コンテンツを記憶する、ロバスト・モードでのスタガキャスト
スタガキャストするコンテンツを記憶する方法及び装置は、コンテンツを表す信号群を符号化する工程を含む。信号群は復号化されて相当する復号化信号群を生成することができ、各復号化信号は、他の符号化信号に相当する復号化信号の品質とは異なる品質を有する。時間的にずれている符号化信号群を備えるコンポジット信号が生成される。符号化信号群がコンポジット信号から抽出される。抽出符号化信号群におけるエラーが検出されて、間違っていない利用可能抽出符号化信号の部分集合が生成される。選択可能な所望の品質での、コンテンツを表す信号が復号化される。復号化された、コンテンツを表す信号は更に記憶装置に記憶される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スタガキャストする方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本明細書及び特許請求の範囲に援用する、次世代テレビジョン方式委員会(ATSC)による西暦1995年9月16日付提案の、米国における現行のディジタル・テレビジョン伝送標準は、単一キャリア変調方式、すなわち8値残留側波帯振幅変調(8−VSB)を用いている。これは単一キャリア変調方式であるので、マルチパス及び他の信号減衰によってもたらされるフェージングなどの、通信チャネルにおける信号劣化の影響を受けやすい。特定のそのようなフェージングはチャネル等化手法によって補償し得る一方、フェージングが十分長く、十分激しい場合、受信機は信号を喪失することになり、復調器システムは同期を喪失することになる。信号を再取得し、復調器を再同期化させることは数秒を要し得るものであり、視聴者にとって非常に好ましくないものである。
【0003】
この問題を克服するよう、第1のATSC提案は、限られた期間、例えば、10%未満、の間、よりロバストな変調手法を用いることを可能にすることによって第2通信チャネルを作成することを可能にする。例えば、2値VSB変調手法又は4値VSB変調手法を特定のフレームに用い得る。第2ATSC提案は、8VSB変調手法を維持する一方で、よりロバストな符号化手法、例えばトレリス符号化を可能にする。そのようなシステムは、既存の受信機との後方互換性を維持する一方で、互換性のある受信機によって性能を向上させることが可能である。
【0004】
フェージングを克服する別の既知の方法はスタガキャストである。スタガキャスト通信システムを開示しているものがある(本明細書及び特許請求の範囲に内容を援用する、K.Ramaswamyなどによる西暦2002年7月17日付出願のPCT出願第US02/22723号及びJ.A.Cooperなどによる西暦2002年7月19日出願のPCT出願第US02/23032号参照。)。スタガキャスト通信システムは、一方を他方に対して遅延させた2つの部分コンテンツを表す信号を含むコンポジット信号を伝送する。別の方法で言えば、部分コンテンツを表す信号の一方は他方に対して進んでいる。コンポジット信号は、通信チャネルによって1つ又は複数の受信機にブロードキャストされる。受信機では、時間的に進められた、部分コンテンツを表す信号は遅延バッファによって遅延させられるので、他方の部分コンテンツを表す信号と時間的に再同期化される。通常の条件下では、受信された非遅延の、部分コンテンツを表す信号は、コンテンツを再生するのに用いられる。しかし、信号フェージングが生じる場合には、遅延バッファにおける、先行して受信され、時間的に進んでいる、コンテンツを表す信号が、フェージングが終了しコンポジット信号がもう一度利用可能になるか、遅延バッファが空き状態になるかの何れかになるまでコンテンツを再生するのに用いられる。遅延期間及び関連遅延バッファが十分大きな場合、最もありそうなフェージングを補償し得る。
【0005】
コンポジット信号における成分信号の一方が他方の成分信号よりも品質が高いコンテンツを表すスタガキャスト・システムを開示するものもある(K.Ramaswamyなどによる西暦2002年7月17日付出願のPCT出願第US02/22723号及びJ.A.Cooperなどによる西暦2002年7月19日出願のPCT出願第US02/23032号参照。)。この装置では、より低い品質の成分信号は、より高い品質の成分信号に対して時間的に進んでいる。上記のように、通常の条件下での受信機では、この場合は高品質成分信号である非遅延受信成分は、コンテンツを再生するのに用いられる。しかし、信号フェージングが生じる場合には、遅延バッファにおける、先行して受信され、時間が進んでいる、コンテンツを表す信号で、この場合にはより品質が低い成分信号は、フェージングが終了しコンポジット信号がもう一度利用可能になるか遅延バッファが空き状態になるかの何れかになるまでコンテンツを再生するのに用いられる。このことは、通常の条件下でより高い品質の信号を再生することを可能にし、フェージング・イベントが存在する場合により低い品質の信号を再生することを可能にする。信号の品質が低いほど伝送するビットは少なくて済むので、フェージング耐性を備えるのに必要なオーバヘッドは削減される。
【0006】
記憶装置の容量における低減によって、そのような記憶装置を多くの電子システムに組み入れることが可能になった。例えば、ケーブル受信と衛星受信との両方のテレビジョン受信機のセットトップボックスはそのような記憶装置を組み入れている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本願の発明者は、その全てがコンテンツを異なる品質ではあるが表すその複数の成分信号がコンポジット信号に含まれるシステムにこの概念を拡張させ得るということを認識した。最低品質での、コンテンツを表す成分信号はコンポジット信号では遅延していない。高品質成分信号は最低品質符号化信号に対して遅延している、すなわち、成分信号の品質が高いほど、遅延は長い。そのようなシステムでは、全ての成分信号が利用可能な場合、コンテンツを表す信号は全ての品質の、コンテンツを表す信号を再生し得る。更に、成分信号の一部又は全部を相対的にロバストな符号化を用いて符号化し得る。
【0008】
本願の発明者は、そのようなスタガキャスト通信システムを、向上された方法で電子記憶装置と動作するよう適合させる場合もあるということを認識した。そのようなシステムでは、受信されるコンテンツを表す信号の1つは、記憶装置に記憶されることになる。ユーザが、利用可能な、コンテンツを表す信号のうちから、所望の品質でのコンテンツを表す信号の記憶を規定したい状況が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の原理によれば、スタガキャストするコンテンツを記憶する方法及び装置は、コンテンツを表す信号群を符号化する工程を含む。信号群は復号化されて相当する復号化信号群を生成することができ、各復号化信号は、他の符号化信号に相当する復号化信号の品質とは異なる品質を有する。時間的にずれている符号化信号群を備えるコンポジット信号が生成される。符号化信号群がコンポジット信号から抽出される。抽出符号化信号群におけるエラーが検出されて、間違っていない利用可能抽出符号化信号の部分集合が生成される。選択可能な所望の品質での、コンテンツを表す信号が復号化される。復号化された、コンテンツを表す信号は更に記憶装置に記憶される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
〔実施例〕
図1は、本発明の原理によるスタガキャスト送信機100の一部分の構成図である。図を単純にするよう示していない他の構成要素が完全な送信機に必要であるということは当業者が分かる。それらの構成要素が何であるかということと、図示した構成要素とともにそれらの他の構成要素を選択し、設計し、実施し、相互接続する方法とを当業者は更に分かる。
【0011】
図1では、図示した実施例ではビデオ画像信号、オーディオ音像、番組データ、又はこれらの何れかの組み合わせであり得る、コンテンツのソース(図示せず)は、コンテンツを表す信号を送信機100の入力端子105に備える。入力端子105は、ロバスト・モード符号器110と通常モード符号器120との各々の入力端子に結合される。ロバスト・モード符号器110の出力端子は、多重化装置140の第1入力端子に結合される。通常モード符号器120の出力端子は、遅延装置130の入力端子に結合される。遅延装置130の出力端子は多重化装置140の第2入力端子に結合される。多重化装置140の出力端子は変調器150の入力端子に結合される。変調器150の出力端子は出力端子115に結合される。出力端子115は通信チャネル(図示せず)に結合される。
【0012】
動作上、通常モード符号器120は、コンテンツのビデオ、オーディオ及び/又はデータを、ソース符号化手法を用いて符号化する。図示した実施例では、ソース符号化手法はMPEG2符号化手法であるが、何れかのそのようなソース符号化手法を用い得る。ソース符号化処理は、解像度、フレーム・レート、量子化レベルなどを含む所定のパラメータを用いて行われる。ソース符号化された、コンテンツを表す信号をシステム符号化する別の処理が通常モード符号器120において行われる。図示した実施例では、ソース符号化された、コンテンツを表す信号は、符号化されたビデオ、オーディオ及び/又はデータを含む一連のトランスポート・パケットに構成される。これらのトランスポート・パケットはMPEG2標準によってフォーマッティングされるが、何れかのそのようなシステム符号化を用い得る。
【0013】
ロバスト・モード符号器110は更に、コンテンツのビデオ、オーディオ及び/又はデータを、ソース符号化手法を用いて符号化する。ロバスト・モード符号器110によって用いられるソース符号化手法は、通常モード符号器120のソース符号化手法よりもロバストである。図示した実施例では、用いられるロバスト・モード符号化は、ISO/IEC MPEG委員会とITU−T VCEG委員会との共同ビデオ・チーム(JVT)によって現在策定されているMPEG AVC/H.264と称し、以下でJVT符号化と呼ぶビデオ符号化手法である。しかし、何れかのそのようなソース符号化手法を用い得る。例えば、MPEG通常モード符号器120に対してロバストな符号化を備える、拡張トレリス符号化などの別のソース符号化手法を用いる場合もある。ロバスト符号化処理は更に、解像度、フレーム・レート、量子化レベルなどを含む所定パラメータを用いて行われるが、これらのパラメータの値はロバストな符号化処理の場合、通常符号化処理の場合とは異なり得る。処理は、ソース符号化された、コンテンツを表す信号をシステム符号化するよう、ロバスト・モード符号器110においても行われる。図示した実施例では、ソース符号化された、コンテンツを表す信号は、又、MPEG2標準によって一連のトランスポート・パケットに構成されるが、この場合も又、何れかのそのようなシステム符号化を用い得る。
【0014】
通常モード符号化信号は、想定フェージング期間の範囲にわたってシステムが動作することを可能にすることが意図された量によって遅延装置130によって遅延される。このパラメータの値は、通信チャネルの特性によって変わってくる。例えば、多くの建物や、飛行機などの移動物体を備えている、都会の環境においては、フェージングは農村の平坦な環境においてよりも、ずっと一般的であり、長く持続し得る。図示した実施例では、遅延は、約0.5秒から数秒まで変動させ得る。
【0015】
図3は、図1及び図2に示したスタガキャスト通信システムの動作を理解するうえで有用なパケット・タイミング図である。図3は、多重化装置140の入力端子でのシステム符号化トランスポート・パケット・ストリームを示す。図3では、ロバスト・モード符号器110からのパケットは、「a」、「b」、「c」などの小文字を用いた印を付した正方形の水平行300によって表している。通常モード符号器120からのパケットは、「0」、「1」、…の数字や「A」、「B」、「C」などの大文字を用いた印を付した正方形の水平行310によって表している。同じ文字によって印が付けられているパケットは同じ時点からのコンテンツを表すデータを含む。すなわち、ロバスト・モード符号器110からのパケット「a」は通常モード符号器120からのパケット「A」におけるデータによって表すコンテンツに時間的に相当するコンテンツを表すデータを含む。通常モードのパケット・ストリームとロバスト・モードのパケット・ストリームとにおける各パケットは、そのパケット・ストリームに属するものとしてそれらを識別するデータをヘッダに含む。遅延装置130は通常モード符号器120のパケットを時間遅延Tadvだけ遅延させる。すなわち、ロバスト・モードのパケットは相当する通常モードのパケットに対して時間的にTadvだけ進められる。図3に示す実施例では、Tadvは10パケット期間である。この期間は、上記のように約0.5秒から数秒まで変動し得る。
【0016】
ロバスト・モードのパケット・ストリームと遅延させた通常モードのパケット・ストリームは多重化装置140においてコンポジット・パケット・ストリームに一緒に多重化される。コンポジット・パケット・ストリームは時間領域多重化され、それは、連続したパケットを収容する単一のデータ・ストリームが1度に1つずつ生成されるということを意味する。識別及び制御のデータ(図示せず)などの他のデータを含む追加パケットも多重化装置140によって生成されるコンポジット・パケット・ストリームに多重化される場合もある。更に、他の、コンテンツを表す信号の1つ又は複数を表す通常モードのパケット・ストリームとロバスト・モードのパケット・ストリームとを場合によっては含む、(この場合もまた図示しない)他のコンテンツ・ソースを表す他のパケット・ストリームは、すべて公知の方法で、多重化装置140によって生成されるコンポジット・パケット・ストリームに多重化される場合もある。図3におけるパケット・ストリーム300及び310は、コンポジット・パケット・ストリームにおける成分コンテンツを表す信号を表す。分かり得るように、通常モード符号器120からのパケット「A」は、ロバスト・モード符号器110からのパケット「k」と同時点で送信される。
【0017】
多重化装置140からのコンポジット・パケット・ストリームは更に、通信チャネル経由で送信するよう、チャネル符号化される。図示した実施例では、チャネル符号化は、コンポジット・パケット・ストリームを変調器150において変調することによって行われる。通常モードのパケット・ストリームのチャネル符号化は、ロバスト・モードのパケット・ストリームのチャネル符号化とは異なる。特に、ロバスト・モードのパケット・ストリームに適用される変調は通常モードのパケット・ストリームに適用されるものよりもロバストである。図示した実施例では、通常モードのパケット・ストリームにおけるパケットが変調される場合、変調はATSC標準による8−VSB変調である。ロバスト・モードのパケット・ストリームにおけるパケットが変調される場合、変調は、よりロバストな変調、例えば、上記の4−VSB又は2−VSBである。
【0018】
要約すれば、図示した実施例では、通常モードのパケット・ストリームはMPEG2符号化手法を用いてソース符号化され、8−VSB変調を用いてチャネル符号化される。これは、従来のATSC標準との完全な後方互換性を有している。更に、図示した実施例では、ロバスト・モードのパケット・ストリームはJVT符号化手法を用いてソース符号化され、4VSB変調及び/又は2−VSB変調を用いてチャネル符号化される。上記に表す新たなATSC標準は、ロバスト・モードのパケット・ストリームのチャネル符号化、すなわち、4−VSB及び/又は2−VSBのみを表し、ソース符号化手法を規定しない。よって、何れかのそのようなソース符号化手法を標準によって用い得るものであり、図示した実施例におけるJVT符号化手法は、ロバスト・モードのパケット・ストリームのそのようなソース符号化の一例である。本願では、以下、「通常モードのパケット・ストリーム」は、MPEG2ソース符号化手法を用いてソース符号化され、MPEG2標準によってパケットにシステム符号化され、8−VSB変調を用いてチャネル符号化されるパケット・ストリームを表し、「ロバスト・モードのパケット・ストリーム」は、JVTソース符号化手法を用いてソース符号化され、MPEG−2標準によってパケットにシステム符号化され、4−VSB変調及び/又は2−VSB変調を用いてチャネル符号化されるパケットを表すこととする。
【0019】
変調コンポジット信号は更に、無線RFチャネル、又はケーブル・テレビジョン・システムなどの有線チャネルであり得る通信チャネル(図示せず)に供給される。コンポジット信号は通信チャネルによって劣化する場合がある。例えば、コンポジット信号の信号強度は変動し得る。特に、コンポジットは、マルチパスや他の信号減衰のしくみによってフェージングし得る。1つ又は複数の受信機は場合によっては劣化されたコンポジット信号を通信チャネルから受信する。
【0020】
図2は、本発明の原理によるスタガキャスト受信機200の一部分の構成図である。図2では、入力端子205は、通信チャネル(図示せず)に接続可能であるので、(図1の)送信機100によって生成される変調コンポジット信号を受信することができる。入力端子205は復調器207の入力端子に結合される。復調器207の出力端子は逆多重化装置210の入力端子に結合される。逆多重化装置210の第1出力端子はセレクタ230に結合される。逆多重化装置210の第2出力端子は遅延装置220に結合される。遅延装置220の出力端子はセレクタ230の第2入力端子に結合される。セレクタ230の出力端子はマルチ標準復号器240の信号入力端子に結合される。逆多重化装置210の制御信号出力端子は、セレクタ230とマルチ標準復号器240との各々の相当する入力端子に結合される。マルチ標準復号器240の出力端子は出力端子215に結合される。出力端子250は、ビデオ・コンテンツが表す画像を再生する画像再生装置と、オーディオ・コンテンツが表す音を再生する音再生装置とを備えており、視聴者が受信データ・コンテンツと相互作用することを可能にするユーザ入力装置を場合によっては含むテレビジョン受信機などの(図示しない)利用回路に供給される、コンテンツを表す信号を備える。
【0021】
動作上、復調器207は、通常モードのパケット・ストリーム(8−VSB)又はロバスト・モードのパケット・ストリーム(4−VSB及び/又は2−VSB)からパケットを受信するのに必要な適切な復調手法を用いて受信された変調信号を復調する。その結果の信号は、受信されたコンポジット・パケット・ストリーム信号である。受信されたコンポジット・パケット・ストリーム信号は、各受信パケットのヘッダにおける識別データによって通常モード・ソース符号化成分パケット・ストリームとロバスト・モード・ソース符号化成分パケット・ストリーム各々に逆多重化装置210によって逆多重化される。受信された通常モードのパケット・ストリームはセレクタ230に直接供給されえる。受信されたロバスト・モードのパケット・ストリームは遅延装置220を通過し、遅延装置220は、図1の送信機100で通常のパケット・ストリームが遅延している期間と同じ期間によって受信されたロバスト・モードのパケット・ストリームを遅延させる。とって、セレクタ230の入力端子での2つのパケット・ストリーム信号によって表されるコンテンツは時間的に一致している。
【0022】
復調器210は、受信コンいくつかの手法、例えば、信号対雑音比検出器やビットエラー率検出器を用い得る。そのヘッダにおけるパケット各々は、パケットが属するパケット・ストリームがどれであるかを識別するデータとパケット・シーケンス番号とを含む。パケット・ストリームのシーケンス番号が欠損している場合、パケットは欠損しており、エラーが検出される。この場合、パケットが欠損しているパケット・ストリームに注目し得るものであり、そのパケット・ストリームのみがエラーを有しているものとして検出されることに注目し得る。これらの検出器又は何れかの他のそのような検出器を単独か組み合わせで用い得る。
【0023】
制御信号は逆多重化装置210から生じるものとして示しているが、種々のエラー検出器は受信機における種々の場所からの信号を必要とし得る。どのような装置が用いられても、コンポジット信号の一部分が利用可能でない場合にアクティブ状態であるエラー信号Eが生成される。セレクタ230は、このエラー信号Eに応じて2つのパケット・ストリーム信号のうちの1つをマルチ標準符号器240に転送するよう調節する。マルチ標準復号器240は、以下に更に詳細に記載する方法で、そのパケット・ストリーム信号を復号化するよう調節する。
【0024】
マルチ標準復号器240は、セレクタ230によってそれに供給されるパケット・ストリームのシステム復号化(パケット解除)とソース復号化との両方を行う。マルチ標準復号器240は、種々の符号化手法によって、パケット・ストリーム信号のソース復号化を行うよう構成し得る。例えば、通常モードで符号化されたパケット・ストリームがセレクタ230から受信される場合、マルチ標準復号器240はMPEG2標準によってこれらのパケットのパケット解除とソース復号化を行い、コンテンツを表す信号を再生するよう構成される。同様に、ロバスト・モードで符号化されたパケット・ストリームがセレクタ230から受信される場合、マルチ標準復号器240はMPEG−2標準によってパケットをパケット解除し、JVT標準によってこれらのパケットをソース復号化し、コンテンツを表す信号を再生するよう構成される。
【0025】
図2の受信機200の動作は、図3をもう一度参照することによって分かり得る。時間t0は受信機がオン状態にされる時間か、ユーザが受信する対象の新たなコンテンツ・ソースを規定する時間を表し得る。t0とt4の間の時間Tadv中、ロバスト・モード・パケット「a」乃至「j」は遅延装置220にロードされ、「0」乃至「9」と称する通常モードのパケットが受信される。時間t4では、通常モードのパケット「A」が逆多重化装置210から利用可能になり、遅延したロバスト・モードのパケット「a」は遅延装置220から利用可能になる。通常の条件下では、エラー信号はエラー信号線E上ではアクティブ状態にない。これに応じて、セレクタ230は通常モードのパケット・ストリームをマルチ標準復号器240に結合し、マルチ標準復号器240は上記のように、通常モードのパケットからコンテンツを表す信号を生成し始める。このことは、通常モードのパケット「A」乃至「G」における交差ハッチ301によって示す。
【0026】
時間t1から時間t2まで激しいフェージングが通信チャネル中で生じ、時間t2から時間t3で受信機は変調信号を回復し、その信号と再同期をとる。このt1からt3までの時間中に通常モードのパケット「H」乃至「M」とロバスト・モードのパケット「r」乃至「w」が喪失される。このことは、これらのパケットにおける交差ハッチ302及び303によって示す。しかし、ロバスト・モードのパケット「h」乃至「m」は先行して正常に受信されている。遅延装置220が理由で、これらのロバスト・モードのパケットは、時間t1から時間t3までセレクタ230に対する他方の入力で利用可能である。
【0027】
フェージングが生じていることが検出され、エラー信号線E上のアクティブ・エラー信号によって示される。エラー信号線E上のアクティブ・エラー信号に応じて、セレクタ230は先行して受信されたロバスト・モード・パケット「h」乃至「m」をマルチ標準復号器240に結合する。同時に、マルチ標準復号器240は、ロバスト・モードのパケットのパケット解除と復号化とを行うよう構成される。よって、時間t1から時間t3まで、ロバスト・モードのパケット・ストリームからのパケット「h」乃至「m」は復号化され、コンテンツを表す信号はユティラーゼーション回路(図示せず)に利用可能な状態のままに留まる。
【0028】
時間t3では、フェージングは終了し、コンポジット信号はもう一度利用可能になる。よって、通常のモードのパケット「N」、「O」、「P」…が利用可能になる。フェージングがなくなることが検出され、エラー信号線E上の非アクティブのエラー信号によって示される。これに応じて、セレクタ230は、通常モードのパケット・ストリームをマルチ標準復号器240に結合する。同時に、マルチ標準復号器240は通常モードのパケットのパケット解除と復号化とを行うよう構成され、コンテンツを表す信号を生成し続ける。
【0029】
時間t1から時間t3までのフェージング及び回復の間、ロバストなパケット「r」乃至「w」は喪失されている。よって、時間t6から時間t7まで、通常モードのパケット「R」乃至「W」が受信されている際に、遅延装置220においては相当するロバスト・モードのパケットが何ら存在しない。この時間中には、フェージングに対する保護は何ら存在しない。しかし、遅延装置が最充填されると、フェージング保護はもう一度利用可能になる。
【0030】
上記のように、コンテンツを表す信号は、時間t1から時間t3までフェージングが生じるにもかかわらず、ユティラーゼーション回路(図示せず)に利用可能な状態にとどまる。更に、ロバストなソース符号化及びチャネル符号化(変調)手法が理由で、ロバスト・モードのパケットはより激しいチャネル劣化を耐え抜くものと思われ、よって、通常モードのパケットが利用可能でない場合がある際に利用可能である。ロバスト・モードのパケット・ストリームによって収容されるコンテンツ信号の品質は、通常モードのパケット・ストリームのものとは異なり得る。特に、ロバスト・モードのパケット・ストリームにおけるコンテンツ信号の品質は、通常モードのパケット・ストリームにおけるものよりも低い場合がある。低品質コンテンツ信号は高品質コンテンツ信号よりも送信するのにより少ないビットを必要とし、そのようなロバスト・モードのパケット・ストリームは通常のモード・パケット・ストリームよりも低スループットを必要とすることになる。よって、第2の、より低いスループットのパケット・システムを犠牲にして、フェージング・イベントの場合におけるグレースフル・デグラデーション(緩慢な劣化)を可能にすることになるシステムが考えられる。
【0031】
更に上記のように、コンテンツ信号は、ビデオ、オーディオ及び/又はデータを含み得る。特に、オーディオ・データは通常モードのパケット・ストリームとロバスト・モードのパケット・ストリームとにおいて収容し得るので、オーディオ・データも、フェージングが存在しているにもかかわらず利用可能な状態に留まる。ロバスト・モードのパケット・ストリームによって収容されるオーディオ・コンテンツ信号は、通常モードのパケット・ストリームにおけるものとは異なる、特により低い品質を有し得る。低品質でのオーディオ信号は少ないビット及び少ないパケットによって収容し得るので、ロバスト・モードのパケット・ストリームに対する要件を比較的低くすることになる。このことは、フェージング・イベントの場合にグレースフル・デグラデーションを可能にする。
【0032】
上記システムでは、通常モードのパケット・ストリームからロバスト・モードのパケット・ストリームまでの切り替えはどの時点で行ってもよい。ロバストなパケット・ストリームがパケット・レベルまで通常のパケット・ストリームにおけるものと同一の、コンテンツを表すデータを収容する場合、これは問題をもたらさない場合がある。しかし、ロバストなパケット・ストリームが通常のパケット・ストリームにおけるものとは違った、コンテンツを表すデータを収容する場合、例えば、コンテンツが別の解像度、量子化レベル、フレーム・レートなどで表される場合、視聴者は、再生画像における、好ましくない場合がある変動に気がつく場合がある。最悪の場合には、パケット・ストリームの切り替えがピクチャを復号化している間に行われる場合、そのピクチャと他の周囲のピクチャとの復号化は全体的に失敗し得るものであり、ビデオ画像は、復号器が別個に復号化可能なピクチャに再同期化するまでより長い期間、中断し得る。
【0033】
上記のように、通常モードのパケット・ストリームは、ソース符号化、システム符号化及びチャネル符号化の組み合わせによって収容される。図示した実施例では、ソース符号化及びシステム符号化は公知のMPEG2符号化手法により、チャネル符号化は8−VSB変調手法を用いる。MPEGソース符号化手法はビデオ画像信号を一連の別個の復号化セグメントとして符号化する。基本ストリーム・セグメントとしても呼ばれる復号化セグメント(IDS)は何れかの他の別個の復号化セグメントとは別個に正確に復号化し得るセグメントである。MPEG標準では、別個の復号化セグメントはシーケンス、GOP(ピクチャ群)及び/又はピクチャを含む。この別個の復号化セグメントは位置の開始符号によって圧縮ビットストリームにおいて区切られる。すなわち、別個の復号化セグメントは、次セグメントの開始符号までの、セグメント開始符号に始まるデータ全てであるものとみなす。MPEG2標準におけるピクチャは、イントラ符号化ピクチャ(Iピクチャ)、インター予測ピクチャ(Pピクチャ)又は双方向予測(B)ピクチャである。Iピクチャは何れの他のピクチャも参照しないで符号化される。GOPは、Iピクチャ、Pピクチャ及び/又はBピクチャの組み合わせとして符号化されたピクチャ群を含む。閉状態のGOPでは、GOPにおけるピクチャ全てを、何れかの他のGOPにおけるピクチャを参照することなく復号化し得る。各GOPの始めはMPEG2のパケット・ストリームにおいて明確に識別される。
【0034】
更に上記のように、ロバスト・モードのパケット・ストリームはソース符号化とシステム符号化とチャネル符号化との組み合わせによって収容される。図示した実施例では、ソース符号化はJVT符号化手法により、システム符号化はMPEG2標準により、チャネル符号化は2−VSB変調手法及び/又は4−VSB変調手法を用いる。JVTソース符号化標準を用いて符号化されたピクチャは符号化されたスライスからなり、所定のピクチャは種々の符号化種類のスライスを含み得る。各スライスは、イントラ符号化(I)スライス、インター予測(P)スライス、双方向予測(B)スライス、空間的予測のみを用いるSIスライス、又は種々の参照ピクチャが用いられる場合にも正確に再生し得るSPスライスであり得る。JVTソース符号化標準は瞬時復号化リフレッシュ(IDR)ピクチャも含む。IDRはJVT符号化ピクチャの特定の種類であり、それはIスライスのみを含み、IDSの始めの印を付す。現行のピクチャと後に符号化されるピクチャの全ては先行ピクチャに対する参照を必要とすることなく復号化し得る。IDRは、MPEG2標準におけるGOPをエミュレートし、所定のピクチャ毎に一度符号化し得る。JVTソース符号化手法では、別個の復号化手法では、別個の復号化セグメントはIDRによって区切られている場合があり、それはJVTパケット・ストリームにおいて明確に識別されている。
【0035】
通常のソース符号化手法及びロバストなソース符号化手法に対して何らかの制約を課すことによって、好ましくないアーチファクトを最小にする一方で、通常モードのパケット・ストリームからロバスト・モードのパケット・ストリームに切り替えることが可能なシステムを開発し得る。別個の復号化セグメントが、通常の(MPEG2の)パケット・ストリームとロバストな(JVTの)パケット・ストリームとの両方における同一のコンテンツ場所で開始するよう符号化される場合、好ましくないアーチファクトが最小で、別個の復号化セグメント場所での通常のパケット・ストリームとロバストなパケット・ストリームとの間の切り替えを行い得る。図示した実施例では、通常の(MPEG2の)パケット・ストリームにおいて用いる別個の復号化セグメントは閉状態のGOPであり、Iピクチャから始まる。相当するロバストな(JVTの)パケット・ストリームでは、別個の復号化セグメントの各々はIDRピクチャから始まる。通常の(MPEGの)モードのパケット・ストリームにおけるIピクチャと、ロバストな(JVTの)モードのパケット・ストリームは両方ともコンテンツ・ソース(図示せず)からの同じビデオ・ピクチャを符号化する。両方のソース符号化手法とも他の方法でIDSが構成され、区切られることを可能にする。例えば、MPEG2ソース符号化手法は、ピクチャを表すようスライスが構成されることを可能にする。IDSが同一のコンテンツ場所で両方のパケット・ストリームに挿入される何れかの方法を用い得る。
【0036】
もう一度図1を参照すれば、入力端子105は、想像線で示すシーンカット検出器160の入力端子に更に結合される。シーンカット検出器160の出力端子は通常モード符号器120とロバスト・モード符号器110との各々の制御入力端子に結合される。
【0037】
動作上、シーンカット検出器160はビデオ・コンテンツにおいて新たなシーンが生じることを検出する。新たなシーンの検出に応じて、制御信号は通常モード符号器120とロバスト・モード符号器110とに送られる。通常モード符号器120もロバスト・モード符号器110も制御信号に応じて新たな別個の復号化セグメントを符号化し始める。通常モード符号器120は新たなIピクチャを挿入し、ロバスト・モード符号器110はIDRピクチャをその各々の符号化パケット・ストリームに挿入する。通常モード符号器120及びロバスト・モード符号器110は同じ持続時間を有する相当する別個の復号化セグメントを生成するよう動作する。上記のように、符号化コンテンツを表す信号は各々のパケット・ストリームにシステム符号化される。
【0038】
遅延装置130は、別個の復号化セグメント持続時間に等しい遅延を挿入するよう設定される。多重化装置140はロバスト・モードで符号化されたパケット・ストリームと遅延させた、通常モードで符号化されたパケット・ストリームとをコンポジット・パケット・ストリームに合成する。コンポジット・パケット・ストリームは、変調器150によって適切な方法でチャネル符号化(変調)され、通信チャネルに出力端子115を介して供給される。
【0039】
この動作モードでの送信機の動作は、図4を参照することによってより良く理解し得る。図4は、多重化装置140への入力でのパケット・ストリームを示す。図4では、ロバスト・モード符号器110からの一連の別個の復号化セグメント(IDS)は一連の矩形400として示し、通常モード符号器120からの一連の別個の復号化セグメントは一連の矩形410として示す。上記のように、コンテンツ中の時間位置と、ロバスト・モード符号器110と通常モード符号器120からの別個の復号化セグメントの持続時間はIDSの持続時間と同じである。ロバスト・モード符号110からのIDSは、通常モード符号器120からの直前のIDSと一致する。
【0040】
シーンカット検出器160によって検出されるような、シーンにおける変動を表し得る時間t0では、非遅延のロバスト・モードで符号化されたIDS Nが開始し、先行して遅延させた通常モードで符号化されたIDS N−1が開始する。(JVTソース符号化された)ロバスト・モード各々は、各々のスライスを表す一連の矩形440として示し、別個の復号化リフレッシュ(IDR)ピクチャから始まる。IDRピクチャにはBスライス、Pスライス、SIスライス及び/又はSPスライスが続く。これらのスライスは同様に、「a」、「b」、「c」などの一連のトランスポート・パケット450にシステム符号化される。同様に、通常モードIDS(MPEG2ソース符号化)は、Iピクチャから始まるGOPを表す一連の矩形420として示す。IピクチャにはPピクチャとBピクチャとの配置が続く。これらのIピクチャ、Pピクチャ及びBピクチャは、同様に、「A」、「B」、「C」などの一連のトランスポート・パケット430にシステム符号化される。図示した配置は例に過ぎず、何れかの適切な配置を用い得る。
【0041】
このコンポジット信号は受信機によって受信される。図2の受信機200をもう一度参照すれば、時間t0では、受信ロバスト・モードIDS Nは時間Tadv中に遅延装置220にロードされる。遅延装置230は、送信機において遅延装置130が通常のパケット・ストリームに挿入した遅延と同じ遅延(一IDS期間)を受信ロバスト・パケット・ストリームに挿入する。よって、セレクタ230の入力端子での受信された、通常パケット・ストリームと、遅延させた、ロバストなパケット・ストリームはコンテンツを表す信号に対してもう一度一致させる。
【0042】
通常の条件下では、セレクタ230は通常モードのパケット・ストリームをマルチ標準復号器240に結合し、上記に更に詳細に説明したように、マルチ標準復号器は通常モードのパケットを復号化するよう調節する。上記のように、エラーがコンポジット信号又はその一部分において検出される場合、通常モードのパケット・ストリームとロバスト・モードのパケット・ストリームとの間での切り替えが行われる。この実施例では、IDSの始めで、セレクタ230はロバスト・モードのパケット・ストリームをマルチ標準復号器240に結合し、上記に更に詳細に説明したように、マルチ標準復号器240はロバスト・モードのパケットを復号化するよう調節する。コンポジット信号に別のエラーが何ら検出されない場合、次のIDSの始めに、セレクタ230は通常モードのパケット・ストリームをマルチ標準復号器240に結合し、マルチ標準復号器240はもう一度通常モードのパケットを復号化するよう調節する。
【0043】
通常モードのパケット・ストリームの復号化からロバスト・モードのパケット・ストリームの復号化への切り替えとその逆は、IDSの始めで行われる。各IDSは、何れの他のピクチャも参照することなく正常に復号化し得る、Iピクチャ(通常モード)又はIDSピクチャ(ロバスト・モード)から始まる、別個の復号化セグメントである。更に、後続ピクチャを、IDSに先行するピクチャへの参照なしで復号化し得る。よって、コンテンツを表す信号の復号化及び表示は、切り替えがもたらす好ましくないアーチファクトなしで直ちに行い得る。
【0044】
通常モードのビデオ・パケット・ストリームの復号化からロバスト・モードのパケット・ストリームの復号化への切り替えとその逆によってもたらされるビデオ・アーチファクトを更に最小にするよう、結果として生じるビデオ信号の画像特性を、切り替えが行われる場合に通常モードのビデオ信号のものとロバスト・モードのビデオ信号のものとの間で徐々に変え得る。このことは、ロバスト・モードのビデオ・ストリームが通常モードのビデオ・ストリームよりも品質が低い場合、例えば、ロバスト・モードのビデオ・ストリームの空間的解像度、フレーム・レートなどが通常モードのビデオ・ストリームよりも少ない場合に特に望ましい。
【0045】
図5は、図3に示す受信機において用い得るセレクタ230”の構成図である。そのようなセレクタ230”は、結果として生じるビデオ信号のビデオ特性(例えば、解像度、フレーム・レートなど)を通常モードのビデオ信号のものとロバスト・モードのビデオ信号のものとの間でそれらの間の切り替えの時点で徐々に変える場合がある。図5aはセレクタ230”の動作を示す機能図であり、図5bは図2に示す受信機において用い得るそのようなセレクタ230”の実施例を示す構造的構成図である。
【0046】
図5aでは、ロバスト・モードのビデオ信号はトラック232の一方の端に結合され、通常モードのビデオ信号はトラック232の他方の端に結合される。スライダ234はトラック232にそってスライドし、結果として生じるビデオ信号を生成し、この信号はセレクタ230”の出力端子に結合される。結果として生じるビデオ信号は、(図2の)受信機200の出力端子215に結合される。制御入力端子は逆多重化装置210からエラー信号Eを受信するよう結合される。スライダ234のトラック232に沿った位置は、想像線で示すように制御回路231によって制御される。
【0047】
動作上、スライダ234がトラック232の上端にある場合、ロバスト・モードのビデオ信号の特性(例えば、解像度、フレーム・レートなど)を有する、結果として生じるビデオ信号はセレクタ230”の出力端子に結合される。スライダ234がトラック232の下端にある場合、通常モードのビデオ信号の特性を有する、結果として生じるビデオ信号はセレクタ230”の出力端子に結合される。スライダ234がトラック232の上端と下端との間を移動するにつれ、セレクタ230”の出力端子での、結果として生じるビデオ信号の特性は、通常モードのビデオ信号のものとロバスト・モードのビデオ信号のものとの間にくるように調節される。スライダ234がトラック232の上端に近いほど、結果として生じる信号の特性は通常モードのビデオ信号のものよりもロバスト・モードのビデオ信号のものに近くなる。スライダ234がトラック232の下端に近いほど、結果として生じる信号の特性はロバスト・モードのビデオ信号のものよりも通常モードのビデオ信号のものに近くなる。
【0048】
上記のように、エラー信号Eの値は、切り替えが行われることとする時点を示す。スイッチが一方のビデオ信号(例えば、通常モードのビデオ信号又はロバスト・モードのビデオ信号)から他方のビデオ信号に、切り替えが行われる時点近くでの1つ又複数のビデオ・ピクチャの時間間隔、切り替えられる場合、スライダ234はトラック232の一方の端から他方の端に徐々に移動する。例えば、通常モードのビデオ信号からロバスト・モードのビデオ信号への切り替えの間、スライダ234はトラックの最下部から開始する。切り替わる時点よりも前の数ビデオ・ピクチャの間、スライダはトラック232の最下部から最上部に徐々に移動する。通常モードのパケット・ストリームからロバスト・モードのパケット・ストリームへの切り替えの時点では、スライダはトラック232の最上部にある。よって、結果として生じるビデオ信号の特性は、通常のビデオ信号のものからロバスト・モードのビデオ信号のものに、ロバスト・モードのパケット・ストリームへの切り替えが行われる前の数ビデオ・ピクチャの間に徐々に変わる。同様に、ロバスト・モードのパケット・ストリームから通常モードのパケット・ストリームへの切り替えの時点で、スライダはトラック232の最上部にある。切り替え後の数ビデオ・ピクチャの間に、スライダはトラック232の最上部から最下部に徐々に移動する。よって、結果として生じるビデオ信号の特性は、ロバスト・モードのビデオ信号のものから通常モードのビデオ信号のものに、通常モードのパケット・ストリームへの切り替えが行われた後の数ビデオ・ピクチャの間に徐々に変わる。
【0049】
図5bでは、(図2の)マルチ標準復号器240からのビデオ信号は、可変ビデオ品質フィルタ236の第1入力端子とセレクタ238の第1入力端子とに結合される。ビデオ品質フィルタ236の出力端子はセレクタ238の第2入力端子に結合される。セレクタ238の出力端子は結果として生じるビデオ信号を生成し、(図2の)出力端子215に結合される。逆多重化装置210からのエラー信号Eは制御器回路231に結合される。制御器回路231の第1出力端子はビデオ品質フィルタ236の制御入力端子に結合され、制御器回路231の第2出力端子はセレクタ238の制御入力端子に結合される。
【0050】
動作上、復号化ビデオ信号のビデオ特性は制御器回路からの制御信号に応じてビデオ品質信号によって変えられる。制御器回路231からの制御信号は、通常モードのビデオ信号のものとロバスト・モードのビデオ信号のものとの間のビデオ特性の範囲を有するビデオ信号を生成するよう、ビデオ品質フィルタを調節する。通常の条件下では、切り替えが何ら行われない場合、制御器回路231は、復号器ビデオ信号を出力端子に結果として生じるビデオ信号として結合するようセレクタ238を調節する。
【0051】
上記のような通常モードのビデオ信号とロバスト・モードのビデオ信号との間の切り替えを示す、エラー信号Eの値における変動に応じて、切り替え時点近くでの時間間隔で、制御器回路231はビデオ品質フィルタ236からのビデオ信号を出力端子に結合するようセレクタ238を調節し、結果として生じるビデオ信号のビデオ特性を徐々に変えるよう品質フィルタ236を調節する。特に、通常モードのビデオ信号からロバスト・モードのビデオ信号への切り替えが行われる場合、切り替えが行われる前の数ビデオ・ピクチャの時間間隔で、ビデオ品質フィルタ236は結果として生じるビデオ信号のビデオ特性を通常のビデオ信号のものからロバストなビデオ信号のものに徐々に変えるよう調節する。その時間間隔の始めに、セレクタ238は、フィルタリングされたビデオ信号を出力端子に結果として生じる信号として結合するよう調節する。その時間間隔が完了し、復号化ビデオ信号がロバスト・モードのパケット・ストリームから導き出される場合、セレクタ238は、復号化ビデオ信号を出力端子に結果として生じる信号を結合するよう調節される。同様に、ロバスト・モードのビデオ信号から通常モードのビデオ信号への切り替えが行われる場合、切り替えが行われた後の数ビデオ・ピクチャの時間間隔で、ビデオ品質フィルタ236は、結果として生じるビデオ信号のビデオ特性をロバストなビデオ信号のものから通常のビデオ信号のものに徐々に変えるよう調節される。その時間間隔の始めに、セレクタ238はフィルタリングされたビデオ信号を出力端子に結果として生じるビデオ信号として結合するよう調節される。その時間間隔が完了し、復号化ビデオ信号が通常モードのパケット・ストリームから導き出されると、セレクタ238は、復号化ビデオ信号を出力端子に結果として生じるビデオ信号として結合するよう調節される。
【0052】
異なるビデオ品質(解像度、フレーム・レートなど)を有するビデオ信号間の急な切り替えは、視聴者に対して好ましくない場合があるアーチファクトをもたらし得る。結果として生じるビデオ信号のビデオ品質は、通常モードのビデオ信号からロバスト・モードのビデオ信号への切り替えの前は徐々に低減させ、ロバスト・モードのビデオ信号から通常モードのビデオ信号への切り替えの後は徐々に向上させ、切り替えからもたらされる好ましくないアーチファクトは最小にされる。
【0053】
スタガキャスト通信システムの別の実施例は、好ましくないアーチファクトを最小にする一方、切り替えを備える場合もあり、通常モードのパケット・ストリームやロバスト・モードのパケット・ストリームにIDSの特別な配置を何ら必要としない。受信機200’を図6に示す。図6では、図2における受信機200におけるものと同様な構成部分は、同じ参照数字によって表し、以下では詳細に記載するものでない。図6では、逆多重化装置210の第1出力端子は通常モード復号器240’の入力端子に結合される。通常モード復号器240’の第1出力端子はセレクタ230’の第1入力端子に結合され、通常モード復号器240’の第2出力端子は通常モードのフレームの記憶機構250’の第1入力端子に結合される。遅延装置220の出力端子はロバスト・モード復号器240”の入力端子に結合される。ロバスト・モード復号器240”の第1出力端子はセレクタ230’の第2入力端子に結合され、ロバスト・モード復号器240”の第2出力端子はロバスト・モードのフレームの記憶機構250”の第1入力端子に結合される。セレクタ230’の出力端子は通常モードのフレームの記憶機構250’とロバスト・モードのフレームの記憶機構250”との各々の第2入力端子に結合される。通常モードのフレームの記憶機構250’の出力端子は通常モード復号器240’の第2入力端子に結合され、ロバスト・モードのフレームの記憶機構250”の出力端子はロバスト・モード復号器240”の第2入力端子に結合される。
【0054】
動作上、遅延装置220は、(図1の)送信機100における遅延装置130が通常モードのパケット・ストリームに挿入する遅延と同様な遅延をロバスト・モードのパケット・ストリームに挿入する。よって、通常モード復号器240’とロバスト・モード復号器240”との各々の入力端子でのパケット・ストリーム信号は、コンテンツを表す信号に対して時間的に合わせられる。
【0055】
通常のロバスト・モードのパケット・ストリームも遅延させたロバスト・モードのパケット・ストリームも、上記に詳細に説明したように、相当する、コンテンツを表す信号ストリームを生成するようシステム復号化され、ソース復号化される。図示した実施例では、これらの、コンテンツを表す信号ストリームはビデオ・ピクチャの各々のシーケンスである。通常モードの復号化でもロバスト・モードの復号化でも、ビデオ・データを表す周囲のピクチャは予測ピクチャ又は予測スライスを復号化する必要がある。通常モードのフレームの記憶機構250’はこれらの周囲のピクチャを通常モード復号器240’用に保持し、ロバスト・モードのフレームの記憶機構250”はこれらの周囲のピクチャをロバスト・モードの復号器250”用に保持する。
【0056】
図6に示す受信機では、切り替えはIDS単位ではなくピクチャ単位で行われる。通常モード復号器240’は通常モードのパケットを、連続したビデオ・ピクチャを含む関連した、コンテンツを表す信号に復号化する。同時に、ロバスト・モード復号器240”はロバスト・モードのパケットを連続したビデオ・ピクチャを含む関連した、コンテンツを表す信号に復号化する。上記のように、逆多重化装置210は、逆多重化装置207からのコンポジット信号又は少なくともその特定部分が使用可能でないということを示すエラー信号をエラー信号線E上に生成する。図6に示す実施例では、このエラー信号は逆多重化パケット・ストリームにおいて欠けているパケットを検出することによって生成し得る。よって、エラー信号線E上のエラー信号は、パケットが欠けているということを示すのみならず、どのパケット・ストリームのパケットが欠けているかも示す。パケットは、パケット・ストリームによって収容されるビデオ・ピクチャを構成するデータの一部分をペイロードに収容するので、パケットが欠けているパケット・ストリームは間違っているものとして印を付け得る。
【0057】
ビデオ・ピクチャは、通常モードのパケット・ストリームにおいてもロバスト・モードのパケット・ストリームにおいても正常に受信する場合があり、通常モードのパケット・ストリームにおいて正常に受信するがロバスト・モードのパケット・ストリームにおいて間違って受信する場合があり、通常モードのパケット・ストリームにおいて間違って受信するがロバスト・モードのパケット・ストリームにおいて正常に受信する場合があり、通常モードのパケット・ストリームにおいてもロバスト・モードのパケット・ストリームにおいても間違って受信する場合がある。
【0058】
通常の条件下の場合、すなわち、通常モードのパケット・ストリームでもロバスト・モードのパケット・ストリームでもエラーが何ら検出されない場合、通常モードの復号器240’もロバスト・モードの復号器240”も相当するビデオ・ピクチャを正常に復号化する。セレクタ230’は通常モード復号器240’から導き出された、コンテンツを表すビデオ・ピクチャを出力端子215に結合する。更に、通常の条件下では、通常モード復号器240’はビデオ・ピクチャを通常モードのフレームの記憶機構250’に供給し、ロバスト・モード復号器240”はビデオ・ピクチャをロバスト・モードのフレームの記憶機構250”に供給する。
【0059】
エラーがロバスト・モードのパケット・ストリームにおいて検出されるがエラーが通常モードのパケット・ストリームにおいて何ら検出されない場合、通常モード復号器240’のみが相当するビデオ・ピクチャを正常に復号化する。セレクタ230’は通常モード復号器240’から導き出される、コンテンツを表すビデオ・ピクチャを出力端子215に結合する。更に、通常モード復号器240’は復号化ビデオ・ピクチャを通常モードのフレームの記憶機構250’に供給する。しかし、ロバスト・モード復号器240”は、相当するビデオ・ピクチャを正常に復号化しなかったので、ロバスト・モードのフレームの記憶機構250”にビデオ・ピクチャを何ら供給しない。その代わりに、通常モード復号器240’から正常に復号化されたビデオ・ピクチャはセレクタ230’からロバスト・モードのフレームの記憶機構250”にルーティングされる。
【0060】
エラーが通常モードのパケット・ストリームにおいて検出されるが、ロバスト・モードのパケット・ストリームではエラーが何ら検出されない場合、ロバスト・モード復号器240”のみが相当するビデオ・ピクチャを正常に復号化する。セレクタ230’はロバスト・モード復号器240”から導き出される、コンテンツを表すビデオ・ピクチャを出力端子215に結合する。更に、ロバスト・モード復号器240”は復号化ビデオ・ピクチャをロバスト・モードのフレームの記憶機構250”に供給する。しかし、通常モード復号器240’は、相当するビデオ・ピクチャを正常に復号化しなかったので、通常モードのフレームの記憶機構にビデオ・ピクチャを何ら供給しない。その代わりに、ロバスト・モード復号器240”からの正常に復号化されたビデオ・ピクチャはセレクタ230’からロバスト・モードのフレームの記憶機構250’にルーティングされる。
【0061】
上記の2つの場合には、ビデオ・ピクチャを正常に復号化しなかった復号器に関連したフレーム記憶機構に記憶されているビデオ・ピクチャは、他方の復号器からのビデオ・ピクチャである。このことは、後続する復号化を、正常なビデオ・ピクチャがフレーム記憶機構に記憶されていた場合と比較して劣化させ得る。これは、置き換えられたビデオ・ピクチャが間違ったビデオ・ピクチャよりも品質が低い場合に特にあてはまる。しかし、後続する復号化の精度は、フレーム記憶機構にビデオ・ピクチャが何ら記憶されていない場合よりも良い。
【0062】
通常モードのパケット・ストリームにおけるビデオ・ピクチャにもロバスト・モードのパケット・ストリームにおけるビデオ・ピクチャにもエラーが検出される場合、正確なビデオ・ピクチャは何ら復号化されず、他のマスキング手法を行わなければならない。
【0063】
図6に示す受信機200’の動作は図7を参照することによってよりよく理解し得る。図7では、最上部の矩形群(MPEG)は各々、通常モード復号器240’の入力420及び出力520を表し、中央部の矩形群(JVT)は各々、ロバスト・モード復号器240”の入力440及び出力540を表し、最下部の矩形群(OUTPUT)は各々、出力端子215でのビデオ・ピクチャ460及びそのソース560を表す。MPEG復号化を参照すれば、上の矩形群420は通常モード復号器240’の入力端子でのソース符号化ビデオ・ピクチャ(I、P及びB)を表す。下の矩形群520は、通常モードの復号器240’の出力端子での結果として生じるビデオ・ピクチャを表す。同様に、JVT復号器を参照すれば、上の矩形群440は、ロバスト・モード検出器240”の入力端子での、(複数のIスライスのみを含み得る)ソース符号化IDRピクチャと、後続するソース符号化ビデオ・スライス(I、P、B、SI及び/又はSP)を表す。下の矩形群540はロバスト・モード復号器240”の出力端子での結果として生じるビデオ・ピクチャを表す。出力端子215を参照すれば、上の矩形群460は出力ビデオ・ピクチャを表し、下の矩形群560はその特定のビデオ・ピクチャのソースを表す。
【0064】
特に、通常モード(MPEG)のパケット・ストリームでは、ビデオ・ピクチャ6、10、13は各々、交差ハッチで示すように少なくとも1つのパケットが欠けている。同様に、ロバスト・モード(JVT)のパケット・ストリームでは、ビデオ・ピクチャ7及び10は、交差ハッチが示すように少なくとも1つのパケットが欠けている。通常モードのパケット・ストリームとロバスト・モードのパケット・ストリームとの他のビデオ・ピクチャは全て、全部のパケットを含み、正常に復号化し得る。
【0065】
ビデオ・ピクチャ0乃至5、8、9、11、12及び14の場合、セレクタ230’は通常モード復号器240’(MPEG)から導き出されたビデオ・ピクチャを、図7における「M」によって示すように、出力端子215に結合する。更に、これらのビデオ・ピクチャの場合、通常モード復号器240’からのビデオ・ピクチャは通常モードのフレームの記憶機構250’に供給され、ロバスト・モード復号器240”からのビデオ・ピクチャはロバスト・モードのフレームの記憶機構250”に供給される。
【0066】
ピクチャ6及び13の場合、通常モードのパケット・ストリームにおけるビデオ・ピクチャは間違っているが、ロバスト・モードのパケット・ストリームにおける相当するビデオ・ピクチャは完全であり、利用可能である。これらのピクチャの場合、セレクタ230’はロバスト・モード復号器240”(JVT)からのビデオ・ピクチャを、図7における「J」によって示すように出力端子215に結合する。これらのピクチャの場合には通常モードのビデオ・ピクチャは何ら存在しないので、ロバスト・モード復号器240”からのロバスト・モード・ビデオ・ピクチャはロバスト・モードのフレームの記憶機構250”と通常モードのフレームの記憶機構250’とに結合される。
【0067】
ピクチャ7の場合、通常モードのパケット・ストリームにおけるビデオ・ピクチャは完全であるが、ロバスト・モードのパケット・ストリームにおける相当するビデオ・ピクチャは間違っている。このピクチャの場合、セレクタ230’は通常モードの復号器240’からのビデオ・ピクチャを、図7における「M」によって示すように出力端子215に結合する。このピクチャの場合、ロバスト・モードのビデオ・ピクチャが何ら存在しないので、通常モード復号器240’からの通常モードのビデオ・ピクチャ240’は通常モードのフレームの記憶機構250’とロバスト・モードのフレームの記憶機構250”とに結合される。
【0068】
ピクチャ10の場合、通常モードのパケット・ストリームとロバスト・モードのパケット・ストリームとにおけるビデオ・ピクチャは間違っている。有効なビデオ・ピクチャは何ら存在しないので、エラー・マスキングの特定の形態を用い得る。これは図7で「XX」によって示す。通常モード復号器240’又はロバスト・モード復号器240”からの有効なビデオ・ピクチャは何ら存在しないので、通常モードのフレームの記憶機構250’にもロバスト・モードのフレームの記憶機構250”にも復号化ビデオ・ピクチャが何ら記憶されない場合がある。フレーム記憶機構250’及び250”において記憶されているデータは、エラー・マスキングの特定の形態から導き出される場合もある。
【0069】
両方のパケット・ストリームをビデオ・ピクチャ・ストリームに復号化し、各ビデオ・ピクチャの始めに一方のビデオ・ストリームから他方に切り替えることによって、パケット・ストリームを適切に復号化できなかったことから生じるビデオ・アーチファクトを最小にし得る。図5に示すように、ビデオ品質を徐々変えながら切り替えることを図6に示すような受信機において用い得る。しかし、図6の受信機において切り替えが各ピクチャで行われるので、そのような切り替えからのアーチファクトは、図2のようにIDS境界で切り替えが行われる場合ほどは好ましくないものでない。
【0070】
劣化したチャネル状態は、しかし、通常モードのパケット・ストリームとロバスト・モードのパケット・ストリームとの間の頻繁な切り替えをもたらす。この頻繁な切り替えは、視聴者に対して好ましくない場合があるアーチファクトをもたらし得る。これは、ロバスト・モードのビデオ信号のビデオ品質が通常モードのビデオ信号のものとはかなり異なる場合にあてはまる。
【0071】
通常モードのパケット・ストリームとロバスト・モードのパケット・ストリームとの間での過剰に頻繁な切り替えによってもたらされるアーチファクトを最小にするために、(図2の)セレクタ230及び(図6の)セレクタ230’は所定の周波数よりも高い周波数での切り替えを制限するよう構成される。特に、セレクタ230又は230’は、切り替えが望ましい周波数を監視し、それを所定の閾値と比較する場合がある。所望の切り替えの周波数が閾値を上回る場合、実際の切り替えが行われる周波数は特定の最大周波数を下回る周波数に制限される。これは切り替えヒステリシスの一形態である。
【0072】
例えば、通常モードのパケット・ストリームが高品質(例えば、高品位(HD))のビデオ信号を収容し、ロバスト・モードのパケット・ストリームがより低い品質(例えば、標準品位(SD))のビデオ信号を収容することとする。通常モードのHDのパケット・ストリームが利用可能でない場合、ロバスト・モードのSDのパケット・ストリームが画像を生成するよう処理される。HD表示装置上に表示させるようSDビデオ信号をアップスケーリングすることによって劣悪な品質のビデオ画像が生成される。通常モードのパケット・ストリームの頻繁なフェード・イン及びフェード・アウトがあるが、ロバスト・モードのパケット・ストリームは利用可能な状態のままにとどまっている場合、通常モードのHDのビデオ信号とロバスト・モードのSDのビデオ信号との間の頻繁な切り替えが行われる。高品質画像と低品質画像との間の頻繁な切り替えを伴うHDパケット・ストリームとSDパケット・ストリームとの間の頻繁な切り替えは、視聴者に対して好ましくないアーチファクトを発生させる。
【0073】
この例を続ければ、切り替えが、例えば毎分3回以上、行われることになる(すなわち、通常モードのパケットが欠けている)旨をエラー信号Eが示す場合、実際の切り替えは上記切り替えアーチファクトを最小にするよう制限される。この例では、これらの条件下では、セレクタ230又は230’は、スイッチ毎に例えば少なくとも1分間はロバスト・モードのパケット・ストリームを選択する。このことはスイッチの数を削減することになり、よって、これらのスイッチから生じる可視アーチファクトを最小にする。これが切り替えヒステリシスを実施する一実施例に過ぎないということは当業者が分かる。ヒステリシスを起動するうえでの最大切り替え周波数の閾値と制限切り替え周波数の閾値は、例のものとは異ならせる場合がある。そのような閾値は、好ましくない可視のアーチファクトを最小にするものを見つけるよう経験的に判定し得る。更に、閾値を、受信機の動作中に動的に変える場合がある。最後に、過剰な切り替えをもたらすことになる状態が存在している場合に切り替えを制限する他のヒステリシス・アルゴリズムを開発し得る。
【0074】
図3及び図4をもう一度参照すれば、何れかのブロードキャストの始めやチャネル切り替え時には、通常モードのパケット(310、410)が(図2及び図6の)遅延装置220を充填しているTadvと称する期間が存在する。図2及び図6に示した受信機では、遅延回路220が充填された状態になってからしか、受信機は動作し始めない。しかし、このことは受信機の電源が入れられるかチャネルが切り替えられる場合に過度の遅延をもたらす。しかし、時間間隔T adv中には、ロバスト・モードのパケット・ストリーム(300、400)は直ちに利用可能である。
【0075】
図2では、非遅延のロバスト・モードのパケット・ストリームは、想像線で示すように、逆多重化装置210からセレクタ230の第3入力端子に直接結合される。受信機に電源が入れられるか新たなチャネルが選択される場合、セレクタ230は非遅延のロバスト・モードのパケット・ストリームをマルチ標準復号器240に結合する。マルチ標準復号器240は上記に詳細に説明したように、ロバスト・モードのパケットのパケット解除と復号化とを行うよう調整され、ビデオ信号は、出力端子215でのユティラーゼーション回路に直ちに利用可能にされる。通常モードのパケット・ストリームが利用可能になる場合、セレクタ230は、通常モードのパケット・ストリーム信号をマルチ標準復号器240に結合することになる。
【0076】
図6では、非遅延のロバスト・モードのパケット・ストリームは逆多重化装置210からロバスト・モードの復号器240”に直結される。受信機が電源が入れられるか新たなチャネルが選択される場合、ロバスト・モード検出器240”は、以上に更に詳細に説明したように、逆多重化装置210からのロバスト・モードのパケット・ストリームのパケット解除及び復号化を行い、ロバスト・モードのビデオ信号を生成するよう調節される。通常モードのパケット・ストリームが利用可能になる場合、通常モード復号器240’はそれのパケット解除と復号化とを行い、通常モードのビデオ信号を生成する。セレクタ230’は、出力端子215を介してユティラーゼーション回路に通常モードのビデオ信号を結合するよう調整される。
【0077】
何れの場合にも、通常モードのパケット・ストリームとロバスト・モードのパケット・ストリームにおけるデータは、通常モードのパケット・ストリームが利用可能になった時点と受信器の通常の動作を開始し得る時点とを判定するよう解析される。公知のMPEG2のシステム(トランスポート・パケット)の符号化によれば、送信機におけるシステム・タイム・クロック(STC)に関する情報は、プログラム・クロック参照(PCR)データを介して符号化パケット・ストリームに入れられる。パケット・ストリームの(アクセス単位と称する)一部分を復号化しなければならない時点を示すプレゼンテーション・タイム・スタンプ(PTS)と称する更なる情報は、少なくとも、そのようなアクセス単位の各々の始めに含まれる。通常モードのパケット・ストリーム及びロバスト・モードのパケット・ストリームがマルチ標準復号器240(図2)又は通常モード復号器240’及びロバスト・モード復号器240”(図6)によってパケット解除され、復号化される場合、受信機におけるシステム・タイム・クロック(STC)は送信機におけるものにPCRデータによって同期がとられる。通常モードのパケット・ストリームにおけるPTSの値が受信機STCの値に等しい場合。このことは、通常モードのパケット・ストリームがロバスト・モードのパケット・ストリームと同期状態にある旨を示し、受信機は上記のように通常モードのパケット・ストリームを復号化することによって通常の動作を始め得る。
【0078】
コンテンツを表す多くの信号は1つの多重化トランスポート・パケット・ストリーム上で送信し得るので、種々のパケット・ストリームに関する情報を供給する公知の手段が開発されている。各パケット・ストリームは、そのパケット・ストリームにおける各パケットのヘッダに含まれるパケット識別子(PID)によって識別される。所定の公知のPIDを有する1つのパケット・ストリームは、他のパケット・ストリーム全てに関する識別及び他の情報を含む1つ又は複数のデータ・テーブルを含む。この公知のテーブル構造は、何れかの他の通常モードのパケット・ストリームに関しないロバスト・モードのパケット・ストリームに関する情報を収容するのに用い得る。しかし、他の通常モードのパケット・ストリームに関する追加情報を送信機から受信機に送らなければならない。
【0079】
これらの既存のテーブルの拡張された構文及び意味論は必要なデータを収容し得る。図8は、プログラム・マップ・プロトコル(PMT)並びに/又はプログラム及び情報システムのプロトコル、すなわち仮想チャネル・テーブル(PSIP−VCT)の拡張された構文及び意味論を示すテーブルである。図8における各行は、拡張テーブルにおけるデータ項目を表すか、擬似コード形式におけるメタ構文記述を表す。第1列はデータ項目又はメタ意味論記述の名前である。第2列はデータ項目又は構文記述の記述である。第3列は、何れかのデータ項目のサイズの表示である。
【0080】
拡張構文における第1項目802は、他の通常モードのパケット・ストリームをスタガキャストするのに用いるロバストなパケット・ストリームの数である。その場合、そのようなスタガキャストされるロバスト・モードのパケット・ストリーム毎の情報は、テーブルの次の行と最後の行におけるメタ構文記述によって示されるように、テーブルに含まれる。一部のそのような情報はロバスト・モードのパケット・ストリーム毎に必要である。例えば、データ804はロバスト・モードのパケット・ストリームのプログラム識別子(PID)を表し、データ806はそのパケット・ストリームによって収容されるデータの種類を表し、データ808はそのパケット・ストリームに関連した通常モードのパケット・ストリームのPIDを表し、データ810は、(図1の)送信機100における遅延装置130によって通常モードのパケット・ストリームに挿入される遅延を表す。
【0081】
一部のそのような情報は、しかし、特定のデータ種類のもののみのロバスト・モードのパケット・ストリームに関する。例えば、ロバスト・モードのパケット・ストリームがビデオ・データを収容する場合、圧縮形式、フレーム・レート、インタレース形式、水平解像度及び垂直解像度、並びにビット・レートが送信機から受信機に送られるので、ロバスト・モードのパケット・ストリームによって表すビデオ画像は適切に復号化し、表示させ得る。同様に、ロバスト・モードのパケット・ストリームがオーディオ・データを収容する場合、圧縮形式、ビット・レート、サンプル・レート及びオーディオ・モード(サラウンド、ステレオ又はモノ)は送信機から受信機に送られるので、ロバスト・モードのパケット・ストリームが表す音は適切に復号化し、再生し得る。
【0082】
もう1つのデータが、ロバスト・モードのパケット・ストリームによって収容される、コンテンツを表す信号の相対品質に関する。上記のように、ロバスト・モードのパケット・ストリームによって収容される、コンテンツを表す信号の品質はそれが関連した通常モードのパケット・ストリームのものとは異なり得る。上記例では、ロバスト・モードのパケットによって収容される、コンテンツを表す信号の品質は、関連した通常モードのパケット・ストリームのものよりも低いものとして規定される。しかし、特定の条件下では、プロバイダはロバスト・モードのパケット・ストリーム上でより高い品質の信号を送信し得る。この状態では、受信器は、関連した通常モードのパケット・ストリームではなくロバスト・モードのパケット・ストリームによって収容される、コンテンツを表す信号を用いることが好ましい。このことはデータ816によって受信機に示される。
【0083】
ロバスト・モードのパケット・ストリームを通常モードのパケット・ストリームに関連させた情報を備えることによって、(図2の)受信機200又は(図6の)受信機200’は通常モードのパケット・ストリームとロバスト・モードのパケット・ストリームとを多重化パケット・ストリームに見つける場合があり、上記のようにそれらの両方を同時に処理する場合がある。図2及び図6の受信機の機能を含まない従来の受信機は、この情報を無視し、通常モードのパケット・ストリームを公知の方法で処理することになる。
【0084】
上記のように、(図1の)送信機100における遅延装置130によってロバスト・モードのパケット・ストリームと関連した通常モードのパケット・ストリームとの間に挿入される遅延は図8において図示したテーブルにおけるデータ810として送信される。このことは送信機が遅延期間を変えることを可能にし、受信機がその遅延期間を適宜調節することを可能にする。例えば、特定のチャネル状態下では、フェージングは他の状態よりも起こりそうであると思われる場合があり、フェージングの特性が変わる(すなわち、フェージングが長くなる)場合もある。そのような状態下では、遅延期間を増加させ得る。遅延の長さは受信機に送信され、受信機は(図2及び図6における)遅延装置220を同様な遅延期間に適合させ得る。他の状態が異なる遅延期間を必要とする場合もある。
【0085】
上記のスタガキャストの概念は拡張し得る。異なるビデオ品質(例えば、解像度、フレーム・レートなど)を有するビデオ信号に符号化される、同様な、コンテンツを表す信号の複数バージョンはスタガキャストし得る。図9は、コンテンツを表す信号の複数バージョンを送信するスタガキャスト送信機の別の実施例の一部分の構成図である。図9では、図1に示す送信機におけるものと同様な構成要素は同じ参照数字によって表し、以下に更に詳細に説明しないこととする。図10はスタガキャスト受信機の相当する実施例の一部分の構成図である。図10では、図2に示す受信機におけるものと同様な構成要素は同じ参照数字によって表され、以下に更に詳細に説明しないこととする。
【0086】
図9aでは、入力端子105は階層符号器160の入力端子に結合される。階層符号器160は、複数の出力パケット・ストリーム信号を符号化し、パケット化する。複数の出力パケット・ストリームの第1のもの(0)は、多重化装置140’の相当する入力端子に結合される。複数の出力パケット信号の残り、(1)乃至(n)は、相当する複数の遅延装置130(1)乃至130(n)の各々の入力端子に結合される。遅延装置130(2)によって挿入される遅延期間は、遅延装置130(1)によって挿入されるものよりも大きい。遅延装置130(3)(図示せず)によって挿入される遅延期間は遅延装置130(2)によって挿入されるものよりも大きい、などである。遅延は、図3に示すようなパケット、図4に示すような別個の復号化セグメント又は図7に示すようなビデオ・ピクチャ期間によって規定し得る。複数の遅延装置130(1)及び130(n)の各々の出力端子は、多重化装置140’の相当する入力端子に結合される。
【0087】
動作上、第1パケット・ストリーム信号(0)は最低ビデオ品質で符号化される基本ビデオ信号ソースを収容する。第2パケット・ストリーム信号(1)は余分なビデオ情報を収容する。この余分なビデオ情報は基本ビデオ信号(0)と合成されると基本ビデオ信号(o)単独よりも高いビデオ品質を備えているビデオ信号を生成する。第3パケット・ストリーム信号(2)は他の余分なビデオ情報を収容する。この信号におけるビデオ情報は、基本ビデオ信号(0)及び第2パケット・ストリーム信号(1)におけるビデオ情報と合成される場合、基本信号(0)及び第2信号(1)を合成したものよりも高いビデオ品質を備えているビデオ信号を生成する。階層符号器160からのパケット・ストリーム(n)までの追加のパケット・ストリーム信号におけるビデオ情報は合成してより高いビデオ品質のビデオ信号を生成し得る。多重化信号はチャネル符号化(変調)され、受信機に出力端子115を介して供給される。
【0088】
図10aは図9aに示す送信機に相当する受信機である。逆多重化装置210は複数の(0)乃至(n)のパケット・ストリームを抽出する。パケット・ストリーム(n)は階層復号器260の相当する入力端子に結合される。複数のパケット・ストリームの残り(0)乃至(n−1)(図示せず)は相当する複数の遅延装置220の各々の入力端子に結合される。複数の遅延装置220は、階層復号器260の入力端子で時間的に複数の(0)乃至(n)の全てをもう一度合わせるよう調節される。逆多重化装置210からの信号線E上のエラー信号は、階層復号器260の制御入力端子に結合される。階層復号器260の出力端子は出力端子215に結合される。
【0089】
動作上、逆多重化装置207は、上記更に詳細に記載したように適宜、受信信号をチャネル復号化する(復調する)。多重化装置210は、図9aに示すパケット・ストリーム(0)乃至(n)に相当するビデオ情報の階層を収容する複数の(0)乃至(n)のパケット・ストリームを抽出する。これらのパケット・ストリームは複数の遅延装置220によって時間的に合せられる。逆多重化装置210からのエラー信号は、どのパケット・ストリームが利用可能でない、すなわち欠けているパケットであるかを示す。複数のパケット・ストリームがパケット解除され、利用可能なパケット・ストリームから階層的に復号化し得る最高品質の画像が階層復号器260によって生成される。よって、フェージング・イベントが、基本ビデオ信号を収容するパケット・ストリーム(0)以外の全てを利用不能にした場合、階層復号器260はパケット・ストリーム(0)のみをパケット解除し、復号化する。パケット・ストリーム(1)も利用可能な場合、階層復号器260はパケット・ストリーム(0)もパケット・ストリーム(1)もパケット解除し、復号化し、より高い品質のビデオ信号を生成する。パケット・ストリーム(0)乃至(n)の全てが利用可能である場合、階層復号器260は全てをパケット解除し、復号化し、最高ビデオ品質のビデオ信号を生成する。
【0090】
図9bでは、入力端子105は複数のビデオ符号器170の各々の入力端子に結合される。複数のビデオ符号器170の第1のもの170(0)の出力端子は多重化装置140’の相当する入力端子に結合される。複数のビデオ符号器170の残り170(1)乃至170(n)の出力端子は、複数の遅延装置130(1)乃至130(n)の各々の入力端子に結合される。遅延装置130(2)によって挿入される遅延期間は遅延装置130(1)によって挿入されるものよりも大きく、遅延装置130(3)(図示せず)によって挿入される遅延期間は遅延装置130(2)によって挿入されるものよりも大きい、などである。遅延は、図3に示すようなパケット、図4に示すような別個の復号器セグメント又は図7に示すようなビデオ・フレーム期間によって規定し得る。複数の遅延装置の各々の出力端子は多重化装置140’の相当する入力端子に結合される。
【0091】
動作上、第1符号器170(0)はコンテンツを表す信号をソース符号化し、結果として生じるソース符号化信号をシステム符号化(パケット化)して、最低の品質でのビデオ信号、すなわち、図示した実施例では、4分の1の共通インタフェース・形式(QCIF)のビデオ信号、を表す情報を収容するパケット・ストリームを生成する。図示しない他のビデオ符号器は同様に、連続したより高いビデオ品質でのビデオ信号を収容するパケット・ストリームを生成する。SDビデオ符号器170(n−1)は同様に、SD品質のビデオ信号を収容するパケット・ストリームを生成し、HDビデオ符号器170(n)は同様に、HD品質のビデオ信号を収容するパケット・ストリームを生成する。これらのパケット・ストリームは、多重化装置140’によって多重化され、更に、チャネル符号化(変調)され、受信機に出力端子115によって送信される。
【0092】
図10bは、図9bに示す送信機に相当する受信機である。図10bでは、逆多重化装置210は複数の(0)乃至(n)のパケット・ストリームを抽出する。パケット・ストリーム(n)はHD復号器270(n)の入力端子に結合される。パケット・ストリーム(0)乃至(n−1)の残りは、複数の遅延装置220の各々の入力端子に結合される。複数の遅延装置220の各々の出力端子は複数のビデオ復号器270の相当する入力端子に結合される。複数のビデオ復号器270の各々の出力端子はセレクタの相当する入力端子に結合される。逆多重化装置210からのエラー信号線E上のエラー信号はセレクタ280の制御入力端子に結合される。
【0093】
動作上、復調器207は、上記に更に詳細に説明したように、適宜、受信コンポジット信号をチャネル復号化(変調)する。逆多重化装置210は、図9bに示す複数のビデオ符号器170によって生成されるものに相当するパケット・ストリーム(0)乃至(n)を抽出する。複数の遅延装置220は、時間的にこれらのパケット・ストリーム(0)乃至(n)を全て、複数のビデオ復号器270の各々の入力端子でもう一度合わせる。各パケット・ストリームはそのパケット・ストリームによって収容されるビデオ信号を復号化するのに適切なビデオ復号器に結合される。例えば、QCIF品質のビデオ信号を収容するパケット・ストリームはQCIF復号器270(0)に結合され、CIF品質のビデオ信号を収容するパケット・ストリームはCIF復号器270(1)に結合される、などである。複数のビデオ復号器270における各ビデオ復号器はそれに供給される信号をパケット解除し、ソース復号化して、ビデオ信号を生成する。逆多重化装置210からのエラー信号Eは、エラー(例えば、欠けているパケット)が理由でパケット・ストリーム(0)乃至(n)のどれが利用可能でないかを示す。セレクタ280は、利用可能なパケット・ストリームから生成される最高品質のビデオ信号を出力端子215に結合するよう調節される。
【0094】
図9に示す送信器システムにおけるより低い品質のビデオ画像信号の一部については画像スケーリングが必要であり得るということを当業者は分かる。図9aの階層符号器160又は図9bの複数の符号器170の符号器は、図を簡単にするよう図示していない、必要な何れかのそのような画像スケーリング回路を含む。
【0095】
図9及び図10において示す通信システムの場合、(図9aの)階層符号器160によって生成される何れかのパケット・ストリーム又は(図9の)複数のビデオ符号器170の何れかは、上記に更に詳細に説明するように、ロバストなソース符号化手法(JVT)によってソース符号化し、ロバストな変調手法(4−VSB及び/又は2−VSB)によってチャネル符号化(変調)し得る。そのパケット・ストリームの相当する復調及び復号化は図10の受信器において行われる。更に、最低品質のビデオ信号が最も進められ、よって、最高のフェージング耐性を有する。更に、最低のビデオ品質の信号は、最小のビット数によって符号化し得るものであり、よって、送信するのに要する時間は小量である。パケット・ストリームによって収容されるビデオ信号のビデオ品質が向上するにつれ、そのパケット・ストリームが進められる時間は減少し、よって、フェージング耐性は減少する。よって、チャネル特性にフェージングが何らない場合、最高のビデオ品質の信号を収容するパケット・ストリームは利用可能な状態のままに留まる。緩いフェージングはパケット・ストリームが収容する、利用可能な信号のビデオ品質を低いものとし、激しいフェージングはパケット・ストリームが収容する、利用可能な信号のビデオ品質を最低のもののみとする。チャネル特性が劣化するにつれ、このようにビデオ品質が徐々に低下することは、視聴者にとっては望ましい特性である。
【0096】
以上で説明し、図1及び図9bで示したように、同様な、コンテンツを表す信号は、高品質ビデオ信号を収容するパケット・ストリームとして、更には、低減ビデオ品質のビデオ信号を収容する1つ又は複数のパケット・ストリームとしてスタガキャストし得る。そのような通信システムでは、したがって、特定の受信機、例えば、携帯電話又は携帯情報端末(PDA)におけるテレビジョン受信機が、低減品質の、コンテンツを表す品号のみを抽出し、復号化することが考えられる。そのような受信機では、表示装置は低解像度であり、低減品質ビデオ信号を表示させることができるに過ぎない場合がある。更に、電源電力を用いることによって、処理データ量を最小にすることが効果的である。そのような受信器は、適切なビデオ品質のビデオ信号を収容するパケット・ストリームのみを復号化し、その画像を表示させる。
【0097】
図10cは受信機を示す。図10cでは、入力端子205は復調器207の入力端子に結合される。復調器207の出力端子は逆多重化装置210の入力端子に結合される。逆多重化装置210の出力端子は復号器270の入力端子に結合される。復号器の出力端子は出力端子215に結合される。
【0098】
動作上、復調器207は、上記に更に詳細に説明したように、適宜、受信コンポジット信号を復調する。逆多重化装置210は、所望の品質のビデオ信号を有する単一のパケット・ストリームのみを選択する。例えば、これは、図9bのQCIF符号器170(0)によって生成され、パケット・ストリーム(0)上で収容されるものなどのQCIF形式のビデオ信号であり得る。パケット・ストリーム(0)は逆多重化装置210によって抽出され、復号器270によって復号化されてQCIF形式のビデオ信号を生成する。そのような受信器は、所望の低品質のビデオ信号のパケット・ストリーム(0)のPIDを判定するよう、図8に示すテーブルのみを受信すればよい。テーブルにおいて送信される解像度データ812から、移動体受信機は、処理に望まれる低減品質のビデオ信号を収容するパケット・ストリームを選択することができる。
【0099】
図9及び図10に示す通信システムは更に拡張し得る。上記システムでは、追加パケット・ストリームにおいて収容されるビデオ情報は、悪化するチャネル状態下でのグレースフル。デグラデーションを備えるのに用い得る。しかし、そのようなシステムは、良好なチャネル状態下でビデオ信号の品質を向上させることが可能な追加のビデオ情報を送信する場合がある。パケット・ストリームが通常のビデオ信号を収容することに加え、増強ビデオ情報を収容するパケット・ストリームを含めることによって、増強ビデオ画像を送信し得る。
【0100】
図11はデュアル・インタレース・ビデオ信号を送信する送信機の一部分の構成図であり、図12はデュアル・インタレース・ビデオ信号を受信する受信機の一部分の構成図である。図13は図11に示すデュアル・インタレース送信機と図12に示すデュアル・インタレース受信機との動作を理解するうえで有用な表示図である。図11では、図1に示すものと同様な構成要素は同じ参照数字によって表し、以下では詳細に説明するものでない。図12では、図6に示すものと同様な構成要素は同じ参照数字によって表し、以下に詳細に説明するものでない。
【0101】
図13を参照すれば、コンテンツ・ソースは、表示境界1320内のビデオ線1310のシーケンスとして図13の最上部に略図で示すプログレシブ走査ビデオ表示を生成する。通常のHDビデオ画像ピクチャは1080行を含む。そのようなHDビデオ画像はインタレース形式では毎秒30フレームのレートで送信される。すなわち、インタレーサは2つのフィールド、奇数行のみを含む第1フィールド及び偶数行のみを含む第2フィールドを生成する。これらのフィールドは毎秒60フィールドのレートで連続して送信される。
【0102】
図11では、入力端子105はデュアル出力インタレーサ102に結合される。デュアル出力インタレーサ102の第1出力端子はロバスト・モード符号器110の入力端子に結合される。デュアル出力インタレーサ102の第2出力端子は通常モード符号器120の入力端子に結合される。
【0103】
もう一度図13を参照すれば、フレーム表示画像1330(A)はデュアル出力インタレーサ102の第1出力端子で生成されるビデオ信号Aに相当し、フレーム表示画像1330(B)はデュアル出力インタレーサ102の第2出力端子で生成されるビデオ信号Bに相当する。フレーム表示画像1330(A)及び1330(B)では、実線は1フィールドで送信され、点線は後続フィールドで送信される。1330(A)におけるフレーム表示画像では、実線は奇数線であり、点線は偶数線であり、1330(B)におけるフレーム表示画像では、実線は偶数線であり、点線は奇数線である。このことは、フレーム表示画像1330(A)及び1330(B)の下のフィールド表示画像1340(A)、1340(B)、1350(A)及び1350(B)において更に詳細に示す。フィールド1では、ビデオ信号Aはフィールド表示画像1340(A)に示すように奇数線を送信し、ビデオ信号Bはフィールド表示画像1340(B)に示すように偶数線を送信する。フィールド2では、ビデオ信号Aはフィールド表示画像1350(B)に示すように偶数線を送信し、ビデオ信号Bはフィールド表示画像1350(B)に示すように奇数線を送信する。
【0104】
以上に更に詳細に説明したように、ビデオ信号AはJVTソース符号化を用いてソース符号化され、次に、ロバスト・モード符号器110によってシステム符号化(パケット化)される。ビデオ信号BはMPEG2ソース符号化を用いてソース符号化され、更に、通常モードの符号器によってシステム符号化(パケット化)される。変調器チャネルはロバスト・モードのパケット・ストリームを4−VSB変調及び/又は2−VSB変調を用いてチャネル符号化(変調)し、通常モードのパケット・ストリームを8−VSB変調を用いて変調する。
【0105】
図12では、逆多重化装置210の第1出力端子は通常モード復号器240’の入力端子に結合され、逆多重化装置210の第2出力端子は遅延装置220の入力端子に結合される。通常モード復号器240’の出力端子はデュアル入力逆インタレーサ202の第1信号入力端子に結合され、ロバスト・モード復号器240”の出力端子はデュアル入力逆インタレーサ202の第2信号入力端子に結合される。逆多重化装置210からのエラー信号はデュアル入力逆インタレーサ202の制御入力端子に結合される。デュアル入力逆インタレーサ202の出力端子は出力端子215に結合される。
【0106】
以上に更に詳細に説明したように、復調器207はロバスト・モードのパケット・ストリームを4−VSB復調及び/又は2−VSB復調を用いてチャネル復号化(復調)し、通常モードのパケット・ストリームを8=VSB復調を用いて復調する。通常モード復号器240’は通常モードのパケット・ストリームを、JVT復号化を用いてシステム復号化(パケット解除)し、ソース復号化して、ビデオ信号Bを再生する。ロバスト・モード復号器240”はロバスト・モードのパケット・ストリームを、MPEG2復号化を用いてパケット解除し、ソース復号化してビデオ信号Aを再生する。
【0107】
デュアル入力逆インタレーサ202は、ロバスト・モード復号器240”からのビデオ信号Aのインタレース走査線を通常モード復号器240’からのビデオ信号Bのインタレース走査線と合成してプログレシブ走査フィールドを生成するよう動作する。フィールド1の場合、フィールド表示画像1340(A)に示すビデオ信号Aからの奇数走査線は、フィールド表示画像1340(B)に示すビデオ信号Bからの偶数走査線と合成される。結果として生じるプログレシブ走査フィールドはフィールド表示画像1345に示す。フィールド2の場合、フィールド表示画像1350(A)に示す、ビデオ信号Aからの偶数走査線は、フィールド表示画像1350(B)に示すビデオ信号Bからの奇数走査線と合成される。結果として生じるプログレシブ走査フィールドは、フィールド表示画像1355に示す。よって、プログレシブ走査フィールドはフィールド期間毎にデュアル入力逆インタレーサ202の出力端子で生成し得る。HD信号の場合、これは完全な1080行の画像が毎秒60回生成されるということを意味する。
【0108】
以上で説明し、図11、図12及び図13において示したデュアル・インタレース手法は上記手法と組み合わせて、チャネル状態が悪化した場合に広い範囲のグレースフル・デグラデーションを備える場合もある。チャネル状態が、ビデオ信号A又はBを収容するパケット・ストリームの1つを利用不能にする場合、エラー信号Eはこのことをデュアル入力逆インタレーサ202に示す。デュアル入力逆インタレーサ202は標準HDのインタレース・ビデオ信号を利用可能なビデオ信号から生成し始める。表示装置(図示せず)は、他方のビデオ信号がもう一度利用可能になるまで標準インタレース・ビデオ信号によって表す画像を表示するよう再構成される。HDビデオ信号が何れも利用可能でない場合、図9における送信機と図10における受信機を参照しながら以上に詳細に説明したように、利用可能な最高品質のビデオ信号を表示し得る。
【0109】
何れかのインタレース形式のビデオ信号、例えばSDビデオ信号を2倍のフレーム・レートでプログレシブ走査ビデオ信号に変換するのに同様な手法を用いる場合もある。図11及び図12に示すように2つのビデオ信号A及びBをスタガキャストする必要はない。それらがサイマルキャストされるだけでよい。しかし、スタガキャストは更に、上記のように、フェージング・イベントが存在している状態でグレースフル・デグラデーションを備える。
【0110】
上記通信システムは、ディジタル・パーソナル・ビデオ・レコーダ(PVR)などの記録装置と協調するよう拡張させる場合もある。そのようなPVR装置は、そのような装置のコストの減少によってディジタル・テレビジョン受信機に含められるようになってきている。図9bでは、PVR装置295は、セレクタ280に双方向に結合されるビデオ端子(Vid)と、想像線で示すように、この場合も双方向に結合される制御端子(Ctl)とを含む。セレクタ280は、この場合も想像線で示す、ユーザ制御のソースにこの場合も結合される。
【0111】
セレクタ280は、出力端子215に結合される入力ビデオ信号とは別個に複数のビデオ検出器270からの何れかの所望のビデオ信号をPVR295に結合するよう構成される。セレクタ280は、再生するよう、PVR295からの入力ビデオ信号を出力端子215に結合するよう構成される場合もある。セレクタ280は制御データをPVR295に供給する場合もあり、PVR295は双方向制御端末を介してステータス・データをセレクタ280に供給する。
【0112】
PVR295はいくつかの動作モードにおいて制御し得る。1つの動作モードでは、利用可能な最善のビデオ信号が、記録するようPVR295に結合される。この動作モードでは、セレクタ280は、出力端子215に結合されるものと同じ入力ビデオ信号をPVR295に結合する。このことは、最善の品質のビデオ信号が記録されることをもたらし、PVR295における記憶空間を最も費やすことになる。これはビデオ信号が収容する通常モードのパケット・ストリーム及びロバスト・モードのパケット・ストリームと、それが備えるグレースフル・デグラデーションとを利用することになる。あるいは、低解像度ビデオ信号は、出力端子215に結合されるよりもPVR295に結合される場合がある。例えば、セレクタ280が利用可能な最善のビデオ信号を出力端子215に結合し得る一方、セレクタ280はより低い品質のビデオ信号を生成するビデオ復号器270をPVR295に結合し得る。このより低い品質のビデオ信号は、SD復号器270(n−1)からのSD品質ビデオ信号などの利用可能なビデオ信号のうちの特定の1つであり、グレースフル・デグラデーションが上記のより低い品質のビデオ復号器によって供給される場合がある。そのような信号は、利用可能な最善のビデオ信号よりもPVR295において要する記憶空間が少なくて済むことになる。このことはPVR295における記憶空間を節減することに役立つことになり、より長い記録時間を可能にすることになる。特定のより低い品質のビデオ信号が利用不能になる場合、低品質信号がもう一度利用可能になるまで高品質信号を記録し得る。どの低品質ビデオ(すなわち、SD、CIF又はQCIF)を選択するかということは、ユーザ入力端子を介して視聴者によって直接行い得る。あるいは、セレクタ280はこの選択を特定の基準によって自動的に制御し得る。例えば、PVR295からのステータス信号はPVR295に残っている記憶量を示し得る。残っている記憶量が低下するにつれ、セレクタ280は低減ビデオ品質を有するビデオ復号器270をPVR295に自動的に結合し得る。どのビデオ信号がセレクタ280によってPVR295に結合されるかを制御するよう、他の基準を導き出し、用いる場合がある。
【0113】
同様に、ユーザは送信機によってブロードキャストされているテレビジョン番組の選択及び表示を制御したい場合がある。既存のブロードキャスト・システムでは、送信パケット・ストリームの1つは、現在ブロードキャストされている番組全てと近い将来ブロードキャストされる予定であるものとに関する情報を含むユーザ番組ガイドを収容する。番組ガイド・データから、そのような番組全て、それらのチャンネル及び時間を載せたテーブルのイメージを図10bに示すように画面上のディスプレイ・ジェネレータ(OSD)282によって生成し得る。ユーザは、所望の番組を見つけ、ユーザ・インタフェースを用いてその視聴対象番組を選択するうえでの手助けとして番組ガイド情報の表示を制御し得る。ユーザ・インタフェースは画像を表示して情報を視聴者に提示し、視聴者からの入力を要求し、受信機又はリモコンに組み入れられている場合がある制御部から視聴者の入力を受け入れる。既存システムは、番組の更に詳細な解説、レーティング(G、PG、Rなど)、持続時間、残りの時間などの番組表に関する追加情報を視聴者が要求することを可能にする。
【0114】
上記スタガキャスト・システムに関する追加情報は、表示番組テーブル又は追加情報表示に追加し得る。この情報は図8に示すPSIP−VCT/PMTテーブルから導き出し得る。例えば、表示番組テーブル及び/又は、スタガキャストされる番組、スタガキャストされるビデオ信号のビデオ品質、スタガキャストされるオーディオ信号のオーディオ品質を示す追加情報表示に追加の表示子を追加し得る。この情報を視聴者に対して表示させることによって、視聴者はそれを番組の選択の基とすることができる。特に、視聴者はスタガキャストされる番組を選択し得るか、例えば、信号が供給される表示装置に一致させるよう、所望のビデオ品質のビデオ信号を有する番組を選択し得る。
【0115】
現行の受信機も視聴者が特定のパラメータを設定することを可能にする。例えば、ユーザは、送信チャンネル全て又は、視聴者が加入しているチャンネルのみ若しくは加入チャンネル及びペイ・パー・ビュー・チャンネル、などを、表示される都度、画面上の表示を手作業で変えることなく自動的に視聴したい場合がある。ユーザ・インタフェースはユーザに、OSD282を介してこの選択がユーザ制御部を用いて行い得る画面イメージを提示する。上記のように、スタガキャストされたビデオ信号の選択及び表示に関する選択を視聴者が設定する、追加の画面イメージを生成し得るか、既存画面イメージを修正し得る。例えば、視聴者は、スタガキャスト番組のみをプログラム・テーブルが表示させるか、最小ビデオ品質以上でビデオ信号を収容するスタガキャスト番組を表示させるよう選択し得る。
【0116】
更に、上記のように、図8のPSIP−VCT/PMTテーブルにおけるロバスト・モード高品質フラグ816は、ロバスト・モードのパケット・ストリームが最高品質のビデオ信号を収容し、そのパケット・ストリームが利用可能でない場合以外には用いることとする。このデータは番組テーブルに表示させる場合もあり、視聴者はそのテーブルからの選択をこのフラグにも基づいて行い得る。例えば、視聴者はこのフラグが設定されているチャンネルのみを表示させるよう選択し得る。
【図面の簡単な説明】
【0117】
【図1】スタガキャスト送信機の一部分の構成図である。
【図2】スタガキャスト受信機の一部分の構成図である。
【図3】図1及び図2に示すスタガキャスト通信システムの動作を理解するうえで有用なパケット・タイミング図である。
【図4】拡張されたスタガキャスト通信システムの動作を理解するうえで有用なGOPタイミング図である。
【図5】図2に示す受信機において用い得るセレクタの構成図である。
【図6】スタガキャスト受信機の別の実施例の一部分の構成図である。
【図7】図6に示すスタガキャスト受信機の動作を理解するうえで有用なビデオ・フレーム・タイミング図である。
【図8】番組マップ・テーブル(PMT)並びに/又は番組及び情報システムのプロトコル、すなわち、仮想チャンネル・テーブル(PSIP−VCT)の拡張された構文及び意味論を示す図である。
【図9】コンテンツを表す信号の複数の解像度バージョンを送信するスタガキャスト送信機の別の実施例の一部分の構成図である。
【図10】コンテンツを表す信号の送信された複数の解像度バージョンを受信するスタガキャスト受信機の別の実施例の一部分の構成図である。
【図11】デュアル・インタレースの、コンテンツを表す信号を送信する送信機の一部分の構成図である。
【図12】デュアル・インタレースの、コンテンツを表す信号を受信する受信機の一部分の構成図である。
【図13】図11に示すデュアル・インタレース送信機の動作と図12において示すデュアル・インタレース受信機との動作を理解するうえで有用な表示図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、スタガキャストする方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本明細書及び特許請求の範囲に援用する、次世代テレビジョン方式委員会(ATSC)による西暦1995年9月16日付提案の、米国における現行のディジタル・テレビジョン伝送標準は、単一キャリア変調方式、すなわち8値残留側波帯振幅変調(8−VSB)を用いている。これは単一キャリア変調方式であるので、マルチパス及び他の信号減衰によってもたらされるフェージングなどの、通信チャネルにおける信号劣化の影響を受けやすい。特定のそのようなフェージングはチャネル等化手法によって補償し得る一方、フェージングが十分長く、十分激しい場合、受信機は信号を喪失することになり、復調器システムは同期を喪失することになる。信号を再取得し、復調器を再同期化させることは数秒を要し得るものであり、視聴者にとって非常に好ましくないものである。
【0003】
この問題を克服するよう、第1のATSC提案は、限られた期間、例えば、10%未満、の間、よりロバストな変調手法を用いることを可能にすることによって第2通信チャネルを作成することを可能にする。例えば、2値VSB変調手法又は4値VSB変調手法を特定のフレームに用い得る。第2ATSC提案は、8VSB変調手法を維持する一方で、よりロバストな符号化手法、例えばトレリス符号化を可能にする。そのようなシステムは、既存の受信機との後方互換性を維持する一方で、互換性のある受信機によって性能を向上させることが可能である。
【0004】
フェージングを克服する別の既知の方法はスタガキャストである。スタガキャスト通信システムを開示しているものがある(本明細書及び特許請求の範囲に内容を援用する、K.Ramaswamyなどによる西暦2002年7月17日付出願のPCT出願第US02/22723号及びJ.A.Cooperなどによる西暦2002年7月19日出願のPCT出願第US02/23032号参照。)。スタガキャスト通信システムは、一方を他方に対して遅延させた2つの部分コンテンツを表す信号を含むコンポジット信号を伝送する。別の方法で言えば、部分コンテンツを表す信号の一方は他方に対して進んでいる。コンポジット信号は、通信チャネルによって1つ又は複数の受信機にブロードキャストされる。受信機では、時間的に進められた、部分コンテンツを表す信号は遅延バッファによって遅延させられるので、他方の部分コンテンツを表す信号と時間的に再同期化される。通常の条件下では、受信された非遅延の、部分コンテンツを表す信号は、コンテンツを再生するのに用いられる。しかし、信号フェージングが生じる場合には、遅延バッファにおける、先行して受信され、時間的に進んでいる、コンテンツを表す信号が、フェージングが終了しコンポジット信号がもう一度利用可能になるか、遅延バッファが空き状態になるかの何れかになるまでコンテンツを再生するのに用いられる。遅延期間及び関連遅延バッファが十分大きな場合、最もありそうなフェージングを補償し得る。
【0005】
コンポジット信号における成分信号の一方が他方の成分信号よりも品質が高いコンテンツを表すスタガキャスト・システムを開示するものもある(K.Ramaswamyなどによる西暦2002年7月17日付出願のPCT出願第US02/22723号及びJ.A.Cooperなどによる西暦2002年7月19日出願のPCT出願第US02/23032号参照。)。この装置では、より低い品質の成分信号は、より高い品質の成分信号に対して時間的に進んでいる。上記のように、通常の条件下での受信機では、この場合は高品質成分信号である非遅延受信成分は、コンテンツを再生するのに用いられる。しかし、信号フェージングが生じる場合には、遅延バッファにおける、先行して受信され、時間が進んでいる、コンテンツを表す信号で、この場合にはより品質が低い成分信号は、フェージングが終了しコンポジット信号がもう一度利用可能になるか遅延バッファが空き状態になるかの何れかになるまでコンテンツを再生するのに用いられる。このことは、通常の条件下でより高い品質の信号を再生することを可能にし、フェージング・イベントが存在する場合により低い品質の信号を再生することを可能にする。信号の品質が低いほど伝送するビットは少なくて済むので、フェージング耐性を備えるのに必要なオーバヘッドは削減される。
【0006】
記憶装置の容量における低減によって、そのような記憶装置を多くの電子システムに組み入れることが可能になった。例えば、ケーブル受信と衛星受信との両方のテレビジョン受信機のセットトップボックスはそのような記憶装置を組み入れている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本願の発明者は、その全てがコンテンツを異なる品質ではあるが表すその複数の成分信号がコンポジット信号に含まれるシステムにこの概念を拡張させ得るということを認識した。最低品質での、コンテンツを表す成分信号はコンポジット信号では遅延していない。高品質成分信号は最低品質符号化信号に対して遅延している、すなわち、成分信号の品質が高いほど、遅延は長い。そのようなシステムでは、全ての成分信号が利用可能な場合、コンテンツを表す信号は全ての品質の、コンテンツを表す信号を再生し得る。更に、成分信号の一部又は全部を相対的にロバストな符号化を用いて符号化し得る。
【0008】
本願の発明者は、そのようなスタガキャスト通信システムを、向上された方法で電子記憶装置と動作するよう適合させる場合もあるということを認識した。そのようなシステムでは、受信されるコンテンツを表す信号の1つは、記憶装置に記憶されることになる。ユーザが、利用可能な、コンテンツを表す信号のうちから、所望の品質でのコンテンツを表す信号の記憶を規定したい状況が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の原理によれば、スタガキャストするコンテンツを記憶する方法及び装置は、コンテンツを表す信号群を符号化する工程を含む。信号群は復号化されて相当する復号化信号群を生成することができ、各復号化信号は、他の符号化信号に相当する復号化信号の品質とは異なる品質を有する。時間的にずれている符号化信号群を備えるコンポジット信号が生成される。符号化信号群がコンポジット信号から抽出される。抽出符号化信号群におけるエラーが検出されて、間違っていない利用可能抽出符号化信号の部分集合が生成される。選択可能な所望の品質での、コンテンツを表す信号が復号化される。復号化された、コンテンツを表す信号は更に記憶装置に記憶される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
〔実施例〕
図1は、本発明の原理によるスタガキャスト送信機100の一部分の構成図である。図を単純にするよう示していない他の構成要素が完全な送信機に必要であるということは当業者が分かる。それらの構成要素が何であるかということと、図示した構成要素とともにそれらの他の構成要素を選択し、設計し、実施し、相互接続する方法とを当業者は更に分かる。
【0011】
図1では、図示した実施例ではビデオ画像信号、オーディオ音像、番組データ、又はこれらの何れかの組み合わせであり得る、コンテンツのソース(図示せず)は、コンテンツを表す信号を送信機100の入力端子105に備える。入力端子105は、ロバスト・モード符号器110と通常モード符号器120との各々の入力端子に結合される。ロバスト・モード符号器110の出力端子は、多重化装置140の第1入力端子に結合される。通常モード符号器120の出力端子は、遅延装置130の入力端子に結合される。遅延装置130の出力端子は多重化装置140の第2入力端子に結合される。多重化装置140の出力端子は変調器150の入力端子に結合される。変調器150の出力端子は出力端子115に結合される。出力端子115は通信チャネル(図示せず)に結合される。
【0012】
動作上、通常モード符号器120は、コンテンツのビデオ、オーディオ及び/又はデータを、ソース符号化手法を用いて符号化する。図示した実施例では、ソース符号化手法はMPEG2符号化手法であるが、何れかのそのようなソース符号化手法を用い得る。ソース符号化処理は、解像度、フレーム・レート、量子化レベルなどを含む所定のパラメータを用いて行われる。ソース符号化された、コンテンツを表す信号をシステム符号化する別の処理が通常モード符号器120において行われる。図示した実施例では、ソース符号化された、コンテンツを表す信号は、符号化されたビデオ、オーディオ及び/又はデータを含む一連のトランスポート・パケットに構成される。これらのトランスポート・パケットはMPEG2標準によってフォーマッティングされるが、何れかのそのようなシステム符号化を用い得る。
【0013】
ロバスト・モード符号器110は更に、コンテンツのビデオ、オーディオ及び/又はデータを、ソース符号化手法を用いて符号化する。ロバスト・モード符号器110によって用いられるソース符号化手法は、通常モード符号器120のソース符号化手法よりもロバストである。図示した実施例では、用いられるロバスト・モード符号化は、ISO/IEC MPEG委員会とITU−T VCEG委員会との共同ビデオ・チーム(JVT)によって現在策定されているMPEG AVC/H.264と称し、以下でJVT符号化と呼ぶビデオ符号化手法である。しかし、何れかのそのようなソース符号化手法を用い得る。例えば、MPEG通常モード符号器120に対してロバストな符号化を備える、拡張トレリス符号化などの別のソース符号化手法を用いる場合もある。ロバスト符号化処理は更に、解像度、フレーム・レート、量子化レベルなどを含む所定パラメータを用いて行われるが、これらのパラメータの値はロバストな符号化処理の場合、通常符号化処理の場合とは異なり得る。処理は、ソース符号化された、コンテンツを表す信号をシステム符号化するよう、ロバスト・モード符号器110においても行われる。図示した実施例では、ソース符号化された、コンテンツを表す信号は、又、MPEG2標準によって一連のトランスポート・パケットに構成されるが、この場合も又、何れかのそのようなシステム符号化を用い得る。
【0014】
通常モード符号化信号は、想定フェージング期間の範囲にわたってシステムが動作することを可能にすることが意図された量によって遅延装置130によって遅延される。このパラメータの値は、通信チャネルの特性によって変わってくる。例えば、多くの建物や、飛行機などの移動物体を備えている、都会の環境においては、フェージングは農村の平坦な環境においてよりも、ずっと一般的であり、長く持続し得る。図示した実施例では、遅延は、約0.5秒から数秒まで変動させ得る。
【0015】
図3は、図1及び図2に示したスタガキャスト通信システムの動作を理解するうえで有用なパケット・タイミング図である。図3は、多重化装置140の入力端子でのシステム符号化トランスポート・パケット・ストリームを示す。図3では、ロバスト・モード符号器110からのパケットは、「a」、「b」、「c」などの小文字を用いた印を付した正方形の水平行300によって表している。通常モード符号器120からのパケットは、「0」、「1」、…の数字や「A」、「B」、「C」などの大文字を用いた印を付した正方形の水平行310によって表している。同じ文字によって印が付けられているパケットは同じ時点からのコンテンツを表すデータを含む。すなわち、ロバスト・モード符号器110からのパケット「a」は通常モード符号器120からのパケット「A」におけるデータによって表すコンテンツに時間的に相当するコンテンツを表すデータを含む。通常モードのパケット・ストリームとロバスト・モードのパケット・ストリームとにおける各パケットは、そのパケット・ストリームに属するものとしてそれらを識別するデータをヘッダに含む。遅延装置130は通常モード符号器120のパケットを時間遅延Tadvだけ遅延させる。すなわち、ロバスト・モードのパケットは相当する通常モードのパケットに対して時間的にTadvだけ進められる。図3に示す実施例では、Tadvは10パケット期間である。この期間は、上記のように約0.5秒から数秒まで変動し得る。
【0016】
ロバスト・モードのパケット・ストリームと遅延させた通常モードのパケット・ストリームは多重化装置140においてコンポジット・パケット・ストリームに一緒に多重化される。コンポジット・パケット・ストリームは時間領域多重化され、それは、連続したパケットを収容する単一のデータ・ストリームが1度に1つずつ生成されるということを意味する。識別及び制御のデータ(図示せず)などの他のデータを含む追加パケットも多重化装置140によって生成されるコンポジット・パケット・ストリームに多重化される場合もある。更に、他の、コンテンツを表す信号の1つ又は複数を表す通常モードのパケット・ストリームとロバスト・モードのパケット・ストリームとを場合によっては含む、(この場合もまた図示しない)他のコンテンツ・ソースを表す他のパケット・ストリームは、すべて公知の方法で、多重化装置140によって生成されるコンポジット・パケット・ストリームに多重化される場合もある。図3におけるパケット・ストリーム300及び310は、コンポジット・パケット・ストリームにおける成分コンテンツを表す信号を表す。分かり得るように、通常モード符号器120からのパケット「A」は、ロバスト・モード符号器110からのパケット「k」と同時点で送信される。
【0017】
多重化装置140からのコンポジット・パケット・ストリームは更に、通信チャネル経由で送信するよう、チャネル符号化される。図示した実施例では、チャネル符号化は、コンポジット・パケット・ストリームを変調器150において変調することによって行われる。通常モードのパケット・ストリームのチャネル符号化は、ロバスト・モードのパケット・ストリームのチャネル符号化とは異なる。特に、ロバスト・モードのパケット・ストリームに適用される変調は通常モードのパケット・ストリームに適用されるものよりもロバストである。図示した実施例では、通常モードのパケット・ストリームにおけるパケットが変調される場合、変調はATSC標準による8−VSB変調である。ロバスト・モードのパケット・ストリームにおけるパケットが変調される場合、変調は、よりロバストな変調、例えば、上記の4−VSB又は2−VSBである。
【0018】
要約すれば、図示した実施例では、通常モードのパケット・ストリームはMPEG2符号化手法を用いてソース符号化され、8−VSB変調を用いてチャネル符号化される。これは、従来のATSC標準との完全な後方互換性を有している。更に、図示した実施例では、ロバスト・モードのパケット・ストリームはJVT符号化手法を用いてソース符号化され、4VSB変調及び/又は2−VSB変調を用いてチャネル符号化される。上記に表す新たなATSC標準は、ロバスト・モードのパケット・ストリームのチャネル符号化、すなわち、4−VSB及び/又は2−VSBのみを表し、ソース符号化手法を規定しない。よって、何れかのそのようなソース符号化手法を標準によって用い得るものであり、図示した実施例におけるJVT符号化手法は、ロバスト・モードのパケット・ストリームのそのようなソース符号化の一例である。本願では、以下、「通常モードのパケット・ストリーム」は、MPEG2ソース符号化手法を用いてソース符号化され、MPEG2標準によってパケットにシステム符号化され、8−VSB変調を用いてチャネル符号化されるパケット・ストリームを表し、「ロバスト・モードのパケット・ストリーム」は、JVTソース符号化手法を用いてソース符号化され、MPEG−2標準によってパケットにシステム符号化され、4−VSB変調及び/又は2−VSB変調を用いてチャネル符号化されるパケットを表すこととする。
【0019】
変調コンポジット信号は更に、無線RFチャネル、又はケーブル・テレビジョン・システムなどの有線チャネルであり得る通信チャネル(図示せず)に供給される。コンポジット信号は通信チャネルによって劣化する場合がある。例えば、コンポジット信号の信号強度は変動し得る。特に、コンポジットは、マルチパスや他の信号減衰のしくみによってフェージングし得る。1つ又は複数の受信機は場合によっては劣化されたコンポジット信号を通信チャネルから受信する。
【0020】
図2は、本発明の原理によるスタガキャスト受信機200の一部分の構成図である。図2では、入力端子205は、通信チャネル(図示せず)に接続可能であるので、(図1の)送信機100によって生成される変調コンポジット信号を受信することができる。入力端子205は復調器207の入力端子に結合される。復調器207の出力端子は逆多重化装置210の入力端子に結合される。逆多重化装置210の第1出力端子はセレクタ230に結合される。逆多重化装置210の第2出力端子は遅延装置220に結合される。遅延装置220の出力端子はセレクタ230の第2入力端子に結合される。セレクタ230の出力端子はマルチ標準復号器240の信号入力端子に結合される。逆多重化装置210の制御信号出力端子は、セレクタ230とマルチ標準復号器240との各々の相当する入力端子に結合される。マルチ標準復号器240の出力端子は出力端子215に結合される。出力端子250は、ビデオ・コンテンツが表す画像を再生する画像再生装置と、オーディオ・コンテンツが表す音を再生する音再生装置とを備えており、視聴者が受信データ・コンテンツと相互作用することを可能にするユーザ入力装置を場合によっては含むテレビジョン受信機などの(図示しない)利用回路に供給される、コンテンツを表す信号を備える。
【0021】
動作上、復調器207は、通常モードのパケット・ストリーム(8−VSB)又はロバスト・モードのパケット・ストリーム(4−VSB及び/又は2−VSB)からパケットを受信するのに必要な適切な復調手法を用いて受信された変調信号を復調する。その結果の信号は、受信されたコンポジット・パケット・ストリーム信号である。受信されたコンポジット・パケット・ストリーム信号は、各受信パケットのヘッダにおける識別データによって通常モード・ソース符号化成分パケット・ストリームとロバスト・モード・ソース符号化成分パケット・ストリーム各々に逆多重化装置210によって逆多重化される。受信された通常モードのパケット・ストリームはセレクタ230に直接供給されえる。受信されたロバスト・モードのパケット・ストリームは遅延装置220を通過し、遅延装置220は、図1の送信機100で通常のパケット・ストリームが遅延している期間と同じ期間によって受信されたロバスト・モードのパケット・ストリームを遅延させる。とって、セレクタ230の入力端子での2つのパケット・ストリーム信号によって表されるコンテンツは時間的に一致している。
【0022】
復調器210は、受信コンいくつかの手法、例えば、信号対雑音比検出器やビットエラー率検出器を用い得る。そのヘッダにおけるパケット各々は、パケットが属するパケット・ストリームがどれであるかを識別するデータとパケット・シーケンス番号とを含む。パケット・ストリームのシーケンス番号が欠損している場合、パケットは欠損しており、エラーが検出される。この場合、パケットが欠損しているパケット・ストリームに注目し得るものであり、そのパケット・ストリームのみがエラーを有しているものとして検出されることに注目し得る。これらの検出器又は何れかの他のそのような検出器を単独か組み合わせで用い得る。
【0023】
制御信号は逆多重化装置210から生じるものとして示しているが、種々のエラー検出器は受信機における種々の場所からの信号を必要とし得る。どのような装置が用いられても、コンポジット信号の一部分が利用可能でない場合にアクティブ状態であるエラー信号Eが生成される。セレクタ230は、このエラー信号Eに応じて2つのパケット・ストリーム信号のうちの1つをマルチ標準符号器240に転送するよう調節する。マルチ標準復号器240は、以下に更に詳細に記載する方法で、そのパケット・ストリーム信号を復号化するよう調節する。
【0024】
マルチ標準復号器240は、セレクタ230によってそれに供給されるパケット・ストリームのシステム復号化(パケット解除)とソース復号化との両方を行う。マルチ標準復号器240は、種々の符号化手法によって、パケット・ストリーム信号のソース復号化を行うよう構成し得る。例えば、通常モードで符号化されたパケット・ストリームがセレクタ230から受信される場合、マルチ標準復号器240はMPEG2標準によってこれらのパケットのパケット解除とソース復号化を行い、コンテンツを表す信号を再生するよう構成される。同様に、ロバスト・モードで符号化されたパケット・ストリームがセレクタ230から受信される場合、マルチ標準復号器240はMPEG−2標準によってパケットをパケット解除し、JVT標準によってこれらのパケットをソース復号化し、コンテンツを表す信号を再生するよう構成される。
【0025】
図2の受信機200の動作は、図3をもう一度参照することによって分かり得る。時間t0は受信機がオン状態にされる時間か、ユーザが受信する対象の新たなコンテンツ・ソースを規定する時間を表し得る。t0とt4の間の時間Tadv中、ロバスト・モード・パケット「a」乃至「j」は遅延装置220にロードされ、「0」乃至「9」と称する通常モードのパケットが受信される。時間t4では、通常モードのパケット「A」が逆多重化装置210から利用可能になり、遅延したロバスト・モードのパケット「a」は遅延装置220から利用可能になる。通常の条件下では、エラー信号はエラー信号線E上ではアクティブ状態にない。これに応じて、セレクタ230は通常モードのパケット・ストリームをマルチ標準復号器240に結合し、マルチ標準復号器240は上記のように、通常モードのパケットからコンテンツを表す信号を生成し始める。このことは、通常モードのパケット「A」乃至「G」における交差ハッチ301によって示す。
【0026】
時間t1から時間t2まで激しいフェージングが通信チャネル中で生じ、時間t2から時間t3で受信機は変調信号を回復し、その信号と再同期をとる。このt1からt3までの時間中に通常モードのパケット「H」乃至「M」とロバスト・モードのパケット「r」乃至「w」が喪失される。このことは、これらのパケットにおける交差ハッチ302及び303によって示す。しかし、ロバスト・モードのパケット「h」乃至「m」は先行して正常に受信されている。遅延装置220が理由で、これらのロバスト・モードのパケットは、時間t1から時間t3までセレクタ230に対する他方の入力で利用可能である。
【0027】
フェージングが生じていることが検出され、エラー信号線E上のアクティブ・エラー信号によって示される。エラー信号線E上のアクティブ・エラー信号に応じて、セレクタ230は先行して受信されたロバスト・モード・パケット「h」乃至「m」をマルチ標準復号器240に結合する。同時に、マルチ標準復号器240は、ロバスト・モードのパケットのパケット解除と復号化とを行うよう構成される。よって、時間t1から時間t3まで、ロバスト・モードのパケット・ストリームからのパケット「h」乃至「m」は復号化され、コンテンツを表す信号はユティラーゼーション回路(図示せず)に利用可能な状態のままに留まる。
【0028】
時間t3では、フェージングは終了し、コンポジット信号はもう一度利用可能になる。よって、通常のモードのパケット「N」、「O」、「P」…が利用可能になる。フェージングがなくなることが検出され、エラー信号線E上の非アクティブのエラー信号によって示される。これに応じて、セレクタ230は、通常モードのパケット・ストリームをマルチ標準復号器240に結合する。同時に、マルチ標準復号器240は通常モードのパケットのパケット解除と復号化とを行うよう構成され、コンテンツを表す信号を生成し続ける。
【0029】
時間t1から時間t3までのフェージング及び回復の間、ロバストなパケット「r」乃至「w」は喪失されている。よって、時間t6から時間t7まで、通常モードのパケット「R」乃至「W」が受信されている際に、遅延装置220においては相当するロバスト・モードのパケットが何ら存在しない。この時間中には、フェージングに対する保護は何ら存在しない。しかし、遅延装置が最充填されると、フェージング保護はもう一度利用可能になる。
【0030】
上記のように、コンテンツを表す信号は、時間t1から時間t3までフェージングが生じるにもかかわらず、ユティラーゼーション回路(図示せず)に利用可能な状態にとどまる。更に、ロバストなソース符号化及びチャネル符号化(変調)手法が理由で、ロバスト・モードのパケットはより激しいチャネル劣化を耐え抜くものと思われ、よって、通常モードのパケットが利用可能でない場合がある際に利用可能である。ロバスト・モードのパケット・ストリームによって収容されるコンテンツ信号の品質は、通常モードのパケット・ストリームのものとは異なり得る。特に、ロバスト・モードのパケット・ストリームにおけるコンテンツ信号の品質は、通常モードのパケット・ストリームにおけるものよりも低い場合がある。低品質コンテンツ信号は高品質コンテンツ信号よりも送信するのにより少ないビットを必要とし、そのようなロバスト・モードのパケット・ストリームは通常のモード・パケット・ストリームよりも低スループットを必要とすることになる。よって、第2の、より低いスループットのパケット・システムを犠牲にして、フェージング・イベントの場合におけるグレースフル・デグラデーション(緩慢な劣化)を可能にすることになるシステムが考えられる。
【0031】
更に上記のように、コンテンツ信号は、ビデオ、オーディオ及び/又はデータを含み得る。特に、オーディオ・データは通常モードのパケット・ストリームとロバスト・モードのパケット・ストリームとにおいて収容し得るので、オーディオ・データも、フェージングが存在しているにもかかわらず利用可能な状態に留まる。ロバスト・モードのパケット・ストリームによって収容されるオーディオ・コンテンツ信号は、通常モードのパケット・ストリームにおけるものとは異なる、特により低い品質を有し得る。低品質でのオーディオ信号は少ないビット及び少ないパケットによって収容し得るので、ロバスト・モードのパケット・ストリームに対する要件を比較的低くすることになる。このことは、フェージング・イベントの場合にグレースフル・デグラデーションを可能にする。
【0032】
上記システムでは、通常モードのパケット・ストリームからロバスト・モードのパケット・ストリームまでの切り替えはどの時点で行ってもよい。ロバストなパケット・ストリームがパケット・レベルまで通常のパケット・ストリームにおけるものと同一の、コンテンツを表すデータを収容する場合、これは問題をもたらさない場合がある。しかし、ロバストなパケット・ストリームが通常のパケット・ストリームにおけるものとは違った、コンテンツを表すデータを収容する場合、例えば、コンテンツが別の解像度、量子化レベル、フレーム・レートなどで表される場合、視聴者は、再生画像における、好ましくない場合がある変動に気がつく場合がある。最悪の場合には、パケット・ストリームの切り替えがピクチャを復号化している間に行われる場合、そのピクチャと他の周囲のピクチャとの復号化は全体的に失敗し得るものであり、ビデオ画像は、復号器が別個に復号化可能なピクチャに再同期化するまでより長い期間、中断し得る。
【0033】
上記のように、通常モードのパケット・ストリームは、ソース符号化、システム符号化及びチャネル符号化の組み合わせによって収容される。図示した実施例では、ソース符号化及びシステム符号化は公知のMPEG2符号化手法により、チャネル符号化は8−VSB変調手法を用いる。MPEGソース符号化手法はビデオ画像信号を一連の別個の復号化セグメントとして符号化する。基本ストリーム・セグメントとしても呼ばれる復号化セグメント(IDS)は何れかの他の別個の復号化セグメントとは別個に正確に復号化し得るセグメントである。MPEG標準では、別個の復号化セグメントはシーケンス、GOP(ピクチャ群)及び/又はピクチャを含む。この別個の復号化セグメントは位置の開始符号によって圧縮ビットストリームにおいて区切られる。すなわち、別個の復号化セグメントは、次セグメントの開始符号までの、セグメント開始符号に始まるデータ全てであるものとみなす。MPEG2標準におけるピクチャは、イントラ符号化ピクチャ(Iピクチャ)、インター予測ピクチャ(Pピクチャ)又は双方向予測(B)ピクチャである。Iピクチャは何れの他のピクチャも参照しないで符号化される。GOPは、Iピクチャ、Pピクチャ及び/又はBピクチャの組み合わせとして符号化されたピクチャ群を含む。閉状態のGOPでは、GOPにおけるピクチャ全てを、何れかの他のGOPにおけるピクチャを参照することなく復号化し得る。各GOPの始めはMPEG2のパケット・ストリームにおいて明確に識別される。
【0034】
更に上記のように、ロバスト・モードのパケット・ストリームはソース符号化とシステム符号化とチャネル符号化との組み合わせによって収容される。図示した実施例では、ソース符号化はJVT符号化手法により、システム符号化はMPEG2標準により、チャネル符号化は2−VSB変調手法及び/又は4−VSB変調手法を用いる。JVTソース符号化標準を用いて符号化されたピクチャは符号化されたスライスからなり、所定のピクチャは種々の符号化種類のスライスを含み得る。各スライスは、イントラ符号化(I)スライス、インター予測(P)スライス、双方向予測(B)スライス、空間的予測のみを用いるSIスライス、又は種々の参照ピクチャが用いられる場合にも正確に再生し得るSPスライスであり得る。JVTソース符号化標準は瞬時復号化リフレッシュ(IDR)ピクチャも含む。IDRはJVT符号化ピクチャの特定の種類であり、それはIスライスのみを含み、IDSの始めの印を付す。現行のピクチャと後に符号化されるピクチャの全ては先行ピクチャに対する参照を必要とすることなく復号化し得る。IDRは、MPEG2標準におけるGOPをエミュレートし、所定のピクチャ毎に一度符号化し得る。JVTソース符号化手法では、別個の復号化手法では、別個の復号化セグメントはIDRによって区切られている場合があり、それはJVTパケット・ストリームにおいて明確に識別されている。
【0035】
通常のソース符号化手法及びロバストなソース符号化手法に対して何らかの制約を課すことによって、好ましくないアーチファクトを最小にする一方で、通常モードのパケット・ストリームからロバスト・モードのパケット・ストリームに切り替えることが可能なシステムを開発し得る。別個の復号化セグメントが、通常の(MPEG2の)パケット・ストリームとロバストな(JVTの)パケット・ストリームとの両方における同一のコンテンツ場所で開始するよう符号化される場合、好ましくないアーチファクトが最小で、別個の復号化セグメント場所での通常のパケット・ストリームとロバストなパケット・ストリームとの間の切り替えを行い得る。図示した実施例では、通常の(MPEG2の)パケット・ストリームにおいて用いる別個の復号化セグメントは閉状態のGOPであり、Iピクチャから始まる。相当するロバストな(JVTの)パケット・ストリームでは、別個の復号化セグメントの各々はIDRピクチャから始まる。通常の(MPEGの)モードのパケット・ストリームにおけるIピクチャと、ロバストな(JVTの)モードのパケット・ストリームは両方ともコンテンツ・ソース(図示せず)からの同じビデオ・ピクチャを符号化する。両方のソース符号化手法とも他の方法でIDSが構成され、区切られることを可能にする。例えば、MPEG2ソース符号化手法は、ピクチャを表すようスライスが構成されることを可能にする。IDSが同一のコンテンツ場所で両方のパケット・ストリームに挿入される何れかの方法を用い得る。
【0036】
もう一度図1を参照すれば、入力端子105は、想像線で示すシーンカット検出器160の入力端子に更に結合される。シーンカット検出器160の出力端子は通常モード符号器120とロバスト・モード符号器110との各々の制御入力端子に結合される。
【0037】
動作上、シーンカット検出器160はビデオ・コンテンツにおいて新たなシーンが生じることを検出する。新たなシーンの検出に応じて、制御信号は通常モード符号器120とロバスト・モード符号器110とに送られる。通常モード符号器120もロバスト・モード符号器110も制御信号に応じて新たな別個の復号化セグメントを符号化し始める。通常モード符号器120は新たなIピクチャを挿入し、ロバスト・モード符号器110はIDRピクチャをその各々の符号化パケット・ストリームに挿入する。通常モード符号器120及びロバスト・モード符号器110は同じ持続時間を有する相当する別個の復号化セグメントを生成するよう動作する。上記のように、符号化コンテンツを表す信号は各々のパケット・ストリームにシステム符号化される。
【0038】
遅延装置130は、別個の復号化セグメント持続時間に等しい遅延を挿入するよう設定される。多重化装置140はロバスト・モードで符号化されたパケット・ストリームと遅延させた、通常モードで符号化されたパケット・ストリームとをコンポジット・パケット・ストリームに合成する。コンポジット・パケット・ストリームは、変調器150によって適切な方法でチャネル符号化(変調)され、通信チャネルに出力端子115を介して供給される。
【0039】
この動作モードでの送信機の動作は、図4を参照することによってより良く理解し得る。図4は、多重化装置140への入力でのパケット・ストリームを示す。図4では、ロバスト・モード符号器110からの一連の別個の復号化セグメント(IDS)は一連の矩形400として示し、通常モード符号器120からの一連の別個の復号化セグメントは一連の矩形410として示す。上記のように、コンテンツ中の時間位置と、ロバスト・モード符号器110と通常モード符号器120からの別個の復号化セグメントの持続時間はIDSの持続時間と同じである。ロバスト・モード符号110からのIDSは、通常モード符号器120からの直前のIDSと一致する。
【0040】
シーンカット検出器160によって検出されるような、シーンにおける変動を表し得る時間t0では、非遅延のロバスト・モードで符号化されたIDS Nが開始し、先行して遅延させた通常モードで符号化されたIDS N−1が開始する。(JVTソース符号化された)ロバスト・モード各々は、各々のスライスを表す一連の矩形440として示し、別個の復号化リフレッシュ(IDR)ピクチャから始まる。IDRピクチャにはBスライス、Pスライス、SIスライス及び/又はSPスライスが続く。これらのスライスは同様に、「a」、「b」、「c」などの一連のトランスポート・パケット450にシステム符号化される。同様に、通常モードIDS(MPEG2ソース符号化)は、Iピクチャから始まるGOPを表す一連の矩形420として示す。IピクチャにはPピクチャとBピクチャとの配置が続く。これらのIピクチャ、Pピクチャ及びBピクチャは、同様に、「A」、「B」、「C」などの一連のトランスポート・パケット430にシステム符号化される。図示した配置は例に過ぎず、何れかの適切な配置を用い得る。
【0041】
このコンポジット信号は受信機によって受信される。図2の受信機200をもう一度参照すれば、時間t0では、受信ロバスト・モードIDS Nは時間Tadv中に遅延装置220にロードされる。遅延装置230は、送信機において遅延装置130が通常のパケット・ストリームに挿入した遅延と同じ遅延(一IDS期間)を受信ロバスト・パケット・ストリームに挿入する。よって、セレクタ230の入力端子での受信された、通常パケット・ストリームと、遅延させた、ロバストなパケット・ストリームはコンテンツを表す信号に対してもう一度一致させる。
【0042】
通常の条件下では、セレクタ230は通常モードのパケット・ストリームをマルチ標準復号器240に結合し、上記に更に詳細に説明したように、マルチ標準復号器は通常モードのパケットを復号化するよう調節する。上記のように、エラーがコンポジット信号又はその一部分において検出される場合、通常モードのパケット・ストリームとロバスト・モードのパケット・ストリームとの間での切り替えが行われる。この実施例では、IDSの始めで、セレクタ230はロバスト・モードのパケット・ストリームをマルチ標準復号器240に結合し、上記に更に詳細に説明したように、マルチ標準復号器240はロバスト・モードのパケットを復号化するよう調節する。コンポジット信号に別のエラーが何ら検出されない場合、次のIDSの始めに、セレクタ230は通常モードのパケット・ストリームをマルチ標準復号器240に結合し、マルチ標準復号器240はもう一度通常モードのパケットを復号化するよう調節する。
【0043】
通常モードのパケット・ストリームの復号化からロバスト・モードのパケット・ストリームの復号化への切り替えとその逆は、IDSの始めで行われる。各IDSは、何れの他のピクチャも参照することなく正常に復号化し得る、Iピクチャ(通常モード)又はIDSピクチャ(ロバスト・モード)から始まる、別個の復号化セグメントである。更に、後続ピクチャを、IDSに先行するピクチャへの参照なしで復号化し得る。よって、コンテンツを表す信号の復号化及び表示は、切り替えがもたらす好ましくないアーチファクトなしで直ちに行い得る。
【0044】
通常モードのビデオ・パケット・ストリームの復号化からロバスト・モードのパケット・ストリームの復号化への切り替えとその逆によってもたらされるビデオ・アーチファクトを更に最小にするよう、結果として生じるビデオ信号の画像特性を、切り替えが行われる場合に通常モードのビデオ信号のものとロバスト・モードのビデオ信号のものとの間で徐々に変え得る。このことは、ロバスト・モードのビデオ・ストリームが通常モードのビデオ・ストリームよりも品質が低い場合、例えば、ロバスト・モードのビデオ・ストリームの空間的解像度、フレーム・レートなどが通常モードのビデオ・ストリームよりも少ない場合に特に望ましい。
【0045】
図5は、図3に示す受信機において用い得るセレクタ230”の構成図である。そのようなセレクタ230”は、結果として生じるビデオ信号のビデオ特性(例えば、解像度、フレーム・レートなど)を通常モードのビデオ信号のものとロバスト・モードのビデオ信号のものとの間でそれらの間の切り替えの時点で徐々に変える場合がある。図5aはセレクタ230”の動作を示す機能図であり、図5bは図2に示す受信機において用い得るそのようなセレクタ230”の実施例を示す構造的構成図である。
【0046】
図5aでは、ロバスト・モードのビデオ信号はトラック232の一方の端に結合され、通常モードのビデオ信号はトラック232の他方の端に結合される。スライダ234はトラック232にそってスライドし、結果として生じるビデオ信号を生成し、この信号はセレクタ230”の出力端子に結合される。結果として生じるビデオ信号は、(図2の)受信機200の出力端子215に結合される。制御入力端子は逆多重化装置210からエラー信号Eを受信するよう結合される。スライダ234のトラック232に沿った位置は、想像線で示すように制御回路231によって制御される。
【0047】
動作上、スライダ234がトラック232の上端にある場合、ロバスト・モードのビデオ信号の特性(例えば、解像度、フレーム・レートなど)を有する、結果として生じるビデオ信号はセレクタ230”の出力端子に結合される。スライダ234がトラック232の下端にある場合、通常モードのビデオ信号の特性を有する、結果として生じるビデオ信号はセレクタ230”の出力端子に結合される。スライダ234がトラック232の上端と下端との間を移動するにつれ、セレクタ230”の出力端子での、結果として生じるビデオ信号の特性は、通常モードのビデオ信号のものとロバスト・モードのビデオ信号のものとの間にくるように調節される。スライダ234がトラック232の上端に近いほど、結果として生じる信号の特性は通常モードのビデオ信号のものよりもロバスト・モードのビデオ信号のものに近くなる。スライダ234がトラック232の下端に近いほど、結果として生じる信号の特性はロバスト・モードのビデオ信号のものよりも通常モードのビデオ信号のものに近くなる。
【0048】
上記のように、エラー信号Eの値は、切り替えが行われることとする時点を示す。スイッチが一方のビデオ信号(例えば、通常モードのビデオ信号又はロバスト・モードのビデオ信号)から他方のビデオ信号に、切り替えが行われる時点近くでの1つ又複数のビデオ・ピクチャの時間間隔、切り替えられる場合、スライダ234はトラック232の一方の端から他方の端に徐々に移動する。例えば、通常モードのビデオ信号からロバスト・モードのビデオ信号への切り替えの間、スライダ234はトラックの最下部から開始する。切り替わる時点よりも前の数ビデオ・ピクチャの間、スライダはトラック232の最下部から最上部に徐々に移動する。通常モードのパケット・ストリームからロバスト・モードのパケット・ストリームへの切り替えの時点では、スライダはトラック232の最上部にある。よって、結果として生じるビデオ信号の特性は、通常のビデオ信号のものからロバスト・モードのビデオ信号のものに、ロバスト・モードのパケット・ストリームへの切り替えが行われる前の数ビデオ・ピクチャの間に徐々に変わる。同様に、ロバスト・モードのパケット・ストリームから通常モードのパケット・ストリームへの切り替えの時点で、スライダはトラック232の最上部にある。切り替え後の数ビデオ・ピクチャの間に、スライダはトラック232の最上部から最下部に徐々に移動する。よって、結果として生じるビデオ信号の特性は、ロバスト・モードのビデオ信号のものから通常モードのビデオ信号のものに、通常モードのパケット・ストリームへの切り替えが行われた後の数ビデオ・ピクチャの間に徐々に変わる。
【0049】
図5bでは、(図2の)マルチ標準復号器240からのビデオ信号は、可変ビデオ品質フィルタ236の第1入力端子とセレクタ238の第1入力端子とに結合される。ビデオ品質フィルタ236の出力端子はセレクタ238の第2入力端子に結合される。セレクタ238の出力端子は結果として生じるビデオ信号を生成し、(図2の)出力端子215に結合される。逆多重化装置210からのエラー信号Eは制御器回路231に結合される。制御器回路231の第1出力端子はビデオ品質フィルタ236の制御入力端子に結合され、制御器回路231の第2出力端子はセレクタ238の制御入力端子に結合される。
【0050】
動作上、復号化ビデオ信号のビデオ特性は制御器回路からの制御信号に応じてビデオ品質信号によって変えられる。制御器回路231からの制御信号は、通常モードのビデオ信号のものとロバスト・モードのビデオ信号のものとの間のビデオ特性の範囲を有するビデオ信号を生成するよう、ビデオ品質フィルタを調節する。通常の条件下では、切り替えが何ら行われない場合、制御器回路231は、復号器ビデオ信号を出力端子に結果として生じるビデオ信号として結合するようセレクタ238を調節する。
【0051】
上記のような通常モードのビデオ信号とロバスト・モードのビデオ信号との間の切り替えを示す、エラー信号Eの値における変動に応じて、切り替え時点近くでの時間間隔で、制御器回路231はビデオ品質フィルタ236からのビデオ信号を出力端子に結合するようセレクタ238を調節し、結果として生じるビデオ信号のビデオ特性を徐々に変えるよう品質フィルタ236を調節する。特に、通常モードのビデオ信号からロバスト・モードのビデオ信号への切り替えが行われる場合、切り替えが行われる前の数ビデオ・ピクチャの時間間隔で、ビデオ品質フィルタ236は結果として生じるビデオ信号のビデオ特性を通常のビデオ信号のものからロバストなビデオ信号のものに徐々に変えるよう調節する。その時間間隔の始めに、セレクタ238は、フィルタリングされたビデオ信号を出力端子に結果として生じる信号として結合するよう調節する。その時間間隔が完了し、復号化ビデオ信号がロバスト・モードのパケット・ストリームから導き出される場合、セレクタ238は、復号化ビデオ信号を出力端子に結果として生じる信号を結合するよう調節される。同様に、ロバスト・モードのビデオ信号から通常モードのビデオ信号への切り替えが行われる場合、切り替えが行われた後の数ビデオ・ピクチャの時間間隔で、ビデオ品質フィルタ236は、結果として生じるビデオ信号のビデオ特性をロバストなビデオ信号のものから通常のビデオ信号のものに徐々に変えるよう調節される。その時間間隔の始めに、セレクタ238はフィルタリングされたビデオ信号を出力端子に結果として生じるビデオ信号として結合するよう調節される。その時間間隔が完了し、復号化ビデオ信号が通常モードのパケット・ストリームから導き出されると、セレクタ238は、復号化ビデオ信号を出力端子に結果として生じるビデオ信号として結合するよう調節される。
【0052】
異なるビデオ品質(解像度、フレーム・レートなど)を有するビデオ信号間の急な切り替えは、視聴者に対して好ましくない場合があるアーチファクトをもたらし得る。結果として生じるビデオ信号のビデオ品質は、通常モードのビデオ信号からロバスト・モードのビデオ信号への切り替えの前は徐々に低減させ、ロバスト・モードのビデオ信号から通常モードのビデオ信号への切り替えの後は徐々に向上させ、切り替えからもたらされる好ましくないアーチファクトは最小にされる。
【0053】
スタガキャスト通信システムの別の実施例は、好ましくないアーチファクトを最小にする一方、切り替えを備える場合もあり、通常モードのパケット・ストリームやロバスト・モードのパケット・ストリームにIDSの特別な配置を何ら必要としない。受信機200’を図6に示す。図6では、図2における受信機200におけるものと同様な構成部分は、同じ参照数字によって表し、以下では詳細に記載するものでない。図6では、逆多重化装置210の第1出力端子は通常モード復号器240’の入力端子に結合される。通常モード復号器240’の第1出力端子はセレクタ230’の第1入力端子に結合され、通常モード復号器240’の第2出力端子は通常モードのフレームの記憶機構250’の第1入力端子に結合される。遅延装置220の出力端子はロバスト・モード復号器240”の入力端子に結合される。ロバスト・モード復号器240”の第1出力端子はセレクタ230’の第2入力端子に結合され、ロバスト・モード復号器240”の第2出力端子はロバスト・モードのフレームの記憶機構250”の第1入力端子に結合される。セレクタ230’の出力端子は通常モードのフレームの記憶機構250’とロバスト・モードのフレームの記憶機構250”との各々の第2入力端子に結合される。通常モードのフレームの記憶機構250’の出力端子は通常モード復号器240’の第2入力端子に結合され、ロバスト・モードのフレームの記憶機構250”の出力端子はロバスト・モード復号器240”の第2入力端子に結合される。
【0054】
動作上、遅延装置220は、(図1の)送信機100における遅延装置130が通常モードのパケット・ストリームに挿入する遅延と同様な遅延をロバスト・モードのパケット・ストリームに挿入する。よって、通常モード復号器240’とロバスト・モード復号器240”との各々の入力端子でのパケット・ストリーム信号は、コンテンツを表す信号に対して時間的に合わせられる。
【0055】
通常のロバスト・モードのパケット・ストリームも遅延させたロバスト・モードのパケット・ストリームも、上記に詳細に説明したように、相当する、コンテンツを表す信号ストリームを生成するようシステム復号化され、ソース復号化される。図示した実施例では、これらの、コンテンツを表す信号ストリームはビデオ・ピクチャの各々のシーケンスである。通常モードの復号化でもロバスト・モードの復号化でも、ビデオ・データを表す周囲のピクチャは予測ピクチャ又は予測スライスを復号化する必要がある。通常モードのフレームの記憶機構250’はこれらの周囲のピクチャを通常モード復号器240’用に保持し、ロバスト・モードのフレームの記憶機構250”はこれらの周囲のピクチャをロバスト・モードの復号器250”用に保持する。
【0056】
図6に示す受信機では、切り替えはIDS単位ではなくピクチャ単位で行われる。通常モード復号器240’は通常モードのパケットを、連続したビデオ・ピクチャを含む関連した、コンテンツを表す信号に復号化する。同時に、ロバスト・モード復号器240”はロバスト・モードのパケットを連続したビデオ・ピクチャを含む関連した、コンテンツを表す信号に復号化する。上記のように、逆多重化装置210は、逆多重化装置207からのコンポジット信号又は少なくともその特定部分が使用可能でないということを示すエラー信号をエラー信号線E上に生成する。図6に示す実施例では、このエラー信号は逆多重化パケット・ストリームにおいて欠けているパケットを検出することによって生成し得る。よって、エラー信号線E上のエラー信号は、パケットが欠けているということを示すのみならず、どのパケット・ストリームのパケットが欠けているかも示す。パケットは、パケット・ストリームによって収容されるビデオ・ピクチャを構成するデータの一部分をペイロードに収容するので、パケットが欠けているパケット・ストリームは間違っているものとして印を付け得る。
【0057】
ビデオ・ピクチャは、通常モードのパケット・ストリームにおいてもロバスト・モードのパケット・ストリームにおいても正常に受信する場合があり、通常モードのパケット・ストリームにおいて正常に受信するがロバスト・モードのパケット・ストリームにおいて間違って受信する場合があり、通常モードのパケット・ストリームにおいて間違って受信するがロバスト・モードのパケット・ストリームにおいて正常に受信する場合があり、通常モードのパケット・ストリームにおいてもロバスト・モードのパケット・ストリームにおいても間違って受信する場合がある。
【0058】
通常の条件下の場合、すなわち、通常モードのパケット・ストリームでもロバスト・モードのパケット・ストリームでもエラーが何ら検出されない場合、通常モードの復号器240’もロバスト・モードの復号器240”も相当するビデオ・ピクチャを正常に復号化する。セレクタ230’は通常モード復号器240’から導き出された、コンテンツを表すビデオ・ピクチャを出力端子215に結合する。更に、通常の条件下では、通常モード復号器240’はビデオ・ピクチャを通常モードのフレームの記憶機構250’に供給し、ロバスト・モード復号器240”はビデオ・ピクチャをロバスト・モードのフレームの記憶機構250”に供給する。
【0059】
エラーがロバスト・モードのパケット・ストリームにおいて検出されるがエラーが通常モードのパケット・ストリームにおいて何ら検出されない場合、通常モード復号器240’のみが相当するビデオ・ピクチャを正常に復号化する。セレクタ230’は通常モード復号器240’から導き出される、コンテンツを表すビデオ・ピクチャを出力端子215に結合する。更に、通常モード復号器240’は復号化ビデオ・ピクチャを通常モードのフレームの記憶機構250’に供給する。しかし、ロバスト・モード復号器240”は、相当するビデオ・ピクチャを正常に復号化しなかったので、ロバスト・モードのフレームの記憶機構250”にビデオ・ピクチャを何ら供給しない。その代わりに、通常モード復号器240’から正常に復号化されたビデオ・ピクチャはセレクタ230’からロバスト・モードのフレームの記憶機構250”にルーティングされる。
【0060】
エラーが通常モードのパケット・ストリームにおいて検出されるが、ロバスト・モードのパケット・ストリームではエラーが何ら検出されない場合、ロバスト・モード復号器240”のみが相当するビデオ・ピクチャを正常に復号化する。セレクタ230’はロバスト・モード復号器240”から導き出される、コンテンツを表すビデオ・ピクチャを出力端子215に結合する。更に、ロバスト・モード復号器240”は復号化ビデオ・ピクチャをロバスト・モードのフレームの記憶機構250”に供給する。しかし、通常モード復号器240’は、相当するビデオ・ピクチャを正常に復号化しなかったので、通常モードのフレームの記憶機構にビデオ・ピクチャを何ら供給しない。その代わりに、ロバスト・モード復号器240”からの正常に復号化されたビデオ・ピクチャはセレクタ230’からロバスト・モードのフレームの記憶機構250’にルーティングされる。
【0061】
上記の2つの場合には、ビデオ・ピクチャを正常に復号化しなかった復号器に関連したフレーム記憶機構に記憶されているビデオ・ピクチャは、他方の復号器からのビデオ・ピクチャである。このことは、後続する復号化を、正常なビデオ・ピクチャがフレーム記憶機構に記憶されていた場合と比較して劣化させ得る。これは、置き換えられたビデオ・ピクチャが間違ったビデオ・ピクチャよりも品質が低い場合に特にあてはまる。しかし、後続する復号化の精度は、フレーム記憶機構にビデオ・ピクチャが何ら記憶されていない場合よりも良い。
【0062】
通常モードのパケット・ストリームにおけるビデオ・ピクチャにもロバスト・モードのパケット・ストリームにおけるビデオ・ピクチャにもエラーが検出される場合、正確なビデオ・ピクチャは何ら復号化されず、他のマスキング手法を行わなければならない。
【0063】
図6に示す受信機200’の動作は図7を参照することによってよりよく理解し得る。図7では、最上部の矩形群(MPEG)は各々、通常モード復号器240’の入力420及び出力520を表し、中央部の矩形群(JVT)は各々、ロバスト・モード復号器240”の入力440及び出力540を表し、最下部の矩形群(OUTPUT)は各々、出力端子215でのビデオ・ピクチャ460及びそのソース560を表す。MPEG復号化を参照すれば、上の矩形群420は通常モード復号器240’の入力端子でのソース符号化ビデオ・ピクチャ(I、P及びB)を表す。下の矩形群520は、通常モードの復号器240’の出力端子での結果として生じるビデオ・ピクチャを表す。同様に、JVT復号器を参照すれば、上の矩形群440は、ロバスト・モード検出器240”の入力端子での、(複数のIスライスのみを含み得る)ソース符号化IDRピクチャと、後続するソース符号化ビデオ・スライス(I、P、B、SI及び/又はSP)を表す。下の矩形群540はロバスト・モード復号器240”の出力端子での結果として生じるビデオ・ピクチャを表す。出力端子215を参照すれば、上の矩形群460は出力ビデオ・ピクチャを表し、下の矩形群560はその特定のビデオ・ピクチャのソースを表す。
【0064】
特に、通常モード(MPEG)のパケット・ストリームでは、ビデオ・ピクチャ6、10、13は各々、交差ハッチで示すように少なくとも1つのパケットが欠けている。同様に、ロバスト・モード(JVT)のパケット・ストリームでは、ビデオ・ピクチャ7及び10は、交差ハッチが示すように少なくとも1つのパケットが欠けている。通常モードのパケット・ストリームとロバスト・モードのパケット・ストリームとの他のビデオ・ピクチャは全て、全部のパケットを含み、正常に復号化し得る。
【0065】
ビデオ・ピクチャ0乃至5、8、9、11、12及び14の場合、セレクタ230’は通常モード復号器240’(MPEG)から導き出されたビデオ・ピクチャを、図7における「M」によって示すように、出力端子215に結合する。更に、これらのビデオ・ピクチャの場合、通常モード復号器240’からのビデオ・ピクチャは通常モードのフレームの記憶機構250’に供給され、ロバスト・モード復号器240”からのビデオ・ピクチャはロバスト・モードのフレームの記憶機構250”に供給される。
【0066】
ピクチャ6及び13の場合、通常モードのパケット・ストリームにおけるビデオ・ピクチャは間違っているが、ロバスト・モードのパケット・ストリームにおける相当するビデオ・ピクチャは完全であり、利用可能である。これらのピクチャの場合、セレクタ230’はロバスト・モード復号器240”(JVT)からのビデオ・ピクチャを、図7における「J」によって示すように出力端子215に結合する。これらのピクチャの場合には通常モードのビデオ・ピクチャは何ら存在しないので、ロバスト・モード復号器240”からのロバスト・モード・ビデオ・ピクチャはロバスト・モードのフレームの記憶機構250”と通常モードのフレームの記憶機構250’とに結合される。
【0067】
ピクチャ7の場合、通常モードのパケット・ストリームにおけるビデオ・ピクチャは完全であるが、ロバスト・モードのパケット・ストリームにおける相当するビデオ・ピクチャは間違っている。このピクチャの場合、セレクタ230’は通常モードの復号器240’からのビデオ・ピクチャを、図7における「M」によって示すように出力端子215に結合する。このピクチャの場合、ロバスト・モードのビデオ・ピクチャが何ら存在しないので、通常モード復号器240’からの通常モードのビデオ・ピクチャ240’は通常モードのフレームの記憶機構250’とロバスト・モードのフレームの記憶機構250”とに結合される。
【0068】
ピクチャ10の場合、通常モードのパケット・ストリームとロバスト・モードのパケット・ストリームとにおけるビデオ・ピクチャは間違っている。有効なビデオ・ピクチャは何ら存在しないので、エラー・マスキングの特定の形態を用い得る。これは図7で「XX」によって示す。通常モード復号器240’又はロバスト・モード復号器240”からの有効なビデオ・ピクチャは何ら存在しないので、通常モードのフレームの記憶機構250’にもロバスト・モードのフレームの記憶機構250”にも復号化ビデオ・ピクチャが何ら記憶されない場合がある。フレーム記憶機構250’及び250”において記憶されているデータは、エラー・マスキングの特定の形態から導き出される場合もある。
【0069】
両方のパケット・ストリームをビデオ・ピクチャ・ストリームに復号化し、各ビデオ・ピクチャの始めに一方のビデオ・ストリームから他方に切り替えることによって、パケット・ストリームを適切に復号化できなかったことから生じるビデオ・アーチファクトを最小にし得る。図5に示すように、ビデオ品質を徐々変えながら切り替えることを図6に示すような受信機において用い得る。しかし、図6の受信機において切り替えが各ピクチャで行われるので、そのような切り替えからのアーチファクトは、図2のようにIDS境界で切り替えが行われる場合ほどは好ましくないものでない。
【0070】
劣化したチャネル状態は、しかし、通常モードのパケット・ストリームとロバスト・モードのパケット・ストリームとの間の頻繁な切り替えをもたらす。この頻繁な切り替えは、視聴者に対して好ましくない場合があるアーチファクトをもたらし得る。これは、ロバスト・モードのビデオ信号のビデオ品質が通常モードのビデオ信号のものとはかなり異なる場合にあてはまる。
【0071】
通常モードのパケット・ストリームとロバスト・モードのパケット・ストリームとの間での過剰に頻繁な切り替えによってもたらされるアーチファクトを最小にするために、(図2の)セレクタ230及び(図6の)セレクタ230’は所定の周波数よりも高い周波数での切り替えを制限するよう構成される。特に、セレクタ230又は230’は、切り替えが望ましい周波数を監視し、それを所定の閾値と比較する場合がある。所望の切り替えの周波数が閾値を上回る場合、実際の切り替えが行われる周波数は特定の最大周波数を下回る周波数に制限される。これは切り替えヒステリシスの一形態である。
【0072】
例えば、通常モードのパケット・ストリームが高品質(例えば、高品位(HD))のビデオ信号を収容し、ロバスト・モードのパケット・ストリームがより低い品質(例えば、標準品位(SD))のビデオ信号を収容することとする。通常モードのHDのパケット・ストリームが利用可能でない場合、ロバスト・モードのSDのパケット・ストリームが画像を生成するよう処理される。HD表示装置上に表示させるようSDビデオ信号をアップスケーリングすることによって劣悪な品質のビデオ画像が生成される。通常モードのパケット・ストリームの頻繁なフェード・イン及びフェード・アウトがあるが、ロバスト・モードのパケット・ストリームは利用可能な状態のままにとどまっている場合、通常モードのHDのビデオ信号とロバスト・モードのSDのビデオ信号との間の頻繁な切り替えが行われる。高品質画像と低品質画像との間の頻繁な切り替えを伴うHDパケット・ストリームとSDパケット・ストリームとの間の頻繁な切り替えは、視聴者に対して好ましくないアーチファクトを発生させる。
【0073】
この例を続ければ、切り替えが、例えば毎分3回以上、行われることになる(すなわち、通常モードのパケットが欠けている)旨をエラー信号Eが示す場合、実際の切り替えは上記切り替えアーチファクトを最小にするよう制限される。この例では、これらの条件下では、セレクタ230又は230’は、スイッチ毎に例えば少なくとも1分間はロバスト・モードのパケット・ストリームを選択する。このことはスイッチの数を削減することになり、よって、これらのスイッチから生じる可視アーチファクトを最小にする。これが切り替えヒステリシスを実施する一実施例に過ぎないということは当業者が分かる。ヒステリシスを起動するうえでの最大切り替え周波数の閾値と制限切り替え周波数の閾値は、例のものとは異ならせる場合がある。そのような閾値は、好ましくない可視のアーチファクトを最小にするものを見つけるよう経験的に判定し得る。更に、閾値を、受信機の動作中に動的に変える場合がある。最後に、過剰な切り替えをもたらすことになる状態が存在している場合に切り替えを制限する他のヒステリシス・アルゴリズムを開発し得る。
【0074】
図3及び図4をもう一度参照すれば、何れかのブロードキャストの始めやチャネル切り替え時には、通常モードのパケット(310、410)が(図2及び図6の)遅延装置220を充填しているTadvと称する期間が存在する。図2及び図6に示した受信機では、遅延回路220が充填された状態になってからしか、受信機は動作し始めない。しかし、このことは受信機の電源が入れられるかチャネルが切り替えられる場合に過度の遅延をもたらす。しかし、時間間隔T adv中には、ロバスト・モードのパケット・ストリーム(300、400)は直ちに利用可能である。
【0075】
図2では、非遅延のロバスト・モードのパケット・ストリームは、想像線で示すように、逆多重化装置210からセレクタ230の第3入力端子に直接結合される。受信機に電源が入れられるか新たなチャネルが選択される場合、セレクタ230は非遅延のロバスト・モードのパケット・ストリームをマルチ標準復号器240に結合する。マルチ標準復号器240は上記に詳細に説明したように、ロバスト・モードのパケットのパケット解除と復号化とを行うよう調整され、ビデオ信号は、出力端子215でのユティラーゼーション回路に直ちに利用可能にされる。通常モードのパケット・ストリームが利用可能になる場合、セレクタ230は、通常モードのパケット・ストリーム信号をマルチ標準復号器240に結合することになる。
【0076】
図6では、非遅延のロバスト・モードのパケット・ストリームは逆多重化装置210からロバスト・モードの復号器240”に直結される。受信機が電源が入れられるか新たなチャネルが選択される場合、ロバスト・モード検出器240”は、以上に更に詳細に説明したように、逆多重化装置210からのロバスト・モードのパケット・ストリームのパケット解除及び復号化を行い、ロバスト・モードのビデオ信号を生成するよう調節される。通常モードのパケット・ストリームが利用可能になる場合、通常モード復号器240’はそれのパケット解除と復号化とを行い、通常モードのビデオ信号を生成する。セレクタ230’は、出力端子215を介してユティラーゼーション回路に通常モードのビデオ信号を結合するよう調整される。
【0077】
何れの場合にも、通常モードのパケット・ストリームとロバスト・モードのパケット・ストリームにおけるデータは、通常モードのパケット・ストリームが利用可能になった時点と受信器の通常の動作を開始し得る時点とを判定するよう解析される。公知のMPEG2のシステム(トランスポート・パケット)の符号化によれば、送信機におけるシステム・タイム・クロック(STC)に関する情報は、プログラム・クロック参照(PCR)データを介して符号化パケット・ストリームに入れられる。パケット・ストリームの(アクセス単位と称する)一部分を復号化しなければならない時点を示すプレゼンテーション・タイム・スタンプ(PTS)と称する更なる情報は、少なくとも、そのようなアクセス単位の各々の始めに含まれる。通常モードのパケット・ストリーム及びロバスト・モードのパケット・ストリームがマルチ標準復号器240(図2)又は通常モード復号器240’及びロバスト・モード復号器240”(図6)によってパケット解除され、復号化される場合、受信機におけるシステム・タイム・クロック(STC)は送信機におけるものにPCRデータによって同期がとられる。通常モードのパケット・ストリームにおけるPTSの値が受信機STCの値に等しい場合。このことは、通常モードのパケット・ストリームがロバスト・モードのパケット・ストリームと同期状態にある旨を示し、受信機は上記のように通常モードのパケット・ストリームを復号化することによって通常の動作を始め得る。
【0078】
コンテンツを表す多くの信号は1つの多重化トランスポート・パケット・ストリーム上で送信し得るので、種々のパケット・ストリームに関する情報を供給する公知の手段が開発されている。各パケット・ストリームは、そのパケット・ストリームにおける各パケットのヘッダに含まれるパケット識別子(PID)によって識別される。所定の公知のPIDを有する1つのパケット・ストリームは、他のパケット・ストリーム全てに関する識別及び他の情報を含む1つ又は複数のデータ・テーブルを含む。この公知のテーブル構造は、何れかの他の通常モードのパケット・ストリームに関しないロバスト・モードのパケット・ストリームに関する情報を収容するのに用い得る。しかし、他の通常モードのパケット・ストリームに関する追加情報を送信機から受信機に送らなければならない。
【0079】
これらの既存のテーブルの拡張された構文及び意味論は必要なデータを収容し得る。図8は、プログラム・マップ・プロトコル(PMT)並びに/又はプログラム及び情報システムのプロトコル、すなわち仮想チャネル・テーブル(PSIP−VCT)の拡張された構文及び意味論を示すテーブルである。図8における各行は、拡張テーブルにおけるデータ項目を表すか、擬似コード形式におけるメタ構文記述を表す。第1列はデータ項目又はメタ意味論記述の名前である。第2列はデータ項目又は構文記述の記述である。第3列は、何れかのデータ項目のサイズの表示である。
【0080】
拡張構文における第1項目802は、他の通常モードのパケット・ストリームをスタガキャストするのに用いるロバストなパケット・ストリームの数である。その場合、そのようなスタガキャストされるロバスト・モードのパケット・ストリーム毎の情報は、テーブルの次の行と最後の行におけるメタ構文記述によって示されるように、テーブルに含まれる。一部のそのような情報はロバスト・モードのパケット・ストリーム毎に必要である。例えば、データ804はロバスト・モードのパケット・ストリームのプログラム識別子(PID)を表し、データ806はそのパケット・ストリームによって収容されるデータの種類を表し、データ808はそのパケット・ストリームに関連した通常モードのパケット・ストリームのPIDを表し、データ810は、(図1の)送信機100における遅延装置130によって通常モードのパケット・ストリームに挿入される遅延を表す。
【0081】
一部のそのような情報は、しかし、特定のデータ種類のもののみのロバスト・モードのパケット・ストリームに関する。例えば、ロバスト・モードのパケット・ストリームがビデオ・データを収容する場合、圧縮形式、フレーム・レート、インタレース形式、水平解像度及び垂直解像度、並びにビット・レートが送信機から受信機に送られるので、ロバスト・モードのパケット・ストリームによって表すビデオ画像は適切に復号化し、表示させ得る。同様に、ロバスト・モードのパケット・ストリームがオーディオ・データを収容する場合、圧縮形式、ビット・レート、サンプル・レート及びオーディオ・モード(サラウンド、ステレオ又はモノ)は送信機から受信機に送られるので、ロバスト・モードのパケット・ストリームが表す音は適切に復号化し、再生し得る。
【0082】
もう1つのデータが、ロバスト・モードのパケット・ストリームによって収容される、コンテンツを表す信号の相対品質に関する。上記のように、ロバスト・モードのパケット・ストリームによって収容される、コンテンツを表す信号の品質はそれが関連した通常モードのパケット・ストリームのものとは異なり得る。上記例では、ロバスト・モードのパケットによって収容される、コンテンツを表す信号の品質は、関連した通常モードのパケット・ストリームのものよりも低いものとして規定される。しかし、特定の条件下では、プロバイダはロバスト・モードのパケット・ストリーム上でより高い品質の信号を送信し得る。この状態では、受信器は、関連した通常モードのパケット・ストリームではなくロバスト・モードのパケット・ストリームによって収容される、コンテンツを表す信号を用いることが好ましい。このことはデータ816によって受信機に示される。
【0083】
ロバスト・モードのパケット・ストリームを通常モードのパケット・ストリームに関連させた情報を備えることによって、(図2の)受信機200又は(図6の)受信機200’は通常モードのパケット・ストリームとロバスト・モードのパケット・ストリームとを多重化パケット・ストリームに見つける場合があり、上記のようにそれらの両方を同時に処理する場合がある。図2及び図6の受信機の機能を含まない従来の受信機は、この情報を無視し、通常モードのパケット・ストリームを公知の方法で処理することになる。
【0084】
上記のように、(図1の)送信機100における遅延装置130によってロバスト・モードのパケット・ストリームと関連した通常モードのパケット・ストリームとの間に挿入される遅延は図8において図示したテーブルにおけるデータ810として送信される。このことは送信機が遅延期間を変えることを可能にし、受信機がその遅延期間を適宜調節することを可能にする。例えば、特定のチャネル状態下では、フェージングは他の状態よりも起こりそうであると思われる場合があり、フェージングの特性が変わる(すなわち、フェージングが長くなる)場合もある。そのような状態下では、遅延期間を増加させ得る。遅延の長さは受信機に送信され、受信機は(図2及び図6における)遅延装置220を同様な遅延期間に適合させ得る。他の状態が異なる遅延期間を必要とする場合もある。
【0085】
上記のスタガキャストの概念は拡張し得る。異なるビデオ品質(例えば、解像度、フレーム・レートなど)を有するビデオ信号に符号化される、同様な、コンテンツを表す信号の複数バージョンはスタガキャストし得る。図9は、コンテンツを表す信号の複数バージョンを送信するスタガキャスト送信機の別の実施例の一部分の構成図である。図9では、図1に示す送信機におけるものと同様な構成要素は同じ参照数字によって表し、以下に更に詳細に説明しないこととする。図10はスタガキャスト受信機の相当する実施例の一部分の構成図である。図10では、図2に示す受信機におけるものと同様な構成要素は同じ参照数字によって表され、以下に更に詳細に説明しないこととする。
【0086】
図9aでは、入力端子105は階層符号器160の入力端子に結合される。階層符号器160は、複数の出力パケット・ストリーム信号を符号化し、パケット化する。複数の出力パケット・ストリームの第1のもの(0)は、多重化装置140’の相当する入力端子に結合される。複数の出力パケット信号の残り、(1)乃至(n)は、相当する複数の遅延装置130(1)乃至130(n)の各々の入力端子に結合される。遅延装置130(2)によって挿入される遅延期間は、遅延装置130(1)によって挿入されるものよりも大きい。遅延装置130(3)(図示せず)によって挿入される遅延期間は遅延装置130(2)によって挿入されるものよりも大きい、などである。遅延は、図3に示すようなパケット、図4に示すような別個の復号化セグメント又は図7に示すようなビデオ・ピクチャ期間によって規定し得る。複数の遅延装置130(1)及び130(n)の各々の出力端子は、多重化装置140’の相当する入力端子に結合される。
【0087】
動作上、第1パケット・ストリーム信号(0)は最低ビデオ品質で符号化される基本ビデオ信号ソースを収容する。第2パケット・ストリーム信号(1)は余分なビデオ情報を収容する。この余分なビデオ情報は基本ビデオ信号(0)と合成されると基本ビデオ信号(o)単独よりも高いビデオ品質を備えているビデオ信号を生成する。第3パケット・ストリーム信号(2)は他の余分なビデオ情報を収容する。この信号におけるビデオ情報は、基本ビデオ信号(0)及び第2パケット・ストリーム信号(1)におけるビデオ情報と合成される場合、基本信号(0)及び第2信号(1)を合成したものよりも高いビデオ品質を備えているビデオ信号を生成する。階層符号器160からのパケット・ストリーム(n)までの追加のパケット・ストリーム信号におけるビデオ情報は合成してより高いビデオ品質のビデオ信号を生成し得る。多重化信号はチャネル符号化(変調)され、受信機に出力端子115を介して供給される。
【0088】
図10aは図9aに示す送信機に相当する受信機である。逆多重化装置210は複数の(0)乃至(n)のパケット・ストリームを抽出する。パケット・ストリーム(n)は階層復号器260の相当する入力端子に結合される。複数のパケット・ストリームの残り(0)乃至(n−1)(図示せず)は相当する複数の遅延装置220の各々の入力端子に結合される。複数の遅延装置220は、階層復号器260の入力端子で時間的に複数の(0)乃至(n)の全てをもう一度合わせるよう調節される。逆多重化装置210からの信号線E上のエラー信号は、階層復号器260の制御入力端子に結合される。階層復号器260の出力端子は出力端子215に結合される。
【0089】
動作上、逆多重化装置207は、上記更に詳細に記載したように適宜、受信信号をチャネル復号化する(復調する)。多重化装置210は、図9aに示すパケット・ストリーム(0)乃至(n)に相当するビデオ情報の階層を収容する複数の(0)乃至(n)のパケット・ストリームを抽出する。これらのパケット・ストリームは複数の遅延装置220によって時間的に合せられる。逆多重化装置210からのエラー信号は、どのパケット・ストリームが利用可能でない、すなわち欠けているパケットであるかを示す。複数のパケット・ストリームがパケット解除され、利用可能なパケット・ストリームから階層的に復号化し得る最高品質の画像が階層復号器260によって生成される。よって、フェージング・イベントが、基本ビデオ信号を収容するパケット・ストリーム(0)以外の全てを利用不能にした場合、階層復号器260はパケット・ストリーム(0)のみをパケット解除し、復号化する。パケット・ストリーム(1)も利用可能な場合、階層復号器260はパケット・ストリーム(0)もパケット・ストリーム(1)もパケット解除し、復号化し、より高い品質のビデオ信号を生成する。パケット・ストリーム(0)乃至(n)の全てが利用可能である場合、階層復号器260は全てをパケット解除し、復号化し、最高ビデオ品質のビデオ信号を生成する。
【0090】
図9bでは、入力端子105は複数のビデオ符号器170の各々の入力端子に結合される。複数のビデオ符号器170の第1のもの170(0)の出力端子は多重化装置140’の相当する入力端子に結合される。複数のビデオ符号器170の残り170(1)乃至170(n)の出力端子は、複数の遅延装置130(1)乃至130(n)の各々の入力端子に結合される。遅延装置130(2)によって挿入される遅延期間は遅延装置130(1)によって挿入されるものよりも大きく、遅延装置130(3)(図示せず)によって挿入される遅延期間は遅延装置130(2)によって挿入されるものよりも大きい、などである。遅延は、図3に示すようなパケット、図4に示すような別個の復号器セグメント又は図7に示すようなビデオ・フレーム期間によって規定し得る。複数の遅延装置の各々の出力端子は多重化装置140’の相当する入力端子に結合される。
【0091】
動作上、第1符号器170(0)はコンテンツを表す信号をソース符号化し、結果として生じるソース符号化信号をシステム符号化(パケット化)して、最低の品質でのビデオ信号、すなわち、図示した実施例では、4分の1の共通インタフェース・形式(QCIF)のビデオ信号、を表す情報を収容するパケット・ストリームを生成する。図示しない他のビデオ符号器は同様に、連続したより高いビデオ品質でのビデオ信号を収容するパケット・ストリームを生成する。SDビデオ符号器170(n−1)は同様に、SD品質のビデオ信号を収容するパケット・ストリームを生成し、HDビデオ符号器170(n)は同様に、HD品質のビデオ信号を収容するパケット・ストリームを生成する。これらのパケット・ストリームは、多重化装置140’によって多重化され、更に、チャネル符号化(変調)され、受信機に出力端子115によって送信される。
【0092】
図10bは、図9bに示す送信機に相当する受信機である。図10bでは、逆多重化装置210は複数の(0)乃至(n)のパケット・ストリームを抽出する。パケット・ストリーム(n)はHD復号器270(n)の入力端子に結合される。パケット・ストリーム(0)乃至(n−1)の残りは、複数の遅延装置220の各々の入力端子に結合される。複数の遅延装置220の各々の出力端子は複数のビデオ復号器270の相当する入力端子に結合される。複数のビデオ復号器270の各々の出力端子はセレクタの相当する入力端子に結合される。逆多重化装置210からのエラー信号線E上のエラー信号はセレクタ280の制御入力端子に結合される。
【0093】
動作上、復調器207は、上記に更に詳細に説明したように、適宜、受信コンポジット信号をチャネル復号化(変調)する。逆多重化装置210は、図9bに示す複数のビデオ符号器170によって生成されるものに相当するパケット・ストリーム(0)乃至(n)を抽出する。複数の遅延装置220は、時間的にこれらのパケット・ストリーム(0)乃至(n)を全て、複数のビデオ復号器270の各々の入力端子でもう一度合わせる。各パケット・ストリームはそのパケット・ストリームによって収容されるビデオ信号を復号化するのに適切なビデオ復号器に結合される。例えば、QCIF品質のビデオ信号を収容するパケット・ストリームはQCIF復号器270(0)に結合され、CIF品質のビデオ信号を収容するパケット・ストリームはCIF復号器270(1)に結合される、などである。複数のビデオ復号器270における各ビデオ復号器はそれに供給される信号をパケット解除し、ソース復号化して、ビデオ信号を生成する。逆多重化装置210からのエラー信号Eは、エラー(例えば、欠けているパケット)が理由でパケット・ストリーム(0)乃至(n)のどれが利用可能でないかを示す。セレクタ280は、利用可能なパケット・ストリームから生成される最高品質のビデオ信号を出力端子215に結合するよう調節される。
【0094】
図9に示す送信器システムにおけるより低い品質のビデオ画像信号の一部については画像スケーリングが必要であり得るということを当業者は分かる。図9aの階層符号器160又は図9bの複数の符号器170の符号器は、図を簡単にするよう図示していない、必要な何れかのそのような画像スケーリング回路を含む。
【0095】
図9及び図10において示す通信システムの場合、(図9aの)階層符号器160によって生成される何れかのパケット・ストリーム又は(図9の)複数のビデオ符号器170の何れかは、上記に更に詳細に説明するように、ロバストなソース符号化手法(JVT)によってソース符号化し、ロバストな変調手法(4−VSB及び/又は2−VSB)によってチャネル符号化(変調)し得る。そのパケット・ストリームの相当する復調及び復号化は図10の受信器において行われる。更に、最低品質のビデオ信号が最も進められ、よって、最高のフェージング耐性を有する。更に、最低のビデオ品質の信号は、最小のビット数によって符号化し得るものであり、よって、送信するのに要する時間は小量である。パケット・ストリームによって収容されるビデオ信号のビデオ品質が向上するにつれ、そのパケット・ストリームが進められる時間は減少し、よって、フェージング耐性は減少する。よって、チャネル特性にフェージングが何らない場合、最高のビデオ品質の信号を収容するパケット・ストリームは利用可能な状態のままに留まる。緩いフェージングはパケット・ストリームが収容する、利用可能な信号のビデオ品質を低いものとし、激しいフェージングはパケット・ストリームが収容する、利用可能な信号のビデオ品質を最低のもののみとする。チャネル特性が劣化するにつれ、このようにビデオ品質が徐々に低下することは、視聴者にとっては望ましい特性である。
【0096】
以上で説明し、図1及び図9bで示したように、同様な、コンテンツを表す信号は、高品質ビデオ信号を収容するパケット・ストリームとして、更には、低減ビデオ品質のビデオ信号を収容する1つ又は複数のパケット・ストリームとしてスタガキャストし得る。そのような通信システムでは、したがって、特定の受信機、例えば、携帯電話又は携帯情報端末(PDA)におけるテレビジョン受信機が、低減品質の、コンテンツを表す品号のみを抽出し、復号化することが考えられる。そのような受信機では、表示装置は低解像度であり、低減品質ビデオ信号を表示させることができるに過ぎない場合がある。更に、電源電力を用いることによって、処理データ量を最小にすることが効果的である。そのような受信器は、適切なビデオ品質のビデオ信号を収容するパケット・ストリームのみを復号化し、その画像を表示させる。
【0097】
図10cは受信機を示す。図10cでは、入力端子205は復調器207の入力端子に結合される。復調器207の出力端子は逆多重化装置210の入力端子に結合される。逆多重化装置210の出力端子は復号器270の入力端子に結合される。復号器の出力端子は出力端子215に結合される。
【0098】
動作上、復調器207は、上記に更に詳細に説明したように、適宜、受信コンポジット信号を復調する。逆多重化装置210は、所望の品質のビデオ信号を有する単一のパケット・ストリームのみを選択する。例えば、これは、図9bのQCIF符号器170(0)によって生成され、パケット・ストリーム(0)上で収容されるものなどのQCIF形式のビデオ信号であり得る。パケット・ストリーム(0)は逆多重化装置210によって抽出され、復号器270によって復号化されてQCIF形式のビデオ信号を生成する。そのような受信器は、所望の低品質のビデオ信号のパケット・ストリーム(0)のPIDを判定するよう、図8に示すテーブルのみを受信すればよい。テーブルにおいて送信される解像度データ812から、移動体受信機は、処理に望まれる低減品質のビデオ信号を収容するパケット・ストリームを選択することができる。
【0099】
図9及び図10に示す通信システムは更に拡張し得る。上記システムでは、追加パケット・ストリームにおいて収容されるビデオ情報は、悪化するチャネル状態下でのグレースフル。デグラデーションを備えるのに用い得る。しかし、そのようなシステムは、良好なチャネル状態下でビデオ信号の品質を向上させることが可能な追加のビデオ情報を送信する場合がある。パケット・ストリームが通常のビデオ信号を収容することに加え、増強ビデオ情報を収容するパケット・ストリームを含めることによって、増強ビデオ画像を送信し得る。
【0100】
図11はデュアル・インタレース・ビデオ信号を送信する送信機の一部分の構成図であり、図12はデュアル・インタレース・ビデオ信号を受信する受信機の一部分の構成図である。図13は図11に示すデュアル・インタレース送信機と図12に示すデュアル・インタレース受信機との動作を理解するうえで有用な表示図である。図11では、図1に示すものと同様な構成要素は同じ参照数字によって表し、以下では詳細に説明するものでない。図12では、図6に示すものと同様な構成要素は同じ参照数字によって表し、以下に詳細に説明するものでない。
【0101】
図13を参照すれば、コンテンツ・ソースは、表示境界1320内のビデオ線1310のシーケンスとして図13の最上部に略図で示すプログレシブ走査ビデオ表示を生成する。通常のHDビデオ画像ピクチャは1080行を含む。そのようなHDビデオ画像はインタレース形式では毎秒30フレームのレートで送信される。すなわち、インタレーサは2つのフィールド、奇数行のみを含む第1フィールド及び偶数行のみを含む第2フィールドを生成する。これらのフィールドは毎秒60フィールドのレートで連続して送信される。
【0102】
図11では、入力端子105はデュアル出力インタレーサ102に結合される。デュアル出力インタレーサ102の第1出力端子はロバスト・モード符号器110の入力端子に結合される。デュアル出力インタレーサ102の第2出力端子は通常モード符号器120の入力端子に結合される。
【0103】
もう一度図13を参照すれば、フレーム表示画像1330(A)はデュアル出力インタレーサ102の第1出力端子で生成されるビデオ信号Aに相当し、フレーム表示画像1330(B)はデュアル出力インタレーサ102の第2出力端子で生成されるビデオ信号Bに相当する。フレーム表示画像1330(A)及び1330(B)では、実線は1フィールドで送信され、点線は後続フィールドで送信される。1330(A)におけるフレーム表示画像では、実線は奇数線であり、点線は偶数線であり、1330(B)におけるフレーム表示画像では、実線は偶数線であり、点線は奇数線である。このことは、フレーム表示画像1330(A)及び1330(B)の下のフィールド表示画像1340(A)、1340(B)、1350(A)及び1350(B)において更に詳細に示す。フィールド1では、ビデオ信号Aはフィールド表示画像1340(A)に示すように奇数線を送信し、ビデオ信号Bはフィールド表示画像1340(B)に示すように偶数線を送信する。フィールド2では、ビデオ信号Aはフィールド表示画像1350(B)に示すように偶数線を送信し、ビデオ信号Bはフィールド表示画像1350(B)に示すように奇数線を送信する。
【0104】
以上に更に詳細に説明したように、ビデオ信号AはJVTソース符号化を用いてソース符号化され、次に、ロバスト・モード符号器110によってシステム符号化(パケット化)される。ビデオ信号BはMPEG2ソース符号化を用いてソース符号化され、更に、通常モードの符号器によってシステム符号化(パケット化)される。変調器チャネルはロバスト・モードのパケット・ストリームを4−VSB変調及び/又は2−VSB変調を用いてチャネル符号化(変調)し、通常モードのパケット・ストリームを8−VSB変調を用いて変調する。
【0105】
図12では、逆多重化装置210の第1出力端子は通常モード復号器240’の入力端子に結合され、逆多重化装置210の第2出力端子は遅延装置220の入力端子に結合される。通常モード復号器240’の出力端子はデュアル入力逆インタレーサ202の第1信号入力端子に結合され、ロバスト・モード復号器240”の出力端子はデュアル入力逆インタレーサ202の第2信号入力端子に結合される。逆多重化装置210からのエラー信号はデュアル入力逆インタレーサ202の制御入力端子に結合される。デュアル入力逆インタレーサ202の出力端子は出力端子215に結合される。
【0106】
以上に更に詳細に説明したように、復調器207はロバスト・モードのパケット・ストリームを4−VSB復調及び/又は2−VSB復調を用いてチャネル復号化(復調)し、通常モードのパケット・ストリームを8=VSB復調を用いて復調する。通常モード復号器240’は通常モードのパケット・ストリームを、JVT復号化を用いてシステム復号化(パケット解除)し、ソース復号化して、ビデオ信号Bを再生する。ロバスト・モード復号器240”はロバスト・モードのパケット・ストリームを、MPEG2復号化を用いてパケット解除し、ソース復号化してビデオ信号Aを再生する。
【0107】
デュアル入力逆インタレーサ202は、ロバスト・モード復号器240”からのビデオ信号Aのインタレース走査線を通常モード復号器240’からのビデオ信号Bのインタレース走査線と合成してプログレシブ走査フィールドを生成するよう動作する。フィールド1の場合、フィールド表示画像1340(A)に示すビデオ信号Aからの奇数走査線は、フィールド表示画像1340(B)に示すビデオ信号Bからの偶数走査線と合成される。結果として生じるプログレシブ走査フィールドはフィールド表示画像1345に示す。フィールド2の場合、フィールド表示画像1350(A)に示す、ビデオ信号Aからの偶数走査線は、フィールド表示画像1350(B)に示すビデオ信号Bからの奇数走査線と合成される。結果として生じるプログレシブ走査フィールドは、フィールド表示画像1355に示す。よって、プログレシブ走査フィールドはフィールド期間毎にデュアル入力逆インタレーサ202の出力端子で生成し得る。HD信号の場合、これは完全な1080行の画像が毎秒60回生成されるということを意味する。
【0108】
以上で説明し、図11、図12及び図13において示したデュアル・インタレース手法は上記手法と組み合わせて、チャネル状態が悪化した場合に広い範囲のグレースフル・デグラデーションを備える場合もある。チャネル状態が、ビデオ信号A又はBを収容するパケット・ストリームの1つを利用不能にする場合、エラー信号Eはこのことをデュアル入力逆インタレーサ202に示す。デュアル入力逆インタレーサ202は標準HDのインタレース・ビデオ信号を利用可能なビデオ信号から生成し始める。表示装置(図示せず)は、他方のビデオ信号がもう一度利用可能になるまで標準インタレース・ビデオ信号によって表す画像を表示するよう再構成される。HDビデオ信号が何れも利用可能でない場合、図9における送信機と図10における受信機を参照しながら以上に詳細に説明したように、利用可能な最高品質のビデオ信号を表示し得る。
【0109】
何れかのインタレース形式のビデオ信号、例えばSDビデオ信号を2倍のフレーム・レートでプログレシブ走査ビデオ信号に変換するのに同様な手法を用いる場合もある。図11及び図12に示すように2つのビデオ信号A及びBをスタガキャストする必要はない。それらがサイマルキャストされるだけでよい。しかし、スタガキャストは更に、上記のように、フェージング・イベントが存在している状態でグレースフル・デグラデーションを備える。
【0110】
上記通信システムは、ディジタル・パーソナル・ビデオ・レコーダ(PVR)などの記録装置と協調するよう拡張させる場合もある。そのようなPVR装置は、そのような装置のコストの減少によってディジタル・テレビジョン受信機に含められるようになってきている。図9bでは、PVR装置295は、セレクタ280に双方向に結合されるビデオ端子(Vid)と、想像線で示すように、この場合も双方向に結合される制御端子(Ctl)とを含む。セレクタ280は、この場合も想像線で示す、ユーザ制御のソースにこの場合も結合される。
【0111】
セレクタ280は、出力端子215に結合される入力ビデオ信号とは別個に複数のビデオ検出器270からの何れかの所望のビデオ信号をPVR295に結合するよう構成される。セレクタ280は、再生するよう、PVR295からの入力ビデオ信号を出力端子215に結合するよう構成される場合もある。セレクタ280は制御データをPVR295に供給する場合もあり、PVR295は双方向制御端末を介してステータス・データをセレクタ280に供給する。
【0112】
PVR295はいくつかの動作モードにおいて制御し得る。1つの動作モードでは、利用可能な最善のビデオ信号が、記録するようPVR295に結合される。この動作モードでは、セレクタ280は、出力端子215に結合されるものと同じ入力ビデオ信号をPVR295に結合する。このことは、最善の品質のビデオ信号が記録されることをもたらし、PVR295における記憶空間を最も費やすことになる。これはビデオ信号が収容する通常モードのパケット・ストリーム及びロバスト・モードのパケット・ストリームと、それが備えるグレースフル・デグラデーションとを利用することになる。あるいは、低解像度ビデオ信号は、出力端子215に結合されるよりもPVR295に結合される場合がある。例えば、セレクタ280が利用可能な最善のビデオ信号を出力端子215に結合し得る一方、セレクタ280はより低い品質のビデオ信号を生成するビデオ復号器270をPVR295に結合し得る。このより低い品質のビデオ信号は、SD復号器270(n−1)からのSD品質ビデオ信号などの利用可能なビデオ信号のうちの特定の1つであり、グレースフル・デグラデーションが上記のより低い品質のビデオ復号器によって供給される場合がある。そのような信号は、利用可能な最善のビデオ信号よりもPVR295において要する記憶空間が少なくて済むことになる。このことはPVR295における記憶空間を節減することに役立つことになり、より長い記録時間を可能にすることになる。特定のより低い品質のビデオ信号が利用不能になる場合、低品質信号がもう一度利用可能になるまで高品質信号を記録し得る。どの低品質ビデオ(すなわち、SD、CIF又はQCIF)を選択するかということは、ユーザ入力端子を介して視聴者によって直接行い得る。あるいは、セレクタ280はこの選択を特定の基準によって自動的に制御し得る。例えば、PVR295からのステータス信号はPVR295に残っている記憶量を示し得る。残っている記憶量が低下するにつれ、セレクタ280は低減ビデオ品質を有するビデオ復号器270をPVR295に自動的に結合し得る。どのビデオ信号がセレクタ280によってPVR295に結合されるかを制御するよう、他の基準を導き出し、用いる場合がある。
【0113】
同様に、ユーザは送信機によってブロードキャストされているテレビジョン番組の選択及び表示を制御したい場合がある。既存のブロードキャスト・システムでは、送信パケット・ストリームの1つは、現在ブロードキャストされている番組全てと近い将来ブロードキャストされる予定であるものとに関する情報を含むユーザ番組ガイドを収容する。番組ガイド・データから、そのような番組全て、それらのチャンネル及び時間を載せたテーブルのイメージを図10bに示すように画面上のディスプレイ・ジェネレータ(OSD)282によって生成し得る。ユーザは、所望の番組を見つけ、ユーザ・インタフェースを用いてその視聴対象番組を選択するうえでの手助けとして番組ガイド情報の表示を制御し得る。ユーザ・インタフェースは画像を表示して情報を視聴者に提示し、視聴者からの入力を要求し、受信機又はリモコンに組み入れられている場合がある制御部から視聴者の入力を受け入れる。既存システムは、番組の更に詳細な解説、レーティング(G、PG、Rなど)、持続時間、残りの時間などの番組表に関する追加情報を視聴者が要求することを可能にする。
【0114】
上記スタガキャスト・システムに関する追加情報は、表示番組テーブル又は追加情報表示に追加し得る。この情報は図8に示すPSIP−VCT/PMTテーブルから導き出し得る。例えば、表示番組テーブル及び/又は、スタガキャストされる番組、スタガキャストされるビデオ信号のビデオ品質、スタガキャストされるオーディオ信号のオーディオ品質を示す追加情報表示に追加の表示子を追加し得る。この情報を視聴者に対して表示させることによって、視聴者はそれを番組の選択の基とすることができる。特に、視聴者はスタガキャストされる番組を選択し得るか、例えば、信号が供給される表示装置に一致させるよう、所望のビデオ品質のビデオ信号を有する番組を選択し得る。
【0115】
現行の受信機も視聴者が特定のパラメータを設定することを可能にする。例えば、ユーザは、送信チャンネル全て又は、視聴者が加入しているチャンネルのみ若しくは加入チャンネル及びペイ・パー・ビュー・チャンネル、などを、表示される都度、画面上の表示を手作業で変えることなく自動的に視聴したい場合がある。ユーザ・インタフェースはユーザに、OSD282を介してこの選択がユーザ制御部を用いて行い得る画面イメージを提示する。上記のように、スタガキャストされたビデオ信号の選択及び表示に関する選択を視聴者が設定する、追加の画面イメージを生成し得るか、既存画面イメージを修正し得る。例えば、視聴者は、スタガキャスト番組のみをプログラム・テーブルが表示させるか、最小ビデオ品質以上でビデオ信号を収容するスタガキャスト番組を表示させるよう選択し得る。
【0116】
更に、上記のように、図8のPSIP−VCT/PMTテーブルにおけるロバスト・モード高品質フラグ816は、ロバスト・モードのパケット・ストリームが最高品質のビデオ信号を収容し、そのパケット・ストリームが利用可能でない場合以外には用いることとする。このデータは番組テーブルに表示させる場合もあり、視聴者はそのテーブルからの選択をこのフラグにも基づいて行い得る。例えば、視聴者はこのフラグが設定されているチャンネルのみを表示させるよう選択し得る。
【図面の簡単な説明】
【0117】
【図1】スタガキャスト送信機の一部分の構成図である。
【図2】スタガキャスト受信機の一部分の構成図である。
【図3】図1及び図2に示すスタガキャスト通信システムの動作を理解するうえで有用なパケット・タイミング図である。
【図4】拡張されたスタガキャスト通信システムの動作を理解するうえで有用なGOPタイミング図である。
【図5】図2に示す受信機において用い得るセレクタの構成図である。
【図6】スタガキャスト受信機の別の実施例の一部分の構成図である。
【図7】図6に示すスタガキャスト受信機の動作を理解するうえで有用なビデオ・フレーム・タイミング図である。
【図8】番組マップ・テーブル(PMT)並びに/又は番組及び情報システムのプロトコル、すなわち、仮想チャンネル・テーブル(PSIP−VCT)の拡張された構文及び意味論を示す図である。
【図9】コンテンツを表す信号の複数の解像度バージョンを送信するスタガキャスト送信機の別の実施例の一部分の構成図である。
【図10】コンテンツを表す信号の送信された複数の解像度バージョンを受信するスタガキャスト受信機の別の実施例の一部分の構成図である。
【図11】デュアル・インタレースの、コンテンツを表す信号を送信する送信機の一部分の構成図である。
【図12】デュアル・インタレースの、コンテンツを表す信号を受信する受信機の一部分の構成図である。
【図13】図11に示すデュアル・インタレース送信機の動作と図12において示すデュアル・インタレース受信機との動作を理解するうえで有用な表示図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スタガキャストされるコンテンツを記憶する方法であって:
コンテンツを表す信号群を符号化する工程を備え、該群は、復号化されて相当する復号化信号群を生成することができ、各復号化信号は、他の符号化信号に相当する復号化信号の品質とは異なる品質を有し;
更に、時間的にずれている該符号化信号群を備えるコンポジット信号を生成する工程;
該符号化信号群を該コンポジット信号から抽出する工程;
該抽出符号化信号群におけるエラーを検出して、間違っていない利用可能抽出符号化信号の部分集合を生成する工程;
選択可能な所望の品質での、コンテンツを表す信号を復号化する工程;及び
該復号化された、コンテンツを表す信号を記憶装置に記憶する工程を備えることを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法であって、該所望の品質での、コンテンツを表す信号が利用可能でない場合、該利用可能抽出符号化信号の部分集合からの選択可能な所望の品質での、コンテンツを表す信号を復号化し、該復号化された、コンテンツを表す信号を記憶することを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項2記載の方法であって、該復号化する工程が、該所望の品質での、該コンテンツを表す信号を自動的に選択する工程を備えることを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項3記載の方法であって、該所望の品質を自動的に選択する工程が、該所望の品質を予め設定された選択パラメータに応じて選択することを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項4記載の方法であって、該パラメータがユーザ入力に応じて予め設定されることを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1記載の方法であって、該所望の品質を自動的に選択する工程は、該所望の品質を記憶装置の状態に応じて選択することを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項6記載の方法であって、該記憶装置の該状態が、該記憶装置はほとんど充填されているということを示す場合、該所望の品質は自動的に低品質であることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1記載の方法であって、該復号化する工程が、該所望の品質をユーザ入力に応じて選択する工程を備えることを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項8記載の方法であって、該所望の品質をユーザ入力に応じて選択する工程が:
該符号化信号群に関する情報を表す画像を表示する工程;及び
該情報表示を表示した後にユーザ入力を受信する工程を備えることを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項9記載の方法であって:
該コンテンツを表す信号はテレビジョン番組を表し;
コンポジット信号を生成する工程は、該符号化された、コンテンツを表す信号群の各々の品質を備える該テレビジョン番組に関する情報を収容する信号を更に含める工程を備え;
該符号化された信号を表す情報の画像を表示する工程は、該テレビジョン番組に関する該情報と該符号化信号群の品質とを載せる工程を備えることを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項10記載の方法であって、テレビジョン番組情報を収容する信号が、番組マップ・テーブル(PMT)と、番組及び情報システムのプロトコル−仮想チャンネル・テーブル(PSIP−VCT)との何れか又は両方を表すデータを収容することを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項1記載の方法であって、該コンポジット信号を生成する工程が、最低品質で復号化される信号が遅延しておらず、相当する復号化信号の品質が高いほど遅延期間が長くなるように該最低品質で復号化される信号に相当する符号化信号に対して遅延しているように該符号化信号群を生成する工程を備えることを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項1記載の方法であって、該符号化する工程が、該符号化信号群の少なくとも1つを、他の符号化信号の符号化に対してロバストな手法を用いて符号化する工程を備えることを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項13記載の方法であって、該少なくとも1つのロバストな符号化信号は、最低品質で復号化される信号に相当する符号化信号を備えることを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項13記載の方法であって、該符号化信号群がチャネル符号化され、ロバスト符号化信号は、非ロバスト符号化信号に用いるチャネル符号化手法に対してロバストなチャネル符号化手法を用いてチャネル符号化されることを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項15記載の方法であって、該ロバスト符号化信号の該チャネル符号化が、4−VSB変調と2−VSB変調との一方であり、非ロバスト符号化信号のチャネル符号化が8−VSB変調であることを特徴とする方法。
【請求項17】
コンテンツを表す、時間的にずれている、符号化信号群を備えるコンポジット信号を受信するスタガキャスト受信機であって、該群は、復号化されて相当する復号化信号群を生成することができ、各復号化信号は、他の符号化信号に相当する復号化信号の品質とは異なる品質を有し:
更に、該コンポジット信号に応じて、該符号化信号群を抽出し、各々の符号化信号におけるエラーを検出し、間違っていない利用可能抽出信号の部分集合を生成する逆多重化装置;
該逆多重化装置に結合され、該エラーを表す信号に応じて、選択可能な所望の品質での、コンテンツを表す信号を再生する復号器;及び
該復号器に結合されて、該再生コンテンツを表す信号を記憶する記憶装置を備えることを特徴とする受信機。
【請求項18】
請求項17記載の受信機であって、該復号器が、利用可能抽出符号化信号の該部分集合からの最高品質での、コンテンツを表す信号を再生する回路を備えることを特徴とする受信機。
【請求項19】
請求項17記載の受信機であって、該復号器は、該所望の品質での、コンテンツを表す信号が利用可能でない場合、該利用可能抽出符号化信号の部分集合からの選択可能な所望の品質での、コンテンツを表す信号を再生する回路を備えることを特徴とする受信機。
【請求項20】
請求項19記載の受信機であって、該復号器は更に、該所望の品質での、該コンテンツを表す信号を自動的に再生する回路を備えることを特徴とする受信機。
【請求項21】
請求項20記載の受信機であって、該復号器は更に、予め設定される選択パラメータを記憶し、該所望の品質での、該コンテンツを表す信号を該選択パラメータに応じて自動的に再生する回路を備えることを特徴とする受信機。
【請求項22】
請求項17記載の受信機であって:
該記憶装置が、該記憶装置の状態を表す信号を生成し;
該復号器が、該所望の品質での、該コンテンツを表す信号を、該状態を表す信号に応じて自動的に再生する回路を備えることを特徴とする受信機。
【請求項23】
請求項22記載の受信機であって、該復号器は、低品質での、該コンテンツを表す信号を、該記憶装置がほとんど充填されているということを示す、該状態を表す信号に応じて選択することを特徴とする受信機。
【請求項24】
請求項21記載の受信機であって、更に、選択パラメータをユーザ入力に応じて記憶する回路を備えることを特徴とする受信機。
【請求項25】
請求項17記載の受信機であって、該復号器は、該所望の品質での、該コンテンツを表す信号をユーザ入力に応じて生成する回路を備えることを特徴とする受信機。
【請求項26】
請求項25記載の受信機であって、更に、該符号化信号群に関する情報を表す画像を表示する画面上表示装置を備えることを特徴とする受信機。
【請求項27】
請求項26記載の受信機であって、
該コンテンツを表す信号はテレビジョン番組であり、該コンポジット信号は更に、該符号化された、コンテンツを表す信号の各々の品質を備える該テレビジョン番組に関する情報を収容する信号を備えることを特徴とする受信機。
【請求項28】
請求項27記載の受信機であって、テレビジョン番組情報を収容する信号が、番組マップ・テーブル(PMT)と、番組及び情報システムのプロトコル−仮想チャンネル・テーブル(PSIP−VCT)との何れか又は両方を表すデータを収容することを特徴とする受信機。
【請求項29】
請求項17記載の受信機であって、該符号化信号群の少なくとも1つが、他の信号の符号化に対してロバストな手法を用いて符号化され、該復号器は、該少なくとも1つの符号化信号に応じて、該少なくとも1つの符号化信号を復号化する復号器を備えることを特徴とする受信機。
【請求項30】
請求項29記載の受信機であって、該少なくとも1つのロバストな符号化信号は、最低品質で復号化される信号に相当する符号化信号を備えることを特徴とする受信機。
【請求項31】
請求項30記載の受信機であって:
該符号化信号群がチャネル符号化され、該ロバスト符号化信号が、4−VSB変調と2−VSB変調との一方を用いてチャネル符号化され、他の符号化信号は8−VSB変調を用いてチャネル符号化され;
該復号器は、該ロバスト符号化信号を4−VSB復調と2−VSB復調との一方を用いてチャネル復号化し、他の符号化信号を8−VSB復調を用いてチャネル復号化する復調器を備える
ことを特徴とする受信機。
【請求項32】
請求項17記載の受信機であって:
該コンポジット信号は、最低品質で復号化される信号が遅延していないような該符号化信号群を備え、相当する復号化信号の品質が高いほど、遅延期間が長くなるように該最低品質で復号化される信号に相当する符号化信号に対して他の符号化信号が遅延しており;
更に、該逆多重化装置と該復号器との間に結合され、各々が該抽出符号化信号群に応じて、該抽出符号化信号を時間的に再整合化させる複数の遅延回路を備えることを特徴とする受信機。
【請求項1】
スタガキャストされるコンテンツを記憶する方法であって:
コンテンツを表す信号群を符号化する工程を備え、該群は、復号化されて相当する復号化信号群を生成することができ、各復号化信号は、他の符号化信号に相当する復号化信号の品質とは異なる品質を有し;
更に、時間的にずれている該符号化信号群を備えるコンポジット信号を生成する工程;
該符号化信号群を該コンポジット信号から抽出する工程;
該抽出符号化信号群におけるエラーを検出して、間違っていない利用可能抽出符号化信号の部分集合を生成する工程;
選択可能な所望の品質での、コンテンツを表す信号を復号化する工程;及び
該復号化された、コンテンツを表す信号を記憶装置に記憶する工程を備えることを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法であって、該所望の品質での、コンテンツを表す信号が利用可能でない場合、該利用可能抽出符号化信号の部分集合からの選択可能な所望の品質での、コンテンツを表す信号を復号化し、該復号化された、コンテンツを表す信号を記憶することを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項2記載の方法であって、該復号化する工程が、該所望の品質での、該コンテンツを表す信号を自動的に選択する工程を備えることを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項3記載の方法であって、該所望の品質を自動的に選択する工程が、該所望の品質を予め設定された選択パラメータに応じて選択することを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項4記載の方法であって、該パラメータがユーザ入力に応じて予め設定されることを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1記載の方法であって、該所望の品質を自動的に選択する工程は、該所望の品質を記憶装置の状態に応じて選択することを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項6記載の方法であって、該記憶装置の該状態が、該記憶装置はほとんど充填されているということを示す場合、該所望の品質は自動的に低品質であることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1記載の方法であって、該復号化する工程が、該所望の品質をユーザ入力に応じて選択する工程を備えることを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項8記載の方法であって、該所望の品質をユーザ入力に応じて選択する工程が:
該符号化信号群に関する情報を表す画像を表示する工程;及び
該情報表示を表示した後にユーザ入力を受信する工程を備えることを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項9記載の方法であって:
該コンテンツを表す信号はテレビジョン番組を表し;
コンポジット信号を生成する工程は、該符号化された、コンテンツを表す信号群の各々の品質を備える該テレビジョン番組に関する情報を収容する信号を更に含める工程を備え;
該符号化された信号を表す情報の画像を表示する工程は、該テレビジョン番組に関する該情報と該符号化信号群の品質とを載せる工程を備えることを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項10記載の方法であって、テレビジョン番組情報を収容する信号が、番組マップ・テーブル(PMT)と、番組及び情報システムのプロトコル−仮想チャンネル・テーブル(PSIP−VCT)との何れか又は両方を表すデータを収容することを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項1記載の方法であって、該コンポジット信号を生成する工程が、最低品質で復号化される信号が遅延しておらず、相当する復号化信号の品質が高いほど遅延期間が長くなるように該最低品質で復号化される信号に相当する符号化信号に対して遅延しているように該符号化信号群を生成する工程を備えることを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項1記載の方法であって、該符号化する工程が、該符号化信号群の少なくとも1つを、他の符号化信号の符号化に対してロバストな手法を用いて符号化する工程を備えることを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項13記載の方法であって、該少なくとも1つのロバストな符号化信号は、最低品質で復号化される信号に相当する符号化信号を備えることを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項13記載の方法であって、該符号化信号群がチャネル符号化され、ロバスト符号化信号は、非ロバスト符号化信号に用いるチャネル符号化手法に対してロバストなチャネル符号化手法を用いてチャネル符号化されることを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項15記載の方法であって、該ロバスト符号化信号の該チャネル符号化が、4−VSB変調と2−VSB変調との一方であり、非ロバスト符号化信号のチャネル符号化が8−VSB変調であることを特徴とする方法。
【請求項17】
コンテンツを表す、時間的にずれている、符号化信号群を備えるコンポジット信号を受信するスタガキャスト受信機であって、該群は、復号化されて相当する復号化信号群を生成することができ、各復号化信号は、他の符号化信号に相当する復号化信号の品質とは異なる品質を有し:
更に、該コンポジット信号に応じて、該符号化信号群を抽出し、各々の符号化信号におけるエラーを検出し、間違っていない利用可能抽出信号の部分集合を生成する逆多重化装置;
該逆多重化装置に結合され、該エラーを表す信号に応じて、選択可能な所望の品質での、コンテンツを表す信号を再生する復号器;及び
該復号器に結合されて、該再生コンテンツを表す信号を記憶する記憶装置を備えることを特徴とする受信機。
【請求項18】
請求項17記載の受信機であって、該復号器が、利用可能抽出符号化信号の該部分集合からの最高品質での、コンテンツを表す信号を再生する回路を備えることを特徴とする受信機。
【請求項19】
請求項17記載の受信機であって、該復号器は、該所望の品質での、コンテンツを表す信号が利用可能でない場合、該利用可能抽出符号化信号の部分集合からの選択可能な所望の品質での、コンテンツを表す信号を再生する回路を備えることを特徴とする受信機。
【請求項20】
請求項19記載の受信機であって、該復号器は更に、該所望の品質での、該コンテンツを表す信号を自動的に再生する回路を備えることを特徴とする受信機。
【請求項21】
請求項20記載の受信機であって、該復号器は更に、予め設定される選択パラメータを記憶し、該所望の品質での、該コンテンツを表す信号を該選択パラメータに応じて自動的に再生する回路を備えることを特徴とする受信機。
【請求項22】
請求項17記載の受信機であって:
該記憶装置が、該記憶装置の状態を表す信号を生成し;
該復号器が、該所望の品質での、該コンテンツを表す信号を、該状態を表す信号に応じて自動的に再生する回路を備えることを特徴とする受信機。
【請求項23】
請求項22記載の受信機であって、該復号器は、低品質での、該コンテンツを表す信号を、該記憶装置がほとんど充填されているということを示す、該状態を表す信号に応じて選択することを特徴とする受信機。
【請求項24】
請求項21記載の受信機であって、更に、選択パラメータをユーザ入力に応じて記憶する回路を備えることを特徴とする受信機。
【請求項25】
請求項17記載の受信機であって、該復号器は、該所望の品質での、該コンテンツを表す信号をユーザ入力に応じて生成する回路を備えることを特徴とする受信機。
【請求項26】
請求項25記載の受信機であって、更に、該符号化信号群に関する情報を表す画像を表示する画面上表示装置を備えることを特徴とする受信機。
【請求項27】
請求項26記載の受信機であって、
該コンテンツを表す信号はテレビジョン番組であり、該コンポジット信号は更に、該符号化された、コンテンツを表す信号の各々の品質を備える該テレビジョン番組に関する情報を収容する信号を備えることを特徴とする受信機。
【請求項28】
請求項27記載の受信機であって、テレビジョン番組情報を収容する信号が、番組マップ・テーブル(PMT)と、番組及び情報システムのプロトコル−仮想チャンネル・テーブル(PSIP−VCT)との何れか又は両方を表すデータを収容することを特徴とする受信機。
【請求項29】
請求項17記載の受信機であって、該符号化信号群の少なくとも1つが、他の信号の符号化に対してロバストな手法を用いて符号化され、該復号器は、該少なくとも1つの符号化信号に応じて、該少なくとも1つの符号化信号を復号化する復号器を備えることを特徴とする受信機。
【請求項30】
請求項29記載の受信機であって、該少なくとも1つのロバストな符号化信号は、最低品質で復号化される信号に相当する符号化信号を備えることを特徴とする受信機。
【請求項31】
請求項30記載の受信機であって:
該符号化信号群がチャネル符号化され、該ロバスト符号化信号が、4−VSB変調と2−VSB変調との一方を用いてチャネル符号化され、他の符号化信号は8−VSB変調を用いてチャネル符号化され;
該復号器は、該ロバスト符号化信号を4−VSB復調と2−VSB復調との一方を用いてチャネル復号化し、他の符号化信号を8−VSB復調を用いてチャネル復号化する復調器を備える
ことを特徴とする受信機。
【請求項32】
請求項17記載の受信機であって:
該コンポジット信号は、最低品質で復号化される信号が遅延していないような該符号化信号群を備え、相当する復号化信号の品質が高いほど、遅延期間が長くなるように該最低品質で復号化される信号に相当する符号化信号に対して他の符号化信号が遅延しており;
更に、該逆多重化装置と該復号器との間に結合され、各々が該抽出符号化信号群に応じて、該抽出符号化信号を時間的に再整合化させる複数の遅延回路を備えることを特徴とする受信機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2007−525855(P2007−525855A)
【公表日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−503006(P2006−503006)
【出願日】平成16年1月26日(2004.1.26)
【国際出願番号】PCT/US2004/002062
【国際公開番号】WO2004/066706
【国際公開日】平成16年8月12日(2004.8.12)
【出願人】(501263810)トムソン ライセンシング (2,848)
【氏名又は名称原語表記】Thomson Licensing
【住所又は居所原語表記】46 Quai A. Le Gallo, F−92100 Boulogne−Billancourt, France
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年1月26日(2004.1.26)
【国際出願番号】PCT/US2004/002062
【国際公開番号】WO2004/066706
【国際公開日】平成16年8月12日(2004.8.12)
【出願人】(501263810)トムソン ライセンシング (2,848)
【氏名又は名称原語表記】Thomson Licensing
【住所又は居所原語表記】46 Quai A. Le Gallo, F−92100 Boulogne−Billancourt, France
【Fターム(参考)】
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