説明

ガラス鉛直処理装置

実質的に鉛直平面で設置された実質的に平面のガラスシート(30)を処理する装置(10)である。一態様において、このガラスシートはLCDディスプレイ用のものである。ガラス処理装置は、洗浄区域(200)、すすぎ区域(300)、乾燥区域(400)、およびガラスシートを搬送路(100)に沿ってその中で移動させるための下部ローラ(510)を含む。洗浄区域は、ガラスシートを損傷させずに支持および駆動するよう構成された駆動ローラ(530、540)を含む。すすぎ区域は、ガラスシートを過剰に振動させずにすすぐよう配置されたノズル(310、320)および液体軸受(330、340)を含む。さらに、乾燥区域は、ガラスシートを過剰に振動させずに乾燥するよう配置されたエアナイフ(410、420)および流体軸受(440、450)を含む。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の説明】
【0001】
本出願は、その内容が引用されその全体が参照により本書に組み込まれる、2008年7月31日に出願された「ガラス鉛直処理装置(Devices for Vertical Treatment of Glass)」と題する、米国仮特許出願第61/085,103号の優先権の利益を主張するものである。
【技術分野】
【0002】
本発明は、一般にガラスの処理に関し、より具体的にはLCDガラスを鉛直向きで洗浄、すすぎ、および乾燥する装置に関する。
【背景技術】
【0003】
ガラスの切断、研削、および研磨は、ディスプレイガラスの仕上げの中で最も重要な作業である。粒子や小片状のガラスの破片は、これらの全ての工程段階で生成される。この破片は、ガラスの表面を保護するためにガラスに適用される種々のコーティングと同様、販売用の液晶ディスプレイ(「LCD」)の製造に必要な次のステップを実行可能にするために除去しなければならない。典型的には、LCDガラス専用に設計された、ガラス洗浄装置が用いられる。この洗浄装置の多くは、バッチまたはインラインの2種類に分類される。
【0004】
インラインタイプの洗浄装置は一般に、ガラスをベルトまたは他種の駆動系の上に平坦に置く水平型、またはガラスシートが洗浄機段階を通るときにガラスシートを1つのエッジまたは1つのエッジと犠牲面とによって支持する鉛直型の、2つに分類することができる。鉛直タイプは、前後の工程段階で鉛直向きを使用する機会が与えられるため、必要な床面積を減少させるとともにより清浄なガラスを製造できることから、より好まれるようになりつつある。さらに、この鉛直向きは、ガラスシートに実際に付着する破片の量を減少させる。一般に、微粒子は下方へ落下するものであり、そしてガラスシートの向きを変えることによって、有効表面積が減少し、浮遊している破片がガラスシートに付着するのを減少させることになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の鉛直型インライン洗浄装置は、ほとんどが窓ガラス産業のために製造されたものであり、概して、LCD装置の製造に用いられるような極薄いガラスシートの横方向の低剛性は考慮されていない。例えば、ブラシは典型的にはガラスシートから破片を揺り動かして除去するために用いられる。しかしながら、ガラスシートをブラシ区域に通して運搬するときに、2つの問題が生じる。第1に、ブラシの力に勝るよう、適切な駆動力がガラスシートに加えられなければならない。第2に、ガラスを破損させないよう、さらにはLCDの顧客が許容できないような例えば傷などの欠陥を生じさせ得るガラスシートとの接触面積が大きくならないよう、ガラスシートを適切に支持する必要がある。
【0006】
さらに、すすぎおよび乾燥区域では、ガラスシートがすすぎまたは乾燥区域の一部と望ましくない接触をし得るような、過剰な振動をガラスシートに与えないよう、ガラスシートを適切に支持しなければならない。この望ましくない接触により、ガラスシートが実質的に鉛直の向きで傷ついたり、あるいは破損したりする可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、実質的に平面のガラスシートを実質的に鉛直の向きで洗浄、すすぎ、および乾燥を含めて処理する装置に関する。
【0008】
一実施の形態において、洗浄区域が提供される。洗浄区域において、ガラスシートの表面から破片を揺り動かし除去するためにブラシが用いられる。洗浄区域内でガラスシートをブラシに通して搬送するために、駆動ローラが用いられる。駆動ローラのサイズおよび材料は、洗浄区域内でガラスシートを搬送するための適切な力をガラスシートに提供するように、そしてガラスシートを破損させずに適切な支持を提供するように、さらに例えば傷などの欠陥を防ぐためガラスシートとの接触面積を最小にするように、規定される。
【0009】
第2の実施形態において、すすぎ区域が提供される。すすぎ区域において、すすぎノズルおよび軸受の位置は、ガラスシートに過剰な振動を招くことなく適切にガラスシートを支持するように設計される。特に、すすぎノズルはガラスシートの一方の側に設置され、かつ軸受は、ガラスシートの他方の側のすすぎノズルの真向かいに配置される。
【0010】
第3の実施形態において、ガラスシートを乾燥させるためのエアナイフを備えた乾燥区域が提供される。ガラスシートが乾燥区域を通って搬送されるとき、流体軸受がガラスシートを支持する。第1組の軸受が、ガラスシートの搬送方向においてエアナイフの上流に提供され、一方第2組の軸受がエアナイフの下流に提供される。エアナイフはガラスシートの両側に設置され、それぞれが規定された圧力で空気流を供給する。さらに、第1軸受および第2軸受の間の距離は、ガラスシートが支持されていない範囲を残している。エアナイフによって加えられる圧力の差、および、第1軸受と第2軸受との間の距離は、ガラスシートの過剰な振動を防ぐように設計される。
【0011】
3つの実施形態を別々に説明したが、任意のこれらの組合せを一緒に使用してもよい。すなわち、洗浄区域、すすぎ区域、および乾燥区域を、分離された独立したユニットとして、種々の他の工程および/または装置を間に設けて使用してもよい。あるいは、洗浄、すすぎ、および乾燥区域を図示のように連続させて使用してもよい。さらに、任意の2つの区域を連続させて使用してもよく、その2つの区域と第3の区域とを、他の工程および/または装置で分離してもよい。
【0012】
本発明の好適な実施形態に関するこれらおよび他の特徴は、添付の図面を参照した詳細な説明の中でより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】ガラス処理装置の一実施の形態の前面斜視図
【図2】図1のガラス処理装置の背面斜視図
【図3】洗浄区域、すすぎ区域、および乾燥区域を示す、図1のガラス処理装置の背面平面図
【図4】図1のガラス処理装置の上正面図
【図5】図1の左側から見たガラス処理装置の平面図
【図6】図1のガラス処理装置の前面平面図
【図7】図6の線7−7に沿った、ガラス処理装置の断面図
【図8】図6の線8−8に沿った、ガラス処理装置の断面図
【図9】図1のガラス処理装置の洗浄区域における2つの駆動ローラを示す拡大図
【図10】図9に示した駆動ローラの側面平面図
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、以下の詳細な説明、例、図面、および請求項と、これらに関する前述および後述の説明とを参照することにより、より容易に理解することができる。しかしながら、本発明の装置、システム、および/または方法を開示および説明する前に、他に特に規定がなければ、本発明は特定の装置、システム、および/または方法に限定されるものではなく、それ自体当然変化し得るものと理解されたい。また、本書で用いられる専門用語は、特定の態様を説明するためのみのものであり、限定することを意図しているものではないことも理解されたい。
【0015】
以下の説明は、本発明の実現可能な教示として、現在知られているその最良の実施形態で提供される。このため、関連技術の当業者は、本発明の有益な成果を依然として得ながら、本書で説明する本発明の種々の態様に多くの変更を加えることができることを認識および理解するであろう。また、本発明のいくつかの所望の利益は、ここで開示されるいくつかの特徴を選択することによって、他の特徴を利用することなく得られることも明らかであろう。したがって、当業者は、本発明の多くの改変および改作が可能であり、特定の状況では望ましくさえあり得、さらに本発明の一部であることを認識するであろう。すなわち、以下の説明は本発明の原理を示すものとして提供され、これを限定するものではない。
【0016】
本書通じて、文脈が明らかに他に指示していなければ、単数形は複数の指示対象を含むものとする。すなわち、例えば「ガラスシート」に言及したときには、文脈が他に指示していなければ、2以上のこのガラスシートを含み得る。
【0017】
本書では、範囲を「約」ある特定の値から、および/または、「約」別の特定の値までと表現することがある。範囲がこのように表現されるとき、その特定の値からおよび/またはもう一方の特定の値までは、別の態様に含まれる。同様に、値が先行詞「約」を用いて近似値で表されるとき、その特定の値は別の態様を形成することを理解されたい。さらに、各範囲の端点は、他方の端点との関連で、かつ他方の端点とは無関係に、重要であることも理解されたい。
【0018】
本書で用いられる「随意的な」または「随意的に」という用語は、続いて説明される事象または状況が、起こる可能性もあるし、または起こらない可能性もあることを意味し、かつ、その説明は、その事象または状況が起こる場合と起こらない場合とを含む。
【0019】
実質的に平面のガラスシート30を処理する、ガラス処理装置10について説明する。このガラス処理装置10は、洗浄区域200、すすぎ区域300、および乾燥区域400を含み得る。ガラスシート30は一般に、図4に見られるように、第1面32と反対側の第2面34とを有する。ガラスシート30は、例えばLCDディスプレイに使用されるものでもよい。
【0020】
1つの例示的な態様において、ガラスシート30は、搬送路100に沿って搬送方向102に、洗浄区域200、すすぎ区域300、および乾燥区域400を通って搬送される。図4を参照されたい。ガラスシート30は実質的に鉛直の形で搬送路100に沿って搬送される。ガラスシートは、搬送路100の下部に設置された複数の下部ローラ510を用いて搬送される。下部ローラ510は、ガラスシート30を搬送路100に沿ってかつ洗浄区域200、すすぎ区域300、および乾燥区域400に通して搬送するよう、1以上の下部ローラ510に回転力を与える下部ローラ駆動部520と連結させてもよい。洗浄200、すすぎ300、および乾燥400の各区域では、その区域の下部ローラ510用に、その区域自体のローラ駆動部520を備えてもよい。この配置は、各区域が独立したユニットとして別々に用いられる場合に有利である。あるいは、1つのローラ駆動部520を2以上の区域用に用いることもできる。図では、1つのローラ駆動部520が洗浄200およびすすぎ300の両区域用に用いられ、一方別のローラ駆動部520が乾燥区域400用に用いられている。ローラ駆動部520は、通常の当業者には理解できるであろうが、任意の既知の種類の駆動系によって下部ローラ510に接続させることができる。
【0021】
洗浄区域
一態様において、ガラス処理装置10は、洗浄ハウジング20とその中を通る搬送路100とを含む洗浄区域200を備える。ガラスシート30は、ガラスシート30が搬送路100に沿って搬送方向102に移動するとき、実質的に鉛直向きに配向される。
【0022】
洗浄区域200は少なくとも1つの第1ブラシ210を含み、この第1ブラシ210は、搬送路100に隣接して設置され、かつ第1面32の破片を洗浄して取り除くためにガラスシート30の第1面32の少なくとも一部に接触するよう構成される。加えて、洗浄区域200は少なくとも1つの第2ブラシ220をさらに含み、この第2ブラシ220は、搬送路100に隣接して設置され、かつガラスシート30の第2面34の少なくとも一部に接触するよう構成される。洗浄区域200は、少なくとも1つの第1ブラシ210が少なくとも1つの第2ブラシ220に対向して設置されるように構成される。明確に言うと、第1ブラシ210および第2ブラシ220の軸212、222が、搬送路100の両側に設置される。ただし、ブラシの直径は、ガラスシート30から不要な粒子を揺り動かすため、ブラシ210、220の間にガラスシートが存在しているときにブラシがガラスシート30との接触面積を十分にとることができるよう、ブラシ210、220の間にガラスシートが存在していない状態で各ブラシが延びているときには各ブラシが搬送路100を横切って延在するほどの直径である。洗浄区域200は複数のブラシ210、220対を備えてもよく、これらのブラシ対は搬送路に沿って配置され、このとき各対のブラシ210、220の軸212、222は搬送路100の両側に位置している。この手法において、第1ブラシ210の1つによってガラスシート30の第1面32に加えられる任意の垂直力は、第2ブラシ220の1つによってガラスシート30の第2面34に加えられる任意の垂直力に、実質的に等しくかつ反対向きのものとすることができる。
【0023】
洗浄を助けるため、ブラシ210、220は回転させることができる。例えば、限定することを意味するものではないが、第1ブラシ軸212はガラスシート30に実質的に平行である。同様に、第2ブラシ軸222はガラスシート30に実質的に平行である。モータ250が、適切な駆動系(簡単のため図示しないが、当業者には容易に理解できるであろう)を介して第1ブラシ軸212および第2ブラシ軸222に接続され、これらの軸を一緒に回転させる。ブラシ210、220は、ガラスシート30が搬送路100に沿って移動する搬送方向102に反する方となる方向に回転させる。図4に示すように、例えば、第1ブラシ210は時計回りに回転し、一方第2ブラシ220は反時計回りに回転することになる。破片を適切に揺り動かして除去できるようにする他、駆動ローラ530、540(後述する)が搬送路100に沿ったガラスシート30の搬送速度を制御できるようにするため、ブラシの回転速度を、表面速度約200フィート/min〜約1000フィート/min(sfpm)(表面速度60〜305m/min)、例えば、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、または950sfpm(表面速度75、90、105、120、135、150、165、180、195、210、225、240、260、275、290m/min)としてもよい。2対の第1ブラシ210および第2ブラシ220が図示されているが、任意の適切な数のブラシ対を用いてもよい。
【0024】
ガラスシート30の搬送を容易にするのを助けるため、ガラス処理装置10は、下部搬送ローラ510に加え、搬送路100に隣接しかつその一方の側に設置された複数の第1駆動ローラ530と、搬送路100に隣接しかつその他方の側に設置された複数の第2駆動ローラ540とをさらに含む。一態様において、複数の第1駆動ローラ530の夫々は対応する第2駆動ローラ540に実質的に対向し、かつ複数の第2駆動ローラ540の夫々は対応する第1駆動ローラ530に実質的に対向する。ガラスシートを搬送するために、複数の第1駆動ローラ530の夫々はガラスシート30の第1面32の一部に接触するように構成され、そして複数の第2駆動ローラ540の夫々はガラスシート30の第2面34の一部に接触するように構成される。
【0025】
複数の第1駆動ローラ530は、ガラスシート30を鉛直方向に支持するようにしてシャフト534上に配置される。各シャフト534上の第1駆動ローラ530の数はガラスシートのサイズ次第であり、それに応じて変化し得る。同様に、複数の第2駆動ローラ540は各シャフト544上に配置される。複数の第1シャフト534と複数の第2シャフト544が搬送路に沿って対で配置され、このとき第1シャフト534は搬送路100の片側に配置され、そして第2シャフト544は搬送路100の反対側に配置される。モータ550が、適切な駆動系(簡単のため図示しないが、当業者には容易に理解できるであろう)によって第1シャフト534および第2シャフト544に接続される。図4に示すように、モータ550および駆動系は、ガラスシート30を搬送路100に沿って搬送方向102に移動させるために、第1駆動ローラ530を反時計回り方向に回転させ、一方第2駆動ローラ540を時計回り方向に回転させる。3対の第1シャフト534および第2シャフト544が図示されているが、任意の適切な数の対を用いてもよい。
【0026】
さらに、駆動ローラのサイズおよび材料は、ガラスシート30をブラシ210、200から加えられる力に逆らって洗浄区域200内で搬送するための適切な駆動力を提供できるように、またガラスシート30を破損させずに適切な支持を提供できるように、さらに例えば傷などの欠陥を防ぐためガラスシート30との接触面積を最小にするように、設計される。
【0027】
駆動ローラ530は、ガラスシートと接触する部分の厚さ536を含み、かつ直径538を有する。ある駆動ローラ530の直径および厚さを示している図10を参照されたい。他の駆動ローラ530および540の夫々は、同様の厚さおよび直径を有している。厚さ536は、約0.5インチから約2インチ(1.27cmから約5.08cm)の範囲でもよい。厚さ536が増加するとガラスシート30との接触面積が大きくなり、ガラスシートを損傷させる危険が増加する。さらに、厚さ536が増加すると、ガラスシート30を搬送方向102に搬送路100に沿って動かすようガラスシート30を押圧している駆動ローラ530、540からの反力を受けて、シャフト534、544に生じる偏心のバランスをとるのが難しくなる。シャフトの偏心が増加すると、ガラスシート30を移動させるための駆動ローラ530、540間の受容空間を維持することがさらに難しくなる。一方、厚さ536が小さすぎると、ガラスシート30を洗浄区域200に通して移動させるための十分な量の駆動力が得られないであろう。駆動ローラ530の直径538は、最大で約4インチ(10.16cm)としてもよい。第1駆動ローラ530および第2駆動ローラ540の直径や、シャフト534、544の配置は、ローラ530、540が、搬送されるガラスシート30の厚さ36よりも小さい間隙560だけ互いに間隔を空けるように選定される。図9および10を参照されたい。別の言い方をすれば、各シャフト対のシャフト534、544は、第1駆動ローラ530の半径と第2駆動ローラ540の半径とを加えた合計に、搬送されるガラスシート30の厚さ36をさらに加えたものよりも少ない距離だけ互いに間隔が空いている。第1および第2駆動ローラ530、540の材料は、駆動ローラ530、540がコンプライアンスを有するように選定される。一般に、10分の数ミリのコンプライアンスを許容できる。すなわち、ガラスシート30が駆動ローラ530、540の間隙560を通って搬送されるとき、駆動ローラ530、540は(そのコンプライアンスにより)圧縮されてガラスシート30の厚さ36を受け入れる。例えば、ガラスシート30の厚さ36は約1mm以下、例えば、約0.8mm、約0.7mm、約0.6mm、約0.5mm、または約0.4mmでもよい。
【0028】
駆動ローラの材料は、さらにガラスシートの搬送にも影響を及ぼす。その材料は、ガラスシートを汚染したりあるいは傷を付けたりしないものであり、かつ、ガラスシート30の搬送中に駆動ローラ530、540とガラスシート30との間で滑ることのないように、ガラスシート30との間で許容できる摩擦係数を有するものである。これまで述べたことを考慮すると、少なくとも駆動ローラ530、540の外側部分532、542は重合ゴムを含み、例えばエチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)や、例としてサントプレーンゴムが含まれる。図9を参照されたい。重合ゴムの硬度は、約30ショアAから約60ショアAの間、例えば、35、40、45、50、または55ショアAでもよい。
【0029】
上述したように、第1駆動ローラ530および第2駆動ローラ540は実質的に互いに対向して設置される。この構造の理由の1つは、垂直力のバランスをとるためである。一態様において、複数の第1ローラ530の夫々はガラスシート30の第1面32に第1垂直力を与え、そして対応する第2ローラ540の夫々はガラスシート30の第2面34に第2垂直力を与える。別の態様において、第1垂直力は第2垂直力に実質的に等しい。対向する垂直力を略同等に維持すると、ガラスシート30に与えられる任意の振動を大幅に減少させることができる。
【0030】
洗浄区域200は複数のノズル230をさらに含み、このノズル230は搬送路100の両側に配置される。ノズル230は、搬送方向102に沿って連続的に設置されている駆動ローラ530、540対とブラシ210、220対の夫々の間に配置される。ノズル230は、洗浄工程を助けるため、任意の種類の流体を駆動ローラ530、540、ブラシ210、220、およびガラスシート30に向けて噴霧してもよい。この流体は任意の種類の例えば洗浄用流体でもよいが、典型的には液体である。
【0031】
すすぎ区域
すすぎ区域300は、搬送路100の互いに反対側に配置された第1すすぎノズル310および第2すすぎノズル320を含み、さらに搬送路100の互いに反対側に配置された第1液体軸受340および第2液体軸受330を含む。図4を参照されたい。第1すすぎノズル310および第2すすぎノズル320は、ガラスシート30を損傷させることになり得るような過剰な振動を生じさせずにガラスシート30を支持するような位置に、互いに対してかつ第1液体軸受340および第2液体軸受330に対して設置される。
【0032】
第1すすぎノズル310は、パイプ312上に配置され、かつガラス搬送路100に実質的に隣接して設置される。第1すすぎノズル310は、パイプ312を通して液体源と連通している。搬送されるガラスシート30のサイズに応じて、任意の適切な数のすすぎノズル310をパイプ312上に配置することができる。さらに、すすぎ区域300内には第1すすぎノズル310を備えた2つのパイプ312が図示されているが、任意の適切な数のパイプ312を第1すすぎノズル310用に使用してもよい。一態様において、液体は水を含むが、洗剤の他、すすぎに適した他の液体も意図されている。第1すすぎノズル310は、液体をガラスシート30の第1面32に向けるよう構成されている。
【0033】
第2すすぎノズル320が、搬送路100に隣接して、搬送路100の第1すすぎノズル310の反対側に設置される。さらに、図4に示すように、第1すすぎノズル310および第2すすぎノズル320は、その水平位置において、搬送路100に沿ってずれた状態で配置される。この配置は、ガラスシート30の振動を減少させるのを助ける。第2すすぎノズル320はまた、パイプ312を介して液体源と連通しており、かつ液体をガラスシートの第2面34に向けるよう構成されている。第1すすぎノズル310と同様に、任意の数の第2すすぎノズル320を各パイプ312上に用いてもよく、さらに第2すすぎノズル320を備えた任意の適切な数のパイプ312をすすぎ区域内で用いてもよい。
【0034】
第1液体軸受340の夫々は、上部342および下部344を有し、かつガラスシート30の第2面34と面するように配置される。図4および6を参照されたい。第1液体軸受(および第2液体軸受330)は、その表面上に水の薄い膜を保持し、ガラスが液体軸受と接触するのを防ぐ。この液体軸受はガラスが薄いとき極めて高い剛性を呈し、確実にガラスシート30と接触しないようにする。第1液体軸受340は、搬送路100の、第1すすぎノズル310の反対側に位置し、かつ水平および鉛直の両方向で第1すすぎノズル310と実質的に対向するように設置される。水平方向では、第1すすぎノズル310と第1液体軸受340の両方が、搬送路100に沿った同等の位置の両側に設置される。図4を参照されたい。さらに鉛直方向では、少なくともノズル310のいくつかは、第1液体軸受340の上部342と下部344との間に配置される。図6を参照されたい。すすぎノズル310のほとんどが、このように配置されることが好ましい。この形では、第1液体軸受340はガラスシート30の第2面34に面し、かつ第1すすぎノズル310からの液体により加えられた垂直力と正反対の非接触性支持をガラスシート30に提供する。第1液体軸受340は水平列に配置され、ここでは4つの列が図示されている。図6を参照されたい。搬送されるガラスシート30のサイズに応じて、任意の適切な数の列を用いてもよい。第1液体軸受340の列は、搬送方向102に平行な方向に沿ってすすぎ区域300の範囲に亘り延在する。ただし、第1液体軸受340の各列の範囲内には、ガラスシート30の第2面34へと向けた第2ノズル320の噴霧を受け入れる間隙348が存在している。この間隙348により、第2液体軸受330がガラスシート30の第1面32を依然支持している位置で、第2すすぎノズル320からの流体を第2面34が直接受けるように第2面34の一部を配置することができる。
【0035】
第2液体軸受330は、搬送路100の、第2すすぎノズル320の反対側に位置し、かつ第2すすぎノズル320と実質的に対向するように、搬送路100に隣接して設置される。第2液体軸受330の数および配置は、第1液体軸受340に関連して上述したものと同様とすることができる。さらに、第2液体軸受330の、第1すすぎノズル310および第2すすぎノズル320と第1液体軸受340とに対する関係は、上述した、第1液体軸受340の、第2すすぎノズル320および第1すすぎノズル310と第2液体軸受330とに対する関係と同様とすることができる。
【0036】
第1すすぎノズル310および第2すすぎノズル320は、液体を、幅広い範囲の許容できる容積流量および圧力でガラスシート30の第1面32および第2面34に向けてもよい。したがって、一態様において、液体は約0.2から約2GPM(約0.7571L/分から約7.571L/分)の流量でガラスシート30の第1面32および第2面34に向けられる。別の態様において、液体は約10から約50psi(約68950N/m2から約344738N/m2)の圧力でガラスシート30の第1面32および第2面34に向けられる。上述したような位置関係で、容積流量および圧力がこの範囲内である場合、液体がガラスシート30に生じさせる振動は約50μm以下であり、これは典型的なLCD装置に採用されるガラスシート30において過剰ではない。
【0037】
乾燥区域
乾燥区域400は、ガラスシート30の面32、34から液体を除去するように設計されている。一態様において、乾燥区域400は、少なくとも1つの、第1エアナイフ410、第2エアナイフ420、ノズルパイプ430、流体軸受440、450、およびガイドローラ470を含む。エアナイフ410、420により適用される空気の圧力、および、流体軸受440、450間の距離は、ガラスシートの望ましくない振動を防ぐように設計される。
【0038】
第1エアナイフ410は、搬送路100に隣接しかつガス源と連通して設置される。第1エアナイフ410は、ガラスシート30が搬送路100に沿って搬送方向102に通過するとき、液体をガラスシート30の第1面32から除去するガスカーテンを形成するために、ガスをガラスシート30の第1面32に向けるよう構成される。
【0039】
同様に、この態様において、少なくとも1つの第2エアナイフ420が搬送路100に隣接しガス源と連通して設置され、この第2エアナイフ420は、ガラスシート30が搬送路100に沿って搬送方向102に移動するとき、ガスをガラスシート30の第2面34に向けるよう構成される。第2エアナイフ420は第1エアナイフ410に実質的に対向して設置される。シート30両側の空気流は正確に制御され、圧力の不均衡によってガラスシート30に生じる振動を、許容できるレベルまで低減する。圧力の不均衡は、ガラスシート30の一方の側のエアナイフがガラスシート30の反対側に配置された別のエアナイフと異なる圧力を加えたときに生じる。過剰な振動は傷を生じさせるだけでなく、効率的な乾燥を妨げる。数百パスカルの圧力不均衡は、望ましくない振動を生じさせ、乾燥に影響を及ぼす可能性がある。各エアナイフ410、420がガラスシート30に向けるガスの流量は、約1500L/minから2800L/minの間であるが、例えば、1600、1700、1800、1900、2000、2100、2200、2300、2400、2500、2600、および2700L/minなど、他の範囲も意図されている。このガスは圧縮空気でもよい。さらに、限定するものではないが送風空気や窒素を含め、他のガスも意図されている。
【0040】
乾燥区域400は、ガラスシート30がエアナイフ410、420を過ぎて搬送されるときにガラスシート30を支持する、第1および第2流体軸受440、450を含む。第1流体軸受440は、ガラスシート30の搬送方向102において、エアナイフ410、420の上流に位置している。第1流体軸受440は、ガラスシート30の両面32、34を支持するように位置付けられる。第1流体軸受440は、ガラスシート30を支持する水または液体の軸受を含んでもよい。第2流体軸受450は、搬送方向102において、エアナイフ410、420の下流に位置している。第2流体軸受450は、ガラスシート30の両面32、34を支持するように位置付けられ、また空気軸受を含んでもよい。ガラスシートの搬送方向102に平行な、第1および第2流体軸受440、450の間の距離460は、ガラスシート30が支持されていない範囲を残す。図6を参照されたい。一般に、距離460が大きすぎると、ガラスシート30がエアナイフ410、420間の搬送路100の中心部から大きく変化しすぎる可能性があり、望ましくない乾燥差、すなわちガラスシート30の両側で異なる乾燥条件を、生み出す可能性がある。さらに、ガラスシート30の過剰な振動を防ぐため、エアナイフ410、420の間の圧力差とともに距離460を制御してもよい。振動が過剰になると、望ましくないことであるがガラスシート30がエアナイフ410、420に付着したり、周囲の構造物と不要に接触したり、および/または破損したりする可能性がある。例えば、第1軸受440および第2軸受450間の距離460は約75mm以下とすることができ、好適には約40mm以下であり、さらに好適には約25mm以下である。一般に、距離460を短くすると、エアナイフ410、420間の圧力差が大きくなっても、ガラスシート30に過剰な振動を生じさせないようにすることができる。同様に、距離460を長くすると、エアナイフ410、420間の圧力差が小さい状態で、ガラスシート30に過剰な振動を生じさせないようにすることができる。より具体的には、その範囲の一方の、距離460が約75mmである場合には、圧力差を最大約300Paとすることができる。その対極の、距離460が約25mmまたは約40mmである場合には、圧力差を最大約1500Pa、例えば、400、500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、または1400Paとすることができる。一実施の形態において、距離460を約40mmとすることができ、かつエアナイフ410、420間の圧力差を約300Paとしてもよい。別の実施形態において、距離460を約25mmとすることができ、かつエアナイフ410、420間の圧力差を約300Paとしてもよい。
【0041】
さらに、乾燥区域400において、ノズルをその上に備えているパイプ430が提供される。このパイプ430を流体と接続し、ガラスシート30がエアナイフ410、420を過ぎて搬送される手前で、流体をガラスシート30に向けてもよい。
【0042】
さらに、乾燥区域において、ガラスシートの上部を支持するガイドローラ470が提供される。ガイドローラ470はアイドリングローラであり、かつガラスシート30の上部、すなわちガラスシート30の第1および第2軸受440、450よりも上方の部分に追加の支持を提供する。ガイドローラ470の位置は、ガラスシート30の品質領域の任意の損傷を防ぐために、そしてガラスシート30の効果的な搬送を維持するために重要である。したがって、ガイドローラ470はガラスシート30の非品質領域のみに接触するように設置され、この非品質領域は、ガラスシート30の各エッジから典型的には約5〜10mmの範囲に延在している外周部分である。
【0043】
乾燥区域400は、すすぎ区域300の出口と接続しているように図示されているが、乾燥区域400は独立したユニットとして使用することができる。さらに、他の装置および/または工程を、すすぎ区域300および乾燥区域400の間に配置してもよい。同様に、洗浄区域200およびすすぎ区域300を互いに分離させて独立したユニットとして使用してもよく、他の装置および/または工程をこれらの間に配置してもよい。
【0044】
本発明のいくつかの実施形態を本明細書においてこれまで開示してきたが、当業者には理解し得るように、前述の説明や関連する図面の中で示された教示の利益を得て、本発明が関連する多くの改変や本発明の他の実施形態が考えられるであろう。すなわち、本発明は本書でこれまでに開示された具体的な実施形態に限られるものではなく、多くの改変および他の実施形態が添付の請求項の範囲内に含まれると意図されていることを理解されたい。さらに、本書や以下の請求項では具体的な用語が採用されているが、これらは単に包括的かつ説明的な意味で用いられているものであり、本発明や以下の請求項を限定するためのものではない。
【符号の説明】
【0045】
10 ガラス処理装置
30 ガラスシート
32 第1面
34 第2面
100 搬送路
102 搬送方向
200 洗浄区域
210、220 ブラシ
230 ノズル
300 すすぎ区域
310、320 すすぎノズル
330、340 液体軸受
400 乾燥区域
410、420 エアナイフ
430 ノズルパイプ
440、450 流体軸受
470 ガイドローラ
530、540 駆動ローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面と、反対側の第2面とを有する実質的に平面のガラスシートを処理するためのガラス処理装置であって、該ガラス処理装置が、前記ガラスシートが実質的に鉛直平面でその中を移動することができる搬送路と、洗浄区域、すすぎ区域、および乾燥区域のうち少なくとも1つとを備え、
前記洗浄区域が、
前記ガラスシートの前記第1面の一部に接触することができるように前記搬送路に隣接して設置された、厚さおよび直径を有する第1駆動ローラと、さらに、
前記ガラスシートの前記第2面の一部に接触することができるように前記搬送路に隣接して設置された、厚さおよび直径を有する第2駆動ローラと、を備え、
前記第1および第2駆動ローラの夫々の前記厚さが約1.27cmから約5.08cmの範囲であり、かつ前記第1および第2駆動ローラの夫々の前記直径が約10.16cm以下であり、
前記すすぎ区域が、
液体を前記ガラスシートの前記第1面に向けることができるように、前記搬送路に隣接してかつ液体源と連通して設置された、第1すすぎノズルと、
前記ガラスシートの前記第2面に面することができるように、かつ前記第1すすぎノズルと実質的に対向するように、前記搬送路に隣接して設置された、第1液体軸受と、
液体を前記ガラスシートの前記第2面に向けることができるように、前記搬送路に実質的に隣接してかつ液体源と連通して設置された、第2すすぎノズルと、さらに、
前記ガラスシートの前記第1面に面することができるように、かつ前記第2すすぎノズルと実質的に対向するように、前記搬送路に隣接して設置された、第2液体軸受とを備え、
前記乾燥区域が、
前記搬送路に実質的に隣接し、ガス源と連通して設置され、かつガスを第1圧力で前記ガラスシートの前記第1面に向けるよう構成された、第1エアナイフと、
前記搬送路に実質的に隣接し、ガス源と連通して設置され、かつガスを第2圧力で前記ガラスシートの前記第2面に向けるよう構成された、前記第1エアナイフに実質的に対向して設置されている第2エアナイフと、
前記搬送方向において前記第1および第2エアナイフの上流に設置され、かつ前記実質的に平面のガラスシートの前記第1面を支持するよう構成および配置された、第1軸受と、さらに、
前記搬送方向において前記第1および第2エアナイフの下流に設置され、かつ前記実質的に平面のガラスシートの前記第1面を支持するよう構成および配置された、第2軸受と、を備え、
前記第1軸受および前記第2軸受が、前記搬送方向において、約75mm以下の距離だけ互いに間隔を空けて位置し、
さらに前記第1圧力および前記第2圧力の差の絶対値が約1500Pa以下であることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記第1および第2すすぎノズルが、液体を前記ガラスシートの前記第1および第2面にノズル毎に約757〜約7571ccm(約757〜約7571cm3/min)の流量で向けるように液体供給源に接続され、かつ前記液体が、前記ガラスシートの前記第1および第2面に約68950〜約344738N/m2の圧力で向けられることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記距離が約40mm以下であることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項4】
前記距離が約25mm以下であることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項5】
前記第1圧力および前記第2圧力の差の前記絶対値が、約300Pa以下であることを特徴とする請求項1、3、または4記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2011−529439(P2011−529439A)
【公表日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−521110(P2011−521110)
【出願日】平成21年7月21日(2009.7.21)
【国際出願番号】PCT/US2009/004234
【国際公開番号】WO2010/014167
【国際公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【出願人】(397068274)コーニング インコーポレイテッド (1,222)
【Fターム(参考)】