説明

グレーチングの取付構造

【課題】グレーチングのがた付きを防止すると共に、グレーチング上を横断する車両や歩行者により発電させて標識を発光させ、夜間での識別が容易に行えるようにする。
【解決手段】側溝1の開口部上縁の段部3に押圧圧電素子4を介在させてグレーチング1を装着し、押圧圧電素子4にパッドとしての機能を持たせてグレーチング1のがた付きを防止すると共に、車両や歩行者がグレーチング上を横断するとき、押圧圧電素子4を発電させて標識を形成する発光ダイオードを発光させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として道路脇の側溝や道路の横断溝に装着されるグレーチングの取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
グレーチングは、その多くが鋼製で、道路脇の側溝に埋設した同じ鋼製の受枠に装着されるが、受枠に隙間なく装着することは困難で、一部が受枠から浮き上がって、その上を車両が駐車等のために横断したり、歩行者が歩行するとき、グレーチングが受枠に当たることにより、がた付き音を生じがちである。がた付き防止のためグレーチングと受枠の間に金属材或いはゴムよりなるマットを介装したものも知られる(特許文献1及び2)。
【0003】
グレーチングが装着される側溝にはまた、その近くに車両や歩行者の進行方向を示す標識や看板が取付けられていることがあり、その多くは蛍光塗料により或いはライトアップされて夜間でも識別できるようにされている。道路の横断溝に装着されるグレーチングの近くの路面上にも同様、蛍光塗料により矢印、ライン、横断歩道、制限時速等の道路標示がされている。
【0004】
一方、雪国では、冬季の除雪対策が日常生活を送る上での重要な課題となっている。幹線の道路では除雪車による雪掻きが行われているが、側溝やその付近等、車両や歩行者の通行に余り支障を生じないところは、雪掻きされた雪が溜まって放置され、車両や人の出入りに支障を生じる場所においてのみ人手により除雪が行われている実情にある。
【特許文献1】特開平8−49286号
【特許文献2】特開2005−320768号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、グレーチング上を車両や歩行者が横断することにより発電させると共に、グレーチングのがた付きを防止し、前者によりグレーチング近くに設置した標識や看板、更には路面に取付けた発光体を発光させ、或いはグレーチング近くに埋設した電熱線を発熱させて融雪できるようにしたグレーチングの取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明は、道路脇の側溝や道路の横断溝にグレーチングをがた付き防止用のマットを介在させて装着したグレーチングの取付構造において、前記マットが押圧圧電素子で構成されるか、或いは該パッドに押圧圧電素子を組付け、該圧電素子をグレーチング近くの標識、路面の道路標示を構成する、例えばLED等の発光体、或いは標識や看板等を照らすライト又はブザーに接続することを特徴とし、
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明の押圧圧電素子を発光体に接続する代りにグレーチング近くの路面、歩道或いは敷地に埋設した電熱線に接続することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によると、グレーチングが押圧圧電素子よりなるか、押圧圧電素子を組み込んだマットで支持されることにより、グレーチングのがた付きが防止できること、グレーチング上を車両が横断し、或いは歩行者が歩行することによって電力が発生し、標識や看板、道路標示等の発光体を発光させてこれらの識別が夜間でも容易に行えるようになること、ブザーを鳴らすことで、付近の歩行者や車両の運転者に注意を促すことができるようになること、また電熱線に電力を供給して発熱させることにより、融雪を行い、除雪を不要にすることもできること等の効果を奏する。照明や融雪の電力不足となるときには、バッテリーに充電させ、一定時間、例えば照明電源として使用する場合には、夜間にバッテリーから発光体に電気エネルギーを供給させるようにするとよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態のグレーチングの支持構造について図面により説明する。
図1は、グレーチング2の使用例の一つである側溝1に装着したグレーチング2の取付構造を示すもので、グレーチング2は、側溝1の開口部上縁の段部3に押圧圧電素子を組み込んだがた付き防止材、好ましくはゴム製の弾性マット4を介在させてがた付きがないように装着してある。このマット4は、図2に示す例では、グレーチング2の側縁に固定したベースプレート5に例えばボルト、リベット或いは接着剤や両面粘着テープにより取付けられるが、側溝1の段部3に接着剤や両面粘着テープを用いて取付けてもよく、またベースプレート5と段部3のいずれにも固定しないでグレーチング装着時に段部3に単に装着しておくだけでもよい。
【0009】
図3は、グレーチング2にベースプレート5に代えて角パイプ状の嵩上げ材7を取付けた例、図4は、溝型鋼の嵩上げ材9を取付けた例、図5は、断面台形のパイプ状嵩上げ材11を取付けた例、図6は、グレーチング2の端板6にL形断面の嵩上げ材13を一体形成した例をそれぞれ示すものであり、図7は、グレーチング2の端板を山形鋼とし、該端板15の水平部15aを側溝17の開口部上縁に押圧圧電素子4を介在させて装着したグレーチング2の取付構造を示すものである。
【0010】
図1〜図6に示す実施形態では、マット4は、段部3と嵩上げ材5、7、8、11、13との間に介在させているが、段部3に受枠を取付け、該受枠と嵩上げ材との間に介在させるようにしてもよい。
【0011】
図8は、押圧圧電素子で発電した電力の使用例を示すもので、グレーチング近くには車両21の進行方向を示す矢印の標識22が立ててあり、矢印は、発光ダイオード23で形成され、車両21がグレーチング2上に乗り入れると、その押圧力で押圧圧電素子が発電し、その電力が発光ダイオード23に供給されて発光ダイオード23を発光させ、矢印が夜間でも識別できるようにしてある。
【0012】
上記実施形態では、標識22に発光ダイオード23が取付けられているが、別の実施形態では、路面に矢印、ライン(白線)、横断歩道、制限時速等を表示する道路標示が発光ダイオードで形成され、更に別の実施形態では、看板にライトアップするライトが取付けられ、押圧圧電素子で発電した電力がライトに供給される。ライトの電力が不足するときには、押圧圧電素子とライトとの間にバッテリーを設けて昼間、押圧圧電素子で発電した電力を充電し、夜間ライトに供給される電力の不足分を補うようにするとよい。
【0013】
更に別の実施形態では、圧電素子で発電した電力でブザーを鳴らし、車両や人がグレーチング上を横断することを知らせる。車庫入れのため車両が側溝を超え、歩道に乗り入れるとき、ブザーが鳴ることで歩行者の注意を喚起させることができる。
【0014】
図9は、歩行者25がグレーチング2上を歩行するときに発光ダイオード23を発光させる態様を示している。
【0015】
図10及び図11は、押圧圧電素子で発電した電力の別の使用例を示すもので、グレーチング近くには、電熱線を組み込んだ発熱板27が敷設され、発熱板27と押圧圧電素子4との間には、図示していないがバッテリーが設けられ、車両21や歩行者25の横断に伴い押圧圧電素子4で発電した電力がバッテリーに充電されるようにしてあり、積雪時にバッテリーに一定量の電力が充電されたとき、放電して発熱板27を発熱させ、発熱板上の積雪を融雪できるようになっている。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】側溝に装着したグレーチングの取付構造を示す断面図。
【図2】図1に示すグレーチングの斜視図。
【図3】グレーチングの取付構造の別の例の要部を示す断面図。
【図4】グレーチングの取付構造の更に別の例の要部の断面図。
【図5】グレーチングの取付構造の更に別の例の要部の断面図。
【図6】グレーチングの取付構造の更に別の例の要部の断面図。
【図7】グレーチングの取付構造の他の例の要部の断面図。
【図8】押圧圧電素子で発電した電力の一使用例を示す図。
【図9】押圧圧電素子で発電した電力の別の使用例を示す図。
【図10】歩行者が歩行するときの使用例を示す図。
【図11】歩行者が歩行するときの別の使用例を示す図。
【符号の説明】
【0017】
1、17・・側溝
2・・グレーチング
3・・段部
4・・弾性マット
5・・プレート
6、15・・端板
7、9、11、13・・嵩上げ材
21・・車両
22・・標識
23・・発光ダイオード
25・・歩行者
27・・発熱板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路脇の側溝や道路の横断溝にグレーチングをがた付き防止材を介在させて装着したグレーチングの取付構造において、前記がた付き防止材が押圧圧電素子で構成されるか、或いは該がた付き防止材に押圧圧電素子を組付け、該圧電素子をグレーチング近くの標識、路面の道路標示を構成する発光体、看板を照らすライト又はブザーに接続することを特徴とするグレーチングの取付構造。
【請求項2】
前記押圧圧電素子を発光体に接続する代りにグレーチング近くの路面、歩道或いは敷地に埋設した電熱線に接続することを特徴とする請求項1記載のグレーチングの取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−221668(P2009−221668A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−64344(P2008−64344)
【出願日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願人】(000133294)株式会社ダイクレ (65)
【Fターム(参考)】