説明

NSAIDsおよびトリプタンを含有する多層剤型

本発明は、NSAIDとトリプタンとが別個の異なる層に存在する、多層の薬学的タブレットを指向する。これらの層は並列の配置で存在し、この配置は、トリプタンとNSAIDの溶解を独立にかつ即時に起こさせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、痛みを治療する一般的な分野に関し、特に、片頭痛と関連する痛みの治療に関する。本発明は、多層配置で、トリプタンと、NSAIDs、特にナプロキセンとを有する固形剤型を包含する。さらに、本発明は、このような剤型を用いた頭痛の治療方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、米国では、男性の6%および女性の18%が片頭痛を患っていると見積もられている。多くの場合、患者は、年に30回以上、衰弱するおそれのある発作に遭遇する。現在の治療には、エルゴタミンおよびトリプタンはもとより、店頭で販売されている鎮痛剤の範囲が含まれる。
【0003】
最近、幾つかの報告により、トリプタンをNSAIDsと組み合わせた、組み合わせ療法が、片頭痛患者に適用可能な緩和の方法を大いに改善することが示されている(特許文献1〜9参照)。通常、NSAIDsは、例えば単層もしくは多層のタブレットの形態で、またはコーティングされた顆粒として、経口的に送達される(特許文献10〜13参照)。トリプタンは経口的に、鼻腔内的におよび注射により付与される(特許文献14〜20参照)。
【0004】
【特許文献1】米国特許第6,060,499号明細書
【特許文献2】米国特許第5,872,145号明細書
【特許文献3】米国特許第6,384,034号明細書
【特許文献4】米国特許第2002/0099059号明細書
【特許文献5】欧州特許出願公開第1051993号明細書(EP1051993)
【特許文献6】欧州特許出願公開第1064967号明細書(EP1064967)
【特許文献7】欧州特許出願公開第1051995号明細書(EP1051995)
【特許文献8】欧州特許出願公開第10649966号明細書(EP10649966)
【特許文献9】欧州特許出願公開第1064948号明細書(EP1064948)
【特許文献10】米国特許第6,365,184号明細書
【特許文献11】米国特許第5,637,320号明細書
【特許文献12】米国特許第5,480,650号明細書
【特許文献13】米国特許第6,387,410号号明細書
【特許文献14】米国特許第4,816,470号明細書
【特許文献15】米国特許第5,307,845号明細書
【特許文献16】米国特許第5,307,953号明細書
【特許文献17】米国特許第5,554,639号明細書
【特許文献18】米国特許第5,705,520号明細書
【特許文献19】米国特許第6,368,627号明細書
【特許文献20】国際公開第00/06161号パンフレット
【非特許文献1】オルセン等の「頭痛」(ラヴェンプレス発行)発行9〜14頁(Olsene, et al., The Headaches, pp.9-14, Raven Press)
【非特許文献2】国際頭痛協会の頭痛分類委員会の「頭痛疾患、頭蓋神経痛および顔面痛についての分類および診断基準」、頭痛8(増補7):1〜96頁(1988)("Classification and diagnostic criteria for headache disorders, cranial neuralgias and facial pain," Headache Classification Committee of the International Headache Society, Cephalalgia 8 (supp. 7): 1-96 (1988))
【非特許文献3】レミントンの薬科学、第16版、A.オスロ編、イーストン、ペンシルベニア(1980)(Remington's Pharmaceutical Science, 16th ed., A. Oslo Editor, Easton, Pa. (1980))
【非特許文献4】米国公衆衛生協会、薬学的賦形剤ハンドブック;ワデ等編集、製薬プレス、ワシントン、1994(AphA, In Handbook of Pharmaceutical Excipients; Wade et al., eds, The Pharmaceutical Press, Washington, 1994)
【非特許文献5】ルビンシュタイン、M.H.、薬剤学:剤型デザインの科学;バンデリン、薬剤の剤型:タブレット、リーバーマン等編集、マルセル・デッカー社、ニューヨーク、1989、131〜193頁;カルステンセン、J.T.、固形物および固形剤型の薬剤学、ジョン・ウィリー親子:ニューヨーク、1977(Rubinstein, M.H. In Pharmaceutics: The Science of Dosage Form Design; Bandelin, In Pharmaceutical Dosage Forms: Tablets, Lieberman, et al.eds., Marcel Dekker, Inc., New York, 1989, p. 131-193; and Carstensen, J.T. In Pharmaceutics of Solids and Solid Dosage Forms, John Wiley & Sons: New York, 1977)
【非特許文献6】米国薬局方23/国民医薬品集18のU.S.P.会議、U.S.P.会議、政府間協議委員会:ロックビル、MD、1995;CDER、口経剤型の即時放出の溶解試験のためのFDAガイドライン、1997(U.S.P. Convention, In The United States Pharmacopoeia 23/ The National Formulary 18, The U.S.P. Convention, Inc,: Rockville, MD, 1995; CDER, FDA Guidelines for Dissolution Testing of Immediate Release Oral Dosage Forms, 1997)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
トリプタンおよびNSAIDsの剤型の分野においては、多くの研究が行われているが、これらの薬剤を組み合わせた剤型の特性については、他と比べて、ほとんど知られていない。このような剤型を構築する方法は、個々の治療薬の安定性のみならず、個々の薬剤が溶解し、有効となって患者に痛みの緩和をもたらす速度にも影響を及ぼすおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、トリプタンと、NSAID、特にナプロキセンを含有する特定の経口剤型であって、これらの治療薬が多層タブレットの別個の層に分離されているものを指向する。特別の定めがない限り、NSAIDまたはトリプタンについての言及は、これらの薬物の薬学的に許容しうる塩を含むことが理解されるであろう。本発明の剤型は、放出特性、安定性および薬動力学的プロファイルに関して、他の剤型よりも事実上の利点を有することが見出された。これらの利点は、先験的に予測できたものではなく、本発明の剤型を片頭痛を持つ患者の治療のための一般に好まれる選択肢にすることができる。
【0007】
その第1の態様では、本発明は、ナプロキセン(好ましくはナプロキセンナトリウムを、治療上の用量200〜600mgで)およびトリプタンを含む多層の薬剤タブレットを指向する。最も好ましくは、タブレットは、40mgのコハク酸ナトリウムおよび400mgのナプロキセンナトリウムを有し、実施例6Bに記載するように処方されうる。実質的に全てのトリプタンはタブレットの第1層に見出され、実質的に全てのナプロキセンは第2層、すなわち異なる層に見出される。これらの二層は、ナプロキセンの溶解がトリプタンの溶解とは独立して起こるように並列に配列されている。以下にさらに述べるように、このタブレットの配列は、他のタブレットの配列よりも驚くほど良好な特性を有する。いかなる特定の学説にもとらわれることなく、胃の中ではナプロキセンはゲル様のマトリックスを形成し、このマトリックスはナプロキセンとトリプタン(または他の薬剤)が別個の並列した層に保持されない限り、トリプタン(または他の薬剤)の溶解を遅らせると考えられる。
【0008】
その特性が並列型のタブレットの配置によって改良される可能性のある、NSAIDsの他のタイプには、酸性のNSAIDs、即ち7.0未満のpKaを有するNSAIDs、および、長時間作用性のNSAIDs、即ち少なくとも4時間の半減期および少なくとも6時間の作用持続時間を有するNSAIDsが含まれる。使用可能な長時間作用性のNSAIDsの例には、フルルビプロフェン、ケトプロフェン、ナプロキセン、オキサプロジン、エトドラク、インドメタシン、ケトロラク、ナブメトン、メファナム酸(mefanamic acid)、ピロキシカム、ロルノキシカム、メロキシカムおよび薬学的に許容されるこれらの塩が挙げられる。使用可能なNSAIDsの他のグループは、シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)阻害薬である。このグループには、ロフェコキシブ、セレコキシブ、バルデコキシブ、エトリコキシブ(etoricoxib)、JTE−522、L−745,337、NS398および薬学的に許容されるこれらの塩が含まれる。これらの中で最も好ましいのは約17時間の半減期を有するロフェコキシブである。好ましくは、これは、約10から50mgの量でタブレット中に存在すべきであり、初期の全日用量は50mgを越えるべきではない。
【0009】
使用可能なトリプタンの例には、スマトリプタン、エレトリプタン、リザトリプタン、フロヴァトリプタン、アルモトリプタン、ゾルミトリプタン、およびナラトリプタン、ならびにこれらの薬学的に許容される塩が含まれる。これらのうちで最も好ましいのは、25から100mgの治療用の用量でのスマトリプタンである。その他のトリプタンは、痛みの除去に効果的であると当技術分野で知られている用量で患者に投与すべきである。
【0010】
上述したように、剤型中の実質的に全てのトリプタンおよび実質的に全てのNSAIDは、別々の層に存在すべきである。この「実質的に全て」という用語は、タブレット中に存在する全治療薬の少なくとも90%、好適には95%超が1つの別個の層内に含まれる、ことを示す。これらの層は、個々の治療薬が互いに独立して溶解するように、即ちこれらの治療薬が別個に付与された場合に生ずるのとほぼ同じ速度で溶解が起こるように配置されるべきである。これに関連して、「ほぼ同じ速度で」は、薬剤が複合タブレット(combination tablet)で付与される場合の薬剤の完全な溶解の時間が、同量の薬剤が単独で付与されている場合と同じ量の時間±10%を必要とすることを示す。これは、例えば双方の薬剤を含む単層タブレットマトリックスまたは他の層によって包まれたコアを形成した1つの層の場合とは対照的に、個々の層を並列配置することにより達成できる。好ましい実施形態においては、これらの層が一平面に沿って左右対称に隣接並置され、これにより本質的に全てのトリプタンを含む層が前記平面の一方側にあり、本質的に全てのNSAIDを含む層が前記平面の他方側にあるように、これらの層が配置される。用語「本質的に全て」は、「実質的に全て」と同義であり、治療薬の少なくとも90%、好ましくは95%超が存在することを意味する。これらの層は互いに直接接触させてもよく、または、代替法として、これらは1以上の追加の層、例えば治療薬が互いに相互作用するのを防止するバリア層またはコーティングにより分離することもできる。好ましい実施形態においては、これらのタブレットは2層配置であり、フィルムコーティングで周囲を被われていてもよい。
【0011】
他の態様では、本発明は、上述したタブレットのいずれかを投与することにより、頭痛患者、好ましくは片頭痛患者を治療する方法を指向する。治療が可能な他のタイプの頭痛には、緊張型頭痛、群発性頭痛および慢性発作性片頭痛、構造的な病変と関連しない多岐にわたる頭痛、非血管性頭蓋内疾患と関連する頭痛、物質の投与または物質の使用中止と関連する頭痛、頭部以外の感染と関連する頭痛、代謝性疾患と関連する頭痛、頭蓋、頸部、目、耳、鼻、静脈洞、歯、口ならびにその他の顔または頭蓋の構造の疾患と関連する頭痛、頭蓋神経痛、ならびに神経幹の痛みおよび求心路遮断痛が含まれる。(頭痛の分類の記載については、非特許文献1を参照されたい。また、非特許文献2を参照されたい。)いずれにしても、十分な鎮痛剤を投与し、治療される症状と関連する痛みを緩和すべきである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明は、ある特定の経口剤型を指向し、この剤型はトリプタン、およびNSAID、好ましくはナプロキセンを含む。これらの剤型の主な特徴は、これらがタブレット形状であって、トリプタンおよびNSAIDが別個の区別できる層に保持され、独立様式で溶解するものである、と言うことである。実施例の欄で議論されている実験は、他のタイプのタブレットではトリプタンの溶解が遅れることを示している。出願人は、部分的には、胃の低いpH環境によって、ナプロキセンおよび類似のNSAIDsがin vivoで溶解度が低いと考えている。この乏しい溶解度は、所与の剤型に対してよりゆっくりした薬剤の放出特性を付与しうる。ナプロキセンナトリウムのタブレットおよび類似のNSAIDsのゆっくりした浸食性により、トリプタンは閉じ込められ、その結果、非分離型タブレットを使用した場合にはトリプタンの放出が遅延しうる。トリプタンとNSAIDsを別個の層として維持することにより、この問題は避けられる。したがって、多層または2層のタブレットは、各成分の独立したかつ迅速な放出をもたらし、頭痛の除去に関して有利な生物薬剤学的特性を有する。さらに、実験により、NSAIDおよびトリプタンが別個の層に保持されている場合には、物理化学的安定性が向上することが示された。
【0013】
多層化されたタブレットの製造方法はいずれも本発明に適合するが、唯一の制限は、トリプタンおよびNSAIDが分離されていなければならないということである。タブレットを製造するための好ましい方法は実施例の欄に記載されている。ナプロキセン以外のNSAIDを使用するのであれば、NSAIDは、これらの薬剤から長期間の痛みの軽減がもたらされるので、長時間作用型のNSAIDであることが望まれる。ナプロキセンおよびナプロキセンナトリウムは、それ自体がそれぞれ約12〜15時間および約12〜13時間の半減期を有する長期間作用型のNSAIDである。他の長期間作用型のNSAIDの例には、約6時間の半減期を有するフルルビプロフェン、約4時間の半減期を有するケトプロフェン、約42〜50時間の半減期を有するオキサプロジン、約7時間の半減期を有するエトドラク、約4〜6時間の半減期を有するインドメタシン、約8〜9時間の半減期を有するケトロラク、約22〜30時間の半減期を有するナブメトン、約4時間の半減期を有するメファナム酸(mefanamic acid)、および約4〜6時間の半減期を有するピロキシカムが含まれる。NSAIDまたはトリプタンのいずれの塩の形態も本発明に適合する。
【0014】
また、上記文献に報告されているいずれのトリプタンも、本発明に使用できる。スマトリプタンが最も好ましく、25〜100mgの用量が好ましいが、1〜300mgの用量で患者に投与すべきである。種々のNSAIDの効果的な用量は以下のとおりである。インドメタシン−一日の間に間隔をあけて、25mg用量を3回、即ち合計75mg;フルルビプロフェン−50〜100mgのタブレット、但し全日用量100〜500mg、好ましくは200〜300mg;ケトプロフェン−25〜75mgのタブレット、但し全日用量100〜500mg、好ましくは100〜300mg;ナプロキセン−250〜500mgのタブレット、ナトリウム塩では275〜550mgのタブレット;オキサプロジン−約600mgのタブレット、但し全日用量約1200mg;エトドラク−約400mgのタブレット、但し、全日用量1200mg未満;ケトロラク−10〜40mgのタブレット;ナブメトン−500〜750mgのタブレット、但し、全日用量1500〜2000mg;メファナム酸(mefanamic acid)−100〜1000mgを含有するタブレット、但し、約500mgが典型的である;ならびにピロキシカム−10〜20mgのタブレット。タブレットおよび用量に関するこの情報は、単にガイドラインとして提供され、当業者は、便宜上、または個々の患者の必要性により良く適合するように、確実に調整するであろうことが予想される。
【0015】
本明細書で記載した組成物は、当分野で標準的な方法にしたがって作成できる(例えば、非特許文献3参照)。活性剤に加えて、タブレットの異なる層は、バインダー(例えば、ポリビニルピロリドン)、錠剤分解物質(例えば、微結晶性セルロースまたはクロスカルメロースナトリウム(croscarmellose sodium))、潤滑剤(例えば、タルク、またはステアリン酸マグネシウム)、および充填剤(例えば、ラクトース)を含有してもよい。このタブレットはコーティングすることもでき、または、活性剤を含む層間にバリア層またはコーティング層が存在してもよい。使用可能な典型的なコーティング成分には、ポリマー(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、可塑剤(例えば、ポリエチレングリコールまたはポリソルベート80)、および着色剤(例えば、二酸化チタン)が含まれる。タブレットのトリプタン層に対して好ましい処方を下記の表1に示し、NSAID層に対して好ましい処方を表2に示す。湿式または乾式の顆粒化手段を用いたタブレットを製造するための標準的製造方法はいずれも、本発明に適合可能であり、特に好ましい方法は下記の実施例の欄に示す。
【実施例1】
【0016】
2層タブレットおよび他の剤型の製造
本発明の剤型は、異なる製造工程により調合することができる。許容可能なキャリアとともにコハク酸スマトリプタンおよびナプロキセンナトリウムを含有する2層タブレットの剤型の製造は、小区分Aで、以下に説明され、これらのタブレットの大規模な製造方法は、実施例5に記載する。簡単に言えば、分離した顆粒の製造工程は、高せん断造粒、流動層の乾燥、粉砕、ブレンドおよび潤滑化の各工程を包含する。他の剤型(コハク酸スマトリプタンをフィルムコーティングした、ナプロキセンナトリウムのコアタブレット、または、ナプロキセンナトリウムの顆粒とコハク酸スマトリプタンの顆粒の物理的混合物)の製造は、小区分BおよびCに記載する。これらの剤型の代表的な図面を図1に示す。
【0017】
A.2層タブレットの剤型
本発明は、コハク酸スマトリプタンとナプロキセンナトリウムが許容可能なキャリアとともに互いに別個の層に存在するタブレットを含む医薬組成物を指向する(非特許文献4)。タブレットの製造を以下に示し、この製造は薬科学の技術分野において周知の標準的な方法の適用が必要である(非特許文献5)。各顆粒の個別の製造工程は、高せん断造粒、流動層の乾燥、粉砕、ブレンドおよび潤滑化の各工程を包含する。それぞれ別々の顆粒の処方成分を表1および2に規定する。これら成分の用量比は、治療目的の範囲内で変更できる。
【0018】
製造工程
1. 表1(コハク酸スマトリプタン)および表2(ナプロキセンナトリウム)からの各顆粒内成分を適切な高せん断ミキサーまたは造粒機(ニロ/フィールダ、GP−1またはPMA−65)に別々に装填する。
2. 高インペラー速度および高チョッパー速度の設定を用いて5分間乾式混合する。スプレーガン/ノズルを用いて、純水,USP造粒溶液を、同じ混合条件で連続的に混合しながら制御された速度で噴霧する。1〜3分あるいは適当な造粒の終点に達するまで同じ条件下で混合を継続する。最終的な造粒時間(溶液添加および後溶液の添加)、添加された溶液量、およびミキサーの消費電力の示数を記録する。
3. 高せん断ミキサー/造粒機から湿った顆粒を取り出し、乾燥用の皿に入れ、以下の条件を用いて、適切な流動層乾燥機(ニロ、MP2/3)内で乾燥させ、1〜5%の乾燥の際の損失を実現する。
a)入口の空気温度:25〜60℃
b)出口の空気温度:35〜55℃
4. 含水量を決定するために顆粒をサンプリングする。
5. 適切な篩(0.094R)を具えた適切な粉砕機(クワドロ・コミル、モデル197S)を用い、2,500rpmで作動して、ホッパーまたはドラム内で乾燥したか顆粒を粉砕する。
6. 粉砕した顆粒と、表1および表2内の各顆粒以外の成分を適切なVブレンダー(パターソン・ケリー)またはトートブレンダー(ガレイ)に装填する。
7. 10分間あるいは均一になるまでブレンドする。
8. 潤滑剤、即ちステアリン酸マグネシウムおよび/またはタルクを#40メッシュの篩を介して加え、5分間ブレンドする。
9. 別々の最終ブレンドを二重に内張したポリエチレンバッグに移す。
10. 化学天秤を用いて各ブレンドのそれぞれの量を秤量する。
11. 7/16”の標準的な凹形で円形の工具および実験用錠剤プレス機(カーバー、モデルC)を用いる金型を使用して、各顆粒を2層タブレットとして手動で圧縮する。まず、第1層(ナプロキセンナトリウムのブレンド)を金型に導入して突き固め、閉じ込められた空気を除去する。第2層(コハク酸スマトリプタンブレンド)をナプロキセンナトリウム層の上部に導入し、2,000lbsの力を用いて圧縮する。8〜14kpの、2層タブレットの硬度範囲を目標とする。
12. 許容できる2層剤型を保証するための工程内の制御は、各層のそれぞれの重量、硬度(8〜14kp)、厚さ、破砕性(<1%)、および崩壊性(<15分)を含む。
13. 無水ラクトース,NFと微結晶性のセルロース,NFの80:20混合物からなるバリア層を、ナプロキセンナトリウム層とコハク酸スマトリプタン層の間に含んでいてもよい。
【0019】
【表1】

【0020】
【表2】

【0021】
B.フィルムコート中にコハク酸スマトリプタンを有する、ナプロキセンナトリウムコアタブレット
ナプロキセンナトリウムのコアタブレットがコハク酸スマトリプタンを含むフィルムでコーティングされた剤型の製造を以下に記載する。成分の用量比は、治療目的の範囲内で変更することができる。タブレットにはバリアフィルムコーティングを施さなくてもよく、または施してもよい。ナプロキセンナトリウムの顆粒の製造方法は、他所(小区分A)で記載したように、高せん断造粒、流動層の乾燥、粉砕、ブレンド、潤滑化および圧縮の各工程を包含する。ナプロキセンナトリウムの顆粒の処方組成を表2に示す。
【0022】
潤滑化されたナプロキセンナトリウムの顆粒を、7/16”の標準的な凹形で円形の工具および金型を使用した回転式の錠剤プレス機(コルシュ、モデル PH−103)で単層タブレットとして圧縮する。十分な圧縮力(〜3,800lbs)を加え、所望の機械的特性を具える許容できる従来型の単層タブレット(重量 〜506.24mg/タブレット)が得られる。回転式の錠剤プレス機の速度はほぼ20rpmである。8〜14kpのタブレットの硬さ、および1%未満の破砕性を目標とする。許容できるコアタブレットを保証するために、工程内の制御には、タブレットの重量、硬さ、厚さ、破砕性、および崩壊性が含まれる。
【0023】
約28gのコハク酸スマトリプタンを305gの純水,USPに溶解し、澄明な溶液が得られるまで混合する。約18gのオパドリー(登録商標)クリア(処方♯YS−1−19025A、カラーコン社)をコハク酸スマトリプタン溶液に加え、均一になるまで混合する。ナプロキセンナトリウムコアタブレットを装填する前に、コーティング用の挿入物をカラムコーター(column coater:ニロ、モデル ストレア)に充填する。コアタブレットは、〜70℃の入口温度で約2分間予熱し、次いで重量点検のために取り除く。0.5mmのスプレー先端部をスプレーガンに取り付け、コアであるナプロキセンナトリウムタブレットをコーティングして、〜15%の重量増、即ち35mgのスマトリプタンを実現する。この工程中に、タブレットの流動化を維持するために、必要に応じて空気弁(air flap)を調整する。同様に、入口の温度を、〜40℃の製品床の温度を維持するために、必要に応じて調整し、タブレット重量の増分を定期的に点検する。目標とする重量増が得られたら、ポンプを停止し、タブレットを約5分間流動させ、フィルムコーティングを乾燥させる。審美性を向上させるために着色剤による任意的なフィルムコーティングを引き続いて適用することができる。仕上げられたタブレットは、包装する前に二重に内張したポリエチレンバッグ内に保存する。
【0024】
この剤型の変形例は、ナプロキセンナトリウムコアタブレットへのオパドリー(登録商標)クリアからなるバリアフィルムコーティング層の適用を包含する。次に、クリアコートされたナプロキセンナトリウムタブレットを、従前のとおりに、コハク酸スマトリプタン/オパドリー(登録商標)クリア溶液によってコーティングする。審美性を向上させるために着色剤による任意的なフィルムコーティングを引き続いて適用することができる。仕上げられたタブレットは、包装する前に二重に内張したポリエチレンバッグ内に保存する。
【0025】
C.ナプロキセンナトリウムとコハク酸スマトリプタンの物理的混合物
ナプロキセンナトリウムの顆粒とコハク酸スマトリプタンの顆粒の物理的混合物を含む、医薬組成物を以下に記載する。分離した顆粒の製造工程は、上述したように、高せん断造粒、流動層の乾燥および粉砕を包含する。各顆粒の成分を表1および表2に示し、用量比は治療目的に範囲内で変更することができる。種々の用量(25,35および50mgの遊離塩基当量)のコハク酸スマトリプタンおよび固定した用量(375mg)のナプロキセンナトリウムを使用して実験を行った。
【0026】
この組成物を製造するためには、適切な量の粉砕された顆粒を、顆粒以外の成分、即ち微結晶性セルロース,NFおよびクロスカルメロースナトリウム,NFとともに適切なVブレンダー内で約10分間物理的に混合する。事前に篩にかけた潤滑剤、即ちタルク,NFおよびステアリン酸マグネシウム,NFをブレンドに加え、約5分間混合する。この潤滑化された顆粒を圧縮前に二重に内張したポリエチレンバッグに移す。
【0027】
この顆粒を7/16”の標準的な凹形で円形の工具および金型を使用した回転式の錠剤プレス機(コルシュ、モデル PH−103)で単層として圧縮する。十分な圧縮力(〜3,800lbs)を加え、所望の機械的特性を有する許容できる従来型の単層タブレット(遊離塩基としての25mgのスマトリプタン、375mgのナプロキセンナトリウムの用量組成に対して、重量 612.5mg/タブレット)を得る。回転式の錠剤プレス機の速度は約20rpmである。8〜14kpのタブレットの硬度および1%未満の破砕性を目標とする。許容できるタブレットを保証にするために、工程中の制御にはタブレットの重量、硬さ、厚さ、破砕性、および崩壊性が含まれる。
【0028】
任意的なフィルムコーティングをこのタブレットに適用して、審美性を向上させることができる。コアタブレットは、着色剤(オパドリー(登録商標)カラーコン社)と予め混合されたヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)ポリマーをベースとする分散液を用いて、穿孔したパンコーター(pan−coater)(24”アクセラ−コータ)内でフィルムコーティングされる。12%w/wの水性コーティング懸濁液を通常通りに調製する。〜60℃の入口温度、および〜40℃の出口温度を用いて、2つのスプレーガンを使用して、タブレットをコーティングする。パンの速度は8〜16rpmの範囲とすることができる。仕上げられたタブレットは、包装する前に二重に内張したポリエチレンバッグ内に保存する。
【0029】
この剤型の変形例には、ナプロキセンナトリウムおよびコハク酸スマトリプタンを顆粒内成分とともに共造粒したものが含まれる。湿式造粒に続いて、材料は上記のように加工され、従来型の単層タブレットを製造する。
【実施例2】
【0030】
タブレットの溶解特性および安定性
A.分析方法
本発明の有用性は、ナプロキセンナトリウムとコハク酸スマトリプタンとからなる2層タブレットの剤型の向上した溶解および安定性のプロファイルにより示される。in vitroでの溶解プロファイルを用いて、種々の剤型からの薬剤の放出を評価した。溶解方法は、USP装置1、およびHPLCによる定量分析からなる。その溶解方法を以下に要約する。
【0031】
【表3】

【0032】
これらの剤型の安定性のプロファイルは下記の方法を用いて評価した。21個のタブレットを高密度ポリエチレン(HDPE)ボトルに詰めた。HDPEボトルは、安定性チャンバ内において、25℃/60%RH(閉塞状態)、40℃/75%RH(閉塞状態)、および40℃/75%RH(開放状態)で保存した。
【0033】
これらの剤型をUSP/NF(非特許文献6)に記載されているような従来の湿式化学方法により分析した。これらの方法は、薬学の分野における当業者によく知られており、アッセイおよび溶解に関する高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を含む。試料を異なる時間間隔で取り出し、自動試料採取器、加熱されたカラムコンパートメント、勾配溶出ポンプおよびタブレット分析のための可変波長UV検出器を装備したシステムを用いたHPLCにより、分解生成物を分析した。コハク酸スマトリプタンおよびナプロキセンナトリウムの分析用のクロマトグラフ条件を以下に要約する。
【0034】
【表4】

【0035】
【表5】

【0036】
C.結果(剤型の比較)
本発明の有用性は、他の剤型と比較した2層タブレットについての、有利な溶解プロファイル、改良された安定性および用量の柔軟性によって、示される。以下の結果は、35mgの遊離塩基当量のコハク酸スマトリプタンと375mgのナプロキセンナトリウムを用いて得た。この調合は例示のためであり、必ずしも最適化した処方または加工処理を示すものではない。
【0037】
タブレットの溶解特性
コハク酸スマトリプタンおよびナプロキセンナトリウムの別個の層からなる2層タブレットの剤型は、コハク酸スマトリプタンおよびナプロキセンナトリウムの物理的混合物からなるコアタブレット、または、フィルムコーティング中にコハク酸スマトリプタンを有するナプロキセンナトリウムコアタブレットよりも、各成分のより迅速な放出をもたらす。各成分の迅速な、または、即時の溶解は、片頭痛治療、特に、痛みの除去に有利である。他の剤型の放出挙動は遅いが、この2層タブレットの剤型だけは即時の放出挙動を示す。
【0038】
【表6】

【0039】
【表7】

【0040】
溶解特性についての保存の影響
加湿条件にさらされた場合、上述した2層タブレット剤型は、他の方法によって製造された剤型よりもばらつきのない溶解プロファイルを示す。3ヶ月後の、45分におけるナプロキセンナトリウムの溶解は、スマトリプタンをフィルムコーティング中に含むものおよび物理的混合物の剤型と比較して、2層タブレットの剤型で最も少ない減少を示した(表8)。さらに、物理的混合物の剤型中のコハク酸スマトリプタンの溶解は有意に減少しているが、2層タブレットおよびスマトリプタンをフィルムコーティング中に含むものは、放出特性における変化を全く示さない(表9)。したがって、溶解プロファイルによって示されるように、2層タブレットの剤型は、他の剤型よりも頑強であり、優れた安定性プロファイルを示す。
【0041】
【表8】

【0042】
【表9】

【0043】
タブレットの安定性
加湿条件にさらされた場合、上述した2層タブレット剤型は、他の方法によって製造された剤型(即ち、物理的混合物の剤型)と比較して、より有利な分解プロファイルを示す。3ヶ月保存した後、ナプロキセンナトリウムの全関連物質は、2層タブレットの剤型およびコハク酸スマトリプタンをフィルムコーティング中に含むものと比較して、物理的混合物の剤型に対して最も多く増加した。したがって、ナプロキセンナトリウムの分解プロファイルによって示されるように、2層タブレットの剤型は他の剤型よりも優れた安定性プロファイルを示す。
【0044】
【表10】

【実施例3】
【0045】
薬物動態学的特性
A.生物分析法
ビーグル犬における比較生物学的利用能の研究を、10匹の雌動物について行った。臨床観察には、投与の直前および直後、ならびに投与後2、8および24時間での、体重、動物の外観および行動が含まれた。各試験品の投与間には、2週間のウォッシュアウト期間を含んでいた。試験品(例えば、各剤型)の口経投与の後、血漿試料が48時間を超えた所定時間間隔で得られた。血漿試料を分析まで20℃のフリーザー内に保管した。これらの試料を以下に概要を示すLC/MS/MS検定法を用いて分析した。
【0046】
【表11】

【0047】
B.結果
上述した2層タブレットの剤型(ナプロキセンナトリウム375mg、スマトリプタン35mg)は、他の方法により製造された剤型と比較して、ビーグル犬に優れた薬物動態学的(PK)プロファイルを付与することが判明した。2層タブレット内のスマトリプタンについてのTmax(平均値±sd(n=10))は0.50±0.20時間であることが判明した。これに対し、スマトリプタンをフィルムコーティング中に有するタブレットは、0.70±0.26時間のスマトリプタンについてのTmaxを有しており、スマトリプタンとナプロキセンの混合物を有するタブレットは、1.05±0.55時間のスマトリプタンについてのTmaxを有していた。これらの結果の分析により、上記混合型と比較してより低い2層タブレットの剤型についてのTmaxが統計的に有意である(p=0.003とした分散分析)ことが示された。より低いTmaxは、片頭痛治療/痛みの除去に有利である。したがって、コハク酸スマトリプタンのPKパラメーターによって示されるように、2層タブレットの剤型は、試験された他の剤型と比較して、有利な生物薬剤学的特性を有する。
【実施例4】
【0048】
混合型処方剤における薬剤溶解についての用量の影響
2層タブレットの剤型は、物理的混合タイプの剤型と比較して、各成分の用量比に柔軟性をもたらし、コアタブレット内に装填されたコハク酸スマトリプタン薬剤が増加するにつれて、ナプロキセンナトリウムおよびコハク酸スマトリプタンの両成分の溶解が低下する。この溶解の低下は、タブレットの表面積に反比例する。2層タブレットの剤型中での各成分の物理的分離により、放出特性はコハク酸スマトリプタンの投与量とは無関係である。したがって、2層タブレットの剤型についての各成分の用量比は、放出特性に影響を与えることなく治療目的に範囲内で変更することができる。
【0049】
【表12】

【実施例5】
【0050】
2層タブレットの大規模な製造
A.顆粒の調製
2層タブレット剤型用の別々の顆粒は、規模および利用可能な装置に応じた種々の方法により製造することができる。これらの処方は、流動層造粒工程に容易に適用することができる。適切な製造方法の一つを以下に示す。
【0051】
上述した顆粒内の成分を流動層造粒機(ニロ、モデルMP2/3)に別個に装填し、材料を流動化して活性成分の均一な分配を実現する。トップスプレーノズルを用いて、純水,USPおよびポビドン,USP(または他の適切なバインダー)よりなる造粒溶液を、流動化された粉末床上に制御した速度で散布する。流動層の造粒は、妥当な造粒の終点に達するまで継続される。最終的な造粒パラメーターおよび加えた溶液量を記録した後、1〜5%の損失を実現するように乾燥を開始する。以下の乾燥パラメーター、即ち25〜60℃の入口の空気温度および35〜55℃の出口の空気温度を含めたものを用いることができる。乾燥した顆粒を、適切な篩を具えるクワドロ・コミル(モデル196)を用いて粉砕する。この工程を繰り返し、サブバッチを得、このサブバッチを後に化合して、所望量の各成分顆粒を得る。流動層で造粒されたナプロキセンナトリウムとコハク酸スマトリプタンの引き続きの加工を、以下の小区分BおよびCに記載されたように行うことができる。
【0052】
B.パイロットスケールの2層タブレットの製造
2層タブレットを製造するための処方および方法は、以下に示すパイロットスケールの製造(バッチサイズ〜125,000タブレット)用にスケールアップすることができる。
【0053】
それぞれの顆粒内成分を高せん断ミキサーまたは造粒機(フィールダ、PMA−65またはPMA−300)に別々に装填し、高インペラー速度と高チョッパー速度の設定を用いて5分間混合する。スプレーノズルを用いて、純水,USP造粒溶液を、同じ混合条件で連続的に混合しながら適切な速度で噴霧する。1〜3分あるいは妥当な造粒の終点に達するまで、同じ条件下で混合を継続する。最終的な造粒時間(溶液の添加および後溶液の添加)、添加された溶液量、およびミキサーの消費電力の示数を記録する。高せん断ミキサー/造粒機から湿った顆粒を取り除き、乾燥用の皿に入れ、適切な流動層乾燥機(グラット、モデルGPCG30)内で乾燥し、1〜5%の、乾燥での損失を実現する。以下の乾燥パラメーター、即ち25〜60℃の入口空気温度および35〜55℃の出口空気温度を含めたもの用いることができる。乾燥した顆粒を、適切な篩を具えるクワドロ・コミル(モデル196)を用いて粉砕する。この工程を繰り返し、サブバッチを得、このサブバッチを後に化合して所望量の各成分の顆粒を得る。
【0054】
粉砕した顆粒を適切なVブレンダー(パターソン−ケリー、2または5 cu.ft.)に移し、それぞれの顆粒以外の成分と約10分間混合する。事前に篩にかけた潤滑剤を加え、5分間ブレンドする。別々の最終ブレンドを35−ステーション(station)の回転式2層錠剤プレス機(マネスティ、モデルBB−4)用のホッパーに移す。それぞれの顆粒を卵形で凹形の工具を用いて2層タブレットとして圧縮する。まずナプロキセンナトリウム層を金型のキャビティに導入し、最小の圧縮力(〜500lbs)を加えて、閉じ込められた空気を除去し、緩い成形体を形成する。ナプロキセンナトリウム層について許容できるタブレット重量が得られたら、コハク酸スマトリプタンの顆粒からなる第2層を金型のキャビティに導入する。次に、十分な圧縮力(〜3,800lbs)を加えて、所望の機械的特性を具える許容できる2層タブレットを得る。16〜18kpのタブレット硬度および1%未満の破砕性を目標とする。許容できる2層剤型を保証するために、工程内の制御には、各層の重量、硬さ、厚さ、破砕性、および崩壊性が含まれる。
【0055】
コア2層タブレットは、着色剤(オパドリー(登録商標)カラーコン社)と予め混合されたヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)ポリマーをベースとする分散液を用いて、穿孔したパンコーター(pan−coater)(36”アクセラ−コータ)内でフィルムコーティングされる。12%w/wの水性コーティング懸濁液を通常通りに調製する。〜60℃の入口温度、および〜40℃の出口温度を用い、2つのスプレーガンを使用して、タブレットをコーティングする。パンの速度は8〜16rpmの範囲とすることができる。仕上げられたタブレットは、包装する前に二重に内張したポリエチレンバッグ内に保存する。
【0056】
C.工業規模の2層タブレットの製造
処方および方法はまた、工業規模の製造(バッチサイズ〜1,250,000タブレット)用にうまくスケールアップすることができる。それぞれの顆粒内成分を別々に高せん断ミキサー/造粒機(フィールダ、PMA−300またはPMA−1200)にそれぞれ装填する。高インペラー速度と高チョッパー速度の設定を用いて5分間の乾式混合を行う。スプレーノズルを用いて、純水,USP造粒溶液を、同じ混合条件で連続的に混合しながら適切な速度で噴霧する。1〜3分あるいは妥当な造粒の終点に達するまで、同じ条件下で混合を継続する。最終的な造粒時間(溶液の添加および後溶液の添加)、添加された溶液量、およびミキサーの消費電力の示数を記録する。高せん断ミキサー/造粒機から湿った顆粒を取り除き、乾燥用の皿に入れ、適切な流動層乾燥機(Niro Aeromatic,Model T9)内で乾燥し、1〜5%の、乾燥での損失を実現する。以下の乾燥パラメーター、即ち25〜60℃の入口空気温度および35〜55℃の出口空気温度を含めたものを用いることができる。乾燥した顆粒を、適切な篩を具えるクワドロ・コミル(モデル199)を用いて粉砕する。この工程を繰り返し、サブバッチを得、このサブバッチを後に化合して所望量の各成分の顆粒を得る。
【0057】
粉砕した顆粒を適切なビン・ブレンダー(bin blender)(Bohle Bin Blender)に移し、他所に記載したように、それぞれの顆粒以外の成分と約10分間混合する。事前に篩にかけた潤滑剤を加え、5分間ブレンドする。別々の最終ブレンドを51−ステーション(station)の回転式2層錠剤プレス機(Elizabeth Hata、Model HT−HX51)用のホッパーに移す。それぞれの顆粒を適切な形をした工具を用いて2層タブレットとして圧縮する。まずナプロキセンナトリウム層を金型のキャビティに導入し、最小の圧縮力(〜500lbs)を加えて、閉じ込められた空気を除去し、緩い成形体を形成する。ナプロキセンナトリウム層について許容できるタブレット重量が得られたら、コハク酸スマトリプタンの顆粒からなる第2層を金型のキャビティに導入する。次に、十分な圧縮力(〜3,800lbs)を加えて、所望の機械的特性を具える許容できる2層タブレットを得る。回転式錠剤プレス機の速度は、約40rpmである。16〜18kpのタブレット硬度および1%未満の破砕性を目標とする。許容できる2層剤型を保証するために、工程内の制御には、各層の重量、硬さ、厚さ、破砕性、および崩壊性が含まれる。
【0058】
コア2層タブレットは、着色剤(オパドリー(登録商標)カラーコン社)と予め混合されたヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)ポリマーをベースとする分散液を用いて、穿孔したパンコーター(pan−coater)(48”アクセラ−コータ)内でフィルムコーティングされる。バッチを再分割して、適切なパンローディング(pan loading)を得る。典型的には、12%w/wの水性懸濁液をコーティング用に調製する。〜60℃の入口温度、および〜40℃の出口温度を用い、3つのスプレーガンを使用して、タブレットをコーティングする。パンの速度は4〜8rpmの範囲とすることができる。仕上げられたタブレットは、包装する前に二重に内張したポリエチレンバッグ内に保存する。
【実施例6】
【0059】
代替的な用量比組成物
A.代替例1
実施例1のナプロキセンナトリウムおよびコハク酸スマトリプタンの処方は、種々の用量の、2層タブレットの剤型としての各成分を提供できるように容易に仕様変更することができる。2層タブレットの各層のそれぞれの質量を重量倍数または重量因子として調整し、治療目的の範囲内で代替的な用量比を実現する。85mgのスマトリプタンと500mgのナプロキセンナトリウムを含有する2層タブレットの処方の具体例を以下の表に示す。
【0060】
【表13】

【0061】
【表14】

【0062】
B.代替例2
実施例6に示すように、2層タブレットの各層のそれぞれの重量を調整し、治療目的の範囲内で代替的な用量比を実現することができる。実施例1および6の処方を変更して、薬物の導入量を高めおよび/または加工処理を向上させることができる。40mgのスマトリプタンと400mgのナプロキセンナトリウムを含有する2層タブレットの代替的な処方を以下の表に示す。
【0063】
【表15】

【0064】
【表16】

【0065】
上記の小区分AおよびBの処方剤は、先に実施例5で記載した各工程によって製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】コハク酸スマトリプタンとナプロキセンナトリウムとを含有するタブレットに使用できる3つの異なる配置を表す。パネルAは、本発明に包含される並列型の配置を示す。パネルBは、ナプロキセンナトリウムがコハク酸スマトリプタンのコーティングによって周囲が囲まれているコアとして存在する配置を示し、パネルCは、コハク酸スマトリプタンとナプロキセンナトリウムの混合物が存在する単層タブレットを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナプロキセンとトリプタンを含む多層薬学的タブレットであって、
a)実質的に全ての前記トリプタンが前記タブレットの第1層に存在し、実質的に全ての前記ナプロキセンが第2の別の層に存在し、
b)前記第1層と前記第2層は、前記NSAIDの溶解が前記トリプタンと独立して起こるように、並列な配置である、
ことを特徴とする多層構造の薬剤タブレット。
【請求項2】
前記ナプロキセンが、200〜600mgのナプロキセンナトリウムの形態であることを特徴とする請求項1に記載のタブレット。
【請求項3】
前記トリプタンが、スマトリプタン、エレトリプタン、リザトリプタン、フロヴァトリプタン(frovatriptan)、アルモトリプタン、ゾルミトリプタンおよびナラトリプタンからなるトリプタン群から選択されることを特徴とする請求項1に記載のタブレット。
【請求項4】
前記トリプタンがスマトリプタンであることを特徴とする請求項1に記載のタブレット。
【請求項5】
前記スマトリプタンが、25〜100mgのコハク酸スマトリプタンの形態であることを特徴とする請求項4に記載のタブレット。
【請求項6】
前記第1層および前記第2層が、本質的に全ての前記第1層が、前記平面の一方側に存在し、本質的に全ての前記第2層が前記平面の他方側に存在するように、一平面に沿って対称的に隣接並置されることを特徴とする請求項1に記載のタブレット。
【請求項7】
前記第1層および前記第2層が、前記一平面に沿って互いに接触していることを特徴とする請求項6に記載のタブレット。
【請求項8】
前記第1層および前記第2層が、少なくとも1つの追加の層により分離されていることを特徴とする請求項6に記載のタブレット。
【請求項9】
前記タブレットが2層剤型であることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載のタブレット。
【請求項10】
前記第1層と前記第2層との両層を包むコーティング層をさらに含むことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載のタブレット。
【請求項11】
前記トリプタンがスマトリプタンであることを特徴とする請求項2、3、6、7、または8のいずれか1項に記載のタブレット。
【請求項12】
前記スマトリプタンが、25〜100mgのコハク酸スマトリプタンの形態であることを特徴とする請求項11に記載のタブレット。
【請求項13】
請求項1〜8のいずれか1項に記載のタブレットを前記患者に投与することを含む、患者の頭痛を治療する方法であって、前記患者が、前記頭痛と関連する痛みを緩和するのに効果的な用量で、治療されることを特徴とする方法。
【請求項14】
前記頭痛が片頭痛であることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
請求項9に記載のタブレットを前記患者に投与することを含む、患者の頭痛を治療する方法であって、前記患者が、前記頭痛と関連する痛みを緩和するのに効果的な用量で、治療されることを特徴とする方法。
【請求項16】
前記頭痛が片頭痛であることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
請求項10に記載のタブレットを前記患者に投与することを含む、患者の頭痛を治療する方法であって、前記患者が、前記頭痛と関連する痛みを緩和するのに効果的な用量で、治療されることを特徴とする方法。
【請求項18】
前記頭痛が片頭痛であることを特徴とする請求項17に記載の方法。


【図1】
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【公表番号】特表2006−515856(P2006−515856A)
【公表日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−565637(P2004−565637)
【出願日】平成15年12月22日(2003.12.22)
【国際出願番号】PCT/US2003/040954
【国際公開番号】WO2004/060355
【国際公開日】平成16年7月22日(2004.7.22)
【出願人】(503440004)ポーゼン インコーポレイテッド (4)
【Fターム(参考)】