インドール化合物を含む医薬組成物
本発明は、本明細書において定義される一般式(1)、一般式(2)または一般式(3)の化合物を含む、酸化ストレス、ミトコンドリア機能障害、低酸素損傷、壊死及び/又は虚血性再潅流損傷に関連した疾患の予防または治療のための医薬組成物、ならびに抗酸化効果を有するインドール化合物を含有する化粧品組成物に関するものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インドール化合物を含む、酸化ストレス、ミトコンドリア機能障害、低酸素損傷、細胞壊死及び/又は虚血性再潅流損傷に関連した疾患の予防及び治療のための医薬組成物、及び抗酸化効果を有するインドール化合物を含む化粧品組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
人体を含む生物は、呼吸過程を通してエネルギーを得て、新進代謝をする過程で吸入酸素の約2%は“酸素毒”と呼ばれる活性酸素種(ROS)に変換される。活性酸素種は、フリーラジカル(Free Radical;遊離基の電子を有する原子や分子の総称)を有する酸素を意味し、広範囲には脂質ペルオキシド(lipid peroxide)、脂質ペルオキシラジカル(lipid peroxy radical)、ペルオキシナイトライト(peroxy nitrite)などが含まれる。このような活性酸素種は、不安定なものであり、従って、周囲の物質と反応性が非常に強く、細胞内タンパク質や脂質分子はもちろん、遺伝情報を含有したDNAにまでも酸化的損傷を与え、結果的には細胞に致命的被害を与えることが知られている。他方では、マクロファージや好中球のような免疫系細胞においては、むしろ活性酸素種の生成を誘発させることによって、外部から侵入した病原菌を殺す有用な役割も果たしている。しかし、活性酸素種が細胞内シグナル伝達における重要な役割を果たしているケースと、最近認められたケースとは異なり、細胞に損傷を引き起こし、これにより、活性酸素種は細胞に様々な損傷を誘発し、生命体に害を与えるものと一般に認識されている。したがって、酸素毒から細胞を保護するために、細胞自身が抗酸化剤成分(例えば、ビタミンC、ビタミンE、グルタチオン(glutathione)のような小ペプチド(small peptide)や抗酸化酵素(例えば、カタラーゼ、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)、グルタチオン−依存性ペルオキシダーゼ(GPX)等)を有している。
【0003】
今まで知られている活性酸素種(ROS)や抗酸化酵素(antioxidant enzyme)が関与される疾患や代謝の例は以下とおりである。
1.インスリン依存性糖尿病の場合は、ROSの異常発現によって、膵臓β−細胞が損傷して生ずる。
2.現在、臨床的に多大な関心を持つダウン症候群は、21位染色体の異常によって引きこされており、この場合21位染色体に位置しているSOD(superoxidedismutase)という抗酸化酵素が異常発現する。
3.早老症(progeria)の場合、患者細胞で測定される抗酸化酵素(カタラーゼ、グルタチオン−依存性ペルオキシダーゼ)が低い酵素活性を示す。
4.正常細胞が癌細胞化される過程においても、種々癌誘発物質投与または照射時、細胞でROSが旺盛に生成される。
5.その他にも、ROSは動脈硬化、アルツハイマー病、虚血性疾患などに関与することが知られている。
【0004】
正常な細胞でも代謝中に、ある程度のフリーラジカル、活性酸素種及び過酸化物が生成されている。しかし、生体内では、これらに対する防御機構として、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)、カタラーゼ、ペルオキシダーゼ等の抗酸化酵素と共に、ビタミンE、ビタミンC、グルタチオン、ユビキノン(ubiquinone)、尿酸などのような抗酸化物質が存在し、自らを保護している。このような生体防御機構に異常が生じるか、各種物理的、化学的要因によって活性酸素種の生成が生体防御系の容量を超えるようになったとき、酸化的ストレス(oxidative stress)が誘導される。ヒトの疾患が生体内の酸化的ストレスと抗酸化性防御機序との不均衡と関係があれば、理論的に抗酸化性物質を追加すると、酸化性被害を制限したり、疾患等の追加進行を制限したりすることができる。したがって、このような活性酸素種を消去できるフリーラジカルスカベンジャーまたは過酸化物生成抑制物質のような抗酸化性生体機能物質は、現在、高分子、食品、化粧品などの多様な分野で広く使われている。最近、種々疾患と関連した生理現象で活性酸素種が関与するという事実が明らかになるにつれて、これらの酸化物に起因する老化及び各種疾患の抑制または治療剤として期待されており、それを用いた治療剤の開発にも次第に関心が増加する傾向にあり、実際に、米国の場合、健康補助食品として販売されている。
【0005】
酸化的ストレスが老化をはじめとして、各種疾患を引き起こす重要な原因であることが立証されることによって、活性酸素種の消去活性を有する抗酸化性生体機能物質の老化抑制及び疾患の治療剤として可能性が大きく浮上しており、酸化的ストレスによる老化及び各種疾患の治療機能を有しうる新しい抗酸化性生体機能物質の開発が求められている。
【0006】
また、多くの抗酸化剤があるが、大部分がミトコンドリアへまで効率的に伝達されず、その効能が弱いか、小さい。抗酸化剤がミトコンドリアへまで伝達されることは、上記疾患を治療する際に非常に重要である。MitoQのような化合物の場合、同様に、コエンザイムQ10をミトコンドリアまでターゲッティング(targeting)されるペプチドとコンジュゲイション(conjugation)させて治療剤としての可能性を開いた。
【0007】
他方、このような酸化ストレスは、虚血性再潅流損傷の主作用機序として報告されている。虚血性疾患は、切除術、臓器移植、塞栓、心筋梗塞、脳卒中などを含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、酸化ストレス、ミトコンドリア機能障害、低酸素損傷、細胞壊死及び/又は虚血性再潅流損傷に関連した疾患の予防及び治療用として有用な医薬組成物、及び抗酸化効果を有する化粧品組成物を提供することをその技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、活性成分として、治療上有効量の下記一般式(1)、一般式(2)または一般式(3)の化合物、その製薬的に許容される塩またはその異性体、及び製薬的に許容可能な担体を含む酸化的ストレスと関連した疾患の予防及び治療のための医薬組成物を提供する。
【0010】
【化1】
(1)
上記一般式(1)において、各置換基は国際出願公開WO2009/025477号に具体的に定義されている:
[式中、naは0〜3の数であり、
Aaは、それぞれN、O及びS原子から選ばれた1〜3個のヘテロ原子を含む5員ヘテロアリールまたは複素環を表し、
R1aはR5a−Xa−Ba−X’a−
{式中、Baは直接結合を表すか、またはそれぞれN、O及びS原子から選ばれた1〜4個のヘテロ原子を含む3〜10員複素環またはヘテロアリール表し、
Xa及びX’aは、それぞれ独立して、直接結合を表すか、または
−NR6a−、−CO−、−CONR6a−、−CO2−、−OC(O)−、−S(O)ma−、−O−(CH2)ma−、−(CH2)ma−O−、−(CH2)ma−、−NR6aCO−、−(R6aO)2P(O)−及び−NHCO2−(ここで、maは0〜3の数であり、R6aは水素、アルキルまたはシクロアルキルを表す)よりなる群から選ばれ、
R5aは水素、ニトリル、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、シクロアルキル若しくはアリールを表すか、またはそれぞれ、N、O及びS原子から選ばれた1または3個のヘテロ原子を有し、場合によりオキソまたはアルキルで置換された単環若しくは縮合環の3〜10員複素環またはヘテロアリールを表すか、または
R5a及びR6aは共に結合して4〜8員環を形成することができる}
を表し、
R2aは−(CR8aR9a)pa−Ya−R7a
{式中、paは0〜2の数であり、
R8a及びR9aは、それぞれ独立して、水素またはアルキルを表すか、または共に結合して4〜8員を形成することができ、
Yaは直接結合を表すか、または−O−、−S−、−NR6a−、−NR6aC(O)−、−CO2−、−C(O)−、−C(O)NR6a−、−S(O)qa−、及び−S(O)qaNR6a−(ここで、qaは0〜2の数である)よりなる群から選ばれ、
R7aは水素、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、ニトロ、アルキル、シクロアルキル若しくはアリールを表すか、またはそれぞれ、N、S及びOから選ばれた1〜3個のヘテロ原子を有し、場合によりオキソを含む3〜10員複素環若しくはヘテロアリールを表す}
を表し、
R3aは水素、アルキル、−(CH2)qa−シクロアルキルまたは−(CH2)qa−複素環を表し、
R4aは−(CH2)pa−Da−R10a
(ここで、Daは直接結合を表すか、場合によりオキソを含むシクロアルキルを表すか、アリールを表すか、またはそれぞれN、S及びOから選ばれた1〜3個のヘテロ原子を含む3〜10員複素環若しくはヘテロアリールを表し、
R10aは水素、ハロゲン、アミノ、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、アルキル、アルキルカルボニル、アルキルスルホニルまたは−(CH2)pa−NR8aR9aを表す)を表し、
(上記で、アルキル、アルコキシ、アリール、シクロアルキル、複素環及びヘテロアリールは場合により置換されてもよく、置換基はヒドロキシ、ハロゲン、ニトリル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキル、ハロアルキル、アルキルスルホニル、カルボキシアルキル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルチオ、アルキルオキシカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アリールアルコキシ及びオキソからなる群から選ばれた一つ以上である。)]
【0011】
【化2】
(2)
上記一般式(2)において、各置換基は国際出願公開WO2009/025478号に具体的に定義されている:
[式中、nbは1〜3の数であり、
mbは0または1であり、
Abは直接結合を表すか、フェニルを表すか、または窒素原子を1〜2個含む6員ヘテロアリールを表し、
XbはCまたはNを表し、ただし、XbがNの場合mbは0であり、XbがCの場合mbは1であり、
R1bは水素、アルキル、−(CH2)rbNR7bR8b、または−(CH2)rbCO2H(ここで、rbは1〜5の数であり、R7b及びR8bは、それぞれ独立して、水素、アルキルまたはアルキルカルボニルを表すか、共に場合により一つのメチレンがN原子により代替され、アルキルで置換されていてもよいアルキレン鎖を形成することができる)を表し、
R2bは水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ若しくはトリアルキルシリルを表すか、または
−(CH2)pbCO2R7b、−(CH2)pbOR7b、−(CH2)pbNR7bR8b、−NHR10b、−N(H)S(O)2R7b、−NHC(O)R10b、−(CH2)pbS(O)2R7bまたは(CH2)pb−複素環−R10b(ここで、pbは0〜3の数であり、R7b及びR8bは上記と同義であり、R10bは水素、オキソ、アルキルスルホニル、アルキルカルボニル、アルキルオキシカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アルコキシ、アルキルまたは複素環を表す)を表し、
R3bは水素、シアノ、ハロゲン、アルキル若しくはフェニルを表すか、または−(CH2)nb−複素環若しくは−(CH2)nb−アリール(ここで、nbは0〜3の数である)を表し、
R4bは−YbR11b
{式中、Ybは直接結合であるか、または−(CR7bR8b)pbY’b−
(ここで、pbは0〜3の数であり、R7b及びR8bは上記定義と同義であり、
Y’bは−O−、−S−、−NR12b−、−NR12bC(O)−、−C(O)−、−C(O)O−、−C(O)NR12b−、−S(O)qb−、及び−S(O)qbNR12b−(ここで、R12bは水素、アルキル、アリールまたはヘテロアリールを表し、qbは0〜2の数である)よりなる群から選ばれる)を表し、
R11bは水素、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシ、チオール、カルボキシ、アルキル及び−(CH2)tbBb−R13b(ここで、tbは0〜3の数であり、Bbは複素環、ヘテロアリールまたはアリールを表し、R13bは水素、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシ、オキソ、チオール、カルボキシ、カルボキシアルキル、アルキルカルボニルオキシ、アルキル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルカルボニルまたはアルキルスルホニルを表す)よりなる群から選ばれる}
を表し、
R5bは水素、アルキル、シクロアルキル、複素環またはヘテロシクリルアルキルを表し、
R6bは−(CR7bR8b)pb−Zb−Db−Wb−R14b
{式中、Zbは直接結合を表すか、または−C(O)−、−C(O)O−、−C(O)NR12b−、及び−S(O)yb−(ここで、ybは1または2の数である)よりなる群から選ばれ、
Dbは直接結合を表すか、又はシクロアルキル、ヘテロアリール若しくは複素環を表し、Wbは直接結合を表すか、または−NR7b−、−C(O)−、−C(O)O−、−C(O)NR12b−、−S(O)yb−、−S(O)ybNR12b−若しくは−NR12bS(O)yb−を表し、R14bは水素、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、複素環、ヘテロアリール、アリールまたはアラルキルを表す}
を表し、
R5b及びR6bは共にアルキレン鎖を表し、
(上記で、アルキル、アルコキシ、アリール、シクロアルキル、複素環及びヘテロアリールは場合により置換されてもよく、置換基はヒドロキシ、ハロゲン、ニトリル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、カルボキシ、アルキル、アルコキシ、カルボキシアルキル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルチオ、アルキルオキシカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アリールアルコキシ及びオキソよりなる群から選ばれる一つ以上である)]
【0012】
【化3】
(3)
[式中、Bcはアリールを表し、またはN、O及びS原子から選ばれる1〜2個のヘテロ原子を含む4〜8員の複素環若しくはヘテロアリールを表し、
R7cは水素、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトリル、ニトロまたはアルコキシを表し、
R8cはC1−C6−アルキル、C3−C8−シクロアルキル、複素環、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル−アルキルまたは複素環−アルキルを表し、
R9cは水素、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトリル、ニトロ、アルコキシ、アリルオキシ、アルキルアミノまたはアリールアミノを表し、
(上記で、アルキル、アルコキシ、アリール、シクロアルキル、複素環及びヘテロアリールは場合により置換されてもよく、置換基はヒドロキシ、ハロゲン、ニトリル、アミノ、C1−C6−アルキルアミノ、ジ(C1−C6−アルキル)アミノ、カルボキシ、C1−C6−アルキル、ハロゲノ−C1−C6−アルキル、C1−C6−アルコキシ、アリール−C1−C6−アルコキシ及びオキソよりなる群から選ばれる一つ以上である。)]
【0013】
本発明に係る一般式(1)、(2)または(3)化合物の定義において、用語‘アルキル’は脂肪族炭化水素ラジカルを意味する。アルキルは、アルケニル若しくはアルキニル部位を含まない飽和アルキルであるか、または少なくとも一つのアルケニル若しくはアルキニル部位を含む不飽和アルキルであってもよい。“アルケニル”は、少なくとも一つの炭素−炭素二重結合を含有する基を意味し、“アルキニル”は、少なくとも一つの炭素−炭素三重結合を含む基を意味する。アルキルは単独でまたはアルコキシのように組み合わせて使用されたとき、分岐状または直鎖状であってもよい。
【0014】
アルキル基は、特に定義されない限り、1〜20個の炭素原子を有することができる。また、アルキル基は、1〜10個の炭素原子を有する中程度の大きさのアルキルでもよい。アルキル基は1〜6個の炭素原子を有する低級アルキルであってもよい。典型的なアルキル基には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、エテニル、プロペニル、ブテニルなどが含まれるが、これらに限定されない。例えば、C1−C4−アルキルは、アルキル鎖に1〜4個の炭素原子を有し、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、sec−ブチル及びt−ブチルよりなる群から選ばれる。
【0015】
用語‘アルコキシ’は、特に定義されない限り、1〜10個の炭素原子を有するアルキルオキシを意味する。
【0016】
用語‘シクロアルキル‘は、特に定義されない限り、飽和脂肪族3〜10員を意味する。典型的なシクロアルキル基には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが含まれるが、これらに制限されない。
【0017】
用語‘アリール(aryl)’は、共有π電子系を有する少なくとも一つの環、例えば、単環式または縮合多環式(即ち、隣接した炭素原子対を分けて有する環)基を含む。即ち、本明細書で、アリールは、特に定義されない限り、フェニル、ナフチルなどを含む4〜10員、好ましくは6〜10員芳香族単環式または多環式環を意味する。
【0018】
用語‘ヘテロアリール’は、特に定義されない限り、N、O及びS原子よりなる群から選ばれた1〜3個のヘテロ原子を有し、ベンゾまたはC3−C8シクロアルキルと縮合することができる芳香族3〜10員、好ましくは4〜8員、より好ましくは、5〜6員を意味する。単環式ヘテロアリールの例には、チアゾール、オキサゾール、チオフェン、フラン、ピロール、イミダゾール、イソオキサゾール、イソチアゾール、ピラゾール、トリアゾール、トリアジン、チアジアゾール、テトラゾール、オキサジアゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジンなどが挙げられるが、これらに制限されない。二環式ヘテロアリールの例には、インドール、インドリン、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、ベンズイミダゾール、ベンゾオキサゾール、ベンズイソオキサゾール、ベンズチアゾール、ベンズチアジアゾール、ベンズトリアゾール、キノリン、イソキノリン、プリン、フロピリジンなどが上げられるが、これらに制限されない。
【0019】
用語‘複素環’は、特に定義されない限り、N、O及びS原子よりなる群から選ばれた1〜3個のヘテロ原子を有し、ベンゾまたはC3−C8−シクロアルキルと縮合することができ、飽和または1若しくは2個の二重結合を含有する3〜10員、好ましくは4〜8員、より好ましくは、5〜6員を意味する。複素環の例には、ピロリン、ピロリジン、イミダゾリン、イミダゾリジン、ピラゾリン、ピラゾリジン、ピラン、ピペリジン、モルホリン、チオモルホリン、ピペラジン、ヒドロフランなどが上げられるが、これらに制限されない。
【0020】
本明細書で使われた他の用語と略語は、特に定義されない限り、本発明が属する技術分野の当業者が通常的に使われる意味を有するものと理解される。
【0021】
本発明の一般式(1)または一般式(2)の化合物の好ましい具体例は、以下の通りに挙げられる:
化合物1:[(S)−2−(7−シクロペンチルアミノ−5−メチル−1H−インドール−2−イル)−4,5−ジヒドロ−チアゾール−4−イル]−酢酸
化合物2:{(S)−2−[5−メチル−7−(テトラヒドロピラン−4−イルアミノ)−1H−インドール−2−イル]−4,5−ジヒドロ−チアゾール−4−イル}−酢酸
化合物3:[(S)−2−(7−シクロペンチルアミノ−5−メチル−1H−インドール−2−イル)−4,5−ジヒドロ−オキサゾール−4−イル]−酢酸
化合物4:[(S)−2−(7−シクロペンチルアミノ−1H−インドール−2−イル)−4,5−ジヒドロ−チアゾール−4−イル]−酢酸
化合物5:[(S)−2−(7−シクロペンチルアミノ−5−フェノキシ−1H−インドール−2−イル)−4,5−ジヒドロ−チアゾール−4−イル]−酢酸
化合物6:4−{2−[(S)−2−(7−シクロペンチルアミノ−5−フェノキシ−1H−インドール−2−イル)−4,5−ジヒドロ−チアゾール−4−イル]−エチル}−ピペラジン−2−オン
化合物7:シクロペンチル−(2−{(S)−4−[2−(3−メチル−5,6−ジヒドロ−8H−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピラジン−7−イル)−エチル]−4,5−ジヒドロ−チアゾール−4−イル}−5−フェノキシ−1H−インドール−7−イル)−アミン
化合物8:((S)−2−{7−[(テトラヒドロピラン−4−イルメチル)−アミノ]−1H−インドール−2−イル}−4,5−ジヒドロ−チアゾール−4−イル)−酢酸
化合物9:(テトラヒドロピラン−4−イル)−[2−フェニル−5−(1,1−ジオキソ−チオモルホリン−4−イル)メチル−1H−インドール−7−イル]−アミン
化合物10:[5−(1,1−ジオキソ−チオモルホリン−4−イル)メチル−2−フェニル−1H−インドール−7−イル]−(テトラヒドロピラン−4−イル)メチル−アミン
化合物11:[5−(1,1−ジオキソ−チオモルホリン−4−イル)メチル−2−フェニル−1H−インドール−7−イル]−ビス−[(テトラヒドロピラン−4−イル)メチル]−アミン
化合物12:{4−[5−(1,1−ジオキソ−チオモルホリン−4−イル)メチル−2−フェニル−1H−インドール−7−イルアミノ]−ピペリジン−1−イル}−(テトラヒドロピラン−3−イル)メタノン
化合物13:[5−(1,1−ジオキソ−チオモルホリン−4−イル)メチル−2−フェニル−1H−インドール−7−イル]−(1−メチルスルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミン
化合物14:((S)−2−{5−メチル−7−[(テトラヒドロピラン−4−イルメチル)−アミノ]−1H−インドール−2−イル}−4,5−ジヒドロ−チアゾール−4−イル)−酢酸
【0022】
本発明に係る一般式(3)の化合物のうち、好ましい化合物は、以下とおりである:
Bcはアリールを表し、またはN、O及びS原子から選ばれる1〜2個のヘテロ原子を含む5〜6原義複素環あるいはヘテロアリールを表し、
R7cは水素、ハロゲン、ニトリル又はアルコキシを表し、
R8cはC1−C6−アルキル、C3−C8−シクロアルキル、複素環、アリールアルキル、シクロアルキル−アルキルまたは複素環−アルキルを表し、
R9cは水素、ハロゲン、ニトリル、アルコキシ、アリルオキシ、アルキルアミノまたはアリールアミノを表す。
【0023】
より好ましくは、一般式(3)の化合物で、Bcはフェニルまたはピリジンを表す。
【0024】
より好ましくは、R7cは水素、ハロゲンまたはアルコキシを表し、最も好ましくは水素を表す。
【0025】
より好ましくは、R8cはC1−C6−アルキル、複素環、シクロアルキル−アルキル、複素環−アルキルまたはアリールアルキルを表し、最も好ましくはシクロペンチル、テトラヒドロピランを表す。
【0026】
より好ましくは、R9cは水素、ハロゲンまたはアルコキシを表し、最も好ましくは水素を表す。
【0027】
本発明に係る一般式(3)の代表的な化合物には下記化合物が含まれる:
シクロペンチル−(2−フェニル−3H−ベンゾイミダゾール−4−イル)−アミン
(2−フェニル−3H−ベンズイミダゾール−4−イル)−(テトラヒドロ−ピラン−4−イル)−アミン
シクロペンチル−(2−ピリジン−2−イル−3H−ベンゾイミダゾール−4−イル)−アミン
【0028】
本発明の医薬組成物は、酸化的ストレスによる疾患の予防及び治療に効率的に使用することができる。
【0029】
本発明の医薬組成物は、活性酸素種(ROS)または活性窒素種(RNS)により媒介される酸化的ストレスによる疾患の予防及び治療に効率的に使用することができる。
【0030】
本発明の医薬組成物は、虚血性再潅流損傷を抑制することができる。
【0031】
本発明の医薬組成物は、低酸素損傷により媒介される疾患の予防及び治療に効率的に使用することができる。
【0032】
本発明の医薬組成物は、細胞壊死により媒介される疾患の予防及び治療に効率的に使用することができる。
【0033】
本発明の医薬組成物は、ミトコンドリア機能障害を抑制することができる。
【0034】
本発明の医薬組成物は、MELAS(ミトコンドリア性筋障害、脳障害、乳酸アシドーシス、脳卒中様発作;mitochondrial myopathy,encephalopathy,lactic acidosis,and stroke-like episodes)、MERRF症候群(赤色ぼろ線維を伴うミトコンドリア異常を伴うミオクローヌスてんかん;myoclonus epilepsy with ragged-red fibers)またはカーンズ・セイヤー症候群(Kearns-Sayre syndrome)の予防及び治療に効率的に使用することができる。
【0035】
本発明の医薬組成物は、HMGB1を分泌する細胞の壊死を抑制することができる。
【0036】
また、本発明の医薬組成物はHMGB1により媒介される疾患、特に炎症によって媒介されるか、または炎症関連疾患を予防及び/又は治療でき、このような疾患は、例えば、敗血症、リウマチ性関節炎、骨関節炎、肝硬変、出血性疾患、様々な壊死性疾患、ウイルス感染またはバクテリア感染疾患などがある。
【0037】
本発明によって予防および/または治療される疾患は、例えば、肝疾患、心臓疾患、血管疾患、退行性脳疾患、虚血性再潅流損傷から由来する疾患及びウイルスまたはバクテリアによる感染疾患;肝移植、肝切除、肝塞栓、肝繊維症、肝硬変、アルコール性/非アルコール性脂肪肝、及びウイルスまたは薬物(例えば、抗癌剤、アセトアミノフェンなど)による肝炎;不整脈、心臓麻痺、心筋梗塞などの心臓及び心血管疾患;ルーゲーリッグ病、脳卒中、認知症、パーキンソン病及びハンティングトン病気等の退行性脳疾患;虚血性再潅流損傷に由来する糖尿性複合症、動脈硬化、心筋梗塞、脳卒中;インフルエンザー、HBV、HCV、HIVなどの種々ウイルス感染または種々バクテリア感染により誘導される疾患などがある。
【0038】
本発明において、肝疾患は肝移植、肝切除、肝塞栓、肝繊維症、肝硬変、アルコール性/非アルコール性脂肪肝、及びウイルスまたは薬物(例えば、抗癌剤、アセトアミノフェンなど)による肝炎よりなる群から選ばれた一つ以上であってもよい。
【0039】
本発明において、心臓または心血管疾患は不整脈、心臓麻痺、心筋梗塞、心不全症及び狭心症よりなる群から選ばれた一つ以上であってもよい。
【0040】
本発明の医薬組成物は、虚血性再潅流損傷から由来した肝疾患、心臓または心血管疾患の予防及び治療に効率的に使用することができ、ここで虚血性再潅流損傷は、ミトコンドリア機能低下、低酸素損傷及び/又は細胞壊死によるものであってもよい。
【0041】
本発明の医薬組成物は、虚血性再潅流損傷から由来した糖尿性複合症、動脈硬化及び脳卒中よりなる群から選ばれた一つ以上の予防および治療のために効果的に使用することができる。
【0042】
本発明の一般式(1)または一般式(2)の化合物の具体的な合成例は、国際出願公開WO2009/025477及び国際出願公開WO2009/025478にそれぞれ開示されている。
【0043】
本発明は、また、上記一般式(3)の化合物及びそれらを製造する方法を提供する。以下では、本発明に対する理解を助けるために一般式(3)化合物の製造方法を例示的な反応式に基づいて説明するが、本発明が属する分野における通常の知識を有した者であれば、一般式(3)の構造に基づいて様々な方法により、一般式(3)の化合物を製造することができる。このような方法は、いずれも本発明の範疇に含まれるものである。即ち、本明細書に記載されるか、先行技術に開示された種々合成法を任意に組み合わせ、一般式(3)の化合物を製造することができる。これは、本発明の範囲内に属するものであり、一般式(3)化合物の製造方法が下記説明されたものに制限されない。
【0044】
まず、一般式(3)の化合物は、下記反応式1の方法に従って、一般式(4)の化合物のニトロ基を還元して、一般式(5)の化合物のアミン化合物を製造し、形成されたアミン基に対して一般式(6)の化合物と還元性アミノ化反応を行うことによって合成することができる:
(反応式1)
【化4】
(式中、Bc、R7c、R8c及びR9cは、一般式(3)の定義と同義であり、
R10cはアルキル、シクロアルキル、複素環、ヘテロアリール又はアリールを表し、
R11cは水素、アルキルを表し、又は
R10c及びR11cは環化してシクロアルキルまたは複素環を形成することができる)
【0045】
一般式(5)の化合物は、一般式(4)の化合物に還元によって製造することができる。還元反応は、酸触媒と金属を用いるか、または水素ガス存在下、金属触媒を用いて行うことができる。
【0046】
酸触媒と金属の使用を含む還元反応で使用することができる酸の例は、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸、酢酸、トリフルオロ酢酸などの有機カルボン酸、塩化アンモニウムのようなアミン酸塩、好ましくは塩酸、酢酸または塩化アンモニウムなどである。酸の使用量は、一般式(4)の化合物1当量に対して、通常0.01〜10当量であり、好ましくは0.1〜5当量である。用いられる金属の例は、鉄、亜鉛、リチウム、ナトリウム、スズ(通例的に、塩化スズ)などであり、特に好ましくは鉄、亜鉛、塩化スズなどである。金属の使用量は、一般式(4)の化合物1当量に対して、通常1〜20当量であり、好ましくは1〜10当量である.酸触媒存在下の金属反応は、不活性溶媒中で行うことができる。不活性溶媒の例には、メタノール、エタノールなどのアルキルアルコール、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルなどのエーテル、酢酸エチルのようなアルキルエステルなどであり、好ましくはメタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、酢酸エチルなどである。反応温度は、通常−10〜200℃であり、好ましくは25〜120℃であり反応時間は通常10分〜60時間、好ましくは10分〜12時間である。
【0047】
水素ガス存在下で金属触媒の使用を含む還元反応で使用することができる金属触媒の例は、パラジウム、ニッケル、プラチナ(platinum)、ルテニウム(ruthenium)、ロジウム(rhodium)などであり、特に好ましくはパラジウム、ニッケルなどである。金属触媒の使用量は、一般式(2)の化合物1当量に対して、通常0.001〜2当量であり、好ましくは0.01〜1当量である。水素ガスの圧力は、通常1〜10気圧であり、好ましくは1〜3気圧である。反応は不活性溶媒、例えば、メタノール、エタノールなどのアルキルアルコール、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルなどのエーテル、酢酸メチル、酢酸エチルなどのアルキルアセテートなどであり、好ましくはメタノール、エタノール、酢酸エチルなどで行うことができる。金属触媒の使用を含む還元反応において、反応温度は通常−10〜200℃、好ましくは25〜50℃であり、反応時間は通常10分〜60時間、好ましくは10分〜12時間である。
【0048】
一般式(6)化合物は商業的に購入可能であり、一般式(5)化合物のアミン基に対する還元性アミノ化反応を通して製造することができる。
【0049】
還元性アミノ化反応は、還元剤とアルデヒドまたはケトンとの反応を通して行うことができ、必要に応じて酸触媒を使用することができる。アルデヒドまたはケトンの量は、一般式(5)の化合物1当量に対して、通常1〜10当量であり、好ましくは1〜3当量である。用いられる還元剤は、水素化ホウ素ナトリウム、シアノ水素化ホウ素ナトリウム(NaBH3CN)、ナトリウムトリアセトキシ−ボロハイドライド{NaBH(OAc)3}などである。還元剤使用量は一般式(5)の化合物1当量に対して、通常1〜10当量であり、好ましくは1〜3当量である。用いられる酸触媒は、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸、酢酸、トリフルオロ酢酸などの有機カルボン酸、塩化アンモニウムのようなアミン酸塩などであり、特に好ましくは塩酸、酢酸などである。酸の使用量は、一般式(5)の化合物1当量に対して通常0.1〜10当量であり、好ましくは1〜5当量である。反応は、不活性溶媒、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルなどのエーテル、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタンなどのクロロアルカン、好ましくはジクロロエタン、クロロホルムなどで行くことができる。反応温度は、通常−10〜100℃、好ましくは−10〜50℃であり、反応時間は通常10分〜60時間、好ましくは10分〜12時間である。
【0050】
一般式(4)の化合物は、下記反応式2で示されるように、一般式(7)の化合物のアルデヒド化合物を、一般式(8)の化合物と連結反応及び環化反応によって製造することができる:
(反応式2)
【化5】
(式中、Bc、R7c及びR9cは上記一般式(3)の定義と同義である)
【0051】
まず、一般式(7)の化合物のような商業的に購入可能なアルデヒドと商業的に購入可能な一般式(8)の化合物のようなジアミン化合物を加熱撹拌して、環化する。次に、酸触媒の存在下で加熱すれば、一般式(4)の化合物のような化合物を得ることができる。用いられる酸触媒は、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸、酢酸、トリフルオロ酢酸などの有機カルボン酸、塩化アンモニウムのようなアミン酸塩などであり、特に好ましくは塩酸、酢酸などである。酸の使用量は一般式(5)の化合物1当量に対して、通常0.1〜10当量であり、好ましくは1〜5当量である。場合によって、反応は、溶媒として酢酸のような有機酸を用いて行うことができる。
【0052】
本明細書で、“製薬的に許容される塩”には、製薬的に許容されるアニオンを含有する無毒性酸付加塩を形成する酸、例えば、硫酸、塩酸、硝酸、リン酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸などの無機酸;酒石酸、ギ酸、クエン酸、酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、グルコン酸、安息香酸、乳酸、フマル酸、マレイン酸、サリチル酸などの有機カルボン酸;メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸などのスルホン酸などにより形成された酸付加塩が含まれる。また、製薬的に許容される塩基付加塩には、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどにより形成されたアルカリ金属またはアルカリ土類金属塩;リシン、アルギニン、グアニジンなどのアミノ酸塩;ジシクロヘキシルアミン、N−メチル−D−グルカミン、トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン、ジエタノールアミン、コリン、トリエチルアミンなどの有機塩などが含まれる。本発明に係る一般式(1)、一般式(2)及び一般式(3)の化合物は、通常的な方法によりその塩に転換することができ、塩の製造は別途の説明がなくても、上記一般式(1)、一般式(2)及び一般式(3)の構造に基づいて当業者が容易に行うことができる。
【0053】
本明細書で、“異性体(isomer)”は、同じ化学式または分子式を有するが、光学的または立体的に異なる形態を有する化合物またはその塩を意味する。本発明に係る一般式(1)、一般式(2)及び一般式(3)の化合物は、不斉炭素中心を有することができるので、立体異性体(RまたはS異性体)、ラセミ体、ジアステレオマーの混合物、または個々のジアステレオマーなどの形態で存在してもよい。二重結合を有するとき、幾何異性体(トランス、シス型異性体)の形態で存在し得る。これら全ての異性体及びその混合物も本発明の範囲に含まれる。
【0054】
以下では、特に説明がない限り、それぞれの一般式(1)、一般式(2)及び一般式(3)の化合物には、製薬的に許容されるその塩及び異性体が含まれる。これらは全て、本発明の範疇に含まれるものである。説明の便宜のために、本明細書では、これらを一般式(1)の化合物として簡単に表現する。
【0055】
上述の“医薬組成物”は、必要に応じて、本発明の化合物と共に、製薬的に許容される担体、希釈剤、賦形剤、またはこれらの組み合わせを含むことができる。医薬組成物は、生物体内に化合物が投与されることを容易にする。化合物を投与する様々な技術が存在しており、そこには、経口、注射、エアゾール、非経口及び局所投与などが含まれるが、これらに制限されない。
【0056】
本明細書で、“担体”は、細胞または組織内に化合物の付加を容易にする物質を意味する。例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)は、生物体の細胞または組織内に多くの有機化合物の投入を容易にするのに通常使われる担体である。
【0057】
本明細書で、“希釈剤”は、対象化合物の生物学的活性形態を安定化させるだけでなく、化合物を溶解させる水で希釈される物質として定義される。バッファー溶液に溶解されている塩は、当該分野で希釈剤として使われている。通常使われるバッファー溶液は、ヒト溶液の塩形態を摸倣しているホスフェートバッファー食塩水である。バッファー塩は、低い濃度で溶液のpHを制御できるため、バッファー希釈剤が化合物の生物学的活性を変形させることは稀である。
【0058】
本明細書で、“製薬的に許容される”は、化合物の生物学的活性と物性を損傷しない性質を意味する。
【0059】
本発明の化合物は、所望の目的によって、様々な製薬的投与形態に剤形化することができる.本発明に係る医薬組成物を製造する際に、活性成分、具体的に、一般式(1)、一般式(2)または一般式(3)の化合物、その製薬的に許容される塩または異性体を製造しようとする製剤によって選択できる様々な製薬的に許容される担体と共に混合する。例えば、本発明に係る医薬組成物は、所望の目的によって、注射用製剤、経口用製剤等に剤形化することができる。
【0060】
本発明の化合物は当分野において知られている製薬用担体と賦形剤を利用する当分野において知られている方法で製剤化され、単位用量のまたは多用量の容器に入れることができる。製剤の形態は、油または水性媒体中の溶液、懸濁液または乳化液の形態であり、通常の分散剤、懸濁剤または安定化剤を含有することができる。また、例えば、使用前に無菌、発熱物質が除去された水に溶かして使用する乾燥粉末の形態であってもよい。本発明の化合物は、また、カカオバターまたはその他グリセリドのような通常の坐剤基剤を利用して坐剤形態に製剤化してもよい。経口投与用固体投与形態は、カプセル剤、錠剤、丸剤、散剤及び顆粒剤が可能である。特にカプセル剤と錠剤が有用である。錠剤及び丸剤は腸溶性錠剤として製造することが好ましい。固体投与形態は、本発明の化合物をスクロース、ラクトース、デンプンなどの一つ以上の不活性希釈剤及びステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤、崩壊剤、結合剤などの担体と混合することによって製造することができる。
【0061】
本発明は、また、活性成分として、上記一般式(1)、一般式(2)または一般式(3)の化合物、その製薬的に許容される塩またはその異性体、及び許容可能な担体を含む、抗酸化効果を有する化粧品組成物を提供する。
【発明の効果】
【0062】
本発明の医薬組成物は、優れた抗酸化活性を有することによって、様々な酸化的ストレスに起因する疾患を効率的に予防又は治療することができる。
【0063】
また、本発明の医薬組成物は、心筋細胞のミトコンドリア機能障害、低酸素損傷、壊死及び虚血性再潅流損傷を抑制することによって、心臓及び心血管疾患を効率的に予防または治療することができる。また、冠動脈迂回術、冠動脈経皮形成術などの手術療法または血栓溶解剤などを用いた薬物療法のような再潅流療法手術時に、心臓保護剤として使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】(テトラヒドロピラン−4−イル)−[2−フェニル−5−(1,1−ジオキソ−チオモルホリン−4−イル)メチル−1H−インドール−7−イル]−アミン(化合物9)の細胞内での抗酸化効果を、DHR123プローブを用いて評価した写真である。
【図2】化合物9の細胞内での抗酸化効果をMitoSOX red プローブを用いて評価した写真である。
【図3】化合物9を処理した群と処理しない群との肝臓の左葉を比較した写真である。
【図4】化合物9を処理したときと処理しなかったときの虚血性再潅流損傷後のALTとAST値を示したグラフである。
【図5】化合物9を13mg/kg投与した群と投与しない群との組織染色の比較を示す写真である(IR:虚血再灌流損傷)。
【図6】化合物9を投与した群と投与しない群の顕微鏡上での比較結果を示すグラフである(肝細胞変性、肝類洞のうっ血、炎症性細胞浸潤)。
【図7】化合物9を4.5mg/kg投与した群と虚血及び再潅流損傷対照群のHMGB1レベルの比較を示すグラフである。
【図8】化合物9を処理した群と処理しない群との、虚血性再潅流損傷後のミトコンドリア複合体I活性の比較を示すグラフである。
【図9】化合物9処理後のHMGB1放出を測定したグラフである。
【図10】化合物9処理後、化合物9によるATP量の変化を測定したグラフである。
【図11】細胞壊死に対して化合物9の保護効果を示すために、FDAとPI二重染色したH9C2細胞の蛍光顕微鏡写真である。
【図12】細胞壊死に対して化合物9の保護効果を示すために、直接数えた細胞数を示すグラフである。
【図13】細胞壊死に対して化合物9の保護効果を示すために、FACS分析結果を示すグラフである。
【図14】ミトコンドリアの膨張に対する化合物9の抑制効果を示すグラフである。
【図15】化合物9のミトコンドリア保護効果を示す蛍光顕微鏡写真である。
【図16】虚血性再潅流損傷(I/R)モデルで左室膨脹に対する化合物9の抑制効果を示すグラフである。
【図17】I/R損傷後、左室の画分短縮に対する化合物9の抑制効果を示すグラフである。
【図18】化合物9とシクロスポリンAを比較するMT(Masson-Trichrome)染色法によって心臓繊維化を示すイメージである。
【図19】実験例2の肝臓手術を示す写真である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0065】
本発明は、下記実施例を参照して詳細に説明されるが、本発明の範囲がこれらによって制限されるものではない。
【実施例1】
【0066】
実施例1:シクロペンチル−(2−フェニル−3H−ベンゾイミダゾール−4−イル)−アミンの製造
工程A:4−ニトロ−2−フェニル−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール
3−ニトロ−ベンゼン−1,2−ジアミン(1.0g、6.5mmol)をメタノール(10mL)に溶かした溶液に、ベンズアルデヒド(0.69g、6.7mmol)を加え、80℃で2日間撹拌した。反応完結後、溶媒を真空留去し、残渣をカラム・クロマトグラフィーで精製して、表題化合物(1.1g、収率70%)を得た。
1H-NMR (500HMz, DMSO); δ 8.68 (s, 1H), 7.43~7.31 (m, 5H), 7.18 (s, 1H), 6.95 (d, 1H), 6.44 (s, 1H), 6.36 (t, 1H), 6.29 (d, 1H)
【0067】
工程B:7−ニトロ−2−フェニル−1H−ベンゾイミダゾール
工程Aで得られた4−ニトロ−2−フェニル−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール(1.1g、4.6mmol)を酢酸(10mL)に溶かし、80℃で3時間撹拌した。反応完結後、水を加え、酢酸エチルで抽出し、1N−水酸化ナトリウムで洗浄した。無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、ろ液を減圧下で蒸留し、カラム・クロマトグラフィーで精製して、表題化合物(0.91、収率83%)を得た。
1H-NMR (400HMz, DMSO); δ 13.3 (br s, 1H), 8.37 (d, 2), 8.15 (d, 2H), 7.65~7.56 (m, 3H), 7.46 (t, 1H)
【0068】
工程C:2−フェニル−3H−ベンゾイミダゾール−4−イルアミン
工程Bで得られた7−ニトロ−2−フェニル−1H−ベンゾイミダゾール(0.137g、0.57mmol)をテトラヒドロフラン(5mL)、メタノール(5mL)と水(5mL)で溶かした。溶液に鉄粉(0.40g、7.2mmol)と塩化アンモニウム(0.39g、7.2mmol)を加え、60℃で1時間撹拌した。反応完結後、水を加え、酢酸エチルで抽出した。無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、ろ液を減圧下で蒸留し、残渣をカラム・クロマトグラフィーで精製して、表題化合物(0.12g、収率79%)を得た。
1H-NMR (500HMz, DMSO); δ 12.5 (s, 1H), 8.10 (d, 2H), 7.55~7.45 (m, 3H), 6.87 (t, 1H), 6.67 (d, 1H), 6.32 (d, 1H), 5.21 (s, 2H)
【0069】
工程D:シクロペンチル−(2−フェニル−3H−ベンゾイミダゾール−4−イル)−アミン
工程Cで得られた2−フェニル−3H−ベンゾイミダゾール−4−イルアミン(0.040g、0.19mmol)をジクロロエタン(5mL)に溶かした。溶液に、酢酸(0.012mg、0.19mmol)、シクロペンタンオン(0.048g、0.57mmol)とトリアセトキシ−水素化ホウ素ナトリウム(0.049mg、0.23mmol)を加え、室温で18時間撹拌した。反応完結後、水を加え、ジクロロメタンで抽出し、飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄した。無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、ろ液を減圧下で蒸留し、残渣をカラム・クロマトグラフィーで精製して、表題の化合物(0.026mg、収率49%)を得た。
1H-NMR (40HMz, CDCl3); δ 9.36 (br s, 1H), 8.02 (m, 2H), 7.56~7.45 (m, 3H), 7.17 (t, 1H), 6.83 (d, 1H), 6.47 (d, 1H)5.06 (br s, 1H), 4.02 (m, 1H), 2.13 (m, 2H), 1.82 (m, 2H), 1.69 (m, 4H)
【0070】
実施例2:(2−フェニル−3H−ベンズイミダゾール−4−イル)−(テトラヒドロ−フラン−4−イル)−アミンの製造
実施例1の工程Cで得られた2−フェニル−3H−ベンゾイミダゾール−4−イルアミン(0.040g、0.19mmol)とテトラヒドロ−フラン−4−カバーアルデヒド(0.026g、0.23mmol)を用いて、実施例1の工程Dと同様の方法により、表題の化合物(0.030mg、収率51%)を得た。
1H-NMR (40HMz, CDCl3); δ 8.02 (m, 2H), 7.56~7.45 (m, 3H), 7.17 (t, 1H), 6.85 (d, 1H), 6.44 (d, 1H)4.05 (dd, 1H), 3.45 (td, 2H), 3.27 (d, 2H), 2.02 (m, 1H), 1.85 (m, 2H), 1.45 (m, 2H)
【0071】
実施例3:シクロペンチル−(2−フェニル−2−イル−3H−ベンゾイミダゾール−4−イル)−アミン
2−カルボキシアルデヒド、3−ニトロ−ベンゼン−1,2−ジアミン及びシクロペンタノンを用いて、実施例1と同様の方法により、表題の化合物を得た。
1H-NMR (40HMz, CDCl3); δ 1.64 (m, 6H), 2.10 (m, 2H), 4.14 (s, 1H), 6.38~6.34 (d, 1H), 6.69~ 6.71 (d, 1H), 7.09~7.13 (t, 1H), 7.25~7.26 (m, 1H), 7.75~7.79 (m, 1H), 8.40~8.41 (d, 1H), 8.54~8.55 (m, 1H).
【0072】
以下に、本発明の効果を以下の実験例により説明する。実験例に用いられた化合物は以下のとおりである。
化合物1:[(S)−2−(7−シクロペンチルアミノ−5−メチル−1H−インドール−2−イル)−4,5−ジヒドロ−チアゾール−4−イル]−酢酸
化合物2:{(S)−2−[5−メチル−7−(テトラヒドロピラン−4−イルアミノ)−1H−インドール−2−イル]−4,5−ジヒドロ−チアゾール−4−イル}−酢酸
化合物3:[(S)−2−(7−シクロペンチルアミノ−5−メチル−1H−インドール−2−イル)−4,5−ジヒドロ−オキサゾール−4−イル]−酢酸
化合物4:[(S)−2−(7−シクロペンチルアミノ−1H−インドール−2−イル)−4,5−ジヒドロ−チアゾール−4−イル]−酢酸
化合物5:[(S)−2−(7−シクロペンチルアミノ−5−フェノキシ−1H−インドール−2−イル)−4,5−ジヒドロ−チアゾール−4−イル]−酢酸
化合物6:4−{2−[(S)−2−(7−シクロペンチルアミノ−5−フェノキシ−1H−インドール−2−イル)−4,5−ジヒドロ−チアゾール−4−イル]−エチル}−ピペラジン−2−オン
化合物7:シクロペンチル−(2−{(S)−4−[2−(3−メチル−5,6−ジヒドロ−8H−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピラジン−7−イル)−エチル]−4,5−ジヒドロ−チアゾール−4−イル}−5−フェノキシ−1H−インドール−7−イル)−アミン
化合物8:((S)−2−{7−[(テトラヒドロピラン−4−イルメチル)−アミノ]−1H−インドール−2−イル}−4,5−ジヒドロ−チアゾール−4−イル)−酢酸
化合物9:(テトラヒドロピラン−4−イル)−[2−フェニル−5−(1,1−ジオキソ−チオモルホリン−4−イル)メチル−1H−インドール−7−イル]−アミン
化合物10:[5−(1,1−ジオキソ−チオモルホリン−4−イル)メチル−2−フェニル−1H−インドール−7−イル]−(テトラヒドロピラン−4−イル)メチル−アミン
化合物11:[5−(1,1−ジオキソ−チオモルホリン−4−イル)メチル−2−フェニル−1H−インドール−7−イル]−ビス−[(テトラヒドロピラン−4−イル)メチル]−アミン
化合物12:{4−[5−(1,1−ジオキソ−チオモルホリン−4−イル)メチル−2−フェニル−1H−インドール−7−イルアミノ]−ピペリジン−1−イル}−(テトラヒドロピラン−3−イル)メタノン
化合物13:[5−(1,1−ジオキソ−チオモルホリン−4−イル)メチル−2−フェニル−1H−インドール−7−イル]−(1−メチルスルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミン
化合物14:((S)−2−{5−メチル−7−[(テトラヒドロピラン−4−イルメチル)−アミノ]−1H−インドール−2−イル}−4,5−ジヒドロ−チアゾール−4−イル)−酢酸
実施例1:シクロペンチル−(2−フェニル−3H−ベンゾイミダゾール−4−イル)−アミン
実施例2:(2−フェニル−3H−ベンズイミダゾール−4−イル)−(テトラヒドロ−フラン−4−イル)−アミン
【0073】
実験例1:壊死阻害剤の抗酸化効果(anti-oxidant effect)
各化合物に対する抗酸化効果を測定するために、下記実験を実施した:総抗酸化効果を測定するDPPH方法、ジヒドロローダミン(Dihydrorhodamine)123を用いた抗酸化効果測定法、細胞に酸化的ストレスを引き起こすtBOOHを用いる壊死阻害測定法、ONOO−(ペルオキシ亜硝酸)の除去能力の測定方法、並びに各化合物等のH2O2(過酸化水素)及びtBOOHに対した直接的な抗酸化効果の測定方法を用いた。
【0074】
実験例1−1:DPPHを用いた抗酸化効果測定
DPPH(1,1−ジフェニル−2−ピクリルヒドラジル)は、安定なフリーラジカルであり、紫色を有している。DPPHが化合物により還元されれば、DPPHのカラーが黄色に転換される原理を用いて、特定化合物の抗酸化効果を測定した。DPPHは517nmで強い吸収を示し、還元させると、カラーが黄色に転換され、517nmでの吸収される程度が減る。この時、オリジナルの吸収を50%程度に減少させる化合物の濃度をIC50値とした。
【0075】
DMSOに200μmのDPPH溶液(180μL)を、96ウェルプレートの各ウェルに分注し、2000μmから連続的に2倍希釈した、化合物(20μL)を、DPPHが入っているプレートに加えた。それらをよく混合し、室温で30分間放置した。30分後、517nmでのO.D.値をspectraMAX ELIS Areaderで測定した。その結果を表1に示した。
【表1】
【0076】
実験例1−2:ジヒドロローダミン123(DHR123)を用いた抗酸化効果測定
ジヒドロローダミン123自体は非蛍光性であるが、ROS(活性酸素種)やRNS(活性窒素種)によって酸化されると、ローダミン123に転換される。細胞内でまたはin vitroで化合物の抗酸化効果はこれら特性により測定した。H9C2細胞を96ウェルプレートに1.5×104細胞/100μL/ウェルに分注した。翌日、細胞を、最高濃度から連続的に3倍希釈した各化合物で1時間前処理した後、DHR123 12.5μmストック溶液10μL(最終濃度1.25μm)で37℃培養器にて30分間処理した。30分が経過したら、直ちにtBOOH(400μM)で処理し、2時間インキュベーションした。次いで、480nmで励起して、538nmで放出される蛍光をspectraMAX Gemini microplate readerで測定した。ここで、IC25とは、酸化ストレスの増加によってDHR123の酸化により発せられたtBOOH処理2時間後の蛍光を100%としたときの25%の抑制を引き起こす化合物の濃度を意味する。実験結果を表2に示す。さらに、化合物が実際に細胞に対する抗酸化効果を有しているかを確かめるために、上記アッセイが終わった後、96ウェルプレートにて細胞を4%ホルムアルデヒドで固定し、PBSで3回洗浄した。次に、PBS(100μL)を96ウェルプレートの各ウェルに加え、各細胞の蛍光を免疫蛍光顕微鏡検査(光学顕微鏡:オリンパス社製)で測定(細胞内のDHR123により、酸化に比例して蛍光が発される)した。結果を図1に示す。また、MitoSOX red probe(最終濃度:5μm)を用いて、同じ方法でスーパーオキシドの生成阻害を測定した。
【表2】
【0077】
実験例1−3 tBOOHにより誘導される酸化ストレスに対する細胞保護効果
tert−ブチルヒドロペルオキシド(tBOOH)は、様々な細胞で酸化ストレスを誘発して細胞壊死を誘導することが知られている。したがって、抗酸化効果による細胞壊死の阻害は、tBOOHをH9C2細胞に処理することによって測定した。H9C2細胞を96ウェルプレートに1.5×104細胞/100μL/ウェルで分注した。翌日、細胞を各化合物で前処理した後、tBOOH(最終濃度:400μm)で2時間、処理した。ホルムアルデヒド(50μL)を各ウェルに加えて、細胞を固定した。30分間細胞を固定し、蒸留水で3回洗浄した。その後、プレートを50℃乾燥器で完全に乾燥し、SRB溶液を加えて、残っているタンパク質量を染色した。プレートを1%酢酸で洗浄し、乾燥した。次に、プレートに10M Tris溶液(100μL)を加えて、染料を再溶解し、spectraMAX Elisa readerで、590nmと650nmでO.D.を測定することで、IC50を求めた。IC50とはtBOOH処理によって誘導される細胞の壊死を50%保護する化合物の濃度を意味する。実験結果を下記表3に示す。
【表3】
【0078】
実験例1−4:ジヒドロローダミン123を用いたONOO−(ペルオキシナイトライト)除去能の測定
RNSの一種として知られているONOO−は、酸化ストレスで非常に重要な役割を果たしている。従って、壊死阻害剤のONOO−除去能を評価することは非常に重要である。DHR123 probeはONOO−により酸化されることはよく知られている。従って、このような特性を用いることによって、各化合物の効果を測定した。
各化合物を50μMから連続的に3倍希釈して、10μLを96−ウェルプレートの各ウェルに分注した。その後、測定混合物(10μM DHR123、1×PBS、100μM DPTA(ONOO−なしに))170μLを各ウェルに加えた。最後に、ONOO−溶液(最終濃度:1μm)20μLを加えて、反応を開始した。IC50とはONOO−によるDHR123の酸化を50%阻害する化合物の濃度を意味する。
【0079】
化合物のONOO−除去能の構造−活性連関性(SAR)の結果を表4に示す。
【表4】
【0080】
実験例1−5:H2O2及びtBOOHに対する直接的な抗酸化効果
インドール構造を有する壊死阻害剤の抗酸化効果を調べるために、特定のROSであるH2O2(ハイドロゲンペルオキシド)とtBOOHに対する直接的な抗酸化効果を評価した。
【0081】
DMEM完全培地(100μL)で希釈した各化合物(10μL)に、DHR123probe(最終濃度:1.25μM)10μLを加えた。H2O2およびtBOOHを下記表5に示された濃度になるよう加え、2時間後、波長480nm(ex)/538nm(em)にてspectraMax geminiを用いて蛍光を測定した。ここで、IC25とはH2O2およびtBOOHによるDHR123の酸化により発される蛍光を100%としたとき、25%の減少をもたらす化合物の濃度を意味する。
【表5】
【0082】
実験例2:ビーグル犬における虚血及び再潅流による肝損傷に対する化合物9の保護効果
実験デザイン:
8.5〜11.5kgの27匹の健常なビーグル犬が実験のために選ばれた。この実験は牙山病院倫理委員会の承認を受けて遂行された。肝臓のグリコーゲン蓄積を最小化するために術前に犬を24時間絶食し、毛を除去した。犬は対照群A(n=9)、B(n=6)、C(n=6)、D(n=6)に無作為に群分けした。気管内挿管が行われ、zoletilと2.5%エンフルランで一般的な麻酔を行った。セファゾリンとケトロラックは倫理委員会で承認された手順に従って抗生剤と鎮痛剤としてそれぞれ使用した。
【0083】
手術手順:
犬を暖かい毛布を敷いた、左、右側に温水入れボトルのある手術台に横にした。左外頸静脈と右側大伏在静脈は21ゲージIVカテーテルで開放されたアプローチを通して挿管した。右側内部頸動脈を切開し、手術の間、血流動態をよく把握するために、迂回挿管した。完全な静脈内接近が得られた後、2.5%エンフルランの吸入により麻酔を維持した。クリスタルロイド溶液は15mL/kg/hrの速度で投与した。
薬物処置群であるB、C、及びDにIVで左側肝臓の流動を閉塞する20分前に、それぞれ13mg/kg、4.5mg/kg、1.5mg/kgの薬物を投与した。併用用量及び点滴はCmax12.5mg/mL(at 20min)がCss5mg/mLになるように行った。全ての犬は手術する間、15分毎に血圧、心臓脈動数、呼吸率及び動脈血酸素飽和度を点検しながらモニタリングした。手術はT字型切開により遂行された。肝十二指腸間膜は腹膜小網を分けた後、隔離された。膽嚢と肝の4番目の葉を確保し、hilar構造に沿ってやさしく上側にサーチしていった。図19のaは、Cantlie’s lineに沿って分けられ肝臓の左葉と右葉を示している。19のbは典型的なhilar構造を示している。ヒトでは右側茎が肝臓体積の60−70%を占める。左側肝臓の流動を90分間、閉塞して、虚血損傷を誘導後、クランプを離して60分間再潅流損傷を誘導した(図19のc)。したがって、このモデルは90分虚血損傷と60分再潅流損傷を利用するシステムである。手術後、腹腔と皮膚を閉じた。
【0084】
血液サンプリングと生検:
全血液検査値(FBE;Hb、WCC、HCT、Plt、MCR、MCH及びMCHC)、肝機能テスト(LFT;AST、ALT、LDH、及び総ビリルビン)、ウレア及び電解質(U&E;BUNとクレアチン)、肝生検(組織病理及びH&E染色)並びにHMGB1測定を含む血液サンプリング及び肝生検を予め決まった間隔で行った。光学及び電子マイクロ写真が肝細胞の形状を分析するために使われた。ビーグル犬は継続的な鎮痛剤投与及び軟らかい高タンパク食を提供することによって、手術後、暖かく清潔な環境に保った。そして、手順に従い48時間後に屠殺した。結果を図3、4及び5に示す。
【0085】
IR損傷後組織学的分析:
肝生検体を固定と脱水後に、パラフィン包埋を経て4μmの厚さに切断した後、マイヤーヘマトキシリン−エオシン方法を通して染色し、光学顕微鏡で観察した。全てのサンプルは無作為に分配され、blindで分析された。サンプルは肝細胞変性と壊死、類洞及び門脈鬱血、そして炎症細胞沈着のために分析された。組織観察は移転報告方法(Hafez T et al., Journal of Surgical Research 2007; 138: 88-99)に従って定量的な方法で等級化−(0(0%、なし)、1(1−25%、軽微)、2(26−50%、中程度)、または3(51−100%、顕著)−した。結果を図6に示す。
【0086】
HMGB1測定:
HMGB1 ELISA assay kitを使用して販売元のプロトコールに従い測定した。結果を図7に示す。
【0087】
ミトコンドリア複合体I活性測定:
肝組織は氷冷バッファーA(320mmスクロース、1mM EDTA、10mM Tris(pH7.5))で2回洗浄した。それらを小片に切断し、1g当たり4mL ATバッファー(75mMスクロース、225mM マンにトール、1mM EGTA及び0.01%BSA、pH7.4)をガラス−テフロン ホモジナイザーに入れてホモジナイズした。ホモジネートを4℃で5分間、1000gで遠心分離し、上清を再び2回13000gで遠心分離した。ミトコンドリアが豊富化された塊をミトコンドリア複合体I活性の測定に用いた。複合体I活性(NADH:CoQ酸化還元酵素)はデシルウビキノン(decylubiquinone)存在下に、NADHのロテノン感受性の減少を340nmでモニタリングすることにより測定した。結果を図8に示す。
【0088】
実験例3:tBOOH処理後のHMGB1放出に対する化合物9の抑制効果
細胞の壊死が起こるとき、HMGB1が放出されることはよく知られている。従って、酸化的ストレスを与えるtBOOH400μm濃度での処理後、HMGB1放出に対する化合物9の抑制効果を試験した。
H9C2細胞を1.5×104細胞/100μL/ウェルで分注した。翌日、化合物9を30分間、10μM濃度で処理した。tBOOH(最終濃度400μM)で処置した後、上清(50μL)を時間別に採取し、HMGB1 ELISAを用いてHMGB1のレベルを測定した。結果は図9に示す。
【0089】
実験例4:tBOOH処理後の全ATP量の変化の観察
細胞は壊死の過程でATP量が減少を示す。ATP量の維持は細胞の生存に非常に重要である。従って、tBOOHで処理した後、ATP量の変化を観察した。
H9C2細胞を1.5×104細胞/100μL/ウェルにて分注し、翌日、化合物9を30分間、10μm濃度で処理した。tBOOH(最終濃度:400μm)で処理した後、細胞内に残っているATP量をATPモニタリングキット(Perkin ElmerLife Sciences)を用いて測定した。その結果を図10に示す。
【0090】
実験例5:in vitro虚血性再潅流損傷後の細胞壊死に対する化合物9の保護効果
虚血性再潅流損傷後、H9C2細胞の壊死に対する化合物9の保護効果を測定するために、以下の実験を実施した:FDAおよびPIの二重染色法、細胞数測定法、FACS分析法、及びミトコンドリアの膨張測定法。
細胞培養及び低酸素損傷の条件:
H9C2細胞をFBSと抗生剤が含有するDMEM培地で培養した。細胞の80−90%が融合したとき、上記実験を行った。実験24時間前に、H9C2細胞を35mmフラスコと150mmフラスコとに接種した。細胞の約80%が融合したとき、0.5%FBSと抗生剤が含有されたDMEM培地に変えた。細胞は24時間、低酸素チェンバーで培養した。23.5時間後に、低酸素チェンバー内で各種化合物[0.01%DMSO、化合物9(20μm)、ビタミンC(10μm)、及びz−VAD−fmk(20μm)]で細胞を処理した。細胞を37℃培養器に移し、再培養直前に400μmのH2O2で細胞を処理した。再酸素化(Reoxygenation)を1.5時間行った。
【0091】
実験例5−1:H9C2における虚血性再潅流損傷後の、FDAとPI二重染色による保護効果の測定
35mm蛍光用フラスコで培養されたH9C2細胞をFDA/PIで二重染色した。FDA(フルオレセイン二酢酸、シグマ社製)とPI(propidium iodide)原液を準備した。細胞をPBSで洗浄し、4.5μLのFDA溶液(5mg/mL)と4μLのPI溶液(2mg/mL)を1.5mLの細胞培地に加えた。蛍光顕微鏡によりFDA/PI染色画像を得た。実験結果を図11に示す。
【0092】
実験例5−2:H9C2における虚血性再潅流損傷後の、FDAとPI二重染色細胞の細胞数計測による保護効果の測定
実験例5−1で蛍光顕微鏡によりFDA/PI染色画像を得た後、生細胞と死細胞の数をImage Proを使用して計測した。実験結果を図12に示す。
【0093】
実験例5−3:H9C2における虚血性再潅流損傷後の、アネキシンVとPI二重染色細胞のFACS分析による保護効果の測定
アポトーシスまたは壊死細胞をFITCおよびアネキシンVアポトーシス検出キットで染色し、フローサイトメーターを用いて分析した。35mmフラスコで培養した細胞を、PIおよびアネキシンV−FITC処理の、無処理、単独及び二重染色の3群に分けた。再酸素化後、収集された細胞を10分間、4℃、2000rpmで遠心分離した。上清培地を除去し、アネキシンV−結合緩衝溶液で再懸濁した細胞をPI(5μL)とアネキシンV−FITC(5μL)で15分間、暗室で染色後、FACS分析を行った。実験結果を図13に示す。
【0094】
実験例5−4:H9C2における虚血性再潅流損傷後の、ミトコンドリア膨脹に対する抑制効果の測定
ミトコンドリア膨脹測定のため150mmフラスコで培養されたH9C2細胞を使用した。O.05%トリプシンで細胞を回収した後、4℃、2000rpmで、10分間、遠心分離した。上清を除去後、細胞をPBSで洗浄した。2000rpm、4℃で、10分間、再遠心分離した後、上清を捨てた。得られた細胞塊を500μLのろ過単離バッファー(filrated isolating buffer)(300mMマンニトール、0.2mM EDTA、5mM Tris−HCl(pH7.4)、1%ウシ血清アルブミン)に加え、次の実験に用いた。シリンジで破砕された細胞をトリパンブルー染色液でテストした。大部分の細胞が砕かれたら、直ちに4分間、2000rpmで遠心分離した。ミトコンドリアを含む上清を集め、10分間4℃、13000rpmで遠心分離した。上清を捨てた後、ミトコンドリア塊を100μLのインキュベーションバッファー(150m MKCl、20mM Tris−HCl(pH7.4))に再懸濁した。タンパク質濃度は、タンパク質定量キットで定量した。単離したミトコンドリアタンパク質の一定量を96ウェル培養プレートに分注し、分光光度計を用いて513nmで測定した。実験結果を図14に示す。
【0095】
実験例5−5:H9C2における虚血性再潅流損傷後の、Mito TrackerおよびPI二重染色の使用によるミトコンドリア混濁及び核壊死の測定
ミトコンドリア視角化及び3Dイメージ:
35mm蛍光フラスコで培養されたH9C2細胞のミトコンドリアを視角化するため、DMSOに溶かした1mM Mito Tracker Green FMを用意した。細胞を培地で洗浄後、0.5mM Mito Tracker Green FMとPI(4μL)溶液を使用して二重染色した。1時間後、細胞を蛍光顕微鏡で分析し、Imarisプログラムを用いて3Dイメージを得た。
【0096】
電子顕微鏡:
フラスコの底にカーバースリップのある24ウェルプレートで培養されたH9C2細胞を用いた。細胞を2%グルタルアルデヒドを含む0.1Mリン酸ナトリウム緩衝溶液(pH7.4)で固定した。細胞をPBS緩衝溶液で洗浄後、1%OsO4及び1.5%カリウムで1時間、後固定をした。細胞をPBS緩衝溶液と蒸留水で2回連続的に洗浄し、ろ過した0.5%酢酸ウラニルを用いて、4℃にて一晩細胞を処理した。細胞を蒸留水で2回洗浄し、エタノールで脱水し、2回に亘ってそれぞれ1時間、Eponに包埋した。細胞を60℃で、2日間、Epon内でポリマー化し、電子顕微鏡分析を行った。
【0097】
蛍光免疫染色:
OCT−包埋組織断片を0.05%氷冷TBSTで3回に亘って10分ずつ洗浄した。組織断片を1%BSA含有ブロッキング溶液で、1時間、室温で処理した。重鎖心臓ミオシン免疫蛍光染色のために、1次抗体として抗マウス重鎖心臓ミオシン(1:100、Abcam)で組織断片を処理した。組織断片をPBS−Tween20で2回洗浄した後、2次抗体のdonkey抗マウス 633IgM(Invitrogen)で染色し、PBS−Tween20で2回洗浄した。コムギ胚芽凝集素染色のために、組織断片を、Alexa Fluor 555コムギ胚芽凝集素(Invitrogen)で10分間、37℃で処理した。アルファ−サルコメアアクチン免疫蛍光染色のために、組織切片を1次抗体の抗アルファ−サルコメアアクチンで処理し、4℃で、24時間培養した。組織切片を0.05%TBSTで2回洗浄後、2次抗体のAlexa Fluor 555 donkey抗−マウスIgG(Invitrogen)で染色をした。組織切片を5秒間ヘマトキシリン(Sigma)で染色し核染色した。組織切片をマウントした後、蛍光顕微鏡でイメージを得た。結果を図15に示す。
【0098】
実験例6:SDラットにおける虚血/再潅流による心臓損傷に対する化合物9の保護効果
動物の管理:
270−360gの雄性SDラットをソウル大学校動物センターから購入した。マウスを明暗周期12時間のセミ特定病原体未感染状態(semi-specific pathogen free)で、温度および湿度はそれぞれ22℃、55%に維持した。標準の固形rodent chow及び水道水を制限なく供給した。全ての実験動物は実験遂行前1週間、適応期間を有しており、ソウル大学校病院のIACUCの承認のもとで進められた。
【0099】
手術準備:
1週間の適応期間後、ラットをケタミン(100mg/kg、YuhanCorp., Seoul, Korea)とキシラジン(10mg/kg、Bayer, Shawnee Mission, Kansas)の混合物を腹腔注入して麻酔した。適当な麻酔と基本心エコー検査の評価後、全ての動物に100%酸素を提供した。
45分間、LADを一時結紮して虚血性再潅流を誘導した。LADは動脈上にポリエチレン−10管のある8−0 Ethilon(Ethicon)を用いて、45分間、結紮した。虚血は、心筋と心室頻脈の漂白により肉眼で確認した。
ラットを、対照群(0.9%生理食塩水5mL)、シクロスポリン処理群(25mg/kg、0.9%生理食塩水の5mL)、及び化合物9を処理群(30mg/kg、5%デキストロースの5mL)の3群に分類して実験した。薬物は、動物輸液ポンプを使用して尾静脈を通して20分間継続して注入した。
結紮とポリエチレン−10管を除去することによって再潅流を開始し、最初の数分で損傷された心筋の典型的な充血変化による特徴を再潅流として定義した。緩くなった縫合断片を終了について虚血領域を定義するために残した。
手術後、化合物9を処理した群は3日間、一日に一度、同じ量の薬を経口投与した。残りの群も同じ容量で投与した。
【0100】
心エコー検査による梗塞されたラット心臓の機能分析:
麻酔下で左側半胸郭の毛を除去した。経胸壁心エコー検査は冠動脈結紮の直前に遂行し、リニアアレイトランスデューサが取り付けられたドップラー心エコーシステムを用いて、データを収集した。心臓は胸骨傍長軸短軸像の2次元モードを使用してイメージ化した。乳頭筋を含む短軸像は心室中隔とLV後壁に垂直にM−モードカーソルを位置させるために使用した。訓練期間の間に得られたイメージは記録しなかった。左心室拡張末期(LVEDD)及び収縮末期径(LVESD)は、American Society of Echocardiographyの最先端方法によって測定した。LVのパーセント(%)短縮率は、100×(LVEDD−LVESD)/LVEDDの式で求めた。
【0101】
梗塞されたラット心臓の組織分析:
心筋虚血後、3日目に、ラットを麻酔した。梗塞サイズを評価するために、パラフィン包埋されたLV切片を4μmスライスに切断した。好中球はヘマトキシリンとエオシンで染色し、光学顕微鏡で観察した。各切片の1mm2面積内の炎症細胞の数を数えた。イメージ分析システム(Image Pro version 4.5; MediaCybernetics, Bethesda, Maryland, USA)を用いて、マッソン・トリクローム染色された繊維化面積を分析した。繊維化面積は、各心臓で2個の独立された切片を用いて行い、数値分析のために平均値が使用された。
【0102】
免疫組織学染色と分析のために、ラット心臓の8μm切片を用いたOCT−化合物(Tissue-Teck, Sakura, Torrance, California)に入れ、急速冷却保管した。染色は、動物当たり(n=3)10個の任意のHPF内に陽性細胞数を測定して定量した。アポトーシスを評価するためにTUNELアッセイ(Chemicon S7100 kit, Chemicon, Temecula, California, USA)とCaspase−3に対する免疫組織染色法を行った。TUNELまたはcapase−3に対する陽性細胞は、各動物当たり最小限3個の別の切片に対して、10個の別の顕微鏡領域を決めて測定した。
【0103】
免疫蛍光染色は、抗心臓トロポニンI(Santa Cruz Biotechnology)で行った。即ち、グリーンFITCを結合させたヤギ抗−ラビットIgG抗体(Molecular Probes)を検出に用いた。レッドPI染色は核を示すために、Fluro 350によるブルーAlexa HMGB1染色は核を示すために染色した。赤色Dil−labeled MSCと緑色コネキシン−43または心臓トロポニンI発現の共局在化は、蛍光顕微鏡(LSM 510 META, Carl Zeiss, Peabody, Massachusetts, USA)で観察した。
【0104】
梗塞サイズ測定:心筋の虚血性再潅流損傷(I/R)72時間後に決定された梗塞サイズはAAR(area at risk)パーセンテージで評価した。LV(左心室)に対するAARの比率は、I/Rで影響を受けた心筋組織の程度を示す。IS/AAR比率は損傷された心筋内におけるISを決定するための正確な指標であり、薬物処理効果を評価できる主要エンドポイントである。AARを決定するために、左側冠状動脈を再び結紮し、4%Evans青色色素を逆行方法で胸部大動脈を通して注入した。迅速に心臓を取り出し、0.9%生理食塩水に入れ、洗浄後、冷凍庫(−20℃)に保管した。心臓を5個の1mmクロス切片に切断した。心臓切片はまたホルムアルデヒドに入れる前15分間37℃の1%塩化トリフェニルテトラゾリウム溶液に保管した後、ホルムアルデヒド溶液に入れた。正常組織は赤く染色され、梗塞組織は白く染色された。心臓切片は顕微鏡下、デジタルモード(Canon EOS 400D)で写真撮影し、IS、AAR、及び全LV面積はImagePro ソフトウェア(version 1.34)で測定した。
【0105】
数値分析:
全てのデータを平均値(SE)で表した。継続された変数をスチューデントのt検定によって比較し、多重比較はボンフェローニ事後的補正(Bonferroni post hoc correction)により分散分析法で行った。P<0.05値であれば、統計的に有意性あるものと判断し、全ての分析をSPSS version 17.0 (SPSS, Chicago, Illinois, USA)を用いて行った。
左室膨脹(LV)に対する化合物9の抑制効果を図16に、I/R損傷後、LV短縮率に対する化合物9の抑制効果を図17に、心筋線維症に対して、化合物9とCsAを比較分析した結果を図18にそれぞれ示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は、インドール化合物を含む、酸化ストレス、ミトコンドリア機能障害、低酸素損傷、細胞壊死及び/又は虚血性再潅流損傷に関連した疾患の予防及び治療のための医薬組成物、及び抗酸化効果を有するインドール化合物を含む化粧品組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
人体を含む生物は、呼吸過程を通してエネルギーを得て、新進代謝をする過程で吸入酸素の約2%は“酸素毒”と呼ばれる活性酸素種(ROS)に変換される。活性酸素種は、フリーラジカル(Free Radical;遊離基の電子を有する原子や分子の総称)を有する酸素を意味し、広範囲には脂質ペルオキシド(lipid peroxide)、脂質ペルオキシラジカル(lipid peroxy radical)、ペルオキシナイトライト(peroxy nitrite)などが含まれる。このような活性酸素種は、不安定なものであり、従って、周囲の物質と反応性が非常に強く、細胞内タンパク質や脂質分子はもちろん、遺伝情報を含有したDNAにまでも酸化的損傷を与え、結果的には細胞に致命的被害を与えることが知られている。他方では、マクロファージや好中球のような免疫系細胞においては、むしろ活性酸素種の生成を誘発させることによって、外部から侵入した病原菌を殺す有用な役割も果たしている。しかし、活性酸素種が細胞内シグナル伝達における重要な役割を果たしているケースと、最近認められたケースとは異なり、細胞に損傷を引き起こし、これにより、活性酸素種は細胞に様々な損傷を誘発し、生命体に害を与えるものと一般に認識されている。したがって、酸素毒から細胞を保護するために、細胞自身が抗酸化剤成分(例えば、ビタミンC、ビタミンE、グルタチオン(glutathione)のような小ペプチド(small peptide)や抗酸化酵素(例えば、カタラーゼ、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)、グルタチオン−依存性ペルオキシダーゼ(GPX)等)を有している。
【0003】
今まで知られている活性酸素種(ROS)や抗酸化酵素(antioxidant enzyme)が関与される疾患や代謝の例は以下とおりである。
1.インスリン依存性糖尿病の場合は、ROSの異常発現によって、膵臓β−細胞が損傷して生ずる。
2.現在、臨床的に多大な関心を持つダウン症候群は、21位染色体の異常によって引きこされており、この場合21位染色体に位置しているSOD(superoxidedismutase)という抗酸化酵素が異常発現する。
3.早老症(progeria)の場合、患者細胞で測定される抗酸化酵素(カタラーゼ、グルタチオン−依存性ペルオキシダーゼ)が低い酵素活性を示す。
4.正常細胞が癌細胞化される過程においても、種々癌誘発物質投与または照射時、細胞でROSが旺盛に生成される。
5.その他にも、ROSは動脈硬化、アルツハイマー病、虚血性疾患などに関与することが知られている。
【0004】
正常な細胞でも代謝中に、ある程度のフリーラジカル、活性酸素種及び過酸化物が生成されている。しかし、生体内では、これらに対する防御機構として、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)、カタラーゼ、ペルオキシダーゼ等の抗酸化酵素と共に、ビタミンE、ビタミンC、グルタチオン、ユビキノン(ubiquinone)、尿酸などのような抗酸化物質が存在し、自らを保護している。このような生体防御機構に異常が生じるか、各種物理的、化学的要因によって活性酸素種の生成が生体防御系の容量を超えるようになったとき、酸化的ストレス(oxidative stress)が誘導される。ヒトの疾患が生体内の酸化的ストレスと抗酸化性防御機序との不均衡と関係があれば、理論的に抗酸化性物質を追加すると、酸化性被害を制限したり、疾患等の追加進行を制限したりすることができる。したがって、このような活性酸素種を消去できるフリーラジカルスカベンジャーまたは過酸化物生成抑制物質のような抗酸化性生体機能物質は、現在、高分子、食品、化粧品などの多様な分野で広く使われている。最近、種々疾患と関連した生理現象で活性酸素種が関与するという事実が明らかになるにつれて、これらの酸化物に起因する老化及び各種疾患の抑制または治療剤として期待されており、それを用いた治療剤の開発にも次第に関心が増加する傾向にあり、実際に、米国の場合、健康補助食品として販売されている。
【0005】
酸化的ストレスが老化をはじめとして、各種疾患を引き起こす重要な原因であることが立証されることによって、活性酸素種の消去活性を有する抗酸化性生体機能物質の老化抑制及び疾患の治療剤として可能性が大きく浮上しており、酸化的ストレスによる老化及び各種疾患の治療機能を有しうる新しい抗酸化性生体機能物質の開発が求められている。
【0006】
また、多くの抗酸化剤があるが、大部分がミトコンドリアへまで効率的に伝達されず、その効能が弱いか、小さい。抗酸化剤がミトコンドリアへまで伝達されることは、上記疾患を治療する際に非常に重要である。MitoQのような化合物の場合、同様に、コエンザイムQ10をミトコンドリアまでターゲッティング(targeting)されるペプチドとコンジュゲイション(conjugation)させて治療剤としての可能性を開いた。
【0007】
他方、このような酸化ストレスは、虚血性再潅流損傷の主作用機序として報告されている。虚血性疾患は、切除術、臓器移植、塞栓、心筋梗塞、脳卒中などを含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、酸化ストレス、ミトコンドリア機能障害、低酸素損傷、細胞壊死及び/又は虚血性再潅流損傷に関連した疾患の予防及び治療用として有用な医薬組成物、及び抗酸化効果を有する化粧品組成物を提供することをその技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、活性成分として、治療上有効量の下記一般式(1)、一般式(2)または一般式(3)の化合物、その製薬的に許容される塩またはその異性体、及び製薬的に許容可能な担体を含む酸化的ストレスと関連した疾患の予防及び治療のための医薬組成物を提供する。
【0010】
【化1】
(1)
上記一般式(1)において、各置換基は国際出願公開WO2009/025477号に具体的に定義されている:
[式中、naは0〜3の数であり、
Aaは、それぞれN、O及びS原子から選ばれた1〜3個のヘテロ原子を含む5員ヘテロアリールまたは複素環を表し、
R1aはR5a−Xa−Ba−X’a−
{式中、Baは直接結合を表すか、またはそれぞれN、O及びS原子から選ばれた1〜4個のヘテロ原子を含む3〜10員複素環またはヘテロアリール表し、
Xa及びX’aは、それぞれ独立して、直接結合を表すか、または
−NR6a−、−CO−、−CONR6a−、−CO2−、−OC(O)−、−S(O)ma−、−O−(CH2)ma−、−(CH2)ma−O−、−(CH2)ma−、−NR6aCO−、−(R6aO)2P(O)−及び−NHCO2−(ここで、maは0〜3の数であり、R6aは水素、アルキルまたはシクロアルキルを表す)よりなる群から選ばれ、
R5aは水素、ニトリル、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、シクロアルキル若しくはアリールを表すか、またはそれぞれ、N、O及びS原子から選ばれた1または3個のヘテロ原子を有し、場合によりオキソまたはアルキルで置換された単環若しくは縮合環の3〜10員複素環またはヘテロアリールを表すか、または
R5a及びR6aは共に結合して4〜8員環を形成することができる}
を表し、
R2aは−(CR8aR9a)pa−Ya−R7a
{式中、paは0〜2の数であり、
R8a及びR9aは、それぞれ独立して、水素またはアルキルを表すか、または共に結合して4〜8員を形成することができ、
Yaは直接結合を表すか、または−O−、−S−、−NR6a−、−NR6aC(O)−、−CO2−、−C(O)−、−C(O)NR6a−、−S(O)qa−、及び−S(O)qaNR6a−(ここで、qaは0〜2の数である)よりなる群から選ばれ、
R7aは水素、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、ニトロ、アルキル、シクロアルキル若しくはアリールを表すか、またはそれぞれ、N、S及びOから選ばれた1〜3個のヘテロ原子を有し、場合によりオキソを含む3〜10員複素環若しくはヘテロアリールを表す}
を表し、
R3aは水素、アルキル、−(CH2)qa−シクロアルキルまたは−(CH2)qa−複素環を表し、
R4aは−(CH2)pa−Da−R10a
(ここで、Daは直接結合を表すか、場合によりオキソを含むシクロアルキルを表すか、アリールを表すか、またはそれぞれN、S及びOから選ばれた1〜3個のヘテロ原子を含む3〜10員複素環若しくはヘテロアリールを表し、
R10aは水素、ハロゲン、アミノ、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、アルキル、アルキルカルボニル、アルキルスルホニルまたは−(CH2)pa−NR8aR9aを表す)を表し、
(上記で、アルキル、アルコキシ、アリール、シクロアルキル、複素環及びヘテロアリールは場合により置換されてもよく、置換基はヒドロキシ、ハロゲン、ニトリル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキル、ハロアルキル、アルキルスルホニル、カルボキシアルキル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルチオ、アルキルオキシカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アリールアルコキシ及びオキソからなる群から選ばれた一つ以上である。)]
【0011】
【化2】
(2)
上記一般式(2)において、各置換基は国際出願公開WO2009/025478号に具体的に定義されている:
[式中、nbは1〜3の数であり、
mbは0または1であり、
Abは直接結合を表すか、フェニルを表すか、または窒素原子を1〜2個含む6員ヘテロアリールを表し、
XbはCまたはNを表し、ただし、XbがNの場合mbは0であり、XbがCの場合mbは1であり、
R1bは水素、アルキル、−(CH2)rbNR7bR8b、または−(CH2)rbCO2H(ここで、rbは1〜5の数であり、R7b及びR8bは、それぞれ独立して、水素、アルキルまたはアルキルカルボニルを表すか、共に場合により一つのメチレンがN原子により代替され、アルキルで置換されていてもよいアルキレン鎖を形成することができる)を表し、
R2bは水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ若しくはトリアルキルシリルを表すか、または
−(CH2)pbCO2R7b、−(CH2)pbOR7b、−(CH2)pbNR7bR8b、−NHR10b、−N(H)S(O)2R7b、−NHC(O)R10b、−(CH2)pbS(O)2R7bまたは(CH2)pb−複素環−R10b(ここで、pbは0〜3の数であり、R7b及びR8bは上記と同義であり、R10bは水素、オキソ、アルキルスルホニル、アルキルカルボニル、アルキルオキシカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アルコキシ、アルキルまたは複素環を表す)を表し、
R3bは水素、シアノ、ハロゲン、アルキル若しくはフェニルを表すか、または−(CH2)nb−複素環若しくは−(CH2)nb−アリール(ここで、nbは0〜3の数である)を表し、
R4bは−YbR11b
{式中、Ybは直接結合であるか、または−(CR7bR8b)pbY’b−
(ここで、pbは0〜3の数であり、R7b及びR8bは上記定義と同義であり、
Y’bは−O−、−S−、−NR12b−、−NR12bC(O)−、−C(O)−、−C(O)O−、−C(O)NR12b−、−S(O)qb−、及び−S(O)qbNR12b−(ここで、R12bは水素、アルキル、アリールまたはヘテロアリールを表し、qbは0〜2の数である)よりなる群から選ばれる)を表し、
R11bは水素、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシ、チオール、カルボキシ、アルキル及び−(CH2)tbBb−R13b(ここで、tbは0〜3の数であり、Bbは複素環、ヘテロアリールまたはアリールを表し、R13bは水素、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシ、オキソ、チオール、カルボキシ、カルボキシアルキル、アルキルカルボニルオキシ、アルキル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルカルボニルまたはアルキルスルホニルを表す)よりなる群から選ばれる}
を表し、
R5bは水素、アルキル、シクロアルキル、複素環またはヘテロシクリルアルキルを表し、
R6bは−(CR7bR8b)pb−Zb−Db−Wb−R14b
{式中、Zbは直接結合を表すか、または−C(O)−、−C(O)O−、−C(O)NR12b−、及び−S(O)yb−(ここで、ybは1または2の数である)よりなる群から選ばれ、
Dbは直接結合を表すか、又はシクロアルキル、ヘテロアリール若しくは複素環を表し、Wbは直接結合を表すか、または−NR7b−、−C(O)−、−C(O)O−、−C(O)NR12b−、−S(O)yb−、−S(O)ybNR12b−若しくは−NR12bS(O)yb−を表し、R14bは水素、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、複素環、ヘテロアリール、アリールまたはアラルキルを表す}
を表し、
R5b及びR6bは共にアルキレン鎖を表し、
(上記で、アルキル、アルコキシ、アリール、シクロアルキル、複素環及びヘテロアリールは場合により置換されてもよく、置換基はヒドロキシ、ハロゲン、ニトリル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、カルボキシ、アルキル、アルコキシ、カルボキシアルキル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルチオ、アルキルオキシカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アリールアルコキシ及びオキソよりなる群から選ばれる一つ以上である)]
【0012】
【化3】
(3)
[式中、Bcはアリールを表し、またはN、O及びS原子から選ばれる1〜2個のヘテロ原子を含む4〜8員の複素環若しくはヘテロアリールを表し、
R7cは水素、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトリル、ニトロまたはアルコキシを表し、
R8cはC1−C6−アルキル、C3−C8−シクロアルキル、複素環、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル−アルキルまたは複素環−アルキルを表し、
R9cは水素、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトリル、ニトロ、アルコキシ、アリルオキシ、アルキルアミノまたはアリールアミノを表し、
(上記で、アルキル、アルコキシ、アリール、シクロアルキル、複素環及びヘテロアリールは場合により置換されてもよく、置換基はヒドロキシ、ハロゲン、ニトリル、アミノ、C1−C6−アルキルアミノ、ジ(C1−C6−アルキル)アミノ、カルボキシ、C1−C6−アルキル、ハロゲノ−C1−C6−アルキル、C1−C6−アルコキシ、アリール−C1−C6−アルコキシ及びオキソよりなる群から選ばれる一つ以上である。)]
【0013】
本発明に係る一般式(1)、(2)または(3)化合物の定義において、用語‘アルキル’は脂肪族炭化水素ラジカルを意味する。アルキルは、アルケニル若しくはアルキニル部位を含まない飽和アルキルであるか、または少なくとも一つのアルケニル若しくはアルキニル部位を含む不飽和アルキルであってもよい。“アルケニル”は、少なくとも一つの炭素−炭素二重結合を含有する基を意味し、“アルキニル”は、少なくとも一つの炭素−炭素三重結合を含む基を意味する。アルキルは単独でまたはアルコキシのように組み合わせて使用されたとき、分岐状または直鎖状であってもよい。
【0014】
アルキル基は、特に定義されない限り、1〜20個の炭素原子を有することができる。また、アルキル基は、1〜10個の炭素原子を有する中程度の大きさのアルキルでもよい。アルキル基は1〜6個の炭素原子を有する低級アルキルであってもよい。典型的なアルキル基には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、エテニル、プロペニル、ブテニルなどが含まれるが、これらに限定されない。例えば、C1−C4−アルキルは、アルキル鎖に1〜4個の炭素原子を有し、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、sec−ブチル及びt−ブチルよりなる群から選ばれる。
【0015】
用語‘アルコキシ’は、特に定義されない限り、1〜10個の炭素原子を有するアルキルオキシを意味する。
【0016】
用語‘シクロアルキル‘は、特に定義されない限り、飽和脂肪族3〜10員を意味する。典型的なシクロアルキル基には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが含まれるが、これらに制限されない。
【0017】
用語‘アリール(aryl)’は、共有π電子系を有する少なくとも一つの環、例えば、単環式または縮合多環式(即ち、隣接した炭素原子対を分けて有する環)基を含む。即ち、本明細書で、アリールは、特に定義されない限り、フェニル、ナフチルなどを含む4〜10員、好ましくは6〜10員芳香族単環式または多環式環を意味する。
【0018】
用語‘ヘテロアリール’は、特に定義されない限り、N、O及びS原子よりなる群から選ばれた1〜3個のヘテロ原子を有し、ベンゾまたはC3−C8シクロアルキルと縮合することができる芳香族3〜10員、好ましくは4〜8員、より好ましくは、5〜6員を意味する。単環式ヘテロアリールの例には、チアゾール、オキサゾール、チオフェン、フラン、ピロール、イミダゾール、イソオキサゾール、イソチアゾール、ピラゾール、トリアゾール、トリアジン、チアジアゾール、テトラゾール、オキサジアゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジンなどが挙げられるが、これらに制限されない。二環式ヘテロアリールの例には、インドール、インドリン、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、ベンズイミダゾール、ベンゾオキサゾール、ベンズイソオキサゾール、ベンズチアゾール、ベンズチアジアゾール、ベンズトリアゾール、キノリン、イソキノリン、プリン、フロピリジンなどが上げられるが、これらに制限されない。
【0019】
用語‘複素環’は、特に定義されない限り、N、O及びS原子よりなる群から選ばれた1〜3個のヘテロ原子を有し、ベンゾまたはC3−C8−シクロアルキルと縮合することができ、飽和または1若しくは2個の二重結合を含有する3〜10員、好ましくは4〜8員、より好ましくは、5〜6員を意味する。複素環の例には、ピロリン、ピロリジン、イミダゾリン、イミダゾリジン、ピラゾリン、ピラゾリジン、ピラン、ピペリジン、モルホリン、チオモルホリン、ピペラジン、ヒドロフランなどが上げられるが、これらに制限されない。
【0020】
本明細書で使われた他の用語と略語は、特に定義されない限り、本発明が属する技術分野の当業者が通常的に使われる意味を有するものと理解される。
【0021】
本発明の一般式(1)または一般式(2)の化合物の好ましい具体例は、以下の通りに挙げられる:
化合物1:[(S)−2−(7−シクロペンチルアミノ−5−メチル−1H−インドール−2−イル)−4,5−ジヒドロ−チアゾール−4−イル]−酢酸
化合物2:{(S)−2−[5−メチル−7−(テトラヒドロピラン−4−イルアミノ)−1H−インドール−2−イル]−4,5−ジヒドロ−チアゾール−4−イル}−酢酸
化合物3:[(S)−2−(7−シクロペンチルアミノ−5−メチル−1H−インドール−2−イル)−4,5−ジヒドロ−オキサゾール−4−イル]−酢酸
化合物4:[(S)−2−(7−シクロペンチルアミノ−1H−インドール−2−イル)−4,5−ジヒドロ−チアゾール−4−イル]−酢酸
化合物5:[(S)−2−(7−シクロペンチルアミノ−5−フェノキシ−1H−インドール−2−イル)−4,5−ジヒドロ−チアゾール−4−イル]−酢酸
化合物6:4−{2−[(S)−2−(7−シクロペンチルアミノ−5−フェノキシ−1H−インドール−2−イル)−4,5−ジヒドロ−チアゾール−4−イル]−エチル}−ピペラジン−2−オン
化合物7:シクロペンチル−(2−{(S)−4−[2−(3−メチル−5,6−ジヒドロ−8H−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピラジン−7−イル)−エチル]−4,5−ジヒドロ−チアゾール−4−イル}−5−フェノキシ−1H−インドール−7−イル)−アミン
化合物8:((S)−2−{7−[(テトラヒドロピラン−4−イルメチル)−アミノ]−1H−インドール−2−イル}−4,5−ジヒドロ−チアゾール−4−イル)−酢酸
化合物9:(テトラヒドロピラン−4−イル)−[2−フェニル−5−(1,1−ジオキソ−チオモルホリン−4−イル)メチル−1H−インドール−7−イル]−アミン
化合物10:[5−(1,1−ジオキソ−チオモルホリン−4−イル)メチル−2−フェニル−1H−インドール−7−イル]−(テトラヒドロピラン−4−イル)メチル−アミン
化合物11:[5−(1,1−ジオキソ−チオモルホリン−4−イル)メチル−2−フェニル−1H−インドール−7−イル]−ビス−[(テトラヒドロピラン−4−イル)メチル]−アミン
化合物12:{4−[5−(1,1−ジオキソ−チオモルホリン−4−イル)メチル−2−フェニル−1H−インドール−7−イルアミノ]−ピペリジン−1−イル}−(テトラヒドロピラン−3−イル)メタノン
化合物13:[5−(1,1−ジオキソ−チオモルホリン−4−イル)メチル−2−フェニル−1H−インドール−7−イル]−(1−メチルスルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミン
化合物14:((S)−2−{5−メチル−7−[(テトラヒドロピラン−4−イルメチル)−アミノ]−1H−インドール−2−イル}−4,5−ジヒドロ−チアゾール−4−イル)−酢酸
【0022】
本発明に係る一般式(3)の化合物のうち、好ましい化合物は、以下とおりである:
Bcはアリールを表し、またはN、O及びS原子から選ばれる1〜2個のヘテロ原子を含む5〜6原義複素環あるいはヘテロアリールを表し、
R7cは水素、ハロゲン、ニトリル又はアルコキシを表し、
R8cはC1−C6−アルキル、C3−C8−シクロアルキル、複素環、アリールアルキル、シクロアルキル−アルキルまたは複素環−アルキルを表し、
R9cは水素、ハロゲン、ニトリル、アルコキシ、アリルオキシ、アルキルアミノまたはアリールアミノを表す。
【0023】
より好ましくは、一般式(3)の化合物で、Bcはフェニルまたはピリジンを表す。
【0024】
より好ましくは、R7cは水素、ハロゲンまたはアルコキシを表し、最も好ましくは水素を表す。
【0025】
より好ましくは、R8cはC1−C6−アルキル、複素環、シクロアルキル−アルキル、複素環−アルキルまたはアリールアルキルを表し、最も好ましくはシクロペンチル、テトラヒドロピランを表す。
【0026】
より好ましくは、R9cは水素、ハロゲンまたはアルコキシを表し、最も好ましくは水素を表す。
【0027】
本発明に係る一般式(3)の代表的な化合物には下記化合物が含まれる:
シクロペンチル−(2−フェニル−3H−ベンゾイミダゾール−4−イル)−アミン
(2−フェニル−3H−ベンズイミダゾール−4−イル)−(テトラヒドロ−ピラン−4−イル)−アミン
シクロペンチル−(2−ピリジン−2−イル−3H−ベンゾイミダゾール−4−イル)−アミン
【0028】
本発明の医薬組成物は、酸化的ストレスによる疾患の予防及び治療に効率的に使用することができる。
【0029】
本発明の医薬組成物は、活性酸素種(ROS)または活性窒素種(RNS)により媒介される酸化的ストレスによる疾患の予防及び治療に効率的に使用することができる。
【0030】
本発明の医薬組成物は、虚血性再潅流損傷を抑制することができる。
【0031】
本発明の医薬組成物は、低酸素損傷により媒介される疾患の予防及び治療に効率的に使用することができる。
【0032】
本発明の医薬組成物は、細胞壊死により媒介される疾患の予防及び治療に効率的に使用することができる。
【0033】
本発明の医薬組成物は、ミトコンドリア機能障害を抑制することができる。
【0034】
本発明の医薬組成物は、MELAS(ミトコンドリア性筋障害、脳障害、乳酸アシドーシス、脳卒中様発作;mitochondrial myopathy,encephalopathy,lactic acidosis,and stroke-like episodes)、MERRF症候群(赤色ぼろ線維を伴うミトコンドリア異常を伴うミオクローヌスてんかん;myoclonus epilepsy with ragged-red fibers)またはカーンズ・セイヤー症候群(Kearns-Sayre syndrome)の予防及び治療に効率的に使用することができる。
【0035】
本発明の医薬組成物は、HMGB1を分泌する細胞の壊死を抑制することができる。
【0036】
また、本発明の医薬組成物はHMGB1により媒介される疾患、特に炎症によって媒介されるか、または炎症関連疾患を予防及び/又は治療でき、このような疾患は、例えば、敗血症、リウマチ性関節炎、骨関節炎、肝硬変、出血性疾患、様々な壊死性疾患、ウイルス感染またはバクテリア感染疾患などがある。
【0037】
本発明によって予防および/または治療される疾患は、例えば、肝疾患、心臓疾患、血管疾患、退行性脳疾患、虚血性再潅流損傷から由来する疾患及びウイルスまたはバクテリアによる感染疾患;肝移植、肝切除、肝塞栓、肝繊維症、肝硬変、アルコール性/非アルコール性脂肪肝、及びウイルスまたは薬物(例えば、抗癌剤、アセトアミノフェンなど)による肝炎;不整脈、心臓麻痺、心筋梗塞などの心臓及び心血管疾患;ルーゲーリッグ病、脳卒中、認知症、パーキンソン病及びハンティングトン病気等の退行性脳疾患;虚血性再潅流損傷に由来する糖尿性複合症、動脈硬化、心筋梗塞、脳卒中;インフルエンザー、HBV、HCV、HIVなどの種々ウイルス感染または種々バクテリア感染により誘導される疾患などがある。
【0038】
本発明において、肝疾患は肝移植、肝切除、肝塞栓、肝繊維症、肝硬変、アルコール性/非アルコール性脂肪肝、及びウイルスまたは薬物(例えば、抗癌剤、アセトアミノフェンなど)による肝炎よりなる群から選ばれた一つ以上であってもよい。
【0039】
本発明において、心臓または心血管疾患は不整脈、心臓麻痺、心筋梗塞、心不全症及び狭心症よりなる群から選ばれた一つ以上であってもよい。
【0040】
本発明の医薬組成物は、虚血性再潅流損傷から由来した肝疾患、心臓または心血管疾患の予防及び治療に効率的に使用することができ、ここで虚血性再潅流損傷は、ミトコンドリア機能低下、低酸素損傷及び/又は細胞壊死によるものであってもよい。
【0041】
本発明の医薬組成物は、虚血性再潅流損傷から由来した糖尿性複合症、動脈硬化及び脳卒中よりなる群から選ばれた一つ以上の予防および治療のために効果的に使用することができる。
【0042】
本発明の一般式(1)または一般式(2)の化合物の具体的な合成例は、国際出願公開WO2009/025477及び国際出願公開WO2009/025478にそれぞれ開示されている。
【0043】
本発明は、また、上記一般式(3)の化合物及びそれらを製造する方法を提供する。以下では、本発明に対する理解を助けるために一般式(3)化合物の製造方法を例示的な反応式に基づいて説明するが、本発明が属する分野における通常の知識を有した者であれば、一般式(3)の構造に基づいて様々な方法により、一般式(3)の化合物を製造することができる。このような方法は、いずれも本発明の範疇に含まれるものである。即ち、本明細書に記載されるか、先行技術に開示された種々合成法を任意に組み合わせ、一般式(3)の化合物を製造することができる。これは、本発明の範囲内に属するものであり、一般式(3)化合物の製造方法が下記説明されたものに制限されない。
【0044】
まず、一般式(3)の化合物は、下記反応式1の方法に従って、一般式(4)の化合物のニトロ基を還元して、一般式(5)の化合物のアミン化合物を製造し、形成されたアミン基に対して一般式(6)の化合物と還元性アミノ化反応を行うことによって合成することができる:
(反応式1)
【化4】
(式中、Bc、R7c、R8c及びR9cは、一般式(3)の定義と同義であり、
R10cはアルキル、シクロアルキル、複素環、ヘテロアリール又はアリールを表し、
R11cは水素、アルキルを表し、又は
R10c及びR11cは環化してシクロアルキルまたは複素環を形成することができる)
【0045】
一般式(5)の化合物は、一般式(4)の化合物に還元によって製造することができる。還元反応は、酸触媒と金属を用いるか、または水素ガス存在下、金属触媒を用いて行うことができる。
【0046】
酸触媒と金属の使用を含む還元反応で使用することができる酸の例は、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸、酢酸、トリフルオロ酢酸などの有機カルボン酸、塩化アンモニウムのようなアミン酸塩、好ましくは塩酸、酢酸または塩化アンモニウムなどである。酸の使用量は、一般式(4)の化合物1当量に対して、通常0.01〜10当量であり、好ましくは0.1〜5当量である。用いられる金属の例は、鉄、亜鉛、リチウム、ナトリウム、スズ(通例的に、塩化スズ)などであり、特に好ましくは鉄、亜鉛、塩化スズなどである。金属の使用量は、一般式(4)の化合物1当量に対して、通常1〜20当量であり、好ましくは1〜10当量である.酸触媒存在下の金属反応は、不活性溶媒中で行うことができる。不活性溶媒の例には、メタノール、エタノールなどのアルキルアルコール、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルなどのエーテル、酢酸エチルのようなアルキルエステルなどであり、好ましくはメタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、酢酸エチルなどである。反応温度は、通常−10〜200℃であり、好ましくは25〜120℃であり反応時間は通常10分〜60時間、好ましくは10分〜12時間である。
【0047】
水素ガス存在下で金属触媒の使用を含む還元反応で使用することができる金属触媒の例は、パラジウム、ニッケル、プラチナ(platinum)、ルテニウム(ruthenium)、ロジウム(rhodium)などであり、特に好ましくはパラジウム、ニッケルなどである。金属触媒の使用量は、一般式(2)の化合物1当量に対して、通常0.001〜2当量であり、好ましくは0.01〜1当量である。水素ガスの圧力は、通常1〜10気圧であり、好ましくは1〜3気圧である。反応は不活性溶媒、例えば、メタノール、エタノールなどのアルキルアルコール、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルなどのエーテル、酢酸メチル、酢酸エチルなどのアルキルアセテートなどであり、好ましくはメタノール、エタノール、酢酸エチルなどで行うことができる。金属触媒の使用を含む還元反応において、反応温度は通常−10〜200℃、好ましくは25〜50℃であり、反応時間は通常10分〜60時間、好ましくは10分〜12時間である。
【0048】
一般式(6)化合物は商業的に購入可能であり、一般式(5)化合物のアミン基に対する還元性アミノ化反応を通して製造することができる。
【0049】
還元性アミノ化反応は、還元剤とアルデヒドまたはケトンとの反応を通して行うことができ、必要に応じて酸触媒を使用することができる。アルデヒドまたはケトンの量は、一般式(5)の化合物1当量に対して、通常1〜10当量であり、好ましくは1〜3当量である。用いられる還元剤は、水素化ホウ素ナトリウム、シアノ水素化ホウ素ナトリウム(NaBH3CN)、ナトリウムトリアセトキシ−ボロハイドライド{NaBH(OAc)3}などである。還元剤使用量は一般式(5)の化合物1当量に対して、通常1〜10当量であり、好ましくは1〜3当量である。用いられる酸触媒は、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸、酢酸、トリフルオロ酢酸などの有機カルボン酸、塩化アンモニウムのようなアミン酸塩などであり、特に好ましくは塩酸、酢酸などである。酸の使用量は、一般式(5)の化合物1当量に対して通常0.1〜10当量であり、好ましくは1〜5当量である。反応は、不活性溶媒、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルなどのエーテル、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタンなどのクロロアルカン、好ましくはジクロロエタン、クロロホルムなどで行くことができる。反応温度は、通常−10〜100℃、好ましくは−10〜50℃であり、反応時間は通常10分〜60時間、好ましくは10分〜12時間である。
【0050】
一般式(4)の化合物は、下記反応式2で示されるように、一般式(7)の化合物のアルデヒド化合物を、一般式(8)の化合物と連結反応及び環化反応によって製造することができる:
(反応式2)
【化5】
(式中、Bc、R7c及びR9cは上記一般式(3)の定義と同義である)
【0051】
まず、一般式(7)の化合物のような商業的に購入可能なアルデヒドと商業的に購入可能な一般式(8)の化合物のようなジアミン化合物を加熱撹拌して、環化する。次に、酸触媒の存在下で加熱すれば、一般式(4)の化合物のような化合物を得ることができる。用いられる酸触媒は、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸、酢酸、トリフルオロ酢酸などの有機カルボン酸、塩化アンモニウムのようなアミン酸塩などであり、特に好ましくは塩酸、酢酸などである。酸の使用量は一般式(5)の化合物1当量に対して、通常0.1〜10当量であり、好ましくは1〜5当量である。場合によって、反応は、溶媒として酢酸のような有機酸を用いて行うことができる。
【0052】
本明細書で、“製薬的に許容される塩”には、製薬的に許容されるアニオンを含有する無毒性酸付加塩を形成する酸、例えば、硫酸、塩酸、硝酸、リン酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸などの無機酸;酒石酸、ギ酸、クエン酸、酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、グルコン酸、安息香酸、乳酸、フマル酸、マレイン酸、サリチル酸などの有機カルボン酸;メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸などのスルホン酸などにより形成された酸付加塩が含まれる。また、製薬的に許容される塩基付加塩には、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどにより形成されたアルカリ金属またはアルカリ土類金属塩;リシン、アルギニン、グアニジンなどのアミノ酸塩;ジシクロヘキシルアミン、N−メチル−D−グルカミン、トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン、ジエタノールアミン、コリン、トリエチルアミンなどの有機塩などが含まれる。本発明に係る一般式(1)、一般式(2)及び一般式(3)の化合物は、通常的な方法によりその塩に転換することができ、塩の製造は別途の説明がなくても、上記一般式(1)、一般式(2)及び一般式(3)の構造に基づいて当業者が容易に行うことができる。
【0053】
本明細書で、“異性体(isomer)”は、同じ化学式または分子式を有するが、光学的または立体的に異なる形態を有する化合物またはその塩を意味する。本発明に係る一般式(1)、一般式(2)及び一般式(3)の化合物は、不斉炭素中心を有することができるので、立体異性体(RまたはS異性体)、ラセミ体、ジアステレオマーの混合物、または個々のジアステレオマーなどの形態で存在してもよい。二重結合を有するとき、幾何異性体(トランス、シス型異性体)の形態で存在し得る。これら全ての異性体及びその混合物も本発明の範囲に含まれる。
【0054】
以下では、特に説明がない限り、それぞれの一般式(1)、一般式(2)及び一般式(3)の化合物には、製薬的に許容されるその塩及び異性体が含まれる。これらは全て、本発明の範疇に含まれるものである。説明の便宜のために、本明細書では、これらを一般式(1)の化合物として簡単に表現する。
【0055】
上述の“医薬組成物”は、必要に応じて、本発明の化合物と共に、製薬的に許容される担体、希釈剤、賦形剤、またはこれらの組み合わせを含むことができる。医薬組成物は、生物体内に化合物が投与されることを容易にする。化合物を投与する様々な技術が存在しており、そこには、経口、注射、エアゾール、非経口及び局所投与などが含まれるが、これらに制限されない。
【0056】
本明細書で、“担体”は、細胞または組織内に化合物の付加を容易にする物質を意味する。例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)は、生物体の細胞または組織内に多くの有機化合物の投入を容易にするのに通常使われる担体である。
【0057】
本明細書で、“希釈剤”は、対象化合物の生物学的活性形態を安定化させるだけでなく、化合物を溶解させる水で希釈される物質として定義される。バッファー溶液に溶解されている塩は、当該分野で希釈剤として使われている。通常使われるバッファー溶液は、ヒト溶液の塩形態を摸倣しているホスフェートバッファー食塩水である。バッファー塩は、低い濃度で溶液のpHを制御できるため、バッファー希釈剤が化合物の生物学的活性を変形させることは稀である。
【0058】
本明細書で、“製薬的に許容される”は、化合物の生物学的活性と物性を損傷しない性質を意味する。
【0059】
本発明の化合物は、所望の目的によって、様々な製薬的投与形態に剤形化することができる.本発明に係る医薬組成物を製造する際に、活性成分、具体的に、一般式(1)、一般式(2)または一般式(3)の化合物、その製薬的に許容される塩または異性体を製造しようとする製剤によって選択できる様々な製薬的に許容される担体と共に混合する。例えば、本発明に係る医薬組成物は、所望の目的によって、注射用製剤、経口用製剤等に剤形化することができる。
【0060】
本発明の化合物は当分野において知られている製薬用担体と賦形剤を利用する当分野において知られている方法で製剤化され、単位用量のまたは多用量の容器に入れることができる。製剤の形態は、油または水性媒体中の溶液、懸濁液または乳化液の形態であり、通常の分散剤、懸濁剤または安定化剤を含有することができる。また、例えば、使用前に無菌、発熱物質が除去された水に溶かして使用する乾燥粉末の形態であってもよい。本発明の化合物は、また、カカオバターまたはその他グリセリドのような通常の坐剤基剤を利用して坐剤形態に製剤化してもよい。経口投与用固体投与形態は、カプセル剤、錠剤、丸剤、散剤及び顆粒剤が可能である。特にカプセル剤と錠剤が有用である。錠剤及び丸剤は腸溶性錠剤として製造することが好ましい。固体投与形態は、本発明の化合物をスクロース、ラクトース、デンプンなどの一つ以上の不活性希釈剤及びステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤、崩壊剤、結合剤などの担体と混合することによって製造することができる。
【0061】
本発明は、また、活性成分として、上記一般式(1)、一般式(2)または一般式(3)の化合物、その製薬的に許容される塩またはその異性体、及び許容可能な担体を含む、抗酸化効果を有する化粧品組成物を提供する。
【発明の効果】
【0062】
本発明の医薬組成物は、優れた抗酸化活性を有することによって、様々な酸化的ストレスに起因する疾患を効率的に予防又は治療することができる。
【0063】
また、本発明の医薬組成物は、心筋細胞のミトコンドリア機能障害、低酸素損傷、壊死及び虚血性再潅流損傷を抑制することによって、心臓及び心血管疾患を効率的に予防または治療することができる。また、冠動脈迂回術、冠動脈経皮形成術などの手術療法または血栓溶解剤などを用いた薬物療法のような再潅流療法手術時に、心臓保護剤として使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】(テトラヒドロピラン−4−イル)−[2−フェニル−5−(1,1−ジオキソ−チオモルホリン−4−イル)メチル−1H−インドール−7−イル]−アミン(化合物9)の細胞内での抗酸化効果を、DHR123プローブを用いて評価した写真である。
【図2】化合物9の細胞内での抗酸化効果をMitoSOX red プローブを用いて評価した写真である。
【図3】化合物9を処理した群と処理しない群との肝臓の左葉を比較した写真である。
【図4】化合物9を処理したときと処理しなかったときの虚血性再潅流損傷後のALTとAST値を示したグラフである。
【図5】化合物9を13mg/kg投与した群と投与しない群との組織染色の比較を示す写真である(IR:虚血再灌流損傷)。
【図6】化合物9を投与した群と投与しない群の顕微鏡上での比較結果を示すグラフである(肝細胞変性、肝類洞のうっ血、炎症性細胞浸潤)。
【図7】化合物9を4.5mg/kg投与した群と虚血及び再潅流損傷対照群のHMGB1レベルの比較を示すグラフである。
【図8】化合物9を処理した群と処理しない群との、虚血性再潅流損傷後のミトコンドリア複合体I活性の比較を示すグラフである。
【図9】化合物9処理後のHMGB1放出を測定したグラフである。
【図10】化合物9処理後、化合物9によるATP量の変化を測定したグラフである。
【図11】細胞壊死に対して化合物9の保護効果を示すために、FDAとPI二重染色したH9C2細胞の蛍光顕微鏡写真である。
【図12】細胞壊死に対して化合物9の保護効果を示すために、直接数えた細胞数を示すグラフである。
【図13】細胞壊死に対して化合物9の保護効果を示すために、FACS分析結果を示すグラフである。
【図14】ミトコンドリアの膨張に対する化合物9の抑制効果を示すグラフである。
【図15】化合物9のミトコンドリア保護効果を示す蛍光顕微鏡写真である。
【図16】虚血性再潅流損傷(I/R)モデルで左室膨脹に対する化合物9の抑制効果を示すグラフである。
【図17】I/R損傷後、左室の画分短縮に対する化合物9の抑制効果を示すグラフである。
【図18】化合物9とシクロスポリンAを比較するMT(Masson-Trichrome)染色法によって心臓繊維化を示すイメージである。
【図19】実験例2の肝臓手術を示す写真である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0065】
本発明は、下記実施例を参照して詳細に説明されるが、本発明の範囲がこれらによって制限されるものではない。
【実施例1】
【0066】
実施例1:シクロペンチル−(2−フェニル−3H−ベンゾイミダゾール−4−イル)−アミンの製造
工程A:4−ニトロ−2−フェニル−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール
3−ニトロ−ベンゼン−1,2−ジアミン(1.0g、6.5mmol)をメタノール(10mL)に溶かした溶液に、ベンズアルデヒド(0.69g、6.7mmol)を加え、80℃で2日間撹拌した。反応完結後、溶媒を真空留去し、残渣をカラム・クロマトグラフィーで精製して、表題化合物(1.1g、収率70%)を得た。
1H-NMR (500HMz, DMSO); δ 8.68 (s, 1H), 7.43~7.31 (m, 5H), 7.18 (s, 1H), 6.95 (d, 1H), 6.44 (s, 1H), 6.36 (t, 1H), 6.29 (d, 1H)
【0067】
工程B:7−ニトロ−2−フェニル−1H−ベンゾイミダゾール
工程Aで得られた4−ニトロ−2−フェニル−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール(1.1g、4.6mmol)を酢酸(10mL)に溶かし、80℃で3時間撹拌した。反応完結後、水を加え、酢酸エチルで抽出し、1N−水酸化ナトリウムで洗浄した。無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、ろ液を減圧下で蒸留し、カラム・クロマトグラフィーで精製して、表題化合物(0.91、収率83%)を得た。
1H-NMR (400HMz, DMSO); δ 13.3 (br s, 1H), 8.37 (d, 2), 8.15 (d, 2H), 7.65~7.56 (m, 3H), 7.46 (t, 1H)
【0068】
工程C:2−フェニル−3H−ベンゾイミダゾール−4−イルアミン
工程Bで得られた7−ニトロ−2−フェニル−1H−ベンゾイミダゾール(0.137g、0.57mmol)をテトラヒドロフラン(5mL)、メタノール(5mL)と水(5mL)で溶かした。溶液に鉄粉(0.40g、7.2mmol)と塩化アンモニウム(0.39g、7.2mmol)を加え、60℃で1時間撹拌した。反応完結後、水を加え、酢酸エチルで抽出した。無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、ろ液を減圧下で蒸留し、残渣をカラム・クロマトグラフィーで精製して、表題化合物(0.12g、収率79%)を得た。
1H-NMR (500HMz, DMSO); δ 12.5 (s, 1H), 8.10 (d, 2H), 7.55~7.45 (m, 3H), 6.87 (t, 1H), 6.67 (d, 1H), 6.32 (d, 1H), 5.21 (s, 2H)
【0069】
工程D:シクロペンチル−(2−フェニル−3H−ベンゾイミダゾール−4−イル)−アミン
工程Cで得られた2−フェニル−3H−ベンゾイミダゾール−4−イルアミン(0.040g、0.19mmol)をジクロロエタン(5mL)に溶かした。溶液に、酢酸(0.012mg、0.19mmol)、シクロペンタンオン(0.048g、0.57mmol)とトリアセトキシ−水素化ホウ素ナトリウム(0.049mg、0.23mmol)を加え、室温で18時間撹拌した。反応完結後、水を加え、ジクロロメタンで抽出し、飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄した。無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、ろ液を減圧下で蒸留し、残渣をカラム・クロマトグラフィーで精製して、表題の化合物(0.026mg、収率49%)を得た。
1H-NMR (40HMz, CDCl3); δ 9.36 (br s, 1H), 8.02 (m, 2H), 7.56~7.45 (m, 3H), 7.17 (t, 1H), 6.83 (d, 1H), 6.47 (d, 1H)5.06 (br s, 1H), 4.02 (m, 1H), 2.13 (m, 2H), 1.82 (m, 2H), 1.69 (m, 4H)
【0070】
実施例2:(2−フェニル−3H−ベンズイミダゾール−4−イル)−(テトラヒドロ−フラン−4−イル)−アミンの製造
実施例1の工程Cで得られた2−フェニル−3H−ベンゾイミダゾール−4−イルアミン(0.040g、0.19mmol)とテトラヒドロ−フラン−4−カバーアルデヒド(0.026g、0.23mmol)を用いて、実施例1の工程Dと同様の方法により、表題の化合物(0.030mg、収率51%)を得た。
1H-NMR (40HMz, CDCl3); δ 8.02 (m, 2H), 7.56~7.45 (m, 3H), 7.17 (t, 1H), 6.85 (d, 1H), 6.44 (d, 1H)4.05 (dd, 1H), 3.45 (td, 2H), 3.27 (d, 2H), 2.02 (m, 1H), 1.85 (m, 2H), 1.45 (m, 2H)
【0071】
実施例3:シクロペンチル−(2−フェニル−2−イル−3H−ベンゾイミダゾール−4−イル)−アミン
2−カルボキシアルデヒド、3−ニトロ−ベンゼン−1,2−ジアミン及びシクロペンタノンを用いて、実施例1と同様の方法により、表題の化合物を得た。
1H-NMR (40HMz, CDCl3); δ 1.64 (m, 6H), 2.10 (m, 2H), 4.14 (s, 1H), 6.38~6.34 (d, 1H), 6.69~ 6.71 (d, 1H), 7.09~7.13 (t, 1H), 7.25~7.26 (m, 1H), 7.75~7.79 (m, 1H), 8.40~8.41 (d, 1H), 8.54~8.55 (m, 1H).
【0072】
以下に、本発明の効果を以下の実験例により説明する。実験例に用いられた化合物は以下のとおりである。
化合物1:[(S)−2−(7−シクロペンチルアミノ−5−メチル−1H−インドール−2−イル)−4,5−ジヒドロ−チアゾール−4−イル]−酢酸
化合物2:{(S)−2−[5−メチル−7−(テトラヒドロピラン−4−イルアミノ)−1H−インドール−2−イル]−4,5−ジヒドロ−チアゾール−4−イル}−酢酸
化合物3:[(S)−2−(7−シクロペンチルアミノ−5−メチル−1H−インドール−2−イル)−4,5−ジヒドロ−オキサゾール−4−イル]−酢酸
化合物4:[(S)−2−(7−シクロペンチルアミノ−1H−インドール−2−イル)−4,5−ジヒドロ−チアゾール−4−イル]−酢酸
化合物5:[(S)−2−(7−シクロペンチルアミノ−5−フェノキシ−1H−インドール−2−イル)−4,5−ジヒドロ−チアゾール−4−イル]−酢酸
化合物6:4−{2−[(S)−2−(7−シクロペンチルアミノ−5−フェノキシ−1H−インドール−2−イル)−4,5−ジヒドロ−チアゾール−4−イル]−エチル}−ピペラジン−2−オン
化合物7:シクロペンチル−(2−{(S)−4−[2−(3−メチル−5,6−ジヒドロ−8H−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピラジン−7−イル)−エチル]−4,5−ジヒドロ−チアゾール−4−イル}−5−フェノキシ−1H−インドール−7−イル)−アミン
化合物8:((S)−2−{7−[(テトラヒドロピラン−4−イルメチル)−アミノ]−1H−インドール−2−イル}−4,5−ジヒドロ−チアゾール−4−イル)−酢酸
化合物9:(テトラヒドロピラン−4−イル)−[2−フェニル−5−(1,1−ジオキソ−チオモルホリン−4−イル)メチル−1H−インドール−7−イル]−アミン
化合物10:[5−(1,1−ジオキソ−チオモルホリン−4−イル)メチル−2−フェニル−1H−インドール−7−イル]−(テトラヒドロピラン−4−イル)メチル−アミン
化合物11:[5−(1,1−ジオキソ−チオモルホリン−4−イル)メチル−2−フェニル−1H−インドール−7−イル]−ビス−[(テトラヒドロピラン−4−イル)メチル]−アミン
化合物12:{4−[5−(1,1−ジオキソ−チオモルホリン−4−イル)メチル−2−フェニル−1H−インドール−7−イルアミノ]−ピペリジン−1−イル}−(テトラヒドロピラン−3−イル)メタノン
化合物13:[5−(1,1−ジオキソ−チオモルホリン−4−イル)メチル−2−フェニル−1H−インドール−7−イル]−(1−メチルスルホニル−ピペリジン−4−イル)−アミン
化合物14:((S)−2−{5−メチル−7−[(テトラヒドロピラン−4−イルメチル)−アミノ]−1H−インドール−2−イル}−4,5−ジヒドロ−チアゾール−4−イル)−酢酸
実施例1:シクロペンチル−(2−フェニル−3H−ベンゾイミダゾール−4−イル)−アミン
実施例2:(2−フェニル−3H−ベンズイミダゾール−4−イル)−(テトラヒドロ−フラン−4−イル)−アミン
【0073】
実験例1:壊死阻害剤の抗酸化効果(anti-oxidant effect)
各化合物に対する抗酸化効果を測定するために、下記実験を実施した:総抗酸化効果を測定するDPPH方法、ジヒドロローダミン(Dihydrorhodamine)123を用いた抗酸化効果測定法、細胞に酸化的ストレスを引き起こすtBOOHを用いる壊死阻害測定法、ONOO−(ペルオキシ亜硝酸)の除去能力の測定方法、並びに各化合物等のH2O2(過酸化水素)及びtBOOHに対した直接的な抗酸化効果の測定方法を用いた。
【0074】
実験例1−1:DPPHを用いた抗酸化効果測定
DPPH(1,1−ジフェニル−2−ピクリルヒドラジル)は、安定なフリーラジカルであり、紫色を有している。DPPHが化合物により還元されれば、DPPHのカラーが黄色に転換される原理を用いて、特定化合物の抗酸化効果を測定した。DPPHは517nmで強い吸収を示し、還元させると、カラーが黄色に転換され、517nmでの吸収される程度が減る。この時、オリジナルの吸収を50%程度に減少させる化合物の濃度をIC50値とした。
【0075】
DMSOに200μmのDPPH溶液(180μL)を、96ウェルプレートの各ウェルに分注し、2000μmから連続的に2倍希釈した、化合物(20μL)を、DPPHが入っているプレートに加えた。それらをよく混合し、室温で30分間放置した。30分後、517nmでのO.D.値をspectraMAX ELIS Areaderで測定した。その結果を表1に示した。
【表1】
【0076】
実験例1−2:ジヒドロローダミン123(DHR123)を用いた抗酸化効果測定
ジヒドロローダミン123自体は非蛍光性であるが、ROS(活性酸素種)やRNS(活性窒素種)によって酸化されると、ローダミン123に転換される。細胞内でまたはin vitroで化合物の抗酸化効果はこれら特性により測定した。H9C2細胞を96ウェルプレートに1.5×104細胞/100μL/ウェルに分注した。翌日、細胞を、最高濃度から連続的に3倍希釈した各化合物で1時間前処理した後、DHR123 12.5μmストック溶液10μL(最終濃度1.25μm)で37℃培養器にて30分間処理した。30分が経過したら、直ちにtBOOH(400μM)で処理し、2時間インキュベーションした。次いで、480nmで励起して、538nmで放出される蛍光をspectraMAX Gemini microplate readerで測定した。ここで、IC25とは、酸化ストレスの増加によってDHR123の酸化により発せられたtBOOH処理2時間後の蛍光を100%としたときの25%の抑制を引き起こす化合物の濃度を意味する。実験結果を表2に示す。さらに、化合物が実際に細胞に対する抗酸化効果を有しているかを確かめるために、上記アッセイが終わった後、96ウェルプレートにて細胞を4%ホルムアルデヒドで固定し、PBSで3回洗浄した。次に、PBS(100μL)を96ウェルプレートの各ウェルに加え、各細胞の蛍光を免疫蛍光顕微鏡検査(光学顕微鏡:オリンパス社製)で測定(細胞内のDHR123により、酸化に比例して蛍光が発される)した。結果を図1に示す。また、MitoSOX red probe(最終濃度:5μm)を用いて、同じ方法でスーパーオキシドの生成阻害を測定した。
【表2】
【0077】
実験例1−3 tBOOHにより誘導される酸化ストレスに対する細胞保護効果
tert−ブチルヒドロペルオキシド(tBOOH)は、様々な細胞で酸化ストレスを誘発して細胞壊死を誘導することが知られている。したがって、抗酸化効果による細胞壊死の阻害は、tBOOHをH9C2細胞に処理することによって測定した。H9C2細胞を96ウェルプレートに1.5×104細胞/100μL/ウェルで分注した。翌日、細胞を各化合物で前処理した後、tBOOH(最終濃度:400μm)で2時間、処理した。ホルムアルデヒド(50μL)を各ウェルに加えて、細胞を固定した。30分間細胞を固定し、蒸留水で3回洗浄した。その後、プレートを50℃乾燥器で完全に乾燥し、SRB溶液を加えて、残っているタンパク質量を染色した。プレートを1%酢酸で洗浄し、乾燥した。次に、プレートに10M Tris溶液(100μL)を加えて、染料を再溶解し、spectraMAX Elisa readerで、590nmと650nmでO.D.を測定することで、IC50を求めた。IC50とはtBOOH処理によって誘導される細胞の壊死を50%保護する化合物の濃度を意味する。実験結果を下記表3に示す。
【表3】
【0078】
実験例1−4:ジヒドロローダミン123を用いたONOO−(ペルオキシナイトライト)除去能の測定
RNSの一種として知られているONOO−は、酸化ストレスで非常に重要な役割を果たしている。従って、壊死阻害剤のONOO−除去能を評価することは非常に重要である。DHR123 probeはONOO−により酸化されることはよく知られている。従って、このような特性を用いることによって、各化合物の効果を測定した。
各化合物を50μMから連続的に3倍希釈して、10μLを96−ウェルプレートの各ウェルに分注した。その後、測定混合物(10μM DHR123、1×PBS、100μM DPTA(ONOO−なしに))170μLを各ウェルに加えた。最後に、ONOO−溶液(最終濃度:1μm)20μLを加えて、反応を開始した。IC50とはONOO−によるDHR123の酸化を50%阻害する化合物の濃度を意味する。
【0079】
化合物のONOO−除去能の構造−活性連関性(SAR)の結果を表4に示す。
【表4】
【0080】
実験例1−5:H2O2及びtBOOHに対する直接的な抗酸化効果
インドール構造を有する壊死阻害剤の抗酸化効果を調べるために、特定のROSであるH2O2(ハイドロゲンペルオキシド)とtBOOHに対する直接的な抗酸化効果を評価した。
【0081】
DMEM完全培地(100μL)で希釈した各化合物(10μL)に、DHR123probe(最終濃度:1.25μM)10μLを加えた。H2O2およびtBOOHを下記表5に示された濃度になるよう加え、2時間後、波長480nm(ex)/538nm(em)にてspectraMax geminiを用いて蛍光を測定した。ここで、IC25とはH2O2およびtBOOHによるDHR123の酸化により発される蛍光を100%としたとき、25%の減少をもたらす化合物の濃度を意味する。
【表5】
【0082】
実験例2:ビーグル犬における虚血及び再潅流による肝損傷に対する化合物9の保護効果
実験デザイン:
8.5〜11.5kgの27匹の健常なビーグル犬が実験のために選ばれた。この実験は牙山病院倫理委員会の承認を受けて遂行された。肝臓のグリコーゲン蓄積を最小化するために術前に犬を24時間絶食し、毛を除去した。犬は対照群A(n=9)、B(n=6)、C(n=6)、D(n=6)に無作為に群分けした。気管内挿管が行われ、zoletilと2.5%エンフルランで一般的な麻酔を行った。セファゾリンとケトロラックは倫理委員会で承認された手順に従って抗生剤と鎮痛剤としてそれぞれ使用した。
【0083】
手術手順:
犬を暖かい毛布を敷いた、左、右側に温水入れボトルのある手術台に横にした。左外頸静脈と右側大伏在静脈は21ゲージIVカテーテルで開放されたアプローチを通して挿管した。右側内部頸動脈を切開し、手術の間、血流動態をよく把握するために、迂回挿管した。完全な静脈内接近が得られた後、2.5%エンフルランの吸入により麻酔を維持した。クリスタルロイド溶液は15mL/kg/hrの速度で投与した。
薬物処置群であるB、C、及びDにIVで左側肝臓の流動を閉塞する20分前に、それぞれ13mg/kg、4.5mg/kg、1.5mg/kgの薬物を投与した。併用用量及び点滴はCmax12.5mg/mL(at 20min)がCss5mg/mLになるように行った。全ての犬は手術する間、15分毎に血圧、心臓脈動数、呼吸率及び動脈血酸素飽和度を点検しながらモニタリングした。手術はT字型切開により遂行された。肝十二指腸間膜は腹膜小網を分けた後、隔離された。膽嚢と肝の4番目の葉を確保し、hilar構造に沿ってやさしく上側にサーチしていった。図19のaは、Cantlie’s lineに沿って分けられ肝臓の左葉と右葉を示している。19のbは典型的なhilar構造を示している。ヒトでは右側茎が肝臓体積の60−70%を占める。左側肝臓の流動を90分間、閉塞して、虚血損傷を誘導後、クランプを離して60分間再潅流損傷を誘導した(図19のc)。したがって、このモデルは90分虚血損傷と60分再潅流損傷を利用するシステムである。手術後、腹腔と皮膚を閉じた。
【0084】
血液サンプリングと生検:
全血液検査値(FBE;Hb、WCC、HCT、Plt、MCR、MCH及びMCHC)、肝機能テスト(LFT;AST、ALT、LDH、及び総ビリルビン)、ウレア及び電解質(U&E;BUNとクレアチン)、肝生検(組織病理及びH&E染色)並びにHMGB1測定を含む血液サンプリング及び肝生検を予め決まった間隔で行った。光学及び電子マイクロ写真が肝細胞の形状を分析するために使われた。ビーグル犬は継続的な鎮痛剤投与及び軟らかい高タンパク食を提供することによって、手術後、暖かく清潔な環境に保った。そして、手順に従い48時間後に屠殺した。結果を図3、4及び5に示す。
【0085】
IR損傷後組織学的分析:
肝生検体を固定と脱水後に、パラフィン包埋を経て4μmの厚さに切断した後、マイヤーヘマトキシリン−エオシン方法を通して染色し、光学顕微鏡で観察した。全てのサンプルは無作為に分配され、blindで分析された。サンプルは肝細胞変性と壊死、類洞及び門脈鬱血、そして炎症細胞沈着のために分析された。組織観察は移転報告方法(Hafez T et al., Journal of Surgical Research 2007; 138: 88-99)に従って定量的な方法で等級化−(0(0%、なし)、1(1−25%、軽微)、2(26−50%、中程度)、または3(51−100%、顕著)−した。結果を図6に示す。
【0086】
HMGB1測定:
HMGB1 ELISA assay kitを使用して販売元のプロトコールに従い測定した。結果を図7に示す。
【0087】
ミトコンドリア複合体I活性測定:
肝組織は氷冷バッファーA(320mmスクロース、1mM EDTA、10mM Tris(pH7.5))で2回洗浄した。それらを小片に切断し、1g当たり4mL ATバッファー(75mMスクロース、225mM マンにトール、1mM EGTA及び0.01%BSA、pH7.4)をガラス−テフロン ホモジナイザーに入れてホモジナイズした。ホモジネートを4℃で5分間、1000gで遠心分離し、上清を再び2回13000gで遠心分離した。ミトコンドリアが豊富化された塊をミトコンドリア複合体I活性の測定に用いた。複合体I活性(NADH:CoQ酸化還元酵素)はデシルウビキノン(decylubiquinone)存在下に、NADHのロテノン感受性の減少を340nmでモニタリングすることにより測定した。結果を図8に示す。
【0088】
実験例3:tBOOH処理後のHMGB1放出に対する化合物9の抑制効果
細胞の壊死が起こるとき、HMGB1が放出されることはよく知られている。従って、酸化的ストレスを与えるtBOOH400μm濃度での処理後、HMGB1放出に対する化合物9の抑制効果を試験した。
H9C2細胞を1.5×104細胞/100μL/ウェルで分注した。翌日、化合物9を30分間、10μM濃度で処理した。tBOOH(最終濃度400μM)で処置した後、上清(50μL)を時間別に採取し、HMGB1 ELISAを用いてHMGB1のレベルを測定した。結果は図9に示す。
【0089】
実験例4:tBOOH処理後の全ATP量の変化の観察
細胞は壊死の過程でATP量が減少を示す。ATP量の維持は細胞の生存に非常に重要である。従って、tBOOHで処理した後、ATP量の変化を観察した。
H9C2細胞を1.5×104細胞/100μL/ウェルにて分注し、翌日、化合物9を30分間、10μm濃度で処理した。tBOOH(最終濃度:400μm)で処理した後、細胞内に残っているATP量をATPモニタリングキット(Perkin ElmerLife Sciences)を用いて測定した。その結果を図10に示す。
【0090】
実験例5:in vitro虚血性再潅流損傷後の細胞壊死に対する化合物9の保護効果
虚血性再潅流損傷後、H9C2細胞の壊死に対する化合物9の保護効果を測定するために、以下の実験を実施した:FDAおよびPIの二重染色法、細胞数測定法、FACS分析法、及びミトコンドリアの膨張測定法。
細胞培養及び低酸素損傷の条件:
H9C2細胞をFBSと抗生剤が含有するDMEM培地で培養した。細胞の80−90%が融合したとき、上記実験を行った。実験24時間前に、H9C2細胞を35mmフラスコと150mmフラスコとに接種した。細胞の約80%が融合したとき、0.5%FBSと抗生剤が含有されたDMEM培地に変えた。細胞は24時間、低酸素チェンバーで培養した。23.5時間後に、低酸素チェンバー内で各種化合物[0.01%DMSO、化合物9(20μm)、ビタミンC(10μm)、及びz−VAD−fmk(20μm)]で細胞を処理した。細胞を37℃培養器に移し、再培養直前に400μmのH2O2で細胞を処理した。再酸素化(Reoxygenation)を1.5時間行った。
【0091】
実験例5−1:H9C2における虚血性再潅流損傷後の、FDAとPI二重染色による保護効果の測定
35mm蛍光用フラスコで培養されたH9C2細胞をFDA/PIで二重染色した。FDA(フルオレセイン二酢酸、シグマ社製)とPI(propidium iodide)原液を準備した。細胞をPBSで洗浄し、4.5μLのFDA溶液(5mg/mL)と4μLのPI溶液(2mg/mL)を1.5mLの細胞培地に加えた。蛍光顕微鏡によりFDA/PI染色画像を得た。実験結果を図11に示す。
【0092】
実験例5−2:H9C2における虚血性再潅流損傷後の、FDAとPI二重染色細胞の細胞数計測による保護効果の測定
実験例5−1で蛍光顕微鏡によりFDA/PI染色画像を得た後、生細胞と死細胞の数をImage Proを使用して計測した。実験結果を図12に示す。
【0093】
実験例5−3:H9C2における虚血性再潅流損傷後の、アネキシンVとPI二重染色細胞のFACS分析による保護効果の測定
アポトーシスまたは壊死細胞をFITCおよびアネキシンVアポトーシス検出キットで染色し、フローサイトメーターを用いて分析した。35mmフラスコで培養した細胞を、PIおよびアネキシンV−FITC処理の、無処理、単独及び二重染色の3群に分けた。再酸素化後、収集された細胞を10分間、4℃、2000rpmで遠心分離した。上清培地を除去し、アネキシンV−結合緩衝溶液で再懸濁した細胞をPI(5μL)とアネキシンV−FITC(5μL)で15分間、暗室で染色後、FACS分析を行った。実験結果を図13に示す。
【0094】
実験例5−4:H9C2における虚血性再潅流損傷後の、ミトコンドリア膨脹に対する抑制効果の測定
ミトコンドリア膨脹測定のため150mmフラスコで培養されたH9C2細胞を使用した。O.05%トリプシンで細胞を回収した後、4℃、2000rpmで、10分間、遠心分離した。上清を除去後、細胞をPBSで洗浄した。2000rpm、4℃で、10分間、再遠心分離した後、上清を捨てた。得られた細胞塊を500μLのろ過単離バッファー(filrated isolating buffer)(300mMマンニトール、0.2mM EDTA、5mM Tris−HCl(pH7.4)、1%ウシ血清アルブミン)に加え、次の実験に用いた。シリンジで破砕された細胞をトリパンブルー染色液でテストした。大部分の細胞が砕かれたら、直ちに4分間、2000rpmで遠心分離した。ミトコンドリアを含む上清を集め、10分間4℃、13000rpmで遠心分離した。上清を捨てた後、ミトコンドリア塊を100μLのインキュベーションバッファー(150m MKCl、20mM Tris−HCl(pH7.4))に再懸濁した。タンパク質濃度は、タンパク質定量キットで定量した。単離したミトコンドリアタンパク質の一定量を96ウェル培養プレートに分注し、分光光度計を用いて513nmで測定した。実験結果を図14に示す。
【0095】
実験例5−5:H9C2における虚血性再潅流損傷後の、Mito TrackerおよびPI二重染色の使用によるミトコンドリア混濁及び核壊死の測定
ミトコンドリア視角化及び3Dイメージ:
35mm蛍光フラスコで培養されたH9C2細胞のミトコンドリアを視角化するため、DMSOに溶かした1mM Mito Tracker Green FMを用意した。細胞を培地で洗浄後、0.5mM Mito Tracker Green FMとPI(4μL)溶液を使用して二重染色した。1時間後、細胞を蛍光顕微鏡で分析し、Imarisプログラムを用いて3Dイメージを得た。
【0096】
電子顕微鏡:
フラスコの底にカーバースリップのある24ウェルプレートで培養されたH9C2細胞を用いた。細胞を2%グルタルアルデヒドを含む0.1Mリン酸ナトリウム緩衝溶液(pH7.4)で固定した。細胞をPBS緩衝溶液で洗浄後、1%OsO4及び1.5%カリウムで1時間、後固定をした。細胞をPBS緩衝溶液と蒸留水で2回連続的に洗浄し、ろ過した0.5%酢酸ウラニルを用いて、4℃にて一晩細胞を処理した。細胞を蒸留水で2回洗浄し、エタノールで脱水し、2回に亘ってそれぞれ1時間、Eponに包埋した。細胞を60℃で、2日間、Epon内でポリマー化し、電子顕微鏡分析を行った。
【0097】
蛍光免疫染色:
OCT−包埋組織断片を0.05%氷冷TBSTで3回に亘って10分ずつ洗浄した。組織断片を1%BSA含有ブロッキング溶液で、1時間、室温で処理した。重鎖心臓ミオシン免疫蛍光染色のために、1次抗体として抗マウス重鎖心臓ミオシン(1:100、Abcam)で組織断片を処理した。組織断片をPBS−Tween20で2回洗浄した後、2次抗体のdonkey抗マウス 633IgM(Invitrogen)で染色し、PBS−Tween20で2回洗浄した。コムギ胚芽凝集素染色のために、組織断片を、Alexa Fluor 555コムギ胚芽凝集素(Invitrogen)で10分間、37℃で処理した。アルファ−サルコメアアクチン免疫蛍光染色のために、組織切片を1次抗体の抗アルファ−サルコメアアクチンで処理し、4℃で、24時間培養した。組織切片を0.05%TBSTで2回洗浄後、2次抗体のAlexa Fluor 555 donkey抗−マウスIgG(Invitrogen)で染色をした。組織切片を5秒間ヘマトキシリン(Sigma)で染色し核染色した。組織切片をマウントした後、蛍光顕微鏡でイメージを得た。結果を図15に示す。
【0098】
実験例6:SDラットにおける虚血/再潅流による心臓損傷に対する化合物9の保護効果
動物の管理:
270−360gの雄性SDラットをソウル大学校動物センターから購入した。マウスを明暗周期12時間のセミ特定病原体未感染状態(semi-specific pathogen free)で、温度および湿度はそれぞれ22℃、55%に維持した。標準の固形rodent chow及び水道水を制限なく供給した。全ての実験動物は実験遂行前1週間、適応期間を有しており、ソウル大学校病院のIACUCの承認のもとで進められた。
【0099】
手術準備:
1週間の適応期間後、ラットをケタミン(100mg/kg、YuhanCorp., Seoul, Korea)とキシラジン(10mg/kg、Bayer, Shawnee Mission, Kansas)の混合物を腹腔注入して麻酔した。適当な麻酔と基本心エコー検査の評価後、全ての動物に100%酸素を提供した。
45分間、LADを一時結紮して虚血性再潅流を誘導した。LADは動脈上にポリエチレン−10管のある8−0 Ethilon(Ethicon)を用いて、45分間、結紮した。虚血は、心筋と心室頻脈の漂白により肉眼で確認した。
ラットを、対照群(0.9%生理食塩水5mL)、シクロスポリン処理群(25mg/kg、0.9%生理食塩水の5mL)、及び化合物9を処理群(30mg/kg、5%デキストロースの5mL)の3群に分類して実験した。薬物は、動物輸液ポンプを使用して尾静脈を通して20分間継続して注入した。
結紮とポリエチレン−10管を除去することによって再潅流を開始し、最初の数分で損傷された心筋の典型的な充血変化による特徴を再潅流として定義した。緩くなった縫合断片を終了について虚血領域を定義するために残した。
手術後、化合物9を処理した群は3日間、一日に一度、同じ量の薬を経口投与した。残りの群も同じ容量で投与した。
【0100】
心エコー検査による梗塞されたラット心臓の機能分析:
麻酔下で左側半胸郭の毛を除去した。経胸壁心エコー検査は冠動脈結紮の直前に遂行し、リニアアレイトランスデューサが取り付けられたドップラー心エコーシステムを用いて、データを収集した。心臓は胸骨傍長軸短軸像の2次元モードを使用してイメージ化した。乳頭筋を含む短軸像は心室中隔とLV後壁に垂直にM−モードカーソルを位置させるために使用した。訓練期間の間に得られたイメージは記録しなかった。左心室拡張末期(LVEDD)及び収縮末期径(LVESD)は、American Society of Echocardiographyの最先端方法によって測定した。LVのパーセント(%)短縮率は、100×(LVEDD−LVESD)/LVEDDの式で求めた。
【0101】
梗塞されたラット心臓の組織分析:
心筋虚血後、3日目に、ラットを麻酔した。梗塞サイズを評価するために、パラフィン包埋されたLV切片を4μmスライスに切断した。好中球はヘマトキシリンとエオシンで染色し、光学顕微鏡で観察した。各切片の1mm2面積内の炎症細胞の数を数えた。イメージ分析システム(Image Pro version 4.5; MediaCybernetics, Bethesda, Maryland, USA)を用いて、マッソン・トリクローム染色された繊維化面積を分析した。繊維化面積は、各心臓で2個の独立された切片を用いて行い、数値分析のために平均値が使用された。
【0102】
免疫組織学染色と分析のために、ラット心臓の8μm切片を用いたOCT−化合物(Tissue-Teck, Sakura, Torrance, California)に入れ、急速冷却保管した。染色は、動物当たり(n=3)10個の任意のHPF内に陽性細胞数を測定して定量した。アポトーシスを評価するためにTUNELアッセイ(Chemicon S7100 kit, Chemicon, Temecula, California, USA)とCaspase−3に対する免疫組織染色法を行った。TUNELまたはcapase−3に対する陽性細胞は、各動物当たり最小限3個の別の切片に対して、10個の別の顕微鏡領域を決めて測定した。
【0103】
免疫蛍光染色は、抗心臓トロポニンI(Santa Cruz Biotechnology)で行った。即ち、グリーンFITCを結合させたヤギ抗−ラビットIgG抗体(Molecular Probes)を検出に用いた。レッドPI染色は核を示すために、Fluro 350によるブルーAlexa HMGB1染色は核を示すために染色した。赤色Dil−labeled MSCと緑色コネキシン−43または心臓トロポニンI発現の共局在化は、蛍光顕微鏡(LSM 510 META, Carl Zeiss, Peabody, Massachusetts, USA)で観察した。
【0104】
梗塞サイズ測定:心筋の虚血性再潅流損傷(I/R)72時間後に決定された梗塞サイズはAAR(area at risk)パーセンテージで評価した。LV(左心室)に対するAARの比率は、I/Rで影響を受けた心筋組織の程度を示す。IS/AAR比率は損傷された心筋内におけるISを決定するための正確な指標であり、薬物処理効果を評価できる主要エンドポイントである。AARを決定するために、左側冠状動脈を再び結紮し、4%Evans青色色素を逆行方法で胸部大動脈を通して注入した。迅速に心臓を取り出し、0.9%生理食塩水に入れ、洗浄後、冷凍庫(−20℃)に保管した。心臓を5個の1mmクロス切片に切断した。心臓切片はまたホルムアルデヒドに入れる前15分間37℃の1%塩化トリフェニルテトラゾリウム溶液に保管した後、ホルムアルデヒド溶液に入れた。正常組織は赤く染色され、梗塞組織は白く染色された。心臓切片は顕微鏡下、デジタルモード(Canon EOS 400D)で写真撮影し、IS、AAR、及び全LV面積はImagePro ソフトウェア(version 1.34)で測定した。
【0105】
数値分析:
全てのデータを平均値(SE)で表した。継続された変数をスチューデントのt検定によって比較し、多重比較はボンフェローニ事後的補正(Bonferroni post hoc correction)により分散分析法で行った。P<0.05値であれば、統計的に有意性あるものと判断し、全ての分析をSPSS version 17.0 (SPSS, Chicago, Illinois, USA)を用いて行った。
左室膨脹(LV)に対する化合物9の抑制効果を図16に、I/R損傷後、LV短縮率に対する化合物9の抑制効果を図17に、心筋線維症に対して、化合物9とCsAを比較分析した結果を図18にそれぞれ示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性成分として、治療上有効量の下記一般式(1)、一般式(2)または一般式(3)の化合物、その製薬的に許容される塩またはその異性体、及び製薬的に許容可能な担体を含む、酸化的ストレスと関連した疾患の予防及び治療のための医薬組成物:
【化1】
(1)
[式中、naは0〜3の数であり、
Aaは、それぞれN、O及びS原子から選ばれた1〜3個のヘテロ原子を有する5員のヘテロアリールまたは複素環を表し、
R1aは、R5a−Xa−Ba−X’a−
{式中、Baは直接結合を表すか、またはそれぞれN、O及びS原子から選ばれた1〜4個のヘテロ原子を有する3〜10員の複素環若しくはヘテロアリール表し、
Xa及びX’aは、それぞれ独立して、直接結合を表し、または−NR6a−、−CO−、−CONR6a−、−CO2−、−OC(O)−、−S(O)ma−、−O−(CH2)ma−、−(CH2)ma−O−、−(CH2)ma−、−NR6aCO−、−(R6aO)2P(O)−及び−NHCO2−(ここで、maは0〜3の数であり、R6aは水素、アルキルまたはシクロアルキルを表す)よりなる群から選ばれ、
R5aは水素、ニトリル、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、シクロアルキル若しくはアリールを表し、またはそれぞれ、N、O及びS原子から選ばれた1若しくは3個のヘテロ原子を有し、場合によりオキソまたはアルキルで置換された単環または縮合環の3〜10員複素環またはヘテロアリールを表すか、または
R5a及びR6aは一緒になって4〜8員環を形成することができる}
を表し、
R2aは、−(CR8aR9a)pa−Ya−R7a
{式中、paは0〜2の数であり、
R8a及びR9aは、それぞれ独立して、水素またはアルキルを表すか、または一緒になって4〜8員を形成することができ、
Yaは直接結合を表すか、または−O−、−S−、−NR6a−、−NR6aC(O)−、−CO2−、−C(O)−、−C(O)NR6a−、−S(O)qa−、及び−S(O)qaNR6a−(ここで、qaは0〜2の数である)よりなる群から選ばれ、
R7aは水素、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、ニトロ、アルキル、シクロアルキル若しくはアリールを表すか、またはそれぞれ、N、S及びOから選ばれた1〜3個のヘテロ原子を有し、場合によりオキソを含む3〜10員複素環若しくはヘテロアリールを表す}
を表し、
R3aは水素、アルキル、−(CH2)qa−シクロアルキルまたは−(CH2)qa−複素環を表し、
R4aは、−(CH2)pa−Da−R10a
(ここで、Daは直接結合を表すか、場合によりオキソを含むシクロアルキルを表すか、アリールを表すか、またはそれぞれN、S及びOから選ばれた1〜3個のヘテロ原子を有する3〜10員複素環若しくはヘテロアリールを表し、
R10aは水素、ハロゲン、アミノ、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、アルキル、アルキルカルボニル、アルキルスルホニルまたは−(CH2)pa−NR8aR9aを表す)を表し、
(上記で、アルキル、アルコキシ、アリール、シクロアルキル、複素環及びヘテロアリールは場合により置換されてもよく、置換基はヒドロキシ、ハロゲン、ニトリル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキル、ハロアルキル、アルキルスルホニル、カルボキシアルキル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルチオ、アルキルオキシカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アリールアルコキシ及びオキソからなる群から選ばれた一つ以上である。)];
【化2】
(2)
[式中、
nbは1〜3の数であり、
mbは0または1であり、
Abは直接結合を表すか、フェニルを表すか、または窒素原子を1〜2個有する6員ヘテロアリールを表し、
XbはCまたはNを表し、ただし、XbがNの場合mbは0であり、XbがCの場合mbは1であり、
R1bは水素、アルキル、−(CH2)rbNR7bR8b、または−(CH2)rbCO2H
(ここで、rbは1〜5の数であり、R7b及びR8bは、それぞれ独立して、水素、アルキルまたはアルキルカルボニルを表すか、一緒になって、一つのメチレンが場合によりN原子により代替されていてもよいアルキルで場合により置換されていてもよいアルキレン鎖を形成することができる)を表し、
R2bは水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ若しくはトリアルキルシリルを表すか、または
−(CH2)pbCO2R7b、−(CH2)pbOR7b、−(CH2)pbNR7bR8b、−NHR10b、−N(H)S(O)2R7b、−NHC(O)R10b、−(CH2)pbS(O)2R7bまたは(CH2)pb−複素環−R10b(ここで、pbは0〜3の数であり、R7b及びR8bは上記と同義であり、R10bは水素、オキソ、アルキルスルホニル、アルキルカルボニル、アルキルオキシカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アルコキシ、アルキルまたは複素環を表す)を表し、
R3bは水素、シアノ、ハロゲン、アルキル若しくはフェニルを表すか、または−(CH2)nb−複素環若しくは−(CH2)nb−アリール(ここで、nbは0〜3の数である)を表し、
R4bは、−YbR11b
{式中、Ybは直接結合であるか、または−(CR7bR8b)pbY’b−(ここで、pbは0〜3の数であり、R7b及びR8bは上記定義と同義であり、Y’bは−O−、−S−、−NR12b−、−NR12bC(O)−、−C(O)−、−C(O)O−、−C(O)NR12b−、−S(O)qb−、及び−S(O)qbNR12b−(ここで、R12bは水素、アルキル、アリールまたはヘテロアリールを表し、qbは0〜2の数である)よりなる群から選ばれる)を表し、
R11bは水素、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシ、チオール、カルボキシ、アルキル及び−(CH2)tbBb−R13b(式中、tbは0〜3の数であり、Bbは複素環、ヘテロアリールまたはアリールを表し、R13bは水素、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシ、オキソ、チオール、カルボキシ、カルボキシアルキル、アルキルカルボニルオキシ、アルキル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルカルボニルまたはアルキルスルホニルを表す)よりなる群から選ばれる}
を表し、
R5bは水素、アルキル、シクロアルキル、複素環またはヘテロシクリルアルキルを表し、
R6bは−(CR7bR8b)pb−Zb−Db−Wb−R14b
{式中、Zbは直接結合を表すか、または−C(O)−、−C(O)O−、−C(O)NR12b−、及び−S(O)yb−(ここで、ybは1または2の数である)よりなる群から選ばれ、
Dbは直接結合を表すか、又はシクロアルキル、ヘテロアリール若しくは複素環を表し、
Wbは直接結合を表すか、または−NR7b−、−C(O)−、−C(O)O−、−C(O)NR12b−、−S(O)yb−、−S(O)ybNR12b−若しくは−NR12bS(O)yb−を表し、
R14bは水素、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、複素環、ヘテロアリール、アリールまたはアラルキルを表す}
を表し、
R5b及びR6bは共にアルキレン鎖を表し、
(上記で、アルキル、アルコキシ、アリール、シクロアルキル、複素環及びヘテロアリールは場合により置換されてもよく、置換基はヒドロキシ、ハロゲン、ニトリル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、カルボキシ、アルキル、アルコキシ、カルボキシアルキル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルチオ、アルキルオキシカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アリールアルコキシ及びオキソよりなる群から選ばれる一つ以上である。)];
【化3】
(3)
[式中、Bcはアリールを表し、またはN、O及びS原子から選ばれる1〜2個のヘテロ原子を有する4〜8員の複素環若しくはヘテロアリールを表し、
R7cは水素、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトリル、ニトロまたはアルコキシを表し、
R8cはC1−C6−アルキル、C3−C8−シクロアルキル、複素環、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル−アルキルまたは複素環−アルキルを表し、
R9cは水素、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトリル、ニトロ、アルコキシ、アリルオキシ、アルキルアミノまたはアリールアミノを表し、
(上記で、アルキル、アルコキシ、アリール、シクロアルキル、複素環及びヘテロアリールは場合により置換されてもよく、置換基はヒドロキシ、ハロゲン、ニトリル、アミノ、C1−C6−アルキルアミノ、ジ(C1−C6−アルキル)アミノ、カルボキシ、C1−C6−アルキル、ハロゲノ−C1−C6−アルキル、C1−C6−アルコキシ、アリール−C1−C6−アルコキシ及びオキソよりなる群から選ばれる一つ以上である)]。
【請求項2】
活性酸素種(ROS)または活性窒素種(RNS)により媒介される酸化的ストレスにより引き起こされる疾患の予防及び治療のための請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
虚血性再潅流損傷を抑制する請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項4】
ミトコンドリア機能障害を抑制する請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項5】
MELAS(ミトコンドリア性筋障害、脳障害、乳酸アシドーシス、脳卒中様発作;:mitochondrial myopathy, encephalopathy, lactic acidosis, and stroke-like episodes)、MERRF症候群(赤色ぼろ線維を伴うミトコンドリア異常を伴うミオクローヌスてんかん;myoclonus epilepsy with ragged-red fibers)またはカーンズ・セイヤー症候群(Kearns-Sayre syndrome)の予防及び治療のための請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項6】
低酸素損傷(hypoxic injury)を抑制する請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項7】
細胞壊死を抑制する請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項8】
HMGB1(High Mobility Group Box 1)を分泌する細胞の壊死を抑制する請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項9】
HMGB1により媒介される疾患の予防または治療のための請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項10】
炎症により媒介される疾患または炎症に関連する疾患の予防または治療のための請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項11】
敗血症、リウマチ性関節炎、骨関節炎、肝硬変、出血性疾患、様々な壊死性疾患、ウイルス感染またはバクテリア感染による疾患の予防または治療のための請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項12】
肝疾患、心臓疾患、血管疾患、退行性脳疾患、虚血性再潅流損傷に起因する疾患またはウイルスまたはバクテリアによる感染疾患の予防または治療のための請求項1〜7のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項13】
肝移植、肝切除、肝塞栓、肝繊維症、肝硬変、アルコール性/非アルコール性脂肪肝、及びウイルスまたは薬物による肝炎の予防または治療のための請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項14】
不整脈、心臓麻痺または心筋梗塞の予防または治療のための請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項15】
ルーゲーリッグ病、脳卒中、認知症、パーキンソン病またはハンティングトン病の予防または治療のための請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項16】
インフルエンザ、HBV、HCV、HIVウイルス感染またはバクテリア感染により引き起こされる疾患の予防または治療のための請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項17】
虚血性再潅流損傷が、ミトコンドリア機能低下、低酸素損傷、HMGB1放出または細胞壊死によるものであることを特徴とする請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項18】
肝移植、肝切除、肝塞栓、肝繊維症、肝硬変、アルコール性/非アルコール性脂肪肝、及びウイルスまたは薬物による肝炎の予防または治療のための請求項3または17に記載の医薬組成物。
【請求項19】
不整脈、心臓麻痺または心筋梗塞の予防または治療のための請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項20】
下記一般式(3)の化合物、その製薬的に許容される塩またはその異性体:
【化4】
(3)
[式中、Bcはアリールを表し、またはN、O及びS原子から選ばれる1〜2個のヘテロ原子を有する4〜8員の複素環若しくはヘテロアリールを表し、
R7cは水素、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトリル、ニトロまたはアルコキシを表し、
R8cはC1−C6−アルキル、C3−C8−シクロアルキル、複素環、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル−アルキルまたは複素環−アルキルを表し、
R9cは水素、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトリル、ニトロ、アルコキシ、アリルオキシ、アルキルアミノまたはアリールアミノを表し、
(上記で、アルキル、アルコキシ、アリール、シクロアルキル、複素環及びヘテロアリールは場合により置換されてもよく、置換基はヒドロキシ、ハロゲン、ニトリル、アミノ、C1−C6−アルキルアミノ、ジ(C1−C6−アルキル)アミノ、カルボキシ、C1−C6−アルキル、ハロゲノ−C1−C6−アルキル、C1−C6−アルコキシ、アリール−C1−C6−アルコキシ及びオキソよりなる群から選ばれる一つ以上である。)]。
【請求項21】
Bcがアリールを表し、またはN、O及びS原子から選ばれる1〜2個のヘテロ原子を有する5〜6員の複素環若しくはヘテロアリールを表し、
R7cが水素、ハロゲン、ニトリルまたはアルコキシを表し、
R8cがC1−C6−アルキル、C3−C8−シクロアルキル、複素環、アリールアルキル、シクロアルキル−アルキルまたは複素環−アルキルを表し、
R9cが水素、ハロゲン、ニトリル、アルコキシ、アリルオキシ、アルキルアミノまたはアリールアミノを表す、請求項20に記載の化合物。
【請求項22】
Bcがフェニルまたはピリジンを表し、
R7cが水素、ハロゲンまたはアルコキシを表し、
R8cがC1−C6−アルキル、複素環、シクロアルキル−アルキル、複素環−アルキルまたはアリールアルキルを表し、
R9cが水素、ハロゲンまたはアルコキシを表す、請求項20に記載の化合物。
【請求項23】
R8cがシクロペンチルまたはテトラヒドロピランを表す、請求項20に記載の化合物。
【請求項24】
下記群から選ばれる請求項20に記載の化合物:
シクロペンチル−(2−フェニル−3H−ベンゾイミダゾール−4−イル)−アミン、
(2−フェニル−3H−ベンズイミダゾール−4−イル)−(テトラヒドロ−フラン−4−イル)−アミン、
シクロペンチル−(2−ピリジン−2−イル−3H−ベンゾイミダゾール−4−イル)−アミン。
【請求項25】
活性成分として、一般式(1)、一般式(2)または一般式(3)の化合物、その製薬的に許容される塩またはその異性体、及び許容可能な担体を含む、抗酸化効果を有する化粧品組成物:
【化5】
(1)
[式中、naは0〜3の数であり、
Aaは、それぞれN、O及びS原子から選ばれた1〜3個のヘテロ原子を有する5員ヘテロアリールまたは複素環を表し、
R1aは、R5a−Xa−Ba−X’a−
{式中、Baは直接結合を表すか、またはそれぞれN、O及びS原子から選ばれた1〜4個のヘテロ原子を有する3〜10員の複素環またはヘテロアリール表し、
Xa及びX’aは、それぞれ独立して、直接結合を表すか、または−NR6a−、−CO−、−CONR6a−、−CO2−、−OC(O)−、−S(O)ma−、−O−(CH2)ma−、−(CH2)ma−O−、−(CH2)ma−、−NR6aCO−、−(R6aO)2P(O)−及び−NHCO2−(ここで、maは0〜3の数であり、R6aは水素、アルキルまたはシクロアルキルを表す)よりなる群から選ばれ、
R5aは水素、ニトリル、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、シクロアルキル若しくはアリールを表すか、またはそれぞれ、N、O及びS原子から選ばれた1または3個のヘテロ原子を有し、場合によりオキソまたはアルキルで置換された単環若しくは縮合環の3〜10員複素環またはヘテロアリールを表すか、または
R5a及びR6aは一緒になって4〜8員環を形成することができる}
を表し、
R2aは、−(CR8aR9a)pa−Ya−R7a
{式中、paは0〜2の数であり、
R8a及びR9aは、それぞれ独立して、水素またはアルキルを表すか、または一緒になって4〜8員を形成することができ、
Yaは直接結合を表すか、または−O−、−S−、−NR6a−、−NR6aC(O)−、−CO2−、−C(O)−、−C(O)NR6a−、−S(O)qa−、及び−S(O)qaNR6a−(ここで、qaは0〜2の数である)よりなる群から選ばれ、
R7aは水素、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、ニトロ、アルキル、シクロアルキル若しくはアリールを表すか、またはそれぞれ、N、S及びOから選ばれた1〜3個のヘテロ原子を有し、場合によりオキソを含む3〜10員複素環若しくはヘテロアリールを表す}
を表し、
R3aは水素、アルキル、−(CH2)qa−シクロアルキルまたは−(CH2)qa−複素環を表し、
R4aは、
−(CH2)pa−Da−R10a(ここで、Daは直接結合を表すか、場合によりオキソを含むシクロアルキルを表すか、アリールを表すか、またはそれぞれN、S及びOから選ばれた1〜3個のヘテロ原子を有する3〜10員複素環若しくはヘテロアリールを表し、
R10aは水素、ハロゲン、アミノ、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、アルキル、アルキルカルボニル、アルキルスルホニルまたは−(CH2)pa−NR8aR9aを表す)を表し、
(上記で、アルキル、アルコキシ、アリール、シクロアルキル、複素環及びヘテロアリールは場合により置換されてもよく、置換基はヒドロキシ、ハロゲン、ニトリル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキル、ハロアルキル、アルキルスルホニル、カルボキシアルキル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルチオ、アルキルオキシカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アリールアルコキシ及びオキソからなる群から選ばれた一つ以上である。)];
【化6】
(2)
[式中、
nbは1〜3の数であり、
mbは0または1であり、
Abは直接結合を表すか、フェニルを表すか、または窒素原子を1〜2個有する6員ヘテロアリールを表し、
XbはCまたはNを表し、ただし、XbがNの場合mbは0であり、XbがCの場合mbは1であり、
R1bは水素、アルキル、−(CH2)rbNR7bR8b、または−(CH2)rbCO2H
(ここで、rbは1〜5の数であり、R7b及びR8bは、それぞれ独立して、水素、アルキルまたはアルキルカルボニルを表すか、一緒になって一つのメチレンが場合によりN原子により代替されていてもよいアルキルで場合により置換されていてもよいアルキレン鎖を形成することができる)を表し、
R2bは水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ若しくはトリアルキルシリルを表すか、または−(CH2)pbCO2R7b、−(CH2)pbOR7b、−(CH2)pbNR7bR8b、−NHR10b、−N(H)S(O)2R7b、−NHC(O)R10b、−(CH2)pbS(O)2R7bまたは(CH2)pb−複素環−R10b(ここで、pbは0〜3の数であり、R7b及びR8bは上記と同義であり、R10bは水素、オキソ、アルキルスルホニル、アルキルカルボニル、アルキルオキシカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アルコキシ、アルキルまたは複素環を表す)を表し、
R3bは水素、シアノ、ハロゲン、アルキル若しくはフェニルを表すか、または−(CH2)nb−複素環または−(CH2)nb−アリール(ここで、nbは0〜3の数である)を表し、
R4bは、−YbR11b
{式中、Ybは直接結合であるか、または−(CR7bR8b)pbY’b−(ここで、pbは0〜3の数であり、R7b及びR8bは上記定義と同義であり、
Y’bは−O−、−S−、−NR12b−、−NR12bC(O)−、−C(O)−、−C(O)O−、−C(O)NR12b−、−S(O)qb−、及び−S(O)qbNR12b−(ここで、R12bは水素、アルキル、アリールまたはヘテロアリールを表し、qbは0〜2の数である)よりなる群から選ばれる)を表し、
R11bは水素、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシ、チオール、カルボキシ、アルキル及び−(CH2)tbBb−R13b(ここで、tbは0〜3の数であり、Bbは複素環、ヘテロアリールまたはアリールを表し、R13bは水素、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシ、オキソ、チオール、カルボキシ、カルボキシアルキル、アルキルカルボニルオキシ、アルキル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルカルボニルまたはアルキルスルホニルを表す)よりなる群から選ばれる}
を表し、
R5bは水素、アルキル、シクロアルキル、複素環またはヘテロシクリルアルキルを表し、
R6bは−(CR7bR8b)pb−Zb−Db−Wb−R14b
{式中、Zbは直接結合を表すか、または−C(O)−、−C(O)O−、−C(O)NR12b−、及び−S(O)yb−(ここで、ybは1または2の数である)よりなる群から選ばれ、
Dbは直接結合を表すか、又はシクロアルキル、ヘテロアリール若しくは複素環を表し、
Wbは直接結合を表すか、または−NR7b−、−C(O)−、−C(O)O−、−C(O)NR12b−、−S(O)yb−、−S(O)ybNR12b−若しくは−NR12bS(O)yb−を表し、
R14bは水素、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、複素環、ヘテロアリール、アリールまたはアラルキルを表す}
を表し、
R5b及びR6bは共にアルキレン鎖を表し、
(上記で、アルキル、アルコキシ、アリール、シクロアルキル、複素環及びヘテロアリールは場合により置換されてもよく、置換基はヒドロキシ、ハロゲン、ニトリル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、カルボキシ、アルキル、アルコキシ、カルボキシアルキル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルチオ、アルキルオキシカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アリールアルコキシ及びオキソよりなる群から選ばれる一つ以上である。)];
【化7】
(3)
[式中、Bcはアリールを表し、またはN、O及びS原子から選ばれる1〜2個のヘテロ原子を有する4〜8員の複素環若しくはヘテロアリールを表し、
R7cは水素、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトリル、ニトロまたはアルコキシを表し、
R8cはC1−C6−アルキル、C3−C8−シクロアルキル、複素環、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル−アルキルまたは複素環−アルキルを表し、
R9cは水素、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトリル、ニトロ、アルコキシ、アリルオキシ、アルキルアミノまたはアリールアミノを表し、
(上記で、アルキル、アルコキシ、アリール、シクロアルキル、複素環及びヘテロアリールは場合により置換されてもよく、置換基はヒドロキシ、ハロゲン、ニトリル、アミノ、C1−C6−アルキルアミノ、ジ(C1−C6−アルキル)アミノ、カルボキシ、C1−C6−アルキル、ハロゲノ−C1−C6−アルキル、C1−C6−アルコキシ、アリール−C1−C6−アルコキシ及びオキソよりなる群から選ばれる一つ以上である)]。
【請求項1】
活性成分として、治療上有効量の下記一般式(1)、一般式(2)または一般式(3)の化合物、その製薬的に許容される塩またはその異性体、及び製薬的に許容可能な担体を含む、酸化的ストレスと関連した疾患の予防及び治療のための医薬組成物:
【化1】
(1)
[式中、naは0〜3の数であり、
Aaは、それぞれN、O及びS原子から選ばれた1〜3個のヘテロ原子を有する5員のヘテロアリールまたは複素環を表し、
R1aは、R5a−Xa−Ba−X’a−
{式中、Baは直接結合を表すか、またはそれぞれN、O及びS原子から選ばれた1〜4個のヘテロ原子を有する3〜10員の複素環若しくはヘテロアリール表し、
Xa及びX’aは、それぞれ独立して、直接結合を表し、または−NR6a−、−CO−、−CONR6a−、−CO2−、−OC(O)−、−S(O)ma−、−O−(CH2)ma−、−(CH2)ma−O−、−(CH2)ma−、−NR6aCO−、−(R6aO)2P(O)−及び−NHCO2−(ここで、maは0〜3の数であり、R6aは水素、アルキルまたはシクロアルキルを表す)よりなる群から選ばれ、
R5aは水素、ニトリル、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、シクロアルキル若しくはアリールを表し、またはそれぞれ、N、O及びS原子から選ばれた1若しくは3個のヘテロ原子を有し、場合によりオキソまたはアルキルで置換された単環または縮合環の3〜10員複素環またはヘテロアリールを表すか、または
R5a及びR6aは一緒になって4〜8員環を形成することができる}
を表し、
R2aは、−(CR8aR9a)pa−Ya−R7a
{式中、paは0〜2の数であり、
R8a及びR9aは、それぞれ独立して、水素またはアルキルを表すか、または一緒になって4〜8員を形成することができ、
Yaは直接結合を表すか、または−O−、−S−、−NR6a−、−NR6aC(O)−、−CO2−、−C(O)−、−C(O)NR6a−、−S(O)qa−、及び−S(O)qaNR6a−(ここで、qaは0〜2の数である)よりなる群から選ばれ、
R7aは水素、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、ニトロ、アルキル、シクロアルキル若しくはアリールを表すか、またはそれぞれ、N、S及びOから選ばれた1〜3個のヘテロ原子を有し、場合によりオキソを含む3〜10員複素環若しくはヘテロアリールを表す}
を表し、
R3aは水素、アルキル、−(CH2)qa−シクロアルキルまたは−(CH2)qa−複素環を表し、
R4aは、−(CH2)pa−Da−R10a
(ここで、Daは直接結合を表すか、場合によりオキソを含むシクロアルキルを表すか、アリールを表すか、またはそれぞれN、S及びOから選ばれた1〜3個のヘテロ原子を有する3〜10員複素環若しくはヘテロアリールを表し、
R10aは水素、ハロゲン、アミノ、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、アルキル、アルキルカルボニル、アルキルスルホニルまたは−(CH2)pa−NR8aR9aを表す)を表し、
(上記で、アルキル、アルコキシ、アリール、シクロアルキル、複素環及びヘテロアリールは場合により置換されてもよく、置換基はヒドロキシ、ハロゲン、ニトリル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキル、ハロアルキル、アルキルスルホニル、カルボキシアルキル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルチオ、アルキルオキシカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アリールアルコキシ及びオキソからなる群から選ばれた一つ以上である。)];
【化2】
(2)
[式中、
nbは1〜3の数であり、
mbは0または1であり、
Abは直接結合を表すか、フェニルを表すか、または窒素原子を1〜2個有する6員ヘテロアリールを表し、
XbはCまたはNを表し、ただし、XbがNの場合mbは0であり、XbがCの場合mbは1であり、
R1bは水素、アルキル、−(CH2)rbNR7bR8b、または−(CH2)rbCO2H
(ここで、rbは1〜5の数であり、R7b及びR8bは、それぞれ独立して、水素、アルキルまたはアルキルカルボニルを表すか、一緒になって、一つのメチレンが場合によりN原子により代替されていてもよいアルキルで場合により置換されていてもよいアルキレン鎖を形成することができる)を表し、
R2bは水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ若しくはトリアルキルシリルを表すか、または
−(CH2)pbCO2R7b、−(CH2)pbOR7b、−(CH2)pbNR7bR8b、−NHR10b、−N(H)S(O)2R7b、−NHC(O)R10b、−(CH2)pbS(O)2R7bまたは(CH2)pb−複素環−R10b(ここで、pbは0〜3の数であり、R7b及びR8bは上記と同義であり、R10bは水素、オキソ、アルキルスルホニル、アルキルカルボニル、アルキルオキシカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アルコキシ、アルキルまたは複素環を表す)を表し、
R3bは水素、シアノ、ハロゲン、アルキル若しくはフェニルを表すか、または−(CH2)nb−複素環若しくは−(CH2)nb−アリール(ここで、nbは0〜3の数である)を表し、
R4bは、−YbR11b
{式中、Ybは直接結合であるか、または−(CR7bR8b)pbY’b−(ここで、pbは0〜3の数であり、R7b及びR8bは上記定義と同義であり、Y’bは−O−、−S−、−NR12b−、−NR12bC(O)−、−C(O)−、−C(O)O−、−C(O)NR12b−、−S(O)qb−、及び−S(O)qbNR12b−(ここで、R12bは水素、アルキル、アリールまたはヘテロアリールを表し、qbは0〜2の数である)よりなる群から選ばれる)を表し、
R11bは水素、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシ、チオール、カルボキシ、アルキル及び−(CH2)tbBb−R13b(式中、tbは0〜3の数であり、Bbは複素環、ヘテロアリールまたはアリールを表し、R13bは水素、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシ、オキソ、チオール、カルボキシ、カルボキシアルキル、アルキルカルボニルオキシ、アルキル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルカルボニルまたはアルキルスルホニルを表す)よりなる群から選ばれる}
を表し、
R5bは水素、アルキル、シクロアルキル、複素環またはヘテロシクリルアルキルを表し、
R6bは−(CR7bR8b)pb−Zb−Db−Wb−R14b
{式中、Zbは直接結合を表すか、または−C(O)−、−C(O)O−、−C(O)NR12b−、及び−S(O)yb−(ここで、ybは1または2の数である)よりなる群から選ばれ、
Dbは直接結合を表すか、又はシクロアルキル、ヘテロアリール若しくは複素環を表し、
Wbは直接結合を表すか、または−NR7b−、−C(O)−、−C(O)O−、−C(O)NR12b−、−S(O)yb−、−S(O)ybNR12b−若しくは−NR12bS(O)yb−を表し、
R14bは水素、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、複素環、ヘテロアリール、アリールまたはアラルキルを表す}
を表し、
R5b及びR6bは共にアルキレン鎖を表し、
(上記で、アルキル、アルコキシ、アリール、シクロアルキル、複素環及びヘテロアリールは場合により置換されてもよく、置換基はヒドロキシ、ハロゲン、ニトリル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、カルボキシ、アルキル、アルコキシ、カルボキシアルキル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルチオ、アルキルオキシカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アリールアルコキシ及びオキソよりなる群から選ばれる一つ以上である。)];
【化3】
(3)
[式中、Bcはアリールを表し、またはN、O及びS原子から選ばれる1〜2個のヘテロ原子を有する4〜8員の複素環若しくはヘテロアリールを表し、
R7cは水素、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトリル、ニトロまたはアルコキシを表し、
R8cはC1−C6−アルキル、C3−C8−シクロアルキル、複素環、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル−アルキルまたは複素環−アルキルを表し、
R9cは水素、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトリル、ニトロ、アルコキシ、アリルオキシ、アルキルアミノまたはアリールアミノを表し、
(上記で、アルキル、アルコキシ、アリール、シクロアルキル、複素環及びヘテロアリールは場合により置換されてもよく、置換基はヒドロキシ、ハロゲン、ニトリル、アミノ、C1−C6−アルキルアミノ、ジ(C1−C6−アルキル)アミノ、カルボキシ、C1−C6−アルキル、ハロゲノ−C1−C6−アルキル、C1−C6−アルコキシ、アリール−C1−C6−アルコキシ及びオキソよりなる群から選ばれる一つ以上である)]。
【請求項2】
活性酸素種(ROS)または活性窒素種(RNS)により媒介される酸化的ストレスにより引き起こされる疾患の予防及び治療のための請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
虚血性再潅流損傷を抑制する請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項4】
ミトコンドリア機能障害を抑制する請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項5】
MELAS(ミトコンドリア性筋障害、脳障害、乳酸アシドーシス、脳卒中様発作;:mitochondrial myopathy, encephalopathy, lactic acidosis, and stroke-like episodes)、MERRF症候群(赤色ぼろ線維を伴うミトコンドリア異常を伴うミオクローヌスてんかん;myoclonus epilepsy with ragged-red fibers)またはカーンズ・セイヤー症候群(Kearns-Sayre syndrome)の予防及び治療のための請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項6】
低酸素損傷(hypoxic injury)を抑制する請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項7】
細胞壊死を抑制する請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項8】
HMGB1(High Mobility Group Box 1)を分泌する細胞の壊死を抑制する請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項9】
HMGB1により媒介される疾患の予防または治療のための請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項10】
炎症により媒介される疾患または炎症に関連する疾患の予防または治療のための請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項11】
敗血症、リウマチ性関節炎、骨関節炎、肝硬変、出血性疾患、様々な壊死性疾患、ウイルス感染またはバクテリア感染による疾患の予防または治療のための請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項12】
肝疾患、心臓疾患、血管疾患、退行性脳疾患、虚血性再潅流損傷に起因する疾患またはウイルスまたはバクテリアによる感染疾患の予防または治療のための請求項1〜7のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項13】
肝移植、肝切除、肝塞栓、肝繊維症、肝硬変、アルコール性/非アルコール性脂肪肝、及びウイルスまたは薬物による肝炎の予防または治療のための請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項14】
不整脈、心臓麻痺または心筋梗塞の予防または治療のための請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項15】
ルーゲーリッグ病、脳卒中、認知症、パーキンソン病またはハンティングトン病の予防または治療のための請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項16】
インフルエンザ、HBV、HCV、HIVウイルス感染またはバクテリア感染により引き起こされる疾患の予防または治療のための請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項17】
虚血性再潅流損傷が、ミトコンドリア機能低下、低酸素損傷、HMGB1放出または細胞壊死によるものであることを特徴とする請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項18】
肝移植、肝切除、肝塞栓、肝繊維症、肝硬変、アルコール性/非アルコール性脂肪肝、及びウイルスまたは薬物による肝炎の予防または治療のための請求項3または17に記載の医薬組成物。
【請求項19】
不整脈、心臓麻痺または心筋梗塞の予防または治療のための請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項20】
下記一般式(3)の化合物、その製薬的に許容される塩またはその異性体:
【化4】
(3)
[式中、Bcはアリールを表し、またはN、O及びS原子から選ばれる1〜2個のヘテロ原子を有する4〜8員の複素環若しくはヘテロアリールを表し、
R7cは水素、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトリル、ニトロまたはアルコキシを表し、
R8cはC1−C6−アルキル、C3−C8−シクロアルキル、複素環、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル−アルキルまたは複素環−アルキルを表し、
R9cは水素、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトリル、ニトロ、アルコキシ、アリルオキシ、アルキルアミノまたはアリールアミノを表し、
(上記で、アルキル、アルコキシ、アリール、シクロアルキル、複素環及びヘテロアリールは場合により置換されてもよく、置換基はヒドロキシ、ハロゲン、ニトリル、アミノ、C1−C6−アルキルアミノ、ジ(C1−C6−アルキル)アミノ、カルボキシ、C1−C6−アルキル、ハロゲノ−C1−C6−アルキル、C1−C6−アルコキシ、アリール−C1−C6−アルコキシ及びオキソよりなる群から選ばれる一つ以上である。)]。
【請求項21】
Bcがアリールを表し、またはN、O及びS原子から選ばれる1〜2個のヘテロ原子を有する5〜6員の複素環若しくはヘテロアリールを表し、
R7cが水素、ハロゲン、ニトリルまたはアルコキシを表し、
R8cがC1−C6−アルキル、C3−C8−シクロアルキル、複素環、アリールアルキル、シクロアルキル−アルキルまたは複素環−アルキルを表し、
R9cが水素、ハロゲン、ニトリル、アルコキシ、アリルオキシ、アルキルアミノまたはアリールアミノを表す、請求項20に記載の化合物。
【請求項22】
Bcがフェニルまたはピリジンを表し、
R7cが水素、ハロゲンまたはアルコキシを表し、
R8cがC1−C6−アルキル、複素環、シクロアルキル−アルキル、複素環−アルキルまたはアリールアルキルを表し、
R9cが水素、ハロゲンまたはアルコキシを表す、請求項20に記載の化合物。
【請求項23】
R8cがシクロペンチルまたはテトラヒドロピランを表す、請求項20に記載の化合物。
【請求項24】
下記群から選ばれる請求項20に記載の化合物:
シクロペンチル−(2−フェニル−3H−ベンゾイミダゾール−4−イル)−アミン、
(2−フェニル−3H−ベンズイミダゾール−4−イル)−(テトラヒドロ−フラン−4−イル)−アミン、
シクロペンチル−(2−ピリジン−2−イル−3H−ベンゾイミダゾール−4−イル)−アミン。
【請求項25】
活性成分として、一般式(1)、一般式(2)または一般式(3)の化合物、その製薬的に許容される塩またはその異性体、及び許容可能な担体を含む、抗酸化効果を有する化粧品組成物:
【化5】
(1)
[式中、naは0〜3の数であり、
Aaは、それぞれN、O及びS原子から選ばれた1〜3個のヘテロ原子を有する5員ヘテロアリールまたは複素環を表し、
R1aは、R5a−Xa−Ba−X’a−
{式中、Baは直接結合を表すか、またはそれぞれN、O及びS原子から選ばれた1〜4個のヘテロ原子を有する3〜10員の複素環またはヘテロアリール表し、
Xa及びX’aは、それぞれ独立して、直接結合を表すか、または−NR6a−、−CO−、−CONR6a−、−CO2−、−OC(O)−、−S(O)ma−、−O−(CH2)ma−、−(CH2)ma−O−、−(CH2)ma−、−NR6aCO−、−(R6aO)2P(O)−及び−NHCO2−(ここで、maは0〜3の数であり、R6aは水素、アルキルまたはシクロアルキルを表す)よりなる群から選ばれ、
R5aは水素、ニトリル、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、シクロアルキル若しくはアリールを表すか、またはそれぞれ、N、O及びS原子から選ばれた1または3個のヘテロ原子を有し、場合によりオキソまたはアルキルで置換された単環若しくは縮合環の3〜10員複素環またはヘテロアリールを表すか、または
R5a及びR6aは一緒になって4〜8員環を形成することができる}
を表し、
R2aは、−(CR8aR9a)pa−Ya−R7a
{式中、paは0〜2の数であり、
R8a及びR9aは、それぞれ独立して、水素またはアルキルを表すか、または一緒になって4〜8員を形成することができ、
Yaは直接結合を表すか、または−O−、−S−、−NR6a−、−NR6aC(O)−、−CO2−、−C(O)−、−C(O)NR6a−、−S(O)qa−、及び−S(O)qaNR6a−(ここで、qaは0〜2の数である)よりなる群から選ばれ、
R7aは水素、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、ニトロ、アルキル、シクロアルキル若しくはアリールを表すか、またはそれぞれ、N、S及びOから選ばれた1〜3個のヘテロ原子を有し、場合によりオキソを含む3〜10員複素環若しくはヘテロアリールを表す}
を表し、
R3aは水素、アルキル、−(CH2)qa−シクロアルキルまたは−(CH2)qa−複素環を表し、
R4aは、
−(CH2)pa−Da−R10a(ここで、Daは直接結合を表すか、場合によりオキソを含むシクロアルキルを表すか、アリールを表すか、またはそれぞれN、S及びOから選ばれた1〜3個のヘテロ原子を有する3〜10員複素環若しくはヘテロアリールを表し、
R10aは水素、ハロゲン、アミノ、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、アルキル、アルキルカルボニル、アルキルスルホニルまたは−(CH2)pa−NR8aR9aを表す)を表し、
(上記で、アルキル、アルコキシ、アリール、シクロアルキル、複素環及びヘテロアリールは場合により置換されてもよく、置換基はヒドロキシ、ハロゲン、ニトリル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキル、ハロアルキル、アルキルスルホニル、カルボキシアルキル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルチオ、アルキルオキシカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アリールアルコキシ及びオキソからなる群から選ばれた一つ以上である。)];
【化6】
(2)
[式中、
nbは1〜3の数であり、
mbは0または1であり、
Abは直接結合を表すか、フェニルを表すか、または窒素原子を1〜2個有する6員ヘテロアリールを表し、
XbはCまたはNを表し、ただし、XbがNの場合mbは0であり、XbがCの場合mbは1であり、
R1bは水素、アルキル、−(CH2)rbNR7bR8b、または−(CH2)rbCO2H
(ここで、rbは1〜5の数であり、R7b及びR8bは、それぞれ独立して、水素、アルキルまたはアルキルカルボニルを表すか、一緒になって一つのメチレンが場合によりN原子により代替されていてもよいアルキルで場合により置換されていてもよいアルキレン鎖を形成することができる)を表し、
R2bは水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ若しくはトリアルキルシリルを表すか、または−(CH2)pbCO2R7b、−(CH2)pbOR7b、−(CH2)pbNR7bR8b、−NHR10b、−N(H)S(O)2R7b、−NHC(O)R10b、−(CH2)pbS(O)2R7bまたは(CH2)pb−複素環−R10b(ここで、pbは0〜3の数であり、R7b及びR8bは上記と同義であり、R10bは水素、オキソ、アルキルスルホニル、アルキルカルボニル、アルキルオキシカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アルコキシ、アルキルまたは複素環を表す)を表し、
R3bは水素、シアノ、ハロゲン、アルキル若しくはフェニルを表すか、または−(CH2)nb−複素環または−(CH2)nb−アリール(ここで、nbは0〜3の数である)を表し、
R4bは、−YbR11b
{式中、Ybは直接結合であるか、または−(CR7bR8b)pbY’b−(ここで、pbは0〜3の数であり、R7b及びR8bは上記定義と同義であり、
Y’bは−O−、−S−、−NR12b−、−NR12bC(O)−、−C(O)−、−C(O)O−、−C(O)NR12b−、−S(O)qb−、及び−S(O)qbNR12b−(ここで、R12bは水素、アルキル、アリールまたはヘテロアリールを表し、qbは0〜2の数である)よりなる群から選ばれる)を表し、
R11bは水素、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシ、チオール、カルボキシ、アルキル及び−(CH2)tbBb−R13b(ここで、tbは0〜3の数であり、Bbは複素環、ヘテロアリールまたはアリールを表し、R13bは水素、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシ、オキソ、チオール、カルボキシ、カルボキシアルキル、アルキルカルボニルオキシ、アルキル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルカルボニルまたはアルキルスルホニルを表す)よりなる群から選ばれる}
を表し、
R5bは水素、アルキル、シクロアルキル、複素環またはヘテロシクリルアルキルを表し、
R6bは−(CR7bR8b)pb−Zb−Db−Wb−R14b
{式中、Zbは直接結合を表すか、または−C(O)−、−C(O)O−、−C(O)NR12b−、及び−S(O)yb−(ここで、ybは1または2の数である)よりなる群から選ばれ、
Dbは直接結合を表すか、又はシクロアルキル、ヘテロアリール若しくは複素環を表し、
Wbは直接結合を表すか、または−NR7b−、−C(O)−、−C(O)O−、−C(O)NR12b−、−S(O)yb−、−S(O)ybNR12b−若しくは−NR12bS(O)yb−を表し、
R14bは水素、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、複素環、ヘテロアリール、アリールまたはアラルキルを表す}
を表し、
R5b及びR6bは共にアルキレン鎖を表し、
(上記で、アルキル、アルコキシ、アリール、シクロアルキル、複素環及びヘテロアリールは場合により置換されてもよく、置換基はヒドロキシ、ハロゲン、ニトリル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、カルボキシ、アルキル、アルコキシ、カルボキシアルキル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルチオ、アルキルオキシカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アリールアルコキシ及びオキソよりなる群から選ばれる一つ以上である。)];
【化7】
(3)
[式中、Bcはアリールを表し、またはN、O及びS原子から選ばれる1〜2個のヘテロ原子を有する4〜8員の複素環若しくはヘテロアリールを表し、
R7cは水素、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトリル、ニトロまたはアルコキシを表し、
R8cはC1−C6−アルキル、C3−C8−シクロアルキル、複素環、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル−アルキルまたは複素環−アルキルを表し、
R9cは水素、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトリル、ニトロ、アルコキシ、アリルオキシ、アルキルアミノまたはアリールアミノを表し、
(上記で、アルキル、アルコキシ、アリール、シクロアルキル、複素環及びヘテロアリールは場合により置換されてもよく、置換基はヒドロキシ、ハロゲン、ニトリル、アミノ、C1−C6−アルキルアミノ、ジ(C1−C6−アルキル)アミノ、カルボキシ、C1−C6−アルキル、ハロゲノ−C1−C6−アルキル、C1−C6−アルコキシ、アリール−C1−C6−アルコキシ及びオキソよりなる群から選ばれる一つ以上である)]。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公表番号】特表2013−508452(P2013−508452A)
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−536664(P2012−536664)
【出願日】平成22年10月25日(2010.10.25)
【国際出願番号】PCT/KR2010/007344
【国際公開番号】WO2011/052950
【国際公開日】平成23年5月5日(2011.5.5)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(502345599)エルジー・ライフ・サイエンシーズ・リミテッド (27)
【氏名又は名称原語表記】LG Life Sciences Ltd.
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月25日(2010.10.25)
【国際出願番号】PCT/KR2010/007344
【国際公開番号】WO2011/052950
【国際公開日】平成23年5月5日(2011.5.5)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(502345599)エルジー・ライフ・サイエンシーズ・リミテッド (27)
【氏名又は名称原語表記】LG Life Sciences Ltd.
【Fターム(参考)】
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