説明

シクロアルコキシ置換4−フェニル−3,5−ジシアノピリジン類およびそれらの使用

本発明は、[式(I)の]新規シクロアルコキシ置換4−フェニル−3,5−ジシアノピリジン誘導体、それらの製造方法、疾患の処置および/または予防のためのそれらの使用、並びに、疾患の処置および/または予防用、好ましくは心血管障害および代謝障害の処置および/または予防用の医薬を製造するためのそれらの使用に関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、新規シクロアルコキシ置換4−フェニル−3,5−ジシアノピリジン誘導体、それらの製造方法、疾患の処置および/または予防のためのそれらの使用、並びに、疾患の処置および/または予防用、好ましくは心血管障害および代謝障害の処置および/または予防用の医薬を製造するためのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンヌクレオシドのアデノシンは、全ての細胞に存在し、多数の生理的および病態生理的刺激により放出される。アデノシンは、アデノシン−5'−一リン酸(AMP)およびS−アデノシルホモシステインの分解における中間体として細胞内で形成されるが、細胞から放出され得、その場合、それは、特異的受容体に結合することにより、ホルモン様物質または神経伝達物質として作用する。
【0003】
正常酸素圧条件下では、細胞外空間の遊離アデノシンの濃度は非常に低い。しかしながら、虚血または低酸素条件下では、冒された器官におけるアデノシンの細胞外濃度は劇的に上昇する。かくして、例えば、アデノシンが血小板凝集を阻害し、冠動脈への血液供給を増加させることが知られている。さらに、それは、血圧に、心拍数に、神経伝達物質の放出に、そしてリンパ球の分化に作用する。脂肪細胞では、アデノシンは、脂肪分解を阻害でき、かくして血中の遊離脂肪酸およびトリグリセリドの濃度を低下させる。
【0004】
これらのアデノシンの作用の目的は、冒された器官の酸素供給を増加させること、および/または、器官の代謝を虚血または低酸素条件下の器官の血液供給に適合させるために、これらの器官の代謝を低下させることである。
【0005】
アデノシンの作用は、特異的受容体により媒介される。今日までに、サブタイプA1、A2a、A2bおよびA3が知られている。本発明によると、「アデノシン受容体選択的リガンド」は、アデノシン受容体の1つまたはそれ以上のサブタイプに選択的に結合し、かくしてアデノシンの作用を模倣する(アデノシンアゴニスト)か、または、その作用を遮断する(アデノシンアンタゴニスト)物質である。
【0006】
これらのアデノシン受容体の作用は、メッセンジャーcAMPにより細胞内で媒介される。アデノシンのA2aまたはA2b受容体への結合の場合、細胞内cAMPは膜に結合したアデニル酸シクラーゼの活性化を介して増加し、一方、アデノシンのA1またはA3受容体への結合は、アデニル酸シクラーゼの阻害を介して細胞内cAMP濃度の低下をもたらす。
【0007】
心血管系では、アデノシン受容体の活性化の主要な結果は:A1受容体を介する徐脈、負の変力作用および虚血に対する心臓の保護(「プレコンディショニング」)、A2aおよびA2b受容体を介する血管の拡張、並びに、A2b受容体を介する線維芽細胞および平滑筋細胞の増殖の阻害である。
【0008】
A1アゴニスト(好ましくはGタンパク質を介して共役する)の場合、細胞内cAMP濃度の低下が観察される(好ましくは、フォルスコリンによるアデニル酸シクラーゼの直接的予刺激の後)。対応して、A2aおよびA2bアゴニスト(好ましくはGタンパク質を介して共役する)は、細胞におけるcAMP濃度の増加を導き、A2aおよびA2bアンタゴニストはその低下を導く。A2受容体の場合、フォルスコリンによるアデニル酸シクラーゼの直接的予刺激には利益がない。
【0009】
ヒトでは、特異的A1アゴニストによるA1受容体の活性化は、血圧に影響を与えずに、頻度依存性の心拍数の低下を導く。従って、選択的A1アゴニストは、とりわけ、狭心症および心房細動の処置に適当であり得る。
【0010】
アデノシンまたは特異的A2bアゴニストによるA2b受容体の活性化は、血管の拡張を介して、血圧の低下を導く。血圧の低下は、心拍数の反映的増加を伴う。心拍数の増加は、特異的A1アゴニストを使用するA1受容体の活性化により低減することができる。
【0011】
選択的A1/A2bアゴニストの血管系および心拍数に対する作用の組合せは、かくして、関連する心拍数の増加を伴わずに、血圧の全身的低下をもたらす。このような薬学的プロフィールを有するデュアルのA1/A2bアゴニストは、例えば、ヒトの高血圧症の処置に用い得る。
【0012】
脂肪細胞では、A1およびA2b受容体の活性化は、脂肪分解の阻害を導く。かくして、A1およびA1/A2bアゴニストの脂肪代謝に対する選択的または複合的作用は、遊離脂肪酸およびトリグリセリドの低下をもたらす。次いで、メタボリックシンドロームおよび糖尿病の患者において、脂質の低下は、インシュリン耐性の低下および症状の改善を導く。
【0013】
上述の受容体選択性は、対応するcDNAの安定的形質移入後に問題の受容体サブタイプを発現する細胞株に対する物質の効果により判定できる[刊行物 M. E. Olah, H. Ren, J. Ostrowski, K. A. Jacobson, G. L. Stiles, "Cloning, expression, and characterization of the unique bovine A1 adenosine receptor. Studies on the ligand binding site by site-directed mutagenesis" in J. Biol. Chem. 267 (1992), pages 10764-10770 を参照、その開示を出典明示により完全に本明細書の一部とする]。
【0014】
かかる細胞株に対する物質の効果は、細胞内メッセンジャーcAMPの生化学的測定により監視できる[刊行物 K. N. Klotz, J. Hessling, J. Hegler, C. Owman, B. Kull, B. B. Fredholm, M. J. Lohse, "Comparative pharmacology of human adenosine receptor subtypes - characterization of stably transfected receptors in CHO cells" in Naunyn Schmiedebergs Arch. Pharmacol. 357 (1998), pages 1-9 を参照、その開示を出典明示により完全に本明細書の一部とする]。
【0015】
文献から知られている「アデノシン受容体特異的」リガンドは、主に、天然アデノシンを基礎とする誘導体である[S.-A. Poulsen and R. J. Quinn, "Adenosine receptors: New opportunities for future drugs" in Bioorganic and Medicinal Chemistry 6 (1998), pages 619-641]。しかしながら、このタイプの構造を有する殆どのアデノシンリガンドには、それらの作用が真に受容体特異的ではなく、それらの活性が天然アデノシンのものより低いか、または経口投与後に非常に弱い活性しか有さないという不利益がある。従って、それらは主に実験目的でのみ使用される。
【0016】
WO01/25210、WO02/070484、WO02/070485およびWO02/079195は、障害の処置用のアデノシン受容体リガンドとして、様々に置換された2−チオ−および2−オキシ−3,5−ジシアノ−4−フェニル−6−アミノピリジン類を記載している。WO03/053441は、特別に置換された2−チオ−3,5−ジシアノ−4−フェニル−6−アミノピリジン類をアデノシンA1受容体の選択的リガンドとして記載し、WO2006/027142は、置換フェニルアミノチアゾール誘導体を、高血圧および他の心血管障害の処置用のデュアルアデノシンA1/A2bアゴニストとして特許請求している。しかしながら、これらの化合物のいくつかは、それらの物理化学的特性、例えば、それらの溶解性および/または製剤化適性(formulatability)に関して、または、それらのインビボ特性、例えば、それらの薬物動態的挙動、それらの用量活性関係およびまたはそれらの代謝に関して、欠点を有することが見出された。
【0017】
さらに、WO01/62233は、様々なピリジンおよびピリミジン誘導体およびアデノシン受容体モジュレーターとしてのそれらの使用を開示している。置換3,5−ジシアノピリジン類は、泌尿器科障害の処置用のカルシウム依存性カリウムチャネル開口薬として、EP1302463−A1で特許請求されている。アンドロゲン受容体モジュレーターとしての2−アミノ−4−アリール−5−シアノピリジン類の使用は、US2005/0182105−A1に記載されている。さらに、WO98/06697は、部分的4−フェノキシピペリジン構造を有する化合物を、認知障害の処置用のムスカリン性アンタゴニストとして開示している。
【0018】
アデノシンA1および/またはA2b受容体の選択的アゴニストとして作用し、それ自体、特に心血管障害、例えば高血圧メタボリックシンドロームの、糖尿病および脂質異常症の処置および/または予防に、また、移植および外科的介入における器官の保護に適し、さらに、先行技術から知られている特性/化合物と比較して、改善された狭心症、心筋梗塞、心不全および心房細動のプロフィールを有する新規化合物を提供することが、本発明の目的であった。
【発明の概要】
【0019】
本発明は、式(I)
【化1】

〔式中、
Aは、CH、CHCH、O、N−R、S、S(=O)またはS(=O)を表し
{式中、Rは、水素、(C−C)−アルキル、(C−C)−アシルまたは(C−C)−アルキルスルホニルを表す
(ここで、アルキル、アシルおよびアルキルスルホニル基は、ヒドロキシル、アミノまたはカルボキシルにより置換されていてもよい)}、
Zは、OまたはSを表し、
は、水素を表し、
は、水素、ヒドロキシル、アミノ、モノ−(C−C)−アルキルアミノまたはジ−(C−C)−アルキルアミノを表すか、
または、
およびRは、それらが結合している炭素原子と一体となって、カルボニル基を形成し、
は、水素、ハロゲン、シアノ、(C−C)−アルキルまたは(C−C)−アルコキシを表し
(ここで、上述のアルキルおよびアルコキシ基は、3個までのフッ素により置換されていてもよい)、
は、式−ORまたは−NR10の基を表し
[式中、Rは、(C−C)−アルキル{これは、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、カルボキシルおよび(C−C)−アルコキシカルボニルからなる群からの同一かまたは異なる置換基により一置換または二置換されていてもよいか、または、3個までのフッ素により置換されていてもよい}を表すか、または、(C−C)−シクロアルキルを表し、
そして、
およびR10は、同一であるかまたは異なり、相互に独立して、水素または(C−C)−アルキル{これは、3個までのフッ素により置換されていてもよいか、または、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、アミノ、モノ−(C−C)−アルキルアミノ、ジ−(C−C)−アルキルアミノ、カルボキシル、(C−C)−アルコキシカルボニルおよび4員ないし7員の複素環からなる群からの同一かまたは異なる置換基により一置換または二置換されていてもよい(ここで、上述の複素環は、N、OおよびSからなる群から1個または2個の環内ヘテロ原子を含有し、(C−C)−アルキル、ヒドロキシル、オキソおよび(C−C)−アルコキシからなる群からの同一かまたは異なる置換基により一置換または二置換されていてもよい)}を表すか、
または、
およびR10は、それらが結合している窒素原子と一体となって、4員ないし7員の複素環{これは、N、OおよびSからなる群からさらなる環内ヘテロ原子を含有してもよく、フッ素、(C−C)−アルキル、ヒドロキシル、オキソ、(C−C)−アルコキシ、アミノ、モノ−(C−C)−アルキルアミノ、ジ−(C−C)−アルキルアミノ、アゼチジノ、ピロリジノ、ピペリジノおよびモルホリノからなる群からの同一かまたは異なる置換基により一置換または二置換されていてもよい}を形成する]、
は、水素または(C−C)−アルキルを表し、
そして、
は、(C−C)−アルキル{これは、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシまたは3個までのフッ素により置換されていてもよい}を表すか、
または、
(C−C10)−アリールまたはN、OおよびSからなる群から3個までの環内ヘテロ原子を有する5員ないし10員のヘテロアリールを表し、これらの環の各々は、
(i)ハロゲン、ニトロ、シアノ、(C−C)−アルキル、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、アミノ、モノ−(C−C)−アルキルアミノ、ジ−(C−C)−アルキルアミノ、(C−C)−アシルアミノ、(C−C)−アルキルスルホニルアミノ、カルボキシル、(C−C)−アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、モノ−(C−C)−アルキルアミノカルボニル、ジ−(C−C)−アルキルアミノカルボニル、アミノスルホニル、モノ−(C−C)−アルキルアミノスルホニルおよびジ−(C−C)−アルキルアミノスルホニルからなる群からの同一かまたは異なるラジカルにより一置換または二置換されていてもよく、
かつ/または、
(ii)ピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノ、ピペラジノ、N'−(C−C)−アルキルピペラジノ、テトラゾリルまたは式−L−R11の基
{式中、Lは、結合、NHまたはOを表し、
11は、フェニルまたはN、OおよびSからなる群から3個までの環内ヘテロ原子を有する5員または6員のヘテロアリールを表し、これらの環の各々は、ハロゲン、ニトロ、シアノ、(C−C)−アルキル、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、アミノ、モノ−(C−C)−アルキルアミノ、ジ−(C−C)−アルキルアミノ、(C−C)−アルコキシカルボニルおよびカルボキシルからなる群からの同一かまたは異なるラジカルにより一置換ないし三置換されていてもよい}
により置換されていてもよい〕
の化合物、または、それらのN−オキシド、塩、溶媒和物、N−オキシドの塩、または、N−オキシドもしくは塩の溶媒和物を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明による化合物は、式(I)の化合物並びにそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物、式(I)に包含され、下記の式で言及される化合物並びにそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物、並びに、式(I)に包含され、例示的実施態様として後述される化合物並びにそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物である(式(I)に包含され、後述される化合物が、既に塩、溶媒和物および塩の溶媒和物ではない場合)。
【0021】
本発明による化合物は、それらの構造に依存して、立体異性体(エナンチオマー、ジアステレオマー)で存在し得る。従って、本発明は、エナンチオマーまたはジアステレオマーおよびそれらの各々の混合物を包含する。立体異性体的に純粋な構成分は、かかるエナンチオマーおよび/またはジアステレオマーの混合物から、既知方法で単離できる。
本発明による化合物が互変異性体で存在できる場合、本発明は全ての互変異性体を包含する。
【0022】
本発明の目的上、好ましいは、本発明による化合物の生理的に許容し得る塩である。また、それら自体は医薬適用に適さないが、例えば、本発明による化合物の単離または精製に使用できる塩も含まれる。
【0023】
本発明による化合物の生理的に許容し得る塩には、鉱酸、カルボン酸およびスルホン酸の酸付加塩、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸および安息香酸の塩が含まれる。
【0024】
本発明による化合物の生理的に許容し得る塩には、また、常套の塩基の塩、例えば、そして好ましくは、アルカリ金属塩(例えばナトリウムおよびカリウム塩)、アルカリ土類金属塩(例えばカルシウムおよびマグネシウム塩)およびアンモニアまたは1個ないし16個の炭素原子を有する有機アミン類(例えば、そして好ましくは、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチルジイソプロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジメチルアミノエタノール、プロカイン、ジベンジルアミン、N−メチルモルホリン、アルギニン、リジン、エチレンジアミンおよびN−メチルピペリジン)から誘導されるアンモニウム塩が含まれる。
【0025】
溶媒和物は、本発明の目的上、固体または液体状態で溶媒分子との配位により錯体を形成している本発明による化合物の形態を表す。水和物は、配位が水と起こる、溶媒和物の特別な形態である。本発明に関して、好ましい溶媒和物は水和物である。
【0026】
加えて、本発明はまた、本発明による化合物のプロドラッグも包含する。用語「プロドラッグ」は、それら自体は生物学的に活性であっても不活性であってもよいが、それらの体内残存時間中に、本発明による化合物に(例えば代謝的または加水分解的に)変換される化合物を包含する。
【0027】
本発明に関して、断りのない限り、置換基は以下の意味を有する:
本発明に関して、(C−C)−アルキルおよび(C−C)−アルキルは、1個ないし6個および1個ないし4個の炭素原子を各々有する直鎖または分枝鎖のアルキルラジカルを表す。好ましいのは、1個ないし4個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキルラジカルである。例えば、そして好ましくは、以下のラジカルに言及し得る:メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、1−エチルプロピル、n−ペンチルおよびn−ヘキシル。
【0028】
本発明に関して、(C−C)−シクロアルキルは、4個ないし6個の環内炭素原子を有する単環式飽和シクロアルキル基を表す。例えば、そして好ましくは、以下のラジカルに言及し得る:シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシル。
【0029】
本発明に関して、(C−C)−アルコキシおよび(C−C)−アルコキシは、1個ないし6個および1個ないし4個の炭素原子を各々有する直鎖または分枝鎖のアルコキシラジカルを表す。好ましいのは、1個ないし4個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルコキシラジカルである。例えば、そして好ましくは、以下のラジカルに言及し得る:メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、tert−ブトキシ、n−ペントキシおよびn−ヘキソキシ。
【0030】
本発明に関して、(C−C)−アルコキシカルボニルおよび(C−C)−アルコキシカルボニルは、カルボニル基を介して結合している、1個ないし6個および1個ないし4個の炭素原子を各々有する直鎖または分枝鎖のアルコキシラジカルを表す。好ましいのは、1個ないし4個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルコキシカルボニルラジカルである。例えば、そして好ましくは、以下のラジカルに言及し得る:メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、n−プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、n−ブトキシカルボニルおよびtert−ブトキシカルボニル。
【0031】
本発明に関して、(C−C)−アシルおよび(C−C)−アシル[(C−C)−アルカノイルおよび(C−C)−アルカノイル]は、二重結合した酸素原子を1位に有し、1位を介して結合している、1個ないし6個および1個ないし4個の炭素原子を各々有する直鎖または分枝鎖のアルキルラジカルを表す。好ましいのは、1個ないし4個の炭素原子を有するアシルラジカルである。例えば、そして好ましくは、以下のラジカルに言及し得る:ホルミル、アセチル、プロピオニル、n−ブチリル、イソブチリル、n−ペンタノイル、ピバロイルおよびn−ヘキサノイル。
【0032】
本発明に関して、(C−C)−アシルアミノは、1個ないし6個の炭素原子を有し、カルボニル基を介して窒素原子に結合している直鎖または分枝鎖のアシル置換基を有するアミノ基を表す。例えば、そして好ましくは、以下のラジカルに言及し得る:ホルミルアミノ、アセチルアミノ、プロピオニルアミノ、n−ブチリルアミノ、イソブチリルアミノおよびピバロイルアミノ。
【0033】
本発明に関して、(C−C)−アルキルスルホニルおよび(C−C)−アルキルスルホニルは、1個ないし6個および1個ないし4個の炭素原子を各々有する直鎖または分枝鎖のアルキルスルホニルラジカルを表す。好ましいのは、1個ないし4個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキルスルホニルラジカルである。例えば、そして好ましくは、以下のラジカルに言及し得る:メチルスルホニル、エチルスルホニル、n−プロピルスルホニル、イソプロピルスルホニル、n−ブチルスルホニルおよびtert−ブチルスルホニル。
【0034】
本発明に関して、(C−C)−アルキルスルホニルアミノは、1個ないし6個の炭素原子を有し、スルホニル基を介して窒素原子に結合している直鎖または分枝鎖のアルキルスルホニル置換基を有するアミノ基を表す。例えば、そして好ましくは、以下のラジカルに言及し得る:メチルスルホニルアミノ、エチルスルホニルアミノ、n−プロピルスルホニルアミノ、イソプロピルスルホニルアミノ、n−ブチルスルホニルアミノおよびtert−ブチルスルホニルアミノ。
【0035】
本発明に関して、モノ−(C−C)−アルキルアミノおよびモノ−(C−C)−アルキルアミノは、1個ないし6個および1個ないし4個の炭素原子を各々有する直鎖または分枝鎖のアルキル置換基を有するアミノ基を表す。好ましいのは、1個ないし4個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のモノアルキルアミノラジカルである。例えば、そして好ましくは、以下のラジカルに言及し得る:メチルアミノ、エチルアミノ、n−プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、n−ブチルアミノ、tert−ブチルアミノ、n−ペンチルアミノおよびn−ヘキシルアミノ。
【0036】
本発明に関して、ジ−(C−C)−アルキルアミノおよびジ−(C−C)−アルキルアミノは、1個ないし6個および1個ないし4個の炭素原子を各々有する2個の同一かまたは異なる直鎖または分枝鎖のアルキル置換基を有するアミノ基を表す。好ましいのは、各場合で1個ないし4個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のジアルキルアミノラジカルである。例えば、そして好ましくは、以下のラジカルに言及し得る:N,N−ジメチルアミノ、N,N−ジエチルアミノ、N−エチル−N−メチルアミノ、N−メチル−N−n−プロピルアミノ、N−イソプロピル−N−n−プロピルアミノ、N,N−ジイソプロピルアミノ、N−n−ブチル−N−メチルアミノ、N−tert−ブチル−N−メチルアミノ、N−エチル−N−n−ペンチルアミノおよびN−n−ヘキシル−N−メチルアミノ。
【0037】
本発明に関して、モノ−またはジ−(C−C)−アルキルアミノカルボニルおよびモノ−またはジ−(C−C)−アルキルアミノカルボニルは、カルボニル基を介して結合しており、1個ないし6個および1個ないし4個の炭素原子を各々有する1個の直鎖または分枝鎖の、または、2個の同一かまたは異なる直鎖または分枝鎖のアルキル置換基を有するアミノ基を表す。好ましいのは、各場合でアルキル基に1個ないし4個の炭素原子を有するモノ−またはジアルキルアミノカルボニルラジカルである。例えば、そして好ましくは、以下のラジカルに言及し得る:メチルアミノカルボニル、エチルアミノカルボニル、n−プロピルアミノカルボニル、イソプロピルアミノカルボニル、n−ブチルアミノカルボニル、tert−ブチルアミノカルボニル、N,N−ジメチルアミノカルボニル、N,N−ジエチルアミノカルボニル、N−エチル−N−メチルアミノカルボニル、N−メチル−N−n−プロピルアミノカルボニル、N−n−ブチル−N−メチルアミノカルボニルおよびN−tert−ブチル−N−メチルアミノカルボニル。
【0038】
本発明に関して、モノ−およびジ−(C−C)−アルキルアミノスルホニルは、スルホニル基を介して結合しており、1個ないし6個の炭素原子を各々有する1個の直鎖または分枝鎖の、または、2個の同一かまたは異なる直鎖または分枝鎖のアルキル置換基を有するアミノ基を表す。例えば、そして好ましくは、以下のラジカルに言及し得る:メチルアミノスルホニル、エチルアミノスルホニル、n−プロピルアミノスルホニル、イソプロピルアミノスルホニル、n−ブチルアミノスルホニル、tert−ブチルアミノスルホニル、N,N−ジメチルアミノスルホニル、N,N−ジエチルアミノスルホニル、N−エチル−N−メチルアミノスルホニル、N−メチル−N−n−プロピルアミノスルホニル、N−n−ブチル−N−メチルアミノスルホニルおよびN−tert−ブチル−N−メチルアミノスルホニル。
【0039】
本発明に関して、(C−C10)−アリールは、6個または10個の環内炭素原子を有する芳香族性炭素環を表す。好ましいアリールラジカルは、フェニルおよびナフチルである。
【0040】
本発明に関して、4員ないし7員の複素環は、N、OおよびSからなる群から1個または2個の環内ヘテロ原子を含む全部で4個ないし7個の環内原子を有し、環内炭素原子を介して、または、必要に応じて環内窒素原子を介して結合している、飽和複素環を表す。好ましいのは、NおよびOからなる群から1個または2個の環内ヘテロ原子を有する4員ないし6員の複素環である。例えば、以下のラジカルに言及し得る:アゼチジニル、オキセタニル、ピロリジニル、ピラゾリジニル、テトラヒドロフラニル、ピペリジニル、ピペラジニル、テトラヒドロピラニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ヘキサヒドロアゼピニルおよびヘキサヒドロ−1,4−ジアゼピニル。アゼチジニル、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、ピペリジニル、ピペラジニル、テトラヒドロピラニルおよびモルホリニルが好ましい。
【0041】
本発明に関して、5員ないし10員のヘテロアリールは、全部で5個ないし10個の環内原子を有し、N、OおよびSからなる群から3個までの同一かまたは異なる環内ヘテロ原子を含み、環内炭素原子を介して、または、必要に応じて環内窒素原子を介して結合している、単環式または場合により二環式の芳香族性複素環(複素芳香族)を表す。例えば、以下のラジカルに言及し得る:フリル、ピロリル、チエニル、ピラゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾトリアゾリル、インドリル、インダゾリル、キノリニル、イソキノリニル、ナフチリジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、フタラジニル、ピラゾロ[3,4−b]ピリジニル。N、OおよびSからなる群から2個までの環内ヘテロ原子を有する単環式の5員または6員のヘテロアリールラジカル、例えば、フリル、チエニル、チアゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、ピラゾリル、イミダゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニルが好ましい。
【0042】
本発明に関して、ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素を含む。好ましいのは、塩素またはフッ素である。
本発明に関して、オキソ基は、二重結合を介して炭素原子に結合している酸素原子を表す。
【0043】
本発明による化合物中のラジカルが置換されているとき、そのラジカルは、断りのない限り、一置換または多置換されていてよい。本発明の目的上、1個より多く存在する全てのラジカルの意味は、相互に独立している。好ましいのは、1個、2個または3個の同一かまたは異なる置換基による置換である。ことさら特に好ましいのは、1個または2個の同一かまたは異なる置換基による置換である。
【0044】
本発明に関して、好ましいのは、式中、
Aが、CH、CHCH、OまたはNHを表し、
Zが、OまたはSを表し、
が、水素を表し、
が、水素、ヒドロキシルまたはアミノを表し、
が、水素、フッ素、塩素、メチルまたはメトキシを表し、
が、式−NR10の基を表し
[式中、Rは、水素を表し、
10は、水素または(C−C)−アルキル{これは、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、アミノ、モノ−(C−C)−アルキルアミノおよびジ−(C−C)−アルキルアミノからなる群からの同一かまたは異なる置換基により一置換または二置換されていてもよい}を表すか、
または、
およびR10は、それらが結合している窒素原子と一体となって、4員ないし6員の複素環{これは、NおよびOからなる群からさらなる環内ヘテロ原子を含有してもよく、(C−C)−アルキル、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、アミノ、モノ−(C−C)−アルキルアミノおよびジ−(C−C)−アルキルアミノからなる群からの同一かまたは異なる置換基により一置換または二置換されていてもよい}を形成する]、
が、水素またはメチルを表し、
そして、
が、フェニルまたはN、OおよびSからなる群から2個までの環内ヘテロ原子を有する5員または6員のヘテロアリールを表し、これらの環の各々は、
(i)フッ素、塩素、シアノ、(C−C)−アルキル、トリフルオロメチル、(C−C)−アルコキシ、アミノ、カルボキシル、(C−C)−アルコキシカルボニル、アミノカルボニルおよびモノ−(C−C)−アルキルアミノカルボニルからなる群からの同一かまたは異なるラジカルにより一置換または二置換されていてもよく、
かつ/または、
(ii)式−L−R11の基
{式中、Lは、結合またはNHを表し、
11は、フェニルまたはピリジルを表し、これらの各々は、フッ素、塩素、シアノ、(C−C)−アルキル、トリフルオロメチル、(C−C)−アルコキシ、トリフルオロメトキシ、(C−C)−アルコキシカルボニルおよびカルボキシルからなる群からの同一かまたは異なるラジカルにより一置換または二置換されていてもよい}
により置換されていてもよい、
式(I)の化合物、または、それらのN−オキシド、塩、溶媒和物、N−オキシドの塩、または、N−オキシドもしくは塩の溶媒和物である。
【0045】
本発明に関して、特に好ましいのは、式中、
Aが、CHまたはOを表し、
Zが、Sを表し、
が、水素を表し、
が、水素またはヒドロキシルを表し、
が、水素またはフッ素を表し、
が、式−NR10の基を表し
{式中、Rは、水素を表し、
10は、水素または(C−C)−アルキル(これは、ヒドロキシルにより一置換または二置換されていてもよい)を表すか、
または、
およびR10は、それらが結合している窒素原子と一体となって、アゼチジノ、ピロリジノまたはピペリジノ環(これらの各々はヒドロキシルにより置換されていてもよい)を形成する}
が、水素を表し、
そして、
が、フェニル、ピリジル、オキサゾリルまたはチアゾリルを表し、これらの各々は、
(i)フッ素、塩素、シアノ、メチル、トリフルオロメチル、アミノ、カルボキシル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、アミノカルボニルおよびメチルアミノカルボニルからなる群からの同一かまたは異なるラジカルにより一置換または二置換されていてもよく、
かつ/または、
(ii)式−L−R11の基
{式中、Lは、結合またはNHを表し、
11は、フェニルを表し、これは、フッ素、塩素、メチル、トリフルオロメチル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニルおよびカルボキシルからなる群からの同一かまたは異なるラジカルにより一置換または二置換されていてもよい}
により置換されていてもよい、
式(I)の化合物、または、それらのN−オキシド、塩、溶媒和物、N−オキシドの塩、または、N−オキシドもしくは塩の溶媒和物である。
【0046】
ラジカルのそれぞれの組合せおよび好ましい組合せにおいて与えられる個々のラジカルの定義は、各々で与えられた問題のラジカルの組合せから独立して、他の組合せのラジカルの定義によっても置き換えられる。
特に好ましいのは、上述の好ましい範囲の2つまたはそれ以上の組合せである。
【0047】
本発明はさらに、RがNHを表す本発明による式(I)の化合物の製造方法を提供し、それは、以下を特徴とする;
[A]式(II)
【化2】

(式中、A、R、R、RおよびZは、各々上記の意味を有する)
の化合物を、不活性溶媒中、塩基の存在下、式(III)
【化3】

(式中、RおよびRは、上記の意味を有し、
Xは、適する脱離基、好ましくは、ハロゲン、特に、塩素、臭素またはヨウ素を表すか、または、メシレート、トシレートまたはトリフレートを表す)
の化合物と反応させるか、
あるいは、ZがOを表す場合、
[B]式(IV−A)
【化4】

(式中、A、R、RおよびRは、各々上記の意味を有する)
の化合物を、不活性溶媒中、塩基の存在下、式(V)
【化5】

(式中、RおよびRは、上記の意味を有する)
の化合物と反応させ、得られる式(I−A)
【化6】

(式中、A、R、R、R、R、RおよびZは、各々上記の意味を有する)
の化合物を、必要に応じて、当業者に知られている方法により、それらのエナンチオマーおよび/またはジアスレテオマーに分離し、かつ/または、必要に応じて、適当な(i)溶媒および/または(ii)塩基もしくは酸を用いて、それらの溶媒和物、塩および/または塩の溶媒和物に変換する。
【0048】
上記の方法は、下記の反応スキームにより例示的に説明できる:
スキーム1
【化7】

【0049】
反応(II)+(III)に適する溶媒は、反応条件下で不活性である全ての有機溶媒である。これらには、アセトンおよびメチルエチルケトンなどのケトン類、ジエチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフランおよびジオキサンなどの環式および非環式エーテル類、酢酸エチルまたは酢酸ブチルなどのエステル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサンおよびシクロヘキサンなどの炭化水素類、ジクロロメタン、トリクロロメタンおよびクロロベンゼンなどの塩化炭化水素類、または、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N−メチルピロリジノン(NMP)、アセトニトリルおよびピリジンなどの他の溶媒である。上述の溶媒の混合物を使用することも可能である。好ましいのは、ジメチルホルムアミドまたはN−メチルピロリジノンを使用することである。
【0050】
この反応に適する塩基は、常套の無機または有機塩基である。これらには、好ましくは、水酸化リチウム、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムまたは炭酸セシウムなどのアルカリ金属炭酸塩、重炭酸ナトリウムまたは重炭酸カリウムなどのアルカリ金属重炭酸塩、ナトリウムメトキシドまたはカリウムメトキシド、ナトリウムエトキシドまたはカリウムエトキシドまたはカリウムtert−ブトキシドなどのアルカリ金属アルコキシド類、ナトリウムアミド、リチウムビス(トリメチルシリル)アミド、ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミドまたはカリウムビス(トリメチルシリル)アミドまたはリチウムジイソプロピルアミドなどのアミド類、ブチルリチウムまたはフェニルリチウムなどの有機金属化合物、または、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)または1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン(DBN)などの有機アミン類が含まれる。好ましいのは、炭酸カリウムおよび重炭酸ナトリウムなどのアルカリ金属炭酸塩およびアルカリ金属重炭酸塩である。
ここで、塩基は、式(II)の化合物1molを基準として、1ないし10mol、好ましくは1ないし5mol、特に1ないし3molの量で用いることができる。
【0051】
反応(II)+(III)は、一般的に、−78℃ないし+150℃の温度範囲で、好ましくは−20℃ないし+120℃の範囲で、特に0℃ないし+80℃(Z=Sについて)で、または、+20℃ないし+100℃(Z=Oについて)で実施する。この反応は、大気圧、加圧または減圧下で実施できる(例えば、0.5ないし5bar)。この反応は、一般的に、大気圧で実施する。
【0052】
反応(IV−A)+(V)に適する不活性溶媒は、特に、ジエチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフランおよびジオキサンなどの環式および非環式エーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサンおよびシクロヘキサンなどの炭化水素類、または、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N−メチルピロリジノン(NMP)およびピリジンなどの両性溶媒である。これらの溶媒の混合物を使用することも可能である。好ましいのは、1,2−ジメトキシエタンの使用である。
【0053】
この反応に適する塩基は、特に、ナトリウムメトキシドまたはカリウムメトキシド、ナトリウムエトキシドまたはカリウムエトキシドまたはナトリウムtert−ブトキシドまたはカリウムtert−ブトキシドなどのアルカリ金属アルコキシド類、ナトリウムアミド、リチウムビス(トリメチルシリル)アミド、ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミドまたはカリウムビス(トリメチルシリル)アミドまたはリチウムジイソプロピルアミドなどのアミド類、または、ブチルリチウムまたはフェニルリチウムなどの有機金属化合物である。好ましいのは、カリウムtert−ブトキシドの使用である。
ここで、塩基は、一般的に、式(V)の化合物1molを基準として1ないし1.25mol、好ましくは等モル量で用いる。
【0054】
反応(IV−A)+(V)は、一般的に、−20℃ないし+120℃の温度範囲で、好ましくは+20℃ないし+100℃で実施する。この反応は、大気圧、加圧または減圧下で実施できる(例えば、0.5ないし5barの範囲)。この反応は、一般的に大気圧で実施する。
【0055】
が基−NR10(ここで、2個のラジカルRおよびR10の少なくとも1個は水素ではない)を表す本発明による式(I)の化合物は、式(I−A)の化合物から、先ず、適する溶媒中、亜硝酸イソアミルを用いて、塩化銅(II)の存在下、または、亜硝酸ナトリウムを用いて、塩酸の存在下、式(VI)
【化8】

(式中、A、R、R、R、R、RおよびZは、各々上記の意味を有する)
の化合物に変換し、次いで、後者を、式(VII)
【化9】

(式中、R9Aは、上記のRの意味を有し、
10Aは、上記のR10の意味を有し、
しかし、2個のラジカルR9AおよびR10Aの少なくとも1個は水素を表さない)
の化合物と反応させ、式(I−B)
【化10】

(式中、A、R、R、R、R、R、R9A、R10AおよびZは、各々上記の意味を有する)
の化合物を得、必要に応じて、式(I−B)の化合物を、当業者に知られている方法により、それらのエナンチオマーおよび/またはジアステレオマーに分離し、かつ/または、必要に応じて、それらを適当な(i)溶媒および/または(ii)塩基もしくは酸と、それらの溶媒和物、塩および/または塩の溶媒和物に変換することにより、製造できる。
【0056】
上記の方法は、下記の反応スキームにより例示説明できる:
スキーム2
【化11】

【0057】
反応(I−A)→(VI)は、一般的に、式(I−A)の化合物1mole当たり、2ないし10molの亜硝酸イソアミルおよび2ないし10molの塩化銅(II)のモル比で実施する;あるいは、この反応は、また、塩酸中の2ないし10モル当量の亜硝酸ナトリウムを使用して実施できる。
【0058】
亜硝酸イソアミル/塩化銅(II)の変法に適する溶媒は、反応条件下で不活性な全ての有機溶媒である。これらには、ジエチルエーテルおよびテトラヒドロフランなどの環式および非環式エーテル類、酢酸エチルまたは酢酸ブチルなどのエステル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサンおよびシクロヘキサンなどの炭化水素類、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタンおよびクロロベンゼンなどの塩化炭化水素類、または、ジメチルホルムアミド、アセトニトリルまたはピリジンなどの他の溶媒が含まれる。上述の溶媒の混合物を使用することも可能である。好ましい溶媒は、アセトニトリルおよびジメチルホルムアミドである。
亜硝酸ナトリウムを使用する場合、用いる溶媒は、好ましくは、必要に応じて上述の有機溶媒の1つと組み合わせた、過剰の塩酸である。
【0059】
この反応は、一般的に、−78℃ないし+150℃の温度範囲で、好ましくは−20℃ないし+100℃の範囲で、特に+0℃ないし+80℃で実施する。この反応は、大気圧、加圧または減圧下で実施できる(例えば、0.5ないし5barの範囲)。この反応は、一般的に大気圧で実施する。
【0060】
反応(VI)+(VII)→(I−B)は、一般的に、式(VI)の化合物1mole当たり、式(VII)の化合物1ないし8molのモル比で実施する。
【0061】
工程(VI)+(VII)→(I−B)に適する溶媒は、反応条件下で不活性な全ての有機溶媒である。これらには、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノールおよびtert−ブタノールなどのアルコール類、アセトンおよびメチルエチルケトンなどのケトン類、ジエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフランおよびジオキサンなどの環式および非環式エーテル、酢酸エチルまたは酢酸ブチルなどのエステル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサンおよびシクロヘキサンなどの炭化水素類、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタンおよびクロロベンゼンなどの塩化炭化水素類、または、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、ピリジンまたはジメチルスルホキシドなどの他の溶媒である。他の適する溶媒は水である。上述の溶媒の混合物を使用することも可能である。好ましい溶媒は、テトラヒドロフランおよびジメチルホルムアミドである。
【0062】
この反応は、一般的に、0℃ないし+180℃の温度範囲で、好ましくは+20℃ないし+150℃の範囲で、特に+20℃ないし+100℃で実施する。この反応は、大気圧、加圧または減圧下で実施できる(例えば、0.5ないし5barの範囲)。この反応は、一般的に大気圧で実施する。
【0063】
同様に、式(IV−A)の化合物を、対応する式(IV−B)
【化12】

(式中、A、R、R、R、R9AおよびR10Aは、各々上記の意味を有する)
の置換化合物に変換することも可能である。
【0064】
ZがSである式(II)の化合物は、文献から知られる方法と同様に、式(VIII)
【化13】

(式中、A、R、RおよびRは、上記の意味を有する)
のアルデヒドを、塩基の存在下、2当量の2−シアノチオアセトアミドと、または、先ずマロノニトリルと、次いで2−シアノチオアセトアミドと反応させることにより、製造できる[スキーム3参照;例えば、Dyachenko et al., Russ. J. Chem. 33 (7), 1014 1017 (1997), 34 (4), 557 563 (1998); Dyachenko et al., Chemistry of Heterocyclic Compounds 34 (2), 188-194 (1998); Qintela et al., Eur. J. Med. Chem. 33, 887-897 (1998); Kandeel et al., Z. Naturforsch. 42b, 107-111 (1987); Reddy et al., J. Med. Chem. 49, 607-615 (2006); Evdokimov et al., Org. Lett. 8, 899-902 (2006) 参照]。
【0065】
スキーム3
【化14】

【0066】
あるいは、ZがSを表す式(II)の化合物は、また、式(IV−A)の化合物から、アルカリ金属硫化物との反応により製造できる。この製造方法を、下記の式のスキームにより例示説明する:
スキーム4
【化15】

【0067】
使用するアルカリ金属硫化物は、好ましくは、式(IV−A)の化合物1モル当たり、1ないし10mol、好ましくは1ないし8mol、特に1ないし5molの量の硫化ナトリウムである。
【0068】
この工程に適する溶媒は、反応条件下で不活性である全ての有機溶媒である。これらには、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノールおよびtert−ブタノールなどのアルコール類、アセトンおよびメチルエチルケトンなどのケトン類、ジエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフランおよびジオキサンなどの環式および非環式エーテル類、酢酸エチルまたは酢酸ブチルなどのエステル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサンおよびシクロヘキサンなどの炭化水素類、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタンおよびクロロベンゼンなどの塩化炭化水素類、または、アセトニトリル、ピリジン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドまたはN−メチルピロリジノンなどの両性溶媒が含まれる。他の適する溶媒は水である。上述の溶媒の混合物を使用することも可能である。好ましい溶媒はジメチルホルムアミドである。
【0069】
この反応は、一般的に、0℃ないし+180℃の温度範囲で、好ましくは+20℃ないし+120℃の範囲で、特に+40℃ないし+100℃で実施する。この反応は、大気圧、加圧または減圧下で実施できる(例えば、0.5ないし5barの範囲)。この反応は、一般的に大気圧で実施する。
【0070】
同様に、式(IV−B)の化合物で出発して、対応する式(IX)
【化16】

(式中、A、R、R、R、R9AおよびR10Aは、各々上記の意味を有する)
のN−置換化合物を得ることが可能である。
【0071】
ZがOを表す式(II)の化合物およびそれらのN−置換誘導体は、式(IV−A)または(IV−B)の化合物から、アルカリ金属水酸化物と加熱することにより得ることができる。この製造方法は、下記の反応スキームにより例示説明される:
スキーム5
【化17】

【0072】
使用するアルカリ金属水酸化物は、好ましくは、過剰の水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムである。適する溶媒は、特に、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノールおよびtert−ブタノールなどのアルコール類およびそれらの水との混合物である。この反応は、一般的に、+20℃ないし+120℃の温度範囲で、好ましくは+50℃ないし+100℃で実施する。
【0073】
一方、式(IV−A)の化合物は、式(VIII)の化合物から、文献に記載の方法と同様に製造できる[例えば、Kambe et al., Synthesis, 531-533 (1981); Elnagdi et al., Z. Naturforsch. 47b, 572-578 (1991); Reddy et al., J. Med. Chem. 49, 607-615 (2006); Evdokimov et al., Org. Lett. 8, 899-902 (2006) 参照]。
【0074】
が基−ORを表す本発明による式(I)の化合物は、例えば、式(VI)の化合物から、反応(VI)+(VII)→(I−B)と同様に得ることができる[スキーム6参照;例えば、D. Mabire et al., J. Med. Chem. 48, 2134-2153 (2005) 参照]:
【0075】
スキーム6
【化18】

【0076】
ZがSを表すような式(I−C)の化合物も、上記の反応順序と同様に、式(VIII)の化合物から、マロノニトリルおよび適当なアルコキシドとの反応、続くN/S変換および式(III)の化合物によるアルキル化により、製造することができる(スキーム7;例えば、US2005/0182105−A1参照):
スキーム7
【化19】

[M=NaまたはK]。
【0077】
さらなる代替的方法では、式(I−C)の化合物は、式(X)の化合物のアルキル化により得ることもできる(スキーム8参照):
スキーム8
【化20】

[Y=脱離基]。
【0078】
一方、式(X)の化合物は、式(VI)または(I−A)の化合物から、文献から知られている方法により、得ることができる[例えば、G. Lavecchia et al., Tetrahedron Lett. 45, 6633-6636 (2004)参照]。
【0079】
式(VIII)の化合物は、文献に記載の方法と同様に、例えば、(A)エポキシドの開環、または、(B)光延条件下でのフェノールエーテル形成により、各場合で式(XI)の4−ヒドロキシベンズアルデヒド類から、製造できる[スキーム9参照;例えば、R. Seemayer et al., Recl. Trav. Chim. Pays-Bas 110, 171 (1991); S. R. Adams et al., J. Am. Chem. Soc. 110, 3212 (1988); S. Matsunaga et al., J. Am. Chem. Soc. 122, 2252 (2000); D. L. Hughes, Org. Prep. Proceed. Int. 28, 127 (1996)参照]:
【0080】
スキーム9
【化21】

【0081】
この方法で得られ、フェノールエーテル頭部基にtrans−β−ヒドロキシル置換基を有する式(VIII−A)の化合物は、文献から知られている方法により、対応するcis−配置の化合物(VIII−C)に変換できる[スキーム10参照;例えば、M. Takahashi et al., Tetrahedron Asymmetry 6, 1617 (1995) 参照]:
【0082】
スキーム10
【化22】

【0083】
式(III)の化合物は、購入できるか、文献から知られているか、または、文献から知られている方法により製造できる。従って、アミド類、チオアミド類またはチオウレア誘導体の1,3−ジハロアセトンとの反応により、例えば、各々式(III−A)、(III−B)および(III−C)の置換オキサゾールおよびチアゾール誘導体を得ることが可能である[スキーム11参照;例えば、I. Simiti et al., Chem. Ber. 95, 2672-2679 (1962); I. Simiti, E. Chindris, Arch. Pharm. (Weinheim) 304, 425-429 (1971) 参照]:
【0084】
スキーム11
【化23】

【0085】
化合物(III−C)の場合、これらは、文献と同様に製造および単離できるか、または、それらは、インサイツ(in situ)で生成でき、式(II)の化合物とさらに直接反応させる。溶媒としてのジメチルホルムアミドまたはエタノール中で1,3−ジクロロアセトンを用いるインサイツ生成が好ましい。
【0086】
式(III)による2,5−二置換オキサゾール誘導体は、例えば下記の反応スキーム12に例示的に記載する通り、文献から知られている方法と同様に製造できる:
スキーム12
【化24】

[例えば、Y. Goto et al., Chem. Pharm. Bull. 1971, 19, 2050-2057 参照]。
【0087】
5位で置換されている式(III)のオキサゾール誘導体は、例えば、対応するオキサゾール−4−カルボン酸エステル(これらは、α−イソシアナトアセテートから、アシル化により得ることができる)の還元および後続のハロゲン化により、得ることができる(スキーム13参照):
スキーム13
【化25】

[例えば、M. Suzuki et al., J. Org. Chem. 1973, 38, 3571-3575 参照]。
【0088】
式(III)による2−アリールオキサゾール誘導体は、スキーム14に例示的に示す通り、パラジウムに触媒されるアリールボロン酸の2−ヨードオキサゾール−4−カルボン酸エステルとのカップリングにより製造することもできる:
スキーム14
【化26】

[例えば、E.A. Krasnokutskaya et al., Synthesis 2007, 1, 81-84; J. Hassan et al., Chem. Rev. 2002, 102, 1359-1469 参照]。
【0089】
式(V)の化合物は、同様に、購入できるか、または、文献から知られているか、または、それらは、文献に記載されている方法と同様に、例えば式(III)の化合物と同様に、製造できる。
式(VII)および(XI)の化合物は、最終的に、購入できるか、文献に記載されているか、常套の方法により製造できる。
【0090】
本発明によるさらなる化合物は、また、必要に応じて、上記の方法で得られる式(I)の化合物から出発して、個々のラジカルおよび置換基の官能基、特に、R、R、RおよびRで列挙したものを変換することにより製造できる。これらの変換は、当業者に知られている常套の方法により実施され、例えば、求核または求電子置換、酸化、還元、水素化、ハロゲン化、アルキル化、アシル化、スルホニル化、アミノ化、ヒドロキシル化、カルボキサミドおよびカルボン酸エステルの形成、エステル開裂およびエーテル化などの反応を含む。
【0091】
個々のラジカルおよび置換基に存在し得る官能基(例えば、特に、アミノ、ヒドロキシルおよびカルボキシル基)は、上記の製造工程において、好都合または必要であれば、一時的な保護形態で存在してもよい。そのような保護基の導入および除去は、これに関して、当業者に知られている常套の方法により行う[例えば、T.W. Greene and P.G.M. Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis, Wiley, New York, 1999; M. Bodanszky and A. Bodanszky, The Practice of Peptide Synthesis, Springer-Verlag, Berlin, 1984 参照]。複数の保護基が存在する場合、除去は、場合により、ワンポット反応で同時に、または、別の反応工程で実施し得る。
【0092】
好ましいアミノ保護基は、tert−ブトキシカルボニル(Boc)、ベンジルオキシカルボニル(Z)またはp−トリルスルホニル(トシル)である。カルボキシル基の保護に適するのは、特に、対応するメチル、エチルまたはtert−ブチルエステルである。ヒドロキシル官能基には、使用する保護基は、好ましくはベンジルまたはシリル基、例えばトリメチルシリル、tert−ブチルジメチルシリルまたはジメチルフェニルシリルである。1,2−または1,3−ジオール基が存在するならば、好ましいのは、一般的な保護基として、アセトンまたはシクロヘキサノン(1,3−ジオキソランまたは1,3−ジオキサン)などの対称なケトンから誘導されるケタールを使用することである。
【0093】
驚くべき事に、本発明による化合物は、予見できない有用な薬理活性スペクトルを有し、従って、障害、特に心血管障害の予防および/または処置に特に適する。
【0094】
先行技術から知られている物質と比較して、本発明による化合物は、改善された特性のプロフィール、例えば、特に、生理的媒体および/または製剤に関連する水性有機溶媒系における高い溶解性を有する。
【0095】
本発明による化合物の薬理活性は、アデノシンA1および/またはA2b受容体の強力な選択的リガンドとしてのそれらの作用により説明できる。ここで、それらは、選択的A1アゴニストとして、選択的A2bアゴニストとして、または選択的デュアルA1/A2bアゴニストとして作用する。
【0096】
本発明に関して、「アデノシンA1および/またはA2b受容体の選択的リガンド」は、第一にA1および/またはA2bアデノシン受容体サブタイプで顕著な活性が、第2にA2aおよびA3アデノシン受容体サブタイプで、全くないか、またはかなり弱い活性(10倍またはそれ以上)が観察できるアデノシン受容体リガンドであり、ここで、活性/選択性の試験方法に関して、セクションB−1に記載の試験を参照する。
【0097】
それらの各々の構造次第で、本発明による化合物は、完全または部分アデノシン受容体アゴニストとして作用できる。ここで、部分アデノシン受容体アゴニストは、完全アゴニストのものよりも弱いアデノシン受容体での機能的応答を引き起こす受容体リガンドとして定義される。従って、部分アゴニストは、受容体の活性化に関して、完全アゴニストよりも低い活性を有する。
【0098】
式(I)の化合物は、単独で、または、1種またはそれ以上の他の活性化合物と組み合わせて、様々な障害、例えば、特に、高血圧症および他の心血管系の障害(心血管障害)の予防および/または処置に、心臓の病変後の心臓の保護に、そして、代謝障害に適する。
【0099】
本発明に関して、心血管系の障害または心血管障害は、高血圧症に加えて、例えば、特に、以下の障害を含むものと理解されるべきである:末梢および心血管の障害、冠動脈心疾患、冠動脈再狭窄、例えば、末梢血管のバルーン拡張術後の再狭窄、急性冠動脈症候群、安定および不安定狭心症、心不全、頻拍症、不整脈、心房および心室細動、並びに、末梢循環の障害。
【0100】
本発明による化合物は、さらに、梗塞により冒された心筋領域の縮小、および、二次梗塞の予防にも特に適する。
【0101】
さらに、本発明による化合物は、血栓塞栓性障害および虚血症、例えば、心筋梗塞、卒中および一過性虚血性発作の予防および/または処置に、並びに、例えば心臓の移植および外科的介入における器官の保護に、特に適する。
【0102】
本発明による化合物を使用し得るさらなる適応症は、例えば、特に、過敏性膀胱(irritable bladder)、勃起不全および女性の性機能不全などの泌尿生殖系の障害の予防および/または処置であるが、加えて、喘息および炎症性皮膚疾患などの炎症性障害、卒中後の症状、アルツハイマー病などの中枢神経系の神経炎症性障害、および、さらに、神経変性障害、並びに、疼痛、新生物性疾患および癌治療に伴う悪心および嘔吐の予防および/または処置でもある。
【0103】
さらなる適応症は、例えば、特に、呼吸器の障害、例えば、喘息、慢性気管支炎、肺気腫、気管支拡張症、嚢胞性線維症(粘液粘稠症(mucoviscidosis))および肺高血圧の予防および/または処置である。
【0104】
最後に、本発明による化合物は、特に、代謝障害、例えば、糖尿病、特に、真性糖尿病、糖尿病の続発症、例えば、腎症および神経障害、メタボリックシンドロームおよび脂質異常症の予防および/または処置にも適する。
【0105】
本発明は、さらに、障害、特に上述の障害の処置および/または予防のための、本発明による化合物の使用を提供する。
本発明は、また、障害、特に上述の障害の処置および/または予防用の医薬を製造するための、本発明による化合物の使用を提供する。
本発明は、また、本発明による化合物の少なくとも1種の有効量を使用する、障害、特に上述の障害の処置および/または予防方法を提供する。
【0106】
本発明による化合物は、単独で、または、必要であれば、他の活性化合物と組み合わせて使用できる。本発明は、さらに、特に上述の障害の処置および/または予防のための、少なくとも1種の本発明による化合物および1種またはそれ以上のさらなる活性化合物を含む医薬を提供する。
【0107】
組み合わせに適する活性化合物は、例えば、そして好ましくは、脂質代謝を改変する活性化合物、抗糖尿病薬、降圧剤、灌流増強および/または抗血栓剤、抗酸化剤、ケモカイン受容体アンタゴニスト、p38−キナーゼ阻害剤、NPYアゴニスト、オレキシンアゴニスト、食欲低下薬、PAF−AH阻害剤、消炎薬(COX阻害剤、LTB−受容体アンタゴニスト)、および、鎮痛薬、例えば、アスピリンである。
【0108】
本発明は、特に、少なくとも1種の本発明による化合物、並びに、少なくとも1種の脂質代謝を調節する活性化合物、抗糖尿病薬、降圧性活性化合物および/または抗血栓剤を含む組合せを提供する。
【0109】
好ましくは、本発明による化合物を、以下の1種またはそれ以上と組み合わせることができる;
・脂質代謝を調節する活性化合物、例えば、そして好ましくは、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤、HMG−CoAレダクターゼ発現阻害剤、スクアレン合成阻害剤、ACAT阻害剤、LDL受容体誘導剤、コレステロール吸収阻害剤、ポリマー性胆汁酸吸着剤(adsorber)、胆汁酸再吸収阻害剤、MTP阻害剤、リパーゼ阻害剤、LpL活性化剤、フィブラート類、ナイアシン、CETP阻害剤、PPAR−α、PPAR−γおよび/またはPPAR−δアゴニスト、RXRモジュレーター、FXRモジュレーター、LXRモジュレーター、甲状腺ホルモンおよび/または甲状腺ホルモン模倣薬(thyroid mimetic)、ATPクエン酸塩リアーゼ阻害剤、Lp(a)アンタゴニスト、カンナビノイド受容体1アンタゴニスト、レプチン受容体アゴニスト、ボンベシン受容体アゴニスト、ヒスタミン受容体アゴニストおよび抗酸化剤/ラジカル捕捉剤の群からのもの;
【0110】
・Roten Liste 2004/II、第12章に記載の抗糖尿病薬、並びに、例えば、そして好ましくは、スルホニルウレア類、ビグアナイド類、メグリチニド(meglitinide)誘導体、グルコシダーゼ阻害剤、オキサジアゾリジノン類、チアゾリジンジオン類、GLP1受容体アゴニスト、グルカゴンアンタゴニスト、インシュリン増感剤、CCK1受容体アゴニスト、レプチン受容体アゴニスト、糖新生および/またはグリコーゲン分解の刺激に関与する肝臓の酵素の阻害剤、グルコース取り込みのモジュレーターおよびカリウムチャネル開口固定薬、例えばWO97/26265およびWO99/03861に開示のものの群からのもの;
【0111】
・降圧性活性化合物、例えば、そして好ましくは、カルシウム拮抗薬、アンジオテンシンAIIアンタゴニスト、ACE阻害剤、ベータ受容体遮断薬、アルファ受容体遮断薬、利尿剤、ホスホジエステラーゼ阻害剤、sGC刺激剤、cGMP濃度を高める物質、アルドステロンアンタゴニスト、ミネラルコルチコイド受容体アンタゴニスト、ECE阻害剤、およびバソペプチダーゼ阻害剤の群からのもの;および/または、
・抗血栓剤、例えば、そして好ましくは、血小板凝集阻害剤または抗凝血剤の群からのもの。
【0112】
脂質代謝を調節する活性化合物は、好ましくは、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤、スクアレン合成阻害剤、ACAT阻害剤、コレステロール吸収阻害剤、MTP阻害剤、リパーゼ阻害剤、甲状腺ホルモンおよび/または甲状腺ホルモン模倣薬、ナイアシン受容体アゴニスト、CETP阻害剤、PPAR−αアゴニスト、PPAR−γアゴニスト、PPAR−δアゴニスト、ポリマー性胆汁酸吸着剤、胆汁酸再吸収阻害剤、抗酸化剤/ラジカル捕捉剤、並びに、カンナビノイド受容体1アンタゴニストの群からの化合物を意味すると理解される。
【0113】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、ロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、ロスバスタチン、セリバスタチンまたはピタバスタチンなどのスタチン類のクラスからのHMG−CoAレダクターゼ阻害剤と組み合わせて投与される。
【0114】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、BMS−188494またはTAK−475などのスクアレン合成阻害剤と組み合わせて投与される。
【0115】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、アバシミブ(avasimibe)、メリナミド、パクチミブ(pactimibe)、エフルシミブ(eflucimibe)またはSMP−797などのACAT阻害剤と組み合わせて投与される。
【0116】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、エゼチミブ、チクエシド(tiqueside)またはパマクエシドなどのコレステロール吸収阻害剤と組み合わせて投与される。
【0117】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、イムプリタピド(implitapide)、BMS−201038、R−103757またはJTT−130などのMTP阻害剤と組み合わせて投与される。
【0118】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、オーリスタットなどのリパーゼ阻害剤と組み合わせて投与される。
【0119】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、D−サイロキシンまたは3,5,3'−トリヨードサイロニン(T3)などの甲状腺ホルモンおよび/または甲状腺ホルモン模倣薬と組み合わせて投与される。
【0120】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、ナイアシン、アシピモックス、アシフラン(acifran)またはラデコール(radecol)などのナイアシン受容体のアゴニストと組み合わせて投与される。
【0121】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、トルセトラピブ、JTT−705、BAY60−5521、BAY78−7499またはCETPワクチン(Avant)などのCETP阻害剤と組み合わせて投与される。
【0122】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、ピオグリタゾンまたはロシグリタゾンなどのPPAR−γアゴニストと組み合わせて投与される。
【0123】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、GW−501516またはBAY68−5042などのPPAR−δアゴニストと組み合わせて投与される。
【0124】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、コレスチラミン、コレスチポール、コレソルバム(colesolvam)、CholestaGel またはコレスチミドなどのポリマー性胆汁酸吸着剤と組み合わせて投与される。
【0125】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、ASBT(=IBAT)阻害剤、例えば、AZD−7806、S−8921、AK−105、BARI−1741、SC−435またはSC−635などの胆汁酸再吸収阻害剤と組み合わせて投与される。
【0126】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、プロブコール、AGI−1067、BO−653またはAEOL−10150などの抗酸化剤/ラジカル捕捉剤と組み合わせて投与される。
【0127】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、リモナバンまたはSR−147778などのカンナビノイド受容体1アンタゴニストと組み合わせて投与される。
【0128】
抗糖尿病薬は、好ましくは、インシュリンおよびインシュリン誘導体並びに経口で有効な低血糖活性化合物を意味すると理解される。ここで、インシュリンおよびインシュリン誘導体には、動物、ヒトまたは生物工学的起源のインシュリンおよびそれらの混合物の両方が含まれる。経口で有効な低血糖活性化合物には、好ましくは、スルホニルウレア類、ビグアナイド類、メグリチニド誘導体、グルコシダーゼ阻害剤およびPPAR−γアゴニストが含まれる。
【0129】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、インシュリンと組み合わせて投与される。
【0130】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、トルブタミド、グリベンクラミド、グリメピリド、グリピジドまたはグリクラジドなどのスルホニルウレアと組み合わせて投与される。
【0131】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、メトホルミンなどのビグアナイドと組み合わせて投与される。
【0132】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、レパグリニドまたはナテグリニドなどのメグリチニド誘導体と組み合わせて投与される。
【0133】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、ミグリトールまたはアカルボースなどのグルコシダーゼ阻害剤と組み合わせて投与される。
【0134】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、ピオグリタゾンまたはロシグリタゾンなどの、チアゾリジンジオン類のクラスからのPPAR−γアゴニストと組み合わせて投与される。
【0135】
降圧剤は、好ましくは、カルシウム拮抗薬、アンジオテンシンAIIアンタゴニスト、ACE阻害剤、ベータ受容体遮断剤、アルファ受容体遮断剤および利尿剤の群からの化合物を意味すると理解される。
【0136】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、ニフェジピン、アムロジピン、ベラパミルまたはジルチアゼムなどのカルシウム拮抗薬と組み合わせて投与される。
【0137】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、ロサルタン、バルサルタン、カンデサルタン、エンブサルタン(embusartan)、オルメサルタンまたはテルミサルタンなどのアンジオテンシンAIIアンタゴニストと組み合わせて投与される。
【0138】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、エナラプリル、カプトプリル、リシノプリル、ラミプリル、デラプリル、ホシノプリル、キノプリル(quinopril)、ペリンドプリルまたはトランドプリル(trandopril)などのACE阻害剤と組み合わせて投与される。
【0139】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、プロプラノロール、アテノロール、チモロール、ピンドロール、アルプレノロール、オクスプレノロール、ペンブトロール、ブプラノロール、メチプラノロール、ナドロール、メピンドロール、カラザロール(carazalol)、ソタロール、メトプロロール、ベタキソロール、セリプロロール、ビソプロロール、カルテオロール、エスモロール、ラベタロール、カルベジロール、アダプロロール、ランジオロール、ネビボロール、エパノロールまたはブシンドロールなどのベータ受容体遮断薬と組み合わせて投与される。
【0140】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、プラゾシンなどのアルファ受容体遮断薬と組み合わせて投与される。
【0141】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、フロセミド、ブメタニド、トルセミド、ベンドロフルメチアジド、クロロチアジド、ヒドロクロロチアジド、ヒドロフルメチアジド、メチクロチアジド、ポリチアジド、トリクロロメチアジド、クロルタリドン、インダパミド、メトラゾン、キネタゾン、アセタゾラミド、ジクロフェナミド、メタゾラミド、グリセロール、イソソルビド、マンニトール、アミロライドまたはトリアムテレンなどの利尿剤と組み合わせて投与される。
【0142】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、レセルピン、クロニジンもしくはアルファ−メチルドーパなどの交感神経抑制薬(antisympathotonic)と組み合わせて、または、ミノキシジル、ジアゾキシド、ジヒドララジンもしくはヒドララジンなどのカリウムチャネルアゴニストと組み合わせて、または、一酸化窒素を放出する物質、例えば、ニトログリセロールまたはニトロプルシドナトリウムと共に、投与される。
【0143】
抗血栓剤は、好ましくは、血小板凝集阻害剤または抗凝血剤の群からの化合物を意味するものと理解される。
【0144】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、アスピリン、クロピドグレル、チクロピジンまたはジピリダモールなどの血小板凝集阻害剤と組み合わせて投与される。
【0145】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、キシメラガトラン、メラガトラン、ビバリルジンまたはクレキサンなどのトロンビン阻害剤と組み合わせて投与される。
【0146】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、チロフィバンまたはアブシキシマブなどのGPIIb/IIIaアンタゴニストと組み合わせて投与される。
【0147】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、リバロキサバン(BAY59−7939)、DU−176b、アピキサバン、オタミキサバン(otamixaban)、フィデキサバン(fidexaban)、ラザキサバン(razaxaban)、フォンダパリヌクス、イドラパリヌクス、PMD−3112、YM−150、KFA−1982、EMD−503982、MCM−17、MLN−1021、DX9065a、DPC906、JTV803、SSR−126512またはSSR−128428などのXa因子阻害剤と組み合わせて投与される。
【0148】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、ヘパリンまたは低分子量(LMW)ヘパリン誘導体と組み合わせて投与される。
【0149】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、クマリンなどのビタミンKアンタゴニストと組み合わせて投与される。
【0150】
本発明は、さらに、少なくとも1種の本発明による化合物を、通常、1種またはそれ以上の不活性、非毒性の医薬的に適する補助剤と共に含む医薬、および、上述の目的のためのそれらの使用を提供する。
【0151】
本発明による化合物は、全身的および/または局所的に作用できる。この目的で、それらを、例えば、経口で、非経腸で、肺に、鼻腔に、舌下に、舌に、頬側に、直腸に、皮膚に、経皮で、結膜に、耳に、または、インプラントもしくはステントとしてなど、適する方法で投与できる。
これらの投与経路のために、本発明による化合物を、適する投与形で投与できる。
【0152】
経口投与に適するのは、先行技術に準じて働き、本発明による化合物を迅速に、かつ/または、改変された形態で放出し、本発明による化合物を結晶形および/または不定形および/または溶解形で含む投与形、例えば、錠剤(非被覆または被覆錠剤、例えば、腸溶性被覆、または、遅れて溶解するか、または不溶であり、本発明による化合物の放出を制御する被覆を有する錠剤)、口腔中で迅速に溶解するフィルム/オブラートまたは錠剤、フィルム/凍結乾燥剤、カプセル剤(例えば、ハードまたはソフトゼラチンカプセル剤)、糖衣錠、顆粒剤、ペレット剤、粉末剤、乳剤、懸濁剤、エアゾル剤または液剤である。
【0153】
非経腸投与は、生体吸収段階を回避して(例えば、静脈内、動脈内、心臓内、脊髄内または腰椎内に)、または、生体吸収を含めて(例えば、筋肉内、皮下、皮内、経皮または腹腔内に)、行い得る。非経腸投与に適する投与形は、とりわけ、液剤、懸濁剤、乳剤、凍結乾燥剤または滅菌粉末剤の形態の注射または点滴用製剤である。
【0154】
他の投与経路に適するのは、例えば、吸入に適する医薬(とりわけ、粉末吸入器、噴霧器)、点鼻薬、液またはスプレー、舌に、舌下にまたは頬側に投与するための錠剤、フィルム/オブラートまたはカプセル剤、坐剤、耳または眼に投与するための製剤、膣用カプセル剤、水性懸濁剤(ローション、振盪混合物)、親油性懸濁剤、軟膏、クリーム、経皮治療システム(例えば、プラスター)、ミルク、ペースト、フォーム、散布用粉末剤(powders for pouring)、インプラントまたはステントである。
好ましいのは、経口または非経腸投与、特に経口および静脈内投与である。
【0155】
本発明による化合物は、上述の投与形に変換できる。これは、不活性、非毒性、医薬的に適する補助剤と混合することにより、それ自体既知の方法で実施できる。これらの補助剤には、とりわけ、担体(例えば、微結晶セルロース、ラクトース、マンニトール)、溶媒(例えば、液体ポリエチレングリコール類)、乳化剤および分散剤または湿潤剤(例えば、ドデシル硫酸ナトリウム、ポリオキシソルビタンオレエート)、結合剤(例えば、ポリビニルピロリドン)、合成および天然ポリマー(例えば、アルブミン)、安定化剤(例えば、アスコルビン酸などの抗酸化剤)、着色料(例えば、酸化鉄などの無機色素)および香味および/または臭気の矯正剤が含まれる。
【0156】
一般に、非経腸投与の場合、約0.001ないし1mg/体重kg、好ましくは約0.01ないし0.5mg/体重kgの量を投与するのが、有効な結果を得るために有利であると判明した。経口投与の場合、投与量は、約0.01ないし100mg/体重kg、好ましくは約0.01ないし20mg/体重kg、ことさら特に好ましくは約0.1ないし10mg/体重kgである。
【0157】
それにも拘わらず、体重、投与経路、活性化合物に対する個体の応答、製剤のタイプおよび投与を行う時間または間隔に応じて、上述の量から逸脱することが必要であり得る。従って、上述の最小量より少なく投与しても十分な場合があり得、一方、上述の上限を超えなければならない場合もある。比較的大量に投与する場合、これらを1日に亘って投与される複数の個別投与量に分割するのが好都合であり得る。
【0158】
下記の実施例は、本発明を例示説明する。本発明は、これらの実施例に限定されない。
下記の試験および実施例における百分率は、断りの無い限り、重量パーセントである;部は、重量部である。液体/液体溶液の溶媒比、希釈比および濃度は、各場合で体積を基準とする。
【実施例】
【0159】
A. 実施例
使用する略号および頭字語:
【表1】

【0160】
HPLC、LC−MSおよびGC−MSの方法:
方法1(HPLC):
装置:Hewlett Packard Series 1050;カラム:Symmetry TM C18 3.9 x 150 mm; 流速: 1.5 ml/分;移動相A:水、移動相B:アセトニトリル;グラジエント:→0.6分10%B→3.8分100%B→5.0分100%B→5.5分10%B;停止時間:6.0分;注入量:10μl;ダイオードアレイ検出器のシグナル:214および254nm。
【0161】
方法2(LC−MS):
MS装置タイプ:Micromass ZQ;HPLC装置タイプ:Waters Alliance 2795;カラム:Merck Chromolith SpeedROD RP-18e 100 mm x 4.6 mm;移動相A:水+50%濃度ギ酸500μl/l、移動相B:アセトニトリル+50%濃度ギ酸500μl/l;グラジエント:0.0分10%B→7.0分95%B→9.0分95%B;オーブン:35℃;流速:0.0分1.0ml/分→7.0分2.0ml/分→9.0分2.0ml/分;UV検出:210nm。
【0162】
方法3(LC−MS):
MS装置タイプ:Micromass ZQ;HPLC装置タイプ:HP 1100 series; UV DAD;カラム:Phenomenex Gemini 3μ 30 mm x 3.00 mm;移動相A:水1l+50%濃度ギ酸0.5ml、移動相B:アセトニトリル1l+50%濃度ギ酸0.5ml;グラジエント:0.0分90%A→2.5分30%A→3.0分5%A→4.5分5%A;流速:0.0分1ml/分→2.5分/3.0分/4.5分2ml/分;オーブン:50℃;UV検出:210nm。
【0163】
方法4(LC−MS):
装置:HPLC Agilent series 1100 を備えた Micromass Quattro LCZ;カラム:Phenomenex Onyx Monolithic C18, 100 mm x 3 mm;移動相A:水1l+50%濃度ギ酸0.5ml、移動相B:アセトニトリル1l+50%濃度ギ酸0.5ml;グラジエント:0.0分90%A→2分65%A→4.5分5%A→6分5%A;流速:2ml/分;オーブン:40℃;UV検出:208−400nm。
【0164】
方法5(LC−MS):
MS装置タイプ:Waters ZQ;HPLC装置タイプ:Waters Alliance 2795;カラム:Merck Chromolith RP-18e, 100 mm x 3 mm;移動相A:水1l+50%濃度ギ酸0.5ml、移動相B:アセトニトリル1l+50%濃度ギ酸0.5ml;グラジエント:0.0分90%A→2分65%A→4.5分5%A→6分5%A;流速:2ml/分;オーブン:40℃;UV検出:210nm。
【0165】
方法6(LC−MS):
装置:HPLC Agilent series 1100 を備えた Micromass Quattro LCZ;カラム:Phenomenex Synergi 2.5μ MAX-RP 100A Mercury 20 mm x 4 mm;移動相A:水1l+50%濃度ギ酸0.5ml、移動相B:アセトニトリル1l+50%濃度ギ酸0.5ml;グラジエント:0.0分90%A→0.1分90%A→3.0分5%A→4.0分5%A→4.1分90%A;流速:2ml/分;オーブン:50℃;UV検出:208−400nm。
【0166】
方法7(LC−MS):
MS装置タイプ:Micromass ZQ;HPLC装置タイプ:Waters Alliance 2795;カラム:Phenomenex Synergi 2.5μ MAX-RP 100A Mercury 20 mm x 4 mm;移動相A:水1l+50%濃度ギ酸0.5ml、移動相B:アセトニトリル1l+50%濃度ギ酸0.5ml;グラジエント:0.0分90%A→0.1分90%A→3.0分5%A→4.0分5%A→4.01分90%A;流速:2ml/分;オーブン:50℃;UV検出:210nm。
【0167】
方法8(LC−MS):
装置:HPLC Agilent series 1100 を備えた Micromass Platform LCZ;カラム:Thermo Hypersil GOLD 3μ 20 mm x 4 mm;移動相A:水1l+50%濃度ギ酸0.5ml、移動相B:アセトニトリル1l+50%濃度ギ酸0.5ml;グラジエント:0.0分100%A→0.2分100%A→2.9分30%A→3.1分10%A→5.5分10%A;流速:0.8ml/分;オーブン:50℃;UV検出:210nm。
【0168】
方法9(LC−MS):
装置:HPLC Agilent series 1100 を備えた Micromass Quattro LCZ;カラム:Phenomenex Synergi 2μ Hydro-RP Mercury 20 mm x 4 mm;移動相A:水1l+50%濃度ギ酸0.5ml、移動相B:アセトニトリル1l+50%濃度ギ酸0.5ml;グラジエント:0.0分90%A→2.5分30%A→3.0分5%A→4.5分5%A;流速:0.0分1ml/分→2.5分/3.0分/4.5分2ml/分;オーブン:50℃;UV検出:208−400nm。
【0169】
方法10(LC−MS):
MS装置タイプ:Micromass ZQ;HPLC装置タイプ:HP 1100 series; UV DAD;カラム:Phenomenex Synergi 2μ Hydro-RP Mercury 20 mm x 4 mm;移動相A:水1l+50%濃度ギ酸0.5ml、移動相B:アセトニトリル1l+50%濃度ギ酸0.5ml;グラジエント:0.0分90%A→2.5分30%A→3.0分5%A→4.5分5%A;流速:0.0分1ml/分→2.5分/3.0分/4.5分2ml/分;オーブン:50℃;UV検出:210nm。
【0170】
方法11(LC−MS):
MS装置タイプ:Micromass ZQ;HPLC装置タイプ:HP 1100 series; UV DAD;カラム:Phenomenex Synergi 2.5μ MAX-RP 100A Mercury 20 mm x 4 mm;移動相A:水1l+50%濃度ギ酸0.5ml、移動相B:アセトニトリル1l+50%濃度ギ酸0.5ml;グラジエント:0.0分90%A→0.1分90%A→3.0分5%A→4.0分5%A→4.1分90%A;流速:2ml/分;オーブン:50℃;UV検出:210nm。
【0171】
方法12(LC−MS):
MS装置タイプ:Micromass ZQ;HPLC装置タイプ:Waters Alliance 2795;カラム:Merck Chromolith SpeedROD RP-18e 100 mm x 4.6 mm;移動相A:水+50%濃度ギ酸500μl/l;移動相B:アセトニトリル+50%濃度ギ酸500μl/l;グラジエント:0.0分10%B→7.0分95%B→9.0分95%B;流速:0.0分1.0ml/分→7.0分2.0ml/分→9.0分2.0ml/分;オーブン:35℃;UV検出:210nm。
【0172】
方法13(LC−MS):
MS装置タイプ:M-40 DCI (NH3);HPLC装置タイプ:DAD 検出を備えた HP 1100;カラム:Kromasil 100 RP-18, 60 mm x 2.1 mm, 3.5 μm;移動相A:HClO(70%濃度)5ml/水1l、移動相B:アセトニトリル;グラジエント:0分2%B→0.5分2%B→4.5分90%B→6.5分90%B→6.7分2%B→7.5分2%B;流速:0.75ml/分;カラム温度:30℃;UV検出:210nm。
【0173】
方法14(LC−MS):
装置:Waters UPLC Acquityを備えたMicromass Quattro Premier;カラム:Thermo Hypersil GOLD 1.9μ 50 mm x 1 mm;移動相A:水1l+50%濃度ギ酸0.5ml、移動相B:アセトニトリル1l+50%濃度ギ酸0.5ml;グラジエント:0.0分90%A→0.1分90%A→1.5分10%A→2.2分10%A;流速:0.33ml/分;オーブン:50℃;UV検出:210nm。
【0174】
方法15(分取HPLC):
HPLC装置タイプ:Abimed/Gilson Pump 305/306; Manometric Module 806; UV Knauer Variable Wavelenght Monitor;カラム:Gromsil C18, 10 nm, 250 mm x 30 mm;移動相A:水1l+99%濃度トリフルオロ酢酸0.5ml、移動相B:アセトニトリル1l;グラジエント:0.0分2%B→10分2%B→50分90%B;流速:20ml/分;体積:A628mlおよびB372ml。
【0175】
方法16(HPLC):
HPLC装置タイプ: DAD 検出を備えたAgilent 1100;カラム:Merck Chromolith SpeedROD RP-18e, 50 mm x 4.6 mm;移動相A:0.05%HPO、移動相B:アセトニトリル;グラジエント:0分5%B→2.5分95%B→3.0分95%B;流速:5ml/分;カラム温度:40℃;UV検出:210nm。
【0176】
方法17(分取HPLC):
カラム:Grom-Sil C18, 10 μm, 250 mm x 30 mm;移動相A:水+0.1%ギ酸、移動相B:アセトニトリル;流速:50ml/分;プログラム:0−5分10%B、5−38分グラジエントで95%Bまで;UV検出:210nm。
【0177】
方法18(分取HPLC):
カラム:YMC GEL ODS-AQ S-5, 15 μm;移動相グラジエント:アセトニトリル/水10:90→95:5。
【0178】
方法19(HPLC):
装置:DAD 検出を備えた HP 1100;カラム:Kromasil 100 RP-18, 60 mm x 2.1 mm, 3.5 μm;移動相A:HClO(70%濃度)5ml/水1l、移動相B:アセトニトリル;グラジエント:0分2%B→0.5分2%B→4.5分90%B→9分90%B→9.2分2%B→10分2%B;流速:0.75ml/分;カラム温度:30℃;UV検出:210nm。
【0179】
方法20(LC−MS):
MS装置タイプ:Waters ZQ;HPLC装置タイプ:Agilent 1100 series; UV DAD;カラム:Thermo Hypersil GOLD 3μ 20 mm x 4 mm;移動相A:水1l+50%濃度ギ酸0.5ml、移動相B:アセトニトリル1l+50%濃度ギ酸0.5ml;グラジエント:0.0分100%A→3.0分10%A→4.0分10%A→4.1分100%A(流速2.5ml/分);流速:2ml/分;オーブン:55℃;UV検出:210nm。
【0180】
方法21(GC−MS):
装置:Micromass GCT, GC 6890;カラム:Restek 室温X-35, 15 m x 200 μm x 0.33 μm; 一定のヘリウム流: 0.88 ml/分;オーブン:70℃;入口:250℃;グラジエント:70℃、30℃/分→310℃(3分間維持)。
【0181】
出発物質および中間体:
実施例1A
rac−trans−4−[(2−ヒドロキシシクロペンチル)オキシ]ベンズアルデヒド
【化27】

シクロペンタンオキシド40ml(38.84g、452.5mmol)およびカリウムtert−ブトキシド3.5g(30.2mmol)を、DMF100ml中の4−ヒドロキシベンズアルデヒド36.85g(301.7mmol)の溶液に添加し、混合物を130℃で4時間撹拌した。次いで、さらに10ml(9.71g、113.1mmol)のシクロペンタンオキシドを添加し、130℃での撹拌をさらに5時間継続した。次いで、DMFの殆どを減圧下で留去し、残渣を酢酸エチルと水に分配した。水相を酢酸エチルで3回再抽出し、合わせた有機相を水および飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した。油性の粗生成物(66.4g、理論値の94%;LC−MSによると純度88%)を、さらに精製せずに反応させた。分析用のサンプルを分取HPLCにより精製した。
LC-MS (方法 3): Rt = 1.81 分; MS (ESIpos): m/z = 207 (M+H)+
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 9.87 (s, 1H); 7.86 (d, 2H); 7.13 (d, 2H); 5.08 (d, 1H); 4.62-4.56 (m, 1H); 4.11-4.04 (m, 1H); 2.23-2.12 (m, 1H); 1.93-1.83 (m, 1H); 1.83-1.50 (m, 4H).
【0182】
実施例2A
rac−trans−4−[2−ヒドロキシシクロヘキシル]オキシ}ベンズアルデヒド
【化28】

表題化合物を、実施例1Aの方法と同様に、4−ヒドロキシベンズアルデヒドおよびシクロヘキセンオキシドから製造した。
収率:理論値の100%(LC−MSによると、純度94%)
LC-MS (方法 3): Rt = 1.8 分; MS (ESIpos): m/z = 221 (M+H)+
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ = 9.95 (s, 1H); 7.82 (d, 2H); 7.15 (d, 2H); 4.98 (d, 1H); 4.22 (br., 1H); 3.55 (br., 1H); 2.05-1.98 (m, 1H); 1.91-1.83 (m, 1H); 1.67-1.48 (m, 2H); 1.40-1.20 (m, 4H).
【0183】
実施例3A
rac−trans−4−{[4−ヒドロキシテトラヒドロフラン−3−イル]オキシ}ベンズアルデヒド
【化29】

4−ヒドロキシベンズアルデヒド6.00g(49.1mmol)を、先ず、DMF16mlに加え、3,4−エポキシテトラヒドロフラン6.34g(73.7mmol)およびカリウムtert−ブトキシド551mg(4.91mmol)を添加し、混合物をアルゴン下に120℃で20時間撹拌した。次いで、反応混合物を水200mlに撹拌し、得られた懸濁液を酢酸エチル300mlで抽出した。有機相を水および飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。移動相ジクロロメタン/メタノール(100:1)を使用して、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィーした。
収率:4.10g(理論値の40%)
LC-MS (方法 9): Rt = 1.32 分; MS (ESIpos): m/z = 209 [M+H]+
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 9.89 (s, 1H); 7.89 (d, 2H); 7.18 (d, 2H); 5.57 (d, 1H); 4.81 (d, 1H); 4.24 (br. t, 1H); 4.09 (dd, 1H); 3.93 (dd, 1H); 3.80 (d, 1H); 3.61 (dd, 1H).
【0184】
実施例4A
rac−trans−4−{[4−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}テトラヒドロフラン−3−イル]オキシ}ベンズアルデヒド
【化30】

実施例3Aの化合物4.10g(19.7mmol)を、先ず、ジクロロメタン80mlに加え、tert−ブチルジメチルクロロシラン3.26g(21.7mmol)、トリエチルアミン3.02ml(21.7mmol)および4−N,N−ジメチルアミノピリジン96.2mg(0.79mmol)を添加し、混合物を室温で2日間撹拌した。次いで、溶媒を減圧下で留去し、残渣をシクロヘキサン100mlに懸濁した。沈殿を濾過し、濾液を濃縮し、移動相シクロヘキサン/酢酸エチル(9:1)を使用して残渣をシリカゲルクロマトグラフィーした。
収率:2.31g(理論値の36%)
LC-MS (方法 2): Rt = 2.87 分; MS (ESIpos): m/z = 323 [M+H]+
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 9.89 (s, 1H); 7.89 (d, 2H); 7.14 (d, 2H); 4.87 (d, 1H); 4.41 (br. t, 1H); 4.09 (dd, 1H); 4.01 (dd, 1H); 3.79 (d, 1H); 3.54 (dd, 1H); 0.88 (s, 9H); 0.09 (s, 3H); 0.07 (s, 3H).
【0185】
実施例5A
rac−cis−2−(4−ホルミルフェノキシ)シクロペンチル4−ニトロベンゾエート
【化31】

約10℃で、ジイソプロピルアゾジカルボキシレート6.3ml(30mmol)を、THF50ml中の実施例1Aの化合物6.84g(27.2mmol)およびトリフェニルホスフィン7.85g(30mmol)の溶液に滴下して添加した。半量添加した後、先ず4−ニトロ安息香酸1g(6mmol)を添加し、添加終了後に、さらに4g(24mmol)の4−ニトロ安息香酸を添加し、混合物を室温で終夜撹拌した。次いで、さらに6.4g(24mmol)のトリフェニルホスフィンおよび5.2ml(24.7mmol)のジイソプロピルアゾジカルボキシレートを添加し、混合物を室温でさらに一晩撹拌した。次いで、混合物を減圧下で濃縮し、黄色残渣を得た。最初にトルエン/酢酸エチル(10:1)を、次いでイソヘキサン/酢酸エチル(4:1)を移動相として用いて、この残渣をシリカゲルで2回クロマトグラフィーし、表題化合物1.33g(理論値の14%)を固体として得た。
LC-MS (方法 3): Rt = 2.71 分; MS (ESIpos): m/z = 356 [M+H]+
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 9.8 (s, 1H); 8.28 (d, 2H); 8.02 (d, 2H); 7.78 (d, 2H); 7.11 (d, 2H); 5.50 (m, 1H); 5.11 (m, 1H); 2.25-2.11 (m, 2H); 1.97-1.83 (m, 3H); 1.76-1.62 (m, 1H).
【0186】
実施例6A
rac−cis−4−{[−2−ヒドロキシシクロペンチル]オキシ}ベンズアルデヒド
【化32】

メタノール中の30%濃度ナトリウムメトキシド溶液1.5mlを、メタノール33ml中の実施例5Aの化合物1.33g(3.74mmol)の溶液に添加し、混合物を室温で終夜静置した。次いで、混合物を濃縮し、残渣を酢酸エチルと水に分配し、水相を酢酸エチルでもう2回抽出した。合わせた有機相を飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、暗色の油状物(555mg)を得た。分取HPLCにより精製し、表題化合物206mg(理論値の27%)を得た。
LC-MS (方法 3): Rt = 1.85 分; MS (ESIpos): m/z = 207 (M+H)+
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 9.86 (s, 1H); 7.84 (d, 2H); 7.13 (d, 2H); 4.71 (d, 1H); 4.71-4.62 (m, 1H); 4.19-4.10 (m, 1H); 2.08-1.94 (m, 1H); 1.88-1.60 (m, 4H); 1.60-1.46 (m, 4H).
【0187】
実施例7A
rac−4−(テトラヒドロフラン−3−イルオキシ)ベンズアルデヒド
【化33】

4−ヒドロキシベンズアルデヒド3.00g(24.6mmol)、3−ヒドロキシテトラヒドロフラン2.16g(24.6mmol)およびトリフェニルホスフィン9.67g(36.8mmol)を、THF100mlに溶解し、トルエン中の40%濃度ジエチルアゾジカルボキシレート溶液16.0g(36.8mmol)を少しずつ15分間かけて添加した。溶液を還流下で4時間加熱した。冷却後に酢酸エチルを添加し、混合物を0.5N水酸化ナトリウム水溶液および飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濃縮した。移動相シクロヘキサン/酢酸エチル(7:3)を使用して、残渣をシリカゲルでクロマトグラフィーした。
収率:1.80g(理論値の38%)
LC-MS (方法 8): Rt = 2.81 分; MS (ESIpos): m/z = 193 (M+H)+
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 9.87 (s, 1H); 7.87 (d, 2H); 7.12 (d, 2H); 5.17 (t, 1H); 3.92 (dd, 1H); 3.88-3.74 (m, 3H); 2.29 (m, 1H); 1.99 (m, 1H).
【0188】
実施例8A
rac−3−メトキシ−4−(テトラヒドロフラン−3−イルオキシ)ベンズアルデヒド
【化34】

実施例7Aの方法と同様に、バニリン10.0g(65.7mmol)から、表題化合物5.57g(理論値の38%)を得た。
LC-MS (方法 3): Rt = 1.53 分; MS (ESIpos): m/z = 223 (M+H)+.
【0189】
実施例9A
rac−3−フルオロ−4−(テトラヒドロフラン−3−イルオキシ)ベンズアルデヒド
【化35】

実施例7Aの方法と同様に、3−フルオロ−4−ヒドロキシベンズアルデヒド5.15g(36.7mmol)から、表題化合物1.61g(理論値の21%)を得た。
GC-MS (方法 21): Rt = 5.95 分; MS (CIpos): m/z = 211 (M+H)+.
【0190】
実施例10A
rac−tert−ブチル3−(4−ホルミルフェノキシ)ピロリジン−1−カルボキシレート
【化36】

4−ヒドロキシベンズアルデヒド2.00g(16.4mmol)、tert−ブチル3−ヒドロキシピロリジン−1−カルボキシレート3.07g(16.4mmol)およびトリフェニルホスフィン6.44g(24.6mmol)を、THF67mlに溶解し、トルエン中の40%濃度ジエチルアゾジカルボキシレート溶液10.7g(24.6mmol)を少しずつ15分間かけて添加した。溶液を還流下で2時間加熱し、次いで濃縮し、移動相シクロヘキサン/酢酸エチル(7:3)を使用して残渣をシリカゲルでクロマトグラフィーした。
収率:1.89g(理論値の38%)
LC-MS (方法 3): Rt = 2.44 分; MS (ESIpos): m/z = 292 (M+H)+
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 9.88 (s, 1H); 7.87 (d, 2H); 7.15 (d, 2H); 5.16 (br., 1H); 3.60 (m, 1H); 3.47-3.29 (m, 3H); 2.19 (m, 1H); 2.08 (m, 1H).
【0191】
実施例11A
rac−trans−4−({4−ヒドロキシ−1−[(4−メチルフェニル)スルホニル]ピロリジン−3−イル}オキシ)ベンズアルデヒド
【化37】

4−ヒドロキシベンズアルデヒド1.00g(8.19mmol)を、先ず、DMF2.7mlに加え、3−[(4−メチルフェニル)スルホニル]−6−オキサ−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン[D.M. Hodgson, T.J. Miles, J. Witherington, Tetrahedron 59 (49), 9729-9742 (2003)]2.74g(11.5mmol)およびカリウムtert−ブトキシド91.9mg(0.82mmol)を添加し、混合物をアルゴン下に130℃で7時間撹拌した。次いで、反応混合物を水50mlに撹拌し、50℃で1時間撹拌した。形成された沈殿を濾過し、水で洗浄し、乾燥させ、さらに精製せずに反応させた。
収率:3.01g(LC−MSによると、純度87%、理論値の88%)
LC-MS (方法 3): Rt = 1.32 分; MS (ESIpos): m/z = 323 [M+H]+.
【0192】
実施例12A
rac−trans−4−(2−ヒドロキシシクロペンチル)オキシベンジリデンマロノニトリル
【化38】

実施例1Aの化合物5.0g(21.8mmol)を、エタノール45mlに溶解し、マロノニトリル1.44g(21.8mmol)および4−メチルモルホリン48.0μl(0.436mmol)を添加し、混合物を還流下で3時間加熱した。次いで、溶媒を減圧下で留去した。ガラス棒でスクラッチ(scratching)した後、残渣が凝固し、それをさらに精製せずに処理した。
収率:6.35g(LC−MSによると、純度81%、理論値の93%)
LC-MS (方法 10): Rt = 2.37 分; MS (ESIpos): m/z = 255 [M+H]+
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 8.41 (s, 1H); 7.98 (d, 2H); 7.20 (d, 2H); 5.12 (d, 1H); 4.63-4.59 (m, 1H); 4.08 (br., 1H); 2.22-2.12 (m, 1H); 1.93-1.82 (m, 1H); 1.82-1.50 (m, 1H).
【0193】
実施例13A
rac−trans−4−(2−ヒドロキシシクロヘキシル)オキシベンジリデンマロノニトリル
【化39】

表題化合物を、実施例12Aの方法と同様に、実施例2Aの化合物から製造した。
収率:理論値の92%(粗生成物、LC−MSによると純度92%)
LC-MS (方法 10): Rt = 2.43 分; MS (ESIpos): m/z = 269 [M+H]+.
【0194】
実施例14A
rac−trans−(4−{[4−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}テトラヒドロフラン−3−イル]オキシ}ベンジリデン)マロノニトリル
【化40】

実施例4Aの化合物2.25g(6.98mmol)を、エタノール20mlに溶解し、マロノニトリル484mg(7.33mmol)および4−メチルモルホリン15.0μl(0.14mmol)を添加し、混合物を還流下で3時間加熱した。溶媒を減圧下で留去し、残渣をさらに精製せずにさらに直接処理した。
収率:2.49g(理論値の96%)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 8.41 (s, 1H); 7.98 (d, 2H); 7.19 (d, 2H); 4.89 (d, 1H); 4.41 (br. t, 1H); 4.09 (dd, 1H); 4.01 (dd, 1H); 3.78 (d, 1H); 3.53 (dd, 1H); 0.88 (s, 9H); 0.08 (s, 3H); 0.07 (s, 3H).
【0195】
実施例15A
rac−trans−(4−{[4−ヒドロキシテトラヒドロフラン−3−イル]オキシ}ベンジリデン)マロノニトリル
【化41】

実施例3Aの化合物4.00g(19.21mmol)をエタノール60mlに溶解し、マロノニトリル1.33g(20.17mmol)および4−メチルモルホリン42μl(0.384mmol)を添加し、混合物を還流下で3時間加熱した。次いで、反応溶液を後処理せずに直接使用した。
【0196】
実施例16A
rac−cis−(4−{[−2−ヒドロキシシクロペンチル]オキシ}ベンジリデン)マロノニトリル
【化42】

実施例6Aの化合物195mg(0.364mmol)を、エタノール3mlに溶解し、マロノニトリル12mg(0.18mmol)および4−メチルモルホリン4μl(0.036mmol)を添加し、混合物を還流下で1時間加熱した。次いで、もう2回、さらに12mg(0.18mmol)のマロノニトリルおよび4μl(0.036mmol)の4−メチルモルホリンを添加し、各場合で混合物を還流下でさらに4時間加熱した。次いで、混合物を減圧下で乾燥するまで濃縮し、残渣を分取HPLCにより精製した。
収率:55mg(LC−MSによると純度74%、理論値の59%)
LC-MS (方法 3): Rt = 2.16 分; MS (ESIpos): m/z = 255 [M+H]+.
【0197】
実施例17A
rac−[4−(テトラヒドロフラン−3−イルオキシ)ベンジリデン]マロノニトリル
【化43】

実施例7Aの化合物1.60g(8.32mmol)を、エタノール24mlに溶解し、マロノニトリル0.58mg(8.74mmol)および4−メチルモルホリン92μl(0.83mmol)を添加し、混合物を還流下で2時間加熱した。次いで、反応溶液を後処理せずに直接使用した。
【0198】
実施例18A
tert−ブチル3−[4−(2,2−ジシアノビニル)フェノキシ]ピロリジン−1−カルボキシレート
【化44】

実施例10Aの化合物1.80g(6.18mmol)を、エタノール18mlに溶解し、マロノニトリル0.43g(6.49mmol)および4−メチルモルホリン68μl(0.62mmol)を添加し、混合物を還流下で1時間加熱した。次いで、反応溶液を後処理せずに直接使用した。
【0199】
実施例19A
rac−trans−2−アミノ−4−(4−{[−2−ヒドロキシシクロペンチル]オキシ}フェニル)−6−メルカプトピリジン−3,5−ジカルボニトリル
【化45】

N−メチルモルホリン2.5ml(23mmol)を、エタノール32ml中の実施例12Aの化合物2.9g(11mmol)および2−シアノチオアセトアミド0.65g(5.5mmol)に添加し、混合物を還流下で3時間加熱した。次いで、さらに0.53g(4.5mmol)の2−シアノチオアセトアミドを添加し、混合物を還流下でさらに1時間加熱し、次いで、2N塩酸11.4mlを添加し、混合物を室温で1時間撹拌し、減圧下で濃縮し、茶色の油状物を得た(7g)。この残渣6.5gを、移動相ジクロロメタンおよびジクロロメタン/メタノール(0.5%から10%へ)を使用して、シリカゲルでクロマトグラフィーした。これにより、生成物含有画分の濃縮後、1.33g(理論値の34%)を得た。ジクロロメタン/メチルtert−ブチルエーテルでトリチュレートし、純粋な表題化合物580mg(理論値の14%)を固体として得た。
LC-MS (方法 2): Rt = 1.60 分; MS (ESIpos): m/z = 353 [M+H]+
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ = 13.10-12.85 (br., 1H); 8.20-7.60 (br., 2H); 7.46 (d, 2H); 7.10 (d, 2H); 5.05 (br., 1H); 4.57-4.51 (m, 1H); 4.12-4.06 (m, 1H); 2.21-2.11 (m, 1H); 1.93-1.82 (m, 1H); 1.81-1.60 (m, 3H); 1.60-1.51 (m, 1H).
【0200】
実施例20A
rac−trans−2−アミノ−4−(4−{[−2−ヒドロキシシクロヘキシル]オキシ}フェニル)−6−メルカプトピリジン−3,5−ジカルボニトリル
【化46】

表題化合物を、実施例19Aの方法と同様に、実施例13Aの化合物から得た。精製は、希水酸化ナトリウム水溶液中の2N塩酸で処理した後に得られた残渣の溶解、酢酸エチルでの抽出、希塩酸による水相の酸性化、および、酢酸エチルによるさらなる抽出によった。第2の酢酸エチル相を濃縮し、残渣を高真空下で乾燥させた。この粗生成物を、さらに精製せずに次の段階に使用した。
収率:理論値の69%(LC−MSによると純度79%)
LC-MS (方法 9): Rt = 2.01 分; MS (ESIpos): m/z = 367 [M+H]+
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 13.05-12.85 (br. s, 1H); 8.20-7.60 (br. s, 2H); 7.43 (d, 2H); 7.12 (d, 2H); 4.95 (br. d, 1H); 4.15 (br. m, 1H); 3.60-3.45 (br., 1H); 2.05 (m, 1H); 1.90 (m, 1H); 1.63 (m, 2H); 1.44-1.20 (m, 4H).
【0201】
実施例21A
rac−trans−2−アミノ−4−(4−{[4−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}テトラヒドロフラン−3−イル]オキシ}フェニル)−6−メルカプトピリジン−3,5−ジカルボニトリル
【化47】

2−シアノチオアセトアミド54.1mg(0.54mmol)および4−メチルモルホリン59.0μl(0.54mmol)を、エタノール3.0ml中の実施例14Aの化合物100mg(0.27mmol)の溶液に添加し、混合物を還流下で18時間加熱した。次いで、1N塩酸6mlを反応混合物に添加した。得られた沈殿をデカンタし、残渣を水で洗浄し、分取HPLC(カラム:YMC GEL ODS-AQ S-5, 15 μm;移動相グラジエント:アセトニトリル/水10:90→95:5)により精製した。
収率:20mg(LC−MSによると、純度85%、理論値の13%)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 12.9 (br. s, 1H); 8.10-7.60 (br. s, 2H); 7.48 (d, 2H); 7.11 (d, 2H); 4.81 (d, 1H); 4.41 (br. t, 1H); 4.09 (dd, 1H); 4.01 (dd, 1H); 3.79 (d, 1H); 3.55 (dd, 1H); 0.88 (s, 9H); 0.09 (s, 3H); 0.07 (s, 3H).
LC-MS (方法 2): Rt = 2.52 分; MS (ESIpos): m/z = 469 [M+H]+.
【0202】
実施例22A
rac−trans−2−アミノ−4−(4−{[4−ヒドロキシテトラヒドロフラン−3−イル]オキシ}フェニル)−6−メルカプトピリジン−3,5−ジカルボニトリル
【化48】

実施例15Aの化合物4.92g(19.2mmol)を、エタノール60mlに溶解し、2−シアノチオアセトアミド2.11g(21.1mmol)および4−メチルモルホリン2.32ml(21.1mmol)を添加し、混合物を還流下で18時間加熱した。次いで、溶媒を減圧下で留去し、残渣をさらに精製せずに直接処理した。
収率:8.30g(LC−MSによると純度50%、理論値の64%)
LC-MS (方法 9): Rt = 1.45 分; MS (ESIpos): m/z = 355 [M+H]+.
【0203】
実施例23A
rac−cis−2−アミノ−4−(4−{[−2−ヒドロキシシクロペンチル]オキシ}フェニル)−6−メルカプトピリジン−3,5−ジカルボニトリル
【化49】

エタノール0.5ml中の実施例16Aの化合物55mg(純度74%、0.16mmol)、2−シアノチオアセトアミド9mg(0.09mmol)および4−メチルモルホリン37μl(0.34mmol)を、還流下で1.5時間加熱した。次いで、さらに4mg(0.04mmol)の2−シアノチオアセトアミドおよび20μlの4−メチルモルホリンを添加し、混合物を還流下でさらに1.5時間加熱した。次いで、反応溶液を後処理せずに直接使用した。
LC-MS (方法 9): Rt = 1.71 分; MS (ESIpos): m/z = 353 [M+H]+.
【0204】
実施例24A
rac−2−アミノ−6−メルカプト−4−[4−(テトラヒドロフラン−3−イルオキシ)フェニル]ピリジン−3,5−ジカルボニトリル
【化50】

2−シアノチオアセトアミド0.92g(9.15mmol)および4−メチルモルホリン0.92ml(8.32mmol)を、実施例17Aで得られた反応溶液に添加し、混合物を還流下で18時間加熱した。形成された沈殿を濾過し、少量のエタノールで洗浄し、乾燥させた。
収率:0.68g(理論値の22%)
LC-MS (方法 20): Rt = 1.65 分; MS (ESIpos): m/z = 339 [M+H]+
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 12.9 (br. s, 1H); 8.15-7.60 (br. s, 2H); 7.48 (d, 2H); 7.09 (d, 2H); 3.96-3.75 (m, 4H); 2.28 (m, 1H); 2.00 (m, 1H).
【0205】
実施例25A
rac−2−アミノ−4−[3−メトキシ−4−(テトラヒドロフラン−3−イルオキシ)フェニル]−6−スルファニルピリジン−3,5−ジカルボニトリル
【化51】

実施例8Aの化合物5.50g(24.7mmol)を、エタノール120mlに溶解し、2−シアノチオアセトアミド4.96g(49.5mmol)および4−メチルモルホリン5.44ml(49.5mmol)を添加し、混合物を還流下で3時間加熱した。冷却後、形成された沈殿を濾過し、濾液から溶媒を減圧下で除去し、残渣を酢酸エチル100mlおよび1N塩酸100mlに懸濁し、混合物を10分間超音波処理した。固体を濾過し、水およびジエチルエーテルで洗浄し、乾燥させた。
収率:1.71g(理論値の19%)
LC-MS (方法 3): Rt = 1.65 分; MS (ESIpos): m/z = 368 [M+H]+.
【0206】
実施例26A
rac−2−アミノ−4−[3−フルオロ−4−(テトラヒドロフラン−3−イルオキシ)フェニル]−6−スルファニルピリジン−3,5−ジカルボニトリル
【化52】

実施例9Aの化合物1.60g(7.61mmol)を、エタノール37mlに溶解し、2−シアノチオアセトアミド1.52g(15.2mmol)および4−メチルモルホリン1.67ml(15.2mmol)を添加し、混合物を還流下で3時間加熱した。冷却後、ジエチルエーテルを添加し、沈殿を濾過し、ジエチルエーテルで洗浄し、乾燥させた。
収率:0.68g(理論値の23%)
LC-MS (方法 3): Rt = 1.79 分; MS (ESIpos): m/z = 356 [M+H]+.
【0207】
実施例27A
tert−ブチル3−[4−(2−アミノ−3,5−ジシアノ−6−メルカプトピリジン−4−イル)フェノキシ]ピロリジン−1−カルボキシレート
【化53】

2−シアノチオアセトアミド0.68g(6.78mmol)および4−メチルモルホリン0.69ml(6.17mmol)を、実施例18Aで得られた反応溶液に添加し、混合物を還流下で18時間加熱した。次いで、溶媒を減圧下で留去し、残渣をさらに精製せずに直接処理した。
収率:3.12g(LC−MSによると純度51%、理論値の59%)
LC-MS (方法 3): Rt = 2.34 分; MS (ESIpos): m/z = 438 [M+H]+.
【0208】
実施例28A
rac−trans−2−アミノ−4−[4−({4−ヒドロキシ−1−[(4−メチルフェニル)スルホニル]ピロリジン−3−イル}オキシ)フェニル]−6−メルカプトピリジン−3,5−ジカルボニトリル
【化54】

実施例11Aの化合物3.00g(8.30mmol)を、エタノール86mlに溶解し、2−シアノチオアセトアミド1.66g(16.6mmol)および4−メチルモルホリン1.82ml(16.6mmol)を添加し、混合物を還流下で3時間撹拌した。次いで、混合物を1N塩酸150mlに撹拌し、混合物を室温で1時間撹拌し、次いで、沈殿を濾過し、酢酸エチルに取る。水性の母液を酢酸エチルで抽出し、合わせた有機相を飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濃縮した。移動相ジクロロメタン/メタノール(50:1)を使用して残渣をシリカゲルでクロマトグラフィーした。これにより、3つの生成物含有画分を得、これらをさらに精製せずに反応させた:
画分1:2.00g(LC−MSによると純度24%、理論値の11%);
画分2:0.27g(LC−MSによると純度29%、理論値の1.8%);
画分3:1.12g(LC−MSによると純度71%、理論値の19%)。
LC-MS (方法 5): Rt = 2.78 分; MS (ESIpos): m/z = 508 [M+H]+.
【0209】
実施例29A
tert−ブチル3−{4−[2−アミノ−6−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}チオ)−3,5−ジシアノピリジン−4−イル]フェノキシ}ピロリジン−1−カルボキシレート
【化55】

実施例27Aの化合物500mg(0.58mmol)および4−(クロロメチル)−2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール156mg(0.64mmol)を、DMF5.8mlに溶解し、重炭酸ナトリウム107mg(1.28mmol)を添加し、混合物を50℃で1時間撹拌した。次いで、混合物を分取HPLC(カラム:YMC GEL ODS-AQ S-5, 15 μm;移動相グラジエント:アセトニトリル/水10:90→95:5)により直接精製した。
収率:175mg(理論値の47%)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 8.35-7.95 (br. s, 2H), 7.95 (d, 2H); 7.92 (s, 1H); 7.57 (d, 2H); 7.49 (d, 2H); 7.11 (d, 2H); 5.10 (br., 1H); 4.63 (s, 2H); 3.60 (m, 1H); 3.48-3.31 (m, 3H); 2.18 (m, 1H); 2.08 (m, 1H); 1.40 (s, 9H).
LC-MS (方法 3): Rt = 1.40 分; MS (ESIpos): m/z = 646 [M+H]+.
【0210】
実施例30A
rac−trans−2−クロロ−6−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}スルファニル)−4−(4−{[4−ヒドロキシテトラヒドロフラン−3−イル]オキシ}フェニル)ピリジン−3,5−ジカルボニトリル
【化56】

実施例24の化合物521mg(0.93mmol)を、37%濃度の塩酸10mlに溶解した。0℃で、亜硫酸ナトリウム192mg(2.78mmol)を混合物に添加した。混合物を先ず0℃で1時間撹拌し、次いで室温で終夜撹拌した。反応混合物を分取HPLC(カラム:Reprosil C18, 10 μm;移動相A:水、移動相B:アセトニトリル;グラジエント:0.0分10%B→30分95%B→34分95%B→34.01分10%B→38分10%B;流速:50ml/分)により直接精製した。
収率:406mg(理論値の75%)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 7.95 (d, 2H); 7.75 (s, 1H); 7.64 (d, 2H); 7.57 (d, 2H); 7.23 (d, 2H); 4.79-4.75 (m, 3H); 4.25 (m, 1H); 4.08 (dd, 1H); 3.94 (dd, 1H); 3.87-3.70 (m, 2H); 3.60 (dd, 1H).
LC-MS (方法 3): Rt = 3.01 分; MS (ESIpos): m/z = 581 [M+H]+.
【0211】
実施例31A
rac−3−[({6−クロロ−3,5−ジシアノ−4−[4−(テトラヒドロフラン−3−イルオキシ)フェニル]ピリジン−2−イル}スルファニル)メチル]ベンズアミド
【化57】

アルゴン下、実施例43の化合物0.78g(1.65mmol)および塩化銅(I)0.44g(3.30mmol)を、先ず、アセトニトリル40mlに加え、亜硝酸イソペンチル0.44ml(3.30mmol)を添加し、混合物を60℃で4時間撹拌した。冷却後、1N塩酸3.3mlおよび水30mlを添加し、混合物を酢酸エチルで抽出した。有機相を水および飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒をロータリーエバポレーターで除去した。得られた粗生成物を分取HPLC(カラム:YMC GEL ODS-AQ S-5, 15 μm;移動相グラジエント:アセトニトリル/水10:90→95:5)により精製した。
収率:0.19g(理論値の22%)
LC-MS (方法 3): Rt = 2.33 分; MS (ESIpos): m/z = 490 [M+H]+.
【0212】
下表の化合物は、各引用文献の方法により製造した:
【表2】

【0213】
実施例36A
4−(クロロメチル)−N−メチルピリジン−2−カルボキサミド塩酸塩
【化58】

実施例32Aの化合物10g(45.32mmol)を、ジクロロメタン160mlに懸濁し、0℃に冷却した。塩化チオニル16.18g(135.96mmol)の添加後、反応混合物を室温に温め、室温で終夜撹拌した。次いで、混合物を蒸発させ、残渣を高真空下で乾燥させた。
収率:10g(定量的)
LC-MS (方法 14): Rt = 0.71 分; MS (ESIpos): m/z = 185 [M+H]+
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 8.85-8.78 (m, 1H); 8.65 (d, 1H); 8.10 (s, 1H); 7.64 (d, 1H); 4.90 (s, 2H); 2.83 (d, 3H).
【0214】
実施例37A
2−(4−クロロフェニル)−4,5−ジメチル−1,3−オキサゾール3−オキシド
【化59】

ジアセチルモノオキシム1.00g(9.89mmol)および4−クロロベンズアルデヒド1.53g(10.88mmol)を、先ず、氷酢酸2ml(34.94mmol)に加えた。次いで、反応混合物を氷浴で冷却しながら、塩化水素ガスを30分間導入した。次いで、ジエチルエーテル10mlを反応混合物に添加した。沈殿が形成された。この沈殿を吸引濾過し、各場合で2mlのジエチルエーテルで2回洗浄した。沈殿を水約5mlに再懸濁し、アンモニアを使用して懸濁液を塩基性にした。次いで、混合物を各場合で10mlのジクロロメタンで4回抽出した。合わせた有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒をロータリーエバポレーターで除去した。残渣をさらに精製せずに次の反応に使用した。
収率:1.85g(理論値の84%)
LC-MS (方法 5): Rt = 2.29 分; MS (ESIpos): m/z = 224 [M+H]+.
【0215】
実施例38A
4−(クロロメチル)−2−(4−クロロフェニル)−5−メチル−1,3−オキサゾール
【化60】

実施例37Aの化合物1.00g(4.47mmol)を、先ず、クロロホルム15mlに加え、塩化ホスホリル1.5ml(16.10mmol)を注意深く添加した。撹拌しながら、反応混合物を還流で30分間加熱した。次いで、混合物を0℃に冷却し、アンモニアの添加によりわずかに塩基性にした。次いで、混合物を各場合で酢酸エチル20mlで3回抽出した。合わせた有機相を各場合で水5mlで2回洗浄し、次いで硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒をロータリーエバポレーターで除去した。残渣をさらに精製せずに次の段階に使用した。
収率:1.33g(理論値の96%、純度78%)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 7.95 (d, 2H); 7.60 (d, 2H); 4.77 (s, 2H); 2.44 (s, 3H).
LC-MS (方法 3): Rt = 2.80 分; MS (ESIpos): m/z = 242 [M+H]+.
【0216】
実施例39A
rac−trans−2−アミノ−4−(4−{[4−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}テトラヒドロフラン−3−イル]オキシ}フェニル)−6−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}チオ)ピリジン−3,5−ジカルボニトリル
【化61】

実施例21Aの化合物190mg(0.34mmol)および4−(クロロメチル)−2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール91.5mg(0.38mmol)をDMF3.4mlに溶解し、炭酸カリウム94.1mg(0.68mmol)を添加し、混合物を50℃で1時間撹拌した。次いで、混合物を分取HPLC(カラム:YMC GEL ODS-AQ S-5, 15 μm;移動相グラジエント:アセトニトリル/水10:90→95:5)により直接精製した。
収率:196mg(理論値の85%)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 8.30-7.90 (br. s, 2H); 7.96 (s, 1H); 7.92 (d, 2H); 7.50 (d, 2H); 4.81 (d, 1H); 4.64 (s, 2H); 4.41 (br. t, 1H); 4.09 (dd, 1H); 4.01 (dd, 1H); 3.79 (d, 1H); 3.54 (dd, 1H); 0.88 (s, 9H); 0.08 (s, 3H); 0.06 (s, 3H).
HPLC (方法 19): Rt = 6.33 分; MS (ESIpos): m/z = 676 [M+H]+.
【0217】
実施例40A
rac−trans−2−アミノ−6−(ベンジルチオ)−4−[4−({4−ヒドロキシ−1−[(4−メチルフェニル)スルホニル]ピロリジン−3−イル}オキシ)フェニル]ピリジン−3,5−ジカルボニトリル
【化62】

2.00g(1.14mmol)の実施例28Aの生成物画分1を、臭化ベンジル0.21g(1.26mmol)と共に、DMF11.4mlに溶解し、炭酸カリウム0.35g(2.51mmol)を添加し、混合物を室温で1時間撹拌した。次いで、混合物を分取HPLC(カラム:YMC GEL ODS-AQ S-5, 15 μm;移動相グラジエント:アセトニトリル/水10:90→95:5)により直接精製した。これにより、標的化合物270mg(LC−MSによると純度90%、理論値の36%)を得、その50mgをさらなる分取HPLCにより再精製した。これにより、純粋な表題化合物32mg(理論値の4.5%)を得た。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 8.35-7.95 (br. s, 2H); 7.61 (d, 2H); 7.51 (d, 2H); 7.42 (d, 2H); 7.39-7.26 (m, 5H); 6.78 (d, 2H); 5.60 (d, 1H); 4.63 (d, 1H); 4.50 (s, 2H); 4.15 (br. t, 1H); 3.59 (dd, 1H); 3.40-3.30 (m, 2H); 3.18 (m, 1H); 2.40 (s, 3H).
LC-MS (方法 20): Rt = 2.55 分; MS (ESIpos): m/z = 598 [M+H]+.
【0218】
実施例41A
2−アミノ−6−(フェニルスルファニル)−4−[4−(テトラヒドロフラン−3−イルオキシ)フェニル]ピリジン−3,5−ジカルボニトリル
【化63】

実施例7Aの化合物7.0g(36.4mmol)、マロノニトリル4.81g(72.8mmol)およびチオフェノール4.0g(36.4mmol)を、先ず、エタノール65mlに加え、トリエチルアミン0.1mlを添加し、混合物を還流下で終夜撹拌した。形成された沈殿を濾過し、少量の冷エタノールで洗浄し、減圧下で乾燥させた。
収率:6.28g(理論値の41%)
LC-MS (方法 3): Rt = 2.51 分; MS (ESIpos): m/z = 415 [M+H]+.
【0219】
実施例42Aおよび実施例43A
ent−[4−(テトラヒドロフラン−3−イルオキシ)フェニル]メタノール
【化64】

実施例7Aの化合物20g(104.049mmol)を、THF350mlに溶解し、0℃で、THF中の1M水素化リチウムアルミニウム溶液83ml(83.239mmol)を滴下して添加した。0℃で1時間撹拌した後、酢酸エチル260ml、水10ml、1N水酸化ナトリウム水溶液10mlおよびさらに水21mlを連続的に添加した。沈殿を濾過し、濾液をロータリーエバポレーターで濃縮した。表題化合物を、残渣のキラル相での分取HPLCにより、エナンチオマーに分離した[カラム:Daicel Chiralpak AS-H, 250 mm x 20 mm;移動相:イソヘキサン/イソプロパノール70:30(v/v);流速:15ml/分;温度:30℃;UV検出:220nm]:
【0220】
実施例42A(エナンチオマー1):
収率:9.9g(化学的純度65%、理論値の32%、>99%ee)
=7.60分
[カラム:Daicel Chiralpak AS-H, 250 mm x 4.6 mm;移動相:イソヘキサン/イソプロパノール70:30(v/v);流速:1ml/分;温度:35℃;UV検出:220nm]
LC-MS (方法 3): Rt = 1.22 分; MS (ESIpos): m/z = 177 [M-H2O+H]+.
【0221】
実施例43A(エナンチオマー2):
収率:8.8g(化学的純度65%、理論値の28%、>98%ee)
=8.77分
[カラム:Daicel Chiralpak AS-H, 250 mm x 4.6 mm;移動相:イソヘキサン/イソプロパノール70:30(v/v);流速:1ml/分;温度:35℃;UV検出:220nm]
LC-MS (方法 3): Rt = 1.22 分; MS (ESIpos): m/z = 177 [M-H2O+H]+.
【0222】
実施例44A
ent−4−(テトラヒドロフラン−3−イルオキシ)ベンズアルデヒド
【化65】

実施例42Aの化合物(エナンチオマー1)9.9g(純度65%、33.13mmol)を、メタノール85mlに溶解し、二酸化マンガン23.042g(265.043mmol)を添加した。混合物を40℃で終夜撹拌した。次いで、シリカゲルを通して反応混合物を濾過し、濾液を濃縮し、残渣をシリカゲルでクロマトグラフィーした(移動相:ジクロロメタン/THF、先ず40:1、次いで20:1)。
収率:5.74g(純度87%、理論値の78%)
LC-MS (方法 14): Rt = 0.84 分; MS (ESIpos): m/z = 193 [M+H]+.
【0223】
実施例45A
ent−2−アミノ−6−メルカプト−4−[4−(テトラヒドロフラン−3−イルオキシ)フェニル]ピリジン−3,5−ジカルボニトリル
【化66】

実施例44Aの化合物6.275g(32.645mmol)、2−シアノチオアセトアミド6.538g(65.291mmol)および4−メチルモルホリン6.604g(65.291mmol)を、エタノール80mlに溶解した。反応混合物を還流下で4時間撹拌し、次いで0℃に冷却した。沈殿した固体を吸引濾過し、少量の氷冷エタノールで洗浄し、高真空下で乾燥させた。
収率:2.72g(理論値の25%)
LC-MS (方法 3): Rt = 1.69 分; MS (ESIpos): m/z = 339 [M+H]+.
【0224】
実施例:
実施例1
rac−trans−2−アミノ−4−(4−{[−2−ヒドロキシシクロペンチル]オキシ}フェニル)−6−[(ピリジン−3−イルメチル)チオ]ピリジン−3,5−ジカルボニトリル
【化67】

DMF2ml中の実施例19Aの化合物200mg(0.568mmol)の溶液を、3−クロロメチルピリジン塩酸塩107mg(0.624mmol)および炭酸カリウム157mg(1.135mmol)と共に、50℃で終夜撹拌した。5N酢酸0.7mlの添加後、反応混合物を分取HPLCにより直接精製した。
収率:174mg(理論値の69%)
LC-MS (方法 9): Rt = 1.84 分; MS (ESIpos): m/z = 444 [M+H]+
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 8.78 (d, 1H); 8.48-8.41 (m, 1H); 8.41-7.70 (br. s, 2H); 7.97-7.90 (m, 1H); 7.45 (d, 2H); 7.38-7.30 (m, 1H); 7.08 (d, 2H); 5.03 (d, 1H); 4.56-4.44 (m, 3H); 4.12-4.04 (m, 1H); 2.22-2.09 (m, 1H); 1.93-1.82 (m, 1H); 1.83-1.59 (m, 3H); 1.59-1.50 (m, 1H).
【0225】
下表の化合物は、実施例1の方法と同様に、記載した出発物質および適切なアルキル化成分から製造した。アルキル化成分は、購入できるか、以前に記載されたか、または、当業者に知られている常套の方法により製造できる。
【表3】

【0226】
【表4】

【0227】
【表5】

【0228】
【表6】

【0229】
【表7】

【0230】
実施例20および実施例21
ent−trans−2−アミノ−6−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}スルファニル)−4−(4−{[2−ヒドロキシシクロヘキシル]オキシ}フェニル)ピリジン−3,5−ジカルボニトリル
【化68】

キラル相の分取HPLCにより、実施例11の化合物をエナンチオマーに分離した[装置タイプ:DAD検出を備えた Agilent 1100;カラム:Daicel Chiralpak AD-H, 5 μm, 250 mm x 20 mm;移動相:イソヘキサン/メタノール/イソプロパノール(3:1:1);流速:20ml/分;温度:24℃;UV検出:250nm]:
【0231】
実施例20(エナンチオマー1):
=5.305分
[カラム:Daicel Chiralpak AD-H, 5 μm, 250 mm x 4 mm;移動相:イソヘキサン/メタノール/イソプロパノール(4:1:1);流速:1.5ml/分;温度:30℃;UV検出:290nm]
実施例21(エナンチオマー2):
=6.441分
[カラム:Daicel Chiralpak AD-H, 5 μm, 250 mm x 4 mm;移動相:イソヘキサン/メタノール/イソプロパノール(4:1:1);流速:1.5ml/分;温度:30℃;UV検出:290nm]
【0232】
実施例22および実施例23
ent−trans−2−アミノ−6−[(2−シアノベンジル)スルファニル]−4−(4−{[2−ヒドロキシシクロヘキシル]オキシ}フェニル)ピリジン−3,5−ジカルボニトリル
【化69】

キラル相の分取HPLCにより、実施例12の化合物をエナンチオマーに分離した[装置タイプ:DAD 検出を備えた Agilent 1100;カラム:Daicel Chiralcel OD-H, 5 μm, 250 mm x 20 mm;移動相:イソヘキサン/エタノール(65:35);流速:20ml/分;温度:24℃;UV検出:220nm]:
【0233】
実施例22(エナンチオマー1):
=13.416分
[カラム:Daicel Chiralpak AD-H, 5 μm, 250 mm x 4 mm;移動相:イソヘキサン/エタノール(3:2);流速:1.0ml/分;温度:30℃;UV検出:290nm]
実施例23(エナンチオマー2):
=15.233分
[カラム:Daicel Chiralpak AD-H, 5 μm, 250 mm x 4 mm;移動相:イソヘキサン/エタノール(3:2);流速:1.0ml/分;温度:30℃;UV検出:290nm]
【0234】
実施例24
rac−trans−2−アミノ−6−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}チオ)−4−(4−{[4−ヒドロキシテトラヒドロフラン−3−イル]オキシ}フェニル)ピリジン−3,5−ジカルボニトリル
【化70】

実施例39Aの化合物170mg(0.25mmol)を、THF2.5mlに溶解し、THF中の1Mテトラ−n−ブチルアンモニウムフロリド溶液0.5mlを添加した。反応混合物を室温で1時間撹拌した。次いで、混合物を水20mlに撹拌し、酢酸エチル20mlで抽出した。有機相を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。
収率:131mg(理論値の93%)
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ = 8.45-7.90 (br. s, 1H); 7.95 (d, 2H); 7.92 (s, 1H); 7.57 (d, 2H); 7.50 (d, 2H); 7.15 (d, 2H); 5.54 (d, 1H); 4.74 (d, 1H); 4.64 (s, 2H); 4.24 (br. t, 1H); 4.08 (dd, 1H); 3.93 (dd, 1H); 3.80 (d, 1H); 3.60 (dd, 1H).
HPLC (方法 19): Rt = 4.90 分; MS (DCI/NH3): m/z = 562 [M+H]+.
【0235】
実施例25および実施例26
ent−trans−2−アミノ−6−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}チオ)−4−(4−{[4−ヒドロキシテトラヒドロフラン−3−イル]オキシ}フェニル)ピリジン−3,5−ジカルボニトリル
【化71】

キラル相の分取HPLCにより、実施例24の化合物をエナンチオマーに分離した[装置タイプ:DAD 検出を備えたAgilent 1100;カラム:Daicel Chiralpak AD-H, 5 μm, 250 mm x 20 mm;移動相:イソヘキサン/イソプロパノール(7:3);流速:15ml/分;温度:24℃;UV検出:290nm]:
【0236】
実施例25(エナンチオマー1):
=12.41分
[カラム:Daicel Chiralpak AD-H, 5 μm, 250 mm x 4 mm;移動相:イソヘキサン/イソプロパノール(7:3);流速:1.0ml/分;温度:30℃;UV検出:290nm]
実施例26(エナンチオマー2):
=14.49分
[カラム:Daicel Chiralpak AD-H, 5 μm, 250 mm x 4 mm;移動相:イソヘキサン/イソプロパノール(7:3);流速:1.0ml/分;温度:30℃;UV検出:290nm]
【0237】
実施例27
rac−trans−2−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}スルファニル)−6−(3−ヒドロキシアゼチジン−1−イル)−4−(4−{[4−ヒドロキシテトラヒドロフラン−3−イル]オキシ}フェニル)ピリジン−3,5−ジカルボニトリル
【化72】

実施例30Aの化合物415mg(0.71mmol)を、THF10mlに溶解し、3−ヒドロキシアゼチジン塩酸塩156mg(1.43mmol)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン185mg(1.43mmol)を添加し、混合物を室温で終夜撹拌した。反応混合物を分取HPLCにより直接精製した(カラム:Reprosil C18, 10 μm;移動相A:水、移動相B:アセトニトリル;グラジエント:0.0分10%B→30分95%B→34分95%B→34.01分10%B→38分10%B;流速:50ml/分)
収率:183mg(理論値の41%)
LC-MS (方法 3): Rt = 2.67 分; MS (ESIpos): m/z = 618 [M+H]+.
【0238】
実施例28および実施例29
ent−trans−2−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}スルファニル)−6−(3−ヒドロキシアゼチジン−1−イル)−4−(4−{[4−ヒドロキシテトラヒドロフラン−3−イル]オキシ}フェニル)ピリジン−3,5−ジカルボニトリル
【化73】

キラル相の分取HPLCにより、実施例27の化合物をエナンチオマーに分離した[カラム:Chiralpak IC, 250 mm x 20 mm;移動相:メチルtert−ブチルエーテル/アセトニトリル(7:3);流速:15ml/分;温度:30℃;UV検出:220nm]:
【0239】
実施例28(エナンチオマー1):
=6.01分
[カラム:Chiralpak IC, 250 mm x 4.6 mm;移動相:メチルtert−ブチルエーテル/アセトニトリル(7:3);流速:1.0ml/分;温度:25℃;UV検出:220nm]
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 7.95 (d, 2H); 7.68 (s, 1H); 7.57 (d, 2H); 7.49 (d, 2H); 7.15 (d, 2H); 5.88 (d, 1H); 5.54 (d, 1H); 4.74 (d, 1H); 4.71-4.54 (m, 5H); 4.24 (br. s, 1H); 4.16 (br. d, 2H); 4.08 (dd, 1H); 3.93 (dd, 1H); 3.79 (d, 1H); 3.60 (dd, 1H).
実施例29(エナンチオマー2):
=7.46分.
[カラム:Chiralpak IC, 250 mm x 4.6 mm;移動相:メチルtert−ブチルエーテル/アセトニトリル(7:3);流速:1.0ml/分;温度:25℃;UV検出:220nm]
【0240】
実施例30
rac−trans−2−アミノ−4−(4−{[4−ヒドロキシテトラヒドロフラン−3−イル]オキシ}フェニル)−6−[(ピリジン−3−イルメチル)チオ]ピリジン−3,5−ジカルボニトリル
【化74】

実施例22Aの粗生成物300mg(0.42mmol)および3−ピコリルクロリド塩酸塩76.4mg(0.47mmol)を、DMF4.2mlに溶解し、炭酸カリウム128mg(0.93mmol)を添加し、混合物を50℃で1時間撹拌した。混合物を分取HPLC(方法18)により直接精製した。さらなる精製のために、移動相ジクロロメタン/メタノール(50:1)を使用して、生成物をもう一度シリカゲルでクロマトグラフィーした。
収率:45mg(理論値の23%)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 8.78 (s, 1H); 8.45 (d, 1H); 8.40-7.90 (br. s, 2H); 7.95 (d, 1H); 7.50 (d, 2H); 7.34 (dd, 1H); 7.14 (dd, 2H); 5.54 (d, 1H); 4.74 (d, 1H); 4.49 (s, 2H); 4.23 (br. t, 1H); 4.08 (dd, 1H); 3.92 (dd, 1H); 3.80 (d, 1H); 3.60 (dd, 1H).
LC-MS (方法 2): Rt = 1.41 分; MS (ESIpos): m/z = 445 [M+H]+.
【0241】
実施例31
rac−trans−2−アミノ−4−(4−{[4−ヒドロキシテトラヒドロフラン−3−イル]オキシ}フェニル)−6−[(ピリジン−2−イルメチル)チオ]ピリジン−3,5−ジカルボニトリル
【化75】

実施例30の方法と同様に、適当な出発物質から表題化合物を製造した。
収率:理論値の53%
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 8.53 (d, 1H); 8.40-7.90 (br. s, 2H); 7.76 (dt, 1H); 7.65 (d, 1H); 7.50 (dd, 1H); 7.29 (t, 1H); 7.15 (dd, 2H); 5.54 (d, 1H); 4.75 (d, 1H); 4.61 (s, 2H); 4.24 (br. t, 1H); 4.08 (dd, 1H); 3.93 (dd, 1H); 3.80 (d, 1H); 3.60 (dd, 1H).
LC-MS (方法 3): Rt = 1.86 分; MS (ESIpos): m/z = 445 [M+H]+.
【0242】
実施例32および実施例33
ent−trans−2−アミノ−4−(4−{[4−ヒドロキシテトラヒドロフラン−3−イル]オキシ}フェニル)−6−[(ピリジン−2−イルメチル)チオ]ピリジン−3,5−ジカルボニトリル
【化76】

キラル相の分取HPLCにより、実施例31の化合物をエナンチオマーに分離した[装置タイプ:DAD検出を備えた Agilent 1100;カラム:Daicel Chiralpak AD-H, 5 μm, 250 mm x 20 mm;移動相:イソヘキサン/エタノール(3:2);流速:20ml/分;温度:24℃;UV検出:290nm]:
【0243】
実施例32(エナンチオマー1):
=14.12分
[カラム:Daicel Chiralpak AD-H, 5 μm, 250 mm x 4 mm;移動相:イソヘキサン/エタノール(3:2);流速:1.0ml/分;温度:30℃;UV検出:290nm].
実施例33(エナンチオマー2):
=21.40分
[カラム:Daicel Chiralpak AD-H, 5 μm, 250 mm x 4 mm;移動相:イソヘキサン/エタノール(3:2);流速:1.0ml/分;温度:30℃;UV検出:290nm]
【0244】
実施例34
rac−trans−2−アミノ−6−[({2−[(4−フルオロフェニル)アミノ]−1,3−チアゾール−4−イル}メチル)チオ]−4−(4−{[4−ヒドロキシテトラヒドロフラン−3−イル]オキシ}フェニル)ピリジン−3,5−ジカルボニトリル
【化77】

表題化合物を、実施例30の方法と同様に、出発物質22Aおよび35Aから製造した。
収率:理論値の42%
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 10.2 (s, 1H); 8.30-7.90 (br. s, 2H); 7.62 (dd, 2H); 7.50 (d, 2H); 7.14 (m, 4H); 6.97 (s, 1H); 5.54 (d, 1H); 4.75 (d, 1H); 4.45 (s, 2H); 4.24 (br. t, 1H); 4.08 (dd, 1H); 3.93 (dd, 1H); 3.80 (d, 1H); 3.60 (dd, 1H).
LC-MS (方法 3): Rt = 2.47 分; MS (ESIpos): m/z = 560 [M+H]+.
【0245】
実施例35および実施例36
ent−trans−2−アミノ−6−[({2−[(4−フルオロフェニル)アミノ]−1,3−チアゾール−4−イル}メチル)チオ]−4−(4−{[4−ヒドロキシテトラヒドロフラン−3−イル]オキシ}フェニル)ピリジン−3,5−ジカルボニトリル
【化78】

キラル相の分取HPLCにより、実施例34の化合物をエナンチオマーに分離した[装置タイプ:DAD検出を備えたAgilent 1100;カラム:Daicel Chiralpak AD-H, 5 μm, 250 mm x 20 mm;移動相:イソヘキサン/イソプロパノール(3:2);流速:20ml/分;温度:24℃;UV検出:290nm]:
【0246】
実施例35(エナンチオマー1):
=21.42分
[カラム:Daicel Chiralpak AD-H, 5 μm, 250 mm x 4 mm;移動相:イソヘキサン/エタノール(3:2);流速:1.0ml/分;温度:30℃;UV検出:290nm].
実施例36(エナンチオマー2):
=28.31分
[カラム:Daicel Chiralpak AD-H, 5 μm, 250 mm x 4 mm;移動相:イソヘキサン/エタノール(3:2);流速:1.0ml/分;温度:30℃;UV検出:290nm]
【0247】
実施例37
rac−trans−2−アミノ−6−[(2−フルオロエチル)チオ]−4−(4−{[4−ヒドロキシテトラヒドロフラン−3−イル]オキシ}フェニル)ピリジン−3,5−ジカルボニトリル
【化79】

表題化合物を、実施例30の方法と同様に、適当な出発物質から製造した。
収率:理論値の10%
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 8.25-7.85 (br. s, 2H); 7.51 (d, 2H); 7.16 (d, 2H); 5.54 (d, 1H); 4.76 (d, 1H); 4.72 (t, 2H); 4.60 (t, 2H); 4.25 (br. t, 1H); 4.08 (dd, 1H); 3.93 (dd, 1H); 3.80 (d, 1H); 3.64-3.53 (m, 3H).
LC-MS (方法 4): Rt = 3.02 分; MS (ESIpos): m/z = 401 [M+H]+.
【0248】
実施例38
rac−trans−2−アミノ−6−[(2,2−ジフルオロエチル)チオ]−4−(4−{[4−ヒドロキシテトラヒドロフラン−3−イル]オキシ}フェニル)ピリジン−3,5−ジカルボニトリル
【化80】

実施例30の方法と同様に、適当な出発物質から表題化合物を製造した。
収率:理論値の11%
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 8.40-7.90 (br. s, 2H); 7.53 (d, 2H); 7.17 (d, 2H); 6.32 (tt, 1H); 5.55 (d, 1H); 4.76 (d, 1H); 4.25 (br. t, 1H); 4.09 (dd, 1H); 3.93 (dd, 1H); 3.87-3.74 (m, 3H); 3.60 (dd, 1H).
LC-MS (方法 4): Rt = 3.13 分; MS (ESIpos): m/z = 419 [M+H]+.
【0249】
実施例39
rac−trans−2−アミノ−6−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−オキサゾール−4−イル]メチル}チオ)−4−(4−{[4−ヒドロキシテトラヒドロフラン−3−イル]オキシ}フェニル)ピリジン−3,5−ジカルボニトリル
【化81】

実施例30の方法と同様に、出発物質22Aおよび34Aから表題化合物を製造した。
収率:理論値の14%
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ = 8.36 (s, 1H); 8.30-7.90 (br. s, 1H); 7.97 (d, 2H); 7.60 (d, 2H); 7.49 (d, 2H); 7.15 (d, 2H); 5.54 (d, 1H); 4.74 (d, 1H); 4.42 (s, 2H); 4.24 (br. t, 1H); 4.08 (dd, 1H); 3.93 (dd, 1H); 3.80 (d, 1H); 3.60 (dd, 1H).
LC-MS (方法 3): Rt = 2.21 分; MS (ESIpos): m/z = 546 [M+H]+.
【0250】
実施例40
rac−trans−2−アミノ−6−({[2−(4−クロロフェニル)−5−メチル−1,3−オキサゾール−4−イル]メチル}チオ)−4−(4−{[4−ヒドロキシテトラヒドロフラン−3−イル]オキシ}フェニル)ピリジン−3,5−ジカルボニトリル
【化82】

表題化合物を、実施例30の方法と同様に、出発物質22Aおよび38Aから製造した。
収率:理論値の19%
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ = 8.22-7.95 (br. s, 1H); 7.92 (d, 2H); 7.58 (d, 2H); 7.49 (d, 2H); 7.15 (d, 2H); 5.54 (d, 1H); 4.75 (d, 1H); 4.51 (s, 2H); 4.24 (br. t, 1H); 4.08 (dd, 1H); 3.93 (dd, 1H); 3.80 (d, 1H); 3.60 (dd, 1H); 2.47 (s, 3H).
LC-MS (方法 6): Rt = 2.33 分; MS (ESIpos): m/z = 560 [M+H]+.
【0251】
実施例41
rac−cis−2−アミノ−4−(4−{[2−ヒドロキシシクロペンチル]オキシ}フェニル)−6−[(ピリジン−3−イルメチル)スルファニル]ピリジン−3,5−ジカルボニトリル
【化83】

DMF1ml、3−クロロメチルピリジン塩酸塩43mg(0.25mmol)および炭酸カリウム70mg(0.5mmol)を、実施例23Aで得られた反応溶液に添加し、混合物を50℃で終夜撹拌した。次いで、5N酢酸0.2mlを添加し、溶液を分取HPLCにより直接精製した。生成物含有画分を分取HPLCによりもう一度精製した。得られた固体(21.6mg)を熱いエタノールに溶解し、水を添加し、混合物を部分的に濃縮した。得られた沈殿を吸引濾過し、水で洗浄し、高真空下で乾燥させた。
収率:6.8mg(理論値の9%)
LC-MS (方法 3): Rt = 1.84 分; MS (ESIpos): m/z = 444 [M+H]+
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 8.79 (s, 1H); 8.49-8.40 (m, 1H); 8.40-7.70 (br. s, 2H); 7.98-7.92 (m, 1H); 7.45 (d, 2H); 7.40-7.32 (m, 1H); 7.10 (d, 2H); 4.75-4.60 (br., 1H); 4.62-4.55 (m, 1H); 4.50 (s, 2H); 4.18-4.08 (m, 1H); 2.04-1.90 (m, 1H); 1.87-1.60 (m, 4H); 1.60-1.44 (m, 1H).
【0252】
実施例42
rac−2−アミノ−6−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}チオ)−4−[4−(テトラヒドロフラン−3−イルオキシ)フェニル]ピリジン−3,5−ジカルボニトリル
【化84】

実施例24Aの化合物100mg(0.30mmol)および4−(クロロメチル)−2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール79.4mg(0.32mmol)を、DMF3.0mlに溶解し、重炭酸ナトリウム54.6mg(0.65mmol)を添加し、混合物を50℃で1時間撹拌した。次いで、反応を分取HPLC(方法18)により直接精製した。
収率:113mg(理論値の70%)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 8.35-7.95 (br. s, 2H); 7.95 (d, 2H); 7.93 (s, 1H); 7.57 (d, 2H); 7.49 (d, 2H); 7.09 (d, 2H); 5.13 (br. t, 1H); 4.65 (s, 2H); 3.95-3.75 (m, 4H); 2.18 (m, 1H); 2.00 (m, 1H).
LC-MS (方法 7): Rt = 2.40 分; MS (ESIpos): m/z = 547 [M+H]+.
【0253】
下表の化合物は、実施例42の方法と同様に、実施例24Aおよび適当なアルキル化成分から製造した:
【表8】

【0254】
【表9】

【0255】
実施例49
rac−4−{4−[({6−アミノ−3,5−ジシアノ−4−[4−(テトラヒドロフラン−3−イルオキシ)フェニル]ピリジン−2−イル}チオ)メチル]−5−メチル−1,3−オキサゾール−2−イル}安息香酸
【化85】

実施例45の化合物0.13g(0.23mmol)を、ジオキサン15mlに懸濁し、1N水酸化ナトリウム水溶液0.46ml(0.46mmol)を添加し、混合物を50℃で2日間撹拌した。次いで、1N塩酸を使用してpHをpH3に調節し、混合物を水30mlで希釈した。形成された沈殿を濾過し、水で洗浄し、乾燥させた。
収率:86mg(理論値の68%)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 13.21 (s, 1H); 8.30-7.95 (br. m, 6H); 7.51 (d, 2H); 7.10 (d, 2H); 5.15 (br. t, 1H); 4.55 (s, 2H); 3.95-3.75 (m, 4H); 2.28 (m, 1H); 2.00 (m, 1H).
LC-MS (方法 7): Rt = 1.88 分; MS (ESIpos): m/z = 554 [M+H]+.
【0256】
実施例50
rac−4−[({6−アミノ−3,5−ジシアノ−4−[4−(テトラヒドロフラン−3−イルオキシ)フェニル]ピリジン−2−イル}スルファニル)メチル]−1,3−チアゾール−2−カルボキサミド
【化86】

実施例47の化合物0.20g(0.39mmol)を、メタノール4mlに溶解し、アセトニトリル4ml、7Mメタノール性アンモニア溶液0.56ml(3.94mmol)を添加し、混合物を50℃で18時間撹拌した。次いで、さらに5.0mlのアンモニア溶液を添加し、混合物を室温で2時間撹拌した。次いで、反応から溶媒をロータリーエバポレーターで除去し、残渣を分取HPLC(カラム:YMC GEL ODS-AQ S 5, 15 μm;移動相グラジエント:アセトニトリル/水10:90→95:5)により精製した。
収率:105mg(理論値の56%)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 8.35-7.95 (br. s, 1H); 8.13 (br. s, 1H); 8.11 (s, 1H); 7.85 (br. s, 1H); 7.48 (d, 2H); 7.09 (d, 2H); 5.11 (br. t, 1H); 4.60 (s, 2H); 3.95-3.75 (m, 4H); 2.27 (m, 1H); 2.00 (m, 1H).
LC-MS (方法 7): Rt = 1.55 分; MS (ESIpos): m/z = 478 [M+H]+.
【0257】
実施例51
rac−4−[({6−アミノ−3,5−ジシアノ−4−[4−(テトラヒドロフラン−3−イルオキシ)フェニル]ピリジン−2−イル}スルファニル)メチル]−N−メチル−1,3−チアゾール−2−カルボキサミド
【化87】

実施例47の化合物0.20g(0.39mmol)を、メタノール10mlおよびアセトニトリル5mlに溶解し、33%濃度エタノール性メチルアミン溶液0.25ml(1.97mmol)を添加し、混合物を室温で18時間撹拌した。形成された沈殿を濾過し、少量のメタノールで洗浄し、乾燥させた。
収率:36mg(理論値の19%)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 8.73 (q, 1H); 8.35-7.95 (br. s, 1H); 8.11 (s, 1H); 7.48 (d, 2H); 7.09 (d, 2H); 5.11 (br. t, 1H); 4.60 (s, 2H); 3.95-3.75 (m, 4H); 2.78 (d, 3H); 2.28 (m, 1H); 2.00 (m, 1H).
LC-MS (方法 7): Rt = 1.69 分; MS (ESIpos): m/z = 492 [M+H]+.
【0258】
実施例52
rac−3−[({3,5−ジシアノ−6−[(3R)−3−ヒドロキシピロリジン−1−イル]−4−[4−(テトラヒドロフラン−3−イルオキシ)フェニル]ピリジン−2−イル}スルファニル)メチル]ベンズアミド
【化88】

実施例31Aの化合物0.15g(0.31mmol)および(R)−3−ピロリジノール29.0mg(0.33mmol)を、室温で、THF3ml中で1時間撹拌した。次いで、反応を分取HPLC(方法18)により直接精製した。
収率:18.0mg(理論値の11%)
LC-MS (方法 3): Rt = 2.09 分; MS (ESIpos): m/z = 541 [M+H]+.
【0259】
実施例53
rac−3−{[(3,5−ジシアノ−6−{[(2S)−2,3−ジヒドロキシプロピル]アミノ}−4−[4−(テトラヒドロフラン−3−イルオキシ)フェニル]ピリジン−2−イル)スルファニル]メチル}ベンズアミド
【化89】

実施例31Aの化合物0.09g(0.18mmol)および(S)−3−アミノプロパン−1,2−ジオール18.3mg(0.20mmol)を、室温で、THF1.8mlおよびDMSO0.18mlの中で1時間撹拌した。次いで、反応を分取HPLC(方法18)により直接精製した。
収率:54mg(理論値の54%)
LC-MS (方法 14): Rt = 0.97 分; MS (ESIpos): m/z = 545 [M+H]+.
【0260】
実施例54
rac−2−アミノ−6−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}スルファニル)−4−[3−メトキシ−4−(テトラヒドロフラン−3−イルオキシ)フェニル]ピリジン−3,5−ジカルボニトリル
【化90】

実施例25Aの化合物100mg(純度46%、0.12mmol)および4−(クロロメチル)−2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール30.5mg(0.12mmol)を、DMF1.65mlに溶解し、重炭酸ナトリウム21.0mg(0.25mmol)を添加し、混合物を50℃で1時間撹拌した。次いで、反応を分取HPLC(カラム:YMC GEL ODS-AQ S-5, 15 μm;移動相グラジエント:アセトニトリル/水10:90→95:5)により直接精製した。
収率:38mg(理論値の53%)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 8.40-7.95 (br. s, 2H); 7.95 (d, 2H); 7.91 (s, 1H); 7.57 (d, 2H); 7.20 (d, 1H); 7.10 (m, 2H); 5.08 (br. m, 1H); 4.64 (s, 2H); 3.93-3.73 (m, 4H); 3.77 (s, 3H); 2.24 (m, 1H); 2.00 (m, 1H).
LC-MS (方法 3): Rt = 2.83 分; MS (ESIpos): m/z = 576 [M+H]+.
【0261】
実施例54の方法と同様に、下表の化合物を得た:
【表10】

【0262】
実施例57
rac−2−アミノ−6−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}スルファニル)−4−[3−フルオロ−4−(テトラヒドロフラン−3−イルオキシ)フェニル]ピリジン−3,5−ジカルボニトリル
【化91】

実施例26Aの化合物100mg(純度93%、0.26mmol)および4−(クロロメチル)−2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール31.5mg(0.13mmol)を、DMF1.70mlに溶解し、重炭酸ナトリウム21.7mg(0.26mmol)を添加し、混合物を50℃で1時間撹拌した。次いで、反応を分取HPLC(カラム:YMC GEL ODS-AQ S-5, 15 μm;移動相グラジエント:アセトニトリル/水10:90→95:5)により直接精製した。
収率:50mg(理論値の34%)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 8.40-7.95 (br. s, 2H); 7.95 (d, 2H); 7.92 (s, 1H); 7.57 (d, 2H); 7.53 (d, 1H); 7.33 (m, 2H); 5.19 (br. m, 1H); 4.64 (s, 2H); 3.93 (dd, 1H); 3.96 (m, 2H); 3.77 (m, 1H); 2.29 (m, 1H); 2.02 (m, 1H).
LC-MS (方法 14): Rt = 1.46 分; MS (ESIpos): m/z = 564 [M+H]+.
【0263】
下表の化合物を、実施例57の方法と同様に製造した:
【表11】

【0264】
実施例59
rac−2−アミノ−6−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}チオ)−4−[4−(ピロリジン−3−イルオキシ)フェニル]ピリジン−3,5−ジカルボニトリル
【化92】

実施例29Aの化合物0.15g(0.23mmol)を、ジオキサン4.8mlに懸濁し、ジオキサン中の4M塩化水素溶液1.5mlを添加し、混合物を室温で6時間撹拌した。次いで、混合物を半濃縮した(semiconcentrated)重炭酸ナトリウム水溶液40mlに撹拌した。沈殿を濾過し、水で洗浄し、乾燥させた。
収率:86mg(理論値の65%)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 8.35-7.95 (br. s, 2H); 7.95 (d, 2H); 7.92 (s, 1H); 7.57 (d, 2H); 7.46 (d, 2H); 7.05 (d, 2H); 4.92 (br. t, 1H); 4.63 (s, 2H); 3.08 (dd, 1H); 2.95-2.85 (m, 2H); 2.80-2.74 (m, 1H); 2.10-2.00 (m, 1H); 1.81-1.73 (m, 1H).
LC-MS (方法 7): Rt = 1.49 分; MS (ESIpos): m/z = 545 [M+H]+.
【0265】
実施例60
rac−3−[({6−アミノ−3,5−ジシアノ−4−[4−(テトラヒドロフラン−3−イルオキシ)フェニル]ピリジン−2−イル}オキシ)メチル]安息香酸
【化93】

カリウムtert−ブトキシド487mg(4.34mmol)を、1,2−ジメトキシエタン3.8mlに懸濁し、3−(ヒドロキシメチル)安息香酸512mg(2.9mmol)、次いで、実施例41Aの化合物300mg(0.724mmol)を添加し、次いで、混合物を60℃で12時間撹拌した。次いで、水5mlを添加し、反応溶液を、冷却しながら、1N塩酸で酸性化した。混合物を酢酸エチルで3回抽出し、合わせた有機相を飽和塩化ナトリウム溶液で1回洗浄した。蒸発により濃縮した後、残渣を分取HPLC(0.1%TFAを添加して)により精製した。
収率:113mg(理論値の34%)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 13.08 (br. s, 1H); 8.40-7.65 (m, 5H); 7.55 (t, 1H); 7.49 (d, 2H); 7.09 (d, 2H); 5.52 (s, 2H); 5.13-5.10 (m, 1H); 3.98-3.72 (m, 4H); 2.32-2.20 (m, 1H); 2.06-1.95 (m, 1H).
LC-MS (方法 14): Rt = 1.06 分; MS (ESIpos): m/z = 457 [M+H]+.
【0266】
実施例61
rac−3−[({6−アミノ−3,5−ジシアノ−4−[4−(テトラヒドロフラン−3−イルオキシ)フェニル]ピリジン−2−イル}オキシ)メチル]ベンズアミド
【化94】

実施例60の化合物120mg(0.237mmol)をDMF2mlに溶解し、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩68mg(0.355mmol)および1−ヒドロキシ−1H−ベンゾトリアゾール水和物48mg(0.355mmol)を添加し、混合物を室温で10分間撹拌した。次いで、塩化アンモニウム63mg(1.18mmol)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン214mg(0.36mmol)を添加し、混合物を室温で終夜撹拌した。次いで水を添加し、反応混合物を分取HPLC(0.1%TFAを添加して)により直接精製した。
収率:100mg(理論値の93%)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 8.40-7.72 (m, 5H); 7.68 (d, 1H); 7.53-7.35 (m, 4H); 7.09 (d, 2H); 5.50 (s, 2H); 5.13-5.10 (m, 1H); 3.98-3.72 (m, 4H); 2.34-2.22 (m, 1H); 2.06-1.96 (m, 1H).
LC-MS (方法 7): Rt = 1.54 分; MS (ESIpos): m/z = 456 [M+H]+.
【0267】
実施例62
メチル3−[1−({6−アミノ−3,5−ジシアノ−4−[4−(テトラヒドロフラン−3−イルオキシ)フェニル]ピリジン−2−イル}スルファニル)エチル]ベンゾエート
【化95】

実施例45Aの化合物500mg(1.478mmol)を、DMF5mlに溶解し、メチル3−(1−ブロモエチル)ベンゾエート(製造には、例えば、US4,499,299参照)395mg(1.625mmol)および重炭酸ナトリウム372mg(4.433mmol)を添加し、混合物を室温で3時間撹拌した。次いで、澄んだ溶液が形成される量で、水を添加した。次いで、反応混合物を分取HPLC(0.1%TFAを添加して)により直接精製した。
収率:577mg(理論値の78%)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 8.30-7.95 (m, 3H); 7.90 (d, 1H); 7.86 (d, 1H); 7.51 (d, 1H); 7.46 (d, 2H); 7.07 (d, 2H); 5.28 (q, 1H); 5.11 (m, 1H); 3.92 (dd, 1H); 3.87 (s, 3H); 3.84-3.74 (m, 3H); 2.27 (m, 1H); 1.99 (m, 1H); 1.75 (d, 3H).
LC-MS (方法 7): Rt = 2.18 分; MS (ESIpos): m/z = 501 [M+H]+.
【0268】
実施例63および実施例64
メチルent−3−[1−({6−アミノ−3,5−ジシアノ−4−[4−(テトラヒドロフラン−3−イルオキシ)フェニル]ピリジン−2−イル}スルファニル)エチル]ベンゾエート
【化96】

キラル相の分取HPLCにより、実施例62の化合物(530mg)をエナンチオマーに分離した[カラム:Daicel Chiralcel OD-H, 5 μm, 250 mm x 20 mm;移動相:イソヘキサン/イソプロパノール(1:1);流速:15ml/分;温度:40℃;UV検出:220nm]:
【0269】
実施例63(エナンチオマー1):
収率:258mg(化学的純度>99%、>99%ee)
=6.16分
[カラム:Daicel Chiralcel OD-H, 5 μm, 250 mm x 4.6 mm;移動相:イソヘキサン/イソプロパノール(4:6);流速:1.0ml/分;温度:40℃;UV検出:215nm].
実施例64(エナンチオマー2):
収率:248mg(化学的純度>99%、>99%ee)
=8.62分
[カラム:Daicel Chiralcel OD-H, 5 μm, 250 mm x 4.6 mm;移動相:イソヘキサン/イソプロパノール(4:6);流速:1.0ml/分;温度:40℃;UV検出:215nm]
【0270】
実施例65
ent−3−[1−({6−アミノ−3,5−ジシアノ−4−[4−(テトラヒドロフラン−3−イルオキシ)フェニル]ピリジン−2−イル}スルファニル)エチル]安息香酸
【化97】

実施例64の化合物245mg(0.489mmol)を、THF10mlに溶解し、1N水酸化リチウム水溶液0.98mlを添加し、混合物を40℃で終夜撹拌した。冷却後、反応混合物を1N塩酸で酸性化し、溶液を分取HPLC(0.1%TFAを添加して)により直接精製した。
収率:234mg(理論値の98%)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 13.08 (br. s, 1H); 8.40-7.78 (m, 5H); 7.49-7.42 (m, 3H); 7.09 (d, 2H); 5.30 (q, 1H); 5.12-5.09 (m, 1H); 3.95-3.71 (m, 4H); 2.31-2.20 (m, 1H); 2.05-1.95 (m, 1H); 1.76 (d, 3H).
LC-MS (方法 3): Rt = 2.34 分; MS (ESIpos): m/z = 487 [M+H]+.
【0271】
実施例66
ent−3−[1−({6−アミノ−3,5−ジシアノ−4−[4−(テトラヒドロフラン−3−イルオキシ)フェニル]ピリジン−2−イル}スルファニル)エチル]ベンズアミド
【化98】

実施例65の化合物75mg(0.154mmol)を、DMF1.5mlに溶解し、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩44mg(0.231mmol)および1−ヒドロキシ−1H−ベンゾトリアゾール水和物31mg(0.231mmol)を添加し、混合物を室温で10分間撹拌した。次いで、塩化アンモニウム41mg(0.771mmol)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン139mg(1.079mmol)を添加し、混合物を室温で終夜撹拌した。次いで、水を添加し、反応混合物を分取HPLC(0.1%TFAを添加して)により直接精製した。
収率:47mg(理論値の63%)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 8.40-7.82 (m, 4H); 7.79 (d, 1H); 7.75 (d, 1H); 7.49-7.38 (m, 4H); 7.08 (d, 2H); 5.21 (q, 1H); 5.12-5.09 (m, 1H); 3.94-3.71 (m, 4H); 2.32-2.20 (m, 1H); 2.04-1.95 (m, 1H); 1.75 (d, 3H).
LC-MS (方法 20): Rt = 2.06 分; MS (ESIpos): m/z = 486 [M+H]+.
【0272】
B. 薬理および生理活性の評価
本発明による化合物の薬理および生理活性は、以下のアッセイで立証できる:
B−1. 遺伝子発現によるアデノシンアゴニズムの間接的測定
CHO(チャイニーズハムスター卵巣(Chinese Hamster Ovary))永久細胞株の細胞を、アデノシン受容体サブタイプA1、A2aおよびA2bのcDNAで安定に形質移入する。アデノシンA1受容体は、Gタンパク質によりアデニル酸シクラーゼと共役し、一方、アデノシンA2aおよびA2b受容体は、Gタンパク質により共役する。これに対応して、細胞におけるcAMPの形成は、各々、阻害または刺激される。その後、ルシフェラーゼの発現は、cAMP依存性プロモーターにより調節される。高い感度および再現性、低い変動性およびロボットシステムでの実施に対する良好な適合性を目的として、細胞密度、増殖期および試験のインキュベーションの期間、フォルスコリン濃度および培地組成などのいくつかの試験パラメーターを変更することにより、ルシフェラーゼ試験を最適化する。以下の試験プロトコールを、細胞を薬理的に特徴解析するために、そして、ロボットに補助される物質のスクリーニングのために使用する:
【0273】
保存培養物を、37℃で、5%CO下で、10%FCS(ウシ胎児血清)を含有するDMEM/F12培地中、各場合で2、3日後に1:10に分けて増殖させる。試験培養物を細胞2000個/ウェルで384ウェルのプレートに播き、37℃で約48時間増殖させる。次いで、培地を、生理的塩化ナトリウム溶液(130mM塩化ナトリウム、5mM塩化カリウム、2mM塩化カルシウム、20mM HEPES、1mM塩化マグネシウム六水和物、5mM重炭酸ナトリウム、pH7.4)で置き換える。DMSOに溶解した被験物質を、5x10−11Mないし3x10−6M(最終濃度)の連続希釈で、試験培養物にピペットで加える(試験混合物中のDMSOの最大最終濃度:0.5%)。10分後、フォルスコリンをA1の細胞に添加し、その後、全ての培養物を37℃で4時間インキュベートする。その後、溶解剤(30mMリン酸水素二ナトリウム、10%グリセロール、3%TritonX100、25mM TrisHCl、2mMジチオスレイトール(DTT)、pH7.8)50%およびルシフェラーゼ基質溶液(2.5mM ATP、0.5mMルシフェリン、0.1mM補酵素A、10mMトリシン、1.35mM硫酸マグネシウム、15mM DTT、pH7.8)50%からなる溶液35μlを試験培養物に添加し、それを約1分間振盪し、カメラシステムを使用してルシフェラーゼ活性を測定する。EC50値、即ち、各々、A1細胞の場合、ルシフェラーゼ応答の50%が阻害され、A2bおよびA2a細胞の場合、対応する物質による最大刺激の50%が達成される濃度を決定する。全てのアデノシン受容体サブタイプに高い親和性で結合し、アゴニスト的効果を有するアデノシン類似化合物NECA(5−N−エチルカルボキシアミドアデノシン)を、これらの実験において参照化合物として使用する[Klotz, K.N., Hessling, J., Hegler, J., Owman, C., Kull, B., Fredholm, B.B., Lohse, M.J., "Comparative pharmacology of human adenosine receptor subtypes - characterization of stably transfected receptors in CHO cells", Naunyn Schmiedebergs Arch. Pharmacol., 357 (1998), 1-9]。
【0274】
下表1は、アデノシンA1、A2aおよびA2b受容体サブタイプの受容体刺激について、代表的実施例のEC50値を列挙する:
表1
【表12】

【0275】
B−2. 単離した血管での研究
麻酔したラットの尾動脈を切り取り、単離された血管を測定するための常套の器具に載せる。加熱浴中で血管を灌流し、フェニレフリンを使用して収縮させる。収縮の程度を、収縮測定装置を使用して測定する。予め収縮させた血管に試験物質を添加し、血管の収縮の減少を測定する。収縮の減少は、血管の拡張に対応する。血管の収縮が50%まで減少する濃度を、その弛緩特性に関する試験物質のEC50値として示す。
【0276】
B−3. 覚醒しているラットの血圧および心拍数の測定
様々な投与量の試験物質を、血圧および心拍数の両方を持続的に測定できる内部の伝達装置(血行動態パラメーターの遠隔測定モニタリング)を保有する、覚醒しているSHRラット(自然発症高血圧ラット)に経口投与する。次いで、血圧、心拍数およびそれらの変化を24時間にわたり記録する。
【0277】
B−4. 覚醒しているマーモセットの血圧および心拍数の測定
様々な濃度の試験物質を、血圧および心拍数の両方を永続的に測定できる内部の伝達装置(血行動態パラメーターの遠隔測定モニタリング)を保有する、覚醒しているマーモセットに経口投与する。次いで、血圧、心拍数およびそれらの変化を6−24時間にわたり記録する。
【0278】
B−5. 静脈内および経口投与後の薬物動態学的パラメーターの測定
被験物質を液剤として動物(例えば、マウス、ラット、イヌ)に静脈内投与し、経口投与は液剤または懸濁剤として胃管栄養法により行う。物質の投与後、所定の時間に血液を動物から取り、ヘパリン処理し、次いでそこから遠心分離により血漿を得る。血漿中の物質をLC/MS−MSにより分析的に定量する。かくして判明した血漿濃度/時間経過を使用して、AUC(濃度/時間曲線の下の面積)、Cmax(最大血漿濃度)、T1/2(半減期)およびCL(クリアランス)などの薬物動態学的パラメーターを、有効な薬物動態学のコンピュータープログラムを利用して算出する。
【0279】
B−6. 溶解度の測定
必要な試薬:
・PBSバッファーpH6.5:NaCl p.a.(例えば、Merck より、Art. No. 1.06404.1000)90.00g、KHPO p.a.(例えば、Merck より、Art. No. 1.04873.1000)13.61gおよび1N水酸化ナトリウム水溶液(例えば、Bernd Kraft GmbH より、Art. No. 01030.4000)83.35gを、1lのメスフラスコ中に量り入れ、蒸留水で1lとし、混合物を1時間撹拌する。次いで、1N塩酸(例えば、Merckより、Art. No. 1.09057.1000)を使用して、pHを6.5に調節する。
・PEG/水溶液(70:30v/v):ポリエチレングリコール400(例えば、Merck より、Art. No. 8.17003.1000)70mlおよび蒸留水30mlを、100mlのメスフラスコ中でホモジナイズする。
・PEG/PBSバッファーpH6.5(20:80v/v):ポリエチレングリコール400(例えば、Merckより、Art. No. 8.17003.1000)20mlおよびPBSバッファー(pH6.5)80mlを、100mlのメスフラスコ中でホモジナイズする。
・ジメチルスルホキシド(例えば、Bakerより、Art. No. 7157.2500)
・蒸留水。
【0280】
出発溶液(原液)の調製:
少なくとも4mgの試験物質を、適合するスクリューキャップおよび隔壁を有する広口の10mmスクリューV型バイアル(Glastechnik Graefenroda GmbH より、Art. No. 8004-WM-H/V15μ)に正確に量り入れ、ピペット操作用ロボットでDMSOを添加して50mg/mlの濃度とし、混合物を10分間振盪する。
【0281】
較正溶液の調製:
較正溶液用の出発溶液(原液)の調製:ピペット操作用ロボットを利用して、原液10μlを、マイクロタイタープレートに移し、DMSOを添加して600μg/mlの濃度とする。サンプルを、それが完全に溶解するまで、振盪する。
較正溶液1(20μg/ml):DMSO1000μlを原液34.4μlに添加し、混合物をホモジナイズする。
較正溶液2(2.5μg/ml):DMSO700μlを100μlの較正溶液1に添加し、混合物をホモジナイズする。
【0282】
サンプル溶液の調製:
PBSバッファー(pH6.5)中で5g/lまでの溶解度のためのサンプル溶液:原液10μlをマイクロタイタープレートに移し、PBSバッファー(pH6.5)1000μlを添加する。
PEG/水(70:30)中で5g/lまでの溶解度のためのサンプル溶液:原液10μlをマイクロタイタープレートに移し、PEG/水(70:30)1000μlを添加する。
PEG/PBSバッファーpH6.5(20:80)中で5g/lまでの溶解度のためのサンプル溶液:原液10μlをマイクロタイタープレートに移し、PEG/PBSバッファーpH6.5(20:80)1000μlを添加する。
【0283】
実施:
温度調節可能なシェーカー (例えば、Eppendorf から、Thermoblock Art. No. 5362.000.019を備えたThermomixer comfort Art. No. 5355 000.011) を使用して、かくして調製されたサンプル溶液を、1400rpmで、20℃で24時間振盪する。これらの溶液から各180μlを取り、Beckman Polyallomer Centrifuge Tubes (Art. No. 343621)に移す。これらの溶液を約223000xgで1時間遠心分離する(例えば Beckman から、Optima L-90K Ultracentrifuge、Type 42.2 Ti Rotor を用いて、42000rpmで)。各サンプル溶液から、上清100μlを取り、DMSOで1:5および1:100に希釈する。各希釈物から、HPLC分析のために、サンプルを適する容器に取る。
【0284】
分析:
サンプルをRP−HPLCにより分析する。DMSO中の試験化合物の2点較正プロットを定量に使用する。溶解度をmg/lで表す。分析順序:1)較正溶液2.5mg/ml;2)較正溶液20μg/ml;3)サンプル溶液1:5;4)サンプル溶液1:100。
【0285】
酸用のHPLC方法:
DAD(G1315A)、定量ポンプ(G1311A)、オートサンプラー CTC HTS PAL、脱気装置(G1322A)およびカラムサーモスタット(G1316A)を備えた Agilent 1100;カラム:Phenomenex Gemini C18, 50 mm x 2 mm, 5 μ;温度:40℃;溶離剤A:水/リン酸pH2;溶離剤B:アセトニトリル;流速:0.7ml/分;グラジエント:0−0.5分85%A、15%B;勾配:0.5−3分10%A、90%B;3−3.5分10%A、90%B;勾配:3.5−4分85%A、15%B;4−5分85%A、15%B。
【0286】
塩基用のHPLC方法:
DAD(G1315A)、定量ポンプ(G1311A)、オートサンプラー CTC HTS PAL、脱気装置(G1322A)およびカラムサーモスタット(G1316A)を備えた Agilent 1100;カラム:VDSoptilab Kromasil 100 C18, 60 mm x 2.1 mm, 3.5 μ;温度:30℃;溶離剤A:水+5ml過塩素酸/l;溶離剤B:アセトニトリル;流速:0.75ml/分;グラジエント:0−0.5分98%A、2%B;勾配:0.5−4.5分10%A、90%B;4.5−6分10%A、90%B;勾配:6.5−6.7分98%A、2%B;6.7−7.5分98%A、2%B。
【0287】
C. 医薬組成物の実施例
本発明の化合物は、以下の方法で医薬製剤に変換できる:
錠剤:
組成:
本発明の化合物100mg、ラクトース(一水和物)50mg、トウモロコシデンプン(天然)50mg、ポリビニルピロリドン(PVP25)10mg(BASF より、Ludwigshafen, Germany)およびステアリン酸マグネシウム2mg。
錠剤重量212mg、直径8mm、曲率半径12mm。
製造:
本発明の化合物、ラクトースおよびスターチの混合物を、5%強度PVP水溶液(m/m)で造粒する。顆粒を乾燥させ、ステアリン酸マグネシウムと5分間混合する。この混合物を常套の打錠機で打錠する(錠剤の形状について、上記参照)。打錠のためのガイドラインの打錠力は、15kNである。
【0288】
経口投与できる懸濁剤:
組成:
本発明の化合物1000mg、エタノール(96%)1000mg、Rhodigel(登録商標) (FMCのキサンタンガム、Pennsylvania, USA) 400mgおよび水99g。
経口懸濁剤10mlは、本発明の化合物100mgの単回用量に相当する。
製造:
Rhodigel をエタノールに懸濁し、本発明の化合物を懸濁液に添加する。撹拌しながら水を添加する。Rhodigel の膨潤が完了するまで、混合物を約6時間撹拌する。
【0289】
経口投与できる液剤:
組成:
本発明の化合物500mg、ポリソルベート2.5gおよびポリエチレングリコール400 97g。経口液剤20gは、本発明の化合物100mgの単回用量に相当する。
製造:
本発明の化合物を、ポリエチレングリコールおよびポリソルベートの混合物に撹拌しながら懸濁する。本発明の化合物が完全に溶解するまで、混合工程を継続する。
【0290】
i.v.液剤:
本発明の化合物を、生理的に耐容される溶媒(例えば、等張塩水、5%グルコース溶液および/または30%PEG400溶液)に飽和溶解度より低い濃度で溶解する。溶液を濾過滅菌し、無菌のパイロジェンを含まない注射容器に満たすのに使用する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

〔式中、
Aは、CH、CHCH、O、N−R、S、S(=O)またはS(=O)を表し
{式中、Rは、水素、(C−C)−アルキル、(C−C)−アシルまたは(C−C)−アルキルスルホニルを表す
(ここで、アルキル、アシルおよびアルキルスルホニル基は、ヒドロキシル、アミノまたはカルボキシルにより置換されていてもよい)}、
Zは、OまたはSを表し、
は、水素を表し、
は、水素、ヒドロキシル、アミノ、モノ−(C−C)−アルキルアミノまたはジ−(C−C)−アルキルアミノを表すか、
または、
およびRは、それらが結合している炭素原子と一体となって、カルボニル基を形成し、
は、水素、ハロゲン、シアノ、(C−C)−アルキルまたは(C−C)−アルコキシを表し
(ここで、上述のアルキルおよびアルコキシ基は、3個までのフッ素により置換されていてもよい)、
は、式−ORまたは−NR10の基を表し
[式中、Rは、(C−C)−アルキル{これは、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、カルボキシルおよび(C−C)−アルコキシカルボニルからなる群からの同一かまたは異なる置換基により一置換または二置換されていてもよいか、または、3個までのフッ素により置換されていてもよい}を表すか、または、(C−C)−シクロアルキルを表し、
そして、
およびR10は、同一であるかまたは異なり、相互に独立して、水素または(C−C)−アルキル{これは、3個までのフッ素により置換されていてもよいか、または、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、アミノ、モノ−(C−C)−アルキルアミノ、ジ−(C−C)−アルキルアミノ、カルボキシル、(C−C)−アルコキシカルボニルおよび4員ないし7員の複素環からなる群からの同一かまたは異なる置換基により一置換または二置換されていてもよい(ここで、上述の複素環は、N、OおよびSからなる群から1個または2個の環内ヘテロ原子を含有し、(C−C)−アルキル、ヒドロキシル、オキソおよび(C−C)−アルコキシからなる群からの同一かまたは異なる置換基により一置換または二置換されていてもよい)}を表すか、
または、
およびR10は、それらが結合している窒素原子と一体となって、4員ないし7員の複素環{これは、N、OおよびSからなる群からさらなる環内ヘテロ原子を含有してもよく、フッ素、(C−C)−アルキル、ヒドロキシル、オキソ、(C−C)−アルコキシ、アミノ、モノ−(C−C)−アルキルアミノ、ジ−(C−C)−アルキルアミノ、アゼチジノ、ピロリジノ、ピペリジノおよびモルホリノからなる群からの同一かまたは異なる置換基により一置換または二置換されていてもよい}を形成する]、
は、水素または(C−C)−アルキルを表し、
そして、
は、(C−C)−アルキル{これは、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシまたは3個までのフッ素により置換されていてもよい}を表すか、
または、
(C−C10)−アリールまたはN、OおよびSからなる群から3個までの環内ヘテロ原子を有する5員ないし10員のヘテロアリールを表し、これらの環の各々は、
(i)ハロゲン、ニトロ、シアノ、(C−C)−アルキル、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、アミノ、モノ−(C−C)−アルキルアミノ、ジ−(C−C)−アルキルアミノ、(C−C)−アシルアミノ、(C−C)−アルキルスルホニルアミノ、カルボキシル、(C−C)−アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、モノ−(C−C)−アルキルアミノカルボニル、ジ−(C−C)−アルキルアミノカルボニル、アミノスルホニル、モノ−(C−C)−アルキルアミノスルホニルおよびジ−(C−C)−アルキルアミノスルホニルからなる群からの同一かまたは異なるラジカルにより一置換または二置換されていてもよく、
かつ/または、
(ii)ピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノ、ピペラジノ、N'−(C−C)−アルキルピペラジノ、テトラゾリルまたは式−L−R11の基
{式中、Lは、結合、NHまたはOを表し、
11は、フェニルまたはN、OおよびSからなる群から3個までの環内ヘテロ原子を有する5員または6員のヘテロアリールを表し、これらの環の各々は、ハロゲン、ニトロ、シアノ、(C−C)−アルキル、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、アミノ、モノ−(C−C)−アルキルアミノ、ジ−(C−C)−アルキルアミノ、(C−C)−アルコキシカルボニルおよびカルボキシルからなる群からの同一かまたは異なるラジカルにより一置換ないし三置換されていてもよい}
により置換されていてもよい〕
の化合物、または、そのN−オキシド、塩、溶媒和物、N−オキシドの塩、または、N−オキシドもしくは塩の溶媒和物。
【請求項2】
式中、
Aが、CH、CHCH、OまたはNHを表し、
Zが、OまたはSを表し、
が、水素を表し、
が、水素、ヒドロキシルまたはアミノを表し、
が、水素、フッ素、塩素、メチルまたはメトキシを表し、
が、式−NR10の基を表し
[式中、Rは、水素を表し、
10は、水素または(C−C)−アルキル{これは、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、アミノ、モノ−(C−C)−アルキルアミノおよびジ−(C−C)−アルキルアミノからなる群からの同一かまたは異なる置換基により一置換または二置換されていてもよい}を表すか、
または、
およびR10は、それらが結合している窒素原子と一体となって、4員ないし6員の複素環{これは、NおよびOからなる群からさらなる環内ヘテロ原子を含有してもよく、(C−C)−アルキル、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、アミノ、モノ−(C−C)−アルキルアミノおよびジ−(C−C)−アルキルアミノからなる群からの同一かまたは異なる置換基により一置換または二置換されていてもよい}を形成する]、
が、水素またはメチルを表し、
そして、
が、フェニルまたはN、OおよびSからなる群から2個までの環内ヘテロ原子を有する5員または6員のヘテロアリールを表し、これらの環の各々は、
(i)フッ素、塩素、シアノ、(C−C)−アルキル、トリフルオロメチル、(C−C)−アルコキシ、アミノ、カルボキシル、(C−C)−アルコキシカルボニル、アミノカルボニルおよびモノ−(C−C)−アルキルアミノカルボニルからなる群からの同一かまたは異なるラジカルにより一置換または二置換されていてもよく、
かつ/または、
(ii)式−L−R11の基
{式中、Lは、結合またはNHを表し、
11は、フェニルまたはピリジルを表し、これらの各々は、フッ素、塩素、シアノ、(C−C)−アルキル、トリフルオロメチル、(C−C)−アルコキシ、トリフルオロメトキシ、(C−C)−アルコキシカルボニルおよびカルボキシルからなる群からの同一かまたは異なるラジカルにより一置換または二置換されていてもよい}
により置換されていてもよい、
請求項1に記載の式(I)の化合物、または、そのN−オキシド、塩、溶媒和物、N−オキシドの塩、または、N−オキシドもしくは塩の溶媒和物。
【請求項3】
式中、
Aが、CHまたはOを表し、
Zが、Sを表し、
が、水素を表し、
が、水素またはヒドロキシルを表し、
が、水素またはフッ素を表し、
が、式−NR10の基を表し
{式中、Rは、水素を表し、
10は、水素または(C−C)−アルキル(これは、ヒドロキシルにより一置換または二置換されていてもよい)を表すか、
または、
およびR10は、それらが結合している窒素原子と一体となって、アゼチジノ、ピロリジノまたはピペリジノ環(これらの各々はヒドロキシルにより置換されていてもよい)を形成する}
が、水素を表し、
そして、
が、フェニル、ピリジル、オキサゾリルまたはチアゾリルを表し、これらの各々は、
(i)フッ素、塩素、シアノ、メチル、トリフルオロメチル、アミノ、カルボキシル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、アミノカルボニルおよびメチルアミノカルボニルからなる群からの同一かまたは異なるラジカルにより一置換または二置換されていてもよく、
かつ/または、
(ii)式−L−R11の基
{式中、Lは、結合またはNHを表し、
11は、フェニルを表し、これは、フッ素、塩素、メチル、トリフルオロメチル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニルおよびカルボキシルからなる群からの同一かまたは異なるラジカルにより一置換または二置換されていてもよい}
により置換されていてもよい、
請求項1または請求項2に記載の式(I)の化合物、または、そのN−オキシド、塩、溶媒和物、N−オキシドの塩、または、N−オキシドもしくは塩の溶媒和物。
【請求項4】
がNHを表す請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の式(I)の化合物の製造方法であって、
[A]式(II)
【化2】

(式中、A、R、R、RおよびZは、各々、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の意味を有する)
の化合物を、不活性溶媒中、塩基の存在下、式(III)
【化3】

(式中、RおよびRは、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の意味を有し、
Xは、適する脱離基、好ましくは、ハロゲン、特に、塩素、臭素またはヨウ素を表すか、または、メシレート、トシレートまたはトリフレートを表す)
の化合物と反応させるか、
あるいは、ZがOを表す場合、
[B]式(IV−A)
【化4】

(式中、A、R、RおよびRは、各々請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の意味を有する)
の化合物を、不活性溶媒中、塩基の存在下、式(V)
【化5】

(式中、RおよびRは、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の意味を有する)
の化合物と反応させ、得られる式(I−A)
【化6】

(式中、A、R、R、R、R、RおよびZは、各々請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の意味を有する)
の化合物を、必要に応じて、それらのエナンチオマーおよび/またはジアスレテオマーに分離し、かつ/または、必要に応じて、適当な(i)溶媒および/または(ii)塩基もしくは酸を用いて、それらの溶媒和物、塩および/または塩の溶媒和物に変換することを特徴とする、方法。
【請求項5】
疾患の処置および/または予防のための、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の式(I)の化合物。
【請求項6】
高血圧症、冠動脈心疾患、急性冠動脈症候群、狭心症、心不全、心筋梗塞、心房細動、糖尿病、メタボリックシンドロームまたは脂質異常症の処置および/または予防方法において使用するための、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の式(I)の化合物。
【請求項7】
高血圧症、冠動脈心疾患、急性冠動脈症候群、狭心症、心不全、心筋梗塞、心房細動、糖尿病、メタボリックシンドロームまたは脂質異常症の処置および/または予防用の医薬を製造するための、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の式(I)の化合物の使用。
【請求項8】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の式(I)の化合物を、不活性、非毒性の医薬的に適する補助剤と組み合わせて含む、医薬。
【請求項9】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の式(I)の化合物を、脂質代謝を改変する活性化合物、抗糖尿病薬、降圧剤および抗血栓剤からなる群から選択される1種またはそれ以上のさらなる活性化合物と組み合わせて含む、医薬。
【請求項10】
高血圧症、冠動脈心疾患、急性冠動脈症候群、狭心症、心不全、心筋梗塞、心房細動、糖尿病、メタボリックシンドロームまたは脂質異常症の処置および/または予防のための、請求項8または請求項9に記載の医薬。
【請求項11】
有効量の少なくとも1種の請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の式(I)の化合物または請求項8ないし請求項10のいずれかに記載の医薬を使用する、ヒトまたは動物における高血圧症、冠動脈心疾患、急性冠動脈症候群、狭心症、心不全、心筋梗塞、心房細動、糖尿病、メタボリックシンドロームまたは脂質異常症の処置および/または予防方法。

【公表番号】特表2011−511814(P2011−511814A)
【公表日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−546234(P2010−546234)
【出願日】平成21年1月31日(2009.1.31)
【国際出願番号】PCT/EP2009/000645
【国際公開番号】WO2009/100827
【国際公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【出願人】(507113188)バイエル・シェーリング・ファルマ・アクチェンゲゼルシャフト (141)
【氏名又は名称原語表記】Bayer Schering Pharma Aktiengesellschaft
【Fターム(参考)】