説明

エチレンα−オレフィン共重合体

【課題】
【解決手段】本発明は、狭い分子量分布を有しつつも均一な共単量体分布を有するエチレンα−オレフィン共重合体に関する。本発明に係るエチレンα−オレフィン共重合体は、ランダムな形態またはブロック構造の共単量体分布を有する従来のエチレン共重合体とは異なって均一な共単量体分布を有し、同一の共単量体含量においてより低い密度を示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はエチレンα−オレフィン共重合体に関する。具体的には、本発明は、従来のエチレンα−オレフィン共重合体に比べて狭い分子量分布を有し、エチレンと共重合する共単量体の分布が均一であり、同一の共単量体含量において低い密度を有するエチレンα−オレフィン共重合体に関する。本出願は2007年5月9日に韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10−2007−0045179号の出願日の利益を主張し、その内容の全ては本明細書に含まれる。
【背景技術】
【0002】
ダウ(Dow)社が1990年代初頃[Me2Si(Me45)NtBu]TiCl2(Constrained−Geometry Catalyst:CGC)を発表したが(米国特許第5,064,802号(特許文献1))、エチレンとα−オレフィンの共重合反応において、CGCが今まで知られたメタロセン触媒に比べて優れていることは次のように大きく2つに要約することができる:(1)高い重合温度においても高い活性度を示しつつ高分子量の重合体を生成し、(2)1−ヘキセンおよび1−オクテンのような立体障害の大きいα−オレフィンの共重合性にも非常に優れているという点である。この他にも重合反応時、CGCの様々な特性が次第に知られることに伴い、その誘導体を合成して重合触媒として用いようとする努力が学界および産業界で活発になされた。
【0003】
そのうちの1つのアプローチ方法として、シリコンブリッジの代わりに他の様々なブリッジおよび窒素置換体が導入された金属化合物の合成とそれを用いた重合が試みられた。最近まで知られた代表的な金属化合物を列挙すれば次の通りである(Chem.Rev.2003,103,283(非特許文献1))。
【0004】
【化1】

【0005】
上記で羅列した化合物は、CGC構造のシリコンブリッジの代わりに、リン(1)、エチレンまたはプロピレン(2)、メチリデン(3)、およびメチレン(4)ブリッジが各々導入されているが、エチレン重合またはエチレンとα−オレフィンの共重合に適用する時、CGCに比べ、重合活性度や共重合性能などの側面において優れた結果を示すことができなかった。
【0006】
また、他のアプローチ方法としては、前記CGCのアミド配位子の代わりにオキシド配位子からなる化合物が多く合成され、それを用いた重合も一部試みられた。その例を整理すれば次の通りである。
【0007】
【化2】

【0008】
前記化合物(5)はT.J.Marksなどによって報告された内容であり、Cp(シクロペンタジエン)誘導体とオキシド配位子がオルト−フェニレン基によって架橋されていることを特徴とする(Organometallics 1997,16,5958(非特許文献2))。同一の架橋を有する化合物およびそれを用いた重合がMuなどによっても報告された(Organometallics 2004,23,540(非特許文献3))。また、インデニル配位子とオキシド配位子が同一のオルト−フェニレン基によって架橋されているものがRothwellなどによって発表された(Chem.Commun.2003,1034(非特許文献4))。前記化合物(6)はWhitbyなどが報告した内容であり、炭素3つによってシクロペンタジエニル配位子とオキシド配位子が橋脚されていることを特徴とするが(Organometallics 1999,18,348(非特許文献5))、このような触媒がシンジオタクチック(syndiotactic)ポリスチレン重合に活性を示すものとして報告されている。また、類似する化合物がHessenなどによっても報告された(Organometallics 1998,17,1652(非特許文献6))。前記化合物(7)はRauなどが報告したものであり、高温高圧(210℃,150MPa)においてエチレンとエチレン/1−ヘキセン共重合に活性を示すことを特徴とする(J.Organomet.Chem.2000,608,71(非特許文献7))。また、それ以来、これと類似する構造、例えば、前記化合物(8)のような触媒が合成され、これを用いた高温高圧重合がSumitomo社によって特許出願された(米国特許6,548,686号(特許文献2))。
【0009】
しかし、このような全ての試み中、実際に商業工場に適用されている触媒はわずかである。また、大半のエチレンとα−オレフィンの共重合体の場合、ランダムな共単量体の分布を有する共重合体が得られる。最近では、様々な組成分布および特性を有するポリオレフィン系共重合体を得ようとする努力が学界および産業界で活発になされており、そのための新しい触媒および工程の開発が依然として求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第5,064,802号明細書
【特許文献2】米国特許第6,548,686号明細書
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Chem.Rev.2003年,103巻,p.283
【非特許文献2】Organometallics 1997年,16巻,p.5958
【非特許文献3】Organometallics 2004年,23巻,p.540
【非特許文献4】Chem.Commun.2003年,p.1034
【非特許文献5】Organometallics 1999年,18巻,p.348
【非特許文献6】Organometallics 1998年,17巻,p.1652
【非特許文献7】J.Organomet.Chem.2000年,608巻,p.71
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明者らは、特定種類のキノリン系グループが含まれた遷移金属化合物を含む触媒組成物を用いて連続溶液重合工程を利用することにより、従来のものに比べ、共重合体内のα−オレフィン共単量体の分布が均一であるだけでなく、同一のα−オレフィン共単量体含量において低い密度を有するエチレンα−オレフィン共重合体を得ることができるという事実を明らかにした。
【0013】
そこで、本発明は、狭い分子量分布を有し、共重合体内のα−オレフィン共単量体の分布が均一であり、同一のα−オレフィン共単量体含量において低い密度を有するエチレンα−オレフィン共重合体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、前記技術的課題を達成するために、
a)式103×d≦−1.8×A+937(ここで、dは共重合体の密度であり、Aは共重合体のうちのα−オレフィンの重量%である)によって定義される密度(d)、および
b)3.5未満の分子量分布(Mw/Mn)を有することを特徴とする、エチレンとC3−C20のα−オレフィンを含むオレフィン共重合体を提供する。
【0015】
前記オレフィン共重合体は下記化学式1の遷移金属化合物を含む触媒組成物を用いて製造することができる。
【0016】
【化3】

【0017】
前記化学式1において、
R1、R1’、R2、R2’、R3、R3’およびR3’’は互いに同じであるか異なり、独立に、水素;ハロゲンラジカル;炭素数1〜20のアルキル、アリールまたはシリルラジカル;炭素数2〜20のアルケニル、アルキルアリール、またはアリールアルキルラジカル;ヒドロカルビルで置換された第14族金属のメタロイドラジカル;またはアルコキシ、アリールオキシまたはアミノラジカルであり、これらのうちの2以上は炭素数1〜20のアルキルまたはアリールラジカルを含むアルキリデンラジカルによって互いに連結されて脂肪族または芳香族環を形成することができ、
CY1は置換もしくは非置換の脂肪族または芳香族環であり、前記CY1において置換される置換基は水素;ハロゲンラジカル;または炭素数1〜20のアルキルまたはアリールラジカルであり、前記置換基が複数個である場合には前記置換基のうちの2つ以上の置換基が互いに連結されて脂肪族または芳香族環を形成することができ;
Mは第4族遷移金属であり;
Q1およびQ2は互いに同じであるか異なり、独立に、ハロゲンラジカル;炭素数1〜20のアルキルアミドまたはアリールアミドラジカル;炭素数1〜20のアルキル、アルケニル、アリール、アルキルアリールまたはアリールアルキル;または炭素数1〜20のアルキリデンラジカルである。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係るエチレンα−オレフィン共重合体は、同一のα−オレフィン共単量体の含量において低い密度を示し、共重合体内にα−オレフィン共単量体が均一に分布しているため、より低い溶融点および結晶化度を有する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係るエチレン1−オクテン共重合体とダウ(Dow)社のCGC(Constrained−Geometry Catalyst)を利用して得られたエチレン1−オクテン共重合体の1−オクテンの含量に応じた密度を示すグラフである。
【図2】本発明に係るエチレン1−オクテン共重合体とダウ社のCGCを利用して得られたエチレン1−オクテン共重合体の1−オクテンの含量に応じた溶融点を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明をより具体的に説明する。
【0021】
本発明によるオレフィン共重合体は、式103×d≦−1.8×A+937(ここで、dは共重合体の密度であり、Aは共重合体のうちのα−オレフィンの重量%である)によって定義される密度を有することを特徴とする。本発明者らは、エチレンα−オレフィン共重合体のα−オレフィン共単量体の含量および密度の関係が前記式を満足する場合、従来のエチレンα−オレフィン共重合体に比べ、共重合体内のα−オレフィン共単量体の分布が均一であり、同一のα−オレフィン共単量体含量において共重合体の密度が低いという事実を明らかにした。
【0022】
本発明において、前記式を満足する密度を有するオレフィン共重合体は、前述した化学式1の遷移金属化合物を含む触媒組成物によって製造することができる。前記化学式1の遷移金属化合物としては下記化学式2の化合物がある。
【0023】
【化4】

【0024】
前記化学式2において、
R4、R4’、R5、R5’およびR6〜R14は互いに同じであるか異なり、独立に、水素;ハロゲンラジカル;炭素数1〜20のアルキル、アリールまたはシリルラジカル;炭素数2〜20のアルケニル、アルキルアリール、またはアリールアルキルラジカル;ヒドロカルビルで置換された第14族金属のメタロイドラジカル;またはアルコキシ、アリールオキシまたはアミノラジカルであり、これらのうちの2以上は炭素数1〜20のアルキルまたはアリールラジカルを含むアルキリデンラジカルによって連結されて脂肪族または芳香族環を形成することができ、
Mは第4族遷移金属であり;
Q3およびQ4は互いに同じであるか異なり、独立に、ハロゲンラジカル;炭素数1〜20のアルキルアミドまたはアリールアミドラジカル;炭素数1〜20のアルキル、アルケニル、アリール、アルキルアリールまたはアリールアルキル;または炭素数1〜20のアルキリデンラジカルである。
【0025】
前記化学式2の化合物は下記化学式3または4の化合物であることが好ましい。
【0026】
【化5】

【0027】
化学式3において、置換基の定義は化学式2と同様である。
【0028】
【化6】

【0029】
化学式4において、
R4、R4’およびR5’は互いに同じであるか異なり、独立に、水素原子または炭素数1〜20のアルキル、アリールまたはシリルラジカルであり;
Mは第4族遷移金属であり;
Q3およびQ4は互いに同じであるか異なり、独立に、ハロゲンラジカル、炭素数1〜20のアルキルアミドまたはアリールアミドラジカル;または炭素数1〜20のアルキルラジカルである。
【0030】
前記化学式1の化合物として、金属周囲の電子的、立体的環境の制御のために、より好まれる化合物としては下記構造の遷移金属化合物がある。
【0031】
【化7】

【0032】
前記式において、R15およびR15’は水素またはメチルラジカルのうちから選択され、Q5およびQ6は、各々独立に、メチル、ジメチルアミドまたはクロライドラジカルのうちから選択される。
【0033】
前記化学式1の触媒を含む触媒組成物は、下記化学式5〜7の化合物のうちの1つ以上の助触媒化合物をさらに含むことができる。
【0034】
【化8】

【0035】
前記式において、R16は、各々独立に、ハロゲンラジカル、炭素数1〜20のヒドロカルビルラジカル、またはハロゲンで置換された炭素数1〜20のヒドロカルビルラジカルであり、aは2以上の整数であり;
【0036】
【化9】

【0037】
前記式において、Dはアルミニウムまたはホウ素であり、R17は、各々独立に、ハロゲンラジカル、炭素数1〜20のヒドロカルビルラジカル、またはハロゲンで置換された炭素数1〜20のヒドロカルビルラジカルであり:
【0038】
【化10】

【0039】
前記式において、Lは中性または陽イオン性ルイス酸であり;Hは水素原子であり;ZはB、Al、Ga、In、Tiなどの第13族元素であり;Aは、各々独立に、1以上の水素原子がハロゲン、炭素数1〜20のヒドロカルビル、アルコキシまたはフェノキシラジカルで置換された炭素数6〜20のアリールまたはアルキルラジカルである。
【0040】
前記助触媒化合物中、前記化学式5および化学式6で示される化合物はアルキル化剤で示され得るし、前記化学式7で示される化合物は活性化剤で示され得る。
【0041】
前記触媒組成物は化学式1の遷移金属化合物と助触媒との間の反応により活性化状態で存在し、これを活性化触媒組成物ということもある。しかし、前記触媒組成物が活性化状態で存在するということは当該技術分野において公知の事実であるため、本明細書では活性化した触媒組成物という用語を別途に使わないことにする。
【0042】
本発明に係るエチレンα−オレフィン共重合体は、前記化学式1の化合物と化学式5〜7の化合物のうちの1つ以上の助触媒を用いて触媒組成物を製造した後、これを利用してエチレンとα−オレフィンを重合することにより製造することができる。前記触媒組成物は以下の組成物製造方法により製造することができる。
【0043】
第1に、前記化学式1の遷移金属化合物と前記化学式5または化学式6で示される化合物を接触させて混合物を得るステップ;および前記混合物に前記化学式7で示される化合物を添加するステップを含む製造方法を提供する。
【0044】
また、第2に、前記化学式1の遷移金属化合物と前記化学式5で示される化合物を接触させて触媒組成物を製造する方法を提供する。
【0045】
また、第3に、前記化学式1の遷移金属化合物と前記化学式7で示される化合物を接触させて触媒組成物を製造する方法を提供する。
【0046】
前記触媒組成物製造方法のうちの第1方法の場合、前記化学式1の遷移金属化合物に対する前記化学式5または化学式6で示される化合物のモル比は1:2〜1:5,000が好ましく、より好ましくは1:10〜1:1,000であり、最も好ましくは1:20〜1:500である。次に、前記化学式1の遷移金属化合物に対する前記化学式7で示される化合物のモル比は1:1〜1:25が好ましく、より好ましくは1:1〜1:10であり、最も好ましくは1:2〜1:5である。
【0047】
前記第1の触媒組成物製造方法において、前記化学式1の遷移金属化合物に対する前記化学式5および化学式6で示される化合物のモル比が1:2未満である場合には、アルキル化剤の量が非常に少ないために金属化合物のアルキル化が完全に進行されない問題があり、1:5,000を超過する場合には、金属化合物のアルキル化は行われるが、残っている過量のアルキル化剤と前記化学式7の活性化剤との間の副反応により、アルキル化した金属化合物の活性化が完全になされない問題がある。次に、前記化学式1の遷移金属化合物に対する前記化学式7で示される化合物のモル比が1:1未満である場合には、活性化剤の量が相対的に少ないために前記化学式1の遷移金属化合物の活性化が完全になされないので生成される触媒組成物の活性度が落ちる問題があり、1:25を超過する場合には、化学式1の化合物の活性化は完全になされるが、残っている過量の活性化剤により、触媒組成物の単価が経済的ではなく、生成される高分子の純度が落ちる問題がある。
【0048】
前記触媒組成物製造方法のうちの第2方法の場合、前記化学式1の遷移金属化合物に対する前記化学式5で示される化合物のモル比は1:10〜1:10,000が好ましく、より好ましくは1:100〜1:5,000であり、最も好ましくは1:500〜1:2000である。
【0049】
前記モル比が1:10未満である場合には、活性化剤の量が相対的に少なために金属化合物の活性化が完全になされないので生成される触媒組成物の活性度が落ちる問題があり、1:10,000を超過する場合には、化学式1の化合物の活性化は完全になされるが、残っている過量の活性化剤により、触媒組成物の単価が経済的ではなく、生成される高分子の純度が落ちる問題がある。
【0050】
一方、前記触媒組成物製造方法のうちの第3方法の場合、前記化学式1の遷移金属化合物に対する前記化学式7で示される化合物のモル比は1:1〜1:25が好ましく、より好ましくは1:1〜1:10であり、最も好ましくは1:2〜1:5である。前記化学式1の遷移金属化合物に対する前記化学式7で示される化合物のモル比が1:1未満である場合には、活性化剤の量が相対的に少ないために化学式1の化合物の活性化が完全になされないので生成される触媒組成物の活性度が落ちる問題があり、1:25を超過する場合には、金属化合物の活性化は完全になされるが、残っている過量の活性化剤により、触媒組成物の単価が経済的ではなく、生成される高分子の純度が落ちる問題がある。
【0051】
前記触媒組成物の製造時、反応溶媒として、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどのような炭化水素系溶媒や、ベンゼン、トルエンなどのような芳香族系溶媒を用いることができるが、必ずしもこれらに限定されるものではなく、当該技術分野で使用可能な全ての溶媒を用いることができる。
【0052】
また、前記化学式1の遷移金属化合物と助触媒はシリカやアルミナに担持された形態にしても用いることもできる。
【0053】
前記化学式5で示される化合物は、アルキルアルミノキサンであれば特に限定されず、好ましい例としてはメチルアルミノキサン、エチルアルミノキサン、イソブチルアルミノキサン、ブチルアルミノキサンなどが挙げられ、特に好ましい化合物はメチルアルミノキサンである。
【0054】
前記化学式6で示されるアルキル金属化合物は特に限定されず、好ましい例としてはトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリブチルアルミニウム、ジメチルクロロアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリ−s−ブチルアルミニウム、トリシクロペンチルアルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリイソペンチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、エチルジメチルアルミニウム、メチルジエチルアルミニウム、トリフェニルアルミニウム、トリ−p−トリルアルミニウム、ジメチルアルミニウムメトキシド、ジメチルアルミニウムエトキシド、トリメチルボロン、トリエチルボロン、トリイソブチルボロン、トリプロピルボロン、トリブチルボロンなどが含まれ、特に好ましい化合物はトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムのうちから選択される。
【0055】
前記化学式7で示される化合物の例としては、トリエチルアンモニウムテトラ(フェニル)ボロン、トリブチルアンモニウムテトラ(フェニル)ボロン、トリメチルアンモニウムテトラ(フェニル)ボロン、トリプロピルアンモニウムテトラ(フェニル)ボロン、トリメチルアンモニウムテトラ(p−トリル)ボロン、トリメチルアンモニウムテトラ(o,p−ジメチルフェニル)ボロン、トリブチルアンモニウムテトラ(p−トリフルオロメチルフェニル)ボロン、トリメチルアンモニウムテトラ(p−トリフルオロメチルフェニル)ボロン、トリブチルアンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボロン、N,N−ジエチルアニリニウムテトラ(フェニル)ボロン、N,N−ジエチルアニリニウムテトラ(フェニル)ボロン、N,N−ジエチルアニリニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボロン、ジエチルアンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボロン、トリフェニルホスホニウムテトラ(フェニル)ボロン、トリメチルホスホニウムテトラ(フェニル)ボロン、トリエチルアンモニウムテトラ(フェニル)アルミニウム、トリブチルアンモニウムテトラ(フェニル)アルミニウム、トリメチルアンモニウムテトラ(フェニル)アルミニウム、トリプロピルアンモニウムテトラ(フェニル)アルミニウム、トリメチルアンモニウムテトラ(p−トリル)アルミニウム、トリプロピルアンモニウムテトラ(p−トリル)アルミニウム、トリエチルアンモニウムテトラ(o,p−ジメチルフェニル)アルミニウム、トリブチルアンモニウムテトラ(p−トリフルオロメチルフェニル)アルミニウム、トリメチルアンモニウムテトラ(p−トリフルオロメチルフェニル)アルミニウム、トリブチルアンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)アルミニウム、N,N−ジエチルアニリニウムテトラ(フェニル)アルミニウム、N,N−ジエチルアニリニウムテトラ(フェニル)アルミニウム、N,N−ジエチルアニリニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)アルミニウム、ジエチルアンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)アルミニウム、トリフェニルホスホニウムテトラ(フェニル)アルミニウム、トリメチルホスホニウムテトラ(フェニル)アルミニウム、トリエチルアンモニウムテトラ(フェニル)アルミニウム、トリブチルアンモニウムテトラ(フェニル)アルミニウム、トリメチルアンモニウムテトラ(フェニル)ボロン、トリプロピルアンモニウムテトラ(フェニル)ボロン、トリメチルアンモニウムテトラ(p−トリル)ボロン、トリプロピルアンモニウムテトラ(p−トリル)ボロン、トリエチルアンモニウムテトラ(o,p−ジメチルフェニル)ボロン、トリメチルアンモニウムテトラ(o,p−ジメチルフェニル)ボロン、トリブチルアンモニウムテトラ(p−トリフルオロメチルフェニル)ボロン、トリメチルアンモニウムテトラ(p−トリフルオロメチルフェニル)ボロン、トリブチルアンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボロン、N,N−ジエチルアニリニウムテトラ(フェニル)ボロン、N,N−ジエチルアニリニウムテトラ(フェニル)ボロン、N,N−ジエチルアニリニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボロン、ジエチルアンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボロン、トリフェニルホスホニウムテトラ(フェニル)ボロン、トリフェニルカルボニウムテトラ(p−トリフルオロメチルフェニル)ボロン、トリフェニルカルボニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボロン、トリチルテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボロンなどが挙げられる。
【0056】
本発明に係るエチレンα−オレフィン共重合体の重合方法において、前記触媒組成物は、重合工程に好適な炭素数5〜12の脂肪族炭化水素溶媒、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、ノナン、デカン、およびこれらの異性体と、トルエン、ベンゼンのような芳香族炭化水素溶媒、ジクロロメタン、クロロベンゼンのような塩素原子で置換された炭化水素溶媒などに溶解するか薄めて注入することができる。ここで用いられる溶媒は、少量のアルキルアルミニウムを処理することにより、触媒毒として作用する少量の水または空気などを除去して用いることが好ましく、助触媒をさらに用いて実施することもできる。
【0057】
前述した触媒組成物を用いてエチレンと共重合されるα−オレフィン共単量体としては、二重結合を2つ以上有しているジエンオレフィン系単量体またはトリエンオレフィン系単量体なども含む。前記α−オレフィン共単量体はC3−C20のα−オレフィンが好ましい。前記α−オレフィン共単量体の具体的な例としてはプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−エイコセン、ノルボルネン、ノルボルナジエン、エチリデンノルボルネン、フェニルノルボルネン、ビニルノルボルネン、ジシクロペンタジエン、1,4−ブタジエン、1,5−ペンタジエン、1,6−ヘキサジエン、スチレン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、3−クロロメチルスチレンなどが挙げられ、これらの単量体を2種以上混合して用いることもできる。前記α−オレフィン共単量体はプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセンおよび1−エイコセンからなる群から選択された1以上のオレフィンであることがより好ましく、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、および4−メチル−1−ペンテン、および1−オクテンからなる群から選択されたものがさらに好ましく、1−オクテンがさらに好ましい。この時、重合溶媒としてはn−ヘキサンを用いることが特に好ましい。
【0058】
本発明に係るエチレンα−オレフィン共重合体の重合工程としては前記触媒組成物を用いた溶液工程が最も好ましい。前記触媒組成物をシリカのような無機担体と共に用いればスラリーまたは気相工程にも適用可能である。
【0059】
前記エチレンα−オレフィン共重合体の重合工程に用いられる反応器は、連続攪拌式反応器(CSTR)または連続流れ式反応器(PFR)が好ましい。前記エチレンα−オレフィン共重合体の製造工程において、前記反応器が2つ以上直列あるいは並列に配列されることが好ましい。また、前記エチレンα−オレフィン共重合体の製造工程は、反応混合物から溶媒および未反応単量体を連続的に分離するための分離器をさらに含むことが好ましい。
【0060】
前記連続溶液重合工程は触媒工程、重合工程、溶媒分離工程、回収工程ステップから構成され、より具体的には下記の通りである。
【0061】
a)触媒工程
本発明による共重合体の製造に用いられる触媒組成物は、オレフィン重合工程に好適なハロゲンで置換もしくは非置換された炭素数5〜12の脂肪族または芳香族溶媒などに溶解するか薄めて注入することができる。例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、ノナン、デカン、およびこれらの異性体のような脂肪族炭化水素溶媒、トルエン、キシレン、ベンゼンのような芳香族炭化水素溶媒、ジクロロメタン、クロロベンゼンのような塩素原子で置換された炭化水素溶媒などを用いることができる。ここに用いられる溶媒は、少量のアルキルアルミニウムなどを処理することにより、触媒毒として作用する少量の水または空気などを除去して用いることが好ましく、助触媒を過量に用いて実施することもできる。
【0062】
b)重合工程
重合工程は、反応器上に前記化学式1の遷移金属化合物および助触媒を含む触媒組成物とエチレン単量体およびα−オレフィン共単量体の導入によって進行される。溶液状およびスラリー状の重合の場合、前記反応器上に溶媒が注入される。溶液重合の場合、反応器内部に溶媒、触媒組成物、単量体および共単量体の混合液が存在する。
【0063】
前記反応に用いられる単量体であるエチレンに対するα−オレフィン共単量体のモル比は100:1〜1:100、好ましくは10:1〜1:10、最も好ましくは2:1〜1:5である。前記エチレンのモル比が100:1を超過する場合には、生成された重合体の密度が上昇して低密度の重合体の製造が難しい問題があり、前記α−オレフィン共単量体のモル比が1:100を超過する場合には、未反応共単量体の量が増加して転換率が低下し、その結果、工程上の循環量(recycle)が増加する問題がある。
【0064】
前記反応に好適な単量体に対する溶媒のモル比は、反応前の原料と反応後に生成される高分子を溶解するのに適合な比率にならなければならない。具体的には、単量体に対する溶媒のモル比は10:1〜1:10000、好ましくは5:1〜1:100、最も好ましくは1:1〜1:20である。前記溶媒のモル比が10:1未満である場合には、溶媒の量が少なくすぎるために流体の粘度が増加して、生成された重合体の移送に問題があり、前記溶媒のモル比が1:10000を超過する場合には、溶媒の量が必要以上に多いために溶媒の精製再循環による設備増加およびエネルギ費用増加などの問題がある。
【0065】
前記溶媒はヒータまたは冷凍機を使って−40℃〜150℃の温度で反応器に投入されることが好ましく、これにより、単量体および触媒組成物と共に重合反応が開始される。前記溶媒の温度が−40℃未満である場合には、反応量により多少の差はあるものの、普遍的に溶媒の温度が低くすぎるために反応温度も共に下降して温度制御が難しい問題があり、150℃を超過する場合には、溶媒の温度が高すぎるために反応による反応熱の除熱が難しい問題がある。
【0066】
高容量ポンプが圧力を50bar以上に上昇させて供給物(溶媒、単量体、触媒組成物など)を供給することにより、前記反応器の配列、圧力降下装置および分離器の間に追加的なポンピング(pumping)無しで前記供給物の混合物を通過させることができる。
【0067】
本発明に好適な反応器の内部温度、すなわち、重合反応温度は−15℃〜300℃、好ましくは50℃〜200℃、最も好ましくは100℃〜200℃である。前記内部温度が−15℃未満である場合には、反応速度が遅いために生産性が落ちる問題があり、300℃を超過する場合には、副反応による不純物の生成および重合体の炭化などの変色問題が生じ得る。
【0068】
本発明に好適な反応器の内部圧力は1bar〜300bar、好ましくは30〜200bar、最も好ましくは50〜100bar程度である。前記内部圧力が1bar未満である場合には、反応速度が遅いために生産性が落ち、使用溶媒の気化などによる問題があり、300barを超過する場合には、高圧による装置費用などの設備費が増加する問題がある。
【0069】
反応器内で生成される共重合体は溶媒の中で20wt%未満の濃度に維持され、短い滞留時間が過ぎた後、溶媒除去のために第1次溶媒分離工程に移送されることが好ましい。本発明による共重合体の反応器内滞留時間は1分〜10時間、好ましくは3分〜1時間、最も好ましくは5分〜30分である。前記滞留時間が3分未満である場合には、短い滞留時間による生産性の低下および触媒の損失など、およびそれによる製造費用増加などの問題があり、1時間を超過する場合には、触媒の適正活性期間以上の反応により、反応器が大きくなり、それに伴って設備費用が増加する問題がある。
【0070】
c)溶媒分離工程
反応器を通過した重合体と共に存在している溶媒を除去するために、溶液温度と圧力を変化させることによって溶媒分離工程が行われる。例えば、反応器から移送された高分子溶液は、ヒータを介して約200℃から230℃までに昇温させた後、圧力降下装置を経て圧力が低くなり、第1分離器において未反応原料および溶媒を気化させる。
【0071】
この時、分離器内の圧力は1〜30bar、好ましくは1〜10bar、最も好ましくは3〜8barである。分離器内の温度は150℃〜250℃、好ましくは170℃〜230℃、最も好ましくは180℃〜230℃である。
【0072】
前記分離器内の圧力が1bar未満である場合には、重合物の含量が増加して移送に問題があり、30barを超過する場合には、重合過程に用いられた溶媒の分離が難しい問題がある。また、前記分離器内の温度が150℃未満である場合には、共重合体およびその混合物の粘度が増加して移送に問題があり、250℃未満である場合には、高温による変性で重合物の炭化などによる変色の問題がある。
【0073】
分離器において気化した溶媒はオーバーヘッドシステムにおいて凝縮された反応器に再循環させることができる。第1次溶媒分離工程を経れば65%まで濃縮された高分子溶液を得ることができ、これは、ヒータを介して移送ポンプによって第2分離器に移送され、第2分離器において残留溶媒に対する分離工程が行われる。ヒータを通過する間に高温による高分子の変形を防止するために熱安定剤を投入し、それと共に高分子溶液の中に存在する活性化物の残留活性による高分子の反応を抑制するために反応禁止剤を熱安定剤と共にヒータに注入する。第2分離器に注入された高分子溶液中の残留溶媒は最終的に真空ポンプによって完全に除去され、冷却水と切断機を通過すれば粒子化された高分子を得ることができる。第2次分離工程において気体化された溶媒およびその他の未反応単量体は回収工程に送られ、精製後再び使用することができる。
【0074】
d)回収工程
重合工程に原料と共に投入された有機溶媒は第1次溶媒分離工程において未反応原料と共に重合工程に再循環使用され得る。しかし、第2次溶媒分離工程で回収された溶媒は、触媒活性を止めるための反応禁止剤の混入による汚染および真空ポンプにおけるスチーム供給により、溶媒の中に触媒毒として作用する水分が多量含有されており、回収工程で精製した後に再使用することが好ましい。
【0075】
前述した方法により、式103×d≦−1.8×A+937(ここで、dは共重合体の密度であり、Aは共重合体のうちのα−オレフィンの重量%である)を満足する密度を有するエチレンα−オレフィン共重合体を製造することができ、この共重合体は既存の共重合体に比べ、同一のα−オレフィン共単量体含量において低い密度を有する。また、前記エチレンα−オレフィン共重合体は、共単量体の分布状態を示すr1=k11/k12とr2=k22/k21で定義されるr1とr2の積が1以下の値で表わされることにより、均一な共単量体分布を示すことを特徴とする。ここで、r1、r2はr1=k11/k12、r2=k22/k21のように定義される単量体反応性比であって、ここで、k12は末端活性点が単量体1である成長鎖に単量体2が付加される時の成長反応速度定数であり、残りのk11、k21、k22なども同じ方法で定義される成長反応速度定数である。このような、均一な共単量体分布を有する共重合体は、ランダムな共単量体分布を有する共重合体に比べ、同一の共単量体含量においてより低い溶融点および結晶化度を示し、これにより、より低い密度を示すことができる。
【0076】
また、上記のように製造されたエチレンα−オレフィン共重合体は、Mw/Mn<3.5の狭い分子量分布を有し、0.97g/cc未満の密度を有することができる。
【実施例】
【0077】
以下、下記実施例に基づいて本発明をより具体的に説明する。但し、これらの実施例は本発明を例示するためのものに過ぎず、本発明がこれらのみに限定されるものではない。
【0078】
[配位子および金属化合物の合成]
<製造例1>5−ブロモ−7−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン
6−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン(1.16g、7.90mmol)を四塩化炭素(4mL)に溶かした溶液を−20℃に冷却させた。ここにN−ブロモスクシンイミド(N−bromosuccinimide)(1.41g、7.90mml)固体を徐々に加え、反応温度を室温に上げて5時間さらに反応させた。生成された化合物をMC(メチレンクロライド)およびヘキサン(1:1)溶媒を用いてカラムクロマトグラフィー方法により分離し、淡い黄色オイルを得た。(0.71g、40%)。
【0079】
1H NMR(C66):δ1.42−1.52(m,2H,CH2),2.00(s,3H,CH3),2.39(t,J=6.4 Hz,2H,CH2),2.75(dt,J=2.8,8.4 Hz,2H,N−CH2),4.04(br s,1H,NH),6.51(s,1H,C62),7.09(s,1H,C62)ppm.13C{1H}NMR(C66):δ20.06,22.04,27.60,41.91,108.84,122.59,126.16,129.48,130.67,139.79ppm.Anal. Calc.(C1012BrN):C,53.12;H,5.35;N,6.19%.Found:C,53.30;H,5.13;N,6.51%。
【0080】
<製造例2>5−(3,4−ジメチル−2−シクロペンテン−1−オン)−7−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン
2−(ジヒドロキシボリル)−3,4−ジメチル−2−シクロペンテン−1−オン(1.27g、8.26mmol)、Na2CO3(1.25g、11.8mmol)、Pd(PPh34(0.182g、0.157mmol)および5−ブロモ−7−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン(7.87mmol)化合物にガスが除去された(degassed)DME(21mL)および水(7mL)を加えて得られた溶液を95℃で一晩中加熱した。反応溶液を室温に下げ、エチルアセテート溶媒(50mL)で2回程度抽出した。得られた化合物をヘキサンおよびエチルアセテート(2:1)溶媒を用いてカラムクロマトグラフィー方法により分離し、淡い黄色固体を得た(90%)。
【0081】
1H NMR(C66):δ0.77(d,J=7.2 Hz,3H,CH3),1.59−1.70(m,2H,CH2CH2CH2),1.65(s,3H,CH3),1.84(dd,J=2.4,18.4 Hz,1H,OCCH2),2.21(s,3H,CH3),2.20−2.30(m,1H,CH),2.44(dd,J=6.4,18.4 Hz,1H,OCCH2),2.60(br t,J=6 Hz,2H,CH2),2.97(br t,J=5.6 Hz,2H,N−CH2),4.06(s,1H,NH),6.66(s,1H,CH,C62),6.74(s,1H,C62)ppm.13C{1H}NMR(C66):δ15.83,19.06,20.58,22.51,27.92,37.52,42.48,43.55ppm.Anal.Calc.(C1721NO):C,79.96;H,8.29;N,5.49%.Found:C, 80.17;H,8.44;N,5.75%。
【0082】
<製造例3>5−(2,3,5−トリメチル−1,3−シクロペンタジエニル)−7−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン
無水La(OTf)3(21.4mmol)およびTFH(24mL)溶液を−78℃に冷却させた後、MeLi(13.4mL、21.4mmol)加えて1時間程度反応させた。ここに、5−(3,4−ジメチル−2−シクロペンテン−1−オン)−7−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン(7.13mmol)化合物を加えて−78℃で2時間反応させ、水とアセテート溶媒を用いて抽出した。得られた有機層をHCl(2N、20mL)で2分間振り、NaHCO3水溶液(20mL)で中和させた後、MgSO4で乾燥した。得られた化合物をヘキサンおよびエチルアセテート溶媒(10:1)を用いてカラムクロマトグラフィー方法により分離し、淡い黄色固体を得た(40%)。
【0083】
1H NMR(C66):δ1.66−1.71(m,2H,CH2CH2CH2),1.80(s,3H,CH3),1.89(s,3H,CH3),1.90(s,3H,CH3),2.24(s,3H,CH3),2.64(br t,J=6.4 Hz,2H,CH2),2.74(d,J=2 Hz,2H,CH2),2.86−2.92(m,2H,N−CH2),3.62(br s,1H,NH),6.75(s,1H,C62),6.77(s,1H,C62)ppm.13C{1H}NMR(C66):δ11.85,13.61,14.39,20.74,22.86,27.70,42.20,48.88,120.81,122.01,124.78,128.68,129.36,132.87,136.36,136.65,140.75,141.15ppm。
【0084】
<製造例4>ビス(ジメチルアミド)チタニウム化合物
5−(2,3,5−トリメチル−1,3−シクロペンタジエニル)−7−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン配位子(0.696mmol)およびTi(NMe24化合物(0.156g、0.696mmol)をトルエン(2mL)に溶かした後、反応溶液を80℃で2日間反応させた。全ての溶媒を除去して赤色固体化合物を得た(100%)。前記チタニウム化合物は1H−NMRで分析して存在を明らかにした。
【0085】
1H NMR(C66):δ1.69−1.74(m,2H,CH2CH2CH2),1.86(s,3H,CH3),1.88(s,3H,CH3),1.92(s,3H,CH3),2.31(s,3H,CH3),2.57(t,J=5.6 Hz,2H,CH2),2.95(s,6H,NCH3),3.27(s,6H,NCH3),4.02(ddd,J=5.2,7.2,12.0 Hz,1H,NCH2),4.24(dt,J=5.2,12.4Hz,1H,NCH2),5.78(s,1H,Cp−H),6.77(s,1H,C62),6.91(s,1H,C62)ppm。
【0086】
<製造例5>ジクロライドチタニウム化合物
前記で得られたビス(ジメチルアミド)チタニウム化合物にトルエン(2mL)を再び加えた後、Me2SiCl2(0.269g、2.09mmol)を室温で追加し、反応溶液を4時間ほど反応させた。得られた化合物をヘキサン下にて−30℃で再結晶して純粋な赤色固体を得た(0.183g、66%)。
【0087】
1H NMR(C66):δ1.36−1.44(m,2H,CH2CH2CH2),1.76(s,3H,CH3),1.85(s,3H,CH3),2.07(s,3H,CH3),2.18(s,3H,CH3),2.12(t,J=4Hz,2H,CH2),4.50−4.70(m,2H,N−CH2),6.02(s,1H,Cp−H),6.59(s,1H,C62),6.78(s,1H,C62)ppm.13C{1H}NMR(C66):δ12.76,14.87,15.06,21.14,22.39,26.32,54.18,117.49,120.40,126.98,129.53,130.96,131.05,133.19,143.22,143.60,160.82ppm.Anal.Calc.(C1821Cl2NTi):C,58.41;H,5.72;N,3.78%.Found:C,58.19;H,5.93;N,3.89%。
【0088】
<比較製造例1>ジメチルシリル(t−ブチルアミド)(テトラメチルシクロペンタジエニル)チタニウムジクロライド
前記チタニウム金属化合物は米国のBoulder Scientific社から購入し、エチレン共重合反応にそのまま用いた。
【0089】
[エチレンと1−オクテンの共重合]
<実施例1−5および比較例1−3>連続溶液工程によるエチレンと1−オクテンの共重合
100−150℃で予熱された1L連続攪拌式反応器にヘキサン(3.49−5.55kg/h)溶媒と1−オクテン(0.45−1.35kg/h)およびエチレン単量体(0.7−0.92kg/h)を89barの圧力で供給した。触媒貯蔵タンクから、トリイソブチルアルミニウム化合物で処理された製造例5または比較製造例1の金属化合物(0.2−0.8μmol/min、Al/Ti=25)とオクタデシルメチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(1.2−4.8μmol/min)助触媒を反応器へ供給して共重合反応を行った。共重合反応によって形成された高分子溶液は反応器の後端において7barに減圧させた後、230℃で予熱された溶媒分離器に送られ、溶媒の大部分を溶媒分離工程によって除去した。ポンプによって第2分離器に送られた共重合体は、真空ポンプによって残留溶媒を完全に除去した後、冷却水と切断機を通過させて粒子化された高分子を得た。本発明によるエチレンと1−オクテン共重合体の重合条件を下記表1に示す。
【0090】
【表1】

【0091】
物性評価(1−オクテンの含量、密度、溶融点、溶融指数)
物性比較のために、ダウ社のCGC触媒から得られたエチレンと1−オクテン共重合体を購入し、そのまま用いた(比較例4−10)。高分子の密度(Density)は酸化防止剤(1,000ppm)で処理されたサンプルをもって180℃プレスモールド(Press Mold)で厚さ3mm、半径2cmのシートを製作し、10℃/minで冷却して、Mettler秤で測定した。また、高分子の溶融指数(Melt Index:MI)はASTM D−1238(条件E、190℃、2.16Kg荷重)で測定した。
【0092】
高分子の融点(Tm)はTA社から製造した示差走査熱量計(DSC:Differential Scanning Calorimeter 2920)を利用して得た。すなわち、温度を200℃までに上げた後、5分間その温度を維持し、その次に30℃までに下げ、再び温度を上げてDSC曲線の頂点を融点とした。この時、温度の上昇と下降の速度は10℃/minであり、融点は2番目の温度が上昇する間に得られる。
【0093】
本発明による共重合体の1−オクテンの含量、密度、溶融点および溶融指数を表2に示す。
【0094】
【表2】

【0095】
本発明による共重合体は、前記表2から、重合条件に応じて0.86−0.89g/ccの広い範囲の密度を有することが分かる。共重合体の密度は重合温度およびエチレン/オクテンの組成比に大きく依存するが、反応器内の重合温度が低いほど、供給物組成においてエチレンに対するオクテンの比が高いほど、得られる共重合体の密度が低いことが分かる。また、共重合体の溶融指数も重合条件に応じて0.3−5g/10minの広い範囲にかけて製造が可能であることが分かる。
【0096】
前記表2に提示された本発明による共重合体およびダウ社のCGCから得られた共重合体の1−オクテンの含量に応じた密度とDSC溶融点を図1と図2にグラフで各々示した。図1から分かるように、本発明による共重合体がダウ社の共重合体に比べ、同一の共単量体含量においてより低い密度および溶融点を示すことが分かる。これは、同一の共単量体の含量において、本発明による共重合体とダウ社の共重合体が、相異なる共単量体分布と、それによる結晶化度の差により、密度および溶融点のような物理的性質の差を示すことを意味する。
【0097】
本発明による共重合体の高温GPCを利用した分子量および分子量分布の分析結果を下記表3に示す。
【0098】
【表3】

【0099】
前記表3から分かるように、本発明の実施例による共重合体は3以下の狭い分子量分布を示すことが分かる。
【0100】
本発明による共重合体とダウ社の共重合体のC−13 NMRを利用したTriad分析法によるEthylene Sequence Distributionおよびそれにより得られたr12値を下記表4に示す。
【0101】
【表4】

【0102】
前記表4において、Eはエチレン、Cはα−オレフィン共単量体を意味する。
【0103】
一般的な二つの単量体の共重合反応に対し、r12値が1に近いほど共重合体がランダムな共単量体分布を有することを意味し、r12値が1より大きいということはブロック形態の共重合体が得られたことを意味する。前記表4から、ダウ社のエチレン−オクテン共重合体は、r12値が1.04−1.07であって、ランダムな共単量体分布を有することが分かる。その反面、本発明によるエチレン−オクテン共重合体は、r12値が0.63であって、1より小さい値を示すことにより、より均一な共単量体分布を示すことが分かる。本発明による共重合体は、このような均一な共単量体分布がより効果的に高分子鎖の結晶化を抑制することにより、同一の共単量体含量において、ダウ社の共重合体に比べてより低い密度および溶融点を示すことが分かる。したがって、このような均一な分布を有する本発明による共重合体は、より少ない含量の共単量体を導入してもダウ社の共重合体またはランダムな共単量体分布を有する通常のエチレンα−オレフィン共重合体と同一密度の共重合体製品を得ることができる長所があり、それにより、共重合体の生産時に経済的な側面においても有利な長所がある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)式103×d≦−1.8×A+937(ここで、dは共重合体の密度であり、Aは共重合体のうちのα−オレフィンの重量%である)によって定義される密度(d)、および
b)3.5未満の分子量分布(Mw/Mn)を有することである、
エチレンとC3−C20α−オレフィンを含むオレフィン共重合体。
【請求項2】
前記オレフィン共重合体は、下記化学式1の遷移金属化合物を含む触媒組成物を用いてエチレンとα−オレフィンを重合することにより製造される、請求項1に記載のオレフィン共重合体:
【化11】

前記化学式1において、
R1、R1’、R2、R2’、R3、R3’およびR3’’は互いに同じであるか異なり、独立に、水素;ハロゲンラジカル;炭素数1〜20のアルキル、アリールまたはシリルラジカル;炭素数2〜20のアルケニル、アルキルアリール、またはアリールアルキルラジカル;ヒドロカルビルで置換された第14族金属のメタロイドラジカル;アルコキシ、アリールオキシまたはアミノラジカルであり、これらのうちの2以上は炭素数1〜20のアルキルまたはアリールラジカルを含むアルキリデンラジカルによって互いに連結されて脂肪族または芳香族環を形成することができ、
CY1は置換もしくは非置換の脂肪族または芳香族環であり、前記CY1は水素;ハロゲンラジカル;または炭素数1〜20のアルキルまたはアリールラジカルで置換され、 前記CY1が複数個の置換基で置換される場合には2つ以上の置換基が互いに連結されて脂肪族または芳香族環を形成することができ;
Mは第4族遷移金属であり;
Q1およびQ2は互いに同じであるか異なり、独立に、ハロゲンラジカル;炭素数1〜20のアルキルアミドまたはアリールアミドラジカル;炭素数1〜20のアルキル、アルケニル、アリール、アルキルアリールまたはアリールアルキル;またはアルキリデンラジカルである。
【請求項3】
前記化学式1の遷移金属化合物は下記化学式2で示される、請求項2に記載のオレフィン共重合体:
【化12】

前記化学式2において、
R4、R4’、R5、R5’およびR6〜R14は互いに同じであるか異なり、独立に、水素;ハロゲンラジカル;炭素数1〜20のアルキル、アリールまたはシリルラジカル、炭素数2〜20のアルケニル、アルキルアリール、またはアリールアルキルラジカル;ヒドロカルビルで置換された第14族金属のメタロイドラジカル;またはアルコキシ、アリールオキシまたはアミノラジカルであり、これらのうちの2以上は炭素数1〜20のアルキルまたはアリールラジカルを含むアルキリデンラジカルによって互いに連結されて脂肪族または芳香族環を形成することができ、
Mは第4族遷移金属であり;
Q3およびQ4は互いに同じであるか異なり、独立に、ハロゲンラジカル;炭素数1〜20のアルキルアミドまたはアリールアミドラジカル;炭素数1〜20のアルキル、アルケニル、アリール、アルキルアリールまたはアリールアルキル;または炭素数1〜20のアルキリデンラジカルである。
【請求項4】
前記化学式2は下記化学式3または4で示される、請求項3に記載のオレフィン共重合体:
【化13】


前記化学式3において、
置換基の定義は化学式2と同様であり、
【化14】


前記化学式4において、
R4、R4’およびR5’は互いに同じであるか異なり、独立に、水素原子または炭素数1〜20のアルキル、アリールまたはシリルラジカルであり;
Mは第4族遷移金属であり;
Q3およびQ4は互いに同じであるか異なり、独立に、ハロゲンラジカル;炭素数1〜20のアルキルアミドまたはアリールアミドラジカル;または炭素数1〜20のアルキルラジカルである。
【請求項5】
前記化学式1の遷移金属化合物を含む触媒組成物は、下記化学式5〜7の化合物のうちの1つ以上の助触媒化合物をさらに含む、請求項2に記載のオレフィン共重合体:
【化15】

前記式において、R16は、各々独立に、ハロゲンラジカル、炭素数1〜20のヒドロカルビルラジカル、またはハロゲンで置換された炭素数1〜20のヒドロカルビルラジカルであり、aは2以上の整数であり;
【化16】

前記式において、Dはアルミニウムまたはホウ素であり、R17は、各々独立に、ハロゲンラジカル、炭素数1〜20のヒドロカルビルラジカル、またはハロゲンで置換された炭素数1〜20のヒドロカルビルラジカルであり:
【化17】


前記式において、Lは中性または陽イオン性ルイス酸であり;Hは水素原子であり;ZはB、Al、Ga、In、Tiを含む第13族元素であり;Aは、各々独立に、1以上の水素原子がハロゲン、炭素数1〜20のヒドロカルビル、アルコキシまたはフェノキシラジカルで置換された炭素数6〜20のアリールまたはアルキルラジカルである。
【請求項6】
前記化学式1の遷移金属化合物を含む触媒組成物、エチレンおよびα−オレフィンを用いた連続溶液重合工程によって製造される、請求項2に記載のオレフィン共重合体。
【請求項7】
前記α−オレフィンは、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−エイコセン、ノルボルネン、ノルボルナジエン、エチリデンノルボルネン、フェニルノルボルネン、ビニルノルボルネン、ジシクロペンタジエン、1,4−ブタジエン、1,5−ペンタジエン、1,6−ヘキサジエン、スチレン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼンおよび3−クロロメチルスチレンからなる群から選択される1以上を含む、請求項1に記載のオレフィン共重合体。
【請求項8】
前記α−オレフィンは1−オクテンである、請求項7に記載のオレフィン共重合体。
【請求項9】
α−オレフィンに対するエチレンのモル比が100:1〜1:100である、請求項1に記載のオレフィン共重合体。
【請求項10】
12<1(ここで、r1、r2はr1=k11/k12、r2=k22/k21で定義される単量体反応性比であり、ここで、k12は末端活性点が単量体1である成長鎖に単量体2が付加される時の成長反応速度定数であり、残りのk11、k21およびk22も同じ方法で定義される成長反応速度定数である)を満足する、請求項1に記載のオレフィン共重合体。
【請求項11】
密度が0.97g/cc未満である、請求項1に記載のオレフィン共重合体。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−526203(P2010−526203A)
【公表日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−507320(P2010−507320)
【出願日】平成20年5月7日(2008.5.7)
【国際出願番号】PCT/KR2008/002549
【国際公開番号】WO2008/140205
【国際公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【出願人】(500239823)エルジー・ケム・リミテッド (1,221)
【Fターム(参考)】