説明

シリコーン樹脂組成物

【課題】金属酸化物微粒子が安定に分散され、高い屈折率及び高い透明性を有することができるシリコーン樹脂組成物、該組成物の製造方法、ならびに該組成物を用いて光半導体素子を封止してなる光半導体装置を提供すること。
【解決手段】金属酸化物微粒子分散液の存在下で、2官能性アルコキシシランと3官能性アルコキシシランとを反応させて得られるシリコーン樹脂組成物であって、2官能性アルコキシシラン及び3官能性アルコキシシランが、それぞれ金属酸化物微粒子表面と反応すると同時に、高分子量化して樹脂となっているシリコーン樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリコーン樹脂組成物、該組成物の製造方法、及び該組成物を用いて得られる光半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光半導体素子封止用樹脂として、耐熱性が良好なシリコーン樹脂が使用されている(例えば、特許文献1、特許文献2)。
【0003】
一方、光取り出し効率を向上させるために、樹脂の屈折率を高くすることが望まれている。樹脂の屈折率を高くする手段として、高屈折率の金属酸化物微粒子を分散させることが考えられる。
【0004】
しかしながら、シリコーン樹脂は非常に疎水性であるが故に、金属酸化物微粒子を凝集せずに分散させることが困難であり、また、不透明になってしまうために透明な樹脂を得ることが困難であるという問題があった。
【特許文献1】特開2005−229048号公報
【特許文献2】特開2006−324596号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、金属酸化物微粒子が安定に分散され、高い屈折率及び高い透明性を有することができるシリコーン樹脂組成物、該組成物の製造方法、ならびに該組成物を用いて光半導体素子を封止してなる光半導体装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
即ち、本発明の要旨は、
〔1〕 金属酸化物微粒子分散液の存在下で、2官能性アルコキシシランと3官能性アルコキシシランとを反応させて得られるシリコーン樹脂組成物、
〔2〕 金属酸化物微粒子分散液の存在下で、2官能性アルコキシシランと3官能性アルコキシシランとを反応させる工程を含む、シリコーン樹脂組成物の製造方法、及び
〔3〕 前記〔1〕記載のシリコーン樹脂組成物を用いて光半導体素子を封止してなる光半導体装置
に関する。
【発明の効果】
【0007】
本発明のシリコーン樹脂組成物は、金属酸化物微粒子が安定に分散され、高い屈折率及び高い透明性を有することができるという良好な効果を奏する。また、光半導体装置は、該樹脂組成物を用いて封止しているため良好な光取り出し効率を備えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明のシリコーン樹脂組成物は、金属酸化物微粒子分散液の存在下で、2官能性アルコキシシランと3官能性アルコキシシランとを反応させて得られることを特徴とし、2官能性アルコキシシランの反応残基ユニット、3官能性アルコキシシランの反応残基ユニット、及び金属酸化物微粒子を含有する。なお、本明細書において「反応残基ユニット」とは、アルコキシシランや金属酸化物微粒子との反応に基づき、得られる樹脂中に導入されるユニットのことを意味する。
【0009】
かかるシリコーン樹脂組成物は、2官能性アルコキシシラン及び3官能性アルコキシシランが、それぞれ金属酸化物微粒子表面と反応すると同時に、高分子量化して樹脂となるため、封止に用いた場合に金属酸化物微粒子の分散性が良好になり、高い屈折率及び高い透明性を有することができると考えられる。
【0010】
本発明のシリコーン樹脂組成物に用いられる金属酸化物微粒子は、本発明の効果を損なわないものであればよいが、高屈折率が得られるという観点から、高屈折率を有する酸化チタン、酸化ジルコニウム、チタン酸バリウム、酸化亜鉛、チタン酸鉛等が挙げられ、これらは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0011】
金属酸化物微粒子の平均粒子径は、樹脂に高濃度に分散された状態でも優れた透明性を得るという観点から、好ましくは1〜100nm、より好ましくは1〜50nm、さらに好ましくは1〜20nmである。平均粒子径は、動的光散乱法での粒子分散液の粒子径測定あるいは透過型電子顕微鏡による直接観察により測定することができる。
【0012】
本発明において、金属酸化物微粒子は、分散液中に調製されることが好ましい(「金属酸化物微粒子分散液」ともいう)が、分散媒としては水、アルコール、ケトン系溶媒、アセトアミド系溶媒などが挙げられ、水、メタノール、メチルブチルケトン、及びジメチルアセトアミドからなる群より選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。分散液中の金属酸化物微粒子の量(固形分濃度)は、効率的に粒子表面で反応を行う観点から、好ましくは10〜40重量%、より好ましくは20〜40重量%、さらに好ましくは30〜40重量%である。このような金属酸化物微粒子分散液は、酸化チタンとして触媒化成社のNEOSUNVEILあるいはQUEEN TITANICシリーズ、多木化学社のタイノック、酸化ジルコニウムとして第一希元素化学工業社のZSLシリーズ、住友大阪セメント社のNZDシリーズ、日産化学社のナノユースシリーズなどの市販のものを用いることができる。
【0013】
金属酸化物微粒子の使用量は、高屈折率の達成、粒子表面での反応効率の観点から、反応に供される混合物中に好ましくは0.1〜20重量%、より好ましくは5〜20重量%、さらに好ましくは13〜16重量%である。
【0014】
2官能性アルコキシシランは、式(I):
【0015】
【化1】

【0016】
(式中、R1 及びR2 は、それぞれ独立してアルキル基又はフェニル基を示し、X1 及びX2 は、それぞれ独立してアルコキシ基を示す)
で表される化合物であることが好ましい。
【0017】
式(I)中のR1 及びR2 は、それぞれ独立してアルキル基又はフェニル基を示し、アルキル基の炭素数は、粒子表面の親水性/疎水性制御、アルコキシシランの重縮合反応の効率などの観点から、1〜18が好ましく、1〜12がより好ましく、1〜6がさらに好ましい。アルキル基は具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等が例示される。なかでも、R1 及びR2 は、それぞれ独立してメチル基もしくはフェニル基であることが好ましい。
【0018】
式(I)中のX1 及びX2 は、それぞれ独立してアルコキシ基を示し、アルコキシ基の炭素数は、粒子表面での反応性、加水分解速度の観点から、1〜4が好ましく、1〜2がより好ましい。具体的には、メトキシ基、エトキシ基等が例示される。なかでもX1 及びX2 は、いずれもメトキシ基であることが好ましい。
【0019】
かかる式(I)で表される2官能性アルコキシシランとしては、ジフェニルジメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、ジイソプロピルジエトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、メチルフェニルジエトキシシラン等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのなかでも、R1 及びR2 がメチル基、X1 及びX2 がメトキシ基であるジメチルジメトキシシラン、R1 及びR2 がフェニル基、X1 及びX2 がメトキシ基であるジフェニルジメトキシシランが好ましい。
【0020】
式(I)で表される2官能性アルコキシシランの使用量は、高屈折率の達成、粒子表面での反応効率、シラン同士の重縮合反応の効率の観点から、反応に供される混合物中に好ましくは10〜60重量%、より好ましくは20〜50重量%、さらに好ましくは20〜30重量%である。
【0021】
また、3官能性アルコキシシランは、式(II):
【0022】
【化2】

【0023】
(式中、Rは炭素数1〜8のアルキル基、Xは1価の有機基、nは0〜3の整数を示す)
で表される化合物であることが好ましい。
【0024】
式(II)中のR3 は、アルキル基を示し、アルキル基の炭素数は、粒子表面での反応性の観点から、好ましくは1〜8、より好ましくは1〜6、さらに好ましくは1〜3であることが好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、へキシル基等が挙げられ、これらのなかでも、R3 はメチル基、エチル基であることが好ましく、メチル基であることがより好ましい。
【0025】
式(II)中のXは1価の有機基を示し、金属酸化物微粒子を分散したシリコーン樹脂組成物の用途に応じた物性の付与をするために、各種官能基とすることができる。具体的には、アルキル基、フェニル基、グリシジル基、ビニル基、エポキシシクロヘキシル基、アミノ基、チオール基等が挙げられる。また、これらの基(例えば、グリシジル基)は、任意に他の原子、例えば、酸素原子等を含むものであってもよい。
【0026】
式(II)中のnは、溶媒への溶解性の観点から、好ましくは0〜3の整数である。
【0027】
かかる式(II)で表される3官能性アルコキシシランとしては、2-((3,4)-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジドキシプロピルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0028】
式(II)で表される3官能性アルコキシシランの使用量は、金属酸化物微粒子を分散したシリコーン樹脂組成物の物性制御の観点から、反応に供される混合物中に好ましくは5〜60重量%、より好ましくは10〜40重量%、さらに好ましくは20〜40重量%である。
【0029】
金属酸化物微粒子分散液の存在下での反応に供される2官能性アルコキシシランと3官能性アルコキシシランのモル比(2官能性アルコキシシラン/3官能性アルコキシシラン)は、溶媒への溶解性、及び組成物を硬化して得られる皮膜の堅さ、強度の観点から、好ましくは90/10〜60/40、より好ましくは80/20〜60/40、さらに好ましくは80/20〜65/35、さらに好ましくは80/20〜70/30となるように配合されることが好ましい。上記の数値範囲より小さくなる場合、即ち、3官能性アルコキシシランが多くなる場合は樹脂の架橋度が高くなりすぎて溶媒に溶けにくくなる。また、この数値範囲より大きくなる場合、即ち、3官能性アルコキシシランが少なくなる場合は樹脂の十分な強度が得られにくい。
【0030】
金属酸化物微粒子分散液の存在下で反応に供する際、上記の成分以外に、反応化合物の溶解度の観点から、水、メタノール、メチルエチルケトン等の成分を含んでいてもよい。かかる成分の使用量は、反応に供される混合物中に好ましくは10〜50重量%、より好ましくは20〜40重量%である。
【0031】
本発明において、上記の成分を用いて反応に供するが、反応は、例えば、金属酸化物微粒子分散液の存在下で、2官能性アルコキシシラン、3官能性アルコキシシラン、及び水等を混合して、好ましくは20〜80℃、より好ましくは40〜60℃、好ましくは1〜6時間、より好ましくは2〜6時間、さらに好ましくは2〜4時間攪拌して行う方法が挙げられるが、これに限定されない。
【0032】
また、反応後に、室温に冷却し、溶媒を留去してシリコーン樹脂組成物を得ることができる。
【0033】
従って、本発明はまた、金属酸化物微粒子分散液の存在下で、2官能性アルコキシシランと3官能性アルコキシシランとを反応させる工程を含む、シリコーン樹脂組成物の製造方法を提供する。
【0034】
かくして得られるシリコーン樹脂組成物は、NMRによる構造解析に供した場合、δ0(ppm)付近にジメチルシリル基のメチル基に基づく強いシングレットのピークが現れる。δ0.6(ppm)付近に3官能シランのSiのα位のメチレン基に基づくトリプレットのピークが現れる。また、未反応のアルコキシ基に特有のピーク(メトキシ基の場合はδ3.3(ppm)付近)が見られる。さらに、該樹脂組成物の粘度(25℃)としては、例えば、100〜2000mPa・sであることが好ましい。
【0035】
該樹脂組成物は、例えば、メタノール/テトラヒドロフランの混合溶剤に溶解させて溶液(シリコーン樹脂組成物溶液)としてもよく、塗工時の膜厚制御の観点から、混合溶剤中に好ましくは10〜50重量%、より好ましくは20〜50重量%として使用することができる。該樹脂組成物の溶液を用いて、膜厚が好ましくは3〜100μm、より好ましくは10〜50μmになるように成形されることが好ましい。
【0036】
本発明においてシリコーン樹脂組成物を用いて成形される膜の透過率は、光取出し効率の観点から、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上である。かかる透過率は、後述の実施例に記載されるようにして測定することができる。
【0037】
同様に、本発明においてシリコーン樹脂組成物を用いて成形される膜のヘイズは、光取出し効率の観点から、好ましくは0〜10%、より好ましくは0〜1.0%、さらに好ましくは0〜0.5%である。かかるヘイズは、後述の実施例の記載のようにして測定することができる。
【0038】
本発明においてシリコーン樹脂組成物を用いて成形される膜の屈折率は、光取出し効率の観点から、好ましくは1.43以上、より好ましくは1.45以上、さらに好ましくは1.48以上である。かかる屈折率は、例えば、アッベの屈折率計を用いて測定することができる。
【0039】
本発明のシリコーン樹脂組成物は、高い屈折率及び透明性を有するため、マイクロレンズ、光学フィルタ、反射防止膜、光導波路、光学フィルム等に用いられ、なかでも、例えば、青色又は白色LED素子を搭載した光半導体装置(液晶画面のバックライト、信号機、屋外の大型ディスプレイ、広告看板等)に好適に用いられる。本発明はまた、上記のシリコーン樹脂組成物を用いて光半導体素子を封止してなる光半導体装置を提供する。かかる光半導体装置は、該樹脂組成物(以下、光半導体素子封止用樹脂組成物ともいう)を用いて封止しているために良好な光取り出し効率を備えることができる。
【0040】
本発明の光半導体装置は、上記の光半導体素子封止用樹脂組成物を用いて、例えば、LED素子を封止することにより製造することができる。具体的には、LED素子が搭載された基板の上に、キャスティング、スピンコーティング、ロールコーティングなどの方法により適当な厚さに本発明のシリコーン樹脂組成物(溶液)をそのまま塗布し、好ましくは50〜150℃で、好ましくは1〜3時間加熱して、乾燥することにより、光半導体素子を封止して光半導体装置を製造することができる。
【実施例】
【0041】
実施例1
攪拌機、還流冷却器及び窒素導入管を備えた容器で、平均粒子径15nmのアナターゼ型酸化チタン微粒子のメタノール分散液(商品名:ELCOM NT-1089TIV、触媒化成工業株式会社製、固形分濃度30.4重量%)3.0g、水0.7g、2官能性アルコキシシランとしてのジメチルジメトキシシラン(KBM22、信越シリコーン株式会社製)1.8g(15mmol)及び3官能性アルコキシシランとしての2-((3,4)-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(KBM303、信越シリコーン株式会社製)1.5g(6mmol)〔2官能性アルコキシシラン/3官能性アルコキシシラン(モル比)=15/6〕を混合し、60℃で6時間加熱攪拌を行い反応させた。その後、室温に冷却し、溶媒を留去して光半導体素子封止用樹脂組成物を得た。
【0042】
また、該樹脂組成物をメタノール/テトラヒドロフラン(1/1)の混合溶剤に30重量%で溶解した溶液を、ガラス板上に膜厚10μmになるように塗布して、150℃で1時間加熱した。得られた膜の450nmでの透過率は99.9%であり、ヘイズは0.2%であった。得られた膜の屈折率をアッベの屈折率計で測定したところ、1.526であった。
【0043】
そして、該樹脂組成物の溶液を、青色発光ダイオードが実装された基板の上にアプリケータで塗布して、150℃で1時間加熱して、青色発光ダイオードを封止し、青色発光ダイオード装置を得た。
【0044】
実施例2
3官能性アルコキシシランとして3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(KBM503、信越シリコーン株式会社製)1.5g(6mmol)〔2官能性アルコキシシラン/3官能性アルコキシシラン(モル比)=15/6〕を用いた以外は実施例1と同様にして光半導体素子封止用樹脂組成物を得た。
【0045】
また、実施例1と同様にして得られた膜の透過率は99.8%であり、ヘイズは0.7%であり、屈折率は1.522であった。そして、実施例1と同様にして、青色発光ダイオードを封止し、青色発光ダイオード装置を得た。
【0046】
実施例3
3官能性アルコキシシランとして3−グリシジドキシプロピルトリメトキシシラン(KBM403、信越シリコーン株式会社製)1.7g(7mmol)〔2官能性アルコキシシラン/3官能性アルコキシシラン(モル比)=15/7〕を用いた以外は実施例1と同様にして光半導体素子封止用樹脂組成物を得た。
【0047】
また、実施例1と同様にして得られた膜の透過率は99.8%であり、ヘイズは0.2%であり、屈折率は1.508であった。そして、実施例1と同様にして、青色発光ダイオードを封止し、青色発光ダイオード装置を得た。
【0048】
実施例4
3官能性アルコキシシランとしてフェニルトリメトキシシラン(KBM103、信越シリコーン株式会社製)1.2g(6mmol)〔2官能性アルコキシシラン/3官能性アルコキシシラン(モル比)=15/6〕を用いた以外は実施例1と同様にして光半導体素子封止用樹脂組成物を得た。
【0049】
また、実施例1と同様にして得られた膜の透過率は99.8%であり、ヘイズは0.5%であり、屈折率は1.539であった。そして、実施例1と同様にして、青色発光ダイオードを封止し、青色発光ダイオード装置を得た。
【0050】
実施例5
3官能性アルコキシシランとしてメチルトリメトキシシラン(KBM13、信越シリコーン株式会社製)0.8g(6mmol)〔2官能性アルコキシシラン/3官能性アルコキシシラン(モル比)=15/6〕を用いた以外は実施例1と同様にして光半導体素子封止用樹脂組成物を得た。
【0051】
また、実施例1と同様にして得られた膜の透過率は99.9%であり、ヘイズは0.3%であり、屈折率は1.595であった。そして、実施例1と同様にして、青色発光ダイオードを封止し、青色発光ダイオード装置を得た。
【0052】
実施例6
3官能性アルコキシシランとしてエチルトリメトキシシラン(LS2410、信越シリコーン株式会社製)0.9g(6mmol)〔2官能性アルコキシシラン/3官能性アルコキシシラン(モル比)=15/6〕を用いた以外は実施例1と同様にして光半導体素子封止用樹脂組成物を得た。
【0053】
また、実施例1と同様にして得られた膜の透過率は99.1%であり、ヘイズは0.2%であり、屈折率は1.525であった。そして、実施例1と同様にして、青色発光ダイオードを封止し、青色発光ダイオード装置を得た。
【0054】
実施例7
3官能性アルコキシシランとしてプロピルトリメトキシシラン(LS3120、信越シリコーン株式会社製)0.99g(6mmol)〔2官能性アルコキシシラン/3官能性アルコキシシラン(モル比)=15/6〕を用いた以外は実施例1と同様にして光半導体素子封止用樹脂組成物を得た。
【0055】
また、実施例1と同様にして得られた膜の透過率は98.9%であり、ヘイズは0.3%であり、屈折率は1.530であった。そして、実施例1と同様にして、青色発光ダイオードを封止し、青色発光ダイオード装置を得た。
【0056】
実施例8
3官能性アルコキシシランとしてヘキシルトリメトキシシラン(KBM3063、信越シリコーン株式会社製)1.24g(6mmol)〔2官能性アルコキシシラン/3官能性アルコキシシラン(モル比)=15/6〕を用いた以外は実施例1と同様にして光半導体素子封止用樹脂組成物を得た。
【0057】
また、実施例1と同様にして得られた膜の透過率は98.8%であり、ヘイズは0.3%であり、屈折率は1.514であった。そして、実施例1と同様にして、青色発光ダイオードを封止し、青色発光ダイオード装置を得た。
【0058】
実施例9
3官能性アルコキシシランとしてデシルトリメトキシシラン(KBM3103、信越シリコーン株式会社製)1.24g(6mmol)〔2官能性アルコキシシラン/3官能性アルコキシシラン(モル比)=15/6〕を用いた以外は実施例1と同様にして光半導体素子封止用樹脂組成物を得た。
【0059】
また、実施例1と同様にして得られた膜の透過率は92.2%であり、ヘイズは1.3%であり、屈折率は1.508であった。そして、実施例1と同様にして、青色発光ダイオードを封止し、青色発光ダイオード装置を得た。
【0060】
実施例10
攪拌機、還流冷却器及び窒素導入管を備えた容器で、平均粒子径15nmのアナターゼ型酸化チタン微粒子のメタノール分散液(商品名:ELCOM NT-1089TIV、触媒化成工業株式会社製、固形分濃度30.4重量%)3.0g、メタノール5g、メチルエチルケトン5g、水0.7g、2官能性アルコキシシランとしてのジフェニルジメトキシシラン(KBM202SS、信越シリコーン株式会社製)7.67g(15mmol)及び3官能性アルコキシシランとしてのフェニルトリメトキシシラン(KBM103、信越シリコーン株式会社製)1.19g(6mmol)〔2官能性アルコキシシラン/3官能性アルコキシシラン(モル比)=15/6〕を混合し、60℃で6時間加熱攪拌を行い反応させた。反応終了後、室温に冷却し、溶媒を留去して光半導体素子封止用樹脂組成物を得た。(1H NMRはD6-DMSOに溶かすと凝集したので測定できなかった。)
【0061】
また、実施例1と同様にして得られた膜の透過率は95%であり、ヘイズは1.1%であり、屈折率は1.571であった。そして、実施例1と同様にして、青色発光ダイオードを封止し、青色発光ダイオード装置を得た。
【0062】
実施例11
酸化チタン微粒子の分散液としてメチルブチルケトン分散液(商品名:TV-1499、触媒化成工業株式会社製、固形分濃度30.5重量%)3.0gを用いた以外は実施例1と同様にして光半導体素子封止用樹脂組成物を得た。
【0063】
また、実施例1と同様にして得られた膜の透過率は99.8%であり、ヘイズは0.7%であり、屈折率は1.519であった。そして、実施例1と同様にして、青色発光ダイオードを封止し、青色発光ダイオード装置を得た。
【0064】
実施例12
酸化チタン微粒子の分散液としてジメチルアセトアミド分散液(商品名:TV-1500、触媒化成工業株式会社製、固形分濃度30.1重量%)3.0gを用いた以外は実施例1と同様にして光半導体素子封止用樹脂組成物を得た。
【0065】
また、実施例1と同様にして得られた膜の透過率は99.8%であり、ヘイズは0.7%であり、屈折率は1.516であった。そして、実施例1と同様にして、青色発光ダイオードを封止し、青色発光ダイオード装置を得た。
【0066】
実施例13
酸化チタン微粒子の分散液に代えて、平均粒子径7nmの酸化ジルコニア微粒子の水分散液(商品名:NZD-3005、住友大阪セメント社製、固形分濃度30重量%)3.0gを用いた以外は実施例1と同様にして光半導体素子封止用樹脂組成物を得た。
【0067】
また、実施例1と同様にして得られた膜の透過率は99.9%であり、ヘイズは0.1%であり、屈折率は1.492であった。そして、実施例1と同様にして、青色発光ダイオードを封止し、青色発光ダイオード装置を得た。
【0068】
比較例1
攪拌機、還流冷却器及び窒素導入管を備えた容器で、メタノール1.5g、水1.5g、2官能性アルコキシシランとしてのジメチルジメトキシシラン(KBM22、信越シリコーン株式会社製)1.8g(15mmol)及び3官能性アルコキシシランとしての2-((3,4)-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(KBM303、信越シリコーン株式会社製)1.5g(6mmol)を混合し、60℃で6時間加熱攪拌し、シリコーン樹脂の合成を行った。その後、そのシリコーン樹脂の溶液に実施例1で使用した酸化チタン微粒子の分散液を加えたところ、酸化チタン微粒子が凝集し、白濁して、光半導体素子封止用樹脂組成物を得ることができなかった。
【0069】
比較例2
2官能性アルコキシシランの代わりに、両末端にシラノール基を有するジシラノール変性シリコーン(X-21-3178、信越シリコーン株式会社製)4.5g(15mmol)を加えた以外は実施例1と同様の条件で反応を行った。反応中に酸化チタン微粒子が凝集、白濁し、再分散することはできなかった。
【0070】
<評価>
上記に記載された透過率、ヘイズ、屈折率は以下の方法により評価された。
【0071】
(透過率)
分光光度計(U−4100、日立ハイテク社製)を用いて、波長450nmにおける透過率を測定した。
【0072】
(ヘイズ)
ガラス板上にコーティングしたサンプル(膜)を反射・透過率計(HR-100、村上色彩技術研究所製)を用いて測定した。
【0073】
(屈折率)
アッベの屈折率計(NAR−IT型、アタゴ社製)を用いて、25℃における屈折率を測定した。
【0074】
以上の結果により、実施例1〜13は比較例1〜2と比較して、金属酸化物微粒子が凝集することなく分散され、高い屈折率、及び高い透過率と低いヘイズ(即ち、高い透明性)を示した。従って、本発明のシリコーン樹脂組成物は、封止した場合に金属酸化物微粒子が安定に分散され、高い屈折率及び高い透明性を有することができる。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明のシリコーン樹脂組成物は、液晶画面のバックライト、信号機、屋外の大型ディスプレイ、広告看板等に好適に用いられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属酸化物微粒子分散液の存在下で、2官能性アルコキシシランと3官能性アルコキシシランとを反応させて得られるシリコーン樹脂組成物。
【請求項2】
金属酸化物微粒子が1〜100nmの平均粒子径を有する酸化チタン又は酸化ジルコニウムである、請求項1記載のシリコーン樹脂組成物。
【請求項3】
2官能性アルコキシシランが式(I)で表される化合物である、請求項1又は2記載のシリコーン樹脂組成物。
【化1】

(式中、R1 及びR2 は、それぞれ独立してアルキル基又はフェニル基を示し、X1 及びX2 は、それぞれ独立してアルコキシ基を示す)
【請求項4】
3官能性アルコキシシランが式(II)で表される化合物である、請求項1〜3いずれかに記載のシリコーン樹脂組成物。
【化2】

(式中、Rは炭素数1〜8のアルキル基、Xは1価の有機基、nは0〜3の整数を示す)
【請求項5】
光半導体素子封止に用いられる、請求項1〜4いずれかに記載のシリコーン樹脂組成物。
【請求項6】
金属酸化物微粒子分散液の存在下で、2官能性アルコキシシランと3官能性アルコキシシランとを反応させる工程を含む、シリコーン樹脂組成物の製造方法。
【請求項7】
請求項1〜5いずれかに記載のシリコーン樹脂組成物を用いて光半導体素子を封止してなる光半導体装置。

【公開番号】特開2009−173871(P2009−173871A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−278574(P2008−278574)
【出願日】平成20年10月29日(2008.10.29)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】