説明

カードコネクタ

【課題】カードの抜去を検出した時点からカードの接触パッドとコンタクトとの接触が断たれるまでの間に、カードを安全にシャットダウンできるカードコネクタを提供する。
【解決手段】カードコネクタは、基板に接続する端子部42を一端に設けた複数の導体40を、カード1の接触パッド4と対向するハウジング12の内面に接触パッド4の移動経路に沿って固定し、ハウジング12に装着されたときのカード1の接触パッド4よりもカード挿入口側において、カード1の接触パッド4と接離する複数のコンタクト50を、各導体40に接するようにし、そのコンタクト50をスライド部材71に支持してハウジング12内をカード1の動きに合わせて移動させ、カード抜去時、ハウジング12に装着されたときのカード1の接触パッド4よりもカード挿入口側においても、カード1の接触パッド4とコンタクト50との接触を保持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メモリカードを、携帯電話機,ディジタル・カメラ,携帯音楽プレーヤ,PDA等の電子機器に接続するためのカードコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
カードコネクタの構造は、基本的にハウジングと複数のコンタクトからなる。ハウジングは、前側面にカード挿入口を設け、カード挿入口から挿入されたカードを決められた位置に保持する。複数のコンタクトは、ハウジング内に横一列に固定され、装着されたカードの複数の接触パッドを押圧しながら接触し、カードの接触パッドと電子機器の基板間を電気的に接続する。これにより、機器側からカードへの電源投入及び機器とカード間での通信を可能にする。
【0003】
また、コネクタには、普通、カードの挿抜に応動する2つの金属片の接離に基づきカードの装着を検出するカード認識スイッチが備えられている。このスイッチにおいては、回路保護やデータ保護の観点から、カード挿入時、カードの全ての接触パッドにコネクタの各コンタクトが接触した後、スイッチをオンにしなくてはならないという規約がある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−100440号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現在、機器がカードの装着を検出した時点(カード認識スイッチがオンになった時点)からカードに電源を投入し、カードを正常に初期化するために必要な起動時間、及び、機器がカードの抜去を検出した時点(カード認識スイッチがオフになった時点)から電源を安全に切るまでのシャットダウン時間は、カードの大容量化に伴い長くなる傾向にある。またそれとは逆に、機器がカードの抜去を検出した時点からカードの接触パッドとコネクタのコンタクトとの接触が断たれるまでの時間は、カード及びコネクタの小型化に伴い短くなっている。このため、従来のカードコネクタ、特に小型のカード用のものにおいては、カードの抜去操作を正常に行っているにもかかわらず、機器がカードの抜去を検出した時点からカードの接触パッドとコネクタのコンタクトとの接触が断たれるまでの時間内に、カードを安全にシャットダウンすることができない、という新たな課題が生じる。
【0005】
本発明は、上記のような課題に鑑みてなされたもので、その目的は、カード抜去時、カードを安全にシャットダウンすることができるカードコネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、片主面に接触パッドを一列に並設したカードを挿抜自在に装着するハウジングと、カードのカードの挿抜に応動する2つの金属片の接離に基づきカードの装着を検出するカード認識スイッチを設けたカードコネクタであって、基板に接続する端子部を一端に設けた複数の細長い導体と、ハウジングに装着されたときのカードの接触パッドよりもカード挿入口側において、カードの接触パッドを押圧しながら接触する複数のコンタクトと、ハウジング内をカードの動きに合わせて移動させるスライド部材とを備え、導体をカードの接触パッドと対向するハウジングの内面にカードの接触パッドの移動経路に沿って固定すると共に、コンタクトを導体に接するようにし、そのコンタクトをスライド部材に支持してハウジング内をカードの動きに合わせて移動させることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、カード抜去時、ハウジングに装着されたときのカードの接触パッドよりもカード挿入口側においても、カードと基板間に電気的に接続するので、カードの抜去を検出した時点からカードと基板間の接続が断たれるまでの時間が、従来のコネクタに比べて長くなる。このため、カードの抜去を検出した時点からカードの接触パッドと基板間の接続が断たれるまでの時間内にカードを安全にシャットダウンすることができる。
【0008】
また、本発明においては、ハウジング内の一側部に配置され、カードによって奥側に押し込むための操作部及びコンタクトを支持するためのコンタクト支持部とを設けたスライド部材と、スライド部材をハウジングのカード挿入口側に常時付勢する付勢部材と、ハウジング及びスライド部材の何れか一方に設けるハート状のカム溝及び他方に一端を支持してカム溝内をスライド部材の動きに合わせて移動させるカムピンとを有し、カード挿入時、カードによってスライド部材をハウジング内の奥側に押し込み操作した後に開放することにより、スライド部材をカード装着位置に保持した状態で、カードをハウジングに装着すると共に、カード抜去時、カードによってカード装着位置のスライド部材をハウジングの奥側に再度押し込み操作した後に開放することにより、スライド部材を初期位置に復帰させてハウジングに装着されたカードを排出するカード排出機構を備えることが好ましい。このような形態においては、ハウジングに装着されたカードを、カード挿入時に蓄積した付勢部材の付勢力によって排出するカード排出機構を備えたカードコネクタにおいて、カード排出機構を有効に利用して、構造を複雑にすることなく、製造コストを抑えながらカードの安全なシャットダウンを実現することができる。
【0009】
また、上記形態のカードコネクタでは、カード排出機構のスライド部材に、カード挿入時、カードによってスライド部材をハウジング内の奥側に押し込み操作する前に、カードの側面ノッチに係合する係合部を設けることが好ましい。このような形態においては、カード排出機構によって排出されたカードがハウジングから抜け出るのを防止することができるので、ハウジングに装着されたカードを、カード挿入時に蓄積した付勢部材の付勢力によって排出するカード排出機構を備えたカードコネクタにおいて、カードの安全なシャットダウンをより確実に実現することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明のカードコネクタは、カード抜去時、カードを安全にシャットダウンすることができる。
【0011】
また、小型のカードを電子機器に接続する場合、ハウジングに装着されたカードを、カード挿入時に蓄積した付勢部材の付勢力によって排出するカード排出機構を備える場合においても、カード抜去時、カードを安全にシャットダウンすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の一実施の形態を図面に基づいて詳述する。本実施の形態では、本発明をメモリカードの中でも小型のマイクロSDカード用で、プッシュ/プッシュ型のカード排出機構付きのカードコネクタに適用した場合について説明する。
【0013】
図1(A)はマイクロSDカード1の表面図、図1(B)はマイクロSDカード1の側面図、図1(C)はマイクロSDカード1の裏面図である。マイクロSDカード1は、外形が縦長の略矩形平板状のものである。このカード1には、その一つの角部を落とす切り欠き部2が設けられ、この切り欠き部2によってコネクタに対するカード1の誤挿入を防止するようになっている。また、前記切り欠き部2の手前側にはノッチ3が設けられ、このノッチ3によってコネクタからのカード1の不用意な抜け出しを防止するようになっている。そして、前記切り欠き部2の横側の裏面(片主面)には、細幅の矩形金属板からる複数の接触パッド4が、その片主面をカード1の裏面に略面ーに露出した状態で横一列に並設されている。接触パッド4は、図1(C)において、左から1番目と2番目と7番目と8番目の合計4本がデータ用、同じく左から3番目がコマンド用、4番目と6番目が電源用、5番目がクロック用で、8ピン構成である。このような接触パッド4それぞれをコネクタのコンタクトを介して電子機器のプリント配線基板に電気的に接続することによって、機器側からカードへの電源投入及び機器とカード1間での通信が可能になる。電源用の接触パッド4は、他の接触パッド4よりも先行してコネクタの電源用のコンタクトに接触するように、カード挿入方向の端部が他の接触パッド4のそれよりカード挿入方向に偏倚している。
【0014】
上記のようなカード1を装着する本発明の一実施の形態に係るカードコネクタ10の構造を図2〜図5を用いて説明する。図2はカードコネクタ10の外観を示す斜視図、図3はカードコネクタ10の内部構造を示すカバー30を除去した状態の斜視図、図4はカードコネクタ10の内部構造を示すカバー30を除去した状態のカードコネクタ10の平面図、図5はカードコネクタ10に備えるコンタクト40の構造を示す斜視図である。このコネクタ10は、カード1を、その裏面を下にして切り欠き部2が設けられた端部から挿入するカード挿入口11を前側面の一側(左側)に片寄せて開口した箱状のハウジング12と、カード1の接触パッド4と機器の基板間を複数(8本)の導体40を介して電気的に接続するための複数(8本)のコンタクト50と、一対の金属片60A,60Bで形成され、機器側においてカード1の装着を電気的に検出するためのカード認識スイッチ60と、カード1による1回目の押し込み操作によってカード1をハウジング12内の決められた位置に保持して装着すると共に、カード1による2回目の押し込み操作によってハウジング12に装着されたカード1を排出するプッシュ/プッシュ型のカード排出機構70とから構成される。
【0015】
ハウジング12は、カード挿入口11の奥側(後側)の内部空間が、コンタクト50及びカード認識スイッチ60を配置するカード収容スペースになり、このカード収容スペースの一側(右側)の内部空間が、カード排出機構70の配置スペースになっている。このようなハウジング12は、インサート成型により複数の導体40と一体に成型された合成樹脂製の絶縁体であるボディ13と、ボディ13に上方から被着して静電破壊対策やノイズ対策を施す金属板を打ち抜き及び曲げ加工して形成したカバー30とから構成されている。ボディ13は、カード収容スペースの底部側をその周縁部を残して底抜けにする抜き孔14aを設けたハウジング底板14と、ハウジング右側壁15と、ハウジング後側壁16と、カード挿入口11の右側のハウジング前側壁17とを一体的に形成し、カバー30は、ハウジング天板31と、ハウジング左側壁32と、ハウジング右側壁22の外面を覆う右側板33とを一体的に形成している。
【0016】
また、ボディ13は、カバー30を結合するためにハウジング底板14の左側端面及びハウジング右側壁15の外面に一体に形成する位置決め用の嵌合部18及び離脱防止の係合部19と、カード排出機構70のスライド部材71のカード挿抜方向の移動ストロークを決めると共に、位置決めを行うためにカード排出機構70の配置スペースの前部及び後部に一体に形成する前部ストッパー部20及び後部ストッパー部21と、一対の金属片60A,60Bを位置決めして固定するために後部ストッパー部21に形成する前後一対のスリット状の圧入溝22,23と、カード排出機構70のスライド部材71をカード挿抜方向に移動案内するためにハウジング底板14の抜き孔14aの左側面に形成するガイド溝24と、カード排出機構70のカムピンを支持するために前部ストッパー部20に形成する軸受け部25と、カード排出機構70の係止部76を位置決めするためにハウジング前側壁17の端部に一体に形成する復帰側のストッパー部26とを設けている。
【0017】
カバー30は、ボディ13と結合するためにハウジング左側壁32及び右側板33に一体に形成するボディ13側の位置決め用の嵌合部18に対する相手側嵌合部34及びボディ13側の離脱防止の係合部19に対する相手側係合部35と、カバー30を基板に半田付けにより固定して接続するためにハウジング左側壁32の前後部及び右側板33の前後部に一体に形成する実装用の端子部36と、カード排出機構70のカムピンを常時下方に押圧するためにハウジング天板31の一部を切り起こして形成する可撓性を持った片持ち梁状の板バネ片37とを設けている。
【0018】
各導体40は、金属薄板を打ち抜き及び曲げ加工して形成した細長い端子で構成され、カード収容スペースの底部側の周縁部にある枠状のハウジング底板14の前部及び後部に前端部及び後端部が固定されて、カード収容スペースの底部側の抜き孔14a内に、カード1の接触パッド4の移動経路に沿って並列に支持されており、各導体40の片主面がカード収容スペースの底部に、カード挿入口部の前端部から最奥部の後端部にわたって連続的に露出されて、各コンタクト50を接触・摺動させる複数のレール状の固定接点41を形成している。また、各導体40の後端部は、ボディ13の後外側に取り出されて、基板に半田付けにより固定して接続するための実装用の端子部42を形成している。
【0019】
各コンタクト50は、金属薄板を打ち抜き及び曲げ加工して形成した細幅の金属の板バネで構成され、カード排出機構70のスライド部材71に固定するための固定部51と、固定部51から一側に延出する可撓性を持った押し下げ用のバネ片部52と、導体40の固定接点41を押圧しながら接触・摺動させるために押し下げ用のバネ片部52に形成する摺動接点部53と、固定部51から他側に延出する可撓性を持った押し上げ用のバネ片部54と、カード1の接触パッド4を押圧しながら接触させるために押し上げ用のバネ片部54に形成する接点部55とを設けている。
【0020】
カード認識スイッチ60を形成する一対の金属片60A,60Bそれぞれは、金属薄板を打ち抜き及び曲げ加工して形成した細幅の金属の板バネで構成され、基板に半田付けにより固定して接続するための実装用の端子部61と、圧入溝22,23内に固定するための固定部62と、可撓性を持ったバネ片部63と、バネ片部63に形成する接点部64と、を設けている。このような一対の金属片60A,60Bそれぞれは、固定部62を圧入溝22,23に上側から圧入することにより、固定部62が圧入溝22,23を介してカード排出機構70の配置スペースの後部にある後部ストッパー部21に固定され、固定部62の下縁から後側に向かって延出される端子部61がボディ13の後外側に突出される。また、バネ片部63はカード収容スペースの奥部に突出するように、固定部62から右斜め前方に角度を持って略平行に延出され、この片持ち梁状のバネ片部63に形成された接点部64がカード収容スペースの奥部に、カード挿抜方向に弾性変位可能に突出して対向配置され、この一対の金属片60A,60Bによりハウジング12内の奥部にカード認識スイッチ60を形成し配置している。
【0021】
また、カード挿入方向の手前側のスイッチ接片60Aには、バネ片部63の接点部64の直ぐ手前側に、カード1の挿抜に伴いカード1の挿入側端部に接離するカード認識スイッチ60の操作部65を設けている。
【0022】
上記のように、一対の金属片60A,60Bによりハウジング12内の奥部に形成し配置したカード認識スイッチ60においては、ハウジング12内にカード1が挿入されていないときには、カード挿入方向の手前側の金属片60Aの接点部64及び奥側の金属片60Bの接点部64は離間しており、カード認識スイッチ60はオフである(図3、図4参照)。カード挿入時、カード1の挿入側端部によって操作部65が奥側に押し込み操作され、カード挿入方向の手前側の金属片60Aのバネ片部63が奥側に撓み、カード挿入方向の手前側の金属片60Aの接点部64が奥側の金属片60Bの接点部64に接触した時点で、カード認識スイッチ60はオンになる(図8参照)。これ以降、操作部65は、ハウジング12に装着されるまでのカード1の挿入側端部及びハウジング12に装着されたときのカード1の挿入側端部によってさらに奥側に押し込み操作される。このように操作部65がカード1の挿入側端部によって奥側に押し込み操作されている間は、カード挿入方向の手前側の金属片60Aのバネ片部63及び奥側の金属片60Bのバネ接片63が共に奥側に撓み、カード挿入方向の手前側の金属片60Aの接点部64と奥側の金属片60Bの接点部64との接触を保持して、カード認識スイッチ60をオン状態に保つ(図8〜図11参照)。また、カード抜去時、カード1の挿入側端部による操作部65の押し込み力が除かれ、カード挿入方向の手前側の金属片60Aのバネ片部63及び奥側の金属片60Bのバネ片部63がカード認識スイッチ60がオンになる前の元の状態に復帰して、カード挿入方向の手前側の金属片60Aの接点部64が奥側の金属片60Bの接点部64から離間した時点で、カード認識スイッチ60はオフになる(図7参照)。
【0023】
すなわち、カード認識スイッチ60においては、カード1の挿抜に応じて一対の金属片60A,60Bが接離するので、これを電気的に検出することで、機器側においてカード1の装着の有無を検出することができる。
【0024】
プッシュ/プッシュ型のカード排出機構70は、スライド部材71と、このスライド部材71の付勢部材であるコイルバネ72と、ハート状のカム溝73及びカムピン74から形成されるスライド部材71の位置保持機構75と、カード1をスライド部材72に係合させる係合部材76とから構成される。
【0025】
スライド部材71は、樹脂成形品の絶縁体であって、ハウジング12内のカード排出機構70の配置スペースに、前部ストッパー部20と後部ストッパー部21間でハウジング右側壁15に沿ってカード挿抜方向に往復移動自在に配置される。このようなスライド部材71には、カード収容スペース側の一側面(左側面)に張り出して、カード挿入時、カード1の切り欠き部2に嵌合する張り出し部71aと、カード1によってスライド部材71を奥側に押し込むために、カード1の挿入側端部に当接するよう張り出し部71aの後部からカード収容スペース側に突出した操作部71bと、位置決め機構75のハート状のカム溝73と、係合部材76を取り付けるためのスリット溝71cとを一体に形成している。
【0026】
コイルバネ72は、スライド部材71と後部ストッパー部21間に配置され、スライド部71をカード挿入口側(前側)に常時付勢している。
【0027】
位置決め機構75のカムピン74は、コの字形に曲げた細い金属の丸棒からなり、一端をスライド部材71に設けたカム溝73に略直角に接するようにし、他端をボディ13に設けた軸受け部25に回転自在に支持して、カム溝73内をスライド部材71の動きに合わせて移動させる。また、カムピン74は、カバー30に設けた板バネ片37により常時下方に押圧され、一端がカム溝73に略直角に押し付けられ、他端が軸受け部25内に押し込まれている。
【0028】
係合部材76は、金属薄板を打ち抜き及び曲げ加工して形成した細幅の金属の板バネで構成され、スライド部材71に設けたスリット溝71cに固定するための固定部76aと、可撓性を持ったバネ片部76bと、バネ片部76bに形成する山形の係合部76cと、バネ片部76bを復帰側のストッパー部26に係止させてプリロードをかけるために、バネ片部76bの先端に形成する係止端部76dとを設けている。このような係合部材76は、固定部76aをスライド部材71のスリット溝71cに上側から圧入することにより、固定部76aがスリット溝71cを介してスライド部材71に固定され、固定部76aから前側に向かって延出されるバネ片部76bがスライド部材71の前側にカード横幅方向に弾性変位可能に突出される。また、片持ち梁状のバネ片部76bに形成された係合部76cは、スライド部材71の張り出し部71aの手前側でカード横幅方向に弾性変位可能に突出して配置されている。
【0029】
また、プッシュ/プッシュ型のカード排出機構70のスライド部材71は、コンタクト50をハウジング12内でカード1の動きに合わせて移動させるスライド部材を兼ねており、インサート成型により複数のコンタクト50と一体に成型されている。このようなスライド部材71には、各コンタクト50を各導体40の上側で横一列に支持するために、張り出し部71aと操作部71bとスリット溝71cを設ける本体部の前部下側からカード収容スペースの底部側にあるハウジング底板14の抜き孔14a内に突出させる平板状のコンタクト支持アーム71dを一体に形成している。このコンタクト支持アーム71dは、抜き孔14aを横切って先端部が抜き孔14aの左側面に形成したガイド溝24に摺動自在に嵌合支持されて、抜き孔14a内にカード挿抜方向に往復移動自在に配置されている。
【0030】
そして、各コンタクト50は、その固定部51がコンタクト支持アーム71dに固定されて、各導体40の上側で横一列に支持されており、スライド部材71と一体的に、カード収容スペースの底部側にあるハウジング底板14の抜き孔14a内でカード挿抜方向に往復移動することができる。また、各コンタクト50の摺動接点部53を形成する押し下げ用のバネ片部52は、コンタクト支持アーム71dの前側端面から各導体40に沿って前斜め下方に角度を持って延出され、摺動接点部53が、各導体40の固定接点41を上側から押圧しながら接触・摺動して、各コンタクト50を各導体40に常時導通接続させている。さらに、各コンタクト50の接点部55を形成する押し上げ用のバネ片部54は、コンタクト支持アーム71dの後側端面から各導体40に沿って後斜め上方に角度を持って延出され、接点部55が、カード収容スペースの底部に、上下に弾性変位可能に横一列に突出して配置されて、カード挿入時、カード1の接触パッド4を下側から押圧しながら接触して、各コンタクト50をカード1の接触パッド4と導通接続させている。すなわち、各コンタクト50は、カード挿入時、カード1の接触パッド4を各導体40に導通接続させ、この各導体40を介してカード1の接触パッド4を基板に電気的に接続させる。
【0031】
また、各コンタクト50は、ハウジング12内にカード1が挿入されておらず、スライド部材71が前部ストッパー部20に突き当たる初期位置に移動しているときに(図4参照)、各コンタクト50の接点部55が、ハウジング12に装着されたときのカード1の接触パッド4(図16参照)よりもカード挿入口側(前側)に位置するように(図12参照)、スライド部材71に支持されている。すなわち、各コンタクト50は各導体40を介して、ハウジング12に装着されたときのカード1の接触パッド50よりもカード挿入口側において、カード1の挿抜に伴いカード1の接触パッド4と基板間を電気的に導通接続及び切断すると共に、接続した時点から切断するまでの間、接続を保持するようになっている。
【0032】
なお、図4において右から4番目と6番目の電源用のコンタクト50の接点部55は、カード挿入時、他のコンタクト50の接点部55よりも先行してカード1の電源用の接触パッド4に接触し、カード抜去時、他のコンタクト50の接点部55よりも遅れてカード1の電源用の接触パッド4との接触を断つように、他のコンタクト50の接点部55よりカード挿入口側(前側)に偏倚している。
【0033】
上記のように構成された本発明の一実施の形態に係るカードコネクタ10は、例えば携帯電話機等の電子機器の筺体に内蔵されるプリント配線基板に、カバー30の各端子部36と各導体40の端子部42とカード認識スイッチ60を形成する一対の金属片60A,60Bの端子部61をそれぞれ、半田付けにより機械的に固定、電気的に接続して実装することにより、使用することができる。
【0034】
次に、カード1の挿抜に伴う本発明の一実施の形態に係るカードコネクタ10のカード排出機構70の動作と、カード1の接触パッド4とコンタクト50の接点部55との接離と、カード認識スイッチ60の動作との関係について、図3〜図4、図6〜図11、図12〜図17を用いて説明する。
【0035】
図3〜図4にカード1が挿入されていないときの状態を示す。カード排出機構70においては、コイルバネ72によってカード挿入口側(前側)に常時付勢されているスライド部材71が、前部ストッパー部20に突き当たる初期位置に移動し、カムピン74は、カム溝73の起点部73aに位置している。係合部材76は、バネ片部76bの先端に形成された係止端部76dをボディ13に設けたストッパー部26に当接し、バネ片部76bに形成された係合部76cをスライド部材71の張り出し部71aの手前側でカード収容スペースに突出されている。また、各コンタクト50は、摺動接点部53が押し下げ用のバネ片部52を介して各導体40の固定接点41の前端部に上側から押圧しながら接触し、接点部55が自由状態の押し上げ用のバネ片部54を介して、ハウジング12に装着されたときのカード1の接触パッド4(図16参照)よりもカード挿入口側(前側)において、カード収容スペースの底部に横一列に突出されている。さらに、カード認識スイッチ60を形成する一対の金属片60A,60Bそれぞれのバネ片部63も自由状態で、一対の金属片60A,60Bそれぞれの接点部64は離間しており、カード認識スイッチ60はオフになっている。
【0036】
図6はカード1がカード排出機構70のスライド部材71を押し込む位置に挿入されたときの状態を示し、そのときのカード1の接触パッド4とコンタクト50の接点部55との関係を図12に示す。カード1を、その裏面を下にして切り欠き部2が設けられた端部からカード挿入口11を通してハウジング12のカード収容スペースに正規挿入すると、カード1は、カード1の切り欠き部2にスライド部材71の張出し部71aを嵌合しながら、コンタクト支持アーム71bの上側でハウジング左側壁32とスライド部材71の本体部間に嵌め込まれ、カード1の挿入側端部がスライド部材71の操作部71bに当接する。
【0037】
このようなカード1の挿入に伴い、カード1の切り欠き部2がスライド部材71に設けた係合部材76の係合部76cを通過する際、係合部76cは、切り欠き部2の側面に摺接してバネ片部76bの外側(右側)への撓みを伴ってカード1の切い欠き部2とノッチ3間の側面部に乗り上がった後、カード1の挿入側端部がスライド部材71の操作部71bに当接するのと略同時に、カード1のノッチ3と対向して、バネ片部76bの内側(左側)への弾性復帰を伴ってカード1のノッチ3に嵌り込む。これにより、カード1とスライド部材70がカード挿抜方向で係合連結され、図6に示す状態になる。
【0038】
また、コンタクト50は、カード1の挿入側端部がスライド部材71の操作部71bに当接する少し前の時点で、先ず電源用のコンタクト50の接点部55がカード1の電源用の接触パッド4と接触した後、カード1の挿入側端部がスライド部材41の操作部71bに当接するのと略同時に、電源用以外の他のコンタクト50の接点部55がカード1の電源用以外の他の接触パッド4と接触し、全てのコンタクト50の接点部55がカード1の接触パッド4と接触して、各コンタクト50及び各導体40によりカード1の接触パッド4と機器の基板間を電気的に導通接続し、図12に示す状態になる。
【0039】
続いて、図7はカード認識スイッチ60がオンになる直前の状態を示し、そのときのカード1の接触パッド4とコンタクト50の接点部55との関係を図13に示す。図6に示した状態からカード1をさらに挿入すると、カード1は、その挿入側端部によってスライド部材71の操作部71bを奥側へ押し、スライド部材71をコイルバネ72の付勢力に抗して奥側へと押し込みながら、カード1の挿入側端部がカード認識スイッチ60の操作部55の直前に挿入され、図7に示す状態になる。
【0040】
また、コンタクト50は、図12に示した状態からカード1の挿入に伴うスライド部材71の動きに合わせて、コンタクト50の摺動接点部53を各導体40の固定接点41の上で奥側へと摺動させながら、奥側へと移動し、図12に示したコンタクト50の接点部55とカード1の接触パッド4との接触状態を保持することにより、各コンタクト50及び各導体40によるカード1の接触パッド4と機器の基板間の接続を保持し、図13に示す状態になる。
【0041】
続いて、図8はカード認識スイッチ60がオンになったときの状態を示し、そのときのカード1の接触パッド4とコンタクト50の接点部55との関係を図14に示す。図7に示した状態からカード1をさらに挿入すると、カード1は、その挿入側端部によってスライド部材71をさらに奥側へと押し込みながら、カード認識スイッチ60の操作部65を奥側に押し込み操作し、カード挿入方向の手前側の金属片60Aのバネ片部63を奥側に撓ませ、カード挿入方向の手前側の金属片60Aの接点部64が奥側の金属片60Bの接点部64に接触した時点で、カード認識スイッチ60がオンになり、図8に示す状態になる。
【0042】
上記のように、カード認識スイッチ60においては、カード挿入時、カード1の接触パッド4がコンタクト50の接点部55に接触した後に、カード1の挿入側端部によって操作部65が奥側に押し込み操作され、カード認識スイッチ60がオンになるように、一対の金属片60A,60Bの接離タイミングが設定されている。これにより、カード挿入時、カード1の全ての接触パッド4にコネクタの各コンタクト50が接触した後、スイッチ60をオンにしなくてはならないという、カード認識スイッチ60の規約を順守している。
【0043】
また、コンタクト50は、図13に示した状態からカード1の挿入に伴うスライド部材71の動きに合わせて、コンタクト50の摺動接点部53を各導体40の固定接点41の上で奥側へと摺動させながら、奥側へと移動し、図12に示したコンタクト50の接点部55とカード1の接触パッド4との接触状態を保持することにより、各コンタクト50及び各導体40によるカード1の接触パッド4と機器の基板間の接続を保持し、図14に示す状態になる。
【0044】
続いて、図9はカード1がカード排出機構70のスライド部材71を最押し込み位置に押し込んだときの状態を示し、そのときのカード1の接触パッド4とコンタクト50の接点部55との関係を図15に示す。図8に示した状態からカード1をさらに挿入すると、カード1は、その挿入側端部によってカード認識スイッチ60をオン状態に保持したまま、スライド部材71をさらに奥側へと押し込み、後部ストッパー部21に突き当たる最押し込み位置に押し込んで止まり、図9に示す状態になる。
【0045】
また、コンタクト50は、図14に示した状態からカード1の挿入に伴うスライド部材71の動きに合わせて、コンタクト50の摺動接点部53を各導体40の固定接点41の上で奥側へと摺動させながら、奥側へと移動し、図12に示したコンタクト50の接点部55とカード1の接触パッド4との接触状態を保持することにより、各コンタクト50及び各導体40によるカード1の接触パッド4と機器の基板間の接続を保持し、図15に示す状態になる。
【0046】
続いて、図10はカード1が装着されたときの状態を示し、そのときのカード1の接触パッド4とコンタクト50の接点部55との関係を図16に示す。図9に示した状態からカード1の挿入側端部によるスライド部材71の操作部71b及びカード認識スイッチ60の操作部65の押し込み力を除き、スライド部材71及びカード認識スイッチ60を開放すると、スライド部材70はコイルバネ72の付勢力により最押込み位置から前側へ押し戻され、これに伴ってカード1も最押し込み位置から前側へ押し戻される。
【0047】
そして、上記したスライド部材71の初期位置からの一連の動作により、カムピン74は、カム溝73の起点部73aから往路73bを通過して起点部73aと反対側にある係止部73cに導入係止され、カムピン74がカム溝73の係止部73cに係止した時点で、スライド部材71の前側への移動を規制する。これによりスライド部材71は、最押込み位置より少し手前側のカード装着位置に保持され、このスライド部材71とカード挿抜方向で係合連結されているカード1をカード装着位置に保持して、ハウジング12に装着すると共に、そのカード1の挿入側端部によってカード認識スイッチ60をオン状態に保持し、図10に示す状態になる。
【0048】
また、コンタクト50は、図15に示した状態からカード1による押し込み操作力の除去に伴うスライド部材71の動きに合わせて、コンタクト50の摺動接点部53を各導体40の固定接点41の上で前側へと摺動させながら、前側へと移動し、図12に示したコンタクト50の接点部55とカード1の接触パッド4との接触状態を保持することにより、各コンタクト50及び各導体40によるカード1の接触パッド4と機器の基板間の接続を保持し、図16に示す状態になる。
【0049】
図10、図16に示したカード装着状態においては、カード認識スイッチ60はオン状態に保持され、カード1の接触パッド4と機器の基板間がコンタクト50及び各導体40により電気的に導通接続されており、機器側からカード1への電源投入及び機器とカード1間での通信が可能になっている。
【0050】
続いて、図11はカード抜去時、カード1がカード排出機構70のスライド部材71を最押し込み位置に再度押し込んだときの状態を示し、そのときのカード1の接触パッド4とコンタクト50の接点部55との関係を図17に示す。図10に示したカード装着状態からカード1を押し込み操作すると、カード1は、その挿入側端部によってカード認識スイッチ60をオン状態に保持したまま、スライド部材71をカード装着位置から奥側へと押し込み、後部ストッパー部21に突き当たる最押し込み位置に再度押し込んで止まる。スライド部材71のカード装着位置から最押し込み位置への動作により、カムピン74は、カム溝73の係止部73cから離脱して復路73dに導入されて、スライド部材71の位置保持を解除し、図11に示す状態になる。
【0051】
また、コンタクト50は、図16に示した状態からカード1の押し込み伴うスライド部材71の動きに合わせて、コンタクト50の摺動接点部53を各導体40の固定接点41の上で奥側へと摺動させながら、再度奥側へと移動し、図12に示したコンタクト50の接点部55とカード1の接触パッド4との接触状態を保持することにより、各コンタクト50及び各導体40によるカード1の接触パッド4と機器の基板間の接続を保持し、図17に示す状態になる。
【0052】
そして、図11、図17に示した状態からカード1の挿入側端部によるスライド部材71の操作部71b及びカード認識スイッチ60の操作部65の押し込み力を除き、スライド部材71及びカード認識スイッチ60を開放すると、スライド部材70は、カード挿入時に蓄積されたコイルバネ72の付勢力によって、スライド部材71の操作部71aでカード1の挿入側端部を前側へ押しながら、最押込み位置から前側へ押し戻され、図8から図7に示した状態を経て、初期位置に復帰し、図6に示した状態にカード1を排出する。ただし、カムピン74は、カム溝73の復路73dを通過して起点部73aに戻る。
【0053】
また、コンタクト50は、図17に示した状態からカード1を排出するスライド部材71の動きに合わせて、コンタクト50の摺動接点部53を各導体40の固定接点41の上で前側へと摺動させながら、前側へと移動し、図14から図13に示した状態を経て、初期位置に復帰し、図12に示したコンタクト50の接点部55とカード1の接触パッド4との接触状態を保持することにより、各コンタクト50及び各導体40によるカード1の接触パッド4と機器の基板間の接続を保持し、図12に示す状態になる。
【0054】
また、カード認識スイッチ60は、図11及び図17に示した状態からのカード1の排出に伴い、カード1の挿入側端部による操作部65の押し込み力が除かれ、カード挿入方向の手前側の金属片60Aのバネ片部63及び奥側の金属片60Bのバネ片部63がカード認識スイッチ60がオンになる前の元の状態に復帰して、カード挿入方向の手前側の金属片60Aの接点部64が奥側の金属片60Bの接点部64から離間した時点で、カード認識スイッチ60はオフになる(図14及び図8、図13及び図7参照)。
【0055】
カード排出機構70によって排出されたカード1は、カード挿入口11からハウジング12の外側に突出しているカード1の前端部を指で摘んで引っ張ることにより、係合部材76の係合部76cがカード1のノッチ3の側面に摺接してバネ片部76bの外側(右側)への撓みを伴ってカード1の切い欠き部2とノッチ3間の側面部に乗り上がり、カード1とスライド部材71のカード挿抜方向での係合連結が解除され、カード1をハウジング12内からカード挿入口11を通して抜き去ることができる。そして、カード1の抜き去り後は、図3及び図4に示す状態になる。
【0056】
上記のように、本発明の一実施の形態に係るカードコネクタ10においては、カード排出機構70によって排出されたカード1においても、すなわち、ハウジング12に装着されたときのカード1の接触パッド4よりもカード挿入口側においても、カード1の接触パッド4と基板間を電気的に導通接続した状態にあり、さらにこの状態は、カード1がハウジング12から抜き去られるまで保持される。
【0057】
したがって、カード認識スイッチ60がオフになり、機器がカード1の抜去を検出した後、カード1がハウジング12から抜き去られるまでの時間内に、カード1を安全にシャットダウンすることができる。
【0058】
このことは、各導体40と各コンタクト50及びコンタクト支持アーム71dを備えておらず、その代わりにハウジング内に横一列に固定され、装着されたカードの複数の接触パッドを押圧しながら接触するコンタクトを備えたこと以外は本発明の一実施の形態に係るカードコネクタ10と略同じ構造の比較例としてのカードコネクタと、本発明の一実施の形態に係るカードコネクタ10を比べると良く理解することができる。すなわち、カード認識スイッチ60がオフになり、機器がカード1の抜去を検出してからカード1の接触パッド4と基板間の導通接続が断たれるまでの時間は、比較例のカードコネクタでは、カード認識スイッチ60がオフになり、機器がカード1の抜去を検出した直後に、カード1の接触パッド4とコンタクトの接点部との接触が断たれるため、極めて短い、他方、本発明の一実施の形態に係るカードコネクタ10においては、カード認識スイッチ60がオフになり、機器がカード1の抜去を検出した直後には、カード1の接触パッド4とコンタクト50の接点部55との接触が断たれず、カード排出機構70によって排出されたカード1においても、カード1の接触パッド4とコンタクト50の接点部55との接触が保持されているため、比較例のカードコネクタに比べて長くなり、カード認識スイッチ60がオフになり、機器がカード1の抜去を検出してからカード1を安全にシャットダウンすることができる時間を稼いでいる。
【0059】
なお、本発明の一実施の形態に係るカードコネクタ10においては、コンタクト50とカード認識スイッチ60を形成する一対の金属片60A,60Bは、その両方をインサート成型によりハウジング12のボディ13に一体的に設けこともできると共に、その両方を圧入によりハウジング12のボディ13に一体的に取り付けることもできる。また、カード認識スイッチ60はカード1の挿入端部によって接離操作する一対の金属片60A,60Bにより形成したが、カード1の側部によって接離操作する一対の金属片により形成することもできる。さらに、プッシュ/プッシュ型のカード排出機構70の位置保持機構75は、スライド部材71に一体に形成するハート状のカム溝63と一端をボディ13に支持するカムピン74により形成したが、ハート状のカム溝73をボディ13に一体に形成し、カムピン74の一端をスライド部材71に支持しても形成することもできる。また、カード排出機構70の係合部76cはスライド部材71に別部材の係合部材76を取り付けて設けたが、スライド部材71に一体に形成する樹脂製の板バネ片により形成することもできる。また、カード排出機構70のスライド部材71を、コンタクト50をカードの動きに合わせて移動させるスライド部材として兼用したが、カード排出機構70を備えない場合は、コンタクト支持アーム71dに、カード1によってコンタクト支持アーム71dを奥側に押し込むための操作部71bを直接設けると共に、コンタクト支持アーム71dの復帰させるための付勢部材を設けること等で、コンタクト支持アーム71dをスライド部材として利用し、コンタクト50をカードの動きに合わせて移動させることができる。
【0060】
以上、本実施の形態は本発明の一実施の形態を示したが、本発明はそれに限定されることなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々変形実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の一実施の形態に係るカードコネクタに装着するマイクロSDカードを示す(A)表面図、(B)側面図、(C)裏面図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係るカードコネクタの外観を示す斜視図である。
【図3】本発明の一実施の形態に係るカードコネクタの内部構造を示すカバーを除去した状態の斜視図である。
【図4】本発明の一実施の形態に係るカードコネクタの内部構造を示すカバーを除去した状態の平面図である。
【図5】本発明の一実施の形態に係るカードコネクタに備えるコンタクトの構造を示す斜視図である。
【図6】本発明の一実施の形態に係るカードコネクタにおいて、カードがカード排出機構のスライド部材を押し込む位置に挿入されたときの状態を示す平面図である。
【図7】本発明の一実施の形態に係るカードコネクタにおいて、カード認識スイッチがオンになる直前の状態を示す平面図である。
【図8】本発明の一実施の形態に係るカードコネクタにおいて、カード認識スイッチがオンになったときの状態を示す平面図である。
【図9】本発明の一実施の形態に係るカードコネクタにおいて、カードがカード排出機構のスライド部材を最押し込み位置に押し込んだときの状態を示す平面図である。
【図10】本発明の一実施の形態に係るカードコネクタにおいて、カードが装着されたときの状態を示す平面図である。
【図11】本発明の一実施の形態に係るカードコネクタにおいて、カード抜去時、カードがカード排出機構のスライド部材を最押し込み位置に再度押し込んだときの状態を示す平面図である。
【図12】本発明の一実施の形態に係るカードコネクタにおいて、カードがカード排出機構のスライド部材を押し込む位置に挿入されたときのカードの接触パッドとコンタクトの接点部との関係を示す底面図である。
【図13】本発明の一実施の形態に係るカードコネクタにおいて、カード認識スイッチがオンになる直前のカードの接触パッドとコンタクトの接点部との関係を示す底面図である。
【図14】本発明の一実施の形態に係るカードコネクタにおいて、カード認識スイッチがオンになったときのカードの接触パッドとコンタクトの接点部との関係を示す底面図である。
【図15】本発明の一実施の形態に係るカードコネクタにおいて、カードがカード排出機構のスライド部材を最押し込み位置に押し込んだときのカードの接触パッドとコンタクトの接点部との関係を示す底面図である。
【図16】本発明の一実施の形態に係るカードコネクタにおいて、カードが装着されたときのカードの接触パッドとコンタクトの接点部との関係を示す底面図である。
【図17】本発明の一実施の形態に係るカードコネクタにおいて、カード抜去時、カードがカード排出機構のスライド部材を最押し込み位置に再度押し込んだときのカードの接触パッドとコンタクトの接点部との関係を示す底面図である。
【符号の説明】
【0062】
1 カード
3 ノッチ
4 接触パッド
10 カードコネクタ
11 カード挿入口
12 ハウジング
40 導体
42 端子部
50 コンタクト
60 カード認識スイッチ
60A,60B 金属片
70 カード排出機構
71 スライド部材
71b 操作部
71d コンタクト支持アーム(スライド部材のコンタクト支持部)
72 コイルバネ(付勢部材)
73 ハート状のカム溝
74 カムピン
76c 係合部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
片主面に接触パッドを一列に並設したカードを挿抜自在に装着するハウジングと、カードのカードの挿抜に応動する2つの金属片の接離に基づきカードの装着を検出するカード認識スイッチを設けたカードコネクタであって、
基板に接続する端子部を一端に設けた複数の細長い導体と、ハウジングに装着されたときのカードの接触パッドよりもカード挿入口側において、カードの接触パッドを押圧しながら接触する複数のコンタクトと、ハウジング内をカードの動きに合わせて移動させるスライド部材とを備え、導体をカードの接触パッドと対向するハウジングの内面にカードの接触パッドの移動経路に沿って固定すると共に、コンタクトを導体に接するようにし、そのコンタクトをスライド部材に支持してハウジング内をカードの動きに合わせて移動させることを特徴とするカードコネクタ。
【請求項2】
ハウジング内の一側部に配置され、カードによって奥側に押し込むための操作部及びコンタクトを支持するためのコンタクト支持部とを設けたスライド部材と、スライド部材をハウジングのカード挿入口側に常時付勢する付勢部材と、ハウジング及びスライド部材の何れか一方に設けるハート状のカム溝及び他方に一端を支持してカム溝内をスライド部材の動きに合わせて移動させるカムピンとを有し、カード挿入時、カードによってスライド部材をハウジング内の奥側に押し込み操作した後に開放することにより、スライド部材をカード装着位置に保持した状態で、カードをハウジングに装着すると共に、カード抜去時、カードによってカード装着位置のスライド部材をハウジングの奥側に再度押し込み操作した後に開放することにより、スライド部材を初期位置に復帰させてハウジングに装着されたカードを排出するカード排出機構を備えた請求項1に記載のカードコネクタ。
【請求項3】
カード排出機構のスライド部材に、カード挿入時、カードによってスライド部材をハウジング内の奥側に押し込み操作する前に、カードの側面ノッチに係合する係合部を設ける請求項2に記載のカードコネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2008−84624(P2008−84624A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−261633(P2006−261633)
【出願日】平成18年9月27日(2006.9.27)
【出願人】(000194918)ホシデン株式会社 (527)
【Fターム(参考)】