説明

ジオキソピロール環を含む複素環化合物およびそれを用いた有機電子素子

本発明はジオキソピロール環を含む複素環化合物およびそれを用いた有機電子素子に関する。本発明の化合物は、コア構造に様々な置換基を導入することにより、有機発光素子、有機薄膜トランジスタ、または有機太陽電池のような有機電子素子に用いるための要件、例えば、適切なエネルギー準位、電気化学的安定性、熱的安定性などを満足させることができ、置換基次第で非結晶性または結晶性の性質を有するために各素子に個別に求められる要件を満足させることもできる。さらに、n型特性を有するコア構造にさまざまな置換基を導入することにより、p型またはn型の有機半導体を製造することができ、これにより有機電子素子に安定性を付与することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はジオキソピロール環を含む複素環化合物およびそれを用いた有機電子素子に関する。
【0002】
本出願は2007年4月13日に韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10−2007−36542号の出願日の利益を主張し、その内容の全ては本明細書に含まれる。
【背景技術】
【0003】
情報化社会と呼ばれる現代社会はシリコンで代表される無機物半導体の発見とそれを用いた様々な電子素子の開発によってなされた。しかし、無機物を用いた電子素子は製造時に高温または真空工程を経なければならないために装置に多くの費用がかかる。また、無機物は次世代ディスプレイとして脚光を浴び始めたフレキシブルディスプレイ(flexible display)に適用し難い物性を有している。
【0004】
前記問題を克服するために、様々な物性を有した半導体物質として有機半導体物質が最近脚光を浴びている。有機半導体物質は無機半導体物質が用いられてきた各種電子素子に応用することができる。有機半導体物質が用いられる代表的な電子素子としては、有機発光素子、有機薄膜トランジスタ、有機太陽電池などが挙げられる。
【0005】
有機発光素子、有機薄膜トランジスタ、または有機太陽電池などの有機電子素子は、有機半導体物質の半導体的性質を利用する電子素子であり、通常、2つ以上の電極と2つの電極の間に介在した有機物層とを含む。例えば、有機太陽電池は、太陽エネルギーによって有機物層から発生したエキシトン(励起子;exiton)から分離した電子と正孔を利用して電気を発生させる。有機発光素子は、2つの電極から有機物層に電子および正孔を注入して電流を可視光に変換させる。有機薄膜トランジスタは、ソース電極とドレイン電極との間の有機物層に形成された正孔または電子を、ゲートに印加された電圧によって輸送させる。前記のような電子素子は、性能を向上させるために、電子/正孔注入層、電子/正孔抽出層、または電子/正孔輸送層をさらに含むこともできる。
【0006】
前記電子素子に用いるための有機半導体物質は正孔または電子移動度が良くなければならない。それを満足するために、大部分の有機半導体物質は共役構造を有している。
【0007】
また、それぞれの電子素子に用いられる有機半導体物質は素子に求められる特性に応じて各々好ましいモルフォロジー(morphology)が異なる。例えば、有機半導体物質を用いて薄膜を形成する場合、前記薄膜は非結晶質(amorphous)の性質を有することが好ましい。これは、有機発光素子では有機薄膜が結晶質性質を有すると、発光効率の低下や電荷輸送におけるクエンチングサイト(quenching site)の増加、漏れ電流の増加などを招いて素子性能を損ない得るためである。
【0008】
一方、有機薄膜トランジスタにおいては、有機物層の電荷移動度が大きければ大きいほど良いことが好ましく、有機物分子間パッキング(packing)がよく起こって有機薄膜が結晶性を有することが好ましい。このような結晶性有機膜は特に単結晶をなすことが最も好ましく、多結晶形態をなす場合にはそれぞれの結晶ドメインの大きさが大きく、これらのドメインが互いによく連結されていることが好ましい。
【0009】
前記のような要件を充足させるために、有機発光素子においては、非結晶質薄膜を形成できるように、NPB(4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル)、Alq(アルミニウムトリス(8−ヒドロキシキノリン))などの平面的ではない構造を有する物質が主に用いられる。また、有機薄膜トランジスタにおいては、分子間パッキングが起こり易いように、ペンタセン(pentacene)、ポリチオフェン(polythiophene)などの棒状(rodlike)構造やフタロシアニン(phthalocyanine)誘導体などの板状構造を有する物質が主に用いられる。
【0010】
一方、前記有機電子素子は、素子の性能を向上させるために、相異なる用途を有する2種以上の有機半導体物質を各々積層し、2層以上の有機物層を含むように製造することができる。
【0011】
例えば、有機発光素子では、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、および電子注入層などをさらに含み、正極もしくは負極からの正孔もしくは電子の注入および輸送を円滑にすることにより素子の性能を増加させることができる。
【0012】
有機薄膜トランジスタの場合には、主に半導体層と電極との間の接触抵抗を減らすために、有機半導体からなる補助電極を導入したり、有機物で電極にSAM(Self Assembled Monolayer)処理を施したりする方法が導入される。また、有機物で絶縁層の表面を処理するか有機絶縁膜を用いることにより、有機物からなる半導体との接触特性を改善する方法を用いる。
【0013】
また、前記有機電子素子に用いる有機半導体物質は、素子内における電荷の移動時に発生するジュール熱に対し熱的安定性を有することが好ましく、電荷の円滑な注入もしくは輸送のために適切なバンドギャップとHOMO(Highest Occupied Molecular Orbital)またはLUMO(Lowest Unoccupied Molecular Orbital)エネルギー準位を有することが好ましい。この他にも前記有機半導体物質は、化学的安定性、電極や隣接した層との界面特性、水分や酸素などに対する安定性などに優れるべきである。
【0014】
当技術分野においては、前述したような有機電子素子に共通に求められる特性および電子素子の種類に応じて個別的に求められる特性を満足させ、必要な場合、特定用途により好適な有機物質の開発が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、電気化学的安定性を有し、導入される置換体の特性に応じて容易にn型またはp型特性を示す有機半導体としての役割を果たすことができる、ジオキシピロール基を含む新規構造の複素環化合物およびそれを用いた安定した有機電子素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は下記化学式1で示される化合物およびそれを用いた有機電子素子を提供する。
以下、本発明についてより詳しく説明する。
【0017】
【化1】

前記化学式1において、WとYは、互いに同一または異なり、各々独立に下記化学式2で示される。
【化2】

【0018】
前記化学式2において、
は、互いに同一または異なり、各々独立に水素原子;ハロゲン原子;アリール基;ヘテロアリール基;またはF、Cl、Br、I、またはCNで置換されているかまたは非置換である、炭素数1〜20の直鎖、分枝鎖、または環状のアルキル基であり、前記アルキル基において互いに隣接しないCH基は各々独立に−O−、−S−、−NH−、−NR’−、−SiR’R’’−、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−CO−O−、−S−CO−、−CO−S−、−CA=CA−、または−C≡C−で置き換えられてもよく、R’およびR’’は互いに同一または異なり、各々独立にH、F、Cl、またはCNであり、AおよびAは互いに同一または異なり、各々独立に炭素数1〜12のアルキル基またはアリール基であり、
Aは、O、S、Se、NR、SiR、またはCRであり、ここで、RおよびRは互いに同一または異なり、各々独立に水素原子;アリール基;ヘテロアリール基;またはF、Cl、Br、I、またはCNで置換されているかまたは非置換である、炭素数1〜20の直鎖、分枝鎖または環状のアルキル基であり、前記アルキル基において互いに隣接しないCH基は各々独立に−O−、−S−、−NH−、−NR’−、−SiR’R’’−、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−CO−O−、−S−CO−、−CO−S−、−CA=CA−、または−C≡C−で置き換えられてもよく、また、RおよびRは互いに連結されて環を形成してもよく、R’およびR’’は互いに同一または異なり、各々独立にH、F、Cl、またはCNであり、AおよびAは互いに同一または異なり、各々独立に炭素数1〜12のアルキル基またはアリール基である。
【0019】
前記化学式1において、
XおよびZは、互いに同一または異なり、各々独立に−CA=CA−;−C≡C−;Rが1つ以上置換されたアリーレン基;またはRが1つ以上置換されたヘテロアリーレン基であり、Rは互いに同一または異なり、各々独立に水素原子;ハロゲン原子;アリール基;ヘテロアリール基;またはF、Cl、Br、I、もしくはCNで置換されているかもしくは非置換である、炭素数1〜20の直鎖、分枝鎖、もしくは環状のアルキル基であり、前記アルキル基において互いに隣接しないCH基は各々独立に−O−、−S−、−NH−、−NR’−、−SiR’R’’−、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−CO−O−、−S−CO−、−CO−S−、−CA=CA−、または−C≡C−で置き換えられてもよく、R’およびR’’は互いに同一または異なり、各々独立にH、F、Cl、またはCNであり、AおよびAは互いに同一または異なり、各々独立に炭素数1〜12のアルキル基またはアリール基であり、
およびEは、互いに同一または異なり、各々独立に、水素原子;ハロゲン原子;アリール基;ヘテロアリール基;−Sn(R’R’’R’’’);−B(OR’)(OR’’);−CHCl;−CHO;−CH=CH;−SiR’R’’R’’’;
【化3】

;またはF、Cl、Br、I、もしくはCNで置換されているかもしくは非置換である、炭素数1〜20の直鎖、分枝鎖もしくは環状のアルキル基であり、前記アルキル基において互いに隣接しないCH基は各々独立に−O−、−S−、−NH−、−NR’−、−SiR’R’’−、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−CO−O−、−S−CO−、−CO−S−、−CA=CA−、または−C≡C−で置き換えられてもよく、R’、R’’、およびR’’’は互いに同一または異なり、各々独立にH、F、Cl、またはCNであり、AおよびAは互いに同一または異なり、各々独立に炭素数1〜12のアルキル基またはアリール基であり、
w、x、y、およびzは各々W、X、Y、およびZのモル分率であり、
wは0<w≦1の実数であり、
xは0≦x<1の実数であり、
yは0≦y<1の実数であり、
zは0≦z<1の実数であり、w+x+y+z=1であり、
nは1〜10,000の整数であり、
但し、w=1、x=y=z=0、かつR1がアルキル基である場合には、EおよびEは水素原子またはハロゲン原子ではない。
【発明の効果】
【0020】
本発明の化合物は新規構造の化合物であり、コア構造に様々な置換基を導入することにより、有機発光素子、有機薄膜トランジスタ、または有機太陽電池のような有機電子素子に用いるための要件、例えば、適切なエネルギー準位、電気化学的安定性、熱的安定性などを満足させることができ、置換基次第で非結晶性または結晶性の性質を有するため、各素子に個別的に求められる要件も満足させることができる。また、n型特性を有するコアにさまざまな置換体を導入することにより、p型またはn型の有機半導体を製造することができ、これによって素子に安定性を付与することができる。したがって、本発明の化合物は、色々な有機電子素子において様々な役割を果たすことができ、有機電子素子に適用する場合に高い電荷移動度と安定性を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、基板1、正極2、正孔注入層3、正孔輸送層4、発光層5、電子輸送層6、負極7からなる有機発光素子の例を示す図である。
【図2】図2は、基板8、絶縁層9、ゲート電極10、ソース電極11、ドレイン電極12、有機物層13からなるボトムコンタクト型(bottom contact type)有機薄膜トランジスタ素子の例を示す図である。
【図3】図3は、基板8、絶縁層9、ゲート電極10、ソース電極11、ドレイン電極12、有機物層13からなるトップコンタクト型(top contact type)有機薄膜トランジスタ素子の例を示す図である。
【図4】図4は、基板14、正極15、電子供与層16、電子受容層17、負極18からなる有機太陽電池の例を示す図である。
【図5】図5は、実施例2で製造したトランジスタの特性グラフである。
【図6】図6は、実施例2で製造したトランジスタの特性グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
前記化学式1において、AはSであることが好ましい。
【0023】
前記化学式1で示される化合物は、同一の官能基のEおよびEを有することが好ましい。
【0024】
前記化学式1で示される化合物は、nは2〜5,000が好ましく、10〜5,000がより好ましく、20〜1,000がさらに好ましい。
【0025】
前記化学式1で示される化合物の分子量は、1,000〜500,000が好ましく、5,000〜300,000がより好ましい。前記分子量が1,000未満である場合には、溶液方法において前記物質を表面に均一に塗布し難い。前記分子量が500,000を超過する場合には、溶媒に対する溶解度が落ちるだけでなく、薄膜を形成させることが難しい問題点がある。
【0026】
前記化学式1内に存在する各繰り返し単位である:
【化4】

のうちの各単量体W、X、Y、Zの種類および繰り返し数は、互いに同じであっても相異なっていてもよい。したがって、各単量体は、単一重合体であっても共重合体であってもよく、その例は次の通りである:
ランダム共重合体(Random copolymer):各単量体分子が、例えば、−W−X−Y−Y−Z−W−または−W−X−W−X−X−などのように不規則的に高分子鎖内で配列された形態の高分子;
交互共重合体(Alternating copolymer):異なる単量体分子が、例えば、−W−X−W−X−W−X−、−W−X−Y−W−X−Y−、または−W−X−Y−Z−W−X−Y−Z−などのように高分子鎖内で順次に配列された形態の高分子;
ブロック共重合体(Block copolymer):類似の単量体単位が、例えば、−W−W−W−X−X−Y−Y−Y−Z−Z−Z−のように比較的長い鎖で交互に配列された形態の高分子。
【0027】
本発明に係る化学式1で示される化合物は、同一の繰り返し単位からなる[W−X]、[W−X−Y]、[W−X−Z]、[W−Y−Z]、または[W−X−Y−Z]の形態の交互共重合体であることが好ましい。
【0028】
前記化学式1において、XおよびZがアリーレン基またはヘテロアリーレン基である場合には、炭素数25以下の1〜3つの環を有するアリーレン基またはヘテロアリーレン基であることが好ましく、ここで、環は縮合(fused)していてもよい。ヘテロアリーレン基は、少なくとも1つのヘテロ原子を含み、好ましくは、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、またはセレン原子を含む。前記アリーレン基またはヘテロアリーレン基は、1つ以上のF、Cl、Br、I、またはCNで置換されていてもよく、F、Cl、Br、I、もしくはCNで置換されているかもしくは非置換の、炭素数1〜20の直鎖、分枝鎖もしくは環状のアルキル基で置換されていてもよく、前記アルキル基において互いに隣接しないCH基は、各々独立に−O−、−S−、−NH−、−NR’−、−SiR’R’’−、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−CO−O−、−S−CO−、−CO−S−、−CA=CA−、または−C≡C−で置き換えられていてもよい。ここで、R’およびR’’は、互いに同一であるかまたは異なり、各々独立にH、F、Cl、またはCNであり、AおよびAは、互いに同一であるかまたは異なり、各々独立に炭素数1〜12のアルキル基またはアリール基である。
【0029】
好ましいアリーレン基またはヘテロアリーレン基としては、フェニレン基、1つ以上の窒素原子で置換されたフェニレン基、ナフタレン基、アルキルフルオレン基、オキサゾール基、チオフェン基、セレノフェン基、またはジチエノチオフェン基(dithienothiophene)が挙げられ、これらの全ては1つ以上の水素原子;アリール基;ヘテロアリール基;またはF、Cl、Br、I、もしくはCNで置換されているかもしくは非置換である、炭素数1〜20の直鎖、分枝鎖もしくは環状のアルキル基で置換されてもよく、前記アルキル基において互いに隣接しないCH基は、各々独立に−O−、−S−、−NH−、−NR’−、−SiR’R’’−、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−CO−O−、−S−CO−、−CO−S−、−CA=CA−、または−C≡C−で置き換えられていてもよい。ここで、R’およびR’’は、互いに同一であるかまたは異なり、各々独立にH、F、Cl、またはCNであり、AおよびAは、互いに同一であるかまたは異なり、各々独立に炭素数1〜12のアルキル基またはアリール基である。
【0030】
ここで、XおよびZの例を下記にて提示する。但し、これらは単に発明の理解を助けるためのものであって、これらに限定されない。
【0031】
【化5A】

【0032】
【化5B】

【0033】
【化5C】

【0034】
前記構造式のうちのアリーレン基またはヘテロアリーレン基は、ハロゲン基、アルキル基、アルコキシ基、チオアルコキシ基、アリール基、アミノ基、ニトリル基、ニトロ基、エステル基、エーテル基、アミド基、イミド基、ヘテロ基、ビニル基、アセチレン基、およびシラン基からなる群から選択される1つ以上の置換基で置換されていてもよく、R、R、およびRは、互いに同一であるかまたは異なり、各々独立に、水素原子、アルキル基、またはアリール基である。
【0035】
前記化学式1において、RおよびRがアリール基またはヘテロアリール基である場合には、前記アリーレン基またはヘテロアリーレン基は、炭素数25以下の1〜3つの環を有することが好ましく、ここで、環は縮合(fused)していてもよい。ヘテロアリーレン基は少なくとも1つのヘテロ原子を含み、好ましくは、窒素原子、酸素原子、硫黄原子またはセレン原子である。また、RおよびRは、1つ以上のF、Cl、Br、I、またはCNで置換されていてもよく、F、Cl、Br、I、またはCNで置換されているかまたは非置換である、炭素数1〜20の直鎖、分枝鎖または環状のアルキル基で置換されていてもよく、前記アルキル基において互いに隣接しないCH基は、各々独立に−O−、−S−、−NH−、−NR’−、−SiR’R’’−、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−CO−O−、−S−CO−、−CO−S−、−CA=CA−、または−C≡C−で置き換えられてもよい。ここで、R’およびR’’は、互いに同一または異なり、各々独立にH、F、Cl、またはCNであり、AおよびAは、互いに同一または異なり、各々独立に炭素数1〜12のアルキル基またはアリール基である。
【0036】
前記化学式1において、R、R、R、R、E、およびEのアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、ピレニル基、ペリレニル基、ピリジル基、ビピリジル基、カルバゾール基、チオフェニル基、キノリニル基、およびイソキノリニル基が挙げられるが、これらに限定されない。
【0037】
前記化学式1において、R、R、R、R、E、およびEのヘテロアリール基は1つ以上のヘテロ原子で置き換えられた環を有するアリール基であり、フリル基、ピリジル基、ピロリル基、フェナントリル基(phenanthryl group)等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0038】
本発明の好ましい実施態様において、前記化学式1の具体的な例として下記化学式を提示する。但し、これらの例は単に発明の理解を助けるためのものであって、本発明はこれらに限定されない。
【0039】
【化6A】

【0040】
【化6B】

【0041】
【化6C】

【0042】
前記化学式3〜化学式12において、
Rは、前記化学式1のRにおいて定義した通りであり、同じ分子内で互いに同じであっても異なっていてもよく、
n、E、およびEは前記化学式1で定義した通りである。
【0043】
前記化学式1の化合物を製造するためのWとYのハロゲン置換体は、一般的に下記反応式1によって製造することができる。
【0044】
【化7】

【0045】
前記反応式において、Rは、前記化学式1で定義した通りであり、臭素はハロゲン原子の例であり、フッ素、塩素、ヨウ素などを用いることもできる。
【0046】
次に、上記のように製造した化学式1のWまたはYのハロゲン置換を、XまたはZで示す構造を有する物質と、スティルカップリング(Stille coupling)、熊田カップリング(Kumada coupling)、鈴木カップリング(Suzuki coupling)などの方法で反応させて、高分子物質を製造することができる。
【0047】
本発明に係る化学式1で示される化合物を用いて製造することができる有機半導体を利用する有機電子素子としては、代表的には、有機発光素子、有機薄膜トランジスタ、有機太陽電池が挙げられる。有機物半導体は、前記有機電子素子に用いられ、このような有機半導体には、無機半導体と同様に、n型半導体とp型半導体がある。
【0048】
例えば、有機発光素子において、p型半導体は、正孔注入層や正孔輸送層として用いられ、n型半導体は、電子輸送層や電子注入層として用いられる。また、発光層として用いられる半導体は、電子と正孔の両方に安定でなければならないため、n型特性およびp型特性を示す構造を全て含む場合もある。また、有機発光素子は、前述したように、分子間パッキングを最小化する構造を有する場合が好ましい。
【0049】
一方、有機薄膜トランジスタの場合には、ゲート電圧によって誘導される電荷が正孔であるp型半導体、およびゲート電圧によって誘導される電荷が電子であるn型半導体が用いられており、電流の消耗を少なくするために両極性(ambipolar)を有するようにp型およびn型半導体を1つの素子で用いることもできる。しかし、現在まで知られたトランジスタ用有機半導体では、p型半導体がより良い特性を示し、安定性も相対的に高いことが知られている。n型特性の構造とp型特性の構造とを1分子内に導入した物質を用いて安定性を高めるか、これを両極性物質として用いることもできる。さらに、有機薄膜トランジスタの場合には、有機発光素子とは異なり、電荷移動度を高めるために、分子間パッキングがよく起こり得る構造が好ましい。
【0050】
前記化学式1で示される化合物において、ジオキシピロール基を含むWおよびYは、複素環において電子を引っ張る役割をし、n型特性を示す構造であり、ここに適切な置換体を導入した誘導体を、有機発光素子の電子注入層もしくは電子輸送層として採用することができる。また、この構造は水素結合を形成しうる構造であるため、パッキングがよく起こるように誘導できる置換基を前記化学式1のXまたはZに導入して、有機薄膜トランジスタの半導体層として用いることができる。この構造は、n型半導体として作用する。置換基としてp型置換基を導入して両極性半導体を誘導した有機半導体物質、あるいは、より強いp型置換体を導入してp型半導体特性を維持しながら安定性を向上させた有機半導体物質を、得ることができる。
【0051】
このように、本発明の化学式1で示される化合物は、有機発光素子、有機薄膜トランジスタ、有機太陽電池などの有機電子素子において有機半導体物質として用いるのに好適な特性を有する。
【0052】
一方、本発明において、前記有機電子素子は、2つ以上の電極および2つの電極の間に配置された1層以上の有機物層を含む有機電子素子であり、前記有機物層のうちの1層以上が化学式1の化合物を含むことを特徴とする。前記有機電子素子は、有機発光素子、有機薄膜トランジスタ、または有機太陽電池であり得る。
【0053】
前記化学式1で示される化合物は、真空蒸着や溶液塗布法によって有機電子素子に適用することができる。特に、分子量が大きい誘導体の場合、溶液塗布法によって膜質に優れた薄膜を得ることができる。
【0054】
本発明に係る有機電子素子が有機発光素子である場合、これは、第1電極、1層以上の有機物層および第2電極が順次積層された構造を有していてよい。前記有機物層は、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、および電子輸送層などから選択される2つ以上の層を含む多層構造であってもよいが、これに限定されず、単層構造であってもよい。本発明に係る有機発光素子の一例を図1に示す。例えば、本発明に係る有機発光素子は、スパッタリングなどのPVD(physical vapor deposition)方法、電子ビーム蒸発、または溶液法を用いることによって製造することができる。すなわち、基板1の上に、金属または導電性を有する金属酸化物またはこれらの合金を蒸着させて、正極2を形成し、その上に、正孔注入層3、正孔輸送層4、発光層5、または電子輸送層6を含む有機物層を形成した後、その上に負極7を蒸着させることによって製造することができる。あるいは、基板上に、負極物質、有機物層、正極物質を順次積層して有機発光素子を製造することもできる。
【0055】
本発明に係る有機電子素子が有機薄膜トランジスタである場合、その構造は図2または3の構造であり得る。すなわち、本発明に係る有機薄膜トランジスタは、基板8、絶縁層9、ゲート電極10、ソース電極11、ドレイン電極12、および有機物層13を含む構造であり得る。本発明の有機薄膜トランジスタのうちの前記有機物層は、単層または多層で形成されてもよい。
【0056】
本発明に係る有機電子素子が有機太陽電池である場合、その構造は図4の構造であり得る。すなわち、本発明に係る有機太陽電池は、基板14、正極15、電子供与層16、電子受容層17、負極18が順次積層された構造であり得る。
【実施例】
【0057】
以下では実施例によって本発明をより詳細に説明する。但し、以下の実施例は本発明を例示するためのものであって、本発明の範囲は、これらによって限定されない。
【0058】
[実施例]
[単量体の合成]
【化8】

【0059】
1)チオフェン−3,4−ジカルボニトリル(Thiophene−3,4−dicarbonitrile)の合成
DMF(Dimethylformamide)に、3,4−ジブロモチオフェン(30ml、274mmol)、シアン化銅(CuCN、110g、1233mmol)を入れて一晩中加熱攪拌した。この溶液を冷却し、2M HCl(700ml)に溶解したFeCl・6HO(432.5g)の溶液に注ぎ、約60℃で1時間強く攪拌した。不純物を濾過し、混合物を塩化メチレン(methylene chloride)で3回抽出した。得られた有機層を6M HCl、蒸留水、飽和NaHCO水溶液、蒸留水の順で2回洗浄し、MgSOで乾燥させた。乾燥したこの混合物をカラム分離(ヘキサン/THF=3/1)し、チオフェン−3,4−ジカルボニトリル(15.5g、42%)を得た。
【0060】
2)チオフェン−3,4−ジカルボン酸の合成
チオフェン−3,4−ジカルボニトリル(13.4g、100mmol)およびKOH(56.1g、1mol)を、エチレングリコール(167ml)に溶解させて、一晩中加熱攪拌した。この溶液を冷却し、蒸留水に注ぎ、ジエチルエーテルで洗浄した。水層を飽和塩酸で酸化させ、エチルアセテートで有機物を抽出した。有機物層をMgSOで乾燥させ、溶媒を蒸発させた後、蒸留水で再結晶して、チオフェン−3,4−ジカルボン酸(15.2g、88%)を得た。
【0061】
3)チオフェン−3,4−ジカルボン酸無水物の合成
チオフェン−3,4−ジカルボン酸(15.0g、87mmol)を無水酢酸(218ml)に溶解させて一晩中加熱攪拌した。攪拌後に溶媒を蒸発させ、トルエンで再結晶して、チオフェン−3,4−ジカルボン酸無水物(12.5g、93%)を得た。
GC/MS:[M+H]=155
【0062】
4)4−ドデシルカルバモイルチオフェン−3−カルボン酸(4−Dodecylcarbamoylthiophene−3−carboxylic acid)の合成
チオフェン−3,4−ジカルボン酸無水物(4.6g、30mmol)およびn−ドデシルアミン(n−dodecylamine;6.0g、32mmol)を、トルエンに溶解させて一晩中加熱攪拌した。溶液を冷蔵庫にて冷却した後、生成した固体化合物を濾過した。得られた固体化合物をトルエンで再結晶して、4−ドデシルカルバモイルチオフェン−3−カルボン酸(9.9g、97%)を得た。
GC/MS:[M+H]=340
【0063】
5)5−ドデシルチエノ[3,4−c]ピロール−4,6−ジオン(5−Dodecylthieno[3,4−c]pyrrole−4,6−dione)の合成
4−ドデシルカルバモイルチオフェン−3−カルボン酸(9.5g、28mmol)を塩化メチレン(93ml)に分散させ、塩化チオニル(thionyl chloride、3.1ml)を10分間かけて滴下により添加した。この溶液を一晩中加熱攪拌し、冷却した後、蒸留水に注いだ。有機層を分離し、5% NaHCO溶液および蒸留水で洗浄した。MgSOで乾燥し、溶媒を蒸発させた後、ヘキサン(hexane)で再結晶して、5−ドデシルチエノ[3,4−c]ピロール−4,6−ジオン(8.1g、90%)を得た。
GC/MS:[M+H]=322
【0064】
6)1,3−ジブロモ−5−ドデシルチエノ[3,4−c]ピロール−4,6−ジオンの合成
5−ドデシルチエノ[3,4−c]ピロール−4,6−ジオン(4.8g、15mmol)を硫酸(24ml)およびトリフルオロ酢酸(trifluoroacetic acid、80ml)に溶解させた後、N−ブロモスクシンイミド(N−bromosuccinimide、10.7g、60mmol)を2回に分けて添加した。この溶液を約50℃で一晩中攪拌した。冷却後、氷水に反応溶液を注ぎ、塩化メチレン(methylene chloride)で有機層を抽出した。有機層を蒸留水、5% NaHCO溶液で洗浄し、MgSOで乾燥させた。溶媒を蒸発させた後、カラム分離(n−hexane/THF=10/1)し、エタノールで3回再結晶して、1,3−ジブロモ−5−ドデシルチエノ[3,4−c]ピロール−4,6−ジオン(2.9g、40%)を得た。
GC/MS:[M]=477
【0065】
7)2,2’−ビス(トリメチルスズ)−5,5’−ビチオフェンの合成
【化9】

2,2’−ビチオフェン(1.0g、6mmol)をTHF(60ml)に溶解させ、−78℃に冷却した後、nBuLi(ヘキサン中、2.5M、5.3ml)を20分間かけて滴下により添加した。30分間さらに攪拌した後、再び常温で1時間さらに攪拌した。THF(10ml)に溶解した塩化トリメチルスズ(trimethyltin chloride、2.6g)を、前記溶液に添加した後、1時間加熱攪拌した。この溶液を冷却し、蒸留水を加え、10分間攪拌した後、有機層を蒸留水、5% NaHCO水溶液で洗浄し、MgSOで乾燥させた。アセトニトリルで3回再結晶して、2,2’−ビス(トリメチルスズ)−5,5’−ビチオフェン(1.3g、44%)を得た。
GC/MS:[M]=492
【0066】
[実施例1]下記構造式で示される化合物の合成
【化10】

【0067】
1,3−ジブロモ−5−ドデシルチエノ[3,4−c]ピロール−4,6−ジオン(240mg、0.5mmol)、2,2’−ビス(トリメチルスズ)−5,5’−ビチオフェン(246mg、0.5mmol)、Pd(dba)(9mg、2mol%)、PPh(24mg、18mol%)、および1,2−ジクロロベンゼンを、マイクロ波バイアルに入れ、Biotage社InitiatorTM2.0モデルのマイクロ波反応器に装着した。マイクロ波反応器の条件(初期攪拌(30秒)、温度(220℃)、反応時間(10分)、パワー(normal))を設定して反応させた。その後、反応物をクロロホルム(20ml)で希釈し、メタノール/塩酸=10/1溶液(550ml)に徐々に滴下により添加して沈殿を形成させた。1時間さらに攪拌した後に沈殿を濾過し、蒸留水とメタノールで洗浄した後に真空乾燥した。得られた化合物を、Soxhlet抽出器に入れ、メタノール(24時間)、ヘキサン(24時間)の順に不純物を除去し、所望の化合物を得た。
【0068】
[実験例]有機薄膜トランジスタの製造
n型シリコンウェハを基板およびゲート電極として用い、この上に熱処理によって成長させて製造したシリコンオキシド(300nm)をゲート絶縁膜として用いた。このゲート絶縁膜上に、電子ビーム(e−beam)を利用して金からなるソース電極およびドレイン電極を形成させた。上記のように準備した基板を、HMDS(ヘキサメチルジシラザン、hexamethyldisilazane)で処理した。上記のようにソース電極とドレイン電極が形成された基板上に、クロロホルムに0.5w%で溶解させた前記実施例1で製造した化合物をスピンコーティングし、100℃で10分間熱処理して、有機半導体層を形成させた。この時、有機薄膜トランジスタのチャネル幅および長さは各々1mmおよび100μmであった。上記のように製作したトランジスタの飽和領域における電荷移動度は、1.0×10−4cm/Vsであった。これを図5および図6に示す。
【0069】
図5は、ゲート電圧におけるドレイン−ソース電圧(VDS)に対するドレイン−ソース電流(IDS)の変化を示すグラフである。IDSは、特定のVDS値より高い飽和状態において、VDSに関係なく一定に維持される。
【0070】
図6はゲート電圧(V)に対するドレイン−ソース電流(IDS)の変化を示すグラフである。V=20を前後に傾きが急激に変化し、スイッチング性能に優れていることが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で示される化合物:
【化1】

前記化学式1において、
WとYは互いに同一または異なり、各々独立に下記化学式2で示され、
【化2】

前記化学式2において、
は、互いに同一または異なり、各々独立に水素原子;ハロゲン原子;アリール基;ヘテロアリール基;またはF、Cl、Br、I、またはCNで置換されているかまたは非置換である、炭素数1〜20の直鎖、分枝鎖、または環状のアルキル基であり、前記アルキル基において互いに隣接しないCH基は各々独立に−O−、−S−、−NH−、−NR’−、−SiR’R’’−、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−CO−O−、−S−CO−、−CO−S−、−CA=CA−、または−C≡C−で置き換えられてもよく、R’およびR’’は互いに同一または異なり、各々独立にH、F、Cl、またはCNであり、AおよびAは互いに同一または異なり、各々独立に炭素数1〜12のアルキル基またはアリール基であり、
Aは、O、S、Se、NR、SiR、またはCRであり、ここで、RおよびRは互いに同一または異なり、各々独立に水素原子;アリール基;ヘテロアリール基;またはF、Cl、Br、I、またはCNで置換されているかまたは非置換である、炭素数1〜20の直鎖、分枝鎖または環状のアルキル基であり、前記アルキル基において互いに隣接しないCH基は各々独立に−O−、−S−、−NH−、−NR’−、−SiR’R’’−、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−CO−O−、−S−CO−、−CO−S−、−CA=CA−、または−C≡C−で置き換えられてもよく、また、RおよびRは互いに連結されて環を形成してもよく、R’およびR’’は互いに同一または異なり、各々独立にH、F、Cl、またはCNであり、AおよびAは互いに同一または異なり、各々独立に炭素数1〜12のアルキル基またはアリール基であり、
前記化学式1において、
XおよびZは、互いに同一または異なり、各々独立に−CA=CA−;−C≡C−;Rで1つ以上置換されたアリーレン基;またはRで1つ以上置換されたヘテロアリーレン基であり、Rは互いに同一または異なり、各々独立に水素原子;ハロゲン原子;アリール基;ヘテロアリール基;またはF、Cl、Br、I、またはCNで置換されているかまたは非置換である、炭素数1〜20の直鎖、分枝鎖、または環状のアルキル基であり、前記アルキル基において互いに隣接しないCH基は各々独立に−O−、−S−、−NH−、−NR’−、−SiR’R’’−、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−CO−O−、−S−CO−、−CO−S−、−CA=CA−、または−C≡C−で置き換えられてもよく、R’およびR’’は互いに同一または異なり、各々独立にH、F、Cl、またはCNであり、AおよびAは互いに同一または異なり、各々独立に炭素数1〜12のアルキル基またはアリール基であり、
およびEは互いに同一または異なり、各々独立に、水素原子;ハロゲン原子;アリール基;ヘテロアリール基;−Sn(R’R’’R’’’);−B(OR’)(OR’’);−CHCl;−CHO;−CH=CH;−SiR’R’’R’’’;
【化3】

;またはF、Cl、Br、I、またはCNで置換されているかまたは非置換である、炭素数1〜20の直鎖、分枝鎖または環状のアルキル基であり、前記アルキル基において互いに隣接しないCH基は各々独立に−O−、−S−、−NH−、−NR’−、−SiR’R’’−、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−CO−O−、−S−CO−、−CO−S−、−CA=CA−、または−C≡C−で置き換えられてもよく、R’、R’’、およびR’’’は互いに同一または異なり、各々独立にH、F、Cl、またはCNであり、AおよびAは互いに同一または異なり、各々独立に炭素数1〜12のアルキル基またはアリール基であり、
w、x、y、およびzは各々W、X、Y、およびZのモル分率であり、
wは0<w≦1の実数であり、
xは0≦x<1の実数であり、
yは0≦y<1の実数であり、
zは0≦z<1の実数であり、w+x+y+z=1であり、
nは1〜10,000の整数であり、
但し、w=1、x=y=z=0、かつR1がアルキル基である場合にはEおよびEは水素原子またはハロゲン原子ではない。
【請求項2】
前記化学式1のAがSであることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
前記化学式1のEおよびEが同一の官能基であることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
前記化学式1のnが2〜5,000であることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
前記化学式1で示される化合物の分子量が1,000〜500,000であることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
前記化学式1で示される化合物が交互共重合体であることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
前記化学式1のXおよびZが各々独立にアリーレン基またはヘテロアリーレン基であることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
前記ヘテロアリーレン基が、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、およびセレン原子からなる群から選択される1種以上のヘテロ原子を含むことを特徴とする、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
前記アリーレン基またはヘテロアリーレン基が、F、Cl、Br、I、およびCNからなる群から選択される1種以上;またはF、Cl、Br、I、もしくはCNで置換されているかもしくは非置換である、炭素数1〜20の直鎖、分枝鎖、もしくは環状のアルキル基で置換されているか、または非置換であることを特徴とする、請求項7に記載の化合物。
【請求項10】
前記アルキル基において互いに隣接しないCHが、各々独立に−O−、−S−、−NH−、−NR’−、−SiR’R’’−、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−CO−O−、−S−CO−、−CO−S−、−CA=CA−、および−C≡C−からなる群から選択される置換基で置換されているか、または非置換であることを特徴とし、
ここで、R’およびR’’は互いに同一または異なり、各々独立にH、F、Cl、またはCNであり、AおよびAは互いに同一または異なり、各々独立に炭素数1〜12のアルキル基またはアリール基である、請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
前記アリーレン基またはヘテロアリーレン基が、フェニレン基、1つ以上の窒素原子で置換されたフェニレン基、ナフタレン基、アルキルフルオレン基、オキサゾール基、チオフェン基、セレノフェン基、またはジチエノチオフェン基(dithienothiophene)であることを特徴とする、請求項7に記載の化合物。
【請求項12】
前記化学式1のXおよびZが、各々独立に下記構造式からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の化合物:
【化4A】

【化4B】

【化4C】

前記構造式において、R、R、およびRは、互いに同一または異なり、各々独立に水素原子、アルキル基、またはアリール基である。
【請求項13】
前記化学式1のR、R、R、R、E、およびEが、各々独立に、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、ピレニル基、ペリレニル基、ピリジル基、ビピリジル基、カルバゾール基、チオフェニル基、キノリニル基、イソキノリニル基、フリル基、ピリジル基、ピロリル基、およびフェナントリル基からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項14】
前記化学式1が、下記化学式3〜12のうちのいずれか1つで示されることを特徴とする、請求項1に記載の化合物:
【化5A】

【化5B】

【化5C】

前記化学式3〜化学式12において、
Rは前記化学式1のRにおいて定義した通りであり、同じ分子内で互いに同じであっても異なっていてもよく、
n、E、およびEは前記化学式1で定義した通りである。
【請求項15】
WまたはYのハロゲン置換体と、XまたはZで示される構造を有した物質とを、スティルカップリング(Stille coupling)、熊田カップリング(Kumada coupling)、または鈴木カップリング(Suzuki coupling)によって反応させるステップを含み、
ここで、W、Y、X、およびYは前記化学式1において定義した通りである、請求項1の化合物の製造方法。
【請求項16】
請求項1〜14のうちのいずれか1項に記載の化合物を有機半導体物質として用いることを特徴とする有機電子素子。
【請求項17】
前記有機電子素子が有機発光素子であることを特徴とする、請求項16に記載の有機電子素子。
【請求項18】
前記有機電子素子が有機薄膜トランジスタであることを特徴とする、請求項16に記載の有機電子素子。
【請求項19】
前記有機電子素子が有機太陽電池であることを特徴とする、請求項16に記載の有機電子素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2010−527327(P2010−527327A)
【公表日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−502942(P2010−502942)
【出願日】平成20年4月11日(2008.4.11)
【国際出願番号】PCT/KR2008/002048
【国際公開番号】WO2008/127029
【国際公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【出願人】(500239823)エルジー・ケム・リミテッド (1,221)
【Fターム(参考)】