説明

クランプ

【課題】 容易に開閉できるクランプを提供する。
【解決手段】 クランプ1は、筒状体を軸方向に2分割してなる形状を有する一対の第1保持部10および第2保持部20と、第1保持部10に取り付けられる取付部材30と、からなる。延出部11は、L字型の断面形状を有しており、第1保持部10の底部10aの外周面から、第1保持部10の外周面に沿って第1保持部10の一方の端部10b近辺まで延び出している。延出部11の先端には、第1係止片12が設けられている。第2保持部20の一方の端部20aには、第2係止片21が設けられている。このクランプ1では、延出部11に第1係止片12が設けられているため、延出部11のバネ性により容易に第1係止片12と第2係止片21との係止および係止の解除を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電線等を基板や筐体などに固定するために用いるクランプに関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器内に配線されるワイヤ、ケーブルなどの電線やパイプなど(以降、単に電線等、ともいう)の配線・配管経路を定めるために、従来から樹脂や金属製のクランプが用いられている。
【0003】
例えば、電線等の外周を把持する把持部と、電子基板や筐体などの板部材に取り付けるための取付部と、を備える合成樹脂製のクランプが提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−91636号広報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したような樹脂製のクランプは、クランプの開閉(把持部の開閉)に樹脂部品の係合を利用している。一般的な樹脂部品は、荷重が加わると変形し、荷重がなくなると元に戻るというバネ性に富んでいるため、手による操作でも容易に樹脂を変形させてクランプを開閉させることができ、クランプの開閉にネジ止めなどの必要がなく作業性がよい。しかしながら、耐久性(特に耐熱性)に劣り、高温条件下での長期の使用が困難である。
【0006】
一方、金属製のクランプは、一般に樹脂部品にくらべて耐久性が高い。しかしながら、樹脂製のクランプのように簡便にクランプを開閉することはできず、クランプに電線等を取り付ける際にはネジ止めを行う必要があり作業性が悪い。また、保持する電線等を金属により傷つけてしまう虞がある。
【0007】
ここで、上記樹脂製のクランプと同様の形状で、汎用性の樹脂からエンジニアリングプラスチック(以降、単にエンプラともいう)に材質を変えて作製されたクランプでは、耐熱性を高めることができ、また電線等を傷つける危険を低減できる。
【0008】
しかしながら、エンプラは高い耐熱性を有するとともに、剛性が高くバネ性に乏しいという特徴がある。そのため、汎用の樹脂製のクランプと同様の形状に作製するとクランプを開閉するために非常に強い力を加える必要がある。よって、電線等の取り付け時にはネジ止めを行うことになり、作業性は悪かった。
【0009】
このように、クランプの耐久性を高めるためにはクランプの剛性を高める必要があるが、クランプの剛性を高めると、クランプのバネ性を失うことになり、クランプの開閉を容易に行うことができなくなるという問題があった。
【0010】
本発明は、上述した問題に鑑みてなされたものであり、容易に開閉できるクランプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した問題を解決するためになされた請求項1に記載の発明は、筒状体を軸方向に沿った面で2分割してなる形状の一対の第1保持部および第2保持部と、前記第1保持部および前記第2保持部の端部同士を回動可能に連結するヒンジ部と、前記端部と反対側の端部同士が接触した接触状態を維持する係止部と、を備えるクランプであって、前記係止部は、前記第1保持部の外周面から延び出してなる延出部に設けられた第1係止片と、前記第2保持部に設けられ、前記第1係止片に係止して前記接触状態を維持する第2係止片と、からなることを特徴とする。
【0012】
このように構成されたクランプでは、第1係止片が延出部に設けられているため、第1係止片と第2係止片との係止を延出部のバネ性を利用して行うことができる。この延出部は、第1保持部や第2保持部とは異なり電線等を保持する機能を与える必要がないので、強度を高める必要はなく、良好なバネ性を有するように構成することができる。
【0013】
従って、第1保持部および第2保持部の剛性が高くとも、クランプの開閉を容易に行うことができるようになる。これにより、クランプの開閉の容易さと高い耐久性とを同時に実現することができる。
【0014】
なお、延出部のバネ性を高めるためには、例えば、延出部の長さを長くすることが考えられる。延出部の長さを長くするためには、第1保持部の外周面における延出部の延び出す位置を第1係止片から遠い位置に設定したり、延出部を波型などに折り曲げて形成したりするとよい。また、第1係止片が機能を失わない範囲で延出部を薄く細く形成することでバネ性を高めてもよい。
【0015】
請求項2に記載のクランプは、請求項1に記載のクランプにおいて、前記ヒンジ部が、前記第1保持部および前記第2保持部のうち、いずれか一方の端部に設けられた回転軸と、前記一方とは異なる他方の端部に設けられ、前記回転軸を回動可能に軸支する軸受けと、からなることを特徴とする。
【0016】
このように構成されたクランプでは、ヒンジ部を剛性の高い材質で形成することができる。よって、第1保持部や第2保持部と同じ材質で一体成形することが可能となる。
請求項3に記載のクランプは、請求項2に記載のクランプにおいて、前記軸受けが、前記回転軸が所定の方向から着脱可能に構成されていることを特徴とする。
【0017】
このように構成されたクランプでは、軸受けに回転軸を嵌める際にネジ止めなどを行う必要がないので、第1保持部と第2保持部との着脱を容易に行うことができる。
請求項4に記載のクランプは、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のクランプにおいて、前記第1保持部または前記第2保持部に設けられ、外部の取付対象物に取り付けられる取付部材を備えることを特徴とする。
【0018】
このように構成されたクランプでは、取付部材により取付対象物に取り付けることができる。よって、機器内部の所望の位置にクランプを配置することができ、電線等を所望の位置に配線・配管することができる。
【0019】
請求項5に記載のクランプは、請求項4に記載のクランプにおいて、前記取付部材が、前記取付対象物に形成された孔に、前記取付対象物の一方の面から挿入される柱部と、前記柱部に設けられ、前記取付対象物に他方の面から接触する接触部と、前記取付対象物を一方の面から押圧する押圧部材と、からなることを特徴とする。
【0020】
このように構成されたクランプでは、取付対象物を接触部と押圧部材とで挟み込むことで、クランプを取付対象物に強く固定することができる。
請求項6に記載のクランプは、請求項5に記載のクランプにおいて、前記押圧部材が、金属製の板バネであって、少なくともその一部の領域が前記第1保持部または前記第2保持部の内周面に位置することを特徴とする。
【0021】
このように構成されたクランプでは、押圧部材が金属製の板バネであるため、良好なバネ性を有しており、強い力で取付対象物を挟み込むことができる。また、耐久性が高く、長期間に渡って挟み込む力が維持されるため都合がよい。さらに、クランプが保持する電線等と板バネを接触させて導通させることができるため、例えばクランプを板金筐体に取り付けることで、フレームグランドをとることができる。
【0022】
請求項7に記載のクランプは、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のクランプにおいて、前記第2係止片が、前記第2保持部の外周面から延び出してなる第2延出部に設けられていることを特徴とする。
【0023】
このように構成されたクランプでは、第2係止片が第2延出部に設けられているため、第1係止片と第2係止片とを係止させる際に、延出部のバネ性のみでなく、第2延出部のバネ性をも利用することができる。従って、クランプの開閉を更に容易に行うことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】クランプの平面図(a)、左側面図(b)、正面図(c)、右側面図(d)、底面図(e)、左上斜視図(f)、右上斜視図(g)、左下斜視図(h)、右下斜視図(i)、背面断面図(j)
【図2】第1保持部の正面図(a)、左上斜視図(b)、左下斜視図(c)
【図3】第2保持部の正面図(a)、左上斜視図(b)、左下斜視図(c)、右上斜視図(d)、右下斜視図(e)、背面断面図(f)
【図4】板バネの平面図(a)、正面図(b)、右上斜視図(c)、右側面図(d)
【図5】クランプの右上斜視図(a)、左下斜視図(b)、背面断面図(c)
【図6】取付対象物の平面図(a)、正面図(b)
【図7】取付対象物にクランプを取り付けた状態の左上斜視図(a)、左下斜視図(b)、正面断面図(c)、右側面断面図(d)
【図8】変形例のクランプの正面図
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に本発明の実施形態を図面と共に説明する。
[実施例]
(1)クランプの構成
本実施例のクランプ1は、図1(a)〜(j)に示すように、一対の第1保持部10および第2保持部20と、第1保持部10に取り付けられる取付部材30と、からなる。
【0026】
第1保持部10および第2保持部20は、エンジニアリングプラスチック(本実施例においてはPPS(ポリフェニレンサルファイド))にて形成されている。
ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)は、熱変形温度260℃以上であってハンダに対する耐熱性があり、連続使用温度が170〜200℃と高く、高温での使用に耐えるものである。また、他樹脂と比較して弾性率(剛性)、強度が高い。さらに、難燃剤を添加することなくUL94規格V−0と同等レベルの難燃性を示し、熱濃硝酸の他はほとんどの酸・アルカリ・有機溶剤に侵されない耐薬品性を有し、流動性がよく寸法安定性に優れるので精密成形に適しており、耐アーク性、絶縁破壊電圧などの電気特性に優れていることなどが特長として挙げられる。
【0027】
取付部材30は、柱部31,接触部32,板バネ33などから構成されるが、柱部31および接触部32は第1保持部10と一体成型されている。また、板バネ33は別個に形成される。
【0028】
上述した第1保持部10を、図2(a)〜(c)に示す。第1保持部10は、筒状体を軸方向に沿った面で2分割してなる形状を有している。この第1保持部10には、延出部11,軸受け13,当接部14などが設けられている。
【0029】
延出部11は、第1保持部10よりも肉厚が小さい板状であって、L字型の断面形状を有している。この延出部11は、第1保持部10の底部10aの外周面から、第1保持部10の外周面に沿って第1保持部10の一方の端部10b近辺まで延び出している。
【0030】
延出部11の延び出した先端には、第1係止片12が設けられている。この第1係止片12は後述する第2保持部20の第2係止片21と係止するものである。
軸受け13は、第1保持部10の他方の端部10cに設けられ、第1保持部10の外周面側の一部分が開放された筒状形状を有している。この軸受け13は、後述する第2保持部20の回転軸22を回動可能に軸支するものである。
【0031】
当接部14は、第1保持部10の外周面において延出部11と反対側に延び出しており、板状の形状を有している。
第1保持部10における底部10aの内周面において、第1保持部10の軸方向両端には一対の係合溝15が形成されている。この係合溝15は、後述する板バネ33の係合片34と係合するものである。
【0032】
また、底部10aには、第1保持部10の筒状体外側方向に延び出す柱部31が形成されている。この柱部31の先端には、第1保持部10の軸方向に延び出す柱状の一対の接触部32が形成されている。また、接触部32の付け根部分には、突起35が形成されている。
【0033】
次に、上述した第2保持部20を、図3(a)〜(f)に示す。第2保持部20は、筒状体を軸方向に沿った面で2分割してなる形状を有しており、上述した第1保持部10と組み合わせることで筒状体を形成する。
【0034】
この第2保持部20の一方の端部20aには、上述した第1係止片12と係止する第2係止片21が設けられている。また、第2保持部20の他方の端部20bには、上述した軸受け13に軸支される回転軸22が設けられている。
【0035】
次に、上述した板バネ33を、図4(a)〜(d)に示す。板バネ33は、金属製の板状の部材であって、平板形状を有する基部33aと、基部33aに連接され、曲面形状を有する一対の曲面部33bと、からなる。一対の曲面部33bは、基部33aから互いに逆向きに延び出すように配置されている。
【0036】
この基部33aには、一対の曲面部33bが延び出す方向と交差する方向の両端において、基部33aと直交する方向、かつ、曲面部33bが曲がる方向と逆向きの方向に延び出し、先端が内側に折り返されてなる一対の係合片34が設けられている。また、基部33aには貫通孔36が形成されている。
【0037】
次に、第1保持部10,第2保持部20,および板バネ33の組み付けについて説明する。
第1保持部10と第2保持部20との組み付けは、回転軸22を軸受け13に嵌めればよい(回転軸22については図3を参照。軸受け13については図2を参照)。これにより、第1保持部10の端部10cと第2保持部20の端部20bとが連結する(図1参照)。
【0038】
板バネ33と第1保持部10とを組み付ける際は、まず、板バネ33における係合片34が延び出している側から貫通孔36に柱部31および接触部32を挿通する。続いて、板バネ33の基部33aと第1保持部10の底部10aとを重ね合わせて、係合片34を係合溝15に係合させる。この係合によって板バネ33が第1保持部10に固定される。このとき、係合片34の一部は第1保持部10の内周面に位置する。
【0039】
上述したように各要素を組み付けることで、図1(a)〜(j)に示すクランプ1が完成する。図1(a)〜(j)は、第1保持部10の端部10bと、第2保持部20の端部20bと、が接触してクランプ1が閉じた状態を示している。このとき、第1係止片12と第2係止片21とが係止しており、それによりクランプ1が閉じた状態が維持される。
【0040】
また、クランプ1が開いた状態を図5(a)〜(c)に示す。第2保持部20は回転軸22を軸として回動する。
(2)クランプの取り付け
次に、クランプ1の取付対象物への取り付けについて説明する。
【0041】
クランプ1を取り付ける対象となる取付対象物40を図6(a),(b)に示す。取付対象物40には、柱部31と一対の接触部32とが通過できる形状の貫通孔41が形成されている。またこの貫通孔41には、一対の切り欠き41aが形成されている。
【0042】
クランプ1を取付対象物40に取り付けた状態を図7(a)〜(d)に示す。
クランプ1を取り付ける際には、まず、柱部31と接触部32とを取付対象物40の一方の面40aから貫通孔41に挿入する。その状態で柱部31を回転軸として回転させると、貫通孔41と接触部32との位置がずれ、クランプ1を抜こうとすると、取付対象物40の他方の面40bにおける貫通孔41の周縁部に接触部32が接触するため、クランプ1が抜けなくなる。
【0043】
このとき板バネ33は一方の面40aに接触して一方の面40aを押圧しているため、取付対象物40を板バネ33と接触部32とで挟み込むこととなる。そして、クランプ1を、柱部31と接触部32とを貫通孔41に挿入した位置から90度回転させると、突起35が切り欠き41aに係合する(図7(d)参照)。それにより、柱部31の回転が抑制される。
(3)発明の効果
このように構成されたクランプ1では、延出部11に第1係止片12が設けられているため、第1係止片12が第1保持部10に直接設けられている場合と比較して、第1係止片12の変位を容易に行うことができる。この理由は、延出部11の延び出す位置から第1係止片までの距離が、第1保持部から外側に延び出す延出部11に設けられた場合のほうが長くなることと、延出部11が第1保持部10よりも肉厚が小さく形成されていることにより、延出部11のバネ性が良好となるためである。
【0044】
そして、延出部11のバネ性により第1係止片12の変位が容易になる結果、第1係止片12と第2係止片21との係止および係止の解除を容易に行うことができるようになる。
【0045】
従って、第1保持部10および第2保持部20の剛性が高くとも、クランプ1の開閉を容易に行うことができるようになる。これにより、クランプ1の開閉の容易さと、剛性の高いエンプラ(本実施例ではPPS)を用いることによる高い耐久性とを同時に実現することができる。
【0046】
また、上記構成のクランプ1では、第1保持部10と第2保持部20との連結を、回転軸22を軸受け13で軸支することで実現しているため、従来の汎用樹脂クランプのように、ヒンジ部を薄く形成してバネ性や可撓性を付与する必要がない。また、軸受け13は一部が開いており回転軸22を容易に着脱できる。従って、軸受け13および回転軸22を、第1保持部10および第2保持部20と同一の材質で一体成形することができる。
【0047】
なお、軸受け13が閉じた筒状である場合、回転軸22を軸受け13に嵌めるためにはネジ止めによって軸受けを閉じたりする必要があるため、一体成形が困難になる。
また、上記構成のクランプ1は、取付対象物40を接触部32と板バネ33とで挟み込むため、クランプ1を強固に取付対象物40に固定することができる。また、取付対象物40に貫通孔41を形成するだけでその位置にクランプ1を取り付けることができるため、機器内部の所望の位置にクランプ1を配置することができ、電線やパイプなどを所望の位置に配線・配管することができるようになる。
【0048】
また、第1保持部10と第2保持部20とがPPSを材料として形成されているため、従来の金属製のクランプのように、保持する電線やパイプなどを金属により傷つけてしまう虞がない。
【0049】
また、板バネ33は金属製であるため、良好なバネ性を有しており、強い力で取付対象物を挟み込むことができる。また、耐久性が高く、長期間に渡って挟み込む力が維持されるため都合がよい。さらに、係合片34の一部が第1保持部10の内周面に位置しているため、クランプ1に保持される電線等と接触してフレームグランドをとることが可能となる。
【0050】
また、クランプ1を取付対象物40に取り付けたとき、板バネ33が取付対象物40の一方の面40aに押されて変形すると、板バネ33の上面が当接部14と延出部11とに接触するため、板バネ33の変形量を規定することができる。
(4)対応関係
なお、上記実施例における軸受け13および回転軸22が、本発明におけるヒンジ部に相当する。また、上記実施例における第1係止片12および第2係止片21が、本発明における係止部に相当する。
(5)変形例
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明は、上記実施例に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態をとり得ることはいうまでもない。
【0051】
例えば、上記実施例においては、延出部11を備える第1保持部10に取付部材30が設けられる構成を例示したが、第2保持部20に取付部材30が設けられる構成であってもよい。
【0052】
また、上記実施例においては、第1保持部10に軸受け13が設けられ、第2保持部20に回転軸22が設けられる構成を例示したが、第1保持部10に回転軸が設けられ、第2保持部20に軸受けが設けられる構成であってもよい。
【0053】
また、上記実施例においては、延出部11が断面L字型である構成を例示したが、延出部がバネ性を良好に得られる形状であれば、その形状は上述したものに限定されない。延出部が剛性の高い材質で形成されている場合は、第1係止片12がその機能を失わない範囲で延出部の長さを長くすることや、延出部を薄く細く形成することで、バネ性を高めることができる。
【0054】
また、上記実施例においては、第1保持部10にのみ延出部11が設けられる構成を例示したが、図8に示すクランプ1aのように、第2保持部20にも延出部23を形成し、その先端に第2係止片21aを設ける構成としてもよい。
【0055】
このように構成されたクランプ1aでは、第2係止片21aが延出部23に設けられているため、第1係止片12と第2係止片21aとを係止させる際に、延出部11のバネ性のみでなく、延出部23のバネ性をも利用することができる。従って、クランプの開閉を更に容易に行うことができるようになる。
【0056】
また、上記実施例においては、第1保持部10および第2保持部20により、円筒形状が形成される構成を例示したが、第1保持部と第2保持部とを組み合わせることで筒状体が形成されるならば、その形状は円筒形に限定されない。例えば、断面が多角形である筒状体であってもよいし、その多角形の一部が曲線に置き換えられた形状であってもよい。
【0057】
また、上記実施例においては、第1保持部10や第2保持部20を形成する樹脂材料としてPPSを用いる構成を例示した。しかしながら、耐熱性に優れる性質を有していれば、上記樹脂に限定されない。一例として、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリサルフォン(PSU)、ポリエーテルイミド(PEI)などが挙げられるが、それ以外にも多種の樹脂を用いることができる。また、PPSやその他の樹脂をガラス繊維で強化したものを用いてもよい。
【符号の説明】
【0058】
1、1a…クランプ、10…第1保持部、10a…底部、10b、10c…端部、11…延出部、12…第1係止片、13…軸受け、14…当接部、15…係合溝、20…第2保持部、20a、20b…端部、21、21a…第2係止片、22…回転軸、23…延出部、30…取付部材、31…柱部、32…接触部、33…板バネ、33a…基部、33b…曲面部、34…係合片、35…突起、36…貫通孔、40…取付対象物、40a、40b…面、41…貫通孔、41a…切り欠き

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状体を軸方向に沿った面で2分割してなる形状の一対の第1保持部および第2保持部と、
前記第1保持部および前記第2保持部の端部同士を回動可能に連結するヒンジ部と、
前記端部と反対側の端部同士が接触した接触状態を維持する係止部と、を備えるクランプであって、
前記係止部は、前記第1保持部の外周面から延び出してなる延出部に設けられた第1係止片と、前記第2保持部に設けられ、前記第1係止片に係止して前記接触状態を維持する第2係止片と、からなる
ことを特徴とするクランプ。
【請求項2】
前記ヒンジ部は、前記第1保持部および前記第2保持部のうち、いずれか一方の端部に設けられた回転軸と、前記一方とは異なる他方の端部に設けられ、前記回転軸を回動可能に軸支する軸受けと、からなる
ことを特徴とする請求項1に記載のクランプ。
【請求項3】
前記軸受けは、前記回転軸が所定の方向から着脱可能に構成されている
ことを特徴とする請求項2に記載のクランプ。
【請求項4】
前記第1保持部または前記第2保持部に設けられ、外部の取付対象物に取り付けられる取付部材を備える
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のクランプ。
【請求項5】
前記取付部材は、
前記取付対象物に形成された孔に、前記取付対象物の一方の面から挿入される柱部と、
前記柱部に設けられ、前記取付対象物に他方の面から接触する接触部と、
前記取付対象物を前記一方の面から押圧する押圧部材と、からなる
ことを特徴とする請求項4に記載のクランプ。
【請求項6】
前記押圧部材は、金属製の板バネであって、少なくともその一部の領域が前記第1保持部または前記第2保持部の内周面に位置する
ことを特徴とする請求項5に記載のクランプ。
【請求項7】
前記第2係止片は、前記第2保持部の外周面から延び出してなる第2延出部に設けられている
ことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のクランプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−99483(P2011−99483A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−253389(P2009−253389)
【出願日】平成21年11月4日(2009.11.4)
【出願人】(000242231)北川工業株式会社 (268)
【Fターム(参考)】