説明

コンテナの搬送システム及び測定用コンテナ

【課題】コストを低減し、省スペースを実現する。
【解決手段】ストック1は、収納用フープ20と複数のパージユニット50と測定用フープ30とスタッカクレーン60とを備えている。収納用フープ20は、内部に半導体ウェハを収納している。測定用フープ30は、内部に流量計を備えている。パージユニット50は、収納用フープ20が載置される複数のパージ台からなるパージ棚51を備えており、パージ台上に載置された収納用フープ20内に窒素ガスを供給する。スタッカクレーン60は、パージ台へ収納用コンテナ20を搬送するとともに、複数のパージ台同士の間で測定用フープ30を搬送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリーンルームに用いられるコンテナ内をガス雰囲気に置換して、このコンテナを搬送するための、コンテナの搬送システム及び測定用コンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、半導体素子は、内部雰囲気を清浄化したクリーンルーム内で製造されるが、素子が形成される半導体基板の工程間の搬送時には、半導体基板への塵やホコリの付着を防ぐために、半導体基板を収納したカセットを可搬式の密閉コンテナに収納する。そして、半導体基板の自然酸化による酸化膜の成長を防止するために、この密閉コンテナの内部雰囲気を窒素ガスなどの不活性ガスで置換するようにしている。
【0003】
このように、窒素ガスを充満した密閉コンテナにカセットを入れて搬送・保管しているが、密閉コンテナ内の窒素ガス濃度は、搬送待機中や保管中に規定値以下に低下してしまう場合があり、このような場合、窒素ガスの濃度が低下した密閉コンテナをクリーンルーム内に設けられたガス供給装置へ搬送して、ここで再パージした後、元の場所に戻している。
【0004】
このようなガス供給システムとして特許文献1には、半導体ウェハを収納する可搬式密閉コンテナとガスを供給/排気するガス供給装置とを備えたものがある。可搬式密閉コンテナには、内部と外部とを連通させる2つのガス通路管が形成されている。ガス供給装置は、一方のガス通路管と気密に接続されるガス供給流路と、他方のガス通路管と気密に接続されるガス排気流路とを備えている。ガス供給流路は、ガスを供給するガス供給源に接続されている。ガス排気流路は、排気を行う処理装置に接続されている。このガス供給システムにおいて、ガスはガス供給源からガス供給流路及びガス通路管を介して、可搬式密閉コンテナ内に供給される。また、密閉コンテナ内が窒素ガスで充満されて、密閉コンテナ内が所定圧力以上になると、ガスはガス排気管及びガス排気流路を介して処理装置に排気される。
【0005】
近年、このガス供給装置は、複数設けられており、各ガス供給装置においてガス供給源から供給されるガスの流量を制御することが多くなっている。
【0006】
【特許文献1】特開平8−203993号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
これらのガス供給装置において、装置内の制御回路の故障やガス供給流路のつまりなどによって、所望のガスの流量を供給できていない場合がある。そこで、ガスの流量が適切に供給されているか確認するために、各ガス供給装置のガス供給流路に流量計を設けて、ガスの流量を測定することが提案されている。
【0008】
しかしながら、各ガス供給装置のガス供給流路にそれぞれ流量計を設けるためには、複数の流量計が必要となり、コストがかかってしまう。また、ガス供給装置内において流量計を設けるスペースが必要となる。
【0009】
本発明の主たる目的は、コストを低減し、省スペースなコンテナの搬送システム及び測定用コンテナを提供することである。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0010】
本発明のコンテナの搬送システムは、基板を収納する内包空間を画定する筐体と、前記内包空間へと気体が流入する前記筐体に形成された開口とを有する収納用コンテナと、前記収納用コンテナが載置されるパージ台と、前記パージ台に前記収納用コンテナが載置された場合に前記開口と連通して前記開口から前記内包空間へパージ用の気体を流入させる気体流入口とを有する複数のパージユニットと、前記パージ台に載置された場合に前記気体流入口に連通する気体流路と、前記気体流路を通じて前記気体流入口から流入した気体の流量を測定する流量測定ユニットとを有する測定用コンテナと、前記パージ台へと前記収納用コンテナを搬送すると共に、複数の前記パージ台同士の間で前記測定用コンテナを搬送する搬送ユニットとを備えている。
【0011】
このコンテナの搬送システムによれば、搬送ユニットによってそれぞれのパージ台に測定用コンテナを順次搬送させることにより、各パージユニットから収納用コンテナ内に流入している気体の流量を測定することができる。これにより、流量測定ユニットを各パージユニットに設ける必要がないため、コストを低減することができる。また、省スペースとなる。
【0012】
本発明の測定用コンテナは、基板を収納する収納用コンテナと、前記収納用コンテナが載置されるパージ台及び前記収納用コンテナの形成する内包空間へ気体を流入させる気体流入口を備えた複数のパージユニットと、測定用コンテナと、前記収納用コンテナ及び前記測定用コンテナを搬送する搬送ユニットとを有するコンテナの搬送システムにおける測定用コンテナであって、前記パージ台に載置された場合に前記気体流入口に連通する気体流路と、前記気体流路を通じて前記気体流入口から流入した気体の流量を測定する流量測定ユニットとを有している。
【0013】
この測定用コンテナによれば、それぞれのパージ台に測定用コンテナを順次移動させることにより、各パージユニットから収納用コンテナ内に流入している気体の流量を測定することができる。これにより、流量測定ユニットを各パージユニットに設ける必要がないため、コストを低減することができる。また、省スペースとなる。
【0014】
また、前記流量測定ユニットによって測定された気体の流量を記憶する記憶手段をさらに備えていることが好ましい。この構成によれば、流量測定ユニットによって測定された気体の流量が記憶されているので、後日においてもガスの流量を把握することができる。
【0015】
さらに、前記記憶手段によって記憶された気体の流量を外部機器に伝送する伝送手段をさらに備えていてもよい。この構成によれば、ユーザは外部機器によってパージユニットから収納用コンテナ内に流入している気体の流量を把握することができる。
【0016】
加えて、前記流量測定ユニットによって測定された気体の流量を表示する表示手段と、前記表示手段による流量表示を撮像して画像データに変換する撮像変換手段と、前記撮像変換手段によって変換された画像データを外部機器に伝送する伝送手段とをさらに備えていてもよい。この構成によれば、パージユニットから流入した気体の流量を画像データに基づいて画像表示することにより、流量測定ユニットが気体の流量の記憶手段や気体の流量データの伝送手段を備えていなくても、ユーザは外部機器によってパージユニットから収納用コンテナ内に流入している気体の流量を把握することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態について図面を参照して説明する。まず、第1実施形態に係るコンテナの搬送システムであるストックについて図1及び図2を参照して説明する。図1は、第1実施形態に係るストックの概略斜視図である。図2は、第1実施形態に係るストックの概略縦断面図である。
【0018】
図1及び図2に示すように、ストック1は、筐体10を備えており、その内部に多段の保管棚40と、複数のパージユニット50と、スタッカクレーン(搬送ユニット)60とを備えている。また、ストック1は、制御装置80と、パソコン100と、流量コントローラ150と、窒素ガス供給源200とを備えている。
【0019】
保管棚40は、高さ方向に5段並んで配設されている。それぞれの保管棚40には、長手方向(図2中左右方向)に沿って等間隔に凹部40aが形成されており、その凹部40aの上部に、収納用フープ(収納用コンテナ)20が長手方向に並んで載置されている。
【0020】
パージユニット50は、長手方向(図2中左右方向)に複数並んで配置されており、パージを行う複数の収納用フープ20が載置される複数のパージ台54からなるパージ棚51を備えている。そして、各パージユニット50は、パージ台54の下部に供給配管52及び排気配管53を備えている。
【0021】
パージ棚51は、複数のパージ台54を長手方向に並べたものであり、高さ方向に並んで配設された保管棚40の下部に配設されている。パージ棚51には、保管棚40と同様に、長手方向に沿って等間隔に凹部51aが形成されている。すなわち、各パージ台54に凹部51aが形成されており、その凹部51aの上部に、収納用フープ20及び測定用フープ(測定用コンテナ)30が載置されている。
【0022】
供給配管52の一端は、収納用フープ20内に供給する気体である窒素ガスの流量を制御する流量コントローラ150を介して窒素ガス供給源200に接続されている。他端(気体流入口)は、パージ台54の下面から上面に突出している。これにより、窒素ガス供給源200から供給される窒素ガスは、流量コントローラ150によって流量を制御されて、供給配管52を介してパージ台54の上面から流出する。
【0023】
排気配管53の一端は、パージ台54の下面から上面に突出している。他端は、窒素ガスを排気する排気装置(図示せず)に接続されている。これにより、パージ台54の上面から排気配管53に流入した窒素ガスは排気装置によって排気される。
【0024】
スタッカクレーン60は、フレーム61と、支持柱62と、支持台63と、載置台64とを備えている。
【0025】
フレーム61は、左右両端部に回転自在に設けられた4つの走行輪65を有する。走行輪65は、ストック1の底面に設けられたレール66上を回転して往復移動する。支持柱62は、フレーム61の上面から高さ方向に延在している。支持台63は、支持柱62に沿って高さ方向にスライド可能に支持されている。載置台64は、支持台63上を図1中左右方向にスライド可能に載置されている。
【0026】
ここで、スタッカクレーン60の動作について説明する。まず、スタッカクレーン60は、レール66上を搬送したい収納用フープ20と対向する位置まで移動する。そして、搬送したい収納用フープ20の下部近傍まで支持台63を高さ方向にスライドする。次に、搬送したい収納用フープ20の下方の凹部40aに載置台64をスライドする。そして、支持台63を上方にスライドすることにより、搬送したい収納用フープ20を載置台64上に載置する。
【0027】
搬送したい収納用フープ20を載置台64上に載置すると、載置台64を元の位置まで戻す。次に、支持台63をスライドして、収納用フープ20を搬送させたい保管棚40の高さまで移動しながら、走行輪65によってレール66上を移動して、収納用フープ20を搬送させたい保管棚40の位置まで移動する。そして、収納用フープ20を搬送させたい保管棚40の凹部40aに、載置台64をスライドし、支持台63を下方にスライドすることにより、搬送させたい保管棚40の位置に収納用フープ20を載置する。
【0028】
制御部80は、スタッカクレーン60及び流量コントローラ150を制御する。制御部80は、スタッカクレーン60を制御して、窒素パージを行う必要のある収納用フープ20を保管棚40からパージ台54まで搬送させる。そして、パージ台54に収納用フープ20が載置されると、制御部80は、流量コントローラ150を制御して、所望の窒素ガスの流量を収納用フープ20内に供給させる。収納用フープ20内の窒素ガスパージが終了すると、制御部80は、スタッカクレーン60を制御することによって、収納用フープ20を保管棚40に戻させる。そして、同様の動作を各収納用フープ20に対して行う。
【0029】
また、制御部80は、収納用フープ20の搬送と並行して、測定用フープ30をスタッカクレーン60によって各パージ棚54間を搬送して、各パージユニット50が供給している窒素ガスの流量を後述する流量計70に測定させる。
【0030】
パソコン100は、後述する流量計70によって測定された窒素ガスの流量データを無線通信によって受信した場合に、その流量データをパソコン100のディスプレイに表示する。
【0031】
次に、収納用フープ20について図3を参照して説明する。図3は、収納用フープの縦断面図である。
【0032】
収納用フープ20は、筐体となるカバー21と底面部22とを備えており、カバー21と底面部22とで密閉空間23を形成している。密閉空間23内には、カセット24が配置されており、このカセット24には、複数の半導体ウェハ25が高さ方向に沿って収納されている。
【0033】
底面部22の下面には、左右両端近傍に凹部22a、22bが形成されている。凹部22aは、パージユニット50の供給配管52と嵌合可能に構成されており、凹部22bは、パージユニット50の排気配管53と嵌合可能に構成されている。凹部22a、22bの上面には、供給配管52及び排気配管53の内径と同等の径の凹部22c、22dが形成されている。凹部22c、22dの上面には、密閉空間23内と外部とを連通させる複数の開口22e、22fが形成されている。そして、底面部22には、開口22eを上面から覆い、外部から密閉空間23内へのみ気体を流入させる逆支弁26及び開口22fを下面から覆い、密閉空間23内から外部へのみ気体を流出させる逆支弁27が固設されている。
【0034】
逆支弁26は、密閉空間23内の気圧が外部の気圧よりも所定気圧だけ低いときにのみ開き、外部から密閉空間23内に気体を流入させる。逆支弁27は、外部の気圧が密閉空間23内の気圧よりも所定気圧だけ低いときにのみ開き、密閉空間23内から外部に気体を流出させる。ここで、パージ台54上に収納用フープ20を載置させることにより、凹部22aと供給配管52とが嵌合され、凹部22bと排気配管53とが嵌合される。この状態で窒素ガス供給源200から所定圧力以上で窒素ガスを供給することにより、供給配管52を介して供給された窒素ガスの圧力により逆支弁26が開き、密閉空間23内に窒素ガスが供給される。そして、密閉空間23内が窒素ガスで充満し、内部圧力が所定気圧以上になると、逆支弁27が開き、窒素ガスは排気配管53を介して、排気装置によって排気される。このように、密閉空間23を窒素ガス雰囲気にすることにより、半導体ウェハ25の自然酸化による酸化膜の成長を防止している。
【0035】
次に、測定用フープ30について図4を参照して説明する。図4は、第1実施形態に係る測定用フープの縦断面図である。
【0036】
測定用フープ30は、収納用フープ20と同様に、カバー21と底面部22とを備えており、密閉空間23を形成している。密閉空間23内には、流量計(流量測定ユニット)70が配置されている。
【0037】
流量計70は、図示しない流入口及び流出口を備えており、この流入口から気体を流入し、流出口から気体を流出することにより、その気体の流量を測定するものである。流入口は、配管32(気体流路)の一端に接続されており、配管32の他端は、逆支弁26を上面から覆うように、底面部22の上面に接続されている。流出口は、配管33の一端に接続されており、配管33の他端は、逆支弁27を上面から覆うように、底面部22の上面に接続されている。したがって、パージ台54上に測定用フープ30を載置させて、窒素ガス供給源200から所定圧力以上で窒素ガスを供給することにより、供給配管52を介して供給された窒素ガスの圧力により逆支弁26が開き、配管32を介して流量計70の流入口に窒素ガスが流入される。そして、流量計70の流出口から配管33に流出した窒素ガスの圧力が所定圧力以上になると、逆支弁27が開き、窒素ガスは排気配管53を介して、排気装置に排気される。これにより、窒素ガス供給源200から供給される窒素ガスの流量を測定することができる。
【0038】
流量計70の電気的構成について図5を参照して説明する。図5は、第1実施形態に係る流量計の電気的構成を示すブロック図である。
【0039】
流量計70は、制御部71、電池72及び無線通信部(伝送手段)73を備えている。ここで、制御部71には、各種動作を制御するプログラムやデータなどが格納されたハードディスク、各種動作を制御する信号を生成するために各種演算を実行するCPU、CPUでの演算結果などのデータを一時保管するRAMなどが含まれている。
【0040】
制御部71は、流量測定部74及び流量記憶部(記憶手段)75を備えている。流量測定部74は、流入口から流入した気体の流量を測定する。流量記憶部75は、流量測定部74によって測定された気体の流量を記憶する。
【0041】
電池72は、制御部71及び無線通信部73を起動する。無線通信部73は、流量記憶部75に記憶された気体の流量を無線通信によって、パソコン100に伝送する。
【0042】
次に、ストック1における測定用フープ30の用途について説明する。保管棚40に載置された複数の収納用フープ20の密閉空間23内は、窒素ガスで充満しているが、時間の経過とともに、窒素ガスの濃度が低下し、水分やアンモニウムガスなどが混入してしまう。これにより、収納用フープ20内の半導体ウェハ25の表面が酸化したり、分子汚染したりしてしまう。これらを防止するために、一定時間経過するごとに、収納用フープ20内に対して窒素ガスによるパージを行い、水分やアンモニウムガスを除去して、収納用フープ20内に窒素ガスを充満する必要がある。このため、スタッカクレーン60によって、順次収納用フープ20をパージユニット50に搬送し、収納用フープ20内に窒素ガスパージを行う。
【0043】
このとき、収納用フープ20は、ストック1内に多数載置されているため、1台のパージユニット50では全ての収納用フープ20に順次窒素ガスパージを行うことは困難であるため、ストック1内にパージユニット50を複数設けている。ここで、それぞれのパージユニット50による窒素ガスの供給流量は、それぞれ流量コントローラ150によって制御されているが、流量コントローラ150の故障や供給配管52のつまりなどによって所望の窒素ガスの流量を供給できていないパージユニット50が存在する場合がある。この場合、十分に窒素ガスパージを行えていない収納用フープ20が存在することになるため、測定用フープ30によって、パージユニット50から供給されている窒素ガスの流量を測定する必要がある。したがって、スタッカクレーン60によって、測定用フープ30をパージユニット50に搬送し、順次パージユニット50から供給されている窒素ガスの流量を測定する。そして、それぞれのパージユニット50で測定した窒素ガスの流量をクリーンルームの外部のパソコン100に伝送することにより、ユーザにそれぞれのパージユニット50から供給されている窒素ガスの流量を報知する。
【0044】
このストック1及び測定用フープ30によれば、スタッカクレーン60によってそれぞれのパージ台54に測定用フープ30を随時搬送させることにより、各パージユニット50から供給している窒素ガスの流量を測定することができる。これにより、流量計70を各パージユニット50に設ける必要がないため、コストを低減することができる。また、省スペースとなる。
【0045】
さらに、測定用フープ30が、流量記憶部75によって記憶された窒素ガスの流量をパソコン100に伝送する無線通信部73を備えていることにより、ユーザはパソコン100によってパージユニット50から供給されている窒素ガスの流量を把握することができる。
【0046】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について、図6及び図7を参照して説明する。図6は、第2実施形態に係る測定用フープの縦断面図である。図7は、第2実施形態に係る流量計の電気的構成を示すブロック図である。なお、第1実施形態と実質的に同じ機能を有するものは同一の符号を付してその説明を省略する。
【0047】
測定用フープ130は、収納用フープ20と同様に、カバー21と底面部22とを備えており、密閉空間23を形成している。密閉空間23内には、無線カメラ160及び流量計(流量測定ユニット)170が配置されている。
【0048】
無線カメラ160は、密閉空間23内におけるカバー21の上面に配置しており、後述する流量計170のディスプレイ173に表示される窒素ガスの流量を撮像して、パソコン100に伝送する。
【0049】
流量計170は、図6中上面においてディスプレイ(表示手段)173を備えており、このディスプレイ173に流入口から流入した窒素ガスの流量を表示する。その他の構成は流量計70と同様である。
【0050】
無線カメラ160及び流量計170の電気的構成について説明する。図7に示すように、無線カメラ160は、撮像変換部(撮像変換手段)162及び無線通信部(伝送手段)161を備えている。撮像変換部162は、ディスプレイ173に表示された窒素ガスの流量を撮像して、デジタル画像データに変換する。無線通信部161は、撮像変換部162によって変換されたデジタル画像データを無線通信によって、パソコン100に伝送する。
【0051】
流量計170は、制御部171、電池72及びディスプレイ(伝送手段)173を備えている。ここで、制御部171には、各種動作を制御するプログラムやデータなどが格納されたハードディスク、各種動作を制御する信号を生成するために各種演算を実行するCPU、CPUでの演算結果などのデータを一時保管するRAMなどが含まれている。
【0052】
制御部171は、流量測定部74及び表示制御部175を備えている。流量測定部74は、流入口から流入した気体の流量を測定する。表示制御部175は、流量測定部74によって測定された窒素ガスの流量をディスプレイ173に表示する。
【0053】
これによれば、流量計170によって測定された窒素ガスの流量を表示するディスプレイ173と、ディスプレイ173による流量表示を撮像して画像データに変換する撮像変換部162と、撮像変換部162によって変換された画像データをパソコン100に伝送する無線通信部161とを備えていることにより、パージユニット50から流入した窒素ガスの流量を画像データに基づいて画像表示することにより、流量計170が窒素ガスの流量の記憶手段や窒素ガスの流量データの伝送手段を備えていなくても、ユーザはパソコン100によってパージユニット50から収納用フープ20内に流入している窒素ガスの流量を把握することができる。また、パージユニット50から流入した窒素ガスの流量を画像データに基づいて画像表示することにより、ユーザは窒素ガスの流量を視覚的に把握することができる。
【0054】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。例えば、本実施形態において、流量計70は、流量記憶部75に記憶された窒素ガスの流量を無線通信部73によってパソコン100に伝送していたが、無線通信部73を備えずに、ユーザが直接流量計70を取り外して、流量記憶部75から窒素ガスの流量をパソコンなどに読み出して把握してもよい。
【0055】
また、本実施の形態においては、収納用フープ20の密閉空間23内のパージを行うための気体として窒素ガスを用いたが、窒素ガスに限らずCDA(クリーンドライエアー)など、酸化防止、分子汚染防止及び水分除去を行える気体であればいかなる気体でもよい。
【0056】
さらに、本実施の形態においては、ストック1を例に挙げて説明したが、ストック1のように保管棚40が設置されておらずに、複数のパージユニット50のみがクリーンルーム内に設置されていればよい。すなわち、収納用フープ20を保管する装置内にパージユニット50が設けてあるのではなく、例えば、半導体ウェハの製造工程間の搬送通路などにパージユニット50が設けてあり、搬送過程において収納用フープ20内に窒素パージを行う場合においても本発明は適用される。
【0057】
加えて、本実施の形態において、収納用フープ20は、窒素ガスが流入する開口22c及び窒素ガスを流出する開口22dを備えていたが、例えば、水分除去のみを行うため、もしくは収納用フープ20内の圧力の低下を防止するためにのみ窒素ガスを供給するなどの場合には、窒素ガスを流出する開口22dを備えていなくてもよい。
【0058】
また、本実施の形態においては、収納用フープ20内には、半導体ウェハ25が収納されていたが、半導体ウェハ25に限らず、ディスク基板、液晶基板及び電子基板などいかなるものが収納されていてもよい。
【0059】
さらに、本実施の形態においては、半導体ウェハ25を収納するために収納用フープ20を用いていたが、収納用フープ20ではなく、レチクルポッドやSMIFポッドなどを用いてもよい。
【0060】
加えて、本実施の形態においては、窒素ガスの流量を制御するために、流量コントローラ150を備えていたが、流量コントローラ150に限らず、ニードルバルブなどで窒素ガスの流量を制御してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】第1実施形態に係るストックの概略斜視図である。
【図2】第1実施形態に係るストックの概略縦断面図である。
【図3】収納用フープの縦断面図である。
【図4】第1実施形態に係る測定用フープの縦断面図である。
【図5】第1実施形態に係る流量計の電気的構成を示すブロック図である。
【図6】第2実施形態に係る測定用フープの縦断面図である。
【図7】第2実施形態に係る流量計の電気的構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0062】
1 ストッカ
20 収納用フープ
21 カバー
22 底面部
22c 開口
25 半導体ウェハ
30 測定用フープ
50 パージユニット
51 パージ棚
60 スタッカクレーン
70 流量計
100 パソコン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を収納する内包空間を画定する筐体と、前記内包空間へと気体が流入する前記筐体に形成された開口とを有する収納用コンテナと、
前記収納用コンテナが載置されるパージ台と、前記パージ台に前記収納用コンテナが載置された場合に前記開口と連通して前記開口から前記内包空間へパージ用の気体を流入させる気体流入口とを有する複数のパージユニットと、
前記パージ台に載置された場合に前記気体流入口に連通する気体流路と、前記気体流路を通じて前記気体流入口から流入した気体の流量を測定する流量測定ユニットとを有する測定用コンテナと、
前記パージ台へと前記収納用コンテナを搬送すると共に、複数の前記パージ台同士の間で前記測定用コンテナを搬送する搬送ユニットとを備えていることを特徴とするコンテナの搬送システム。
【請求項2】
基板を収納する収納用コンテナと、前記収納用コンテナが載置されるパージ台及び前記収納用コンテナの形成する内包空間へ気体を流入させる気体流入口を備えた複数のパージユニットと、測定用コンテナと、前記収納用コンテナ及び前記測定用コンテナを搬送する搬送ユニットとを有するコンテナの搬送システムにおける測定用コンテナであって、
前記パージ台に載置された場合に前記気体流入口に連通する気体流路と、
前記気体流路を通じて前記気体流入口から流入した気体の流量を測定する流量測定ユニットとを有することを特徴とする測定用コンテナ。
【請求項3】
前記流量測定ユニットによって測定された気体の流量を記憶する記憶手段をさらに備えていることを特徴とする請求項2に記載の測定用コンテナ。
【請求項4】
前記記憶手段によって記憶された気体の流量を外部機器に伝送する伝送手段をさらに備えていることを特徴とする請求項3に記載の測定用コンテナ。
【請求項5】
前記流量測定ユニットによって測定された気体の流量を表示する表示手段と、
前記表示手段による流量表示を撮像して画像データに変換する撮像変換手段と、
前記撮像変換手段によって変換された画像データを外部機器に伝送する伝送手段とをさらに備えていることを特徴とする請求項2に記載の測定用コンテナ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−159734(P2008−159734A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−345409(P2006−345409)
【出願日】平成18年12月22日(2006.12.22)
【出願人】(302059274)アシスト テクノロジーズ ジャパン株式会社 (146)
【Fターム(参考)】