説明

HAS2−刺激性植物抽出物

【課題】 本発明の具体的な目的は、引き締まり性および/または弾性および/または組織水分付与性を増加し、並びに/或いは皮膚障壁効果を増加し、並びに/或いは組織回復力を増加し、並びに/或いは脈管形成または血液毛管の新形成を調節し、並びに/或いは治癒および/または細胞の増殖、泳動もしくは分化および/または皮膚萎縮を改良し、並びに/或いは皮膚上の老化の影響を減じ、そして特に老化の過程で観察される皮膚の引き締まり性の損失、および/または萎縮瘢痕を減ずることである。
【解決手段】 本発明はヒアルロナン・シンセターゼの合成、特にヒアルロナン・シンセターゼ2(HAS2)の合成を刺激するための植物抽出物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2005年11月17日に出願されたフランス特許出願番号第0511672号の優先権を主張する。
【0002】
本発明は、HAS蛋白質の刺激後に、皮膚の、特別には真皮の、引き締め(firming)効果を特に得るための、植物抽出物を含んでなる化粧品および製薬学的組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
細胞外マトリックスは蛋白質または炭水化物源の様々な分子の複雑な網状組織よりなり、それらは細胞機能を修正するために好ましい環境に寄与する。
【0004】
例えば増殖、泳動または分化の如き細胞事象中に、細胞外マトリックスが変化しそして適応する。多糖群では、グリコサミノグリカン類(GAG類)、そしてこれらの中のヒアルロン酸(HA)、がこの細胞外マトリックスの重要な構造成分である。非常に高い分子量を有するこれらのGAG類は多くの生理的機能、例えば皮膚への水分付与、皮膚障壁効果の増加、および水を留めるそれらの能力による組織の回復力および弾性の増加、を有する。さらに、それらは脈管形成または血液毛管の新形成、治癒、細胞表面に位置する例えばCD44およびRHAMM類の如き膜受容体(ヒアルロナン介在運動用の受容体)による増殖、泳動および分化の調節において記載されてきた(非特許文献1、非特許文献2、非特許文献3)。
【0005】
さらに、真皮−表皮界面におけるヒアルロン酸の存在がこれら2種の組織間の代謝交換を促進させうると思われる。最後に、ヒアルロン酸は例えばベルシカン、フィブリノーゲン並びにコラーゲンタイプIおよびVIの如き他の分子との会合を可能にする(非特許文献4、非特許文献5)。
【0006】
他のGAG類より十分に研究されてきたヒアルロン酸は、繰り返し二糖単位:N−アセチル−D−グルコサミン−β(1→4)−D−グルクロン酸β(1→3)より構成される線状多糖に類似する。それは、血漿膜の内側で、β(1→4)およびβ(1→3)結合を介して組み合わせされるUDP−N−アセチルグルコサミンおよびUDP−D−グルクロン酸の連続的添加により合成されそして次に細胞外空間内に直接分泌される(非特許文献6)。この合成は、脊椎動物における種々の染色体上に位置する3つの別個な遺伝子から転写される3種のイソ形態:HAS1、HAS2およびHAS3として同定されるヒアルロナン・シンセターゼ類(HAS類)と称する単量体状の膜−結合された酵素により行われる(非特許文献6)。より特に、HAS2蛋白質をコードする遺伝子は染色体8の上に位置しそして例えばPDGF−BB、TGF−β1、EGFまたはFGFおよびKGFの如き種々の成長因子の存在に対して敏感である。
【0007】
GAG類はほぼ全ての組織中で見出されそして細胞外マトリックス中のそれらの量は例えば皮膚萎縮、老化、萎縮瘢痕、および多分オステオポローシスの如きある種の条件下で大きく変動する。皮膚、そしてより特に真皮、は有機体中に存在するヒアルロン酸の合計量の約50%を含有し(非特許文献7)そして試験は老化に関連する強い因果関係を示し、60歳以降はヒアルロン酸合成は全く存在しないことを示した(非特許文献8)。このヒアルロン酸は真皮線維芽細胞のHAS類により合成される。
【0008】
表皮段階では、ヒアルロン酸は角質細胞HAS類により合成されそしてそれらの泳動、増殖および分化において役割を演ずる。ヒアルロン酸における減少は角質細胞末端分化の促進に寄与しうる表皮の薄化をもたらす。
【0009】
化粧品または皮膚製薬学的用途のために、ある程度の数の化合物が角質細胞内で一般的にはグリコサミノグルカン類のそして特にヒアルロン酸の製造に刺激を与えるそれらの能力に関して研究されてきた。
【0010】
HAS2が例えばTNF−アルファ、インターフェロン−ガンマ、インターロイキン−1ベータの如き種々の物質により誘導されうることが示された(非特許文献9)後に、このようにして処置される正常な志願者からの皮膚の表皮の性質および構造に対する効果を評価するために、培養中の角質細胞のモデルに対して、種々のチームがレチノイン酸の如き物質を用いてHAS2製造を刺激することを試みた。これらの研究の結論は、全ての炎症前サイトカイン類は培養中の細胞内でHAS2の製造をそしてその結果としてヒアルロナンの製造を刺激することであった(非特許文献10)。それ故、例えばレチノイン酸、最近では、チョウセンニンジン物質K(すなわち20O−ベータ−D グルコピラノシル20 Sプロトパナキサジオール)の如き物質が培養中の形質転換された角質細胞−タイプHaCat細胞またはヒト線維芽細胞中のHAS2合成を刺激しうるとして最近記載されてきた(非特許文献11)
【0011】
【非特許文献1】Lesley J.et al.,J.Exp.Med.,175,257−266(1992)
【非特許文献2】Peck D.et al.,Journal of Cell Science,111,1595−1601(1998)
【非特許文献3】Assmann V.et al.,Journal of Cell Science, 111,1685−1694(1998)
【非特許文献4】Mc Devitt et al.,FEBS Lett.,3,294,167−170(1991)
【非特許文献5】Le Baron et al.,J. Biol.Chem.,14,267,10003−10010(1992)
【非特許文献6】Weigel et al.,J.Biol.Chem.,272,13997−14000(1997)
【非特許文献7】Laurent et al.,FASEB J.,6,2397−2404(1992)
【非特許文献8】Ghersetich et al., Int.J.Dermatol.,33,119−122(1994)
【非特許文献9】Ijuin et al.2001,Arch.Oral Biol.46(8):767−72
【非特許文献10】Jacobson A,Brinck J,Briskin MJ,Spicer AP and Heldin P.2000,Expression of human hyaluronan synthases in resonse to external stimuli.Biochem.J.348(Pt 1):29−35
【非特許文献11】Kim et al.,IFSCC Magazine 7(39、189−196(2004)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
発明の要旨
本発明の一つの目的は、皮膚内の、そして特に真皮内のグリコサミノグリカン類および
ヒアルロン酸の量を増加し且つ皮膚の引き締まり性(firmness)を増加するために、HAS2の発現および/または活性を刺激するための局所的に使用できる化合物、特に植物から抽出される化合物を提供することである。
【0013】
本発明の他の目的は、特に、皮膚内で引き締まり性および/または弾性および/または組織水分付与性を改良し、並びに/或いは皮膚障壁効果を増加し、並びに/或いは組織回復力を増加し、或いは脈管形成または血液毛管の新形成を調節し、並びに/或いは治癒または細胞の増殖、泳動もしくは分化を改良するための上記化合物を提供することである。
【0014】
特に、本発明の一つの目的は皮膚上の老化の影響である皮膚萎縮、特に真皮萎縮、萎縮瘢痕または老化の過程で観察される皮膚の引き締まり性の損失を減ずるための上記化合物を提供することである。
【0015】
図面の簡単な記述
図1はトウグワの抽出物を用いるHAS2刺激のグラフ表示である。
【0016】
図2はマオウの抽出物を用いるHAS2刺激のグラフ表示である。
【0017】
図3はガラナの抽出物を用いるHAS2刺激のグラフ表示である。
【0018】
図4はヨモギキクの抽出物を用いるHAS2刺激のグラフ表示である。
【0019】
図5はインド・カイガラサルビアの抽出物を用いるHAS2刺激のグラフ表示である。
【0020】
図6はインド・カイガラサルビアの抽出物およびヨモギキクの抽出物を含んでなるクリームの1ヶ月間にわたる使用後の皮膚の引き締まり性における変化のグラフである。
【0021】
図7はインド・カイガラサルビアの抽出物およびヨモギキクの抽出物を含んでなる漿液の1ヶ月間にわたる使用後の皮膚の引き締まり性における変化のグラフである。
【課題を解決するための手段】
【0022】
発明の詳細な記述
本発明は、第一の面で、化粧品組成物中での、ヒアルロナン・シンセターゼの発現および/または活性を刺激するための、そして特にヒアルロナン・シンセターゼ2(HAS2)の発現および/または活性を刺激するための、活性成分としての、有効量の少なくとも1種の植物抽出物の使用を記述する。ここで使用される用語「有効量」は、ここに開示されている利点を独立してまたは組み合わせて包含する、明白な利点を有意に誘発するのに十分な量の抽出物を意味する。
【0023】
本発明は、第二の面によると、製薬学的な、そして特に皮膚製薬学的な、組成物を製造するための、ヒアルロナン・シンセターゼの発現および/または活性を刺激するための、そして特にヒアルロナン・シンセターゼ2(HAS2)の発現および/または活性を刺激するための、活性成分としての、有効量の少なくとも1種の植物抽出物の使用を記述する。
【0024】
発明者は、「ヒアルロナン・シンセターゼ(HAS、特にHAS2)の発現を刺激すること」により、特にヒアルロナン・シンセターゼ(HAS、特にHAS2)の合成の刺激を意味する。
【0025】
特に、本発明に従う活性成分は線維芽細胞内の、特にヒト線維芽細胞内の、そして特別
には例えば真皮の如きヒト皮膚組織内のHAS2蛋白質をコードする遺伝子の発現の刺激を得ることを可能にする。
【0026】
有利には、活性成分は皮膚組織の、特に真皮の、引き締まり性および/または弾性を増加させうる。
【0027】
有利には、活性成分は、特に真皮内の、一般的にグリコサミノグリカン類、そして特にヒアルロン酸の生成および/または量を増加させうる。
【0028】
有利には、本発明に従う活性成分は皮膚内のいずれかの炎症反応を実質的に誘発せず、そしてその結果として局所適用、特に化粧品または皮膚製薬学的用途に適合する。ここで使用される用語「局所適用」は、皮膚組織の表面上に本発明の組成物を適用または延展することを意味する。
【0029】
有利には、組成物は皮膚内で引き締まり性および/または弾性および/または組織水分付与性を改良し、並びに/或いは皮膚障壁効果を増加し、並びに/或いは組織回復力を増加し、並びに/或いは脈管形成または血液毛管の新形成を調節し、並びに/或いは治癒および/または細胞の増殖、泳動もしくは分化および/または皮膚萎縮を改良することが意図される、並びに/或いは皮膚上の老化の影響を減じ、そして特に老化の過程で観察される皮膚の引き締まり性の損失、および/または萎縮瘢痕および/または老化の過程で観察される皮膚組織萎縮を減じ、特に真皮萎縮を減ずることが意図される。
【0030】
有利には、本発明に従う化合物は皮膚組織、そして特に皮膚の薄化を減ずるために使用される。
【0031】
有利には、本発明に従い使用される化合物は植物抽出物である。特に、活性成分は下記のものから選択される植物の抽出物でありうる:ガラナ(Paullinia cupana)、オトギリソウ(Hypericum hircinum)、竹(Bambusa
vulgaris)、ヤエナリ(Phaseolus aureus)、スグリ(Ribes uva−crispa)、ナギイカダ(Ruscus aculeatus)、ソラマネ(Vicia faba equina)、エンドウマメ(Pisum sativum)、ルピナス(Lupinus angustifolius)、マオウ(Ephedra sinica)、ヨモギキク(Tanacetum vulgare)、インド・カイガラサルビア(Alpinia galanga)、トウグワ(Morus alba)、ジェーオウブリー(Pentadiplandra brazzeana)、またはそのような抽出物の混合物。
【0032】
好ましくは、活性成分はトウグワ(Morus alba)の抽出物、マオウ(Ephedra sinica)の抽出物、ガラナ(Paullinia cupana)の抽出物、ヨモギキク(Tanacetum vulgare)の抽出物、インド・カイガラサルビア(Alpinia galanga)の抽出物、ジェーオウブリー(Pentadiplandra brazzeana)の抽出物、またはそのような抽出物の混合物から選択される植物抽出物である。
【0033】
有利には、本発明に従う化合物は皮膚組織、特に真皮の引き締まり性および/または弾性を増加するために使用される。
【0034】
該抽出物を得るために有極性溶媒または有極性溶媒の混合物が有利に使用される。有用な抽出溶媒の中で、水、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、シクロへキサノール、ジエチレングリコール、HO−(CH−OH、および
それらの混合物よりなる群から選択されるプロトン性溶媒を使用することができる。特にピリジン、ブタノン、アセトン、AcO、(MeN)CO、PhCN、CHCHCN、HMPA、PhNO、MeNO、DMF、MeCN、スルホラン、DMSO、HCONH、HCONHMe、CHCONHMe、およびそれらの混合物よりなる群から選択される有極性非プロトン性溶媒を使用することもできる。水、アルコール、例えばエタノール、プロパノール、イソプロパノールもしくはブタノール、ポリオール、例えばブチレングリコール、またはエステル、例えば酢酸エチル、或いはこれらの溶媒の混合物が好ましく使用される。上記溶媒の混合物の割合は一般的に1:1〜1:100の間の、そして好ましくは1:1〜1:10の間の、範囲にわたり、25/75混合物が例えば使用される。
【0035】
抽出は、撹拌しおよび/または例えば30℃〜60℃もしくは使用される溶媒の還流温度に加熱しながら、抽出を行うことができる。抽出は一般的に大気圧において行われるが、圧力下の抽出を使用することもできる。抽出時間は当業者により査定され、そして特に抽出条件に依存する。有利には、数回の抽出が行われる。得られた部分は所望するなら特に組み合わせることができる。
【0036】
有利には、得られた抽出物を濾過しそして次に場合により所望する品質の乾燥生成物が得られるまで濃縮および/または蒸発させることができる。
【0037】
本発明に従う化合物は、局所組成物の、特に化粧品、皮膚製薬学的または製薬学的組成物の形態で製造される。その結果、これらの組成物のために、賦形剤は、例えば、防腐剤、皮膚緩和薬、乳化剤、界面活性剤、水分付与剤、濃稠化剤、コンディショナー、艶消し剤、安定剤、酸化防止剤、感触剤、光沢剤、膜−形成剤、溶解剤、顔料、染料、香料および日焼け止め剤よりなる群から選択される少なくとも1種の化合物を含有する。これらの賦形剤は、好ましくは、アミノ酸類およびそれらの誘導体、ポリグリセロール類、エステル類、セルロース重合体および誘導体、ラノリン誘導体、燐脂質、ラクトフェリン類、ラクトペルオキシダーゼ類、スクロース−ベース安定剤、ビタミンEおよびその誘導体、天然および合成ワックス類、植物油類、トリグリセリド類、鹸化不能な生成物、フィトステロール類、植物エステル類、シリコーン類およびそれらの誘導体、蛋白質加水分解産物、ホホバ油およびその誘導体、脂肪可溶性/水溶性エステル類、ベタイン類、アミノオキシド類、植物抽出物、スクロースエステル類、二酸化チタン、グリシン類およびパラベン類よりなる群から選択され、そしてまた好ましくはブチレングリコール、ステアレス−2、ステアリス−21、グリコール−15ステアリルエーテル、セテアリルアルコール、フェノキシエタノール、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン、ブチレングリコール、天然トコフェロール類、グリセロール、ナトリウムジヒドロキシセチル、イソプロピルヒドロキシセチルエーテル、ステアリン酸グリコール、トリイソノナオイン、オクチルココエート、ポリアクリルアミド、イソパラフィン、ラウレス−7、カルボマー、プロピレングリコール、グリセロール、ビサボロール、ジメチコーン、水酸化ナトリウム、ジポリヒドロキシステアリン酸PEG−30、カプリン酸/カプリル酸トリグリセリド類、オクタン酸セテアリル、アジピン酸ジブチル、ブドウ種油、ホホバ油、硫酸マグネシウム、EDTA、シクロメチコーン、キサンタンゴム、クエン酸、ラウリル硫酸ナトリウム、鉱油およびワックス類、イソステアリン酸イソステアリル、ジペラルゴン酸プロピレングリコール、イソステアリン酸プロピレングリコール、PEG−8蜜蝋、水素化されたヤシ仁油グリセリド類、水素化されたヤシ油グリセリド類、ラノリン油、ゴマ油、乳酸セチル、ラノリンアルコール、ひまし油、二酸化チタン、ラクトース、スクロース、低密度ポリエチレン、および等張性塩溶液よりなる群からも選択される。
【0038】
有利には、上記調合物は、特に瓶またはチューブ内の、水性もしくは油性溶液、クリームまたは水性ゲルもしくは油性ゲル、特にシャワーゲル、シャンプー;ミルク;エマルジ
ョン、マイクロエマルジョンもしくはナノエマルジョン、特に水中油型もしくは油中水型もしくは複合型またはシリコーン−ベースのもの;特にガラスもしくはプラスチック瓶内または計量瓶内またはエーロゾル内の、ローション;並びにアンプル;漿液;液体石鹸;皮膚クレンジングバー;軟膏;ムース;例えばスティックの形態の、特に口紅の形態の、無水の、好ましくは液体の、ペースト状のまたは固体の生成物よりなる群から選択される形態に調合される。
【0039】
該活性成分の通常使用量は合計組成物の0.001〜20重量%間、好ましくは0.001〜10重量%間の範囲にわたり、そして合計組成物の0.01〜10重量%がさらにより好ましく使用される。
【0040】
上記化合物は場合により他の活性成分と組み合わせて改良された効果を得ることができる。好ましくは、組成物が人間の皮膚組織に接触するため、いずれの追加成分および活性成分でもそのような組織への適用に適していなければならず、すなわち、組成物に導入される場合には、それらは診断医学判定の範囲内で不適切な毒性、非相容性、不安定性、アレルギー反応などのない人間の皮膚組織との接触における使用に適する。CTFA Cosmetic Ingredient Handbook,Eleventh Edition(2006)は、広範囲の非限定的なスキンケア産業において一般的に使用される化粧品および製薬学的成分を記載しており、それらは本発明の局所組成物中での使用に適する。これらの成分種の例は研磨剤、吸収剤、美的成分、例えば香料、顔料、彩色剤/着色剤、精油、皮膚知覚剤、収斂剤など(例えば、丁子油、メントール、ショウノウ、ユーカリ油、オイゲノール、乳酸メンチル、アメリカマンサク蒸留物)、抗−アクネ剤、抗−ケーキング剤、発泡防止剤、抗微生物剤(例えば、ブチルカルバミン酸ヨードプロピル)、酸化防止剤、結合剤、生物学的添加剤、緩衝剤、増量剤、キレート化剤、化学的添加剤、着色剤、化粧品収斂剤、化粧品殺菌剤、変性剤、薬品収斂剤、外用鎮痛剤、組成物の膜形成性質および自立性を助けるための膜形成剤または物質、例えば重合体(例えば、エイコセンおよびビニルピロリドンの共重合体)、不透明化剤、pH調節剤、噴射剤、還元剤、金属イオン封鎖剤、皮膚漂白および明色剤(例えば、ヒドロキノン、コウジ酸、アスコルビン酸、アスコルビル燐酸マグネシウム、アスコルビルグルコサミン)、皮膚−コンディショニング剤(例えば、多面的および吸蔵的を包含する湿潤剤)、皮膚潤滑および/または治癒剤(例えば、パンテノールおよび誘導体(例えば、エチルパンテノール)、アロエ・ベラ、パントテン酸およびその誘導体、アラントイン、ビサボロール、並びにグリシルリジン酸二カリウム)、皮膚処置剤、濃稠化剤、並びにビタミン類およびそれらの誘導体を包含するが、それらに限定されない。
【0041】
別の面によると、本発明は上記組成物の使用を含んでなる化粧ケア方法に関する。
【0042】
別の面によると、本発明は上記組成物の使用を含んでなりそして特に必要とする個体に対する有効量の少なくとも1種の上記活性成分の投与を含んでなる、製薬学的処置方法、特に皮膚製薬学的処置方法に関する。
【0043】
上記適用は1日1回または数回、特に局所適用により行うことができる。
【0044】
本発明の他の目的、特徴および利点は、説明用だけに示されておりそして本発明の範囲を何らかの方法で限定しえない実施例を参照する説明記述を読んだ後に当業者にはさらに容易に明らかになるであろう。
【0045】
実施例は本発明の必須部分でありそして実施例を包含する全体的記述に基づくいずれかの先行技術に関して新規であるようないずれかの特徴もその機能およびその一般性において本発明の必須部分である。
【0046】
さらに、実施例では、断らない限り全ての百分率は重量により示され、そして断らない限り温度は摂氏温度であり、そして断らない限り圧力は大気圧である。
【実施例】
【0047】
実施例1:HAS2蛋白質をコードする遺伝子の発現の刺激:
(A)外科的切除から由来する腹部生検からのコラゲナーゼ抽出後に、正常なヒト線維芽細胞が得られる。
10%の牛漿液(ハイクローン(Hyclone)、25mg/lのゲンタマイシン、100000IU/lのペニシリン、1mg/lのアンフォテリシンBおよび50mg/lのアスコルビン酸ナトリウム(シグマ(Sigma))が補充されたダルベッコの改変イーグル培地(DMEMグルタミン安定化、インビトロゲン(Invitrogen))より構成された線維芽細胞培養培地(FCM)中で線維芽細胞を増殖させる。1個のウエル当たり1.5mlのFCMを分配させそして培養を37℃において5%CO下で行う。培地を1週間に3回交換する。線維芽細胞を次に1cm当たり10000個の細胞で24−ウエルプレートの中に1mlの線維芽細胞基本培地(プロモセル(Promocell))内で接種しそして集密性になるまで増殖させる。
【0048】
(B)活性剤(1%の濃度でスクリーニング方法に関して試験された)を抗生物質、抗菌・カビ剤および成長因子を含まない培養培地の中で希釈する。遺伝子の発現をリアルタイムRT−PCRによりアクチン(ハウスキーピング遺伝子)に関連する各遺伝子の発現を測定することにより検出しそして無処置の負対照の%として表示する。10μlの5ng/μlの全RNAi−を40μlのPCRミックス(25μlの2XSYBRグリーン・バファー・ミックス、0.5μlの酵素混合物、最終濃度である0.5μMのセンス・プライマーおよび最終濃度である0.5μMのアンチセンス・プライマー、および40μlにするのに充分な水より構成される)に加える。RT−PCRは、50℃における30分間の逆転写、95℃における15分間のポリメラーゼ活性化、および50サイクルのPCRサイクル(95℃、15秒間;各遺伝子に特異的なハイブリッド化温度/30秒間;72℃/30秒間)の実施を包含する種々の段階で起きる。センスおよびアンチ・センスオリゴヌクレオチド類は、それぞれ、CGAGTTTACTTCCCGCCAAGAおよびCTTCCGCCTGCCACACTTATTGATであり、そしてハイブリッド化温度は56℃である。
【0049】
評価した全ての生成物の中で、以下の生成物がHAS2をコードするmRNAの生成を刺激するためそれらは満足のいく結果を与える。これらの生成物は従って真皮内のHAS2合成を刺激しそして皮膚の引き締まり性を誘発するために化粧品内で使用することができる。
【0050】
【表1】

【0051】
従って、好ましくは有極性溶媒または有極性溶媒の混合物を用いる、場合により還流下での、好ましくは表1に挙げられた植物の部分の、抽出を行うことが好ましい。抽出が行われたら、溶液を濾過しそして場合により空間有極性溶媒または有極性溶媒の混合物の中に再溶解させてもよい。抽出前に、使用される植物の1つもしくは複数の部分を有利に粉砕することができる。
【0052】
出発物質として使用される植物の抽出物を、溶媒、好ましくは有極性溶媒、そして好ましくは水、水/アルコールもしくはポリオールの混合物、例えば水/グリコールもしくは水/エタノール混合物、またはポリオール、またはアルコール、例えばエタノール、を用いて得ることが有利である。抽出物を好ましくは濾過しそして次に乾燥する。中程度の加
熱で、例えば45℃で、または還流下で、抽出を行うことも可能である。抽出は好ましくは撹拌しながら行われる。抽出方法は当業者に既知である。使用される植物の部分は得ようとする抽出物に関連して変動しうる。
【0053】
好ましくは、抽出物は切断された植物の部分から水またはエタノール中10%(w/w)で、場合により還流下で、製造される。抽出は1時間にわたり行われ、溶液を次に濾過し、エタノールを除去し、そして得られた生成物を水/グリコール混合物の中に5%(w/w)で溶解させそして次に種々のカットオフしきい値を有するセラミックフィルターを通して限外濾過し、そして、最後に、0.45μmで濾過する。エタノール、酢酸エチル、DMSO、アセトンまたは75%の水および25%のブチレングリコールの混合物を水の代わりに溶媒として使用することもできる。好ましい抽出タイプは表1に示されたものである。
【0054】
実施例2:選択された成分の1種(トウグワの抽出物−JVEG022A)を用いて得られる効果の服用量−効果確認:
線維芽細胞を実施例1に示された通りにして製造しそして次第に増える量の選択された抽出物の存在下でインキュベートする。mRNA抽出後に、HAS2をコードするmRNAの量を実施例1に記載されている通りにしてQ−RT−PCRを用いて検出する。結果は試験対照として使用される無処置の細胞培養物の関数として百分率活性化として示され、そして図1に示される。この活性剤に関して有意な服用量−効果が観察され、それはその活性が相対的に特異的でなければならないことを意味する。1%で使用される時には、この抽出物はHAS2mRNAの90%より大きい刺激を得ることを可能にし、それは非常に重要であり且つ非常に有意な結果である。
【0055】
実施例3:選択された成分の1種(マオウの抽出物−JVEG166A)を用いて得られる効果の服用量−効果確認:
線維芽細胞を実施例1に示された通りにして製造しそして次第に増える量の選択された抽出物(マオウの抽出物)の存在下でインキュベートする。mRNA抽出後に、HAS2をコードするmRNAの量を実施例1に記載されている通りにしてQ−RT−PCRを用いて検出する。結果は試験対照として使用される無処置の細胞培養物の関数として百分率活性化として示され、そして図2に示される。この活性剤に関して有意な服用量−効果が観察され、それはその活性が相対的に特異的でなければならないことを意味する。1%で使用される時には、この抽出物はHAS2mRNAの155%の刺激を得ることを可能にし、それは非常に重要な結果である。
【0056】
実施例4:選択された成分の1種(ガラナの抽出物−JVEG056A)を用いて得られる効果の服用量−効果確認:
線維芽細胞を実施例1に示された通りにして製造しそして次第に増える量の選択された抽出物(ガラナの抽出物)の存在下でインキュベートする。mRNA抽出後に、HAS2をコードするmRNAの量を実施例1に記載されている通りにしてQ−RT−PCRを用いて検出する。結果は試験対照として使用される無処置の細胞培養物の関数として百分率活性化として示され、そして図3に示される。この活性剤に関して有意な服用量−効果が観察され、それはその活性が相対的に特異的でなければならないことを意味する。1%で使用される時には、この抽出物はHAS2mRNAの500%の刺激を得ることを可能にし、それは非常に重要な結果である。
【0057】
実施例5:選択された成分の1種(ヨモギキクの抽出物−JVEG681A)を用いて得られる効果の服用量−効果確認:
線維芽細胞を実施例1に示された通りにして製造しそして次第に増える量の選択された抽出物(ヨモギキクの抽出物)の存在下でインキュベートする。mRNA抽出後に、HA
S2をコードするmRNAの量を実施例1に記載されている通りにしてQ−RT−PCRを用いて検出する。結果は試験対照として使用される無処置の細胞培養物の関数として百分率活性化として示され、そして図4に示される。この活性剤に関して有意な服用量−効果が観察され、それはその活性が相対的に特異的でなければならないことを意味する。1%で使用される時には、この抽出物はHAS2mRNAの260%の刺激を得ることを可能にし、それは非常に重要な結果である。
【0058】
実施例6:選択された成分の1種(インド・カイガラサルビアの抽出物−JVEG2304A)を用いて得られる効果の服用量−効果確認:
線維芽細胞を実施例1に示された通りにして製造しそして次第に増える量の選択された抽出物(インド・カイガラサルビア)の存在下でインキュベートする。mRNA抽出後に、HAS2をコードするmRNAの量を実施例1に記載されている通りにしてQ−RT−PCRを用いて検出する。結果は試験対照として使用される無処置の細胞培養物の関数として百分率活性化として示され、そして図5に示される。この活性剤に関して有意な服用量−効果が観察され、それはその活性が相対的に特異的でなければならないことを意味する。1%で使用される時には、この抽出物はHAS2mRNAの180%の刺激を得ることを可能にし、それは非常に重要な結果である。
【0059】
実施例7:細胞培養試験:
本発明のペンタジプァンドラ・ブラッゼアナ(Pentadiplandra brazzeana)の抽出物(JVEG060A)、インド・カイガラサルビアの抽出物(JVEG 203A)、ヨモギキクの抽出物(JVEG 681A)およびトウグワの抽出物(JVEG 022A)の生成物を、それらがグルコサミノグリカン類(GAG類、特にヒアルロン酸)の新合成を刺激するそれらの能力に関して評価する。選択された生物学的モデルは真皮同等物(DE、線維芽細胞を含んでなる収縮したコラーゲンの遊離格子)および単層培養における正常なヒト真皮線維芽細胞の培養物(NHDF類)である。
【0060】
これらの効果を、選択されたモデルの線維芽細胞による新合成されたGAG部分へのトリチエーションされたグルコサミンの導入を定量化することにより、評価した。精製されたGAG部分中へのグルコサミンの導入は(主に)ヒアルロン酸を包含するほとんどのGAG類の新合成を考慮に入れる。分泌された/可溶性部分(分泌されたGAG類)に対してそしてDE−必須部分(マトリックス中に貯蔵されたGAG類)に対してまたは全線維芽細胞培養物(NHDF)に対して、分析を行った。
【0061】
真皮同等物
真皮同等物を製造しそして次に2%FCSを含有するDMEM培地(インビトロゲン)の中に入れそして7日間にわたり培地を3日毎に交換しながら放置して収縮させた。DE類を引き続き試験化合物または対比化合物(TGF−ベータ、10ng/ml)の存在下または不存在下(対照)で48時間または72時間にわたり37℃および5%COにおいて、インキュベーションの終了前24時間にトリチエーションされたグルコサミンを添加しながら、インキュベートした。
【0062】
線維芽細胞
正常なヒト真皮線維芽細胞を完全DMEM培地の中に接種しそして24時間にわたり37℃および5%COにおいて予備インキュベートし、そして培養培地を次に試験化合物または対比生成物(TGF−ベータ、10ng/ml)を含有するかまたは含有しない(対照)2%漿液を有するDMEM培地で置換した。各実験条件は三重に行われた。細胞を引き続き37℃において72時間にわたり、インキュベーションの終了前24時間にトリチエーションされたグルコサミンを添加しながら、インキュベートした。
【0063】
導入された放射活性の分析
インキュベーションの終了前24時間に、トリチエーションされたグルコサミン(D−[6−H]−グルコサミン、1.37Tbq/ミリモル、37Ci/ミリモル、33μCi/ml)を培養物に加える。グルコサミノグリカン抽出をDE培養上澄み液(分泌された/可溶性部分)に対して、実際のDE類内で、粉砕により(抽出された部分)、または線維芽細胞培養物内でカオトロピック緩衝液(50mMのトリス/HCl、4Mのグアニジン、5mMのEDTA、pH8.0)を用いて、行う。精製はイオン交換クロマトグラフィー、すなわち高緊縮条件下でのQ−セファロースビーズ上のアニオン性分子の吸着、6Mのウレアおよび0.2MのNaClを用いるわずかなおよび中程度のアニオン性の分子の脱着、並びに洗浄、により行われる。担体(主としてGAG類、2MのNaClで溶離された)上に残存する非常にカチオン性の分子に導入された放射活性の測定は液体シンチレーションにより行われる。結果は対照と比べたグリコサミノグリカン合成における百分率変動として表示される。複合比較用のダネット試験(Dunnett‘s test)を用いる変種(アノーバ(ANOVA))の分析により集団間比較を行った。
【0064】
対比生成物であるTGF−ベータ(10ng/ml)はGAG部分中へのグルコサミンの導入を大きく刺激した(対照と比べて4の因数による刺激)。この結果は検定を確認する。
【0065】
この検定の実験条件下で、1%で試験された、インド・カイガラサルビアの抽出物(JVEG203A)およびヨモギキクの抽出物(JVEG681A)は線維芽細胞により合成されたGAG類の部分へのグルコサミンの導入を刺激した(それぞれ、無処置対照の154%および143%、p<0.01)。
【0066】
表2:インビトロ培養中のヒト真皮線維芽細胞により合成されたGAG類の部分へのH−グルコサミンの導入に対する種々の処置の効果。
【表2】

【0067】
可溶性部分
対比生成物TGF−ベータは真皮同等物の可溶性であり且つ分泌されたGAG部分へのグルコサミンの導入を大きく刺激した(対照と比べて3の因数による刺激)。この結果は検定を確認する。
【0068】
この検定の実験条件下で、1%で試験された、生成物であるヨモギキクの抽出物(JVEG681A)およびトウグワの抽出物(JEVG022A)は真皮同等物の可溶性であり且つ分泌された部分へのグルコサミンの導入を有意に刺激した(それぞれ、210%、p<0.01および149%、p<0.05)。インド・カイガラサルビアの抽出物(JVEG203A)もDE類の可溶性GAG部分へのグルコサミンの導入を増加させることができた(対照の140%)。
【0069】
抽出された部分
TGE−ベータは真皮同等物から抽出されたGAG部分へのグルコサミンの導入を刺激したが、可溶性部分内より穏やかであった(対照と比べて1.6の因数による刺激)。この結果は検定を確認する。
【0070】
検定の実験条件下で、1%で試験された、生成物であるヨモギキクの抽出物(JVEG681A)は真皮同等物の抽出された部分中へのグルコサミンの導入を有意に刺激した(対照の150%、p<0.01)。TGF−ベータに関するように、この刺激は可溶性部分内より弱い。
【0071】
表3および4:真皮同等物の線維芽細胞により合成されたGAG類の部分中へのグルコサミンの導入に対する種々の処置の効果(以下で、可溶性部分、表3、および抽出された部分、表4)。
【表3】

【0072】
実施例8:インビボ試験
この試験の目的は、別個の適用後30分および1日1回使用後の1ヶ月間にわたる、引き締まり性および弾性に対する本発明の生成物の効果を評価することである。皮膚の生機能性質に対する効果を、皮膚表面上の大きな対象の反動の動態記録に基づく技術であるバ
リストメーターにより評価する。
【0073】
3秒間にわたり記録された誘発された反動を次に電気信号に翻訳し、それらを振幅により定量化しそして評価することができる。測定されたパラメーターは下記のものである:−皮膚の引き締まり性を測定する窪み(最初の衝撃に関する皮膚内へのプローブの侵入)、窪みが減少するなら、引き締まり性がある。
−曲線下の面積が回復されたエネルギーを測定する。後者は皮膚の弾性および引き締まり性の両者により影響を受け、面積内における減少が引き締まり性に相当する。
−弾性に関連する反動が消える速度を示す反動の吸収度であるアルファ:アルファが増加する場合には、弾性が減少する。
【0074】
2種の調合物(クリームおよび漿液)を通常の使用条件下での1ヶ月間にわたる顔全体への1日2回適用により評価し、各調合物を45〜75歳の20人の女性志願者に対して試験した。クリームは1%のインド・カイガラサルビアの抽出物および1%のヨモギキクの抽出物を含有するO/Wエマルジョンであり、漿液は1.5%のインド・カイガラサルビアの抽出物および1.5%のヨモギキクの抽出物を含有する乳化されたゲルであった。
【0075】
皮膚の生機能性質の分析は、平均して志願者全てに対して、1ヶ月間にわたるクリームまたは漿液の1日2回使用後に、それぞれ12%および7%の窪み(最初の衝撃に関する皮膚内へのプローブの侵入)における有意な減少を示した。この観察は、本発明の生成物の局所適用後の皮膚の引き締まり性における有意な改良を示す。より具体的には、クリームに関して、下記のことが観察される:
・志願者の86%で測定された窪みにおける改良、後者における16%の改良(最大値:−37%)。
・アルファ計数は62%ほど有意に増加しそして曲線下の面積は32%ほど有意に減少する:これらの2つのパラメーターは窪みに関連しておりそしてその結果として引き締まり効果を確認する。
1ヶ月間にわたるクリームの1日2回使用後に、図6に示されているように、皮膚は12%ほど有意に引き締まる。
【0076】
より具体的には、漿液に関して、下記のことが観察される:
・志願者の71%で測定された窪みにおける改良、後者における13%の改良(最大値:−31%)。
・アルファ計数は8%ほど有意に増加しそして曲線下の面積は18%ほど有意に減少し、これらも皮膚の引き締まりがあることを確認する。
1ヶ月間にわたる漿液の1日2回使用後に、図7に示されているように、皮膚は7%ほど有意に引き締まる。
【0077】
実施例9:HAS2合成の刺激に関して選択された分子の炎症能力の不存在の評価:
レチノイン酸とは異なり、HAS2合成を刺激するために選択された分子であるTNF−アルファおよびIL1は化粧品用途に不適切な前−炎症性機構を含まない。それ故、実施例6の条件下でのインド・カイガラサルビアの抽出物の使用は、線維芽細胞培養物上で、HAS2を刺激しうるが、同時にHAS2を刺激することが知られている前−炎症性サイトカイン類、例えばIL1、TNFaまたはTGFβ(実施例6の陽性対照)の合成を刺激しない(接触後48時間の線維芽細胞培養上澄み液に対する検定)。
【表4】

【0078】
それ故、実施例5の条件下でのヨモギキクの抽出物の使用は、線維芽細胞培養物上で、HAS2を刺激しうるが、同時にHAS2を刺激することが知られている前−炎症性サイトカイン類、例えばIL1、TNFaまたはTGFβ(実施例5の陽性対照)の合成を刺激しない(接触後48時間の線維芽細胞培養上澄み液に対する検定)。
【表5】

【0079】
それ故、実施例1の条件下でのハウチワマメの抽出物の使用は、線維芽細胞培養物上で、HAS2を刺激しうるが、同時にHAS2を刺激することが知られている前−炎症性サイトカイン類、例えばIL1、TNFaまたはTGFβ(実施例1〜7の陽性対照)の合成を刺激しない(接触後48時間の線維芽細胞培養上澄み液に対する検定)。
【表6】

【0080】
実施例10:水中油型エマルジョンタイプの化粧品または製薬学的調合物中の本発明の生成物の使用:
調合物a:O/Wエマルジョン
A 水 100にする量
ブチレングリコール 2
グリセロール 3
燐酸ナトリウムジヒドロキシセチル、 2
イソプロピルヒドロキシセチルエーテル

B ステアリン酸グリコールSE 14
トリイソノナオイン 5
オクチルココエート 6

C ブチレングリコール、 2
メチルパラベン、
エチルパラベン、
プロピルパラベン、
5.5に調節されたpH

D 本発明の生成物 0.01−10%

調合物b:O/Wエマルジョン
A 水 100にする量
ブチレングリコール 2
グリセロール 3
ポリアクリルアミド、 2.8
イソパラフィン、ラウレス−7

B ブチレングリコール、 2.5
メチルパラベン、
エチルパラベン、
プロピルパラベン; 2
フェノキシエタノール、
メチルパラベン、
プロピルパラベン、
ブチルパラベン、
エチルパラベン

D 本発明の生成物 0.01−10%

調合物c:O/Wエマルジョン
A カルボマー 0.50
プロピレングリコール 3
グリセロール 5
水 100にする量

B オクチルココエート 5
ビサボロール 0.30
ジメチコーン 0.30

C 水酸化ナトリウム 1.60

D フェノキシエタノール、 0.50
メチルパラベン、
プロピルパラベン、
ブチルパラベン、エチルパラベン、

E 香料 0.30

F 本発明の生成物 0.01−10%
【0081】
実施例11:油中水型の調合物中の本発明の生成物の使用:
A ステアリン酸ジポリヒドロキシPEG−30 3
カプリン酸トリグリセリド類 3
オクタン酸セテアリル 4
アジピン酸ジブチル 3
ブドウ種油 1.5
ホホバ油 1.5
フェノキシエタノール、 0.5
メチルパラベン、
プロピルパラベン、
ブチルパラベン、エチルパラベン

B グリセロール 3
ブチレングリコール 3
硫酸マグネシウム 0.5
EDTA 0.05
水 100にする量

C シクロメチコーン 1
ジメチコーン 1

D 香料 0.3

E 本発明の生成物 0.01−10%
【0082】
実施例12:シャンプーまたはシャワーゲルタイプの調合物中の本発明の生成物の使用:A キサンタンゴム 0.8
水 100にする量

B ブチレングリコール、 0.5
メチルパラベン、
エチルパラベン、プロピルパラベン
フェノキシエタノール、 0.5
メチルパラベン、
プロピルパラベン、
ブチルパラベン、エチルパラベン

C クエン酸 0.8

D ラウレス硫酸ナトリウム 40.0

E 本発明の生成物 0.01−10%
【0083】
実施例13:口紅タイプおよび他の無水製品の調合物中の本発明の生成物の使用:
A 鉱油 17.0
イソステアリン酸イソステアリル 31.5
ジペラルゴン酸プロピレングリコール 2.6
イソステアリン酸プロピレングリコール 1.7
PEG−8蜜蝋 3.0
水素化されたヤシ仁油グリセリド類、 3.4
水素化されたヤシグリセリド類
ラノリン油 3.4
ゴマ油 1.7
乳酸セチル 1.7
鉱油、ラノリンアルコール 3.0

B ひまし油 100にする量
二酸化チタン 3.9
CI 15850:1 0.616
CI 45410:1 0.256
CI 19140:1 0.048
CI 77491 2.048

C 本発明の生成物 0.01−5%
【0084】
実施例14:水性ゲル調合物(目の周りの領域、スリミングなど)中の本発明の生成物の使用:
A 水 100にする量
カルボマー 0.5
ブチレングリコール 15
フェノキシエタノール、メチルパラベン、 0.5
プロピルパラベン、ブチルパラベン、
エチルパラベン

B 本発明の生成物 0.01−10%

【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】図1はトウグワの抽出物を用いるHAS2刺激のグラフ表示である。
【図2】図2はマオウの抽出物を用いるHAS2刺激のグラフ表示である。
【図3】図3はガラナの抽出物を用いるHAS2刺激のグラフ表示である。
【図4】図4はヨモギキクの抽出物を用いるHAS2刺激のグラフ表示である。
【図5】図5はインド・カイガラサルビアの抽出物を用いるHAS2刺激のグラフ表示である。
【図6】図6はインド・カイガラサルビアの抽出物およびヨモギキクの抽出物を含んでなるクリームの1ヶ月間にわたる使用後の皮膚の引き締まり性における変化のグラフである。
【図7】図7はインド・カイガラサルビアの抽出物およびヨモギキクの抽出物を含んでなる漿液の1ヶ月間にわたる使用後の皮膚の引き締まり性における変化のグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)有効量の、ガラナ(Paullinia cupana)、オトギリソウ(Hypericum hircinum)、竹(Bambusa vulgaris)、ヤエナリ(Phaseolus aureus)、スグリ(Ribes uva−crispa)、ナギイカダ(Ruscus aculeatus)、ソラマネ(Vicia faba equina)、エンドウマメ(Pisum sativum)、ルピナス(Lupinus angustifolius)、マオウ(Ephedra sinica)、ヨモギキク(Tanacetum vulgare)、インド・カイガラサルビア(Alpinia galanga)、トウグワ(Morus alba)、ジェーオウブリー(J‘oublie)(Pentadiplandra brazzeana)、およびそれらの混合物よりなる群から選択される少なくとも1種の刺激剤、並びに
(b)皮膚学的に許容可能な担体
を含んでなる組成物を皮膚組織に局所的に適用する段階を含んでなる、皮膚組織の線維芽細胞中のヒアルロナン・シンセターゼ2(HAS2)の発現および/または活性を刺激する方法。
【請求項2】
刺激剤がトウグワ(Morus alba)の抽出物、マオウ(Ephedra sinica)の抽出物、ガラナ(Paullinia cupana)の抽出物、ヨモギキク(Tanacetum vulgare)の抽出物、インド・カイガラサルビア(Alpinia galanga)の抽出物、ジェーオウブリー(Pentadiplandra brazzeana)の抽出物、またはそれらの混合物よりなる群から選択される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
刺激剤の有効量が合計組成物の0.001〜20重量%間の量である請求項1に記載の方法。
【請求項4】
皮膚内で引き締まり性(firmness)および/または弾性および/または組織水分付与性を改良し、並びに/或いは皮膚障壁効果を増加し、並びに/或いは組織回復力を増加し、或いは脈管形成または血液毛管の新形成を調節し、並びに/或いは治癒および/または細胞の増殖、泳動もしくは分化および/または皮膚萎縮を改良することが意図される、並びに/或いは皮膚上の老化の影響を減じ、そして特に老化の過程で観察される皮膚の引き締まり性の損失、および/または萎縮瘢痕および/または老化の過程で観察される萎縮した皮膚組織を減じ、特に真皮萎縮を減ずることが意図される化粧品組成物中の活性成分としての有効量の少なくとも1種の植物抽出物の使用であって、該植物抽出物がガラナ(Paullinia cupana)、オトギリソウ(Hypericum hircinum)、竹(Bambusa vulgaris)、ヤエナリ(Phaseolus aureus)、スグリ(Ribes uva−crispa)、ナギイカダ(Ruscus aculeatus)、ソラマネ(Vicia faba equina)、エンドウマメ(Pisum sativum)、ルピナス(Lupinus angustifolius)、マオウ(Ephedra sinica)、ヨモギキク(Tanacetum vulgare)、インド・カイガラサルビア(Alpinia galanga)、トウグワ(Morus alba)、ジェーオウブリー(Pentadiplandra brazzeana)、およびそれらの混合物よりなる群から選択される使用。
【請求項5】
(a)有効量のヒアルロナン・シンセターゼの発現または活性を刺激可能な、ガラナ(Paullinia cupana)、オトギリソウ(Hypericum hircinum)、竹(Bambusa vulgaris)、ヤエナリ(Phaseolus aureus)、スグリ(Ribes uva−crispa)、ナギイカダ(Rusc
us aculeatus)、ソラマネ(Vicia faba equina)、エンドウマメ(Pisum sativum)、ルピナス(Lupinus angustifolius)、マオウ(Ephedra sinica)、ヨモギキク(Tanacetum vulgare)、インド・カイガラサルビア(Alpinia galanga)、トウグワ(Morus alba)、ジェーオウブリー(Pentadiplandra brazzeana)、およびそれらの混合物よりなる群から選択される少なくとも1種の植物抽出物、並びに
(b)少なくとも1種の化粧品的に許容可能な賦形剤
を含んでなる局所化粧品組成物。
【請求項6】
組成物が少なくとも1種の追加の活性な化粧品成分をさらに含んでなる請求項4に記載の局所化粧品組成物。
【請求項7】
組成物が水性もしくは油性溶液、グリームまたは水性ゲルもしくは油性ゲル、シャンプー、ミルク、エマルジョン、マイクロエマルジョンもしくはナノエマルジョン、ローション、エーロゾル、およびアンプル、漿液、液体石鹸、皮膚クレンジングバー、軟膏、ムース、或いは無水スティックよりなる群から選択される形態に調合される請求項4に記載の局所化粧品組成物。
【請求項8】
植物抽出物の量が合計組成物の0.001〜20重量%間である請求項4に記載の局所化粧品組成物。
【請求項9】
植物抽出物の量が合計組成物の0.001〜10重量%間である請求項7に記載の局所化粧品組成物。
【請求項10】
植物抽出物の量が合計組成物の0.01〜10重量%間である請求項8に記載の局所化粧品組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−137884(P2007−137884A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−311979(P2006−311979)
【出願日】平成18年11月17日(2006.11.17)
【出願人】(506057214)エンゲルハード・リヨン・ソシエテ・アノニム (4)
【出願人】(506386527)
【Fターム(参考)】