説明

エネルギービームの照射を利用したシリコーン薄膜の製造方法

本発明のシリコーン薄膜の製造方法は、基板を提供する段階と;前記基板上にシリコーンソースを供給する段階と;前記シリコーンソースを供給してシリコーン薄膜を形成するとともに、電子ビームとイオンビームを照射したり、シリコーンソースを供給してシリコーン薄膜を形成した後後処理として前記基板上に電子ビームとイオンビームを照射する段階とを含む。本発明によって、前記供給されたシリコーンソースによって前記基板上にシリコーン薄膜が蒸着されながら前記照射された電子ビームが前記蒸着中のシリコーン薄膜にエネルギーを供給してこのシリコーン薄膜を蒸着工程中に(in−situ)結晶化させたり、非晶質シリコーン薄膜が形成された後後処理として電子ビームとイオンビームを照射することによって結晶化させることができる。また、電子ビームを照射するとともに、イオンビームをともに照射することによって、基板表面に蓄積される電子ビームの電荷がイオンビームの電荷によって中和されるようにして、電子ビームの電荷が基板表面に蓄積されて不必要な表面電流を形成することを防止し、效率的に非晶質シリコーン薄膜を結晶化させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は低温ポリシリコーン製造方法に関し、さらに詳しくは電荷が分離された粒子の加速を利用して良質の結晶性を有する低温ポリシリコーン薄膜を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は重くて且つ体積の大きい陰極線管(Cathode RayTube、CRT)の代わりに最近注目されている平面表示装置として、この中でもマトリックス形に排列された画素電極のスイッチ素子に薄膜トランジスター(Thin Film Transistor、TFT)を利用したのがよく知られたTFT−LCDである。TFT−LCDは、TFTアレイ及び画素電極を備える下部基板、カラーフィルターを備える上部基板、前記上部基板及び下部基板の間に充填される液晶層を含み、このようなTFT−LCDは駆動ドライブIC及び回路基板と連結されて一つのモジュールとして完成される。
【0003】
液晶ディスプレーの場合において、石英などの高価の基板代りに相対的に低価である硝子を基板として使っている。しかし、硝子基板は570℃以上の高温では軟化が起きて表面の強度が低下しながら工程中に表面平滑度が低下され、捻れや収縮現象が発生する。従って、液晶ディスプレーのTFTは400℃以下の低温工程で蒸着可能な非晶質シリコーン薄膜(a−Si)でトランジスターを作って使っている。しかし、非晶質シリコーンの場合電子移動度が低くて高解像度と高集積化を実現することが困難であった。また非晶質シリコーンを利用したTFT−LCDではポリシリコーンを利用した集積化工程とは異なって、LDIを別途に製造した後これらを再び連結しなければならないので製造工程が複雑で非経済的である。
【0004】
従って、このような短所を克服する方案として、薄膜トランジスターをポリシリコーンで形成する方法が試みされている。ポリシリコーンは非晶質シリコーンに比べて電子移動度が数百倍以上大きいので、高解像度、大画面TFT−LCDの製造に適合するとともに、メモリ(Memory)、CPU、コントローラー(Controller)及びインターフェース(Interface)を硝子の上に直接集積化させることができる次世代SOG(System On Glass)が可能になるので、製造工程が単純になるとともに、集積度の面で相当有利な長所がある。
【0005】
しかし、従来に主に使用されるポリシリコーン薄膜の形成方法は、基板にまず非晶質シリコーンを蒸着した後、これをポリシリコーンに結晶化する方法である。この方法は、基板に損傷を与えない400℃内外の低温に保持した状態で基板に非晶質シリコーンを蒸着した後、続いて急速熱処理やレーザー走査などのような方法を通じて再結晶化段階を経って多結晶質化する過程を経る。従って、このような方法を利用して形成されるポリシリコーンを通常低温ポリシリコーン(Low Temperature Polycrystalline Silicon、「LTPS」)と称する。このようなpoly−SiTFTは、高い電子移動度によって駆動ICを硝子基板内に集積化することができて薄型装置を具現することができ、これによって、小型ディスプレーでは必須技術の中の一つである。また早い応答速度によって大面積、高密度ディスプレーに使用可能であるという長所を有する。その他に微細な金属配線工程が可能であるので非晶質SiTFTより相対的に画素開口率が高く、光や温度などの外部環境に対しても安定的である。
【0006】
非晶質シリコーン層をポリシリコーンに結晶化する方法には、反応炉(furnace)の中で炉加熱法を利用して非晶質シリコーンを結晶化する固相結晶化法(Solid Phase Crystallization、SPC法)、光を利用して急速に加熱する方法で結晶化させる高速熱処理(Rapid Thermal Annealing、RTA)法、エキシマレーザーを瞬間照射して非晶質シリコーン層を約1400℃まで瞬間的に加熱して結晶化するエキシマレーザーアニーリング(Eximer Laser Annealing、ELA)法、非晶質シリコーン層上に選択的に蒸着された金属をシードにして結晶化を誘導する金属誘導結晶化(Metal Induced Crystallization、MIC)法などがある。
【0007】
固相結晶化法(Solid Phase Crystallization、SPC)や高速熱処理法(Rapid Thermal Annealing、RTA)は低圧化学蒸着方法(Low Pressure Chemical Vapor Deposition、LPCVD)やプラズマ化学蒸着方法(Plasma Enhanced CVD、PECVD)、スパッタリング方法などで、比較的低温である200℃〜400℃で硝子基板上に非晶質シリコーンを形成した後、約600℃以上の熱を加える方法である。しかし、この方法は後続熱処理温度が硝子基板に使用するには高すぎ、結晶粒の成長方向及びそれらの間の均一性が悪くて高収率を期待しにくいという問題点がある。
【0008】
また他の方法である金属有機結晶化法(Metal Induced Crystallization)はシリコーンの核生成を誘導する金属を薄膜成長の時に添加する方法で、一般的にシリコーンと工程系を構成する金、アルミニウムなどシリサイドを形成するニッケル、チタンをともに添加する方法である。しかし、この方法は、添加された金属がシリコーンにドーパントとして作用して薄膜の電気的性質を変化させ、シリサイド反応が発生する場合には薄膜の相当部分が電気的に通電されて漏れ電流(leakage current)が発生するという問題がある。
【0009】
1980年代半ばにソニ−研究陣によって開発されたエキシマレーザー結晶化法(Excimer Laser Crystallization、ELC)は、非晶質シリコーンの上に高エネルギーを有するレーザーパルスを照射して非晶質を結晶化させる方法で、シリコーンの工程温度のみ上がり、その下部の基板温度は大きく上がらないという問題がある。
【0010】
以下、ELC法を利用して基板上にポリシリコーン層を形成する方法を概略的に説明する。まず基板上にシリコーン酸化膜(SiO)またはシリコーン窒化膜(Si)を利用してバッファー層を形成し、前記バッファー層の上部に蒸着温度が低いプラズマ化学蒸着(PECVD)法で非晶質シリコーン階を形成する。この時ソースガスとしては、主にシラン(SiH)が利用され、蒸着温度は400℃内外である。バッファー層は基板の不純物が非晶質シリコーン層に拡散されることを防止し、今後の結晶化工程で基板への熱伝導を遮断して基板の損傷を防止する役割を果たす。以後、蒸着された非晶質シリコーン層にエキシマレーザーを照射すると、非晶質シリコーン層が一時溶融されてから再び凝固される過程でポリシリコーン層が形成される。このように形成されたポリシリコーン層をエッチングしてアクティブ層を形成し、ゲート絶縁膜蒸着、ゲート電極形成、イオン注入、コンタクトホール形成、ソース電極及びドレイン電極形成などの過程を経って薄膜トランジスターが完成される。
【0011】
しかし、SiHをソースにして基板に非晶質シリコーン層を蒸着する過程で非晶質シリコーン層に多量の水素が不可避に含有され、水素含有量が増加するほど結晶化のための高温工程で水素がシリコーン層から離脱しながらシリコーンの膜質を大きく損傷させる。従って、結晶化工程以前に水素の含有量を所定水準以下に制限するために脱水素工程を行わなければならない。以上で分かるように、基板にLTPS層を形成するためには非晶質シリコーン蒸着、脱水素処理、結晶化のためのレーザーアニーリングなどを順次に行い、各工程ごとに基板を対応する装置に移送しなければならないので時間当り生産性の面で大変不利である。
【0012】
また、ELC方法はレーザーを照射するための工程範囲が固定されており、結晶粒の構造を制御することが困難で、望まない方向に結晶粒の境界が排列されてしまう問題がある。特にチャンネル領域で、このように望まない方向に結晶粒界が形成されると、これは動作電圧及び速度に深刻な影響を及ぼしてしまう。
【0013】
ELC法が有するこのような問題点を解決するための方法として、1998年James S.Imなどが発表した論文(MRS、vol.166.pp.613−617、April、1998)では、人工的に制御された超横方向成長(Artificially Controlled Super Lateral Growth、ACSLG)を提示している。これは、パターンされたマスクの間に照射されたレーザーによってシリコーン表面を完全に溶融させた後、マスクを少しずつ移動させながら水平方向に拡張された結晶粒を得る方法である。このACSLGはバルク材料で純度を上昇させるために使用される領域溶融法(zone melting)と類似する方法で、前記論文ではこのような方法を通じて所望の方向に成長する結晶粒を得たと報告している。
【0014】
しかし、前述したELC及びACSLG法は何れも高出力レーザービームで基板表面を走査しなければならないという短所を有する。従って、まず高価のレーザー装備を使用する点、及びレーザー工程自体も結晶成長方向などがうまく制御されなくて大量生産に適用するにはまだ工程的に安定化されていないという短所がある。また、この方法が有するまた他の問題点は、いくら高速でレーザービームをスキャニングしてもビーム集束が行われるスポット(spot)サイズが相対的に小さくて光学的に正確に10micro meter以内の位置制御をして高速スキャニングをしなければならないため、パネルの生産速度及び収率、それによる生産単価に影響を与える。
【0015】
韓国公開特許第10−2002−0012983号によれば、基板上にシード層(seed layer)を形成し、その上部に非晶質シリコーン膜を蒸着した後、レーザービームや電子ビームを照射してこれを結晶化させる方法について説明している。この技術は照射されるレーザーの強度を精密に調節しなくても結晶成長に必要なシード層が溶けないで一部が残るようにして、これを結晶成長の方向と大きさを調節することができる成長核として使用することである。しかし、この技術も、非晶質層がまず形成された後、後工程で非晶質層をほとんど溶かす程度のレーザービームや電子ビームを照射しなければならないので、前述したスキャニング方式の問題点を有しているとともに、溶融過程を行わなければならないので、ビームパワーが非常に大きい必要があり、それによってスキャニング工程の效率性がさらに低下される虞があるという問題がある。
【0016】
このように、最近の多結晶シリコーン薄膜トランジスターの製作方式は、まだ様々な問題があり、これを本格的に大量生産に適用するには無理があるので、今後これを代替できる新しい方法が必ず開発されなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】韓国公開特許第10−2002−0012983号1998年
【非特許文献】
【0018】
【非特許文献1】James S.Imなどが発表した論文(MRS、vol.166.pp.613−617、April、1998)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明は前述した従来のポリシリコーン製造方法の問題点を改善するために創出され、従来の方法とは異なって、エネルギーを有する電荷粒子である電子ビーム及びイオンビームを照射して少量のエネルギーで低温で結晶化させる方法を提供することを目的とする。
【0020】
本発明は多結晶シリコーン薄膜を石英、パイレックス(登録商標)、硝子基板やその他熱に弱いプラスチックやポリマーの基板上に、また熱的変形のある薄板ステンレスのような金属板に容易にまたは大型サイズに形成する方法を提供することをまた他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
前述した目的を達するための本発明の第1特徴によるシリコーン薄膜の製造方法は、(a)基板を提供する段階と;(b)前記基板の表面にシリコーンソースを供給して基板の表面にシリコーン薄膜を形成する段階と;(c)前記基板の表面に電子ビームを照射する段階と;を含み、前記供給されたシリコーンソースによって前記基板上にシリコーン薄膜が蒸着される過程中に前記照射された電子ビームが前記蒸着中のシリコーン薄膜にエネルギーを供給してシリコーン薄膜を同時に処理する方式で蒸着工程中に結晶化させる。ここで、前記(b)段階が連続して継続的に実行されるとともに、前記(c)段階は予め設定された周期に応じて断続的に繰り返し実行されたり、照射エネルギーレベルを異なるようにして繰り返し実行されることが好ましい。
【0022】
本発明の第2特徴によるシリコーン薄膜の製造方法は、(a)基板を提供する段階と;(b)前記基板の表面にシリコーンソースを供給して基板の表面にシリコーン薄膜を形成する段階と;(c)前記基板の表面に電子ビームを照射する段階と;(d)前記基板の表面にイオンビームを照射する段階と;を含み、前記供給されたシリコーンソースによって前記基板上にシリコーン薄膜が蒸着される過程中に、前記照射された電子ビームが前記蒸着中のシリコーン薄膜にエネルギーを供給してシリコーン薄膜を同時に処理する方式で蒸着工程中に結晶化させ、前記イオンビームは前記基板の表面に蓄積される電子ビームの電荷を中和させる。
【0023】
前述した第2特徴によるシリコーン薄膜の製造方法は、前記(b)段階が連続して継続的に実行されるとともに、前記(c)段階と(d)段階はともに予め設定された周期に応じて断続的に繰り返し実行されたり、前記(c)段階と(d)段階は予め設定された周期に応じて互いに交互に繰り返し実行されることができる。
【0024】
前述した第2特徴によるシリコーン薄膜の製造方法は、前記(b)段階が第1周期に応じて断続的に繰り返し実行されるとともに、前記(c)段階と前記(d)段階はともに第2周期に応じて断続的に繰り返し実行され、前記第1周期と第2周期は(b)段階と前記(c)及び(d)段階が互いに交互に繰り返し実行されるように設定されることができる。
【0025】
前述した第2特徴によるシリコーン薄膜の製造方法において、前記(c)段階の電子ビームが連続して照射される場合には、同じエネルギーレベルで照射されたり、所定周期に応じてエネルギーレベルを異なるようにして照射されることができる。
【0026】
前述した第2特徴によるシリコーン薄膜の製造方法において、前記(c)段階の電子ビームが断続的に繰り返し照射される場合には、前記周期と同じ周期に応じて、照射エネルギーレベルを異なるようにして、パルス形態で繰り返し照射する段階で取り替えられることができる。
【0027】
前記第3特徴によるシリコーン薄膜の製造方法は、(a)基板を提供する段階と;(b)前記基板の表面にシリコーンソースを供給して基板の表面にシリコーン薄膜を形成する段階と;(c)前記シリコーン薄膜に電子ビームを照射する段階と;を含み、前記(c)段階はシリコーン薄膜が完全に形成された後に後処理で行われる。
【0028】
前記第4特徴によるシリコーン薄膜の製造方法は、(a)基板を提供する段階と;(b)前記基板の表面にシリコーンソースを供給して基板の表面にシリコーン薄膜を形成する段階と;(c)前記シリコーン薄膜に電子ビームを照射する段階と;(d)前記シリコーン薄膜にイオンビームを照射する段階と;を含み、前記(c)段階及び前記(d)段階はシリコーン薄膜が完全に形成された後に後処理で行われる。
【0029】
前記第4特徴によるシリコーン薄膜の製造方法において、前記(c)段階と(d)段階は同時に実行されたり、(c)段階と(d)段階が同時に予め設定された周期に応じて繰り返し実行されたり、(c)段階と(d)段階が予め設定された周期に応じて交互に繰り返し実行されることができる。
【0030】
前記第4特徴によるシリコーン薄膜の製造方法において、前記(c)段階は連続して継続的に実行されるとともに、前記(d)段階は予め設定された周期に応じて断続的に繰り返し実行されることができる。
【0031】
前記第4特徴によるシリコーン薄膜の製造方法において、前記(d)段階は連続して継続的に実行されるとともに、前記(c)段階は予め設定された周期に応じて断続的に繰り返し実行されることができる。
【0032】
前記第3及び第4特徴によるシリコーン薄膜の製造方法において、前記(c)段階の電子ビームを連続的に照射する段階は、所定周期に応じて照射エネルギーレベルを異なるようにしてパルス形態で繰り返し照射することができる。
【0033】
前記第3及び第4特徴によるシリコーン薄膜の製造方法において、前記(c)段階の電子ビームの照射を予め設定された周期に応じて断続的に繰り返し行う段階は、前記周期と同じ周期に応じて照射エネルギーレベルを異なるようにしてパルス形態で繰り返し照射する段階で取り替えられることができる。
【0034】
前述した第1〜第4特徴によるシリコーン薄膜の製造方法において、前記電子ビーム照射領域に水素ガスを供給する段階をさらに含んだり、ヘリウム(He)ガスを供給する段階をさらに含んだり、これら二つの段階を全部含むことが好ましい。
【0035】
本発明の第5特徴は、シリコーン薄膜トランジスターを備える液晶ディスプレーの製造方法に関し、前記シリコーン薄膜トランジスターの製造方法は、基板を提供する段階と;前記基板上にシリコーンソースを供給する段階と;前記基板上に電子ビームを照射する段階と;を含み、前記シリコーンソースの供給段階と前記電子ビームの照射段階は同時に行われたり、前記電子ビームの照射段階が後処理で行われる。
【0036】
本発明の第6特徴は、n型シリコーン薄膜にi型シリコーン薄膜及びp型シリコーン薄膜を接合してなる太陽電池の製造方法に関し、前記n型、i型及びp型シリコーン薄膜の製造方法は、基板を提供する段階と;前記基板上にシリコーンソースを供給する段階と;前記基板上に電子ビームを照射する段階と;を含み、前記シリコーンソースの供給段階と前記電子ビームの照射段階は同時に行われたり、前記電子ビームの照射段階が後処理で行われる。
【0037】
本発明の第7特徴は、シリコーン薄膜トランジスターを含むアクティブマトリックス方式のOLED素子の製造方法に関し、前記シリコーン薄膜トランジスターの製造方法は、基板を提供する段階と;前記基板上にシリコーンソースを供給する段階と;前記基板上に電子ビームを照射する段階と;を含み、前記シリコーンソースの供給段階と前記電子ビームの照射段階は同時に行われたり、前記電子ビームの照射段階が後処理で行われる。
【0038】
前述した第5〜第7特徴は、前記基板上にイオンビームを照射する段階をさらに備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0039】
本発明によるシリコーン薄膜の製造方法は、従来の低温で非晶質シリコーン薄膜を形成した後レーザーや急速熱処理などで多量のエネルギーを供給して部分的に溶融させて再結晶化過程を行う非效率的な方法の代りに、シリコーンの薄膜蒸着工程中に電子ビームを同時に照射して少量のエネルギーで原子の初期積層段階から電子ビーム及びイオンビームをともにまたは若干の時差を置いて照射してリアルタイムで多結晶シリコーン薄膜を低温で製造する。従って、本発明によって、低温で多結晶シリコーン薄膜を相対的に安定した工程で生産することができるので、基板が高温で耐えにくい材料を使用することができ、また蒸着工程と結晶化工程を一度に処理することができるので、収率が上昇するとともに生産原価を減少させることができる。
【0040】
図8は本発明によるシリコーン薄膜の製造方法によって製造された結晶化状態のシリコーン薄膜に対する電子顕微鏡TEM(Transmission Electron Miscroscopy)の写真である。図8の代表的な写真を一部拡大した部分を見ると、シリコーンが結晶化されて原子が規則的に排列されていることを確認することができる。図9は電子顕微鏡の透過回折パターンを撮ったものである。図9を通じて、透過回折パターンはシリコーンがポリに結晶化された時示す典型的なリングパターンを示している。図8と図9から電子ビームが処理されたシリコーンがポリ結晶を有する状態の薄膜であることを確認することができる。これは、図4のように、シリコーンターゲットをイオンビームでスパッタしながら蒸着する時、同時に電子ビームを2keVのエネルギーで蒸着面を照射しながら成長された薄膜で、この時の基板温度は約370℃であった。
【0041】
また、本発明によるシリコーン薄膜の製造方法は、図3のように、シリコーンを非晶質状態に蒸着した後、連続後処理工程で電子ビームを照射することによって、シリコーン薄膜の形成工程と電子ビームの照射工程を完全に分離させることができる。その結果、二つの工程の作業圧力を異なるようにすることができて、二つの工程の最適圧力条件で作業が行われることができる。特にPECVDのように作業圧力が10−2〜数十Torrである場合、またドーピングが必要な複数のシリコーン蒸着工程が必要な場合のように、シリコーン蒸着工程と電子ビームの照射工程が分離されると、電子ビームが照射されるのに必要な圧力とは関係なく、シリコーン薄膜を形成するために必要な最適の工程を選択することができる。
【0042】
図10は本発明による電子ビーム後処理方法によって製造された結晶化状態のシリコーン薄膜に対する電子顕微鏡TEM(Transmission Electron Miscroscopy)の写真である。シリコーンが結晶化されて規則的に原子を排列する。これは中問層に、通常用いる非晶質SiOを蒸着し、その上にPECVDでシリコーンを蒸着した後、5keV、300μA/cmの電子ビームで照射した結果である。非晶質SiOとポリシリコーンとの界面が数原子間の距離だけ混合されており、その上にシリコーン原子が結晶質形態に規則的に排列される。
【0043】
また、本発明によるシリコーン薄膜の製造方法は、石英、パイレックス(登録商標)、シリコーンウエハー、硝子基板だけでなく、硝子よりも熱に弱いプラスチックやポリマー基板、透明ポリカーボネート(polycarbonate)、ポリエステルスルホン(polyethersulphone)またはポリアクリレート(polyacrylate)上に、熱的変形がある薄板ステンレスのような金属板に多結晶シリコーン薄膜を蒸着する場合にも当然応用されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の第1実施形態によるシリコーン薄膜の製造方法において、シリコーン供給手段の一例であるRF/DCスパッタリングを用い、電子ビームを同時に照射することによってポリシリコーンを蒸着する過程を示す図面及びフローチャートである。
【図2】本発明の第1実施形態によるシリコーン薄膜の製造方法において、電子ビームの断続的パルス型注入方法のフローチャートである。
【図3】本発明の第2実施形態によるシリコーン薄膜の製造方法において、シリコーン供給手段の一例であるRF/DCスパッタリングを用い、電子ビームを後処理方法で照射することによってポリシリコーンを蒸着する過程を示す図面及びフローチャートである。
【図4】シリコーン供給手段の一例であるイオンビームスパッタリング装置を用い、電子ビームを同時に照射することによってポリシリコーンを蒸着する過程を示す図面である。
【図5】シリコーン供給手段の一例である電子ビームの気相蒸発装置を用い、電子ビームを同時に照射することによってポリシリコーンを蒸着する過程を示す図面である。
【図6】本発明の第3実施形態によるシリコーン薄膜の製造方法において、シリコーンを供給し、電子ビームを照射する過程にイオンビームをさらに照射してポリシリコーンを蒸着する過程を示す図面である。
【図7】本発明の第3実施形態によるシリコーン薄膜の製造方法において、これらの多様な実施形態を例示的に示すフローチャートである。
【図8】本発明によってイオンビームがスパッタ蒸着されながら同時に電子ビームを照射して製造されたポリシリコーンに対する電子顕微鏡(TEM)写真と一部拡大写真である。
【図9】本発明によってイオンビームがスパッタ蒸着されながら同時に電子ビームを照射して製造されたポリシリコーンに対する電子顕微鏡(TEM)回折パターン写真である。
【図10】本発明によってPECVDでシリコーンを蒸着してから後処理で電子ビームを照射して製造されたポリシリコーンに対する電子顕微鏡(TEM)写真である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下、添付図面を参照して本発明の好ましい実施形態による電子ビームを利用したポリシリコーン製造方法について具体的に説明する。
【0046】
(第1実施形態)
図1は本発明の第1実施形態によるシリコーン薄膜の製造方法を説明するために示すフローチャート及び工程進行中のチャンバ内部を示す概念図である。図1aによれば、本実施形態によるシリコーン薄膜の製造方法は、基板100を提供する段階(段階100)、基板上にシリコーンソースを供給してシリコーン薄膜を形成する段階(段階102)、前記基板の表面に電子ビームを照射する段階(段階104)を含む。前述したシリコーン薄膜の製造方法によって、前記基板上にシリコーン薄膜が蒸着される過程中に前記照射された電子ビームが前記蒸着中のシリコーン薄膜にエネルギーを供給してシリコーン薄膜を同時処理方式で蒸着工程中に結晶化させる。
【0047】
図1bによれば、本実施形態によるシリコーン薄膜の製造方法は、矢印方向で動くローラー上に基板100が配置された後、矢印方向に移送され、基板の表面にシリコーン薄膜110が蒸着される工程が行われる。本実施形態によるシリコーン薄膜の製造方法は、基板表面にシリコーンを蒸着するとともに、電子ビームを照射してポリシリコーン薄膜を製造する方法で、産業応用性の高い方法である。以下、本実施形態によるシリコーン薄膜の製造方法について具体的に説明する。
【0048】
図1bに示すように、本実施形態による製造方法を具現するために、基板上にシリコーンソースを供給するためのシリコーン供給手段であるプラズマ120を利用するRF/DCスパッタ130が工程領域上に配置され、シリコーン薄膜上に電子ビーム(e−beam)を照射するための電子ビーム供給手段である電子ビームガン140が工程領域上に配置される。
【0049】
前記シリコーン供給手段はRF/DCスパッタリング法(Sputtering)、イオンビームスパッタリング法(Ion Beam Sputtering)、パルスレーザー堆積法(Pulsed Laser Deposition)、シリコーンを加熱蒸発させる熱蒸発法(Thermal Evaporation)、電子ビーム蒸発法(E−beam Evaporation)などの方法を利用してシリコーン粒子を生成するもので、前記シリコーン供給手段によって提供されるシリコーンソースは2次元の広さを有する工程領域の基板上にシリコーン薄膜に蒸着される。
【0050】
図1bに示された前記電子ビームガン140は、基板の幅と類似する長さを有する長い直六面体形態であったり、または円形電子ビームを発生させる円形ガン形態からなる。前記電子ビームガンは、電子ビームを生成するために鋭い先端部に高い正電圧を印加して電子を抽出する電界放出(Field Emission)方式、タングステンとLaBのようなフィラメントを加熱して製作する熱電子法またはプラズマをグリッドで遮蔽するとともに、電圧を印加して電子を抽出して加速するプラズマ抽出方式などを用いることができる。
【0051】
一方、前記電子ビームは印加される電圧によって500eV〜100KeVの運動エネルギーを有するように加速されて、基板上の同じ工程領域に照射される。前記遮蔽されたプラズマを生成する電源の交流周波数はMF、HF、RF、VHF、UHF、マイクロ波の中の何れか一つを使用し、前記電源の電極またはアンテナの形態がCapacitive、Inductive、ICP、ECR、Helical、Helicon、Hollow Cathode、熱フィラメント(hot filament)の中の何れか一つの方法を利用して提供される。参考に、本発明の全体でシリコーンソースや電子ビームまた以下のイオンビームが基板上に供給される時シリコーンソースを除いた電子ビームやイオンビームに対しては特別にその供給を照射(irradiation)と言えるが、これは基本的に基板上に電子やイオンがエネルギーを有して衝突するようにすることを意味する。
【0052】
前記基板100は、石英、パイレックス(登録商標)、シリコーンウエハー、硝子基板だけでなく硝子よりも熱に弱いプラスチックやポリマー基板、例えば、透明ポリカーボネート(polycarbonate)、ポリエステルスルホン(polyethersulphone)またはポリアクリレート(polyacrylate)、また薄板ステンレスのような金属板などが用いられることができる。
【0053】
本実施形態によるシリコーン薄膜の製造方法におけるシリコーン供給段階と電子ビームの照射段階に対する他の実施形態を説明する。図2は本発明の第1実施形態によるシリコーン薄膜の製造方法におけるシリコーン供給段階と電子ビームの照射段階に対する他の実施形態を示すフローチャートである。図2によれば、第1実施形態に対する他の実施形態はシリコーンソースを連続的に供給しながら電子ビームを予め設定された周期に応じて断続的に繰り返し提供する。即ち、基板表面にシリコーンソースを供給してシリコーン薄膜を形成する工程を連続的に行うとともに、電子ビームの照射過程を予め設定された所定周期に応じて繰り返し実行する。
【0054】
本実施形態によるシリコーン薄膜の製造方法におけるシリコーン供給段階と電子ビームの照射段階に対するまた他の実施形態は、シリコーンソースと電子ビームを連続的に供給し、電子ビームを予め設定された周期に応じて照射エネルギーレベルを異なるようにして繰り返し提供する。即ち、基板表面にシリコーンソースを供給してシリコーン薄膜を形成する工程と電子ビームの照射工程を連続的に行い、電子ビームは予め設定された周期に応じて強いエネルギーレベルと弱いエネルギーレベルを繰り返して照射する。
【0055】
本実施形態によるシリコーン薄膜の製造方法におけるシリコーン供給段階と電子ビームの照射段階に対するまた他の実施形態は、シリコーンソースと電子ビームを連続的に供給し、予め設定された周期に応じて基板を移動させたり、電子ビームを照射する装置を移動させることによって、または電子ビームの経路を変えることのできる電場や磁場を利用して基板を向ける電子ビームの経路を変えることによって工程領域に電子ビームが断続的に提供できるようにする。
【0056】
(第2実施形態)
図3は本発明の第2実施形態によるシリコーン薄膜の製造方法を説明するために示すフローチャート及び工程過程中のチャンバ内を示す概念図である。図3aによれば、本実施形態によるシリコーン薄膜の製造方法は基板を提供する段階(段階201)、RF/DCスパッタリングを利用してシリコーンソースを基板の表面に提供して基板の表面にシリコーン薄膜を形成する段階(段階204)、前記シリコーン薄膜に後処理で電子ビームを照射する段階(段階206)を備える。前述した第2実施形態によるシリコーン薄膜の製造方法はシリコーン薄膜を完全に形成した後、後処理段階で電子ビームを照射して、非晶質のシリコーン薄膜を結晶化させる。以下、本実施形態の各段階について具体的に説明する。
【0057】
本実施形態によるシリコーン薄膜の製造方法は、シリコーン蒸着領域と電子ビームの照射領域が完全に分離されるので、作業圧力が10−7〜10−4Torr以下である電子ビーム工程と全く異なるシリコーン蒸着工程の場合に非常に有用に使用されることができる。そこで、本実施形態による製造方法は、第1実施形態に言及されたシリコーン供給方法の外に追加的に化学蒸着法(CVD:Chemical Vapor Deposition)、低圧化学蒸着法(LPCVD:Low Pressure Chemical Vapor Deposition)、プラズマ化学蒸着法(PECVD:Plasma Enhanced Vapor Deposition)のような低真空作業圧力下で蒸着するシリコーンの蒸着方法に非常に有用に使用されることができる。
【0058】
また、本実施形態によるシリコーン薄膜の製造方法は、電子ビームの照射工程とシリコーン蒸着工程が分離されるので、二つの工程を同時に行う場合に発生する工程の限界、例えば蒸着速度を高めることができないなどのような限界を完全に解決することができる。その結果、本実施形態によるポリシリコーンの製造方法は高い生産性を有することができるとともに、多様なシリコーン蒸着方法の中で最適な方法を選択して使用することができる。
【0059】
以下、本発明によるシリコーン薄膜の製造方法において、前記電子ビームが前記シリコーンが蒸着される状況に与える影響について説明する。前述したように、前記シリコーン薄膜は蒸着の時その温度が十分でなくて熱エネルギーが結晶化に必要な活性化エネルギーに及ぶことができないので、全て非晶質層に成長しなければならない。しかし、熱エネルギーを代替できる新しいエネルギーが供給されると、これは基板の表面でシリコーン粒子の流動性を増大させてシリコーン粒子が結晶質になるように誘導する。一方、一般的に加速された電子の無数の集まりからなる電子ビームは個別粒子である電子の重量が極めて軽いので、自分より重い原子のような存在にぶつかる場合大部分非弾性衝突で自分の運動量を伝達する。
【0060】
本発明では、前記熱エネルギーの不足部分の代わりにすることができる手段として前述した運動量を有する電子の運動エネルギーを利用する。即ち、前記電子ビームソースで生成されて加速された電子を基板上に提供して基板に吸着されたシリコーン粒子と衝突させて、シリコーン粒子の流動性を向上させ、シリコーンの結晶化に必要な活性エネルギーを供給することによって、蒸着と同時に薄膜を結晶化させる。また、本発明によるポリシリコーン製造方法は、提供される電子のエネルギーが小さいので電子の浸透深さが小さくて、基板の表面のみを優先的に加熱するので、表面のシリコーン蒸着層の下の基板の温度はそれほど上昇させなくなり、その結果低温で多結晶シリコーンを形成することができる。参考に、本発明による製造方法における電子の浸透深さはシミュレーションの結果、10keVである時平均約500nmになる。
【0061】
本発明は前記電子ビームを利用して従来の熱エネルギーの代わりに基板上のシリコーン粒子に流動に必要なエネルギーを伝達し、それによって基板温度の上昇を減らし、多結晶シリコーン薄膜を效率的に生成する。
【0062】
前記基板は図示しない熱源によって常温〜400℃、好ましくは常温〜300℃、より好ましくは常温〜200℃の温度内に保持して、基板の捻れや収縮などが発生しないようにする。ここで熱源は基板上に少量の熱的エネルギーを供給して反応速度などを調節する役割を果たし、コンベヤの下部に配置された熱源を使用したり、またはコンベヤの上部に配置された熱源を使用することができる。
【0063】
また、電子ビームの照射段階で熱に弱い基板を選択することによって、基板を冷却することもでき、これは基板の下部に冷却水を利用して冷却したり、ヘリウム(He)のようなガスを工程中に基板の表面または後面に継続的にまたは断続的に供給したり、電子ビームの照射が中止される間供給することができる。Heガスは冷却能力が優れているので、基板の表面にノズルを近くつけて噴射すると基板が冷却されて過熱されなくなる。
【0064】
また、電子ビームの照射工程中に水素ガスを数sccm〜数十sccm程度供給して結晶質の向上を図ることができる。結晶質シリコーンの表面は常にシリコーンの四面体結合構造(Tetrahedral Bonding)で表面方向の結合が一つ足りない状態であるので、表面安定化元素が結合されないと、表面原子層は非晶質形状や二重結合を有することになる。従って、水素を供給して水素原子の一つが表面安定化元素として作用すると安定した結晶質形態を保持するのに有利である。
【0065】
前記シリコーン供給手段は、前述したようにシリコーン生成方法を利用したもので、例えば、シリコーンターゲットを加速されたプラズマ120でスパッタリングするRF/DCスパッタリング方式やシリコーンターゲットをイオンビームでスパッタリングするイオンビームスパッタリング方式などを含むスパッタリング方式、シリコーンペレット(pellet)をタングステンやモリブデンで作られたボート(boat)に入れて蒸発(Thermal Evaporation)させたり、るつぼの中に入れられたシリコーンを電子ビームで加熱、気化させて供給する電子ビーム気相蒸発法(E−beam Evaporation)、またはシリコーンの前驅體であるシラン(silane)ガスやTCSを基板の付近に供給する方式またはこのシランガスをプラズマでイオン化させてシリコーンイオンを抽出した後、これを基板上に照射するプラズマ方式など多様な方式が使用されることができる。その他にも追加的にシリコーン供給手段は、化学気相蒸着(CVD)、低圧化学気相蒸着(LPCVD)、プラズマ化学気相蒸着(PECVD)などが使われることができる。
【0066】
本発明によるシリコーン薄膜の製造方法は、電子ビームを照射して基板のシリコーン薄膜の特性を変化させる。しかし、基板が硝子、パイレックス(登録商標)(Pyrex)、水晶(Quartz)、シリコーンウエハー、その他セラミックスのような不導体基板である場合、電子ビームを照射する工程で基板に加撃される電子の負電荷が消えないで基板に蓄積される。その結果、新たに基板に加撃される電子は基板に既に蓄積された電子の電荷との斥力によって戻ったり押されて基板に向かずに他の方向に曲がってしまう。また、基板に到逹した一部の電子も基板の表面の表面電流を作って隣接した接地電位電極に向かって流れるようになる。この時、基板の尖端や接触のよい方向に電流が急速に集まるようになるので、その位置で急激な加熱が起きて基板が焼けてしまったり、急速な加熱が起きて基板が壊れることもある。また、基板に回路が配置された場合、蓄積された電荷は回路の配線に沿って流れて回路を焼いてしまったり、回路を構成する物質の熱拡散を誘導して回路を損傷させることもある。このような現象が発生することを防止するために、本発明の第1及び第2実施形態によるシリコーン薄膜の製造方法は、電子ビームをパルス形態に断続的に照射して電子ビームが断続的に照射されない時間の間基板が冷却されるようにすることによって、表面に蓄積された電荷が表面に沿って流れる時間を確保して基板の表面電荷を除去する。
【0067】
以下、図4及び図5を参照して本発明によるシリコーン薄膜の製造方法のシリコーン薄膜蒸着段階に対する多様な実施形態を説明する。
【0068】
図4はイオンビームスパッタリング方式で作られたシリコーン供給手段を利用してシリコーンを蒸着し、また電子ビームガン340から電子ビームを同時に照射してポリシリコーン310を蒸着することを示す断面図である。図4に示された方式は、イオンガン320からプラズマの不活性ガスAr陽イオンを抽出、加速してシリコーンターゲット330に衝突させると、シリコーン粒子がスパッタリングされて基板300上に供給される。図4で実際装備に必要なガス吸入部、中和装置などは本発明の要旨とは直接関係ないので図示しなかった。基板が伝導体でない場合、基板の表面に累積される電荷を除去するために用いられる中和装置(neutralizer)はイオンビームを使用して電子の負電荷をイオンの正電荷に中和させる。特に、イオンは質量が大きくて、負電荷に引かれて飛行経路が変わりにくいので、直接負電荷が積もる所の付近にイオンが衝突しなければならない。この時、イオンの衝突による損傷を薄膜に与えないために、イオンのエネルギーを低く保持する必要があり、またイオンの衝突がある間電子との合流によってプラズマが発生されてしまう撹乱を防止するために多様なパルスの供給によってこれらを中和させることができる。
【0069】
図5は電子ビーム気相蒸発法(E−beam evaporation)でシリコーンを供給する電子ビーム気相蒸発装置420を利用するシリコーン蒸着工程を説明するために示す図面である。電子ビーム気相蒸発法は、蒸着する物質を粉末上、ペレットまたは切れ(piece)などでるつぼ430に実装し、これにフィラメントからの電子を衝突させて気化または昇華させる方式で、気化または昇華された物質は上昇しながらその上部に位置する基板400上に凝固されて蒸着される。この時、電子ビームソース440から基板に向かって電子ビームを照射すると、基板に蒸着されるシリコーン410原子は加速された電子の衝突によって流動度が向上され、結晶化に必要な活性エネルギーが供給されることによって、蒸着と同時に薄膜が結晶化される。
【0070】
(第3実施形態)
以下、図6に基づいて本発明の第3実施形態によるシリコーン薄膜の製造方法について具体的に説明する。本発明の第3実施形態によるシリコーン薄膜の製造方法は、基板を提供する段階、前記基板の表面にシリコーンソースを供給して基板の表面にシリコーン薄膜を形成する段階、前記基板の表面に電子ビームを照射する段階、前記基板の表面にイオンビームを照射する段階を含む。前述した段階を含む本実施形態によるシリコーン薄膜の製造方法は、前記供給されたシリコーンソースによって前記基板上にシリコーン薄膜が蒸着される過程中に、前記照射された電子ビームが前記蒸着中のシリコーン薄膜にエネルギーを供給してシリコーン薄膜を同時処理方式で蒸着工程中に結晶化させ、前記イオンビームは前記基板の表面に蓄積される電子ビームの電荷を中和させる。
【0071】
図6a及び図6bは前述した第1実施形態にイオンビーム供給手段を追加に配置した状況を示したもので、これらは電子ビームに加えてイオンビームが工程領域にともに照射される本発明の第3実施例を示す。図6aはイオンビーム供給手段がシリコーンソース供給手段及び電子ビーム供給手段とは別途に装着されて基板上にイオンビームを照射する過程を示す模式断面図である。これは基板が不導体である場合、基板に積もった負電荷を消去するために前で言及したイオンビームを利用して基板を中性化させることによって、電子ビームのエネルギーを基板に效率的に伝達して、基板の破壊や回路の損傷を防止するためである。図6bはシリコーン供給手段が気相蒸発法を用いた場合で、基板の下部でシリコーンを蒸発させて薄膜を蒸着する時イオンビーム供給手段が電子ビーム供給手段とともに薄膜表面にエネルギーを供給する過程を示す模式断面図である。
【0072】
第3実施形態で用いられるイオンビームはイオンビームが有するエネルギーの中で小さいエネルギーを利用し、具体的には1eV〜500eVのエネルギーを有する水素Hを含むヘリウムHe、ネオンNe、アルゴンAr、クリプトンKr、ゼノンXeなどの不活性ガスを利用することができる。特に、電子ビームを照射する基板が酸化物である場合には、イオンビームは酸素Oが独立に入ったり、他のガスと混入されることがあり、基板が窒化物である場合には窒素Nが独立に入ったり、他のガスと混入されることがある。
【0073】
イオンビームは空間上に照射したり基板上に照射することができる。イオンビームを空間上に照射する場合、イオンビームを電子ビームに向かって電子ビームの飛行方向の垂直方向で水平方向に至るまで選択的に照射することができる。また、イオンビームを基板上に照射する場合、電子ビームが当たる領域に合わせて照射したり、電子ビームが当たる領域の基板運動方向の前方や後方にイオンビームを照射することができる。
【0074】
本発明によるシリコーン薄膜の製造方法は、電子ビームを照射して基板のシリコーン薄膜の特性を変化させる。しかし、基板が硝子、パイレックス(登録商標)(Pyrex)、水晶(Quartz)、シリコーンウエハー、その他セラミックスのような不導体基板である場合、電子ビームを照射する工程で基板に加撃される電子の負電荷が消えないで、基板に蓄積される。その結果、新たに基板に加撃される電子は基板に既に蓄積された電子の電荷との斥力によって戻ったり押されて基板を向けることができずに他の方向で曲がってしまう。また、基板に逹した一部電子も基板表面の表面電流を作って隣接した接地電位電極に向かって流れる。この時、基板の尖点や接触がよくなっている方向に電流が急速に集まるので、その位置で加熱が急激に起きて基板が焼けてしまったり、急速に加熱されて基板が壊れることもある。また、基板に回路が配置された場合、蓄積された電荷は回路の配線に沿って流れる途中に回路が焼けたり、回路を構成する物質の熱拡散を誘導して回路を損傷させることもある。このような現象が発生することを防止するために、本発明の第3実施形態によるシリコーン薄膜の製造方法は、電子ビームの照射とともにイオンビームも照射して基板を中和させることによって、電子ビームの電荷が基板表面に蓄積されることを防止して、電子ビームのエネルギーを基板に效率的に伝達し、基板の破壊や回路の損傷を防止する。
【0075】
以下、本発明の第3実施形態によるシリコーン薄膜の製造方法におけるシリコーンソース供給段階、電子ビームの照射段階、イオンビームの照射段階の多様な実施形態を説明する。図7a〜図7gは第3実施形態の多様な実施形態を示すフローチャートである。
【0076】
図7aによれば、本実施形態の第1実施形態は、基板の表面にシリコーンソースを供給するとともに、電子ビームとイオンビームも一緒に照射する。その結果、シリコーンソース、電子ビーム及びイオンビームが同時に提供されることによって、リアルタイムで多結晶質シリコーン薄膜が形成され、所定時間が経過すると、応用素子に適合する厚さを有する薄膜が完成される。
【0077】
図7bによれば、本実施形態の第2実施形態は、基板の表面にシリコーンソースを連続的に供給するとともに、電子ビームとイオンビームを一緒に照射し、一緒に照射される電子ビームとイオンビームは予め設定された周期に応じて断続的に繰り返し照射される。
【0078】
図7cによれば、本実施形態の第3実施形態は、基板の表面にシリコーンソースを連続的に供給するとともに、電子ビームとイオンビームを照射し、この時電子ビームとイオンビームは予め設定された周期に応じて交互に繰り返し照射される。
【0079】
図7dによれば、本実施形態の第4実施形態は、基板の表面にシリコーンソースを第1周期に応じて断続的に繰り返し供給し、電子ビームとイオンビームは一緒に第2周期に応じて断続的に繰り返し照射する。ここで、前記第1周期と第2周期はシリコーンソース供給過程と電子ビーム及びイオンビームの照射過程が交互に繰り返し実行されるように設定される。
【0080】
図7eによれば、本実施形態の第5実施形態は、基板の表面にシリコーンソースを供給する段階と電子ビームの照射段階とイオンビームの照射段階を順次に繰り返して行う。
【0081】
図7fによれば、本実施形態の第6実施形態は、基板の表面にシリコーンソースの供給段階と電子ビームの照射段階は一緒に連続的に実行され、同時に、イオンビームの照射段階は予め設定された周期に応じて断続的に繰り返し実行される。
【0082】
図7gによれば、本実施形態の第7実施形態は、基板の表面にシリコーンソースの供給段階とイオンビームの照射段階は一緒に連続的に実行され、同時に、電子ビームの照射段階は予め設定された周期に応じて断続的に繰り返し実行される。
【0083】
一方、本実施形態において、前述した第1〜第7実施形態における電子ビームが連続的に照射される段階は、予め設定された周期に応じて照射エネルギーのレベルを異なるようにしてパルス形態で繰り返し照射することができる。また、本実施形態の前述した第1〜第7実施形態において、電子ビームを断続的に照射する段階における電子ビームが照射される周期は電子ビームを高エネルギーレベルで照射して、電子ビームが照射されない周期は電子ビームを低エネルギーレベルで照射することで取り替えることができる。
【0084】
一方、本発明の他の実施形態はイオンビームの照射段階の代わりにプラズマを照射することによってプラズマ内のイオンによって電子を中和させることもできる。
【0085】
また、本発明の他の実施形態は基板を移動したり、電子ビーム/イオンビームの照射装置を移動させることによって、または電子ビーム/イオンビームの経路を変えることができる電場や磁場を利用して基板を向ける電子ビームの経路を変えることによって作業領域に電子ビームまたはイオンビームが断続的に照射できるようにする。
また、前述の本実施形態でも第2実施形態で記載したように電子ビームを照射する段階で水素ガスまたはヘリウムガスを提供することもできる。
【0086】
(第4実施形態)
以下、本発明の第4実施形態によるシリコーン薄膜の形成方法について具体的に説明する。第4実施形態によるシリコーン薄膜の形成方法は、基板を提供する段階、前記基板の表面にシリコーンソースを供給して基板の表面にシリコーン薄膜を形成する段階、前記シリコーン薄膜に電子ビームを照射する段階、及び前記シリコーン薄膜にイオンビームを照射する段階を含む。本実施形態によるシリコーン薄膜の形成方法は、電子ビームの照射段階とイオンビームの照射段階をシリコーン薄膜が完全に形成された後に後処理で行われることを特徴とする。本実施形態によるシリコーン薄膜の形成方法で、基板の特性、シリコーンソースの供給方法、電子ビームの提供方法、イオンビームの提供方法などは前述した第1〜第3実施形態における説明と同一であるので、繰り返される説明は省略する。
【0087】
以下、本発明の第4実施形態によるシリコーン薄膜の形成方法における電子ビームの照射段階とイオンビームの照射段階の多様な実施形態を説明する。第4実施形態の一実施形態は電子ビームの照射段階とイオンビームの照射段階が同時に実行されたり、電子ビームの照射段階とイオンビームの照射段階が同時に予め設定された周期に応じて繰り返し実行されたり、電子ビームの照射段階とイオンビームの照射段階が予め設定された周期に応じて交互に繰り返し実行される。第4実施形態の他の実施形態は、前記電子ビームの照射段階は連続して継続的に実行されるとともに、前記イオンビームの照射段階は予め設定された周期に応じて繰り返し実行される。第4実施形態のまた他の実施形態は、前記イオンビームの照射段階は連続して継続的に実行されるとともに、前記電子ビームの照射段階は予め設定された周期に応じて繰り返し実行される。
【0088】
一方、本実施形態において、前述した実施形態における電子ビームが連続的に照射される段階は予め設定された周期に応じて照射エネルギーのレベルを異なるようにしてパルス形態で繰り返し照射されることができる。また、本実施形態の前述した実施形態において、電子ビームを断続的に照射する段階における電子ビームが照射される周期は電子ビームを高エネルギーレベルで照射し、電子ビームが照射されない周期は電子ビームを低エネルギーレベルで照射することで取り替えることができる。
【0089】
一方、本発明によるシリコーン薄膜の製造方法は、基板と接地(ground)電極の間に絶縁板を挿入して、前記電子ビームが照射される時、薄膜が蒸着される基板と接地電位と間に絶縁を保持するようにすることによって、電子の負電荷が特定位置に集中されなく、基板上に蓄積された電荷が一方向に過度に流れないようにすることが好ましい。
【0090】
(応用例)
前述した特徴を有する本発明によるシリコーン薄膜の製造方法は、多結晶シリコーン薄膜が必要な諸素子の製作に利用されることができる。その一応用例として、TFT工程、セル(cell)工程及びモジュールとパッケージング工程からなる液晶ディスプレー(LCD)の製造方法に本発明が利用されることができ、その段階を簡単に説明すれば次の通りである。
【0091】
まず、液晶ディスプレーを製造するために、まず下部基板として用いられる硝子基板上に SiO等の絶縁層を形成した後、その上部にリアルタイムで多結晶化させた本発明のシリコーン薄膜を蒸着する。その次、エッチング工程などを通じて基板上に各種電極を形成することによってTFT形成工程を完了する。その後、この基板は液晶ディスプレーで下部基板として使われる。一方、前記下部基板とは別途に、R、G、Bからなるカラーフィルターを装着した上部基板を形成し、各上下基板上に硬化されたポリイミド(polyimide)などからなる配向膜を塗布する。その後、配向膜をラビング(rubbing)させた後二つの基板の間にスペーサーを配置して間隔を形成し、液晶をその間に注入することによってセル工程が完了される。前記工程の後にチップ、偏光板、PCBなどを装着して組立ててパッケージングするのは一般的な工程と同一である。
【0092】
本発明は前記LCD製作過程の一つであるTFT製造段階でシリコーン薄膜の形成の時に利用され、この薄膜の形成方法は前で詳細に説明した実施形態と同じである。
【0093】
また、本発明は低温ポリシリコーン太陽電池産業で多結晶シリコーン薄膜の製作にも応用分野がある。これを簡単に説明すると、一般の太陽電池は、n型シリコーン薄膜にi型シリコーン薄膜とp型シリコーン薄膜が接触した形態で、外部から光が入射されると、これを電子と正孔に分離して連結された導線で提供し、前記n型及びI型、p型シリコーン薄膜を本発明で説明された実施例で製造する。
【0094】
また、有機ELディスプレーの製造の時にも本発明を利用することができる。これをさらに詳しく説明すると、有機ELディスプレーは上部電極及び下部電極の間に有機発光媒体が挿入された構造で、各電極に入力された電流は中間の有機発光媒体で結合して消滅されながら各ピクセルで発光する。この時、前記各ピクセルの発光を制御する制御手段としてシリコーン薄膜トランジスターを装着した形態がアクティブマトリックス方式のOLED素子である。このようなアクティブマトリックス型素子の製作、即ち、前記シリコーン薄膜トランジスターを製作する時本発明は前述した方法で有用に使用されることができる。
(産業上の利用の可能性)
【0095】
本発明による電子ビームとイオンビームを利用した低温ポリシリコーン製造方法は、TFT−LCD、OLED、太陽電池、LED、Image Sensor、Color Sensor、Light Sensorなどの製造に広く用いられることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)基板を提供する段階と;
(b)前記基板の表面にシリコーンソースを供給して基板の表面にシリコーン薄膜を形成する段階と;
(c)前記基板の表面に電子ビームを照射する段階と;を含み、
前記供給されたシリコーンソースによって前記基板上にシリコーン薄膜が蒸着される過程中に前記照射された電子ビームが前記蒸着中のシリコーン薄膜にエネルギーを供給してシリコーン薄膜を同時に処理する方式で蒸着工程中に結晶化させることを特徴とするシリコーン薄膜の製造方法。
【請求項2】
前記(b)段階が連続して継続的に実行されるとともに、前記(c)段階は予め設定された周期に応じて断続的に繰り返し実行されたり、照射エネルギーレベルを異なるようにして繰り返し実行されることを特徴とする請求項1に記載のシリコーン薄膜の製造方法。
【請求項3】
(a)基板を提供する段階と;
(b)前記基板の表面にシリコーンソースを供給して基板の表面にシリコーン薄膜を形成する段階と;
(c)前記基板の表面に電子ビームを照射する段階と;
(d)前記基板の表面にイオンビームを照射する段階と;を含み、
前記供給されたシリコーンソースによって前記基板上にシリコーン薄膜が蒸着される過程中に、前記照射された電子ビームが前記蒸着中のシリコーン薄膜にエネルギーを供給してシリコーン薄膜を同時に処理する方式で蒸着工程中に結晶化させ、前記イオンビームは前記基板の表面に蓄積される電子ビームの電荷を中和させることを特徴とするシリコーン薄膜の製造方法。
【請求項4】
前記(b)段階が連続して継続的に実行されるとともに、前記(c)段階と(d)段階はともに予め設定された周期に応じて断続的に繰り返し実行されることを特徴とする請求項3に記載のシリコーン薄膜の製造方法。
【請求項5】
前記(b)段階が連続して継続的に実行されるとともに、前記(c)段階と(d)段階は予め設定された周期に応じて互いに交互に繰り返し実行されることを特徴とする請求項3に記載のシリコーン薄膜の製造方法。
【請求項6】
前記(b)段階が第1周期に応じて断続的に繰り返し実行されるとともに、前記(c)段階と前記(d)段階はともに第2周期に応じて断続的に繰り返し実行され、前記第1周期と第2周期は(b)段階と前記(c)及び(d)段階が互いに交互に繰り返し実行されるように設定されることを特徴とする請求項3に記載のシリコーン薄膜の製造方法。
【請求項7】
前記(b)段階、(c)段階及び(d)段階は予め設定された周期に応じて順次に繰り返し実行されることを特徴とする請求項3に記載のシリコーン薄膜の製造方法。
【請求項8】
前記(b)段階と前記(c)段階は連続して継続的に実行されるとともに、前記(d)段階は予め設定された周期に応じて断続的に繰り返し実行され、前記(c)段階は同じエネルギーレベルで照射されたり、所定周期に応じてエネルギーレベルを異なるようにして照射されることを特徴とする請求項3に記載のシリコーン薄膜の製造方法。
【請求項9】
前記(b)段階と前記(d)段階は連続して継続的に実行されるとともに、前記(c)段階は予め設定された周期に応じて断続的に繰り返し実行されることを特徴とする請求項3に記載のシリコーン薄膜の製造方法。
【請求項10】
前記(c)段階の電子ビームの照射を予め設定された周期に応じて断続的に繰り返し行う段階は、前記周期と同じ周期に応じて、照射エネルギーレベルを異なるようにして、パルス形態で繰り返し照射する段階で取り替えられることを特徴とする請求項4〜7及び請求項9の中の何れか一項に記載のシリコーン薄膜の製造方法。
【請求項11】
前記シリコーン供給段階は、シリコーンターゲットを利用したRF/DCスパッタリング法(Sputtering)、イオンビームスパッタリング法(Ion Beam Sputtering)、パルスレーザー堆積法(Pulsed Laser Deposition)、シリコーンを加熱蒸発させる熱蒸発法(Thermal Evaporation)、電子ビーム蒸発法(E−beam Evaporation)、シリコーン蒸着用ガスを雰囲気ガス炉基板上に供給する方法及びプラズマ上におけるシリコーン元素やイオンを抽出する方法の中の何れか一つの方法を利用してシリコーンソースを供給することを特徴とする請求項1〜9の中の何れか一項に記載のシリコーン薄膜の製造方法。
【請求項12】
(a)基板を提供する段階と;
(b)前記基板の表面にシリコーンソースを供給して基板の表面にシリコーン薄膜を形成する段階と;
(c)前記シリコーン薄膜に電子ビームを照射する段階と;を含み、
前記(c)段階はシリコーン薄膜が完全に形成された後に後処理で行われることを特徴とするシリコーン薄膜の製造方法。
【請求項13】
(a)基板を提供する段階と;
(b)前記基板の表面にシリコーンソースを供給して基板の表面にシリコーン薄膜を形成する段階と;
(c)前記シリコーン薄膜に電子ビームを照射する段階と;
(d)前記シリコーン薄膜にイオンビームを照射する段階と;を含み、
前記(c)段階及び前記(d)段階はシリコーン薄膜が完全に形成された後に後処理で行われることを特徴とするシリコーン薄膜の製造方法。
【請求項14】
前記(c)段階と(d)段階は同時に実行されたり、(c)段階と(d)段階が同時に予め設定された周期に応じて繰り返し実行されたり、(c)段階と(d)段階が予め設定された周期に応じて交互に繰り返し実行されることを特徴とする請求項13に記載のシリコーン薄膜の製造方法。
【請求項15】
前記(c)段階は連続して継続的に実行されるとともに、前記(d)段階は予め設定された周期に応じて断続的に繰り返し実行されることを特徴とする請求項13に記載のシリコーン薄膜の製造方法。
【請求項16】
前記(d)段階は連続して継続的に実行されるとともに、前記(c)段階は予め設定された周期に応じて断続的に繰り返し実行されることを特徴とする請求項13に記載のシリコーン薄膜の製造方法。
【請求項17】
前記(c)段階の電子ビームを連続的に照射する段階は、所定周期に応じて照射エネルギーレベルを異なるようにしてパルス形態で繰り返し照射することを特徴とする請求項12〜15の中の何れか一項に記載のシリコーン薄膜の製造方法。
【請求項18】
前記(c)段階の電子ビームの照射を予め設定された周期に応じて断続的に繰り返し行う段階は、前記周期と同じ周期に応じて照射エネルギーレベルを異なるようにしてパルス形態で繰り返し照射する段階で取り替えられることを特徴とする請求項14及び請求項16の中の何れか一項に記載のシリコーン薄膜の製造方法。
【請求項19】
前記シリコーン供給段階は、シリコーンターゲットを利用したRF/DCスパッタリング法(Sputtering)、イオンビームスパッタリング法(Ion Beam Sputtering)、パルスレーザー堆積法(Pulsed Laser Deposition)、シリコーンを加熱蒸発させる熱蒸発法(Thermal Evaporation)、電子ビーム蒸発法(E−beam Evaporation)、プラズマ上でのシリコーン元素を抽出する方法、化学蒸着法(CVD)、低圧化学蒸着法(LPCVD)、プラズマ化学蒸着法(PECVD)の中の何れか一つの方法を利用してシリコーンソースを供給することを特徴とする請求項12〜16の中の何れか一項に記載のシリコーン薄膜の製造方法。
【請求項20】
電子ビームは尖った先端部に高い正電圧を印加して電子を抽出する電界放出(Field Emission)方式、フィラメントを加熱して作る熱フィラメント(hot filament)熱電子法またはプラズマをグリッドで遮蔽するとともに、電圧を印加して電子を抽出加速するプラズマ抽出方式の中の何れか一つの方法を利用して提供されることを特徴とする請求項1〜9及び請求項12〜16の中の何れか一項に記載のシリコーン薄膜の製造方法。
【請求項21】
遮蔽されたプラズマを生成する電源の交流周波数はMF、HF、RF、VHF、UHF、マイクロ波の中の何れか一つを使用し、前記電源の電極またはアンテナの形態が Capacitive、Inductive、ICP、ECR、Helical、Helicon、Hollow Cathode、熱フィラメント(hot filament)の中の何れか一つの方法を利用して提供されることを特徴とする請求項20に記載のシリコーン薄膜の製造方法。
【請求項22】
電子ビームが照射される領域の前記基板の周辺温度は常温〜400℃、基板周囲の作業圧力は10−7〜10−4Torrであることを特徴とする請求項1〜9及び請求項12〜16の中の何れか一項に記載のシリコーン薄膜の製造方法。
【請求項23】
前記電子ビームは500eV〜100keVのエネルギー、1μA/cm〜1mA/cmの電流密度を有する電子からなることを特徴とする請求項1〜9及び請求項12〜16の中の何れか一項に記載のシリコーン薄膜の製造方法。
【請求項24】
前記基板を支持する基板ホルダーは接地電位を保持し、基板と基板ホルダーの間に絶縁板を挿入することを特徴とする請求項1〜9及び請求項12〜16の中の何れか一項に記載のシリコーン薄膜の製造方法。
【請求項25】
前記イオンビームは1eV〜500eVのエネルギーを有する不活性ガス陽イオンからなることを特徴とする請求項3〜9及び請求項12〜16の中の何れか一項に記載のシリコーン薄膜の製造方法。
【請求項26】
前記基板は、石英、パイレックス(登録商標)、シリコーンウエハー、硝子及びポリマー、薄板ステンレス金属板の中の何れか一つであることを特徴とする請求項1〜9及び請求項12〜16の中の何れか一項に記載のシリコーン薄膜の製造方法。
【請求項27】
前記ポリマーは、プラスチック、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリエステルスルホン、ポリアクリレート、ポリエチレンテレフタレート(PET:polyethylene Terephthalate)、ポリエチレンナフタレート(PEN:polyethylene naphthalate)の中の何れか一つであることを特徴とする請求項26に記載のシリコーン薄膜の製造方法。
【請求項28】
前記電子ビームの照射領域に水素ガスを供給する段階をさらに含むことを特徴とする請求項1〜9及び請求項12〜16の中の何れか一項に記載のシリコーン薄膜の製造方法。
【請求項29】
前記電子ビームの照射領域にヘリウム(He)ガスを供給する段階をさらに含むことを特徴とする請求項1〜9及び請求項12〜16の中の何れか一項に記載のシリコーン薄膜の製造方法。
【請求項30】
各段階を行う時、前記基板を移動させたり、電子ビーム/イオンビームの照射装置を移動させることによって、または電子ビーム/イオンビームの経路を変えることができる電場や磁場を利用して基板に向かう電子ビームの経路を変えて振ることを特徴とする請求項1〜9及び請求項12〜16の中の何れか一項に記載のシリコーン薄膜の製造方法。
【請求項31】
シリコーン薄膜トランジスターを備える液晶ディスプレーの製造方法において、
前記シリコーン薄膜トランジスターの製造方法は、
基板を提供する段階と;
前記基板上にシリコーンソースを供給する段階と;
前記基板上に電子ビームを照射する段階と;を含み、
前記シリコーンソースの供給段階と前記電子ビームの照射段階は同時に行われたり、前記電子ビームの照射段階が後処理で行われることを特徴とする液晶ディスプレーの製造方法。
【請求項32】
前記シリコーン薄膜トランジスターの製造方法は、前記基板上にイオンビームを照射する段階をさらに備えることを特徴とする請求項31に記載の液晶ディスプレー製造方法。
【請求項33】
n型シリコーン薄膜にi型シリコーン薄膜及びp型シリコーン薄膜を接合してなる太陽電池の製造方法において、
前記n型、i型及びp型シリコーン薄膜の製造方法は、
基板を提供する段階と;
前記基板上にシリコーンソースを供給する段階と;
前記基板上に電子ビームを照射する段階と;を含み、
前記シリコーンソースの供給段階と前記電子ビームの照射段階は同時に行われたり、前記電子ビームの照射段階が後処理で行われることを特徴とする太陽電池の製造方法。
【請求項34】
前記n型、i型及びp型シリコーン薄膜の製造方法は、前記基板上にイオンビームを照射する段階をさらに備えることを特徴とする請求項33に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項35】
シリコーン薄膜トランジスターを含むアクティブマトリックス方式のOLED素子の製造方法において、
前記シリコーン薄膜トランジスターの製造方法は、
基板を提供する段階と;
前記基板上にシリコーンソースを供給する段階と;
前記基板上に電子ビームを照射する段階と;を含み、
前記シリコーンソースの供給段階と前記電子ビームの照射段階は同時に行われたり、前記電子ビームの照射段階が後処理で行われることを特徴とするOLED素子の製造方法。
【請求項36】
前記シリコーン薄膜トランジスターの製造方法は、前記基板上にイオンビームを照射する段階をさらに備えることを特徴とする請求項35に記載のOLED素子の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公表番号】特表2012−506143(P2012−506143A)
【公表日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−532012(P2011−532012)
【出願日】平成21年10月5日(2009.10.5)
【国際出願番号】PCT/KR2009/005677
【国際公開番号】WO2010/044558
【国際公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【出願人】(511094543)インフォビオン カンパニー リミテッド (1)
【出願人】(511094554)
【Fターム(参考)】