説明

コネクタ

【課題】電線にかかる負荷を低減し且つ小型化を図ることができるコネクタを提供する。
【解決手段】コネクタ1は、互いに平行に並べられた複数の端子金具5と、該複数の端子金具5を内側に収容するコネクタハウジングとを備えている。複数の端子金具5は、それぞれ、図示しない相手方のコネクタの端子金具と電気的に接続する電気接触部8と、電線2が電気的に接続される電線接続部9とを一体に備えて、L字状に形成されている。また、複数の端子金具5は、当該複数の端子金具5の並ぶ方向Xの一方側から他方側に向かうにしたがって、前記電線接続部9の長さが長くなるように形成されている。そして、電線接続部9には、当該電線接続部9の端部9aから前記複数の端子金具5の並ぶ方向Xの一方側に向かって延び且つ当該電線接続部9の長手方向と交差した格好で、電線2が接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電線の接続等に使用されるコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
移動体としての自動車には、多種多様な電子機器が搭載されている。このため、前記自動車は、前記電子機器に電力や制御信号などを伝送するために、ワイヤハーネスを配索している。ワイヤハーネスは、複数の電線と、コネクタと、を備えている。電線は、導電性の芯線と、該芯線を被覆する絶縁性の被覆部と、を備えた所謂被覆電線である。そして、これらの電子機器とワイヤハーネスとは、それぞれが備えたコネクタ同士が嵌合することにより接続されている。
【0003】
前述したコネクタとして、例えば、前記複数の電線各々の端末に接続された複数の端子金具と、該複数の端子金具を収容するコネクタハウジングと、を備えたコネクタが用いられている(例えば、特許文献1参照。)。複数の端子金具は、それぞれ、導電性の板金からなり前記電線の芯線と電気的に接続する。複数の端子金具は、互いに間隔をあけ且つ平行にコネクタハウジング内に並設されている。
【0004】
コネクタハウジングは、絶縁性の合成樹脂からなり、内側に複数の端子金具を収容した筒状の端子収容部と、この端子収容部に一体に設けられ且つ内側に電線を収容するカバーと、を備えている。カバーは、端子収容部から導出された複数の電線を、該端子収容部内の複数の端子金具の長手方向と直交する方向に屈曲させた状態で収容する。
【0005】
前述した構成のコネクタは、コネクタハウジングの端子収容部から導出された複数の電線を、カバー内に端子収容部内の複数の端子金具の長手方向と直交する方向に屈曲させた状態で収容することで、複数の電線をコネクタハウジングの後端側から屈曲させて引き出すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−120364号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前述した特許文献1に開示されたコネクタは、カバーによって、複数の電線をコネクタハウジングの後端側から屈曲させて引き出しているため、電線に負荷がかかり導通不良を起こす虞があった。また、コネクタハウジングに電線を屈曲させるためのカバーが設けられているので、コネクタが大型化するという問題があった。
【0008】
したがって、本発明は、上述した問題点に鑑み、電線にかかる負荷を低減し且つ小型化を図ることができるコネクタを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決し目的を達成するために、請求項1に記載された発明は、互いに平行に並べられ且つ電線が電気的に接続される電線接続部を有する複数の端子金具と、内側に前記複数の端子金具を収容するコネクタハウジングと、を備えたコネクタにおいて、前記複数の端子金具は、当該複数の端子金具の並ぶ方向の一方側から他方側に向かうにしたがって前記電線接続部の長さが長くなるように形成されており、前記電線接続部には、当該電線接続部の端部から前記一方側に向かって延び且つ当該電線接続部の長手方向と交差した格好で、前記電線が接続されていることを特徴とするコネクタである。
【0010】
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載の発明において、前記電線接続部と前記電線とが、互いに重ねられて溶接されていることを特徴とするものある。
【0011】
請求項3に記載された発明は、請求項2に記載の発明において、前記コネクタハウジングが、絶縁性を有する合成樹脂を前記複数の端子金具と前記電線の端末との周りにモールド成型することで、前記電線接続部と前記電線の端末と一体に形成されていることを特徴とするものある。
【0012】
請求項4に記載された発明は、請求項3に記載の発明において、前記コネクタハウジングと前記電線との境界部を覆うように設けられ且つ前記コネクタハウジングの内面と前記電線の外面との間を水密に保つシール部材を備えていることを特徴とするものある。
【0013】
請求項1に記載された発明によれば、複数の端子金具は、当該複数の端子金具の並ぶ方向の一方側から他方側に向かうにしたがって電線接続部の長さが長くなるように形成されているとともに、この電線接続部には、当該電線接続部の端部から複数の端子金具の並ぶ方向の一方側に向かって延び且つ当該電線接続部の長手方向と交差した格好で、電線が接続されているので、複数の端子金具の各電線接続部に接続された電線を、屈曲させることなく該複数の端子金具の並ぶ方向に沿ってコネクタハウジング外に導出することができる。
【0014】
請求項2に記載された発明によれば、電線接続部と電線とが、互いに重ねられて溶接されているので、電線接続部と電線との接続を確実且つ容易に行うことができるとともに、これら電線接続部と電線との接続箇所の厚みを低減することができる。
【0015】
請求項3に記載された発明によれば、コネクタハウジングが、絶縁性を有する合成樹脂を複数の端子金具と電線の端末との周りにモールド成型することで、これら電線接続部と電線の端末と一体に形成されているので、部品点数を増加させることなく、複数の端子金具の電線接続部と電線との接続箇所を剥がれ難くすることができる。
【0016】
請求項4に記載された発明によれば、コネクタハウジングと電線との境界部を覆うように設けられて、これらコネクタハウジングの内面と電線の外面との間を水密に保つシール部材を備えているので、シール部材により電線を伝ってコネクタハウジング内に水などの液体が浸入することを防止できる。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように、請求項1に記載の本発明は、複数の端子金具の各電線接続部に接続された電線を、屈曲させることなく該複数の端子金具の並ぶ方向に沿ってコネクタハウジング外に導出することができるので、電線にかかる負荷を低減するとともにコネクタの低背化を図ることができる。このため、コンパクトで接続信頼性の高いコネクタを得ることができる。
【0018】
請求項2に記載の本発明は、電線接続部と電線との接続を確実且つ容易に行うことができるとともに、これら電線接続部と電線との接続箇所の厚みを低減することができる。このため、電線接続部即ち端子金具と電線との間の安定した電気的な接続を容易に得ることができるとともに、電線接続部と電線との接続箇所の薄型化によりコネクタの小型化を図ることができる。
【0019】
請求項3に記載の本発明は、部品点数を増加させることなく、複数の端子金具の各電線接続部と電線との接続箇所を剥がれ難くすることができるので、コンパクトで接続信頼性の高いコネクタを得ることができる。
【0020】
請求項4に記載の本発明は、シール部材により電線を伝ってコネクタハウジング内に水などの液体が浸入することを防止できるので、簡単な構造でコネクタ内を防水することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施形態にかかるコネクタを示す斜視図である。
【図2】図1に示されたコネクタを図1中下側から見た状態を示す斜視図である。
【図3】図1中のIII−III線に沿う断面図である。
【図4】図1中のIV−IV線に沿う断面図である。
【図5】図1に示されたコネクタの複数の端子金具に電線が溶接された状態を示す斜視図である。
【図6】図5に示された複数の端子金具の周りにコネクタハウジングがモールド成型された状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一の実施形態にかかるコネクタを図1乃至図6を参照して説明する。本発明の一の実施形態にかかるコネクタ1は、複数の電線2の端末に取り付けられるとともに、図示しない相手側のコネクタと嵌合して、自動車などに配索されるワイヤハーネスを構成する。
【0023】
複数の電線2は、本実施形態では3本設けられており、図1又は図2に示すように、互いに平行(即ち並行)に配置されている。複数の電線2は、それぞれ、図3乃至図5に示すように、芯線4と、該芯線4を被覆する被覆部3とを有した断面丸型に形成されている。芯線4は、銅又は銅合金などの導電性を有する金属で構成されており、一本の導線又は複数の導線が撚られて断面丸型に形成されている。被覆部3は、絶縁性を有する合成樹脂からなり、芯線4を絶縁状態に保って被覆している。そして、複数の電線2は、それぞれの端末2aにおいて、被覆部3が所定の長さ除去されて芯線4を露出している。
【0024】
コネクタ1は、図1又は図2に示すように、複数の端子金具5と、該複数の端子金具5を内側に収容するコネクタハウジング6と、シール部材7と、を備えている。
【0025】
複数の端子金具5は、本実施形態では3つ設けられているとともに、図5に示すように、互いに平行に並べられている。複数の端子金具5は、それぞれ、導電性の金属等で構成されており、電気接触部8と電線接続部9とを一体に備えて、側方から見てL字状に形成されている。電気接触部8は、帯板状に形成されており、図示しない相手方のコネクタの端子金具と電気的に接続する。電線接続部9は、帯板状に形成されており、前記電気接触部8と直交した状態で該電気接触部8の端部から立設している。
【0026】
また、前述した複数の端子金具5は、図5中の矢印で示す当該複数の端子金具5の並ぶ方向Xの一方側(図5中右側)から他方側(図5中左側)に向かうにしたがって、前記電線接続部9の長さが長くなるように形成されている。
【0027】
そして、複数の端子金具5は、それぞれ、電線接続部9の電気接触部8から離れた側の端部9aに前述した各電線2の端末2aで被覆部3が除去されて露出した芯線4が、電線接続部9の長手方向と各電線2の長手方向とを交差させた格好で重ねられて、これら電線接続部9の端部9aと芯線4とに周知の超音波溶接機により超音波振動が付与されることで、電線接続部9の端部9aと芯線4とが互いに溶接されて、電線接続部9の端部9aに各電線2の端末2aが電気的に接続して取り付けられる。
【0028】
こうして、複数の端子金具5は、それぞれ、電線接続部9の端部9aから当該複数の端子金具5の並ぶ方向Xの一方側(図5中右側)に向かって延びるとともに、電線接続部9の長手方向と交差した格好で、前述した各電線2が接続されている。
【0029】
コネクタハウジング6は、絶縁性を有する合成樹脂を図5に示す複数の端子金具5と各電線2の端末2aとの周りにモールド成型することで、これら複数の端子金具5の各電線接続部9と各電線2の端末2aと一体に形成されている。コネクタハウジング6は、図1又は図6に示すように、内側に複数の端子金具5の電線接続部9と各電線2の端末2aとを収容するハウジング本体10と、内側に複数の端子金具5の電気接触部8を収容する嵌合筒部11とを一体に備えて、側方から見てL字状に形成されている。
【0030】
ハウジング本体10は、互いに間隔をあけ且つ平行に並べられた複数の端子保持部12と、該複数の端子保持部12を連結する連結部13と、複数の電線保持部14と、を備えている。複数の端子保持部12は、それぞれ、角柱状に形成され且つ内部に複数の端子金具5の各電線接続部9を埋設して、該各電線接続部9と一体に形成されている。
【0031】
連結部13は、複数の端子保持部12の電気接触部8寄りの端部に連設され且つ該複数の端子保持部12の端部を互いに連結している。連結部13は、内部に複数の端子金具5の各電気接触部8の電線接続部9寄りの端部が貫通した状態で、該各電気接触部8の端部と一体に形成されている。
【0032】
複数の電線保持部14は、それぞれ、各端子保持部12の電線接続部9の端部9aが位置する端部に連設されている。複数の電線保持部14は、それぞれ、円柱状に形成され且つ内部に各電線2の端末2aが貫通した状態で、該各電線2の端末2aと一体に形成されている。
【0033】
嵌合筒部11は、図2乃至図4に示すように、連結部13から突設され且つ複数の端子保持部12の長手方向と直交する方向に延在している。嵌合筒部11は、複数の周壁を備えた角筒状に形成されており、内側に複数の端子金具5の電気接触部8を収容する。嵌合筒部11は、図示しない相手方のコネクタのコネクタハウジングと嵌合する。
【0034】
シール部材7は、本実施形態では3つ設けられており、図1に示すように、複数の端子金具5にそれぞれ接続された各電線2に対応して設けられている。複数のシール部材7は、それぞれ、ゴムなどの弾性材料で構成されており、図3又は図4に示すように、周知のモールド成型等によって、内部にコネクタハウジング6の各電線保持部14と各電線2とが貫通した状態で、該各電線保持部14と各電線2と一体に形成されている。複数のシール部材7は、それぞれ、コネクタハウジング6の各電線保持部14と各電線2との境界部を覆うように、該各電線保持部14及び各電線2の外周に沿った筒状に形成されている。
【0035】
そして、前述した構成の複数のシール部材7は、それぞれ、各電線保持部14即ちコネクタハウジング6の内面と各電線2の外面との間を水密に保つ。
【0036】
本実施形態によれば、複数の端子金具5は、当該複数の端子金具5の並ぶ方向Xの一方側から他方側に向かうにしたがって電線接続部9の長さが長くなるように形成されているとともに、この電線接続部9には、当該電線接続部9の端部9aから複数の端子金具5の並ぶ方向Xの一方側に向かって延び且つ当該電線接続部9の長手方向と交差した格好で、電線2が接続されている。
【0037】
このため、複数の端子金具5の各電線接続部9に接続された電線2を、屈曲させることなく該複数の端子金具5の並ぶ方向Xに沿ってコネクタハウジング6外に導出することができるので、電線2にかかる負荷を低減するとともにコネクタ1の低背化を図ることができる。したがって、コンパクトで接続信頼性の高いコネクタ1を得ることができる。
【0038】
また、電線接続部9と電線2とが互いに重ねられて溶接されているので、電線接続部9と電線2との接続を確実且つ容易に行うことができるとともに、これら電線接続部9と電線2との接続箇所の厚みを低減することができる。このため、電線接続部9即ち端子金具5と電線2との間の安定した電気的な接続を容易に得ることができるとともに、電線接続部9と電線2との接続箇所の薄型化によりコネクタ1の小型化を図ることができる。
【0039】
さらに、コネクタハウジング6が、絶縁性を有する合成樹脂を複数の端子金具5と電線2の端末2aとの周りにモールド成型することで、これら電線接続部9と電線2の端末2aと一体に形成されているので、部品点数を増加させることなく、複数の端子金具5の電線接続部9と電線2との接続箇所を剥がれ難くすることができる。このため、コンパクトで接続信頼性の高いコネクタ1を得ることができる。
【0040】
また、コネクタハウジング6と電線2との境界部を覆うように設けられて、これらコネクタハウジング6の内面と電線2の外面との間を水密に保つシール部材7を備えているので、シール部材7により電線2を伝ってコネクタハウジング6内に水などの液体が浸入することを防止できる。このため、簡単な構造でコネクタ1内を防水することができる。
【0041】
なお、前述した実施形態は、本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0042】
1 コネクタ
2 電線
2a 端末
5 端子金具
6 コネクタハウジング
7 シール部材
9 電線接続部
9a 端部
X 複数の端子金具の並ぶ方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに平行に並べられ且つ電線が電気的に接続される電線接続部を有する複数の端子金具と、内側に前記複数の端子金具を収容するコネクタハウジングと、を備えたコネクタにおいて、
前記複数の端子金具は、当該複数の端子金具の並ぶ方向の一方側から他方側に向かうにしたがって前記電線接続部の長さが長くなるように形成されており、
前記電線接続部には、当該電線接続部の端部から前記一方側に向かって延び且つ当該電線接続部の長手方向と交差した格好で、前記電線が接続されていることを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記電線接続部と前記電線とが、互いに重ねられて溶接されていることを特徴とする請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記コネクタハウジングが、絶縁性を有する合成樹脂を前記複数の端子金具と前記電線の端末との周りにモールド成型することで、前記電線接続部と前記電線の端末と一体に形成されていることを特徴とする請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記コネクタハウジングと前記電線との境界部を覆うように設けられ且つ前記コネクタハウジングの内面と前記電線の外面との間を水密に保つシール部材を備えていることを特徴とする請求項3に記載のコネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−154864(P2011−154864A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−15208(P2010−15208)
【出願日】平成22年1月27日(2010.1.27)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】