スイッチングシステム及びスイッチング方法
本発明は無線周波数システム及び方法に関する。無線周波数(RF)システムは、バルク基板領域及び埋設酸化物領域を備えるシリコンオンインシュレータ(SOI)上に実装された、少なくとも1つ又は複数のRF信号をスイッチングするための複数のトランジスタスイッチング素子を備えるRFスイッチを具備する。少なくとも1つのフィルタが、基板及び/又はRFシステムに存在する他の高周波信号若しくは制御信号からRF信号を絶縁するように構成される。トランジスタスイッチ素子の線形性を改善するために、フィルタと協働するように構成された結合キャパシタも提供される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に半導体及びRFシステムの分野に関する。特に、本発明は、RFスイッチ及び集積回路内の無線周波数(RF)信号のスイッチングに関する。
【背景技術】
【0002】
RFスイッチは、無線システムにおける主要なビルディングブロックであり、携帯電話及び無線LANなどの用途で多く使用されている。集積回路の中で無線周波数信号をスイッチングする行為は、RFスイッチ回路によって実行される。集積されたRFスイッチ回路の設計のために、多くの技術が存在する。
【0003】
一般に、RFスイッチシステムは、単独のRFスイッチング回路からなるわけではなく、デジタル論理回路を使用して制御する必要があるのが典型的である。また、スイッチの性能を最適化するために、マイナス及びプラスの電圧レベルが両方必要とされる。したがって、スイッチシステムの一部分としてマイナス電圧発生器も必要とされることがある。スイッチは、複数のスイッチング素子を有することができるが、特定の用途の様々な箇所間のRF電力の流れを制御する任意数のスイッチング素子からなり得る。RF設計技術のスイッチング素子として、MOSFETのスイッチが使用されることが多い。
【0004】
RFスイッチの設計では、低い挿入損失、高い線形性、高度な絶縁性及び電力処理性などの性能メトリックが重要である。しかし、RFスイッチの性能は、基板と回路の相互作用によって制限され、この相互作用が、回路自体の非線形性ばかりでなく主要な性能メトリックもすべて劣化させる。SOI基板に切り換えると、基板の損失が改善すると証明されているが、線形性を改善するのにシリコン基板のさらなる処理が必要とされる。これは、プロセスにおいて酸化物の下のシリコン面の電荷蓄積を防ぐ注入ステップを用いて達成されている。しかし、これらのステップは、無線技術の厳格な要求を満たすのにはまだ十分ではなく、より広範な無線市場部門に役立つために、さらなる技法が必要とされる。
【0005】
Botula Aらによる「A Thin Film SOI 190nm CMOS RF Switch Technology」という名称の出版物、IEEE、米国ニュージャージー州ピスカタウェイ、2009年1月19日、XP031415569は、RFスイッチ用途向けに開発された薄膜SOI技術を開示しており、RF信号から回路を保護するためのバッファを提供する。他の出版物には、Skyworks Solutions社に譲渡された国際公開第2008/057524号パンフレット、Burgenerらの米国特許出願公開第2003/090313号、及びOkihara Masaoの米国特許出願公開第2005/176184号などがある。しかし、これらの出版物で開示されたRF設計には、RF信号を直流及び低周波数のアナログブロックに注入することによる、又はICチップ上のワイヤの直接結合による、RF信号及び/又は直流信号(若しくは制御信号)の意図しない相互作用の問題の存在に取り組んでいるものはない。直流のバイアス信号にRF信号の一部分が意図せず重畳すると、回路は、線形性が劣化して、低い高調波歪みを要求する無線用途に適さなくなる。
【0006】
基板の相互作用問題の解決策の1つには、サファイアなどの代替基板材料を使用することが含まれる。しかし、これによって製造原価がかなり増加し、RF信号と直流信号の相互作用を完全には解決できない。別の解決策には、GaAsなどのIII〜V族の技術の使用が含まれるが、これも原価が増加し、集積化のレベルが低下する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、前述の問題を解消するRFスイッチのシステム、方法及びアーキテクチャを提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、添付の特許請求の範囲で詳述されるように、
バルク基板領域及び埋設酸化物領域を備えるシリコンオンインシュレータ(SOI)上に実装された、少なくとも1つ又は複数のRF信号をスイッチングするための複数のトランジスタスイッチング素子を備えるRFスイッチを具備するRFシステム及び方法であって、
基板及び/又はRFシステムに存在する他の高周波信号若しくは制御信号からRF信号を絶縁するように構成された少なくとも1つのフィルタによって特徴づけられるRFシステム及び方法が提供される。
【0009】
本発明の利点は、近隣のバイアスライン又は基板への結合のあらゆる可能性が、このフィルタによって解消することであり、RFスイッチの優れた線形性をもたらすことになり、従来技術のRFスイッチに関連したあらゆるRF振幅を低減する。このシステムにより、バイアスラインどうしを遠ざけるか又は互いからシールドするといった予防措置を講じなくても、引き続きバイアスライン間の絶縁を実現することができるので、ICチップ上のバイアスラインのルーティングに融通性がもたらされ、また、より大きなスイッチのダイ領域を節約することができる。
【0010】
一実施形態では、トランジスタスイッチ素子の線形性を改善するために、前記少なくとも1つのフィルタと協働するように構成された結合キャパシタが提供される。
【0011】
一実施形態では、少なくとも1つのフィルタは、前記トランジスタスイッチング素子のうち少なくとも1つのゲートバイアスラインに結合される。
【0012】
一実施形態では、バルク基板領域と埋設酸化物領域の間の境界面の自由キャリアを捕捉するための手段を用いて適合されたトレンチ注入物層が提供される。
【0013】
一実施形態では、少なくとも1つのフィルタは、前記トランジスタスイッチング素子のうち少なくとも1つのゲートバイアスライン及び本体バイアスラインに結合される。
【0014】
一実施形態では、ゲートバイアス信号及び本体バイアス信号の両方がフィルタに接続され、フィルタは、バイアス抵抗器に接続され、また、キャパシタを介してスイッチトランジスタのソース又はドレインに接続される。これは、バイアス抵抗器の外部の制御ラインからのrf信号をフィルタリングする効果があり、rf信号の、基板及び近隣の信号への結合を防ぐ一方で、スイッチトランジスタのゲート及び本体に対する局所的結合を可能にして、スイッチトランジスタの線形性を改善する。
【0015】
一実施形態では、フィルタが、マイナス電圧発生器及びデジタル制御ブロックに近接して配置され、RF信号がトランジスタのバイアス信号からこれらの回路に注入されて非線形性をもたらすのを防ぐ。
【0016】
一実施形態では、スイッチアームでフィルタリングが直接生じるように、フィルタが、スイッチとともにRFシステムにわたって諸直流電源に分配され、このことにより、RFシステムにわたってRF電力が重畳したバス制御信号が基板にRF電力を注入するのを防ぐとともに制御ライン間の結合も防ぐことの必要性が解消され、線形性が向上することになる。
【0017】
別の実施形態では、少なくとも1つのトランジスタにおいて部分的フィルタリングが局所的に生じ、デジタルブロック及びマイナス電圧発生器の回路ブロックでさらなるフィルタリングが生じる。
【0018】
別の実施形態では、スイッチアームの最初と最後のトランジスタの幅が、結合キャパシタのない同一のスイッチ領域に結合キャパシタを入れるために縮小される。
【0019】
さらなる実施形態では、本発明は、基板の電荷蓄積の問題を緩和する半導体基板のトレンチ注入物層を利用する。一実施形態では、このトレンチ層は、バルク基板/埋設酸化物の境界面で自由キャリアを捕捉するための手段を備える。このトレンチ層は、一般に製造プロセス中に注入される。この注入されたトレンチ層が、バルク基板/埋設酸化物の境界面で自由キャリアを捕捉して、弱い逆転層を生成する電荷蓄積を止める。これによって、RFスイッチの挿入損失性能が改善され、高調波積の生成も低減される。
【0020】
一実施形態では、トレンチ注入物層が、トランジスタスイッチング素子の少なくとも1つを実質的に取り囲む。
【0021】
一実施形態では、少なくとも1つのトランジスタは、RFシステムの線形性能を改善するために、接続されたドレイン−ソース抵抗Rdsを備える。RFスイッチにトレンチ注入物を使用すると、スイッチ性能が、挿入損失及び線形性に関して改善される。RFスイッチ部分は、ドレイン−ソース抵抗を利用するトランジスタからなる。ドレイン−ソース抵抗は、回路の線形性を向上することによってRFスイッチの性能を改善する。
【0022】
一実施形態では、複数のトランジスタが、スタッキングの構成に配置される。
【0023】
一実施形態では、少なくとも1つのトランジスタ素子が、ビア(vias)を使用して、ソース領域とドレイン領域の間に金属接触層を備える。
【0024】
一実施形態では、この金属が、第1のトランジスタのドレインを、直列に配置された次のトランジスタのソースに接続するために相互に接続する。
【0025】
一実施形態では、金属接触層の下にトレンチ層が配置される、及び/又は金属がRFシステムのトラックを相互に接続する。
【0026】
一実施形態では、前記システムは、デジタル制御ブロック及びマイナス電圧発生器を備える。
【0027】
一実施形態では、フィルタは、RFシステムに存在する大電力の高周波信号からデジタル制御ブロック及びマイナス電圧発生器を保護する手段を備える。
【0028】
一実施形態では、マイナス電圧発生器は、発振器回路、クロックジェネレータ回路及び電荷ポンプを備える。
【0029】
一実施形態では、デジタル論理ブロックは、RFシステムのトランジスタ素子のオンオフ状態を制御する手段を備える。
【0030】
本発明のさらなる実施形態では、
シリコンオンインシュレータ(SOI)の層上に実装された複数のトランジスタスイッチング素子を備えるRFスイッチと、
デジタル制御ブロックと、
マイナス電圧発生器とを具備する無線周波数(RF)システムであって、
SOIの層が、望ましくない基板電荷蓄積を防ぐためのトレンチ注入物層を備えるRFシステムが提供される。
【0031】
本発明のさらなる実施形態では、
バルク基板領域及び埋設酸化物領域を備えるシリコンオンインシュレータ(SOI)上に実装された複数のトランジスタスイッチング素子を配置するステップと、
基板及び/又はRFシステムに存在する他の高周波信号若しくは制御信号からRF信号を絶縁するように構成された少なくとも1つのフィルタを配置するステップとを含む、RFシステムを製造する方法が提供される。
【0032】
さらなる実施形態では、
バルク基板領域及び埋設酸化物領域を備えるシリコンオンインシュレータ(SOI)の層上に実装された複数のトランジスタスイッチング素子を備えるスイッチを具備するシステムであって、
トレンチ注入物層に、バルク基板領域と埋設酸化物領域の間の境界面の自由キャリアを捕捉するための手段が備わっているシステムが提供される。
【0033】
別の実施形態では、
シリコンオンインシュレータ(SOI)の層上に実装された複数のトランジスタスイッチング素子を備えるスイッチと、
デジタル制御ブロックと、
マイナス電圧発生器とを具備するシステムであって、
少なくとも1つのトランジスタが、システムの線形性能を改善するために、接続されたドレイン−ソース抵抗Rdsを備えるシステムが提供される。
【0034】
別の実施形態では、
バルク基板領域及び埋設酸化物領域を備えるシリコンオンインシュレータ(SOI)上に実装された、少なくとも1つ又は複数のRF信号をスイッチングするための複数のトランジスタスイッチング素子を備えるRFスイッチと、
デジタル制御ブロックと、
マイナス電圧発生器であって、
バルク基板領域と埋設酸化物領域の間の境界面の自由キャリアを捕捉するための手段を用いて適合されたトレンチ注入物層と、
基板、デジタル制御ブロック及び/又はマイナス電圧発生器からRF信号を絶縁するように構成された少なくとも1つのフィルタとによって特徴づけられたマイナス電圧発生器とを具備する無線周波数(RF)システムが提供される。
【0035】
別の実施形態では、少なくとも1つ又は複数のRF信号をスイッチングするために半導体基板上に実装された複数のトランジスタスイッチング素子を備えるRFスイッチであって、基板及び/又はRFシステムに存在する他の高周波信号若しくは制御信号からRF信号を絶縁するように構成された少なくとも1つのフィルタによって特徴づけられるRFスイッチが提供される。半導体基板は、任意のタイプの材料であり得るが、好ましくはSOI材料を備える。
【0036】
本発明は、添付図面を参照しながら単なる実例として示される実施形態の以下の説明から、より明確に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】一般的なSOIプロセスの断面図である。
【図2】RFスイッチシステムの主要な要素を示すブロック図である。
【図3】2つの直列アーム及び2つの分流アームを含むRFスイッチの実装形態を示す図である。
【図4】標準的なSOIプロセスで実装された単一のNMOSトランジスタの断面図である。
【図5】本発明の好ましい一実施形態による、フィルタと、rfバイアス抵抗器とスイッチすなわち分流トランジスタとの組合せを示す図である。
【図6】本発明の別の実施形態による、スイッチすなわち分流トランジスタのゲート及び本体の両方にあるフィルタ及びバイアス抵抗器を示す図である。
【図7】ゲートからドレイン、ゲートからソース、本体からドレイン、及び本体からソースの諸端子に、バイアス抵抗器及び結合キャパシタを有するフィルタを示す図である。
【図8】デジタル論理ブロック及びプラスとマイナスの電源にRF信号が到達するのを阻止するフィルタを示す図である。
【図9】本発明の別の態様による集中化されたフィルタバンクの実施形態を示す図である。
【図10】本発明の一実施形態による、1つのスイッチごとの局所的フィルタの概念を示す図である。
【図11】基板においてバルク基板と埋設酸化物の間の境界面に生じる電荷蓄積を示す断面図である。
【図12】本発明の一態様による、RFシステムの基板の電荷蓄積を解消するために使用されるトレンチ注入物を示す断面図である。
【図13】複数のトランジスタが、互いに直列及び並列に接続されたスイッチアームの回路レベル実装形態を示す図である。
【図14】トレンチ層の注入物の位置が示されていることを除けば、図13のスイッチアームと同一のトランジスタレベルの実装形態を示す図である。
【図15】一般的なスイッチアームのレイアウトを示す図である。
【図16】図15のスイッチ実装形態を示す断面図である。
【図17】マイナス電圧発生器ブロックの基本要素を示すブロック図である。
【図18】デジタル制御ブロックの基本要素を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図1は、一般的なSOIプロセスの基本要素の断面を示す。SOIプロセスでは、絶縁層の上に設けた薄いシリコン活性化領域を備える。絶縁層は、シリコン基板の頂部に位置する。絶縁層用の一般的な材料は、二酸化シリコンである。一般に、SOI技術では、バルク基板1、埋設酸化物層2及び別の薄い活性化シリコン層3からなる。バルク基板1は、一般に抵抗率の高い基板である。バルク基板1は、P型又はN型であり得る。バルク基板の一般的な厚さは250μmである。埋設酸化物層2は、インシュレータ層(絶縁層)であり、一般に二酸化シリコンである。埋設酸化物層2の一般的な厚さは1μmである。埋設酸化物の上のシリコン層3は、0.2μm程度の薄い層である。図2は、RFスイッチシステムの基本要素のブロック図を示す。スイッチシステムは、RFスイッチ部分10、デジタル論理部分11及びマイナス電圧発生器部分12からなる。示されたRFスイッチ10は、単極双投(SP2T)スイッチである。このスイッチは、4つのスイッチング素子を有する。各スイッチング素子は、オン又はオフにすることができる。理想的には、スイッチ10は、オンのとき短絡回路として作用し、オフのとき開いた回路として作用する。各スイッチング素子のオン/オフ状態は、デジタル論理制御ブロックからの直流電圧によって制御される。各スイッチング素子にどの制御電圧を与えるかということを制御するために、論理入力が用いられる。RFスイッチ設計における必要な性能レベルを満たすために、スイッチング素子のオフ状態を制御するのにマイナス電圧が必要である。このマイナス電圧は、マイナス電圧発生器12によって供給される。マイナス電圧発生器12は、一定のマイナスの直流電圧をデジタル制御ブロックに供給する。次いで、このマイナスの直流電圧が、プラスの供給電圧とともに、デジタル制御ブロック11によってスイッチング素子を制御するのに用いられる。
【0039】
RFスイッチ部分の代表例が、図3に示されている。この図は単極双投スイッチを示す。単極双投スイッチは、2つの直列アーム20、21及び2つの分流アーム22、23を含む。直列アーム20、21は、RFシステムの別々のポイント間のRF信号の流れを制御するのに用いられる。分流デバイス22、23は、絶縁性を向上することによって回路のRF性能を改善するのに用いられる。単極双投スイッチは、直列アーム20がオンのとき、直列アーム21がオフになり、分流アーム22がオフになって、分流アーム23がオンになるように機能する。各アームのオン/オフ状態は、デジタル制御ブロックからのプラス電圧及びマイナス電圧によって制御される。プラス及びマイナスの制御電圧は、大きな抵抗器(Rg)を介して各アームのトランジスタのゲートに与えられる。本発明の重要な態様の1つに、スイッチ回路の各トランジスタに対して使用されるドレイン−ソース間のRds抵抗24を設けることがある。これらのRds抵抗24は、スイッチ回路の線形性能を改善するのに使用される。
【0040】
図3に示されるように、スイッチ回路の各スイッチング素子は、直列に接続されている5つのトランジスタからなる。トランジスタのこの直列接続は、「スタッキング(stacking)」として知られている。高電圧下で動作することができるスイッチを設計するために、複数のトランジスタが、この仕方でスタッキングされる。スタッキングされたトランジスタを使用することの背景にあるこの考えは、スイッチの単一のトランジスタを、一連の2つ以上のトランジスタで置換することである。結果として、m個のトランジスタがスタックで使用されると、各トランジスタのソースとドレインの間に見られる電圧は、均一に分配され、係数mだけ低下することになる。
【0041】
しかし、このシステムは、本発明の範囲を逸脱することなく、任意数のトランジスタを含むことができる。アームは、特定のアームのトランジスタのゲート抵抗Rgに、プラス電圧を印加することによってオンにされる。直列アーム20の場合、プラス電圧を印加すると、ノード1とノード2の間に低抵抗の経路が生じる。この経路の抵抗が小さければ小さいほど、信号がノード1からノード2まで伝わるときのRF電力損失がより少ない。ノード1とノード2の間で失われる信号電力なる量は、スイッチの挿入損失として知られている。
【0042】
図4に示されるように、トランジスタは、プロセスの薄い活性層で作製される。トランジスタは、ドレイン領域、ソース領域、ゲート領域、ゲート誘電体及びチャンネル領域からなる。ソース領域及びドレイン領域は、適切な高濃度ドーパントを使用して、この薄いシリコン層に生成される。チャンネル領域は、ソースとドレインの間の活性化シリコンの領域である。チャンネル領域の上に、ゲート誘電体が形成される。未使用の活性化シリコン領域に、絶縁注入物を注入することもできる。ソース領域及びドレイン領域への接触は、プロセスの金属層に接続するビア(vias)を使用することによって可能になる。
【0043】
図5は、本発明の好ましい一実施形態による、フィルタ60の設置を示し、このフィルタ60は、図3に示されたアームのうち1つの複数のトランジスタ62のゲートにおける複数のバイアス抵抗器61の前に置かれている。バイアス抵抗器61は、一般に約50〜100kオームの大きな値であるが、どれくらい大きくできるかということは、スイッチのスイッチング時間の要件によって制限される。この制限の結果として、いくらかのRF電力が、抵抗を介してゲートバイアスラインへ漏れることになる。このRF電力は、ゲートバイアスラインから基板又はチップ上の別のバイアスラインに結合して、スイッチ挙動の非線形性をもたらす可能性がある。フィルタ60は、このRF電力/電圧を減衰させて、基板及び/又はRFシステムに存在する他の高周波信号若しくは制御信号からRF信号を絶縁する。図6は、ゲートばかりでなく本体接触にもフィルタが設置されていることを除けば、図5に類似のものである。追加の本体接触によってトランジスタの線形性が改善されるが、フィルタが存在しないと、この利益が失われる可能性がある。
【0044】
図7は、スイッチアームの各終端における、トランジスタ62への結合キャパシタ64の付加を示す。図7は、ゲートからドレイン、ゲートからソース、本体からドレイン、及び本体からソースの諸端子に、バイアス抵抗器及び結合キャパシタを有するフィルタを示す。キャパシタ64は、トランジスタのゲート及び本体に、より多くのRF電圧を供給することになる。これは、入来RF電力を伴うバイアスの変化が、トランジスタ上の電圧差を低減し、且つトランジスタの応答がより線形になるのを助長するので、トランジスタにとって有利である。しかし、フィルタ60がないと、より多くのRF電力も、バイアスラインに結合され、直流及びアナログの回路のどこか他のところに非線形性が付加され、又はバイアスラインを介した基板への結合によって結合されることになる。
【0045】
図8は、図7に類似であるが、フィルタが、デジタル及び低周波数のアナログの回路65及び66をRF電力から絶縁する様子を示しており、これによって線形性が向上することになる。図8は、RF信号がデジタル論理ブロック65並びにプラス及びマイナスの電源66に到達するのを阻止するフィルタ60を示す。
【0046】
図9は、デジタル及び低周波数のアナログの回路65に近接して共に配置された複数のフィルタ60の、1つの可能な実装形態を示す。図9は、一実施形態に従って、バイアスライン70が、チップのまわりを通って結合をもたらすことができる様子を示す。バイアスライン70は、約1ミリメートルの長さにわたってチップのまわりを通ることができるように、比較的長く設計される。RFフィルタ70がないと、バイアスライン上にかなりのrf電圧が存在して他のバイアスライン又は基板へ結合することになり、スイッチ特性の非線形性をもたらすことになる。フィルタ60の設計により、バイアスライン70上の電圧振幅がかなり低減する。
【0047】
図10は、フィルタ60a、60b、60c及び60d(及び関連する回路)が、各スイッチに対して局所的に設置される別の実装形態を示す。図10は、一実施形態に従って、局所的フィルタ構成によって長いバイアスラインが解消される様子を示す。図10は、局所的フィルタが、バイアスライン上のあらゆるrf電圧を低減するのに使用される様子を示すが、より重要なのは、バイアスライン自体の長さが劇的に縮小され、したがって近隣のバイアスライン又は基板へのあらゆる結合の可能性が解消することであり、これが、スイッチの優れた線形性をもたらすことになる。この局所的フィルタの構成により、ICチップ上の長いバイアスラインがなくなり、バイアスラインの相互のrf結合又はバイアスラインから基板へのrf結合のあらゆる可能性が解消する。
【0048】
図11は、参照符号30によって全体的に示された、SOIプロセスで電荷蓄積電荷蓄積が生じ得る領域を示す。バルク基板の自由キャリアによって、バルク基板1と埋設酸化物層2の間の境界面に弱い逆転層30が形成される。この弱い逆転層30は、スイッチ回路のRF性能に悪影響を及ぼす。弱い逆転層30は、RFサイクルにわたって変化する寄生容量をもたらし、これによって、望ましくない高調波積が生じてスイッチ回路の挿入損失が増加する。これは、RFスイッチの設計に関するプロセスとしてのSOIの有用性に、深刻な影響を及ぼす。しかし、本発明の重要な態様により、トレンチ注入物層31を使用して、この逆転層の影響を低減することができる。これは図12に示されている。トレンチ層31は、一般に製造プロセス中に注入され、バルク基板/埋設酸化物の境界面で自由キャリアを捕捉するための手段を有して、弱い逆転層30を生成する電荷蓄積を止める。これによって、RFスイッチの挿入損失性能が改善され、高調波積の生成も低減される。トレンチ注入物層のプロセスは、基板回路の相互作用に起因する高調波歪みを低減するために開発された。トランジスタが形成された後にトレンチが構築される。これは、能動デバイスが存在しない基板までエッチングし、その基板に注入して、基板境界面の動きやすい電子の形成を抑止することになる傷を与えることにより達成される。
【0049】
図3に示されるように、一般的なRFスイッチの用途は、直列に接続された複数のトランジスタを利用する。これは、スイッチ回路が高電圧の条件下で動作することができるように行なわれる。一般的なスイッチ設計は、並列に接続された複数のトランジスタも利用する。図13は、スイッチ回路の単一アームの一般的な実装形態を示す。示されるように、直列に接続された、すなわちスタッキングされたM個のトランジスタがある。Mは、特定の設計要件次第で、任意の数であり得る。M個のトランジスタのスタックにおける各直列トランジスタは、それ自体が、並列接続されたN個のトランジスタで構成され得る。Nは、特定の設計要件次第で、任意の数であり得る。しかし、弱い逆転層30がトランジスタのRF性能に悪影響を及ぼし、上記で概説されたように、RFサイクルにわたって変化する寄生容量をもたらし、スイッチ回路の望ましくない高調波積が生じて挿入損失が増加する。
【0050】
図14は、トレンチ注入物層31が利用されていることを除けば、図15と同一の実装形態を示す。見られるように、トレンチ層31が、1からNまでの並列トランジスタのそれぞれ及び1からMまでのスタッキングされたセルのそれぞれを取り囲む。このトレンチ層が、RFスイッチの挿入損失性能を改善し、高調波積の生成も低減する。
【0051】
図15は、図4の、M個の直列トランジスタのうちの3つ及びN個の並列トランジスタのうちの2つのレイアウト図を示す。見られるように、各トランジスタは、トレンチ注入物層31によって完全に取り囲まれている。図16は、図15の断面を示す。各トランジスタのドレインを次の直列トランジスタのソースに接続するのに、金属の相互接続が使用される。これらの金属相互接続のそれぞれの下、及びスタックの各トランジスタの間に、トレンチ注入物が用いられる。RFスイッチレイアウトの基本的技術の熟練者なら、ここで説明された本発明から著しく逸脱することなく、多くの類似のレイアウトの実装形態が可能であることを理解するであろう。
【0052】
図2に示されたように、RFスイッチ自体も、デジタルブロック及びマイナス電圧発生器ブロック12からなる完全なスイッチシステムである。図17は、マイナス電圧発生器の基本要素のブロック図を示す。マイナス電圧発生器12は、発振器回路40、クロックジェネレータ回路41及び電荷ポンプ42を含む。既に述べられたように、RFスイッチのアームは、様々な時間にオンオフする必要がある。多くの用途に関して、トランジスタアームをオフにするのにマイナス電圧が必要とされる。これは、特定の用途の高出力性及び満たさなければならない厳密な線形性要件によるものである。
【0053】
図18は、デジタル制御ブロック11の基本要素のブロック図を示す。最も簡単な形式のデジタル論理ブロックは、デコーダ回路50、レベルシフタ51、及び上記で説明されたフィルタ60と同様に機能するフィルタ52から成る。レベルシフタ51は、マイナス電圧発生器で生成されたマイナス電圧を入力の1つとして取り入れる。フィルタ52は、RFスイッチからの望ましくない高出力RF信号が、デジタル論理ブロック及びマイナス電圧発生器ブロックに被害を与えるのを防止する。デジタル論理ブロックの機能は、RFスイッチのトランジスタアームのオンオフ状態を制御することである。RFトランジスタは、高出力の条件下で動作する。特定の動作条件下では、レベルシフタは、これらの高出力RF信号に晒すことができる。フィルタ52は、レベルシフタ出力とRFトランジスタのゲート抵抗の間に配置される。フィルタ52は、あらゆるRF信号がレベルシフタに到達するのを阻止することにより、回路を被害から保護するように機能する。
【0054】
本発明の状況では、SOIは、本発明を実施するのに好ましい基板であるが、説明及び/又は図に関して上記で述べられたようなRFスイッチシステムを作製するのに適切な任意のタイプの半導体基板を使用することができるように意図されていることが理解されよう。
【0055】
本明細書では、用語「備える(comprise)、備える(comprises)、備えた(comprised)、備えている(comprising)」又はそれらのあらゆる変形、及び用語「含む(include)、含む(includes)、含んでいた(included)、含んでいる(including)」又はそれらのいかなる変形も、全体として完全に互換性があると考えられ、すべてが、できるだけ広い解釈を与えられるべきであり、逆の場合も同様である。
【0056】
本発明は、以上に説明された実施形態に限定されず、構造及び詳細の両方で変化し得る。
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に半導体及びRFシステムの分野に関する。特に、本発明は、RFスイッチ及び集積回路内の無線周波数(RF)信号のスイッチングに関する。
【背景技術】
【0002】
RFスイッチは、無線システムにおける主要なビルディングブロックであり、携帯電話及び無線LANなどの用途で多く使用されている。集積回路の中で無線周波数信号をスイッチングする行為は、RFスイッチ回路によって実行される。集積されたRFスイッチ回路の設計のために、多くの技術が存在する。
【0003】
一般に、RFスイッチシステムは、単独のRFスイッチング回路からなるわけではなく、デジタル論理回路を使用して制御する必要があるのが典型的である。また、スイッチの性能を最適化するために、マイナス及びプラスの電圧レベルが両方必要とされる。したがって、スイッチシステムの一部分としてマイナス電圧発生器も必要とされることがある。スイッチは、複数のスイッチング素子を有することができるが、特定の用途の様々な箇所間のRF電力の流れを制御する任意数のスイッチング素子からなり得る。RF設計技術のスイッチング素子として、MOSFETのスイッチが使用されることが多い。
【0004】
RFスイッチの設計では、低い挿入損失、高い線形性、高度な絶縁性及び電力処理性などの性能メトリックが重要である。しかし、RFスイッチの性能は、基板と回路の相互作用によって制限され、この相互作用が、回路自体の非線形性ばかりでなく主要な性能メトリックもすべて劣化させる。SOI基板に切り換えると、基板の損失が改善すると証明されているが、線形性を改善するのにシリコン基板のさらなる処理が必要とされる。これは、プロセスにおいて酸化物の下のシリコン面の電荷蓄積を防ぐ注入ステップを用いて達成されている。しかし、これらのステップは、無線技術の厳格な要求を満たすのにはまだ十分ではなく、より広範な無線市場部門に役立つために、さらなる技法が必要とされる。
【0005】
Botula Aらによる「A Thin Film SOI 190nm CMOS RF Switch Technology」という名称の出版物、IEEE、米国ニュージャージー州ピスカタウェイ、2009年1月19日、XP031415569は、RFスイッチ用途向けに開発された薄膜SOI技術を開示しており、RF信号から回路を保護するためのバッファを提供する。他の出版物には、Skyworks Solutions社に譲渡された国際公開第2008/057524号パンフレット、Burgenerらの米国特許出願公開第2003/090313号、及びOkihara Masaoの米国特許出願公開第2005/176184号などがある。しかし、これらの出版物で開示されたRF設計には、RF信号を直流及び低周波数のアナログブロックに注入することによる、又はICチップ上のワイヤの直接結合による、RF信号及び/又は直流信号(若しくは制御信号)の意図しない相互作用の問題の存在に取り組んでいるものはない。直流のバイアス信号にRF信号の一部分が意図せず重畳すると、回路は、線形性が劣化して、低い高調波歪みを要求する無線用途に適さなくなる。
【0006】
基板の相互作用問題の解決策の1つには、サファイアなどの代替基板材料を使用することが含まれる。しかし、これによって製造原価がかなり増加し、RF信号と直流信号の相互作用を完全には解決できない。別の解決策には、GaAsなどのIII〜V族の技術の使用が含まれるが、これも原価が増加し、集積化のレベルが低下する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、前述の問題を解消するRFスイッチのシステム、方法及びアーキテクチャを提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、添付の特許請求の範囲で詳述されるように、
バルク基板領域及び埋設酸化物領域を備えるシリコンオンインシュレータ(SOI)上に実装された、少なくとも1つ又は複数のRF信号をスイッチングするための複数のトランジスタスイッチング素子を備えるRFスイッチを具備するRFシステム及び方法であって、
基板及び/又はRFシステムに存在する他の高周波信号若しくは制御信号からRF信号を絶縁するように構成された少なくとも1つのフィルタによって特徴づけられるRFシステム及び方法が提供される。
【0009】
本発明の利点は、近隣のバイアスライン又は基板への結合のあらゆる可能性が、このフィルタによって解消することであり、RFスイッチの優れた線形性をもたらすことになり、従来技術のRFスイッチに関連したあらゆるRF振幅を低減する。このシステムにより、バイアスラインどうしを遠ざけるか又は互いからシールドするといった予防措置を講じなくても、引き続きバイアスライン間の絶縁を実現することができるので、ICチップ上のバイアスラインのルーティングに融通性がもたらされ、また、より大きなスイッチのダイ領域を節約することができる。
【0010】
一実施形態では、トランジスタスイッチ素子の線形性を改善するために、前記少なくとも1つのフィルタと協働するように構成された結合キャパシタが提供される。
【0011】
一実施形態では、少なくとも1つのフィルタは、前記トランジスタスイッチング素子のうち少なくとも1つのゲートバイアスラインに結合される。
【0012】
一実施形態では、バルク基板領域と埋設酸化物領域の間の境界面の自由キャリアを捕捉するための手段を用いて適合されたトレンチ注入物層が提供される。
【0013】
一実施形態では、少なくとも1つのフィルタは、前記トランジスタスイッチング素子のうち少なくとも1つのゲートバイアスライン及び本体バイアスラインに結合される。
【0014】
一実施形態では、ゲートバイアス信号及び本体バイアス信号の両方がフィルタに接続され、フィルタは、バイアス抵抗器に接続され、また、キャパシタを介してスイッチトランジスタのソース又はドレインに接続される。これは、バイアス抵抗器の外部の制御ラインからのrf信号をフィルタリングする効果があり、rf信号の、基板及び近隣の信号への結合を防ぐ一方で、スイッチトランジスタのゲート及び本体に対する局所的結合を可能にして、スイッチトランジスタの線形性を改善する。
【0015】
一実施形態では、フィルタが、マイナス電圧発生器及びデジタル制御ブロックに近接して配置され、RF信号がトランジスタのバイアス信号からこれらの回路に注入されて非線形性をもたらすのを防ぐ。
【0016】
一実施形態では、スイッチアームでフィルタリングが直接生じるように、フィルタが、スイッチとともにRFシステムにわたって諸直流電源に分配され、このことにより、RFシステムにわたってRF電力が重畳したバス制御信号が基板にRF電力を注入するのを防ぐとともに制御ライン間の結合も防ぐことの必要性が解消され、線形性が向上することになる。
【0017】
別の実施形態では、少なくとも1つのトランジスタにおいて部分的フィルタリングが局所的に生じ、デジタルブロック及びマイナス電圧発生器の回路ブロックでさらなるフィルタリングが生じる。
【0018】
別の実施形態では、スイッチアームの最初と最後のトランジスタの幅が、結合キャパシタのない同一のスイッチ領域に結合キャパシタを入れるために縮小される。
【0019】
さらなる実施形態では、本発明は、基板の電荷蓄積の問題を緩和する半導体基板のトレンチ注入物層を利用する。一実施形態では、このトレンチ層は、バルク基板/埋設酸化物の境界面で自由キャリアを捕捉するための手段を備える。このトレンチ層は、一般に製造プロセス中に注入される。この注入されたトレンチ層が、バルク基板/埋設酸化物の境界面で自由キャリアを捕捉して、弱い逆転層を生成する電荷蓄積を止める。これによって、RFスイッチの挿入損失性能が改善され、高調波積の生成も低減される。
【0020】
一実施形態では、トレンチ注入物層が、トランジスタスイッチング素子の少なくとも1つを実質的に取り囲む。
【0021】
一実施形態では、少なくとも1つのトランジスタは、RFシステムの線形性能を改善するために、接続されたドレイン−ソース抵抗Rdsを備える。RFスイッチにトレンチ注入物を使用すると、スイッチ性能が、挿入損失及び線形性に関して改善される。RFスイッチ部分は、ドレイン−ソース抵抗を利用するトランジスタからなる。ドレイン−ソース抵抗は、回路の線形性を向上することによってRFスイッチの性能を改善する。
【0022】
一実施形態では、複数のトランジスタが、スタッキングの構成に配置される。
【0023】
一実施形態では、少なくとも1つのトランジスタ素子が、ビア(vias)を使用して、ソース領域とドレイン領域の間に金属接触層を備える。
【0024】
一実施形態では、この金属が、第1のトランジスタのドレインを、直列に配置された次のトランジスタのソースに接続するために相互に接続する。
【0025】
一実施形態では、金属接触層の下にトレンチ層が配置される、及び/又は金属がRFシステムのトラックを相互に接続する。
【0026】
一実施形態では、前記システムは、デジタル制御ブロック及びマイナス電圧発生器を備える。
【0027】
一実施形態では、フィルタは、RFシステムに存在する大電力の高周波信号からデジタル制御ブロック及びマイナス電圧発生器を保護する手段を備える。
【0028】
一実施形態では、マイナス電圧発生器は、発振器回路、クロックジェネレータ回路及び電荷ポンプを備える。
【0029】
一実施形態では、デジタル論理ブロックは、RFシステムのトランジスタ素子のオンオフ状態を制御する手段を備える。
【0030】
本発明のさらなる実施形態では、
シリコンオンインシュレータ(SOI)の層上に実装された複数のトランジスタスイッチング素子を備えるRFスイッチと、
デジタル制御ブロックと、
マイナス電圧発生器とを具備する無線周波数(RF)システムであって、
SOIの層が、望ましくない基板電荷蓄積を防ぐためのトレンチ注入物層を備えるRFシステムが提供される。
【0031】
本発明のさらなる実施形態では、
バルク基板領域及び埋設酸化物領域を備えるシリコンオンインシュレータ(SOI)上に実装された複数のトランジスタスイッチング素子を配置するステップと、
基板及び/又はRFシステムに存在する他の高周波信号若しくは制御信号からRF信号を絶縁するように構成された少なくとも1つのフィルタを配置するステップとを含む、RFシステムを製造する方法が提供される。
【0032】
さらなる実施形態では、
バルク基板領域及び埋設酸化物領域を備えるシリコンオンインシュレータ(SOI)の層上に実装された複数のトランジスタスイッチング素子を備えるスイッチを具備するシステムであって、
トレンチ注入物層に、バルク基板領域と埋設酸化物領域の間の境界面の自由キャリアを捕捉するための手段が備わっているシステムが提供される。
【0033】
別の実施形態では、
シリコンオンインシュレータ(SOI)の層上に実装された複数のトランジスタスイッチング素子を備えるスイッチと、
デジタル制御ブロックと、
マイナス電圧発生器とを具備するシステムであって、
少なくとも1つのトランジスタが、システムの線形性能を改善するために、接続されたドレイン−ソース抵抗Rdsを備えるシステムが提供される。
【0034】
別の実施形態では、
バルク基板領域及び埋設酸化物領域を備えるシリコンオンインシュレータ(SOI)上に実装された、少なくとも1つ又は複数のRF信号をスイッチングするための複数のトランジスタスイッチング素子を備えるRFスイッチと、
デジタル制御ブロックと、
マイナス電圧発生器であって、
バルク基板領域と埋設酸化物領域の間の境界面の自由キャリアを捕捉するための手段を用いて適合されたトレンチ注入物層と、
基板、デジタル制御ブロック及び/又はマイナス電圧発生器からRF信号を絶縁するように構成された少なくとも1つのフィルタとによって特徴づけられたマイナス電圧発生器とを具備する無線周波数(RF)システムが提供される。
【0035】
別の実施形態では、少なくとも1つ又は複数のRF信号をスイッチングするために半導体基板上に実装された複数のトランジスタスイッチング素子を備えるRFスイッチであって、基板及び/又はRFシステムに存在する他の高周波信号若しくは制御信号からRF信号を絶縁するように構成された少なくとも1つのフィルタによって特徴づけられるRFスイッチが提供される。半導体基板は、任意のタイプの材料であり得るが、好ましくはSOI材料を備える。
【0036】
本発明は、添付図面を参照しながら単なる実例として示される実施形態の以下の説明から、より明確に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】一般的なSOIプロセスの断面図である。
【図2】RFスイッチシステムの主要な要素を示すブロック図である。
【図3】2つの直列アーム及び2つの分流アームを含むRFスイッチの実装形態を示す図である。
【図4】標準的なSOIプロセスで実装された単一のNMOSトランジスタの断面図である。
【図5】本発明の好ましい一実施形態による、フィルタと、rfバイアス抵抗器とスイッチすなわち分流トランジスタとの組合せを示す図である。
【図6】本発明の別の実施形態による、スイッチすなわち分流トランジスタのゲート及び本体の両方にあるフィルタ及びバイアス抵抗器を示す図である。
【図7】ゲートからドレイン、ゲートからソース、本体からドレイン、及び本体からソースの諸端子に、バイアス抵抗器及び結合キャパシタを有するフィルタを示す図である。
【図8】デジタル論理ブロック及びプラスとマイナスの電源にRF信号が到達するのを阻止するフィルタを示す図である。
【図9】本発明の別の態様による集中化されたフィルタバンクの実施形態を示す図である。
【図10】本発明の一実施形態による、1つのスイッチごとの局所的フィルタの概念を示す図である。
【図11】基板においてバルク基板と埋設酸化物の間の境界面に生じる電荷蓄積を示す断面図である。
【図12】本発明の一態様による、RFシステムの基板の電荷蓄積を解消するために使用されるトレンチ注入物を示す断面図である。
【図13】複数のトランジスタが、互いに直列及び並列に接続されたスイッチアームの回路レベル実装形態を示す図である。
【図14】トレンチ層の注入物の位置が示されていることを除けば、図13のスイッチアームと同一のトランジスタレベルの実装形態を示す図である。
【図15】一般的なスイッチアームのレイアウトを示す図である。
【図16】図15のスイッチ実装形態を示す断面図である。
【図17】マイナス電圧発生器ブロックの基本要素を示すブロック図である。
【図18】デジタル制御ブロックの基本要素を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図1は、一般的なSOIプロセスの基本要素の断面を示す。SOIプロセスでは、絶縁層の上に設けた薄いシリコン活性化領域を備える。絶縁層は、シリコン基板の頂部に位置する。絶縁層用の一般的な材料は、二酸化シリコンである。一般に、SOI技術では、バルク基板1、埋設酸化物層2及び別の薄い活性化シリコン層3からなる。バルク基板1は、一般に抵抗率の高い基板である。バルク基板1は、P型又はN型であり得る。バルク基板の一般的な厚さは250μmである。埋設酸化物層2は、インシュレータ層(絶縁層)であり、一般に二酸化シリコンである。埋設酸化物層2の一般的な厚さは1μmである。埋設酸化物の上のシリコン層3は、0.2μm程度の薄い層である。図2は、RFスイッチシステムの基本要素のブロック図を示す。スイッチシステムは、RFスイッチ部分10、デジタル論理部分11及びマイナス電圧発生器部分12からなる。示されたRFスイッチ10は、単極双投(SP2T)スイッチである。このスイッチは、4つのスイッチング素子を有する。各スイッチング素子は、オン又はオフにすることができる。理想的には、スイッチ10は、オンのとき短絡回路として作用し、オフのとき開いた回路として作用する。各スイッチング素子のオン/オフ状態は、デジタル論理制御ブロックからの直流電圧によって制御される。各スイッチング素子にどの制御電圧を与えるかということを制御するために、論理入力が用いられる。RFスイッチ設計における必要な性能レベルを満たすために、スイッチング素子のオフ状態を制御するのにマイナス電圧が必要である。このマイナス電圧は、マイナス電圧発生器12によって供給される。マイナス電圧発生器12は、一定のマイナスの直流電圧をデジタル制御ブロックに供給する。次いで、このマイナスの直流電圧が、プラスの供給電圧とともに、デジタル制御ブロック11によってスイッチング素子を制御するのに用いられる。
【0039】
RFスイッチ部分の代表例が、図3に示されている。この図は単極双投スイッチを示す。単極双投スイッチは、2つの直列アーム20、21及び2つの分流アーム22、23を含む。直列アーム20、21は、RFシステムの別々のポイント間のRF信号の流れを制御するのに用いられる。分流デバイス22、23は、絶縁性を向上することによって回路のRF性能を改善するのに用いられる。単極双投スイッチは、直列アーム20がオンのとき、直列アーム21がオフになり、分流アーム22がオフになって、分流アーム23がオンになるように機能する。各アームのオン/オフ状態は、デジタル制御ブロックからのプラス電圧及びマイナス電圧によって制御される。プラス及びマイナスの制御電圧は、大きな抵抗器(Rg)を介して各アームのトランジスタのゲートに与えられる。本発明の重要な態様の1つに、スイッチ回路の各トランジスタに対して使用されるドレイン−ソース間のRds抵抗24を設けることがある。これらのRds抵抗24は、スイッチ回路の線形性能を改善するのに使用される。
【0040】
図3に示されるように、スイッチ回路の各スイッチング素子は、直列に接続されている5つのトランジスタからなる。トランジスタのこの直列接続は、「スタッキング(stacking)」として知られている。高電圧下で動作することができるスイッチを設計するために、複数のトランジスタが、この仕方でスタッキングされる。スタッキングされたトランジスタを使用することの背景にあるこの考えは、スイッチの単一のトランジスタを、一連の2つ以上のトランジスタで置換することである。結果として、m個のトランジスタがスタックで使用されると、各トランジスタのソースとドレインの間に見られる電圧は、均一に分配され、係数mだけ低下することになる。
【0041】
しかし、このシステムは、本発明の範囲を逸脱することなく、任意数のトランジスタを含むことができる。アームは、特定のアームのトランジスタのゲート抵抗Rgに、プラス電圧を印加することによってオンにされる。直列アーム20の場合、プラス電圧を印加すると、ノード1とノード2の間に低抵抗の経路が生じる。この経路の抵抗が小さければ小さいほど、信号がノード1からノード2まで伝わるときのRF電力損失がより少ない。ノード1とノード2の間で失われる信号電力なる量は、スイッチの挿入損失として知られている。
【0042】
図4に示されるように、トランジスタは、プロセスの薄い活性層で作製される。トランジスタは、ドレイン領域、ソース領域、ゲート領域、ゲート誘電体及びチャンネル領域からなる。ソース領域及びドレイン領域は、適切な高濃度ドーパントを使用して、この薄いシリコン層に生成される。チャンネル領域は、ソースとドレインの間の活性化シリコンの領域である。チャンネル領域の上に、ゲート誘電体が形成される。未使用の活性化シリコン領域に、絶縁注入物を注入することもできる。ソース領域及びドレイン領域への接触は、プロセスの金属層に接続するビア(vias)を使用することによって可能になる。
【0043】
図5は、本発明の好ましい一実施形態による、フィルタ60の設置を示し、このフィルタ60は、図3に示されたアームのうち1つの複数のトランジスタ62のゲートにおける複数のバイアス抵抗器61の前に置かれている。バイアス抵抗器61は、一般に約50〜100kオームの大きな値であるが、どれくらい大きくできるかということは、スイッチのスイッチング時間の要件によって制限される。この制限の結果として、いくらかのRF電力が、抵抗を介してゲートバイアスラインへ漏れることになる。このRF電力は、ゲートバイアスラインから基板又はチップ上の別のバイアスラインに結合して、スイッチ挙動の非線形性をもたらす可能性がある。フィルタ60は、このRF電力/電圧を減衰させて、基板及び/又はRFシステムに存在する他の高周波信号若しくは制御信号からRF信号を絶縁する。図6は、ゲートばかりでなく本体接触にもフィルタが設置されていることを除けば、図5に類似のものである。追加の本体接触によってトランジスタの線形性が改善されるが、フィルタが存在しないと、この利益が失われる可能性がある。
【0044】
図7は、スイッチアームの各終端における、トランジスタ62への結合キャパシタ64の付加を示す。図7は、ゲートからドレイン、ゲートからソース、本体からドレイン、及び本体からソースの諸端子に、バイアス抵抗器及び結合キャパシタを有するフィルタを示す。キャパシタ64は、トランジスタのゲート及び本体に、より多くのRF電圧を供給することになる。これは、入来RF電力を伴うバイアスの変化が、トランジスタ上の電圧差を低減し、且つトランジスタの応答がより線形になるのを助長するので、トランジスタにとって有利である。しかし、フィルタ60がないと、より多くのRF電力も、バイアスラインに結合され、直流及びアナログの回路のどこか他のところに非線形性が付加され、又はバイアスラインを介した基板への結合によって結合されることになる。
【0045】
図8は、図7に類似であるが、フィルタが、デジタル及び低周波数のアナログの回路65及び66をRF電力から絶縁する様子を示しており、これによって線形性が向上することになる。図8は、RF信号がデジタル論理ブロック65並びにプラス及びマイナスの電源66に到達するのを阻止するフィルタ60を示す。
【0046】
図9は、デジタル及び低周波数のアナログの回路65に近接して共に配置された複数のフィルタ60の、1つの可能な実装形態を示す。図9は、一実施形態に従って、バイアスライン70が、チップのまわりを通って結合をもたらすことができる様子を示す。バイアスライン70は、約1ミリメートルの長さにわたってチップのまわりを通ることができるように、比較的長く設計される。RFフィルタ70がないと、バイアスライン上にかなりのrf電圧が存在して他のバイアスライン又は基板へ結合することになり、スイッチ特性の非線形性をもたらすことになる。フィルタ60の設計により、バイアスライン70上の電圧振幅がかなり低減する。
【0047】
図10は、フィルタ60a、60b、60c及び60d(及び関連する回路)が、各スイッチに対して局所的に設置される別の実装形態を示す。図10は、一実施形態に従って、局所的フィルタ構成によって長いバイアスラインが解消される様子を示す。図10は、局所的フィルタが、バイアスライン上のあらゆるrf電圧を低減するのに使用される様子を示すが、より重要なのは、バイアスライン自体の長さが劇的に縮小され、したがって近隣のバイアスライン又は基板へのあらゆる結合の可能性が解消することであり、これが、スイッチの優れた線形性をもたらすことになる。この局所的フィルタの構成により、ICチップ上の長いバイアスラインがなくなり、バイアスラインの相互のrf結合又はバイアスラインから基板へのrf結合のあらゆる可能性が解消する。
【0048】
図11は、参照符号30によって全体的に示された、SOIプロセスで電荷蓄積電荷蓄積が生じ得る領域を示す。バルク基板の自由キャリアによって、バルク基板1と埋設酸化物層2の間の境界面に弱い逆転層30が形成される。この弱い逆転層30は、スイッチ回路のRF性能に悪影響を及ぼす。弱い逆転層30は、RFサイクルにわたって変化する寄生容量をもたらし、これによって、望ましくない高調波積が生じてスイッチ回路の挿入損失が増加する。これは、RFスイッチの設計に関するプロセスとしてのSOIの有用性に、深刻な影響を及ぼす。しかし、本発明の重要な態様により、トレンチ注入物層31を使用して、この逆転層の影響を低減することができる。これは図12に示されている。トレンチ層31は、一般に製造プロセス中に注入され、バルク基板/埋設酸化物の境界面で自由キャリアを捕捉するための手段を有して、弱い逆転層30を生成する電荷蓄積を止める。これによって、RFスイッチの挿入損失性能が改善され、高調波積の生成も低減される。トレンチ注入物層のプロセスは、基板回路の相互作用に起因する高調波歪みを低減するために開発された。トランジスタが形成された後にトレンチが構築される。これは、能動デバイスが存在しない基板までエッチングし、その基板に注入して、基板境界面の動きやすい電子の形成を抑止することになる傷を与えることにより達成される。
【0049】
図3に示されるように、一般的なRFスイッチの用途は、直列に接続された複数のトランジスタを利用する。これは、スイッチ回路が高電圧の条件下で動作することができるように行なわれる。一般的なスイッチ設計は、並列に接続された複数のトランジスタも利用する。図13は、スイッチ回路の単一アームの一般的な実装形態を示す。示されるように、直列に接続された、すなわちスタッキングされたM個のトランジスタがある。Mは、特定の設計要件次第で、任意の数であり得る。M個のトランジスタのスタックにおける各直列トランジスタは、それ自体が、並列接続されたN個のトランジスタで構成され得る。Nは、特定の設計要件次第で、任意の数であり得る。しかし、弱い逆転層30がトランジスタのRF性能に悪影響を及ぼし、上記で概説されたように、RFサイクルにわたって変化する寄生容量をもたらし、スイッチ回路の望ましくない高調波積が生じて挿入損失が増加する。
【0050】
図14は、トレンチ注入物層31が利用されていることを除けば、図15と同一の実装形態を示す。見られるように、トレンチ層31が、1からNまでの並列トランジスタのそれぞれ及び1からMまでのスタッキングされたセルのそれぞれを取り囲む。このトレンチ層が、RFスイッチの挿入損失性能を改善し、高調波積の生成も低減する。
【0051】
図15は、図4の、M個の直列トランジスタのうちの3つ及びN個の並列トランジスタのうちの2つのレイアウト図を示す。見られるように、各トランジスタは、トレンチ注入物層31によって完全に取り囲まれている。図16は、図15の断面を示す。各トランジスタのドレインを次の直列トランジスタのソースに接続するのに、金属の相互接続が使用される。これらの金属相互接続のそれぞれの下、及びスタックの各トランジスタの間に、トレンチ注入物が用いられる。RFスイッチレイアウトの基本的技術の熟練者なら、ここで説明された本発明から著しく逸脱することなく、多くの類似のレイアウトの実装形態が可能であることを理解するであろう。
【0052】
図2に示されたように、RFスイッチ自体も、デジタルブロック及びマイナス電圧発生器ブロック12からなる完全なスイッチシステムである。図17は、マイナス電圧発生器の基本要素のブロック図を示す。マイナス電圧発生器12は、発振器回路40、クロックジェネレータ回路41及び電荷ポンプ42を含む。既に述べられたように、RFスイッチのアームは、様々な時間にオンオフする必要がある。多くの用途に関して、トランジスタアームをオフにするのにマイナス電圧が必要とされる。これは、特定の用途の高出力性及び満たさなければならない厳密な線形性要件によるものである。
【0053】
図18は、デジタル制御ブロック11の基本要素のブロック図を示す。最も簡単な形式のデジタル論理ブロックは、デコーダ回路50、レベルシフタ51、及び上記で説明されたフィルタ60と同様に機能するフィルタ52から成る。レベルシフタ51は、マイナス電圧発生器で生成されたマイナス電圧を入力の1つとして取り入れる。フィルタ52は、RFスイッチからの望ましくない高出力RF信号が、デジタル論理ブロック及びマイナス電圧発生器ブロックに被害を与えるのを防止する。デジタル論理ブロックの機能は、RFスイッチのトランジスタアームのオンオフ状態を制御することである。RFトランジスタは、高出力の条件下で動作する。特定の動作条件下では、レベルシフタは、これらの高出力RF信号に晒すことができる。フィルタ52は、レベルシフタ出力とRFトランジスタのゲート抵抗の間に配置される。フィルタ52は、あらゆるRF信号がレベルシフタに到達するのを阻止することにより、回路を被害から保護するように機能する。
【0054】
本発明の状況では、SOIは、本発明を実施するのに好ましい基板であるが、説明及び/又は図に関して上記で述べられたようなRFスイッチシステムを作製するのに適切な任意のタイプの半導体基板を使用することができるように意図されていることが理解されよう。
【0055】
本明細書では、用語「備える(comprise)、備える(comprises)、備えた(comprised)、備えている(comprising)」又はそれらのあらゆる変形、及び用語「含む(include)、含む(includes)、含んでいた(included)、含んでいる(including)」又はそれらのいかなる変形も、全体として完全に互換性があると考えられ、すべてが、できるだけ広い解釈を与えられるべきであり、逆の場合も同様である。
【0056】
本発明は、以上に説明された実施形態に限定されず、構造及び詳細の両方で変化し得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線周波数(RF)スイッチを具備するRFシステムであって、前記RFスイッチが、バルク基板領域及び埋設酸化物領域を備えるシリコンオンインシュレータ(SOI)基板上に実装された、少なくとも1つ又は複数のRF信号をスイッチングするための複数のトランジスタスイッチング素子を備える、RFシステムにおいて、
前記基板及び/又は当該RFシステムに存在する他の高周波信号若しくは制御信号から前記RF信号を絶縁するように構成された少なくとも1つのフィルタを備えることを特徴とする、RFシステム。
【請求項2】
結合キャパシタが、前記トランジスタスイッチ素子の線形性を改善するために、前記少なくとも1つのフィルタと協働するように構成される、請求項1に記載のRFシステム。
【請求項3】
前記バルク基板領域と前記埋設酸化物領域との間の境界面の自由キャリアを捕捉するための手段を用いて適合されたトレンチ注入物層を備える、請求項1又は2に記載のRFシステム。
【請求項4】
前記少なくとも1つのフィルタが、前記トランジスタスイッチング素子のうち少なくとも1つのゲートバイアスラインに結合される、請求項1〜3のいずれか一項に記載のRFシステム。
【請求項5】
前記少なくとも1つのフィルタが、前記トランジスタスイッチング素子のうち少なくとも1つのゲートバイアスライン及び本体バイアスラインに結合される、請求項1〜4のいずれか一項に記載のRFシステム。
【請求項6】
バイアス抵抗器に接続され、且つキャパシタを介して前記スイッチトランジスタの前記ソース又はドレインに接続されている少なくとも1つのフィルタに、ゲートのバイアス信号及び本体のバイアス信号が接続される、請求項1〜5のいずれか一項に記載のRFシステム。
【請求項7】
少なくとも1つのトランジスタにおいて、部分的フィルタリングが局所的に生じ、前記デジタルブロック及びマイナス電圧発生器の回路ブロックでさらなるフィルタリングが生じる、請求項1〜6のいずれか一項に記載のRFシステム。
【請求項8】
前記スイッチの最初と最後のトランジスタの幅が、前記結合キャパシタのない前記同一のスイッチ領域に前記結合キャパシタを入れるために縮小される、請求項1〜7のいずれか一項に記載のRFシステム。
【請求項9】
前記トレンチ注入物層が、前記トランジスタスイッチング素子の少なくとも1つを実質的に取り囲む、請求項1〜8のいずれか一項に記載のRFシステム。
【請求項10】
少なくとも1つのトランジスタが、当該RFシステムの線形性能を改善するために、接続されたドレイン−ソース抵抗Rdsを備える、請求項1〜9のいずれか一項に記載のRFシステム。
【請求項11】
前記複数のトランジスタが、スタッキング構成で配置される、請求項1〜10のいずれか一項に記載のRFシステム。
【請求項12】
第1のトランジスタのドレインを、直列に配置された次のトランジスタのソースに接続するために相互に接続する金属を備える、請求項1〜11のいずれか一項に記載のRFシステム。
【請求項13】
前記金属接触層の下にトレンチ層が配置される、及び/又は、金属が当該RFシステムのトラックを相互に接続する、請求項12に記載のRFシステム。
【請求項14】
デジタル制御ブロック及びマイナス電圧発生器を備える、請求項1〜13のいずれか一項に記載のRFシステム。
【請求項15】
前記少なくとも1つのフィルタが、当該RFシステムに存在する大電力の高周波信号から前記デジタル制御ブロック及び前記マイナス電圧発生器を絶縁する手段を備える、請求項14に記載のRFシステム。
【請求項16】
前記マイナス電圧発生器が、発振器回路、クロックジェネレータ回路及び電荷ポンプを備える、請求項14又は15に記載のRFシステム。
【請求項17】
前記デジタル論理ブロックが、当該RFシステムの前記トランジスタ素子のオンオフ状態を制御する手段を備える、請求項14〜16のいずれか一項に記載のRFシステム。
【請求項18】
バルク基板領域及び埋設酸化物領域を備えるシリコンオンインシュレータ(SOI)上に実装された複数のトランジスタスイッチング素子を配置するステップと、
基板及び/又はRFシステムに存在する他の高周波信号若しくは制御信号からRF信号を絶縁するように構成された少なくとも1つのフィルタを配置するステップと
を含む、RFシステムを製造する方法。
【請求項19】
前記バルク基板領域と前記埋設酸化物領域との間の境界面の自由キャリアを捕捉するために、前記基板と前記埋設酸化物層の間にトレンチ注入物層を注入するステップを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記トレンチ注入物層が、前記トランジスタスイッチング素子の少なくとも1つを実質的に取り囲む、請求項19に記載の方法。
【請求項1】
無線周波数(RF)スイッチを具備するRFシステムであって、前記RFスイッチが、バルク基板領域及び埋設酸化物領域を備えるシリコンオンインシュレータ(SOI)基板上に実装された、少なくとも1つ又は複数のRF信号をスイッチングするための複数のトランジスタスイッチング素子を備える、RFシステムにおいて、
前記基板及び/又は当該RFシステムに存在する他の高周波信号若しくは制御信号から前記RF信号を絶縁するように構成された少なくとも1つのフィルタを備えることを特徴とする、RFシステム。
【請求項2】
結合キャパシタが、前記トランジスタスイッチ素子の線形性を改善するために、前記少なくとも1つのフィルタと協働するように構成される、請求項1に記載のRFシステム。
【請求項3】
前記バルク基板領域と前記埋設酸化物領域との間の境界面の自由キャリアを捕捉するための手段を用いて適合されたトレンチ注入物層を備える、請求項1又は2に記載のRFシステム。
【請求項4】
前記少なくとも1つのフィルタが、前記トランジスタスイッチング素子のうち少なくとも1つのゲートバイアスラインに結合される、請求項1〜3のいずれか一項に記載のRFシステム。
【請求項5】
前記少なくとも1つのフィルタが、前記トランジスタスイッチング素子のうち少なくとも1つのゲートバイアスライン及び本体バイアスラインに結合される、請求項1〜4のいずれか一項に記載のRFシステム。
【請求項6】
バイアス抵抗器に接続され、且つキャパシタを介して前記スイッチトランジスタの前記ソース又はドレインに接続されている少なくとも1つのフィルタに、ゲートのバイアス信号及び本体のバイアス信号が接続される、請求項1〜5のいずれか一項に記載のRFシステム。
【請求項7】
少なくとも1つのトランジスタにおいて、部分的フィルタリングが局所的に生じ、前記デジタルブロック及びマイナス電圧発生器の回路ブロックでさらなるフィルタリングが生じる、請求項1〜6のいずれか一項に記載のRFシステム。
【請求項8】
前記スイッチの最初と最後のトランジスタの幅が、前記結合キャパシタのない前記同一のスイッチ領域に前記結合キャパシタを入れるために縮小される、請求項1〜7のいずれか一項に記載のRFシステム。
【請求項9】
前記トレンチ注入物層が、前記トランジスタスイッチング素子の少なくとも1つを実質的に取り囲む、請求項1〜8のいずれか一項に記載のRFシステム。
【請求項10】
少なくとも1つのトランジスタが、当該RFシステムの線形性能を改善するために、接続されたドレイン−ソース抵抗Rdsを備える、請求項1〜9のいずれか一項に記載のRFシステム。
【請求項11】
前記複数のトランジスタが、スタッキング構成で配置される、請求項1〜10のいずれか一項に記載のRFシステム。
【請求項12】
第1のトランジスタのドレインを、直列に配置された次のトランジスタのソースに接続するために相互に接続する金属を備える、請求項1〜11のいずれか一項に記載のRFシステム。
【請求項13】
前記金属接触層の下にトレンチ層が配置される、及び/又は、金属が当該RFシステムのトラックを相互に接続する、請求項12に記載のRFシステム。
【請求項14】
デジタル制御ブロック及びマイナス電圧発生器を備える、請求項1〜13のいずれか一項に記載のRFシステム。
【請求項15】
前記少なくとも1つのフィルタが、当該RFシステムに存在する大電力の高周波信号から前記デジタル制御ブロック及び前記マイナス電圧発生器を絶縁する手段を備える、請求項14に記載のRFシステム。
【請求項16】
前記マイナス電圧発生器が、発振器回路、クロックジェネレータ回路及び電荷ポンプを備える、請求項14又は15に記載のRFシステム。
【請求項17】
前記デジタル論理ブロックが、当該RFシステムの前記トランジスタ素子のオンオフ状態を制御する手段を備える、請求項14〜16のいずれか一項に記載のRFシステム。
【請求項18】
バルク基板領域及び埋設酸化物領域を備えるシリコンオンインシュレータ(SOI)上に実装された複数のトランジスタスイッチング素子を配置するステップと、
基板及び/又はRFシステムに存在する他の高周波信号若しくは制御信号からRF信号を絶縁するように構成された少なくとも1つのフィルタを配置するステップと
を含む、RFシステムを製造する方法。
【請求項19】
前記バルク基板領域と前記埋設酸化物領域との間の境界面の自由キャリアを捕捉するために、前記基板と前記埋設酸化物層の間にトレンチ注入物層を注入するステップを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記トレンチ注入物層が、前記トランジスタスイッチング素子の少なくとも1つを実質的に取り囲む、請求項19に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公表番号】特表2013−507873(P2013−507873A)
【公表日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−533655(P2012−533655)
【出願日】平成22年10月18日(2010.10.18)
【国際出願番号】PCT/EP2010/065653
【国際公開番号】WO2011/045442
【国際公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【出願人】(512098245)ファーフィクス リミテッド (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月18日(2010.10.18)
【国際出願番号】PCT/EP2010/065653
【国際公開番号】WO2011/045442
【国際公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【出願人】(512098245)ファーフィクス リミテッド (1)
【Fターム(参考)】
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