説明

TFTアレイ基板の欠陥検出方法、およびTFTアレイ基板の欠陥検出装置

【課題】FTアレイ基板において微小欠陥を検出する。
【解決手段】TFTアレイ基板のピクセル欠陥を検出し分類する方法であり、1ピクセル内の複数の検出信号取得点から検出信号を取得する信号取得工程と、1ピクセルを複数の領域に分割し、分割した各分割処理領域内に存在する検出信号取得点の検出信号を用いて、分割領域を単位としてピクセル内の欠陥判定を行う信号処理工程とを備える。信号取得工程は、ピクセルを複数の分割領域に仮想的に分割し、この各分割領域内において少なくとも1点の検出信号取得点から検出信号を取得する。これによって、1ピクセル内において、少なくとも分割した微小領域を単位にとして検出信号を取得する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶基板、有機EL基板等に用いられるTFTアレイ基板の製造工程や検査工程に関し、特に、TFTアレイの欠陥検出に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶基板や有機EL基板等のTFTアレイが形成された半導体基板に係わる工程では、TFTアレイ検査が行われる。このTFTアレイ基板の検査は、TFTアレイ基板の製造工程の後に単独にTFTアレイ基板検査工程として設けられる他、製造工程内に組み込まれて行われる場合もある。このTFTアレイ基板検査では、TFTアレイ基板に生成されたTFTアレイに、例えば短絡や断線や付着物等の欠陥について、その有無、位置、欠陥種類等を判定し分類することが行われている。
【0003】
TFTアレイは、例えば液晶表示装置や有機EL表示装置の画素電極を選択するスイッチング素子として用いられる。
【0004】
TFTアレイの欠陥検出は、液晶や有機ELの表示状態を観察することによって行うことができるが、表示状態を観察することによってTFTアレイを検査する場合には、例えば液晶パネルでは、TFTアレイ基板と対向電極との間に液晶層を挟んだ液晶表示装置の状態において検査する。また、液晶表示装置に至らない半製品の状態で検査するには、液晶層と対向電極を備えた検査治具をTFTアレイ基板に取り付けることによって行う。
【0005】
TFTアレイの欠陥検出では、TFTアレイに欠陥検出用の駆動信号を入力し、そのときの電圧状態を検出することで欠陥検出を行うことができる。このTFTアレイにおいて、走査線(ゲートライン)や信号線(ソースライン)の断線、走査線(ゲートライン)と信号線(ソースライン)の短絡、画素を駆動するTFTの特性不良による画素欠陥等の欠陥検査は、例えば、対向電極を接地し、ゲートラインの全部あるいは一部に、例えば、−15V〜+15Vの直流電圧を所定間隔で印加し、ソースラインの全部あるいは一部に検査信号を印加することによって行っている。(例えば、特許文献1の従来技術。)
【0006】
TFTアレイの欠陥検出として電子線を用いるものが知られている。電子線を用いたTFTアレイ検査では、検査パターンによって、TFTアレイを駆動しながらピクセル(ITO電極)に対して電子線を照射し、この電子線照射によって放出される二次電子を検出することによって、ピクセル(ITO電極)に印加された電圧波形を二次電子波形に変えて信号をよるイメージ化し、これによってTFTアレイの電気的検査を行っている。
【0007】
例えば、ピクセルの電圧状態を二次電子検出器で検出し、コリレータと呼ばれる乗算器において、二次電子検出器で検出した検出波形にマスク信号を掛け合わせることにより、正常ピクセルと欠陥ピクセルとを判定する。正常ピクセルと欠陥ピクセルは、画像表示上においてコントラストによって区別して表示することができる。ここで、このマスク信号として、例えば正常なピクセルにより得られる理想波形を用いている。
【0008】
液晶や有機ELを用いたフラットパネル表示装置(FPD)の分野において、TVやPC等向けの表示装置では、画像表示速度の高速化、広視野角化が求められ、また、携帯電話やパーム等のモバイル機器向けの表示装置では、微小表示が求められている。このようなFPDに求められる要求を実現するために、パネル表示装置を構成するTFTアレイ基板において、ピクセルのサイズを小さくする高精細化、1ピクセル内に複数の画像電極を配置してする広視野角を実現するIPS(In-Plane Switching)方式(例えば、特許文献2)、ピクセルの形状を長方形に限らず菱形やV字形の非長方形の形状にするなどのピクセル形態、1ピクセルの画像電極を分割することによる分割方式等、様々な形態が提案されている。
【特許文献1】特開平5−307192号公報
【特許文献2】特開平10−260431号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述したように、FPDに求められる要求を実現するために、高精細化、IPS方式、ピクセル形状等の種々のピクセル形態がTFTアレイ基板に適用されるが、このようなTFTアレイ基板の欠陥検査を行う際、従来のTFTアレイ検査方法をそのまま適用しただけでは対応することができないという問題がある。
【0010】
微小欠陥を検出するために、TFTアレイ基板において検出信号を取得する点数を増やすだけでは、ピクセルの微小欠陥を検出することは困難である。例えば、ピクセルに電子線を照射して二次電子を検出する欠陥検査方法において、照射する電子線の点数を単に増やしただけでは、ピクセルの微小欠陥を検出することは困難である。
【0011】
図10は、ピクセルに電子ビームを照射し、二次電子検出によって欠陥ピクセルを判定する例を説明するための図である。図10(a)は、4つのピクセル20a〜20dの各ピクセル領域内に8点の電子ビームを照射し、この電子ビーム照射点30を検出信号取得点として取得される検出信号を用いて、各ピクセル20の欠陥判定を行っている。
【0012】
例えばピクセル20aでは、ピクセル領域内の8点の電子ビーム照射点30から取得される8個の検出信号の内、電子ビーム照射点31から取得される検出信号が“不良”と判定され、その他の電子ビーム照射点30から取得される7個の検出信号が“良”と判定された場合にはS/Nは1/8となり、このピクセルは“欠陥無し”と判定される。また、ピクセル20cについても、8個の電子ビーム照射点30の内の2点について“不良”と判定された場合にはS/Nは2/8となり、このピクセルも“欠陥無し”と判定される。
【0013】
これに対して、ピクセル20dについても、8個の電子ビーム照射点30の内の8点について“不良”と判定された場合にはS/Nは8/8となり、このピクセルは“欠陥有り”と判定される。
【0014】
このような、判定手法において、電子ビーム照射点30の点数を増加させたとしても、ピクセル判定に用いるS/Nは同様であるため、ピクセルの微小欠陥を検出することはできない。
【0015】
そこで、本発明は上記課題を解決して、TFTアレイ基板において微小欠陥を検出することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、検出信号の取得において、検出信号取得点を増やすことによって、TFTアレイに対する検出信号取得点の検出精度を向上させ、欠陥判定を行う信号処理において、ピクセルを仮想的に複数の領域に分割し、この分割した領域を単位として欠陥判定を行うことによって微小欠陥を検出する。
【0017】
本発明は、TFTアレイ基板の欠陥検出方法、TFTアレイ基板の欠陥検出装置、TFTアレイ基板の欠陥情報管理システム、コンピュータに実行させるためのプログラムの複数の態様を含み、各態様は共に検出信号取得と検出信号処理の2つの処理を特徴的に備える。
【0018】
本発明のTFTアレイ基板の欠陥検出方法の態様は、TFTアレイ基板のピクセル欠陥を検出し分類する方法である。この態様は、1ピクセル内の複数の検出信号取得点から検出信号を取得する信号取得工程と、1ピクセルを複数の領域に分割し、分割した各分割処理領域内に存在する検出信号取得点の検出信号を用いて、分割領域を単位としてピクセル内の欠陥判定を行う信号処理工程とを備える。
【0019】
本発明の信号取得工程は、ピクセルを複数の分割領域に仮想的に分割し、この各分割領域内において少なくとも1点の検出信号取得点から検出信号を取得する。これによって、1ピクセル内において、少なくとも分割した微小領域を単位にとして検出信号を取得することができる。
【0020】
また、本発明の信号処理工程は、ピクセルを分割する分割領域の領域情報と検出信号取得点の位置情報に基づいて、分割領域内に存在する検出信号取得点を選択し、選択した検出信号取得点の検出信号と判定用信号との比較によって分割領域毎に欠陥判定を行う。
【0021】
これによって、1ピクセル内において、少なくとも分割した微小領域を単位にとして欠陥判定を行うことができる。
【0022】
なお、本発明の信号取得工程は、検出信号取得点の位置情報に基づいて、励起源から励起プローブをTFTアレイ基板に照射して励起する非接触励起工程と、非接触励起によってTFTアレイ基板から得られる、TFTの駆動状態を表す信号を検出する非接触検出工程とを備える構成とする他に、検出信号取得点の位置情報に基づいて、接触プローブをTFTアレイ基板に直接接触する接触し、この直接接触によってTFTアレイ基板のTFTの駆動状態を表す電位を検出する接触検出工程とを備える構成とすることができる。
【0023】
また、非接触励起工程は、電子線を励起プローブとする電子線励起、又は、フェムト秒レーザあるいは半導体波長可変半導体レーザのレーザ光を励起プローブとするレーザ光励起の何れかの励起工程であり、非接触検出工程は、電子線励起によりTFTアレイ基板から発せられる二次電子を検出する工程、又は、レーザ光励起によりTFTアレイ基板から発せられる光を検出する工程の何れかの検出工程である。
【0024】
本発明のTFTアレイ基板の欠陥検出装置の態様は、TFTアレイ基板のピクセル欠陥を検出し分類する欠陥検出装置である。この態様は、1ピクセル内の複数の検出信号取得点から検出信号を取得する信号取得部と、1ピクセルを複数の領域に分割し、分割した各分割処理領域内に存在する検出信号取得点の検出信号を用いて、分割領域を単位としてピクセル内の欠陥判定を行う信号処理部とを備える。
【0025】
本発明の信号取得部は、ピクセルの領域内に仮想的に設定した分割領域において少なくとも1点の検出信号取得点の位置を設定し、この設定した検出信号取得点の検出信号を取得する。
【0026】
また、本発明の信号処理部は、ピクセルを分割する分割領域の領域情報と検出信号取得点の位置情報に基づいて、分割領域内に存在する検出信号取得点を選択し、選択した検出信号取得点の検出信号の信号強度を判定用信号と比較することによって、分割領域の欠陥判定を行う。
【0027】
また、信号取得部は、検出信号取得点の位置情報に基づいて、励起源から励起プローブをTFTアレイ基板に照射して励起する非接触励起部と、この非接触励起部によってTFTアレイ基板から得られる、TFTの駆動状態を表す信号を検出する非接触検出部とを備える構成、又は、検出信号取得点の位置情報に基づいて、接触プローブをTFTアレイ基板に直接接触し、この直接接触によってTFTアレイ基板のTFTの駆動状態を表す電位を検出する検出部とを備える構成の何れか一方の構成、又は両方の構成を備えることができる。両方の構成の信号取得部を備える場合には、いずれか一方の信号取得部で取得した検出信号を用いて欠陥判定を行う他、両方の信号取得部で取得した検出信号を用いてそれぞれ欠陥判定を行うようにしてもよい。
【0028】
本発明に用いる非接触励起部としては、例えば、電子線を励起プローブとする電子線励起部、フェムト秒レーザあるいは半導体波長可変半導体レーザのレーザ光を励起プローブとするレーザ光励起部の何れか一方の励起部、又は両方の励起部を備えることができる。
【0029】
また、本発明に用いる非接触検出部は、電子線励起によりTFTアレイ基板から発せられる二次電子を検出する二次電子検出部、レーザ光励起によりTFTアレイ基板から発せられる光を検出する光検出部の何れか一方の検出部又は両方の検出部を備えることができ、両検出部を備える場合には選択的に検出部を使用する使用形態とする他、両検出部を用いて複数の検出信号を取得し、これらの検出信号を用いてそれぞれ欠陥判定を行うことができる。
【0030】
また、本発明に用いる接触検出部は、接触マイクロプローブ等を適用することができ、TFTアレイ基板上のピクセルにプローブ先端を接触させることで、その接触位置における電位を直接に測定することができる。
【0031】
また、本発明の欠陥検出装置は、少なくとも一つのピクセルの光学像を取得する撮像手段を備える構成とすることができる。この撮像手段は、例えば顕微CCDカメラを用いることができ、検出信号取得点が存在するピクセル部分の光学像を取得することができる。取得した光学像は、欠陥判定の結果と共に表示手段に表示することができる。
【0032】
本発明のTFTアレイ基板の欠陥情報管理システムの態様は、TFTアレイ基板のピクセルの検査情報を管理する検査情報管理システムである。この態様は、1ピクセルを仮想的に複数の分割領域に分割し、各分割領域内の少なくとも1点の検出信号取得点から検出信号を取得する信号取得部と、分割した各分割処理領域内に存在する検出信号取得点の検出信号を用いて、当該分割領域を単位としてピクセル内の欠陥判定を行う信号処理部とを備える。
【0033】
本発明のシステムは、さらに、信号取得部で得られるピクセルの位置情報と、信号処理部で得られる分割領域を単位とするピクセルのTFT駆動状態に関する情報とを対応付けて管理する情報管理部を備える。
【0034】
このシステムによれば、ピクセルの位置情報と、このピクセルについて分割領域を単位とする微小部分のTFT駆動状態に関する情報とを一括して管理することができ、TFTアレイ基板の評価を行うことができる。
【0035】
また、本発明のTFTアレイ基板の検査検出用プログラムの態様は、TFTアレイ基板のピクセル欠陥検出をコンピュータに実行させるためのプログラムである。このプログラムは、検出信号取得点の位置情報に基づいてピクセル内に仮想的に設定した分割領域内に存在する少なくとも1つの検出信号取得点を抽出する工程と、処理対象の検出信号の中から抽出した検出信号を取得する工程を含む信号取得処理と、ピクセルを複数の領域に分割し、取得した検出信号から、分割した各分割処理領域の位置情報と検出信号取得点の位置情報に基づいて分割領域内に存在する少なくとも1つの検出信号取得点の検出信号を読み出す工程と、読み出した検出信号を欠陥判定用信号と比較し、当該比較結果に基づいて前記分割領域を単位としてピクセル内の欠陥判定を行う工程とを含む信号処理工程の各工程をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、TFTアレイ基板において微小欠陥を検出することができる。
【0037】
また、本発明の態様によれば、検出信号取得点を増やすことによって、TFTアレイに対する検出信号取得点の検出精度を向上させ、検出信号取得点の位置ずれに対してTFTアレイのピクセルから所定個数の検出信号を取得することができる。
【0038】
また、本発明の態様によれば、ピクセルを仮想的に複数の領域に分割し、この分割した領域を単位として欠陥判定を行うことによって、微小欠陥を検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
以下、本発明の実施の形態について、図を参照しながら詳細に説明する。
【0040】
図1は、本発明による欠陥判定が行う信号取得処理と信号処理の概要を説明するための図である。ここで、図1は、TFTアレイ基板上に形成される一つのピクセル20と、このピクセル20を仮想的に分割してなる分割処理領域21と、検出信号取得点30とを概略的に示している。
【0041】
ピクセル20は実線の矩形によって表し、分割処理領域21は破線の矩形で表している。この分割処理領域21は、ピクセル20を物理的に分割するものではなく、信号処理を行う際の処理範囲を定めるための仮想的なものであり、必ずしも固定的なものではなく、変更可能である。また、分割処理領域21の分割数および分割形状についても任意に定めることができる。例えば、図1では、ピクセル20を4分割した分割処理領域21A〜21Dを示しているが、分割処理領域の分割数、およびその形状は、必要に応じて設定することができる。各分割処理領域21は、TFTアレイ基板における座標情報によって定めることができ、ピクセルと共に特定することができる。
【0042】
また、検出信号取得点30は、TFTアレイ基板上において、非接触あるは接触によってその部分のTFTの駆動状態を表す検出信号を取得する点である。
【0043】
例えば、非接触による検出信号の取得では、非接触励起部によって、検出信号取得点を励起し、励起によって得られた検出信号を非接触検出部によって検出する。非接触励起部としては、例えば、電子線を励起プローブとする電子線励起部、フェムト秒レーザあるいは半導体波長可変半導体レーザのレーザ光を励起プローブとするレーザ光励起部の何れか一方の励起部、又は両方の励起部を備えることができる。また、非接触検出部は、電子線励起によりTFTアレイ基板から発せられる二次電子を検出する二次電子検出部、レーザ光励起によりTFTアレイ基板から発せられる光を検出する光検出部の何れか一方の検出部又は両方の検出部を備えることができる。両検出部を備える場合には選択的に検出部を使用する使用形態とする他、両検出部を用いて複数の検出信号を取得し、これらの検出信号を用いてそれぞれ欠陥判定を行うことができる。
【0044】
また、接触検出部として接触マイクロプローブを適用することができる。接触マイクロプローブは、TFTアレイ基板上のピクセルにプローブ先端を接触させることによって、その接触位置における電位を直接に測定することができる。
【0045】
図2のフローチャートを用いて、本発明による欠陥判定の概略について説明する。本発明の欠陥判定は、信号取得処理(S1)と信号処理(S2)を備える。
【0046】
はじめに、信号取得処理について説明する。信号取得処理では、1ピクセル内において、複数の検出信号取得点において検出信号を取得するものであり、ピクセルを仮想的に分割した分割処理領域内において少なくとも1つの検出信号取得点において検出信号を取得する。
【0047】
図1において、例えば、TFTアレイ基板に電子線を照射し、照射位置から得られる二次電子を検出する場合には、検出信号取得点30は電子ビーム照射位置となる。この電子ビーム照射位置は、TFTアレイ基板に対して電子ビームを相対的に移動させながら電子ビームを照射することで定まり、隣接する電子ビーム照射位置の間隔はx方向およびy方向の二次元方向の移動のピッチ幅に依存する。
【0048】
ここでは、1ピクセル内において、x方向に4点、y方向に4点の計16点の電子ビーム照射を行う例を示し、これによって、1ピクセル内で16点に検出信号取得点が得られる。
【0049】
電子ビームの照射は、通常、TFTアレイ基板を載置するステージ上に定めた基準点から電子ビームを走査させながら予め定めたピッチ幅で照射を行う。このとき、ステージとTFTアレイ基板との間で位置合わせを行うことで、TFTアレイ基板の所定位置に電子ビームを照射することができる。
【0050】
しかしながら、ステージとTFTアレイ基板との間で行う位置合わせの精度や、電子ビームを走査する精度等によって、ピクセル上において予め設定した点と実際に電子ビームが照射さえる点との間に位置ずれが生じる場合があり、ピクセル上において予め設定した点からずれた位置に電子ビームが照射されたり、ずれ量が大きい場合にはピクセル外に照射されることになる。
【0051】
本発明では、ピクセル20のx方向に4点、y方向に4点の計16点で電子ビーム照射を行うことで、1ピクセル内に16点の検出信号取得点を定める。これによって、1ピクセルを4分割して得られる分割処理領域21A〜21Dの各領域内には、4点の検出信号取得点が定められることになる。
【0052】
このように、1つの分割処理領域21内に4点の検出信号取得点を定めることによって、仮に電子ビームの照射位置が位置ずれした場合であっても、少なくとも何れかの電子ビームの照射位置は分割処理領域21内となるため、分割処理領域21内において、少なくとも1つの検出信号取得点から検出信号を取得することができ、分割処理領域21内において検出信号を取得できないという事態を避けることができる。
【0053】
なお、このとき、電子ビームのビーム径を設定することで、仮に電子ビームの照射位置が位置ずれした場合であっても、分割処理領域21内に必ず4点の検出信号取得点を得るように設計することができる。
【0054】
上記した信号取得処理によって、ピクセルに仮想的に分割した分割処理領域内において、必ず検出信号取得点を定め、検出信号を取得することができる。
【0055】
次に、信号処理について説明する、信号処理では、1つのピクセルを分割し、各分割処理領域内において、分割処理領域内に存在する検出信号取得点の検出信号を用いて欠陥判定を行う。
【0056】
図1において、検出信号の信号処理において、ピクセル20は4つに分割され、各分割処理領域を単位として欠陥判定の信号処理が行われ、分割処理領域毎に判定結果が得られる。このことは、ピクセル20の欠陥判定において、ピクセル内に存在する欠陥位置をピクセルを単位とする大きな範囲ではなく、分割処理領域を単位とするより小さな微小範囲で欠陥の位置を求めることができることを意味している。また、試験信号や分割処理領域と欠陥種類との関係が既知である場合には、分割処理領域から欠陥種を特定することもできる。
【0057】
上記した信号処理によって、ピクセルに仮想的に分割した分割処理領域内において欠陥判定を行うことができ、微小欠陥検出を行うことができる。
【0058】
以下、本発明のTFTアレイ欠陥検出装置1の一構成例について、図3を用いて説明する。なお、図3では、電子ビームを照射して得られる二次電子を検出することで欠陥判定を行う例について説明する。
【0059】
図3において、TFTアレイ欠陥検出装置1は、TFT基板10にアレイ検査用の検査信号を生成してTFTアレイを駆動するTFTアレイ駆動部8と、TFTアレイ駆動部8の検査用の駆動信号をTFT基板10のTFTアレイに印加するプローバ9と、TFTアレイ電圧印加状態を検出する機構(電子線源3,二次電子検出器4)と、検出信号に基づいてTFTアレイの欠陥を検出するための信号処理を行う信号処理部11と、信号処理部11で検出した欠陥判定結果を表示する表示部12を備える。
【0060】
プローバ9は、プローブピンが設けられたプローバフレームを備え、TFT基板10上に載置する等によってプローブピンをTFT基板10上に形成した電極に接触させ、TFTアレイに検査信号を印加する。
【0061】
TFT基板の電圧印加状態を検出する機構は種々の構成とすることができる。電子ビームによる検出構成では、TFT基板10上に電子ビームを照射する電子線源3、照射された電子ビームによってTFT基板10のTFTアレイの各ITO電極から放出される二次電子を検出する二次電子検出器4、二次電子検出器4の検出信号を信号処理してTFT基板10の各TFTアレイの電位状態を検出する信号処理部11等を備える。
【0062】
電子ビームが照射されたTFTアレイのITO電極は、印加された検査信号の電圧に応じた二次電子を放出するため、この二次電子を検出することによって、TFTアレイの電位状態を検出することができる。信号処理部11は、取得したTFTアレイの電位状態に基づいて、正常状態における電位状態と比較することによってTFTアレイの欠陥を検出する。
【0063】
TFTアレイ駆動部8は、TFT基板10上に形成されるTFTアレイを駆動する検査信号の検査パターンを生成する。この検査パターンとしては、例えば、横方向隣接欠陥のための検査パターンや縦方向隣接欠陥のための検査パターンを用いることができる。
【0064】
走査制御部6は、TFT基板10上のTFTアレイの検査位置を走査するために、ステージ7や電子線源3を制御する。ステージ7は、載置するTFT基板10をXY方向に移動し、また、電子線源3はTFT基板10に照射する電子ビームをXY方向に振ることで、電子線の照射位置を走査する。
【0065】
上記説明は、電子ビームを励起プローブとして用いて欠陥判定を行う例を示しているが、レーザ光を励起プローブとして用いて欠陥判定を行うなどの非接触によって行う他、接触マイクロプローブを用いて接触によって行うこともできる。
【0066】
非接触によって行う構成では、上記した電子線を励起プローブとする電子線励起部の他に、フェムト秒レーザあるいは半導体波長可変半導体レーザのレーザ光を励起プローブとするレーザ光励起部を設ける構成としてもよい。
【0067】
また、この非接触励起部に対する非接触検出部は、電子線励起によりTFTアレイ基板から発せられる二次電子を検出する二次電子検出部の他に、レーザ光励起によりTFTアレイ基板から発せられる光を検出する光検出部を用いることができる。
【0068】
この電子線励起部と二次電子検出による検出部とを備える構成と、レーザ光励起部と光検出部とを備える構成は、何れか一方の構成、又は両方の構成とすることができ、両構成を備える場合には選択的に使用する使用形態とする他、両構成を用いて複数の検出信号を取得し、これらの検出信号を用いてそれぞれ欠陥判定を行うことができる。
【0069】
また、接触検出部として接触マイクロプローブを適用することができる。接触マイクロプローブは、TFTアレイ基板上のピクセルにプローブ先端を接触させることによって、その接触位置における電位を直接に測定する。
【0070】
次に、信号処理部の構成例および動作例について、図4の構成図、図5のフローチャート、および図のデータ構成図を用いて説明する。
【0071】
図4は信号処理部の一構成例を示している。図4において、信号処理部11は、種々の情報を記憶する記憶手段(検出信号記憶手段11a,ピクセル位置座標記憶手段11b,判定結果記憶手段11c,光学画像記憶部11d)と、記憶手段に格納されるデータを読み出す読み出し手段11e,11f、ピクセル・分割領域読み出し手段11gと、欠陥判定手段11hと、各手段を制御する制御手段11iを備える。
【0072】
検出信号記憶手段11aは、信号取得部2で検出した検出信号、およびこの検出信号の検出信号取得点の位置情報を入力して格納する。検出信号取得点の位置情報は、ステージ7や電子線源3を制御して電子ビームの照射位置を制御する走査制御部6から取得することができる。図6(a)は検出信号記憶手段11aが格納するデータ例を示している。
【0073】
ピクセル位置座標記憶手段11bは、ピクセルの位置座標、およびこのピクセルを分割して成る分割処理領域の位置座標を格納する。ピクセルや分割処理領域の位置座標は、この領域を特定する領域範囲を定める。図6(b)は、ピクセルを4分割する場合について、第1分割処理領域〜第4分割処理領域とその位置情報を示している。これらの分割処理領域の位置情報は、例えば、領域の各位置の座標で定めることができる。このピクセル位置座標記憶手段11bによれば、ピクセルあるいはピクセルの分割処理領域を特定することによって、位置を特定する座標を読み出すことができる。
【0074】
判定結果記憶手段11cは、欠陥判定手段で判定した欠陥判定結果を記憶する。図6(c)は、ピクセルを4分割する各分割処理領域についての欠陥判定の判定結果を記憶する。この判定結果記憶手段11cには、各分割処理領域に欠陥があるか否かの欠陥の有無の他、欠陥種類についても格納することができ、また、欠陥判定に用いた検出信号についても記憶することができる。また、検出信号そのものではなく、検出信号記憶手段11aに格納する検出信号とリンクする情報を記憶させてもよい。
【0075】
また、光学画像記憶部11dは、例えば、図6(d)に示すように、顕微CCDカメラ等の撮像手段5で撮像した光学画像データをその位置情報と共に格納する。
【0076】
読み出し手段11eは、ピクセルあるいはピクセルの分割処理領域の位置情報に対応する検出信号を検出信号記憶手段11aから読み出して、欠陥判定手段11hに送る。ここで、ピクセルを分割する分割処理領域の位置情報を取得するために、ピクセル分割領域読み出し手段11gによって、ピクセル位置座標記憶手段11bからピクセルに設定され分割処理領域の位置情報を読み出す。読み出した手段11eは、ピクセル分割領域読み出し手段11gから読み出した分割処理領域の位置情報を用いて、検出信号記憶手段11aに格納されている検出信号を読み出す。
【0077】
欠陥判定手段11hは、読み出し手段11hによって検出信号記憶手段11aから読み出した検出信号を用いて、分割処理領域を単位として欠陥判定を行う。欠陥判定に処理は、例えば、読み出した検出信号と予め用意しておいた判定用信号とを比較することによって行う。判定用信号は、欠陥が無い場合に得られる検出信号、欠陥種毎に得られる検出信号に基づいて形成することができる。欠陥判定は、例えば、検出信号と相関がある判定用信号を抽出することで行うことができる。
【0078】
欠陥判定手段11hで得られた判定結果は、判定結果記憶手段11cに記憶する。判定結果記憶手段11cに記憶された判定結果は読み出し手段11fによって表示手段12に表示することができる。
【0079】
読み出し部11fは、判定結果と関連するピクセルに対応する画像データを光学画像記憶手段11dから読み出すことができる。この画像データの読み出しは、ピクセル対応する位置情報をピクセル位置座標記憶手段11bから取得し、取得した位置情報に基づいて光学画像記憶手段11dから画像データを読み出し、読み出した画像データと判定結果とを合わせて表示手段12に表示する。
【0080】
図5に示すフローチャートにおいて、検査対象の基板から取得信号部2によって検出信号を取得しておく(S11)。欠陥判定を行うピクセルを選択し(S12)、選択したピクセルにおいて、当該ピクセルを分割する分割処理領域の中から選択する(S13)。
【0081】
選択した分割処理領域について、この分割処理領域内に存在する検出信号取得点を抽出し、この検出信号取得点の検出信号を読み出す。分割処理領域内に存在する検出信号取得点を抽出は、ピクセル分割領域読み出し手段11gによってピクセル位置座標記憶手段11bから位置情報を読み出し、読み出し手段11eによってこの位置情報に基づいて検出信号記憶手段11aから読み出すことで行うことができる(S14)。
【0082】
欠陥判定手段11hは、読み出した検出信号に基づいて分割処理領域内における欠陥判定を行う(S15)。
【0083】
欠陥判定において欠陥ありと判定した場合には分割処理領域を欠陥領域とし(S17)、欠陥判定において欠陥無しと判定した場合には分割処理領域を正常領域として(S18)、判定結果記憶手段11cに記憶する。この判定結果記憶手段11cには、画像座標、分割処理領域、TFT駆動状態情報等を記憶する(S19)。
【0084】
ピクセルが備える分割処理領域についてS13〜S19を繰り返すことによって、ピクセル内の各分割処理領域についての欠陥判定を行い(S20)、さらに、TFTアレイ基板が備えるピクセルについてS12〜S20を繰り返すことによって、TFTアレイ基板内の各ピクセルについての欠陥判定を行う(S21)。
【0085】
図7は、ピクセル内の分割処理領域における欠陥判定を説明する図である。図7(a)は、ピクセルおよび分割処理領域と検出信号取得点との関係を示し、図7(b)は、欠陥判定結果をピクセルおよび分割処理領域に合わせて示している。
【0086】
図7(a)は、4個のピクセル20a〜20dについて示している。各ピクセル20a〜20d(図中の実線で示す矩形で表される領域)は、4つの分割処理領域21A〜21D(図中の破線で示す矩形で表される領域)に仮想的に分割され、各分割処理領域21A〜21Dにおいて4点の検出信号取得点で検出信号を取得する。
【0087】
なお、説明上から、図7(a)に示す例では、ピクセル20a〜20dの内で、ピクセル20a,20c,および20dに、それぞれA,B,Cで示す位置に欠陥が含まれているものとする。
【0088】
例えば、ピクセル20aの欠陥判定において、分割処理領域21A〜21Dの欠陥判定において、分割処理領域21C中の4点の検出信号取得点の内の2点(図中の地模様で示す検出信号取得点)で検出される検出信号に欠陥(図中のAで示す)が含まれ、その他の分割処理領域21A、21B,21Dのいずれの分割処理領域中の検出信号取得点で検出される検出信号に欠陥が含まれていないものとする。
【0089】
図8は、図7中のピクセル20a中のAで示す欠陥例を示す図である。なお、ここでは、共通電極22と画素電極23を有するIPS方式のTFTアレイ基板について示している。図8において、ピクセル20aにおいて、4分割する分割処理領域21A〜21Dの内で、共通電極22の分割処理領域21Cに対応する位置(図8中のAの位置)に欠陥があるものとする。この場合には、図7(a),(b)で示すように、ピクセル20aの分割処理領域21Cのみで“欠陥有り”と判定し、その他の分割処理領域21A、21B,21Dでは“欠陥無し”と判定する。これにより、図7(b)において、ピクセル20aを4分割する各領域において、分割処理領域21Cに欠陥表示を行う。
【0090】
また、ピクセル20cの欠陥判定において、分割処理領域21A〜21Dの欠陥判定において、分割処理領域21D中の4点の検出信号取得点の内の2点(図中の地模様で示す検出信号取得点)で検出される検出信号に欠陥(図中のBで示す)が含まれ、その他の分割処理領域21A、21B,21Cのいずれの分割処理領域中の検出信号取得点で検出される検出信号に欠陥が含まれていないものとする。
【0091】
図9は、図7中のピクセル20c中のBで示す欠陥例を示す図である。図9において、ピクセル20cにおいて、4分割する分割処理領域21A〜21Dの内で、画素電極23の分割処理領域21Dに対応する位置(図9中のBの位置)に欠陥があるものとする。この場合には、図7(a),(b)で示すように、ピクセル20cの分割処理領域21Dのみで“欠陥有り”と判定し、その他の分割処理領域21A、21B,21Cでは“欠陥無し”と判定する。これにより、図7(b)において、ピクセル20cを4分割する各領域において、分割処理領域21Dに欠陥表示を行う。
【0092】
また、ピクセル20dの欠陥判定において、分割処理領域21A〜21Dの欠陥判定において、全分割処理領域21A〜21D中の4点の検出信号取得点で検出される検出信号に欠陥(図中のCで示す)が含まれるものとする。分割処理領域の全検出信号取得点で欠陥と判定される例としては、例えばピクセルに含まれるTFTに欠陥が含まれる場合がある。
【0093】
このような場合には、図7(a),(b)で示すように、ピクセル20dの全分割処理領域21A〜21Dで“欠陥有り”と判定する。これにより、図7(b)において、ピクセル20dの4分割する各分割処理領域21A〜21Dに欠陥表示を行う。
【0094】
本発明によれば、ピクセル中の微小欠陥位置を分割処理領域を単位として欠陥判定を行うことができる。
【0095】
また、本発明によれば、例えば欠陥箇所が画素電極であるか共通電極であるか、あるいは欠陥箇所が電極であるかTFTあるかといった、欠陥の発生箇所や欠陥種について区分して評価することができる。
【0096】
また、欠陥種については、TFTアレイ基板に印加する検査信号によっても判定することができ、本発明によれば、この検査信号と検出信号取得点との関係からも欠陥種と欠陥発生位置とを判定することができる。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本発明は、液晶製造装置におけるTFTアレイ検査工程の他、有機ELや種々の半導体基板が備えるTFTアレイの欠陥検査に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】本発明による欠陥判定の概略を説明するための図である。
【図2】本発明による欠陥判定の概略を説明するためのフローチャートである。
【図3】本発明のTFTアレイ欠陥検出装置の一構成例を説明するための図である。
【図4】本発明の信号処理部の構成例を説明するための構成図である。
【図5】本発明の信号処理部の動作例を説明するためのフローチャートである。
【図6】本発明の信号処理部の動作例を説明するためのデータ構成図である。
【図7】本発明のピクセル内の分割処理領域における欠陥判定を説明する図である。
【図8】ピクセルの欠陥例を示す図である。
【図9】ピクセルの欠陥例を示す図である。
【図10】ピクセルに電子ビームを照射し、二次電子検出によって欠陥ピクセルを判定する例を説明するための図である。
【符号の説明】
【0099】
1…欠陥検出装置、2…信号取得部、3…電子線源、4…二次電子検出器、5…撮像装置、6…走査制御部、7…ステージ、8…TFTアレイ駆動部、9…プローバ、10…TFTアレイ基板、11…信号処理部、12…表示部、20,20a〜20d…ピクセル、21,21A〜21D…分割処理領域、22…共通電極、23…画素電極、30…検出信号取得点、31…電子ビーム照射点。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
TFTアレイ基板のピクセル欠陥を検出し分類する方法であって、
1ピクセル内の複数の検出信号取得点から検出信号を取得する信号取得工程と、
前記1ピクセルを複数の領域に分割し、分割した各分割処理領域内に存在する検出信号取得点の検出信号を用いて、当該分割領域を単位としてピクセル内の欠陥判定を行う信号処理工程とを備えることを特徴とする、TFTアレイ基板の欠陥検出方法。
【請求項2】
前記信号取得工程は、ピクセルを複数の分割領域に仮想的に分割し、当該各分割領域内において少なくとも1点の検出信号取得点から検出信号を取得することを特徴とする、請求項1に記載のTFTアレイ基板の欠陥検出方法。
【請求項3】
前記信号処理工程は、
ピクセルを分割する分割領域の領域情報と検出信号取得点の位置情報に基づいて、分割領域内に存在する検出信号取得点を選択し、当該選択した検出信号取得点の検出信号と判定用信号との比較によって当該分割領域の欠陥判定を行うことを特徴とする、請求項1又は2に記載のTFTアレイ基板の欠陥検出方法。
【請求項4】
前記信号取得工程は、
前記検出信号取得点の位置情報に基づいて、励起源から励起プローブをTFTアレイ基板に照射して励起する非接触励起工程と、
この非接触励起によってTFTアレイ基板から得られる、TFTの駆動状態を表す信号を検出する非接触検出工程とを備える信号取得工程、
又は、前記検出信号取得点の位置情報に基づいて、接触プローブをTFTアレイ基板に直接接触し、この直接接触によってTFTアレイ基板のTFTの駆動状態を表す電位を検出する接触検出工程とを備える信号取得工程、
の何れかであることを特徴とする、請求項2に記載のTFTアレイ基板の欠陥検出方法。
【請求項5】
前記非接触励起工程は、電子線を励起プローブとする電子線励起、又は、フェムト秒レーザあるいは半導体波長可変半導体レーザのレーザ光を励起プローブとするレーザ光励起の何れかであり、
前記非接触検出工程は、電子線励起によりTFTアレイ基板から発せられる二次電子を検出する工程、又は、レーザ光励起によりTFTアレイ基板から発せられる光を検出する工程の何れかであることを特徴とする、請求項4に記載のTFTアレイ基板の欠陥検出方法。
【請求項6】
TFTアレイ基板のピクセル欠陥を検出し分類する欠陥検出装置であって、
1ピクセル内の複数の検出信号取得点から検出信号を取得する信号取得部と、
前記1ピクセルを複数の領域に分割し、分割した各分割処理領域内に存在する検出信号取得点の検出信号を用いて、当該分割領域を単位としてピクセル内の欠陥判定を行う信号処理部とを備えることを特徴とする、TFTアレイ基板の欠陥検出装置。
【請求項7】
前記信号取得部は、ピクセルの領域内に仮想的に設定した分割領域において少なくとも1点の検出信号取得点の位置を設定し、当該設定した検出信号取得点の検出信号を取得することを特徴とする、請求項6に記載のTFTアレイ基板の欠陥検出装置。
【請求項8】
前記信号処理部は、
ピクセルを分割する分割領域の領域情報と検出信号取得点の位置情報に基づいて、分割領域内に存在する検出信号取得点を選択し、当該選択した検出信号取得点の検出信号と判定用信号との比較によって当該分割領域の欠陥判定を行うことを特徴とする、請求項6又は7に記載のTFTアレイ基板の欠陥検出装置。
【請求項9】
前記信号取得部は、
前記検出信号取得点の位置情報に基づいて、励起源から励起プローブをTFTアレイ基板に照射して励起する非接触励起部と、
この非接触励起によってTFTアレイ基板から得られる、TFTの駆動状態を表す信号を検出する非接触検出部とを備える構成、
又は、前記検出信号取得点の位置情報に基づいて、接触プローブをTFTアレイ基板に直接接触し、この直接接触によってTFTアレイ基板のTFTの駆動状態を表す電位を検出する接触検出部とを備える構成、
の何れか一方の構成又は両方の構成を備えることを特徴とする、請求項7に記載のTFTアレイ基板の欠陥検出装置。
【請求項10】
前記非接触励起部は、電子線を励起プローブとする電子線励起部、フェムト秒レーザあるいは半導体波長可変半導体レーザのレーザ光を励起プローブとするレーザ光励起部の何れか一方の励起部又は両方の励起分割を備え、
前記非接触検出部は、電子線励起によりTFTアレイ基板から発せられる二次電子を検出する二次電子検出部、レーザ光励起によりTFTアレイ基板から発せられる光を検出する光検出部の何れか一方の検出部又は両方の検出部を備えることを特徴とする、請求項9に記載のTFTアレイ基板の欠陥検出装置。
【請求項11】
前記少なくとも一つのピクセルの光学像を取得する撮像手段を備えることを特徴とする、請求項6から10の何れか1つに記載のTFTアレイ基板の欠陥検出装置。
【請求項12】
TFTアレイ基板のピクセルの検査情報を管理する検査情報管理システムであって、
1ピクセルを仮想的に複数の分割領域に分割し、各分割領域内の少なくとも1点の検出信号取得点から検出信号を取得する信号取得部と、
前記分割した各分割処理領域内に存在する検出信号取得点の検出信号を用いて、当該分割領域を単位としてピクセル内の欠陥判定を行う信号処理部とを備え、
前記信号取得部で得られるピクセルの位置情報と、前記信号処理部で得られる分割領域を単位とするピクセルのTFT駆動状態に関する情報とを対応付けて管理する情報管理部を備えることを特徴とする、TFTアレイ基板の検査情報管理システム。
【請求項13】
TFTアレイ基板のピクセル欠陥検出をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
検出信号取得点の位置情報に基づいてピクセル内に仮想的に設定した分割領域内に存在する少なくとも1つの検出信号取得点を抽出する工程と、処理対象の検出信号の中から抽出した検出信号を取得する工程を含む信号取得処理と、
前記ピクセルを複数の領域に分割し、前記取得した検出信号から、分割した各分割処理領域の位置情報と検出信号取得点の位置情報に基づいて前記分割領域内に存在する少なくとも1つの検出信号取得点の検出信号を読み出す工程と、当該読み出した検出信号を欠陥判定用信号と比較し、当該比較結果に基づいて前記分割領域を単位としてピクセル内の欠陥判定を行う工程とを含む信号処理工程とを備え、
各工程をコンピュータに実行させることを特徴とする、TFTアレイ基板の欠陥検出をコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【図7】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−334262(P2007−334262A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−169343(P2006−169343)
【出願日】平成18年6月19日(2006.6.19)
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)
【Fターム(参考)】