説明

オートハンドラ

【課題】搬送能力を向上させることができるオートハンドラを提供する。
【解決手段】本発明のオートハンドラは、ソークコーナーC1とテストポートPとの間で往復移動可能なシャトル24と、テストポートPとコーナーC2の間で往復移動可能なシャトル25とを有する搬送装置14を備えており、シャトル24に搬送される搬送ボートB上の全ての半導体デバイスのコンタクトヘッド18による移送が完了する前に、シャトル24,25を共に移動させて、テストポートPでシャトル24に搬送される搬送ボートBをシャトル25に受け渡す処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被試験対象の半導体デバイスを搬送するために半導体試験装置に付随して用いられるオートハンドラに関する。
【背景技術】
【0002】
オートハンドラは、被試験対象の半導体デバイスを半導体試験装置の試験部(テストヘッド)に搬送するとともに、試験を終えた半導体デバイスをその試験結果に応じて自動的に分類収納するものである。このオートハンドラの一種に、搬送ボートと呼ばれる複数の半導体デバイスを収容可能なトレイを内部で循環させて半導体デバイスの搬送を行う水平搬送方式のものがある。
【0003】
この水平搬送方式のオートハンドラは、搬送ボートが循環する搬送路の途中に、ロードポート、テストポート、及びアンロードポートの3つのポートが設けられている。そして、ロードポートにおいて未試験の半導体デバイスを搬送ボート上に載置し、テストポートにおいて半導体試験装置の試験部との間で搬送ボート上の半導体デバイスの移送を行い、アンロードポートにおいて試験を終えた搬送ボート上の半導体デバイスを外部に搬出する。ここで、ロードポートとテストポートとの間、及びテストポートとアンロードポートとの間には、搬送ボートの搬送方向を変化させるコーナーがそれぞれ設けられており、これらのコーナーで搬送ボートの搬送方向を変化させつつ搬送ボートの循環が行われる。
【0004】
ロードポートから搬送された搬送ボートが一方のコーナーに至ると、順送り機構によって搬送されることにより搬送方向が変化する。この順送り機構によって搬送ボートがテストポートまで搬送されると、搬送ボートに載置された半導体デバイスが、コンタクトヘッドと呼ばれる移送機構を用いて移送される。つまり、テストポートに搬送ボートが移動すると、まず搬送ボートに載置された所定数(例えば、8個)の半導体デバイスがコンタクトヘッドにより半導体試験装置の試験部に移送され、試験終了後にそれら半導体デバイスがテストボート上の元の位置に移送される。
【0005】
次に、搬送ボートが搬送路に沿って所定の距離だけ順送りされた後で、搬送ボートに載置された所定数の異なる半導体デバイスの移送がコンタクトヘッドにより行われる。そして、全ての半導体デバイスの移送が完了すると、搬送ボートは順送り機構により他方のコーナーまで搬送される。
【0006】
尚、従来のオートハンドラの詳細については、例えば以下の特許文献1を参照されたい。
【特許文献1】特開2002−228713号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、近年においては、半導体デバイスの試験に要するコストの低減要求が高まっており、単位時間内でより多くの半導体デバイスの試験を行う必要があることから、オートハンドラには搬送能力の向上が望まれている。ここで、オートハンドラの搬送能力を向上させる手段の一つとして搬送ボートを大型化することが考えられる。しかしながら、搬送ボートを大型化すると重量が増すために、加速時及び減速時の慣性力が大きくなり、テストポートにおける順送り時の位置決め精度を保つのが難しくなって制御性が悪化すると考えられる。
【0008】
また、従来は、順送り機構にて一方のコーナーからテストポートを介して他方のコーナーまで搬送ボートを搬送し、その後に順送り機構を他方のコーナーから一方のコーナーまで戻す動作を行っている。このため、順送り機構の移動距離が長く、他方のコーナーに搬送ボートを搬送した後に一方のコーナーで次の新たな搬送ボートの搬送を開始するに余分な待ち時間が生じており、無駄が生じていたと考えられる。
【0009】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、搬送能力を向上させることができるオートハンドラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明のオートハンドラは、複数の半導体デバイスを載置する搬送ボート(B)を所定の搬送路に沿って循環させる搬送機構(14)と、前記搬送路上に設定された移送位置(P)で半導体試験装置の試験部との間で前記搬送ボート上の前記半導体デバイスを移送する移送機構(18)とを備えるオートハンドラ(1)において、前記搬送機構は、前記搬送路上の前記移送位置よりも上流側に設定された第1準備位置(C1)と前記移送位置との間で往復移動可能な第1搬送装置(24)と、前記搬送路上の前記移送位置よりも下流側に設定された第2準備位置(C2)と前記移送位置との間で往復移動可能な第2搬送装置(25)とを備えており、前記第1搬送装置に搬送される搬送ボート上の全ての半導体デバイスの前記移送機構による移送が完了する前に、前記第1,第2搬送装置を共に移動させて、前記移送位置で前記第1搬送装置に搬送される搬送ボートを前記第2搬送装置に受け渡させる制御を行う制御部(17)を備えることを特徴としている。
この発明によると、第1搬送装置に搬送される搬送ボート上の全ての半導体デバイスの移送機構による移送が完了する前に第1,第2搬送装置の移動が行われ、移送位置で第1搬送装置に搬送される搬送ボートを第2搬送装置に受け渡させる制御が行われる。
また、本発明のオートハンドラは、前記第1,第2搬送装置が、前記搬送ボートを上昇又は下降させる昇降機構(33、34)を備えており、前記制御部は、前記移送位置において前記第1搬送装置の昇降機構を下降させる制御を行うことにより、前記第1搬送装置によって搬送される搬送ボートを前記移送位置に設けられた支持部(26、27)に一時的に支持させ、前記第1,第2搬送装置を共に移動させた後に前記第2搬送装置の昇降機構を上昇させる制御を行うことにより、前記支持部に支持されている前記搬送ボートを前記第2搬送装置に受け渡させることを特徴としている。
また、本発明のオートハンドラは、前記支持部が、前記移送位置において前記搬送ボートの搬送路に沿う方向の少なくとも一部に設けられ、前記搬送路に沿う方向に交差する交差方向に前記搬送ボートを挟持するよう配置されて前記第1,第2搬送機構の昇降機構が上昇している場合には前記搬送ボートと離間し、下降している場合には前記搬送ボートの前記交差方向における両端部において前記搬送ボートを下方から支持する一対のガイドレールであることを特徴としている。
また、本発明のオートハンドラは、前記制御部が、前記第2搬送装置に受け渡された搬送ボート上の全ての半導体デバイスの前記移送機構による移送が完了した場合に、当該搬送ボートを前記第2搬送装置によって前記移送位置から前記第2準備位置に搬送させるとともに、新たな搬送ボートを前記第1搬送装置によって前記第1準備位置から前記移送位置に搬送させる制御を行うことを特徴としている。
また、本発明のオートハンドラは、前記第1,第2準備位置及び前記移送位置が、一直線上に位置するよう各々の位置が設定されており、前記第1,第2準備位置は、前記搬送ボートの搬送方向を変えるための位置に設定されることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、第1搬送装置に搬送される搬送ボート上の全ての半導体デバイスの移送機構による移送が完了する前に、第1,第2搬送装置を共に移動させて、移送位置で第1搬送装置に搬送される搬送ボートを第2搬送装置に受け渡している。このため、第1,第2搬送装置の移動距離を短くすることができるとともに、搬送ボートを第2搬送装置に受け渡してしまえば次に搬送すべき搬送ボートの搬送準備を第1搬送装置で行うことができるため待ち時間が生じない。この結果として、オートハンドラの搬送能力を向上させることができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態によるオートハンドラについて詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態によるオートハンドラの全体構成を示す平面透視図である。図1に示す通り、本実施形態のオートハンドラ1は、収容ステージ11、ロードポート12、ソーク(Soak)チャンバ13、搬送装置14、アンソーク部15、アンロードポート16、及びCPU(中央処理装置)17(制御部)を備えており、図1中において白抜き矢印で模式的に示す搬送路に沿って搬送ボートBを循環させて半導体デバイスの搬送を行う水平搬送方式のオートハンドラである。尚、搬送ボートBの大きさは、長さが数百mm(例えば、300mm)程度であり、幅が百数十mm(例えば、150mm)程度であって、従来用いられていたものの倍程度の大きさをである。
【0013】
収容ステージ11は、試験を行うべき半導体デバイスが複数載置されたトレイTr、試験を完了した半導体デバイスが複数載置されたトレイTr、又は空のトレイTrを複数収容可能なステージであって搬送ボートBの搬送路の外部に設けられたステージである。ロードポート12は、搬送ボートBの搬送路上に配置されており、収容ステージ11に収容されたトレイTr(試験を行うべき半導体デバイスが複数載置されたトレイTr)に載置された半導体デバイスを空の搬送ボートBに載せ換える処理が行われる部位である。
【0014】
ソークチャンバ13は、搬送ボートB上に載置された半導体デバイスの温度を所定の温度に設定するためのチャンバであり、搬送ボートBの搬送路上におけるロードポート12の下流側に設けられている。このソークチャンバ13は、一度に複数の搬送ボートBを収容可能である。これは、半導体デバイスの温度設定には時間を要するため、一度に複数の搬送ボートBの加熱等を可能とすることで、搬送効率を向上させるためである。
【0015】
搬送装置14は、ソークチャンバ13を介してソークコーナーC1(第1準備位置)に至った搬送ボートBをテストポートP(移送位置)まで搬送するとともに、テストポートPに位置する搬送ボートBをコーナーC2(第2準備位置)まで搬送する。ここで、ソークコーナーC1はソークチャンバ13からの搬送ボートBの搬送方向を変えるためにテストポートPよりも上流側に設定されるコーナーであり、コーナーC2は搬送装置14によって搬送される搬送ボートBの搬送方向を変えるためにテストポートPの下流側に設定されるコーナーである。尚、本実施形態においては、ソークコーナーC1、コーナーC2、及びテストポートは、一直線上に配置されるようその位置が設定されている。
【0016】
ここで、搬送装置14には、テストポートPに搬送された搬送ボートBに載置された半導体デバイスを、搬送装置14の下方に配置される半導体試験装置の試験部(テストヘッド:図示省略)に移送するための孔部HがテストポートPの近傍に形成されている。つまり、孔部Hの下方に半導体試験装置の試験部が配置されており、搬送ボートB上の半導体デバイスの移送は孔部Hを介して行われる。尚、テストポートPに搬送された搬送ボートBに載置された半導体デバイスの移送は、コンタクトヘッド(移送機構)18(図1では図示省略、図2参照)によって行われる。
【0017】
アンソーク部15は、搬送ボートの搬送路上であって搬送装置14の下流側に配置されており、半導体試験装置によって試験が行われて搬送装置14によって搬送された半導体デバイスの温度を常温(例えば、23℃)に戻すために、搬送ボートBを一時的に保持する部位である。尚、半導体デバイスがソークチャンバ13で加熱される場合には、半導体デバイスの温度を急速に常温に戻すために、アンソーク部15に送風機等の機器を設けても良い。アンロードポート16は、搬送ボートBの搬送路上におけるアンソーク部15の下流側に設けられており、搬送ボートB上に載置された半導体デバイスを、収容ステージ11に収容されたトレイTr(空のトレイTr)に載せ換える処理が行われる部位である。
【0018】
CPU17は、オートハンドラ1の動作を統括的に制御する。具体的には、ロードポート12及びアンロードポート16に設けられた載せ換え機構(図示省略)、搬送ボートBを図示の搬送路に沿って循環させる搬送機構(搬送装置14を含む)、及びコンタクトヘッド18(図2参照)等の動作を個別に制御することにより、オートハンドラ1の動作を統括的に制御する。尚、詳細は詳述するが、搬送装置14には搬送ボートBを搬送する2つのシャトル24,25が設けられており、CPU17はテストポートPにおいてシャトル24によって搬送されている搬送ボートB上の全ての半導体デバイスのコンタクトヘッド18による移送が完了する前に、シャトル24上の搬送ボートBをシャトル25に受け渡させる制御を行う。
【0019】
次に、搬送装置14の構成について詳細に説明する。図2は搬送装置14の構成を示す斜視図であり、図3は図2中のA−A線に沿う断面矢視図である。図2に示す通り、搬送装置14は、2対のガイドレール21,23と1対のリニアガイド22とを備える。ガイドレール21は、ソークチャンバ13からの搬送ボートBをソークコーナーC1に導くためのガイドであり、その間隔は搬送ボートBの長さと同程度に設定されている。リニアガイド22は、ソークコーナーC1からテストポートPを介してコーナーC2まで延びるガイドである。
【0020】
また、ガイドレール23は、コーナーC2に配置された搬送ボートBをアンソーク部15(図1参照)に導くためのガイドであり、その間隔はガイドレール21と同様に、搬送ボートBの長さと同程度に設定されている。尚、ガイドレール21の延びる方向とガイドレール23の延びる方向とは平行に設定されているが、リニアガイド22の延びる方向はガイドレール21,23の延びる方向と交差する方向に設定されている。
【0021】
また、搬送装置14は、リニアガイド22に沿って移動可能に構成され、ソークコーナーC1からテストポートPを介してコーナーC2まで搬送ボートBを搬送するシャトル24(第1搬送装置)及びシャトル25(第2搬送装置)を備える。シャトル24は、リニアガイド22に沿ってソークコーナーC1とテストポートPとの間で往復可能に構成され、ソークコーナーC1からテストポートPまで搬送ボートBを搬送する。シャトル25は、リニアガイド22に沿ってテストポートPとコーナーC2との間で往復可能に構成され、テストポートPからコーナーC2まで搬送ボートBを搬送する。尚、詳細は後述するが、本実施形態では、CPU17の制御の下で、テストポートPにおいてシャトル24からシャトル25に搬送ボートBが受け渡されることにより、搬送ボートBはソークコーナーC1からコーナーC2まで搬送される。
【0022】
シャトル25は、図3に示す通り、スライダー31、シャトル板32、シリンダ33(昇降機構)、昇降ベース34(昇降機構)、及び支柱35を備える。スライダー31は、一対のリニアガイド22の間隔と同じ間隔をもってシャトル板32の底面に取り付けられており、一対のリニアガイド22上にそれぞれ嵌合されてリニアガイド22上を摺動する。スライダ31がリニアガイド22上を摺動することにより、シャトル板32がリニアガイド22に沿って移動する。シャトル板32は、例えばアルミニウムによって形成された板状部材であり、その幅がリニアガイド22の間隔よりも大きく設定され、その長さが搬送ボートBの長さと同程度に設定される。このシャトル板32には内径がシリンダ33の可動シャフト33aの径よりも僅かに大きな孔部32aが形成されている。
【0023】
シリンダ33は、可動シャフト33aがシャトル板32に形成された孔部32aに介挿された状態でシャトル板32の底面に取り付けられており、シリンダ33の可動シャフト33aの先端には搬送ボートBを下方から支持する昇降ベース34が取り付けられている。このため、シリンダ33を駆動して可動シャフト33aの長さを可変することにより、昇降ベース34の高さ位置を変えることができる。これにより、昇降ベース34の高さ位置を高くすれば搬送ボートBを上昇させることができ、逆に昇降ベース34の高さ位置を低くすれば搬送ボートBを下降させることができる。
【0024】
ここで、図3に示す通り、テストポートPには、テストポートPに搬送されてきた搬送ボートBを、リニアガイド22が延びる方向とは交差する交差方向に挟持するように配置されたガイドレール26,27が設けられている。シャトル25に設けられたシリンダ33を駆動して搬送ボートBを上昇させれば、図3に示す通り、搬送ボートBはガイドレール26,27と離間して、昇降ベース34に支持される状態になる。これに対し、シャトル25のシリンダ33を駆動して搬送ボートBを下降させれば、搬送ボートBは昇降ベース34から離間して、交差方向における両端部において下方からガイドレール26,27に支持される状態になる。
【0025】
これにより、テストポートPでは、シャトル25に設けられたシリンダ33を駆動して搬送ボートBを上昇させれば、搬送ボートBを図3の紙面垂直方向(リニアガイド22が延びる方向)に移動させることができ、搬送ボートBを下降させればガイドレール26,27に搬送ボートBを一時的に支持させることができる。尚、詳細は後述するが、本実施形態ではガイドレール26,27を利用して、テストポートPにおけるシャトル24からシャトル25への搬送ボートBの受け渡しを行っている。
【0026】
支柱35は、シャトル板32の一端に設けられており、シリンダ33を駆動する電源や制御信号を伝達する電源線や信号線を絡ませることなくシャトル25に引き込むためのものである。尚、図示は省略しているが、搬送装置14は、ステッピングモータ、プーリー、及びシャトル25に連結された駆動ベルトを備えており、ステッピングモータの駆動力を駆動ベルトに伝達することにより、シャトル25を図3の紙面垂直方向(リニアガイド22が延びる方向)に移動させる。以上、シャトル25について説明したが、シャトル24も同様の構成である。
【0027】
次に、以上説明したオートハンドラ1の動作について説明する。まず、空の搬送ボート12がロードポート12に配置されるとともに、試験を行うべき半導体デバイスを複数載置するトレイTrが収容ステージ11のロードポート12の近傍に配置され、CPU17がロードポート12に設けられた不図示の載せ換え機構を制御することで、トレイTrに載置された半導体デバイスを空の搬送ボートBに載せ換える処理が行われる。
【0028】
載せ換え処理が終了すると、半導体デバイスが載置された搬送ボートBが搬送機構によってソークチャンバ13に搬送された後に収容される。そして、ロードポート12において載せ換え処理が終了する度に、半導体デバイスを載置する搬送ボートBが順次ソークチャンバ13に搬送されて収容される。所定数の搬送ボートBがソークチャンバ13に収容されると、加熱等が開始されて半導体デバイスの温度を徐々に所定の温度に設定する処理が行われる。
【0029】
温度設定が完了すると、ソークチャンバ13から搬送ボートBが順次搬出される。ソークチャンバ13から搬出された搬送ボートBは、まず搬送装置14のガイドレール21に沿ってソークコーナーC1まで搬送される。次に、ソークコーナーC1においてシャトル24に支持されてシャトル24がリニアガイド22に沿った移動を開始することにより、搬送ボートBの移動方向が90°変えられる。
【0030】
次いで、シャトル24がテストポートPに至ると、シャトル24に搬送された搬送ボートBに載置されている半導体デバイスのコンタクトヘッド18による移送が開始される。具体的には、搬送ボートBに載置された所定数(例えば、16個)の半導体デバイスがコンタクトヘッド18により孔部Hを介して半導体試験装置の試験部に移送され、試験終了後にそれら半導体デバイスが孔部Hを介してテストボート上の元の位置に移送される。次に、シャトル24が搬送路に沿って所定の距離だけ移動した後に、搬送ボートBに載置された所定数の異なる半導体デバイスの移送がコンタクトヘッド18により行われる。
【0031】
シャトル24上の搬送ボートBに載置された半導体デバイスのうち、半数程度の半導体デバイスがコンタクトヘッド18により移送されると、CPU17の制御の下でシャトル24上の搬送ボートBがシャトル25に受け渡される処理が行われる。図4は、搬送ボートBの受け渡し処理を説明するための図である。尚、図4においては、シャトル24,25及びコンタクトヘッド18を簡略化して図示している。また、図4においては、初期状態で、シャトル24,25の双方が搬送ボートBを搬送しているとしている。以下の説明では、初期状態でシャトル25に搬送される搬送ボートを搬送ボートB1とし、初期状態でシャトル24に搬送される搬送ボートを搬送ボートB2と区別する。
【0032】
まず、図4(a)に示す初期状態において、シャトル25上の搬送ボートB1に載置された半導体デバイスのコンタクトヘッド18による移送が行われている。搬送ボートB1に載置された全ての半導体デバイスの移送が完了すると、CPU17の制御の下で、シャトル25がテストポートPからコーナーC2に向けた移動を開始するとともに、シャトル24がソークコーナーC1からテストポートPに向けた移動を開始する。
【0033】
シャトル24がテストポートPに至ると、図4(b)に示す通り、シャトル24上の搬送ボートB2に載置された半導体デバイスのコンタクトヘッド18による移送が開始される。尚、コーナーC2に至ったシャトル25は暫くの間、待機状態になる。ここで、シャトル24上の搬送ボートB2に載置された半導体デバイスのうち、半数程度の半導体デバイスがコンタクトヘッド18により移送されると、CPU17の制御の下でシャトル24,25に設けられたシリンダ33が駆動されて搬送ボートB1,B2が共に下降される。これにより、テストポートPに位置する搬送ボートB2は、ガイドレール26,27に一時的に支持される。尚、コーナーC1に位置する搬送ボートB1も、ガイドレール26,27と同様のガイドレール(図示省略)に支持される。
【0034】
次いで、図4(c)に示す通り、テストポートPからソークコーナーC1へのシャトル24の移動が開始されるとともに、コーナーC2からテストポートPへのシャトル25の移動が開始される。シャトル25がテストポートPに至ると、CPU17の制御の下でシャトル25に設けられたシリンダ33が駆動されてシャトル25の昇降ベース34が上昇し、搬送ボートBはガイドレール26,27から離間して、昇降ベース34に支持される状態になる。これにより、シャトル24によって搬送された搬送ボートB2がシャトル25に受け渡されたことになる。尚、コーナーC2において不図示のガイドレールに支持された搬送ボートB1はガイドレール23に沿ってアンソーク部15に向けて搬送される。
【0035】
搬送ボートB2の受け渡しが完了すると、図4(d)に示す通り、シャトル25上の搬送ボートB2に載置された残りの半導体デバイスのコンタクトヘッド18による移送が開始される。尚、ソークコーナーC1に至ったシャトル24上には新たな搬送ボートB3が配置され、シャトル24に設けられたシリンダ33を駆動してシャトル24の昇降ベース34を上昇させれば昇降ベース34に支持される状態になる。これにより、シャトル25上の搬送ボートB2に載置された半導体デバイスの移送が行われている間に新たな搬送ボートB3の搬送準備をシャトル24で行うことができる。
【0036】
シャトル25上の搬送ボートB2に載置された残りの半導体デバイスのコンタクトヘッド18による移送が完了すると、CPU17の制御の下で、シャトル25がテストポートPからコーナーC2に向けた移動を開始するとともに、シャトル24がソークコーナーC1からテストポートPに向けた移動を開始する。そして、シャトル24がテストポートPに至ると、シャトル24上の新たな搬送ボートB3に載置された半導体デバイスのコンタクトヘッド18による移送が開始される。
【0037】
搬送ボートB(B1)がアンソーク部15に搬送されると搬送ボートB(B1)に載置された半導体デバイスの温度が常温に戻され、その後にアンロードポート16に搬送される。そして、CPU17がアンロードポート16に設けられた不図示の載せ換え機構を制御することで、搬送ボートB(B1)に載置された半導体デバイスを、収容ステージ11のアンロードポート16の近傍に配置された空のトレイTrに載せ換える処理が行われる。以上説明した処理が繰り返されて多数の半導体デバイスに対する試験が実施される。
【0038】
以上説明した通り、本実施形態では、ソークコーナーC1とテストポートPとの間で往復移動可能なシャトル24と、テストポートPとコーナーC2の間で往復移動可能なシャトル25とを備える搬送装置14を備えており、シャトル24に搬送される搬送ボート上の全ての半導体デバイスのコンタクトヘッド18による移送が完了する前に、シャトル24,25を共に移動させて、シャトル24に搬送される搬送ボートをシャトル25に受け渡している。このため、シャトル24,25の移動距離を短くすることができるとともに、搬送ボートBをシャトル25に受け渡してしまえば次に搬送すべき搬送ボートBの搬送準備をシャトル24で行うことができるため待ち時間が生じることがない。この結果として、オートハンドラ1の搬送能力を向上させることができる。具体的には、搬送装置14による搬送ボートBの搬送時間を従来よりも10分の1程度に短縮することができる。
【0039】
以上、本発明の一実施形態によるオートハンドラについて説明したが、本発明は上記実施形態に制限されることなく、本発明の範囲内で自由に変更が可能である。例えば、上記実施形態では、ソークコーナーC1、コーナーC2、及びテストポートが一直線上に配置される場合について説明したが、これらが一直線上に配置されていない場合にも本発明を適用することができる。また、上記実施形態では、シャトル24,25にシリンダ33を設けて昇降ベース34を上下させていたが、カムとカムフォロアとを用いて昇降ベースを上下させるようにしても良い。
【0040】
更に、上記実施形態では搬送ボートBに載置された半導体デバイスのうち、半数程度の半導体デバイスがコンタクトヘッド18により移送されたタイミングで、シャトル24からシャトル25への搬送ボートBの受け渡しを行う場合を例に挙げた。しかしながら、搬送ボートBの受け渡しを行うタイミングは、上記のタイミング以外に任意のタイミングを用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の一実施形態によるオートハンドラの全体構成を示す平面透視図である。
【図2】搬送装置14の構成を示す斜視図である。
【図3】図2中のA−A線に沿う断面矢視図である。
【図4】搬送ボートBの受け渡し処理を説明するための図である。
【符号の説明】
【0042】
1 オートハンドラ
14 搬送装置
17 CPU
18 コンタクトヘッド
24,25 シャトル
26,27 ガイドレール
33 シリンダ
34 昇降ベース
B 搬送ボート
C1 ソークコーナー
C2 コーナー
P テストポート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の半導体デバイスを載置する搬送ボートを所定の搬送路に沿って循環させる搬送機構と、前記搬送路上に設定された移送位置で半導体試験装置の試験部との間で前記搬送ボート上の前記半導体デバイスを移送する移送機構とを備えるオートハンドラにおいて、
前記搬送機構は、前記搬送路上の前記移送位置よりも上流側に設定された第1準備位置と前記移送位置との間で往復移動可能な第1搬送装置と、
前記搬送路上の前記移送位置よりも下流側に設定された第2準備位置と前記移送位置との間で往復移動可能な第2搬送装置とを備えており、
前記第1搬送装置に搬送される搬送ボート上の全ての半導体デバイスの前記移送機構による移送が完了する前に、前記第1,第2搬送装置を共に移動させて、前記移送位置で前記第1搬送装置に搬送される搬送ボートを前記第2搬送装置に受け渡させる制御を行う制御部を備える
ことを特徴とするオートハンドラ。
【請求項2】
前記第1,第2搬送装置は、前記搬送ボートを上昇又は下降させる昇降機構を備えており、
前記制御部は、前記移送位置において前記第1搬送装置の昇降機構を下降させる制御を行うことにより、前記第1搬送装置によって搬送される搬送ボートを前記移送位置に設けられた支持部に一時的に支持させ、前記第1,第2搬送装置を共に移動させた後に前記第2搬送装置の昇降機構を上昇させる制御を行うことにより、前記支持部に支持されている前記搬送ボートを前記第2搬送装置に受け渡させる
ことを特徴とする請求項1記載のオートハンドラ。
【請求項3】
前記支持部は、前記移送位置において前記搬送ボートの搬送路に沿う方向の少なくとも一部に設けられ、前記搬送路に沿う方向に交差する交差方向に前記搬送ボートを挟持するよう配置されて前記第1,第2搬送機構の昇降機構が上昇している場合には前記搬送ボートと離間し、下降している場合には前記搬送ボートの前記交差方向における両端部において前記搬送ボートを下方から支持する一対のガイドレールであることを特徴とする請求項2記載のオートハンドラ。
【請求項4】
前記制御部は、前記第2搬送装置に受け渡された搬送ボート上の全ての半導体デバイスの前記移送機構による移送が完了した場合に、当該搬送ボートを前記第2搬送装置によって前記移送位置から前記第2準備位置に搬送させるとともに、新たな搬送ボートを前記第1搬送装置によって前記第1準備位置から前記移送位置に搬送させる制御を行うことを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一項に記載のオートハンドラ。
【請求項5】
前記第1,第2準備位置及び前記移送位置は、一直線上に位置するよう各々の位置が設定されており、
前記第1,第2準備位置は、前記搬送ボートの搬送方向を変えるための位置に設定される
ことを特徴とする請求項1から請求項4の何れか一項に記載のオートハンドラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−139221(P2009−139221A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−315835(P2007−315835)
【出願日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【出願人】(000006507)横河電機株式会社 (4,443)
【Fターム(参考)】