カラープロファイルを用いた画像処理装置の制御プログラム、及び画像処理装置による色調整結果の確認方法
【課題】カラープロファイルを用いた色変換処理により目標デバイスに合わせたプリンタの色調整を行なう際に、両デバイスが再現可能な色域が異なる場合、及び両デバイスが使用する記録用紙の種類(色合い)が異なる場合であっても色調整結果を正確に評価することが可能な画像処理装置の制御プログラム。
【解決手段】制御プログラムは、複数のカラーパッチを含む画像データに対して色変換処理を実行し、色変換処理後の画像データをプリンタに印刷させ、その印刷画像中の各カラーパッチに対応するL*a*b*表色値を測色機に測色させ、色変換処理後の画像データ中の各カラーパッチに対応するCMYK表色値を、プリンタのカラープロファイルによりL*a*b*表色値に変換し、測色機により測色されたL*a*b*表色値と、プリンタのカラープロファイルによる変換後のL*a*b*表色値との差分の算出と、を画像処理装置に実行させる。
【解決手段】制御プログラムは、複数のカラーパッチを含む画像データに対して色変換処理を実行し、色変換処理後の画像データをプリンタに印刷させ、その印刷画像中の各カラーパッチに対応するL*a*b*表色値を測色機に測色させ、色変換処理後の画像データ中の各カラーパッチに対応するCMYK表色値を、プリンタのカラープロファイルによりL*a*b*表色値に変換し、測色機により測色されたL*a*b*表色値と、プリンタのカラープロファイルによる変換後のL*a*b*表色値との差分の算出と、を画像処理装置に実行させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラープロファイルを用いた画像処理装置の制御プログラム、及び当該画像処理装置による色調整の結果の確認方法に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷現場では、オフセット印刷機のような大型印刷機とともに、レーザプリンタのような比較的小型のプリンタが、大型印刷機の校正刷りや小部数用等の印刷機として、使用される場合がある。しかし、商業用の大型印刷機と汎用的なプリンタとでは印刷方法の相違により色の再現性が異なるため、同一の画像を印刷した場合であってもそれらの印刷画像の色合いは完全には一致しない。そこで、個々の印刷装置の印刷色をカラープロファイルで調節することにより複数の装置の印刷色を一致させる技術が数多く提案されている。
【0003】
以下の特許文献1には、安価なカラープリンタの印刷色を大型校正機(便宜上、以下では「目標デバイス」という)の印刷色に一致させるためのカラープルーフシステムの一例が提案されている。同システムは、カラープリンタ及び目標デバイスについて出力したカラーチャートを測色機により測色し、その測色値どうしの差分に基づいてカラープロファイルの補正値を演算する。そして、このような補正値を用いたフィードバック補正を所定回数繰り返すことによりデバイス間の色差を許容値以下に低減させるよう試みる。
【0004】
しかし、上述のように測色値どうしの差分に基づき補正値を計算する方法では、補正を繰り返したとしてもカラープリンタについての測色値がその目標値(すなわち、目標デバイスについての測色値)に向かって収束するように変化するとは限らない。これはカラープリンタの色域が目標デバイスの色域と比べて狭い場合、カラープリンタはカラーチャート中の一部の色を表現することができず、その色については必ず色差が発生してしまうからである。
【0005】
また、カラープリンタと目標デバイスが互いに異なる種類の印刷用紙を使用する場合にも同様の問題が発生する。つまり、通常、カラープリンタも目標デバイスもカラーチャート中の白色成分(C=M=Y=K=0%)は白紙のまま出力するが、その白紙部分の色合いが微妙に異なる場合には測色機がそれらを異なる色成分として認識してしまうからである。つまり、本来は色調整方法による誤差ではない部分まで色差として認識してしまうことになる。
【0006】
以上のように、従来技術によると、カラープリンタと目標デバイスの色域が異なる場合や、両デバイスが使用する印刷用紙の種類が異なる場合等には、本来補正不可能な色差までも補正すべき色差として認識してしまう虞がある。そのため、色調整の結果を正確に評価することができず高精度の補正を行なうことができないという問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−153667号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、カラープロファイルを用いた色変換処理により一の装置を目標とした他の装置の色調整を行なう際に、両装置が再現可能な色域、及び両装置が使用する出力媒体の種類が異なる場合であっても色調整結果を正確に評価することが可能な画像処理装置の制御プログラム、及び画像処理装置による色調整結果の確認方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の上記目的は、下記の手段によって達成される。
【0010】
(1)一の装置のカラープロファイルの入力用変換テーブルによりデバイス依存の色空間の表色値をデバイス非依存の色空間の表色値に変換し、変換後の当該表色値を他の装置のカラープロファイルの出力用変換テーブルによりデバイス依存の色空間の表色値にさらに変換するための色変換処理を実行することで、前記一の装置を目標とした前記他の装置の色調整を行なう画像処理装置の制御プログラムであって、複数のカラーパッチを含む画像データに対して前記色変換処理を実行する手順(A)と、前記手順(A)での前記色変換処理後の前記画像データを前記他の装置に出力させ、その出力画像中の各カラーパッチに対応する前記デバイス非依存の色空間の表色値を測色機で測色させる手順(B)と、前記手順(A)での前記色変換処理後の前記画像データ中の各カラーパッチに対応する前記デバイス依存の色空間の表色値を、前記他の装置のカラープロファイルの入力用変換テーブルにより前記デバイス非依存の色空間の表色値に変換した値である出力目標値を算出する手順(C)と、前記手順(B)で測色された前記デバイス非依存の色空間の表色値と、前記手順(C)で算出した出力目標値との差分を算出する手順(D)と、を前記画像処理装置に実行させることを特徴とする制御プログラム。
【0011】
(2)前記手順(D)で算出された差分に関する情報を表示装置に表示させる手順(E)を、さらに前記画像処理装置に実行させることを特徴とする上記(1)に記載の制御プログラム。
【0012】
(3)前記画像データを前記一の装置で出力した、その出力画像中の各カラーパッチに対応するデバイス非依存の値であるターゲット表色値を、測色により、又は一の装置のカラープロファイルから算出して求める手順(F)と、前記手順(F)で求めたターゲット表色値と、前記手順(C)で算出した出力目標値との差分、及び前記手順(F)で求めたターゲット表色値と、前記手順(B)で測色された前記デバイス非依存の色空間の表色値との差分を算出する手順(G)と、を前記画像処理装置にさらに実行させ、前記手順(E)では、前記手順(G)で算出された差分に関する情報が、前記手順(D)による差分と同時に、又は前記手順(D)による差分の代わりに前記表示装置に表示されることを特徴とする上記(2)に記載の制御プログラム。
【0013】
(4)前記情報は、各カラーパッチについての差分の平均値及び最大値の少なくとも一方を含むことを特徴とする上記(2)または(3)に記載の制御プログラム。
【0014】
(5)前記手順(D)で算出された差分に基づいて前記一の装置の前記入力用変換テーブルを補正する手順(H)を、さらに前記画像処理装置に実行させることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれか1つに記載の制御プログラム。
【0015】
(6)前記手順(H)では、前記一の装置の前記入力用変換テーブルによる変換後の前記デバイス非依存の色空間の表色値が、前記手順(C)で算出した出力目標値から、前記手順(D)で算出された差分を減算した値で置換されるように、前記一の装置の前記入力用変換テーブルが補正されることを特徴とする上記(5)に記載の制御プログラム。
【0016】
(7)前記手順(H)は、2回以上繰り返し実行可能であることを特徴とする上記(5)に記載の制御プログラム。
【0017】
(8)前記手順(H)が2回以上繰り返し実行される場合に、前記手順(H)の2回目以降の実行時には、前回補正された前記一の装置の前記入力用変換テーブルを用いた前記色変換処理後の前記画像データを前記他の装置に出力させ、その出力画像中の各カラーパッチに対応する前記デバイス非依存の色空間の表色値を測色機で測色させる手順(I)と、前記手順(I)で測色された前記デバイス非依存の色空間の表色値と、前記手順(C)で算出した出力目標値との差分を算出する手順(J)を、さらに前記画像処理装置に実行させ、前記一の装置の前記入力用変換テーブルによる変換後の前記デバイス非依存の色空間の表色値が、前回補正された前記一の装置の前記入力用変換テーブルにより変換することで得られる前記デバイス非依存の色空間の表色値から、前記手順(J)で算出された差分を減算した値で置換されるように、前記一の装置の前記入力用変換テーブルがさらに補正されることを特徴とする上記(7)に記載の制御プログラム。
【0018】
(9)前記デバイス依存の色空間はCMYK色空間であることを特徴とする上記(1)〜(8)のいずれか1つに記載の制御プログラム。
【0019】
(10)前記デバイス非依存の色空間はL*a*b*色空間であることを特徴とする上記(1)〜(9)のいずれか1つに記載の制御プログラム。
【0020】
(11)上記(1)〜(10)のいずれか1つに記載の制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【0021】
(12)一の装置のカラープロファイルの入力用変換テーブルによりデバイス依存の色空間の表色値をデバイス非依存の色空間の表色値に変換し、変換後の当該表色値を他の装置のカラープロファイルの出力用変換テーブルによりデバイス依存の色空間の表色値にさらに変換するための色変換処理を実行することで、前記一の装置を目標とした前記他の装置の色調整を行なう画像処理装置による、当該色調整結果の確認方法であって、複数のカラーパッチを含む画像データに対して前記色変換処理を実行するステップ(A)と、前記ステップ(A)での前記色変換処理後の前記画像データを前記他の装置に出力させ、その出力画像中の各カラーパッチに対応する前記デバイス非依存の色空間の表色値を測色機で測色させるステップ(B)と、前記ステップ(A)での前記色変換処理後の前記画像データ中の各カラーパッチに対応する前記デバイス依存の色空間の表色値を、前記他の装置のカラープロファイルの入力用変換テーブルにより前記デバイス非依存の色空間の表色値に変換した値である出力目標値を算出するステップ(C)と、前記ステップ(B)で測色された前記デバイス非依存の色空間の表色値と、前記ステップ(C)で算出した出力目標値との差分を算出するステップ(D)と、を含む方法。
【0022】
(13)前記ステップ(D)で算出された差分に関する情報を表示装置に表示させるステップ(E)を、さらに含むことを特徴とする上記(12)に記載の方法。
【0023】
(14)前記画像データを前記一の装置で出力した、その出力画像中の各カラーパッチに対応するデバイス非依存の値であるターゲット表色値を、測色により、又は一の装置のカラープロファイルから算出して求めるステップ(F)と、前記ステップ(F)で求めたターゲット表色値と、前記ステップ(C)で算出した出力目標値との差分、及び前記ステップ(F)で求めたターゲット表色値と、前記ステップ(B)で測色された前記デバイス非依存の色空間の表色値との差分を算出するステップ(G)と、をさらに含み、前記ステップ(E)では、前記ステップ(G)で算出された差分に関する情報が、前記ステップ(D)による差分と同時に、又は前記ステップ(D)による差分の代わりに前記表示装置に表示されることを特徴とする上記(13)に記載の方法。
【0024】
(15)前記情報は、各カラーパッチについての差分の平均値及び最大値の少なくとも一方を含むことを特徴とする上記(13)または(14)に記載の方法。
【0025】
(16)前記ステップ(D)で算出された差分に基づいて前記一の装置の前記入力用変換テーブルを補正するステップ(H)を、さらに含むことを特徴とする上記(12)〜(15)のいずれか1つに記載の方法。
【0026】
(17)前記ステップ(H)では、前記一の装置の前記入力用変換テーブルによる変換後の前記デバイス非依存の色空間の表色値が、前記ステップ(C)で算出した出力目標値から、前記ステップ(D)で算出された差分を減算した値で置換されるように、前記一の装置の前記入力用変換テーブルが補正されることを特徴とする上記(16)に記載の方法。
【0027】
(18)前記ステップ(H)は、2回以上繰り返し実行可能であることを特徴とする上記(16)に記載の方法。
【0028】
(19)前記ステップ(H)が2回以上繰り返し実行される場合に、前記ステップ(H)の2回目以降の実行時には、前回補正された前記一の装置の前記入力用変換テーブルを用いた前記色変換処理後の前記画像データを前記他の装置に出力させ、その出力画像中の各カラーパッチに対応する前記デバイス非依存の色空間の表色値を測色機で測色させるステップ(I)と、前記ステップ(I)で測色された前記デバイス非依存の色空間の表色値と、前記ステップ(C)で算出した出力目標値との差分を算出するステップ(J)を、さらに含み、前記一の装置の前記入力用変換テーブルによる変換後の前記デバイス非依存の色空間の表色値が、前回補正された前記一の装置の前記入力用変換テーブルにより変換することで得られる前記デバイス非依存の色空間の表色値から、前記ステップ(J)で算出された差分を減算した値で置換されるように、前記一の装置の前記入力用変換テーブルがさらに補正されることを特徴とする上記(18)に記載の方法。
【0029】
(20)前記デバイス依存の色空間はCMYK色空間であることを特徴とする上記(12)〜(19)のいずれか1つに記載の方法。
【0030】
(21)前記デバイス非依存の色空間はL*a*b*色空間であることを特徴とする上記(12)〜(20)のいずれか1つに記載の方法。
【発明の効果】
【0031】
本発明に係る画像処理装置は、カラープロファイルを用いた色変換処理によって一の装置を目標とした他の装置の色調整を行なう際に、色変換処理後の画像データの出力画像を測色することにより得たデバイス非依存の色空間の表色値と、色変換処理後の画像データを前記他の装置のカラープロファイルの入力用変換テーブルで変換することにより得た当該色空間の表色値との差分を計算し、当該差分に基づき色調整結果を評価する。そのため、本発明によれば、両装置が再現可能な色域が異なる場合、及び両装置が使用する出力媒体の種類が異なる場合であっても色調整結果を正確に評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の一実施形態に係る色調整システムの構成を示すブロック図である。
【図2】図1中のプリンタの構成を示すブロック図である。
【図3】図1中のPCの構成を示すブロック図である。
【図4】図1中の測色機の構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の一実施形態に係るPCによるプリンタの色調整処理の手順を示すフローチャートである。
【図6】本発明の一実施形態において使用されるカラーチャートを示す概略図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る目標デバイスのカラープロファイルを示す概念図である。
【図8】本発明の一実施形態に係るカラープロファイルの作成方法を示す概念図である。
【図9】本発明の一実施形態に係る色変換処理の手順を示す概念図である。
【図10】本発明の一実施形態に係る色変換処理の手順を示す概念図である。
【図11】本発明の一実施形態に係る色変換処理の出力目標値の計算方法を示す概念図である。
【図12】本発明の一実施形態に係る色差(ΔE)の計算方法を示す概念図である。
【図13】本発明の一実施形態に係る色差(ΔE)の平均値/最大値の計算結果を示す概略図である。
【図14】本発明の一実施形態に係る色差(ΔE)の平均値/最大値の計算結果の他の例を示す概略図である。
【図15】本発明の一実施形態に係る補正後目標値の計算方法を示す概念図である。
【図16】本発明の一実施形態に係る補正後目標値の計算方法を示す概念図である。
【図17】本発明の一実施形態に係る補正後のプロファイルを用いた色変換処理の手順を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0034】
図1は、本発明の一実施形態に係る画像処理装置が適用された色調整システムAの全体構成を示すブロック図である。色調整システムAは、大型印刷装置等の目標デバイスに合わせて画像形成装置(プリンタ1)の色調整を行なう機能を備えており、より具体的には、画像形成装置により出力すべき画像データに対する色変換処理に用いるカラープロファイルを生成・補正する機能を備えている。
【0035】
図1のように、色調整システムAは、色調整の対象である画像形成装置としてのプリンタ1、プリンタ1により印刷すべき画像データに対する各種画像処理を実行する画像処理装置としてのPC2、プリンタ1等により印刷された印刷画像を測色するための測色機3を備えている。図1のように、プリンタ1はIEEE1284準拠のプリンタケーブルやUSBケーブル等によりPC2に接続されており、測色機3はUSBケーブル等によりPC2に接続されており、PC2はLAN等のネットワークNに接続されている。なお、PC2は、図1のように単独の装置であってもよいし、プリンタ1に内蔵されていてもよい。後者の場合、プリンタ1が直接ネットワークNに接続されることになる。
【0036】
図2は、図1中のプリンタ1の構成を示すブロック図である。図2のように、プリンタ1は、制御部11、記憶部12、操作パネル部13、印刷部14、入出力インタフェース15を備えており、これらは信号をやり取りするためのバス16によって双方向通信可能に接続されている。
【0037】
制御部11は、CPUであり、プログラムに従って各部の制御を行う。記憶部12は、各種プログラムを格納するROM、作業領域として各種データを一時的に記憶するRAM、PC2から受信した印刷データ等を一時的に保存するハードディスクを含んでなる。操作パネル部13は、ユーザに各種情報を表示するとともにユーザから各種指示を取得するためのタッチパネルや固定キー等からなるオペレーションパネルである。
【0038】
印刷部14は、PC2から受信した画像データに基づく画像を、帯電、露光、現像、転写、定着等の工程からなる電子写真方式により記録媒体に印刷する。ただし、印刷部14が採用する印刷方式は、インパクト方式、熱転写方式、インクジェット方式等の他の公知の方式であってもよい。入出力インタフェース15は、PC2と通信するためのインタフェースであり、例えばIEEE1394、USB等が挙げられる。また、プリンタ1とPC2とがネットワークNを介して接続されていてもよく、この場合は入出力インタフェース15としては、イーサネット(登録商標)、トークンリング、FDDI等の規格に準拠したNIC(Network Interface Card)が適用可能である。
【0039】
図3は、図1中のPC2の構成を示すブロック図である。図3のように、PC2は、制御部21、記録部22、表示部23、入力部24、入出力インタフェース25を備えており、これらは信号をやり取りするためのバス26によって接続されている。PC2は、外部からネットワークNを介して印刷データを受信し、それに対してRIP展開処理や色変換処理等の各種画像処理を施してからプリンタ1に転送する。つまり、本実施形態においてPC2は主にプリンタ1のプリンタコントローラとしての機能を有する。
【0040】
制御部21は、CPUであり、プログラムに従って各部の制御や各種演算処理等を実行する。特に本実施形態の制御部11は、上述のように外部から受信した印刷データに対する画像処理を実行する。記憶部22は、PC2の基本動作のための各種プログラム及びパラメータを格納するROM、作業領域として一時的にプログラムを含む各種データを記憶するRAM、OSを含む各種プログラムその他のデータを格納するハードディスクを含んでなる。特に、記憶部22のハードディスクは各種画像処理のためのプログラムや色変換処理に用いるカラープロファイル等を格納している。
【0041】
表示部23は、CRTディスプレイや液晶ディスプレイ等の表示装置であり、ユーザに各種情報を表示する。入力部24は、キーボードやマウス等であり、PC2への各種入力を行なうユーザにより利用される。入出力インタフェース25は、ネットワークNに接続しネットワークN上の他の機器と通信するためのインタフェース、例えばNICであり、イーサネット(登録商標)、トークンリング、FDDI等の規格に準拠している。また、PC2は、測色機3から受信したデータを用いて色変換処理のためのカラープロファイルを作成する機能等を有する(図3参照)。
【0042】
図4は、図1中の測色機3の構成を示すブロック図である。図4のように、測色機3は、制御部31、記憶部32、操作パネル部33、測色部34、入出力インタフェース35を備えており、これらはバス36によって相互に通信可能に接続されている。測色機3は、プリンタ1等の印刷装置により印刷されたカラーチャートを測色し、各カラーパッチに対応する測色データを分光反射率の値、XYZ表色値、L*a*b*表色値等に変換する機能を備えている。
【0043】
制御部31はプログラムに従って各部を制御するとともに各種演算処理を実行する。記憶部32は各種プログラムやパラメータ等を記憶するとともに、測色部34により測定したデータ等を一時的に格納する。特に、記憶部32は、測色部34による測定データをL*a*b*表色値等に変換するためのプログラムを格納している。操作パネル部33はユーザからの動作指示を取得する固定キー等からなる。
【0044】
測色部34は、分光測色計を測定対象のカラーチャートの上で移動させることで複数のカラーパッチを測色し、その測色結果を記憶部32に送信する。この測色結果は記憶部32において分光反射率の値、XYZ表色値、L*a*b*表色値に変換される。
【0045】
次に、本実施形態に係る色調整システムAの動作の概要について説明する。図5は、本実施形態に係るPC2によるプリンタ1の色調整処理の手順を示すフローチャートである。この色調整処理は、カラープロファイルを用いた色変換処理により目標デバイスに合わせてプリンタ1の色調整を行なうことを目的とした処理である。図5のフローチャートにより示されるアルゴリズムは、記憶部22のROMに制御プログラムとして記憶されており、動作開始の際に制御部21により読み出されて実行される。
【0046】
先ず、PC2は、予め目標デバイスにより印刷されたカラーチャートを測色機3に測色させ、各カラーパッチに対応するL*a*b*表色値を取得する(S101)。そして、PC2は、S101で取得したL*a*b*表色値に基づき目標デバイスのカラープロファイルを作成し(S102)、それを記憶部22に保存する。なお、本例でのカラーチャートとは、ISO12642規格に準拠したカラーチャートである。図6は、本例のカラーチャートCを示す概略図である(図中で彩色は省略している。図8、図12においても同じ。)。
【0047】
続いて、PC2は、プリンタ1に色変換処理を実行することなくカラーチャートを印刷させ、その印刷画像を測色機3に測色させることで各カラーパッチに対応するL*a*b*表色値を取得する(S103)。そして、PC2は、S103で取得したL*a*b*表色値に基づきプリンタ1のカラープロファイルを作成し(S104)、それを記憶部22に保存する。
【0048】
図7は、S102で作成された目標デバイスのカラープロファイルP1を示す概念図である。図7のように、カラープロファイルP1は一対のルックアップテーブル(第1、第2のルックアップテーブルL11,L12)からなる。ここで、第1のルックアップテーブルL11は、個々のCMYK表色値をL*a*b*表色値に変換するための変換テーブルであり、図7のように、CMYK:9×9×9×9点の掛け合わせからなる全6561通りのCMYK表色値に対応するL*a*b*表色値を格納している。これらの9×9×9×9点は、C、M、Yについては、各色の最大値を100%としたときの0%、10%、20%、30%、40%、55%、70%、85%、100%の9点であり、Kについては0%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、80%、100%の9点である。このような値(%)を選択した理由は後述するカラーチャート測定点との整合性を考慮したためである。なお、このようにC、M、Y、Kいずれも0〜100%の範囲を8等分して9点をサンプリングしたのではないため、この変換テーブルを用いて任意のCMYK値を変換する場合には、この変換テーブルを参照する前に、C、M、Y、Kの階調補正カーブを用いてこの変換テーブルの9点の値に合わせるようにC、M、Y、K値を補正してから、例えば特開2002−330303号明細書に書かれている方法によって補間計算を行いL*a*b*表色値に変換する。
【0049】
また、第2のルックアップテーブルL12は、個々のL*a*b*表色値をCMYK表色値に変換するための変換テーブルであり、図7のようにL*a*b*:33×33×33点の掛け合わせからなる全35973通りのL*a*b*表色値に対応するCMYK表色値を格納している。
【0050】
S104でも同様に第1,第2のルックアップテーブルL21,L22からなるプリンタ1のカラープロファイル2が生成される。なお、第1のルックアップテーブルは、このプロファイルが色変換の入力側に選ばれた時に用いられることから入力用変換テーブルと呼ばれ、第2のルックアップテーブルは、このプロファイルが色変換の出力側に選ばれた時に用いられることから出力用変換テーブルと呼ばれる。以下の説明でも各テーブルをこのように称する場合がある。また、PC2は、S102及びS104において、「測色的」「知覚的」「彩度優先」等のカラースペース間の詳細な色変換方法(レンダリングインテント)に応じた複数種類のカラープロファイルを作成することもできる。
【0051】
ここで、図8を参照しながらS102でのカラープロファイルP1の作成方法について詳細に説明する。先ず、本実施形態のPC2は、以下の(I)〜(III)の手順で第1のルックアップテーブルL11を作成する。
【0052】
(I)印刷済みカラーチャート中の以下の各点に対応するL*a*b*表色値を測色値に測色させる。
【0053】
(a)K=0%についてのC×M×Y:6×6×6の掛け合わせの各点(CMYはそれぞれ0%、10%、20%、40%、70%、100%)
(b)K=40%についてのC×M×Y:5×5×5の掛け合わせの各点(CMYはそれぞれ0%、20%、40%、70%、100%)
(c)K=60%についてのC×M×Y:5×5×5の掛け合わせの各点(CMYはそれぞれ0%、20%、40%、70%、100%)
(d)K=80%についてのC×M×Y:4×4×4の掛け合わせの各点(CMYはそれぞれ0%、40%、70%、100%)
(e)K=100%についてのC×M×Y:2×2×2の掛け合わせの各点(CMYはそれぞれ0%、100%)
(f)CMYKの各々についての単色階調(各色について3%、7%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%の13ステップ)。
【0054】
(II)上記(I)で得た(a)〜(e)の各点についてのL*a*b*表色値を用いて以下の(g)〜(k)の各点についてのL*a*b*値を求める。上記(I)における測定値が存在しない点については、周囲の点の測定値、及び各色の単色階調の測定値(f)を用いた補間計算によりL*a*b*値を演算するものとする。
【0055】
(g)K=0%についてのC×M×Y:9×9×9の掛け合わせの各点(CMYはそれぞれ0%、10%、20%、30%、40%、55%、70%、85%、100%)
(h)K=40%についてのC×M×Y:9×9×9の掛け合わせの各点(CMYはそれぞれ0%、10%、20%、30%、40%、55%、70%、85%、100%)
(i)K=60%についてのC×M×Y:9×9×9の掛け合わせの各点(CMYはそれぞれ0%、10%、20%、30%、40%、55%、70%、85%、100%)
(j)K=80%についてのC×M×Y:9×9×9の掛け合わせの各点(CMYはそれぞれ0%、10%、20%、30%、40%、55%、70%、85%、100%)
(k)K=100%についてのC×M×Y:9×9×9の掛け合わせの各点(CMYはそれぞれ0%、10%、20%、30%、40%、55%、70%、85%、100%)。
【0056】
(III)そして上記(II)で求めた(g)〜(h)の各点についてのL*a*b*表色値、及び上記(I)で求めた(f)の各点のうちのK単色階調についてのL*a*b*表色値を用いた補間計算により以下の(l)〜(n)の各点についてL*a*b*表色値を演算し、さらに、上記(II)で求めた(h)〜(i)の各点についてのL*a*b*表色値、及び上記(I)で求めた(f)の各点のうちのK単色階調についてのL*a*b*表色値を用いた補間計算により以下の(o)のL*a*b*表色値を演算する。
【0057】
(l)K=10%についてのC×M×Y:9×9×9の掛け合わせの各点(CMYはそれぞれ0%、10%、20%、30%、40%、55%、70%、85%、100%)
(m)K=20%についてのC×M×Y:9×9×9の掛け合わせの各点(CMYはそれぞれ0%、10%、20%、30%、40%、55%、70%、85%、100%)
(n)K=30%についてのC×M×Y:9×9×9の掛け合わせの各点(CMYはそれぞれ0%、10%、20%、30%、40%、55%、70%、85%、100%)
(o)K=50%についてのC×M×Y:9×9×9の掛け合わせの各点(CMYはそれぞれ0%、10%、20%、30%、40%、55%、70%、85%、100%)。
【0058】
本実施形態のPC2は以上のようにしてC×M×Y×K:9×9×9×9の全点についてのL*a*b*表色値を求め、CMYK表色値をL*a*b*表色値に変換するための第1のルックアップテーブル(入力用色変換テーブル)L11を作成する。
【0059】
再び図8を参照して、第2のルックアップテーブルL12の作成方法について説明する。PC2は、第1のルックアップテーブルL11に格納された個々のL*a*b*表色値からCMYK表色値を逆計算することにより第2のルックアップテーブルを作成する。このときの具体的な計算方法は、例えば、特許第2898030号明細書に開示されている。なお、個々の印刷デバイスが再現可能な色の範囲(色域、カラーガマット)は機種毎に異なるので、あるL*a*b*表色値が調整対象であるデバイスの色域を超えている場合には、そのL*a*b*表色値は当該デバイスの色域内のCMYK表色値で置換されなければならない。そのための手法は一般にガマットマッピングと呼ばれる。ガマットマッピングの具体的な手順は、例えば、特開2003−78773号明細書に開示されている。本実施形態のPC2は、必要に応じてガマットマッピングを実行しつつL*a*b*:33×33×33の全点に対応するCMYK表色値を求める。
【0060】
再び図5を参照すると、PC2は、カラーチャートCの画像データ(以下、単に「画像データ」ともいう)に対して、S102及びS104で作成したカラープロファイルP1,P2による色変換処理を実行し、色変換処理後の画像データをプリンタ1に印刷させる(S105)。
【0061】
図9にS105での色変換処理の具体的な手順を示す。図9のように画像データの色変換処理は、(i)画像データに含まれる個々のCMYK表色値を、S102で作成した第1のルックアップテーブル(入力用色変換テーブル)L11によりL*a*b*表色値に変換し、(ii)上記(i)で得られたL*a*b*表色値を、S104で作成した第2のルックアップテーブル(出力用色変換テーブル)L22により再度CMYK表色値に変換するものである。なお、プリンタ1及び目標デバイスがそれぞれ用いた印刷用紙自体の色合いの相違によりC=M=Y=K=0%(白地)に対応するL*a*b*表色値が互いに一致しないことがある。この場合は、C=M=Y=K=0%がC=M=Y=K=0%に正しく変換されるように各々のルックアップテーブルを補正することが好ましい。この補正には、C=M=Y=K=0%を中心として中心から離れるに従って補正量が減少するように、L*a*b*表色値を補正する方法や、それぞれのカラープロファイルにおいて、白色の表色値を基準として計算した、白色がL*=100、a*=0、b*=0になるようなL*a*b*の相対値にして用いる方法などがある。
【0062】
また、図9の例のように2段階の変換処理を実行するのではなく、予め2つのルックアップテーブルを結合させた単一のルックアップテーブルを作成しておき、これを用いて色変換処理を実行してもよい。これにより色変換処理に要する時間を短縮することができる。このような単一のルックアップテーブルは一般にデバイスリンクプロファイルと呼ばれる。図10にデバイスリンクプロファイルによる色変換処理の一例を示す。
【0063】
続いて、PC2は、S105での色変換処理の出力目標値を計算する(S106)。ここで、出力目標値とは、S105の色変換処理後の個々のCMYK表色値に対応するL*a*b*表色値のことであり、プリンタ1の第1のルックアップテーブルを用いて算出する。図11は出力目標値の算出方法を示す概念図である。図11のように、出力目標値は、S105での色変換処理後の個々のCMYK表色値を、S104で作成したプリンタ1の第1のルックアップテーブル(入力用色変換テーブル)L21によりL*a*b*表色値に変換することにより算出する。PC2は、このような出力目標値(L*a*b*表色値)をカラーチャート中のカラーパッチ(590色;K=0%のC×M×Y:6×6×6、K=40%のC×M×Y:5×5×5、K=50%のC×M×Y:5×5×5、K=80%のC×M×Y:4×4×4、K=100%のC×M×Y:2×2×2、CMYK各色の単色階調ステップ(3、7、10、15、20、25、30、40、50、60、70、80、90の13ステップ))について算出する。
【0064】
続いて、PC2は、S105での色変換処理後にプリンタ1により印刷されたカラーチャートCを測色機3に測色させ、各々のカラーパッチに対応するL*a*b*表色値の測色値を取得する(S107)。そして、PC2は、590個のカラーパッチの各々についてS107で取得した測色値と、S106で算出した出力目標値との色差ΔEを計算する(S108)。
【0065】
図12は色差(ΔE)の計算方法について説明するための概略図である。図12のように、PC2は、S106で算出した出力目標値(以下、L*0a*0b*0とする)と、S107で取得した測色値(以下、L*1a*1b*1とする)を下記の数式(1)に入力することにより各カラーパッチについての色差(ΔE)を計算する。このようにして計算された色差(ΔE)は、目標デバイスとプリンタ1の色域の相違、目標デバイスとプリンタ1が使用した印刷用紙の色合いの相違による影響が除外された理論的な色差である。つまり、この色差(ΔE)は、色調整結果の評価において特に考慮すべき色変換処理の誤差を主に表していることになる。
【0066】
【数1】
【0067】
そして、PC2は、数式(1)により590個のカラーパッチの全てについて色差(ΔE)を計算したら、それらの平均値/最大値をさらに計算し、その計算結果を表示部23に表示する(S109)。図13は、S109で表示部23に表示された計算結果の一例を示す概略図である。図13において、下段に示された数値(1.52/4.23)はS108で計算された色差(ΔE)の平均値/最大値である。これらの値は、前述のように色変換処理の誤差を主に表しており、理論的に0に近づけることが可能である。つまり、下段の値が0に近づくようにカラープロファイルの補正を行なうことで色調整の精度を向上させることができる。カラープロファイルの補正については後述する。また、上段に比較例として示された数値(1.86/7.90)は目標デバイスにより印刷されたカラーチャートCの測色値と出力目標値との色差(ΔE´)の平均値/最大値である。この色差(ΔE´)は、デバイス間の色域の相違、及び印刷用紙の白地の色合いの相違を主に表している。
【0068】
図14は、S109で表示される計算結果の他の例を示す概略図である。図14において、上段に示された数値(1.86/7.90)は、前述の色差(ΔE´)の平均値/最大値である。また、下段に示された数値(2.30/8.90)は、目標デバイスにより印刷されたカラーチャートCの測色値とプリンタ1により印刷されたカラーチャートCの測色値との色差(ΔE0)の平均値/最大値である。すなわち、この色差(ΔE0)は、色変換処理の誤差のみならず、デバイス間の色域の相違、及び印刷用紙の色合いの相違による影響をも表している。他方、上段の値は、前述のようにデバイス間の色域の相違、及び白地の色合いの相違を主に表す値であるので、下段の値が上段の値に近づくようにプロファイルの補正を行なうことで色調整の精度を向上させることができる。
【0069】
ここで、プリンタ1の色域外の色の調整結果について考察する。例えば、100%マゼンタ(CMYK:0/100/0/0)は、ターゲット装置により印刷されたカラーチャートCの測色値(L*a*b*値)が48.0/74.1/−8.1であり、出力目標値(L*a*b*値)が46.4/66.5/−6.7であり、プリンタ1により印刷されたカラーチャートの測色値(L*a*b*値)が46.8/67.1/−7.9であったため、測色値どうしの色差(ΔE0)を計算すると、ΔE0=7.1という比較的大きな値になった。他方、この色について出力目標値と測色値との色差(ΔE)を計算すると、ΔE=1.4という小さな値になった。このように、プリンタ1の色域外の色の再現性を評価する際には、両デバイスの出力結果の測色値どうしを比較するのではなく、図11に示すような手順で算出した出力目標値とターゲット装置の出力結果の測色値とを比較することが好ましい。
【0070】
また、白地(C=M=Y=K=0%)についての出力結果について考察すると、ターゲット装置により印刷されたカラーチャートCの測色値(L*a*b*値)は94.0/0.7/−1.3であり、出力目標値(L*a*b*値)は92.8/0.7/−0.2であり、プリンタ1により印刷されたカラーチャートCの測色値(L*a*b*値)は92.7/0.7/−0.5であったため、測色値どうしの色差(ΔE0)は1.5であったのに対し、出力目標値とプリンタ2の出力結果の測色値との色差(ΔE)は0.2にすぎなかった。
【0071】
また、白地に近い10%シアン(CMYK:10/0/0/0)についての調整結果について考察すると、ターゲット装置により印刷されたカラーチャートCの測色値(L*a*b*値)は90.7/−2.8/−5.5であり、出力目標値(L*a*b*値)は87.6/−2.3/−4.5であり、プリンタ1により印刷されたカラーチャートCの測色値(L*a*b*値)は88.8/−3.0/−3.7であった。つまり、測色値どうしの色差(ΔE0)は2.5であったのに対し、出力目標値と出力結果の測定値との色差ΔEは1.6にすぎなかった。このように、シアン10%のような白地に近い色は印刷用紙自体の色合いの相違による影響を受けやすいので、その再現性を評価する際には、測色値どうしを比較するのではなく、図11のような出力目標値とターゲット装置についての測色値とを比較することが好ましい。
【0072】
再び図5を参照すると、PC2は、図13又は図14のような計算結果を確認したユーザからカラープロファイルP1,P2を補正するか否かの指示を取得する(S110)。そして、ユーザからカラープロファイルを補正しないとの指示を取得した場合には(S110のNO)そのまま一連の処理を終了するが、ユーザからカラープロファイルを補正するとの指示を取得した場合には(S110のYES)以下のS111に進む。
【0073】
ここで、PC2は、S108で計算した色差(ΔE)に応じて目標デバイスの第1のルックアップテーブル(入力用色変換テーブル)L11を補正する。より具体的には、S108で計算した色差(ΔE)に基づき、S106で計算した出力目標値の補正値(以下、「補正後目標値」ともいう)を計算し(S111)、第1のルックアップテーブルL11に格納されたL*a*b*表色値をこの補正後目標値で置換することにより第1のルックアップテーブルL11を補正する。
【0074】
図15は、補正後目標値の計算方法について説明するための概略図である。図15の左図は、あるカラーパッチについての出力目標値と測色値との関係を示しており、右図は左図の出力目標値とそれに対応する補正後目標値との関係を示している。両図が示すように、本例では、元の出力目標値を、色差(ΔE)に相当する分だけ測色値の反対方向に移動させた点を補正後目標値としている。このような補正後目標値を元の出力目標値の代わりに用いることで、色変換処理後の色差(ΔE)が縮小する方向に変化することが期待される。
【0075】
図16に、補正をN回繰り返すときの補正後目標値の計算方法について説明する。図16の一行目に示したように、1回目の補正時には、プリンタ1による出力結果の測色値(m0)とS106で計算した出力目標値(c0)との差分(d0)を求め、出力目標値(c0)から差分(d0)を減算したものを補正後目標値(t1)とする。このような計算はL*a*b*の各成分について行なう。
【0076】
また、2回目の補正時には、1回目の補正後の出力結果の測色値(m1)と出力目標値(c0)との差分(d1)を求め、1回目の補正後目標値(t1)からこの色差(d1)を減算したものを補正後目標値(t2)とする。同様に、N回目の補正時には、N−1回目の補正後の出力結果の測色値(mN−1)と出力目標値(c0)との差分を(dN−1)を求め、N−1回目の補正後目標値(tN−1)からこの色差(dN−1)を減算した数値を補正後目標値(tN)とする。
【0077】
PC2は、このような補正後目標値の計算を590個のカラーパッチの全てについて実行し、さらに、図8において説明したような補間計算によりC×M×Y×K:9×9×9×9の掛け合わせの各点についてのCMYK値を格納する補正後ルックアップテーブルL11´を作成する。そして、PC2は、S111で作成した補正後ルックアップテーブルL11´、及びプリンタ1の第2ルックアップテーブルL22を用いた色変換処理を実行し、色変換処理後の画像データをプリンタ1に印刷させてから(S112)、前述のS107に戻る。図17にS112での色変換処理の具体的な手順を示す。図17のようにS112での画像データの色変換処理は、図9における第1のルックアップテーブルL11の代わりにS111での補正後のルックアップテーブルL11´を用いる。
【0078】
その後、PC2は、補正後プロファイルによる色変換処理後の画像データについて前述のS107〜S109の手順を再度実行することになる。そして、PC2は、ユーザがS109で表示された色差(ΔE)の計算結果に満足するまでS111〜S112、S107〜S109の手順を繰り返し実行することになる。
【0079】
以上のような手順で補正を2回繰り返した場合の色差(ΔE)の平均値/最大値の計算結果の一例を以下に示す。
【0080】
初回(補正なし):1.5/4.2
補正1回目 :1.0/4.8
補正2回目 :1.1/4.1
このようにプロファイルの補正を繰り返すことで色差(ΔE)が概ね減少する傾向を示すことがわかる。また、プリンタ1の色域外のカラーパッチの色差(ΔE)も補正の繰り返しにより収束する傾向を示した。
【0081】
以上のように、本実施形態に係る画像処理装置としてのPC2は、カラープロファイルP1,P2を用いた色変換処理によってプリンタ1の色調整を行なった際に、色変換処理後の画像データの出力画像を測色機3で測色することにより得たL*a*b*色空間の表色値と、色変換処理後の画像データをプリンタ1の第1のルックアップテーブルL11で変換することにより得たL*a*b*表色値との差分を計算し、その差分に基づき色調整結果を評価する。そのため、本実施形態によれば、ターゲット装置及びプリンタ1の再現可能な色域が互いに異なる場合、及びターゲット装置及びプリンタ1が使用する印刷用紙の種類(色合い)が互いに異なる場合であっても色調整結果を正確に評価することができる。
【0082】
本発明は、上記実施形態のみに限定されるものではなく、特許請求の範囲内において、種々改変されることができる。例えば、上記実施形態では、色調整の目標デバイス及び対象デバイス(つまり、プリンタ1)はともに印刷装置であったが、これらのデバイスの片方又は双方は、表示装置のような他の種類の出力装置であってもよい。なお、仮に片方のデバイスが表示装置である場合、そのデバイス依存の色空間は、例えば、RGB色空間である。
【0083】
本発明による画像処理装置は、上記各手順を実行するための専用のハードウェア回路によっても、また、上記各手順を記述したプログラムをCPUが実行することによっても実現可能である。後者により本発明を実現する場合、画像処理装置を動作させるプログラムは、フロッピー(登録商標)ディスクやCD−ROM等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体によって提供されてもよいし、インターネット等のネットワークを介してオンラインで提供されてもよい。この場合、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されたプログラムは、通常、ROMやハードディスク等に転送されて記憶される。また、上記プログラムは、単独のアプリケーションソフトとして提供されてもよいし、画像処理装置の一機能としてその装置のソフトウェアに組み込まれてもよい。
【符号の説明】
【0084】
1 プリンタ、
2 PC、
3 測色機、
A 色調整システム、
C カラーチャート、
L11 第1のルックアップテーブル(入力用色変換テーブル)、
L12 第2のルックアップテーブル(出力用色変換テーブル)、
L21 第1のルックアップテーブル(入力用色変換テーブル)、
L22 第2のルックアップテーブル(出力用色変換テーブル)、
P1 カラープロファイル、
P2 カラープロファイル。
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラープロファイルを用いた画像処理装置の制御プログラム、及び当該画像処理装置による色調整の結果の確認方法に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷現場では、オフセット印刷機のような大型印刷機とともに、レーザプリンタのような比較的小型のプリンタが、大型印刷機の校正刷りや小部数用等の印刷機として、使用される場合がある。しかし、商業用の大型印刷機と汎用的なプリンタとでは印刷方法の相違により色の再現性が異なるため、同一の画像を印刷した場合であってもそれらの印刷画像の色合いは完全には一致しない。そこで、個々の印刷装置の印刷色をカラープロファイルで調節することにより複数の装置の印刷色を一致させる技術が数多く提案されている。
【0003】
以下の特許文献1には、安価なカラープリンタの印刷色を大型校正機(便宜上、以下では「目標デバイス」という)の印刷色に一致させるためのカラープルーフシステムの一例が提案されている。同システムは、カラープリンタ及び目標デバイスについて出力したカラーチャートを測色機により測色し、その測色値どうしの差分に基づいてカラープロファイルの補正値を演算する。そして、このような補正値を用いたフィードバック補正を所定回数繰り返すことによりデバイス間の色差を許容値以下に低減させるよう試みる。
【0004】
しかし、上述のように測色値どうしの差分に基づき補正値を計算する方法では、補正を繰り返したとしてもカラープリンタについての測色値がその目標値(すなわち、目標デバイスについての測色値)に向かって収束するように変化するとは限らない。これはカラープリンタの色域が目標デバイスの色域と比べて狭い場合、カラープリンタはカラーチャート中の一部の色を表現することができず、その色については必ず色差が発生してしまうからである。
【0005】
また、カラープリンタと目標デバイスが互いに異なる種類の印刷用紙を使用する場合にも同様の問題が発生する。つまり、通常、カラープリンタも目標デバイスもカラーチャート中の白色成分(C=M=Y=K=0%)は白紙のまま出力するが、その白紙部分の色合いが微妙に異なる場合には測色機がそれらを異なる色成分として認識してしまうからである。つまり、本来は色調整方法による誤差ではない部分まで色差として認識してしまうことになる。
【0006】
以上のように、従来技術によると、カラープリンタと目標デバイスの色域が異なる場合や、両デバイスが使用する印刷用紙の種類が異なる場合等には、本来補正不可能な色差までも補正すべき色差として認識してしまう虞がある。そのため、色調整の結果を正確に評価することができず高精度の補正を行なうことができないという問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−153667号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、カラープロファイルを用いた色変換処理により一の装置を目標とした他の装置の色調整を行なう際に、両装置が再現可能な色域、及び両装置が使用する出力媒体の種類が異なる場合であっても色調整結果を正確に評価することが可能な画像処理装置の制御プログラム、及び画像処理装置による色調整結果の確認方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の上記目的は、下記の手段によって達成される。
【0010】
(1)一の装置のカラープロファイルの入力用変換テーブルによりデバイス依存の色空間の表色値をデバイス非依存の色空間の表色値に変換し、変換後の当該表色値を他の装置のカラープロファイルの出力用変換テーブルによりデバイス依存の色空間の表色値にさらに変換するための色変換処理を実行することで、前記一の装置を目標とした前記他の装置の色調整を行なう画像処理装置の制御プログラムであって、複数のカラーパッチを含む画像データに対して前記色変換処理を実行する手順(A)と、前記手順(A)での前記色変換処理後の前記画像データを前記他の装置に出力させ、その出力画像中の各カラーパッチに対応する前記デバイス非依存の色空間の表色値を測色機で測色させる手順(B)と、前記手順(A)での前記色変換処理後の前記画像データ中の各カラーパッチに対応する前記デバイス依存の色空間の表色値を、前記他の装置のカラープロファイルの入力用変換テーブルにより前記デバイス非依存の色空間の表色値に変換した値である出力目標値を算出する手順(C)と、前記手順(B)で測色された前記デバイス非依存の色空間の表色値と、前記手順(C)で算出した出力目標値との差分を算出する手順(D)と、を前記画像処理装置に実行させることを特徴とする制御プログラム。
【0011】
(2)前記手順(D)で算出された差分に関する情報を表示装置に表示させる手順(E)を、さらに前記画像処理装置に実行させることを特徴とする上記(1)に記載の制御プログラム。
【0012】
(3)前記画像データを前記一の装置で出力した、その出力画像中の各カラーパッチに対応するデバイス非依存の値であるターゲット表色値を、測色により、又は一の装置のカラープロファイルから算出して求める手順(F)と、前記手順(F)で求めたターゲット表色値と、前記手順(C)で算出した出力目標値との差分、及び前記手順(F)で求めたターゲット表色値と、前記手順(B)で測色された前記デバイス非依存の色空間の表色値との差分を算出する手順(G)と、を前記画像処理装置にさらに実行させ、前記手順(E)では、前記手順(G)で算出された差分に関する情報が、前記手順(D)による差分と同時に、又は前記手順(D)による差分の代わりに前記表示装置に表示されることを特徴とする上記(2)に記載の制御プログラム。
【0013】
(4)前記情報は、各カラーパッチについての差分の平均値及び最大値の少なくとも一方を含むことを特徴とする上記(2)または(3)に記載の制御プログラム。
【0014】
(5)前記手順(D)で算出された差分に基づいて前記一の装置の前記入力用変換テーブルを補正する手順(H)を、さらに前記画像処理装置に実行させることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれか1つに記載の制御プログラム。
【0015】
(6)前記手順(H)では、前記一の装置の前記入力用変換テーブルによる変換後の前記デバイス非依存の色空間の表色値が、前記手順(C)で算出した出力目標値から、前記手順(D)で算出された差分を減算した値で置換されるように、前記一の装置の前記入力用変換テーブルが補正されることを特徴とする上記(5)に記載の制御プログラム。
【0016】
(7)前記手順(H)は、2回以上繰り返し実行可能であることを特徴とする上記(5)に記載の制御プログラム。
【0017】
(8)前記手順(H)が2回以上繰り返し実行される場合に、前記手順(H)の2回目以降の実行時には、前回補正された前記一の装置の前記入力用変換テーブルを用いた前記色変換処理後の前記画像データを前記他の装置に出力させ、その出力画像中の各カラーパッチに対応する前記デバイス非依存の色空間の表色値を測色機で測色させる手順(I)と、前記手順(I)で測色された前記デバイス非依存の色空間の表色値と、前記手順(C)で算出した出力目標値との差分を算出する手順(J)を、さらに前記画像処理装置に実行させ、前記一の装置の前記入力用変換テーブルによる変換後の前記デバイス非依存の色空間の表色値が、前回補正された前記一の装置の前記入力用変換テーブルにより変換することで得られる前記デバイス非依存の色空間の表色値から、前記手順(J)で算出された差分を減算した値で置換されるように、前記一の装置の前記入力用変換テーブルがさらに補正されることを特徴とする上記(7)に記載の制御プログラム。
【0018】
(9)前記デバイス依存の色空間はCMYK色空間であることを特徴とする上記(1)〜(8)のいずれか1つに記載の制御プログラム。
【0019】
(10)前記デバイス非依存の色空間はL*a*b*色空間であることを特徴とする上記(1)〜(9)のいずれか1つに記載の制御プログラム。
【0020】
(11)上記(1)〜(10)のいずれか1つに記載の制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【0021】
(12)一の装置のカラープロファイルの入力用変換テーブルによりデバイス依存の色空間の表色値をデバイス非依存の色空間の表色値に変換し、変換後の当該表色値を他の装置のカラープロファイルの出力用変換テーブルによりデバイス依存の色空間の表色値にさらに変換するための色変換処理を実行することで、前記一の装置を目標とした前記他の装置の色調整を行なう画像処理装置による、当該色調整結果の確認方法であって、複数のカラーパッチを含む画像データに対して前記色変換処理を実行するステップ(A)と、前記ステップ(A)での前記色変換処理後の前記画像データを前記他の装置に出力させ、その出力画像中の各カラーパッチに対応する前記デバイス非依存の色空間の表色値を測色機で測色させるステップ(B)と、前記ステップ(A)での前記色変換処理後の前記画像データ中の各カラーパッチに対応する前記デバイス依存の色空間の表色値を、前記他の装置のカラープロファイルの入力用変換テーブルにより前記デバイス非依存の色空間の表色値に変換した値である出力目標値を算出するステップ(C)と、前記ステップ(B)で測色された前記デバイス非依存の色空間の表色値と、前記ステップ(C)で算出した出力目標値との差分を算出するステップ(D)と、を含む方法。
【0022】
(13)前記ステップ(D)で算出された差分に関する情報を表示装置に表示させるステップ(E)を、さらに含むことを特徴とする上記(12)に記載の方法。
【0023】
(14)前記画像データを前記一の装置で出力した、その出力画像中の各カラーパッチに対応するデバイス非依存の値であるターゲット表色値を、測色により、又は一の装置のカラープロファイルから算出して求めるステップ(F)と、前記ステップ(F)で求めたターゲット表色値と、前記ステップ(C)で算出した出力目標値との差分、及び前記ステップ(F)で求めたターゲット表色値と、前記ステップ(B)で測色された前記デバイス非依存の色空間の表色値との差分を算出するステップ(G)と、をさらに含み、前記ステップ(E)では、前記ステップ(G)で算出された差分に関する情報が、前記ステップ(D)による差分と同時に、又は前記ステップ(D)による差分の代わりに前記表示装置に表示されることを特徴とする上記(13)に記載の方法。
【0024】
(15)前記情報は、各カラーパッチについての差分の平均値及び最大値の少なくとも一方を含むことを特徴とする上記(13)または(14)に記載の方法。
【0025】
(16)前記ステップ(D)で算出された差分に基づいて前記一の装置の前記入力用変換テーブルを補正するステップ(H)を、さらに含むことを特徴とする上記(12)〜(15)のいずれか1つに記載の方法。
【0026】
(17)前記ステップ(H)では、前記一の装置の前記入力用変換テーブルによる変換後の前記デバイス非依存の色空間の表色値が、前記ステップ(C)で算出した出力目標値から、前記ステップ(D)で算出された差分を減算した値で置換されるように、前記一の装置の前記入力用変換テーブルが補正されることを特徴とする上記(16)に記載の方法。
【0027】
(18)前記ステップ(H)は、2回以上繰り返し実行可能であることを特徴とする上記(16)に記載の方法。
【0028】
(19)前記ステップ(H)が2回以上繰り返し実行される場合に、前記ステップ(H)の2回目以降の実行時には、前回補正された前記一の装置の前記入力用変換テーブルを用いた前記色変換処理後の前記画像データを前記他の装置に出力させ、その出力画像中の各カラーパッチに対応する前記デバイス非依存の色空間の表色値を測色機で測色させるステップ(I)と、前記ステップ(I)で測色された前記デバイス非依存の色空間の表色値と、前記ステップ(C)で算出した出力目標値との差分を算出するステップ(J)を、さらに含み、前記一の装置の前記入力用変換テーブルによる変換後の前記デバイス非依存の色空間の表色値が、前回補正された前記一の装置の前記入力用変換テーブルにより変換することで得られる前記デバイス非依存の色空間の表色値から、前記ステップ(J)で算出された差分を減算した値で置換されるように、前記一の装置の前記入力用変換テーブルがさらに補正されることを特徴とする上記(18)に記載の方法。
【0029】
(20)前記デバイス依存の色空間はCMYK色空間であることを特徴とする上記(12)〜(19)のいずれか1つに記載の方法。
【0030】
(21)前記デバイス非依存の色空間はL*a*b*色空間であることを特徴とする上記(12)〜(20)のいずれか1つに記載の方法。
【発明の効果】
【0031】
本発明に係る画像処理装置は、カラープロファイルを用いた色変換処理によって一の装置を目標とした他の装置の色調整を行なう際に、色変換処理後の画像データの出力画像を測色することにより得たデバイス非依存の色空間の表色値と、色変換処理後の画像データを前記他の装置のカラープロファイルの入力用変換テーブルで変換することにより得た当該色空間の表色値との差分を計算し、当該差分に基づき色調整結果を評価する。そのため、本発明によれば、両装置が再現可能な色域が異なる場合、及び両装置が使用する出力媒体の種類が異なる場合であっても色調整結果を正確に評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の一実施形態に係る色調整システムの構成を示すブロック図である。
【図2】図1中のプリンタの構成を示すブロック図である。
【図3】図1中のPCの構成を示すブロック図である。
【図4】図1中の測色機の構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の一実施形態に係るPCによるプリンタの色調整処理の手順を示すフローチャートである。
【図6】本発明の一実施形態において使用されるカラーチャートを示す概略図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る目標デバイスのカラープロファイルを示す概念図である。
【図8】本発明の一実施形態に係るカラープロファイルの作成方法を示す概念図である。
【図9】本発明の一実施形態に係る色変換処理の手順を示す概念図である。
【図10】本発明の一実施形態に係る色変換処理の手順を示す概念図である。
【図11】本発明の一実施形態に係る色変換処理の出力目標値の計算方法を示す概念図である。
【図12】本発明の一実施形態に係る色差(ΔE)の計算方法を示す概念図である。
【図13】本発明の一実施形態に係る色差(ΔE)の平均値/最大値の計算結果を示す概略図である。
【図14】本発明の一実施形態に係る色差(ΔE)の平均値/最大値の計算結果の他の例を示す概略図である。
【図15】本発明の一実施形態に係る補正後目標値の計算方法を示す概念図である。
【図16】本発明の一実施形態に係る補正後目標値の計算方法を示す概念図である。
【図17】本発明の一実施形態に係る補正後のプロファイルを用いた色変換処理の手順を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0034】
図1は、本発明の一実施形態に係る画像処理装置が適用された色調整システムAの全体構成を示すブロック図である。色調整システムAは、大型印刷装置等の目標デバイスに合わせて画像形成装置(プリンタ1)の色調整を行なう機能を備えており、より具体的には、画像形成装置により出力すべき画像データに対する色変換処理に用いるカラープロファイルを生成・補正する機能を備えている。
【0035】
図1のように、色調整システムAは、色調整の対象である画像形成装置としてのプリンタ1、プリンタ1により印刷すべき画像データに対する各種画像処理を実行する画像処理装置としてのPC2、プリンタ1等により印刷された印刷画像を測色するための測色機3を備えている。図1のように、プリンタ1はIEEE1284準拠のプリンタケーブルやUSBケーブル等によりPC2に接続されており、測色機3はUSBケーブル等によりPC2に接続されており、PC2はLAN等のネットワークNに接続されている。なお、PC2は、図1のように単独の装置であってもよいし、プリンタ1に内蔵されていてもよい。後者の場合、プリンタ1が直接ネットワークNに接続されることになる。
【0036】
図2は、図1中のプリンタ1の構成を示すブロック図である。図2のように、プリンタ1は、制御部11、記憶部12、操作パネル部13、印刷部14、入出力インタフェース15を備えており、これらは信号をやり取りするためのバス16によって双方向通信可能に接続されている。
【0037】
制御部11は、CPUであり、プログラムに従って各部の制御を行う。記憶部12は、各種プログラムを格納するROM、作業領域として各種データを一時的に記憶するRAM、PC2から受信した印刷データ等を一時的に保存するハードディスクを含んでなる。操作パネル部13は、ユーザに各種情報を表示するとともにユーザから各種指示を取得するためのタッチパネルや固定キー等からなるオペレーションパネルである。
【0038】
印刷部14は、PC2から受信した画像データに基づく画像を、帯電、露光、現像、転写、定着等の工程からなる電子写真方式により記録媒体に印刷する。ただし、印刷部14が採用する印刷方式は、インパクト方式、熱転写方式、インクジェット方式等の他の公知の方式であってもよい。入出力インタフェース15は、PC2と通信するためのインタフェースであり、例えばIEEE1394、USB等が挙げられる。また、プリンタ1とPC2とがネットワークNを介して接続されていてもよく、この場合は入出力インタフェース15としては、イーサネット(登録商標)、トークンリング、FDDI等の規格に準拠したNIC(Network Interface Card)が適用可能である。
【0039】
図3は、図1中のPC2の構成を示すブロック図である。図3のように、PC2は、制御部21、記録部22、表示部23、入力部24、入出力インタフェース25を備えており、これらは信号をやり取りするためのバス26によって接続されている。PC2は、外部からネットワークNを介して印刷データを受信し、それに対してRIP展開処理や色変換処理等の各種画像処理を施してからプリンタ1に転送する。つまり、本実施形態においてPC2は主にプリンタ1のプリンタコントローラとしての機能を有する。
【0040】
制御部21は、CPUであり、プログラムに従って各部の制御や各種演算処理等を実行する。特に本実施形態の制御部11は、上述のように外部から受信した印刷データに対する画像処理を実行する。記憶部22は、PC2の基本動作のための各種プログラム及びパラメータを格納するROM、作業領域として一時的にプログラムを含む各種データを記憶するRAM、OSを含む各種プログラムその他のデータを格納するハードディスクを含んでなる。特に、記憶部22のハードディスクは各種画像処理のためのプログラムや色変換処理に用いるカラープロファイル等を格納している。
【0041】
表示部23は、CRTディスプレイや液晶ディスプレイ等の表示装置であり、ユーザに各種情報を表示する。入力部24は、キーボードやマウス等であり、PC2への各種入力を行なうユーザにより利用される。入出力インタフェース25は、ネットワークNに接続しネットワークN上の他の機器と通信するためのインタフェース、例えばNICであり、イーサネット(登録商標)、トークンリング、FDDI等の規格に準拠している。また、PC2は、測色機3から受信したデータを用いて色変換処理のためのカラープロファイルを作成する機能等を有する(図3参照)。
【0042】
図4は、図1中の測色機3の構成を示すブロック図である。図4のように、測色機3は、制御部31、記憶部32、操作パネル部33、測色部34、入出力インタフェース35を備えており、これらはバス36によって相互に通信可能に接続されている。測色機3は、プリンタ1等の印刷装置により印刷されたカラーチャートを測色し、各カラーパッチに対応する測色データを分光反射率の値、XYZ表色値、L*a*b*表色値等に変換する機能を備えている。
【0043】
制御部31はプログラムに従って各部を制御するとともに各種演算処理を実行する。記憶部32は各種プログラムやパラメータ等を記憶するとともに、測色部34により測定したデータ等を一時的に格納する。特に、記憶部32は、測色部34による測定データをL*a*b*表色値等に変換するためのプログラムを格納している。操作パネル部33はユーザからの動作指示を取得する固定キー等からなる。
【0044】
測色部34は、分光測色計を測定対象のカラーチャートの上で移動させることで複数のカラーパッチを測色し、その測色結果を記憶部32に送信する。この測色結果は記憶部32において分光反射率の値、XYZ表色値、L*a*b*表色値に変換される。
【0045】
次に、本実施形態に係る色調整システムAの動作の概要について説明する。図5は、本実施形態に係るPC2によるプリンタ1の色調整処理の手順を示すフローチャートである。この色調整処理は、カラープロファイルを用いた色変換処理により目標デバイスに合わせてプリンタ1の色調整を行なうことを目的とした処理である。図5のフローチャートにより示されるアルゴリズムは、記憶部22のROMに制御プログラムとして記憶されており、動作開始の際に制御部21により読み出されて実行される。
【0046】
先ず、PC2は、予め目標デバイスにより印刷されたカラーチャートを測色機3に測色させ、各カラーパッチに対応するL*a*b*表色値を取得する(S101)。そして、PC2は、S101で取得したL*a*b*表色値に基づき目標デバイスのカラープロファイルを作成し(S102)、それを記憶部22に保存する。なお、本例でのカラーチャートとは、ISO12642規格に準拠したカラーチャートである。図6は、本例のカラーチャートCを示す概略図である(図中で彩色は省略している。図8、図12においても同じ。)。
【0047】
続いて、PC2は、プリンタ1に色変換処理を実行することなくカラーチャートを印刷させ、その印刷画像を測色機3に測色させることで各カラーパッチに対応するL*a*b*表色値を取得する(S103)。そして、PC2は、S103で取得したL*a*b*表色値に基づきプリンタ1のカラープロファイルを作成し(S104)、それを記憶部22に保存する。
【0048】
図7は、S102で作成された目標デバイスのカラープロファイルP1を示す概念図である。図7のように、カラープロファイルP1は一対のルックアップテーブル(第1、第2のルックアップテーブルL11,L12)からなる。ここで、第1のルックアップテーブルL11は、個々のCMYK表色値をL*a*b*表色値に変換するための変換テーブルであり、図7のように、CMYK:9×9×9×9点の掛け合わせからなる全6561通りのCMYK表色値に対応するL*a*b*表色値を格納している。これらの9×9×9×9点は、C、M、Yについては、各色の最大値を100%としたときの0%、10%、20%、30%、40%、55%、70%、85%、100%の9点であり、Kについては0%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、80%、100%の9点である。このような値(%)を選択した理由は後述するカラーチャート測定点との整合性を考慮したためである。なお、このようにC、M、Y、Kいずれも0〜100%の範囲を8等分して9点をサンプリングしたのではないため、この変換テーブルを用いて任意のCMYK値を変換する場合には、この変換テーブルを参照する前に、C、M、Y、Kの階調補正カーブを用いてこの変換テーブルの9点の値に合わせるようにC、M、Y、K値を補正してから、例えば特開2002−330303号明細書に書かれている方法によって補間計算を行いL*a*b*表色値に変換する。
【0049】
また、第2のルックアップテーブルL12は、個々のL*a*b*表色値をCMYK表色値に変換するための変換テーブルであり、図7のようにL*a*b*:33×33×33点の掛け合わせからなる全35973通りのL*a*b*表色値に対応するCMYK表色値を格納している。
【0050】
S104でも同様に第1,第2のルックアップテーブルL21,L22からなるプリンタ1のカラープロファイル2が生成される。なお、第1のルックアップテーブルは、このプロファイルが色変換の入力側に選ばれた時に用いられることから入力用変換テーブルと呼ばれ、第2のルックアップテーブルは、このプロファイルが色変換の出力側に選ばれた時に用いられることから出力用変換テーブルと呼ばれる。以下の説明でも各テーブルをこのように称する場合がある。また、PC2は、S102及びS104において、「測色的」「知覚的」「彩度優先」等のカラースペース間の詳細な色変換方法(レンダリングインテント)に応じた複数種類のカラープロファイルを作成することもできる。
【0051】
ここで、図8を参照しながらS102でのカラープロファイルP1の作成方法について詳細に説明する。先ず、本実施形態のPC2は、以下の(I)〜(III)の手順で第1のルックアップテーブルL11を作成する。
【0052】
(I)印刷済みカラーチャート中の以下の各点に対応するL*a*b*表色値を測色値に測色させる。
【0053】
(a)K=0%についてのC×M×Y:6×6×6の掛け合わせの各点(CMYはそれぞれ0%、10%、20%、40%、70%、100%)
(b)K=40%についてのC×M×Y:5×5×5の掛け合わせの各点(CMYはそれぞれ0%、20%、40%、70%、100%)
(c)K=60%についてのC×M×Y:5×5×5の掛け合わせの各点(CMYはそれぞれ0%、20%、40%、70%、100%)
(d)K=80%についてのC×M×Y:4×4×4の掛け合わせの各点(CMYはそれぞれ0%、40%、70%、100%)
(e)K=100%についてのC×M×Y:2×2×2の掛け合わせの各点(CMYはそれぞれ0%、100%)
(f)CMYKの各々についての単色階調(各色について3%、7%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%の13ステップ)。
【0054】
(II)上記(I)で得た(a)〜(e)の各点についてのL*a*b*表色値を用いて以下の(g)〜(k)の各点についてのL*a*b*値を求める。上記(I)における測定値が存在しない点については、周囲の点の測定値、及び各色の単色階調の測定値(f)を用いた補間計算によりL*a*b*値を演算するものとする。
【0055】
(g)K=0%についてのC×M×Y:9×9×9の掛け合わせの各点(CMYはそれぞれ0%、10%、20%、30%、40%、55%、70%、85%、100%)
(h)K=40%についてのC×M×Y:9×9×9の掛け合わせの各点(CMYはそれぞれ0%、10%、20%、30%、40%、55%、70%、85%、100%)
(i)K=60%についてのC×M×Y:9×9×9の掛け合わせの各点(CMYはそれぞれ0%、10%、20%、30%、40%、55%、70%、85%、100%)
(j)K=80%についてのC×M×Y:9×9×9の掛け合わせの各点(CMYはそれぞれ0%、10%、20%、30%、40%、55%、70%、85%、100%)
(k)K=100%についてのC×M×Y:9×9×9の掛け合わせの各点(CMYはそれぞれ0%、10%、20%、30%、40%、55%、70%、85%、100%)。
【0056】
(III)そして上記(II)で求めた(g)〜(h)の各点についてのL*a*b*表色値、及び上記(I)で求めた(f)の各点のうちのK単色階調についてのL*a*b*表色値を用いた補間計算により以下の(l)〜(n)の各点についてL*a*b*表色値を演算し、さらに、上記(II)で求めた(h)〜(i)の各点についてのL*a*b*表色値、及び上記(I)で求めた(f)の各点のうちのK単色階調についてのL*a*b*表色値を用いた補間計算により以下の(o)のL*a*b*表色値を演算する。
【0057】
(l)K=10%についてのC×M×Y:9×9×9の掛け合わせの各点(CMYはそれぞれ0%、10%、20%、30%、40%、55%、70%、85%、100%)
(m)K=20%についてのC×M×Y:9×9×9の掛け合わせの各点(CMYはそれぞれ0%、10%、20%、30%、40%、55%、70%、85%、100%)
(n)K=30%についてのC×M×Y:9×9×9の掛け合わせの各点(CMYはそれぞれ0%、10%、20%、30%、40%、55%、70%、85%、100%)
(o)K=50%についてのC×M×Y:9×9×9の掛け合わせの各点(CMYはそれぞれ0%、10%、20%、30%、40%、55%、70%、85%、100%)。
【0058】
本実施形態のPC2は以上のようにしてC×M×Y×K:9×9×9×9の全点についてのL*a*b*表色値を求め、CMYK表色値をL*a*b*表色値に変換するための第1のルックアップテーブル(入力用色変換テーブル)L11を作成する。
【0059】
再び図8を参照して、第2のルックアップテーブルL12の作成方法について説明する。PC2は、第1のルックアップテーブルL11に格納された個々のL*a*b*表色値からCMYK表色値を逆計算することにより第2のルックアップテーブルを作成する。このときの具体的な計算方法は、例えば、特許第2898030号明細書に開示されている。なお、個々の印刷デバイスが再現可能な色の範囲(色域、カラーガマット)は機種毎に異なるので、あるL*a*b*表色値が調整対象であるデバイスの色域を超えている場合には、そのL*a*b*表色値は当該デバイスの色域内のCMYK表色値で置換されなければならない。そのための手法は一般にガマットマッピングと呼ばれる。ガマットマッピングの具体的な手順は、例えば、特開2003−78773号明細書に開示されている。本実施形態のPC2は、必要に応じてガマットマッピングを実行しつつL*a*b*:33×33×33の全点に対応するCMYK表色値を求める。
【0060】
再び図5を参照すると、PC2は、カラーチャートCの画像データ(以下、単に「画像データ」ともいう)に対して、S102及びS104で作成したカラープロファイルP1,P2による色変換処理を実行し、色変換処理後の画像データをプリンタ1に印刷させる(S105)。
【0061】
図9にS105での色変換処理の具体的な手順を示す。図9のように画像データの色変換処理は、(i)画像データに含まれる個々のCMYK表色値を、S102で作成した第1のルックアップテーブル(入力用色変換テーブル)L11によりL*a*b*表色値に変換し、(ii)上記(i)で得られたL*a*b*表色値を、S104で作成した第2のルックアップテーブル(出力用色変換テーブル)L22により再度CMYK表色値に変換するものである。なお、プリンタ1及び目標デバイスがそれぞれ用いた印刷用紙自体の色合いの相違によりC=M=Y=K=0%(白地)に対応するL*a*b*表色値が互いに一致しないことがある。この場合は、C=M=Y=K=0%がC=M=Y=K=0%に正しく変換されるように各々のルックアップテーブルを補正することが好ましい。この補正には、C=M=Y=K=0%を中心として中心から離れるに従って補正量が減少するように、L*a*b*表色値を補正する方法や、それぞれのカラープロファイルにおいて、白色の表色値を基準として計算した、白色がL*=100、a*=0、b*=0になるようなL*a*b*の相対値にして用いる方法などがある。
【0062】
また、図9の例のように2段階の変換処理を実行するのではなく、予め2つのルックアップテーブルを結合させた単一のルックアップテーブルを作成しておき、これを用いて色変換処理を実行してもよい。これにより色変換処理に要する時間を短縮することができる。このような単一のルックアップテーブルは一般にデバイスリンクプロファイルと呼ばれる。図10にデバイスリンクプロファイルによる色変換処理の一例を示す。
【0063】
続いて、PC2は、S105での色変換処理の出力目標値を計算する(S106)。ここで、出力目標値とは、S105の色変換処理後の個々のCMYK表色値に対応するL*a*b*表色値のことであり、プリンタ1の第1のルックアップテーブルを用いて算出する。図11は出力目標値の算出方法を示す概念図である。図11のように、出力目標値は、S105での色変換処理後の個々のCMYK表色値を、S104で作成したプリンタ1の第1のルックアップテーブル(入力用色変換テーブル)L21によりL*a*b*表色値に変換することにより算出する。PC2は、このような出力目標値(L*a*b*表色値)をカラーチャート中のカラーパッチ(590色;K=0%のC×M×Y:6×6×6、K=40%のC×M×Y:5×5×5、K=50%のC×M×Y:5×5×5、K=80%のC×M×Y:4×4×4、K=100%のC×M×Y:2×2×2、CMYK各色の単色階調ステップ(3、7、10、15、20、25、30、40、50、60、70、80、90の13ステップ))について算出する。
【0064】
続いて、PC2は、S105での色変換処理後にプリンタ1により印刷されたカラーチャートCを測色機3に測色させ、各々のカラーパッチに対応するL*a*b*表色値の測色値を取得する(S107)。そして、PC2は、590個のカラーパッチの各々についてS107で取得した測色値と、S106で算出した出力目標値との色差ΔEを計算する(S108)。
【0065】
図12は色差(ΔE)の計算方法について説明するための概略図である。図12のように、PC2は、S106で算出した出力目標値(以下、L*0a*0b*0とする)と、S107で取得した測色値(以下、L*1a*1b*1とする)を下記の数式(1)に入力することにより各カラーパッチについての色差(ΔE)を計算する。このようにして計算された色差(ΔE)は、目標デバイスとプリンタ1の色域の相違、目標デバイスとプリンタ1が使用した印刷用紙の色合いの相違による影響が除外された理論的な色差である。つまり、この色差(ΔE)は、色調整結果の評価において特に考慮すべき色変換処理の誤差を主に表していることになる。
【0066】
【数1】
【0067】
そして、PC2は、数式(1)により590個のカラーパッチの全てについて色差(ΔE)を計算したら、それらの平均値/最大値をさらに計算し、その計算結果を表示部23に表示する(S109)。図13は、S109で表示部23に表示された計算結果の一例を示す概略図である。図13において、下段に示された数値(1.52/4.23)はS108で計算された色差(ΔE)の平均値/最大値である。これらの値は、前述のように色変換処理の誤差を主に表しており、理論的に0に近づけることが可能である。つまり、下段の値が0に近づくようにカラープロファイルの補正を行なうことで色調整の精度を向上させることができる。カラープロファイルの補正については後述する。また、上段に比較例として示された数値(1.86/7.90)は目標デバイスにより印刷されたカラーチャートCの測色値と出力目標値との色差(ΔE´)の平均値/最大値である。この色差(ΔE´)は、デバイス間の色域の相違、及び印刷用紙の白地の色合いの相違を主に表している。
【0068】
図14は、S109で表示される計算結果の他の例を示す概略図である。図14において、上段に示された数値(1.86/7.90)は、前述の色差(ΔE´)の平均値/最大値である。また、下段に示された数値(2.30/8.90)は、目標デバイスにより印刷されたカラーチャートCの測色値とプリンタ1により印刷されたカラーチャートCの測色値との色差(ΔE0)の平均値/最大値である。すなわち、この色差(ΔE0)は、色変換処理の誤差のみならず、デバイス間の色域の相違、及び印刷用紙の色合いの相違による影響をも表している。他方、上段の値は、前述のようにデバイス間の色域の相違、及び白地の色合いの相違を主に表す値であるので、下段の値が上段の値に近づくようにプロファイルの補正を行なうことで色調整の精度を向上させることができる。
【0069】
ここで、プリンタ1の色域外の色の調整結果について考察する。例えば、100%マゼンタ(CMYK:0/100/0/0)は、ターゲット装置により印刷されたカラーチャートCの測色値(L*a*b*値)が48.0/74.1/−8.1であり、出力目標値(L*a*b*値)が46.4/66.5/−6.7であり、プリンタ1により印刷されたカラーチャートの測色値(L*a*b*値)が46.8/67.1/−7.9であったため、測色値どうしの色差(ΔE0)を計算すると、ΔE0=7.1という比較的大きな値になった。他方、この色について出力目標値と測色値との色差(ΔE)を計算すると、ΔE=1.4という小さな値になった。このように、プリンタ1の色域外の色の再現性を評価する際には、両デバイスの出力結果の測色値どうしを比較するのではなく、図11に示すような手順で算出した出力目標値とターゲット装置の出力結果の測色値とを比較することが好ましい。
【0070】
また、白地(C=M=Y=K=0%)についての出力結果について考察すると、ターゲット装置により印刷されたカラーチャートCの測色値(L*a*b*値)は94.0/0.7/−1.3であり、出力目標値(L*a*b*値)は92.8/0.7/−0.2であり、プリンタ1により印刷されたカラーチャートCの測色値(L*a*b*値)は92.7/0.7/−0.5であったため、測色値どうしの色差(ΔE0)は1.5であったのに対し、出力目標値とプリンタ2の出力結果の測色値との色差(ΔE)は0.2にすぎなかった。
【0071】
また、白地に近い10%シアン(CMYK:10/0/0/0)についての調整結果について考察すると、ターゲット装置により印刷されたカラーチャートCの測色値(L*a*b*値)は90.7/−2.8/−5.5であり、出力目標値(L*a*b*値)は87.6/−2.3/−4.5であり、プリンタ1により印刷されたカラーチャートCの測色値(L*a*b*値)は88.8/−3.0/−3.7であった。つまり、測色値どうしの色差(ΔE0)は2.5であったのに対し、出力目標値と出力結果の測定値との色差ΔEは1.6にすぎなかった。このように、シアン10%のような白地に近い色は印刷用紙自体の色合いの相違による影響を受けやすいので、その再現性を評価する際には、測色値どうしを比較するのではなく、図11のような出力目標値とターゲット装置についての測色値とを比較することが好ましい。
【0072】
再び図5を参照すると、PC2は、図13又は図14のような計算結果を確認したユーザからカラープロファイルP1,P2を補正するか否かの指示を取得する(S110)。そして、ユーザからカラープロファイルを補正しないとの指示を取得した場合には(S110のNO)そのまま一連の処理を終了するが、ユーザからカラープロファイルを補正するとの指示を取得した場合には(S110のYES)以下のS111に進む。
【0073】
ここで、PC2は、S108で計算した色差(ΔE)に応じて目標デバイスの第1のルックアップテーブル(入力用色変換テーブル)L11を補正する。より具体的には、S108で計算した色差(ΔE)に基づき、S106で計算した出力目標値の補正値(以下、「補正後目標値」ともいう)を計算し(S111)、第1のルックアップテーブルL11に格納されたL*a*b*表色値をこの補正後目標値で置換することにより第1のルックアップテーブルL11を補正する。
【0074】
図15は、補正後目標値の計算方法について説明するための概略図である。図15の左図は、あるカラーパッチについての出力目標値と測色値との関係を示しており、右図は左図の出力目標値とそれに対応する補正後目標値との関係を示している。両図が示すように、本例では、元の出力目標値を、色差(ΔE)に相当する分だけ測色値の反対方向に移動させた点を補正後目標値としている。このような補正後目標値を元の出力目標値の代わりに用いることで、色変換処理後の色差(ΔE)が縮小する方向に変化することが期待される。
【0075】
図16に、補正をN回繰り返すときの補正後目標値の計算方法について説明する。図16の一行目に示したように、1回目の補正時には、プリンタ1による出力結果の測色値(m0)とS106で計算した出力目標値(c0)との差分(d0)を求め、出力目標値(c0)から差分(d0)を減算したものを補正後目標値(t1)とする。このような計算はL*a*b*の各成分について行なう。
【0076】
また、2回目の補正時には、1回目の補正後の出力結果の測色値(m1)と出力目標値(c0)との差分(d1)を求め、1回目の補正後目標値(t1)からこの色差(d1)を減算したものを補正後目標値(t2)とする。同様に、N回目の補正時には、N−1回目の補正後の出力結果の測色値(mN−1)と出力目標値(c0)との差分を(dN−1)を求め、N−1回目の補正後目標値(tN−1)からこの色差(dN−1)を減算した数値を補正後目標値(tN)とする。
【0077】
PC2は、このような補正後目標値の計算を590個のカラーパッチの全てについて実行し、さらに、図8において説明したような補間計算によりC×M×Y×K:9×9×9×9の掛け合わせの各点についてのCMYK値を格納する補正後ルックアップテーブルL11´を作成する。そして、PC2は、S111で作成した補正後ルックアップテーブルL11´、及びプリンタ1の第2ルックアップテーブルL22を用いた色変換処理を実行し、色変換処理後の画像データをプリンタ1に印刷させてから(S112)、前述のS107に戻る。図17にS112での色変換処理の具体的な手順を示す。図17のようにS112での画像データの色変換処理は、図9における第1のルックアップテーブルL11の代わりにS111での補正後のルックアップテーブルL11´を用いる。
【0078】
その後、PC2は、補正後プロファイルによる色変換処理後の画像データについて前述のS107〜S109の手順を再度実行することになる。そして、PC2は、ユーザがS109で表示された色差(ΔE)の計算結果に満足するまでS111〜S112、S107〜S109の手順を繰り返し実行することになる。
【0079】
以上のような手順で補正を2回繰り返した場合の色差(ΔE)の平均値/最大値の計算結果の一例を以下に示す。
【0080】
初回(補正なし):1.5/4.2
補正1回目 :1.0/4.8
補正2回目 :1.1/4.1
このようにプロファイルの補正を繰り返すことで色差(ΔE)が概ね減少する傾向を示すことがわかる。また、プリンタ1の色域外のカラーパッチの色差(ΔE)も補正の繰り返しにより収束する傾向を示した。
【0081】
以上のように、本実施形態に係る画像処理装置としてのPC2は、カラープロファイルP1,P2を用いた色変換処理によってプリンタ1の色調整を行なった際に、色変換処理後の画像データの出力画像を測色機3で測色することにより得たL*a*b*色空間の表色値と、色変換処理後の画像データをプリンタ1の第1のルックアップテーブルL11で変換することにより得たL*a*b*表色値との差分を計算し、その差分に基づき色調整結果を評価する。そのため、本実施形態によれば、ターゲット装置及びプリンタ1の再現可能な色域が互いに異なる場合、及びターゲット装置及びプリンタ1が使用する印刷用紙の種類(色合い)が互いに異なる場合であっても色調整結果を正確に評価することができる。
【0082】
本発明は、上記実施形態のみに限定されるものではなく、特許請求の範囲内において、種々改変されることができる。例えば、上記実施形態では、色調整の目標デバイス及び対象デバイス(つまり、プリンタ1)はともに印刷装置であったが、これらのデバイスの片方又は双方は、表示装置のような他の種類の出力装置であってもよい。なお、仮に片方のデバイスが表示装置である場合、そのデバイス依存の色空間は、例えば、RGB色空間である。
【0083】
本発明による画像処理装置は、上記各手順を実行するための専用のハードウェア回路によっても、また、上記各手順を記述したプログラムをCPUが実行することによっても実現可能である。後者により本発明を実現する場合、画像処理装置を動作させるプログラムは、フロッピー(登録商標)ディスクやCD−ROM等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体によって提供されてもよいし、インターネット等のネットワークを介してオンラインで提供されてもよい。この場合、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されたプログラムは、通常、ROMやハードディスク等に転送されて記憶される。また、上記プログラムは、単独のアプリケーションソフトとして提供されてもよいし、画像処理装置の一機能としてその装置のソフトウェアに組み込まれてもよい。
【符号の説明】
【0084】
1 プリンタ、
2 PC、
3 測色機、
A 色調整システム、
C カラーチャート、
L11 第1のルックアップテーブル(入力用色変換テーブル)、
L12 第2のルックアップテーブル(出力用色変換テーブル)、
L21 第1のルックアップテーブル(入力用色変換テーブル)、
L22 第2のルックアップテーブル(出力用色変換テーブル)、
P1 カラープロファイル、
P2 カラープロファイル。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一の装置のカラープロファイルの入力用変換テーブルによりデバイス依存の色空間の表色値をデバイス非依存の色空間の表色値に変換し、変換後の当該表色値を他の装置のカラープロファイルの出力用変換テーブルによりデバイス依存の色空間の表色値にさらに変換するための色変換処理を実行することで、前記一の装置を目標とした前記他の装置の色調整を行なう画像処理装置の制御プログラムであって、
複数のカラーパッチを含む画像データに対して前記色変換処理を実行する手順(A)と、
前記手順(A)での前記色変換処理後の前記画像データを前記他の装置に出力させ、その出力画像中の各カラーパッチに対応する前記デバイス非依存の色空間の表色値を測色機で測色させる手順(B)と、
前記手順(A)での前記色変換処理後の前記画像データ中の各カラーパッチに対応する前記デバイス依存の色空間の表色値を、前記他の装置のカラープロファイルの入力用変換テーブルにより前記デバイス非依存の色空間の表色値に変換した値である出力目標値を算出する手順(C)と、
前記手順(B)で測色された前記デバイス非依存の色空間の表色値と、前記手順(C)で算出した出力目標値との差分を算出する手順(D)と、を前記画像処理装置に実行させることを特徴とする制御プログラム。
【請求項2】
前記手順(D)で算出された差分に関する情報を表示装置に表示させる手順(E)を、さらに前記画像処理装置に実行させることを特徴とする請求項1に記載の制御プログラム。
【請求項3】
前記画像データを前記一の装置で出力した、その出力画像中の各カラーパッチに対応するデバイス非依存の値であるターゲット表色値を、測色により、又は一の装置のカラープロファイルから算出して求める手順(F)と、
前記手順(F)で求めたターゲット表色値と、前記手順(C)で算出した出力目標値との差分、及び前記手順(F)で求めたターゲット表色値と、前記手順(B)で測色された前記デバイス非依存の色空間の表色値との差分を算出する手順(G)と、を前記画像処理装置にさらに実行させ、
前記手順(E)では、前記手順(G)で算出された差分に関する情報が、前記手順(D)による差分と同時に、又は前記手順(D)による差分の代わりに前記表示装置に表示されることを特徴とする請求項2に記載の制御プログラム。
【請求項4】
前記情報は、各カラーパッチについての差分の平均値及び最大値の少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項2又は3に記載の制御プログラム。
【請求項5】
前記手順(D)で算出された差分に基づいて前記一の装置の前記入力用変換テーブルを補正する手順(H)を、さらに前記画像処理装置に実行させることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の制御プログラム。
【請求項6】
前記手順(H)では、前記一の装置の前記入力用変換テーブルによる変換後の前記デバイス非依存の色空間の表色値が、前記手順(C)で算出した出力目標値から、前記手順(D)で算出された差分を減算した値で置換されるように、前記一の装置の前記入力用変換テーブルが補正されることを特徴とする請求項5に記載の制御プログラム。
【請求項7】
前記手順(H)は、2回以上繰り返し実行可能であることを特徴とする請求項5に記載の制御プログラム。
【請求項8】
前記手順(H)が2回以上繰り返し実行される場合に、前記手順(H)の2回目以降の実行時には、前回補正された前記一の装置の前記入力用変換テーブルを用いた前記色変換処理後の前記画像データを前記他の装置に出力させ、その出力画像中の各カラーパッチに対応する前記デバイス非依存の色空間の表色値を測色機で測色させる手順(I)と、
前記手順(I)で測色された前記デバイス非依存の色空間の表色値と、前記手順(C)で算出した出力目標値との差分を算出する手順(J)を、さらに前記画像処理装置に実行させ、
前記一の装置の前記入力用変換テーブルによる変換後の前記デバイス非依存の色空間の表色値が、前回補正された前記一の装置の前記入力用変換テーブルにより変換することで得られる前記デバイス非依存の色空間の表色値から、前記手順(J)で算出された差分を減算した値で置換されるように、前記一の装置の前記入力用変換テーブルがさらに補正されることを特徴とする請求項7に記載の制御プログラム。
【請求項9】
前記デバイス依存の色空間はCMYK色空間であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つに記載の制御プログラム。
【請求項10】
前記デバイス非依存の色空間はL*a*b*色空間であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1つに記載の制御プログラム。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1つに記載の制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項12】
一の装置のカラープロファイルの入力用変換テーブルによりデバイス依存の色空間の表色値をデバイス非依存の色空間の表色値に変換し、変換後の当該表色値を他の装置のカラープロファイルの出力用変換テーブルによりデバイス依存の色空間の表色値にさらに変換するための色変換処理を実行することで、前記一の装置を目標とした前記他の装置の色調整を行なう画像処理装置による、当該色調整結果の確認方法であって、
複数のカラーパッチを含む画像データに対して前記色変換処理を実行するステップ(A)と、
前記ステップ(A)での前記色変換処理後の前記画像データを前記他の装置に出力させ、その出力画像中の各カラーパッチに対応する前記デバイス非依存の色空間の表色値を測色機で測色させるステップ(B)と、
前記ステップ(A)での前記色変換処理後の前記画像データ中の各カラーパッチに対応する前記デバイス依存の色空間の表色値を、前記他の装置のカラープロファイルの入力用変換テーブルにより前記デバイス非依存の色空間の表色値に変換した値である出力目標値を算出するステップ(C)と、
前記ステップ(B)で測色された前記デバイス非依存の色空間の表色値と、前記ステップ(C)で算出した出力目標値との差分を算出するステップ(D)と、を含む方法。
【請求項13】
前記ステップ(D)で算出された差分に関する情報を表示装置に表示させるステップ(E)を、さらに含むことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記画像データを前記一の装置で出力した、その出力画像中の各カラーパッチに対応するデバイス非依存の値であるターゲット表色値を、測色により、又は一の装置のカラープロファイルから算出して求めるステップ(F)と、
前記ステップ(F)で求めたターゲット表色値と、前記ステップ(C)で算出した出力目標値との差分、及び前記ステップ(F)で求めたターゲット表色値と、前記ステップ(B)で測色された前記デバイス非依存の色空間の表色値との差分を算出するステップ(G)と、をさらに含み、
前記ステップ(E)では、前記ステップ(G)で算出された差分に関する情報が、前記ステップ(D)による差分と同時に、又は前記ステップ(D)による差分の代わりに前記表示装置に表示されることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記情報は、各カラーパッチについての差分の平均値及び最大値の少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
前記ステップ(D)で算出された差分に基づいて前記一の装置の前記入力用変換テーブルを補正するステップ(H)を、さらに含むことを特徴とする請求項12〜15のいずれか1つに記載の方法。
【請求項17】
前記ステップ(H)では、前記一の装置の前記入力用変換テーブルによる変換後の前記デバイス非依存の色空間の表色値が、前記ステップ(C)で算出した出力目標値から、前記ステップ(D)で算出された差分を減算した値で置換されるように、前記一の装置の前記入力用変換テーブルが補正されることを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記ステップ(H)は、2回以上繰り返し実行可能であることを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記ステップ(H)が2回以上繰り返し実行される場合に、前記ステップ(H)の2回目以降の実行時には、前回補正された前記一の装置の前記入力用変換テーブルを用いた前記色変換処理後の前記画像データを前記他の装置に出力させ、その出力画像中の各カラーパッチに対応する前記デバイス非依存の色空間の表色値を測色機で測色させるステップ(I)と、
前記ステップ(I)で測色された前記デバイス非依存の色空間の表色値と、前記ステップ(C)で算出した出力目標値との差分を算出するステップ(J)を、さらに含み、
前記一の装置の前記入力用変換テーブルによる変換後の前記デバイス非依存の色空間の表色値が、前回補正された前記一の装置の前記入力用変換テーブルにより変換することで得られる前記デバイス非依存の色空間の表色値から、前記ステップ(J)で算出された差分を減算した値で置換されるように、前記一の装置の前記入力用変換テーブルがさらに補正されることを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記デバイス依存の色空間はCMYK色空間であることを特徴とする請求項12〜19のいずれか1つに記載の方法。
【請求項21】
前記デバイス非依存の色空間はL*a*b*色空間であることを特徴とする請求項12〜20のいずれか1つに記載の方法。
【請求項1】
一の装置のカラープロファイルの入力用変換テーブルによりデバイス依存の色空間の表色値をデバイス非依存の色空間の表色値に変換し、変換後の当該表色値を他の装置のカラープロファイルの出力用変換テーブルによりデバイス依存の色空間の表色値にさらに変換するための色変換処理を実行することで、前記一の装置を目標とした前記他の装置の色調整を行なう画像処理装置の制御プログラムであって、
複数のカラーパッチを含む画像データに対して前記色変換処理を実行する手順(A)と、
前記手順(A)での前記色変換処理後の前記画像データを前記他の装置に出力させ、その出力画像中の各カラーパッチに対応する前記デバイス非依存の色空間の表色値を測色機で測色させる手順(B)と、
前記手順(A)での前記色変換処理後の前記画像データ中の各カラーパッチに対応する前記デバイス依存の色空間の表色値を、前記他の装置のカラープロファイルの入力用変換テーブルにより前記デバイス非依存の色空間の表色値に変換した値である出力目標値を算出する手順(C)と、
前記手順(B)で測色された前記デバイス非依存の色空間の表色値と、前記手順(C)で算出した出力目標値との差分を算出する手順(D)と、を前記画像処理装置に実行させることを特徴とする制御プログラム。
【請求項2】
前記手順(D)で算出された差分に関する情報を表示装置に表示させる手順(E)を、さらに前記画像処理装置に実行させることを特徴とする請求項1に記載の制御プログラム。
【請求項3】
前記画像データを前記一の装置で出力した、その出力画像中の各カラーパッチに対応するデバイス非依存の値であるターゲット表色値を、測色により、又は一の装置のカラープロファイルから算出して求める手順(F)と、
前記手順(F)で求めたターゲット表色値と、前記手順(C)で算出した出力目標値との差分、及び前記手順(F)で求めたターゲット表色値と、前記手順(B)で測色された前記デバイス非依存の色空間の表色値との差分を算出する手順(G)と、を前記画像処理装置にさらに実行させ、
前記手順(E)では、前記手順(G)で算出された差分に関する情報が、前記手順(D)による差分と同時に、又は前記手順(D)による差分の代わりに前記表示装置に表示されることを特徴とする請求項2に記載の制御プログラム。
【請求項4】
前記情報は、各カラーパッチについての差分の平均値及び最大値の少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項2又は3に記載の制御プログラム。
【請求項5】
前記手順(D)で算出された差分に基づいて前記一の装置の前記入力用変換テーブルを補正する手順(H)を、さらに前記画像処理装置に実行させることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の制御プログラム。
【請求項6】
前記手順(H)では、前記一の装置の前記入力用変換テーブルによる変換後の前記デバイス非依存の色空間の表色値が、前記手順(C)で算出した出力目標値から、前記手順(D)で算出された差分を減算した値で置換されるように、前記一の装置の前記入力用変換テーブルが補正されることを特徴とする請求項5に記載の制御プログラム。
【請求項7】
前記手順(H)は、2回以上繰り返し実行可能であることを特徴とする請求項5に記載の制御プログラム。
【請求項8】
前記手順(H)が2回以上繰り返し実行される場合に、前記手順(H)の2回目以降の実行時には、前回補正された前記一の装置の前記入力用変換テーブルを用いた前記色変換処理後の前記画像データを前記他の装置に出力させ、その出力画像中の各カラーパッチに対応する前記デバイス非依存の色空間の表色値を測色機で測色させる手順(I)と、
前記手順(I)で測色された前記デバイス非依存の色空間の表色値と、前記手順(C)で算出した出力目標値との差分を算出する手順(J)を、さらに前記画像処理装置に実行させ、
前記一の装置の前記入力用変換テーブルによる変換後の前記デバイス非依存の色空間の表色値が、前回補正された前記一の装置の前記入力用変換テーブルにより変換することで得られる前記デバイス非依存の色空間の表色値から、前記手順(J)で算出された差分を減算した値で置換されるように、前記一の装置の前記入力用変換テーブルがさらに補正されることを特徴とする請求項7に記載の制御プログラム。
【請求項9】
前記デバイス依存の色空間はCMYK色空間であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つに記載の制御プログラム。
【請求項10】
前記デバイス非依存の色空間はL*a*b*色空間であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1つに記載の制御プログラム。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1つに記載の制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項12】
一の装置のカラープロファイルの入力用変換テーブルによりデバイス依存の色空間の表色値をデバイス非依存の色空間の表色値に変換し、変換後の当該表色値を他の装置のカラープロファイルの出力用変換テーブルによりデバイス依存の色空間の表色値にさらに変換するための色変換処理を実行することで、前記一の装置を目標とした前記他の装置の色調整を行なう画像処理装置による、当該色調整結果の確認方法であって、
複数のカラーパッチを含む画像データに対して前記色変換処理を実行するステップ(A)と、
前記ステップ(A)での前記色変換処理後の前記画像データを前記他の装置に出力させ、その出力画像中の各カラーパッチに対応する前記デバイス非依存の色空間の表色値を測色機で測色させるステップ(B)と、
前記ステップ(A)での前記色変換処理後の前記画像データ中の各カラーパッチに対応する前記デバイス依存の色空間の表色値を、前記他の装置のカラープロファイルの入力用変換テーブルにより前記デバイス非依存の色空間の表色値に変換した値である出力目標値を算出するステップ(C)と、
前記ステップ(B)で測色された前記デバイス非依存の色空間の表色値と、前記ステップ(C)で算出した出力目標値との差分を算出するステップ(D)と、を含む方法。
【請求項13】
前記ステップ(D)で算出された差分に関する情報を表示装置に表示させるステップ(E)を、さらに含むことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記画像データを前記一の装置で出力した、その出力画像中の各カラーパッチに対応するデバイス非依存の値であるターゲット表色値を、測色により、又は一の装置のカラープロファイルから算出して求めるステップ(F)と、
前記ステップ(F)で求めたターゲット表色値と、前記ステップ(C)で算出した出力目標値との差分、及び前記ステップ(F)で求めたターゲット表色値と、前記ステップ(B)で測色された前記デバイス非依存の色空間の表色値との差分を算出するステップ(G)と、をさらに含み、
前記ステップ(E)では、前記ステップ(G)で算出された差分に関する情報が、前記ステップ(D)による差分と同時に、又は前記ステップ(D)による差分の代わりに前記表示装置に表示されることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記情報は、各カラーパッチについての差分の平均値及び最大値の少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
前記ステップ(D)で算出された差分に基づいて前記一の装置の前記入力用変換テーブルを補正するステップ(H)を、さらに含むことを特徴とする請求項12〜15のいずれか1つに記載の方法。
【請求項17】
前記ステップ(H)では、前記一の装置の前記入力用変換テーブルによる変換後の前記デバイス非依存の色空間の表色値が、前記ステップ(C)で算出した出力目標値から、前記ステップ(D)で算出された差分を減算した値で置換されるように、前記一の装置の前記入力用変換テーブルが補正されることを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記ステップ(H)は、2回以上繰り返し実行可能であることを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記ステップ(H)が2回以上繰り返し実行される場合に、前記ステップ(H)の2回目以降の実行時には、前回補正された前記一の装置の前記入力用変換テーブルを用いた前記色変換処理後の前記画像データを前記他の装置に出力させ、その出力画像中の各カラーパッチに対応する前記デバイス非依存の色空間の表色値を測色機で測色させるステップ(I)と、
前記ステップ(I)で測色された前記デバイス非依存の色空間の表色値と、前記ステップ(C)で算出した出力目標値との差分を算出するステップ(J)を、さらに含み、
前記一の装置の前記入力用変換テーブルによる変換後の前記デバイス非依存の色空間の表色値が、前回補正された前記一の装置の前記入力用変換テーブルにより変換することで得られる前記デバイス非依存の色空間の表色値から、前記ステップ(J)で算出された差分を減算した値で置換されるように、前記一の装置の前記入力用変換テーブルがさらに補正されることを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記デバイス依存の色空間はCMYK色空間であることを特徴とする請求項12〜19のいずれか1つに記載の方法。
【請求項21】
前記デバイス非依存の色空間はL*a*b*色空間であることを特徴とする請求項12〜20のいずれか1つに記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2011−10231(P2011−10231A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−154156(P2009−154156)
【出願日】平成21年6月29日(2009.6.29)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月29日(2009.6.29)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】
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