説明

アルミニウム又はアルミニウム合金用洗浄剤及び洗浄方法

【課題】アルミニウムやその合金に対し極短時間で高いエッチング力を示し、比較的低いpH領域でも高いエッチング力を維持し、アルミニウムイオンの許容量が高く、かつ発生するスラッジの量を低く抑えることができる洗浄剤の提供。
【解決手段】(A)アルカリ金属の水酸化物、炭酸塩及びケイ酸塩から選ばれるアルカリ剤0.1〜400g/Lと、
(B)特定の分子量を有する、マレイン酸のホモポリマーもしくはコポリマー又はそのアルカリ金属塩から選ばれるマレイン酸系ポリマー0.1〜100g/Lと、
(C)ヒドロキシカルボン酸及びそのアルカリ金属塩から選ばれるキレート剤0.1〜100g/Lと、
(D)洗浄用界面活性剤0.1〜50g/Lとを
水に配合してなり、pH9〜14であるアルミニウム又はその合金用洗浄剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルミニウム又はアルミニウム合金用洗浄剤及び洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
主に軽金属圧延メーカーで製造される材料は、圧延時にアルミニウムやアルミニウム合金表面に油やカーボン等の焼き付いた汚れが付着している場合が多い。生産ラインでは、生産性を上げるため150〜250m/秒といった高速なラインスピードでアルミニウムやその合金の表面を洗浄し、洗浄後は表面処理や塗装を連続で行っている。生産ラインにおける洗浄工程は、後の表面処理、塗装工程に適した表面状態を作ることを目的としており、処理時間2〜5秒程度の極めて短時間で、先に述べた汚れを洗浄し、且つ均一な表面を与える必要がある。この極短時間で洗浄するためには、洗浄剤に高いエッチング力をもたせ、且つ表面を均一にエッチングすることが効果的である。従来、アルミニウムやその合金に対するエッチング力を上げるために、洗浄剤のpHアップ、濃度アップ、処理温度アップ、ラインスピードを下げ処理時間を上げるなど、コストアップにつながる対策がとられてきた。従って、各業界にて、コストアップを招来することなく、ごく短い時間で、アルミニウムやその合金に対し高いエッチング力を示す洗浄剤が求められてきた。
【0003】
しかしながら、これまでアルミニウムやその合金に対し2〜5秒程度のごく短い時間で、エッチング量を上げる洗浄剤の開発は行われた例が少ない。エッチング力については、苛性ソーダ、又は苛性カリなどのビルダーをできる限り高濃度にすることにより、すなわち高pHにすることによりエッチング力を上げることは可能であった。しかし、ごく短い時間でのエッチングについては効果が小さい上、生産ラインにおいては、炭酸ガスの吸収により次々とビルダーの補給を行い、高pHを維持する必要があるため、コスト面にて不利であった。従って、ビルダー濃度が比較的低く、すなわち比較的低pH領域でも高いエッチング量を示す洗浄剤の開発が求められてきた。
【0004】
これまで、アルミニウムやその合金に対するエッチング力を上げるために洗浄剤に含有させてきた成分として、ニトリロ三酢酸、1−ヒドロキシ−エチリデン−1,1−ジホスホン酸、ヘプトグルコン酸、グルコン酸、クエン酸、酒石酸等が挙げられる。しかしながら、ごく短い時間におけるエッチング性については効果が弱く、さらにエッチング力を上げる成分が求められてきた。
【0005】
アルミニウムやその合金の洗浄により、アルミニウムイオンが処理液中に溶出する。薬品を建浴した時点ではアルミニウムイオンは含有していないものの、洗浄を行う事によりエッチングにより徐々にアルミニウムイオン濃度は上昇する。従って、アルミニウムイオンが混入した場合とそうでない場合とで、いずれも高いエッチング力を維持する必要がある。同時にアルミニウムの溶解とともにアルミニウムの合金成分である鉄を主成分とした黒色系のスラッジが処理液中に沈殿、若しくは浮遊する。このスラッジは被洗浄物に付着するなど後の表面処理、塗装に悪影響を及ぼすとともに、加温用のヒーター等に付着しメンテナンス性を低下させる。従って、アルミニウムイオンの許容量が高く、発生するスラッジ濃度を低く抑える洗浄剤が求められてきた。
【0006】
なお、アルカリ剤と、エチレン性不飽和有機酸モノマーの重合体と、洗浄用界面活性剤と、キレート剤と、消泡剤とを含有する懸濁状の金属用アルカリ性液体洗浄剤が知られており、エチレン性不飽和有機酸モノマーの重合体として例示として挙げられたものの中にマレイン酸のホモポリマーやコポリマーも含まれており、金属としては冷延鋼板が特に好ましいとしながらもアルミニウム材にも適用し得るとされている(特許文献1:特許請求の範囲、段落0044〜0050)。しかしながら、特許文献1の発明の目的は、「洗浄性、経時後の液安定性に優れ、高濃度のアルカリ成分を含んでいても、溶解度以上の高濃度の洗浄剤有効成分を均一な乳化分散状態で含有し、かつ低コスト化も可能な、常温保管型の金属用アルカリ性液体洗浄剤」を提供することにあり(段落0001)、アルミニウムやアルミニウム合金に対し極短時間で高いエッチング力を示すか、及び/又はアルミニウムイオンの許容量が高く発生するスラッジ濃度を低く抑えることができるかといつた問題については記載も示唆もされていない。また、実施例で用いられているポリマレイン酸及びアクリル酸とマレイン酸とのコポリマーはそれぞれ分子量及びアクリル酸とマレイン酸との比率が本発明の範囲外である(特許文献1の段落0063)。
【0007】
また、非イオン系界面活性剤と、フェノール性水酸基を有する分子量が500以上の有機物質(特に、フェノール類とアルデヒド類との縮合物又は多価アルコールとアルデヒド類との縮合物)と、アルカリ性ビルダーと、水溶性ポリカルボン酸とを含有するアルカリ脱脂洗浄剤が知られており、水溶性ポリカルボン酸として例示されたものの中にマレイン酸−アクリル酸共重合体のナトリウム塩も含まれている(特許文献2:特許請求の範囲、段落0024〜0026)。特許文献2の発明の目的は、このアルカリ脱脂洗浄剤で「鉄、亜鉛、アルミニウム及びそれらの合金などの金属材、あるいはプラスチック、ガラスなどの非金属材の表面」を処理した後の廃水の処理を効率良く行うことであり、具体的には一般的な中和凝集処理(硫酸バンドや塩化鉄等の凝集剤を用いる)ではほとんど除去できない非イオン系界面活性剤を、フェノール性水酸基を有する分子量が500以上の有機物質を共存させることによって、一般的な中和凝集処理で効率よく除去することである(段落0002〜0008)。しかしながら、特許文献2には、アルミニウムやアルミニウム合金に対し極短時間で高いエッチング力を示すか、及び/又はアルミニウムイオンの許容量が高く発生するスラッジ濃度を低く抑えることができるかといつた問題については記載も示唆もされていない。
【0008】
また、アルカリ珪酸塩と、重量平均分子量500〜100,000の水溶性ポリカルボン酸塩と、非イオン系界面活性剤とを含み、リン化合物を含まない脱脂液を、pH、アルカリ珪酸塩濃度、水溶性ポリカルボン酸塩濃度、及び非イオン系界面活性剤濃度を所定範囲に維持しながら、被処理物に接触させて被処理物の脱脂洗浄を行う脱脂洗浄方法が知られており、水溶性ポリカルボン酸塩として例示されたものの中にマレイン酸−アクリル酸共重合体のナトリウム塩も含まれており、被処理物として鉄、亜鉛、アルミニウム及びそれらの合金などの金属材が記載されている(特許文献3:特許請求の範囲、段落0017、段落0001)。特許文献3の発明の目的は、「極めて低起泡性で良好な脱脂洗浄力を示し、しかも、環境に悪影響を及ぼすおそれを有するリン化合物を含有しない脱脂液を用いて金属表面などを脱脂洗浄する方法を提供することである(段落0001)。しかしながら、特許文献3には、アルミニウムやアルミニウム合金に対し極短時間で高いエッチング力を示すか、及び/又はアルミニウムイオンの許容量が高く発生するスラッジ濃度を低く抑えることができるかといつた問題については記載も示唆もされていない。
【0009】
また、「アルカリ剤及び金属イオン封鎖剤を含む強アルカリ洗浄剤に、平均分子量1000〜3000のマレイン酸ホモポリマー又はこれらの重合物の水溶性塩から選ばれる少なくとも1種を配合してなることを特徴とする洗浄機用洗剤組成物。」が知られている(特許文献4:特許請求の範囲)。特許文献4の発明の目的は、「ガラス、陶磁器、プラスチック、銀食器等の表面に付着している種々の汚れを容易に除去することができると共に、クリスタルグラスなどのガラス類の白化、金彩食器のバガレ落ち及び洗浄機へのスケールの付着を防止することができる洗浄機用洗剤組成物」を提供することである(段落0009)。かかる特許文献4には、アルミニウムやアルミニウム合金に対し極短時間で高いエッチング力を示すか、及び/又はアルミニウムイオンの許容量が高く発生するスラッジ濃度を低く抑えることができるかといつた問題については記載も示唆もされていない。
【特許文献1】特開平11−181587号公報
【特許文献2】特許2831564号公報
【特許文献3】特許2778863号公報
【特許文献4】特開2002−363596号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、従来技術の有する前記問題点を解決して、アルミニウムやその合金に対しごく短い時間で高いエッチング力を示し、従来品と比較して比較的低いpH領域でも高いエッチング力を維持し、アルミニウムイオンの許容量が高くかつ発生するスラッジの量を低く抑えることができるアルミニウム又はアルミニウム合金用洗浄剤及び洗浄方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らはこれらの従来技術の抱える問題点を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、アルカリ剤とマレイン酸系ポリマーとヒドロキシカルボン酸及び/又はその塩と洗浄用界面活性剤とを水に配合してなる洗浄剤が上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成した。
【0012】
すなわち、本発明は、
(A)アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩及びアルカリ金属珪酸塩から選ばれる少なくとも1種のアルカリ剤0.1〜400g/Lと、
(B)重量平均分子量が250〜5000であるマレイン酸ホモポリマー、マレイン酸と他のエチレン性モノマーとのコポリマーであってマレイン酸単位を70モル%以上含有し重量平均分子量が250〜10000である該コポリマー、及びかかるホモポリマーもしくはコポリマーのアルカリ金属塩から選ばれる少なくとも1種のマレイン酸系ポリマー0.1〜100g/Lと、
(C)ヒドロキシカルボン酸及びそのアルカリ金属塩から選ばれる少なくとも1種のキレート剤0.1〜100g/Lと、
(D)洗浄用界面活性剤0.1〜50g/Lとを
水に配合してなり、pH9〜14であるアルミニウム又はアルミニウム合金用洗浄剤に関する。
【0013】
本発明はまた、上記洗浄剤を40〜80℃に加熱し、アルミニウム又はアルミニウム合金の表面にスプレー法又は浸漬法によって接液させることを特徴とする該アルミニウム又はアルミニウム合金の洗浄方法に関する。
【発明の効果】
【0014】
本発明のアルミニウム又はアルミニウム合金用洗浄剤及び洗浄方法を用いることにより、アルミニウムやその合金をごく短い時間にエッチングしかつ発生するスラッジの量を低く抑えることができると共に、この洗浄剤は比較的低いpH領域でも高いエッチング力を維持することができかつアルミニウムイオンの許容量が高い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明のアルミニウム又はアルミニウム合金用洗浄剤は、アルカリ剤(A)と、マレイン酸系ポリマー(B)と、ヒドロキシカルボン酸及び/又はその塩(C)と洗浄用界面活性剤(D)とを水に配合した溶液又は分散液である。
【0016】
本発明に用いられるアルカリ剤(A)はアルミニウム又はアルミニウム合金をエッチングする主体成分であり、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩及びアルカリ金属珪酸塩から選ばれる少なくとも1種である。アルカリ剤(A)として具体的には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム等が挙げられる。アルカリ剤(A)は0.1〜400g/L配合することが必要で、1〜100g/L配合することが好ましく、2〜60g/L配合することがより好ましく、5〜50g/L配合することがより一層好ましい。0.1g/L未満であると得られる洗浄剤のエッチング力が不十分になり、400g/Lを超えても得られる洗浄剤のエッチング力の向上は望めない。なお、アルカリ剤(A)は本発明のアルミニウム又はアルミニウム合金用洗浄剤のpHを所定範囲に調整する機能も兼ねている。
【0017】
本発明に用いられるマレイン酸系ポリマー(B)は、アルカリ剤(A)のエッチング力を補強する。
マレイン酸系ポリマー(B)としては、重量平均分子量が250〜5000であるマレイン酸ホモポリマー、マレイン酸と他のエチレン性モノマーとのコポリマーであってマレイン酸単位を70モル%以上含有し重量平均分子量が250〜10000である該コポリマー、及びかかるホモポリマーもしくはコポリマーのアルカリ金属塩(特にナトリウム塩及びカリウム塩)から選ばれる少なくとも1種が用いられる。
【0018】
マレイン酸コポリマーにおける他のエチレン性モノマーとしては、下記の(1)〜(6)に示すようなものを各単独でもしくは2種以上組み合わせて用いることができる。
(1)アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、フマル等、これらのうち2塩基酸のハーフエステル等のエチレン性不飽和カルボン酸モノマー、ビニルスルホン酸、メタリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等のエチレン性不飽和スルホン酸モノマー、
【0019】
(2)N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、N−ブトキシメチルメタクリルアミド等のN−ブトキシメチルアクリルアミド、N−ブトキシメチルメタクリルアミド等のN−非置換もしくは低級アルキル置換メチロール基を有する(メタ)アクリルアミド;(メタ)アクリルアミド;N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−t−オクチル(メタ)アクリルアミド等のN−アルキル(C=1〜8、特にC=1〜4)(メタ)アクリルアミド;N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド等のN,N−ジ低級アルキル(メタ)アクリルアミド;N−ベンジル(メタ)アクリルアミド;N−シクロヘキシル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド系モノマー
【0020】
(3)ホスホニルオキシメチルアクリレート、ホスホニルオキシエチルアクリレート、ホスホニルオキシプロピルアクリレート、ホスホニルオキシメチルメタクリレート、ホスホニルオキシエチルメタクリレート、ホスホニルオキシプロピルメタクリレート等のホスホニルオキシ低級アルキル(メタ)アクリレート
(4)メトキシメチルアクリレート、メトキシエチルアクリレート、エトキシメチルアクリレート、エトキシエチルアクリレート、メトキシメチルメタクリレート、メトキシエチルメタクリレート、エトキシメチルメタクリレート、エトキシエチルメタクリレート、メトキシブチルアクリレート等の低級アルコキシ低級アルキル(メタ)アクリレート;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシ低級アルキル(メタ)アクリレート
【0021】
(5)メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、t−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、オクチルアクリレート等のアルキル(C=1〜8)(メタ)アクリレート、
(6)スチレン、メチルスチレン、酢酸ビニル、アクリロニトリル、α位で分岐した飽和カルボン酸のビニルエステル、塩化ビニル、ビニルトルエン、エチレン等のその他のエチレン性モノマー。
なお上記(1)〜(6)において低級アルキル、低級アルコキシにおける「低級」は炭素数1〜4、特に1〜2であることを示す。
【0022】
マレイン酸コポリマーにおける他のエチレン性モノマーとしては、上記(1)〜(6)において上記(1)中のアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、フマル等、これらのうち2塩基酸のハーフエステル等のエチレン性不飽和カルボン酸モノマーがより好ましく、アクリル酸がもっとも好ましい。
【0023】
マレイン酸コポリマーはマレイン酸単位を70モル%以上含有していることが必要であり、80モル%以上含有していることが好ましく、90モル%以上含有していることがより好ましい。マレイン酸コポリマーにおけるマレイン酸単位の割合が70モル%以上である場合には、得られる洗浄剤中のアルカリ剤のエッチング力が十分に補強され、該洗浄剤はごく短時間で十分なエッチングを行うことができる。
【0024】
マレイン酸系ポリマー(B)におけるマレイン酸ホモポリマーの重量平均分子量は250〜5000であることが必要であり、500〜4000であることが好ましく、500〜3000であることがより好ましい。該重量平均分子量が250〜5000である場合には、得られる洗浄剤中のアルカリ剤のエッチング力が十分に補強され、該洗浄剤はごく短時間で十分なエッチングを行うことができる。また、マレイン酸系ポリマー(B)におけるマレイン酸コポリマーの重量平均分子量は250〜10000であることが必要であり、500〜8000であることが好ましく、1000〜5000であることがより好ましい。該重量平均分子量が250〜10000である場合には、得られる洗浄剤中のアルカリ剤のエッチング力が十分に補強され、該洗浄剤はごく短時間で十分なエッチングを行うことができる。
【0025】
マレイン酸系ポリマー(B)は本発明の洗浄剤中の濃度が0.1〜100g/Lになるように配合することが必要で、0.5〜20g/Lになるように配合することが好ましく、1〜10g/Lになるように配合することがより好ましい。該濃度が0.1g/L未満である場合には、得られる洗浄剤中のアルカリ剤のエッチング力を補強することができず、該洗浄剤は短時間で十分なエッチングを行うことができなくなり、400g/Lを超えても、アルカリ剤のエッチング力を補強する効果は向上せず、コスト高になる。
【0026】
本発明に用いられるキレート剤(C)はアルミニウムやアルミニウム合金表面の洗浄性を向上させると共に、溶出する鉄イオンを中心としたスラッジの発生を抑制する。
キレート剤(C)としてはヒドロキシカルボン酸及びそのアルカリ金属塩から選ばれる少なくとも1種が用いられる。該ヒドロキシカルボン酸としては酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、グリコール酸、グルコン酸及びヘプトグルコン酸から選ばれる少なくとも1種を用いるのが好ましい。そのアルカリ金属塩としてはナトリウム塩、カリウム塩等が挙げられる。
【0027】
キレート剤(C)は本発明の洗浄剤中の濃度が0.1〜100g/Lになるように配合することが必要で、0.2〜50g/Lになるように配合することが好ましく、0.5〜20g/Lになるように配合することがより好ましい。該濃度が0.1g/L未満であるとスラッジ発生量が多くなり、100g/Lを超えてもスラッジ発生の抑制効果は向上せずコスト高になる。
【0028】
本発明に用いられる洗浄用界面活性剤(D)は、アルミニウムやアルミニウム合金表面の洗浄中に混入してくる油等を乳化することにより該表面の洗浄性を高める機能を有する。
洗浄用界面活性剤(D)としては特に制限されず、アルミニウムやアルミニウム合金を初めとする金属材料の表面の洗浄に用いられるノニオン性、アニオン性、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤を各単独でもしくは2種以上組み合わせて用いることができるが、ノニオン性界面活性剤が好ましい。
【0029】
すなわち、本発明において用いられる洗浄用界面活性剤(D)としては、HLB8以上18以下のノニオン性界面活性剤をまず挙げることができる。該ノニオン性界面活性剤は洗浄性向上剤として非常に有用であり、浸透性、乳化性、分散性及び起泡性を有するものである。また、アニオン性界面活性剤も洗浄性向上剤として使用できるが、比較的高発泡性であること、水中の硬度成分となるカルシウムイオン、マグネシウムイオンにより不溶性の塩を作る場合があり、洗浄後の水洗において除去され難いこと等の欠点があるので、アニオン性界面活性剤の単独使用よりもノニオン性界面活性剤の単独使用もしくはノニオン性界面活性剤とアニオン性界面活性剤の併用にて使用することが好ましい。すなわち、併用の場合、全体の少なくとも80質量%がノニオン性界面活性剤であることが好ましい。
また洗浄用界面活性剤(D)としてはカチオン性界面活性剤や両性界面活性剤も、必要に応じ、各単独でもしくは上記界面活性剤と併用して用いることができる。
【0030】
本発明で洗浄性向上剤として使用できるノニオン性界面活性剤の例を下記(a)に、アニオン性界面活性剤の例を下記(b)に、カチオン性界面活性剤の例を下記(c)に、両性界面活性剤の例を下記(d)に示すが、本発明においては特にこれらに限定される訳ではない。
(a)ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(アルキルは通常C6〜C16)、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル(アルキルは通常C6〜C16)、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル(アルキルは通常C6〜C16、アリールは通常フェニル)、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルアリールエーテル(アルキルは通常C6〜C16、アリールは通常フェニル)、ポリオキシエチレンアルキルアミノエーテル(アルキルは通常C6〜C16)、ポリオキシエチレンソルビタン高級脂肪酸エステル(通常モノエステル)(高級脂肪酸は通常C12〜C18の飽和もしくは不飽和一価脂肪酸)、ポリオキシエチレン高級脂肪酸エステル(モノもしくはジエステル)(高級脂肪酸は通常C12〜C18の飽和もしくは不飽和一価脂肪酸)、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体等が挙げられる。洗浄用として特に有効である具体例としては、ポリオキシエチレンヘキシルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルエーテル、ポリオキシエチレンデシルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンデシルフェニルエーテル、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンノニルフェニルエーテル等が挙げられる。上記ノニオン性界面活性剤は単独もしくは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0031】
(b)洗浄性向上剤としてのアニオン性界面活性剤としては、高級脂肪酸塩(高級脂肪酸は通常C12〜18の飽和もしくは不飽和一価脂肪酸)、アルキル硫酸エステル塩(アルキルは通常C12〜18のアルキル)、アルキルベンゼンスルホン酸塩(アルキルは通常C11〜15のアルキル)、アルキルナフタレンスルホン酸塩(アルキルは通常C4程度のアルキル)、ジアルキルスルホコハク酸エステル塩(2つのアルキルの合計炭素数が通常10〜20)、アルキルリン酸エステル塩(アルキルは通常C12〜18のアルキル)、ホルマリン縮合ナフタレンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩(アルキルは通常C8またはC9のアルキル)、ポリオキシエチレンアルキルフェニル硫酸エステル塩(アルキルは通常C8またはC9のアルキル)等が挙げられる。上記アニオン性界面活性剤の塩は通常アルカリ金属塩であり、この中ではナトリウム塩又はカリウム塩を用いるのが好ましい。上記アニオン性界面活性剤は単独もしくは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0032】
(c)洗浄性向上剤として必要に応じて配合されるカチオン性界面活性剤としては、アルキルアミンアセテート、アルキルアミン塩酸塩、第4級アンモニウム塩等が挙げられる。また、(d)両性界面活性剤としては、アルキルジメチルアミンオキサイド、アルキルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリウムベタイン、アルキルアミノカルボン酸塩等が挙げられる。上記カチオン性界面活性剤および両性界面活性剤は単独もしくは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0033】
洗浄用界面活性剤(D)は本発明の洗浄剤中の濃度が0.1〜50g/Lになるように配合することが必要で、0.1〜30g/Lになるように配合することが好ましく、0.1〜5g/Lになるように配合することがより好ましい。該濃度が0.1g/L未満であると混入してくる油等を十分に乳化することができない場合があり、50g/Lを超えても乳化作用の向上は望めずコスト高となる。
【0034】
本発明のアルミニウム又はアルミニウム合金用洗浄剤には、洗浄過程での発泡を抑える目的で(E)消泡剤を配合することができる。
消泡剤(E)としては、通常消泡剤として使用される消泡用界面活性剤が用いられ、例えばソルビタン高級脂肪酸モノエステル(高級脂肪酸は通常C12〜C18の飽和もしくは不飽和一価脂肪酸)、ソルビタン高級脂肪酸トリエステル(高級脂肪酸は通常C12〜C18の飽和もしくは不飽和一価脂肪酸)、ノニルフェノールのエチレンオキサイド低モル付加物、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体であってエチレンオキサイド付加量の低いもの、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン多価アルコールエーテルであってエチレンオキサイド付加量の低いものなど、水溶性が低く、水中で白濁分散あるいは分離するものが挙げられる。上記ノニオン性界面活性剤は単独もしくは2種以上組み合わせて用いることができる。上記消泡用界面活性剤は単独もしくは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0035】
消泡剤(E)は本発明の洗浄剤中の濃度が0.1〜25g/Lになるように配合することが好ましく、0.1〜15g/Lになるように配合することがより好ましい。該濃度が0.1〜25g/Lであると洗浄過程での発泡を実用上許容し得る程度に抑えることができる。
【0036】
本発明の洗浄剤は9〜14のpHを有することが必要であり、11〜14のpHを有するのが好ましく、12〜14のpHを有するのがより好ましい。pH9未満の場合、洗浄剤のエッチング力が不十分となる。
【0037】
本発明の洗浄剤はアルカリ剤(A)、マレイン酸系ポリマー(B)及びキレート剤(C)を混合し、ついで洗浄用界面活性剤(D)及び用いる場合の消泡剤(E)を混合することによって製造することが望ましい。洗浄用界面活性剤(D)や消泡剤(E)を先に入れると沈殿を生ずる可能性がある。
【0038】
本発明の洗浄剤は、アルミニウム又はアルミニウム合金の表面に付着した動植物油、グリース、鉱物油、圧延油、切削油、プレス油、伸線剤等の油性物質の汚れ、及び圧延や成形時に素材表面に焼き付いたカーボン等、鋳物の場合における固着した離型剤などをエッチングしながら洗浄除去するのに用いることができる。このエッチング及び洗浄は浸漬洗浄、スプレー洗浄などの方法で行うことができ、この際の処理液の温度は40℃以上であることが必要であり、40〜80℃程度であることが通常好ましい。40℃未満では短時間で十分なエッチングを行うことができなくなる。本発明の洗浄剤による処理時間は、対象とする素材によって大幅に異なり一概に論じられないが、アルミニウム又はアルミニウム合金の圧延材を表面処理するのに先立って洗浄するのに用いる場合には、1秒以上であることが好ましく、1.5秒以上であることがより好ましい。かかる場合に、処理時間の上限については特に制限はないが、実際的には生産ライン上の制約を受け、本発明の洗浄剤は10秒以内で、通常5秒以内、例えば実施例に示されるように3秒で十分なエッチング及び洗浄を達成し得るという大いなる利点を有する。本発明の洗浄剤を鋳物の場合における固着した離型剤などをエッチングしながら洗浄除去するのに用いるような場合には、より長い、例えば1〜10分の処理時間を採用することができる。
【0039】
アルミニウム合金としては特に制限はないが、アルミニウムと銅、マグネシウム、亜鉛、ケイ素等から選ばれた少なくとも1種の元素との合金であってアルミニウム含量が50質量%以上、特に90質量%以上のものであるのが好ましい。具体的にはJIS規格における1000系、2000系、4000系、5000系、6000系、7000系、AC1〜8(A〜C)、ADC1〜12等のアルミニウム合金を用いることができる。
【実施例】
【0040】
以下に幾つかの実施例と比較例とを挙げ、本発明の効果をさらに具体的に説明するが、本発明はかかる実施例に限定されるものではない。
(1)試験材:JIS1000系アルミニウム合金板。50×70mm、厚さ0.1mm
(2)試験条件:各洗浄工程については各実施例とも以下の[1]の工程に従った。
工程[1] a) 洗浄 → b) 水洗 → c) 乾燥
a)条件:1Lビーカー使用し,液量を1Lとした。長さ25mmの撹拌子で300rpmに固定。テストピースをビーカの中央部に浸漬した。
b)条件:a)処理直後、直ちに水道水(温度室温)に2〜3秒浸漬し、その後20〜30秒水道水にて流水した。
c)条件:ドライヤー、またはエアーにより風乾した。
【0041】
(3)試験方法及び評価
脱スマット性 −工程[1]のc)乾燥後、外観を目視にて評価。
<評価内訳>
○:残存スマットなし ×:残存スマットあり
スラッジ発生量−各処理液に、JIS1000系アルミニウム合金板を10g/L溶かし、処理液中のスラッジをろ過し、スラッジの乾燥質量を測定し、処理液1Lあたりに換算した。
<評価内訳>
○:40mg/L未満 △:40mg/L以上50mg/L未満 ×:50mg/L以上
【0042】
乳化分散性 −洗浄液に1L当たり400mgになる量で防錆油NOXRUST−550HN(パーカー興産(株)製)を投入しホモジナイザーを用いて撹拌。液を1時間静置し、静置前後における下層のTOC(全有機炭素量)を測定した。
<評価内訳>
静置前に対する静置後のTOCの変動量が
○:5%未満 △:5%以上10%未満 ×:10%以上
水濡れ性 −工程[1]のb)処理後、テストピースを室温で、20秒放置し、表面の水濡れ面積%を目視にて判定。
<評価内訳>
水濡れ面積
○:80%以上 △:80%未満60%以上 ×:60%未満
【0043】
エッチング量 −工程[1]処理前後のテストピースの質量差を測定し、単位面積あたりの質量mg/mを計算した。
<評価内訳>
エッチング量
◎:200mg/m以上 ○:100mg/m以上200mg/m未満
△:50mg/m以上100mg/m未満 ×:50mg/m未満
発泡性 −脱脂液を1Lのビーカーに700mL作製し、65℃に維持しながらホモジナイザーで7000rpm、5分間撹拌後、泡の高さを測定した。脱脂液の温度は実使用の65℃で比較し、泡高さの測定は撹拌終了10分後に行った。同作業を3回行い、3回の平均値を結果とした。
<評価内訳>
泡高さ
○:20mm以下 △:20mmを超え30mm以下 ×:30mm超え
【0044】
(4)使用薬剤
(A)アルカリ剤:
A−1:水酸化ナトリウム
A−2:炭酸ナトリウム
A−3:オルソ珪酸ソーダ
(B)マレイン酸系ポリマー
B−2〜4はアクリル酸・マレイン酸コポリマーナトリウム塩。アクリル酸をAA、マレイン酸をMAとし、共重合モル比をMA/AAで表す。
B−1:ポリマレイン酸、重量平均分子量500〜2,000
B−2:重量平均分子量1,000 MA/AA=7/3
B−3:重量平均分子量5,000 MA/AA=7/3
B−4:重量平均分子量70,000 MA/AA=3/7
【0045】
(C)キレート剤
C−1:ニトリロ三酢酸三ナトリウム・1水和物(NTA)
C−2:1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸
C−3:d−酒石酸
C−4:クエン酸ナトリウム
C−5:グルコン酸ナトリウム
C−6:ヘプトグルコン酸ナトリウム
(D)洗浄用界面活性剤
D−1:ポリオキシエチレンアルキルエーテル
(アルキル基の炭素数=10、エチレンオキサイド付加モル数=8)
(E)消泡剤
E−1:ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンモノ多価アルコールエーテル
(pH=7.1(2.5%水溶液)、水酸基価=43.2mgKOH/g、
曇点=22.7℃)
【0046】
(5)処理液調製方法
水に各実施例、各比較例毎の濃度分のマレイン酸系ポリマー及びキレート剤を入れ、撹拌し分散した。目標のpHに合うようアルカリ剤を入れた。その後、界面活性剤、消泡剤を入れ再度pHを確認した。
【0047】
表1にエッチング量を評価した実施例、比較例についてまとめた。比較例1のマレイン酸系ポリマー不使用及び比較例2の本発明で規定する範囲を外れるマレイン酸系ポリマーB−4の使用の場合と比較し、実施例1〜14のマレイン酸系ポリマーB−1〜3使用の試験結果では、マレイン酸系ポリマーB−1〜3を含有させることにより3秒という短時間でエッチング量が増加することが認められた。更に比較例4、5では、従来エッチング力を上げるために用いられていた成分との比較であるが、比較例1と比較するとエッチング量アップの傾向は認められるものの、実施例1〜14に示されるマレイン酸系ポリマー類と比較すると劣っている。実施例1〜4では、同一pHにおいてマレイン酸系ポリマーの濃度を上げることによりエッチング量が高くなる傾向を示している。実施例2に対し実施例9では、pHを下げた場合のエッチング量を評価したが、pHを下げてもエッチング量は高く維持される傾向が認められた。実施例11,12では同様にpHを下げた状態でビルダーを変更、及び混合した場合の評価を行ったが、エッチング量は同様に高い傾向が認められた。実施例2に対し実施例10では、pHを限界近くまで上げた場合のエッチング量を評価したが、エッチング量はさらに上昇した。さらに比較例9、比較例10及び実施例13では界面活性剤及び/又は消泡剤を省いた場合のエッチング量について評価を行ったが同様に高い傾向が認められた。実施例9に対し実施例14では界面活性剤の量を増やしたが、エッチング量に変化はなかった。尚、比較例1に対し、いずれの実施例、比較例も水濡れ性、脱スマット性に優れる傾向が認められた。
【0048】
【表1】

【0049】
表2にスラッジ発生量について評価した比較例、実施例を示す。比較例11に対し、比較例12は、マレイン酸系ポリマーを含有していてもスラッジ発生量が多い傾向を示している。これに対し、実施例15〜20はキレート剤を入れる事によりスラッジ量が低下する傾向を示している。実施例19及び20並びに比較例13ではAl濃度を上げた場合でのスラッジ発生量を比較したが、Al濃度10g/Lではスラッジ発生量の増加は見られなかった。また、比較例13及び実施例20は洗浄用界面活性剤、消泡剤の有無でのスラッジの発生量を評価したが、スラッジ発生量に影響は見られなかった。
【0050】
【表2】

【0051】
表3に乳化分散性と発泡性について評価した比較例、実施例を示す。比較例14と実施例21及び22とで界面活性剤の有無での乳化分散性を比較した。界面活性剤が含有することで乳化分散性が向上する傾向が認められた。比較例14及び実施例22と実施例21とで消泡剤の有無での発泡性を比較した。消泡剤を含有することで発泡性が低下する傾向が認められた。
【0052】
【表3】

【0053】
表4にpHと温度を変動させた場合におけるエッチング量の変化を検討した結果示す。温度については35℃では、エッチング量が低下する傾向が認められた。またpHを下げた場合ではpH8.0においてエッチング量が低下する傾向があり、pH6.5ではさらにエッチング量は低下した。尚、いずれの比較例、実施例も脱スマット性、水濡れ性については問題ない。
【0054】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩及びアルカリ金属ケイ酸塩から選ばれる少なくとも1種のアルカリ剤0.1〜400g/Lと、
(B)重量平均分子量が250〜5000であるマレイン酸ホモポリマー、マレイン酸と他のエチレン性モノマーとのコポリマーであってマレイン酸単位を70モル%以上含有し重量平均分子量が250〜10000である該コポリマー、及びかかるホモポリマーもしくはコポリマーのアルカリ金属塩から選ばれる少なくとも1種のマレイン酸系ポリマー0.1〜100g/Lと、
(C)ヒドロキシカルボン酸及びそのアルカリ金属塩から選ばれる少なくとも1種のキレート剤0.1〜100g/Lと、
(D)洗浄用界面活性剤0.1〜50g/Lとを
水に配合してなり、pH9〜14であるアルミニウム又はアルミニウム合金用洗浄剤。
【請求項2】
(E)消泡剤0.1〜100g/Lをさらに配合してなる請求項1記載の洗浄剤。
【請求項3】
他のエチレン性モノマーがエチレン性不飽和カルボン酸モノマーである請求項1又は2記載の洗浄剤。
【請求項4】
他のエチレン性モノマーがアクリル酸である請求項1又は2記載の洗浄剤。
【請求項5】
該コポリマーがマレイン酸単位を80モル%以上含有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の洗浄剤。
【請求項6】
該ホモポリマーの重量平均分子量が500〜4000であり、該コポリマーの重量平均分子量が500〜8000である請求項1〜5のいずれか1項に記載の洗浄剤。
【請求項7】
キレート剤が酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、グリコール酸、グルコン酸及びヘプトグルコン酸並びにそれらのアルカリ金属塩から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜6のいずれか1項に記載の洗浄剤。
【請求項8】
pHが11〜14である請求項1〜7のいずれか1項に記載の洗浄剤。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の洗浄剤を40〜80℃に加熱し、アルミニウム又はアルミニウム合金の表面にスプレー法又は浸漬法によって接液させることを特徴とする該アルミニウム又はアルミニウム合金の洗浄方法。


【公開番号】特開2006−2229(P2006−2229A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−181489(P2004−181489)
【出願日】平成16年6月18日(2004.6.18)
【出願人】(000229597)日本パーカライジング株式会社 (198)
【Fターム(参考)】