説明

VR1受容体アンタゴニストとしての置換アリールオキソエチルシクロプロパンカルボキサミド化合物

本発明は、式(I)の化合物を提供する。これらの化合物は、哺乳動物において、疼痛など、VR1受容体の過剰活性化に起因する疾患状態の治療に有用である。本発明はまた、上記化合物を含む医薬組成物を提供する。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な置換アリールおよびヘテロアリールオキソエチルシクロプロパンカルボキサミド化合物に関する。これらの化合物は、I型バニロイド受容体(VR1)のアンタゴニストとして有用であり、したがって、哺乳動物、特にヒトにおいて、疼痛、神経痛、ニューロパシー、神経損傷、熱傷、片頭痛、手根管症候群、線維筋痛症、神経炎、坐骨神経痛、骨盤過敏症、膀胱疾患、炎症などの治療に有用である。本発明はまた、上記化合物を含む医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
I型バニロイド受容体(VR1)は、リガンド開閉型非選択性カチオンチャネルである。VR1は、TRP(transient receptor potential)スーパーファミリーの一員であると考えられている。VR1は、複数の疼痛刺激、例えば、侵害熱、プロトン、およびバニロイドを統合するポリモーダル侵害受容器と認識されている(European Journal of Physiology 451:151〜159、2005)。VR1が多く分布するのは知覚(AδおよびC)線維であり、それらの知覚線維は知覚神経節に細胞体を有する双極ニューロンである。これらのニューロンの末梢線維は、皮膚、粘膜、およびほとんどすべての内部器官に神経を分布する。VR1は、膀胱、腎臓、脳、膵臓、および種々の器官に存在することも認められている。VR1アゴニスト、例えば、カプサイシンまたはレジニフェラトキシンを用いる多くの研究が、VR1陽性神経は、侵害受容を含む様々な生理的反応に関与すると考えられることを示唆している(Clinical Therapeutics.13(3):338〜395、1991、Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics 314:410〜421、2005、およびNeuroscience Letter 388:75〜80、2005)。VR1の組織分布および役割の両方に基づいて、VR1アンタゴニストは良好な治療可能性を有するであろう。
【0003】
国際特許出願WO−A−200216318は、バニロイド受容体のモジュレーターとして様々なスルホニルアミノベンジルチオ尿素誘導体およびN−スルホニルアミノベンジル−2−フェノキシアセトアミド誘導体を開示している。
【0004】
国際特許出願WO−A−2004047738は、カリウムチャネル開口薬として様々なアリールシクロプロピルカルボン酸アミドを開示している。
【0005】
全身投与によるVR1受容体との強力な結合活性など、特性の改善されたVR1アンタゴニストを提供することが望ましい。可能性のある他の利点には、低い毒性、良好な吸収、良好な半減期、良好な溶解性、低いタンパク結合親和性、弱い薬物−薬物相互作用、低減されたHERGチャネルにおける阻害活性、低減されたQT延長、および良好な代謝安定性が含まれる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
置換アリールおよびヘテロアリールオキソエチルシクロプロパンカルボキサミド化合物が、全身投与によって鎮痛作用を有するVR1アンタゴニストであることがここに見出された。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、下記の式(I)の化合物であって、
【0008】
【化1】

式中、Arは、下式を表し、
【0009】
【化2】

は、CH、CR、またはNを表し、
は、CH、CR、またはNを表し、
は、Nを表し、Xは、CHまたはCRを表し、Xは、S、NH、またはNRを表すか、あるいはXは、CHまたはCRを表し、Xは、Nを表し、Xは、NHまたはNRを表し、
、R、R、およびRは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ、ヒドロキシ(C〜C)アルコキシ、(C〜C)アルコキシ−(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ−(C〜C)アルコキシ、ハロ(C〜C)アルキル、(C〜C)アルキルチオ、(C〜C)アルキルスルフィニル、(C〜C)アルキルスルホニル、[(C〜C)アルキル]NH−、[(C〜C)アルキル]N−、HN−(C〜C)アルコキシ、(C〜C)アルキル−NH−(C〜C)アルコキシ、[(C〜C)アルキル]N−(C〜C)アルコキシ、HN−(C〜C)アルコキシ−(C〜C)アルキル、(C〜C)アルキル−NH−(C〜C)アルコキシ−(C〜C)アルキル、または[(C〜C)アルキル]N(C〜C)アルコキシ−(C〜C)アルキルを表し、
、R、R、およびRは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、(C〜C)アルキル、ヒドロキシ(C〜C)アルキル、またはハロ(C〜C)アルキルを表し、
は、ハロゲン、(C〜C)アルキル、ハロ(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ、ヒドロキシ(C〜C)アルコキシ、(C〜C)アルコキシ−(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ−(C〜C)アルコキシ、[(C〜C)アルキル]NH−、または[(C〜C)アルキル]N−を表すか、あるいはRおよびRは、隣接する炭素原子に結合しているとき、それらが結合している炭素原子と共に、1つまたは2つの非隣接炭素原子が酸素、硫黄、またはNH基で置換されていてもよい、5から8員シクロアルキル環または複素環を形成することができ、前記シクロアルキル環または複素環は、非置換であるか、あるいはヒドロキシ、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ、およびヒドロキシ(C〜C)アルキルからなる群から選択された1つまたは複数の置換基で置換されている化合物、あるいは薬学的に許容できるその塩または溶媒和物を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本明細書では、「ハロゲン」という用語は、フルオロ、クロロ、ブロモ、およびヨード、好ましくはフルオロおよびクロロを意味する。
【0011】
本明細書では、「アリール」という用語は、6から10個の炭素原子の単環または二環式芳香族炭素環、あるいは6から10個の炭素原子の二環式部分飽和炭素環を意味し、これらに限定されるものではないが、フェニル、ナフチル、インダニル、インデニル、およびテトラリニルが含まれる。好ましいアリール基は、フェニル、インダニル、およびナフチルである。
【0012】
本明細書では、「(C〜C)アルキル」という用語は、1から6個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖飽和基を意味し、これらに限定されるものではないが、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、およびt−ブチルが含まれる。好ましい(C〜C)アルキル基は、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、およびt−ブチルである。
【0013】
本明細書では、「ヒドロキシ(C〜C)アルキル」という用語は、ヒドロキシ基で置換されている、上に定義した(C〜C)アルキル基を意味し、これらに限定されるものではないが、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシn−プロピル、ヒドロキシイソプロピル、ヒドロキシn−ブチル、ヒドロキシイソブチル、ヒドロキシs−ブチル、およびヒドロキシt−ブチルが含まれる。好ましいヒドロキシアルキル基は、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシn−プロピル、およびヒドロキシn−ブチルである。
【0014】
本明細書では、「(C〜C)アルコキシ」という用語は、(C〜C)アルキル−O−を意味し、これらに限定されるものではないが、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、s−ブトキシ、およびt−ブトキシが含まれる。好ましいアルコキシ基は、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、n−ブトキシ、およびt−ブトキシである。
【0015】
本明細書では、「ヒドロキシ(C〜C)アルコキシ」という用語は、ヒドロキシ基で置換されている、上に定義した(C〜C)アルコキシ基を意味し、これらに限定されるものではないが、ヒドロキシメトキシ、ヒドロキシエトキシ、ヒドロキシn−プロポキシ、ヒドロキシイソプロポキシ、ヒドロキシn−ブトキシ、ヒドロキシイソブトキシ、ヒドロキシs−ブトキシ、およびヒドロキシt−ブトキシが含まれる。好ましいヒドロキシアルコキシ基は、ヒドロキシメトキシ、ヒドロキシエトキシ、ヒドロキシn−プロポキシ、およびヒドロキシn−ブトキシである。
【0016】
本明細書では、「(C〜C)アルキルチオ」という用語は、(C〜C)アルキル−S−を意味し((C〜C)アルキルは上に定義したとおりである)、これらに限定されるものではないが、メチルチオ、エチルチオ、n−プロピルチオ、イソプロピルチオ、n−ブチルチオ、イソブチルチオ、s−ブチルチオ、およびt−ブチルチオが含まれる。好ましいアルキルチオ基は、メチルチオ、エチルチオ、n−プロピルチオ、およびn−ブチルチオである。
【0017】
本明細書では、「(C〜C)アルキルスルフィニル」という用語は、(C〜C)アルキル−SO−を意味し((C〜C)アルキルは上に定義したとおりである)、これらに限定されるものではないが、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、n−プロピルスルフィニル、イソプロピルスルフィニル、n−ブチルスルフィニル、イソブチルスルフィニル、s−ブチルスルフィニル、およびt−ブチルスルフィニルが含まれる。好ましいアルキルスルフィニル基は、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、n−プロピルスルフィニル、およびn−ブチルスルフィニルである。
【0018】
本明細書では、「(C〜C)アルキルスルホニル」という用語は、(C〜C)アルキル−SO−を意味し((C〜C)アルキルは上に定義したとおりである)、これらに限定されるものではないが、メチルスルホニル、エチルスルホニル、n−プロピルスルホニル、イソプロピルスルホニル、n−ブチルスルホニル、イソブチルスルホニル、s−ブチルスルホニル、およびt−ブチルスルホニルが含まれる。好ましいアルキルスルホニル基は、メチルスルホニル、エチルスルホニル、n−プロピルスルホニル、およびn−ブチルスルホニルである。
【0019】
本明細書では、「[(C〜C)アルキル]NH−」という用語は、(C〜C)アルキル−NH−を意味し((C〜C)アルキルは上に定義したとおりである)、これらに限定されるものではないが、メチルアミノ、エチルアミノ、n−プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、n−ブチルアミノ、イソブチルアミノ、s−ブチルアミノ、およびt−ブチルアミノが含まれる。好ましいアルキルアミノ基は、メチルアミノ、エチルアミノ、n−プロピルアミノ、およびn−ブチルアミノである。
【0020】
本明細書では、「[(C〜C)アルキル]N−」という用語は、ジ[(C〜C)アルキル]−N−を意味し((C〜C)アルキルは上に定義したとおりである)、これらに限定されるものではないが、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、メチルエチルアミノ、ジn−プロピルアミノ、メチルn−プロピルアミノ、エチルn−プロピルアミノ、ジイソプロピルアミノ、ジn−ブチルアミノ、メチルn−ブチルアミノ、ジイソブチルアミノ、ジs−ブチルアミノ、およびジt−ブチルアミノが含まれる。好ましいジアルキルアミノ基は、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジn−プロピルアミノ、およびジn−ブチルアミノである。
【0021】
本明細書では、「ハロ(C〜C)アルキル」という用語は、上に定義した1つまたは複数のハロゲン原子で置換されている、(C〜C)アルキル基を意味し、これらに限定されるものではないが、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、2−フルオロエチル、2,2−ジフルオロエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、2,2,2−トリクロロエチル、3−フルオロプロピル、4−フルオロブチル、クロロメチル、トリクロロメチル、ヨードメチル、およびブロモメチルが含まれる。好ましいハロアルキル基は、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、2−フルオロエチル、2,2−ジフルオロエチル、および2,2,2−トリフルオロエチルである。
【0022】
本明細書では、「シクロアルキル環」という用語は、3から8個の炭素原子の飽和炭素環を意味し、これらに限定されるものではないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、およびシクロオクチルが含まれる。好ましい環式環は、シクロペンチルおよびシクロヘキシルである。シクロアルキル環は、ヒドロキシ、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ、およびヒドロキシ(C〜C)アルキルからなる群から選択された1つまたは複数の置換基で置換されていてもよい。
【0023】
本明細書では、「複素環」という用語は、1つまたは2つの非隣接炭素原子が酸素、硫黄、またはNH基で置換されていてもよい、3から8員シクロアルキル環を意味する。そのような複素環の例には、これらに限定されるものではないが、テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオフェン、テトラヒドロチアゾール、テトラヒドロピロール、テトラヒドロピラン、テトラヒドロピリジン、テトラヒドロピラジン、およびテトラヒドロピリミジンが含まれる。好ましい複素環は、テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオフェン、テトラヒドロピロール、およびテトラヒドロピリジンである。複素環は、ヒドロキシ、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ、およびヒドロキシ(C〜C)アルキルからなる群から選択された1つまたは複数の置換基で置換されていてもよい。
【0024】
式(I)の化合物がヒドロキシ基を含む場合、エステルを形成することができる。そのようなエステルの例には、カルボキシ基とのエステルが含まれる。エステル残基は、通常の保護基、または加水分解などの生物学的方法によって、in vivoで開裂され得る保護基であることができる。
【0025】
好ましくは、Arは、下式を表し、
【0026】
【化3】

は、N、CH、またはCRを表し、
それぞれ、Xは、Nを表し、Xは、CHを表し、Xは、NHまたはNRを表し、X、R、R、R、R、R、R、R、R、およびRは、それぞれ上に定義したとおりである。
【0027】
好ましくは、Xは、CHまたはCRを表し、Arは、最も広範な定義または好ましい定義において上に定義したとおりであり、R、R、R、R、R、R、R、R、およびRは、それぞれ上に定義したとおりである。
【0028】
好ましくは、RおよびRは、それぞれ独立して、水素、ヒドロキシ、(C〜C)アルキル、ハロ(C〜C)アルキル、および(C〜C)アルコキシであり、ArおよびXは、それぞれ最も広範な定義または好ましい定義において上に定義したとおりであり、R、R、R、R、R、R、およびRは、それぞれ上に定義したとおりであり、より好ましくは、RおよびRは、それぞれ独立して、水素、ヒドロキシ、メチル、エチル、メトキシ、またはトリフルオロメチルである。
【0029】
好ましくは、R、R、R、およびRは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、または(C〜C)アルキルであり、Ar、X、ならびにRおよびRは、それぞれ最も広範な定義または好ましい定義において上に定義したとおりであり、R、R、およびRは、それぞれ上に定義したとおりであり、より好ましくは、R、R、R、およびRは、それぞれ独立して、水素、フルオロ、またはメチルである。
【0030】
好ましくは、RおよびRは、それぞれ独立して、水素またはハロゲンであり、Ar、X、R、R、R、R、R、およびRは、それぞれ最も広範な定義または好ましい定義において上に定義したとおりであり、RおよびRは、上に定義したとおりであり、より好ましくは、RおよびRは、それぞれ独立して、水素、フルオロ、またはクロロである。
【0031】
好ましくは、Rは、(C〜C)アルキル、またはハロ(C〜C)アルキルであり、Ar、X、R、R、R、R、R、R、R、およびRは、それぞれ最も広範な定義または好ましい定義において上に定義したとおりであり、より好ましくは、Rは、t−ブチル、トリフルオロメチル、または2,2,2−トリフルオロ−1,1−ジメチルエチルである。
【0032】
本発明の好ましい化合物には、式(I)のそれぞれの変数が、それぞれの変数の好ましい群から選択される化合物が含まれる。
【0033】
本発明の好ましい個々の化合物は、実施例の化合物、あるいは薬学的に許容できるそれらの塩または溶媒和物から選択される。
【0034】
本発明の化合物は、VR1受容体のアンタゴニストであり、したがって、哺乳動物、特にヒトにおいて、治療、特に急性脳虚血、疼痛、慢性疼痛、神経因性疼痛、炎症性疼痛、ヘルペス後神経痛、ニューロパシー、神経痛、糖尿病性ニューロパシー、HIV関連ニューロパシー、神経損傷、関節リウマチ痛、変形性関節症痛、熱傷、背部痛、内臓痛、癌性疼痛、歯痛、頭痛、片頭痛、手根管症候群、線維筋痛、神経炎、坐骨神経痛、骨盤過敏症、骨盤痛、月経痛;膀胱疾患、例えば、失禁、排尿障害、腎仙痛、および膀胱炎;炎症、例えば、熱傷、関節リウマチ、変形性関節症;神経変性疾患、例えば、脳卒中、脳卒中後疼痛、および多発性硬化症;肺疾患、例えば、喘息、咳、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、および気管支収縮;胃腸疾患、例えば、胃食道逆流性疾患(GERD)、嚥下障害、潰瘍、過敏性腸症候群(IBS)、炎症性腸疾患(IBD)、大腸炎、およびクローン病;虚血、例えば、脳血管虚血;嘔吐、例えば、癌化学療法誘発性嘔吐など、ならびに肥満などの治療に有用である。
【0035】
式(I)の化合物は、VR1受容体アンタゴニストであり、潜在的に一連の障害の治療に有用である。疼痛、特に神経因性疼痛の治療が、好ましい使用である。
【0036】
生理的な疼痛は、外部環境からの潜在的に有害な刺激の危険性を警告する重要な防御機構である。この系は特定の一次知覚ニューロン群を通して作動し、末梢伝達機構を介して侵害刺激によって活性化される(概説はMillan、1999、Prog.Neurobiol.、57、1〜164を参照のこと)。これらの知覚線維は、侵害受容器として知られており、遅い伝導速度を有する径の小さい軸索を特徴としている。侵害受容器は、侵害刺激の強度、持続期間、および質、ならびに局所的に組織された脊髄への突起によって、刺激の位置をコード化する。侵害受容器は、侵害受容神経線維に見出され、それらの神経線維には、Aデルタ線維(有髄)およびC線維(無髄)という2つの主な種類がある。侵害受容器入力によって生成された活性は、後角での複雑な処理の後、直接または脳幹中継核を介して、視床腹側基底に、次いで皮質に伝達され、そこで疼痛の感覚が生じる。
【0037】
疼痛は一般に、急性または慢性に分類することができる。急性疼痛は突然始まり、一時的である(通常、12週以内)。急性疼痛は通常、特定の損傷など特定の原因に関連し、多くの場合、鋭く激しい痛みである。これは、手術、歯科処置、挫傷、または捻挫に起因する特定の損傷後に生じ得るような痛みである。急性疼痛は一般に、持続性の心理的反応をもたらさない。対照的に、慢性疼痛は、長期間にわたる痛みであり、典型的に3カ月超持続し、著しい心理的問題および情緒的問題を引き起こす。慢性疼痛の一般的な例は、神経因性疼痛(例えば、疼痛性糖尿病性ニューロパシー、ヘルペス後神経痛)、手根管症候群、背部痛、頭痛、癌性疼痛、関節痛、および慢性術後疼痛である。
【0038】
疾患または外傷によって、身体組織に実質的な損傷が生じると、侵害受容器活性化の特性が変わり、損傷周囲で局所的に、侵害受容器の末端部で中枢的に、末梢が増感する。これらの作用は疼痛感覚の増強をもたらす。急性疼痛では、より充分に修復過程を引き起こすことのできる防御挙動の促進において、それらの機序は有用であり得る。ひとたび損傷が治癒すると、感受性は正常に戻ることが通常予期される。しかしながら、多くの慢性疼痛状態では、過敏性は治癒過程よりはるかに長く続き、これは多くの場合、神経系の損傷によるものである。この損傷はしばしば、不適応および異常活性に関連する知覚神経線維の異常をもたらす(WoolfおよびSalter、2000、Science、288、1765〜1768)。
【0039】
不快で異常な感受性が患者の症状の特徴であるとき、臨床的疼痛が存在する。患者は非常に多様である傾向があり、様々な疼痛症状を伴う可能性がある。そのような症状には、1)鈍痛、灼熱痛、または刺すような痛みであり得る自発性疼痛、2)侵害刺激に対する過度の疼痛反応(痛覚過敏)、および3)通常は非侵害性の刺激によって生じた疼痛(異痛症、Meyer等、1994、Textbook of Pain、13〜44)が含まれる。様々な形態の急性および慢性疼痛を有する患者は類似の症状を示すこともあるが、発生機序は異なる可能性があり、したがって、異なる治療方策を要する可能性がある。それゆえ、疼痛は異なる病態生理に応じていくつかの異なるサブタイプに分類することもでき、侵害受容性疼痛、炎症性疼痛、および神経因性疼痛が含まれる。
【0040】
侵害受容性疼痛は、組織損傷によって、または損傷を引き起こす可能性のある強い刺激によって誘発される。痛覚求心性線維は、損傷部位で侵害受容器による刺激の伝達によって活性化され、それらの末端レベルで脊髄のニューロンを活性化する。次いで、これが脊髄路から脳に送られ、そこで疼痛が知覚される(Meyer等、1994、Textbook of Pain、13〜44)。侵害受容器の活性化により、2種の求心性神経線維が活性化される。有髄Aデルタ線維は急速に伝達し、鋭く刺すような疼痛感覚に関与するが、無髄C線維はより遅い速度で伝達し、鈍痛またはうずく痛みを伝える。中等度から重度の急性侵害受容性疼痛は、中枢神経系外傷、挫傷/捻挫、熱傷、心筋梗塞、および急性膵炎の痛み、術後疼痛(任意の種類の外科手技後疼痛)、外傷後疼痛、腎仙痛、癌性疼痛、および背部痛の顕著な特徴である。癌性疼痛は、腫瘍に関連する疼痛(例えば、骨痛、頭痛、顔面痛、または内臓痛)、あるいは癌治療に関連する疼痛(例えば、化学療法後症候群、慢性術後疼痛症候群、放射線照射後症候群)などの慢性疼痛である可能性がある。癌性疼痛は、化学療法、免疫療法、ホルモン療法、または放射線治療に反応して起こる可能性もある。背部痛は、脱出性または破裂性椎間円板、あるいは腰部椎間関節、仙腸関節、傍脊柱筋、または後縦靭帯の異常による可能性がある。背部痛は自然に消散する可能性があるが、一部の患者では、12週超持続し、特に消耗性となり得る慢性状態となる。
【0041】
神経因性疼痛は、神経系の原発病変または機能不全によって誘導されるか、またはそれらに起因する疼痛として、現在定義されている。神経損傷は、外傷および疾患に起因することがあり、したがって「神経因性疼痛」という用語は、多様な病因による多くの障害を包含する。それらには、これらに限定されるものではないが、末梢性ニューロパシー、糖尿病性ニューロパシー、ヘルペス後神経痛、三叉神経痛、背部痛、癌性ニューロパシー、HIV性ニューロパシー、幻肢痛、手根管症候群、中枢性脳卒中後疼痛、ならびに慢性アルコール中毒、甲状腺機能低下症、尿毒症、多発性硬化症、脊髄損傷、パーキンソン病、てんかん、およびビタミン欠乏症に関連する疼痛が含まれる。神経因性疼痛は防御的役割を持たないため、病的状態である。神経因性疼痛は、原発の原因が消散した後も長く存在することが多く、通常は数年間持続し、患者の生活の質を著しく低下させる(WoolfおよびMannion、1999、Lancet、353、1959〜1964)。神経因性疼痛の症状は同じ疾患を有する患者の間でも異なることが多いため、治療が困難である(WoolfおよびDecosterd、1999、Pain Supp.6、S141〜S147;WoolfおよびMannion、1999、Lancet、353、1959〜1964)。神経因性疼痛には、持続性となり得る自発性疼痛、および発作性または異常誘発性疼痛、例えば痛覚過敏(侵害刺激に対する感受性の増大)および異痛症(通常は非侵害性の刺激に対する感受性)などが含まれる。
【0042】
炎症過程は、組織損傷または異物の存在に反応して活性化される、複合的な一連の生化学的かつ細胞的事象であり、腫脹および疼痛をもたらす(LevineおよびTaiwo、1994、Textbook of Pain、45〜56)。関節痛は、最も一般的な炎症性疼痛である。リウマチ様疾患は、先進国で最も一般的な慢性炎症状態の1つであり、関節リウマチは、身体障害の一般的な原因である。関節リウマチの正確な病因はわかっていないが、現在の仮説では、遺伝的要因および微生物学的要因の両方が重要である可能性が示唆されている(GrennanおよびJayson、1994、Textbook of Pain、397〜407)。約1千6百万人の米国人が、症候性変形性関節症(OA)または変性関節疾患を有し、そのほとんどが60歳を超える年齢であることが推定されており、これは人口が高齢化するにつれ4千万人に増加し、非常に大きな公衆衛生上の問題となることが予期されている(HougeおよびMersfelder、2002、Ann Pharmacother.36、679〜686;McCarthy等、1994、Textbook of Pain、387〜395)。変形性関節症を有するほとんどの患者は、それに伴う疼痛のため治療を求めている。関節炎は、心理社会的機能および身体機能に著しい影響を及ぼし、後年の身体障害の主たる原因であることが知られている。強直性脊椎炎も、脊椎および仙腸関節の関節炎の原因となるリウマチ様疾患である。これは生涯を通じて起こる背部痛の間欠性発現から、脊椎、末梢関節、および他の身体器官を攻撃する重度の慢性疾患まで多様である。
【0043】
他のタイプの炎症性疼痛は内臓痛であり、これには炎症性腸疾患(IBD)に関連する疼痛が含まれる。内臓痛は、内臓に関連する疼痛であり、内臓には、腹腔の器官が包含される。これらの器官には、生殖器官、脾臓、消化器系の部位が含まれる。内臓に関連する疼痛は、消化器系内臓痛と非消化器系内臓痛に分けることができる。一般的に遭遇する疼痛の原因となる胃腸(GI)障害には、機能性腸障害(FBD)および炎症性腸疾患(IBD)が含まれる。GI障害には、現在のところ適度にしか制御されていない広範な疾患状態が含まれ、FBDに関しては、胃食道逆流、消化不良、過敏性腸症候群(IBS)、および機能性腹痛症候群(FAPS)が含まれ、IBDに関しては、クローン病、回腸炎、および潰瘍性大腸炎が含まれ、これらはすべて通常内臓痛を引き起こす。他のタイプの内臓痛には、月経困難症、膀胱炎、および膵炎に関連する疼痛、ならびに骨盤痛が含まれる。
【0044】
一部の種類の疼痛は複数の病因を有し、そのため複数の領域に分類することができ、例えば背部痛および癌性疼痛は、侵害受容性成分と神経因性成分の両方を有することに留意されたい。
【0045】
他の種類の疼痛には以下のものが含まれる。
・ 筋痛、線維筋痛、脊椎炎、血清反応陰性(非リウマチ性)関節症、非関節性リウマチ、ジストロフィン異常症、糖原分解、多発性筋炎、および化膿性筋炎を含む筋骨格障害に起因する疼痛
・ 狭心症、心筋梗塞、僧帽弁狭窄症、心膜炎、レイノー現象、浮腫性硬化症、および骨格筋虚血に起因する疼痛を含む心臓および血管痛
・ 頭痛、例えば、片頭痛(前兆を伴う片頭痛、および前兆を伴わない片頭痛を含む)、群発性頭痛、緊張型頭痛、混合性頭痛、および血管障害に関連する頭痛など
・ 歯痛、耳痛、口腔灼熱症候群、および側頭下顎筋筋膜痛を含む口腔顔面痛
【0046】
本発明は、薬学的に許容できる賦形剤と共に、式(I)の化合物、あるいは薬学的に許容できるその塩または溶媒和物を含む医薬組成物を提供する。この組成物は、好ましくは上に定義した疾患状態の治療に有用である。
【0047】
本発明はさらに、薬剤として用いるための、式(I)の化合物、あるいは薬学的に許容できるその塩または溶媒和物を提供する。
【0048】
さらに本発明は、哺乳動物、好ましくはヒトにおいて、上に定義した疾患状態を治療するための方法であって、治療上有効量の式(I)の化合物、あるいは薬学的に許容できるその塩または溶媒和物を前記哺乳動物に投与することを含む方法を提供する。
【0049】
さらに本発明は、上に定義した疾患状態を治療するための薬剤の製造における、式(I)の化合物、あるいは薬学的に許容できるその塩または溶媒和物の使用を提供する。
【0050】
さらに本発明は、式(I)の化合物、あるいは薬学的に許容できるその塩または溶媒和物と、他の薬理活性剤との組合せを提供する。
【0051】
一般的合成
本発明の化合物は、この種の化合物を調製するためのよく知られている種々の方法によって調製することができ、例えば下記の反応スキームに示すとおりである。以下において、「保護基」という用語は、T.W.Greene等編のProtective Groups in Organic Synthesis(John Wiley & Sons、1999)に記載されている典型的なヒドロキシまたはアミノ保護基から選択されるヒドロキシまたはアミノ保護基を意味する。
【0052】
下記の反応スキームは、式(I)の化合物の調製を例示するものである。第1の方法によれば、式(I)の化合物は、スキーム1に例示のとおり式(II)の化合物から調製することができる。
【0053】
【化4】

ステップ1A:このステップでは、不活性溶媒中、カップリング試薬の存在下または非存在下、式(II)のアミン化合物を式(III)の酸化合物とカップリング反応させることによって、式(I)の化合物を調製できる。
【0054】
適切なカップリング試薬はペプチド合成で典型的に用いられるものであり、例えば、ジイミド(例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、および1−エチル−3−(3’ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド塩酸塩(EDC))、2−エトキシ−N−エトキシカルボニル−1,2−ジヒドロキノリン、2−ブロモ−1−エチルピリジニウムテトラフルオロボラート(BEP)、2−クロロ−1,3−ジメチルイミダゾリニウムクロリド(CDI)、ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ−トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスファート(BOP)、アゾジカルボン酸ジエチル−トリフェニルホスフィン、ジエチルシアノホスファート、ジエチルホスホリルアジド、2−クロロ−1−メチルピリジニウムヨージド、N,N’−カルボニルジイミダゾール、ベンゾトリアゾール−1−イルジエチルホスファート、クロロギ酸エチル、またはクロロギ酸イソブチルが含まれる。
【0055】
この反応は、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルモルホリン、およびトリエチルアミンなどの塩基の存在下で行うことができる。この反応は通常かつ好ましくは、溶媒の存在下で行われる。その溶媒が反応または用いられる試薬に悪影響を及ぼさず、少なくともある程度、試薬を溶解できるならば、用いられる溶媒の性質に特定の制限はない。適切な溶媒の例には、アセトン、ニトロメタン、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、スルホラン、ジメチルスルホキシド(DMSO)、2−ブタノン、アセトニトリル、ハロゲン化炭化水素、例えば、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルムなど、ならびにエーテル、例えば、テトラヒドロフランおよび1,4−ジオキサンなどが含まれる。
【0056】
この反応は、広範囲にわたる温度で行うことができ、厳密な反応温度は、本発明に重要ではない。好ましい反応温度は、用いられる溶媒、および出発原料または試薬の性質などの要因によって決定されるであろう。しかしながら、一般に−20から100℃、より好ましくは約0から60℃の温度で反応を行うのが好都合である。反応に必要とされる時間も、多くの要因、特に反応温度、用いられる試薬および溶媒の性質に応じて多様であってよい。しかしながら、この反応が上に概説した好ましい条件下で行われるならば、5分間から1週間、より好ましくは30分間から24時間の時間で通常充分であろう。
【0057】
あるいは、式(III)の化合物を、塩化オキサリル、オキシ塩化リン、および塩化チオニルなどのハロゲン化剤との反応によって、最初にハロゲン化アシルに変換することができる。次いで、得られたハロゲン化アシルを、上述のとおり式(II)の化合物とカップリングすることができる。
【0058】
第2の方法によれば、Arが下式であるとき、
【0059】
【化5】

式(II)の化合物は、スキーム2に例示のとおり式(V)の化合物から調製することができる。
【0060】
【化6】

式中、YおよびYは、スルホキシ基、またはハロゲン原子、例えば塩素などの適切な脱離基を表す。
【0061】
ステップ2A:このステップでは、不活性溶媒中、遷移金属触媒および金属シアン化物試薬の存在下、式(V)の化合物をシアン化することによって、式(VI)の化合物を調製できる。
【0062】
適切な溶媒の例には、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、アルコール、例えば、メタノールまたはエタノールなど、ハロゲン化炭化水素、例えば、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、または四塩化炭素など、およびジメトキシエタンが含まれる。適切な金属シアン化物試薬には、例えば、アルカリ金属シアン化物、例えば、シアン化リチウム、シアン化ナトリウム、およびシアン化カリウムなど、遷移金属シアン化物、例えば、シアン化鉄(II)、シアン化コバルト(II)、シアン化銅(I)、シアン化銅(II)、およびシアン化亜鉛(II)など、シアン化水素化ホウ素ナトリウム、ならびにシアン化トリメチルシリルが含まれる。
【0063】
この反応は、適切な触媒の存在下で行うことができる。用いられる触媒の性質にも特定の制限はなく、この種の反応に通常用いられる任意の触媒を、この反応でも同様に用いることができる。そのような触媒の例には、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロリド、銅(0)、酢酸銅(I)、臭化銅(I)、塩化銅(I)、ヨウ化銅(I)、酸化銅(I)、トリフルオロメタンスルホン酸銅(II)、酢酸銅(II)、臭化銅(II)、塩化銅(II)、ヨウ化銅(II)、酸化銅(II)、トリフルオロメタンスルホン酸銅(II)、酢酸パラジウム(II)、塩化パラジウム(II)、ビスアセトニトリルジクロロパラジウム(0)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、および[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリドが含まれる。好ましい触媒は、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロリド、酢酸パラジウム(II)、塩化パラジウム(II)、ビスアセトニトリルジクロロパラジウム(0)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、および[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリドである。
【0064】
この反応は、適切な添加剤の存在下で行うことができる。そのような添加剤の例には、トリフェニルホスフィン、トリ−t−ブチルホスフィン、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、トリ−2−フリルホスフィン、トリ−o−トリルホスフィン、2−(ジクロロヘキシルホスフィノ)ビフェニル、およびトリフェニルアルシンが含まれる。
【0065】
この反応は、0から200℃、より好ましくは20から120℃の温度で行うことができる。反応時間は、一般に5分間から48時間、より好ましくは30分間から24時間である。
【0066】
ステップ2B:このステップでは、不活性溶媒中、例えば、臭化メチルマグネシウム、塩化メチルマグネシウム、またはメチルリチウムなどの既知のアルキル化条件下、式(VI)の化合物をアルキル化することによって、式(VII)の化合物を調製できる。適切な不活性有機溶媒の例には、エーテル、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、または1,4−ジオキサンなど、ジメチルホルムアミド、およびハロゲン化炭化水素、例えば、ジクロロメタン、ジクロロエタン、またはクロロホルムなど、あるいはそれらの混合物が含まれる。この反応は、−78から100℃の範囲、好ましくは0から60℃の範囲の温度で行うことができる。反応時間は、一般に10分間から4日間、好ましくは30分間から24時間である。
【0067】
ステップ2C:このステップでは、不活性溶媒中、式(VII)の化合物をハロゲン化試薬でハロゲン化することによって、式(VIII)の化合物を調製できる。
【0068】
適切なハロゲン化試薬には、例えば、臭素、塩素、ヨウ素、N−クロロスクシンイミド、N−ブロモスクシンイミド、1,3−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダントイン、ビス(ジメチルアセトアミド)三臭化水素酸塩、テトラブチルアンモニウムトリブロミド、ブロモジメチルスルホニウムブロミド、臭化水素−過酸化水素、ニトロジブロモアセトニトリル、および臭化銅(II)が含まれる。適切な不活性有機溶媒の例には、エーテル、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、および1,4−ジオキサンなど、ジメチルホルムアミド、ならびにハロゲン化炭化水素、例えば、ジクロロメタン、ジクロロエタン、およびクロロホルムなど、またはそれらの混合物が含まれる。
【0069】
この反応は、−78から100℃の範囲、好ましくは0から60℃の範囲の温度で行うことができる。反応時間は、一般に10分間から4日間、好ましくは30分間から24時間である。
【0070】
ステップ2D:このステップでは、不活性溶媒中、式(VIII)の化合物のN,N−ジホルミルアミノ化によって、式(IX)の化合物を調製できる。
【0071】
適切な試薬の例には、ジホルミルイミド、ナトリウム塩;ジホルミルイミド、カリウム塩;およびジホルミルイミド、リチウム塩が含まれる。適切な不活性有機溶媒には、エーテル、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、およびジオキサンなど、ジメチルホルムアミド、ならびにハロゲン化炭化水素、例えば、ジクロロメタン、ジクロロエタン、およびクロロホルムなど、またはそれらの混合物が含まれる。この反応は、−78から100℃の範囲、好ましくは0から60℃の範囲の温度で行うことができる。反応時間は、一般に10分間から4日間、好ましくは30分間から24時間である。
【0072】
ステップ2E:このステップでは、酸性条件下、式(IX)の化合物を脱ホルミル化することによって、式(II)の化合物を調製できる。
【0073】
適切な溶媒の例には、水、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、アルコール、例えば、メタノールおよびエタノールなど、ハロゲン化炭化水素、例えば、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、および四塩化炭素など、ならびにジメトキシエタンから選択された共溶媒が含まれる。
【0074】
適切な試薬の例には、塩酸、酢酸、およびトリフルオロメタンスルホン酸などの酸が含まれる。この反応は、−78から100℃の範囲、好ましくは0から60℃の範囲の温度で行うことができる。反応時間は、一般に10分間から4日間、好ましくは30分間から24時間である。
【0075】
あるいは、第3の方法によれば、Arが下式であるとき、
【0076】
【化7】

式(II)の化合物は、スキーム3に例示のとおり式(X)の化合物から調製することができる。
【0077】
【化8】

式中、Yは、スルホキシ基、またはハロゲン原子、例えば塩素などの適切な脱離基を表し、Pは、T.W.Greene等編のProtective Groups in Organic Synthesis(John Wiley & Sons、1991)に記載のものなど、適切なアミン保護基を表す。
【0078】
ステップ3A:このステップでは、不活性溶媒中、アルカリ金属およびアシル化剤を用いてメタル化条件下、式(X)の化合物をアシル化することによって、式(XI)の化合物を調製できる。
【0079】
適切な試薬には、N−(t−ブトキシカルボニル)グリシンN’−メトキシ−N’−メチルアミドが含まれる。適切なアルカリ金属の例には、ナトリウム、カリウム、リチウム、セシウム、ルビジウム、およびフランシウムが含まれる。適切な溶媒の例には、エーテル、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、および1,4−ジオキサンなど、N,N−ジメチルホルムアミド、トルエン、アセトニトリル、ハロゲン化炭化水素、例えば、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、および四塩化炭素など、ならびにジメトキシエタンが含まれる。
【0080】
この反応は、−78から200℃、より好ましくは0から120℃の温度で行うことができる。反応時間は、一般に5分間から48時間、より好ましくは30分間から24時間である。
【0081】
ステップ3B:このステップでは、T.W.Greene等編のProtective Groups in Organic Synthesis(John Wiley & Sons、1991)に記載のものなど、既知の手順に従って式(XI)の化合物を脱保護することによって、式(II)の所望の化合物を調製できる。
【0082】
保護基の除去は、不活性溶媒中、水素雰囲気下で金属触媒の存在下、あるいはギ酸またはギ酸アンモニウムなどの水素源の存在下、例えば既知の水素化分解条件下で行うことができる。所望であれば、この反応は、酸性条件下、例えば、塩酸または酢酸の存在下で行うことができる。好ましい金属触媒は、例えば、パラジウム−炭素、水酸化パラジウム−炭素、酸化白金、白金−炭素、ルテニウム−炭素、ロジウム−酸化アルミニウム、塩化トリス[トリフェニルホスフィン]ロジウムから選択される。適切な不活性水性または非水性有機溶媒の例には、アルコール、例えば、メタノールおよびエタノールなど、エーテル、例えば、テトラヒドロフランおよび1,4−ジオキサンなど、アセトン、ジメチルホルムアミド、ハロゲン化炭化水素、例えば、ジクロロメタン、ジクロロエタン、およびクロロホルムなど、ならびに酢酸、またはそれらの混合物が含まれる。
【0083】
この反応は、20から100℃の範囲、好ましくは20から60℃の範囲の温度で行うことができる。反応時間は、一般に10分間から48時間、好ましくは30分間から24時間である。この反応は、1から100atm、好ましくは1から10atmの圧力で水素雰囲気下、行うことができる。
【0084】
第4の方法によれば、式(III)の化合物は、スキーム4に例示のとおり式(XII)の化合物から調製することができる。
【0085】
【化9】

上式において、Rは、(C〜C)アルキルまたはベンジルなどの適切な保護基を表し、Mは、トリブチルスタンナン、トリメチルスタンナン、トリフェニルスタンナン、トリブチルシラン、トリメチルシラン、トリフェニルシラン、ジフェニルボラン、ボロン酸ジメチル、臭化マグネシウムなどを表す。
【0086】
ステップ4A:このステップでは、不活性溶媒中、塩基性条件下、式(XII)の化合物をトリフルオロメタンスルホン酸無水物で処理することによって、式(XIII)の化合物を調製できる。
【0087】
好ましい塩基は、これらに限定されるものではないが、例えば、アルカリまたはアルカリ土類金属水酸化物、アルコキシド、炭酸塩、ハロゲン化物、または水素化物、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムt−ブトキシド、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、フッ化カリウム、水素化ナトリウム、および水素化カリウムなど、あるいはアミン、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、2,6−ルチジン、ピリジン、およびジメチルアミノピリジンなどから選択される。
【0088】
適切な溶媒の例には、トルエン、キシレン、ジメトキシエタン、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、ハロゲン化炭化水素、例えば、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、および四塩化炭素など、ならびにジエチルエーテルが含まれる。
【0089】
反応温度は、一般に−78から200℃の範囲、好ましくは0℃から室温の範囲できる。反応時間は、一般に1分間から1日、好ましくは1時間から20時間である。
【0090】
ステップ4B:このステップでは、不活性溶媒中、遷移金属触媒、およびビニル金属、酢酸ビニル、またはビニルメチルエーテル試薬の存在下、式(XIII)の化合物を式(XIV)の化合物で処理することによって、式(XV)の化合物を調製できる。
【0091】
適切な溶媒の例には、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、アルコール、例えば、メタノールおよびエタノールなど、ハロゲン化炭化水素、例えば、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、および四塩化炭素など、ならびにジエチルエーテルが含まれる。この反応は、KOH、NaOH、LiOH、またはKCO水溶液などの塩基性水の存在下または非存在下で行うことができる。適切な試薬には、例えば、メチルビニル試薬、例えば、トリブチルビニルスタンナン、トリメチルビニルスタンナン、トリフェニルビニルスタンナン、トリブチルビニルシラン、トリメチルビニルシラン、トリフェニルビニルシラン、ジフェニルビニルボラン、ボロン酸ジメチルビニル、および臭化ビニルマグネシウムなどが含まれる。
【0092】
この反応は、適切な触媒の存在下で行うことができる。用いられる触媒の性質にも特定の制限はなく、この種の反応に通常用いられる任意の触媒を、この反応でも同様に用いることができる。そのような触媒の例には、スキーム2のステップ2Aに記載のものが含まれる。
【0093】
この反応は、適切な添加剤の存在下で行うことができる。そのような添加剤の例には、トリフェニルホスフィン、トリ−t−ブチルホスフィン、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、トリ−2−フリルホスフィン、トリ−o−トリルホスフィン、2−(ジクロロヘキシルホスフィノ)ビフェニル、トリフェニルアルシン、塩化テトラブチルアンモニウム、フッ化テトラブチルアンモニウム、酢酸リチウム、塩化リチウム、トリエチルアミン、カリウムナトリウムメトキシド、水酸化ナトリウム、炭酸塩、重炭酸ナトリウム、およびヨウ化ナトリウムが含まれる。
【0094】
この反応は、0から200℃、より好ましくは20から120℃の温度で行うことができる。反応時間は、一般に5分間から96時間、より好ましくは30分間から24時間である。
【0095】
ステップ4C:このステップでは、不活性溶媒中、式(XV)の化合物を式(XVI)の化合物およびジアゾ試薬で処理することによって、式(XVII)の化合物を調製できる。
【0096】
適切な溶媒の例には、ジグリム、ジメチルスルホキシド、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、ハロゲン化炭化水素、例えば、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、および四塩化炭素など、ならびに酢酸が含まれる。適切なジアゾ試薬には、例えば、ジアゾ酢酸メチル、ジアゾ酢酸エチル、およびジアゾ酢酸ベンジルなどのジアゾニウムエステルが含まれる。
【0097】
この反応は、適切な触媒の存在下で行うことができる。用いられる触媒の性質にも特定の制限はなく、この種の反応に通常用いられる任意の触媒を、この反応でも同様に用いることができる。そのような触媒の例には、酢酸Rh(II)、Ru(OAc)Cl、RuCl(PPh)(p−シメン)、Cu(0)、Cu(アセチルアセトナート)、5,10,15,20−テトラフェニル−21H,23H−ポルフィンCo(II)(Co(TPP))、Pd(OAc)が含まれる。
【0098】
この反応は、適切な添加剤の存在下で行うことができる。そのような添加剤の例には、トリフェニルホスフィン、トリ−t−ブチルホスフィン、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、トリ−2−フリルホスフィン、トリ−o−トリルホスフィン、2−(ジクロロヘキシルホスフィノ)ビフェニル、トリフェニルアルシン、塩化テトラブチルアンモニウム、フッ化テトラブチルアンモニウム、酢酸リチウム、塩化リチウム、N−メチルイミダゾール、トリエチルアミン、カリウムナトリウムメトキシド、水酸化ナトリウム、炭酸塩、重炭酸ナトリウム、およびヨウ化ナトリウムが含まれる。
【0099】
この反応は、0から200℃、より好ましくは20から120℃の温度で行うことができる。反応時間は、一般に5分間から96時間、より好ましくは30分間から24時間である。
【0100】
ステップ4D:このステップでは、不活性溶媒中、式(XVII)のエステル化合物を加水分解することによって、式(III)の酸化合物を調製できる。
【0101】
この加水分解は、通常の手順で行うことができる。典型的な手順において、加水分解は、塩基性条件下、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、または水酸化リチウムの存在下で行われる。適切な溶媒には、例えば、アルコール、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、2−メトキシエタノール、およびエチレングリコールなど、エーテル、例えば、テトラヒドロフラン(THF)、1,2−ジメトキシエタン(DME)、および1,4−ジオキサンなど、アミド、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、およびヘキサメチルリン酸トリアミドなど、ならびにスルホキシド、例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)などが含まれる。好ましい溶媒は、メタノール、エタノール、プロパノール、テトラヒドロフラン(THF)、ジメトキシエタン(DME)、1,4−ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、およびジメチルスルホキシド(DMSO)である。
【0102】
この反応は、30分間から24時間、通常60分間から10時間、−20から100℃、通常20から65℃の範囲の温度で行うことができる。
【0103】
あるいは、加水分解は、酸性条件下、例えば、ハロゲン化水素、例えば、塩化水素および臭化水素など、スルホン酸、例えば、p−トルエンスルホン酸およびベンゼンスルホン酸など、p−トルエンスルホン酸ピリジウム、またはカルボン酸、例えば、酢酸およびトリフルオロ酢酸などの存在下で行うことができる。適切な溶媒には、例えば、アルコール、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、2−メトキシエタノール、およびエチレングリコールなど、エーテル、例えば、テトラヒドロフラン(THF)、1,2−ジメトキシエタン(DME)、および1,4−ジオキサンなど、アミド、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、およびヘキサメチルリン酸トリアミドなど、ならびにスルホキシド、例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)などが含まれる。好ましい溶媒は、メタノール、エタノール、プロパノール、テトラヒドロフラン(THF)、ジメトキシエタン(DME)、1,4−ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、およびジメチルスルホキシド(DMSO)である。この反応は、30分間から24時間、通常60分間から10時間、−20から100℃、通常20から65℃の範囲の温度で行うことができる。
【0104】
第5の方法によれば、式(XV)の化合物は、スキーム5に例示のとおり式(XVII)の化合物から調製することができる。
【0105】
【化10】

式中、Rは、(C〜C)アルキル、またはアリール、例えばフェニルなどを表す。
【0106】
ステップ5A:このステップでは、不活性溶媒中、標準的なオレフィン化条件下、または不活性溶媒中、塩基性条件下、in situで調製されたホスフィンイリド(XIX)、またはホスホランを用いて、式(XVIII)の化合物をオレフィン化することによって、式(XV)の化合物を調製できる。
【0107】
適切な溶媒の例には、トルエン、ベンゼン、キシレン、ジグリム、ジメチルスルホキシド、ジメトキシエタン、エーテル、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、および1,4−ジオキサンなど、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、アルコール、例えば、メタノールおよびエタノールなど、ハロゲン化炭化水素、例えば、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、および四塩化炭素など、ならびに酢酸が含まれる。適切なホスフィン試薬には、例えば、トリフェニルホスフィンおよびトリブチルホスフィンが含まれる。適切なハロゲン化メチレン試薬には、例えば、臭化メチル、臭化エチル、ヨウ化メチル、ヨウ化エチル、塩化メチル、塩化エチル、ブロモ酢酸メチル、ブロモアセトニトリル、1−ブロモアセトン、エチリデン(トリフェニル)ホスホラン、(トリフェニルホスホラニリデン)アセトニトリル、(トリフェニルホスホラニリデン)酢酸メチルが含まれる。
【0108】
好ましい塩基は、これらに限定されるものではないが、例えば、アルカリまたはアルカリ土類金属水酸化物、アルコキシド、炭酸塩、ハロゲン化物、または水素化物、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムt−ブトキシド、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、フッ化カリウム、水素化ナトリウム、または水素化カリウムなど、あるいはアミン、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、2,6−ルチジン、ピリジン、またはジメチルアミノピリジンなどから選択される。
【0109】
この反応は、0から300℃、より好ましくは20から200℃の温度で行うことができる。反応時間は、一般に5分間から96時間、より好ましくは30分間から24時間である。
【0110】
あるいは、第6の方法によれば、式(III)の化合物は、スキーム6に例示のとおり式(XX)の化合物から調製することができる。
【0111】
【化11】

式中、Zは、(C〜C)アルキル、(C〜C10)アルキルC(=O)、またはベンジルなどの適切なヒドロキシ保護基を表す。
【0112】
ステップ6A:このステップでは、不活性溶媒中、in situで調製されたカルベン試薬を用いて、式(XX)の化合物をクロロジフルオロ酢酸ナトリウムと反応させることによって、式(XXI)の化合物を調製できる。
【0113】
適切な溶媒の例には、ジグリム、ジメチルスルホキシド、ジメトキシエタン、エーテル、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、および1,4−ジオキサンなど、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、アルコール、例えば、メタノールおよびエタノールなど、ハロゲン化炭化水素、例えば、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、および四塩化炭素など、ならびに酢酸が含まれる。適切な試薬には、例えば、CH、CHCl、クロロジフルオロ酢酸ナトリウム、フルオロスルホニルジフルオロ酢酸トリメチルシリル、ヨウ化トリメチルスルホキソニウム、およびジアゾメタンが含まれる。
【0114】
この反応は、適切な触媒の存在下または非存在下で行うことができる。用いられる触媒の性質にも特定の制限はなく、この種の反応に通常用いられる任意の触媒を、この反応でも同様に用いることができる。そのような触媒の例には、Zn(0)、Cu(0)、Cu(アセチルアセトナート)、5,10,15,20−テトラフェニル−21H,23H−ポルフィンCo(II)(Co(TPP))、およびPd(OAc)が含まれる。
【0115】
この反応は、適切な添加剤の存在下で行うことができる。そのような添加剤の例には、塩化アセチル、安息香酸メチル、フッ化ナトリウム、トリフェニルホスフィン、トリ−t−ブチルホスフィン、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、トリ−2−フリルホスフィン、トリ−o−トリルホスフィン、2−(ジクロロヘキシルホスフィノ)ビフェニル、トリフェニルアルシン、水素化ナトリウム、水素化カリウム、ナトリウムメトキシド、およびリチウムジイソプロピルアミドが含まれる。
【0116】
この反応は、0から300℃、より好ましくは20から200℃の温度で行うことができる。反応時間は、一般に5分間から96時間、より好ましくは30分間から24時間である。
【0117】
ステップ6B:このステップでは、酸性条件下、式(XXI)の化合物を脱保護することによって、式(XXII)の化合物を調製できる。反応温度は、一般に0から200℃の範囲、好ましくは室温である。反応時間は、一般に1分間から24時間、好ましくは5分間から1時間である。適切な試薬には、例えば、塩酸、トリフルオロメタンスルホン酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、および酢酸が含まれる。
【0118】
適切な溶媒の例には、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、アルコール、例えば、メタノールおよびエタノールなど、ハロゲン化炭化水素、例えば、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、および四塩化炭素など、ならびに酢酸が含まれる。
【0119】
あるいは、脱保護は、不活性溶媒中、水素雰囲気下で金属触媒の存在下、あるいはギ酸またはギ酸アンモニウムなどの水素源の存在下、水素化反応によって行うことができる。所望であれば、この反応は、酸性条件下、例えば、塩酸または酢酸の存在下で行われる。好ましい金属触媒は、例えば、ラネーニッケルなどのニッケル触媒、パラジウム−炭素、水酸化パラジウム−炭素、酸化白金、白金−炭素、ルテニウム−炭素、ロジウム−酸化アルミニウム、および塩化トリス[トリフェニルホスフィン]ロジウムから選択される。適切な不活性水性または非水性有機溶媒の例には、アルコール、例えば、メタノールおよびエタノールなど、エーテル、例えば、テトラヒドロフランおよび1,4−ジオキサンなど、アセトン、ジメチルホルムアミド、ハロゲン化炭化水素、例えば、ジクロロメタン、ジクロロエタン、およびクロロホルムなど、ならびに酢酸、またはそれらの混合物が含まれる。この反応は、20から100℃の範囲、好ましくは20から60℃の範囲の温度で行うことができる。反応時間は、一般に10分間から4日間、好ましくは30分間から24時間である。この反応は、1から100atm、好ましくは1から10atmの圧力で水素雰囲気下、行うことができる。
【0120】
ステップ6C:このステップでは、不活性溶媒中、酸化剤を用いて式(XXII)の化合物を酸化することによって、式(III)の化合物を調製できる。
【0121】
適切な酸化剤の例には、塩化オキサリル−ジメチルスルホキシド(スワン酸化条件)、クロロクロム酸ピリジニウム(PCC)、二クロム酸ピリジニウム(PDC)、二酸化マンガン、および過ルテニウム酸テトラプロピルアンモニウム(TPAP)が含まれる。この反応は、適切な不活性溶媒中、例えば、クロロホルム、ジクロロエタン、および1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素中で行うことができる。この反応は、5分間から30時間、通常15分間から20時間、−100から80℃、通常−80から50℃の範囲の温度で行うことができる。
【0122】
あるいは、第7の方法によれば、式(III)の化合物は、スキーム7に例示のとおり式(XXIII)の化合物から調製することができる。
【0123】
【化12】

式中、Rは、(C〜C)アルキルまたはベンジルなどの適切な酸保護基を表す。
【0124】
ステップ7A:このステップでは、不活性溶媒中、in situで調製されたカルベン試薬を用いて、式(XXIII)の化合物をシクロプロパン化することによって、式(XXIV)の化合物を調製できる。
【0125】
適切な溶媒の例には、ジグリム、ジメチルスルホキシド、ジメトキシエタン、エーテル、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、および1,4−ジオキサンなど、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、アルコール、例えば、メタノールおよびエタノールなど、ハロゲン化炭化水素、例えば、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、および四塩化炭素など、ならびに酢酸が含まれる。適切な試薬には、例えば、CH、CHCl、クロロジフルオロ酢酸ナトリウム、フルオロスルホニルジフルオロ酢酸トリメチルシリル、ヨウ化トリメチルスルホキソニウム、およびジアゾメタンが含まれる。
【0126】
この反応は、適切な触媒の存在下または非存在下で行うことができる。用いられる触媒の性質にも特定の制限はなく、この種の反応に通常用いられる任意の触媒を、この反応でも同様に用いることができる。そのような触媒の例には、Zn(0)、Cu(0)、Cu(アセチルアセトナート)、5,10,15,20−テトラフェニル−21H,23H−ポルフィンCo(II)(Co(TPP))、およびPd(OAc)が含まれる。
【0127】
この反応は、適切な添加剤の存在下で行うことができる。そのような添加剤の例には、塩化アセチル、安息香酸メチル、フッ化ナトリウム、トリフェニルホスフィン、トリ−t−ブチルホスフィン、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、トリ−2−フリルホスフィン、トリ−o−トリルホスフィン、2−(ジクロロヘキシルホスフィノ)ビフェニル、トリフェニルアルシン、水素化ナトリウム、水素化カリウム、ナトリウムメトキシド、およびリチウムジイソプロピルアミドが含まれる。
【0128】
この反応は、0から300℃、より好ましくは20から200℃の温度で行うことができる。反応時間は、一般に5分間から96時間、より好ましくは30分間から24時間である。
【0129】
ステップ7B:このステップでは、式(XXIV)のエステル化合物を加水分解することによって、式(III)の化合物を調製できる。この反応は、スキーム4のステップ4Dに記載のものと類似しており、同じ様式で、同じ試薬および反応条件を用いて行うことができる。
【0130】
上記の一般的合成の出発材料は、市販され入手可能であるか、または当業者に知られている通常の方法によって得ることができる。あるいは、式(XII)のある種のフェノールは、XがCHまたはCRであり、Rがt−ブチルまたは2,2,2−トリフルオロ−1,1−ジメチルエチルであるとき、下記のスキーム8に例示の方法に従って調製することができる。
【0131】
【化13】

式中、Rは、(C〜C)アルキル、ベンジル、ベンゾイル、または(C〜C)アルキルシリルなどの適切な保護基であり、好ましくはメチルであり、Rは、メチルまたはトリフルオロメチルであり、Xは、ハロゲンである。
【0132】
ステップ8A:このステップでは、式(XXV)の化合物とアルキルリチウムとの配向メタル化反応によって、式(XXVI)の有機リチウム化合物を調製できる。この反応は、有機金属試薬、または金属の存在下で行うことができる。適切な有機金属試薬の例には、アルキルリチウム、例えば、n−ブチルリチウム、s−ブチルリチウム、およびt−ブチルリチウムなど、ならびにアリールリチウム、例えば、フェニルリチウム、およびリチウムナフタリドなどが含まれる。好ましい反応不活性溶媒には、例えば、炭化水素、例えば、ヘキサンなど、エーテル、例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシエタン(DME)、テトラヒドロフラン(THF)、および1,4−ジオキサンなど、またはそれらの混合物が含まれる。反応温度は、一般に−100から50℃の範囲、好ましくは−100℃から室温の範囲である。反応時間は、一般に1分間から1日間、好ましくは1時間から10時間である。
【0133】
ステップ8B:このステップでは、ケトンによる式(XXVI)の化合物の求核付加によって、式(XXVII)の化合物を調製できる。適切なケトン試薬の例には、アセトンおよび1,1,1−トリフルオロアセトンが含まれる。好ましい不活性溶媒には、例えば、炭化水素、例えば、ヘキサンなど、エーテル、例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシエタン(DME)、テトラヒドロフラン(THF)、およびジオキサンなど、またはそれらの混合物が含まれる。反応温度は、一般に−100から50℃の範囲、好ましくは−100℃から室温の範囲である。反応時間は、一般に1分間から1日間、好ましくは1時間から10時間である。
【0134】
ステップ8C:このステップでは、ハロゲン化剤による式(XXVII)の化合物のハロゲン化反応によって、式(XXVIII)の化合物を調製できる。ハロゲン化は、不活性溶媒中、または溶媒を用いずに、適切なハロゲン化剤の存在下で行うことができる。好ましい不活性溶媒には、例えば、炭化水素、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンなど、ハロゲン化炭化水素、例えば、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、または四塩化炭素など、あるいはそれらの混合物が含まれる。好ましいハロゲン化剤は、これらに限定されるものではないが、以下の例、塩化チオニル、塩化オキサリル、オキシ塩化リン、塩化チタン、五塩化リンから選択され、触媒ピリジンと組み合わせてもよい。好ましくは、ハロゲン化剤は、塩化チオニルと触媒ピリジンの組合せである。反応温度は、一般に−100から200℃の範囲、好ましくは−40から100℃の範囲である。反応時間は、一般に1分間から1日間、好ましくは1時間から10時間である。
【0135】
ステップ8D:このステップでは、アルキル化剤による式(XXVIII)の化合物の置換反応によって、式(XXIX)の化合物を調製できる。このアルキル化は、不活性溶媒中、適切なアルキル化剤の存在下で行うことができる。好ましい不活性溶媒には、例えば、ハロゲン化炭化水素、例えば、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、または四塩化炭素など、エーテル、例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、DME、THF、および1,4−ジオキサンなど、炭化水素、例えば、n−ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエンなど、またはそれらの混合物が含まれる。好ましいアルキル化剤は、これらに限定されるものではないが、以下の例、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウムなどのトリアルキル金属;臭化リチウムなどの添加化合物の存在下、臭化メチルマグネシウムなどのアルキルマグネシウムハロゲン化物;ジメチル亜鉛と塩化チタンから調製された二塩化ジメチル亜鉛などのジアルキル亜鉛ハロゲン化物から選択され、好ましくはトリメチルアルミニウムである。反応温度は、一般に−100から200℃の範囲、好ましくは−40から100℃の範囲である。反応時間は、一般に1分間から1日間、好ましくは1時間から10時間である。
【0136】
ステップ8E:このステップでは、不活性溶媒中、脱保護剤による式(XXIX)の化合物の脱保護によって、式(XII)の化合物を調製できる。適切な脱保護剤の例には、ハロゲン化ホウ素、例えば、三臭化ホウ素、三塩化ホウ素など、およびハロゲン化水素、例えば臭化水素などが含まれる。好ましい不活性溶媒には、例えば、ハロゲン化炭化水素、例えば、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、または四塩化炭素など、および酢酸が含まれる。反応温度は、一般に−100から200℃の範囲、好ましくは−80から80℃の範囲である。反応時間は、一般に1分間から1日間、好ましくは1時間から10時間である。
【0137】
式(I)の化合物、および上述の調製法の中間体は、再結晶またはクロマトグラフ精製などの通常の手順によって、単離および精製することができる。
【0138】
上に記載した様々な一般的方法は、必要とされる化合物の段階的形成において任意の段階で所望の基を導入するのに有用である可能性があり、これらの一般的方法をそのような多段階法において様々に組み合わせられることを理解されたい。当然ながら、多段階方法における反応の順序は、用いられる反応条件が最終生成物に所望である分子の基に影響を及ぼさないように選択されるべきである。
【0139】
生物学的活性の評価方法
ヒトVR1アンタゴニストアッセイ
VR1アンタゴニスト活性は、ヒトVR1高発現細胞を用いて、Ca2+イメージングアッセイによって求めることができる。ヒトVR1受容体を高度に発現する細胞は、いくつかの異なる通常の方法によって得ることができる。標準的な一方法は、学術論文Nature、389、816〜824頁、1997に記載されているような方法による、ヒト後根神経節(DRG)または腎臓からのクローニングである。あるいは、VR1受容体高発現ヒトケラチノサイトも知られており、学術論文で発表されている(Biochemical and Biophysical Research Communications、291、124〜129頁、2002)。この論文では、カプサイシンの添加による細胞内Ca2+の上昇がVR1によって仲介されることがヒトケラチノサイトによって実証された。さらに、通常はサイレント遺伝子であるか、または検出可能なレベルのVR1受容体を生じない、ヒトVR1遺伝子をアップレギュレートする方法も、適切な細胞を得るために利用可能である。そのような遺伝子修飾法は、Nat.Biotechnol.19、440〜445頁、2001に詳細に記載されている。
【0140】
ヒトVR1受容体を発現する細胞を、アッセイに使用するまで、5%COを含有する環境中、37℃で培養フラスコに維持した。VR1アンタゴニスト活性を求めるための細胞内Ca2+イメージングアッセイを、以下の手順で行った。
【0141】
フラスコから培地を除去し、fura−2/AM蛍光カルシウム指示薬を媒質中5μMの濃度でフラスコに添加した。フラスコをCOインキュベーターに入れ、1時間インキュベートした。次いで、ヒトVR1受容体を発現する細胞をフラスコから取り出し、その後、リン酸緩衝食塩水PBS(−)で洗浄し、アッセイ緩衝液に再懸濁した。細胞懸濁液(3.75×10細胞/ml)のアリコート80μlをアッセイプレートに入れ、遠心分離(950rpm、20℃、3分)によって細胞を遠沈させた。
【0142】
カプサイシン刺激アッセイ
細胞内カルシウム濃度のカプサイシン誘発性変化を、FDSS6000(Hamamatsu Photonics、Japan)蛍光イメージングシステムを用いてモニターした。クレブス・リンガーHEPES(KRH)緩衝液(115mM NaCl、5.4mM KCl、1mM MgSO、1.8mM CaCl、11mM D−グルコース、25mM HEPES、0.96mM NaHPO、pH7.3)中の細胞懸濁液を、暗所条件下、室温で15分間、様々な濃度の試験化合物またはKRH緩衝液(緩衝液コントロール)と共にプレインキュベートした。次いで、アッセイ混合物中300nMのカプサイシン溶液を、FDSS6000によって、アッセイプレートに自動的に添加した。
【0143】
酸刺激アッセイ
細胞内カルシウム濃度の酸誘発性変化を、FDSS6000(Hamamatsu Photonics、Japan)蛍光イメージングシステムを用いてモニターした。静止緩衝液(10mM HEPESを加えたHBSS、pH7.4)中の細胞懸濁液を、暗所条件下、室温で15分間、様々な濃度の試験化合物または静止緩衝液(緩衝液コントロール)と共にプレインキュベートした。細胞を、FDSS6000によって、刺激溶液(MESを加えたHBSS、最終アッセイ緩衝液pH5.8)に自動的に添加した。VR1アンタゴニストのIC50値は、酸刺激後、緩衝液コントロール試料が示した上昇の半分から求めた。
【0144】
アンタゴニスト活性の判定
蛍光シグナル(λex=340nm/380nm、λem=510〜520nm)の変化のモニタリングを、カプサイシン溶液または酸性緩衝液を添加する1分前に開始し、5分間継続した。VR1アンタゴニストのIC50値は、アゴニスト刺激後、緩衝液コントロール試料が示した上昇の半分から求めた。
【0145】
慢性絞扼性損傷モデル(CCIモデル)
雄Sprague−Dawleyラット(270〜300g、B.W.、Charles River、Tsukuba、Japan)を用いた。BennettおよびXie(Bennett,G.J.およびXie,Y.K.Pain 33:87〜107、1988)に記載の方法に従って、慢性絞扼性損傷(CCI)手術を行った。簡潔に述べると、ペントバルビタールナトリウムで動物を麻酔し(64.8mg/kg、腹腔内)、太腿二頭筋の鈍的切開によって、太腿の中央位で左総坐骨神経を露出した。坐骨三分岐の近位で付着組織を剥離し、その周囲を約1mm間隔で4本の結紮糸(4−0シルク)で緩く結んだ。坐骨神経を結紮することを除いて、CCI手術と同様に擬似手術を行った。手術2週間後、後肢の足底面にvon Frey毛(VFH)を適用することによって、機械的アロディニアを評価した。反応を誘出するのに要したVFHの最小量の力を、肢逃避閾値(PWT)として記録した。投与後0.5、1、および2時間にVFH試験を行った。クラスカル・ワリス検定を用い、その後、多重比較はダン検定、または一対比較はマン・ホイットニーU検定によって、実験データを解析した。
【0146】
ヒト肝ミクロソーム(HLM)における半減期
試験化合物(1μM)を、96ディープウェルプレートにおいて、37℃で100mMのリン酸カリウム緩衝液(pH7.4)中、3.3mM MgClおよび0.78mg/ml HLM(HL101)と共にインキュベートした。反応混合物を、非P450群とP450群の2群に分けた。P450群の反応混合物にのみNADPHを添加した。P450群の試料のアリコートを、0分、10分、30分、および60分時点で採取したが、ここで0分時点はP450群の反応混合物にNADPHを添加した時間を示す。非P450群の試料のアリコートを、−10分および65分時点で採取した。採取したアリコートを、内部標準を含有するアセトニトリル溶液で抽出した。析出したタンパク質を遠心分離機(2000rpm、15分)で遠沈させた。上澄みの化合物濃度を、LC/MS/MSシステムで測定した。
【0147】
時間に対する化合物/内部標準のピーク面積比の自然対数をプロットして、半減期値を得た。各時点を通しての最良適合直線の勾配から代謝速度(k)を得る。下記の式を用いて、これを半減期値に変換した。
半減期=ln2/k
【0148】
モノヨード酢酸(MIA)誘発性OAモデル
雄6週齢Sprague−Dawley(SD、Japan SLCまたはCharles River Japan)ラットをペントバルビタールで麻酔した。MIAの注射部位(膝)を剃毛し、70%エタノールで清浄にした。25μlのMIA溶液または食塩水を、29Gの針を用いて、右膝関節に注射した。Incapacitance Tester(Linton Instrumentation、Norfolk、UK)を用いて、右膝(損傷)と左膝(非処置)への重量配分に対する関節損傷の影響を評価した。各後肢によって加えられた力をグラム単位で測定した。それぞれの肢に対する荷重の差異によって、体重負荷(WB)の欠損を判定した。MIA注射から20日後まで、週に1回、WBを測定するようにラットを訓練した。MIA注射から21日後、化合物の鎮痛効果を測定した。化合物投与前、WB欠損の「投与前値」を測定した。化合物の投与後、WB欠損の減衰を鎮痛効果として求めた。
【0149】
製剤物質
式(I)の化合物の薬学的に許容できる塩には、その酸付加塩および塩基塩が含まれる。
【0150】
適切な酸付加塩は、非毒性塩を形成する酸から形成される。例には、酢酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベシル酸塩、重炭酸塩/炭酸塩、重硫酸塩/硫酸塩、ホウ酸塩、カンシル酸塩、クエン酸塩、エジシル酸塩、エシル酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、ヘキサフルオロリン酸塩、ヒベンズ酸塩、塩酸塩/塩化物、臭化水素酸塩/臭化物、ヨウ化水素酸塩/ヨウ化物、イセチオン酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メシル酸塩、メチル硫酸塩、ナフチル酸塩、2−ナプシル酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オロチン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、リン酸塩/リン酸水素/リン酸二水素、サッカリン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、トシル酸塩、およびトリフルオロ酢酸塩が含まれる。
【0151】
適切な塩に関する概説は、「Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties,Selection,and Use」、StahlおよびWermuth(Wiley−VCH、Weinheim、Germany、2002)を参照されたい。
【0152】
式(I)の化合物の薬学的に許容できる塩は、式(I)の化合物の溶液と適宜所望の酸または塩基とを混合することによって容易に調製することができる。その塩を溶液から析出させ、濾過によって集めるか、溶媒の蒸発によって回収することができる。塩のイオン化度は、完全なイオン化からほぼ非イオン化まで多様であってよい。
【0153】
本発明の化合物は、非溶媒和形態および溶媒和形態の両方で存在することができる。本明細書では、「溶媒和物」という用語は、本発明の化合物と1種または複数の薬学的に許容できる溶媒分子、例えばエタノールとを含む分子複合体を記載するために用いられる。前記溶媒が水であるとき、「水和物」という用語が用いられる。
【0154】
包接体、上述の溶媒和物とは対照的に、薬物と宿主が化学量論的または非化学量論的量で存在する薬物−宿主包接複合体などの複合体が、本発明の範囲に含まれる。化学量論的または非化学量論的量であってよい2種以上の有機および/または無機成分を含有する薬物の複合体も含まれる。結果として得られた複合体は、イオン化、部分イオン化、または非イオン化されていてよい。そのような複合体の概説として、J Pharm Sci.64(8)、1269〜1288、Haleblian(August 1975)を参照されたい。
【0155】
以下、式(I)の化合物への言及はすべて、その塩、溶媒和物、および複合体、ならびにその塩の溶媒和物および複合体への言及を含む。
【0156】
本発明の化合物には、上に定義した式(I)の化合物、以下に定義するその多形、プロドラッグ、および異性体(光学、幾何、および互変異性体を含む)、ならびに同位体標識された式(I)の化合物が含まれる。
【0157】
上述のとおり、本発明は、上に定義した式(I)の化合物のすべての多形を含む。
【0158】
式(I)の化合物のいわゆる「プロドラッグ」も本発明の範囲内である。例えば、それ自体ほとんどまたはまったく薬理活性を持たない可能性のある式(I)の化合物のある種の誘導体は、身体内または身体上に投与されたとき、例えば加水分解によって、所望の活性を有する式(I)の化合物に変換され得る。そのような誘導体を「プロドラッグ」と称する。プロドラッグの使用に関するさらなる情報は、「Pro−drugs as Novel Delivery Systems」、Vol.14、ACS Symposium Series(T HiguchiおよびW Stella)、ならびに「Bioreversible Carriers in Drug Design」、Pergamon Press、1987(E B Roche編、American Pharmaceutical Association)に見出すことができる。
【0159】
本発明によるプロドラッグは、例えば、式(I)の化合物に存在する適切な官能基を、例えば「Design of Prodrugs」H Bundgaard(Elsevier、1985)に記載されている、当業者に「プロ部分」として知られているある種の部分で置き換えることによって生成できる。
【0160】
本発明によるプロドラッグのいくつかの例には、
(i)式(I)の化合物がアルコール官能基(−OH)を含有する場合、そのエーテル、例えば水素の(C〜C)アルカノイルオキシメチルによる置換、および
(ii)式(I)の化合物が第一級または第二級アミノ官能基(−NHまたは−NHR、式中R≠H)を含有する場合、そのアミド、例えば1つまたは両方の水素の(C〜C10)アルカノイルによる置換が含まれる。
【0161】
上述の例および他のプロドラッグ型の例による置換基のさらなる例は、前述の参考文献に見出すことができる。
【0162】
最後に、式(I)のある種の化合物は、式(I)の他の化合物のプロドラッグとしてそれ自体作用することができる。
【0163】
1つまたは複数の不斉炭素原子を含有する式(I)の化合物は、2種以上の立体異性体として存在できる。式(I)の化合物が、アルケニルまたはアルケニレン基を含む場合、幾何シス/トランス(またはZ/E)異性体が考えられる。化合物が、例えばケトまたはオキシム基、あるいは芳香族部分を含有する場合、互変異性(tautomeric isomerism)(「互変異性(tautomerism)」が生じ得る。その結果として、単一の化合物は、複数の型の異性を示す可能性がある。
【0164】
複数の型の異性を示す化合物を含む、式(I)の化合物のすべての立体異性体、幾何異性体、および互変異性型、ならびに1つまたは複数のそれらの混合物が本発明の範囲に含まれる。さらに、対イオンが光学活性であるか(例えばD−乳酸塩またはL−リシン)、あるいはラセミ体である(例えばDL−酒石酸塩またはDL−アルギニン)酸付加塩または塩基塩も含まれる。
【0165】
シス/トランス異性体は、当業者によく知られている通常の技法、例えばクロマトグラフィーおよび分別結晶によって分離することができる。
【0166】
個々のエナンチオマーを調製/単離するための通常の技法には、光学的に純粋な適切な前駆体からのキラル合成、または、例えばキラル高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いるラセミ体(あるいは塩または誘導体のラセミ体)の分割が含まれる。
【0167】
あるいは、ラセミ体(またはラセミ前駆体)を、適切な光学活性化合物、例えばアルコール、あるいは式(I)の化合物が酸性または塩基性部分を含有する場合、酒石酸または1−フェニルエチルアミンなどの酸または塩基と反応させることができる。結果として得られたジアステレオマー混合物を、クロマトグラフィーおよび/または分別結晶によって分離し、当業者によく知られている手段によって、ジアステレオマーの1つまたは両方を、対応する純粋なエナンチオマーに変換することができる。
【0168】
本発明のキラル化合物(およびそのキラル前駆体)は、クロマトグラフィー、典型的にはHPLCを用いて、0から50%のイソプロパノール、典型的には2から20%、および0から5%のアルキルアミン、典型的には0.1%のジエチルアミンを含有する炭化水素、典型的にはヘプタンまたはヘキサンからなる移動相を用い、非対称樹脂においてエナンチオマーに富む形態で得ることができる。溶離液の濃縮によって富化混合物を得る。
【0169】
立体異性体の集合体は、当業者に知られている通常の技法によって分離することができ、例えば「Stereochemistry of Organic Compounds」、E L Eliel(Wiley、New York、1994)を参照されたい。
【0170】
本発明は、1つまたは複数の原子が、同じ原子番号を有するが、通常天然に見出される原子質量または質量数とは異なる原子質量または質量数を有する原子で置き換えられている、すべての薬学的に許容できる同位標識された式(I)の化合物を含む。
【0171】
本発明の化合物に含まれるのに適した同位体の例には、水素の同位体、HおよびHなど、炭素の同位体、11C、13C、および14Cなど、塩素の同位体、36Clなど、フッ素の同位体、18Fなど、ヨウ素の同位体、123Iおよび125Iなど、窒素の同位体、13Nおよび15Nなど、酸素の同位体、15O、17O、および18Oなど、リンの同位体、32Pなど、ならびに硫黄の同位体、35Sなどが含まれる。
【0172】
ある種の同位体標識された式(I)の化合物、例えば放射性同位体を取り込んだ化合物は、薬物および/または基質の組織分布研究に有用である。放射性同位体トリチウム、すなわちH、および炭素14、すなわち14Cは、それらの取り込みが容易であり、検出手段が容易である点から、この目的のために特に有用である。
【0173】
重水素、すなわちHなどの重い同位体で置換することによって、より高い代謝安定性、例えばin vivo半減期の増大、または必要用量の低減に起因するある種の治療上の利点がもたらされる可能性があり、したがってある状況では好ましい可能性がある。
【0174】
11C、18F、15O、および13Nなどの陽電子放出同位体による置換は、基質受容体占有率を調べるための陽電子放出トポグラフィ(Positron Emission Topography)(PET)試験に有用であり得る。
【0175】
同位体標識された式(I)の化合物は、当業者に知られている通常の技法によって、または下記の実施例および調製法に記載するものと類似の方法によって、以前に用いられた非標識試薬の代わりに適切な同位体標識試薬を用いて、一般に調製することができる。
【0176】
本発明による薬学的に許容できる溶媒和物には、例えばDO、d−アセトン、d−DMSOなど、結晶化の溶媒が同位体置換されていてもよい溶媒和物が含まれる。
【0177】
医薬として用いるための本発明の化合物は、結晶質または非晶質製品として投与することができる。それらは、沈殿、結晶化、凍結乾燥、噴霧乾燥、または蒸発乾燥などの方法によって、例えば固体プラグ、粉末、またはフィルムとして得ることができる。この目的のために、マイクロ波または高周波乾燥を用いることができる。
【0178】
それらの化合物は、単独で、あるいは1種または複数の本発明による他の化合物と組み合わせて、あるいは1種または複数の他の薬物と組み合わせて(あるいは、それらの任意の組合せとして)投与することができる。一般に、それらの化合物は、1種または複数の薬学的に許容できる賦形剤と共に製剤として投与される。本明細書では、「賦形剤」という用語は、本発明の化合物以外の任意の成分を記述するために用いられる。賦形剤の選択は、特定の投与様式、溶解性および安定性に対する賦形剤の影響、ならびに投与形態の性質などの要因に大いに依存するであろう。
【0179】
本発明の化合物の送達に適した医薬組成物、およびそれらの調製方法は、当業者には容易に明らかとなるであろう。そのような組成物、およびそれらの調製方法は、例えば「Remington’s Pharmaceutical Sciences」、第19版(Mack Publishing Company、1995)に見出すことができる。
【0180】
経口投与
本発明の化合物は経口投与することができる。経口投与は、化合物が胃腸管に入るように嚥下することを含むことができ、あるいはそれによって化合物が口から直接血流に入る口腔投与または舌下投与を用いることができる。
【0181】
経口投与に適した製剤には、固体製剤、例えば錠剤、粒子、液体、または粉末を含有するカプセル剤、ロゼンジ(液体充填ロゼンジを含む)、咀嚼剤、マルチ粒子およびナノ粒子、ゲル、固溶体、リポソーム、フィルム(粘膜付着性フィルムを含む)、坐剤(ovule)、スプレー、および液体製剤が含まれる。
【0182】
液体製剤には、懸濁剤、液剤、シロップ剤、およびエリキシル剤が含まれる。そのような製剤は、軟質または硬質カプセルの充填剤として用いることができ、典型的に、担体、例えば水、エタノール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、メチルセルロース、または適切な油などと、1種または複数の乳化剤および/または懸濁化剤を含む。液体製剤は、例えばサシェから固体を再構成することによっても調製できる。
【0183】
本発明の化合物は、Expert Opinion in Therapeutic Patents、11(6)、981〜986、LiangおよびChen(2001)に記載のものなど、速溶性、速崩壊性投与形態で用いることもできる。
【0184】
錠剤投与形態の場合、用量に応じて、薬物は投与形態の1重量%から80重量%、より典型的には投与形態の5重量%から60重量%を占めることができる。薬物に加えて、錠剤は一般に崩壊剤を含有する。崩壊剤の例には、デンプングリコール酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、微結晶性セルロース、低級アルキル置換ヒドロキシプロピルセルロース、デンプン、アルファ化デンプン、およびアルギン酸ナトリウムが含まれる。一般に、崩壊剤は、投与形態の1重量%から25重量%、好ましくは5重量%から20重量%を占める。
【0185】
錠剤製剤に凝集性を付与するために、一般に結合剤が用いられる。適切な結合剤には、微結晶性セルロース、ゼラチン、糖、ポリエチレングリコール、天然および合成ゴム、ポリビニルピロリドン、アルファ化デンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、ならびにヒドロキシプロピルメチルセルロースが含まれる。錠剤はある種の希釈剤を含有することもでき、例えばラクトース(一水和物、噴霧乾燥一水和物、無水物など)、マンニトール、キシリトール、デキストロース、スクロース、ソルビトール、微結晶性セルロース、デンプン、および第二リン酸カルシウム二水和物などである。
【0186】
錠剤は場合によって、ラウリル硫酸ナトリウム、およびポリソルベート80などの界面活性剤、ならびに二酸化ケイ素、およびタルクなどの流動促進剤を含むこともできる。存在する場合、界面活性剤は、錠剤の0.2重量%から5重量%を占めることができ、流動促進剤は、錠剤の0.2重量%から1重量%を占めることができる。
【0187】
錠剤はまた一般に、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、フマル酸ステアリルナトリウム、およびステアリン酸マグネシウムとラウリル硫酸ナトリウムとの混合物などの潤滑剤を含有する。潤滑剤は一般に、錠剤の0.25重量%から10重量%、好ましくは0.5重量%から3重量%を占める。
【0188】
他の可能な成分には、抗酸化剤、着色剤、香味剤、保存剤、および味マスキング剤が含まれる。
【0189】
典型的な錠剤は、約80%までの薬物、約10重量%から約90重量%の結合剤、約0重量%から約85重量%の希釈剤、約2重量%から約10重量%の崩壊剤、および約0.25重量%から約10重量%の潤滑剤を含有する。
【0190】
錠剤のブレンドを直接またはローラーによって圧縮して、錠剤を形成することができる。あるいは、錠剤のブレンド、またはブレンドの一部を、錠剤化の前に湿式、乾式、または溶融顆粒化する、溶融凝固する、あるいは押出し成形することができる。最終製剤は、1つまたは複数の層を含むことができ、被覆されていても、被覆されていなくてもよく、カプセル化されていてもよい。
【0191】
錠剤の製剤化は「Pharmaceutical Dosage Forms:Tablets,Vol.1」、H.LiebermanおよびL.Lachman、Marcel Dekker、N.Y.、N.Y.、1980(ISBN 0−8247−6918−X)に論じられている。
【0192】
経口投与用の固体製剤は、即時放出および/または調節制御放出であるように製剤化することができる。調節放出製剤には、遅延、持続、パルス、制御、標的、およびプログラム放出が含まれる。
【0193】
本発明の目的に適した調節放出製剤は、米国特許第6106864号に記載されている。高エネルギー分散体、ならびに浸透および被覆粒子などの他の適切な放出技術の詳細は、Verma等、Pharmaceutical Technology On−line、25(2)、1〜14(2001)に見出される。制御放出を達成するためのチューイングガムの使用は、WO00/35298に記載されている。
【0194】
非経口投与
本発明の化合物は、血流、筋肉、または内部器官に直接投与することもできる。非経口投与に適した手段には、静脈内、動脈内、腹腔内、髄腔内、脳室内、尿道内、胸骨内、頭蓋内、筋内、および皮下が含まれる。非経口投与に適した装置には、針(マイクロニードルを含む)注射器、無針注射器、および注入技法が含まれる。
【0195】
非経口製剤は典型的に、塩、炭水化物、および緩衝剤(好ましくはpH3から9)などの賦形剤を含有してもよい水溶液であるが、いくつかの適用例では、滅菌非水性溶液として、または滅菌発熱物質除去水などの適切なビヒクルと共に用いる乾燥形態としてより適切に製剤化することができる。
【0196】
例えば凍結乾燥による、滅菌条件下での非経口製剤の調製は、当業者によく知られている標準的な製薬技法を用いて容易に達成することができる。
【0197】
非経口溶液の調製に用いられる式(I)の化合物の溶解性は、溶解促進剤を混入するなど、適切な製剤技法を用いることによって向上させることができる。無針注射投与によって用いるための製剤は、滅菌発熱物質除去水などの適切なビヒクルと共に粉末形態の本発明の化合物を含む。
【0198】
非経口投与用の製剤は、即時放出および/または調節制御放出であるように製剤化することができる。調節放出製剤には、遅延、持続、パルス、制御、標的、およびプログラム放出が含まれる。例えば本発明の化合物は、活性化合物を調節放出する埋め込みデポー剤として投与するための、固体、半固体、またはチキソトロピー液体として製剤化することができる。そのような製剤の例には、薬物被覆ステント、およびPGLAミクロスフェアが含まれる。
【0199】
局所投与
本発明の化合物は、皮膚または粘膜に、すなわち皮膚的または経皮的に局所投与することもできる。このための典型的な製剤には、ゲル、ヒドロゲル、ローション、液剤、クリーム、軟膏、粉剤、包帯剤、フォーム、フィルム、皮膚パッチ、ウエハー、インプラント、スポンジ、ファイバー、包帯、およびミクロエマルションが含まれる。リポソームも用いることができる。典型的な担体には、アルコール、水、鉱油、流動ワセリン、白色ワセリン、グリセリン、ポリエチレングリコール、およびプロピレングリコールが含まれる。浸透促進剤を混入してもよく、例えば、J Pharm Sci、88(10)、955〜958、FinninおよびMorgan(October 1999)を参照されたい。
【0200】
他の局所投与の手段には、エレクトロポレーション、イオントフォレシス、フォノフォレシス、ソノフォレシス、およびマイクロニードルまたは無針(例えばPowderject(商標)、Bioject(商標)など)注射による送達が含まれる。
【0201】
局所投与用の製剤は、即時放出および/または調節制御放出であるように製剤化することができる。調節放出製剤には、遅延、持続、パルス、制御、標的、およびプログラム放出が含まれる。
【0202】
吸入/鼻腔内投与
本発明の化合物は、典型的には乾燥粉末吸入器から乾燥粉末の形態で(単独で、または、例えばラクトースとの乾燥ブレンドの混合物として、または、例えばホスファチジルコリンなどのリン脂質と混合した混合成分粒子として)、あるいは加圧容器、ポンプ、スプレー、アトマイザ(好ましくは、微細ミストを生成するために電気流体力学を用いたアトマイザ)、またはネブライザからエアロゾルスプレーとして、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、または1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパンなどの適切な噴射剤を用いてまたは用いずに、鼻腔内または吸入によって投与することもできる。鼻腔内に使用する場合、粉剤は、生体接着剤、例えばキトサンまたはシクロデキストリンを含むことができる。
【0203】
加圧容器、ポンプ、スプレー、アトマイザ、またはネブライザは、活性剤を分散、可溶化、または延長放出するための、例えばエタノール、水性エタノール、または他の適切な剤、溶媒として噴射剤、および場合によって、トリオレイン酸ソルビタン、オレイン酸、またはオリゴ乳酸などの界面活性剤を含む、本発明の化合物の溶液または懸濁液を含有する。
【0204】
乾燥粉末製剤または懸濁製剤としての使用に先立って、薬物生成物を吸入による送達に適した大きさ(典型的に5ミクロン未満)に微粉化する。これは、スパイラルジェットミリング、流動床ジェットミリング、ナノ粒子を形成するための超臨界流体処理、高圧ホモジナイズ、または噴霧乾燥などの任意の適切な粉砕方法によって達成することができる。
【0205】
吸入器または注入器で用いるためのカプセル(例えばゼラチンまたはHPMCから製造)、ブリスター、およびカートリッジは、本発明の化合物、およびラクトースまたはデンプンなどの適切な粉末基剤、およびl−ロイシン、マンニトール、またはステアリン酸マグネシウムなどの性能改質剤の粉末混合物を含有するように製剤化することができる。ラクトースは無水であるか、または一水和物の形態であることができ、好ましくは後者である。他の適切な賦形剤には、デキストラン、グルコース、マルトース、ソルビトール、キシリトール、フルクトース、スクロース、およびトレハロースが含まれる。
【0206】
微細ミストを生成するために電気流体力学を用いるアトマイザで用いるのに適した溶液製剤は、作動当たり1μg〜20mgの本発明の化合物を含有することができ、作動量は、1μlから100μlまで多様であってよい。典型的な製剤は、式(I)の化合物、プロピレングリコール、滅菌水、エタノール、および塩化ナトリウムを含むことができる。プロピレングリコールの代わりに用いることのできる別の溶媒には、グリセロール、およびポリエチレングリコールが含まれる。
【0207】
吸入/鼻腔内投与するための本発明の製剤に、メントールおよびレボメントールなどの適切な香味剤、あるいはサッカリンまたはサッカリンナトリウムなどの甘味剤を添加することができる。
【0208】
吸入/鼻腔内投与用の製剤は、例えばポリ(DL−乳酸−グリコール酸)(PGLA)を用いて、即時放出および/または調節制御放出であるように製剤化することができる。調節放出製剤には、遅延、持続、パルス、制御、標的、およびプログラム放出が含まれる。
【0209】
乾燥粉末吸入器およびエアロゾルの場合、投与単位は、計量された量を送達する弁によって決定される。本発明による単位は、典型的に1μgから10mgの式(I)の化合物を含有する計量用量または「1吹き(puff)」を投与するように設定される。全日用量は、典型的に1μgから10mgの範囲となり、これを単回量で、またはより一般的には1日を通して分割量として投与することができる。
【0210】
直腸/膣内投与
本発明の化合物は、例えば坐剤、膣坐剤、または浣腸剤の形態で、直腸または膣内に投与することができる。カカオ脂が伝統的な坐剤基剤であるが、種々の代替物を適宜用いることができる。
【0211】
直腸/膣内投与用の製剤は、即時放出および/または調節制御放出であるように製剤化することができる。調節放出製剤には、遅延、持続、パルス、制御、標的、およびプログラム放出が含まれる。
【0212】
他の技法
本発明の化合物は、上述のいずれかの投与様式で用いるため、それらの溶解性、溶出速度、味マスキング、バイオアベイラビリティ、および/または安定性を改善するために、シクロデキストリンおよびその適切な誘導体、またはポリエチレングリコール含有ポリマーなどの可溶性高分子物質と組み合わせることができる。
【0213】
例えば薬物−シクロデキストリン複合体は、一般にほとんどの投与形態および投与経路に有用であることが見出されている。包接および非包接複合体の両方を用いることができる。薬物との直接複合体形成の代わりに、シクロデキストリンを補助添加剤、すなわち担体、希釈剤、または可溶化剤として用いることができる。これらの目的のために最も一般的に用いられるのは、アルファ、ベータ、およびガンマ−シクロデキストリンであり、その例は国際特許出願WO91/11172、WO94/02518、およびWO98/55148に見出すことができる。
【0214】
用量
ヒト患者に投与する場合、本発明の化合物の総日用量は、当然ながら投与様式に応じて、典型的に0.1mgから3000mg、好ましくは1mgから500mgの範囲である。例えば、経口投与は、0.1mgから3000mg、好ましくは1mgから500mgの総日用量を要する可能性があるが、静脈内投与は0.1mgから1000mg、好ましくは0.1mgから300mgのみを要する可能性がある。この総日用量は、単回用量または分割用量で投与することができる。
【0215】
これらの用量は、体重約65kgから70kgを有する平均的なヒト対象に基づくものである。乳児および高齢者など、その体重がこの範囲外である対象の用量を、医師は容易に決定できるであろう。
【0216】
疑義を避けるために、本明細書において「治療」への言及には、治癒的、姑息的、および予防的治療への言及が含まれる。
【0217】
VR1アンタゴニストは、特に疼痛の治療において、別の薬理活性化合物、または2種以上の他の薬理活性化合物と有用に組み合わせることができる。例えば、VR1アンタゴニスト、特に上に定義した式(I)の化合物、あるいは薬学的に許容できるその塩または溶媒和物は、以下から選択した1種または複数の薬剤と組み合わせて、同時に、連続して、または個別に投与することができる。
・ オピオイド鎮痛薬、例えば、モルヒネ、ヘロイン、ヒドロモルホン、オキシモルホン、レボルファノール、レバロルファン、メタドン、メペリジン、フェンタニル、コカイン、コデイン、ジヒドロコデイン、オキシコドン、ヒドロコドン、プロポキシフェン、ナルメフェン、ナロルフィン、ナロキソン、ナルトレキソン、ブプレノルフィン、ブトルファノール、ナルブフィン、またはペンタゾシン、
・ 非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)、例えば、アスピリン、ジクロフェナク、ジフルシナル、エトドラク、フェンブフェン、フェノプロフェン、フルフェニサール、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、ケトロラク、メクロフェナム酸、メフェナム酸、メロキシカム、ナブメトン、ナプロキセン、ニメスリド、ニトロフルルビプロフェン、オルサラジン、オキサプロジン、フェニルブタゾン、ピロキシカム、スルファサラジン、スリンダク、トルメチン、またはゾメピラク、
・ バルビツール酸系鎮静薬、例えば、アモバルビタール、アプロバルビタール、ブタバルビタール、ブタビタール、メホバルビタール、メタルビタール、メトヘキシタール、ペントバルビタール、フェノバルビタール、セコバルビタール、タルブタール、チアミラル、またはチオペンタール、
・ 鎮静作用を有するベンゾジアゼピン、例えば、クロルジアゼポキシド、クロラゼペート、ジアゼパム、フルラゼパム、ロラゼパム、オキサゼパム、テマゼパム、またはトリアゾラム、
・ 鎮静作用を有するHアンタゴニスト、例えば、ジフェンヒドラミン、ピリラミン、プロメタジン、クロルフェニラミン、またはクロルシクリジン、
・ 鎮静剤、例えば、グルテチミド、メプロバメート、メタカロン、またはジクロラルフェナゾンなど、
・ 骨格筋弛緩薬、例えば、バクロフェン、カリソプロドール、クロルゾキサゾン、シクロベンザプリン、メトカルバモール、またはオルフレナジン、
・ NMDA受容体アンタゴニスト、例えば、デキストロメトルファン((+)−3−ヒドロキシ−N−メチルモルフィナン)、またはその代謝物デキストロルファン((+)−3−ヒドロキシ−N−メチルモルフィナン)、ケタミン、メマンチン、ピロロキノリンキニーネ、シス−4−(ホスホノメチル)−2−ピペリジンカルボン酸、ブジピン、EN−3231(MorphiDex(登録商標)、モルヒネとデキストロメトルファンの併用製剤)、トピラメート、ネラメキサン、またはNR2Bアンタゴニストを含むペルジンフォテル、例えば、イフェンプロジル、トラキソプロジル、または(−)−(R)−6−{2−[4−(3−フルオロフェニル)−4−ヒドロキシ−1−ピペリジニル]−1−ヒドロキシエチル−3,4−ジヒドロ−2(1H)−キノリノン、
・ アルファアドレナリン作動薬、例えば、ドキサゾシン、タムスロシン、クロニジン、グアンファシン、デクスメタトミジン、モダフィニル、または4−アミノ−6,7−ジメトキシ−2−(5−メタン−スルホンアミド−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノール−2−イル)−5−(2−ピリジル)キナゾリン、
・ 三環系抗うつ剤、例えば、デシプラミン、イミプラミン、アミトリプチリン、またはノルトリプチリン、
・ 抗痙攣剤、例えば、カルパマゼピン、ラモトリジン、トピラメート、またはバルプロエート、
・ タキキニン(NK)アンタゴニスト、特にNK−3、NK−2、またはNK−1アンタゴニスト、例えば、(αR,9R)−7−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]−8,9,10,11−テトラヒドロ−9−メチル−5−(4−メチルフェニル)−7H−[1,4]ジアゾシノ[2,1−g][1,7]ナフチリジン−6−13−ジオン(TAK−637)、5−[[(2R,3S)−2−[(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エトキシ−3−(4−フルオロフェニル)−4−モルホリニル]−メチル]−1,2−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−オン(MK−869)、アプレピタント、ラネピタント、ダピタント、または3−[[2−メトキシ−5−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−メチルアミノ]−2−フェニル−ピペリジン(2S,3S)、
・ ムスカリン性アンタゴニスト、例えば、オキシブチニン、トルテロジン、プロピベリン、塩化トロプシウム、ダリフェナシン、ソリフェナシン、テミベリン、およびイプロトロピウム、
・ 選択的COX−2阻害剤、例えば、セレコキシブ、ロフェコキシブ、パレコキシブ、バルデコキシブ、デラコキシブ、エトリコキシブ、またはルミラコキシブ、
・ コールタール鎮痛薬、特にパラセタモール、
・ 神経弛緩薬、例えば、ドロペリドール、クロロプロマジン、ハロペリドール、ペルフェナジン、チオリダジン、メソリダジン、トリフルオペラジン、フルフェナジン、クロザピン、オランザピン、リスペリドン、ジプラシドン、クエチアピン、セルチンドール、アリピプラゾール、ソネピプラゾール、ブロナンセリン、イロペリドン、ペロスピロン、ラクロプライド、ゾテピン、ビフェプルノックス、アセナピン、ルラシドン、アミスルプリド、バラペリドン、パリンドーレ(palindore)、エプリバンセリン、オサネタント、リモナバント、メクリネルタント(meclinertant)、Miraxion(登録商標)、またはサリゾタン、
・ バニロイド受容体アゴニスト(例えば、レジンフェラトキシン)、またはアンタゴニスト(例えば、カプサゼピン)、
・ ベータアドレナリン作動薬、例えば、プロプラノロールなど、
・ 局所麻酔薬、例えば、メキシレチンなど、
・ コルチコステロイド、例えば、デキサメタゾンなど、
・ 5−HT受容体アゴニストまたはアンタゴニスト、特に5−HT1B/1Dアゴニスト、例えば、エレトリプタン、スマトリプタン、ナラトリプタン、ゾルミトリプタン、またはリザトリプタンなど、
・ 5−HT2A受容体アンタゴニスト、例えば、R(+)−アルファ−(2,3−ジメトキシ−フェニル)−1−[2−(4−フルオロフェニルエチル)]−4−ピペリジンメタノール(MDL−100907)など、
・ コリン作用性(ニコチン性)鎮痛薬、例えば、イスプロニクリン(TC−1734)、(E)−N−メチル−4−(3−ピリジニル)−3−ブテン−1−アミン(RJR−2403)、(R)−5−(2−アゼチジニルメトキシ)−2−クロロピリジン(ABT−594)、またはニコチンなど、
・ Tramadol(登録商標)、
・ PDEV阻害剤、例えば、5−[2−エトキシ−5−(4−メチル−1−ピペラジニル−スルホニル)フェニル]−1−メチル−3−n−プロピル−1,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン(シルデナフィル)、(6R,12aR)−2,3,6,7,12,12a−ヘキサヒドロ−2−メチル−6−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−ピラジノ[2’,1’:6,1]−ピリド[3,4−b]インドール−1,4−ジオン(IC−351、またはタダラフィル)、2−[2−エトキシ−5−(4−エチル−ピペラジン−1−イル−1−スルホニル)−フェニル]−5−メチル−7−プロピル−3H−イミダゾ[5,1−f][1,2,4]トリアジン−4−オン(バルデナフィル)、5−(5−アセチル−2−ブトキシ−3−ピリジニル)−3−エチル−2−(1−エチル−3−アゼチジニル)−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン、5−(5−アセチル−2−プロポキシ−3−ピリジニル)−3−エチル−2−(1−イソプロピル−3−アゼチジニル)−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン、5−[2−エトキシ−5−(4−エチルピペラジン−1−イルスルホニル)ピリジン−3−イル]−3−エチル−2−[2−メトキシエチル]−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン、4−[(3−クロロ−4−メトキシベンジル)アミノ]−2−[(2S)−2−(ヒドロキシメチル)ピロリジン−1−イル]−N−(ピリミジン−2−イルメチル)ピリミジン−5−カルボキサミド、3−(1−メチル−7−オキソ−3−プロピル−6,7−ジヒドロ−1H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−5−イル)−N−[2−(1−メチルピロリジン−2−イル)エチル]−4−プロポキシベンゼンスルホンアミドなど、
・ アルファ−2−デルタリガンド、例えば、ガバペンチン、プレガバリン、3−メチルガバペンチン、(1α,3α,5α)(3−アミノメチル−ビシクロ[3.2.0]ヘプタ−3−イル)−酢酸、(3S,5R)−3−アミノメチル−5−メチル−ヘプタン酸、(3S,5R)−3−アミノ−5−メチル−ヘプタン酸、(3S,5R)−3−アミノ−5−メチル−オクタン酸、(2S,4S)−4−(3−クロロフェノキシ)プロリン、(2S,4S)−4−(3−フルオロベンジル)−プロリン、[(1R,5R,6S)−6−(アミノメチル)ビシクロ[3.2.0]ヘプタ−6−イル]−酢酸、3−(1−アミノメチル−シクロヘキシルメチル)−4H−[1,2,4]オキサジアゾール−5−オン、C−[1−(1H−テトラゾール−5−イルメチル)−シクロヘプチル]−メチルアミン、(3S,4S)−(1−アミノメチル−3,4−ジメチル−シクロペンチル)−酢酸、(3S,5R)−3−アミノメチル−5−メチル−オクタン酸、(3S,5R)−3−アミノ−5−メチル−ノナン酸、(3S,5R)−3−アミノ−5−メチル−オクタン酸、(3R,4R,5R)−3−アミノ−4,5−ジメチル−ヘプタン酸、および(3R,4R,5R)−3−アミノ−4,5−ジメチル−オクタン酸など、
・ カンナビノイド、
・ 代謝型グルタミン酸受容体サブタイプ1(mGluR1)アンタゴニスト、
・ セロトニン再取り込み阻害剤、例えば、セルトラリン、セルトラリン代謝物デメチルセルトラリン、フルオキセチン、ノルフルオキセチン(フルオキセチンデスメチル代謝物)、フルボキサミン、パロキセチン、シタロプラム、シタロプラム代謝物デスメチルシタロプラム、エスシタロプラム、d、l−フェンフルラミン、フェモキセチン、イホキセチン、シアノドチエピン、リトキセチン、ダポキセチン、ネファゾドン、セリクラミン、およびトラゾドンなど、
・ ノルアドレナリン(ノルエピネフリン)再取り込み阻害剤、例えば、マプロチリン、ロフェプラミン、ミルタゼピン、オキサプロチリン、フェゾラミン、トモキセチン、ミアンセリン、ブプロプリオン、ブプロプリオン代謝物ヒドロキシブプロプリオン、ノミフェンシン、およびビロキサジン(Vivalan(登録商標))など、特に選択的ノルアドレナリン再取り込み阻害剤、例えば、レボキセチン、特に(S,S)−レボキセチンなど、
・ セロトニン−ノルアドレナリン再取り込み阻害剤、例えば、ベンラファキシン、ベンラファキシン代謝物O−デスメチルベンラファキシン、クロミプラミン、クロミプラミン代謝物デスメチルクロミプラミン、デュロキセチン、ミルナシプラン、およびイミプラミンなど、
・ 誘導型一酸化窒素合成酵素(iNOS)阻害剤、例えば、S−[2−[(1−イミノエチル)アミノ]エチル]−L−ホモシステイン、S−[2−[(1−イミノエチル)−アミノ]エチル]−4,4−ジオキソ−L−システイン、S−[2−[(1−イミノエチル)アミノ]エチル]−2−メチル−L−システイン、(2S,5Z)−2−アミノ−2−メチル−7−[(1−イミノエチル)アミノ]−5−ヘプテン酸、2−[[(1R,3S)−3−アミノ−4−ヒドロキシ−1−(5−チアゾリル)−ブチル]チオ]−5−クロロ−3−ピリジンカルボニトリル、2−[[(1R,3S)−3−アミノ−4−ヒドロキシ−1−(5−チアゾリル)ブチル]チオ]−4−クロロベンゾニトリル、(2S,4R)−2−アミノ−4−[[2−クロロ−5−(トリフルオロメチル)フェニル]チオ]−5−チアゾールブタノール、2−[[(1R,3S)−3−アミノ−4−ヒドロキシ−1−(5−チアゾリル)ブチル]チオ]−6−(トリフルオロメチル)−3−ピリジンカルボニトリル、2−[[(1R,3S)−3−アミノ−4−ヒドロキシ−1−(5−チアゾリル)ブチル]チオ]−5−クロロベンゾニトリル、N−[4−[2−(3−クロロベンジルアミノ)エチル]フェニル]チオフェン−2−カルボキサミド、またはグアニジノエチルジスルフィドなど、
・ アセチルコリンエステラーゼ阻害剤、例えば、ドネペジルなど、
・ プロスタグランジンEサブタイプ4(EP4)アンタゴニスト、例えば、N−[({2−[4−(2−エチル−4,6−ジメチル−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−1−イル)フェニル]エチル}アミノ)−カルボニル]−4−メチルベンゼンスルホンアミド、または4−[(1S)−1−({[5−クロロ−2−(3−フルオロフェノキシ)ピリジン−3−イル]カルボニル}アミノ)エチル]安息香酸など、
・ ロイコトリエンB4アンタゴニスト、例えば、1−(3−ビフェニル−4−イルメチル−4−ヒドロキシ−クロマン−7−イル)−シクロペンタンカルボン酸(CP−105696)、5−[2−(2−カルボキシエチル)−3−[6−(4−メトキシフェニル)−5E−ヘキセニル]オキシフェノキシ]−吉草酸(ONO−4057)、またはDPC−11870など、
・ 5−リポキシゲナーゼ阻害剤、例えば、ジロートン、6−[(3−フルオロ−5−[4−メトキシ−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル])フェノキシ−メチル]−1−メチル−2−キノロン(ZD−2138)、または2,3,5−トリメチル−6−(3−ピリジルメチル)−1,4−ベンゾキノン(CV−6504)など、
・ ナトリウムチャネル遮断剤、例えば、リドカインなど、
・ 5−HT3アンタゴニスト、例えば、オンダンセトロンなど、
ならびに、薬学的に許容できるそれらの塩および溶媒和物。
【0218】
したがって、本発明はさらに、本発明の化合物、あるいは薬学的に許容できる塩または溶媒和物、および上に挙げた群から選択された化合物または化合物群を含む組合せを提供する。さらに、薬学的に許容できる賦形剤、希釈剤、または担体と共にそのような組合せを含む、特にVR1アンタゴニストが関与するとされる疾患を治療するための医薬組成物が提供される。
【0219】
例えば特定の疾患または状態を治療するために、活性化合物の組合せを投与することが望ましい可能性があるため、少なくともその1つが本発明による化合物を含有する2種以上の医薬組成物を、それらの組成物の併用投与に適したキットの形態で好都合に組み合わせてよいことも本発明の範囲内である。
【0220】
したがって、本発明のキットは、少なくともその1つが本発明による式(I)の化合物を含有する2種以上の個別の医薬組成物、および容器、分割ボトル、または分割ホイル小包などの前記組成物を個別に保持するための手段を含む。そのようなキットの例は、錠剤、カプセル剤などの包装に用いられる、よく知られているブリスターパックである。
【0221】
本発明のキットは、異なる投与形態、例えば経口および非経口投与形態を投与する、または個別の組成物を異なる投与間隔で投与する、または個別の組成物を量的に相互に調整するのに特に適している。コンプライアンスを助けるために、キットは典型的に投与説明書を含み、さらにいわゆる記憶補助手段を備えることができる。
【実施例】
【0222】
本発明を以下の非限定的な実施例に例示するが、これらの実施例において他に記述のないかぎり、すべての操作は室温または周囲温度、すなわち18から25℃の範囲で行った。溶媒の蒸発は、60℃までの浴温で、減圧下、ロータリーエバポレータを用いて行った。反応は薄層クロマトグラフィー(TLC)でモニターし、反応時間は例示のためにのみ示す。単離されたすべての化合物の構造および純度は、以下の技法の少なくとも1つによって確認した。TLC(Merck シリカゲル60F254プレコートTLCプレート)、質量分析、核磁気共鳴スペクトル(NMR)、または赤外吸収スペクトル(IR)。収率は、例示のためにのみ示す。フラッシュカラムクロマトグラフィーは、Merckシリカゲル60(230〜400メッシュASTM)、またはBiotageアミノ結合シリカ(35〜75μm、KP−NH)、またはBiotageシリカ(32〜63μm、KP−Sil)を用いて行った。低分解能マススペクトルデータ(EI)は、Integrity(Waters)質量分析計で得た。低分解能マススペクトルデータ(ESI)は、ZMD(Micromass)質量分析計で得た。NMRデータは、百万分率(ppm)で、内部標準としてテトラメチルシラン(TMS)に対して、他に指示のないかぎり溶媒として重水素化クロロホルム(99.8%D)またはジメチルスルホキシド(99.9%D)を用い、270MHz(JEOL JNM−LA270分光計)、または300MHz(JEOL JNM−LA300分光計)で求めた。以下の通常の略語を用いる。s=シングレット、d=ダブレット、t=トリプレット、q=カルテット、quint=クインテット、m=マルチプレット、br.=ブロードなど。IRスペクトルは、Shimazu赤外分光計(IR−470)で測定した。化学記号は通常の意味を有する。bp(沸点)、mp(融点)、l(リットル)、ml(ミリリットル)、g(グラム)、mg(ミリグラム)、mol(モル)、mmol(ミリモル)、eq.(当量)、quant.(定量的収率)、sat.(飽和)、aq(水)。
【0223】
(実施例1)
2−(4−t−ブチルフェニル)−N−[2−(3−メチルピリジン−2−イル)−2−オキソエチル]シクロプロパンカルボキサミド
【0224】
【化14】

1A)2−(N,N−ジホルミルアミノ)−1−(3−メチル−2−ピリジニル)エタノン
2−ブロモ−1−(3−メチル−2−ピリジニル)エタノン臭化水素酸塩(495mg、1.68mmol)のアセトニトリル(5ml)懸濁液に、ジホルミルアミドナトリウム(478mg、5.03mmol)を室温で段階的に添加し、混合物を室温で24時間攪拌した。反応物を飽和NaHCO水溶液と酢酸エチルに分配し、有機層を分離し、NaSOで乾燥した。その後、濾過し、減圧下で蒸発させて粗残留物を得て、それを酢酸エチル/ヘキサン(1:2)で溶出してシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、白色固体として、2−(N,N−ジホルミルアミノ)−1−(3−メチル−2−ピリジニル)エタノン(143mg、41%)を得た。
H−NMR(CDCl)δ 2.60(3H,s)、5.36(2H,s)、7.41(1H,dd,J=4.6,7.7Hz)、7.61〜7.64(1H,m)、8.54〜8.56(1H,m)、9.05(2H,s)。
MS(ESI)m/z207(M+H)
【0225】
1B)2−アミノ−1−(3−メチル−2−ピリジニル)エタノン二塩酸塩
2−(N,N−ジホルミルアミノ)−1−(3−メチル−2−ピリジニル)エタノン(実施例1A、142mg、0.689mmol)のエタノール(2ml)および濃HCl(0.5ml)溶液を50℃で1時間攪拌した。混合物を濃縮し、トルエンで共蒸発させた。得られた固体を濾過し、酢酸エチルおよびジエチルエーテルで洗浄して、白色固体として、2−アミノ−1−(3−メチル−2−ピリジニル)エタノン二塩酸塩(167mg、定量的収率)を得た。
H−NMR(DMSO−d)δ 2.59(3H,s)、4.20〜4.80(2H,m)、7.65(1H,dd,J=4.6,7.8Hz)、7.90(1H,d,J=7.8Hz)、8.46(2H,NH)、8.62(1H,d,J=4.3Hz)。
MS(ESI)m/z151(M+H)
【0226】
1C)2−(4−t−ブチルフェニル)−N−[2−(3−メチルピリジン−2−イル)−2−オキソエチル]シクロプロパンカルボキサミド
2−(4−t−ブチルフェニル)シクロプロパンカルボン酸(61mg、0.275mmol)のCHCl(10ml)溶液に、二塩化オキサリル(72μl、0.83mmol)およびN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)(1滴)を添加し、混合物を室温で1時間攪拌した。蒸発後、粗残留物を減圧下で乾燥した。次いで、上記粗残留物のCHCH(1ml)溶液を、2−アミノ−1−(3−メチル−2−ピリジニル)エタノン二塩酸塩(実施例1B、61mg、0.275mmol)とトリエチルアミン(115μl、0.83mmol)のCHCl(1ml)溶液に添加し、混合物を室温で2時間攪拌した。反応を飽和NaHCO水溶液でクエンチし、生成物を酢酸エチルで抽出し、有機層をNaSOで乾燥した。その後、濾過し、蒸発させ、ヘキサン/酢酸エチル(1:1)で溶出してシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、白色固体として、2−(4−t−ブチルフェニル)−N−[2−(3−メチルピリジン−2−イル)−2−オキソエチル]シクロプロパンカルボキサミド(20.4mg、22%)を得た。
H−NMR(300HMz,CDCl)δ 1.31(9H,s)、1.61〜1.80(3H,m)、2.50〜2.55(1H,m)、2.62(3H,s)、4.99〜5.01(2H,dd,J=2.6,4.6Hz)、6.58(1H,br)、7.07(2H,d,J=8.1Hz)、7.33(2H,d,J=8.1Hz)、7.38(1H,dd,J=4.6,7.9Hz)、7.62(2H,d,J=7.9Hz)、8.53(1H,d,J=4.6Hz)。
MS(ESI)m/z351(M+H)
【0227】
(実施例2)
2−(4−t−ブチルフェニル)−N−[2−(5−メトキシ−2−メチルフェニル)−2−オキソエチル]シクロプロパンカルボキサミド
【0228】
【化15】

2A)2−(N,N−ジホルミルアミノ)−1−(5−メトキシ−2−メチルフェニル)エタノン
1−(5−メトキシ−2−メチルフェニル)エタノン(0.328g、2.0mmol)、25%臭化水素酸酢酸溶液(2ml)、および酢酸(4ml)の溶液に、臭素(352mg、2.2mmol)を室温で滴加し、混合物を室温で10時間攪拌した。飽和NaHCO水溶液でクエンチした後、生成物をヘキサン/酢酸エチル(1:1)で抽出し、NaSOで乾燥した。その後、濾過し、蒸発させて、2−ブロモ−1−(5−メトキシ−2−メチルフェニル)エタノン(0.562mg、定量的収率)を得て、それをさらに精製することなく次の反応に用いた。2−ブロモ−1−(5−メトキシ−2−メチルフェニル)エタノン(0.562mg、粗生成物)のCHCN(2.0ml)溶液に、ジホルミルアミドナトリウム(0.228g、2.4mmol)を室温で段階的に添加し、混合物を室温で24時間攪拌した。反応物を飽和NaHCO水溶液と酢酸エチルに分配し、有機層を分離し、NaSOで乾燥した。その後、濾過し、減圧下で蒸発させて粗残留物を得て、それを酢酸エチル/ヘキサン(1:2)で溶出してシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、2−(N,N−ジホルミルアミノ)−1−(5−メトキシ−2−メチルフェニル)エタノンを得た(0.224g、2段階で47%)。
MS(ESI)m/z236(M+H)
【0229】
2B)2−アミノ−1−(5−メトキシ−2−メチルフェニル)エタノン
2−(N,N−ジホルミルアミノ)−1−(3−メトキシ−6−トルイル)エタノン(実施例2A、0.224g、0.952mmol)のエタノール(4.0ml)溶液に、濃HClを添加し、混合物を50℃で1時間攪拌した。溶媒を蒸発させた後、粗2−アミノ−1−(5−メトキシ−2−メチルフェニル)エタノン残留物をさらに精製することなく次の反応に用いた。
【0230】
2C)2−(4−t−ブチルフェニル)−N−[2−(5−メトキシ−2−メチルフェニル)−2−オキソエチル]シクロプロパンカルボキサミド
2−(4−t−ブチルフェニル)シクロプロパンカルボン酸(137mg、0.627mmol)のCHCl(10ml)溶液に、二塩化オキサリル(164μl、1.88mmol)およびN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)を添加し、混合物を室温で1時間攪拌した。溶媒を蒸発後、粗残留物を減圧下で乾燥した。次いで、上記粗残留物のCHCH(1ml)溶液を、2−アミノ−1−(5−メトキシ−2−メチルフェニル)エタノン(実施例2B、135mg、0.627mmol)とジイソプロピルエチルアミン(437μl、2.51mmol)のCHCl(1ml)溶液に添加し、混合物を室温で2時間攪拌した。反応を飽和NaHCO水溶液でクエンチし、生成物を酢酸エチルで抽出し、有機層を分離し、NaSOで乾燥した。その後、濾過し、蒸発させ、ヘキサン/酢酸エチル(1:1)で溶出してシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、白色固体として、2−(4−t−ブチルフェニル)−N−[2−(5−メトキシ−2−メチルフェニル)−2−オキソエチル]シクロプロパンカルボキサミド(130mg、55%)を得た。
H NMR(CDCl)δ 1.31(9H,s)、1.60〜1.81(3H,m)、2.46(3H,s)、2.46〜2.54(1H,m)、3.83(3H,s)、4.67〜4.70(2H,m)、6.73(1H,br)、6.97〜7.02(1H,m)、7.07(2H,d,J=8.1Hz)、7.19〜7.23(2H,m)、7.33(2H,d,J=8.1Hz)。
MS(ESI)m/z380(M+H)
【0231】
(実施例3)
2−(4−t−ブチルフェニル)−N−[2−(5−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−2−オキソエチル]シクロプロパンカルボキサミド
【0232】
【化16】

2−(4−t−ブチルフェニル)−N−[2−(5−メトキシ−2−メチルフェニル)−2−オキソエチル]シクロプロパンカルボキサミド(実施例2、65mg、0.17mmol)のCHCl溶液に、BBrの1M CHCl溶液(1ml)を添加し、混合物を0℃で1時間攪拌した。反応を飽和NaHCO水溶液でクエンチし、生成物を酢酸エチルで抽出し、有機層を分離し、NaSOで乾燥した。その後、濾過し、蒸発させ、ヘキサン/酢酸エチル(1:1)で溶出してシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、白色固体として、2−(4−t−ブチルフェニル)−N−[2−(5−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−2−オキソエチル]シクロプロパンカルボキサミド(6.4mg、10%)を得た。
H NMR(CDCl)δ 1.31(9H,s)、1.67〜1.86(3H,m)、2.46(3H,s)、2.54〜2.59(1H,m)、4.75(2H,d,J=4.0Hz)、6.98〜7.05(1H,m)、7.06(2H,d,J=8.6Hz)、7.14(1H,d,J=8.6Hz)、7.32(2H,d,J=7.9hz)、7.42(1H,d,J=2.6Hz)、8.56(1H,brs)。
MS(ESI)m/z366(M+H)
【0233】
(実施例4)
2−(4−t−ブチル−3−フルオロフェニル)−N−[2−(3−メチルピリジン−2−イル)−2−オキソエチル]シクロプロパンカルボキサミド
【0234】
【化17】

4A)4−t−ブチル−3−フルオロフェノール
CHCl(130ml)中ZrCl(11.7g、50mmol)、tBuOMe(4.44g、50mmol)、および3−フルオロフェノール(5.6g、50mmol)を室温で混合し、反応混合物を50℃で2時間攪拌した。反応をHOでクエンチし、生成物を酢酸エチルで抽出し、MgSOで乾燥した。濾過した後、溶媒を蒸発させて粗残留物を得て、それをヘキサンのみからヘキサン/酢酸エチル(9:1)で徐々に溶出してシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、白色固体として、4−t−ブチル−3−フルオロフェノール(4.25g、51%)を得た。
H NMR(CDCl)δ 1.34(9H,s)、4.97(1H,brs)、6.56〜6.50(2H,m)、7.13(1H,t,J=8.7Hz)。
【0235】
4B)4−t−ブチル−3−フルオロフェニルトリフルオロメタンスルホナート
4−t−ブチル−3−フルオロフェノール(実施例4A、4.25g、25mmol)のピリジン(30ml)およびCHCl(50ml)溶液に、トリフルオロメタンスルホン酸無水物(10.6g、37.5mmol)とN,N−ジメチルアミノピリジン(DMAP)(30mg、0.25mmol)を添加し、混合物を0℃で2時間攪拌した。HOでクエンチした後、生成物をヘキサンで抽出し、蒸発させ、ヘキサンのみからヘキサン/酢酸エチル(9:1)で徐々に溶出してシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、無色の油として、4−t−ブチル−3−フルオロフェニルトリフルオロメタンスルホナート(6.7g、88%)を得た。
H NMR(CDCl)δ 1.38(9H,s)、6.95〜7.03(2H,m)、7.37(1H,t,J=8.1Hz)
MS(ESI)m/z301(M+H)
【0236】
4C)1−t−ブチル−2−フルオロ−4−ビニルベンゼン
4−t−ブチル−3−フルオロフェニルトリフルオロメタンスルホナート(実施例4B、3.27g、10.9mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)(100ml)溶液に、ビニルトリブチルスタンナン(3.8g、12.0mmol)、LiCl(4.62g、108mmol)、およびPd(PPhCl(0.383g、0.54mmol)を添加し、混合物を室温で30分間攪拌し、さらに30℃で20時間攪拌した。反応をHOでクエンチし、生成物をヘキサンで抽出した。その後、蒸発させ、ヘキサンで溶出してシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、無色の油として、1−t−ブチル−2−フルオロ−4−ビニルベンゼン(1.87g、96%)を得た。
【0237】
4D)エチル2−(4−t−ブチル−3−フルオロフェニル)シクロプロパンカルボキシラート
1−t−ブチル−2−フルオロ−4−ビニルベンゼン(実施例4C、1.86g、10.4mmol)、5,10,15,20−テトラフェニル−21H,23H−ポルフィンCo(II)(Co(TPP))(0.21g、0.3mmol)、および1−メチル−1H−イミダゾール(2.56g、31mmol)のトルエン(12ml)溶液に、ジアゾ酢酸エチル(1.66g、14.5mmol)を添加し、混合物を室温で5分間攪拌し、さらに80℃で1時間攪拌した。その後、蒸発させ、ヘキサンからヘキサン/酢酸エチル(10:1)で徐々に溶出してシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、無色の油として、エチル2−(4−t−ブチル−3−フルオロフェニル)シクロプロパンカルボキシラート(2.13g、77%)を得た。
H NMR(CDCl)δ 0.88(3H,t,J=8.1Hz)、1.24〜1.30(1H,m)、1.35(9H,s)、1.55〜1.62(1H,m)、1.84〜1.90(1H,m)、2.43〜2.50(1H,m)、4.17(2H,q,J=8.1Hz)、6.73(1H,br,j=8.1Hz)、6.82(1H,d,J=8.1Hz)、7.19(1H,t,J=8.1Hz)。
MS(ESI)m/z265(M+H)
【0238】
4E)2−(4−t−ブチル−3−フルオロフェニル)シクロプロパンカルボン酸
エチル2−(4−t−ブチル−3−フルオロフェニル)シクロプロパンカルボキシラート(実施例4D、2.13g、6.8mmol)のテトラヒドロフラン(THF)(5ml)溶液に、2N NaOH(10ml)とメタノール(10ml)を添加し、混合物を80℃で30分間攪拌した。反応が完了した後、塩基性混合物を2N HClで酸性にし、生成物を酢酸エチルで抽出し、その後、溶媒を蒸発させて、白色固体として、2−(4−t−ブチル−3−フルオロフェニル)シクロプロパンカルボン酸(1.63g、89%)を得た。
MS(ESI)m/z235(M−H)
【0239】
4F)2−(4−t−ブチル−3−フルオロフェニル)−N−[2−(3−メチルピリジン−2−イル)−2−オキソエチル]シクロプロパンカルボキサミド
(4−t−ブチル−3−フルオロ−フェニル)シクロプロパンカルボン酸(実施例4E、219mg、0.93mmol)のテトラヒドロフラン(THF)(3ml)溶液に、2−クロロ−1,3−ジメチルイミダゾリニウムクロリド(CDI)(150mg、0.93mmol)を室温で添加し、混合物を室温で1時間攪拌、その後、この反応物にEtN(2.5ml)と2−アミノ−1−(3−メチル−2−ピリジニル)エタノン二塩酸塩(207mg、1.11mmol)を添加した。混合物を10時間攪拌した後、反応を飽和NaHCO水溶液でクエンチした。次いで、生成物を酢酸エチルで抽出し、NaSOで乾燥した。濾過した後、溶媒を蒸発させ、ヘキサン/酢酸エチル/塩化メチレン(1:2:2)で溶出してシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、白色固体として、2−(4−t−ブチル−3−フルオロフェニル)−N−[2−(3−メチルピリジン−2−イル)−2−オキソエチル]シクロプロパンカルボキサミド(105mg、26%)を得た。
H−NMR(CDCl)δ 1.21〜1.28(m,1H)、1.35(9H,s)、1.59〜1.79(2H,m)、2.46〜2.53、2.62(3H,s)、6.61(1H,br)、6.74(1H,d,J=10.8Hz)、6.84(1H,dd,J=2.7,8.1Hz)、7.13〜7.22(1H,m)、7.38(1H,d,J=5.4Hz)、7.62(1H,d,J=8.1Hz)、8.53(1H,d,J=5.4Hz)。
MS(ESI)m/z369(M+H)
【0240】
(実施例5)
N−[2−(3−メチルピリジン−2−イル)−2−オキソエチル]−2−[4−(2,2,2−トリフルオロ−1,1−ジメチルエチル)フェニル]シクロプロパンカルボキサミド
【0241】
【化18】

5A)4−(2,2,2−トリフルオロ−1,1−ジメチルエチル)フェニルトリフルオロメタンスルホナート
4−(2,2,2−トリフルオロ−1,1−ジメチルエチル)フェノール(1.2g、6mmol)のピリジン(8ml)およびCHCl(12ml)溶液に、トリフルオロメタンスルホン酸無水物(2.54g、9mmol)とN,N−ジメチルアミノピリジン(DMAP)(12mg、0.1mmol)を添加し、混合物を0℃で3時間攪拌した。HOでクエンチした後、生成物をヘキサンで抽出し、溶媒を蒸発させ、粗生成物をヘキサンのみからヘキサン/酢酸エチル(9:1)で徐々に溶出してシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、無色の油として、4−(2,2,2−トリフルオロ−1,1−ジメチルエチル)フェニルトリフルオロメタンスルホナート(1.8g、89%)を得た。
H NMR(CDCl)δ 1.59(6H,s)、7.28(2H,d,J=8.1Hz)、7.59(2H,d,J=8.1Hz)
【0242】
5B)1−(2,2,2−トリフルオロ−1,1−ジメチルエチル)−4−ビニルベンゼン
4−(2,2,2−トリフルオロ−1,1−ジメチルエチル)フェニルトリフルオロメタンスルホナート(実施例5A、1.80g、5.3mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)(50ml)溶液に、ビニルトリブチルスタンナン(1.86g、5.8mmol)、LiCl(2.25g、53mmol)、およびPd(PPhCl(186mg、0.26mmol)を添加し、混合物を室温で30分間攪拌し、さらに28℃で10時間攪拌した。反応をHOでクエンチし、生成物をヘキサンで抽出した。その後、蒸発させ、ヘキサンで溶出してシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、無色の油として、1−(2,2,2−トリフルオロ−1,1−ジメチルエチル)−4−ビニルベンゼン(0.815g、72%)を得た。
H NMR(CDCl)δ 1.57(6H,s)、5.27(1H,d,J=10.8Hz)、5.76(1H,d,J=16.2Hz)、6.71(1H,dd,J=10.8,16.2Hz)、7.38〜7.47(4H,m)。
【0243】
5C)エチル2−[4−(2,2,2−トリフルオロ−1,1−ジメチルエチル)フェニル]シクロプロパンカルボキシラート
1−(2,2,2−トリフルオロ−1,1−ジメチルエチル)−4−ビニルベンゼン(実施例5B、0.8g、3.73mmol)、5,10,15,20−テトラフェニル−21H,23H−ポルフィンCo(II)(Co(TPP))(0.075g、0.1mmol)、および1−メチル−1H−イミダゾール(0.92g、11mmol)のトルエン(4ml)溶液に、ジアゾ酢酸エチル(0.6g、5.26mmol)を添加し、混合物を室温で5分間攪拌し、さらに80℃で1時間攪拌した。その後、蒸発させ、ヘキサンからヘキサン/酢酸エチル(10:1)で徐々に溶出してシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、無色の油として、エチル2−[4−(2,2,2−トリフルオロ−1,1−ジメチルエチル)フェニル]シクロプロパンカルボキシラート(1.0g、89%)を得た。
H NMR(CDCl)δ 1.28(3H,t,J=8.1Hz)、1.25〜1.35(1H,m)、1.55(6H,s)、1.55〜1.64(1H,m)、1.87〜1.94(1H,m)、2.47〜2.54(1H,m)、4.17(2H,q,J=8.1Hz)、7.10(2H,d,j=8.1Hz)、7.41(2H,d,J=8.1Hz)。
MS(ESI)m/z301(M+H)
【0244】
5D)2−[4−(2,2,2−トリフルオロ−1,1−ジメチルエチル)フェニル]シクロプロパンカルボン酸
エチル2−[4−(2,2,2−トリフルオロ−1,1−ジメチルエチル)フェニル]シクロプロパンカルボキシラート(実施例5C、1.0g、3.3mmol)のテトラヒドロフラン(THF)(5ml)溶液に、2N NaOH(3ml)とメタノール(3ml)を添加し、混合物を50℃で30分間攪拌した。反応が完了した後、塩基性混合物を2N HClで酸性にし、生成物を酢酸エチルで抽出し、その後、溶媒を蒸発させて、白色固体として、2−[4−(2,2,2−トリフルオロ−1,1−ジメチルエチル)フェニル]シクロプロパンカルボン酸(0.82g、90%)を得た。
MS(ESI)m/z271(M−H)
【0245】
5E)N−[2−(3−メチルピリジン−2−イル)−2−オキソエチル]−2−[4−(2,2,2−トリフルオロ−1,1−ジメチルエチル)フェニル]シクロプロパンカルボキサミド
出発材料として2−[4−(2,2,2−トリフルオロ−1,1−ジメチルエチル)フェニル]シクロプロパンカルボン酸(実施例5D、252mg、0.93mmol)を用いて、実施例4Fに記載の手順を行い、白色固体として、N−[2−(3−メチルピリジン−2−イル)−2−オキソエチル]−2−[4−(2,2,2−トリフルオロ−1,1−ジメチルエチル)フェニル]シクロプロパンカルボキサミド(85mg、20%)を得た。
H−NMR(CDCl)δ 1.26〜1.33(1H,m)、1.56(6H,s)、1.64〜1.82(2H,m)、2.50〜2.53、2.57(1H,m)、2.62(3H,s)、5.01(2H,br)、6.59(1H,br)、7.14(2H,d,J=8.1Hz)、7.36〜7.43(3H,m)、7.62(1H,d,J=8.1Hz)、8.53(1H,d,J=5.4Hz)。
MS(ESI)m/z405(M+H)
【0246】
(実施例6)
2−(4−t−ブチルフェニル)−2−メチル−N−[2−(3−メチルピリジン−2−イル)−2−オキソエチル]シクロプロパンカルボキサミド
【0247】
【化19】

出発材料として(4−t−ブチルフェニル)−2−メチルシクロプロパンカルボン酸(215mg、0.93mmol)を用いて、実施例4Fに記載の手順を行い、白色固体として、2−(4−t−ブチルフェニル)−2−メチル−N−[2−(3−メチルピリジン−2−イル)−2−オキソエチル]シクロプロパンカルボキサミド(30mg、10%)を得た。
H−NMR(CDCl)δ 1.33(9H,s)、1.38〜1.44(m,1H)、1.52(3H,s)、5.02(2H,d,J=2.7Hz)、6.58(1H,s)、7.24(2H,d,J=8.1Hz)、7.36(2H,d,J=8.1Hz)、7.36〜7.41(1H,m)、7.62(1H,d,J=5.4Hz)、8.53(1H,d,J=2.7Hz)。
MS(ESI)m/z365(M+H)
【0248】
(実施例7)
2−(4−t−ブチル−3−クロロフェニル)−N−[2−(3−メチルピリジン−2−イル)−2−オキソエチル]シクロプロパンカルボキサミド
【0249】
【化20】

7A)4−t−ブチル−3−クロロフェニルトリフルオロメタンスルホナート
4−t−ブチル−3−クロロフェノール(1.0g、5.4mmol)のピリジン(8ml)およびCHCl(12ml)溶液に、トリフルオロメタンスルホン酸無水物(2.29g、8.1mmol)とN,N−ジメチルアミノピリジン(DMAP)(12mg、0.1mmol)を添加し、混合物を0℃で4時間攪拌した。HOでクエンチした後、粗生成物をヘキサンで抽出し、溶媒を蒸発させ、生成物をヘキサンのみからヘキサン/酢酸エチル(9:1)で徐々に溶出してシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、無色の油として、4−t−ブチル−3−クロロフェニルトリフルオロメタンスルホナート(1.7g、98%)を得た。
H NMR(CDCl)δ 1.48(9H,s)、7.13(1H,dd,J=2.7,8.1Hz)、7.29(1H,d,2.7Hz)、7.50(1H,d,J=8.1Hz)
【0250】
7B)1−t−ブチル−2−クロロ−4−ビニルベンゼン
4−t−ブチル−3−クロロフェニルトリフルオロメタンスルホナート(実施例7A、1.7g、5.3mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)(50ml)溶液に、ビニルトリブチルスタンナン(1.85g、5.83mmol)、LiCl(2.25g、53mmol)、およびPd(PPhCl(0.186g、0.26mmol)を添加し、混合物を室温で30分間攪拌し、さらに30℃で20時間攪拌した。反応をHOでクエンチし、生成物をヘキサンで抽出した。その後、溶媒を蒸発させ、ヘキサンで溶出してシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、無色の油として、1−t−ブチル−2−クロロ−4−ビニルベンゼン(0.767g、74%)を得た。
H NMR(CDCl)δ 1.47(9H,s)、5.26(1H,d,J=10.8Hz)、5.73(1H,d,J=16.2Hz)、6.62(1H,J=10.8,16.2Hz)、7.22(1H,d,J=8.1Hz)、7.38(1H,d,8.1Hz)、7.39(1H,s)。
【0251】
7C)エチル2−(4−t−ブチル−3−クロロフェニル)シクロプロパンカルボキシラート
1−t−ブチル−2−クロロ−4−ビニルベンゼン(実施例7B、0.767g、3.9mmol)、5,10,15,20−テトラフェニル−21H,23H−ポルフィンCo(II)(Co(TPP))(0.079g、0.12mmol)、および1−メチル−1H−イミダゾール(0.961g、11.7mmol)のトルエン(5ml)溶液に、ジアゾ酢酸エチル(0.623g、5.46mmol)を添加し、混合物を室温で5分間攪拌し、さらに80℃で1時間攪拌した。その後、溶媒を蒸発させ、ヘキサンからヘキサン/酢酸エチル(10:1)で徐々に溶出してシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、無色の油として、エチル2−(4−t−ブチル−3−クロロフェニル)シクロプロパンカルボキシラート(0.97g、88%)を得た。
H NMR(CDCl)δ 1.24〜1.33(1H,m)、1.28(3H,t,J=8.1Hz)、1.45(9H,s)、1.53〜1.62(1H,m)、1.83〜1.91(1H,m)、2.40〜2.49(1H,m)、4.17(32H,q,J=8.1Hz)、6.93(1H,dd,J=2.7,8.1Hz)、7.08(1H,d,J=2.7Hz)、7.32(1H,d,J=8.1Hz)。
MS(ESI)m/z281(M+H)
【0252】
7D)2−(4−t−ブチル−3−クロロフェニル)シクロプロパンカルボン酸
エチル2−(4−t−ブチル−3−クロロフェニル)シクロプロパンカルボキシラート(実施例7C、0.97g、3.4mmol)のテトラヒドロフラン(THF)(3ml)溶液に、2N NaOH(6ml)とメタノール(3ml)を添加し、混合物を80℃で30分間攪拌した。反応が完了した後、塩基性混合物を2N HClで酸性にし、生成物を酢酸エチルで抽出し、その後、溶媒を蒸発させて、無色の油として、2−(4−t−ブチル−3−クロロフェニル)シクロプロパンカルボン酸(0.789g、92%)を得た。
MS(ESI)m/z251(M−H)
【0253】
7E)2−(4−t−ブチル−3−クロロフェニル)−N−[2−(3−メチルピリジン−2−イル)−2−オキソエチル]シクロプロパンカルボキサミド
出発材料として2−(4−t−ブチル−3−クロロフェニル)シクロプロパンカルボン酸(実施例7D、126mg、0.50mmol)を用いて、実施例4Fに記載の手順を行い、白色固体として、2−(4−t−ブチル−3−クロロフェニル)−N−[2−(3−メチルピリジン−2−イル)−2−オキソエチル]シクロプロパンカルボキサミド(55mg、29%)を得た。
H−NMR(CDCl)δ 1.22〜1.29(m,1H)、1.46(9H,s)、1.61〜1.80(2H,m)、2.44〜2.53、2.51(1H,m)、2.62(3H,s)、5.00(2H,t,J=2.7Hz)、6.60(1H,br)、6.96(1H,d,J=8.1Hz)、7.08(1H,J=br)、7.33(1H,d,J=8.1Hz)、7.38(1H,dd,J=2.7,8.1Hz)、7.62(1H,d,J=8.1Hz)、8.53(1H,d,J=2.7Hz)。
MS(ESI)m/z385(M+H)
【0254】
(実施例8)
2−(4−t−ブチル−3−フルオロフェニル)−N−[2−(3−トリフルオロメチルピリジン−2−イル)−2−オキソエチル]シクロプロパンカルボキサミド
【0255】
【化21】

8A)t−ブチル{2−オキソ−2−[3−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]エチル}カルバマート
2−ブロモ−3−トリフルオロメチルピリジン(0.848g、3.75mmol)のトルエン(2ml)溶液に、n−BuLiの1.6Mヘキサン溶液を−78℃で添加し、反応物を30分間攪拌した。次いで、N−(t−ブトキシカルボニル)グリシンN’−メトキシ−N’−メチルアミド(0.34g、1.56mmol)のトルエン(2ml)溶液を−78℃で添加し、反応物を2時間攪拌した。飽和NaHCO水溶液でクエンチした後、粗生成物を酢酸エチルで抽出し、NaSOで乾燥した。その後、濾過し、酢酸エチル/ヘキサン(1:4)で溶出してシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、黄色固体として、t−ブチル{2−オキソ−2−[3−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]エチル}カルバマート(0.166g、35%)を得た。
H−NMR(CDCl)δ 1.46(9H,s)、4.80(2H,d,J=4.4Hz)、5.35(1H,br)、7.63(1H,dd,J=4.4,8.1Hz)、8.15(1H,d,J=8.1Hz)、8.83(1H,d,J=4.5Hz)。
【0256】
8B)2−アミノ−1−(3−(トリフルオロメチル−2−ピリジニル)エタノン二塩酸塩
t−ブチル{2−オキソ−2−[3−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]エチル}カルバマート(実施例8A、0.09g、0.3mmol)の溶液に、10%HClメタノール(4ml)を添加し、混合物を50℃で2時間攪拌した。混合物を濃縮し、減圧下で乾燥した。得られた2−アミノ−1−(3−トリフルオロメチル−2−ピリジニル)エタノン二塩酸塩(白色固体)をさらに精製することなく次の反応に用いた。
H−NMR(DMSO−d)δ 4.66(2H,q,J=5.6Hz)、7.97(1H,dd,J=4.6,7.9Hz)、8.48(1H,d,J=8.0Hz)、9.02(1H,d,J=4.6Hz)、
MS(ESI)m/z205(M+H)
【0257】
8C)2−(4−t−ブチル−3−フルオロフェニル)−N−[2−(3−トリフルオロメチルピリジン−2−イル)−2−オキソエチル]シクロプロパンカルボキサミド
2−(4−t−ブチル−3−フルオロフェニル)シクロプロパンカルボン酸(75mg、0.317mmol)のCHCl(10ml)溶液に、二塩化オキサリル(83μl、0.952mmol)およびN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)(1滴)を添加し、混合物を室温で30分間攪拌した。溶媒を蒸発させた後、粗残留物を減圧下で乾燥した。次いで、2−アミノ−1−(3−トリフルオロメチル−2−ピリジニル)エタノン二塩酸塩(実施例8B、885mg、0.317mmol)とジイソプロピルエチルアミン(220μl、1.27mmol)のCHCl(2ml)溶液に、上記粗残留物のCHCH(2ml)溶液を添加し、混合物を室温で2時間攪拌した。反応を飽和NaHCO水溶液でクエンチし、生成物を酢酸エチルで抽出し、NaSOで乾燥した。その後、濾過し、溶媒を蒸発させ、ヘキサン/酢酸エチル(1:1)で溶出してシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、白色固体として、2−(4−t−ブチル−3−フルオロフェニル)−N−[2−(3−トリフルオロメチルピリジン−2−イル)−2−オキソエチルシクロプロパンカルボキサミド(74mg、55%)を得た。
H−NMR(CDCl)δ 1.26〜1.35(1H,m)、1.36(9H,s)、1.55〜1.76(2H,m)、2.46〜2.53(1H,m)、4.96〜4.99(2H,dd,J=3.3,4.6Hz)、6.53(1H,br)、6.72〜6.85(2H,m)、7.26(1H,t,J=8.5Hz)、7.65(1H,dd,J=4.6,7.9Hz)、8.17(1H,d,J=7.3Hz)、8.85(1H,d,J=4.5Hz)。
MS(ESI)m/z423(M+H)
【0258】
(実施例9)
3−(4−t−ブチルフェニル)−2,2−ジフルオロ−N−[2−(3−メチルピリジン−2−イル)−2−オキソエチル]シクロプロパンカルボキサミド
【0259】
【化22】

9A)[3−(4−t−ブチルフェニル)−2,2−ジフルオロシクロプロピル]メチルアセタート
3−(4−t−ブチルフェニル)プロプ−2−エン−1−イルアセタート(625mg、2.69mmol)の2−メトキシエチルエーテル(10ml)溶液に、ClFCOONa(2.05g、13.45mmol)を添加し、混合物を190℃で30分間攪拌し、その後、さらにClFCOONa(0.82g、5.38mmol)を添加した。さらに15分間攪拌した後、混合物を室温に冷却し、酢酸エチルと水でクエンチした。生成物を酢酸エチルで抽出し、NaSOで乾燥し、濾過し、溶媒を蒸発させた。粗生成物を酢酸エチル/ヘキサン(1:10)で溶出してシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、[3−(4−t−ブチルフェニル)−2,2−ジフルオロシクロプロピル]メチルアセタート(801mg、定量的収率)を得た。
H−NMR(CDCl)δ 1.31(9H,s)、2.10(3H,s)、2.22〜2.28(1H,m)、2.61(1H,dd,J=7.3,14.7Hz)、4.21〜4.38(2H,m)、7.16(2H,d,J=8.1Hz)、7.37(2H,d,J=8.1Hz)。
【0260】
9B)1−[3−(4−t−ブチルフェニル)−2,2−ジフルオロシクロプロピル]メタノール
[3−(4−t−ブチルフェニル)−2,2−ジフルオロシクロプロピル]メチルアセタート(実施例9A、801mg、2.69mmol)のメタノール(25ml)溶液に、2N NaOH(5.0ml)を添加し、混合物を室温で45分間攪拌した。その後、反応を2N HClでクエンチし、生成物を酢酸エチルで抽出した。NaSOで乾燥し、濾過し、蒸発させ、酢酸エチル/ヘキサン(1:10)で溶出してシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、1−[3−(4−t−ブチルフェニル)−2,2−ジフルオロシクロプロピル]メタノール(365mg、57%)を得た。
H−NMR(CDCl)δ 1.31(9H,s)、2.16〜2.25(1H,m)、2.54〜2.63(1H,m)、3.83〜3.89(2H,m)、7.17(2H,d,J=7.9Hz)、7.37(2H,d,J=7.9Hz)。
【0261】
9C)3−(4−t−ブチルフェニル)−2,2−ジフルオロシクロプロパンカルボン酸
1−[3−(4−t−ブチルフェニル)−2,2−ジフルオロシクロプロピル]メタノール(実施例9B、120mg、0.5mmol)のベンゼン(15ml)および水(20ml)溶液に、KMnO(237mg、1.5mmol)とnBuNBr(26mg、0.08mmol)を添加し、混合物を室温で15時間攪拌した。その後、反応を2N HClと酢酸エチルでクエンチし、生成物を酢酸エチルで抽出し、NaSOで乾燥した。濾過および蒸発後、粗残留物をさらに精製することなく次の反応に用いた(120.5mg、粗生成物)。
H−NMR(CDCl)δ 1.31(9H,s)、2.7〜2.77(1H,m)、3.42〜3.55(1H,m)、7.20(2H,d,J=8.1Hz)、7.39(2H,d,J=8.1Hz)。
MS(ESI)m/z253(M−H)
【0262】
9D)3−(4−t−ブチルフェニル)−2,2−ジフルオロ−N−[2−(3−メチルピリジン−2−イル)−2−オキソエチル]シクロプロパンカルボキサミド
出発材料として3−(4−t−ブチルフェニル)−2,2−ジフルオロシクロプロパンカルボン酸(実施例9C、118mg、0.46mmol)を用いて、実施例4Fに記載の手順を行い、白色固体として、3−(4−t−ブチルフェニル)−2,2−ジフルオロ−N−[2−(3−メチルピリジン−2−イル)−2−オキソエチル]シクロプロパンカルボキサミド(31mg、18%)を得た。
H−NMR(CDCl)δ 1.31(9H,s)、2.63(3H,s)、2.63〜2.70(1H,m)、3.53〜3.61(1H,m)、5.06(2h,d,J=4.4Hz)、6.79(1H,br)、7.21(2H,d,J=8.1Hz)、7.38(2H,d,J=8.1Hz)、7.37〜7.42(1H,m)、7.63(1H,d,J=7.3Hz)、8.54(1H,d,J=3.7Hz)。
MS(ESI)m/z387(M+H)
【0263】
(実施例10)
2−(4−t−ブチル−3−フルオロフェニル)−N−[2−(1−メチル−1H−イミダゾール−2−イル)−2−オキソエチル]シクロプロパンカルボキサミド
【0264】
【化23】

10A)t−ブチル[2−(1−メチル−1H−イミダゾール−2−イル)−2−オキソエチル]カルバマート
1−メチルイミダゾール(328mg、4mmol)のテトラヒドロフラン(20ml)溶液に、n−ブチルリチウム(1.58Mヘキサン溶液2.53ml、4mmol)を−78℃で10分間かけて添加した。混合物を−78℃で1時間攪拌した後、t−ブチル{2−[メトキシ(メチル)アミノ]−2−オキソエチル}カルバマート(218mg、1mmol)のTHF(2ml)溶液を−78℃で反応混合物に滴加し、混合物を3時間攪拌した。次いで、反応物を飽和重炭酸ナトリウム水溶液と酢酸エチルに分配し、有機層を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥した。その後、濾過し、減圧下で溶媒を蒸発させて粗残留物を得て、それをヘキサン/酢酸エチル(1:1から3:1)で溶出してシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、白色固体として、t−ブチル[2−(1−メチル−1H−イミダゾール−2−イル)−2−オキソエチル]カルバマート(215mg、収率90%)を得た。
H−NMR(300MHz,CDCl)δ 1.47(9H,s)、4.01(3H,s)、4.72(2H,d,J=5.5Hz)、5.22(1H,br s)、7.06(1H,s)、7.16(1H,s)
MS(ESI)m/z240(M+H)
【0265】
10B)2−アミノ−1−(1−メチル−1H−イミダゾール−2−イル)−エタノン二塩酸塩
t−ブチル[2−(1−メチル−1H−イミダゾール−2−イル)−2−オキソエチル]カルバマート(108mg、0.45mmol)と10%塩酸メタノール溶液(2ml)の混合物を室温で16時間攪拌した。混合物を蒸発させ、酢酸エチルから結晶化して、白色固体として、2−アミノ−1−(1−メチル−1H−イミダゾール−2−イル)エタノン二塩酸塩(95mg、定量的収率)を得た。
H−NMR(300MHz,DMSO−d)δ 3.97(3H,s)、4.40〜4.45(2H,m)、7.26(1H,s)、7.69(1H,s)、8.43(2H,brs)。
MS(ESI)m/z140(M+H)
【0266】
10C)2−(4−t−ブチル−3−フルオロフェニル)−N−[2−(1−メチル−1H−イミダゾール−2−イル)−2−オキソエチル]シクロプロパンカルボキサミド
2−(4−t−ブチル−3−フルオロフェニル)シクロプロパンカルボン酸(99mg、0.418mmol)のジクロロメタン(3ml)攪拌溶液に、塩化オキサリル(159mg、1.25mmol)およびN,N−ジメチルホルムアミド(1滴)を0℃で添加した。室温で1時間攪拌した後、混合物を真空で蒸発させ、残留物をジクロロメタン(1ml)に溶解した。上記溶液を2−アミノ−1−(1−メチル−1H−イミダゾール−2−イル)−エタノン二塩酸塩(実施例10B、89mg、0.418mmol)とトリエチルアミン(169mg、1.67mmol)のジクロロメタン(5ml)溶液に0℃で添加した。室温で2時間攪拌した後、混合物をジクロロメタンで希釈し、飽和重炭酸ナトリウムで洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、真空で濃縮して粗生成物を得て、それを酢酸エチル/ヘキサン(1:1)で溶出してシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、白色固体として、2−(4−t−ブチル−3−フルオロフェニル)−N−[2−(1−メチル−1H−イミダゾール−2−イル)−2−オキソエチル]シクロプロパンカルボキサミド(112mg、収率75%)を得た。
H−NMR(300MHz,CDCl)δ 1.22〜1.48(1H,m)、1.35(9H,s)、1.56〜1.78(2H,m)、2.46〜2.53(1H,m)、4.02(3H,s)、4.85〜4.92(2H,m)、6.50(1H,brs)、6.70〜6.72(1H,m)、6.82〜6.87(1H,m)、7.08(1H,s)、7.17〜7.25(2H,m)
MS(ESI)m/z358(M+H)
【0267】
(実施例11)
2−メチル−N−[2−(1−メチル−1H−イミダゾール−2−イル)−2−オキソエチル]−2−[4−(2,2,2−トリフルオロ−1,1−ジメチルエチル)フェニル]シクロプロパンカルボキサミド
【0268】
【化24】

2−メチル−2−[4−(2,2,2−トリフルオロ−1,1−ジメチルエチル)フェニル]シクロプロパンカルボン酸(86mg、0.3mmol)のジクロロメタン(2ml)攪拌溶液に、塩化オキサリル(114mg、0.9mmol)およびN,N−ジメチルホルムアミド(1滴)を0℃で添加した。室温で1時間攪拌した後、混合物を真空で蒸発させ、残留物をジクロロメタン(1ml)に溶解した。上記溶液を2−アミノ−1−(1−メチル−1H−イミダゾール−2−イル)エタノン二塩酸塩(64mg、0.3mmol)とトリエチルアミン(152mg、1.5mmol)のジクロロメタン(2ml)溶液に0℃で添加した。室温で1時間攪拌した後、混合物をジクロロメタンで希釈し、飽和重炭酸ナトリウムで洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、真空で濃縮して粗生成物を得て、それを酢酸エチル/ヘキサン(1:1)で溶出してシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、白色固体として、2−メチル−N−[2−(1−メチル−1H−イミダゾール−2−イル)−2−オキソエチル]−2−[4−(2,2,2−トリフルオロ−1,1−ジメチルエチル)フェニル]シクロプロパンカルボキサミド(56mg、収率46%)を得た。
H−NMR(300MHz,CDCl)δ 1.42(1H,dd,J=5.1,8.8Hz)、1.54〜1.60(10H,m)、1.85(1H,dd,J=5.8,8.8Hz)、4.02(3H,s)、4.90(2H,d,J=5.1Hz)、6.44(1H,brs)、7.08〜7.30(4H,m)、7.44(2H,d,J=8.1Hz)
MS(ESI)m/z408(M+H)
【0269】
(実施例12)
N−[2−(1−エチル−1H−イミダゾール−2−イル)−2−オキソエチル]−2−メチル−2−[4−(2,2,2−トリフルオロ−1,1−ジメチルエチル)フェニル]シクロプロパンカルボキサミド
【0270】
【化25】

12A)t−ブチル[2−(1−エチル−1H−イミダゾール−2−イル)−2−オキソエチル]カルバマート
出発材料として1−エチルイミダゾール(385mg、4mmol)を用いて、実施例10Aに記載の手順に従い、白色固体として、t−ブチル[2−(1−エチル−1H−イミダゾール−2−イル)−2−オキソエチル]カルバマート(224mg、収率88%)を得た。
【0271】
12B)2−アミノ−1−(1−エチル−1H−イミダゾール−2−イル)−エタノン二塩酸塩
t−ブチル[2−(1−エチル−1H−イミダゾール−2−イル)−2−オキソエチル]カルバマート(76mg、0.3mmol)と10%塩酸メタノール溶液(2ml)の混合物を、実施例10Bに記載の手順に従って処理し、白色固体として、2−アミノ−1−(1−エチル−1H−イミダゾール−2−イル)−エタノン二塩酸塩(68mg、定量的収率)を得た。
MS(ESI)m/z154(M+H)
【0272】
12C)N−[2−(1−エチル−1H−イミダゾール−2−イル)−2−オキソエチル]−2−メチル−2−[4−(2,2,2−トリフルオロ−1,1−ジメチルエチル)フェニル]シクロプロパンカルボキサミド
2−メチル−2−[4−(2,2,2−トリフルオロ−1,1−ジメチルエチル)フェニル]シクロプロパンカルボン酸(86mg、0.3mmol)のジクロロメタン(2ml)攪拌溶液に、塩化オキサリル(114mg、0.9mmol)およびN,N−ジメチルホルムアミド(1滴)を0℃で添加した。室温で1時間攪拌した後、混合物を真空で蒸発させ、残留物をジクロロメタン(1ml)に溶解した。上記溶液を2−アミノ−1−(1−エチル−1H−イミダゾール−2−イル)エタノン二塩酸塩(実施例12B、68mg、0.3mmol)とトリエチルアミン(152mg、1.5mmol)のジクロロメタン(2ml)溶液に0℃で添加した。室温で1時間攪拌した後、混合物をジクロロメタンで希釈し、飽和重炭酸ナトリウムで洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、真空で濃縮して粗生成物を得て、それを酢酸エチル/ヘキサン(1:1)で溶出してシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、白色固体として、N−[2−(1−エチル−1H−イミダゾール−2−イル)−2−オキソエチル]−2−メチル−2−[4−(2,2,2−トリフルオロ−1,1−ジメチルエチル)フェニル]シクロプロパンカルボキサミド(70mg、収率55%)を得た。
H−NMR(300MHz,CDCl)δ 1.39〜1.46(4H,m)、1.52〜1.60(10H,m)、1.85(1H,dd,J=5.1,8.1Hz)、4.44(2H,q,J=7.3Hz)、4.91(2H,d,J=4.4Hz)、6.46(1H,brs)、7.14〜7.30(4H,m)、7.44(2H,d,J=8.1Hz)
MS(ESI)m/z422(M+H)
【0273】
(実施例13)
2−[3,5−ジフルオロ−4−(2,2,2−トリフルオロ−1,1−ジメチルエチル)フェニル]−N−[2−(1−エチル−1H−イミダゾール−2−イル)−2−オキソエチル]シクロプロパンカルボキサミド
【0274】
【化26】

13A)2−(2,6−ジフルオロ−4−メトキシフェニル)−1,1,1−トリフルオロプロパン−2−オール
1,3−ジフルオロ−5−メトキシベンゼン(7g、48.6mmol)のテトラヒドロフラン(100ml)溶液に、n−ブチルリチウムの1.6Mヘキサン溶液(30ml、48.6ml)を−78℃で30分間かけて滴加し、混合物を−78℃で2時間攪拌した。1,1,1−トリフルオロアセトン(6.5g、58.3mmol)を−78℃で添加し、混合物を−78℃で2時間攪拌し、さらに室温で1時間攪拌した。次いで、反応を水でクエンチし、生成物を酢酸エチルで抽出し、それを硫酸ナトリウムで乾燥した。その後、濾過し、溶媒を蒸発させ、ヘキサン/酢酸エチル(10:1)で溶出してシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、無色の油として、2−(2,6−ジフルオロ−4−メトキシフェニル)−1,1,1−トリフルオロプロパン−2−オール(9.7g、収率78%)を得た。
H NMR(270MHz,CDCl)δ 1.83〜1.85(3H,m)、3.94(3H,s)、6.17(1H,s)、6.49〜6.60(2H,m)
【0275】
13B)2−(1−クロロ−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル)−1,3−ジフルオロ−5−メトキシベンゼン
2−(2,6−ジフルオロ−4−メトキシフェニル)−1,1,1−トリフルオロプロパン−2−オール(実施例13A、8.7g、34.1mmol)とピリジン(26mg、0.34mmol)の塩化チオニル(25ml)溶液を70℃で3時間攪拌した。その後、反応物を真空で濃縮し、水でクエンチした。生成物をヘキサンで抽出し、それを硫酸ナトリウムで乾燥、濾過し、蒸発させて、無色の油として、2−(1−クロロ−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル)−1,3−ジフルオロ−5−メトキシベンゼン(8.84g、収率94%)を得た。
H NMR(270MHz,CDCl)δ 2.24〜2.29(3H,m)、3.81(3H,s)、6.44〜6.54(2H,m)
【0276】
13C)1,3−ジフルオロ−5−メトキシ−2−(2,2,2−トリフルオロ−1,1−ジメチルエチル)ベンゼン
2−(1−クロロ−2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチル)−1,3−ジフルオロ−5−メトキシベンゼン(実施例13B、8.84g、32.2mmol)のシクロヘキサン(100ml)溶液に、トリメチルアルミニウムの1.0Mヘキサン溶液(129ml、129mmol)を室温で添加し、混合物を還流で4時間攪拌した。その後、反応を2N塩酸水溶液でクエンチし、生成物をヘキサンで抽出、硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過し、溶媒を蒸発させて、無色の油として、1,3−ジフルオロ−5−メトキシ−2−(2,2,2−トリフルオロ−1,1−ジメチルエチル)ベンゼン(7.9g、収率97%)を得た。
H NMR(300MHz,CDCl)δ 1.71(6H,s)、3.78(3H,s)、6.39〜6.49(2H,m)
【0277】
13D)3,5−ジフルオロ−4−(2,2,2−トリフルオロ−1,1−ジメチルエチル)フェノール
1,3−ジフルオロ−5−メトキシ−2−(2,2,2−トリフルオロ−1,1−ジメチルエチル)ベンゼン(7.93g、31.2mmol)と三臭化ホウ素の1Mジクロロメタン溶液(150ml、150mmol)との混合物を室温で16時間攪拌した。次いで、反応を水でクエンチし、生成物を酢酸エチルで抽出、それを硫酸ナトリウムで乾燥した。その後、濾過し、溶媒を蒸発させ、ヘキサン/酢酸エチル(10:1)で溶出してシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、褐色固体として、3,5−ジフルオロ−4−(2,2,2−トリフルオロ−1,1−ジメチルエチル)フェノール(7.79g、定量的収率)を得た。
H NMR(270MHz,CDCl)δ 1.71(6H,s)、5.27(1H,brs)、6.36〜6.50(2H,m)
【0278】
13E)3,5−ジフルオロ−4−(2,2,2−トリフルオロ−1,1−ジメチルエチル)フェニルトリフルオロメタンスルホナート
3,5−ジフルオロ−4−(2,2,2−トリフルオロ−1,1−ジメチルエチル)フェノール(実施例13D、456mg、1.9mmol)と4−(ジメチルアミノ)ピリジン(2mg、0.02mmol)のピリジン(5ml)およびジクロロメタン(10ml)溶液に、トリフルオロメタンスルホン酸無水物(643mg、2.28mmol)を0℃で滴加し、混合物を0℃で3時間攪拌した。次いで、混合物を酢酸エチルで希釈し、2M塩酸水溶液で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、真空で濃縮して粗生成物を得て、それを酢酸エチル/ヘキサン(1:10)で溶出してシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、無色の油として、3,5−ジフルオロ−4−(2,2,2−トリフルオロ−1,1−ジメチルエチル)フェニルトリフルオロメタンスルホナート(440mg、収率62%)を得た。
H NMR(300MHz,CDCl)δ 1.75〜1.77(6H,m)、6.86〜6.95(2H,m)
【0279】
13F)5−エテニル−1,3−ジフルオロ−2−(2,2,2−トリフルオロ−1,1−ジメチルエチル)ベンゼン
3,5−ジフルオロ−4−(2,2,2−トリフルオロ−1,1−ジメチルエチル)フェニルトリフルオロメタンスルホナート(440mg、1.18mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)(5ml)溶液に、ビニルトリブチルスタンナン(450mg、1.42mmol)、塩化リチウム(500mg、11.8mmol)、およびPd(PPhCl(41mg、0.059mmol)を添加し、混合物を70℃で2時間攪拌した。反応を水でクエンチし、生成物をヘキサンで抽出した。その後、溶媒を蒸発させ、ヘキサンで溶出してシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、無色の油として、ビニルトリブチルスタンナンを含む5−エテニル−1,3−ジフルオロ−2−(2,2,2−トリフルオロ−1,1−ジメチルエチル)ベンゼン(粗生成物829mg)を得た。
H NMR(270MHz,CDCl)δ 5.66(1H,d,J=10.6Hz)、6.05(1H,d,J=17.8Hz)、6.86(1H,dd,J=10.6,17.8Hz)、7.14〜7.22(2H,m)
【0280】
13G)エチル2−[3,5−ジフルオロ−4−(2,2,2−トリフルオロ−1,1−ジメチルエチル)フェニル]シクロプロパンカルボキシラート
粗5−エテニル−1,3−ジフルオロ−2−(2,2,2−トリフルオロ−1,1−ジメチルエチル)ベンゼン(実施例13F、829mg)、5,10,15,20−テトラフェニル−21H,23H−ポルフィンCo(II)(Co(TPP))(24mg、0.035mmol)、および1−メチル−1H−イミダゾール(484mg、5.9mmol)のトルエン(3ml)溶液に、ジアゾ酢酸エチル(262mg、2.6mmol)を添加し、混合物を80℃で1時間攪拌した。次いで、反応物を濃縮し、粗残留物をシリカゲルクロマトグラフィーカラムにかけ、徐々にヘキサンからヘキサン/酢酸エチル(10:1)で溶出し、黒色の油として、ビニルトリブチルスタンナンを含む粗エチル2−[3,5−ジフルオロ−4−(2,2,2−トリフルオロ−1,1−ジメチルエチル)フェニル]シクロプロパンカルボキシラートを得た。
H NMR(270MHz,CDCl)δ 0.88〜1.93(12H,m)、2.40〜2.47(1H,m)、4.14〜4.20(2H,m)、6.57〜6.66(2H,m)
【0281】
13H)2−[3,5−ジフルオロ−4−(2,2,2−トリフルオロ−1,1−ジメチルエチル)フェニル]シクロプロパンカルボン酸
ビニルトリブチルスタンナンを含む粗エチル2−[3,5−ジフルオロ−4−(2,2,2−トリフルオロ−1,1−ジメチルエチル)フェニル]シクロプロパンカルボキシラートのテトラヒドロフラン(THF)(5ml)溶液に、2M水酸化ナトリウム水溶液(2ml)とメタノール(5ml)を添加し、混合物を室温で6時間攪拌した。反応が完了した後、塩基性混合物をジエチルエーテルで洗浄し、分離した水層を2M塩酸水溶液で酸性にし、生成物を酢酸エチルで抽出し、その後、溶媒を蒸発させて、白色固体として、2−[3,5−ジフルオロ−4−(2,2,2−トリフルオロ−1,1−ジメチルエチル)フェニル]シクロプロパンカルボン酸(198mg、3段階で収率54%)を得た。
MS(ESI)m/z307(M−H)
【0282】
13I)2−[3,5−ジフルオロ−4−(2,2,2−トリフルオロ−1,1−ジメチルエチル)フェニル]−N−[2−(1−エチル−1H−イミダゾール−2−イル)−2−オキソエチル]シクロプロパンカルボキサミド
2−[3,5−ジフルオロ−4−(2,2,2−トリフルオロ−1,1−ジメチルエチル)フェニル]シクロプロパンカルボン酸(実施例13H、61mg、0.2mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)(0.5ml)溶液に、N,N,N’,N’−テトラメチル−O−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)ウロニウムヘキサフルオロホスファート(HBTU)(90mg、2.4mmol)、トリエチルアミン(0.14ml、1.0mmol)、および2−アミノ−1−(1−エチル−1H−イミダゾール−2−イル)−エタノン二塩酸塩(実施例12B、31mg、0.2mmol)を添加し、混合物を室温で1時間攪拌した。次いで、反応を飽和重炭酸ナトリウム水溶液でクエンチし、生成物を酢酸エチルで抽出し、それを硫酸ナトリウムで乾燥した。その後、濾過し、溶媒を蒸発させ、ヘキサン/酢酸エチル(1:1)で溶出してシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、白色固体として、2−[3,5−ジフルオロ−4−(2,2,2−トリフルオロ−1,1−ジメチルエチル)フェニル]−N−[2−(1−エチル−1H−イミダゾール−2−イル)−2−オキソエチル]シクロプロパンカルボキサミド(36mg、収率41%)を得た。
H−NMR(300MHz,CDCl)δ 1.24〜1.28(1H,m)、1.43(3H,t,J=7.3Hz)、1.60〜1.75(8H,m)、2.44〜2.51(1H,m)、4.44(2H,q,J=7.3Hz)、4.89(2H,d,J=5.1Hz)、6.56(1H,brs)、6.60〜6.68(2H,m)、7.16〜7.20(2H,m)
MS(ESI)m/z444(M+H)
【0283】
上述のすべての実施例を上述のヒトVR1アンタゴニストアッセイ法で試験し、その結果を以下の表に示す。
【0284】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物であって、
【化1】

式中、Arは、下式を表し、
【化2】

は、CH、CR、またはNを表し、
は、CH、CR、またはNを表し、
は、Nを表し、Xは、CHまたはCRを表し、Xは、S、NH、またはNRを表すか、あるいはXは、CHまたはCRを表し、Xは、Nを表し、Xは、NHまたはNRを表し、
、R、R、およびRは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ、ヒドロキシ(C〜C)アルコキシ、(C〜C)アルコキシ−(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ−(C〜C)アルコキシ、ハロ(C〜C)アルキル、(C〜C)アルキルチオ、(C〜C)アルキルスルフィニル、(C〜C)アルキルスルホニル、[(C〜C)アルキル]NH−、[(C〜C)アルキル]N−、HN−(C〜C)アルコキシ、(C〜C)アルキル−NH−(C〜C)アルコキシ、[(C〜C)アルキル]N(C〜C)アルコキシ、HN−(C〜C)アルコキシ−(C〜C)アルキル、(C〜C)アルキル−NH−(C〜C)アルコキシ−(C〜C)アルキル、または[(C〜C)アルキル]N(C〜C)アルコキシ−(C〜C)アルキルを表し、
、R、R、およびRは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、(C〜C)アルキル、ヒドロキシ(C〜C)アルキル、またはハロ(C〜C)アルキルを表し、
は、ハロゲン、(C〜C)アルキル、ハロ(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ、ヒドロキシ(C〜C)アルコキシ、(C〜C)アルコキシ−(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ−(C〜C)アルコキシ、[(C〜C)アルキル]NH−、または[(C〜C)アルキル]N−を表すか、あるいはRおよびRは、隣接する炭素原子に結合しているとき、それらが結合している炭素原子と共に、1つまたは2つの非隣接炭素原子が酸素、硫黄、またはNH基で置換されていてもよい、5から8員シクロアルキル環または複素環を形成することができ、前記シクロアルキル環または複素環は、非置換であるか、あるいはヒドロキシ、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ、およびヒドロキシ(C〜C)アルキルからなる群から選択された1つまたは複数の置換基で置換されている化合物、あるいは薬学的に許容できるその塩または溶媒和物。
【請求項2】
Arが、下式を表し、
【化3】

は、N、CH、またはCRを表し、
それぞれ、Xは、Nを表し、Xは、CHを表し、Xは、NHまたはNRを表す請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
が、CHまたはCRを表す請求項1または2のいずれかに記載の化合物。
【請求項4】
およびRが、それぞれ独立して、水素、ヒドロキシ、(C〜C)アルキル、ハロ(C〜C)アルキル、および(C〜C)アルコキシである請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
、R、R、およびRが、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、または(C〜C)アルキルである請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
およびRが、それぞれ独立して、水素またはハロゲンである請求項1から5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
が、(C〜C)アルキルまたはハロ(C〜C)アルキルを表す請求項1から6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
が、t−ブチル、トリフルオロメチル、または2,2,2−トリフルオロ−1,1−ジメチルエチルを表す請求項1から7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
2−(4−tert−ブチルフェニル)−N−[2−(3−メチルピリジン−2−イル)−2−オキソエチル]シクロプロパンカルボキサミド;
2−(4−tert−ブチルフェニル)−N−[2−(5−メトキシ−2−メチルフェニル)−2−オキソエチル]シクロプロパンカルボキサミド;
2−(4−tert−ブチルフェニル)−N−[2−(5−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−2−オキソエチル]シクロプロパンカルボキサミド;
2−(4−tert−ブチル−3−フルオロフェニル)−N−[2−(3−メチルピリジン−2−イル)−2−オキソエチル]シクロプロパンカルボキサミド;
N−[2−(3−メチルピリジン−2−イル)−2−オキソエチル]−2−[4−(2,2,2−トリフルオロ−1,1−ジメチルエチル)]シクロプロパンカルボキサミド;
2−(4−tert−ブチルフェニル)−2−メチル−N−[2−(3−メチルピリジン−2−イル)−2−オキソエチル]シクロプロパンカルボキサミド;
2−(4−tert−ブチル−3−クロロフェニル)−N−[2−(3−メチルピリジン−2−イル)−2−オキソエチル]シクロプロパンカルボキサミド;
2−(4−tert−ブチル−3−フルオロフェニル)−N−[2−(3−トリフルオロメチルピリジン−2−イル)−2−オキソエチル]シクロプロパンカルボキサミド;
3−(4−tert−ブチルフェニル)−2,2−ジフルオロ−N−[2−(3−メチルピリジン−2−イル)−2−オキソエチル]シクロプロパンカルボキサミド;
2−(4−tert−ブチル−3−フルオロフェニル)−N−[2−(1−メチル−1H−イミダゾール−2−イル)−2−オキソエチル]シクロプロパンカルボキサミド;
2−メチル−N−[2−(1−メチル−1H−イミダゾール−2−イル)−2−オキソエチル]−2−[4−(2,2,2−トリフルオロ−1,1−ジメチルエチル)フェニル]シクロプロパンカルボキサミド;
N−[2−(1−エチル−1H−イミダゾール−2−イル)−2−オキソエチル]−2−メチル−2−[4−(2,2,2−トリフルオロ−1,1−ジメチルエチル)フェニル]シクロプロパンカルボキサミド;および
2−[3,5−ジフルオロ−4−(2,2,2−トリフルオロ−1,1−ジメチルエチル)フェニル]−N−[2−(1−エチル−1H−イミダゾール−2−イル)−2−オキソエチル]シクロプロパンカルボキサミド;
から選択された請求項1に記載の化合物、あるいは薬学的に許容できるその塩または溶媒和物。
【請求項10】
薬学的に許容できる賦形剤と共に、請求項1から9のいずれか一項に記載の式(I)の化合物、あるいは薬学的に許容できるその塩を含む医薬組成物。
【請求項11】
薬剤として用いるための、請求項1から9のいずれか一項に記載の式(I)の化合物、あるいは薬学的に許容できるその塩または溶媒和物。
【請求項12】
VR1アンタゴニストが適応される疾患を治療するための薬剤の製造における、請求項1から9のいずれか一項に記載の式(I)の化合物、あるいは薬学的に許容できるその塩または組成物の使用。
【請求項13】
疾患が、急性脳虚血、疼痛、慢性疼痛、神経因性疼痛、炎症性疼痛、ヘルペス後神経痛、ニューロパシー、神経痛、糖尿病性ニューロパシー、HIV関連ニューロパシー、神経損傷、関節リウマチ痛、変形性関節症痛、熱傷、背部痛、内臓痛、癌性疼痛、歯痛、頭痛、片頭痛、手根管症候群、線維筋痛、神経炎、坐骨神経痛、骨盤過敏症、骨盤痛、月経痛;膀胱疾患、例えば、失禁、排尿障害、腎仙痛、および膀胱炎;炎症、例えば、熱傷、関節リウマチ、変形性関節症;神経変性疾患、例えば、脳卒中、脳卒中後疼痛、および多発性硬化症;肺疾患、例えば、喘息、咳、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、および気管支収縮;胃腸疾患、例えば、胃食道逆流性疾患(GERD)、嚥下障害、潰瘍、過敏性腸症候群(IBS)、炎症性腸疾患(IBD)、大腸炎、およびクローン病;虚血、例えば、脳血管虚血;嘔吐、例えば、癌化学療法誘発性嘔吐、ならびに肥満から選択される請求項12に記載の使用。
【請求項14】
ヒトを含む哺乳動物において、VR1アンタゴニストが適応される疾患を治療するための方法であって、治療上有効量の請求項1から9のいずれか一項に記載の式(I)の化合物、あるいは薬学的に許容できるその塩または溶媒和物を前記哺乳動物に投与することを含む方法。
【請求項15】
請求項1から9のいずれか一項に記載の式(I)の化合物、あるいは薬学的に許容できるその塩または溶媒和物と、他の薬理活性剤との組合せ。

【公表番号】特表2008−534567(P2008−534567A)
【公表日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−503607(P2008−503607)
【出願日】平成18年3月15日(2006.3.15)
【国際出願番号】PCT/IB2006/000585
【国際公開番号】WO2006/103503
【国際公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【出願人】(000204343)ファイザー株式会社 (38)
【Fターム(参考)】