説明

スイッチユニット、操作スイッチ、および携帯端末

【課題】2段ドームスイッチ24を反転させるよりも小さい力での入力を検知できるドームスイッチユニット58を少ない不良品率で製造できるようにし、該ドームスイッチユニット58を備えた携帯端末1を提供し、利用者の満足度を向上させる。
【解決手段】2段ドームスイッチ24は、2つの第1接触部24cを第1接点61cから離間させて支持する支持部24bを備え、基板25は、2つの第1接触部24cの両方がそれぞれの第1接点61cに接触しているときに通電してスイッチONとなり、2つの第1接触部24cの1つでも第1接点61cから離間すると非通電となってスイッチOFFとなる構成であるドームスイッチユニット58であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば携帯電話機やPDA(Personal Digital Assistants)やデジタルカメラなどのHMI部(Human Machine Interface)に用いられるようなスイッチユニット、操作スイッチ、および該スイッチユニットを備えた携帯端末に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、操作入力を検知するスイッチとして、様々なスイッチが提供されている。そして、このようなスイッチとして、ドーム型の反転バネ(以降ドームスイッチと記す)を用いたものも提案されている(特許文献1参照)。
この特許文献1記載の2段階スイッチユニットは、回転を検出する回転検出機構と多方向入力を検出する多方向入力装置を有するものであり、回転検出機構の下部にある多方向入力装置が、上下左右とセンターの決定の5方向を検出する。そして、この多方向入力装置にドームスイッチが使われている。
【0003】
このドームスイッチとなるクリック板11は、両面テープ19に貼り付けられて配置されている。これにより、ドームスイッチの位置が固定されるとともに、ドームスイッチを用いることでスイッチの検知部位を薄型で小型に構成することができる。
【0004】
ここで、上述したドームスイッチは、ドーム型部分の頂点が押下されてドームスイッチが反転することで、該ドームスイッチの頂点に対向配置された接点と接触し、通電してスイッチONとなるように構成されている。このため、押下操作を検知するまで、ある程度の押圧力で押下されなければならないものである。スイッチとしては、さらに小さな押圧力を検知することも求められるが、反転を要する構造では、検知に必要な押圧力の低下に限界があるという問題点がある。
【0005】
また、上述のドームスイッチは両面テープで貼り付け固定される構造であるため、製造時に位置や角度にバラツキが生じる。そして、微小な力での押圧を検知できる構造にしようと考えた場合、製造時の位置や角度のバラツキの影響が大きくなり、不良品率が上昇するという問題点がある。
【0006】
しかし、上述した特許文献1参照の2段階スイッチユニットは、こういった問題点に対応できるものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−286353号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この発明は、上述の問題点に鑑み、ドームスイッチを反転させるよりも小さい力での入力を検知できるスイッチユニットを少ない不良品率で製造できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は、少なくとも2つの第1接触部を有して両第1接触部間が導電性素材で接続されているスイッチ部材と、前記各第1接触部がそれぞれ接触/離間する第1接点を有して該接触/離間によってスイッチON/OFFされる回路部とを有するスイッチユニットであって、前記スイッチ部材は、前記2つの第1接触部を前記第1接点から離間させて支持する支持部を備え、前記回路部は、前記2つの第1接触部の両方がそれぞれの前記第1接点に接触しているときに通電してスイッチONとなり、前記2つの第1接触部の1つでも前記第1接点から離間すると非通電となってスイッチOFFとなる構成であるスイッチユニットであることを特徴とする。
【0010】
これにより、ドームスイッチを反転させるよりも小さい力での入力を検知できるスイッチユニットを少ない不良品率で製造することができる。
【0011】
この発明の態様として、前記スイッチ部材は、さらに第2接触部が設けられ、該第2接触部と前記第1接触部間が導電性素材で接続されており、前記回路部は、
前記第2接触部に接触/離間する第2接点を備え、前記第2接触部から前記第2接点までの距離が、前記第1接触部から前記第1接点の距離よりも長く構成されることができる。
【0012】
これにより、2段階の押下検知を実現できるスイッチユニットを少ない不良率で製造することができる。
【0013】
またこの発明の態様として、前記スイッチ部材は、ドーム型形状を有するドームスイッチであり、前記第1接触部をドーム型形状の外周部に備え、前記第2接触部をドーム型形状の頂点部に備えることができる。
これにより、押下操作がなされると、まず最初に第1接触部の第1接点への接触を検知でき、さらに押下されると第2接触部の第2接点への接触を検知できる2段検知の構成を、ドームスイッチ1つで実現することができる。
【0014】
またこの発明の態様として、前記スイッチ部材を同一平面上に複数配置し、前記回路部は、前記各スイッチ部材の第1接触部に対応して前記第1接点を複数備えることができる。
【0015】
これにより、複数のスイッチ部材を備えたスイッチユニットを少ない不良率で製造することができる。すなわち、複数のスイッチ部材を備えた場合、1つでもスイッチ部材に不良があれば、スイッチユニット全体として不良品となるが、スイッチ部材そのものの不良率を大幅に削減することで、スイッチユニット全体としても不良率を大幅に削減することができる。
【0016】
またこの発明は、前記スイッチユニットと、該スイッチユニットの上面側に設けられて利用者の押下操作を受け付ける操作体とを備えた操作スイッチとすることができる。
【0017】
前記操作体は、回転して押下操作も受け付ける回転押下操作体、あるいは回転しないで押下操作を受け付ける押下操作体など、適宜の操作体で構成することができる。
この発明により、利用者の操作を検知する操作スイッチを低い不良率で提供することができる。
【0018】
またこの発明は、前記スイッチユニットと、該スイッチユニットにより操作入力を検知した入力検知信号に従って制御動作を実行する制御手段と、該制御手段の制御信号に従って情報出力を行う出力手段とを備えた携帯端末とすることができる。
【0019】
前記制御手段は、CPUなど適宜の制御処理を実行できる装置により構成することができる。
前記出力手段は、画像表示を行う表示装置とするなど、出力を行う適宜の装置により構成することができる。
前記携帯端末は、携帯電話機やPDA(Personal Digital Assistants)やデジタルカメラなど、携帯可能な適宜の端末により構成することができる。
【0020】
この発明により、不良率の少ないスイッチユニットを採用した携帯端末を提供できる。
【発明の効果】
【0021】
この発明により、ドームスイッチを反転させるよりも小さい力での入力を検知できるスイッチユニットを少ない不良品率で製造できるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】操作スイッチを備えたデジタルカメラの正面図。
【図2】操作スイッチの外観斜視図。
【図3】操作スイッチを上方から見た分解斜視図。
【図4】操作スイッチを下方から見た分解斜視図。
【図5】2段ドームスイッチの説明図。
【図6】接着カバーフィルムおよびスペーサの拡大分解斜視図
【図7】ドームスイッチ周辺の接着構造の説明図。
【図8】操作スイッチの斜視断面図。
【図9】操作スイッチを備えたデジタルカメラの構成を示すブロック図。
【図10】周辺固定接点部の回路構成を示す説明図。
【図11】ホルダとドームスイッチの位置関係を示す説明図。
【図12】操作側ユニットと検知側ユニットの斜視図。
【図13】実施例2の周辺固定接点部の形状と回路構成を示す説明図。
【図14】実施例3の操作スイッチの接着構造の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
【実施例1】
【0024】
図1は操作スイッチ10を備えたデジタルカメラ1の正面図である。デジタルカメラ1は、上面右側に撮影開始用のシャッタボタン3が設けられており、図示省略する背面にカメラレンズが設けられている。
【0025】
デジタルカメラ1正面には、表示器2が設けられており、その右横に隣接して操作スイッチ10が設けられている。この操作スイッチ10は、デジタルカメラ1の撮影条件等の設定用スイッチ、及び保存された写真の選択用スイッチなどに用いられる。操作スイッチ10の上方には、メニュー画面などを表示器2に表示するためのメニューボタン4が設けられ、操作スイッチ10の下方には、撮影画像を表示するための再生ボタン5が設けられている。
【0026】
次に、操作スイッチ10の構成について説明する。図2は操作スイッチ10の外観斜視図を示し、図3は操作スイッチ10を上方から見た分解斜視図を示し、図4は操作スイッチ10を下方から見た分解斜視図を示し、図5は2段ドームスイッチ24の説明図をし、図6は接着カバーフィルム22Aおよびスペーサ22Bの拡大分解斜視図を示し、図7はドームスイッチ24周辺の接着構造の説明図を示し、図8は操作スイッチ10の斜視断面図を示す。
【0027】
前記操作スイッチ10は、図3に示すように、上方から回転操作体14と、エンコーダ用可動接点板15と、導電片16,17,18と、ホルダ19と、ホルダ連結板20と、押子21と、シート22と、ドームスイッチ23,24と、基板25と、ベース26とを備えて構成される。
【0028】
回転操作体14は合成樹脂性の材料で円盤状に形成され、その円盤状の中央部軸方向に押子挿通孔27が貫通されており、環状のキャップ形状となっている。この回転操作体14の上面には、径方向に細長く延びる多数の滑り止め突起28が等分配設されている。また、回転操作体14の下面には、環状の平面部と、下向きに突出する内周フランジ29と外周フランジ30とで囲まれる環状凹部31が形成されている。この環状凹部31の内面には、複数の円弧形帯状の突部32が周方向に等分して一定間隔毎に突設されている。また、その内周側に複数の小さな軸部33が周方向に等分して突設されている。
【0029】
さらに、内周フランジ29の外周面には、軸方向に沿って凹状に形成された凹溝34が周方向に等分して備えられている。また、押子挿通孔27に相当する内周フランジ29の内周面には、回転操作感触用の凹凸面35が形成されている。この凹凸面35は周方向に12個の凹凸が交互に形成されており、この凹凸がエンコーダの位相信号と一致するように構成されている。さらに、内周フランジ29の下端には、ホルダ19を挟んでホルダ連結板20に連結するための複数の係止突起36が等分して突設されている。ホルダ19を挟んでホルダ連結板20に取り付けられた回転操作体14は、ホルダ19に対して自在に回転することができる。
【0030】
前記回転操作体14の内面に形成される環状凹部31には、エンコーダ用可動接点板15が嵌合して取り付けられ、内周フランジ29の下端には、ホルダ連結板20が嵌合して取り付けられる。
【0031】
エンコーダ用可動接点板15は、前記環状凹部31に嵌合可能な大きさの環状の導電金属板により形成されている。エンコーダ用可動接点板15の平面周方向には、エンコーダ信号出力用に、前記円弧形帯状の突部32と対応させて嵌合可能な略同形状の開口部37が一定間隔毎に開口されている。同様に、該開口部37の内周側には、前記軸部33と対応させて該軸部33と略同形状の軸孔38が開口されている。この軸孔38は、前記軸部33に嵌合する。さらに、エンコーダ用可動接点板15の内周面には、前記凹溝34と対応させて該凹溝34と略同形状の内周凸部39が形成されている。この内周凸部39は、前記凹溝34に嵌合する。
【0032】
これにより、エンコーダ用可動接点板15に形成した開口部37と軸孔38と内周凸部39とを、回転操作体14の下面側に形成されている突部32と軸部33と凹溝34とにそれぞれ対応させて押込むように嵌合させて一体化することができる。そして、図8の斜視断面図に示すように、回転操作体14の下面側にエンコーダ用可動接点板15が嵌合して固定される。
【0033】
この場合、回転操作体14の下面に取り付けられたエンコーダ用可動接点板15の下面に露出する平面部が摺接面40(図4参照)となり、ここに後述する上接触子16a,17a,18a(図3参照)が接触する。このため、摺接面40は平面的で凹凸がないように形成されている。つまり、エンコーダ用可動接点板15の摺接面40と、開口部37を貫通する突部32の先端露出面とが同一平面になるように構成されている。これにより、摺接面40に対する後述する上接触子16a,17a,18aの安定した接触性を確保している。
【0034】
導電片16,17,18は、導電金属板により形成されている。
このうち、共通導電片16は、基端部に例えば3個の取付孔16cを有している。そして、該基端部から自由端側にかけて二股に分かれ、そのうちの一方を、弾性力を持たせて上向きに延出させた上接触子16aとし、他方を、弾性力を持たせて下向きに延出させた下接触子16bとしている。
【0035】
第1導電片17は第1信号検出用として設けられ、前記共通導電片16と同様に基端部に取付孔17cを有している。基端部から二股に分かれた自由端側の一方を、弾性力を持たせて上向きに延出させた上接触子17aとし、他方を、弾性力を持たせて下向きに延出させた下接触子17bとしている。
【0036】
第2導電片18は第2信号検出用として設けられ、前記共通導電片16と同様に基端部に取付孔18cを有している。基端部から二股に分かれた自由端側の一方を、弾性力を持たせて上向きに延出させた上接触子18aとし、他方を、弾性力を持たせて下向きに延出させた下接触子18bとしている。
【0037】
そして、これらの導電片16,17,18の上接触子16a,17a,18aが、一定の弾性力を持って上述した摺接面40に摺接する。また、各導電片16,17,18の自由端側は、内周側と外周側とに並列させて長く延出させている。これら3個の導電片16,17,18は、後述するホルダ19に保持されて周方向に3等分して配設される。
【0038】
前記摺接面40の外周側は常に導通して一定の信号が得られる共通接触子側となり、内周側は間欠的な信号が得られるパルス信号出力側となる。このため、共通導電片16は外周側が上接触子16aになり、該上接触子16aが摺接面40の回転軌跡上で常に導通する共通接触子になる。また、第1導電片17と第2導電片18は内周側が上接触子17a,18aになり、該上接触子17a,18aが摺接面40の回転軌跡上で各開口部37と間欠的に接触し、ロータリエンコーダとしてのパルス信号を出力する接触子になる。
【0039】
また、導電片17,18は、上接触子17a,18aの自由端側をさらに二股に分けている。これにより、分割した接触子によって安定した弾性作用が得られ、接点に接触する場合に滑らかな接触作用が得られる。
【0040】
ホルダ19は、POM樹脂(POM:ポリオキシメチレン)、ABS樹脂(ABS:acrylonitrile butadiene styrene)、またはこれらの混合樹脂などの軟性材料により、前記回転操作体14の環状凹部31を平面的に閉鎖可能な大きさの環状体に形成されている。このホルダ19は、後述するベース26に非回転に支持されている。このホルダ19の上面には、前記各導電片16,17,18を嵌合して固定するための3本の突起42が周方向に3等分して突設されている。これらの突起42に、前記各導電片16,17,18の各取付孔16c,17c,18cを嵌合させることで、ホルダ19の上面に各導電片16,17,18が取り付けられる。これにより、上接触子16a,17a,18aは接触に適した斜め上向きに延出した状態に取り付けられる。また、ホルダ19の上面には、周方向に3等分して開口された円弧形帯状の下接触子挿通孔43,44,45が開口されている。該下接触子挿通孔43,44,45には、前記下接触子16b,17b,18bを下向きに挿通させる。これにより、接触子16b,17b,18bがホルダ19の下面より接触に適した斜め下向きに延出する。
【0041】
ホルダ19の上面外周側には、環状平面部46(図3参照)が形成されている。この環状平面部46は、回転操作体14の外周フランジ30の下端と対応する。さらに、環状平面部46の内周側には、環状に突出する環状縁部47が形成されている。この環状縁部47は、回転操作体14の外周フランジ30の内周面と対応する。同様にホルダ19の上面内周側には、ホルダ内周フランジ48が突設されている。このホルダ内周フランジ48は、回転操作体14の内周フランジ29の外周面に接触対応する。これにより、回転操作体14とホルダ19とが安定して対応する。
【0042】
また、ホルダ19は、回転操作体14の下面と該ホルダ19の上面との対向面間に形成される環状凹部31(図4参照)の開放面を平面的に閉鎖するものである。これにより、上述した上接触子16a,17a,18aが摺接面40に弾性変位して安定して接触するための閉鎖空間を確保している。この閉鎖空間により、環状凹部31に、円滑な接触性を維持させるために注入されているグリスが漏れることを防止している。さらに、この環状凹部31は、下方のベース26側と押下ストローク長さ以上離れた上方の空間位置に形成されているため、この押下ストロークから塵が侵入し難くなり、防塵効果の高い接点構造となる。
【0043】
また、ホルダ19の外周面には、外向きに突設された4つの保持片49が周方向に90度毎に配置されている。該保持片49は、後述するベース26に保持される。さらに、ホルダ19の下面には、押下突起50が周方向に90度毎に4つ突設されている。この押下突起50は、4方の押下位置に対応して設けられている。さらに、ホルダ19の下面内周側には、後述するホルダ連結板20を収納しガイドする環状収納凹部51が形成されている。そして、該ホルダ19は、各導電片16,17,18を保持した状態で、後述するホルダ連結板20により回転操作体14に連結される。
【0044】
ホルダ連結板20(図4参照)は、前記ホルダ19の環状収納凹部51に収納可能な大きさの金属製の環状円板に形成されている。その環状円板の周方向には、前記回転操作体14の各係止突起36と対応する位置に複数開口して係止孔52が形成されている。この係止孔52に、回転操作体14の係止突起36が嵌合して係止される。このホルダ連結板20の嵌合係止作用により、回転操作体14、ホルダ19、ホルダ連結板20が、この順に積層状態に連結される。
【0045】
また、回転操作体14の中央部には、操作者が指先で回転操作体14を回転操作したときに、その回転操作感触が明瞭に得られる感触機構が備えられている。この感触機構は、回転操作体14の中央部に開口されている押子挿通孔27と、ここに挿通される後述する押子21とから構成される。
【0046】
上述の押子21は、合成樹脂性の材料により円柱状に形成され、回転操作体14の押子挿通孔27に挿通される。その円柱状の軸方向と直交する水平方向には、横孔53が形成されている。この横孔53には、押子21の内部から外向きに付勢するコイルスプリング54と、該コイルスプリング54の両端に対設される球体55とが介在される。
【0047】
これにより、押子21を回転操作体14の押子挿通孔27に挿通させて取り付けたとき、コイルスプリング54の両端に位置する球体55が押子挿通孔27の回転操作感触用の凹凸面35と対応し、該球体55が回転操作体14に対して一定の付勢力を付与する。この付勢力により、回転操作体14を回して押下操作位置に回転操作する際に、その都度、球体55が凹凸面35に沿って進退し、付勢力が変化するため回転操作体14の回転抵抗を異ならせる。これにより、明瞭なクリック感が得られる。またこの場合、横孔53の内部にコイルスプリング54及び球体55を介在させることができるため、押子21の配設スペースを有効に利用することができる。
【0048】
さらに、横孔53の貫通位置に対し、周方向に90度異なる押子21の外周面両側には、該押子21の下端及び外周面を開放面とする昇降ガイド用の凹部56が軸方向に形成されている。この凹部56が、後述するベース26の押子ガイド片74により押下方向にガイドされる。また、下面中央には、押下位置に対応して押下突起57が突設されており、該押下突起57が後述するドームスイッチユニット58の中央スイッチS1(図3参照)を押下する。
【0049】
前記ホルダ19の下方には押下ストローク空間19B(図8参照)を隔ててドームスイッチユニット58が対設されている。
【0050】
前記ドームスイッチユニット58は、シート22、ドームスイッチ23,24、基板25をこの順に積層して一体化したものである。下層の基板25をベース26の上面に貼り付けることで、ベース26の上面にドームスイッチユニット58が搭載される。
【0051】
基板25は、プリント配線基板であり、中央部に中央固定接点60(60a,60b)を有し、その周辺の4方に周辺固定接点部61(61a,61b,61c)を有している。さらに、周辺固定接点部61と重ならない周方向には、共通固定接点59aと第1固定接点59bと第2固定接点59cとが3等分して備えられている。
【0052】
そして、1個の中央固定接点60に対応させて1段ドームスイッチ23を搭載し、4個の周辺固定接点部61に対応させて2段ドームスイッチ24を搭載し、これらの上面をシート22で覆って基板25の定位置にドームスイッチ23,24が動かないように貼り付けている。これにより、押子21が押下される押下位置に対応して設置される中央スイッチS1と、回転操作体14が押下される各押下位置に対応して設置される4個の周辺スイッチS2が構成される。
【0053】
2段ドームスイッチ24は、導電性を有する弾性の金属部材で形成されており、図5(A)の正面図に示すように、略円形の外周4箇所を切り欠いた形状を有しており、外周に2つの支持部24bと2つの第1接触部24cが設けられ、中央に第2接触部24aが設けられている。2つの支持部24bは、中央に第2接触部24aを挟んで対称に対向配置されている。2つの第1接触部24cは、中央に第2接触部24aを挟んで対称に対向配置されている。この2つの支持部24bと2つの第1接触部24cは、90度ずつ交互に配置されている。2段ドームスイッチ24の第2接触部24aが設けられている中央の湾曲部分は、反転バネとして機能する。このため、2段ドームスイッチ24の頂点が所定ストローク押下されると、その周囲の湾曲部分が反転バネとなって凹凸入れ替わり、第2接触部24aがその下の第2接点61a(図3参照)に接触する。
【0054】
詳述すると、図5(A)のA−A断面を示す図5(B)に示すように、2段ドームスイッチ24は、中央の第2接触部24aが頂点となり、2つの支持部24bが下端に位置して支持受け部61b(図3参照)に常時接触(接地)する。この支持部24bが2段ドームスイッチ24全体を支持している。2段ドームスイッチ24は、素材である金属部材の弾性力によって、押圧されると変形し、押圧解除されると復帰する。
【0055】
そして、押下操作されていない通常状態のとき、図5(B)のB−B部分の拡大図を示す図5(C)に示すように、2つの第1接触部24cは、第1接点61cと僅かな隙間(クリアランス)を空けて離間している。この第1接触部24cと第1接点61cとの間のクリアランスは、1mm以下が好ましく、さらには0.1mm以下がより好ましく、この実施例では0.03mm〜0.05mmのクリアランスとしている。
【0056】
また、中央の第2接触部24aは、押下操作されていない通常状態のとき、第2接点61aと十分な隙間(クリアランス)を空けて離間している。この中央の第2接触部24aと第2接点61aとの間のクリアランスは、上述した第1接触部24cと第1接点61cとの間のクリアランスよりも広く、倍以上とすることが好ましく、さらには5倍以上とすることがより好ましい。
【0057】
図3に示す1段ドームスイッチ23は、導電性を有する弾性の金属部材で形成されており、中央の接触部23aが頂点となり、2つのコモン接触部23bが下端に位置して常時接点60bに常時接触する。接触部23aは、押下操作されていない通常状態のとき、接点60aから十分な隙間(クリアランス)を空けて離間している。
【0058】
シート22は、図4に示すように接着カバーフィルム22Aとスペーサ22Bとで構成されている。図6は、接着カバーフィルム22A、スペーサ22B、1段ドームスイッチ23、および2段ドームスイッチ24の拡大分解斜視図である。
接着カバーフィルム22Aは、カバーフィルム層22A1と接着層22A2の2層構造に形成されている。
【0059】
カバーフィルム層22A1は、PETフィルムで形成されている。このカバーフィルム層22A1は、退避口64A,66Aといった接続用の孔が設けられており、それ以外の部分を全体的に被覆するシートである。
【0060】
接着層22A2は、両面テープ、あるいはカバーフィルム層22A1に印刷技術によって塗布された糊層により形成されている。この接着層22A2は、周辺シート部201に、退避口64A,66Aといった接続用の孔が設けられるとともに、変位性向上孔203が設けられて構成されている。この変位性向上孔203は、2段ドームスイッチ24の各第1接触部24cの対向位置にそれぞれ設けられている。変位性向上孔203は、円弧と直線からなる略D型の形状であり、直線部分が内側に、円弧部分が外側になるように2つ並列配置されている。
【0061】
また、2つの変位性向上孔203の間には、接着層22A2の接点接着部202が設けられている。この接点接着部202は、長方形板が厚み方向へ湾曲した形状であり、略円形となる周辺スイッチS2の中心(2段ドームスイッチ24の頂点の対向位置)を通って該周辺スイッチS2の外周一端から他端までを橋渡しするような状態に形成されている。このため、周辺スイッチS2の接点接着部202の両横に変位性向上孔203が位置する構成となる。
【0062】
この構成により、接点接着部202が周辺シート部201に繋がる両端部は、2段ドームスイッチ24の支持部24bの対向位置となる。また、接点接着部202の両横に位置する各変位性向上孔203は、2段ドームスイッチ24の第1接触部24cの対向位置となる。
【0063】
スペーサ22Bは、周辺シート部251に、退避口64B,66Bといった接続用の孔と、1段ドームスイッチ孔252と2段ドームスイッチ孔253とが設けられている。
【0064】
1段ドームスイッチ孔252は、1段ドームスイッチ23より若干大きい形状である。2段ドームスイッチ孔253は、2段ドームスイッチ24より若干大きい形状である。
【0065】
4つの2段ドームスイッチ孔253は、2つずつのペアとなってそれぞれのペアが連通孔261により連通されている。そして、1段ドームスイッチ孔252と連通孔261は、連通孔262により連通されている。
【0066】
この連通孔261、262により、スイッチを押下したときに空気の流れる道(エアパス)ができ、1段ドームスイッチ孔252と2段ドームスイッチ孔253の押下動作をスムーズに実行することができる。
【0067】
このように構成された操作スイッチ10Aのドームスイッチユニット58Aにおいて、接着層22A2は、図7(A)の平面図にハッチングで示すように、周辺スイッチS2の周囲全体にわたってスペーサ22Bに接着されるとともに、2段ドームスイッチ24の支持部24bから中央までに接着される。
2段ドームスイッチ24の第1接触部24cの対向位置には変位性向上孔203が設けられているため、接着層22A2は、第1接触部24cに接着されない。これにより、第1接触部24cが自由に動作でき、2段ドームスイッチ24による2段階の押下操作の検出を精度よく行うことができる。
【0068】
図7(B)のD−D矢視E−E部分拡大端面図に示すように、2段ドームスイッチ24は、第1接触部24cが変位性向上孔203により接着されずに自由に動作できるため、微小な変位を正確に実行して押下検知することができ、また押下解除されても容易に復帰することができる。
【0069】
周辺スイッチS2における2段ドームスイッチ24の周囲は、カバーフィルム層22A1によって被覆され、さらに接着層22A2の周辺シート部201によって接着されているため、防塵機能を発揮することができる。すなわち、2段ドームスイッチ24は、周囲にスペーサ22Bが存在し、上下がカバーフィルム層22A1と基板25で挟まれている密閉状態である。そして、基板25の上面とスペーサ22Bの下面が完全に接着されていることで、下面から防塵が浸入することがない。また、スペーサ22Bの上面とカバーフィルム層22A1の下面が完全に接着されていることで、上面から防塵が浸入することもない。
【0070】
さらに、スペーサ22Bおよび連通孔261,262の存在により、1つの2段ドームスイッチ24が押下されたとき、連通孔261,262から空気が移動して他の2段ドームスイッチ24の周囲にまで入れるため、気圧により押下操作が妨げられるといったことを防止できる。
【0071】
このように、接着カバーフィルム22Aでドームスイッチ23,24を被覆してその接着層22A2により隙間無く周囲を接着して防塵機能を高め、かつ、接着層22A2にのみ変位性向上孔203を設けることで2段ドームスイッチ24の微小なON/OFF検知の安定動作を実現することができる。
【0072】
図3に示すように、ベース26は、回転操作体14より少し大きい金属円板により形成されている。ベース26の中央部には、前記押子21の両側凹部56に係合可能な押子ガイド片74が底面より起立突設されている。押子ガイド片74と対応する上方の基板25及びシート22との対応位置には、それぞれ貫通する位置に退避口64,65が設けられ、押子ガイド片74の起立突設を妨げないようにしている。さらに、共通固定接点59aと第1固定接点59bと第2固定接点59cとに対しても、これらが上面に露出するように、シート22に退避口66が設けられ、下接触子16b,17b,18bとの接触を可能にしている。
【0073】
さらに、該ベース26の外周側には、その4方の底面より逆凹形状の昇降ガイド片77が起立突設されている。この昇降ガイド片77は、逆凹形内に上述した前記ホルダ19の保持片49を係合させている。これにより、押下ストローク長さを昇降することができる。この4方の昇降ガイド片77に保持片49がそれぞれ係合保持されることにより、ホルダ19に保持される最上部の回転操作体14は、押下時に押下された方向に対応して傾動する。従って、回転操作体14は、回転操作体14全体としては僅かに傾動することで、傾動により一定の押下ストローク量だけ沈み込んだ部分が周辺スイッチS2を押下し、スイッチとして機能する。
【0074】
図9は、このように構成された操作スイッチ10を備えたデジタルカメラ1の構成を示すブロック図である。
【0075】
デジタルカメラ1は、制御部82に接続して、ローパスフィルタ81、操作ボタン3,4,5、電源部86、表示器2、フラッシュ83、カメラ部84、および記憶部85が設けられている。
【0076】
ローパスフィルタ81には、操作スイッチ10が接続されている。このローパスフィルタ81は、操作スイッチ10の1段ドームスイッチ23や2段ドームスイッチ24から瞬間的な通電(例えば1μs以下)による信号を受け取った場合に、この信号をカットして検知しないようにし、それ以上長い時間の通電による信号のみを制御部82に伝達する。これにより、衝突等によって操作スイッチ10が瞬間的に押下操作された場合に誤動作しないようにしている。
【0077】
操作ボタン3,4,5(図1に示したシャッタボタン3、メニューボタン4、再生ボタン5)は、ユーザに押下操作された押下信号を制御部82に伝達する。
電源部86は、各部に電力を供給する。
【0078】
表示器2は、制御部82の制御信号に従って画像を表示する。この画像には、カメラ部84で撮影している画像や、撮影して記憶部85に保存した画像、あるいはメニュー画像などとすることができる。
【0079】
フラッシュ83は、制御部82の制御信号に従ってストロボ発光する。
カメラ部84は、制御部82の制御信号に従って撮影し、撮影画像を制御部82に伝達する。
【0080】
記憶部85は、制御部82の制御信号に従ってデータの読み書きを行う。このデータには、カメラ部84で撮影された撮影画像データ、およびメニュー画面などを表示するプログラムなど、適宜のデータとすることができる。
【0081】
この構成により、デジタルカメラ1は、操作スイッチ10や操作ボタン3,4,5の操作に従って動作し、フラッシュ83による照明、カメラ部84による撮影、表示器2への撮影画像の表示など、撮影に必要な動作を実行することができる。
【0082】
図10は、周辺固定接点部61の形状と回路構成を示す説明図である。図10(A)は平面図であり、図10(B)は概略構成を示す縦断面図である。
【0083】
図10(A)に示すように、周辺固定接点部61は、中央に第2接点61aが設けられており、その外側に2つの第1接点61cが第2接点61aを中心にして対称(図示左右対称)に配置されている。また、第2接点61aを中心にして第1接点61cと90度異なる位置に、2つの支持受け部61bが設けられている。この2つの支持受け部61bは、第2接点61aを中心にして対称(図示上下対称)に配置されている。従って、第2接点61aを中心にして、支持受け部61bおよび第1接点61cが4方に配置されている。
【0084】
2つの支持受け部61bには、2段ドームスイッチ24の支持部24bが載置される。この支持受け部61bは、図示するようにどの回路にも接続されておらず、通電しない構成となっている。このため、2段ドームスイッチ24の支持部24bは、2段ドームスイッチ24の位置および高さを定める(あるいは姿勢を定める)支持部として機能する。
【0085】
2つの第1接点61cには、2段ドームスイッチ24の第1接触部24cが近接配置される。この2つの第1接点61cと2つの第1接触部24cとのそれぞれの間は、2段ドームスイッチ24の支持部24bが支持受け部61bに正しい姿勢で載置されていると、図10(B)に示すように、ほぼ均等に距離Lcだけ離間する状態となる。これは、2段ドームスイッチ24が、2つの第1接触部24cよりも2つの支持部24bが下方へ突出するように構成されており、1つの平面上に2段ドームスイッチ24が置かれると、2つの支持部24bが接地して2つの第1接触部24cが離間する構成となっていることによるものである。
【0086】
第2接点61aは、第2接触部24aに対して十分に離間して対向している。この第2接点61aと第2接触部24aとが離間する距離Laは、第1接点61cと第1接触部24cとが離間する距離Lcよりも広く構成されている。
【0087】
そして、基板25(図3参照)には、図10(A)に示すように第1接点回路K1と第2接点回路K2とが設けられている。第1接点回路K1は、2つの第1接点61cに繋がる回路である。この第1接点回路K1は、2つの第1接点61cのそれぞれに、2段ドームスイッチ24の2つの第1接触部24cが接触している状態になると、金属製の2段ドームスイッチ24に通電してスイッチONの状態となり、第1検知の検知ができる。従って、1つの第1接点61cに2段ドームスイッチ24の2つの第1接触部24cが接触しても、他方が離間している以上は通電せず、スイッチOFFのままとなる。
【0088】
第2接点回路K2は、2段ドームスイッチ24の第1接触部24cと第2接触部24aに繋がる回路である。この第2接点回路K2は、2段ドームスイッチ24の中心が強く押下されて第2接触部24aが第2接点61aに接触すると、すでに第1接点61cに2段ドームスイッチ24の2つの第1接触部24cが接触していることから、金属製の2段ドームスイッチ24の第1接触部24cと第2接触部24aとの間で通電する。この通電によってスイッチONの状態となり、第2検知の検知ができる。
【0089】
次に、デジタルカメラ1を使用する利用者によって操作スイッチ10が操作された際の動作を説明する。
図11は、ホルダ19とドームスイッチ23,24の位置関係を示す説明図であり、図12は、操作スイッチ10を操作側ユニットU1と検知側ユニットU2とに分離した状態の斜視図である。
【0090】
ここで、操作側ユニットU1は、回転操作体14、導電片16,17,18(図3参照)、ホルダ19、および押子21により構成されている。検知側ユニットU2は、ドームスイッチユニット58、およびベース26により構成されている。
【0091】
操作スイッチ10が押下待機している状態では、図3,4に示したドームスイッチユニット58に備えられている5個のドームスイッチ23,24が半円形のドーム型を有し、その中高部が各押下突起50,57の下端と対向している。これらのドームスイッチ23,24は上方からの押下力に対応して上下方向に弾性変位し、押下力を受けたときに凹み、押下力が開放されると復帰し、元の高さ位置にもどるとドーム型になって、次の押下に備えられる。また、ドームスイッチ23,24と対応する基板25の固定接点は、押下されていないため非導通で検知信号は出力されない。
【0092】
図12に矢印Y3で示すように押子21が押下操作された場合には、その押下力を受けて押子21が押下ストローク分だけ沈み込み、中央の1段ドームスイッチ23を押す。そして、該一段ドームスイッチ23が、その押下方向の中央固定接点60に平面的に接触して導通させ、中央固定接点60からの中央押下信号を出力させる。そして、押子21の押下力を開放すると、1段ドームスイッチ23が弾性復帰し、押下突起57を介して押子21を上向きに押し上げて元の位置に戻す。
【0093】
また、図12に矢印Y1(Y1a〜Y1d)で示すように回転操作体14が押下操作された場合には、その押下操作された特定位置(Y1a〜Y1d)での押下力を受ける。矢印Y1(Y1a〜Y1d)に示すように1段階押下された状態になると、回転操作体14は押下突起50(図11)を介して特定位置に対応する2段ドームスイッチ24を押し、該2段ドームスイッチ24の第1接触部24cが、その押下方向の第1接点61cに平面的に接触して導通させ、該第1接点61cからの第1信号を出力させる。
【0094】
ここで、押下前の第1接触部24cと第1接点61cの隙間が非常に小さいため、回転操作体14をかるく押下しただけで第1接触部24cと第1接点61cが接触、導通し、第1信号を出力する。
【0095】
また、ホルダ19が軟性材料により形成されているため、回転操作体14の一部が押下される際にホルダ19が湾曲し変形する。このため、押下された部分の押下突起50がしっかりと下方へ沈み込みながらも、その90度となりにある他の押下突起50がつられて沈み込むことを防止できる。
【0096】
すなわち、各押下突起50の間にはホルダ19を形成する軟性材料の領域が存在しているため、この領域が変形して隣の押下突起50まで押下力が伝わりにくいようにできる。
【0097】
このようにして検知した第1信号は、上述したローパスフィルタ81越しに制御部82へ伝達されるため、衝突当による瞬間的な信号であれば動作信号とならないようにカットされる。
【0098】
第1信号を受けた制御部82は、準備動作を実行する。この準備動作は、例えば表示器2の表示を消去した待機状態から、表示器2にカメラ部84からの撮影画像をリアルタイム表示する撮影待ち準備状態に移行する、あるいは表示器2にメニュー画面を表示して該メニュー画面のうち押下操作された第1接触部24cに対応するコマンド部分を点滅等によって解るように表示するなど、適宜の動作とすることができる。
【0099】
図12の矢印Y2(Y2a〜Y2d)に示すように、回転操作体14がさらに強く押下されると、第1接触部24cが第1接点61cに接触した状態のまま、2段ドームスイッチ24の頂点となる第2接触部24a部分が下方へ押され、この第2接触部24aが凹凸逆になり、第2接触部24aが第2接点61aに接触、導通し、第2信号を出力する。
【0100】
この第2信号は、上述したローパスフィルタ81越しに制御部82へ伝達されるため、衝突当による瞬間的な信号であれば動作信号とならないようにカットされる。
【0101】
第2信号を受けた制御部82は、指示された動作を実行する。この指示された動作は、例えば表示器2に表示している再生画像を順次切り替える、フラッシュの有無やホワイトバランスなどの撮影モードを切り替える、時刻設定などの設定操作を行うなど、適宜の動作とすることができる。
【0102】
その後、利用者による回転操作体14の押下力が開放されると、2段ドームスイッチ24が弾性復帰し、押下突起50を介してホルダ19を上向きに押し上げる。これにより、回転操作体14は元の位置に戻る。
【0103】
また、回転操作体14を回転操作した場合、この回転操作体14に組み込まれたエンコーダ用可動接点板15が同方向に回転し、このエンコーダ用可動接点板15の摺接面40に、ホルダ19に固定されている非回転の上接触子16a,17a,18aが接触してロータリエンコーダとしての位相信号を検出する。また、この摺接面40は同一平面に形成してあるため、摺接面40に対する上接触子16a,17a,18aの安定した接触性を確保している。
【0104】
一方、共通固定接点59aと第1固定接点59bと第2固定接点59cを備えた基板25に対しては、下接触子16b,17b,18bが何れも非回転で常に接触した状態を維持する。これにより、上接触子16a,17a,18aから得られる信号とにより回転操作体14が回転操作された位置、回転方向、回転速度の信号が検出される。また、回転操作体14が回転操作されたときは、押子21に設けられたコイルスプリング54の両端に位置する球体55が押子挿通孔27の回転操作感触用の凹凸面35と対応し、回転操作体14に対して一定の付勢力を付与して回転抵抗を与えるため、回転操作体14を30度ずつ回す度にクリック感が得られ、回動操作したことが操作者の手に明瞭に伝達される。またこの際、前述した感触機構の回転操作感触部分と、接点部分とは隔離されているため、互いの消耗粉により接点部分が悪影響を受けるようなことはない。
【0105】
以上の構成および動作により、微小な押圧を検知するドームスイッチユニット58について、製造時のバラツキによる不具合を防止でき、歩留まりを向上させることができる。
【0106】
すなわち、第1接点回路K1は、2段ドームスイッチ24の2つの第1接触部24cが両方ともそれぞれの第1接点61cに接触しているときに初めてスイッチONとなって第1検知を行うため、製造時のばらつきで1つの第1接触部24cが第1接点61cに常時接触している状態となっても、問題なくスイッチON/OFFを検知することができる。
【0107】
特に、シート22の接着層22A2の接点接着部202に2段ドームスイッチ24を接着して配置を定める際に、接着のズレ等によって2段ドームスイッチ24が傾くことがあるが、このような場合でも問題なく動作できる。すなわち、2段ドームスイッチ24が傾いて接着されて2つの第1接触部24cのうち一方が周辺固定接点部61の第1接点61cに常時接触の状態となっても、他方の第1接触部24cが第1接点61cから離間状態となるために、この他方の第1接触部24cが押下操作に応じて第1接点61cに接触/離間することで、良好なON/OFF検知を実行できる。従って、良好に動作するドームスイッチユニットを容易に作製することができる。また、歩留まりが良いために低価格で大量に提供することができる。
【0108】
また、2段ドームスイッチ24は、第1接触部24cよりも支持部24bが下方へ突出しているため、製造時のばらつきによって2つの第1接触部24cが両方とも第1接点61cに接触したままの状態になってしまうことを防止できる。すなわち、支持部24bが支持部として2段ドームスイッチ24の高さを保持し、第1接触部24cを第1接点61cから離間させるために、精度よい第1検知を確実に実行できるドームスイッチユニットを容易に提供することができる。
【0109】
また、第2接点回路K2は、2段ドームスイッチ24の第2接触部24aが第2接点61aに接触し、かつ第1接触部24cが第1接点61cに接触している場合にスイッチONとなって第2検知する構成であるため、第2検知を確実に実行することができる。特に、両方の第1接点61cに第2接点回路K2が繋がっているため、第1接触部24cがどちらか1つでも第1接点61cに接触していれば第2検知を実行できる。
【0110】
このようにして、少ない部品点数で押圧強度の異なる2段階の検知を精度よく確実に実行できるスイッチユニットを提供することができる。
また、2段ドームスイッチ24の加工精度とシート22(実施例1の図3参照)の貼り付け精度に対する要求をゆるやかにでき、製造を容易化することができる。
【0111】
また、1つの2段ドームスイッチ24により押下の強さの違う第1信号と第2信号を検知できるため、押下操作時の作用点を2段ドームスイッチ24の頂点と押下突起50との接触部のみの1箇所にでき、安定した動作を容易に得ることができる。
【0112】
また、2段ドームスイッチ24は、第1信号を出力するまでは、押下操作に抵抗する弾性力が2箇所の支持部24bに由来するもののみであるため、軽い押下力で容易にスイッチONすることができる。そして、第1信号の出力後に第2信号を出力するまでは、押下操作に抵抗する弾性力が、2つの支持部24bと2つの第1接触部24cに由来する状態となって強くなる。このため、しっかり押下しないとスイッチONにならず、利用者は第1信号に要する押下力と第2信号に要する押下力の差を明瞭に認識し使い分けることができる。
【0113】
また、このようなドームスイッチユニット58を有する操作スイッチ10により、たとえば本動作開始前の第1信号の出力機能を確実に容易に達成することができる操作スイッチ10を提供することができ、利用者の満足度を向上させることができる。
【0114】
ホルダ19は、軟性素材により形成されているため、第1信号の検知のためのストロークとなる第1接触部24cと第1接点61cとのクリアランスを非常に小さくして敏感に押下検知できるようにしても、押下したい第1接触部24cと別の第1接触部24cが連動して押下検知してしまうことを防止できる。従って、軽い押下を敏感に検知し、かつ押下されていない部位での誤検知を防止することを両立させることができる。
【0115】
また、5方向の入力装置となるドームスイッチ23,24のうち、センターを除く4方向の2段ドームスイッチ24を、状来の単純な丸型や小判(楕円)型ではなく、第1接触部24cと支持部24bを有する特殊な形状にしたため、従来のようにフレキやメンブレンのスイッチ部を介在させる必要なく、安価で、信頼性の高い、第1信号の出力を実現することができる。
【0116】
また、2段ドームスイッチ24の周囲をカバーフィルム層22A1によって被覆し、さらに接着層22A2の周辺シート部201によって接着することで防塵の混入を防ぎつつ、押圧による2段ドームスイッチ24のスムーズな変形動作を気圧で妨げないように連通孔261を備えた厳密な構成において、2段ドームスイッチ24の接着時の姿勢の傾きによる不具合を排除できるため、大量生産時の生産効率を格別に高めることができる。
【0117】
また、ローパスフィルタ81により衝撃によるスイッチONを排除する構成にしたため、意図しない誤動作を防止することができる。特に、第1信号が検知された際に準備動作を実行する構成であっても、衝撃であれば準備動作をしないということができるため、デジタルカメラ1の電源部86のバッテリーが消耗してしまうことを防止できる。
【0118】
また、操作スイッチ10は、中央方向の1段ドームスイッチ23と4方向の2段ドームスイッチ24とにより5方向スイッチとして機能し、またエンコーダ用可動接点板15と導電片16,17,18により回転スイッチとして機能するため、回転式JOG/多方向入力複合スイッチとして機能することができる。
【0119】
また、回転式JOG/多方向入力複合スイッチとして機能するために操作スイッチ10が平面視円形に構成されており、多方向入力の位置(2段ドームスイッチ24の位置)が操作スイッチ10の形状からはわからないようになっていて、どの回転位置でも多方向入力できる構成になっているが、利用者は入力したい方向を容易に正しく入力できる。すなわち、操作スイッチ10の形状から押下すべき位置が正確には解らず少しずれた位置を利用者が押下しても、敏感に反応する2段ドームスイッチ24は、利用者の意図した方向(位置)のものが最初に押下検知でき、これによって利用者の意図した方向を容易に正しく入力することができる。
【実施例2】
【0120】
図13は、形状の異なる2段ドームスイッチ424を用いた実施例2の説明図である。
図13(A)は、2段ドームスイッチ424の平面図を示し、図13(B)は、図13(A)のB−B部分拡大A−A断面図を示す。
【0121】
2段ドームスイッチ424は、リング状の支持部424bと、円形で中央が凸となるように湾曲している本体部425とが2つのアーム部426で接続されて構成されている。
【0122】
リング状の支持部424bは、図13(B)に示すように、底面全体が平面上に接触する。
【0123】
アーム部426は、支持部424bから上方へ立ち上がって内側へ屈曲する逆L字の断面を有し、本体部425近傍位置に下方へ凸となる第1接触部424cが設けられている。
【0124】
本体部425は、ドーム型に形成されており、下面中央に下方へ凸となる第2接触部424aが設けられている。
【0125】
図13(C)は、周辺固定接点461の形状と回路構成を示す説明図である。この実施例2の周辺固定接点461は、実施例1の周辺固定接点部61から支持受け部61bが除かれた形状である。すなわち、第2接点461aは、実施例1の第2接点61aと同一であり、第1接点461cは、実施例1の第1接点61cと同一である。
【0126】
周辺固定接点461の第2接点61aおよび第1接点461c以外の表面は絶縁部材で覆われており、その上に2段ドームスイッチ424が載置されている。2段ドームスイッチ424の第1接触部424cは、第1接点461cに対向して近接配置されており、第2接触部424aは、第2接点461aに対向して配置されている。
【0127】
第1接点回路K1は、実施例1と同様に、2つの第1接点61cに繋がる回路である。また、第2接点回路K2は、実施例1と同様に、2段ドームスイッチ424の第1接触部424cと第2接触部424aに繋がる回路である。
【0128】
周辺固定接点461の中央が押下されると、まず2つの第1接触部424cが第1接点461cに接触し、第1接点回路K1がスイッチONとなる。さらに周辺固定接点461の中央が押下されると、第2接触部424aが第2接点461aに接触し、既に第1接触部424cが第1接点461cに接触していることによって第2接点回路K2がスイッチONとなる。
【0129】
以上の構成により、製造時のバラツキによる不良品の発生を抑制することができ、押圧力の異なる2段階の検知を精度よく実行でき、実施例1と同一の効果を得ることができる。
【実施例3】
【0130】
図14は、実施例3の操作スイッチの接着構造の説明図を示す。図14(A)は、ドームスイッチユニット58Aの平面図を示し、図14(B)は、F−F矢視G−G部分拡大端面図を示す。
この実施例3は、接着層22A2以外は実施例1と同一であるため、その詳細な説明を省略する。
【0131】
接着層22A2は、実施例1での接点接着部202が、略円形の接点接着部207に変わっている。そして、その接点接着部207の周囲に、変位性向上孔203の代わりとなる変位性向上孔208が設けられている。その他の構成は実施例1と同一であるため、その詳細な説明を省略する。
【0132】
この場合も、実施例1と同一の効果を奏することができる。すなわち、2段ドームスイッチ24の第1接触部24cの周辺には変位性向上孔208が存在しているため、接着により第1接触部24cの動作が妨げられることがなく、良好な押下検知を行うことができる。また、周囲が隙間無く完全に接着されているため、高い防塵性能を得ることができ、防塵による性能低下を防止することができる。
そして、接着状態によって2段ドームスイッチ24が傾いても、スイッチのON/OFFを問題なく検知することができる。
【0133】
なお、以上の各実施例では、操作スイッチ10として回転操作体14を有して回転操作と方向入力操作とを検知可能な例で説明したが、これに限らず様々な操作スイッチにドームスイッチユニット58を用いることができる。
【0134】
例えば、2段ドームスイッチ24を円形に複数並べて配置してその上部全体を覆う略円盤型の非回転の操作体を備え、該操作体の上面が利用者に円形になぞられると回転操作であると検知する構成とすることもできる。この場合、隣接する複数の2段ドームスイッチ24で順番にON/OFFを検知すると、この信号により回転操作であると制御手段が判定し、回転操作に対応する動作を実行する構成にすればよい。
【0135】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
この発明の携帯端末は、実施形態のデジタルカメラ1に対応し、
以下同様に、
出力手段は、表示器2に対応し、
スイッチ部材およびドームスイッチは、2段ドームスイッチ24に対応し、
回路部は、基板25に対応し、
スイッチユニットは、ドームスイッチユニット58に対応し、
制御手段は、制御部82に対応するが、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0136】
この発明は、様々な用途のスイッチユニットに用いることができ、特に、携帯電話機やPDAやデジタルカメラなど、小型のスイッチユニットが求められる適宜の装置の操作入力手段として好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0137】
1…デジタルカメラ、2…表示器、10…操作スイッチ、14…回転操作体、24,424…2段ドームスイッチ、24a,424a…第2接触部、24b,424b…支持部、24c,424c…第1接触部、25…基板、58…ドームスイッチユニット、61a…第2接点、61c…第1接点、82…制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの第1接触部を有して両第1接触部間が導電性素材で接続されているスイッチ部材と、
前記各第1接触部がそれぞれ接触/離間する第1接点を有して該接触/離間によってスイッチON/OFFされる回路部とを有するスイッチユニットであって、
前記スイッチ部材は、前記2つの第1接触部を前記第1接点から離間させて支持する支持部を備え、
前記回路部は、前記2つの第1接触部の両方がそれぞれの前記第1接点に接触しているときに通電してスイッチONとなり、前記2つの第1接触部の1つでも前記第1接点から離間すると非通電となってスイッチOFFとなる構成である
スイッチユニット。
【請求項2】
前記スイッチ部材は、
さらに第2接触部が設けられ、該第2接触部と前記第1接触部間が導電性素材で接続されており、
前記回路部は、
前記第2接触部に接触/離間する第2接点を備え、
前記第2接触部から前記第2接点までの距離が、前記第1接触部から前記第1接点の距離よりも長く構成された
請求項1記載のスイッチユニット。
【請求項3】
前記スイッチ部材は、
ドーム型形状を有するドームスイッチであり、
前記第1接触部をドーム型形状の外周部に備え、
前記第2接触部をドーム型形状の頂点部に備えた
請求項2記載のスイッチユニット。
【請求項4】
前記スイッチ部材を同一平面上に複数配置し、
前記回路部は、前記各スイッチ部材の第1接触部に対応して前記第1接点を複数備えた
請求項1、2、または3記載のスイッチユニット。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1つのスイッチユニットと、
該スイッチユニットの上面側に設けられて利用者の押下操作を受け付ける操作体とを備えた
操作スイッチ。
【請求項6】
請求項1から4のいずれか1つのスイッチユニットと、
該スイッチユニットにより操作入力を検知した入力検知信号に従って制御動作を実行する制御手段と、
該制御手段の制御信号に従って情報出力を行う出力手段とを備えた
携帯端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−187406(P2011−187406A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−54303(P2010−54303)
【出願日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】