説明

S−[2−([[1−(2−エチルブチル)シクロヘキシル]カルボニル]アミノ)フェニル]2−メチルプロパンチオエートおよびHMG−CoA還元酵素阻害剤を含む併用

本発明は、(a)S−[2−([[1−(2−エチルブチル)シクロヘキシル]カルボニル]アミノ)フェニル] 2−メチルプロパンチオエートまたはその活性型のプロドラッグ、および(b)少なくとも1つのHMG−CoA還元酵素阻害剤を含む併用を提供する。上記活性成分を含む、医薬組成物、パッケージおよびキット、ならびに上記活性成分の使用を含む循環器障害の治療および予防方法もまた提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、併用、医薬組成物および循環器障害の治療または予防方法に対する。
【背景技術】
【0002】
高濃度の総コレステロールおよび低比重リポ蛋白質(LDL)コレステロールに関連する高脂血症の状態は、冠動脈心疾患、特にアテローム性動脈硬化症の主な危険因子である。さらに、数多くの研究は、高比重リポ蛋白質(HDL)コレステロールの低い血漿濃度はアテローム性動脈硬化症を進行させる強力な危険因子であることを実証している。
【0003】
ヒドロキシメチルグルタリル補酵素A還元酵素(すなわち、HMG−CoA還元酵素)は、肝臓においてコレステロール合成に作用する酵素である。HMG−CoA還元酵素阻害剤(すなわち、「スタチン」)によってHMG−CoA還元酵素を阻害すると、コレステロール合成の減少およびコレステロールの取り込み促進によって、血中コレステロール値が低下することが示されている。
【0004】
コレステリルエステル転送蛋白(CETP)は、血中の様々なリポ蛋白間のコレステリルエステルおよびトリグリセリドの転送を促進する血漿蛋白質である。HDLからアポB含有リポ蛋白粒子(VLDL、IDLおよびLDLを含む)へのCETPによるコレステリルエステルの転送は、HDLコレステロールの低下およびLDLコレステロール増加の効果をきたす。CETP活性を阻害すると、血漿HDLコレステロールの増加および血漿LDLコレステロールの低下により、プラスミドHDL/LDL比が効果的に変化することが示されている。
【0005】
S−[2−([[1−(2−エチルブチル)シクロヘキシル]カルボニル]アミノ)フェニル] 2−メチルプロパンチオエートは、ヒト(de Groothら,Circulation,105,2159−2165(2002))、およびウサギ(Shinkaiら,J.Med.Chem.,43,3566−3572(2000);Kobayashiら,Atherosclerosis,162,131−135(2002);およびOkamotoら,Nature,406(13),203−207(2000))においてCETP活性阻害剤であることが示されている。S−[2−([[1−(2−エチルブチル)シクロヘキシル]カルボニル]アミノ)フェニル] 2−メチルプロパンチオエートは、ヒト(de Groothら,上記参照)およびウサギ(Shinkaiら,上記参照;Kobayashiら,上記参照;Okamotoら,上記参照)において血漿HDLコレステロールを増加させることが示されている。さらに、S−[2−([[1−(2−エチルブチル)シクロヘキシル]カルボニル]アミノ)フェニル] 2−メチルプロパンチオエートは、ヒト(de Groothら,上記参照)およびウサギ(Okamotoら,上記参照)においてLDLコレステロールを減少させることも示されている。S−[2−([[1−(2−エチルブチル)シクロヘキシル]カルボニル]アミノ)フェニル] 2−メチルプロパンチオエートならびに該化合物の製造方法および使用方法は米国特許第6,426,365号に記載されている。
【0006】
同様に、HMG−CoA還元酵素阻害剤、該化合物の製造方法および使用方法、該化合物を含む医薬組成物、ならびに循環器障害を治療するための該化合物の使用は、例えば、米国特許第4,346,277号、4,444,784号、4,681,893号、5,011,930号、5,030,447号、5,180,589号、5,260,440号、5,273,995号、5,354,772号、5,356,896号、5,622,985号、5,686,104号、5,916,595号、5,969,156号、6,080,778号、6,126,971号、6,242,003号、RE36481号およびRE36520号に記載されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
循環器障害の治療または予防のためのこのような化合物の存在および使用にもかかわらず、循環器障害の治療および予防のための組成物および方法には改善が必要とされている。本発明は、循環器障害を治療するための組成物および方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明の概要
本発明は、(a)S−[2−([[1−(2−エチルブチル)シクロヘキシル]カルボニル]アミノ)フェニル] 2−メチルプロパンチオエートまたは生体内でS−[2−([[1−(2−エチルブチル)シクロヘキシル]カルボニル]アミノ)フェニル]チオールを形成するプロドラッグ、および(b)少なくとも1つのHMG−CoA還元酵素阻害剤を含む併用を提供する。
【0009】
本発明は、(a)S−[2−([[1−(2−エチルブチル)シクロヘキシル]カルボニル]アミノ)フェニル] 2−メチルプロパンチオエートまたは生体内でS−[2−([[1−(2−エチルブチル)シクロヘキシル]カルボニル]アミノ)フェニル]チオールを形成するプロドラッグ、(b)少なくとも1つのHMG−CoA還元酵素阻害剤、および(c)1以上の医薬上許容される担体を含む医薬組成物も提供する。
【0010】
本発明は、さらに(a)S−[2−([[1−(2−エチルブチル)シクロヘキシル]カルボニル]アミノ)フェニル] 2−メチルプロパンチオエートまたは生体内でS−[2−([[1−(2−エチルブチル)シクロヘキシル]カルボニル]アミノ)フェニル]チオールを形成するプロドラッグを含む少なくとも1つの投与量単位、および(b)HMG−CoA還元酵素阻害剤を含む少なくとも1つの他の投与量単位の、別々の投与量単位を含むパッケージも提供する。
【0011】
本発明は、さらに
(a)治療上有効量の(i)S−[2−([[1−(2−エチルブチル)シクロヘキシル]カルボニル]アミノ)フェニル] 2−メチルプロパンチオエートまたは生体内でS−[2−([[1−(2−エチルブチル)シクロヘキシル]カルボニル]アミノ)フェニル]チオールを形成するプロドラッグおよび(ii)医薬上許容される担体を含む第一の医薬組成物、
(b)(i)少なくとも1つのHMG−CoA還元酵素阻害剤および(ii)医薬上許容される担体を含む第二の医薬組成物、
(c)処方情報、ならびに
(d)包装箱
を含むキットであって、第一および第二の医薬組成物が同一または異なっていてもよく、かつ処方情報には、S−[2−([[1−(2−エチルブチル)シクロヘキシル]カルボニル]アミノ)フェニル] 2−メチルプロパンチオエートまたは生体内でS−[2−([[1−(2−エチルブチル)シクロヘキシル]カルボニル]アミノ)フェニル]チオールを形成するプロドラッグおよびHMG−CoA還元酵素阻害剤の同時投与についての患者へのアドバイスを含む、キットを提供する。
【0012】
本発明は、さらに(a)S−[2−([[1−(2−エチルブチル)シクロヘキシル]カルボニル]アミノ)フェニル] 2−メチルプロパンチオエートまたは生体内でS−[2−([[1−(2−エチルブチル)シクロヘキシル]カルボニル]アミノ)フェニル]チオールを形成するプロドラッグ、および(b)少なくとも1つのHMG−CoA還元酵素阻害剤を治療上有効量で併用して、患者を治療することを含む、患者の循環器障害の治療または予防方法を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
発明の詳細な説明
本発明は、併用、医薬組成物、パッケージ、キットおよび循環器障害の治療または予防方法に対する。当該併用、医薬組成物、パッケージ、キットおよび方法は、(a)S−[2−([[1−(2−エチルブチル)シクロヘキシル]カルボニル]アミノ)フェニル] 2−メチルプロパンチオエートまたはその活性型のプロドラッグ、および(b)少なくとも1つのHMG−CoA還元酵素阻害剤の使用を含む(comprise)および/または含む(involve)。2つの化合物の併用は、どちらか一方の化合物単独での治療に比べて、より一層の効果をもたらす。
【0014】
循環器障害としては、循環器疾患、冠動脈心疾患、冠動脈疾患、低アルファリポ蛋白血症(低HDLコレステロール値)、高ベータリポ蛋白血症(高LDLコレステロール値)、高コレステロール血症、高脂血症およびアテローム性動脈硬化症が挙げられるが、これらに限定されない。治療または予防できる更なる循環器障害としては、さらに高血圧症、高トリグリセリド血症、高脂蛋白血症、末梢血管疾患、狭心症、虚血、原発性高コレステロール血症(ホモ接合型ならびにヘテロ接合型家族性および非家族性)、混合異脂肪血症(フレデリクソンIIa種およびIIb種)、および心筋梗塞が挙げられるが、これらに限定されない。上記の併用による治療によって、患者におけるアテローム硬化斑の進行が、好ましくは遅くなる、または停止する(例、冠動脈中、頚動脈中および/または末梢動脈系中)。好ましくは、患者におけるアテローム硬化斑は治療後に消失する(例、冠動脈中、頚動脈中および/または末梢動脈系中)。
【0015】
本明細書中の以下で、用語「患者」はヒトの患者をいう。
【0016】
S−[2−([[1−(2−エチルブチル)シクロヘキシル]カルボニル]アミノ)フェニル] 2−メチルプロパンチオエート(本明細書中の以下で、化合物Iという)は、以下の構造式:
【0017】
【化1】

【0018】
を有する。
【0019】
任意の特定の理論に縛られることを望まないが、患者の体内において、化合物Iは、血漿、肝臓および/または小腸で加水分解されてS−[2([[1−(2−エチルブチル)シクロヘキシル]カルボニル]アミノ)フェニル]チオール(本明細書中の以下で化合物IIという)を形成すると仮定される。システインおよびグルタチオン等の低分子量のチオール成分(すなわち、R−SH)、ならびにペプチドおよび蛋白質(例、酵素および細胞膜)等の高分子量のチオール成分(すなわち、Prot−SH)は、分子間または分子内の酸化によるジスルフィド結合(S−S結合)を含む混合ジスルフィドとして体内に存在することが知られている(例えば、Shimadaら,J.Chromatogr.B,659,227(1994)を参照)。従って、患者の体内(すなわち、生体内)において、化合物IIが低分子量または高分子量のチオールと結合して混合ジスルフィドが生じている、または化合物IIの二量体が生じていると仮定される。これらの形態は化合物IIを介して互いに酸化−還元平衡にあるので、これらの形態全ておよび化合物IIは、単独ではなく集団的に、化合物Iの活性型であると考えられ、以下化合物Iの活性型という。以下のスキームに上記の仮説を表す。
【0020】
【化2】

【0021】
少なくとも1つのHMG−CoA還元酵素阻害剤との併用における化合物Iの存在および/または投与は、本発明の特に好ましい実施態様であるが、本発明は、HMG−CoA還元酵素阻害剤との併用において、化合物Iの活性型を生じるであろう他の化合物(すなわち、化合物Iの活性型の他のプロドラッグ)の投与も意図する。このようなプロドラッグは、例えば、異なるメルカプト保護基を有するが、患者の体内(すなわち、生体内)において、化合物Iの活性型(例、化合物II)を形成する化合物であってもよい。用語「メルカプト保護基」は、一般に使用されるメルカプト保護基(例、Wolman,The Chemistry of the Thiol Group,D.Patai,Ed.,Wiley−Interscience,New York,1974に記載)をいう。生体内で解離することができるいかなる有機残基も特に制限なく使用できる。特に適切なメルカプト保護基の例は、米国特許6,426,365号に記載されている。本発明は、さらに、HMG−CoA還元酵素阻害剤との併用において、化合物Iの活性型を生じるような化合物I’(ここで、R’はイソプロピル基以外の有機残基を示す)の投与を意図する。
【0022】
【化3】

【0023】
さらに、化合物III、化合物IVおよび化合物V(ここで、Rは有機残基を示し、Protはペプチドまたは蛋白質を示す)は、生体内で化合物IIと平衡状態にあると考えられ、同様にHMG−CoA還元酵素阻害剤との併用において、患者に直接投与することができる。
【0024】
いかなる適切なHMG−CoA還元酵素阻害剤も、医薬上許容される塩および/または溶媒和物(例、水和物)の形態であってもよく、化合物Iまたは化合物Iの活性型のプロドラッグ(例、化合物IIのプロドラッグ)と併用することができる。HMG−CoA還元酵素阻害剤は塩の形態(例、アトルバスタチンカルシウム)であってもよく、同様に無水形態または水和物等の溶媒和物の形態(例、アトルバスタチンカルシウム(三水和物))であってもよく、あるいはHMG−CoA還元酵素阻害剤は、溶媒和物(例、水和物)の形態であってもよく、塩の形態であってもよいし、そうでなくてもよい。適切なHMG−CoA還元酵素阻害剤としては、アトルバスタチン(例、アトルバスタチンカルシウム(三水和物);リピトールTM、パークデービスから市販;ソルティスTM、パークデービス社から市販);プラバスタチン(例、プラバスタチンナトリウム;プラバコールTM、ブリストル・マイヤーズ スクイブより市販;セレクチンTM、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社より市販)、フルバスタチン(例、フルバスタチンナトリウム;レスコールTMおよびレスコールXLTM、ノバルティスより市販)、シンバスタチン(ゾコールTM、メルクより市販)、ロバスタチン(メバコールTM、メルクより市販;アルトコールTM、アンドリックスラボラトリーズ社より市販)、ロスバスタチン(例、ロスバスタチンカルシウム;クレストールTM、アストラゼネカより市販)およびピタバスタチン(例、ピタバスタチンカルシウム)が挙げられるが、これらに限定されない。好ましいHMG−CoA還元酵素阻害剤としては、アトルバスタチンカルシウム(例、アトルバスタチンカルシウム(三水和物)として)、プラバスタチンナトリウム、フルバスタチンナトリウム、シンバスタチン、ロバスタチン、ロスバスタチンカルシウムおよびピタバスタチンカルシウムが挙げられる。
【0025】
本発明の併用は、(a)化合物Iまたは化合物Iの活性型のプロドラッグ(例、化合物IIのプロドラッグ、特に生体内でS−[2−([[1−(2−エチルブチル)シクロヘキシル]カルボニル]アミノ)フェニル]チオールを形成するプロドラッグ)、および(b)少なくとも1つのHMG−CoA還元酵素阻害剤を含む。本発明の併用は、(a)化合物Iまたは化合物Iの活性型のプロドラッグ(例、化合物IIのプロドラッグ、特に生体内でS−[2−([[1−(2−エチルブチル)シクロヘキシル]カルボニル]アミノ)フェニル]チオールを形成するプロドラッグ)、および(b)少なくとも1つのHMG−CoA還元酵素阻害剤を含む1つの投与量単位を構成することができる。あるいは、本発明の併用は、化合物Iまたは化合物Iの活性型のプロドラッグ(例、化合物IIのプロドラッグ、特に生体内でS−[2−([[1−(2−エチルブチル)シクロヘキシル]カルボニル]アミノ)フェニル]チオールを形成するプロドラッグ)を含む少なくとも1つの投与量単位、および少なくとも1つのHMG−CoA還元酵素阻害剤を含む少なくとも1つの他の投与量単位の、別々の投与量単位(異なる医薬組成物等)を構成することができる。
【0026】
本発明の医薬組成物は、本発明の併用と1以上の医薬上許容される担体を含む。言いかえると、該医薬組成物は(a)化合物Iまたは化合物Iの活性型のプロドラッグ(例、化合物IIのプロドラッグ、特に生体内でS−[2−([[1−(2−エチルブチル)シクロヘキシル]カルボニル]アミノ)フェニル]チオールを形成するプロドラッグ)、(b)少なくとも1つのHMG−CoA還元酵素阻害剤、および(c)1以上の医薬上許容される担体を含む。本発明のパッケージは、(a)化合物Iまたは化合物Iの活性型のプロドラッグ(例、化合物IIのプロドラッグ、特に生体内でS−[2−([[1−(2−エチルブチル)シクロヘキシル]カルボニル]アミノ)フェニル]チオールを形成するプロドラッグ)を含む少なくとも1つの投与量単位、および(b)HMG−CoA還元酵素阻害剤を含む少なくとも1つの他の投与量単位の、別々の投与量単位を含む。別々の投与量単位は、それぞれ別々の投与量単位の上記活性成分と1以上の医薬上許容される担体とを含んでいてもよい。「パッケージ」とは、投与量単位を安定して保管するのに有用な任意のパッケージであると理解される。パッケージは、例えば、錠剤の包装および保存に通常使用される、ガラスまたはプラスチック(例、高密度ポリエチレン)の包装箱であってもよい。包装の別の形態にはブリスターパックがある。ブリスターパックは、包装産業においてよく知られており、かつ医薬の単位剤形(例、錠剤、カプセル剤等)の包装に幅広く使用されている。ブリスターパックは、通常、好ましくは透明のプラスチック基材のホイルで覆われた比較的固い基材のシートからなる。包装工程の間に、プラスチックホイル中に凹部が形成される。凹部は包装される錠剤またはカプセル剤のサイズおよび形状を有する。次に、錠剤またはカプセル剤が凹部に入れられ、比較的固い基材のシートは凹部が形成されている方向とは逆側のプラスチックホイル面に対して密封される。その結果、錠剤またはカプセル剤は、プラスチックホイルとシートの間の凹部に密封される。好ましいシートの強度は、凹部を手で押すことによって開封部が凹部でシートに形成され、錠剤またはカプセル剤をブリスターパックから取り出せるようなものである。錠剤またはカプセル剤は開封部を介して取り出される。
【0027】
本発明のキットは、(a)治療上有効量の(i)化合物Iまたは化合物Iの活性型のプロドラッグ(例、化合物IIのプロドラッグ、特に生体内でS−[2−([[1−(2−エチルブチル)シクロヘキシル]カルボニル]アミノ)フェニル]チオールを形成するプロドラッグ)、および(ii)医薬上許容される担体を含む第一の医薬組成物、(b)(i)少なくとも1つのHMG−CoA還元酵素阻害剤、および(ii)医薬上許容される担体を含む第二の医薬組成物、(c)処方情報、ならびに(d)包装箱を含む。第一および第二の医薬組成物は、同一(すなわち、単一の医薬組成物)または異なって(すなわち、2つの別々の医薬組成物)いてもよい。処方情報は、(a)化合物Iまたは化合物Iの活性型のプロドラッグ(例、化合物IIのプロドラッグ、特に生体内でS−[2−([[1−(2−エチルブチル)シクロヘキシル]カルボニル]アミノ)フェニル]チオールを形成するプロドラッグ)、および(b)HMG−CoA還元酵素阻害剤の同時投与についての患者へのアドバイスを含む。従って、処方情報は、望ましくは化合物Iまたは化合物Iの活性型のプロドラッグ(例、化合物IIのプロドラッグ、特に生体内でS−[2−([[1−(2−エチルブチル)シクロヘキシル]カルボニル]アミノ)フェニル]チオールを形成するプロドラッグ)の投与についての患者へのアドバイスを含む。処方情報は、望ましくはHMG−CoA還元酵素阻害剤の投与についての患者へのアドバイスも含む。処方情報は、望ましくは(a)化合物Iまたは化合物Iの活性型のプロドラッグ(例、化合物IIのプロドラッグ、特に生体内でS−[2−([[1−(2−エチルブチル)シクロヘキシル]カルボニル]アミノ)フェニル]チオールを形成するプロドラッグ)、および(b)HMG−CoA還元酵素阻害剤の両方を、24時間以内(例、18時間以内、または12時間以内)に投与することを患者にアドバイスする。
【0028】
従って、このようなキットは2つの主な実施形態を有する。第一の実施形態は、(a)治療上有効量の(i)化合物Iまたは生体内でS−[2−([[1−(2−エチルブチル)シクロヘキシル]カルボニル]アミノ)フェニル]チオールを形成するプロドラッグ、(ii)少なくとも1つのHMG−CoA還元酵素阻害剤、および(iii)1以上の医薬上許容される担体を含む医薬組成物、(b)処方情報、ならびに(c)包装箱を含むキットであって、処方情報に、化合物Iまたは生体内でS−[2−([[1−(2−エチルブチル)シクロヘキシル]カルボニル]アミノ)フェニル]チオールを形成するプロドラッグ、およびHMG−CoA還元酵素阻害剤の同時投与についての患者へのアドバイスを含むキットである。第二の実施形態は、(a)治療上有効量の(i)化合物Iまたは生体内でS−[2−([[1−(2−エチルブチル)シクロヘキシル]カルボニル]アミノ)フェニル]チオールを形成するプロドラッグ、および(ii)医薬上許容される担体を含む第一の医薬組成物、(b)(i)少なくとも1つのHMG−CoA還元酵素阻害剤、および(ii)医薬上許容される担体を含む第二の医薬組成物、(c)処方情報、ならびに(d)包装箱を含むキットであって、第一および第二の医薬組成物が異なり、かつ処方情報に化合物Iまたは生体内でS−[2−([[1−(2−エチルブチル)シクロヘキシル]カルボニル]アミノ)フェニル]チオールを形成するプロドラッグ、およびHMG−CoA還元酵素阻害剤の同時投与についての患者へのアドバイスを含むキットである。
【0029】
第一および第二の医薬組成物は異なっていているものが好ましく、すなわち、好ましくは別々の投与量単位(例、錠剤)で投与される。キットにおける包装箱は、好ましくは、第一および第二の医薬組成物を別々にする手段もまた提供する。例えば、包装箱は、別々のビンまたは別々のホイル小包(例、ブリスターパック)であってもよい。通常、キットは別々の構成成分の投与のための説明書を含む。さらに、意図したそれらの使用の順序で一度に1つの1日投与量を分配するように設計されたディスペンサーを提供する。好ましくは、ディスペンサーは処方計画に従うことをさらに促進するように記憶補助(memory aid)を備えている。例えば、記憶補助は、分配された1日投与量の数を示す機械的な計数器であってもよい。このような記憶補助の別の例は、液晶表示を備えた電池式のマイクロチップメモリ、または例えば、1日投与量を最後に取り出した日付を出力する、および/または、次の投与量を取り出すときにそれを合図する可聴式の注意信号である。
【0030】
本発明の方法は、患者の循環器障害の治療または予防のためのものである。本方法は、(a)化合物Iまたは化合物Iの活性型のプロドラッグ(例、化合物IIのプロドラッグ、特に生体内でS−[2−([[1−(2−エチルブチル)シクロヘキシル]カルボニル]アミノ)フェニル]チオールを形成するプロドラッグ)、および(b)少なくとも1つのHMG−CoA還元酵素阻害剤を治療上有効量で併用して患者を治療することを含む。
【0031】
本発明の併用、医薬組成物、パッケージ、キットおよび方法は、望ましくは(a)化合物Iまたは化合物Iの活性型のプロドラッグ(例、化合物IIのプロドラッグ)、および(b)HMG−CoA還元酵素阻害剤の治療上有効量での併用を含む。少なくとも1つの化合物が治療上有効量であることが好ましい。(a)化合物Iまたは化合物Iの活性型のプロドラッグ(例、化合物IIのプロドラッグ)および(b)HMG−CoA還元酵素阻害剤のそれぞれが治療上有効量であることがより好ましい。
【0032】
通常患者に投与する化合物Iまたは化合物Iの活性型のプロドラッグ(例、化合物IIのプロドラッグ)の量は、1日当たり約100mgから約1800mg、好ましくは1日当たり約300mgから約900mg、より好ましくは1日当たり約300mg、約600mgまたは約900mg、もっとも好ましくは1日当たり約600mgであろう。必要ならば、状況に応じて単位剤形で、化合物Iまたは化合物Iの活性型のプロドラッグ(例、化合物IIのプロドラッグ)の一日投与量を、1日1回患者に投与することができ、またはかわりに一日を通して適切な間隔で2回、3回、4回もしくはそれ以上の部分投与量(sub−dose)に分割して投与することができる。それぞれの部分投与量の投薬は、好ましくは治療上有効量の化合物Iまたは化合物Iの活性型のプロドラッグ(例、化合物IIのプロドラッグ)を含む。併用、医薬組成物、パッケージおよびキットは、化合物Iまたは化合物Iの活性型のプロドラッグ(例、化合物IIのプロドラッグ)の任意の適切な量を含んでいてもよく、かつ通常患者に一日あたり投与する上記の全量または部分投与量を含むであろう。本発明の方法に従って、化合物Iまたは化合物Iの活性型のプロドラッグ(例、化合物IIのプロドラッグ)を、食物の有無にかかわりなく投与してもよい。1日を通して複数回投与する場合、個々の投与量は望ましくは、それぞれ治療上有効量の化合物Iまたは化合物Iの活性型のプロドラッグ(例、化合物IIのプロドラッグ)を含む。本発明の好ましい実施態様において、化合物Iまたは化合物Iの活性型のプロドラッグ(例、化合物IIのプロドラッグ)は、食物と共に投与される(例、1日1回食物と共に)。以下、用語「食物と共に」は、通常、化合物の投与前約1時間から化合物の投与後約2時間の時間中に食物を摂取する状態を意味するものと定義する。好ましくは、食物は、胃で速やかに溶解および吸収されない、十分な嵩で、脂肪成分を含む固形食物である。より好ましくは、食物は、朝食、昼食、夕食等の食事である。
【0033】
通常患者に投与するHMG−CoA還元酵素阻害剤の量は、1日当たり約1mgから約100mg、より好ましくは1日当たり約1mgから約80mg(例、1日当たり約5mgから約80mg)であろう。必要ならば、状況に応じて単位剤形で、HMG−CoA還元酵素阻害剤の1日投与量を、1日1回患者に投与することができ、またはかわりに一日を通して適切な間隔で2回、3回、4回もしくはそれ以上の部分投与量に分割して投与することができる。それぞれの部分投与量は、好ましくは治療上有効量のHMG−CoA還元酵素阻害剤を含む。併用、医薬組成物、パッケージおよびキットは、HMG−CoA還元酵素阻害剤の任意の適切な量を含んでいてもよく、かつ通常患者に一日あたり投与する上記の全量または部分投与量を含むであろう。本発明の方法に従って、HMG−CoA還元酵素阻害剤を食物の有無にかかわりなく投与してもよい。1日を通して複数回投与する場合、個々の投与量は望ましくは、それぞれ治療上有効量のHMG−CoA還元酵素阻害剤を含む。本発明の好ましい実施態様において、HMG−CoA還元酵素阻害剤は就寝前に1日1回投与される。
【0034】
化合物Iまたは化合物Iの活性型のプロドラッグ(例、化合物IIのプロドラッグ)、および少なくとも1つのHMG−CoA還元酵素阻害剤は、1つの投与量単位で、または別々の投与量単位(すなわち、異なる医薬組成物)として処方することができる。もし化合物が、別々の投与量単位である場合、化合物Iまたは化合物Iの活性型のプロドラッグ(例、化合物IIのプロドラッグ)、およびHMG−CoA還元酵素阻害剤は、同時に、実質的に同時に、または1日を通して異なる時間に投与することができる。本発明の一つの実施態様において、化合物Iまたは化合物Iの活性型のプロドラッグ(例、化合物IIのプロドラッグ)は、食物と共に投与され、かつHMG−CoA還元酵素阻害剤は晩(例、就寝前)に投与される。
【0035】
以下、用語「単位剤形」は、化合物Iまたは化合物Iの活性型のプロドラッグ(例、化合物IIのプロドラッグ)、および/またはHMG−CoA還元酵素阻害剤が患者に投与される形態を定義する。具体的には、単位剤形は、例えば丸剤、カプセル剤または錠剤であってもよい。好ましくは、単位剤形は錠剤である。本発明の文脈における単位剤形中の化合物Iまたは化合物Iの活性型のプロドラッグ(例、化合物IIのプロドラッグ)の典型的な量は、約100mgから約1800mg、好ましくは約100mgから約900mg(例、約100mgから約300mg)である。本発明の好ましい実施態様において、単位剤形は、約300mgの化合物Iまたは化合物Iの活性型のプロドラッグ(例、化合物IIのプロドラッグ)を含み、錠剤の形態である。好ましくは、約300mgの化合物Iまたは化合物Iの活性型のプロドラッグ(例、化合物IIのプロドラッグ)をそれぞれ含む、1、2または3個の錠剤が1日1回患者に投与される(すなわち、1日総投与量が、それぞれ約300mg、約600mgまたは約900mg)。本発明の文脈における単位剤形中のHMG−CoA還元酵素阻害剤の典型的な量は、約1mgから約100mg、好ましくは約1mgから約80mg(例、約5mgから約80mg)である。
【0036】
単位剤形中のアトルバスタチンカルシウム(例、アトルバスタチンカルシウム(三水和物)として)の典型的な量は、約10mg、約20mg、約40mgまたは約80mgである(例えば、Physicians’ Desk Reference,57th ed.,Thomson PDR,2003を参照)。アトルバスタチンカルシウム(例、アトルバスタチンカルシウム(三水和物)として)の適切な1日総投与量は、1日当たり約10mgから約80mgである。アトルバスタチンカルシウム(例、アトルバスタチンカルシウム(三水和物)として)は、1日の間のいかなる時に投与してもよく、好ましくは食物の有無にかかわらず単回投与される。最も好ましくは、1日当たり約10mgから約80mgのアトルバスタチンカルシウム(例、アトルバスタチンカルシウム(三水和物)として)を、1日当たり約300mgから約900mg(例、約300mgまたは約600mg)の化合物Iと併用して患者に経口投与する。
【0037】
単位剤形中のプラバスタチンナトリウムの典型的な量は、約10mg、約20mgまたは約40mgである(例えば、Physicians’ Desk Reference,57th ed.,Thomson PDR,2003参照)。プラバスタチンナトリウムの適切な1日総投与量は、1日当たり約20mgから約80mgである。プラバスタチンナトリウムは、1日の間のいかなる時に投与してもよく、好ましくは晩に単回投与される。より好ましくは、1日当たり約20mgから約80mgのプラバスタチンナトリウムを、1日当たり約300mgから約900mg(例、約300mgまたは約600mg)の化合物Iと併用して患者に経口投与する。最も好ましくは、1日当たり約30mgから約50mg(例、約40mg)のプラバスタチンナトリウムを、1日当たり約300mgから約900mg(例、約300mgまたは約600mg)の化合物Iと患者に経口投与する。
【0038】
単位剤形中のフルバスタチンナトリウムの典型的な量は、約20mg、約40mgまたは約80mgである(例えば、Physicians’ Desk Reference,57th ed.,Thomson PDR,2003参照)。フルバスタチンナトリウムの適切な1日総投与量は、1日当たり約20mgから約80mgである。フルバスタチンナトリウムは、1日の間のいかなる時に投与してもよく、好ましくは食物の有無にかかわらず単回投与される。最も好ましくは、1日当たり約20mgから約80mgのフルバスタチンナトリウムを、1日当たり約300mgから約900mg(例、約300mgまたは約600mg)の化合物Iと併用して患者に経口投与する。
【0039】
単位剤形中のシンバスタチンの典型的な量は、約5mg、約10mg、約20mg、約40mgまたは約80mgである(例えば、Physicians’ Desk Reference,57th ed.,Thomson PDR,2003参照)。シンバスタチンの適切な1日総投与量は、1日当たり約5mgから約80mgである。シンバスタチンは、1日の間のいかなる時に投与してもよく、好ましくは就寝前に単回投与される。最も好ましくは、1日当たり約5mgから約80mgのシンバスタチンを、1日当たり約300mgから約900mg(例、約300mgまたは約600mg)の化合物Iと併用して患者に経口投与する。
【0040】
単位剤形中のロバスタチンの典型的な量は、約10mg、約20mg、約40mgまたは約60mgである(例えば、Physicians’ Desk Reference,57th ed.,Thomson PDR,2003参照)。ロバスタチンの適切な1日総投与量は、1日当たり約10mgから約80mgである。ロバスタチンは、1日の間のいかなる時に投与してもよく、好ましくは食事と共に晩に単回投与される。最も好ましくは、1日当たり約10mgから約80mgのロバスタチンを、1日当たり約300mgから約900mg(例、約300mgまたは約600mg)の化合物Iと併用して患者に経口投与する。
【0041】
単位剤形中のロスバスタチンカルシウムの典型的な量は、約10mg、約20mg、約30mg、約40mgまたは約80mgである。ロスバスタチンカルシウムの適切な1日総投与量は、1日当たり約10mgから約80mgである。ロスバスタチンカルシウムは、1日の間のいかなる時に投与してもよく、好ましくは食物の有無にかかわらず単回投与される。最も好ましくは、1日当たり約10mgから約80mg(例、約10mgから約40mg)のロスバスタチンカルシウムを、1日当たり約300mgから約900mg(例、約300mgまたは約600mg)の化合物Iと併用して患者に経口投与する。
【0042】
単位剤形中のピタバスタチンカルシウムの典型的な量は、約1mg、約2mg、約4mg、約8mgまたは約10mgである。ピタバスタチンカルシウムの適切な1日総投与量は、1日当たり約1mgから約80mgである。最も好ましくは、1日当たり約1mgから約80mg(例、約1mgから約20mg)のピタバスタチンを、1日当たり約300mgから約900mg(例、約300mgまたは約600mg)の化合物Iと併用して患者に経口投与する。
【0043】
本発明の併用、医薬組成物、パッケージおよびキットにおいて、ならびに本発明の方法で患者に毎日投与する場合において、化合物IおよびHMG−CoA還元酵素阻害剤の考えられるそれぞれの量を表1に示す。表1中の表示「X」は、表示量の化合物Iと併用して、表示量の示されたHMG−CoA還元酵素阻害剤が存在すること、および/またはその連日投与を示す。表1には示されていないが、化合物IおよびHMG−CoA還元酵素阻害剤の他の量も本発明に包含される。
【0044】
【表1−1】

【0045】
【表1−2】

【0046】
【表1−3】

【0047】
(a)化合物Iまたは化合物Iの活性型のプロドラッグ(例、化合物IIのプロドラッグ、特に生体内でS−[2−([[1−(2−エチルブチル)シクロヘキシル]カルボニル]アミノ)フェニル]チオールを形成するプロドラッグ)および(b)少なくとも1つのHMG−CoA還元酵素阻害剤の併用は、治療または予防のために任意の慣用の方法で患者に投与してもよい。活性成分(すなわち、化合物Iまたは化合物Iの活性型のプロドラッグ(例、化合物IIのプロドラッグ、特に生体内でS−[2−([[1−(2−エチルブチル)シクロヘキシル]カルボニル]アミノ)フェニル]チオールを形成するプロドラッグ)、およびHMG−CoA還元酵素阻害剤)は、原料のままの薬物として投与することも可能であるが、好ましくは各活性成分は医薬組成物として投与する。このような医薬組成物は、例えば、化合物Iまたは化合物Iの活性型のプロドラッグ(例、化合物IIのプロドラッグ、特に生体内でS−[2−([[1−(2−エチルブチル)シクロヘキシル]カルボニル]アミノ)フェニル]チオールを形成するプロドラッグ)、および/またはHMG−CoA還元酵素阻害剤と、1以上の医薬上許容される担体または賦形剤ならびに更なる他の治療薬および/または治療成分とを含む。担体または賦形剤は、他の成分と適合するという意味で許容されなければならず、かつその受容するものに有害であってはならない。経口投与のための担体または賦形剤の例としては、コーンスターチ、乳糖、ステアリン酸マグネシウム、タルク、微結晶性セルロース、ステアリン酸、ポビドン、クロスポビドン、二塩基性リン酸カルシウム、グリコール酸ナトリウムスターチ、ヒドロキシプロピルセルロース(例、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(例、ヒドロキシプロピルメチルセルロース2910)およびラウリル硫酸ナトリウムが挙げられる。
【0048】
医薬組成物は、薬学における当業者に周知の方法、例えば、Gennaroら,Remington’s Pharmaceutical Sciences(18th ed.,Mack Publishing Co.,1990),特にPart 8:Pharmaceutical Preparations and their Manufactureに記載されているような方法等のいかなる適切な方法によっても製造できる。このような方法は、1以上の活性化合物(例、化合物I(または化合物Iの活性型のプロドラッグ)および/またはHMG−CoA還元酵素阻害剤)を、担体または賦形剤および任意の1以上の付属成分と会合するようにする工程を含む。このような付属成分としては、賦形剤、結合剤、希釈剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤、矯味矯臭剤、湿潤剤等の当業者に慣用されているものが挙げられる。
【0049】
医薬組成物は、1以上の活性化合物(例、化合物I(または化合物Iの活性型のプロドラッグ)および/またはHMG−CoA還元酵素阻害剤)が、設定された時間で徐放または持続放出するようにコントロールすることができる。治療化合物を徐放または持続放出するようにコントロールすることによって、1以上の活性化合物の活性型(例、化合物Iの活性型)および/またはHMG−CoA還元酵素阻害剤の濃度を、患者の血流中で通常の製剤よりも長時間維持することができる。このような医薬組成物は、コーティングされた錠剤、ペレットまたはカプセル剤、ならびに生理的な流体に溶解しない、または機械的、化学的または酵素活性による医薬組成物の分解に続いて活性化合物が放出される媒体中の1以上の活性化合物の分散体であってもよい。
【0050】
本発明の文脈における医薬組成物は、例えば、1以上の活性化合物(例、化合物I(または化合物Iの活性型のプロドラッグ)および/またはHMG−CoA還元酵素阻害剤)の所定量をそれぞれ含む、丸剤、カプセル剤あるいは錠剤の形態(好ましくは嚥下しやすいようにコートされている)、散剤もしくは顆粒剤の形態、または液剤もしくは懸濁剤の形態であってもよい。好ましくは、医薬組成物は1以上の活性化合物(例、化合物I(または化合物Iの活性型のプロドラッグ)および/またはHMG−CoA還元酵素阻害剤)ならびに以下の実施例において使用および記載されている錠剤の成分を含む錠剤の形態である。経口投与において、細末または顆粒剤は、希釈剤、分散剤および/または界面活性剤を含んでいてもよく、例えば、水中あるいはシロップ中、乾燥状態におけるカプセル中あるいは包装袋中、または非水溶液あるいは懸濁剤を含んでいてもよい懸濁液中、または結合剤および滑沢剤を含んでいてもよい錠剤中に存在していてもよい。甘味剤、矯味矯臭剤、保存剤(例、抗菌保存剤)、懸濁剤、増粘剤および/または乳化剤などの成分も医薬組成物中に存在していてもよい。溶液または懸濁液の形態で投与する場合、製剤は、1以上の活性化合物(例、化合物I(または化合物Iの活性型のプロドラッグ)および/またはHMG−CoA還元酵素阻害剤)および精製水を含んでいてもよい。溶液または懸濁液中の任意の成分としては、適切な、甘味剤、矯味矯臭剤、保存剤(例、抗菌保存剤)、緩衝剤、溶剤およびその混合物が挙げられる。製剤成分は、1より多い機能を果たすものでもよい。例えば、適切な緩衝剤は、矯味矯臭剤および甘味料としての役割を果たしてもよい。
【0051】
適切な甘味剤としては、例えば、サッカリンナトリウム、ショ糖およびマンニトールが挙げられる。2以上の甘味剤の混合物を使用してもよい。甘味剤またはその混合物は、通常、全組成物の約0.001重量%から約70重量%の量で存在する。適切な矯味矯臭剤は、医薬組成物を患者が容易に摂取できるようにする目的で、さくらんぼ風味、綿菓子風味または他の適切な風味を与えるために医薬組成物中に存在していてもよい。矯味矯臭剤またはその混合物は、通常、全組成物の約0.0001重量%から約5重量%の量で存在する。
【0052】
適切な保存剤としては、例えば、メチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸ナトリウムおよび塩化ベンザルコニウムが挙げられる。2以上の保存剤の混合物を使用してもよい。保存剤またはその混合物は、通常、全組成物の約0.0001重量%から約2重量%の量で存在する。
【0053】
適切な緩衝剤としては、例えば、クエン酸、クエン酸ナトリウム、リン酸、リン酸カリウムならびに各種の他の酸および塩が挙げられる。2以上の緩衝剤の混合物を使用してもよい。緩衝剤またはその混合物は、通常、全組成物の約0.001重量%から約4重量%の量で存在する。
【0054】
溶液または懸濁液のための適切な溶剤としては、例えば、ソルビトール、グリセリン、プロピレングリコールおよび水が挙げられる。2以上の溶剤の混合物を使用してもよい。溶剤または溶剤系は、通常、全組成物の約1重量%から約90重量%の量で存在する。
【0055】
経口デリバリー方法は、消化管中でのpHの変化、酵素への曝露および消化管の膜の不透過性などの、体によって課せられる化学的および物理的障害によってしばしば制限される。医薬組成物の経口投与は、補助剤の同時投与も含んでいてもよい。例えば、腸壁の透過性を人為的に増加するために、ポリオキシエチレンオレイルエーテルおよびn−ヘキサデシルポリエチレンエーテル等の非イオン性界面活性剤を一緒に投与する、または医薬組成物に組み込むことができる。酵素阻害剤も、一緒に投与する、または医薬組成物に組み込むことができる。
【0056】
本発明の、併用、医薬組成物、パッケージ、キットおよび方法の活性化合物は、患者に日常的に投与する場合、望ましくは、以下の患者の状態が1以上生じる(例、治療開始後、2週間、4週間、8週間、12週間および/または6ヶ月で):
(a)治療前のコレステリルエステル転送蛋白質(CETP)活性と比較した、患者のCETP活性の阻害、(b)治療前の高比重リポ蛋白質コレステロール(HDL−C)値と比較した、患者のHDL−C値の上昇、(c)治療前の低比重リポ蛋白質コレステロール(LDL−C)値と比較した、患者のLDL−C値の減少、(d)治療前の総コレステロールとHDL−C値の比(TC/HDL−C)と比較した、患者のTC/HDL−Cの減少、および/または(e)治療前のLDL−C値とHDL−C値の比(LDL−C/HDL−C)と比較した、LDL−C/HDL−Cの減少。用語「治療前」とは、本発明の併用、医薬組成物、パッケージ、キットおよび方法の活性化合物を患者に投与するよりも前の時期(望ましくは、直前)を意図する。治療前と比較して、患者の上述の状態それぞれにおける望ましい変化の範囲を以下に述べる。好ましくは、本発明の併用、医薬組成物、パッケージ、キットおよび方法の活性化合物を患者に投与する場合、上記の患者の状態が2以上(例、2、3、4または5)生じる(例、治療開始後、2週間、4週間、8週間、12週間および/または6ヶ月で)。最も好ましくは、本発明の併用、医薬組成物、パッケージ、キットおよび方法の活性化合物を患者に投与する場合、上記の患者の状態の5つ全てが生じる(例、治療開始後、2週間、4週間、8週間、12週間および/または6ヶ月で)。
【0057】
CETP活性は、基本的にはTollefsonら,Methods Enzymol.,129,797−816(1986)およびKatoら,J.Biol.Chem.,264,4082−4087(1989)に記載されているように測定される。好ましくは、治療開始後2週間(または4週間、8週間、12週間もしくは6ヶ月)でのCETP活性が、治療前のCETP活性と比較して、約5%以上(例、約7.5%以上、約10%以上、約15%以上、約20%以上、約25%以上、約30%以上、約35%以上、約40%以上、約45%以上、約50%以上、約55%以上、約60%以上または約65%以上)減少する。
【0058】
HDL−C値は、当該技術分野において公知の標準的な手法を用いて測定される。好ましくは、治療開始後2週間(または4週間、8週間、12週間もしくは6ヶ月)でのHDL−C値が、治療前のHDL−C値と比較して約5%以上(例、約7.5%以上、約10%以上、約12.5%以上、約15%以上、約17.5%以上、約20%以上、約22.5%以上、約25%以上、約27.5%以上、約30%以上、約32.5%以上、約35%以上、約37.5%以上、約40%以上、約42.5%以上、約45%以上、約47.5%以上、約50%以上、約52.5%以上、約55%以上、約57.5%以上または約60%以上)増加する。
【0059】
LDL−C値は、当該技術分野において公知の標準的な手法を用いて測定される。好ましくは、治療開始後2週間(または4週間、8週間、12週間もしくは6ヶ月)でのLDL−C値が、治療前のLDL−C値と比較して約5%以上(例、約7.5%以上、約10%以上、約12.5%以上、約15%以上、約17.5%以上、約20%以上、約22.5%以上、約25%以上、約27.5%以上、約30%以上、約32.5%以上、約35%以上、約37.5%以上、約40%以上、約42.5%以上、約45%以上、約47.5%以上、約50%以上、約52.5%以上、約55%以上、約57.5%以上または約60%以上)減少する。
【0060】
総コレステロール(TC)は、当該技術分野において公知の標準的な手法を用いて測定される。好ましくは、治療開始後2週間(または4週間、8週間、12週間もしくは6ヶ月)でのTC/HDL−C比が、治療前のTC/HDL−C比と比較して約5%以上(例、約7.5%以上、約10%以上、約12.5%以上、約15%以上、約17.5%以上、約20%以上、約22.5%以上、約25%以上、約27.5%以上、約30%以上、約32.5%以上または約35%以上)減少する。
【0061】
LDL−C値とHDL−C値の比(LDL−C/HDL−C)について、治療開始後2週間(または4週間、8週間、12週間もしくは6ヶ月)でのLDL−C/HDL−Cは、好ましくは、治療前のLDL−C/HDL−Cと比較して約5%以上(例、約7.5%以上、約10%以上、約12.5%以上、約15%以上、約17.5%以上、約20%以上、約22.5%以上、約25%以上、約27.5%以上、約30%以上、約32.5%以上または約35%以上)減少する。
【0062】
化合物IおよびHMG−CoA還元酵素阻害剤を併用して投与される患者は、循環器障害の治療または予防を必要としているいかなる患者でもよい。例えば、患者は、併用による治療または予防の開始前のHDL−C値が約60mg/dL以下(例、約50mg/dL以下または約40mg/dL以下)を示していてもよい。
【0063】
代わりにまたは更に、患者は、冠動脈心疾患または以下に定義する少なくとも1つと等しい冠動脈心疾患リスクの病歴を有するか、あるいは現在診断されていてもよい:アテローム硬化性疾患(例、末梢動脈疾患、腹部大動脈瘤または無症候性頚動脈疾患);II型糖尿病(高コレステロール血症および/または高ベータリポ蛋白血症の治療のために脂質降下剤(lipid lowering agent)を必要とする患者);およびフラミンガムの10年冠動脈心疾患リスクが約20%以上。
【0064】
代わりにまたは更に、患者は、少なくとも1つの以下の危険因子を示していてもよい:喫煙、高血圧症(血圧(BP)140/90mmHg以上または高血圧症薬物治療中);早発性冠動脈心疾患の家族歴(男性の一親等血縁者(親、兄弟または子)の年齢55歳未満での冠動脈心疾患;女性の一親等血縁者の年齢65歳未満での冠動脈心疾患);および年齢(男性45歳以上;女性55歳以上)。
【0065】
代わりにまたは更に、患者は約10%以下のフラミンガムの10年冠動脈心疾患リスクを有していてもよい。より好ましくは、患者は約10%から約20%のフラミンガムの10年冠動脈心疾患リスクを有する。最も好ましくは、患者は約20%以上のフラミンガムの10年冠動脈心疾患リスクを有する。当業者には、フラミンガムの10年冠動脈心疾患リスク値をどのように決定するかはよく知られている。
【0066】
患者は、好ましくは、併用による治療または予防開始前に、上記の危険カテゴリーの少なくとも1つからの1以上の危険因子を示す。好ましくは患者は上記危険カテゴリーの少なくとも2つからの1以上の危険因子を示し、より好ましくは患者は上記危険カテゴリーの少なくとも3つからの1以上の危険因子を示す。望ましくは、患者は、上記の4つの危険カテゴリーのそれぞれからの1以上の危険因子を示す。
【0067】
以下の実施例で更に本発明を説明するが、勿論、本発明の範囲を限定するものとして決して解釈すべきではない。
【実施例】
【0068】
実施例1
本実施例では、高脂血症患者における、S−[2−([[1−(2−エチルブチル)シクロヘキシル]カルボニル]アミノ)フェニル] 2−メチルプロパンチオエート(化合物I)およびプラバスタチンナトリウムの併用の治療効果を評価することを目的とする、多施設、無作為化、二重盲検、プラセボ対照、パラレル比較試験を述べる。
【0069】
試験終了時に約150人の患者(治療群当たり約50人の患者)を確保するために、約200人のII型高脂血症の患者を試験に登録した。患者は以下のクライテリアを満たした:
(i) LDL−C>4.0mmol/L(160mg/dL)、
(ii) HDL−C<1.6mmol/L(60mg/dL)、
(iii)トリグリセリド<4.5mmol/L(400mg/dL)、および
(iv) 年齢18から65歳。
【0070】
全試験期間は16週間であり、3つの期間からなった。期間1(試験の最初の8週間)の間、全ての登録患者に40mgのプラバスタチンナトリウムを1日1回就寝前に服用させた。次いで、期間2(次の4週間)は、患者は無作為に分けられてプラセボまたは300mgもしくは600mgの化合物Iを1日1回朝食に続いて服用し、さらにプラバスタチンナトリウム処置を継続した。期間3(試験の最後の4週間)の間、プラバスタチンナトリウムのみを投与した。
【0071】
それぞれのプラバスタチンナトリウムの錠剤は、40mgのプラバスタチンナトリウムを含み、商標のついた市販品(セレクチンTM,ブリストル−マイヤーズ スクイブ社)として供給されているものである。それぞれの化合物Iの錠剤は、300mgの化合物Iを含み、プラセボ錠剤と外観においてまったく同一の白色楕円型の錠剤として提供された。化合物Iを含むコーティングされていない白色錠剤は、標準的な打錠方法を使用して製造した。錠剤は、300mgの化合物I、結合剤として18mgのヒドロキシプロピルメチルセルロース2910、滑沢剤として18mgのタルクおよび1.2mgのステアリン酸マグネシウム、ならびに崩壊剤として119.8mgのクロスポビドンおよび90mgの低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含んだ。
【0072】
期間2の間、各患者が(a)300mgの化合物Iの錠剤を1錠およびプラセボ錠剤を1錠、(b)300mgの化合物Iの錠剤を2錠、または(c)プラセボ錠剤を2錠のいずれかを受けるように、全ての患者は2錠のコーティングされていない白色錠剤を受けた。
【0073】
血液サンプルを、適格性を判断するために来診1(化合物Iまたはプラセボ処置の開始から−10週間)で、ならびに来診2(−8週間;プラバスタチンナトリウム処置の開始)、来診3(−2週間)、来診4(化合物Iまたはプラセボ処置の開始)、来診5(化合物Iまたはプラセボ処置の開始後+2週間)、来診6(+4週間;化合物Iまたはプラセボ処置の終了)および来診7(+8週間;プラバスタチンナトリウム処置の終了)で採取した。各血液サンプルは、脂質パラメーター値(例、総コレステロール、トリグリセリド、HDL−C、LDL−C)、CETP活性および質量、化合物Iの血漿濃度(トラフレベル)ならびに実験室安全パラメーター(例、尿検査、生化学および血液学)を試験した。
【0074】
CETP活性を測定する方法は、Tollefsonら,Methods Enzymol.,129,797−816(1986)およびKatoら,J.Biol.Chem.,264,4082−4087(1989)の記載の方法と実質的に同様であった。
【0075】
化合物Iの活性型の血漿濃度は、以下のアッセイによって測定した。血漿サンプルを化合物Iで処置された患者から単離した。血漿サンプルを水酸化ナトリウムで処理し、血漿中の化合物Iの活性型をチオール形(すなわち、化合物II)に変換した。次に、チオール基の酸化を防ぐために(すなわち、還元状態でチオール基を維持するために)、血漿サンプルをジチオスレイトール(DTT)で処理した。N−エチルマレイミド(NEM)を、チオール形(すなわち、化合物II)を安定化するために添加し、NEM−付加体に誘導することによって遊離スルフヒドリル基をブロックするものと考えられる。次いで、サンプルを、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて分析した。最後に、血漿サンプルのHPLC分析結果を既知の標準と比較し、化合物Iの活性型の血漿濃度を測定した。既知濃度の標準は、化合物Iで処置されていないヒトからヒト血漿を単離することを除いては、基本的に上記のようにして調製した。これらの「ブランク血漿」サンプルを既知量の化合物Iと混合した。
【0076】
効果の分析は、分散分析(ANOVA)または共分散分析(ANCOVA)等の記述概要(descriptive summary)および統計学的モデリングの両方を含んだ。記述概要は全ての変数における有用な知見の数、平均値、中央値、標準偏差、最小値および最大値等のような、カテゴリー変数および統計のための度数および割合を含んだ。
【0077】
HMG−CoA還元酵素阻害剤治療を受けている患者における化合物Iの投与の効果を調べるために、化合物Iの投与前(来診3および4における平均値)および化合物Iの投与後(来診5または6)のHDL−C、LDL−C、TC/HDL−C比、LDL−C/HDL−C比およびCETP活性の平均値を比較した。治療効果および施設効果を含むANOVAモデルを使用した。優越性の推測試験を以下のステップダウン(step down)法を用いて有意性2.5%値(片側)において行った:
1.高投与量群(600mgの化合物Iを投与)対プラセボの優越性試験、引き続いて
2.高投与量群の優越性が工程1で確立されたもののみ、低投与量群(300mgの化合物Iを投与)対プラセボの優越性試験;そうでないものは更なる試験を行っていない。
【0078】
有効性のプライマリーエンドポイントの更なる分析には、分散分析モードにおける治療−施設相互作用効果の算入、治療効果およびANCOVAモデルにおける共変動としてのそれぞれのベースライン値の算入、およびANCOVAモデルへの治療−共変動相互作用効果の追加を含んだ。相互作用効果が定性的で(治療の差が全て同じ方向におけるものではない)、かつ有意性値0.2(両側)において有意であれば、サブグループの分析を実施した。1次分析は変化率の代わりに絶対的変化データに基づき計算した。もしANOVA/ANCOVAの仮説に反する場合、プライマリーエンドポイントはログスケールで分析した。
【0079】
表2に、プラバスタチンナトリウム治療を受けた患者の値(来診3および4の値の平均)から化合物Iまたはプラセボおよびプラバスタチンナトリウム(来診5または6)の投与後の値までの、HDL−C、LDL−C、TC/HDL−C比、LDL−C/HDL−C比およびCETP活性の変化率を記載する。従属変数として変化率、および固定効果(fixed effect)として治療および施設を用いるANOVAモデルを使用して、p値を化合物I投与群をプラセボ群と比較することによって決定した。表2のデータは、プロトコルによる治療が終了した患者からのものである。
【0080】
【表2】

【0081】
表2に示すように、HMG−CoA還元酵素阻害剤治療を受けた患者への化合物Iの投与は、患者のHDL−C値、CETP活性、ならびにTC/HDL−C比およびLDL−C/HDL−C比に有意に影響を及ぼした。予想通り、化合物Iではなくプラセボを受けた患者群におけるこれらのパラメーターのいずれにも有意な変化は見られなかった。
【0082】
表2に示されるデータは、プラバスタチンナトリウム治療を受けた患者への化合物Iの連日投与は、プラバスタチンナトリウム単独投与によって達した値と比較して、HDL−C値の少なくとも約5%の増加が達成できることを実証する。例えば、化合物Iの投与後、HDL−C値は、プラバスタチンナトリウム単独投与によって達した値と比較して、300mgおよび600mg治療群においてそれぞれ約13%および約28%増加した。
【0083】
表2に示されるデータは、プラバスタチンナトリウム治療を受けた患者への化合物Iの連日投与後に、プラバスタチンナトリウム単独投与によって達した値と比較して、TC/HDL−C比が少なくとも約5%減少し得ることを明らかにする。例えば、化合物Iの投与後、TC/HDL−C比は、プラバスタチンナトリウム単独投与によって達した値と比較して、300mgおよび600mg治療群においてそれぞれ約8%および約19%減少した。
【0084】
表2に示されるデータは、プラバスタチンナトリウム治療を受けた患者への化合物Iの連日投与後に、プラバスタチンナトリウム単独投与によって達した値と比較して、LDL−C/HDL−C比が少なくとも約5%減少することも明らかにする。例えば、化合物Iの投与後、LDL−C/HDL−C比は、プラバスタチンナトリウム単独投与によって達した値と比較して、300mgおよび600mg治療群においてそれぞれ約10%および約26%減少した。
【0085】
さらに、表2に示されるデータは、プラバスタチンナトリウム治療を受けた患者への化合物Iの投与で、プラバスタチンナトリウム単独投与によって達した値と比較して、CETP活性の少なくとも約5%の減少が達成できることを明らかにした。例えば、化合物Iの投与後、CETP活性は、プラバスタチンナトリウム単独投与によって達した値と比較して、300mgおよび600mg治療群においてそれぞれ約18%および約32%減少した。
【0086】
また、表2の前記データセットから明らかなように、プラバスタチンナトリウム治療を受けた患者への化合物Iの投与で、プラバスタチンナトリウム単独投与によって達した値と比較して、LDL−C値の少なくとも5%の減少が達成できる。例えば、化合物Iの投与後、LDL−C値は、プラバスタチンナトリウム単独投与によって達した値と比較して、600mg治療群において約8%減少した。
【0087】
実施例2
本実施例では、低HDL値の患者における、S−[2−([[1−(2−エチルブチル)シクロヘキシル]カルボニル]アミノ)フェニル] 2−メチルプロパンチオエート(化合物I)およびアトルバスタチンカルシウム(三水和物)の併用の治療効果を評価することを目的とする多施設、無作為化、二重盲検、プラセボ対照、パラレル比較試験を述べる。
【0088】
以下のクライテリアを満たす約80人の患者を試験に登録する:
(i)低HDL値(HDL−C値1.0mmol(40mg/dL)以下およびトリグリセリド(TG)4.5mmol/L(400mg/dL)以下を示す)、
(ii)年齢18から70歳、および
(iii)冠動脈心疾患(CHD)、または以下の少なくとも1つによる定義と同等のCHDリスクの病歴を有するか、あるいは現在診断されている:アテローム硬化性疾患(末梢動脈疾患、腹部大動脈瘤または無症候性頚動脈疾患);II型糖尿病(脂質降下剤を必要とする);およびフラミンガムの10年CHDリスクが約20%以上。
【0089】
全試験期間は16週間であり、これは3つの期間からなる。期間1(試験の最初の8週間)の間、全ての登録患者に20mgのアトルバスタチン(アトルバスタチンカルシウム三水和物として)を1日1回朝食直後に服用させる。次いで、期間2(次の4週間)は、患者は無作為に分けられてプラセボまたは600mgの化合物I(2群それぞれに約40人の患者)を1日1回朝食に続いて服用し、さらにアトルバスタチンカルシウム(三水和物)処置を継続する。期間3(試験の最後の4週間)の間、アトルバスタチンカルシウム(三水和物)のみを投与する。
【0090】
それぞれのアトルバスタチン錠剤は、20mgのアトルバスタチン(アトルバスタチンカルシウム三水和物として)を含み、商標が付された市販品(ソルティスTM、パークデービス社)として供給されているものである。化合物Iを含む錠剤およびその製剤は実施例1に記載されている。期間2の間、各患者が(a)300mgの化合物Iの錠剤を2錠または(b)プラセボ錠剤を2錠のいずれかを受けるように、全ての患者は2錠のコーティングされていない白色錠剤を受ける。
【0091】
サンプリングスケジュールおよび分析パラメーターは、実施例1に記載したものと同じである。
【0092】
実施例3
本実施例では、低HDL値の患者における、S−[2−([[1−(2−エチルブチル)シクロヘキシル]カルボニル]アミノ)フェニル] 2−メチルプロパンチオエート(化合物I)およびシンバスタチンの併用の治療効果を評価することを目的とする、多施設、無作為化、二重盲検、プラセボ対照、パラレル比較試験を述べる。
【0093】
以下のクライテリアを満たす約80人の患者を試験に登録する:
(i)低HDL値(HDL−C値1.0mmol(40mg/dL)以下およびトリグリセリド(TG)4.5mmol/L(400mg/dL)以下を示す)、
(ii)年齢18から70歳、および
(iii)冠動脈心疾患(CHD)、または以下の少なくとも1つによる定義と同等のCHDリスクの病歴を有するか、あるいは現在診断されている:アテローム硬化性疾患(末梢動脈疾患、腹部大動脈瘤または無症候性頚動脈疾患);II型糖尿病(脂質降下剤を必要とする);およびフラミンガムの10年CHDリスクが約20%以上。
【0094】
全試験期間は16週間であり、3つの期間からなる。期間1(試験の最初の8週間)の間、全ての登録患者に40mgのシンバスタチンを1日1回朝食直後に服用させる。次いで、期間2(次の4週間)は、患者は無作為に分けられてプラセボまたは600mgの化合物I(2群それぞれに約40人の患者)を1日1回朝食に続いて服用し、さらにシンバスタチン処置を継続する。期間3(試験の最後の4週間)の間、シンバスタチンのみを投与する。
【0095】
それぞれのシンバスタチン錠剤は、40mgのシンバスタチンを含み、商標が付された市販品(ゾコールTM、メルク・シャープ&ドーム社)として供給されているものである。化合物Iを含む錠剤およびその製剤は実施例1に記載されている。期間2の間、各患者が(a)化合物I300mgの錠剤を2錠または(b)プラセボ錠剤を2錠のいずれかを受けるように、全ての患者は2錠のコーティングされていない白色錠剤を受ける。
【0096】
サンプリングスケジュールおよび分析パラメーターは、実施例1に記載したものと同じである。
【0097】
実施例4
本実施例では、高コレステロール食餌を受けた日本白色ウサギにおける、S−[2−([[1−(2−エチルブチル)シクロヘキシル]カルボニル]アミノ)フェニル] 2−メチルプロパンチオエート(化合物I)およびHMG−CoA還元酵素阻害剤の併用の投与効果を評価する試験について述べる。
【0098】
試験開始前、雄日本白色ウサギ(北山ラベス株式会社)に、標準食餌(RC−4,株式会社オリエンタルバイオサービス製)(期間1)および水を自由に摂取させた。予備摂食のために、雄日本白色ウサギは、1匹当たり100g/日の0.2%コレステロールを含むRC−4(株式会社オリエンタルバイオサービス製)からなる高コレステロール食餌を4週間(期間2)にわたって与えられた。
【0099】
期間2の予備摂食最終日の翌日の食餌前に、耳介動脈から血液サンプルを採取した。12週齢の雄日本ウサギを、血漿パラメーター(HDLコレステロール量、総コレステロール量、トリグリセリド量)および体重に基づき、血漿パラメーターまたは体重の有意な差がグループ間に生じないように、各群6匹ずつ、対照群および7試験群にグループ分けした。7日間(期間3)にわたって各群に1匹当たり100g/日の0.2%コレステロールを含むRC−4からなる高コレステロール食餌および以下の1つを投与した:
(1)対照(追加成分なし)
(2)化合物I(0.5%)
(3)シンバスタチン(リポバスTM錠−5,萬有製薬株式会社から抽出および精製)(0.075%)
(4)アトルバスタチンカルシウム三水和物(リピトールTM錠−10,ファイザー社から抽出および精製)(0.075%)
(5)ロスバスタチンカルシウム(クレストールTM錠,アストラゼネカから抽出および精製)(0.025%)
(6)化合物I(0.5%)+シンバスタチン(0.075%)
(7)化合物I(0.5%)+アトルバスタチンカルシウム三水和物(0.075%)
(8)化合物I(0.5%)+ロスバスタチンカルシウム(0.025%)。
【0100】
期間3の7日目の食餌後8時間において、耳介動脈から血液サンプルを採取し、血漿中のHDLコレステロール量および総コレステロール量を標準方法によって測定した。動脈硬化指数を以下のようにして計算した:
[(総コレステロール量-HDLコレステロール量)/HDLコレステロール量]。
表3に、各試験群の動脈硬化指数の割合を対照群の値を100%として計算した、各試験群の動脈硬化指数の割合を示す。
【0101】
【表3】

【0102】
高コレステロール食餌を受けた12週齢雄日本白色ウサギにおける、化合物Iおよびプラバスタチンナトリウム(Xiamen Mchem Ltd.)の投与の効果を評価するために、同様の試験を行った。各群の動物に1匹当たり100g/日の0.2%コレステロールを含むRC−4からなる高コレステロール食餌および以下の1つを投与したこと以外は、試験パラメーターは上記記載の通りである:
(1)対照(追加成分なし)
(2)化合物I(0.5%)
(3)プラバスタチンナトリウム(0.075%)
(4)化合物I(0.5%)およびプラバスタチンナトリウム(0.075%)。
【0103】
表4に、動脈硬化指数を対照群の値を100%として示した各群の動脈硬化指数を示す。
【0104】
【表4】

【0105】
表3および4のデータによって明らかにされるように、化合物Iおよび高脂血症治療薬(例、HMG−CoA還元酵素阻害剤)の併用により、高コレステロール食餌を受けた12週齢雄日本ウサギの動脈硬化指数は対照動物と比較して減少する。さらに、化合物IおよびHMG−CoA還元酵素阻害剤の併用の投与は、化合物IまたはHMG−CoA還元酵素阻害剤を単独投与した動物と比較して、アテローム生成プロファイル(動脈硬化指数によって測定)の改善における有意な相乗効果を示す。このように、化合物Iは、他の医薬品、特に高脂血症、アテローム性動脈硬化症、冠動脈疾患、肥満、糖尿病または高血圧症の他の治療薬と併用して投与することができ、治療におけるそのような薬剤の実用性を高める。
【0106】
本明細書で引用した刊行物、特許出願および特許を含む全ての参考文献は、各参考文献が引用により含まれるように個々にかつ具体的に示され、本明細書にその全体が記載されているかのような程度まで、引用により本明細書に含まれるものである。
【0107】
本発明の説明の文脈において(特に、以下のクレームの文脈において)、用語「a」および「an」および「the」および同様の指示語の使用は、本明細書に違うように記載されていなければ、または、文脈によって明確に否定されなければ、単数と複数の両方を包含するように解釈されるべきである。用語「含む(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」および「含む(containing)」は、違うように記載されていなければ、許容範囲が制約のない用語(即ち、「・・を含むが、これらに限定されない」ことを意味する)として解釈されるべきである。本明細書の値の範囲の記載は、本明細書に違うように記載されていなければ、その範囲内のそれぞれの個々の値へ独立して言及する略記方法として役割を与えようとしていることが単に意図され、それぞれの個々の値は、それが本明細書に独立して記載されているかのように本明細書に含まれるものである。本明細書に記載される全ての方法は、本明細書に違うように記載されていなければ、または、文脈によって明確に否定されなければ、どんな適切な順序でも行うことができる。本明細書で提供される任意のおよび全ての例または例示的言葉(例えば、「などの」)の使用は、本発明をより明確にすることが単に意図され、違うようにクレームされていなければ、本発明の範囲を制限するものではない。本明細書のいかなる言葉も、本発明の実施に必須なものとしてクレームされていない要素を示すものとして解釈されるべきではない。
【0108】
本発明を実施するための本発明者らが知っている最良の形態を含む、本発明の好適な実施態様を本明細書に記載する。上記説明を読むと、それらの好適な実施態様のバリエーションが当業者に明白となろう。本発明者らは、当業者が適宜このようなバリエーションを用いることを期待し、本発明者らは、本発明が、本明細書に具体的に記載されたものとは異なるように実施されることを意図する。それ故、本発明は、適用法によって許されるように、本明細書に添付したクレームに記載された主題の全ての改変および均等物を含むものである。更に、違うように記載されていなければ、または、文脈によって明確に否定されなければ、その全ての可能なバリエーション中の上記構成要素のどんな組合わせも本発明に包含される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)S−[2−([[1−(2−エチルブチル)シクロヘキシル]カルボニル]アミノ)フェニル] 2−メチルプロパンチオエートまたは生体内でS−[2−([[1−(2−エチルブチル)シクロヘキシル]カルボニル]アミノ)フェニル]チオールを形成するプロドラッグ、および(b)少なくとも1つのHMG−CoA還元酵素阻害剤を含む併用。
【請求項2】
(a)S−[2−([[1−(2−エチルブチル)シクロヘキシル]カルボニル]アミノ)フェニル] 2−メチルプロパンチオエート、および(b)少なくとも1つのHMG−CoA還元酵素阻害剤を含む、請求項1の併用。
【請求項3】
(a)生体内でS−[2−([[1−(2−エチルブチル)シクロヘキシル]カルボニル]アミノ)フェニル]チオールを形成するプロドラッグ、および(b)少なくとも1つのHMG−CoA還元酵素阻害剤を含む、請求項1の併用。
【請求項4】
HMG−CoA還元酵素阻害剤が、アトルバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、シンバスタチン、ロバスタチン、ロスバスタチン、ならびにその医薬上許容される塩およびその水和物からなる群より選ばれる、請求項1〜3のいずれかの併用。
【請求項5】
HMG−CoA還元酵素阻害剤が、アトルバスタチンカルシウム、プラバスタチンナトリウム、フルバスタチンナトリウム、シンバスタチン、ロバスタチンまたはロスバスタチンカルシウムである、請求項4の併用。
【請求項6】
HMG−CoA還元酵素阻害剤がピタバスタチンまたはその医薬上許容される塩および/もしくは水和物である、請求項1〜3のいずれかの併用。
【請求項7】
(a)S−[2−([[1−(2−エチルブチル)シクロヘキシル]カルボニル]アミノ)フェニル] 2−メチルプロパンチオエートまたは生体内でS−[2−([[1−(2−エチルブチル)シクロヘキシル]カルボニル]アミノ)フェニル]チオールを形成するプロドラッグ、(b)少なくとも1つのHMG−CoA還元酵素阻害剤、および(c)1以上の医薬上許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項8】
(a)S−[2−([[1−(2−エチルブチル)シクロヘキシル]カルボニル]アミノ)フェニル] 2−メチルプロパンチオエート、(b)少なくとも1つのHMG−CoA還元酵素阻害剤および(c)1以上の医薬上許容される担体を含む、請求項7の医薬組成物。
【請求項9】
(a)生体内でS−[2−([[1−(2−エチルブチル)シクロヘキシル]カルボニル]アミノ)フェニル]チオールを形成するプロドラッグ、(b)少なくとも1つのHMG−CoA還元酵素阻害剤、および(c)1以上の医薬上許容される担体を含む、請求項7の医薬組成物。
【請求項10】
HMG−CoA還元酵素阻害剤が、アトルバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、シンバスタチン、ロバスタチン、ロスバスタチン、ならびにその医薬上許容される塩およびその水和物からなる群より選ばれる、請求項7〜9のいずれかの医薬組成物。
【請求項11】
HMG−CoA還元酵素阻害剤が、アトルバスタチンまたはその医薬上許容される塩および/もしくは水和物である、請求項10の医薬組成物。
【請求項12】
アトルバスタチンまたはその医薬上許容される塩および/もしくは水和物が、約10mgから約80mgの量で存在する、請求項10の医薬組成物。
【請求項13】
HMG−CoA還元酵素阻害剤が、プラバスタチンまたはその医薬上許容される塩および/もしくは水和物である、請求項10の医薬組成物。
【請求項14】
プラバスタチンまたはその医薬上許容される塩および/もしくは水和物が、約10mgから約40mgの量で存在する、請求項13の医薬組成物。
【請求項15】
プラバスタチンまたはその医薬上許容される塩および/もしくは水和物が、約40mgの量で存在する、請求項14の医薬組成物。
【請求項16】
HMG−CoA還元酵素阻害剤が、フルバスタチンまたはその医薬上許容される塩および/もしくは水和物である、請求項10の医薬組成物。
【請求項17】
フルバスタチンまたはその医薬上許容される塩および/もしくは水和物が、約20mgから約80mgの量で存在する、請求項16の医薬組成物。
【請求項18】
HMG−CoA還元酵素阻害剤が、シンバスタチンまたはその医薬上許容される塩および/もしくは水和物である請求項10の医薬組成物。
【請求項19】
シンバスタチンまたはその医薬上許容される塩および/もしくは水和物が、約5mgから約80mgの量で存在する、請求項18の医薬組成物。
【請求項20】
HMG−CoA還元酵素阻害剤が、ロバスタチンまたはその医薬上許容される塩および/もしくは水和物である、請求項10の医薬組成物。
【請求項21】
ロバスタチンまたはその医薬上許容される塩および/もしくは水和物が、約10mgから約60mgの量で存在する、請求項20の医薬組成物。
【請求項22】
HMG−CoA還元酵素阻害剤が、ロスバスタチンまたはその医薬上許容される塩および/もしくは水和物である請求項10の医薬組成物。
【請求項23】
ロスバスタチンまたはその医薬上許容される塩および/もしくは水和物が、約10mgから約40mgの量で存在する、請求項22の医薬組成物。
【請求項24】
HMG−CoA還元酵素阻害剤が、ピタバスタチンまたはその医薬上許容される塩および/もしくは水和物である、請求項7〜9のいずれかの医薬組成物。
【請求項25】
ピタバスタチンまたはその医薬上許容される塩および/もしくは水和物が、約1mgから約80mgの量で存在する、請求項24の医薬組成物。
【請求項26】
S−[2−([[1−(2−エチルブチル)シクロヘキシル]カルボニル]アミノ)フェニル] 2−メチルプロパンチオエートが、約100mgから約300mgの量で存在する、請求項7、8および10〜25のいずれかの医薬組成物。
【請求項27】
(a)S−[2−([[1−(2−エチルブチル)シクロヘキシル]カルボニル]アミノ)フェニル] 2−メチルプロパンチオエートまたは生体内でS−[2−([[1−(2−エチルブチル)シクロヘキシル]カルボニル]アミノ)フェニル]チオールを形成するプロドラッグを含む少なくとも一つの投与量単位、および(b)HMG−CoA還元酵素阻害剤を含む少なくとも1つの他の投与量単位の、別々の投与量単位を含むパッケージ。
【請求項28】
(a)S−[2−([[1−(2−エチルブチル)シクロヘキシル]カルボニル]アミノ)フェニル] 2−メチルプロパンチオエートを含む少なくとも一つの投与量単位、および(b)HMG−CoA還元酵素阻害剤を含む少なくとも一つの他の投与量単位の、請求項27のパッケージ。
【請求項29】
(a)生体内でS−[2−([[1−(2−エチルブチル)シクロヘキシル]カルボニル]アミノ)フェニル]チオールを形成するプロドラッグを含む少なくとも1つの投与量単位、および(b)HMG−CoA還元酵素阻害剤を含む少なくとも一つの他の投与量単位の、請求項27のパッケージ。
【請求項30】
HMG−CoA還元酵素阻害剤が、アトルバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、シンバスタチン、ロバスタチン、ロスバスタチン、ならびにその医薬上許容される塩およびその水和物からなる群より選ばれる、請求項27〜29のいずれかのパッケージ。
【請求項31】
HMG−CoA還元酵素阻害剤が、アトルバスタチンカルシウム、プラバスタチンナトリウム、フルバスタチンナトリウム、シンバスタチン、ロバスタチンまたはロスバスタチンカルシウムである、請求項30のパッケージ。
【請求項32】
HMG−CoA還元酵素阻害剤が、その投与量単位中に約5mgから約80mgの量で存在する、請求項27〜31のいずれかのパッケージ。
【請求項33】
HMG−CoA還元酵素阻害剤が、ピタバスタチンまたはその医薬上許容される塩および/もしくは水和物である、請求項27〜29のいずれかのパッケージ。
【請求項34】
ピタバスタチンが、その投与量単位中に約1mgから約80mgの量で存在する、請求項33のパッケージ。
【請求項35】
S−[2−([[1−(2−エチルブチル)シクロヘキシル]カルボニル]アミノ)フェニル] 2−メチルプロパンチオエートが、その投与量単位中に約100mgから約300mgの量で存在する、請求項27、28および30〜34のいずれかのパッケージ。
【請求項36】
(a)治療上有効量の(i)S−[2−([[1−(2−エチルブチル)シクロヘキシル]カルボニル]アミノ)フェニル] 2−メチルプロパンチオエートまたは生体内でS−[2−([[1−(2−エチルブチル)シクロヘキシル]カルボニル]アミノ)フェニル]チオールを形成するプロドラッグ、および(ii)医薬上許容される担体を含む第一の医薬組成物、(b)(i)少なくとも1つのHMG−CoA還元酵素阻害剤、および(ii)医薬上許容される担体を含む第二の医薬組成物、(c)処方情報、ならびに(d)包装箱を含むキットであって、第一および第二の医薬組成物が同一または異なっていてもよく、かつ処方情報に、S−[2−([[1−(2−エチルブチル)シクロヘキシル]カルボニル]アミノ)フェニル] 2−メチルプロパンチオエートまたは生体内でS−[2−([[1−(2−エチルブチル)シクロヘキシル]カルボニル]アミノ)フェニル]チオールを形成するプロドラッグおよびHMG−CoA還元酵素阻害剤の同時投与についての患者へのアドバイスを含む、キット。
【請求項37】
(a)治療上有効量の(i)S−[2−([[1−(2−エチルブチル)シクロヘキシル]カルボニル]アミノ)フェニル] 2−メチルプロパンチオエートおよび(ii)医薬上許容される担体を含む第一の医薬組成物、(b)(i)少なくとも1つのHMG−CoA還元酵素阻害剤および(ii)医薬上許容される担体を含む第二の医薬組成物、(c)処方情報、ならびに(d)包装箱を含むキットであって、第一および第二の医薬組成物が同一または異なっていてもよく、かつ処方情報に、S−[2−([[1−(2−エチルブチル)シクロヘキシル]カルボニル]アミノ)フェニル] 2−メチルプロパンチオエートおよびHMG−CoA還元酵素阻害剤の投与についての患者へのアドバイスを含む、請求項36のキット。
【請求項38】
(a)治療上有効量の(i)生体内でS−[2−([[1−(2−エチルブチル)シクロヘキシル]カルボニル]アミノ)フェニル]チオールを形成するプロドラッグおよび(ii)医薬上許容される担体を含む第一の医薬組成物、(b)(i)少なくとも1つのHMG−CoA還元酵素阻害剤および(ii)医薬上許容される担体を含む第二の医薬組成物、(c)処方情報、ならびに(d)包装箱を含むキットであって、第一および第二の医薬組成物が同一または異なっていてもよく、かつ処方情報に、生体内でS−[2−([[1−(2−エチルブチル)シクロヘキシル]カルボニル]アミノ)フェニル]チオールを形成するプロドラッグおよびHMG−CoA還元酵素阻害剤の同時投与についての患者へのアドバイスを含む、請求項36のキット。
【請求項39】
第一および第二の医薬組成物が異なる、請求項36〜38のいずれかのキット。
【請求項40】
治療上有効量のS−[2−([[1−(2−エチルブチル)シクロヘキシル]カルボニル]アミノ)フェニル] 2−メチルプロパンチオエートが、約100mgから約300mgである、請求項36、37および39のいずれかのキット。
【請求項41】
第一および第二の医薬組成物が錠剤形態である、請求項36から40のいずれかのキット。
【請求項42】
少なくとも1つの錠剤が約100mgから約300mgのS−[2−([[1−(2−エチルブチル)シクロヘキシル]カルボニル]アミノ)フェニル] 2−メチルプロパンチオエートを含む、請求項41のキット。
【請求項43】
少なくとも1つの錠剤が約1mgから約80mgのHMG−CoA還元酵素阻害剤を含む、請求項41または42のキット。
【請求項44】
少なくとも1つの錠剤が約5mgから約80mgのHMG−CoA還元酵素阻害剤を含む、請求項43のキット。
【請求項45】
(a)S−[2−([[1−(2−エチルブチル)シクロヘキシル]カルボニル]アミノ)フェニル] 2−メチルプロパンチオエートまたは生体内でS−[2−([[1−(2−エチルブチル)シクロヘキシル]カルボニル]アミノ)フェニル]チオールを形成するプロドラッグ、および(b)少なくとも1つのHMG−CoA還元酵素阻害剤を治療上有効量で併用して、患者を治療することを含む、該患者の循環器障害の治療または予防方法。
【請求項46】
(a)S−[2−([[1−(2−エチルブチル)シクロヘキシル]カルボニル]アミノ)フェニル] 2−メチルプロパンチオエートおよび(b)少なくとも1つのHMG−CoA還元酵素阻害剤を治療上有効量で併用して患者を治療することを含む、請求項45の方法。
【請求項47】
(a)生体内でS−[2−([[1−(2−エチルブチル)シクロヘキシル]カルボニル]アミノ)フェニル]チオールを形成するプロドラッグおよび(b)少なくとも1つのHMG−CoA還元酵素阻害剤を治療上有効量で併用して患者を治療することを含む請求項45の方法。
【請求項48】
HMG−CoA還元酵素阻害剤が、アトルバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、シンバスタチン、ロバスタチン、ロスバスタチン、ならびにその医薬上許容される塩およびその水和物からなる群からなる群より選ばれる、請求項45〜47のいずれかの方法。
【請求項49】
HMG−CoA還元酵素阻害剤が、アトルバスタチンカルシウム、プラバスタチンナトリウム、フルバスタチンナトリウム、シンバスタチン、ロバスタチンまたはロスバスタチンカルシウムである、請求項48の方法。
【請求項50】
HMG−CoA還元酵素阻害剤が、1日当たり約5mgから約80mgの量で患者に投与される、請求項45〜49のいずれかの方法。
【請求項51】
HMG−CoA還元酵素阻害剤が、ピタバスタチンまたはその医薬上許容される塩および/もしくは水和物である、請求項45〜47のいずれかの方法。
【請求項52】
HMG−CoA還元酵素阻害剤が、1日当たり約1mgから約80mgの量で患者に投与される、請求項51の方法。
【請求項53】
S−[2−([[1−(2−エチルブチル)シクロヘキシル]カルボニル]アミノ)フェニル] 2−メチルプロパンチオエートが、1日当たり約300mgから約900mgの量で患者に投与される、請求項45、46および48〜52のいずれかの方法。
【請求項54】
循環器障害が、循環器疾患、冠動脈心疾患、冠動脈疾患、高トリグリセリド血症および高コレステロール血症からなる群より選ばれる、請求項46〜53のいずれかの方法。
【請求項55】
循環器障害がアテローム性動脈硬化症である、請求項46〜53のいずれかの方法。
【請求項56】
循環器障害が低アルファリポ蛋白血症または高ベータリポ蛋白血症である、請求項46〜53のいずれかの方法。
【請求項57】
循環器障害が高脂血症である、請求項46〜53のいずれかの方法。
【請求項58】
循環器障害が原発性高コレステロール血症および/または混合異脂肪血症である、請求項46〜53のいずれかの方法。
【請求項59】
コレステリルエステル転送蛋白質(CETP)活性が、治療前のCETP活性と比較して治療後に阻害されている、請求項46〜58のいずれかの方法。
【請求項60】
高比重リポ蛋白質コレステロール(HDL−C)値が、治療前のHDL−C値と比較して治療後に増加している、請求項46〜59のいずれかの方法。
【請求項61】
低比重リポ蛋白質コレステロール(LDL−C)値が、治療前のLDL−C値と比較して治療後に減少している、請求項46〜60のいずれかの方法。
【請求項62】
総コレステロールとHDL−C値との比(TC/HDL−C)が、治療前のTC/HDL−Cと比較して治療後に減少している、請求項46〜61のいずれかの方法。
【請求項63】
LDL−C値とHDL−C値との比(LDL−C/HDL−C)が、治療前のLDL−C/HDL−Cと比較して治療後に減少している、請求項46〜62のいずれかの方法。
【請求項64】
患者のHDL−C値が、治療または予防開始前には約60mg/dL以下である、請求項45〜63のいずれかの方法。
【請求項65】
患者のHDL−C値が、治療または予防開始前には約50mg/dL以下である、請求項64の方法。
【請求項66】
患者のHDL−C値が、治療または予防開始前には約40mg/dL以下である、請求項65の方法。
【請求項67】
患者が、冠動脈心疾患、または以下の少なくとも1つによる定義と同等の冠動脈心疾患リスクの病歴を有するか、あるいは現在診断されている、請求項45〜66のいずれかの方法:
アテローム硬化性疾患;
患者が高コレステロール血症および/または高ベータリポ蛋白血症を示すII型糖尿病;および
約20%以上のフラミンガムの10年冠動脈心疾患リスク。
【請求項68】
患者が以下の少なくとも1つの危険因子を有する、請求項45〜66のいずれかの方法:
喫煙;
血圧が140/90mmHg以上であるか、または患者が高血圧の薬物治療を受けている高血圧症;
早発性冠動脈心疾患の家族歴;および
男性45歳以上または女性55歳以上。
【請求項69】
患者が、約20%以上のフラミンガムの10年冠動脈心疾患リスクを有する、請求項68の方法。
【請求項70】
患者が、約10%から約20%のフラミンガムの10年冠動脈心疾患リスクを有する、請求項68の方法。
【請求項71】
患者が、約10%以下のフラミンガムの10年冠動脈心疾患リスクを有する、請求項68の方法。
【請求項72】
S−[2−([[1−(2−エチルブチル)シクロヘキシル]カルボニル]アミノ)フェニル] 2−メチルプロパンチオエートが食物と共に投与される、請求項45、46および48〜71のいずれかの方法。


【公表番号】特表2006−525360(P2006−525360A)
【公表日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−514221(P2006−514221)
【出願日】平成16年4月30日(2004.4.30)
【国際出願番号】PCT/US2004/013633
【国際公開番号】WO2004/098583
【国際公開日】平成16年11月18日(2004.11.18)
【出願人】(000004569)日本たばこ産業株式会社 (406)
【Fターム(参考)】