説明

ウルフベリー及び炎症

本発明は、一般に、炎症の分野に関する。特に本発明は、炎症を治療又は予防する製品の調製のための天然化合物の使用に関する。例えば、ウルフベリーの抽出物は抗炎症性を有すること示した。本発明の一つの実施形態は、炎症を治療又は予防する製品の調製のために、ウルフベリー又はその一部を含む一次組成物の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、一般に炎症の分野に関する。特に本発明は、炎症を治療する製品の調製のための天然化合物の使用に関する。例えば、ウルフベリーの抽出物は抗炎症性を有することが示された。
【0002】
炎症は、病原体、損傷細胞又は刺激物などの、有害な刺激に対する組織の複雑な生物反応である。炎症は一般に、障害性刺激を除去し、かつ組織の治癒過程を開始する生体の防衛的な試みである。しかし、十分に制御されない炎症は、患者の年齢に関係なく種々の疾患につながる可能性がある。
【0003】
加齢は、進展した体液性免疫機能不全(例えば、ワクチンに対する反応性低下)に付随する細胞性免疫応答の顕著な低下などの、免疫系の調節不全と関連している。その上に、加齢は、軽度の炎症状態に関連することが多い。したがって、とりわけ多くの高齢患者は、疾病率と死亡率に寄与する感染疾患及び非感染疾患リスクの増加にさらされている。
【0004】
ウルフベリーは、その複合栄養素(例えば、ゼアキサンチン、ビタミン類、及びナガバクコの多糖体)の組成にもとづく多数の健康効果が、すでに知られている。
【0005】
しかし、当技術分野には、抗炎症性を有する利用可能な天然化合物を手に入れる必要が依然としてある。
【0006】
例えば、n−3PUFA(多価不飽和脂肪酸)などによる栄養学的介入は、炎症細胞の機能を低下させたが、宿主防御に関して潜在的な有害作用に至ることがある、細胞性免疫応答(例えば、リンパ球増殖やNK活性)もまた低下させた。
【0007】
したがって、抗炎症性を有し、対象の免疫防御に関して有害作用が全くない、代替的な天然化合物を当技術分野に提供することが、本発明の目的であった。
【0008】
本発明者らは、ウルフベリーの抽出物が抗炎症性を有することを見出して驚いた。その結果、炎症を治療及び/又は予防する製品を調製するために、ウルフベリーの抽出物の使用を当技術に提供することによって、本発明の目的を達成した。また、免疫反応も維持されることが分かった。
【0009】
したがって、本発明の一つの実施形態は、炎症を治療及び/又は予防する製品を調製するために、ウルフベリー又はその一部、並びに場合により乳、又は乳タンパク質含有担体を含む一次組成物の使用となる。
【0010】
製品は、経口投与用又は局所投与用を対象としてもよい。
【0011】
乳及び乳タンパク質は、動物若しくは植物由来のもの、又はそれらの混合物から得ることができる。好ましくは、乳は、牛乳、ラマの乳、水牛の乳、山羊乳、羊の乳、植物性の乳(特に豆乳)、又はそれらの混合物である。乳タンパク質は、上に挙げた1つ又は複数の乳の種類のものから得ることが可能なタンパク質分画と理解されるべきである。
【0012】
好ましくは、一次組成物は、混和性の組成物である。
【0013】
有利なことに、特に一次組成物が乳、又は乳タンパク質含有担体を含む場合、その組成物は、全ウルフベリーの必須活性成分と近似したプロフィルを有し、水溶液系において、安定性、混和性及び/又は分散性が良好である。
【0014】
さらに、特に乳、又は乳タンパク質含有担体を含む場合、一次組成物は、生物学的利用能及び安定性がよりすぐれた形状で、栄養的価値が高くなっている。この一次組成物は、舌触りのよい味覚と色彩を有しており、直接、濃縮、又は数回にわけて適用するために粉末に乾燥させて、日常的に摂取される食品中又は他の栄養利用へ使用してもよい。
【0015】
これら全ての特徴は、一次組成物を、ウルフベリーの親油性及び/又は親水性の必須生物活性成分を送達する一次組成物を調製するための方法によって調製する場合に、達成してもよい。この方法は、i)乳、又は乳タンパク質含有液状媒体中で、ウルフベリー材料を混合し粉砕するステップ、ii)任意に不溶性繊維を分別し、水性懸濁液を得るステップ、iii)得られた懸濁液を任意に低温殺菌するステップ、iv)加工中に合成又は天然の生物活性成分を任意に加えるステップ、v)及び、さらに懸濁液を任意に乾燥させ、粉末を得るステップを含む。
【0016】
したがって、本発明の一つの実施形態では、一次組成物は、i)乳、又は乳タンパク質含有液状媒体中で、ウルフベリー材料を混合し粉砕するステップ、ii)任意に不溶性繊維を分別し、水性懸濁液を得るステップ、iii)得られた懸濁液を任意に低温殺菌するステップ、iv)加工中に合成又は天然の生物活性成分を任意に加えるステップ、v)及び、さらに懸濁液を任意に乾燥させ、粉末を得るステップを含む方法により得られる。
【0017】
この方法は、自然で、費用効率が高いという大きな利点を有し、天然組成物中の安定化した水溶性及び脂溶性化合物を組み合わせた形態の、複合栄養素の送達を有機溶媒残渣を含まずに改善することを可能にする。
【0018】
別の態様では、本発明は、上記の方法を用いて、特に、乳若しくは乳タンパク質、豆乳又は植物由来の乳様タンパク質を、ウルフベリーの機能性成分の複合栄養素を抽出し、送達するために使用することにより、ウルフベリー材料の生物活性化合物の、水溶液系における混和性又は分散性、安定性及び生物学的利用能を高める方法を提供する。
【0019】
上記の一次組成物は、生物学的利用能、混和性及び安定性が向上したウルフベリーの複合栄養素の機能性成分を送達するために、使用してもよい。
【0020】
用語、生物活性化合物は、経口的又は経皮的に使用した場合、生物活性又は健康への影響を示す分子又は成分を意味すると理解されたい。
【0021】
ウルフベリーは、例えば、果実及び植物の他の部分の形で使用してもよい。果実は、生、濃縮、又は、乾燥材料、例えば、空気乾燥若しくは凍結乾燥材料の形で使用してもよい。しかし、乾燥した完熟果実を使用するのが好ましい。
【0022】
本発明の好ましい実施形態では、一次組成物は、ウルフベリーの親油性及び/又は親水性の必須生物活性成分の少なくとも一部を含んでいる。
【0023】
親油性及び/又は親水性の必須生物活性成分は、好ましくは、脂質、アルカロイド、タンパク質、炭水化物、糖タンパク質、カロテノイド、若しくはフラボノイド、ビタミン、ミネラルなどのポリフェノール化合物、又はそれらの混合物から成る群から選択される。
【0024】
カロテノイドは、リコペン、カロテン、フィトフルエン、フィトエン、カンタキサンチン、βクリプトキサンチン、カプサンシン、ルテイン、ゼアキサンチンなどのカロテン類及びキサントフィル類、若しくはそれらの脂肪酸エステル形態のもの、又はそれらの混合物から成る群から選択してもよい。
【0025】
糖タンパク質は、好ましくは、アラビノガラクタンタンパク質、特にナガバクコ(Lycium barbarum)の多糖体、及びβグルコシルヤリブ試薬で検出してもよい高分子から成る群から選択される。
【0026】
フラボノイドは、好ましくは、アピゲニン、ルテオリン若しくはジオスメチンなどのフラボン類、ケルセチン、ミリセチン、ケンペロールなどのフラボノール類、フラバノン類、ペラルゴニジン、マルビジンなどのアントシアニジン類、又はゲニステイン、ダイゼインなどのイソフラボン類、或いはそれらの混合物から成る群から選択される。
【0027】
本発明の一次組成物は、乳、又は乳タンパク質含有担体中で、不溶性繊維を除いたウルフベリーの必須生物活性成分、又は少なくともその一部を含有してもよい。乳担体は、動物又は植物由来(例えば、豆乳、豆汁又はココナッツミルクなど)の脱脂乳又は全乳の形としてもよい。より好ましい実施形態では、所望する一次組成物に応じて、牛乳又は豆乳が使用される。乳含有担体は、例えば、カゼイン又は乳漿タンパク質などの乳タンパク質を含有するいずれの食用液体でもよい。
【0028】
植物油を任意に液状媒体に加えることができる。
【0029】
ウルフベリー材料は、前記乳、又は乳タンパク質含有液状媒体中で、約1:1〜1:1000、好ましくは、1:5〜1:50のそれぞれの比で混合及び粉砕してもよい。混合及び粉砕ステップは、1〜95℃、好ましくは、約20〜80℃、より好ましくは、40〜80℃の温度で行うことができる。次に、不溶性繊維を少なくとも部分的に除去し、水性の懸濁液を得ることができる。
【0030】
これは、あらゆる従来法で行うことができる。得られた一次組成物は、当技術分野で知られている技術により、さらに低温殺菌及び/又は乾燥して粉末にしてもよい。得られた一次組成物は、液状又はゲル状とすることもできる。
【0031】
したがって、本発明は、果実全体と同様な重要栄養素のプロフィルを有する一次組成物を提供し、この組成物は、良好な安定性、混和性及び生物学的利用能を有している。粉末形態を選択した場合、これらの組成物は、水溶液系において分散性を高くしてもよい。この場合、粉末は、例えば冷水又は温水に分散できる。同様に良好に、それを乳中に加えることもできる。
【0032】
本組成物には、さらに1種又は複数種の乳化剤、安定剤、酸化防止剤及び他の添加剤を含めることができる。好ましくは、例えば、レシチンなどのリン資質、ポリオキシエチレン、ソルビタンのモノもしくはトリステアレート、モノラウレート、モノパルミテート、モノもしくはトリオレエート、モノ又はジグリセリドなどの、食物中に適合できる乳化剤が使用される。
【0033】
食物、化粧品又は医薬品中で使用可能であると知られている、あらゆるタイプの安定剤も、また使用してもよい。
【0034】
食物、化粧品又は医薬品中で使用可能であると知られている、あらゆるタイプの酸化防止剤を、使用してもよい。
【0035】
さらに、食物、化粧品又は医薬品中で使用できることが知られている、添加剤、香味料、着色料を使用してもよい。
【0036】
乳化剤、安定剤、酸化防止剤及び添加剤は、一次組成物の最終使用目的に従って添加してもよい。
【0037】
本組成物は、さらに、アミノ酸、脂肪酸、ビタミン、ミネラル、カロテノイド、ポリフェノールなどの、合成又は天然の生物活性成分を含有することができ、この成分は、好ましくは、低温殺菌及び/又は乾燥前に、乾式混合又は湿式混合のいずれかにより、該組成物に添加してもよい。
【0038】
本発明を用いることにより調製される製品は、食品サプリメント、医薬品として若しくは医薬品中で使用されるサプリメント、又はクリームとして若しくはクリーム中で使用されるサプリメントとしてもよい。
【0039】
本発明の好ましい実施形態では、製品は、ヒト又はペットへ使用する目的、及び/又はヒト又はペットに適用する目的のものである。
【0040】
製品は、あらゆる年齢の患者に投与することができ、特に乳児、小児、青年、成人、及び/又は高齢者に投与してもよい。しかし、ウルフベリーの利点は、特に成人及び高齢者によく適したものであると思われる。
【0041】
本発明の好ましい実施形態によると、本発明を用いることにより調製される製品は、食品中で又は食品としてヒトに消費されるようになされたものである。食品は、経腸的(本発明の目的では経口的を含める)、又は非経口的に摂取してもよい。
【0042】
したがって、一次組成物は、栄養組成物、食品サプリメント、ペットフード製品などの経口投与用食物、化粧製剤又は医薬製剤などにおける添加物としてもよい。一次組成物は、化粧品又は医薬品などの局所塗布製品における添加物にもしてもよい。
【0043】
したがって、本発明を用いることにより調製される製品は、栄養分完全配合物、乳製品、冷蔵又は貯蔵飲料、授乳中の母親のための製品、液体飲料、スープ、食品サプリメント、食事代用物、栄養バー、菓子類、ミルク若しくは発酵乳製品、ヨーグルト、粉ミルク、経腸栄養製剤、特殊調製粉乳、乳児用栄養製品、ピューレ、穀物製品若しくは発酵穀物性製品、アイスクリーム、キャンディー、甘味類、ビスケット、ケーキ、チョコレート、カプチーノ、コーヒー、マヨネーズやトマトピューレ若しくはサラダドレッシングなどの料理用製品、ペットフード、又はペット飲料としてもよい。好ましい実施形態では、ヒトが消費する食品組成物は、上記の一次組成物によって補充される。好ましくは粉末状である一次組成物は、前述の生物活性栄養分の中に日常摂取をするような量で、上記の食品又は飲料中に分散させることができ、この量は、所望の作用及び目標とする組織に応じて選択してもよい。薬効を得るために、個人によって摂取される一次組成物又は食品組成物の量は、また、そのサイズ、型及び年齢によっても決まる。
【0044】
製品が、経口投与用の食品サプリメントである場合、カプセル、ゼラチンカプセル、軟カプセル、錠剤、糖衣錠、丸薬、ペースト剤又はトローチ、ガム類、飲用液剤又は乳剤、シロップ又はゲル剤として存在してもよい。一次組成物の用量は、当業者の用途により変更してもよいが、一般に、一次組成物の約0.1〜100重量%の間となる。このようなサプリメントには、また、甘味料、安定剤、酸化防止剤、添加物、香味料及び/又は着色料を含めることもできる。化粧目的のサプリメントは、さらに、皮膚に関して活性な化合物を含むことができる。
【0045】
別の実施形態では、本発明の製品が医薬品である場合、予防的及び/又は治療的処置のために投与してもよい。
【0046】
治療的適用では、組成物は、疾患及びその合併症の症状を少なくとも部分的に治癒又は阻止するために十分な量を投与する。このことを達成する適切な量は、「治療有効量」と定義する。この目的に有効な量は、当業者に知られる、患者の疾患の重症度、体重及び一般症状などの多くの因子によって決まるであろう。予防的適用では、本発明による組成物は、ある特定の疾患に罹りやすいか、さもなければそのリスクにさらされている患者に、疾患発症リスクを少なくとも部分的に低下させる十分な量を投与する。このような量は、「予防有効量」と定義する。この場合も、正確な量は、患者の健康状態及び体重などの患者の多くの個別の因子によって決まる。
【0047】
医薬品として投与する場合の本発明の化合物は、好ましくは、薬学的に許容される担体と共に投与し、担体の性質は、投与形態(例えば、経腸、経口及び局所(目薬を含む)経路)に応じて異なる。所望の剤形は、例えば、医薬品グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウムを含む、様々な賦形剤を使用して作ることができる。
【0048】
当業者は、自身の知識にもとづき、投与経路を考慮に入れながら、対象の組織、例えば、皮膚、結腸、胃、眼、腎臓又は肝臓に対する活性化合物に的を絞るために、適切な組成物及び生薬形を選択することを理解されたい。
【0049】
本発明は、また、前述の一次組成物を含有する化粧品組成物にも関する。この組成物は、例えば、ローション、シャンプー、クリーム、日焼け止め、日焼け用アフタークリーム、老化防止クリーム及び/又は軟膏中に、配合してもよい。局所的に使用できるこの組成物は、例えば、CTFA(トイレ化粧品・香料工業協会(ワシントン))の研究である化粧品成分ハンドブックの中で言及しているような、化粧品に使用できる油脂又はオイルをさらに含む。他の美容的に活性な成分を加えることも、また可能である。本組成物は、さらに構造化剤及び乳化剤を含む。他の賦形剤、着色剤、香料又は乳白剤もまた、組成物に加えることができる。本化粧品は、当業者に既知の様々な成分の混合物を含有して、該物質の皮膚内への迅速な浸透を確保し、かつ貯蔵中の劣化を防ぐことを理解されたい。
【0050】
本発明の概念を、現在使用している薬物療法を援助する補助療法として、同様に適用できることを理解されたい。本発明の化合物は、食品材料と一緒に容易に投与してもよいので、該物質の高容量を含有した特別な医療食品を使用してもよい。
【0051】
前述の食品、栄養サプリメント、化粧品又は医薬品の組成物を、ペット又はヒトに投与することで、特に少なくとも部分的に炎症を低減させることにより、健康の向上をもたらす。
【0052】
本発明を用いることにより調製される製品を適用して治療してもよい炎症は、敗血症、感染症、火傷などの急性炎症、炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、壊死性小腸大腸炎などの慢性炎症、UV又は化学物質誘発皮膚炎などの皮膚炎、湿疹、反応性皮膚、乾癬、白斑、にきび、炎症性腸症候群、肝炎、アルコール性肝硬変、アレルギー、アトピー、骨の炎症、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、グージェローシェーグレン症候群、ライター症候群、灰白髄炎、皮膚筋炎、甲状腺炎、バセドー病、橋本病、1型糖尿病、アジソン病、自己免疫性肝炎、セリアック病、ビールマー病、多発性硬化症、筋無力症、脳脊髄炎、目の炎症、肥満関連炎症、加齢に関連した軽度炎症、ブラウ症候群、アルツハイマー病、循環器疾患、アテローム性動脈硬化、メタボリック症候群、歯肉炎、及びパロンディティス(paronditis)から成る群から選択してもよい。
【0053】
本発明者らは、本発明の一次組成物の抗炎症作用の分子機構を研究した。理論に拘わることを望まないが、本発明者らは、本組成物は、マクロファージによる炎症誘発性サイトカインのLPS媒介性産生(図1)、及びヒトの腸上皮細胞内のTNF−α又はLPSにより誘発されたNF−κBの活性化(図2)の経路を抑制すると、現在確信している。前臨床試験では、本発明の一次組成物を有する食品サプリメントは、マウスの急性腸炎モデルにおいて、強力な抗炎症性を示した(図3〜10)。加えて、本発明の一次組成物は、さらに、老齢マウスの肝臓において、TNF−αなどの炎症誘発性サイトカインの発現を低下させることができた(図11)。さらに、本発明の一次組成物を有する食品サプリメントは、老齢マウスにおいて、抗原特異的な体液性及び細胞介在性の免疫反応を促進した(それぞれ、図12及び13)。したがって、本発明の一次組成物は、炎症状態を低減させることに有益であることが分かった。同時に、本発明の一次組成物は、さらに免疫系を補助してもよい。
【0054】
したがって、本発明の使用により調製される製品は、炎症状態を低減するために使用することができ、同時に、免疫系を追加免疫するために使用してもよい。
【0055】
したがって、本発明の一次組成物は、障害した免疫及び炎症反応を恒常性の状態に戻す潜在力を有している。この二重の効果により、本発明の一次組成物は、例えば、高齢者、医療及びペットの食物用の製品において使用するのに適している。
【0056】
特に、本発明の一次組成物は、加齢に関連する軽度炎症状態を低減させながら、加齢を重ねる間の免疫機能の維持に有益である。
【0057】
また、本発明の一次組成物は、急性又は慢性炎症を管理するために、医療製品中に使用してもよい。
【0058】
したがって、本発明の一つの実施形態では、本発明を使用することによって調製される製品は、障害を受けた免疫反応を改善するために使用される。また、本製品は、抗原特異性の体液性免疫反応の促進及び/又は細胞介在性免疫反応の促進のために使用することもできる。
【0059】
さらに、本発明の一次組成物及び/又は製品は、酸化ストレスに関係する疾患を治療又は予防するためにも使用してもよい。本発明者らは、本発明の一次組成物及び/又は製品を適用すると、GPX−1、CAT1及びSOD2などの抗酸化遺伝子の激しい増加を誘発できることを示した(図9)。したがって、本発明の一次組成物及び/又は製品は、例えば、スーパーオキシドアニオン・O、過酸化水素H、ヒドロキシルラジカル・OH、有機ヒドロペルオキシドROOH、アルコキシラジカルRO・、ペルオキシラジカルROO・、次亜塩素酸HOCl、ペルオキシナイトライトOONO−、及び/又はNO・などのフリーラジカルが原因の酸化ストレスに対する防御をもたらすことができる。
【0060】
当初開示したように、本発明の範囲から逸脱することなく、本明細書に記載した任意の特徴を自由に組合せることが可能であることは、当業者には明白である。
【0061】
本発明の、さらなる利点及び特徴は、以下の実施例及び図から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】マウスのマクロファージ細胞系(RAW細胞)における、LPS媒介IL6産生のLWBによる阻害を示す図である。
【図2】ヒトの腸上皮細胞系(NF−κBレポーター遺伝子を安定に形質移入されたHT−29)における、LPS媒介NF−κB活性化のLWBによる阻害を示す図である。
【図3】TNBS投与後の体重減少(平均値±標準誤差)を示す図である。
【図4】肉眼的点数評価を示す図である。右パネル:(平均値±標準誤差)。左パネル:個々の値及び中央値。
【図5】組織学的点数評価を示す図である。右パネル:(平均値±標準誤差)。左パネル:個々の値及び中央値。
【図6】基準タンパク質(アクチン)に対するCOX−2の比を示す図である。右パネル:(平均値±標準誤差)。左パネル:個々の値及び中央値。
【図7】pSTAT3発現を示す図である。右パネル:(平均値±標準誤差)。左パネル:個々の値及び中央値。
【図8】LWBの補給を行わなかった場合及び行った場合のマウスの急性腸炎モデルにおける、TNFα、IL−6及びIL−1βなどの炎症誘発性遺伝子、並びにKCなどのタンパク質の発現を示す図である。
【図9】LWBの補給を行わなかったマウスの急性腸炎モデル及び補給を行ったマウスの急性腸炎モデルにおける、GPX−1、CAT1及びSOD2などの抗酸化遺伝子の発現を示す図である。
【図10】抗酸化能力を示す図である。右パネル:(平均値±標準誤差)。左パネル:個々の値及び中央値。
【図11】健常な老齢マウス(H20)及び成体マウス(CTRL)の肝臓で観察されたレベルと比較した、LWBを補充した高齢マウスの肝臓における、TNF−αをコードする遺伝子の発現を示す図である。
【図12】老齢マウスにおける、抗原(KLH)特異的抗体反応を示す図である。
【図13】老齢マウスにおける、細胞性免疫の遅延型過敏(DTH)反応を示す図である。
【実施例】
【0063】
[実施例1]
ウルフベリー及び乳を含む一次組成物(LWB、ラクト−ウルフベリー)の調製
乾燥ウルフベリー果実(40g)と全乳(300g)を1リットルの容器に入れた。混合物を10分間静置し、ポリトロン(KINEMATICAによる分散及び混合技術、PT3000)を用いて、窒素雰囲気下で、26000rpm、15分間処理した。ポリトロン処理の間、混合物の温度を、水浴で80〜85℃に維持し、その後、室温に冷却した。次に、結果として生じる混合物を、2000Gで10分間遠心分離した。固形残渣を廃棄する。液相(306gの橙黄色の乳)を凍結乾燥した。乾燥した生成物は、最終的に粉砕し、54gの橙黄色粉末が得られるが、この粉末は、ウルフベリー果実粉末に比べて、非常に良好な水分散性と向上したゼアキサンチン安定性を示した。
【0064】
[実施例2]
試薬
NRC(ネスレリサーチセンター、ローザンヌ)で製造されたパイロットバッチ、N°WB03A1506H由来の前述のラクト−ウルフベリー粉末(LWB)、及びウルフベリー抽出物粉末(バッチN°WB03A1506H)は、J.Wang(FS、Lipids&Bioactives)によって提供された。E.coli血清型055:B5由来のリポ多糖体(LPS)は、シグマ(セントルイス、ミズーリ州)から購入した。ヒトの母乳(HM)は、倫理委員会の承認を経た後、分娩後20日目の別々の健康なドナーから採取した。キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)は、シグマから購入した。
【0065】
細胞培養
マウスの単球/マクロファージ細胞株RAW264.7(ATCC(マナッサス、バージニア州、米国)由来のTIB−71)は、10%の熱不活化FCS(Amimed)及び1%のペニシリン/ストレプトマイシン(インビトロゲン、ペーズリー、英国)を追加したダルベッコー修飾イーグル培地(DMEM、Amimed、Bioconcept、アルシュビル、スイス)中で、5%CO/空気のインキュベーター内、37℃に維持した。細胞は、トリプシン/EDTA(シグマ、セントルイス、ミズーリ州、米国)を使用して継代培養した。ヒトの結腸腺癌の細胞株HT−29クローン34細胞(すなわち、NF− Bレポーター遺伝子を安定に形質移入したHT−29細胞)は、1%の安定L−グルタミンを含有し、熱不活化(56℃で1時間)10%FCS、1%ペニシリン/ストレプトマイシン(シグマ、セントルイス、ミズーリ州)、500μg/mlのG418(インビトロゲン)、及び100μg/mlのNormocin(インビトロゲン)を補完した高グルコース(4.5g/l)DMEM(Bioconcept、アルシュビル、スイス)中で、5%CO/空気のインキュベーター内、37℃で保持した。培地は、細胞単層が90%の集密に達するまで、2日おきに交換した。細胞は、トリプシン/EDTA(シグマ)を使用して継代培養した。
【0066】
LPS媒介IL−6発現の定量
RAW264.7細胞は、5%CO/空気のインキュベーター内、37℃で、普通培地に、平底の96ウェルプレート(Nunc、ロスキレ、デンマーク)中10細胞/ウェルの割合で播種した。培養3日後(すなわち、細胞が約80%の集密に達している)に細胞を、LWBサンプル(最終濃度0.1〜1%)の存在又は非存在の下で、普通培地において、0.5μg/mlのE.coli LPS(055:B5、シグマ)で24時間刺激した又はしなかった。次に、細胞培養上清を採取し、IL−6の産生量を定量するために使用した。細胞培養上清中のインターロイキン−6(IL−6)濃度は、製造業者の取扱説明書に従って、ELISA(Murine IL−6 Eli−pair、Diaclone、ブザンソン、フランス)により測定した。
【0067】
NF−κB活性
HT−29クローン34細胞は、平底の96ウェルプレート(Nunc)内の維持培地に、10細胞/ウェルの割合で播種した。培養3〜4日後(すなわち、細胞が80%の集密に達している)、細胞を、リン酸バッファー食塩水(PBS)(シグマ)中で洗浄し、次に、DMEM含有1%ペニシリン/ストレプトマイシン中のLWBサンプルの非存在又は存在下で、24時間かけて、LPS(10ng/ml+5%母乳)又は組換えTNF−α(10ng/ml、R&Dシステムズ、オックスフォード、英国)で刺激した又はしなかった。次に細胞培養上清を採取し、NF−κB活性の分析まで+4℃のO/N中で保存した。NF−κB活性化に続いて、HT−29クローン34細胞が、培地の上清にアルカリホスフォターゼを分泌する(SEAP)。SEAP放出は、製造業者(Applied Biosystems、ベッドフォード、米国)の取扱説明書に従って、蛍光検出法(ホスファ−ライト(Phospha−Light)(商標)システム)を用いて測定した。手短に言うと、細胞培養上清を、平底の白色96ウェルポリプロピレンプレート(Greiner)内で、ホスファ−ライト(商標)システムから得た反応バッファーで20分間培養し、Spectrafluor Plusスペクトロメーター(Tecan 8634、ホムブレヒティコン、スイス)を使用してルミネセンスを測定した。結果は、相対ルミネセンス単位(RLU)で表す。
【0068】
TNBS誘発結腸炎モデル
TNBS結腸炎モデルは、化学品のトリニトロベンゼンスルホン酸(TNBS)により、150mg/kg用量で誘発した急性炎症モデルである。1群当たり10匹のマウスを、結腸炎を誘発させる7日前から犠牲死するまで、1%のLWB(50mg)を含有する飼料で飼育した。TNBS投与後の第1日〜第4日まで、急性腸炎に付随する飼料摂取の低下を補うため、50mgのLWBを経管栄養により与えた。各動物の体重減少、肉眼的点数、組織学的点数、COX−2、pSTAT3,炎症誘発性及び抗酸化遺伝子の発現、並びに酸化防止力を評価した。肉眼的点数及び組織学的点数は、Wallace(Wallaceら、1989)及びAmeho(Amehoら、1997)の採点基準に従って行った。誘導型シクロオキシゲナーゼであるCOX−2は、72kダルトンのタンパク質で、急性炎症状態下のプロスタグランジンの誘導型生合成を担っている。Stat3は、多くのサイトカイン、特に炎症誘発性サイトカインであるIL−6の重要なシグナル伝達分子である。
【0069】
老齢マウスにおける免疫調節を評価するための試験デザイン
特定病原体未感染の雄のC57BL/6Jマウス(4週齢)を、Charles River Laboratories Inc.(フランス)から購入した。マウスを通常の環境(12時間明暗サイクル、温度22℃、湿度56%)のもとに収容し、水及び準合成飼料Kliba 3434を自由に摂取させた。5ヶ月齢まで、マウスをケージ当たり5匹に維持し、次に個別にケージに入れた。環境全般及び動物の取扱いは、スイス連邦獣医アドバイザーの取り決めに関して、ネスレ及び州の倫理委員会により承認を受けた。21ヶ月齢時点のマウスを、10匹の2群にランダムに振り分けた。LWBを補給しない対照マウス(H20、月齢群当たりn=10)及び補給したマウス(LWB、月齢群当たりn=10)に、準合成飼料(AIN−93)を与えた。LWBは、新たに調製して1日おきに交換した、飲料水中の0.5%(w/v)溶液として与えた。試験中(44日間)、全てのマウスを自由に飲食させた。同様な試験デザインを2回行い、8ヶ月齢マウスでも行った(群当たりn=8)。T細胞依存性の体液性応答(抗原特異的抗体産生)のin vivo試験のために、老齢マウスを、試験第15日目に、無菌抗原Keyhole Limpet Haemocyanin(KLH、シグマ)を、1%Alum(Brenntag Biosector、フリズリクソン、デンマーク)中100μgで皮下注射(100μl)して免疫した。DTH応答を細胞性免疫のin vivoの尺度として用いた。DTH応答を起こす能力の測定を可能にするために、耳の厚さ(耳介腫脹)の測定を、誘発前、及び誘発後24時間から8日間行った。手短に言えば、マウスをKLHで免疫した7日後(すなわち、試験第22日目)に、各マウスの右耳にリコール抗原KLH(0.5μg/mlの10μl)を注射することによりDTH応答を誘発した。左耳は、溶媒(生理食塩水=PBS)のみで注射し、各動物の内部対照とした。誘発後の24時間時点、及び続く7日間にわたり、誘発しなかった耳(左耳)及び誘発した耳(右耳)の両方を計測した。DTH応答(KLH−PBS)は、耳介腫脹の大きさ、すなわち、次の式を用いた耳の厚さ変化として表した。耳の厚さ(thickness)のΔ−[誘発した耳(右、KLH)耳の病気(sickness)−誘発しなかった(左、PBS)耳の病気(sickness)]。ここで、耳の厚さ(thickness)のΔ=[誘発後−誘発前の耳の厚さ(thickness)]である。血液サンプルは、第0日、第15日、第29日に尾静脈から、また第44日に心穿刺を介して採取した。マウスは試験の第44日目に犠牲死した。解剖時に、肝臓を摘出し、一部を直ちに液体窒素で氷結した。サンプルは、次の分析まで+80℃で保存した。
【0070】
KLH−特異的IgG2a抗体濃度の定量
血清中のKLH−特異的IgG2a抗体の量は、ELISAにより測定した。手短に言うと、マイクロタイタープレートをKLH(100ng/mlで50μl/ウェル)で塗布し、37℃で3時間培養した。遊離結合部位は、ELISAバッファーで、37℃、1時間ブロックした。次にサンプルを加え、+4℃で一晩培養した。結合抗体をSouthern Biotechnologies(バーミンガム、米国)から取り寄せたビオチン共役の抗ヤギ−マウスIgG2a(γ2a鎖特異的)と振盪しながら、37℃で1時間反応させた。プレートは、KPLから取り寄せたTMBペルオキシダーゼ基質を加えた後、450nmで読み取った。抗KLH IgG2a抗体の濃度は、OD450nm値の平均値として表した。
【0071】
遺伝子発現
肝臓サンプルを、1mlのRNA溶解バッファー(Macherey−Nagel、デューレン、ドイツ)中に移し、Ribolyzer(Hybaid、ウォルサム、マサチューセッツ州、米国)を用いて次の設定でホモジナイズした:出力6で20秒。RNAの抽出は、市販のキット(NucleoSpin RNA II Kit、Macherey−Nagel、デューレン、ドイツ)を用いて行った。RNAの定量は、Ribogreen RNA定量キット(Molecular Probes、ユージーン、オレゴン州、米国)を用いて達成し、RNAの性質は、Agilent RNA 6000 Nano LabChipキット(Agilent Technologies、パロアルト、米国)を用いて分析した。全RNA(2μg)は、製造業者(Applied biosystems、Biosystems、Rokreutz、スイス)の取扱説明書に従って、Multiscribe逆転写酵素を用いて逆転写した。TaqManプロ−ブ48個付きの特別注文の低密度アレイ(LDA)(搭載能力:テクニカルモノプリケート(technical monoplicates)中のカード当たり8サンプル)をApplied Biosystems(フォスターシティー、米国)から購入し、製造業者の取扱説明書に従って使用した。遺伝子発現は、SDS2.2.2ソフトウェアを用いた相対定量法、ΔΔCt法(Applied Biosystems)を用いて計算した。得られた繰り返し閾値(Ct)を、次の分析のためにMS Excel(マイクロソフト、米国)にエクスポートした。手短に言うと、初めにΔCt値(すなわち、標的遺伝子のCt値−GAPDHハウスキーピング遺伝子のCt値)を計算し、次に以下の式を用いて相対mRNA発現を決定した:2−ΔCt×10
【0072】
一般統計分析
データは、平均値+/−標準誤差又は標準偏差で解析し、適切な場合、スチューデントのT検定(対応のない)又は二元配置ANOVAで解析した。5%未満の確率値を有意であると考えた。
【0073】
結果
A)ラクト−ウルフベリーの抗炎症性を実証する、in vitro試験
ラクト−ウルフベリー(LWB)溶液は、マウスのマクロファージ細胞系による、炎症誘発性サイトカインIL−6のLPS媒介放出(図1)、及びヒトの腸上皮細胞における、NF−κBのLPS媒介活性化をin vitroで抑制した(図2)。
B)ラクト−ウルフベリーの抗炎症作用及び免疫促進作用を実証する、in vivo試験
【0074】
a.病理的急性炎症
LWBの食餌補給によって、マウスの急性腸炎モデルにおいて強い抗炎症性が実証された。1%のLWBの経口投与により、体重減少の改善(図3)、肉眼的及び組織学的病変の改善(図4及び図5)、COX−2及びpSTAT3発現レベルの有意な減少(図6及び図7)という結果が得られた。さらに、結腸におけるTNFα、IL−6及びIL−1β、並びにKCなどのタンパク質の炎症誘発性遺伝子の発現が、対照群と比較して減少した(図8)。同時に、LWBにより、結腸においてGPX−1、CAT1及びSOD2などの抗酸化遺伝子の活発な増加が誘発され(図9)、血漿中の抗酸化防御性が増大した(図10)。
【0075】
b.生理的な加齢性軽度炎症
LWBの食餌補給(飲料水中0.5%)によって、老齢マウスの肝臓における炎症関連遺伝子の発現の、成体マウスで観察されたレベルまでの減少が誘発された(図11:例として、TNF−αをコードする遺伝子)。
【0076】
c.老齢マウスにおける免疫促進作用
LWBの食餌補給(飲料水中0.5%)によって、老齢マウスにおける体液性(図12)及び細胞性免疫応答(図13)のいずれも向上した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炎症を治療及び/又は予防するための製品の調製を目的とする、ウルフベリー又はその一部を含む一次組成物の使用。
【請求項2】
前記一次組成物が、さらに乳、又は乳タンパク質含有担体を含む、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記一次組成物及び/又は前記製品から、不溶性繊維取り除かれている、請求項1又は2に記載の使用。
【請求項4】
前記製品が、経口、局所、経腸及び/又は非経口投与を対象とし、及び/又は前記製品が、食品サプリメント、医薬品として若しくは医薬品中で使用されるサプリメント、又はクリームとして若しくはクリーム中で使用されるサプリメントであり、及び/又は前記製品が、ヒト又はペットに使用される及び/又は適用されることを意図した製品である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の使用。
【請求項5】
前記製品が、食料品中で又は食料品として、例えば、栄養分完全配合物、乳製品、冷蔵若しくは貯蔵飲料、授乳中の母親のための製品、液体飲料、スープ、栄養補助食品、食事代用物、栄養バー、菓子類、ミルク若しくは発酵乳製品、ヨーグルト、粉ミルク、経腸栄養製品、特殊調製粉乳、乳児用栄養製品、ピューレ、穀物製品若しくは発酵穀物性製品、アイスクリーム、キャンディー、甘味類、ビスケット、ケーキ、チョコレート、カプチーノ、コーヒー、マヨネーズやトマトピューレ若しくはサラダドレッシングなどの料理用製品としてヒトが摂取することを意図したもの、ペットフード又はペット飲料である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の使用。
【請求項6】
前記製品が、錠剤、カプセル、丸薬、溶液、懸濁液、シロップ、粉末、ゲル、クリーム、乾燥経口サプリメント、湿潤経口サプリメント、ボディソープ、練り歯磨き、シャンプー、口内洗浄液、口紅、又は個人的衛生製品である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の使用。
【請求項7】
前記一次組成物が、ウルフベリーの親油性及び/又は親水性生物活性成分の少なくとも一部を含んでおり、親油性及び/又は親水性生物活性成分が、好ましくは、脂質、アルカロイド、タンパク質、炭水化物、糖タンパク質、カロテノイド、フラボノイドなどのポリフェノール化合物、ビタミン、ミネラル、又はそれらの混合物から成る群から選択される、請求項1〜6のいずれか1項に記載の使用。
【請求項8】
前記糖タンパク質が、アラビノガラクタンタンパク質、特にナガバクコの多糖体、及びβグルコシルヤリブ試薬で検出できる高分子、又はそれらの混合物から成る群から選択され、及び/又は前記フラボノイドが、アピゲニン、ルテオリン若しくはジオスメチンなどのフラボン類、ケルセチン、ミリセチン若しくはケンペロールなどのフラボノール類、フラバノン類、ペラルゴニジン若しくはマルビジンなどのアントシアニジン類、又はゲニステイン若しくはダイゼインなどのイソフラボン類、又はそれらの混合物から成る群から選択され、及び/又は前記カロテノイドが、リコペン、カロテン、フィトフルエン、フィトエン、カンタキサンチン、βクリプトキサンチン、カプサンシン、ルテイン、ゼアキサンチンなどのカロテン類及びキサントフィル類、又はそれらの脂肪酸エステル形のもの、又はそれらの混合物から成る群から選択される、請求項7に記載の使用。
【請求項9】
前記乳が、動物若しくは植物源、又はそれらの混合物由来であり、好ましくは、前記乳が、牛乳、ラマの乳、水牛の乳、山羊乳、羊の乳、植物性の乳(特に豆乳)又はそれらの混合物である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の使用。
【請求項10】
前記一次組成物は、i)乳、又は乳タンパク質含有液状媒体中でウルフベリー材料を混合し粉砕するステップ、ii)場合により不溶性繊維を分別し、水性懸濁液を得るステップ、iii)得られた懸濁液を場合により低温殺菌するステップ、iv)加工中に合成又は天然の生物活性成分を場合により加えるステップ、v)及び、さらに懸濁液を場合により乾燥させ、粉末を得るステップ、を含む方法により得られる、請求項1〜9のいずれか1項に記載の使用。
【請求項11】
前記炎症は、敗血症、感染症及び火傷などの急性炎症並びに炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎及び壊死性小腸大腸炎などの慢性炎症、UV又は化学物質誘発皮膚炎、湿疹、反応性皮膚、乾癬、白斑、にきびなどの皮膚炎、炎症性腸症候群、肝炎、アルコール性肝硬変、アレルギー、アトピー、骨の炎症、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、グージェローシェーグレン症候群、ライター症候群、灰白髄炎、皮膚筋炎、甲状腺炎、バセドー氏病、橋本病、1型糖尿病、アジソン病、自己免疫性肝炎、セリアック病、ビールマー病、多発性硬化症、筋無力症、脳脊髄炎、目の炎症、肥満関連炎症、加齢に関連した軽度炎症、ブラウ症候群、アルツハイマー病、循環器疾患、アテローム性動脈硬化、メタボリック症候群、歯肉炎、及びパロンディティス(paronditis)から成る群から選択される、請求項1〜10のいずれか1項に記載の使用。
【請求項12】
前記製品が、免疫系を同時に追加免疫することにより、障害した免疫反応を改善し、抗原特異的体液性免疫反応を促進し、及び/又は細胞性免疫応答を促進する、請求項1〜11のいずれか1項に記載の使用。
【請求項13】
前記製品が、乳児、小児、青年、成人及び/又は高齢者による使用を対象とする、請求項1〜12のいずれか1項に記載の使用。
【請求項14】
前記製品が、免疫機能の維持及び/又は炎症状態の緩和を対象とする、請求項1〜13のいずれか1項に記載の使用。
【請求項15】
酸化的ストレスに関連する疾患を治療又は予防するための、請求項1〜14のいずれか1項に記載の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2010−540415(P2010−540415A)
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−524498(P2010−524498)
【出願日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【国際出願番号】PCT/EP2008/062122
【国際公開番号】WO2009/034162
【国際公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(599132904)ネステク ソシエテ アノニム (637)
【Fターム(参考)】