説明

インターポーザ接合方法

【課題】インターポーザとベース回路シートとを物理的、電気的に確実性高く接合し得るインターポーザ接合方法を提供すること。
【解決手段】インターポーザ接合方法は、ベース回路シート20の表面のうちベース側端子22の表面に電気絶縁性接着剤よりなる接着剤配設層25を設ける接着剤塗付工程と、ベース回路シート20の表面にインターポーザ10を配置するインターポーザ配置工程と、ベース回路シート20とインターポーザ10とを加圧する加圧接合工程と、を含む方法である。インターポーザ10を接合する前のベース回路シート20のベース側端子22には、バンプ電極26が収容された凹状の窪み部220が形成されており、加圧接合工程は、窪み部220を底側から押し上げるように変形させることにより窪み部220に収容されたバンプ電極26を押し上げてインターポーザ側端子12に押し当てる工程である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品としてのインターポーザをベース回路シートに接合する接合方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子部品としてのインターポーザをベース回路シートに接合するためのインターポーザ接合方法として、例えば、ベース回路シートの接続端子の表面に塗付した絶縁性接着剤によりインターポーザの接続端子を接着する方法が知られている。例えば、絶縁性接着剤の塗布領域と未塗布領域とが形成されたベース回路シートの接続端子に対して、インターポーザの接続端子を接着する接合方法がある。このインターポーザ接合方法では、絶縁性接着剤を介して当接する部分における接続端子相互の物理的な接合と、絶縁性接着剤を介在せずに当接する部分における接続端子相互の電気的な接合とを同時に実現しようとしている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
しかしながら、上記従来のインターポーザ接合方法には、次のような問題がある。すなわち、上記のインターポーザ接合方法では、絶縁性接着剤の塗付パターンや、その塗付量によっては、接続端子相互の物理的な接合と電気的な接合とを両立できなくなるおそれがある。接続端子の表面のうち絶縁性接着剤の塗布領域の割合が増えると、物理的な接合が十分になるものの電気的な接合が不十分になるおそれがある。一方、絶縁性接着剤の未塗布領域の割合が増えると、物理的な接合が不十分となり、それに起因して電気的な接合の信頼性を高く維持できなくなるおそれがある。
【0004】
【特許文献1】特開2003−69216号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであり、インターポーザをベース回路シートに接合する接合方法であって、インターポーザとベース回路シートとを物理的、電気的に確実性高く接合し得るインターポーザ接合方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、シート状のベース基材の表面にベース側端子を設けたベース回路シートに対して、インターポーザ側端子を有する電子部品であるインターポーザを接合するインターポーザ接合方法において、
上記ベース回路シートの表面のうち少なくとも上記ベース側端子の表面に電気絶縁性接着剤よりなる接着剤配設層を設ける接着剤塗付工程と、
上記ベース側端子と上記インターポーザ側端子とが上記接着剤配設層を介して対面するように、上記ベース回路シートの表面に上記インターポーザを配置するインターポーザ配置工程と、
上記ベース回路シートと上記インターポーザとを加圧して接合する加圧接合工程と、を含み、
上記インターポーザを接合する前の上記ベース回路シートのベース側端子には、電極部材が収容された凹状の窪み部が形成されており、
上記加圧接合工程は、上記窪み部を底側から押し上げるように変形させることにより該窪み部に収容された上記電極部材を押し上げ、上記インターポーザ側端子に押し当てる工程であることを特徴とするインターポーザ接合方法にある(請求項1)。
【0007】
本発明のインターポーザ接合方法で取り扱う上記ベース回路シート(接合前)は、上記電極部材が収容された上記窪み部を含む上記ベース側端子を備えたシート状の電子基板である。そして、上記インターポーザ接合方法は、このベース回路シートの表面に上記インターポーザを配置する上記インターポーザ配置工程と、上記ベース回路シートと上記インターポーザとを加圧して接合する上記加圧接合工程と、を含む接合方法である。
【0008】
上記インターポーザ配置工程では、上記窪み部を含むベース側端子と上記インターポーザ側端子とが上記接着剤配設層を介して対面するように、上記ベース回路シートの表面に上記インターポーザが配置される。上記加圧接合工程では、上記窪み部を底側から押し上げるように変形させることにより、該窪み部に収容された上記電極部材が押し上げられ上記インターポーザ側端子に押し当てられる。
【0009】
上記インターポーザ側端子に対して上記電極部材が押し当てられると、上記ベース側端子と上記インターポーザ側端子との電気的な接合が確実性高く実現される。一方、上記電極部材が押し当てられていない部分では、上記インターポーザ側端子と上記ベース側端子との間に存在する上記電気絶縁性接着剤により上記インターポーザ側端子と上記ベース側端子との物理的な接合が確実性高く実現される。
【0010】
以上のように、本発明のインターポーザ接合方法では、上記インターポーザ側端子と上記ベース側端子との接合箇所において、上記電気絶縁性接着剤を介した物理的な接合と、上記電極部材を介した電気的な接合とを同時に確実性高く実現することができる。
【0011】
本発明の上記ベース基材は、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム、PPS(ポリフェニレンサルファイド)樹脂、PLA(ポリ乳酸)樹脂、汎用エンプラ等の合成樹脂や、紙や、不織布や、アルミ箔、銅箔等の金属材料や、ガラス等の材料により形成することができる。さらに、上記電気絶縁性接着剤としては、ホットメルト接着剤、エポキシ系接着剤、アクリル系接着剤、弾性接着剤等を用いることができる。
【0012】
なお、上記窪み部を底側から押し上げるように変形させるとは、当該窪み部の底側から上記インターポーザ側に向けて上記窪み部を押し上げるように変形させることを意味している。押し上げ方向としては、鉛直方向の上方側に限定されない。
【0013】
また、上記インターポーザとしては、シート状のチップ保持基材にICチップ等の半導体チップを実装した電子部品、電子回路を印刷したシート状の電子部品、電子回路を形成したフィルム状の電子基板、金属シートの表面に電子回路を印刷した電子部品等がある。
【0014】
また、上記ベース基材の平滑表面に形成された上記ベース側端子に上記窪み部を設ける窪み部形成工程と、
上記窪み部に上記電極部材を配設するバンプ形成工程と、を含むことが好ましい(請求項2)。
この場合には、上記ベース側端子を形成した後の上記ベース基材に対して、上記窪み部成形工程を施すことで上記窪み部を形成することができる。その後、さらに上記バンプ形成工程を施すことにより上記窪み部に上記電極部材を収容できる。
【0015】
また、予め凹部を設けた上記ベース基材の表面に導電性材料の配設層を形成することで上記窪み部を含む上記ベース側端子を形成する端子形成工程と、
上記窪み部に上記電極部材を配設するバンプ形成工程と、を含むことが好ましい(請求項3)。
この場合には、予め上記凹部を設けた上記ベース基材に対して上記端子形成工程を施すことで上記窪み部を備えた上記ベース側端子を形成できる。その後、上記バンプ形成工程を施せば、上記窪み部に上記電極部材を収容させることができる。
【0016】
また、上記電気絶縁性接着剤は熱可塑性を呈する接着剤であり、
上記加圧接合工程は、一対のプレス型を用いて上記ベース回路シートと上記インターポーザを加圧する工程であり、上記一対のプレス型のうちの少なくともいずれか一方は、その加圧表面を加熱するための加熱ヒータを備えていることが好ましい(請求項4)。
この場合には、上記加熱ヒータにより上記電気絶縁性接着剤を加熱して流動性を高めることができる。上記電気絶縁性接着剤の流動性が高くなれば、当該電気絶縁性接着剤を押し退けながら上記電極部材を押し上げることが容易になり、上記インターポーザ側端子に対して上記電極部材を比較的容易に押し当てることができるようになる。
【0017】
また、上記ベース基材を熱可塑性材料により形成することも良い。この場合には、上記加熱ヒータによる加熱により上記ベース基材の変形を容易にできる。熱可塑性材料としてPS(ポリスチレン)、PC(ポリカーボネイト)、PA(ポリアミド)、PP(ポリプロピレン)、PPE(ポリフェニレンエーテル)、PET等の材料を利用できる。さらに、上記電気絶縁性接着剤としては、ホットメルト接着剤、エポキシ系接着剤、アクリル系接着剤、弾性接着剤等を用いることができる。
【0018】
また、上記接着剤塗付工程において上記接着剤配設層を形成する接着剤配設領域は、上記インターポーザ配置工程において上記インターポーザを配置するインターポーザ配置領域を包含していることが好ましい(請求項5)。
この場合には、上記インターポーザの外周側面と上記ベース回路シートの表面との間に、上記電気絶縁性接着剤よりなる法(のり)面を形成できる。それ故、上記インターポーザの表面だけでなく外周側面に付着した上記電気絶縁性接着剤により、上記インターポーザと上記ベース回路シートとの物理的な接合を一層、確実性高く実現できる。
【0019】
また、上記ベース回路シートは、電波を送信あるいは受信するためのアンテナパターンが上記ベース基材の表面に形成された電子部品であり、上記インターポーザは、シート状のチップ保持基材の表面にRF−ID用のICチップが実装された電子部品であることが好ましい(請求項6)。
ここで、RF−IDとは、Radio Frequency IDentificationの略である。そして、本発明のインターポーザ接合方法により上記ベース回路シートに上記インターポーザを接合したRF−IDメディアを作製する場合には、上記インターポーザと上記ベース回路シートとが物理的、電気的に確実性高く接合された信頼性の高い優れた品質の製品を効率良く製造することができる。なお、上記インターポーザ接合方法を利用して接触ID用のIDメディアを作製することも可能である。
【0020】
上記シート状のチップ保持基材は、ステンレス、アルミ箔、銅箔等の金属材料や、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム、PPS(ポリフェニレンサルファイド)樹脂、PLA(ポリ乳酸)樹脂、汎用エンプラ等の合成樹脂や、紙や、不織布や、ガラス等の材料により形成することができる。なお、上記チップ保持基材の材質と、上記ベース基材の材質とは、同じ材質の組み合わせでも良く、異なる材質の組み合わせであっても良い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明の実施の形態につき、以下の実施例を用いて具体的に説明する。
(実施例1)
本例は、ベース回路シート20にインターポーザ10を接合した電子部品の製造方法、特に、ベース回路シート20に対するインターポーザ接合方法に関する例である。この内容について、図1〜図9を用いて説明する。
本例は、ベース回路シート20に対してインターポーザ10を接合するインターポーザ接合方法に関する例である。インターポーザ10は、シート状のチップ保持基材13の表面にRF−ID用のICチップ11を実装してなると共に該ICチップ11から延設された接続端子であるインターポーザ側端子12を有する電子部品である。ベース回路シート20は、シート状のベース基材21の表面にベース側端子22を設けた電子部品である。
このインターポーザ接合方法は、ベース回路シート20の表面のうちベース側端子22の表面に電気絶縁性接着剤よりなる接着剤配設層25を設ける接着剤塗付工程と、ベース側端子22とインターポーザ側端子12とが接着剤配設層25を介して対面するように、ベース回路シート20の表面にインターポーザ10を配置するインターポーザ配置工程と、ベース回路シート20とインターポーザ10とを加圧する加圧接合工程と、を含む方法である。
インターポーザ10を接合する前のベース回路シート20のベース側端子22には、電極部材26(以下、バンプ電極26という。)が収容された凹状の窪み部220が形成されている。
加圧接合工程は、窪み部220を底側から押し上げるように変形させることにより窪み部220に収容されたバンプ電極26を押し上げてインターポーザ側端子12に押し当てる工程である。
以下に、この内容について詳しく説明する。
【0022】
本例のインターポーザ接合方法を用いて作製する電子部品1は、図1〜図3に示すごとく、非接触ID用のRF−ID(Radio-Frequency IDentification)メディアである(以下、適宜RF−IDメディア1と記載する。)。このRF−IDメディア1は、RF−ID用のICチップ11を実装したインターポーザ10と、アンテナパターン24を設けたベース回路シート20(以下、適宜アンテナシート20と記載する。)とを組み合わせた電子部品である。なお、本例のインターポーザ接合方法を利用して、接触ID用のIDメディアを作製することもできる。
【0023】
インターポーザ10は、図1〜図3に示すごとく、厚さ177μmのPSF(ポリサルホン)フィルムよりなるチップ保持基材13の表面にICチップ11を実装した電子部品である。チップ保持基材13の大きさは、アンテナシート20の一対のベース側端子22の形成領域を包含する大きさに設定されている。チップ保持基材13の表面には、ICチップ11の電極パッド(図示略)と電気的に接合される導電パッド(図示略)と、この導電パッドから延設されたインターポーザ側端子12とを含む一対の導電パターンが形成されている。この導電パターンは、導電性インクよりなる印刷パターンである。
【0024】
ここで、チップ保持基材13の材質としては、本例のPSFのほか、PC、加工紙等を採用することができる。また、導電パッドと電極パッドとの電気的な接合箇所を保護するため、アンダーフィル材やポッティング材等を利用することも良い。また、チップ保持基材13の導電パターンの形成方法としては、本例の導電性インクを印刷する方法に代えて、銅エッチング、ディスペンス、金属箔貼り付け、金属の直接蒸着、金属蒸着膜転写、導電性高分子層形成などの方法を採用しても良い。
【0025】
アンテナシート20は、図1〜図3に示すごとく、PETよりなる厚さ50μmの熱可塑性のベース基材21の表面に、導電性インクにより印刷したアンテナパターン24を設けたシート状の部品である。アンテナパターン24の両端部には、インターポーザ側端子12と電気的に接合するベース側端子22が形成されている。ベース側端子22の表面には、3行2列に配列された6箇所の凹状の窪み部220が形成され、これら凹状の窪み部220の少なくとも一部には、銀ペーストよりなるバンプ電極26が収容されている。なお、図2、図3及び図9中の符号221は、窪み部220が高さ方向に座屈した部分を示している。座屈前の窪み部220の断面形状は、図7及び図8に示す通りである。
【0026】
なお、上記チップ保持基材13に形成した導電パターンと同様、銅エッチング、ディスペンス、金属箔貼り付け、金属の直接蒸着、金属蒸着膜転写、導電性高分子層形成などの方法によりアンテナパターン24を形成することもできる。またなお、ベース基材21の材質としては、本例のPETのほか、PET−G、PC、PP、ナイロン、紙等を用いることができる。また、導電性インクのインク材料としては、銀、黒鉛、塩化銀、銅、ニッケル等を用いることができる。さらになお、バンプ電極26の形成材料としては本例の銀ペーストに代えて、銅ペースト、アルミペースト、ハンダ部材、ロウ材、銀粉体、カーボン等、各種の導電性材料を採用できる。
【0027】
次に、インターポーザ10をアンテナシート20に接合する方法について説明する。本例のインターポーザ接合方法は、ベース側端子22の表面に窪み部220を形成する窪み部形成工程、窪み部220の内部にバンプ電極26を配設するバンプ形成工程、アンテナシート20の表面に接着剤配設層25を設ける接着剤塗付工程、アンテナシート20の表面にインターポーザ10を配置するインターポーザ配置工程、及びインターポーザ10とアンテナシート20とを加圧して接合する加圧接合工程を含む接合方法である。
【0028】
窪み部形成工程は、図4及び図5に示すごとく、ベース側端子22の表面に凹状の窪み部220を形成する工程である。窪み部形成工程では、相互に対面するプレス型40を用いてベース側端子22に窪み部220を形成する。プレス型40のうちベース側端子22の表面と当接するパンチ41(上型)の加圧面は、ベース側端子22に対応する位置に3行2列に配列された6箇所の凸部410を有している。ベース側端子22の裏面と当接するダイ(図示略)の加圧面には、凸部410に対応する図示しない凹部が形成されている。本例では、ベース側端子22に深さ100μmの凹状の窪み部220を形成できるよう、断面略矩形状の凸部410の突出高さを150μmに設定してある。
【0029】
なお、窪み部220の深さとしては、30〜300μmの範囲が好ましく、そのためには、上記凸部410の突出高さを50〜500μmの範囲に設定することが良い。
さらになお、パンチ41に設ける凸部410の形状としては、本例の断面略矩形状に代えて、円柱形状、十字形状、櫛形状等、様々な形状の凸部を形成することができ、凸部410の形状に応じて様々な形状の窪み部を形成できる。
【0030】
バンプ形成工程は、図6及び図7に示すごとく、上記窪み部220にバンプ電極26を形成する工程である。本例のバンプ形成工程で形成するバンプ電極26は、銀ペーストが凝固して塊状となった部分である。本例のバンプ形成工程では、インクジェット装置により液状の銀ペーストを窪み部220に向けて噴射し、上記バンプ電極26を形成している。図6中の領域261は、銀ペーストの噴射領域を表している。領域261としては、少なくとも1箇所の窪み部220を包含する領域であれば良く、全ての窪み部220を包含する領域であることは必須ではない。6箇所の窪み部220のうち、少なくともいずれかにバンプ電極26を形成できれば本発明の目的を実現し得るからである。
【0031】
接着剤塗付工程は、図6及び図7に示すごとく、アンテナシート20の一対のベース側端子22を包含する接着剤配設領域250に電気絶縁性接着剤を塗付する工程である。接着剤配設領域250は、インターポーザ10を配置するインターポーザ配置領域150を包含する領域である。本例では、図7に示すごとく、厚さt=40μmの接着剤配設層25を接着剤配設領域250に設けた。
【0032】
本例では、電気絶縁性接着剤として、熱可塑性であって、かつ、湿気硬化型のホットメルト接着剤(スリーエム社製の型番TE−031)を用いた。なお、電気絶縁性接着剤としては、上記に代えて、エポキシ系接着剤、アクリル系接着剤、弾性接着剤、ウレタン系接着剤等を利用することができる。さらになお、湿気硬化型の電気絶縁性接着剤に代えて、熱硬化型、紫外線硬化型、電子線硬化型等の電気絶縁性接着剤を利用することもできる。
【0033】
インターポーザ配置工程は、図6〜図8に示すごとく、アンテナシート20の表面にインターポーザ10を配置する工程である。このインターポーザ配置工程では、ベース側端子22(アンテナシート20)とインターポーザ側端子12(インターポーザ10)とがそれぞれ対面するよう、アンテナシート20の表面にインターポーザ10が配置される。ここで、上記のようにインターポーザ配置領域150は、接着剤配設領域250に包含される領域である。そのため、インターポーザ配置工程により配置されたインターポーザ10は、その全面に渡って、接着剤配設層25を介してアンテナシート20と対面する。
【0034】
加圧接合工程は、図8及び図9に示すごとく、アンテナシート20とインターポーザ10とを加圧して接合する工程である。加圧接合工程では、アンテナシート20の窪み部220を底側から押し上げるように変形させることにより、バンプ電極26をインターポーザ側端子12に押し当てる。
【0035】
加圧接合工程を実施するプレス型30は、相互に対面するプレスアンビル32(上型)とダイ31(下型)とを有している。プレスアンビル32及びダイ31の加圧面は、共に略平坦面となっている。アンテナシート20に当接するダイ31には、加熱ヒータ(図示略)が配設されている。この加熱ヒータによれば、熱可塑性材料よりなるアンテナシート20の変形をし易くすると共に、熱可塑性を呈する電気絶縁性接着剤の流動性を高めることができる。なお、本例では、ダイ31の加圧面の温度を200℃に設定した。
【0036】
ここで、本例の加圧接合工程でのベース側端子22とインターポーザ側端子12の加圧接合過程を具体的に説明する。図8及び図9に示すごとく、プレスアンビル32とダイ31とによりアンテナシート20とインターポーザ10とを加圧すると、ベース側端子22(アンテナシート20)の窪み部220が押し上げられるように変形する。このように、窪み部220が変形すると、窪み部220内のバンプ電極26(塊状の銀ペースト)が押し上げられ、ベース側端子22の表面を覆う電気絶縁性接着剤を押し退けてインターポーザ側端子12に押し当たる。
【0037】
本例では、上記のごとく熱可塑性材料によりアンテナシート20を形成すると共に、熱可塑性を備えた電気絶縁性接着剤を採用している。ダイ31により加熱されたアンテナシート20は、ベース側端子22の窪み部220が変形し易くなり、インターポーザ側端子12に向けてバンプ電極26を効率良く押し上げることができる。ダイ31により加熱され流動性が向上した電気絶縁性接着剤は、バンプ電極26の押し上げに応じて押し退けられる。これにより、バンプ電極26とインターポーザ側端子12との対面箇所から電気絶縁性接着剤が流出し、バンプ電極26がインターポーザ側端子12に直接的に押し当たることになる。
【0038】
図2、図3及び図9に示すごとく、上記の加圧接合工程により接合されたインターポーザ側端子12とベース側端子22との接合箇所のうち、インターポーザ側端子12にバンプ電極26が押し当たっている部分では、両者の電気的な接合が確実性高く実現される。一方、インターポーザ側端子12に対してバンプ電極26が押し当たっていない部分では、ベース側端子22の表面を覆う電気絶縁性接着剤を介してインターポーザ側端子12とベース側端子22との物理的な接合が確実性高く実現される。
【0039】
なお、本例の加圧接合工程では、ダイ31とプレスアンビル32との間におよそ500Nの加圧力をかけておよそ0.1秒間加圧することで、インターポーザ10とアンテナシート20とを加圧して接合した。本例では、ダイ31とプレスアンビル32との間に上記の加圧力による加圧を実施するために、ダイ31とプレスアンビル32との間隙が、およそ237μmとなるまで両者を近付けた。
【0040】
以上のように、本例のインターポーザ接合方法によれば、インターポーザ側端子12とベース側端子22とを加圧して接合することにより、バンプ電極26を介した電気的な接合、及び電気絶縁性接着剤を介した物理的な接合を確実性高く実現できる。このインターポーザ接合方法によれば、インターポーザ10をベース回路シート20の表面に確実性高く接合して信頼性の高いRF−IDメディア1を製造できる。
【0041】
特に、本例では、上記のようにインターポーザ配置領域150が接着剤配設領域250に包含されるように形成されている。そのため、インターポーザ10の外周側面とアンテナシート20の表面との間に電気絶縁性接着剤よりなる法(のり)面を形成でき、インターポーザ10とアンテナシート20との物理的な接合を一層、確実性高く実現できる。
【0042】
なお、本例では、ベース側端子22を設けたベース基材21に対してプレス加工を施すことで凹状の窪み部220を形成している。これに代えて、予め凹部を設けたベース基材21の表面に導電性材料の配設層を形成することで、凹状の窪み部220を含むベース側端子22を形成しても良い。
【0043】
さらになお、インターポーザ側端子12の表面に凹状の窪み部を形成すると共に、この窪み部にバンプ電極26を配設しても良い。この場合には、チップ保持基材13を熱可塑性材料により形成すると共に、インターポーザ10に当接するプレスアンビル32に加熱ヒータを装備することも良い。加熱ヒータを備えたプレスアンビル32を用いて上記加圧接合工程を実施すれば、インターポーザ側端子12の凹状の窪み部を変形し易くして効率良くバンプ電極26を押し上げることができる。
【0044】
なお、本例のインターポーザ接合方法は、RF−IDメディア1の製造に限定されるものでなく、インターポーザ10を用いた各種の電子部品の作製において有効である。例えば、FPC(フレキシブルプリント基板)、ペーパーコンピュータ、使い捨て電気製品など様々な電子部品の製造工程において活用することができる。インターポーザ10としては、ICチップ等の半導体チップを実装した電子部品のほか、電子回路を形成した電子部品であっても良い。
【0045】
さらに、超音波加振ユニットを備えたプレス型を用いて上記加圧接合工程を実施するのも良い。インターポーザ側端子12とベース側端子22とがバンプ電極26を介して接合する箇所において、超音波接合により両者を融着でき、電気的な接合状態の信頼性をさらに向上することができる。
【0046】
さらになお、本例では、インターポーザ配置領域150を包含するように接着剤配設領域250を形成した。この包含関係を逆にして、インターポーザ配置領域150よりも接着剤配設領域250を小さくすることもできる。また、2箇所のベース側端子22に対して、それぞれ独立して接着剤配設領域を形成することも可能である。
【0047】
本例のごとく本発明の具体例を詳細に説明したが、これらの具体例は、特許請求の範囲に包含される技術の一例を開示しているにすぎない。言うまでもなく、具体例の構成や数値等によって、特許請求の範囲が限定的に解釈されるべきではない。特許請求の範囲は、公知技術や当業者の知識等を利用して上記具体例を多様に変形あるいは変更した技術を包含している。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】実施例1における、RF−IDメディアの構造を示す構造図。
【図2】実施例1における、RF−IDメディアの断面構造を示す断面図(図1におけるA−A線矢視断面図。)。
【図3】実施例1における、RF−IDメディアの断面構造を示す断面図(図2におけるB−B線矢視断面図。)。
【図4】実施例1における、窪み部形成工程の内容を説明する説明図。
【図5】実施例1における、窪み部が形成されたアンテナシートを示す正面図。
【図6】実施例1における、銀ペーストを噴射したアンテナシートを示す正面図。
【図7】実施例1における、インターポーザ及びアンテナシートの断面構造を示す断面図(図1におけるA−A線矢視断面に相当する断面図。)。
【図8】実施例1における、加圧接合前のインターポーザ及びアンテナシートの断面構造を示す断面図。
【図9】実施例1における、加圧接合工程の内容を説明する説明図。
【符号の説明】
【0049】
1 電子部品(RF−IDメディア)
10 インターポーザ
11 ICチップ
12 インターポーザ側端子
13 チップ保持基材
20 ベース回路シート(アンテナシート)
21 ベース基材
22 ベース側端子
220 窪み部
24 アンテナパターン
25 接着剤配設層
26 電極部材(バンプ電極)
30 プレス型
31 ダイ(下型)
32 プレスアンビル(上型)
40 プレス型
41 パンチ(上型)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状のベース基材の表面にベース側端子を設けたベース回路シートに対して、インターポーザ側端子を有する電子部品であるインターポーザを接合するインターポーザ接合方法において、
上記ベース回路シートの表面のうち少なくとも上記ベース側端子の表面に電気絶縁性接着剤よりなる接着剤配設層を設ける接着剤塗付工程と、
上記ベース側端子と上記インターポーザ側端子とが上記接着剤配設層を介して対面するように、上記ベース回路シートの表面に上記インターポーザを配置するインターポーザ配置工程と、
上記ベース回路シートと上記インターポーザとを加圧して接合する加圧接合工程と、を含み、
上記インターポーザを接合する前の上記ベース回路シートのベース側端子には、電極部材が収容された凹状の窪み部が形成されており、
上記加圧接合工程は、上記窪み部を底側から押し上げるように変形させることにより該窪み部に収容された上記電極部材を押し上げ、上記インターポーザ側端子に押し当てる工程であることを特徴とするインターポーザ接合方法。
【請求項2】
請求項1において、上記ベース基材の平滑表面に形成された上記ベース側端子に上記窪み部を設ける窪み部形成工程と、
上記窪み部に上記電極部材を配設するバンプ形成工程と、を含むことを特徴とするインターポーザ接合方法。
【請求項3】
請求項1において、予め凹部を設けた上記ベース基材の表面に導電性材料の配設層を形成することで上記窪み部を含む上記ベース側端子を形成する端子形成工程と、
上記窪み部に上記電極部材を配設するバンプ形成工程と、を含むことを特徴とするインターポーザ接合方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項において、上記電気絶縁性接着剤は熱可塑性を呈する接着剤であり、
上記加圧接合工程は、一対のプレス型を用いて上記ベース回路シートと上記インターポーザを加圧する工程であり、上記一対のプレス型のうちの少なくともいずれか一方は、その加圧表面を加熱するための加熱ヒータを備えていることを特徴とするインターポーザ接合方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項において、上記接着剤塗付工程において上記接着剤配設層を形成する接着剤配設領域は、上記インターポーザ配置工程において上記インターポーザを配置するインターポーザ配置領域を包含していることを特徴とするインターポーザ接合方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項において、上記ベース回路シートは、電波を送信あるいは受信するためのアンテナパターンが上記ベース基材の表面に形成された電子部品であり、上記インターポーザは、シート状のチップ保持基材の表面にRF−ID用のICチップが実装された電子部品であることを特徴とするインターポーザ接合方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2009−295811(P2009−295811A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−148264(P2008−148264)
【出願日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【出願人】(302031502)株式会社 ハリーズ (16)
【Fターム(参考)】