説明

アクチュエータ制御装置

【課題】四輪駆動車に適用して有効なアクチュエータ制御装置を提供する。
【解決手段】アクチュエータ制御装置100は、正逆回転可能なアクチュエータ17、アクチュエータ17の回転運動を直線運動に変換する変換部材40、変換部材40の移動を規制して変換部材40の位置を検出するチェック機構60、アクチュエータ回転変位検出用のセンサ102、及びセンサ102からの信号に基づいてアクチュエータ回転位置を制御する制御部103を備える。制御部103は、アクチュエータ17を一方側へ所定の角度で回転させた後、他方側へ回転させる通電処理を行い、チェック機構60を介して変換部材40の移動を規制してアクチュエータ17の回転が停止する位置をアクチュエータ回転開始点となる基準位置とするように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば四輪駆動車に適用して有効なアクチュエータ制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、副変速機の切替えと摩擦クラッチのクラッチ押付力とを単一のアクチュエータで制御する四輪駆動車用駆動力配分装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1に記載された四輪駆動車用駆動力配分装置は、初期状態においてモータ出力軸が制御原点に位置しており、この制御原点を起点としてアクチュエータの左回転により、副変速機の変速制御が行われる。一方、制御原点を起点としてアクチュエータの右回転で、摩擦クラッチのクラッチ制御が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−176329号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1記載の四輪駆動車用駆動力配分装置は、どのようにアクチュエータの制御原点を導き出すかについては講じられていない。
【0006】
本発明の目的は、四輪駆動車に適用して有効なアクチュエータ制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[1]本発明は、正逆回転可能なアクチュエータと、前記アクチュエータの回転運動を直線運動に変換する変換部材と、前記変換部材の移動を規制するとともに、当該変換部材の位置を検出するチェック機構と、前記アクチュエータの回転変位を検出するセンサと、前記センサからの信号に基づいて前記アクチュエータの回転位置を制御する制御部とを備えており、前記制御部は、前記アクチュエータを一方側へ所定の角度で回転させた後、他方側へ回転させる通電処理を行い、前記チェック機構を介して前記変換部材の移動を規制して前記アクチュエータの回転が停止する位置を当該アクチュエータの回転開始点となる基準位置とするように構成されたことを特徴とするアクチュエータ制御装置にある。
【0008】
[2]本発明は更に、入力軸への動力を少なくとも高速と低速の2段に切替えて主出力軸へ伝達する副変速機構と、前記主出力軸の動力を副出力軸に伝達する摩擦クラッチと、前記副変速機構のシフトポジションを切替えるシフトカムと、前記副変速機構の切替え、もしくは前記摩擦クラッチの押付力の調整を行う単一のアクチュエータと、前記アクチュエータの回転変位を検出するセンサと、前記シフトカムを前記シフトポジションに保持するとともに、当該シフトカムの位置を検出するシフトチェック機構と、前記アクチュエータの回転開始点となる基準位置から一方側に回転した場合に前記摩擦クラッチの押付力を調整し、前記アクチュエータの回転開始点となる基準位置から他方側に回転した場合には前記副変速機構のシフトポジションを切替えるシフトカム駆動機構と、前記センサからの信号に基づいて前記アクチュエータの回転位置を制御する制御部とを備えた駆動力配分装置の駆動を制御するものであり、前記制御部は、前記アクチュエータをクラッチ制御方向に向けて移動させた後、前記アクチュエータをシフト方向に回転駆動させ、前記シフトチェック機構を介して前記シフトカムの回転を規制して前記アクチュエータの回転が停止する位置を当該アクチュエータの制御基準点として認識するように構成されたことを特徴とするアクチュエータ制御装置にある。
【0009】
[3]上記[2]記載の発明にあって、前記シフトチェック機構の保持トルクは、前記シフトポジションにおいて最も高くなり、前記シフトポジションから離れるに伴い低下するように構成されたことを特徴とする。
【0010】
[4]上記[2]又は[3]記載の発明にあって、前記シフトポジションが高速段にあるときに前記制御基準点の検出を行うように構成されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、変速制御とクラッチ制御とに対する優れた応答性が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係わる典型的な実施の形態であるトランスファを備えた四輪駆動車の動力伝達系を模式的に示す説明図である。
【図2】シフト・クラッチ制御機構を備えたトランスファの内部構造を一部省略して概略的に示す説明図である。
【図3】シフト・クラッチ制御機構の分解斜視図である。
【図4】シフト・クラッチ制御機構に好適に用いられるアクチュエータによるシフト動作範囲とクラッチ動作範囲とを説明するための図である。
【図5】シフト・クラッチ制御機構に好適に用いられるチェック機構の断面図である。
【図6】(a)は、従来のチェック機構におけるチェック立ち上がりトルク、モータトルク、及びモータ回転角の関係を説明するための模式図であり、(b)は、実施の形態に好適なチェック機構におけるチェック立ち上がりトルク、モータトルク、及びモータ回転角の関係を説明するための模式図である。
【図7】トランスファに好適に用いられるシフト・クラッチ制御機構を示す機能ブロック図である。
【図8】シフト・クラッチ制御機構に好適に用いられる回転操作部材の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて具体的に説明する。
【0014】
(車両の動力伝達系の全体構成)
図1において、全体を示す符号1は、FR(フロントエンジン・リヤドライブ)タイプの四輪駆動車の全体構成を模式的に示している。この四輪駆動車1は、エンジン2と、変速動作を行うトランスミッション3と、エンジン2の駆動力がトランスミッション3を介して伝達されるセンタードライブシャフト4と、センタードライブシャフト4の駆動力が入力されるトランスファ5と、トランスファ5の駆動力配分装置によりエンジン2の駆動力が所定の配分比で出力されるフロントドライブシャフト6及びリヤドライブシャフト7とを備えている。フロントドライブシャフト6の駆動力は、フロントデファレンシャル8を介して左右一対の前輪9,9に伝達される。リヤドライブシャフト7の駆動力は、リヤデファレンシャル10を介して左右一対の後輪11,11に伝達される。
【0015】
(トランスファの構成)
トランスファ5は、図2に示すように、センタードライブシャフト4と一体に回転する図示しない入力軸と、フロントドライブシャフト6に接続される同じく図示を省略した前輪用出力軸と、リヤドライブシャフト7に接続される後輪用出力軸12とを備えている。後輪用出力軸12は、ボールベアリング14を介してケース13に回転自在に支持されている。入力軸と前輪用出力軸のそれぞれは、後輪用出力軸12と同様に、図示しないボールベアリングを介してケース13に回転自在に支持されている。
【0016】
入力軸は後輪用出力軸12と同一軸上に配されており、入力軸の駆動力は図示しない副変速機を介して後輪用出力軸12に伝達されるようになっている。後輪用出力軸12の入力側には、後輪用出力軸12に対して回転自在な駆動スプロケットギヤ15が設けられている。
【0017】
一方、前輪用出力軸は、後輪用出力軸12と平行に配されている。前輪用出力軸の外周に固定された図示しない従動スプロケットギヤと後輪用出力軸12の駆動スプロケットギヤ15とにはチェーン16が巻回されている。後輪用出力軸12から駆動スプロケットギヤ15に駆動力が伝達されると、チェーン16を介して前輪用出力軸が回転駆動するようになっている。
【0018】
(シフト・クラッチ制御機構の全体構成)
このトランスファ5のケース内部には、図2及び図3に示すように、単一のアクチュエータ17によって副変速機の切替え動作、及び摩擦クラッチ装置30の接断動作を個別に制御するシフト・クラッチ制御機構80が後輪用出力軸12と平行に配置されている。このシフト・クラッチ制御機構80の制御は、シフトカム40のシフト位置(アクチュエータ17の基準位置)を制御原点とした一方側に所定の回転角で摩擦クラッチ装置30のクラッチ制御を行い、シフトカム40のシフト位置を制御原点とした一方側とは逆の他方側に所定の回転角で副変速機の切替えを行う構成となっている。
【0019】
このシフト・クラッチ制御機構80は、図2及び図3に示すように、H−Lシフト機構43の図示しないシフトフォークをシフトロッド45に沿って直線移動させるシフトカム40と、摩擦クラッチ装置30のクラッチ押付力を変化させる板カム50と、シフトカム40のシフト位置を決めるチェック機構60と、シフトカム40及び板カム50を個別に回転駆動させる回転駆動部材81とを備えている。このシフトカム40、板カム50、チェック機構60及び回転駆動部材81は、アクチュエータ出力軸18と同軸上に配されており、アクチュエータ17の回転量に応じて動作する。
【0020】
このアクチュエータ17には、図2に示すように、モータ19のトルクを増幅する減速機20が内蔵されている。その減速機20による回転駆動は、アクチュエータ出力軸18を介して摩擦クラッチ装置30、及びシフトカム40に伝達される。
【0021】
図4を参照すると、同図にはアクチュエータ17によるシフト動作範囲とクラッチ動作範囲との関係が示されている。以下の説明において、シフト方向とは、アクチュエータ17の後側からみて左回りをいい、クラッチ押付方向とは、アクチュエータ17の後側からみて右回りをいう。アクチュエータ17によるシフト動作範囲は、シフトカム40のシフト原点Aから左回りに回転角θ1の停止位置Bに達するまでの範囲に設定される。アクチュエータ17をシフト原点Aからシフト方向にθ1の回転角で回転させた後にシフト原点Aに戻すことで、シフトカム40が2つのシフトポジションの切替えを順番に繰り返す順送り動作が行われる。
【0022】
一方、アクチュエータ17によるクラッチ動作範囲は、図4に示すように、シフト原点Aから右回りの回転角θ2の範囲に設定される。このクラッチ動作範囲は、クラッチ押付部材35の駆動開始位置(2WD原点)A1からクラッチ押付部材35の押付開始位置である4WD原点(クラッチ伝達トルクゼロ点)B1までのクラッチ隙間領域と、クラッチ押付部材35の4WD原点B1からクラッチ押付部材35の押付最大位置C1までの4WD制御領域とに区分されている。
【0023】
(シフトチェック機構の構成)
このシフトカム40の回転駆動部材81寄りの端部には、図2、図3及び図5に示すように、シフトカム用のチェック機構60が同軸に支持されている。このチェック機構60は、シフトカム40と相対回転する円形筐体状のチェック部61と、そのチェック部61と一体形成された一対の細長い円筒状のチェックブロック62,62とを備えている。
【0024】
このチェックブロック62は、図3及び図5に示すように、チェック部61の外周に放射状に延在されている。このチェックブロック62の内部には、コイルスプリング63の弾性反発力(付勢力)によりシフトカム40のチェック溝41に押付けられるチェックボール64が設けられている。チェックブロック62の先端部開口は、プラグ65により閉鎖されている。
【0025】
このチェックボール64が係合するチェック溝41は、図3及び図5に示すように、シフトカム40の端部外周面に形成されている。このシフトカム40のチェック溝41は、シフトカム40のラチェット溝42で決まるシフト位置となる2箇所のシフトエンドに対応して形成されている。このチェック溝41に対する係合で、副変速機のHポジション及びLポジションのシフト位置を位置決めしている。
【0026】
このチェック部61とチェックブロック62との間には、図3及び図5に示すように、チェック機構60の回り止めとなる扁平状の保持片66が一体に形成されている。この保持片66は、板カム50の逆回転を阻止するとともに、反力カムプレート71を支持する位置決めロッド67に貫通して支持されている。
【0027】
ところで、摩擦クラッチ装置30の締結状態でアクチュエータ17が駆動力を失うと、摩擦クラッチ装置30の反発力によりアクチュエータ17が逆転駆動する場合がある。チェック機構60の吸収エネルギーが摩擦クラッチ装置30の反発力によりアクチュエータ17を逆転駆動させるときに放出するエネルギーよりも大きくなるように、チェック機構60のチェックトルクと回転角とを設定する。
【0028】
ここで、チェックトルクとは、コイルスプリング63の弾力によりシフトカム40のチェック溝41に付勢された状態で係合するチェックボール64が、このコイルスプリング63の付勢力に抗してチェックボール64とチェック溝41との係合を解除する抵抗トルクをいう。チェック機構60の吸収エネルギーは、次式(1)により計算される。
【0029】
チェック機構60の吸収エネルギー=チェック機構60の抵抗トルク×シフトカム40の回転角……(1)
【0030】
このチェック機構60は、シフトカム40の回転を停止するストッパとしての機能を有する。チェック機構60により、アクチュエータ17の駆動を失うような故障に対してシフトカム40をシフト方向に回転駆動させることなく、車両走行中の副変速機の切替えを未然に防止することが可能となる。このチェック部61の円形外周の対角位置にチェックボール64を設けた構成となっているため、安価なチェックボール64及びコイルスプリング63により強いチェックトルクを発生することができる。
【0031】
ここで、図6を参照すると、図6(a)には、従来のチェック機構におけるチェック立ち上がりトルク、モータトルク、及びモータ回転角の関係が模式的に示されており、図6(b)には、この実施の形態に好適なチェック機構におけるチェック立ち上がりトルク、モータトルク、及びモータ回転角の関係が模式的に示されている。
【0032】
従来のシフトカム400のチェック溝410は、図6(a)に示すように、チェック機構600のチェックボール640との接触角θ11を小さく設定しており、シフトポジションからシフトカム400の外周面に向けて一定に形成されている。これにより、チェック機構600のモータトルクに近いチェック立ち上がりトルクが作用することになる。
【0033】
これに対し、この実施の形態に係るシフトカム40のチェック溝41は、従来のシフトカム400のチェック溝410に比べて、チェックボール64との接触角θ12を大きく設定している。その接触角θ12は、シフトポジションからシフトカム40の外周面に向かって変化して形成されている。シフトポジションにおいてチェック機構60に必要とされる初期のチェック立ち上がりトルクを従来のチェック機構60よりも高く設定することができるようになり、モータトルクを超えるだけの十分な余裕をもって、大きなチェック立ち上がりトルクが発生することになる。
【0034】
(アクチュエータ制御装置)
この実施の形態に係る一つの主要な基本の構成は、副変速機のHポジション及びLポジションのシフト位置を検出するチェック機構60によるチェック位置を検出することで、アクチュエータ17の制御基準点を検出するように構成されている点にある。
【0035】
このアクチュエータ17には、図7に示すように、H−Lシフト機構43のシフト位置を検出するスイッチ101からの情報やモータ駆動を検出するパルスセンサ102などの各種の情報を入力して、モータ駆動を制御するアクチュエータ制御装置100が電気的に接続されている。このアクチュエータ制御装置100は、ECU(Electronic Control Unit)として構成される。このECUには、例えばCPU、ROM、RAM、入力信号回路、出力信号回路、駆動回路、及び電源回路等からなる各種の電子部品が搭載されている。
【0036】
このアクチュエータ17は、図7に示すように、アクチュエータ制御装置100からの信号に基づいて制御される。アクチュエータ出力軸18には、回転方向、回転位置(回転角)や回転速度(回転数)等を検出する回転検出器であるパルスセンサ102が設けられている。このパルスセンサ102の一例としては、例えば光学式ロータリエンコーダ、あるいは磁気式ロータリエンコーダ等が使用される。
【0037】
このアクチュエータ制御装置100は、図7に示すように、アクチュエータ17の回転の開始点となる基準位置(制御基準点)を制御する制御部103と、アクチュエータ17の基準位置におけるパルスセンサ102の出力パルス数に応じた位置情報を記憶する記憶部104とを備えている。この制御部103は、パルスセンサ102が出力するパルス信号をカウントして、アクチュエータ17の回転位置を制御する。
【0038】
このアクチュエータ制御装置100は、シフトカム40のチェック溝41にチェック機構60のチェックボール64を嵌め込むシフト位置において、制御部103がカウントするパルスセンサ102の出力パルスのカウント数に変化がない状態となるように設定される。制御部103においてカウントするパルスセンサ102の出力パルスのカウント数に変化がない状態が、モータ19の回転変位がゼロの状態であるアクチュエータ17の停止状態となる。制御部103は、アクチュエータ17の回転が停止する位置をアクチュエータ17の基準位置として認識するように構成されており、アクチュエータ17の基準位置におけるパルスセンサ102のパルスカウント数に応じたアクチュエータ17の回転位置を記憶部104に記憶する。
【0039】
(位置検出制御動作)
アクチュエータ17の基準位置を検出する処理は、図示しないイグニッションキーがオンされたことを検出したときに実施される。制御部103により、図示しない駆動回路の供給電圧を通常の電圧よりも低い所定の電圧に設定してもよい。イグニッションキーのオフ時には、制御部103により、図4に示すように、シフト原点Aと2WD原点A1との間の領域にアクチュエータ17が停止する。
【0040】
この制御部103は、イグニッションキーのオン状態を認識すると、アクチュエータ17をシフト原点Aと2WD原点A1との間の領域から摩擦クラッチ制御領域に向けて一定速度で回転駆動させてアクチュエータ17を摩擦クラッチ制御領域に回転駆動させた後、摩擦クラッチ制御領域の所定の位置で反転させることで、シフト方向に一定速度で反転駆動させる通電処理を行う。
【0041】
摩擦クラッチ制御領域の所定の位置は、特に限定されるものではないが、図4に示すように、摩擦クラッチ締結状態となる4WDモード開始位置であるクラッチ押付部材35の4WD原点B1に設定される。アクチュエータ17の電流制限値は、次式(2)を満足するように設定されており、アクチュエータ17の駆動力がチェック機構60の保持トルク(以下、「チェック立ち上がりトルク」ともいう。)を超えないように制限される。ここで、チェック機構60のチェック立ち上がりトルクとは、上記式(1)記載の抵抗トルクであるチェックトルクをいう。
【0042】
チェック立ち上がりトルク>モータトルク>無負荷トルク……(2)
【0043】
アクチュエータ17をシフト方向に回転駆動させているとき、チェック機構60のチェックボール64がシフトカム40のチェック溝41に嵌め込まれてシフトカム40の回転が規制され、アクチュエータ17の回転が停止する。このアクチュエータ17の停止位置を初期位置として記憶部104に記憶する。制御部103では、アクチュエータ17の制御基準点として認識する。
【0044】
このチェック機構60の保持トルクは、図6(b)に示すように、シフトポジションにおいて最も高くなり、シフトポジションから離れるに伴い低下するように構成されている。副変速機のHポジション及びLポジションで停止位置のばらつきがあるので、シフトポジションが高速段にあるときに制御基準点の検出を行うように構成されることが好適であり、高速駆動状態におけるアクチュエータ停止位置の精度を向上させることができるようになる。
【0045】
上記アクチュエータ制御装置を採用することで、アクチュエータ17の位置設定用の格別な部材やセンサなどの構成を追加することなく、簡単な構成でアクチュエータ17の初期位置を精度よく設定することができる。
【0046】
なお、アクチュエータ制御装置100の各構成要素は、CPU、メモリ、各構成要素を実現する制御プログラム、制御プログラムを格納する記憶ユニット、外部接続用インターフェースを中心にハードウェアとソフトウェアの任意の組合せによって実現されるものである。その方法や装置としては、従来周知の各種の方法や装置を使用することができることは当業者には理解されるところであり、上記実施の形態、及び図示例に特定されるものではない。
【0047】
(アクチュエータ制御装置の効果)
上記のように構成されたアクチュエータ制御装置100では、チェック機構60によるチェック位置を検出することでアクチュエータ17の制御基準点を検出するので、上記効果に加えて、以下の効果が得られる。
(1)アクチュエータ17の制御基準点を検出する部材やセンサなどの格別な部品を用いる必要がなくなり、製造コストを低減することができる。
(2)アクチュエータ制御基準点検出用の部品を用いる場合と比較して、検出のバラツキの影響が少なくなり、高い検出精度が得られる。
(3)板カム50や回転駆動部材81などに設けられたシフトストッパ部材をアクチュエータ制御基準点検出に用いることなく、制御部103によりアクチュエータ17の制御基準点を検出しているので、検出時間が短くなり、イグニッションキーのオン時にアクチュエータ位置検出処理が可能となる。
(4)制御部103によりアクチュエータ17の制御基準点を検出しているので、アクチュエータ制御基準点検出時において、H−Lシフト機構43の誤操作を回避することができる。
【0048】
チェック機構60のチェック立ち上がりトルクを高く設定することで、上記効果に加えて、以下の効果が得られる。
(1)モータ電流制御の精度が低くてもよく、アクチュエータ制御装置100を安価に製作することができる。
(2)モータトルクがチェック立ち上がりトルクを超えることを防止することができるので、アクチュエータ17の制御基準点の検出を誤るリスクが小さくなる。
(3)シフトカム40のチェック溝41の形状によりチェック立ち上がりトルク特性を設定することができるため、アクチュエータ制御装置100の製作コストの高騰はない。
【0049】
(シフト・クラッチ制御機構の構成)
この実施の形態に係るもう一つの主要な基本構成は、図2及び図3に示すように、摩擦クラッチ装置30とH−Lシフト機構43とを制御するシフト・クラッチ制御機構80にある。このシフト・クラッチ制御機構80は、摩擦クラッチ装置30と、シフトカム40と、板カム50と、回転駆動部材81とを備えている。
【0050】
(摩擦クラッチ機構の構成)
この摩擦クラッチ装置30は、図2に示すように、トルク配分クラッチとして機能するものであり、環状のクラッチハブ31を後輪用出力軸12に固定するとともに、環状のクラッチドラム32を駆動スプロケットギヤ15の延長筒部に固定している。このクラッチハブ31とクラッチドラム32とにより形成された第1環状空間内には、トルク伝達を行うための多数枚のクラッチプレート33,…,33が軸方向移動可能に支持されている。このクラッチハブ31とクラッチドラム32とにより形成された第2環状空間内には、リターンスプリング34が設けられている。
【0051】
この摩擦クラッチ機構30は、図2及び図3に示すように、後輪出力軸12と同一軸上に移動可能な環状のクラッチ押付部材35と、アクチュエータ17の回転運動を直線運動に変換し、クラッチ押付部材35に軸方向変位を付与するボールカム機構70とを備えている。このクラッチ押付部材35は、リターンスプリング34により摩擦クラッチ開放方向に付勢されており、アクチュエータ17の回転駆動により軸方向へ移動されるようになっている。クラッチプレート33の接断動作を制御することで、クラッチプレート33のクラッチ締結力に応じて、後輪出力軸12及び前輪出力軸に対して伝達されるトルク配分が変更可能である。
【0052】
(ボールカム機構の構成)
このボールカム機構70は、図2及び図3に示すように、摩擦クラッチ装置30のクラッチ締結力を無段階に制御する。このボールカム機構70には、後輪出力軸12と同一軸上に反力側のカムプレート(反力カムプレート)71、及び駆動側のカムプレート(駆動カムプレート)72により構成された一対のボールカムが設けられている。この反力カムプレート71は、スラスト軸受73を介して環状の固定部材74に固定されている。一方の駆動カムプレート72は、スラスト軸受75を介してクラッチ押付部材35に当接して連結されている。
【0053】
この反力カムプレート71は、図3に示すように、アクチュエータ出力軸18側に向けて延在する自由端部を位置決めロッド67に支持している。この位置決めロッド67は、アクチュエータ出力軸18と同軸上に回転可能に支持された摩擦クラッチ駆動用の板カム50の逆回転を阻止するストッパとしての機能をも有している。
【0054】
一方の駆動カムプレート72は、図2及び図3に示すように、反力カムプレート71とは所定角度の位相差をもってアクチュエータ出力軸18側に向けて延在する先細り状のアーム部72aが一体形成されている。そのアーム部72aの先端部分にはカムフォロア76が回転自在に軸支されている。そのカムフォロア76は、板カム50のカム面50aに常時接触されており、アクチュエータ17の回転をボールカム機構70に伝達するようになっている。
【0055】
この摩擦クラッチ装置30を締結する場合は、アクチュエータ17の後側からみて、板カム50がアクチュエータ出力軸18の軸心回りに正回転方向に右回転することで、駆動カムプレート72が反力カムプレート71に対して一定方向に回転駆動される。この駆動カムプレート72が回転駆動すると、駆動カムプレート72は、ボールカム溝内のボール77による押圧を受けながら、後輪出力軸12の軸方向に移動する。駆動カムプレート72が移動すると、クラッチ押付部材35は、後輪出力軸12の軸方向前方に押されてクラッチプレート33を押圧する。これにより、アクチュエータ17の回転量に応じてクラッチ押付力が増加する。
【0056】
一方、摩擦クラッチ装置30の締結を解除する場合は、上記操作とは逆に板カム50が回転することで、上記操作と逆の操作を行うこととなる。これにより、板カム50のカム面50aの形状に対応する変化パターンで、摩擦クラッチ装置30のクラッチ押付部材35を後輪出力軸12の軸方向に移動させることができる。
【0057】
(シフトカムの構成)
このシフトカム40は、図2及び図3に示すように、アクチュエータ17の回転運動を直線運動に運動変換する変換部材を構成するものであり、副変速機において高速段H又は低速段Lの走行変速切替えを行う。シフトカム40の回転運動は、カム溝46の傾斜部に沿って移動するH−Lシフト機構43のシフターピン44を介して直線運動に変換される。シフトカム40の回転でシフターピン44を副変速機の高速段位置及び低速段位置の切替えに必要な軸方向のシフト量だけ移動させる。
【0058】
(回転駆動部材の構成)
この回転駆動部材81は、シフト制御又はクラッチ制御を行う部材であり、図2、図3、及び図8に示すように、シフトカム対向側の大径部分82と板カム対向側の小径部分83とが中心線方向に段差をもつ中間段差部83aを介して一体形成された円筒体からなる。この大径部分82は、シフトカム40の端面と対向して配置されており、シフトロッド45の一端部が大径部分82及び中間段差部83aに連通して形成された中心孔部に相対回転可能に支持されている。
【0059】
この小径部分83の外周部は、図1及び図2に示すように、一対のベアリング21,21を介してケース13に回転可能に支持されている。小径部分83の内周部は、スプラインによる固定状態でアクチュエータ出力軸18と結合されている。中間段差部83aの外周部には、板カム50が相対回転可能に支持されている。
【0060】
この回転駆動部材81の大径部分82には、図3及び図8に示すように、矩形状を有する一対のクラッチ制御機構用の駆動突起84とシフト制御機構用の駆動突起85とが板カム50側に突出して形成されている。この駆動突起84,85は、所定の位相差をもって大径部分82の同一円周上に配されている。
【0061】
この駆動突起84は、図3及び図8に示すように、板カム50に形成された被駆動突起51に当接して板カム50を同期回転させる駆動面84aを有している。一方の駆動突起85は、板カム50の被駆動突起51に当接して回転駆動部材81の動作を停止させるストッパ面85aを有している。板カム50の被駆動突起51は、駆動突起84の駆動面84aと駆動突起85のストッパ面85aとの間の同一円周上に突出形成されている。
【0062】
この一対の駆動突起84,85の間に切欠して形成された平坦状の大径部分82の外面には、図3及び図8に示すように、外面の法線方向に延びる回転軸86を介してラチェットレバー87が双方向回転可能に支持されている。このラチェットレバー87は、バネ89によりシフトカム40の端面側に向けて付勢されており、回転駆動部材81の回転方向と交差する方向に回転する。
【0063】
このラチェットレバー87の回転基部には、図3及び図8に示すように、回転軸86を中心として設けられたラチェット部90が一体に形成されている。このラチェット部90の駆動爪であるラチェット爪91は、シフトカム40の端面をシフト方向、及びシフト方向とは反対側の戻し方向の両方向に駆動可能な外形形態に形成されている。この回転駆動部材81の回転中心線の法線方向の軸線を中心としてラチェットレバー87が双方向回転可能に固定支持された構成となっているので、ラチェット爪91がラチェット溝42から離脱するのに必要となるラチェット爪91の作動回転角を小さくすることができるようになっている。
【0064】
このラチェット爪91は、図3及び図8に示すように、シフトカム40の端面に形成されたラチェット溝42にバネ89の弾力に抗して係脱可能とされている。このラチェット爪91の外面には、シフト完了の戻り時にラチェット溝42との係合を阻止する円柱の突部92が突出して形成されている。
【0065】
このラチェットレバー87には、図3及び図8に示すように、回転軸86と直交してシフトカム40側の腕部88と板カム50側の腕部88とが一体に形成されている。この一対の腕部88は、回転駆動部材81の回転中心線から右回り方向に傾斜している。この一対の腕部88の右回り方向の側面は、回転軸86に対称に形成されたカム面88a,88bをそれぞれ有している。
【0066】
このカム面88aは、回転駆動部材81が制御原点からシフト方向とは逆方向(摩擦クラッチ押付方向)へ回転駆動したとき、ラチェット爪91をシフトカム40のラチェット溝42から離脱させる開放状態に保持し、クラッチ制御動作中にシフトカム40を回転させないようにするものである。一方のカム面88bは、回転駆動部材81が制御原点からシフト完了位置の方向(シフト方向)へ回転駆動したとき、ラチェット爪91を開放させるものである。
【0067】
(シフトカム駆動機構の構成)
一方の板カム50には、図2に示すように、回転駆動部材81側の対向面に円柱状の長短一対の駆動ピン52,53が突出して形成されている。この長尺の駆動ピン52は、ラチェットレバー87のシフトカム40側の腕部88の回転軌跡内に配されている。一方の短尺の駆動ピン53は、ラチェットレバー87の板カム50側の腕部88の回転軌跡内に配されている。この駆動ピン62,63は、ラチェット爪91をラチェット溝42と噛み合わない方向に回転させる駆動爪開放機構となる。
【0068】
この長尺の駆動ピン52は、図3に示すように、回転駆動部材81が制御原点からクラッチ押付方向へ回転駆動したとき、回転駆動部材81の腕部88のカム面88aに当接して押圧することで、ラチェット爪91をシフトカム40のラチェット溝42から離脱させ、ラチェット爪91を開放する。一方の短尺の駆動ピン53は、回転駆動部材81が制御原点からシフト方向へ回転駆動したとき、回転駆動部材81の腕部88のカム面88bに当接して押圧することで、ラチェット爪91を開放する。
【0069】
シフトカム40のラチェット溝42、板カム50の駆動ピン52,53、及び回転駆動部材81により、シフト・クラッチ制御機構80のシフトカム駆動機構が主に構成される。このシフトカム駆動機構は、アクチュエータ17を基準位置から一方側へ回転駆動させる場合は、摩擦クラッチ装置30の押付力を調整し、アクチュエータ17を基準位置から他方側のシフトカム40のシフト完了位置へ回転駆動した後にシフト完了位置から基準位置に戻す場合には、シフトカム40を順送り動作させることで副変速機のポジションを切替えるようになっている。
【0070】
(シフトカムの順送り動作)
H−Lシフト機構43のシフト動作は、アクチュエータ17を基準位置からシフト方向に所定の回転角で回転させた後に基準位置に戻すアクチュエータ17の往復回転動作を繰返すことで、シフトカム40がHポジション及びLポジションの2つのシフトポジションに順送り動作する。一方、アクチュエータ17を基準位置からクラッチ押付方向に駆動回転させた場合は、シフトカム40を回転させることなく、摩擦クラッチ装置30のみを駆動する。
【0071】
アクチュエータ17を基準位置からシフト方向に駆動回転させた場合でも、所定の回転角まで駆動回転させない場合は、回転駆動部材81のラチェットレバー87のラチェット爪91は常に、シフトカム40のラチェット溝42に噛み合っており、アクチュエータ17とシフトカム40とは一体回転する。よって、アクチュエータ17を所定の回転角に達する前の位置に保持した場合には、シフトカム40は所定の回転角に達する前の位置に保持される。
【0072】
(クラッチ制御機構の構成)
このシフト・クラッチ制御機構80の一部を構成するクラッチ制御機構は、図3に示すように、板カム50の被駆動突起51と回転駆動部材81の駆動突起84とにより主に構成されており、アクチュエータ17を制御原点からシフト方向とは反対側に駆動回転させることで、シフトカム40を回転させることなく、摩擦クラッチ装置30のみを駆動するように構成されている。
【0073】
(シフト・クラッチ制御機構の効果)
上記シフト・クラッチ制御機構80によると、上記効果に加えて、以下の効果が得られる。
(1)回転駆動部材81の回転方向と交差する方向に回転するラチェットレバー87を装着した構成となっているため、ラチェット溝42から離脱するのに必要となるラチェット爪91の作動回転角を小さくすることが可能となり、シフト時間を短縮することができる。
(2)H−Lシフト機構43の切替え時間が短くなるので、回転駆動部材81がシフト途中で停止することはない。回転駆動部材81がシフト途中で停止したとしても、元の位置に戻すことができる。
(3)回転駆動部材81の駆動突起85、及び板カム50の被駆動突起51が、シフトカム40のシフトエンドに対応して設定されているので、回転駆動部材81がシフトエンドでオーバーランすることがなくなり、制御バラツキがあったとしても確実にシフトを完了することができる。
(4)単一のアクチュエータ17を用いることで、変速制御とクラッチ制御とを行うことが可能となる。
(5)変速制御とクラッチ制御とを行う機構をモジュール化することが容易な構造が得られる。
(6)一つのアクチュエータ17で、変速制御とクラッチ制御とを行うことが可能であるため、トランスファ5の全体構造を安価にかつ小型軽量に設計することができる。
【0074】
[他の実施の形態]
上記四輪駆動車用トランスファ5にあっては、FRタイプの四輪駆動車用トランスファについて説明したが、本発明は、これに限定されるものではないことは勿論であり、例えばセンターデフを備えたFRタイプの四輪駆動車用トランスファやFFタイプの四輪駆動車用トランスファに効果的に使用することができる。また、上記各実施の形態では、HポジションとLポジションとの走行変速切替えを行う副変速機構を説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。本発明は、例えば副変速機構における切替えポジションとして、ニュートラルや4WDロックなどの各種のポジションを増加させて設定することができる。
【0075】
以上の説明から明らかなように、本発明は、上記各実施の形態、及び図示例に限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲内で様々に設計変更が可能である。本発明は、例えば入力側と出力側の間でトルクを伝達する各種の装置に使用することができることは勿論であり、例えば農業機械、建設土木機械、運搬機械等の作業用車両、不整地用四輪走行車(ATV)、鉄道等の各種の車両、各種の産業機械や工作機械等にも適用可能であり、本発明の初期の目的を十分に達成することができる。
【符号の説明】
【0076】
1…四輪駆動車、2…エンジン、3…トランスミッション、4…センタードライブシャフト、5…トランスファ、6…フロントドライブシャフト、7…リヤドライブシャフト、8…フロントデファレンシャル、9…前輪、10…リヤデファレンシャル、11…後輪、12…後輪用出力軸、13…ケース、14…ボールベアリング、15…駆動スプロケットギヤ、16…チェーン、17…アクチュエータ、18…アクチュエータ出力軸、19…モータ、20…減速機、21…ベアリング、30…摩擦クラッチ装置、31…クラッチハブ、32…クラッチドラム、33…クラッチプレート、34…リターンスプリング、35…クラッチ押付部材、40…シフトカム、41…チェック溝、42…ラチェット溝、43…H−Lシフト機構、44…シフターピン、45…シフトロッド、46…カム溝、50…板カム、50a,88a,88b…カム面、51…被駆動突起、52,53…駆動ピン、60…チェック機構、61…チェック部、62…チェックブロック、63…コイルスプリング、64…チェックボール、65…プラグ、66…保持片、67…位置決めロッド、70…ボールカム機構、71…反力カムプレート、72…駆動カムプレート、72a…アーム部、73,75…スラスト軸受、74…固定部材、76…カムフォロア、77…ボール、80…シフト・クラッチ制御機構、81…回転駆動部材、82…大径部分、83…小径部分、83a中間段差部84,85…駆動突起、84a…駆動面、85a…ストッパ面、86…回転軸、87…ラチェットレバー、88…腕部、89…バネ、90…ラチェット部、91…ラチェット爪、92…突部、101…スイッチ、102…パルスセンサ、100…アクチュエータ制御装置、103…制御部、104…記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正逆回転可能なアクチュエータと、
前記アクチュエータの回転運動を直線運動に変換する変換部材と、
前記変換部材の移動を規制するとともに、当該変換部材の位置を検出するチェック機構と、
前記アクチュエータの回転変位を検出するセンサと、
前記センサからの信号に基づいて前記アクチュエータの回転位置を制御する制御部とを備えており、
前記制御部は、前記アクチュエータを一方側へ所定の角度で回転させた後、他方側へ回転させる通電処理を行い、前記チェック機構を介して前記変換部材の移動を規制して前記アクチュエータの回転が停止する位置を当該アクチュエータの回転開始点となる基準位置とするように構成されたことを特徴とするアクチュエータ制御装置。
【請求項2】
入力軸への動力を少なくとも高速と低速の2段に切替えて主出力軸へ伝達する副変速機構と、
前記主出力軸の動力を副出力軸に伝達する摩擦クラッチと、
前記副変速機構のシフトポジションを切替えるシフトカムと、
前記副変速機構の切替え、もしくは前記摩擦クラッチの押付力の調整を行う単一のアクチュエータと、
前記アクチュエータの回転変位を検出するセンサと、
前記シフトカムを前記シフトポジションに保持するとともに、当該シフトカムの位置を検出するシフトチェック機構と、
前記アクチュエータの回転開始点となる基準位置から一方側に回転した場合に前記摩擦クラッチの押付力を調整し、前記アクチュエータの回転開始点となる基準位置から他方側に回転した場合には前記副変速機構のシフトポジションを切替えるシフトカム駆動機構と、
前記センサからの信号に基づいて前記アクチュエータの回転位置を制御する制御部とを備えた駆動力配分装置の駆動を制御するものであり、
前記制御部は、前記アクチュエータをクラッチ制御方向に向けて移動させた後、前記アクチュエータをシフト方向に回転駆動させ、前記シフトチェック機構を介して前記シフトカムの回転を規制して前記アクチュエータの回転が停止する位置を当該アクチュエータの制御基準点として認識するように構成されたことを特徴とするアクチュエータ制御装置。
【請求項3】
前記シフトチェック機構の保持トルクは、前記シフトポジションにおいて最も高くなり、前記シフトポジションから離れるに伴い低下するように構成されたことを特徴とする請求項2記載のアクチュエータ制御装置。
【請求項4】
前記シフトポジションが高速段にあるときに前記制御基準点の検出を行うように構成されたことを特徴とする請求項2又は3記載のアクチュエータ制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−72466(P2013−72466A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−210926(P2011−210926)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(000154347)株式会社ユニバンス (132)
【Fターム(参考)】