説明

オルガノシロキサン組成物

エラストマー体へと硬化することができる湿分硬化性組成物であって、(a)(i)式X−A−X(式中、X及びXは独立して、1つの基につき1つ又は複数の縮合性置換基を含有するシリル基から選択され、Aは、少なくとも132000の数平均分子量(M)と、少なくとも1800の重合度とを有するポリマー鎖である)のケイ素含有ポリマーと、(ii)有機増量剤及び/又は有機可塑剤とを含み、当該有機増量剤及び/又は当該有機可塑剤の存在下で重合することによって得られる、希釈ポリマーと、(b)希釈ポリマー中の縮合性基と反応性である基を少なくとも2つ含む適切な架橋剤と、(c)適切な縮合触媒と、任意に(e)1つ又は複数の充填剤とを含む、湿分硬化性組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、増量剤及び/又は可塑剤の存在下で重合された、縮合性末端基を有する高分子量ケイ素含有ポリマーを含むシーラント組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
未硬化ポリマーのレオロジー特性は、主として、その粘度の関数である。一般に、ポリマーの粘度が低いほど、そのポリマーを含有する未硬化組成物の押出速度は高くなる。未硬化ポリマーの粘度は、ポリマーの分子量と、通常は重合度(dp)で定義されるポリマー鎖の長さとに直接関係する。また未硬化ポリマーの粘度は、例えばシーラント組成物等のポリマーを取り込んだ組成物が後で硬化されたときに、このような組成物の物理特性のいくつかに対しても大きな影響を与える。
【0003】
エラストマー固体に硬化するオルガノシロキサン組成物は既知であり、このような組成物は、水分の存在下室温で、又は熱を加えて硬化するように製造することができる。通常、水分の存在下室温で硬化する組成物は、反応性末端基を有するポリジオルガノシロキサンベースのポリマーと、適切なシラン(又はシロキサン)ベースの架橋剤とを、1つ又は複数の充填剤及び硬化触媒の存在下で混合することによって得られる。これらの組成物は、通常、室温で大気中の水分に曝されると硬化することができる一液型組成物又は室温及び室内圧力で混合すると硬化することができる二液型組成物のいずれかの形態で調製される。
【0004】
上記の硬化性組成物の1つの重要な用途は、シーラントとしての使用である。シーラントとしての使用では、組成物は、基材表面同士の間の接合部にペーストとして適用可能であるようにする種々の特性を併せ持つことが重要であり、硬化の前に滑らかな表面の材料(mass)を提供するように作用することができ、隣接する基材表面に接着するエラストマー体に硬化されるまでその適用された場所に留まることができる。典型的なシーラント組成物は、数時間以内に堅固なシールを提供するのに十分に迅速であるが、適用された材料が適用の直後に所望の形状に細工されることが可能な速度で硬化するように設計される。その結果得られた硬化シーラントは、通常、関連する特定の接合部に対して適切な強度及び弾性を有するように形成される。
【0005】
オルガノポリシロキサン含有ポリマーを含有するエラストマー組成物中への無機充填剤の導入は、有用な引裂き、デュロメーター、伸び、及び100%の伸びにおける弾性率の特性を得ることが必要とされることが多い。未硬化エラストマーのレオロジー特性は、充填剤濃度及び構造等の充填剤特性(組成物中に充填剤が存在する場合)、並びにポリマー−充填剤の相互作用の程度、そしてポリマーの粘度に依存する。通常、任意で充填剤を含有する未硬化オルガノポリシロキサン含有組成物の粘度が低いほど、未硬化組成物の押出速度は高くなる。結果として、使用時にシーラントガン等を用いて一般に手動で押し出される未硬化シーラント等の、高い押出速度を必要とする用途は、手動の最終用途のために適切な組成物の押出速度を保証するために通常比較的低い粘度(例えば、25℃において100000mPa・s未満)であることが必要である。
【0006】
影響を受けた、結果として得られる硬化性組成物の物理特性には、伸び及び100%伸びにおける弾性率が含まれ、これらは両方とも、例えば建築及び輸送産業における伸縮ジョイントで使用されるシーラントのために特に重要であり、低い弾性及び高い伸びを有するシーラントの必要性が不可欠である。
【0007】
したがって、ポリマーの分子量を増大させるとシーラントのいくつかの物理特性を改善し得ることは分かっているが、現在の配合物において通常使用される最大粘度は、実際には25℃で約150000mPa・s以下である。25℃で1,000,000mPa・sまでの粘度を有するポリマーが従来技術において議論されたが、このような粘度を有するポリマーの使用は実際には取り扱いが困難であった。したがって、ポリマー分子量を増大させるとシーラントのいくつかの特性を改善し得ることは分かっているが、現在の配合物において通常使用される最大粘度は、実際には、25℃で約150000mPa・s以下である。
【0008】
シーラントガン等を用いて組成物を手動で押出すことができる十分に遅い押出速度を維持しながらポリマーの分子量を増大するのに用いられている一方法は、未硬化組成物に鎖延長剤を付与することである。鎖延長剤を、事前に調製しておいたポリマー及び全ての他の組成物成分と混合し、組成物を気密下で保存する。水分に曝すと、このポリマーの分子量が増大する。これは、組成物に付与される架橋剤よりも速い速度でポリマー末端基と反応することが知られている鎖延長剤を選択するためである。このような方法の例は、米国特許第6833407号明細書、米国特許第4020044号明細書、米国特許出願公開第2004/0122199号明細書、及び米国特許第5300612号明細書である。
【0009】
シリコーンシーラント組成物を「増量する(extend)」及び/又は「可塑化する(plasticise)」働きをする添加剤を、上記の増量化合物(以下、「増量剤(extender)」と称する)及び/又は可塑化化合物(以下、「可塑剤(plasticiser)」と称する)を予め調製したポリマー及び組成物の他の成分と配合することによって含むことは、室温硬化シーラントとして使用されるシリコーンベースの組成物の配合において一般的な実施となっている。
【0010】
増量剤(加工助剤又は二次可塑剤と呼ばれることもある)は、シーラント組成物を希釈するために使用され、基本的には、シーラント配合物の特性に実質的に悪い影響を与えることなくシーラントが経済的により競争力を持つようにする。シリコーンシーラント組成物中に1つ又は複数の増量剤を導入することは、製品の全体的なコストを削減するだけでなく、結果として得られる未硬化及び/又は硬化シリコーンシーラントの特性に影響を与えることもできる。増量剤の添加は、シリコーンシーラントのレオロジー、接着及び透明度の特性に或る程度良い影響を与えることができ、破断伸びの増大及び硬化製品の硬度の低下を引き起こす可能性があり、例えば蒸発又は滲出によって増量剤が硬化シーラントから損失されないならば、これらは両方とも硬化シーラントの寿命を著しく高めることができる。
【0011】
可塑剤(又は一次可塑剤とも呼ばれる)は、最終のポリマーベースの製品内の特性を提供するためにポリマー組成物に添加され、最終ポリマー組成物の柔軟性及び靭性を増大させる。これは通常硬化ポリマー組成物のガラス転移温度(T)の低下によって達成され、それにより例えばシーラントの場合には、通常シーラントの弾性が増強され、次に、シリコーンシーラントにより形成されたジョイントの移動能力を可能にし、シーラントが適用されて硬化されたときにシーラントと基材との間に形成される結合の破砕の可能性が大幅に低下する。可塑剤は、通常、シーラント配合物の弾性率を低下するためにも使用される。可塑剤はシーラントの全体の単位コストを削減し得るが、それは目的とされる主要な用途ではなく、実際にはいくつかの可塑剤は高価であり、これらが使用されたシーラント配合物の単位コストを増大し得る。可塑剤は一般に、増量剤よりも揮発性が低い傾向にあり、通常、液体又は低融点固体(加工中に混和性の液体になる)の形態でポリマー組成物中に導入される。通常、シリコーンベースの組成物の場合、可塑剤は、末端トリオルガノシロキシ基を有するポリジメチルシロキサン等の、非反応性の短鎖シロキサンであり、有機置換基は、例えば、メチル、ビニル又はフェニル若しくはこれらの基の組み合わせである。このようなポリジメチルシロキサンは、普通は約5〜約100,000mPa・sの粘度を有する。相溶性の有機可塑剤をさらに使用することができ、例としては、ジアルキルフタレート(ここでアルキル基は線状及び/又は分枝状であってもよく、ジオクチル、ジヘキシル、ジノニル、ジデシル、ジアラニル及び他のフタレート等の6〜20個の炭素原子を含有する)、アジピン酸塩、アゼライン酸塩、オレイン酸塩及びセバシン酸塩、エチレングリコール及びその誘導体等のポリオール、リン酸トリクレシル及び/又はリン酸トリフェニル等の有機リン酸塩、ヒマシ油、桐油、脂肪酸及び/又は脂肪酸エステルが挙げられる。
【0012】
通常、可塑剤は増量剤よりもポリマー組成物と相溶性であり、揮発性が大幅に低い傾向にあり、それ自体は、硬化後にポリマーマトリックス内に高レベルで保持される可能性が著しく高い。
【0013】
増量剤は、組成物の残りの成分と十分に相溶性であると共に、得られた硬化シーラントが保持される温度(例えば、室温)においてできるだけ不揮発性でなければならない。しかしながら、いくつかの提案される増量剤は貯蔵中は有効であるが、シーラントの適用時、及び少なくともその後しばらくの間に、その使用に関するいくつかの既知の問題があることが分かっている。これらの問題には、
(i)UV安定性−UV光に長期間曝されたときの、増量剤を含有する硬化シーラントの変色と、
(ii)時間と共にシーラントからの増量剤の滲出をもたらし、物理的及び審美的な特性並びに硬化製品、例えばシーラントの寿命に悪い影響を与える、ポリマー組成物(例えば、シーラント組成物)との貧相溶性と、
(iii)増量剤が組成物から滲出する周囲の基材の汚染と
が含まれる。
【0014】
既に記載したように、増量剤及び/又は可塑剤をシーラント組成物等のポリマー組成物中に導入するために業界で使用されるプロセスは、予め調製した成分、例えば、ポリマー、架橋剤、触媒、充填剤と、上記の増量剤及び/又は可塑剤とを全て一緒に、適切な添加の量及び順序で単に混合することから成る。シリコーンべースのポリマー組成物中の有機増量剤及び/又は有機可塑剤と他の成分との相溶性は、有機系ポリマーに関するものよりも著しく大きい問題であり、増量剤及び/又は可塑剤が導入されたシリコーンポリマーは非常に粘性のポリマーである傾向があり、有機系とは対照的にシリコーンベースであるポリマーの化学的な性質は相溶性に対して著しい影響を有し得る。相溶性のレベルは、ポリマー組成物中に導入することができる増量剤及び/又は可塑剤の量を有効に決定する。通常、この結果、特に増量剤は、所望されるよりも大幅に少ない量で組成物中に導入される。これは、特に、通常は組成物中の充填剤以外の最大の構成成分である予め形成されたポリマーでは、増量剤はポリマー組成物内に物理的に十分に混合されないからである。シリコーンポリマー組成物中の可塑剤と増量剤との相溶性の問題は、本発明者らが知る限り有機増量剤の導入以来から増え続ける多数の有機系増量剤の提案以外によって本発明が取り組まれていなかったときまでずっと業界では知られている。
【0015】
独国特許第3342026号には、予め形成されたオルガノシリコーンポリマーの一部を、可塑剤のいくらか又は全てと一緒に物理的に配合することを含むプロセスが記載されている。ポリマー及び可塑剤の物理的な配合は、20℃でわずか約80000mPa・sに過ぎない粘度を有するαΩジヒドロキシポリジメチルシロキサンを用いる実施例において例示されており、それにより、本発明者らが取り組んでいる問題が回避されている。この問題は、高粘度のポリマーのための物理的配合プロセス等を用いて遭遇され得るものであり、このような混合プロセスは、適切な配合物のようなものを得るために非常に高価な混合装置を長期間必要とし得るので、このようなプロセスは経済的に実行不可能とされ、おそらく適切な配合物を提供しないであろう。
【0016】
歴史的に、トリアルキルシリル末端ポリジオルガノシロキサン(例えば、トリメチルシリル末端ポリジメチルシロキサン(PDMS))等の非反応性のシロキサンは、化学的に類似し、且つ優れた相溶性を有するので、シリコーンベースのシーラント中の増量剤及び/又は可塑剤として当初使用された。
【0017】
シリコーンシーラント組成物のコストを削減するための増量剤として使用するために、様々な種類の有機化合物及び組成物が提唱されてきた。これらの材料は通常、高揮発性増量剤及び低揮発性増量剤の2つの群に分類される。
【0018】
高揮発性増量剤を含有する組成物は、例えば、トルエン又はキシレンを含有し得る。これらの化合物の高揮発性は、高収縮(溶媒の蒸発による高い体積損失)、可燃性、VOC(揮発性有機含量)、有害成分表示、健康及び安全問題等を含む、シーラント配合物の多数の不都合を生じる。
【0019】
シーラント組成物中のポリマーとの良好な相溶性を有する低揮発性増量剤(より高分子量の増量剤と呼ばれることもある)は、本発明で選択される。これらのより高分子量の増量剤は、完全又は部分的に、配合物中のPDMS可塑剤の代わりとなることができる。
【0020】
低分子量ポリイソブチレン(PIB)は、独国特許第2364856号明細書及び同第3217516号明細書において増量剤として提唱されているが、限られた相溶性のためにアセトキシシリコーンシーラント配合物に添加することができるPIB増量剤の最大量は、通常、25〜30(重量)%の範囲である。より高い添加レベルは増量剤を表面に滲出させて、硬化シーラント表面を粘着性にする。独国特許第2802170号明細書及び同第2653499号明細書では、リン酸エステルは潜在的増量剤であると記載されている。
【0021】
鉱油留分(例えば、イソパラフィン)及び重質アルキレート(製油所における油の蒸留後に残るアルキル化芳香族材料)等のポリアルキルベンゼンも増量剤として提唱されている。シリコーンシーラント組成物の増量剤材料として提唱されるこれらの及び他の有機化合物及び混合物は、以下の刊行物において記載されている。
英国特許第2041955号は、有機増量剤としてのドデシルベンゼン及び他のアルキルアレーンの使用を記載している。英国特許第2012789号は、PDMSを部分的に置き換えるためのリン酸トリオクチルの使用を記載している。独国特許第3342026号及び同第3342027号は、増量剤としての脂肪族モノカルボン酸エステルの使用を記載している。欧州特許第0043501号は、シーラント組成物の0.2〜15重量%の、シクロヘキサン、イソへキサン及びイソオクトデカン(isooctodecane)等の分枝状及び/又は環状パラフィン炭化水素の使用を提唱する。欧州特許第0801101号は、1つ又は複数のアルキル芳香族化合物と組み合わせたパラフィン油(分子量>180)の混合物の使用を記載している。欧州特許第0842974号は、アルキルシクロヘキサン(分子量>220)の使用を記載している。国際公開第WO99/66012号及び同第00/27910号は、増量剤として、1つ又は複数の脂肪族液体ポリマー及び油、石油由来の有機油、リン酸アルキル、ポリアルキレングリコール、ポリ(プロピレンオキシド)、ヒドロキシエチル化アルキルフェノール、ジアルキルジチオホスホネート、ポリ(イソブチレン)、ポリ(a−オレフィン)及びこれらの混合物を含有する耐油性シリコーン組成物について記載している。
【0022】
近年、業界では、増量剤としてパラフィン系炭化水素の使用が増している。欧州特許第0885921号明細書は、60〜80%のパラフィン系炭素原子及び20〜40%のナフテン系炭素原子及び最大1%の芳香族炭素原子を含有するパラフィン系炭化水素混合物の使用を記載している。欧州特許第0807667号明細書は、36〜40%の環状パラフィン油及び58〜64%の非環状パラフィン油を含むパラフィン油を完全又は部分的に含む同様の増量剤について記載しているようである。国際公開第99/65979号パンフレットは、他の可塑剤の中でも特にパラフィン系油又はナフテン系油及びこれらの混合物を含み得る可塑剤を含む耐油性シーラント組成物について記載している。欧州特許第1481038号明細書は、60重量%よりも多いナフテン系、少なくとも20重量%の多環式ナフテン系及び沸点が235℃〜400℃のASTM D−86を含有する炭化水素流体の使用を記載している。欧州特許第1252252号明細書は、炭化水素100重量部を基準として40重量部よりも多い環状パラフィン系炭化水素及び60重量部未満の単環式パラフィン系炭化水素を有する炭化水素流体を含む増量剤の使用を記載している。欧州特許第1368426号明細書は、好ましくは40重量%よりも多い環状パラフィンを含有する液体パラフィン系炭化水素「増量剤」を含有するアルキド塗料と共に使用するためのシーラント組成物について記載している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
上記のように、増量材料の使用に関する根本的な問題は、未硬化シリコーンシーラント組成物中の構成成分との相溶性が欠けていることであり、通常、対象の全温度範囲にわたって貯蔵中に相分離が生じ、硬化シーラントからの滲出が生じる。硬化の後、増量シーラントは増量剤を滲出させ、その結果、低沸点(例えば、100℃未満)を有する増量剤に関して特に一般的な特徴である硬化シーラントの寿命の大幅な低下が生じることが一般に分かっている。高充填の増量剤をシーラント組成物中に取り込むことは製造者の利益であるが、増量剤材料と、上記の文献全てにおいて主張されている他の成分との物理的な混合は、特に高粘度のポリマーに関する相溶性の欠如により妨げられ、ポリマー成分の粘性特性は、大量の増量剤をシーラント組成物中に取り込むことに対する物理的な障壁である。したがって、シーラント組成物中に取り込むことができる増量剤の量は、使用される増量剤又は増量剤の組み合わせによって、通常20〜40重量%であることが一般的に分かっている。
【0024】
上記で提唱される有機増量剤の多くは可能性があるが、これらは全て通常は問題を有する。例えば、アルキルベンゼン増量剤は、表面上は特性の適切な組み合わせ、すなわち、高沸点、ポリジオルガノシロキサンポリマーマトリックスとの優れた相溶性(良好〜きわめて優れた透明性の硬化シリコーンシーラントが得られる)、低環境影響、低蒸気圧(及び、それによる低収縮)、レオロジー特性に対する良い効果(ストリンジング(stringing)の低下)を有する。しかしながら、人工的又は自然の風化作用に曝されると、アルキルベンゼン増量シーラントは、かなり急速に黄色化する傾向がある。長期間の風化作用の後、これらの増量シーラントは黄色になり続け、その透明性も失われる。この問題は、リン酸エステル又はポリイソブチレン等の他の増量剤では生じない。
【0025】
さらに、シロキサン配合物における非常に高い重合度を有するポリマーの使用は、高弾性等のいくつかの有利な特性をもたらし得るが、このようなポリマーの粘度は通常非常に高い(すなわち、シリコーンガム)ので、充填剤、架橋剤、増量剤及び/又は可塑剤等の他の成分との混合に関して完全に扱いにくくなるか又は、操作コストが高い非常に高せん断の混合機が必要とされ、ポリマー中の組成物構成成分(特に充填剤並びに増量剤及び/又は可塑剤)の分散が提供されないことがほぼ確実になる。したがって、業界内では、高コストの装置の必要性を回避しながら、非常に高い重合度のシリコーンベースのポリマーを組成物中へ容易に導入するためのプロセスを開発することが長年にわたって必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0026】
本発明によれば、エラストマー体へと硬化することができる湿分硬化性組成物であって、
(a)希釈ポリマーであって、
(i)式
X−A−X
(式中、X及びXは独立して、1つの基につき1つ又は複数の縮合性置換基を含有するシリル基から選択され、Aは、少なくとも132000の数平均分子量(M)と、少なくとも1800の重合度とを有するポリマー鎖である)
のケイ素含有ポリマーと、
(ii)有機増量剤及び/又は有機可塑剤と、
を含み、上記有機増量剤及び/又は上記有機可塑剤の存在下で重合することによって得られる、希釈ポリマーと、
(b)希釈ポリマー中の縮合性基と反応性である基を少なくとも2つ含む適切な架橋剤と、
(c)適切な縮合触媒と、任意に
(e)1つ又は複数の充填剤と
を含む、湿分硬化性組成物が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本明細書中で用いられる「含む(comprising)」の概念は、「包含する (include)」及び「から成る(consist of)」の表記を意味すると共に包含する。
【0028】
分かりやすいように、用語「モノマー」及びその誘導体は、重合プロセスに係わるモノマー出発材料又はオリゴマー出発材料を意味するように本明細書中で使用される。
【0029】
好ましくは、各増量剤及び/又は可塑剤は、初めに混合されるモノマー出発材料、より詳細には、中間重合反応生成物及び最終重合生成物の両方と混和性であるか、又は少なくとも実質的に混和性である。用語「実質的に混和性である増量剤及び/又は可塑剤」は、重合の間、モノマー(複数可)及び/又は反応混合物と完全に又はおおよそ混和性であるため、重合プロセスの間、反応混合物中で混和性の液体となる低融点の固体を含んでいてもよい増量剤及び/又は可塑剤を含むように意図される。
【0030】
オルガノシロキサン含有ポリマーは、1分子当たり複数のオルガノポリシロキサン基を含むポリマーを意味するように意図され、ポリマー鎖中にオルガノポリシロキサン基のみを実質的に含有するポリマー、又は主鎖が鎖中にオルガノポリシロキサン基と、例えば有機高分子基との両方を含有するポリマーが挙げられるように意図される。
【0031】
ポリマー構成成分を含む希釈ポリマーは、本発明によれば、ASTM D5296−05によって求められてポリスチレン分子量換算値として計算される少なくとも132000の数平均分子量(M)と、少なくとも1800の重合度とを有するケイ素含有ポリマーである。オルガノポリシロキサンポリマーでは、132000のM値が198,000の重量平均分子量(M)と等しく、一般的に25℃で1000000mPa・sより大きい粘度を有すると考えられる。
【0032】
好ましくは、ケイ素含有ポリマーは、好ましくは以下の一般式
−A−X (1)
(式中、X及びXは適切なケイ素含有縮合性基であり、Aは、シロキサンポリマー鎖、有機ポリマー鎖、シロキサンコポリマー鎖又はシロキサン/有機ブロックコポリマー鎖である)
を有するオルガノシロキサン含有ポリマーである。
【0033】
又はX基はそれぞれ、選択された架橋剤と、縮合反応を介して反応するように選択される適切な縮合性置換基を含有する。誤解を避けるために、縮合は、水、アンモニア又はメタノール等の低分子量の副生成物(複数可)の脱離を伴う反応物間の反応である。
【0034】
ポリマーの縮合性末端基と架橋剤との間に予想される反応の種類は、最も好ましくは概して、例えば水又はメタノール等の放出により相互作用し得るヒドロキシル末端基及び/又は加水分解性末端基を有する化合物の相互作用に関連する。しかしながら、以下のリストは、本発明による組成物の硬化プロセスとして考えられ得る他の相互作用を示している:
炭化水素副生成物を生成する、
1)オルガノハロシリル基とオルガノアルコキシシリル基との縮合、
2)オルガノハロシリル基とオルガノアシルオキシシリル基との縮合、
3)オルガノハロシリル基とオルガノシラノールとの縮合、
4)オルガノハロシリル基とシラノレートとの縮合、
5)オルガノ−ヒドロシリル基とオルガノシラノール基との縮合、
6)オルガノアルコキシシリル基とオルガノアシルオキシシリル基との縮合、
7)オルガノアルコキシシリル基とオルガノシラノール基との縮合、
8)オルガノアミノシリル基とオルガノシラノールとの縮合、
9)オルガノアシルオキシシリル基とシラノレート基との縮合、
10)オルガノアシルオキシシリル基とオルガノシラノールとの縮合、
11)オルガノオキシモシリル(organooximosilyl)基とオルガノシラノール基との縮合、
12)オルガノエノキシシリル基とオルガノシラノール基との縮合、
13)1つ又は複数のヒドロシラン官能基を含むシロキサン化合物と、少なくとも1つのアルコキシシラン官能基を含有するシロキサン化合物との縮合。
【0035】
しかしながら、好ましくは、X又はXは、−SiOH、−(R)SiOH、−(RSiOH、−RSi(OR、−Si(OR、−RSiOR、又は−RSi−R−SiR(OR3−p(式中、Rはそれぞれ独立して、一価のヒドロカルビル基、例えば、特に1〜8個の炭素原子を有するアルキル基(好ましくはメチル基)を示し、R及びR基はそれぞれ独立して、アルキル基又はアルコキシ基であり、ここでアルキル基は適宜最大6個の炭素原子を有し、Rは、最大6個のケイ素原子を有する1つ又は複数のシロキサンスペーサーが介在し得る二価の炭化水素基であり、pは0、1又は2の値を有する)等の、ヒドロキシル末端置換基又は加水分解性置換基を含むシリル基である。適宜、X及び/又はXは、水分の存在下において加水分解性の基である。
【0036】
一実施形態において、X基の一部(最大20%)は、トリアルキルシリル基であってもよい。
【0037】
式(I)における適切なシロキサン含有ポリマー鎖Aの例は、ポリジオルガノ−シロキサン鎖を含むものである。したがって、基Aとしては好ましくは、式(2)のシロキサン単位
−(RSiO(4−S)/2)− (2)
(式中、Rはそれぞれ独立して、1〜18個の炭素原子を有する炭化水素基、1〜18個の炭素原子を有する置換炭化水素基、又は最大18個の炭素原子を有するヒドロカルボノキシ基等の有機基であり、aは平均して1〜3の値、好ましくは1.8〜2.2の値を有する)が挙げられる。好ましくは、Rが、塩素又はフッ素等の1つ又は複数のハロゲン基で任意に置換される、1〜10個の炭素原子を有するヒドロカルビル基であり、sは0、1又は2である。基Rの具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ビニル基、シクロヘキシル基、フェニル基、トリル基、3,3,3−トリフルオロプロピル等の塩素又はフッ素で置換されるプロピル基、クロロフェニル、β−(ペルフルオロブチル)エチル又はクロロシクロヘキシル基が挙げられる。適宜、基Rの少なくともいくつか、好ましくは実質的に全てがメチルである。
【0038】
式(1)の化合物中のポリマー鎖Aとしては、得られるポリマーに25℃で少なくとも20000000mPa・sまでの粘度(本発明による希釈剤の非存在下)、(すなわち式(2)の200000単位までか又はそれよりもさらに大きい重合度(dp))を付与する任意の適切なシロキサン又はシロキサン/有機分子鎖が挙げられ得る。好ましい一実施形態において、ポリマー鎖Aは、全ての鎖単位に対して線状オルガノポリシロキサン分子鎖(すなわち、s=2)である。好ましい物質は、一般式(3)
−(RSiO)− (3)
(式中、Rはそれぞれ、上記の通りであり、好ましくはメチル基であり、tは200000までの値を有する)によるポリジオルガノシロキサン鎖を有する。適切なポリマーは、増量剤(複数可)の非存在下で25℃で少なくとも20000000mPa・sの粘度を有するが、増量剤(複数可)の存在下で調製される場合、ポリマーマトリックス中の増量剤(複数可)の存在により、粘度は一般的に25℃で1000〜100000mPa・s程度となる。ポリジオルガノシロキサンはホモポリマー又はコポリマーであってもよい。末端縮合性基を有する異なるポリジオルガノシロキサンの混合物も適切である。
【0039】
ポリマー鎖Aは好ましくは、排他的にオルガノポリシロキサン鎖であるが、ポリマー鎖Aは代替的に、上記式(2)に示される種類のシロキサン基の少なくとも1つのブロックを含むブロックコポリマー鎖であってもよく、任意の適切な有機系ポリマー主鎖を含む有機構成成分、例えば有機ポリマー主鎖は、例えば、ポリ(α−メチルスチレン)、ポリ(ビニルメチルスチレン)、ポリ(p−トリメチルシリルスチレン)及びポリ(p−トリメチルシリル−α−メチルスチレン)等のポリスチレン及び/又は置換ポリスチレンを含み得る。ポリマー鎖Aに組み込まれ得る他の有機構成成分としては、アセチレン末端オリゴフェニレン、ビニルベンジル末端芳香族ポリスルホンオリゴマー、芳香族ポリエステル、芳香族ポリエステルベースのモノマー、ポリアルキレン、ポリウレタン、脂肪族ポリエステル、脂肪族ポリアミド及び芳香族ポリアミド等が挙げられ得る。
【0040】
しかしながらおそらく、Aにおける最も好ましい有機系ポリマーブロックは、ポリオキシアルキレンベースのブロックである。このようなポリオキシアルキレンブロックは好ましくは、繰り返しオキシアルキレン単位(−C2n−O−)から成る、オキシアルキレンを主成分とする線状ポリマーを含み、平均式(−C2n−O−)(式中、nは2〜4の整数(両端を含む)であり、yは少なくとも4の整数である)で示される。各ポリオキシアルキレンポリマーブロックの数平均分子量は、約300〜約10,000の範囲であり得る。さらに、オキシアルキレン単位は、ポリオキシアルキレンモノマーを通して必ずしも同一ではなく、単位ごとに異なっていてもよい。ポリオキシアルキレンブロックは、例えば、オキシエチレン単位(−C−O−)、オキシプロピレン単位(−C−O−)若しくはオキシブチレン単位(−C−O−)、又はそれらの混合物から成っていてもよい。
【0041】
他のポリオキシアルキレンブロックとしては、例えば、構造単位
−[−R−O−(−R−O−)−Pn−CR−Pn−O−(−R−O−)−R]−
(式中、Pnは1,4−フェニレン基であり、Rはそれぞれ同じであるか又は異なり、2〜8個の炭素原子を有する二価の炭化水素基であり、Rはそれぞれ同じであるか又は異なり、エチレン基又はプロピレン基であり、Rはそれぞれ同じであるか又は異なり、水素原子又はメチル基であり、下付き文字p及びqはそれぞれ、3〜30の範囲の正の整数である)
が挙げられ得る。代替的に、Aは有機系ポリマー鎖を単独で含んでいてもよく、この場合、Aは、ブロックコポリマーに関して上記に示されたいずれの有機ポリマー鎖も含み得る。
【0042】
任意の適切な増量剤又は複数の増量剤の組み合わせを、増量されるポリマーの増量剤として利用してもよい。
【0043】
増量剤としては、以下の
トリアルキルシリル末端ポリジアルキルシロキサン(アルキル基は好ましくはメチル基である);
ポリイソブチレン(PIB)、
リン酸トリオクチル等のリン酸エステル、
ポリアルキルベンゼン、
重質アルキレート、ドデシルベンゼン及び他のアルキルアレン等の線状及び/又は分枝状アルキルベンゼン、
脂肪族モノカルボン酸のエステル;
非反応性短鎖シロキサン、
12〜25個の炭素原子を含む線状又は分枝状アルケン等の線状又は分枝状モノ不飽和炭化水素、若しくはそれらの混合物;並びに/又は線状(例えば、n−パラフィン系)鉱油、分枝状(イソ−パラフィン系)鉱油、環状(従来技術によってはナフテン酸と呼ばれる)鉱油及びそれらの混合物を含む鉱油留分
をそれぞれを単独で、又は列挙される他のものと組み合わせて挙げられる。好ましくは、利用される炭化水素は、1分子当たり5〜25個の炭素原子を含む。
【0044】
好ましい増量剤としては、鉱油留分、アルキル脂環式化合物、及びポリアルキルベンゼンを含むアルキルベンゼンが挙げられる。
【0045】
他の好ましい鉱油増量剤としては、アルキル脂環式化合物、及びポリアルキルベンゼンを含むアルキルベンゼンが挙げられる。
【0046】
鉱油留分の任意の適切な混合物を、本発明の増量剤として用いてもよいが、高分子量増量剤(例えば、220より大きい数平均分子量)が特に好ましい。例としては、アルキルシクロヘキサン(220より大きい数平均分子量を有する);1〜99%、好ましくは15〜80%のn−パラフィン系及び/又はイソパラフィン系炭化水素(線状及び/又は分枝状パラフィン系)と、1〜99%、好ましくは85〜20%の環状炭化水素(ナフテン系)と、最大3%、好ましくは最大1%の芳香族炭素原子を含有する、パラフィン系炭化水素及び混合物が挙げられる。環状パラフィン系炭化水素(ナフテン系)は、環状及び/又は多環式炭化水素を含有し得る。鉱油留分の任意の適切な混合物、例えば、
(i)60〜80%のパラフィン系、20〜40%のナフテン系、及び最大1%の芳香族炭素原子、
(ii)30〜50%、好ましくは35〜45%のナフテン系オイル、及び70〜50%のパラフィン系オイル及び/又はイソパラフィン系オイル
(iii)60重量%より多いナフテン系及び少なくとも20重量%の多環式ナフテン系を含有し、ASTM D−86の沸点が235℃より高い炭化水素流体、
(iv)炭化水素100重量部に基づき、40重量部よりも多いナフテン系炭化水素及び60重量部よりも少ないパラフィン系及び/又はイソパラフィン系炭化水素を有する炭化水素流体
を含有する混合物を利用してもよい。
【0047】
好ましくは、鉱油をベースとする増量剤又はその混合物が、以下のパラメータ:
(i)150よりも大きく、最も好ましくは200よりも大きい分子量、
(ii)230℃以上の初留点(ASTM D86に準ずる)、
(iii)0.9以下の粘度対密度定数(ASTM 2501に準ずる)、
(iv)平均して、1分子当たり少なくとも12個の炭素原子、最も好ましくは1分子当たり12〜30個の炭素原子、
(v)70℃以上のアニリン点、最も好ましくはアニリン点が80〜110℃である(ASTM D611に準ずる)、
(vi)増量剤の20〜70重量%のナフテン含量、鉱油をベースとする増量剤は増量剤の30〜80重量%のパラフィン含量を有する(ASTM D3238に準ずる)、
(vii)−50〜60℃の流動点(ASTM D97に準ずる)、
(viii)40℃における1〜20cStの動粘度(ASTM D445に準ずる)、
(ix)0.7〜1.1の比重(ASTM D1298に準ずる)、
(x)20℃における1.1〜1.8の屈折率(ASTM D1218に準ずる)、
(xi)700kg/mより大きい15℃における密度(ASTM D4052に準ずる)、
(xii)100℃より高く、より好ましくは110℃より高い引火点(ASTM D93に準ずる)、
(xiii)少なくとも+30のセイボルト色度(ASTM D156に準ずる)、
(xiv)250ppm以下の含水量(ASTM D6304に準ずる)、
(xv)2.5ppm未満の硫黄含量(ASTM D4927に準ずる)
の少なくとも1つを有する。
【0048】
使用に適したアルキルベンゼン化合物には、重質アルキレートアルキルベンゼン又はアルキル脂環式化合物が含まれる。増量剤及び/又は可塑剤として有用なアルキル置換アリール化合物の例は、アルキル、及び場合によっては他の置換基で置換されたアリール基、特にベンゼンを有し、少なくとも200の分子量を有する化合物である。このような増量剤の例は、米国特許第4,312,801号明細書に記載されており、その内容は参照されて本明細書中の一部とする。これらの化合物は、一般式(I)、(II)、(III)及び(IV)
【0049】
【化1】

【0050】
(式中、Rは1〜30個の炭素原子のアルキル鎖であり、R〜R16はそれれぞれ独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ハロアルキル、ニトリル、アミン、アミド、アルキルエーテル等のエーテル、又はアルキルエステル基等のエステルから選択され、nは1〜25の整数である)によって表すことができる。
【0051】
特に、本発明のプロセスに従って使用される増量剤は式(I)(式中、R、R、R、R10及びR11はそれぞれ水素であり、RはC10〜C13アルキル基である)を有する。このような化合物の特に有用な源は、いわゆる「重質アルキレート」であり、これは、油の蒸留後に製油所から回収することができる。通常、蒸留は230〜330℃の範囲の温度で行われ、重質アルキレートは、より軽い留分が蒸留された後に残存する留分中に存在する。
【0052】
アルキル脂環式化合物の例は、220を超える分子量を有する置換シクロヘキサンである。このような化合物の例は欧州特許第0842974号明細書に記載されており、その内容は参照されて本明細書の一部とする。このような化合物は、一般式(V):
【0053】
【化2】

【0054】
(式中、R17は1〜25個の炭素原子を有する線状又は分枝状アルキル基であり、R18及びR19は独立して、水素又はC1〜25線状又は分枝鎖アルキル基から選択される)によって表すことができる。
【0055】
組成物中に含まれ得る希釈剤の量は、組成物が入れられた目的、関係する希釈剤(複数可)の分子量等の因子に依存するであろう。本発明に従うポリマー生成物は、これらの因子に応じて、5%w/w〜70%w/wの希釈剤(ポリマー及び希釈剤(複数可)の混合重量を基準として)を含有することができる。しかしながら通常、希釈剤(複数可)の分子量が高いほど、組成物中の許容量は少なくなるであろう。典型的な組成物は70%w/wまでの希釈剤(複数可)を含有するであろう。より適切なポリマー生成物は30〜60%w/wの線状希釈剤(複数可)を含むが、希釈剤が重質アルキレートである場合には25〜35%w/wがより好ましいであろう。
【0056】
最も好ましくは、増量剤は鉱油留分を含む。
【0057】
ポリマーによる縮合反応に関与し得る場合、任意の適切な架橋剤を使用することができる。上記のような湿分硬化性組成物において使用される架橋剤(b)は、少なくとも2つ、好ましくは3つのヒドロキシル基及び/又は加水分解性基を含むシラン又はシロキサン化合物であることが好ましい。これらとしては、アシルオキシ基(例えば、アセトキシ、オクタノイルオキシ及びベンゾイルオキシ基)、ケトキシミノ基(例えば、ジメチルケトキシモ及びイソブチルケトキシミノ)、アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ(an propoxy))、及びアルケニルオキシ基(例えば、イソプロペニルオキシ及び1−エチル−2−メチルビニルオキシ)等のケイ素と結合する加水分解性基を含有する1つ又は複数のシラン又はシロキサンが挙げられる。
【0058】
シロキサンベースの架橋剤の場合、分子構造は線状、分岐、又は環状であり得る。
【0059】
架橋剤は、ケイ素と結合する縮合性(好ましくは加水分解性)基を1分子当たり2つ有し得るが、好ましくは3つ又は4つを有する。架橋剤がシランである場合、及びシランが1分子当たりケイ素と結合する加水分解性基を3つ有する場合、第4の基は適切には非加水分解性のケイ素と結合する有機基である。これらのケイ素と結合する有機基は、任意にフッ素及び塩素等のハロゲンで置換される適切なヒドロカルビル基である。このような第4の基の例としては、アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル及びブチル)、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル及びシクロヘキシル)、アルケニル基(例えば、ビニル及びアリル)、アリール基(例えば、フェニル及びトリル)、アラルキル基(例えば、2−フェニルエチル)、及び先行する有機基における全て又は一部の水素をハロゲンに置き換えることによって得られる基が挙げられる。しかしながら、第4のケイ素と結合する有機基はメチルであることが好ましい。
【0060】
架橋剤として使用することができるシラン及びシロキサンとしては、メチルトリメトキシシラン(MTM)及びメチルトリエトキシシラン等のアルキルトリアルコキシシラン、ビニルトリメトキシシラン及びビニルトリエトキシシラン等のアルケニルトリアルコキシシラン、並びにイソブチルトリメトキシシラン(iBTM)が挙げられる。他の適切なシランとしては、エチルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、アルコキシトリオキシモシラン、アルケニルトリオキシモシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、エチルトリアセトキシシラン、ジ−ブトキシジアセトキシシラン、フェニル−トリプロピオンオキシシラン、メチルトリス(メチルエチルケトキシモ)シラン、ビニル−トリス−メチルエチルケトキシモ)シラン、メチルトリス(メチルエチルケトキシミノ)シラン、メチルトリス(イソプロペノキシ)シラン、ビニルトリス(イソプロペノキシ)シラン、エチルポリシリケート、n−プロピルオルトシリケート、エチルオルトシリケート、ジメチルテトラアセトキシジシロキサンが挙げられる。使用される架橋剤は上記の2つ以上の任意の組み合わせを含んでもよい。
【0061】
組成物中に存在する架橋剤の量は、架橋剤の特定の性質、特に選択される分子の分子量に依存し得る。組成物は、適切には、上記のポリマー材料と比較して少なくとも化学量論的な量の架橋剤を含有する。組成物は、例えば2〜30%w/wの架橋剤を含有するが、通常は2〜10%w/wの架橋剤を含有することができる。アセトキシ架橋剤は、通常、3〜8%w/w、好ましくは4〜6%w/wの量で存在し得るが、通常、より高い分子量を有するオキシミノ架橋剤は一般的に3〜8%w/wを構成し得る。
【0062】
組成物はさらに、縮合触媒を含む。特にシリコーンシーラント組成物中に含有させるために選択される触媒は、必要とされる硬化の速度に依存する。組成物を硬化させるために、スズ、鉛、アンチモン、鉄、カドミウム、バリウム、マンガン、亜鉛、クロム、コバルト、ニッケル、チタン、アルミニウム、ガリウム又はゲルマニウム及びジルコニウム系の触媒(有機スズ金属触媒等)を含む任意の適切な縮合触媒を用いることができ、鉄、コバルト、マンガン、鉛及び亜鉛の2−エチルヘキソエートが代替的に使用されてもよい。有機スズ、チタネート及び/又はジルコネート系の触媒が好ましい。
【0063】
オキシモシラン又はアセトキシシランを含有するシリコーンシーラント組成物は一般的に、酒石酸トリエチルスズ、オクタン酸スズ、オレイン酸スズ、ナフトエ酸スズ、ブチルスズトリ−2−エチルヘキソエート、酪酸スズ、カルボメトキシフェニルスズトリスベレート、イソブチルスズトリセロエート(isobutyltintriceroate)、及びジオルガノスズ塩、特にジカルボン酸ジオルガノスズ化合物、例えば、ジラウリン酸ジブチルスズ、二酪酸ジメチルスズ、ジブチルスズジメトキシド、二酢酸ジブチルスズ、ビスネオデカン酸ジメチルスズ、二安息香酸ジブチルスズ、オクタン酸第一スズ、ジネオデカン酸(dineodeconoate)ジメチルスズ、ジオクタン酸ジブチルスズ等の、硬化用スズ触媒を使用する。ジラウリン酸ジブチルスズ、二酢酸ジブチルスズが特に好ましい。
【0064】
アルコキシシラン架橋剤化合物を含む組成物について、好ましい硬化触媒は、チタネート化合物又はジルコネート化合物である。このようなチタネートは、一般式Ti[OR22(式中、R22はそれぞれ、同じであっても異なっていてもよく、1〜10個の炭素原子を含有する、一価、第一級、第二級又は第三級の脂肪族炭化水素基を示し、これは、線状又は分枝状であってもよい)による化合物を含んでいてもよい。任意に、チタネートは、部分不飽和基を含有していてもよい。しかしながら、R22の好ましい例としては、限定するものではないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、第三級ブチル、及び2,4−ジメチル−3−ペンチル等の分枝状第二級アルキル基が挙げられる。好ましくは、R22がそれぞれ同じである場合、R22は、イソプロピル、分枝状第二級アルキル基又は第三級アルキル基、特に第三級ブチルである。例としては、テトラブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、又はキレート化チタネート若しくはキレート化ジルコネート、例えば、ジイソプロピルビス(アセチルアセトニル)チタネート、ジイソプロピルビス(エチルアセトアセトニル)チタネート、ジイソプロポキシチタンビス(エチルアセトアセテート)等である。適切な触媒のさらなる例は、欧州特許第1254192号明細書(参照されて本明細書の一部とする)に記載されている。用いられる触媒の量は、用いられる硬化系によって決まるが、一般的に、全組成物の0.01〜3重量%である。
【0065】
代替的には、チタネートはキレート化されていてもよい。キレート化は、メチルアセチルアセトネート又はエチルアセチルアセトネート等のアルキルアセチルアセトネート等の任意の適切なキレート剤を用いてもよい。したがって、触媒は、
(i)M(OR)又は(ii)M(OR’)(Z)
(式中、Mは、チタン又はジルコニウムであり、R’はそれぞれ同じであるか又は異なり、第一級、第二級若しくは第三級の脂肪族炭素基、又は−SiR(式中、Rは1〜6個の炭素原子を有するアルキル基である)であり、
Zは、式−O−Y−O−(式中、Yは、1〜8個の炭素原子を含む任意の分枝状アルキレン基である)の基であり、
xは0又は2であり、ここでxが0のときzは2であり、xが2のときzは1である)と、
(iii)一般式:
【0066】
【化3】

【0067】
(式中、
は、1〜6個の炭素原子を有する任意の置換アルキレンラジカルであり、
A’は、
(!)−(CXC(R(式中、nは0〜5である)、
(!!)アダマンチル基、及び
(!!!)アダマンチル誘導体
から成る群より選択され、
B’は、
a’’)−(CXC(R(式中、tは、0〜5の値を有する)、
b’’)1〜6個の炭素原子を有する一価のアルキル基、及び
c’’)OR
(式中、Rは、(a’’)又は(b’’)から選択され、
Xはそれぞれ同じであるか又は異なり、ハロゲン基又は水素であり、
はそれぞれ同じであるか又は異なり、X又は1〜8個の炭素原子を有するアルキルラジカルである)
から成る群より選択される)を有する化合物との、混合物又は反応生成物を含んでいてもよい。
【0068】
これらの物質は、例えば、上記のアルコラートを、α−ジケトン若しくはβ−ジケトン又はそれらの誘導体と反応させることによって製造される。より好ましいのは、チタンと結合する2つのアルコラート基を有するそれらの部分的にキレート化されたチタン化合物である。最も好ましいオルガノチタン化合物は、2つのアルコラート基が3個を超える炭素原子から成るもの、例えばビス(ジエチレングリコキシ)−チタン−(2,4−ペンタンジオネート)である。
【0069】
Zが−O−Y−O−である場合、酸素原子はそれぞれチタン原子と直接的に結合し、xは約2である。好ましくは、Yは1〜8個の炭素原子を有するアルキレン基である。O−Y−O基の例としては、1,3−ジオキシプロパン(O−(CH−O)、2,4−ジメチル−2,4−ジオキシペンタン(O−C((CH)−CH−C((CH)−O)及び2,3−ジメチル−2,3−ジオキシブタン(O−C((CH)−C−((CH)−O)が挙げられ得る。
【0070】
ここで、化合物(iii)に関して、好ましくは少なくとも1つのX、最も好ましくは各Xは、ハロゲンラジカルである。最も好ましくは、このハロゲンラジカルがフッ素ラジカルである。同様に、少なくとも1つのR基、最も好ましくは各R基が、ハロゲンラジカルであり、最も好ましくはこのハロゲンラジカルがフッ素ラジカルであるか、又は各R基がアルキル基であり、最も好ましくはメチル基、エチル基又はブチル基である。最も好ましい組成では、nが0である。最も好ましくはRはメチレン基であるが、1〜5個の炭素原子を有する、1つのアルキル基又はハロゲン置換アルキル基を有していてもよい。アダマンチル基は、3つの結合シクロヘキサン環に基づく強固な環系であるアダマンタン又はトリシクロ−3,3,1,1−デカンの誘導体である。
【0071】
化合物(iii)の例としては、ピバロイル酢酸メチル(MPA)及び4,4,4−トリフルオロアセト酢酸エチル(TFA)が挙げられる。
【0072】
好ましくは、触媒、すなわち構成成分(c)は、構成成分(a)100重量部当たり0.3〜6重量部、すなわち組成物の約0.2〜2重量%の量で存在し、構成成分(c)はキレート剤を用いる場合には、6重量部よりも多い量で存在することもある。
【0073】
一実施形態において、プロセスを用いて、一液型又は二液型のオルガノポリシロキサンシーラント組成物を調製する。二液型組成物は、第1の液に希釈ポリマーと充填剤(必要であれば)とを含み、第2の液に触媒と架橋剤とを含み、これらは、使用直前に適切な比率(例えば、1:1〜10:1)で混合するように準備される。以下に記載するさらなる添加剤を、液型組成物の液1又は液2のいずれに付与してもよいが、好ましくは液2に添加する。
【0074】
本発明の一液型又は二液型の組成物は、貯蔵安定性であるが(二液型組成物の場合、混合後に)大気水分に曝されると硬化するように配合され、様々な用途、例えば、コーティング、コーキング及び封入材料に使用することができる。しかしながら、本発明の一液型又は二液型の組成物は、相対運動を受ける物品及び構造体のジョイント、キャビティ及び他の空間を密封するのに特に適切である。したがって、本発明の一液型又は二液型の組成物は、ガラス用シーラントとして、また建物構造物を密封するのに特に適切であり、ここでは、シーラントの外観が重要となる。
【0075】
したがって、さらなる態様において、本発明は、2つのユニット間の空間を密封する方法であって、上記の組成物を塗布すること、及び組成物を硬化させるか、又は組成物の硬化を可能にすることを含む、2つのユニット間の空間を密封する方法を提供する。適切なユニットとしては、上記のようなガラス構造体または建物ユニットが挙げられ、これらは本発明のさらなる態様を形成する。
【0076】
本発明の組成物は、任意構成成分として、シリコーンゴムシーラント等の配合物にとって慣習的な他の成分を含有することができる。例えば、組成物は普通、1つ又は複数の微粉化した、或る程度の上記の炭酸カルシウムを含む高表面積ヒュームドシリカ及び沈降シリカ等の強化充填剤、又は破砕石英、珪藻土、硫酸バリウム、酸化鉄、二酸化チタン及びカーボンブラック、タルク、ウォラストナイト等のさらなる非強化充填剤を含有することができる。単独又は上記のものと組み合わせて使用され得る他の充填剤には、アルミナイト、硫酸カルシウム(無水石膏)、石膏、硫酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン等のクレイ、三水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム(ブルーサイト)、黒鉛、炭酸銅、例えばマラカイト、炭酸ニッケル、例えばザラカイト、炭酸バリウム、例えばウィゼライト、及び/又は炭酸ストロンチウム、例えばストロンチアナイトが含まれる。
【0077】
酸化アルミニウム、ケイ酸塩は、カンラン石族、ザクロ石族、アルミノケイ酸塩、環状ケイ酸塩、鎖状ケイ酸塩及びシート状ケイ酸塩から成る群より選択される。カンラン石群は、フォルステライト及びMgSiO(これらに限定されない)等のケイ酸塩鉱物を含む。ザクロ石群は、パイロープ、MgAlSi12、グロシュラー、及びCaAlSi12(これらに限定されない)等の粉砕ケイ酸塩鉱物を含む。アルミノケイ酸塩は、シリマナイト、AlSiO、ムライト、3Al・2SiO、カイヤナイト、及びAlSiO(これらに限定されない)等の粉砕ケイ酸塩鉱物を含む。環状ケイ酸塩群は、コージライト及びAl(Mg,Fe)[SiAlO18](これらに限定されない)等のケイ酸塩鉱物を含む。鎖状ケイ酸塩群は、ウォラストナイト及びCa[SiO](これらに限定されない)等の粉砕ケイ酸塩鉱物を含む。
【0078】
シート状ケイ酸塩群は、マイカ、KAl14[SiAl20](OH)、パイロフィライト、Al[Si20](OH)、タルク、及びMg[Si20](OH)、蛇紋石(例えば、アスベスト、カオリナイト、Al[Si10](OH)、及びバーミキュライト)(これらに限定されない)等のケイ酸塩鉱物を含む。
【0079】
さらに、例えば、脂肪酸又はステアリン酸エステル等の脂肪酸エステルによって、あるいはオルガノシラン、オルガノシロキサン、又はオルガノシラザンヘキサアルキルジシラザン又は短鎖シロキサンジオールによって充填剤(複数可)の表面処理が実行されて、充填剤(複数可)を疎水性にし、そのために取り扱いをより容易にし、他のシーラント構成成分との均一な混合物を得ることができる。充填剤の表面処理は、粉砕シリケート鉱物がシリコーンポリマーによって容易に湿潤されるようにする。これらの表面修飾された充填剤は凝集せず、シリコーンポリマー中に均一に取り込むことができる。この結果、未硬化組成物の室温機械特性が改善される。さらに、表面処理された充填剤は未処理材料又は原料よりも低い伝導率を与える。分かりやすくするために、充填剤を処理するのに用いられる脂肪酸及び/又は脂肪酸エステルを、本発明の必須添加剤として記載したものと区別することを理解されたい。一般的に、充填剤の任意の疎水処理は、本発明に必要な脂肪酸及び/又は脂肪酸エステルとは無関係に行われる。
【0080】
使用される場合のこのような充填剤の割合は、エラストマー形成組成物及び硬化エラストマーにおいて所望される特性に依存し得る。通常、組成物の充填剤含量は、増量剤部分を除いたポリマー100重量部当たり約5〜約150重量部の範囲内である。
【0081】
組成物中に含まれ得る他の成分には、カルボン酸及びアミンの金属塩等の組成物の硬化を加速させるための共触媒、レオロジー調節剤、接着促進剤、顔料、熱安定剤、難燃剤、UV安定剤、硬化調節剤、鎖延長剤、電気及び/又は熱伝導性充填剤、殺生物剤及び/又は殺生物剤等(適切には0〜0.3重量%の量で存在し得る(by present))、水捕捉剤(通常、架橋剤として使用されるものと同じ化合物又はシラザン)が含まれるが、これらに限定されない。添加剤のいくつかが2つ以上の添加剤リストに含まれることが認識されるであろう。このような添加剤は次に、参照されるあらゆる方法で機能する能力がある。
【0082】
レオロジー添加剤には、ポリエーテル又はポリエステルのポリオールに基づく欧州特許第0802233号に記載されるもの等のシリコーン有機コポリマー、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エトキシル化ヒマシ油、オレイン酸エトキシレート、アルキルフェノールエトキシレート、コポリマー又はエチレンオキシド(EO)及びプロピレンオキシド(PO)、並びにシリコーンポリエーテルコポリマーから成る群から選択される非イオン性界面活性剤、並びにシリコーングリコールが含まれる。これらのレオロジー添加剤のいくつかは、組成物の接着特性をさらに高めることができる。
【0083】
任意の適切な接着促進剤(複数可)が本発明に従うシーラント組成物中に取り込まれてもよい。これらには、例えば、アミノアルキルアルコキシシラン、エポキシアルキルアルコキシシラン、例えば3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、及びメルカプト−アルキルアルコキシシラン並びにγ−アミノプロピルトリエトキシシラン等のアルコキシシラン、エチレンジアミンとシリルアクリレートとの反応生成物が含まれ得る。1,3,5−トリス(トリアルコキシシリルアルキル)イソシアヌレート等のケイ素基を含有するイソシアヌレートがさらに使用されてもよい。さらに適切な接着促進剤は、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のエポキシアルキルアルコキシシランと、3−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ置換アルコキシシラン、並びに任意でメチル−トリメトキシシラン、エポキシアルキルアルコキシシラン、メルカプトアルキルアルコキシシラン、及びこれらの誘導体等のアルキルアルコキシシランとの反応生成物である。
【0084】
熱安定剤は、酸化鉄及びカーボンブラック、カルボン酸塩鉄、セリウム水和物、ジルコン酸バリウム、オクチル酸セリウム及びオクチル酸ジルコニウム、ポルフィリンを含むことができる。
【0085】
難燃剤は、例えば、カーボンブラック、水和水酸化アルミニウム、及びウォラストナイト等のシリケート、白金及び白金化合物を含むことができる。
【0086】
鎖延長剤としては、架橋する前に、ポリシロキサンポリマー鎖の長さを延長することにより、硬化したエラストマーの伸び率を低減させる二官能性シランが挙げられ得る。鎖延長剤及び架橋剤は、官能性ポリマー末端との反応に用いられ、顕著な鎖延長を達成するために、二官能性シランは、一般的な三官能性架橋剤よりもかなり高い反応性を有している必要がある。縮合硬化系の適切な鎖延長剤としては、例えば、
(i)ジアセトアミドシラン、ジアセトキシシラン、アミノ基がそれぞれ窒素1つ当たり1つ又は2つのN−H基を有するジアミノシラン、ジアルコキシシラン、ジアミドシラン、ヘキサオルガノジシラザン、ジケトキシミノシラン、
(ii)2〜25の重合度を有し、且つ1分子当たり少なくとも2つのアセトアミド置換基、アセトキシ置換基、アミノ置換基、アルコキシ置換基、アミド置換基又はケトキシモ置換基を有するポリジアルキルシロキサン、
(iii)アルキル基及びアルコキシ基が1〜6個の炭素原子を含有するα−アミノアルキルジアルコキシアルキルシラン、
(iv)構造ZMeSiO(MeSiO)SiMeZ又はZMeSi−Y−SiMeZの化合物
(式中、Zは複素環式Si−N基であり、Yは、−(CR−又は−C−から成る群より選択される二価の炭化水素ラジカルであり、yは0又は整数であり、mは2〜6(両端を含む)であり、Rは一価の炭化水素基である)
の群から選択される鎖延長剤が挙げられる。
【0087】
鎖延長剤の具体的な例としては、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルエチルジメトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルエチルジエトキシシラン等のアルケニルアルキルジアルコキシシラン;ビニルメチルジオキシモシラン、ビニルエチルジオキシモシラン、ビニルメチルジオキシモシラン、ビニルエチルジオキシモシラン等のアルケニルアルキルジオキシモシラン;ビニルメチルジアセトキシシラン、ビニルエチルジアセトキシシラン等のアルケニルアルキルジアセトキシシラン;及びビニルメチルジヒドロキシシラン、ビニルエチルジヒドロキシシラン、ビニルメチルジヒドロキシシラン、ビニルエチルジヒドロキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン等のアルケニルアルキルジヒドロキシシラン;ジ−ブトキシジアセトキシシラン;メチルビニルジ−(N−メチルアセトアミド)シラン及びメチルビニルジ−(N−エチルアセトアミド)シラン等のアルキルアルケニルビス(N−アルキルアセトアミド)シラン;ジメチルジ−(N−メチルアセトアミド)シラン及びジメチルジ−(N−エチルアセトアミド)シラン等のジアルキルビス(N−アリールアセトアミド)シラン;メチルビニルジ(N−フェニルアセトアミド)シラン等のアルキルアルケニルビス(N−アリールアセトアミド)シラン;ジメチルジ−(N−フェニルアセトアミド)シラン等のジアルキルビス(N−アリールアセトアミド)シラン;メチルビニルビス(N−メチルアセトアミド)シラン;メチルハイドロジェンジアセトキシシラン;ジメチルビス(N−ジエチルアミノキシ)シラン;並びにジメチルビス(sec−ブチルアミノ)シランが挙げられる。使用される鎖延長剤は、上記の2つ以上の任意の組み合わせを含んでもよい。
【0088】
電気伝導性充填剤は、カーボンブラック、銀粒子等の金属粒子、表面がスズ及び/又はアンチモンで処理された酸化チタン粉末、表面がスズ及び/又はアンチモンで処理されたチタン酸カリウム粉末、表面がアンチモンで処理された酸化スズ、並びに表面がアルミニウムで処理された酸化亜鉛等の任意の適切な電気伝導性金属酸化物充填剤を含むことができる。
【0089】
熱伝導性充填剤は、粉末、薄片及びコロイド状の銀、銅、ニッケル、白金、金、アルミニウム及びチタン等の金属粒子、金属酸化物、特に酸化アルミニウム(Al)及び酸化ベリリウム(BeO)、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム;一炭化タングステン、炭化ケイ素及び窒化アルミニウム、窒化ホウ素及びダイヤモンド等のセラミック充填剤を含むことができる。
【0090】
任意の適切な殺生物剤及び殺生剤を利用することができ、これらとしては、N−置換ベンズイミダゾールカルバメートである、メチル2−ベンズイミダゾリルカルバメート、エチル2−ベンズイミダゾリルカルバメート、イソプロピル2−ベンズイミダゾリルカルバメート、メチルN−{2−[1−(N,N−ジメチルカルバモイル)ベンズイミダゾリル]}カルバメート、メチルN−{2−[1−(N,N−ジメチルカルバモイル)−6−メチルベンズイミダゾリル]}カルバメート、メチルN−{2−[1−(N,N−ジメチルカルバモイル)−5−メチルベンズイミダゾリル]}カルバメート、メチルN−{2−[1−(N−メチルカルバモイル)ベンズイミダゾリル]}カルバメート、メチルN−{2−[1−(N−メチルカルバモイル)−6−メチルベンズイミダゾリル]}カルバメート、メチルN−{2−[1−(N−メチルカルバモイル)−5−メチルベンズイミダゾリル]}カルバメート、エチルN−{2−[1−(N,N−ジメチルカルバモイル)ベンズイミダゾリル]}カルバメート、エチルN−{2−[2−(N−メチルカルバモイル)ベンズイミダゾリル]}カルバメート、エチルN−{2−[1−(N,N−ジメチルカルバモイル)−6−メチルベンズイミダゾリル]}カルバメート、エチルN−{2−[1−(N−メチルカルバモイル)−6−メチルベンズイミダゾリル]}カルバメート、イソプロピルN−{2−[1−(N,N−ジメチルカルバモイル)ベンズイミダゾリル]}カルバメート、イソプロピルN−{2−[1−(N−メチルカルバモイル)ベンズイミダゾリル]}カルバメート、メチルN−{2−[1−(N−プロピルカルバモイル)ベンズイミダゾリル]}カルバメート、メチルN−{2−[1−(N−ブチルカルバモイル)ベンズイミダゾリル]}カルバメート、メトキシエチルN−{2−[1−(N−プロピルカルバモイル)ベンズイミダゾリル]}カルバメート、メトキシエチルN−{2−[1−(N−ブチルカルバモイル)ベンズイミダゾリル]}カルバメート、エトキシエチルN−{2−[1−(N−プロピルカルバモイル)ベンズイミダゾリル]}カルバメート、エトキシエチルN−{2−[1−(N−ブチルカルバモイル)ベンズイミダゾリル]}カルバメート、メチルN−{1−(N,N−ジメチルカルバモイルオキシ)ベンズイミダゾリル]}カルバメート、メチルN−{2−[N−メチルカルバモイルオキシ)ベンズイミダゾリル]}カルバメート、メチルN−{2−[1−(N−ブチルカルバモイルオキシ)ベンゾイミダゾリル]}カルバメート、エトキシエチルN−{2−[1−(N−プロピルカルバモイル)ベンズイミダゾリル]}カルバメート、エトキシエチルN−{2−[1−(N−ブチルカルバモイルオキシ)ベンゾイミダゾリル]}カルバメート、メチルN−{2−[1−(N,N−ジメチルカルバモイル)−6−クロロベンズイミダゾリル]}カルバメート、及びメチルN−{2−[1−(N,N−ジメチルカルバモイル)−6−ニトロベンズイミダゾリル]}カルバメート等のベンズイミダゾリルカルバメート、並びに10,10’−オキシビスフェノキサルシン(商品名:Vinyzene、OBPA)、ジ−ヨードメチル−パラ−トリルスルホン、ベンゾチオフェン−2−シクロヘキシルカルボキサミド−S,S−ジオキシド、N−(フルオルジクロリドメチルチオ)フタルイミド(商品名:Fluor−Folper、Preventol A3)、メチル−ベンズイミデアゾール(benzimideazol)−2−イルカルバメート(商品名:Carbendazim、Preventol BCM)、亜鉛−ビス(2−ピリジルチオ−1−オキシド)(亜鉛ピリチオン)2−(4−チアゾリル)−ベンズイミダゾール、N−フェニル−ヨードプロパルギルカルバメート(iodpropargylcarbamate)、N−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、4,5−ジクロリド−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、N−ブチル−1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン及び/又は銀含有ゼオライトと組み合わせたテブコナゾール等のトリアゾリル化合物が挙げられる。
【0091】
組成物は好ましくは室温加硫性組成物であり、これらは加熱することなく室温で硬化する。
【0092】
本発明による組成物は、任意の適切な混合機器を用いて組成物の構成要素を混合することによって調製することができる。任意の構成要素を必要に応じて添加してもよい。例えば、好ましい一液型湿分硬化性組成物は、ヒドロキシル基又は加水分解性基を有する希釈ポリマーと、使用される充填剤とを一緒に混合させ、これを架橋剤及び触媒のプレミックスと混合させることによって製造することができる。UV安定剤顔料及び他の添加剤を、任意の所望の段階でこの混合物に添加してもよい。必要であれば、さらなる希釈剤を、重合後に他の組成物成分と配合させてもよい。
【0093】
混合の後、組成物は、使用が必要とされるまで、実質的に無水条件下、例えば密封容器内で貯蔵され得る。
【0094】
本発明によれば、エラストマー体へと硬化することができる湿分硬化性組成物を製造する方法であって、
(a)有機系希釈材料、適切な触媒及び任意に末端封鎖剤の存在下でモノマー及び/又はオリゴマーを重合することによって、式
X−A−X
(式中、X及びXは独立して、1つの基につき1つ又は複数の縮合性置換基を含有するシリル基から選択され、Aは、少なくとも132000の数平均分子量(M)と、少なくとも1800の重合度とを有するポリマー鎖である)
の希釈ケイ素含有ポリマーを調製すること、及び
(b)必要であれば、この重合プロセスを失活させ、その後、希釈ポリマー中の縮合性基と反応性である基を少なくとも2つ含む適切な架橋剤、適切な縮合触媒、及び任意に1つ又は複数の充填剤と、上記ポリマーを配合すること
を含む、湿分硬化性組成物を製造する方法を提供する。
【0095】
希釈ケイ素含有ポリマーは好ましくは、本発明による組成物のヒドロキシル及び/又は加水分解性末端基を有するオルガノポリシロキサン含有ポリマーであり、本発明による組成物は、任意の適切な重合プロセスによって得ることができるが、但し、ポリマーは、重合プロセスの間に増量剤及び/又は可塑剤中で希釈される。上記ケイ素含希釈ポリマーの調製の好ましい経路は、
(i)重縮合、
(ii)開環/平衡、
(iii)重付加、
(iv)鎖延長
(v)
によるものであり、必要であれば、上記の重合経路から得られるポリマーをエンドキャッピングして、必要な加水分解性末端基を付与してもよい。
【0096】
(i)重縮合(すなわち、水、アンモニア又はメタノール等の低分子量の副生成物(複数可)の脱離を伴う、複数のモノマー及び/又はオリゴマーの重合)。
任意の適切な重縮合反応経路を利用することができる。最も好ましいヒドロキシル末端基及び/又は加水分解性末端基を有する化合物の相互作用による縮合反応について上記した反応スキームに基づく重縮合反応が好ましい。
【0097】
Aがオルガノシロキサン鎖である場合、重合プロセスのための好ましい方法は、上記式(2)(式中、R及び下付き文字sは上記の通りである)の線状及び/又は分枝状オルガノポリシロキサンの重合である。重合のための出発材料は好ましくは、式R’’SiO1/2(式中、R’’はそれぞれ同じであるか又は異なり、R又は縮合性基である)のシロキサン基で末端封鎖される実質的に線状の材料である。縮合性末端基の任意の適切な組み合わせは、本発明の重合プロセスに用いることができる(すなわち、選択される縮合性基は、重合のために共に縮合反応を起こせるものでなければならない)。好ましくは、少なくとも1つのR’’基はヒドロキシル基又は加水分解性基である。一般的には、モノマー/オリゴマー末端基として用いられる縮合性基は、−SiOH、−(R)SiOH、−(RSiOH、−RSi(OR、−Si(OR、−RSiOR、又は−RSi−R−SiR(OR3−p(式中、R、R、R、R、及びpはそれぞれ上記の通りである)等の、ヒドロキシル末端置換基又は加水分解性置換基を含むシリル基である。
【0098】
シラノール含有シロキサンの縮合反応のための出発材料は、アルコキシ基等の、ケイ素と結合したヒドロキシル基又は加水分解性基を有するオルガノポリシロキサンオリゴマーであり、アルコキシ基はシラノール基をin situで生成することができる。好ましくは、出発材料は、10mPa・s〜5000mPa・sの粘度を有する。いくらかの出発材料は非加水分解性末端を含んでいてもよい。
【0099】
上記のプロセスの多くは、触媒の存在が必要である。任意の適切な重縮合触媒を利用することができる。これらの触媒としては、本発明による組成物の縮合硬化について上に記載した任意の触媒、プロトン酸、ルイス酸、有機塩基及び無機塩基、金属塩、並びに有機金属錯体が挙げられる。本発明における重合に適切なルイス酸触媒(「ルイス酸」は、電子対を受け取って共有結合を形成する任意の物質である)としては、例えば、三フッ化ホウ素、FeCl、AlCl、ZnCl及びZnBrが挙げられる。
【0100】
より好ましくは、縮合に特異的な触媒、例えば、式R20SOH(式中R20は、好ましくはヘキシル基又はドデシル基等の6〜18個の炭素原子を有するアルキル基、フェニル基又はアルカリール基(例えばジノニル−又はジドデシル−ナフチル)等のアリール基である)の酸性縮合触媒である。水を任意に添加してもよい。好ましくは、R20は、6〜18個の炭素原子を有するアルキル基を有するアルカリール基、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸(DBSA)である。他の縮合に特異的な触媒としては、n−ヘキシルアミン、テトラメチルグアニジン、ルビジウム又はセシウムのカルボン酸塩、マグネシウム、カルシウム又はストロンチウムの水酸化物、及び、当該技術分野において、例えば、英国特許第895091号明細書、同第918823号明細書、及び欧州特許第0382365号明細書に言及される他の触媒が挙げられる。また、好ましくは、塩化ホスホニトリルに基づく触媒、例えば、米国特許第3,839,388号明細書及び同第4,564,693号明細書、又は欧州特許出願第215,470号明細書により調製される触媒、英国特許第2252975号明細書に記載されているような、一般式[X(PX=N)PX[M(ν−t+1)III(式中、Xはハロゲン原子を示し、Mは、ポーリングのスケールに従って1.0〜2.0の電気陰性度を有する元素であり、RIIIは、最大12個の炭素原子を有するアルキル基であり、sは1〜6の値を有し、νはMの原子価又は酸化状態であり、tは0〜ν−1の値を有する)を有する、ハロゲン化ホスホニトリルイオンに基づく触媒である。
【0101】
代替的には、触媒は、以下の一般式:
−PCl=N(−PCl=N)−PCl−O
(式中、Zは、酸素を介してリンと結合する有機ケイ素ラジカル、塩素原子又はヒドロキシル基を示し、
nは0又は1〜8の整数を示す)を有する有機ケイ素ラジカルを含有する酸素含有クロロホスファゼンを含んでいてもよい。触媒はまた、上記の縮合生成物及び/又はその互変異性体(触媒は、Zがヒドロキシル基である場合、互変異性体として存在する)から成っていてもよい。
【0102】
本発明で触媒として用いられ得るさらなる代替的な触媒は、国際公開第01/79330号パンフレットに規定されるような、少なくとも1つの四置換ホウ素原子と、少なくとも1つのシラノール基と相互作用することができるプロトンとを含む、アニオン源を提供する任意の適切な化合物である。
【0103】
触媒の活性は好ましくは、触媒と反応して不活性とする中和剤を用いて失活される。一般的に、酸タイプの縮合触媒の場合、中和剤は適切な塩基、例えば、モノ/ジ及びトリアルカノールアミン(例えば、モノエタノールアミン(MEA)及びトリエタノールアミン(TEA))等のアミンである。DBSA触媒を用いる系の場合、代替的な失活方法としては、DBSAを吸着して安定なポリマーを残すことが知られているアルミナシリケートのゼオライト物質が挙げられる。多くの場合、触媒残渣はポリマー生成物中に残るか、又は適切な場合には、ろ過又は代替的な方法によって除去されてもよい。ホスファゼン系の触媒の場合、所望の粘度が達成されたら、プロセスにおいて得られる有機ケイ素化合物の粘度は一定に維持される。これは、縮合及び/又は平衡を受けるように有機ケイ素化合物と反応させることによって生成し、且つ同様に有機ケイ素化合物の縮合及び/又は平衡を促す反応生成物を、阻害剤又は不活性剤の添加によって阻害するか又は不活性化する手法による。このような阻害剤又は不活性剤はこれまで、ホスファラゼン、例えばトリイソノニルアミン、n−ブチルリチウム、リチウムシロキサノレート、ヘキサメチルジシラザン及び酸化マグネシウムと併せて使用されてきた。
【0104】
適切な場合には、重合反応を停止させ、これにより、平均分子量を制限する任意の適切な末端封鎖剤を使用して、X及びXのような上記のシリル末端基を導入してもよい。
【0105】
(II)平衡/開環
開環重合等の平衡重合プロセスのための出発材料は、シクロシロキサン(環状シロキサンとしても知られている)である。有用な環状シロキサンは既知のものであり、市販材料である。それらは、一般式(R21SiO)(式中、R21はそれぞれ上記の通りのR’であり、mは3〜12の値を有する整数を示す)を有する。R21は、例えば、フッ素又は塩素等のハロゲンで置換されていてもよい。アルキル基は、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、トリフルオロプロピル、n−ブチル、sec−ブチル及びtert−ブチルであってもよい。アルケニル基は、例えば、ビニル、アリル、プロペニル及びブテニルであってもよい。アリール及びアラルキルは、例えば、フェニル、トリル及びベンゾイルであってもよい。好ましい基は、メチル、エチル、フェニル、ビニル及びトリフルオロプロピルである。好ましくは、全てのR21基の少なくとも80%が、メチル基又はフェニル基であり、最も好ましくはメチルである。好ましくは、mの平均値は3〜6である。適切な環状シロキサンの例は、オクタメチルシクロテトラシロキサン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、シクロペンタ(メチルビニル)シロキサン、シクロテトラ(フェニルメチル)シロキサン、シクロペンタメチルヒドロシロキサン、及びそれらの混合である。1つの特に適切な市販材料は、オクタメチルシクロテトラシロキサンと、デカメチルシクロペンタシロキサンとを含む混合物である。一般的に、湿分はモノマー中に存在する。水の存在は、ポリマー上にOH末端基を形成することによって、末端封鎖剤として作用する。
【0106】
任意の適切な触媒を用いてもよい。これらとしては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム又は水酸化セシウム等のアルカリ金属水酸化物;アルカリ金属アルコキシド又はアルカリ金属水酸化物とアルコールとの錯体;カリウムシラノレート、セシウムシラノレート、ナトリウムシラノレート及びリチウムシラノレート又はトリメチルカリウムシラノレート等のアルカリ金属シラノレートが挙げられる。利用し得る他の触媒としては、テトラ−アルキルアンモニウム水酸化物とシロキサン四量体との反応によって得られる触媒、及び上記のようなホウ素系の触媒が挙げられる。
【0107】
しかしながら、平衡型反応に最も好ましい触媒は、上記のようなハロゲン化ホスホニトリル、ホスファゼンの酸及びホスファゼンの塩基である。
【0108】
必要であれば、得られるポリマーは、ポリマーの分子量を規制する方法として、且つ/又は官能性を付与するように末端封鎖されていてもよい。適切な末端封鎖剤としては、希釈ポリマー中に調製される、得られるポリマー構成要素の末端基と反応することができる基を1つ有するシランが挙げられる。しかしながら、本発明のための末端封鎖剤として利用され得る好ましいシラン。末端封鎖剤は、X及びXのような上記のヒドロキシル基及び加水分解性基を導入するのに用いられる。
【0109】
(III)重付加
詳述するために、「重付加」又は「付加重合」プロセスは、縮合反応とは異なり、重合中にモノマー及びオリゴマーの共反応化合物から水又はアルコール等の副生成物を発生しない重合プロセスである。好ましい付加重合経路は、適切な触媒の存在下における不飽和有機基、例えばアルケニル基又はアルキニル基と、Si−H基とのヒドロシリル化反応である。
【0110】
一般的に、重付加経路を利用して、増量剤及び/又は可塑剤、適切な触媒、並びに任意に末端封鎖剤の存在下における付加反応経路を介して、
(a)
(i)オルガノポリシロキサン又は
(ii)シランと、
(b)
(i)1つ又は複数のオルガノポリシロキサンポリマー又は
(ii)1つ又は複数の有機ポリマーと
を反応させること、及び
必要であれば、この重合プロセスを失活させることによって、ブロックコポリマーを生成する。
【0111】
オルガノポリシロキサン又はシラン(a)は、付加型反応を起こすことができる少なくとも1つの基を含有するシラン(a)(ii)、及び付加型反応を起こすことができる基を含有するオルガノポリシロキサンモノマー(a)(i)から選択される。オルガノポリシロキサン又はシラン(a)は、ポリマー(b)(i)又は(b)(ii)と適切な付加反応を起こすことができるような置換基を含有している必要がある。好ましい付加反応は、不飽和基とSi−H基との間のヒドロシリル化反応である。
【0112】
好ましくは、シラン(a)(ii)は、(b)(i)又は(b)(ii)と付加型反応を起こすことができる少なくとも1つ、好ましくは2つの基を有する。付加反応がヒドロシリル化反応である場合、シランは不飽和構成要素を含有し得るが、好ましくは少なくとも1つのSi−H基を含有する。最も好ましくは、シランがそれぞれ、1つ又は複数のSi−H基を含有することである。1つ又は複数のSi−H基に加えて、好ましいシランとしては、例えば、アルキル基、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシマト基、アミノ基、アミド基、酸アミド基、アミノキシ基、メルカプト基及びアルケニルオキシ基等が挙げられ得る。これらのうち、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシマト基、アミノ基、アミド基、アミノキシ基、メルカプト基及びアルケニルオキシ基が好ましい。水素化ケイ素の具体例は、ハロシラントリ−クロロシラン、メチルジクロロシラン、ジメチルクロロシラン及びフェニルジクロロシラン;トリ−メトキシシラン、トリ−エトキシシラン、メチルジ−エトキシシラン、メチルジ−メトキシシラン及びフェニル−ジ−メトキシシラン等のアルコキシシラン;メチルジ−アセトキシシラン及びフェニルジアセトキシシラン等のアシルオキシシラン;並びにビス−(ジメチル−ケトキシメート)−メチルシラン及びビス−(シクロヘキシルケトキシメート)−メチルシラン等のケトキシマトシランである。これらのうち、ハロシラン及びアルコキシシランが好ましい。特に好ましいシランとしては、例えば、メチルジメトキシシラン(H−Si(−CH)(−OCH)が挙げられる。
【0113】
シラン(a)(ii)と、(b)(i)又は(b)(ii)との付加反応は、ポリマー鎖延長プロセスをもたらすか、所望の末端基でポリマーを末端封鎖する方法として起こる、このとき、すなわち付加反応の直前に、増量剤は、シラン(a)(ii)と併せて添加されてもよく、又はポリマー(b)(i)及び/又は(b)(ii)の重合時に存在していもよいことが理解されるであろう。このように、増量剤の存在下において重合された増量ポリマー(b)(i)又は(b)(ii)に、シラン(a)(ii)を添加する。
【0114】
オルガノポリシロキサンモノマー(a)(i)は好ましくは、式(1a)
R’SiO4−a/2 (1a)
(式中、R’はそれぞれ、同じであっても異なっていてもよく、1〜18個の炭素原子を有する炭化水素基、1〜18個の炭素原子を有する置換炭化水素基、又は最大18個の炭素原子を有するヒドロカルボノキシ基を示し、aは平均して1〜3、好ましくは1.8〜2.2の値を有する)の線状及び/又は分枝状オルガノポリシロキサンの形態をとる。好ましくは、R’はそれぞれ、同じであるか又は異なり、限定するものではないが、水素;メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ウンデシル及びオクタデシル等のアルキル基;シクロヘキシル等のシクロアルキル;フェニル、トリル、キシリル、ベンジル及び2−フェニルエチル等のアリール;並びに3,3,3−トリフルオロプロピル、3−クロロプロピル及びジクロロフェニル等のハロゲン化炭化水素基で例示される。いくつかのR’基は水素基であってもよい。好ましくは、ポリジオルガノシロキサンはポリジアルキルシロキサンであり、最も好ましくはポリジメチルシロキサンである。オルガノポリシロキサン又はシラン(a)がオルガノポリシロキサンモノマーである場合、当該オルガノポリシロキサンモノマーは、付加反応プロセスを介して、ポリマー(b)(i)又は(b)(ii)の少なくとも2つの基(一般的に末端基)と反応性である基を少なくとも1つ有していなければならない。好ましくは、オルガノポリシロキサン(a)(i)が、1分子当たり少なくとも1つのSi−H、好ましくは1分子当たり少なくとも2つのSi−H基を含む。好ましくは、オルガノポリシロキサン(a)(i)は、式H(R’’)SiO1/2(式中、R’’はそれぞれ炭化水素基又は置換炭化水素基であり、最も好ましくはアルキル基である)のシロキサン基で末端封鎖される。好ましくは、オルガノポリシロキサン(a)(i)は25℃で10mPa・s〜5000mPa・sの粘度を有する。
【0115】
オルガノポリシロキサンポリマー(b)(i)は好ましくは、式(1b)
R’’’SiO4−a/2 (1b)
(式中、R’’’はそれぞれ、同じであっても異なっていてもよく、1〜18個の炭素原子を有する炭化水素基、1〜18個の炭素原子を有する置換炭化水素基、又は最大18個の炭素原子を有するヒドロカルボノキシ基を示し、aは平均して1〜3、好ましくは1.8〜2.2の値を有する)の線状及び/又は分枝状オルガノポリシロキサンである。好ましくは、R’’’は水素基ではない。好ましいR’’’はそれぞれ、同じであるか又は異なり、限定するものではないが、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ウンデシル及びオクタデシル等のアルキル基;シクロヘキシル等のシクロアルキル;フェニル、トリル、キシリル、ベンジル及び2−フェニルエチル等のアリール;並びに3,3,3−トリフルオロプロピル、3−クロロプロピル及びジクロロフェニル等のハロゲン化炭化水素基で例示される。
【0116】
オルガノポリシロキサンポリマー(b)(i)は、任意の適切なオルガノポリシロキサンポリマー主鎖を含み得るが、好ましくは線状又は分枝状であり、付加反応経路を介してオルガノポリシロキサン又はシラン(a)中の前述の基と反応する少なくとも1つの、好ましくは少なくとも2つの置換基を含む。好ましくは、ポリマー(b)(i)の上記の置換基は末端基である。オルガノポリシロキサン又はシラン(a)が少なくとも1つのSi−H基を含む場合、Si−H基と相互作用するように設計される、オルガノポリシロキサンポリマー(b)(i)上の好ましい置換基は、好ましくは不飽和基(例えばアルケニル末端、例えばエテニル末端、プロペニル末端、アリル末端(CH=CHCH−))であるか、又は、CH=C(CH)−CH−基等のアクリル酸基若しくはアルキルアクリル酸基で終端される。アルケニル基の非限定的な代表例は、次の構造:HC=CH−、HC=CHCH−、HC=C(CH)CH−、HC=CHCHCH−、HC=CHCHCHCH−、及びHC=CHCHCHCHCH−で示される。アルキニル基の非限定的な代表例は、次の構造:HC≡C−、HC≡CCH−、HC≡CC(CH)−、HC≡CC(CH−、HC≡CC(CHCH−で示される。代替的に、アルケニル基及び/又はアルキニル基等の不飽和有機基は、アクリレート及びメタクリレート等の有機官能性炭化水素であってもよい。アルケニル基が特に好ましい。
【0117】
有機ポリマー(b)(ii)は、例えば、任意の適切な有機系ポリマー主鎖を含んでいてもよく、この有機系ポリマー主鎖としては例えば、ポリ(α−メチルスチレン)、ポリ(ビニルメチルスチレン)、ポリ(p−トリメチルシリルスチレン)、及びポリ(p−トリメチルシリル−α−メチルスチレン)等のポリスチレン及び/又は置換ポリスチレンが挙げられ得る。いずれの場合にも、有機ポリマー(b)(ii)に用いられるモノマーは、オルガノポリシロキサン又はシラン(a)の反応性基と反応する、(b)(i)について記載されるような少なくとも2つの置換基を含む。一般的に、有機ポリマー(b)(ii)は、少なくとも2つの不飽和末端基、好ましくは、例えばオルガノポリシロキサン又はシラン(a)のSi−H基との相互作用に利用し得るアルケニル末端基を含む。他の有機系のモノマー(b)(ii)としては、アセチレン末端オリゴフェニレン、ビニルベンジル末端芳香族ポリスルホンオリゴマーが挙げられ得る。さらに、(b)(ii)として適切な有機ポリマー主鎖としては、芳香族ポリエステルベースのモノマー及び芳香族ポリエステルベースのモノマーが挙げられ、好ましくはこれらは両方ともアルケニル末端基を含む。
【0118】
おそらく、ポリマー(b)(ii)として使用される最も好ましい有機系ポリマー主鎖は、不飽和(例えばアルケニル)末端基を有する(上記のような)ポリオキシアルキレンベースのポリマーである。各ポリオキシアルキレンポリマー(b)の数平均分子量は、約300〜約10,000の範囲であり得る。さらに、オキシアルキレン単位は、ポリオキシアルキレンモノマーを通して必ずしも同一ではなく、単位ごとに異なっていてもよい。
【0119】
本明細書中でポリマー(b)(ii)として使用されるポリオキシアルキレンモノマーを製造する任意の適切な方法を利用してもよい。例としては、欧州特許第0397036号明細書、米国特許第3971751号明細書、欧州特許第0196565号明細書、及び国際公開第2005/103117号パンフレットに記載されているものが挙げられる。しかしながら、本発明の目的で、ポリオキシアルキレンポリマー(b)の製造方法は、本発明にとって重要ではない。上記のポリオキシアルキレンアミドポリマー(b)を製造する任意の適切な方法を利用してもよい。好ましい方法としては、国際公開第9906473号パンフレット、同第200306530号パンフレット及び同第2005103117号パンフレット(この内容は参照されて本明細書の一部とする)に記載されているものが挙げられる。
【0120】
オルガノポリシロキサン又はシラン(a)が1つの付加反応性基のみを含み、(b)(i)又は(b)(ii)が、オルガノポリシロキサン又はシラン(a)と反応する2つの付加反応性基を含む場合、得られる生成物は、「ABA」タイプのポリマー生成物であると考えられる。ところが、オルガノポリシロキサン又はシラン(a)が1つの付加反応性基のみを含み、(b)(i)又は(b)(ii)が、オルガノポリシロキサン又はシラン(a)と反応する2つの付加反応性基を含む場合であっても、2つの構成要素の相互作用により、2つの構成要素の相対量によってポリマー長がおおよそ確定される(AB)ブロックコポリマーが得られることがある。
【0121】
それゆえ、本発明による線状非加水分解性(AB)ブロックコポリマーは、アルケニル末端ポリエーテルとSiH末端ジアルキルシロキサン流体との触媒下におけるヒドロシリル化によって調製され得る。得られるコポリマーは、ケイ素を介して炭素−酸素結合(すなわち、プロピレンオキシ基)に結合されるポリオキシアルキレンブロックの組み合わせであり、末端封鎖基は、アリル、プロペニル及び/又は水素(ジアルキル)シロキシ基から成る群より選択される(存在する構成要素の相対量に応じて決まる)。
【0122】
選択される付加反応がヒドロシリル化反応である場合、任意の適切なヒドロシリル化触媒を利用してもよい。このようなヒドロシリル化触媒は、SiH末端オルガノポリシロキサンのケイ素と結合する水素原子と、ポリオキシエチレン上の不飽和炭化水素基との反応を促進させる任意の金属含有触媒で例示される。金属は、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム又は白金で例示される。
【0123】
ヒドロシリル化触媒は、塩化白金酸、アルコール修飾塩化白金酸、塩化白金酸のオレフィン錯体、塩化白金酸とジビニルテトラメチルジシロキサンとの錯体、炭素担体に吸着している白金微粒子、Pt(Al)等の、酸化金属担体に担持される白金、白金黒、白金アセチルアセトネート、白金(ジビニルテトラメチルジシロキサン)、PtCl、PtCl、Pt(CN)で例示されるハロゲン化第一白金、ハロゲン化第一白金と、エチレン、プロピレン及びオルガノビニルシロキサンで例示される不飽和化合物との錯体、スチレンヘキサメチル二白金(styrene hexamethyldiplatinum)で例示され、このような新規の金属触媒は米国特許第3,923,705号明細書(白金系触媒を示すために参照にされて本明細書の一部とする)に記載されている。1つの好ましい白金系触媒は、Karstedtの触媒であり、これは、Karstedtの米国特許第3,715,334号明細書及び同第3,814,730号明細書(参照されて本明細書の一部とする)に記載されている。Karstedtの触媒は、トルエン等の溶媒中に1重量%の白金を一般的に含む白金ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体である。別の好ましい白金系触媒は、塩化白金酸と、末端脂肪族不飽和を含有する有機ケイ素化合物との反応生成物である。これは、米国特許第3,419,593号明細書(参照されて本明細書の一部とする)に記載されている。触媒として最も好ましいものは、例えば米国特許第5,175,325号明細書に記載されているような、塩化第一白金とジビニルテトラメチルジシロキサンとの中和錯体である。
【0124】
RhCl(BuS)等のルテニウム触媒、及びルテニウム1,1,1−トリフルオロアセチルアセトネート、ルテニウムアセチルアセトネート及びトリルテニウム(triruthinium)ドデカカルボニル又はルテニウム1,3−ケトエノレート等のルテニウムカルボニル化合物を代替的に用いてもよい。
【0125】
本発明における使用に適した他のヒドロシリル化触媒には、例えば、[Rh(OCCH、Rh(OCCH、Rh(C15、Rh(C、Rh(C)(CO)、Rh(CO)[PhP](C)、RhX[(RS]、(RP)Rh(CO)X、(RP)Rh(CO)H、Rh、HRholefinCl、Rh(O(CO)R3−n(OH)(式中、Xは、水素、塩素、臭素又はヨウ素であり、Yは、メチル又はエチル等のアルキル基、CO、C14又は0.5C12であり、Rはアルキルラジカル、シクロアルキルラジカル又はアリールラジカルであり、Rはアルキルラジカル、アリールラジカル又は酸素置換ラジカルであり、aは0又は1であり、bは1又は2であり、cは1〜4の整数(両端を含む)であり、dは2、3又は4であり、nは0又は1である)等のロジウム触媒が含まれる。Ir(OOCCH、Ir(C、[Ir(Z)(En)、又は(Ir(Z)(Dien)](式中、Zは、塩素、臭素、ヨウ素、又はアルコキシであり、Enはオレフィンであり、Dienはシクロオクタジエンである)等の任意の適切なイリジウム触媒が使用されてもよい。
【0126】
ヒドロシリル化反応を促進させることが知られているさらなる構成成分を、ヒドロシリル化反応に添加することができる。これらの構成成分としては、白金系触媒と組み合わせて緩衝効果を有する酢酸ナトリウム等の塩が挙げられる。
【0127】
用いられるヒドロシリル化触媒の量は、室温又は室温よりも高い温度で、各分子末端に不飽和炭化水素基を有するポリオキシエチレンと、SiH末端オルガノポリシロキサンとの反応を促進させるのに十分な量であれば、狭く限定されない。この触媒の厳密な必要量は、利用される特定の触媒に応じて決まり、容易に予測できない。しかしながら、白金含有触媒では、各分子末端に不飽和炭化水素基を有するポリオキシエチレン及びSiH末端オルガノポリシロキサンである構成成分100万重量部当たり白金1重量部まで量を少なくすることができる。触媒は、各分子末端に不飽和有機基を有するポリオキシエチレン及びSiH末端オルガノポリシロキサンである構成成分100万重量部当たり、10〜120重量部の量で添加することができるが、一般的に、各分子末端に不飽和有機基を有するポリオキシエチレン及びSiH末端オルガノポリシロキサン100万重量部当たり、10〜60重量部の量で添加される。本発明の組成物はまた、架橋剤として有機過酸化物の代わりにオルガノハイドロジェンシロキサンと併用したヒドロシリル化反応触媒によって硬化及び/又は架橋することができるが、但し、各ポリマー分子は、オルガノハイドロジェンシロキサンとの架橋に適切な少なくとも2つの不飽和基を含有していなければならない。これらの基は一般的にアルケニル基であり、最も好ましくはビニル基である。本発明の組成物を硬化するために、オルガノハイドロジェンシロキサンは、1分子当たりケイ素と結合する水素原子を2つより多く含有していなければならない。オルガノハイドロジェンシロキサンは、例えば、1分子当たり約4〜20個のケイ素原子を含有し、25℃で最大約10Pa・sの粘度を有することができる。オルガノハイドロジェンシロキサン中に存在するケイ素と結合する有機基としては、1〜4個の炭素原子の置換及び非置換のアルキル基が挙げられ得るが、そうでなければ、エチレン性又はアセチレン性不飽和を含まないものである。
【0128】
ケイ素含有材料が、少なくとも2つのSi−H基を有するオルガノポリシロキサンである場合、一般的に、プロセスは、≡Si−H含有ポリシロキサンと不飽和を含有する材料との約1:1のモル比を用いて実施される。過剰量の≡Si−H含有ポリシロキサン又は不飽和を含有する材料のいずれかを用いてプロセスを実施することによって有用な材料を調製することもできるが、これは、あまり材料を有効利用しているとは言えないと思われる。一般的に、不飽和を含有する材料をわずかに過剰な量で用いて、反応においてSiHを確実に全て消費する。
【0129】
必要であれば、得られるポリマーは、ポリマーの分子量を規制する方法として、且つ/又は官能性を付与するように末端封鎖されていてもよい。適切な末端封鎖剤としては、希釈ポリマー中の末端基と付加型反応することができる基を1つ有するシランが挙げられる。付加型反応がヒドロシリル化反応である場合、シランは不飽和構成要素を含有し得るが、好ましくはSi−H基を含有する。1つ又は複数のSi−H基に加えて、好ましいシランとしては、例えば、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシマト基、アミノ基、アミド基、酸アミド基、アミノキシ基、メルカプト基及びアルケニルオキシ基等が挙げられ得る。これらのうち、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシマト基、アミノ基、アミド基、アミノキシ基、メルカプト基及びアルケニルオキシ基が好ましい。水素化ケイ素の具体例は、ハロシラントリ−クロロシラン、メチルジクロロシラン、ジメチルクロロシラン及びフェニルジクロロシラン;トリ−メトキシシラン、トリ−エトキシシラン、メチルジ−エトキシシラン、メチルジ−メトキシシラン及びフェニル−ジ−メトキシシラン等のアルコキシシラン;メチルジ−アセトキシシラン及びフェニルジアセトキシシラン等のアシルオキシシラン;並びにビス−(ジメチル−ケトキシメート)−メチルシラン及びビス−(シクロヘキシルケトキシメート)−メチルシラン等のケトキシマトシランである。これらのうち、ハロシラン及びアルコキシシランが好ましい。特に好ましいシランとしては、例えば、メチルジメトキシシラン(H−Si(−CH)(−OCH)が挙げられる。
【0130】
末端封鎖剤及び必要であれば続いて起こる反応を用いて導入され得る加水分解性基としては、−SiOH、−(R)SiOH、−(RSiOH、−RSi(OR、−Si(OR、−RSiOR、又は−RSi−R−SiR(OR3−p(式中、Rはそれぞれ独立して、一価のヒドロカルビル基、例えば、特に1〜8個の炭素原子を有するアルキル基を示し(好ましくはメチルである)、R及びR基はそれぞれ独立して、アルキル基又はアルコキシ基であり、ここでアルキル基は適宜最大6個の炭素原子を有し、Rは、最大6個のケイ素原子を有する1つ又は複数のシロキサンスペーサーが介在し得る二価の炭化水素基であり、pは0、1又は2の値を有する)が挙げられる。
【0131】
(IV)鎖延長
この場合、鎖延長剤を事前に調製した最終ポリマー組成物に添加するのではなく、シーラント組成物の他の構成要素の導入前の鎖延長重合工程の間に、鎖延長剤をポリマーに混合させる。一般的に、ポリマー出発材料は、選択される鎖延長材料と相互作用するのに適切な末端基を有するオルガノポリシロキサンである。一般的に、ポリマー末端基は、加水分解性、又は付加反応(一般的にヒドロシリル化)に適切なもののいずれであってもよく、鎖延長材料は、ポリマーを鎖延長する適切な反応性基を有することに基づき選択される。ヒドロキシル末端基及び/又は加水分解性末端基を有するポリマーを鎖延長するのに好ましい鎖延長材料は上記の通りである。
【0132】
ヒドロシリル化経路を介する付加反応に適切なアルキレン基又はSi−H基を有する事前に生成したポリマーについて、鎖延長剤は、例えば、
2つのアルケニル基を含むシラン、ジヒドロシラン、2〜25の重合度と、1つの末端基につき少なくとも1つのSi−アルケニル結合とを有するポリジアルキルシロキサン、2〜25の重合度と、1つの末端基につき少なくとも1つのSi−H結合とを有し、アルキル基がそれぞれ独立して、1〜6個の炭素原子を含むポリジアルキルシロキサン
一般式
【0133】
【化4】

【0134】
(式中、Rは上記の通りであり、jは1、2又は3であり、kは0又は1であり、j+kは2又は3である)を有する有機ケイ素化合物が挙げられ、この有機ケイ素化合物は、次の式(ViMeSiO)SiVi(OMe)、(ViMeSiO)SiVi(OMe)、(ViMeSiO)SiVi(OEt)、(ViMeSiO)SiVi(OEt)、(ViMeSiO)Si(OMe)、(ViMeSiO)Si(OMe)、(ViMeSiO)Si(OEt)及び(ViMeSiO)Si(OEt)で例示される。本明細書中で使用される場合、Viはビニル基を示し、Meはメチル基を示し、Etはエチル基を示す。
【0135】
鎖延長反応を触媒するのに用いられる触媒は、起こる反応によって決まる。生じる反応が縮合反応である場合、上記のような任意の適切な縮合触媒を利用してもよい。生じる反応がヒドロシリル反応である場合、上記のような任意の適切なヒドロシリル化触媒を利用してもよい。
【0136】
必要であれば、ポリマーは加水分解性末端基を含有し、縮合に関する上記のような末端封鎖剤を利用して、適切な末端基を得ることができる。必要であれば、ポリマーは付加反応性末端基を含有し、重付加に関する上記のような末端封鎖剤を利用して、適切な末端基を得ることができる。
【0137】
プロセスは、バッチ式又は連続式のいずれでも任意の適切な混合機において実行することができる。重縮合の場合、発生する水は、例えば、メチルトリメトキシシラン等の加水分解性シランを用いた化学的な乾燥によっても、又は蒸発技法、合着(coalescing)技法又は遠心分離技法を用いた物理的な分離によっても除去することができる。
【0138】
鎖延長は、好ましい操作のバッチ式又は連続式に係わるプロセスに対する任意の適切な温度及び圧力で起こり得る。それゆえ、ホスファゼンにより触媒される方法では、重合は、50℃〜200℃、より好ましくは80℃〜160℃の温度で起こり得る。さらに、縮合の際に生成される副生成物、例えば、水、HCl又はアルコールの除去を容易にするために、有機ケイ素化合物の縮合及び/又は平衡は、80kPa未満の圧力で実行されてもよい。縮合副生成物の除去のための代替的な方法としては、例えば、(適切であれば)メチルトリメトキシシラン等の加水分解性シランを用いた化学的な乾燥による除去、又は蒸発技法、合着技法又は遠心分離技法を用いた物理的な分離による除去が挙げられる。
【0139】
プロセスは、バッチ式又は連続式のいずれでも任意の適切な混合機において実行することができる。重縮合の場合、発生する水は、例えば、メチルトリメトキシシラン等の加水分解性シランを用いた化学的な乾燥によっても、又は蒸発技法、合着技法又は遠心分離技法を用いた物理的な分離によっても除去することができる。
【0140】
本発明をこれから実施例によって説明する。比較のために、全ての実施例及び比較例において使用される希釈剤は、特に記載がない限り、Finaによって製造される水素処理された鉱油カット(n−パラフィン系7%、イソパラフィン系51%及びナフテン系42%)のHYDROSEAL(登録商標)G250Hとした。特に記載がない限り、全ての粘度は25℃で測定した。
【実施例】
【0141】
(実施例1)
ジブチルアセトキシシランを用いた鎖延長
ポリマーの生成
25℃で80000mPa・sの粘度を有する50gのジメチルヒドロキシ末端ポリジメチルシロキサンを適切な容器に入れた。0.2gのジブトキシジアセトキシシラン(DBDAc)及び(ポリマーに対して)500重量ppmの二酢酸ジブチルスズ触媒を、化学量論的量の水と共に添加し、DBDAcのアセトキシ基を加水分解した。初期粘度の増大が検出されたらすぐに、50gの鎖延長剤を反応混合物に導入し、生成物の粘度が最大になるまで、粘度の変化を見た。
【0142】
シーラント配合物
得られるポリマーシーラント(試料1)を、上記で生成したポリマー86.485重量%、メチルトリアセトキシシラン架橋剤とエチルトリアセトキシシラン架橋剤との50%混合物5重量%、ヒュームドシリカ8重量%、ポリ(PO)(EO)(レオロジー調節剤)0.5重量%、及び二酢酸ジブチルスズ触媒0.015重量%と配合した。シーラントの特性を表1に示す。
【0143】
接着試験(7dRT)を実施し、シーラントのビーズを23℃及び50%の相対湿度で7日間硬化させた後、標準的なガラスプレートに首尾良く付着することを示した。硬化期間後に接着を評価し、ビーズを90°で引っ張り、不良な点を以下のように評価する。
0:接着不良−接着性に乏しい)
1:境界モード又は混合モード(接着/凝集)不良−許容可能な接着性
2:凝集不良−優れた接着性
【0144】
接着試験(7HO)を実施し、シーラントのビーズを23℃及び50%の相対湿度で7日間、その後水中で7日間硬化させた後、標準的なガラスプレートに首尾良く付着することを示した。シーラントのビーズを接着試験(7dRT)と同様に引っ張った。
【0145】
深さ試験において硬化を行い、シーラントが24時間及び72時間で表面からどのくらい深く硬化したかを求める。これは、適切な容器をシーラントで充填し(空洞域が発生するのを防止し)、容器内のシーラントを適切な期間、室温(約23℃)、約50%の相対湿度で硬化することによる。適切な硬化時間の後、試料を容器から取り出し、硬化した試料の高さを測定する。
【0146】
【表1】

【0147】
(実施例2)
粘度の変化に伴ってラインの出力を変更することによって、混合物を同じ速度(以下の実施例では、179回転/分(RPM))で連続的に混合する混合パドルを有する実験室用バッチ反応器においてポリマーを製造した。そのために、以下の手順を用いた。
【0148】
0.42kgのジメチルヒドロキシ末端ポリジメチルシロキサン(70mPa・s)を混合機内に導入し(and was introduced)、179RPMで継続して攪拌しながら21gのDBSA触媒及び0.56kgの希釈剤を順次添加して攪拌した。179RPMのパドル回転速度を保持するために必要とされる電流(mA)を測定することによって、得られたポリマーの粘度を追跡した。粘度が低下し始めるまで混合を継続し、この時点で触媒をアミン(例えば、0.5〜1.0%のトリエタノールアミン)で中和した。調製された希釈ポリジメチルシロキサンポリマーの数平均分子量は、170000であり、これはポリスチレン分子量換算値に基づきASTM D5296−05を用いて求められる。
【0149】
【表2】

【0150】
得られる希釈オルガノポリシロキサンポリマーは、上記で調製したような希釈ポリマーと組成物の他の成分とを混合することによって調製されるアセトキシシーラント配合物のポリマー構成成分として用いた。得られるシーラント(試料2)の物理特性を、25℃で80000mPa・sの粘度を有し、希釈材料の非存在下で重合したポリマーを用いて従来通りに製造される増量アセトキシシーラント配合物(比較例1)の物理特性と比較した。表2は製造されたアセトキシシーラントの組成を示す。
【0151】
【表3】

【0152】
シーラントの物理特性
標準物理特性試験を行い、硬化後の2つのシーラント配合物の特性を比較した(表4)。実施例1において上記と同様の接着試験を行った。
【0153】
【表4】

【0154】
本発明により製造されるアセトキシシーラントが、従来技術の配合物よりも多くの利点を有する、例えば、同様のレオロジーに対して希釈剤含量がより多い(50%対30%)ことが理解されるであろう。シーラントの調製中の混合プロセスは、ポリマー及び希釈剤を配合する配合工程を必要としないことから大幅に単純化される。得られるシーラントは、1000%よりも大きい破断伸びから分かるように、弾性が増大する。このシーラント配合物は、重合プロセス中に希釈剤が存在しなければ実質的に実現不可能な粘度、例えば3400000mPa・sを有するであろうポリマーの使用を、いかなる重大な取扱いに関する問題も有することなく可能にする。また、得られる未硬化シーラント組成物が極めて小さい比重を有することから、製造業者は、製造されるシーラント1kgを用いてより大きいシーラントカートリッジ又は他のパッケージを充填することができる。
【0155】
(実施例3)
本発明に従って調製されるポリマーを用いて、2つのアセトキシシーラント配合物(試料3及び試料4)を調製し、物理特性を、80000(mPa・s)を有する従来通りに製造される増量アセトキシシーラント配合物の物理特性と比較した(比較例2)。
【0156】
増量剤としてIsopar(登録商標)P炭化水素流体(Exxonmobil Corporationにより販売)の存在下でホスファジンをベースとする触媒を用いる式((CHSiO)を有する環状オルガノポリシロキサンの重合を介して、希釈ポリマー試料3及び4を調製した。この増量剤は、235℃の初留点及び265℃の終点(ASTM D86)、並びに3.0mPa・s(ASTM D445)の粘度を有する。ヒドロキシ末端ポリジメチルシロキサンを末端封鎖剤として用い、また、リン酸シリルが、選択された中和剤であった。ポリマー組成を表5に示す。
【0157】
【表5】

【0158】
表6は、試料3及び試料4の両方についてポリマーの分子量の詳述と共に、重合反応の完了後に組成物中に残る残存モノマーを示す(ASTM D5296−05)。その沸点が希釈剤の沸点よりも極めて低いため、必要であれば、残存モノマーをポリマーから除去してもよい。((CHSiO)の沸点は175℃である。
【0159】
【表6】

【0160】
オルガノポリシロキサンシーラント組成物を、上記表3に記載の得られる増量ポリマーから調製した。表7の試料3及び試料4を、表6のポリマー試料3及びポリマー試料4からそれぞれ調製した。この場合、粘度をさらに低減するために、追加量の増量剤を増量ポリマーに添加した。本発明に従って調製されるシーラント及び比較例の両方についてシーラント配合物を調製した。組成物の詳細を表7に示した。
【0161】
【表7】

【0162】
シーラントの物理特性
標準的な物理特性試験は、特に記載がない限り上記の実施例1に従い、結果を表8に示す。
【0163】
【表8】

【0164】
本発明に従って製造されるアセトキシシーラントが従来技術の配合物を越える多数の利点を有することが認識されるであろう。得られるシーラントは、1000%よりも大きい破断伸びから分かるように、弾性の増大を示す。このシーラント配合物は、重合プロセス中に希釈剤が存在しなければ実質的に実行不可能な粘度を有するであろうポリマーの使用を、いかなる取扱いに関する著しい困難も伴うことなく可能にする。得られた未硬化シーラント組成物が著しく小さい比重を有することから、製造者は、製造したシーラント1kgを用いてより多くのシーラントカートリッジ又は他のパッケージを充填することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エラストマー体へと硬化することができる湿分硬化性組成物であって、
(a)希釈ポリマーであって、
(i)式
X−A−X
(式中、X及びXは独立して、1つの基につき1つ又は複数の縮合性置換基を含有するシリル基から選択され、Aは、少なくとも132000の数平均分子量(M)と、少なくとも1800の重合度とを有するポリマー鎖である)
のケイ素含有ポリマーと、
(ii)有機増量剤及び/又は有機可塑剤と
を含み、該有機増量剤及び/又は該有機可塑剤の存在下で重合することによって得られる、希釈ポリマーと、
(b)該希釈ポリマー中の該縮合性基と反応性である基を少なくとも2つ含む適切な架橋剤と、
(c)適切な縮合触媒と、任意に
(e)1つ又は複数の充填剤と
を含む、湿分硬化性組成物。
【請求項2】
Aがシロキサンポリマー鎖、有機ポリマー鎖、シロキサンコポリマー鎖又はシロキサン/有機ブロックコポリマー鎖であることを特徴とする、請求項1に記載の湿分硬化性組成物。
【請求項3】
又はXが、−SiOH、−(R)SiOH、−(RSiOH、−RSi(OR、−Si(OR、−RSiOR、又は−RSi−R−SiR(OR3−p(式中、Rはそれぞれ独立して、特に1〜8個の炭素原子を有するアルキル基を示し、R及びR基はそれぞれ独立して、アルキル基又はアルコキシ基であり、ここで該アルキル基は適宜最大6個の炭素原子を有し、Rは、最大6個のケイ素原子を有する1つ又は複数のシロキサンスペーサーが介在し得る二価の炭化水素基であり、pは0、1又は2の値を有する)等の、ヒドロキシル末端置換基又は加水分解性置換基を含むシリル基であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の湿分硬化性組成物。
【請求項4】
前記増量剤及び/又は可塑剤が、
トリアルキルシリル末端ポリジメチルシロキサン、
ポリイソブチレン(PIB)、
ポリアルキルベンゼンのリン酸エステル、
脂肪族モノカルボン酸エステルの線状及び/又は分枝状アルキルベンゼン
の群の1つ又は複数から選択される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の湿分硬化性組成物。
【請求項5】
前記増量剤が、12〜25個の炭素原子を含有する線状又は分枝状アルケン又はこれらの混合物等の線状又は分枝状モノ不飽和炭化水素、並びに/又は線状(n−パラフィン系)鉱油、分枝状(イソパラフィン系)鉱油及び/若しくは環状(ナフテン系)鉱油及びこれらの混合物を含む鉱油留分を含む群の1つ又は複数から選択される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の湿分硬化性組成物。
【請求項6】
前記架橋剤が、アシルオキシ基、ケトキシミノ基を含有する1つ又は複数のシラン又はシロキサンであり、前記触媒がスズ触媒である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の湿分硬化性組成物。
【請求項7】
前記架橋剤が、アルコキシ基及びアルケニルオキシ基を含有する1つ又は複数のシラン又はシロキサンであり、前記触媒が、チタネート又はジルコネート、若しくはキレート化チタネート又はキレート化ジルコネートである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の湿分硬化性組成物。
【請求項8】
前記湿分硬化性組成物が、高表面積ヒュームドシリカ、沈降シリカ及び炭酸カルシウム等の1つ又は複数の微細強化充填剤、並びに/又は破砕石英、珪藻土、硫酸バリウム、酸化鉄、二酸化チタン、カーボンブラック、タルク若しくはウォラストナイト等の強化充填剤を含む充填剤材料を含有する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の湿分硬化性組成物。
【請求項9】
前記希釈ポリマーが、以下の経路:
(i)縮合、
(ii)開環/平衡、
(iii)重付加、及び
(iv)鎖延長
の1つを介して、前記増量剤及び/又は前記可塑剤における重合によって得られ、前記重合経路により得られる必要とされるポリマーが、エンドキャッピングされて、前記必要とされる加水分解性末端基を付与する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の湿分硬化性組成物。
【請求項10】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の組成物を含む、ジョイント用シーラント、接着剤、成形体、コーティング及び流し込みガスケット。
【請求項11】
前記希釈オルガノポリシロキサンが、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法に従って製造される、請求項13に記載のシーラント組成物。
【請求項12】
2つのユニット間の空間を密封する方法であって、
請求項1〜17のいずれか1項に記載の組成物を塗布すること、及び
前記組成物を硬化させるか、又は前記組成物の硬化を可能にすること
を含む、2つのユニット間の空間を密封する方法。
【請求項13】
シーラントとしての、請求項1〜10のいずれか1項に記載の組成物の使用。

【公表番号】特表2008−535974(P2008−535974A)
【公表日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−505389(P2008−505389)
【出願日】平成18年4月3日(2006.4.3)
【国際出願番号】PCT/US2006/011986
【国際公開番号】WO2006/107762
【国際公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【出願人】(596012272)ダウ・コーニング・コーポレイション (347)
【Fターム(参考)】