説明

まばたきデータ種別装置、覚醒状態判定装置及び覚醒状態判断装置

【課題】まばたきの眼電図(EOG)波形の種類を種別するのに好適で且つまばたきの種類を識別する情報を当該眼電図(EOG)波形に係るまばたきデータに効率よく付与することが可能なまばたきデータ種別装置、当該データ種別装置を利用した、パターンモデル生成装置、まばたき波形出現頻度情報生成装置、覚醒状態判定装置、覚醒状態判断装置及び警告装置を提供する。
【解決手段】まばたき波形データにおける、当該波形のピーク高(距離)、ピーク高までの立ち上がり時間及びピーク高からの立ち下がり時間の3つのパラメータを正規化し、正規化したこれらパラメータを所定のクラスタリング手法を用いて種別し、当該種別結果に基づきまばたき映像データの特徴量データ及び前記3つのパラメータにまばたき種類の識別情報を付与して学習データを生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、まばたきの眼電図(EOG)波形に係るデータを種別するまばたきデータ種別装置、当該種別したまばたきの眼電図(EOG)波形に係るデータに基づきパターンモデルを生成するパターンモデル生成装置、当該生成したパターンモデルを用いて対象者の所定期間のまばたき種類の出現頻度の時間的変化の情報である出現頻度情報を生成するまばたき波形出現頻度情報生成装置、当該生成した波形種類の出現頻度情報に基づき対象者の覚醒状態を判定する覚醒状態判定装置、まばたき波形種類の出現頻度の時間変化に基づき対象者の覚醒状態を判断する覚醒状態判断装置、及び前記覚醒状態の判定結果に基づき対象者に警告を与える警告装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ITS(高度道路交通システム)の実用化に向けた研究開発は、情報処理技術の発展及び高度化に伴って急速に展開されてきており、新規市場としての産業界からの注目度も高まっている。ITSの中心的な役割を果たすものとして、運転支援・ナビゲーションシステムなどがあるが、道路・交通状況や車の挙動のみならず、ドライバの特性やその時々の状態に応じた支援や情報提示が望まれている。中でも、ドライバの覚醒水準の評価は、古くからの課題とされており、脳波、皮膚電気活動、心拍、まばたきなどの生理反応を利用した研究が数多く行われてきている。特に、まばたきの発生パターンや眼球運動を示す波形のパラメータは、被験者の覚醒水準によって変化することが知られており、まばたきの発生パターンやまばたき時の眼球運動を示す波形のパラメータを利用したドライバの居眠り検出などの研究が進められている。
【0003】
また、まばたき時の眼球運動を示す波形のパラメータを利用して覚醒状態を判定する技術として、特許文献1に記載の動作内容判定装置がある。この動作内容判定装置は、眼部分の複数フレームの映像データに対する特徴量の入力に対して対象者のまばたきの眼電図(EOG)波形の種類に対する尤度を出力する眼状態判定用HMMを有しており、前記特徴量の入力に対して眼状態判定用HMMから出力された尤度に基づいて対象者の覚醒状態を判定するものである。
【0004】
この特許文献1の従来技術においては、眼状態判定用HMMの生成時において、1回1回のまばたきの眼電図(EOG)波形における、まばたきの振幅、持続時間及び速度などのパラメータに基づいて眼電図(EOG)波形の種類を判断し、この判断結果に基づき、前記眼電図(EOG)波形に対応する眼部分の複数フレームの映像データから抽出した特徴量に対して、前記眼電図(EOG)波形の種類を識別するための識別情報を付与し、この識別情報の付与された特徴量を学習データとしてHMMを学習させている。
【0005】
また、特許文献2の覚醒状態検出装置は、単位時間において、まばたきの閉眼時間が基準時間以上であるものを順次積算して、その閉眼時間積算値が設定値以上になったときに覚醒状態が低下していると判断する。
【特許文献1】WO−A1−2005/114576号公報
【特許文献2】特開平7−156682号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1の従来技術において、まばたきの眼電図(EOG)波形の種類を識別するための識別情報(識別ラベル)を、例えば、映像データから抽出した特徴量に付与する作業は、映像データに対応するまばたきの眼電図(EOG)波形を人が目視で判断して行っており、付与対象のデータ量が増大するほど多大な労力及びコストが必要になるという問題があった。
【0007】
また、この識別情報の付与(ラベル付け)は、その作業を行う人毎に解釈が異なるため、できるだけ同じ人が(又は少人数で)やることが望ましく、このため、より多くの作業時間がかかるという問題があった。
また、従来、把握されたまばたき波形の種類(モデル)は、正確に把握されていたかの検証が十分ではなく、更なる正確なモデルの把握が求められていた。
【0008】
また、上記特許文献1及び特許文献2の従来技術においては、覚醒度の低下に伴いまばたき時間が長くなるという指標や、眠気が生じるころのまばたき波形は、波高が小さく、波形の立ち上がり角度と立ち下り角度が緩やかで持続時間が短いといった指標などの単一の指標を用いているため、居眠り状態に移行するまでに発生する多種多様な覚醒水準を推定することは困難であった。
【0009】
そこで、本発明は、このような従来の技術の有する未解決の課題に着目してなされたものであって、まばたきの眼電図(EOG)波形の種類を種別するのに好適で且つまばたきの種類を識別する情報を当該眼電図(EOG)波形に係るまばたきデータに効率よく付与することが可能なまばたきデータ種別装置、当該種別したまばたきデータに基づきパターンモデルを生成するパターンモデル生成装置、当該生成したパターンモデルを用いて対象者の所定期間のまばたき種類の出現頻度の時間的変化の情報である出現頻度情報を生成するまばたき波形出現頻度情報生成装置、当該出現頻度情報に基づき対象者の覚醒状態を判定(判断)する覚醒状態判定装置及び覚醒状態判断装置、並びに覚醒状態の判定結果に基づき対象者に警告を与える警告装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明に係る請求項1記載のまばたきデータ種別装置は、 まばたきの眼電図(EOG)波形に係るデータであるまばたきデータを種別するまばたきデータ種別装置であって、
前記まばたきの眼電図(EOG)波形のデータである眼電図(EOG)波形データから抽出された、単位の異なる複数種類のパラメータを正規化する正規化手段と、
前記正規化手段で正規化された複数種類のまばたきの前記眼電図(EOG)波形データに対応するパラメータを、所定のクラスタリング手法を用いて種別する種別手段と、
前記種別手段の種別結果に基づき、前記種別された各パラメータに対応する前記まばたきデータに対して、前記各パラメータの属する種類の識別情報をそれぞれ付与する識別情報付与手段と、を備えることを特徴としている。
【0011】
このような構成であれば、正規化手段によって、まばたきの眼電図(EOG)波形のデータである眼電図(EOG)波形データから抽出された、単位の異なる複数種類のパラメータを正規化することが可能であり、種別手段によって、前記正規化手段で正規化された複数種類のまばたきの前記眼電図(EOG)波形データに対応するパラメータを、所定のクラスタリング手法を用いて種別することが可能である。
更に、識別情報付与手段によって、前記種別手段の種別結果に基づき、前記種別された各パラメータに対応する前記まばたきデータに対して、前記各パラメータの属する種類の識別情報をそれぞれ付与することが可能である。
【0012】
従って、まばたきの眼電図(EOG)波形データから距離や時間などの単位(次元)の異なる特徴的なパラメータを抽出し、この抽出したパラメータを正規化することで、単位(次元)の異なる複数種類のパラメータを同時に使用してクラスタリング(種別)を行うことができると共に、この種別結果に基づいてまばたきデータへの識別情報の付与を自動で行うことができるので、まばたきデータの種別を安定且つ精度良く行うことができると共に、識別情報の付与作業に必要な労力及びコストを低減できるという効果が得られる。
【0013】
また、全てのまばたきデータを、正確な種類(まばたき波形の種類(モデル))に分類することができるので、これら正確に分類されたまばたきデータを利用して対象者のまばたき波形の種類を識別するで、例えば、対象者の正確な覚醒状態の判定などを行うことが可能である。
ここで、上記「まばたきデータ」は、まばたきの眼電図(EOG)波形データ、当該眼電図(EOG)波形データから抽出される特徴量データ、前記まばたきの眼電図(EOG)波形データを測定時の対象者のまばたきの動画像データ(まばたき映像データ)、当該まばたき映像データから抽出される特徴量データなどである。
【0014】
また、上記「単位の異なる複数種類のパラメータ」は、まばたきの眼電図(EOG)波形データから抽出可能なパラメータ(データ)であり、例えば、まばたき波形の持続時間を示すパラメータや、波形の高さ(距離)を示すデータ、まばたきの速度を示すデータなどが該当する。
また、上記「種別する」とは、上記正規化されたパラメータを、クラスタリング手段によって複数のクラスのいずれかにクラスタリングすることであり、このクラスタリング結果そのものを種別結果としても良いし、クラスタリング結果に何らかの加工を施した結果を種別結果としても良い。
また、上記「識別情報」は、クラスタリング手段でクラスタリング(種別)された各パラメータに対応するまばたきデータが、どのクラス(種類)に属するかを識別可能な情報である。
【0015】
更に、請求項2に係る発明は、請求項1記載のまばたきデータ種別装置において、
前記単位の異なる複数種類のパラメータは、前記まばたきの眼電図(EOG)波形データから抽出される、前記眼電図(EOG)波形のピーク高の距離データ、まばたきの開始から前記ピーク高に至るまでの時間データ及び前記ピーク高からまばたきの終了に至るまでの時間データを含むことを特徴としている。
このような構成であれば、様々な形状のまばたきの眼電図(EOG)波形を区別することができるので、より正確にまばたきデータの種別を行うことができるという効果が得られる。
【0016】
例えば、まばたきの眼電図(EOG)波形のピーク高と、まばたきの速度との2つのパラメータを用いてクラスタリングを行う場合は、ピーク高の高さ(距離)及びまばたき速度がそれぞれ同じとなる複数の眼電図(EOG)波形が、全て同じクラス(種類)に属してしまうため、正確な種別を行うことができない。一方、本発明の構成であれば、ピーク高の高さ(距離)及びまばたき速度がそれぞれ同じとなる眼電図(EOG)波形が複数あっても、まばたきの開始からピーク高に至るまで及びピーク高からまばたきの終了に至るまでの時間がそれぞれ異なるものを正確に種別することができる。
ここで、上記「ピーク高」は、例えば、まばたきの発生した時間区間の眼電図(EOG)波形における、波形の最も高いレベル位置と最も低いレベル位置との差などで表されるものである。
【0017】
更に、請求項3に係る発明は、請求項1又は請求項2記載のまばたきデータ種別装置において、
前記正規化手段は、Zスコア法を用いて、前記単位の異なる複数種類のパラメータを正規化することを特徴としている。
このような構成であれば、公知のZスコア法を用いて正規化を行うので、単位(次元)の異なる複数種類のパラメータを、そのそれぞれについて、平均値を「0」、標準偏差を「1」とするように分布の加工を行って正規化をすることが可能である。これによって、距離や時間などの単位(次元)の異なるパラメータを混在させてクラスタリングを行うことができるという効果が得られる。
【0018】
更に、請求項4に係る発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のまばたきデータ種別装置において、
前記種別手段は、前記所定のクラスタリング手法として、分割最適化手法又は階層的手法を用いることを特徴としている。
このような構成であれば、分割最適化手法又は階層的手法を用いてクラスタリングを行うことが可能となるので、簡易にパラメータの種別を行うことができるという効果が得られる。
【0019】
ここで、上記「分割最適化手法」は、非階層的手法であり、分割の良否を示す評価関数を定め、この評価関数を最適にする分割を探索する手法である。その代表的なものに、k−平均法(k−means法)などがある。k−平均法は、分割数kを与え、セントロイド(k個のクラスタの重心点)をクラスタの代表点とし、例えば、各対象クラスタからセントロイドまでの距離の2乗の総和(評価関数の解)を最小化するようにk個のクラスタを分割する。この手法は山登り法で、局所最適解しか求められないため、ランダムに初期値を変更して評価関数を最小にする結果を選択する。
【0020】
また、上記「階層的手法」は、N個の対象からなるデータが与えられたとき、1個の対象データだけを含むN個のクラスタがある初期状態を作成する。この状態から始めて、クラスタ間の距離を計算し、最も距離の近い2つのクラスタを逐次的に併合する。このクラスタの併合を全ての対象が1つのクラスタに併合されるまで繰り返すことで階層構造を獲得する。この階層構造はデンドログラムによって表示される。デンドログラムとは、各終端ノードが各対象を表し、併合されてできたクラスタを非終端ノードで表した二分木である。なお、非終端ノードの横軸は、併合されたときのクラスタ間の距離を表す。階層的手法の代表的なものには、クラスタのセントロイド(重心点)までの距離の2乗の総和を最小化するウォード法(Ward method)、最短距離法、最長距離法、群平均法などがある。
【0021】
更に、請求項5に係る発明は、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のまばたきデータ種別装置において、
前記まばたきデータは、前記まばたきの眼電図(EOG)波形に対応する、各対象者のまばたき時の少なくとも片眼全体の動画像データを含むまばたき映像データから抽出される特徴量データであることを特徴としている。
このような構成であれば、まばたきの眼電図(EOG)波形測定時のまばたき映像データから抽出される特徴量データに属性情報を付加することが可能である。
【0022】
例えば、属性情報の付加された特徴量データを学習データとしてHMMなどの統計モデルを学習させ、まばたき映像データの特徴量データから、そのまばたきの眼電図(EOG)波形の種類を識別可能なパターンモデルを生成することができるという効果が得られる。つまり、まばたき映像データの特徴量データがあれば、対象者のまばたきの種類を識別することができるので、対象者の眼電図(EOG)波形を測定しなくても、まばたき時の映像データから簡易に識別処理を行うことができる。
【0023】
一方、上記目的を達成するために、請求項6記載のパターンモデル生成装置は、
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のまばたきデータ種別装置と、
前記まばたきデータ種別装置で前記識別情報の付与された前記まばたきデータを学習データとして統計モデルを学習させて、前記まばたきデータを入力とし、当該まばたきデータの識別データを出力とするパターンモデルを生成するパターンモデル生成手段と、を備えることを特徴としている。
【0024】
このような構成であれば、パターンモデル生成手段によって、前記まばたきデータ種別装置で前記識別情報の付与された前記まばたきデータを学習データとして統計モデルを学習させ、前記まばたきデータを入力とし、当該まばたきデータの識別データを出力とするパターンモデルを生成することが可能である。
従って、安定且つ正確に種別されたまばたきデータを学習データとして学習されたパターンモデルを生成することが可能となるので、眼電図(EOG)波形の種類の識別能力の高いパターンモデルを生成することができるという効果が得られる。
【0025】
ここで、パターンモデルとは、例えば、まばたきデータに対してマッチングを行う信号パターンを統計モデルを学習させてモデル化したものであり、統計モデルとしては、例えば、HMMやニューラルネットワーク等がある。以下、請求項8記載のパターンモデル生成装置において同じである。
また、識別データは、入力されたまばたきデータに対するまばたき波形種類を示す識別結果そのものを示すデータ、入力されたまばたきデータに対する各まばたき波形種類に対する尤度などのまばたき波形種類を識別するためのデータなど、パターンモデルを構成する統計モデルの種類や、パターンモデルの仕様に応じたデータとなる。以下、請求項8記載のパターンモデル生成装置において同じである。
【0026】
更に、請求項7に係る発明は、請求項6記載のパターンモデル生成装置において、
前記統計モデルは、HMM(Hidden Markov Model)であることを特徴としている。
このような構成であれば、統計モデルとして公知のHMMを用いるので、まばたきのように時間的概念を伴う動作内容に対して、高精度な前記眼電図(EOG)波形の種類の識別を行うことができるパターンモデルを生成することができるという効果が得られる。
【0027】
ここで、上記「HMM」は、時系列信号の統計モデルであり、複数の定常信号源の間を遷移することで、非定常な時系列信号をモデル化することができる。例えば、音声は、話すスピードによりその時間的長さが変わり、発話内容により、周波数上で特徴的な形状(スペクトル包絡という)を示すが、その形状は発声する人、環境、内容等に依存し、揺らぎが生じる。HMMはそのような揺らぎを吸収することができる統計モデルである。以下、請求項9記載のパターンモデル生成装置において同じである。
【0028】
また、上記目的を達成するために、請求項8記載のパターンモデル生成装置は、
請求項5記載のまばたきデータ種別装置と、
前記まばたきデータ種別装置で前記識別情報の付与された前記まばたきデータを学習データとして統計モデルを学習させ、前記まばたきデータを入力とし、当該まばたきデータの識別データを出力とするパターンモデルを生成するパターンモデル生成手段と、を備えることを特徴としている。
【0029】
このような構成であれば、パターンモデル生成手段によって、前記まばたきデータ種別装置で前記識別情報の付与されたまばたきデータ(まばたき映像の特徴量データ)を学習データとして統計モデルを学習させ、前記まばたきデータ(特徴量データ)を入力とし、当該まばたきデータ(特徴量データ)の識別データを出力とするパターンモデルを生成することが可能である。
【0030】
従って、安定且つ正確に種別されたまばたき映像データの特徴量データを学習データとして学習されたパターンモデルを生成することが可能となるので、眼電図(EOG)波形の種類の識別能力の高い(正確な識別が可能な)パターンモデルを生成することができると共に、まばたき映像データの特徴量データから対象者のまばたきの種類を識別することができるパターンモデルを生成することができるという効果が得られる。
【0031】
更に、請求項9に係る発明は、請求項8記載のパタンモデル生成装置において、
前記統計モデルは、HMM(Hidden Markov Model)であることを特徴としている。
このような構成であれば、統計モデルとして公知のHMMを用いるので、まばたきのように時間的概念を伴う動作内容に対して、高精度な前記眼電図(EOG)波形の種類の識別を行うことができるパターンモデルを生成することができるという効果が得られる。
【0032】
一方、上記目的を達成するために、請求項10記載のまばたき波形出現頻度情報生成装置は、
請求項6又は請求項7記載のパターンモデル生成装置で生成されたパターンモデルと、
対象者のまばたき時の眼電図(EOG)波形を測定する眼電図波形測定手段と、
前記眼電図波形測定手段で測定された眼電図(EOG)波形のデータである眼電図(EOG)波形データから、前記パターンモデルに対応するまばたきデータを抽出するまばたきデータ抽出手段と、
前記まばたきデータ抽出手段で抽出したまばたきデータと、前記パターンモデルとに基づき、前記まばたきデータに対応する眼電図(EOG)波形の種類を識別するまばたき波形識別手段と、
所定期間において測定された前記対象者のまばたき時の眼電図(EOG)波形に対する前記まばたき波形識別手段の識別結果に基づき、前記所定期間における前記眼電図(EOG)波形の種類の出現頻度の時間的変化を示す出現頻度情報を生成する出現頻度情報生成手段と、を備えることを特徴としている。
【0033】
このような構成であれば、眼電図波形測定手段によって、対象者のまばたき時の眼電図(EOG)波形を測定することが可能であり、まばたきデータ抽出手段によって、前記眼電図波形測定手段で測定された眼電図(EOG)波形のデータである眼電図(EOG)波形データから、前記パターンモデルに対応するまばたきデータを抽出することが可能であり、まばたき波形識別手段によって、前記まばたきデータ抽出手段で抽出したまばたきデータと、前記パターンモデルとに基づき、前記まばたきデータに対応する眼電図(EOG)波形の種類を識別することが可能である。
更に、出現頻度情報生成手段によって、所定期間において測定された前記対象者のまばたき時の眼電図(EOG)波形に対する前記まばたき波形識別手段の識別結果に基づき、前記所定期間における前記眼電図(EOG)波形の種類の出現頻度の時間的変化を示す出現頻度情報を生成することが可能である。
【0034】
従って、出現頻度情報から、対象者の特定種類のまばたきの発生頻度、特定種類のまばたきの群発などの所定時間内における特定種類のまばたきの発生頻度の変化が解るので、予め実験等を行って、例えば、出現頻度の時間的変化と、高覚醒時から居眠りへと移行するまでの様々な覚醒水準(状態)との関係を調べておくことにより、出現頻度情報から、対象者の様々な覚醒水準(状態)を判断することができるという効果が得られる。
つまり、生理学の見地において覚醒状態の判定に有効であるとされている、特定種類のまばたきの発生頻度、特定種類のまばたきの群発などの所定時間内における特定種類のまばたきの発生頻度の変化に基づいて、高精度の覚醒状態の判定を行うことが可能である。
【0035】
また、上記目的を達成するために、請求項11記載のまばたき波形出現頻度情報生成装置は、
請求項8又は請求項9記載のパターンモデル生成装置で生成されたパターンモデルと、
対象者のまばたき時の少なくとも片眼全体の動画像を含むまばたき映像を撮影する撮影手段と、
前記撮影手段で撮影したまばたき映像のデータであるまばたき映像データから、前記パターンモデルに対応する特徴量データを抽出する特徴量データ抽出手段と、
前記特徴量データ抽出手段で抽出した特徴量データと、前記パターンモデルとに基づき、前記特徴量データに対応したまばたき映像に対応する眼電図(EOG)波形の種類を識別するまばたき波形識別手段と、
所定期間において撮影された前記対象者のまばたき映像に対する前記まばたき波形識別手段の識別結果に基づき、前記所定期間における前記まばたき映像に対応する眼電図(EOG)波形の種類ごとの出現頻度の時間的変化を示す出現頻度情報を生成する出現頻度情報生成手段と、を備えることを特徴としている。
【0036】
このような構成であれば、撮影手段によって、対象者のまばたき時の少なくとも片眼全体の動画像を含むまばたき映像を撮影することが可能であり、特徴量データ抽出手段によって、前記撮影手段で撮影したまばたき映像のデータであるまばたき映像データから、前記パターンモデルに対応する特徴量データを抽出することが可能であり、まばたき波形識別手段によって、前記特徴量データ抽出手段で抽出した特徴量データと、前記パターンモデルとに基づき、前記特徴量データに対応したまばたき映像に対応する眼電図(EOG)波形の種類を識別することが可能である。
更に、出現頻度情報生成手段によって、所定期間において撮影された前記対象者のまばたき映像に対する前記まばたき波形識別手段の識別結果に基づき、前記所定期間における前記まばたき映像に対応する眼電図(EOG)波形の種類ごとの出現頻度の時間的変化を示す出現頻度情報を生成することが可能である。
【0037】
従って、出現頻度情報から、対象者の特定種類のまばたきの発生頻度、特定種類のまばたきの群発などの所定時間内における特定種類のまばたきの発生頻度の変化が解るので、予め実験等を行って、例えば、前記出現頻度の時間的変化と、高覚醒時から居眠りへと移行するまでの様々な覚醒水準(状態)との関係を得ておくことにより、出現頻度情報から、対象者の様々な覚醒水準(状態)を判断することができるという効果が得られる。つまり、生理学の見地において覚醒状態の判定に有効であるとされている、特定種類のまばたきの発生頻度、特定種類のまばたきの群発などの所定時間内における特定種類のまばたきの発生頻度の変化に基づいて、高精度の覚醒状態の判定を行うことが可能である。
また、まばたき映像データを撮影するだけで、対象者のまばたき(眼電図(EOG)波形)の種類を識別することができるので、まばたきの眼電図(EOG)波形を直接測定する場合と比べて、対象者に電極等の測定部材を装着させずに、簡易にまばたき波形の識別を行うことが可能である。
【0038】
一方、上記目的を達成するために、請求項12記載の覚醒状態判定装置は、
請求項10又は請求項11記載のまばたき波形出現頻度情報生成装置と、
前記まばたき波形出現頻度情報生成装置で生成した出現頻度情報に基づき、前記対象者の覚醒状態を判定する覚醒状態判定手段と、を備えることを特徴としている。
このような構成であれば、覚醒状態判定手段によって、前記まばたき波形出現頻度情報生成装置で生成した出現頻度情報に基づき、前記対象者の覚醒状態を判定することが可能である。
従って、例えば、対象者の高覚醒状態から居眠り状態へと移行するまでの様々な覚醒状態を判定することができるという効果が得られる。
【0039】
また、上記目的を達成するために、請求項13記載の覚醒状態判断装置は、
対象者のまばたき時の眼電図(EOG)波形を測定するまばたき眼電図波形測定手段と、
前記まばたき眼電図波形測定手段で測定された眼電図(EOG)波形のデータである眼電図(EOG)波形データから、まばたきデータを抽出するまばたきデータ抽出手段と、
前記まばたきデータ抽出手段で抽出されたまばたきデータと、予め記憶されたまばたき波形種類の識別用データとに基づき、前記まばたきデータに対応するまばたき波形の種類を識別するまばたき波形識別手段と、
所定期間において測定された前記眼電図(EOG)波形に対応する前記まばたき波形識別手段の識別結果に基づき、前記所定期間の前記まばたき波形の種類ごとの出現頻度の時間的変化を示す出現頻度情報を生成する出現頻度情報生成手段と、
前記出現頻度情報生成手段で生成した出現頻度情報に基づき、前記まばたき波形の所定の種類の出現頻度から、前記対象者の覚醒状態を判定する覚醒状態判定手段と、を備えることを特徴としている。
【0040】
このような構成であれば、眼電図波形測定手段によって、対象者のまばたき時の眼電図(EOG)波形を測定することが可能であり、まばたきデータ抽出手段によって、前記まばたき眼電図波形測定手段で測定された眼電図(EOG)波形のデータである眼電図(EOG)波形データから、まばたきデータを抽出することが可能であり、まばたき波形識別手段によって、前記まばたきデータ抽出手段で抽出されたまばたきデータと、予め記憶されたまばたき波形種類の識別用データとに基づき、前記まばたきデータに対応するまばたき波形の種類を識別することが可能である。
【0041】
更に、出現頻度情報生成手段によって、所定期間において測定された前記眼電図(EOG)波形に対応する前記まばたき波形識別手段の識別結果に基づき、前記所定期間の前記まばたき波形の種類ごとの出現頻度の時間的変化を示す出現頻度情報を生成することが可能であり、覚醒状態判定手段によって、前記出現頻度情報生成手段で生成した出現頻度情報に基づき、前記まばたき波形の所定の種類の出現頻度から、前記対象者の覚醒状態を判定することが可能である。
【0042】
従って、出現頻度情報から、対象者の特定種類のまばたきの発生頻度、特定種類のまばたきの群発などの所定時間内における特定種類のまばたきの発生頻度の変化が解るので、予め実験等を行って、例えば、前記出現頻度の時間的変化と、高覚醒時から居眠りへと移行するまでの様々な覚醒水準(状態)との関係を得ておくことにより、出現頻度情報から、対象者の様々な覚醒水準(状態)を判断することができるという効果が得られる。つまり、生理学の見地において覚醒状態の判定に有効であるとされている、特定種類のまばたきの発生頻度、特定種類のまばたきの群発などの所定時間内における特定種類のまばたきの発生頻度の変化に基づいて、高精度の覚醒状態の判定を行うことが可能である。
ここで、識別用データは、特徴量データから、当該特徴量データに対応するまばたき波形種類を識別できるデータであり、例えば、特徴量データを入力とし、当該特徴量データの識別データを出力とするパターンモデル、様々な特徴量データとまばたき波形種類との関係が登録されたデータテーブル(データベース)などがある。
【0043】
更に、請求項14に係る発明は、請求項13記載の覚醒状態判定装置において、
前記まばたき波形の所定の種類の出現頻度は、前記まばたき波形の複数種類の出現頻度であることを特徴としている。
このような構成であれば、対象者の特定の複数種類のまばたきの発生頻度、特定の複数種類のまばたきの群発などの所定時間内における特定の複数種類のまばたきの発生頻度の変化が解るので、予め実験等を行って、例えば、前記出現頻度の時間的変化と、高覚醒時から居眠りへと移行するまでの様々な覚醒水準(状態)との関係を得ておくことにより、出現頻度情報から、対象者の様々な覚醒水準(状態)をより正確に判断することができるという効果が得られる。つまり、高覚醒時から居眠りへと移行するまでには、様々な種類のまばたきが混在して発生するので、その中でも特に覚醒水準(状態)に係る複数種類のまばたきの出現頻度に着目して判定を行うことで、覚醒水準の判定精度をより高精度にすることが可能である。
【0044】
また、上記目的を達成するために、請求項15記載の覚醒状態判断装置は、
対象者のまばたき時の眼電図(EOG)波形を測定するまばたき眼電図波形測定手段と、
前記眼電図(EOG)波形のデータである眼電図(EOG)波形データから抽出される特徴量データを入力とし、当該特徴量データに対応するまばたき波形種類の識別データを出力とするパターンモデルと、
前記まばたき眼電図波形測定手段で測定された眼電図(EOG)波形のデータである眼電図(EOG)波形データから、特徴量データを抽出する特徴量抽出手段と、
前記特徴量抽出手段で抽出した特徴量データと、前記パターンモデルとに基づき、前記特徴量データに対するまばたき波形種類を識別するまばたき種類識別手段と、
所定期間において撮影された前記対象者のまばたき映像に対する前記まばたき種類識別手段の識別結果に基づき、前記所定期間における前記まばたき映像に対応する眼電図(EOG)波形の種類ごとの出現頻度の時間的変化を示す出現頻度情報を生成するまばたき波形種類出現頻度情報生成手段と、
前記まばたき波形種類出現頻度情報生成手段で生成した出現頻度情報に基づき、前記対象者の覚醒状態を判断する覚醒状態判断手段と、を備えることを特徴としている。
【0045】
このような構成であれば、まばたき眼電図波形測定手段によって、対象者のまばたき時の眼電図(EOG)波形を測定することが可能であり、特徴量抽出手段によって、前記まばたき眼電図波形測定手段で測定された眼電図(EOG)波形のデータである眼電図(EOG)波形データから、特徴量データを抽出することが可能であり、まばたき種類識別手段によって、前記特徴量抽出手段で抽出した特徴量データと、前記パターンモデルとに基づき、前記特徴量データに対するまばたき波形種類を識別することが可能である。
【0046】
更に、まばたき波形種類出現頻度情報生成手段によって、所定期間において撮影された前記対象者のまばたき映像に対する前記まばたき種類識別手段の識別結果に基づき、前記所定期間における前記まばたき映像に対応する眼電図(EOG)波形の種類ごとの出現頻度の時間的変化を示す出現頻度情報を生成することが可能であり、覚醒状態判断手段によって、前記まばたき波形種類出現頻度情報生成手段で生成した出現頻度情報に基づき、前記対象者の覚醒状態を判断することが可能である。
【0047】
従って、出現頻度情報から、対象者の特定種類のまばたきの発生頻度、特定種類のまばたきの群発などの所定時間内における特定種類のまばたきの発生頻度の変化が解るので、予め実験等を行って、例えば、出現頻度の時間的変化と、覚醒時から居眠りへと移行するまでの様々な覚醒水準(状態)との関係を調べておくことにより、出現頻度情報から、対象者の様々な覚醒水準(状態)を判断することができるという効果が得られる。
つまり、生理学の見地において覚醒状態の判定に有効であるとされている、特定種類のまばたきの発生頻度、特定種類のまばたきの群発などの所定時間内における特定種類のまばたきの発生頻度の変化に基づいて、高精度の覚醒状態の判定を行うことが可能である。
【0048】
また、上記目的を達成するために、請求項16記載の覚醒状態判断装置は、
対象者のまばたき時の少なくとも片眼全体の動画像を含むまばたき映像を撮影するまばたき映像撮影手段と、
前記まばたき映像のデータであるまばたき映像データから抽出される特徴量データを入力とし、当該特徴量データに対応するまばたき波形種類の識別データを出力とするパターンモデルと、
前記まばたき映像撮影手段で撮影したまばたき映像のデータであるまばたき映像データから特徴量データを抽出する特徴量抽出手段と、
前記特徴量抽出手段で抽出した特徴量データと、前記パターンモデルとに基づき、前記特徴量データに対するまばたき波形種類を識別するまばたき種類識別手段と、
所定期間において撮影された前記対象者のまばたき映像に対する前記まばたき種類識別手段の識別結果に基づき、前記所定期間における前記まばたき映像に対応する眼電図(EOG)波形の種類ごとの出現頻度の時間的変化を示す出現頻度情報を生成するまばたき波形種類出現頻度情報生成手段と、
前記まばたき波形種類出現頻度情報生成手段で生成した出現頻度情報に基づき、前記対象者の覚醒状態を判断する覚醒状態判断手段と、を備えることを特徴としている。
【0049】
このような構成であれば、まばたき映像撮影手段によって、対象者のまばたき時の少なくとも片眼全体の動画像を含むまばたき映像を撮影することが可能であり、特徴量抽出手段によって、前記まばたき映像撮影手段で撮影したまばたき映像のデータであるまばたき映像データから特徴量データを抽出することが可能であり、まばたき種類識別手段によって、前記特徴量抽出手段で抽出した特徴量データと、前記パターンモデルとに基づき、前記特徴量データに対するまばたき波形種類を識別することが可能である。
【0050】
更に、まばたき波形種類出現頻度情報生成手段によって、所定期間において撮影された前記対象者のまばたき映像に対する前記まばたき種類識別手段の識別結果に基づき、前記所定期間における前記まばたき映像に対応する眼電図(EOG)波形の種類ごとの出現頻度の時間的変化を示す出現頻度情報を生成することが可能であり、覚醒状態判断手段によって、前記まばたき波形種類出現頻度情報生成手段で生成した出現頻度情報に基づき、前記対象者の覚醒状態を判断することが可能である。
【0051】
従って、出現頻度情報から、対象者の特定種類のまばたきの発生頻度、特定種類のまばたきの群発などの所定時間内における特定種類のまばたきの発生頻度の変化が解るので、予め実験等を行って、例えば、前記出現頻度の時間的変化と、覚醒時から居眠りへと移行するまでの様々な覚醒水準(状態)との関係を得ておくことにより、出現頻度情報から、対象者の様々な覚醒水準(状態)を判断することができるという効果が得られる。つまり、生理学の見地において覚醒状態の判定に有効であるとされている、特定種類のまばたきの発生頻度、特定種類のまばたきの群発などの所定時間内における特定種類のまばたきの発生頻度の変化に基づいて、高精度の覚醒状態の判定を行うことが可能である。
【0052】
また、まばたき映像データを撮影するだけで、対象者のまばたき(眼電図(EOG)波形)の種類を識別することができるので、まばたきの眼電図(EOG)波形を直接測定する場合と比べて、対象者に電極等の測定部材を装着させずに、簡易にまばたき波形の識別を行うことが可能である。
【0053】
また、上記目的を達成するために、請求項17記載の警告装置は、
請求項12又は請求項13記載の覚醒状態判定装置と、
前記覚醒状態判定装置における前記覚醒状態の判定結果に基づき、前記対象者に警告を与える警告手段と、を備えることを特徴としている。
このような構成であれば、警告手段によって、前記覚醒状態判定装置における前記覚醒状態の判定結果に基づき、前記対象者に警告を与えることが可能である。
【0054】
従って、例えば、自動車内のドライバの所定期間ごとの出現頻度情報をリアルタイムに生成することによって、この出現頻度情報から、例えば、完全に居眠りの状態になる前の居眠り状態に移行中のドライバの覚醒水準(状態)等を判定することができるので、眠りに落ちそうな状態の対象者に対して、警告音や光の点滅などによる警告を与えることによって、未然に事故を防ぐことができるという効果が得られる。
ここで、上記警告は、ブザー等の警報音、警告音声メッセージ等の音によるもの、光の点灯、点滅等による視覚的な警告、対象者に振動や衝撃などの与える警告などがある。また、これらを任意に組み合わせた警告を対象者に与えるようにしても良い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0055】
〔第1の実施の形態〕
以下、本発明の第1の実施の形態を図面に基づき説明する。図1〜図10は、本発明に係るまばたきデータ種別装置、まばたきデータ種別プログラム及びまばたきデータ種別方法、並びにパターンモデル生成装置、パターンモデル生成プログラム及びパターンモデル生成方法の実施の形態を示す図である。
【0056】
まず、本発明に係るパターンモデル生成装置の構成を図1に基づき説明する。図1は、本発明に係るパターンモデル生成装置100の構成を示すブロック図である。
図1に示すように、パターンモデル生成装置100は、まばたきの眼電図(EOG)波形のデータ(以下、眼電図(EOG)波形データと称す)を記憶するまばたき波形データ記憶部10と、まばたきの眼電図(EOG)波形の測定時に同時に撮影したまばたきの映像データ(以下、まばたき映像データと称す)を記憶するまばたき映像データ記憶部11と、まばたき波形データからパラメータを抽出するパラメータ抽出部12と、まばたき映像データから特徴量データを抽出する特徴量データ抽出部13と、パラメータ抽出部12で抽出したパラメータ及び特徴量データ抽出部13で抽出した特徴量データを対応付けて記憶する種別対象データ記憶部14とを含んだ構成となっている。
【0057】
まばたき波形データ記憶部10は、複数被験者に対して測定した、複数種類のまばたきの眼電図(EOG)波形データを、後述する記憶装置70の所定領域に記憶するようになっている。具体的には、例えば、被験者の左眼又は右眼の少なくとも一方のまばたきの眼電図(EOG)波形データを記憶する。
まばたき映像データ記憶部11は、まばたき波形データ記憶部10に記憶された左眼又は右眼の少なくとも一方のまばたきの眼電図(EOG)波形データに対応するまばたき映像データを、後述する記憶装置70の所定領域に記憶するようになっている。ここで、まばたき映像データは、眼電図(EOG)波形の測定時に同時に撮影したまばたきの映像データであり、被験者のまばたき時の左眼又は右眼の少なくとも一方を含む動画像データで構成されている。また、眼電図(EOG)波形データ及びまばたき映像データは識別情報によってそれぞれが対応付けされており、これによって、眼電図(EOG)波形データ及びまばたき波形データのいずれか一方から他方を知ることが可能となっている。
【0058】
パラメータ抽出部12は、まばたき波形データ記憶部10によって記憶された眼電図(EOG)波形データから、単位の異なる複数種類のパラメータを抽出するようになっている。
本実施の形態においては、眼電図(EOG)波形のピーク高の距離データ、まばたきの開始からピーク高に至るまでの時間データ、ピーク高からまばたきの終了に至るまでの時間データの3つのパラメータを抽出する。
特徴量データ抽出部13は、まばたき映像データ記憶部11によって記憶されたまばたき映像データから、特徴量データを抽出するようになっている。
本実施の形態においては、まばたき映像データの各フレーム毎に、所定領域の各ラインごとの輝度合計を算出し、各まばたき映像データの輝度合計のデータを特徴量データとする。
【0059】
種別対象データ記憶部14は、眼電図(EOG)波形データ及びまばたき映像データに付与された識別情報に基づき、パラメータ抽出部12で抽出された各眼電図(EOG)波形データごとの3つのパラメータと、特徴量データ抽出部13で抽出された各まばたき映像データごとの特徴量データとを対応付けて、後述する記憶装置70の所定領域に記憶するようになっている。
【0060】
パターンモデル生成装置100は、更に、種別対象データ記憶部14に記憶されたパラメータを正規化するパラメータ正規化部15と、パラメータ正規化部15で正規化されたパラメータを種別するパラメータ種別部16と、パラメータ種別部16の種別結果に基づき、種別対象データ記憶部14によって記憶されたパラメータ及び特徴量データにまばたきの種類を識別する識別情報を自動的に付与する識別情報付与部17と、識別情報付与部17で識別情報の付与されたパラメータ及び特徴量データを学習データとして記憶する学習データ記憶部18とを含んだ構成となっている。
【0061】
パラメータ正規化部15は、単位の異なる複数種類のパラメータを、所定の正規化手法を用いて正規化するようになっている。本実施の形態においては、公知のZスコア法を用いて正規化する。
パラメータ種別部16は、パラメータ正規化部15で正規化後のパラメータ(以下、正規化パラメータと称す)を、所定のクラスタリング手法を用いて種別するようになっている。本実施の形態においては、階層的クラスタリング手法の1つである公知のウォード法、及び分割最適化クラスタリング手法の1つである公知のk−平均法のいずれか指定された方のクラスタリング手法を用いて正規化パラメータをクラスタリングする。本実施の形態においては、このクラスタリング結果を種別結果とし、各正規化パラメータの属するクラスの情報を各正規化パラメータに付与し、これを種別結果とする。
【0062】
識別情報付与部17は、パラメータ種別部16の種別結果に基づき、種別後の各正規化パラメータの属するクラスをそれぞれまばたきの種類の識別情報とし、この識別情報を、各種別後の正規化パラメータに対応する正規化前のパラメータと、このパラメータに対応する特徴量データとに対して自動的に付与するようになっている。
学習データ記憶部18は、識別情報付与部17で識別情報の付与された、パラメータ及び特徴量データを学習データとして、後述する記憶装置70の所定領域に記憶するようになっている。
パターンモデル生成装置100は、更に、学習データ記憶部18に記憶された学習データを用いて統計モデルを学習する統計モデル学習部19と、学習後の統計モデルからなるパターンモデルを記憶するパターンモデル記憶部20とを含んだ構成となっている。
【0063】
統計モデル学習部19は、まばたき波形用パターンモデルの生成指示に応じて、学習データ記憶部18に記憶されたパラメータを学習データとして統計モデルを学習し、まばたき波形用パターンモデルを生成するようになっている。更に、まばたき映像用パターンモデルの生成指示に応じて、学習データ記憶部18に記憶された特徴量データを学習データとして統計モデルを学習し、まばたき映像用パターンモデルを生成するようになっている。なお、本実施の形態においては、統計モデルとしてHMM(Hidden Markov Model)を用いることとする。
パターンモデル記憶部20は、統計モデル学習部19において生成された、まばたき波形用パターンモデル及びまばたき映像用パターンモデルを、後述する記憶装置70の所定領域に記憶するようになっている。
【0064】
更に、パターンモデル生成装置100は、上記各部の制御をソフトウェア上で実現するためのコンピュータシステムを備えており、そのハードウェア構成は、図2に示すように、各種制御や演算処理を担う中央演算処理装置であるCPU(Central Processing Unit)60と、主記憶装置(Main Storage)を構成するRAM(Random Access Memory)62と、読み出し専用の記憶装置であるROM(Read Only Memory)64との間をPCI(Peripheral Component Interconnect)バスやISA(Industrial Standard Architecture)バス等からなる各種内外バス68で接続すると共に、このバス68に入出力インターフェース(I/F)66を介して、HDD(Hard Disk Drive)などの内部又は外部記憶装置(Secondary Storage)70や、印刷手段やCRT、LCDモニター等の出力装置72、操作パネルやマウス、キーボード、スキャナなどの入力装置74、及び図示しない外部装置などと通信するためのネットワークLなどを接続したものである。
【0065】
そして、電源を投入すると、ROM64等に記憶されたBIOS等のシステムプログラムが、ROM64に予め記憶された各種専用のコンピュータプログラム、あるいは、CD−ROMやDVD−ROM、フレキシブルディスク(FD)などの記憶媒体を介して、又はインターネットなどの通信ネットワークLを介して記憶装置70にインストールされた各種専用のコンピュータプログラムを同じくRAM62にロードし、そのRAM62にロードされたプログラムに記述された命令に従ってCPU60が各種リソースを駆使して所定の制御及び演算処理を行うことで前述したような各手段の各機能をソフトウェア上で実現できるようになっている。
【0066】
次に、図3に基づき、このような構成をしたパターンモデル生成装置100における、まばたき波形データからのパラメータの抽出処理及びまばたき映像データからの特徴量データの抽出処理の流れを説明する。ここで、図3は、まばたき波形データからのパラメータの抽出処理及びまばたき映像データからの特徴量データの抽出処理を示すフローチャートである。
まばたき波形データからのパラメータの抽出処理及びまばたき映像データからの特徴量データの抽出処理は、図3のフローチャートに示すように、まずステップS100に移行し、パラメータ抽出部12において、入力装置74等を介したユーザからの抽出指示があったか否かを判定し、抽出指示があったと判定された場合(Yes)は、ステップS102に移行し、そうでない場合(No)は、抽出指示があるまで待機する。
【0067】
ステップS102に移行した場合は、パラメータ抽出部12において、まばたき波形データ記憶部10を介して記憶装置70からまばたき波形データを取得してステップS104に移行する。
ステップS104では、パラメータ抽出部12において、ステップS102で取得したまばたき波形データから、単位の異なる複数種類のパラメータを抽出し、当該抽出したパラメータを種別対象データ記憶部14に出力してステップS106に移行する。
【0068】
ステップS106では、パラメータ抽出部12において、ステップS102で取得したまばたき波形データに対応するまばたき映像データがあるか否かを判定し、あると判定された場合(Yes)は、特徴量データ抽出部13に抽出指示を与えてステップS108に移行し、そうでない場合(No)は、ステップS116に移行する。
ステップS108に移行した場合は、特徴量データ抽出部13において、まばたき映像データ記憶部11を介して記憶装置70からまばたき映像データを取得してステップS110に移行する。
【0069】
ステップS110では、特徴量データ抽出部13において、ステップS108で取得したまばたき映像データから、特徴量データを抽出し、当該抽出した特徴量データを種別対象データ記憶部14に出力してステップS112に移行する。
ステップS112では、種別対象データ記憶部14において、パラメータ抽出部12から入力されたパラメータと、特徴量データ抽出部13から入力された特徴量データとを対応付けて記憶装置70の所定領域に記憶してステップS114に移行する。
【0070】
ステップS114では、パラメータ抽出部12において、ステップS102で取得したまばたき波形データに対し、パラメータ抽出処理及び特徴量データ抽出処理が全て終了したか否かを判定し、終了したと判定された場合(Yes)は、抽出処理を終了し、そうでない場合(No)は、ステップS104に移行する。
一方、ステップS106において、まばたき波形データに対応するまばたき映像データがなくステップS116に移行した場合は、種別対象データ記憶部14において、パラメータ抽出部12から入力されたパラメータを記憶装置70の所定領域に記憶してステップS114に移行する。
【0071】
次に、図4に基づき、パターンモデル生成装置100における、学習データ生成処理の流れを説明する。ここで、パターンモデル生成装置100における、図4は、学習データ生成処理を示すフローチャートである。
学習データ生成処理は、図4のフローチャートに示すように、まずステップS200に移行し、入力装置74等を介したユーザからの学習データの生成指示があったか否かを判定し、生成指示があったと判定された場合(Yes)は、ステップS202に移行し、そうでない場合(No)は、抽出指示があるまで待機する。
【0072】
ステップS202に移行した場合は、パラメータ正規化部15において、種別対象データ記憶部14からパラメータを取得してステップS204に移行する。
ステップS204では、パラメータ正規化部15において、ステップS202で取得したパラメータを正規化してステップS206に移行する。
ステップS206では、パラメータ種別部16において、ステップS204において正規化されたパラメータを、所定のクラスタリング手法を用いて種別してステップS208に移行する。
【0073】
ステップS208では、識別情報付与部17において、ステップS206で種別された、各正規化パラメータに対応するパラメータ及び特徴量データを、種別対象データ記憶部14から取得してステップS210に移行する。
ステップS210では、識別情報付与部17において、ステップS206の種別結果に基づき、ステップS208で取得したパラメータ及び特徴量データに識別情報を付与してステップS212に移行する。
【0074】
ステップS212では、識別情報付与部17において、学習データ記憶部18を介して記憶装置70の所定領域に、ステップS210で識別情報の付与されたパラメータ及び特徴量データを学習データとして記憶して処理を終了する。ここで、識別情報は、クラスタリングによって分割された各クラス(まばたき種類)の情報である。
次に、図5に基づき、パターンモデル生成装置100における、パターンモデル生成処理の流れを説明する。ここで、図5は、パターンモデル生成装置100における、パターンモデル生成処理を示すフローチャートである。
【0075】
パターンモデル生成処理は、図5のフローチャートに示すように、まずステップS300に移行し、統計モデル学習部19において、入力装置74等を介したユーザからのまばたき波形用パターンモデルの生成指示があったか否かを判定し、生成指示があったと判定された場合(Yes)は、ステップS302に移行し、そうでない場合(No)は、ステップS308に移行する。
【0076】
ステップS302に移行した場合は、統計モデル学習部19において、学習データ記憶部18から、識別情報の付与されたパラメータを取得してステップS304に移行する。
ステップS304では、統計モデル学習部19において、ステップS302で取得したパラメータを学習データとして統計モデルを学習させてまばたき波形用パターンモデルを生成しステップS306に移行する。
【0077】
ステップS306では、統計モデル学習部19において、パターンモデル記憶部20を介して記憶装置70の所定領域に、ステップS304又はステップS312で生成したパターンモデルを記憶して処理を終了する。
一方、ステップS300において、まばたき波形用パターンモデルの生成指示ではなくステップS308に移行した場合は、統計モデル学習部19において、まばたき映像用パターンモデルの生成指示があったか否かを判定し、生成指示があったと判定された場合(Yes)は、ステップS310に移行し、そうでない場合(No)は、ステップS300に移行する。
【0078】
ステップS310に移行した場合は、統計モデル学習部19において、学習データ記憶部18から、識別情報の付与された特徴量データを取得してステップS312に移行する。
ステップS312では、統計モデル学習部19において、ステップS310で取得した特徴量データを学習データとして統計モデルを学習させてまばたき映像用パターンモデルを生成しステップS306に移行する。
【0079】
次に、図6〜図10に基づき、本実施の形態の動作を説明する。
ここで、図6は、まばたき波形データから抽出するパラメータの説明図である。また、図7(a)及び(b)は、まばたき映像データから抽出する特徴量データの説明図である。また、図8は、3種類のパラメータを用いて本発明の手法によって種別された、ある一人の被験者に対するまばたき波形を示す図であり、図9は、2種類のパラメータを用いて本発明の手法によって種別された、ある一人の被験者に対するまばたき波形を示す図である。また、図10(a)〜(c)は、ある一人の被験者に対するZスコアのレーダーチャートである。また、図18は、HMMの一例を示す図である。
【0080】
パターンモデル生成装置100において、上述したパラメータ及び特徴量データの抽出処理、学習データの生成処理及びパターンモデルの生成処理を行うにあたって、まず、複数被験者の複数種類のまばたきの眼電図(EOG)波形データ(まばたき波形データ)と、当該まばたき波形データを測定時のまばたき映像データとを事前に用意する必要がある。
【0081】
本実施の形態においては、事前に、健常な男女複数名を含む被験者のまばたきの眼電図(EOG)波形の測定及びまばたき映像データの撮影を行い、まばたき波形データ及びまばたき映像データを収集することとする。具体的に、被験者の眠気の度合いに応じて、30分〜1時間程度を1回として、まばたきの眼電図(EOG)波形の測定を断続的に複数回行うと同時に、まばたき映像データの撮影を行い、測定時間内に行われるまばたきのまばたき波形データ及びまばたき映像データを取得する。
【0082】
また、眼電図(EOG)波形(EOG波形)としては、被験者の右眼瞼の上下に電極を装着して、生体計測用交流アンプ(BIOPAC,時定数3.2[sec],GAIN5000倍,35[Hz]カットオフローパスフィルタ)を用いて、垂直EOG波形を計測した。そして、この垂直EOG波形から、まばたき部分を検出する。まばたき部分の検出方法は、公知の手法(湯瀬裕昭、田多英興:瞬目の自動検出と瞬目波形解析,人間工学,vol30,No5,p.331-337(1994))と同様に、EOG波形の微分値(1次差分)を利用し、この微分値が予め設定した開始閾値を超えた時点をまばたきの開始点とし、同様に前記微分値が予め設定した終了閾値を超えた時点をまばたきの終了点として、開始点から終了点までの波形をまばたき波形として検出する。
【0083】
また、本実施の形態において、まばたき映像データの撮影は、自動車内のインナーミラーに内蔵したカメラでの撮影を想定し、赤外LED照射装置とCCD(charge coupled device)カメラとを組み合わせたカメラを用いて行った。そして、このカメラによって、被験者の顔画像を撮影し、この顔画像から、公知のSVM(Support Vector Machine)を用いて右眼部分の画像を検出し、まばたき映像データを得るようにした。なお、SVMについては、URL「http://www.neurosci.aist.go.jp/~kurita/lecture/svm/svm.html」のWebページに掲載された「サポートベクターマシン入門 栗田 多喜夫」に詳述されている(2006年5月12日現在)。
【0084】
上記のようにして収集されたまばたき波形データ及びまばたき映像データは、それぞれ、まばたき波形データ記憶部10及びまばたき映像データ記憶部11に、各まばたきと各まばたきに対応するまばたき映像データとの組み合わせが解るように組み合わせ情報を付与されて記憶される。なお、まばたき波形データに付与される組み合わせ情報から、まばたき波形データに対応するまばたき映像データの有無を判断できるようになっている。
【0085】
まず、図6及び図7に基づき、パターンモデル生成装置100における、パラメータ及び特徴量データの抽出処理の動作を説明する。
パターンモデル生成装置100は、まばたき波形データ及びまばたき映像データが用意された状態において、入力装置74等を介した、ユーザからの抽出指示が与えられると(ステップS100)、パラメータ抽出部12において、まばたき波形データ記憶部10を介して、記憶装置70からまばたき波形データを取得する(ステップS102)。本実施の形態において、まばたき波形データの取得は、記憶された全てのデータ又は新規のデータなどを自動で取得するか、ユーザに指示されたものを取得するかを選択できるようになっている。
【0086】
そして、まばたき波形データが取得されると、当該取得したまばたき波形データから波形のピーク点の高さ(距離)データ、まばたきの開始点からピーク点までの時間データ、ピーク点からまばたきの終了点までの時間データの3つのパラメータを抽出する(ステップS104)。例えば、まばたき波形データが、図6に示すような波形を示すものであった場合に、ピーク点の高さx1を、まばたきの開始点のレベル(電圧又は電流)と、波形のピーク点のレベルとの差分値とする。図6の例では、波形のピークが「x1[mm]」となり、まばたきの開始点からピーク点までの時間x2(以下、立ち上がり時間x2)が28[ms]となり、ピーク点からまばたきの終了点までの時間x3(立ち下り時間x3)が52[ms]となる。本実施の形態においては、ピーク点の高さ(距離)データx1は、測定した値をそのまま用い、立ち上がり及び立ち下がり時間データx2及びx3は、対数変換したものを用いる。これらx1、x2及びx3の3つのパラメータを、上記取得したまばたき波形データから順次抽出する。また、まばたき波形データからパラメータを抽出するごとに、前述した組み合わせ情報に基づき、まばたき波形データに対応するまばたき映像データの有無を判断し(ステップS106)、対応するまばたき映像データがある場合は(ステップS106の「Yes」の分岐)、特徴量データ抽出部13に抽出指示を与える。
【0087】
特徴量データ抽出部13は、パラメータ抽出部12からの抽出指示に応じて、まばたき映像データ記憶部11を介して記憶装置70から、上記パラメータを抽出したまばたき波形データに対応するまばたき映像データを取得する(ステップS108)。
そして、まばたき映像データが取得されると、当該取得したまばたき映像データから特徴量データを抽出する(ステップS110)。具体的には、図7(a)に示すように、まばたき映像データを構成するまばたき画像データにおける眼球部分を中央に横11画素×縦30画素の抽出領域画像を切り出し、この切り出した抽出領域画像を構成する各ライン(11画素)の輝度合計値を算出し、例えば、図7(b)に示すような特性を示す、抽出領域画像の30ライン分の各ラインごとの輝度合計値のデータを生成する。本実施の形態においては、この輝度合計値のデータを、1回のまばたきに対応するまばたき映像データを構成する全まばたき画像データに対して生成したものが、各まばたき映像データに対する特徴量データとなる。なお、まばたき映像データを構成するまばたき画像データの数は、撮影手段の性能やまばたきの種類などによって変わってくる(通常のCCDカメラを用いた場合は、例えば、1回のまばたきに対して8〜11画像くらいとなる)。
【0088】
上記抽出されたパラメータと、これに対応する上記抽出された特徴量データとは、種別対象データ記憶部14において、両者が対応付けられて記憶装置70の所定領域に記憶される(ステップS112)。
上記したパラメータの抽出処理及び特徴量データの抽出処理が、取得したまばたき波形データ及びこれらに対応するまばたき映像データに対して全て終了すると(ステップS114の「Yes」の分岐)、パターンモデル生成装置100は、抽出処理を終了する。
【0089】
次に、図8〜図10及び図18に基づき、パターンモデル生成装置100における、学習データ生成処理の動作を説明する。
パターンモデル生成装置100は、種別対象データ記憶部14によって、記憶装置70の所定領域に、パラメータ及び特徴量データが記憶された状態において、入力装置74等を介した、ユーザからの学習データの生成指示が与えられると(ステップS200)、パラメータ正規化部15において、種別対象データ記憶部14を介して記憶装置70からパラメータ(以下、特徴パラメータと称す)を取得する(ステップS202)。
【0090】
特徴パラメータを取得すると、パラメータ正規化部15は、Zスコア法を用いて、上記x1〜x3の3種類のパラメータから構成される特徴パラメータを正規化する(ステップS204)。
Zスコア法による正規化は、上記x1〜x3の3種類の特徴パラメータを、それぞれの平均値が0、標準偏差が1になるように分布の加工をすることで行われる。具体的には、x1〜x3のそれぞれの特徴パラメータの中での平均値μを求める。また、同時にx1〜x3のそれぞれの特徴パラメータの中での標準分散σを求める。
ここで、x1〜x3のそれぞれにおいて各特徴パラメータをXとし、下式(1)に従って、特徴パラメータXをzに変換する。
【0091】
【数1】

【0092】
具体的な数値例を示すと、ある対象者のすべてのまばたき波形のx1〜x3のそれぞれの平均値が(2.2239、1.3542、1.5693)であり、x1〜x3のそれぞれの標準偏差が(0.7396、0.1000、0.0709)である場合、zは下式(2)のように算出される。
【0093】
【数2】

【0094】
Zスコア法によるパラメータの正規化が終了すると、パラメータ種別部16において、正規化後のパラメータ(正規化パラメータ)を、所定のクラスタリング手法を用いてクラスタリング(種別)する(ステップS206)。ここでは、階層的クラスタリング手法の1つであるウォード法を用いて正規化パラメータを種別する方法と、分割最適化クラスタリング手法の1つであるk−平均法を用いて正規化パラメータを種別する方法とをそれぞれ説明する。
【0095】
まず、階層的手法の1つであるウォード法を用いたクラスタリングによる正規化パラメータの種別方法について説明する。ここで、クラスタリングとはデータ間の距離を定義して似たもの同士をグループにまとめる手法であり、階層的手法はN個の対象からなるデータが与えられたとき、1個の対象だけを含むN個のクラスタがある初期状態から始めて、クラスタ間の距離を計算し最も距離の近い2つのクラスタを逐次的に併合する手法である。
【0096】
クラスタ間の距離としてクラスタの重心点までの距離の2乗の総和を最小化するウォード法による具体的な手順は、(1)初期設定として個々の要素をクラスタとする。(2)すべてのクラスタについてクラスタ重心点の距離の2乗を計算し、距離が最小のクラスタ対を探して結合する。(3)結合したクラスタと他のすべてのクラスタについての距離を再計算する。そして、本実施の形態においては、(2)と(3)とを繰り返し実行し、クラスタ総数が12になった時点で終了とする。
【0097】
次に、分割最適法の1つであるk−平均法を用いたクラスタリングによる正規化パラメータの種別方法について説明する。ここで、分割最適化法はクラスタ数をあらかじめ指定し、各要素をN個のクラスタに類似度を基準として分割する手法である。k−平均法による具体的な手順は、(1)すべての要素からランダムに12個の要素を選び、それぞれのクラスタの代表とする。(2)その他の各要素を最も近いクラスタ中心に割り当てる。(3)各クラスタの重心を新しい中心として(2)を行なう。(4)各要素の割り当てが1つ前のステップと変化がなくなった時点で終了とする。
【0098】
上記したように、クラスタ数を12(Class1〜Class12)に設定することによって、まばたき波形データの自動検出の際に混入した、眼球運動などによるまばたきとは考えにくい波形などを、まばたきとは別のクラスタとして分類し、排除することが可能となる。
上記種別処理によって、Class1〜Class12にそれぞれクラスタリングした、ある一人の被験者の正規化パラメータ(上記x1〜x3に対応)に対応する眼電図(EOG)波形は、図8に示すように、各Classに分類される。
【0099】
また、図10(a)〜(c)に示すZスコア(正規化パラメータ)のレーダーチャートは、ある一人の被験者の(図8の被験者と同様)、上記クラスタリングによってClass1〜Class12に分類された正規化パラメータにおける、Class1〜Class9の各Class毎の平均値を算出し、その算出結果を、覚醒状態ごとにプロットしたものである。なお、図10(a)が、標準的なまばたき・意識的ではっきりしたまばたきのプロット結果を示し、同図(b)が、覚醒低下時に増加するまばたきのプロット結果を示し、同図(c)が、速くて小さなまばたき・群発まばたきのプロット結果を示す。また、図10(a)〜(c)は、ある一人の被験者に対して実際に測定したまばたき波形から生成されたレーダーチャートである。
【0100】
本実施の形態においては、具体的に、Class1に属する正規化パラメータに対応するまばたき波形を、高覚醒時の標準的なまばたき波形とし、Class1〜Class12に分類された各正規化パラメータを更に覚醒状態ごとに分類した。
図10(a)〜(c)の例では、Class1の波形と他のClassの波形とを比較すると、Class2には、まばたきの持続時間(立ち上がり時間と、立ち下り時間の総和)はほぼ同等であるが、ピーク高のみが小さなまばたきが分類され、Class3には、まばたき持続時間が長く、ピーク高も大きなまばたきが分類される(図10(a)参照)。また、Class4には、まばたき持続時間はほぼ同等であるが、ピーク高がClass2よりも更に小さなまばたきが分類され、Class5には、立ち上がり時間が長く、ピーク高が小さなまばたきが分類される(図10(b)参照)。また、Class6及びClass7には、立ち上がり時間、立ち下がり時間ともに長く、且つピーク高の小さなまばたきが分類されるが、Class6には、特に立ち下がり時間の長いまばたきが分類され、Class7には、特に立ち上がり時間の長いまばたきが分類される(図10(b)参照)。また、Class8及びClass9には、まばたき持続時間、ピーク高がともにClass2よりも小さなまばたきが分類され、そのうち、立ち上がり時間が長く、立ち下がり時間の短いまばたきがClass9に分類される(図10(c)参照)。
【0101】
以上より、Class1〜Class9は、実験から明らかになった被験者の覚醒水準と、その覚醒状態に応じて発生するまばたき種別の対応から、生理学的知見に基づいて以下のように分類される。
Class1:高覚醒時の標準的なまばたき
Class2:眠気によりまぶたが落ちてきて波高が少し小さくなったまばたき
Class3:眠気に対抗するために意図的なはっきりとした大きなまばたき
Class4:低覚醒状態で発生する波高が非常に小さくなったまばたき
Class5〜7:低覚醒状態時の持続時間の長いまばたき
Class8:低覚醒状態から一時的に瞬時覚醒する際のまばたき
Class9:群発まばたき
なお、図10(a)〜(c)のいずれにも分類されていないClass10〜Class12には、まばたき波形の検出時に誤検出されたもの、まばたき以外の眼球運動の影響を受けたもの、眼球運動かまばたきかの判断が難しいものなどが分類される。
【0102】
また、図9は、ピーク高x1と、まばたき持続時間(x2+x3)の2つのパラメータを用い、これら2つのパラメータを、上記x1〜x3の3つのパラメータを用いた場合と同じ条件、同じ方法でClass1〜Class12にクラスタリングした場合の、まばたき波形の種別結果を示すものである。図8に示す、3つのパラメータを用いたクラスタリングによる種別結果と比較すると、2つのパラメータの場合には、まばたき時間全体の中でのピーク時間(上記x2、x3に対応する時間)が考慮されないため、特にClass5やClass9のクラスタリング結果において、本来ならばClass10〜Class12のまばたき波形以外のものに分類されるべき眼電図(EOG)波形の混入が見られ、まばたき種別のまとまりの悪さが生じている。つまり、3つのパラメータx1〜x3を用いてまばたき波形の種別を行うことで、より正確にまばたき波形(パラメータ)の種別を行うことが可能であり、覚醒水準(状態)に、より適応したまばたき波形の種別を行うことが可能である。例えば、図8に示すClass3に分類されるような、眠気に対抗するために対象者が行う意図的なはっきりとした大きなまばたきを、1つのまばたき種類として分類することが可能となる。
【0103】
上記のようにして正規化パラメータが種別され、且つ正規化パラメータの種別結果がパラメータ種別部16から識別情報付与部17に入力されると、識別情報付与部17において、種別対象データ記憶部14を介して、記憶装置70の所定領域に記憶された、正規化パラメータに対応する特徴パラメータ及び特徴量データを取得する(ステップS208)。
【0104】
そして、入力された識別結果に基づき、前記取得した特徴パラメータ及び特徴量データに対して、まばたき種類(Class1〜Class12)を識別する識別情報を付与して学習データを生成する(ステップS210)。本実施の形態においては、例えば、Class1に属する正規化パラメータに対応する特徴パラメータ及びこの特徴パラメータに対応する特徴量データに対しては、これらのデータがClass1に属していることを識別可能な情報(識別ラベル)を付与する。
最終的に、識別情報の付与された特徴パラメータ及び特徴量データは、学習データとして、学習データ記憶部18を介して、記憶装置70の所定領域に記憶される(ステップS212)。
【0105】
次に、パターンモデル生成装置100における、パターンモデル生成処理の動作を説明する。
パターンモデル生成装置100は、学習データ記憶部18によって、記憶装置70の所定領域に、学習データが記憶された状態において、入力装置74等を介した、ユーザからのまばたき波形用パターンモデルの生成指示又はまばたき映像用パターンモデルの生成指示が与えられると、統計モデル学習部19において、パターンモデルの生成処理を開始する。
【0106】
統計モデル学習部19は、まばたき波形用パターンモデルの生成指示が与えられた場合(ステップS300の「Yes」の分岐)は、学習データ記憶部18を介して、記憶装置70から識別情報の付与された特徴パラメータを取得する(ステップS302)。そして、当該取得した特徴パラメータを学習データとして統計モデルを学習させて、特徴パラメータを入力とし、入力された特徴パラメータに対するまばたき種類(Class1〜Class12)の識別結果のデータを出力とするまばたき波形用パターンモデルを生成する(ステップS304)。本実施の形態においては、統計モデルとしてHMMを用いる。
【0107】
ここで、HMMは、時系列信号の確率モデルであり、複数の定常信号源の間を遷移することで、非定常な時系列信号をモデル化する。例えば、1回のまばたきの時間は、一定ではなく覚醒水準(状態)状況などによりまちまちであるため、それに応じた時間方向の特徴パラメータ数も変化する。従って、HMMの学習は、具体的に、図18に示すように、例えば、状態数3のHMMを決定し、上記取得した特徴パラメータから状態の遷移回数を計算し、この計算結果に基づいてある状態から次の状態への遷移確率と、ある状態での特徴パラメータの出力確率とを最尤推定することで行われる。そして、この学習によって得られた遷移確率及び出力確率を有するHMMが、まばたき波形用パターンモデルとなる。
【0108】
一方、統計モデル学習部19は、まばたき映像用パターンモデルの生成指示が与えられた場合(ステップS308の「Yes」の分岐)は、学習データ記憶部18を介して、記憶装置70から識別情報の付与された特徴量データを取得する(ステップS310)。そして、当該取得した特徴量データを学習データとしてHMMを学習させて、特徴量データを入力とし、入力された特徴量データに対するまばたき種類(Class1〜Class12)の識別結果(尤度)のデータを出力とするまばたき映像用パターンモデルを生成する(ステップS312)。なお、HMMの学習方法は、まばたき波形用パターンモデルのときと同様となるので説明を省略する。
【0109】
上記のようにして生成された、まばたき波形用パターンモデル及びまばたき映像用パターンモデルは、パターンモデル記憶部20を介して、記憶装置70の所定領域に記憶される(ステップS306)。
以上、本実施の形態のパターンモデル生成装置100は、まばたきの眼電図(EOG)波形のピーク高(距離)x1、まばたきの開始からピーク高までの立ち上がり時間x2、ピーク高からまばたきの終了までの立ち下がり時間x3の3つのパラメータを正規化することで、単位(次元)の異なるパラメータが混在したクラスタリングを行うことが可能である。
【0110】
また、x1〜x3の3つのパラメータを用いてまばたき種別を行うようにしたので、より正確且つ詳細に眼電図(EOG)波形を種別することが可能である。
また、種別結果に基づき、特徴パラメータ及び特徴量データに識別情報を自動的に付与して学習データを生成するようにしたので、人手をかけずに簡易に識別情報を付与して学習データを生成することが可能である。
また、上記正確且つ詳細に種別された種別結果に基づき、特徴パラメータ及び特徴量データに識別情報を付与して学習データを生成し、この学習データを用いてパターンモデルを生成するようにしたので、まばたき種類の識別結果のデータを精度良く出力できるパターンモデルを生成することが可能である。
【0111】
上記第1の実施の形態において、パラメータ正規化部15は、請求項1又は3記載の正規化手段に対応し、パラメータ種別部16は、請求項1、4及び5のいずれか1項に記載の種別手段に対応し、識別情報付与部17は、請求項1記載の識別情報付与手段に対応する。
また、上記第1の実施の形態において、統計モデル学習部19は、請求項7又は9記載のパターンモデル生成手段に対応する。
【0112】
〔第2の実施の形態〕
次に、本発明の第2の実施の形態を図面に基づき説明する。図11〜図16は、本発明に係るまばたき波形出現頻度情報生成装置、まばたき波形出現頻度情報生成プログラム及びまばたき波形出現頻度情報生成方法、覚醒状態判定装置、覚醒状態判定プログラム及び覚醒状態判定方法、並びに警告装置、警告装置制御プログラム及び警告装置制御方法の実施の形態を示す図である。
【0113】
本実施の形態においては、本発明に係るまばたき波形出現頻度情報生成装置、まばたき波形出現頻度情報生成プログラム及びまばたき波形出現頻度情報生成方法、覚醒状態判定装置、覚醒状態判定プログラム及び覚醒状態判定方法、並びに警告装置、警告装置制御プログラム及び警告装置制御方法を、自動車を運転する運転者の覚醒状態を判定し、その判定結果に基づき運転者に警告を与える警告装置に適用した場合を説明する。
また、本実施の形態の警告装置は、上記第1の実施の形態のパターンモデル生成装置100において生成された、まばたき波形用パターンモデル及びまばたき映像用パターンモデルを備え、これらパターンモデルを用いて、運転者の所定期間ごとのまばたき種類の識別を行うようになっている。
【0114】
まず、本発明に係る警告装置の構成を図に基づき説明する。図11は、本発明に係る警告装置200の構成を示すブロック図である。
図11に示すように、警告装置200は、運転者の眼部分の映像を含む顔映像を撮影する映像撮影部21と、運転者のまばたきの眼電図(EOG)波形を測定するまばたき波形測定部22と、映像撮影部21で撮影された映像データから特徴量データを抽出し、まばたき波形測定部22で測定されたまばたき波形データから特徴量データを抽出する特徴量データ抽出部23と、上記第1の実施の形態のパターンモデル生成装置100において生成されたパターンモデルを記憶するパターンモデル記憶部24と、パターンモデル記憶部24によって記憶されたパターンモデルと、特徴量データ抽出部23で抽出された特徴量データとに基づきまばたき種類を識別するまばたき種類識別部25と、所定期間のまばたき種類の識別結果に基づき、まばたき種類の出現頻度情報を生成する出現頻度情報生成部26とを含んだ構成となっている。
【0115】
映像撮影部21は、自動車内のインナーミラーに設置されたCCDカメラによって、運転席に座っている運転者の顔画像をフレーム単位でリアルタイムに撮影するようになっている。なお、撮影した顔映像はデジタルの顔映像データとして出力する。なお、CCDカメラの設置位置は、インナーミラーに限らず、撮影対象者の顔全体を含む画像が撮影可能な位置であれば、ステアリング・コラム位置、センター・パネル位置、フロント・ピラー位置等の別の場所でも良い。
まばたき波形測定部22は、生体計測用交流アンプを有しており、運転者の右眼瞼の上下に装着された電極を介して、リアルタイムに垂直EOG(眼電図(EOG)波形)を測定するようになっている。
【0116】
特徴量データ抽出部23は、映像撮影部21で撮影された運転者の顔映像データから、SVMを用いて、右眼部分の映像データを抽出すると共に、当該抽出した右眼部分の映像データから特徴量データを抽出するようになっている。具体的には、上記第1の実施の形態と同様に、右眼部分の映像データを構成する各まばたき画像データから、眼球を中央に横11画素×縦30画素の抽出領域画像を切り出し、当該抽出領域画像の各画素ライン(横11画素)ごとの輝度の合計値を算出し、この算出した輝度合計値データ(1回のまばたき映像分)を特徴量データとする。
【0117】
更に、特徴量データ抽出部23は、まばたき波形測定部22で測定されたまばたきの眼電図(EOG)波形データ(まばたき波形データ)から、上記第1の実施の形態と同様に、まばたき波形のピーク高(距離)x1、まばたきの開始からピーク高までの立ち上がり時間x2、ピーク高からまばたきの終了までの立ち下がり時間x3の3つの特徴パラメータを特徴量データとして抽出するようになっている。
パターンモデル記憶部24は、上記第1の実施の形態のパターンモデル生成装置100で生成された、まばたき波形用パターンモデルと、まばたき映像用パターンモデルとを、後述する記憶装置90の所定領域に記憶するようになっている。
【0118】
まばたき種類識別部25は、設定された識別モードに対応するパターンモデルを用いて、リアルタイムに入力される特徴量データに対するまばたき種類を識別するようになっている。本実施の形態においては、映像撮影部21で撮影された顔映像データから抽出されるまばたき映像の特徴量データを用いて識別を行うまばたき映像モードと、まばたき波形測定部22で測定されたまばたき波形データから抽出されるまばたき波形データの特徴量データを用いて識別を行うまばたき波形モードとの2つのモードから、ユーザが任意のモードを設定できるようになっている。
【0119】
つまり、まばたき映像モードが設定された場合は、パターンモデル記憶部24によって記憶されたまばたき映像用パターンモデルと、特徴量データ抽出部23で抽出したまばたき映像データの特徴量データとに基づき、当該特徴量データに対するまばたき種類を識別する。一方、まばたき波形モードが設定された場合は、パターンモデル記憶部24によって記憶されたまばたき波形用パターンモデルと、特徴量データ抽出部23で抽出したまばたき波形データの特徴量データとに基づき、当該特徴量データに対するまばたき種類を識別する。
【0120】
出現頻度情報生成部26は、まばたき種類識別部25の所定期間における識別結果に基づき、各まばたき種類(Class1〜Class12)の出現頻度の所定期間における時間変化を示す出現頻度情報を生成するようになっている。本実施の形態においては、所定期間における所定時間幅(例えば、60秒)ごとの識別結果に基づき、当該所定時間幅における各種類のまばたきの出現頻度を順次算出して、所定時間幅ごとの出現頻度を示す副出現頻度情報を生成する。そして、所定期間分の副出現頻度情報から出現頻度情報を生成し、当該生成した出現頻度情報を覚醒状態判定部27に出力する。
【0121】
警告装置200は、更に、出現頻度情報生成部26で生成された出現頻度情報に基づき、運転者の覚醒状態を判定する覚醒状態判定部27と、覚醒状態判定部27の判定結果に基づき運転者に警告を与える警告部28とを含んだ構成となっている。
覚醒状態判定部27は、各副出現頻度情報の示す各Classのまばたき種類の出現頻度、出現頻度情報から解る各出現頻度の時間変化などに基づき、運転者の覚醒状態を判定する。判定する覚醒状態としては、意識のはっきりとした覚醒状態から居眠りに至るまでの間に段階的に変化する状態が含まれる。例えば、正常な状態、弱い眠気を感じている状態、眠気を感じている状態、強い眠気を感じている状態、居眠り状態などが含まれる。
【0122】
また、Class1〜Class12は、上記第1の実施の形態で説明したように、覚醒状態に応じて分類できるので、まばたき波形であるClass1〜Class9の各Classの出現頻度と、当該出現頻度の時間変化とから覚醒状態を判定する。
警告部28は、覚醒状態判定部27の判定結果に基づき、覚醒状態の内容に応じた警告を運転者に与えるようになっている。
具体的には、例えば、弱い眠気を感じていると判定された場合は、休憩をとることを進める音声メッセージを出力し、眠気を感じていると判定された場合は、やや大きい音量で警告音を出力し、強い眠気を感じている又は居眠り状態であると判定された場合は、極めて大きい音量で警告音を出力する。
【0123】
更に、警告装置200は、上記各部の制御をソフトウェア上で実現するためのコンピュータシステムを備えており、そのハードウェア構成は、図12に示すように、各種制御や演算処理を担う中央演算処理装置であるCPU(Central Processing Unit)80と、主記憶装置(Main Storage)を構成するRAM(Random Access Memory)82と、読み出し専用の記憶装置であるROM(Read Only Memory)84との間をPCI(Peripheral Component Interconnect)バスやISA(Industrial Standard Architecture)バス等からなる各種内外バス88で接続すると共に、このバス88に入出力インターフェース(I/F)86を介して、HDD(Hard Disk Drive)などの内部又は外部記憶装置(Secondary Storage)90や、LCDモニター等の出力装置92、操作パネルやリモコンなどの入力装置94、及び図示しない外部装置などと通信するためのネットワークLなどを接続したものである。
【0124】
そして、電源を投入すると、ROM84等に記憶されたBIOS等のシステムプログラムが、ROM84に予め記憶された各種専用のコンピュータプログラム、あるいは、CD−ROMやDVD−ROM、フレキシブルディスク(FD)などの記憶媒体を介して、又はインターネットなどの通信ネットワークLを介して記憶装置90にインストールされた各種専用のコンピュータプログラムを同じくRAM82にロードし、そのRAM82にロードされたプログラムに記述された命令に従ってCPU80が各種リソースを駆使して所定の制御及び演算処理を行うことで前述したような各手段の各機能をソフトウェア上で実現できるようになっている。
【0125】
次に、図13に基づき、このような構成をした警告装置200における、特徴量データ抽出処理の流れを説明する。ここで、図13は、警告装置200における特徴量データ抽出処理を示すフローチャートである。
特徴量データ抽出処理は、図13に示すように、まずステップS400に移行し、特徴量データ抽出部23において、識別処理のモードとして、まばたき映像モードが設定されているか否かを判定し、設定されていると判定された場合(Yes)は、ステップS402に移行し、そうでない場合(No)は、ステップS410に移行する。
【0126】
ステップS402に移行した場合は、特徴量データ抽出部23において、映像撮影部21から、CCDカメラによって撮影された運転者の顔映像データを取得してステップS404に移行する。
ステップS404では、特徴量データ抽出部23において、SVMを用いて、ステップS402で取得した顔映像データからまばたき映像データを検出し、当該検出したまばたき映像データから特徴量データを抽出してステップS406に移行する。
【0127】
ステップS406では、まばたき種類識別部25において、パターンモデル記憶部24からまばたき映像用パターンモデルを取得し、当該取得したまばたき映像用パターンモデルと、ステップS404で抽出した特徴量データとに基づき、当該特徴量データに対応するまばたき種類を識別してステップS408に移行する。
ステップS408では、まばたき種類識別部25において、ステップS406又はステップS416の識別結果を出現頻度情報生成部26に出力してステップS400に移行する。
【0128】
一方、ステップS400において、まばたき映像モードではなくステップS410に移行した場合は、特徴量データ抽出部23において、識別処理のモードとして、まばたき波形モードが設定されているか否かを判定し、設定されていると判定された場合(Yes)は、ステップS412に移行し、そうでない場合(No)は、ステップS400に移行する。
ステップS412に移行した場合は、特徴量データ抽出部23において、まばたき波形測定部22から、まばたき波形データを取得してステップS414に移行する。
【0129】
ステップS414では、特徴量データ抽出部23において、ステップS412で取得したまばたき波形データから、単位の異なる複数の特徴量データ(特徴パラメータ)を抽出してステップS416に移行する。
ステップS416では、まばたき種類識別部25において、パターンモデル記憶部24からまばたき波形用パターンモデルを取得し、当該取得したまばたき波形用パターンモデルと、ステップS414で抽出した特徴量データ(特徴パラメータ)とに基づき、当該特徴量データに対応するまばたき種類を識別してステップS408に移行する。
【0130】
次に、図14に基づき、警告装置200における、出現頻度情報生成処理の流れを説明する。ここで、図14は、警告装置200における出現頻度情報生成処理を示すフローチャートである。
出現頻度情報生成処理は、図14のフローチャートに示すように、まずステップS500に移行し、出現頻度情報生成部26において、まばたき種類識別部25から識別結果を取得したか否かを判定し、取得したと判定された場合(Yes)は、ステップS502に移行し、そうでない場合(No)は、取得するまで待機する。本実施の形態において、識別結果は、識別結果のまばたき種類の情報と、特徴量データに対応するまばたき映像データ又はまばたき波形データの取得時刻の情報とを含んでいる。
【0131】
ステップS502に移行した場合は、出現頻度情報生成部26において、識別結果をRAM82又は記憶装置90の所定領域に記憶してステップS504に移行する。本実施の形態においては、RAM92を優先使用し、RAM92のメモリ容量に応じて、適宜記憶先を変更する。
ステップS504では、出現頻度情報生成部26において、識別結果の時刻時間差が所定時間を越えたか否かを判定し、超えたと判定された場合(Yes)は、ステップS506に移行し、そうでない場合(No)は、ステップS500に移行する。
【0132】
本実施の形態においては、時間差を算出する基準として、所定の識別結果に開始位置を示すフラグを設定し、開始位置を示すフラグを有する識別結果の時刻と、現在取得した識別結果の時刻との時間差が所定時間を超えたか否かを判定する。また、所定時間を越えた場合には、開始位置を示すフラグを、現在取得した識別結果に設定変更する。
ステップS506に移行した場合は、出現頻度情報生成部26において、所定時間分の識別結果に基づき、各まばたき種類ごとの所定時間における出現頻度を算出してステップS508に移行する。
【0133】
ステップS508では、出現頻度情報生成部26において、ステップS506で算出した出現頻度に基づき、所定時間におけるまばたき種類の出現頻度を示す副出現頻度情報を生成してステップS510に移行する。
ステップS510では、出現頻度情報生成部26において、ステップS508で生成した副出現頻度情報を、RAM82又は記憶装置90の所定領域に記憶してステップS512に移行する。
【0134】
ステップS512では、出現頻度情報生成部26において、所定期間分の副出現頻度情報が蓄積されたか否かを判定し、蓄積されたと判定された場合(Yes)は、ステップS514に移行し、そうでない場合(No)は、ステップS500に移行する。
ステップS514に移行した場合は、出現頻度情報生成部26において、ステップS508で記憶した所定期間分の副出現頻度情報に基づき、出現頻度情報を生成してステップS516に移行する。
ステップS516では、出現頻度情報生成部26において、ステップS514で生成した出現頻度情報を覚醒状態判定部27に出力してステップS500に移行する。
【0135】
次に、図15に基づき、警告装置200における、覚醒状態判定処理及び警告処理の流れを説明する。ここで、図15は、警告装置200における覚醒状態判定処理及び警告処理を示すフローチャートである。
覚醒状態判定処理及び警告処理は、図15のフローチャートに示すように、まずステップS600に移行し、覚醒状態判定部27において、出現頻度情報生成部26から出現頻度情報を取得したか否かを判定し、取得したと判定された場合(Yes)は、ステップS602に移行し、そうでない場合(No)は、取得するまで待機する。
【0136】
ステップS602に移行した場合は、覚醒状態判定部27において、ステップS600で取得した出現頻度情報に基づき、運転者の覚醒状態を判定してステップS604に移行する。ここで、覚醒状態の判定は、出現頻度情報
ステップS604では、警告部28において、ステップS602の判定結果に基づき、運転者は弱い眠気を感じた状態であるか否かを判定し、そうである場合(Yes)は、ステップS606に移行し、そうでない場合(No)は、ステップS608に移行する。
【0137】
ステップS606に移行した場合は、警告部28において、警告処理(1)を実行してステップS600に移行する。ここで、警告処理(1)を実行すると、休憩をとることを進める音声メッセージを出力される。
一方、ステップS608に移行した場合は、警告部28において、運転者は眠気を感じた状態であるか否かを判定し、そうである場合(Yes)は、ステップS610に移行し、そうでない場合(No)は、ステップS612に移行する。
【0138】
ステップS610に移行した場合は、警告部28において、警告処理(2)を実行してステップS600に移行する。ここで、警告処理(2)を実行すると、車内に配設されたスピーカからやや大きい音量(例えば、50%のボリューム)で警告音及び警告メッセージが出力される。
一方、ステップS612に移行した場合は、警告部28において、強い眠気を感じた状態であるか否か又は居眠り状態であるか否かを判定し、強い眠気を感じた状態又は居眠り状態である場合(Yes)は、ステップS614に移行し、そうでない場合(No)は、ステップS600に移行する。
ステップS614に移行した場合は、警告部28において、警告処理(3)を実行してステップS600に移行する。ここで、警告処理(3)を実行すると、車内に配設されたスピーカから極めて大きい音量(例えば、70%以上のボリューム)で警告音及び警告メッセージが出力される。
【0139】
次に、図16及び図17に基づき、本実施の形態の動作を説明する。
ここで、図16は、まばたき波形用パターンモデルの識別結果を用いて生成された出現頻度情報の一例を示す図である。また、図17は、まばたき映像用パターンモデルの識別結果を用いて生成された出現頻度情報の一例を示す図である。
警告装置200は、入力装置94を介してユーザの任意の識別モードが設定され、識別処理が開始されると、まず、設定された識別モードがまばたき映像モードであるか否かを判定する(ステップS400)。設定された識別モードがまばたき映像モードである場合(ステップS400の「Yes」の分岐)は、特徴量データ抽出部23において、映像撮影部21から顔映像データを取得する(ステップS402)。更に、特徴量データ抽出部23は、SVMを用いて取得した顔映像データから右眼のまばたき映像データを検出し、当該検出したまばたき映像データから特徴量データを抽出する(ステップS404)。この特徴量データの抽出は、上記第1の実施の形態のパターンモデル生成装置100における特徴量データ抽出部13と同様の方法を用いる。つまり、1回のまばたきに対応するまばたき映像データを構成する各まばたき画像データにおける、抽出領域画像の30ライン分の各ラインごとの輝度合計値のデータが特徴量データとして抽出される。
【0140】
特徴量データが抽出されると、まばたき種類識別部25は、パターンモデル記憶部24を介して、記憶装置90に記憶された、まばたき映像用パターンモデルを取得し、当該取得したまばたき映像用パターンモデルに特徴量データを入力して、まばたき映像用パターンモデルから出力される各まばたき種類(Class1〜Class12)に対する尤度に基づき、まばたき種類を識別する。具体的には、尤度の最も高いまばたき種類を、入力された特徴量データに対する識別結果とする。そして、この識別結果を、出現頻度情報生成部26に出力する(ステップS408)。
【0141】
一方、識別モードとして、まばたき波形モードが設定されている場合(ステップS410の「Yes」の分岐)は、特徴量データ抽出部23は、まばたき波形測定部22からまばたき波形データを取得する(ステップS412)。そして、当該取得したまばたき波形データから、上記第1の実施の形態のパターンモデル生成装置100におけるパラメータ抽出部12と同様に、まばたき波形のピーク高(距離)x1、まばたきの開始からピーク高までの立ち上がり時間x2、ピーク高からまばたきの終了までの立ち下がり時間x3の3つの特徴パラメータを特徴量データとして抽出する(ステップS414)。
【0142】
特徴量データが抽出されると、まばたき種類識別部25は、パターンモデル記憶部24を介して、記憶装置90に記憶された、まばたき波形用パターンモデルを取得し、当該取得したまばたき映像用パターンモデルに特徴量データを入力して、まばたき映像用パターンモデルから出力される各まばたき種類(Class1〜Class12)に対する尤度に基づき、まばたき種類を識別する(ステップS416)。そして、識別結果を、出現頻度情報生成部26に出力する(ステップS408)。
【0143】
一方、出現頻度情報生成部26は、上記いずれかの識別モードによる識別結果を取得するごとに(ステップS500の「Yes」の分岐)、当該識別結果をRAM82又は記憶装置90の所定領域に記憶する(ステップS502)。ここで、前述したように、識別結果は、識別時の特徴量データに対応するまばたき映像データ又はまばたき波形データの取得時刻情報と、識別されたまばたきの種類情報とを含む情報である。なお、最初に取得した識別結果に対しては、所定時間幅の開始位置を示すフラグを設定する。
【0144】
そして、開始位置を示すフラグの設定された識別情報の示す時刻と、現在取得した識別情報の示す時刻とから、これらの時間差を算出し、当該時間差が所定時間(ここでは、60秒とする)を超えているか否かを判定する(ステップS504)。60秒を超えている場合は(ステップS504の「Yes」の分岐)、開始位置の識別結果から現在取得した識別結果の1つ前の識別結果までの識別結果群に基づき、60秒間における各まばたき種類の出現頻度(出現回数)を算出し(ステップS506)、この出現頻度と時刻情報(例えば、識別情報の取得時刻範囲「12:01:20〜12:02:20」)とを対応付けて副出現頻度情報を生成する(ステップS508)。そして、当該生成した副出現頻度情報をRAM82又は記憶装置90の所定領域に記憶する(ステップS510)。
【0145】
ここで、設定変更前の開始位置の識別結果から現在取得した識別結果の1つ前の識別結果までの識別結果群に対して、前記時刻情報を付してグループ化する。また、所定期間の開始位置となる識別結果に対しては、所定期間の開始を示すフラグを設定する。ここでは、所定期間を「5分(300秒)」とする。
そして、RAM82又は記憶装置90の所定領域に所定期間分の副出現頻度情報が蓄積されると(ステップS512の「Yes」の分岐)、所定期間分の副出現頻度情報を時刻順にグループ化して出現頻度情報を生成し(ステップS514)、当該生成した出現頻度情報を覚醒状態判定部27に出力する。
【0146】
覚醒状態判定部27は、出現頻度情報生成部26から出現頻度情報を取得すると(ステップS600の「Yes」の分岐)、出現頻度情報に基づき覚醒状態を判定する(ステップS602)。なお、出現頻度情報は、時刻順に連続して出現頻度情報生成部26から取得され、40分間分の出現頻度情報を時刻順にグラフに表すと、まばたき波形モードで生成された場合は図16に示すようになる。また、覚醒状態判定部27は、現在取得した出現頻度情報だけではなく、過去に取得した出現頻度情報にも基づいて覚醒状態を判定する。
なお、図16に示す出現頻度情報は、ある一人の被験者に対する、実際に測定したまばたき波形データに対するまばたき波形用パターンモデルの識別結果に基づき、上記まばたき波形モードで生成されたものである。このまばたき波形用パターンモデルは、上記第1の実施の形態で生成されたものと同じものである。
【0147】
また、図17は、図16と同じ被験者について、実際にまばたき波形の測定と同時に撮影したまばたき映像データを用いて、上記まばたき映像モードで生成した出現頻度情報を示す図である。つまり、図17に示す出現頻度情報は、まばたき映像用パターンモデルを用いた識別結果に基づき生成されている。このまばたき映像用パターンモデルは、上記第1の実施の形態において説明したように、眼電図(EOG)波形から抽出した特徴パラメータを、クラスタリングによりClass1〜Class12の12種類のまばたき種類に種別した結果に基づき生成された、まばたき映像データの特徴量データを学習データとして生成されるものである。但し、上記第1の実施の形態においては、12種類のまばたき種類の全種類に対応する学習データを用いてまばたき映像用パターンモデルを生成しているのに対して、図17の出現頻度情報の生成に用いられるまばたき映像用パターンモデルは、Class1〜Class9に種別された9種類のまばたき種類に対応する学習データのみを用いて生成されている。従って、図17を見ると解るように、その出現頻度情報には、Class1〜Class9に種別されたまばたき波形の出現頻度しか示されていない。
【0148】
このようにした理由は、Class10〜Class12に種別されたまばたき波形(特徴パラメータ)が、まばたき以外の眼球運動などの影響による眼電図(EOG)波形であり、覚醒水準との関連性が極めて低いためである。
従って、図17に示す出現頻度情報と、図16に示す出現頻度情報とを比較すると、図17に示す、まばたき映像入力のみからまばたき種類を識別して生成されたまばたき種類の出現頻度の時間的変化(出現頻度情報)が、図16に示す、まばたき種類の種別の基準となる眼電図(EOG)波形入力からまばたき種類を識別して生成されたものに対して、ほぼ同じ内容となる。つまり、Class10〜Class12のまばたき種類が出現頻度情報に与える影響は極めて小さいことが解る。
【0149】
図16及び図17に示すように、この被験者は、序盤から弱い眠気を感じており、中盤(20分前後)から後半にかけて段階的に眠気が増していき、途中、外的要因によって一時的に覚醒しているが、40分後には睡眠状態(居眠り状態)になっている。
より具体的には、図16及び図17に示すように、運転初期から高覚醒状態時の標準的なまばたき種類であるClass1に加えて、眠気によりまぶたの落ちてきたまばたき種類であるClass2の発生が始まる。運転中盤にかけて覚醒状態の低下が進み、Class2のまばたき種類の増加と共にClass3の眠気に対抗するための意図的なはっきりとしたまばたき種類が増加している。運転者の覚醒状態が著しく低下した運転中盤以降から終盤にかけては、Class4の低覚醒状態で発生する波高の小さいまばたき種類が発生し、同時にClass5〜Class7の低覚醒状態時の持続時間の長いまばたき種類も発生している。また、低覚醒状態から外的要因により一時的に瞬時覚醒したときに、Class8のまばたき種類が発生している。
【0150】
従って、図16及び図17の例の場合は、序盤からしばらくは、運転者が弱い眠気を感じていると判定し(ステップS604の「Yes」の分岐)、警告部28において、警告処理(1)を実行し、休憩を促す音声メッセージを出力する(ステップS606)。また、途中から中盤までは運転者が眠気を感じていると判定し(ステップS608の「Yes」の分岐)、警告部28において、警告処理(2)を実行し、最大音量の50%の音量で警告音を出力する(ステップS610)。また、中盤から後半にかけては、運転者が強い眠気を感じている又は居眠り状態であると判定し(ステップS612の「Yes」の分岐)、警告部28において、警告処理(3)を実行し、最大音量の70%以上の音量で警告音を出力する(ステップS614)。
【0151】
ここで、より具体的な覚醒状態の判断(判定)方法として、まず、図16及び図17に基づき、ある特定の1種類のまばたき種類に着目して覚醒状態を判断(判定)する方法を説明する。
図16や図17に示された、まばたき種類の出現頻度の時間的変化(経時変化)を見ると解るように、15分を過ぎたあたりからClass1の高覚醒時の標準的なまばたきの発生が減少し、20分以降には発生しなくなる。また、同じ時間帯において、Class3の眠気に対抗した意図的なはっきりとした大きなまばたきが発生している。つまり、Class1及びClass3のまばたきの発生状態に着目することで、8分後から20分後にかけて運転者は眠気を感じており(Class1から)、かつその眠気に対抗しようとしている(Class3から)と判断(判定)することができる。
【0152】
更に、図16及び図17に示すように、20分を過ぎると、それまでは発生していなかったClass4の低覚醒状態で発生する波高が非常に小さくなったまばたきが発生し始める。つまり、Class4のまばたきの発生状態に着目することで、運転者は、20分を過ぎたあたりから非常に強い眠気を感じていると判断(判定)することができる。
【0153】
次に、図16及び図17に基づき、複数種類のまばたきの出現頻度の割合から覚醒状態を判断(判定)する方法を説明する。図16及び図17に示すように、15分を過ぎたあたりからClass1の高覚醒時の標準的なまばたきの出現割合が減少し、かつClass3の眠気に対抗した意図的なはっきりとした大きなまばたきの出現割合が高くなっている。更に、15分を過ぎたあたりから20分後にかけて、Class3のまばたきと、Class2の眠気によりまぶたが落ちてきて波高が小さくなったまばたきとが、各所定時間(図では、60秒間)で発生するまばたきのほぼ全てを占めるようになっている。つまり、Class1〜Class3のまばたきの出現頻度の割合に着目することで、運転者は、8分後から20分後にかけて眠気を感じており、かつその眠気に対抗しようとしていると判断(判定)することができる。
【0154】
更に、図16及び図17に示すように、20分を過ぎると、Class4の低覚醒状態で発生する波高が非常に小さくなったまばたきと、Class5〜Class7の低覚醒状態時の持続時間の長いまばたきの発生回数が増加し、これらの合計発生回数から、Class4並びにClass5〜Class7のまばたきが各所定時間で発生するまばたきのほぼ全てを占めるようになる。このことから、運転者は、20分を過ぎたあたりから非常に強い眠気を感じていると判断(判定)することができる。
【0155】
なお、図16及び図17において、まばたき種類の出現頻度情報が、同図の時間軸(横軸)における7分を経過後から出現(開始)しているのは、あくまでも、データを取得した今回の実験の都合上であり、実際の実用上は、データ取得直後からの出現頻度情報を生成することが可能である。
また、上記第1及び第2の実施の形態において、眼電図(EOG:Electro-oculography)の波形データを用いた部分は、これに代えて、あるいはこれと同時に眼輪筋電図(EMG:Electro-myography)の波形データを使用してもよい。
【0156】
以上、本実施の形態の警告装置200は、上記第1の実施の形態のパターンモデル生成装置100で生成したパターンモデルを用いて、まばたき種類の識別を行うことができるので、これにより、一般に分類されるまばたき種類よりも多い種類(上記Class1〜Class12)のまばたき種類を識別することが可能である。
また、所定期間における所定時間幅のまばたき種類の出現頻度の時間変化の情報である出現頻度情報を生成し、この出現頻度情報に基づき運転者の覚醒状態を判定することができるので、覚醒した状態から睡眠状態に至るまでの間に段階的な発生する様々な覚醒状態を判定することが可能であり、これにより、眠気の強弱をより正確に判定することができるので、より適切な警告を与えることが可能である。
【0157】
上記第2の実施の形態において、映像撮影部21は、請求項11記載の撮影手段又は請求項16記載のまばたき映像撮影手段に対応し、まばたき波形測定部22は、請求項10若しくは請求項13記載の眼電図波形測定手段又は請求項15記載のまばたき眼電図波形測定手段に対応し、特徴量データ抽出部23におけるまばたき映像データから特徴量データを抽出する処理は、請求項11記載の特徴量データ抽出手段又は請求項16記載の特徴量抽出手段に対応し、特徴量データ抽出部23におけるまばたき波形データから特徴量データ(特徴パラメータ)を抽出する処理は、請求項11若しくは請求項13記載のまばたきデータ抽出手段又は請求項15記載の特徴量抽出手段に対応し、まばたき種類識別部25は、請求項10若しくは請求項11若しくは請求項13記載のまばたき波形識別手段又は請求項15若しくは請求項16記載のまばたき種類識別手段に対応する。
【0158】
また、上記第2の実施の形態において、出現頻度情報生成部26は、請求項10、11及び13のいずれか1項に記載の出現頻度情報生成手段又は請求項15若しくは請求項16記載のまばたき波形種類出現頻度情報生成手段に対応し、覚醒状態判定部27は、請求項12若しくは請求項13記載の覚醒状態判定手段又は請求項15若しくは請求項16記載の覚醒状態判断手段に対応し、警告部28は、請求項17記載の警告手段に対応する。
【0159】
なお、上記第1の実施の形態においては、パターンモデルをHMMから構成する例を説明したが、これに限らず、SVMやニューラルネットワークなどの他の統計モデルから構成するようにしても良い。
また、上記第2の実施の形態では、撮影対象者の右眼領域を検出し覚醒状態の判定を行う例を説明したが、撮影環境や適用するシステムの種類などに応じて撮影対象者の左眼領域や両眼領域を検出して判定を行うようにしても良い。
【0160】
また、上記第1及び第2の実施の形態においては、まばたき画像データから切り出した抽出部分画像のラインごと輝度合計を特徴量データとして抽出するようにしたが、これに限らず、まばたき画像データをフーリエ変換してその周波数スペクトル成分を特徴量として抽出するなど、他の特徴量を抽出するようにしても良い。
また、上記第2の実施の形態においては、出現頻度情報に基づき対象者(運転者)の覚醒状態を判定するようにしたが、これに限らず、出現頻度情報に基づき対象者の緊張状態など、対象者の他の状態を判定するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0161】
【図1】本発明に係るパターンモデル生成装置100の構成を示すブロック図である。
【図2】パターンモデル生成装置100のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図3】まばたき波形データからのパラメータの抽出処理及びまばたき映像データからの特徴量データの抽出処理を示すフローチャートである。
【図4】学習データ生成処理を示すフローチャートである。
【図5】パターンモデル生成装置100における、パターンモデル生成処理を示すフローチャートである。
【図6】まばたき波形データから抽出するパラメータの説明図である。
【図7】(a)及び(b)は、まばたき映像データから抽出する特徴量データの説明図である。
【図8】3種類のパラメータを用いて本発明の手法によって種別された、ある一人の被験者に対するまばたき波形を示す図である。
【図9】2種類のパラメータを用いて本発明の手法によって種別された、ある一人の被験者に対するまばたき波形を示す図である。
【図10】(a)〜(c)は、ある一人の被験者に対するZスコアのレーダーチャートである。
【図11】本発明に係る警告装置200の構成を示すブロック図である。
【図12】警告装置200のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図13】警告装置200における特徴量データ抽出処理を示すフローチャートである。
【図14】警告装置200における出現頻度情報生成処理を示すフローチャートである。
【図15】警告装置200における覚醒状態判定処理及び警告処理を示すフローチャートである。
【図16】まばたき波形用パターンモデルの識別結果を用いて生成された出現頻度情報の一例を示す図である。
【図17】まばたき映像用パターンモデルの識別結果を用いて生成された出現頻度情報の一例を示す図である。
【図18】HMMの一例を示す図である。
【符号の説明】
【0162】
100 パターンモデル生成装置
200 警告装置
10 まばたき波形データ記憶部
11 まばたき映像データ記憶部
12 パラメータ抽出部
13 特徴量データ抽出部
14 種別対象データ記憶部
15 パラメータ正規化部
16 パラメータ種別部
17 識別情報付与部
18 学習データ記憶部
19 統計モデル学習部
20 パターンモデル記憶部
21 映像撮影部
22 まばたき波形測定部
23 特徴量データ抽出部
24 パターンモデル記憶部
25 まばたき種類識別部
26 出現頻度情報生成部
27 覚醒状態判定部
28 警告部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
まばたきの眼電図(EOG)波形に係るデータであるまばたきデータを種別するまばたきデータ種別装置であって、
前記まばたきの眼電図(EOG)波形のデータである眼電図(EOG)波形データから抽出された、単位の異なる複数種類のパラメータを正規化する正規化手段と、
前記正規化手段で正規化された複数種類のまばたきの前記眼電図(EOG)波形データに対応するパラメータを、所定のクラスタリング手法を用いて種別する種別手段と、
前記種別手段の種別結果に基づき、前記種別された各パラメータに対応する前記まばたきデータに対して、前記各パラメータの属する種類の識別情報をそれぞれ付与する識別情報付与手段と、を備えることを特徴とするまばたきデータ種別装置。
【請求項2】
前記単位の異なる複数種類のパラメータは、前記まばたきの眼電図(EOG)波形データから抽出される、前記眼電図(EOG)波形のピーク高の距離データ、まばたきの開始から前記ピーク高に至るまでの時間データ及び前記ピーク高からまばたきの終了に至るまでの時間データを含むことを特徴とする請求項1記載のまばたきデータ種別装置。
【請求項3】
前記正規化手段は、Zスコア法を用いて、前記単位の異なる複数種類のパラメータを正規化することを特徴とする請求項1又は請求項2記載のまばたきデータ種別装置。
【請求項4】
前記種別手段は、前記所定のクラスタリング手法として、分割最適化手法又は階層的手法を用いることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のまばたきデータ種別装置。
【請求項5】
前記まばたきデータは、前記まばたきの眼電図(EOG)波形に対応する、各対象者のまばたき時の少なくとも片眼全体の動画像データを含むまばたき映像データから抽出される特徴量データであることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のまばたきデータ種別装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のまばたきデータ種別装置と、
前記まばたきデータ種別装置で前記識別情報の付与された前記まばたきデータを学習データとして統計モデルを学習させ、前記まばたきデータを入力とし、当該まばたきデータの識別データを出力とするパターンモデルを生成するパターンモデル生成手段と、を備えることを特徴とするパターンモデル生成装置。
【請求項7】
前記統計モデルは、HMM(Hidden Markov Model)であることを特徴とする請求項6記載のパターンモデル生成装置。
【請求項8】
請求項5記載のまばたきデータ種別装置と、
前記まばたきデータ種別装置で前記識別情報の付与された前記まばたきデータを学習データとして統計モデルを学習させ、前記まばたきデータを入力とし、当該まばたきデータの識別データを出力とするパターンモデルを生成するパターンモデル生成手段と、を備えることを特徴とするパターンモデル生成装置。
【請求項9】
前記統計モデルは、HMM(Hidden Markov Model)であることを特徴とする請求項8記載のパターンモデル生成装置。
【請求項10】
請求項6又は請求項7記載のパターンモデル生成装置で生成されたパターンモデルと、
対象者のまばたき時の眼電図(EOG)波形を測定する眼電図波形測定手段と、
前記眼電図波形測定手段で測定された眼電図(EOG)波形のデータである眼電図(EOG)波形データから、前記パターンモデルに対応するまばたきデータを抽出するまばたきデータ抽出手段と、
前記まばたきデータ抽出手段で抽出したまばたきデータと、前記パターンモデルとに基づき、前記まばたきデータに対応する眼電図(EOG)波形の種類を識別するまばたき波形識別手段と、
所定期間において測定された前記対象者のまばたき時の眼電図(EOG)波形に対する前記まばたき波形識別手段の識別結果に基づき、前記所定期間における前記眼電図(EOG)波形の種類の出現頻度の時間的変化を示す出現頻度情報を生成する出現頻度情報生成手段と、を備えることを特徴とするまばたき波形出現頻度情報生成装置。
【請求項11】
請求項8又は請求項9記載のパターンモデル生成装置で生成されたパターンモデルと、
対象者のまばたき時の少なくとも片眼全体の動画像を含むまばたき映像を撮影する撮影手段と、
前記撮影手段で撮影したまばたき映像のデータであるまばたき映像データから、前記パターンモデルに対応する特徴量データを抽出する特徴量データ抽出手段と、
前記特徴量データ抽出手段で抽出した特徴量データと、前記パターンモデルとに基づき、前記特徴量データに対応したまばたき映像に対応する眼電図(EOG)波形の種類を識別するまばたき波形識別手段と、
所定期間において撮影された前記対象者のまばたき映像に対する前記まばたき波形識別手段の識別結果に基づき、前記所定期間における前記まばたき映像に対応する眼電図(EOG)波形の種類ごとの出現頻度の時間的変化を示す出現頻度情報を生成する出現頻度情報生成手段と、を備えることを特徴とするまばたき波形出現頻度情報生成装置。
【請求項12】
請求項10又は請求項11記載のまばたき波形出現頻度情報生成装置と、
前記まばたき波形出現頻度情報生成装置で生成した出現頻度情報に基づき、前記対象者の覚醒状態を判定する覚醒状態判定手段と、を備えることを特徴とする覚醒状態判定装置。
【請求項13】
対象者のまばたき時の眼電図(EOG)波形を測定するまばたき眼電図波形測定手段と、
前記まばたき眼電図波形測定手段で測定された眼電図(EOG)波形のデータである眼電図(EOG)波形データから、まばたきデータを抽出するまばたきデータ抽出手段と、
前記まばたきデータ抽出手段で抽出されたまばたきデータと、予め記憶されたまばたき波形種類の識別用データとに基づき、前記まばたきデータに対応するまばたき波形の種類を識別するまばたき波形識別手段と、
所定期間において測定された前記眼電図(EOG)波形に対応する前記まばたき波形識別手段の識別結果に基づき、前記所定期間の前記まばたき波形の種類ごとの出現頻度の時間的変化を示す出現頻度情報を生成する出現頻度情報生成手段と、
前記出現頻度情報生成手段で生成した出現頻度情報に基づき、前記まばたき波形の所定の種類の出現頻度から、前記対象者の覚醒状態を判定する覚醒状態判定手段と、を備えることを特徴とする覚醒状態判定装置。
【請求項14】
前記まばたき波形の所定の種類の出現頻度は、前記まばたき波形の複数種類の出現頻度であることを特徴とする請求項13記載の覚醒状態判定装置。
【請求項15】
対象者のまばたき時の眼電図(EOG)波形を測定するまばたき眼電図波形測定手段と、
前記眼電図(EOG)波形のデータである眼電図(EOG)波形データから抽出される特徴量データを入力とし、当該特徴量データに対応するまばたき波形種類の識別データを出力とするパターンモデルと、
前記まばたき眼電図波形測定手段で測定された眼電図(EOG)波形のデータである眼電図(EOG)波形データから、特徴量データを抽出する特徴量抽出手段と、
前記特徴量抽出手段で抽出した特徴量データと、前記パターンモデルとに基づき、前記特徴量データに対するまばたき波形種類を識別するまばたき種類識別手段と、
所定期間において撮影された前記対象者のまばたき映像に対する前記まばたき種類識別手段の識別結果に基づき、前記所定期間における前記まばたき映像に対応する眼電図(EOG)波形の種類ごとの出現頻度の時間的変化を示す出現頻度情報を生成するまばたき波形種類出現頻度情報生成手段と、
前記まばたき波形種類出現頻度情報生成手段で生成した出現頻度情報に基づき、前記対象者の覚醒状態を判断する覚醒状態判断手段と、を備えることを特徴とする覚醒状態判断装置。
【請求項16】
対象者のまばたき時の少なくとも片眼全体の動画像を含むまばたき映像を撮影するまばたき映像撮影手段と、
前記まばたき映像のデータであるまばたき映像データから抽出される特徴量データを入力とし、当該特徴量データに対応するまばたき波形種類の識別データを出力とするパターンモデルと、
前記まばたき映像撮影手段で撮影したまばたき映像のデータであるまばたき映像データから特徴量データを抽出する特徴量抽出手段と、
前記特徴量抽出手段で抽出した特徴量データと、前記パターンモデルとに基づき、前記特徴量データに対するまばたき波形種類を識別するまばたき種類識別手段と、
所定期間において撮影された前記対象者のまばたき映像に対する前記まばたき種類識別手段の識別結果に基づき、前記所定期間における前記まばたき映像に対応する眼電図(EOG)波形の種類ごとの出現頻度の時間的変化を示す出現頻度情報を生成するまばたき波形種類出現頻度情報生成手段と、
前記まばたき波形種類出現頻度情報生成手段で生成した出現頻度情報に基づき、前記対象者の覚醒状態を判断する覚醒状態判断手段と、を備えることを特徴とする覚醒状態判断装置。
【請求項17】
請求項12又は請求項13記載の覚醒状態判定装置と、
前記覚醒状態判定装置における前記覚醒状態の判定結果に基づき、前記対象者に警告を与える警告手段と、を備えることを特徴とする警告装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2007−312824(P2007−312824A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−142582(P2006−142582)
【出願日】平成18年5月23日(2006.5.23)
【出願人】(000000033)旭化成株式会社 (901)
【出願人】(503420833)学校法人大阪工大摂南大学 (62)
【Fターム(参考)】