説明

オピオイド鎮痛薬と組合せた置換1,4−ジ−ピペリジン−4−イル−ピペラジン誘導体ならびに疼痛およびオピオイドに基づく処置に伴う副作用の処置のためのそれらの使用

【化1】


本発明は、オピオイド鎮痛薬、ならびにニューロキニン拮抗活性、とりわけNK拮抗活性を有する1,4−ジ−ピペリジン−4−イル−ピペラジン誘導体を含んでなる疼痛および/若しくは侵害受容のオピオイドに基づく処置のための新規製剤、嘔吐、疼痛および/若しくは侵害受容の予防および/若しくは処置のため、具体的にはオピオイドに基づく急性および慢性疼痛の処置における、より具体的には炎症性、術後、救急治療室(ER)、破綻、神経障害性および癌性疼痛の処置における医薬品の製造のための前記製剤の使用、ならびに、疼痛のオピオイドに基づく処置における呼吸抑制の予防および/若しくは処置のための医薬品の製造のためのNK受容体アンタゴニストの使用に関する。本発明の製薬学的製剤は、製薬学的に許容できる担体、ならびに、有効成分として、治療上有効な量のオピオイド鎮痛薬、および一般式(I)のNKIアンタゴニスト、それらの製薬学的に許容できる酸若しくは塩基付加塩、それらの立体異性体、それらのN−オキシドの形態およびそれらのプロドラッグ(ここで全部の置換基は請求項1でのとおり定義される)を含んでなる。本発明の製薬学的組成物は、オピオイド鎮痛薬に関連する多数の望ましくない副作用、具体的には嘔吐、呼吸抑制および耐性を大きな程度まで低下させ、それにより疼痛処置における前記オピオイドの全体的な忍容性を増大させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オピオイド鎮痛薬、およびニューロキニン拮抗活性、とりわけNK拮抗活性を有する1,4−ジ−ピペリジン−4−イル−ピペラジン誘導体を含んでなる疼痛および/若しくは侵害受容のオピオイドに基づく処置のための新規製剤、具体的にはオピオイドに基づく急性および慢性疼痛の処置における、より具体的には炎症、術後、救急治療室(ER)、破綻、神経障害性および癌性疼痛の処置における、嘔吐(emesis)、具体的には悪心および嘔吐(vomitting)、疼痛ならびに/若しくは侵害受容の予防および/若しくは処置のための医薬品の製造のための前記製剤の使用、ならびに疼痛のオピオイドに基づく処置における嘔吐(emesis)、具体的には悪心および嘔吐(vomitting)、呼吸抑制ならびに耐性の予防および/若しくは処置のための医薬品の製造のためのNK受容体アンタゴニストの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
オピオイド鎮痛薬は、とりわけ中程度ないし重度の急性および慢性疼痛の区分の疼痛処置の第一歩である。しかしながら、悪心/嘔吐、便秘、呼吸抑制および耐性のような副作用がそれらの使用を制限する。多くの臨床で使用されるオピオイドでの悪心および嘔吐の高発生率の低下はとりわけ、大きなまだ対処されていない医学的必要性と考えられている。
【0003】
ニューロキニンは、哺乳動物の中枢および末梢神経系に広く分布している短いペプチドの一ファミリーである(非特許文献1;非特許文献2;非特許文献3;非特許文献4)。それらは共通のC末端配列Phe−Xaa−Gly−Leu−Met−NHを共有している。末梢知覚神経終末から放出されるニューロキニンが神経原性の炎症に関与していると考えられている。脊髄/中枢神経系において、ニューロキニンは、疼痛伝達/知覚ならびに若干の自律反射および挙動においてある役割を演じているとみられる。3種の主要なニューロキニンは、それぞれNK、NKおよびNKと命名された3種の別個の受容体サブタイプに対する優先的な親和性をもつサブスタンスP(SP)、ニューロキニンA(NK)およびニューロキニンB(NK)である。しかしながら、クローン化した受容体での機能研究は、該3種のニューロキニンとそれらの対応する受容体との間の機能的相互作用を示唆している(非特許文献5)。NK受容体の構造の種差はNKアンタゴニストの種に関連する効力の差違の原因である(非特許文献3;非特許文献4)。ヒトNK受容体はモルモットおよびスナネズミのNK受容体に緊密に似ているが、しかしげっ歯類のNK受容体と顕著に異なる。ニューロキニンアンタゴニストの開発は、今日まで、それらが製薬学的有効成分として使用されるには代謝上不安定すぎることを予期させうる一連のペプチド化合物につながった(非特許文献6)。NKアンタゴニストは、嘔吐、(ストレス関連の)不安状態、炎症応答、平滑筋収縮および疼痛認知を包含する多様な適応症に対して研究されてきた。NKアンタゴニストは、嘔吐、不安およびうつ、過敏性腸症候群(IBS)、概日リズムの混乱、内臓痛、神経原性の炎症、喘息、排尿障害、膵炎ならびに侵害受容のような適応症に対して開発中である。
【0004】
今や、驚くべきことに、主としてNK活性をもつ特定の一分類の化合物が、オピオイド鎮痛薬に関連する多数の望ましくない副作用を大きな程度まで低下させてそれにより疼痛処置、具体的にはオピオイドに基づく急性および慢性疼痛の処置、より具体的には炎症、術後、救急治療室(ER)、破綻、神経障害性および癌性疼痛の処置における前記オピオイドの全体的忍容性を増大させることが見出された。より具体的には、嘔吐が阻害され
、呼吸抑制が低下され、オピオイドに対する耐性が予防されかつ便秘が悪化されなかったことが、疼痛のオピオイドに基づく治療において見出された。また、NKアンタゴニストの固有の抗侵害受容活性により、オピオイドの有効性の若干の増大さえ示され、それによりその鎮痛効果を遂げることなくオピオイド用量を低下させる選択肢を創製する。最後に、この組合せにより、ストレス、不安およびうつを低下させることにより向精神性の特性が鎮痛効果に追加された。
背景となる従来技術
ニューロキニンは当該技術分野で公知であり(概要については例えば特許文献1を参照されたい)、そして多様な関連しない化学構造を表す。
【0005】
1−ピペリジン−4−イル−ピペラジニル部分を含有する化合物は、サブスタンスPアンタゴニストとしての使用についてJanssen Pharmaceutica N.V.による1997年5月9日公開の特許文献2に、ニューロキニンアンタゴニストとしてのそれらの特定の利点についてGlaxo Group Ltd.による2002年4月25日公開の特許文献3に(より具体的には4−ピペラジン−1−イル−ピペリジン−1−カルボン酸アミド誘導体が開示された)、概日調時系(circadian timing system)に影響を及ぼすためのサブスタンスPアンタゴニストとしての使用についてJanssen Pharmaceutica N.V.による2001年5月3日公開の特許文献4に、およびNKアンタゴニストとしての使用についてHoffmann−La Roche AGによる2002年8月15日公開の特許文献5に開示された。
【0006】
疼痛および/若しくは侵害受容の予防および/若しくは処置のためのNKアンタゴニストおよびオピオイド鎮痛薬を含有する製剤は、特許文献6(Merck、1996年7月4日)、特許文献1(Merck、1999年3月9日)および特許文献7(Eli Lilly、1997年7月24日)に開示されている。嘔吐とは別の副作用の低減の言及は存在しない。
【0007】
本発明の化合物は、置換ピペリジニル部分であるピペラジニル部分の置換において、ならびにある種のオピオイド誘発性の副作用の低減および前記オピオイドの忍容性を増大させるためにオピオイド鎮痛薬と組合せで治療価値をもつ強力な経口および中枢で活性のニューロキニンアンタゴニストとしてのそれらの改良された能力において、従来技術の化合物と異なる。
【0008】
該化合物それら自体、ならびにニューロキニンアンタゴニストとしてのそれらの使用は、われわれの同時係属出願、特許文献8(Janssen Pharmaceutica、2004年4月22日)に開示されている。
【特許文献1】米国特許第5,880,132号明細書
【特許文献2】第WO 97/16440−A1号明細書
【特許文献3】第WO 02/32867号明細書
【特許文献4】第WO 01/30348−A1号明細書
【特許文献5】第WO 02/062784−A1号明細書
【特許文献6】第WO 96/20009号明細書
【特許文献7】第WO 97/25988号明細書
【特許文献8】第WO 2004/033428 A1号明細書
【非特許文献1】BertrandとGeppetti、Trends Pharmacol.Sci.17:255−259(1996)
【非特許文献2】Lundberg、Can.J.Physiol.Pharmacol.73:908−914(1995)
【非特許文献3】Maggi、Gen.Pharmacol 26:911−944(1995)
【非特許文献4】Regoliら、Pharmacol.Rev.46(4):551−599(1994)
【非特許文献5】MaggiとSchwartz、Trends Pharmacol.18:351−355(1997)
【非特許文献6】Longmore J.ら、DN&P 8(1):5−23(1995)
【発明の開示】
【0009】
本発明は、製薬学的に許容できる担体、ならびに有効成分として、治療上有効な量の1種のオピオイド鎮痛薬および式(I)
【0010】
【化1】

【0011】
[式中:
nは0、1若しくは2に等しい整数であり;
mは1若しくは2に等しい整数であるが、但し、mが2である場合にはnは1であり;
pは1若しくは2に等しい整数であり;
QはO若しくはNRであり;
Xは共有結合または式−O−、−S−若しくは−NR−の二価の基であり;
各Rは相互から独立に水素若しくはアルキルであり;
各Rは、相互から独立に、Ar、Ar−アルキルおよびジ(Ar)−アルキルの群から選択され;
qは0若しくは1に等しい整数であり;
はアルキル、Ar、Ar−アルキル、Het若しくはHet−アルキルであり;
Yは共有結合または式−C(=O)−若しくは−SO−の二価の基であり;
各Alkは、相互から独立に、共有結合;1から6個までの炭素原子を有する二価の直鎖若しくは分枝状の飽和若しくは不飽和の炭化水素基;または3から6個までの炭素原子を有する環状の飽和若しくは不飽和の炭化水素基を表し;各基は1個若しくはそれ以上の炭素原子上で1個若しくはそれ以上のアルキル、フェニル、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、ホルミルおよびアミノ基で場合によっては置換されており;
Lは、水素、アルキルオキシ、Ar−オキシ、アルキルオキシカルボニル、モノおよびジ(アルキル)アミノ、モノおよびジ(Ar)アミノ、Ar、Ar−カルボニル、HetおよびHet−カルボニルの群から選択され;
Arは、ハロ、アルキル、シアノ、アミノカルボニルおよびアルキルオキシの群からそれぞれ相互から独立に選択される1、2若しくは3個の置換基で場合によっては置換されているフェニルであり;
Arは、ハロ、ニトロ、アミノ、モノおよびジ(アルキル)アミノ、シアノ、アルキル、ヒドロキシ、アルキルオキシ、カルボキシル、アルキルオキシカルボニル、アミノカルボニルならびにモノおよびジ(アルキル)アミノカルボニルの群からそれぞれ相互から独立に選択される1、2若しくは3個の置換基でそれぞれ場合によっては置換されているナフタレニル若しくはフェニルであり;
Arは、アルキルオキシ、アルキル、ハロ、ヒドロキシ、ピリジニル、モルホリニル、
ピロリジニル、イミダゾ[1,2−a]ピリジニル、モルホリニルカルボニル、ピロリジニルカルボニル、アミノおよびシアノの群からそれぞれ相互から独立に選択される1、2若しくは3個の置換基で場合によっては置換されているナフタレニル若しくはフェニルであり;
Hetは、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、フラニル、チエニル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニルおよびピリダジニルの群から選択される単環性の複素環基;若しくはキノリニル、キノキサリニル、インドリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾキサゾリル、ベンズイソキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズイソチアゾリル、ベンゾフラニルおよびベンゾチエニルの群から選択される二環性の複素環基であり;各単環および二環性の複素環基はハロおよびアルキルの群から選択される1個の基でいずれかの原子上で場合によっては置換されていてよく;
Hetは、ピロリジニル、ジオキソリル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、ジチアニル、チオモルホリニル、ピペラジニル、イミダゾリジニル、テトラヒドロフラニル、2H−ピロリル、ピロリニル、イミダゾリニル、ピラゾリニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、フラニル、チエニル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、イソチアゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニルおよびトリアジニルの群から選択される単環性の複素環基;若しくはベンゾピペリジニル、キノリニル、キノキサリニル、インドリル、イソインドリル、クロメニル、ベンズイミダゾリル、イミダゾ[1,2−a]ピリジニル、ベンゾキサゾリル、ベンズイソキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズイソチアゾリル、ベンゾフラニルおよびベンゾチエニルの群から選択される二環性の複素環基であり;各単環および二環性の基は、Ar、Arアルキル、ハロ、ヒドロキシ、アルキル、ピペリジニル、ピロリル、チエニル、オキソ、アルキルオキシ、アルキルオキシアルキルおよびアルキルオキシカルボニルの群から選択される1個若しくはそれ以上の基で場合によっては置換されており;ならびに
アルキルは、1から6個までの炭素原子を有する直鎖若しくは分枝状の飽和炭化水素基または3から6個までの炭素原子を有する環状の飽和炭化水素基であり;フェニル、ハロ、シアノ、オキソ、ヒドロキシ、ホルミルおよびアミノ基の群から選択される1個若しくはそれ以上の基で1個若しくはそれ以上の炭素原子上で場合によっては置換されている]
の化合物、その製薬学的に許容できる酸若しくは塩基付加塩、その立体異性体、そのN−オキシドの形態およびそのプロドラッグを含んでなる、製薬学的組成物に関する。
【0012】
より具体的には、本発明は、製薬学的に許容できる担体、ならびに有効成分として1種のオピオイド鎮痛薬、および治療上有効な量の、
nが1であり;
mが1であり;
pが1であり;
QがOであり;
Xが共有結合であり;
各RがAr若しくはAr−アルキルであり;
qが0若しくは1であり;
がArであり;
Yが共有結合または式−C(=O)−若しくは−SO−の二価の基であり;
各Alkが、相互から独立に、共有結合;1から6個までの炭素原子を有する二価の直鎖若しくは分枝状の飽和若しくは不飽和の炭化水素基;または3から6個までの炭素原子を有する環状の飽和若しくは不飽和の炭化水素基を表し;各基は1個若しくはそれ以上の炭素原子上で1個若しくはそれ以上のフェニル、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、ホルミルおよびアミノ基で場合によっては置換されており;
Lが水素、アルキルオキシ、Ar−オキシ、アルキルオキシカルボニル、モノおよびジ
(アルキル)アミノ、モノおよびジ(Ar)アミノ、ArおよびHetの群から選択され;
Arが1、2若しくは3個のアルキル基で場合によっては置換されているフェニルであり;
Arが1、2若しくは3個のアルキル基で場合によっては置換されているフェニルであり;
Arが、アルキルオキシ、アルキル、ハロ、ヒドロキシ、ピリジニル、モルホリニル、ピロリジニル、イミダゾ[1,2−a]ピリジニル、モルホリニルカルボニル、ピロリジニルカルボニル、アミノおよびシアノの群からそれぞれ相互から独立に選択される1、2若しくは3個の置換基で場合によっては置換されているフェニルであり;
Hetが、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、フラニル、チエニル、イソキサゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニルおよびピリダジニルの群から選択される単環性の複素環基;若しくはベンゾピペリジニル、キノリニル、キノキサリニル、インドリル、クロメニルおよびベンズイミダゾリルの群から選択される二環性の複素環基であり;各単環および二環性の基は、Ar、Arアルキル、ハロ、ヒドロキシ、アルキル、ピペリジニル、ピロリル、チエニル、オキソおよびアルキルオキシカルボニルの群から選択される1個若しくはそれ以上の基で場合によっては置換されており;ならびに
アルキルが、1個若しくはそれ以上のハロ基で場合によっては置換されている、1から6個までの炭素原子を有する直鎖状の炭化水素基である
式(I)の化合物、その製薬学的に許容できる酸若しくは塩基付加塩、その立体異性体、そのN−オキシドの形態およびそのプロドラッグを含んでなる、製薬学的組成物に関する。
【0013】
より具体的には、本発明は、製薬学的に許容できる担体、ならびに有効成分として1種のオピオイド鎮痛薬、ならびに、治療上有効な量の、mおよびnが1に等しくかつArが未置換フェニルである式(I)の化合物についての以下の式のいずれかで例示されるところのRがArメチルでありかつ2位に結合されているか若しくはRがArでありかつ3位に結合されている式(I)の化合物、その製薬学的に許容できる酸若しくは塩基付加塩、その立体異性体、そのN−オキシドの形態およびそのプロドラッグを含んでなる、製薬学的組成物に関する。好ましくは、Arメチルは未置換ベンジル基である。
【0014】
【化2】

【0015】
より具体的には、該製薬学的組成物は、R−X−C(=Q)−部分が3,5−ジ(トリフルオロメチル)フェニルカルボニルである一般式(I)の化合物、その製薬学的に許容できる酸若しくは塩基付加塩、その立体異性体、そのN−オキシドの形態およびそのプロドラッグを含んでなる。
【0016】
より具体的には、該製薬学的組成物は:
・{4−[4−(1−ベンゾイル−ピペリジン−4−イル)−ピペラジン−1−イル]−2−ベンジル−ピペリジン−1−イル}−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニ
ル)−メタノン;および
・(2−ベンジル−4−{4−[1−(4−メチル−[1,2,3]チアジアゾール−5−カルボニル)−ピペリジン−4−イル]−ピペラジン−1−イル}−ピペリジン−1−イル)−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−メタノン
の群から選択される化合物を含んでなる。
【0017】
最も具体的には、該製薬学的組成物は、実験の節で引用されるところの化合物番号5、110、97、45、22、151、80、62、104、8、78、12、39、113、16、56、143、36、77、106、102、6、3、142、51、9、13、32、139、4、108、89、116、2、42、140、85、37、65、133、79、64、7、141、132、134、119、90、11、26、10および144をもつ、式(I)の化合物、その製薬学的に許容できる酸若しくは塩基付加塩、その立体異性体、そのN−オキシドの形態およびそのプロドラッグを含んでなる。
【0018】
本出願の枠組みにおいて、アルキルは1から6個までの炭素原子を有する一価の直鎖若しくは分枝状の飽和炭化水素基、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、1−メチルプロピル、1,1−ジメチルエチル、ペンチル、ヘキシルと定義され;アルキルはさらに、3から6個までの炭素原子を有する一価の環状飽和炭化水素基、例えばシクロプロピル、メチルシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルを提供する。アルキルの定義はまた、1個若しくはそれ以上の炭素原子上で1個若しくはそれ以上のフェニル、ハロ、シアノ、オキソ、ヒドロキシ、ホルミルおよびアミノ基、例えばヒドロキシアルキル、とりわけヒドロキシメチルおよびヒドロキシエチル、ならびにポリハロアルキル、とりわけジフルオロメチルおよびトリフルオロメチルで場合によっては置換されているアルキル基も含んでなる。
【0019】
本出願の枠組みにおいて、ハロはフルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードに包括的なものである。
【0020】
本出願の枠組みにおいて、「本発明の化合物」で、一般式(I)の化合物、その製薬学的に許容できる酸若しくは塩基付加塩、その立体異性体、そのN−オキシドの形態およびそのプロドラッグを意味している。
【0021】
本出願の枠組みにおいて、とりわけ式(I)の部分Alk−Y−Alkにおいて、前記部分の2個若しくはそれ以上の連続する要素が共有結合を示す場合には、単共有結合が示される。例えば、AlkおよびYが双方とも共有結合を示しかつAlkがCHである場合には、部分Alk−Y−Alkは−CHを示す。
【0022】
製薬学的に許容できる塩は、本発明の化合物が形成することが可能である治療上有効な非毒性の酸付加塩の形態を含むと定義する。前記塩は、塩基の形態の本発明の化合物を適切な酸、例えば無機酸、例えばハロ水素酸、とりわけ塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸およびリン酸;有機酸、例えば酢酸、ヒドロキシ酢酸、プロパン酸、乳酸、ピルビン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、シクラミン酸、サリチル酸、p−アミノサリチル酸およびパモ酸で処理することにより得ることができる。
【0023】
酸性プロトンを含有する本発明の化合物はまた、適切な有機および無機塩基での処理によりそれらの治療上有効な非毒性の金属若しくはアミン付加塩の形態にも転化しうる。適切な塩基塩の形態は、例えば、アンモニウム塩、アルカリおよびアルカリ土類金属塩、とりわけリチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウムおよびカルシウム塩、有機塩基と
の塩、例えばベンザチン、N−メチル−D−グルカミン、ヒブラミン塩、ならびにアミノ酸、例えばアルギニンおよびリシンとの塩を含んでなる。
【0024】
逆に、前記塩の形態は、適切な塩基若しくは酸での処理により遊離の形態に転化し得る。
【0025】
本出願の枠組みにおいて使用されるところの付加塩という用語は、本発明の化合物ならびにそれらの塩が形成することが可能である溶媒和物もまた含んでなる。こうした溶媒和物は例えば水和物およびアルコール和物である。
【0026】
本発明の化合物のN−オキシドの形態は、1個若しくは数個の窒素原子がいわゆるN−オキシド、とりわけ1個若しくはそれ以上の(例えばピペラジニル若しくはピペリジニル基の)三級窒素がN−オキシド化されているN−オキシドに酸化されている本発明の化合物を含んでなることを意味している。こうしたN−オキシドはいかなる発明の技術も用いずに当業者により容易に得ることができ、そしてそれらは本発明の化合物の明らかな代替である。これらの化合物が摂取に際して人体内で酸化により形成される代謝物であるためである。公知であるとおり、酸化は通常、薬物代謝に関与する第一段階である(Textbook of Organic Medicinal and Pharmaceutical Chemistry、1977、70〜75ページ)。また公知であるとおり、代謝物の形態の化合物もまた、ほぼ同一の効果を伴い該化合物それ自体の代わりにヒトに投与し得る。
【0027】
本発明の化合物は最低2個の酸化可能な窒素(三級アミン部分)を有する。従ってN−オキシドがヒト代謝において生じるはずであることが高度にありそうである。
【0028】
式(I)の化合物は、三価の窒素をそのN−オキシドの形態に転化するための技術既知の手順に従って、対応するN−オキシドの形態に転化しうる。前記N−酸化反応は、一般に、式(I)の出発原料を適切な有機若しくは無機過酸化物と反応させることにより実施しうる。適切な無機過酸化物は、例えば、過酸化水素、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属過酸化物、例えば過酸化ナトリウム、過酸化カリウムを含んでなり;適切な有機過酸化物は、例えばベンゼンカルボペルオキソ酸若しくはハロ置換ベンゼンカルボペルオキソ酸、例えば3−クロロベンゼンカルボペルオキソ酸、ペルオキソアルカン酸、例えばペルオキソ酢酸、アルキルヒドロペルオキシド、例えばtert−ブチルヒドロペルオキシドのようなペルオキシ酸を含みうる。適する溶媒は例えば水、低級アルカノール、例えばエタノールなど、炭化水素、例えばトルエン、ケトン、例えば2−ブタノン、ハロゲン化炭化水素、例えばジクロロメタン、およびこうした溶媒の混合物である。
【0029】
上で使用されたところの「立体異性体」という用語は、式(I)の化合物が有しうる全部の可能な異性体を定義する。別の方法で挙げられ若しくは示されない限り、化合物の化学的呼称は全部の可能な立体異性体の混合物であり、前記混合物は基礎分子構造の全部のジアステレオマーおよび鏡像異性体を含有する。より具体的には、ステレオジェン中心はR若しくはS配置を有することができ;二価の環状の(部分的)飽和基上の置換基はcis若しくはtransいずれかの配置を有しうる。二重結合を包含する化合物は前記二重結合でE若しくはZの立体化学を有し得る。式(I)の化合物の立体異性体は、明らかに、本発明の範囲内に包含されることを意図している。
【0030】
CAS命名法規約に従い、既知の絶対配置の2個のステレオジェン中心が1分子中に存在する場合は、最小番号のキラル中心すなわち参照中心に(Cahn−Ingold−Prelogの順序規則に基づき)R若しくはS記述子が割り当てられる。第二のステレオジェン中心の配置は相対記述子[R*,R*]若しくは[R*,S*]を使用して示され、式
中R*は常に参照中心として指定され、そして[R*,R*]は同一のキラリティーをもつ中心を示し、また、[R*,S*]は異なるキラリティーの中心を示す。例えば、分子中の最小番号のキラル中心がS配置を有しかつ第二の中心がRである場合は、立体記述子はS−[R*,S*]と指定されることができる。「α」および「β」が使用される場合、すなわち最小の環番号を有する環系中の非対称炭素原子上の最高優先度の置換基の位置は、自由裁量で常に、該環系により決定される平均面(mean plane)の「α」位置である。参照原子上の最高優先度の置換基の位置に関して該環系中の他の非対称炭素原子上の最高優先度の置換基の位置(式(I)の化合物中の水素原子)は、それが該環系により決定される平均面の同一側にある場合には「α」、若しくは該環系により決定される平均面の他の側にある場合には「β」と命名される。
【0031】
本発明の化合物および中間体化合物のいくつかはそれらの構造中、すなわちピペリジニル部分の2若しくは3位(RおよびS)ならびに4位に最低2個のステレオジェン中心を有し、ここで結合されている基は該ピペリジニル部分の2若しくは3位の基に関してcis若しくはtransいずれの位置にあってもよい。
【0032】
本発明はまた、in vivoで分解されて本発明の化合物を生じる本発明の薬理学的有効成分の誘導体化合物(通常「プロドラッグ」と呼ばれる)を含んでなる本発明の製薬学的組成物も含んでなる。プロドラッグは、通常(しかし常にではなく)、標的受容体にて、それらが分解される化合物より低い効力のものである。プロドラッグは、所望の化合物がその投与を困難若しくは無効にする化学若しくは物理特性を有する場合にとりわけ有用である。例えば、所望の化合物が乏しくのみ溶解性であるかもしれず、それは粘膜上皮を横断してほとんど輸送されないかもしれず、若しくはそれは望ましくない短い血漿半減期を有するかもしれない。プロドラッグについてのさらなる論考は、Stella,V.J.ら、“Prodrugs”、Drug Delivery Systems、1985、pp.112−176およびDrugs、1985、29、pp.455−473に見出しうる。
【0033】
本発明の薬理学的有効成分のプロドラッグの形態は、一般に、エステル化若しくはアミド化される酸基を有する本発明の化合物であることができる。式−COOR(式中RはC1−6アルキル、フェニル、ベンジル若しくは以下の基
【0034】
【化3】

【0035】
の1種である)の基がこうしたエステル化された酸基に包含される。
【0036】
アミド化された基は、式−CONR(式中RはH、C1−6アルキル、フェニル若しくはベンジルでありかつRは−OH、H、C1−6アルキル、フェニル若しくはベンジルである)の基を包含する。アミノ基を有する本発明の化合物は、ケトン若しくはホルムアルデヒドのようなアルデヒドで誘導体化してマンニッヒ塩基を形成しうる。この塩基は水性溶液中で一次速度式を伴い加水分解することができる。
【0037】
下述される方法で製造されるところの式(I)の化合物は、技術既知の分割手順に従って相互から分離し得る鏡像異性体のラセミ混合物の形態で合成されることがある。式(I
)のラセミ化合物は、適するキラルな酸との反応により対応するジアステレオマー塩の形態に転化しうる。前記ジアステレオマー塩の形態をその後、選択的すなわち分別結晶により分離し、そして鏡像異性体をアルカリによりそれから遊離させる。式(I)の化合物の鏡像異性体の代替の一分離様式は、キラル固定相を使用する液体クロマトグラフィーを必要とする。前記純粋な立体異性体はまた、適切な出発原料の対応する純粋な立体異性体からも得ることができるが、但し、該反応が立体特異的に起こる。好ましくは、特定の一立体異性体が望ましい場合は、前記化合物を立体特異的製造方法により合成することができる。これらの方法は、有利には、鏡像異性的に純粋な出発原料を使用することができる。
【0038】
本出願の枠組みにおいて、オピオイドという用語は、薬理作用に関してあへん様若しくはモルヒネ様を意味する。広範な群のあへんアルカロイド、あへんアルカロイドに関連する合成誘導体、ならびにモルヒネ様の薬理効果をもつ多くの天然に存在するおよび合成のペプチドをオピオイドと呼ぶ。モルヒネの効果に類似の薬理効果を有することに加え、化合物は、オピオイドとして分類されるために、ナロキソンのようなオピオイドアンタゴニストにより拮抗されなければならない。オピオイド剤が結合して生物学的応答を開始する神経に位置するタンパク質はオピオイド受容体と呼ばれる。オピオイドは末梢および中枢で作用し得る。
【0039】
本発明での使用に適するオピオイド若しくはオピオイド鎮痛薬は、アルフェンタニル、ブプレノルフィン、ブトルファノール、カルフェンタニル、コデイン、ジアセチルモルヒネ、ジヒドロコデイン、フェンタニル、ヒドロコドン、ヒドロモルホン、レボルファノール、ロフェンタニル、メペリジン、メサドン、モルヒネ、ナルブフィン、オキシコドン、オキシモルホン、ペンタゾシン、プロポキシフェン、レミフェンタニルおよびスフェンタニル;ならびにそれらの製薬学的に許容できる塩および誘導体の群から選択される1種若しくはそれ以上の化合物を包含する。
【0040】
鎮痛薬としてのそれらの広範な使用により、本発明での使用の好ましいオピオイド鎮痛薬は、オキシコドン、コデイン、モルヒネ、フェンタニル、ブプレノルフィン、ヒドロコドン、ヒドロモルホンの群から選択される1種若しくはそれ以上の化合物、ならびにそれらの製薬学的に許容できる塩および誘導体である。
【0041】
本発明での使用のオピオイド鎮痛薬の適する製薬学的に許容できる塩は、NKアンタゴニストの塩に関して上述された塩を包含する。
【0042】
本発明での使用のオピオイド鎮痛薬の好ましい塩は、塩酸アルフェンタニル、塩酸ブプレノルフィン、酒石酸ブトルファノール、リン酸コデイン、硫酸コデイン、塩酸ジアセチルモルヒネ、重酒石酸ジヒドロコデイン、クエン酸フェンタニル、重酒石酸ヒドロコドン、塩酸ヒドロモルホン、酒石酸レボルファノール、塩酸メペリジン、塩酸メサドン、硫酸モルヒネ、塩酸モルヒネ、酒石酸モルヒネ、塩酸ナルブフィン、塩酸オキシモルホン、塩酸ペンタゾシン、塩酸プロポキシフェンおよびナプシル酸プロポキシフェン(2−ナフタレンスルホン酸(1:1)一水和物)を包含する。
【0043】
本発明での使用のとりわけ好ましいオピオイド鎮痛薬は、モルヒネ、フェンタニル、ならびにそれらの製薬学的に許容できる塩および誘導体である。
【0044】
本発明での使用のよりとりわけ好ましいオピオイド鎮痛薬は硫酸モルヒネおよびクエン酸フェンタニルである。
薬理学
本発明の化合物は、ニューロキニン媒介性の効果、とりわけNK受容体を介して媒介されるものの強力な阻害剤であり、そして従って、下述されるブタ冠動脈のサブスタンス
P誘発性の弛緩の拮抗作用によりin vitroで示されるとおり、ニューロキニンアンタゴニスト、とりわけサブスタンスPアンタゴニストとして記述されうる。ヒト、モルモットおよびスナネズミのニューロキニン受容体に対する本化合物の結合親和性は、放射リガンドとしてH−サブスタンスPを使用する受容体結合試験でin vitroで測決定しうる。主題の化合物はまた、例えばモルモットにおけるサブスタンスP誘発性の血漿溢出の拮抗作用、若しくはフェレットにおける薬物誘発性の嘔吐の拮抗作用により明示されうるとおり、in vivoでサブスタンスP拮抗活性も示す(Watsonら、Br.J.Pharmacol.115:84−94(1995))。
【0045】
NKアンタゴニストとのオピオイド鎮痛薬の組合せは改良された有効性をもたらす。有効性の獲得に加え、本組合せはまた臨床使用されるオピオイドを用いて現在存在する副作用のいくつかも低下させる。オピオイドの鎮痛活性を増強するNK受容体アンタゴニストはより低用量を必要とし、オピオイドの副作用、とりわけ嘔吐、呼吸抑制および耐性の低下された危険をもたらす。しかし、加えて、(より低いオピオイド用量でではなく)類似の用量でオピオイドにNK1を追加するという利益もまた存在することがわかる。
【0046】
呼吸抑制はオピオイド鎮痛薬の最も重大な副作用でありかつ過量摂取による死亡の主原因である。オピオイドは二酸化炭素(換気反射の通常の刺激)に対する脳幹の化学受容器の感受性を低下させる。該結果は血液および脳脊髄液中の二酸化炭素圧(PCO2)の増大に対する換気応答の鈍化である。等しく有効な鎮痛用量で、大部分のオピオイドは、血液PCO2の上昇により示されるような類似の程度の呼吸抑制を生じる。この効果は、全身麻酔薬および鎮静催眠薬を包含するCNS機能を抑制する他の薬物により生じられるものに少なくとも相加的である。治療用量のオピオイドにより生じられる軽度の呼吸抑制は、通常はほとんど重要でない。しかしながら、オピオイド鎮痛薬は外傷性頭部傷害、肺気腫を伴う患者および病的肥満である患者では慎重に使用しなければならない。その通常の鎮痛用量の3ないし5倍で、モルヒネは非耐性患者で呼吸停止を引き起こし得る。対照的に、はるかにより高用量はモルヒネ耐性の個体で最小限の呼吸効果を有することができる。
【0047】
耐性は、反復使用に伴う低下した薬物の効果および/若しくは同一効果を生じるためのより高用量に対する必要性を指す。耐性は全部の効果について同一程度まで起こるわけではないため、増大する量の薬物を服用する薬物濫用者は、耐性を発生しない効果への曝露の危険を冒す。耐性はオピオイドの効果の多くに対して発生する。反復薬物投与で、同一の薬理学的応答を生じるのにより大用量が必要になる。耐性発生率は器官の冒される組織で変動する。耐性はオピオイドの制吐効果に対し迅速に;それらの鎮痛、内分泌および呼吸抑制効果に対しより徐々に発生し;そしてそれらの便秘および縮瞳効果に対しては事実上全く発生しない。
【0048】
本発明の化合物は、オピオイドにより誘発される望ましくない副作用を低下させることが示された。こうした低下は、いくつかの種(例えばフェレット、スナネズミ、ラット、モルモット)、ならびに異なる状態の急性および慢性疼痛を目的とした疼痛モデルを包括する数種の疼痛モデル、ならびにオピオイドの副作用(オピオイド誘発性の嘔吐、GI移動および呼吸抑制のような)の概略を提示することを目的とした動物モデルを使用するin vivo試験により試験し得る。例えば、本発明の化合物は:
・いくつかの種でオピオイド誘発性の嘔吐を阻害することが可能であり;
・急性、臓器および高強度の疼痛のモデルにおいてオピオイドの抗侵害受容特性を低下させず;
・炎症性および慢性神経障害性疼痛のモデルにおいてオピオイドの抗侵害受容特性に対する付加的な効果を有さず;
・いくつかの種でオピオイドにより誘発される呼吸抑制を低下させ;
・慢性神経障害性疼痛のモデルに連日投与したオピオイドで観察される耐性を低下および克服することが可能であり;
・オピオイドの特徴的な中枢麻薬効果を妨害せず;
・同時に投与した場合にオピオイドの薬物動態に対する影響を有しなかった。これは観察された薬理効果の起源としての薬物動態の相互作用を除外する。
【0049】
本発明は従って、疼痛および/若しくは侵害受容の予防および/若しくは処置のための医薬品の製造のための本発明の製薬学的組成物の使用にもまた関する。
【0050】
とりわけ、本発明は、急性および慢性疼痛の、より具体的には炎症性、術後、救急治療室(ER)、破綻、神経障害性および癌性疼痛の処置におけるオピオイドに基づく予防および/若しくは処置のための医薬品の製造のための本発明の製薬学的組成物の使用に関する。
【0051】
本発明はさらに、疼痛のオピオイドに基づく処置における嘔吐の予防および/若しくは処置のための医薬品の製造のための本発明の製薬学的組成物の使用に関する。
【0052】
本発明はさらに、疼痛のオピオイドに基づく処置における嘔吐(emesis)の予防および/若しくは処置のための医薬品の製造のための本発明の製薬学的組成物の使用に関し、ここで嘔吐(emesis)は悪心および嘔吐(vomiting)である。
【0053】
本発明はまた、疼痛のオピオイドに基づく処置における呼吸抑制の予防および/若しくは治療のための医薬品の製造のため、NK受容体アンタゴニスト、具体的には式(I)のNK受容体アンタゴニスト、その製薬学的に許容できる酸若しくは塩基付加塩、その立体異性体、そのN−オキシドおよびそのプロドラッグの使用にも関する。
【0054】
本発明はまた、例えば慢性神経障害性疼痛において連日投与される場合にオピオイドで観察される耐性を低下かつ/若しくは克服するための医薬品の製造のための、NK受容体アンタゴニスト、具体的には式(I)のNK受容体アンタゴニスト、その製薬学的に許容できる酸若しくは塩基付加塩、その立体異性体、そのN−オキシドの形態およびそのプロドラッグの使用にも関する。
【0055】
本発明の製薬学的組成物を製造するために、場合によっては付加塩の形態の有効量の有効成分を、製薬学的に許容できる担体との緊密な混合状態で組合せ、この担体は投与に望ましい製剤の形態に依存して多様な形態を取りうる。該製薬学的組成物は、とりわけ経口で、直腸で、経皮で、非経口注入による、若しくは吸入による投与に適する単位投薬形態物で望ましい。例えば、経口投薬形態物の組成物の製造において、例えば、懸濁剤、シロップ剤、エリキシル剤、乳剤および溶液のような経口の液体製剤の場合には水、グリコール、油、アルコールなど;若しくは散剤、丸剤、カプセル剤および錠剤の場合にはデンプン、糖、カオリン、希釈剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤などのような固体の担体のような通常の製薬学的媒体のいずれも使用しうる。投与におけるそれらの容易さのため、錠剤およびカプセル剤が最も有利な経口の投薬単位形態物を代表し、その場合には固体の製薬学的担体が明らかに使用される。非経口組成物のためには、担体は通常、少なくとも大部分が滅菌水を含むことができるとは言え、例えば溶解性を補助するための他の成分も包含されうる。例えば、担体が生理的食塩水溶液、ブドウ糖溶液若しくは生理的食塩水およびブドウ糖溶液の混合物を含んでなる注入可能な溶液を製造しうる。注入可能な懸濁剤もまた製造することができ、この場合には、適切な液体担体、懸濁化剤などを使用しうる。使用直前に液体の形態の製剤に転化されることを意図している固体の形態の製剤もまた包含される。経皮投与に適する組成物中では、担体は、少ない比率のいずれかの性質の適する添加物と場合によっては組合せられる浸透増強剤および/若しくは適する湿潤剤を場合によっ
ては含んでなり、これら添加物は皮膚に対する重大な有害な影響を導入しない。前記添加物は皮膚への投与を助長することができかつ/若しくは所望の組成物を製造するために役立ちうる。これらの組成物は多様な方法で、例えば経皮貼付剤として、スポットオン剤として、軟膏剤として投与しうる。他の組成物は、舌下、鼻内若しくは肺適用に適する、または点眼薬として適する形態の組成物でありうる。
【0056】
投与の容易さおよび投薬量の均一性のため、前述の製薬学的組成物を単位投薬形態物に処方することがとりわけ有利である。本明細書で使用されるところの単位投薬形態物は、単位投薬量として適する物理的に別個の単位を指し、各単位は、必要とされる製薬学的担体とともに所望の治療効果を生じるように計算された予め決められた量の有効成分を含有する。こうした単位投薬形態物の例は、錠剤(割線付き錠剤若しくはコーティング錠剤を包含する)、カプセル剤、丸剤、散剤包、カシェ剤、坐剤、注入可能な溶液若しくは懸濁剤など、およびそれらの分離された倍数である。
【0057】
本発明の化合物は強力な経口で投与可能なNKアンタゴニストであるため、経口での投与のための前記化合物を含んでなる製薬学的組成物はとりわけ有利である。
【0058】
該NK受容体アンタゴニストおよびオピオイド鎮痛薬は、本発明による同時、別個若しくは連続使用のため、単一の製薬学的製品若しくは組成物に、または、あるいは個別の製薬学的製品若しくは組成物に処方しうる。該製薬学的製品若しくは組成物はまた、別個の単位投薬量としてNK受容体アンタゴニストおよびオピオイド鎮痛薬を含んでなる1製品でもありうる。
【0059】
単一若しくは別個のいずれかの製薬学的組成物(1種若しくは複数)として組合せで投与される場合、該NK受容体アンタゴニストおよびオピオイド鎮痛薬は、所望の効果の明示に矛盾しない比で提示される。とりわけ、オピオイド鎮痛薬に対するNKアンタゴニストの重量比は、適してはおよそ1対1であることができる。好ましくは、この比は0.001対1と1000対1との間、およびとりわけ0.01対1と100対1との間であることができる。
【0060】
NK受容体アンタゴニストに適する投薬量レベルは、1日あたり約0.001ないし25mg/kg、好ましくは1日あたり約0.005ないし10mg/kg、およびとりわけ約0.005ないし5mg/kg日である。該化合物は1日あたり6回まで、好ましくは1日あたり1ないし4回のレジメンで投与しうる。
【0061】
オピオイド鎮痛薬は、こうした鎮痛薬の慣習的投薬量レベルまでの投薬量レベルで、しかし好ましくは本発明の低下されたレベルで投与しうる。適する投薬量レベルは選ばれたオピオイド鎮痛薬の鎮痛効果に依存することができるが、しかし、典型的には、適するレベルは、1日あたり約0.001ないし25mg/kg、好ましくは1日あたり0.005ないし10mg/kg、およびとりわけ0.005ないし5mg/kg日であることができる。該化合物は、1日あたり6回まで、好ましくは1日あたり1ないし4回のレジメンで投与しうる。
【0062】
疼痛および侵害受容の予防および/若しくは処置での使用に必要とされるNK受容体アンタゴニストおよびオピオイド鎮痛薬の量は、選択された特定の化合物若しくは組成物でのみならず、しかしまた投与経路、治療されている状態の性質、ならびにこうした処置を必要とするヒトの年齢および状態でもまた変動することができ、そして究極的には主治医の自由裁量であることができることが認識されるであろう。
製造法
本発明の化合物は、一般に、それぞれが当業者に既知である段階の連続により製造し得
る。
【0063】
式(I)の化合物は、R、R、X、Q、m、nおよびpが式(I)でのとおり定義される式(II)の中間体を、R、Alk、Y、Lおよびqが式(I)でのとおり定義される式(III)のN−置換ピペリジノンで還元的にN−アルキル化することにより便宜的に製造される。前記還元的N−アルキル化は、例えばジクロロメタン、エタノール若しくはトルエンまたはそれらの混合物のような反応不活性溶媒中、および例えばホウ水素化物、例えばホウ水素化ナトリウム、シアノホウ水素化若しくはトリアセトキシホウ水素化ナトリウムのような適切な還元剤の存在下で実施しうる。ホウ水素化物を還元剤として使用する場合、例えばJ.Org.Chem、1990、55、2552−2554に記述されるところのチタン(IV)イソプロピレートのような錯体形成剤を使用することが便宜的でありうる。前記錯体形成剤を使用することはまたtrans異性体に好都合な改良されたcis/trans比ももたらしうる。例えば炭上パラジウム若しくは炭上白金のような適する触媒とともに還元剤として水素を使用することもまた便宜的でありうる。水素を還元剤として使用する場合、例えばアルミニウムtert−ブトキシドのような脱水剤を反応混合物に添加することが有利でありうる。反応体および反応生成物中のある種の官能基の望ましくないさらなる水素添加を予防するために、反応混合物に適切な触媒毒、例えばチオフェン若しくはキノリン−イオウを添加することもまた有利でありうる。攪拌、ならびに場合によっては上昇された温度および/若しくは圧が反応速度を高めうる。
【0064】
【化4】

【0065】
これおよび以下の製造法において、反応生成物を反応媒体から単離し、そして必要な場合は、例えば抽出、結晶化、摩砕およびクロマトグラフィーのような当該技術分野で公知の方法論に従ってさらに精製してよい。
【0066】
Alk−Y−Alk−L−部分がベンジルである前の反応スキームに従ってかようにAlk−Y−Alk−L−部分がベンジルである式(I)の化合物を生じる本発明の化合物の製造法がとりわけ有利である。前記化合物は薬理学的に活性であり、かつ、例えば炭上パラジウム若しくは炭上白金のような適する触媒とともに還元剤として例えば水素を使用する還元的水素添加により、Alk−Y−Alk−L−部分が水素である本発明の化合物に転化し得る。生じる本発明の化合物をその後、技術既知の変換、例えばアシル化およびアルキル化により本発明の他の化合物に転化し得る。
【0067】
とりわけ、式(I)の化合物は、R、R、X、Q、m、n、pおよびqが式(I)でのとおり定義される式(I’)の最終化合物を、AlkおよびLが式(I)でのとおり定義されかつWが例えばハロ、例えばクロロ若しくはブロモのような適切な脱離基またはスルホニルオキシ脱離基例えばメタンスルホニルオキシ若しくはベンゼンスルホニルオキシである式(V)のアシル化合物と反応させることにより製造し得る。該反応は、例えば塩素化炭化水素、例えばジクロロメタン、アルコール、例えばエタノール、若しくはケトン、例えばメチルイソブチルケトンのような反応不活性溶媒中、および例えば炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム若しくはトリエチルアミンのような適する塩基の存在下で実施し得る。攪拌が反応速度を高めうる。該反応は、室温と還流温度との間の範囲にわたる温度で便宜的に実施しうる。
【0068】
【化5】

【0069】
あるいは、式(I)の化合物は、R、R、X、Q、m、n、pおよびqが式(I)でのとおり定義される式(I’)の最終化合物を、AlkおよびLが式(I)でのとおり定義される式(VI)のカルボン酸と反応させることによってもまた製造し得る(塩基に触媒される求核付加反応)。該反応は、例えば塩素化炭化水素、例えばジクロロメタン、アルコール、例えばエタノール、若しくはケトン、例えばメチルイソブチルケトンのような反応不活性溶媒中、および例えば炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム若しくはトリエチルアミンのような適する塩基の存在下で実施し得る。攪拌が反応速度を高めうる。該反応は、室温と還流温度との間の範囲にわたる温度で便宜的に実施しうる。
【0070】
【化6】

【0071】
上の反応は、式(VI)のカルボン酸のカルボン酸エステルを用いて同等の条件下でもまた実施しうる。
【0072】
とりわけ、式(I)の化合物は、R、R、X、Q、m、n、pおよびqが式(I)でのとおり定義される式(I’)の最終化合物を、Wが例えばハロゲン、例えばクロロ若しくはブロモのような適切な脱離基またはスルホニルオキシ脱離基例えばメタンスルホニルオキシ若しくはベンゼンスルホニルオキシである式(VII)のケト化合物と反応させることにより製造し得る。該反応は、例えば塩素化炭化水素、例えばジクロロメタン、アルコール、例えばエタノール、若しくはケトン、例えばメチルイソブチルケトンのような反応不活性溶媒中、および例えば炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム若しくはトリエチルアミンのような適する塩基の存在下で実施し得る。攪拌が反応速度を高めうる。該反応は、室温と還流温度との間の範囲にわたる温度で便宜的に実施しうる。
【0073】
【化7】

【0074】
式(I)の化合物は、AlkおよびLが式(I)でのとおり定義されかつWが例えばハロゲン、例えばクロロ若しくはブロモのような適切な脱離基またはスルホニルオキシ
脱離基例えばメタンスルホニル若しくはベンゼンスルホニルオキシである式(VIII)の化合物での、R、R、X、Q、m、n、pおよびqが式(I)でのとおり定義される式(I’)の最終化合物の還元的アミノ化/アルキル化により製造し得る。該反応は、例えば塩素化炭化水素、例えばジクロロメタン、アルコール、例えばエタノール、若しくはケトン、例えばメチルイソブチルケトンのような反応不活性溶媒中で、および例えば炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム若しくはトリエチルアミンのような適する塩基の存在下に実施し得る。攪拌が反応速度を高めうる。該反応は、室温と還流温度との間の範囲にわたる温度で便宜的に実施しうる。
【0075】
【化8】

【0076】
出発原料および中間体のいくつかは既知化合物でありかつ商業的に入手可能であるか、若しくは当該技術分野で公知の慣習的反応手順に従って製造しうる。例えば、式(II)の中間体は、Wがベンジル基である式(X)の中間体で式(IX)の中間体を還元的にN−アルキル化することにより製造することができ、その後、式(X)の化合物をその後還元して式(II)の中間体化合物を生じる。前記還元的N−アルキル化は例えばジクロロメタン、エタノール、トルエン若しくはそれらの混合物のような反応不活性溶媒中、および例えばホウ水素化物、例えばホウ水素化ナトリウム、シアノホウ水素化若しくはトリアセトキシホウ水素化ナトリウムのような適切な還元剤の存在下に実施しうる。ホウ水素化物を還元剤として使用する場合、例えば、J.Org.Chem、1990、55、2552−2554に記述されるところのチタン(IV)イソプロピレートのような錯体形成剤を使用することが便宜的でありうる。前記錯体形成剤を使用することはまた、trans異性体に好都合な改良されたcis/trans比ももたらしうる。例えば炭上パラジウム若しくは炭上白金のような適する触媒とともに還元剤として水素を使用することもまた便宜的でありうる。水素を還元剤として使用する場合、例えばアルミニウムtert−ブトキシドのような脱水剤を反応混合物に添加することが有利でありうる。反応体および反応生成物中のある種の官能基の望ましくないさらなる水素添加を予防するために、適切な触媒毒、例えばチオフェン若しくはキノリン−イオウを反応混合物に添加することもまた有利でありうる。攪拌、ならびに場合によっては上昇された温度および/若しくは圧が反応速度を高めうる。
【0077】
【化9】

【0078】
これらおよび他の中間体の製造法は、Janssen Pharmaceutica N.V.により1997年5月9日公開の第WO 97/16440−A1号明細書(引用することにより本明細書に開示される)、ならびに、例えばEP−0,532,456
−A号明細書のような第WO 97/16440−A1号明細書で挙げられる他の刊行物、およびわれわれの同時係属出願第WO 2004/033428 A1号明細書に記述されている。
【0079】
以下の実施例は具体的に説明することを意図しており、そして本発明の範囲を制限することを意図していない。
【実施例】
【0080】
実験の節
下で、「RT」は室温を意味し、「CDI」は1,1’−カルボニルジイミダゾールを意味し、「DIPE」はジイソプロピルエーテルを意味し、「MIK」はメチルイソブチルケトンを意味し、「BINAP」は[1,1’−ビナフタレン]−2,2’−ジイルビス[ジフェニルホスフィン]を意味し、「NMP」は1−メチル−2−ピロリジノンを意味し、「Pd(dba)」はトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムを意味し、そして「DMF」はN,N−ジメチルホルムアミドを意味している。
中間体化合物の製造
実施例A1
a.中間体化合物1の製造
【0081】
【化10】

【0082】
EtN(0.55mol)をトルエン(1500ml)中の7−(フェニルメチル)−1,4−ジオキサ−8−アザスピロ[4.5]デカン(0.5mol)の攪拌混合物に添加した。塩化3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゾイル(0.5mol)を1時間にわたって添加した(発熱反応)。混合物を室温で2時間攪拌し、その後週末の間静置させかつ水で3回洗浄した(500ml、2×250ml)。有機層を分離し、乾燥し、濾過しかつ溶媒を蒸発させた。収量:245g(100%)。この画分の一部を石油エーテルから結晶化した。沈殿物を濾過分離しかつ乾燥した。収量:1.06gの中間体化合物1。
b.中間体化合物2の製造
【0083】
【化11】

【0084】
化学的に純粋なHCl(300ml)をエタノール(300ml)およびHO(300ml)中の中間体化合物1(0.5mol)の混合物に添加した。反応混合物を60℃で20時間攪拌した。沈殿物を濾過分離し、粉砕し、HO中で攪拌し、濾過分離し、石油エーテルで洗浄しかつ乾燥した。収量:192gの中間体化合物2((+−)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゾイル]−2−(フェニルメチル)−4−ピペリジノン)(89.4%)(RおよびS鏡像異性体の混合物)。
c.中間体化合物3の製造
【0085】
【化12】

【0086】
中間体化合物2(0.046mol)、1−(フェニルメチル)ピペラジン(0.051mol)およびC(0.056mol)の混合物を40℃で2時間攪拌した。反応混合物を室温に冷却した。分析純度(p.a.)のエタノール(350ml)を添加した。BHNa(0.138mol)を添加した。生じる反応混合物を室温で1時間、その後50℃で1時間攪拌した。さらに多くのBHNa(5.2g)を添加し、そして反応混合物を50℃で2時間攪拌した。再度、BHNaを添加しかつ反応混合物を室温で一夜、その後50℃で2時間攪拌した。水(10ml)を添加した。混合物を15分間攪拌した。CHCl(200ml)を添加しかつ混合物を15分間攪拌した。有機層を分離し、乾燥し(MgSO)、ディカライトを添加し、混合物をディカライトで濾過し、そして濾液を蒸発させた。この画分を、シリカゲルでのカラムクロマトグラフィーにより(CIS)および(TRANS)に分離した。所望の(TRANS)画分を収集しかつ溶媒を蒸発させ、14.8gの残渣((I)、1.06%(CIS))および4.9gの残渣((II)、6%(CIS))を生じた。それらの(TRANS)画分(合計で±20g)の分割および精製を、Prochrom LC110 35bar(溶離液:ヘキサン/エタノール 90/10)での固相Chiralcel OD(1900Gr)でのクロマトグラフィーにより得た。所望の画分を収集しかつ溶媒を蒸発させた。収量:9.5gの中間体化合物3(2R−trans)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゾイル]−2−(フェニルメチル)−4−[4−(フェニルメチル)−1−ピペラジニル]−ピペリジン。
d.中間体化合物4の製造
【0087】
【化13】

【0088】
メタノール(700ml)中の中間体化合物3(0.288mol)の混合物を、触媒として10% Pd/C(5g)を用い40℃で水素添加した。H(1等量)の取り込み後に触媒を濾過分離しかつ濾液を蒸発させた。収量:141.2gの中間体化合物4(+)−(2R−trans)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゾイル]−2−(フェニルメチル)−4−(1−ピペラジニル)ピペリジン。
実施例A2
中間体化合物5の製造
【0089】
【化14】

【0090】
分析純度のCHCl(10ml)中のN−[(1,1−ジメチルエトキシ)カルボニル]−L−チロシン1,1−ジメチルカーボネート(0.005mol)、N,N−ジメチル−4−ピリジナミン(0.006mol)およびEtN(0.006mol)の混合物を室温で攪拌した。N−(エチルカルボンイミドイル)−N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン一塩酸塩(0.006mol)を一部分ずつ添加しかつ室温で45分間攪拌した。その後、最終化合物2(実施例B1.bに記述された)(0.005mol)を添加し、そして反応混合物を室温で一夜攪拌した。混合物をHOおよびNaCOで洗浄した。分離した有機層を乾燥し、濾過しかつ溶媒を蒸発させた。残渣をガラスフィルター上のシリカゲルで精製した(溶離液:CHCl/MeOH 100/0;98/2;96/4;94/6)。最も純粋な画分を収集しかつ溶媒を蒸発させた。収量:1.4gの中間体化合物5(30%)。
実施例A3
a.中間体化合物6の製造
【0091】
【化15】

【0092】
トルエン(900ml)中の7−(ヒドロキシフェニルメチル)−1,4−ジオキサ−8−アザスピロ[4,5]デカン−8−カルボン酸1,1−ジメチルエチルエステル(0.5mol)および2−メチル−2−プロパノールカリウム塩(6g)の混合物を2時間攪拌かつ還流した。混合物を蒸発させかつ残渣を石油エーテルおよび少量の水中で攪拌した。混合物をデカンテーションし、そして残渣をDIPE中で攪拌した。沈殿物を濾過分離しかつ乾燥した。収量:127.4gの中間体化合物6(92%)。
b.中間体化合物7の製造
【0093】
【化16】

【0094】
メタノール(700ml)中の中間体化合物6(0.5mol)の混合物を、触媒として10% Pd/C(5g)を用いて50℃で一夜水素添加した。H(1等量)の取り込み後に触媒を濾過分離しかつ濾液を蒸発させた。残渣を水に溶解しかつCHClで抽出した。有機層を乾燥し(MgSO)、濾過分離しかつ蒸発させた。収量:99gの中間体化合物7(85%)。
c.中間体化合物8の製造
【0095】
【化17】

【0096】
EtN(0.55mol)をトルエン(1500ml)中の中間体化合物7(0.5mol)の混合物に添加した。塩化3,5−ジメチルベンゾイル(0.5mol)を、温度を50℃より下に保ちつつかつ攪拌を継続しつつ1時間にわたって一滴ずつゆっくりと添加した。混合物を室温で一夜攪拌し、その後水で3回洗浄し(500ml、2×250ml)、そしてその層に分離した。有機層を乾燥し(MgSO)、濾過しかつ溶媒を蒸
発させた。収量:197g(113%)。この画分の一部を乾燥した。収量:0.65gの中間体化合物8。
d.中間体化合物9の製造
【0097】
【化18】

【0098】
エタノール(300ml)、HCl(300ml)およびHO(300ml)中の中間体化合物8(0.56mol)の混合物を60℃で8時間攪拌した。混合物を室温で週末中攪拌した。沈殿物を濾過分離し、水に溶解し、濾過分離し、石油エーテルで洗浄しかつ乾燥した。収量:140.9gの中間体化合物9(88%)。
e.中間体化合物10の製造
【0099】
【化19】

【0100】
チオフェン4%溶液(2ml)およびトルエン(500ml)中の中間体化合物9(0.05mol)および1−(フェニルメチル)−ピペラジン(0.05mol)の混合物を、触媒として10% Pd/C(1g)を用いて水素添加した。H(1等量)の取り込み後に触媒を濾過分離しかつ濾液を蒸発させた。残渣をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(溶離液:CHCl/(CHOH/NH) 99/1)により精製した。純粋な画分を収集しかつ蒸発させた。収量:17.07g(71%)。画分1の純粋な画分を収集しかつ蒸発させた。収量:2.5gの中間体化合物10(10%)。
f.中間体化合物11の製造
【0101】
【化20】

【0102】
メタノール(100ml)中の中間体化合物10(0.0052mol)の混合物を、触媒として10% Pd/C(1g)を用いて50℃で一夜水素添加した。H(1等量)の取り込み後に触媒を濾過分離しかつ濾液を蒸発させた。残渣をガラスフィルター上でシリカゲルで精製した(溶離液:CHCl/(CHOH/NH) 99/1、98/2、97/3、96/4および95/5)。純粋な画分を収集しかつ蒸発させた。収量:中間体化合物11上の1.7g(83%)。
実施例A4
中間体化合物12の製造
【0103】
【化21】

【0104】
2−プロパノール(50ml)中の最終化合物2(B1bに従って製造した)(0.01mol)およびKOH(0.15mol)の混合物を18時間攪拌かつ還流した。溶媒を蒸発させ、その後残渣をHO(20ml)に溶解し、そして混合物をCHClで抽出した。有機層をNaOH(1N)で洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過しかつ溶媒を蒸発させた。収量:3.25gの中間体化合物12(95%)。
最終化合物の製造
実施例B1
a.最終化合物1の製造
【0105】
【化22】

【0106】
メタノール(250ml)中の中間体化合物4(0.12mol)および1−(フェニル)−4−ピペリジノン(0.12mol)の混合物を、チオフェン溶液(2ml)の存在下に触媒として10% Pd/C(3g)を用いて50℃で水素添加した(H163−066)。H(1等量)の取り込み後に触媒を濾過分離しかつ濾液を蒸発させた。残渣を石油エーテルに懸濁し、濾過分離しかつDIPEから結晶化した。収量:46g(F1)。濾液を蒸発させた。収量:37.7g(F2)。F1およびF2を合わせ、そしてシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(溶離液:CHCl/MeOH 91/9)により精製した。生成物の画分を収集しかつ溶媒を蒸発させた。収量:46g(F3)。F3をDIPEから結晶化した。収量:0.65gの最終化合物1。
b.最終化合物2の製造
【0107】
【化23】

【0108】
メタノール(150ml)中の最終化合物1(0.0074mol)の混合物を、触媒として10% Pd/C(1g)を用いて水素添加した(H163−077)。H(1等量)の取り込み後に触媒を濾過分離しかつ濾液を濃縮した。収量:4.3gの最終化合物2。
実施例B2
最終化合物3の製造
【0109】
【化24】

【0110】
CHCl(100ml)中の化合物2(0.0015mol)およびEtN(0.1mol)の混合物を室温で攪拌した。塩化ベンゾイル(0.0025mol)をCHClに溶解しかつ反応混合物に一滴ずつ添加した。混合物を室温で1時間攪拌した。NaOH(1N;100ml)を添加し、そして混合物を室温で30分間攪拌した。分離した水層をCHClで抽出した。有機層をHOで洗浄し、乾燥し(MgSO)、
濾過しかつ溶媒を蒸発させた。残渣をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(溶離液:CHCl/MeOH 100/0;90/10)により精製した。所望の画分を収集しかつ溶媒を蒸発させた。収量:0.624gの最終化合物3。(61%)。
実施例B3
a.最終化合物4の製造
【0111】
【化25】

【0112】
CHCl(20ml)中の5−メチル−4−イソキサゾールカルボン酸(0.0015mol)および1,1’−カルボニルビス−1H−イミダゾール(0.0015mol)の混合物を室温で2時間攪拌した。化合物2(B1.bに従って製造した)(0.001mol)を添加した。一夜攪拌した後、反応混合物を希NaOHで洗浄し、HOで洗浄し、乾燥し、濾過しかつ溶媒を蒸発させた。残渣をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(溶離液:CHCl−勾配0→10%MeOH)により精製した。生成物の画分を収集しかつ溶媒を蒸発させた。残渣を乾燥した。収量:0.204gの最終化合物4。
b.最終化合物5の製造
【0113】
【化26】

【0114】
CHCl(200ml)中の3−チオフェンカルボン酸(0.00188mol)、N,N−ジメチル−4−ピリジナミン(0.00255mol)およびEtN(0.00255mol)の混合物を室温で攪拌した。N,N−ジメチル−N’−(メチルカルボンイミドイル)−1,3−プロパンジアミン(0.00255mol)を一部分ずつ添
加し、そして混合物を室温で1時間攪拌した。CHCl中の化合物2(B1bに従って製造した)(0.00188mol)の溶液を一滴ずつ添加し、そして反応混合物を室温で週末中攪拌した。混合物を1g NaOH/水中に注いだ。層を分離した。水層をCHClで抽出した。分離した有機層を乾燥し(MgSO)、濾過しかつ溶媒を蒸発させた。残渣をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(溶離液:CHCl/CHOH 100/0から90/10まで)により精製した。生成物の画分を収集しかつ溶媒を蒸発させた。収量:0.749gの化合物5(58%)。
実施例B4
a.最終化合物6の製造
【0115】
【化27】

【0116】
分析純度のMIK(125ml)中の化合物2(B1bに従って製造した)(0.005mol)、4−(クロロフェニルアセチル)−モルホリン(0.005mol)およびNaCO(0.01mol)の混合物を、水分離装置を使用して18時間攪拌かつ還流した。反応混合物を水で洗浄し、乾燥し、濾過しかつ溶媒を蒸発させた。残渣をガラスフィルター上のシリカゲル(溶離液:CHCl/(CHOH/NH) 95/5)で精製した。生成物の画分を収集し、そして溶媒を蒸発させた。残渣をDIPEに懸濁し、濾過分離しかつ乾燥した。収量:1.702gの化合物6。
b.最終化合物7の製造
【0117】
【化28】

【0118】
CHCN(5ml)中の化合物2(B1bに従って製造した)(0.0012mol)、2−(クロロメチル)−1H−ベンズイミダゾール(0.0014mol)およびK
CO(0.0018mol)の混合物を12時間攪拌かつ還流し、その後室温に冷却し、そして溶媒を蒸発させた。残渣をCHClに溶解した。有機層をHOで洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過しかつ溶媒を蒸発させた。残渣(0.95g)をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(溶離液:CHCl/CHOH/NHOH 90/10/0.5;15〜40μm)により精製した。純粋な画分を収集しかつ溶媒を蒸発させた。残渣(0.14g)をDIPEから結晶化した。沈殿物を濾過分離しかつ乾燥した。収量:0.087gの化合物7(10%)(mp.135℃)。
c.最終化合物8の製造
【0119】
【化29】

【0120】
化合物2(B1bに従って製造した)(0.005mol)および2−(クロロメチル)−6−メチル−3−ピリジノール(0.006mol)の混合物をDMF(50ml)に溶解した。N−メチル−N−(1−メチルエチル)−プロパンアミン(0.02mol)を添加した。反応混合物を±65℃で一夜攪拌した。溶媒を蒸発させた。残渣をCHClに溶解しかつ希NH溶液で洗浄した。分離した有機層を乾燥し、濾過しかつ溶媒を蒸発させた。残渣をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(溶離液:CHCl/(MeOH/NH) 95/5)により精製した。所望の画分を収集しかつ溶媒を蒸発させた。残渣をDIPEに懸濁した。沈殿物を濾過分離しかつ乾燥した。収量:1.423gの化合物8。
実施例B5
最終化合物9の製造
【0121】
【化30】

【0122】
化合物2(B1bに従って製造した)(0.003mol)および1−メチル−1H−ピロール−2−カルボキシアルデヒド(0.0046mol)の混合物を、チオフェン溶液(1ml)の存在下に触媒として10% Pd/C(1g)を用いてH下50℃で水
素添加した。H(1等量)の取り込み後に触媒を濾過分離しかつ濾液を蒸発させた。残渣をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(溶離液:CHCl/(MeOH/NH) 97/3;95/5)により精製した。生成物の画分を収集しかつ溶媒を蒸発させた。残渣を石油エーテルに懸濁した。収量:1.079gの化合物9。
実施例B6
最終化合物10および11の製造
【0123】
【化31】

【0124】
メタノール(150ml)中の中間体化合物2(A1bに従って製造した)(0.005mol)、中間体化合物11(A3fに従って製造した)(0.005mol)およびTi(OiPro)(3g)の混合物を、チオフェン溶液(1ml)の存在下に触媒として10% Pd/C(1g)を用いてN流下50℃で水素添加した。H(1等量)の取り込み後に触媒を濾過分離しかつ濾液を蒸発させた。残渣をHOおよびCHClに溶解した。混合物を10分間攪拌しかつディカライトで濾過した。有機層を分離し、乾燥し、濾過しかつ溶媒を蒸発させた。残渣をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(溶離液:CHCl/(CHOH/NH) 97/3)により精製した。2画分を収集しかつそれらの溶媒を蒸発させた。収量:0.53gの化合物10および0.4gの化合物11。
実施例B7
最終化合物12の製造
【0125】
【化32】

【0126】
CHCl(50ml)中の化合物2(B1bに従って製造した)(0.001mol)およびC(0.0015mol)の混合物を一夜攪拌した。反応混合物を希NaOHで洗浄し、HOで洗浄し、乾燥しかつ溶媒を蒸発させた。残渣をシリカゲルでのカラム
クロマトグラフィー(溶離液:CHCl/CHOH 100/0および90/10)により精製した。生成物の画分を収集しかつ溶媒を蒸発させた。収量:0.645gの化合物12。
実施例B8
最終化合物13の製造
【0127】
【化33】

【0128】
HCl/2−プロパノール(5ml)およびメタノール(20ml)中の中間体化合物12(A4に従って製造した)(0.0015mol)の混合物を1時間攪拌かつ還流した。反応混合物を結晶化し、濾過分離しかつ乾燥した。収量:0.43gの最終化合物13(38%)。
実施例B9
最終化合物40の製造
【0129】
【化34】

【0130】
最終化合物31(B2に従って製造した)(0.065mmol)、4−ピリジニルボロン酸(0.09mmol)、Pd(OAc)(0.015mmol)、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン(0.03mmol)、2M NaCO(1ml)およびDME(2ml)の混合物を100℃で16時間攪拌した。溶媒を蒸発させかつ残渣をHOに溶解し、そしてCHClで抽出した。有機層を分離し、MgSOで乾燥しかつ溶媒を蒸発させた。残渣をクロマシルでのカラムクロマトグラフィー(勾配:CHCl/CHOH 95/5)により精製した。所望の画分を収集しかつ溶媒を蒸発させた。収量:1mgの最終化合物40。
実施例B10
最終化合物85の製造
【0131】
【化35】

【0132】
トルエン(5ml)中の最終化合物83(B2に従って製造した)(0.0004mol)、ピロリジン(0.0006mol)、Pd(dba)(0.00001mol)、BINAP(0.00003mol)および2−メチル−2−プロパノールナトリウム塩(0.0006mol)の混合物を100℃で16時間攪拌した。溶媒を蒸発させかつ残渣をHOに溶解し、そしてCHClで抽出した。有機層を分離し、MgSOで乾燥しかつ溶媒を蒸発させた。残渣をクロマシルでのカラムクロマトグラフィー(勾配:CHCl/CHOH 95/5)により精製した。所望の画分を収集しかつ溶媒を蒸発させた。収量:0.119gの最終化合物85。
実施例B11
最終化合物43の製造
【0133】
【化36】

【0134】
NMP(5ml)中の最終化合物31(B2に従って製造した)(0.065mmol)、イミダゾ(1,2−a)ピリジン(0.09mmol)、Pd(OAc)(0.015mmol)、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン(0.03mmol)およびCsCO(0.09mmol)の混合物を140℃で16時間攪拌した。溶媒を蒸発させかつ残渣をHOに溶解し、そしてCHClで抽出した。有機層を分離し、MgSOで乾燥しかつ溶媒を蒸発させた。残渣をクロマシルでのカラムクロマトグラフィー(勾配:CHCl/CHOH 95/5)により精製した。所望の画分を収
集しかつ溶媒を蒸発させた。所望の画分を収集しかつ溶媒を蒸発させた。収量:8mgの最終化合物43。
実施例B12
最終化合物44の製造
【0135】
【化37】

【0136】
1気圧のCO下のジグリム(3ml)中の化合物31(B2に従って製造した)(0.065mmol)、モルホリン(0.2mmol)、Pd(OAc)(0.015mmol)および1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)−プロパン(0.03mmol)の混合物を150℃で16時間攪拌した。溶媒を蒸発させかつ残渣をHOに溶解し、そしてCHClで抽出した。有機層を分離し、MgSOで乾燥しかつ溶媒を蒸発させた。残渣をクロマシルでのカラムクロマトグラフィー(勾配:CHCl/CHOH 95/5)により精製した。所望の画分を収集しかつ溶媒を蒸発させた。所望の画分を収集しかつ溶媒を蒸発させた。収量:3mgの最終化合物44。
実施例B13
最終化合物144の製造
【0137】
【化38】

【0138】
メタノール(20ml)中の4−[(4−アセチルオキシ)メチル]−1,2,3−チアジアゾール−5−カルボン酸メチルエステル(0.001mol)、最終化合物2(B1bに従って製造した)(0.002mol)、NaCN(20mg)の混合物を20時間攪拌かつ還流した。溶媒を蒸発させかつ残渣をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(溶離液:CHCl/MeOH 100/0から80/20まで)により精製した
。所望の画分を収集しかつ溶媒を蒸発させた。残渣を石油エーテルに懸濁した。沈殿物を濾過分離しかつ乾燥した。収量:0.110gの最終化合物144。
実施例B14
最終化合物130の製造
【0139】
【化39】

【0140】
2,2,2−トリフルオロエタノール(5ml)中の最終化合物2(B1bに従って製造した)(0.001mol)、グリコールアルデヒド二量体(0.001mol)および3−チオフェンボロン酸(0.001mol)の混合物を室温で18時間攪拌した。次いでこれにKCOの溶液(10%)を添加しかつ酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を乾燥し(MgSO)、濾過しかつ真空下に濃縮した。残渣(0.6g)をシリカゲルカラムでのクロマトグラフィー(CHCl/MeOH/NHOH 92/08/0.2)により精製し、そして生成物の画分を濃縮して、0.29g(47%)の最終化合物130を提供した。
実施例B13
最終化合物153の製造
【0141】
【化40】

【0142】
CHCl(200ml)中の中間体化合物12(A4に従って製造した)(0.00934mol)およびEtN(0.02mol)の混合物を氷浴上で攪拌し、その後CHCl(20ml)中の塩化4−メチル−1,2,3−チアジアゾール−5−カルボニル(0.00943mol)の溶液を0℃で15分にわたって一滴ずつ添加した。反応混合物を室温に達せさせ、そして室温で1時間攪拌し、NaOH(20ml)を添加しかつ反応混合物を室温で15分間攪拌した。層を分離しかつ水層をCHClで抽出した。有機層をHOで洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過分離しかつ溶媒を蒸発させた
。残渣をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(溶離液:CHCl/MeOH/(MeOH/NH) 100/0/0から90/10/0ないし90/10/0まで)により精製した。2つの生成物画分を収集しかつそれぞれ溶媒を蒸発させた。収量 画分1:1.260gの最終化合物153(22%)。
【0143】
以下の表1〜5に例示される化合物は、前述の実施例B1ないしB15の1つに類似の様式で製造した。
【0144】
【表1】

【0145】
【表2】

【0146】
【表3】

【0147】
【表4】

【0148】
【表5】

【0149】
【表6】

【0150】
【表7】

【0151】
【表8】

【0152】
【表9】

【0153】
【表10】

【0154】
【表11】

【0155】
【表12】

【0156】
【表13】

【0157】
【表14】

【0158】
【表15】

【0159】
【表16】

【0160】
【表17】

【0161】
【表18】

【0162】
【表19】

【0163】
【表20】

【0164】
【表21】

【0165】
【表22】

【0166】
【表23】

【0167】
【表24】

【0168】
【表25】

【0169】
【表26】

【0170】
【表27】

【0171】
【表28】

【0172】
分析データ
多数の化合物について、融点、LCMSデータ若しくは旋光度のいずれかを記録した。融点
可能な場合は、ビッキの融点装置B−545を用いて融点(若しくは範囲)を得た。加熱媒体は金属ブロックである。サンプルの融解は拡大レンズおよび大きな明コントラストにより視覚的に観察する。融点は摂氏3若しくは10度/分いずれかの温度勾配を用いて測定する。融点を表6に示す。
【0173】
【表29】

【0174】
【表30】

【0175】
【表31】

【0176】
LCMS条件
HPLC勾配は、40℃に設定したカラムヒーターを伴うWaters Alliance HT 2790装置により供給した。カラムからの流れを、Waters 996フォトダイオードアレイ(PDA)検出器、ならびに陽および陰イオン化モードで稼働させる電子スプレーイオン化源を伴うWaters−Micromass ZQ質量分析計に分割した。逆相HPLCは1.6ml/分の流速を用いてXterra MS C18カラム(3.5mm、4.6×100mm)で実施した。3種の移動相(移動相A 95% 25mM酢酸アンモニウム+5%アセトニトリル;移動相B:アセトニトリル;移動相C:メタノール)を使用して、勾配条件を100%Aから6.5分で50%Bおよび50%C、1分で100%Bへ、1分間100%Bで運転し、そして100%Aで1.5分間再平衡化した。10mLの注入容量を使用した。
【0177】
質量スペクトルは0.1秒の滞留時間を使用して1秒に100から1000まで走査することにより取得した。キャピラリー針電圧は3kVであり、また、イオン源温度は140℃に維持した。窒素はネブライザーガスを使用された。コーン電圧は陽イオン化モードについて10Vおよび陰イオン化モードについて20Vであった。データ取得はWaters−Micromass MassLynx−Openlynxデータシステムを用いて実施した。データを表7に示す。
【0178】
【表32】

【0179】
【表33】

【0180】
【表34】

【0181】
旋光度
旋光度は旋光計(Perkin Elmer)で20℃で記録した。濃度、波長および溶媒の詳細を表8に示す。
【0182】
【表35】

【0183】
C.薬理学的実施例
実施例C.1:h−NK、h−NKおよびh−NK受容体についての結合実験
本発明の化合物を、放射リガンド結合技術を使用して、多様な神経伝達物質受容体、イオンチャンネルおよび輸送体結合部位との相互作用について検討した。目的の受容体若しくは輸送体を発現する組織ホモジェネート若しくは細胞からの膜を放射活性標識物質([H]−若しくは[125I]リガンド)とともにインキュベートして、特定の受容体を標識した。放射リガンドの特異的受容体結合は、受容体部位への結合について該放射リガンドと競合することが既知の未標識薬物(ブランク)で受容体標識を選択的に阻害することにより、非特異的膜標識と区別した。インキュベーション後に、標識された膜を収集し、そして過剰の冷緩衝液ですすいで、吸引下の迅速濾過により未結合放射活性を除去した。膜結合した放射活性をシンチレーションカウンターでカウントし、そして結果を1分あたりのカウント(cpm)として表した。
【0184】
化合物はDMSOに溶解し、そして10−10から10−5Mまでの範囲にわたる10濃度で試験した。
【0185】
本発明の化合物の、CHO細胞中で発現させたクローン化ヒトh−NK受容体から[H]−サブスタンスPを追い出す能力、Sf9細胞中で発現させたクローン化ヒトh−NK受容体から[H]−SR−48968を追い出す能力、およびCHO細胞中で発現させたクローン化ヒトh−NK受容体から[H]−SR−142801を追い出す能力を評価した。
【0186】
化合物の代表的選択物についてのh−NK、h−NKおよびh−NK受容体試験のpIC50データを表9に提示する。
【0187】
全部の選択された化合物は、それらの大部分がh−NKおよびh−NK受容体に対する100倍以上の選択性を伴い、h−NK受容体に対するナノモル濃度(以下)の親和性を示す。
実施例C.2:シグナル伝達
この試験はin vitroの機能的NK拮抗活性を評価する。細胞内Ca++濃度の測定のため、Costarからの96ウェル(黒壁/透明底)プレート上で細胞をそれらがコンフルエンスに達するまで2日間増殖させた。細胞に、0.1%BSAおよび2.5mMプロベネシドを含有するDMEM中2μM Fluo3を37℃で1時間負荷した。それらを2.5mMプロベネシドおよび0.1%BSAを含有するクレブス緩衝液(140mM NaCl、1mM MgCl・6HO、5mM KCl、10mMブドウ糖、5mM HEPES;1.25mM CaCl;pH 7.4)(Ca++緩衝液)で3回洗浄した。細胞をある濃度範囲のアンタゴニストともにRTで20分間プレインキュベートし、そしてアゴニストの添加後のCa++シグナルを蛍光イメージプレートリーダー(Molecular Devices、英国・クローリーからのFLIPR)中で測定した。一過性Ca++のピークを関連するシグナルとみなし、そして対応するウェルの平均値を下述するとおり分析した。
【0188】
GraphPadプログラムを使用するコンピュータ処理カーブ当てはめにより、S字状用量応答曲線を分析した。化合物のEC50値は最大効果の50%を示す有効用量である。平均曲線について、最高効力をもつアゴニストに対する応答を100%に正規化した。アンタゴニスト応答について、非直線回帰を使用してIC50値を計算した。
【0189】
【表36】

【0190】
【表37】

【0191】
【表38】

【0192】
実施例C.3:制吐効果:フェレットにおけるロペラミド誘発性の嘔吐(retching)
別の方法で指定されない限り、全部の後の試験において化合物3および77を評価した。
【0193】
制吐効果はフェレットにおけるロペラミド誘発性の嘔吐モデル(すなわちオピオイドにより誘発される嘔吐)を使用して測定した。制吐活性の種差を排除するため、双方の化合物はイヌにおいてアポモルヒネに対する制吐活性についてもまた試験した。
【0194】
末梢選択的オピオイド、ロペラミド(0.31mg/kg、s.c.)により誘発した嘔吐(emesis)の拮抗作用を、試験化合物若しくは溶媒で前処置したフェレットでの嘔吐攻撃直後に開始する1時間にわたって試験した。溶媒で前処置した対照動物において、ロペラミドは顕著な嘔吐(retching)(平均±SD:95±39回;n=529)およびより少ない程度まで嘔吐(vomiting)(5±4)を誘発した。
【0195】
表10は、経口、s.c.およびi.v.投与後いくつかの時間間隔でのロペラミド誘発性の嘔吐(retching)の阻害(20回未満の嘔吐;2.0%擬陽性)および遮断(=0回の嘔吐;0%擬陽性)について得た化合物3および77のED50(95%CL;mg/kg)を列挙する。
【0196】
【表39】

【0197】
経口投与後、嘔吐は、それぞれ0.16、1.0および0.85mg/kgのグラフで推定されるピーク効果ED50だけ阻害(20回未満の嘔吐)され、また、それぞれ0.34、1.4および1.5mg/kgで完全に遮断(=0回の嘔吐)された。ピーク効果用量の4倍で、該化合物は、作用の迅速な発生(1.0h未満)、ならびに化合物77について16時間および化合物3について32時間の作用持続時間を示した。
【0198】
s.c.注入1時間後に、嘔吐はそれぞれ0.18、0.55および1.25mg/kgで阻害され、また、それぞれ0.32、0.96および3.16mg/kgで完全に遮断された。皮下ED50(1時間で得た)に対する経口ED50(ピーク効果時点)の比は、3種の化合物、すなわち化合物77(1.1)および化合物3(1.4〜1.8)について小さかった。
【0199】
表11は数種の従来技術のNKアンタゴニストの制吐活性を比較する。化合物77はGR−203040のものに匹敵する優れた制吐活性を示す。
【0200】
【表40】

【0201】
化合物77はまた、嘔吐の阻害(ED50:それぞれ0.15および0.39mg/kg)ならびに嘔吐の遮断(ED50:それぞれ0.26および0.88mg/kg)の双方について、i.v.注入1時間後に化合物3より強力であることも見出された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
製薬学的に許容できる担体、ならびに有効成分として1種のオピオイド鎮痛薬、および治療上有効な量の式(I)
【化1】

[式中:
nは0、1若しくは2に等しい整数であり;
mは1若しくは2に等しい整数であるが、但し、mが2である場合にはnは1であり;
pは1若しくは2に等しい整数であり;
QはO若しくはNRであり;
Xは共有結合または式−O−、−S−若しくは−NR−の二価の基であり;
各Rは相互から独立に水素若しくはアルキルであり;
各Rは、相互から独立にAr、Ar−アルキルおよびジ(Ar)−アルキルの群から選択され;
qは0若しくは1に等しい整数であり;
はアルキル、Ar、Ar−アルキル、Het若しくはHet−アルキルであり;
Yは共有結合または式−C(=O)−若しくは−SO−の二価の基であり;
各Alkは、相互から独立に、共有結合;1から6個までの炭素原子を有する二価の直鎖若しくは分枝状の飽和若しくは不飽和の炭化水素基;または3から6個までの炭素原子を有する環状の飽和若しくは不飽和の炭化水素基を表し;各基は1個若しくはそれ以上の炭素原子上で1個若しくはそれ以上のアルキル、フェニル、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、ホルミルおよびアミノ基で場合によっては置換されており;
Lは、水素、アルキルオキシ、Ar−オキシ、アルキルオキシカルボニル、モノおよびジ(アルキル)アミノ、モノおよびジ(Ar)アミノ、Ar、Ar−カルボニル、HetおよびHet−カルボニルの群から選択され;
Arは、ハロ、アルキル、シアノ、アミノカルボニルおよびアルキルオキシの群からそれぞれ相互から独立に選択される1、2若しくは3個の置換基で場合によっては置換されているフェニルであり;
Arは、ハロ、ニトロ、アミノ、モノおよびジ(アルキル)アミノ、シアノ、アルキル、ヒドロキシ、アルキルオキシ、カルボキシル、アルキルオキシカルボニル、アミノカルボニルならびにモノおよびジ(アルキル)アミノカルボニルの群からそれぞれ相互から独立に選択される1、2若しくは3個の置換基でそれぞれ場合によっては置換されているナフタレニル若しくはフェニルであり;
Arは、アルキルオキシ、アルキル、ハロ、ヒドロキシ、ピリジニル、モルホリニル、ピロリジニル、イミダゾ[1,2−a]ピリジニル、モルホリニルカルボニル、ピロリジニルカルボニル、アミノおよびシアノの群からそれぞれ相互から独立に選択される1、2若しくは3個の置換基で場合によっては置換されているナフタレニル若しくはフェニルであり;
Hetは、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、フラニル、チエニル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニルおよびピリダジニルの群から選択される単環性の複素環基;若しくはキノリニル、キノキサリニル、インドリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾキサゾリル、ベンズイソキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズイソチアゾリル、ベンゾフラニルおよびベンゾチエニルの
群から選択される二環性の複素環基であり;各単環および二環性の複素環基はハロおよびアルキルの群から選択される1個の基でいずれかの原子上で場合によっては置換されていてよく;
Hetは、ピロリジニル、ジオキソリル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、ジチアニル、チオモルホリニル、ピペラジニル、イミダゾリジニル、テトラヒドロフラニル、2H−ピロリル、ピロリニル、イミダゾリニル、ピラゾリニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、フラニル、チエニル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、イソチアゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニルおよびトリアジニルの群から選択される単環性の複素環基;若しくはベンゾピペリジニル、キノリニル、キノキサリニル、インドリル、イソインドリル、クロメニル、ベンズイミダゾリル、イミダゾ[1,2−a]ピリジニル、ベンゾキサゾリル、ベンズイソキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズイソチアゾリル、ベンゾフラニルおよびベンゾチエニルの群から選択される二環性の複素環基であり;各単環および二環性の基は、Ar、Arアルキル、ハロ、ヒドロキシ、アルキル、ピペリジニル、ピロリル、チエニル、オキソ、アルキルオキシ、アルキルオキシアルキルおよびアルキルオキシカルボニルの群から選択される1個若しくはそれ以上の基で場合によっては置換されており;ならびに
アルキルは、1から6個までの炭素原子を有する直鎖若しくは分枝状の飽和炭化水素基または3から6個までの炭素原子を有する環状の飽和炭化水素基であり;フェニル、ハロ、シアノ、オキソ、ヒドロキシ、ホルミルおよびアミノ基の群から選択される1個若しくはそれ以上の基で1個若しくはそれ以上の炭素原子上で場合によっては置換されている]
の化合物、その製薬学的に許容できる酸若しくは塩基付加塩、その立体異性体、そのN−オキシドの形態およびそのプロドラッグを含んでなる、製薬学的組成物。
【請求項2】
nが1であり;
mが1であり;
pが1であり;
QがOであり;
Xが共有結合であり;
各RがAr若しくはAr−アルキルであり;
qが0若しくは1であり;
がArであり;
Yが共有結合または式−C(=O)−若しくは−SO−の二価の基であり;
各Alkが、相互から独立に、共有結合;1から6個までの炭素原子を有する二価の直鎖若しくは分枝状の飽和若しくは不飽和の炭化水素基;または3から6個までの炭素原子を有する環状の飽和若しくは不飽和の炭化水素基を表し;各基は1個若しくはそれ以上の炭素原子上で1個若しくはそれ以上のフェニル、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、ホルミルおよびアミノ基で場合によっては置換されており;
Lが水素、アルキルオキシ、Ar−オキシ、アルキルオキシカルボニル、モノおよびジ(アルキル)アミノ、モノおよびジ(Ar)アミノ、ArおよびHetの群から選択され;
Arが1、2若しくは3個のアルキル基で場合によっては置換されているフェニルであり;
Arが1、2若しくは3個のアルキル基で場合によっては置換されているフェニルであり;
Arが、アルキルオキシ、アルキル、ハロ、ヒドロキシ、ピリジニル、モルホリニル、ピロリジニル、イミダゾ[1,2−a]ピリジニル、モルホリニルカルボニル、ピロリジニルカルボニル、アミノおよびシアノの群からそれぞれ相互から独立に選択される1、2若しくは3個の置換基で場合によっては置換されているフェニルであり;
Hetが、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、ピロリル、イミダゾリル、ピ
ラゾリル、フラニル、チエニル、イソキサゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニルおよびピリダジニルの群から選択される単環性の複素環基;若しくはベンゾピペリジニル、キノリニル、キノキサリニル、インドリル、クロメニルおよびベンズイミダゾリルの群から選択される二環性の複素環基であり;各単環および二環性の基は、Ar、Arアルキル、ハロ、ヒドロキシ、アルキル、ピペリジニル、ピロリル、チエニル、オキソおよびアルキルオキシカルボニルの群から選択される1個若しくはそれ以上の基で場合によっては置換されており;ならびに
アルキルが、1個若しくはそれ以上のハロ基で場合によっては置換されている、1から6個までの炭素原子を有する直鎖状の炭化水素基である
ことを特徴とする、請求項1に記載の製薬学的組成物。
【請求項3】
がArメチルでありかつ2位に結合されているか、若しくは、RがArでありかつ3位に結合されていることを特徴とする、請求項1ないし2のいずれか1つに記載の製薬学的組成物。
【請求項4】
−X−C(=Q)−部分が3,5−ジ−(トリフルオロメチル)フェニルカルボニルであることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれか1つに記載の製薬学的組成物。
【請求項5】
式(I)の化合物が:
・{4−[4−(1−ベンゾイル−ピペリジン−4−イル)−ピペラジン−1−イル]−2−ベンジル−ピペリジン−1−イル}−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−メタノンおよび
・(2−ベンジル−4−{4−[1−(4−メチル−[1,2,3]チアジアゾール−5−カルボニル)−ピペリジン−4−イル]−ピペラジン−1−イル}−ピペリジン−1−イル)−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−フェニル)−メタノン
の群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の製薬学的組成物。
【請求項6】
式(I)の化合物が、実験の節で引用されるところの化合物番号5、110、97、45、22、151、80、62、104、8、78、12、39、113、16、56、143、36、77、106、102、6、3、142、51、9、13、32、139、4、108、89、116、2、42、140、85、37、65、133、79、64、7、141、132、134、119、90、11、26、10および144をもつ化合物であることを特徴とする、請求項1に記載の製薬学的組成物。
【請求項7】
同時、別個若しくは連続使用のため処方されることを特徴とする、請求項1ないし6のいずれか1つに記載の製薬学的組成物。
【請求項8】
オピオイド鎮痛薬が、アルフェンタニル、ブプレノルフィン、ブトルファノール、カルフェンタニル、コデイン、ジアセチルモルヒネ、ジヒドロコデイン、フェンタニル、ヒドロコドン、ヒドロモルホン、レボルファノール、ロフェンタニル、メペリジン、メサドン、モルヒネ、ナルブフィン、オキシコドン、オキシモルホン、ペンタゾシン、プロポキシフェン、レミフェンタニルおよびスフェンタニルの群から選択される1種若しくはそれ以上の化合物;またはそれらの製薬学的に許容できる塩若しくは誘導体であることを特徴とする、請求項1ないし7のいずれか1つに記載の製薬学的組成物。
【請求項9】
オピオイド鎮痛薬が、オキシコドン、コデイン、モルヒネ、フェンタニル、ブプレノルフィン、ヒドロコドン、ヒドロモルホンの群から選択される1種若しくはそれ以上の化合物、ならびにそれらの製薬学的に許容できる塩および誘導体であることを特徴とする、請求項8に記載の製薬学的組成物。
【請求項10】
オピオイド鎮痛薬が硫酸モルヒネおよびクエン酸フェンタニルの群から選択される1種若しくはそれ以上の化合物であることを特徴とする、請求項9に記載の製薬学的組成物。
【請求項11】
経口で投与されるのに適する形態であることを特徴とする、請求項1ないし10のいずれか1つに記載の製薬学的組成物。
【請求項12】
疼痛および/若しくは侵害受容の予防および/若しくは処置のための医薬品の製造のための請求項1ないし11のいずれか1つに記載の製薬学的組成物の使用。
【請求項13】
急性および慢性疼痛のオピオイドに基づく予防および/若しくは処置のため、より具体的には炎症、術後、救急治療室(ER)、破綻、神経障害性および癌性疼痛の処置における医薬品の製造のための請求項1ないし11のいずれか1つに記載の製薬学的組成物の使用。
【請求項14】
疼痛のオピオイドに基づく処置における嘔吐の予防および/若しくは処置のための医薬品の製造のための請求項1ないし11のいずれか1つに記載の製薬学的組成物の使用。
【請求項15】
疼痛のオピオイドに基づく処置における悪心および嘔吐の予防および/若しくは処置のための医薬品の製造のための請求項14に記載の製薬学的組成物の使用。
【請求項16】
疼痛のオピオイドに基づく処置における呼吸抑制の予防および/若しくは処置のための医薬品の製造のための、NK受容体アンタゴニスト、とりわけ式(I)のNK受容体アンタゴニスト、その製薬学的に許容できる酸若しくは塩基付加塩、その立体異性体、そのN−オキシドの形態およびそのプロドラッグの使用。
【請求項17】
疼痛のオピオイドに基づく処置におけるオピオイドで観察される耐性を低下かつ/若しくは克服するための医薬品の製造のための、NK受容体アンタゴニスト、とりわけ式(I)のNK受容体アンタゴニスト、その製薬学的に許容できる酸若しくは塩基付加塩、その立体異性体、そのN−オキシドの形態およびそのプロドラッグの使用。

【公表番号】特表2006−527236(P2006−527236A)
【公表日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−516137(P2006−516137)
【出願日】平成16年6月7日(2004.6.7)
【国際出願番号】PCT/EP2004/051048
【国際公開番号】WO2004/110415
【国際公開日】平成16年12月23日(2004.12.23)
【出願人】(390033008)ジヤンセン・フアーマシユーチカ・ナームローゼ・フエンノートシヤツプ (616)
【氏名又は名称原語表記】JANSSEN PHARMACEUTICA NAAMLOZE VENNOOTSCHAP
【Fターム(参考)】