説明

コンテンツ再生装置

【課題】 様々な再生環境に適したコンテンツデータを再生すること。
【解決手段】 コンテンツ再生装置11のCPU11は、入力装置16に指定されたコンテンツデータファイルと同一内容のコンテンツデータファイルをコンテンツ格納装置14または外部コンテンツ格納装置23から検索し、検索したコンテンツデータファイルの中から、コンテンツデータファイルに関し、あらかじめ設定された再生可能条件を満たす、再生条件に関連付けられた特定の一のコンテンツデータファイルを選択し、選択したコンテンツデータファイルを前記再生機に再生させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテンツ再生装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
HDDレコーダやDVDレコーダ、インターネットラジオ、インターネットテレビ、デジタル放送等の普及に伴い、デジタル形式の映像データや音楽データといったデジタルコンテンツの視聴がより気軽に楽しめる時代になりつつある。また、デジタルコンテンツの視聴が可能な携帯電話や携帯端末、大型ディスプレイ装置等も普及する傾向にあり、様々な種類の再生機がデジタルコンテンツの再生機に用いられることになる。
また、このような再生機を用いてデジタルコンテンツの視聴を行う場合、利用者の都合に応じた様々な機能制限(深夜は小音量など)の範囲内でデジタルコンテンツを視聴することが多くなるので、たとえ同じ内容のデジタルコンテンツであったとしても、その再生環境(再生機の性能等)が変化することが多くなる。
一方、デジタルコンテンツは、容易に複製可能な性質を持つことから、普及しつつあるデジタル放送等の分野では、その録画時に暗号化することが求められる等、デジタルコンテンツに関する著作権を保護する仕組みが望まれている。
【0003】
このような状況下において従来、特許文献1では、次のような方法により、著作権の保護を配慮しつつ利用者に利便性のよい再生環境を実現することが開示されている。すなわち、コンテンツデータ毎に用意されたライセンス鍵をコンテンツ格納装置とは別に設けられた鍵格納専用装置に格納する。また、鍵格納専用装置は通信相手に認証処理を施し、認証された場合には、暗号通信を利用して再生装置に再生対象コンテンツデータに対応するライセンス鍵を送信する。そして、再生装置は、再生対象コンテンツデータをライセンス鍵を用いて複号して再生する。
【特許文献1】国際公開WO01/069842号(国際出願番号PCT/JP01/02003)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された手法では、次のような不都合があった。すなわち、利用者からみると同一内容だが、品質(解像度等)や付加価値(字幕データあり)に違いのある複数のコンテンツデータファイルの中から、コンテンツ再生機の機能や再生制限の違いといった再生環境を考慮した上でその再生環境に最適なコンテンツデータファイルを利用者の負担なく選択して再生する仕組みを持っていなかった。
例えば、携帯端末で映画コンテンツを視聴していた利用者が、その映画コンテンツの続きを大型ディスプレイ装置を用いて最適な品質で視聴しようとする場合を考える。この場合、携帯端末で視聴するために作られたコンテンツデータファイルと、大型ディスプレイ装置で視聴するために作られたコンテンツデータファイルとは、それぞれ再生に適する環境は異なる。そのため、携帯端末から大型ディスプレイ装置へと再生環境が変わると、最適なコンテンツデータファイルも変わるため、利用者自身が、その最適なコンテンツデータファイルを探し、新たに再生を指示する必要があった。
また、この場合、同一内容のコンテンツデータファイルの続きをみようとしているにもかかわらず、そのコンテンツデータファイルの続きの開始位置を示す再生位置まで利用者が自分で早送りして検索しなければならなかった。
さらに、ネットワークを経由したコンテンツデータファイル再生において、ネットワーク環境の変化により、そのコンテンツデータファイルを一時的に利用できなくなった場合に、手元に同一内容のコンテンツデータファイルが存在しても、それを有効に活用して再生を継続することはできなかった。
【0005】
そこで、本発明は、様々な再生環境に適したコンテンツデータを再生することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために本発明は、記憶部と処理部と再生機とを含んで構成されるコンテンツ再生装置であって、前記記憶部、または前記コンテンツ再生装置に接続された外部記憶部は、再生条件に関連付けられたコンテンツデータファイルを格納するとともに、
前記処理部は、入力部に指定されたコンテンツデータファイルと同一内容のコンテンツデータファイルを前記記憶部または外部記憶部から検索し、検索したコンテンツデータファイルの中から、コンテンツデータファイルに関しあらかじめ設定された再生可能条件を満たす、再生条件に関連付けられた特定の一のコンテンツデータファイルを選択し、選択したコンテンツデータファイルを前記再生機に再生させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、様々な再生環境に適したコンテンツデータを再生することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
[実施例1]
以下、実施例1について図1ないし図11に基づいて説明する。
図1は実施例1におけるコンテンツ再生装置のハードウエア構成例を示す図である。図1において、コンテンツ再生装置(以下単に「再生装置」という)11は、CPU12と、メモリ13と、コンテンツ格納装置(記憶部)14と、入力装置(入力部)16と、表示装置(表示部)17とを含んで構成され、これらがバス20に接続されている。また、再生装置11は、オーディオ再生装置(再生機)18と、映像再生装置(再生機)19と、通信装置25と、録画装置26とを含んで構成され、これらがバス20に接続されている。
なお、再生装置11の利用形態として、家庭内や自動車内等で利用する形態がある(後記図8)。通信装置25は、インターネット等のネットワーク53に接続するための通信インターフェースであり、録画装置26は、放送アンテナ55から受信した放送データ等を録画するための装置である。図1では、通信装置25と録画装置26とを含んで構成されているが、これらを含めないように構成してもよい。
【0009】
さらに詳述する。CPU(処理部)12は、再生装置11全体の動作を制御するものである。メモリ13は、例えばROMやRAMで構成される。ROMには、再生制御プログラム1が格納され、RAMは、CPU12のワークエリアとして機能する。具体的には、RAMは、後記するコンテンツデータファイル31、32に関するデータ等を一時的に記憶する。
CPU12は、ROMに格納された再生制御プログラム1を読み出し、再生制御プログラム1に従って動作することにより、次のような再生処理を行う。すなわち、コンテンツ格納装置14に格納されているコンテンツデータファイル31のデータ再生を行ったり、外部コンテンツ格納装置(外部記憶部)23に格納されているコンテンツデータファイル32(単に「コンテンツデータ」ともいう)のデータ再生を行ったりする。
【0010】
コンテンツ格納装置14は、ハードディスク装置等の大容量記憶装置であり、コンテンツ格納装置14には、オーディオデータや映像データ等で構成されたコンテンツデータファイル31が格納される。
各コンテンツデータファイル31には、コンテンツの内容から一意に決まるコンテンツID(コンテンツ用識別情報ともいう)が割り当てられる。コンテンツIDは、例えばコンテンツデータファイル31中に記録されることとするが、これに限られない。例えば、コンテンツデータファイル31とコンテンツIDとの対応関係が特定可能なように、コンテンツIDとコンテンツデータファイル31とを別のファイルに独立に記録するようにしてもよい。
【0011】
このように、コンテンツIDがコンテンツの内容から一意に決まるように割り当てた場合、後記するコンテンツデータファイル31中に設定された各種データのビットレート等が異なっていても、それぞれのコンテンツデータファイル31に割り当てられるコンテンツIDはすべて同じになる。
【0012】
入力装置16は、例えば、各種操作ボタンが装備された操作パネルやリモコン等が用いられる。操作ボタンとしては、例えば、再生ボタン、停止ボタン、コンテンツの選択ボタン、巻戻しボタン、早送りボタン、決定ボタン、キャンセルボタン、機能設定ボタンがある。さらに、英語学習ボタンもある。英語学習ボタンは、コンテンツデータファイルが洋画に関するファイルである場合にその洋画の字幕再生の選択機能(付加価値)をもつ。映画学習ボタンがONのとき、字幕再生になり、利用者の英語学習に有益である。
【0013】
利用者は、このような入力装置16を用いて、コンテンツ再生装置11を操作し、例えば、コンテンツデータファイル31、32を指定したり、再生を指示したりすることが可能となる。また、利用者は、入力装置16の各種操作ボタンを用いて、コンテンツの再生環境を決めることが可能となる。本実施例では、モニタ51やスピーカ52等の性能を考慮して再生環境を決めることが可能となる。例えば、モニタ51がワイド画面対応やハイビジョン出力対応であれば、その再生環境を再生装置11に設定する。また、スピーカ51が5.1チャンネルサラウンド再生機能やDTS(Digital Theater Systems)再生機能等を持つのであれば、その再生環境を再生装置11に設定する。
【0014】
再生装置11では、例えばモニタ51やスピーカ52の性能に関するデータが再生環境(あらかじめ設定された再生可能条件を意味)として設定されることとなる。コンテンツデータファイルの選択は、再生環境の設定を基に、コンテンツ再生装置11に格納された複数の同一内容のコンテンツデータファイルの中から、再生環境に適したコンテンツデータファイルが選択される。
【0015】
表示装置17は、例えば、液晶パネル等であり、再生装置11のフロントに取り付けられる。表示装置17には、コンテンツ格納装置14に格納されているコンテンツデータファイル31に関する情報や、再生時間、再生対象のコンテンツデータファイルの一覧を表示する。
オーディオ再生装置18は、コンテンツ格納装置14から、再生対象のオーディオデータを記録するコンテンツデータファイル31を読み出し、そのファイル31に基づくオーディオ信号をスピーカ52へ出力して再生する。
映像再生装置19は、コンテンツ格納装置14から、再生対象のビデオデータとなるコンテンツデータファイル31を読み出し、そのファイル31に基づくビデオ信号を再生する。この再生では、ビデオ信号をモニタ51に出力する。
【0016】
バス20は、再生装置11内のデータの送受を実現するためのものである。
外部バス21は、取り外し可能な外部コンテンツ格納装置23(単に「コンテンツ格納装置23」ともいう)をコンテンツ再生装置11に接続するためのバスである。外部バス21は、取り外し可能な外部コンテンツ格納装置23との間の制御信号やデータの送受を司り、CPU12やオーディオ再生装置18、映像再生装置19が外部コンテンツ格納装置23にアクセスできるようにする。
外部コンテンツ格納装置23は、コンテンツ格納装置14と同様、コンテンツデータファイル32を格納可能な装置であり、着脱可能な収納ケースに格納され、着脱可能記憶装置24を構成する。
【0017】
着脱可能記憶装置24は、再生装置11から取り外し、再生装置11とは異なる別の再生環境(携帯端末等にあらかじめ設定された別の再生可能条件を意味)で利用することができるものであり、外部コンテンツ格納装置23には、携帯端末等の再生環境(品質、規格、付加価値等)に最適なコンテンツデータファイルが記録される。
【0018】
通信装置25は、携帯電話機やイーサネット(登録商標)端子に接続され、オンラインシステムやインターネット等のネットワーク53を介して、例えばコンテンツデータファイルを配信するコンテンツ配信センタにアクセスし、コンテンツデータファイルを入手するために用いられる。
録画装置26は、地上テレビ放送、ラジオ放送、衛星放送、地上デジタル放送といった放送を受信する放送アンテナ55と接続され、放送の受信とその録画を行い、コンテンツ格納装置14、23中にコンテンツデータファイル31、32として保存する装置である。
【0019】
図2は再生制御プログラム1の機能例を示す図である。図2において、再生制御プログラム1は、メイン部2と、同一内容コンテンツ判定部3(コンテンツ判定部3ともいう)と、同一内容コンテンツ検索部4(コンテンツ検索部4ともいう)と、再生可能判定部5と、コンテンツ品質評価部6とを含んで構成される。これら各部2〜5は、後記する機能を持つプログラムであり、再生装置11のCPU12によって動作される。
まずメイン部2の機能について説明する。メイン部2は、次の5つの機能を持つプログラムである。すなわち、第1の機能としては、コンテンツ格納装置14あるいは外部コンテンツ格納装置23にアクセスし、コンテンツ再生装置11で再生可能なコンテンツリストを作成する機能である。第2の機能は、表示装置17を制御し、コンテンツデータファイルに関する情報や、再生時間・再生対象のコンテンツデータファイルの一覧を表示する機能である。
【0020】
第3の機能は、入力装置16の制御と監視を行い、コンテンツデータファイルの再生開始や一時停止等、利用者の指示(利用者による入力装置16の操作の指示を意味。以下同じ)を受け付ける機能である。第4の機能は、利用者の指示に従って、コンテンツ格納装置14、23やオーディオ再生装置18、映像再生装置19を制御し、利用者の指定するコンテンツデータファイル31、32の再生を行う機能である。これら4つの機能により、利用者は、コンテンツ再生装置11を用いて、コンテンツデータファイルのデータを再生することが可能となる。
【0021】
第5の機能は、利用者により指定されたコンテンツデータファイルと同一内容のコンテンツデータファイルを、コンテンツ格納装置の中から検索し、コンテンツ再生装置における再生環境に最も適し、かつ再生可能なコンテンツデータファイルを選択する機能である。この機能によって選択したコンテンツデータファイルを、前記したメイン部2における第4の機能を用いて再生することが可能となる。この機能のために、メイン部2は、コンテンツ格納装置14、23にアクセスし、後記するコンテンツ検索部4、再生可能判定部5およびコンテンツ品質評価部6を用いる。
【0022】
コンテンツ判定部3は、コンテンツ検索部4から指定された2つのコンテンツデータファイルを比較し、比較の結果、2つのコンテンツデータファイルが同一内容であるかを判定して、その結果をコンテンツ検索部4に返す機能を持つプログラムである。
コンテンツ検索部4は、コンテンツリスト管理部7(不図示)からの指示に従い、コンテンツ格納装置14、23にアクセスし、コンテンツ判定部3を用いて、指示されたコンテンツデータファイルと同一内容のコンテンツデータファイルの一覧を作成する機能を持つプログラムである。
再生可能判定部5は、コンテンツリスト管理部7(不図示)に指定されたコンテンツデータファイル31、32を再生するために必要な能力(再生環境を意味する)がコンテンツ再生装置11にあるかどうかを判定するプログラムである。
コンテンツ品質評価部6は、コンテンツデータファイル31、32に含まれるコンテンツ属性情報から、そのコンテンツデータファイル31、32の品質評価値の計算を行うプログラムである。
【0023】
次に、コンンテンツデータファイル31、32について説明する。
図3はコンテンツデータファイルのデータ構造例を示す図である。図3において、コンテンツ再生装置11で再生可能なコンテンツデータファイル31、32には、コンテンツデータファイルであることを示すコンテンツデータファイル識別子108と、コンテンツの内容に対して一意に割当てられたコンテンツID101と、コンテンツ説明109と、映像データ情報102(映像データの水平解像度、垂直解像度)と、オーディオデータ情報103(オーディオデータのビットレート192Kbps等)と、字幕データ情報104と、映像データ105と、オーディオデータ106と、字幕データ107とを含んでいる。コンテンツ説明109は、コンテンツのタイトル等内容を説明する文字データが書き込まれたものである。字幕データ107は、MPEG1やMPEG2といった規格に従って書き込まれている。
本明細書において、映像データ情報102で指定された水平解像度と垂直解像度、およびオーディオデータ情報103で指定されたビットレートをコンテンツデータの再生条件という。再生条件は、コンテンツデータファイルの中に含めて関連付けてもよいし、あるいは、コンテンツデータファイルとは別のファイルに記録して関連付けてもよい。
なお、ここでは、コンテンツデータファイルに、映像データ105とオーディオデータ106と字幕データ107とが含まれる場合を例に挙げているが、これに限られない。例えば、3種類のデータ105〜107をすべてコンテンツデータファイルに含める必要はないし、また、これらのデータ105〜107を複数のデータファイルに分割して記録してもよい。
【0024】
次に、再生装置11の動作について図4ないし図7に基づいて説明する。
まず、再生装置11がコンテンツデータファイルの再生を開始する際に作成するリスト200を図4に基づいて説明する。
図4に示すリスト200は、同一内容のコンテンツデータファイルのリストであり、メモリ13上に作成される。
同一内容というのは、コンテンツ再生装置11に接続されているコンテンツ格納装置に格納されたコンテンツデータファイルのうち、利用者によって再生指示されたコンテンツデータファイルと同一内容のコンテンツデータファイルを数え上げたものを意味する。
リスト200は、コンテンツデータファイル毎に割り振られた番号201と、同一内容のコンテンツデータファイル202と、再生可能判定部5によって判定された再生の可否205と、コンテンツ品質評価部6によって評価された品質評価値206とを含んで構成されている。
そして、コンテンツデータファイル202は、そのコンテンツデータファイルが記録されたコンテンツ格納装置203と、コンテンツデータファイルのファイル名204とを含んで構成される。
【0025】
次に、コンテンツ再生装置11による最適コンテンツ検索処理について図5に基づいて説明する。ここでは、利用者が、入力装置16を用いて、コンテンツ格納装置14、23に格納されているコンテンツデータファイルの中から、特定のコンテンツデータファイルの再生を指示した場合を例にして説明する。
この場合、まずステップS1001では、再生装置11のCPU12が、利用者より再生指示(利用者による入力装置16の再生指示操作を意味する)されたコンテンツデータファイル中のコンテンツIDを読む。具体的には、CPU12は、メイン部2に従い、例えば、指定されたコンテンツデータファイルの先頭にコンテンツデータファイル識別子108が書き込まれていることを確認し、そのコンテンツデータファイルのコンテンツIDを読み出す。
【0026】
ステップS1002では、CPU12が、全てのコンテンツ格納装置中のコンテンツデータファイルに順次アクセスし、同じコンテンツIDを持つコンテンツデータファイルを検索する。具体的には、CPU12は、メイン部2に従い、コンテンツ検索部4を用いて、同一内容のコンテンツデータファイルを、コンテンツ格納装置14、23より全てリストアップする。
ここでのコンテンツ検索部4の動作は次のとおりである。すなわち、まずコンテンツ格納装置14、23に格納された全てのファイルについて、ファイルの先頭にコンテンツデータファイル識別子108が書きこまれたコンテンツデータファイルであることを確認し、コンテンツ判定部3を用いて、利用者によって再生を指示されたコンテンツデータファイルと同一内容であるかを判定する。コンテンツ判定部3は、コンテンツデータファイルに含まれるコンテンツIDを読み出し、そのコンテンツIDが、ステップS1001で読んだコンテンツIDと同じ値であれば、判定対象の2つのコンテンツデータファイルが同一内容であると判定する。当該判定を受け、コンテンツ検索部4は、コンテンツ判定部3によって同一内容と判定されたコンテンツデータファイルをリスト200(図4参照)に加える。
【0027】
ステップS1003では、CPU12が、再生制御部2の指示に従い、再生可能判定部5を用いて、S1002で作った同一内容のコンテンツデータファイルのリスト200中の各コンテンツデータファイルが再生可能かどうか判定を行い、判定結果を示す再生の可否を再生の可否205に記録する。
ステップS1004では、CPU12が、再生制御部2の指示に従い、コンテンツ品質評価部6を用いて、リスト200中の各コンテンツデータファイルについて、品質評価値を算出し、品質評価値207にその値を記録する。
【0028】
ステップS1005では、CPU12は、リスト200中のコンテンツデータファイルから、S1003において再生可能と判定され、かつS1004において最も高い品質評価値が与えられたコンテンツデータファイルを選択する。
図5の例では、CPU12は、コンテンツ格納装置14に格納されていたコンテンツデータファイル210(\Video\Sp.wmv)を選択する。また、CPU12は、選択したコンテンツデータファイル210を読み込み、そのファイル210の情報を表示装置17に表示する。さらに、CPU12は、例えば、映像再生装置19およびオーディオ再生装置18にコンテンツデータファイル210の再生を指示する。なお、CPU12が再生を指示する場合、表示装置17に表示したコンテンツデータファイルの再生の指示を入力装置16から受けたことを条件に、当該コンテンツデータファイルの再生を指示してもよい。この場合、利用者は、所望のコンテンツデータファイルを確実に選択することが可能となる。
映像再生装置19およびオーディオ再生装置18は、指示されたコンテンツデータファイル210をコンテンツ格納装置14、23から読み出す。そして、映像再生装置19およびオーディオ再生装置18は、コンテンツデータファイル210に含まれる、映像データおよびオーディオデータをそれぞれ再生し、モニタ51およびスピーカ52に出力する。
【0029】
次に、S1003で用いた再生可能判定部5による処理フローを図6に基づいて説明する。ここでは、再生可能判定部5は、再生可能なコンテンツデータファイルが満たすべき再生可能条件をあらかじめ記憶しており、この再生可能条件を用いて、コンテンツデータファイルが再生可能かどうかを判定する。図
6では再生可能条件は、例えば「1以上1920以下の水平解像度で1以上1024以下の垂直解像度の映像データと、1Kbps以上320Kbps以下のビットレートのオーディオデータ」を想定している。再生可能判定部5は、判定対象となるコンテンツデータファイルについて、再生可能条件(水平解像度、垂直解像度、ビットレート)を満たすかどうかの判定を行う。
【0030】
以下では、映像データ(水平解像度が1440、垂直解像度が1080)とオーディオデータ(ビットレートが192Kbps)と字幕データ(英語を日本語で表したもの)とで構成されたコンテンツデータファイル31を判定対象にした場合について詳述する。
まずS2001では、再生装置11のCPU12は、コンテンツデータファイル31中の映像データ情報(水平解像度、垂直解像度)102を読み込み、映像データ情報102の水平解像度が1以上1920以下の範囲内(これを再生可能条件という)にあるかを調べる。例示したコンテンツデータファイル31では、水平解像度が1440の場合で説明しているので、S2001では、1440の水平解像度が1以上1920以下の範囲内(これを再生可能条件という)にあるので、例えば再生可能と判定され(S2001のYes)、S2002に進む。
S2002では、CPU12は、映像データ情報102の垂直解像度が1以上1024以下の範囲内(これを再生可能条件という)にあるかを判定する。例示したコンテンツデータファイル31では、垂直解像度は1080であるので、例えば、1以上1024以下の範囲内にあると判定され(S2002のYes)、S2003に進む。
【0031】
S2003では、CPU12は、コンテンツデータファイル31のオーディオデータ情報103で指定されたビットレートが1Kbps以上320Kbps以下の範囲内(これを再生可能条件という)にあるかを判定する。例示したコンテンツデータファイル31では、ビットレートが192Kbpsであるので、例えば、1Kbps以上320Kbps以下の範囲内にあると判定され(S2003のYes)、S2004に進む。
S2004では、CPU12は、コンテンツデータファイル31は再生可能と判定する。なお、S2001、S2002、S2003の処理において、いずれか一つでもNoとなる場合、CPU12は、再生不能と判定する(S2005)。
【0032】
なお、本実施例においては、再生可能判定部5の内部に再生可能なコンテンツデータファイルが満たすべき再生可能条件が直接記憶されていることを前提に説明したが、これに限られない。例えば、利用者の好みに応じて再生可能条件を指定したりしてもよい。また、再生装置11の構成部品やソフトウェアのアップグレード等に対応可能なように、別の装置を用意して再生可能条件を満たす環境にしてもよい。
また、水平解像度、垂直解像度およびビットレートの3つを基準(再生可能条件)に基づき再生可能かどうかを判定したが、例えば、ファイル形式(JPEG等)の一致あるいは不一致を判定し、一致した場合に限り再生可能と判定するようにしてもよい。
【0033】
図7はコンテンツ品質評価部6の処理フローを示す図である。ここでは、コンテンツ品質評価部6は、ユーザによって指定されたコンテンツデータファイル31のコンテンツ属性情報の各要素を入力とし、コンテンツデータファイル31の品質評価値を出力するプログラムである。品質評価値は、再生装置11の製造時や利用者によって設定され、再生装置11のメモリ13中にあらかじめ書き込まれている。
本実施例では、品質評価値は、前記した映像データの水平解像度や垂直解像度、オーディオデータのビットレート数に着目して規定する。また、英語学習ボタン45、46のONあるいはOFFの操作に応じて、品質評価値が高くなるように規定されている。
【0034】
図7では、映像データ(水平解像度1440、垂直解像度1080)と、オーディオデータ(ビットレート192Kbps)と、字幕データ(英語を日本語で表したもの)とで構成されたコンテンツデータファイル31を評価対象にした場合について詳述する。
まずS3001では、CPU12は、コンテンツデータファイル31の映像情報102およびオーディオデータ情報103より、品質評価値を算出する。算出式は、例えば、(品質評価値)=(映像データの水平解像度数)+(映像データの垂直解像度数)+(オーディオデータのビットレート数)となる。
評価対象のコンテンツデータファイル31の場合、水平解像度1440pixel、垂直解像度1080pixel、ビットレート192Kbpsであるので、品質評価値は、1440+1080+192=2712と算出される。なお、2712の品質評価値は暫定値である。つまり、最終的な値ではないという意味である。
【0035】
次に、S3002では、CPU12は、コンテンツデータファイル31中に英語の字幕データが含まれているかどうかを判定し、含まれていなければ(S3002のNo)、S3001で算出した品質評価値をコンテンツ品質評価部6の返り値(戻り値)として最終的な品質評価値とする。
一方、英語の字幕データが含まれていれば(S3002のYes)、CPU12は、例えば英語学習ボタン45(入力装置16に含む)がONかどうかを調べる(S3003)。ONであれば(S3003のYes)、CPU12は、品質評価値に例えば+2000を加算し(S3004)、加算後の品質評価値をコンテンツ品質評価部6の返り値(戻り値)として最終的な品質評価値(例えば4712)とする。他方、英語学習ボタン45がOFFであれば(S3003のNo)、CPU12は、S3001で算出した品質評価値に例えば+500を加算し(S3005)、加算後の品質評価値をコンテンツ品質評価部6の返り値(戻り値)として最終的な品質評価値(例えば3212)とする(S3006)。
【0036】
このように、利用者は、英語学習ボタン45等の入力装置16を用いて、コンテンツ品質評価部6において算出される品質評価値の値を調整することが可能となる。これにより、例えば、字幕の有無を利用者の嗜好に合わせて選択することが可能となり、コンテンツデータファイル中のコンテンツを品質評価値という指標により評価することが可能となる。
【0037】
図8は再生装置の利用形態を示す説明図である。ここでは、例えば、家庭内と自動車内における2つの利用形態を例に挙げて説明する。
図8(a)に示す再生装置11は、例えば据置型で、家庭内でコンテンツを楽しむのに適したものになっている。つまり、家庭内の利用形態である。
再生装置11は、大型のモニタ51やスピーカ52に接続され、高品質なコンテンツの映像や音声を視聴することが可能になっている。なお、再生装置11には、設置時に、モニタ51やスピーカ52に関する品質情報が入力され、再生装置11がビデオ信号とオーディオ信号に基づき高品質な再生を行うように再生環境が設定される。
再生装置11の前面開口部には、着脱可能記憶装置24が装着可能に構成され、様々な再生環境で再生装置11が利用可能になっている。着脱可能記憶装置24は、例えば、小型HDD(Hard Disk Drive)等の外部コンテンツ格納装置23を内蔵し、その外部コンテンツ格納装置23内には、2つのコンテンツデータファイル32、33が格納されている。これらのファイル32、33は、同一内容のデータが記録されているが、最適な再生環境が異なるものである。ファイル32は家庭内での再生環境に適し、ファイル33は自動車内での再生環境に適する。
【0038】
例えば、着脱可能記憶装置24が再生装置11に装着されると、まず再生装置11は、着脱可能記憶装置24に含まれる外部コンテンツ格納装置23中の2つのコンテンツデータファイル32、33にアクセスする。続いて、再生装置11は、2つのファイル32、33をファイル一覧に含めて表示装置17に表示する。ファイル一覧は、再生装置11において再生される対象となるコンテンツデータファイルを表したものである。次に、利用者による入力装置16の操作によって、いずれかのファイル32、33が指定されたとしても、再生装置11は、後記する処理により、再生装置11に設定された再生環境に適したコンテンツデータファイルを検索し、図8(a)に示した家庭内での再生環境に適したファイル32を選択してそのファイル32の内容である映像と音声とを再生する。
【0039】
これに対して、図8(b)に示した再生装置61は、例えば自動車のダッシュボードに装着され、自動車内でコンテンツを楽しむために適したものになっている。つまり、自動車内の利用形態である。
再生装置61は、カーナビ機能付きモニタ62と、2台のスピーカ63、64に接続されている。なお、再生装置11には、車内設置時に、モニタ61やスピーカ53、64の品質情報が入力され、再生装置61がビデオ信号とオーディオ信号に基づき高品質な再生を行うように再生環境が設定される。
再生装置61は、図8(a)に示した再生装置11に比べて、処理能力が低くなっている。これは、図8(a)に示したモニタ51に比べて、モニタ62の画面サイズが小さく、また、再生時の電力が比較的低くなるように設計されているからである。このため、再生装置61によって再生される環境は、図8(a)に示した再生装置11によって再生される環境とは異なる。
【0040】
例えば、再生装置61に着脱可能記憶装置24が挿入されて接続されると、自動車内の再生環境に適したコンテンツデータファイルが外部コンテンツ格納装置23のファイルの中から検索され、その結果、コンテンツデータファイル33が選択されて再生されることとなる。
【0041】
なお、図8(a)に示した再生装置11が、図示しない通信装置と録画装置とを内蔵し、インターネット等のネットワーク53を通じて、コンテンツ配信センタ54(コンピュータシステムを意味する)から、コンテンツデータファイルの配信を受け、そのファイルを外部コンテンツ格納装置23に格納してもよい。また、外部コンテンツ格納装置23のコンテンツデータファイルは、放送アンテナ55を通じて受信したコンテンツデータファイルであってもよい。これにより、様々な再生環境に適したコンテンツデータファイルを用意することができる。またこのようにすることにより、コンテンツ再生装置およびコンテンツ提供者は、こうした異なる再生環境に適したコンテンツデータファイルを用意し、また用意したコンテンツデータファイルを利用者に負担を強いることなく、活用できる枠組みを提供することができるようになる。
【0042】
ところで、再生装置11においては、再生開始時に、後記するブックマークファイルを用いて拡張機能を持たせることにより、再生環境が変わった際の利便性を向上させることができる。
【0043】
ブックマークファイルのデータ構造例を図9に示す。このデータ構造例では、ブックマークファイルは、ブックマークファイル識別子603とコンテンツID601とブックマーク位置602とを含んで構成されている。なお、ブックマークファイルは、対応するコンテンツデータファイルに関連付けて、例えば再生装置11のメモリ13に保存するが、コンテンツ格納装置14、23内に保存してもよい。
ブックマークファイル識別子603は、当該ファイルがブックマークファイルであることを示すものである。
コンテンツID601は、図3のコンテンツIDと同様の内容であり、コンテンツデータファイルに格納されているコンテンツを識別するためのものである。
ブックマーク位置602は、コンテンツデータファイル中のコンテンツデータの再生位置を示したものである。例えば、コンテンツデータの先頭から11分32秒目がこれに該当する。
【0044】
このようにすることにより、例えば、再生装置11は、コンテンツデータの再生を中断する場合に、その位置をブックマーク位置602に記録しておくことにより、その続きをブックマーク位置602に指定された位置から再生することが実現可能となる。
【0045】
次に、再生装置11のCPU12がブックマークファイルを用いて再生する場合の処理フローを図10に基づいて説明する。
まずS8001では、CPU12が、利用者より再生指示されたブックマークファイル(図9参照)中のコンテンツIDを読む。ここで、利用者により再生指示というのは、利用者による入力装置16の操作により、コンテンツデータファイルが指定されることを意味する。
【0046】
次に、CPU12が、S8001でのコンテンツIDに基づいて、図5のS1002〜S1005と同様の処理であるS8002〜S8005の処理を行う。具体的には、CPU12は、S8001でのコンテンツIDと同じコンテンツIDを持つコンテンツデータファイルの検索処理(S8002)、検索したコンテンツファイルが再生可能かどうかの判定処理(S8003)、再生可能なコンテンツデータファイルに関する品質評価値の算出処理(S8004)、最大の品質評価値を持つコンテンツデータファイルの選択処理(S8005)を行う。
【0047】
S8006では、CPU12が、利用者より再生指示されたブックマークファイル中の再生位置から再生する。
これにより、例えば、利用者が自動車内で視聴していたコンテンツデータの再生を中断した後、その続きを家庭内で視聴する場合であっても、再生装置11は、ブックマークファイルを用いることにより、自動車内で視聴していたコンテンツデータの続きを円滑に再生することが可能となる。この場合、自動車内から家庭内という再生環境の変化があると、その再生環境に適したコンテンツデータファイルが選択されることにもかかわらず、同じ内容のコンテンツデータを異なる再生環境(自動車内→家庭内)で視聴できるので、有益である。
【0048】
[変形例]
次に、コンテンツ判定部3による判定処理の変形例について説明する。実施例1では、コンテンツ判定部3は、コンテンツデータファイルに割り振られているコンテンツIDの一致あるいは不一致により、複数のコンテンツデータファイルが同一内容であるかどうかを判定したが、次のように判定してもよい。
例えば、コンテンツ判定部3は、コンテンツIDの値が、製造時に定められた一定の規則(文字列、コード、番号等の組み合わせ、配列等)を満すかどうかを判定することにより、複数のコンテンツデータファイルが同一内容であるかどうかを判定してもよい。
【0049】
また、コンテンツ判定部3は、S1002における判定処理を行う場合、判定対象のコンテンツデータファイルのコンテンツIDの値を100で割った商が同一であるときに、それらのコンテンツデータファイルを同一内容のデータファイルと判定する。
【0050】
このようにしても、コンテンツIDに基づいて、コンテンツデータファイルの内容が同一内容であるかどうかを判定することが可能となり、しかもコンテンツIDの異なるコンテンツデータファイルを用意することが可能となる。また、コンテンツデータファイルの作成時および作成したコンテンツデータファイルを流通させる際の利便性を向上できる。
さらに、コンテンツ判定部3は、2つのコンテンツデータファイルを構成する映像データの類似性が高い場合に、それらのコンテンツデータファイルが同一内容であると判定することもできる。この判定例を図5のS1001およびS1002を参照しながら説明する。
【0051】
図5のS1001では、コンテンツデータファイルのコンテンツIDに代えて、映像データの一部をあらかじめ定められた条件(例えば、コンテンツの先頭から5分おきに1枚ずつ、画像データを切り出す等)に従って取り出す。
S1002では、S1001で取り出された画像データを構成する各要素(サイズ、画素等)を比較する。例えば、サイズが等しい画像であれば、その画像データの全画素値を順次比較する。他方、サイズが異なる画像であれば、小サイズの画像の各画素について、判定対象となる2つの画像の相対的な位置が等しい画素値を比較する。
このようにして、コンテンツ判定部3の製造時に定められた基準に基づいて、前記した画像データを比較し、映像データが同一であると判定された場合、判定対象のコンテンツデータファイルが同一内容のものであると判定される。この判定では、例えば、全体の7割の枚数を占める画像データが同一であれば、映像データも同一と判定すること等を定めておく。
これにより、コンテンツデータファイルを構成する映像データに基づいて、同一内容のコンテンツデータファイルを識別することができる。
【0052】
また、コンテンツ判定部3は、オーディオデータの類似性が高い場合、次のような処理により、同一内容のコンテンツデータファイルと判定するようにしてもよい。
具体的には、実施例1の場合と同様、図5のS1001では、コンテンツデータファイルのコンテンツIDに代えて、オーディオデータの一部をあらかじめ定められた条件に従って取り出し(例えば、オーディオデータの先頭の10秒間を取り出す等)、メモリ13に保存する。
図5のS1002では、判定対象となるコンテンツデータファイルから、S1001と同様の処理により、オーディオデータを取り出して、そのオーディオデータの音波形データの差分を求める。同一内容のコンテンツデータファイルであれば、オーディオデータも一致し、コンテンツデータファイル作成時の多少の誤差を除けば、音波形のデータも一致する。そのため、コンテンツ判定部3の製造時に定められた基準により、これらの音波形が同一であると判定されると、これらのコンテンツデータファイルも同一内容であると判定する。
【0053】
また、コンテンツ判定部3は、コンテンツデータファイル31中のコンテンツ説明109(図3参照)で指定された内容に基づいて、同一内容のコンテンツデータファイルかどうかを判定するようにしてもよい。例えば、コンテンツデータファイルが映画データであれば、映画のタイトルや出演者、監督名、製作日等の内容をコンテンツ説明109に記録しておく。そして、コンテンツ説明109に記録された内容が共通していれば、同一内容のコンテンツデータファイルと判定されることとなる。
具体的には、図5のS1002では、例えば、それぞれのコンテンツデータファイルのコンテンツ説明に記録された文字を一文字ずつ比較し、同じテキスト文になっているかどうかを判定する。このとき、コンテンツ説明109に記録された文字の80%以上が、同じ文字で構成されていれば、コンテンツ判定部3は、当該判定対象のコンテンツデータファイルが同一内容であると判定する。
これにより、例えば、同じタイトル名をコンテンツ説明に持つコンテンツデータファイルが、同一内容のコンテンツデータファイルであると判定されることになる。
【0054】
さらに、例えば、複数の異なる放送局で放送された番組のコンテンツデータファイルに関して、コンテンツ判定部3が同一内容かどうかを判定する場合、コンテンツ判定部3は、インターネット上に公開されたデータ(URL)を利用して(各放送局のサーバで公開しているものとする)、同一内容であると判定するようにしてもよい。なお、URLは、Uniform Resource Locatorの略である。
この場合、再生制御プログラム1には、あらかじめURLを表す文字列が含まれており、再生制御プログラム1は、再生装置11のCPU12によって、そのURLで指定されたアドレスに格納されたコンテンツIDのデータファイルを取得する。
【0055】
この取得例を図11に示す。図11では、同一内容のコンテンツデータファイルのグループを表す番号701と、コンテンツID702とを含んで対応表が構成されている。コンテンツID702は、コンテンツデータファイルを識別するためのIDである。
例えば、グループ711には、コンテンツIDが、「平成17年2月27日(日) 午前7時45分〜午前7時59分 ○○総合ハイビジョン 京都特集」のコンテンツデータファイル721や、「平成17年3月2日(水) 午前11時05分〜午前11時24分 ○○総合 京都特集」のコンテンツデータファイル722等が含まれている。
なお、コンテンツIDのグループ分けは、コンテンツ判定部3により、コンテンツIDに指定された文字列の類似度に応じて行われる。例えば、番組名が共通(完全一致のみではない趣旨)していれば、同じグループに属すように処理される。
【0056】
コンテンツ判定部3は、指定された2つのコンテンツデータファイル(ここでは、放送局の放送番組に関するもの)のコンテンツIDが図11に示された対応表の同一グループ内にあれば、同一内容のコンテンツデータファイルと判定する。他方、同一グループ内になければ、異なるコンテンツデータファイルと判定する。これにより、コンテンツデータファイルが同一かどうかをネットワーク上のファイルによって決定することができるため、複数のテレビ局で放送されたコンテンツデータファイルについて、内容が同じであれば、同一内容のコンテンツであると判定できる。
【0057】
このような変形例によると、再生装置11が、同一内容で品質や付加価値の異なるコンテンツデータファイルのうち、再生環境に適したコンテンツデータファイルを、利用者によって再生指示されたコンテンツデータファイルの代わりに再生することとなるので、再生装置の利用者への利便性を向上させることが可能となる。
【0058】
[実施例2]
次に、実施例2について図12ないし図15に基づいて説明する。なお、実施例1と同一部分については同一の符号を付し、重複説明を省略する。
実施例2では、コンテンツデータファイルの著作権を保護することが可能となる。
図12は実施例2におけるコンテンツ再生装置の構成例を示すブロック図である。ここでは、図1に示した再生装置の相違点を中心に説明する。
まず第1の相違点は、コンテンツ格納装置14、23では、暗号化されたコンテンツデータファイルを保存可能になっている点である。このため、コンテンツデータファイルの閲覧等を回避して著作権を保護する必要性のあるコンテンツデータファイルに関しては、暗号化を行うことにより、その目的を達成することが可能となる。なぜなら、たとえコンテンツ格納装置14、23からコンテンツデータファイルが不正に取り出されたとしても、利用者は、後記するライセンスファイルの復号鍵を用いなければ、そのコンテンツデータファイルを開いて利用することができないからである。
第2の相違点は、暗号化されたコンテンツデータファイル31、32を復号化するための鍵を含んだライセンスファイル41を格納するライセンス格納装置15、22を備えた点である。ライセンスファイル41は、暗号化されたコンテンツデータファイルを復号化するための復号鍵を記録するファイルであり、コンテンツIDとコンテンツデータファイルとに関連付けられている。
【0059】
第3の相違点は、オーディオ再生装置18と映像再生装置19の各々が、暗号化されたコンテンツデータファイル31、32とライセンスファイル41とを取り扱う機能を持つ点である。オーディオ再生装置18と映像再生装置19の各々は、メイン部2(図2参照)によって暗号化されたコンテンツデータファイルの再生が指示された場合、対象のコンテンツデータファイルのコンテンツIDをキーとしてライセンス格納装置15、22にライセンスファイル41を要求し、ライセンス対応機能を用いて、再生に必要なライセンスファイル41を安全に取得し、その中に含まれる鍵を用いて暗号化された映像データ105やオーディオデータ106を復号し、再生することができる。
【0060】
第4の相違点は、ライセンスファイル41を格納するライセンス格納装置15、22、オーディオ再生装置18および映像再生装置19の各々が、後記するライセンス対応機能と耐タンパー性機能の2つの機能を備える点である。ライセンス対応機能というのは、機器同士の相互認証により、正当な機器であることを確認し、各機器間でライセンスファイルのやり取りを行う機能である。このライセンス対応機能により、各機器間において相互認証に失敗した場合、各機器間ではライセンスファイルのやり取りが行われない仕組みになっている。
耐タンパー性機能は、ライセンス格納装置で管理されているライセンスファイル41についての外部の解析を阻止する機能である。
このようにライセンスファイル41を取り扱う機器が全て、ライセンスファイル41を守る前記2つの機能を備えることにより、再生装置は、コンテンツデータファイルに関する著作権を保護する機能を備えたものとなる。
【0061】
次に、ライセンス格納装置15、22等の構成について説明する。
ライセンス格納装置15、22は、前記したライセンス対応機能を備えた機器から、コンテンツIDをキーとして、ライセンスファイル41の要求を受けた場合、格納されているライセンスファイルを検索し、コンテンツIDに関連付けられたライセンスファイルを取り出し、ライセンス対応機能によって安全に要求元に送る。一方、ライセンス格納装置15、22は、ライセンス対応機能を未装備の機器から、ライセンスファイル41の要求を受けた場合、ライセンスファイル41そのものを要求元に送る代わりに、ライセンスファイル41に含まれる鍵(復号鍵を意味する)を無効な代用鍵(復号化できないもの)に書き換えて要求元に返す。このようにすることにより、ライセンス対応機能を備えた機器間でのみ、ライセンスファイル41のやり取りが可能となり、コンテンツデータファイルの著作権を保護する仕組みを構築することとなる。
【0062】
外部ライセンス格納装置22は、外部コンテンツ格納装置23と同時に取り付けたり取り外したりすることが可能な外部媒体に内蔵する。これらのコンテンツ格納装置14、23に格納されるコンテンツデータファイル31、32には、図3に示したコンテンツデータファイル31、32に加え、暗号化された映像データ105やオーディオデータ106、字幕データ107が格納される。
【0063】
図13はライセンスファイルのデータ構造例を示す図である。
ライセンスファイルは、ライセンス格納装置22、14に格納され、図13に示すように、ライセンスファイル識別子304と、ライセンスID301と、コンテンツID302と、鍵303とを含んで構成されている。
ライセンスファイル識別子304は、コンテンツデータファイルの種類を示す識別子を示し、ライセンスID301は、ライセンスファイルを一意に識別するためのIDを示す。
コンテンツID302は、対応するコンテンツデータファイルを識別するためのIDを示し、鍵303は、暗号化されたコンテンツデータファイルを復号する際に用いる復号キーを示す。
【0064】
次に、ライセンスファイル41と2つのコンテンツデータファイル31、32との関係を図14に基づいて説明する。
図14に示したコンテンツデータファイル31、32は、品質(水平解像度等)や付加価値(字幕データあり)が異なるが、いずれも暗号化されている。また、コンテンツデータファイル31、32は、データ内容が同じなので、共通するコンテンツIDを記録している。
ライセンスファイル41は、コンテンツデータファイル31、32の各々を復号するための鍵を記録している。そして、ライセンスファイル41は、当該ファイル41中のコンテンツIDによってコンテンツデータファイル31、32と関連付けられている。コンテンツIDは、2つのコンテンツデータファイル31、32で共有されている。このため、暗号化されたコンテンツデータファイル31、32を再生する場合には、コンテンツデータファイル31、32に含まれるコンテンツIDをキーとして、ライセンスファイルを検索してライセンスファイル41を特定し、ライセンスファイル41に含まれる復号用の鍵で2つのコンテンツファイル31、32の復号化を行うことが可能となる。
【0065】
次に、ライセンスファイルを用いて再生を行う場合の処理フローについて図15に基づいて説明する。図15のS4001〜S4004では、図5のS1001〜S1004と同様の処理を行うので、これと異なるS4005およびS4006について説明する。
S4005では、CPU12は、リストアップされたコンテンツデータファイル中で、S4003において再生可能と判定され、S4004において最も高い品質評価値を与えられたコンテンツデータを選択し、当該コンテンツデータに関し、S4001で得られたコンテンツIDとともに、オーディオ再生装置18または映像再生装置19の少なくとも一方に再生を指示する。
S4006では、少なくともオーディオ再生装置18または映像再生装置19の一方は、2台のライセンス格納装置15、22に対し、コンテンツIDをキーに、対応するライセンスファイルを検索し、ライセンスファイル中の鍵を入手して、再生を指示されたコンテンツデータの再生を開始する。再生を開始する場合、入手された鍵を用いてコンテンツデータの暗号化データを復号化する。
【0066】
このようにすると、再生環境に合ったコンテンツデータファイルを選択できるという実施例1における効果を奏するほか、コンテンツデータファイルに関する著作権を保護することもできる。
【0067】
[変形例]
なお、実施例2では1つのライセンスファイルに対し、複数のコンテンツデータファイルを対応づけた場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、主従関係のあるライセンスファイルを用いることにより、異なるコンテンツデータファイルを暗号化するため、それぞれ別々のコンテンツ鍵とライセンスファイルを利用するようにしてもよい。
このようにすると、例えば、一般的なテレビ画質で形成された映画のコンテンツデータファイルとハイビジョン画質で形成された映画のコンテンツデータファイル(コンテンツの内容が同じで、画質だけが異なる)という2つのコンテンツデータファイルを著作権保護等の観点から、別々のコンテンツデータファイルとして管理しておきたい場合に有益である。なぜなら、別々のコンテンツデータとして管理して、それぞれのコンテンツデータファイルを異なるライセンスファイル(暗号用の鍵が異なる)に関連づけておくことで、個々のコンテンツデータファイルの著作権保護を図れるからである。例えば、テレビ画質で形成された映画のコンテンツデータファイルを購入した利用者は、ハイビジョン画質で形成された映画のコンテンツデータファイルを開くことができなくなり、ハイビジョン画質で形成された映画のコンテンツデータファイルに関する著作権を保護することが可能となる。
【0068】
このような変形例を図16ないし図18に基づいて説明する。なお、変形例における再生装置11(図12参照)では、ライセンス格納装置15、22に図16に示すサブライセンスファイルも格納した点が、図12の構成と異なる。その他の構成は、図12の構成と同様である。
【0069】
図16はサブライセンスファイルのデータ構造例を示す図である。
サブライセンスファイル42は、図16に示すように、サブライセンスファイル識別子405と、ライセンスID401と、親ライセンスID402と、コンテンツID403と、鍵404とを含んで構成されている。
サブライセンスファイル識別子405は、図13に示したライセンスファイル識別子304と同様、ファイルの種類を示したものである。
親ライセンスID402は、ライセンスファイルを関連づけるためのIDを示したものである。これにより、個々のライセンスファイルの関連づけを実現することが可能となる。
なお、ライセンスID401、コンテンツID403および鍵404は、図13に示したライセンスID301、コンテンツID302および鍵303の内容と同様である。
【0070】
図17はサブライセンスファイルとライセンスファイル等との関係を示す説明図である。
図17では、コンテンツデータファイル31、32、34は、いずれもデータ内容が同じであるが、2つのファイル31、32は、コンテンツIDが共通し、ファイル34は、それらのファイル31、32とは異なるコンテンツIDが割り振られている。
ファイル31、32には、共通のライセンスファイル41が関連づけられ、ファイル34には、サブライセンスファイル42が関連づけられている。そして、サブライセンスファイル42とライセンスファイル41とは、共通するライセンスIDによって主従関係を保持している。つまり、ライセンスファイル41が親でサブライセンスファイル42が子の関係になっている。
【0071】
このサブライセンスファイルにも対応した再生装置は、図17に示したような関係を認識し、このサブライセンスファイル35に対応するコンテンツデータファイル34と、親ライセンスIDとして指定する通常のライセンスファイル41に対応するコンテンツデータファイル31、32が同一内容のコンテンツデータファイルであると見なして再生を行う機能を有する。
【0072】
次に、このようなサブライセンスファイル42等を用いて再生する場合の再生装置11による再生処理を図18に基づいて説明する。
S5001では、再生装置11のCPU12が、利用者より再生指示されたコンテンツデータ中のコンテンツIDを読み、そのコンテンツIDをキーとして、対応するライセンスファイルをライセンス格納装置15(鍵格納装置15ともいう)および外部ライセンス格納装置22(単に「鍵格納装置22」ともいう)から探す。
具体的には、CPU12は、利用者によって再生指示されたコンテンツデータファイル中のコンテンツIDを確認し、このコンテンツIDをキーとして、対応するライセンスファイルをライセンス格納装置15、22に問い合わせる。ライセンス格納装置15、22は、CPU12からの問い合わせに応じ、ライセンス格納装置の中に格納されたライセンスファイルの中のコンテンツIDを確認し、問い合わせが行われたコンテンツIDが書き込まれたライセンスファイルがないかを確認する。そして、確認の結果、見つかると、そのライセンスファイルのうち、鍵を除いたデータ(ライセンスファイル識別子、ライセンスID、コンテンツID)を返す。これにより、再生装置11のCPU12は、再生指示されたコンテンツデータに対応したライセンスファイルのうち、鍵を除いた部分を取得することとなる。
【0073】
S5002では、再生装置11のCPU12は、取得したラインセンスファイルのライセンスファイル識別子を確認し、当該ライセンスファイルがサブライセンスファイルかどうかを確認する。サブライセンスファイルであれば(S5002のYes)、S5003に進む。
S5003では、CPU12は、そのサブライセンスファイルに書き込まれた親ライセンスIDで指定のライセンスファイルと親ライセンスIDが共通の全てのサブライセンスファイルを全てのライセンス格納装置の中から取得する。具体的には、CPU12は、親ライセンスIDを持つライセンスファイルと、その親ライセンスIDと同じライセンスIDを親ライセンスIDとして持つサブライセンスファイルの有無を2台のライセンス格納装置15、22に問い合わせる。2台のライセンス格納装置15、22は、まず格納されている全てのライセンスファイルを確認し、該当するライセンスファイルを各ライセンスファイル中の鍵を除いて再生装置11のCPU12に返す。
【0074】
他方、サブライセンスファイルでなければ(S5002のNo)、ライセンスファイルであるので、S5004に進む。
S5004では、CPU12は、そのライセンスファイルのライセンスIDを親ライセンスIDに持つサブライセンスファイルを全てのライセンス格納装置15、22の中から取得する。具体的には、CPU22は、ライセンスIDを親ライセンスIDに持つサブライセンスファイルを全てのライセンス格納装置15、22に問い合わせる。2台のライセンス格納装置15、22は、まず格納している全てのライセンスファイルを確認し、該当するライセンスファイルを各ライセンスファイル中の鍵を除いて、再生装置11のCPU12に返す。
【0075】
S5005では、CPU12は、こうして得られた各ライセンスファイルのコンテンツIDを読み、これらのコンテンツIDに対応するコンテンツデータファイルを検索する。この検索方法は、図15のS4002(図5のS1002も同じ)での処理方法と同様である。
その後、CPU12は、検索により得られたコンテンツデータファイルについて、S4003からS4006までの処理と同様、S5006からS5009までの処理により、再生可能かを判定して品質評価値を算出し、再生可能で品質の良いコンテンツデータファイルを入手して再生を開始する。
【0076】
このようにすると、コンテンツデータファイルを選択する機能を実現しつつ、ライセンスファイルとサブライセンスファイルとの関係を用いて、同一内容を持つ複数のコンテンツデータファイルに関する著作権の保護を行うことができる。
【0077】
[実施例3]
本発明の実施例3について図19ないし図21に基づいて説明する(適宜図2、3等参照)。なお、実施例1、2と同一部分はそれらと同一の符号を付して、重複説明を省略する。
実施例3では、次のような3つの機能を備えて拡張した点に主要な特徴がある。再生装置11等のハードウエアの全体構成は、実施例1、2の場合(図1、図12参照)と同様である。
[第1の機能]
まず第1の機能は、ネットワーク対応コンテンツデータファイルを取り扱える機能である。つまり、ネットワーク上に存在するコンテンツデータファイルの中から、再生環境に最適な特定のコンテンツデータを選択する機能である。
【0078】
図19は再生装置により再生可能なネットワーク対応コンテンツデータファイルのデータ構造例を示す図である。ネットワーク対応コンテンツデータファイルは、コンテンツ格納装置14および外部コンテンツ格納装置23に記録されているものとする。
ネットワーク対応コンテンツデータファイルは、ファイルの種類を示すネットワーク対応コンテンツファイル識別子506と、コンテンツID501と、コンテンツ説明507と、映像データ情報502と、オーディオデータ情報503と、字幕データ情報504と、コンテンツURL505とを含んで構成されている。URLは、Uniform Resource Locatorの略である。
コンテンツID501は、コンテンツ検索部4の検索処理において用いられるコンテンツIDを示したものである。コンテンツURL505は、インターネット上のURLを示したものであり、このURLで指定されたアドレスには、映像データとオーディオデータとを含むコンテンツデータファイルが格納されている。再生装置11のCPU12は、コンテンツURL505で指定されたURLにネットワーク53を通じてアクセスし、そのURLに格納されているコンテンツデータファイル(映像データとオーディオデータ)を取得することとなる。
【0079】
なお、コンテンツID501、コンテンツ説明507、映像データ説明502、オーディオデータ情報503および字幕データ情報504は、図3のコンテンツID101、コンテンツ説明109、映像データ情報102、オーディオデータ情報103および字幕データ情報104と同様の内容である。
【0080】
実施例3では、再生装置11は、図3で示したコンテンツデータファイルに代えて、前記したURLにアクセスして取得したネットワーク対応コンテンツデータファイルについての映像データやオーディオデータを再生することとなる。
また、再生装置11は、ネットワーク接続に一時的あるいは継続的に不具合が発生した場合、あるいは、コンネンツデータファイルのインターネット上の公開が中止・終了等した場合等、最大の品質評価値を持つコンテンツデータファイルにアクセスできない場合には、その次に大きい品質評価値を持つコンテンツデータファイルについての再生を試みることとなる。このようにすることにより、再生装置11は、ネットワーク上に存在するファイルの中から、再生環境に最適なコンテンツデータファイルを選択して再生することが可能となる。
【0081】
[第2の機能]
第2の機能は、再生装置11がコンテンツデータファイルのネットワーク配信を受けている途中でそのネットワーク配信を受けられなくなった場合(例えば、ネットワーク接続の一時的あるいは継続的な障害等の不具合)でも、そのコンテンツデータファイルの再生を継続する機能である。
【0082】
第2の機能を実現する場合の再生装置11の処理フロー(ここでの処理を再生継続不能検出時処理ともいう)を図20に示す。ここでは、再生装置11は、コンテンツデータファイルのネットワーク配信中のデータ量を監視し、そのデータ量が許容量(あらかじめ設定されている)を満たさなかったために、再生中のコンテンツデータファイルが継続できなくなったことを前提に説明する。
S6001では、再生装置11のCPU12が、全てのコンテンツ格納装置14(外部コンテンツ格納装置22を含む。以下も同じ)中のコンテンツデータに順次アクセスし、再生が継続できなくなったコンテンツデータファイル(再生継続不能となったコンテンツデータともいう)と同じコンテンツIDをコンテンツデータを検索する。具体的には、CPU12が、再生継続不能となったコンテンツデータのコンテンツIDをキーとして、同じコンテンツIDを持つコンテンツデータをコンテンツ格納装置14から検索する。なお、このとき、CPU12は、キーとしたコンテンツIDと、コンテンツデータファイルの現在の再生の時間位置とを、例えばメモリ13に格納する。
【0083】
S6002以降の処理では、CPU12が、検索されたコンテンツデータに対し、再生可能かどうかを判定し(S6002:図5のS1003と同様)、各コンテンツデータの品質評価値を算出し(S6003:図5のS1004と同様)、最も高い品質評価値が与えられたコンテンツデータを選択して再生する(S6004:図5のS1005とほぼ同様)。S6004の再生処理では、S6001においてメモリ13に格納された再生の時間位置から再生を開始する。これにより、ネットワーク配信の不具合等があったとしてもコンテンツデータファイルの再生を継続し続けることが可能となる。
【0084】
なお、図20では、ネットワーク配信に関する不具合等があったとしてもコンテンツデータファイルの再生を継続する場合について説明したが、ネットワーク配信に関する不具合等の場合に限られない。例えば、再生中のコンテンツデータファイルのデータエラー等や、コンテンツ格納装置14の取り外し等の原因でコンテンツデータファイルの再生に不具合が生じた場合に適用するようにしてもよい。
【0085】
[第3の機能]
第3の機能は、ある再生環境でコンテンツデータファイルを再生中にその再生環境により適する別のコンテンツデータファイル(品質評価値が高いということ)が存在するようになった場合に、再生中のコンテンツデータファイルを別のコンテンツデータファイルに切り替えて再生する機能である。
【0086】
第3の機能を実現する場合の再生装置11の処理フローを図21に示す。ここでは、再生装置11が、あるコンテンツデータファイルを再生している際に、一定の周期を経過したタイミングで、後記するS7001からS7006までの処理を行い、再生中のコンテンツデータファイルを別のコンテンツデータファイル(再生中のコンテンツデータファイルと同じ内容のもの)に差し替えて再生する場合を例にして説明する。なお、別のコンテンツデータは、コンテンツ格納装置14や外部コンテンツ格納装置23に格納されており、コンテンツ格納装置14や外部コンテンツ格納装置23が、あるタイミングで再生装置11に接続された場合を想定する。あるいは、別のコンテンツデータファイルは、ネットワーク53上でアクセス可能になった場合を想定してもよい。
【0087】
この場合、再生装置11のCPU12は、図20のS6001からS6004までの処理と同様、S7001からS7004までの処理を行い、再生中のコンテンツデータファイルとは異なる別のコンテンツデータファイル(再生中のコンテンツデータファイルよりも品質評価値が高いもの)を選択し、S7005以降の処理を行う。
S7005では、CPU12は、選択されたコンテンツデータファイルは現在再生中のものと同じものかどうかを判断し、同じものであれば(S7005のYes)、処理を終了する。他方、同じものでなければ(S7005のNo)、CPU12は、現在再生中のコンテンツデータファイルを選択されたコンテンツデータファイルに差し替えて再生を続ける(S7006)。
【0088】
このようにすると、例えば、車載型コンテンツ再生装置を用いて音楽コンテンツデータファイルの再生を楽しんでいた利用者が、ネットワークの利用できない郊外からネットワークの利用できる街中に移動した際には、利用者に負担をかけることなく、ネットワーク上のプロモーション映像付きのコンテンツデータファイルを発見し、切り換えて再生することができる。また、コンテンツデータファイルの再生中に、利用者が新たに挿入したコンテンツ格納装置の中に、より高品質な同一内容のコンテンツデータファイルが含まれていた場合に、それを発見し、利用者に負担をかけることなく、切り換えて再生することができる。
【0089】
なお、本発明は、前記した実施例に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。
例えば、図4のようなコンテンツデータファイルのリスト200を用いるのでなく、再生装置11は、コンテンツ格納装置13等に格納されているコンテンツデータファイルの中から、利用可能なコンテンツデータファイルを順に調べ、そのコンテンツデータファイルが再生環境と適合していれば、それ以降のコンテンツデータファイルの品質評価値を算出することなく、その時点でそのコンテンツデータファイルを再生するようにしてもよい。この場合、より早く再生を開始することができるという効果がある。
【0090】
また、実際に利用者によって再生を指示されてから、同じコンテンツの検索を開始する代わりに、事前に再生可能な各コンテンツデータファイルについて、同一内容のコンテンツデータファイルのリストを作成し、利用者に提示することもできる。この場合、単純に最適なコンテンツを利用者に提示するだけでなく、利用者に再生を希望するコンテンツを選ばせることができる。これにより、例えば、実際に再生を開始する前に、映像や音質に優れるコンテンツと、監督の解説付き等の付加情報に優れたコンテンツを利用者に選ばせることができる。さらに、利用者が直接指定していないコンテンツデータファイルが勝手に選択されて再生されてしまうことを嫌がる利用者に対しても、より再生環境に適したコンテンツデータファイルを提示するという利便性を確保できる。
【0091】
また、図20において、再生を継続できなくなってから再度検索し直すのではなく、再生時に作成したコンテンツデータファイルのリストをそのまま保存しておき、再生を継続できなくなった際に、そのリストを参照してもよい。この場合、再度のコンテンツ格納装置を参照する必要がなくなるという効果がある。
【0092】
また、コンテンツIDやコンテンツ説明は、コンテンツデータファイル中に記録するのではなく、例えばデータベースに記録しておくようにしてもよい。この場合、再生装置11は、データベースからコンテンツIDやコンテンツ説明を検索するようにする。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】実施例1におけるコンテンツ再生装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】再生制御プログラムの機能を示す図である。
【図3】コンテンツデータファイルのデータ構成例を示す図である。
【図4】コンテンツ品質評価部により作成されるリストの例を示す図である。
【図5】実施例1における処理フローを示す図である。
【図6】再生可能判定部の処理フローを示す図である。
【図7】コンテンツ品質評価部の処理フローを示す図である。
【図8】コンテンツ再生装置の利用形態を示す説明図である。
【図9】ブックマークファイルのデータ構造例を示す図である。
【図10】ブックマークファイル再生処理を示す図である。
【図11】コンテンツIDを含む対応表を示す図である。
【図12】実施例2におけるコンテンツ再生装置の構成例を示すブロック図である。
【図13】ライセンスファイルのデータ構造例を示す図である。
【図14】ライセンスファイルとコンテンツデータファイルとの関係を示す説明図である。
【図15】実施例2における処理フローを示す図である。
【図16】サブライセンスファイルのデータ構造例を示す図である。
【図17】ライセンスファイルとサブライセンスファイルとの関係を示す説明図である。
【図18】実施例3における処理フローを示す図である。
【図19】ネットワーク対応コンテンツデータファイルのデータ構造例を示す図である。
【図20】再生継続不能検出時処理を示す図である。
【図21】再生中最適コンテンツ検索処理を示す図である。
【符号の説明】
【0094】
11 コンテンツ再生装置
12 CPU
13 メモリ
14 コンテンツ格納装置
23 外部コンテンツ格納装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶部と処理部と再生機とを含んで構成されるコンテンツ再生装置であって、
前記記憶部、または前記コンテンツ再生装置に接続された外部記憶部は、再生条件に関連付けられたコンテンツデータファイルを格納するとともに、
前記処理部は、
入力部に指定されたコンテンツデータファイルと同一内容のコンテンツデータファイルを前記記憶部または外部記憶部から検索し、
検索したコンテンツデータファイルの中から、コンテンツデータファイルに関しあらかじめ設定された再生可能条件を満たす、再生条件に関連付けられた特定の一のコンテンツデータファイルを選択し、
選択したコンテンツデータファイルを前記再生機に再生させることを特徴とするコンテンツ再生装置。
【請求項2】
請求項1に記載のコンテンツ再生装置において、
前記コンテンツデータファイルは、暗号化されており、
前記記憶部、または前記外部記憶部は、さらに、前記暗号化されたコンテンツデータファイルを復号化するための復号鍵を含むライセンスファイルを前記コンテンツデータファイルのグループ毎に格納するとともに、
前記処理部は、前記コンテンツデータファイルを前記再生機に再生させる場合、
前記記憶部、または前記外部記憶部から、前記選択したコンテンツデータコンテンツのグループに属するライセンスファイルを検索し、検索したライセンスファイルに含まれる復号鍵を用いて当該暗号化されたコンテンツデータファイルを復号化させて再生させることを特徴とするコンテンツ再生装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のコンテンツ再生装置において、
前記処理部は、前記コンテンツデータファイルを前記再生機に再生させる場合、
さらに、前記選択したコンテンツデータファイルを表示装置に表示し、表示したコンテンツデータファイルの再生の指示を入力部から受けたことを条件に、当該コンテンツデータファイルを再生させることを特徴とするコンテンツ再生装置。
【請求項4】
前記コンテンツデータファイルは、ネットワーク配信されたものであることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のコンテンツ再生装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のコンテンツ再生装置において、
前記再生機が前記コンテンツデータファイルの再生中に不具合を生じた場合、
前記処理部は、
前記前記記憶部または外部記憶部から、前記再生可能条件を満たす、前記再生中のコンテンツデータファイルとは別のコンテンツデータファイルをさらに選択して前記再生機に再生させることを特徴とするコンテンツ再生装置。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のコンテンツ再生装置において、
ある再生可能条件を満たすコンテンツデータファイルの再生を中断し、その続きを別の再生可能条件下で再生する場合、
前記処理部は、
前記別の再生可能条件を満たす、前記再生を中断したコンテンツデータファイルと同一内容のコンテンツデータファイルを前記記憶部、または前記外部記憶部から選択して、前記再生を中断したコンテンツデータファイルの続きを再生機に再生させることを特徴とするコンテンツ再生装置。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載のコンテンツ再生装置において、
前記処理部は、前記再生機が前記コンテンツデータファイルを再生中、前記記憶部、または前記外部記憶部から、当該再生可能条件の下、当該コンテンツデータファイルよりも最適な再生条件に関連付けられたコンテンツデータファイルを選択した場合、再生中のコンテンツデータファイルを前記選択したコンテンツデータファイルに替えて前記再生機に再生させることを特徴とするコンテンツ再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2007−43562(P2007−43562A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−226948(P2005−226948)
【出願日】平成17年8月4日(2005.8.4)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】