説明

CHK1、CHK2およびSGK阻害剤としてのインダゾールスクアリン酸誘導体

式(I)


式中、R、R1、R2、R2’、R2’’、R3、B、B’およびXは、請求項1において示した意味を有する、
で表される新規なスクアリン酸
化合物は、CHK1、CHK2およびSGKキナーゼの阻害剤であり、疾患および愁訴、例えば癌、糖尿病、肥満、メタボリックシンドローム(異脂肪血症)、全身および肺の筋緊張亢進、心血管疾患および腎疾患、一般的にすべてのタイプの線維症および炎症プロセスにおけるものの処置のために用いることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キナーゼ、特にチロシンキナーゼおよび/またはセリン/スレオニンキナーゼによるシグナル伝達の阻害、調節および/または調整が作用を奏する化合物および化合物の使用、さらにこれらの化合物を含む医薬組成物、並びに当該化合物の、キナーゼにより誘発された疾患の処置のための使用に関する。
【0002】
本発明は、特にCHK1およびCHK2キナーゼ並びに細胞容積調節ヒトキナーゼh−sgk(ヒト血清および糖質コルチコイド依存性キナーゼまたはSGK)の阻害、調節および/または調整が作用を奏する化合物、さらにこれらの化合物を含む医薬組成物、並びに当該化合物の、CHK1、CHK2およびSGKにより誘発される疾患の処置のための使用に関する。
【背景技術】
【0003】
細胞周期チェックポイントは、細胞周期移行の順序およびタイミングを制御する調節経路である。これらは、重要な事象、例えばDNA複製および染色体分離が、確実に高い信頼性を伴って完了するようにする。これらの細胞周期チェックポイントの制御は、腫瘍細胞が多くの化学療法および放射線照射に応答する方式を決定する重要な要因である。多くの有効な癌療法は、DNA損傷を生じることにより作動する;しかし、これらの剤に対する耐性により、癌の処置において顕著な制限が残る。薬剤耐性の種々の機構が存在する;重要な機構は、チェックポイント経路の臨界的に重要な活性化の制御による細胞周期の進行の防止に帰因し、これが細胞周期を停止して修復のための時間を提供し、遺伝子の転写を誘発して修復を促進し、これにより即座の細胞の死滅を回避する。
【0004】
細胞周期におけるこれらのチェックポイントが2つ存在する−p53により制御されるG1/Sチェックポイント、およびSer/Thrキナーゼチェックポイントキナーゼ1(CHK1)によりモニタリングされるG2/Mチェックポイント。
【0005】
チェックポイント停止を例えばG2チェックポイントにおいて抑止することにより、相乗的に、DNA損傷により誘発される腫瘍細胞死を強化し、耐性を回避することが、可能となり得る(Shyjanら、米国特許第6,723,498号(2004))。ヒトCHK1は、ホスファターゼcdc25をセリン216においてリン酸化することにより、細胞周期停止を制御するにあたり作用を奏し、これは、cdc2/サイクリンBの活性化を防止し、有糸分裂を開始することに関与している可能性がある(Sanchezら、Science, 277:1497 (1997))。従って、CHK1の阻害により、DNA修復が完了する前に有糸分裂を開始させることによってDNA損傷物質の作用が増強され、従って腫瘍細胞の死滅を生じるはずである。
【0006】
G2/Mチェックポイントを抑止する化学感作物質(chemosensitiser)の設計の方法は、重要なG2/M調節キナーゼCHK1の阻害剤を開発することにある。この方法が作用するという事実は、多くの概念実証研究において例証されている(Koniarasら、Oncogene, 2001, 20:7453; Luoら、Neoplasia, 2001, 3:411; Busbyら、Cancer Res., 2000, 60:2108; Jacksonら、Cancer Res., 2000, 60:566)。
【0007】
p53依存性アポトーシスにおいて臨界的に重要な作用を奏するさらなる必須のチェックポイントキナーゼとして挙げることができるのは、CHK2である。CHK2の阻害は、正常な感受性組織を、化学療法剤に対して保護することができる(B.-B S. Zhouら、Progress in Cell Cycle Research, Vol. 5, 413-421, 2003)。
【発明の開示】
【0008】
式Iで表される化合物について、これらがチェックポイントキナーゼ活性を阻害することを示すことができる。チェックポイントキナーゼ阻害剤について、これらが、細胞を有糸分裂の中期に不適切に進行させることを可能にし、この結果関連する細胞のアポトーシスをもたらし、従って抗増殖作用を有することを示すことができる。式Iで表される化合物を、腫瘍性疾患の処置のために用いることができる。式Iで表される化合物およびこれらの塩を、腫瘍性疾患、例えば脳、乳房、卵巣、肺、腸、前立腺、皮膚または他の組織の癌腫に対して、並びに白血病およびリンパ腫、中枢および末梢神経系の腫瘍、並びに他のタイプの腫瘍、例えばメラノーマ、肉腫、線維肉腫および骨肉腫に対して用いることができる。式Iで表される化合物はまた、他の増殖性疾患の処置に適する。式Iで表される化合物をまた、広範囲のDNA損傷剤と組み合わせて用いることができるが、個別の物質としても用いることができる。
【0009】
従って、本発明は、CHK1および/またはCHK2活性の阻害が有利である疾患または状態の処置のための、式Iで表される化合物の使用に関する。
CHK1およびCHK2と同様に、SGKは、セリン/スレオニンキナーゼに属する。
【0010】
本発明はさらに、細胞容積調節ヒトキナーゼH−SGK(ヒト血清および糖質コルチコイド依存性キナーゼまたはSGK)のシグナル伝達の阻害、調節および/または調整が作用を奏する、SGKにより誘発された疾患の処置のための、式Iで表される化合物の使用に関する。
【0011】
アイソフォームSGK−1、SGK−2およびSGK−3を有するSGKは、セリン/スレオニンタンパク質キナーゼ族である(WO 02/17893)。
本発明の化合物は、SGK−1の阻害剤である。これらはさらに、SGK−2および/またはSGK−3の阻害剤であり得る。
【0012】
従って、本発明は、SGKシグナル伝達を阻害、調節および/または調整する式Iで表される化合物の使用、これらの化合物を含む組成物、並びにSGKにより誘発される疾患および愁訴、例えば糖尿病(例えば真性糖尿病、糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害、糖尿病性の血管障害および微小血管障害)、肥満、メタボリックシンドローム(異脂肪血症)、全身および肺の筋緊張亢進、心血管疾患(例えば心筋梗塞の後の心臓性線維症、心臓肥大および心不全、動脈硬化)並びに腎疾患(例えば糸球体硬化症、腎硬化症、腎炎、腎症、電解質排泄障害)、一般的にすべてのタイプの線維症および炎症プロセスにおけるもの(例えば肝硬変、肺線維症、線維性膵炎、リウマチおよび関節症、クローン病、慢性気管支炎、放射線線維症、硬化性皮膚炎、嚢胞性線維症、瘢痕、アルツハイマー病)の処置のためのこれらの使用方法に関する。
本発明の化合物はまた、腫瘍細胞の成長および腫瘍転移を阻害することができ、従って腫瘍療法に適する。
【0013】
本発明の化合物はさらに、凝固障害、例えば異常フィブリノーゲン血症、低プロコンバーチン血症(hypoproconvertinaemia)、血友病B、スチュアート−プラウアー(Stuart-Prower)欠損症、プロトロンビン複合体欠乏症、消費性凝固障害、線溶亢進、免疫凝固障害(immunocoagulopathy)または複合凝固障害、およびまた神経興奮性、例えばてんかんの処置のために用いられる。本発明の化合物をまた、緑内障または白内障の処置において、治療的に用いることができる。
本発明の化合物はさらに、細菌感染の処置において、および感染防止(antiinfection)療法において用いられる。本発明の化合物をまた、学習能力および注意力を増大させるために、治療的に用いることができる。さらに、本発明の化合物は、細胞老化およびストレスに対抗し、従って高齢者における平均余命および健康を増大させる。
本発明の化合物はさらに、耳鳴の処置において用いられる。
【0014】
従って、SGKシグナル伝達を阻害、調節および/または調整する低分子化合物の同定が、所望されており、本発明の目的である。
【0015】
本発明の化合物およびこれらの塩は、極めて有用な薬理学的特性を有し、同時に十分に耐容されることが見出された。
従って、これらは、SGK阻害特性をも示す。
【0016】
従って、本発明は、前述の疾患の処置および/または予防における医薬および/または医薬活性成分としての本発明の化合物、並びに前述の疾患の処置および/または予防のための医薬の製造のための本発明の化合物の使用、並びにまた本発明の1種または2種以上の化合物の、このような投与を必要としている患者への投与を含む、前述の疾患の処置方法に関する。
【0017】
宿主または患者は、すべての哺乳類種、例えば霊長類種、特にヒト;マウス、ラットおよびハムスターを含むげっ歯動物;ウサギ;ウマ、ウシ、イヌ、ネコなどに属していてもよい。動物モデルは、実験的調査のために重要であり、ここでこれらは、ヒト疾患の処置についてのモデルを提供する。
【0018】
シグナル伝達経路を同定するため、および種々のシグナル伝達経路間の相互作用を検出するために、種々の科学者は、好適なモデルまたはモデル系、例えば細胞培養モデル(例えばKhwajaら、EMBO, 1997, 16, 2783-93)およびトランスジェニック動物のモデル(例えばWhiteら、Oncogene, 2001, 20, 7064-7072)を開発してきた。シグナル伝達カスケードにおけるいくつかの段階の決定のために、相互作用する化合物を用いて、シグナルを調整させることができる(例えばStephensら、Biochemical J., 2000, 351, 95-105)。本発明の化合物をまた、動物および/または細胞培養モデルにおける、または本出願において述べる臨床的疾患におけるキナーゼ依存性シグナル伝達経路を試験するための試薬として、用いることができる。
【0019】
キナーゼ活性の測定は、当業者に十分知られている手法である。基質、例えばヒストン(例えばAlessiら、FEBS Lett. 1996, 399, 3, 333〜338頁)または塩基性ミエリンタンパク質を用いるキナーゼ活性の決定のための一般的な試験系は、文献中に記載されている(例えば、Campos-Gonzalez, R.およびGlenney, Jr., J.R. 1992, J. Biol. Chem. 267, 14535頁)。
【0020】
種々のアッセイ系は、キナーゼ阻害剤を同定するために有用である。シンチレーション近接アッセイ(Sorgら、J. of. Biomolecular Screening, 2002, 7, 11-19)およびフラッシュプレート(flashplate)アッセイにおいて、基質としてのタンパク質またはペプチドの放射活性リン酸化を、γATPを用いて測定する。阻害化合物の存在下では、低下した放射活性シグナルを検出することができるか、またはシグナルを全く検出することができない。さらに、均一時間分解蛍光共鳴エネルギー移動(HTR−FRET)および蛍光偏光(FP)技術は、アッセイ法として有用である(Sillsら、J. of Biomolecular Screening, 2002, 191-214)。
【0021】
他の非放射活性ELISAアッセイ法は、特定のホスホ−抗体(ホスホ−AB)を用いる。ホスホ−AB単独は、リン酸化された基質にのみ結合する。この結合を、第2のペルオキシダーゼ結合抗ヒツジ抗体を用いて、ケモルミネセンス(chemoluminescence)により検出することができる(Rossら、Biochem. J., 2002, 366, 977-981)。
【0022】
従来技術
US 5,466,712およびUS 5,605,909には、平滑筋弛緩薬としての他のN−アリールおよびN−ヘテロアリール−1,2−ジアミノシクロブテン−3,4−ジオン類が記載されている。
合成樹脂の安定剤としてのスクアリン酸アミド類は、US 4,170,588およびDE 1669798に記載されている。
【0023】
WO 02/083624、WO 02/076926、US 2003/0204085およびWO 03/080053には、ケモカインにより誘発された疾患、例えば炎症または癌の処置のための、CXCケモカインレセプターリガンドとしての3,4−置換シクロブテン−1,2−ジオン類が記載されている。
ケモカインにより(特にIL−8により)誘発された疾患の処置のための他の3,4−置換シクロブテン−1,2−ジオン類は、WO 01/92202およびWO 01/64208からIL−8レセプターアンタゴニストとして知られている。
【0024】
WO 00/62781には、細胞容積調節ヒトキナーゼH−SGKの阻害剤を含む医薬の使用が記載されている。
感染防止療法におけるキナーゼ阻害剤の使用は、C. Doerigにより、Cell. Mol. Biol. Lett. Vol. 8, No. 2A, 2003, 524-525に記載されている。
肥満におけるキナーゼ阻害剤の使用は、N. Perrottiにより、J. Biol. Chem. 2001, March 23; 276(12):9406-9412に記載されている。
【0025】
以下の参考文献には、疾患の処置におけるSGK阻害剤の使用が示唆および/または記載されている:
1:Chung EJ, Sung YK, Farooq M, Kim Y, Im S, Tak WY, Hwang YJ, Kim YI, Han HS, Kim JC, Kim MK. Gene expression profile analysis in human hepatocellular carcinoma by cDNA microarray. Mol Cells. 2002;14:382-7.
2:Brickley DR, Mikosz CA, Hagan CR, Conzen SD. Ubiquitin modification of serum and glucocorticoid-induced protein kinase-1(SGK-1). J Biol Chem. 2002;277:43064-70.
【0026】
3:Fillon S, Klingel K, Warntges S, Sauter M, Gabrysch S, Pestel S, Tanneur V, Waldegger S, Zipfel A, Viebahn R, Haussinger D, Broer S, Kandolf R, Lang F. Expression of the serine/threonine kinase hSGK1 in chronic viral hepatitis. Cell Physiol Biochem. 2002;12:47-54.
4:Brunet A, Park J, Tran H, Hu LS, Hemmings BA, Greenberg ME. Protein kinase SGK mediates survival signals by phosphorylating the forkhead transcription factor FKHRL1 (FOXO3a). Mol Cell Biol 2001;21:952-65
5:Mikosz CA, Brickley DR, Sharkey MS, Moran TW, Conzen SD. Glucocorticoid receptor-mediated protection from apoptosis is associated with induction of the serine/threonine survival kinase gene, sgk-1. J Biol Chem. 2001;276:16649-54.
【0027】
6:Zuo Z, Urban G, Scammell JG, Dean NM, McLean TK, Aragon I, Honkanen RE. Ser/Thr protein phosphatase type 5 (PP5) is a negative regulator of glucocorticoid receptor-mediated growth arrest. Biochemistry. 1999;38:8849-57.
7:Buse P, Tran SH, Luther E, Phu PT, Aponte GW, Firestone GL. Cell cycle and hormonal control of nuclear-cytoplasmic localisation of the serum- and glucocorticoid-inducible protein kinase, Sgk, in mammary tumour cells. A novel convergence point of anti-proliferative and proliferative cell signalling pathways. J Biol Chem. 1999;274:7253-63.
8:M. Hertweck, C. Goebel, R. Baumeister: C.elegans SGK-1 is the critical component in the Akt/PKB Kinase complex to control stress response and life span. Developmental Cell, Vol. 6, 577-588, 2004年4月。
【0028】
発明の概要
本発明は、式I
【化1】

式中、
Rは、H、A、COOA、CONHA、CONAまたは(CHArを示し、
B、B’は、各々、互いに独立して、CHまたはNを示し、
は、H、A、Hal、CN、NO、C(=O)A、CHO、CH(OH)A、NH、NH(C=O)A、COOH、COOA、SONH、CONH、CONA、(CHArまたはHetを示し、
は、OH、OA、Hal、CF、SONH、NHAcまたはNHSOAを示し、
2’、R2”は、各々、互いに独立して、HまたはHalを示し、
【0029】
は、H、Hal、NH、NHA、NA、NHCOA、NHCONHA、NHCONHAr、NHCO(CHAr、Het、NHCO(CHOA、NHCO(CHHet、NHCOCH(Ar)OC(=O)A、NHCO(CHO(CHOA、NHCOCH(Ar)A、NHCOCH(Ar)OH、NHCO(CHNH、NHCO(CHNHAまたはNHCO(CHNA、NHCO(CHNHAc、NHCO(CHNA(CHOA、NHCO(CHN(BOC)A、NHCO(CHNH(BOC)、NHCO(CHNHCHO、NHCO(CHNHOH、
【化2】

NHCO(CHNHAまたはNHCO(CHNAを示し、
【0030】
Acは、アセチルを示し、
Arは、非置換であるか、またはHal、A、OH、OA、NH、NHA、NA、NO、CN、COOH、COOA、CONH、NHCOA、NHCONH、NHSOA、SONH、S(O)A、(CHHet、(CHNH(CHOA、(CHNH(CHNA、(CHNH(CHNHAおよび/または(CHNH(CHNHにより単置換、二置換もしくは三置換されているフェニルを示し、
【0031】
Hetは、フリル、チエニル、ピロリル、イミダゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピラゾリル、チアゾリル、ピペラジニル、インドリル、ピペリジニル、ピロリジニル、モルホリニルまたはトリアゾリルを示し、この各々は、非置換であるか、またはA、Hal、OHおよび/またはOAにより単置換、二置換もしくは三置換されており、
Hetは、モルホリニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピラゾリル、フリル、チエニル、ピロリル、イミダゾリル、ピリジル、ピペラジニルまたはピリミジニルを示し、この各々は、非置換であるか、またはA、Hal、OHおよび/またはOAにより単置換、二置換もしくは三置換されており、
【0032】
Aは、1〜10個のC原子を有する非分枝状または分枝状アルキルを示し、ここで1〜7個のH原子は、Fにより置換されていてもよく、
【化3】

を示し、
Halは、F、Cl、BrまたはIを示し、
mは、0、1または2を示し、
nは、1、2、3または4を示す、
で表される化合物、並びに、これらの薬学的に使用可能な誘導体、互変異性体、塩、溶媒和物および立体異性体、すべての比率でのこれらの混合物に関する。
【0033】
本発明は、式Iで表される化合物およびこれらの塩、並びに、式Iで表される化合物、並びに、これらの薬学的に使用可能な誘導体、互変異性体、溶媒和物、塩および立体異性体の製造方法であって、
a)式II
【化4】

式中、
Aは、1、2、3または4個のC原子を有するアルキルを示し、
かつ
R、RおよびRは、請求項1において示した意味を有する、
で表される化合物を、
式III
【化5】

式中、
X、B、B’、R、R2’およびR2’’は、請求項1において示した意味を有する、
で表される化合物と反応させるか、
または
【0034】
b)式Iで表される化合物中の基Rおよび/またはRを、他の基Rおよび/またはRに、
i)アミノ保護基を切断して除去し、
ii)エーテルを切断する
ことにより変換し、
かつ/または
式Iで表される塩基もしくは酸を、この塩の1種に変換する
ことを特徴とする、前記方法に関する。
【0035】
本発明はまた、これらの化合物の立体異性体、互変異性体並びに水和物および溶媒和物に関する。化合物の溶媒和物は、相互の引力のために形成される、化合物上への不活性溶媒分子のアダクション(adduction)を意味するものと解釈される。溶媒和物は、例えば、一もしくは二水和物またはアルコラートである。
【0036】
薬学的に使用可能な誘導体は、例えば、本発明の化合物の塩、およびまたいわゆるプロドラッグ(prodrug)化合物を意味するものと解釈される。
プロドラッグ誘導体は、例えばアルキル基もしくはアシル基、糖またはオリゴペプチドで修飾され、生物体中で迅速に切断されて本発明の活性な化合物を形成する、式Iで表される化合物を意味するものと解釈される。
これらはまた、例えばInt. J. Pharm. 115, 61-67 (1995)に記載されているように、本発明の化合物の生分解性ポリマー誘導体を含む。
【0037】
「有効量」の表現は、組織、系、動物またはヒトにおいて、例えば研究者または医師により求められているかまたは目的とされる生物学的または薬学的応答を、生じる医薬または薬学的に活性な成分の量を意味する。
さらに、「治療的に有効な量」の表現は、この量を施与されていない対応する対象と比較して、以下の結果:
疾患、症候群、状態、愁訴、障害もしくは副作用の改善された処置、治癒、防止もしくは解消、またはまた疾患、愁訴もしくは障害の進行の低減
を有する量を意味する。
「治療的に有効な量」の表現はまた、正常な生理学的機能を増大させるのに有効である量を包含する。
【0038】
本発明はまた、本発明の式Iで表される化合物の混合物、例えば2種のジアステレオマーの、例えば1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:10、1:100または1:1000の比率での混合物に関する。
これらは、特に好ましくは、立体異性体化合物の混合物である。
1回よりも多く出現するすべてのラジカルについて、それらの意味は、互いに独立している。
本明細書中、ラジカルおよびパラメーターR、R、R、R、B、B’およびXは、他に明確に示さない限り、式Iについて示した意味を有する。
【0039】
Aは、アルキルを示し、非分枝状(直鎖状)または分枝状であり、1、2、3、4、5または6個のC原子を有する。Aは、好ましくは、メチル、さらにエチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチルまたはtert−ブチル、さらにまたペンチル、1−、2−または3−メチルブチル、1,1−、1,2−または2,2−ジメチルプロピル、1−エチルプロピル、ヘキシル、1−、2−、3−または4−メチルペンチル、1,1−、1,2−、1,3−、2,2−、2,3−または3,3−ジメチルブチル、1−または2−エチルブチル、1−エチル−1−メチルプロピル、1−エチル−2−メチルプロピル、1,1,2−または1,2,2−トリメチルプロピル、さらに好ましくは、例えばトリフルオロメチルを示す。
Aは、極めて特に好ましくは、1、2、3、4、5または6個のC原子を有するアルキル、好ましくはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチルまたは1,1,1−トリフルオロエチルを示す。
Acは、アセチルを示す。Phは、フェニルを示し、Meは、メチルを示し、Etは、エチルを示し、BOCは、tert−ブチルオキシカルボニルを示す。
【0040】
Arは、例えば、フェニル、o−、m−またはp−トリル、o−、m−またはp−エチルフェニル、o−、m−またはp−プロピルフェニル、o−、m−またはp−イソプロピルフェニル、o−、m−またはp−tert−ブチルフェニル、o−、m−またはp−ヒドロキシフェニル、o−、m−またはp−ニトロフェニル、o−、m−またはp−アミノフェニル、o−、m−またはp−アセトアミドフェニル、o−、m−またはp−メトキシフェニル、o−、m−またはp−エトキシフェニル、o−、m−またはp−エトキシカルボニルフェニル、o−、m−またはp−アミノカルボニルフェニル、o−、m−またはp−フルオロフェニル、o−、m−またはp−ブロモフェニル、o−、m−またはp−クロロフェニル、o−、m−またはp−(メチルスルホンアミド)フェニル、o−、m−またはp−(メチルスルホニル)フェニル、o−、m−またはp−シアノフェニル、o−、m−またはp−ウレイドフェニル、o−、m−またはp−アミノスルホニルフェニル、o−、m−またはp−カルボキシフェニル、さらに好ましくは、2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−または3,5−ジフルオロフェニル、2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−または3,5−ジクロロフェニル、2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−または3,5−ジブロモフェニル、2,4−または2,5−ジニトロフェニル、2,5−または3,4−ジメトキシフェニル、3−ニトロ−4−クロロフェニル、3−アミノ−4−クロロ、2−アミノ−3−クロロ、2−アミノ−4−クロロ、2−アミノ−5−クロロまたは2−アミノ−6−クロロフェニル、2,3−ジアミノフェニル、2,3,4−、2,3,5−、2,3,6−、2,4,6−または3,4,5−トリクロロフェニル、2,4,6−トリメトキシフェニル、2−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル、p−ヨードフェニル、3,6−ジクロロ−4−アミノフェニル、4−フルオロ−3−クロロフェニル、2−フルオロ−4−ブロモフェニル、2,5−ジフルオロ−4−ブロモフェニル、3−ブロモ−6−メトキシフェニル、3−クロロ−6−メトキシフェニル、3−クロロ−4−アセトアミドフェニル、3−フルオロ−4−メトキシフェニル、3−アミノ−6−メチルフェニル、3−クロロ−4−アセトアミドフェニルまたは2,5−ジメチル−4−クロロフェニルを示す。
【0041】
Arは、極めて特に好ましくは、非置換であるか、またはHalにより単置換、二置換もしくは三置換されているフェニルを示す。
Hetは、好ましくは、非置換ピリジル、ピリミジニル、ピラゾリル、チアゾリル、インドリル、ピペリジニル、ピロリジニル、モルホリニルまたはトリアゾリル、極めて特に好ましくはピリジルを示す。
Hetは、好ましくはモルホリニル、ピロリジニルまたはピペリジニルを示す。
【0042】
式Iで表される化合物において、BおよびB’は、好ましくはCHを示す。好ましいのは、さらに、BまたはB’がNを示し、それぞれの他方のBまたはB’がCHを示す、式Iで表される化合物である。
Xは、特に好ましくはCHまたはCHAを示し、ここでAは、好ましくは1、2、3または4個のC原子を有するアルキルを示す。
【0043】
Rは、好ましくはH;COOA、例えばメトキシカルボニルまたはtert−ブトキシカルボニル;CONHA、例えばメチルアミノカルボニル;CONA、例えばジメチルアミノカルボニルを示す。Rは、極めて特に好ましくはHを示す。
は、好ましくはH、A、Hal、CN、NO、CH(OH)A、C(=O)A、COOH、COOA、SONH、ベンジル、フェニルまたはピリジル;特に好ましくはHまたはAを示す。
は、好ましくはOH、OCH、Hal、CF、SONH、NHAcまたはNHSOA、例えばNHSOCHを示す。
【0044】
は、好ましくはH;Hal、例えばFまたはCl;NH、NHA、例えばメチルアミノ;NA、例えばジメチルアミノ;NHCOA、例えばアセチルアミノ;Het、例えばモルホリニル、ピリジル、ピロリジニルまたはピペリジニル;
NHCO(CHAr、例えば、各々が非置換であるかまたはHalにより単置換、二置換もしくは三置換されている、ベンゾイルアミノ、ベンジルカルボニルアミノ、3−(モルホリン−4−イルメチル)ベンゾイルアミノ、3−メトキシベンゾイルアミノ、3−[(2−メトキシエチルアミノ)メチル]ベンゾイルアミノ、3−ジメチルアミノベンゾイルアミノ、3−シアノベンゾイルアミノ、3−[(2−ジメチルアミノエチルアミノ)メチル]ベンゾイルアミノ、3−(ピペラジニル−4−イルメチル)ベンゾイルアミノ、3−メチルアミノメチルベンゾイルアミノ;
【0045】
NHCO(CHOA、例えばNHCOCHOMe;
NHCO(CHHet、例えばNHCO−2−ピリジル;
NHCOCH(Ar)OC(=O)A、例えばNHCOCH(フェニル)OC(=O)Me;
NHCO(CHO(CHOA、例えばNHCOCHOCHCHOMe;
NHCOCH(Ar)A、例えばNHCOCH(Ph)Et。
NHCOCH(Ar)OH、例えばNHCO(Ph)OH;
NHCO(CHNH;NHCO(CHNHA;NHCO(CHNA
NHCO(CHNHAc;NHCO(CHNA(CHOA、例えばNHCOCHN(CH)CHCHOCH
NHCO(CHN(BOC)A、例えばNHCOCHN(CH)BOC;
NHCO(CHNH(BOC);NHCO(CHNHCHO;
NHCO(CHNHOH;
【化6】

NHCO(CHNHAまたはNHCO(CHNAを示す。
【0046】
特に好ましいのは、3−(1H−インダゾール−5−イルアミノ)−4−[(R)−1−(3−ヒドロキシフェニル)エチルアミノ]シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「29」)および3−(3−ベンゾイルアミノ−1H−インダゾール−5−イルアミノ)−4−[(R)−1−(3−ヒドロキシフェニル)エチルアミノ]シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「43」)である。
【0047】
式Iで表される化合物は、1つまたは2つ以上のキラル中心を有していてもよく、従って種々の立体異性体形態で存在し得る。式Iは、すべてのこれらの形態を包含する。
【0048】
従って、本発明は特に、少なくとも1つの前述のラジカルが前に示した好ましい意味の1つを有する、式Iで表される化合物に関する。いくつかの好ましい群の化合物を、以下の従属式Ia〜Ihにより表すことができ、これは、式Iに適合し、ここで、一層詳細に表していないラジカルは、式Iについて示した意味を有するが、ここで、
【0049】
Iaにおいて、RはH、COOA、CONHAまたはCONAを示し;
Ibにおいて、BまたはB’はNを示し、
BまたはB’の他方はCHを示し;
Icにおいて、RはHまたはAを示し;
Idにおいて、Aは1〜6個のC原子を有する非分枝状または分枝状アルキルを示し、ここで1〜5個のH原子はFにより置換されていてもよく;
【0050】
Ieにおいて、RはH、Hal、NH、NHA、NA、NHCOA、NHCONHA、NHCONHAr、NHCO(CHAr、Het、NHCO(CHOA、NHCO(CHHet、NHCOCH(Ar)OC(=O)A、NHCO(CHO(CHOA、NHCOCH(Ar)A、NHCOCH(Ar)OH、NHCO(CHNH、NHCO(CHNHA、NHCO(CHNA、NHCO(CHNHAc、NHCO(CHNA(CHOA、NHCO(CHN(BOC)A、NHCO(CHNH(BOC)、NHCO(CHNHCHO、NHCO(CHNHOH、
【化7】

NHCO(CHNHAまたはNHCO(CHNAを示し;
【0051】
Ifにおいて、RはH、Hal、NH、NHA、NA、NHCOA、NHCONHA、NHCONHAr、NHCO(CHAr、Het、NHCO(CHOA、NHCO(CHHet、NHCOCH(Ar)OC(=O)A、NHCO(CHO(CHOA、NHCOCH(Ar)A、NHCOCH(Ar)OH、NHCO(CHNH、NHCO(CHNHAまたはNHCO(CHNAを示し;
Igにおいて、Hetはモルホリニル、ピロリジニル、ピペラジニル、ピリジルまたはピペリジニルを示し;
【0052】
Ihにおいて、RはH、COOA、CONHAまたはCONAを示し、
BまたはB’はNを示し、
B’またはBの他方はCHを示し、
はHまたはAを示し、
はOH、OA、Hal、CF、SONH、NHAcまたはNHSOAを示し、
2’、R2”は各々、互いに独立して、HまたはHalを示し、
【0053】
はH、Hal、NH、NHA、NA、NHCOA、NHCONHA、NHCONHAr、NHCO(CHAr、Het、NHCO(CHOA、NHCO(CHHet、NHCOCH(Ar)OC(=O)A、NHCO(CHO(CHOA、NHCOCH(Ar)A、NHCOCH(Ar)OH、NHCO(CHNH、NHCO(CHNHA、NHCO(CHNA、NHCO(CHNHAc、NHCO(CHNA(CHOA、NHCO(CHN(BOC)A、NHCO(CHNH(BOC)、NHCO(CHNHCHO、NHCO(CHNHOH、
【化8】

NHCO(CHNHAまたはNHCO(CHNAを示し、
【0054】
Hetはモルホリニル、ピロリジニル、ピリジル、ピペラジニルまたはピペリジニルを示し、
Hetはフリル、チエニル、ピロリル、イミダゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピラゾリル、チアゾリル、ピペラジニル、インドリル、ピペリジニル、ピロリジニル、モルホリニルまたはトリアゾリルを示し、この各々は、非置換であるか、またはA、Hal、OHおよび/またはOAにより単置換、二置換もしくは三置換されており、
【0055】
Arは、非置換であるか、またはHal、A、OH、OA、NH、NHA、NA、CN、(CHHet、(CHNH(CHOA、(CHNH(CHNA、(CHNH(CHNHAおよび/または(CHNH(CHNHにより単置換、二置換もしくは三置換されているフェニルを示し、
Aは1〜6個のC原子を有する非分枝状または分枝状アルキルを示し、ここで1〜5個のH原子はFにより置換されていてもよく、
Xは存在しないか、またはCH、CHAもしくはCAを示し、
HalはF、Cl、BrまたはIを示す、
並びに、これらの薬学的に使用可能な誘導体、互変異性体、塩、溶媒和物および立体異性体であり、すべての比率でのこれらの混合物を含む。
【0056】
本発明の化合物およびまたこれらの製造のための出発物質は、さらに、文献(例えばHouben-Weyl, Methoden der organischen Chemie[Methods of Organic Chemistry]、Georg-Thieme-Verlag, Stuttgartなどの標準的学術書)に記載されているような自体公知の方法により、正確には前述の反応に適する周知の反応条件の下で、製造される。また、ここで、ここではこれ以上詳細には述べない自体公知の変法を用いてもよい。
【0057】
所望により、出発物質をまた、反応混合物から単離するのではなく、代わりにこれらを直ちに本発明の化合物にさらに変換することにより、in situで生成することができる。
出発化合物は、一般的に周知である。しかし、これらが新規である場合には、これらを、自体公知の方法により調製することができる。
【0058】
式Iで表される化合物は、好ましくは、式IIで表される化合物を式IIIで表される化合物と反応させることにより、得ることができる。
当該反応を、当業者に知られている方法により行う。当該反応を、一般的には不活性な溶媒中で行う。
【0059】
好適な不活性溶媒の例は、炭化水素類、例えばヘキサン、石油エーテル、ベンゼン、トルエンもしくはキシレン;塩素化炭化水素類、例えばトリクロロエチレン、1,2−ジクロロエタン、四塩化炭素、クロロホルムもしくはジクロロメタン;アルコール類、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、n−ブタノールもしくはtert−ブタノール;エーテル類、例えばジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)もしくはジオキサン;グリコールエーテル類、例えばエチレングリコールモノメチルもしくはモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム);ケトン類、例えばアセトンもしくはブタノン;アミド類、例えばアセトアミド、ジメチルアセトアミドもしくはジメチルホルムアミド(DMF);ニトリル類、例えばアセトニトリル;スルホキシド類、例えばジメチルスルホキシド(DMSO);二硫化炭素;カルボン酸類、例えばギ酸もしくは酢酸;ニトロ化合物、例えばニトロメタンもしくはニトロベンゼン;エステル類、例えば酢酸エチル、または前述の溶媒の混合物である。
【0060】
用いられる条件に依存して、反応時間は、数分〜14日間の間であり、反応温度は、約−30℃〜140℃、通常−10℃〜110℃、特に約20℃〜約100℃である。
【0061】
RがHを示す式Iで表される化合物を、好ましくは、例えばアミノ保護基を切断して除去することにより、得ることができる(Rは、例えばtert−ブチルオキシカルボニル[BOC]を示す)。
BOC基を、好ましくは、ジクロロメタン中のTFAを用いて、またはジオキサン中の約3〜5NのHClを用いて、15〜30℃にて切断して除去することができる。
【0062】
エーテルの切断を、当業者に知られている方法により行う。エーテル切断のための標準的な方法は、三臭化ホウ素を用いることである。
【0063】
薬学的塩および他の形態
本発明の前述の化合物を、これらの最終的な非塩形態で用いることができる。一方、本発明はまた、これらの化合物を、当該分野において知られている手順により、種々の有機および無機酸類および塩基類から誘導し得るこれらの薬学的に許容し得る塩の形態で用いることを包含する。式Iで表される化合物の薬学的に許容し得る塩形態は、大部分、慣用的な方法により調製される。式Iで表される化合物がカルボキシル基を含む場合には、この好適な塩の1種を、当該化合物を好適な塩基と反応させて対応する塩基付加塩を得ることにより、生成することができる。このような塩基は、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムおよび水酸化リチウムを含むアルカリ金属水酸化物;アルカリ土類金属水酸化物、例えば水酸化バリウムおよび水酸化カルシウム;アルカリ金属アルコキシド類、例えばカリウムエトキシドおよびナトリウムプロポキシド;並びに種々の有機塩基、例えばピペリジン、ジエタノールアミンおよびN−メチルグルタミンである。
【0064】
式Iで表される化合物のアルミニウム塩は、同様に包含される。式Iで表される数種の化合物の場合において、これらの化合物を、薬学的に許容し得る有機および無機酸類、例えばハロゲン化水素、例えば塩化水素、臭化水素またはヨウ化水素、他の鉱酸およびこれらの対応する塩、例えば硫酸塩、硝酸塩またはリン酸塩など、並びにアルキルおよびモノアリールスルホン酸塩類、例えばエタンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩およびベンゼンスルホン酸塩、並びに他の有機酸およびこれらの対応する塩、例えば酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、酒石酸塩、マレイン酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、安息香酸塩、サリチル酸塩、アスコルビン酸塩などで処理することにより、酸付加塩を生成することができる。
【0065】
従って、式Iで表される化合物の薬学的に許容し得る酸付加塩には、以下のものが含まれる:酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アルギニン酸塩(arginate)、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩(ベシル酸塩)、重硫酸塩、重亜硫酸塩、臭化物、酪酸塩、樟脳酸塩、樟脳スルホン酸塩、カプリル酸塩、塩化物、クロロ安息香酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、リン酸二水素塩、ジニトロ安息香酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、ガラクタル酸塩(ムチン酸から)、ガラクツロン酸塩、グルコヘプタン酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミコハク酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、馬尿酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、ヨウ化物、イセチオン酸塩、イソ酪酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メタリン酸塩、メタンスルホン酸塩、メチル安息香酸塩、リン酸一水素塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、オレイン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、フェニル酢酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ホスホン酸塩、フタル酸塩、しかしこれは、限定を表すものではない。
【0066】
さらに、本発明の化合物の塩基性塩には、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、鉄(III)、鉄(II)、リチウム、マグネシウム、マンガン(III)、マンガン(II)、カリウム、ナトリウムおよび亜鉛塩が含まれるが、これは、限定を表すことを意図しない。前述の塩の中で、好ましいのは、アンモニウム;アルカリ金属塩、ナトリウムおよびカリウム、並びにアルカリ土類金属塩、カルシウムおよびマグネシウムである。
【0067】
薬学的に許容し得る有機無毒性塩基から誘導される、式Iで表される化合物の塩には、第一、第二および第三アミン類、また天然に存在する置換アミン類を含む置換アミン類、環状アミン類、並びに塩基性イオン交換樹脂、例えばアルギニン、ベタイン、カフェイン、クロロプロカイン、コリン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン(ベンザチン)、ジシクロヘキシルアミン、ジエタノールアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン(hydrabamine)、イソプロピルアミン、リドカイン、リシン、メグルミン、N−メチル−D−グルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン類、テオブロミン、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミンおよびトリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン(トロメタミン)の塩が含まれるが、これは、制限を表すことを意図しない。
【0068】
塩基性窒素含有基を含む本発明の化合物を、剤、例えば(C〜C)アルキルハロゲン化物、例えば塩化、臭化およびヨウ化メチル、エチル、イソプロピルおよびtert−ブチル;ジ(C〜C)アルキル硫酸塩、例えば硫酸ジメチル、ジエチルおよびジアミル;(C10〜C18)アルキルハロゲン化物、例えば塩化、臭化およびヨウ化デシル、ドデシル、ラウリル、ミリスチルおよびステアリル;並びにアリール(C〜C)アルキルハロゲン化物、例えば塩化ベンジルおよび臭化フェネチルを用いて四級化することができる。本発明の水溶性および油溶性の化合物を共に、このような塩を用いて調製することができる。
【0069】
好ましい前述の薬学的塩には、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、ベシル酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、ヘミコハク酸塩、馬尿酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、イセチオン酸塩、マンデル酸塩、メグルミン、硝酸塩、オレイン酸塩、ホスホン酸塩、ピバリン酸塩、リン酸ナトリウム、ステアリン酸塩、硫酸塩、スルホサリチル酸塩、酒石酸塩、チオリンゴ酸塩、トシル酸塩およびトロメタミンが含まれるが、これは、制限を表すことを意図しない。
【0070】
式Iで表される塩基性化合物の酸付加塩を、遊離塩基形態を十分な量の所望の酸と接触させ、慣用的な方法で塩の生成を生じることにより、調製する。塩形態を塩基と接触させ、慣用の方法で遊離塩基を単離することにより、遊離塩基を再生することができる。遊離塩基形態は、ある観点において、いくつかの物理的特性、例えば極性溶媒への溶解性の点で、対応する塩形態と異なる;しかし、本発明の目的のためには、塩は、他の点ではそれぞれの遊離塩基形態に相当する。
【0071】
述べたように、式Iで表される化合物の薬学的に許容し得る塩基付加塩は、金属またはアミン類、例えばアルカリ金属およびアルカリ土類金属または有機アミン類を用いて生成する。好ましい金属は、ナトリウム、カリウム、マグネシウムおよびカルシウムである。好ましい有機アミン類は、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、N−メチル−D−グルカミンおよびプロカインである。
【0072】
本発明の酸性化合物の塩基付加塩を、遊離酸形態を十分な量の所望の塩基と接触させ、慣用的な方法で塩の生成を生じることにより、調製する。、塩形態を酸と接触させ、慣用的な方法で遊離酸を単離することにより、遊離酸を再生することができる。遊離酸形態は、ある観点において、いくつかの物理的特性、例えば極性溶媒への溶解性の点で、対応する塩形態と異なる;しかし、本発明の目的のためには、塩は、他の点ではそれぞれの遊離酸形態に相当する。
【0073】
本発明の化合物が、このタイプの薬学的に許容し得る塩を生成することができる1つよりも多い基を含む場合には、本発明はまた、多重塩(multiple salt)を包含する。典型的な多重塩形態には、例えば、重酒石酸塩、二酢酸塩、二フマル酸塩、ジメグルミン、二リン酸塩、二ナトリウムおよび三塩酸塩が含まれるが、これは、制限を表すことを意図しない。
【0074】
上記で述べたことに関して、本文脈における表現「薬学的に許容し得る塩」は、式Iで表される化合物をこの塩の1種の形態で含む活性成分を意味するものと解釈されることが明らかであり、特に、この塩形態が、活性成分に対して、前に用いられていた活性成分の遊離形態または活性成分のすべての他の塩形態と比較して改善された薬物動態学的特性を付与する場合には、、このように解釈されることが明らかである。活性成分の薬学的に許容し得る塩形態はまた、活性成分に前には有していなかった所望の薬物動態学的特性を初めて付与することができ、さらに、活性成分の薬力学に対して身体における治療的有効性に関する正の影響を有することができる。
【0075】
本発明の式Iで表される化合物は、これらの分子構造のために、キラルであり得、従って種々の鏡像体形態で存在し得る。従って、これらは、ラセミ体または光学的に活性な形態で存在し得る。
【0076】
本発明の化合物のラセミ体または立体異性体の薬学的活性は異なり得るため、鏡像体を用いるのが望ましい場合がある。これらの場合において、最終生成物またはさらには中間体を、鏡像体化合物に、当業者に知られている化学的もしくは物理的手段により分離するかまたは、さらには、それ自体で合成において用いることができる。
【0077】
ラセミ体アミン類の場合において、ジアステレオマーが混合物から、光学的に活性な分割剤との反応により生成する。好適な分割剤の例は、光学的に活性な酸、例えば酒石酸、ジアセチル酒石酸、ジベンゾイル酒石酸、マンデル酸、リンゴ酸、乳酸、好適なN保護アミノ酸類(例えばN−ベンゾイルプロリンもしくはN−ベンゼンスルホニルプロリン)または種々の光学的に活性な樟脳スルホン酸類のRおよびS形態である。また有利なのは、光学的に活性な分割剤(例えば、シリカゲル上に固定された、ジニトロベンゾイルフェニルグリシン、三酢酸セルロースもしくは炭水化物の他の誘導体、またはキラル的に誘導体化されたメタクリレートポリマー類)の補助によるクロマトグラフィー鏡像体分割である。この目的に適する溶離剤は、水性またはアルコール性溶媒混合物、例えば、82:15:3の比率での、ヘキサン/イソプロパノール/アセトニトリルなどである。
【0078】
本発明はさらに、化合物および/またはこれらの生理学的に許容し得る塩の、医薬(医薬組成物)の、特に非化学的方法による製造のための使用に関する。これらをここで、少なくとも1種の固体、液体および/または半液体賦形剤または補助剤と共に、および、所望により1種または2種以上の他の活性成分と組み合わせて、好適な投薬形態に変換することができる。
【0079】
本発明はさらに、少なくとも1種の本発明の化合物および/または、これらの薬学的に使用可能な誘導体、互変異性体、溶媒和物および立体異性体(すべての比率でのこれらの混合物を含む)、並びに任意に賦形剤および/または補助剤を含む医薬に関する。
【0080】
医薬処方物を、投与単位あたり所定量の活性成分を含む投与単位の形態で、投与することができる。このような単位は、処置される状態、投与の方法、並びに患者の年齢、体重および状態に依存して、例えば0.5mg〜1g、好ましくは1mg〜700mg、特に好ましくは5mg〜100mgの本発明の化合物を含んでもよく、または医薬処方物を、投与単位あたり所定量の活性成分を含む投薬単位の形態で投与してもよい。好ましい投与単位処方物は、前に示したように、毎日の用量もしくは部分的用量を含むもの、または活性成分のこの対応する部分である。さらに、このタイプの医薬処方物を、薬学分野において一般的に知られている方法を用いて製造することができる。
【0081】
医薬処方物を、すべての所望の好適な方法による、例えば経口(口腔内もしくは舌下を含む)、直腸内、鼻腔内、局所的(口腔内、舌下もしくは経皮的を含む)、膣内または非経口(皮下、筋肉内、静脈内もしくは皮内を含む)方法による投与のために適合させることができる。このような処方物を、薬学分野において知られているすべての方法を用いて、例えば活性成分を賦形剤(1種もしくは2種以上)または補助剤(1種もしくは2種以上)と混ぜ合わせることにより、製造することができる。
【0082】
経口投与のために適合された医薬処方物を、別個の単位、例えばカプセルもしくは錠剤;散剤もしくは顆粒;水性もしくは非水性液体中の溶液もしくは懸濁液;食用発泡体もしくは発泡体食品;または水中油型液体エマルジョンもしくは油中水型液体エマルジョンとして、投与することができる。
【0083】
従って、例えば、錠剤またはカプセルの形態での経口投与の場合において、活性成分要素を、経口的な、無毒性の、かつ薬学的に許容し得る不活性賦形剤、例えばエタノール、グリセロール、水などと混ぜ合わせることができる。散剤を、化合物を好適な微細な大きさに粉砕し、これを同様にして粉砕した薬学的賦形剤、例えば食用炭水化物、例えばデンプンまたはマンニトールと混合することにより、製造する。風味剤、保存剤、分散剤および色素が、同時に存在してもよい。
【0084】
カプセルを、上記のように散剤混合物を調製し、成形したゼラチン殻をこれで充填することにより、製造する。流動促進剤および潤滑剤、例えば固体形態での高度に分散性のケイ酸、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウムまたはポリエチレングリコールを、充填操作の前に散剤混合物に加えることができる。崩壊剤または可溶化剤、例えば寒天、炭酸カルシウムまたは炭酸ナトリウムを、同様に加えて、カプセルを服用した後の医薬の有効性を改善することができる。
【0085】
さらに、所望により、または所要に応じて、好適な結合剤、潤滑剤および崩壊剤並びに染料を、同様に混合物中に包含させることができる。好適な結合剤には、デンプン、ゼラチン、天然糖類、例えばグルコースまたはベータ−ラクトース、トウモロコシから製造された甘味剤、天然および合成ゴム、例えばアカシア、トラガカントまたはアルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ろうなどが含まれる。これらの投与形態において用いられる潤滑剤には、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどが含まれる。崩壊剤には、限定されずに、デンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンゴムなどが含まれる。錠剤を、例えば散剤混合物を調製し、混合物を顆粒化または乾燥圧縮し、潤滑剤および崩壊剤を加え、混合物全体を圧縮して錠剤を得ることにより、処方する。
【0086】
散剤混合物を、好適な方法で粉砕した化合物を上記のように希釈剤または塩基と、および随意に結合剤、例えばカルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチンまたはポリビニルピロリドン、溶解遅延剤、例えばパラフィン、吸収促進剤、例えば第四級塩および/または吸収剤、例えばベントナイト、カオリンまたはリン酸二カルシウムと混合することにより、調製する。散剤混合物を、これを結合剤、例えばシロップ、デンプンペースト、アラビアゴム粘液またはセルロースの溶液またはポリマー材料で湿潤させ、これをふるいを通して押圧することにより、顆粒化することができる。顆粒化の代替として、散剤混合物を、打錠機に通し、不均一な形状の塊を得、これを崩壊させて、顆粒を形成することができる。
【0087】
顆粒を、ステアリン酸、ステアリン酸塩、タルクまたは鉱油を加えることにより潤滑化して、錠剤流延型への粘着を防止することができる。次に、潤滑化した混合物を圧縮して、錠剤を得る。本発明の化合物をまた、自由流動の不活性賦形剤と混ぜ合わせ、次に直接圧縮して、顆粒化または乾燥圧縮工程を行わずに錠剤を得ることができる。セラック密封層、糖またはポリマー材料の層およびろうの光沢層からなる透明な、または不透明な保護層が、存在してもよい。色素を、これらのコーティングに加えて、異なる投与単位間を区別することができるようにすることができる。
【0088】
経口液体、例えば溶液、シロップおよびエリキシル剤を、投与単位の形態で調製し、従って所定量が予め特定された量の化合物を含むようにすることができる。シロップを、化合物を水性溶液に好適な風味剤と共に溶解することにより調製することができ、一方エリキシル剤を、無毒性アルコール性ビヒクルを用いて調製する。懸濁液を、化合物を無毒性ビヒクル中に分散させることにより、処方することができる。可溶化剤および乳化剤、例えばエトキシル化イソステアリルアルコール類およびポリオキシエチレンソルビトールエーテル類、保存剤、風味添加剤、例えばペパーミント油もしくは天然甘味剤もしくはサッカリン、または他の人工甘味料などを、同様に加えることができる。
【0089】
経口投与用の投与単位処方物を、所望により、マイクロカプセル中にカプセル封入することができる。処方物をまた、放出が延長されるかまたは遅延されるように、例えば粒子状材料をポリマー、ろうなどの中にコーティングするかまたは包埋することにより、調製することができる。
【0090】
本発明の化合物および塩、溶媒和物およびこれらの生理学的な機能性誘導体をまた、リポソーム送達系、例えば小さい単層の小胞、大きい単層の小胞、および多層の小胞の形態で、投与することができる。リポソームを、種々のリン脂質、例えばコレステロール、ステアリルアミンまたはホスファチジルコリン類から生成することができる。
【0091】
本発明の化合物および塩、溶媒和物およびこれらの生理学的な機能性誘導体をまた、化合物分子が結合した個別の担体としてモノクローナル抗体を用いて送達することができる。化合物をまた、標的化された医薬担体としての可溶性ポリマーに結合させることができる。このようなポリマーは、パルミトイルラジカルにより置換されたポリビニルピロリドン、ピランコポリマー、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミドフェノール、ポリヒドロキシエチルアスパラタミドフェノール(polyhydroxyethylaspartamidophenol)またはポリエチレンオキシドポリリジンを包含することができる。化合物をさらに、医薬の制御された放出を達成するのに適する生分解性ポリマーの群、例えばポリ乳酸、ポリ−エプシロン−カプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル類、ポリアセタール類、ポリジヒドロキシピラン類、ポリシアノアクリレート類、およびヒドロゲルの架橋ブロックコポリマーまたは両親媒性のブロックコポリマーに結合することができる。
【0092】
経皮的投与用に適合された医薬処方物を、レシピエントの表皮との長期間の、密接な接触のための独立した硬膏剤として投与することができる。従って、例えば、活性成分を、Pharmaceutical Research, 3(6), 318 (1986)に一般的に記載されているように、イオン泳動により硬膏剤から送達することができる。
局所的投与用に適合された医薬化合物を、軟膏、クリーム、懸濁液、ローション、散剤、溶液、ペースト、ゲル、スプレー、エアゾールまたは油として処方することができる。
【0093】
目または他の外部組織、例えば口および皮膚の処置のために、処方物を、好ましくは、局所的軟膏またはクリームとして適用する。軟膏を施与するための処方物の場合において、活性成分を、パラフィン系または水混和性クリームベースのいずれかと共に用いることができる。あるいはまた、活性成分を処方して、水中油型クリームベースまたは油中水型ベースを有するクリームを得ることができる。
【0094】
目への局所的適用のために適合された医薬処方物には、点眼剤が含まれ、ここで、活性成分を、好適な担体、特に水性溶媒中に溶解するかまたは懸濁させる。
口における局所的適用のために適合された医薬処方物は、薬用キャンデー、トローチおよび洗口剤を包含する。
直腸内投与のために適合された医薬処方物を、坐剤または浣腸剤の形態で投与することができる。
【0095】
担体物質が固体である鼻腔内投与のために適合された医薬処方物は、例えば20〜500ミクロンの範囲内の粒子の大きさを有する粗末を含み、これを、嗅ぎタバコを服用する方法で、即ち鼻に近接して保持した散剤を含む容器からの鼻の経路を介しての迅速な吸入により、投与する。担体物質としての液体を有する鼻腔内スプレーまたは点鼻剤としての投与に適する処方物は、水または油に溶解した活性成分溶液を包含する。
【0096】
吸入による投与のために適合された医薬処方物は、微細な粒子状ダストまたはミストを包含し、これは、エアゾール、噴霧器または吸入器を有する種々のタイプの加圧ディスペンサーにより発生し得る。
膣内投与のために適合された医薬処方物を、膣坐薬、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、発泡体またはスプレー処方物として投与することができる。
【0097】
非経口投与のために適合された医薬処方物には、酸化防止剤、緩衝剤、静菌剤および溶質を含む水性および非水性の無菌注射溶液であって、これにより処方物が処置されるべきレシピエントの血液と等張になるもの;並びに水性の、および非水性の無菌懸濁液であって、懸濁媒体および増粘剤を含むことができるもの、が含まれる。処方物を、単一用量または複数用量の容器、例えば密封したアンプルおよびバイアルにおいて投与してもよく、使用の直前に無菌の担体液体、例えば注射用水を添加することしか必要としないようにフリーズドライした(freeze-dried)(凍結乾燥(lyophilised))状態において貯蔵してもよい。
処方により製造される注射溶液および懸濁液を、無菌の散剤、顆粒および錠剤から調製することができる。
【0098】
上記で特定的に述べた構成成分に加えて、処方物はまた、処方物の特定のタイプに関して当該分野において普通である他の剤を含むことができることは、言うまでもない;従って、例えば、経口投与に適する処方物は、風味剤を含んでいてもよい。
【0099】
本発明の化合物の治療的に有効な量は、例えば、ヒトまたは動物の年齢および体重、処置が必要である正確な状態およびその重篤度、処方物の性質および投与の方法を含む多くの要因に依存し、最終的には、処置する医師または獣医師により決定される。しかし、処置のための本発明の化合物の有効な量は、一般的に、1日あたり0.1〜100mg/レシピエント(哺乳類)の体重1kgの範囲内、特に典型的には1日あたり1〜10mg/体重1kgの範囲内である。従って、体重が70kgである成体の哺乳類についての1日あたりの実際の量は、通常70〜700mgであり、ここで、この量を、1日あたり個別の用量として、またはより普通にには1日あたり一連の部分用量(例えば2回分、3回分、4回分、5回分または6回分)において投与し、従って合計の日用量が同一であるようにすることができる。塩もしくは溶媒和物の、またはこの生理学的な機能的誘導体の有効量を、本発明の化合物自体の有効量の比として決定することができる。同様の用量が、前述の他の状態の処置に適すると、推測することができる。
【0100】
本発明はさらに、本発明の少なくとも1種の化合物および/または、その薬学的に使用可能な誘導体、互変異性体、溶媒和物および立体異性体(すべての比率でのこの混合物を含む)並びに少なくとも1種の他の医薬活性成分を含む医薬に関する。
【0101】
本発明はまた、
(a)本発明の化合物および/または、その薬学的に使用可能な誘導体、互変異性体、溶媒和物および立体異性体(すべての比率でのこの混合物を含む)の有効量、
並びに
(b)さらなる医薬活性成分の有効量
の個別のパックからなる、セット(キット)に関する。
【0102】
このセットは、好適な容器、例えば箱、個別のビン、袋またはアンプルを含む。このセットは、例えば、個別のアンプルを含むことができ、各々は、溶解したかまたは凍結乾燥された形態での、本発明の化合物および/または、この薬学的に使用可能な誘導体、互変異性体、溶媒和物および立体異性体(すべての比率でのこの混合物を含む)の有効量、並びに、さらなる医薬活性成分の有効量を含む。
【0103】
使用
1.式Iで表される開示された化合物は、CHK1により媒介された障害に関する治療的用途において、特に有用である。本明細書中で用いる用語「CHK1により媒介された障害」は、CHK1の発現もしくは活性の増大により引き起こされるかもしくは特徴づけられる、またはCHK1活性を必要とするすべての障害、疾患または状態を包含する。用語「CHK1により媒介された障害」はまた、CHK1活性の阻害が有益であるすべての障害、疾患または状態をも包含する。
【0104】
CHK1阻害を用いて、例えば増殖性障害を有する患者において、有益な治療的または予防的効果を達成することができる。増殖性障害の非限定的な例には、慢性炎症性増殖性障害(例えば乾癬および関節リウマチ)、増殖性の眼障害(例えば糖尿病性網膜症)、良性の増殖性障害(例えば血管腫)、並びに癌が含まれる。本明細書中で用いる用語「癌」は、制御されないかまたは調節不全の細胞増殖、低下した細胞分化、周囲の組織に侵入する不適切な能力および/または異所性の部位において新たな成長を確立する能力により特徴づけられる細胞障害に関する。用語「癌」には、固形腫瘍および血液由来の腫瘍が包含されるが、これらには限定されない。用語「癌」は、皮膚、組織、器官、骨、軟骨、血液および血管の疾患を包含する。用語「癌」はさらに、原発性および転移性の癌疾患を包含する。
【0105】
開示したCHK1阻害剤で処置することができる固形腫瘍の非限定的な例には、膵臓癌、膀胱癌、結腸直腸癌、転移性乳癌を含む乳癌、アンドロゲン依存性および非アンドロゲン依存性の前立腺癌を含む前立腺癌、例えば転移性腎細胞癌を含む腎臓癌、肝細胞癌、例えば非小細胞肺癌(NSCLC)を含む肺癌、細気管支肺胞上皮癌(BAC)、並びに肺の腺癌、例えば進行性の上皮の、または原発性の腹膜の癌を含む卵巣癌、子宮頸癌、胃癌、食道癌、例えば頭部および頸部の扁平上皮癌を含む頭頸部癌、メラノーマ、転移性の神経内分泌腫瘍を含む神経内分泌癌、例えばグリオーマ、退形成乏突起膠腫、成人グリア芽細胞腫および成人退形成星状細胞腫を含む脳腫瘍、骨癌および軟部肉腫が含まれる。
【0106】
開示したCHK1阻害剤で処置することができる血液学的悪性病変の非限定的な例には、急性骨髄性白血病(AML)、進行性CMLおよびCML急性転化期(CML−BP)を含む慢性骨髄性白血病(CML)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、ホジキン病(HD)、濾胞性リンパ腫およびマントル細胞リンパ腫を含む非ホジキンリンパ腫(NHL)、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、多発性骨髄腫(MM)、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症、不応性貧血(RA)、環状鉄芽球を伴う不応性貧血(RARS)、過剰の芽細胞を伴う不応性貧血(RAEB)、および転換におけるRAEB(RAEB−T)を含む骨髄異形成症候群(MDS)、並びに骨髄増殖性症候群が含まれる。
【0107】
式Iで表される開示した化合物は、CHK1タンパク質もしくはCHK1活性が上方調節されている癌または細胞タイプ(迅速に増殖する細胞および薬剤耐性細胞(Shyjanら、米国特許第6,723,498号(2004))、並びに例えばRb陰性もしくは不活性化細胞(Gottifrediら、Mol. Cell Biol., 21:1066 (2001))などの網膜芽細胞腫を含むが、これらに限定されない)、またはARFp14/p19遺伝子座が不活性化されているかもしくは誤調節されている癌または細胞タイプの処置に、特に適する。開示したCHK1阻害剤はまた、別のチェックポイント経路が変異されているかまたは抑止されている癌タイプまたは細胞タイプ(p53またはp53経路が不活性化されているかまたは抑止されている癌タイプまたは細胞タイプを含むが、これらに限定されない)の処置に、特に適する。
【0108】
式Iで表される開示した化合物を、抗癌剤を含む他の治療剤と組み合わせて投与することができる。本明細書中で用いる用語「抗癌剤」は、癌を処置する目的で癌を有する患者に投与されるすべての剤に関する。
【0109】
本明細書中で定義した抗癌処置を、単一の療法として適用してもよいか、またはこれは、本発明の化合物に加えて、慣用の手術もしくは放射線療法もしくは化学療法を伴ってもよい。このような化学療法には、1種または2種以上の以下の分類の抗腫瘍剤が含まれ得る:
【0110】
(i)医学的オンコロジーにおいて用いられる、抗増殖剤/抗悪性腫瘍剤/DNA損傷剤およびこれらの組み合わせ、例えばアルキル化剤(例えばシスプラチン、カルボプラチン、シクロホスファミド、ナイトロジェンマスタード、メルファラン、クロラムブシル、ブスルファンおよびニトロソ尿素);代謝拮抗薬(例えば葉酸代謝拮抗薬、例えばフルオロピリミジン類(fluoropyrimidines)、例えば5−フルオロウラシルおよびテガフール、ラルチトレキセド、メトトレキセート、シトシンアラビノシド、ヒドロキシ尿素およびゲムシタビン);抗腫瘍抗生物質(例えばアントラサイクリン類、例えばアドリアマイシン、ブレオマイシン、ドキソルビシン、ダウノマイシン、エピルビシン、イダルビシン、マイトマイシン−C、ダクチノマイシンおよびミトラマイシン);有糸分裂阻害薬(例えばビンカアルカロイド類、例えばビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシンおよびビノレルビン、並びにタキソイド類、例えばタキソールおよびタキソテール);トポイソメラーゼ阻害薬(例えばエピポドフィロトキシン類(epipodophyllotoxins)、例えばエトポシドおよびテニポシド、アムサクリン、トポテカン、イリノテカンおよびカンプトテシン)並びに細胞分化剤(例えばオールトランスレチノイン酸(all-trans-retinoic acid)、13−シス−レチノイン酸およびフェンレチニド(fenretinide));
【0111】
(ii)細胞分裂阻害剤、例えば抗エストロゲン剤(例えばタモキシフェン、トレミフェン、ラロキシフェン、ドロロキシフェン(droloxifene)およびヨードキシフェン(iodoxyfene))、エストロゲンレセプター下方調節剤(downregulator)(例えばフルベストラント)、抗アンドロゲン薬(例えばビカルタミド、フルタミド、ニルタミドおよび酢酸シプロテロン)、LHRHアンタゴニストまたはLHRHアゴニスト(例えばゴセレリン、リュープロレリンおよびブセレリン)、プロゲステロン類(例えば酢酸メゲストロール)、アロマターゼ阻害剤(例えばアナストロゾール、レトロゾール、ボロゾールおよびエキセメスタン)並びに5α−レダクターゼの阻害剤、例えばフィナステリド;
【0112】
(iii)癌細胞侵入を阻害する剤(例えばメタロプロテイナーゼ阻害剤、例えばマリマスタット、およびウロキナーゼプラスミノーゲンアクチベーターレセプター機能の阻害剤);
【0113】
(iv)成長因子機能の阻害剤、例えばこのような阻害剤には、成長因子抗体、成長因子レセプター抗体(例えば抗erbb2抗体トラスツズマブ[Herceptin(登録商標)]および抗erbbl抗体セツキシマブ[C225])、ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤、チロシンキナーゼ阻害剤およびセリン/スレオニンキナーゼ阻害剤、例えば上皮成長因子ファミリーの阻害剤(例えばEGFRファミリーチロシンキナーゼ阻害剤、例えばN−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−7−メトキシ−6−(3−モルホリノプロポキシ)キナゾリン−4−アミン(ゲフィチニブ、AZD1839)、N−(3−エチニルフェニル)−6,7−ビス(2−メトキシエトキシ)キナゾリン−4−アミン(エルロチニブ、OSI−774)および6−アクリルアミド−N−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−7−(3−モルホリノプロポキシ)キナゾリン−4−アミン(CI1033))、例えば血小板由来成長因子ファミリーの阻害剤、および例えば肝細胞成長因子ファミリーの阻害剤が含まれる;
【0114】
(v)抗血管新生薬、例えば血管内皮成長因子の効果を阻害するもの(例えば抗血管内皮細胞成長因子抗体ベバシズマブ[Avastin(登録商標)]、化合物、例えば公開された国際特許出願WO 97/22596、WO 97/30035、WO 97/32856およびWO 98/13354に開示されているもの)、並びに他の機構により作動する化合物(例えばリノミド(linomide)、インテグリンαvβ3機能の阻害剤およびアンジオスタチン);
【0115】
(vi)血管損傷剤、例えばコンブレタスタチンA4、並びに国際特許出願WO 99/02166、WO 00/40529、WO 00/41669、WO 01/92224、WO 02/04434およびWO 02/08213に開示されている化合物;
【0116】
(vii)アンチセンス療法、例えば上に列挙した標的に向けられるもの、例えばISIS2503、抗Rasアンチセンス;
【0117】
(viii)遺伝子療法方法であって、以下を含むもの、例えば、異常な遺伝子、例えば異常なp53または異常なBRCA1もしくはBRCA2の置換のための方法、GDEPT(遺伝子に向けられた酵素プロドラッグ療法)法、例えばシトシンデアミナーゼ、チミジンキナーゼまたは細菌性ニトロレダクターゼを用いるもの、および化学療法または放射線療法に対する患者の耐性を増大させるための方法、例えば多剤耐性遺伝子療法;並びに
【0118】
(ix)免疫療法であって、以下を含むもの、例えば患者腫瘍細胞の免疫原性を増大させるためのex-vivoおよびin-vivo方法、例えばインターロイキン2、インターロイキン4または顆粒球マクロファージコロニー刺激因子などのサイトカインによるトランスフェクション、T細胞アネルギーを低下させるための方法、サイトカインをトランスフェクトした樹状細胞などのトランスフェクトした免疫細胞を用いる方法、サイトカインでトランスフェクトした腫瘍細胞株を用いる方法、および抗イディオタイプ抗体を用いる方法。
【0119】
以下の表1からの医薬を、好ましくは、しかし排他的にではなく、式Iで表される化合物と組み合わせる。
【0120】
【表1】

【0121】
【表2】

【0122】
【表3】

【0123】
【表4】

【0124】
【表5】

【0125】
【表6】

【0126】
【表7】

【0127】
【表8】

【0128】
【表9】

【0129】
【表10】

【0130】
このタイプの組み合わせ処置を、その処置の個別の成分を、同時に、連続的に、または別個に投薬することにより達成することができる。このタイプの組み合わせ生成物は、本発明の化合物を用いる。
【0131】
2.本発明の化合物は、SGKにより誘発される疾患の処置における、哺乳類のための、特にヒトのための医薬活性成分として適する。
【0132】
従って、本発明は、キナーゼシグナル伝達の阻害、調節および/または調整が作用を奏する疾患の処置のための医薬の製造のための、請求項1に記載の化合物、並びに、これらの薬学的に使用可能な誘導体、溶媒和物および立体異性体、すべての比率でのこれらの混合物の使用に関する。
好ましいのは、請求項1に記載の化合物、並びに、これらの薬学的に使用可能な誘導体、溶媒和物および立体異性体、すべての比率でのこれらの混合物の、請求項1に記載の化合物によるSGKの阻害により影響される疾患の処置のための医薬の製造のための使用である。
【0133】
本発明は、本発明の請求項1に記載の化合物および/またはこれらの生理学的に許容し得る塩および溶媒和物の、糖尿病(例えば真性糖尿病、糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害、糖尿病性の血管障害および微小血管障害)、肥満、メタボリックシンドローム(異脂肪血症)、全身および肺の筋緊張亢進、心血管疾患(例えば心筋梗塞の後の心臓性線維症、心臓肥大および心不全、動脈硬化)並びに腎疾患(例えば糸球体硬化症、腎硬化症、腎炎、腎症、電解質排泄障害)、一般的にすべてのタイプの線維症および炎症プロセスにおけるもの(例えば肝硬変、肺線維症、線維性膵炎、リウマチおよび関節症、クローン病、慢性気管支炎、放射線線維症、硬化性皮膚炎、嚢胞性線維症、瘢痕、アルツハイマー病)の処置または防止のための医薬の製造のための使用を包含する。
本発明の化合物はまた、癌、腫瘍細胞の成長および腫瘍転移を阻害することができ、従って腫瘍療法に適する。
【0134】
本発明の化合物はさらに、凝固障害、例えば異常フィブリノーゲン血症、低プロコンバーチン血症、血友病B、スチュアート−プラウアー欠損症、プロトロンビン複合体欠乏症、消費性凝固障害、線溶亢進、免疫凝固障害または複合凝固障害、およびまた神経興奮性、例えばてんかんの処置のために用いられる。本発明の化合物をまた、緑内障または白内障の処置において、治療的に用いることができる。
本発明の化合物はさらに、細菌感染の処置において、および感染防止療法において用いられる。本発明の化合物をまた、学習能力および注意力を増大させるために、治療的に用いることができる。
【0135】
好ましいのは、請求項1に記載の化合物、並びに、これらの薬学的に使用可能な誘導体、溶媒和物および立体異性体、すべての比率でのこれらの混合物の、糖尿病、肥満、メタボリックシンドローム(異脂肪血症)、全身および肺の筋緊張亢進、心血管疾患および腎疾患、一般的にすべてのタイプの線維症および炎症プロセスにおけるもの、癌、腫瘍細胞、腫瘍転移、凝固障害、神経興奮性、緑内障、白内障、細菌感染の処置または防止のための医薬、並びに感染防止療法における医薬、学習能力および注意力を増大させるための医薬、並びに細胞老化およびストレスの処置および予防のための医薬の製造のための使用である。
【0136】
糖尿病は、好ましくは、真性糖尿病、糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害、糖尿病性の血管障害および微小血管障害である。
心血管疾患は、好ましくは、心筋梗塞の後の心臓性線維症、心臓肥大、心不全および動脈硬化である。
【0137】
腎疾患は、好ましくは、糸球体硬化症、腎硬化症、腎炎、腎症および電解質排泄障害である。
線維症および炎症プロセスは、好ましくは、肝硬変、肺線維症、線維性膵炎、リウマチおよび関節症、クローン病、慢性気管支炎、放射線線維症、硬化性皮膚炎、嚢胞性線維症、瘢痕、アルツハイマー病である。
【0138】
アッセイ
例に記載する本発明の化合物を、以下に記載するアッセイにおいて試験し、キナーゼ阻害活性を有することを見出した。他のアッセイは、文献から知られており、当業者が容易に行うことができる(例えば、Dhanabalら、Cancer Res. 59:189-197; Xinら、J. Biol. Chem. 274:9116-9121; Sheuら、Anticancer Res. 18:4435-4441; Ausprunkら、Dev. Biol. 38:237-248; Gimbroneら、J. Natl. Cancer Inst. 52:413-427; Nicosiaら、In Vitro 18:538- 549を参照)。
【0139】
アッセイ
例に記載する式Iで表される化合物を、以下に記載するアッセイによりキナーゼ阻害作用について試験することができる。他のアッセイは、文献から知られており、当業者が容易に行うことができる(例えば、Dhanabalら、Cancer Res. 59:189-197; Xinら、J. Biol. Chem. 274:9116-9121; Sheuら、Anticancer Res. 18:4435-4441; Ausprunkら、Dev. Biol. 38:237-248; Gimbroneら、J. Natl. Cancer Inst. 52:413-427; Nicosiaら、In Vitro 18:538- 549を参照)。
【0140】
CHK1キナーゼ活性の測定
CHK1キナーゼを、バキュロウイルス発現ベクターにおけるグルタチオンS−トランスフェラーゼとの融合タンパク質として、昆虫細胞(Sf21; S. frugiperda)におけるタンパク質産生およびアフィニティークロマトグラフィーによるその後の精製の目的のために、発現させる。細胞の培養、感染および消化、並びにカラムクロマトグラフィーによる融合タンパク質の精製を、製造者により指定される一般的な作業指示に従って行う。
【0141】
キナーゼ活性を、種々の入手可能な測定システムを用いて測定する。シンチレーション近接法(Sorgら、J. of. Biomolecular Screening, 2002, 7, 11-19)、フラッシュプレート法またはフィルター結合試験においては、基質としてのタンパク質またはペプチドの放射活性リン酸化を、放射活性標識したATP(32P−ATP、33P−ATP)を用いて測定する。阻害化合物が存在する場合には、低下した放射活性シグナルを検出することができるかまたは、放射活性シグナルを全く検出することができない。さらに、均一時間分解蛍光共鳴エネルギー移動(HTR−FRET)および蛍光偏光(FP)技術が、アッセイ法として有用である(Sillsら、J. of Biomolecular Screening, 2002, 191-214)。
【0142】
他の非放射活性ELISAアッセイ法は、特異的なホスホ抗体(ホスホ−AB)を用いる。ホスホ抗体は、リン酸化された基質にのみ結合する。この結合を、第2のペルオキシダーゼ結合抗体を用いて、化学発光により検出することができる(Rossら、2002, Biochem. J.)。
【0143】
フラッシュプレート法(CHK1):
用いる試験プレートは、Perkin Elmer製の384ウェルのストレプトアビジンでコートしたFlashplates Plus(登録商標)(Cat.No. SMP410A001PK)である。アッセイプレートを、実験の開始の30分前に、ウェルあたり75μlのアッセイ緩衝液で平衡化する。この緩衝液を、実験の開始前に吸引除去し、以下に記載するキナーゼ反応の成分を、プレート上にピペットする。
【0144】
CHK1キナーゼ、ビオチニル化基質ペプチド(例えばCHKtide:KKKVSRSGLYRSPSMPENLNRPR)を、試験物質の存在下および不存在下で、摂氏30度で50μlの合計容積にて、放射活性標識ATPと共にインキュベートする。反応を、25μlの0.2MのEDTA溶液を用いて終了する。室温で30分間インキュベートした後に、上清を、吸引しながら濾別し、ウェルを、各々の回において100μlの0.9%NaCl溶液で3回洗浄する。結合した放射活性の測定を、シンチレーション測定機器(Topcount NXT, Perkin-Elmer)により行う。
【0145】
用いる最大値(full value)は、阻害剤を伴わないキナーゼ反応である。これは、ほぼ3000〜4000cpmの範囲内にあるはずである。用いる薬理学的なゼロ値は、0.1μMの最終濃度のスタウロスポリンである。阻害値(IC50)を、プログラムRS1_MTS ()を用いて決定する。
【0146】
ウェルあたりのキナーゼ反応条件:
5〜20mUのCHK1キナーゼ
0.15μgのCHKtide(KKKVSRSGLYRSPSMPENLNRPR)
8μMのATP、コールド(cold)
0.2μCiの33P−ATP
50μl合計容積(1倍アッセイ緩衝液反応条件)
【0147】
用いる溶液:
−アッセイ緩衝液:
50mMのTris
0.1mMのTitriplex VI(EGTA)
10mMの酢酸マグネシウム
0.1%のメルカプトエタノール
0.02%のBrij35
pH=7.5(塩酸を用いて設定する)
ウシ血清アルブミン(最終濃度0.1%)は、使用の直前まで加えない。
【0148】
−停止溶液:
0.2MのTitriplexIII (EDTA)
33P−ATP(Perkin-Elmer)
−CHK1キナーゼ調製物:比活性>50U/mg
−CHKtide溶液:原液として貯蔵したビオチニル化ペプチド基質(Biotrend)(濃度0.15mg/ml)。
【0149】
フィルター結合法(CHK1):
5〜20mUのCHK1キナーゼ(20mMのMOPS、pH7.5、1mMのEDTA、0.1%のβ−メルカプトエタノール、0.01%のBrij−35、5%のグリセロール、1mg/mlのBSAで希釈する)を、1倍反応緩衝液(8mMのMOPS、pH7、0.2mMのEDTA、10mMの酢酸マグネシウム、0.02mMの33P−ATP[500〜1000cpm/pmol])中25.5μlの30〜200μMのCHKtideの存在下で、30分間室温でインキュベートする。反応を、5μlの0.5Mのオルトリン酸を用いて停止し、P81フィルタープレートを通して濾過する。フィルタープレートを多数回洗浄した後、結合した放射活性を、シンチレーションカウンターにて決定する。
【0150】
CHK2キナーゼ活性の測定
フィルター結合法(CHK2):
5〜20mUのCHK2キナーゼ(20mMのMOPS、pH7.5、1mMのEDTA、0.1%のβ−メルカプトエタノール、0.01%のBrij−35、5%のグリセロール、1mg/mlのBSAで希釈する)を、1倍反応緩衝液(8mMのMOPS、pH7、0.2mMのEDTA、10mMの酢酸マグネシウム、0.02mMの33P−ATP[500〜1000cpm/pmol])中25.5μlでの30〜200μMのCHKtide(KKKVSRSGLYRSPSMPENLNRPR)の存在下で、30分間室温でインキュベートする。反応を、5μlの0.5Mのオルトリン酸を用いて停止し、P81フィルタープレートを通して濾過する。フィルタープレートを多数回洗浄した後、結合した放射活性を、シンチレーションカウンターにて決定する。
【0151】
SGK1プロテインキナーゼの阻害を、フィルター結合法において決定することができる(CHK1、CHK2と同様にして)。
【0152】
本明細書中、すべての温度を、℃で示す。以下の例において、「慣用的な精製操作(work-up)」は、以下のことを意味する:所要に応じて水を加え、pHを所要に応じて、最終生成物の構成に依存して2〜10の値に調節し、混合物を、酢酸エチルまたはジクロロメタンで抽出し、相を分離し、有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させて蒸発させ、生成物をシリカゲル上でのクロマトグラフィーにより、および/または結晶化により精製する。シリカゲル上でのRf値;溶離剤:酢酸エチル/メタノール9:1。
質量分析法(MS):EI(電子衝撃イオン化)M
FAB(高速原子衝撃)(M+H)
ESI(エレクトロスプレーイオン化)(M+H)(他に示さない限り)
【0153】
例1
3−(3−アミノ−1H−インダゾール−5−イルアミノ)−4−(3−ヒドロキシ−ベンジルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「1」)の調製を、以下のスキームと同様にして行う:

【化9】

【0154】
1.311mg(1.83mmol)の3,4−ジエトキシ−3−シクロブテン−1,2−ジオン1aを、10mlのエタノールに溶解し、545mg(2.20mmol)の2a(WO 03/064397、78頁に例15の下で記載されている2aの調製物)を加え、混合物を、75℃で20時間攪拌する。次に、混合物に、慣用的な精製操作を施し、350mgの3aが得る;MS−FAB(M+H)=372。
【0155】
2.60mgの3aを、5mlのエタノールに溶解し、59.48mgの3−アミノメチルフェノール4aを加え、混合物を、75℃で48時間攪拌する。次に、混合物に、慣用的な精製操作を施し、39.1mgの3−(3−アミノ−1−tert−ブチルオキシカルボニルインダゾール−5−イルアミノ)−4−(3−ヒドロキシ−ベンジルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「2」)を得る;MS−FAB(M+H)=450。
【0156】
3.26.8mgの「2」を、RTで5時間、1,4−ジオキサン中の4MのHCl 5ml中で攪拌する。慣用的な精製操作により、18mgの「1」、塩酸塩を得る;MS−FAB(M+H)=350。
【0157】
以下のものが、同様にして得られる。
3−(3−アミノ−1−tert−ブチルオキシカルボニルインダゾール−5−イルアミノ)−4−(3−メトキシベンジルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「3」)、(M+H)464;
3−(3−アミノ−1H−インダゾール−5−イルアミノ)−4−(3−メトキシベンジルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「4」)、(M+H)364;
3−(1H−インダゾール−5−イルアミノ)−4−[(R)−1−(3−メトキシフェニル)エチルアミノ]シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「5」)、(M+H)363;
【化10】

【0158】
3−(1H−インダゾール−5−イルアミノ)−4−(3−メトキシベンジルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「6」)、(M+H)349;
3−(1H−インダゾール−5−イルアミノ)−4−(3−ヒドロキシベンジルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「7」)、(M+H)335;
3−(1−エチルアミノカルボニルインダゾール−5−イルアミノ)−4−(3−メトキシベンジルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「8」)、(M+H)420;
3−(1−エチルアミノカルボニルインダゾール−5−イルアミノ)−4−(3−ヒドロキシベンジルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「9」)、(M+H)406;
【0159】
3−(3−アミノ−1H−インダゾール−5−イルアミノ)−4−[(R)−1−(3−メトキシフェニル)エチルアミノ]シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「10」)、
3−(3−アミノ−1H−インダゾール−5−イルアミノ)−4−[(R)−1−(3−ヒドロキシフェニル)エチルアミノ]シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「11」)、
3−(3−アミノ−1H−インダゾール−5−イルアミノ)−4−[(R)−1−(3−クロロフェニル)エチルアミノ]シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「12」)、
3−(3−アミノ−1H−インダゾール−5−イルアミノ)−4−(3−クロロベンジルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「13」)、
【0160】
3−(3−アミノ−1H−インダゾール−5−イルアミノ)−4−(3−トリフルオロメチルベンジルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「14」)、
3−(3−アミノ−1H−インダゾール−5−イルアミノ)−4−(3−トリフルオロメトキシベンジルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「15」)、
3−(3−アミノ−1H−インダゾール−5−イルアミノ)−4−(3−アミノスルホニルベンジルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「16」)、
3−(3−アミノ−1H−インダゾール−5−イルアミノ)−4−[(2−ヒドロキシピリジン−4−イルメチル)アミノ]シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「17」)、
3−(3−アミノ−7−メチル−1H−インダゾール−5−イルアミノ)−4−[(R)−1−(3−メトキシフェニル)エチルアミノ]シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「18」)、
【0161】
3−(3−アミノ−7−メチル−1H−インダゾール−5−イルアミノ)−4−[(R)−1−(3−ヒドロキシフェニル)エチルアミノ]シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「19」)、
3−(3−アミノ−7−メチル−1H−インダゾール−5−イルアミノ)−4−(3−アミノスルホニルベンジルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「20」)、
3−(3−アミノ−7−メチル−1H−インダゾール−5−イルアミノ)−4−[(2−ヒドロキシピリジン−4−イルメチル)アミノ]シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「21」)、
3−(3−アミノ−7−メチル−1H−インダゾール−5−イルアミノ)−4−(3−メトキシベンジルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「22」)、
3−(3−アミノ−7−メチル−1H−インダゾール−5−イルアミノ)−4−(3−ヒドロキシベンジルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「23」)、
【0162】
3−[3−(モルホリン−4−イル)−1H−インダゾール−5−イルアミノ]−4−[(R)−1−(3−ヒドロキシフェニル)エチルアミノ]シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「24」)、
3−[3−(ピペリジン−1−イル)−1H−インダゾール−5−イルアミノ]−4−[(R)−1−(3−ヒドロキシフェニル)エチルアミノ]シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「25」)、
3−[3−(ピロリジン−1−イル)−1H−インダゾール−5−イルアミノ]−4−[(R)−1−(3−ヒドロキシフェニル)エチルアミノ]シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「26」)、
3−(3−ブロモ−1H−インダゾール−5−イルアミノ]−4−[(R)−1−(3−ヒドロキシフェニル)エチルアミノ]シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「27」)、
3−(3−アセトアミド−1H−インダゾール−5−イルアミノ)−4−[(R)−1−(3−ヒドロキシフェニル)エチルアミノ]シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「28」)、
【0163】
3−(1H−インダゾール−5−イルアミノ)−4−[(R)−1−(3−ヒドロキシフェニル)エチルアミノ]シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「29」)、(M+H)349;
3−(7−ブロモ−1H−インダゾール−5−イルアミノ)−4−(3−メトキシベンジルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「30」)、(M+H)428;
3−(7−ブロモ−1H−インダゾール−5−イルアミノ)−4−(3−ヒドロキシベンジルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「31」)、(M+H)414;
3−(1H−インダゾール−5−イルアミノ)−4−(3−クロロベンジルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「32」)、(M+H)353;
3−(7−メチル−1H−インダゾール−5−イルアミノ)−4−(3−ヒドロキシベンジルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「33」)、(M+H)349;
【0164】
3−(7−メチル−1H−インダゾール−5−イルアミノ)−4−[(R)−1−(3−メトキシフェニル)エチルアミノ]シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「34」)、(M+H)377;
3−(7−メチル−1H−インダゾール−5−イルアミノ)−4−[(S)−1−(3−メトキシフェニル)エチルアミノ]シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「35」)、(M+H)377;
3−(7−メチル−1H−インダゾール−5−イルアミノ)−4−[(R)−1−(3−ヒドロキシフェニル)エチルアミノ]シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「36」)、(M+H)363;
3−(7−メチル−1H−インダゾール−5−イルアミノ)−4−(3−メトキシベンジルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「37」)、(M+H)363;
3−(1H−インダゾール−5−イルアミノ)−4−(3−アミノスルホニルベンジルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「38」)、
3−(1H−インダゾール−5−イルアミノ)−4−[(R)−1−(3−ヒドロキシフェニル)エチルアミノ]シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「39」)。
【0165】
例2
化合物3−(3−ベンゾイルアミノ−1H−インダゾール−5−イルアミノ)−4−[(R)−1−(3−メトキシフェニル)エチルアミノ]シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「42」)を、以下のスキームと同様にして得る。
【化11】

【0166】
1.2.793g(7.5mmol)の3aを、100mlの1,4−ジオキサンに溶解し、1.531ml(9.0mmol)のN−エチルジイソプロピルアミンを加え、その後1.046ml(9.0mmol)の塩化ベンゾイル2bを滴加する。次に、反応混合物を、還流下で20時間攪拌する。反応が完了した際に、混合物に、慣用的な精製操作を施し、1.19g(33%)の3−ベンゾイルアミノ−5−(2−エトキシ−3,4−ジオキソシクロブト−1−エニルアミノ)インダゾール−1−カルボン酸tert−ブチル3bを得る;MS−FAB(M+H)=477。
【0167】
2.150mg(0.315mmol)の3bを、10mlのエタノールに溶解し、144.33mg(0.945mmol)の(R)−1−(3−メトキシフェニル)エチルアミン4bおよび0.131mlのトリエチルアミンを、連続的に加え、混合物を、75℃で72時間攪拌する。次に、混合物に、慣用的な精製操作を施し、162mg(88.5%)の3−ベンゾイルアミノ−5−{2−[(R)−1−(3−メトキシフェニル)エチルアミノ]−3,4−ジオキソシクロブト−1−エニルアミノ}インダゾール−1−カルボン酸tert−ブチル5bを得る;MS−FAB(M+H)=582。
【0168】
3.160.0mg(0.102mmol)の5bを、RTで5時間、1,4−ジオキサン中の4MのHCl 5ml中で攪拌する。次に、混合物に、慣用的な精製操作を施し、111mgの「42」、塩酸塩を得る;MS−FAB(M+H)=482(遊離塩基の分子ピーク);
H−NMR(d−DMSO+TFA):δ=8.05(d,2H),7.65(m,2H),7.58−7.44(m,4H),7.24(t,1H),6.94(m,2H),6.83(m,1H),5.25(m,1H),3.73(s,3H),1.57(s,3H)。
【0169】
以下の化合物を、同様にして得る。
3−(3−ベンゾイルアミノ−1H−インダゾール−5−イルアミノ)−4−(3−ヒドロキシベンジルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「40」)、塩酸塩;
H−NMR(d−DMSO+TFA):δ=8.08(d,2H),7.67−7.45(m,6H),7.14(t,1H),6.75(m,2H),6.65(m,1H),4.71(s,2H);
3−(3−ベンゾイルアミノ−1H−インダゾール−5−イルアミノ)−4−(3−メトキシベンジルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「41」)、塩酸塩;
H−NMR(d−DMSO+TFA):δ=8.08(d,2H),7.68−7.49(m,6H),7.28(t,1H),6.96(m,2H),6.85(m,1H),4.82(s,2H),3.77(s,3H);
3−(3−ベンゾイルアミノ−1H−インダゾール−5−イルアミノ)−4−[(R)−1−(3−ヒドロキシフェニル)エチルアミノ]シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「43」)、
H−NMR(d−DMSO+TFA):δ=8.08(d,2H),7.73−7.47(m,6H),7.19(t,1H),6.84(m,2H),6.70(m,1H),5.24(m,1H),1.57(d,3H);
【0170】
3−[3−(3−クロロベンゾイルアミノ)−1H−インダゾール−5−イルアミノ]−4−[(R)−1−(3−メトキシフェニル)エチルアミノ]シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「44」)、
3−[3−(3−クロロベンゾイルアミノ)−1H−インダゾール−5−イルアミノ]−4−[(R)−1−(3−ヒドロキシフェニル)エチルアミノ]シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「45」)、
3−[3−(3−クロロベンゾイルアミノ)−1H−インダゾール−5−イルアミノ]−4−[(R)−1−(3−フルオロフェニル)エチルアミノ]シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「46」)、
3−[3−(3−クロロベンゾイルアミノ)−1H−インダゾール−5−イルアミノ]−4−[(R)−1−(3−アセトアミドフェニル)エチルアミノ]シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「47」)、
3−[3−(3−クロロベンゾイルアミノ)−1H−インダゾール−5−イルアミノ]−4−(3−メトキシベンジルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「48」)、
3−[3−(3−クロロベンゾイルアミノ)−1H−インダゾール−5−イルアミノ]−4−(3−ヒドロキシベンジルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「49」)、
【0171】
3−[3−(3−クロロベンゾイルアミノ)−1H−インダゾール−5−イルアミノ]−4−(3−フルオロベンジルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「50」)、
3−[3−(3−クロロベンゾイルアミノ)−1H−インダゾール−5−イルアミノ]−4−(3−アセトアミドベンジルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「51」)、
3−(3−ベンゾイルアミノ−1H−インダゾール−5−イルアミノ)−4−[(R)−1−(2,3−ジフルオロフェニル)エチルアミノ]シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「52」)、
3−(3−ベンゾイルアミノ−1H−インダゾール−5−イルアミノ)−4−[(R)−1−(3−メチルスルホンアミドフェニル)エチルアミノ]シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「53」)、
3−[3−(3−クロロベンゾイルアミノ)−1H−インダゾール−5−イルアミノ]−4−[(R)−1−(2,3−ジフルオロフェニル)エチルアミノ]シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「54」)、
【0172】
3−[3−(3−クロロベンゾイルアミノ)−1H−インダゾール−5−イルアミノ]−4−[(R)−1−(3−メチルスルホンアミドフェニル)エチルアミノ]シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「55」)、
3−(3−ベンゾイルアミノ−1H−インダゾール−5−イルアミノ)−4−(2,3−ジフルオロベンジルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「56」)、
3−(3−ベンゾイルアミノ−1H−インダゾール−5−イルアミノ)−4−(3−メチルスルホンアミドベンジルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「57」)、
3−[3−(3−クロロベンゾイルアミノ)−1H−インダゾール−5−イルアミノ]−4−(2,3−ジフルオロベンジルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「58」)、
3−[3−(3−クロロベンゾイルアミノ)−1H−インダゾール−5−イルアミノ]−4−(3−メチルスルホンアミドベンジルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「59」)。
【0173】
表Aに列挙した式Iaで表される化合物「60〜92」を、同様にして得る。
【化12】

【0174】
【表11】

【0175】
【表12】

【0176】
【表13】

【0177】
表Bに列挙した式Ibで表される化合物「93〜125」を、同様にして得る。
【化13】

【0178】
【表14】

【0179】
【表15】

【0180】
【表16】

【0181】
以下の例は、医薬組成物に関する:
例A:注射バイアル
100gの本発明の活性成分および5gのリン酸水素二ナトリウムを3lの二重蒸留水に溶解した溶液を、2N塩酸を用いてpH6.5に調節し、滅菌濾過し、注射バイアル中に移し、滅菌条件下で凍結乾燥し、滅菌条件下で密封する。各々の注射バイアルは、5mgの活性成分を含む。
【0182】
例B:坐剤
20gの本発明の活性成分と100gの大豆レシチンと1400gのココアバターとの混合物を、溶融し、型中に注入し、放冷する。各々の坐剤は、20mgの活性成分を含む。
【0183】
例C:溶液
1gの本発明の活性成分、9.38gのNaHPO・2HO、28.48gのNaHPO・12HOおよび0.1gの塩化ベンザルコニウムから、940mlの二重蒸留水中に溶液を調製する。pHを6.8に調節し、溶液を1lにし、放射線により滅菌する。この溶液を、点眼剤の形態で用いてもよい。
【0184】
例D:軟膏
500mgの本発明の活性成分を、99.5gのワセリンと、無菌条件下で混合する。
【0185】
例E:錠剤
1kgの活性成分、4kgのラクトース、1.2kgの馬鈴薯デンプン、0.2kgのタルクおよび0.1kgのステアリン酸マグネシウムの混合物を、慣用的な方法で圧縮して、錠剤を得、各々の錠剤が10mgの活性成分を含むようにする。
【0186】
例F:糖衣錠
例Eと同様にして、錠剤を圧縮し、次に、慣用的な方法で、スクロース、馬鈴薯デンプン、タルク、トラガカントおよび色素のコーティングで被覆する。
【0187】
例G:カプセル
2kgの活性成分を、硬質ゼラチンカプセル中に慣用的な方法で導入して、各々のカプセルが20mgの活性成分を含むようにする。
【0188】
例H:アンプル
1kgの本発明の活性成分を60lの二重蒸留水に溶解した溶液を、滅菌濾過し、アンプル中に移し、滅菌条件下で凍結乾燥し、滅菌条件下で密封する。各々のアンプルは、10mgの活性成分を含む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I
【化1】

式中、
Rは、H、A、COOA、CONHA、CONAまたは(CHArを示し、
B、B’は、各々、互いに独立して、CHまたはNを示し、
は、H、A、Hal、CN、NO、C(=O)A、CHO、CH(OH)A、NH、NH(C=O)A、COOH、COOA、SONH、CONH、CONA、(CHArまたはHetを示し、
は、OH、OA、Hal、CF、SONH、NHAcまたはNHSOAを示し、
2’、R2”は、各々、互いに独立して、HまたはHalを示し、
は、H、Hal、NH、NHA、NA、NHCOA、NHCONHA、NHCONHAr、NHCO(CHAr、Het、NHCO(CHOA、NHCO(CHHet、NHCOCH(Ar)OC(=O)A、NHCO(CHO(CHOA、NHCOCH(Ar)A、NHCOCH(Ar)OH、NHCO(CHNH、NHCO(CHNHAまたはNHCO(CHNA、NHCO(CHNHAc、NHCO(CHNA(CHOA、NHCO(CHN(BOC)A、NHCO(CHNH(BOC)、NHCO(CHNHCHO、NHCO(CHNHOH、
【化2】

NHCO(CHNHAまたはNHCO(CHNAを示し、
Acは、アセチルを示し、
Arは、非置換であるか、またはHal、A、OH、OA、NH、NHA、NA、NO、CN、COOH、COOA、CONH、NHCOA、NHCONH、NHSOA、SONH、S(O)A、(CHHet、(CHNH(CHOA、(CHNH(CHNA、(CHNH(CHNHAおよび/または(CHNH(CHNHにより単置換、二置換もしくは三置換されているフェニルを示し、
Hetは、フリル、チエニル、ピロリル、イミダゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピラゾリル、チアゾリル、ピペラジニル、インドリル、ピペリジニル、ピロリジニル、モルホリニルまたはトリアゾリルを示し、この各々は、非置換であるか、またはA、Hal、OHおよび/またはOAにより単置換、二置換もしくは三置換されており、
Hetは、モルホリニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピラゾリル、フリル、チエニル、ピロリル、イミダゾリル、ピリジル、ピペラジニルまたはピリミジニルを示し、この各々は、非置換であるか、またはA、Hal、OHおよび/またはOAにより単置換、二置換もしくは三置換されており、
Aは、1〜10個のC原子を有する非分枝状または分枝状アルキルを示し、ここで1〜7個のH原子は、Fにより置換されていてもよく、
【化3】

を示し、
Halは、F、Cl、BrまたはIを示し、
mは、0、1または2を示し、
nは、1、2、3または4を示す、
で表される化合物並びに、これらの薬学的に使用可能な誘導体、互変異性体、塩、溶媒和物および立体異性体、すべての比率でのこれらの混合物。
【請求項2】
RがH、COOA、CONHAまたはCONAを示す、
請求項1に記載の化合物、並びに、これらの薬学的に使用可能な誘導体、互変異性体、塩、溶媒和物および立体異性体、すべての比率でのこれらの混合物。
【請求項3】
BまたはB’がNを示し、
BまたはB’の他方がCHを示す、
請求項1または2に記載の化合物、並びに、これらの薬学的に使用可能な誘導体、互変異性体、塩、溶媒和物および立体異性体、すべての比率でのこれらの混合物。
【請求項4】
がHまたはAを示す、
請求項1〜3のいずれかに記載の化合物、並びに、これらの薬学的に使用可能な誘導体、互変異性体、塩、溶媒和物および立体異性体、すべての比率でのこれらの混合物。
【請求項5】
Aが1〜6個のC原子を有する非分枝状または分枝状アルキルを示し、ここで1〜5個のH原子がFにより置換されていてもよい、
請求項1〜4のいずれかに記載の化合物、並びに、これらの薬学的に使用可能な誘導体、互変異性体、塩、溶媒和物および立体異性体、すべての比率でのこれらの混合物。
【請求項6】
がH、Hal、NH、NHA、NA、NHCOA、NHCONHA、NHCONHAr、NHCO(CHAr、Het、NHCO(CHOA、NHCO(CHHet、NHCOCH(Ar)OC(=O)A、NHCO(CHO(CHOA、NHCOCH(Ar)A、NHCOCH(Ar)OH、NHCO(CHNH、NHCO(CHNHA、NHCO(CHNA、NHCO(CHNHAc、NHCO(CHNA(CHOA、NHCO(CHN(BOC)A、NHCO(CHNH(BOC)、NHCO(CHNHCHO、NHCO(CHNHOH、
【化4】

NHCO(CHNHAまたはNHCO(CHNAを示す、
請求項1〜5のいずれかに記載の化合物、並びに、これらの薬学的に使用可能な誘導体、互変異性体、塩、溶媒和物および立体異性体、すべての比率でのこれらの混合物。
【請求項7】
がH、Hal、NH、NHA、NA、NHCOA、NHCONHA、NHCONHAr、NHCO(CHAr、Het、NHCO(CHOA、NHCO(CHHet、NHCOCH(Ar)OC(=O)A、NHCO(CHO(CHOA、NHCOCH(Ar)A、NHCOCH(Ar)OH、NHCO(CHNH、NHCO(CHNHAまたはNHCO(CHNAを示す、
請求項1〜5のいずれかに記載の化合物、並びに、これらの薬学的に使用可能な誘導体、互変異性体、塩、溶媒和物および立体異性体、すべての比率でのこれらの混合物。
【請求項8】
Hetがモルホリニル、ピロリジニル、ピリジル、ピペラジニルまたはピペリジニルを示す、
請求項1〜6のいずれかに記載の化合物、並びに、これらの薬学的に使用可能な誘導体、互変異性体、塩、溶媒和物および立体異性体、すべての比率でのこれらの混合物。
【請求項9】
RがH、COOA、CONHAまたはCONAを示し、
BまたはB’がNを示し、
B’またはBの他方がCHを示し、
がHまたはAを示し、
がOH、OA、Hal、CF、SONH、NHAcまたはNHSOAを示し、
2’、R2”が各々、互いに独立して、HまたはHalを示し、
がH、Hal、NH、NHA、NA、NHCOA、NHCONHA、NHCONHAr、NHCO(CHAr、Het、NHCO(CHOA、NHCO(CHHet、NHCOCH(Ar)OC(=O)A、NHCO(CHO(CHOA、NHCOCH(Ar)A、NHCOCH(Ar)OH、NHCO(CHNH、NHCO(CHNHA、NHCO(CHNA、NHCO(CHNHAc、NHCO(CHNA(CHOA、NHCO(CHN(BOC)A、NHCO(CHNH(BOC)、NHCO(CHNHCHO、NHCO(CHNHOH、
【化5】

NHCO(CHNHAまたはNHCO(CHNAを示し、
Hetがモルホリニル、ピロリジニル、ピリジル、ピペラジニルまたはピペリジニルを示し、
Hetがフリル、チエニル、ピロリル、イミダゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピラゾリル、チアゾリル、ピペラジニル、インドリル、ピペリジニル、ピロリジニル、モルホリニルまたはトリアゾリルを示し、この各々が、非置換であるか、またはA、Hal、OHおよび/またはOAにより単置換、二置換もしくは三置換されており、
Arが、非置換であるか、またはHal、A、OH、OA、NH、NHA、NA、CN、(CHHet、(CHNH(CHOA、(CHNH(CHNA、(CHNH(CHNHAおよび/または(CHNH(CHNHにより単置換、二置換もしくは三置換されているフェニルを示し、
Aが1〜6個のC原子を有する非分枝状または分枝状アルキルを示し、ここで1〜5個のH原子がFにより置換されていてもよく、
Xが存在しないか、またはCH、CHAもしくはCAを示し、
HalがF、Cl、BrまたはIを示す、
請求項1〜7のいずれかに記載の化合物、並びに、これらの薬学的に使用可能な誘導体、互変異性体、塩、溶媒和物および立体異性体、すべての比率でのこれらの混合物。
【請求項10】
以下の群
3−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニルアミノ)−4−[(R)−1−(3−ヒドロキシフェニル)エチルアミノ]シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「1」)、
3−(3−アミノ−1−tert−ブチルオキシカルボニルインダゾール−5−イルアミノ)−4−(3−ヒドロキシベンジルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「2」)、
3−(3−アミノ−1−tert−ブチルオキシカルボニルインダゾール−5−イルアミノ)−4−(3−メトキシベンジルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「3」)、
3−(3−アミノ−1H−インダゾール−5−イルアミノ)−4−(3−メトキシベンジルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「4」)、
3−(1H−インダゾール−5−イルアミノ)−4−[(R)−1−(3−メトキシフェニル)エチルアミノ]シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「5」)、
3−(1H−インダゾール−5−イルアミノ)−4−(3−メトキシベンジルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「6」)、
3−(1H−インダゾール−5−イルアミノ)−4−(3−ヒドロキシベンジルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「7」)、
3−(1−エチルアミノカルボニルインダゾール−5−イルアミノ)−4−(3−メトキシベンジルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「8」)、
3−(1−エチルアミノカルボニルインダゾール−5−イルアミノ)−4−(3−ヒドロキシベンジルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「9」)、
3−(3−アミノ−1H−インダゾール−5−イルアミノ)−4−[(R)−1−(3−メトキシフェニル)エチルアミノ]シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「10」)、
3−(3−アミノ−1H−インダゾール−5−イルアミノ)−4−[(R)−1−(3−ヒドロキシフェニル)エチルアミノ]シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「11」)、
3−(3−アミノ−1H−インダゾール−5−イルアミノ)−4−[(R)−1−(3−クロロフェニル)エチルアミノ]シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「12」)、
3−(3−アミノ−1H−インダゾール−5−イルアミノ)−4−(3−クロロベンジルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「13」)、
3−(3−アミノ−1H−インダゾール−5−イルアミノ)−4−(3−トリフルオロメチルベンジルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「14」)、
3−(3−アミノ−1H−インダゾール−5−イルアミノ)−4−(3−トリフルオロメトキシベンジルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「15」)、
3−(3−アミノ−1H−インダゾール−5−イルアミノ)−4−(3−アミノスルホニルベンジルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「16」)、
3−(3−アミノ−1H−インダゾール−5−イルアミノ)−4−[(2−ヒドロキシピリジン−4−イルメチル)アミノ]シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「17」)、
3−(3−アミノ−7−メチル−1H−インダゾール−5−イルアミノ)−4−[(R)−1−(3−メトキシフェニル)エチルアミノ]シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「18」)、
3−(3−アミノ−7−メチル−1H−インダゾール−5−イルアミノ)−4−[(R)−1−(3−ヒドロキシフェニル)エチルアミノ]シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「19」)、
3−(3−アミノ−7−メチル−1H−インダゾール−5−イルアミノ)−4−(3−アミノスルホニルベンジルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「20」)、
3−(3−アミノ−7−メチル−1H−インダゾール−5−イルアミノ)−4−[(2−ヒドロキシピリジン−4−イルメチル)アミノ]シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「21」)、
3−(3−アミノ−7−メチル−1H−インダゾール−5−イルアミノ)−4−(3−メトキシベンジルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「22」)、
3−(3−アミノ−7−メチル−1H−インダゾール−5−イルアミノ)−4−(3−ヒドロキシベンジルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「23」)、
3−[3−(モルホリン−4−イル)−1H−インダゾール−5−イルアミノ]−4−[(R)−1−(3−ヒドロキシフェニル)エチルアミノ]シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「24」)、
3−[3−(ピペリジン−1−イル)−1H−インダゾール−5−イルアミノ]−4−[(R)−1−(3−ヒドロキシフェニル)エチルアミノ]シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「25」)、
3−[3−(ピロリジン−1−イル)−1H−インダゾール−5−イルアミノ]−4−[(R)−1−(3−ヒドロキシフェニル)エチルアミノ]シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「26」)、
3−(3−ブロモ−1H−インダゾール−5−イルアミノ)−4−[(R)−1−(3−ヒドロキシフェニル)エチルアミノ]シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「27」)、
3−(3−アセトアミド−1H−インダゾール−5−イルアミノ)−4−[(R)−1−(3−ヒドロキシフェニル)エチルアミノ]シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「28」)、
3−(1H−インダゾール−5−イルアミノ)−4−[(R)−1−(3−ヒドロキシフェニル)エチルアミノ]シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「29」)、
3−(7−ブロモ−1H−インダゾール−5−イルアミノ)−4−(3−メトキシベンジルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「30」)、
3−(7−ブロモ−1H−インダゾール−5−イルアミノ)−4−(3−ヒドロキシベンジルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「31」)、
3−(1H−インダゾール−5−イルアミノ)−4−(3−クロロベンジルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「32」)、
3−(7−メチル−1H−インダゾール−5−イルアミノ)−4−(3−ヒドロキシベンジルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「33」)、
3−(7−メチル−1H−インダゾール−5−イルアミノ)−4−[(R)−1−(3−メトキシフェニル)エチルアミノ]シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「34」)、
3−(7−メチル−1H−インダゾール−5−イルアミノ)−4−[(S)−1−(3−メトキシフェニル)エチルアミノ]シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「35」)、
3−(7−メチル−1H−インダゾール−5−イルアミノ)−4−[(R)−1−(3−ヒドロキシフェニル)エチルアミノ]シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「36」)、
3−(7−メチル−1H−インダゾール−5−イルアミノ)−4−(3−メトキシベンジルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「37」)、
3−(1H−インダゾール−5−イルアミノ)−4−(3−アミノスルホニルベンジルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「38」)、
3−(1H−インダゾール−5−イルアミノ)−4−[(R)−1−(3−ヒドロキシフェニル)エチルアミノ]シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「39」)、
3−(3−ベンゾイルアミノ−1H−インダゾール−5−イルアミノ)−4−(3−ヒドロキシベンジルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「40」)、
3−(3−ベンゾイルアミノ−1H−インダゾール−5−イルアミノ)−4−(3−メトキシベンジルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「41」)、
3−(3−ベンゾイルアミノ−1H−インダゾール−5−イルアミノ)−4−[(R)−1−(3−メトキシフェニル)エチルアミノ]シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「42」)、
3−(3−ベンゾイルアミノ−1H−インダゾール−5−イルアミノ)−4−[(R)−1−(3−ヒドロキシフェニル)エチルアミノ]シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「43」)、
3−[3−(3−クロロベンゾイルアミノ)−1H−インダゾール−5−イルアミノ]−4−[(R)−1−(3−メトキシフェニル)エチルアミノ]シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「44」)、
3−[3−(3−クロロベンゾイルアミノ)−1H−インダゾール−5−イルアミノ]−4−[(R)−1−(3−ヒドロキシフェニル)エチルアミノ]シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「45」)、
3−[3−(3−クロロベンゾイルアミノ)−1H−インダゾール−5−イルアミノ]−4−[(R)−1−(3−フルオロフェニル)エチルアミノ]シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「46」)、
3−[3−(3−クロロベンゾイルアミノ)−1H−インダゾール−5−イルアミノ]−4−[(R)−1−(3−アセトアミドフェニル)エチルアミノ]シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「47」)、
3−[3−(3−クロロベンゾイルアミノ)−1H−インダゾール−5−イルアミノ]−4−(3−メトキシベンジルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「48」)、
3−[3−(3−クロロベンゾイルアミノ)−1H−インダゾール−5−イルアミノ]−4−(3−ヒドロキシベンジルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「49」)、
3−[3−(3−クロロベンゾイルアミノ)−1H−インダゾール−5−イルアミノ]−4−(3−フルオロベンジルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「50」)、
3−[3−(3−クロロベンゾイルアミノ)−1H−インダゾール−5−イルアミノ]−4−(3−アセトアミドベンジルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「51」)、
3−(3−ベンゾイルアミノ−1H−インダゾール−5−イルアミノ)−4−[(R)−1−(2,3−ジフルオロフェニル)エチルアミノ]シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「52」)、
3−(3−ベンゾイルアミノ−1H−インダゾール−5−イルアミノ)−4−[(R)−1−(3−メチルスルホンアミドフェニル)エチルアミノ]シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「53」)、
3−[3−(3−クロロベンゾイルアミノ)−1H−インダゾール−5−イルアミノ]−4−[(R)−1−(2,3−ジフルオロフェニル)エチルアミノ]シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「54」)、
3−[3−(3−クロロベンゾイルアミノ)−1H−インダゾール−5−イルアミノ]−4−[(R)−1−(3−メチルスルホンアミドフェニル)エチルアミノ]シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「55」)、
3−(3−ベンゾイルアミノ−1H−インダゾール−5−イルアミノ)−4−(2,3−ジフルオロベンジルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「56」)、
3−(3−ベンゾイルアミノ−1H−インダゾール−5−イルアミノ)−4−(3−メチルスルホンアミドベンジルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「57」)、
3−[3−(3−クロロベンゾイルアミノ)−1H−インダゾール−5−イルアミノ]−4−(2,3−ジフルオロベンジルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「58」)、
3−[3−(3−クロロベンゾイルアミノ)−1H−インダゾール−5−イルアミノ]−4−(3−メチルスルホンアミドベンジルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「59」)、
式Iaで表される化合物「60〜92」
【化6】

【化7】

【化8】

式Ibで表される化合物「93〜125」
【化9】

【化10】

から選択される、請求項1に記載の化合物、並びに、これらの薬学的に使用可能な誘導体、互変異性体、塩、溶媒和物および立体異性体、すべての比率でのこれらの混合物。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれかに記載の式Iで表される化合物、並びに、これらの薬学的に使用可能な誘導体、互変異性体、溶媒和物、塩および立体異性体の製造方法であって、
a)式II
【化11】

式中、
Aは、1、2、3または4個のC原子を有するアルキルを示し、
かつ
R、RおよびRは、請求項1において示した意味を有する、
で表される化合物を、
式III
【化12】

式中、
X、B、B’、R、R2’およびR2’’は、請求項1において示した意味を有する、
で表される化合物と反応させるか、
または
b)式Iで表される化合物中のラジカルRおよび/またはRを、別のラジカルRおよび/またはRに、
i)アミノ保護基を切断して除去し、
ii)エーテルを切断する
ことにより変換し、
かつ/または
式Iで表される塩基もしくは酸を、この塩の1種に変換する
ことを特徴とする、前記方法。
【請求項12】
請求項1〜10のいずれかに記載の少なくとも1種の化合物、および/または、これらの薬学的に使用可能な誘導体、互変異性体、塩、溶媒和物および立体異性体、すべての比率でのこれらの混合物、並びに、任意に賦形剤および/または補助剤を含む、医薬。
【請求項13】
請求項1に記載の式Iで表される化合物、並びに、これらの薬学的に使用可能な誘導体、塩、溶媒和物、互変異性体および立体異性体、すべての比率でのこれらの混合物の、キナーゼシグナル伝達の阻害、調節および/または調整が作用を奏する疾患の処置のための医薬の製造のための使用。
【請求項14】
キナーゼがセリン/スレオニンキナーゼの群から選択される、請求項13に記載の使用。
【請求項15】
セリン/スレオニンキナーゼがCHK1およびCHK2である、請求項14に記載の使用。
【請求項16】
請求項1に記載の式Iで表される化合物、並びに、これらの薬学的に使用可能な誘導体、塩、溶媒和物、互変異性体および立体異性体、すべての比率でのこれらの混合物の、
請求項1に記載の式Iで表される化合物によるCHK1および/またはCHK2キナーゼの阻害により影響される疾患の処置のための医薬の製造のための、請求項15に記載の使用。
【請求項17】
処置されるべき疾患が増殖性障害である、請求項16に記載の使用。
【請求項18】
増殖性障害が癌である、請求項17に記載の使用。
【請求項19】
癌におけるチェックポイント経路が変異しているかまたは上方制御されている、請求項18に記載の使用。
【請求項20】
式Iで表される化合物が別の治療剤と組み合わせて投与される、請求項19に記載の使用。
【請求項21】
式Iで表される化合物と別の治療剤とが同一の医薬組成物の一部として投与される、請求項20に記載の使用。
【請求項22】
式Iで表される化合物と別の治療剤とが別個の医薬組成物として投与され、式Iで表される化合物が、前記別の物質の投与の前に、これと同時に、またはこの後に投与される、請求項21に記載の使用。
【請求項23】
別の治療剤が抗癌剤である、請求項22に記載の使用。
【請求項24】
キナーゼがSGKである、請求項13に記載の使用。
【請求項25】
請求項1に記載の式Iで表される化合物、並びに、これらの薬学的に使用可能な誘導体、溶媒和物および立体異性体、すべての比率でのこれらの混合物の、請求項1に記載の化合物によるSGKの阻害により影響される疾患の処置のための医薬の製造のための、請求項24に記載の使用。
【請求項26】
請求項1に記載の化合物、並びに、これらの薬学的に使用可能な誘導体、溶媒和物および立体異性体、すべての比率でのこれらの混合物の、請求項25に記載の使用であって、糖尿病、肥満、メタボリックシンドローム(異脂肪血症)、全身および肺の筋緊張亢進、心血管疾患および腎疾患のための処置または防止のための医薬、一般的にすべてのタイプの線維症および炎症プロセスにおける処置または防止のための医薬、癌、腫瘍細胞、腫瘍転移、凝固障害、神経興奮性、緑内障、白内障、細菌感染の処置または防止のための医薬、並びに感染防止療法における医薬、学習能力および注意力を増大させるための医薬、並びに細胞老化およびストレスの処置および予防のための医薬、並びに耳鳴の処置のための医薬の製造のための、使用。
【請求項27】
糖尿病が、真性糖尿病、糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害、糖尿病性の血管障害および微小血管障害である、請求項26に記載の使用。
【請求項28】
心血管疾患が、心筋梗塞の後の心臓性線維症、心臓肥大、心不全および動脈硬化である、請求項26に記載の使用。
【請求項29】
腎疾患が、糸球体硬化症、腎硬化症、腎炎、腎症および電解質排泄障害である、請求項26に記載の使用。
【請求項30】
線維症および炎症プロセスが、肝硬変、肺線維症、線維性膵炎、リウマチおよび関節症、クローン病、慢性気管支炎、放射線線維症、硬化性皮膚炎、嚢胞性線維症、瘢痕およびアルツハイマー病である、請求項28に記載の使用。
【請求項31】
(a)請求項1に記載の化合物および/または、これらの薬学的に使用可能な誘導体、溶媒和物および立体異性体、すべての比率でのこれらの混合物の有効量、
並びに
(b)さらなる医薬活性成分の有効量
の個別のパックからなる、セット(キット)。

【公表番号】特表2008−534633(P2008−534633A)
【公表日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−504641(P2008−504641)
【出願日】平成18年3月21日(2006.3.21)
【国際出願番号】PCT/EP2006/002594
【国際公開番号】WO2006/105865
【国際公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフトング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】