ゴルフカート
【課題】フロントピラー11の組立とフロントウインドウパネル61の組み込みとが簡単に行えると共に、フロントピラー11の剛性も高くする。
【解決手段】前後輪が備えられたメインシャーシ3の前後部位の各上面にフロントカウル9とリヤカウル10を被せてボルトにて固定する。フロントピラー11は、上枠部材11bと、溝60を有する左右一対の支柱部材11cと下枠部材11aによりフロント窓枠体を兼用するように構成し、前記溝60にフロントウインドウパネル61の下端縁及び左右両側縁を差し込んでボルトやビス62aにて固定する。フロントピラー11及びリヤピラー12をフロントカウル9とリヤカウル10とにそれぞれボルト固定し、フロントピラー11及びリヤピラー12上にルーフパネル13を載置固定して支える。
【解決手段】前後輪が備えられたメインシャーシ3の前後部位の各上面にフロントカウル9とリヤカウル10を被せてボルトにて固定する。フロントピラー11は、上枠部材11bと、溝60を有する左右一対の支柱部材11cと下枠部材11aによりフロント窓枠体を兼用するように構成し、前記溝60にフロントウインドウパネル61の下端縁及び左右両側縁を差し込んでボルトやビス62aにて固定する。フロントピラー11及びリヤピラー12をフロントカウル9とリヤカウル10とにそれぞれボルト固定し、フロントピラー11及びリヤピラー12上にルーフパネル13を載置固定して支える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴルフ場でゴルフクラブ用バッグ(以下、単にゴルフバッグという)及びゴルファーを載せて移動するゴルフカートの構成に係り、より詳しくは、フロントウインドウパネル及びルーフパネルの支持構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、前後輪が備えられた機体の前後部にフロントカウルとリヤカウルを設け、リヤカウル上面に2人用の座席部を設ける一方、フロントピラー及びリヤピラーによってルーフパネルを支え、フロントピラーにフロントウインドウパネルを取付けする技術が知られていた(例えば、特許文献1)。
【0003】
この特許文献1の技術では、機体フレームの前部から立設する左右一対のフロントピラーは、金属製の丸パイプ状の骨材の外周(表面)に、合成樹脂またはラバー製のモール材を被覆させて構成されている。そして、モール材における一側には、断面コ字状の溝部が形成されており、この相対向する溝部にフロントウインドウパネルの左右両側端部を嵌合把持した構成であった。
【0004】
他方、特許文献2では、前後輪が備えられた機体の前後部にフロントカウルとリヤカウルを設け、フロントカウルとリヤカウルの間に、2人用の前部ゴルファー搭乗部を設け、リヤカウルの上面に2人用の後部ゴルファー搭乗部を設ける一方、ルーフパネルの前部を支持するための左右一対のフロントピラーにブラケットを固定し、このブラケットにフロントウインドウパネルの左右両側端部に穿設した取付け孔を介してネジ止めする技術が知られていた。
【特許文献1】特開2001−191951号公報(図4及び図9参照)
【特許文献1】特開2002−316586号公報(図2及び図5参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記特許文献1の構成によれば、フロントピラーの構成が丸パイプとモール材とからなるので材料費(製造コスト)が高くなるという問題があった。他方、特許文献2の構成によれば、ブラケットの取付け作業、フロントウインドウパネルの左右両側端部の取付け孔の穿孔、及びネジ止め作業等の組立作業が多くなり、これでも製造コスト)が高くなるという問題があった。
【0006】
本発明は、これら従来の問題点を解決し、組立容易であり、高い剛性を有するフロントピラーとなるようにしたゴルフカートを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、請求項1に記載の発明のゴルフカートは、前後輪を設けた機体の前部上面にフロントカウルを設け、機体の後部上面にリヤカウルを設け、このフロントカウルとリヤカウルの間に搭乗する人の上方を覆うためのルーフパネルをフロントピラー及びリヤピラーにて支持してなるゴルフカートにおいて、前記フロントピラーは左右一対の支柱部材と上下枠部材とより構成し、前記左右一対の支柱部材及び下枠部材には断面コ字状の溝部が形成され、フロントウインドウパネルを、前記左右一対の支柱部材及び下枠部材における溝部に嵌挿して固定具により固定したものである。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のゴルフカートにおいて、前記フロントピラーにおける下枠部材をフロントカウルの上面の段付き状のピラー受け部に固定具を介して固定したものである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、前後輪を設けた機体の前部上面にフロントカウルを設け、機体の後部上面にリヤカウルを設け、このフロントカウルとリヤカウルの間に搭乗する人の上方を覆うためのルーフパネルをフロントピラー及びリヤピラーにて支持してなるゴルフカートにおいて、前記フロントピラーは左右一対の支柱部材と上下枠部材とより構成し、前記左右一対の支柱部材及び下枠部材には断面コ字状の溝部が形成され、フロントウインドウパネルを、前記左右一対の支柱部材及び下枠部材における溝部に嵌挿して固定具により固定したものである。左右一対の支柱部材及び下枠部材にはそれ自身に断面コ字状の溝部が形成されているものを使用するから、押出成形品等の部材を使用することで部品のコストを低減できる。そして、フロントウインドウパネルを左右一対の支柱部材及び下枠部材における溝部に嵌挿して固定具により固定するから、組立作業が容易であり、且つ構造が簡単となる。しかも、フロントピラーを左右一対の支柱部材と上下枠部材とにより枠状に形成するので、剛性も高くなるという効果を奏する。
【0010】
また、請求項2に係る発明によれば、前記フロントピラーにおける下枠部材をフロントカウルの上面の段付き状のピラー受け部に固定具を介して固定したものであるから、フロントピラーの下端の取付け位置が一義的に決まり、安定して取付け作業を行うことができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
次に、本発明の最良の実施形態について図面を参照して詳述する。図1は2人分のゴルフバッグを載せることができるゴルフカートの側面図、図2は同正面図、図3は同斜視図、図4は同背面図、図5は同平面図、図6はフロントカウル及びリヤカウル部の側面図、図7はフロントカウル及びリヤカウル部の平面図、図8はルーフパネル部等の平面図、図9はルーフパネル部の側面図、図10は図8のX−X線矢視側断面図、図11は図8のXI−XI線矢視のルーフパネルの側断面図、図12は図8のXII −XII 線矢視拡大断面図、図13は図8のXIII−XIII線矢視拡大断面図である。
【0012】
図1乃至図5に示すように、2人分のゴルフバッグを後部に載せた2人乗り用のゴルフカートでは、その機体であるメインシャーシ3に左右一対の前輪1及び後輪2を備える。そして、メインシャーシ3には、電動走行モータ4を備える駆動ケース5と、前記走行モータ4の電源であるバッテリ6と、制御ボックス7と、充電用コントローラ部8とが設けられている。走行駆動力は電動走行モータ4から駆動ケース5を介して左右両後輪2に伝達される。また、左右一対の前輪1の上側、及び左右一対の後輪2の上側は、それぞれ合成樹脂製またはガラス繊維強化プラスチック製のフロントカウル9、リヤカウル10によって覆われている。
【0013】
フロントカウル9の上面側に枠状のフロントピラー11を、またリヤカウル10の上面側に左右一対のリヤピラー12をそれぞれ立設させ、フロントピラー11及びリヤピラー12によって合成樹脂製のルーフパネル13を支える。
【0014】
さらに、前記リヤカウル10の上面前部に座席部14を形成し、2人のゴルファーが座る座席15を座席部14に設ける。また前輪1を操舵する丸ハンドル16は座席部14の左側前方に立設されたステアリングポスト16aの上端に設けられている。前記丸ハンドル16の操作により前輪1を操舵する。ステアリングポスト16aの側部下方にはフロントカウル9に、アクセルペダル17及びブレーキペダル18が取付けられている。
【0015】
実施形態では、前記フロントカウル9をメインシャーシ3の前部に載せ、このメインシャーシ3から立設する前部フレーム21の上面に、フロントカウル9をボルトにより締結固定する。
【0016】
リヤカウル10は、その上面前部に座席部14が形成され、その後部側に左右の後輪2を覆うフェンダ部23と、フェンダ部23の間で高さの低い2人用バッグ載置部24とが一体的に形成されている。
【0017】
リヤカウル10を機体としてのメインシャーシ3から立設する後部フレーム22に載せ、かつリヤカウル10の上面にリヤピラー12を載せ、リヤピラー12及びリヤカウル10の上面側からボルトにて共締する。また、フロントカウル9の後端部及びリヤカウル10の前端部はメインシャーシ3の前後方向中途部上面に固定されたステップ板26に対してボルト締結する。
【0018】
従って、リヤカウル10における前記の2人用バッグ載置部24は、左右両側部を左右のフェンダ部23によって囲まれ、かつ前方を座席部14によって囲まれ、後方と上方に向けて開放するように形成されている。
【0019】
左右のリヤピラー12の前面には横長の背面シート27が図示しないブラケット等を介して連結されている。前記左右のリヤピラー12の上下中途部を横長ステー29にて連結し、その横長ステー29から後向きに突出する左右一対のフランジ30の後端には、2人分(2個)のゴルフバッグ28の側面(前面)上部を支えるための横長であって左右両側端部が平面視で後向き湾曲形成された支持アーム31が連結されている(図9参照)。他の実施形態として、リヤカウル10の上面に別途立設した支持杆(図示せず)に支持アーム31を連結しても良い。
【0020】
前記支持アーム31は、2人用バッグ載置部24の前側略直上に配置されている。そして、2人用バッグ載置部24に2人分のゴルフバッグ28を直立状に載せ、図8に示すゴムバンド等の締結具(包括具)32の一端を支持アーム31の一側端のフック部31aに係止する。ゴムバンド32の中途部を2人分(2個)のゴルフバッグ28の後側面上部に掛け回し、さらにゴムバンド32の他端を支持アーム31の他端のフック部31aに係止する。これにより、2個のゴルフバッグ28は、支持アーム31とゴムバンド等の締結具(包括具)32とにより挟み付けて倒れ不能に固定できるように構成されている。
【0021】
リヤカウル10における上面前部の座席部14に座席15をヒンジ15aを介して前方に展開自在に設ける。座席15の後側の背面シート27の左右両側にハンドレスト33が固定されている。
【0022】
座席15によって開閉自在に閉鎖する開口34がリヤカウル10における座席部14に開設させる。前記リヤカウル10の内側に、バッテリ6(実施形態では、リチウムイオンバッテリを使用する)を挟んで左右に、前記電動モータ4の駆動及び発電制動の制御を実行するための制御ボックス7、充電用コントローラ部8を配置させ、例えばメンテナンス、点検作業を前記開口34を介して行えるように構成する。前記充電用コントローラ部8に対向するリヤカウル10の前面に充電用(100または200ボルト用)のコンセント35が設けられている(図7参照)。
【0023】
フロントピラー11は、左右一対の支柱部材11cと下枠部材11aと上枠部材11bとからなり、左右一対の支柱部材11cと下枠部材11aとはアルミ押出材にて同じ断面形状にて形成されている(図12、図13参照)。即ち、これらの部材は断面略矩形の中空状であって、一側にコ字状の溝60が一体的に形成されているものである。上枠部材11bはアルミ押出材にて断面ほぼY字状に形成されている(図12参照)。そして、下枠部材11aの長手方向両端部と左右一対の支柱部材11cとの中空部に金属製のブラケット68を差込んだ箇所をねじ止め連結されている(図8参照)。なお、左右一対の支柱部材11cの上端部間と上枠部材11bの長手方向両端部とは図示しないボルト、ナットにて固定する。
【0024】
図9及び図12に示す如く、前記フロントカウル9の上面に左右長手の段付き状のピラー受け部57を形成する。そして、下枠部材11aをピラー受け部57に載せ、ボルト58及びナット59によって下枠部材11aをフロントカウル9に固定させる。フロントピラー11は左右一対の支柱部材11cと上下枠部材11b,11aによりフロント窓枠体を兼用することになるので、一対の支柱部材11c及び下枠部材11aに形成された溝60に透明な合成樹脂製のフロントウインドウパネル61の左右縁及び下端縁を差込む。上枠部材11bにフロントウインドウパネル61の上端をボルト62及びナット63によって固定する一方、左右の支柱部材11cの溝60の箇所でフロントウインドウパネル61の側縁をビス62aにて固定する(図12及び図13参照)。
【0025】
このようにして、フロントピラー11の組立とフロントウインドウパネル61の組み込みとが簡単に行えると共に、フロントピラー11の剛性も高くなる。
【0026】
ゴルフボール、ヘッドカバーなどを入れる左右一対の小物入れカゴ64aをフェンダ部23の上面に設ける。また、前記背面シート51後側の一対のリヤピラー12間を横長の小物入れカゴ64bによって連結させる。一方、フロントカウル9の上面に小物入れカゴ64cを固定する。前記フロントカウル9及びリヤカウル10は、合成樹脂の成形加工によって形成するが、鉄板を板金加工(プレス加工)して形成してもよい。
【0027】
フロントピラー11をフロントカウル9の上面に、及び上端間が横梁65aで連結された左右一対のリヤピラー12をリヤカウル10の上面にそれぞれ立設固定した後、フロントピラー11の上枠部材11bと上梁65bの上面に前後方向に長い左右一対の上梁65bを載せてボルトナット固定する。この一対の上梁65b上に固定したブラケット66にルーフパネル13を載置してボルト67にて固定する。
【0028】
図8、図9、図10及び図11に示すように、合成樹脂材またはガラス繊維強化プラスチック製のルーフパネル13は、その左右側端部より左右中央側に向かって下向きの傾斜面40、40を有し、且つルーフパネル13の左右方向の中途部には機体の後方に向かって下向きに傾斜する1乃至複数の断面上向きコ字状等に開放された樋部41が前記左右傾斜面40、40と接続するように形成されている。ルーフパネル13の後端部には樋部41の後端部と連通してルーフパネル13の下方へ雨水を導くための排水口42が形成され、この排水口42となる筒43に軟質合成樹脂製パイプ状の縦樋体44が接続されているものである。このとき、筒43に被嵌した縦樋体44を弾性リング状のクリップ等で固定する。
【0029】
そして、ルーフパネル13の後端部には、樋部41上に溜まった雨水がルーフパネル13の後端から後に乗り越えないように阻止するための左右に長い上向き突条部45が一体的に形成されているものである(図10参照)。
【0030】
前記排水口42である筒43に接続された縦樋体44はほぼ垂直方向に垂下され、この縦樋体44の下部がリヤカウル10の上面に穿設された通し孔46に貫通接続される。この通し孔46は実施形態では図7に示すように、駆動ケース5の上方に開口される。通し孔46を通過した縦樋体44は駆動ケース5の側面方向に曲げられた後、その下端排出孔が地面に向かって開口されているものである。
【0031】
なお、ルーフパネル13の左右両側端縁及び前後端縁は下向きに屈曲形成されているが、上向き屈曲であっても良い。
【0032】
上述のように、本発明のルーフパネル13では、当該ルーフパネル13に降った雨は、その左右両側の傾斜面40(49a,49b)に沿ってルーフパネルの幅方向中央側に集まり、その集まった雨水は後下り傾斜する樋部41(47a,47b)に沿ってルーフパネル13の後端側に流れる。そして、このルーフパネルの後端部分に設けられた排水口42(53)を介して機外に排水できるのである。このようにして、ルーフパネルに降った雨水のすべてをルーフパネル13の左右中央であって後端側に集めて外に排出するので、従来のルーフパネルの構成に比べて搭乗者が雨水で濡れることを大幅に改善できるという効果を奏する。
【0033】
ルーフパネル13の後端部に集まった雨水は、当該ルーフパネルの後端部の左右に長い上向き突条部45(51)でせき止められるから、ルーフパネルの後端縁から雨水が多量に落下してリヤカウル上で雨水が飛び散らないので、搭乗者の後面も雨水で濡れない。
【0034】
さらに、排水口42(53)に接続された縦樋体44の下部がリヤカウル10に穿設された通し孔46に接続され、縦樋体44の下端排出孔が地面に向かって開口されているものであるから、ルーフパネル13で受け止められた雨水の全てが縦樋体44内を伝ってリヤカウルの内部で地面に直接落下する。従って、地面に落ちた雨水の跳ね返り飛沫で搭乗者の足元を濡らすことも防止できるという効果を奏する。
【0035】
なお、樋部41(47a,47b)と、傾斜面40(49a,49b)とにより、ルーフパネル13の前後方向の曲げに対する剛性が高くなり、ビビリ音の発生も少なくできるのである。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】2人分のゴルフバッグを載せるゴルフカートの側面図である。
【図2】同正面図である。
【図3】同斜視図である。
【図4】同背面図である。
【図5】同平面図である。
【図6】フロントカウル及びリヤカウル部の側面図である。
【図7】フロントカウル及びリヤカウル部の平面図である。
【図8】ルーフパネル部の平面図である。
【図9】図8のIX−IX線矢視断面図である。
【図10】図8のX−X線矢視断面図である。
【図11】図8のXI−XI線矢視断面図である。
【図12】図8のXII −XII 線矢視一部切欠き拡大断面図である。
【図13】図8のXIII−XIII線矢視拡大断面図である。
【符号の説明】
【0037】
1 前輪
2 後輪
3 メインシャーシ
9 フロントカウル
10 リヤカウル
11 フロントピラー
11a 下枠部材
11b 上枠部材
11c 支柱部材
12 リヤピラー
13 ルーフパネル
15 座席
57 ピラー受け部
58、62、68 ボルト
59、63 ナット
60 溝
62a ビス
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴルフ場でゴルフクラブ用バッグ(以下、単にゴルフバッグという)及びゴルファーを載せて移動するゴルフカートの構成に係り、より詳しくは、フロントウインドウパネル及びルーフパネルの支持構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、前後輪が備えられた機体の前後部にフロントカウルとリヤカウルを設け、リヤカウル上面に2人用の座席部を設ける一方、フロントピラー及びリヤピラーによってルーフパネルを支え、フロントピラーにフロントウインドウパネルを取付けする技術が知られていた(例えば、特許文献1)。
【0003】
この特許文献1の技術では、機体フレームの前部から立設する左右一対のフロントピラーは、金属製の丸パイプ状の骨材の外周(表面)に、合成樹脂またはラバー製のモール材を被覆させて構成されている。そして、モール材における一側には、断面コ字状の溝部が形成されており、この相対向する溝部にフロントウインドウパネルの左右両側端部を嵌合把持した構成であった。
【0004】
他方、特許文献2では、前後輪が備えられた機体の前後部にフロントカウルとリヤカウルを設け、フロントカウルとリヤカウルの間に、2人用の前部ゴルファー搭乗部を設け、リヤカウルの上面に2人用の後部ゴルファー搭乗部を設ける一方、ルーフパネルの前部を支持するための左右一対のフロントピラーにブラケットを固定し、このブラケットにフロントウインドウパネルの左右両側端部に穿設した取付け孔を介してネジ止めする技術が知られていた。
【特許文献1】特開2001−191951号公報(図4及び図9参照)
【特許文献1】特開2002−316586号公報(図2及び図5参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記特許文献1の構成によれば、フロントピラーの構成が丸パイプとモール材とからなるので材料費(製造コスト)が高くなるという問題があった。他方、特許文献2の構成によれば、ブラケットの取付け作業、フロントウインドウパネルの左右両側端部の取付け孔の穿孔、及びネジ止め作業等の組立作業が多くなり、これでも製造コスト)が高くなるという問題があった。
【0006】
本発明は、これら従来の問題点を解決し、組立容易であり、高い剛性を有するフロントピラーとなるようにしたゴルフカートを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、請求項1に記載の発明のゴルフカートは、前後輪を設けた機体の前部上面にフロントカウルを設け、機体の後部上面にリヤカウルを設け、このフロントカウルとリヤカウルの間に搭乗する人の上方を覆うためのルーフパネルをフロントピラー及びリヤピラーにて支持してなるゴルフカートにおいて、前記フロントピラーは左右一対の支柱部材と上下枠部材とより構成し、前記左右一対の支柱部材及び下枠部材には断面コ字状の溝部が形成され、フロントウインドウパネルを、前記左右一対の支柱部材及び下枠部材における溝部に嵌挿して固定具により固定したものである。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のゴルフカートにおいて、前記フロントピラーにおける下枠部材をフロントカウルの上面の段付き状のピラー受け部に固定具を介して固定したものである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、前後輪を設けた機体の前部上面にフロントカウルを設け、機体の後部上面にリヤカウルを設け、このフロントカウルとリヤカウルの間に搭乗する人の上方を覆うためのルーフパネルをフロントピラー及びリヤピラーにて支持してなるゴルフカートにおいて、前記フロントピラーは左右一対の支柱部材と上下枠部材とより構成し、前記左右一対の支柱部材及び下枠部材には断面コ字状の溝部が形成され、フロントウインドウパネルを、前記左右一対の支柱部材及び下枠部材における溝部に嵌挿して固定具により固定したものである。左右一対の支柱部材及び下枠部材にはそれ自身に断面コ字状の溝部が形成されているものを使用するから、押出成形品等の部材を使用することで部品のコストを低減できる。そして、フロントウインドウパネルを左右一対の支柱部材及び下枠部材における溝部に嵌挿して固定具により固定するから、組立作業が容易であり、且つ構造が簡単となる。しかも、フロントピラーを左右一対の支柱部材と上下枠部材とにより枠状に形成するので、剛性も高くなるという効果を奏する。
【0010】
また、請求項2に係る発明によれば、前記フロントピラーにおける下枠部材をフロントカウルの上面の段付き状のピラー受け部に固定具を介して固定したものであるから、フロントピラーの下端の取付け位置が一義的に決まり、安定して取付け作業を行うことができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
次に、本発明の最良の実施形態について図面を参照して詳述する。図1は2人分のゴルフバッグを載せることができるゴルフカートの側面図、図2は同正面図、図3は同斜視図、図4は同背面図、図5は同平面図、図6はフロントカウル及びリヤカウル部の側面図、図7はフロントカウル及びリヤカウル部の平面図、図8はルーフパネル部等の平面図、図9はルーフパネル部の側面図、図10は図8のX−X線矢視側断面図、図11は図8のXI−XI線矢視のルーフパネルの側断面図、図12は図8のXII −XII 線矢視拡大断面図、図13は図8のXIII−XIII線矢視拡大断面図である。
【0012】
図1乃至図5に示すように、2人分のゴルフバッグを後部に載せた2人乗り用のゴルフカートでは、その機体であるメインシャーシ3に左右一対の前輪1及び後輪2を備える。そして、メインシャーシ3には、電動走行モータ4を備える駆動ケース5と、前記走行モータ4の電源であるバッテリ6と、制御ボックス7と、充電用コントローラ部8とが設けられている。走行駆動力は電動走行モータ4から駆動ケース5を介して左右両後輪2に伝達される。また、左右一対の前輪1の上側、及び左右一対の後輪2の上側は、それぞれ合成樹脂製またはガラス繊維強化プラスチック製のフロントカウル9、リヤカウル10によって覆われている。
【0013】
フロントカウル9の上面側に枠状のフロントピラー11を、またリヤカウル10の上面側に左右一対のリヤピラー12をそれぞれ立設させ、フロントピラー11及びリヤピラー12によって合成樹脂製のルーフパネル13を支える。
【0014】
さらに、前記リヤカウル10の上面前部に座席部14を形成し、2人のゴルファーが座る座席15を座席部14に設ける。また前輪1を操舵する丸ハンドル16は座席部14の左側前方に立設されたステアリングポスト16aの上端に設けられている。前記丸ハンドル16の操作により前輪1を操舵する。ステアリングポスト16aの側部下方にはフロントカウル9に、アクセルペダル17及びブレーキペダル18が取付けられている。
【0015】
実施形態では、前記フロントカウル9をメインシャーシ3の前部に載せ、このメインシャーシ3から立設する前部フレーム21の上面に、フロントカウル9をボルトにより締結固定する。
【0016】
リヤカウル10は、その上面前部に座席部14が形成され、その後部側に左右の後輪2を覆うフェンダ部23と、フェンダ部23の間で高さの低い2人用バッグ載置部24とが一体的に形成されている。
【0017】
リヤカウル10を機体としてのメインシャーシ3から立設する後部フレーム22に載せ、かつリヤカウル10の上面にリヤピラー12を載せ、リヤピラー12及びリヤカウル10の上面側からボルトにて共締する。また、フロントカウル9の後端部及びリヤカウル10の前端部はメインシャーシ3の前後方向中途部上面に固定されたステップ板26に対してボルト締結する。
【0018】
従って、リヤカウル10における前記の2人用バッグ載置部24は、左右両側部を左右のフェンダ部23によって囲まれ、かつ前方を座席部14によって囲まれ、後方と上方に向けて開放するように形成されている。
【0019】
左右のリヤピラー12の前面には横長の背面シート27が図示しないブラケット等を介して連結されている。前記左右のリヤピラー12の上下中途部を横長ステー29にて連結し、その横長ステー29から後向きに突出する左右一対のフランジ30の後端には、2人分(2個)のゴルフバッグ28の側面(前面)上部を支えるための横長であって左右両側端部が平面視で後向き湾曲形成された支持アーム31が連結されている(図9参照)。他の実施形態として、リヤカウル10の上面に別途立設した支持杆(図示せず)に支持アーム31を連結しても良い。
【0020】
前記支持アーム31は、2人用バッグ載置部24の前側略直上に配置されている。そして、2人用バッグ載置部24に2人分のゴルフバッグ28を直立状に載せ、図8に示すゴムバンド等の締結具(包括具)32の一端を支持アーム31の一側端のフック部31aに係止する。ゴムバンド32の中途部を2人分(2個)のゴルフバッグ28の後側面上部に掛け回し、さらにゴムバンド32の他端を支持アーム31の他端のフック部31aに係止する。これにより、2個のゴルフバッグ28は、支持アーム31とゴムバンド等の締結具(包括具)32とにより挟み付けて倒れ不能に固定できるように構成されている。
【0021】
リヤカウル10における上面前部の座席部14に座席15をヒンジ15aを介して前方に展開自在に設ける。座席15の後側の背面シート27の左右両側にハンドレスト33が固定されている。
【0022】
座席15によって開閉自在に閉鎖する開口34がリヤカウル10における座席部14に開設させる。前記リヤカウル10の内側に、バッテリ6(実施形態では、リチウムイオンバッテリを使用する)を挟んで左右に、前記電動モータ4の駆動及び発電制動の制御を実行するための制御ボックス7、充電用コントローラ部8を配置させ、例えばメンテナンス、点検作業を前記開口34を介して行えるように構成する。前記充電用コントローラ部8に対向するリヤカウル10の前面に充電用(100または200ボルト用)のコンセント35が設けられている(図7参照)。
【0023】
フロントピラー11は、左右一対の支柱部材11cと下枠部材11aと上枠部材11bとからなり、左右一対の支柱部材11cと下枠部材11aとはアルミ押出材にて同じ断面形状にて形成されている(図12、図13参照)。即ち、これらの部材は断面略矩形の中空状であって、一側にコ字状の溝60が一体的に形成されているものである。上枠部材11bはアルミ押出材にて断面ほぼY字状に形成されている(図12参照)。そして、下枠部材11aの長手方向両端部と左右一対の支柱部材11cとの中空部に金属製のブラケット68を差込んだ箇所をねじ止め連結されている(図8参照)。なお、左右一対の支柱部材11cの上端部間と上枠部材11bの長手方向両端部とは図示しないボルト、ナットにて固定する。
【0024】
図9及び図12に示す如く、前記フロントカウル9の上面に左右長手の段付き状のピラー受け部57を形成する。そして、下枠部材11aをピラー受け部57に載せ、ボルト58及びナット59によって下枠部材11aをフロントカウル9に固定させる。フロントピラー11は左右一対の支柱部材11cと上下枠部材11b,11aによりフロント窓枠体を兼用することになるので、一対の支柱部材11c及び下枠部材11aに形成された溝60に透明な合成樹脂製のフロントウインドウパネル61の左右縁及び下端縁を差込む。上枠部材11bにフロントウインドウパネル61の上端をボルト62及びナット63によって固定する一方、左右の支柱部材11cの溝60の箇所でフロントウインドウパネル61の側縁をビス62aにて固定する(図12及び図13参照)。
【0025】
このようにして、フロントピラー11の組立とフロントウインドウパネル61の組み込みとが簡単に行えると共に、フロントピラー11の剛性も高くなる。
【0026】
ゴルフボール、ヘッドカバーなどを入れる左右一対の小物入れカゴ64aをフェンダ部23の上面に設ける。また、前記背面シート51後側の一対のリヤピラー12間を横長の小物入れカゴ64bによって連結させる。一方、フロントカウル9の上面に小物入れカゴ64cを固定する。前記フロントカウル9及びリヤカウル10は、合成樹脂の成形加工によって形成するが、鉄板を板金加工(プレス加工)して形成してもよい。
【0027】
フロントピラー11をフロントカウル9の上面に、及び上端間が横梁65aで連結された左右一対のリヤピラー12をリヤカウル10の上面にそれぞれ立設固定した後、フロントピラー11の上枠部材11bと上梁65bの上面に前後方向に長い左右一対の上梁65bを載せてボルトナット固定する。この一対の上梁65b上に固定したブラケット66にルーフパネル13を載置してボルト67にて固定する。
【0028】
図8、図9、図10及び図11に示すように、合成樹脂材またはガラス繊維強化プラスチック製のルーフパネル13は、その左右側端部より左右中央側に向かって下向きの傾斜面40、40を有し、且つルーフパネル13の左右方向の中途部には機体の後方に向かって下向きに傾斜する1乃至複数の断面上向きコ字状等に開放された樋部41が前記左右傾斜面40、40と接続するように形成されている。ルーフパネル13の後端部には樋部41の後端部と連通してルーフパネル13の下方へ雨水を導くための排水口42が形成され、この排水口42となる筒43に軟質合成樹脂製パイプ状の縦樋体44が接続されているものである。このとき、筒43に被嵌した縦樋体44を弾性リング状のクリップ等で固定する。
【0029】
そして、ルーフパネル13の後端部には、樋部41上に溜まった雨水がルーフパネル13の後端から後に乗り越えないように阻止するための左右に長い上向き突条部45が一体的に形成されているものである(図10参照)。
【0030】
前記排水口42である筒43に接続された縦樋体44はほぼ垂直方向に垂下され、この縦樋体44の下部がリヤカウル10の上面に穿設された通し孔46に貫通接続される。この通し孔46は実施形態では図7に示すように、駆動ケース5の上方に開口される。通し孔46を通過した縦樋体44は駆動ケース5の側面方向に曲げられた後、その下端排出孔が地面に向かって開口されているものである。
【0031】
なお、ルーフパネル13の左右両側端縁及び前後端縁は下向きに屈曲形成されているが、上向き屈曲であっても良い。
【0032】
上述のように、本発明のルーフパネル13では、当該ルーフパネル13に降った雨は、その左右両側の傾斜面40(49a,49b)に沿ってルーフパネルの幅方向中央側に集まり、その集まった雨水は後下り傾斜する樋部41(47a,47b)に沿ってルーフパネル13の後端側に流れる。そして、このルーフパネルの後端部分に設けられた排水口42(53)を介して機外に排水できるのである。このようにして、ルーフパネルに降った雨水のすべてをルーフパネル13の左右中央であって後端側に集めて外に排出するので、従来のルーフパネルの構成に比べて搭乗者が雨水で濡れることを大幅に改善できるという効果を奏する。
【0033】
ルーフパネル13の後端部に集まった雨水は、当該ルーフパネルの後端部の左右に長い上向き突条部45(51)でせき止められるから、ルーフパネルの後端縁から雨水が多量に落下してリヤカウル上で雨水が飛び散らないので、搭乗者の後面も雨水で濡れない。
【0034】
さらに、排水口42(53)に接続された縦樋体44の下部がリヤカウル10に穿設された通し孔46に接続され、縦樋体44の下端排出孔が地面に向かって開口されているものであるから、ルーフパネル13で受け止められた雨水の全てが縦樋体44内を伝ってリヤカウルの内部で地面に直接落下する。従って、地面に落ちた雨水の跳ね返り飛沫で搭乗者の足元を濡らすことも防止できるという効果を奏する。
【0035】
なお、樋部41(47a,47b)と、傾斜面40(49a,49b)とにより、ルーフパネル13の前後方向の曲げに対する剛性が高くなり、ビビリ音の発生も少なくできるのである。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】2人分のゴルフバッグを載せるゴルフカートの側面図である。
【図2】同正面図である。
【図3】同斜視図である。
【図4】同背面図である。
【図5】同平面図である。
【図6】フロントカウル及びリヤカウル部の側面図である。
【図7】フロントカウル及びリヤカウル部の平面図である。
【図8】ルーフパネル部の平面図である。
【図9】図8のIX−IX線矢視断面図である。
【図10】図8のX−X線矢視断面図である。
【図11】図8のXI−XI線矢視断面図である。
【図12】図8のXII −XII 線矢視一部切欠き拡大断面図である。
【図13】図8のXIII−XIII線矢視拡大断面図である。
【符号の説明】
【0037】
1 前輪
2 後輪
3 メインシャーシ
9 フロントカウル
10 リヤカウル
11 フロントピラー
11a 下枠部材
11b 上枠部材
11c 支柱部材
12 リヤピラー
13 ルーフパネル
15 座席
57 ピラー受け部
58、62、68 ボルト
59、63 ナット
60 溝
62a ビス
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後輪を設けた機体の前部上面にフロントカウルを設け、機体の後部上面にリヤカウルを設け、
このフロントカウルとリヤカウルの間に搭乗する人の上方を覆うためのルーフパネルをフロントピラー及びリヤピラーにて支持してなるゴルフカートにおいて、
前記フロントピラーは左右一対の支柱部材と上下枠部材とより構成し、前記左右一対の支柱部材及び下枠部材には断面コ字状の溝部が形成され、
フロントウインドウパネルを、前記左右一対の支柱部材及び下枠部材における溝部に嵌挿して固定具により固定したことを特徴とするゴルフカート。
【請求項2】
前記フロントピラーにおける下枠部材をフロントカウルの上面の段付き状のピラー受け部に固定具を介して固定したことを特徴とする請求項1に記載のゴルフカート。
【請求項1】
前後輪を設けた機体の前部上面にフロントカウルを設け、機体の後部上面にリヤカウルを設け、
このフロントカウルとリヤカウルの間に搭乗する人の上方を覆うためのルーフパネルをフロントピラー及びリヤピラーにて支持してなるゴルフカートにおいて、
前記フロントピラーは左右一対の支柱部材と上下枠部材とより構成し、前記左右一対の支柱部材及び下枠部材には断面コ字状の溝部が形成され、
フロントウインドウパネルを、前記左右一対の支柱部材及び下枠部材における溝部に嵌挿して固定具により固定したことを特徴とするゴルフカート。
【請求項2】
前記フロントピラーにおける下枠部材をフロントカウルの上面の段付き状のピラー受け部に固定具を介して固定したことを特徴とする請求項1に記載のゴルフカート。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2006−27572(P2006−27572A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−213366(P2004−213366)
【出願日】平成16年7月21日(2004.7.21)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り
【出願人】(396024440)有限会社スガイ総業 (19)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年7月21日(2004.7.21)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り
【出願人】(396024440)有限会社スガイ総業 (19)
【Fターム(参考)】
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