説明

III族窒化物半導体発光素子の製造方法およびIII族窒化物半導体発光素子、ランプ、電子機器、機械装置

【課題】高電流通電時の電流の集中や光の吸収や多重反射を防ぐ補助電極を形成することにより、光の透過率と発光出力と信頼性に優れたIII族窒化物半導体発光素子の製造方法を提供する。
【解決手段】基板上にn型半導体層、発光層及びp型半導体層を順次積層する工程と、前記p型半導体層上に、絶縁層と、p型パッド部及び前記p型パッド部から伸びた線状のp型補助電極部を有する金属からなるp型電極層と、を形成する工程と、前記p型半導体層及び前記p型電極層を覆うように透光性電極を形成する工程と、前記透光性電極上の前記p型電極層の前記p型パッド部に重なる位置に、前記p型ボンディングパッド電極を形成する工程と、を具備してなることを特徴とするIII族窒化物半導体発光素子の製造方法を採用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、III族窒化物半導体発光素子の製造方法およびIII族窒化物半導体発光素子、ランプ、電子機器、機械装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、発光ダイオードに用いられるIII族窒化物半導体発光素子として、サファイア単結晶からなる基板上に、III族窒化物半導体からなるn型半導体層、発光層、p型半導体層が積層してなるものが知られている。一般的にこのようなIII族窒化物半導体発光素子は、p型半導体層上に透光性電極と正極(p型ボンディングパッド電極)が形成され、n型半導体層上に負極(n型ボンディングパッド電極)が形成されている。また、このような構成のIII族窒化物半導体発光素子は、p型半導体層側から光を取り出すように構成されている。
【0003】
上述のようなIII族窒化物半導体発光素子としては、p型ボンディングパッド電極と透光性電極との間に絶縁層が設けられたものが知られている(特許文献1、2)。特許文献1、2に記載のIII族窒化物半導体発光素子によれば、p型ボンディングパッド電極に対応する位置に絶縁層を設けることにより、p型ボンディングパッド電極直下への電流の集中が抑制され、透光性電極への電流拡散が促進するとされている。また、p型ボンディングパッド電極付近への発光集中を防ぐ方法として、線状の補助電極を、p型ボンディングパッド電極から透光性電極上に延在させる方法も知られている(特許文献2)。また、光の拡散効果をさらに高めるために、絶縁層を補助電極下に対応する位置に形成する方法も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−250769号公報
【特許文献2】特開2008−192710号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、p型半導体層上に絶縁層を形成し、絶縁層上に透光性電極を形成し、さらに、透光性電極上に、絶縁層と重なる位置になるように補助電極を形成すると、補助電極の絶縁層側の面で光が反射し、光の取り出し効率が低下する。また、補助電極を有するIII族窒化物半導体発光素子は、補助電極に電圧が集中して、補助電極周囲の透光性電極に焦げや孔が発生しやすい。特に、大型のIII族窒化物半導体発光素子に上記構成を適用した場合、p型ボンディングパッド電極とn型ボンディングパッド電極との間隔が大きくなるため、この問題は特に顕著に現れる。
【0006】
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、電流の集中や光の反射を防ぐ補助電極を形成することにより、光の取り出し効率と発光出力と信頼性に優れたIII族窒化物半導体発光素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
〔1〕 基板上にn型半導体層、発光層及びp型半導体層を順次積層する工程と、前記p型半導体層上に、絶縁層と、p型パッド部及び前記p型パッド部から伸びた線状のp型補助電極部を有する金属からなるp型電極層と、を形成する工程と、前記p型半導体層及び前記p型電極層を覆うように透光性電極を形成する工程と、前記透光性電極上の前記p型電極層の前記p型パッド部に重なる位置に、前記p型ボンディングパッド電極を形成する工程と、を具備してなることを特徴とするIII族窒化物半導体発光素子の製造方法。
〔2〕 前記絶縁層が、アモルファス相を主体とする膜からなることを特徴とする〔1〕に記載のIII族窒化物半導体発光素子の製造方法。
〔3〕 前記p型ボンディングパッド電極を形成する工程において、前記p型パッド部上の前記透光性電極層に貫通孔を設けた後に、前記貫通孔を充填するように前記p型ボンディングパッド電極を形成することにより、前記p型ボンディングパッド電極と前記p型パッド部とを接合することを特徴とする〔1〕または〔2〕に記載のIII族窒化物半導体発光素子の製造方法。
〔4〕 前記p型電極層を、5nm〜30nmの膜厚で形成することを特徴とする〔1〕乃至〔3〕のいずれか一項に記載のIII族窒化物半導体発光素子の製造方法。
〔5〕 前記絶縁層を、2nm〜100nmの膜厚で形成することを特徴とする〔1〕乃至〔4〕のいずれか一項に記載のIII族窒化物半導体発光素子の製造方法。
〔6〕 前記p型電極層を、前記絶縁層よりも0nm〜2000nm小さい幅で形成することを特徴とする〔1〕乃至〔5〕のいずれか一項に記載のIII族窒化物半導体発光素子の製造方法。
〔7〕 前記p型電極層が、Rh,Pd、Pt、Au,Ta,Nb、Ni,Ti,Cu及びHfからなる群から選ばれた少なくとも1種からなることを特徴とする〔1〕乃至〔6〕のいずれか一項に記載のIII族窒化物半導体発光素子の製造方法。
〔8〕 前記絶縁層が、酸化シリコンからなることを特徴とする〔1〕乃至〔7〕のいずれか一項に記載のIII族窒化物半導体発光素子の製造方法。
〔9〕 n型半導体層、発光層及びp型半導体層が順次積層されてなる積層半導体層と、前記p型半導体層上に配置され、p型パッド部及び前記p型パッド部から伸びた線状のp型補助電極部を有する金属からなるp型電極層と、前記p型電極層と前記p型半導体層との間に配置された絶縁層と、前記p型半導体層及び前記p型電極層を覆う透光性電極と、前記透光性電極上であって前記p型電極層の前記p型パッド部に重なる位置に形成されたp型ボンディングパッド電極と、を具備してなることを特徴とするIII族窒化物半導体発光素子。
〔10〕 前記絶縁層が、アモルファス相を主体とする膜からなることを特徴とする〔9〕に記載のIII族窒化物半導体発光素子。
〔11〕 前記p型パッド部上の前記透光性電極層に貫通孔が設けられ、前記貫通孔に前記p型ボンディングパッド電極が挿入され、前記p型ボンディングパッド電極と前記p型パッド部とが接合されていることを特徴とする〔9〕または〔10〕に記載のIII族窒化物半導体発光素子。
〔12〕 前記p型電極層が、5nm〜30nmの膜厚で形成されていることを特徴とする〔9〕乃至〔11〕のいずれか一項に記載のIII族窒化物半導体発光素子。
〔13〕 前記絶縁層が、2nm〜100nmの膜厚で形成されていることを特徴とする〔9〕乃至〔12〕のいずれか一項に記載のIII族窒化物半導体発光素子。
〔14〕 前記p型補助電極部が、前記絶縁層よりも0nm〜2000nm小さい幅で形成されていることを特徴とする〔9〕乃至〔13〕のいずれか一項に記載のIII族窒化物半導体発光素子。
〔15〕 前記p型電極層がRh,Pd、Pt、Au,Ta,Nb、Ni,Ti,Cu及びHfからなる群から選ばれた少なくとも1種からなることを特徴とする〔9〕乃至〔14〕のいずれか一項に記載のIII族窒化物半導体発光素子。
〔16〕 前記絶縁層が酸化シリコンからなることを特徴とする〔9〕乃至〔15〕のいずれか一項に記載のIII族窒化物半導体発光素子。
〔17〕 〔9〕乃至〔16〕のいずれか一項に記載のIII族窒化物半導体発光素子を備えることを特徴とするランプ。
〔18〕 〔17〕に記載のランプが組み込まれていることを特徴とする電子機器。
〔19〕 〔18〕に記載の電子機器が組み込まれていることを特徴とする機械装置。
【発明の効果】
【0008】
本発明のIII族窒化物半導体発光素子によれば、p型電極層とp型半導体層との間に絶縁層が配置されることで、積層半導体層の発光層から発した光は、p型電極層に直接当たらず、絶縁層に反射されて積層半導体層に戻るか、透光性電極を透過して外部に放射される。これにより、光の取り出し効率が大幅に高められる。p型電極層とp型半導体層との間に絶縁層が配置されていない場合、積層半導体層の発光層から発した光がp型電極層に当たると、光はp型半導体層とp型電極層との界面において吸収され、光取り出し効率が大幅に低下するおそれがあるが、本発明ではこのような不具合は生じない。
また、電流は主として、p型パッド、p型電極層、透光性電極、p型半導体層の経路を流れるが、p型電極層とp型半導体層との間に絶縁層が配置されることにより、p型電極層からp型半導体層に直接電流が流れずに、p型電極層を覆う透光性電極を介してp型半導体層に電流が流れる。これにより、電流の集中が起こりにくく、p型半導体層の焼き付きを防止できる。このため、焦げや孔がp型半導体層に発生することを防止できる。さらには、p型電極層が金属で構成されるので、線状のp型補助電極部にも十分に電流が流れ、電流の集中を抑制できる。
以上により、III族窒化物半導体発光素子の光取り出し効率と信頼性を向上することができる。
【0009】
本発明のIII族窒化物半導体発光素子の製造方法によれば、絶縁層とp型電極層をp型半導体層上に同じ工程で形成することにより、p型ボンディングパッド電極よりも膜厚が薄いp型電極層を、工程数を増やすことなく形成できる。
以上により、補助電極を有するIII族窒化物半導体発光素子の製造効率を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明のIII族窒化物半導体発光素子の製造方法を用いて製造されたIII族窒化物半導体発光素子の一例を示した断面模式図である。
【図2】図2は、本発明のIII族窒化物半導体発光素子の製造方法を用いて製造されたIII族窒化物半導体発光素子の一例を示した平面模式図である。
【図3】図3は、本発明のIII族窒化物半導体発光素子の製造方法を用いて製造されたIII族窒化物半導体発光素子の一例を示した平面模式図である。
【図4】図4は、図1に示すIII族窒化物半導体発光素子を製造する工程を説明するための断面模式図である。
【図5】図5は、図1に示したIII族窒化物半導体発光素子を備えるランプの一例を示した断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明のIII族窒化物半導体発光素子1について、図1を用いて詳細に説明する。なお、以下の説明において参照する図面は、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などは実際と同じであるとは限らない。また、以下の説明において例示される材料、寸法等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
【0012】
図1は、本発明のIII族窒化物半導体発光素子1の一例を示した断面模式図である。
図1に示す本実施形態のIII族窒化物半導体発光素子1は、基板11と、基板11上に積層された積層半導体層20と、積層半導体層20の上面に積層された透光性電極15と、透光性電極15上に積層されたp型ボンディングパッド電極16と、積層半導体層20の露出面20a上に積層されたn型電極17と、から概略構成されている。
【0013】
積層半導体層20は、基板11側から、n型半導体層12、発光層13、p型半導体層14がこの順に積層されて構成されている。図1に示すように、n型半導体層12、発光層13、p型半導体層14は、その一部がエッチング等の手段によって除去されており、除去された部分からn型半導体層12の一部が露出されている。そして、n型半導体層12の露出面20aには、n型電極17が積層されている。
また、絶縁層5とp型電極層40とが、p型半導体層14上に積層されている。さらに、透光性電極15が、p型半導体層14およびp型電極層40を覆うように形成されている。また、p型ボンディングパッド電極16が透光性電極15上に形成されている。また、透光性電極15およびp型ボンディングパッド電極16によって、p型電極18が構成されている。
【0014】
n型半導体層12、発光層13およびp型半導体層14を構成する半導体としては、III族窒化物半導体を用いることが好ましく、窒化ガリウム系化合物半導体を用いることがより好ましい。本発明におけるn型半導体層12、発光層13およびp型半導体層14を構成する窒化ガリウム系化合物半導体としては、一般式AlInGa1−x−yN(0≦x<1,0≦y<1,0≦x+y<1)で表わされる各種組成の半導体を何ら制限なく用いることができる。
【0015】
本実施形態のIII族窒化物半導体発光素子1は、p型電極18とn型電極17との間に電流を通じることで、積層半導体層20を構成する発光層13から発光を発せられるようになっており、発光層13からの光を、p型ボンディングパッド電極16の形成された側から取り出すフェイスアップマウント型の発光素子である。なお、本発明のIII族窒化物半導体発光素子は、フリップチップ型の発光素子であってもよい。
以下、それぞれの構成について詳細に説明する。
【0016】
<基板11>
基板11としては、例えば、サファイア、SiC、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化マンガン、酸化ジルコニウム、酸化マンガン亜鉛鉄、酸化マグネシウムアルミニウム、ホウ化ジルコニウム、酸化ガリウム、酸化インジウム、酸化リチウムガリウム、酸化リチウムアルミニウム、酸化ネオジウムガリウム、酸化ランタンストロンチウムアルミニウムタンタル、酸化ストロンチウムチタン、酸化チタン、酸化ハフニウム、酸化タングステン、酸化モリブデン等からなる基板を用いることができる。上記基板の中でも、特に、c面を主面とするサファイア基板を用いることが好ましい。
【0017】
(バッファ層21)
バッファ層21は、設けられていなくてもよいが、基板11と下地層22との格子定数の違いを緩和して、基板11の(0001)C面上にC軸配向した単結晶層の形成を容易にするために、設けられていることが好ましい。
【0018】
バッファ層21は、単結晶のAlGa1−xN(0≦x≦1)からなるものが特に好ましいが、多結晶のAlGa1−xN(0≦x≦1)からなるものであってもかまわない。
バッファ層21は、例えば、単結晶のAlGa1−xN(0≦x≦1)からなる厚さ0.01μm〜0.5μmのものとすることができる。バッファ層21の膜厚が0.01μm未満であると、バッファ層21により基板11と下地層22との格子定数の違い緩和する効果が十分に得られない場合がある。また、バッファ層21の膜厚が0.5μmを超えると、バッファ層21としての機能には変化が無いのにも関わらず、バッファ層21の成膜処理時間が長くなり、生産性が低下する問題がある。
【0019】
このような多結晶構造又は単結晶構造を有するバッファ層21を基板11上にMOCVD法またはスパッタ法にて成膜した場合、バッファ層21のバッファ機能が有効に作用するため、その上に成膜されたIII族窒化物半導体は良好な配向性及び結晶性を有する結晶膜となる。
【0020】
(下地層22)
下地層22の材料としては、AlGa1−xN(0≦x<1)を用いると結晶性の良い下地層22を形成できるため特に好ましいが、AlGaInN(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、x+y+z=1)を用いてもかまわない。
下地層22の膜厚は0.1μm以上であることが好ましく、より好ましくは0.5μm以上であり、1μm以上が最も好ましい。この膜厚以上にした方が結晶性の良好なAlGa1−xN層が得られやすい。また、下地層22の膜厚は10μm以下が好ましい。
下地層22の結晶性を良くするために、下地層22には不純物をドーピングしない方が望ましい。しかし、p型あるいはn型の導電性が必要な場合には、下地層22にアクセプター不純物あるいはドナー不純物を添加することができる。
【0021】
<積層半導体層20>
(n型半導体層12)
n型半導体層12はさらに、nコンタクト層12aと、nクラッド層12bから構成されている。
【0022】
(nコンタクト層12a)
nコンタクト層12aは、n型電極17を設けるための層であり、図1に示すように、n型電極17を設けるための露出面20aが一部に形成されている。
nコンタクト層12aの膜厚は、0.5〜5μmであることが好ましく、2μm〜4μmの範囲であることがより好ましい。nコンタクト層12aの膜厚が上記範囲内であると、半導体の結晶性が良好に維持される。
【0023】
nコンタクト層12aは、AlGa1−xN層(0≦x<1、好ましくは0≦x≦0.5、さらに好ましくは0≦x≦0.1)から構成されることが好ましく、n型不純物(ドーパント)がドープされている。nコンタクト層12aにn型不純物が1×1017〜1×1020/cm、好ましくは1×1018〜1×1019/cmの濃度で含有されている場合、n型電極17との良好なオーミック接触の維持の点で好ましい。nコンタクト層12aに用いられるn型不純物としては、特に限定されないが、例えば、Si、Ge、Sn等が挙げられ、SiおよびGeが好ましく、Siが最も好ましい。なお、本実施形態ではn型不純物(ドーパント)として5×1018/cm程度のSiが含有されている。
【0024】
nクラッド層12bは、nコンタクト層12aと発光層13との間に設けられている。nクラッド層12bは、発光層13へのキャリアの注入とキャリアの閉じ込めを行なう層であり、nコンタクト層12aと発光層13との結晶格子の不整合を緩和する発光層13のバッファ層としても機能する。また、nクラッド層12bはAlGaN、GaN、GaInNなどで形成することが可能である。なお、明細書中各元素の組成比を省略してAlGaN、GaInNと記述する場合がある。
【0025】
nクラッド層12bは、単層または超格子構造のどちらの構造であっても構わない。nクラッド層12bが単層からなるものである場合、nクラッド層12bの膜厚は、5nm〜500nmであることが好ましく、より好ましくは5nm〜100nmである。
【0026】
本実施形態においては、nクラッド層12bは、単層であってもよいが、組成の異なる2つの薄膜層を繰り返し成長させて10ペア数(20層)〜40ペア数(80層)からなる超格子構造であることが好ましい。nクラッド層12bが超格子構造からなるものである場合、薄膜層の積層数が20層以上であると、nコンタクト層12aと発光層13との結晶格子の不整合をより効果的に緩和することができ、III族窒化物半導体発光素子1の出力を向上させる効果がより顕著となる。しかし、薄膜層の積層数が80層を超えると、超格子構造が乱れやすくなる場合もあり、発光層13に悪影響を来たす恐れが生じる。さらに、nクラッド層12bの成膜処理時間が長くなり、生産性が低下する問題がある。
【0027】
<発光層13>
発光層13は、障壁層13aと井戸層13bとが交互に複数積層された多重量子井戸構造からなる。また、多重量子井戸構造における積層数は3層から10層であることが好ましく、4層から7層であることがさらに好ましい
【0028】
(井戸層13b)
井戸層13bの膜厚は、15オングストローム以上50オングストローム以下の範囲であることが好ましい。井戸層13bの膜厚が上記範囲内であることにより、より高い発光出力を得ることができる。
また、井戸層13bは、Inを含む窒化ガリウム系化合物半導体であることが好ましい。Inを含む窒化ガリウム系化合物半導体は、青色の波長領域の強い光を発光するものであるため、好ましい。また、井戸層13bには、不純物をドープすることができる。また、本実施形態におけるドーパントとしてはSiを用いることが好ましい。ドープ量は1×1016cm−3〜1×1017cm−3程度が好適である。
【0029】
(障壁層13a)
障壁層13aの膜厚は、20オングストローム以上100オングストローム未満の範囲であることが好ましい。障壁層13aの膜厚が薄すぎると、障壁層13a上面の平坦化を阻害し、光の取り出し効率の低下やエージング特性の低下を引き起こす。また、障壁層13aの膜厚が厚すぎると、駆動電圧の上昇や発光の低下を引き起こす。このため、障壁層13aの膜厚は70オングストローム以下であることがより好ましい。
また、障壁層13aは、GaNやAlGaNのほか、井戸層を構成するInGaNよりもIn比率の小さいInGaNで形成することができる。中でも、GaNが好適である。また、障壁層13aには、不純物をドープすることができる。本実施形態におけるドーパントとしてはSiを用いることが好ましい。ドープ量は1×1017cm−3〜1×1018cm−3程度が好適である。
【0030】
<p型半導体層14>
p型半導体層14は、通常、pクラッド層14aおよびpコンタクト層14bから構成される。また、pコンタクト層14bがpクラッド層14aを兼ねることも可能である。
【0031】
(pクラッド層14a)
本実施形態におけるpクラッド層14aは、発光層13の上に形成されている。pクラッド層14aは、発光層13へのキャリアの閉じ込めとキャリアの注入を行なう層である。pクラッド層14aとしては、発光層13のバンドギャップエネルギーより大きくなる組成であり、発光層13へのキャリアの閉じ込めができるものであれば特に限定されないが、AlGa1−xN(0≦x≦0.4)からなるものであることが好ましい。pクラッド層14aが、このようなAlGaNからなるものである場合、発光層13へのキャリアの閉じ込めの点で好ましい。
【0032】
pクラッド層14aの膜厚は、特に限定されないが、好ましくは1〜400nmであり、より好ましくは5〜100nmである。pクラッド層14aのp型ドープ濃度は、1×1018〜1×1021/cmであることが好ましく、より好ましくは1×1019〜1×1020/cmである。p型ドープ濃度が上記範囲であると、結晶性を低下させることなく良好なp型結晶が得られる。また、pクラッド層14aは、薄膜を複数回積層してなる超格子構造であってもよい。
【0033】
pクラッド層14aが超格子構造を含むものである場合には、III族窒化物半導体からなるp型第一層と、該p型第一層と組成が異なるIII族窒化物半導体からなるp型第二層とが積層されたものとすることができる。pクラッド層14aが超格子構造を含むものである場合、p型第一層とp型第二層とが交互に繰返し積層された構造を含んだものであっても良い。
【0034】
(pコンタクト層14b)
pコンタクト層14bは、正極を設けるための層である。pコンタクト層14bは、AlGa1−xN(0≦x≦0.4)からなるものであることが、良好な結晶性の維持およびpオーミック電極との良好なオーミック接触の点で好ましい。また、pコンタクト層14bがp型不純物(ドーパント)を1×1018〜1×1021/cmを5×1019〜5×1020/cmの濃度で含有しているものである場合、良好なオーミック接触の維持、クラック発生の防止、良好な結晶性の維持の点で好ましい。p型不純物としては、特に限定されないが、例えばMgを用いることが特に好ましい。
【0035】
また、pコンタクト層14bの膜厚は、特に限定されないが、10〜500nmであることが好ましく、より好ましくは50〜200nmである。pコンタクト層14bの膜厚がこの範囲であると、発光出力の点で好ましい。
【0036】
<n型電極17>
n型電極17は、ボンディングパットを兼ねており、積層半導体層20の一部が露出された露出面20aに接するように形成されている。このため、n型電極17を形成する際には、少なくともp半導体層14および発光層13の一部を除去してn型半導体層12を露出させ、n型半導体層12の露出面20a上にボンディングパッドを兼ねるn型電極17を形成する。また、n型電極17は、後述するp型ボンディングパッド電極16およびp型パッド部40aと対向する位置に配置されている。n型電極17としては、各種組成や構造が周知であり、これら周知の組成や構造を何ら制限無く用いることができ、この技術分野でよく知られた慣用の手段で設けることができる。
【0037】
<絶縁層5、p型電極層40>
絶縁層5とp型電極層40は、pコンタクト層14b上に積層されており、絶縁層5はp型電極層40とpコンタクト層14bとの間に配置されている。
また、絶縁層5は、p型ボンディングパッド電極16と概略同じ平面視形状の第一の絶縁層5aと、第一の絶縁層5aから伸びた線状の第二の絶縁層5bから構成されている。また、第一の絶縁層5aは、p型ボンディングパッド電極16の直下に形成されている。
【0038】
また、絶縁層5は、光の透過率の面から、酸化シリコン(SiO)からなることが好ましい。また、絶縁層5の材料は酸化シリコンに限定されず、従来公知の絶縁性酸化膜等を何ら制限無く用いることができる。
また、絶縁層5は、アモルファス相を主体とする膜からなることが好ましい。
【0039】
また、絶縁層5は、2nm〜100nmの膜厚で形成されていることが好ましい。さらに、絶縁層5は、5nm〜70nmの膜厚で形成されていることがより好ましい。絶縁層5が上記範囲内の膜厚で形成されていることにより、光の透過率の低下を防ぐとともに、p型電極層40からp型半導体層14に直接電流が流れることを防止できる。
一方、絶縁層5の膜厚が2nm未満であると、絶縁層5の表面形状が絶縁層5の下地であるpコンタクト層14bの表面粗さを反映し、これにより絶縁層5の上に形成されるp型電極層40が分断される恐れがあるため好ましくない。
また、絶縁層5の膜厚が100nmを超えると、絶縁層5の光の透過率が低下するため好ましくない。
【0040】
p型電極層40は、絶縁層5と概略同じ平面視形状であり、絶縁層5上に積層されている。また、p型電極層40は、p型ボンディングパッド電極16と概略同じ平面視形状のp型パッド部40aと、p型パッド部40aから伸びた線状のp型補助電極部40bから構成されている。また、p型パッド部40aは、p型ボンディングパッド電極16の直下に形成されている。
【0041】
また、p型電極層40は金属からなるが、特にRh,Pd、Pt、Au,Ta,Nb、Ni,Ti,Cu及びHfからなる群から選ばれた少なくとも1種からなることが好ましく、さらにRh,Pd及びPtからなる群から選ばれた少なくとも1種からなることがより好ましい。また、p型電極層40は複数の金属の積層構造としてもかまわない。
【0042】
また、p型電極層40は、5nm〜30nmの膜厚で形成されていることが好ましい。p型電極層40が上記範囲内の膜厚で形成されていることにより、光の透過率の低下を防ぐとともに、電流を十分に流すことができる。
一方、p型電極層40の膜厚が5nm未満であると、p型電極層40の電気抵抗が高くなる。このため、電流の集中が起こりやすくなり好ましくない。また、p型電極層40の膜厚が30nmを超えると、光の透過率が低下するため好ましくない。
【0043】
また、p型補助電極部40bは、100nm〜40000nmの幅で形成されていることが好ましい。さらに、p型補助電極部40bは、1000nm〜10000nmの幅で形成されていることが好ましい。p型補助電極部40bがこの範囲内の幅で形成されていることにより、p型補助電極部40bへの電流集中を十分抑制し、かつ、光取り出し面の開口面積を十分保つことができる。
一方、p型補助電極部40bの幅が100nm未満であると、p型補助電極部40bの電気抵抗が高くなり、半導体発光素子1の発光出力が低下するため好ましくない。また、p型補助電極部40bの幅が40000nmを超えると、光取り出し面の開口面積が小さくなり、半導体発光素子1の発光出力が低下するため好ましくない。
【0044】
また、p型電極層40の幅は、絶縁層5の幅よりも0nm〜2000nm小さく形成されていることが好ましく、その差は小さいほど好ましい。p型電極層40の幅と絶縁層5の幅の差を0nm〜2000nmとすることにより、p型電極層40のp型半導体層14側の面は全て絶縁層5で覆われる。そのため、p型電極層40を流れる電流はp型電極層40を覆う透光性電極15を介してp型半導体層14に流れ、p型半導体層14に直接流れることがない。そのため、p型半導体層14の焼き付きを防止できる。また、発光層13からの発光がp型電極層40に直接当たらないため、発光がp型電極層40に吸収されることが防がれる。そのため、発光出力を向上させることができる。
【0045】
一方、p型電極層40の幅が、絶縁層5の幅よりも大きいと、p型電極層40の絶縁層5と重なっていない部分に電流が集中するため、発光が均一にならない。
また、p型電極層40の幅が絶縁層5の幅よりも2000nmを超えて小さいと、p型電極層40から透光性電極15への電流拡散に偏りが生じるため好ましくない。
【0046】
(透光性電極15)
透光性電極15は、p型半導体層14およびp型電極層40を覆うように形成されるものであり、p型半導体層14との接触抵抗が小さいものであることが好ましい。また、透光性電極15は、発光層13からの光を効率良くIII族窒化物半導体発光素子1の外部に取り出すために、光透過性に優れたものであることが好ましい。また、透光性電極15は、p型半導体層14の全面に渡って均一に電流を拡散させるために、優れた導電性を有していることが好ましい。
【0047】
透光性電極15の構成材料としては、In、Zn、Al、Ga、Ti、Bi、Mg、W、Ceのいずれか一種を含む導電性の酸化物、硫化亜鉛または硫化クロムのうちいずれか一種からなる群より選ばれる透光性の導電性材料が挙げられる。導電性の酸化物としては、ITO(酸化インジウム錫(In−SnO))、IZO(酸化インジウム亜鉛(In−ZnO))、AZO(酸化アルミニウム亜鉛(ZnO−Al))、GZO(酸化ガリウム亜鉛(ZnO−Ga))、フッ素ドープ酸化錫、酸化チタン等があげられる。
【0048】
また、透光性電極15の構造は、従来公知の構造を含めて如何なる構造であってもよい。透光性電極15は、p型半導体層14のほぼ全面を覆うように形成してもよく、また、隙間を開けて格子状や樹形状に形成してもよい。
【0049】
(p型ボンディングパッド電極16)
p型ボンディングパッド電極16は、ボンディングパットを兼ねており、p型パッド部40aに重なる位置(p型パッド部40aの直上)に形成されている。p型ボンディングパッド電極16としては、各種組成や構造が周知であり、これら周知の組成や構造を何ら制限無く用いることができる。例えば、ボンディングパッドとしては、Au、Al、NiおよびCu等を用いた各種構造が周知であり、これら周知の材料、構造を何ら制限無く用いることができる。ここでは、たとえば、100〜1500nmの範囲内である膜厚の金属の積層膜からなるp型ボンディングパッド電極16を用いることができる。
【0050】
また、p型ボンディングパッド電極16は、n型電極17からできるだけ離れた位置になるように、n型電極17と対向する位置に形成されることが好ましい。p型ボンディングパッド電極16がn型電極17に近接した位置に形成されると、電流がp型ボンディングパッド電極16とn型電極17の間に集中するため、好ましくない。また、ボンディングした際にワイヤ間、ボール間のショートを生じてしまうため好ましくない。
【0051】
また、p型ボンディングパッド電極16は、p型パッド部40a直上の透光性電極15に設けられた貫通孔15aに挿入されていることが好ましい。p型ボンディングパッド電極16の幅は、p型パッド部40aの幅以下であればよく、p型ボンディングパッド電極16とp型パッド部40aとが直接接合されていればかまわない。
【0052】
また、p型ボンディングパッド電極16の電極面積は、できるだけ大きいほうがボンディング作業はしやすいが、発光の取り出しの妨げになる。逆に、p型ボンディングパッド電極16の電極面積が小さすぎると、ボンディング作業がしにくくなり、製品の収率を低下させる。具体的には、ボンディングボールの直径よりもわずかに大きい程度が好ましく、直径100μmの程度の平面視形状略円形であることが一般的である。
【0053】
(保護膜層)
図示しない保護膜層は、必要に応じて透光性電極15の上面および側面と、n型半導体層12の露出面20a、発光層13およびp型半導体層14の側面、n型電極17およびp型ボンディングパッド電極16の側面や周辺部を覆うよう形成される。保護膜層を形成することにより、III族窒化物半導体発光素子1の内部への水分等の浸入を防止でき、III族窒化物半導体発光素子1の劣化を抑制することができる。
保護膜層としては、絶縁性を有し、300〜550nmの範囲の波長において80%以上の透過率を有する材料を用いることが好ましく、例えば、酸化シリコン(SiO)、酸化アルミニウム(Al)、酸化ニオブ(Nb)、酸化タンタル(Ta)、窒化シリコン(Si)、窒化アルミニウム(AlN)等を用いることができる。このうちSiO、Alは、CVD成膜で緻密な膜が容易に作製でき、より好ましい。
【0054】
次いで、p型電極層40とn型電極17の位置関係について詳細に説明する。図2および図3は、それぞれ本発明のIII族窒化物半導体発光素子1の一例を示した平面模式図である。なお、p型電極層40は、実際は透光性電極15下に形成されており、また、p型パッド部40aの直上には、p型ボンディングパッド電極16が形成されているが、ここでは位置関係をわかりやすくするため、p型パッド部40aおよびp型補助電極部40bの位置を図に示している。
【0055】
図2に、p型補助電極部40bが一本のみ形成されたIII族窒化物半導体発光素子1を示す。p型パッド部40aはn型電極17と対向する位置に設けられている。また、線状のp型補助電極部40bが、p型パッド部40aの中心とn型電極17の中心を通る線に沿って延在している。
このように、p型補助電極部40bが一本のみ形成される場合は、p型ボンディングパッド電極16(p型パッド部40a)の中心とn型電極17の中心を通る線上に延在する構成とすることにより、電流を効果的に拡散させることができる。そのため、発光の偏りや集中を効果的に防ぐことができる。
【0056】
図3に、p型補助電極部40bが二本形成されたIII族窒化物半導体発光素子1を示す。p型補助電極部40bは、p型パッド部40aからIII族窒化物半導体発光素子1の外縁に沿って延在し、互いにp型パッド部40aの中心とn型電極17の中心を通る線から同じ間隔となるように配置されている。
このように、p型補助電極部40bを複数本形成する場合は、III族窒化物半導体発光素子1の外縁に沿って延在するとともに、互いに同じ間隔となるように形成されていることが好ましい。このような構成とすることにより、電流を効果的に拡散させるとともに、発光の偏りや集中を効果的に防ぐことができる。
なお、図2、図3に示したp型補助電極部40bの数および配置は一例を示すものであり、ここに示したものに限定されない。
【0057】
本発明のIII族窒化物半導体発光素子1によれば、p型電極層40とp型半導体層14との間に絶縁層5が配置されることで、発光層13から発した光は、p型電極層40に直接当たらず、絶縁層5に反射されて積層半導体層20に戻るか、透光性電極15を透過して外部に放射される。これにより、III族窒化物半導体発光素子1の光の取り出し効率が大幅に高められる。
【0058】
また、p型電極層40とp型半導体層14との間に絶縁層5が配置されることにより、p型電極層40からp型半導体層14に直接電流が流れずに、p型電極層40を覆う透光性電極15を介してp型半導体層14に電流が流れる。これにより、電流の集中が起こりにくく、p型半導体層14の焼き付きを防止できる。このため、焦げや孔がp型半導体層14に発生することを防止できる。また、p型電極層40が金属で構成されるため、線状のp型補助電極部40bにも十分に電流が流れ、電流の集中を抑制できる。
【0059】
また、絶縁層5が酸化シリコンからなることにより、表面の平坦な絶縁層5が形成される。これにより絶縁層5上に、表面の平坦なp型電極層40が形成される。そのため、p型電極層40に流れる電流の偏りを防ぐことができる。
また、絶縁層5がアモルファス相を主体とする膜からなることにより、絶縁層5の表面はきわめて平滑な面になる。このため、絶縁層5上に薄膜状のp型電極層40を形成しても、p型電極層40が分断される恐れがない。従って、膜厚の薄いp型電極層40を形成することができ、発光層13から発した光を遮ることなく透過させることができ、光取り出し効率を高められる。
また、p型電極層40がRh,Pd、Pt、Au,Ta,Nb、Ni,Ti,Cu及びHfからなる群から選ばれた少なくとも1種からなることにより、透光性電極15を形成する際の熱処理による、p型電極層40への影響が抑えられる。このため、平坦性が高く、光の透過性の高いp型電極層40が形成される。
【0060】
また、p型ボンディングパッド電極16が、p型パッド部40a直上の透光性電極15に設けられた貫通孔15aに挿入されていることにより、電流をp型ボンディングパッド電極16からp型電極層40に効率よく流すことができる。また、p型ボンディングパッド電極16とp型電極層40とが直接接合されることにより、p型ボンディングパッド電極16と透光性電極15との接合強度を向上することができる。このため、ボンディング作業の際の不良発生を防止できる。
以上により、III族窒化物半導体発光素子1の光取り出し効率と信頼性を向上することができる。
【0061】
続いて、図1に示すIII族窒化物半導体発光素子1の製造方法について、図面を適宜参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明において参照する図面は、本発明を説明するためのものであり、図示される各部の大きさや厚さや寸法等は、実際のIII族窒化物半導体発光素子1の寸法関係とは異なっている。
【0062】
まず、図4に示す積層半導体層20を製造する。積層半導体層20の製造方法は、基板11上にバッファ層21と下地層22を積層する工程と、下地層22上にn型半導体層12と発光層13とp型半導体層14とを順次積層する工程と、p型半導体層14上に絶縁層5およびp型電極層40を形成する工程と、p型半導体層14上およびp型電極層40を覆うように、透光性電極15を形成する工程と、から概略構成されている。以下、図4を用いて各工程について詳細に説明する。
【0063】
はじめに、サファイア等からなる基板11を用意する。
次に、基板11をMOCVD装置(有機金属化学気相成長装置)の成長室内に設置し、MOCVD法によって、基板11上に、バッファ層21を形成する。
【0064】
(下地層22形成工程)
次いで、バッファ層21上に下地層22を積層する。なお、本発明では、サファイア等からなる基板11上に、RFスパッタリング法を用いてAlNからなるバッファ層21を形成し、さらにMOCVD装置の成長室内で当該基板上に下地層22を順次積層してもよい。
下地層22の材料としては、AlGa1−xN(0≦x<1)を用いると結晶性の良い下地層22を形成できるため特に好ましいが、AlGaInN(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、x+y+z=1)を用いてもかまわない。
【0065】
下地層22は0.1μm以上の膜厚で形成することが好ましく、0.5μm以上とすることがより好ましく、1μm以上とすることが最も好ましい。この膜厚以上にした方が結晶性の良好なAlGa1−xN層が得られやすい。また、下地層22は10μm以下の膜厚で形成することが好ましい。
また、下地層22の結晶性を良くするために、下地層22には不純物をドーピングしないことが望ましい。
【0066】
(nコンタクト層12a積層工程)
次いで前記下地層22を有する基板上に、nコンタクト層12aを積層する。
nコンタクト層12aを成長させる際には、基板11の温度を1000℃〜1100℃の範囲とすることが好ましい。
また、nコンタクト層12aを成長させる原料としては、トリメチルガリウム(TMG)などのIII族金属の有機金属原料とアンモニア(NH)などの窒素原料とを用い、熱分解によりバッファ層上にIII族窒化物半導体層を堆積させる。MOCVD装置の成長室内の圧力は15〜80kPaとすることが好ましい。
【0067】
(nクラッド層12b形成工程)
次いで、nコンタクト層12a上にnクラッド層12bを形成する。超格子構造のnクラッド層12bを形成する工程は、膜厚100オングストローム以下のIII族窒化物半導体からなるn側第一層と、n側第一層と組成が異なる膜厚100オングストローム以下のIII族窒化物半導体からなるn側第二層とを交互に20層〜80層繰返し積層する工程とすることができる。n側第一層および/またはn側第二層は、Inを含む窒化ガリウム系化合物半導体からなるものであることが好ましい。
【0068】
(発光層13形成工程)
次いで、多重量子井戸構造の発光層13を形成する。まず、井戸層13bと障壁層13aとを交互に繰返し積層する。このとき、n型半導体層12側及びp型半導体層14側に障壁層13aが配されるように積層する。
井戸層13bおよび障壁層13aの組成や膜厚は、所定の発光波長になるように適宜設定することができる。また、発光層13を成長させる際の基板温度は600〜900℃とすることができ、キャリアガスとしては窒素ガスを用いることが好ましい。
この後、MOCVD装置の成長室内から、発光層13までの各層の形成された基板11を取り出す。
【0069】
(p型半導体層14形成工程)
次いで、p型半導体層14を形成する。p型半導体層14の形成は、発光層13上にpクラッド層14aと、pコンタクト層14bとを順次積層すればよい。なお、pクラッド層14aを、超格子構造を含む層とする場合には、膜厚100オングストローム以下のIII族窒化物半導体からなるp型第一層と、p型第一層と組成が異なる膜厚100オングストローム以下III族窒化物半導体からなるp型第二層とを交互に繰返し積層すればよい。
【0070】
(絶縁層5およびp型電極層40形成工程)
まず、pコンタクト層14b上に絶縁層と金属膜を順次積層する。
次いで、前記金属膜上に図示しないフォトレジストパターン(レジストマスク)を形成する。次に、前記レジストマスクをマスクにして、金属膜と絶縁層をエッチングすることで、絶縁層5およびp型電極層40を同一形状に形成する。また、フォトレジストパターンを先に形成し、絶縁層及び金属膜を成膜した後にリフトオフを行なってもよい。
【0071】
このパターニングにより、後述するp型ボンディングパッド電極16と概略同じ平面視形状の第一の絶縁層5aとp型パッド部40a、および第一の絶縁層5aから伸びた線状の第二の絶縁層5bとp型補助電極部40bが形成される。このとき、p型パッド部40aが、p型ボンディングパッド電極16の形成予定位置の直下に位置するようにレジストマスクの形成位置を調整する。
【0072】
(透光性電極15形成工程)
次いで、p型半導体層14上およびp型電極層40上を覆うように、透光性電極15を積層する。
次いで、例えば一般に知られたフォトリソグラフィーの手法によって所定の領域以外の透光性電極15を除去する。このエッチングの際、透光性電極15を貫通し、かつ、p型電極層40(p型パッド部40a)の一部を露出する貫通孔15aを設けることが好ましい。このとき、貫通孔15aの径は、p型パッド部40aの径よりも小さく形成する。
その後、例えばフォトリソグラフィーの手法によりパターニングを行い、所定の領域の積層半導体層20の一部をエッチングしてnコンタクト層12aの一部を露出させる。
【0073】
その後、nコンタクト層12aの露出面20aにn型電極17を形成し、p型電極層40のp型パッド部40aに対応する位置(p型パッド部40aの上方)に、たとえば1400nmの膜厚の金属の積層膜からなるp型ボンディングパッド電極16を形成する。このとき、貫通孔15aを充填するようにp型ボンディングパッド電極16を形成することにより、透光性電極15を貫通する構成のp型ボンディングパッド電極16が形成される。
以上のようにして、図1に示すIII族窒化物半導体発光素子1が製造される。
【0074】
本発明のIII族窒化物半導体発光素子の製造方法によれば、絶縁層5とp型電極層40をp型半導体層14上に同一工程で形成する。このため、p型電極層40を、工程数を増やすことなく形成できる。
【0075】
<ランプ3>
本実施形態のランプ3は、本発明のIII族窒化物半導体発光素子1を備えるものであり、上記のIII族窒化物半導体発光素子1と蛍光体とを組み合わせてなるものである。本実施形態のランプ3は、当業者周知の手段によって当業者周知の構成とすることができる。例えば、本実施形態のランプ3においては、III族窒化物半導体発光素子1と蛍光体と組み合わせることによって発光色を変える技術を何ら制限されることなく採用できる。
【0076】
図5は、図1に示したIII族窒化物半導体発光素子1を備えるランプの一例を示した断面模式図である。図3に示すランプ3は、砲弾型のものであり、図1に示すIII族窒化物半導体発光素子1が用いられている。図5に示すように、III族窒化物半導体発光素子1のp型ボンディングパッド電極16がワイヤー33で2本のフレーム31、32の内の一方(図5ではフレーム31)に接続され、III族窒化物半導体発光素子1のn型電極17(ボンディングパッド)がワイヤー34で他方のフレーム32に接続されることにより、III族窒化物半導体発光素子1が実装されている。また、III族窒化物半導体発光素子1の周辺は、透明な樹脂からなるモールド35で封止されている。
【0077】
本実施形態のランプ3は、上記のIII族窒化物半導体発光素子1が用いられてなるものであるので、高い発光出力が得られるものとなる。
【0078】
また、本実施形態のランプ3を組み込んだバックライト、携帯電話、ディスプレイ、各種パネル類、コンピュータ、ゲーム機、照明などの電子機器や、それらの電子機器を組み込んだ自動車などの機械装置は、高い発光出力が得られるIII族窒化物半導体発光素子1を備えたものとなる。特に、バックライト、携帯電話、ディスプレイ、ゲーム機、照明などのバッテリ駆動させる電子機器においては、高い発光出力が得られるIII族窒化物半導体発光素子1を具備した優れた製品を提供することができるため、好ましい。
【実施例】
【0079】
以下に、本発明のIII族窒化物半導体発光素子の製造方法を、実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。
(実施例1)
以下に示す方法により、図1に示すIII族窒化物半導体発光素子1を製造した。
実施例1のIII族窒化物半導体発光素子1では、サファイアからなる基板11上に、AlNからなるバッファ層21、厚さ6μmのアンドープGaNからなる下地層22を形成した。次に、発光層13上に厚さ20nmのMgドープ単層Al0.07Ga0.93Nからなるpクラッド層14a、厚さ170nmのMgドープp型GaNからなるpコンタクト層14bを順に積層した。次いで、pコンタクト層14b上に、絶縁層5(第一の絶縁層5a、第二の絶縁層5b)およびp型電極層40(p型パッド部40a、p型補助電極部40b)を積層した。また、絶縁層およびp型電極層40は以下に示す条件で形成した。
【0080】
「絶縁層5およびp型電極層40の形成条件」
絶縁層5は、材料としてアモルファス層の酸化シリコン(SiO)を用い、50nmの膜厚に形成した。また、第二の絶縁層5bは、5000nmの幅に形成した。
また、p型電極層40は、材料としてPtを用い、20nmの膜厚に形成した。また、p型補助電極部40bは、4000nmの幅に形成した。またp型パッド部40aは、第二の絶縁層5bよりも1000nm小さい径に形成した。
【0081】
その後、pコンタクト層14bおよびp型電極層40上に、厚さ200nmのITOからなる透光性電極15を、一般に知られたフォトリソグラフィの手法により形成した。
次に、フォトリソグラフィの手法を用いてエッチングを施し、所望の領域にnコンタクト層12aの露出面20aを形成した。
このエッチングの際、透光性電極15を貫通し、かつ、p型パッド部40aの一部を露出する貫通孔15aを設けた。
【0082】
次いで、nコンタクト層12aの露出面20aにTi/Auの二層構造のn型電極17を形成した。次いで、貫通孔15aを充填するように、200nmのAlからなる金属反射層と80nmのTiからなるバリア層と1100nmのAuからなるボンディング層とからなる3層構造のp型ボンディングパッド電極構造16を、フォトリソグラフィの手法を用いて形成した。これにより、透光性電極15を貫通する構成のp型ボンディングパッド電極16が形成された。
以上のようにして、図1に示す実施例1のIII族窒化物半導体発光素子1を得た。
【0083】
このようにして得られた実施例1のIII族窒化物半導体発光素子1の特性は、順方向電圧Vf=3.10V、発光出力Po=21.0mWであった。
【0084】
(実施例2)
実施例1の絶縁層5の膜厚を5nm、p型電極層40の膜厚を5nm、第二の絶縁層5bおよびp型補助電極部40bの幅を40000nmにした以外は、実施例1と同様な操作を行い、順方向電圧Vf=3.14V、発光出力Po=21.3mWであった。
【0085】
(実施例3)
実施例1のp型電極層40の膜厚を30nmに、p型補助電極部40bの幅を3000nmにした以外は、実施例1と同様な操作を行い、順方向電圧Vf=3.08V、発光出力Po=20.9mWであった。
【0086】
(実施例4)
実施例1の絶縁層5の膜厚を70nmに、第二の絶縁層5bの幅を4000nmとした以外は、実施例1と同様な操作を行い、順方向電圧Vf=3.08V、発光出力Po=21.2mWであった。
【0087】
(実施例5)
実施例1の第二の絶縁層5bの幅を6000nmに、p型電極層40をRhとした以外は、実施例1と同様な操作を行い、順方向電圧Vf=3.07V、発光出力Po=20.9mW、であった。
【0088】
(実施例6)
実施例1の絶縁層5の膜厚を2nmとした以外は、実施例1と同様な操作を行い、順方向電圧Vf=3.10V、発光出力Po=21.0mWであった。
【0089】
(実施例7)
実施例1の絶縁層5の膜厚100nmとした以外は、実施例1と同様な操作を行い、順方向電圧Vf=3.10V、発光出力Po=20.9mWであった。
【0090】
(実施例8)
実施例1のp型電極層40の材質をPdとした以外は、実施例1と同様な操作を行い、順方向電圧Vf=3.12V、発光出力Po=20.8mWであった。
【0091】
(実施例9)
実施例1の貫通孔15aを設けず、p型ボンディングパッド電極16を、p型パッド部40aと重なる位置の透光性電極15上に形成した以外は、実施例1と同様な操作を行い、順方向電圧Vf=3.12V、発光出力Po=21.1mWであった。
【0092】
(比較例1)
実施例1の絶縁層5を形成しなかった以外は、実施例1と同様の操作を行い、順方向電圧Vf=3.30V、発光出力Po=20.0mWであった。
【0093】
(比較例2)
実施例1の絶縁層5の材質をTiOとした以外は、実施例1と同様の操作を行い、順方向電圧Vf=3.29V、発光出力Po=19.8mWであった。
【0094】
(比較例3)
実施例1のp型電極層40の膜厚を3nmとした以外は、実施例1と同様な操作を行い、順方向電圧Vf=3.28V、発光出力Po=19.9mWであった。
【0095】
(比較例4)
実施例1のp型電極層40の膜厚を50nmとした以外は、実施例1と同様な操作を行い、順方向電圧Vf=3.10V、発光出力Po=20.1mWであった。
【0096】
(比較例5)
実施例1の第二の絶縁層5bの幅を3500nmとした以外は、実施例1と同様な操作を行い、順方向電圧Vf=3.25V、発光出力Po=20.3mWであった。
【0097】
(比較例6)
実施例1の第二の絶縁層5bの幅を7500nmとした以外は、実施例1と同様な操作を行い、順方向電圧Vf=3.11V、発光出力Po=19.4mWであった。
【0098】
(比較例7)
実施例1の絶縁層5の膜厚を1nmとした以外は、実施例1と同様な操作を行い、順方向電圧Vf=3.11V、発光出力Po=19.5mWであった。
【0099】
(比較例8)
実施例1の絶縁層5の膜厚を200nmとした以外は、実施例1と同様な操作を行い、順方向電圧Vf=3.12V、発光出力Po=20.1mWであった。
【0100】
実施例1〜実施例9、比較例1〜比較例8のIII族窒化物半導体発光素子の順方向電圧、発光出力(Po)の結果を表1に示す。
なお、実施例及び比較例のIII族窒化物半導体発光素子1についての順方向電圧Vfは、プローブ針による通電で電流印加値20mAにおける電圧を測定したものである。同じく、実施例及び比較例のIII族窒化物半導体発光素子1についての発光出力(Po)は、それぞれTO−18缶パッケージに実装し、テスターによって印加電流20mAにおける発光出力を測定したものである。
【0101】
【表1】

【0102】
表1に示すように、実施例1〜実施例9のIII族窒化物半導体発光素子1はいずれも、順方向電圧が比較的低く、発光出力(Po)が十分に高く、高輝度で低消費電力であった。
一方、比較例1〜比較例8では、実施例1〜実施例9と比較して発光出力(Po)が低く、順方向電圧が比較的高かった。
【0103】
以上により、実施例1〜実施例10のIII族窒化物半導体発光素子1は、効果的に発光出力を向上させることができ、比較例1のIII族窒化物半導体発光素子1と比較して、高い発光出力が得られることが確認できた。
【符号の説明】
【0104】
1…III族窒化物半導体発光素子、3…ランプ、5…絶縁層、5a…第一の絶縁層、5b…第二の絶縁層、12…n型半導体層、12a…nコンタクト層、12b…nクラッド層、13…発光層、14…p型半導体層、14b…pコンタクト層、15…透光性電極、15a…貫通孔、16…p型ボンディングパッド電極、22…下地層、40…p型電極層40a…p型パッド部、40b…p型補助電極部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上にn型半導体層、発光層及びp型半導体層を順次積層する工程と、
前記p型半導体層上に、絶縁層と、p型パッド部及び前記p型パッド部から伸びた線状のp型補助電極部を有する金属からなるp型電極層と、を形成する工程と、
前記p型半導体層及び前記p型電極層を覆うように透光性電極を形成する工程と、
前記透光性電極上の前記p型電極層の前記p型パッド部に重なる位置に、前記p型ボンディングパッド電極を形成する工程と、を具備してなることを特徴とするIII族窒化物半導体発光素子の製造方法。
【請求項2】
前記絶縁層が、アモルファス相を主体とする膜からなることを特徴とする請求項1に記載のIII族窒化物半導体発光素子の製造方法。
【請求項3】
前記p型ボンディングパッド電極を形成する工程において、
前記p型パッド部上の前記透光性電極層に貫通孔を設けた後に、前記貫通孔を充填するように前記p型ボンディングパッド電極を形成することにより、前記p型ボンディングパッド電極と前記p型パッド部とを接合することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のIII族窒化物半導体発光素子の製造方法。
【請求項4】
前記p型電極層を、5nm〜30nmの膜厚で形成することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のIII族窒化物半導体発光素子の製造方法。
【請求項5】
前記絶縁層を、2nm〜100nmの膜厚で形成することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のIII族窒化物半導体発光素子の製造方法。
【請求項6】
前記p型電極層を、前記絶縁層よりも0nm〜2000nm小さい幅で形成することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のIII族窒化物半導体発光素子の製造方法。
【請求項7】
前記p型電極層が、Rh,Pd、Pt、Au,Ta,Nb、Ni,Ti,Cu及びHfからなる群から選ばれた少なくとも1種からなることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載のIII族窒化物半導体発光素子の製造方法。
【請求項8】
前記絶縁層が、酸化シリコンからなることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載のIII族窒化物半導体発光素子の製造方法。
【請求項9】
n型半導体層、発光層及びp型半導体層が順次積層されてなる積層半導体層と、
前記p型半導体層上に配置され、p型パッド部及び前記p型パッド部から伸びた線状のp型補助電極部を有する金属からなるp型電極層と、
前記p型電極層と前記p型半導体層との間に配置された絶縁層と、
前記p型半導体層及び前記p型電極層を覆う透光性電極と、
前記透光性電極上であって前記p型電極層の前記p型パッド部に重なる位置に形成されたp型ボンディングパッド電極と、を具備してなることを特徴とするIII族窒化物半導体発光素子。
【請求項10】
前記絶縁層が、アモルファス相を主体とする膜からなることを特徴とする請求項9に記載のIII族窒化物半導体発光素子。
【請求項11】
前記p型パッド部上の前記透光性電極層に貫通孔が設けられ、前記貫通孔に前記p型ボンディングパッド電極が挿入され、前記p型ボンディングパッド電極と前記p型パッド部とが接合されていることを特徴とする請求項9または請求項10に記載のIII族窒化物半導体発光素子。
【請求項12】
前記p型電極層が、5nm〜30nmの膜厚で形成されていることを特徴とする請求項9乃至11のいずれか一項に記載のIII族窒化物半導体発光素子。
【請求項13】
前記絶縁層が、2nm〜100nmの膜厚で形成されていることを特徴とする請求項9乃至12のいずれか一項に記載のIII族窒化物半導体発光素子。
【請求項14】
前記p型補助電極部が、前記絶縁層よりも0nm〜2000nm小さい幅で形成されていることを特徴とする請求項9乃至13のいずれか一項に記載のIII族窒化物半導体発光素子。
【請求項15】
前記p型電極層がRh,Pd、Pt、Au,Ta,Nb、Ni,Ti,Cu及びHfからなる群から選ばれた少なくとも1種からなることを特徴とする請求項9乃至14のいずれか一項に記載のIII族窒化物半導体発光素子。
【請求項16】
前記絶縁層が酸化シリコンからなることを特徴とする請求項9乃至15のいずれか一項に記載のIII族窒化物半導体発光素子。
【請求項17】
請求項9乃至16のいずれか一項に記載のIII族窒化物半導体発光素子を備えることを特徴とするランプ。
【請求項18】
請求項17に記載のランプが組み込まれていることを特徴とする電子機器。
【請求項19】
請求項18に記載の電子機器が組み込まれていることを特徴とする機械装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−138465(P2012−138465A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−289740(P2010−289740)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(000002004)昭和電工株式会社 (3,251)
【Fターム(参考)】