シフト制御装置
【課題】シフト装置のシフト操作に応じてシフトポジションを切替えるシフト用モータの耐久性の低下を防止することができるシフト制御装置を提供する。
【解決手段】自動変速機のシフトポジションが任意のシフトポジションの状態において、タイミングt1において所定のシフト装置が操作されてDポジション信号が入力されると、タイマが起動されて所定時間TOFFが計測されるとともに、カウンタが起動される。この所定時間TOFF以内に上記所定のシフト装置からDポジション信号が連続して入力されると、カウンタにより信号の数がカウントされる。Dポジション信号の連続であるため、実際の判定はタイミングt1においてDポジションに維持され、この判定結果に基づいてシフトポジションがDポジションに切り替えられる。
【解決手段】自動変速機のシフトポジションが任意のシフトポジションの状態において、タイミングt1において所定のシフト装置が操作されてDポジション信号が入力されると、タイマが起動されて所定時間TOFFが計測されるとともに、カウンタが起動される。この所定時間TOFF以内に上記所定のシフト装置からDポジション信号が連続して入力されると、カウンタにより信号の数がカウントされる。Dポジション信号の連続であるため、実際の判定はタイミングt1においてDポジションに維持され、この判定結果に基づいてシフトポジションがDポジションに切り替えられる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載されるシフト装置のシフト操作に応じてシフトポジションの切り替えが電気的な制御で実現されるシフト制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載される変速機のひとつとして自動変速機が採用される。近年、シフト装置のシフトレバーのシフト操作位置をシフト検出センサによって電気的に検出し、この検出信号に基づいてシフト用モータを駆動して自動変速機のマニュアルバルブを切り替えることにより、P(パーキング)、R(リバース)、N(ニュートラル)、D(ドライブ)等のシフトポジションを切り替える、いわゆるシフト・バイ・ワイヤ方式のシフト制御装置が提案されている(例えば特許文献1)。
【0003】
このようなシフト制御装置では、シフト装置のシフトレバーはマニュアルバルブに対して機械的に連結されないため、シフトレバーを小さな操作力で容易に操作することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−74211号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、このようなシフト制御装置では、シフト装置のシフトレバーは小さな操作力で容易に操作されるため、短い所定時間内に連続したシフト操作も行われ得る。このようなシフトレバーの連続したシフト操作を検出してシフト検出センサから連続して検出信号が出力される。この連続した検出信号に基づいてシフト用モータが頻繁に駆動されることになり、シフト用モータの耐久性が低下する。また、シフト装置のシフト検出センサの故障等に起因して、シフトレバーの一回の操作に対して連続した検出信号が出力される可能性もある。この場合にも、連続した検出信号に基づいてシフト用モータが頻繁に駆動されることになり、シフト用モータの耐久性が低下する。
【0006】
本発明は上記の事情を鑑みてなされたものであって、その目的は、シフト装置のシフト操作に応じてシフトポジションを切替えるシフト用モータの耐久性の低下を防止することができるシフト制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1に記載の発明は、シフト装置のシフト操作に応じてシフト用モータを駆動させることによりシフトポジションを変更するシフト制御装置において、前記シフト装置によるシフトポジションの選択が所定時間内に所定回数以上なされたとき、シフトポジションの変更を禁止することを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、シフト装置のシフト操作に応じてシフト用モータを駆動させることによりシフトポジションを変更するシフト制御装置において、前記シフト装置により異なる2つのシフトポジションが交互に選択された場合、初期は前記シフト操作に応じて前記シフト用モータを駆動し、途中からは前記シフト操作に応じた前記シフト用モータの駆動を禁止することを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、シフト装置のシフト操作に応じてシフト用モータを駆動させることによりシフトポジションを変更するシフト制御装置において、前記シフト装置によるシフトポジションの選択が連続してなされたとき、シフトポジションの変更を禁止することを特徴とする。
【0010】
請求項1の構成では、シフトポジションの選択が所定時間内に所定回数以上なされたとき、シフト用モータの駆動が禁止されるようにしている。請求項2の構成では、異なる2つのシフトポジションが交互に選択された場合、初期はシフト操作に応じてシフト用モータを駆動し、途中からはシフト操作に応じたシフト用モータの駆動を禁止するようにしている。請求項3の構成では、シフトポジションの選択が連続してなされたとき、シフト用モータの駆動を禁止するようにしている。こうした請求項1〜3の構成によれば、シフト用モータの耐久性低下を防止することができる。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載のシフト制御装置において、前記シフト装置は、ドライブポジションとリバースポジションとを選択可能な第1シフト操作手段と、パーキングポジションを選択可能な第2シフト操作手段とを備えることを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のシフト制御装置において、前記第1シフト操作手段はシフトレバーであり、前記第2シフト操作手段はパーキングスイッチであることを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載のシフト制御装置において、前記シフトレバーをその操作中心位置に復帰させる復帰機構をさらに備えることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1実施形態におけるシフト装置の配置図。
【図2】第1実施形態にかかる自動変速機を搭載した車両及びそのシフト制御装置を示す概略構成図。
【図3】第1実施形態のシフト制御装置の要部の概略図。
【図4】第1実施形態のシフト制御処理を示すフローチャート。
【図5】第1実施形態のシフト制御の一例を示すタイムチャート。
【図6】第1実施形態のシフト制御の一例を示すタイムチャート。
【図7】第2実施形態のシフト制御処理を示すフローチャート。
【図8】第2実施形態のシフト制御の一例を示すタイムチャート。
【図9】第2実施形態のシフト制御の一例を示すタイムチャート。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1実施形態)
以下、本発明を自動変速機のシフト制御装置に具体化した第1実施形態を図1〜図6を参照して詳細に説明する。
【0016】
図2は、本実施形態にかかる自動変速機を搭載した車両及びそのシフト制御装置を示す概略構成図である。
図2に示すように、エンジン2の出力軸(図示略)は、トルクコンバータ4に連結されている。このトルクコンバータ4は、入力された回転を流体(オイル)を媒介して伝達する流体継手の一種であり、エンジン2の出力軸の回転を自動変速機(以下、「A/T」と称す)6に伝達する。
【0017】
A/T6の油圧制御部8にはアクチュエータとしてのポジション切替用のモータ10が設けられている。モータ10はA/T6の油圧制御部8の油圧を制御するA/TECU40によって駆動制御される。図3に示すように、モータ10の出力軸(図示略)には油圧制御部8のハウジングを貫通するアウタレバー12が連結されている。アウタレバー12にはディテントプレート14が一体に設けられ、ディテントプレート14は制御油圧の供給先を切替えるマニュアルバルブ17に連結されている。モータ10が回転駆動されると、ディテントプレート14を介してマニュアルバルブ17が切り替えられることにより、P(パーキング)、R(リバース)、N(ニュートラル)、D(ドライブ)等のシフトポジション(レンジ)の切替が行われる。
【0018】
また、ディテントプレート14の外周部にはディテントスプリング16の先端部が弾性的に押し付けられている。ディテントスプリング16の先端部がディテントプレート14の外周縁に形成されたレンジ位置決め用のディテント溝15と係合することにより節度感が付与されるとともに、A/T6の上記各レンジ位置が位置決めされる。
【0019】
図1に示すように、車室18の運転席19の前方にはステアリングコラム20上にステアリングホイール21が設けられている。運転席19の側方のフロア上には前記A/T6のシフト操作を行うための第1シフト装置22が設けられている。また、可動部としての運転席ドア24には前記A/T6のシフト操作を行うための第2シフト装置26が設けられている。
【0020】
第1シフト装置22及び第2シフト装置26は同一構成をなす。操作パネル28上にはPポジション及びNポジションをそれぞれ選択するための選択スイッチ29,30が設けられている。また、シフトレバー31は操作パネル28に形成された十字状のガイド溝32に沿って傾動操作可能に設けられている。ガイド溝32には車両の前後方向においてRポジション及びDポジションが設定され、車両の左右方向においてDポジション以外の前進走行ポジション(3,2,L)を選択するための−(シフトダウン)ポジション及び+(シフトアップ)ポジションが設定されている。第1シフト装置22及び第2シフト装置26には選択スイッチ29,30の操作及びシフトレバー31の選択操作を電気的に検出する第1シフト検出センサ42及び第2シフト検出センサ44が設けられている。なお、ガイド溝32に沿ってシフトレバー31をRポジション,Dポジション,−ポジション及び+ポジションのいずれかに操作してもその操作力を解除すれば、図示しないディテント機構の機能によりシフトレバー31はその都度ガイド溝32の交差部の操作中心位置に戻されるようになっている。
【0021】
本実施形態にかかる車両では、上記の制御系として役割を司る電子制御装置(ECU)として、主にエンジン2の運転制御を行うエンジン用ECU(「E/GECU」)38、主に上記A/T6の制御を行う変速機用ECU(「A/TECU」)40を備えている。各ECU38,40はそれぞれ、車内ネットワーク回線を通じて電気的に接続されている。
【0022】
A/TECU40には前記第1シフト装置22の第1シフト検出センサ42の検出信号、前記第2シフト装置26の第2シフト検出センサ44の検出信号が入力されている。A/TECU40は、マイクロコンピュータが使用され、前記A/T6のシフトポジション切替え及び前進走行ポジションにおける各変速段の自動切替えに関連する各種ソフトウェア処理に必要なプログラムを記憶させた読出し専用メモリ(ROM)、このプログラムを実行する中央演算処理装置(CPU)、プログラムに必要な変数を一時的に記憶する書き込み可能メモリ(RAM)などを主体として構成されている。
【0023】
A/TECU40は、エンジン2の運転状態において前記第1シフト検出センサ42の検出信号と前記第2シフト検出センサ44の検出信号とが同時に入力されたときには前記第1シフト検出センサ42の検出信号を優先し、その検出信号に基づいてモータ10の駆動制御を行う。
【0024】
次に、上記A/TECU40が実行するシフト制御処理を図4のフローチャートに基づいて説明する。本処理は予め設定されている短時間毎に周期的に繰り返し実行される処理である。
【0025】
本処理が開始されると、まず、ステップ100において第1シフト装置22又は第2シフト装置26からのシフト操作信号が入力されたかどうかが判定される。シフト操作信号が入力されたと判定されるとステップ110に進み、シフト操作信号が入力されていないと判定されると、本処理を一旦終了する。なお、シフト操作信号が入力されるとタイマが起動され、そのタイマによって所定時間TOFFが測定される。
【0026】
ステップ110にて同一のシフト装置から同一のポジション信号が連続して入力されたかどうかが判定される。同一のポジション信号が連続して入力されたと判定されるとステップ180に進み、否定判定されるとステップ120に進む。
【0027】
ステップ120では同一のシフト装置から相違するポジション信号が所定時間TOFF以内に連続して所定回数以上入力されたかどうかが判定される。肯定判定されるとステップ150に進み、否定判定されるとステップ130に進む。
【0028】
ステップ130では第1シフト装置22及び第2シフト装置26がともにアクティブにされる。その結果、第1シフト装置22のシフト操作に基づく第1シフト検出センサ42の検出信号が有効として処理されるとともに、第2シフト装置26のシフト操作に基づく第2シフト検出センサ44の検出信号が有効として処理される。
【0029】
次のステップ140では第1シフト装置22のシフト操作に基づく検出信号が第2シフト装置26のシフト操作に基づく検出信号に対して優先処理される。すなわち、第1シフト検出センサ42の検出信号と第2シフト検出センサ44の検出信号とが同時にA/TECU40に入力される場合には、第1シフト装置22のシフト操作に基づく検出信号に基づいてモータ10が制御されてA/T6のポジション切替が行われる。
【0030】
前記ステップ110にて同一連続入力であると判定された場合、ステップ180にてその検出信号に応じたポジションとなるようにモータ10が制御され、マニュアルバルブ17が切替えられる。次のステップ190では前記所定時間TOFF以内に同一ポジション信号が入力されてもこれを無視し、ステップ180にて切替えられたポジションに固定する。
【0031】
前記ステップ120にて相違連続入力であると判定された場合、ステップ150にて所定回数の検出信号にPポジション信号又はNポジション信号があるかどうかが判定される。肯定判定されるとステップ170に進み、否定判定されるとステップ160に進む。
【0032】
ステップ170ではモータ10を制御してマニュアルバルブ17をPポジション又はNポジションに切替えて固定する。ここでは車速の大きさにもよるが、特に車両が停止しているときにはPポジションを優先する。
【0033】
また、ステップ160では現シフトポジションに固定し、前記所定時間TOFF以内にいかなるシフト操作信号が入力されてもこれを無視する。
図5、図6は上記A/T6のシフト制御の一例を示している。
【0034】
図5は同一のシフト装置から同一のポジション信号が連続して入力された場合の制御の一例を示している。
図5に示すように、A/T6のシフトポジションが任意ポジションの状態において、例えばタイミングt1において第1シフト装置22が操作されてDポジション信号が入力されると、タイマが起動されて所定時間TOFFが計測されるとともに、カウンタが起動される。
【0035】
この所定時間TOFF以内に第1シフト装置22からDポジション信号が連続して入力されると、カウンタにより信号の数がカウントされる。しかしながら、Dポジション信号の連続であるため、実際の判定はタイミングt1においてDポジションに維持され、この判定結果に基づいてモータ10の制御が行われる。
【0036】
また、図6は同一のシフト装置から相違するポジション信号が連続して入力された場合の制御の一例を示している。
図6に示すように、実際の判定ポジションが任意ポジションの状態において、例えばタイミングt2において第1シフト装置22が操作されてDポジション信号が入力されると、タイマが起動されて所定時間TOFFが計測されるとともに、カウンタが起動される。
【0037】
この所定時間TOFF以内に第1シフト装置22からRポジション信号及びDポジション信号が交互に連続して入力されると、カウンタにより信号の数がカウントされる。所定時間TOFF以内にシフト信号が入力される毎に実際の判定はD,R,D,Rポジションに切り替えられる。
【0038】
タイミングt2において所定時間TOFF以内にカウンタにより信号が4つカウントされると、そのシフト信号は受け付けられず、無視される。この判定結果に基づいてモータ10の制御が行われる。
【0039】
以上説明した本実施形態によれば、以下の効果が得られる。
・ 第1シフト装置22及び第2シフト装置26は小さな操作力で容易に操作されるため、短い所定時間内に連続したシフト操作も行われ、連続したシフト操作に基づいてシフト検出センサから連続して検出信号が出力される。これに対して本実施形態では同一のシフト装置から同一のポジション信号が連続して入力されたときには最初のシフト信号にのみ基づいてモータ10の制御を実行する。従って、モータ10や油圧制御部8の耐久性の低下を防止することができる。
【0040】
・ 同様に同一のシフト装置から相違するポジション信号が連続して入力されたときにあって所定時間内に所定回数以上のシフト信号が入力されたときには所定回数を超える検出信号に基づくモータ10の制御が行われない。従って、モータ10や油圧制御部8の耐久性の低下を防止することができる。
【0041】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態を図7〜図9に従って説明する。
上記第1実施形態においては、同一のシフト装置から所定時間内に所定回数以上の検出信号が入力されたとき、所定回数を超える検出信号に基づくモータ10の制御を行わないようにした。本実施形態においては、同一のシフト装置から所定時間内に所定回数以上の検出信号が入力されたとき、そのシフト装置のフェールを判定するようにしている。
【0042】
本実施形態において、自動変速機を搭載した車両及びそのシフト制御装置のシステム構成は第1実施形態と同様である。
本実施形態においてA/TECU40が実行するシフト制御処理を図7のフローチャートに基づいて説明する。本処理は予め設定されている短時間毎に周期的に繰り返し実行される処理である。
【0043】
本処理が開始されると、まず、ステップ200において第1シフト装置22又は第2シフト装置26からのシフト操作信号が入力されたかどうかが判定される。シフト操作信号が入力されたと判定されるとステップ210に進み、シフト操作信号が入力されていないと判定されると、本処理を一旦終了する。なお、シフト操作信号が入力されるとタイマが起動され、そのタイマによって所定時間TOFFが測定される。
【0044】
ステップ210にて同一のシフト装置から同一のポジション信号が連続して入力されたかどうかが判定される。同一のポジション信号が連続して入力されたと判定されるとステップ250に進み、否定判定されるとステップ220に進む。
【0045】
ステップ220では同一のシフト装置から相違するポジション信号が所定時間TOFF以内に連続して所定回数以上入力されたかどうかが判定される。肯定判定されるとステップ250に進み、否定判定されるとステップ230に進む。
【0046】
ステップ230では第1シフト装置22及び第2シフト装置26がともにアクティブにされる。その結果、第1シフト装置22のシフト操作に基づく第1シフト検出センサ42の検出信号が有効として処理されるとともに、第2シフト装置26のシフト操作に基づく第2シフト検出センサ44の検出信号が有効として処理される。
【0047】
次のステップ240では第1シフト装置22のシフト操作に基づく検出信号が第2シフト装置26のシフト操作に基づく検出信号に対して優先処理される。すなわち、第1シフト検出センサ42の検出信号と第2シフト検出センサ44の検出信号とが同時にA/TECU40に入力される場合には、第1シフト装置22のシフト操作に基づく検出信号に基づいてモータ10が制御されてA/T6のポジション切替が行われる。
【0048】
ステップ250では同一連続入力又は相違連続入力のシフト装置がフェールしていると判定され、該シフト装置がノンアクティブにされ、そのシフト装置のシフト操作に基づく検出信号は無効として処理される。
【0049】
続くステップ260では他方のシフト装置のみがアクティブにされ、そのシフト装置のシフト操作に基づく検出信号が有効として処理される。
図8、図9は上記A/T6のシフト制御の一例を示している。
【0050】
図8は同一のシフト装置から同一のポジション信号が連続して入力された場合の制御の一例を示している。
図8に示すように、実際の判定ポジションが任意ポジションの状態において、例えばタイミングt4において第1シフト装置22が操作されてDポジション信号が入力されると、タイマが起動されて所定時間TOFFが計測されるとともに、カウンタが起動される。
【0051】
この所定時間TOFF以内に第1シフト装置22からDポジション信号が連続して入力されると、カウンタにより信号の数がカウントされる。所定時間TOFF以内にシフト信号が入力される毎に実際の判定はD,D,D,Dポジションとなる。
【0052】
タイミングt5において所定時間TOFF以内にカウンタにより信号が5つカウントされると、第1シフト装置22のフェールが判定される。
また、図9は同一のシフト装置から相違するポジション信号が連続して入力された場合の制御の一例を示している。
【0053】
図9に示すように、実際の判定ポジションが任意ポジションの状態において、例えばタイミングt6において第1シフト装置22が操作されてDポジション信号が入力されると、タイマが起動されて所定時間TOFFが計測されるとともに、カウンタが起動される。
【0054】
この所定時間TOFF以内に第1シフト装置22からRポジション信号及びDポジション信号が交互に連続して入力されると、カウンタにより信号の数がカウントされる。所定時間TOFF以内にシフト信号が入力される毎に実際の判定はD,R,D,Rポジションとなる。
【0055】
タイミングt7において所定時間TOFF以内にカウンタにより信号が4つカウントされると、第1シフト装置22のフェールが判定される。
以上説明した本実施形態によれば、以下の効果が得られる。
【0056】
・ 本実施形態では同一のシフト装置から同一のポジション信号が連続して入力されたときには、そのシフト装置のフェールを判定することができ、このシフト装置をノンアクティブにするようにしている。そのため、フェールと判断されたシフト装置の検出信号に基づいてモータ10が制御されることはないので、モータ10や油圧制御部8の耐久性の低下を防止することができる。
【0057】
・ 同様に同一のシフト装置から相違するポジション信号が連続して入力されたときにはそのシフト装置のフェールを判定することができ、このシフト装置をノンアクティブにするようにしている。そのため、フェールと判断されたシフト装置の検出信号に基づいてモータ10が制御されることはないので、モータ10や油圧制御部8の耐久性の低下を防止することができる。
【0058】
なお、実施の形態は以下のように変更することも可能である。
・ 第1実施形態において、所定時間TOFF又は検出信号が連続して入力される所定回数を、ポジション毎に又は連続入力されるポジション信号の組み合わせに応じて変更するようにしてもよい。
【0059】
・ 上記各実施形態において、車両ドア(運転席ドア24)が開いている時、及び衝突検出時には第1シフト装置22のシフト操作に基づくモータ10の駆動を禁止するようにしてもよい。
【0060】
・ 上記各実施形態において、第2シフト装置26をステアリングコラム20上に設けてもよい。
・ 上記各実施形態では、シフトレバー31の操作に基づく第1シフト検出センサ42及び第2シフト検出センサ44の検出信号に基づいてアクチュエータとしてのポジション切替用のモータ10を駆動制御してA/T6のポジションを切り替えるようにしたが、A/T6に内蔵されたシフトソレノイドバルブを駆動制御することにより変速段を切り替えるように構成してもよい。
【0061】
・ 上記実施形態では自動変速機のシフト制御装置に具体化したが、シフト装置のシフト操作を電気的に検出して変速機のシフトポジション又は変速比を切り替えるようにした変速機のシフト制御装置に具体化してもよい。例えばマニュアルシフトを行う手動変速機、自動変速モードを備えた手動変速機、あるいは無段変速機のシフト制御装置に具体化してもよい。
【0062】
次に、上記各実施形態から把握できる他の技術的思想を、以下に記載する。
・ 請求項1〜6のいずれか一項に記載のシフト制御装置において、前記シフト装置の操作部材は、操作中心位置とその周りのそれぞれ異なる方向に設定された複数の操作位置との間を移動可能に設けられかつ復帰機構により前記操作中心位置に復帰するシフトレバーであることを特徴とするシフト制御装置。この構成によれば、シフトレバーの複数の操作位置は複数のポジションにそれぞれ割り当てられているので、レバー操作によって所望するポジションを容易かつ確実に選択することができ、シフト操作性を向上することができる。
【符号の説明】
【0063】
6…自動変速機、10…ポジション切替用のモータ、17…マニュアルバルブ、22…第1シフト装置、24…運転席ドア、26…第2シフト装置、31…シフトレバー、40…A/TECU、42,44…シフト検出センサ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載されるシフト装置のシフト操作に応じてシフトポジションの切り替えが電気的な制御で実現されるシフト制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載される変速機のひとつとして自動変速機が採用される。近年、シフト装置のシフトレバーのシフト操作位置をシフト検出センサによって電気的に検出し、この検出信号に基づいてシフト用モータを駆動して自動変速機のマニュアルバルブを切り替えることにより、P(パーキング)、R(リバース)、N(ニュートラル)、D(ドライブ)等のシフトポジションを切り替える、いわゆるシフト・バイ・ワイヤ方式のシフト制御装置が提案されている(例えば特許文献1)。
【0003】
このようなシフト制御装置では、シフト装置のシフトレバーはマニュアルバルブに対して機械的に連結されないため、シフトレバーを小さな操作力で容易に操作することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−74211号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、このようなシフト制御装置では、シフト装置のシフトレバーは小さな操作力で容易に操作されるため、短い所定時間内に連続したシフト操作も行われ得る。このようなシフトレバーの連続したシフト操作を検出してシフト検出センサから連続して検出信号が出力される。この連続した検出信号に基づいてシフト用モータが頻繁に駆動されることになり、シフト用モータの耐久性が低下する。また、シフト装置のシフト検出センサの故障等に起因して、シフトレバーの一回の操作に対して連続した検出信号が出力される可能性もある。この場合にも、連続した検出信号に基づいてシフト用モータが頻繁に駆動されることになり、シフト用モータの耐久性が低下する。
【0006】
本発明は上記の事情を鑑みてなされたものであって、その目的は、シフト装置のシフト操作に応じてシフトポジションを切替えるシフト用モータの耐久性の低下を防止することができるシフト制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1に記載の発明は、シフト装置のシフト操作に応じてシフト用モータを駆動させることによりシフトポジションを変更するシフト制御装置において、前記シフト装置によるシフトポジションの選択が所定時間内に所定回数以上なされたとき、シフトポジションの変更を禁止することを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、シフト装置のシフト操作に応じてシフト用モータを駆動させることによりシフトポジションを変更するシフト制御装置において、前記シフト装置により異なる2つのシフトポジションが交互に選択された場合、初期は前記シフト操作に応じて前記シフト用モータを駆動し、途中からは前記シフト操作に応じた前記シフト用モータの駆動を禁止することを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、シフト装置のシフト操作に応じてシフト用モータを駆動させることによりシフトポジションを変更するシフト制御装置において、前記シフト装置によるシフトポジションの選択が連続してなされたとき、シフトポジションの変更を禁止することを特徴とする。
【0010】
請求項1の構成では、シフトポジションの選択が所定時間内に所定回数以上なされたとき、シフト用モータの駆動が禁止されるようにしている。請求項2の構成では、異なる2つのシフトポジションが交互に選択された場合、初期はシフト操作に応じてシフト用モータを駆動し、途中からはシフト操作に応じたシフト用モータの駆動を禁止するようにしている。請求項3の構成では、シフトポジションの選択が連続してなされたとき、シフト用モータの駆動を禁止するようにしている。こうした請求項1〜3の構成によれば、シフト用モータの耐久性低下を防止することができる。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載のシフト制御装置において、前記シフト装置は、ドライブポジションとリバースポジションとを選択可能な第1シフト操作手段と、パーキングポジションを選択可能な第2シフト操作手段とを備えることを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のシフト制御装置において、前記第1シフト操作手段はシフトレバーであり、前記第2シフト操作手段はパーキングスイッチであることを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載のシフト制御装置において、前記シフトレバーをその操作中心位置に復帰させる復帰機構をさらに備えることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1実施形態におけるシフト装置の配置図。
【図2】第1実施形態にかかる自動変速機を搭載した車両及びそのシフト制御装置を示す概略構成図。
【図3】第1実施形態のシフト制御装置の要部の概略図。
【図4】第1実施形態のシフト制御処理を示すフローチャート。
【図5】第1実施形態のシフト制御の一例を示すタイムチャート。
【図6】第1実施形態のシフト制御の一例を示すタイムチャート。
【図7】第2実施形態のシフト制御処理を示すフローチャート。
【図8】第2実施形態のシフト制御の一例を示すタイムチャート。
【図9】第2実施形態のシフト制御の一例を示すタイムチャート。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1実施形態)
以下、本発明を自動変速機のシフト制御装置に具体化した第1実施形態を図1〜図6を参照して詳細に説明する。
【0016】
図2は、本実施形態にかかる自動変速機を搭載した車両及びそのシフト制御装置を示す概略構成図である。
図2に示すように、エンジン2の出力軸(図示略)は、トルクコンバータ4に連結されている。このトルクコンバータ4は、入力された回転を流体(オイル)を媒介して伝達する流体継手の一種であり、エンジン2の出力軸の回転を自動変速機(以下、「A/T」と称す)6に伝達する。
【0017】
A/T6の油圧制御部8にはアクチュエータとしてのポジション切替用のモータ10が設けられている。モータ10はA/T6の油圧制御部8の油圧を制御するA/TECU40によって駆動制御される。図3に示すように、モータ10の出力軸(図示略)には油圧制御部8のハウジングを貫通するアウタレバー12が連結されている。アウタレバー12にはディテントプレート14が一体に設けられ、ディテントプレート14は制御油圧の供給先を切替えるマニュアルバルブ17に連結されている。モータ10が回転駆動されると、ディテントプレート14を介してマニュアルバルブ17が切り替えられることにより、P(パーキング)、R(リバース)、N(ニュートラル)、D(ドライブ)等のシフトポジション(レンジ)の切替が行われる。
【0018】
また、ディテントプレート14の外周部にはディテントスプリング16の先端部が弾性的に押し付けられている。ディテントスプリング16の先端部がディテントプレート14の外周縁に形成されたレンジ位置決め用のディテント溝15と係合することにより節度感が付与されるとともに、A/T6の上記各レンジ位置が位置決めされる。
【0019】
図1に示すように、車室18の運転席19の前方にはステアリングコラム20上にステアリングホイール21が設けられている。運転席19の側方のフロア上には前記A/T6のシフト操作を行うための第1シフト装置22が設けられている。また、可動部としての運転席ドア24には前記A/T6のシフト操作を行うための第2シフト装置26が設けられている。
【0020】
第1シフト装置22及び第2シフト装置26は同一構成をなす。操作パネル28上にはPポジション及びNポジションをそれぞれ選択するための選択スイッチ29,30が設けられている。また、シフトレバー31は操作パネル28に形成された十字状のガイド溝32に沿って傾動操作可能に設けられている。ガイド溝32には車両の前後方向においてRポジション及びDポジションが設定され、車両の左右方向においてDポジション以外の前進走行ポジション(3,2,L)を選択するための−(シフトダウン)ポジション及び+(シフトアップ)ポジションが設定されている。第1シフト装置22及び第2シフト装置26には選択スイッチ29,30の操作及びシフトレバー31の選択操作を電気的に検出する第1シフト検出センサ42及び第2シフト検出センサ44が設けられている。なお、ガイド溝32に沿ってシフトレバー31をRポジション,Dポジション,−ポジション及び+ポジションのいずれかに操作してもその操作力を解除すれば、図示しないディテント機構の機能によりシフトレバー31はその都度ガイド溝32の交差部の操作中心位置に戻されるようになっている。
【0021】
本実施形態にかかる車両では、上記の制御系として役割を司る電子制御装置(ECU)として、主にエンジン2の運転制御を行うエンジン用ECU(「E/GECU」)38、主に上記A/T6の制御を行う変速機用ECU(「A/TECU」)40を備えている。各ECU38,40はそれぞれ、車内ネットワーク回線を通じて電気的に接続されている。
【0022】
A/TECU40には前記第1シフト装置22の第1シフト検出センサ42の検出信号、前記第2シフト装置26の第2シフト検出センサ44の検出信号が入力されている。A/TECU40は、マイクロコンピュータが使用され、前記A/T6のシフトポジション切替え及び前進走行ポジションにおける各変速段の自動切替えに関連する各種ソフトウェア処理に必要なプログラムを記憶させた読出し専用メモリ(ROM)、このプログラムを実行する中央演算処理装置(CPU)、プログラムに必要な変数を一時的に記憶する書き込み可能メモリ(RAM)などを主体として構成されている。
【0023】
A/TECU40は、エンジン2の運転状態において前記第1シフト検出センサ42の検出信号と前記第2シフト検出センサ44の検出信号とが同時に入力されたときには前記第1シフト検出センサ42の検出信号を優先し、その検出信号に基づいてモータ10の駆動制御を行う。
【0024】
次に、上記A/TECU40が実行するシフト制御処理を図4のフローチャートに基づいて説明する。本処理は予め設定されている短時間毎に周期的に繰り返し実行される処理である。
【0025】
本処理が開始されると、まず、ステップ100において第1シフト装置22又は第2シフト装置26からのシフト操作信号が入力されたかどうかが判定される。シフト操作信号が入力されたと判定されるとステップ110に進み、シフト操作信号が入力されていないと判定されると、本処理を一旦終了する。なお、シフト操作信号が入力されるとタイマが起動され、そのタイマによって所定時間TOFFが測定される。
【0026】
ステップ110にて同一のシフト装置から同一のポジション信号が連続して入力されたかどうかが判定される。同一のポジション信号が連続して入力されたと判定されるとステップ180に進み、否定判定されるとステップ120に進む。
【0027】
ステップ120では同一のシフト装置から相違するポジション信号が所定時間TOFF以内に連続して所定回数以上入力されたかどうかが判定される。肯定判定されるとステップ150に進み、否定判定されるとステップ130に進む。
【0028】
ステップ130では第1シフト装置22及び第2シフト装置26がともにアクティブにされる。その結果、第1シフト装置22のシフト操作に基づく第1シフト検出センサ42の検出信号が有効として処理されるとともに、第2シフト装置26のシフト操作に基づく第2シフト検出センサ44の検出信号が有効として処理される。
【0029】
次のステップ140では第1シフト装置22のシフト操作に基づく検出信号が第2シフト装置26のシフト操作に基づく検出信号に対して優先処理される。すなわち、第1シフト検出センサ42の検出信号と第2シフト検出センサ44の検出信号とが同時にA/TECU40に入力される場合には、第1シフト装置22のシフト操作に基づく検出信号に基づいてモータ10が制御されてA/T6のポジション切替が行われる。
【0030】
前記ステップ110にて同一連続入力であると判定された場合、ステップ180にてその検出信号に応じたポジションとなるようにモータ10が制御され、マニュアルバルブ17が切替えられる。次のステップ190では前記所定時間TOFF以内に同一ポジション信号が入力されてもこれを無視し、ステップ180にて切替えられたポジションに固定する。
【0031】
前記ステップ120にて相違連続入力であると判定された場合、ステップ150にて所定回数の検出信号にPポジション信号又はNポジション信号があるかどうかが判定される。肯定判定されるとステップ170に進み、否定判定されるとステップ160に進む。
【0032】
ステップ170ではモータ10を制御してマニュアルバルブ17をPポジション又はNポジションに切替えて固定する。ここでは車速の大きさにもよるが、特に車両が停止しているときにはPポジションを優先する。
【0033】
また、ステップ160では現シフトポジションに固定し、前記所定時間TOFF以内にいかなるシフト操作信号が入力されてもこれを無視する。
図5、図6は上記A/T6のシフト制御の一例を示している。
【0034】
図5は同一のシフト装置から同一のポジション信号が連続して入力された場合の制御の一例を示している。
図5に示すように、A/T6のシフトポジションが任意ポジションの状態において、例えばタイミングt1において第1シフト装置22が操作されてDポジション信号が入力されると、タイマが起動されて所定時間TOFFが計測されるとともに、カウンタが起動される。
【0035】
この所定時間TOFF以内に第1シフト装置22からDポジション信号が連続して入力されると、カウンタにより信号の数がカウントされる。しかしながら、Dポジション信号の連続であるため、実際の判定はタイミングt1においてDポジションに維持され、この判定結果に基づいてモータ10の制御が行われる。
【0036】
また、図6は同一のシフト装置から相違するポジション信号が連続して入力された場合の制御の一例を示している。
図6に示すように、実際の判定ポジションが任意ポジションの状態において、例えばタイミングt2において第1シフト装置22が操作されてDポジション信号が入力されると、タイマが起動されて所定時間TOFFが計測されるとともに、カウンタが起動される。
【0037】
この所定時間TOFF以内に第1シフト装置22からRポジション信号及びDポジション信号が交互に連続して入力されると、カウンタにより信号の数がカウントされる。所定時間TOFF以内にシフト信号が入力される毎に実際の判定はD,R,D,Rポジションに切り替えられる。
【0038】
タイミングt2において所定時間TOFF以内にカウンタにより信号が4つカウントされると、そのシフト信号は受け付けられず、無視される。この判定結果に基づいてモータ10の制御が行われる。
【0039】
以上説明した本実施形態によれば、以下の効果が得られる。
・ 第1シフト装置22及び第2シフト装置26は小さな操作力で容易に操作されるため、短い所定時間内に連続したシフト操作も行われ、連続したシフト操作に基づいてシフト検出センサから連続して検出信号が出力される。これに対して本実施形態では同一のシフト装置から同一のポジション信号が連続して入力されたときには最初のシフト信号にのみ基づいてモータ10の制御を実行する。従って、モータ10や油圧制御部8の耐久性の低下を防止することができる。
【0040】
・ 同様に同一のシフト装置から相違するポジション信号が連続して入力されたときにあって所定時間内に所定回数以上のシフト信号が入力されたときには所定回数を超える検出信号に基づくモータ10の制御が行われない。従って、モータ10や油圧制御部8の耐久性の低下を防止することができる。
【0041】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態を図7〜図9に従って説明する。
上記第1実施形態においては、同一のシフト装置から所定時間内に所定回数以上の検出信号が入力されたとき、所定回数を超える検出信号に基づくモータ10の制御を行わないようにした。本実施形態においては、同一のシフト装置から所定時間内に所定回数以上の検出信号が入力されたとき、そのシフト装置のフェールを判定するようにしている。
【0042】
本実施形態において、自動変速機を搭載した車両及びそのシフト制御装置のシステム構成は第1実施形態と同様である。
本実施形態においてA/TECU40が実行するシフト制御処理を図7のフローチャートに基づいて説明する。本処理は予め設定されている短時間毎に周期的に繰り返し実行される処理である。
【0043】
本処理が開始されると、まず、ステップ200において第1シフト装置22又は第2シフト装置26からのシフト操作信号が入力されたかどうかが判定される。シフト操作信号が入力されたと判定されるとステップ210に進み、シフト操作信号が入力されていないと判定されると、本処理を一旦終了する。なお、シフト操作信号が入力されるとタイマが起動され、そのタイマによって所定時間TOFFが測定される。
【0044】
ステップ210にて同一のシフト装置から同一のポジション信号が連続して入力されたかどうかが判定される。同一のポジション信号が連続して入力されたと判定されるとステップ250に進み、否定判定されるとステップ220に進む。
【0045】
ステップ220では同一のシフト装置から相違するポジション信号が所定時間TOFF以内に連続して所定回数以上入力されたかどうかが判定される。肯定判定されるとステップ250に進み、否定判定されるとステップ230に進む。
【0046】
ステップ230では第1シフト装置22及び第2シフト装置26がともにアクティブにされる。その結果、第1シフト装置22のシフト操作に基づく第1シフト検出センサ42の検出信号が有効として処理されるとともに、第2シフト装置26のシフト操作に基づく第2シフト検出センサ44の検出信号が有効として処理される。
【0047】
次のステップ240では第1シフト装置22のシフト操作に基づく検出信号が第2シフト装置26のシフト操作に基づく検出信号に対して優先処理される。すなわち、第1シフト検出センサ42の検出信号と第2シフト検出センサ44の検出信号とが同時にA/TECU40に入力される場合には、第1シフト装置22のシフト操作に基づく検出信号に基づいてモータ10が制御されてA/T6のポジション切替が行われる。
【0048】
ステップ250では同一連続入力又は相違連続入力のシフト装置がフェールしていると判定され、該シフト装置がノンアクティブにされ、そのシフト装置のシフト操作に基づく検出信号は無効として処理される。
【0049】
続くステップ260では他方のシフト装置のみがアクティブにされ、そのシフト装置のシフト操作に基づく検出信号が有効として処理される。
図8、図9は上記A/T6のシフト制御の一例を示している。
【0050】
図8は同一のシフト装置から同一のポジション信号が連続して入力された場合の制御の一例を示している。
図8に示すように、実際の判定ポジションが任意ポジションの状態において、例えばタイミングt4において第1シフト装置22が操作されてDポジション信号が入力されると、タイマが起動されて所定時間TOFFが計測されるとともに、カウンタが起動される。
【0051】
この所定時間TOFF以内に第1シフト装置22からDポジション信号が連続して入力されると、カウンタにより信号の数がカウントされる。所定時間TOFF以内にシフト信号が入力される毎に実際の判定はD,D,D,Dポジションとなる。
【0052】
タイミングt5において所定時間TOFF以内にカウンタにより信号が5つカウントされると、第1シフト装置22のフェールが判定される。
また、図9は同一のシフト装置から相違するポジション信号が連続して入力された場合の制御の一例を示している。
【0053】
図9に示すように、実際の判定ポジションが任意ポジションの状態において、例えばタイミングt6において第1シフト装置22が操作されてDポジション信号が入力されると、タイマが起動されて所定時間TOFFが計測されるとともに、カウンタが起動される。
【0054】
この所定時間TOFF以内に第1シフト装置22からRポジション信号及びDポジション信号が交互に連続して入力されると、カウンタにより信号の数がカウントされる。所定時間TOFF以内にシフト信号が入力される毎に実際の判定はD,R,D,Rポジションとなる。
【0055】
タイミングt7において所定時間TOFF以内にカウンタにより信号が4つカウントされると、第1シフト装置22のフェールが判定される。
以上説明した本実施形態によれば、以下の効果が得られる。
【0056】
・ 本実施形態では同一のシフト装置から同一のポジション信号が連続して入力されたときには、そのシフト装置のフェールを判定することができ、このシフト装置をノンアクティブにするようにしている。そのため、フェールと判断されたシフト装置の検出信号に基づいてモータ10が制御されることはないので、モータ10や油圧制御部8の耐久性の低下を防止することができる。
【0057】
・ 同様に同一のシフト装置から相違するポジション信号が連続して入力されたときにはそのシフト装置のフェールを判定することができ、このシフト装置をノンアクティブにするようにしている。そのため、フェールと判断されたシフト装置の検出信号に基づいてモータ10が制御されることはないので、モータ10や油圧制御部8の耐久性の低下を防止することができる。
【0058】
なお、実施の形態は以下のように変更することも可能である。
・ 第1実施形態において、所定時間TOFF又は検出信号が連続して入力される所定回数を、ポジション毎に又は連続入力されるポジション信号の組み合わせに応じて変更するようにしてもよい。
【0059】
・ 上記各実施形態において、車両ドア(運転席ドア24)が開いている時、及び衝突検出時には第1シフト装置22のシフト操作に基づくモータ10の駆動を禁止するようにしてもよい。
【0060】
・ 上記各実施形態において、第2シフト装置26をステアリングコラム20上に設けてもよい。
・ 上記各実施形態では、シフトレバー31の操作に基づく第1シフト検出センサ42及び第2シフト検出センサ44の検出信号に基づいてアクチュエータとしてのポジション切替用のモータ10を駆動制御してA/T6のポジションを切り替えるようにしたが、A/T6に内蔵されたシフトソレノイドバルブを駆動制御することにより変速段を切り替えるように構成してもよい。
【0061】
・ 上記実施形態では自動変速機のシフト制御装置に具体化したが、シフト装置のシフト操作を電気的に検出して変速機のシフトポジション又は変速比を切り替えるようにした変速機のシフト制御装置に具体化してもよい。例えばマニュアルシフトを行う手動変速機、自動変速モードを備えた手動変速機、あるいは無段変速機のシフト制御装置に具体化してもよい。
【0062】
次に、上記各実施形態から把握できる他の技術的思想を、以下に記載する。
・ 請求項1〜6のいずれか一項に記載のシフト制御装置において、前記シフト装置の操作部材は、操作中心位置とその周りのそれぞれ異なる方向に設定された複数の操作位置との間を移動可能に設けられかつ復帰機構により前記操作中心位置に復帰するシフトレバーであることを特徴とするシフト制御装置。この構成によれば、シフトレバーの複数の操作位置は複数のポジションにそれぞれ割り当てられているので、レバー操作によって所望するポジションを容易かつ確実に選択することができ、シフト操作性を向上することができる。
【符号の説明】
【0063】
6…自動変速機、10…ポジション切替用のモータ、17…マニュアルバルブ、22…第1シフト装置、24…運転席ドア、26…第2シフト装置、31…シフトレバー、40…A/TECU、42,44…シフト検出センサ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シフト装置のシフト操作に応じてシフト用モータを駆動させることによりシフトポジションを変更するシフト制御装置において、
前記シフト装置によるシフトポジションの選択が所定時間内に所定回数以上なされたとき、シフトポジションの変更を禁止する
ことを特徴とするシフト制御装置。
【請求項2】
シフト装置のシフト操作に応じてシフト用モータを駆動させることによりシフトポジションを変更するシフト制御装置において、
前記シフト装置により異なる2つのシフトポジションが交互に選択された場合、初期は前記シフト操作に応じて前記シフト用モータを駆動し、途中からは前記シフト操作に応じた前記シフト用モータの駆動を禁止する
ことを特徴とするシフト制御装置。
【請求項3】
シフト装置のシフト操作に応じてシフト用モータを駆動させることによりシフトポジションを変更するシフト制御装置において、
前記シフト装置によるシフトポジションの選択が連続してなされたとき、シフトポジションの変更を禁止する
ことを特徴とするシフト制御装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のシフト制御装置において、
前記シフト装置は、ドライブポジションとリバースポジションとを選択可能な第1シフト操作手段と、パーキングポジションを選択可能な第2シフト操作手段とを備える
ことを特徴とするシフト制御装置。
【請求項5】
請求項4に記載のシフト制御装置において、
前記第1シフト操作手段はシフトレバーであり、前記第2シフト操作手段はパーキングスイッチである
ことを特徴とするシフト制御装置。
【請求項6】
請求項5に記載のシフト制御装置において、
前記シフトレバーをその操作中心位置に復帰させる復帰機構をさらに備える
ことを特徴とするシフト制御装置。
【請求項1】
シフト装置のシフト操作に応じてシフト用モータを駆動させることによりシフトポジションを変更するシフト制御装置において、
前記シフト装置によるシフトポジションの選択が所定時間内に所定回数以上なされたとき、シフトポジションの変更を禁止する
ことを特徴とするシフト制御装置。
【請求項2】
シフト装置のシフト操作に応じてシフト用モータを駆動させることによりシフトポジションを変更するシフト制御装置において、
前記シフト装置により異なる2つのシフトポジションが交互に選択された場合、初期は前記シフト操作に応じて前記シフト用モータを駆動し、途中からは前記シフト操作に応じた前記シフト用モータの駆動を禁止する
ことを特徴とするシフト制御装置。
【請求項3】
シフト装置のシフト操作に応じてシフト用モータを駆動させることによりシフトポジションを変更するシフト制御装置において、
前記シフト装置によるシフトポジションの選択が連続してなされたとき、シフトポジションの変更を禁止する
ことを特徴とするシフト制御装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のシフト制御装置において、
前記シフト装置は、ドライブポジションとリバースポジションとを選択可能な第1シフト操作手段と、パーキングポジションを選択可能な第2シフト操作手段とを備える
ことを特徴とするシフト制御装置。
【請求項5】
請求項4に記載のシフト制御装置において、
前記第1シフト操作手段はシフトレバーであり、前記第2シフト操作手段はパーキングスイッチである
ことを特徴とするシフト制御装置。
【請求項6】
請求項5に記載のシフト制御装置において、
前記シフトレバーをその操作中心位置に復帰させる復帰機構をさらに備える
ことを特徴とするシフト制御装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2011−214722(P2011−214722A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−168790(P2011−168790)
【出願日】平成23年8月1日(2011.8.1)
【分割の表示】特願2001−219529(P2001−219529)の分割
【原出願日】平成13年7月19日(2001.7.19)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月1日(2011.8.1)
【分割の表示】特願2001−219529(P2001−219529)の分割
【原出願日】平成13年7月19日(2001.7.19)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
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