RFIDリーダ/ライタ及びアンテナの構造
【課題】タグとの位置関係によらずタグとデータの交信を行うことができるRFIDシステムのリーダ/ライタ及びリーダ/ライタ用アンテナの構造の提供。
【解決手段】リーダ/ライタ本体4に格納される回路基板4aに形成されるリーダ/ライタ用アンテナ3を、回路基板4aの面上に形成される第1のアンテナ3aと、回路基板4a表裏面の導体パターン11a、11bと回路基板4aを貫通するスルーホール11cとを利用して立体的に形成されるアンテナや、第1のアンテナ3a上にループを分断するように設置される螺旋状のアンテナ、フレキシブル基板を回路基板4a上で撓ませて形成したアンテナ、実装部品をリード線によって浮かせることによって立体的に形成されるアンテナ等からなる第2のアンテナ3bとで構成することにより、複数の方向にアンテナ軸を向けてタグとの位置関係によらず交信を可能とする。
【解決手段】リーダ/ライタ本体4に格納される回路基板4aに形成されるリーダ/ライタ用アンテナ3を、回路基板4aの面上に形成される第1のアンテナ3aと、回路基板4a表裏面の導体パターン11a、11bと回路基板4aを貫通するスルーホール11cとを利用して立体的に形成されるアンテナや、第1のアンテナ3a上にループを分断するように設置される螺旋状のアンテナ、フレキシブル基板を回路基板4a上で撓ませて形成したアンテナ、実装部品をリード線によって浮かせることによって立体的に形成されるアンテナ等からなる第2のアンテナ3bとで構成することにより、複数の方向にアンテナ軸を向けてタグとの位置関係によらず交信を可能とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁誘導又は電磁結合を利用して非接触でデータの交信を行うRFID(Radio Frequency Identification)システムのリーダ又はリーダ/ライタに関し、特に、リーダ又はリーダ/ライタのアンテナ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ICチップを備えたタグとリーダ又はリーダ/ライタ(以下、総称してリーダ/ライタと呼ぶ。)との間でデータの交信を行うRFIDシステムが普及している。このRFIDシステムは、タグ及びリーダ/ライタの各々に備えたアンテナを用いてデータの交信を行うため、タグをリーダ/ライタから離した状態でも通信可能であることから、様々な用途に利用されている。
【0003】
例えば、下記特許文献1には、RFIDシステムを図書館における書籍の管理などに用いる技術が開示されている。上記公報によれば、ループ状のアンテナとICとからなるタグ(帯状ICシール)を書籍に貼付し、一方、対象物に設けられたICチップのデータを読み取るリーダ/ライタを備える受け渡し管理装置を設置し、受け渡し管理装置のリーダ/ライタ用アンテナ上に対象物を設置することにより、対象物のICチップに記憶されているデータをリーダ/ライタで読み取り、書籍の持ち出し、返却を管理している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平2002−019922号公報(第3−6頁、第7図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記公報記載の構造のRFIDシステムでは、リーダ/ライタ用アンテナは受け渡し管理装置に固定されており、また、タグが貼付された対象物はリーダ/ライタ用アンテナ上の所定の位置に載置されるため、リーダ/ライタ用アンテナとタグとのデータの交信を確実に行うことができる。しかしながら、固定されている装置にリーダ/ライタを設置する構造の場合、データの交信を行うためにはタグが貼付された対象物を装置まで持ち運ばなければならず、例えば、棚に配置されている書籍を管理する場合などに不便である。
【0006】
そこで、リーダ/ライタを小型のカード状(例えば、CFカード)とし、PDA等の携帯端末機器に装着して使用する方法もある。この方法の場合、リーダ/ライタを持ち歩くことができるため、タグが貼付された対象物を移動させることなくタグとデータの交信を行うことができるが、リーダ/ライタをこのような形態にするとリーダ/ライタ用アンテナのサイズも小さくなるためにタグとの交信範囲は狭くなり、リーダ/ライタ用アンテナとタグとの位置関係によってはデータの交信ができない場合も生じる。
【0007】
例えば、図14に示すように、カード状のリーダ/ライタ2は、携帯端末機器のスロット等に装着されるリーダ/ライタ本体4と、該本体に格納される基板4aの表面上に形成されたリーダ/ライタ用アンテナ3とで構成され、タグ5に埋め込まれたアンテナコイル7とリーダ/ライタ用アンテナ3のアンテナ軸が同じ方向を向くようにリーダ/ライタ2を近接(図ではタグ5の下側からリーダ/ライタ2を近接)させたときはデータの交信が可能であるが、双方のアンテナ軸が直交する状態でリーダ/ライタ2を近接(図ではタグ5の左側からリーダ/ライタ2を近接)させたときはデータの交信ができない。そこで、このような場合は、携帯端末機器自体の向きを変えてアンテナ軸を調整すればよいが、携帯端末機器の向きを変えてしまうとタッチパネルやキーボードの操作しにくくなったり、モニタが見にくくなってしまい、作業性が著しく低下するという問題が生じる。
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、その主たる目的は、タグとの位置関係によらずタグとデータの交信を行うことができるRFIDシステムのリーダ/ライタ及びリーダ/ライタ用アンテナの構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明のリーダ又はリーダ/ライタは、電磁誘導又は電磁結合を利用してRFIDタグとデータの交信を行うリーダ又はリーダ/ライタであって、前記リーダ又はリーダ/ライタは、回路要素が構成される本体と、該本体に格納される複数の基板に形成されるアンテナとからなり、前記アンテナは、いずれか一の基板の面上に設けられた導体パターンで形成されるループ状の第1のアンテナと、前記一の基板の面上に設けられた導体パターンと他の基板の面上に設けられた導体パターンと前記一の基板と前記他の基板とを接続する接合手段とを少なくとも用いて立体的に形成される第2のアンテナとにより構成されるものである。
【0010】
本発明においては、前記第1のアンテナと前記第1のアンテナとが分離して形成され、一方のアンテナは他方のアンテナとの磁気的結合により流れる誘導電流により駆動される構成とすることができる。
【0011】
本発明においては、前記リーダ又はリーダ/ライタは、前記本体が携帯端末機器のスロットに装着可能に形成され、前記アンテナにより取得したデータが前記携帯端末機器で処理されることが好ましい。
【0012】
このように、本発明によれば、リーダ/ライタ本体に格納される基板に形成されるリーダ/ライタ用アンテナが、基板上に平面的に形成された第1のアンテナと基板に立体的に形成された第2のアンテナとを含む複数のアンテナにより構成されるため、タグの向きによらず確実にタグとデータの交信を行うことができる。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように、本発明のRFIDリーダ/ライタ及びリーダ/ライタ用アンテナの構造によれば、携帯端末機器などの移動可能な機器に設置されるリーダ/ライタと、対象物品に貼付されるタグとの位置関係によらず、確実にタグとデータの交信を行うことができる。
【0014】
その理由は、リーダ/ライタ本体に格納される基板に形成されるリーダ/ライタ用アンテナを、基板の面上にループ状に形成される第1のアンテナに加えて、基板表裏面の導体パターンと基板を貫通するスルーホールや複数の基板を接続する接合ピンとを利用して立体的に形成されるアンテナや、第1のアンテナ上にループを分断するように設置される螺旋状のアンテナ、導体パターンが形成されたフレキシブルな基材を基板上で撓ませて形成したアンテナ、実装部品をリード線によって浮かせ、リード線と基板の面上の導体パターンとを利用して立体的に形成されるアンテナ等からなる第2のアンテナを設けることにより、複数の方向にアンテナ軸が形成されるからである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係るRFIDシステムの構成を模式的に示す図である。
【図2】本発明に係るリーダ/ライタ及びタグの構成を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施例に係るリーダ/ライタの構造を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施例に係るリーダ/ライタの構造のバリエーションを示す図である。
【図5】本発明の第1の実施例に係るリーダ/ライタの構造のバリエーションを示す図である。
【図6】本発明の第1の実施例に係るリーダ/ライタの構造のバリエーションを示す図である。
【図7】本発明の第1の実施例に係るリーダ/ライタの構造のバリエーションを示す図である。
【図8】本発明の第1の実施例に係るリーダ/ライタの構造のバリエーションを示す図である。
【図9】本発明の第2の実施例に係るリーダ/ライタの構造を示す図である。
【図10】本発明の第2の実施例に係るリーダ/ライタの構造のバリエーションを示す図である。
【図11】本発明の第3の実施例に係るリーダ/ライタの構造を示す図である。
【図12】本発明の第3の実施例に係るリーダ/ライタの構造のバリエーションを示す図である。
【図13】本発明の第4の実施例に係るリーダ/ライタの構造を示す図である。
【図14】従来のRFIDシステムの構成を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
従来技術で示したように、PDA等の携帯端末機器にカード状のリーダ/ライタを装着して持ち運びできるようにする方法があるが、この場合、リーダ/ライタ用アンテナのサイズを大きくすることができないために交信可能な範囲は狭くなり、リーダ/ライタ用アンテナとタグとの位置関係によってはデータの交信ができなくなり、携帯端末機器自体の向きを調整すると、携帯端末機器の操作性や視認性が低下するという問題が生じる。
【0017】
このような問題が生じるのは、リーダ/ライタ用アンテナがカード状のリーダ/ライタ本体に格納される基板の一平面上に形成され、そのアンテナ軸が一方向を向いているからであり、アンテナ軸が複数の方向を向くようにリーダ/ライタ用アンテナを形成すれば携帯端末機器自体の向きを調整する必要がなくなる。しかしながら、複数の方向にアンテナ軸を有するリーダ/ライタ用アンテナはなく、また、基板の面に平行な方向にアンテナ軸を有するアンテナを基板と一体的に形成するのは困難であり、このようなリーダ/ライタ用アンテナを基板と別体として形成すると、リーダ/ライタのサイズが大きくなってしまう。
【0018】
そこで、本発明では、リーダ/ライタ本体に格納される基板に形成されるリーダ/ライタ用アンテナを、基板の面上にループ状に形成される第1のアンテナと、基板表裏面の導体パターンと基板を貫通するスルーホールや複数の基板を接続する接合ピンとを利用して立体的に形成されるアンテナや、第1のアンテナ上にループを分断するように設置される螺旋状のアンテナ、導体パターンが形成されたフレキシブルな基材を基板上で撓ませて形成したアンテナ、実装部品をリード線によって浮かせ、リード線と基板の面上の導体パターンとを利用して立体的に形成されるアンテナ等からなる第2のアンテナとで構成することにより、複数の方向にアンテナ軸を向けてタグとの位置関係によらずデータの交信を可能としている。以下、その具体的構造について、図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0019】
まず、本発明の第1の実施例に係るRFIDリーダ/ライタ及びそのアンテナ構造について、図1乃至図8を参照して説明する。図1は本発明のRFIDシステムの構成を模式的に示す図であり、図2は、リーダ/ライタ及びタグの構成を示す図である。また、図3乃至図8は、第1の実施例に係るリーダ/ライタの構造を示す図である。
【0020】
図1に示すように、本発明のRFIDシステム1は、PDA、ノート型パソコン、携帯電話機等の携帯端末機器10のスロットに装着可能な構造のカード状、スティック状のリーダ/ライタ本体4及びリーダ/ライタ本体4に格納される基板に形成されるリーダ/ライタ用アンテナ3からなるリーダ/ライタ2と、対象物に貼付されるカード状、シート状、ラベル状などのタグ5とから構成される。
【0021】
また、図2に示すように、リーダ/ライタ本体4は、送受信信号を変換するための通信回路部4bと送受信信号をデコードするための演算処理部4cとを備え、通信回路部4bにリーダ/ライタ用アンテナ3が接続されている。また、演算処理部4cは携帯端末機器10の回路に接続され、リーダ/ライタ用アンテナ3で受信したデータが携帯端末機器10で利用できるように構成されている。また、タグ5は、その内部にアンテナコイル7とコンデンサ8(内部容量を有するIC9を備える場合はコンデンサ8が必ずしも必要ではない。)とからなる共振回路6を備え、タグ5側でも信号を生成する場合は共振回路6にデータの演算、記憶を行うIC9が接続され、内蔵する電源又はリーダ/ライタ2から供給される電源を用いて駆動される。そして、タグ5の共振回路6の共振周波数を所望の通信周波数(例えば、13.56MHz)に合わせ込むことによってリーダ/ライタ用アンテナ3との間でデータの交信を行う。
【0022】
なお、本発明はリーダ/ライタ本体4に格納される基板に形成されるリーダ/ライタ用アンテナ3の構造に特徴を有するものであり、リーダ/ライタ本体4やタグ5の形状、構造、リーダ/ライタ2を装着する機器やタグ5が貼付される対象物の種類、形状、構造等は限定されない。
【0023】
次に、本実施例のリーダ/ライタ2の詳細な構造について説明する。図3に示すように、本実施例のリーダ/ライタ2は、携帯端末機器10のスロットに装着可能なカード状(例えば、CFカード形状)のリーダ/ライタ本体4と、該本体に格納される基板4aに一体的に形成されたリーダ/ライタ用アンテナ3とで構成され、リーダ/ライタ用アンテナ3は、基板4aの一面上に平面的(導体パターンが交差する箇所において、各々の導体パターンが導通しないようにスルーホールやジャンパー線などを用いて接続しているものを含む。以下の説明において同じ。)に形成され、基板4aの面に略直交する方向にアンテナ軸を有するループ状の第1のアンテナ3aと、基板4aの厚さ方向に立体的に形成され、基板4aの面に略平行な方向にアンテナ軸を有する第2のアンテナ3bとで構成されている。
【0024】
なお、リーダ/ライタ用アンテナ3が形成される基板4aは、リーダ/ライタ2を機能させるためのRF回路や制御回路、インターフェース回路などが形成される基板であってもよいし、これらの基板とは別に、アンテナパターンを形成するために設けられる基板であってもよい。また、図では説明を容易にするために、リーダ/ライタ用アンテナ3と回路要素との電気的な接続構造は記載していないが、前述したように、リーダ/ライタ用アンテナ3は基板4a又は他の基板に形成される通信回路部4bに接続されている。
【0025】
この第2のアンテナ3bは、基板4aの一面上に形成された導体パターン(図では表面側導体パターン11a)と対向する面に形成された導体パターン(図では裏面側導体パターン11b)と基板4aを貫通するスルーホール11cとを用いて立体的に形成され、その端部が第1のアンテナ3aに接続されている。このようにスルーホール11cを利用してアンテナを形成することにより、リーダ/ライタ本体4(基板4a)の厚みを増すことなく、基板4aの面に略平行な方向にアンテナ軸を有する第2のアンテナ3bを形成することができる。
【0026】
なお、図3の構成は例示であり、第2のアンテナ3bは表面側導体パターン11aと裏面側導体パターン11bとスルーホール11cとを用いて基板4aの厚さ方向に立体的に形成されていればよく、第1のアンテナ3aと第2のアンテナ3bとの接続位置や接続構造は任意であり、例えば、図4に示すように第1のアンテナ3aの両端部側と第2のアンテナ3bとが接続される構造としてもよいし、磁界の向きが対向するように、第1のアンテナ3aと第2のアンテナ3bとの接続線を交差させる構造としてもよい。また、第1のアンテナ3aの巻き数を2回、第2のアンテナ3bの巻き数を1回としたが、巻き数は任意であり、また、アンテナパターンの形状やスルーホールの形成位置、第1のアンテナ3aと第2のアンテナ3bとの接続位置なども図の構成に限定されない。また、基板4aの厚さも限定されず市販のプリント基板などを用いることができるが、第2のアンテナ3bのアンテナ面積を大きくするためにはリーダ/ライタ本体4に格納可能な限りにおいて極力厚い方が好ましい。また、図3及び図4では、表裏面に導体パターンが形成された基板4aを使用する構成を示したが、導体パターンが3層以上形成された多層基板を使用することもでき、内層面の導体パターンを用いて第1のアンテナ3aや第2のアンテナ3bを形成したり、内層面を使用してアンテナの巻き数を増やすこともできる。
【0027】
また、図3及び図4では、第1のアンテナ3aと第2のアンテナ3bとを接続し、その双方に給電する構成としたが、第1のアンテナ3aと第2のアンテナ3bとを分離することもできる。例えば、図5に示すように、第1のアンテナ3aにカップリングするように設計された共振回路を、共振回路部品12と基板4aの表裏面の導体パターン11a、11bとスルーホール11cとを用いて形成して第2のアンテナ3bを形成することもできる。この構成の場合、第2のアンテナ3b(無給電アンテナ)は第1のアンテナ3a(給電アンテナ)との磁気的結合により流れる誘導電流により駆動される。
【0028】
また、図3乃至図5では、第2のアンテナ3bをそのアンテナ軸が基板4aの長手方向を向くように形成したが、例えば図6に示すように、基板4aの短尺方向にアンテナ軸が向くように第2のアンテナ3bを形成してもよい。また、図3乃至図6では、第2のアンテナ3bのアンテナ軸が基板4aの面に略平行になるようにしたが、第1のアンテナ3aのアンテナ軸と異なる方向を向いていればよい。更に、図3乃至図6では、リーダ/ライタ用アンテナ3が第1のアンテナ3a及び第2のアンテナ3bの2種類のアンテナで構成されている場合について記載したが、リーダ/ライタ用アンテナ3はアンテナ軸の方向が異なる複数のアンテナで構成されていればよく、例えば、図3に示す給電アンテナと図5又は図6に示す無給電アンテナとを組み合わせることもできる。
【0029】
また、図3乃至図6では、1つの基板4aに第2のアンテナ3bを立体的に形成したが、リーダ/ライタ本体4に格納される基板が複数の場合(例えば、アンテナパターンが形成される基板とRF回路や制御回路、インターフェース回路などが形成される基板とが別々に構成されている場合)には、図7に示すように、基板4aに形成された導体パターンと基板17に形成された導体パターンと基板間を接続する接合ピン16と、必要に応じてスルーホール11cとを用いて接続して基板4a、4bの積層方向に立体的に第2のアンテナ3bを形成することもできる。このように複数の基板を利用して第2のアンテナ3bを形成することにより、アンテナの面積を大きくすることができ、データの交信が可能な範囲を広げることができる。この構成の場合においても、第1のアンテナ3aと第2のアンテナ3bとの接続構造は任意であり、図3及び図4のいずれの構造を利用してもよいし、第1のアンテナ3aと第2のアンテナ3bの双方を給電アンテナとしても、いずれか一方を無給電アンテナとしてもよい。更に、図7では2つの基板4a、17を利用する場合を示したが、3つ以上の基板を利用して立体的な第2のアンテナ3bを形成してもよい。
【0030】
また、図3乃至図7では、基板4aの面に略平行又は略直交するアンテナ軸を有するアンテナを形成したが、表面側導体パターン11aと裏面側導体パターン11bとスルーホール11cとを用いて、基板4aの面に対して傾斜したアンテナ軸を有するアンテナを形成することもできる。例えば、図8に示すように、基板4aの表面側に形成したコの字型の導体パターンと、基板4aの裏面側に形成したコの字型の導体パターンとをスルーホール11cで接続すると、実効的なアンテナ面が基板4aの面に対して傾斜するため、アンテナ軸を基板4aの法線方向に対して傾斜させることができる。そして、このような構造のアンテナを第1のアンテナ3a又は第2のアンテナ3bとして用いることによっても複数の方向にアンテナ軸を有するリーダ/ライタ用アンテナ3を形成することができる。
【0031】
このように、リーダ/ライタ本体4に格納される基板4aの面上に形成される第1のアンテナ3aに加えて、基板4a両面の導体パターン11a、11bと基板4aを貫通するスルーホール11cとを用いて、基板4aの面に直交する方向以外にアンテナ軸を有する第2のアンテナ3bを立体的に形成することにより、タグ5との位置関係によらずデータの交信を行うことができる。
【実施例2】
【0032】
次に、本発明の第2の実施例に係るRFIDリーダ/ライタ及びそのアンテナ構造について、図9及び図10を参照して説明する。図9及び図10は、第2の実施例に係るリーダ/ライタの構造を示す斜視図及び平面図である。
【0033】
前記した第1の実施例では、基板4aの表裏面の導体パターン11a、11bと基板4aを貫通するスルーホール11cとを用いて、基板4aの面に直交する方向以外にアンテナ軸を有する第2のアンテナ3bを形成したが、基板4aの一方の面のみを用いて面方向にアンテナ軸を有する第2のアンテナ3bを形成することもできる。
【0034】
具体的には、図9に示すように、リーダ/ライタ本体4に格納される基板4aの面上にループ状の第1アンテナ3aを形成し、第1のアンテナ3aの配線の一部を切断して、そこに配線の長手方向に螺旋が延びる第2のアンテナ3b(ここではチップコイル13)を接続する。このような構成でも、ループ状の第1のアンテナ3aのアンテナ軸は基板4aの面に略直交する方向を向き、螺旋状の第2のアンテナ3bのアンテナ軸は基板4aの面に略平行な方向を向くため、アンテナ軸の方向が異なる複数のアンテナでリーダ/ライタ用アンテナを構成することができ、第1の実施例と同様に、タグ5との位置関係によらずデータの交信を可能とすることができる。
【0035】
なお、本実施例においても、第2のアンテナ3bのアンテナ軸は基板4aの面に直交する方向以外の方向であればよく、図10に示すように、基板4aの短尺方向に螺旋状の第2のアンテナ3bを配置してもよいし、図9の構造と図10の構造とを組み合わせてもよい。また、本実施例の構造においても、第1のアンテナ3aを図8に示すようにそのアンテナ軸が傾斜するように形成してもよいし、第2のアンテナ3bを基板4aの面に対して傾斜させて固定してもよい。また、第1のアンテナ3a及び第2のアンテナ3bの巻き数、形状などは任意であり、リーダ/ライタ2に求められる性能を勘案して適宜設定することができる。
【実施例3】
【0036】
次に、本発明の第3の実施例に係るRFIDリーダ/ライタ及びそのアンテナ構造について、図11及び図12を参照して説明する。図11及び図12は、第3の実施例に係るリーダ/ライタの構造を示す斜視図、平面図及び側断面図である。
【0037】
前記した第1の実施例では、基板4aの表裏面の導体パターン11a、11bと基板4aを貫通するスルーホール11cとを用いて、基板4aの面に直交する方向以外にアンテナ軸を有する第2のアンテナ3bを形成したが、この方法では、パターンの構成が複雑になり、また、既存の基板4aを利用してリーダ/ライタ用アンテナ3を形成することができない場合もある。そこで、本実施例では、第1のアンテナ3aの近傍にフレキシブルな材料で形成された第2のアンテナ3bを配置する。
【0038】
具体的には、図11に示すように、フレキシブルな絶縁性シート上に設けたAlやCu等の導電膜をエッチングにより除去したり、絶縁性シート上にスクリーン印刷により導電性ペーストを塗布する等によって形成したフレキシブル基板14を撓ませ、そのアンテナ軸が基板4aの面に略平行な方向を向く(図では、基板4aの長手方向を向く)ように基板4a上に配置して第2のアンテナ3bを形成し、この第2のアンテナ3bと第1のアンテナ3aとを圧着、半田付けなどの方法により接続する。このような構成でも、ループ状の第1のアンテナ3aのアンテナ軸は基板4aの面に略直交する方向を向き、フレキシブル基板14を撓ませて形成した第2のアンテナ3bのアンテナ軸は基板4aの面に略平行な方向を向くため、アンテナ軸の方向が異なる複数のアンテナでリーダ/ライタ用アンテナ3を構成することができ、第1及び第2の実施例と同様に、タグ5との位置関係によらずデータの交信を可能とすることができる。
【0039】
なお、図11では、フレキシブル基板14をループ状に撓ませて基板4a上に設置したが、基板4aに予めフレキシブル基板14のアンテナパターンと接続される導体パターンを形成しておき、半円状のフレキシブル基板14の両端部を基板4aに接続するようにしてもよい。
【0040】
また、図11では、第1のアンテナ3aと第2のアンテナ3bとを接続して両アンテナに給電する構成としたが、図12に示すように、フレキシブル基板14に予め第1のアンテナ3aとカップリングする共振回路を形成しておき、フレキシブル基板14をループ状に巻回して第1のアンテナ3aの近傍に設置する構成とすることもでき、第2のアンテナ3bを第1のアンテナ3aとの磁気的結合により流れる誘導電流により駆動させることもできる。この構成では、第1のアンテナ3aが形成された基板4aにフレキシブル基板14で形成された第2のアンテナ3bを配置するだけでよいため、第1のアンテナ3aが形成された既存の基板4aをそのまま利用することができるという長所がある。また、フレキシブル基板14を用いた場合、基板4aを筐体に収納した際に、筐体の内部形状にある程度合致するようにフレキシブル基板14が変形するため、筐体内の最大限のアンテナ面積を確保できるという長所もある。
【0041】
本実施例においても、基板4aの短尺方向にアンテナ軸が向くように第2のアンテナ3bを形成してもよいし、第1のアンテナ3aを図8に示すようにそのアンテナ軸が傾斜するように形成したり、第2のアンテナ3bを基板4aの面に対して傾斜させて固定してもよい。また、第1のアンテナ3aの巻き数や形状、フレキシブル基板14の材料、パターン形状、撓み形状、設置位置などは任意であり、リーダ/ライタ2に求められる性能を勘案して適宜設定することができる。
【実施例4】
【0042】
次に、本発明の第4の実施例に係るRFIDリーダ/ライタ及びそのアンテナ構造について、図13を参照して説明する。図13は、第4の実施例に係るリーダ/ライタの構造を示す斜視図、平面図及び側断面図である。
【0043】
前記した第2の実施例では、共振回路を構成する共振回路部品12と基板4aの表裏面の導体パターン11a、11bと基板4aを貫通するスルーホール11cとを用いて第2のアンテナ3bを形成したが、スルーホール11cを用いなくても基板4aの面方向にアンテナ軸を有する第2のアンテナ3bを立体的に形成することはできる。
【0044】
具体的には、図13に示すように、基板4aに実装される実装部品15(第1のアンテナ3aと電気的に接続される部品であってもよいし、無給電アンテナを構成する部品であってもよい。例えば、低抵抗のリード抵抗や共振に必要な容量のリードコンデンサなど)の足15aを折り曲げ、基板4aとの間に隙間ができるように実装する。このような構成でも、実装部品15の足15aと基板4aの面上に形成された導体パターン(ここでは表面側導体パターン11a)とによってループが形成され、該ループが第2のアンテナ3bとして機能するため、アンテナ軸の方向が異なる複数のアンテナでリーダ/ライタ用アンテナ3を構成することができる。
【0045】
なお、図13では、実装部品15の足15aを基板4aの表面側導体パターン11aに接続したが、実装部品15の足15aをスルーホール11cを貫通させて裏面側導体パターン11bで接続するようにしてもよい。また、本実施例においても、基板4aの短尺方向にアンテナ軸が向くように実装部品15を配置して第2のアンテナ3bを形成してもよいし、第1のアンテナ3aを図8に示すようにそのアンテナ軸が傾斜するように形成したり、第2のアンテナ3bを基板4aの面に対して傾斜させて固定してもよい。また、第1のアンテナ3aの巻き数、形状、実装部品15の種類、足15aの形状、基板4aとの隙間の大きさなどは任意であり、リーダ/ライタ2に求められる性能を勘案して適宜設定することができる。また、第2のアンテナ3bの巻き数を部品点数により増加させることも可能であり、例えば、100pFのコンデンサでアンテナを形成する場合に、200pFのコンデンサを2個直列に繋ぐことにより2ターンのコイルアンテナを形成することができる。
【0046】
また、上記各実施例では、基板4aの面に直交する方向以外の方向にアンテナ軸を有する第2のアンテナ3bを形成する4つの構造について記載したが、これらの構造を単独で利用してもよいし、複数の構造を組み合わせて利用してもよい。また、上記説明では、本発明のアンテナ構造をリーダ/ライタ用アンテナに適用する場合について述べたが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、タグのアンテナや他の通信機器用アンテナについても同様に適用することができる。
【符号の説明】
【0047】
1 RFIDシステム
2 リーダ/ライタ
3 リーダ/ライタ用アンテナ
3a 第1のアンテナ
3b 第2のアンテナ
4 リーダ/ライタ本体
4a 基板
4b 通信回路部
4c 演算処理部
5 タグ
6 共振回路
7 アンテナコイル
8 コンデンサ
9 IC
10 携帯端末機器
11a 表面側導体パターン
11b 裏面側導体パターン
11c スルーホール
12 共振回路部品
13 チップコンデンサ
14 フレキシブル基板
15 実装部品
15a 足
16 接合ピン
17 基板
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁誘導又は電磁結合を利用して非接触でデータの交信を行うRFID(Radio Frequency Identification)システムのリーダ又はリーダ/ライタに関し、特に、リーダ又はリーダ/ライタのアンテナ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ICチップを備えたタグとリーダ又はリーダ/ライタ(以下、総称してリーダ/ライタと呼ぶ。)との間でデータの交信を行うRFIDシステムが普及している。このRFIDシステムは、タグ及びリーダ/ライタの各々に備えたアンテナを用いてデータの交信を行うため、タグをリーダ/ライタから離した状態でも通信可能であることから、様々な用途に利用されている。
【0003】
例えば、下記特許文献1には、RFIDシステムを図書館における書籍の管理などに用いる技術が開示されている。上記公報によれば、ループ状のアンテナとICとからなるタグ(帯状ICシール)を書籍に貼付し、一方、対象物に設けられたICチップのデータを読み取るリーダ/ライタを備える受け渡し管理装置を設置し、受け渡し管理装置のリーダ/ライタ用アンテナ上に対象物を設置することにより、対象物のICチップに記憶されているデータをリーダ/ライタで読み取り、書籍の持ち出し、返却を管理している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平2002−019922号公報(第3−6頁、第7図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記公報記載の構造のRFIDシステムでは、リーダ/ライタ用アンテナは受け渡し管理装置に固定されており、また、タグが貼付された対象物はリーダ/ライタ用アンテナ上の所定の位置に載置されるため、リーダ/ライタ用アンテナとタグとのデータの交信を確実に行うことができる。しかしながら、固定されている装置にリーダ/ライタを設置する構造の場合、データの交信を行うためにはタグが貼付された対象物を装置まで持ち運ばなければならず、例えば、棚に配置されている書籍を管理する場合などに不便である。
【0006】
そこで、リーダ/ライタを小型のカード状(例えば、CFカード)とし、PDA等の携帯端末機器に装着して使用する方法もある。この方法の場合、リーダ/ライタを持ち歩くことができるため、タグが貼付された対象物を移動させることなくタグとデータの交信を行うことができるが、リーダ/ライタをこのような形態にするとリーダ/ライタ用アンテナのサイズも小さくなるためにタグとの交信範囲は狭くなり、リーダ/ライタ用アンテナとタグとの位置関係によってはデータの交信ができない場合も生じる。
【0007】
例えば、図14に示すように、カード状のリーダ/ライタ2は、携帯端末機器のスロット等に装着されるリーダ/ライタ本体4と、該本体に格納される基板4aの表面上に形成されたリーダ/ライタ用アンテナ3とで構成され、タグ5に埋め込まれたアンテナコイル7とリーダ/ライタ用アンテナ3のアンテナ軸が同じ方向を向くようにリーダ/ライタ2を近接(図ではタグ5の下側からリーダ/ライタ2を近接)させたときはデータの交信が可能であるが、双方のアンテナ軸が直交する状態でリーダ/ライタ2を近接(図ではタグ5の左側からリーダ/ライタ2を近接)させたときはデータの交信ができない。そこで、このような場合は、携帯端末機器自体の向きを変えてアンテナ軸を調整すればよいが、携帯端末機器の向きを変えてしまうとタッチパネルやキーボードの操作しにくくなったり、モニタが見にくくなってしまい、作業性が著しく低下するという問題が生じる。
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、その主たる目的は、タグとの位置関係によらずタグとデータの交信を行うことができるRFIDシステムのリーダ/ライタ及びリーダ/ライタ用アンテナの構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明のリーダ又はリーダ/ライタは、電磁誘導又は電磁結合を利用してRFIDタグとデータの交信を行うリーダ又はリーダ/ライタであって、前記リーダ又はリーダ/ライタは、回路要素が構成される本体と、該本体に格納される複数の基板に形成されるアンテナとからなり、前記アンテナは、いずれか一の基板の面上に設けられた導体パターンで形成されるループ状の第1のアンテナと、前記一の基板の面上に設けられた導体パターンと他の基板の面上に設けられた導体パターンと前記一の基板と前記他の基板とを接続する接合手段とを少なくとも用いて立体的に形成される第2のアンテナとにより構成されるものである。
【0010】
本発明においては、前記第1のアンテナと前記第1のアンテナとが分離して形成され、一方のアンテナは他方のアンテナとの磁気的結合により流れる誘導電流により駆動される構成とすることができる。
【0011】
本発明においては、前記リーダ又はリーダ/ライタは、前記本体が携帯端末機器のスロットに装着可能に形成され、前記アンテナにより取得したデータが前記携帯端末機器で処理されることが好ましい。
【0012】
このように、本発明によれば、リーダ/ライタ本体に格納される基板に形成されるリーダ/ライタ用アンテナが、基板上に平面的に形成された第1のアンテナと基板に立体的に形成された第2のアンテナとを含む複数のアンテナにより構成されるため、タグの向きによらず確実にタグとデータの交信を行うことができる。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように、本発明のRFIDリーダ/ライタ及びリーダ/ライタ用アンテナの構造によれば、携帯端末機器などの移動可能な機器に設置されるリーダ/ライタと、対象物品に貼付されるタグとの位置関係によらず、確実にタグとデータの交信を行うことができる。
【0014】
その理由は、リーダ/ライタ本体に格納される基板に形成されるリーダ/ライタ用アンテナを、基板の面上にループ状に形成される第1のアンテナに加えて、基板表裏面の導体パターンと基板を貫通するスルーホールや複数の基板を接続する接合ピンとを利用して立体的に形成されるアンテナや、第1のアンテナ上にループを分断するように設置される螺旋状のアンテナ、導体パターンが形成されたフレキシブルな基材を基板上で撓ませて形成したアンテナ、実装部品をリード線によって浮かせ、リード線と基板の面上の導体パターンとを利用して立体的に形成されるアンテナ等からなる第2のアンテナを設けることにより、複数の方向にアンテナ軸が形成されるからである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係るRFIDシステムの構成を模式的に示す図である。
【図2】本発明に係るリーダ/ライタ及びタグの構成を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施例に係るリーダ/ライタの構造を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施例に係るリーダ/ライタの構造のバリエーションを示す図である。
【図5】本発明の第1の実施例に係るリーダ/ライタの構造のバリエーションを示す図である。
【図6】本発明の第1の実施例に係るリーダ/ライタの構造のバリエーションを示す図である。
【図7】本発明の第1の実施例に係るリーダ/ライタの構造のバリエーションを示す図である。
【図8】本発明の第1の実施例に係るリーダ/ライタの構造のバリエーションを示す図である。
【図9】本発明の第2の実施例に係るリーダ/ライタの構造を示す図である。
【図10】本発明の第2の実施例に係るリーダ/ライタの構造のバリエーションを示す図である。
【図11】本発明の第3の実施例に係るリーダ/ライタの構造を示す図である。
【図12】本発明の第3の実施例に係るリーダ/ライタの構造のバリエーションを示す図である。
【図13】本発明の第4の実施例に係るリーダ/ライタの構造を示す図である。
【図14】従来のRFIDシステムの構成を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
従来技術で示したように、PDA等の携帯端末機器にカード状のリーダ/ライタを装着して持ち運びできるようにする方法があるが、この場合、リーダ/ライタ用アンテナのサイズを大きくすることができないために交信可能な範囲は狭くなり、リーダ/ライタ用アンテナとタグとの位置関係によってはデータの交信ができなくなり、携帯端末機器自体の向きを調整すると、携帯端末機器の操作性や視認性が低下するという問題が生じる。
【0017】
このような問題が生じるのは、リーダ/ライタ用アンテナがカード状のリーダ/ライタ本体に格納される基板の一平面上に形成され、そのアンテナ軸が一方向を向いているからであり、アンテナ軸が複数の方向を向くようにリーダ/ライタ用アンテナを形成すれば携帯端末機器自体の向きを調整する必要がなくなる。しかしながら、複数の方向にアンテナ軸を有するリーダ/ライタ用アンテナはなく、また、基板の面に平行な方向にアンテナ軸を有するアンテナを基板と一体的に形成するのは困難であり、このようなリーダ/ライタ用アンテナを基板と別体として形成すると、リーダ/ライタのサイズが大きくなってしまう。
【0018】
そこで、本発明では、リーダ/ライタ本体に格納される基板に形成されるリーダ/ライタ用アンテナを、基板の面上にループ状に形成される第1のアンテナと、基板表裏面の導体パターンと基板を貫通するスルーホールや複数の基板を接続する接合ピンとを利用して立体的に形成されるアンテナや、第1のアンテナ上にループを分断するように設置される螺旋状のアンテナ、導体パターンが形成されたフレキシブルな基材を基板上で撓ませて形成したアンテナ、実装部品をリード線によって浮かせ、リード線と基板の面上の導体パターンとを利用して立体的に形成されるアンテナ等からなる第2のアンテナとで構成することにより、複数の方向にアンテナ軸を向けてタグとの位置関係によらずデータの交信を可能としている。以下、その具体的構造について、図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0019】
まず、本発明の第1の実施例に係るRFIDリーダ/ライタ及びそのアンテナ構造について、図1乃至図8を参照して説明する。図1は本発明のRFIDシステムの構成を模式的に示す図であり、図2は、リーダ/ライタ及びタグの構成を示す図である。また、図3乃至図8は、第1の実施例に係るリーダ/ライタの構造を示す図である。
【0020】
図1に示すように、本発明のRFIDシステム1は、PDA、ノート型パソコン、携帯電話機等の携帯端末機器10のスロットに装着可能な構造のカード状、スティック状のリーダ/ライタ本体4及びリーダ/ライタ本体4に格納される基板に形成されるリーダ/ライタ用アンテナ3からなるリーダ/ライタ2と、対象物に貼付されるカード状、シート状、ラベル状などのタグ5とから構成される。
【0021】
また、図2に示すように、リーダ/ライタ本体4は、送受信信号を変換するための通信回路部4bと送受信信号をデコードするための演算処理部4cとを備え、通信回路部4bにリーダ/ライタ用アンテナ3が接続されている。また、演算処理部4cは携帯端末機器10の回路に接続され、リーダ/ライタ用アンテナ3で受信したデータが携帯端末機器10で利用できるように構成されている。また、タグ5は、その内部にアンテナコイル7とコンデンサ8(内部容量を有するIC9を備える場合はコンデンサ8が必ずしも必要ではない。)とからなる共振回路6を備え、タグ5側でも信号を生成する場合は共振回路6にデータの演算、記憶を行うIC9が接続され、内蔵する電源又はリーダ/ライタ2から供給される電源を用いて駆動される。そして、タグ5の共振回路6の共振周波数を所望の通信周波数(例えば、13.56MHz)に合わせ込むことによってリーダ/ライタ用アンテナ3との間でデータの交信を行う。
【0022】
なお、本発明はリーダ/ライタ本体4に格納される基板に形成されるリーダ/ライタ用アンテナ3の構造に特徴を有するものであり、リーダ/ライタ本体4やタグ5の形状、構造、リーダ/ライタ2を装着する機器やタグ5が貼付される対象物の種類、形状、構造等は限定されない。
【0023】
次に、本実施例のリーダ/ライタ2の詳細な構造について説明する。図3に示すように、本実施例のリーダ/ライタ2は、携帯端末機器10のスロットに装着可能なカード状(例えば、CFカード形状)のリーダ/ライタ本体4と、該本体に格納される基板4aに一体的に形成されたリーダ/ライタ用アンテナ3とで構成され、リーダ/ライタ用アンテナ3は、基板4aの一面上に平面的(導体パターンが交差する箇所において、各々の導体パターンが導通しないようにスルーホールやジャンパー線などを用いて接続しているものを含む。以下の説明において同じ。)に形成され、基板4aの面に略直交する方向にアンテナ軸を有するループ状の第1のアンテナ3aと、基板4aの厚さ方向に立体的に形成され、基板4aの面に略平行な方向にアンテナ軸を有する第2のアンテナ3bとで構成されている。
【0024】
なお、リーダ/ライタ用アンテナ3が形成される基板4aは、リーダ/ライタ2を機能させるためのRF回路や制御回路、インターフェース回路などが形成される基板であってもよいし、これらの基板とは別に、アンテナパターンを形成するために設けられる基板であってもよい。また、図では説明を容易にするために、リーダ/ライタ用アンテナ3と回路要素との電気的な接続構造は記載していないが、前述したように、リーダ/ライタ用アンテナ3は基板4a又は他の基板に形成される通信回路部4bに接続されている。
【0025】
この第2のアンテナ3bは、基板4aの一面上に形成された導体パターン(図では表面側導体パターン11a)と対向する面に形成された導体パターン(図では裏面側導体パターン11b)と基板4aを貫通するスルーホール11cとを用いて立体的に形成され、その端部が第1のアンテナ3aに接続されている。このようにスルーホール11cを利用してアンテナを形成することにより、リーダ/ライタ本体4(基板4a)の厚みを増すことなく、基板4aの面に略平行な方向にアンテナ軸を有する第2のアンテナ3bを形成することができる。
【0026】
なお、図3の構成は例示であり、第2のアンテナ3bは表面側導体パターン11aと裏面側導体パターン11bとスルーホール11cとを用いて基板4aの厚さ方向に立体的に形成されていればよく、第1のアンテナ3aと第2のアンテナ3bとの接続位置や接続構造は任意であり、例えば、図4に示すように第1のアンテナ3aの両端部側と第2のアンテナ3bとが接続される構造としてもよいし、磁界の向きが対向するように、第1のアンテナ3aと第2のアンテナ3bとの接続線を交差させる構造としてもよい。また、第1のアンテナ3aの巻き数を2回、第2のアンテナ3bの巻き数を1回としたが、巻き数は任意であり、また、アンテナパターンの形状やスルーホールの形成位置、第1のアンテナ3aと第2のアンテナ3bとの接続位置なども図の構成に限定されない。また、基板4aの厚さも限定されず市販のプリント基板などを用いることができるが、第2のアンテナ3bのアンテナ面積を大きくするためにはリーダ/ライタ本体4に格納可能な限りにおいて極力厚い方が好ましい。また、図3及び図4では、表裏面に導体パターンが形成された基板4aを使用する構成を示したが、導体パターンが3層以上形成された多層基板を使用することもでき、内層面の導体パターンを用いて第1のアンテナ3aや第2のアンテナ3bを形成したり、内層面を使用してアンテナの巻き数を増やすこともできる。
【0027】
また、図3及び図4では、第1のアンテナ3aと第2のアンテナ3bとを接続し、その双方に給電する構成としたが、第1のアンテナ3aと第2のアンテナ3bとを分離することもできる。例えば、図5に示すように、第1のアンテナ3aにカップリングするように設計された共振回路を、共振回路部品12と基板4aの表裏面の導体パターン11a、11bとスルーホール11cとを用いて形成して第2のアンテナ3bを形成することもできる。この構成の場合、第2のアンテナ3b(無給電アンテナ)は第1のアンテナ3a(給電アンテナ)との磁気的結合により流れる誘導電流により駆動される。
【0028】
また、図3乃至図5では、第2のアンテナ3bをそのアンテナ軸が基板4aの長手方向を向くように形成したが、例えば図6に示すように、基板4aの短尺方向にアンテナ軸が向くように第2のアンテナ3bを形成してもよい。また、図3乃至図6では、第2のアンテナ3bのアンテナ軸が基板4aの面に略平行になるようにしたが、第1のアンテナ3aのアンテナ軸と異なる方向を向いていればよい。更に、図3乃至図6では、リーダ/ライタ用アンテナ3が第1のアンテナ3a及び第2のアンテナ3bの2種類のアンテナで構成されている場合について記載したが、リーダ/ライタ用アンテナ3はアンテナ軸の方向が異なる複数のアンテナで構成されていればよく、例えば、図3に示す給電アンテナと図5又は図6に示す無給電アンテナとを組み合わせることもできる。
【0029】
また、図3乃至図6では、1つの基板4aに第2のアンテナ3bを立体的に形成したが、リーダ/ライタ本体4に格納される基板が複数の場合(例えば、アンテナパターンが形成される基板とRF回路や制御回路、インターフェース回路などが形成される基板とが別々に構成されている場合)には、図7に示すように、基板4aに形成された導体パターンと基板17に形成された導体パターンと基板間を接続する接合ピン16と、必要に応じてスルーホール11cとを用いて接続して基板4a、4bの積層方向に立体的に第2のアンテナ3bを形成することもできる。このように複数の基板を利用して第2のアンテナ3bを形成することにより、アンテナの面積を大きくすることができ、データの交信が可能な範囲を広げることができる。この構成の場合においても、第1のアンテナ3aと第2のアンテナ3bとの接続構造は任意であり、図3及び図4のいずれの構造を利用してもよいし、第1のアンテナ3aと第2のアンテナ3bの双方を給電アンテナとしても、いずれか一方を無給電アンテナとしてもよい。更に、図7では2つの基板4a、17を利用する場合を示したが、3つ以上の基板を利用して立体的な第2のアンテナ3bを形成してもよい。
【0030】
また、図3乃至図7では、基板4aの面に略平行又は略直交するアンテナ軸を有するアンテナを形成したが、表面側導体パターン11aと裏面側導体パターン11bとスルーホール11cとを用いて、基板4aの面に対して傾斜したアンテナ軸を有するアンテナを形成することもできる。例えば、図8に示すように、基板4aの表面側に形成したコの字型の導体パターンと、基板4aの裏面側に形成したコの字型の導体パターンとをスルーホール11cで接続すると、実効的なアンテナ面が基板4aの面に対して傾斜するため、アンテナ軸を基板4aの法線方向に対して傾斜させることができる。そして、このような構造のアンテナを第1のアンテナ3a又は第2のアンテナ3bとして用いることによっても複数の方向にアンテナ軸を有するリーダ/ライタ用アンテナ3を形成することができる。
【0031】
このように、リーダ/ライタ本体4に格納される基板4aの面上に形成される第1のアンテナ3aに加えて、基板4a両面の導体パターン11a、11bと基板4aを貫通するスルーホール11cとを用いて、基板4aの面に直交する方向以外にアンテナ軸を有する第2のアンテナ3bを立体的に形成することにより、タグ5との位置関係によらずデータの交信を行うことができる。
【実施例2】
【0032】
次に、本発明の第2の実施例に係るRFIDリーダ/ライタ及びそのアンテナ構造について、図9及び図10を参照して説明する。図9及び図10は、第2の実施例に係るリーダ/ライタの構造を示す斜視図及び平面図である。
【0033】
前記した第1の実施例では、基板4aの表裏面の導体パターン11a、11bと基板4aを貫通するスルーホール11cとを用いて、基板4aの面に直交する方向以外にアンテナ軸を有する第2のアンテナ3bを形成したが、基板4aの一方の面のみを用いて面方向にアンテナ軸を有する第2のアンテナ3bを形成することもできる。
【0034】
具体的には、図9に示すように、リーダ/ライタ本体4に格納される基板4aの面上にループ状の第1アンテナ3aを形成し、第1のアンテナ3aの配線の一部を切断して、そこに配線の長手方向に螺旋が延びる第2のアンテナ3b(ここではチップコイル13)を接続する。このような構成でも、ループ状の第1のアンテナ3aのアンテナ軸は基板4aの面に略直交する方向を向き、螺旋状の第2のアンテナ3bのアンテナ軸は基板4aの面に略平行な方向を向くため、アンテナ軸の方向が異なる複数のアンテナでリーダ/ライタ用アンテナを構成することができ、第1の実施例と同様に、タグ5との位置関係によらずデータの交信を可能とすることができる。
【0035】
なお、本実施例においても、第2のアンテナ3bのアンテナ軸は基板4aの面に直交する方向以外の方向であればよく、図10に示すように、基板4aの短尺方向に螺旋状の第2のアンテナ3bを配置してもよいし、図9の構造と図10の構造とを組み合わせてもよい。また、本実施例の構造においても、第1のアンテナ3aを図8に示すようにそのアンテナ軸が傾斜するように形成してもよいし、第2のアンテナ3bを基板4aの面に対して傾斜させて固定してもよい。また、第1のアンテナ3a及び第2のアンテナ3bの巻き数、形状などは任意であり、リーダ/ライタ2に求められる性能を勘案して適宜設定することができる。
【実施例3】
【0036】
次に、本発明の第3の実施例に係るRFIDリーダ/ライタ及びそのアンテナ構造について、図11及び図12を参照して説明する。図11及び図12は、第3の実施例に係るリーダ/ライタの構造を示す斜視図、平面図及び側断面図である。
【0037】
前記した第1の実施例では、基板4aの表裏面の導体パターン11a、11bと基板4aを貫通するスルーホール11cとを用いて、基板4aの面に直交する方向以外にアンテナ軸を有する第2のアンテナ3bを形成したが、この方法では、パターンの構成が複雑になり、また、既存の基板4aを利用してリーダ/ライタ用アンテナ3を形成することができない場合もある。そこで、本実施例では、第1のアンテナ3aの近傍にフレキシブルな材料で形成された第2のアンテナ3bを配置する。
【0038】
具体的には、図11に示すように、フレキシブルな絶縁性シート上に設けたAlやCu等の導電膜をエッチングにより除去したり、絶縁性シート上にスクリーン印刷により導電性ペーストを塗布する等によって形成したフレキシブル基板14を撓ませ、そのアンテナ軸が基板4aの面に略平行な方向を向く(図では、基板4aの長手方向を向く)ように基板4a上に配置して第2のアンテナ3bを形成し、この第2のアンテナ3bと第1のアンテナ3aとを圧着、半田付けなどの方法により接続する。このような構成でも、ループ状の第1のアンテナ3aのアンテナ軸は基板4aの面に略直交する方向を向き、フレキシブル基板14を撓ませて形成した第2のアンテナ3bのアンテナ軸は基板4aの面に略平行な方向を向くため、アンテナ軸の方向が異なる複数のアンテナでリーダ/ライタ用アンテナ3を構成することができ、第1及び第2の実施例と同様に、タグ5との位置関係によらずデータの交信を可能とすることができる。
【0039】
なお、図11では、フレキシブル基板14をループ状に撓ませて基板4a上に設置したが、基板4aに予めフレキシブル基板14のアンテナパターンと接続される導体パターンを形成しておき、半円状のフレキシブル基板14の両端部を基板4aに接続するようにしてもよい。
【0040】
また、図11では、第1のアンテナ3aと第2のアンテナ3bとを接続して両アンテナに給電する構成としたが、図12に示すように、フレキシブル基板14に予め第1のアンテナ3aとカップリングする共振回路を形成しておき、フレキシブル基板14をループ状に巻回して第1のアンテナ3aの近傍に設置する構成とすることもでき、第2のアンテナ3bを第1のアンテナ3aとの磁気的結合により流れる誘導電流により駆動させることもできる。この構成では、第1のアンテナ3aが形成された基板4aにフレキシブル基板14で形成された第2のアンテナ3bを配置するだけでよいため、第1のアンテナ3aが形成された既存の基板4aをそのまま利用することができるという長所がある。また、フレキシブル基板14を用いた場合、基板4aを筐体に収納した際に、筐体の内部形状にある程度合致するようにフレキシブル基板14が変形するため、筐体内の最大限のアンテナ面積を確保できるという長所もある。
【0041】
本実施例においても、基板4aの短尺方向にアンテナ軸が向くように第2のアンテナ3bを形成してもよいし、第1のアンテナ3aを図8に示すようにそのアンテナ軸が傾斜するように形成したり、第2のアンテナ3bを基板4aの面に対して傾斜させて固定してもよい。また、第1のアンテナ3aの巻き数や形状、フレキシブル基板14の材料、パターン形状、撓み形状、設置位置などは任意であり、リーダ/ライタ2に求められる性能を勘案して適宜設定することができる。
【実施例4】
【0042】
次に、本発明の第4の実施例に係るRFIDリーダ/ライタ及びそのアンテナ構造について、図13を参照して説明する。図13は、第4の実施例に係るリーダ/ライタの構造を示す斜視図、平面図及び側断面図である。
【0043】
前記した第2の実施例では、共振回路を構成する共振回路部品12と基板4aの表裏面の導体パターン11a、11bと基板4aを貫通するスルーホール11cとを用いて第2のアンテナ3bを形成したが、スルーホール11cを用いなくても基板4aの面方向にアンテナ軸を有する第2のアンテナ3bを立体的に形成することはできる。
【0044】
具体的には、図13に示すように、基板4aに実装される実装部品15(第1のアンテナ3aと電気的に接続される部品であってもよいし、無給電アンテナを構成する部品であってもよい。例えば、低抵抗のリード抵抗や共振に必要な容量のリードコンデンサなど)の足15aを折り曲げ、基板4aとの間に隙間ができるように実装する。このような構成でも、実装部品15の足15aと基板4aの面上に形成された導体パターン(ここでは表面側導体パターン11a)とによってループが形成され、該ループが第2のアンテナ3bとして機能するため、アンテナ軸の方向が異なる複数のアンテナでリーダ/ライタ用アンテナ3を構成することができる。
【0045】
なお、図13では、実装部品15の足15aを基板4aの表面側導体パターン11aに接続したが、実装部品15の足15aをスルーホール11cを貫通させて裏面側導体パターン11bで接続するようにしてもよい。また、本実施例においても、基板4aの短尺方向にアンテナ軸が向くように実装部品15を配置して第2のアンテナ3bを形成してもよいし、第1のアンテナ3aを図8に示すようにそのアンテナ軸が傾斜するように形成したり、第2のアンテナ3bを基板4aの面に対して傾斜させて固定してもよい。また、第1のアンテナ3aの巻き数、形状、実装部品15の種類、足15aの形状、基板4aとの隙間の大きさなどは任意であり、リーダ/ライタ2に求められる性能を勘案して適宜設定することができる。また、第2のアンテナ3bの巻き数を部品点数により増加させることも可能であり、例えば、100pFのコンデンサでアンテナを形成する場合に、200pFのコンデンサを2個直列に繋ぐことにより2ターンのコイルアンテナを形成することができる。
【0046】
また、上記各実施例では、基板4aの面に直交する方向以外の方向にアンテナ軸を有する第2のアンテナ3bを形成する4つの構造について記載したが、これらの構造を単独で利用してもよいし、複数の構造を組み合わせて利用してもよい。また、上記説明では、本発明のアンテナ構造をリーダ/ライタ用アンテナに適用する場合について述べたが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、タグのアンテナや他の通信機器用アンテナについても同様に適用することができる。
【符号の説明】
【0047】
1 RFIDシステム
2 リーダ/ライタ
3 リーダ/ライタ用アンテナ
3a 第1のアンテナ
3b 第2のアンテナ
4 リーダ/ライタ本体
4a 基板
4b 通信回路部
4c 演算処理部
5 タグ
6 共振回路
7 アンテナコイル
8 コンデンサ
9 IC
10 携帯端末機器
11a 表面側導体パターン
11b 裏面側導体パターン
11c スルーホール
12 共振回路部品
13 チップコンデンサ
14 フレキシブル基板
15 実装部品
15a 足
16 接合ピン
17 基板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁誘導又は電磁結合を利用してRFIDタグとデータの交信を行うリーダ又はリーダ/ライタであって、
前記リーダ又はリーダ/ライタは、回路要素が構成される本体と、該本体に格納される複数の基板に形成されるアンテナとからなり、
前記アンテナは、いずれか一の基板の面上に設けられた導体パターンで形成されるループ状の第1のアンテナと、前記一の基板の面上に設けられた導体パターンと他の基板の面上に設けられた導体パターンと前記一の基板と前記他の基板とを接続する接合手段とを少なくとも用いて立体的に形成される第2のアンテナとにより構成されることを特徴とするリーダ又はリーダ/ライタ。
【請求項2】
前記第1のアンテナと前記第1のアンテナとが分離して形成され、一方のアンテナは他方のアンテナとの磁気的結合により流れる誘導電流により駆動されることを特徴とする請求項1に記載のリーダ又はリーダ/ライタ。
【請求項3】
前記リーダ又はリーダ/ライタは、前記本体が携帯端末機器のスロットに装着可能に形成され、前記アンテナにより取得したデータが前記携帯端末機器で処理されることを特徴とする請求項1又は2に記載のリーダ又はリーダ/ライタ。
【請求項1】
電磁誘導又は電磁結合を利用してRFIDタグとデータの交信を行うリーダ又はリーダ/ライタであって、
前記リーダ又はリーダ/ライタは、回路要素が構成される本体と、該本体に格納される複数の基板に形成されるアンテナとからなり、
前記アンテナは、いずれか一の基板の面上に設けられた導体パターンで形成されるループ状の第1のアンテナと、前記一の基板の面上に設けられた導体パターンと他の基板の面上に設けられた導体パターンと前記一の基板と前記他の基板とを接続する接合手段とを少なくとも用いて立体的に形成される第2のアンテナとにより構成されることを特徴とするリーダ又はリーダ/ライタ。
【請求項2】
前記第1のアンテナと前記第1のアンテナとが分離して形成され、一方のアンテナは他方のアンテナとの磁気的結合により流れる誘導電流により駆動されることを特徴とする請求項1に記載のリーダ又はリーダ/ライタ。
【請求項3】
前記リーダ又はリーダ/ライタは、前記本体が携帯端末機器のスロットに装着可能に形成され、前記アンテナにより取得したデータが前記携帯端末機器で処理されることを特徴とする請求項1又は2に記載のリーダ又はリーダ/ライタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2009−112062(P2009−112062A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−36401(P2009−36401)
【出願日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【分割の表示】特願2003−366758(P2003−366758)の分割
【原出願日】平成15年10月28日(2003.10.28)
【出願人】(000006264)三菱マテリアル株式会社 (4,417)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【分割の表示】特願2003−366758(P2003−366758)の分割
【原出願日】平成15年10月28日(2003.10.28)
【出願人】(000006264)三菱マテリアル株式会社 (4,417)
【Fターム(参考)】
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