽球インターフェロンtauからなる群から選ばれる、請求項56記載の方法。
【請求項58】
抗−HCV活性を有する他の化合物は、インターロイキン2、インターロイキン6、インターロイキン12、1型ヘルパーT細胞応答の発生を増大する化合物、干渉RNA、アンチセンスRNA、イミキモド、リバビリン、およびイノシン5−モノホスフェートデヒドロゲナーゼインヒビター、アマンタジン、およびリマンタジンからなる群から選ばれる、請求項55記載の方法。
【請求項59】
抗−HCV活性を有する他の化合物は小分子である、請求項55記載の方法。
【請求項60】
抗−HCV活性を有する化合物は、HCVメタロプロテアーゼ、HCVセリンプロテアーゼ、HCVポリメラーゼ、HCVヘリカーゼ、HCV NS4Bタンパク質、HCV侵入、HCVアセンブリ、HCV放出、HCV NS5Aタンパク質、IMPDH、およびHCVのヌクレオシドからなる群から選ばれる標的の機能化を阻害するのに有効である、請求項59記載の方法。
【請求項61】
抗−HCV活性を有する他の化合物は、HCVセリンプロテアーゼ以外のHCVライフサイクルにおける標的の機能化を阻害するのに有効である、請求項59記載の方法。
【請求項62】
患者におけるHCV感染症を処置するための医薬の製造における、請求項1記載の化合物の使用。
【請求項63】
患者におけるHCV感染症を処置するための医薬の製造における、請求項44記載の組成物の使用。

【公表番号】特表2007−534636(P2007−534636A)
【公表日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−539980(P2006−539980)
【出願日】平成16年11月12日(2004.11.12)
【国際出願番号】PCT/US2004/038165
【国際公開番号】WO2005/046712
【国際公開日】平成17年5月26日(2005.5.26)
【出願人】(391015708)ブリストル−マイヤーズ スクイブ カンパニー (494)
【氏名又は名称原語表記】BRISTOL−MYERS SQUIBB COMPANY
【Fターム(参考)】