集塵体およびダストモニタ
【課題】 使い捨ての集塵用フィルタを用いないようにして集塵用フィルタの廃棄損をなくし、運用コスト低減を実現するような集塵体、および、この集塵体を用いるダストモニタを提供する。
【解決手段】
検出部45の検出空間内で空気が吹き付けられるように配置され、プラスイオンによりイオン化されたイオン化放射線ダストと反対の極性であるマイナス電圧が電極に印加されて集塵面からの吸引力によりイオン化放射線ダストを捕集し、捕集後の空気を排気孔423を介して排気するようにした集塵体42とした。および、この集塵体42を備えるダストモニタとした。
【解決手段】
検出部45の検出空間内で空気が吹き付けられるように配置され、プラスイオンによりイオン化されたイオン化放射線ダストと反対の極性であるマイナス電圧が電極に印加されて集塵面からの吸引力によりイオン化放射線ダストを捕集し、捕集後の空気を排気孔423を介して排気するようにした集塵体42とした。および、この集塵体42を備えるダストモニタとした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塵埃を集塵する集塵体、および、この集塵体を用いて塵埃についての各種モニタリングを行うダストモニタに関する。
【背景技術】
【0002】
塵埃を集塵する目的は各種存在し、塵埃除去による空気清浄化目的のものが一般的であるが、これ以外にも、例えば大気中の塵埃量の計測を行うなど計測目的のものなどがある。このような計測の一具体例として、放射性の塵埃(以下放射線ダストという)を集塵して放射線を検出する計測が知られている。このような計測における塵埃捕集について以下に説明する。
【0003】
例えば、原子力施設及び大学・研究所などの放射性同位元素取扱施設では、この施設内の空気を集塵用フィルタに通過させ、空気中に含まれる放射線ダストを捕集して放射線の計測を行うダストモニタが使用される。このダストモニタは、具体的には、放射性同位元素取扱施設内の空気中に存在する放射線ダストの空気中濃度を測定し、放射線業務従事者の被曝を管理するために用いられる。以下、ダストモニタについて概略説明する。
【0004】
図14は従来技術のダストモニタ200の検出ユニットの構成図、図15は検出器の説明図で、図15(a)は要部構成図、図15(b)は計数値−波高電圧線特性図である。このダストモニタ200は、図14で示すように、吸入口210、検出器220、検出器ホルダ230、集塵用フィルタ240、集塵ケース250、フィルタ取換扉260、排気ポンプ270、排出口280を備え、放射線ダストからの放射線の線量を検出器220により検出するものである。
【0005】
排気ポンプ270により負圧が形成されると、放射性同位元素取扱施設の空気は、吸入口210を経て集塵ケース250内に流入し、集塵用フィルタ240を通過して排出口280から排出される。検出器ホルダ230に固定された検出器220は、この集塵用フィルタ240が捕集した放射線ダストから放射される放射線を検出し、線量を計数する。検出器220は、例えば、図15(a)で示すように、半導体検出素子221、増幅部222、波高弁別部223、中央処理部(CPU:Central Proccessing Unit)224を備えている。この中央処理部224はカウンタ機能を有している。
【0006】
半導体検出素子221は、放射線ダスト300からの放射線の検出に応じて検出信号を出力する。
増幅部222は、この検出信号を所定ゲインで増幅し、検出信号の振幅電圧(波高)を適宜調節する。
波高弁別部223は、詳しくはディスクリミネータ回路であり、分圧抵抗223a,223bで決定される検出基準波高電圧をコンパレータ223cに入力し、検出信号から検出基準波高電圧を上回るような信号を弁別してパルス信号として出力する。この波高弁別により、検出基準波高電圧を下回るバックグラウンドによるノイズ(以下バックグラウンドノイズという)は除去される。
中央処理部224はこのようなバックグラウンドノイズが除去されたパルス信号を計数するカウンタとして機能する。これにより放射線の線量が計数され、計数値を表す線量データを生成出力する。この線量データは通信線を介してコンピュータ等で構成される他の中央処理部へ送信されて各種処理が行われる。
【0007】
この線量データの内容について説明する。放射線ダストは放射性核種である。この放射性核種は人工放射性核種と天然放射性核種に分けられる。天然放射性核種は今なお存在する半減期の長いものとその放射性を持つ娘核種であり、人工放射性核種は人工により作り出され、自然にはほとんど絶滅している半減期の短い核種のことを指している。
このような検出器220では、仮に波高弁別部223がないと図15(b)の計数値−波高電圧線特性図で示すように、検出基準波高電圧を下回るバックグラウンドノイズも含む多数の計数値がカウンタから出力される。これは自然界に存在する天然の放射性物質すなわち自然核種からの放射線の線量も含むものとなる。
しかしながら、波高弁別部223の弁別により、検出基準波高電圧を上回る電圧の信号については検出対象としてパルス信号として出力するが、検出基準波高電圧を下回るバックグラウンドノイズは検出対象外となって除去するため、放射性物質取扱施設から漏洩する波高の高い人工放射性核種から放射される放射線の線量のみを検出できる。
【0008】
図14に戻るが、このようなダストモニタ200では、所定期間経過した後に集塵用フィルタ240が取換えられる。この集塵用フィルタ240は、カートリッジ形式として取扱いが容易に構成されており、取換えはフィルタ取換扉260を開けて、古い集塵用フィルタ240を取り除いた後に新しい集塵用フィルタ240を載置し、フィルタ取換扉260を閉めることにより行われる。
従来技術のダストモニタ200はこのようなものであった。
【0009】
また、このようなダストモニタの従来技術例として、例えば特許文献1(発明の名称:放射線ダストモニタ)が開示されている。
この放射線ダストモニタも、図14で示したダストモニタ200と同様に、通気ユニット内に設置されたフィルタ(ろ紙)に放射線ダストを集塵させて、フィルタ(ろ紙)に対向するように配置された検出器が放射線を検出するというものである。
【0010】
さらにまた、他の従来技術例として、例えば特許文献2(発明の名称:放射線ダストモニタ及び放射線ダストモニタ用濾紙リサイクル可否判定装置)が開示されている。
この放射線ダストモニタは、供給プーリから長尺帯状の濾紙を繰り出す方式を採用しており、濾紙の交換等の手間を低減させるものである。
【0011】
【特許文献1】特開2002−277552号公報 (段落番号0022〜0025,図1)
【特許文献2】特開2003−315461号公報 (段落番号0029,図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ダストモニタでは、精度良い計測を行うため未使用の集塵用フィルタへと頻繁に取換えられるものであり、図14で示した従来技術や特許文献1の従来技術のように単体の集塵用フィルタを検出位置に配置する単体方式では頻繁に集塵用フィルタを取換え、また、特許文献2の従来技術のように長尺帯状の濾紙を連続挿入する連続方式ではフィルタ交換の自動化を実現している。そして何れのダストモニタでもダスト捕集・計測した後の集塵用フィルタが放射能汚染されているか否かを選別し、汚染されている場合には放射能汚染物質として処分し、または、放射能汚染されていない場合は通常の廃棄物として処分している。
しかしながら、単体方式では集塵用フィルタを決められた時間毎に交換して廃棄していたため、手間を要する上に、ごみを省力化できなかった。
また、連続方式では長尺の濾紙を使用するため交換に手間を要しない点では良いが、この濾紙の一部にでも放射能汚染があれば全て放射能汚染されているとして廃棄するか、または、ごみ処分時に再度分別作業するか、が必要であり、廃棄時の手間の削減やごみの省力化の点で改善する余地があった。
このような集塵用フィルタの廃棄損が大きいという問題は、放射線ダスト集塵用途に限らず起こりうる問題であり、対策が必要であった。
【0013】
そこで、本発明は上記した問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、使い捨ての集塵用フィルタを用いないようにして集塵用フィルタの廃棄損をなくし、運用コスト低減を実現するような集塵体、および、この集塵体を用いるダストモニタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するため、本発明の請求項1に係る発明の集塵体は、
絶縁体により形成される略板状の絶縁ベース部と、
絶縁ベース部の一方の面に形成される電極と、
を備え、
絶縁ベース部の他方の面ではそのまま絶縁体を露出させ、この露出する絶縁体を集塵面とすることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の請求項2に係る発明の集塵体は、
請求項1に記載の集塵体において、
前記絶縁ベース部は、前記電極の周囲に一または複数以上の排気孔を備えることを特徴とする。
【0016】
また、本発明の請求項3に係る発明の集塵体は、
請求項2に記載の集塵体において、
前記絶縁ベース部は、前記電極の周囲および排気孔内に外周電極を備えることを特徴とする。
【0017】
本発明の請求項4に係る発明のダストモニタは、
放射線ダストを捕集して放射線を検出するダストモニタであって、
放射線ダストを含む空気を吸引して加圧の上で送出する圧送ポンプと、
圧送ポンプの下流側に配置され、圧送ポンプから排気された空気がイオン化空間内を通過するイオン化部と、
イオン化部のイオン化空間内にイオンを放出して放射線ダストを正又は負の一方の極性に帯電させてイオン化放射線ダストとするイオン生成部と、
イオン化部の下流側に配置され、イオン化放射線ダストを含む空気が検出空間内に流入する検出部と、
検出部の検出空間内で空気が吹き付けられるように配置され、イオン化放射線ダストと反対の極性の電圧が電極に印加されて集塵面からの吸引力によりイオン化放射線ダストを捕集する請求項1の集塵体と、
検出部の検出空間に連通し、イオン化放射線ダスト捕集後の空気を排気する排気路と、
検出空間内で集塵体と有感面とが対向するように検出部に取付けられ、放射線ダストから有感面に放射される放射線の検出に応じて検出信号を出力する放射線検出器と、
を備えることを特徴とする。
【0018】
また、本発明の請求項5に係る発明のダストモニタは、
請求項4に記載のダストモニタにおいて、
前記排気路の開口部周囲および排気路内に外周電極を設け、
イオン化放射線ダストと同極の電圧が印加された外周電極からの斥力によりイオン化放射線ダストを排気路に通過させないようにするとともに、集塵面からの吸引力により集塵体の集塵面にイオン化放射線ダストを集塵させることを特徴とする。
【0019】
また、本発明の請求項6に係る発明のダストモニタは、
放射線ダストを捕集して放射線を検出するダストモニタであって、
放射線ダストを含む空気を吸引して加圧の上で送出する圧送ポンプと、
圧送ポンプの下流側に配置され、圧送ポンプから排気された空気がイオン化空間内を通過するイオン化部と、
イオン化部のイオン化空間内にイオンを放出して放射線ダストを正又は負の一方の極性に帯電させてイオン化放射線ダストとするイオン生成部と、
イオン化部の下流側に配置され、イオン化放射線ダストを含む空気が検出空間内に流入する検出部と、
検出部内の検出空間で空気が吹き付けられるように配置され、イオン化放射線ダストと反対の極性の電圧が電極に印加されて集塵面からの吸引力によりイオン化放射線ダストを捕集するとともに捕集後の空気を排気孔を通じて排気する請求項2の集塵体と、
検出空間内で集塵体と有感面とが対向するように検出部に取付けられ、放射線ダストから有感面に放射される放射線の検出に応じて検出信号を出力する放射線検出器と、
を備えることを特徴とする。
【0020】
また、本発明の請求項7に係る発明のダストモニタは、
放射線ダストを捕集して放射線を検出するダストモニタであって、
放射線ダストを含む空気を吸引して加圧の上で送出する圧送ポンプと、
圧送ポンプの下流側に配置され、圧送ポンプから排気された空気がイオン化空間内を通過するイオン化部と、
イオン化部のイオン化空間内にイオンを放出して放射線ダストを正又は負の一方の極性に帯電させてイオン化放射線ダストとするイオン生成部と、
イオン化部の下流側に配置され、イオン化放射線ダストを含む空気が検出空間内に流入する検出部と、
検出部内の検出空間で空気が吹き付けられるように配置され、イオン化放射線ダストと反対の極性の電圧が電極に印加されて集塵面からの吸引力によりイオン化放射線ダストを捕集するとともに捕集後の空気を排気孔を通じて排気する請求項3の集塵体と、
検出空間内で集塵体と有感面とが対向するように検出部に取付けられ、放射線ダストから有感面に放射される放射線の検出に応じて検出信号を出力する放射線検出器と、
を備え、イオン化放射線ダストと同極の電圧が印加された集塵体の外周電極からの斥力によりイオン化放射線ダストを排気孔に通過させないようにするとともに、集塵面からの吸引力により集塵体の集塵面にイオン化放射線ダストを集塵させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
このような本発明によれば、使い捨ての集塵用フィルタを用いないようにして集塵用フィルタの廃棄損をなくし、運用コスト低減を実現するような集塵体、および、この集塵体を用いるダストモニタを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
続いて、本発明を実施するための最良の形態の集塵体およびダストモニタについて、以下に図を参照しつつ一括して説明する。図1は本形態のダストモニタの構成説明図である。このダストモニタ1は、例えば放射性同位元素取扱施設などにおいて、室内の空気中に含まれる放射線ダストを集塵して、放射線ダストの空気中濃度を測定する装置であり、圧送ポンプ10、イオン化部20、イオン生成部30、検出部40、放射線検出器50、排気流路60、高圧電源部70、検出器用ドライバ80、電源部90、検出信号処理部100、電源部110、情報解析部120を備えている。なお、図1でしめすダストモニタ1は、各構成がそれぞれ分かれて図示されているが、これは構成を解りやすく説明するためであり、実際はこれらが一体に組み込まれた装置として使用される。
【0023】
ここに空気系は、圧送ポンプ10、イオン化部20、検出部40、排気流路60により構成される。
また、イオン生成系は、イオン生成部30、高圧電源部70により構成される。
また、放射線検出系は、検出部40、放射線検出器50、検出器用ドライバ80、検出信号処理部100、情報解析部120により構成される。
【0024】
続いて各部の構成について説明する。
圧送ポンプ10は、例えばシロッコ式ポンプであり、吸入口11と吐出口12とを備える。吸入口11は、図示しないが、例えば、放射性同位元素取扱施設の施設内空気を排気する排気口に接続されたり、また、放射性同位元素取扱施設の施設内にそのまま配置される。なお、空気に含まれる汚染物質を除去するような汚染除去手段を吸入口11の上流側に配置しても良い。吐出口12は、イオン化部20の流入口に接続される。
この圧送ポンプ10は、空気系の最上流に位置し、放射線ダストを含む空気を吸引してイオン化部20および検出部40へ空気を圧送排気する。
【0025】
イオン化部20は、圧送ポンプ10から圧送される空気が流れる流路であるイオン化空間をその内部に備えるものである。イオン化部20の外側にイオン生成部30が取付けられている。このイオン化部20は、圧送ポンプ10の下流側に配置される。
【0026】
イオン生成部30は、イオンを生成し、イオン化部20のイオン化空間内にこのイオンを照射するイオナイザであり、図示しない放電針を多数備える。本形態のイオン生成部30では、プラスの高電圧が印加された放電針がプラスイオンを生成してイオン化空間内をイオン化された雰囲気とし、イオン化空間を通過する放射線ダストにプラスイオンを付着させることで正極に帯電させてイオン化放射線ダストとする。なお、本形態では説明の具体化のためプラスイオンを生成するものとして以下説明するが、後述のようにマイナスイオンを生成することも可能である。
【0027】
なお、本形態では図1で示すような長尺のイオン化空間を有するイオン化部20とし、さらに空気の流れ方向に放電針が多数並べて配置したイオン生成部30としているため、イオン化空間内を流れる放射線ダストが、放電針付近のプラスイオン濃度が高い領域を放電針の数だけ通過するようにして、放射線ダストが確実にイオン化されるように配慮している。なお、イオン化生成部30から十分なプラスイオンが生成されて確実にイオン化放射線ダストが生成されるならばイオン化部20やイオン化生成部30は長尺でなくとも良い。
【0028】
検出部40は、イオン化部20の下流に配置され、イオン化放射線ダストを含む空気が流入する。この検出部40について、図2,図3,図4を参照しつつさらに詳しく説明する。図2は検出部の説明図、図3は引出し部の説明図、図4は検出部の断面図である。検出部40は、図2で示すように、引出し部41、集塵体42、固定部43、電線44、検出部本体45を備えている。
【0029】
引出し部41は、更に詳しくは図3で示すように、ベース部411、正面部412、固定板413、固定ねじ414、電線挿通孔415を備える。ベース部411に対して正面部412が接着・ねじ止め等により固定されている。このベース部411は、略板状であり、検出部本体45の収納穴451(図2参照)内に挿抜可能に形成される。また、ベース部411には、載置部411aが形成されている。この載置部411aは段付き孔であって段部411b(図4参照)を有し、集塵体42が載置部411aに載置されると、集塵体42の周縁が段部411bに載置されて孔内に嵌め込まれるというホルダ方式を採用している。この段部411bには図示しないゴム製のパッキンを配置して、集塵体42と段部411bとの間を隙間がないように塞いで気密を保持する構造とした。そして両側から二個の固定板413で押さえつけつつ固定ねじ414により固定して集塵体42を載置部411aから外れないようにするとともにパッキンとの気密を高めつつ固定する。その後に電線44を電線挿通孔415に挿通させて外部へ引き出すようにする。このような引出し部41を用いることで集塵体42は横スライド交換方式により交換できるようにしている。
【0030】
このような引出し部41を検出部本体45内に挿入し、集塵体42が検出部本体45内に配置された状態として、図2,図3で示すように、正面部412の孔412aに固定部43のねじ部を挿通させ、検出部本体45に形成されたねじ孔に螺挿して固定する。集塵体42の配置後の検出部本体45は、図4で示すような位置関係となる。集塵体42の上側の集塵面と、この集塵面に対向する面である放射線検出器50の有感面と、の距離が約10mmになるように構成されている。さらに、放射線検出器50と集塵体42以外の各部は、絶縁材にて構成され、絶縁が確保されている。
【0031】
集塵体42は、後述するが、イオン化ダストを捕集する機能を有している。この集塵体42についてさらに詳細に説明する。図5は集塵体の説明図であり、図5(a)は集塵体の表面(集塵面)を示す図、図5(b)はA−A線断面図、図5(c)は裏面を示す図である。
集塵体42は、絶縁ベース部421、電極422、排気孔423を備える。
絶縁ベース部421は絶縁体を材料とし、略円板状に形成されたベース部である。例えば、集塵体42の径は約8cmである。この絶縁体は、詳しくは、高い誘電率を有する誘電体であるが、広いバンドギャップを有するため、電気的には絶縁体としてもふるまう。この誘電体の例として、多くのプラスティック、セラミック、マイカ(雲母)やガラスエポキシ樹脂なども用いることができる。なお、誘電体を用いる理由については後述する。絶縁ベース部421の例として厚さは1mm〜2mm程度のガラスエポキシ樹脂製円板であり、さらに集塵した放射線ダストを容易にクリーニングできるように表面絶縁コートとしてソルダーレジスト処理を施す。価格が安価であるという利点がある。
【0032】
電極422は、例えば、薄板状や箔状であり、通常電極として用いる材料(銅等)により形成されるものであり、図5(c)で示すように絶縁ベース部421と同心円状の円板電極である。例えば、本形態の電極は銅箔であってその径は約6cmである。なお図5(a)で示す点線の円は、この電極422と同一径の円であり、後述する原理により形成される集塵面である。
【0033】
排気孔423は、電極422の周囲に多数(本形態では円弧状の孔が4個)形成されるものであり、表裏で空気を通流させる機能を有している。例えば、流量通過面積は約6cm2である。
この集塵体42による集塵原理については後述する。
【0034】
なお、他の集塵体の構成として上記の絶縁ベース部421にFR−4(3層)ガラスエポキシ樹脂の絶縁ベース部を採用して、三層構造とし、電極部を中間に配置して電極部を劣化しないようにしても良い。
また、他の集塵体の構成として上記絶縁ベース部421にテフロン(登録商標)(3層)樹脂の絶縁ベース部を採用して、三層構造とし、表面のテフロンコーティングにより、表面強度は非常に高いクリーニング(再利用)性能を持たせるようにしても良い。
集塵体42はこのようなものである。
【0035】
図1に戻るが、放射線検出器50は、集塵体42に捕集されたイオン化放射線ダストの放射線についての線量データを出力している。
この放射線検出器50は、図4でも示すように、直下に設置した集塵体42に集塵されているイオン化放射線ダストの放射線を測定する検出器であり、放射線が特定の物質に入射するとき、その放射線エネルギーが吸収されて光のエネルギーに変換するシンチレータと、僅かな光を電気信号に変換・増幅する光電子増倍管を組み合わせたものである。この電気信号は、検出器用ドライバ80へ出力される。
【0036】
なお、イオンにより発生するノイズに対するノイズ処理を行うことを条件に、先に図15(a)を用いて説明した半導体検出素子としても良い。この場合、例えば、半導体検出素子221・増幅部222が半導体検出器50に、波高弁別部223が検出器用ドライバ80に、また、中央処理部224が検出信号処理部100に搭載されるものである。
【0037】
排気流路60は、図1,図4で示すように、検出部40内の集塵体42の排気孔423を通過した空気を排気する。排気流路60は、放射性同位元素取扱施設の施設外へ空気を排気する吐出口に接続されたり、また、放射線ダストが集塵除去されている清浄な空気であるため放射性同位元素取扱施設の施設内へそのまま排気しても良い。
【0038】
高圧電源部70は、商用電源からDC±5,000Vのプラス高電圧およびマイナス高電圧を生成する機能を備え、商用電源から生成したプラス高電圧を、イオン化生成部30の放電針に印加し、また、商用電源から生成したマイナス高電圧を、集塵体42の電極422に印加する。
【0039】
検出器用ドライバ80は、放射線検出器50の光電子増倍管へ駆動電力を供給したり、また、光電子増倍管から出力された電気信号を入力し、信号処理を行う。詳しくは、この電気信号に対して信号増幅やノイズ除去を行ってTTL信号出力による検出信号を生成して、検出信号処理部100へ出力する。
【0040】
電源部90は、商用電源から生成した電源電圧を、検出器用ドライバ80へ供給する定電圧電源である。
検出信号処理部100は、検出器用ドライバ80から出力された検出信号を入力し、デジタルの検出データに変換して、情報解析部120へ出力する。
【0041】
電源部110は、商用電源から生成した電源電圧を、検出信号処理部100へ供給する定電圧電源である。
情報解析部120は、検出データを入力し、所望の解析を行ってグラフ形式(例えば、図11,図12の特性図参照)や帳票形式にまとめて出力する。また、データを保存する機能も有する。
【0042】
続いて、本発明の集塵体、および、この集塵体を用いるダストモニタの動作について図を参照しつつ説明する。図6は、空気系の説明図である。
まず、図6で示すように、コンプレッサ式の圧送ポンプ10は、放射線ダストを含む空気を吸引して下流にあるイオン化部20へ送る。この吸気量は例えば最大40(Nl/min)程度である。イオン化部20のイオン化空間および検出部40の検出空間は圧送される圧縮空気により高圧となる。このため、集塵体42の排気孔423(図8参照)から下流側へ空気が排気される。排気された空気は排気流路60を経てダストモニタ1の外へ放出されることとなる。
【0043】
続いて、イオン生成系について図を参照しつつ説明する。図7はイオン生成系の説明図である。イオン生成部30は、放電針にプラス高電圧を印加し、直流コロナ放電により、プラスイオンを発生させる。プラス高電圧が高いほどプラスイオンの生成量が増加するが、あまり高いとアーク放電現象が発生するため、アーク放電を起こさない最高電圧であるDC+5,000Vを印加する。
イオン生成部30の放電針からコロナ放電させてプラスイオンが照射され、イオン化空間内の雰囲気をプラスイオン化させる。この雰囲気を放射線ダストが通過すると、プラスイオンが放射線ダストに付着して正極に帯電したイオン化放射線ダストを生成する。図7で示すように複数の放電針近傍のイオン高濃度領域を通過するため、イオン化放射線ダストが確実に生成される。
【0044】
そして、イオン化放射線ダストが検出部40内の集塵体42まで到着し、イオン化放射線ダストが集塵体42に吸引されて捕集される。そして捕集済みの残る空気は排気孔423を通じて排気される。そしてイオン化放射線ダストから放射される放射線を、放射線検出器50が検出してダストモニタリングが行われる。ダストモニタの動作はこのようなものである。
【0045】
続いて、ダストモニタにおける捕集について重点的に説明する。図8は、集塵途中の検出部の説明図である。図8で示すようにイオン化部20のイオン化空間を通過したイオン化放射線ダストが、検出部本体45内の検出空間に流入する。集塵体42の電極422はDC−5000Vのマイナス高電圧が印加されており、プラスに帯電したイオン化放射線ダストを、集塵体42の集塵面上に吸引蓄積させる。なお、DC−5000Vを下回る低電圧では、絶縁ベース部421の絶縁破壊によりリーク(高電圧での放電現象)が発生するおそれがあるため、DC−5000Vを最下限としている。
【0046】
この集塵原理について図を参照しつつ説明する。図9は集塵体における集塵原理を説明する説明図であり、図9(a)は集塵を説明する説明図、図9(b)は塵埃除去を説明する説明図である。
先に説明したように、絶縁ベース部421は誘電体である。図9(a)で示すように電極422にマイナス高電圧を印加すると電界が形成される。誘電体に電界をかけると電荷は移動するのではなく、誘電体を構成する粒子は局所的に変位し、正負の電荷の重心の位置が僅かにずれる。この結果、粒子は電気双極子の集団を構成し、電界の方向に並ぶ誘電分極が起こる。この誘電分極により、電界方向(矢印A方向)では内部の隣り合う双極子の電荷が打ち消され、見かけ上では絶縁ベース部421の電極側にプラスの分極電荷が、また、絶縁ベース部421の集塵面側にマイナスの分極電荷が現れる。
【0047】
このようにプラスイオン化されたイオン化放射線ダストが、マイナスの分極電荷が現れれた集塵面に吸引されて、電気的な集塵が行われる。
仮に導電体のみの集塵体とするとイオンが吸収されるため、イオン化放射線ダストが直ちに通常の放射線ダストとなって、集塵できないが、本形態のように誘電体を介在させたため、イオン化放射線ダストに付着するイオンを吸収するという事態は回避される。
【0048】
なお、本発明の集塵体を利用するダストモニタ1では、従来技術のような空気が通流する微細孔を有する集塵フィルタを用いないため空気を通流させる排気孔を設けているが、従来技術のように集塵体の下流側を負圧にするのではなく、集塵体の上流側を正圧に加圧する点も特徴となっている。この点について図を参照しつつ説明する。図10は、ダストモニタの空気圧を説明する説明図であり、図10(a)は、従来技術の負圧吸引による送風原理の説明図、図10(b)は加圧圧送による送風原理の説明図である。
【0049】
従来技術では、図14で示すように、集塵用フィルタ250の下流側を排気ポンプ270により負圧にして下流側へ吸引することで送風していた。
このような従来技術の送風原理を本発明の集塵体に採用すると、図10(a)で示すように、流れやすい排気孔423へ空気が集中して流れて、集塵面上に空気が流れない滞留領域が形成され、イオン化放射線ダストが集塵面に到達せずに排気孔423を介して排気され、集塵が効率的に行われないという問題があることが本発明者により知見された。そこで、従来の負圧吸引方式での捕集でなく、圧送方式を採用した。これにより、図10(b)で示すように、集塵体42に空気を吹き付けることとなり、集塵体42の全面に放射線ダストが吹き付けられてプラスのイオン化放射線ダストが集塵体42の集塵面に吸引される。このため、イオン化放射線ダストが確実に捕集される。
【0050】
続いて、このような集塵原理による集塵能力について図を説明する。図11は集塵体と従来技術の集塵用フィルタとによる計数率を比較する時間−計数率特性図である。従来技術の集塵用フィルタの計数率を100%とした場合の集塵体42の計数率は約12%を示す。集塵効率は必ずしも従来技術に達してはいないが、集塵時の捕集効率ファクタ(λ)を決めて計数率×λにより実際の計数率に略一致させる補正を行うことで、実際の計数率に近づけることができる。検出信号処理部100や情報解析部120により処理させることができる。
【0051】
また、ダストモニタ1は放射性同位元素取扱施設内の各種装置から空気中へ漏洩した放射性物質の監視を目的としており、その対象は人工放射性物質(人工核種)である。一方、大気中にはラドン,トロン等天然の放射性物質(天然核種)が含まれており、建屋のコンクリート等からも同様の天然核種が空気中に遊離する。例えば放射性同位元素取扱施設内へも建屋換気空調系を介して外気を取り入れており、また建屋構築のコンクリートからも天然核種が供給されるため、施設内の空気は常に天然核種を含んでいる。このような放射性同位元素取扱施設内の空気に含まれる天然放射性物質であるダスト状のラドン子孫核種及びトロン子孫核種があり、これらも集塵体42にダスト状の子孫核種として捕集されることとなる。これらの自然放射能の半減期は比較的短く、充分な期間、例えば、1週間経過時には放射能が低くなるため、天然核種の自然放射能の影響は無視できるようになる。一方人工核種は、放射能が高い。このことから、集塵体42が捕集した放射線ダストからの放射線の線量が予め定められた境界線量を上回るならば、人工核種が検出されたとして異常を検知することとなり、計数率の補正により、本来検出したい人工核種の放射線を確実に検出できる。
【0052】
続いて、集塵体のクリーニングについて図を参照しつつ説明する。図12はクリーニングを説明する時間−計数率特性図である。集塵体をクリーニングする場合、電極422に印加されたマイナス高電圧(DC−5000V)を切って単に0Vとして吸引力をなくしたり、または、+aVとしてイオン化放射線ダストに斥力を与える。これにより、図9(b)で示すように集塵体42に付着したイオン化放射線ダストを離脱させ、排気孔423から排気させる。このようなクリーニング時の動作は、図12で示すようにマイナス高電圧印加時に増加した計数率が、印加を終了したときに直ぐに低下する点からも、クリーニングが有効に機能していることが明らかである。
【0053】
以上本形態のダストモニタ1について説明した。しかしながら、本形態以外にも各種の変形形態が可能である。例えば、本形態ではイオン生成部30がプラス高電圧(DC+5000V)を放電針に印加して正極に帯電したイオン化放射線ダストを生成し、集塵体42の電極422にマイナス高電圧(DC−5000V)を印加して吸引力により集塵していたが、これに代えてイオン生成部30がマイナス高電圧(DC−5000V)を放電針に印加して負極に帯電したイオン化放射線ダストを生成し、集塵体42の電極422にプラス高電圧(DC+5000V)を印加して集塵するようにしても良い。
【0054】
また、本形態では集塵体42に排気孔423を設けたものであったが、例えば、図5で示した集塵体から排気孔をなくし、代わりに図3で示した引出し部41のベース部411や検出部本体45に捕集後の空気を排気させる通路である排気路を形成するような構成としても良い。この場合、多数枚数が必要になる集塵体の構造が簡単になり、運用面での低コスト化が見込めるという利点もある。
【0055】
また、本形態では集塵体42の電極422に高電圧を印加するため、電線44を直接接続する構成を採用したが、例えば、引出し部41のベース部411と集塵体42とに、内蔵される線に電気的に接続されるコネクタを形成し、集塵体をベース部411に載置するときにコネクタを結合して電源を供給する構造として、正面部412に設けられた電線挿通孔415および電線44を省略するようにしても良い。
【0056】
続いて他の形態について図を参照しつつ説明する。図13は他の形態の集塵体の説明図であり、図13(a)は集塵体の表面(集塵面)を示す図、図13(b)はB−B線断面図、図13(c)は裏面を示す図である。本形態では、先の形態の集塵体42に代えて、集塵体46とし、この集塵体46の特に外周電極にプラス電圧を印加して、外周電極の正極から受けるクーロンの斥力(プラスとプラスとが互いに反発し合う力)を作用させて、イオン化放射線性ダストが排気孔を通過させないようにするとともに、引力により集塵体の集塵面にイオン化放射線性ダストを集塵させるものである。
【0057】
集塵体46は、絶縁ベース部461、電極462、排気孔463、外周電極464を備える。
絶縁ベース部461は絶縁体を材料とし、略円板状に形成されたベース部である。例えば、集塵体の径は約8cmである。この絶縁体は、詳しくは、高い誘電率を有する誘電体であり、多くのプラスティック、セラミック、マイカ(雲母)やガラスエポキシ樹脂などを用いることができる。なお、本形態では材質として厚さは1mm〜2mm程度のガラスエポキシ樹脂製円板で、集塵した放射線ダストを容易にクリーニングできるように表面絶縁コートとしてソルダーレジスト処理を施す。価格が安価であるという利点がある。
【0058】
電極462は、例えば、板体や箔などであって通常電極として用いる材料(銅など)により形成されるものであり、図13(c)で示すように絶縁ベース部461と同心円状の円板電極である。例えば、本形態の電極は銅箔であってその径は約6cmである。なお図13(a)で示す点線の円は、この電極462と同一径の円の集塵面である。
【0059】
排気孔463は、電極462の周囲に多数(本形態では円弧状の孔が4個)形成されるものであり、表裏で空気を通流させる機能を有している。例えば、流量通過面積は約6cm2である。
外周電極464は、図13(b)に示すように、排気孔463を覆う導電体(例えば銅箔など)である。
【0060】
この集塵原理について図を参照しつつ説明する。
先に説明したように、絶縁ベース部461は誘電体であり、電極462にマイナス高電圧(DC−5000V)を印加すると電界が形成され、誘電分極により、絶縁ベース部461の電極側にプラスの分極電荷が、また、絶縁ベース部461の集塵面側にマイナスの分極電荷が現れる。
このようにプラスイオン化されたイオン化放射線ダストが、マイナスの分極電荷が現れれた集塵面に吸引されて、電気的な集塵が行われる。
さらに、外周電極464にはプラス電圧(DC+aV)を印加した状態とし、プラスイオン化されたイオン化放射線ダストが排気孔463を通過しようとすると、斥力が加わるため通過しにくくなっており、この斥力に加え、集塵面の引力により、イオン化放射線ダストが集塵面に確実に集塵される。なお、外周電極464への電線(図示せず)は、電線挿通孔415(図3,図4参照)を通過させることとなる。このように構成しても良い。
【0061】
以上本形態の改良した集塵体について説明した。しかしながら、本形態以外にも各種の変形形態が可能である。例えば、本形態ではイオン生成部30がプラス高電圧(DC+5000V)を放電針に印加して正極に帯電したイオン化放射線ダストを生成し、外周電極464にプラス電圧(+aV)を加えるとともに集塵体46の電極462にマイナス高電圧(DC−5000V)を印加して集塵していたが、これに代えてイオン生成部30がマイナス高電圧(DC−5000V)を放電針に印加して負極に帯電したイオン化放射線ダストを生成し、外周電極464にマイナス電圧(−aV)を加えるとともに集塵体46の電極462にプラス高電圧(DC+5000V)を印加して集塵するようにしても良い。
【0062】
また、本形態では集塵体46に排気孔463および外周電極464を設けたものであったが、例えば、図13で示した集塵体46から排気孔463および外周電極464をなくし、代わりに図3で示した引出し部41のベース部411や検出部本体45に捕集後の空気を排気させる流路である排気路と、この流路の開口部付近および流路内部に外周電極を形成するような構成としても良い。この場合、多数の枚数が必要となる集塵体42に排気孔が不要になって構造が簡単になるという利点もある。
【0063】
また、本形態では集塵体46の電極462および外周電極464に電圧を印加するため、電線44を直接接続する構成を採用したが、例えば、引出し部41のベース部411と集塵体42とにぞれぞれ二個のコネクタを形成し、内蔵される電線をコネクタに電気的に接続し、集塵体をベース部411に載置するときにコネクタを結合して電源を供給する構造として、正面部412に設けられた電線挿通孔415および二本の電線を省略するようにしても良い。
【0064】
以上本発明の各種形態について説明した。
なお、本形態では特に集塵体が用いられる装置の具体例として放射線ダストの放射線を計測するダストモニタ1を挙げて説明したが、放射線ダスト以外にも通常のダストを用いる各種の計測装置・処理装置の集塵体として適用しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明を実施するための最良の形態のダストモニタの構成説明図である。
【図2】検出部の説明図である。
【図3】引出し部の説明図である。
【図4】検出部の断面図である。
【図5】集塵体の説明図であり、図5(a)は集塵体の表面(集塵面)を示す図、図5(b)はA−A線断面図、図5(c)は裏面を示す図である。
【図6】空気系の説明図である。
【図7】イオン生成系の説明図である。
【図8】集塵途中の検出部の説明図である。
【図9】集塵体における集塵原理を説明する説明図であり、図9(a)は集塵を説明する説明図、図9(b)は塵埃除去を説明する説明図である。
【図10】ダストモニタの空気圧を説明する説明図であり、図10(a)は、従来技術の負圧吸引による送風原理の説明図、図10(b)は加圧圧送による送風原理の説明図である。
【図11】集塵体と従来技術の集塵用フィルタとによる計数率を比較する特性図である。
【図12】クリーニングを説明する時間−計数率特性図である。
【図13】他の形態の集塵体の説明図であり、図13(a)は集塵体の表面(集塵面)を示す図、図13(b)はB−B線断面図、図13(c)は裏面を示す図である。
【図14】従来技術のダストモニタの検出ユニットの構成図である。
【図15】検出器の説明図で、図15(a)は要部構成図、図15(b)は計数値−波高電圧線特性図である。
【符号の説明】
【0066】
1:ダストモニタ
10:圧送ポンプ
11:吸入口
12:吐出口
20:イオン化部
30:イオン生成部
40:検出部
41:引出し部
411:ベース部
411a:載置部
411b:段部
412:正面部
412a:孔
413:固定板
414:固定ねじ
415:電線挿通孔
42:集塵体
421:絶縁ベース部
422:電極
423:排気孔
43:固定部
44:電線
45:検出部本体
451:収納穴
46:集塵体
461:絶縁ベース部
462:電極
463:排気孔
464:外周電極
50:放射線検出器
60:排気流路
70:高圧電源部
80:検出器用ドライバ
90:電源部
100:検出信号処理部
110:電源部
120:情報解析部
【技術分野】
【0001】
本発明は、塵埃を集塵する集塵体、および、この集塵体を用いて塵埃についての各種モニタリングを行うダストモニタに関する。
【背景技術】
【0002】
塵埃を集塵する目的は各種存在し、塵埃除去による空気清浄化目的のものが一般的であるが、これ以外にも、例えば大気中の塵埃量の計測を行うなど計測目的のものなどがある。このような計測の一具体例として、放射性の塵埃(以下放射線ダストという)を集塵して放射線を検出する計測が知られている。このような計測における塵埃捕集について以下に説明する。
【0003】
例えば、原子力施設及び大学・研究所などの放射性同位元素取扱施設では、この施設内の空気を集塵用フィルタに通過させ、空気中に含まれる放射線ダストを捕集して放射線の計測を行うダストモニタが使用される。このダストモニタは、具体的には、放射性同位元素取扱施設内の空気中に存在する放射線ダストの空気中濃度を測定し、放射線業務従事者の被曝を管理するために用いられる。以下、ダストモニタについて概略説明する。
【0004】
図14は従来技術のダストモニタ200の検出ユニットの構成図、図15は検出器の説明図で、図15(a)は要部構成図、図15(b)は計数値−波高電圧線特性図である。このダストモニタ200は、図14で示すように、吸入口210、検出器220、検出器ホルダ230、集塵用フィルタ240、集塵ケース250、フィルタ取換扉260、排気ポンプ270、排出口280を備え、放射線ダストからの放射線の線量を検出器220により検出するものである。
【0005】
排気ポンプ270により負圧が形成されると、放射性同位元素取扱施設の空気は、吸入口210を経て集塵ケース250内に流入し、集塵用フィルタ240を通過して排出口280から排出される。検出器ホルダ230に固定された検出器220は、この集塵用フィルタ240が捕集した放射線ダストから放射される放射線を検出し、線量を計数する。検出器220は、例えば、図15(a)で示すように、半導体検出素子221、増幅部222、波高弁別部223、中央処理部(CPU:Central Proccessing Unit)224を備えている。この中央処理部224はカウンタ機能を有している。
【0006】
半導体検出素子221は、放射線ダスト300からの放射線の検出に応じて検出信号を出力する。
増幅部222は、この検出信号を所定ゲインで増幅し、検出信号の振幅電圧(波高)を適宜調節する。
波高弁別部223は、詳しくはディスクリミネータ回路であり、分圧抵抗223a,223bで決定される検出基準波高電圧をコンパレータ223cに入力し、検出信号から検出基準波高電圧を上回るような信号を弁別してパルス信号として出力する。この波高弁別により、検出基準波高電圧を下回るバックグラウンドによるノイズ(以下バックグラウンドノイズという)は除去される。
中央処理部224はこのようなバックグラウンドノイズが除去されたパルス信号を計数するカウンタとして機能する。これにより放射線の線量が計数され、計数値を表す線量データを生成出力する。この線量データは通信線を介してコンピュータ等で構成される他の中央処理部へ送信されて各種処理が行われる。
【0007】
この線量データの内容について説明する。放射線ダストは放射性核種である。この放射性核種は人工放射性核種と天然放射性核種に分けられる。天然放射性核種は今なお存在する半減期の長いものとその放射性を持つ娘核種であり、人工放射性核種は人工により作り出され、自然にはほとんど絶滅している半減期の短い核種のことを指している。
このような検出器220では、仮に波高弁別部223がないと図15(b)の計数値−波高電圧線特性図で示すように、検出基準波高電圧を下回るバックグラウンドノイズも含む多数の計数値がカウンタから出力される。これは自然界に存在する天然の放射性物質すなわち自然核種からの放射線の線量も含むものとなる。
しかしながら、波高弁別部223の弁別により、検出基準波高電圧を上回る電圧の信号については検出対象としてパルス信号として出力するが、検出基準波高電圧を下回るバックグラウンドノイズは検出対象外となって除去するため、放射性物質取扱施設から漏洩する波高の高い人工放射性核種から放射される放射線の線量のみを検出できる。
【0008】
図14に戻るが、このようなダストモニタ200では、所定期間経過した後に集塵用フィルタ240が取換えられる。この集塵用フィルタ240は、カートリッジ形式として取扱いが容易に構成されており、取換えはフィルタ取換扉260を開けて、古い集塵用フィルタ240を取り除いた後に新しい集塵用フィルタ240を載置し、フィルタ取換扉260を閉めることにより行われる。
従来技術のダストモニタ200はこのようなものであった。
【0009】
また、このようなダストモニタの従来技術例として、例えば特許文献1(発明の名称:放射線ダストモニタ)が開示されている。
この放射線ダストモニタも、図14で示したダストモニタ200と同様に、通気ユニット内に設置されたフィルタ(ろ紙)に放射線ダストを集塵させて、フィルタ(ろ紙)に対向するように配置された検出器が放射線を検出するというものである。
【0010】
さらにまた、他の従来技術例として、例えば特許文献2(発明の名称:放射線ダストモニタ及び放射線ダストモニタ用濾紙リサイクル可否判定装置)が開示されている。
この放射線ダストモニタは、供給プーリから長尺帯状の濾紙を繰り出す方式を採用しており、濾紙の交換等の手間を低減させるものである。
【0011】
【特許文献1】特開2002−277552号公報 (段落番号0022〜0025,図1)
【特許文献2】特開2003−315461号公報 (段落番号0029,図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ダストモニタでは、精度良い計測を行うため未使用の集塵用フィルタへと頻繁に取換えられるものであり、図14で示した従来技術や特許文献1の従来技術のように単体の集塵用フィルタを検出位置に配置する単体方式では頻繁に集塵用フィルタを取換え、また、特許文献2の従来技術のように長尺帯状の濾紙を連続挿入する連続方式ではフィルタ交換の自動化を実現している。そして何れのダストモニタでもダスト捕集・計測した後の集塵用フィルタが放射能汚染されているか否かを選別し、汚染されている場合には放射能汚染物質として処分し、または、放射能汚染されていない場合は通常の廃棄物として処分している。
しかしながら、単体方式では集塵用フィルタを決められた時間毎に交換して廃棄していたため、手間を要する上に、ごみを省力化できなかった。
また、連続方式では長尺の濾紙を使用するため交換に手間を要しない点では良いが、この濾紙の一部にでも放射能汚染があれば全て放射能汚染されているとして廃棄するか、または、ごみ処分時に再度分別作業するか、が必要であり、廃棄時の手間の削減やごみの省力化の点で改善する余地があった。
このような集塵用フィルタの廃棄損が大きいという問題は、放射線ダスト集塵用途に限らず起こりうる問題であり、対策が必要であった。
【0013】
そこで、本発明は上記した問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、使い捨ての集塵用フィルタを用いないようにして集塵用フィルタの廃棄損をなくし、運用コスト低減を実現するような集塵体、および、この集塵体を用いるダストモニタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するため、本発明の請求項1に係る発明の集塵体は、
絶縁体により形成される略板状の絶縁ベース部と、
絶縁ベース部の一方の面に形成される電極と、
を備え、
絶縁ベース部の他方の面ではそのまま絶縁体を露出させ、この露出する絶縁体を集塵面とすることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の請求項2に係る発明の集塵体は、
請求項1に記載の集塵体において、
前記絶縁ベース部は、前記電極の周囲に一または複数以上の排気孔を備えることを特徴とする。
【0016】
また、本発明の請求項3に係る発明の集塵体は、
請求項2に記載の集塵体において、
前記絶縁ベース部は、前記電極の周囲および排気孔内に外周電極を備えることを特徴とする。
【0017】
本発明の請求項4に係る発明のダストモニタは、
放射線ダストを捕集して放射線を検出するダストモニタであって、
放射線ダストを含む空気を吸引して加圧の上で送出する圧送ポンプと、
圧送ポンプの下流側に配置され、圧送ポンプから排気された空気がイオン化空間内を通過するイオン化部と、
イオン化部のイオン化空間内にイオンを放出して放射線ダストを正又は負の一方の極性に帯電させてイオン化放射線ダストとするイオン生成部と、
イオン化部の下流側に配置され、イオン化放射線ダストを含む空気が検出空間内に流入する検出部と、
検出部の検出空間内で空気が吹き付けられるように配置され、イオン化放射線ダストと反対の極性の電圧が電極に印加されて集塵面からの吸引力によりイオン化放射線ダストを捕集する請求項1の集塵体と、
検出部の検出空間に連通し、イオン化放射線ダスト捕集後の空気を排気する排気路と、
検出空間内で集塵体と有感面とが対向するように検出部に取付けられ、放射線ダストから有感面に放射される放射線の検出に応じて検出信号を出力する放射線検出器と、
を備えることを特徴とする。
【0018】
また、本発明の請求項5に係る発明のダストモニタは、
請求項4に記載のダストモニタにおいて、
前記排気路の開口部周囲および排気路内に外周電極を設け、
イオン化放射線ダストと同極の電圧が印加された外周電極からの斥力によりイオン化放射線ダストを排気路に通過させないようにするとともに、集塵面からの吸引力により集塵体の集塵面にイオン化放射線ダストを集塵させることを特徴とする。
【0019】
また、本発明の請求項6に係る発明のダストモニタは、
放射線ダストを捕集して放射線を検出するダストモニタであって、
放射線ダストを含む空気を吸引して加圧の上で送出する圧送ポンプと、
圧送ポンプの下流側に配置され、圧送ポンプから排気された空気がイオン化空間内を通過するイオン化部と、
イオン化部のイオン化空間内にイオンを放出して放射線ダストを正又は負の一方の極性に帯電させてイオン化放射線ダストとするイオン生成部と、
イオン化部の下流側に配置され、イオン化放射線ダストを含む空気が検出空間内に流入する検出部と、
検出部内の検出空間で空気が吹き付けられるように配置され、イオン化放射線ダストと反対の極性の電圧が電極に印加されて集塵面からの吸引力によりイオン化放射線ダストを捕集するとともに捕集後の空気を排気孔を通じて排気する請求項2の集塵体と、
検出空間内で集塵体と有感面とが対向するように検出部に取付けられ、放射線ダストから有感面に放射される放射線の検出に応じて検出信号を出力する放射線検出器と、
を備えることを特徴とする。
【0020】
また、本発明の請求項7に係る発明のダストモニタは、
放射線ダストを捕集して放射線を検出するダストモニタであって、
放射線ダストを含む空気を吸引して加圧の上で送出する圧送ポンプと、
圧送ポンプの下流側に配置され、圧送ポンプから排気された空気がイオン化空間内を通過するイオン化部と、
イオン化部のイオン化空間内にイオンを放出して放射線ダストを正又は負の一方の極性に帯電させてイオン化放射線ダストとするイオン生成部と、
イオン化部の下流側に配置され、イオン化放射線ダストを含む空気が検出空間内に流入する検出部と、
検出部内の検出空間で空気が吹き付けられるように配置され、イオン化放射線ダストと反対の極性の電圧が電極に印加されて集塵面からの吸引力によりイオン化放射線ダストを捕集するとともに捕集後の空気を排気孔を通じて排気する請求項3の集塵体と、
検出空間内で集塵体と有感面とが対向するように検出部に取付けられ、放射線ダストから有感面に放射される放射線の検出に応じて検出信号を出力する放射線検出器と、
を備え、イオン化放射線ダストと同極の電圧が印加された集塵体の外周電極からの斥力によりイオン化放射線ダストを排気孔に通過させないようにするとともに、集塵面からの吸引力により集塵体の集塵面にイオン化放射線ダストを集塵させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
このような本発明によれば、使い捨ての集塵用フィルタを用いないようにして集塵用フィルタの廃棄損をなくし、運用コスト低減を実現するような集塵体、および、この集塵体を用いるダストモニタを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
続いて、本発明を実施するための最良の形態の集塵体およびダストモニタについて、以下に図を参照しつつ一括して説明する。図1は本形態のダストモニタの構成説明図である。このダストモニタ1は、例えば放射性同位元素取扱施設などにおいて、室内の空気中に含まれる放射線ダストを集塵して、放射線ダストの空気中濃度を測定する装置であり、圧送ポンプ10、イオン化部20、イオン生成部30、検出部40、放射線検出器50、排気流路60、高圧電源部70、検出器用ドライバ80、電源部90、検出信号処理部100、電源部110、情報解析部120を備えている。なお、図1でしめすダストモニタ1は、各構成がそれぞれ分かれて図示されているが、これは構成を解りやすく説明するためであり、実際はこれらが一体に組み込まれた装置として使用される。
【0023】
ここに空気系は、圧送ポンプ10、イオン化部20、検出部40、排気流路60により構成される。
また、イオン生成系は、イオン生成部30、高圧電源部70により構成される。
また、放射線検出系は、検出部40、放射線検出器50、検出器用ドライバ80、検出信号処理部100、情報解析部120により構成される。
【0024】
続いて各部の構成について説明する。
圧送ポンプ10は、例えばシロッコ式ポンプであり、吸入口11と吐出口12とを備える。吸入口11は、図示しないが、例えば、放射性同位元素取扱施設の施設内空気を排気する排気口に接続されたり、また、放射性同位元素取扱施設の施設内にそのまま配置される。なお、空気に含まれる汚染物質を除去するような汚染除去手段を吸入口11の上流側に配置しても良い。吐出口12は、イオン化部20の流入口に接続される。
この圧送ポンプ10は、空気系の最上流に位置し、放射線ダストを含む空気を吸引してイオン化部20および検出部40へ空気を圧送排気する。
【0025】
イオン化部20は、圧送ポンプ10から圧送される空気が流れる流路であるイオン化空間をその内部に備えるものである。イオン化部20の外側にイオン生成部30が取付けられている。このイオン化部20は、圧送ポンプ10の下流側に配置される。
【0026】
イオン生成部30は、イオンを生成し、イオン化部20のイオン化空間内にこのイオンを照射するイオナイザであり、図示しない放電針を多数備える。本形態のイオン生成部30では、プラスの高電圧が印加された放電針がプラスイオンを生成してイオン化空間内をイオン化された雰囲気とし、イオン化空間を通過する放射線ダストにプラスイオンを付着させることで正極に帯電させてイオン化放射線ダストとする。なお、本形態では説明の具体化のためプラスイオンを生成するものとして以下説明するが、後述のようにマイナスイオンを生成することも可能である。
【0027】
なお、本形態では図1で示すような長尺のイオン化空間を有するイオン化部20とし、さらに空気の流れ方向に放電針が多数並べて配置したイオン生成部30としているため、イオン化空間内を流れる放射線ダストが、放電針付近のプラスイオン濃度が高い領域を放電針の数だけ通過するようにして、放射線ダストが確実にイオン化されるように配慮している。なお、イオン化生成部30から十分なプラスイオンが生成されて確実にイオン化放射線ダストが生成されるならばイオン化部20やイオン化生成部30は長尺でなくとも良い。
【0028】
検出部40は、イオン化部20の下流に配置され、イオン化放射線ダストを含む空気が流入する。この検出部40について、図2,図3,図4を参照しつつさらに詳しく説明する。図2は検出部の説明図、図3は引出し部の説明図、図4は検出部の断面図である。検出部40は、図2で示すように、引出し部41、集塵体42、固定部43、電線44、検出部本体45を備えている。
【0029】
引出し部41は、更に詳しくは図3で示すように、ベース部411、正面部412、固定板413、固定ねじ414、電線挿通孔415を備える。ベース部411に対して正面部412が接着・ねじ止め等により固定されている。このベース部411は、略板状であり、検出部本体45の収納穴451(図2参照)内に挿抜可能に形成される。また、ベース部411には、載置部411aが形成されている。この載置部411aは段付き孔であって段部411b(図4参照)を有し、集塵体42が載置部411aに載置されると、集塵体42の周縁が段部411bに載置されて孔内に嵌め込まれるというホルダ方式を採用している。この段部411bには図示しないゴム製のパッキンを配置して、集塵体42と段部411bとの間を隙間がないように塞いで気密を保持する構造とした。そして両側から二個の固定板413で押さえつけつつ固定ねじ414により固定して集塵体42を載置部411aから外れないようにするとともにパッキンとの気密を高めつつ固定する。その後に電線44を電線挿通孔415に挿通させて外部へ引き出すようにする。このような引出し部41を用いることで集塵体42は横スライド交換方式により交換できるようにしている。
【0030】
このような引出し部41を検出部本体45内に挿入し、集塵体42が検出部本体45内に配置された状態として、図2,図3で示すように、正面部412の孔412aに固定部43のねじ部を挿通させ、検出部本体45に形成されたねじ孔に螺挿して固定する。集塵体42の配置後の検出部本体45は、図4で示すような位置関係となる。集塵体42の上側の集塵面と、この集塵面に対向する面である放射線検出器50の有感面と、の距離が約10mmになるように構成されている。さらに、放射線検出器50と集塵体42以外の各部は、絶縁材にて構成され、絶縁が確保されている。
【0031】
集塵体42は、後述するが、イオン化ダストを捕集する機能を有している。この集塵体42についてさらに詳細に説明する。図5は集塵体の説明図であり、図5(a)は集塵体の表面(集塵面)を示す図、図5(b)はA−A線断面図、図5(c)は裏面を示す図である。
集塵体42は、絶縁ベース部421、電極422、排気孔423を備える。
絶縁ベース部421は絶縁体を材料とし、略円板状に形成されたベース部である。例えば、集塵体42の径は約8cmである。この絶縁体は、詳しくは、高い誘電率を有する誘電体であるが、広いバンドギャップを有するため、電気的には絶縁体としてもふるまう。この誘電体の例として、多くのプラスティック、セラミック、マイカ(雲母)やガラスエポキシ樹脂なども用いることができる。なお、誘電体を用いる理由については後述する。絶縁ベース部421の例として厚さは1mm〜2mm程度のガラスエポキシ樹脂製円板であり、さらに集塵した放射線ダストを容易にクリーニングできるように表面絶縁コートとしてソルダーレジスト処理を施す。価格が安価であるという利点がある。
【0032】
電極422は、例えば、薄板状や箔状であり、通常電極として用いる材料(銅等)により形成されるものであり、図5(c)で示すように絶縁ベース部421と同心円状の円板電極である。例えば、本形態の電極は銅箔であってその径は約6cmである。なお図5(a)で示す点線の円は、この電極422と同一径の円であり、後述する原理により形成される集塵面である。
【0033】
排気孔423は、電極422の周囲に多数(本形態では円弧状の孔が4個)形成されるものであり、表裏で空気を通流させる機能を有している。例えば、流量通過面積は約6cm2である。
この集塵体42による集塵原理については後述する。
【0034】
なお、他の集塵体の構成として上記の絶縁ベース部421にFR−4(3層)ガラスエポキシ樹脂の絶縁ベース部を採用して、三層構造とし、電極部を中間に配置して電極部を劣化しないようにしても良い。
また、他の集塵体の構成として上記絶縁ベース部421にテフロン(登録商標)(3層)樹脂の絶縁ベース部を採用して、三層構造とし、表面のテフロンコーティングにより、表面強度は非常に高いクリーニング(再利用)性能を持たせるようにしても良い。
集塵体42はこのようなものである。
【0035】
図1に戻るが、放射線検出器50は、集塵体42に捕集されたイオン化放射線ダストの放射線についての線量データを出力している。
この放射線検出器50は、図4でも示すように、直下に設置した集塵体42に集塵されているイオン化放射線ダストの放射線を測定する検出器であり、放射線が特定の物質に入射するとき、その放射線エネルギーが吸収されて光のエネルギーに変換するシンチレータと、僅かな光を電気信号に変換・増幅する光電子増倍管を組み合わせたものである。この電気信号は、検出器用ドライバ80へ出力される。
【0036】
なお、イオンにより発生するノイズに対するノイズ処理を行うことを条件に、先に図15(a)を用いて説明した半導体検出素子としても良い。この場合、例えば、半導体検出素子221・増幅部222が半導体検出器50に、波高弁別部223が検出器用ドライバ80に、また、中央処理部224が検出信号処理部100に搭載されるものである。
【0037】
排気流路60は、図1,図4で示すように、検出部40内の集塵体42の排気孔423を通過した空気を排気する。排気流路60は、放射性同位元素取扱施設の施設外へ空気を排気する吐出口に接続されたり、また、放射線ダストが集塵除去されている清浄な空気であるため放射性同位元素取扱施設の施設内へそのまま排気しても良い。
【0038】
高圧電源部70は、商用電源からDC±5,000Vのプラス高電圧およびマイナス高電圧を生成する機能を備え、商用電源から生成したプラス高電圧を、イオン化生成部30の放電針に印加し、また、商用電源から生成したマイナス高電圧を、集塵体42の電極422に印加する。
【0039】
検出器用ドライバ80は、放射線検出器50の光電子増倍管へ駆動電力を供給したり、また、光電子増倍管から出力された電気信号を入力し、信号処理を行う。詳しくは、この電気信号に対して信号増幅やノイズ除去を行ってTTL信号出力による検出信号を生成して、検出信号処理部100へ出力する。
【0040】
電源部90は、商用電源から生成した電源電圧を、検出器用ドライバ80へ供給する定電圧電源である。
検出信号処理部100は、検出器用ドライバ80から出力された検出信号を入力し、デジタルの検出データに変換して、情報解析部120へ出力する。
【0041】
電源部110は、商用電源から生成した電源電圧を、検出信号処理部100へ供給する定電圧電源である。
情報解析部120は、検出データを入力し、所望の解析を行ってグラフ形式(例えば、図11,図12の特性図参照)や帳票形式にまとめて出力する。また、データを保存する機能も有する。
【0042】
続いて、本発明の集塵体、および、この集塵体を用いるダストモニタの動作について図を参照しつつ説明する。図6は、空気系の説明図である。
まず、図6で示すように、コンプレッサ式の圧送ポンプ10は、放射線ダストを含む空気を吸引して下流にあるイオン化部20へ送る。この吸気量は例えば最大40(Nl/min)程度である。イオン化部20のイオン化空間および検出部40の検出空間は圧送される圧縮空気により高圧となる。このため、集塵体42の排気孔423(図8参照)から下流側へ空気が排気される。排気された空気は排気流路60を経てダストモニタ1の外へ放出されることとなる。
【0043】
続いて、イオン生成系について図を参照しつつ説明する。図7はイオン生成系の説明図である。イオン生成部30は、放電針にプラス高電圧を印加し、直流コロナ放電により、プラスイオンを発生させる。プラス高電圧が高いほどプラスイオンの生成量が増加するが、あまり高いとアーク放電現象が発生するため、アーク放電を起こさない最高電圧であるDC+5,000Vを印加する。
イオン生成部30の放電針からコロナ放電させてプラスイオンが照射され、イオン化空間内の雰囲気をプラスイオン化させる。この雰囲気を放射線ダストが通過すると、プラスイオンが放射線ダストに付着して正極に帯電したイオン化放射線ダストを生成する。図7で示すように複数の放電針近傍のイオン高濃度領域を通過するため、イオン化放射線ダストが確実に生成される。
【0044】
そして、イオン化放射線ダストが検出部40内の集塵体42まで到着し、イオン化放射線ダストが集塵体42に吸引されて捕集される。そして捕集済みの残る空気は排気孔423を通じて排気される。そしてイオン化放射線ダストから放射される放射線を、放射線検出器50が検出してダストモニタリングが行われる。ダストモニタの動作はこのようなものである。
【0045】
続いて、ダストモニタにおける捕集について重点的に説明する。図8は、集塵途中の検出部の説明図である。図8で示すようにイオン化部20のイオン化空間を通過したイオン化放射線ダストが、検出部本体45内の検出空間に流入する。集塵体42の電極422はDC−5000Vのマイナス高電圧が印加されており、プラスに帯電したイオン化放射線ダストを、集塵体42の集塵面上に吸引蓄積させる。なお、DC−5000Vを下回る低電圧では、絶縁ベース部421の絶縁破壊によりリーク(高電圧での放電現象)が発生するおそれがあるため、DC−5000Vを最下限としている。
【0046】
この集塵原理について図を参照しつつ説明する。図9は集塵体における集塵原理を説明する説明図であり、図9(a)は集塵を説明する説明図、図9(b)は塵埃除去を説明する説明図である。
先に説明したように、絶縁ベース部421は誘電体である。図9(a)で示すように電極422にマイナス高電圧を印加すると電界が形成される。誘電体に電界をかけると電荷は移動するのではなく、誘電体を構成する粒子は局所的に変位し、正負の電荷の重心の位置が僅かにずれる。この結果、粒子は電気双極子の集団を構成し、電界の方向に並ぶ誘電分極が起こる。この誘電分極により、電界方向(矢印A方向)では内部の隣り合う双極子の電荷が打ち消され、見かけ上では絶縁ベース部421の電極側にプラスの分極電荷が、また、絶縁ベース部421の集塵面側にマイナスの分極電荷が現れる。
【0047】
このようにプラスイオン化されたイオン化放射線ダストが、マイナスの分極電荷が現れれた集塵面に吸引されて、電気的な集塵が行われる。
仮に導電体のみの集塵体とするとイオンが吸収されるため、イオン化放射線ダストが直ちに通常の放射線ダストとなって、集塵できないが、本形態のように誘電体を介在させたため、イオン化放射線ダストに付着するイオンを吸収するという事態は回避される。
【0048】
なお、本発明の集塵体を利用するダストモニタ1では、従来技術のような空気が通流する微細孔を有する集塵フィルタを用いないため空気を通流させる排気孔を設けているが、従来技術のように集塵体の下流側を負圧にするのではなく、集塵体の上流側を正圧に加圧する点も特徴となっている。この点について図を参照しつつ説明する。図10は、ダストモニタの空気圧を説明する説明図であり、図10(a)は、従来技術の負圧吸引による送風原理の説明図、図10(b)は加圧圧送による送風原理の説明図である。
【0049】
従来技術では、図14で示すように、集塵用フィルタ250の下流側を排気ポンプ270により負圧にして下流側へ吸引することで送風していた。
このような従来技術の送風原理を本発明の集塵体に採用すると、図10(a)で示すように、流れやすい排気孔423へ空気が集中して流れて、集塵面上に空気が流れない滞留領域が形成され、イオン化放射線ダストが集塵面に到達せずに排気孔423を介して排気され、集塵が効率的に行われないという問題があることが本発明者により知見された。そこで、従来の負圧吸引方式での捕集でなく、圧送方式を採用した。これにより、図10(b)で示すように、集塵体42に空気を吹き付けることとなり、集塵体42の全面に放射線ダストが吹き付けられてプラスのイオン化放射線ダストが集塵体42の集塵面に吸引される。このため、イオン化放射線ダストが確実に捕集される。
【0050】
続いて、このような集塵原理による集塵能力について図を説明する。図11は集塵体と従来技術の集塵用フィルタとによる計数率を比較する時間−計数率特性図である。従来技術の集塵用フィルタの計数率を100%とした場合の集塵体42の計数率は約12%を示す。集塵効率は必ずしも従来技術に達してはいないが、集塵時の捕集効率ファクタ(λ)を決めて計数率×λにより実際の計数率に略一致させる補正を行うことで、実際の計数率に近づけることができる。検出信号処理部100や情報解析部120により処理させることができる。
【0051】
また、ダストモニタ1は放射性同位元素取扱施設内の各種装置から空気中へ漏洩した放射性物質の監視を目的としており、その対象は人工放射性物質(人工核種)である。一方、大気中にはラドン,トロン等天然の放射性物質(天然核種)が含まれており、建屋のコンクリート等からも同様の天然核種が空気中に遊離する。例えば放射性同位元素取扱施設内へも建屋換気空調系を介して外気を取り入れており、また建屋構築のコンクリートからも天然核種が供給されるため、施設内の空気は常に天然核種を含んでいる。このような放射性同位元素取扱施設内の空気に含まれる天然放射性物質であるダスト状のラドン子孫核種及びトロン子孫核種があり、これらも集塵体42にダスト状の子孫核種として捕集されることとなる。これらの自然放射能の半減期は比較的短く、充分な期間、例えば、1週間経過時には放射能が低くなるため、天然核種の自然放射能の影響は無視できるようになる。一方人工核種は、放射能が高い。このことから、集塵体42が捕集した放射線ダストからの放射線の線量が予め定められた境界線量を上回るならば、人工核種が検出されたとして異常を検知することとなり、計数率の補正により、本来検出したい人工核種の放射線を確実に検出できる。
【0052】
続いて、集塵体のクリーニングについて図を参照しつつ説明する。図12はクリーニングを説明する時間−計数率特性図である。集塵体をクリーニングする場合、電極422に印加されたマイナス高電圧(DC−5000V)を切って単に0Vとして吸引力をなくしたり、または、+aVとしてイオン化放射線ダストに斥力を与える。これにより、図9(b)で示すように集塵体42に付着したイオン化放射線ダストを離脱させ、排気孔423から排気させる。このようなクリーニング時の動作は、図12で示すようにマイナス高電圧印加時に増加した計数率が、印加を終了したときに直ぐに低下する点からも、クリーニングが有効に機能していることが明らかである。
【0053】
以上本形態のダストモニタ1について説明した。しかしながら、本形態以外にも各種の変形形態が可能である。例えば、本形態ではイオン生成部30がプラス高電圧(DC+5000V)を放電針に印加して正極に帯電したイオン化放射線ダストを生成し、集塵体42の電極422にマイナス高電圧(DC−5000V)を印加して吸引力により集塵していたが、これに代えてイオン生成部30がマイナス高電圧(DC−5000V)を放電針に印加して負極に帯電したイオン化放射線ダストを生成し、集塵体42の電極422にプラス高電圧(DC+5000V)を印加して集塵するようにしても良い。
【0054】
また、本形態では集塵体42に排気孔423を設けたものであったが、例えば、図5で示した集塵体から排気孔をなくし、代わりに図3で示した引出し部41のベース部411や検出部本体45に捕集後の空気を排気させる通路である排気路を形成するような構成としても良い。この場合、多数枚数が必要になる集塵体の構造が簡単になり、運用面での低コスト化が見込めるという利点もある。
【0055】
また、本形態では集塵体42の電極422に高電圧を印加するため、電線44を直接接続する構成を採用したが、例えば、引出し部41のベース部411と集塵体42とに、内蔵される線に電気的に接続されるコネクタを形成し、集塵体をベース部411に載置するときにコネクタを結合して電源を供給する構造として、正面部412に設けられた電線挿通孔415および電線44を省略するようにしても良い。
【0056】
続いて他の形態について図を参照しつつ説明する。図13は他の形態の集塵体の説明図であり、図13(a)は集塵体の表面(集塵面)を示す図、図13(b)はB−B線断面図、図13(c)は裏面を示す図である。本形態では、先の形態の集塵体42に代えて、集塵体46とし、この集塵体46の特に外周電極にプラス電圧を印加して、外周電極の正極から受けるクーロンの斥力(プラスとプラスとが互いに反発し合う力)を作用させて、イオン化放射線性ダストが排気孔を通過させないようにするとともに、引力により集塵体の集塵面にイオン化放射線性ダストを集塵させるものである。
【0057】
集塵体46は、絶縁ベース部461、電極462、排気孔463、外周電極464を備える。
絶縁ベース部461は絶縁体を材料とし、略円板状に形成されたベース部である。例えば、集塵体の径は約8cmである。この絶縁体は、詳しくは、高い誘電率を有する誘電体であり、多くのプラスティック、セラミック、マイカ(雲母)やガラスエポキシ樹脂などを用いることができる。なお、本形態では材質として厚さは1mm〜2mm程度のガラスエポキシ樹脂製円板で、集塵した放射線ダストを容易にクリーニングできるように表面絶縁コートとしてソルダーレジスト処理を施す。価格が安価であるという利点がある。
【0058】
電極462は、例えば、板体や箔などであって通常電極として用いる材料(銅など)により形成されるものであり、図13(c)で示すように絶縁ベース部461と同心円状の円板電極である。例えば、本形態の電極は銅箔であってその径は約6cmである。なお図13(a)で示す点線の円は、この電極462と同一径の円の集塵面である。
【0059】
排気孔463は、電極462の周囲に多数(本形態では円弧状の孔が4個)形成されるものであり、表裏で空気を通流させる機能を有している。例えば、流量通過面積は約6cm2である。
外周電極464は、図13(b)に示すように、排気孔463を覆う導電体(例えば銅箔など)である。
【0060】
この集塵原理について図を参照しつつ説明する。
先に説明したように、絶縁ベース部461は誘電体であり、電極462にマイナス高電圧(DC−5000V)を印加すると電界が形成され、誘電分極により、絶縁ベース部461の電極側にプラスの分極電荷が、また、絶縁ベース部461の集塵面側にマイナスの分極電荷が現れる。
このようにプラスイオン化されたイオン化放射線ダストが、マイナスの分極電荷が現れれた集塵面に吸引されて、電気的な集塵が行われる。
さらに、外周電極464にはプラス電圧(DC+aV)を印加した状態とし、プラスイオン化されたイオン化放射線ダストが排気孔463を通過しようとすると、斥力が加わるため通過しにくくなっており、この斥力に加え、集塵面の引力により、イオン化放射線ダストが集塵面に確実に集塵される。なお、外周電極464への電線(図示せず)は、電線挿通孔415(図3,図4参照)を通過させることとなる。このように構成しても良い。
【0061】
以上本形態の改良した集塵体について説明した。しかしながら、本形態以外にも各種の変形形態が可能である。例えば、本形態ではイオン生成部30がプラス高電圧(DC+5000V)を放電針に印加して正極に帯電したイオン化放射線ダストを生成し、外周電極464にプラス電圧(+aV)を加えるとともに集塵体46の電極462にマイナス高電圧(DC−5000V)を印加して集塵していたが、これに代えてイオン生成部30がマイナス高電圧(DC−5000V)を放電針に印加して負極に帯電したイオン化放射線ダストを生成し、外周電極464にマイナス電圧(−aV)を加えるとともに集塵体46の電極462にプラス高電圧(DC+5000V)を印加して集塵するようにしても良い。
【0062】
また、本形態では集塵体46に排気孔463および外周電極464を設けたものであったが、例えば、図13で示した集塵体46から排気孔463および外周電極464をなくし、代わりに図3で示した引出し部41のベース部411や検出部本体45に捕集後の空気を排気させる流路である排気路と、この流路の開口部付近および流路内部に外周電極を形成するような構成としても良い。この場合、多数の枚数が必要となる集塵体42に排気孔が不要になって構造が簡単になるという利点もある。
【0063】
また、本形態では集塵体46の電極462および外周電極464に電圧を印加するため、電線44を直接接続する構成を採用したが、例えば、引出し部41のベース部411と集塵体42とにぞれぞれ二個のコネクタを形成し、内蔵される電線をコネクタに電気的に接続し、集塵体をベース部411に載置するときにコネクタを結合して電源を供給する構造として、正面部412に設けられた電線挿通孔415および二本の電線を省略するようにしても良い。
【0064】
以上本発明の各種形態について説明した。
なお、本形態では特に集塵体が用いられる装置の具体例として放射線ダストの放射線を計測するダストモニタ1を挙げて説明したが、放射線ダスト以外にも通常のダストを用いる各種の計測装置・処理装置の集塵体として適用しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明を実施するための最良の形態のダストモニタの構成説明図である。
【図2】検出部の説明図である。
【図3】引出し部の説明図である。
【図4】検出部の断面図である。
【図5】集塵体の説明図であり、図5(a)は集塵体の表面(集塵面)を示す図、図5(b)はA−A線断面図、図5(c)は裏面を示す図である。
【図6】空気系の説明図である。
【図7】イオン生成系の説明図である。
【図8】集塵途中の検出部の説明図である。
【図9】集塵体における集塵原理を説明する説明図であり、図9(a)は集塵を説明する説明図、図9(b)は塵埃除去を説明する説明図である。
【図10】ダストモニタの空気圧を説明する説明図であり、図10(a)は、従来技術の負圧吸引による送風原理の説明図、図10(b)は加圧圧送による送風原理の説明図である。
【図11】集塵体と従来技術の集塵用フィルタとによる計数率を比較する特性図である。
【図12】クリーニングを説明する時間−計数率特性図である。
【図13】他の形態の集塵体の説明図であり、図13(a)は集塵体の表面(集塵面)を示す図、図13(b)はB−B線断面図、図13(c)は裏面を示す図である。
【図14】従来技術のダストモニタの検出ユニットの構成図である。
【図15】検出器の説明図で、図15(a)は要部構成図、図15(b)は計数値−波高電圧線特性図である。
【符号の説明】
【0066】
1:ダストモニタ
10:圧送ポンプ
11:吸入口
12:吐出口
20:イオン化部
30:イオン生成部
40:検出部
41:引出し部
411:ベース部
411a:載置部
411b:段部
412:正面部
412a:孔
413:固定板
414:固定ねじ
415:電線挿通孔
42:集塵体
421:絶縁ベース部
422:電極
423:排気孔
43:固定部
44:電線
45:検出部本体
451:収納穴
46:集塵体
461:絶縁ベース部
462:電極
463:排気孔
464:外周電極
50:放射線検出器
60:排気流路
70:高圧電源部
80:検出器用ドライバ
90:電源部
100:検出信号処理部
110:電源部
120:情報解析部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁体により形成される略板状の絶縁ベース部と、
絶縁ベース部の一方の面に形成される電極と、
を備え、
絶縁ベース部の他方の面ではそのまま絶縁体を露出させ、この露出する絶縁体を集塵面とすることを特徴とする集塵体。
【請求項2】
請求項1に記載の集塵体において、
前記絶縁ベース部は、前記電極の周囲に一または複数以上の排気孔を備えることを特徴とする集塵体。
【請求項3】
請求項2に記載の集塵体において、
前記絶縁ベース部は、前記電極の周囲および排気孔内に外周電極を備えることを特徴とする集塵体。
【請求項4】
放射線ダストを捕集して放射線を検出するダストモニタであって、
放射線ダストを含む空気を吸引して加圧の上で送出する圧送ポンプと、
圧送ポンプの下流側に配置され、圧送ポンプから排気された空気がイオン化空間内を通過するイオン化部と、
イオン化部のイオン化空間内にイオンを放出して放射線ダストを正又は負の一方の極性に帯電させてイオン化放射線ダストとするイオン生成部と、
イオン化部の下流側に配置され、イオン化放射線ダストを含む空気が検出空間内に流入する検出部と、
検出部の検出空間内で空気が吹き付けられるように配置され、イオン化放射線ダストと反対の極性の電圧が電極に印加されて集塵面からの吸引力によりイオン化放射線ダストを捕集する請求項1の集塵体と、
検出部の検出空間に連通し、イオン化放射線ダスト捕集後の空気を排気する排気路と、
検出空間内で集塵体と有感面とが対向するように検出部に取付けられ、放射線ダストから有感面に放射される放射線の検出に応じて検出信号を出力する放射線検出器と、
を備えることを特徴とするダストモニタ。
【請求項5】
請求項4に記載のダストモニタにおいて、
前記排気路の開口部周囲および排気路内に外周電極を設け、
イオン化放射線ダストと同極の電圧が印加された外周電極からの斥力によりイオン化放射線ダストを排気路に通過させないようにするとともに、集塵面からの吸引力により集塵体の集塵面にイオン化放射線ダストを集塵させることを特徴とするダストモニタ。
【請求項6】
放射線ダストを捕集して放射線を検出するダストモニタであって、
放射線ダストを含む空気を吸引して加圧の上で送出する圧送ポンプと、
圧送ポンプの下流側に配置され、圧送ポンプから排気された空気がイオン化空間内を通過するイオン化部と、
イオン化部のイオン化空間内にイオンを放出して放射線ダストを正又は負の一方の極性に帯電させてイオン化放射線ダストとするイオン生成部と、
イオン化部の下流側に配置され、イオン化放射線ダストを含む空気が検出空間内に流入する検出部と、
検出部内の検出空間で空気が吹き付けられるように配置され、イオン化放射線ダストと反対の極性の電圧が電極に印加されて集塵面からの吸引力によりイオン化放射線ダストを捕集するとともに捕集後の空気を排気孔を通じて排気する請求項2の集塵体と、
検出空間内で集塵体と有感面とが対向するように検出部に取付けられ、放射線ダストから有感面に放射される放射線の検出に応じて検出信号を出力する放射線検出器と、
を備えることを特徴とするダストモニタ。
【請求項7】
放射線ダストを捕集して放射線を検出するダストモニタであって、
放射線ダストを含む空気を吸引して加圧の上で送出する圧送ポンプと、
圧送ポンプの下流側に配置され、圧送ポンプから排気された空気がイオン化空間内を通過するイオン化部と、
イオン化部のイオン化空間内にイオンを放出して放射線ダストを正又は負の一方の極性に帯電させてイオン化放射線ダストとするイオン生成部と、
イオン化部の下流側に配置され、イオン化放射線ダストを含む空気が検出空間内に流入する検出部と、
検出部内の検出空間で空気が吹き付けられるように配置され、イオン化放射線ダストと反対の極性の電圧が電極に印加されて集塵面からの吸引力によりイオン化放射線ダストを捕集するとともに捕集後の空気を排気孔を通じて排気する請求項3の集塵体と、
検出空間内で集塵体と有感面とが対向するように検出部に取付けられ、放射線ダストから有感面に放射される放射線の検出に応じて検出信号を出力する放射線検出器と、
を備え、イオン化放射線ダストと同極の電圧が印加された集塵体の外周電極からの斥力によりイオン化放射線ダストを排気孔に通過させないようにするとともに、集塵面からの吸引力により集塵体の集塵面にイオン化放射線ダストを集塵させることを特徴とするダストモニタ。
【請求項1】
絶縁体により形成される略板状の絶縁ベース部と、
絶縁ベース部の一方の面に形成される電極と、
を備え、
絶縁ベース部の他方の面ではそのまま絶縁体を露出させ、この露出する絶縁体を集塵面とすることを特徴とする集塵体。
【請求項2】
請求項1に記載の集塵体において、
前記絶縁ベース部は、前記電極の周囲に一または複数以上の排気孔を備えることを特徴とする集塵体。
【請求項3】
請求項2に記載の集塵体において、
前記絶縁ベース部は、前記電極の周囲および排気孔内に外周電極を備えることを特徴とする集塵体。
【請求項4】
放射線ダストを捕集して放射線を検出するダストモニタであって、
放射線ダストを含む空気を吸引して加圧の上で送出する圧送ポンプと、
圧送ポンプの下流側に配置され、圧送ポンプから排気された空気がイオン化空間内を通過するイオン化部と、
イオン化部のイオン化空間内にイオンを放出して放射線ダストを正又は負の一方の極性に帯電させてイオン化放射線ダストとするイオン生成部と、
イオン化部の下流側に配置され、イオン化放射線ダストを含む空気が検出空間内に流入する検出部と、
検出部の検出空間内で空気が吹き付けられるように配置され、イオン化放射線ダストと反対の極性の電圧が電極に印加されて集塵面からの吸引力によりイオン化放射線ダストを捕集する請求項1の集塵体と、
検出部の検出空間に連通し、イオン化放射線ダスト捕集後の空気を排気する排気路と、
検出空間内で集塵体と有感面とが対向するように検出部に取付けられ、放射線ダストから有感面に放射される放射線の検出に応じて検出信号を出力する放射線検出器と、
を備えることを特徴とするダストモニタ。
【請求項5】
請求項4に記載のダストモニタにおいて、
前記排気路の開口部周囲および排気路内に外周電極を設け、
イオン化放射線ダストと同極の電圧が印加された外周電極からの斥力によりイオン化放射線ダストを排気路に通過させないようにするとともに、集塵面からの吸引力により集塵体の集塵面にイオン化放射線ダストを集塵させることを特徴とするダストモニタ。
【請求項6】
放射線ダストを捕集して放射線を検出するダストモニタであって、
放射線ダストを含む空気を吸引して加圧の上で送出する圧送ポンプと、
圧送ポンプの下流側に配置され、圧送ポンプから排気された空気がイオン化空間内を通過するイオン化部と、
イオン化部のイオン化空間内にイオンを放出して放射線ダストを正又は負の一方の極性に帯電させてイオン化放射線ダストとするイオン生成部と、
イオン化部の下流側に配置され、イオン化放射線ダストを含む空気が検出空間内に流入する検出部と、
検出部内の検出空間で空気が吹き付けられるように配置され、イオン化放射線ダストと反対の極性の電圧が電極に印加されて集塵面からの吸引力によりイオン化放射線ダストを捕集するとともに捕集後の空気を排気孔を通じて排気する請求項2の集塵体と、
検出空間内で集塵体と有感面とが対向するように検出部に取付けられ、放射線ダストから有感面に放射される放射線の検出に応じて検出信号を出力する放射線検出器と、
を備えることを特徴とするダストモニタ。
【請求項7】
放射線ダストを捕集して放射線を検出するダストモニタであって、
放射線ダストを含む空気を吸引して加圧の上で送出する圧送ポンプと、
圧送ポンプの下流側に配置され、圧送ポンプから排気された空気がイオン化空間内を通過するイオン化部と、
イオン化部のイオン化空間内にイオンを放出して放射線ダストを正又は負の一方の極性に帯電させてイオン化放射線ダストとするイオン生成部と、
イオン化部の下流側に配置され、イオン化放射線ダストを含む空気が検出空間内に流入する検出部と、
検出部内の検出空間で空気が吹き付けられるように配置され、イオン化放射線ダストと反対の極性の電圧が電極に印加されて集塵面からの吸引力によりイオン化放射線ダストを捕集するとともに捕集後の空気を排気孔を通じて排気する請求項3の集塵体と、
検出空間内で集塵体と有感面とが対向するように検出部に取付けられ、放射線ダストから有感面に放射される放射線の検出に応じて検出信号を出力する放射線検出器と、
を備え、イオン化放射線ダストと同極の電圧が印加された集塵体の外周電極からの斥力によりイオン化放射線ダストを排気孔に通過させないようにするとともに、集塵面からの吸引力により集塵体の集塵面にイオン化放射線ダストを集塵させることを特徴とするダストモニタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2006−329853(P2006−329853A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−155102(P2005−155102)
【出願日】平成17年5月27日(2005.5.27)
【出願人】(000230940)日本原子力発電株式会社 (130)
【出願人】(591083244)富士電機システムズ株式会社 (1,717)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年5月27日(2005.5.27)
【出願人】(000230940)日本原子力発電株式会社 (130)
【出願人】(591083244)富士電機システムズ株式会社 (1,717)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]