説明

PDE7阻害作用を有するピリジニルピラゾロピリミジノン誘導体

PDE7を選択的に阻害する作用を有し、これによって、細胞内cAMPレベルが高まり、さらにはT細胞の活性化を阻害することによって様々なアレルギー疾患、炎症・免疫疾患の予防および治療に有用である化合物の提供であり、下記の式(IA)または(IB):


で表されるピリジニルピラゾロピリミジノン誘導体であり、特に、Rがシクロヘキシル基またはシクロヘプチル基であり、Rがメチル基であり、Rが基:−NRまたは−S(O)0〜2であり、Rがメトキシ基またはエトキシ基であるピリジニルピラゾロピリミジノン誘導体。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、選択的なPDE7(VII型ホスホジエステラーゼ)阻害作用を有するピリジニルピラゾロピリミジノン誘導体、その薬理学的に許容される塩及び溶媒和物に関する。これらの化合物は、アレルギー疾患や炎症・免疫疾患を含む様々な治療分野の疾患に対して、有効な化合物である。
【背景技術】
【0002】
細胞内セカンドメッセンジャーであるcAMPもしくはcGMPは、ホスホジエステラーゼ(PDE1〜11)によって分解され、不活化される。このうちのPDE7は、選択的にcAMPを分解するものであり、同じくcAMPを分解するPDE4の選択的阻害剤であるロリプラムによって阻害されない酵素として、特徴付けられている。
【0003】
PDE7は、T細胞の活性化に重要な役割を果たしていることが示唆されており(Beavoら;Science, 283 (1999) 848)、また、T細胞の活性化が様々なアレルギー疾患や炎症・免疫疾患、例えば、気管支喘息、慢性気管支炎、慢性閉塞性肺疾患、アレルギー性鼻炎、乾癬、アトピー性皮膚炎、結膜炎、変形性関節症、慢性関節リウマチ、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、炎症性腸炎、肝炎、膵炎、脳脊髄炎、敗血症、クローン病、移植における拒絶反応、移植片対宿主病(GVH病)、血管形成術後の再狭窄などに対する疾患における病態の増悪化に関与していることが知られている(J. Allergy Clin. Immunol., 2000 Nov; 106(5 Suppl):S221-6;Am. J. Respir. Crit. Care Med., 1996 Feb;153(2): 629-32;Am. J. Respir. Crit. Care Med., 1999 Nov; 160(5 Pt 2):S33-7;Clin. Exp. Allergy, 2000 Feb; 30(2):242-54;Hosp. Med., 1998 Jul; 59(7):530-3;Int. Arch. Allergy Immunol., 1998 Mar; 115(3): 179-90;J. Immunol., 1991 Feb 15; 146(4):1169-74;Osteoarthritis Cartilage, 1999 Jul; 7(4):401-2;Rheum. Dis. Clin. North Am., 2001 May; 27(2):317-34;J. Autoimmun., 2001 May; 16(3):187-92;Curr. Rheumatol. Rep., 2000 Feb; 2(1):24-31;Trends Immunol., 2001 Jan; 22(1):21-6:Curr. Opin. Immunol., 2000 Aug; 12(4):403-8;Diabetes Care, 2001 Sep; 24(9):1661-7;J. Neuroimmunol., 2000 Nov 1; 111(1-2):224-8;Curr. Opin. Immunol., 1997 Dec; 9(6):793-9;JAMA, 1999 Sep 15; 282(11):1076-82;Semin. Cancer Biol., 1996 Apr; 7(2):57-64;J. Interferon Cytokine Res., 2001 Apr; 21(4):219-21)。したがって、PDE7阻害活性を有する化合物は、T細胞が関与する様々なアレルギー疾患や炎症・免疫疾患に対して有用であると考えられる。
【0004】
これまでにPDE7を選択的に阻害する化合物として、イミダゾピリジン誘導体(特許国際公報WO 01/34601号)、ジヒドロプリン誘導体(特許国際公報WO 00/68203号)、ピロール誘導体(特許国際公開WO 01/32618号)、ベンゾチオピラノイミダゾロン誘導体(ドイツ特許第19950647号)、複素環化合物(特許国際公開WO 02/88080号、特許国際公開WO 02/87513号)、キナゾリンおよびピリドピリミジン誘導体(特許国際公開WO 02/102315号)、スピロ三環系誘導体(特許国際公開WO 02/74754号)、チアゾールおよびオキサヂアゾール誘導体(特許国際公開WO 02/28847号)、スルホンアミド誘導体(特許国際公開WO 01/98274号)、ヘテロビアリルスルホンアミド誘導体(特許国際公開WO 01/74786号)、ジヒドロイソキノリン誘導体(特許国際公開WO 02/40450号)、グアニン誘導体(Bioorg. Med.Chem. Lett., 11 (2001) 1081)、ベンゾチアジアジン(J. Med. Chem., 43 (2000) 683)、及びベンゾチエノチアジアジン誘導体(Eur. J. Med. Chem., 36 (2001) 333)等が提供されているが、当該酵素の阻害作用を主薬効メカニズムとする治療薬は開発されていない。
【0005】
一方、ピラゾロピリミジノン骨格を有する化合物(ヨーロッパ特許公開第463756号、ヨーロッパ特許公開第526004号、ヨーロッパ特許公開第349239号、ヨーロッパ特許公開第636626号、ヨーロッパ特許公開第995751号、及び特開平8−253484号公報)が、cGMP特異的PDE阻害剤として知られているが、PDE7阻害活性については何ら示唆されていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、PDE7阻害活性を有する新たな化合物、および当該化合物を有効成分とするPDE7阻害剤を提供することを目的とする。
本発明により提供される化合物は、PDE7を選択的に阻害することにより、細胞内cAMPレベルが高まり、さらにはT細胞の活性化を阻害することによって、様々なアレルギー疾患、炎症・免疫疾患に対して有用な化合物である。
【0007】
具体的には、気管支喘息、慢性気管支炎、慢性閉塞性肺疾患、アレルギー性鼻炎、乾癬、アトピー性皮膚炎、結膜炎、変形性関節症、慢性関節リウマチ、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、炎症性腸炎、肝炎、膵炎、脳脊髄炎、敗血症、クローン病、移植における拒絶反応、GVH病、血管形成術後の再狭窄などに対する疾患の予防または治療剤として有用である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、優れたPDE7阻害作用を有する化合物を開発するべく、鋭意研究を進めた結果、後記する一般式(IA)または(IB)で示されるピリジニルピラゾロピリミジノン骨格を有する化合物に、強力なPDE7阻害作用および優れたPDE7阻害選択性が存在することを新たに見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
すなわち、本発明に従えば、下記一般式(IA)または(IB):
【0010】
【化1】

【0011】
(式中、
は、置換若しくは非置換のC3〜8のシクロアルキル基または、tert-ブチル基を示し、
は、水素原子またはC1〜3のアルキル基を示し、
は、基:−NR、−C(=O)Rまたは−S(O)0〜2を示し、
は水素原子または必要に応じて1つ以上のフッ素で置換されたC1〜3のアルコキシ基を示し、
およびRは、同一または異なって、水素原子、置換若しくは非置換のC1〜6のアルキル基、置換若しくは非置換のアシル基、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキル基、またはそれらが結合している窒素原子と一緒になって置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキル環を形成し、
は、基:−ORまたは−NRを示し、
は、水素原子、ハロゲン原子、基:−NR、置換若しくは非置換のC1〜6のアルキル基、または置換若しくは非置換のアリール基を示し、
は、水素原子または置換若しくは非置換のC1〜6のアルキル基を示す。)
で表されるピリジニルピラゾロピリミジノン誘導体、その薬理学的に許容される塩またはその溶媒和物を提供する。
【0012】
また本発明は、上記で提供されたピリジニルピラゾロピリミジノン誘導体、その薬理学的許容される塩またはその溶媒和物を有効成分として含有するPDE7阻害剤を提供するものでもある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に本発明を詳細に説明していく。
本明細書において、「C1〜3のアルキル基」とは炭素数1から3までの直鎖または分枝状のアルキル基であり、具体例としては、メチル、エチル、プロピル基などをあげることができ、「C1〜6のアルキル基」とは、炭素数1から6個までの直鎖または分岐状のアルキル基であり、具体例としては、メチル、エチル、プロピル、及び、ブチル、ペンチル、ヘキシル基などをあげることができる。また、「C3〜8のシクロアルキル基」とは、炭素数3〜8のシクロアルキル基であり、具体例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル基などをあげることができる。
【0014】
「ヘテロシクロアルキル基」とは、酸素原子、窒素原子あるいは硫黄原子からなるヘテロ原子を1個ないし4個含有する3ないし7員環であり、具体例としては、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、ホモピペラジニル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロピラニル、モルホニル、アゼチジニル基などをあげることができる。
【0015】
「C1〜3のアルコキシ基」とは、炭素数1〜3のアルコキシ基であり、具体例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ基をあげることができる。
また、「アシル基」とは、炭素数が1ないし8個であるアシル基であり、具体例としては、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブタノイル、ペンタノイル、ベンゾイル、トルオイル基などをあげることができ、「ハロゲン原子」とは、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素原子である。
【0016】
また、「アリール基」とは、炭素数が6ないし12個からなるフェニル、ナフチル、ビフェニル基などをあげることができ、「ヘテロアリール基」とは、炭素数が2ないし8個であり、酸素原子、窒素原子あるいは硫黄原子からなるヘテロ原子を1個ないし4個含有する5ないし7員環からなる単環もしくはそれらの同一または異なる2以上の単環が融合した多環式のヘテロアリール基、例えばピロール、フリル、チエニル、イミダゾリル、チアゾリル、ピラジル、インドリル、キノリル、イソキノリル、テトラゾリル、ピリジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリミジニル基などをあげることができる。
【0017】
本発明において、「置換若しくは非置換のC1〜6のアルキル基」の好ましい置換基の例としては、水酸基、ハロゲン原子などをあげることができ、「置換若しくは非置換のアシル基」の好ましい置換基の例としては、ハロゲン原子、ニトロ基をあげることができ、「置換若しくは非置換のアリール基」の好ましい置換基の例としては、C1〜3のアルキル基、ハロゲン原子、アミノ基、アシル基、アミド基、水酸基、アシルアミノ基、カルボキシル基、スルホニル基などをあげることができ、「置換若しくは非置換のC3〜8のシクロアルキル基」の好ましい置換基の例としては、C1〜3のアルキル基、水酸基、オキソ基などをあげることができ、「置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキル基」の好ましい置換基の例としてはカルボキシ基、アシル基、アルコキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アシルアミノ基、水酸基、オキソ基、エチレンジオキシ基、メチル基、エチル基、ヒドロキシエチル基などをあげることができる。
【0018】
本発明が提供する一般式(IA)および(IB)の化合物において、好ましい化合物の群は、Rがシクロヘキシル基またはシクロヘプチル基であり、Rがメチル基であり、Rが基:−NRまたは−S(O)0〜2であり、Rがメトキシ基またはエトキシ基である化合物である。
【0019】
なお、一般式(IA)および(IB)の化合物は、互変異性体の形で存在してもよく、個々の互変異性体および、個々の互変異性体の混合物として存在してもよい。さらに、一般式(IA)および(IB)の化合物の放射能標識した誘導体も、また本発明に含まれる。
【0020】
また、本発明が提供する化合物は、1個ないし複数個の不斉炭素原子を有するものも含み、これに基づく(R)体、(S)体の光学異性体、ラセミ体、ジアステレオマーなどが存在する。また、置換基の種類によっては二重結合を有するので、(Z)体、(E)体などの幾何異性体も存在する。したがって、本発明が提供する化合物中には、これらの異性体の分離されたもの、あるいは異性体の混合物であっても、いずれの場合をも包含するものである。
【0021】
本発明が提供する化合物は、各種の酸により塩を形成することができるものがある。かかる塩としては、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などの鉱酸や、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、安息香酸、ピクリン酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、アスパラギン酸、グルタミン酸などの有機酸との酸付加塩をあげることができる。
【0022】
また、本発明が提供する化合物は、さらに、金属、特にアルカリ金属、アルカリ土類金属と共に医療用として許容しうる金属塩を形成することができる。そのような塩の例としては、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩などをあげることができる。さらに、本発明の化合物は、水和物、エタノール、イソプロパノールなどの溶媒和物や、結晶多形の物質も含むことができる。
【0023】
本発明が提供する一般式(IA)または(IB)で示されるピリジニルピラゾロピリミジノン誘導体のなかで、特に好ましい具体例としては、以下のものを例示することができる。
【0024】
1−シクロヘキシル−5−{2−メトキシ−6−[(4−メチルフェニル)スルファニル]−3−ピリジニル}−3−メチル−1,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン;
1−シクロへキシル−5−(2−メトキシ−6−[(4−メチルフェニル)スルホニル]−3−ピリジニル)−3−メチル−1,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン;
3−シクロへキシル−6−(2−メトキシ−6−[(4−メチルフェニル)スルファニル]−3−ピリジニル)−1−メチル−1,5−ジヒドロ−4H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−オン;
3−シクロへキシル−6−(2−メトキシ−6−[(4−メチルフェニル)スルホニル]−3−ピリジニル)−1−メチル−1,5−ジヒドロ−4H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−オン;
1−シクロへキシル−5−[2−メトキシ−6−(4−メチル−1−ピペラジニル)−3−ピリジニル]−3−メチル−1,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン;
1−シクロへキシル−5−[2−メトキシ−6−(4−モルフォリニル)−3−ピリジニル]−3−メチル−1,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン;
1−シクロへキシル−5−[2−メトキシ−6−(4−メチル−1,4−ジアゼパン−1−イル)−3−ピリジニル]−3−メチル−1,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン;
1−シクロヘキシル−5−[6−(1,4−ジオキサ−8−アザスピロ[4.5]デカ−8−イル)−2−メトキシ−3−ピリジニル]−3−メチル−1,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン;
1−シクロヘキシル−5−[2−メトキシ−6−(4−オキソ−1−ピペリジニル)−3−ピリジニル]−3−メチル−1,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン;
1−シクロヘキシル−5−[6−(4−ヒドロキシ−1−ピペリジニル)−2−メトキシ−3−ピリジニル]−3−メチル−1,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン;
【0025】
1−シクロヘキシル−5−{2−メトキシ−6−[4−(メチルアミノ)−1−ピペリジニル]−3−ピリジニル}−3−メチル−1,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン;
1−シクロヘキシル−5−{6−[4−(ジメチルアミノ)−1−ピペリジニル]−2−メトキシ−3−ピリジニル}−3−メチル−1,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン;
6−[6−(4−アミノ−1−ピペリジニル)−2−メトキシ−3−ピリジニル]−1−シクロヘキシル−3−メチル−1,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン;
N−{1−[5−(1−シクロヘキシル−3−メチル−7−オキソ−6,7−ジヒドロ−1H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−5−イル)−6−メトキシ−2−ピリジニル]−4−ピペリジニル}アセタミド;
1−シクロヘキシル−5−(2−メトキシ−3−ピリジニル)−3−メチル−1,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン;
3−シクロへキシル−6−[6−(1,4−ジオキサ−8−アザスピロ[4.5]デカ−8−イル)−2−メトキシ−3−ピリジニル]−1−メチル−1,5−ジヒドロ−4H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−4−オン;
3−シクロへキシル−6−[2−メトキシ−6−(4−オキソ−1−ピペリジニル)−3−ピリジニル]−1−メチル−1,5−ジヒドロ−4H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−4−オン;
3−シクロへキシル−6−[6−(4−ヒドロキシ−1−ピペリジニル)−2−メトキシ−3−ピリジニル]−1−メチル−1,5−ジヒドロ−4H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−4−オン;
3−シクロへキシル−6−(2−メトキシ−6−[4−(メチルアミノ)−1−ピペリジニル]−3−ピリジニル)−1−メチル−1,5−ジヒドロ−4H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−4−オン;
3−シクロへキシル−6−{6−[4−(ジメチルアミノ)−1−ピペリジジル]−2−メトキシ−3−ピリジニル}−1−メチル−1,5−ジヒドロ−4H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−4−オン;
【0026】
6−[6−(4−アミノ−1−ピペリジニル)−2−メトキシ−3−ピリジニル]−3−シクロへキシル−1−メチル−1,5−ジヒドロ−4H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−4−オン;
N−{1−[5−(3−シクロへキシル−1−メチル−4−オキソ−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−6−イル)−6−メトキシ−2−ピリジニル]−4−ピペリジニル}アセタミド;
1−シクロへキシル−5−(2−メトキシ−3−ピリジニル)−3−メチル−1,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン;
3−シクロヘキシル−6−[2−メトキシ−6−(4−メチル−1−ピペラジニル)−3−ピリジニル]−1−メチル−1,5−ジヒドロ−4H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−オン;
3−シクロヘキシル−6−[2−メトキシ−6−(4−モルフォリニル)−3−ピリジニル]−1−メチル−1,5−ジヒドロ−4H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−オン;
3−シクロヘキシル−6−[2−メトキシ−6−(4−メチル−1,4−ジアゼパン−1−イル)−3−ピリジニル]−1−メチル−1,5−ジヒドロ−4H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−オン;
3−シクロヘキシル−6−[6−(1,4−ジオキサ−8−アザスピロ[4.5]デカ−8−イル)−2−メトキシ−3−ピリジニル]−1−メチル−1,5−ジヒドロ−4H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−オン;
3−シクロヘキシル−6−[2−メトキシ−6−(4−オキソ−1−ピペリジニル)−3−ピリジニル]−1−メチル−1,5−ジヒドロ−4H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−オン;
3−シクロヘキシル−6−[6−(4−ヒドロキシ−1−ピペリジニル)−2−メトキシ−3−ピリジニル]−1−メチル−1,5−ジヒドロ−4H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−オン;
【0027】
3−シクロヘキシル−6−{2−メトキシ−6−[4−(メチルアミノ)−1−ピペリジニル]−3−ピリジニル}−1−メチル−1,5−ジヒドロ−4H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−オン;
3−シクロヘキシル−6−{6−[4−(ジメチルアミノ)−1−ピペリジニル]−2−メトキシ−3−ピリジニル}−1−メチル−1,5−ジヒドロ−4H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−オン;
6−[6−(4−アミノ−1−ピペリジニル)−2−メトキシ−3−ピリジニル]−3−シクロヘキシル−1−メチル−1,5−ジヒドロ−4H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−オン;
N−{1−[5−(3−シクロヘキシル−1−メチル−4−オキソ−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−6−イル)−6−メトキシ−2−ピリジニル]−4−ピペリジニル}アセタミド;
3−シクロヘキシル−6−(2−メトキシ−6−スルファニル−3−ピリジニル)−1−メチル−1,5−ジヒドロ−4H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−オン;
5−(3−シクロヘキシル−1−メチル−4−オキソ−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−6−イル)−6−メトキシ−2−ピリジンスルホニル クロリド;
3−シクロヘキシル−6−{2−メトキシ−6−[(4−メチル−1,4−ジアゼパン−1−イル)スルホニル]−3−ピリジニル}−1−メチル−1,5−ジヒドロ−4H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−オン;
1−シクロヘキシル−5−{2−メトキシ−6−[(4−メチルフェニル)スルフィニル]−3−ピリジニル}−3−メチル−1,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン;
【0028】
1−シクロヘキシル−5−{2−エトキシ−6−[(4−メチルフェニル)スルファニル]−3−ピリジニル}−3−メチル−1,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン;
1−シクロヘキシル−5−{2−エトキシ−6−[(4−メチルフェニル)スルホニル]−3−ピリジニル}−3−メチル−1,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン;
1−シクロヘキシル−5−[2−エトキシ−6−(4−メチル−1−ピペラジニル)−3−ピリジニル]−3−メチル−1,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン;
1−シクロヘキシル−5−[2−エトキシ−6−(4−メチル−1,4−ジアゼパン−1−イル)−3−ピリジニル]−3−メチル−1,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン;
1−シクロヘキシル−5−[6−(1,4−ジオキサ−8−アザスピロ[4.5]デカ−8−イル)−2−エトキシ−3−ピリジニル]−3−メチル−1,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン;
1−シクロヘキシル−5−[2−エトキシ−6−(4−オキソ−1−ピペリジニル)−3−ピリジニル]−3−メチル−1,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン;
1−シクロヘキシル−5−{6−[4−(ジメチルアミノ)−1−ピペリジニル]−2−エトキシ−3−ピリジニル}−3−メチル−1,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン;
1−シクロヘキシル−5−{2−エトキシ−6−[4−(メチルアミノ)−1−ピペリジニル]−3−ピリジニル}−3−メチル−1,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン;
1−シクロヘキシル−5−[2−エトキシ−6−(4−ヒドロキシ−1−ピペリジニル)−3−ピリジニル]−3−メチル−1,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロH[4,3−d]ピリミジン−7−オン。
【0029】
本発明にかかる式(IA)の化合物は、たとえば以下に示す方法によって合成することができる。
【0030】
【化2】

【0031】
(式中、R、R、R、R、RおよびRは前記定義のとおりであり、LはC1〜3の低級アルキル基であり、Yは水酸基またはハロゲン原子、好ましくは塩素原子である。)
【0032】
本方法を実施するには、公知方法に従い、先ず、化合物(X)とRNHNHまたはその塩を反応させ化て合物(IX)を得る。この反応は、塩酸、硫酸などの無機酸水溶液類;ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素類;酢酸などの有機酸類;メタノール、エタノールなどのアルコール類あるいはこれらの混合物中、もしくは無溶媒中、室温〜120℃にて化合物(X)に対し、1〜2当量、好ましくは約1当量のRNHNHまたはその塩を作用させ、反応終了後、無機塩基、例えば水酸化ナトリウムの水溶液を加え、水と混和しない有機溶媒で抽出し、全有機物を水、飽和食塩水にて順次洗浄し、溶媒を留去することにより、目的化合物(IX)を得ることができる。なお、必要であれば、再結晶などで精製することができる。
【0033】
出発原料である化合物(X)は市販の化合物、または公知の化合物を用いることができる。また、化合物RNHNHまたはその塩についても、市販の化合物または公知の化合物を用いることができるが、公知の方法(例えば、J. Org. Chem., 1981, 46, 5414-5415)に記載の方法により、容易に合成して得た化合物を用いることも可能である。
【0034】
次いで、得られた化合物(IX)から、公知方法に従って化合物(VIII)へ変換される。この反応は、例えば、トルエン、ベンゼンなどの芳香族炭化水素類、または無溶媒中、室温から還流温度にて化合物(IX)に対し1〜5当量のオキシ塩化リン、塩化チオニルなどのハロゲン化試薬を作用させることにより実施することができる。反応終了後、溶媒を留去することによって、目的化合物(VIII)を得ることができる。
【0035】
得られた化合物(VIII)は、精製することなく、公知方法に従って、ニトロ基を導入した化合物(VII)へ変換される。この反応は、濃硫酸中、または無水酢酸中、−20℃〜室温にて硝酸を用いる反応で行うことができる。反応終了後、反応液を氷に注ぎ、析出した固体を濾取することによって、目的化合物(VII)を得ることができる。なお、必要であれば、再結晶などで精製することができる。
【0036】
次いで、得られた化合物(VII)から、公知方法に従って、化合物(VI)を得る。具体的には、N,N−ジメチルホルムアミドなどのような極性溶媒中、室温〜120℃にて、シアン化カリウム、シアン化ナトリムのような金属シアン化物を1〜3当量用いる反応により行うことができる。反応終了後、水を加え、水と混和しない有機溶媒で抽出した後、全抽出物を水、飽和食塩水で順次洗浄し、溶媒を留去することによって、目的化合物(VI)を得ることができる。なお、必要であれば、カラムクロマトグラフィーなどで精製することができる。
【0037】
得られた化合物(VI)から、公知方法に従って、化合物(V)を得ることができる。この反応は、ニトリル基の加水分解により酸アミドを合成する方法であり、多くの方法で実施することができる。例えば、水、またはメタノール、エタノールなどのアルコール類;1,4−ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル類、あるいはこれらの混合液中、0℃〜室温にて、水酸化ナトリウム、炭酸カリウムなど塩基存在下、過酸化水素を作用させる方法で実施することができる。反応終了後、水と混和しない有機溶媒にて希釈した後、水、飽和食塩水で順次洗浄し、溶媒を留去することによって目的化合物(V)を得ることができる。なお、必要であれば、再結晶などで精製することができる。
【0038】
次いで、得られた化合物(V)から公知方法に従って、化合物(III)を得る。この反応は、ニトロ基を還元反応により還元し、アミノ基にする方法であり、多くの方法により実施することができる。例えば、塩酸などの無機酸類中0℃〜還流温度にて、化合物(V)に対して2〜10当量の二塩化スズを作用させることにより実施することができる。反応終了後、水酸化ナトリウムなどの無機塩基で中和し、セライト(登録商標)濾過した後、濾液を水と混和しない有機溶媒で抽出し、抽出した有機溶媒層を水、飽和食塩水で順次洗浄し、溶媒を留去することにより目的化合物(III)を得ることができる。なお、必要であればカラムクロマトグラフィーなどで精製することができる。
【0039】
得られた化合物(III)から、公知方法に従って化合物(II)を得るのであるが、この反応は、アミン化合物(III)とカルボン酸成分(IV)から酸アミド化合物(II)を合成する方法であり、多くの方法で実施することができる。例えば、Yがハロゲン原子(好ましくは塩素原子)の場合には、不活性溶媒、例えばジクロロメタン中、0℃〜室温にて、化合物(III)に対し1〜5当量、好ましくは2.5当量の第3級アミン、例えばトリエチルアミンの存在下、化合物(III)に対し1〜1.5当量好ましくは1.2当量の化合物(IV)を用いて、場合により触媒、例えば4−ジメチルアミノピリジンの存在下、行うことができる。
【0040】
また、Yが水酸基の場合には、不活性溶媒、例えばジクロロメタン中、0℃〜室温にて、化合物(III)に対し1〜1.5当量、好ましくは1.2当量の縮合剤、例えば1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩の存在下、化合物(III)に対し1〜1.5当量好ましくは1.2当量の化合物(IV)を用いて、場合により触媒、例えば4−ジメチルアミノピリジンの存在下に行うことができる。反応終了後、水と混和しない有機溶媒にて希釈した後、水、飽和食塩水にて順次洗浄し、溶媒を留去することによって目的化合物(II)を得ることができる。なお、必要であれば、カラムクロマトグラフィーなどで精製することができる。
【0041】
次いで、得られた化合物(II)から、ピリミジン環形成反応を行い、化合物(IA')へ変換する。この環化反応は、例えば、化合物(II)を水酸化ナトリウム、カリウムt−ブトキシドまたは炭酸カリウムのような塩基を用いて、封管容器中、エタノール−水溶媒中、120〜140℃にて反応させることにより実施することができる。さらに、高沸点溶媒、例えば、メトキシエタノール中、カリウム t−ブトキシドのような塩基を用い、120〜140℃にて反応させてもよい。反応終了後、水と混和しない有機溶媒にて希釈した後、水、飽和食塩水にて順次洗浄し、溶媒を留去することによって目的化合物(IA’)を得ることができる。なお、必要であれば、カラムクロマトグラフィーまたは再結晶などで精製することができる。
【0042】
さらに官能基の変換反応に付し、化合物(IA’)からm−クロロ安息香酸やマグネシウム モノパーオキシフタレートなどの過酸を用い、ジクロロメタンまたはクロロホルム中、0℃から室温で反応させ、化合物(IA'')に変換することができる。
【0043】
得られた化合物(IA'')に対し、アミンをn−ブチルリチウムなどで処理したリチウムアミドを作用させることによって、化合物(IA''')に変換することができる。反応は、例えば、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル類中、化合物(IA'')に対し2〜5当量のアミンに、−78℃〜0℃にてアミンと当量のn−ブチルリチウムを滴下し、リチウムアミドとした後、化合物(IA'')を加え反応させることにより実施することができる。反応終了後、水を加え、水と混和しない有機溶媒にて希釈した後、水、飽和食塩水にて順次洗浄し、溶媒を留去することによって化合物(IA''')を得ることができる。
【0044】
なお、上記の反応で使用したカルボン酸成分(IV)は、例えば、以下に示す方法によって合成することができる。
【0045】
【化3】

【0046】
(式中、L、Y、RおよびRは前記定義のとおりであり、Xはハロゲン原子を示す。)
【0047】
本方法を実施するには、公知方法(Chem. Pharm. Bull., 48(12), 1847-1853 (2000))に従い、化合物(XIII)から化合物(XII)を得る。この反応は、N,N−ジメチルホルムアミドなどの極性溶媒中、化合物(XIII)に対して約1当量のエタンチオールやベンゼンチオールなどのチオール類を、t−ブトキシカリウムなどの塩基で処理し、室温〜−30℃、好ましくは−30℃にて化合物(XIII)を作用させることにより実施することができる。反応終了後、水を加え、水と混和しない有機溶媒で抽出し、全有機物を水、飽和食塩水にて順次洗浄し、溶媒を留去することにより目的化合物(XII)を得ることができる。なお、必要であれば再結晶などで精製することができる。
【0048】
次いで、得られた化合物(XII)から公知方法に従って、化合物(XI)を得る。反応は、例えば、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル類中、化合物(XII)に対して、例えばナトリウムメチラートなどのアルコールの金属塩を少過剰加え、室温〜還流温度で、化合物(XII)を加え反応させる。反応終了後、水を加え、水と混和しない有機溶媒にて希釈した後、水、飽和食塩水にて順次洗浄し、溶媒を留去することによって化合物(XI)を得ることができる。なお、必要であれば再結晶などで精製することができる。
【0049】
得られた化合物(XI)は、公知方法に従って化合物(IV)へ変換される。この反応は、エステルの加水分解反応であり、多くの方法で実施することができる。例えば、メタノールなどのアルコール類、水、あるいはそれらの混合溶媒中、水酸化ナトリウムなどの塩基を用い、室温から還流温度で反応を行うことができる。反応終了後、溶媒を濃縮し、塩酸などで中和することによって、化合物(IV)が得られる。
【0050】
以上で説明した製造方法に基づく反応は、すべて全く一般的なものであり、これらの実施のための適当な試薬および条件は、標準的教科書および後述の実施例を参考することにより直ちに確立することができる。
【0051】
また、本発明が提供する化合物(IA)で定義されるすべての化合物を調製することのできる別法、および変法もまた、当業者であれば明らかである。
【0052】
本発明が提供する式(IB)で示される化合物は、例えば、以下に示す方法によって合成することができる。
【0053】
【化4】

【0054】
(式中、R、R、RおよびRは前記定義のとおりであり、Yは水酸基またはハロゲン原子、好ましくは塩素原子である。)
【0055】
本方法を実施するには、公知方法(例えば、J. Chem. Soc., Perkin Trans.I, 1996, 1545-1552)に従い、先ず、化合物(XX)から化合物(XIX)を得る。この反応は、塩化メチレンなどのハロゲン化炭化水素類;トルエン、ベンゼンなどの芳香族炭化水素類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類、またはこれらの混合物中、0℃〜室温にて、化合物(XX)に対し2〜2.5当量の水素化ナトリウム、水素化カリウムなどの水素化アルカリ金属、またはトリエチルアミンなどの3級アミンの存在下、化合物(XX)に対して1〜1.5当量の化合物(XXI)を作用させることにより実施することができる。反応終了後、水と混和しない有機溶媒にて希釈した後、水、飽和食塩水にて順次洗浄し、溶媒を留去することによって目的化合物(XIX)を得ることができる。必要であれば、カラムクロマトグラフィーなどで精製することができる。
【0056】
次いで、得られた化合物(XIX)から、公知方法(例えば、J. Chem. Soc., Perkin Trans.I, 1996, 1545-1552)に従って化合物(XVIII)へ変換する。反応は、ジクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素類;トルエン、ベンゼンなどの芳香族炭化水素類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類、またはこれらの混合物中、室温〜還流温度にて、化合物(XIX)に対して5〜10当量のジメチル硫酸などのメチル化試薬を用いる反応で実施することができる。反応終了後、水と混和しない有機溶媒にて希釈した後、水、飽和食塩水にて順次洗浄し、溶媒を留去することによって目的化合物(XVIII)を得ることができる。なお、必要であれば、カラムクロマトグラフィーなどで精製することができる。
【0057】
得られた化合物(XVIII)から、公知方法(例えば、J. Chem. Soc., Perkin Trans.I, 1996, 1545-1552)に従って、化合物(XVI)を得ることができる。この反応は、ジクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素類;トルエン、ベンゼンなどの芳香族炭化水素類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類、またはこれらの混合物中、室温〜還流温度にて、化合物(XVIII)に対し1〜1.5当量の化合物(XVII)を用いる反応で実施することができる。反応終了後溶、媒を留去することによって目的化合物(XVI)を得ることができる。なお、必要であれば、カラムクロマトグラフィーなどで精製することができる。
【0058】
次いで、得られた化合物(XVI)から、公知方法に従って化合物(XV)へ変換する。この反応はニトリル基の加水分解により酸アミドを合成する方法であり、多くの方法が実施することができる。例えば、水、またはエタノール、メタノールなどのアルコール類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類、あるいはこれらの混合液中、室温〜100℃にて硫酸、塩酸などの触媒を作用させることにより実施することができる。反応終了後、反応液を弱アルカリ性にし、水と混和しない有機溶媒にて希釈した後、水、飽和食塩水にて順次洗浄し、溶媒を留去することによって目的の化合物(XV)を得ることができる。必要であれば再結晶などで精製することができる。
【0059】
得られた化合物(XV)から、公知方法に従って化合物(XIV)を得ることができる。反応は、化合物(XV)と化合物(IV)を反応させることにより、対応するアミド化合物(XIV)を得る。一般に、Yがハロゲン原子(好ましくは塩素原子)の場合には、不活性溶媒、例えばジクロロメタン中、0℃〜室温にて、化合物(XV)に対し1〜5当量、好ましくは約2.5当量の第3級アミン、例えばトリエチルアミン存在下、化合物(XV)に対し1〜2当量、好ましくは約1.4当量の化合物(IV)を用いて、場合により触媒、例えば4−ジメチルアミノピリジンの存在下、行うことができる。また、第3級アミンの替わりに、ピリジンを溶媒として用いてもよい。
【0060】
また、Yが水酸基の場合には、不活性溶媒、例えばジクロロメタン中、0℃〜室温にて、化合物(XV)に対し1〜1.5当量、好ましくは約1.2当量の縮合剤、例えば1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩存在下、化合物(XV)に対し1〜1.5当量、好ましくは約1.2当量の化合物(IV)を用いて、場合により触媒、例えば4−ジメチルアミノピリジンの存在下行うことができる。反応終了後、水と混和しない有機溶媒にて希釈した後、水、飽和食塩水にて順次洗浄し、溶媒を留去することによって目的化合物(XIV)を得ることができる。
【0061】
次いで、得られた化合物(XIV)は精製することなく次の反応に用い、ピリミジン環形成について公知の反応(例えば、J. Med. Chem., 39 1635-1644 (1996))により、目的とする化合物(IB)を得ることができる。この環化反応は、例えば、化合物(XIV)を水酸化ナトリウム、カリウム t−ブトキシドまたは炭酸カリウムのような塩基を用いて、封管容器中、エタノール−水溶媒中、120〜140℃にて反応させることにより行うことができる。さらに高沸点溶媒、例えば、メトキシエタノール中、カリウム t−ブトキシドのような塩基を用い120〜140℃にて反応させてもよい。反応終了後水と混和しない有機溶媒にて希釈した後、水、飽和食塩水にて順次洗浄し、溶媒を留去することによって、目的化合物(IB)を得ることができる。なお、必要であれば、カラムクロマトグラフィーまたは再結晶などで精製することができる。
【0062】
この上記した反応は、すべて全く一般的なものであり、これらの実施のための適当な試薬および条件は、標準的教科書および後述の実施例を参考することにより直ちに確立することができる。したがって、化合物(IB)で定義されるすべての化合物を調製することのできる別法および変法もまた、当業者であれば明らかである。
【実施例】
【0063】
以下に、試験例、実施例により、本発明を更に詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの試験例、実施例によって限定されるものではないことはいうまでもない。
本発明の化合物の合成およびそこで用いるための中間体を、後述する実施例で詳しく説明する。
また、実施例で製造された本発明化合物およびその中間体の化学構造およびその同定データは、実施例の後に表としてまとめて示した。
なお、実施例における各化合物は、後記する表中において対応する実施例番号として記載している。
【0064】
以下の実施例で製造された本発明化合物のPDE7(VII型ホスホジエステラーゼ)阻害活性は、以下に示す試験例により確認された。
【0065】
試験例1.PDE7阻害活性測定法
PDE7(VII型ホスホジエステラーゼ)を抑制する本発明化合物の能力を評価するために、Biochemical. Pharmacol., 48(6), 1219-1223 (1994) の方法を一部改変して、以下のアッセイを用いた。
【0066】
1)PDE7(VII型ホスホジエステラーゼ)活性画分を得た。すなわち、ヒト急性リンパ芽球様リンパ腫T細胞株であるMOLT−4(ATCCから、ATCC番号CRL−1582として購入できる)を、10%ウシ胎児血清を含むRPMI1640培地で培養し、5×10個のMOLT4を得た。遠心分離により細胞を回収し、10mLの緩衝液A(25mMトリス−HCl、5mM 2−メルカプトエタノール、2mMベンズアミジン、2mM EDTA、0.1mM 4−(2−アミノエチル)ベンゼンスルフォニルヒドロクロリド、pH=7.5)に懸濁した。ポリトロン(登録商標)ホモジナイザーにより細胞をホモジナイズし、遠心分離(4℃、25,000G、10分間)後の上清をさらに超遠心分離(4℃、100,000G、60分間)することにより得られた上清を0.2μmフィルタ−で濾過することにより可溶性画分を得た。
【0067】
2)緩衝液Aで平衡化されたHiTrapQカラム(5mL×2)に、得られた可溶性画分を充填した。0〜0.8M塩化ナトリウムの線形勾配液を含有する緩衝液A 300mLを用いてホスホジエステラーゼを溶離し、5mL分画60本を回収した。各分画をcAMP代謝ホスホジエステラーゼ活性について検査した。各分画中cAMPの代謝活性を有し、かつ10μMロリプラム(IV型ホスホジエステラーゼ選択的阻害薬)および10μMミルリノン(III型ホスホジエステラーゼ選択的阻害薬)により代謝活性を消失しない分画のうち、350mM塩化ナトリウム付近を中心とする活性ピークとして溶出される分画を集め、PDE7阻害活性を検査するための貯蔵溶液として使用した。
【0068】
3)試験化合物は、所望の濃度を20mMトリス−HCl(pH7.5)、1mM MgCl、100μM EDTA、330μg/mLウシ血清アルブミン、4μg/mL 5’−ヌクレオチダ−ゼ、0.1μCi H−cAMP(0.064μM cAMP)、10μMロリプラムおよびVII型ホスホジエステラーゼ貯蔵溶液の含有している反応混合液中で、25℃2時間反応させた。反応液に10mMヘペス−Na(pH=7.0)に懸濁したQAE−セファデックスを加え5分間静置した後、上清を得てさらにQAE−セファデックスを加え5分間静置した後得られた上清中にある放射活性を測定した。
【0069】
4)IC50は、PDE7の代謝活性を50%阻害する試験化合物濃度として、各化合物について算出した。
【0070】
各化合物のPDE7阻害活性
上記測定法により測定され、ホスホジエステラーゼ7阻害活性のIC50値が0.1μM以下を確認した実施例番号の化合物を示す。
化合物16、17、18、20、21、22、25、26、27、28、29、32、33、36、37、43、44、47、48、49
さらに、上記の測定法により得られたホスホジエステラーゼ7阻害活性のIC50値の具体例を以下に示す。
化合物26:IC50=0.0026μM
化合物32:IC50=0.0032μM
【0071】
上記ホスホジエステラーゼ阻害活性試験の結果、本発明によるピリジニルピラゾロピリミジノン誘導体は、極めて良好なPDE7阻害効果を示すことが確認された。
本発明化合物は、PDE7に選択的な阻害剤であり、他のホスホジエステラーゼイソ酵素に対し、10倍以上の選択性を有していた。このことから、他のイソ酵素に起因する副作用は少ないであろうことが予想された。
【0072】
例として、本発明化合物のPDE4(IV型ホスホジエステラーゼ)阻害活性は、以下に示す試験により確認された。
【0073】
試験例2.PDE4阻害活性測定法
PDE7を抑制する本発明化合物のPDE4抑制を評価するために、Biochemical. Pharmacol., 48(6), 1219-1223 (1994)の方法を一部改変して、以下のアッセイを用いた。
【0074】
1)PDE4活性画分を得た。すなわち、3匹のBalb/cマウス(雌、12週齢)(日本クレアより購入できる)より得た肝臓を、30mLの緩衝液B(20mMビス−トリス、5mM 2−メルカプトエタノール、2mMベンズアミジン、2mM EDTA、0.1mM 4−(2−アミノエチル)ベンゼンスルフォニルヒドロクロリド、50mM酢酸ナトリウム、pH=6.5)に懸濁した。ポリトロンホモジナイザーにより肝臓をホモジナイズし、遠心分離(4℃、25,000G、10分間)後の上清をさらに超遠心分離(4℃、100,000G、60分間)することにより得られた上清を0.2μmフィルタ−で濾過することにより、可溶性画分を得た。
【0075】
2)緩衝液Bで平衡化された1×10cm DEAEセファロースカラムに、得られた可溶性画分を充填した。0.05〜1M酢酸ナトリウムの線形勾配液を含有する緩衝液B 120mLを用いてホスホジエステラーゼを溶離し、5mL分画24本を回収した。各分画をcAMP代謝ホスホジエステラーゼ活性について検査した。各分画中cAMPの代謝活性を有し、かつ30μMロリプラム(PDE4選択的阻害薬)により代謝活性を消失した分画のうち、620mM酢酸ナトリウム付近を中心とする活性ピークとして溶出される分画を集め、PDE4阻害活性を検査するための貯蔵溶液として使用した。
【0076】
3)試験化合物は、所望の濃度を20mMトリス−HCl(pH7.5)、1mM MgCl、100μM EDTA、330μg/mLウシ血清アルブミン、4μg/mL 5’−ヌクレオチダ−ゼ、0.1μCi H−cAMP(0.064μM cAMP)およびPDE4貯蔵溶液の含有している反応混合液中で25℃2時間反応させた。反応液に10mMヘペス−Na(pH=7.0)に懸濁したQAE−セファデックスを加え5分間静置した後、上清を得てさらにQAE−セファデックスを加え5分間静置した後得られた上清中にある放射活性を測定した。
【0077】
4)IC50はPDE4の代謝活性を50%阻害する試験化合物濃度として、各化合物について算出した。
上記試験の結果、本発明化合物のホスホジエステラーゼ4に対するIC50は、同一化合物のホスホジエステラーゼ7阻害作用に比べ、10倍以上弱い阻害活性であった。
上記の測定法で得られたホスホジエステラーゼ4に対するIC50値の具体例を、以下に示す。
化合物26:IC50=1.2μM
化合物32:IC50=0.98μM
【0078】
本発明の化合物は、PDE7を選択的に阻害することにより、細胞内cAMPレベルが高まり、さらにはT細胞の活性化を阻害することによって様々なアレルギー疾患、炎症・免疫疾患に有用である。すなわち、気管支喘息、慢性気管支炎、慢性閉塞性肺疾患、アレルギー性鼻炎、乾癬、アトピー性皮膚炎、結膜炎、変形性関節症、慢性関節リウマチ、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、炎症性腸炎、肝炎、膵炎、脳脊髄炎、敗血症、クローン病、移植における拒絶反応、GVH病、血管形成術後の再狭窄などに対する疾患の予防または治療剤として有用である。
【0079】
本発明の有効成分を医薬組成物、またはPDE7阻害剤として使用するには、本発明の化合物を1種類もしくは2種類以上を配合して、常法にしたがって投与方法に応じた剤形に製剤して用いれば良い。例えば、経口投与には、カプセル剤、錠剤、顆粒剤、細粒剤、シロップ剤、ドライシロップ剤等の剤形が例示され、非経口投与には、注射剤の他、坐薬、膣坐薬等の坐剤、噴霧剤等の経鼻投与剤、軟膏、経皮吸収性のテープ等の経皮吸収剤が例示される。
【0080】
本発明の化合物の臨床投与量は、投与する患者の症状、重症度、年齢、合併症の有無等によって異なり、また製剤によっても異なるが、経口投与の場合は、有効成分として、通常成人1日当り0.1〜1000mg、好ましくは0.1〜500mg、より好ましくは1〜100mg、非経口投与の場合は、経口投与の場合の10分の1量〜2分の1量を投与すればよい。これらの投与量は、患者の年齢、症状等により適宜増減することが可能である。
【0081】
更に、本発明化合物の毒性は低く、これらの化合物の安全性は高いと予想される。
【0082】
[製造例及び実施例]
次に、本発明の化合物の合成およびそこで用いるための中間体を、以下の実施例により説明する。なお、以下の実施例における化合物の化学構造及び同定データを後記の表中にまとめて示した。実施例の化合物は、表中の実施例番号と対応している。
【0083】
実施例1
2−シクロヘキシル−5−メチル−2,4−ジヒドロ−3H−ピラゾール−3−オン
アセト酢酸メチル14.5mL(0.134mol)とシクロヘキシルヒドラジン塩酸塩20.2g(0.134mol)の混合物を2時間120℃で撹拌し、次いで冷却した。反応液を4M水酸化ナトリウム水溶液30mLで中和し、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し減圧下溶媒を留去した。残渣にヘキサンを加え、析出した結晶を濾取することにより標記化合物19.0g(79%)を得た。
【0084】
実施例2
5−クロロ−1−シクロヘキシル−3−メチル−4−ニトロ−1H−ピラゾール
実施例1で得た化合物9.3g(51.6mmol)にオキシ塩化リン10mL(107mmol)を加え120℃で10時間撹拌した。次に反応液を室温にし、過剰のオキシ塩化リンを減圧下留去した。残渣に無水酢酸45mLを加えて溶かし、この溶液に氷冷下発煙硝酸9mLをゆっくりと滴下した。同温度で2時間撹拌した後、反応液を氷に注ぎ固体を濾取した。この固体をジクロロメタンに溶かし、炭酸水素ナトリウム水溶液、水、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下溶媒を留去した。残渣をヘキサンから再結晶(ヘキサン)にて精製することにより標記化合物6.28g(50%)を得た。また、濾液を減圧下留去して、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=6/1)にて精製することにより、標記化合物4.21g(33%)を得た。
【0085】
実施例3
1−シクロヘキシル−3−メチル−4−ニトロ−1H−ピラゾール−5−カルボニトリル
実施例2で得た化合物10.3g(42.4mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド90mL溶液にシアン化ナトリウム4.2g(84.9mmol)を加え、80℃で1.5時間撹拌した。次に反応液を室温にし、水を加え、ジクロロメタンで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し減圧下溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=6/1)にて精製し、標記化合物9.18g(93%)を得た。
【0086】
実施例4
4−アミノ−1−シクロヘキシル−3−メチル−1H−ピラゾール−5−カルボニトリル
実施例3で得た化合物1.0g(4.27mmol)のメタノール10mL、濃塩酸10mLの混合懸濁液に鉄粉1.2g(21.4mmol)を加え、2時間加熱還流した。次に反応液を室温にし、炭酸水素ナトリウム水溶液で反応液を中和後セライト濾過した。濾液をジクロロメタンで抽出し、有機層を水、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=7/1)にて精製し、標記化合物0.75g(87%)を得た。
【0087】
実施例5
1−シクロヘキシル−3−メチル−4−ニトロ−1H−ピラゾール−5−カルボキサミド
実施例3で得た化合物9.0g(38.5mmol)のメタノール25mL溶液に、30%過酸化水素水溶液12mL、3M水酸化ナトリウム水溶液30mLを加え、室温で1.5時間撹拌した。次に反応液を水で希釈し、ジクロロメタンで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下溶媒を留去することにより、標記化合物7.8g(80%)を得た。
【0088】
実施例6
4−アミノ−1−シクロヘキシル−3−メチル−1H−ピラゾール−5−カルボキサミド
実施例5で得た化合物7.7g(30.6mmol)の濃塩酸180mL懸濁液に二塩化スズ2水和物27.6g(122mmol)を加え80℃で1.5時間撹拌した。次に反応液を室温にし、水酸化ナトリウム水溶液で中和した後、セライト濾過した。濾液をジクロロメタンで抽出し、有機層を水、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル)にて精製し、標記化合物6.05g(89%)を得た。
【0089】
実施例7
2−メトキシ−6−[(4−メチルフェニル)スルファニル]ニコチン酸
メチル 2−メトキシ−6−(4−メチルベンジルチオ)ピリジン−3−カルボキシレート9.25g(31.96mmol)のメタノール80mL懸濁液に1N−水酸化ナトリウム水溶液38.36mL(38.36mmol)を加え1時間加熱還流した。次に反応液を室温に戻し、減圧下溶媒を濃縮後、水で薄め、2N−塩酸を加え、析出固体を集めることによって、標記化合物8.92g(定量的)を得た。
【0090】
実施例8
1−シクロヘキシル−5−{2−メトキシ−6−[(4−メチルフェニル)スルファニル]−3−ピリジニル}−3−メチル−1,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン
実施例7で得た化合物3.03g(11mmol)の1,2−ジクロロエタン30mL懸濁液に、塩化チオニル1.60mL(22mmol)を加え、1.5時間加熱還流した。次に反応液を室温にし、減圧下溶媒を留去することによって、薄黄色固体の酸クロリドを得た。
実施例6で得た化合物2.22g(10mmol)のクロロホルム30mLの溶液に、室温で上記酸クロリドのクロロホルム20mL溶液、トリエチルアミン3.48mL(25mmol)、ジメチルアミノピリジン5mgを加え、一晩攪拌した。次に反応液に水を加えた後、クロロホルムで抽出し、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下溶媒を留去して、薄黄色固体のアミド体を得た。
上記アミド体をメトキシエタノール50mLに懸濁し、カリウム t−ブトキシド2.81g(25mmol)を加え、130℃で40分間攪拌した。次に反応液を室温に戻し、減圧下溶媒を濃縮後、水で薄め、1N−塩酸26mLを加え、クロロホルムで抽出、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下溶媒を留去して、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=3/1)にて精製し、標記化合物3.64g(79%)を得た。
【0091】
実施例9
1−シクロヘキシル−5−{2−メトキシ−6−[(4−メチルフェニル)スルホニル]−3−ピリジニル}−3−メチル−1,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン
実施例8で得た化合物1.5g(3.25mmol)のジクロロメタン40mL溶液に、0℃でm−クロロ過安息香酸1.54g(7.15mmol)を加え、2時間攪拌した。次に反応液に飽和重曹水を加えた後、ジクロロメタンで抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥、減圧下溶媒を留去して、標記化合物1.75g(定量的)を得た。この化合物は精製することなく次の反応に用いた。
【0092】
実施例10
2−[シクロヘキシル(ヒドロキシ)メチレン]マロノニトリル
マロノニトリル3.96g(0.06mol)のテトラヒドロフラン60mL溶液に、0℃で水素化ナトリウム4.8g(60%油状懸濁物、0.12mol)を4回に分けて加え、0℃で30分撹拌した。次にシクロヘキサンカルボン酸クロリドを滴下し、室温にて30分撹拌後、1M塩酸150mLをゆっくりと加え、酢酸エチルで抽出した。次に、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下溶媒を留去した。残渣をジイソプロピルエーテルで再結晶を行い標記化合物8.16g(77%)を得た。
【0093】
実施例11
2−[シクロヘキシル(メトキシ)メチレン]マロノニトリル
実施例10で得た化合物2.64g(15mmol)の1,4−ジオキサン24mL、水4mLの混合溶液に、室温で炭酸水素ナトリウム10gを加え、さらにジメチル硫酸10mLを5分間で滴下した。85℃で2.5時間加熱後、室温に戻し、水を加え、ジエチルエーテルで抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=3/1)で精製し、標記化合物2.35(82%)を得た。
【0094】
実施例12−1
5−アミノ−3−シクロヘキシル−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボニトリル
実施例11で得た化合物2.3g(12.1mmol)のエタノール20mLの溶液に、室温でメチルヒドラジン0.643mL(12.1mmol)を加え、5時間加熱還流した。室温に戻し、減圧下溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(塩化メチレン/メタノール=50/1)で精製し、標記化合物1.48g(60%)を得た。
【0095】
実施例12−2
5−アミノ−3−シクロヘキシル−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボニトリル
窒素気流下、マロノニトリル17.2g(260mmol)のテトラヒドロフラン260mL溶液に水素化ナトリウム20.8g(約60%油状懸濁物、520mmol)を0℃でゆっくりと加えた。次に同温度でシクロヘキサンカルボニルクロリド35mL(260mmol)滴下し、滴下後反応液を室温にし1.5時間撹拌した。次にこの反応液にジメチル硫酸30mL(312mmol)を加え、3時間加熱還流をし、その後氷冷下でトリエチルアミン17.4mL(125mmol)、メチルヒドラジン13.8mL(260mmol)を加え、1時間加熱還流した。反応液を室温にし、減圧下反応液を留去した後、残渣に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール=30/1〜20/1)で精製し、更に得られた粗結晶を再結晶(ヘキサン−酢酸エチル)にて精製し、標記化合物20.7g(39%)を得た。また、母液をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=2/1)にて精製することで、標記化合物11.3g(21%)を得た。
【0096】
実施例13
5−アミノ−3−シクロヘキシル−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド
実施例12で得た化合物25.3g(124mmol)に氷冷下濃塩酸75mLを加え、室温で15分間撹拌して、更に60℃で1時間撹拌した。次に反応液を氷に注ぎ、水酸化ナトリウム水溶液で中和した後、ジクロロメタンで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去した。残渣を再結晶(酢酸エチル)にて精製し、標記化合物20.0g(73%)を得た。
【0097】
実施例14
3−シクロヘキシル−6−{2−メトキシ−6−[(4−メチルフェニル)スルファニル]−3−ピリジニル}−1−メチル−1,5−ジヒドロ−4H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−オン
実施例7で得た化合物2.70g(9.81mmol)の1,2−ジクロロエタン30mL懸濁液に、塩化チオニル1.43mL(19.6mmol)を加え、2時間加熱還流した。次に反応液を室温にし、減圧下溶媒を留去することによって、薄黄色固体の酸クロリドを得た。
上記酸クロリドのピリジン30mL溶液に実施例13で得た化合物1.82g(8.17mmol)、ジメチルアミノピリジン5mgを加え、室温で20時間攪拌した。次に反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えた後、クロロホルムで抽出し、有機層を水、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下溶媒を留去して、薄黄色固体のアミド体を得た。
上記アミド体をメトキシエタノール50mLに懸濁し、カリウム t−ブトキシド2.30g(20.4mmol)を加え、140℃で2時間攪拌した。次に反応液を室温に戻し、減圧下溶媒を濃縮後、水で薄め、1N−塩酸21mLを加え、クロロホルムで抽出した。有機層を、水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下溶媒を留去して、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール=100/1)にて精製し、さらにシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=2/1)にて精製し、さらに酢酸エチルから再結晶することにより、標記化合物1.12g(30%)を得た。
【0098】
実施例15
3−シクロヘキシル−6−{2−メトキシ−6−[(4−メチルフェニル)スルホニル]−3−ピリジニル}−1−メチル−1,5−ジヒドロ−4H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−オン
実施例9において実施例8で得た化合物に代えて、実施例14で得た化合物を用いた他は同様に反応を行い、標記化合物1.02g(87%)を得た。
【0099】
実施例16
1−シクロヘキシル−5−[2−メトキシ−6−(4−メチル−1−ピペラジニル)−3−ピリジニル]−3−メチル−1,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン
N−メチルピペラジン134μL(1.22mmol)のテトラヒドロフラン5mL溶液に、−30℃でn−ブチルリチウムのヘキサン溶液779μL(1.56Mヘキサン溶液、1.22mmol)を滴下し、同温度で、15分間で攪拌した。次に、実施例9で得た化合物を−30℃で加え、15分間で攪拌した。水を加え、室温に戻し、酢酸エチルで抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール=30/1)で精製し、標記化合物123mg(93%)を得た。
【0100】
実施例17
1−シクロヘキシル−5−[2−メトキシ−6−(4−モルフォリニル)−3−ピリジニル]−3−メチル−1,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン
実施例16においてN−メチルピペラジンに代えて、モルホリンを用いた他は同様に反応を行い、標記化合物72mg(56%)を得た。
【0101】
実施例18
1−シクロヘキシル−5−[2−メトキシ−6−(4−メチル−1,4−ジアゼパン−1−イル)−3−ピリジニル]−3−メチル−1,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン
実施例16においてN−メチルピペラジンに代えて、N−メチルホモピペラジンを用いた他は同様に反応を行い、標記化合物16mg(12%)を得た。
【0102】
実施例19
1−シクロヘキシル−5−(2−メトキシ−3−ピリジニル)−3−メチル−1,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン
実施例6で得た化合物200mg(0.90mmol)のジクロロメタン3mL溶液に、2−メトキシニコチン酸165mg(1.08mmol)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩207mg(1.08mmol)を加え、室温で一晩攪拌した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、ジクロロメタンで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下溶媒を留去した。残渣にエタノール6mL、水酸化ナトリウム水溶液3mLを加え、9時間加熱還流した。反応液を室温に冷却後、水で希釈し、ジクロロメタンで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=2/1)にて精製し、さらに酢酸エチル−ヘキサンの混合溶媒から再結晶することにより標記化合物78mg(26%)を得た。
【0103】
実施例20
3−シクロヘキシル−6−[2−メトキシ−6−(4−メチル−1−ピペラジニル)−3−ピリジニル]−1−メチル−1,5−ジヒドロ−4H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−オン
実施例16において実施例9で得た化合物に代えて、実施例15で得た化合物を用いた他は同様に反応を行い、標記化合物86mg(65%)を得た。
【0104】
実施例21
3−シクロヘキシル−6−[2−メトキシ−6−(4−モルフォリニル)−3−ピリジニル]−1−メチル−1,5−ジヒドロ−4H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−オン
実施例16においてN−メチルピペラジンに代えて、モルホリンを用い、実施例9で得た化合物の代わりに、実施例15で得た化合物も用いた他は同様に反応を行い、標記化合物58mg(45%)を得た。
【0105】
実施例22
3−シクロヘキシル−6−[2−メトキシ−6−(4−メチル−1,4−ジアゼパン−1−イル)−3−ピリジニル]−1−メチル−1,5−ジヒドロ−4H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−オン
実施例16においてN−メチルピペラジンに代えて、N−メチルホモピペラジンを用い、実施例9で得た化合物の代わりに、実施例15で得た化合物も用いた他は同様に反応を行い、標記化合物115mg(84%)を得た。
【0106】
実施例23
3−シクロヘキシル−6−[6−(1,4−ジオキサ−8−アザスピロ[4.5]デカ−8−イル)−2−メトキシ−3−ピリジニル]−1−メチル−1,5−ジヒドロ−4H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−オン
実施例16においてN−メチルピペラジンに代えて、1,4−ジオキサ−8−アザスピロ[4,5]デカンを用い、実施例9で得た化合物の代わりに、実施例15で得た化合物も用いた他は同様に反応を行い、標記化合物776mg(定量的)を得た。
【0107】
実施例24
3−シクロヘキシル−6−[2−メトキシ−6−(4−オキソ−1−ピペリジニル)−3−ピリジニル]−1−メチル−1,5−ジヒドロ−4H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−オン
実施例23で得た化合物743mg(1.55mmol)のアセトン30mL、水3mL混合懸濁液にp−トルエンスルホン酸一水和物353mg(1.86mmol)を加え、5時間加熱還流した。次に反応液を室温に戻し、溶媒を減圧下留去した。残渣に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、ジクロロメタンで抽出した。有機層を水飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下溶媒を留去した。残渣を酢酸エチル−エタノール混合溶媒から再結晶することにより、標記化合物405mg(93%)を得た。
【0108】
実施例25
3−シクロヘキシル−6−[6−(4−ヒドロキシ−1−ピペリジニル)−2−メトキシ−3−ピリジニル]−1−メチル−1,5−ジヒドロ−4H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−オン
実施例24で得た化合物120mg(0.28mmol)のメタノール3mL懸濁液に、水素化ホウ素ナトリウム12.5mg(0.33mmol)を加え、室温で2.5時間攪拌した。次に反応液にアセトンを加え、減圧下溶媒を留去した。残渣に水を加え、ジクロロメタンで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/酢酸エチル=2/1〜1/2)にて精製し、得られた粗結晶をエタノールから再結晶することにより、標記化合物85mg(70%)を得た。
【0109】
実施例26
3−シクロヘキシル−6−{2−メトキシ−6−[4−(メチルアミノ)−1−ピペリジニル]−3−ピリジニル}−1−メチル−1,5−ジヒドロ−4H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−オン
実施例24で得た化合物120mg(0.28mmol)の1,2−ジクロロエタン2mL懸濁液にメチルアミン57μM(30%エタノール溶液、0.55mmol)、酢酸10μMおよび水素化トリアセトキシホウ素ナトリウム87mg(0.41mmol)を加え、室温で2時間攪拌した。次に反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、ジクロロメタンで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下溶媒を留去した。残渣をアルカリ性シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/酢酸エチル/メタノール=10/10/1)にて精製し、得た粗結晶を酢酸エチル−ヘキサン混合溶媒から再結晶することにより、標記化合物87mg(70%)を得た。
【0110】
実施例27
3−シクロヘキシル−6−{6−[4−(ジメチルアミノ)−1−ピペリジニル]−2−メトキシ−3−ピリジニル}−1−メチル−1,5−ジヒドロ−4H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−オン
実施例26においてメチルアミンに代えて、ジメチルアミンを用いた他は同様に反応を行い、標記化合物103mg(80%)を得た。
【0111】
実施例28
6−[6−(4−アミノ−1−ピペリジニル)−2−メトキシ−3−ピリジニル]−3−シクロヘキシル−1−メチル−1,5−ジヒドロ−4H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−オン
実施例24でえた化合物240mg(0.55mmol)に4Mアンモニアエタノール溶液10mL、5%パラジウム−炭素24mgを加え、水素置換し、24時間室温、常圧で攪拌した。反応液をセライト濾過し、濾液を減圧下留去した。残渣をアルカリ性シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/酢酸エチル/メタノール=10/10/1)にて精製し、得られた粗結晶をエタノールから再結晶することにより、標記化合物169mg(70%)を得た。
【0112】
実施例29
N−{1−[5−(3−シクロヘキシル−1−メチル−4−オキソ−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−6−イル)−6−メトキシ−2−ピリジニル]−4−ピペリジニル}アセタミド
実施例28で得た化合物80mg(0.18mmol)のジクロロメタン2mL溶液に無水酢酸21μL(0.22mmol)、トリエチルアミン38μL(0.28mmol)を加え、室温で1.5時間攪拌した。次に反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、ジクロロメタンで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下溶媒を留去した。残渣をエタノールから再結晶することにより、標記化合物79mg(90%)を得た。
【0113】
実施例30
1−シクロヘキシル−5−[6−(1,4−ジオキサ−8−アザスピロ[4.5]デカ−8−イル)−2−メトキシ−3−ピリジニル]−3−メチル−1,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン
実施例16においてN−メチルピペラジンに代えて、1,4−ジオキサ−8−アザスピロ[4.5]デカンを用いた他は同様に反応を行い、標記化合物588mg(86%)を得た。
【0114】
実施例31
1−シクロヘキシル−5−[2−メトキシ−6−(4−オキソ−1−ピペリジニル)−3−ピリジニル]−3−メチル−1,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン
実施例24において、実施例23で得た化合物に代えて実施例30で得た化合物を用いた他は同様に反応を行い、標記化合物255mg(50%)を得た。
【0115】
実施例32
1−シクロヘキシル−5−{2−メトキシ−6−[4−(メチルアミノ)−1−ピペリジニル]−3−ピリジニル}−3−メチル−1,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン
実施例26において、実施例24で得た化合物に代えて実施例31で得た化合物を用いた他は同様に反応を行い、標記化合物68mg(55%)を得た。
【0116】
実施例33
1−シクロヘキシル−5−{6−[4−(ジメチルアミノ)−1−ピペリジニル]−2−メトキシ−3−ピリジニル}−3−メチル−1,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン
実施例26において、実施例24で得た化合物に代えて実施例31で得た化合物を、メチルアミンに代えてジメチルアミンを用いた他は同様に反応を行い、標記化合物102mg(94%)を得た。
【0117】
実施例34
3−シクロヘキシル−6−(2−メトキシ−6−スルファニル−3−ピリジニル)−1−メチル−1,5−ジヒドロ−4H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−オン
実施例15で得た化合物230mg(0.47mmol)のメタノール5mL懸濁液に水硫化ナトリウム100mgを加え、4時間加熱還流した。冷後、反応液に1M塩酸水溶液を加え、析出した固体を濾取した。得られた個体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール=20/1)にて精製し、標記化合物132mg(76%)を得た。
【0118】
実施例35
5−(3−シクロヘキシル−1−メチル−4−オキソ−4,5−ジヒドロ−1Hピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−6−イル)−6−メトキシ−2−ピリジンスルホニル クロリド
実施例34で得た化合物120mg(0.32mmol)のアセトニトリル3mL懸濁液に硝酸カリウム82mg(0.81mmol)を加え、0℃下塩化スルフリル65μL(0.81mmol)を加え、室温で2時間攪拌した。次に、反応液に氷水を加え、析出した不溶物を濾取することにより、標記化合物114mg(81%)を得た。
【0119】
実施例36
3−シクロヘキシル−6−{2−メトキシ−6−[(4−メチル−1,4−ジアゼパン−1−イル)スルホニル]−3−ピリジニル}−1−メチル−1,5−ジヒドロ−4H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−オン
実施例35で得た化合物104mg(0.24mmol)のジクロロメタン2mL溶液にN−メチルホモピペラジン35μL(0.29mmol)、トリエチルアミン83μL(0.59mmol)を加え、室温で1時間攪拌した。次に反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、ジクロロメタンで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下溶媒を留去した。残渣をアルカリ性シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル)にて精製し、得た粗結晶を酢酸エチル−ヘキサンから再結晶することにより、標記化合物68mg(56%)を得た。
【0120】
実施例37
1−シクロヘキシル−5−[6−(4−ヒドロキシ−1−ピペリジニル)−2−メトキシ−3−ピリジニル]−3−メチル−1,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン
実施例25において、実施例24で得た化合物に代えて実施例31で得た化合物を用いた他は同様に反応を行い、標記化合物73mg(60%)を得た。
【0121】
実施例38
1−シクロヘキシル−5−{2−メトキシ−6−[(4−メチルフェニル)スルフィニル]−3−ピリジニル}−3−メチル−1,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン
実施例8で得た化合物1.5g(3.25mmol)のジクロロメタン30mL溶液に、0℃でm−クロロ過安息香酸701mg(3.25mmol)を加え、40分攪拌した。次に反応液に飽和重曹水を加えた後、ジクロロメタンで抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥、減圧下溶媒を留去して、2−ブタノンで再結晶することによって、標記化合物1.0g(64%)を得た。
【0122】
実施例39
エチル 2−エトキシ−6−[(4−メチルフェニル)スルファニル]ニコチン酸
p−トルエンチオール11.5g(92.4mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド55mL溶液に、0℃でカリウム t−ブトキシド10.8g(96.0mmol)を加え、室温で15分攪拌した。上記溶液を−30℃としたエチル 2,6−ジクロロニコチン酸19.56g(88.9mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド150mL溶液に15分かけて滴下し、同温度で1時間攪拌した。次に反応液を氷水に注ぎ、酢酸エチル/ヘキサン=2/1混合液で抽出し、有機層を水、飽和食塩水で洗浄、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下溶媒を留去することにより、淡褐色油状物質のエチル 2−クロロ−6−[(4−メチルフェニル)スルファニル]ニコチン酸中間体を得た。
【0123】
上記中間体のテトラヒドロフラン180mL溶液に20%ナトリウムエトキシドのエタノール溶液31.4g(92.4mmol)を加え、2時間加熱還流した。反応液を室温に冷却し、濾過した後、濾液を減圧下留去した。残渣をクロロホルムで希釈し、有機層を水、飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下溶媒を留去した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=5/1)にて精製し、標記化合物23.4g(83%)を得た。
【0124】
実施例40
2−エトキシ−6−[(4−メチルフェニル)スルファニル]ニコチン酸
実施例7においてメチル 2−メトキシ−6−(4−メチルベンジルチオ)ピリジン−3−カルボキシレートに代えて、実施例39で得た化合物を用いた他は同様に反応を行い、標記化合物20.16g(97%)を得た。
【0125】
実施例41
1−シクロヘキシル−5−{2−エトキシ−6−[(4−メチルフェニル)スルファニル]−3−ピリジニル}−3−メチル−1,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン
実施例40で得た化合物3.18g(11mmol)の1,2−ジクロロエタン30mL懸濁液に、塩化チオニル1.60mL(22mmol)を加え、2時間加熱還流した。次に反応液を室温にし、減圧下溶媒を留去することによって、薄黄色固体の酸クロリドを得た。
上記酸クロリドのジクロロメタン30mL溶液に、0℃でトリエチルアミン3.48mL(25mmol)、実施例6で得た化合物2.22g(10mmol)、さらにジクロロメタン50mLを加え、室温で2時間攪拌した。次に反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えた後、クロロホルムで抽出し、水、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下溶媒を留去することにより、中間体であるアミド体を得た。
【0126】
上記アミド体をエタノール100mLに懸濁し、カリウム t−ブトキシド2.81g(25mmol)を加え、14時間加熱還流した。次に反応液を室温にし、減圧下溶媒を留去後、水で希釈し、2N−塩酸20mLを加え、ジクロロメタンで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下溶媒を留去して、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/ヘキサン/酢酸エチル=10/20/1〜10/10/1)にて精製し、標記化合物3.48g(73%)を得た。
【0127】
実施例42
1−シクロヘキシル−5−{2−エトキシ−6−[(4−メチルフェニル)スルホニル]−3−ピリジニル}−3−メチル−1,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン
実施例9において実施例8で得た化合物に代えて、実施例41で得た化合物を用いた他は同様に反応を行い、標記化合物2.97g(93%)を得た。
【0128】
実施例43
1−シクロヘキシル−5−[2−エトキシ−6−(4−メチル−1−ピペラジニル)−3−ピリジニル]−3−メチル−1,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン
実施例16において実施例9で得た化合物に代えて、実施例42で得た化合物を用いた他は同様に反応を行い、標記化合物131mg(98%)を得た。
【0129】
実施例44
1−シクロヘキシル−5−[2−エトキシ−6−(4−メチル−1,4−ジアゼパン−1−イル)−3−ピリジニル]−3−メチル−1,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン
実施例16においてN−メチルピペラジンに代えて、N−メチルホモピペラジンを用い、実施例9で得た化合物に代えて、実施例42で得た化合物を用いた他は同様に反応を行い、標記化合物128mg(93%)を得た。
【0130】
実施例45
1−シクロヘキシル−5−[6−(1,4−ジオキサ−8−アザスピロ[4.5]デカ−8−イル)−2−エトキシ−3−ピリジニル]−3−メチル−1,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン
実施例16においてN−メチルピペラジンに代えて、1,4−ジオキサ−8−アザスピロ[4.5]デカンを用い、実施例9で得た化合物に代えて、実施例42で得た化合物を用いた他は同様に反応を行い、標記化合物934mg(96%)を得た。
【0131】
実施例46
1−シクロヘキシル−5−[2−エトキシ−6−(4−オキソ−1−ピペリジニル)−3−ピリジニル]−3−メチル−1,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン
実施例24において実施例23で得た化合物に代えて、実施例45で得た化合物を用いた他は同様に反応を行い、標記化合物791mg(97%)を得た。
【0132】
実施例47
1−シクロヘキシル−5−{6−[4−(ジメチルアミノ)−1−ピペリジニル]−2−エトキシ−3−ピリジニル}−3−メチル−1,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン
実施例26においてメチルアミンンに代えて、ジメチルアミンを用い、実施例24で得た化合物に代えて、実施例46で得た化合物を用いた他は同様に反応を行い、標記化合物122mg(86%)を得た。
【0133】
実施例48
1−シクロヘキシル−5−{2−エトキシ−6−[4−(メチルアミノ)−1−ピペリジニル]−3−ピリジニル}−3−メチル−1,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン
実施例26において実施例24で得た化合物に代えて、実施例46で得た化合物を用いた他は同様に反応を行い、標記化合物103mg(83%)を得た。
【0134】
実施例49
1−シクロヘキシル−5−[2−エトキシ−6−(4−ヒドロキシ−1−ピペリジニル)−3−ピリジニル]−3−メチル−1,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン
実施例25において実施例24で得た化合物に代えて、実施例46で得た化合物を用いた他は同様に反応を行い、標記化合物92mg(76%)を得た。
【0135】
上記実施例で、製造された化合物の化学構造およびその同定データは、以下の表にまとめて示した。
【0136】
【表1】

【0137】
【表2】

【0138】
【表3】

【0139】
【表4】

【0140】
【表5】

【0141】
【表6】

【0142】
【表7】

【0143】
【表8】

【0144】
【表9】

【0145】
【表10】

【0146】
【表11】

【0147】
【表12】

【0148】
【表13】

【産業上の利用可能性】
【0149】
本発明のピリジニルピラゾロピリミジノン誘導体は、PDE7を選択的に阻害する作用を有し、これによって、細胞内cAMPレベルが高まり、さらにはT細胞の活性化を阻害することによって、様々なアレルギー疾患、炎症・免疫疾患の予防および治療に有用である。
また、本発明のピリジニルピラゾロピリミジノン誘導体はPDE7を選択的に阻害するため、他のPDEに対する影響が少なく、医薬として使用した場合の副作用の低減が期待される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(IA)または(IB):
【化1】

(式中、
は、置換若しくは非置換のC3〜8のシクロアルキル基または、tert-ブチル基を示し、
は、水素原子またはC1〜3のアルキル基を示し、
は、基:−NR、−C(=O)Rまたは−S(O)0〜2を示し、
は水素原子または必要に応じて1つ以上のフッ素で置換されたC1〜3のアルコキシ基を示し、
およびRは、同一または異なって、水素原子、置換若しくは非置換のC1〜6のアルキル基、置換若しくは非置換のアシル基、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキル基、またはそれらが結合している窒素原子と一緒になって置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキル環を形成し、
は、基:−ORまたは−NRを示し、
は、水素原子、ハロゲン原子、基:−NR、置換若しくは非置換のC1〜6のアルキル基、または置換若しくは非置換のアリール基を示し、
は、水素原子または置換若しくは非置換のC1〜6のアルキル基を示す。)
で表されるピリジニルピラゾロピリミジノン誘導体、その薬理学的許容される塩またはその溶媒和物。
【請求項2】
一般式(IA)で表される請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
一般式(1B)で表される請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
がシクロヘキシル基またはシクロヘプチル基である請求項1、2または3に記載の化合物。
【請求項5】
がメチル基である請求項1ないし4のいずれかに記載の化合物。
【請求項6】
がメトキシ基またはエトキシ基である請求項1ないし5のいずれかに記載の化合物。
【請求項7】
が基:−NRである請求項1ないし6のいずれかに記載の化合物。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかに記載の化合物、その薬理学的に許容される塩、またはその溶媒和物を有効成分として含有する医薬組成物。
【請求項9】
請求項1ないし7のいずれかに記載の化合物、その薬理学的に許容される塩、またはその溶媒和物を有効成分として含有するPDF7阻害剤。

【公表番号】特表2008−501618(P2008−501618A)
【公表日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−516844(P2006−516844)
【出願日】平成16年6月11日(2004.6.11)
【国際出願番号】PCT/JP2004/008643
【国際公開番号】WO2004/111054
【国際公開日】平成16年12月23日(2004.12.23)
【出願人】(503062312)アスビオファーマ株式会社 (25)
【Fターム(参考)】