説明

インターホンシステム

【課題】 インターホン子機から呼出操作が成されてもインターホン親機の操作で電気錠を解錠できない解錠ボタンロック機能を備えたインターホンシステムを提供する。
【解決手段】 インターホン親機2に、呼出ボタン16が操作されても解錠ボタン23による解錠制御を禁止するチャイルドロックボタン24を設けた。このチャイルドロック状態では、更に呼出音の鳴動を停止させると共に、モニタ32の出画動作も停止させ、帰宅者によりインターホン子機1からID情報が入力されたら、親機CPU22はチャイルドロックを解除させると共に電気錠3の解錠制御を実施する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はインターホンシステムに関し、詳しくは電気錠が接続されたインターホンシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
玄関扉に組み付けた電気錠をインターホンに接続して、インターホン機器の操作で電気錠を解錠可能としたシステムがある。具体的に、室内に設置されたインターホン親機に解錠ボタンが設けられ、玄関に設置されたインターホン子機の呼出ボタンを来訪者が押すとインターホン親機から呼出音が鳴動し、この呼出音を聞いた居住者が解錠ボタンを操作すれば電気錠が解錠される。また、通話操作すれば来訪者と居住者との間で通話が実施できる(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2000−165853号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このようなインターホンシステムでは、呼出操作が成された状態で上述したようにインターホン親機の操作で電気錠の解錠ができ便利であった。ところが、親が外出して家に子供しかいない状態でも、来訪者の呼出ボタン操作を受けて子供が解錠ボタンを操作したならば、電気錠は解錠してしまったので、セキュリティーの向上が望まれていた。
そこで、本発明はこのような問題点に鑑み、インターホン子機から呼出操作が成されてもインターホン親機の操作で電気錠を解錠できない解錠ボタンロック機能を備えたインターホンシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決する為に、請求項1に記載の発明は、居住者を呼び出すためのインターホン子機と、呼び出しに応答するためのインターホン親機とを有し、インターホン親機にはインターホン子機から呼び出しを受けた呼出状態、及びその後の通話状態のときに玄関扉に設置されている電気錠を解錠する解錠ボタンが設けられて成るインターホンシステムにおいて、インターホン親機に、所定の操作により解錠ボタンによる制御を不能とする制御規制手段を設けたことを特徴とする。
この構成によれば、制御規制手段をオン操作すれば解錠ボタンがロックされて解錠ボタンを操作しても電気錠を解錠できない。よって、子供のみの時に来訪者があった場合に、解錠できないチャイルドロックとして使用でき、セキュリティ性を向上できる。
【0005】
請求項2の発明は、請求項1に記載の発明において、インターホン子機或いはその近傍に設置され、来訪者や帰宅者がID情報を入力するID情報入力手段と、操作者を認証するためのID情報を記憶するID情報記憶手段と、入力されたID情報により来訪者や帰宅者を認証するID情報認証手段とを有し、ID情報認証手段は、操作者を認証したら制御規制手段の操作による解錠ボタン不能状態を解除することを特徴とする。
この構成によれば、玄関においてID情報を入力することで解錠ボタンは能動となる。よって、帰宅した居住者は、子供を呼び出して電気錠を解錠してもらうことができる。
【0006】
請求項3の発明は、請求項1に記載の発明において、制御規制手段が能動状態の時にインターホン子機から呼出操作が成されたら、インターホン子機では呼出確認音を報知するが、インターホン親機から呼出報知を実施しない呼出制御手段を有することを特徴とする。
この構成によれば、チャイルドロック状態では呼出音すらインターホン親機では鳴動しないので、子供が慌てることもない。
【0007】
請求項4の発明は、請求項3に記載の発明において、インターホン子機或いはその近傍に設置され、来訪者や帰宅者がID情報を入力するID情報入力手段と、操作者を認証するためのID情報を記憶するID情報記憶手段と、入力されたID情報により来訪者や帰宅者を認証するID情報認証手段とを有し、ID情報認証手段は、操作者を認証したら制御規制手段の能動状態を解除し、インターホン子機の呼出操作によりインターホン親機は呼出報知を実施することを特徴とする。
この構成によれば、玄関においてID情報を入力することで、チャイルドロックが解除されるので、呼出ボタンを押して子供に解錠してもらうことができる。
【0008】
請求項5の発明は、請求項1に記載の発明において、インターホン子機或いはその近傍に設置され、来訪者や帰宅者がID情報を入力するID情報入力手段と、操作者を認証するためのID情報を記憶するID情報記憶手段と、入力されたID情報により来訪者や帰宅者を認証するID情報認証手段とを有し、ID情報認証手段は、操作者を認証したら電気錠の解錠信号を出力し、制御規制手段が能動状態にある場合はそれを解除すると共に電気錠を解錠することを特徴とする。
この構成によれば、玄関においてID情報を入力することで、チャイルドロックが解除されると共に電気錠も解錠できるので、チャイルドロック状態にあっても、帰宅時の操作は簡単となる。
【0009】
請求項6の発明は、請求項1乃至5の何れかに記載の発明において、インターホン子機はカメラを備えると共に、インターホン親機はカメラの撮像映像を出画するモニタを備えている場合は、制御規制手段が能動状態の時に、インターホン子機から呼出操作が成されてもモニタを起動させないモニタ制御手段を有することを特徴とする。
この構成によれば、チャイルドロック状態ではモニタも起動しないので、インターホン親機が突然映像を出画するようなことが無くなり、子供にが不安を抱くような事がない。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、制御規制手段をオン操作すれば解錠ボタンがロックされて解錠ボタンを操作しても電気錠を解錠できない。よって、子供のみが在宅の時に来訪者があった場合に、解錠できないチャイルドロックとして使用でき、セキュリティ性を向上できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を具体化した実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明に係るインターホンシステムの一例を示すブロック図である。図1において、1は玄関等に設置されて来訪者が居住者を呼び出すためのインターホン子機(以下、単に子機と称する)。2は住戸内に設置されて呼び出しに応答するためのインターホン親機(以下、単に親機と称する)、3は玄関扉に設置された電気錠である。
【0012】
子機1は、来訪者を撮像するためのカメラ11、撮像した映像信号を変調する変調部12と、親機2と通話するためのマイク13及びスピーカ14が接続された音響部15、居住者を呼び出す為の呼出ボタン16、ID入力部17と、伝送線L1を介して親機2に接続するための子機インターフェース(子機IF)18で構成されている。
【0013】
親機2は、子機1を接続すると共に電気錠3を伝送線L2を介して接続するための親機インターフェース(親機IF)21、親機2を制御するCPU(以下、親機CPUとする)22、電気錠3を解錠操作する解錠ボタン23、解錠ボタン23の操作を無効とする制御規制手段としてのチャイルドロックボタン24、帰宅者を認識するためのIDデータが記憶されるIDデータ記憶部25、ID入力部17から入力されたIDデータとIDデータ記憶部25のIDデータを照合するID照合部26、子機1と通話するためのマイク27及びスピーカ28が接続された音響部29、来訪者と通話するための通話ボタン30、変調された映像信号を復調する復調部31、復調された映像信号を出画するモニタ32を備えている。尚、通話ボタン30は通話中は終話ボタンの機能を有し、終話ボタンを兼ねている。
【0014】
このように構成されたインターホンシステムの動作を以下説明する。図2は来訪者の呼出操作があった場合のシステム動作のフローを示し、この図に基づいて説明する。尚、チャイルドロックボタンが押された状態を制御規制状態、チャイルドロックされていない状態を通常状態として説明する。
来訪者が子機1の呼出ボタンを押す(S1)と、カメラ11が撮像を開始(S2)し、撮像された映像信号が、変調部12で変調されて子機IF18、伝送線L1を介して親機2へ送られる。親機2は親機IF21を介して伝送された映像信号を復調部31で復調し、通常状態では親機CPU22の制御によりモニタ32に出画(S4)される。また、呼出音がスピーカ28から報音(S5)されると共に、子機1では呼出確認音が報音される。但し、制御規制状態(S3)にある場合は、子機1から呼出確認音が報音されるが、親機CPU22はモニタ32で出画する制御を行われないし、スピーカ28から呼出音を鳴動する制御も行わない。
【0015】
その後、最初の処理A(S6)に進む。呼出音が鳴動した通常状態で居住者により解錠ボタン23が押された(S101)ら、親機CPU22の制御により電気錠3の解錠処理(S103)がなされる。また、通話ボタン30が押された(S104)ら子機1との間で通話路が形成され、来訪者と通話が可能となる。こうして、居住者はモニタ32に出画された来訪者映像を見ながら来訪者の呼び出しに応答する(S7)ことができる。一方、制御規制状態の場合(S102)は、解錠ボタン23が押されても解錠処理は行わないが、通話ボタン30の操作(S104)により来訪者と通話を実施(S7)できる。
【0016】
そして、この通話中或いは通話可能状態では2番目の処理A(S8)に進み、解錠ボタン23が操作された場合、通常状態では呼出時と同様に解錠処理を行う(S103)が、制御規制状態にある場合(S102)は解錠処理を行わない。その後、通話ボタン30が押された(S104)ら、親機CPU22は終話ボタンが押されたと判断(S9)して、通常状態、制御規制状態の如何に関わらず終話制御して子機1との通話路を遮断する。その結果、モニタ32の出画が終了(S10)すると共にカメラ11を停止させ、待受状態に移行(S11)する。
【0017】
このように、制御規制手段としてのチャイルドロックボタンを設け、オン操作すれば解錠ボタンがロックされて解錠ボタンを操作しても電気錠を解錠できなくなる。よって、子供のみの時に来訪者があった場合に解錠できないよう設定でき、セキュリティ性を向上できる。
また、チャイルドロック状態では、親機において呼出音も鳴動しないしモニタも起動しないので、子供が慌てたり不安を抱くようなこともない。
【0018】
尚、上記実施形態では、制御規制状態の時にモニタ32も動作させない構成となっているが、モニタ32を動作させて来訪者映像を出画させても良い。更に、モニタ32を動作させる場合は呼出音を鳴動させても良い。また、制御規制状態では親機2と子機1の間で通話が可能な構成となっているが、通話も規制して親機2全体の動作を停止させても良い。
【0019】
次に、外出した居住者が帰宅した場合を説明する。インターホンシステムが制御規制状態にある場合、帰宅者は先ずID入力部17からID情報を入力する。このID入力部17は例えば指紋情報入力部から成り、指を所定部に押し当てることで指紋情報が入力される。尚、このID入力はID照合部26が音声認識を実施する場合は音声入力部となるし、顔識別を実施する場合は顔を撮像するカメラとなる。また、単に暗証番号を入力する構成であっても良い。
この、ID情報の入力により、親機2のID照合部26で登録されているID情報(指紋情報)と比較され、同一の情報があったら(指紋が一致したら)、認証信号が親機2に出力され、親機CPU22は制御規制状態を解除する。即ちチャイルドロックを解除する。また同時に親機CPU22は電気錠3の解錠制御を行う。こうして、帰宅者はID情報の入力により、解錠された玄関扉を開けて住戸内に入ることができる。
【0020】
このように、玄関において登録されたID情報を入力することでチャイルドロックが解除され、更に電気錠も解錠される。よって、チャイルドロック状態にあっても、帰宅時の操作は簡単である。
【0021】
尚、ここでは、入力されたID情報を認証したら、チャイルドロックを解除して更に電気錠3も解錠するよう設定しているが、チャイルドロックを解除するだけでも良い。この場合、子機1を操作して子供を呼び出して解除すればよいし、帰宅者自身が解除しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係るインターホンシステムの実施形態の一例を示すブロック図である。
【図2】呼出動作の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0023】
1・・インターホン子機、2・・インターホン親機、3・・電気錠、17・・ID入力部(ID情報入力手段)、22・・親機CPU(モニタ制御手段、呼出制御手段)、23・・解錠ボタン、24・・チャイルドロックボタン(制御規制手段)、25・・IDデータ記憶部(ID情報記憶手段)、26・・ID照合部(ID情報認証手段)、30・・通話ボタン、32・・モニタ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
居住者を呼び出すためのインターホン子機と、呼び出しに応答するためのインターホン親機とを有し、前記インターホン親機には前記インターホン子機から呼び出しを受けた呼出状態、及びその後の通話状態のときに玄関扉に設置されている電気錠を解錠する解錠ボタンが設けられて成るインターホンシステムにおいて、
前記インターホン親機に、所定の操作により前記解錠ボタンによる制御を不能とする制御規制手段を設けたことを特徴とするインターホンシステム。
【請求項2】
前記インターホン子機或いはその近傍に設置され、来訪者や帰宅者がID情報を入力するID情報入力手段と、
操作者を認証するためのID情報を記憶するID情報記憶手段と、
入力されたID情報により来訪者や帰宅者を認証するID情報認証手段とを有し、
前記ID情報認証手段は、操作者を認証したら前記制御規制手段の操作による前記解錠ボタン不能状態を解除することを特徴とする請求項1記載のインターホンシステム。
【請求項3】
前記制御規制手段が能動状態の時に前記インターホン子機から呼出操作が成されたら、前記インターホン子機では呼出確認音を報知するが、前記インターホン親機から呼出報知を実施しない呼出制御手段を有することを特徴とする請求項1又は2記載のインターホンシステム。
【請求項4】
前記インターホン子機或いはその近傍に設置され、来訪者や帰宅者がID情報を入力するID情報入力手段と、
操作者を認証するためのID情報を記憶するID情報記憶手段と、
入力されたID情報により来訪者や帰宅者を認証するID情報認証手段とを有し、
前記ID情報認証手段は、操作者を認証したら前記制御規制手段の能動状態を解除し、インターホン子機の呼出操作により前記インターホン親機は呼出報知を実施することを特徴とする請求項3記載のインターホンシステム。
【請求項5】
前記インターホン子機或いはその近傍に設置され、来訪者や帰宅者がID情報を入力するID情報入力手段と、
操作者を認証するためのID情報を記憶するID情報記憶手段と、
入力されたID情報により来訪者や帰宅者を認証するID情報認証手段とを有し、
前記ID情報認証手段は、操作者を認証したら前記電気錠の解錠信号を出力し、前記制御規制手段が能動状態にある場合はそれを解除すると共に前記電気錠を解錠することを特徴とする請求項1記載のインターホンシステム。
【請求項6】
前記インターホン子機はカメラを備えると共に、前記インターホン親機は前記カメラの撮像映像を出画するモニタを備えている場合は、前記制御規制手段が能動状態の時に、前記インターホン子機から呼出操作が成されても前記モニタを起動させないモニタ制御手段を有することを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載のインターホンシステム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2008−211501(P2008−211501A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−45942(P2007−45942)
【出願日】平成19年2月26日(2007.2.26)
【出願人】(000100908)アイホン株式会社 (777)
【Fターム(参考)】