説明

TAK1阻害剤を用いた癌の治療方法

本発明は、一つには、リンパ系細胞にTAK1阻害剤を接触させることによりリンパ系腫瘍細胞の増殖を阻害する方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、癌の治療に関する。
【背景技術】
【0002】
リンパ系(B細胞およびT細胞)腫瘍は、ヒト悪性腫瘍の中で非常に高い割合を占めている。B細胞悪性腫瘍の範囲には、B細胞急性リンパ性白血病(B−ALL)、B細胞慢性リンパ性白血病(B−CLL)、B細胞慢性骨髄性白血病(B−CML)、B細胞前リンパ性白血病(B−PLL)、ヘアリー細胞白血病(HCL)、種々のB細胞非ホジキンリンパ腫(B−NHLs)(まん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、濾胞性リンパ腫(FCLまたはFL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、辺縁帯リンパ腫(MZL)、原発性体腔性リンパ腫(PEL)を含む)、及び多発性骨髄腫(MM)が含まれる。これらは異なるものではあるが、関連性を有している。T細胞悪性腫瘍には、T細胞白血病、末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)、T細胞リンパ芽球性リンパ腫(T−CLL)、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)、および成人T細胞リンパ腫(ATCL)が含まれる。B細胞およびT細胞腫瘍などの非ホジキンリンパ腫、慢性リンパ性白血病(CLL)および多発性骨髄腫(MM)の治療は、満足できるものが少なく、疾病の臨床または細胞特性を予後および治療に関連付ける試みは、困難に直面している。
【発明の概要】
【0003】
本発明は、一つには、TGFβ活性化キナーゼ1(TAK1、MAP3K7)阻害剤による癌患者の治療方法に基づいている。また、本発明は、TAK1阻害剤による治療が有効である癌患者を選択する方法を含む。さらに、本発明は、腫瘍細胞中の1種または2種以上の制御不全TAK1シグナル伝達分子の有無を検出する方法を含む。制御不全TAK1シグナル伝達分子の存在は、TAK1阻害剤の投与が有効であることを示す。
【0004】
一つの側面において、本発明は、TAK1阻害剤をB細胞腫瘍細胞に接触させることにより、B細胞腫瘍細胞の増殖を阻害することを含む。B細胞腫瘍としては、非ホジキンリンパ腫、慢性リンパ性白血病、あるいは多発性骨髄腫を挙げることができる。
【0005】
他の側面において、本発明は、TAK1阻害剤を固形腫瘍に接触させることにより、固形腫瘍の成長を阻害することを含む。固形腫瘍としては、頭頚部、乳、卵巣、肺、膵、大腸、前立腺、肝、腎、および皮膚の腫瘍を挙げることができる。
【0006】
他の側面において、本発明は、TAK1阻害剤をT細胞白血病またはT細胞リンパ腫に接触させることにより、T細胞白血病またはT細胞リンパ腫の増殖を抑制することを含む。T細胞白血病としては、T細胞急性リンパ芽球性白血病(T−ALL)、Tリンパ芽球性リンパ腫、T−CLL、CTCL、またはその他のT−NHLを挙げることができる。TAK1阻害剤は、単剤として、または他の抗癌剤あるいは抗癌抗体と組み合わせて投与することができる。
【0007】
他の側面において、本発明は、癌の治療方法を含む。一つの側面において、本発明は、TAK1阻害剤をB細胞腫瘍患者に投与することによる、該癌患者の治療方法を含む。B細胞腫瘍としては、非ホジキンリンパ腫、慢性リンパ性白血病、または多発性骨髄腫を挙げることができる。一つの例において、非ホジキンリンパ腫としては、濾胞性リンパ腫、活性化B細胞(ABC)型びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、濾胞中心B細胞(GCB)型びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、マントル帯リンパ腫(MZL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、またはMALTリンパ腫を挙げることができる。
【0008】
他の実施例において、非ホジキンリンパ腫は、t(14;18)(q32;q21)転座、t(11;18)(q21;q21)転座、t(1;14)(p22;q32)、18番染色体の増幅、染色体18q21の付加、6番染色体の増幅、または比較ゲノムハイブリダイゼーションにより定義されるBCL−10、CARD11、TRAF6、およびTAK1を含む特異領域の増幅を有する。
【0009】
他の側面において、本発明は、TAK1阻害剤を投与することによる、固形腫瘍患者の治療を含む。固形腫瘍としては、頭頚部、乳、卵巣、肺、膵、大腸、前立腺、および皮膚の腫瘍を挙げることができる。
【0010】
他の側面において、本発明は、TAK1阻害剤をT細胞白血病に接触させることによるT細胞白血病患者の治療を含む。T細胞白血病としては、T細胞急性リンパ芽球性白血病(T−ALL)、Tリンパ芽球性リンパ腫、T−CLL、CTCL、およびその他のT−NHLsを挙げることができる。
【0011】
さらに他の側面において、本発明は、TAK1阻害剤を投与することによる、制御不全TAK1シグナル伝達分子を有する患者の治療方法を含む。TAK1シグナル伝達分子としては、MALT1、BCL−10、TAB1、TAB2、TRAF6、TRAF2、TAK1、CARD11、IRAK1、IRAK4、API1、API2、API3、API4[サバイビン(survivin)]、BCL2、またはNFkB標的遺伝子を挙げることができる。TAK1シグナル分子は、それらの突然変異、増幅、または転座型のいずれかのDNA分子であることができる。TAK1シグナル分子は、ナイーブ型、リン酸化またはユビキチン化による修飾型、または突然変異などによる配列の変化を有するタンパク質であることができる。さらに、TAK1シグナル分子は、細胞内局在性により測定することができる。細胞内局在における変化の一例として、IGH−BCL2に融合したびまん性大細胞型B細胞リンパ腫における、遺伝子増幅により増大したBCL10の核局在化が挙げられる[Ye H., et al., Haematologica, 2006;91 (6 Suppl)]。
【0012】
他の態様において、制御不全TAK1シグナル伝達分子は、以下の表1または表2に示す一つあるいは複数の分子であることができる。
【0013】
【表1−1】

【0014】
【表1−2】

【0015】
【表1−3】

【0016】
【表1−4】

【0017】
【表2−1】

【0018】
【表2−2】

【0019】
【表2−3】

【0020】
【表2−4】

【0021】
【表2−5】

【0022】
さらに他の側面において、本発明は、TAK1阻害剤による治療に感受性を有する腫瘍患者を選択する方法を含む。この方法では、患者が、遺伝子変異、すなわち、t(14;18)(q32;q21)転座、t(11;18)(q21;q21)転座、t(1;14)(p22;q32)転座、または18番染色体の増幅の有無を決定することを含み、これらの変異が存在した場合、該腫瘍は、該治療に感受性を有する。
【0023】
あるいは、該方法では、患者が、TAK1シグナル伝達分子制御不全であるか否かを決定することを含み、TAK1シグナル伝達分子制御不全である場合、該患者は、TAK1阻害剤による治療に感受性を有する。
【0024】
ここに記載されたいずれの方法においても、TAK1阻害剤は、単剤として、または他の抗癌剤あるいは抗癌抗体と組み合わせて投与することができる。
他の側面において、本発明は、TAK1阻害剤に対する患者の感受性を予測するためのキットを含む。該キットは、(a)TAK1シグナル伝達分子のリン酸化部位に対する一つあるいは複数の特異抗体、および(b)TAK1シグナル伝達分子に結合した該抗体の検出に適した試薬を含む。
【0025】
さらに他の側面において、本発明は、TAK1阻害剤感受性腫瘍を分類する方法を含む。腫瘍組織中における特定のTAK1シグナル伝達制御不全遺伝子またはタンパク質の相対量を測定することによって、該腫瘍がTAK1阻害剤に反応性であるか否かを決定することができる。本発明は、癌患者に対するTAK1阻害剤投与の適合性を予測するために使用することができる。
【0026】
本発明の一つの側面によれば、TAK1阻害薬剤による治療が有効な腫瘍を有するあるいは有することが疑われる哺乳動物を選択する方法が提供される。本方法は、B細胞腫瘍、固形腫瘍、あるいはT細胞白血病を有する被検体の生体試料を提供し、該生体試料について表1または表2に列挙する遺伝子のいずれか一つの発現、あるいは遺伝子産物を検査し、該検査結果によりTAK1阻害薬剤に対して反応する可能性の増加を予測することを含む。一つの態様において、該方法は、表1または表2に列挙する遺伝子の少なくとも5、10、20、30、40、50、または100個について生体試料を検査することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1は、B細胞リンパ球(BCR)およびT細胞リンパ球(TCR)におけるTAK1シグナル経路の概略図を示す。
【図2】図2は、TAK1をshRNAでノックダウンすることによる、t(14;18)(q32;q21)転座を有するB細胞リンパ腫細胞の生存能力に対する影響を示す棒グラフである。
【図3】図3は、t(14;18)(q32;q21)転座を有するB細胞リンパ腫細胞の生存能力に対するTAK1キナーゼ阻害剤の効果を示す棒グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明は、一つには、ある種のリンパ腫、特に、B細胞腫瘍、固形腫瘍、またはT細胞白血病は、TAK1阻害剤に選択的に反応する、ということの発見に基づいている。
さらに、本発明は、t(14;18)(q32;q21)転座、t(11;18)(q21;q21)転座、t(1;14)(p22;q32)転座、18番染色体の増幅、染色体18q21の付加、(比較ゲノムハイブリダイゼーションにより検出される)特定の領域の増幅、細胞内局在における変化、制御不全TAK1シグナル伝達分子の過剰または過少発現などの特定の変異、MALT1、BCL−10、TAK1、TRAF6、CARD11、IRAK1、TAB1、TAB2、TRAF2、IRAK4、API1、API2、API3、API4(サバイビン)、BCL2、またはNF−kB標的遺伝子、またはAP12を含有する特異領域の欠失などのTAK1経路シグナル分子を含むタンパク質における転写後修飾を保有する腫瘍を同定することを含む。NF−kB標的遺伝子としては、NF−kB転写因子により制御される遺伝子、例えば、文献、Dave S.S., et al., N. Engl. J. Med. 2006; 354(23): 2431-42に記載されている一連のNF−kB標的遺伝子が挙げられる。これらの腫瘍は、TAK1阻害剤の使用による治療に特に感受性であることが確認されている。
【0029】
本発明の上記の特定の変異の確認は、患者がTAK1阻害剤に対する応答者であるか非応答者であるかの決定に使用することができる。応答者であるか非応答者であるかにより、対象となる腫瘍の反応は、国際対がん連合/世界保健機関(the Union International Contre le Cancer/World Health Organization:UICC/WHO)の基準にしたがって以下のように分類される。完全奏効(CR: complete response):評価可能な病巣のすべてにおいて残存腫瘍なし。部分奏効(PR: partial response):測定可能な全病巣の合計値に対し、残留腫瘍が化学療法によって50%以上縮小し、新たな病巣が無い。安定疾患(SD: stable disease):CRと判断されなかった残存腫瘍。進行性疾患(PD: progressive disease):測定可能な全病巣の合計値に対し、残留腫瘍が25%以上増大し、新たな病巣が形成される。ここで、非応答者は、PDと定義される。
【0030】
制御不全TAK1シグナル伝達分子
本発明は、さらに、制御不全TAK1シグナル伝達分子について腫瘍を同定することを含む。制御不全TAK1シグナル伝達分子は、正常細胞と比較して、MALT経路において、直接的または間接的に活性化または不活性化などの修飾を受けている分子であればよい(図1参照)。制御不全TAK1シグナル伝達分子には、制御不全TAK1シグナル伝達分子を有する腫瘍細胞、例えば、TAK1が関与するシグナル経路において過剰発現または過少発現している分子も含まれる。そのようなシグナル経路としては、T細胞およびB細胞上の抗原受容体シグナル、IL−1およびTLRファミリーシグナル、TNFシグナルなどを挙げることができる。
【0031】
TAK1シグナル伝達分子制御不全を有する腫瘍は、TAK1阻害剤による治療に特に感受性を有すると判定される。本発明は、TAK1阻害剤に対する患者の反応性を予測することに使用できる多数の種々のバイオマーカーを含む。本発明のバイオマーカーには、変異の存在はその腫瘍が治療に対して感受性であることを示すような、遺伝子変異が含まれる。TAK1シグナルの制御不全を誘導する遺伝子変異としては、MALT1(およびBCL2)の過剰発現の原因となるt(14;18)(q32;q21)転座、MALT1とAP12との融合タンパク質を導くt(11;18)(q21;q21)転座、BCL−10の過剰発現を導くt(1;14)(p22;q32)転座を挙げることができる。さらに、TAK1シグナルの制御不全を誘導する遺伝子変異としては、MALT1またはBCL2の過剰発現を導く18番染色体の増幅、MALT1、BCL−10、TAK1、TRAF6、TRAF2、TAB1、TAB2、CARD11、IRAK1、IRAK4、API1、API2、API3、API4、NF−kB標的遺伝子などのTAK1シグナル経路の主要な要素を含む、比較ゲノムハイブリダイゼーションにより同定される特定の領域の増幅または欠失を挙げることができる。
【0032】
本発明のバイオマーカーには制御不全TAK1シグナル伝達分子も含まれ、その制御不全TAK1シグナル伝達分子の存在はその患者がTAK1阻害剤での治療に感受性を有することの指標となる。制御不全TAK1シグナル伝達分子としては、リン酸化TAK1、リン酸化IKKβ、リン酸化p65、リン酸化MKK4、リン酸化MKK6、リン酸化p38、リン酸化JNKを含むリン酸化などの翻訳後修飾により修飾された分子を挙げることができる。その他の制御不全TAK1シグナル伝達分子としては、ユビキチン化TRAF6、ユビキチン化IKKγ、ユビキチン化IκBαなど、ユビキチン化により修飾された分子も挙げることができる。その他のTAK1シグナル伝達分子制御不全のマーカーとしては、BCL−10、API4、p65、RelAなどの分子の細胞質から核への転位などの細胞内局在における修飾を挙げることができる。
【0033】
また、制御不全TAK1シグナル分子には、TAK1シグナル経路において過剰あるいは過少発現した分子が含まれる。表1または表2に示されるような一つまたは複数の制御不全TAK1シグナル分子の相対量を測定することによって、すなわち、腫瘍組織における遺伝子発現、タンパク質発現、または活性を測定することによって、腫瘍がTAK1阻害剤に反応性であるかどうかを決定することができる。従って、本発明は、TAK1阻害剤を癌患者に投与することの適合性を予測するために使用することができる。
【0034】
分析
本発明は、TAK1阻害剤に対する患者の反応性を予測するために使用可能な多数のバイオマーカーを提供する。バイオマーカーの有無を検出する方法の一例では、被検体から腫瘍検体を採取し、バイオマーカーの有無を決定することを含む。
【0035】
本発明のバイオマーカーの有無の決定には、任意の検体を使用することができる。一例としては、B細胞腫瘍が疑われる検体について、腫瘍が遺伝子変異を有しているかどうかを決定する。遺伝子変異としては、t(14;18)(q32;q21)転座、t(11;18)(q21;q21)転座、t(1;14)(p22;q32)転座、18番染色体の増幅、または染色体18q21の付加を挙げることができる。これらのマーカーは、その遺伝子発現プロファイルおよびコピー数変化に関する蛍光in situハイブリダイゼーション、比較ゲノムハイブリダイゼーション(CGH)、およびcDNAマイクロアレイにより特徴付けられる。
【0036】
制御不全TAK1シグナル伝達経路分子の検出
試料が遺伝変異を有しているか否かを判定する方法は、本技術分野において公知である。これらの方法としては、以下の文献に記載される方法を挙げることができ、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。腫瘍が18番染色体の増幅を有しているか否かを判定する方法は、Haematologica, 2006; 91(2):184-91に記載されている。t(14;18)転座は、Godon A., et al, Leukemia, 2003; 17(1):255-9またはFarter J.L., et al, 1: Diagn. Mol. Pathol., 2001; 10(4):214-22に記載される、間期蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)により判定することができる。t(14;18)(q32;q21)転座は、Davies et al., Chromosome Res., 2005; 13(3):237-48に記載される方法により判定することができる。AP12−MALT1のmRNAの発現は、Sanchez-Izquierdo D, et al.,Blood 2003 101: 11 4539- 4546およびYe H. et al., Journal of pathology 2005; 205: 293-301に記載される逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)および入れ子式(nested)PCRにより分析することができる。t(11;18)(q21;q21)転座は、AP12−MALT1融合転写のRT−PCRにより検出することができ、t(14;18)(q21;q21)転座は、間期蛍光in situハイブリダイゼーション[FISH;ビシスアボット研究所(Vysis Abott Labs)]により検出することができる。
【0037】
制御不全TAK1シグナル伝達分子を検出するために必要な手技、試薬は本技術分野において公知である。一例において、制御不全TAK1シグナル伝達分子の検出に使用することのできる興味ある薬剤としては、タンパク質に結合することのできるペプチド模倣体、タンパク質、ペプチド、核酸、小分子、抗体、または他の医薬品候補などの分子を挙げることができる。また、一例として、市販の抗体を使用して制御不全TAK1シグナル伝達分子を検出することもできる。例えば、リン酸化TAK1、リン酸化IkB、リン酸化IKK、リン酸化P38は、セル・シグナリングUSA(Cell Signaling USA)社のリン酸化部位特異抗体を使用して測定することができる。あるいは、MALT、BCL−10などの制御不全TAK1シグナル伝達分子は、マウスモノクローナル抗体を使用する免疫染色により検出できる。
【0038】
典型的には、該方法は、被験者の腫瘍検体について制御不全TAK1シグナル伝達経路分子の有無を決定することを含む。例えば、リン酸化TAK1は、タンパク質に存在するリン酸化セリン、スレオニン、またはチロシンアミノ酸に特異的なモノクローナル抗体などの抗体をタンパク質と反応させることにより可視化することができる。例えば、米国特許第4543439号には、リン酸化チロシン含有タンパク質の単離・同定に有用なモノクローナル抗体が開示されている。
【0039】
典型的には、制御不全TAK1シグナル伝達分子を可視化するために使用される抗体は、本技術分野において公知の方法により、例えば、リポーター分子を用いて標識することができる。ここで使用されるリポーター分子とは、タンパク質に対する抗体が該タンパク質に結合した場合に、当業者がその結合を分析的に確認できるシグナルを与える分子である。検出は、定性的であっても、定量的であってもよい。通常使用されるリポーター分子としては、蛍光色素分子、酵素、ビオチン、化学発光分子、生物発光分子、ジゴキシゲニン、アビジン、ストレプトアビジン、およびラジオアイソトープを挙げることができる。通常使用される酵素としては、特に、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリフォスファターゼ、グルコースオキシダーゼ、およびβ−ガラクトシダーゼを挙げることができる。これらの酵素とともに使用される基質としては、対応する酵素による加水分解により検出可能な色変化を伴う生成物を与えるものが一般的に選択される。例えば、p−ニトロフェニルホスフェートは、アルカリフォスファターゼリポーター分子との使用に好適であり、西洋ワサビペルオキシダーゼに対しては、1,2−フェニレンジアミン、5−アミノサリチル酸、またはトルイジンが通常使用される。リポーター分子の抗体への導入は、当業者に公知の方法により行うことができる。
【0040】
タンパク質の分離、可視化の後、各タンパク質種の量を公知の方法により評価すればよい。例えば、ポリアクリルアミドゲル上でタンパク質を電気泳動により分離し、ウェスターンブロット分析により分離されたタンパク質の検出後、各タンパク質の相対量を光学密度の測定により定量することができる。また、FACS、免疫組織化学法、免疫細胞化学法、蛍光顕微鏡検査法、ELISAなどの方法は、ナイーブ型の、翻訳後に修飾されたタンパク質の発現変化の検出、またはタンパク質の細胞内局在性の変化のモニタリングに使用することができる。
【0041】
本発明の方法では、一つまたは複数の制御不全TAK1シグナル伝達経路分子を検出することができる。例えば、複数の制御不全TAK1シグナル伝達経路分子の有無を検出できるアッセイ系を樹立することができる。
【0042】
発現プロファイル
本発明は、腫瘍がTAK1阻害剤治療に対して反応するかどうかの可能性を決定するために、適切な腫瘍検体の発現プロファイルを決定する方法も含む。一例として、本発明は、腫瘍検体における、表1または表2に示す遺伝子の発現量を測定することを含む。遺伝子プロファイルは、コントロール、すなわち、腫瘍にTAK1治療が奏功することを示す発現パターンと比較することにより得られる。表1または表2に列挙した各バイオマーカーの遺伝子配列は、該遺伝子またはそれに関連する他の生物学的分子、例えば、該遺伝子から転写されたRNAまたは該遺伝子にコードされるポリペプチドを特異的に検出できる試薬を使って検出することができる。そのような検出試薬としては、該遺伝子に対応する核酸とハイブリダイズする核酸プローブや抗体を挙げることができる。
【0043】
表1または表2に列挙したバイオマーカーには、それらの対立遺伝子多型やファミリーの他のメンバーを含む、自然発生配列も含まれるものとする。本発明のバイオマーカーには、遺伝コードの縮重により得られる、列挙した配列に相補的な配列、および十分な相同性を有する配列、およびストリンジェントな条件下で表1または表2に列挙した遺伝子にハイブリダイズする配列も含まれる。ハイブリダイゼーションの条件は当業者に公知であり、Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, N.Y. (1989), 6.3.1-6.3.6.にも記載されている。高ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の好ましい非限定例としては、約45℃で6×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)中でのハイブリダイゼーション、次いで50〜60℃で0.2×SSC、0.1%SDS中での1回以上の洗浄が挙げられる。
【0044】
「十分な相同性」とは、第1と第2のアミノ酸またはヌクレオチド配列が共通の構造ドメインまたはモチーフおよび/または共通の機能活性を有するように、第2のアミノ酸またはヌクレオチド配列に対して、十分なあるいは最低数の同一または同等(例えば、同種の側鎖を有するアミノ酸残基)なアミノ酸残基またはヌクレオチドを含有するアミノ酸またはヌクレオチド配列であるバイオマーカーであることを意味する。ここで、例えば、共通の構造ドメインを有するアミノ酸またはヌクレオチド配列は、該ドメインのアミノ酸配列に対して少なくとも50%のホモロジー、好ましくは60%のホモロジー、さらに好ましくは70〜80%、さらにより好ましくは90〜95%のホモロジーを有し、かつ少なくとも一つ、好ましくは2つの構造ドメインまたはモチーフを有する場合、十分に相同性であると定義される。さらに、少なくとも50%、好ましくは60%、さらに好ましくは70〜80%、さらにより好ましくは90〜95%のホモロジーを有し、かつ共通の機能活性を有するアミノ酸またはヌクレオチド配列は、十分に相同性であると定義される。
【0045】
配列の比較および2つの配列の間の相同率の決定は、数学的アルゴリズムを用いて行うことができる。配列の比較に使用される数学的アルゴリズムの好ましい非限定例としては、Karlin and Altschul (1990), Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 87: 2264-68に発表され、Karlin and Altschul (1993), Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90: 5873-77において修正されたアルゴリズムがある。このようなアルゴリズムは、Altschul, et al., (1990), J. Mol. Biol. 215: 403-10のNBLASTおよびXBLASTプログラム(2.0バージョン)に組み込まれている。BLASTヌクレオチド検索は、本発明のTRL核酸分子に相同なヌクレオチド配列を得るためにNBLASTプログラム(スコア=100、ワード長=12)を用いて実施することができる。BLASTタンパク質検索は、表1または表2に列挙した遺伝子にコードされるタンパク質配列に相同なアミノ酸配列を得るためにXBLASTプログラム(スコア=50、ワード長=3)を用いて実施され得る。比較のためのギャップドアラインメント(gapped alignment)を得るために、Altschul, et al., (1997), Nucleic Acids Res. 25: 3389-3402に記載されるようなGapped BLASTを使用することができる。BLASTプログラムおよびGapped BLASTプログラムを使用する場合、それぞれのプログラム(例えば、XBLASTおよびNBLAST)のデフォルトパラメータが使用できる。http://www.ncbi.nlm.nih.gov.を参照。配列比較に使用される数学的アルゴリズムの別の好ましい非限定例として、Myers and Miller, CABIOS (1989)のALIGNアルゴリズムがある。アミノ酸配列比較にALIGNプログラムを使用する場合、PAM120 残基重量表(weight residue table)、ギャップ長さペナルティ12(gap length penalty 12)、ギャップペナルティ4(gap penalty 4)を用いることができる。
【0046】
癌を有する被検体に特異的に発現する核酸配列の決定方法
本発明は、腫瘍細胞のTAK1阻害剤感受性を特徴的に予測する発現プロファイルシグネチャーの作成に使用することができる遺伝子または遺伝子産物の一覧を提供する。腫瘍細胞に対してTSK1阻害剤治療が奏功するか否かは、本技術分野において公知の方法により決定することができる。
【0047】
一態様において、該方法は、哺乳動物のバイオマーカーのmRNAおよび/またはタンパク質量を、例えば、ノーザンブロット法、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)、in situハイブリダイゼーション、免疫沈降、ウェスターンブロットハイブリダイゼーション、または免疫組織化学的方法により測定することを含む。本方法によれば、細胞を被検体から採取し、バイオマーカーのタンパク質またはmRNA量を測定してコントロールと比較する。
【0048】
一態様において、本方法は、核酸プローブを用いて哺乳動物検体がTAK1阻害に敏感であるか否かを決定することを含む。該方法は、
ヌクレオチド配列、例えば、少なくとも10、15、25、または40のヌクレオチド配列を含み、かつ表1または表2に列挙した核酸配列のコード配列の部分に相補的なコード配列の全配列または概ね全配列を有する核酸プローブを用意し、
癌性細胞を有する哺乳類被検体から組織サンプルを採取し、
該サンプルから得られたRNAにストリンジェントな条件下に該核酸プローブを接触させ(例えば、ノーザンブロットまたはin situハイブリダイゼーションアッセイ)、
正常細胞由来のRNAと該プローブとのハイブリダイゼーション量を比較することを含み、該ハイブリダイゼーション量が第1の組織サンプル中の癌性細胞の存在を表示する。
【0049】
他の例において、本発明の方法は、マイクロアレイを用いて下記のステップにより発現プロファイルを決定することを含む。(a)被検体からmRNAサンプルを採取し、該mRNAから標識核酸(「標的核酸」または「標的」)を調製し、(b)該標的核酸が、例えば、ハイブリダイゼーションまたは特異的結合によりアレイ上の該標的核酸に対応するプローブに十分に結合できるような条件下に、該標的核酸をアレイ上のプローブと反応させ、(c)必要に応じて、未結合の標的をアレイから除去し、(d)結合した標的を検出し、(e)結果を、例えば、コンピューターによる分析方法により分析し、哺乳動物がTAK1阻害剤治療に反応性であるか否かを判定する。
【0050】
上述の方法では、哺乳動物の腫瘍検体からmRNAを採取することを含む。RNAは、種々の方法により、例えば、グアニジンチオシアネートを用いて溶解した後、CsCl遠心分離方法(Chirgwin, et al., Biochemistry 18: 5294-5299, 1979)により、組織または細胞検体から抽出することができる。単一細胞のRNAは、単一細胞からcDNAライブラリーを作製する方法により取得することもできる(例えば、Dulac, Curr. Top. Dev. Biol. 36: 245, 1998、Jena, et al., J. Immunol. Methods 190: 199, 1996参照)。
【0051】
RNAサンプルは、特定の種類にさらに濃縮することができる。一態様において、例えば、RNAサンプルからポリ(A)+RNAを単離してもよい。特に、mRNAに対する親和性リガンドとしてポリ−Tオリゴヌクレオチドを固体担体上に固定してもよい。この目的のキットは、例えば、MessageMakerキット(Life Technologies, Grand Island, N.Y.)などが市販されている。
【0052】
一態様において、RNA集団は、表1または表2に表示したように、対象となる配列を濃縮してもよい。濃縮は、例えば、プライマー特異的cDNA合成、あるいはcDNA合成に基づく多数回の直線増幅とテンプレートを使用するin vitro転写によって行うことができる(例えば、Wang, et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86: 9717, 1989、 Dulac, et al., supra; Jena, et al., supra参照)。
【0053】
標的分子は、標的分子がマイクロアレイにハイブリダイズしたことを検出できるように、標識されていてもよい。すなわち、プローブは、シグナル生成系の一要素を含んでいてもよく、それによって、直接またはシグナル生成系の一つあるいは複数の要素の作用を介して検出することができる。直接検出できる標識としては、ヌクレオチドモノマー単位(例えば、プライマーのdNMP)などのプローブの構成部分に、通常、共有結合により組み込まれたアイソトープや蛍光物質成分、またはプローブ分子の官能基に結合できる検出可能な標識の光活性または化学活性を有する誘導体を挙げることができる。
【0054】
他の態様において、標的核酸は、標識されていなくてもよい。この場合、ハイブリダイゼーションは、例えば、プラズモン共鳴を用いて検出してもよい(例えば、Thiel, et al., Anal. Chem. 69: 4948, 1997参照)。
【0055】
本発明において使用されるマイクロアレイは、表1または表2に列挙した遺伝子の少なくとも一つの遺伝子のプローブを有する。
上記の方法では、標識された標的核酸のハイブリダイゼーションパターンがアレイ表面に形成される。得られた標識核酸のハイブリダイゼーションパターンは、標的核酸の特定の標識に基づいて選択される特定の検出方法により、様々な方法で可視化または検出することができる。代表的な検出手段としては、シンチレーション計測、オートラジオグラフィー、蛍光測定、熱量測定、発光測定、光散乱などを挙げることができる。
【0056】
そのような検出法の一つにおいては、市販されているアレイ・スキャナー[アフィメトリクス社製(Affymetrix, Santa Clara, Calif.)]、例えば、417.TM.アレイヤー(Arrayer)、418.TM.アレイ・スキャナー(Array Scanner)、アジレント・ジーンアレイ(Agilent GeneArray).TM.スキャナーを利用する。このスキャナーは、インターフェースおよび簡単に使えるソフトウェアツールを有するシステムコンピューターにより制御される。出力は、直接取り込んでもよく、あるいは種々のソフトウェア・アプリケーションにより直接読み出しても良い。スキャンニング装置については、例えば、米国特許第5143854号および米国特許第5424186号に記載されている。
【0057】
タンパク質
表1または表2に列挙したバイオマーカー遺伝子の少なくとも一つによりコードされるタンパク質産物の存在は、本技術分野で公知の適当な方法により検出することができる。例えば、対象となる特定のタンパク質の検出に使用することができる興味ある試薬としては、抗体などがある。本発明において有用なポリペプチドに特異的に結合するポリクローナルおよび/またはモノクローナル抗体を産生する方法は、当業者において公知であり、例えば、Dymecki, et al., (J. Biol. Chem. 267: 4815, 1992)、Boersma & Van Leeuwen, (J. Neurosci. Methods 51: 317, 1994)、Green, et al., (Cell 28: 477, 1982)、およびArnheiter, et al., (Nature 294: 278, 1981)に記載されている。
【0058】
一態様において、免疫測定法により細胞検体中のタンパク質を定量することができる。本発明は、特定の測定法に限定されるものではなく、従って、均一系および不均一系の両方の方法を含むものである。本発明による免疫測定法の例としては、蛍光偏光免疫測定法(FPIA)、蛍光免疫測定法(FIA)、酵素免疫測定法(EIA)、比濁阻害免疫測定法(NIA)、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)、および放射免疫測定法(RIA)を挙げることができる。
【0059】
他の例において、組織検体中のマーカータンパク質の存在は、免疫組織化学的染色法により決定することができる。このような染色法では、組織のマルチブロックを生検体または他の組織検体から取り出し、プロテアーゼKやペプシンなどの試薬を利用するタンパク質加水分解に供する。ある態様においては、核フラクションを試料細胞から単離して、核フラクション中のマーカーポリペプチドの量を検出することが望ましい。
【0060】
さらに他の態様においては、本発明は、本発明のマーカーポリペプチドに対して作製された抗体パネルの使用を意図する。そのような抗体パネルは、腫瘍がTAK1阻害剤による治療に感受性であるか否かを決定するための信頼のおける診断プローブとして使用することができる。
【0061】
データ解析
検体の分析処理を促進するために、リーダーにより読み取られたデータは、デジタルコンピューターを使用して分析することができる。典型的には、コンピューターは測定機器からのデータを受け取り、保存すると同時に、収集されたデータを分析、報告するようにプログラムされている。例えば、バックグラウンドの差し引き、多色画像の解析、アーチファクトの抑制または除去、コントロール処理の適切性の検証、シグナルの標準化、蛍光データの読み取りとハイブリダイズした標的量の決定、バックグラウンドおよび単一塩基ミスマッチハイブリダイゼーションの標準化などを行う。
【0062】
一つの態様におけるシステムは、例えば、試験腫瘍細胞の発現プロファイルとTAK1阻害剤による治療に反応する腫瘍細胞の発現プロファイルとの間の遺伝子発現の差異に関して、特定のパターンを検索することができる検索機能を有する。システムはまた、2つ以上の検体間の遺伝子発現のパターンを検索することができるものであってもよい。TAK1阻害剤に応答する特徴を示す一つまたは複数の遺伝子の発現量と、基準の発現量、例えば、TAK1阻害剤に感受性である特徴を示す発現量との比較は、コンピューターシステムを使用して行ってもよい。
【0063】
びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBL/DLBCL)のサブタイピングによるTAK1阻害剤に感受性を有する患者の決定
本発明は、DLBCL患者がTAK1阻害剤に感受性か非感受性かを判断するための、DLBCL患者のサブタイピングに使用することができる。具体的には、TAK1遺伝子の発現パターンに基づいて、患者を3つの異なるサブクラスに分類することができる。以下に説明するグループ1と3に入る患者検体は、TAK1感受性であると判断することができ、グループ2に入る患者検体は、TAK1非感受性であると判断される。以下に、DLBCL患者のサブタイピングの方法を説明する。本発明は、DLBCL検体を提供し、該検体がグループ1〜3に入るかどうかを決定することを含む。
【0064】
本発明は、
アフィメトリクス(http://www.affymetrix.com/analysis/index.affx)から入手可能なアノテーションに基づくアフィメトリクス・プローブセットに、表1の遺伝子をマッピングし、
新たにびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)であると診断された176患者の遺伝子発現データを有するアフィメトリクスU133A/B遺伝子チップを準備し、
次の分析用に113検体(表3)と同様に管理して、データの特性を検証し、
グループ1または3に入る検体はTAK1感受性であり、グループ2に入る検体はTAK1非感受性である3つのグループに各検体を分類することを含む。
【0065】
DLBCL患者が、グループ1〜3のどのグループに入るかを試験するために、該方法は、
試験用DBLCL患者検体を調製し、
U133A/Bにより検証されたデータを準備し、
表3の113検体により該試験検体を標準化し、
該試験検体と表2に設定されるシグネチャー遺伝子を決定するための感受性を有する113検体を分類することを含み、ここで、グループ1または3に入る検体はTAK1感受性であり、グループ2に入る検体はTAK1非感受性である。
【0066】
上記方法の実施について以下に詳細に説明する。
1.TAK1経路遺伝子
TAK1経路の遺伝子は、公知情報に基づいて集めることが可能であり、ALK、FAS、MAPキナーゼ、IL−1受容体、TGF−β、TNF受容体、トロンビンおよびプロテアーゼ活性化受容体、Toll様受容体、WNT、および抗原受容体のシグナルに関与する遺伝子が含まれる。これらの遺伝子は、アフィメトリクス(http://www.affymetrix.com/analysis/index.affx)から入手可能なアノテーションに基づくアフィメトリクス・プローブセットに、マッピングすることができる(表1)。
2.遺伝子発現データ
アフィメトリクスU133A/B遺伝子チップを用いて作製した、新たにびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)であると診断された176患者の遺伝子発現データは、ダナ・ファーバー癌研究所(Dana Faber Cancer Institute)のマーガレット・シップのグループにより公表されている(Molecular profiling of diffuse large B-cell lymphoma identifies robust subtypes including one characterized by host inflammatory response, Blood 105(5) 1851-1861)。生データは、http://www.broad.mit.edu/cgi-bin/cancer/datasets.cgiからダウンロードすることができる。この生データを以下のようにさらに処理して、分析した。
3.データの前処理および分析
3.1.QC
データの品質を検証し、遺伝子発現の結果を得るには、DLBCL検体の生データ(.CEL ファイル)をアフィメトリクス発現コンソール1.0(Affymetrix Expression Console 1.0:アフィメトリクス社)に読み込み、MAS5アルゴリズムにより分析する。以下の基準に従って低品質のデータサンプルを除去する。1)倍率:4未満、2)rawQ:5未満、3)アクチンおよびGAPDHの3’/5’比:5未満、4)プレゼントコール(present call)率:チップAについて20超、チップBについて10超。QCの結果、113検体(表3)を次の分析に使用することとした。
3.2.標準化
アレイ標準化:MAS5アルゴリズムのパラメーターを設定し、アレイ上の全プローブセットを用いて各アレイを標準化し、各アレイのトリム平均値を予め100に設定する。
【0067】
プローブセット標準化:MAS5により作製された発現マトリックスをさらに標準化し、各プローブセットの平均値を0に調節する。
3.3.検体クラスタリング
非監視下でのクラスタリング分析として、標準化した発現マトリックスをGeneSpring GX 7.3.1(アジレント社:Agilent Inc.)に読み込む。表2からのプローブセット識別のみを用いて二元配置の階層的クラスタリングを行う。スピアマン相関をクラスタリングの類似性測定に使用した。クラスタリングの結果により、3つのサブタイプ、グループ1、2、および3が明らかとなった。
4.試験DLBCL検体
新規の患者検体をアフィメトリクスU133A/Bチップを用いてプロファイルする。データを上記3.1.で説明した品質管理(QC)と同様の手順により検査した後、113検体(表3)と共にアフィメトリクスU133A/Bチップデータに追加する。新規の検体セット(113検体と新規検体の合計)を上記3.2.および3.3.に概説した方法と同様の方法により分析し、新規の検体をグループ1〜3のいずれかに分類する。試験検体がグループ1または3に含まれる場合には、該患者はTAK1感受性であると判断される。試験検体がグループ2に含まれる場合には、該患者はTAK1非感受性であると判断される。
【0068】
【表3−1】

【0069】
【表3−2】

【0070】
TAK1阻害剤
TAK1阻害剤は本技術分野において公知であり、例えば、TAK1阻害剤としては、ペプチド、抗体、アンチセンス分子、および小分子を挙げることができる。本発明において有用なTAK1阻害剤は以下の文献に記載されており、これらの文献全体は参照により本明細書に組み込まれるが、これらに限定されるものではない。小分子TAK1阻害剤としては、国際公開WO2002/048135に記載されているゼアラレノン(zearalenone)類を挙げることができる。TAK1低分子干渉RNA(siRNA)は、Takaesu et al., J. Mol. Biol., 2003; 326(1): 105-15に記載されており、TAK1の不活性突然変異体は、Thiefes et. al., J. Biol. Chem., 2005; 280(30): 27728-41に記載されている。
【0071】
TAK1阻害剤は、単剤として、またはCHOPやリツキシマブ(rituximab)などの他の抗癌剤あるいは抗癌抗体と組み合わせて投与することができる。
【実施例】
【0072】
実施例1:以下の実施例では、shRNAを含有するTAK1阻害剤によるTAK1に対する細胞成長の阻害を測定した。
TAK1のshRNAおよび組み換え(scrambled)shRNAをRef Seq #:NM_003188を用いて設計し、pSIREN RetroQレトロウイルスベクター(クロンテック:Clontech)を構築した。shRNAの初期確認は、HeLa細胞株に、TAK1 shRNAとNF−kB Lucベクター[クロンテックのマーキュリー・プロファイリング・システム(Mercury profiling system)]とを同時形質移入して行った。Takaesu et al., J. Mol. Biol., 2003; 326(1): 105-15には、HeLa細胞中でNF−kBを活性化させるためにはTAK1が重要であることが記載されている。NF−kB Lucアッセイで約70%の阻害を示し、TAK1タンパク質量を70%まで阻害したshRNA構成物を、リンパ腫細胞の生存維持におけるTAKの役割の評価用に選択した。この構成物および組み換え(scrambled)構成物を、gag/polプラスミドおよびpVSV−Gと共に293T細胞に遺伝子導入した。ウイルスの浮遊物を収集し、培養皿中でリンパ腫細胞の感染に使用した。4つの細胞株(t(14;18)転座を有するOCI−LY19、DOHH2、Karpas231、およびWSU−NHL)を平底24ウェルプレートの各ウェルに25000個の細胞となるように撒き、TAK1 shRNAおよび組み換え(scrambled)shRNAのウイルス浮遊物1mlで処理し、72時間インキュベートした。各試料について3ウェルで処理を行った。インキュベーション後、生存細胞を検出するために、各ウェルに1/10(容量/容量)のアラマーブルー(AlamarBlue)試薬を添加し、さらに4時間インキュベートした。最終濃度が0.1%となるようにSDSを添加して反応を止め、蛍光を545nm(励起)および600nm(発光)で測定した。生存細胞のデータを組み換え(scrambled)shRNA処理群に対する生細胞の割合として表2に示す。
【0073】
実施例2:以下の実施例では、小分子を含有するTAK1阻害剤による細胞成長の阻害を測定した。
TAK1のキナーゼとしての機能がリンパ腫細胞の生存において重要であることを示すために、TAK1の小分子阻害剤をt(14;18)染色体転座を有する上記と同じリンパ腫細胞株セットを用いて検査した。該小分子化合物の化学名は、3−[(アミノカルボニル)アミノ]−5−(4−{[4−(2−メトキシエチル)ピペラジン−1−イル]メチル}フェニル)チオフェン−2−カルボキサミドである。
【0074】
より具体的には、細胞株[t(14;18)転座を有するOCI−LY19、DOHH2、Karpas231、WSU−NHL、およびSUDHL4]を平底96ウェルプレートの各ウェルに10000個の細胞となるように撒き、各試験化合物は0〜30マイクロモル/Lの範囲で10種の濃度で投与した。それぞれ3ウェルで行い、全細胞株を試験化合物と共に72時間インキュベートした。バックグラウンド量は、各試験化合物の投与から2時間以内に、コントロール(非投与)プレートを用いて求めた。投与期間後、増殖程度を調べるために、各ウェルに1/10(容量/容量)のアラマーブルー(AlamarBlue)試薬を添加し、さらに4時間インキュベートした。最終濃度が0.1%となるようにSDSを添加して反応を止め、蛍光を545nm(励起)および600nm(発光)で測定した。パネル全体について各試験化合物のGI50値を求めた。
【0075】
4つの細胞株は、TAK1阻害剤に感受性を有することが確認された。図3を参照。TAK1 shRNAに対する感受性と小分子キナーゼ阻害剤との相関関係は、t(14;18)を有するリンパ腫細胞の生存におけるTAK1キナーゼ活性の役割を決定し、強調するものである。
【0076】
実施例3:以下の実施例では、小分子を含有するTAK1阻害剤による細胞成長の阻害を測定した。
TAK1のキナーゼとしての機能がリンパ腫細胞の生存において重要であることを示すために、TAKキナーゼに対する4つの小分子阻害剤、すなわち、化合物1として2−[(アミノカルボニル)アミノ]−5−[4−(モルホリン−4−イルメチル)フェニル]チオフェン−3−カルボキサミド、化合物2として2−[(アミノカルボニル)アミノ]−5−[4−(1−ピペリジン−1−イルエチル)フェニル]チオフェン−3−カルボキサミド、化合物3として3−[(アミノカルボニル)アミノ]−5−[4−(モルホリン−4−イルメチル)フェニル]チオフェン−2−カルボキサミド、および化合物4として3−[(アミノカルボニル)アミノ]−5−[4−{[(2−メトキシ−2−メチルプロピル)アミノ]メチル}フェニル]チオフェン−2−カルボキサミドを用いて、白血病およびリンパ腫細胞株のパネル[その内5つ(OCI−LY19、DOHH2、Karpas231、WSU−NHL、およびSUDHL4)はt(14;18)転座を有する]を用いて検査した。TAK1阻害剤は、本技術分野において公知である(例えば、WO2003/010158、WO2003/010163、およびWO2004/063186を参照。その内容は参照により本明細書に組み込まれる)。全細胞株は、平底96ウェルプレートの各ウェルに10000個の細胞を撒き、各試験化合物は0〜30マイクロモル/Lの範囲で10種の濃度で投与した。それぞれ3ウェルで行い、全細胞株を試験化合物と共に72時間インキュベートした。バックグラウンド量は、各試験化合物の投与の2時間以内に、コントロール(非投与)プレートを用いて求めた。投与期間後、増殖程度を調べるために、各ウェルに1/10(容量/容量)のアラマーブルー(AlamarBlue)試薬を添加し、さらに4時間インキュベートした。最終濃度が0.1%となるようにSDSを添加して反応を止め、蛍光を545nm(励起)および600nm(発光)で測定した。パネル全体について各試験化合物の成長阻害50(GI50)値を求めた。表4参照。
【0077】
【表4】

【0078】
表4は、ヒト血液性癌細胞株のパネルに対する4つの試験化合物のGI50値(μM)を示す。
TAK1阻害剤化合物は、t(14;18)染色体転座を有する5つの細胞株中の4つにおいて、その平均よりも非常に高い効力を示す。このプロファイルは、他の経路を阻害する化合物と異なるものである(データは示されていない)。
【0079】
表5に、多発性骨髄腫腫瘍細胞株のパネルに対するTAK1キナーゼ阻害剤のGI50値(μM)を示す。この結果は特徴的な骨髄腫細胞群がTAK1阻害剤に感受性を有することを示している。
【0080】
【表5】

【0081】
表5は、ヒト多発性骨髄腫細胞株のパネルに対する化合物4のGI50値(μM)を示す。
表6に、ヒトB細胞リンパ腫細胞株のパネルに対するTAK1キナーゼ阻害剤のGI50値(μM)を示す。表5および6の結果は、上述と同様の実験を行って得た。この結果は特徴的なヒトB細胞腫瘍細胞群がTAK1阻害剤に感受性を有することを示している。
【0082】
【表6】

【0083】
表6は、ヒトB細胞リンパ腫細胞株のパネルに対する化合物4のGI50値(μM)を示す。
本研究に使用されたTAK阻害剤のいくつかは、TAK1に対するのと同様の効能で、FLT3、CHK1、ARK5、オーロラBキナーゼのような他の酵素を阻害することが知られている、大分類としてのチオフェンカルボキサミド尿素類に属する。従って、リンパ腫および骨髄腫細胞株におけるTAK1阻害剤の的外れな効果を除外するために、市販されているTAK1特異的阻害剤である、LL−Z−1640−2、(3S,5Z,8S,9S,11E)−8,9,16−トリヒドロキシ−14−メトキシ−3−メチル−3,4,9,10−テトラヒドロ−1H−2−ベンゾキサシクロテトラデシン−1,7(8H)−ジオン(Iris Biotech, GmbH、WO00248135参照)をさらに使用した。表7は、B細胞リンパ腫細胞株のパネルに対するTAK1キナーゼ阻害剤、LL−Z−1640−2、のGI50値(μM)を示す。
【0084】
【表7】

【0085】
表7は、ヒトB細胞リンパ腫細胞株のパネルに対するその他のTAK1キナーゼ阻害剤のGI50値(μM)を示す。
表8は、多発性骨髄腫の腫瘍細胞株のパネルに対するTAK1キナーゼ阻害剤、LL−Z−1640−2、のGI50値(μM)を示す。実験は上述と同様に行った。チオフェンカルボキサミド尿素と同様に、特徴的なB細胞リンパ腫群および骨髄腫細胞群はTAK1阻害剤に感受性を有するという結果である。
【0086】
【表8】

【0087】
表8は、ヒト多発性骨髄腫細胞株のパネルに対するその他のTAK1キナーゼ阻害剤のGI50値(μM)を示す。
実施例4:DLBCLにおけるTAK1経路のゲノム解析
1.TAK1経路遺伝子
TAK1経路の遺伝子は、公知情報に基づいて集めた。ALK、FAS、MAPキナーゼ、IL−1受容体、TGF−β、TNF受容体、トロンビンおよびプロテアーゼ活性化受容体、Toll様受容体、WNT、および抗原受容体のシグナルに関与する遺伝子が含まれていた。これらの遺伝子を、アフィメトリクス(http://www.affymetrix.com/analysis/index.affx)から入手可能なアノテーションに基づくアフィメトリクス・プローブセットに、マッピングした(表1)。
2.遺伝子発現データ
新たにびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)であると診断された176名の患者の遺伝子発現データは、アフィメトリクスU133A/B遺伝子チップを用いて作製され、ダナ・ファーバー癌研究所(Dana Faber Cancer Institute)のマーガレット・シップのグループから一般に入手可能であった。生データは、http://www.broad.mit.edu/cgi-bin/cancer/datasets.cgiからダウンロードし、以下のようにさらに処理して、分析した。
3.データの前処理および分析
3.1.QC
データの品質を検証し、遺伝子発現の結果を得るために、DLBCL検体の生データ(.CEL ファイル)をアフィメトリクス発現コンソール1.0(Affymetrix Expression Console 1.0:アフィメトリクス社)に読み込み、MAS5アルゴリズムを用いて分析した。低品質のデータサンプルを以下の基準に従って除去した。1)倍率:4未満、2)rawQ:5未満、3)アクチンおよびGAPDHの3’/5’比:5未満、4)プレゼントコール(present call)率:チップA:20超、チップB:10超。QCの結果、113検体(表3)を次の分析に使用した。
3.2.標準化
アレイ標準化:MAS5アルゴリズムのパラメーターを設定し、アレイ上の全プローブセットを用いて各アレイを標準化し、各アレイのトリム平均値を予め100に設定した。
【0088】
プローブセット標準化:MAS5によって作製された発現マトリックスをさらに標準化し、各プローブセットの平均値を0に調節した。
3.3.検体クラスタリング
教師なしクラスタ分析として、標準化した発現マトリックスをGeneSpring GX 7.3.1(アジレント社:Agilent Inc.)に読み込んだ。表2からのプローブセットIDのみを用いて二元配置の階層的クラスタリングを行った。スピアマン相関をクラスタリングの類似性測度に使用した。
【0089】
結果
新たにDLBCLと診断された113検体を、TAK1遺伝子の発現パターンにより、3つの異なるサブクラスに分類した。情報遺伝子(3つの患者サブクラスの間で発現が異なる遺伝子)は、さらにそれらの異なる発現パターンに基づいて7つのグループ(A〜F)に分類した。グループ2に分類された情報遺伝子の多くは、他の2つのグループに比較して下方制御されており、このグループに属する検体の患者群は、TAK1−1標的治療に非感受性であることを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
TAK1阻害剤をB細胞腫瘍細胞に接触させることによる、B細胞腫瘍細胞の増殖を阻害する方法。
【請求項2】
B細胞腫瘍が非ホジキンリンパ腫、ホジキンリンパ腫、慢性リンパ性白血病、または多発性骨髄腫である、請求項1の方法。
【請求項3】
TAK1阻害剤を投与することによる、B細胞腫瘍患者の治療方法。
【請求項4】
B細胞腫瘍が非ホジキンリンパ腫、ホジキンリンパ腫、慢性リンパ性白血病(CLL)、または多発性骨髄腫である、請求項3の方法。
【請求項5】
非ホジキンリンパ腫が、濾胞性リンパ腫、活性化B細胞(ABC)型びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、濾胞中心B細胞(GCB)型びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、マントル帯リンパ腫(MZL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、原発性縦隔B細胞リンパ腫(PMBCL)、またはMALTリンパ腫である、請求項2または4の方法。
【請求項6】
非ホジキンリンパ腫が、t(14;18)(q32;q21)転座、t(11;18)(q21;q21)転座、t(1;14)(p22;q32)転座、18番染色体の増幅、6番染色体の増幅、または比較ゲノムハイブリダイゼーションにより定義されるBCL−10、CARD11、TRAF6、またはTAK1の特定の領域の増幅を有する、請求項5の方法。
【請求項7】
B細胞腫瘍がCLLである、請求項2または4の方法。
【請求項8】
TAK1阻害剤を投与することによる、TAK1シグナル伝達分子制御不全を有する患者の治療方法。
【請求項9】
TAK1シグナル伝達分子が、Malt1、BCL−10、BCL2,TAB1、TAB2、TAK1、TRAF2、TRAF6、TAK1、CARD11、IRAK1、IRAK4、API1、API2、API3、API4、またはNFkB標的遺伝子である、請求項8の方法。
【請求項10】
TAK1阻害剤を腫瘍に接触させることによる、固形腫瘍の成長を阻害する方法。
【請求項11】
固形腫瘍が、頭頚部、乳、卵巣、肺、膵臓、大腸、前立腺、および皮膚の腫瘍からなる群から選択される、請求項10の方法。
【請求項12】
TAK1阻害剤を投与することによる、固形腫瘍患者の治療方法。
【請求項13】
固形腫瘍が、頭頚部、乳、卵巣、肺、膵臓、大腸、前立腺、肝、または皮膚の腫瘍である、請求項10または12の方法。
【請求項14】
TAK1阻害剤による治療に感受性を示す腫瘍患者を選択する方法であって、t(14;18)(q32;q21)転座、t(11;18)(q21;q21)転座、t(1;14)(p22;q32)転座、または18番染色体の増幅である遺伝子変異の有無を決定し、該遺伝子変異が存在した場合、該患者がTAK1阻害剤治療に感受性であると判断することを含む、該患者を選択する方法。
【請求項15】
TAK1阻害剤による治療に感受性を示す腫瘍患者を選択する方法であって、TAK1シグナル伝達分子制御不全患者であるか否かを決定し、該制御不全TAK1シグナル伝達分子が存在した場合、該患者がTAK1阻害剤治療に感受性であると判断することを含む、該患者を選択する方法。
【請求項16】
TAK1阻害剤をT細胞白血病またはT細胞リンパ腫に接触させることによる、T細胞白血病またはT細胞リンパ腫の増殖を阻害する方法。
【請求項17】
T細胞白血病が、末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)、T細胞リンパ芽球性リンパ腫(T−CLL)、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)、および成人T細胞リンパ腫(ATCL)などのT細胞急性リンパ芽球性白血病(T−ALL)、またはT細胞リンパ腫である、請求項16の方法。
【請求項18】
TAK1阻害薬剤による治療のための腫瘍を有する、あるいは該腫瘍を有することが疑われる哺乳動物を選択する方法であって、癌を有する被検体の生体試料を調製し、該生体試料について表1に列挙する遺伝子のいずれか一つの発現、あるいはそれらの遺伝子産物を検査し、それによりTAK1阻害薬剤に対して反応する可能性の大きさを予測することを含む、該方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2009−544583(P2009−544583A)
【公表日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−518953(P2009−518953)
【出願日】平成19年7月10日(2007.7.10)
【国際出願番号】PCT/GB2007/002568
【国際公開番号】WO2008/007072
【国際公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願人】(300022641)アストラゼネカ アクチボラグ (581)
【Fターム(参考)】