説明

クロスパージバルブおよび容器の組立体

【課題】クロスパージ性能を有する石英泡立て容器であり、このクロスパージによって、ユーザーは、単に不活性ガスを流すことによって容易に空気および化学製品をバルブ入口およびバルブ出口からパージすることができる。
【解決手段】その設計は、泡立て容器10の入口19および出口21の接続部に取り付けられた少ない設置面積の2つの3方向バルブ7,11を組み入れる。それぞれのバルブの3番目のポートは、クロスパージ管路をともなった複数のバルブの間に一緒に配管される。バルブは、腐食耐性があり、漏れがなく、保全不要であり、不純物の浸出もなく、そして、(アンプルの入口および出口の)石英ブレークシールを突き通すことになる任意選択的なブレークシールクラッシャーを適用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本特許出願は,2008年8月22日に出願された米国仮特許出願第61/091155号の利益を主張するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体製造産業は、周囲状況などの標準温度および圧力の下、貯蔵および計量分配で、固体、液体および蒸気相の一連の化学製品を利用する。これらの化学製品は、それらの化学構造および、それらがそれらの希釈していない形態、もしくは純粋な形態であるか、または溶媒に含まれているかに基づいて、広範囲にわたって変化する蒸気圧および粘性を有することができる。
【0003】
半導体製造産業では、様々な大きさおよび容量の容器から、集積回路、メモリー装置および光起電力装置などの半導体装置を製造するために化学製品を利用する反応チャンバーへ化学製品を分配することによって、化学製品を一般的に利用する。
【0004】
化学容器の大きさに関係なく、そのうちどこかの時点で、半導体製造者は、化学製品を使い果たした化学容器を取り替える、または他の用途の要求のために化学容器を取り外すことが必要になるであろう。
【0005】
半導体製造における化学容器の取り外しまたは取り替えは、軽視される作業ではない。これらの化学製品は、一般的に極めて高純度の状態が要求され、そして、化学製品の容器のそのような取り外しまたは取り替えの間に化学製品純度に影響を与えるかもしれない空気または制御できない外部状況に化学製品をさらすことができないことが多い。
【0006】
さらに、これらの化学製品は、不都合なことに、空気中の水分および/または酸素と反応することが可能であることが多い。そのような反応により、汚染を起こす副産物の不純物が発生する可能性があり、それは、容器もしくは供給管路をふさぐ可能性があり、そして、腐食もしくは不純物または両方を引き起こす可能性がある。半導体製造産業は、構造がコンパクトで単純であり、容器が供給する反応装置の近くで少ない設置面積を有すると同時に、上記で明らかにされた要求を満たすことになる容器および供給装置を捜し求め続けている。本発明は、より十分に、以下に記載されているように、長い間感じられてきたそれらの必要性を満たす。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、高純度プロセス化学製品を貯蔵および分配するための容器およびバルブ−クロスパージの組立体であって、
(A)高純度プロセス化学製品を分配するための、および前記高純度プロセス化学製品を分配するのを補助するキャリヤーガスを導入するための入口および出口を有する、前記高純度プロセス化学製品を含むための容器と、
(B)一方が前記容器の前記入口と接続し、他方が前記容器の前記出口と接続する
(i)第1のバルブ、および
(ii)第2のバルブ、
ならびに
(iii)前記容器からの別々の前記2つのバルブの間に流動体流れの接続を提供する、前記第1のバルブと前記第2のバルブとの間のクロスパージ接続部を含む
バルブ−クロスパージ継手とを含み、
それぞれのバルブは、
(a)前記容器に対する第1のオリフィス、
(b)前記組立体の外部における流動体流れの接続のための導管に対する第2のオリフィス、
および
(c)前記バルブの前記第2のオリフィスから軸方向に第1の距離離して配置された前記クロスパージ接続部に対する第3のオリフィス、
(d)バルブハウジング、ならびに、
(e)前記バルブハウジングの中で、(1)容器開放および(2)クロスパージ開放−容器閉鎖の2つの位置のうちの1つに移動することができる弁棒を有し、
前記弁棒が、
(I)前記容器に対する前記第1のオリフィスを閉鎖するために、第1のバルブ底部で密閉するように構成された第1のバルブ密閉面、
(II)前記第2のオリフィス−前記第1のオリフィス間を閉鎖するために、前記バルブハウジングの内壁で密閉するように構成された、前記弁棒の主要な断面に比較して拡大された断面における第2のバルブ密閉面、および
(III)前記第2のバルブ密閉面を使用して、前記クロスパージ接続部の前記第3のオリフィスと前記第2のオリフィスとの間に流路を形成するために、前記バルブハウジングの内壁で密閉するように構成された、前記弁棒の主要な断面に比較して拡大された断面における第3のバルブ密閉面、
の3つのバルブ密閉面を有し、
前記弁棒上の前記第3のバルブ密閉面から前記第2のバルブ密閉面までの前記軸上の間隔が、(III)に記載された前記流路を形成するように、少なくとも(c)に記載された前記第1の距離と同じである。
【0008】
別の態様では、弁棒は、2つの密閉面のみを有し、第1の密閉面を除外する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1A】図1Aは、相互に反対方向を向いているバルブ出口を有する直線アライメントのバルブ−クロスパージ継手を有する高純度化学容器を説明する本発明の態様の斜視図である。
【図1B】図1Bは、同じ方向を向いているバルブ出口を有するU字型アライメントのバルブ−クロスパージ継手を有する高純度化学容器を説明する本発明の態様の斜視図である。
【図2】図2は、図1の容器および継手の断面図である。
【図3A】図3Aは、クロスパージ位置のバルブ−クロスパージ継手におけるバルブの1つの断面図である。
【図3B】図3Bは、生成物計量分配位置のバルブ−クロスパージ継手におけるバルブの1つの断面図である。
【図4】図4は、バルブ−クロスパージ継手のバルブを組み立てる部品の分解図である。
【図5】図5は、バルブ−クロスパージ継手のバルブにおける弁棒の分離平面図である。
【図6】図6は、2つのみの密閉面を有するバルブ−クロスパージ継手のバルブにおける弁棒の別の分離平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、容器の非計量分配モードの間におけるバルブの改良された流れの調節およびパージクリーニングを備えた高純度プロセス化学製品用の容器に向いている。
【0011】
これらのタイプの容器は、半導体製造産業、光起電力産業および、正確な制御ならびに、装置の清浄度およびプロセス化学製品の純度が高いことが重要である他の産業で使用されることが多い。
【0012】
半導体製造産業では、ガラス、とくに石英またはステンレス鋼などの金属で、これらの容器を一般的に組み立てる。粒子を除去するために、そして清浄化することを容易にし、プロセス化学製品の望まない表面収着をしにくくする平滑な面を作り出すために、鋼鉄容器を一般的に電解研磨するかまたは表面処理する。
【0013】
半導体製造産業の高純度プロセス化学製品は、好ましくは10億部当たり複数部(ppb)以下のレベルの金属不純物の仕様を一般的に有し、好ましくは、有機物などの他の汚染物質の含有量は、その産業で使用されている分析装置の検出限界またはそれよりも低い。
【0014】
高純度プロセス化学製品には、オキシ塩化リン(POCl3)、テトラエチルオルソシリケート、トリメチルリン酸、トリエチルリン酸、トリメチル亜リン酸、トリメチルボレート、トリエチルボレート、1,2ビス(メチルシリル)エタン、ジエチルシラン、テトラメトキシゲルマン、テトラメチルシクロテトラシロキサン、テトラキス−ジエチルアミドハフニウム、テトラキス−ジメチルアミノシラン、テトラキス(ジエチルアミノ)チタン、テトラキス(ジメチルアミノ)チタン、チタンテトラクロリド、ジメチルアルミニウムヒドリド、ジメチルアルミニウムヒドリド・DMEA、ジメチルアルミニウムヒドリド・TMA、ジメチルエチルアミンアラン、安定化ジメチルエチルアミンアラン、フルオロトリエトキシシラン、1,2ビス(メチルジフルオロシリル)エタン、1,2ビス(トリフルオロシリル)エタン、ポリ(アリーレンエーテル)重合体、タンタルペンタエトキシド、チタンイソプロポキシド、タンタルテトラエトキシドジメチルアミノエトキシド、バリウムストロンチウムチタン酸塩、テルブチルイミドトリス(ジエチルアミド)タンタル、トランス1,2−ジクロロエチレン、1,1,1−トリクロロエタン、メチレンクロリド、トリフルオロ無水酢酸、トリエチルひ酸、三臭化ホウ素、三酸化アンチモン、三臭化リン、三塩化リン、赤リン、ひ素、三酸化アンチモン、テトラキス(ジメチルアミノ)チタン、テトラキス(ジエチルアミノ)チタン、テトラキス(エチルメチルアミノ)チタン、テトラキス(ジメチルアミノ)ジルコニウム、テトラキス(ジエチルアミノ)ジルコニウム、テトラキス(エチルメチルアミノ)ジルコニウム、テトラキス(ジメチルアミノ)ハフニウム、テトラキス(ジエチルアミノ)ハフニウム、テトラキス(エチルメチルアミノ)ハフニウム、tert−ブチルイミノトリス(ジエチルアミノ)タンタル、tert−ブチルイミノトリス(ジメチルアミノ)タンタル、tert−ブチルイミノトリス(エチルメチルアミノ)タンタル、エチルイミノトリス(ジエチルアミノ)タンタル、エチルイミノトリス(ジメチルアミノ)タンタル、エチルイミノトリス(エチルメチルアミノ)タンタル、tert−アミルイミノトリス(ジメチルアミノ)タンタル、tert−アミルイミノトリス(ジエチルアミノ)タンタル、ペンタキス(ジメチルアミノ)タンタル、tert−アミルイミノトリス(エチルメチルアミノ)タンタル、ビス(tert−ブチルイミノ)ビス(ジメチルアミノ)タングステン、ビス(tert−ブチルイミノ)ビス(ジエチルアミノ)タングステン、ビス(tert−ブチルイミノ)ビス(エチルメチルアミノ)タングステン、トリス(tert−ペントオキシ)シラノール、2,5−ノルボルナジエンおよびバイサイクル−2,2,1−ヘプタ−2,5−ジエンがあり得る。
【0015】
上に列挙された高純度プロセス化学製品および半導体製造産業で使用される他の高純度プロセス化学製品の少なくともいくつかで、高純度プロセス化学製品が充填された容器を取り付けたり、取り外したり、変更したり、または取り替えたりすることができることが重要であり、そして、高純度プロセス化学製品が、水分に反応しやすく、酸素に反応しやすく、極めて高純度のレベルおよび/または不純物のないことを要求する場合、これは技術的課題のひとつを構成する。上記の容器を取り外す際、バルブや導管の中に残っているどのような高純度プロセス化学製品も、取り外している間、望ましくない雰囲気と接触し、そして、不純物を作り出したり、固体副産物を生み出したり、または腐食させるおよび/もしくは有害な副産物を作り出す可能性が潜在的にある。
【0016】
本発明の利益は、バルブ−クロスパージ継手の構成であり、これにより、単純でコンパクトなデザインのバルブが計量分配機能およびクロスパージ機能で作動することができ、その結果、キャリヤーガスまたは押出しガスが、高純度プロセス化学製品にさらされてきたバルブ内面から高純度プロセス化学製品を除去し、そして、外部の雰囲気にそれらのバルブ内面をさらす可能性のある容器またはバルブのどのような取り外しの前にも、上記の残留化学製品を追い出す。上記雰囲気が再接続の際に捕獲される可能性のあるバルブ内部に高純度プロセス化学製品を流す前に、再接続の後におけるバルブ内部からの上記雰囲気の同様なパージング(追い出し)が可能である。
【0017】
様々な図を参照して特定の態様で本発明を説明しよう。
【0018】
図1Aおよび図1Bに、容器およびバルブ−クロスパージの組立体1が示されており、石英容器10およびバルブ−クロスパージ継手3を含む。組立体は、レベルセンサー、上流配管および下流配管の接続部、重量計ならびに電子センサーなどの本発明の記述に重要でない他の普通の特徴を含むことができることが理解されるべきである。図1Aでは、バルブ−クロスパージ継手3は、直線の接続部および相互に反対の方向を向いているバルブ出口を有する。一方、図1Bでは、バルブ−クロスパージ継手3は「U」字型の接続部および同じ方向を向いているバルブ出口を有しており、操作者の組み立ておよび取り外しを容易にする。
【0019】
図2には、図1の容器およびバルブ−クロスパージの組立体の断面が示され、そこには、容器10が、バルブ7およびバルブ11を含むバルブ−クロスパージ継手3を備えている。バルブ7は、容器10と接続された第1のオリフィス27を有し、これにより、バルブ7と容器10の内部との間を流動体流れの接続が、容器10の底25のすぐ近くを終端にしディップチューブ23と接続された容器入口19を通ることができる。これにより、この構成で、キャリヤーガスまたは押出しガスは、加圧されたキャリヤーガスまたは押出しガスのガス源と接続できるバルブ7の第2のオリフィス5に入ることができ、ディップチューブ23の終端から気泡を出して、そして、好ましくは液体高純度プロセス化学製品を運び出し、容器出口21を通って分配するためのガスにする。バルブ7は、また、そのバルブハウジング17に第3のオリフィス13aを有し、バルブハウジング17は、2つのバルブ7と11の間のクロスパージ接続部13cの一部を形成する。
【0020】
バルブ11は、ハウジング15、容器出口21に接続された第1のオリフィス29、集積回路または太陽電池構造体などの半導体装置の製造で高純度プロセス化学製品を消費する下流反応装置に一般的に接続される第2のオリフィス9、2つのバルブ7と11の間のクロスパージ接続部13cの一部を形成するそのバルブハウジング15の第3のオリフィス13bを含む同じような鏡像特徴を有する。
【0021】
図3Aおよび3Bは、分離されたバルブ11の断面を示す。しかし、容器10へのその接続部および不図示の外部配管源は別として、構造的にバルブ11はバルブ7の鏡像であることに留意すべきである。バルブ本体15および弁棒31を有するバルブ11が示される。バルブ11は、容器出口21と接続できる第1のオリフィス29、高純度プロセス化学製品を消費するための反応装置などの、組立体の外部における流動体流れの接続のための導管と接続できる第2のオリフィス、および図2で説明したクロスパージ接続部13cと接続できる第3のオリフィス13bを有する。バルブハウジングで、相互に真向かいにならないように、または相互にそばに配置されないように、第2のオリフィス9は、バルブハウジングに沿って軸方向に第3のオリフィス13bから「第1の距離」の間隔をあけて配置される。弁棒31は、バルブハウジング15の第1のバルブ底部35で密閉するように構成される第1のバルブ密閉面33を有し、容器出口21からバルブを通って第2のオリフィス9へ向かう流動体の流れを密閉または閉じることができる。
【0022】
弁棒31は、弁棒の主要な断面31に比べて拡大された断面における第2のバルブ密閉面37を有し、第2のバルブ密閉面37は、バルブハウジング15の内壁38で密閉するような大きさおよび構成にされ、図3Aの位置では、第2のオリフィス9−第1のオリフィス29間を閉鎖し、そして、図3Bの位置では、第2のオリフィス9−第3のオリフィス13b間を閉鎖する。
【0023】
弁棒31は、弁棒の主要な断面31に比べて拡大された断面における第3のバルブ密閉面39を有し、第3のバルブ密閉面39は、バルブハウジング15の内壁38で密閉するような大きさおよび構成にされ、ねじ部43に最も近い密閉39より上のバルブを密閉する。
【0024】
第3のバルブ密閉面39から第2のバルブ密閉面37までの軸方向の間隔は、上述の、第2のオリフィス9および第3のオリフィス13bの軸方向の間隔である「第1の距離」と少なくとも同じである。したがって、クロスパージ接続部13cの第3のオリフィス13bと第2のオリフィス9との間に流動体流路40を形成するように、第2のオリフィス9の開口部6の軸中心および第3のオリフィス13bの開口部14の軸中心は、好ましくは、バルブハウジング15の軸長さに沿って、弁棒31上の相互にとって最も近い端である第2のバルブ密閉面37の端から第3のバルブ密閉面39の端までの距離に等しい間隔を有する。バルブ面およびバルブ密閉面のそれぞれの位置でのバルブ機能をさらに可能にする他の軸上の間隔を考え、その結果、図3Aに示すように、軸上の間隔を第1の距離よりも大きくしたり小さくしたりすることを考えることができる。
【0025】
この流動体流路40により、キャリヤーガスまたは押出しガスが、第1のバルブ7の第2のオリフィス5から、それぞれのバルブの第3のオリフィス13aと13bおよびクロスパージ接続部13cを通り、バルブ11を通って流れることが可能になる。その結果、容器およびバルブ−クロスパージの組立体を取り外したり、変更したりする前に、どのような高純度プロセス化学製品も両方のバルブから流し出し、同様に、再接続の後で高純度プロセス化学製品が流れる前に周囲の雰囲気を除去することが容易になる。そして、高純度プロセス化学製品の計量分配を始める。第2のバルブ密閉面37は、好ましくは、第1のバルブ密閉面33が第1のバルブ底部35と接触する場合、第2の密閉面37によって開口部6が、流動体流路40を通る開口部14との流動伝達を有することが可能となるように軸方向に寸法をとる。第2のバルブ密閉面37が、開口部6が完全に開くのに適した軸上の寸法を、または図3Aの位置の場合に開口部6と14の十分な流動伝達が可能となる、より大きなもしくはより小さな寸法のいずれかを有することができることが考えられる。弁棒31のねじ部43の移動は、好ましくは、第2のバルブ密閉面37が、バルブハウジング15の寸法に関して第2のバルブ密閉面37の一定の軸上の長さの間を、図3Bに示す位置から図3Aに示す位置まで軸方向に動くことが可能であれば十分である。
【0026】
図4は、バルブ11の分解図であり(バルブ7はバルブ11の鏡像である)、第1のオリフィス29、反応装置への流動体流れのためのパイプまたは導管と密閉可能に接続するための圧縮ナット8を有する第2のオリフィス9、およびクロスパージ接続部13cと密閉可能に接続するための圧縮ナット16を有する第3のオリフィス13bを有するバルブハウジング15と、バルブハウジング15の同様なねじ部と係合し、バルブハウジング15に対して弁棒31の軸上の動きを可能とするねじ部43、第1のバルブ密閉面33、弁棒の主要な断面31に比べて拡大された断面を明らかに示す第2のバルブ密閉面37、および弁棒の主要な断面31に比べて拡大された断面を明らかに示す第3のバルブ密閉面39を有する弁棒31とを示す。同時に、第2のバルブ密閉面37および第3のバルブ密閉面39は弁棒31の領域53を画定し、それは、バルブハウジング15と協働して流動体流路40を形成する。領域53を弁棒31と同一または同様の断面寸法であるようにすることができ、または、流動体流路40全体をより大きくするために、領域53は、弁棒31よりも小さな断面寸法であるようにすることができる。
【0027】
意図したとおりに機能を果たすために十分な寸法の流動体流路40を形成するため、領域53が、第2のバルブ密閉面37および第3のバルブ密閉面39よりも小さな断面寸法を有する限り、意図して領域53が弁棒31よりも大きな断面寸法になるようにすることもできる。
【0028】
弁棒31は、バルブハウジング15の穴の中に、割りワッシャー49および圧縮ナット47で密閉可能に設置される。図5および6に示すように弁棒31の穴51に通され、その穴の中で真ん中にくるようにされたハンドル45で、弁棒31をその軸上に回転する。
【0029】
どちらのバルブ7または11の弁棒31もブレークシール穴あけ突き錐41を外側に取り付けることができ、それは、弁棒が、入口および/または出口にブレークシールを有する容器10へ向かって軸方向に最初に下げられたとき、入口および/または出口を一時的に封鎖している壊れやすいシールに穴を開け、容器に貯蔵されていた高純度プロセス化学製品を、バルブ7と11の機構を経て計量分配することができる。ブレークシールは、一般的に、充填された容器の入口および/または出口全体にわたる、工場取り付けの壊れやすいガラス膜または石英膜であり、バルブが、容器およびバルブ−クロスパージの組立体の計量分配状態、パージ状態および閉鎖状態から定期的に切り替える必要がある場合の積極的な使用の前に、ユーザーに安全かつ清浄な追加の方法を与える。
【0030】
図5に穴51を示す。図5は、分離状態の弁棒31の平面図を説明し、バルブハウジング15の中の同じような部分と係合するねじ部43、領域53および密閉面33、37および39を示す。
【0031】
図6は、分離状態の別の態様の弁棒31の平面図を説明し、バルブハウジング15の中の同じような部分と係合するねじ部43、領域53、そして、密閉面37(この態様で下方バルブ密閉面)および39(この態様で上方バルブ密閉面)のみを有することを示す。この別の態様では密閉面33を使用せず、密閉面37によって容器を密閉する。
【0032】
以前に述べたように、とくにバルブ11に関してバルブ−クロスパージ継手を記述してきた。しかし、バルブ7も、バルブ11に対する鏡像で単に配置された同じような特徴を有することは明らかであり、そして同じような方法または同じ方法で機能を果たすこれらの特徴を別々に記述する必要ない。
【0033】
容器およびバルブ−クロスパージの組立体を記述し、液体高純度プロセス化学製品の貯蔵および計量分配に関して説明してきた。そこでは、バルブ7は、キャリヤーガスを、ディップチューブ23を通して容器10の中に導入し、液体高純度プロセス化学製品に気泡を発生通過させ、そして、蒸気計量分配のために、バルブ11を通って出て行く前に化学製品を運び出してガスにする。しかし、バルブ11を通って、容器10の液体高純度プロセス化学製品の上の上部空間へ導入された押出しガスを使用して、バルブ7から外への液体計量分配のために液体化学製品を押してディップチューブ23を登らせるために、容器およびバルブ−クロスパージの組立体を操作することができるとさらに考える。これは、バルブ7およびバルブ11における第2のオリフィスの接続部を相互の間で単に交換するだけで達成される。
【0034】
キャリヤーガスもしくは押出しガスは、高純度プロセス化学製品を容器から取り出すのに十分な高圧の、一般的に窒素、ヘリウム、アルゴンまたはそれらの混合ガスなどの不活性ガスである。また、反応ガスは、たとえば、水素ガスが考えられる。
【0035】
一態様では、本発明は、泡立て容器の入口弁棒および出口弁棒(相互の鏡像)に取り付けられた同一の3方向バルブを有する1.5Lの石英泡立て容器から成る。それぞれの3方向バルブは、クロスパージ接続パイプを経て反対側のバルブのクロスパージオリフィスに向けて配管されているクロスパージオリフィスを有する。
【0036】
両方のバルブが十分に閉鎖している状態である場合、クロスパージ接続部は、泡立て容器およびバルブ−クロスパージの組立体の入口および出口を構成するバルブの第2のオリフィスと連通している。これにより、組立体の入口または泡立て容器入口に取り付けられたバルブの第2のオリフィスから、クロスパージ接続部をわたって、そして組立体の出口または泡立て容器出口に取り付けられたバルブの第2のオリフィスを出て行く不活性ガスの流れのための通り道ができる。
【0037】
入口バルブハンドルを開放位置に向けて回した場合(反時計回り)、弁棒の移動によって、最初に、クロスパージ接続部と接続している第3のオリフィスが十分閉鎖されるようになり、開放位置へさらに移動すると、その後、バルブをわたって、泡立て容器入口からディップチューブへの通り道が十分開放される。同様に、泡立て容器の出口と接続しているバルブのハンドルを開放位置に向けて回転した場合(反時計回り)、弁棒の移動により、最初に、クロスパージ接続部と接続している第3のオリフィスが十分閉鎖されるようになり、そして、その後、十分な開放に向けてのその後に続く追加の移動により、泡立て容器の出口からの通り道が開放されることになり、これにより、出口と泡立て容器のヘッドスペース(蒸気空間)との間が十分流れるようになる。
【0038】
十分閉鎖された位置から十分開放された位置へ弁棒が移動している間、3つのバルブオリフィスの全てが、同時に流動体流れ伝達の状態になることはない。3つのオリフィスの全てのそのような望ましくない同時の流動体流れ伝達によって、2以上の移動の通り道がバルブを通ることがあり、それによって、液体化学製品が押されてディップチューブを登り、入口またはクロスパージ接続部の中に入ることがある。弁棒またはクロスパージ接続部内の液体を除去することが困難である場合があり、それによって、泡立て容器につながっていない間に、化学製品の危険な放出が起こる可能性がある。上述したように、先行技術の容器およびバルブの組立体に本来備わっているこの問題は本発明によって克服された。
【0039】
以下、表1で説明するように、本発明の組立体の構成部分を、交互にモネル(Monel)合金、インコロイ(Incoloy)合金、ハステロイ(Hastelloytm)合金から製造することができる。
【0040】
【表1】

【表2】

【0041】
さらに、表2に一覧されていないハステロイ合金はハステロイB3であり、それは、Ni−65%、Mo−28.5%、Cr−1.5%、Fe−1.5%、Co−3%、W−3%、Mn−3%、Al−0.5%、Ti−0.2%、Si−0.1%およびC−0.01%(wt%)の成分を有する。
【0042】
また、もっぱら、またはポリフッ化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリエーテル−エーテルケトン、ポリイミド、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレンの共重合体およびペルフルオロアルコキシ樹脂を含む重合体/プラスチックの密閉面などの様々な構成部分で、本発明の組立体を製造することができる。
【0043】
他の可能性のある構造材料には、ステンレス鋼、真ちゅう、ニッケル、銅、ガラス、石英およびそれらの混合物がある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高純度プロセス化学製品を貯蔵および分配するための容器およびバルブ−クロスパージの組立体であって、
(A)高純度プロセス化学製品を分配するための、および前記高純度プロセス化学製品を分配するのを補助するキャリヤーガスを導入するための入口および出口を有する、前記高純度プロセス化学製品を含むための容器と、
(B)一方が前記容器の前記入口と接続し、他方が前記容器の前記出口と接続する
(i)第1のバルブ、および
(ii)第2のバルブ、
ならびに
(iii)前記容器からの別々の前記2つのバルブの間に流動体流れの接続を提供する、前記第1のバルブと前記第2のバルブとの間のクロスパージ接続部を含む
バルブ−クロスパージ継手とを含み、
それぞれのバルブは、
(a)前記容器に対する第1のオリフィス、
(b)前記組立体の外部における流動体流れの接続のための導管に対する第2のオリフィス、
および
(c)前記バルブの前記第2のオリフィスから軸方向に第1の距離離して配置された前記クロスパージ接続部に対する第3のオリフィス、
(d)バルブハウジング、ならびに、
(e)前記バルブハウジングの中で、(1)容器開放および(2)クロスパージ開放−容器閉鎖の2つの位置のうちの1つに移動することができる弁棒を有し、
前記弁棒が、
(I)前記容器に対する前記第1のオリフィスを閉鎖するために、第1のバルブ底部で密閉するように構成された第1のバルブ密閉面、
(II)前記第2のオリフィス−前記第1のオリフィス間を閉鎖するために、前記バルブハウジングの内壁で密閉するように構成された、前記弁棒の主要な断面に比較して拡大された断面における第2のバルブ密閉面、および
(III)前記第2のバルブ密閉面を使用して、前記クロスパージ接続部の前記第3のオリフィスと前記第2のオリフィスとの間に流路を形成するために、前記バルブハウジングの内壁で密閉するように構成された、前記弁棒の主要な断面に比較して拡大された断面における第3のバルブ密閉面、
の3つのバルブ密閉面を有し、
前記弁棒上の前記第3のバルブ密閉面から前記第2のバルブ密閉面までの前記軸上の間隔が、(III)に記載された前記流路を形成するように、少なくとも(c)に記載された前記第1の距離と同じである。
【請求項2】
前記弁棒が、前記第1のオリフィスに近い前記弁棒の端にブレークシールプランジャを有する請求項1に記載の組立体。
【請求項3】
前記バルブハウジングにおける前記弁棒の回転で、前記(1)容器開放および(2)クロスパージ開放−容器閉鎖位置に、前記バルブハウジングの内部で軸方向に動くように、前記弁棒が前記バルブハウジングと螺合する請求項1に記載の組立体。
【請求項4】
前記バルブハウジングの構造材料が、ステンレス鋼、プラスチック、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン共重合体およびペルフルオロアルコキシ樹脂、ポリフッ化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリエーテル−エーテルケトンもしくはポリイミド、モネル(Moneltm)合金、ハステロイ(Hastelloytm)合金、インコロイ(Incoloytm)合金、真ちゅう、ニッケル、銅、ガラス、石英およびそれらの混合物から成る群から選択される請求項1に記載の組立体。
【請求項5】
前記弁棒の構造材料が、ステンレス鋼、プラスチック、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン共重合体およびペルフルオロアルコキシ樹脂、ポリフッ化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリエーテル−エーテルケトンもしくはポリイミド、モネル(Moneltm)合金、ハステロイ(Hastelloytm)合金、インコロイ(Incoloytm)合金、真ちゅう、ニッケル、銅、ガラス、石英およびそれらの混合物から成る群から選択される請求項1に記載の組立体。
【請求項6】
前記容器の構造材料が、ステンレス鋼、プラスチック、ポリテトラフルオロエチレン、モネル(Moneltm)合金、ハステロイ(Hastelloytm)合金、インコロイ(Incoloytm)合金、真ちゅう、ニッケル、銅、ガラス、石英およびそれらの混合物から成る群から選択される請求項1に記載の組立体。
【請求項7】
前記容器入口が、前記容器の内部へ突き出し、前記容器の底のすぐ近くを終端にするディップチューブを有する請求項1に記載の組立体。
【請求項8】
前記容器中の高純度プロセス化学製品のレベルを示すことが可能なレベルセンス機構を有する請求項1に記載の組立体。
【請求項9】
第2のオリフィス9の開口部の前記軸上の中心と第3のオリフィスの開口部の前記軸上の中心とが、前記バルブハウジングの前記軸上の長さに沿って、前記弁棒上の相互に最も近い第2のバルブ密閉面の前記端から第3のバルブ密閉面の端までの前記距離に等しい間隔を有する請求項1に記載の組立体。
【請求項10】
前記第1のバルブが、前記第1のバルブの第1のオリフィスで前記容器入口と接続され、前記第1のバルブの第2のオリフィスが、キャリヤーガス源と接続される請求項7に記載の組立体。
【請求項11】
前記第2のバルブが、前記第2のバルブの第1のオリフィスで前記容器出口と接続され、前記第2のバルブの第2のオリフィスが、前記高純度化学製品を消費することができる反応装置と接続される請求項10に記載の組立体。
【請求項12】
高純度プロセス化学製品を貯蔵および分配するための容器およびバルブ−クロスパージの組立体であって、
(A)高純度プロセス化学製品を分配するための、および前記高純度プロセス化学製品を分配するのを補助するキャリヤーガスを導入するための入口および出口を有する、高純度プロセス化学製品を含むための容器と、
(B)一方が前記容器の前記入口と接続し、他方が前記容器の前記出口と接続する
(i)第1のバルブ、および
(ii)第2のバルブ、
ならびに
(iii)前記容器からの別々の前記2つのバルブの間に流動体流れの接続を提供する、前記第1のバルブと前記第2のバルブとの間のクロスパージ接続部を含む
バルブ−クロスパージ継手とを含み、
それぞれのバルブは、
(a)前記容器に対する第1のオリフィス、
(b)前記組立体の外部における流動体流れの接続のための導管に対する第2のオリフィス、
および
(c)前記バルブの前記第2のオリフィスから軸方向に第1の距離離して配置された前記クロスパージ接続部に対する第3のオリフィス、
(d)バルブハウジング、ならびに、
(e)前記バルブハウジングの中で、(1)容器開放および(2)クロスパージ開放−容器閉鎖の2つの位置のうちの1つに移動することができる弁棒を有し、
前記弁棒が、
(I)前記第2のオリフィス−前記第1のオリフィス間を閉鎖するために、前記バルブハウジングの内壁で密閉するように構成された、前記弁棒の主要な断面に比較して拡大された断面における下方バルブ密閉面、および
(II)前記下方バルブ密閉面を使用して、前記クロスパージ接続部の前記第3のオリフィスと前記第2のオリフィスとの間に流路を形成するために、前記バルブハウジングの内壁で密閉するように構成された、前記弁棒の主要な断面に比較して拡大された断面における上方バルブ密閉面、
の2つのバルブ密閉面を有し、
前記弁棒上の前記上方バルブ密閉面から前記下方バルブ密閉面までの前記軸上の間隔が、(III)に記載された前記流路を形成するように、少なくとも(c)に記載された前記第1の距離と同じである。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−48415(P2010−48415A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−188405(P2009−188405)
【出願日】平成21年8月17日(2009.8.17)
【出願人】(591035368)エア プロダクツ アンド ケミカルズ インコーポレイテッド (452)
【氏名又は名称原語表記】AIR PRODUCTS AND CHEMICALS INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】7201 Hamilton Boulevard, Allentown, Pennsylvania 18195−1501, USA
【Fターム(参考)】