説明

ゴムホースの製造方法

【課題】加硫済みゴムホースを製造する上で、ホース層内での気泡残存を抑制しつつ生産性を高める。
【解決手段】定寸裁断済みの直管状の未加硫ゴムホース10SNKを、常圧より高い0.05〜1MPaの圧力とEPDMゴム材料の加硫を起こす加硫温度(170〜200℃)とを満たす1次加硫環境を維持する複数の加硫缶100に連続的に挿入配置する。それぞれの加硫缶100は、この1次加硫環境を維持する構成を備えてループ状に搬送されるので、加硫缶100に挿入配置された未加硫ゴムホース10SNKは、加硫缶のループ状搬送の間において1次加硫処理に連続的に処される。その後、1次加硫済みの半加硫ゴムホース10SKは、大気圧下で上記加硫温度を満たす2次加硫環境を作る2次加硫装置500にて、加硫完了までの2次加硫に連続的に処される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、未加硫のゴム材料からなる未加硫ホースを加硫して加硫済みゴムホースを製造する製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
加硫を経て製造されたゴムホースは、加硫過程で用いられるマンドレルの形状に直管状或いは曲線状に賦形され、その賦形後の形状を維持して気体や流体の経路形成に用いられる。加硫の過程では、ホース材料である未加硫のゴム材料が加硫に適した温度下に置かれることから、加硫過程での気泡発生を伴うことが多い。気泡が残存したままであると強度等の性能低下を招くことから、気泡発生を抑制しつつ加硫する手法が提案されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】特開平6−293028号公報
【0004】
この特許文献では、常圧下で行う加硫を前段と後段に分け、前段での加熱温度を低くすることで、ホース表層でのスキン層の形成を回避し、ホース層で生じた気泡を外部に逸散させてホース層内に気泡が残らないようにしている。しかしながら、この方法では、前段では低い加熱温度である都合上、長時間に亘ってゆっくりと熱処理に処す必要があるため、生産性の向上の点で改善の余地があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記従来の技術の問題を解決するためになされたものであり、ホース層内での気泡残存を抑制しつつ生産性を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した目的の少なくとも一部を達成するために、本発明では、以下の構成を採用した。
【0007】
[適用:ゴムホースの製造方法]
未加硫のゴム材料からなる未加硫ホースを加硫して加硫済みゴムホースを製造する方法であって、
定寸に裁断された未加硫ホースを、ゴムホース層内での気泡発生を抑制可能な加圧圧力とゴム材料の加硫を起こす加硫温度とを満たす1次加硫環境下に、マンドレル挿入済みの状態で連続的に晒して、前記未加硫ホースを加硫完了以前の加硫状態まで1次加硫する1次加硫工程と、
該1次加硫を受けた1次加硫後のホースを、大気圧と前記加硫温度とを満たす2次加硫環境下に、マンドレル挿入済みの状態で連続的に晒して、前記未加硫ホースを加硫完了状態まで2次加硫する2次加硫工程とを備える
ことを要旨とする。
【0008】
上記構成のゴムホースの製造方法では、未加硫ホースを加硫完了以前の加硫状態まで1次加硫する加硫環境を、ゴムホース層内での気泡発生を抑制可能な加圧圧力とゴム材料の加硫を起こす加硫温度とを満たす1次加硫環境とした上で、この1次加硫環境下に、マンドレル挿入済みの状態で未加硫ホースを連続的に晒す。よって、加硫対象となる定寸裁断済みの複数の未加硫ホースを加硫完了以前の加硫状態まで気泡発生を抑制した上で連続的に加硫(1次加硫)できる。そして、この1次加硫後のホースのそれぞれを、大気圧と前記加硫温度とを満たす2次加硫環境下にマンドレル挿入済みの状態で連続的に晒す2次加硫工程により、加硫完了状態まで連続的に加硫する。この結果、上記構成のゴムホースの製造方法によれば、加硫完了以前の加硫状態までの1次加硫に要する時間の短縮化とこの1次加硫の際の加圧圧力により気泡発生の抑制とにより、ホース層内での気泡残存を抑制しつつ生産性を高めることができる。
【0009】
このような時間短縮をもたらす上で、1次加硫工程における1次加硫環境を、ゲージ圧が0.05〜1MPaの加圧圧力とすることが望ましい。0.05MPaを下回る圧力では気泡発生の抑制が不十分であり、1MPaを超える圧力ではホース自体の圧縮を招きかねないので、上記した範囲の加圧圧力であれば、加硫の際の気泡発生の抑制の実効性が高まる。
【0010】
また、1次加硫工程において1次加硫環境下に未加硫ホースを連続的に晒すに当たり、容器内部を前記1次加硫環境に維持する複数の加硫容器を繰り返し用い、該加硫容器のそれぞれの容器内部で未加硫ホースを1次加硫に処するようにできる。こうすれば、加硫容器に入れられた未加硫ホースの本数を単位に、例えば、1本ずつ、或いは2〜数本ずつ、未加硫ホースを加硫容器の繰り返し利用の都度、当該容器にて連続的に1次加硫環境下に晒すことができる。
【0011】
この場合、複数の加硫容器をループ状軌跡の搬送経路に沿って搬送しつつ、加硫容器のそれぞれに未加硫ホースをマンドレル挿入済みの状態で配置し、搬送過程にある間において加硫容器により1次加硫を容器内の未加硫ホースに処する。そして、搬送される加硫容器にて1次加硫済みのホースを、2次加硫工程への受け渡しのためにそれぞれの加硫容器から取り出すようにできる。こうすれば、加硫容器への未加硫ホースの配置と当該容器からの1次加硫済みホースの取出を隣接したスペースで行えると共に、搬送経路のループ化により、1次加硫工程を行う作業スペースの省スペース化を図ることができる。
【0012】
また、加硫容器を直管状の容器とした上で、ストレート状のマンドレルに挿入済みの未加硫ホースを配置するようにすれば、容器への未加硫ホースの配置と取出が簡便となる。この場合、湾曲形状のゴムホースを得る場合には、2次加硫工程で用いるマンドレルをホース最終形状のホース軌跡に沿って湾曲したマンドレルを用いればよい。
【0013】
そして、1次加硫環境下と2次加硫環境下における加硫温度の熱源として、過熱水蒸気または熱風を用いれば、それぞれの加硫環境の温度をゴム材料の加硫を起こす加硫温度まで圧力に拘わらず上げることができる。よって、加硫環境下での温度と圧力の維持を図ることができ、安定した加硫を図ることができる。この場合、過熱水蒸気または熱風で得るようにした加硫温度は、ゴム材料に応じて定めればよく、汎用性の高いEPDMゴムであれば、支障なく加硫が起きる170〜200℃とすればよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以上説明した本発明の構成・作用を一層明らかにするために、以下本発明の好適な実施例について説明する。図1は本発明の一実施の形態にかかるゴムホース製造方法での製造対象となるゴムホース10を一部破断して示す概略斜視図、図2はこのゴムホース10の製造工程を略図を併用して示す工程図である。
【0015】
図1に示すように、ゴムホース10は、例えば自動車のエンジンとラジエータとを接続するためのものであり、曲線状のホース軌跡を有する。そして、ゴムホース10は、EPDMゴム材料からなるホース内層12とホース外層14との間に補強糸16を埋設させて構成されている。
【0016】
こうしたゴムホース10を製造するに当たり、図2に示すように、まず、定寸で裁断済みの直管状の未加硫ゴムホース10SNKを準備する(ステップS100)。未加硫ゴムホース10SNKの準備に際しては、その材料調合の過程において未加硫のEPDMからなるゴム材料に対する水分含有量を減圧雰囲気下で調整し、そのEPDMゴム材料を押出装置で押し出しつつ、ブレーダ装置で補強糸を編組みして補強糸16をホース内外層に埋設する。そして、裁断装置にて定寸に裁断することで、未加硫ゴムホース10SNKが得られる。
【0017】
準備された未加硫ゴムホース10SNKは、常圧より高い圧力に加圧された圧力とEPDMゴム材料の加硫を起こす加硫温度(170〜200℃)とを満たす1次加硫環境下で1次加硫に処される(ステップS200)。本実施例では、この1次加硫環境下の圧力を、加硫過程でのゴムホース層内での気泡発生を抑制可能な加圧圧力(0.05〜1MPaのゲージ圧)とし、後述の装置設定に際しては、0.05MPaのゲージ圧とした。また、1次加硫環境下の加硫温度については、これを180℃とした。そして、この1次加硫環境を1次加硫装置200が有する加硫缶100の内部で維持するようにして、複数の加硫缶100をループ状に搬送しつつ、その搬送の過程で、それぞれの加硫缶100において未加硫ゴムホース10SNKを1次加硫環境下で約3分(約180秒)に亘って1次加硫するようにした。以下、この1次加硫を行うための加硫缶100と1次加硫装置200について説明する。図3は加硫缶100を長手方向に断面視して示す説明図、図4は加硫缶100におけるストレートマンドレル120の保持の様子を示す説明図、図5は加硫缶100の蓋周辺の構成を概略的に示す説明図である。
【0018】
図3に示すように、加硫缶100は、ボディ110と、ボディ両端の缶イン側カプラ112と蓋装着口金114と、断熱スリーブ118と、ストレートマンドレル120と、蓋130とを備える。ボディ110は、大小のステンレス鋼管を組み合わせて形成され、内側鋼管の通気孔111にて、ボディ内部と両鋼管の間の空隙(断熱空隙)との通気を図る。缶イン側カプラ112は、後述する1次加硫装置200のイン側カプラ216と着脱可能に構成され、イン側カプラ216からの供給気体を通気孔113を経てボディ110の内部に入り込ませる。この場合、缶イン側カプラ112は、いわゆるセルフシール機能を備えるので、イン側カプラ216が外れた場合でも、通気孔113をセルフシール(閉鎖)する。
【0019】
ストレートマンドレル120は、軽量のために中空状とされ、図4に示すように、缶イン側カプラ112の側でブリッジ116にてボディ110の中心に片持ち保持されている。ブリッジ116は、ストレートマンドレル120の末端を塞ぐものの、マンドレル外周から四方に延びている。よって、缶イン側カプラ112の通気孔113から加硫缶100に流入した過熱水蒸気は、ブリッジ間を通過してストレートマンドレル120の外周に沿って長手方向に供給されることになる。ストレートマンドレル120には、後述するように未加硫ゴムホース10SNKが装着されるので、この未加硫ゴムホース10SNKは、過熱水蒸気の熱により加硫(1次加硫)に処される。
【0020】
蓋130は、図5に示すように円柱状をなし、中央に通気孔132を備え、加硫缶100への装着端側に係合突起134を等ピッチで備える。加硫缶100の蓋装着口金114は、その開口内周壁に、係合突起134の形成ピッチに合わせてL字状の係合溝115を備える。よって、図中の白抜き矢印に記すように、蓋130を前進およびロック回転させることで、係合突起134を係合溝115に入り込ませて両者を係合させる。その逆に、蓋130をアンロック回転および後退させることで、係合突起134を係合溝115から抜けさせる。こうした動作により、蓋130は、蓋装着口金114に対して着脱される。蓋130は、後述の缶蓋着脱機器250が有する蓋チャック252に把持されて上記の着脱動作を起こすが、これについては後述する。また、蓋130は、後述の1次加硫装置200のアウト側カプラ217に対しても着脱自在に構成されている。そして、この蓋130は、アウト側カプラ217の側にボディ110の内部の気体を通気孔132を経て送り出すが、セルフシール機能を有するので、アウト側カプラ217が外れた場合でも、通気孔132をセルフシール(閉鎖)する。本実施例では、この加硫缶100を未加硫ゴムホース10SNKの1次加硫に用いることから、後述するように、加硫缶100には過熱水蒸気が供給される。なお、蓋130は、加硫缶100の内部を後述の圧力(0.05MPa)に維持できるよう、蓋装着口金114に対して気密に装着されるよう、図示しないシール機構を有する。
【0021】
次に、上記した加硫缶100を用いる1次加硫装置200について説明する。図6は1次加硫装置200を正面視および側面視してその構成を説明するための説明図である。図示するように、1次加硫装置200は、装置ベース202にフレーム204を立設対向させ、フレーム間に一対の搬送コンベヤ206を備える。搬送コンベヤ206は、フレーム各コーナ付近のスプロケット208に掛け渡されてループ状の搬送軌跡を形成し、等ピッチで上記の加硫缶100を水平状態のまま保持する。1次加硫装置200は、この搬送経路において、装置ベース202の上面の側をホース挿入取出ゾーン200Aと待機ゾーン200Bとし、それ以外を搬送加硫ゾーン200Cとする。本実施例では、24個の加硫缶100を等ピッチで搬送コンベヤ206に装着し、ホース挿入取出ゾーン200Aと待機ゾーン200Bには2個の加硫缶100がそれぞれのゾーンに含まれ、搬送加硫ゾーン200Cには20個の加硫缶100が含まれるようにされている。
【0022】
搬送コンベヤ206にはモータ209の駆動力が伝達されるので、1次加硫装置200は、搬送コンベヤ206にて、それぞれの加硫缶100を水平状態のままピッチ送りしつつループ軌跡に沿って搬送する。つまり、1次加硫装置200は、ホース挿入取出ゾーン200Aにて後述するように未加硫ゴムホース10SNKがセット済みの加硫缶100を搬送加硫ゾーン200Cに亘って搬送し、待機ゾーン200Bを経て加硫缶100をホース挿入取出ゾーン200Aに搬送する。未加硫ゴムホースセット済みの加硫缶100は、搬送加硫ゾーン200Cにおいて左下の第1搬送位置からピッチ送りされ、ピッチ送り毎に搬送コンベヤ206のループ状の搬送経路に沿って第2〜第20搬送位置に順送りされる。なお、待機ゾーン200Bでは、加硫缶100に大気開放のためのカプラを装着して、加硫缶100の缶内圧力を減圧するようにできる。こうすれば、後述するホース挿入取出ゾーン200Aでの蓋130の取り外しが容易となる。
【0023】
1次加硫装置200は、取出ゾーン202Aにゴムホース挿入取出機器220と供給コンベヤ210と搬送コンベヤ212と缶蓋着脱機器250とを備える。ゴムホース挿入取出機器220は、取出ゾーン202Aに位置して並んだ二つの加硫缶100に対して、その一方には未加硫ゴムホース10SNKを挿入し、他方の加硫缶100からは半加硫ゴムホース10SKを取り出す。このホース挿入・取出については、ゴムホース挿入取出機器220の構成と共に後述する。供給コンベヤ210は、ゴムホース挿入取出機器220に未加硫ゴムホース10SNKを搬送供給し、搬送コンベヤ212は、ゴムホース挿入取出機器220が取り出した半加硫ゴムホース10SKを後述の22次加硫装置500に搬送する。缶蓋着脱機器250は、取出ゾーン202Aに位置して並んだ二つの加硫缶100に対して、その一方には缶蓋取り外しを行い、他方に対しては缶蓋装着を行う。缶蓋着脱機器250の構成と缶蓋の着脱については後述する。
【0024】
この他、1次加硫装置200は、イン側カプラ216とアウト側カプラ217と過熱水蒸気生成器218とを備え、イン側カプラ216とアウト側カプラ217については、搬送加硫ゾーン200Cにおける加硫缶100の搬送ピッチ毎の上記した第1〜第20搬送位置に、加硫缶100を挟んで対向配置させている。過熱水蒸気生成器218は、生成した水蒸気を既述した1次加硫環境の180℃まで加熱した上で圧送可能に構成され、過熱水蒸気をそれぞれのイン側カプラ216に後述の所定のタイミングで供給する。イン側カプラ216とアウト側カプラ217の両カプラは、それぞれ前後退シリンダを備え、当該シリンダによる前後退により、加硫缶100が両端に有する既述した缶イン側カプラ112或いは蓋130と着脱する。また、それぞれのアウト側カプラ217には、加硫缶100の圧力(内圧)を計測するためのゲージ圧力計219が設置されており、当該圧力計により加硫缶100の内圧(ゲージ圧)が測定される。このため、第1〜第20搬送位置のそれぞれの搬送位置では、各搬送位置に位置する加硫缶100に対して、上記したイン側カプラ216からの過熱水蒸気の加圧供給とアウト側カプラ217による調圧排気がなされる。
【0025】
次に、ホース挿入取出ゾーン200Aにおけるホース着脱と缶蓋着脱の様子をゴムホース挿入取出機器220と缶蓋着脱機器250の構成と併せて説明する。図6に示すように、ゴムホース挿入取出機器220と缶蓋着脱機器250は、ホース挿入取出ゾーン200Aに位置する。そして、缶蓋着脱機器250は加硫缶100との間に位置し、図5に示した蓋チャック252をシャフト254にて保持した上で、ゴムホース挿入取出機器220によるホース着脱タイミングに合わせて上下動する。つまり、缶蓋着脱機器250は、蓋チャック252を図6に示すように前後退させる駆動軸と、蓋チャック252をロック・アンロックの正逆回転させる駆動軸と、上下動させる駆動軸とを備え、それぞれの駆動源、例えば、シリンダやソレノイド、モータ等にて、後述するタイミングで上下動、前後退および正逆回転する。
【0026】
図7はゴムホース挿入取出機器220の概略構成を示す斜視図、図8はゴムホース挿入取出機器220が有する加硫済みホース取出治具228を説明する説明図、図9はホース取出治具228と半加硫ゴムホース10SKとの関係を示す説明図である。
【0027】
図7に示すように、ゴムホース挿入取出機器220は、スライドアーム222とロッドレスシリンダ224とを備え、当該シリンダによりスライドアーム222を、ホース挿入取出ゾーン200A(図6参照)で並んだ加硫缶100に対して前後退させる。以下、図7に示すスライドアーム222の位置を、待機位置と称する。スライドアーム222の前後退の際、缶蓋着脱機器250は、図7に示すように、蓋チャック252にて蓋130を保持したまま、蓋チャック252をアームと干渉しないよう下方の退避位置に退避させている。スライドアーム222は、ホース挿入取出ゾーン200Aに並んだ左右の加硫缶100に対向させて、ホース挿入治具226とホース取出治具228とを備える。このため、スライドアーム222がホース挿入取出ゾーン200Aに並んだ加硫缶100に対して近づくと、ホース挿入治具226は、未加硫ホース設置皿230に設置済みの未加硫ゴムホース10SNKを加硫缶100の内部に押し込み、未加硫ゴムホース10SNKを加硫缶100のストレートマンドレル120に差し込む。スライドアーム222が前進端まで前進すると、ホース挿入治具226により、加硫缶100への未加硫ゴムホース10SNKの挿入が完了する。
【0028】
ホース取出治具228は、対向配置させたストレートシャフトを、スライドアーム222の側のシャフト開閉シリンダ229にてシャフト間隔が広狭するよう駆動させる。スライドアーム222が図7の待機位置にある際、ホース取出治具228は、シャフト間隔が広く、シャフト先端のフック228Fにあってもフック先端が半加硫ゴムホース10SKと干渉しないようにされている。このため、上記したスライドアーム222がホース挿入取出ゾーン200Aに並んだ加硫缶100に対して近づくと、ホース取出治具228は、加硫缶100のストレートマンドレル120に挿入済みの半加硫ゴムホース10SKにフック先端を干渉させることなく加硫缶100の内部に入り込む。
【0029】
スライドアーム222が前進端まで前進した状態では、フック228Fは、加硫缶100のストレートマンドレル120に挿入済みの半加硫ゴムホース10SKの端部より奥側(図3におけるブリッジ116の側)に達する。スライドアーム222が前進端から後退する際、ホース取出治具228は、シャフト開閉シリンダ229によりシャフト間隔を狭める。これにより、ホース取出治具228は、図8〜図9に示すように、フック228Fを半加硫ゴムホース10SKの端面に干渉させる。しかも、ホース取出治具228は、図8〜図9に示すように、半加硫ゴムホース10SKの水平センターラインCより下側に位置することから、シャフト間隔を狭くすることで、シャフト肩面228Sにて、半加硫ゴムホース10SKを支える。従って、スライドアーム222が前進端から後退を始めると、ホース取出治具228は、シャフト肩面228Sにて支えながらフック228Fにて半加硫ゴムホース10SKをストレートマンドレル120から引き抜く。スライドアーム222が図7の待機位置に復帰すると、ホース取出治具228により、加硫缶100からの半加硫ゴムホース10SKの取出が完了する。
【0030】
上記したゴムホース挿入取出機器220によるホース挿入・取出の一連の動作を缶蓋着脱機器250による蓋着脱動作と関連付けて説明する。図10は蓋130の着脱動作とホースの挿入取出動作とをシーケンシャルに説明するための説明図である。
【0031】
図10(A)に示すように、ホース挿入取出の初期状態において、図6に示すホース挿入取出ゾーン200Aに並んだ加硫缶100のうち、待機ゾーン200Bから進んできた加硫缶100については蓋130が装着済みであり、他方の加硫缶100は蓋130が取り外されたオープンの状態にある。この図10(A)の初期状態からホース挿入取出シーケンスは開始され、第1シーケンスSS1では、缶蓋着脱機器250は、蓋チャック252を蓋130に対向するまで上昇させる。続く第2シーケンスSS2〜第4シーケンスSS4にて、缶蓋着脱機器250は、蓋チャック252で蓋130を把持した上で、図5の前進・アンロック回転・後退の各動作で蓋チャック252を駆動する。これにより、それまで蓋130を装着していた加硫缶100は、オープンな状態となり、ストレートマンドレル120に挿入済みの半加硫ゴムホース10SKの取出が可能な状態となる。続く第5シーケンスSS5にて、缶蓋着脱機器250は、加硫缶100から取り外された蓋130を蓋チャック252で把持したまま、当該チャックを退避位置に降下させる。よって、ホース挿入取出ゾーン200Aに並んだ二つの加硫缶100は、図7に示したように共に蓋130が外された状態となり、ホース挿入と取出が可能となる。
【0032】
この第5シーケンスSS5において、ゴムホース挿入取出機器220は、図10(B)に示すように、スライドアーム222を待機位置に位置させた上で、未加硫ホース設置皿230には供給コンベヤ210から搬送された未加硫ゴムホース10SNKを設置済みとしている。そして、ゴムホース挿入取出機器220は、図10(C)に示すように第6シーケンスSS6を実行し、スライドアーム222を加硫缶100の側の前進位置まで前進させる。この第6シーケンスSS6において、既述したようにホース挿入治具226は、未加硫ゴムホース10SNKをストレートマンドレル120に挿入し、ホース取出治具228は、フック228Fを半加硫ゴムホース10SKの端部より奥側に位置させる。続く第7シーケンスSS7で、ゴムホース挿入取出機器220は、図10(D)に示すようにホース取出治具228をその間隔が狭くなるようシャフト開閉シリンダ229を駆動させ、第8シーケンスSS8にて、図10(E)に示すようにスライドアーム222を前進位置から待機位置まで後退させる。この第8シーケンスSS8において、既述したようにホース取出治具228は、半加硫ゴムホース10SKを加硫缶100から取り出す。
【0033】
この第8シーケンスSS8に続いて、或いは、第8シーケンスSS8が完了する間に、缶蓋着脱機器250は、図10(A)に示すように、第9シーケンスSS9にて蓋チャック252を、既に蓋130が取り外されている加硫缶100、即ち、第6〜第8シーケンスでの未加硫ゴムホース10SNKの挿入対象となる加硫缶100の側の退避位置に移動させる。この際、蓋チャック252は、取り外した蓋130を把持したままである。そして、缶蓋着脱機器250は、移動済みの側の加硫缶100に対して、第10シーケンスSS10〜第14シーケンスSS14にて、蓋チャック252の上昇と、図5の前進・ロック回転・後退の蓋チャック252の各動作と、蓋チャック252の退避位置復帰とを実行する。これにより、第8シーケンスSS8までに未加硫ゴムホース10SNKの挿入済みの加硫缶100は、蓋130が装着されてクローズな状態となり、ホース挿入取出ゾーン200Aに続く搬送加硫ゾーン200Cへの搬送と当該ゾーンでの加硫が可能な状態となる。続く第15シーケンスSS15にて、缶蓋着脱機器250は、第1シーケンスSS1を開始する前の加硫缶100の側の退避位置に移動する。以上のゴムホース挿入取出機器220と缶蓋着脱機器250の一連の動作により、1次加硫済みの半加硫ゴムホース10SKの加硫缶100からのホース取出と、未加硫ゴムホース10SNKの加硫缶100への挿入セットが連続して行われ、このホース挿入と取出とは、加硫缶100のピッチ送り毎に繰り返される。
【0034】
1次加硫装置200は、上記のようにしてホース挿入取出ゾーン200Aにて未加硫ゴムホース10SNKのセット済みの加硫缶100を、図6に示す搬送加硫ゾーン200Cに搬送する。この缶搬送は、搬送コンベヤ206への加硫缶100の装着ピッチに合わせて行われ、上記したホースセット済みの加硫缶100は、図6における搬送加硫ゾーン200Cの左下の第1搬送位置に達する。加硫缶100は図10で説明したホース挿入と取出が実行される都度にピッチ送りされるので、第1搬送位置に達した加硫缶100は、ピッチ送り毎に搬送コンベヤ206のループ状の搬送経路に沿って第2〜第20搬送位置に順送りされる。
【0035】
1次加硫装置200は、上記のように未加硫ゴムホースセット済みの加硫缶100が第1搬送位置に達すると、加硫缶100への過熱水蒸気の圧送を行う。つまり、1次加硫装置200は、第1〜第20の各搬送位置におけるイン側カプラ216とアウト側カプラ217の両カブラを、それぞれの搬送位置の加硫缶100に装着し、過熱水蒸気生成器218の過熱水蒸気を第1〜第20の各搬送位置における加硫缶100に加圧流入させる。この過熱水蒸気流入は、180℃の加圧水蒸気を0.05MPa(ゲージ圧)で行われることから、この過熱水蒸気の流入を受けた加硫缶100は、気泡発生の抑制が可能な0.05MPaの圧力で180℃の1次加硫環境下に缶内を維持した上で、第1〜第20の各搬送位置に順次搬送される。過熱水蒸気流入後、1次加硫装置200は、イン側カプラ216とアウト側カプラ217の両カプラを加硫缶100から外して退避させ、次の加硫缶のピッチ搬送に備える。この場合、搬送加硫ゾーン200Cの第1搬送位置におけるアウト側カプラ217のゲージ圧力計219は、過熱水蒸気供給前では圧力(ゲージ圧)がゼロを示し、過熱水蒸気供給後において、0.05MPa(ゲージ圧)を示す。なお、このようなゲージ圧での加硫缶100への過熱水蒸気供給(圧送)ができるよう、過熱水蒸気生成器218からの水蒸気供給が制御されている。
【0036】
加硫缶100には、次の搬送位置においても過熱水蒸気が新たに流入されることから、加硫缶100は、第1搬送位置から第20搬送位置にピッチ搬送される間において上記の1次加硫環境を維持したままである。よって、ホース挿入取出ゾーン200Aにおいて加硫缶100に挿入された未加硫ゴムホース10SNKは、加硫缶100が第1搬送位置から第20搬送位置に搬送される間に亘って、0.05MPaの圧力で180℃の1次加硫環境下に、ストレートマンドレル120に挿入済みの状態で晒されて加硫を起こすことになる。本実施例では、第1搬送位置〜第20搬送位置までの搬送時間を約3分(約180秒)としたので、未加硫ゴムホース10SNKは、この約3分間に亘って0.05MPaの圧力で180℃の1次加硫環境下で1次加硫に処されることになる。この場合、1次加硫の時間は約3分と短時間であることから、半加硫ゴムホース10SKは、加硫完了以前の加硫状態までの加硫を起こすことになる。
【0037】
こうした加硫缶100による1次加硫は加硫完了以前の加硫状態までの加硫を起こすが、この1次加硫の程度は、未加硫ゴムホース10SNKのゴム材料たるEPDMゴムの加硫が完了するまでの加熱時間との対比で定めたり、加硫度合いや架橋程度などで規定することができる。例えば、EPDMゴム材料の加硫を所定温度(180℃)で完了させる場合の加熱時間の1/3〜1/5程度の時間を1次加硫に処すとすれば、このような時間での1次加硫は、加硫完了以前の加硫状態、具体的には加硫度20%程度まで達成されると推定できる。
【0038】
このように、それぞれの加硫缶100に挿入されて1次加硫に処された半加硫ゴムホース10SKは、その挿入対象となった加硫缶100が待機ゾーン200Bを経てホース挿入取出ゾーン200Aに達すると、既述したように加硫缶100から取り出される。こうした搬送過程での1次加硫と1次加硫後のホース取出が、搬送される加硫缶100毎に繰り返されることから、図2のステップS100で定寸に裁断された未加硫ゴムホース10SNKは、上記の1次加硫環境下に加硫缶100を介して連続的に晒されて、加硫完了手前の1次加硫に連続的に処されることになる。
【0039】
上記した加硫缶100とこれをルー部状に搬送する1次加硫装置200による1次加硫を経て得られた半加硫ゴムホース10SKは、図2のステップS300にて、2次加硫装置500に受け渡される。具体的には、半加硫ゴムホース10SKは、1次加硫装置200の搬送コンベヤ212により装置外に搬送された後、ホース最終形状のホース軌跡に沿って湾曲したマンドレルに挿入され、2次加硫装置500にて2次加硫に処される(ステップS400)。図11は半加硫ゴムホース10SKを湾曲マンドレル280に挿入した様子を示す説明図、図12は2次加硫装置500の概要を示す説明図、図13は2次加硫装置500の内部の様子を示す説明図である。
【0040】
図11に示すように、半加硫ゴムホース10SKは、コンベヤ装着具282を有する湾曲マンドレル280に挿入セットされ、この状態で2次加硫装置500に運び込まれる。2次加硫装置500は、図12や図13に示すように、2次加硫炉510とコンベヤ支柱512とコンベヤ520とを備える。2次加硫炉510は、図示しない過熱水蒸気発生器からの過熱水蒸気を、装置両側面の吹出口518から吹き出すことで、炉内環境を、EPDMゴム材料を加硫完了まで加硫する2次加硫環境とする。本実施例では、この2次加硫環境を、大気圧下で180℃の加硫温度となるようにした。
【0041】
コンベヤ520は、2次加硫炉510の内部で上下に配した512先端のスプロケット522に掛け渡されて炉内では蛇行経路とされ、炉外では、装置入口514と装置出口516のスプロケット522とモータ524に掛け渡されて駆動する。また、コンベヤ520は、図13に示すように、コンベヤ両側を湾曲マンドレル280装着済みの半加硫ゴムホース10SKの搬送領域とし、コンベヤ両側にマンドレル保持治具526を等間隔に有する。このマンドレル保持治具526は、図11に示した湾曲マンドレル280のコンベヤ装着具282が係合され、その係合された湾曲マンドレル280を、搬送過程において同じ姿勢で保持するよう構成されている。よって、装置入口514の側で湾曲マンドレル280を経てコンベヤ520のマンドレル保持治具526に保持された半加硫ゴムホース10SKは、2次加硫炉510の内部でコンベヤ520により蛇行軌跡で搬送される間において、2次加硫環境下に連続的に晒される。本実施例では、10SKが装置入口514から装置出口516まで搬送される搬送時間を約10分とした。よって、EPDMゴム材料の半加硫ゴムホース10SKは、大気圧で180℃という2次加硫環境に10分に亘って連続的に晒されて、2次加硫装置500により加硫完了まで加硫し、装置出口516からは加硫完了済みの図1のゴムホース10となる。このゴムホース10は、湾曲マンドレル280から外されてホース担体とされ、冷却される。
【0042】
以上説明したように、加硫缶100と1次加硫装置200および2次加硫装置500を用いた本実施例によれば、EPDMゴム材料を気泡の発生を抑制できる0.05MPaの圧力で180℃の1次加硫環境下に加硫缶100の缶内にて搬送加硫ゾーン200Cの搬送期間に亘って晒す。しかも、加硫缶100については、複数個を用い、それぞれの加硫缶100への未加硫ゴムホース10SNKの挿入と搬送とホース取出とを順次実行する。この結果、加硫対象となる定寸裁断済みの複数の未加硫ゴムホース10SNKを加硫完了以前の加硫状態まで気泡発生を抑制した上で連続的に加硫(1次加硫)して半加硫ゴムホース10SKとできる。そして、この1次加硫後の半加硫ゴムホース10SKのそれぞれを、大気圧と180℃の加硫温度とを満たす2次加硫炉510内の2次加硫環境に湾曲マンドレル280挿入済みの状態で連続的に晒して2次加硫に処し、加硫完了状態まで連続的に加硫する。この結果、本実施例によれば、加硫完了以前の加硫状態までの1次加硫を加圧下で気泡発生を抑制した上で短時間とできるので、ゴムホース10におけるホース内層12やホース外層14での気泡残存を抑制しつつ生産性を高めることができる。
【0043】
また、本実施例では、加硫缶100が維持する1次加硫環境を、0.05〜1MPaの加圧圧力としたので、気泡発生の抑制の上からもホース自体の圧縮回避の上からも好ましい。つまり、0.05MPaを下回る圧力では気泡発生の抑制が不十分であり、1MPaを超える圧力ではホース自体の圧縮を招くことが危惧されるが、上記圧力範囲としたので、加硫缶100における1次加硫の際の気泡発生を高い実効性で抑制できる。
【0044】
また、1次加硫環境下に未加硫ゴムホース10SNKを連続的に晒すに当たり、容器内部を1次加硫環境に維持する複数の加硫缶100を繰り返し用い、それぞれの加硫缶100を搬送加硫ゾーン200Cにおいてループ状に搬送する間に、それぞれの加硫缶100にて未加硫ゴムホース10SNKを1次加硫に処した。このため、加硫缶100に挿入セットした未加硫ゴムホース10SNKの本数を単位に、具体的には1本ずつ、未加硫ゴムホース10SNKを加硫缶100の繰り返し利用の都度、当該容器にて連続的に1次加硫環境下に晒すことができる。このため、生産性の確実な向上を図ることができる。
【0045】
しかも、本実施例では、複数の加硫缶100をループ状軌跡の搬送経路に沿って搬送しつつ、加硫缶100のそれぞれに未加硫ゴムホース10SNKをストレートマンドレル120への挿入済みの状態で配置し(図10(B)〜(E))、搬送過程にある間において加硫缶100により1次加硫を容器内の未加硫ゴムホース10SNKに処する。そして、搬送される加硫缶100にて1次加硫済みの半加硫ゴムホース10SKを、2次加硫装置500への受け渡しのためにそれぞれの加硫缶100から取り出すようにした(図10(B)〜(E))。よって、加硫缶100への未加硫ゴムホース10SNKの挿入配置と加硫缶100からの1次加硫済み半加硫ゴムホース10SKの取出を隣接したスペースで行えると共に、搬送経路のループ化により、加硫缶100を用いて1次加硫を行う1次加硫装置200の小型化や、作業スペースの省スペース化を図ることができる。加えて、未加硫ゴムホース10SNKの加硫缶100への挿入と1次加硫済みの半加硫ゴムホース10SKの加硫缶100からの取出とをゴムホース挿入取出機器220にて同時に行うので(図10(B)〜(E))、効率的である。
【0046】
また、加硫缶100を直管状の容器とした上で、缶内のストレートマンドレル120に未加硫ゴムホース10SNKを挿入するようにした。よって、加硫缶100への未加硫ゴムホース10SNKの挿入と半加硫ゴムホース10SKの取出が簡便となる。
【0047】
加えて、本実施例では、1次加硫装置200にて加硫缶100の缶内を1次加硫環境下とし、2次加硫装置500にてその2次加硫炉510の炉内を2次加硫環境下とする上で、その加硫温度の熱源として、過熱水蒸気を用いた。よって、1次および2次の加硫環境の温度をEPDMゴム材料の加硫を起こす加硫温度まで圧力に拘わらず容易に上げることができるので、それぞれの加硫環境下での温度と圧力を容易に維持でき、安定した加硫を図ることができる。
【0048】
次に、変形例について説明する。図14は変形例の1次加硫装置1200の構成を模式的に示す説明図である。図示するように、この変形例の1次加硫装置1200は、1次加硫のため加硫缶100を並列配置して備え、並列配置されたそれぞれの加硫缶100に対して、イン側カプラ216とアウト側カプラ217を着脱自在に備える。そして、1次加硫装置1200は、ホース挿入取出のための既述したゴムホース挿入取出機器220と缶蓋着脱機器250とをユニット化し、このユニットを、並列配置された加硫缶100の並びに沿って往復動可能に構成し、既述した1次加硫環境下に晒す3分で1往復させる。この1往復の例えば往路において、1次加硫装置1200は、加硫缶100の並列配置ピッチでピッチ移動し、そのピッチ移動毎に、図10で示した第1シーケンスSS1〜第15シーケンスSS15を缶蓋着脱機器250とゴムホース挿入取出機器220とで行う。そうすると、上記のユニットがピッチ移動する毎に、隣り合う加硫缶100において、蓋着脱と、未加硫ゴムホース10SNKの挿入配置と半加硫ゴムホース10SKの取出を行うことができるので、この変形例によっても、既述した効果を奏することができる。
【0049】
以上、本発明の実施の形態としての実施例について説明したが、本発明は上記実施例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能である。例えば、上記実施例では、1次加硫においてストレート状のマンドレルに未加硫ホースを挿入したが、湾曲形状のマンドレルを用いることもできる。この場合には、加硫缶100を、図11に示した湾曲マンドレル280に挿入した未加硫ゴムホース10SNKを収容できる形状とすればよく、未加硫ゴムホース10SNKが挿入された湾曲マンドレル280ごと、加硫缶100に挿入配置・取出できるようにすればよい。
【0050】
また、1次加硫での加硫缶100を単一の未加硫ゴムホース10SNKの挿入配置ができるものとしたが、加硫缶100を大径の缶としたり長円形状断面の缶としたりして、2〜数本の未加硫ゴムホース10SNKの挿入配置ができるようにすることもできる。こうすれば、一つの加硫缶100で1次加硫できる本数(2〜数本)を単位として、連続的に1次加硫できる。
【0051】
また、上記実施例では、湾曲形状のゴムホース10を製造する場合について説明したが、直管状のゴムホースの製造に適用することもできる。この場合には、2次加硫装置500での2次加硫においてもストレート状のマンドレルを使用し、2次加硫装置500のコンベヤ520に、1次加硫済みの半加硫ゴムホース10SKが挿入されたストレートマンドレルごと係合・取り外しを行うようにすればよい。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の一実施の形態にかかるゴムホース製造方法での製造対象となるゴムホース10を一部破断して示す概略斜視図である。
【図2】このゴムホース10の製造工程を略図を併用して示す工程図である。
【図3】加硫缶100を長手方向に断面視して示す説明図である。
【図4】加硫缶100におけるストレートマンドレル120の保持の様子を示す説明図である。
【図5】加硫缶100の蓋周辺の構成を概略的に示す説明図である。
【図6】1次加硫装置200を正面視および側面視してその構成を説明するための説明図である。
【図7】ゴムホース挿入取出機器220の概略構成を示す斜視図である。
【図8】ゴムホース挿入取出機器220が有する加硫済みホース取出治具228を説明する説明図である。
【図9】ホース取出治具228と半加硫ゴムホース10SKとの関係を示す説明図である。
【図10】蓋130の着脱動作とホースの挿入取出動作とをシーケンシャルに説明するための説明図である。
【図11】半加硫ゴムホース10SKを湾曲マンドレル280に挿入した様子を示す説明図である。
【図12】2次加硫装置500の概要を示す説明図である。
【図13】2次加硫装置500の内部の様子を示す説明図である。
【図14】変形例の1次加硫装置1200の構成を模式的に示す説明図である。
【符号の説明】
【0053】
10…ゴムホース
10SNK…未加硫ゴムホース
10SK…半加硫ゴムホース
12…ホース内層
14…ホース外層
16…補強糸
100…加硫缶
110…ボディ
111…通気孔
112…缶イン側カプラ
113…通気孔
114…蓋装着口金
115…係合溝
116…ブリッジ
118…断熱スリーブ
120…ストレートマンドレル
130…蓋
132…通気孔
134…係合突起
200…1次加硫装置
200A…ホース挿入取出ゾーン
200B…待機ゾーン
200C…搬送加硫ゾーン
202…装置ベース
204…フレーム
206…搬送コンベヤ
208…スプロケット
209…モータ
210…供給コンベヤ
212…搬送コンベヤ
216…イン側カプラ
217…アウト側カプラ
218…過熱水蒸気生成器
219…ゲージ圧力計
220…ゴムホース挿入取出機器
222…スライドアーム
224…ロッドレスシリンダ
226…ホース挿入治具
228…ホース取出治具
228F…フック
228S…シャフト肩面
229…シャフト開閉シリンダ
230…未加硫ホース設置皿
250…缶蓋着脱機器
252…蓋チャック
254…シャフト
280…湾曲マンドレル
282…コンベヤ装着具
500…2次加硫装置
510…2次加硫炉
512…コンベヤ支柱
514…装置入口
516…装置出口
518…吹出口
520…コンベヤ
522…スプロケット
524…モータ
526…マンドレル保持治具
1200…1次加硫装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
未加硫のゴム材料からなる未加硫ホースを加硫して加硫済みゴムホースを製造する方法であって、
定寸に裁断された未加硫ホースを、ゴムホース層内での気泡発生を抑制可能な加圧圧力とゴム材料の加硫を起こす加硫温度とを満たす1次加硫環境下に、マンドレル挿入済みの状態で連続的に晒して、前記未加硫ホースを加硫完了以前の加硫状態まで1次加硫する1次加硫工程と、
該1次加硫を受けた1次加硫後のホースを、大気圧と前記加硫温度とを満たす2次加硫環境下に、マンドレル挿入済みの状態で連続的に晒して、前記未加硫ホースを加硫完了状態まで2次加硫する2次加硫工程とを備える
ゴムホースの製造方法。
【請求項2】
前記1次加硫工程は、ゲージ圧が0.05〜1MPaの加圧圧力の前記1次加硫環境下で1次加硫に処する請求項1に記載のゴムホースの製造方法。
【請求項3】
前記1次加硫工程は、前記1次加硫環境下に前記未加硫ホースを連続的に晒すに当たり、容器内部を前記1次加硫環境に維持する複数の加硫容器を繰り返し用い、該加硫容器のそれぞれの容器内部で前記未加硫ホースを1次加硫に処する請求項1または請求項2に記載のゴムホースの製造方法。
【請求項4】
請求項3に記載のゴムホースの製造方法であって、
前記1次加硫工程は、前記複数の加硫容器をループ状軌跡の搬送経路に沿って搬送しつつ、前記加硫容器のそれぞれに前記未加硫ホースをマンドレル挿入済みの状態で配置し、搬送過程にある間において前記加硫容器により1次加硫を受けた1次加硫後のホースを、前記2次加硫工程への受け渡しのためにそれぞれの前記加硫容器から取り出す
ゴムホースの製造方法。
【請求項5】
前記1次加硫工程は、直管状の前記加硫容器に前記未加硫ホースをストレート状のマンドレルに挿入済みの状態で配置する請求項3または請求項4に記載のゴムホースの製造方法。
【請求項6】
前記2次加硫工程では、ホース最終形状のホース軌跡に沿って湾曲したマンドレルを用いる請求項5に記載のゴムホースの製造方法。
【請求項7】
前記1次加硫工程と前記2次加硫工程は、前記1次加硫環境下と前記2次加硫環境下における加硫温度の熱源として、過熱水蒸気または熱風を用いる請求項1ないし請求項6のいずれかに記載のゴムホースの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−76366(P2010−76366A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−250018(P2008−250018)
【出願日】平成20年9月29日(2008.9.29)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【Fターム(参考)】