説明

UV硬化樹脂製の微小針母型の製造方法

【課題】生体分解性樹脂を用いて、微小針の先端部に欠損のない、品質の安定したマイクロアレイを大量に製造するために必要な、微小針母型を精度良く作製すること。
【解決手段】所望の微小針に対応する貫通孔を有するSi平板にUV硬化樹脂を充填しUV照射後、整形してパイレックスガラス基板上の固定する。そして、Si平板を溶解除去して精度の良好なUV硬化樹脂製の微小針母型を作製する方法である。更には、得られた母型の耐久性を改善するために、金属メッキ等で被覆し、UV硬化樹脂製の微小針母型の耐空性を強化した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微小針を作製する際に使用されるUV硬化樹脂製の微小針母型の製造方法に関するものである。特に金属メッキで表面被覆された耐久性のあるUV硬化樹脂製の微小針母型の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
薬剤を経皮的に投与する方法として、各種の液剤・軟膏剤の塗布、貼付剤型の経皮投与製剤が開発されているが、上記角質層のバリヤー作用のため、あまり薬効成分の吸収が改善されていない状況にある。そこで、薬剤の皮膚透過性を上げるための方法の一つとして、特許文献1に示されるように、微小針を使用し、角質層を局所的に破壊して薬剤を真皮層に強制的に投与すると言うことが試みられてきた。
この目的で使用される微小針は、真皮層に微小針が到達すればよいことから、その針の長さは30μm以上であることが望ましく、その針を支持するために必要な基盤があればよいとされている。そして、この微小針は、神経の末端が存在する真皮層に到達しないので痛くない。それ故、小児などに恐怖感を与えることなく薬剤の投与ができると言う長所が存在する。
【0003】
これまで微小針の製造方法に関して、色々な方法が報告されている。例えば特許文献2では、ホトレジスト材料のポリメタアクリル酸メチル(PMMA)を用いてX線を照射し、微小針の母型を作製し、これに金属メッキを施して母型を外し、金属鋳型を作製している。この金属鋳雌型に加熱されたポリマー材料を押圧して、鋳型を外して目的とする樹脂性微小針を作製している。
しかし、このような非貫通孔を有する鋳型を使った微小針の製造方法では、鋳型から微小針を取り出す際に、摩擦応力が懸かって、微小針の先端部が欠けやすいと考えられている。そのため、品質のよい、先端部の欠損がないマイクロアレイを得ることは困難と考えられていた。
【0004】
そこで、特許文献3では、ソフトリソグラフィ法による微小針の製造方法が開示されている。まず、鋳型として可撓性のある材質のPDMS(ポリジメチルシロキサン)を使用し、鋳型に光硬化樹脂を充填しUV照射を行って硬化させ、UV硬化樹脂製の微小針を作製している。
更に、非特許文献1では、同様に鋳型としてPDMSを使用し、微小針の材質としてポリ乳酸等を用いている。
ところが、このPDMS製の鋳型は強度的に弱く、何回も繰り返し使用することが難しい。従って、微小針を大量に製造するためには、それに対応できるだけの量のPDMS製鋳型が必要になる。このPDMS製鋳型を充分量作るためには、その母型として作り易く、かつ耐久力に優れた微小針母型を作る必要が生まれてきた。
【0005】
【特許文献1】特開2006‐149818
【特許文献2】特表2003‐501163
【特許文献3】特表2004‐526581
【非特許文献1】J.Controlled Release, 104, 51‐66(2005)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、微小針のPDMS製鋳型を作製するためのUV硬化樹脂製の微小針母型を製造することを目的とする。更に詳しくは母型の耐久強度を向上させ、また作りやすくしたニッケルや銅でメッキされたUV硬化樹脂製の微小針母型の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を達成すべく鋭意検討を行った結果、貫通孔を有するSi平板を利用し、微小針母型の材質にUV硬化剤を用いて、図1に示す方法により、必要な耐久高度を持った微小針母型を作製でき、その母型を用いてPDMS製の鋳型を製造し、所望の微小針が製造できることを見出した。即ち、
(1)図2に示されるように、平面の基板(例えばパイレックッスガラス基板)の上にUV硬化樹脂を塗布し、貫通孔を有するSi平板を接着し貫通孔をUV硬化樹脂で充填して、UV照射後、樹脂を硬化させる。Si平板上表面にあふれた過剰のUV硬化樹脂を削除し、KOH水溶液でSi平板を溶解除去して、UV硬化樹脂製の微小針母型を作製する。更には図3に示されるように、強度補強のために母型の樹脂表面をNiメッキ加工をして、Niで被覆されたUV硬化樹脂製の微小針母型を作製する。
(2)図4に示されるように、平面上のシート(例えばアルミホイルシート)の上に貫通孔を有するSi平板をUV硬化樹脂を塗布し硬化させて固定し、その後貫通孔がUV硬化樹脂で充填されたSi平板を作製する。該Si平板からシート除去した後、反対側にパイレックスガラス基板をUV硬化樹脂で接着し、UV照射して固定する。その後、KOH水溶液でSi平板を溶解除去して、UV硬化樹脂製の微小針母型を作製する。更には図3や図5〜6に示されるように、樹脂表面をNiメッキ加工や銅メッキ加工或いはPtコーティング等を施して、金属で被覆されたUV硬化樹脂製の微小針母型を作製する。
【0008】
本発明の上記方法によって得られたUV効果樹脂製の微小針母型は、PDMS製の鋳型を製造するためのものとして、非常に耐久性の優れたものとなっている。また、Si平板の貫通穴あけ加工には、半導体プロセスが用いられるが、誘電結合型プラズマ反応性イオンエッチィング(ICP−RIE)を使用すれば、設計精度の高いものが得られることを見出した。
以上のように、耐久性の良い微小針母型が容易に製造できることを見出し、本発明を完成することが出来た。
【0009】
本発明の要旨は以下の通りである。
[1]UV硬化樹脂製の微小針母型の製造方法であって、
円柱状または円錐状、角柱、角錐状の貫通穴を複数有し、30μ〜2mmの厚みを持つSi平板を用いて、以下の2つの方法の内のいずれか一つを選択することからなるUV硬化樹脂製の微小針母型の製造方法、
(1)第1の方法は、次に示すものである、
a)平面の基板上にUV硬化樹脂を塗布し、
b)上記の貫通穴を持ったSi平板を、貫通孔のより広い口径を持つ面で、上記UV硬化樹脂に接着させる、
c)UV照射を行って樹脂を硬化させ、Si平板を基板上に固定する、
d)減圧下に、UV硬化樹脂を上記Si平板の空孔に充填し、
e)UV照射し樹脂を硬化させる、
f)上記空孔より溢れて固まったUV硬化樹脂をSi平板表面より除去する、
g)Siエッチングを行い、Si平板を溶解除去する、
ことによって、UV硬化樹脂製の微小針母型を得る、
更には、得られたUV硬化樹脂製の微小針母型の表面に金属コーテイングを行い、金属で被覆されたUV硬化樹脂製の微小針母型を得ることができる、
(2)第2の方法は、次に示すものである、
a)平面シートにUV硬化樹脂を塗布し、
b)上記の貫通穴を持ったSi平板を、貫通孔のより狭い口径を持つ面で、上記UV硬化樹脂に接着させる、
c)UV照射し樹脂を硬化させ、Si平板にアルミホイルを固定する、
d)減圧下に、UV硬化樹脂を上記Si平板の空孔に充填し、
e)UV照射し樹脂を硬化させる、
f)平面シートを剥離し、固まったUV硬化樹脂をSi平板表面より除去する、
g)平面シート除去面の反対側のSi板の面にUV硬化樹脂を塗布する、
h)UV硬化樹脂の塗布面にパイレックスガラスを接着させる、
i)UV照射し樹脂を硬化させ、パイレックスガラスを固定する、
j)Siエッチングを行い、Si平板を溶解除去する、
ことによってUV硬化樹脂製の微小針母型を得る、
更には、得られたUV硬化樹脂製の微小針母型の表面に金属コーテイングを行い、金属で被覆されたUV硬化樹脂製の微小針母型を得ることができる。
【0010】
[2]金属コーテイングが、次の2つの方法の内のいずれか一つを選択することである、上記[1]記載の微小針母型の製造方法、
(1)UV硬化樹脂製の微小針母型の表面に、TiとPdのスパッタ又は蒸着して、その後、NiまたはCuメッキを行う、
(2)UV硬化樹脂製の微小針母型の表面に、Pt、Auなどをスパッタまた蒸着を行う、
[3]UV硬化樹脂製の微小針母型がNiメッキされたものである、上記[1]または[2]に記載の微小針母型の製造方法。
[4]UV硬化樹脂が、硬化後の硬度(ショアA/D)が96/52以上であるUV硬化樹脂である、上記[1]〜[3]のいずれかに記載のUV硬化樹脂製の微小針母型の製造方法。
[5]Si平板の貫通孔が、50〜200μmの口径であり、個数として100〜500個、開いていることを特徴とする、上記[1]〜[4]のいずれかに記載のUV硬化樹脂製の微小針母型の製造方法。

【発明の効果】
【0011】
本発明の製造方法では、例えばICP-RIE法を用いてSi平板の精密加工を行い、更に成形性がよいUV硬化樹脂を使用できるので、サイズの揃った精度の高い微小針の母型が容易に製造できる。更には、金属メッキ等でその表面が被覆されているので、微小針の強度が向上し、耐久性のある微小針の母型が得られている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に、添付の図面に基づいて本発明のUV硬化樹脂製の微小針母型の製造方法を以下に説明する。
本発明の製造方法の概略は、例えば図1に示すところのものである。即ち、まず、半導体プロセス等にて作製した貫通孔(微小針に対応する)を有するSi平板を作製する。そして、そのSi平板の貫通孔にUV硬化樹脂を注入し、UV照射して硬化させる。その後にKOH水溶液で処理してSi平板を溶解・除去し、残ったものとしてUV硬化樹脂製の微小針母型を得ることができる。この微小針母型を用いてPDMS製の鋳型を大量に製造することが出来る。
【0013】
−本発明の第1態様―
本発明では半導体プロセスで使用する公知の各種の手法や、微小針の作製で使用される公知の微細製作プロセスを適宜使用することができる。例えば、リソグラフィー、スパッタリング、電気めっき、等が挙げられる。これらの技術は一般的な成書に記載されており、例えば、谷口淳著、「はじめてのナノプリント技術」(工業調査会、2005年)、M.エルベンスポーク著、「シリコンマイクロ加工の基礎」(シュプリンガー・フェアラーク東京、2001年)、Jaeger,Introduction to Microelectronic Fabrication(Addison−Wesley Publishing Co.,Reading MA 1988)、Runyan,ら、Semiconductor Integrated Circuit Processing Technology(Addison−Wesley Publishing Co.,Reading MA 1990)、Proceedings of the IEEE Micro Electro Mechanical Systems Conference 1987−1998、Rai−Choudhury編、Handbook of Microlithography,Micromachining & Microfabrication(SSPIE Optical Engineering Press,Bellingham,WA 1997)を参照、準用して行われる。
本発明で言う「半導体プロセス」とは、上記の半導体の製造プロセスや微細作製プロセスにおいて使用されている汎用手段を言い、特にシリコン平板表面に穿孔を行うための技術としては、例えばX線リソグラフィー、フォトリソグラフィー等のリソグラフィー、例えばイオンエッチング、プラズマエッチィング等のエッチング、レーザーによる穿孔等を挙げることができる。好ましくは、イオンで深くエッチングできる誘導結合型プラズマ反応型イオンエッチィング(Inductively Coupled Plasma Reactive Ion Etching:ICP−RIEと略称する)を挙げることができる。
本発明で言う「貫通孔」とは、円柱形あるいは円錐形、角柱、角錐形の微小針に対応する鋳型となるものである。各貫通孔はほぼ同じサイズのものがSi平板に10〜500本開いている。この貫通孔の大きさは、最大孔径が50〜200μmであり、Si平板の厚さが30μm〜2mmである。
【0014】
本発明で言う「UV硬化樹脂」とは、モノマー、オリゴマー、光重合開始剤と添加剤とで構成されるものであり、市販で汎用されているものを使用することができる。好ましいものとしては、硬化後の硬度(ショアA/D)が96/52以上のUV硬化樹脂を挙げることができる。より好ましくはGL−4001、GLX39−79(いずれも有限会社グルーラボ製)を挙げることができる。
本発明で言う「Si板」とは、30μm〜2mmの厚みを有するシリコン製の平板のことをいう。このSi板の厚さが、マイクロシリンジの針の長さに対応することになる。好ましくは、30μm〜1mmの厚さを挙げることができる。より好ましくは30〜300μmを挙げることができる。
本発明で言う「パイレックスガラス」とは、ダウコーニング社製の強化ガラスのことを言う。
本発明で言う「金属」とは、金属メッキに汎用される金属のことを言い、例えばNi、NiFe、AuまたはCu,Ptを挙げることができる。好ましいものとして、Niを挙げることができる。
本発明で言う「金属コーテイング」とは、スパッタリングやメッキ等の金属被覆の分野の一般的な手法を応用でき、例えば、Frazier,ら、「Two Dimensional metallic microelectrode arrays for extracellular stimulation and recording of neurons」IEEE Proceeding of the Micro Electro Mechanical Systems Conference 195−200頁(1993)や近藤和夫著、「初歩から学ぶ微小メッキ技術」(工業調査会、2004年)に記載の方法に準じて行うことができる。好ましいものとしては、TiとPdによるスパッタリング、イオンコータによるPtコーテイング、スパッタリング後のNiやCu等による金属メッキを挙げることができる。
本発明で言う「減圧下」とは、Si板の貫通孔にUV硬化樹脂を充分充填させるために行われるものであり、減圧の程度は貫通孔に充填されるUV硬化樹脂の粘度に応じて加減できる。UV硬化樹脂の粘度(25℃)が400〜2000mPa・sの場合には、65℃〜80℃で10〜30Paが好ましい。
【0015】
本発明で言う「UV照射」とは、高圧水銀ランプ、水銀キセノンランプあるいはUV−LEDによる400nm以下の波長の光を照射することをいう。好ましくは、高圧水銀ランプで照射することが挙げられる。
本発明の「UV硬化樹脂をSi板上より除去する」ための除去方法としては、へら等でふき取る方法やガス等で引き飛ばす方法などがあるが、より好ましくは、へら等で機械的にふき取ることが有効である。
本発明の「Siエッチィング」とは、シリコンを溶解させる技術のことを言い、例えばHNO/HF溶液や水酸化カリウム水溶液でウェットエッチングを行うことを言う。好ましいものとしては、水酸化カリウム水溶液によるウェットエッチングを挙げることができる。
本発明の「TiとPdをスパッタリング」する方法としては、通常のスパッタ装置を使用することが出来る。例えば、Ti、PdをターゲットとしてArイオン等でスパッタすることが出来る。
本発明の「Ptコーテイング」する方法としては、通常の真空蒸着やスパッタなどの方法があり、例えばイオンコータを用いてPtコーテイングすることができる。
【0016】
本発明の「アルミホイルの剥離、除去」のための方法としては、機械的に力を加えて剥離することが出来る。例えば、アルミホイルに力を加えてSi平板表面から剥離させると容易に除去できる。

【実施例】
【0017】
以下に本発明について実施例により具体的に説明する。但し、本発明は以下の実施例になんら限定されるものではない。
【0018】
(実施例1)ICP−RIE法による貫通孔を有するSi板の作製
紫外線露光装置と、レジスト塗布装置、蒸着装置等を用いて、厚さ0.5mmのシリコン板上に直径100μmの穴が400個配列しているパターンでアルミの膜形成を行う。次に、ICP−RIEエッチング装置(STS社製)を用いて、エッチングを行い、上記のアルミをマスクとしてSi板に貫通孔を作製する。

【0019】
(実施例2)UV硬化樹脂(GL−4001)製の微小針母型の製造方法I
a)パイレックスガラス基板上にUV硬化樹脂(GL−4001)を塗布し、実施例1で作製されたSi平板を接着させ、UVを照射して樹脂を硬化させ、Si平板をパイレックスガラス基板上に固定する、
b)減圧下に、更にUV硬化樹脂(GL−4001)を上記空孔に充填し、UV照射し空孔を充填した樹脂を硬化させる、
c)上記孔より溢れて固まったUV硬化樹脂をSi板上よりへらで機械的に除去し、30%水酸化カリウム水溶液でSiエッチングを行い、Si平板を除去する、
d)得られたUV硬化樹脂製の微小針母型の表面にTiとPdをスパッタした後、無電解Niメッキを行う。

【0020】
(実施例3)UV硬化樹脂(GLX39−79)製の微小針母型の製造方法II
a)アルミホイルにUV硬化樹脂(GLX39−79)を塗布し、実施例1で作製されたSi平板を接着させ、UV照射し固定する、
b)減圧下に、UV硬化樹脂(GLX39−79)を上記空孔に充填し、UV照射し空孔を充填した樹脂を硬化させる、
c)アルミホイルを剥離し、Si平板上の残存するUV硬化樹脂を機械的にへらで除去する、
d)アルミホイル剥離面の反対側のSi平板の面にUV硬化樹脂を更に塗布し、パイレックスガラスを接着しUV照射して固定する、
e)30%水酸化カリウム水溶液でSiエッチングを行い、Si平板を除去する、
f)得られたUV硬化樹脂製の微小針母型の表面を、TiとPdのスパッタリングを行い、次いでNiメッキを行う。その結果、NiメッキされたUV硬化樹脂製の微小針母型を得る。

【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明の微小針母型の製造方法により、耐久性のあるUV硬化樹脂製の微小針の母型を容易に作製することができるようになった。その結果、この微小針母型を用いて、PDMS製の鋳型を大量に製造することが出来るようになった。例えば図1に示されるように、UV硬化樹脂製の微小針の母型を作製することで,PDMS製の鋳型を大量に生産でき,良好な品質の剣山形微小針デバイスを大量生産することが可能になった。特に、本発明の微小針用金属母型の製造方法では、成形性の良いUV硬化樹脂を使用するため、精度の高いUV硬化樹脂製の微小針母型を作製できることが分かった。

【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】剣山型UV硬化樹脂製の微小針母型の製造方法の概略図
【図2】パイレックスガラス上のUV硬化性樹脂への圧着による微小針母型の製造方法
【図3】UV硬化性樹脂製の微小針母型にTiとPdでスパッタリングして被覆した後、Niメッキで更に被覆する方法
【図4】非貫通孔化したSi平板を用いた微小針母型の製造方法
【図5】UV硬化性樹脂製の微小針母型にPtコーテイングで被覆し、更にPtメッキで被覆する方法
【図6】UV硬化性樹脂製の微小針母型にTiとPdでスパッタリングして被覆した後、Cuメッキで更に被覆する方法

【特許請求の範囲】
【請求項1】
UV硬化樹脂製の微小針母型の製造方法であって、
円柱状または円錐状、角柱、角錐状の貫通穴を複数有し、30μ〜2mmの厚みを持つSi平板を用いて、以下の2つの方法の内のいずれか一つを選択することからなるUV硬化樹脂製の微小針母型の製造方法、
(1)第1の方法は、次に示すものである、
a)平面基板上にUV硬化樹脂を塗布し、
b)上記の貫通穴を持ったSi平板を、貫通孔のより広い口径を持つ面で、上記UV硬化樹脂に接着させる、
c)UV照射を行って樹脂を硬化させ、Si平板を基板上に固定する、
d)減圧下に、UV硬化樹脂を上記Si平板の空孔に充填し、
e)UV照射し樹脂を硬化させる、
f)上記空孔より溢れて固まったUV硬化樹脂をSi平板表面より除去する、
g)Siエッチングを行い、Si平板を溶解除去する、
ことによって、UV硬化樹脂製の微小針母型を得る、
更には、得られたUV硬化樹脂製の微小針母型の表面に金属コーテイングを行い、金属で被覆されたUV硬化樹脂製の微小針母型を得ることができる、
(2)第2の方法は、次に示すものである、
a)平面のシートにUV硬化樹脂を塗布し、
b)上記の貫通穴を持ったSi平板を、貫通孔のより狭い口径を持つ面で、上記UV硬化樹脂に接着させる、
c)UV照射し樹脂を硬化させ、Si平板をシートに固定する、
d)減圧下に、UV硬化樹脂を上記Si平板の空孔に充填し、
e)UV照射し樹脂を硬化させる、
f)シートを剥離し、固まったUV硬化樹脂をSi平板表面より除去する、
g)シート除去面の反対側のSi板の面にUV硬化樹脂を塗布する、
h)UV硬化樹脂の塗布面にパイレックスガラスを接着させる、
i)UV照射し樹脂を硬化させ、パイレックスガラスを固定する、
j)Siエッチングを行い、Si平板を溶解除去する、
ことによってUV硬化樹脂製の微小針母型を得る、
更には、得られたUV硬化樹脂製の微小針母型の表面に金属コーテイングを行い、金属で被覆されたUV硬化樹脂製の微小針母型を得ることができる。
【請求項2】
金属コーテイングが、次の2つの方法の内のいずれか一つを選択することである、請求項1記載の微小針母型の製造方法、
(1)UV硬化樹脂製の微小針母型の表面にTiとPdのスパッタ又は蒸着して、その後、NiまたはCuメッキを行う、
(2)UV硬化樹脂製の微小針母型の表面に、Pt、Auなどをスパッタまた蒸着を行う、
【請求項3】
UV硬化樹脂製の微小針母型がNi又はCuメッキ、或いはPt、Auなどをコーティングされたものである、請求項1または2に記載の微小針母型の製造方法。
【請求項4】
UV硬化樹脂が、硬化後の硬度(ショアA/D)で96/52以上であるUV硬化樹脂である、請求項1〜3のいずれかに記載のUV硬化樹脂製の微小針母型の製造方法。
【請求項5】
Si平板の貫通孔が、50〜200μmの口径であり、個数として100〜500個、開いていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のUV硬化樹脂製の微小針母型の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−61197(P2009−61197A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−233468(P2007−233468)
【出願日】平成19年9月8日(2007.9.8)
【出願人】(304028346)国立大学法人 香川大学 (285)
【出願人】(302005628)株式会社 メドレックス (35)
【Fターム(参考)】